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赤桐操君 私が承知しておりました数字よりははるかに多くなっているようでありますし、事実東京湾の荷扱い自体も五億二、三千万トン、今日六億トンくらいまで来ておりますから当然だろうと思いますけれども、そういう船の
状況でございます。
したがって、乗員とか乗客自体もちょっと今触れておられましたけれども、私はやはりこれだけの船が航行しているということになれば、いわば毎日の海上人口といいますか船上の人口といいますか、これは相当なものだと思うんです。これをお調べいただいて、どのくらいの乗客、乗員が常態として平均で動いているかということはひとつ把握していただきたいと思います。
それは後でまた出てきますけれども、この基礎数字がやはり大変大きなことになると思うんです。こういう
状況で、ただいま現在も東京湾の中は船が動いておると思いますけれども、それだけの人がまた同時に動いている。先ほどのお話のように、十五万人の人が陸上では死んで死者十五万人、そしてさらにまた死傷者とすればもっと大きくなるでしょうから、それも私は本当にそれが到来すればわからない数字だと思いますけれども、まあ想像以上のものになるだろうということはかたくないと思います。
そういうふうに
考えてみるというと、この船上の場合においても同じように犠牲者が出てくると思うんです。船上の場合は陸上の場合と違ってこれはまた別な条件が出てきますから、後半でひとつまた伺わなきゃならぬと思いますが、大体わかりました。大変重大な
状況にあると
考えます。
それから、今申し上げたのは海上の
状況について伺ったんですが、今度は臨海部といいますか、湾岸の問題について少しお尋ねしておきたいと思います。東京湾臨海部というのは、これはもう重化学工業地帯としてその重要性は今日若干低下はいたしておりますけれども、製鉄所であるとかあるいはまた製油所、石油化学工場、電力、こういったものが総合的に林立しているところでございまして、いわば
我が国最大の工業集積地である、こういうように
考えられると思います。したがって、タンクとかパイプライン、こういったものについてはまさに過度の集積地帯となっているわけでございます。
この
状況の中で、東京湾岸に着目しなきゃならない問題はタンクであります。石油タンク、ガスタンクです。そして、石油タンク、ガスタンク合わせて八千と私どもは
考えておりますが、これは千葉県側の方が一番多いんです、この中で。神奈川県よりも千葉県が一番多い。東京はコンビナートがありませんから数は少ないです。
千葉県側の
状況は、
平成九年四月一日現在で三千三百六、こうなっております。これは、千キロリットル未満、千キロリットル以上、一万キロリットル以上から五万キロリットル未満、五万キロリットル以上から十万キロリットル未満、十万キロリットル以上、こういう区分けでもってそれぞれ区分けをしながら千葉県の市川、船橋、千葉、市原、袖ケ浦、木更津、こういったような形でもって区分いたしまするというと、まず十万キロリットルという一番大きなタンクが中部地域、市原地域には十六ございます、湾岸に。そして袖ケ浦には四つあります。千葉県側だけで二十あるんです。
さらに、神奈川県側の
状況でありますが、神奈川の方ではこれも四月一日現在のが来ておりますが、二千九百七十二出ております。今申し上げたような区分で全部来ております。十万キロリットル以上が横浜に三ございます。したがって、十万キロリットル以上のものだけで東京湾岸には二十三個設置されている、こういうことになります。ですから、この千葉県側の方で三千三百六、神奈川県側の方で屋外タンクが二千九百七十二、こういう数字でございまして、そこに東京の数が入るので、東京が大体六百五十三ですか、そうしますというと全部で約七千になる、そういう
状況でございます。
問題は、この中で一番私たちが
考えなきゃならないのは、昭和五十二年を境にして法律の
改正が行われ、四十九年、五十年、五十一年の中でもっていわゆるコンビナート法の制定が行われております。コンビナート法の制定が行われて、これが
実施の段階に入りまして、各種政令が出されております。この政令をもとにして古い政令等が
改正されております。この新しいものでいろいろ基準がつくられて、その基準に従ってつくられてきたものが、いわゆる五十二年以降のそうした新しい基準でつくられているものを新しい法律に基づくタンク、これを略称新法タンクと言われておりますが、そういう新法タンクがございます。
それから、五十二年以前のものについては、これは千キロリットル以上の危険物の
特定屋外タンクの耐震基準について昭和五十二年に危険物の規制に関する政令が
改正をされまして、ただいま申し上げたとおり関東大震災程度に耐えられる技術基準が適用されることになった。この基準でつくられたものを新法タンクと言い、しかしこの前につくられたもの、五十二年以前に設置された容量千キロリットル以上の
特定屋外タンクについては
改正以前のもので、これを旧法タンクと一括して言っておるわけであります。
その旧法タンクの新しい基準への適合
状況について問題を実は
指摘しなきゃならないのでありますが、
平成六年の七月にこの政令をさらに
改正いたしまして、タンクの本体、それから基礎、地盤について新基準が示され、新基準への適否の
調査及び不適合の場合の改修
措置が義務づけられるということになっておるのであります。こういう
状況でありまして、この実態についてはおわかりになっていれば御答弁願いたいと思いますが、後でまた資料をいただいても結構でありますので、そういう
状況になっております。
私どもの方の手元で調べてみるというと、千葉県側は大体五〇%ぐらい適合しております、古いタンクで。それぞれの会社で補強したと思います。半分は不適合のようであります。それから、神奈川県側の方は大体旧法タンクのうちの約一二、三%程度が新しい基準に合致しているけれども、あとは非常にまだ問題点がある、こういうことが
指摘されているという
状況であります。したがって、私は非常に旧法タンク自体について着目をしてこれから
対策をとる必要があるのではないか。神戸の震災の際にも、昔の古い建物については鉄筋コンクリートの建物であってもこれはつぶれております。同じように、こうした新しい基準に従ってつくられているタンクは大きくてももつだろうと思うんです。しかし、小さくても古いタンクについては、これは構造的にだめでありますから、したがってこれは倒壊をしていく、油の流出はそこから出てくる、こういうふうに
考えなければならない。
そういうように
考えますというと、私は少なくとも三〇%ないし五〇%くらいは適合していると思っていましたけれども、神奈川は残念ながら一二、三%ぐらいしか適合していない、こういう
状況がありますから、これからこの政令に基づきまして
平成二十三年、二十七年にかけてタンクの補強がいろいろ行われていく、こういうことになっているようでありますが、これはいささか遅過ぎるのではないだろうか。相当の補償をしても早目にこれは手を打たなければならないのではないかな、この点を一つ提起しておきたいと思います。金はかかると思いますけれども、これはひとつ一定の補償をしながら
対策をとるべきだ、こういうように
考えます。
それから次に、液状化発生の問題であります。液状化発生の可能性については、
国土庁からいただいている資料では、関東大震災クラスのマグニチュード七・九の地震が発生した場合においては、これらの石油タンク、ガスタンク類の設置されている湾岸地域は一五%程度液状化するという見込みであるようであります。そういう地域が大分この湾岸にあります。ほとんどタンクが建っているところがその地域になっているようであります。地盤の液状化に対して、老朽化したタンク類、危険物の貯蔵施設あるいはパイプライン、こういったものは私は大変危険な
状態にあると思うんです。
例えば、水島のタンクが三万キロリットルであったと思いますが、全部が出たのではありませんが一部瀬戸内海に流出した、これが昭和四十九年の十二月でありました。私も現地へ行って
状況を視察しましたけれども、恐らくこの石油を整理するのには十年以上かかるだろうと言われておりましたが、そんなにかからないで実際には整理されたようであります。
いろいろと検討してみるというと、このときの
状況はやはり不等沈下が原因であると言われております。不等沈下は一つの
方向にかしぐわけです。そこに亀裂を生じているというと、若干の傷があるというと三万キロリットルの圧力が全部その一点にかかる。これが原因で裂けたと言うんです。それが壁を伝わって防油堤を乗り越えて瀬戸内海に出たと、これは消防庁の側の説明でありました。こういう
状況でありますから、やはりこの不等沈下というのは液状化発生の場合においては当然伴いますので、しかもこれは鉄筋コンクリートとかあるいは下に大きなくいを打ってあるというものではなくて、地盤改良の中でもってこのタンクが設置されているわけでありますから、私は大変これは難しい問題を引き起こすだろうと思っております。
したがって、そういう意味合いから、この不等沈下発生の原因となる液状化、これとの関連については本格的にやはり検討していただきたい。大体十万キロリットルぐらい入っているのが上下地震動でやられれば、ほとんど私はこれはもたないと思います。マグニチュード七・九ぐらいのものには耐え得ると、こう言っておりますから耐え得るんだろうと思いますけれども、地震は予定どおりのものになるかこれを超えるかわからないわけですから、そう
考えるというと大変厳しい条件のもとで検討しておく必要があるのではないか。それに対しては金もかかるかもしれぬけれども、至急にやはり
対策をとらないとえらいことになる、こういうことを私は申し上げておきたいと思います。
これは私が千葉県の浦安、行徳の南から木更津の沖合まで、富津まで埋め立てした当時知事に要請されまして、当時私が開発審議
委員の中に入っておりまして、現実にコンビナートをつくり上げていく中でいろいろと問題点を
指摘しながらきた経過があるものですから特に私はその点を痛感いたしておるものでありまして、どうかひとつそういう意味合いで御検討おき願いたいと思います。
さらにまた、こうしたコンビナート地域、これだけのものが集まっておるわけでありますけれども、一体このままの
状態でこれから将来も続けていいんだろうかということが一つございます。コンビナートですから、ばらばらにしたんじゃ意味がないだろうということになるかもしれませんが、相当遠い距離であってもパイプラインで送れるんです、こういう石油類は。ですから、余りにも東京湾一点に集中した形でもって湾岸につくるのではなくて、工場なら移転することは簡単にはできないかもしれぬけれども、こうした危険物については分散して運搬することができるのではないかな、こういうことも
考えるんです。太平洋岸に幾つかの港をつくっていけば、当然それはできることだろうと思うんです。大変かもしれぬけれども、これは
日本の宿命ではないでしょうか。
東京湾にいつまでも集中して、一極集中を排除しながら一方東京湾は集中していく。そういうことをやっていれば、これは六港ございますけれども、到底私はさばき切れなくなってくると思います。そういう湾岸の今まであるものを利用していけば一番いいかもしれぬけれども、今言ったような形では決して正常な
状態とは
考えられない。したがって、このままの
状態で一体いいのかどうなのか、このことについてひとつ
国土庁を
中心とした関係省庁で御検討を願いたいと思うんです。基本計画もできているわけですから、それに基づいて具体的な
対策をおとりいただくべきではないか。
その具体的なものの一つは、分散配置だと思います。やはりこれはもう具体的に
考えなければならないと思うんです。私はいろいろ千葉県の
状況を眺めておってつくづくそう思うんですが、千葉県だけでこんなに集中させてしまっていいんだろうか、これはやっぱり場所を変えなきゃならぬのではないかな、東京湾全体にそういうことが言えるように思います。
いずれにいたしましても、そういった
状態の中で、きょうは石油タンク、ガスタンクの問題で申し上げてきたのでありますが、ガスタンクの方は新しい法律政令の
改正に基づいてきちっと手を加えているようであります。これは千葉県の場合も確認いたしましたし、神奈川県の場合もそういう報告が来ておりますから間違いないようでありますが、どうも石油タンクの方はそうではないようなんで、大変この点が憂慮にたえないというように思っております。
もう申し上げるまでもありませんが、少なくとも東京を
中心とした南関東といいますか特に首都圏、この地域は住民が三千万も住んでおる、それが一朝有事のときには想像を絶する悲惨な
状態が発生することは間違いないだろうと私は
考えます。
産業、
経済、そういったものが恐らく麻痺することはもちろんでありますが、同時にその場合においては東京湾六港が使い物にならなくなってくる。油の流出、これはもう私は避けられないと思います。そして、ペルシャ湾みたいな形になると思っても間違いないんじゃないかと思います。風の吹きようによっては一方にあれは寄せ集まるんですから、そこは大変な厚みになるんです。ですから、海上における船同士が衝突して火災が発生するとか、あるいはまた丘はもう火の海でありますからそうしたものがそこに降ってくる、こういうことになれば当然これは海上も火の海になるだろうと想定をしなければなりません。
こういう
状況になってきたときに、どういうようにして後の
対策をとるか。東京を
中心にしたいわゆる首都圏、
経済、政治、
産業、
日本列島の
中心をなしてきた長い歴史を持つこの地域が壊滅の
状態に入るということをまじめに真剣に
考える必要があるだろうと私は
考えております。そのときには、これを補うところ、あるいはこれにかわるところの
対策をとるべきだろう、それを準備しなきゃならぬのではないか。もう東京湾六港を一つ一つ視察してみるというと、大体構造的に古いですね、これは正直に申し上げて。ですから、この辺でやはり新しい港の開発の時期にも来ている。
それから、アジア全体の
状況を見ていても、この間私も香港等も見てまいりましたけれども、香港もがらりまた変わっておりまして、返還後の香港はさらに港も大きくなってくる、飛行場も新しくつくり上げられている。アジアにおけるところのまさに本当の意味におけるハブ機能を持つ港であり、空港になるのではないかと、このように私は痛感しました。
本来、
日本がそういう立場を早くとるべきだと思うんでありますが、この際ひとつ今の防災の問題とあわせて、そうした新しい二十一世紀を展望する視野に立って、
日本の政治
経済全体、
産業経済全体のあり方、アジアにおける
日本のあり方、こうしたものを検討していただいて、新しい港湾
政策なり、あるいはまた湾岸
政策なりの検討を願いたい、このことをお願い申し上げておきたいと思います。
局長のひとつ何か御答弁があれば伺っておきたいと思います。