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1997-12-02 第141回国会 参議院 建設委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十二月二日(火曜日)    午前十時開会     —————————————    委員異動  十月二十日     辞任         補欠選任      橋本 聖子君     浦田  勝君  十月二十一日     辞任         補欠選任      浦田  勝君     橋本 聖子君  十一月五日     辞任         補欠選任      橋本 聖子君     大木  浩君  十一月六日     辞任         補欠選任      大木  浩君     橋本 聖子君  十一月十二日     辞任         補欠選任      緒方 靖夫君     聴濤  弘君  十一月十三日     辞任         補欠選任      聴濤  弘君     緒方 靖夫君  十一月十七日     辞任         補欠選任      福本 潤一君     山下 栄一君  十一月十八日     辞任         補欠選任      太田 豊秋君     木宮 和彦君      山下 栄一君     福本 潤一君  十一月十九日     辞任         補欠選任      木宮 和彦君     太田 豊秋君  十一月二十六日     辞任         補欠選任      益田 洋介君     直嶋 正行君  十一月二十八日     辞任         補欠選任      直嶋 正行君     益田 洋介君  十二月一日     辞任         補欠選任      橋本 聖子君     松浦 孝治君  十二月二日     辞任         補欠選任      松浦 孝治君     橋本 聖子君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         関根 則之君     理 事                 岩井 國臣君                 山崎 正昭君                 益田 洋介君                 緒方 靖夫君     委 員                 太田 豊秋君                 鴻池 祥肇君                 坂野 重信君                 永田 良雄君                 橋本 聖子君                 前田 勲男君                 平野 貞夫君                 福本 潤一君                 小川 勝也君                 竹村 泰子君                 赤桐  操君                 奥村 展三君    国務大臣        建 設 大 臣  瓦   力君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)      鈴木 宗男君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  亀井 久興君    政府委員        北海道開発庁総        務監理官     小野  薫君        北海道開発庁計        画監理官     青木 東雄君        国土庁土地局長  窪田  武君        国土庁大都市圏        整備局長        兼国会等移転審        議会事務局次長  林  桂一君        国土庁防災局長  山本 正堯君        資源エネルギー        庁公益事業部長  奥村 裕一君        建設大臣官房長  小鷲  茂君        建設省建設経済        局長       五十嵐健之君        建設省都市局長  木下 博夫君        建設省河川局長  尾田 栄章君        建設省道路局長  佐藤 信彦君        建設省住宅局長  小川 忠男君    事務局側        常任委員会専門        員        八島 秀雄君    説明員        大蔵大臣官房秘        書課長      渡辺 博史君        大蔵省主計局主        計企画官     原  雅彦君        大蔵省証券局企        業財務課長    三國谷勝範君        自治省財政局公        営企業第一課長  大野 慎一君        消防庁予防課長  須貝 俊司君    参考人        日本道路公団理        事        黒川  弘君        本州四国連絡橋        公団理事     縣  保佑君   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○参考人出席要求に関する件 ○建設事業及び建設計画等に関する調査  (財政構造改革公共事業の在り方に関する件  )  (建設産業対策に関する件)  (土地対策に関する件)  (道路事業及び道路特定財源に関する件)  (民活による住宅社会資本整備に関する件)  (防災対策に関する件)  (北海道開発に関する件)  (日本道路公団等に係る接待問題等に関する件  )  (琵琶湖の総合的保全対策に関する件)     —————————————
  2. 関根則之

    委員長関根則之君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が二名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 関根則之

    委員長関根則之君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事益田洋介君及び緒方靖夫君を指名いたします。     —————————————
  4. 関根則之

    委員長関根則之君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  建設事業及び建設計画等に関する調査のため、本日、日本道路公団理事黒川弘君及び本州四国連絡橋公団理事縣保佑君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 関根則之

    委員長関根則之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  6. 関根則之

    委員長関根則之君) 建設事業及び建設計画等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 坂野重信

    坂野重信君 おはようございます。建設大臣皆さん、御苦労さまでございます。特に建設大臣は、この財政の厳しいときに、また世間が非常に不景気ということで建設業界も大変なピンチに立っているときに大変な重責を背負っておられますので、御苦労さまでございます。  私は、三十分間にわたりまして大臣建設行政全般にわたる問題をお聞きして、あと具体的な問題を岩井先生に譲りたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  まず、財政構造改革景気対策の問題でございます。  橋本内閣、自民党、与党中心となって財政改革会議も既にスタートしているわけでございますが、その途上にまさに景気の厳しい状態が襲ってまいりました。株価の下落あるいは地価下落、そして大手銀行大手証券会社破綻等のいろいろな問題が急に起きてまいりまして、まさに金融不安というものが世間で激しく指摘されております。建設会社倒産も次第に広がってまいりまして、総務庁の二十八日の発表によりますと、十月の完全失業率が三・五%、非常に状態の悪い状況になってまいりましたし、また労働省の発表によりましても、十月の有効求人倍率は〇・七ということでございました。したがって、全般的に非常に厳しい中で、財政再建財政再建でやっていかなきゃならぬ、しかし一方で果たして財政再建一本やりでこの不況が乗り切れるかどうかというような大変な厳しい時代に入ってまいりました。そこで、政府としては、私が申し上げるまでもなく、まず規制緩和であるとか土地流動化を図る、あるいは法人税減税だとかその他の政策減税によって何とかこの事態を乗り切ろうということでございますが、これらの政策というものは即効性が必ずしもあるわけではございませんから、この経済の安定、活性化ということを考える場合には、一番大もとの金融安定化を図るということがまず第一だということで、最近公的資金の投入の積極策も必要だということが強く叫ばれるようになってまいりました。  政府においてもそういう方向で今準備中と聞いておりますが、国務大臣の一人として建設大臣に、この間の考え方、どういう具合に我々は処すべきかという所見についてまず伺いたいと思います。
  8. 瓦力

    国務大臣瓦力君) 坂野先生指摘のように大変厳しい経済状況下にございます。また一方におきましては、政府構造改革を取り進めようという懸命の努力をいたしておりまして、私どももその中にありまして今その努力をさせていただいておるわけであります。  経済安定化活性化のために公的資金を投入すればどうかという議論は、たまたまではなくて、これらについてのさまざまな議論が各所から徴せられるものでありまして、大変厳しい状況であるという認識委員指摘のとおりであり、またこれらの公的資金の問題につきましても承知をいたしておるわけであります。  しかし、現在のところ、先般取りまとめられました「二十一世紀を切りひらく緊急経済対策」、これらの早急な実施を図ることが目下喫緊課題である、かように認識をいたしておりまして、建設省としてはこれらに対応した施策をこの中に織り込みながら努力をしてまいりたい、こう考えておるわけであります。  その考え方の中に、既に発表されておりますが、土地住宅税制の検討、土地高度利用を誘発する都市基盤整備推進生活環境改善のための都市のリノベーション、市街化調整区域における郊外型住宅等計画的開発促進などの施策緊急経済対策として掲げておりまして、法律改正が必要なものもございますが、これらのものを含めまして所要措置を講ずることによりまして、まずは施策の速やかな実施に向けて全力で取り組んでまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  9. 坂野重信

    坂野重信君 特に建設業界におきましては、御案内のように明年度公共事業マイナス七%、これは大変なことでございまして、経常的な経費を差し引くと七%では済まない、場合によっては三〇%ぐらいにもなるんじゃないかということが言われているわけでございますが、そういった先行きの事業縮小のムードがもう全国的に今広がっております。そして、一方においては、さっき申し上げた金融不安による銀行筋のどうやら近ごろは貸し渋りというような状況が起きてまいって、建設業界はまさに今ピンチに陥ろうとしております。  そして倒産が、平成八年の一月から十月までを見ても、倒産件数は実に三千四十八、平成九年においてはこれが三千八百四十と一・三倍近い伸びが見られる。金額の面においても、平成八年の七千十二億に比べて今は二兆以上にわたっている。まさに三倍近い倒産額というものがあらわれてきた。件数も全産業の約三割近いような倒産件数が出てきている。まさにこれは深刻な状態でございまして、特に中小企業が一番あおりを受けて厳しい状態になっている。  でございますので、大臣はこの状況というものを非常に深刻にお考えになっていると思いますが、どのように認識され、そして業界対策を今後どういうぐあいに進めていくのか、その辺の考え方をお伺いしたいと思います。
  10. 瓦力

    国務大臣瓦力君) 坂野先生はまさに専門家でいらっしゃいますが、今御指摘のように建設投資額で見まして、平成年度で八十一兆四千億でございましたものが、平成年度におきましては七十九兆八千億と二%マイナスになっております。建設業者数で見ましても、平成年度は五十万九千社ございましたが、平成年度では五十六万五千社でございますから二%ふえておるわけでございまして、これらを考えてみますと、あるいはバランスの崩壊など建設業界を取り巻く環境が近年大きく変化をいたしております。  景気も御指摘のように足踏み状態でございまして、公共投資の抑制などによりまして建設業は極めて厳しい経営環境に直面しておる、こう申せるわけであります。特に、公共事業への依存度の高い中小並びに中堅建設業者にとりましてこの影響は極めて大きいわけでありまして、先生の憂慮される御発言もこのあたりにあろうかと思うわけであります。  中小建設業者等受注機会確保を図るために、官公需法に基づきまして閣議決定された中小企業向け契約目標を受けまして、建設省といたしましては、本年度は昨年度を上回る目標を掲げて今、目下推進しておるところでございます。従来からの分離分割発注推進発注標準引き上げ等対策に加えまして、本年度一般競争入札客観点数条件の引き下げの積極的推進、いわゆる上位ランク工事への参入機会拡大を図る等の努力や、また経常JV活用による中小建設業者等受注環境改善などの中小建設業者受注機会確保を講じておるところでございます。  さらに、今回の経済対策におきまして資金繰りの悪化している中小建設業者への円滑な資金供給を図るために、中小企業金融機関から借り入れを行う際の信用保証協会保証額、これが倍額される対象業種建設業等が十一月二十六日に追加されておりますので、これらを踏まえて、今後ともこれらの措置の着実な実施を図るために建設業者経営健全化財務体質改善に取り組んでまいる、そういうことに期待をかげながらこれらの経緯、動向をしかと見守ってまいりたい、こう考えておるわけであります。
  11. 坂野重信

    坂野重信君 業界対策は大変難しいと思っております。銀行の問題は、大臣もおっしゃいましたが、今やっぱり金融をどう進めていくかということ、与党でも宮澤さんを中心にして対策本部もできたようでございますし、そういう中で金融界の安定をどうして図っていくか、これがやっぱり建設業に対する貸し渋りの解除と軽減ということにもつながってくると思います。  何しろ、とにかく公共事業が減ることによって、特に地方はなかなか民需がありませんから、そうすると公共事業が減ってくれば全体の仕事の量、箇所というものが減ってくる、それに対して業界の数がある程度淘汰されたとしてもなかなかバランスがとれない。そういう中で考えますと、将来的にはやっぱり企業合同といいますか、そういうような数を減らすことも考えていかなきゃいかぬと思いますし、いろんなジョイント方式も研究されておりますけれども、これもいい面と悪い面が出ておりまして、かえって結果的にはまじめな中クラスの仕事が減るというような面もなきにしもあらずというようなことも出ておりまして、大変難しい状態でございます。  いずれにしてもこれをほっておけない。今度の業界対策というのは今までにない私は大変厳しい状態に来たと思っておりますので、ぜひその辺についての今後一層の御努力をお願いしたいと思っておりますが、何か官房長でも追加することがあればひとつコメントいただきたいと思います。
  12. 小野薫

    政府委員小野薫君) 中小建設業対策、今大変な事態であるということは十分認識をいたしております。  先生指摘のとおり、経常JV活用してやってきているわけでございますが、確かに、逆に経常JVに参加できない企業は一体どうするのかといったような御指摘もあるということも十分認識をいたしております。こういうことを今後どうするかということが大変大きな課題でございますけれども、やはり仕事の量とかあるいはそういうものに比べまして業者の方々の数が多いと、先ほど大臣からもアンバランスな面が多少あるというお話があったわけでございますけれども、ある程度やはり合同というようなことも一つの考え方としては持っていくということが必要ではないか、こんなふうにも思っているところでございます。
  13. 坂野重信

    坂野重信君 今出ている金融対策公的資金ということで、主として財投とかそういうようなことを中心とした考え方のようでございますけれども、やっぱり公共事業考えてみますと、私はいずれこの災害復旧費は今年度の予算の予備費では足らないと思っております。  そうすると、どうしても補正というものがやっぱり出てこざるを得ない。補正を組むためにはまだ一月やそこらの余裕はあると思いますが、そういう状態の中で特に緊急災害対応といいますか、災害関連というようなものはやっぱり最小限度財政出動をすることによってこの際難局を打破せざるを得ないんじゃないか。アメリカあたりからも内需拡大の要請が出ているようでございますし、景気対策一環としてやはり公共事業というものの補正をこの際持っていくと、最小限度のものでもやっていかなきゃならぬ状態が一歩一歩近づいております。  私は別に保保論者でも何でもありませんが、まじめな意味で、これはやっぱり公共事業というものはぼつぼつ財政出動の時期が来たんじゃないかと思っておりますが、その辺のひとつ建設大臣所見をお願いしたいと思います。
  14. 瓦力

    国務大臣瓦力君) 大変厳しい財政状況下にありますし、景気状況も極めて厳しいことは先般来御指摘のとおりでございます。できる限り経済に配慮する観点から、まずは平成年度建設省概算要求に当たりましてでございますが、経済構造改革推進するために物流の効率化であるとかあるいは中心市街地活性化などに資する事業を、さらには用地補償費比率が低いものなどに短期間に高い効果が期待できるもの、こういう分野に重点を図って概算要求をいたしておるわけでございます。  今、坂野先生指摘のように、補正等のことに触れても御発言でございますが、これは御案内のとおり財政構造改革を今進めておる中で、また政府としてはこれらに踏み込むことなしに対応していかなきゃならぬということで、先月の十八日にいわゆる緊急経済対策を決定したわけであります。さらにその際、いわゆるゼロ国債の活用を図るとともに、災害対策について適切な対応を図ると、こうされておりまして、公共事業の端境期においても切れ目のない事業の執行を図ることによって経済に十分配慮してまいらなきゃならぬ、こう心得ておるわけであります。  財政が大変厳しい中でありますが、政府はこの方針について今取り組むべきことと、これから対応しなければならぬことはさらにこれからも検討されていくわけでありますけれども、目下のところは今申し上げた手だてを講じながら所要施策の速やかな実施に向けて現在のところ全力を挙げて取り組んでまいりたい、こういう決意でございます。
  15. 坂野重信

    坂野重信君 次は、土地流動化策の問題ですが、党の税制調査会もいよいよ先週の二十一日から審議を開始いたしました。この中で、当然土地流動化あるいは住宅促進のための土地住宅税制改正というものが景気対策一環としても検討されることになっておりますが、これは財政再建を横にらみしながら、基本的な方向としてはバブル以前の状態税制を戻すということが一番大切であり基本だと思っております。  これらについての大臣見解を伺いたいと思いますし、また国土庁長官はまさに土地主管庁長官でございますから、特に地価税についての考え方をお伺いしたいと思います。
  16. 瓦力

    国務大臣瓦力君) 目下は厳しい経済状況でございまして、土地市場動向にかんがみますと、土地有効利用促進であるとか、土地流動化を通じた景気の回復を図ることが喫緊課題であると、こういう認識でございまして、このために土地税制の抜本的かつ思い切った見直しが必要である。  こういうことで、建設省としては地価税につきましては廃止または凍結譲渡所得課税につきましては大幅な見直し、また事業用資産の買いかえ特例の充実、こういった点を要望いたしておりまして、既に地価水準GDP比バブル前の水準を下回っておるわけでありますので、バブル対策税制はその役割を終えたと、土地流動化にとって大きな阻害要因になっておると、こういうことで土地住宅税制見直しにつきまして、以上の見解を持って努力をしてまいりたいと思っておるわけであります。
  17. 亀井久興

    国務大臣亀井久興君) ただいま建設大臣から土地税制全般にわたって御答弁があったところでございますが、地価税につきましては現時点において制度自体は維持すべきものと考えておりますけれども、最近の土地をめぐる状況をもろもろ勘案いたし、当面の措置といたしまして凍結等により負担軽減を図ることが適当であると国土庁としては考えております。
  18. 坂野重信

    坂野重信君 次は、公共事業役割というか性格論についての私の考えを申し上げながら、また大臣所見をお願いしたいと思います。  どうも近ごろ、近ごろといいますかここ一年以上続いておりますが、公共事業バッシングの風評があります。そして、その中身を申し上げますと、公共事業欧米先進諸国に比べて二倍から三倍、多過ぎるんじゃないかというのが第一点。それから、今や経済効果景気浮揚効果が少ないじゃないかというのが第二点。第三点はむだなことが多いというような批判が出ております。  これについて私の見解を申し上げますと、まず第一に、欧米諸国に比べて二倍三倍が多いなんていうことは、これはまさに認識不足でございまして、我が国欧米諸国に比べて社会資本整備状況というのは地方に行くほどまだまだ立ちおくれております。例えば、高規格道路とか下水道の整備等欧米に比べればはるかに低い、河川や砂防のおくれたために毎年多大のとうとい生命、財産を失っている、そういうことを考えるときには、やっぱり公共事業促進というものは待望されていることは間違いないわけでございます。各県のニーズの調査をやった結果を見てそういう結果が出ております。欧米先進国はもう既に公共事業が完備されていてやるところがないんですから、そういうところと比べて日本公共事業が多過ぎるなんてとんでもない、これは誤解でございます。  それから、第二番目の経済効果の問題でございますが、これは申し上げるまでもございません。フロー効果ストック効果と分かれているわけでございます。フロー効果というのは、いわゆるとんかちを行ってその結果どういう効果が出るかというのがフロー効果でございますが、この効果の大きいことは、先般も大蔵省からその見解発表されました。減税よりも公共事業をやった方が効果があるということもはっきり大蔵省が示しておりますし、経済企画庁等の資料においてもそういうような結果が出ております。ストック効果があることは申し上げるまでもないことでございます。道路ができたらそれだけの経済効果が出てくるということでございます。いずれにいたしましても、欧米各国のような整備の進んだところと我が国とは実情が違うんだということをやはり認識していただきたいと思うわけでございます。  それから、よくケインズ理論が話題に上りますが、ヨーロッパ等はまさにケインズ理論時代は終わったわけでございまして、我が日本はまだこれが適用できる時代にあるわけでございますから、その辺が学者の皆さんでさえも間違えて、もうケインズ理論なんというのは日本でも古いんだと、通用しないなんて言っておりますが、とんでもない間違いでございます。  それから三番目の、むだなことが多いというようなことで特定公共事業が名指しで持ち出されて非難を受けているようでございますが、公共事業は多岐にわたっておりまして、戦後今日まで日本が立ち上がってきたのもまさに公共事業が一役も二役も買ってきた、役割を果たした成果だと思っております。  しかし、今後、国民各層の意見を尊重しながら、公共事業相互の連携を密にして邁進しなければならぬのは当然だと思っておりますが、これらについての建設大臣の所感を簡単で要点で結構でございますからお示しいただきたいと思います。
  19. 瓦力

    国務大臣瓦力君) 我が国国土条件といいますのは、急峻な山を持ち、また脆弱な地盤を持ち、河川道路経済または生活を支えておる。  我が国社会資本整備、なかんずくこれからの作業は地方においても非常に渇望する声が強うございます。こうした社会資本整備をこれから進めることによりまして快適な市民生活が確保される、経済活動が活発になることが我が国の将来にとって欠くことのできないことでありまして、公共事業に関する正しい理解をさらに広く求めていかなければならぬ。また、このような御批判といいますか考え方がさらに国民の中に支えられていく要素をつくり上げていくことが私どもの仕事を理解していただくことにつながると、こういうことを考えるわけであります。  さらに申し上げれば、公共事業の効率的、効果実施に一層努めてまいらなきやなりませんし、また今後、社会資本整備には思い切って重点化とか、公共事業のコストの縮減対策であるとか、類似事業間の調整などを積極的に推進いたしまして、費用効果分析の実施、公表によって事業の計画、実施過程における透明性の確保、これらを図ることにこれからも積極的に取り組んでまいらなきゃならぬ、かように考えておるわけであります。
  20. 坂野重信

    坂野重信君 それでは最後の質問になりますが、公共事業費の執行の問題についての考え方です。  こう言っては失礼かもしれませんが、公共事業が不要だと言っている皆さんは東京で生まれて東京で育った人が一番多いんです、これは。田舎の方はそういうことはありません。  そこで、公共事業も要らないとおっしゃっているし、しかも大都市地方と違って用地費も高いです、そして公共投資というものも相当進んでおります、比較的に申し上げますと。したがって、私どもは、やっぱり用地費の安い、事業全体の中で占める用地補償費というものが低いところ、そしてまた公共事業がおくれているところ、そういうところを今後当分、少なくとも財政再建の期間中三年間なら三年間でも地方重点のめり張りのついた予算の執行というものをぜひ考えていただきたい。これは我が党においてもそういう決意をしておりますし、党としても了承していることでございます。  政府の方もその点は御了解されていると思いますが、この際思い切ってひとつ建設大臣もそういう方向でめり張りのきいた予算の執行というものをぜひお願いしたい。これだけ質問いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  21. 瓦力

    国務大臣瓦力君) 坂野先生指摘のように、地方におきましてはいろいろおくれている部分も確かにございまして、建設省として平成年度の予算を考える場合に、生活関連の社会資本につきましては下水道など真に整備がおくれている分野、地域への重点化であるとか、また経済に与える影響も勘案いたしまして、用地補償費比率が低いものなど、短期間に高い事業効果があらわれてくるものへ重点化を図りたいと考えておるわけであります。  個別事業につきまして、町村の下水道整備、これが事業費で六%、または中心市街地活性化におきましては九%、これらの重点化を図り、地方における適切な事業実施に努めてまいりたい、こう考えているわけであります。  なお、知事さん方、多数問題をお持ちでございますが、私は先般、東京都知事ともお話をさせていただきましたが、やっぱり首都環状線とかこういったことについて東京都知事自身も道路体系整備には金が要る、東京はまだ問題があると、こういうようなことでありまして、東京も地方も問題が残っておるんだと思います。  地方におきましてのこれらの課題につきましては十分着目をして、めり張りをきかせた予算対応をさせていただきたい、こう考えております。
  22. 岩井國臣

    岩井國臣君 ただいまは、坂野先生から国土建設行政におきます現下の重要問題につきまして質疑をいただきました。私は、その辺の基本的な問題を踏まえながら、やや具体的な諸問題につきまして質問をさせていただきたいと思います。  先週の金曜日でございますが、財政構造改革推進に関する特別措置法、いわゆる財特法が成立いたしました。今臨時国会の最大の課題であっただけに私たちもほっとしているところでございます。  国と地方の債務が五百兆円近くになり、小さな政府に向けた財政赤字の削減という問題は、近づく高齢化社会を意識すれば当然の選択でございました。我が国経済の健全化のためには避けて通れない待ったなしの選択ではありますが、現下の深刻な経済状況考えればなかなか厳しい選択であったのではなかろうか、そんなふうに思います。  本来、財政構造改革平成十五年度で終わるわけではないわけでございます。私の理解といたしましては、国の累積債務は少なくとも平成十五年度まではふえ続けるわけでございまして、当然利払いも平成十五年度までふえ続けるわけでございます。平成年度予算では利払いが十一・七兆円ということでありますから、国の一般歳出の一五・一%を占めておるわけです。これが平成十五年度でどうなるのかわかりませんけれども、もっとふえるだろうと思います。それは間違いないことではなかろうか。問題はそれからでございまして、平成十五年度以降どうなるのか。  ところで、公共事業というのは国家百年の計と言えばちょっとオーバーに聞こえるかもわかりませんけれども、決してオーバーな言い方ではないんです。私のやってまいりました治水なんという仕事は、二百年に一度の割合で発生する洪水がどうのこうのとか、そういうふうなことを言っておるわけでございますし、阪神・淡路大震災クラスの地震が例えばあの地方にいつ来るかといえば、これはいつのことかわからぬようなことなんです。気の長い話といえば気の長い話であります。孫子の代といいますか、もっともっと先のことを考えながらやっているという面があるわけでございます。ですから、私たち公共事業に携わる者といたしましては、ここ五年やそこらのこともさることながら、その先のことも当然気になるわけでございます。  さて、今回の財特法におきましては、建設国債の削減計画がありません。つまり、建設は縛りはあるんですけれども直接の数字はない、具体的な数字がない。大蔵省の資料によりますと、平成年度以降平成十五年度までの毎年度建設国債発行額というのは八・五兆円ということになっております。もちろん、これは一つの試算であります。それはわかっておるわけであります。  しかし、それから言えることは、赤字国債を減らすだけでも大変なのに、建設国債を減らす余裕なんというものはないと、大蔵省の資料はそう言っているように見受けられますし、また実際にもそうだろうと思います。少なくとも平成十五年度までは建設国債の発行は減らせない、大蔵省が減らしたくても減らせない、こんなところではなかろうかと思います。  ところで、今、坂野先生のお話にも出てまいりましたが、マスコミには公共投資バッシングといいますか公共事業悪玉論といいますか、現在の累積債務の主たる原因があたかも公共事業であるかのごとき主張がございます。それは、同時に建設国債に対する厳しい見方につながっているのではなかろうかと思いますので、建設国債について少し考えてみたいと思います。  そこで、まず最初に私の主張を述べさせていただきまして、その後そのことにつきまして大蔵省見解を聞きたいというふうに思います。  OECDの資料によりますと、国及び地方の債務残高はGDPの九〇・八%で、イタリアに次いで大きな数字になっているわけです。これは周知の事実である。絶対額で四百六十八兆円、「財政構造改革考える」という大蔵省の資料をいただいておるわけでありますが、これによりますと、国の公債残高は二百五十四兆円、地方の公債残高は百八兆円、合わせまして計三百六十二兆円なんです。四百六十八兆との差、約百六兆あるわけでありますが、それは何によるのかよくわかりませんけれども、旧国鉄の債務だとか林野の債務その他のものが入っておるのではなかろうか。それらをGDPの割合で言いますと、国の債務残高が四九・二%、地方の公債残高が二〇・九%、旧国鉄の債務その他、ちょっとわけのわからないというか私が余りよくわからぬのがあるんですが、そういうふうなものをもろもろひっくるめて二〇・六%、そして国の公債残高のうち建設国債にかかわるものが三三・三%、赤字国債にかかわるものが一五・九%あるんです。もし赤字国債と旧国鉄の債務その他のものがなければ、国と地方の債務残高はGDPの五四・二%になるんです。これはヨーロッパ、アメリカに比べて最少であります。イギリスよりも低いんです。  私が何を言いたいかといいますと、現在のイタリアに次ぐ破格の累積債務をもたらした原因は、赤字国債の乱発と旧国鉄の債務その他わけのわからないといいますか、もろもろのものがある、そういうふうに私は理解をしておるわけであります。  そこで、大蔵省にお尋ねいたしますが、以上の私の見解といいますか見方につきまして何が御指摘があればおっしゃっていただきたいと思います。
  23. 原雅彦

    説明員(原雅彦君) 先生の御指摘でございますが、まず債務の現況でございます。  御案内のとおり、OECDによりますと、九七年の国とそれから地方の債務残高の対GDP比が九〇・八%、額にいたしまして約四百七十兆円というところでございます。一方で、平成年度末の我が国の国と地方のいわゆる公債の残高につきましては、御指摘のように国が二百五十四兆円、地方が百八兆円ということで、合わせますと約三百六十二兆円というふうに見込まれております。この間に約百兆円の差があるわけでございます。  これはいわゆる国連が定めました国民経済計算というのがございます。その体系上、いわゆる中央政府に含まれます一般会計、それから特別会計等の借入金、それから地方政府に含まれます地方の普通会計、それから事業会計等の借入金の合計額ということになるわけでございます。ただ、先生指摘がございました国鉄清算事業団等の債務につきましては、これらはいわゆる中央政府という範囲に分類されておりませんために、先ほどの国、地方の債務残高にはカウントされてございません。これは事実関係でございます。  それから、財政事情悪化の要因でございますけれども、バブル崩壊の後、累次にわたる景気の下支え策といたしまして公共投資の追加等を行いましたほかに、一つには人口の高齢化、経済成長の鈍化等の財政を取り巻く状況の変化、また社会保障分野に見られるような政府役割の増大に伴う歳出の拡大、さらにはこれまで大量の国債発行を続けてきました結果、利払い等に要する国債費が巨額に上っていることといった構造的な要因があるというふうに考えているところでございます。ということで、この結果、現在の財政状況は非常に危機的な状況に至っているわけでございます。  御指摘のように、GDPに対しまして約九〇%の債務残高でございますが、このうちの建設国債と地方債の合計は御指摘のように約五四%を占めている状況ではございます。が、いわゆる建設国債の発行に伴う公債費、国債費を賄うために特例公債の発行の増加を招くといったような問題があることから、建設国債につきましても債務の累増の一因になっていることは否定できないというふうに考えているところでございます。
  24. 岩井國臣

    岩井國臣君 ありがとうございました。  さて、皆さん御承知のように、建設国債と赤字国債は同様に国の借金であるからこれを区別することはおかしいという議論がございます。法案が通りました翌日、十一月二十九日の日本経済新聞の社説でこういうふうに言っております。「私たちは再三、法案の欠陥を指摘してきた。」と、こういうふうに言いまして、法案反対の第一の理由といたしまして、建設国債と赤字国債という時代錯誤の区別を設けている点と、そういうのを挙げておるわけであります。私はとんでもない意見だろうと思います。大体、公共事業悪玉論という立場に立つ人は、先ほど坂野先生のお話にもありましたが、私に言わせれば公共事業というものについて理解がないかあるいは悪意を持っている人の言うことではなかろうかなと、こんな気がするわけであります。私は、やはり建設国債と赤字国債というものは峻別して考えるべきだというふうに思います。  建設国債は、国民の貯蓄が住宅社会資本という資産にかわるだけであって、それを子供や孫たちが利用するわけです。赤字国債は違います。赤字国債は、我々が今使ってしまうだけであって子供や孫に恩恵が行き渡るわけではない。そこが建設国債と赤字国債の根本的に違うところだろうというふうに思います。  さて、そこで質問でありますが、大蔵省にお聞きするわけでありますが、今回の財特法で建設国債と赤字国債と区別して取り扱われたのはなぜでしょうか。大蔵省見解をお尋ねしたいと思います。
  25. 原雅彦

    説明員(原雅彦君) ただいま御指摘がございましたように、財政法におきましては負担の世代間公平という考え方に立ちまして、将来世代にも便益を受ける資産が見合いとして残る公共事業等に限りまして建設公債の発行を認めているところでございます。一方、見合いの資産の残らない特例公債の発行につきましては、これは将来世代への負担の先送りそのものであるということからその発行は厳に回避すべきものであるということでございます。このために、今回の財政構造改革法におきましては、財政健全化の当面の目標といたしまして平成十五年度までに特例公債依存から脱却することが規定されたものでございます。  ただし、先ほども申し上げましたが、現状では建設公債発行に伴う利払い等の国債費を賄うために特例公債発行の増加を招く等の問題があることから、この法律におきましては国、地方財政赤字の対GDP比、これを三%以下とすること、それから公債依存度そのものを引き下げることをあわせて当面の目標としているところでございます。  これらを踏まえまして、建設公債を含めまして公債発行総額の抑制を図っていくことがこの法律の関係では必要だというふうに考えているところでございます。
  26. 岩井國臣

    岩井國臣君 どうもありがとうございました。  私の質問の関係では大蔵省に対する質問はもうございませんのでお引き取りいただいて結構です。ありがとうございました。  さて、先ほど坂野先生のお話にも出てまいりましたけれども、公共事業に大変むだが多いというマスコミ等の意見といいますか見方がございます。したがいまして、公共事業の中身の見直しに切り込まないと本当の意味での財政構造改革にならないのではないか、そういう世論が強いわけでございます。公共事業そのものがむだだということはとんでもない話だと思いますが、一部中にむだの部分がないかというふうなことは常に関係者としては厳しく見ていかないといかぬだろう。そういった世論につきまして真摯に受けとめる必要があるというふうに思います。  ナショナルミニマムあるいは経済効果というふうな観点から公共事業見直しを行うべきではなかろうかな、私はこういうふうに思うわけですが、そういった点につきましてぜひ建設大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  27. 瓦力

    国務大臣瓦力君) 確かに委員指摘のように、公共事業一般を申し上げますとそれぞれがいろんなことで取り組んでおる問題もございますので、概して申し上げれば省庁間の連携といいますか調整というものをよく図っていかなければならない課題も私は存在すると、こう認識をいたしております。  また、効果的にこれらの仕事をやるためにはどうしてもコスト縮減というようなことに取り組まなければならないと思うわけでありまして、これらの分野につきましてもそれぞれ公共事業を進める中で、資材等におきましても先進的な技術革新といいますかこういった問題も含めてコスト縮減というものは相当今日努力しておるわけでありますが、日々怠ってはならないことであろうと私は思うわけであります。また、費用効果分析という問題も常々心得ておかなきゃならぬ課題であります。  いわゆる公共事業に対するいろんな御指摘がございますが、これらは真摯にまず受けとめまして、公共事業の効率的、効果的な実施に一層努めてまいる。ただいまも申し上げたように類似の事業間調整、これらにつきましてもさらに一層進めていかなきゃならぬ。  社会資本整備は、国土の将来を考えましても怠ることはできない。いわゆるストックを積み上げていくわけでありますし、また今日の経済状況を見ますればフローの問題でも大変重要な課題を持っておりますので、そこのところは織り込みながら公共事業効果的に運営していくということは御指摘のように必要だと私は思います。  ナショナルミニマムの確保など、社会資本は国民生活を支える上で非常に大きな役割を果たしておるわけであります。真に整備がおくれているいわゆる地方におきましての下水道事業を端的に挙げますと、五万人以下の市町村におきましては相当未達成地域が多うございまして、全国平均五五%を見ますと、一八%の進捗率でございます。これらのことを考えてみましても、真に整備がおくれているところに対して重点化を図っていかなきゃならぬとか、整備水準につきまして地域間格差の是正と、こういう観点で今後公共事業を適切に執行してまいりたいと、こう考えております。
  28. 岩井國臣

    岩井國臣君 今、建設大臣から下水道を例示にお話ございましたけれども、地方へ行きますと下水道が整備されていない。相変わらずくみ取りの便所である。したがって、孫が実家へ行くのを嫌がるんです。したがって、父親や母親も子供を連れて実家へ帰りたがらない、そんな状況ですから、もう若い人がやっぱり都会へ出るのは当たり前なんです。だから、ぜひやっぱり下水道なんかは緊急に整備をしていただかないと、国土の均衡ある発展というのはいよいよ難しくなるように思います。これは単なる例ですけれども、そういうことがいっぱいあると思いますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。  さて、財政構造改革推進のために平成年度予算では、もう周知の事実でございますが公共事業七%削減、こういうふうになっておるわけです。アメリカでは財政赤字の削減を図りながら、かつ一方で道路を初めとする公共事業を増大させておられるというふうに聞いております。十何年前でしたでしょうか、あの荒廃するアメリカなんというのがございましたが、ベトナム戦争の関係でしょう、予算が厳しいということで道路予算なんかはもう大幅に削られたわけです。それでさまざまな問題が出て、それじゃいかぬという一つの大きな反省があってのことだろうと思いますけれども、現在、クリントン政権では道路その他公共事業の投資について積極的にやっておる。これがまたアメリカの経済活性化を支えておるのではなかろうか、こんな気もするわけであります。  景気回復が急務になっておる現在、日本経済の縮小均衡を目指すのではなくて、もっと積極的に、財政構造改革はもう当然やらなきゃいかぬわけですが、あわせて経済活性化を両立させていくということが望ましいと思います。アメリカにならってそういう政策を展開すべきではなかろうか、こんなふうに思います。  そこで質問でありますが、受益者負担に基づいて、経済効果が大変大きい道路整備、これをもっと積極的に進めるべきであるというふうに思いますが、建設省見解をお聞きしたいと思います。
  29. 佐藤信彦

    政府委員(佐藤信彦君) お答えいたします。  道路整備は、先生がおっしゃられるとおり、移動時間の短縮とか輸送コストの低減といったこともありまして、地域の活性化、それから税収の増大といったものに大きく寄与するものでございます。したがいまして、現在のような財政構造改革のときとか経済構造改革といったものの両立を図る意味でも、道路整備推進が非常に重要ではないかというふうに思っておるところでございます。しかしながら、道路の中でも中心になります高規格幹線道路網、これの整備も現在まだ計画の半分に到達する程度にすぎません。その上、交通渋滞によります時間損失は全国で年間十二兆円にも及ぶといった状況でございます。そういった中でございますが、今後こういったものの整備を緊急に進めていかなくてはならないというふうに考えております。  このためもございますが、受益者負担ということを先生の方もお話しございましたが、特に道路については揮発油税等の特定財源はもちろん使わせていただいておりますが、それに一般財源を加えまして、さらに利用者の料金負担といったものによります有料道路制度、これも活用いたしまして緊急に整備を行っているところでございます。これも積極的に進めていきたいというふうに考えております。  そういった中でございますが、基本的には来年から始まります新たな道路整備五カ年計画、総投資規模七十八兆円でございますが、これを要求したところでございます。こういった中で、国民の道路整備に対する強いニーズにこたえまして、経済活性化に資する道路整備を積極的に進めていきたいというふうに思っているところでございます。
  30. 岩井國臣

    岩井國臣君 ぜひ頑張っていただきたいと思います。  さて、先般まとめられました政府緊急経済対策におきまして、高速国道の施行命令を早急に出せというふうなことになっておるかと思いますが、昨年十二月の国幹審で整備計画路線に決まりました路線について施行命令をいつどのように出されるのか、現在お答えできる点があればお答えいただきたいと思います。
  31. 佐藤信彦

    政府委員(佐藤信彦君) 昨年末に開催されました第三十回の国土開発幹線自動車道建設審議会におきまして、高速国道のうちの新たな整備計画区間三十八区間ございます。全長で九百九十八キロ、ほぼ一千キロでございますが、これについて現在のところ道路公団におきまして事業化に向けた調査実施しているところでございます。調査が完了いたしまして、地元の協力体制が整ったところから順次施行命令を出すといったことで進めているところでございます。  従来、かなりの区間がまとまったところでそういった施行命令を出したりしておりますが、今回はこういった状況もございまして、各地域の要望、それから準備の整ったところ、これにつきまして少しでも早く施行命令を出すといったことで、現在調査を進めている道路公団につきましても、まとめられるところは早くまとめろといった指示をいろいろしているところでございます。したがいまして、早急に第一回目の施行命令が出るよう努力していきたいというふうに思っております。
  32. 岩井國臣

    岩井國臣君 道路特定財源についてでございますけれども、道路特定財源を旧国鉄の債務でありますとか林野の債務に回せという意見が根強くございます。今なお根強い。これは道路整備の緊急性や道路特定財源の本質というものについて十分な理解が得られていないという面もあろうかと思うんですけれども、同時に財政構造改革との関係から、道路特定財源はどっちみち余るんだと、公共事業七%削減ですからオーバーフローするんじゃないか、そんな認識が一般にあるのではなかろうかと思います。  この点につきまして、どのようになっておるのか御説明いただきたい。国民の前というふうな、きょうはテレビのあれはないのかもわかりませんけれども、国民がわかるような言い方でひとつ御説明していただきたいと思います。
  33. 佐藤信彦

    政府委員(佐藤信彦君) 道路特定財源でございますが、これは先ほど申しましたように我が国の立ちおくれた道路整備を緊急かつ計画的に進めるため、受益者負担の考え方に基づきまして自動車利用者に負担を求めているものでございます。  特に、道路整備に対する強いニーズにおこたえするために、現在、自動車重量税、揮発油税等につきましては、道路整備に充てることを理由といたしまして暫定税率を課しまして財源確保を図っております。そういったことで、そういった財源の確保を図っているとともに、一般財源も加え、さらに有料道路の借入金といったようなものも加えながら緊急に道路整備を行っているところでございます。  このような状況のもとで、揮発油税、自動車重量税等の一般財源化をして道路以外の使途に充てるという余裕は全く見出しがたい状況でございます。また、そういったことを行いますと受益と負担といった関係を崩すことになりますし、納税者、利用者の理解も得られないものというふうに考えられます。そういったことで、道路特定財源制度を堅持し、これらの財源は道路整備費に満額充当するといったことが必要であるというふうに考えられるところでございます。  また、平成年度予算につきましても、本年六月三日の閣議決定の「財政構造改革推進について」によりまして、物流効率化によります経済構造改革特別枠並びに生活関連等公共事業重点化枠が上がっておりますが、この確保を求めるとともに、道路関係社会資本への活用などによりまして、道路特定財源は全額道路整備費に充てられるものというふうに考えているところでございます。  それから、先ほど道路五計のお話もさせていただきましたが、必要な国費は二十兆円でございますが、この中でも道路特定財源は八五%程度でございまして、そういったことで新たな五カ年計画の中におきましても未充当は生じないというふうに考えているところでございます。
  34. 岩井國臣

    岩井國臣君 わかりました。わかりましたが、ちょっと国民にはわかりにくい面があるんですね。ぜひ、わかりやすくもっとPRに努めていただければというふうに思います。  以上で財政構造改革公共事業にかかわる問題につきましては質問を終わりまして、次に民活による新しい住宅社会資本整備の手法といいますか考え方といいますか、そういった問題に移りたいというふうに思います。  去る十一月十八日の経済対策閣僚会議で、「二十一世紀を切りひらく緊急経済対策」が決まりました。  今回の経済対策は、わざわざ「二十一世紀を切りひらく」という修飾語がついているところに最大の特徴があるわけでございまして、二十一世紀を見据えて必要な経済構造改革を進めるという観点に立っておるわけであります。「経済運営に関する旧来の発想を百八十度転換し、民間活力を中心に二十一世紀に向けた新たな経済政策の展開を図る」というところに力点が置かれているのではなかろうかというふうに思います。したがいまして、本日ここではPFIとかBOTと言われております新しい住宅社会資本整備考え方なり手法につきまして質疑をしておきたいと思います。  しかし、その前に、ここのところ住宅着工の状況とか土地取引の状況は大変思わしくないということでございますので、まず住宅土地対策について質問しておきたいと思います。  去る十一月二十八日発表の建築着工統計調査報告によりますと、十月の住宅着工は十カ月連続の減少、こうなっておるわけです。大変な状況かと存じます。建設省にその辺のひとつ詳しい御説明をお聞かせいただきたいと思います。
  35. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) ただいま御指摘のように、最近の住宅着工は極めて急速に低下の一途をたどっております。直近時点での建築着工統計の結果によりますと、御指摘のように十月の住宅着工は十カ月連続の減少、具体的には昨年同月に対して二五%減の約十二万戸という水準になっております。これは一年の年率に換算いたしますと、約百三十六万戸という水準になっております。昨年が百六十万戸余でございますから、約三十万戸近い減少の水準というふうに言えるかと思います。  いろいろと落ち込みの要因というのは指摘されているわけでございますけれども、一つには、よく言われますのは、消費税のアップに伴う駆け込み需要が一時期ございました、その反動減であるとか、あるいは低金利が長く続いたということに伴います需要の先食いといいますか、あるいは景気動向が先行き不透明ということからやや足踏み状態と、いろんなことが指摘されております。  ただ、いずれにいたしましても、ここしばらくの着工の落ち込みというのは相当程度、構造的な背景があって、てこ入れというのはかなり本腰を入れないとなかなか難しいのではないかという意味でやや危機感を持っているというのが率直なところでございます。
  36. 岩井國臣

    岩井國臣君 現在の住宅着工の著しい落ち込みに対しまして、先ほど税制の問題は坂野先生からも出たわけですけれども、そういった税制の問題とあわせて、公庫融資の思い切った改善措置が必要ではないかなというふうに思ったりしておるのでございますけれども、その辺はいかがでしょうか。
  37. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) 先般の経済対策におきましても、住宅着工をてこ入れするという観点から、従来の考えからいたしますと相当思い切った金融公庫融資の拡充を決め、また準備をいたしております。  具体的に申し上げますと、既に措置済みというのが二つございます。一つは、先般三回目の受け付けを終わったばかりでございますが、これについても景気対策に従いまして受付期間を大幅に延長するということと、それから特別割り増し融資というのがございます、基本融資額に上乗せをする融資でございますが、これは数カ月前までは金融公庫のスリム化の一環、財投改革の一環として減少させるという方向でございましたが、閣議決定を変更してそれを急速むしろ増額をするということをやらせていただきました。  ただ、これについて、これではなおかつというような点は率直に言ってあろうかと思います。したがいまして、景気対策ではこれから準備が整い次第手を打つものとして、政策融資の対象を広げる。従来の政策融資に加えまして、例えば、言い方は気をつけた方がいいと私自身思いますが、二戸目の住宅、具体的には週末居住用の郊外住宅でございますとか、遠距離通勤者が逆に都心部でちょっとしたマンションを買うというケースでございますとか、あるいは退職後にいろいろ先行的に住宅をという場合にも政策融資の対象にするという形で、従来の政策融資の枠組みからすれば、かなり思い切って対象を広げるということの決定をいたしております。これについてはできる限り早く準備をして、来年早々からも適用したいというふうに考えております。
  38. 岩井國臣

    岩井國臣君 土地とか住宅は民活の最たるものでございますから、強力な政策展開をぜひお願いしたいと思います。  これも先ほど大臣の御答弁の中にちょっと出てきておりましたが、都市開発の問題あるいは都市基盤整備の問題といいますか、金融機関の貸し渋りによりまして都市開発が進まないというふうに私なんか聞いたりしておるのでございます。都心居住はもちろんのことでございますけれども、全般的に住宅開発に大変暗い影を落としているのではなかろうか、貸し渋りの問題。  都市開発に対しまして、やはり開発銀行などによる公的なてこ入れというものが必要ではなかろうかなと思うわけでございますけれども、そういった点につきましてはいかがでしょうか。
  39. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) 貸し渋りでございますけれども、なかなか客観的な状況として貸し渋りがある、ないというのは把握しにくいという面がございますが、今般の景気対策を検討する過程で幾つかのディベロッパーに状況をいろいろお聞きいたしました。その結果として、感覚ではございますが、やはり資金供給が細くなっているという感じがございました。  そういうこともございますので、できるだけ長期の資金を豊富に確保できるようにということから、主として日本開発銀行の融資対象をこの際時限的ではございますが大幅に拡充をしたいということで、具体的には都市開発事業について、開発銀行は延べ床面積が一万平米以上のものしか対象にしていなかったのを思い切って二千平米と五分の一まで縮小して、かなり小さいものでも開発銀行融資の対象に取り上げるというふうな形で既に措置させていただきました。  少し状況を見守りたいと思います。
  40. 岩井國臣

    岩井國臣君 次に、国土庁長官にお尋ねさせていただきたいと思います。  先ほど、坂野先生の質問に対するお答えで、税制の話で、地価税はできるだけ制度そのものは存続したいから廃止ではなくて凍結だというふうなお答えであったかと思いますが、そういった問題。それから、国土利用計画法に基づく土地の売買に関する届け出制の話がありますね。厳しいチェックがなされておるというふうなことで、それが土地の流通を阻害しておるんじゃないかというふうな意見もあったりします。  そういった税制の話だけではなくて、総合的に国土庁としてどういう対応を今後なさろうとしておるのか、ひとつ国土庁長官のスタンスといいますか決意をお聞かせいただければと思うのでございます。
  41. 亀井久興

    国務大臣亀井久興君) 先ほど地価税に対する考え方坂野委員に御答弁したところでございますけれども、申し上げるまでもなく現在土地政策目標が大きく変わっておるところでございまして、従来の地価を抑制するという考え方から土地の有効利用を促進するという考え方に転換をいたしました。去る二月の政府の新総合土地政策推進要綱、ここではっきりとそのことがあらわれておるところでございます。  そうしたことに基づいて、政府与党一体になって土地有効利用促進のための検討会議をずっと続けてきたところでございまして、先般その提言をまとめたところでございます。そして、そのことは今回の政府緊急経済対策にも盛り込まれておるところでございます。  そのことの内容を多少お話しいたしますと、土地への投資意欲がなかなか現在顕在化しがたい現状でございますので実需を喚起するための施策が重要でございまして、そのことを重点的に実施したいという観点を踏まえまして、先ほど申しました土地税制それから不動産の証券化、さらに低未利用地の有効利用に向けたさまざまな事業推進、さらに規制緩和推進等を提言いたしております。  こうした土地の有効利用や土地取引の活性化をさらに促進してまいるために、政府が一体になりまして新しい要綱や検討会議の提言、さらに政府経済対策にありますさまざまな施策を強力に推進してまいりたい、このように考えております。
  42. 岩井國臣

    岩井國臣君 それでは、民活による新しい住宅社会資本整備の手法に関連いたしまして、まず最初にSPC、特別目的会社の問題についてちょっとお尋ねしていきたいと思います。  自由民主党の中に金融システム安定化対策委員会というのがございます。去る十一月二十六日に宮澤喜一元総理を本部長といたします緊急金融システム安定化対策本部、そういう本部が設置されましたので現在ではその下部組織というふうに位置づけられているのだろうと思いますけれども、もともとある組織で小委員長は保岡興治先生ですね。  その本部が設置されました十一月二十六日、その日に、その小委員会から大蔵省に対しまして特別目的会社、SPCの検討をお願いしたというふうに報道されております。大蔵省ではかねがねひそかに検討しておられるようでございますので、ともかく早く結論を出せというふうなことだろうと思います。小委員会からのお願いはそういうことだろうと思いますが、私も実は金融システムの安定化のためには、不良債権問題を解決していくためにはどうしても不動産の証券化が必要だ、そして証券を発行するいわゆる特別目的会社、SPCが必要ではないかというふうに思っているわけです。  と同時に、民活による新しい住宅社会資本整備手法というものを確立するためにも、我が国におきましてできるだけ包括的かつ本格的なABS市場の導入育成というものが必要ではなかろうかと思います。ABS、つまり不動産などの資産を担保にした証券、そういうものが一般的に出回るようにならなければ不動産などの資産運用というものはなかなかうまくいかないのではなかろうか、そんなふうに実は思っておるわけであります。  SPCにつきましては、大蔵省から一日も早く検討結果を聞きたいものだと思っておりますけれども、その問題はちょっと横へ置いて、近いうちにSPCの法的整備が図られる、そういう前提にして建設省にもお聞きしていきたいわけでありますが、どういうPFI事業というものが考えられるかということなんです。  大蔵省の積極的な取り組みによりましてそのSPCの導入がなされた、その後はやっぱり建設省の出番だと思うんですね。どういうPFI事業考えられるんでしょうか。
  43. 小鷲茂

    政府委員(小鷲茂君) おっしゃるPFIといいますのは、イギリス等で行われております民間の活力を利用した公共的あるいは公益的な事業展開をお指しになるんではないかというふうに思います。したがいまして、SPCが導入された暁にこのSPCが扱うプロジェクトの中でどんな公共的な施設整備が可能になるんだ、こういう御質問の趣旨ではなかろうかと思います。  これは、必ずしもSPCに限らず、従来も不動産開発を行います際には必要に応じまして公園をつくるとか街路を拡幅する、場合によっては新設する、あるいは新市街地でありますると下水を初めとする都市基盤をディベロッパー自身が整備する、こういうことがあったわけでございます。しかしながら、その場合も官民の役割分担というのがございまして、これはケース・バイ・ケース、全部民間のディベロッパーさんにやってもらうケースもありまするし逆に公共サイドで基盤施設は整備する場合もあるし、いろんな組み合わせがあり得るわけでございます。  今後、SPCが不動産開発を行うということになりました場合も基本的には同じようなことになるんではなかろうかというふうに思いますが、今言いましたそれぞれのケースごとに適切な役割分担を図りますことによって逆にSPCの活動の基盤を整備する、こういう視点も必要なのかなというふうに思っております。  いずれにいたしましても、SPC自体が法律を含めたこれからの検討課題になっておりますので、それらの検討の状況を見ながら、私どもも今おっしゃったPFIの活用状況についても検討してまいりたいと思います。
  44. 岩井國臣

    岩井國臣君 本年度から敷地整序型区画整理事業というのが始まりました。規制市街地の区画整理事業では、公園用地などの公共施設の用地を減歩で生み出していくというのはなかなか難しいんですね。そういうことで勢い敷地整序型にならざるを得ない、そういうふうに思います。しかし、良好な市街地の形成を図っていくというためには、やはりどうしても公園等公共用地を確保する必要があるかと思います。  私は、従来から都市におけます水と緑のネットワークというものを提唱しておりますが、二十一世紀におきましては規制市街地におきましてもやはりビオトープというようなことを考えていく必要があるだろうと思います。規制市街地におきましても自然生態系のための空間をできるだけ確保していくということが必要ではなかろうか、都市の再生だ、ルネサンスだ、こんなふうに思うわけであります。二十一世紀はこれは絶対にやっていく必要がある、こういうふうに思います。  しかし、財政構造改革公共事業費が苦しい、何とか民間資金を活用してそういったビオトープ用地を確保できないか。空中権といいますか、ビオトープ用地の持つ容積がありますね、それを隣接するマンションやオフィスビルに移転してそのビオトープ用地の財源に充てるというふうな考え方はできないだろうか。もちろん、全額ということではなくて一部ということでいいんですけれども、公共資金がある程度助かるのではなかろうかと思うんです。  既に、特定街区制度では容積率のボーナス制度というか、容積率の割り増しが行われております。さきの通常国会でも、容積率に関する法改正が行われました。空中権の移転というようなものではございませんが、容積の移転は過去ある程度行われてきた。しかし、私の見るところ、建設省はどちらかといえば余り積極的ではなかったのではなかろうか。  そこで質問でありますが、容積率の移転につきまして、先ほど述べましたビオトープ用地の確保といった問題を十分意識していただいて、積極的に適用要件の拡大を図っていただけないだろうか。PFIになじむかどうかわかりませんが、容積率に関する規制緩和という観点から、容積率に関する質問をさせていただきたいと思います。  河川のスーパー堤防というのがあります。河川局の重点施策になっておるかと思いますが、あの河川のスーパー堤防におきましてマンションとビルを建てるというケースがあります。その場合に、前面は広大な河川敷である。建築基準法の五十二条第一項第二号というのがあります。容積率の緩和規定だと思いますが、それによる容積率の割り増しというものが可能ではないかと私は思うのでございますが、過去余りこれは適用したことがないんです。  過去のことはどうでもいいですけれども、今後いかがでしょうか。これを考慮していただくと相当スーパー堤防が助かるんじゃなかろうかと私は思うんですけれども、いかがでしょうか。
  45. 木下博夫

    政府委員(木下博夫君) 最後の方のお答えしなきゃいけない部分については住宅局長からお答えいたします。  容積率の緩和について、建設省は積極的ではなかったんじゃないかという御批判があります。実は、私ども現在の都市政策なりを考えますときに、これは認識を一緒にしておくという意味で申し上げるわけでございますけれども、ある程度現在の日本都市が成熟してきたんじゃなかろうか。ですから、従来の拡大していく都市からむしろ既成市街地の既存のストックをできるだけ使っていくべきではなかろうか、そういう時代認識をまず持っております。もちろん、これは背景的には人口の動態とか財政状況とかそういうものを考えております。そういう前提の中で、私ども先ほど来お話がございました前通常会でもいろいろ法案を出させていただきまして御審議もいただいたわけでございます。  さて、そのビオトープの問題については、先生からもかねてよりいろいろ積極的に御提案をいただいておりまして、私どももやはり個性ある、あるいは潤いのある都市づくりをする意味では、ビオトープも含めてでありますけれども、そうした水、緑を確保していく施策は総合的にやっていかなきゃいけないと思います。  問題は、その際に御提案のありました容積率の緩和問題でございますが、御案内だと思いますけれども、容積率そもそもは土地利用の現状なり将来展望、あるいは建築物と既にできておる、あるいはこれからつくられるであろう公共施設のバランスの問題とか、それからさらに言うならば良好な市街地景観が形成されるのかというような、多少建前的なことを申し上げて恐縮でございますが、そういう世界の中で容積率を決めてきた経緯がございます。しかし、御紹介のございました特定街区とかあるいは地区計画で既にそういういわゆる容積率の活用方策もいろいろとってきておりまして、これも東京都内も含めてでありますが既に実績がございます。  これから我々は工夫していかなきゃいけないのは、かなり距離を置いたところなどについて容積率を移転することが制度的にどこまでできるかということについては引き続き検討させていただきたいと思っておりますが、現状の中におきましては、できるだけ土地利用が一体的であって計画としてまとまったエリアの中で、おっしゃったビオトープを含めてですが、公園とか緑地については最大限計画として位置づけて活用していくという方向はさらに関係の公共団体を含めてやっていかなきゃいけない課題であろうと思っております。  個別のあとのことについては住宅局長がお答えします。
  46. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) スーパー堤防といわゆる容積率の割り増しの関係についてのお尋ねでございます。  結論から申し上げますと、かなり思い切った割り増しを適用したいというふうに思います。今法律の五十二条第十一項第二号を引用されたわけでございますが、これは敷地の周辺に広い公園ですとか道路ですとかがある場合に割り増しできるという規定でございますが、ただこれ以外にも基準法の五十九条の二、いわゆる総合設計でございますが、割り増し制度の根拠条項がございます。スーパー堤防というふうな属性を考えた場合にどちらの条項を活用した方がいいのかということについては事務的にも若干検討させていただきたいと思いますが、いずれにいたしましても冒頭申し上げましたように、スーパー堤防というふうな属性を考えた場合には何らかの方法で容積率の割り増しというものを適用すべきであると思います。  具体的なやり方については、河川局とは十分相談させていただきたいと思います。
  47. 岩井國臣

    岩井國臣君 大変前向きの御答弁をいただきましてありがとうございます。  もちろん、こういった問題は周辺の生活環境との問題がありますので慎重にしなければならないと思います。軽々にやるわけにいかぬと思いますが、そういう中でやはり前向きにひとつ御検討をいただければありがたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げたいと思います。  それでは次に、PFI、BOTに移ります。  PFI、BOTにつきまして建設省ではもう既にいろいろと検討しておられると思いますが、そもそもPFIとかBOTというのは何か。そんなことも含めて、ちょっと後ろに国民の皆さんがおられるということで、ひとつ建設省での検討経緯と今後の見通しも含めて、そもそもPFIとかBOTというのは今新聞紙上でいろいろ出てくるんですけれども、これは何だと。建設省は今後この問題についてどう取り組んでいくのかというような、基本的なところですけれども、お聞かせいただきたいと思います。
  48. 小鷲茂

    政府委員(小鷲茂君) わかりやすくということでございますので、大胆に申し上げますと、従来でありますると、税を財源として政府あるいは公的部門が国民に対してサービスを提供しておりましたものを、税を使わずに、どちらかといえば民間のファイナンスを活用して同じようなサービスを提供する方法がPFIないしはBOTの基本的な発想ではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。言ってみれば、税ではなくて受益者負担という立場に立ってサービスの需給を成立させる、こういうアイデアではないかというふうに理解をいたしておるところでございます。  我が国の場合には、そういう意味で言いますると昭和三十年前後から公団公社といったような形におきまして、必ずしも税に依存するような形ではない自前のファイナンス、したがいまして料金を徴収して受益者負担のもとに自己完結的に採算をとっていくといったようなことを基本的な枠組みとする制度がございました。そしてまた十年ほど前でございますが、昭和六十年代の初めには、やはり内需振興を中心とするという考え方のもとに民活というのが大変大きな話題になりまして、政府を挙げて検討いたしました。あのときはたしか俗称民活法という法律がつくられて、全国各地にいわゆる第三セクターといったような形の法人がつくられまして公共的、公益的な施設整備が展開されてきたわけでございます。  これらにつきましての評価はいろいろあるわけでございますが、そういう意味では、国際的に見ても我が国はそういう民活導入について割合早い時期から広範な範囲にわたって取り組んできたということが言えるのではないかというふうに思います。  ところで、最近海外の御指摘になりましたPFI、これはイギリスで行われているもののようでございます。それからBOT、これは割合世界各地で、特に開発途上国と言われているような国で多く採用されている方式でございます。対象といたしておりますプロジェクトは、私どもが過去扱ってまいりました公団公社等のプロジェクト等とかなり似通った面があるわけでございますが、一点決定的に違いますのは、事業主体が純粋の民間という形をとっておるという点でございます。日本で言えば株式会社といったようなものが事業をやっておるという点でございます。  これは、私ども詳細についてはまだ検討途中でございますが、そういった形態の違いが出てきた大きな背景は、法律制度その他いろいろございますけれども、一番大きく影響を与えておりますのは金融のシステムが海外と日本とでは違うのではないか、それが影響しているのではないかというふうに考えられます。  もう少し具体的に言いますると、海外の場合にはいわゆるプロジェクトファイナンスという制度がかなり一般的にあるわけでございますが、日本にはほとんどそれがないわけでございます。つまり、プロジェクト単位でファイナンスを、融資を行います。プロジェクトが失敗すればその限りで融資の責任は免れるというわけでございますが、日本の場合にはコーポレートファイナンスというふうに称されておりまして、つまり企業に対して貸すという金融システムでございますので、そういう融資の土壌がなかったために事業主体についてもそんな形態の相違が出てきたのかなというふうにも考えられるわけでございます。  いずれにいたしましても、最近海外におけるそういう事例が、しかも純粋民間という形による事例が、必ずしも成功ばかりではございませんけれども、かなり実績を上げているという話も聞いておりますので、再度この際新たな視点から新しい民活のあり方あるいはその可能性というものを探るべく、海外の例も参考にしながらいろいろ研究、努力してみたいと考えておるわけでございます。  今後の日本社会資本整備状況を見ますると、まだまだ海外に比べて劣っている部分が相当ございますので、さらに一段と努力しなければならないと、そういう状況もございます。一方で、財政状況考えますると、必ずしも楽観を許さないと、こういう状況でございますので、そういった新しい可能性を何とか探りたい、こういう思いで検討に着手いたした次第でございます。  省内に、現在、民間投資を誘導する新しい社会資本整備検討委員会という委員会を組織いたしまして、ここには民間の金融機関、ジャーナリストあるいはゼネコン、海外あるいは国内のそういった分野における関係者をかなり網羅いたしまして委員会に御参加をいただきまして研究を始めたわけでございますが、来年の春ぐらいまでには何とか中間的な報告をまとめていただきたいというふうに考え、今鋭意検討を重ねている状況でございます。
  49. 岩井國臣

    岩井國臣君 今説明がございましたように、我が国の場合は欧米先進諸国と比べて金融システムが違うんですね。違うというか、おくれているんだろうと思います。  これからいよいよビッグバンで我が国金融システムも大きく変わっていくと思います。その中で恐らくプロジェクトファイナンスという、これは銀行から金を借りる場合はそうなんです。それから、一般投資家から金を集めるというのが証券化でABS市場、こういうふうになるわけですけれども、またこういうものを我が国の場合にも育成していかないと、千二百兆円という国民貯蓄があるわけですから海外へ流れるおそれが非常に強いです。アメリカやヨーロッパの金融機関がどっと日本へ入ってきて、彼らはそういうシステムを持っておるわけですから。せっかく我が国民が汗水流してためた貯蓄が海外の基盤整備に使われる、我が国の基盤整備はまだまだやるところはいっぱいあるんだけれどもそれに使われないということではちょっとばからしいわけでありますから、ぜひそういったことにつきまして建設省も前向きに御検討をいただきたいというふうに思います。  ところで、建設省では新しい観点に立ちまして河川の舟運について検討しておられるやに聞いておりますけれども、ちょっと御説明いただきたいと思います。
  50. 尾田栄章

    政府委員(尾田栄章君) ただいま先生指摘河川舟運の問題でございますが、背景としては三点ございます。  まず一点目は、昨年の六月の河川審議会の答申で、川の三百六十五日を大事にしようと、こういう御提言をいただきました。洪水時あるいは渇水時の異常時だけでなしに川の三百六十五日そのものを大事にしよう、普通の川を大事にする、ある意味では使っていこう、こういう発想でございます。  それから二点目は、地球環境問題、エネルギー問題。特に、今京都でCO2の削減の問題が議論されておるわけでありますが、CO2の問題。そういう視点から見ますと、舟運というのは陸上交通と比べて相当利点がございます。  それから三点目は、やはり何と申しましても阪神、淡路の大震災に際しまして舟運そのものが大変見直された。  この三点を背景といたしまして、現在、河川舟運に関する検討委員会というものを設けまして、今まで既に三回検討をいただいております。この委員会には実際にそういう内水面での航行をされておられます実務家の皆さん方、あるいは大学の先生方、あるいは和船といいますか地域におけるそういう船の振興を図っていこうということをお考えの方々等々、非常に幅広い皆さん方にお入りをいただきまして、現在までのところ河川内の船舶の航行ルール、残念ながら河川内の航行のルールが今のところまだございません。それから水面利用の調整方法をどうするか、あるいは航路の確保をどのようにするか、あるいは船着き場の整備をどのような形で進めるかというような問題について大変精力的な検討をいただいておるところでございます。  私ども、その検討結果を踏まえながら、実現できるものについては最終答申をいただく前にでも実現方を図っていきたいと考えておるところでございます。
  51. 岩井國臣

    岩井國臣君 三つの視点を言われましたが、四つ目の視点があるんです。地球温暖化の防止、エネルギーの問題がありますので、それをひとつ考慮に入れて御検討いただきたい。  それで、運河といいますか閘門といいますかの技術は我が国にはほとんどないんです。過去閘門をつくっていますけれども、ヨーロッパの技術は全然違うようです。もう全く新しい技術ができておるようでございます。かつて、大野つや子先生のお父さんになられる大野伴睦さんが日本横断運河構想、建設省は膨大な何億という金を使って調査をやりました。これは国土庁ともちょっと関係があろうかと思いますけれども、あれはだめなんです。揖斐川から琵琶湖へ出ていくわけですけれども、大掘削が必要で、あれはだめなんです。  今の新しいヨーロッパの技術でいきますと、大阪湾から淀川を通って琵琶湖へ入って若狭湾へ抜ける。これは日本時代が来るんですね、きょうは奥村先生おられますけれども。これは案外可能ではなかろうかという気がちょっとしておるんです。私も現在ヨーロッパで使われておる新しい運河の技術を聞きましてびっくりしたんです。  そういうようなことで、そういう日本時代の到来を見通しながら、日本横断運河、BOTでできないかどうか、そういうフィージビリティースタディーみたいなものをできないかどうかというのを、ちょっと感触、いかがでしょうか。
  52. 尾田栄章

    政府委員(尾田栄章君) ただいまお話しの日本横断運河でございますが、昨今明るい話題がない中で大変大きな夢のある大プロジェクトだというふうに私どもも考えておるところでございます。平成五年に土木学会が調査をされておりますし、平成八年、昨年は私どもの近畿地建の方でこの問題についても検討をいたしておるところでございます。  お話のとおり、高低差大体九十メートルぐらい、最大九十メートルぐらいになりますし、これも一部区間をトンネルで通す。十キロメートルぐらいのトンネルを掘る。掘ってなおかつ高低差九十メートルでございますので、どうしても六十メートルとか八十メートルというインクラインあるいはリフトというものが必要になってまいります。また、閘門の維持のためには大量の水を消費するということもございますので、将来水需給の逼迫が心配をされます。近畿地方におきましてそういう問題との兼ね合いをどうつけられるのか、そしてまた先生お話しのとおりBOT方式でこれがどういう形で採算に乗るのか、いろんな大きな課題はあるわけでございます。  先ほど来お話をいただいております地球環境の問題あるいはエネルギー問題等々、そういう視点もひっくるめて非常に長期的に見れば、パナマ、スエズの両運河にしても大変な効用を果たしておるわけでございますので、こういうものがどういう形でナショナルプランとして位置づけられるのか、我々としても十分検討をしてまいりたいと考えております。
  53. 岩井國臣

    岩井國臣君 パナマ運河の話が出ましたけれども、パナマ運河の改築につきましては日本政府も深くかかわっているんです。建設省からも技術者を出しておるし、運輸省からも出しておるし、いずれ運輸省と建設省は一緒になるわけでありますから、ひとつ前向きに御検討いただければと思うんです。  その次に、坂野先生のお話にも出てまいりましたけれども、中小建設業問題につきまして御質問させていただきたいと思います。  ことしの七月以降、建設業倒産が激増しておるんです、激増です。御承知のように七月には東海興業と多田建設倒産いたしました。東海興業は以前からいろんなうわさがありましたので余りびっくりせぬかったんですけれども、七月三十日の多田建設倒産には本当に私もびっくりいたしました。そうしたらまた八月十九日には大都工業が倒産しました。みんな中堅どころです。そして下請の連鎖倒産というものがかなりございました。帝国データバンクの調べによりますと、平成七年以降倒産件数は三千七百件台を続けておりましたが、ことしの七月以降激増しているんです。建設業倒産というものは全産業の大体二〇%ぐらいで来たと思うんです、過去。二〇%台といいますか、二十数%でずっと来たと思いますけれども、ここのところ、ことしの七月以降、これ三〇%を超えました。これは大変なことだと思います。  建設業というのは多くの肉体労働者を抱えておりまして、他産業の失業者を雇用するという役割を持っているんです。よいことか悪いことかは別といたしまして、そういう役割を持っている。ですから、過去何度となく失業者対策として建設工事が行われました。建設業にそういう側面があるんです。したがいまして、これから失業時代の心配があるわけでありますが、こういう時代になってまいりますと建設業が最後のとりでだ。建設業が多量の失業者を吸収できなければ、それこそ社会不安をもたらすのではなかろうかと思います。  そこで、先ほども御答弁いただいたわけでありますが、まず建設大臣の御認識をお尋ねしたいと思います。
  54. 瓦力

    国務大臣瓦力君) 建設業倒産は社会に多大な影響を与えておる、この現状に対して建設大臣認識いかんということでございますが、今委員お述べになりましたように景気足踏み状態でございますし、公共事業が抑制されておりますし、建設業を取り巻く状況は極めて厳しいものがございます。  公共事業への依存度の高い中小中堅建設業者にとりましてこの影響は極めて大きいわけでございまして、これまた委員がお述べになりましたとおり地域経済にとりまして大きな役割を担っておりまして、雇用の問題あるいはまた関連する下請、資材の調達等地方経済に大きなかかわりがあるわけであります。この経営状況が地域経済に大きな影響を与えておると、このことも認識をいたしております。  建設各社は懸命の努力をいたしておるわけでありますが、本年一月から十月までの建設業者倒産件数は全産業の約三割と、こういう状況でありまして、既に昨年一年間の件数を上回っておるわけでありまして、極めて厳しい状況に直面しておる、このように認識をいたしております。  また、一部上場クラスの建設業者につきましても、不良資産、不良債権の処理のおくれと相まって、本年七月以降、会社更生法の更生手続開始申し立てが行われるなど厳しい状況が続いておる、こういうことでありまして、岩井先生指摘のように目下厳しい状況にあるという認識を持っております。
  55. 岩井國臣

    岩井國臣君 建設省では去る八月五日に、「最近の建設業の経営問題への対応について」という今後の対応方針をおまとめになりましたけれども、その実施状況はどうなっているんでしょうか。  そういった対応策を講ぜられたにもかかわらず、先ほどからの話のように建設業倒産が激増している、不安は全く解消されていない、こういうことだろうと思いますが、八月の対応方針でいいのかどうか、時間がだんだんなくなってきましたので、ちょっと簡潔に御答弁いただきたいと思います。
  56. 五十嵐健之

    政府委員五十嵐健之君) 先生指摘の七月八月に倒産が続いたというようなことを踏まえまして、八月五日に「最近の建設業の経営問題への対応」という取りまとめを行ったところでございます。実施状況はどうだという御指摘でございます。  まず、その柱の一つは、中小中堅建設業者受注機会確保ということであります。従前、中小企業にいろいろな対策を講じてきたわけでありますけれども、ことしの場合には中小よりか少し上のクラス、中堅クラスにいろいろな問題が出ているというようなことから、この中堅クラスに対する受注機会確保対策を講じたところでありまして、これは御案内のように、八月に中堅建設業者を対象にいたします経常JVでありますとかそれらの点数の取り扱い、かさ上げ、こういったような措置を既に講じたところであります。  それから二つ目の柱は、不良債権の処理の関係でありまして、御案内の赤字通達ということでありまして、大臣の御指示によりまして建設省それから自治省の連名の次官通達、十月十九日付で発しまして、その趣旨の徹底を図っております。現在、その後のフォローを行っているところでございますけれども、そういうことを通じまして趣旨の徹底を図っていきたいということであります。  それから、不幸にして会社更生手続に入る、こういったような場合につきましての現在の手持ち工事量の確保ということが大切でありまして、村本建設のときにそういう手だてが講じられたわけでありますが、今回は各発注者が極めてスムーズにこれに対応していただけたというように承知しております。  そして最後に、連鎖倒産あるいは労働者対策といったような問題が出てまいりました。これにつきましては、ことしの八月に建設省と労働省と中小企業庁で建設業の経営、雇用に関する三省庁連絡会議というのを新たに設けまして、それぞれの体制強化を図っているところであります。  先ほど大臣から御答弁申し上げましたが、この十一月二十六日に中小建設業者への円滑な資金供給を図る、特に暮れというのはいろいろありますので、ここにおきまして信用保証協会が保証するわけでありますけれども、通常の担保でいきますと今まで二億でありました。これを二倍の四億というように倍にしたところであります。今後とも対策を講じてまいりたいと思っております。
  57. 岩井國臣

    岩井國臣君 歩切りの横行とか、それから悪徳不良業者の横行で中小建設業の営業利益率が著しく悪くなっておるのではありませんか。  いろいろ通達といいますか通知は出していただいておるわけです。一片の通知だけでなく、建設省は本気で歩切りや悪徳不良業者の横行を食いとめるべきではないでしょうか。
  58. 五十嵐健之

    政府委員五十嵐健之君) 先生指摘のように、歩切りは工事の質を確保する、あるいは工事施工中の安全を確保するということから厳に慎むべきものという位置づけをしているところであります。一片の通知ではありませんで、折に触れ繰り返しこの趣旨の徹底を図っているところでございます。それから、これにつきましては当然私どもやっておりますけれども、自治体への影響を考えまして自治省とも協力しながらこの対策を講じているところであります。  それから、悪質業者対策でございます。これは御案内のように、平成六年に建設業法の改正が行われまして悪質業者の排除の対策が講じられたところでございます。さらに入札段階で、つまり資格審査段階におきましてこの徹底的な排除を行っているというところであります。  加えまして、御案内と存じますが、発注者支援データベースシステムというのをつくりまして、各発注者ごとに技術者が的確にそこにいるかどうか、あるいはダブりがないかどうかとか、そういったようなチェック体制が平成年度にできまして、現在地方公共団体、発注者側にこれが広まっているというような段階でございます。  今後ともこうした通知等は引き続き重ねてまいりますけれども、こういうようなバックとなります体制もつくってまいりたい、こういうふうに考えております。
  59. 岩井國臣

    岩井國臣君 時間がございませんので余り突っ込んだ議論はできませんが、今御答弁いただいたようなことでいろいろやってはいただいておるわけです。しかし、実効が上がっていないと思います。ぜひ、もっともっと本気でこの問題と取り組んでいただく必要があるのではなかろうかと御指摘だけさせていただきたいと思います。  去る八月二十九日、中小企業庁、労働省、建設省の三省の連名で建設産業専門団体協議会に対して文書が出ました。「大型倒産に係る雇用・労働対策及び連鎖倒産防止対策について」という文書です。しかし、これは労働省や中小企業庁が実施している対策建設省所管の団体に周知する、こういう趣旨のものでございまして、建設省対策というものを打ち出したものではない。しかも、これは専門工事業を意識してのものであって、建設業倒産を何とかしようというものでもない。専門工事業もさることながら建設業が危ないんです。建設業倒産が激増しているわけであります。建設大臣、これはやはり緊急事態だと思うんです。早急に手を打たないと取り返しのつかないことになるのではなかろうかと心配しております。  提案ですが、中小建設業対策緊急会議、省内に開催していただきまして、その下部組織として地方建設局を中心に何とか対策室というような組織を臨時につくっていただいて、いろいろ総合的に緊急の対応をしていただけないだろうかと、こう思っておるわけですけれども、いかがでしょうか。
  60. 瓦力

    国務大臣瓦力君) 今般の経済対策を受けまして、中小企業対策推進のための中小企業対策連絡会、これが設けられておるわけでありますが、早々に十一月から地方通産局とか財務局などの国の地方機関、都道府県、経済団体ともこの連絡会を通じて情報交換を始めておるところであります。  地方建設局におきまして、今日まで発注工事の分離・分割などの中小中堅建設業者受注機会確保とか地方公共工事契約業務連絡協議会の事務局というような、こういう世話をしながら中小中堅建設業者に対しまして対策を周知徹底してまいったわけであります。今、岩井先生が御指摘のように本省と地建との間の連絡、これを密にいたしまして、関係団体とより一層連携を図りつつ、中小中堅建設業者対策、これの実効が上がるように努めてまいりたいと、かように考えております。大変厳しい状況であることを踏まえてそういう努力をさせていただきたいと思います。
  61. 岩井國臣

    岩井國臣君 各県に建設業協会という組織がありますけれども、そういった組織とも十分連絡をとりながら、連携をしながら適切に対応していただくようにお願いをしておきたいと思います。  あと、だんだん時間がなくなってきたんですけれども、中心商店街の問題とかそれから高度情報化の問題とか、あるいは高齢化社会における住宅問題であるとか、ちょっと質問したいなと思っておったんですけれども、これはまたの機会にさせていただくといたしまして、最後に災害対策について若干御質問をしておきたいと思います。  ことしも五ケ瀬川など大河川におきましても大規模な災害が発生いたしました。財政状況がこのように厳しい中にありましても、やはり災害という問題は民心の安定という問題があるわけです。ですから、やはり治水事業は着実に進めていかなければならない、そういうふうに思いますが、建設省の御見解をお尋ねしておきたいと思います。
  62. 尾田栄章

    政府委員(尾田栄章君) 御指摘のとおり、本年だけを見ましても、五ケ瀬川の北川で激甚災害対策特別緊急事業として採択をせざるを得ないというような大水害を受けたところでございますし、九州を中心に百四十三水系、直轄河川だけで見ましても百四十三水系、二百二十二河川で警戒水位を超える、またハイウオーターレベルを超えるという出水が五水系、八河川で起こっております。  こういう中で、先生指摘のとおり民心の安定ということも大変大事でございます。財政状況が大変厳しい中で、そういう所要の目的をいかに達せられるか、より緊急性の高い事業事業を絞り込んでいく、あるいはコストダウンを図る、あるいは効率性をより高めるというようなあらゆる施策をとりつつ、再度災害の防止のみならず水害の予防にこれからも取り組んでまいりたいと考えております。
  63. 岩井國臣

    岩井國臣君 ことしも全国各地に大小さまざまな水害が発生いたしましたけれども、新聞報道なんかを見ておりますと、高知県は四万十川の支川の中筋川とか、あるいは三重県の宮川などでダムが大変な威力を発揮したということでございます。  最近、ダムがむだな公共事業の代名詞みたいに言われています。これはとんでもない話でございまして、地形条件、地質条件、気象条件、どれをとりましても我が国の場合災害の発生しやすい状況にあるわけでありまして、そういう我が国におきましてダムはやはり洪水調節に大変な威力を発揮する、そういうことだと思います。  洪水調節という観点からいいますと、森林や農地はほとんど効果を発揮しません。洪水のピーク時、ピーク時が問題なんですから、ピーク時におきましては森林も農地も水だらけになっていまして、飽和状態になっているんです。ですから、雨がほとんど地中に浸透しないんです。そういう状況になっております。森林や農地の保水機能というものを私は評価しないわけではない、十分評価しておるわけでありますが、やはり洪水のピーク時にはほとんど役に立たない。これはもうはっきりしているわけです。学問的にはっきりしておるわけでございます。ですから、洪水調節という観点からいいますと、やはりダムでないと調節がきかない、こういうことでございます。  しかし、幾つかのダムにおきまして緊急性がちょっとどうかなとか緊急性に乏しいものがあるのも事実でございまして、建設省は本年度ダム事業の総点検をなされました。新聞にも出ておったわけでございますが、時間がありませんので簡単に総点検の結果を教えてください。
  64. 尾田栄章

    政府委員(尾田栄章君) 御指摘のダムの総点検でございますが、三百七十九のダムすべてについて総点検を行いました。そのうち、中止をするもの、休止をするものあるいは一時中止をするものという振るい分けを行いました。  これは、先生指摘のとおり洪水調節と水資源の確保という両面で多目的ダムでつくっている事例が多いわけでございますが、地域の水需要の将来見通しが変わったということによりまして、水資源面から見たときにはそのダムの必要性が薄れたというようなダムにつきまして、今度は治水面から代替性が成り立つかどうかということを検討いたしました。その代替性があり得るというダムについては中止をするという決断をいたしましたし、その見通しがまだつかないものにつきましては休止をいたしまして、その上で治水の代替性の検討を行う、こういう手段をとったところでございます。  御指摘のとおり、先ほど来議論が出ております大変厳しい状況の中でございます。必要な事業については、これからもぜひ早期の完成、効用を発揮するということを目指して頑張ってまいりたいと思っております。
  65. 岩井國臣

    岩井國臣君 時間になったんですが、ことしは水害だけではなくて土石流の災害だとかがけ崩れの災害が多発したんじゃないかといます。例年よりも多いんじゃないかと思います。  そういったことしの災害の特徴を踏まえまして、ちょうどがけの五カ年といいますか、第四次急傾斜地対策事業五カ年計画の年でございます。五カ年計画でどういう観点でどういうことをやろうとしているのか、ポイントだけ教えていただきたいと思います。
  66. 尾田栄章

    政府委員(尾田栄章君) 御指摘のとおり、ことしの災害の特色の一つといたしまして、がけ崩れが非常に多かったということがございます。数字で申し上げますと、がけ崩れが本年は九百三件発生をいたしておりまして、死者十名でございます。平成四年から八年の過去五年間の比較で申しますと、がけ崩れの発生件数は四百七十八件でございますので、倍近い発生件数になっておるところでございます。  一方、土石流について見ますと、針原川を中心に大変痛ましい犠牲を出したところでございます。件数で申しますと八十一件、二十一名の死者、こういうことでございます。過去五年間の平均では土石流百七十四件でございます。そういう意味では少なくなっております。  地すべりにつきましても百二十八件でございまして、大体五カ年平均が百十九件ということでございまして、がけ崩れが非常に多かったというところに特色があろうかと思っております。これはことしの場合は非常に長期間にわたって雨が降りました。そしてそこに非常に強いピークの雨が重なるということによってがけ崩れが発生したというふうに考えております。  そういう実態を踏まえまして、御指摘の第四次急傾斜地対策事業五カ年計画におきましては一兆二千三百億円の総投資額をお願いいたしておるところでございます。現行の五カ年が一兆一千五百億円でございますので、一・〇七倍でございます。整備目標といたしましては、保全人口の整備率を二五%から三四%までぜひ確保させていただきたい、こういうことが一番大きな目標でございます。  一方、がけ崩れが予想されるところにどんどん住居が建っていくのをそのままにしているのではないかという御批判もございます。そういう中で、そういう危険が予想されるようなところに対して建物が建つことを規制するようなことが何らかの枠組みでできないかというようなこともあわせて、これは急傾斜地保全の法律の枠内だけでなしに関係の法令いろいろ組み合わせる中でそういうことができないかということもひっくるめて、ソフトの対策として検討いたしておるところでございます。こういうことをもちまして、何とか急傾斜地のがけ崩れの崩壊を防ぎたいというふうに考えております。  また、日本河川の特色といたしまして、水だけでなしに土砂も一緒に流すというこの急傾斜地、非常に厳しい急な山腹でございますし、またもろい地質であるということもございます。その特色を生かした形での河川の管理にこれから力を注いでいきたいと考えておるところでございます。
  67. 岩井國臣

    岩井國臣君 先ほど坂野先生から補正予算の話がございまして、建設大臣から御答弁がございました。立場上極めて慎重な御答弁であったと思いますが、よくわかります。しかし、私といたしましてもやはりこの点について触れざるを得ない。自民党全体の空気からして触れざるを得ないと思いますので、お許しいただきたいと思います。  相次いで打ち出した景気対策にもかかわらず、景気が御案内のとおりもう失速しかかっておる、こういうことでございます。このたびの財特法の成立て来年度以降の歳出削減の一応道筋がついたということでございますし、そういうことを踏まえますと、早急に財政出動を含めた景気対策の追加というものを打ち出す必要があるんではないか、自民党の中でもそういう空気が次第に高まっております。  緊急災害対応坂野先生はその点をおっしゃったわけですが、私の個人的な意見といたしましては、緊急災害対応はもちろんですけれども、それにとどまらないで阪神・淡路関係の震災復興の関係予算でありますとか、大規模工事で、あと一歩で、ちょっとのところで完成して事業効果を発揮するというのはあるんですね。そういうものとか、緊急性とか経済効率性というものを吟味して工事というものは厳選しなきゃいかぬと思いますけれども、政府において積極的に補正予算についても取り組んでいく必要があるのではなかろうかと、こんなふうに私は思う次第でございます。  再度の質問で恐縮ですが、大臣、ちょっと前向きのお答えをいただきたいと思います。
  68. 瓦力

    国務大臣瓦力君) 十一月十八日の経済対策閣僚会議で決定を見ました「二十一世紀を切りひらく緊急経済対策」におきまして、いわゆるゼロ国債の活用を図るとともに、災害対策について適切な対応を図ることとされておるところであります。  所要の額を補正予算に計上する、このことは今委員お述べの災害等を踏まえれば私も必要であると、かように考えるものであります。以降、これからの対応につきまして存分にこれらの問題に対応してまいりたいと思っております。
  69. 岩井國臣

    岩井國臣君 ありがとうございました。終わります。
  70. 関根則之

    委員長関根則之君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十分に再開することにし、休憩いたします。    午後零時十分休憩     —————————————    午後一時十一分開会
  71. 関根則之

    委員長関根則之君) ただいまから建設委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、建設事業及び建設計画等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  72. 橋本聖子

    橋本聖子君 自民党の橋本聖子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  まず初めに、岩盤斜面の緊急調査の結果についてお伺いいたします。  ことし八月に発生しました第二日糸トンネル崩落事故ですけれども、これの緊急調査の結果が出されましたけれども、その件につきまして調査の結果とまた今後の対策についてまず最初にお伺いしたいと思います。
  73. 佐藤信彦

    政府委員(佐藤信彦君) お答えいたします。  今回の緊急調査でございますが、これは八月二十五日に発生いたしました一般国道第二日糸トンネル崩落事故を踏まえまして全国の落石崩壊等、可能性のある岩盤斜面についての調査を行ったものでございます。  その結果でございますが、全国で千八百二十七カ所の岩盤斜面について調査を行っております。その中で既に対策実施中あるいは実施のための準備に入っているものが二百六十六カ所ございます。それから、今回の調査で早期に岩盤斜面の安定等を図るために新たに対策が必要となった箇所が二百七十一カ所ございまして、これらの箇所については平成年度あるいは十年度対策実施していく予定でございます。また、順次対策実施する箇所としては六百三カ所、それからさらに調査実施して対応考えていく箇所といたしましては六百八十七カ所、これはいずれも今後五年間の間に対策実施するという方向考えております。  なお、対策実施するまでの間でございますが、監視員の配置とか通行規制等、監視、管理の強化を図ることによりまして安全で信頼性の高い道路交通の確保に努めてまいりたいと思っております。
  74. 橋本聖子

    橋本聖子君 ぜひよろしくお願いいたします。  昨年二月十日に豊浜トンネルの事故がありました。そしてことしの八月に白糸トンネルなんですけれども、不幸中の幸いといいますか、八月の事故にはちょうど通過している方がいらっしゃらなかったということですけれども、二度とあってはならない事故ですので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。  次に、防災対策についてですが、これは非常に重要であると考えております。十分な防災対策実施する観点からも道路特定財源確保は重要と考えておりますが、この点を踏まえますと暫定税率の継続が必要となってくると思いますが、この点につきましてお聞かせいただきたいと思います。
  75. 瓦力

    国務大臣瓦力君) 橋本委員にお答えいたします。  今、冒頭質問で第二白糸トンネルの崩落事故を受けて実施いたしました岩盤斜面の緊急調査道路局長からつぶさに御報告をいただきましたが、御案内のとおり我が国の国土は極めて脆弱な一面を持っております。また加えまして、地震また豪雨、豪雪、こうした厳しい自然条件下におきまして国土の安心、安全を確保していかなければならない、またそうした道路整備も行っていかなければならない、こういう条件下にあるわけであります。道路は国民生活を支える根幹的な社会基盤でもございますし、安心して暮らせる国土を実現するために今後とも道路防災対策、これに十分を期して推進してまいる必要がある、こう考えております。  また、委員指摘道路特定財源制度でございますが、現在、ガソリン税、自動車重量税等の暫定税率の適用期間を五年間延長するよう要望いたしておるところでありまして、今後も引き続き道路特定財源制度を堅持してまいりたい。道路防災対策を充実するためにも所要道路整備財源を確保する必要がございますので、いよいよこれらの問題につきまして私ども全力を挙げて財源確保と、そしてこれからの道路整備というものを念頭に置きつつ努力をしてまいりたい、こう考えておるわけでございます。
  76. 橋本聖子

    橋本聖子君 ぜひよろしくお願いいたします。  このたびの省庁再編の議論の中で、北海道の開発におきます可能性や広域性など特殊性を考えますと、北海道の開発はまだまだ特別な枠組みで進める必要性があると思います。北海道はある一方でもう十分開発はされているのではないかというような声もありますけれども、北海道地方部ではまだまだ社会基盤も産業基盤も十分に整備されておられないところがたくさんあります。北海道の持てる力を十分に発揮できるような環境整備が必要ではないかというふうに思いますけれども、北海道における社会資本整備状況をお伺いしたいと思います。
  77. 鈴木宗男

    国務大臣(鈴木宗男君) 橋本先生おわかりのとおり、北海道は日本の面積の二二%を有しております。私なりに行革の先生方の議論なんか聞いておりますと、北海道イコール札幌というような印象での議論しかなっていない。地方にまで十分配慮したというか、わかっての議論はあったのかなと、若干私は心に残るものがあります。  ちなみに一つ二つ例を言いますと、高規格道路を一つとりましても、今全国の供用率が四九%です。北海道は残念ながら二二%であります。同時に、快適な生活といえばまず下水道の整備でありますけれども、北海道の場合、五千人以下の町あるいは村ではその整備率は一一%です。一万人以下で見ても一九%という整備率でまだまだなんです。こういった意味でも、日本の食糧基地としての北海道、さらには風光明媚な北海道は日本のオアシスだと私は思っておりますし、まだまだ北海道の果たす役割は重いしあると思っておりますので、ぜひとも当委員会の先生方も北海道を御支援いただきたい、こんなふうに思っております。
  78. 橋本聖子

    橋本聖子君 今、北海道は拓殖問題ですとか民間経済において暗雲が立ち込めておりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。  このような道民が持つ将来への不安を取り除きまして、新しい元気のある北海道づくりというものを築いていく中で、日本の食糧基地としての役割を果たすことが必要になると思います。  今回の中央省庁再編によりまして、建設省、運輸省、国土庁北海道開発庁を母体として国土交通省ができます。そして、北海道開発のための枠組みの中で、現在の建設省所管の道路河川、そして運輸省所管の交通、港湾などの社会資本はもちろんですが、現在の農水省所管の公共事業も積極的に取り組んでいかなければいけないというふうに思いますけれども、これについて大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  79. 鈴木宗男

    国務大臣(鈴木宗男君) あすが行革における省庁再編の成案を得るということになっておりますから、あす正式に発表されるかと思うのでありますけれども、今回の行革では北海道開発庁は国土交通省の中の一内局として姿を変えることになりました。ただ、予算の一括計上権は認められましたし、同時に今ある北海道開発局というのは農林省、建設省、運輸省、三つの役所を束ねた仕事をしているんです。そういった意味では行革のモデルだというふうにも言われているんです。二十一日の夜、正確には二十二日の夜中の二時四十分からの総理の記者会見でも、わざわざこの北海道開発局の例を取り上げて、これをモデルにするんですよという表明もありまして、総理も相当北海道開発局の中身も存じておられたなと思って私自身この夜中の記者会見を見ながらもほっとしたのであります。  その中で、国土交通省に今度は位置づけられますけれども、そこではまた裂きにならないように現行どおり補助率も認めます、特例も認めます、そして国土交通省のもとでその北海道開発局が農業基盤も漁港も林野公共も港湾も道路も一括して予算要求しますということになっておりますから、私は機能においては何ら今と変わるものでないと思っておりますので、この点はぜひとも御安心をいただきたい、こんなふうに思っております。  当然、橋本先生から今お話のあった食糧基地としての北海道でありますから、特に農業基盤の整備等は国際競争力にも太刀打ちできるようにこれまたしっかりと整備をしていきたいと、こう思っております。
  80. 橋本聖子

    橋本聖子君 ぜひよろしくお願いいたします。  このように人口のアンバランスが広がり、地方部での過疎問題が深刻になっておりますけれども、さらに非常に厳しい国際的大競争時代を迎えている状況におきまして、地方が受け身の態勢ではなくてみずからが主体となってやる気を出していかなければいけないんではないかなというふうに思います。そこで、国はそのような自治体が十分発展することのできる環境を整えまして、そして必要に応じて手を差し伸べることが望ましいのではないかというふうに思います。地域が明るい未来を実現するために、二十一世紀に向けてどのような方向で札幌圏以外の過疎地域の振興施策を講ずるつもりであるか、大臣にもう一度お伺いしたいと思います。
  81. 鈴木宗男

    国務大臣(鈴木宗男君) 橋本先生案内のとおり、北海道も札幌一極集中なんです。北海道の例えば人口を見ましても、昭和六十年からの十年間で五百六十八万から五百六十九万、大体横ばいなんです。もうわずか〇・二%しかふえていません。ところが、札幌は大体二百三万人から二百三十一万人へと二十八万人もふえているんです。北海道は横ばいでいっておきながら札幌圏だけはもう一四%もふえているというのが実態であります。ですから、やはり一極集中を排除して二百十二の市町村が均衡ある発展を図るには私はそれなりに政治のサポートが必要だなと、こんなふうに思っているんです。  そういった意味でも、二〇〇一年からの省庁再編ですけれども、まだ残り三年間ありますから、この間精いっぱい今の体制の中でいわゆる地方の過疎地域あるいは僻地の振興、活性化というものをしっかりやっていきたいなと、こう考えております。
  82. 橋本聖子

    橋本聖子君 北海道では、やはり札幌の一極集中が進む一方で地方では過疎化が進んで、北海道の基礎地盤と言える地方部におきまして人口の過疎化が進展することというのは、やっぱり北海道全体の力の衰えといいますか、道民の一人としても将来が心配になってきております。実際に東京一極集中が数多くの問題を引き起こしたように、道内でも教育ですとか雇用の問題でさまざまな面で格差が拡大しているようにも思います。  そこで、ここ十年間ぐらいでいいですけれども、札幌圏とそれ以外の地域での人口比率の変化についてお聞かせいただきたいと思います。大体先ほど大臣も数字をお話ししてくださいましたけれども、もう少し詳しくお聞かせいただきたいと思います。
  83. 青木東雄

    政府委員(青木東雄君) お答え申し上げます。  先ほど大臣の方からも御答弁申し上げましたけれども、北海道の人口は、昭和六十年から平成七年の十年間で五百六十八万人から五百六十九万人へと〇・二%のわずかな増加となっております。その中で、札幌市とその周辺の市町村を合わせました札幌圏で見ますと、同じ期間におきます人口は二百三万人から二百三十一万人へと二十八万人、また北海道全体に対する人口比率も三五・八%から四〇・七%へと増加しております。一方、札幌都市圏以外の人口は、三百六十五万人から三百三十八万人へと二十七万人の減、北海道全体に対する人口比率も六四・二%から五九・三%へと減少しておりまして、過疎化が進行していると認識しております。
  84. 橋本聖子

    橋本聖子君 ありがとうございました。  このように、北海道には拓銀問題ですとか過疎化など暗い問題がありますが、その雰囲気を変えるために、道民、国民の明確な指針となる元気あふれる新計画が必要だと思います。現在、北海道開発庁では第五期総合計画に続く新計画の策定作業を進めていると承知しておりますけれども、ぜひとも道民が将来の大きな夢に向かっていくことのできる新計画としていただきたいというふうに思っております。  大臣に、どのような視点から新計画を取りまとめていかれるのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  85. 鈴木宗男

    国務大臣(鈴木宗男君) 北海道の持っている資源的な要素、それは土地があるということでの私はやっぱり食糧基地としての位置づけが必要かと思います。同時にもう一つは、やはりこれからは余暇とかゆとりの時代ですから、四季折々の風光明媚な北海道はやっぱり日本のオアシスという位置づけの中で、北海道にたくさんの人に来てもらってそこでリフレッシュをしてもらう、これは私は資源的にも北海道は恵まれた場所だ、こう思っております。  さらに私は、もう一つ大事なのは、北海道をこれから日本のエネルギーの集積地にしたい、こう思っております。昭和三十年代は石炭産業で北海道は相当日本に貢献しました。しかし今は石油であります。同時にその補完として原子力エネルギーを使っておりますけれども、将来的には私は核融合等を二十年、三十年のスパンで考えなくてはいけない。しからば、ITERなんという基地を北海道に持ってくる、同時に幌延という町での貯蔵工学センター、これなんかもセットで私は考えていかなくてはいけないとも思っているんです。  さらに、今サハリンの上のオハでは天然ガス、石油の開発も進んでおりますから、この中継基地、後方支援基地はまた北海道が果たすべきだと思っているんです。同時に、中東の油もあと二十年だ、いや長くて三十年だという見解であります。また、インドネシアなんかはあと三年もしたらインドネシア自身が石油の輸入国になるとも言われておりますから、私は、このサハリンの石油、天然ガスの開発、シベリアの開発等を含めて北海道が後方支援基地、中継基地になって大きなまた役割を果たしていくべきだと、こんなふうに思っております。  そういった大きな土俵も考えながら、新計画では持続的で生産性の高い食糧生産、そして二番目にはやはり観光、保養基地としてのゆとりある生活環境の北海道、さらには北方圏地域の窓口としての北海道の位置づけ、そして産学官の連携による成長期待産業の育成、そして我が国のエネルギーのさっき言った集積基地というふうに基盤の整備をやっていきたいと、こう思っております。
  86. 橋本聖子

    橋本聖子君 ぜひよろしくお願いいたします。特にITERは私の生まれ育った苫小牧が候補になっておりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。  最後の質問になりますけれども、スポーツがやはり地域活性化に与える効果というものは大なるものがありますけれども、最後にその質問をさせていただきたいと思います。  北海道の冬というのはどうしても寒いというマイナスイメージがありまして、なかなかわかっていただけないすばらしさというものがあるんですけれども、札幌オリンピックが地域に与えたプラス効果というものははかり知れないものがありました。私自身も小学校一年生のときだったんですけれども、本当にすばらしいオリンピックだったというふうに思っております。また、二〇〇二年のワールドカップ・サッカーも札幌が開催地となりまして、大成功をおさめなければいけないというふうに思っておりますけれども、北海道は夏というものを印象づけるためにも、冬だけではなくてまた夏のオリンピックですとかスポーツヘのビッグイベントというものも思い切って誘致して活性化につなげていく必要があるのではないかなというふうに思います。  北海道開発庁は、ことして第十一回目を迎えましたツール・ド・北海道というものにも大変御尽力いただきまして、本当にサイクルスポーツだけではなくてスポーツ全般に御尽力いただきますことに、本当にこの場をおかりして感謝申し上げます。  その中で、特にスポーツ、北海道の雄大な、大臣もオアシスというふうにお話ししてくださいましたけれども、スポーツの発信基地北海道、スポーツ王国北海道という意味でも、これから地域振興に活用するお考えをどのようにお持ちなのかということをお聞かせいただきたいと思います。  先月ですけれども、ツール・ド・おきなわがありました。私は参加することができませんでしたけれども、大臣は五十キロを走ってくださいまして、選手から聞いたんですけれども、まさかサイクルスポーツ選手と同じ自転車に乗って、ユニホームも同じで、五十キロ完走されるとは思っていなかったらしくて、何かとにかく選手としては身近に政治というものを感じたそうなんです。本当にそういう意味で、夢のある政策というものもこれから二十一世紀に向けて必要だと思いますけれども、ぜひ最後に大臣にお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  87. 鈴木宗男

    国務大臣(鈴木宗男君) 橋本先生が札幌オリンピックを見て感動したと同時に、私は個人的で恐縮ですが、橋本先生のお父さんとは大変じっこんにしてもらっているものですから、お父さんからは東京オリンピックの聖火を見て聖子とつけたという話を聞かされまして、まさにオリンピックの申し子が橋本先生かなと。  その橋本先生が今北海道は元気がないと、こういう悲観的な話をされておりますから、私もかつて橋本先生がオリンピックに出たころのあの雄姿というものは北海道のまさに象徴でもあったし、頑張りズムのまた見本でもあったわけですから、いま一度北海道の夢というかロマンというものを橋本先生とともに考えていきたいものだなと、こう思っております。  同時に、アウトドアスポーツの振興は私は北海道が一番その条件は整っていると思いますから、今先生のお話をされたレースですね、ことしてちょうどツール・ド・北海道が十一回目ですか、定着しましたから、私は行く行くは北海道一周のレースにしたいと思っているんです。少なくともツール・ド・北海道というのはツール・ド・フランスをまねてやったわけですから、しからば北海道はちょうど一周できるコースもとれるわけでありますから、大々的にそういったアウトドアスポーツの振興も図りながら、さらに日本的なイベントというものをこの北海道でつくっていく。同時に、北海道発世界行きのそういったイベントというものをつくるのがこれまた北海道の振興、活性化のもとかなと思いますので、ぜひとも橋本先生にも御支援をいただきたい、こう思います。  なお、ツール・ド・おきなわでは橋本先生からもらったユニホームで走らせていただいたものですから、あのユニホームのおかげで完走できたかなと思っておりますので、感謝を申し上げたい、こう思っています。
  88. 橋本聖子

    橋本聖子君 大変ありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。  今まで、北海道といいますと、札幌オリンピック以外は道内でのスポーツイベントとしてだけでありました。国際的に北海道がやはりスポーツの発信地となるように世界に向けて地域振興のためにもぜひお考えを取り入れていただきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。  質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  89. 益田洋介

    益田洋介君 大変和やかな質疑応答を聞かせていただきました。  私は、若干方向を変えて御質問させていただきたいと思います。  皆様御承知のように、ことしの夏、中堅総合建設会社、中堅ゼネコンと言われています東海興業、多田建設、大都工業がそれぞれ相次いで会社更生法の適用を申請いたしまして事実上倒産したわけでございます。  私が問題にいたします理由は、それぞれ債務超過額が、東海興業三千六百八十億円、多田建設七百七十億円、大都工業九百五十二億円と大変な額に達しているわけでございますが、一方で、この三社とも直近の決算書を見てみますと、そうした窮状は一切読み取れない、本業のもうけの部分を示す経常収支はそろって黒字決算をしている。これはやはりどこかの部分に粉飾をしたという形跡がなければ当然こうした結果事実が生まれないわけでございます。  一つは、ゼネコンの場合は保証債務をしているわけでございます。これは工事受注に当たりまして、いざとなればゼネコン自体が借金を肩がわりしてでも工事を完成させる、成果品を納入するんだという保証でございます。その保証先リストには、おととし、私どもを初め国民の皆さんが大変議論の対象にした大口の住専の会社がございましたり、返済の見込みがないのに決算書には偶発債務として注記されただけで負債には計上されてなかった、こういうふうな現状がうかがわれるわけでございます。それから、完成工事未収金もやはりゼネコン特有の不良債権、こうしたものがどんどん累積していってしまったわけでございます。  なぜこうした粉飾をしてまで黒字決算をしなければならなかったかという背景にあるのは、やはり工事の受注に対して黒字決算をしていなければ公共工事、これは国、地方公共団体等もそうでございますが、まず指名に入れてもらえない、こうした今までの経緯があったわけでございます。であるならば、本来ならば健全な経営をするためには、今私が申し上げたのは中堅の会社三社でございましたから、もっと地方中小のゼネコンは大変な思いをしているのではないかというふうに感ずるわけでございます。であるならば、やはり赤字決算をしてまでも体力を回復して、そして健全経営にまた向かっていくという方向性を当然のことながら建設省はお考えだと思います。  そこで、これはたしか財政特のときに建設大臣から伺ったことだと思いますが、やはりこうした地方の、特にこれから経営困難な状態が予想されるそうした建設業者に対して手を差し伸べるということで、赤字決算になっても指名から除外することをやめようじゃないかという通達を十月九日、建設事務次官、自治事務次官名で各都道府県の知事に発令をしております。  そして、こうした前向きな姿勢は、建設省、非常に私は評価してよろしいものだと思うんですが、具体的に、ではそういう窮状に陥っているやもしれない中小地方建設会社に対して、この通達に書かれている内容をどのように運用していくか、私はこれがこれからの問題だと思うんです。  現実にどういうふうに手を差し伸べていくつもりなのか、その辺のところを建設省にお伺いしたいと思います。
  90. 五十嵐健之

    政府委員五十嵐健之君) 先生指摘のように、日にちは十月八日付でございますけれども、両事務次官名で通達を発したところでございます。  建設省は前から、赤字である、この理由で指名から外すというような運用はやっていないわけでありますけれども、今先生指摘のように自治体ではかなりのウエートで赤字企業といったようなところをこの指名から排除するというような運用がされておりました。そこで、私どももかねてから各自治体に自治省ともどもそういう運用を改めるようにお願いをしてきたわけでありますけれども、十月に大臣の御指示で、これは実は建設大臣と自治大臣が直接話し合われまして、次官名ではっきりした通達を出そう、それから特に直接各首長さんのところに届く手だても考えようというようなことでこの通達が発出されたところでございます。  出されまして約二カ月近くになっております。その後この通達を受けて各自治体、これは市町村に至るまででございますけれども、各市町村に至るまでこの通達をどのように運用されるのかというのを既に調査に入っているところでございます。できるだけ早く各自治体から、この通達を受けて運用をどのように変えていくのか、変えていったのかという点につきまして調査結果をまとめたいと思っているところでございます。
  91. 益田洋介

    益田洋介君 さらに、この決算の問題から派生して私が思いますのは、倒産したこの中堅三社の決算書はいずれも公認会計士によって監査を十分に受けたものである。保証債務に関する特記事項が記載されていた東海興業の決算書を含めて三社の監査報告書には適正という公認会計士の意見が添付されている。会計士は粉飾を実際に見抜けなかったのか、あるいはわかっていながらクライアントに対する守秘義務があるので監督官庁である大蔵省に、あるいは公認会計士協会に通告をしなかった、どちらかだと思います。  大都工業を監査したある公認会計士の方は、会計士協会、大蔵省からそれぞれ事情聴取を受けた、しかし私なりに当時の状況を説明したけれども、内容については会社の更生の妨げになるのでやはり守秘義務を守るべきだと思うので言えない、こういったことですべてが霧の中に包み込まれてしまっている状態です。私は基本的に、こういうところの不透明さが今の日本経済危機、金融破綻というのを惹起させている主たる原因である。  私ども二年前に住専問題で話し合ったときに、アメリカでSアンドLを更生させるためにRTCという組織をつくって大変斬新というか思い切った清算の仕方をした。そのときに、特に公認会計士の監査責任というのが厳しく問われて、会計士を相手にした訴訟もアメリカではたくさん起こっている。  私は、その前に雅叙園観光でも、適正意見を拒んで会社から解任されたというある公認会計士の方を個人的に知っておりますが、そういう現状は果たしてこれから日本産業、特に建設産業を成長させていく上においていいことなのか。あるいはもうこの辺で抜本的にこの監査法人に対する義務、守秘義務はもちろんでございますが、監督官庁に対する通告義務、そうしたものをきちっとした形で位置づけていかなきゃいけないんじゃないかというふうに考えておりますが、大蔵省、どういうふうに考えますか。
  92. 三國谷勝範

    説明員三國谷勝範君) 財務書類の監査に当たりまして監査法人及び公認会計士は、その専門的な能力と実務経験に基づきまして、独立かつ公正不偏な立場から、職業的専門家としての正当な注意を払いながら適切な監査手続を実施していくことが求められております。  昨今、建設業等の会社更生法適用申請の問題が生じております。また、これらにつきまして、直近の決算の会計検査におきまして適正意見が付せられていることも御指摘のとおりでございます。  一般論として申し上げますと、会社更生法の申請が行われました場合には、これまで継続企業を前提にして行われたものと異なりまして、共同で事業を行ってきた関係会社あるいは協力会社の経営が成り立たなくなるといったことがございまして、したがって、その評価方法が異なってくるといったことがございます。  しかしながら、いずれにいたしましても、監査人には継続企業調査時点における期間損益と財政状態の適切な把握、これが必要でございまして、今般の問題につきましてはいろんな債務保証の引き当ての問題等もございました。現在、この問題につきましては、日本公認会計士協会におきまして、債務保証等に関しまして建設業専門部会におきまして諮問が行われまして、詳細な処理基準等を定めました実務指針の整備を開始しているところでございます。  私ども、会計士監査につきまして今後とも社会的信頼を獲得していくために、会計監査実務あるいは監査体制等につきまして検討し、所要改善を図っていくことが必要であると考えております。
  93. 益田洋介

    益田洋介君 ぜひ積極的に会計士協会とも話し合いを持って制度的な改正というものを一日も早く進めてもらいたいと私は要望しておきたいと思います。  ただし、その会計制度を見直しただけではどうも建設業界の粉飾決算というのはなくなりそうもない、そういう声も一方で聞きます。それは建設省の経審と言われているいわゆる経営事項審査制度の制度的欠陥が何度かここに至って指摘されているからでございまして、これは公共事業への入札に参加するためにはこの審査を必ず受けて一定以上の評価を受けなければならない。言ってみれば国による建設会社の格付制度なわけですが、これは売り上げに当たる完成工事高という数値を重視する余り、建設会社はいたずらに赤字覚悟でも受注戦争に走らざるを得なくなっている。  やはり制度をここで改めて、完工高のウエートを下げる分、例えば技術力などを評価の対象としてウエートを増すというふうな配慮もあってしかるべきなんじゃないかというふうに私は思うわけでございます。これは今、不良債権、有利子負債、保証債務というようなものとあわせて審議会で検討中だというふうに伺っていますが、この辺の現状はいかがでしょうか。
  94. 五十嵐健之

    政府委員五十嵐健之君) 先生指摘のように、現在、経営事項審査につきましては中央建設業審議会で見直しの御議論が重ねられているところでございます。  問題の一つは、今先生指摘のような完成工事高の問題、重過ぎるのではないかという問題でございます。  実は、この現在の経審の計算方法につきましては三年前にも同様の議論がありまして、それまでは完成工事高をまずもとの数字といたしまして、それに技術力でありますとか経営力でありますとかそういったような要素を掛けていく、こういう計算法をとっておりました。この結果、完成工事高が一〇%伸びると全体が一〇%伸びる、こういう格好になっておりましたので、大変完成工事高のウエートが高過ぎたのではないかという反省をしたわけでございます。そこで、現在の制度は、この経営力でありますとか完成工事高でありますとか技術力、それぞれ分解いたしまして、それぞれにウエートづけを行っているわけであります。  現在は、完成工事高につきましては〇・三五を掛ける、あるいは経営力については〇・二〇を掛ける等のそれぞれウエートづけを行うことによりまして、例えば完工高が一〇%上がっても三・五しか上がらない、こういうような変更を加えたわけであります。しかし、それでも現在、今まさに先生が御指摘のような完成工事高についての効き方がやはり効き過ぎているんじゃないかという御指摘があるわけでございます。  そういう観点から、現在、中央建設業審議会基本問題委員会で御論議をいただいているところでございまして、一番大きいのは今申し上げました完成工事高ウエートのあり方であります。それから、今先生指摘の技術力評価の問題、あるいは経営状況をどうウエートづけするかといったような点が中心となっていると承知しております。  私どもは、来年の春には御結論をいただけないかということで期待を申し上げているところでございます。
  95. 益田洋介

    益田洋介君 通達はこれは簡単に出せたわけですけれども、実務的には私は今局長がおっしゃったその審議会の検討結果を踏まえて、実際どのような審査方法に改正するのかということを早く決めて実施に移していただきたい、そのように思うわけでございます。  ここでもう一点、税制改正に関する要望がことしの九月、建設省に対して、これは日本建設業団体連合会、日建連からいわゆる不良債権の無税償却をもっと範囲を広げて認めてほしい、要するに規制をこの部分についても緩和してもらいたいという要請があって、例えば回収不能が三年以上続くなどの条件を満たせば無税償却を認めたりするというようなことで、債務超過状態が長いこと続いて苦しんでいる、そうした建設会社の経営にこういった面からも手を差し伸べてもらいたい。これが不良債権処理の先鞭をつけるのではないかというふうな意見もございますが、この提案については建設省はどのように対応しようというふうに考えていますか。
  96. 五十嵐健之

    政府委員五十嵐健之君) 先生指摘のように、日建連から特に債権償却特別勘定にできるだけそれを活用していきたいという要望が出されたところでございます。  具体的には、共国債権買取機構に持ち込まれました物件の債務者等一定の要件を満たす債務者に対しまして、その債務者に対する不良債権につきまして債権償却特別勘定への繰り入れを認めるようなこと、あるいは債権回収が三年ほど全くできなくて、債務者が貸借対照表上債務超過の状況にあるとき、こういったときには債権償却特別勘定への繰り入れを認めること、それから債権償却特別勘定への繰入率を現在より引き上げることといったようなのが柱でございます。  一番難しかったのは、建設業が今いろいろこういう経営体力をつけたいということでございますけれども、この貸し倒れの問題あるいは債権償却特別勘定の問題はあらゆる産業に共通の問題でありますので、これをどうやって一般的な要望にできるかというのを議論していたところでございます。ことしの場合には、実はそこまでうまく、期限がありまして、それまでに日建連といいますか建設業界の団体側と作戦が一致できませんでしたので今回はちょっとできませんでしたけれども、今金融関係その他で貸倒引当金の問題あるいは債権償却特別勘定の問題がいろいろ議論が始まったところでございますので、この推移を見守りながら私どもとしてもできるだけこの建設業界の体質強化のために頑張っていきたいと思っております。
  97. 益田洋介

    益田洋介君 次に、格付作業、またその影響について大蔵省に質問したいと思います。  アメリカの格付会社、いわゆるムーディーズ・インベスターズ・サービスとかスタンダード・アンド・プアーズ、S&Pなどが勝手に一般投資家のためと言いながら実際金融機関であるとか建設会社に対して断りもなく格付をどんどんして、格付の格下げというのが金融マーケットの中で、特に日本銀行、証券会社、信用リスクの高まり、また株価の下落を招来しているのが現状である。  一般の金融機関考え方というのは、こうした格付というのが市場の動揺を招いて、一回の格下げは再び次の格下げの動きに結びつくといったいわゆるネガティブなサーキット、負の循環という現象が起こってきて、それが例えば今回の山一証券の場合、資金繰りが全くマーケットでできなくなった。その格付の見直しが山一に引導を渡して、投資の適格というランクづけから投機的なものだと、具体的に言えばダブルBプラスというようなところまで下がって、そこでインターバンクのお金が入ってこなくなった。考え方によってはやっと日本金融マーケットも欧米型の市場に成長した証拠ではないか、そういう残酷な、現実的にはそうなのかもしれませんけれども、こういった動きが見られます。  北海道拓殖銀行の場合も、やはり破綻の引き金になったのはこの格下げであったということですが、一般企業のしている格付なので直接金融当局としては関係ないんだというふうな意見を前におっしゃっていたように記憶しておりますが、私はそうではなくて、やっぱり現実の問題として相当な影響力があるわけですから、この格付作業についてどういう見解大蔵省はお持ちか、お伺いしたいと思います。
  98. 三國谷勝範

    説明員三國谷勝範君) 格付の問題でございますが、格付は民間企業たる格付機関が投資対象に対します評価を言うなれば簡単な記号を用いてわかりやすく投資家に提供するというものでございます。今後、証券取引の世界におきましては、やはり自己責任ということが非常に重要でございまして、こういった中でいろいろな情報をいろいろな投資家がみずから判断する、そういった中で格付情報というのは投資家にとりましても重要なものになっていくと考えております。  我が国証券市場におきましてもこの役割は高まっていくものと考えておりますが、個々の格付の適正という問題につきましては、格付機関がみずからの責任において示しております格付、これが市場の信頼を得られるかどうかという問題でございまして、その判断というのは基本的に市場にゆだねられるものではないかと考えております。
  99. 益田洋介

    益田洋介君 フリーマーケットということである程度はやはり淘汰されていくというのが現実の姿じゃないか、残念ながらそう思います。やはり今の時期、日本金融機関は相当頑張ってもらわなきゃいけない。イギリスでもビッグバンが始まったのは一九八〇年、今から十七年前、相当日本はおくれている。きょうは大蔵大臣がいないのでこれ以上は議論はいたしませんけれども、そういった印象を受けます。  次に、建設会社にこの格付という、特に格付を引き下げた場合についての影響について建設省に伺いたいと思います。  最近、同族経営から脱却しているゼネコンがふえている。売上高上位二十社のうち半分はしかしまだ創業者一族がトップを占めているけれども、それぞれ青木建設、飛島建設、熊谷組、佐藤工業、ばブルの時期にトップが先頭に立ってディベロッパーとして相当多額の資金を動かしていた会社のすべて同族トップが退いている、そういう現状になっている。  十一月一日にある大手ゼネコンがやはりトップを同族から一般の社員といいますか、同族以外の経営者に経営をゆだねるということが発表になりましたが、この会社に対して日本の公社債研究所、これは日本格付機関、プライベートですが、その会社の格付をトリプルBマイナスからダブルBプラスに下げた。これはこの会社が来年三月期に海外事業などの整理損を初めとした特別損失を約二千億円計上して、最終損益が大幅に赤字に転換するということで、考え方によっては今この時期にうみを一気に出してしまうという姿勢なわけですから、私はあえて批判されるような行為ではない、むしろ歓迎される行為であろう。しかし、この日本公社債研究所の二十六日発表した新しいこの会社の格付では安田信託並みに下げられてしまった。信用力ゼロ。何が困るかというと、こうした会社は海外で外債を発行できなくなっちゃう。そうすると、粉飾をしないでうみを出そうと努力した会社は格付が下がったことによってもっと窮地に追いやられるということになってしまう。  この辺について建設省はどういうようにお考えですか。
  100. 五十嵐健之

    政府委員五十嵐健之君) 私どもは、やはりそのバブルのときに抱え込んだ不良資産化したものでございますけれども、できるだけ早く処理をいただけないかと思っております。ただ、建設業、一つの企業体は当然生き物でございますので、一気にこれを吐き出すということは企業体力からしてできないわけであります。できるだけ体力をつくっては吐き出し体力をつくっては吐き出しということで、できるだけ早くこの処理をお願いしたいと思っております。  今先生指摘の、そういった場合にはこの格付の関係でおかしくなるという問題が生じてしまうという点があります。格付機関は、何といいますか投資対象家に対しまして社債でありますとかコマーシャルペーパーでありますとか、それに対する評価をそれなりにそれぞれの機関が独自でやるものであります。それをどう見るか、どう扱うかというのがそれぞれ投資家にゆだねられているのだということが制度的な枠組みになるわけであります。ただ、十年前なら十年前にそのバブルのときに抱えていました不良資産化したものを処理するときには、どうしても一時的にはこれはその会社に投資する人は少しシュリンクするといいますか、今までのような感じで見ないという、一時期は出てしまうのはやり方としてはある程度やむを得ないところがあるのではないかと思います。  ただ、その結果、もしかしまして先生が御指摘企業の場合は、恐らくその翌年度以降は非常に経営体質がよくなるところになるのではないかと思います。一時苦しい時期はありますけれども、十年前のおもしというのは大変重いものでございまして、それを乗り越えて企業の体質が強化されることを期待しているところでございます。
  101. 益田洋介

    益田洋介君 次に、特殊法人の話題に移ります。  十一月四日、野村証券の関係者が明らかにしたところによりますと、野村証券は特殊法人十数団体に対して年間一千万円以上に上る接待を行い続けてきた、期間は一九八〇年代後半からということでありますが、特に特殊法人のうち債券の発行が多いところは日本道路公団と公営企業金融公庫などなわけです。特殊法人がマーケットから資金を調達するために政府保証を受けた上で国の内外で年間三兆余円、このうち外債は約四千億円を超す債券を発行しているわけですが、国内で債券を発行する場合は日本興業銀行などを中心にしたシンジケートローンが組まれる。ところが、道路公団や公営企業金融公庫など七法人は外債も盛んに発行している。それで、ロンドンやフランクフルトやデュッセルドルフといった外国で行われる、発行地で行われる調印式に出向いていった財務担当の理事等が過剰な接待を受けた。政府の保証つきの債券ですからもちろん安全性は高いわけです。主幹事をとりますと発行額の八割以上の債券の配分を受けられ、多額の手数料収入が得られる上、幹事を務めた実績によって金融界で信用力が増すと、こういった背景があります。  しかしながら、問題は特殊法人の職員というのはみなし公務員である、そういう規定があるから当然のことながら東京地検の特捜部は強い関心を持っているそうでありますし、特に野村証券の八九年三月から昨年十二月まで道路公団の外債などで計九回の主幹事を既に獲得している。こうした幹事の獲得と過大な接待に因果関係があるかどうか、これを今特捜部が調べている。  同時に、日本興業銀行もかなり派手な接待をしている。これも対象になっている特殊法人というのは日本道路公団と公営企業金融公庫。歴代政府保証の発行などを担当する大蔵省OBの財務担当理事、また大蔵省や自治省から出向している資金課長たち、こういう人たちが接待の対象になっている。興銀というのは戦前国策銀行として長期融資を手がけてきた歴史があるので、戦後も公的機関が発行する債券の引受業務、特に外債については圧倒的な実績を持っていたわけでございます。  この点について、まず道路公団にお伺いしますが、財務担当の井坂武彦理事は、きょう来ていらっしゃる黒川理事、総務担当が七日、建設省で記者会見して、こうした疑いがある、野村証券だけでなく大和、山一の二社、この二社の名前は記者会見では発表されましたからもう既に周知の事実、それで口頭によって厳重な注意をした、しかし今後は接待にかかわる不正行為があったのかどうか処分を含めて調査をする。一方、四大証券の利益供与事件を調べています地検の特捜部も関係者からの事情聴取を既に進めている。  こうした事情についてどのように説明をされるのか、また先ほど言いました井坂理事に対する調査はいつまでに終了させる予定なのか、それを伺いたい。
  102. 黒川弘

    参考人黒川弘君) 今先生指摘のように、十月二日に新聞に報道されましたので、私の方では当該本人の理事に対しましていろいろ事実関係を確認させていただきました。その際理事からは、野村証券等の証券会社と会食等の事実はあるけれども、儀礼的または私的なものだと考えていたということ、それから昨年十二月の綱紀粛正の徹底の通達以降はこのような会食には一切出席していないということ、三番目に、証券会社から金銭の供与を受けた事実は一切ないということでございました。  そういった中で公団といたしましては、このような行為は国民の疑惑と不信を招きかねない軽率な行為であったことは免れないので、十月六日に建設大臣に御報告を行いました上、まず本人に対して総裁から厳重な注意を行いますとともに、引き続いて必要な確認を進めまして、その結果を踏まえて適切な措置を検討したいというふうに申し上げたわけでございます。  現在、その後引き続きまして事実確認を進めておりますけれども、御本人のまだ必ずしも記憶が十分でない面と、一時入院されておったようなこともございまして、引き続きまして確認を進めておりまして、この確認をできるだけ早く終えまして適切な措置を講じていきたいと考えております。  ただ、現在私たちの方では、最初に先生も御指摘いただきましたように、全体の有料道路事業を進めます前にいろんなところから借入金あるいは道路債券を発行して、その資金によりまして有料道路を経営して後で料金でいただくという仕組みでございます。  本年度の例をとりますと、全体で九百五十億の予算枠で外債を発行させていただくことになっております。その外債の発行に当たりましては、当然でございますけれども市場をいろいろ調査いたしまして、それらの市場で債券を発行できるような金融機関からいろいろ具体的に市場等の状況の説明を受けまして、その中でいろんな競争入札のような形で、具体的にどの会社が、あるいはどの金融機関が低いコストでの調達が可能かということをいろいろ調べさせていただきまして、そういった中から選考して主幹事を決定し、例えば本年の外債発行でございますとユーロ市場で発行しておりますけれども、そこについていろいろアプローチしていただいて最終的に契約をするということでございます。  したがいまして、先ほどの行為そのものは非常に軽率なものがあったと考えておりますけれども、御本人からお伺いいたしましても、具体的な事務の執行に当たりましてはこのようなこと等実際上は競争によってやったものでございますので、そのようなことについていろいろ直接の関係はないのだというふうな御説明を受けている段階でございます。しかしながら、引き続きまして先生指摘のように確認を進めております。その結果を踏まえまして適切な措置を検討してまいりたいと考えております。
  103. 益田洋介

    益田洋介君 今、公的資金を投入して金融破綻を起こした金融業界を救済すると同時に一般預金者の不安を除去しなきゃいけないと、政府を挙げて与野党ともに大変な議論をしているわけでございます。そういう場合に、こうした立場にある、職務権限ももちろん持っているし、そしてみなし公務員という立場にある人が公金をもってこうした疑いを持たれる行為をするということは断じて許されないのじゃないかと私は思うんです。ですから、調査中だ調査中だといつまでも言っていても困るんです。  せっかくこの問題を提起したので、まずその職務権限に関する依頼があったのかないのか。これは非常に重要なポイントなので調べていただきたい。それから接待を受けた金額、どういう場所で、何日、どうした人から接待を受けたのか、見返りを求められたのかどうか。その報告書を当委員会あてに提出いただきたい旨、委員長にお願いしたいと思います。
  104. 関根則之

    委員長関根則之君) 後刻理事会において協議いたします。
  105. 益田洋介

    益田洋介君 それでは次に、先ほど申し上げましたもう一つの大きな公営企業金融公庫という特殊法人ですが、伺うところによると政府保証債の最大の発行母体だというわけで、九六年度の実績では一兆四千億円、九七年度では、まだ終わっていませんが九千億程度と、大変膨大な資金を市場から借り上げているわけでございます。  きょうは役員の方に来ていただいています。まず役員の構成状況、それからこの公庫の業務内容、そうしたものについて伺いたいと思います。
  106. 大野慎一

    説明員(大野慎一君) まず役員の構成でございますが、総裁のほかに理事が三名、監事が一名、計五名となっております。  次に、公庫の業務内容でございますが、公庫は地方債のいわば共同発行機関といたしまして地方公共団体にかわりまして市場から資金を調達いたしまして、その上で地方公共団体が行っております上下水道あるいは地下鉄事業さらには地方道の整備など、住民生活に密接に関連いたします事業に対しまして長期かつ低利で資金を貸し付けるということが業務内容でございます。
  107. 益田洋介

    益田洋介君 役員の構成についてもう少し詳しく教えていただけますか。総裁一名、理事三名、監事一名、それぞれこの方々はどういうふうな職歴をお持ちの方なのか。
  108. 大野慎一

    説明員(大野慎一君) 五名の役員のうち、総裁外四名の方が国家公務員OBでございます。残りのお一人の方は地方公務員OBでございます。
  109. 益田洋介

    益田洋介君 もう少し丁寧に答えたらどう。中央官庁だの地方官庁、そんなことはだれも聞いていないんだ。どこの中央官庁から来たのか、その辺まで答えてもいいんじゃないの。
  110. 大野慎一

    説明員(大野慎一君) 総裁につきましては自治省の出身でございます。理事につきましては大蔵省、それからこれはその年度でも変わりますが、通産の方でありますとか農水の方でありますとか、そういった方もいらっしゃいます。それから地方団体につきましては東京都のOBの方でございます。
  111. 益田洋介

    益田洋介君 今御説明いただいたように、この金融公庫というのは、政府保証の債券の発行で得た資金などをもとにして地方公共団体の公営企業に対して特に下水道などの事業資金を低利で貸し付けている非常に公共性の強い公社、公社というのはみんなそうかもしれません、住民の生活に全国的に密接した仕事に携わっている人たち。下水道の完備率が、先ほど鈴木長官がおっしゃっていましたが、まだまだ低い地方は全国にあるわけで、大事な仕事をしている。こういう立場にある人たちが、例えば一九九四年の八月に金融公庫がチューリヒで調印式を行ったときに、このときの主幹事は日本興業銀行、調印式の後ドイツの国内旅行に案内されて、もちろん移動の自動車、また昼食、夕食、そして通訳つきの大名旅行、こういうことが行われているんだ。  こんなことを聞いたら地方の住民たちは怒りますよ。下水道どうしてくれるんだと言いますよ。道路整備だってそうでしょう。  先ほど道路局長がおっしゃっていたけれども、まだまだ細部にわたって動脈のように、また静脈のように整備していかなきゃいけない。そういった日本のインフラの状況なわけで、こういうことをしているみなし公務員がいるというのは、これは国民の皆さんは許さない。この点、どう思うのか。
  112. 大野慎一

    説明員(大野慎一君) 公庫におきましては、主要銀行などの金融機関と年数同程度の会合を持っていたようでございますが、最近は行っておらないというふうなことを聞いておりまして、今後は誤解を受けることのないよう厳正に対処をしたいということでございます。
  113. 益田洋介

    益田洋介君 余り人を小ばかにしたような答弁はよくないよ。厳正な場所なのだから、建設委員会というのは、ほかの委員会もそうじゃないとは言いたくないけれども。  これもやはり報告書を出していただきたいんです。  それで、特に外債の発行地での接待が多いんだね。具体的にだれとは言いませんけれども、だれってわかっちゃうんだけれども。これも公庫として報告書を出してもらいたい。どういう立場の人が、財務担当の理事だと思いますけれども、だれを同行して、この場合は今興銀だと申し上げたけれども、もちろんほかのところもある。例えば長期信用銀行、野村証券、東京三菱銀行、相当あるんだ。出してください、これは。  それで、企業はうみを出せうみを出せと言っているけれども、みんなリストラで大変な努力している。特殊法人だけこんなことやっていたらまずいじゃないか。この報告書の提出、委員長、お願いしたいと思うんですが。
  114. 関根則之

    委員長関根則之君) 後刻理事会において協議いたします。
  115. 益田洋介

    益田洋介君 それでは、何か接待の話ばかりしていて、余り自分がしてもらっていないから。  実は委員長、これはお許しを得ての質疑にさせていただきたいんですが、本年の九月四日、当院の決算委員会において、私は大蔵大臣とそれから官房検査部長に対して質問いたしました。このとき、結論として原口恒和検査部長は、金額等を含めた調査結果を「わかる範囲で御報告したいと思います。」と。  どういうふうな質問をしたかといいますと、第一勧業銀行が九四年の十月から十二月にかけて大蔵省の検査が入ったときに、当時の担当検査官二人を接待した。それで大蔵省は七月二十九日、戒告処分に二名をした。戒告を受けたのは、一人は日下部元雄前国税審議官、当時は検査部の管理課長と宮川宏一金融検査部金融証券検査官室長、当時は検査部上席金融証券検査官。  この二人についての調査をお願いして、その調査結果があらあら出たという報告を伺いましたのでこの場で発表していただきたいと思います。
  116. 渡辺博史

    説明員(渡辺博史君) お答え申し上げます。  検査官に対します第一勧業銀行からの接待問題につきましては、検査忌避という銀行法違反を行っていた銀行から、検査の期間中あるいは講評が終了した後といえども文書による示達の前という期間におきまして、会食、ゴルフ等の提供を受けていたということは銀行に対する検査に対します社会的信頼を損なうものであるということから、今委員指摘のように七月二十九日、大蔵大臣から懲戒戒告二名を含めまして厳しい処分を行ったところでございます。  今御指摘ございましたように、日下部及び宮川に対します接待の内容でございますが、先ほど委員の方からあらあらというお話がございましたのは、実は帳簿を含めました関係書類が現在司法当局に押収されておりまして、詳細の全容についていまだ確定するという段階には至っておりませんが、一部書類についてコピーが残っていたりということもございますので、その現存する関係帳簿、それから第一勧業銀行側の関係者の記憶、それから大蔵省の当該対象者及び関係者の記憶、この三者が合致した部分について調査が一応まとまりましたので御報告をさせていただきますということでございます。  まず、日下部につきましては、平成六年十一月十四日の月曜日に昼食を東京プリンスホテルでとっております。それからもう一回は、翌年平成七年の一月二十日金曜日の夜、夕食、これは西新橋にあります「ふじ岡」という小料理屋でございますが、ここで会食をともにしているところでございます。  それから、宮川につきましては、平成七年の一月八日の日曜日にゴルフを神奈川県内のゴルフ場で行っているということでございます。  以上につきまして、金額を確定することが先ほど申し上げましたような理由でまだ詳細には不可能な状態でございますが、これらにつきましては処分の直後、費用を清算すべく第一勧業銀行に要請しているところであります。今の段階では最終的な細かい金額はわからない状態でございますけれども、そのまま放置をすることもできないということで、とりあえず日下部につきましては会食の代金といたしまして五万円、それから宮川につきましてはゴルフの代金として十万円、これを第一勧業銀行にお預けしまして、過不足が生じる場合も含めて実額での清算を可能なタイミングで行っていただくように要請をしているというところでございます。  以上でございます。
  117. 益田洋介

    益田洋介君 これで終わりにしたいんですが、質問じゃなくて接待に関するものですが、この二特殊法人、建設大臣、るる述べてまいりましたが、やりとりを聞いていまして現在どういう御印象を建設大臣としてお持ちになったか、伺いたいと思います。
  118. 瓦力

    国務大臣瓦力君) もとより、綱紀を正していかなきゃならぬことは当然でございますが、今、委員からの質問がありましたことは極めてゆゆしきことでございまして、今後さらにこうした行為が行われないよう十分に指示をいたすべくこれからも努力をしたいと、こう思う次第であります。
  119. 益田洋介

    益田洋介君 それでは、北海道開発庁長官にお見えいただいていますので、言い方が失礼であったらばどうぞ率直におっしゃっていただきたいんですが、若干お伺いしたいことがございます。  これは長官の帯広の営林署官舎の跡地払い下げにまつわる虚偽の登記または課税免除の件ということで、長官は一九八六年十一月十九日、奥様の名義で、鈴木典子さんの名義で同跡地である国有地三筆を代金八千百六十万円で買い受けました。そのうち、三筆のうちの一筆はそのまま奥様の名義で残されていたわけでございますが、残りの二筆について、八七年の六月二十六日、奥様の名義から秘書六人の方の共有名義にして六人がそれぞれ二筆目の土地を六分の一ずつ所有するという形態をおとりになった。  さらに、九一年七月五日、一人の秘書さんがおやめになった。そして秘書さん、残りの五人の方とどういうわけか長官御自身とそれから奥様の名義で、秘書五人と長官がそれぞれ八分の一、そして奥様が八分の二という共有名義に書きかえた。これはすべて真正登記回復の効果をもってしたわけでございます。  それから、最後に、一九九三年の十一月二十六日に、今度は共有名義をやめて鈴木典子様単独の全部所有名義に書きかえて現在に至っている。  これは登記簿謄本を調べさせていただきました。間違いないと思いますが、この点御確認いただけますか。
  120. 鈴木宗男

    国務大臣(鈴木宗男君) 先ほど益田委員、この建設委員会は厳正な場所だという話をされました。  虚偽登記という言葉は私は当てはまらぬと思っております。私が法律に触れるなり、何か指摘を受けたものならば虚偽という表現はいいんですけれども、新聞では「虚偽登記」となっておりますけれども、私は虚偽登記はしておりませんし、当然税務申告もしておりますし、責任を果たしておりますから、虚偽登記という発言は私はぜひともこれは御勘弁いただきたい。これは記録に残るものでありますから、私にも名誉と尊厳がありますから、この点は事実をきちっとしていただきたい、こう思います。それからお答えしたいと思います。
  121. 益田洋介

    益田洋介君 虚偽という言葉が正しいかどうかというのは、これは一連の質疑応答を通して客観的に判断していただくことであって、長官は虚偽というのは嫌だと言っても、そうじゃないという見方の方も当然いらっしゃるわけです。  次に、質問いたします。  まず、この鈴木典子様が代金を支払って払い下げを受けた土地は、これは本来奥様の土地であるはずなわけですが、それにもかかわらずに真正な登記名義の回復を登記原因として秘書六人の共同名義にした、共有登記にした。この一連の登記変更に関連して、実際真実の買い受け人または所有者はだれだったわけでしょうか。
  122. 鈴木宗男

    国務大臣(鈴木宗男君) 私は、今回閣僚になって資産公開しておりますけれども、この同じような資産公開を過去四回やっております。防衛政務次官三回、外務政務次官三回で四回とも同じ申請であります。ですから、何ら変わっていないんです。  同時に、この問題につきましては、外務政務次官のときも指摘された問題であって、指摘されてきちっと答えてもう終わっている話なんですね。それがまた今回、一部新聞で「払い下げ国有地を虚偽登記」なんということがあって、私自身本当にこれは迷惑しているところなんですけれども、今先生がお話しになった昭和六十一年十月三十一日、営林署の土地を買いました。これも払い下げ国有地と言うと何となくこっちがお願いして買ったような感じですけれども、国有地ですから、個人は買えませんですね、いわゆる原則は競売でありますから。私が買ったのは不落札のものなんです。しかも、林野庁の土地でありますから、これは林野特会に入れているんですね、もう前もって予算に。予算に計上しているものですから、これを何とか処分しないと穴があいてしまって営林署が困ってしまう。そこで役所の方から私は頼まれて買ったというのが正確な話であります。  同時に、個人的で申しわけないんですけれども、うちの財布は家内が全部握っておりますから、これは名義は家内であるということであります。  そこで、六十二年の六月二十八日付で秘書の名義にしている、これは先生、こういうことであります。家を建てました。一筆分の約二百坪ぐらいのところを使って、六十坪か七十坪の家をつくったんですね。残りがあいているものですから、私自身が秘書上がりでありまして、かつて中川一郎先生の秘書をしたとき、中川先生が亡くなって何十人かという秘書が大変困りました。しからば使っていない土地は共有名義にしておこうかということで、私自身も選挙もありますし、率直に私自身は選挙に余り強い方じゃありませんでしたから、何かのときには足しにもという思いで実は共有名義にしたんです。ですから、秘書のみんなは喜んでくれたんです、これはもう安心して働けるということで。それが共有名義でありまして、虚偽でも何でもなくて、しかも筆頭のところに全部税金等来ますから、これはきちっと納めているというのが実態であります。  そこで、昭和六十三年の三月二十二日、先生の御指摘のあった私と女房の名前がつけ加わっているのは、この六十二年六月二十六日付の秘書に名義登記したとき、私ども二人を抜いておったんです、その申請した者が。ですから追加しているというのが、昭和六十三年の三月二十二日の私と家内がいわゆる追加になっているもとであります。  そこで、そもそも女房が受けて、女房できちっと税務申告等もしておりますからいいんですけれども、これは平成五年に秘書の一人がやめることになりました。そこで、やめて女房の名義に移すとき税務署から指摘があったのは、お金の動きがあったんですか、動きがあったならばお互い税金がかかりますよ、しかも調べてみたら秘書さんの名義になっているから、もしお金が動いておったら秘書の方には贈与税もかかりますよという指摘を受けたんです。  そこで、私も実は法律に不備なものですから、全くそのことに無知だったものですから、これはよかれと思ってやったことですけれども、これは税務署の方から、その親切は話としてわかるけれども、法律的に言うならば課税対象になるから、これはもとへ戻した方がいいですよということでもとへ戻ったというのが、これは実態なんです。  これは帯広税務署、十勝支所の指導を受けてそういう結果になっているんです。この点、例えばこの一部新聞には、私が頼んで所得税免除、私は一回も取材も受けていないのに勝手に私どもの名前まで入れて報道されているんです。だから、この報道を見た人、先生方は、何をやっているんだという指摘があるのもまた当然かと思うんです。しかし、実態とは全くかけ離れた話であって、私自身本当に迷惑をしているということ。同時に、秘書が頭を下げて何かしらの便宜を図ってもらったんでないかという指摘もよくされました。これも全くありません。  この点ぜひとも、私は事実は事実でありますから、同時に納めるものも納めているという経緯もありまして、私が政務次官のとき四回資産公開して、その資産公開と変わっていろんならば何が御指摘があっていいんですけれども、全く質量変わっていないものでありますから、この点おわかりをいただきたい、こう思っております。
  123. 益田洋介

    益田洋介君 るるお答えになっていただいたんですが、私の質問には一つもお答えになっていらっしゃらない。  私がした質問は、土地を最初に八六年の十一月十九日、奥様の名義でお買いになったときに、財布はどなたがお持ちになっていたか、それは私は知りません。そのときの買い受け人はだれだったのか、土地の所有権者はだれだったのか、それを伺っているんです。
  124. 鈴木宗男

    国務大臣(鈴木宗男君) それは家内であります。
  125. 益田洋介

    益田洋介君 それが共有に変更した。これは八七年の六月二十六日、秘書さん六人のそれぞれ六分の一ずつの共有名義になった。このときには、それでは実際の所有権者は奥様だった。共有名義に変えたということは、一つ考えられるのは、代金の授受があって売却をした。  まずその点をお伺いしたいんですが、代金の授受があったのかどうか。
  126. 鈴木宗男

    国務大臣(鈴木宗男君) 先ほども触れたようにお金が動いておらないものですから、これは課税対象になっていないということであります。
  127. 益田洋介

    益田洋介君 お金が動いていないとすれば、贈与されたことになりますね。贈与されたということになると、当然贈与を受けた方は贈与税を払わなきゃいけない。支払われていますか。
  128. 鈴木宗男

    国務大臣(鈴木宗男君) それはさっき言ったように、たまたま秘書がやめるときに初めてそのことがわかりまして、そこで税金がかかりますよと、お金が動いてなくても例えば差し上げたことになってしまうと贈与税がかかりますよと、だからそれはもとに戻しなさいという役所の指導でもとに戻しているというのが実態であります。  ですから、先ほども言ったように、もう少し私が、あるいは私の秘書なりが法律に詳しければこういった問題はないんです。たまたま全くの単純な親切だとか、よかれと思ってやったことが、法律を十分知っていないがゆえにこういった複雑な関係になっておりますけれども、これはもう税務署もその点は認めてくれておりますし、北海道庁も認めてくれておりますから、私は虚偽登記だとか、あるいは何かやましい指摘をされることは極めて心外であるということをぜひともおわかりいただきたい、こう思います。
  129. 益田洋介

    益田洋介君 どうもその辺がよくわからないんですね。三百八十四坪、約千二百六十七平方メートルもの土地を八千百六十万でお買いになって、だれにも相談しないで勝手に登記をしている。登記の変更は、これはなかなか面倒な手続で、真正登記回復は素人じゃできないことですよ。
  130. 鈴木宗男

    国務大臣(鈴木宗男君) 益田先生、だれにも相談しないといっても、登記する場合は印鑑証明もすべて要りますから、全部秘書、それぞれ皆さん納得して相談してやっておりますから、今の御指摘は、だれにも相談しないというのは当てはまらない。すべてこれは、手続というのはしているわけでありますから、勝手に実印だとか印鑑証明は使えるものじゃありませんから、この点は正規の手続をしているということで御理解いただきたい、こう思います。
  131. 益田洋介

    益田洋介君 手続がなされている。それもごく弊害のない、瑕疵のない手続がなされている。だからこそだれにも相談しないで手続をしたというのは考えられない、これが私が聞いた点なんです。  そして、これは売買でないということになれば贈与になって、贈与税の問題は後ほど伺いますけれども、仮に百歩譲って、共有名義にしていたということが秘書さんに対する、中川先生が亡くなったときに秘書さんが二十何名いて大変困った、そのために善後策として共有名義にしておこうじゃないかと、今そういう長官の説明がありましたけれども、もしそうだとすればこれは退職金の前渡しになる。そうすると秘書さんは所得税を払わなきゃいけない。  所得税を払いましたか。
  132. 鈴木宗男

    国務大臣(鈴木宗男君) ですから、実際お金は動いておらぬものですから、そのことは税務署もわかってくれまして、そこでもとに戻しなさいという指導でこういうことになっているんです。
  133. 益田洋介

    益田洋介君 言葉じりをとらえるようで申しわけないですけれども、これはですから真正登記の回復になっていない、不真正なんだ。そういう意味からすると虚偽の登録をしたということになる。このこと自体は登記の公示制度に対する挑戦ですよ。公正を保とうとしていないんです、最初から。不公正なんです、これは。
  134. 鈴木宗男

    国務大臣(鈴木宗男君) 私は真正な登記名義の回復、こういう手続で直しなさいということでやっている話であって、逆に関係機関の指導を受けてやっている話であって、先ほどから言っているように私どもが法律に詳しければこんなことは起きなかったんです。たまたま法律を知らぬかったのが残念ながら一番のこの混乱を来すもとになったんです。  この点は、今、益田先生が私を指摘するよりも、いわゆる税務当局なり北海道庁の役所が十分把握している話であって、その指導にのっとって、こっちはきちっと真正な登記名義の回復という手続をしなさいという指導を受けてやっているということは事実でありますので、この点もぜひともおわかりをいただきたい、こう思います。
  135. 益田洋介

    益田洋介君 どうも、どういうふうな実態がこうした手続を何回も変えていった背景にあるのか、いまだによくわからないんですが、長官、一つ私の質問に答えていらっしゃらない点があります。  それは、贈与であるとすれば当然これは地方税法上は不動産取得税がかかりますし、国税法上は贈与税がかかる。売買した場合には当然ながら土地取得税がかかるし、そうした数々の税金が登記移転のたびごとに課税される。これはどういうふうに済ましてこられたのですか。税金を払っていますか、これらの税金は。
  136. 鈴木宗男

    国務大臣(鈴木宗男君) 税金は払っております。  同時に、この秘書の名義については、金銭のやりとりが一切なかったということが税務署もわかったものですから、これは課税対象にならぬということで了解を得ております。
  137. 益田洋介

    益田洋介君 これはこういうふうにしてください。税金をきちっとお支払いになっていると主張されるのであれば、領収書をいただきたい。納付の領収書があるでしょう。今お手元になければ、取り寄せれば再発行してくれますよ。
  138. 鈴木宗男

    国務大臣(鈴木宗男君) これは国会法でも、例えばプライバシーに関するもの、私生活に関するものについてはどの程度まで国会でオープンにするのかはちょっと私もわかりませんけれども、たしか本会議等でこの問題が出たことがあると思いますけれども、これでまた一回理事会で相談してもらいたいのであります。  先生日本の役所は、納税の納付書だとかあるいは不動産取得税の請求だとかというのはきちっと来ます。黙っていたら督促状も来るわけでありまして、ちゃんと私どもは税金というのは納めておりますので、黙って、納税しないで今日まで来たということはあり得ませんし、この点は恐らく調査に行った方も、私が聞くところには、役所を訪ねて、現地で聞くところによってはそこら辺のやりとりはきちっと確認されているというふうに私は聞いております。
  139. 益田洋介

    益田洋介君 確認されていないから、あえて時間をとって質問しているんです。  それで、要するに長官は御自分の名誉を守りたい、これは虚偽の申告ではなかったんだ、登記ではなかったんだと冒頭おっしゃいましたので、もし御自分の名誉をお守りになられたいんだったならば、納税者のプライバシーというよりも私は優先することだと思いますので、ぜひ提出してください。
  140. 鈴木宗男

    国務大臣(鈴木宗男君) 冒頭言ったように、一部報道が「払い下げ国有地を虚偽登記」と、このことが当てはまるかどうかということが大事ではないでしょうか。  同時に、もし私が法律に触れたり何か問題があるならば、例えば税務署が私を告発してもいいわけなんですから、何ぼでも手段はあるわけです。私どもはきちっと役所の指導にものっとりながら、同時に一番の問題だというのは法律に無知だったということ、これが一番の問題であって、そのためにもとへ戻っているわけでありますから、私は中でお金が動いたというならば先生の今御指摘の贈与税等があって当然ですけれども、お金が動いていないからもとに戻ったということで、そのもとは私の家内が買っているわけで、その家内の、またそこへ戻っているわけですから、しかもその間はちゃんと納税しているわけですから、私が指摘されるものではない、こう思っております。
  141. 益田洋介

    益田洋介君 お金が動いていないとすれば贈与なんですよ。贈与だったら贈与税というものが当然納められていなきゃいけない。  だから、これは長官の名誉のために私はお勧めします。納税義務というのは当然あるはずです。納税したと今おっしゃっていますから、納税の証拠になる書類を提出していただきたい。  それで、納税しなかったらば督促状が来るだろう、それは事実であります。ところが来なかったという一部報道がなされている。この点は、だからやはり長官の名誉のためにもはっきりさせておかなければならぬ。何か国務大臣あるいは国会議員というそうした立場を御利用になって課税義務を免れたんじゃないか、そういう言い方をされているんですよ。この点をはっきりしてください。
  142. 鈴木宗男

    国務大臣(鈴木宗男君) 一部報道で、もう一回先と言ってください。一部報道で納税を何をしたというんですか。
  143. 関根則之

    委員長関根則之君) 速記をとめてください。    〔速記中止〕
  144. 関根則之

    委員長関根則之君) 速記を起こしてください。
  145. 益田洋介

    益田洋介君 それでは、何か話が行きつ戻りつのようになっていますし、私が今お勧めしているのは、非常に長官は名誉を重んじられる方で、まして今国務大臣でいらっしゃるし、政治家としても経験豊かな方なんで、名誉をきちっとお守りになられる筋ではないか。私は、何も長官が不法行為を行っているとか違法行為を行っているとか一言も言ってないんだ。だから、名誉を守るために、その課税されたものについて支払ったという証拠になるものを、委員長、これはぜひ理事会で検討して当委員会に出していただくようにお計らいいただけませんでしょうか。
  146. 関根則之

    委員長関根則之君) 後刻理事会において協議いたします。
  147. 鈴木宗男

    国務大臣(鈴木宗男君) 益田先生、私は何も名誉を守りたいとかあるいは自分の立場を保持したいというのではなくて、事実は事実として認めてくださいということを言っているんです。その報道が、全く私に取材もしていないのにこういう鈴木長官なんて名前を書いて、それをもとに例えば質問等をされておったらば、全くこれ、この新聞を見た人はやっぱり誤解を持つのは当然だと思うんです。  だから、私は先生に今説明しているように、同時にこれはうちの秘書が、私もこのやりとりを知らなかったんですけれども、ちゃんと税務署にはきちっと申し立て書だとか確認書というのを出しているんです。それで税務署の指導を受けてきちっと手続しているんです。  ですから、私が何か税務署から指摘を受けたならば、また先生の言うお話にそれはさようごもっともですということになりますけれども、私たちははっきり言って法律がわからなかったということ、同時に関係当局からこういう手続をしなさい、こう言われてきちっと手続をとっているということで、これはもう言った言わないの議論よりも、真実は何かということを少なくとも国政調査権があるからといって一々個人の財産のことまで触れることがいいことかどうか、しかも例えば税金をどうのこうのと言うことがいいことかどうか。私はきちっと税務署に出した書類も持っておりますから、そこで税務署からこういう手続をとりなさいという指導を受けてやっているわけでありますから、もし税務署が言ったことに対して私どもが何か違う意見を出して反対の行為をとったというのならば言われても結構でありますけれども、関係当局からきちっと言われたとおりうちの秘書が手続をしたということで、私はその秘書を信用しておりますから、この点はぜひともおわかりをいただきたい、こう思います。
  148. 益田洋介

    益田洋介君 わかりました。先ほど委員長にお願いしたとおりで、私は長官を疑ったりとかなんとか言ってない。ただし、橋本内閣国務大臣の一人として、今内閣を挙げて行財政改革ということに対して大変真摯に臨んでいる時代に、この真っただ中にこういうことでお疑いを持たれたら長官としてもプライドが許さない、だからこそきれいにこういう問題は疑いを晴らしておくべきでしょうと、これが私の主張なんです。  それで、長官は経過報告書を帯広の税務署に出しているわけですね。それで内容として理解を得たんだと、今そのような説明でしたので、あわせてその経過報告書の写しも当委員会に提出していただきたい。この点もあわせて委員長、お願いしたいと思うんですが。
  149. 関根則之

    委員長関根則之君) 後刻理事会において協議いたします。
  150. 鈴木宗男

    国務大臣(鈴木宗男君) 益田先生、ぜひとも御理解いただきたいのは、参議院の予算委員会でも猪熊重二先生からこの話も若干出ました。やはりそういう問題もあるということで猪熊先生の質問もありました。そこで私は、どうも事実としてあったことを言っておられるのならいいんですけれども、国会で新聞の、しかも間違った書き方といいますか、何となくクエスチョンマークのつくような書き方をもって、これが悪いことだみたいなことで質問をされたのでは、私は本当に厳正な国会の審議のやり方かどうかと、こういうことも思いますので、この点私は事実の確認と同時に、私がここで言っていることは逆に残るわけでありますから、この重さというものをぜひともおわかりいただきたい、こう思います。
  151. 関根則之

    委員長関根則之君) 益田君、そろそろ時間ですので、手短にお願いします。
  152. 益田洋介

    益田洋介君 わかりました。  私は新聞が全部正しいなんて一言も申し上げておりません。ただし、この政治が大変な、経済が大変なさなかに、橋本内閣の一員である長官にこうした疑いが持たれているということは残念だ、ですから早い機会にお晴らしになった方がよろしいですよ、そういうことを申し上げたわけでございます。  終わります。
  153. 小川勝也

    小川勝也君 民主党・新緑風会の小川でございます。  先日、災害対策の特別委員会で阪神大震災後の復旧状況等を視察に神戸に行ってまいりました。  きょうは、阪神大震災の教訓をどれだけ生かされているかということについて、ある一点質問をしてみたいと思っております。それはどういうことかと申し上げますと、震災の被害は甚大だったわけですけれども、文字どおりその災害の中で中心となった災害に火災がございます。そして、震災と火災、そこに着目したときに、私なんかは意外に思ったんですけれども、実は直接火を使うものより電気系統から火災が発生したという件数が多いという指摘を耳にしまして、この点を追及したいと思っております。  まず、消防庁の方にお伺いをしたいと思いますが、一般論として火災と電気系統、これがどういうふうに位置づけられているか。あるいは阪神大震災、これを一つの例として取り上げたときに、どんな情報を得ているのか。まず総論としてお伺いをしたいと思います。
  154. 須貝俊司

    説明員(須貝俊司君) お答えいたします。  平成七年中の建物火災の発生件数でございますが、三万四千五百三十九件でございまして、そのうち電気に起因する火災でございますが、四千七百七十三件、全体の一三・八%となっております。また阪神・淡路大震災での建物の火災件数でございますが、二百六十一件となっております。このうち電気に起因する火災でございますが、七十九件、三〇・三%、こういうことになっております。
  155. 小川勝也

    小川勝也君 私のところに神戸市消防局がまとめた資料がございます。特に神戸市消防局がまとめた例によりますと、課長から今御報告がありました三〇%よりも若干大きい数字が来ておりますし、あわせて都市災害の専門家であります筑波大学の熊谷教授、この方が綿密に震災の後の町を調べまして、いかに電気系統が原因となる火災が多いのかという報告書をまとめられておりますけれども、消防庁としてはこの神戸市消防局あるいは熊谷先生のレポート等はごらんになったことございますでしょうか。
  156. 須貝俊司

    説明員(須貝俊司君) 神戸市の調査結果については承知いたしております。
  157. 小川勝也

    小川勝也君 それと、ちょっと予告していないんですけれども、ノースリッジ地震において電気が意外と火災の発生原因になるということが明らかになったという報告があるんですけれども、消防庁はこれをとらえておりますでしょうか。
  158. 須貝俊司

    説明員(須貝俊司君) その状況については把握しておりません。
  159. 小川勝也

    小川勝也君 私のところに報告がいろいろありまして、先ほど申し上げましたように神戸市消防局、当然大変な現場だったと思います。そして、大きな震災で消防署といたしましても仕事が火災に関することだけではございません。当然、いわゆる病気の方とかけが人の方等の収容、さまざまな非常に大変な作業をされている。そしてまた、余り大きな声じゃ言えないことかもしれませんけれども、大きな教訓を得たと思うんです。これは日本全国あるいは世界の災害対策に大きく利用させていただくべきデータだと思います。  そんな中で、この電気の安全、そして火災にしないための安全ということにどのような行政がとられているのか。これ御担当が資源エネルギー庁の中にあるということなので、今までのところどういう行政や指導をされておったのか、簡単に御説明をいただきたいと思います。
  160. 奥村裕一

    政府委員奥村裕一君) お答え申し上げます。  先生指摘の、地震の際におきます電気火災が発生しないようにするための対策といたしまして、まさに阪神大震災の直後に、平成七年に当省におきまして電気設備防災対策検討会を設けまして、約数カ月かけて議論をしていただきました。その結果電気事業者につきましては、特に送電の再開をする際に、被害の認められる家屋あるいはビル等に対しましては、できるだけ安全確認をとりつつ復旧を進めるということ、それから現地におきまして各電気の需要家さんに対しまして、安全上の注意を喚起するなどの対策を行うということをしてございまして、これの徹底を図ったところでございます。  それから、平時におきましても各需要家さんに対しまして、地震の際にはブレーカーを切って避難をしていただくなどの震災発生時の注意点につきましてPR活動を行っているところでございます。
  161. 小川勝也

    小川勝也君 消防庁にお伺いしたいと思いますが、先ほど神戸市消防局のまとめたレポートや教訓を自分たちは認識しておるというお答えをいただきましたが、それを今の部長のセクション、エネルギー庁の中で電気事業を監督しておられるところと今後どう生かすかということで連絡調整等は行われましたでしょうか。
  162. 須貝俊司

    説明員(須貝俊司君) まだ行っておりません。
  163. 小川勝也

    小川勝也君 本来ならば、政府委員にきょうは来ていただきまして、その辺の縦割り行政の弊害を突いていこうと思ったわけでございます。  せっかく阪神大震災で、得ようと思っても得られない教訓を得て、消防局が大変な作業の後いろいろな教訓をまとめて、私のところにありますレポートによりますと、神戸だけでございましょうか、火災を発生した件数の中で電気系統が原因と思われるものは四九%という報告が上がっております。そして、聞いてびっくり、冷蔵庫やビデオデッキ、これが出火の直接の原因となっているようなものもある、このようにレポートに詳しくまとめられております。それを我が国の縦割り行政ということで、消防庁はそのデータを聞いておりながら、その電気関連のセクションであります資源エネルギー庁と何の相談もしていない。  そして、私は、きょうは建設委員会でございますから、究極の目的は何かといいますと、いわゆる公共住宅、公立住宅にこういう施設の安全性がもっと高まるようなシステムをとれないだろうか、このことを議題としたいわけでございます。  そこで、私も詳しいことはわかりませんけれども、ガスが揺れによってとまるという装置がございます。それと同じように、揺れが来たときに電気のもとを遮断するような装置が今研究開発されておられるのだそうでございます。その辺の機械の是非がどこまで研究されておられるのかわかりませんけれども、先ほどエネルギー庁の部長から御答弁いただいたのはどういうことか。地震のときにスイッチを切ってください、プラグを抜いてください、避難をするときはブレーカーを上げてください、こんな指導では火災はなくならないと私は思います。  ですから、この辺のことに入っていきたいと思いますけれども、先ほどの部長さんにお伺いしたいと思いますが、これは感震器とかアンペアブレーカーとかいろいろな名前で呼ばれていると思いますけれども、この実効性についてはどのような認識でございましょうか。
  164. 奥村裕一

    政府委員奥村裕一君) お答え申し上げます。  先生指摘のブレーカーでございますが、感震ブレーカーにつきましては、私ども実はこういうふうに考えておりまして、ブレーカーをきかせるためにはある一定の震度を設定するわけでございますけれども、例えばそれを超えた地震時には、電気設備の方が実は問題なく動いておりましても、ブレーカーが切れました結果屋内が停電状態になります。もしこれが夜間でございますと、照明が消えたり、あるいはエレベーター内に閉じ込められる、それから自動ドアですとこれが停止してしまう、こういった逆に避難に支障を来すといった懸念を感じているところでございます。
  165. 小川勝也

    小川勝也君 ということは、これから建物に設置しようとかやった方がいいんじゃないかという考えに対しては、余り進めておらないという態度でよろしいんでしょうか。
  166. 奥村裕一

    政府委員奥村裕一君) お答え申し上げます。  いわゆるこれを義務づけとか、そういう形でのものはちょっとまだ今申しましたような問題が他方でございますので、いかがかと考えております。
  167. 小川勝也

    小川勝也君 ただ、民間の方もいろいろと進んでおりまして、当然民間の方からのアプローチ、こういうのも進んでおる状況だと私は認識をしております。  それで、ちょっと思い出していただきたいんですけれども、広島で、ことしてございますか、市営住宅の火災がございました。当然記憶に新しいことだと思います。全国には老朽化されました公共住宅というのもたくさんございますし、一たび火災が起こればということで非常に心配をするものでもございます。そしてまた、新しく公共住宅、公の住宅建設しようとするときに、このような安全設備をもし取り入れたいと考える自治体があったときに、建設省の方でそういうメニューの中に用意をされておらない、こんな話も聞いております。  今エネルギー庁からは、まだ照明等の問題でクリアすべき点がたくさんあるというふうにお伺いいたしましたけれども、住宅局長の方はどのようなお考えがあるのか、お伺いしたいと思います。
  168. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) 感震ブレーカーというんでしょうか、一定の地震を感知したときに自動的に電気が遮断されるという装置につきましては、ただいま通産省からお答えになりましたように、ある面で相当の有効性があると私どもも思います。ただ一方で、瞬時にして電源が切れた場合に、震災時において稼働すべき避難システムであるとかあるいは火災探知機であるとか、それらの機能も瞬時にしてとまってしまうというマイナス面がございます。また、夜間の場合には先ほどお話しのような避難に支障を来すということもございます。  したがいまして、公共の住宅についてどういうふうに扱うかということについては、まずその辺の避難システム等々を念頭に置いた上で、技術的にプラスマイナスをよく検討した上で、さあどうするのかというところを判断してから、政策的に補助対象にするのかしないのかというふうな段取りになるんじゃなかろうかと思います。  くどいようでございますが、現段階ではプラスマイナス両面ございますので、もう少し検討が必要なテーマであろうかというふうに認識しております。
  169. 小川勝也

    小川勝也君 実は今いろいろと技術的に進歩しておりまして、感震をしますと電源が一切とまってしまう、しかしながら一部の照明灯だけがつくようなそんなシステムを開発されておるように聞いております。今後注意深くエネルギー庁の御担当のセクションではこの推移を見守っていただいて、そしてそれがもしさまざまな観点から有益あるいは有効であるというふうに考えがまとまりますれば、当該の住宅局長あるいは省庁との連携をとりながら、そしてまた建設省には、そういう安全あるいは安心に関しての設備でございますので、補助対象等安心して暮らせる世の中に近づくようなインセンティブを働かせていただけたらと思っております。  次に、国土庁長官にお伺いしたいと思います。  今の災害すべてが御担当でございますけれども、やはり多くの犠牲者を出す地震の中においての火災、これに対する技術的進歩等で、もし火災が少しでも少なくなるとすればもっといいんじゃないかと思いますので、その辺の御感想をお伺いしたいのが一点。  そしてもう一つ、前の委員会で私は国土庁長官にお伺いしたことがございます。それは何かといいますと、震災に対するあるいは災害に対する心がけの問題でございます。防災基本計画というのがまとめられておりまして、いわゆる心構えと同時に備え、最低二日分の水と食料をということを書いておるんですけれども、そのとき質問をとりに来られた国土庁の御担当の方も、私もやっておりませんというようなことでございましたし、実際万が一のときに私たちの生命を守ってくれるのは当然自分でありましょうけれども、地方自治体の職員さん方でございます。この人方が先頭となって誘導場所であるとか避難の仕方であるとかさまざまな指導をしてくれるはずでございますけれども、その方たちさえも防災基本計画においての基本的な認識がうまく伝わっておらないように見受けられます。  その二点、国土庁長官の御感想をお伺いしたいと思います。
  170. 亀井久興

    国務大臣亀井久興君) ただいま通電火災についての小川委員と消防庁、通産省、建設省とのやりとりを拝聴しておりまして、地震が発生した後の二次災害として火災が非常に大きいということでございますので、その防災を何とかこれから充実をされていかなくてはいけない、そういう観点で承っておったところでございます。  通電火災のことについては、先ほど委員の御指摘では四九%あったというお話、消防庁の方は三〇数%ということで、そうした認識は私どもも持っておるわけでございます。  ブレーカー遮断システムについては、先ほど来のやりとりにありましたようにプラスマイナス両面あろうと思っております。やはり応急の活動に支障が出るというマイナス面もあるわけでございますから、そこらは関係省庁さらにライフライン事業者と十分な連携をとりながら、何か技術的にそうしたものを乗り越える方法が恐らく将来は出てくるであろうという感じも持ってお聞きしておったところでございますので、さらに連携を密にしながら何か新しい道を求めてまいりたい、そのように承っておりました。  それから、第二番目の御質問でございますが、申し上げるまでもなく、実際に起こったときに国民の一人一人がどのように対応していくかということについては日ごろの災害訓練というものも必要でございましょうし、さまざまな予備知識を十分に踏まえておくということも必要でございましょうし、今御指摘のありましたような防災基本計画と同時に地域防災計画も十分あるわけでございますし、地方公共団体の意識の徹底ということもあろうと思いますので、そうしたPRをもっともっと私どもも徹底することによりまして、国民の一人一人の防災に対する知識がより普及していくように努力してまいりたいと思います。
  171. 小川勝也

    小川勝也君 建設大臣にも一言お伺いしておきたいと思います。  例えば公立の住宅を建てるときに、地方は当然財政状況も非常に厳しいものがありますので、建設省等で用意されている基準やメニューを重視することになっていると聞いております。住宅局長にも検討をお願いしましたので、もしそういうような技術的な問題がクリアされたときには、連携を密にして早くメニューに加えていただきますように建設大臣にもお願いをしたいと思っておりますが、一言御感想をお願いいたしたいと思います。
  172. 瓦力

    国務大臣瓦力君) 国土庁長官の御答弁で尽きるかと思うわけでありますが、建設省といたしましてもこれらの課題効果や問題点があるようでありますので慎重に研究をしてまいりたい、かように存じます。
  173. 小川勝也

    小川勝也君 それでは次に、鈴木長官にお伺いしたいと思います。  先ほどは長官の独演会みたいな時間もございましたけれども、ちょっと表情が曇っておりますので、元気が出るような質問をさせていただきたいと思っております。  今、長官は満を持して御就任されました。しかしながら非常に厳しい時節柄だと思います。北海道は食糧基地でもあり、そして大きな国土を有しております。夢のアイランドでもございますし、本当に将来を考えたときに、ああしていきたい、こうしてみたい、さまざまな夢や希望が出てくる、そんな土地柄だと私も思っております。先ほど橋本聖子議員からも御指摘がありましたとおり、金融機関の問題そして開発庁の行政改革をめぐる問題、そして米を中心にする農業経営者に打撃が与えられるという問題、そして構造的な不景気の問題、非常に先行きが不透明な昨今でございます。  長官は、そんな時代背景を認識して持ち前のお力で北海道をどんな未来にしたい、そのようにお考えになっておられるのか、簡潔におまとめいただきたいと思います。
  174. 鈴木宗男

    国務大臣(鈴木宗男君) 小川先生もまさにどさんこですから、北海道のよさというのは十分知っているかと思いますけれども、私も天の配剤に感謝をしながらこの資源というものを有効に生かしていく、これが北海道の生きる道だと。同時に、二十一世紀の日本をつくる北海道というキャッチフレーズでこれまた頑張っていきたいなと、こう思っています。
  175. 小川勝也

    小川勝也君 次に、ちょっと唐突な質問をさせていただきたいと思います。  巷間、いろんな議論がされております。それは何についてかといいますと、公共事業に関してであります。私もいろんな考え方を持っておりますし、長官もいろんな考え方があると思います。率直にお答えをいただきたいわけでございますけれども、むだな公共事業というものがあると思うのかどうか、そして公共事業推進に当たって、その運営方法やシステムにむだがあると思うか思わないか、その二点をお伺いしたいと思います。
  176. 鈴木宗男

    国務大臣(鈴木宗男君) 社会資本整備は大事ですし、特に日本の場合は予算は積み上げ方式ですから、役所の皆さん方もしっかり精査をしてやってきたと思うんです。ただ、昔は十年一昔と言われました。今は三年一昔の時代です。さすれば、二十年前、三十年前、よかれと思ってつくった計画もまたスタートした事業時代に合わないかなという面も出てくると思うんです。  そういったものを真摯に反省して、同時に時代に合った対応をしていく、しかもこれから財政が厳しいときでありますから、なお効率よく展開していきたい、私はこう思っています。
  177. 小川勝也

    小川勝也君 柔軟なお答えに安心いたしました。と申しますのも、私は民主党に属しておりますけれども、民主党や民主党議員に対して、公共事業は要らないと言っているやつらというような言い方をされることがあるように伺っております。私たちも公共事業に関してさまざまなことを言っておりますけれども、公共事業は要らないなどということは一言も言ったことはありませんし、民主党の中のだれもそんなことは言っておりません。  私たちが指摘するのは、今長官もお認めになったように、もしいろんな社会資本整備事業、それは事務方の御苦労もありますでしょう、現場の方の御苦労もあるでしょう。さまざまな施策をやっておられますけれども、その中にむだなものがあるのかないのか、これは私たちはむだなものが一〇〇%なくなってもそれを監視していく義務があると思っております。  それともう一つ、予算の執行や公共事業の運営に当たって、どこかにむだなところがないか、もう少し合理的なことが検討できないだろうか、これを追求していくのも我々の義務だと思っております。長官もお認めになられました限られた予算の中、そしてこれから先行き緊縮財政の中、大変な世の中を迎えると思います。先ほど大先輩からもいろんな論議がありました。私は、北海道の中でも人口五千人を切りました和寒町という小さな町の出身でございます。下水道ができればうれしいし、高速道路が通るとすればそれは我々にも大きな夢と希望を与えることになりましょう。  しかしながら、限られている予算の中で、本当にむだがないだろうかということをいつまでも真摯に追求していく姿勢は大事だと思いますし、そのことによって一つでも多くの事業ができればいいなというふうに思っております。お金は無尽蔵ではありませんし、北海道はさまざまな面で国からのいろんな配慮ももらってまいりました。この辺、大変な時代をこれから迎えていくんだろうと思っております。そんなときに、今までも北海道開発予算、さまざまな恩恵を北海道にもたらしてくれましたし、その額たるや巨額と言っても過言ではないと思います。  そんな中、長官も御案内のとおり、公共事業が北海道経済に占める割合というのは非常に高いものがあります。そして、公共事業を減らせなどということを言っている人も少しはいるかもしれません。もし、公共事業予算が北海道に少ないときに、北海道はほかのどの都府県よりも大きなダメージを受けるでありましょう。  そして、僕はそこで何を言いたいかといいますと、今までの開発予算、北海道の自立した経済をもっともっと盛んにする、北海道の独自の経済産業、あるいは自立といったものにもっともっと転用できなかったのであろうか。今でも公共事業依存体質はそのままでございます。  一つ参考になる数字をここに用意してまいりました。ことしの八月の読売新聞の「土建国家は破産する」という連載の記事でございます。「就業者数と新規求人数に占める建設業の比率」、新規求人数ということでございますから、新しく就職したいという人の中で建設業関係に入る人の割合でございます。北海道は五一・八という数字でございます。そして、二位の島根県が三〇・六%、大きな開きで断トツの一位であります。  多くの北海道開発庁の予算、これを北海道が使わせていただいて、そして今でも、ここには土建国家とありますけれども、建設業関係に依存しなければならない産業構造、経済構造だということでございます。この辺に反省点があるのかないのか、長官にお伺いをしたいと思います。
  178. 鈴木宗男

    国務大臣(鈴木宗男君) 土建国家という表現が適切であるかどうか、今読売新聞ですか、その表現は私は適切でないと思っているんです。  北海道は日本の二二%の面積を有しながら、人口は五百七十万、二十二分の一です。しからば、この二二%の面積の中で五百七十万の人口で自立ができるかというと、今の状態ではやっていけないんです。ゆえに、例えば流動人口を持ち込まんといかぬと言って観光なんかにも力を入れているわけですから。さらに、地域の活力の活性化を図るにはやっぱり道路が一番必要です。道路なんかも全国四九%の高規格道路が北海道は二二%しかないというこの厳粛な数字を見るときに、なお北海道はまだ開発が必要だし発展途上地域だと、私はこう思っているんです。  この点、私はぜひとも、東京から見るとどうも、マスコミの皆さん方は東京から見る北海道、その北海道は札幌だ。先生の出身地の和寒だとかそういうところをよく見てもらえれば、私は北海道の予算のこれからの効用、これからの必要性というのは十分わかってもらえるんでないかな、こう思っているんです。
  179. 小川勝也

    小川勝也君 しかしながら、緊急財政構造改革ということで北海道開発に関する予算も一律カットの対象になるのだと思います。それはどういうことかといいますと、国の財政と北海道の開発の重要性ということに直接の因果関係じゃないということであります。北海道が幾ら開発が必要だ必要だということで鈴木先生と私と竹村先生とで大きな声で叫んでも、国の予算の状況でそれがもし立ち行かなくなったときに、そのときに北海道はダメージが大きいということを私は申し上げたのであります。  しからば、もし今までの開発行政の中で北海道の自立をもっと促すような、北海道独自の産業をもっともっとつくるような、そんな予算の執行をあるいは計画をしていれば、今来年に向けて非常に厳しい北海道の経済状況でございますが、これが少しでも和らげられたんじゃないかということをお伺いしたわけでございます。  そして、未来に向けて御質問をさせていただくとすれば、北海道がいつまでもいつまでもなくさんの予算を執行できるような、そういうことであれば、それは高規格道路も下水道も欲しいものばかりでございます。それがもし政府の都合で七%カットだ一〇%カットだということになったときに北海道経済がどうなってしまうのか、僕はそのことを申し上げたいのであります。  長官に御質問をしても多分否定的なお答えだと思いますけれども、北海道開発、社会資本整備はもちろん重要でありますけれども、北海道の自立した産業が将来的に望めるような、そんな分野に重点的に使われるべきだと私は思っております。その辺の御見解はいかがでしょうか。
  180. 鈴木宗男

    国務大臣(鈴木宗男君) 自立の道を歩むためにもある程度の社会資本整備をしなければ、逆に経済の活力も、あるいは人、物の流動化も図れない、こう思っております。同時に、この三年間、集中期間は公共事業一五%減でありますけれども、私は十分やりくりでそれなりの効果は上げられると思っています。  北海道でも札幌一極集中の話もあります。しからば、事業で用地買収なんかにたくさんお金のかかるところはちょっと三年間は休んでもらう。その部分で逆に地方で、きちっと地方のニーズを踏まえながら、さらに経済の再生産のできるところ、そういった濃淡をつけまして、プライオリティーをつけてやっていけば私は限られた財源であっても十分生かし切れる、こう思っております。
  181. 小川勝也

    小川勝也君 質問に直接お答えをいただいていないと思います。  長官に対していろいろ質問させていただいておりますけれども、先ほどの御議論にありましたサハリンの油田、ガス田、北海道がエネルギーの基地になる、あるいは北海道開発局の予算の執行の構造が、先ほども指摘したような今の縦割り行政の打破ということからいうと、北海道開発局というのは、その行政改革の一部はモデル的なものだ、大いに賛成をするところでございます。  私の質問は、そんな中で北海道を自立に向けて体力を増強するという方向に予算の重点配分ができないかということでございまして、その辺の長官の意思を確認したかったわけでございますけれども、御理解いただけますでしょうか。
  182. 鈴木宗男

    国務大臣(鈴木宗男君) ですから、北海道の自立に向けては、ある程度の社会資本整備をしなければ、特に私は地域の発展とか北海道の発展を考えたら、道路なんというのは一番大事だと思っているんです。そういうことをしなければやっていけないんじゃないんですかということを言っているんです。  そこで、逆に私は、小川先生が北海道の自立を言うならば、これがポイントだというのがあったら提案してください。何ぼでも予算をつけますし、対応しますから。絵にかいたもちであっては私はいけない、言葉だけではいけないと思っております。きれいごとを言っても始まらない。もしこれが一番だと言うならば、和寒でも上川でもどこでも予算をつけますから、遠慮なくお申しつけをいただきたい、こう思います。
  183. 小川勝也

    小川勝也君 ありがとうございます。では大きな予算をつけていただくためにお願いに上がるとします。  それでは、最後に。いよいよ行政改革会議の実質的な審議は終わりまして、一つの結果が提示されたわけでございます。先ほども冒頭申し上げましたとおり、今までの北海道開発庁長官であれば、今いみじくも鈴木長官が言われたように予算が欲しいやつはおれのところに来い、そんないい状況であったと思います。しかしながら、新しい時代の幕あけ、そしてシステムが変わり、これは行政改革ですからただの機構いじりじゃありません。新しい北海道開発庁の心として、次はどんな行政にしていくのか。  最後に、行政改革会議のこの一連の検討の結果を踏まえた鈴木長官の感想と、北海道開発行政も新しい時代に向かって、こんな北海道づくりのためにこんな仕事をしてみたいという抱負をお伺いして、質問を終わらせていただきたいと思います。
  184. 鈴木宗男

    国務大臣(鈴木宗男君) 行革会議、あした成案を得ると思いますけれども、今度北海道開発庁の看板はなくなって開発局は残る。その局は国土交通省のもと、そこで予算の一括計上。その一括計上の中には今の補助特例も守られるということで、少なくとも今の水準、レベルは維持できますから、二〇〇一年からのこれはスタートでありますから、まだ三年も時間ありますから、この点は余り私は心配しておりません。  同時に、二〇〇一年からスタートするこの省庁再編の中での北海道は、私はやっぱりエネルギーの集積基地としての北海道、資源なき国家日本の一番大事な根幹を北海道は担うんだという関係で、さっきのシベリアとかサハリンのエネルギー、天然ガス、石油をうまく生かしていきたいなと。そのことがまた北海道の将来につながる。そのためにはまた核融合の時代も来る、ITERの誘致だとか幌延の貯蔵工学センターなんかもあわせて私はセットで考えていけば北海道はやっていけるんではないかな、こう思っております。
  185. 小川勝也

    小川勝也君 長官のその気持ちはよくわかりました。私どもは民主党に所属しておりますけれども、北海道を豊かな大地にしたい、そして北海道をすばらしいものにしたいという気持ちは同じでございます。一部の手法や考え方は違いますけれども、北海道の将来のためになることであれば大いに協力をさせていただきますので、我々も一生懸命勉強してまいりますので、よろしくお願いをいたします。  質問を終わります。
  186. 赤桐操

    赤桐操君 それでは、大臣もお疲れのところだろうと思いますが、もう少しおつき合いをいただきまして、御質問を申し上げたいと思います。  このことしの年が明けまするというと、阪神・淡路大震災が発生いたしましてちょうど丸三年を迎えることになろうと思うんです。あの悲惨な状態の中でだれしもが思ったことは、これは一体東京であったならばどうだっただろうか、東京湾あるいはまた関東であったならばどうであっただろうか、こういうことをみんな考えたと思うんであります。そしてこの次は、東京、関東は大丈夫なんだろうかと、こういうように考えてきたと思うんであります。日本列島全体の中の東京、関東はその中心でございますから、いろいろ各方面に与える影響も甚大でございますので、そういう角度で大変人々の心は集まったと思いますが、ちょうどあれから三年の日時を経過いたすこととなりました。  私は昨年の三月に、東京湾の問題点について幾つか御質問を申し上げ、また提言もいたしておるところでございます。その後一年半が経過いたしましたところでありますが、本年の六月には中央防災会議におきまして防災基本計画が策定、追加されました。国の災害対応力増強のための一段と具体化された防災諸施策が示されることとなり、これは私どもも拝見をいたしまして一定の評価をいたしているところでございます。  そこで、以下若干の御質問を申し上げてみたいと思います。  東京都あるいは東京湾と申しましょうか、関東大震災程度の地震が発生した場合におきまして、まず私たちが考えなきゃならないことは、この東京二十三区並びに近郊地帯、俗に東京圏、首都圏と申しておりましょうか、この地域は一体どういう状況を展開するのだろうか、まさに壊滅的な打撃を受けるのではないか、このように思うわけであります。既に国土庁あるいは建設省等におきましては、そうした場合のことも想定をされてシミュレーション等も作成され、検討を既に済んでおられるかと思いますけれども、どんなような状況を想定をされているか、まず東京都を中心としたものを伺っておきたいと思います。
  187. 山本正堯

    政府委員(山本正堯君) お答えを申し上げます。  国土庁におきまして、関東大震災級、マグニチュード七・九ぐらいの大震災が再来した場合の被害想定を昭和六十三年に公表させていただいているところでございます。  その内容につきましては、人的被害、建物の倒壊あるいはまた今おっしゃいました火災とか交通機関、ライフライン等の被害、非常に大きな被害が出ると、こういうような想定でございまして、三通りの状況について設定をいたしております。例えば季節、冬でありますとか秋でありますとか、あるいはまた時間、夕方あるいは正午、あるいはまた風速等、いろんな条件のもとで推計をさせていただいておるわけでございますが、具体的な一つのケースといたしまして冬の夕方の場合を想定いたしました結果では、死者が十五万人、建物の大破が三十九万棟、それから火災の延焼により焼失二百六十万棟に及ぶと、こういう推計が六十三年に出されておるところでございます。大変甚大な被害の想定でございます。私ども国土庁といたしましても、この想定を踏まえまして、その応急対策につきまして南関東地域震災応急対策活動要領を定めているところでございます。  また、こういうふうな想定につきまして、南関東地域の各地方公共団体につきましても、最近そういう被害想定をやっておるところでございまして、先生案内のとおり平成八年には千葉県で行っております。あるいは平成九年には東京都が被害想定を公表しておりまして、埼玉県、神奈川県におきましても現在被害想定調査を行っておるという状況でございます。  私どもとしまして、これらの地方公共団体とも密接に連携をとり、広域的な観点からのこういう被害想定を踏まえた震災対策に今後とも取り組んでいきたいと、こういうふうに考えておるところでございます。
  188. 赤桐操

    赤桐操君 死者が十五万人、さらに倒壊戸数が三十九万棟、二百六十万棟が焼失をするということになりますると、これは経済的にも産業全体から見ましても重大な事態になると思うんであります。  私は、この状態が発生したときには、同時にまた東京湾自体が相当大きな状況を呈するのではないかと思うんであります。これは東京湾上と、それから東京湾岸といろいろ出てくると思いますが、区分いたしまして、まず湾上の問題点で考えてみたいと思います。  まず、一体どんな船が出入りしているか、どのくらいの数がこの中で航行しているかということを把握しなきゃなりません。私の手元にある資料は若干古いんでありますが、東京湾口部を通過して東京湾を出入りする船舶の数は平成二年で一日当たり約七百七十隻、最近のものはちょっとないんでありますが、管制船舶に関する危険物船の比率はそのうち五五%だと言われているんです。危険物を積載しているものが五五%、半分に上っておる。こういうことがまず湾口部を通過する出入の船についての状況でございます。  次に、平成元年の十月三十日に十二時から二十四時間の間に湾内で航行した船舶総数を調べてみたところが、四千五百六十五隻となっていると言われております。この四千五百六十五隻という数字は、これはもちろんこのうちの八〇%は湾内の六港の間を行ったり来たりする船であるようでありますけれども、いずれにしてもそれだけの船がいろいろの、内容は大型もありまするし小型もありまするし入っているようでありますが、大変たくさんの数のものが航行をやっておるわけであります。二十四時間の間でこれは行われておるわけであります。  まずこの数字の問題ですが、もっと新しい数字がお手元にあれば伺いたいと思いますけれども、なければ別に差し支えありませんが、これはいかがでございますか。
  189. 山本正堯

    政府委員(山本正堯君) ただいま先生から具体の数字について御指摘がございました。  私ども平成九年の「海上保安の現況」、いわゆる海上白書によりますと、平成八年の浦賀水道の通航する船舶数、先生七百七十と過去のデータを御指摘でございますが、これが平成八年では一日平均で約七百隻でございます。ただ、港内諸港間を航行する船舶はこの浦賀水道を通らないで、中で航行する船舶を勘案すれば、これは港内を航行する船舶の総数はその数倍に及ぶ、こういうことであろうかと思います。  また、その中で二百メーター以上の巨大船等で浦賀水道を通航する数は平成八年で、年間でございますけれども、これは一万七千隻に上っておると、こういうふうに承知いたしておるところでございます。船員数とか利用者数はさらにその数倍に当たるだろうと、こういうふうに思っております。  例えば船員数については、また具体的な細かい数字は持ち合わせておりませんけれども、例えば関東運輸局管内の船員数はトータル、登録で一万一千余人ということでございますので、その方は一定の大規模な事業者に登録されておる船員数でございますが、そういう関係の方々が日々運航に従事しておられるということになろうかと思います。  私ども国土庁といたしましても、関係省庁と連絡を密にして現況把握に今後とも努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  190. 赤桐操

    赤桐操君 私が承知しておりました数字よりははるかに多くなっているようでありますし、事実東京湾の荷扱い自体も五億二、三千万トン、今日六億トンくらいまで来ておりますから当然だろうと思いますけれども、そういう船の状況でございます。  したがって、乗員とか乗客自体もちょっと今触れておられましたけれども、私はやはりこれだけの船が航行しているということになれば、いわば毎日の海上人口といいますか船上の人口といいますか、これは相当なものだと思うんです。これをお調べいただいて、どのくらいの乗客、乗員が常態として平均で動いているかということはひとつ把握していただきたいと思います。  それは後でまた出てきますけれども、この基礎数字がやはり大変大きなことになると思うんです。こういう状況で、ただいま現在も東京湾の中は船が動いておると思いますけれども、それだけの人がまた同時に動いている。先ほどのお話のように、十五万人の人が陸上では死んで死者十五万人、そしてさらにまた死傷者とすればもっと大きくなるでしょうから、それも私は本当にそれが到来すればわからない数字だと思いますけれども、まあ想像以上のものになるだろうということはかたくないと思います。  そういうふうに考えてみるというと、この船上の場合においても同じように犠牲者が出てくると思うんです。船上の場合は陸上の場合と違ってこれはまた別な条件が出てきますから、後半でひとつまた伺わなきゃならぬと思いますが、大体わかりました。大変重大な状況にあると考えます。  それから、今申し上げたのは海上の状況について伺ったんですが、今度は臨海部といいますか、湾岸の問題について少しお尋ねしておきたいと思います。東京湾臨海部というのは、これはもう重化学工業地帯としてその重要性は今日若干低下はいたしておりますけれども、製鉄所であるとかあるいはまた製油所、石油化学工場、電力、こういったものが総合的に林立しているところでございまして、いわば我が国最大の工業集積地である、こういうように考えられると思います。したがって、タンクとかパイプライン、こういったものについてはまさに過度の集積地帯となっているわけでございます。  この状況の中で、東京湾岸に着目しなきゃならない問題はタンクであります。石油タンク、ガスタンクです。そして、石油タンク、ガスタンク合わせて八千と私どもは考えておりますが、これは千葉県側の方が一番多いんです、この中で。神奈川県よりも千葉県が一番多い。東京はコンビナートがありませんから数は少ないです。  千葉県側の状況は、平成九年四月一日現在で三千三百六、こうなっております。これは、千キロリットル未満、千キロリットル以上、一万キロリットル以上から五万キロリットル未満、五万キロリットル以上から十万キロリットル未満、十万キロリットル以上、こういう区分けでもってそれぞれ区分けをしながら千葉県の市川、船橋、千葉、市原、袖ケ浦、木更津、こういったような形でもって区分いたしまするというと、まず十万キロリットルという一番大きなタンクが中部地域、市原地域には十六ございます、湾岸に。そして袖ケ浦には四つあります。千葉県側だけで二十あるんです。  さらに、神奈川県側の状況でありますが、神奈川の方ではこれも四月一日現在のが来ておりますが、二千九百七十二出ております。今申し上げたような区分で全部来ております。十万キロリットル以上が横浜に三ございます。したがって、十万キロリットル以上のものだけで東京湾岸には二十三個設置されている、こういうことになります。ですから、この千葉県側の方で三千三百六、神奈川県側の方で屋外タンクが二千九百七十二、こういう数字でございまして、そこに東京の数が入るので、東京が大体六百五十三ですか、そうしますというと全部で約七千になる、そういう状況でございます。  問題は、この中で一番私たちが考えなきゃならないのは、昭和五十二年を境にして法律の改正が行われ、四十九年、五十年、五十一年の中でもっていわゆるコンビナート法の制定が行われております。コンビナート法の制定が行われて、これが実施の段階に入りまして、各種政令が出されております。この政令をもとにして古い政令等が改正されております。この新しいものでいろいろ基準がつくられて、その基準に従ってつくられてきたものが、いわゆる五十二年以降のそうした新しい基準でつくられているものを新しい法律に基づくタンク、これを略称新法タンクと言われておりますが、そういう新法タンクがございます。  それから、五十二年以前のものについては、これは千キロリットル以上の危険物の特定屋外タンクの耐震基準について昭和五十二年に危険物の規制に関する政令が改正をされまして、ただいま申し上げたとおり関東大震災程度に耐えられる技術基準が適用されることになった。この基準でつくられたものを新法タンクと言い、しかしこの前につくられたもの、五十二年以前に設置された容量千キロリットル以上の特定屋外タンクについては改正以前のもので、これを旧法タンクと一括して言っておるわけであります。  その旧法タンクの新しい基準への適合状況について問題を実は指摘しなきゃならないのでありますが、平成六年の七月にこの政令をさらに改正いたしまして、タンクの本体、それから基礎、地盤について新基準が示され、新基準への適否の調査及び不適合の場合の改修措置が義務づけられるということになっておるのであります。こういう状況でありまして、この実態についてはおわかりになっていれば御答弁願いたいと思いますが、後でまた資料をいただいても結構でありますので、そういう状況になっております。  私どもの方の手元で調べてみるというと、千葉県側は大体五〇%ぐらい適合しております、古いタンクで。それぞれの会社で補強したと思います。半分は不適合のようであります。それから、神奈川県側の方は大体旧法タンクのうちの約一二、三%程度が新しい基準に合致しているけれども、あとは非常にまだ問題点がある、こういうことが指摘されているという状況であります。したがって、私は非常に旧法タンク自体について着目をしてこれから対策をとる必要があるのではないか。神戸の震災の際にも、昔の古い建物については鉄筋コンクリートの建物であってもこれはつぶれております。同じように、こうした新しい基準に従ってつくられているタンクは大きくてももつだろうと思うんです。しかし、小さくても古いタンクについては、これは構造的にだめでありますから、したがってこれは倒壊をしていく、油の流出はそこから出てくる、こういうふうに考えなければならない。  そういうように考えますというと、私は少なくとも三〇%ないし五〇%くらいは適合していると思っていましたけれども、神奈川は残念ながら一二、三%ぐらいしか適合していない、こういう状況がありますから、これからこの政令に基づきまして平成二十三年、二十七年にかけてタンクの補強がいろいろ行われていく、こういうことになっているようでありますが、これはいささか遅過ぎるのではないだろうか。相当の補償をしても早目にこれは手を打たなければならないのではないかな、この点を一つ提起しておきたいと思います。金はかかると思いますけれども、これはひとつ一定の補償をしながら対策をとるべきだ、こういうように考えます。  それから次に、液状化発生の問題であります。液状化発生の可能性については、国土庁からいただいている資料では、関東大震災クラスのマグニチュード七・九の地震が発生した場合においては、これらの石油タンク、ガスタンク類の設置されている湾岸地域は一五%程度液状化するという見込みであるようであります。そういう地域が大分この湾岸にあります。ほとんどタンクが建っているところがその地域になっているようであります。地盤の液状化に対して、老朽化したタンク類、危険物の貯蔵施設あるいはパイプライン、こういったものは私は大変危険な状態にあると思うんです。  例えば、水島のタンクが三万キロリットルであったと思いますが、全部が出たのではありませんが一部瀬戸内海に流出した、これが昭和四十九年の十二月でありました。私も現地へ行って状況を視察しましたけれども、恐らくこの石油を整理するのには十年以上かかるだろうと言われておりましたが、そんなにかからないで実際には整理されたようであります。  いろいろと検討してみるというと、このときの状況はやはり不等沈下が原因であると言われております。不等沈下は一つの方向にかしぐわけです。そこに亀裂を生じているというと、若干の傷があるというと三万キロリットルの圧力が全部その一点にかかる。これが原因で裂けたと言うんです。それが壁を伝わって防油堤を乗り越えて瀬戸内海に出たと、これは消防庁の側の説明でありました。こういう状況でありますから、やはりこの不等沈下というのは液状化発生の場合においては当然伴いますので、しかもこれは鉄筋コンクリートとかあるいは下に大きなくいを打ってあるというものではなくて、地盤改良の中でもってこのタンクが設置されているわけでありますから、私は大変これは難しい問題を引き起こすだろうと思っております。  したがって、そういう意味合いから、この不等沈下発生の原因となる液状化、これとの関連については本格的にやはり検討していただきたい。大体十万キロリットルぐらい入っているのが上下地震動でやられれば、ほとんど私はこれはもたないと思います。マグニチュード七・九ぐらいのものには耐え得ると、こう言っておりますから耐え得るんだろうと思いますけれども、地震は予定どおりのものになるかこれを超えるかわからないわけですから、そう考えるというと大変厳しい条件のもとで検討しておく必要があるのではないか。それに対しては金もかかるかもしれぬけれども、至急にやはり対策をとらないとえらいことになる、こういうことを私は申し上げておきたいと思います。  これは私が千葉県の浦安、行徳の南から木更津の沖合まで、富津まで埋め立てした当時知事に要請されまして、当時私が開発審議委員の中に入っておりまして、現実にコンビナートをつくり上げていく中でいろいろと問題点を指摘しながらきた経過があるものですから特に私はその点を痛感いたしておるものでありまして、どうかひとつそういう意味合いで御検討おき願いたいと思います。  さらにまた、こうしたコンビナート地域、これだけのものが集まっておるわけでありますけれども、一体このままの状態でこれから将来も続けていいんだろうかということが一つございます。コンビナートですから、ばらばらにしたんじゃ意味がないだろうということになるかもしれませんが、相当遠い距離であってもパイプラインで送れるんです、こういう石油類は。ですから、余りにも東京湾一点に集中した形でもって湾岸につくるのではなくて、工場なら移転することは簡単にはできないかもしれぬけれども、こうした危険物については分散して運搬することができるのではないかな、こういうことも考えるんです。太平洋岸に幾つかの港をつくっていけば、当然それはできることだろうと思うんです。大変かもしれぬけれども、これは日本の宿命ではないでしょうか。  東京湾にいつまでも集中して、一極集中を排除しながら一方東京湾は集中していく。そういうことをやっていれば、これは六港ございますけれども、到底私はさばき切れなくなってくると思います。そういう湾岸の今まであるものを利用していけば一番いいかもしれぬけれども、今言ったような形では決して正常な状態とは考えられない。したがって、このままの状態で一体いいのかどうなのか、このことについてひとつ国土庁中心とした関係省庁で御検討を願いたいと思うんです。基本計画もできているわけですから、それに基づいて具体的な対策をおとりいただくべきではないか。  その具体的なものの一つは、分散配置だと思います。やはりこれはもう具体的に考えなければならないと思うんです。私はいろいろ千葉県の状況を眺めておってつくづくそう思うんですが、千葉県だけでこんなに集中させてしまっていいんだろうか、これはやっぱり場所を変えなきゃならぬのではないかな、東京湾全体にそういうことが言えるように思います。  いずれにいたしましても、そういった状態の中で、きょうは石油タンク、ガスタンクの問題で申し上げてきたのでありますが、ガスタンクの方は新しい法律政令の改正に基づいてきちっと手を加えているようであります。これは千葉県の場合も確認いたしましたし、神奈川県の場合もそういう報告が来ておりますから間違いないようでありますが、どうも石油タンクの方はそうではないようなんで、大変この点が憂慮にたえないというように思っております。  もう申し上げるまでもありませんが、少なくとも東京を中心とした南関東といいますか特に首都圏、この地域は住民が三千万も住んでおる、それが一朝有事のときには想像を絶する悲惨な状態が発生することは間違いないだろうと私は考えます。産業経済、そういったものが恐らく麻痺することはもちろんでありますが、同時にその場合においては東京湾六港が使い物にならなくなってくる。油の流出、これはもう私は避けられないと思います。そして、ペルシャ湾みたいな形になると思っても間違いないんじゃないかと思います。風の吹きようによっては一方にあれは寄せ集まるんですから、そこは大変な厚みになるんです。ですから、海上における船同士が衝突して火災が発生するとか、あるいはまた丘はもう火の海でありますからそうしたものがそこに降ってくる、こういうことになれば当然これは海上も火の海になるだろうと想定をしなければなりません。  こういう状況になってきたときに、どういうようにして後の対策をとるか。東京を中心にしたいわゆる首都圏、経済、政治、産業日本列島の中心をなしてきた長い歴史を持つこの地域が壊滅の状態に入るということをまじめに真剣に考える必要があるだろうと私は考えております。そのときには、これを補うところ、あるいはこれにかわるところの対策をとるべきだろう、それを準備しなきゃならぬのではないか。もう東京湾六港を一つ一つ視察してみるというと、大体構造的に古いですね、これは正直に申し上げて。ですから、この辺でやはり新しい港の開発の時期にも来ている。  それから、アジア全体の状況を見ていても、この間私も香港等も見てまいりましたけれども、香港もがらりまた変わっておりまして、返還後の香港はさらに港も大きくなってくる、飛行場も新しくつくり上げられている。アジアにおけるところのまさに本当の意味におけるハブ機能を持つ港であり、空港になるのではないかと、このように私は痛感しました。  本来、日本がそういう立場を早くとるべきだと思うんでありますが、この際ひとつ今の防災の問題とあわせて、そうした新しい二十一世紀を展望する視野に立って、日本の政治経済全体、産業経済全体のあり方、アジアにおける日本のあり方、こうしたものを検討していただいて、新しい港湾政策なり、あるいはまた湾岸政策なりの検討を願いたい、このことをお願い申し上げておきたいと思います。局長のひとつ何か御答弁があれば伺っておきたいと思います。
  191. 山本正堯

    政府委員(山本正堯君) ただいま先生から東京湾で石油タンクが七千を超えておると、大変危険な状態といいますか、非常に大きなそういう危険物がある。政令の改正を二度にわたってやりましたけれども、平成二十三年あるいは平成二十七年末までに回収することが義務づけられておる。これについても、私ども消防庁において適切に対応がとられておる、あるいはまた各県においてもそういう格好で事業者を指導してまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。  また、全体につきまして、今の液状化を踏まえました関係につきましても、私どもいろんな対策について防災基本計画でも震災対策編においてきちっと規定をさせていただいており、特に耐震性能に余裕を持たせたり、あるいは緩衝地帯の整備をやったり、防災訓練をやったり、そういう点について促進するということでやっておりますので、それを踏まえまして今後とも一層推進してまいりたい、こういうふうに思っておる次第でございます。  御案内のとおり、東海といいますか関東地域、三千万人を超える人口集積が大変著しいところでございます。そういうところで、東京湾で大規模直下型地震が起こった場合には、先ほどもお話がございましたように流出油の処理の問題、タンク火災の問題、海難事故の問題、大気等々の問題、大変いろんな複雑な問題が起こってまいるというふうに思っております。私ども関係省庁と十分連絡をとり、具体的にかつ緊急に対策を講じてまいりたいというふうに思っておる次第でございます。
  192. 赤桐操

    赤桐操君 大臣のお考えを伺いまして終わりたいと思います。
  193. 亀井久興

    国務大臣亀井久興君) 赤桐委員の大変示唆に富んださまざまな御見識を大変関心を持って拝聴しておったところでございます。  確かに、この東京を中心にいたします首都圏、大変なもろもろの都市機能が集積をしておるわけでございますから、阪神・淡路大震災の体験から申し上げましても、もし直下型の大震災が発生をしたならば、先ほど推定数字はいろいろ申し上げましたけれども、かような予測をはるかに超える被害が出てくるのではないか、かような思いを持っておるところでございます。  そのためのさまざまな対策としては、防災基本計画等におきましてもいろいろ講じておるところでございますし、またただいま防災局長からも答弁を申し上げたとおりでございますけれども、さらに起きたときにどうするかという、そのこと以上に先ほど御指摘ございましたさまざまな機能、施設の分散配置というそうした御意見ございましたけれども、これからの国土計画とか、あるいは首都機能移転とか、こうした長期的な将来の大きな一つの展望の中で、委員の御指摘になりましたようなお考えも何とか生かしていくことがまた災害の予防にもつながっていくのではないか、かような思いで拝聴しておった次第でございます。
  194. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 日本共産党の緒方靖夫です。中小零細建設業者の問題について質問いたします。  不況が長引く中で、重層下請構造の建設業界を底辺で支えている中小零細の業者の経営と暮らしが今大変な状況になってきております。この夏の一部上場の中堅ゼネコン三社の倒産建設業界には、次はどこのゼネコンが倒れるのか、そういうことがいろいろ言われております。  そうした中で、中小業者はまず仕事がない。あっても安値で赤字。しかも、それでさえ下請代金の不払い、こうした大変な状況に、苦境にあえいでおります。今日、中間業者だけでなく、元請ゼネコンまで続々と倒産する新しい局面が生まれているわけですけれども、従来の中小企業への対応だけでは済まされない状況にあるのかなと思います。  八月五日の建設省の緊急対策、先ほど局長から説明がありましたけれども、その中では、中堅建設業者受注機会確保とか、あるいは連鎖倒産防止などなど、こういうことが言われておりますけれども、この対策に、危機に陥っている三次、四次の業者を直接救済するようなそういう条項が含まれているのでしょうか。端的にお答えください。
  195. 五十嵐健之

    政府委員五十嵐健之君) 先生今御質問の点でございますけれども、直接契約関係が、例えば今先生の例示でいきますと元請と二次下請というような感じで直接契約関係がない場合におきまして、二次下請の賃金不払い事件といったようなことがあった場合には、法律上の権利義務関係ということではありませんけれども、一つの現場でみんなでまとめて仕事をやっていこうというような発想から、そういう事案につきましては、勧告する必要がある場合には建設業法の四十一条だったと記憶しておりますけれども、それに基づいて勧告するという制度がございます。
  196. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 大変苦しい答弁ですね。この対策には直接ないんです。勧告は非常に結構で、ぜひやっていただきたいんだけれども、ない。  それで、例えばその連鎖倒産防止対策倒産企業と取引関係にあった業者への融資とか補償の特例のみです。孫請以下への救済措置は全くない、この対策には。直接取引関係があったところだけ支援しても、現実には倒産で工事代金がもらえないんだから下請に払えないということになっているわけです。これでは連鎖倒産防止にならないんじゃありませんか。
  197. 五十嵐健之

    政府委員五十嵐健之君) 元請と申しますか、そういったところの倒産というような事案が生じた場合に、連鎖倒産を防止するためには、午前中にも少し申し上げましたけれども、労働省の関係になりますけれども、緊急の融資をする制度というのがあるわけでございます。そして、それにつきましては、今回の十一月の末でございますけれども、融資をするとき今度は直接融資の制度もありますけれども、一般の金融機関から融資を受けて、それに対する債務保証という制度があるわけでありまして、この債務保証が従前に比べて二倍の枠が与えられる、こういう対策が講じられているところでございます。
  198. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 局長は全然現実を踏まえていないと思うんです。二億が四億になっても、そういうレベルじゃないわけです、今あえいでいる人たちは。そこも大事かもしれないけれども、一番底辺のところで本当に月末にどうするか、そういう苦しみがあるわけです。  特に、工事代金の不払い問題、これは大変な状況になっておりまして、この一年間で全建総連傘下の東京土建への相談は三百件以上、首都圏の組合の集計では七百件を超えているわけです。この数はまさにごくごく氷山の一角なわけです。今や不払いというのは、たまたま運悪く危ない業者にひっかかった、そういう次元じゃないんです。だれでも常に不払いを受ける可能性を持つ構造的な問題になっているわけです。小規模零細業者は、一度不払いを受けるともうそれだけで倒産に直結する、そういう状況です。放置していたら、建設業をちょうどピラミッド型になって底辺で支えている現場の生産組織が崩壊しかねない状況なわけです。  大臣、この孫請以下の業者への新たな対策、これがやっぱり緊急に求められていると思うんですけれども、検討していただけませんか。
  199. 瓦力

    国務大臣瓦力君) 建設業を取り巻く環境が極めて厳しいことは、御指摘のとおりでございます。午前中からの質疑にもお答えしてまいりましたが、それぞれ建設業者数建設投資のバランスを欠くような状況にありますし、目下経済足踏み状態でございまして、公共投資の抑制などによりましてまさに厳しい状況であることは承知をいたしてその対策を立てておるところであります。  今委員指摘のように、孫請とか業界全体のすそ野対策をどうするかということでありまして、これらの問題につきましては、常々その支払いの条件であるとか支援の対策は講じつつ、企業の体質改善等、自助努力と相まってこの不況を乗り越えていただきたいという、そういう面で支援を続けておるわけであります。いろいろ工夫すべきところがあろうと思いますが、御案内のとおり建設業者数は好況時には極めて大きく伸びるというそういう性格を持っておりますので、対応にいささか苦労する面もあることは御承知賜りたいと思います。
  200. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 ぜひ検討をお願いしたい。特に今対策といろいろ言うけれども、一番底辺部に当たる対策がないわけです。ですから、それをぜひ大臣にお願いしたいと思います。  建設省建設経済局長の通達では、「下請契約における代金の支払は、できる限り現金払とし、現金払と手形払を併用する場合であっても、支払代金に占める現金の比率を高めるとともに、少なくとも労務費相当分については、現金払とすること。」、こういう通達があるわけです。この規定を元請に厳守させるとともに一次、二次にも徹底させる、こういう指導をきちっとやっていただきたいと思うんですが、大臣いかがですか。
  201. 五十嵐健之

    政府委員五十嵐健之君) 先ほど冒頭に申し上げましたけれども、元請につきましては現在の建設業法では特定建設業の許可という別枠の許可がございまして、重い責任をかぶっていただいておるわけであります。  全般的にといいますか、一般的にどこまで義務が課せられるか。もちろん基本的には契約の世界の話になりますので、その中でどこまでできるかということで、現在の建設業法では先ほど申し上げましたように直接権利義務関係がない、契約関係がないところについてまでこの勧告制度が設けられているというところを御理解いただきたいと存じます。
  202. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 今の発言、非常に問題なんです。業法の四十一条で、先ほど勧告と言われたけれども、支払いの義務はあるんです。やっぱりそこをしっかりやっていただく。ですから、せっかく局長の通達があるわけです。その中身はいい内容です。だから、今の大変な状況のもとでその通達を生かす、さらにそれを徹底させる、それだけでどれだけ業者が助かるか。このことを局長、やっぱりしっかり踏まえて、そんな義務がないなんて、あなた方がつくっているこのバイブルにもちゃんと書いてあるよ、四十一条の。あなたはよく読んでいただきたい、後で。それに従ってちゃんとやっていただきたい、このことを述べておきたいと思います。  それで、今状況が非常に厳しいだけに、元請業者が契約施工体制の管理とか代金の支払いなどについて責任を果たすことが非常に大事だと思うんです。こういう点で言うと、今大変なことが起こっています。低価格の指し値発注とか、契約書を取り交わしていないとか、あるいは工事の途中になってから注文書が一方的に送られてくるとか、これが日常茶飯事なわけです。その中で、私、一つ具体的な事例を取り上げたいと思うんです。  それは、去る七月三日、東京都東久留米市の配管業の有限会社ワー・ユー・ユーの平野進社長が、元請の京王設備サービスの不当なやり方に抗議してその本社前で灯油をかぶって焼身自殺するという悲惨な事件がありました。京王設備サービスは、赤字になるので一度は断った仕事を実績確保のために赤字を承知の上でワー・ユー・ユーにやらせた。ワー・ユー・ユーは、その前にも京王設備サービスから安値の指し値発注で千三百万の赤字を負っているので、これ以上赤字をふやす請負はできないと断った。しかし、常用で人を入れてくれと言われて、京王設備サービスに工事の相当部分を依存しているというこれは弱い立場です。それがあるので断り切れず仕事をやった。ところが京王設備サービスは、予定額を超えるからと言って常用の人夫賃三カ月分約一千百万円の支払いを拒否した。  こうしたことは、建設業法で許されるんですか。
  203. 五十嵐健之

    政府委員五十嵐健之君) 契約がどのような形で交わされたかということによるかと存じます。
  204. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 これは十八条、十九条、詳しく言わないけれども、工事請負契約の原則にまさに真っ向から反しているわけです。  私は、ここにその自殺した平野さんが残した遺書を持ってまいりました。一部を読み上げます。   涙すれば目が開けられない程の涙、汗をかけば、肌にしみいる様な汗をかき、もうぐっと我慢し手をにぎりしめれば、どす黒い血のにじんだ様な汗が指の間からしたたり落ちる様なそんな毎日。利益を生むために、ただ下請をいじめればという京王グループのやり方に、私は死をもって抗議します。  私もまだ生きたかった。社員の事も心配です。家族の事も、息子、娘の晴れ姿も見たかった。  私は命を捨てたのではなく、訴えたのです。企業に対してです。私は生涯社員を守り通したいと考えてました。それを京王に携わる下請に対して守り通したいと考えたのです。 こういうことを綿々とつづっているんです。  こうした痛ましい事件というのはほかでも起こり得ると思うんですけれども、これを聞かれて大臣の思いを伺いたいと思います。
  205. 瓦力

    国務大臣瓦力君) 先ほど来お答えを申しておりますが、建設業は極めて経営基盤が脆弱だというのは、九九%に及ぶいわゆる企業体質を持っておる、そういう側面がございます。  そういう中で、この中小企業対策といたしましても、その保証等の制度をいろいろ工夫しながら支援をいたしておるわけでございます。委員案内のように、大変競争社会でもありますので、あるいはそういうようなことがこの経済社会に起こり得る、こういうこともあるわけでございますが、今委員が御指摘のような痛ましい事故、痛ましい事件が起こり得ないようにできるだけの努力をしてまいらなきゃいかぬと思います。それぞれ企業企業としても、それぞれの地域における信用やまたそれぞれの職種においての努力をしていただくことと相まって、これらの問題を解決するような方向努力していかなければならない課題が存在する。  私は率直に、同情と同時に体質強化をどう図っていけばいいかという課題を踏まえて対処してまいりたいと思う次第であります。
  206. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 この問題は、こういう痛ましいことを繰り返さないという点ではやっぱり行政の力、建設省建設大臣の力が非常に大きいと思うんです。その点、ぜひ私は率直にしっかりとした行政指導をしていただきたいということをお願いしたいと思うんです。  建設業法の第二十四条の五は、特定建設業の下請代金の支払い期日について定めておりますけれども、この規定によれば、特定建設業者が請け負った工事の代金をもらえない場合でも下請業者に対しては一定期日内に工事代金を払う義務があると言えますね。
  207. 五十嵐健之

    政府委員五十嵐健之君) 二十四条の五の今先生がおっしゃったのは第一項をおっしゃられたかと存じますが、第一項では「前条第二項の申出の日から起算して五十日を経過する日以前において、かつ、できる限り短い期間内において」その下請の支払代金の支払期日を定めなければならないと書いてあるところであります。
  208. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 あなた方のバイブルにもちゃんと、工事完成の確認後、代金を支払わなければならないとあるわけで、これはやっぱり義務なんです。これは間違いないですね、局長。しっかりやってくれないと困るんです、こういうところは。  それから、こうした事態、いろんな悲惨な事故がありますけれども、生まないためにもやはり私は建設業法の二十四条の六第一項に言われている規定、これがやはり非常に大事だと思うんです。「発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業者は、当該建設工事の下請負人が、その下請負に係る建設工事の施工に関し、この法律の規定」「に違反しないよう、当該下請負人の指導に努めるものとする。」、こういう規定ですけれども、元請特定建設業者は、みずからが業法を守るべきなのはもちろんなんだけれども、それだけでなく、末端まで含めて各業者間で適正な契約、適正な支払いを行えるよう指導する責任があるのではないかと思いますが、いかがですか、その点。
  209. 五十嵐健之

    政府委員五十嵐健之君) 特定建設業、下請代金三千万以上という比較的規模の大きい工事を請け負う業者の場合でありますけれども、この場合には、一つの工事現場を一つの生産場所と申しますか共通の職場としてやっておりますので、できるだけ今先生がおっしゃられたような全体がこういう違反したりなんかしないように、全体的にうまく運べるように特定建設業者に期待されているところでございます。
  210. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 それから、先ほど局長は勧告をすると言われたけれども、私それは非常に大事だと思うんです。  私もよく不払いの相談で直接交渉に行くことはあります。そのときに元請が、これは下請同士の問題だから直接関係ないということをよく言うんです。これはやっぱり非常に問題で、一体みずからの責任をどう自覚しているのかと思うわけです。やはり業法に沿って、とりわけこれは四十一条の勧告、それから二十四条等々すべてが入りますけれども、例えば元請特定業者が業法に定められた指導の努力をせずに、その結果不払いが起こったりすれば、任意の立てかえということにならないでしょう。やはりきちっと責任を負うということになりますね。
  211. 五十嵐健之

    政府委員五十嵐健之君) 一般的にそこまでおっしゃれるかどうかはちょっと疑問でありますけれども、先ほど来申し上げておりますように四十一条二項というのは、一つの現場でその元請となっている特定建設業者がいろんな下請の方、いろんな孫請の方と一つの共通の仕事をやっていくというようなことでありますので、そういった中でトラブルが起こらないようにいろいろやってほしい。そのために、必要がある場合には最終的には勧告という制度まで設けられる、こういうことでございます。
  212. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 あなた方のつくった「逐条解説」を見ると、特定建設業者が二十四条の六の規定に違反して下請人に対し的確な指導を行わなかった場合には、特定建設業者に何らかの責任があり、立てかえ払いを強制することが行政上妥当であると書いてあるんです。やっぱり今こういうことに違反することはたくさん横行しているわけです。ですから、こういう条項を、今あるものをきちっと徹底する。局長の通達もそうだけれども、そういうことで相当救われるわけです。だからしっかりやっていただきたい。いいですね。  それで私は、今の問題に関連してなんだけれども、例えば業者はみんな自衛するわけです。これは埼玉土建がつくった「不払いにあわないための八カ条」、こういうものをつくってこれでみんな自衛しているわけです。大変なことになる、口約束に乗るなとか、やはり行政の責任というのは非常に大きい。  それから、東京都はこれから行政指導をする、埼玉県は九月にもう既に行政指導の通知を出している。そういう状況ですから、地方自治体に対してもちゃんとやってもらう、指導してもらう、みずからもちゃんとやってもらう、そういうことをしっかりやっていただきたい。このことを私は述べておきたいと思うんですが、よろしいですね。  それで、私は次にもう一つの問題に移りたいと思うんです。  これは、公共工事の前払い金保証事業について。公共事業では、請負業者に対し工事代金の一部を着工資金として支払う前払い金制度が定着しております。通常、契約価格の約四〇%が支払われるこの前払い金、公共工事の円滑な施工に大きな役割を果たしており、特に中小建設業者にとっては重要な金融手段になっているわけです。建設業者は前払い金のこの保証契約を結ばないと前払い金の支払いが受けられない、こういう仕組みになっております。前払い金の支払いを受けた建設業者倒産した場合などに、かわって前払い金の弁済をする、これがこの制度です。  この業務は、法律で建設大臣の登録を受けなければできないということになっておりますけれども、現在登録されているのは、東日本、西日本へ北海道、三社だけ。九六年度に三社が前払い金保証を取り扱った公共事業件数、請負総額は幾らになりますか。数字だけで結構です。
  213. 五十嵐健之

    政府委員五十嵐健之君) 平成年度でございますが、三社合計で件数で四十万六百八十五件、それから請負金額の総額は二十四兆五千五百十二億余でございます。
  214. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 全国たった三社であらゆる公共工事の大部分の前払い金保証を行っているわけです。  九六年度の保証料収入と実際に弁済した額は、三社合計で幾らになりますか。
  215. 五十嵐健之

    政府委員五十嵐健之君) 恐縮でございます。ちょっと今合計しますので、次の質問を。
  216. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 時間がないから私の方で言いましょう。保証料収入三百三十九億九千三百万、債務弁済額十三億千三百万。弁済額は保証料収入のわずか三・八%です。その結果、三社の営業利益率は平均で四五%。当然、経営利益も年々上昇しています。驚いたのは各社の剰余金比率の高さ、平均で八四%あるんです。超優良企業で知られるトヨタ自動車は五四%。驚異的な数字です。法律によって大臣が承認した保証料率のもとで公共工事にかかわって特定企業がこのような異常な利益を上げている。  大臣、これらの三社を監査する責任があるわけですけれども、こうした事態について放置できますか。
  217. 五十嵐健之

    政府委員五十嵐健之君) 御案内のように、先ほど先生御説明いただきましたように公共工事をやる場合には税金で前払いをやりますので、業者が、請け負った方が倒産いたしますと税金がなくなってしまう、こういうような問題があります。それでこの保証会社にお願いしているわけでありますが、この保証会社の場合は保険と違いまして再保険の制度がないわけでございます。  現在、先ほど申し上げましたような会社の経営の状況にあることは事実でございますけれども、それでできるだけ内部留保、自己資本をためていざというときに備えるということを今やっているところでございます。
  218. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 いざといっても、今三・八%でしょう。今の弁済が十倍になったって十分にやっていけるわけです。建設省は、これからそういう企業がばたばたと倒産が十倍も起こると考えているんですか。  私は、この会社は一九五二年に設立されているんだけれども、この三社について全部計算しました、資料を取り寄せて。平均三%です、弁済率が。こんな異常なことはないです。しかも、西日本の例を見ても、前払い金保証を利用する業者の八〇%は資本金五千万未満の個人や中小零細業者です。大手ゼネコンはほとんど利用しない。こうした中小業者が納めた保証料が積み上げられて莫大なもうけにされているわけです。  保証料については、一九六二年三月十四日の衆議院建設委員会の附帯決議がある。「政府は、保証事業会社の運営については、その公共性にかんがみ、」「特に保証料の引下げ等中小業者の負担を軽減せしむるよう指導すべきである。」。大臣、こういうことから見ても、やっぱり中小企業から保証料を大もうけしている今の状況、これでいいのか、そう思います。おかしいんじゃありませんか。
  219. 五十嵐健之

    政府委員五十嵐健之君) 昨今の建設業のかかる深刻な状況先生も御案内のとおりでございます。事が起こりましたときに保証会社に万が一のことがありますと、すべての工事に対しまして前払い金が出なくなってしまうという問題があるわけでございます。  それから、一点、私ちょっと聞き違いをしたのかもしれませんけれども、前払い保証制度を使っているのは、これはすべての公共工事の請負人が利用しているわけでありまして、中小建設業者の方だけが使っているというものではございません。要するに、すべての受注者がこの前払い保証を使っているわけでございます。
  220. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 局長、それは事実じゃないですよ。私は全部調べた。そしたらゼネコンはほんの一部です。ゼネコンも確かに使っているけれども、大多数は個人と本当に小規模なそういう会社です。特に、先ほど言ったように西日本の場合、資本金五千万未満の企業が八〇%を占めている。やっぱりそういう実態をちゃんと踏まえて答弁していただきたいと思います。  ところで、お伺いしたいんですけれども、保証料は発注額に積算されているのかどうか、その点いかがですか。
  221. 五十嵐健之

    政府委員五十嵐健之君) 先ほどの前半の方をちょっと補足させていただきますと、保証会社のお客さんの構成の圧倒的なところは中小企業だという御指摘をさっきなさったんだと思います。先ほど申しましたように、公共工事の前払い金を受ける場合には、これは予決令あるいは地方自治法施行令によりまして、保証会社の保証がないと出ないということになっておりますので、すべての建設業者がこの前払い金保証制度を使わないと前金は出ない、こういう構成になっているということを補足いたします。
  222. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 保証料は発注額に積算されているかどうか。
  223. 五十嵐健之

    政府委員五十嵐健之君) 発注につきましては積算をしております。一般管理費の中にその他保険料というのがございまして、そこで積算しております。
  224. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 やっぱりこれは一般管理費の保険料の中に入ってしまっているわけですね。これを聞くとさらに重大だと思うんです。  保証会社の保証料収入というのは実は国民の税金でしょう。九六年度で言えば、さっき言ったように三百三十九億円が流れている。公共事業がある限り保証会社は黙っていても大もうけできる。こんなばかげたやり方が四十五年間も続いてきたんです。特に、先ほどから話のあるように、公共事業費の削減が叫ばれているときにこういう現実があるんです。私は放置できないと思う。  この三社の社長の国家公務員としての最終役職は何ですか。
  225. 五十嵐健之

    政府委員五十嵐健之君) 東日本保証会社につきましては建設事務次官、西日本保証会社につきましては総括監察官だと記憶しております、ちょっと正確ではありませんが。それから、北海道保証会社につきましては北海道開発事務次官でございます。
  226. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 やっぱりこういうおいしい会社だから、どんどん天下り先になるわけです。  その数も大変です。三社合わせて二十五名の常勤取締役のうち、官僚OBは十一名、非常勤は二名。建設省の出身者は全員がOB会、木曜会を中心とする事務系官僚。さらに、非常勤役員には清水、大成、鹿島、大林組といった大手ゼネコンの現役の会長、社長が三十三名もいる。官僚とゼネコンを合わせて役員の七割を占拠しているわけです。驚くべきことです。  ところで、この社長の年俸、例えば東日本の社長の年俸は幾らになりますか。
  227. 五十嵐健之

    政府委員五十嵐健之君) 個々の方の年俸について触れることは、プライバシーという問題が出るのではないかと思います。
  228. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 高過ぎるから言えないんですね。  委員長、これはやっぱり問題なので、社長初め役員全員の給与を資料として提出するように御協議いただきたいと思います。
  229. 関根則之

    委員長関根則之君) 後刻理事会で協議をいたします。
  230. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 それだけじゃありません。私の調べでは現職の閣僚が未公開株を所有して配当を得ているんです。官房長官の村岡兼造氏は東日本の株を千六百株、額面で八十万円、元建設大臣の越智伊平氏は西日本の株を二千三百七十三株、額面で百十九万の株を所有しているわけです。  また、三社は建設業の振興支援と称して毎年億単位の資金を都道府県の建設業協会に出資しているんです。建設業協会といえば自民党に毎年多額の政治献金を行っている団体です。間接的な資金提供が行われていると見られてもこれは不思議ではないと思います。  しかも、その金は公共事業の前払い金保証に伴って中小企業から集めた保証料という名の国民の税金です。決して中小業者の利益には還元しない。保証会社はまさに政官財の利権の巣窟と化していると私は思いました。  大臣に全然お答えいただけないので最後に。やはりあなたが監査の立場にあるわけです、責任あるわけだから、建設大臣の登録なんですから。大臣は保証会社の事務運営に全面的に責任を負う、そういう立場から、この短い間に述べただけでもこれだけの問題がある、実態をきちっと調査する、このことを約束していただけますね。
  231. 瓦力

    国務大臣瓦力君) 緒方委員からいろいろ御質問もあり、また御意見もございました。今伺っておる中でありますが、公共工事の円滑な執行を図るために着工時の資金的な手当てとして発注者から前金払いがなされていますが、その原資が国民の税金である。このことからも当該工事が適正に施工されなかったときの担保措置として前払い金保証制度が制度として設けられておるわけであります。  先ほど申し上げましたように、建設業者の九九%は経営基盤が極めて脆弱でございまして信用が乏しい、こういったことから銀行等の民間金融機関からの保証を得ることは困難でございますので、これらに対する保証が得やすいように保証会社の登録制度を中心として同制度が設けられておる。この趣旨にかんがみますと、建設業者の経営の安定にこれらは大きく貢献していると考えておるわけでありますが、同制度の執行に当たりまして適正を図ってまいらなきゃならぬということを踏まえまして、今後さように対応してまいりたいとこう考えるわけであります。
  232. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 調べていただけるわけですね。  終わります。
  233. 奥村展三

    奥村展三君 午前中、岩井先生の方からすばらしい大運河構想等をひもといていただきました。私もあのお話を聞いておりましたときに、ふと県議会のときにそのようないろんな話をしたことを思い出しました。  大野先生がお話を出されたときに、造船団体は大賛成をしたということなんです。ということは、海水の中から淡水に向かって、琵琶湖に向かって入りますと、貝殻が全部落ちてしまうということだとか、いろんなメリットがあるということで、その当時はいろんな議論を醸し出しながら夢物語をされておったやに先輩から聞いたことがございました。今日、暗い話の中で大変ほのぼのとしたお話を聞いて、早速また私も地元でその話をしてみたいなと思います。  御案内のとおり、琵琶湖は古代湖でございまして、従来いろんなお話が出ております。今の運河のお話もありましたけれども、伊勢湾と琵琶湖と若狭湾とが全部つながっておったようでございますし、私の住んでおる甲賀郡というところですが、この甲賀忍者あるいは伊賀忍者の発祥地は全部琵琶湖の湖底であったという歴史が実はあるわけであります。そうした歴史をひもとく中で、今も世界最古の古代湖であるこの琵琶湖を中心に、四半世紀にわたりまして国土庁中心建設省あるいは農水省等々かかわっていただいて、琵琶湖総合開発事業をことしの三月をもって完了いただいたわけであります。前回も心から感謝を申し上げたわけであります。  今後の水質保全という中で、いろいろ湖沼の水質保全ということで、国土庁中心に農水省そしてまた建設省等で連携をおとりいただきながら、重要湖沼との位置づけの中で琵琶湖をお認めいただいて、現在その推進方に御努力をいただいておるわけであります。平成九年七月九日に、実は滋賀県も推進協議会を立ち上げまして、昨年十二月、構造改善局あるいはまた河川局、都市局の御指導をいただいて要綱等をおつくりいただいた中で作業を進めておるわけであります。  御案内のとおり、琵琶湖には約千種類の動植物がおるということでございます。鳥類はもとよりいろんなプランクトンもいるわけでありますが、こうした中でずっと私もいろんなことでかかわってまいったんですが、やはりもう一度良質な水質に戻すということでこういう要綱をおつくりいただいて滋賀県も今後取り組んでいこうという中でありますが、特に一時は水質も大変きれいになってきたわけでありますが、五十九年以降またCOD等いろいろ窒素も燐もふえてまいりまして大変困っているような状態でございます。  御案内のとおり、これはもう琵琶湖は近畿一千四百万人の大きな水資源でありますし、そうした中でいろんな施策を県は県なりにやってきたわけでありますが、現在この重要湖沼の位置づけの中で、赤野井湾を中心としていろいろと三地区を指定いただきましてお進めをいただいておるわけでありますが、ぜひ今後はこの取り組みを拡大していただいて、あるいはまたしっかりとした財政措置をしていただきたいなというように思うわけであります。  ことしをスタートとして平成十三年を中間目途、そして平成十八年を最終年度としてこの計画を十年間かかって進めていただこうということで、御案内のとおり十月三十日に県の行動計画が策定したわけであります。県も国の御指導をいただいてやると言っておるわけでありますから、重要湖沼の一番目としてお取り上げをいただいたわけでありますから、国土庁中心建設省あるいは農水省等々六省庁にわたるわけでありますが、ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。  これは、私前回も申し上げましたが、滋賀県は水質の保全、そして水源の涵養、そして景観と、この三本の柱でひとつ今後進めていこうということを基本に置いているわけであります。今日のこの行動計画を見ましても、どうしてもやっぱり南湖だけを中心に今考えていただいておるんですが、どうも南湖はしゅんせつだとかいろんなことをやっていただいておるんですが、琵琶湖大橋より北を北湖と言っておるんですが、そこらも大変汚染がひどくなってまいりました。  ぜひこういうようなことを踏まえて今後お取り組みをいただきたいということで、今後国土庁中心におやりをいただく。今日までの推移はもう十二分に理解をさせていただいておりますが、より以上お進めいただく上で国土庁長官所見、そしてまた建設大臣所見等もあわせてお伺いをさせていただきたいというように思います。
  234. 亀井久興

    国務大臣亀井久興君) ただいまは奥村委員、お地元の琵琶湖の現状、またいろいろな問題点についてるるお述べいただいたところでございますが、近畿圏千四百万人の生活を支える貴重な水資源であるという御指摘もございました。すぐれた景観と世界でも有数の古い歴史を持っておる自然、また自然生態系の宝庫と言ってもいいわけでございまして、我が国だけではなく世界的にも大変注目をされる貴重な存在になっているわけでございます。  このために、従来から琵琶湖の総合的な保全対策の必要性が広く認識されてまいりまして、先ほど御指摘ありましたように、昭和四十七年度から平成年度までの二十五年間に総額で一兆九千億円を投入し実施いたしました琵琶湖総合開発事業におきまして、保全関連事業として下水道、し尿処理、畜産環境整備施設の整備等、積極的に推進してきたところでございます。  しかしながら、近年、赤潮やアオコがほぼ毎年発生するなど琵琶湖の水質についてはまだ厳しい状況にございますし、また琵琶湖周辺におきまして緑地の減少が見られるなど、琵琶湖の総合保全に取り組む必要性が一層高まっておるところでございます。先ほどもお話ございましたが、南湖の汚濁だけではなく北側の方にもそうした汚染が進んでおるというような御指摘もあったところでございまして、さまざまな御要望を踏まえながら平成年度におきまして次の施策を講じておるところでございます。  一点は、先ほどもお話ございましたけれども、国土庁等関係の六省庁が共同で琵琶湖の総合的な保全計画を策定するための調査実施しておるところでございます。また、国土庁におきましては琵琶湖周辺地区の水源酒養機能の維持等の観点から近畿圏の保全区域拡大に関する調査検討を行っております。さらに、農林水産省、建設省及び滋賀県が連携をいたしまして湖沼水質保全対策行動計画を策定しておりまして、これに基づいて琵琶湖の汚濁負荷削減対策実施することにいたしております。  国土庁といたしましては、これらの調査等を踏まえまして、今後とも琵琶湖の総合的な保全をより幅広い分野にわたって推進することが必要であるという認識に立ちながら、関係省庁と協力をいたしまして水質の保全、水源の酒養、自然的環境・景観の保全等に全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。
  235. 瓦力

    国務大臣瓦力君) 琵琶湖の問題につきましては、これは奥村先生が最大の理解者でございますから、また国土庁長官からすべての答弁がなされましたので、そのとおりでございますと、こう申し上げれば終わるわけでございますが、先般近畿地建へ参りまして局長からいろいろ説明を伺ったりいたしました。琵琶湖総合開発事業として昭和四十七年から二十二事業が鋭意実施されて平成年度に終結をしたと、琵琶湖は強い湖になったと、まだ問題はいろいろあると、こういうような説明を受けまして、今の国土庁の答弁につながるわけであります。  新聞を広げまして、マザーレイクという活字が飛び込んでまいりますと、まさに我が国日本列島のマザーレイクでありますので、これは近畿圏に及ぼすいろんな大きな利益をもたらしておることを勘案いたしまして、なお今後とも汚濁負荷削減対策等を通じまして、きれいな琵琶湖、また景観におきましてもいろいろ地方が工夫していただく可能性を持つ湖沼として大切に事業推進させていただき支援させていただきたい。六省庁協調して努力をしてまいりたい、こうお答えをさせていただきたいと思います。
  236. 奥村展三

    奥村展三君 ありがとうございました。  一息にできないかもわかりませんが、ぜひ三十年前の水質に戻るように県挙げて、そして国挙げて協調し合いながらお願いをいたしたい。  長官の地元の宍道湖もぜひこれが琵琶湖が試験台となりまして、支笏湖だとか十和田湖だとか、特に霞ケ浦だとか、いろんな問題が今後あるわけでありますから、これはもう琵琶湖だけの問題じゃなくてお互いに日本の湖沼としてのひとつ位置づけの中でいろんなことを模索していただきながらしっかり水質を守っていただくようにお願いして質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  237. 関根則之

    委員長関根則之君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時四十八分散会      —————・—————