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1997-12-16 第141回国会 参議院 決算委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十二月十六日(火曜日)    午前十時開会     —————————————    委員異動  十二月十五日     辞任         補欠選任      平田 健二君     益田 洋介君      中尾 則幸君     小川 勝也君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         宮崎 秀樹君     理 事                 鎌田 要人君                 長峯  基君                 野沢 太三君                 猪熊 重二君                 海野 義孝君                 緒方 靖夫君     委 員                 岩井 國臣君                 景山俊太郎君                 笠原 潤一君                 上吉原一天君                 清水嘉与子君                 松村 龍二君                 守住 有信君                 吉川 芳男君                 阿曽田 清君                 但馬 久美君                 益田 洋介君                 山崎  力君                 渡辺 孝男君                 朝日 俊弘君                 小川 勝也君                 萱野  茂君                 大脇 雅子君                 谷本  巍君                 椎名 素夫君                 水野 誠一君    国務大臣        法 務 大 臣  下稲葉耕吉君        外 務 大 臣  小渕 恵三君        大 蔵 大 臣  三塚  博君        文 部 大 臣  町村 信孝君        厚 生 大 臣  小泉純一郎君        農林水産大臣   島村 宜伸君        郵 政 大 臣  自見庄三郎君        労 働 大 臣  伊吹 文明君        建 設 大 臣  瓦   力君        自 治 大 臣  上杉 光弘君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  小里 貞利君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)      鈴木 宗男君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  久間 章生君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       尾身 幸次君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  大木  浩君    事務局側        常任委員会専門        員        貝田 泰雄君    説明員        公正取引委員会        委員長      根來 泰周君        公正取引委員会        事務総局経済取        引局取引部長   上杉 秋則君        総務庁行政管理        局長       河野  昭君        法務省人権擁護        局長       横山 匡輝君        外務省北米局長  高野 紀元君        大蔵大臣官房長  武藤 敏郎君        大蔵省主計局次        長        藤井 秀人君        厚生大臣官房総        務審議官     田中 泰弘君        厚生省生活衛生        局長       小野 昭雄君        厚生省社会・援        護局長      炭谷  茂君        農林水産省構造        改善局長     山本  徹君        林野庁長官    高橋  勲君        郵政省郵務局長  長谷川憲正君        建設大臣官房長  小野 邦久君        自治省行政局長  松本 英昭君        会計検査院事務        総局第一局長   深田 烝治君        会計検査院事務        総局第二局長   諸田 敏朗君        会計検査院事務        総局第三局長   大和 顕治君        会計検査院事務        総局第四局長   牛嶋 博久君     —————————————   本日の会議に付した案件理事補欠選任の件 ○平成七年度一般会計歳入歳出決算平成七年度  特別会計歳入歳出決算平成七年度国税収納金  整理資金受払計算書平成七年度政府関係機関  決算書(第百四十回国会内閣提出)(継続案件  ) ○平成七年度国有財産増減及び現在額総計算書  (第百四十回国会内閣提出)(継続案件) ○平成七年度国有財産無償貸付状況計算書(第  百四十回国会内閣提出)(継続案件)     —————————————
  2. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨十五日、平田健二君及び中尾則幸君が委員を辞任され、その補欠として益田洋介君及び小川勝也君が選任されました。     —————————————
  3. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) 理事補欠選任を行います。  去る十二日の本委員会におきまして、欠員中の一名の理事につきましては、後日、委員長が指名することとなっておりましたので、本日、理事緒方靖夫君を指名いたします。     —————————————
  4. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) 平成七年度決算外二件を議題といたします。  本日は、総括的質疑第一回を行います。  質疑に先立ちまして、平成六年度決算における警告決議に対し、その後内閣のとった措置につきまして、大蔵大臣から説明を聴取いたします。三塚大蔵大臣
  5. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 平成六年度決算に関する参議院審議議決について講じました措置概要を御説明申し上げます。  国家公務員綱紀粛正につきましては、平成八年十二月に行われた事務次官等会議申し合わせに基づき、職員関係業者等と接触するに当たっての具体的な禁止事項、組織全体として実効を担保するためのチェック体制整備違反行為に対する処分等厳正に講ずることなどを内容とする公務員倫理規程を各省庁が制定し、職員に対し周知徹底を行うとともに、関係団体等に対しても周知を図ったところであります。  今後とも、この公務員倫理規程の厳格な遵守を図るなどにより、綱紀厳正な保持に努めてまいる所存であります。  消費税滞納未然防止につきましては、納税者に対する期限内納付についてのよりきめ細かな広報・指導等徹底を図ってきたところであります。  また、消費税滞納整理促進につきましては、他の税目の滞納より優先的に着手し、滞納者個々の実情に即した厳正、的確な滞納整理実施してきたところであります。  今後とも、消費税に対する国民の信頼を損なうことのないよう、消費税滞納未然防止及び滞納整理促進になお一層の努力を続けてまいる所存であります。  O157に対する総合的な対策につきましては、O157発生状況の定期的な分析・評価を行うとともに、O157による食中毒発生防止、原因の究明医療機関における患者の治療の支援のための施策を実施しているところであります。  また、学校給食における食中毒再発防止につきましては、従来から学校給食施設・設備の改善、調現実施上の改善学校給食関係者意識改革学校等衛生管理体制の確立など、衛生管理徹底に努めているところであります。  さらに平成九年四月には、衛生管理に関する取り扱いを集約・整理した学校給食衛生管理基準を作成し、学校給食関係者に対しその周知を図ったところであります。  今後とも、O157に対する総合的な対策を推進するとともに、学校給食における食中毒発生防止に一層努めてまいる所存であります。  健康保険及び厚生年金保険適用適正化につきましては、毎年度の事業運営上重点課題として積極的に推進を図っているところであります。  また、国民健康保険組合に加入している土木建築業従業員地方公共団体に雇用されている嘱託職員等への適用につきましては、都道府県に対し、文書及び会議等を通じ適正化に努めるよう改めて指導を行うとともに、関係団体に対しても文書によりその適正化への協力を依頼したところであります。  今後とも、事業主に対する指導強化周知徹底を図るとともに、事業所調査において資格取得の届け出に関する調査確認重点として取り組み、適用適正化に努めてまいる所存であります。  医療費請求審査適正化につきましては、都道府県に対し、保険医療機関等に対する指導積極的実施審査支払い機関に対する審査充実強化等指導徹底について、文書及び会議等を通じ重ねて指示しているところであります。  また、社会保険診療報酬支払基金において、高点数レセプトを専門的に審査する審査専門部会の増員を行ったほか、保険者におけるレセプト点検充実するなど、審査点検強化を図っているところであります。  今後とも、医療費請求審査適正化を一層推進してまいる所存であります。  特別養護老人ホーム建設施設整備等適正化につきましては、平成八年十二月、厚生省内に施設整備業務等の再点検のための調査委員会を設け、事件の事実関係究明とともに、社会福祉施設に関する補助金社会福祉法人の認可・運営等について再点検を行った上で、改善措置を盛り込んだ報告書平成九年三月末にまとめ、これに基づき関係通知改正を行ったところであります。  今後とも、改善措置徹底を図り、社会福祉事業の適正な実施に努めてまいる所存であります。  農業者年金事業における経営移譲年金支給につきましては、不適正支給となった額について返還の措置を講じるとともに、その再発防止するため、業務受託機関に対し、文書及び会議等を通じ年金事業の適正な実施に努めるよう強く指導を行ったところであります。  また、年金財政健全化のため、新規加入者確保等に努めるとともに、広く国民農業者年金基金財務諸表等の公開を行ったところであります。  今後とも、農業者年金事業の適正な実施に万全を期すとともに、年金財政健全化情報開示努力してまいる所存であります。  労働者災害補償保険診療費の算定における地域特掲料金解消につきましては、労働省と関係団体が調整を行った結果、完全解消を図ることについて平成九年三月合意が成立したところであり、その早期実現のため積極的に努力しているところであります。  今後とも、統一基準による適正な執行に万全を期してまいる所存であります。  国庫補助事業に係る食糧費使用等につきましては、関係省庁において、都道府県に対して食糧費使用及び経理処理を適切に行うよう通達を発するなどにより、食糧費の使途の範囲の明確化補助事業者等における事務処理適正化審査確認に当たっての関係書類整備等指導したところであります。  また、食糧費を含む事務費の支出に関して不適正な使用が明らかとなった場合には、補助金等交付決定取り消し処分を行うとともに、加算金を付して補助金等を返還させるなど、厳正措置を講じてきたところであります。  今後とも、地方公共団体に対し、国庫補助事業に係る事務費の適正な執行を図るよう、一層の指導に努めてまいる所存であります。  地方公共団体監査機能充実につきましては、第百四十回国会において、地方公共団体行政体制整備と適正な予算執行確保を図る観点から、外部監査制度の導入と現行監査委員制度充実を主な内容とする地方自治法の一部改正を行ったところであります。  今後とも、この改正法の趣旨の徹底を図るなど、地方公共団体に対し、監査機能充実について指導してまいる所存であります。  以上が、平成六年度決算に関する参議院審議議決について講じました措置概要であります。  政府は、従来から決算に関する国会審議議決会計検査院指摘等にかんがみ、国費の効率的使用事務事業運営適正化不当経理発生防止等に特に留意してまいったところでありますが、今後とも一層の努力を続けてまいる所存であります。  以上でございます。
  6. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) それでは、これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 長峯基

    長峯基君 自民党の長峯基でございます。  まず、文部大臣にお伺いしたいと思います。  ことしは文部行政にとっても大変な年であったろうと思います。日ごろの御努力に感謝を申し上げますが、実は文部省が発表いたしました教職員不祥事件、最初に大変嫌な問題でございますけれども平成七年度は体罰によって処分された教員数が二百九十八人、平成八年は三百九十三人、また、これは想像もできないわけでありますが、わいせつ行為等によって処分された教員平成七年で四十五名、平成八年で六十六名という過去最大の処分数になっているわけでございます。  文部省としては、こういう体罰あるいはわいせつ行為等防止するために具体的にどのような対策をとられているか、お伺いしたいと思います。
  8. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) お答え申し上げます。  今、長峯委員指摘のとおりの状況でございまして、特に体罰あるいはわいせつ行為ということは、それはすべての人にあってならないことでありますが、特に児童生徒指導に当たる教員という立場考えたときに、全く許されざることでありますし、極めて残念な結果である、このように思っております。また、先生指摘のように、史上最高の数ということについても私どもも大変なショックを受けておりますし、放置できない事態であるとも考えております。  しかし、言いわけじゃございませんが、とにかく公立の小中高約百万人の教員がおりまして、だからといって一人でもあってもいいということを言うつもりは毛頭ございませんが、甚だ残念だなと、こう思っております。  これに対応するために、まず何といっても教員服務規律徹底を図るということが一番肝要であろう、こう思っております。そのために各種の研修初任者研修あるいは定期的な十年、二十年の研修、さらには特別な研修というような場を通じてその意識徹底を図るということ。しかし、万が一そういう非違行為があったという場合には、各都道府県あるいは市町村任命権者教育委員会において厳正措置をとるということはこれは当然のことであろう、このように考えております。  いずれにいたしましても、都道府県あるいは指定市、こうしたところの教育委員会に対して、文部省としても、今後かかる事態が本当に根絶できるように指導徹底してまいりたいと考えております。
  9. 長峯基

    長峯基君 釈迦に説法でございますけれどもわいせつ行為あるいは行き過ぎた体罰を行う教師というのは、教師という立場を悪用して無抵抗な生徒を傷つける悪質な犯罪者であると思うわけであります。明らかな教育失格者であるにもかかわらず、これらの教師に対する処分はおおむね甘いものであり、それが問題発生の温床となっているとの指摘もあるわけであります。  例えば、中学校林間学校の際に生徒をナイフで脅迫しひざげりをした教師への処分がわずか停職三カ月というのが出ております。このような教師は教壇に立つ資格はないと考えるのが当然の社会常識だと思うわけでありますけれども、今後このような問題教師に対してはより厳格な処分が必要であると思うのでありますけれども文部大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  10. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) わいせつとか体罰、本当に今御指摘のとおりの問題だろうと思います。ちなみに、平成八年度の結果を集計してみますと、わいせつ行為、御指摘のように全部で六十六名の教員がかかる事態を起こした。そのうち懲戒免職が二十七名、それから諭旨免職が十五名ということで、半分以上が退職をするという意味ではそれなりの処分が行われているのかなというふうにも思っておりますが、なお甘いのではないかという御指摘があれば、甘んじてその御批判は受けなければならないかなと。  いずれにいたしましても、各教育委員会でどのように判断をするかということで、文部省はそこに余り大きなばらつきがないようにという意味情報提供を行っているわけでございますが、今後しっかりとした指導を行ってまいりたいと考えております。
  11. 長峯基

    長峯基君 わいせつ教師とか体罰教師がふえている背景には、やっぱり身内に甘い学校とかあるいは教育委員会の体質もあるのではないかと思うわけであります。例えば、問題教師を黙認する校長とか同僚教師、あるいは不祥事を隠ぺいしようとする教育委員会、こういうところに重いペナルティーを科すべきだと考えるのでありますけれども文部大臣はいかがお考えか、お伺いしたいと思います。
  12. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) とかく学校というと、そこが一つのある種の閉ざされた社会になっている、そこで何が行われているかは必ずしも外部情報が的確に流れてこない、あるいは情報発信も少ないという問題があることは、多分にそういう傾向があることは私はあえて否定はいたしません。  したがいまして、できるだけ情報開示などを行うこと、あるいは今中央教育審議会等でも議論をいただいておりますけれども、言うならば、会社に例えるといけないのかもしれませんが、社外重役制度というのが会社にはありますが、学校にもそういう例えば地域の方、PTAというのはもともとあるわけですが、地域方々関係する団体方々などによるある種の諮問委員会とでもいうんでしょうか、外部地域方々もその学校経営に一定程度参画できるといったようなことなどを通じて、そうした世の中の常識とかけ離れたことが行われないようにというような努力もこれから大いにしていきたい、こう考えているところであります。  私は、教育委員会が甘い処分をやっているとは考えたくございませんが、そういう御批判どもよく踏まえながら、先ほど来申し上げておりますような指導徹底を図っていきたい、こう思っているところであります。
  13. 長峯基

    長峯基君 ちょっと恥をさらすようでございますけれども宮崎県のある高校で次のような出来事がございました。  実はこれは表に出ておりませんが、私の親しい教職員から、時々私は先生方と私的な集まりをしていろいろ現場の話を聞いているのでありますけれどもクラブ活動であるところにあるクラブ生徒たちと一緒に行ったと。その日の夜、先生の車がめちゃくちゃに壊されていた、大体二十万ぐらいかかったそうでございますが、それは個人で払った、そしてまたいっときしてからマネキンの首だけが校門の前に置いてあった、それからまたしばらくしてからその担任先生の部屋にスプレーでぶっ殺すぞと書いてあったと、こういう話でございます。  それで、私の友人が担任先生に、これは職員会で、中の問題でございますから、どの生徒でしょうか、これが全部一人の生徒でなければいいですねという話をしたら、いや、これは一人の生徒でしょう、そして大体わかっておりますというようなことをおっしゃったそうであります。そして、そのことは校長にも全部伝えてあると。しかし、学校長はそういうことが社会に出ると学校の不名誉になるので外には出さない。  私は、そこまではいいのでありますけれども職員会議がないというんですね、職員会議が。例えば、個人的にどの生徒ということはなくても、こういう事件が起こった、それで職員会議をしてみんなで大いに議論をして、そしてその生徒を正しい方向に導く努力担任先生だけでなくてすべての先生がやっぱり取り組むべきではないかな、そういう感じがしたのでありますけれども、その先生いわく、いや、もう職員会議なんて今全然ないですよ、若い先生方が情熱を持ってこういう問題を解決しようという意欲に欠ける、しかし意欲がないわけではない、意欲はあるけれどもその意欲を引き出そうとする、学校長といいましょうか教育委員会というか、そういうところの意欲は少ないというようなお話をしておられました。  これは宮崎県でそういうことが起こるわけでございますから、もう全国でそういった現場は荒れていると私は思わざるを得ないのでありますけれども文部大臣はこのような実態についてお感じになっているのかどうか。お感じになっているとすれば、それはやはり先生方が自由な発言をし自由な発想をして本当に二十一世紀子供たちを正しい方向に導こうと、そういう努力ができるような雰囲気をつくっていく努力文部省はすべきではないか。今までが余りにも管理的に中央考え方を末端に流して、そして悪いことをすると、先ほどの話とちょっと矛盾しますけれども余り処分処分。もちろん必要なことは処分しなきゃいけません。しかし、二十一世紀を背負う子供たちをどうやって正しく指導していくかということは私は非常に大事なことだと思うのでありますが、このような実態を聞きましたので、ぜひ大臣の御所見あるいは指導方法をお聞きしておきたいと思います。
  14. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 大変重要なまた重大な御指摘をいただいたと今受けとめさせていただきました。  私も大臣就任以来何カ所かの学校現場を見ております。また、大臣に就任する前も関心があったものですから幾つかの学校現場を見て回ったこともございます。もちろん、大臣という立場で行きますと、大変立派な学校ばかりきっと見せてくれるんだろうな、こう思ったりもいたしますが、非常によくやっているという印象の方がむしろ強うございます。  先生の御指摘の例とはちょっと違うかもしれませんが、たまたま昨日は千葉県の養護学校を見てまいりました。本当にマン・ツー・マンで献身的な指導をしております。そういう姿を見て、ああ本当に熱心なんだなということをしみじみと感じたわけでありまして、これならば安心して任せられるか、そういう思いもいたしました。  ただ他方、大臣という立場になりますと、全国各地からいろいろな投書、お手紙、電話等をいただきます。そういうお話の中には、むしろ今先生指摘のような本当にそういうことが学校で行われているんだろうかと、とても信じられないような、また具体的なケースの指摘もあったりもいたします。したがいまして、両方現実には多分あるんだろうというふうに思わざるを得ないわけであります。  私どもとしては、特に今まで文部省指導、助言という中にありまして、はしの上げおろしまで僕は文部省がやってきたとは思いませんけれども、ややもするとそういうイメージがあったし、また学校長さんが自分で考えるのをむしろやめてしまって何か問題があるとすぐ教育委員会伺いを立てる、教育委員会も何か困ったなというとすぐ文部省の方に伺いが来る、これでは生き生きとした学校現場は生まれてこないだろう、こう思っておりまして、つい先般、私も中央教育審議会地方教育制度活性化、なかんずく学校現場校長さん、教頭さんにできるだけの権限、人事権あるいは予算執行権裁量権、こうしたものをどうやったらスムーズに渡すことができるだろうか。その学校校長さんを中心とした学校経営学校運営努力教育委員会が支え、それをまた後方から文部省が支える、こういう姿に持っていきたいということでございます。  したがって、その一例でありますが、教育長任命に当たっては今までは文部大臣が一々承認をしておりましたが、もうそれもやめましょう、現場にお任せしますというようなことで、できる限り自己責任自助努力学校現場が生き生きとやっていけるというふうに持っていきたいと考えております。  ただ、そのことと、やはり不適正な行為があったときにそれに対して厳しい処分をするということは、私は決してこれは矛盾することではないだろう、こんなふうに考えているところであります。
  15. 長峯基

    長峯基君 それでは文部大臣、最後の質問にしたいと思います。  先ほどもちょっと外部講師の積極的な登用というお話もございました。やっぱり開かれたものにしていくと。教職員も世間の風雪に耐えるといいますか、そういうところから出発することは私は非常に大事なことではないかと思っております。  教育現場活性化するために、文部省では特別非常勤講師制度あるいは特別の免許状、こういうものを活用しておられるようでございますけれども、これが高等学校だけなんです。高等学校は三千四十九校、中学校は四百四十二校、小学校はわずか六校、こういうことでございます。今非常にいろいろな問題、情報社会で小学生でも何でも知っている、こういう時代でございますから、小中学校における積極的な活用を図ることが私は非常に大事ではないか、そのように思うのでありますけれども大臣の御所見を伺いたいと思います。
  16. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 長峯委員指摘のとおりであろうと思っております。高校も決して多くないと思っております、もっとふえてもいいと思っておりますが、小中に至っては非常に数が限られているという今の特別非常勤講師の実態でございますので、平成九年、さらには平成十年に非常勤講師を配置することに関する調査研究補助という形で、実際にはその人件費の三分の一を国が見るというような形でできるだけこれを進めていきたい、こう思っております。  ただ、今まででございますと、例えば小学校の対象の教科が音楽、図工、家庭、体育というふうに限られておりました。これを全教科に拡大してもいいのではないかとか、あるいは手続も一々都道府県教育委員会の許可を得なければならないということでありましたが、これを届け出で済ませてもいいのではないかというような、去る七月に教育職員養成審議会から今言った内容の一次答申をいただいております。私どもとしては、これを受けまして、次の通常国会に教育職員免許法の改正案を出そうかなと今準備をいたしているところでございますが、今先生指摘のような方向に沿っての最大限の努力をしてまいりたいと考えているところであります。
  17. 長峯基

    長峯基君 次に、農水大臣伺いたいと思います。  我が国の食糧の自給率、これは四二%ということでございますけれども、もちろん食生活の違いはあろうと思いますが、例えば一九七〇年には六〇%であったものが現在食糧自給率は四二%であります。一方イギリスでは、一九七〇年に四八%であったものが一九八七年には七三%に向上している。またドイツでも、一九七〇年に六六%であった自給率を一九八八年には九四%に向上させている。オランダでは、同じく一九七〇年に七一%であった自給率を一九八五年には一〇一%に向上させている。つまり、国家目標として食糧自給率を上げるための努力をそれぞれの国家がしているわけでございます。日本だけが輸入国になりまして、非常に自給率が低い。  そこでお伺いしたいのでありますが、先進諸国が食糧自給率を向上させているのとは対照的に、我が国だけ食糧自給率が低下し続けている理由は何なのか。また、この間、国は食糧自給率の向上のためにどのような政策をとってこられたかということを簡単にお話しいただきたいと思います。
  18. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) お答えいたします。  我が国は欧米先進国と異なりまして国土資源に制約がございます。そのような中で、食生活が近年大きく変化してきているということが一つの大きな理由であります。すなわち、所得水準の向上に伴いまして、主食である米の消費が減少する一方で畜産物や油脂が増加してきており、このため国内農業生産だけでは対応が困難な飼料穀物や油脂原料等の農産物の輸入が増大してきている、これらがいわば自給率の低下という数字の中にあらわれているように思います。このように、主として国民の食生活が変化してきていることにより我が国の食糧自給率が低下してきており、先進国においても極めて低い水準となっているところであります。  また同時に、今、国際化の傾向がございまして、我が国の場合には御承知のように農家一戸当たりの耕地面積は一・五ヘクタールでございますが、例えばドイツは十九倍、フランスは二十三倍、イギリスは四十五倍、アメリカの場合は百二十七倍と比較になりません。したがって、人件費も高い我が国の農産物はどうしても割高にもなるわけでございまして、国内の需要をすべて賄うということについてはおのずから制約がございまして、それらがこの食糧の自給率にあらわれている、こういうふうに思っております。
  19. 長峯基

    長峯基君 もう釈迦に説法でございますけれども、ドゴール元大統領は、食糧の自給なくして国家の独立なしという名言を吐いております。つまり、独立国家と言いながら我が国は食糧を海外に依存しておる。こういう体質をどうしても変えなきゃいかぬと思うのでありますけれども、木村尚三郎先生は「ヨーロッパとの対話」という本の中で、角川文庫でございますが、  日本を救うためにまず第一にしなければならないのは、自然の恵みに感謝しながら、慎ましく生きる農民の心を取り戻すことであり、農村を大切にする気持を興すことである。そのためには最小限農業立国に基礎を置いた産業立国に政策を早急に転換すべきであり、これによって工業生産は多かれ少なかれ犠牲となってもやむをえないこういうことを言っておられます。そして、日本の「経済大国」は、物資や食糧についての世界の好意をあてにし、平和相互依存を前提としたうえでの仮象のものにすぎない。もし、このあてや前提が期待できなくなったとしたら、日本は世界に物乞いをして回らねばならない。  ……「私には金がある」と乞食がそっくり返ってみても、誰も相手にせず、聞く耳を持たないと主張されております。まさに、私は食糧の自給というのは非常に大事な問題であると思います。  そこで、もちろん農水大臣も四二%で満足しておられるとは思いません。食糧自給率を例えば十年、二十年後にどのようにするか、やっぱり数値目標を定めて、長期的なグランドデザインに基づいて食糧の自給率を図っていくべきだと私は考えます。そして、それは米を含んで主要農作物の品目別の目標を明確にする必要がある。その目標に向かって、日本人というのは目標ができますと一生懸命やる民族でございますから、これは政治の目標というものをもちろん官僚の皆さんと時間をかけて議論をしました。しかし、大体官僚の方のお考えはあっておりますが、農水大臣としてこの国家目標についてどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。
  20. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 先生御高承のとおり、我が国は二次にわたる石油ショックで大変な思いをいたしました。ただ、二回目の石油ショックの際には、一回目に比べると比較にならないくらい国内は平穏であったわけであります。これは、一回目の石油ショックの経験を生かして備蓄を進め、かつその他のエネルギー、新エネルギーの開発に努め、また、そういうときに対する対応の仕方等について国民が一回目の石油ショックでいろいろ勉強したことが基本にあったと思うんです。  しかしながら、今御指摘のとおり、食糧自給率はカロリー換算四二%でございますし、特に穀物自給率は三〇%でございますから、有事の際に対する備えがあるかと言われれば、これはもうまことにじくじたるものがありますし、実は私も農水大臣、通産大臣に就任以来、この食糧の自給率に大変に深い関心を持ち、また専門的にもいろいろ検討させていただいているところでございます。  そこで、先生今御指摘になりました木村尚三郎先生に会長をお願いいたしまして、現在、食料・農業・農村基本問題調査会で本年四月から各界の代表者に大変な議論を重ねていただいておりまして、恐らくこの十九日に中間取りまとめの結果をいただけるものと考えておりますし、来年夏を目指して本答申と、そういういろいろな御検討をいただいているところです。  今までの段階で申し上げますと、食糧自給率を政策目標として明示しその実現を図るべきであるという意見の方々と、その一方では、国民の食生活の内容次第で自給率は大きく変わるものであるので政策目標として掲げることは困難であるとの意見に分かれていると私たちは承知をいたしております。  品目別の生産目標の設定についても、同様に、その是非について議論が分かれているところでありますが、財政負担等も含めてこれからいろいろな角度から御検討いただき、私たちもお互いに、国民の皆さんに対する食のいわば安全保障といいましょうか、このことについては全力を傾けて対応していきたい、こう考えているところであります。
  21. 長峯基

    長峯基君 自治大臣にお伺いしたいと思います。  我が国の国土はその自然的気象条件から災害が起こりやすい状況になっているのであります。そのような中、農山村が農林業以外に果たしている公益的な役割、例えば国土保全、水資源涵養、大気調整、緑の環境、生態系維持など多面的な機能を有しているという意味で非常に重要な役割を果たしていると思うのであります。  大臣は長い間そのことを専門的に研究しておられるようでありますので、まず自治大臣のこのことに対する所見をお伺いしたいと思います。
  22. 上杉光弘

    国務大臣上杉光弘君) お答えいたします。  私は国家存立の基盤は国土だと思います。その国土を保全することは当然国家の責務であり政治の責任である、こう認識をいたしておるわけであります。  その前提を置いて申し上げますが、我が国の国土は実態論からいいますと極めて特殊な国土形成をしておる。二つ目には、特殊な気象条件というものがある、これは自然的な条件も含めて。国民がそのことを正しく認識しておるかというと、私はそうではないと認識をしておるわけです。  それは何かというと、我が国の国土形成というのは南北に細長い火山列島でございます。火山列島でございますから非常に山が険しい、急峻であります。山が急峻でございますからその山にはひだがいっぱいございまして、小川とか谷川とか河川どいうものが非常に多いわけでございます。しかも、細長い火山列島でありますから、雨が降りますと一瞬のうちに太平洋と日本海に降った雨が流れてしまう。この降った雨をいかに保水し貯水するかというのは、これはダムをつくればそれで事足りるというものじゃございません。この自然の摂理をしっかり維持管理していく、委員指摘の多面的な機能と役割はそこにあるわけです。  もう一つは、我が国の国土形成、火山国であるということを申し上げましたが、覆っておる表土が火山灰土でありますから、水分を含みますと土砂崩れを起こす土質を持っておるわけであります。したがいまして、自然の管理というものがしっかりいっておりませんとすぐ土砂崩れを起こしてそれが災害につながる。しかも、準亜熱帯地域に位置しておりますから非常に雨が多い。いつ災害が起こってもおかしくない状況にあるわけでございます。  このような国土、しかもその国土の七二、三%というのは山林、原野でございまして、農地を加えましても八割に及ぶような国土、地域を分けますとそういうことになろうかと思うわけでございまして、その国土の大宗をなす農山村というものが多面的な機能と役割を果たしておる。農山漁村というのは、まさにそれが展開しておる場でございます。このような多面的な機能と役割というものをいかにして有効適切に国土建設あるいは国民生活に持ってくるかというのは当然考えていかなければならぬことだと、こう思います。  基本的に、この前も大学の先生がお見えになりまして議論をいたしましたが、これらの公益的機能というか、多面的機能と役割というものは国民に正しく理解され評価されておるかというと、私はそうではないと思うんです。したがって、この事実を私どもが見据えていくとするなれば、なぜかということに原因を究明していかなきやなりません。それは、これらの多面的機能と役割というものが、定性的にはあらわされておるけれども、定量的にはまだ国民の前に示されていない。ですから、学術的にも新たな一つの分野の開拓というか、学説を持ってくるというのは当然私は必要なことではないかと、大学の先生方ともそういう議論をいたしました。定性的な評価から定量的な評価に持ってこなければならない。  それからもう一つは、都市と農山漁村というものは対立するものではございませんで、私は、より健全な都市住民の皆さんの生活は、それを取り巻くより健全な農山漁村の存在というものが必要だ、こういう認識を持っておりますがゆえに、農山漁村が持つ多面的な機能と役割というものは非常に大切である、あすの国づくりにこのことを無視して私はできない、こういう認識を持っております。
  23. 長峯基

    長峯基君 ありがとうございました。ぜひ自治大臣として積極的に御努力をいただきたいと思います。  次に、時間の都合もございますので、厚生大臣伺いたいと思います。  私は、流通問題については厚生委員会でも質問させていただきました。特例的なといいますか、国立病院の場合は法律がございますけれども、日赤病院あるいは済生会病院、日赤病院は全国で九十一病院ございますし、済生会病院は七十三ございます。それから社会保険病院、こういうところが医薬品の支払いが非常に悪いということでございました。ただ、社会保険病院に関しては貸し付けを行うことや銀行借入で支払いの改善が図られつつあるということでございます。  代表的な病院として日赤医療センター、それから済生会神奈川県病院、この二つの病院の買掛金残高と支払いサイトについて伺いたいと思います。
  24. 炭谷茂

    説明員(炭谷茂君) 先生ただいま指摘されました日赤医療センター、済生会神奈川県病院の関係でございますけれども、本年十一月時点で各法人に調べていただきましたところ、日赤医療センターの医薬品に関する買掛金残高は三十億八千万円、支払いサイトは八・二カ月、また済生会神奈川県病院の医薬品に関する買掛金残高は十一億五千万円、支払いサイトは九・一カ月であるとの報告を受けております。
  25. 長峯基

    長峯基君 ただいまのとおりでございますけれども、日赤病院というのは全国に九十一病院あるわけでございますが、私の調査では、支払いサイトが六カ月以上というのは二十七病院で、六カ月以上だけ見ると三百十五億円。それから、済生会病院は全国に七十三ございますけれども、支払いサイトが六カ月以上の病院が二十一病院ありまして、百四十億円の借金をしているということになっております。また、日赤病院では最高で十・九カ月、済生会病院では最高で十一・八カ月の支払いサイトになっております。ただいま御答弁がありましたように、日赤病院では最高三十億、済生会病院では十三億という買掛金残高があるわけであります。  つまり、厚生大臣はおわかりになると思いますけれども、病院は医薬品を購入する、そして、例えば十二月分は十二月に薬を患者に使うわけです。それは一月の初めに支払い基金に請求をいたしまして、二月の末に現金が入ってくる。つまり、十二月に使った薬は二月にお金が入ってきているわけです。ですから病院としては、卸屋さん、いわゆる医薬品問屋さんに遅くとも三月か四月には払わなきゃいけない。つまり、普通の正常な流通でいくと、医薬品を購入してから三カ月で支払う、しかし五、六カ月は仕方ないだろうというのが通常の正常な医薬品流通でありますけれども、これが十カ月にも一年にもなっている。つまり、医薬品の入ってきたお金を問屋に支払わずに経営の原資にしているというのが端的な実態だろうと思うのでありますけれども、このような現状について、非常に不公正な流通について厚生大臣はどのようにお考えになるか、御答弁いただきたいと思います。
  26. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 今御指摘お話のように、これは一つの慣行になっていると思うんですが、これは適切であるとは言いがたいと思います。病院と卸との力関係もそれぞれあるんでしょうけれども、今後、期間をできるだけ短くするように指導強化していきたいと思っております。
  27. 長峯基

    長峯基君 委員長もお医者さんでありますからちょっと質問しにくいんですが、お許しをいただきたいと思います。  実は、どことは申しません、どういう実態になっているのかなということで、先日ある日赤病院を私は訪問いたしました。それで、御指導をいただくつもりで行ったのでありますけれども、最初から病院長から文句を言われまして、こういうことなんです。  病院長の発言は、法的に違反しているなら訴えればよい、契約は昔から慣行的に不透明であったんだと。昔はお盆と正月に支払いするとか、越中の医薬品なんというのは一年じゅうに飲んだのを年末に支払うとか、こういうことがあるものですから不透明であったのだと。私は、病院と卸屋さん、医薬品会社ではやっぱり強者と弱者の関係だと思うんです、後で公取委にも聞きたいと思うのでありますが。卸業者が弱者と言うが、実際には利益を上げているじゃないか、一社もつぶれていないじゃないか、問屋がさまざまな値引きを行うのは医薬品に限ったことではなくてビール業界も一緒だ、だから同じだというようなことをおっしゃるんです。  私は、医薬品とビールとを一緒にしてもらったんじゃ非常に困るわけで、これは人命にかかわる問題でございますから反論しようかと思ったんですけれども、院長の後ろにずっと日赤の幹部がおられますので、院長に恥をかかせてもいけませんから黙って引き下がりました。私たちは金を払っていないわけではない、おくれている、だからローンと同じだとおっしゃるんです。ローンであればやっぱり金利を払うべきだと私は思うんです。  いろいろお話がございましたが、要するに、日赤病院というのは非常に多くの国民の善意に支えられている、それからエイズ治療にもかかわっているし、いろいろな緊急事態にもかかわっている。例えば、飛行機が落ちたらそこにお医者さんや看護婦さんをたくさんやらなきゃいかぬし海外援助もしなきゃいかぬ、ですから赤字てしょうがないんだ、当たり前だというような発言があったのであります。  私は、もうこの行革の時代にそういう発想では病院経営を任せるわけにはいかぬというふうに感じました、一方的な私の実体験でございますけれども。このような発言について、厚生大臣はどのようにお感じになるか、お聞きをしたいと思います。
  28. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 大変大きな時代の変わり目にありまして、今までよかったけれども、これからこのままのやり方でいいのかというと、あらゆる分野において見直しが必要な時代に来ていると思うのであります。  行政改革もしかりでありまして、病院経営あるいは薬と医院との関係もそういう点が多々あると思います。今までこうやっていたんだから当然じゃないかという時代ではないのじゃないか。そういう外から見ておかしいのではないか、批判されるべき点は関係者がしっかりと受けとめて、よそではそういう見方があるのかなと反省すべき点は反省して新しい時代に対応できるような改革が必要ではないか。今、委員指摘の病院と薬の卸の関係もその一つの方向で見直すべき点が多々あると思います。
  29. 長峯基

    長峯基君 前向きの御発言に感謝申し上げます。  それで、公正取引委員会来ていらっしゃいますか。この問題で、独禁法の関係でちょっとお伺いしたいと思います。  今、大臣にもお話をしましたけれども、病院と医薬品卸業者との関係は強者と弱者の関係であると思います。提示した条件をのまなければ取引を変える、あるいは納入した品物の購入代金について値引きをしなければ支払いに応じないなどの圧力を病院が卸業者にかける事例は公私の病院を問わず頻発しております。残念ながら、医薬品の取引については、正常な商習慣とはかけ離れたこのような抑圧的な取引条件が一般化しているのが現状だと思います。  そこで、病院は独禁法上の事業者及び事業者団体に当たるかどうか、御答弁いただきたいと思います。
  30. 上杉秋則

    説明員上杉秋則君) お答えいたします。  独占禁止法は、基本的に事業者の行為に適用されるということになっているわけでございます。法律の中で、「事業者とは、商業、工業、金融業その他の事業を行う」ということで定義されておりまして、病院の医療活動が業として経済活動を行っているというものに認められる場合には独禁法上の事業者に該当するということになりますし、また、病院の団体が「事業者としての共通の利益を増進することを主たる目的」としているもの、そういう団体であるということでありますれば、独禁法上の事業者団体に関する規定が適用されるわけでございます。
  31. 長峯基

    長峯基君 この一般指定十四項「優越的地位の濫用」という項目の第三号で、「相手方に不利益となるように取引条件を設定し、又は変更すること。」を禁じております。大病院は卸業者から見れば大口の顧客であります。したがって、取引の継続が困難になれば事業経営に大きな支障を生じたり、代金回収が著しくおくれたりすることも予想される。そのために病院側から不当に不利益となるような条件を提示されても卸業者はそれを拒むことが難しい。このような事態を一般指定十四項第三号に該当するかどうか、お答えいただきたいと思います。
  32. 上杉秋則

    説明員上杉秋則君) 今御指摘ございましたように、独占禁止法には、事業者が自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して、正常な商慣習に照らして不当に相手方に不利益となるような取引条件を設定する、こういう行為につきまして優越的地位の乱用行為として規定しておりまして、これは独禁法に違反する行為ということになるわけでございます。  今御指摘のように、病院の行為がそういう行為に該当するかどうかというのは規定上二つの要件がございまして、当該病院が取引先の医薬品の卸売業者に対しまして取引上優越した地位にあるかどうか、これが第一点でございます。それから第二点目は、その行為が不当に取引先卸売業者に対して不利益を与えているか否かという問題でございます。  取引上の地位の優越性というものにつきましては、病院に対する卸売業者の取引の依存度、それから病院の市場における地位でありますとか、取引先変更の可能性があるかどうか、医療品の需給関係はどうかということを個別具体的に見て総合的に勘案して判断を行うということになろうと思いますし、また行為自体の不当性ということにつきましても、正常な商慣行というものに照らしてどうかということを個別に判断する必要があるわけでございます。  お尋ねの件でございますけれども、病院側にこの独禁法で定めます取引上優越した地位が認められるということが前提になるわけでございますけれども、購入代金の支払い期日を大幅に遅くするというようなことを条件として取引をしているということでありますれば、それは行為の類型としては優越的地位の乱用行為に該当するおそれのある行為ではないかというふうに考えております。
  33. 長峯基

    長峯基君 例えば国立の場合は、支払い遅延防止法という法律がありまして、意識して支払いを遅くしたりという場合は懲戒免職を含めた罰則規定があるんですよ。だから、国立関係は大体二カ月から三カ月で物を買ったときは払わなきゃいけない、こういうことになっているわけでございますが、それでは一般指定第四号で、「第三号に該当する行為のほか、取引の条件又は実施について相手方に不利益を与えること。」を禁じております。  一般に卸業者は、納入した医薬品の代金を受け取ることができず、しかも代金受け取りの時期も明示されていないため著しく不安定な立場に置かれているのであります。代金の支払いが先ほどお話ししましたように十カ月とか一年近く滞っている例も少なくありません。このような事例は同四号に該当するとお考えになるかどうか、御答弁をお願いします。
  34. 上杉秋則

    説明員上杉秋則君) 今御指摘の一般指定の第十四項の第四号というのは、第三号の次に規定されている補完的な規定でございますが、考え方というのは先ほど説明いたしましたのと同じことでございまして、優越した地位が認められるか否かという第一の要件、それから正常な商慣行に照らして不当かどうかという二つの要件が必要なわけでございます。  繰り返してございますけれども、病院がその取引先の卸売業者に対しまして優越した地位にあるかどうかということが前提になるわけでございますけれども、購入代金の支払い期日を明確にせずに取引を行う、あるいは実際の支払いを大幅におくらせるというようなことでありますれば、行為の類型といたしましては、優越的地位の乱用行為に該当するおそれがあるのではないかというふうに考えております。
  35. 長峯基

    長峯基君 最後になりますけれども、不当な取引慣行が横行すれば公正な競争原理は機能しない、当たり前のことでございますが、医薬品の流れを透明、公正なものにするためにも市場構造を改善するためにさらなる努力が必要と考えます。  そこで、公正取引委員会としては、今後この問題にどのようにお取り組みになるおつもりか、伺いたいと思います。
  36. 根來泰周

    説明員根來泰周君) ただいま法律の解釈を申し上げましたが、今のお尋ねの話に焦点を合わせるわけでございませんけれども、一般的に申しますと、公正取引というのは私どもの役所の使命でございますので、それを最大限に念頭に置きまして適正かつ厳正にやっていきたい、こういうふうに考えております。
  37. 長峯基

    長峯基君 最後に厚生大臣に、今お話を聞かれたとおりでございますが、もちろん御存じと思います。薬価制度改正がどのようになるかというのはまだこれからだと思いますが、例えば今の薬価制度があるからあるいはこういうことになっている可能性も否定できません。やっぱり薬価差で病院が利益を上げていくというようなシステムを変えると、これはもう大臣のお考えも御一緒でございますけれども。  そこで、例えば参照価格になったとした場合には、納入価が即薬価でございますから、物すごく大きく変わってくるだろうと思うんですね、この医薬品流通も。それで、私はやっぱりそのときがチャンスだと思いますので、この卸業と病院にも契約書をぴしゃっと入れる必要があると思うんです。それで、今までのやつは、ある意味では固定化負債になるんですよ。もう負債が固定化している。しかし、新しい制度ができたときは、契約上ぴしっと三カ月とか半年でちゃんと払っていく。そして、この固定化負債というかたまった分については五年なり十年なり、それは長期的に払わないとしょうがありませんので、それはちゃんとまた卸側と相談をしてやる。  今、流通近代化協議会の中でもそういうことが話し合われておりますけれども、あくまでも強者と弱者の関係なんです。ですから、一卸屋さんが病院に行って契約書をつくってくれなんて言ったって、それはもう到底相手の応じることではない。  ですから、やっぱりここは厚生省あるいは公取がちゃんとそこを指導していただいて、今から二十一世紀に入っていくわけでありますから、新しい近代的な流通システムをつくっていく。そのことが医薬品産業が国際的に太刀打ちできるもとだと思いますので、ぜひ積極的なお取り組みをいただきたい。  最後に答弁をいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
  38. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 今までのお話にありましたように、確かに慣行というものを変えるというのには抵抗があると思いますが、今後、医療制度の抜本改革の中で、特に薬価制度の見直しというのも重要な項目として今改革を考えているわけであります。その見直しを契機に、今までの慣行というものは必ずしも適切でないと、今の御意見を踏まえまして、よりよい制度なり支払い制度等というものを検討させていただきたいというふうに考えます。
  39. 長峯基

    長峯基君 ありがとうございました。
  40. 上吉原一天

    上吉原一天君 自民党の上吉原一天でございます。  まず、公務員の組織、定数についてお伺いをいたしたいと思います。  私は、前回の決算委員会で、武藤前総務庁長官に、行政のスリム化への姿勢そしてどう取り組むのかという手順についてお尋ねをいたしました。その後、十二月三日、行革会議が最終報告を提出したわけでございます。  そこで、まず行政のスリム化につきましてお尋ねをいたします。  国民はこれにつきまして大変大きな期待を寄せているわけでございますけれども、報告をお受け取りになられました大臣がどのようなお考えをお持ちなのか、またこれに対しましてどのような姿勢で取り組む御決意なのか、お伺いをいたします。
  41. 小里貞利

    国務大臣(小里貞利君) 御案内のとおり、去る十二月三日に行政改革会議長終報告をいただきました。この間におきまする、一年有余でございますが、委員各位の大変な御努力をいただきまして、初めてでございますので、改めてこの席をおかりいたしまして敬意を表する次第でございます。  なおまた、今次の改革は、申し上げるまでもなく、二十一世紀に向けてより自由かつ公正な社会をつくり上げていくためには将来の日本はどうあるべきか、基本的に見据えまして、肥大化した、そして硬直化した、あるいはまた制度疲労化しているよと言われる現在の政府組織を思い切って改革しなけりゃならない。同時にまた、御承知のとおり、縦割り行政あるいはまた国政の重要課題に、戦略的で、かつ簡素に、そして効率的に、しかも透明性を保持しながら対応できる行政システムをこの際果敢につくり上げていかなけりゃならない。そういう一つの原点から始まったものであること、御承知のとおりであります。  最終報告におきまして、特に特徴点を、さまざまございますけれども、二つ三つとらえて申し上げますと、その一つは、将来の戦略を見据えた新たな省庁編成の実現と現行省庁の果敢なる半減である、これが一つであると思う次第です。もう一つは、やはり政治のリーダーシップが大事でありますよと、これはもう御案内のとおり世論が沸騰いたしております。したがって、政府として戦略性、総合性を実現するための内閣機能の強化が必要であります。三つ目には、御承知のとおり、郵政事業等を初め独立行政法人の創設など行政の効率化、あるいはまた官民の役割分担、民間にゆだねられるべきものは思い切ってゆだねる。さらにまた、地方分権の強化などによる行政の徹底的な一つの軽減であったと、減量化をきちんと示しておる、さような以上の三つを要点として整理して申し上げる次第でございます。  最後に、先生からお話がありましたように、幾らきれいな絵をかいてもこれを実行しなければ、これはもう本当に大きな問題でございますから、きちんと国民世論にこたえまして、厳粛に、そして率直にこれを実行に移すべく鋭意努力をするべきであると、さように心得ておるところでございます。
  42. 上吉原一天

    上吉原一天君 ただいまのお答えにもありましたように、絵はできたわけでございます。それをいかに実行するかがこれからの課題でございますが、最終報告では定員の削減につきましてこう書いております。「省庁の再編と事務・事業の減量、効率化方策の実施に対応し、定員の大幅な削減を進める。」、こうしておるわけでございまして、具体的には国家公務員の総定数を二〇〇一年度からの十年間に少なくとも一〇%削減する、こういうことでございます。  私は、行政のスリム化は、地方分権、規制緩和、民営化、事務事業の廃止・合理化、そして二重行政の排除、こういったことなどによりまして実現をするものだというふうに考えるわけでございますけれども、この定員削減目標達成のために、今申し上げましたような主な事由ごとにどの程度の削減数が可能なのか、これをお示しいただきたいわけでございます。
  43. 小里貞利

    国務大臣(小里貞利君) 二つの視点からお答え申し上げなければならないかと思うのでございます。  その一つは、ただいま行政改革というこの幕開き、具体的な一つの端緒をつかんだこの段階におきまする定数の削減等はどうあるべきかということに対しまする行政改革の取りまとめの一ページでございますが、ただいまお話がございましたように、二〇〇一年、早ければ実行を期待申し上げますという改革、省庁再編、そしてそれから十年計画で数値や云々でございますということが記してあるのでございます。これは算定基礎から申し上げますと、率直に申し上げまして、一府二十一省庁を前提にいたしまして、表現としてはいかがかと思いますが、そういう一つの感じになっておる算定根拠であるということであります。  言葉をかえて申し上げますと、いよいよこれから改革推進基本法等を定めまして、国会の御裁断を仰ぎ、そしてまた各省庁の再編等の関連する法律等を逐次御相談を申し上げる段取りでございますが、それらの作業が進んでまいりまして、一府十二省庁が実行されるという前提に立ったお問い合わせの数値ではなかったということをまず御理解いただきたいと思う次第でございます。  くどいようでございますが、現行制度におきまして行政の簡素化、スリム化、定数削減は厳粛に求められておりますよという意味におきまして、とりあえず平成十年度におきましては、例えば現業を除きまして大体三千二、三百は縮減をいたします、あるいはまた二〇〇一年が来たらば現行制度を前提にして十年間で一〇%という数値を出したのでございますが、これは極めて現行制度を率直に基礎に置いた一つの推計であります。言いかえますと、一府十二省庁が始まったときには徹底的に、積極的に関係各位の御意見などをお伺いしながら、その実施された制度のもとに縮減計画は抜本的なものがダイナミックに出てこなければならないものだ、さように認識をいたしておりますから御了承をいただく次第でございます。  もう一つお尋ねの各項目ごとの、例えば民間にゆだねるべき事項、あるいは地方分権に値する事項、あるいは特殊法人等の構築によって効果が出てくるそれらの数値についてはどうかというお尋ねであったかと思うのでございますが、まだその辺の具体的算定を整理するに至っていない状況でございます。先ほど申し上げましたように、法制上の、あるいはまた国会審議などの御判断を逐一いただきまして、その進展ぐあいに応じまして積極的にその数値も国民の皆様方に明らかにいたしまして、今次の行政改革にかける一つの大きな志、あるいはまた国民に還元せられる行政改革の方向性というものなどを明瞭にしていかなければならないものだ、さように認識をいたしております。
  44. 上吉原一天

    上吉原一天君 積極的な取り組みの姿勢は見えるわけでございますが、なかなか具体論に踏み込めないというお話でございます。  現在のこの数値は一府二十一省庁、現在の省庁の定員の中から割り出したものだというふうにお考えのようでございますが、地方分権、これは昨年第一次勧告が出ましてもう既に一年以上たっているわけです。ですから、これからどの程度職員数が減るのかというのでは大変遅いんじゃないかと思うんです。第二次勧告、七月ですよ。もう半年たっています。  そういう意味で、国会審議を見ながら進めるということでは大変遅いのでして、そこは早急に取り組んで具体的な目標値を持っていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  45. 小里貞利

    国務大臣(小里貞利君) 私の先ほどの説明があるいは不十分だったかと思うのでございますが、また訂正を含めまして申し上げたいと思うのでございますが、先生が今お尋ねになりましたのは当面の縮減計画をお話であろう、さように認識申し上げます。  私が先ほど申し上げましたのは、行政改革に基づく縮減計画というものは一府十二省庁を前提にするものでございますが、それらについてはこれからの法制定作業あるいは国会の判断と御了解等をいただきながら順次これを旺盛な気持ちを持ってきちんと御期待に沿うようにいたします、さように申し上げた次第でございます。  ただいまの先生お話は、当面いわゆる既存の組織、そして規定の方針に基づく縮減計画とはどうなのかというお話であろう、こういうふうに整理させていただく次第でございますが、そうではございませんか。
  46. 上吉原一天

    上吉原一天君 違う、違う。
  47. 小里貞利

    国務大臣(小里貞利君) ではもう一回、ひとつ恐れ入りますがお聞きいただきたいと思うのでございますが、私が先ほど平成十年度三千二百から三千三百と申し上げました縮減の数値なるものは現業含めての話でございますので、御了承いただきたいと思います。
  48. 上吉原一天

    上吉原一天君 私は、当面の対策というのはまた後で御質問したいと思うのでございます。  将来の二〇〇一年スタートの改革がありますけれども、これについてどういう取り組みで、これは一遍に実現するわけじゃありません、十年間長い間かかります。そうすれば、きちんとした具体策を立てながらやっていかなくてはいけないのではないかというのが基本姿勢なんですね。ですから、今まだわかりませんというのでは困るわけです。  しかも、先ほど申し上げました地方分権については既に一年近くも勧告がある。そうしますと、どの事務がどの程度減るというのはもうある程度明瞭になっているわけです。それがどうなるかわからないというのは、各省庁とやり合って、この地方分権の勧告は実現できない場合もあるということなんでしょうか。そこが問題だというわけです。やはりそれを前提にして組み立てる。もちろん省庁再編も一府十二省庁ができるかどうかというのは、できるわけでしょう、やるつもりなわけでしょう。ですから、それを踏まえた上での計画をお示しいただきたい、こういうことなんです。
  49. 小里貞利

    国務大臣(小里貞利君) 議員の一府十二省庁を前提にした具体的切り込みをお話しいただきまする積極的な姿勢には敬意を表するものでございます。当然、私どももまた劣らずそのような意気込みで対処しなけりゃならない、さように自覚をいたしております。  現段階におきましては、御承知のとおり今最終報告をいただいた直後でございまして、数日前から行政改革の最終報告を基本にした具体的中央省庁の編成についての準備に取りかかったところでございます。そしてまた、準備室も実はきのう門札がけもいたしまして、いよいよ作業が始まったところでございます。あるいはまた、総理大臣委員長にいたしまして、各閣僚委員をもって準備委員会も組織をいたしました。  そのようなことで、今先生が積極的に求めておいでになるかかる課題に対しましても、基礎的にこれから行革の求める方向に向かいまして、各分野ごとに詳細なる精査をいたしまして、そして一府十二省庁の大きな組み立ての中に既存の一府十二省、一行政委員会、八庁の形にあるものを取りまして、そして新しい一府十二省庁の升の中にどういうふうに徹底的な加除修正を加えながらはめ込んでいくか、その辺の各省庁ごとの機能、仕事量、あるいは規模、人員等も必然的に淘汰され、整理されてくるものである、さように思っております。  そのような状況でございまするので、いましばらく私どもも集中的に、おっしゃるようなことも十分注意しながら作業を進めてまいりまするので、大いにひとつ御検証をお願い申し上げたい、さように思っております。
  50. 上吉原一天

    上吉原一天君 わかりました。やはり地方分権と規制緩和というのは車の両輪というふうに書かれておりますので、ぜひそのような取り組みをお願いいたしたいというふうに思います。  この中では、あわせて本省の内部部局の局課の数も削減するというふうにされているわけですけれども、これらはどのような基準によるものなのでしょうか。また、現在、局課の設置基準があるのかどうか、あればその内容をお尋ねしたいというふうに思います。
  51. 河野昭

    説明員(河野昭君) 私から、初めに局課の設置の基準があるかというお問い合わせに対してお答えしたいと思います。  一言で申し上げれば、いわゆる基準というものはございません。ただ、具体的に設置の審査をするときには、一つは事務の質でございます。その事務自体の重要性、困難性あるいは継続性、そういうものがどうかというのが一点でございます。それから二点目は、当然のことながら事務の量でございます。事務量がどのぐらいあるかということでございます。それからもう一つ重要な点は、それらの事務をどのレベルの者が束ねるべきか、それは局長レベルなのか課長レベルなのか。そういうことを総合的に吟味しまして、設置の是非について個別具体的に判断しているということでございます。
  52. 小里貞利

    国務大臣(小里貞利君) 今、事務局の方からお答え申し上げましたような一つの手続によるわけでございます。ただ、このようにまさに百年の大計でございますから、行政の経験あるいは行政の伝統、あるいはまた誇り高きと申し上げていいんじゃないでしょうか、それぞれの職員の皆様方の愛着もあると私は思っております。  しかしながら、先ほど申し上げましたように、現実的に今日の社会経済情勢の中で政府として果たすべき役割というものもあると思っております。したがって、客観的に、あるいはまた私ども政治の一つの視点から勇気を出して、経験者の諸君ともこれをお互いに胸を開いて協議しながら、そして大胆に整理していく必要があるとさように思っておる次第でございまして、御理解いただきたいと思います。
  53. 上吉原一天

    上吉原一天君 現在、局課の設置基準がないというお話でございます。設置法が改正になりますと、法律事項は法律で、政令事項は政令でというふうに整理されるんじゃないかというふうに思いますけれども、これは各省と折衝しまして、今言ったような抽象的な事務量の算定、事務量はきちんとした数字が出るかもしれませんが、そのほかに職務の困難性、レベルの云々と、こうありました。非常に国民にははっきり見えない形で局課が設置されるということにつながるのではないかというふうに思います。  今、国民が知りたがっている情報、どういう基準で設置されたのか、この辺を明らかにして今後取り組むべきだというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  54. 小里貞利

    国務大臣(小里貞利君) 議員が御指摘になるのはもっともなお話である、こう思っております。したがいまして、局を幾ら減らせるのか、あるいは新しく設置される一つの省は、局数は、部数はどういうふうに国民から見て目に見えるように削減されてくるんだろうか。では、その削減する根拠、基準はどういうものなのか、これらはいずれ早い時期に明確に示して、政府内外の皆さんの御理解をいただかなけりゃならないと、私はさように思っております。  当面、先ほど答弁いたしましたように、まだ始まったばかりでございまして、中央省庁再編を推進するための基本的な母法と申しましょうか、基本法を今からとりあえずつくって、そして国会に相談いたしたい。そして、国会の承認を得たなれば、同時に各省庁の設置法の創設にかかります。そういうような基幹的手続も背景にしながら、できるだけ取り急いでまいらなけりゃならない、さように思っております。  また、そのような具体的作業に入りましたときには、国会を初め、内外の皆さんの自由闊達な議論もまたお聞かせいただきたいと、さように思っております。
  55. 上吉原一天

    上吉原一天君 こういう大改革なわけです。国民が知りたがっていることはきちんとする。また、従来のように役所同士の話し合い、折衝、こういうことで決まって国民に明らかにされない、そのままお蔵入りということでは困るわけでございますから、ぜひ明確な基準国民にわかりやすくお示しをいただきたいというふうに思います。  では次に、当面の問題をお伺いいたしたいと思いますが、定員削減につきまして、来年度の問題でございます。  前回お聞きいたしましたらば、生首を切るような定員削減はしないと、こういうことでございました。これは一つのもっともな考え方だというふうに思いますけれども、定数削減は、ある程度やはり分限免職をしませんと時間がかかる、期間が要るということでございますので、もう来年度から早急に取り組まなくてはいけないというふうに思います。来年度の定員査定につきまして、退職者の欠員不補充あるいは新規採用の抑制などの措置を講ずるべきであるというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  56. 河野昭

    説明員(河野昭君) 先生も御指摘でございますが、行政のスリム化、特に公務員の定数の削減、何も二〇〇一年を待つことなくその前にもう徹底的にやるべきであると、実は小里大臣からも全く同趣旨の御指示をいただきまして、現在鋭意作業を進めているわけでございます。  端的に申し上げますと、昨年は増員縮減の差、三角純減が二千二百十九ということでございましたが、大臣からの御指示は、十年度についてはこれを大幅に上回るようなしっかりした定員の縮減をするようにという御指示でございまして、現在、縮減については一人でも多くと、あるいは増員につきましてはもう本当に真に緊要性のあるものに絞ってということで、純減数を大幅に上乗せしたいと考えているわけでございます。  なお、先生から欠員不補充あるいは新規採用というお話がありましたが、これにつきましては、各省定員が減りますれば、当然不補充ないし採用の抑制ということで対処すべきもので、これについては、個別に各省が与えられた定数の範囲内で適切に対処していくというふうに考えております。
  57. 上吉原一天

    上吉原一天君 その各省が与えられた範囲内で適切に対処するというのが問題なんです。  この前、九月四日に私が質問したときに、あなたの答弁でこういうのがあるんです。現在の定員管理に当たっては、各省庁の削減可能数を原資として、という言葉ですね。私は、この原資という言葉、こういう考えであれば、これは原資なんだから出資者に当然返すという考えにつながってくるんじゃないか。安易に増員を認めるという考えにつながってくるんじゃないかというふうに思いますけれども、これでは幾らやっても行政のスリム化にはつながらないというふうに思いますし、また各省庁任せで政府全体の均衡のとれた定員管理ができるんですか。お尋ねをいたします。
  58. 河野昭

    説明員(河野昭君) 私ども、日ごろいわゆる定員削減をやりまして、それを原資として増員をするというふうに御説明しているんですが、その御説明が削減数があるのであるから増員は甘くなるというふうに御理解されるようでしたら、それは大変私ども説明ぶりが不十分でありまして、申しわけないと思います。  先ほども例に挙げましたが、九年度につきましても、いわゆる縮減数が八千四百十三でございます。これに対しまして、決してこの数字が大きいから増員を甘くするということではございませんで、増員を極力絞った結果ネットの減が出ている、それは今後とも同じでございます。  それから、各省任せということはけしからぬという御指摘でございますが、これはあくまでも定員を幾らというのは私どもが各省共通して管理しているわけでございます。その中で採用をどうしていくのか。結局、定員を超えては職員は採用できないわけですから、その中でどういう採用をしていくのかというのはこれは各省の御判断、そういう趣旨で御説明したわけでございます。
  59. 上吉原一天

    上吉原一天君 そうすると、政府全体を通じて欠員の不補充あるいは新規採用の抑制という指導あるいは閣議決定なりは行わないと、こういうことですか。
  60. 河野昭

    説明員(河野昭君) 新採抑制については、御承知のように1種につきましては政府として三割縮減という閣議決定はしております。ただ、この閣議決定の趣旨は、実はいわゆる定員の総数を減らすということだけではなくて、もっと別な観点もあったかと思います。  なお、前々長官でございますが、武藤長官の際に、各省庁として今後二〇〇一年に向けてどうしても公務員は縮減していかなきゃ、全体として数を減らしていかなきゃいけないので、各省庁、新採抑制に協力願いたいというお願いはしたことがございます。  繰り返しで恐縮でございますが、いずれにしても定員の管理を厳しくして各省の定数というものを絞っていけばおのずから採用も絞られる、そういう関係になっているわけでございます。
  61. 上吉原一天

    上吉原一天君 一層の努力をお願いいたしたいと思います。  では次に、来年度の今度、組織の方ですけれども、やはり組織もこれは徹底した減らしという報告が出たわけですから、来年度はまさか増加することはないと思いますが、この辺どうなんでしょうか。  従来ですと、組織のときにはスクラップ・アンド・ビルドということで一つ減らせば一つプラス、差し引きゼロ、こういう形が非常に多いわけです。これではこれから取り組みが足らないというふうに思うわけでございますけれども、いかがでしょうか。
  62. 河野昭

    説明員(河野昭君) 先ほど局課というお話もございましたが、例えば局につきましては、昭和五十四年に外務省に中南米局というものを新設したことがございますが、それ以降いわゆる増設というのは一切ございません。  ただ、それ以外の課等につきましては、やはりそれは硬直的になってはいけないわけで、その時々の行政需要、その変化に応じて対応しているわけでございます。その際は、今先生からお話もありましたように必ずビルドするときにはスクラップするということで、少なくとも組織全体が膨張しないようにということを私ども審査基準にしております。
  63. 上吉原一天

    上吉原一天君 来年どうなるか余りはっきりわからなかったんですが、時間がないので次に移りたいと思います。  今度は地方の方の問題ですけれども、国の行財政改革に合わせまして地方の方も同様の努力が求められておりますが、自治大臣は地方の行財政改革につきましてどのような決意でこれに当たろうとしているのか、お伺いをいたします。
  64. 上杉光弘

    国務大臣上杉光弘君) お答えいたします。  今回の改革は、行財政改革それから地方分権の推進、それを受ける地方行政体制整備という、これは表裏一体のものだと私は思っております。そのような意味から地方の行革というものを進めるためには、行革がどういう行政になるかで財政対策も当然考えていかなきやなりません。あわせて地方分権の推進ということになれば、それなりの対応というものがそこには当然必要である。また、そういう意味から申し上げますと、総理は常々言っておられますが、今度の改革は普通の改革じゃないんだと、行政改革は。  御案内のとおり、江戸時代、徳川幕藩体制がなくなりまして、すなわち廃藩置県が行われました。以来、一貫して我が国は縦の姿というか、国県、市町村という中央集権というものがどんどん整備をされて、縦の系列という行政化が成り立って今日を迎えていることは御案内のとおりでございます。これを総理の言をかりるとするなれば、国も県も市町村も横並びだ、縦じゃないんだ、こういう総理の気持ちというものがこの行政改革にはあるわけでございます。したがって、地方分権推進というものは極めてそういう意味では私は意味を持つものだと考えております。  そのような認識でこの地方分権の成果も十分上げなきゃなりませんし、また分権するわけですから、地方公共団体行政体制整備とあわせてより効率的な行政が推進できますように、これは積極的に自治省としては支援もし、御指導も申し上げ、自主性というものを十分踏まえて対応してまいりたいと考えておるわけでございます。地方行革の新たな指針というものを策定いたしまして、そのような実施計画の策定とか数値の目標の設定等によりまして、これらをまた住民の皆様にもわかりやすいような形でオープンにいたしまして進めていかなければならないものと考えておるわけでございます。  財政的には、細かなことは申し上げませんが、行政改革を進め地方分権を進めましても地方が困ることのないように、一口で言えばそのようなことに全力を挙げて取り組んでまいらなければならない、このように考えておるところでございます。
  65. 上吉原一天

    上吉原一天君 国の組織改編に伴いまして地方の方の組織がどうなるのかということでございます。  地方の組織は、従来ややもすれば国の縦割り行政の流れをくんだ仕組みになっておるわけでございます。もちろん企画部などといいまして、独自の創意工夫もあったわけでございますけれども、大半が縦割りの中での組織ということでございますので、今後、地方分権が進む中で地方の創意工夫が生かされなければならないというふうに思いますけれども、どうなんでしょうか。どういう指導を行うのか、お尋ねをいたしたいと思います。
  66. 松本英昭

    説明員(松本英昭君) 委員指摘のように、地方の特に都道府県の行政組織というのがとかく国の縦割り行政を反映したものであったということはよく言われているところでございます。  そういうこともございまして、平成三年にいわゆる地方自治法に定めておりました都道府県の行政組織、局部の例示というのがございました。いわゆる標準部局制と呼んでいたものでございますけれども、これを廃止いたしました。そして、地方公共団体が自由に組織を組み立てることができるようにしたところでございます。あわせまして、本年には、その法定局部数を超えた局部を設けます際に、自治大臣協議にいたしておりましたのを廃止いたしまして、届け出制に改めるということにいたしているわけでございます。  これらは、今委員も御指摘になりましたように、いわゆる国の縦割り行政の都道府県への浸透というものをできるだけ緩和し、かつ地方団体が自主的にみずからの組織を組み合わせができるように、構築できるようにと、そういう観点から行ったものでございますので、これからの地方分権の推進に伴ってますますその効用は発揮できるのではないかと思っているところでございます。  行政改革会議の最終報告に基づきまして、中央省庁は一府十二省庁に再編されることになっておりますが、地方公共団体におきましては、単に国の組織に倣うというよりは、もちろんこの組織の大ぐくりという点にも留意をしながらでございますけれども地域の総合行政の視点とか、あるいは機能、機動的な対応という視点とか、またもちろん簡素効率化という視点、そういう視点に立って組織、機構を編成していくようにすることが重要ではないかというように考えているところでございます。  次に、定員は後でございましたか……
  67. 上吉原一天

    上吉原一天君 今お話がありました定員についても当然要請があるわけでございますけれども、スリム化、これは大変だと思います。  特に、地方の場合は政令でもって定数が決まっているというのも多いわけでございますし、また必置規定などがありましてどうしても置かなくちゃいけないというような職務もあるわけでございますから大変だとは思います。それでもやはり国がスリム化して地方が太った、プラス・マイナス・ゼロでは国民は納得しないわけでございまして、当然地方もスリム化の要請はあるわけでございますから、この辺どういう取り組みをするつもりなのか、具体的にお伺いをいたしたいと思います。
  68. 松本英昭

    説明員(松本英昭君) 地方公共団体の定員の問題は、今委員も御指摘のように、地方公共団体現場において事務を実行していくという役割が非常に大きいことを考えますと、国と同じようにはなかなかいかない面があるという点は否定できないと思います。しかしながら、この現下の大きな課題であります国、地方を通じた行政改革ということを考えてまいりますと、地方公共団体においても当然定員の抑制ということに努めてまいらなければならないわけでございます。  そういうことで、今後、介護保険の導入等新たな行政需要に伴う業務量の増加、こういうものはこういうものとして適切に対応してまいります一方で、この地方分権の進展等に伴いまして国からの関与というものが緩和されますから、地方公共団体においてそれだけ自主的に対応できる分野がふえるわけでございますし、国庫補助負担金の整理合理化あるいは必置規制の見直しなどによりまして、事務の簡素効率化ということも期待できるのではないかというように考えているところでございます。  そういうことで、自治省は、先ほど大臣のお答えになりました新しい行政改革の指針におきまして、定員適正化計画を見直す、そして定員適正化計画にしっかりと数値目標を定めていただくということをお願いいたしております。これまで以上に積極的に定員の縮減、増員の抑制には取り組んでまいりたい、かように考えているところでございます。
  69. 上吉原一天

    上吉原一天君 次に、赤字削減の関係と地方債の問題についてお伺いをいたしたいと思います。  まず、財政構造改革の目標の国、地方をあわせた赤字削減の問題と、地方へのしわ寄せの可能性の問題でございます。  先日成立をいたしました財政構造改革法におきましては、当面の課題として、平成十五年度までに国及び地方の財政の財政赤字の対GDP比を三%以下というふうにするとされております。しかし、この中では、国、地方がそれぞれどれだけ財政赤字を削減するかということは明確にされておりません。  政府の資料によれば、平成九年度の財政赤字の対GDP比は五・四%でございまして、このうち国が三・四%、地方が二・二%、重複分、これは交付税特会の借り入れ分ですけれども、〇・二%というふうになっておりまして、この国、地方の財政赤字の比率で目標値であります三%を案分しますと、国が一・九%、地方が一・一%となるということでございます。そして、これを実現するためには、国の場合に一年当たり均等で〇・二五%の改善、地方の場合には〇・一八%の改善が必要ということでございます。  お尋ねしたいのは、この国と地方の責任分担割合、これは閣議決定などによりまして政府の確定した目標値となっているかどうかということでございます。  来年度の予算編成を目前にいたしまして、二〇〇三年度までの赤字国債の発行額の削減ベースを一定にするという計画が初年度である来年度には予定どおりにならないという一部の観測も出ているわけでございます。この見方が正しいのかどうか。これは先送りになるわけですから後年度の実施になるというふうに思いますけれども、万が一国の方が期間内にその目標値、責任を果たせなかった場合には結果的に地方の方にしわ寄せをしてくる、こういうことはないと思いますけれども、地方自治体の方ではそういう懸念をたくさん持っておりますので、この点につきまして大蔵大臣にお伺いをいたしたいというふうに思います。
  70. 藤井秀人

    説明員(藤井秀人君) 若干計数の問題もございましたので私の方からまずお答えさせていただきたいと思います。  先生おっしゃいましたように、先般成立させていただきました財政構造改革法におきましては国、地方を通ずる財政赤字の対GDP比を平成十五年度までに三%以下とするということが規定されております。今おっしゃいました数字につきましては、この財政構造改革の内容議論いたします財政構造改革会議におきまして去る五月二十八日提出された資料に基づく数字と理解をいたしております。  内容的には、先生おっしゃいましたように、現在、平成九年度の国及び地方の財政赤字の対GDP比、これを前提といたしまして、かつ平成十五年度を三%といたした場合の国及び地方の財政赤字の縮減幅がどうであろうかということで、今おっしゃいましたように、国におきましては一・五%の改善、また地方におきましても改善を行っていくということで、仮にこれを前提といたしまして均等に改善をいたすといたしますと、国におきましては毎年度〇・二五%の財政赤字の縮減が必要である、また地方におきましては〇・一八%の財政赤字の縮減が必要であるということでございます。  いずれにいたしましても、これらの目標に向かいまして、困難な目標ではあるわけでございますけれども、国、地方一体となって財政改革をやっていく必要があるというように考えております。
  71. 三塚博

    国務大臣三塚博君) ただいま政府委員が答弁いたした数値に向けて、お互い法律の定めるところにより全力を尽くすということでございます。  既に委員も御案内のとおり、財政構造改革会議企画委員会、十月一日に試算を発表し、国会にも、委員各位にもお配りを申し上げたところであります。平成十五年度、二〇〇三年度までの財政事情を一定の仮定のもとで計算をしたものであります。  本試算は、改めて申し上げますが、十五年度までに特例公債から脱却するという財政健全化目標を踏まえまして、十年度の特例公債発行額は九年度の発行額から機械的に一兆二千五百億円を減額した額を仮置きいたしておるところであります。  なお、本試算はこのような機械的な減額を仮定しておりますが、実際の公債発行額は毎年度の予算編成におきましてそのときの経済事情や財政事情に応じて決定されることは御承知のとおりであります。  本法律に示されました当面の目標達成に向けましては、毎年度確実に公債発行減額を進めていく必要があると考えております。  また、一つの仮定として委員からは、地方の財政にしわ寄せをしてとり行うのか、こういう御質問でありますが、まさに国と地方は車の両輪で、地域、国家、国民のために全力を尽くしておるところでございます。  そういう観点を踏まえながら、この法律も、構造改革の当面の目標である国と地方の財政赤字のGDP三%以下の達成のために、国が構造改革を推進する責務を有するだけではなく、その達成に資するよう地方公共団体も国と呼応しまして、及び並行して財政構造改革に努められ、財政の自主的かつ自律的な健全化を図るものといたしておる趣旨を踏まえて、国と地方は別個の財政主体でありますけれども政府としては個々の地方公共団体の適切な財政運営を期待いたしておるところであります。  また、地方財政計画における地方一般歳出を十年度については対前年度比マイナスとしております。その後も抑制する旨規定し、政府としてはそのために適切な行政上また財政上の措置を講ずることといたしたところであります。  財政健全化目標の達成は容易な道ではございませんけれども、この法律の基本を踏まえ、てことして、国及び地方公共団体一体となりまして財政構造改革を強力に推進して目的達成に資していかなければならない、こう考えておるところであります。
  72. 上吉原一天

    上吉原一天君 丁寧な答弁をいただいたわけでございますけれども、余りはっきりしなかったんです。  じゃ、国と地方の責任分担割合というのは決まっていない、こういうことですね。  それから、これをやるには国と地方一体でやっていく、こういうことでございますけれども、国と地方は車の両輪ということは今まで何遍も何遍もあらゆる場所で言われてきました。しかし、国が苦しいと必ず踏み台になるのは地方なんです。だからはっきりしなければいけない、こういう質問をしているわけでございまして、国と地方一体というのはもういいんです。ですから、はっきり国の責任はこれ、地方の責任はこれ、これを示してください。
  73. 三塚博

    国務大臣三塚博君) これは委員指摘をされましたとおり、また政府委員からも申し上げましたとおり、今日は五・四%、これを分類しますと、御説のとおり三・四であり、地方は二・二と。今後これを達成するということになりますと、最終六年度に国が一・九、地方が一・一、この改善を達成することによって健全化目標の三%が完成をいたします。この分をお互いが両々相まちまして、行政府という意味では同格でございますから、自治体と国がリストラを取り進める。  ただいま御質疑ありました定員の問題、行政改革の問題、これは独自の視点で国の行政改革の基本的な理念も御参考にいただきながら、分権、あるべき地方自治体の姿として道州制というようなことなども真剣に論議をされておる昨今でございますから、それらに向けての視点の中で今後に対応されていくものであろうと思います。
  74. 上吉原一天

    上吉原一天君 大蔵大臣のお答えをいただきましたが、自治大臣はこの問題についてどうお考えですか。
  75. 上杉光弘

    国務大臣上杉光弘君) お答えいたします。  財政構造改革の推進に当たりましては、たびたび申し上げておりますように、国、地方を通ずる財政の健全化を図る観点から、国と地方双方の歳出抑制につながる施策の見直しということは極めて重要なことだと認識をいたしております。  国から地方への負担転嫁のこと、すなわち国の方から地方にしわ寄せがあるんじゃないかという御心配を含めての御指摘でございますが、負担転嫁というか地方にしわ寄せが行われるようなことは本来の行政改革の正しい姿ではない、このように私は思っておるわけでございまして、このようなことは行われるべきではない、申し上げるまでもないことでございます。  また、地方は国が決めた補助事業等を受け入れる行政体でございますが、したがって国が国債に依存しております今日の財政体質を一日も早く脱却するための財政構造の改革でもございますから、それに伴う地方も当然それに合わせてやらなきゃならぬことでありまして、現状いかに地方も国に合わせて地方債に頼らなくてもいいような状況に持っていくかということについて、これを念頭に置きながら対応してまいりたいと考えております。
  76. 上吉原一天

    上吉原一天君 自治大臣の方からも、国、地方を通じて一体となって頑張っていくということでございますが、その一体がくせ者ですから、大臣、心して取り組んでいただきたいとお願いをいたしまして、終わります。
  77. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十八分休憩      —————・—————    午後一時一分開会
  78. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成七年度決算外二件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  79. 海野義孝

    ○海野義孝君 平成会の海野義孝であります。  本日は大蔵大臣経済企画庁長官、御多忙のところをお出ましいただきまして、大変ありがとうございます。  きょうの私の質問する問題意識は、しばらくまたお二人には来年の常会までお会いする機会がありませんので、最近の状況についてまたいろいろと御意見をお聞きして、今後の対応について考えさせていただこう、こういうことでございます。  昨日の新聞にも報道されましたけれども、日銀の短観が発表になりました。これは長官の御所管ではございませんけれども、当然経済関係ですから把握なさっていらっしゃると思いますので、そのことも踏まえながら御答弁いただければありがたいと思うんです。  今回の昨日発表の日銀短観は、昨日テレビを見ておりましたら、十一月の半ばから十二月の十日ぐらいに、上旬にかけて調査した結果をまとめて発表したものである、このように聞いているわけでございますけれども、それとあわせ、実は先週ですか、十二月の月例経済報告が発表になりました。  そういったものを通じまして、一般新聞等のコメントも、先月の月例経済報告から一カ月経過し、あるいは新たに三カ月前と比較した今回の日銀短観が発表になり、こういった面で新聞等マスコミは、その間また一段と経済の実勢は厳しくなっているというようなことを報道しているわけでございますし、発表になったそういったものをうかがう範囲では、数字の上から見ましても確かにそうかなというように私も感じます。そういった点では、これから年末年始にかけてあるいは金融機関等の年度末にかけて大変だなというような感じを持つわけでございます。  そこで、まず尾身長官に、今申し上げたようなことを踏まえて、景気の状況あるいはまた今後についてどのような御所見をお持ちか、最初に承りたいと思います。
  80. 尾身幸次

    国務大臣(尾身幸次君) 最近の景気の現状でございますが、設備投資につきましては、設備の過剰感が薄れていること等を背景といたしまして、製造業を中心として多少増加傾向でございます。それから、輸出は御存じのとおり順調に伸びているということでございますが、しかし他方、個人消費が経済の先行きに対する信頼感が低くなっていること等によりまして足踏み状態にある。住宅建築は、消費税の引き上げの反動減ということがまだ続いておりまして、最近はやや下げどまっているという感じがいたしますが、依然として弱い動きになっているということでございます。全体として、こういう状況を背景として、生産は弱含みに推移をしているという状況でございます。  ただ、昨今、この日銀短観にも示されておりますように、最近の株価の動向とかあるいは金融機関の破綻とか、アジア経済状況の激変というような状況を背景といたしまして、家計や企業におきまして景況感に非常に厳しさが増している、そういうことがまた消費や投資にも影響をしているという可能性がございまして、景気はまさに足踏み状態を続けているというふうに考えております。  昨今、先月の十一月十八日に規制緩和、土地の流動化等を中心として政府の「二十一世紀を切りひらく緊急経済対策」を取りまとめたところでございますし、また、きょうあすのうちに税制改正につきまして結論が出るという状況でございます。それからまた、いわゆる金融システムを守り、そして預金者等の皆様に安心感を与えるような対策、公的資金の導入も含めまして、そのことについても具体的な制度整備の体制が考えられている状況でございます。  そういう金融システムの安定化に対する体制と同時に、税制の問題も含めまして規制緩和、土地流動化等しっかりとした対策をやりまして、将来に対する不安感といいますか、そういうものを除去していく、そのことができますればいわゆるマインドがよくなることが期待をされるわけでございまして、徐々に経済は正常な回復軌道に乗っていくというふうに考えている次第でございます。
  81. 海野義孝

    ○海野義孝君 ありがとうございました。  今の長官お話の中で、私が一応把握しておる範囲と御答弁、若干ニュアンスの違いがあるかと思います。  設備投資の問題、これはおっしゃるとおりで、長い間のストック調整が終わりまして設備投資は前向きになってきたという面がこれまであったんです。あったんですが、ちょっとこれにつきましてもここへ来て経済のビヘービアがやや慎重になってきているということが言われております。これは私は当然のことと思います。  ここへ来まして、この一カ月間金融市場は大変あらしが吹き荒れたということで、どうなるかと大蔵大臣も大変御心痛であったと思いますけれども、この面はここへ来てやや落ちついてきたということであります。このままで済めばいいわけですけれども、私は今後の景気の行方あるいはまた日本を取り巻いている特にアジアを中心とした大変今不安定な状況にあるという問題等々から見ますと、いろいろな我が国の景気を見通していく上での与件となる部分が大変流動的であるということですから、なかなか見通しにくいということかと、こう思うんです。  おっしゃったこれまでの我が国のGDPを支えてきたいわゆる設備投資、それから貿易、いわゆる純輸出関係、これが設備投資もここへ来て慎重になり、貿易につきましても明らかに日本の対外輸出の四三%を占めている東南アジア関係、これは先方の国が大変厳しい状況になってきたわけですから、当然経済成長率も大幅にダウンする。タイのごときは、ことしの夏ごろには六、七%ぐらいの経済成長を言っていたのがここへ来てマイナス成長というようなことで、わずか半年足らずで急変しているというようなこと等があります。東南アジアの各国のいわゆる為替レートあるいは株式市場等を見ましても、大変経済産業活動にマイナスとなるような状況がここを覆ってきているということでありますので、当然我が国の場合も、長官おっしゃったような貿易の問題もこれからシビアに見ていくということを踏まえて経済についての先行きも御判断していただかないとと思います。  そういった点で、差し当たって、これも去年私、前の長官のときはたしか暮れも押し詰まったときの決算委員会でしたからもう既に数字が出ておりまして問題なかったんですけれども、今回いわゆる大蔵原案、それから政府案がまとまるのにはまだ一週間ぐらいは少なくともかかるでしょうから、この段階で御説明というかどの程度御発表をしていただけるかわかりませんけれども、もう新聞等は先走っていろいろなことを書いています。  政府は今年度の名目二・一、実質一・九%の成長率は大幅に修正せざるを得ないということをもう従来からおっしゃっているようですけれども、大体どのぐらいになるかということと、これを踏まえて来年についてはこうこうしかじかであるから大体こういったような数字を大体考えていると。これも新聞等では先走って何かそれらしい観測記事を書いているようですけれども、私はこれは直接責任者であられる企画庁長官からお聞きしておきたい、こう思いますので、その辺のところをよろしくお願いしたい。
  82. 尾身幸次

    国務大臣(尾身幸次君) 平成九年度の経済の見通し、実質で一・九%という数字を昨年の今ごろ決めたわけでございますが、長い説明を省きますが、いろんな事情でその実現が難しい状況になっていることは衆目の一致するところでございます。マイナスにはならないと思っておりますが、相当低い水準になるだろうというふうに考えております。  それから、来年の見通しでございますが、これにつきましても、現在、金融システムの安定化のための政策あるいは税制改正内容等を踏まえまして考えていかなければならないと思っておりますが、昨今報じられるところでは、十兆円の基金の問題、土地関係の税制の抜本的改正の問題、あるいは有価証券取引税の問題、法人課税の引き下げの問題などなど、見ておりますと景気に相当程度プラスになるような内容が盛り込まれているというふうに考えております。そういう意味で企業マインドは相当好転をする、それからまたいわゆる金融不安というものも解消していくのではないかというふうに考えている次第でございまして、そういうことを考えながら政府の見通しをつくっていきたいと考えております。  ただしかし、むやみに高い見通しを出すというよりも、客観的にどのくらいいくのかなということ、もちろんその中には政府としては実現可能な中でこのくらいはいかせたいなという意味も込めました数字を考えていき、そしてその数字につきまして国民の皆様の共感と確信を持っていただくようなものを出していきたい、そしてそれによって景気あるいは日本経済の将来に対する信頼感というものをしっかりと確立して景気を正常な回復軌道に乗せていきたい、そんなふうに考えているところでございます。
  83. 海野義孝

    ○海野義孝君 おっしゃることはまことにごもっともでございます。  一日も早く政府の御発表になるもの、これは民間のシンクタンクが出しているような経済成長率予測とは違いまして高度な政治的な判断等も加わりますから、必ずしもその数字が額面どおりに受け取れないということはわかりますけれども、巷間言われているような、前にも失礼申し上げましたが、企画庁は有用か無用かというような話が出るということ自体が、一にかかってそういった見通し等についてかなり民間と肌合いが違うと。その意味はわかっている人はわかっていますけれども、大方の人は、例えば年の瀬の厳しい中でいろいろなところを、町工場なんかを回っていますと、あいさつはいいからとにかく景気をよくしてくれと、それしかないんです。私もそのことは痛いほどわかりまして、やはり景気をよくしていく、国民が幸せになっていくために少しでも近づけていくということが、我々もそうですけれども政府の皆さん方のお立場だと思うんです。  そういう意味で、政府のいろいろな御答弁が国民にとって信頼できるように一日も早くなるということが大事であり、そのように政府の御当局も私は努力をしていただきたい、このように思うわけでございます。  そこで次に、予算編成が今たけなわということですけれども、もう既にこれもいろいろマスコミで報じられておりますが、これだけ景気が悪くなってまいりますと、今年度の予算につきましても要調整額というのがかなりふえてきているんじゃないかというように私は残念ながら思わざるを得ません。巷間、年内ないしは新年早々の補正予算においては二兆円ぐらいの規模の補正予算を組まざるを得ないというようなことが言われております。これはやはり経済成長が思わしくない、政府がお考えになっていたよりもかなり状況が違ってきたというようなことが、例えば法人税の問題あるいは所得税とか消費税についてはいわゆる減税措置の打ち切りとか増税がありましたから、その分はあれですけれども。  私は、実はこれは多分昨年の暮れのときに申し上げたと思いますけれども政府予算案の中身を見ると、その中でそういった政府の税収の中身を見ますと、所得税の減税等の打ち切り、それから一方で消費税の増税等による税の増収分に対して、いわゆる税の自然増収というのをどうも経済成長率よりもかなり低目に見ておるということを、私はこれは大変不可思議な予算内容である、収入の内容であるということをたしか申し上げたことはきちんと会議録に残っているかと思いますけれども、どうもそのように大変残念ながらなってきたということであります。これはだれがどうというようなことを振り返って言っても始まりませんけれども、このことを私は今後生かしていっていただかなくちゃならない、こういうふう  に思うんです。  そこで、これは大蔵大臣に、補正予算についての性格、それから大体どんなような規模のものになるかというようなことを、この時期におっしゃっていただくのは酷かと思いますけれども、お考えをひとつ述べていただければありがたいと思います。
  84. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 委員が全体を御承知の中で核心をついた御質疑でありますので、ストレートにお答えを申し上げたいとは心で念じながらも、しかし諸案件、諸情勢がありますので、どれくらいという額は、ただいま全体の状態を分析、検討しながら対応しなければならないと思っておるところでありますので、要調整額を含め補正予算がどのような形に相なりますかは御辛抱いただきたいと思います。  その上に立ちまして、ただいまやっておりますことは、予算執行に当たっての行政経費を含めましたすべての経費について優先順位の厳しい選択を行っております。不急不要、これは私どもが言う言葉で、全部大事だと言われるわけでありますが、それはそれとして経費の節減に最大限努力をしていかなければなりません。  基本的には、災害関係経費はそのとおり追加に計上して見とれるものをしっかりと見とっていくということになります。中小企業の貸し渋り対策、これも大胆なものをつくり上げてまいりませんと、年末年始に向けての重要な時期に入りますから、しっかりとやらせていただきたいと存じます。さらには、その他の義務的経費の追加といった緊急かつ真に必要な経費を措置しなければならないだろう、こう思っております。  九年度補正予算の編成に当たりましては、構造改革の法律の趣旨を踏まえて、整合性を追求しながら、そういう中で対応してまいるつもりでござ  います。
  85. 海野義孝

    ○海野義孝君 現状ではそういった御答弁しか期待できない、このように思います。  それで、先ほど長官は、来年につきましても、いろいろなことはあるけれども極力やはり見通せる限りは、ことしは大変状況が急激に変わった年でありましたけれども、来年はある程度与件から見れば見通しやすい年になろうかと私は思います。先ほどの長官の答弁でもそれらしいお話であった。極端なことを言いますと、ことしはど狂った見通しにはならぬだろうということかと。逆に私はいい方へ狂えば大変幸せだと思うんです。  どうも最近の株式市場なんかを見ておりますと、大体毎年中間あたりが高くて、年初から始まって中間が高くて、終わってみればことしもだめだったというような株式市場なんですね。ことしもそうなんですけれども、それがやっぱりこのところの日本の経済、特に経済閣僚のお二人の大変頭の痛いところであろうと思います。思うようになかなか世の中が動いてくれない。  これはもちろん政府のやることが言うなれば国の経済を動かしていく中のどれだけを占めるかというと、今回の緊急のいわゆる景気対策の中でも、民間のエネルギーをどれだけ引き出していくかというところに効果的な資金を投下していくというか、そういう対策、政策をとっていかれるんだという、これは私はもう当然のことだと思います。  そういった中で、国内需要と海外需要、よく言う経済成長率の中で内需寄与度、外需寄与度、この面で言うとことしと来年は少しは変わるんでしょうか、この点お願いします。
  86. 尾身幸次

    国務大臣(尾身幸次君) この一・九%の見通しのときの数字ではなく結果としての九年度の結果を見てみますと、外需寄与度がかなり高かったように思う次第でございます。しかし、来年度につきましては、その高い外需寄与度をベースにしてそれにどの程度乗るかと、こういうことでございますから、そういう意味からいいますと、経済がプラスになる要因の中で外需寄与度よりも内需寄与度の方を来年度、十年度においては高くしなければならないし、また高くなるだろうというふうに考えております。  それから、海野委員先ほどおっしゃった中で、いわゆる財政出動なしの民間活力中心の経済活性化ということを考えておりますので、十一月十八日に出した政策は規制緩和とかあるいは土地流動化というような構造的なものが大変あるわけでございまして、その中の幾つかは通常国会に法律を出して制度を直すというものもございます。したがいまして、民間需要中心の拡大はむしろ初めは緩やかで後半に本格化する、そして本格化したらもう立ちどまることなしに一本調子で上がっていくだろう、こういうふうに私自身は定性的に申し上げますと期待をしているところでございます。
  87. 海野義孝

    ○海野義孝君 企画庁長官のそういったお考えのようになっていくことを期待申し上げます。  もう一点、来年度の一般予算の問題でありますけれども、全体的に見ますと、この間の財政構造改革法によりましていろいろな縛りがある。来年はいわゆる集中改革期間の初年度に当たるということでありますけれども、それを具体的に進めていくには、大蔵原案が出、最終的な政府案が固まるまでの間、現下の経済の厳しさというような中で、全国各地からのいろいろなそういう要望も大変多いかと思います。  そういったことを踏まえて、今年度の補正予算もつくようですけれども、来年度はそういう意味では集中改革期間初年度ということでいろいろな縛り、きょう午前中も議員の方からの御質問がありましたけれども、私は、来年の景気にかかわってきますが、歳入歳出の部分での歳入関係、今の段階で私のこれは個人的な考えですけれども、いわゆる税収という問題が大変来年も厳しいなと思います。  そういうような中で、来年度の予算の編成という中で、いわゆる公債の発行の問題について、一応特例債については縛りがある。私は、七兆五千億円を六年間で単純に一・二五兆円ずつ毎年というあの考え方にはくみしないわけでして、そもそもあんな計画が数字どおりにいくようだったら世の中まさに社会主義の計画経済でありまして、そんなことはあり得ない。六年間で少なくとも赤字公債はゼロにしたいということは当然だと思いますけれども、これも来年、初年度においてどうもその辺のところが私はまずできないんじゃないか、こういうように思うんです。  そのことを確認するというのはちょっと変な話ですけれども大蔵大臣、来年度予算のそういった歳入につきまして、歳出については今公共事業であるとかいろいろな面で大分減らしていこうと努力されていますけれども、幾ら減らしても歳入の方の大宗を占めている税収が思うようにいかないということになりますと、これはやっぱり大きなそごを来してくるという問題で、そこら辺からもう既に公債発行の問題も大変厳しい矢面に立たなくちゃならぬという問題があると思うんです。  この辺の正直なところは、来年のそういった歳入の構造というのは今回の財政構造改革法に抵触するというか、これはなかなか厳しいというか、何でもかんでもとにかくやるんだというようなこの辺の理念についてはやはり景気にも相当影響を及ぼしてくるというふうに私は思うんですけれども、その辺について御答弁いただきたいと思います。
  88. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 御指摘の点につきましては、財構法審議の際に何回か申し上げてまいりました健全化目標の中で、六年目三%、GDP比でございますが、この達成のために最大の努力をしてまいるということを申し上げてまいりました。  九年度発行公債総額をゼロにするということになりますと、毎年度一・二五兆円の減額をしていかなければならない、こういうことであります。「財政事情の試案」というところにおいても成長率を仮置きいたしまして、御案内のとおり取り組ませていただきました。大蔵大臣とすれば、また政府とすれば、この目標につきましては最大限の努力をしてまいるということになります。このことで御理解を得たいと思います。
  89. 海野義孝

    ○海野義孝君 今、経済見通し問題と予算のことについていろいろと教えていただきましたけれども、こればかりもやっておれませんから、もう一問あれしたいと思います。  私は、政府のそういう責任という問題、これは私は野党ですからその辺のところは立場が違いますけれども、ことしの経済予測の点なんかにしましても、ずっと毎月の月例経済報告が出てくる。これは大体二カ月ないし三カ月おくれの数字をもとにして判断するというようなことで、そういう縦割り行政的なものじゃなくて、私は賢人会議をつくって臨機応変に対応するような、そういうものを設置すべきじゃないかということを申し上げたけれども大蔵大臣はそれに対しては確たる御答弁はありませんでした。  私はやっぱりぼつぼつそういったことも考えていかないと、例えばこれから向こう六年間の思い切った財政構造改革をしていくような中でも大変ないろいろな難関にぶつかっていくと思うんです。経済が一本調子に上がっていくなんという保証はないし、最低コースの一・七五で行くなんという保証もないしという中ですから、これは大変なことだと思うんです。  そういう意味では、私、広く英知を集めるような機関を我が国にもつくっていくことが必要だと思います。それにはできれば、そういうことはできないかもわかりませんが、国内における著名な外国のエコノミストとかアナリストとか、そういった人たちなんかの意見を、参考人なんかで聞いているというのはありますけれども、グローバルなそういった世界で活躍しているような彼らの、そういった人たちなんかも入れて忌憚のない意見を聞いていくということは、必ず得ることが私はあると思う。現に、政府の高官の方々でもそうだと思いますけれども、そういった人たちの書いている書物を読んでいるはずなんです。  ですから、そういうことからいうと、そういう方向へ踏み込んでいただく時期に来ているということを私の考えとして一応大臣に聞いておいていただきたい、そのように思います。  次に、もう一点の御質問は、財政再建問題と金融システムの問題ということについてお聞きしたいということでありますけれども、金融システムの抜本的な安定化を進めるためのスキームというものについて、私もこれまで何年来関心を持ち、いろいろと研究もし、いろいろなところでお話も申し上げてきております。  この質問を事前に御通告申し上げた後で、きょうの新聞の一面に大々的に取り上げられましたけれども、いわゆる十兆円の新型国債をもとにして思い切った預金保険機構の強化というような問題等についての与党の考えがまとめられて、総理も、ASEAN会議の方に行っておられますけれども、現地からこれについて大体了解を得られているというか、言葉の表現はちょっとわかりませんが、そういうことをおっしゃっておる。ここへ来てそういったあれが出たので、時間が限られていますけれども大蔵大臣、要約してこれのスキームの内容とねらい、そういったことについて簡潔にひとつ御説明いただければと思うんです。
  90. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 今朝来の報道に載っております新型国債というような御指摘でございますが、本件を実体的にそのまま申し上げさせていただきますと、金融システムの安定化、強化のための提案の一つとして、御指摘のいわゆる新型国債が、自民党緊急金融システム安定化対策本部、宮澤元首相が本部長でございます、真剣な論議が行われ、案が取りまとめられ、本日、本件を総会において付議し、決定を見ましたならば与党二党にも提示をし御協議をいただく、そういうことであります。同時に、自民党とすれば、これを夕刻の会議において党議決定を見るということになっておると承知いたしております。  その内容は、党の執行部会、それと同時に宮澤本部長の会議におきまして提示をいたしたところを見ますと、預金保険機構に対し国債を交付する、機構が必要なときは十分な資金が得られるような仕組みをつくり、これを提示したと、こういうふうに承知をいたしております。  詰めば今申し上げましたとおりでございますが、私はその話を、正式なことは最終的党議決定を受けてからでございますが、昨日かくかくしかじかに取り決めるので対処をしてほしいと、こういうことでございます。  私はそれを受けとめまして、財政構造改革の基本を踏まえて、公的資金を含め、金融システムの安定性確保に全力を尽くしていかなければならないと、こう思います。しっかりと受けとめていかなければならぬことであると考えておる次第でございます。
  91. 海野義孝

    ○海野義孝君 今後具体的なこのスキームにつきましては、いろいろ法案をおつくりになるとか、法律の改正等々、先般いろいろとありましたけれども、預金保険法の再改正の再々改正も来年早々には出てくるんじゃないかと思いますが、大変苦渋のそういったスキームというものをこのところやってこられたというように考えます。これでどうやら最終局面のそういったものになるかどうかという点、私はまだ大変疑問に思います。  なぜ十兆円かという議論はいろいろと言われておりますけれども、法を改正してNTTの一応全部を売却するとして、大体十兆円ぐらいかなというようなところからどうも考えが出てきたかなと思いますけれども、これは現在はいろいろと、例えば産投特別会計であるとか、あるいは国債整理基金特別会計等に一応担保になっているわけで、これをさらに売却すると二重担保的な問題とか、いろいろなそちらの方の法律等も改正しなくちゃならぬとか、大変厄介なことだろうと思います。  一応表向きは一般予算措置の枠外ということからするならば、今回の財政構造改革法には矛盾しないということでありますけれども、多分に今申し上げたようなこと、それからこれがまた将来的な新たな財政負担となる可能性がないではない等々、この構想も今考えられる面ではこれかなとは思いますけれども、例えばもっと踏み込んだ、アメリカのかつての整理信託公社、RTC、ああいうような司法権を持ったやはり抜本的な不良債権の回収等、それからまた健全な金融機関等についてのこれへの退路を断つ、いろいろな思い切ったそういうこと、これは二十兆円ぐらいかけてやったようであります。  公的な支援あるいは公的な資金投入、これも考えてみれば、NTTとかこういったものもかつては国営の企業であって、その分を大蔵大臣が現在政府分としてお持ちになっているわけですから、これも結果的には公的な資金でありますから同じことかとも思います。これがここへ来て出てきているという問題がいささか、私は、もっと広く国民にお願いをするという面で、その片方では現在の金融機関等の経営等についての責任を追及する、そういった問題等が関連してくるわけであります。  何かこれでいくと、探してみたら打ち出の小づちが一つあった、これを使えば今の財政構造改革法には抵触しない、これを何とか、しかもすぐ全部十兆円使うわけじゃないから、要するに国債を交付しておいて、必要に応じてその資金を現金化して政府がそれを渡していく、こういうことであります。この問題はよほどしっかりしないと、単なる預金者保護という問題だけじゃなくて、いわゆる今回の預金保険法の改正の中にも出ておりましたけれども、従来的な健全な金融機関がそういった大変厳しい状態になっているところを受け皿として受けていく、そういうことが今許されないような情勢になってきた中で、悪い銀行同士を整理して、そして合併して新しい銀行をつくっていく、こういうようなものにこの十兆円構想というものも、預金者保護とは言いながらも、そういうような金融機関を救済していくという面で、ここはよほどしっかりした、これは何か特別の監視機関を置かれるというようなことも聞いておりますけれども、私はこの点大変心配するわけでございます。  これに対して、これから具体的にこれが動き出して、法案で来年いろいろ審議していくわけであります。私はこの機会に、この問題が何か梶山構想以来こういう形で一応まとまってくるということについては、今の段階ではこういうことも、我が国の金融システムの安定化ということは国際的な問題でもありますからそういう意味でも重要だと思いますけれども、この点、ひとつ慎重に今後これを進めていっていただきたいと、このように思う次第でございます。  時間も限られてきましたけれども、先ほど企画庁長官、景気のことについて来年についても決して気持ちは晴れていらっしゃらないと。ことしの来年ということでやっぱり来年も大変だなと、このように思いますけれども、私は、景気の見通しというか景気をよくするという問題は今、従来以上に重要になってきていると。評論家や何かの人たちの中には、この期間は歯を食いしばっても財政の厳しさに耐えて、景気はかなり犠牲になってもここを乗り越えていかないとそういう機会はないんだということを言うわけです。  しかし、その考え方は必ずしも当を得ていないというように私は個人的に思うんです。なぜかといえば、二〇〇一年の四月以降はいわゆる完全なビッグバンということになりますし、それからいわゆるペイオフが実行されると、そういうようになるわけですから、向こう三年というのは極めてそういう意味では日本の経済の体質というものを成長率も含めて盤石なものにしていくためのかけがえのない三年だと、こういうふうに思うんです。  そういった中で、先月の金融不安のあらしという問題は、これは鶏と卵みたいなものでどこからどう始まったかということは、よって来るところは私はいろいろあると思いますけれども、やっぱり一番の問題は、国民が生活というか景気が厳しくなってきたということで大変先行きに対する不安というものが強まってきているということが、GDPの六割強を占める消費の問題を初めとしまして、最近の経営者のそういう設備投資に対するビヘービアの慎重化の問題とか、それから海外要因ではありますけれども、今度はなかなか日本の貿易に対するそういう障害的なものが、アジアの経済あるいはいろいろな混乱によって来年はそれが本格的な年に入ってくる等々の問題を考えますと、金融不安の理由というのは私なりに考えたら三つ四つあるんです。  金融がなお私は不安定だと思うんですけれども、理由の一つは、金融システムの安定化に関する具体的な施策というものがまだ決定されていないと。これは今回の十兆円新型国債に基づくスキームで、株式市場も落ちつく、ジャパン・プレミアムもようやく再び拡大から縮小に向かっていく、あるいは五年七カ月ぶりの百三十一円から二円をうかがうような日本の超円安というか、こういったものがこのスキーム等によって次第に解決していくのならば、私は年を越すに当たってこんなに結構なことはないと思いますが、これが一点。  第二点は、金融機関の経営状況や不良債権の不透明性という問題は、これはこういうスキームができても依然として何ら変わりはないという問題。これが第二点。  第三点は、これは先ほどもちょっと始まる前に銀行局長と立ち話をしておりましたけれども、市場の過剰反応という問題は大変始末の悪い問題でして、これはここへ来て十一月はそのあらしが吹きまくった。過剰反応によって金融不安がさらに加速されたと言っていいのか、中には、水面すれすれにあったところが不幸にしてこれによって沈没してしまったのかわかりませんけれども、こういった点。  それから、もう一つの四点目は、いわゆる株価の低迷とか超低金利が続くことによっての逆資産効果というものは依然としてその危惧の念は払拭できない。  こういう問題等々から考えまして、一番金融不安を解消していく大事な問題は、スキームの問題と同時に、景気をよくするという問題を私は一番の中心に据えて考えていかないと、いたずらにスキームとかそういった問題にこだわり過ぎていると、せっかくの来年の景気、来年の景気といってもスタートはもう今から、この補正予算あるいは来年の一−三からのあれに始まってくるわけですけれども、最近のあれで見ますと、いわゆる在庫調整の問題は来年の四−六ぐらいまで不幸にしてずれそうだというのが最近の見方です。そういうふうになっていくと、来年度スタート時点は大変重荷を背負ってスタートしていく、マイナスのげたを履いてスタートする、こういうような状況の中で、片や金融システムができたからもう大丈夫だということを言うのはいささか私は短絡的であると思います。  その点で、一分しかありませんけれども、最後に来年の景気に取り組む企画庁長官それから大蔵大臣のお考えを一言ずつお願いしたいと思います。
  92. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 簡明に申し上げます。  金融システムの安定というのはまさに預金者保護にも通じます。日本発恐慌は断じて起こさないということで、党の取りまとめに対し万全と完璧な体制をつくってまいりたい、こう思っております。  経済政策につきましては、御説のとおりでありまして、できる選択肢は何でもやらなければならないのかなと。ただいまの編成の中におきましてもめり張りをつけて行っていかなければならない、こう考えております。
  93. 尾身幸次

    国務大臣(尾身幸次君) 民間需要中心の景気拡大を図って、経済を正常な回復軌道に乗せるために全力を尽くしてまいります。
  94. 海野義孝

    ○海野義孝君 最後に、財政構造改革の問題、これは六年間という中でやり遂げていこうという問題であって、余りこれを初年度からこだわるということについては、もっと柔軟に考え国民に理解されるように努力をすれば私は可能なことだと思うので、余りそれにこだわっているとどうにもならぬところへ日本が追い込まれていく。財政構造改革をしないでいいということじゃないんですが、柔軟に対応するというのが政府の責任であると、私はそのように思います。  以上です。ありがとうございました。
  95. 但馬久美

    ○但馬久美君 平成会の但馬久美でございます。  本日の委員会平成七年度の締めくくり総括第一日目ということで、私は初めてこの決算委員会質疑をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。  林野事業のことをきょうは質問させていただきます。  まず、十年度の予算編成の大きな焦点となっております国有林野事業の見直しについてでございますけれども、国有林野事業は毎年多額の赤字が発生して債務も毎年膨らんでいる状況であります。木材伐採量の減少や、また木材価格の低迷により、主な収入源である林産物収入の増加が見込めない以上、この自己収入を確保していくためにはさまざまな形で収入を上げていく必要があります。  現在実施されている改善計画においても自己収入の確保に努めると言われておりますけれども、林野庁はこの収入確保のためにどのようなことを行っていらっしゃいますでしょうか。
  96. 高橋勲

    説明員(高橋勲君) 国有林野事業におきます収入は林産物あるいは林野及び土地売り払いということでございまして、このうちの林産物の収入の確保につきましては、御指摘のように、木材価格が低迷している中で、民間業者との長期的かつ安定的な協定に基づく木材供給システムを創設する、あるいは顧客への販売情報の提供等販売サービスを向上する、街路樹とか庭木向けの樹木、自然水、こういうものの販売を推進するというようなことを実行しております。  それから、林野及び土地売り払いの収入の確保につきましては、保有している資産を徹底的に見直しまして処分予定資産に関する情報を公開する、それから地方公共団体への売却を推進するための地方財政措置を活用する、あるいは無償貸付地を有償化するというふうなことを実施いたしまして収入確保に努めてまいりました。  今後とも自己収入の確保に努めてまいりたいと思っております。
  97. 但馬久美

    ○但馬久美君 さまざまな収入確保策を講じていらっしゃいましても、自己収入は五年度では二千二百四十四億円、そしてまた六年度では千九百十五億円、また七年度は千七百八十億円、八年度が千七百六十七億円と、毎年減少しております。一般会計からの受け入れば毎年五百億円を超えております。  一方、事業支出の面では、営林署等の統廃合、また要員規模の見直し等で努力していると思いますけれども、財務状況を見ますと、平成三年度以降毎年度千億円以上の赤字がふえております。八年度末の債務残高は三兆五千億円に達しております。このような危機的な財務状況を受けて、藤本前農水大臣は、去る九月三日の決算委員会で、平成十年度に向けて抜本的改革を行うという考えを示しておりますけれども政府予算案の決定が近づいた現在、どのような財政措置をとるつもりか、農水大臣にお伺いいたします。
  98. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) お答えいたします。  国有林野事業につきましては、昭和三十九年に木材輸入の完全自由化以後、外材とのいわば競争にはとても対抗できませんで、木材輸入が年々増加の傾向にあり、かつ木材価格が低迷しておるところであります。戦中、高度成長期に旺盛な木材需要にこたえて大量伐採が行われたこともありますが、当時はまだ外材も入らず、我が国の木材価格その他は十分採算がとれたところでございますが、その後、今申したように価格の下落で競争力を大きく失っているのが日本の林野事業の実態であります。  また同時に、その後植林した木がまだ若いことから、伐採可能な時期を迎えるにはしばらく時間がかかるということも含めまして、国有林野の管理経営に必要な経費を木材販売収入で賄うことは実は困難でありまして、今委員が御指摘になられたように、独立採算制の維持というものが現実の問題として困難となっております。したがいまして、平成八年度末で累積債務が三兆五千億円余になるなど、極めて厳しい財務状況にあります。  このため、農林水産省といたしましては、まず公益的機能を重視した森林整備への転換、次に組織、要員の徹底した削減合理化、さらには独立採算制の見直し、そして累積債務の本格的処理を柱とした抜本的改革を実施することといたしまして、これに必要な財政措置を今要求しているところであります。  今後、国有林は国民共通の財産であるとの認識に立って、関係省庁との密接な連携のもとにこの抜本的改革の実現に全力を挙げて取り組んでまいる所存であります。
  99. 但馬久美

    ○但馬久美君 今の御説明で、いろいろな形でとっていくんですけれども、この債務のうち、今回出ておりますのは、一兆円は新しい会計の制度による国有林野事業特別会計に引き継ぎまして、そしてまた残りの二兆八千億円は一般会計で処理して、その財源の一部を今回たばこ増税により賄うということを伺っております。この安易な増税路線は、結局国民に負担をかけることになりますが、私はこれをまず大蔵大臣にお伺いしたいと思いますけれども大臣は財政確保のためにこのような形の措置をとるということはどうお考えでしょうか。
  100. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 委員も御承知かと思いますが、国民にツケ回しをすることは極力抑えながら赤字を解消していかなければならない。当面出てまいりましたのが、清算事業団解散に伴う二十八兆の処理、そして最終的に三・八兆円になるであろう林野特会の赤字、御指摘のとおり二つのボックスに分類をいたしましてとり行う、こういう一連の中で財源としてたばこ税が出てまいりましたことは御案内のとおりでございます。  本件につきましては、ただいま党税調において最後の論議が展開をされております。その帰趨を見てまいらなければなりませんが、財政構造改革会議というのが御承知のようにございます。三党で構成をされている中で、幹事会がございます、委員会もございます。この執行部と代表者会議委員会と申し上げておりますが、自民党の加藤幹事長が座長として取り進められてまいりました。可能な限り財源捻出をしてまいりませんとどうしても財政構造改革の基本を前に進めることが至難であるということの中で、取りまとめ案としてたばこ一本一円の増額をお願い申し上げたい、こういうことで論議中で、本日中には決着するものと考えております。  あくまでも財政の健全化を図るものでありますことに御理解を賜りますならばということであります。最終結論が出ない前の経過の中で申し上げさせていただきました。
  101. 但馬久美

    ○但馬久美君 いや、なかなか理解はできません、こういうことでは。私は、増税によって財源を確保するのではなくて、行政改革や規制緩和で進めていくことが財政全般の削減を図って財源を捻出することであると思っております。私はぜひこういう意見で進めていただきたいと思っております。  それでは、今度は大規模林道の見直しについてお伺いいたします。  林野事業の環境整備の一環としての林道についてお聞きいたします。  大規模林業圏の開発林道は、昭和四十四年から事業が始まりまして、現在三十二路線の事業が実施されております。しかし、平成九年度に三区間の工事の休止が決定されました。この三区間とは、北海道の平取−えりも線の様似−えりも区間、山形県の真室川−小国線の朝日−小国区間、福島県の飯豊−檜枝岐線の山都区間です。この理由として高橋林野庁長官は、九月三日のこの決算委員会において、地域の実情を考慮してアセスメントの実施の結果等を見きわめることを告げております。しかし、このほかの区間についてはアセスメントの実施は必要ないのですか。実施した以上は、問題がなかったというのであればそれを国民にきちっと説明する必要があるのではないでしょうか。林野庁にお伺いします。
  102. 高橋勲

    説明員(高橋勲君) ただいま御指摘の大規模林道の事業につきましては、九年度に全国で朝日−小国区間を含めまして三区間で事業の休止をしております。必要な保全工事を行った上で事業の休止をしております。この休止の理由は、地域の実情を考慮したり、あるいはアセスメントの実施の結果を見きわめる必要があるということで休止しているものであります。  そこで、森林開発公団の行う大規模林道につきましてのアセスメントの考え方でありますけれども平成七年七月に大規模林業圏開発林道事業環境アセスメント実施要領を定めておりまして、そのアセスメントの方法について公表しております。その実施要領で定める事項あるいは手続等によってアセスメントを実施しているところでございます。そして、環境アセスメントの結果につきましては、実施要領に基づきまして報告書関係町村等において縦覧に供しているところでございます。
  103. 但馬久美

    ○但馬久美君 環境問題ではこういう問題がこれから非常に取り上げられると思うんです。アセスメント調査結果によっては休止が中止になるということはないんでしょうか、お伺いいたします。
  104. 高橋勲

    説明員(高橋勲君) アセスメント調査の結果によりまして、休止を中止、あるいは休止する過程を経ずに廃止、やめるということの事態もあり得ると思いますが、現在のところでは二区間でアセスメントを実施中でございまして、その結果を待たないと判断はできかねるところでございます。重点的に整備する区間とか、あるいは効率的な実施とか、そういういろんな状況も踏まえ、それからアセスの実施結果を見きわめまして、適切に判断をしていきたいと思っております。
  105. 但馬久美

    ○但馬久美君 環境影響評価法によるアセスメントですけれども、さきの常会で環境影響評価法が成立いたしました。環境影響評価の対象となる事業として大規模林道が含まれることになりました。向こう二年以内に施行するものとされておりますけれども、大規模林道においては、森林開発公団が自主的に行ってきた環境アセスメントとこの法律によるアセスメントの実施方法は異なるのでしょうか。この法律によりさらに厳しいアセスメントが実施されますけれども、事業の休止が必要となる区間がふえるのではないでしょうか。もう一度林野庁にお伺いいたします。
  106. 高橋勲

    説明員(高橋勲君) これまでは、森林開発公団が委員会を設けまして自主的に決定してきましたアセスメントの方法によって実行してきたわけでありますが、今後は、先生指摘のように、環境影響評価法によりましてそのアセスの対象事業となったわけであります。  内容的には、これまで実行していたアセス対象と今回環境影響評価法が施行された中でのアセスの対象事業、ほとんど規模的にも同じというふうに思っております。内容的には、十キロあるいは十五キロ以上の大規模な規模について、それから自然環境にどのような影響を与えるか、そういう面について配慮すべき路線をアセスの対象事業とするということで、法律に基づきましても、これまでの実行とほとんど同じような方法でアセスが実行されると思っております。  今後、新規の着工区間でやめるところがあるかどうかということはこれから先の話でありまして、ちょっと新規の段階でその規模とか自然に配慮するアセスの実行程度、それがどういうふうに工事へ影響するかというふうなことを見きわめないと確かなことは言えませんので、現段階では判断しかねるということでございます。
  107. 但馬久美

    ○但馬久美君 大規模林道の全体計画は今二千二百六十四キロ、今現在、平成八年では九百三十九キロ完成されているんですけれども、私もこれは全計画を完成させる必要性があるのかどうか、今こういう環境問題を抱えている中で心配するんですが、もう一度林野庁にお聞きいたしますけれども、この全部を完成するという必要性はあるんでしょうか。
  108. 高橋勲

    説明員(高橋勲君) 現在、三十二路線計画しておりまして、うち一路線が完全に竣工、開通しているわけでありますが、現在段階での進度は四一%ということになっております。  大規模林道の必要性につきましては、林業の振興だけでなくて、その地域の山村におきます生活環境の改善、そういう全体的な過疎とか高齢化に悩む地域振興を図る上で地元から大変期待を持たれている事業でありますので、現在計画しているところを着実に実行したいと考えております。
  109. 但馬久美

    ○但馬久美君 財政構造改革の折、やはり必要なものとそうでないものをきちっと選択して選んでいただきたいと思います。  それでは、きょうの朝新聞記者発表になりました国営の干拓事業についてお聞きいたします。  羊角湾の干拓事業についての見直し方針で、本日午前中に、廃止する方向で処理するという中止の記者発表がありました。  改めてもう一度お聞きしますけれども、昭和四十四年に事業が始められましたこの羊角湾の干拓事業です。平成五年の決算検査報告で事業のあり方が指摘されて、平成七年度から三年間事業を休止することになりました。その間、県が建設した羊角湾の地域振興検討委員会においてこの羊角湾地域の今後の振興方策について検討した結果、検討委員会としては、国営の羊角湾の干拓事業については廃止することが適当であるとの結果を知事に提出しました。  今後、熊本県においても最終的な結論が示されると思いますけれども、この検討結果に至る経緯と、熊本県との協議ではどうであったのか、農水省にお伺いいたします。
  110. 山本徹

    説明員(山本徹君) ただいま先生指摘の羊角湾の干拓事業でございますけれども、四十四年度から事業を開始いたしておりますが、平成七年度から事業を休止いたしております。  これは事業を一たん開始いたしましたけれども、漁業補償交渉が難航したこと、また平成三年のミカンの輸入自由化に伴う農業用水の需要の減少といった、計画または事業実施当初には予期し得なかった情勢の変化が生じましたために平成七年度から事業を休止して、熊本県当局と一緒になって事業の取り扱いについてさまざまな角度から検討させていただいたところでございます。その結果、本年十一月に県に設けられております検討委員会で事業を廃止する方向が適当であるというような最終報告が公表され、また県もこれを受けられまして十二月十日に事業を廃止することはやむを得ないという御意向が示されたところでございます。  これを受けまして、農林水産省といたしましては、県の御意向に沿って事業を廃止することとして、今後その処理を進める方針を定めまして、けさほど島村農林水産大臣より廃止する方向で処理する国営事業地区十一地区をきょう記者会見で発表させていただきましたけれども、このうちの一つとして大臣より正式に発表させていただいたものでございます。
  111. 但馬久美

    ○但馬久美君 そしてもう一つは、きょう発表ありましたけれども、佐賀の干拓事業も同様に中止を発表されております。羊角湾、また佐賀については地元の自治体の意向に従う形で干拓事業の見直しが必要となり、廃止という方向で処理することになりました。これは、農業をめぐる社会経済情勢の変化にもかかわらず、事業を推進したり、また放置してきた農水省の責任が問われると思います。  国営干拓事業の挫折について、農水大臣、その責任は明らかにすべきだと思いますけれども、どういう答弁をいただけるのか、よろしくお願いいたします。
  112. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) お答えいたします。  干拓事業にいたしましてもその他の事業にいたしましても、すべて農林水産省の独自に判断をしていることではありませんで、地方自治体ともいろいろ検討をし、十分に話し合い、長年の要請を受けてその中から選択をし、事業計画をつくり、そして実施をしてきたところでございますが、今委員も御指摘になりましたように、社会経済情勢がいろいろ変化したり、あるいは当初予定した需要が確保できなくなったり、あるいはまた地域の理解が得られなかったり、そういう事ごとで、今回も、例えば羊角湾の例をとりますと、熊本県の方の御判断をもとにいろいろ協議し、その結果をまとめて中止ということに決めたわけであります。
  113. 但馬久美

    ○但馬久美君 国営の干拓事業は、羊角湾、佐賀のほか、島根県と鳥取県にまたがる中海干拓事業もあります。ここは九年度から二年間の予定で事業の総合評価を行うため調査が行われています。この中海の場合は、地元自治体が工事の再開を要求しております。でも、地元の対応は羊角湾や佐賀とは異なりますけれども、農水省が主導して事業見直しを行う意向はあるのでしょうか。
  114. 山本徹

    説明員(山本徹君) ただいま御指摘の中海干拓でございますけれども、これは昭和六十三年度から工事を延期いたしております。島根県は、この中海の本庄工区、これを県の農業振興の牽引車として位置づけられまして、昨年の三月に工事再開を農水省に正式に御要請になっております。  この背景として、地域振興の観点、また水質等の影響について県御当局が総合的に検討され、県の議会、また関係市町の同意を得て昨年三月に工事再開の要請をされたものでございますが、農林水産省といたしましては、この本庄工区の工事の再開について、これについてはさまざまな意見がございます。このために本年度から二年間の予定で中立的な調査を行っておりまして、この事業の取り扱いにつきましては、この調査の結果によって判断するということにいたしたいと考えております。
  115. 但馬久美

    ○但馬久美君 いろいろと本当にたくさんこうやって中止していく農業ダム、そしてまた干拓事業。私はしっかりと国がこういうものにもつと早く手を打っていかなくちゃいけないなということを痛切に感じます。  次は、ダム事業の中止及びかんがい排水事業の廃止についての報道でございますけれども、農水省は平成十年度から六カ所の未着工のダムの建設を中止しました。そしてまた、ダム事業を大幅に見直す方針をきょうもこうやって記者会見で発表されております。未着工の九地区の国営かんがい排水事業を十年度に廃止する方針を明らかにしたと伝えておりますけれども、こうした報道はきちっとした明確な報道なんでしょうか。また、こうした方向で検討されたというのはどういう理由によるものでしょうか。農水省にお伺いいたします。
  116. 山本徹

    説明員(山本徹君) 公共事業につきましては、重点的、効率的な執行、また透明性の確保ということが財政構造改革の観点からも大変重要でございます。私ども、また一方では、農業農村整備事業については基本的に申請主義ということで、地元の農業者に負担金を払っていただきながら、ぜひ実施したいという御要請に沿ってこの事業を実施いたしておりますので、地元ともよく御相談しながら事業を進め、また廃止するものは廃止するということが必要でございます。  大臣の御指示で私ども農業農村整備事業について見直しを進めてまいっておりまして、本日、廃止する方向で処理する国営事業というものが十一地区取りまとめられたところでございます。これは、先ほどお話のございました羊角湾、佐賀干拓等々でございますが、この十一地区、これの個別の地区名を公表させていただきました。  また、これとあわせて、廃止する地区の中にはその大きな事業部分を占めるダムがございます。これも結果として廃止されるわけでございますけれども、この廃止されるダムが九カ所ございます。これも個別の地区名を公表させていただきました。  また、これとあわせて、事業は推進いたしますけれども、農業情勢の変更等に伴いまして事業計画を縮小する等に伴いダムの建設が必要でなくなった地区が六カ所ございます。これらについては、かんがい用のダムではなくて、既存のダムとかあるいは渓流水等々に依存するという計画変更になるわけでございますけれども、結果として農業用ダムの六カ所の建設計画を廃止する地区、これを公表させていただきました。  ダムとしては合計十五カ所の農業用ダムが今回廃止の予定となったわけでございまして、これらの具体的な地区名及び箇所について、けさほど農林水産大臣より正式に公表させていただいたところでございます。
  117. 但馬久美

    ○但馬久美君 橋本総理の公共事業の見直しについて、この指示内容及び農水大臣の受けとめ方をお伺いしたいと思います。  橋本総理は、平成十年度の予算から公共事業を執行段階で再評価する制度を導入する考えを表明しました。農水大臣と公共事業関係の閣僚に指示を行ったと伺っておりますけれども、その具体的な内容はどのようなものだったのでしょうか。また、それを農水大臣はどのように受けとめて、農水省の公共事業にどのように活用していくのか。これは島村大臣から御答弁いただきたいと思います。
  118. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 御指摘のとおり、先般、総理より公共事業の効率的な執行と透明性の確保を図る観点から、公共事業全体について再評価システムを導入すべき旨の御指示をいただいたところでございます。  この御指示に基づきまして、農林水産省といたしましても、干拓を含む農業農村整備事業について、採択後おおむね五年を経過した国営地区を対象に再評価システムを平成十年度から導入することとし、具体的方法の検討を既に指示したところであります。  農業農村整備事業の推進に当たっては、今後この仕組みも活用しつつ重点的かつ効率的な実施に努めてまいりたいと考えております。
  119. 但馬久美

    ○但馬久美君 公共事業のあり方について事業官庁がみずからの評価を行うほか、総務庁の行政監察局が行政監察を行っています。また、会計検査院も主に予算執行状況のチェックという立場から検査を行っています。でも、私は、この公共事業が当初の目的に沿って適切に行われなかったら、社会経済情勢の変化に伴って必要な見直しが行われているかどうかの評価とか、そしてまた助言を第三者機関で行うべきだと思います。  そして、その機関には専門家、有識者だけではなくて一般の市民も参加させることにより生活者の視点も加味された評価になると思いますけれども、この公共事業の評価機関の設置と、その機関に一般市民を参加させることに関して農水省はどのようなお考えを持っていらっしゃいますでしょうか。
  120. 山本徹

    説明員(山本徹君) 農業農村整備事業につきましては、事業計画の策定時点、また事業計画の変更時点においてその内容を公表することになっております。特に、事業の策定段階では受益者、農業者からの申請に基づきまして事業計画を策定し、この段階におきまして関係の県等の自治体からの意見を聞き、また第三者でございます学識経験者の意見もお聞きすることになっております。  さらに、この計画につきまして公告縦覧、異議申し立てという制度がございまして、広く公表し、さまざまな御意見を聴取する仕組みになっております。これはまた、計画の変更時等にもこれに準じて手続を踏んでまいります。  また、ただいま農林水産大臣から御紹介ございましたように、平成十年度から事業のおおむね五年ごとに国営事業地区について事業の再評価をきちんと行うという制度も新しく導入するということになりましたので、私どもはこれらの制度をきちんと活用しながら、幅広い御意見を承りながら、国営事業の効率的、重点的な実施また透明性の確保努力してまいりたいと考えております。
  121. 但馬久美

    ○但馬久美君 ありがとうございます。ぜひ第三者機関の設置を提案したいと思います。  ちょっと時間がありますので、通告しておりませんけれども、少し分収造林制度の概要についてお伺いしたいと思います。突然ですけれども、林野庁の方、よろしくお願いいたします。  平成八年一月の総理府による森林・林業に関する世論調査によると、森林づくりに対するアンケートで緑の募金等への寄附を通じて参加してみたいという者が四四・七%、そしてまたボランティア活動を通じて参加してみたい者が二三・一%、分収育林制度等に資金を出すことで参加したい者が一二・九%等と、何らかの形で森林づくりに参加したい者は七割近くに上っています。こうした意識の高まりのもとに、今後も積極的に森林づくり、緑づくりという支援をしていきたいと思いますけれども、この中で分収育林制度についてお聞きいたします。  この制度は造林を希望する方に国有林を提供する制度であると聞いておりますけれども、伐採後の収益の配分割合など、制度の基本的な仕組みを説明していただけますでしょうか。また、昭和五十八年度から一般公募されているとのことですけれども、最近三年間の応募状況はどのようになっているのか。林野庁、突然ですけれどもちょっとお伺いいたします。
  122. 高橋勲

    説明員(高橋勲君) 分収造林、分収育林制度と二つ制度がございまして、分収造林というのは更地の林地に造林をして、その造林木が成林したときに、その土地の所有者とそれを造林した人が分けるというふうな考え方の制度であります。これは国有林にもございますし、それから民有林にもございまして、国有林の場合は地元の人たちがその地域の国有林に造林をして、特別には部分林というふうな呼び方をしておりますけれども、やっている制度であります。  先生の今お話しになった昭和五十八年からの制度というのは分収育林というふうなことで、これは分収造林の一つの変形なんでありますけれども、例えば二十年とか三十年まで育ち上がった生育過程の森林について、その後も手入れが必要ですのでその経費を負担してもらうというふうなことで投資をしてもらって、成林した段階で伐採したものを分収するというような制度でございます。  この分収育林は、これも国有林だけでなくて民有林にもございますけれども先生指摘の分収育林は国有林の分収育林と思います。現在、約八万四千人の方がこの分収育林に参加しておりまして、制度としては、一口五十万円というふうなことで参加してもらうわけですが、成林した段階の伐採で分収を五分五分とかあるいは七、三というふうなことで、ちょっと時期によって違うわけでありますが、成林の伐採木を分収するというふうな制度でございます。  これは、広く国民に国有林の経営といいますか森林の施業といいますか、そういうものに参加を呼びかけるというふうな考え方もありまして分収育林という制度を実行している段階でございます。
  123. 但馬久美

    ○但馬久美君 突然でしたが、どうもありがとうございました。  私は、神戸で阪神・淡路大震災に遭いまして、こうやって森林を国民の手で植えていくこういう緑の募金による森林整備等の推進に関する法律で、いろいろと森づくりとか緑づくりの一環として、神戸の須磨にも高倉山というところがありまして、ボランティアで木を植えたりしてやっている姿がこれからそういう自然環境を守っていくみんなの心の力になっていくということを感じたものですから、ちょっと質問させていただきました。  時間も私まだ残っておりますのですけれども、きょうの質問はこれで終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  124. 小川勝也

    小川勝也君 民主党・新緑風会の小川勝也でございます。  表題には、天下り問題そしてダイオキシン等についてということでございます。天下り問題ということでがんがんいくんじゃないかと同僚の議員から声援を受けておりますけれども、きょうはゆっくりと優しく自分のペースでやらせていただきたいと思います。  と申しますのも、この天下り問題、過去にも質問をしたことがございますが、質問をする側にとりましても、政府側がどういう答えを出してくるかというのがもうわかっているからであります。そうは申しましても、昨今の景気の悪さ、そして北海道は基幹となります金融機関がこのような状態になるなど未曾有の状態を迎えておりますし、政府といたしましても、行政改革そして経済構造の改革など大きな改革を通して、私たちのこの社会をつくり変えていこうという意欲が少しずつ見られ始めたからでございます。過去の遺産として必ずしもいいものではないものもどんどん持っております。そんな状態もございますので、庶民の気持ちも含めましていろいろなお話をさせていただこうと思っております。  あらかじめ私が想定しました天下り問題に関する答えというのもたくさんございます。まずは憲法が保障する職業の自由、あるいは長年官僚として培われました能力や知識の蓄積を社会の発展に有効に活用してどこが悪いのか、それから例えば公務員法やあるいは人事院からのさまざまな規制があって、二年あるいは三年の定められた期間は守っているじゃないか、あるいは中央省庁を中心として、退官、退職年齢の早さ等の公務員制度の問題、あるいは民間と比較しました生涯賃金等の問題などなどでございます。  しかし、さはさりながら、先ほど申し上げましたような事情でもございますし、今政府が行政改革を進めていこう、そういう行政改革を進めていく観点から、今までそれは日本的なシステムも関係しておりましたでしょうが、そんなことを考えあわせましても放置できない問題がございますので、大蔵大臣、建設大臣、北海道開発庁長官に順次質問をさせていただきたいと思います。  まず、大蔵大臣に率直にお伺いをしたいと思います。  金融ビッグバンと言われてから相当たちまして、国民の間にも、居酒屋での会話にも金融ビッグバンという言葉が出てくるようになりました。しかしながら、私自身不勉強もありまして、理解をしておらない部分もたくさんございます。  私なりに解釈をさせていただきますと、今までの金融行政は、護送船団方式と呼ばれますように銀行を中心に証券会社もつぶさないように、あるいは横並びで過度の競争が起きないようにという大蔵省の指導のもと行われていた行政でございました。外圧もあり、あるいはグローバルスタンダードということもあり、日本もいよいよ国際化に乗り出す。そんなときに、大蔵省の指導が今までよりも少なくなる、大蔵省が民間金融機関の経営に関与する幅が小さくなってくる、そのように私は思うわけでございます。  そうしますと、金融機関を中心に大蔵省出身の方々がたくさん役員として金融機関におられることも皆さん御高承のとおりだと思いますし、最近発売された週刊誌でございますけれども、過激な言葉が載っかっております。「金融機関 天下り二百人は辞表を書け」などという過激なフレーズもございますし、内容もいろいろ出ております。  百歩譲りますと、今までの仕組みの中では仕方ない部分もあったのかなというふうに思わせていただいたとしても、これから先ビッグバンが進んでいく、そんな世界になりますとこのような天下り慣習も当然なくなっていくように私は思うのでございますが、大蔵大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  125. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 委員からはお答えしようと思っているポイントの幾つか先取りをされまして御質問いただきました。そのこと自体を分析いたしますと、委員も基本的には理解できつつも今後の対応と、こういうことのように取りまとめをさせていただきます。  公務員のライフサイクルというのは、それぞれのポジションについた方、御案内のとおり次官に同期がなりました際に他の局長は退任するとか、また局長に同僚がなりましたときにまた退任するとか、不文律ではございますが、そういう慣行があり、そのことが官庁の活性化をもたらすというようなことでございます。  それと、行政は厳正公正に行われなければなりません。同時に、就職先におきましても過去の経歴がその経営にノウハウとして活用されるということであれば私は許されることであると思いますし、また要請をされてそのポジションにつくということもあり得ることであります。ただ、前職の影響力のあるうちはそれはいかぬということで、それぞれの年限を設けましてそういうことが行われておるというふうに思っております。私の知る限りにおいては、これを採れというのではなく、請われてそのポジションについている者がほとんどと理解をいたしておるところでございます。  そういう現況の中で、ビッグバンということの引例をもってお話がありました。自由市場、自己責任、こういうことで大競争の時代を迎えるわけでございますから、要請がなければ当然そのポジション、いわゆる天下りと言われる批判はなくなるでありましょうし、現行の中で頑張り抜いておる現公務員の皆さんは職責に忠実に全力を尽くしておるというふうに理解をいたします。
  126. 小川勝也

    小川勝也君 長い答弁をいただきましたが、ビッグバンになれば天下りはなくなる、そういうお答えだったと思います。そしてまた請われてその職についた人が多い、私も当然そう思います。請われるようなシステムをつくっていくからそのようになるわけでございますので、そういう部分は私は余り聞きたくない答弁だったものですから、自分の言葉でいろいろ申し上げたところでございます。  しかしながら、現状も看過できない問題がたくさんございます。例えば、これも新聞の記事で恐縮でございますが、金融機関、都市銀行その他の銀行、証券、生命保険あるいは損害保険、官僚OB顧問が百人を超すという記事でございます。これは具体的な利益がどのようにその会社にもたらされるかという問題ではなくて、先ほど私が申し上げたように請われてその人たちを迎えるにメリットがあるような役所ぐるみの、あるいは官僚機構ぐるみのシステムづくりがあったのだと思います。  そして、行政改革、ビッグバン、今お答えの中で必ずしも十分な答弁をいただけませんでしたけれども、行政改革の理念の中に、ある程度同じ方向だと思いますのは、小さな政府そして官主導ではない国づくり、これを橋本内閣もそして私たちも目指しているのだと思います。そんなときに、官の影響力を民間企業に行使する、あるいは行使されるという社会は、いわゆる官主導の部分であります。ですから、私たちが目指そうとするもの、そして橋本内閣も同じ方向だと私は思いたいわけでございますけれども、小さな政府とか民主導の国づくりをするときには自然と淘汰されていくものであると思います。  例えば、省庁がどんな努力をして天下り先をつくってきたか。これも新聞記事で恐縮でございます。見出しが「次官OBの「保養所」公益法人」。これは社団法人研究情報基金という特殊法人を例に出した新聞記事でございます。略称がFAIRと書いてあるんです。私はこの間、質問をとりにきた政府委員室の方にこれはフェアじゃないよと言ったんですけれども  余り冗談も通じないようですので。これはどういうことかといいますと、後でも問題にしたいと思いますけれども、次官経験者と呼ばれるような大物の官僚の方々は大体行く場所が決まっているんです。これは古きよき時代の慣例だと私は思いたいわけでございますけれども、次官まで行くとどこの理事長かどこの総裁か、こういうのが各役所全部決まっているわけでございます。  私も議員になる前からこの永田町かいわいで仕事をしてきたものですから、実は感覚が麻痺をしております。これは当たり前のことだな、今度何々局長はどこどこに行くんだろうなというふうに私も思っておりました。しかしながら、民間がボーナスが出ないとかカットされるとか、金融機関が破綻するというときに、こんなシステムがいつまでも温存されて、日本の行政改革が進んで二十一世紀に明るい豊かな日本になるとはとても思えないわけでございます。  先ほどのFAIRでございますけれども、これのつくられた手口というのが新聞に詳しく書いてあります。これは大蔵省の局長が、生命保険、損害保険、大手証券、電力、商社などの会社に今度新しい法人をつくりたいので協力をしてくれと。これはその会社の専務さんクラスだということになっております。そして、その場所で局長がこういう国際的な研究機関をつくりたいので協力をしてほしい、強いて言えば年会費は年三百万円だと、こういう話でございます。  そして、三百万円払ったら何の利益があるのかなというふうに考えますと、大蔵幹部は何と言ったかというと、「会員企業に限り、審議会や研究会の資料など、よそに出していない情報を提供する」と書いてあります。事実かどうかという御確認はあえて求めませんけれども、これは国あるいはその役所が国の税金を使って集めた情報でもあり、あるいはその法人を設立したときに協力をする会員企業にだけもしその情報が提供されていたとすれば、公務員法はおろかいろんな問題に抵触するような事件だと思います。  しかしながら、先ほど申し上げましたように、私は一つ大きな言葉を使おうと思ったんですけれども、こういうのは何に似ているのかなと思いますと、余りよろしくないある団体方々が集めて回るみかじめ料に似ているんじゃないかな、こう思ってしまったわけでございます。今これから金融ビッグバンもする、行政改革もする。もし官主導から民主導にするという世の中がうまくいけばそんなことはなくなるんでしょうけれども、今までは少なくとも中央集権国家であり官主導の国家であったから、このようなことが平気でまかり通るわけでございます。金融ビッグバンがもしうまくいくとすればそんな問題もなくなるだろう。大蔵大臣の御指導も少しだけ期待をいたしますし、こんなさまざまな問題から脱却するためにも、行政改革あるいは財政再建のさまざまな施策が小手先のものに終わらないように期待をしたいと思います。  そしてまた、金融機関への天下りが物すごい人数だということは先ほど申し上げましたが、今回、先国会で預金保険法が通過をいたしました。審議に参加をしておりませんので詳しいことはわからない部分もあるかもしれませんが、預金者保護という名目でスタートしたのがどちらかというと金融機関を守るという色彩を帯びた法案だと、そのように理解をしております。そんなときに、先ほど来申し上げておりますように、地域経済や民間経済が大変厳しい状況にあるときに金融機関だけなぜ守らなければいけないんだ、そしてその金融機関には何で大蔵省から天下りがたくさん来ているんだという問題を追及したときに、国民方々からとても理解のいただけるような内容ではないなというふうに思っております。  大蔵大臣から御所見をいただきたいと思ったんですけれども、時間がなくなりますので、建設大臣にお伺いをしたいと思います。  建設省に関係いたしましても、先ほど来私が申し上げましたように同じような慣習がございます。トップの方々が行くような天下り機関もほぼ特定をされておりますし、そして民間企業への天下りは、私のところにあります資料では、本省や地域建設局等合わせまして三千五百人、そして公団から民間に天下りと言われている方が千五百人以上、そして後でちょっと触れますけれども、鈴木長官の北海道開発庁は五百九十人という数字がございます。  先ほど申し上げましたように、今までの国のシステムの中で日本的慣習や終身雇用制の延長として考えた場合に、すべてがすべて頭から否定されるべきではないと私も思わせていただいておりますが、それにしてもこのシステムが大変な問題を抱えていると指摘をしたいのでございます。今度、十二省になる新しい案が発表されましたが、私はこのままでいきますと各省が持っておりました天下り等の権益はそのまま移行されるおそれがありますし、また各省はそうしたいと思っていると確信をするわけでございます。  そんな中で、この天下りの問題がどういう問題なのかというのを一点指摘したいと思います。  先ほど三塚大蔵大臣から、請われて行くんだと、こんなお話がございました。これは建設省の政府委員の方にお答えをいただきたいと思いますけれども、天下りの退官する職員の方の引き受けを建設省でゼネコン等民間会社にお願いをするというような例はございますでしょうか。
  127. 小野邦久

    説明員小野邦久君) お答えを申し上げます。  お願いをすると申しますか、大部分は具体的な要請によって第二の職場というような形で技術あるいは経験等を使っていただくというようなことではないかと思います。具体的な事例を、どういうことを申し上げておられるのか私わかりませんので、一般的なお答えとしては以上でございます。
  128. 小川勝也

    小川勝也君 今の質問は意地悪な誘導質問だったわけでございまして、実は私も広く調べたわけではございません。  実は、民間会社の方から地域建設局あるいは建設省に、何々さんをくれないだろうか、何々部長は定年になったらうちの会社に来てくれないだろうかと逆にお願いするような御時世だというふうに私は理解をしております。なぜそんなことが起きるのでありましょうか。それは一つは、私の思い込みなのかもしれませんけれども、役所から民間会社に来る方が手ぶらで来ないからであります。手ぶらで来ないから、お土産を持ってきてもらいたいということで、民間会社の方がその役所に何々部長、何々さんを下さい、何々課長さんにおいでいただきたいというふうにお願いをするのだと思います。  これもさまざまな観点から、民間の競争、あるいは私ども再三訴えております公共事業の効率化などの問題に関しましてもさまざまな問題があるのだと私は思いたいのであります。ある党は、公共事業は要らないと言っているなどという言い方もされますけれども、私どもは必要な事業を最も効率的に、必要な順番に効率的に事業化してもらいたいと、そのことだけを申し上げているわけでございます。  そして、この天下りと関連した問題を一点指摘したいと思いますが、それは入札制度が変わったことでございます。たしか五十嵐建設大臣のときだったと思いますけれども、いわゆる指名競争入札から一般競争入札に変わりました。これはいろんなそのときの反応がございました。これじゃおれたちの会社はなかなか入札に参加できなくて仕事をもらえないよという業者さんもありましたし、いや、今まで特定の人たちだけで指名をやっていて、おれたちもついに仕事に参入できるというふうに期待を持った業者さんもいたように考えております。  しかしながら、今の運用ではどのようなことが行われているか、一例について確かめたいと思うわけでございますけれども、これはある道路の仕事の発注でございます。今までのように指名ではありませんので、一般でございますので、ある程度の基準はあるのでしょうけれども、その仕事に参加したい業者さんにどうですかというふうに広く声をかけます。今までは特定の人たちであったんですけれども、今は広くお声かけをする。  しかしながら、その中にからくりがございます。どんなからくりかといいますと、これは舗装工事でございますが、四万六千平米をアスファルトコンクリートで舗装するという仕事だと思いますけれども、そんな中で条件がついているんですね。「同種工事又は類似工事の施工実績について」、端的に申しますと、これだけの仕事を今までやったことがありますかということを指名に参加したい業者に課しているわけでございます。ですから一例えばアスファルト工事をうちの会社は毎年やっていますよということであればはいれるわけでございます。  そして、ここに何を書いてあるかといいますと、「同種工事又は類似工事いずれの実績もない者は不適格とする」、これはまあわかるんですけれども、「JVの場合は、構成員の全員が同種工事又は類似工事の実績を有すること」と、こう書いてあります。といいますのは、大きな会社と小さな会社があって、大きな会社だけが仕事がとれる、これが今までだったと思うんですね。  私も北海道に選挙区がございますし、お世話をいただいております業者さんが、仕事がないんだ、いろんな仕事に参入をしたい、そして大きな工事は内地の会社しかやれないんだ、こんな話もさまざま聞かされておりますし、建設委員会などでも、なるべくその地域の業者さんが仕事がとれるようにしてくださいというお願いもしたところでございます。  しかしながら、今ここに書いてあるのは何かといいますと、大きな会社は大きな仕事をやったことがあります。小さな会社は実績を持っていません。そして、JVというのは大きな会社がヘッドとなってグループでやる事業だと思いますけれども、その中に入ったときも、全員がその工事をやったことがなきゃだめだということは、一生はいれないわけですね。どこかで参加しないと経験が積まれないのに、その仕事に、実績にはいれないわけですよ、一生。というようなことで締め出しを行っている、こんな事実もございます。  そんな中で、この道路に関しましては、いわゆるAクラスと呼ばれている業者さんが三十三ありまして、実際、経験を有して仕事を常時受注できるのは二十社だというふうに聞いております。  そんな中で、直接関係があるかどうかわかりませんけれども、受注をされる上位の会社、これに建設省からどのくらいの方々が行っておるか。多いところから言いますと、K建設が九十五人、T建設が九十五人、O組五十四人等、そういうところにはOBの方が非常に多いわけでございます。  そして、調べてみてわかったことでございますけれども、いわゆる衆参の国会議員、あるいは地方で言いますと県会の議員に関係をしている土建屋さんあるいは建設業者さんに天下りが非常に多いという数字も得ております。これが今までの慣習とはいえ、いつまでもこんな状態でいいとは私は思わないのでございます。  建設大臣の御所見、いかがでございましょうか。
  129. 瓦力

    国務大臣(瓦力君) 委員の御質問は具体的な問題にお触れでございますので、追って政府委員からも答えさせてまいりたいと思いますが、私は、それぞれの入札、一般競争入札の導入、中小工事を受ける公募型指名競争入札など新しい入札の方式を導入いたしておりまして、今委員が御指摘のような問題というのは、やはり透明性を欠くとか客観性、競争性を欠くわけでございますので、そういうことに着目をいたしまして入札の方式をどんどん切りかえておるわけであります。  以上、お答えをして、これ以上加えることがございますれば政府委員から答弁させてまいりたいと思います。
  130. 小野邦久

    説明員小野邦久君) お答えを申し上げます。  ただいま先生指摘の、同種工事の実績等を条件として導入することによって実質的に一般競争と言いながらも競争を制限しているではないか、こういうお話があったわけでございます。特に、大変大きな道路工事等についてそういうようなことがあるのではないか、こういうお話でございますけれども、私ども承知しておる限りでは、確かに一般競争を導入いたしましても、優良な施工業者を選択するというのは、ある意味では納税者方々にかわって発注者の義務でございます。  きちっと的確に工事を施工し、責任を持ってやっていっていただく方をどう選び出していくのか。そういう方々で本当に競争をしていただくということが一般競争の使命だというふうにも思うわけでございまして、そういう点からいいますと、ある程度の技術力あるいは施工実績、そういうものをきちっと把握する手段として同種工事の施工実績、過去にそういうことをやったことがあるかどうかといったようなことが大変大きなメルクマールになってくるわけでございます。  現在は多くの一般競争におきましてそういうような条件をつけていることが多いわけでございますが、それであれば逆にほとんどはいれないではないかと、こういう御指摘も片方ではあるわけでございます。これにつきましては、例えばJVの組み方の中でいろいろランクによってA、B、Cといったような組み方もあるわけでございまして、そういう中で徐々に実績をつけていただくとか、あるいは経常JVの場合にはそういう要件を緩和するようなこともことしの秋から実施をいたしておりまして、そういったようなことによって少しでも本当の競争と申しますか不正が起きにくいシステムができないか、こういうふうに考えているわけでございます。  それと同時に、先ほど何社かの道路会社と申しますか建設会社で具体的なOBの数を挙げられまして、それだけたくさんOBと申しますか職員が行っているという御指摘もあったわけでございます。具体的な数は承知をいたしておりません。現在手元に資料はございませんが、やはり技術あるいは経験等を生かしてぜひ来てもらいたいと要請があることも事実でございます。  私ども、地方建設局に二万三千人の職員が働いておりまして、大変多くの職員がいるわけでございまして、必ずしも定年までいるという職員の方が実は少ないわけでございます。そういったようなことから、そういう要請を受けて、第二の職場としてそういうところを選ぶということも、これは専門性ということからあり得ることでございまして、それによって少なくも一つの疑惑を招くような、あるいはそれによって一つの条件が有利になるとか、そういう取り扱いは一切いたしておりません。
  131. 小川勝也

    小川勝也君 建設大臣、答弁は要りませんので。  そのように今御答弁ありましたけれども、必ずしも広き門じゃないわけだと私は理解しております。ですから、ある程度技術的な線引きがあってしかるべきだと思いますし、それは国民の税金で施工をするわけですから立派な瑕疵のない仕事をしてもらいたいわけでございますけれども、それは、今ジョイントベンチャーの組み方でさまざまな方法があると思うんですね。小さな仕事から順に実績を上げていって最後にはJVに参加できるような、もう少し門戸を広げるべく御検討をいただければと思います。  そして、特に、天下りと言われましても、技術的な部分に関しましては私も大部分理解をしているつもりでございます。しかしながら、先ほど申し上げましたような官主導と呼ばれる、あるいは言えるような国の中で、建設省なり官がその官の持つ技術者の能力を高くするべく努力してきた歴史でもあったと思うわけでございます。民間の経済活力を最大限引き出していきたい、そんな国づくりにもう少し工夫をいただきたいと思うわけでございます。  それと同時に、先ほど触れましたトップの指定席人事の問題でございますけれども、特に、今建設省に顧問室というのがあるんだそうでございまして、特定の方がその顧問室に顧問という形でおられるように聞いております。その方が巷間言われておりますような指定席にお座りになるだろうと、いろんな方からお話を聞いたところでございます。  建設大臣はそのような慣習に対してどのように思われておるのか、そしてその人事を発令するのが瓦大臣だと伺っておりますが、お考えを確かめてみたいと思います。
  132. 瓦力

    国務大臣(瓦力君) 委員お尋ねの件でございますが、人材は広く求めるべきと、かように存じますが、御案内のとおり、豊富な経験、幅広い知識と申しますか行政経験を踏まえまして得られた経験は貴重でありますので、それらの経験も存分に発揮していただくというようなことは私は貴重なことだと思っておるわけであります。  もちろん、姿勢といたしましては、広く人材を求めて、その必要に応じまして考えていく、こういう姿勢は堅持されせなきゃならぬと、こう思っております。
  133. 小川勝也

    小川勝也君 今御答弁いただきました豊富な識見と経験、これは私が最初に申し上げましたとおり当たり前のことだと思うわけでございますけれども、今やもう形骸化していると思うんですね。指定席問題と言ってもいいぐらいだと思います。そして、公団や公社が設立された当時と違いまして、そのプロパーからも、豊富な人材が各公社公団から育っているものだと思いますし、建設省で長年お勤めになった方だけが豊富な識見あるいは実績を持っているのだとは私は思えないのでございます。フレキシブルな対応をするべく御検討いただきたいと思います。  次の質問に移らせていただきたいと思いますが、ダイオキシンを中心としました環境等にかかわる問題について御質問を申し上げたいと思います。  その前に、せっかく環境庁長官お見えでございますので、京都会議を議長としてお務めになられましたので、その成果と評価についてごく簡潔に教えていただきたいと思います。
  134. 大木浩

    国務大臣(大木浩君) まず、今度の会議の評価というのは、評価する方の立場によっていろいろとあると思いますけれども、議長国でございます日本としては、とにかく法的な拘束力を持ったああいう文書をつくることができたということで、その点は成果であったというふうに考えております。  その中身につきましてはいろいろありますけれども、これからそれを実施していくということになりますと、これは各国が相当努力をしないといかぬわけでございますから、それに向かって実際にこれから、その文書はできた、しかしそれを実行することが大切だというふうに感じております。  それから、日本の立場を離れて今度の会議を多少第三者的に見ますと、これはやはり各国が地球温暖化防止のためには努力をしなきゃいかぬと、一般論としてはわかっておるわけですが、そのための努力というかいろんな施策ということになりますと、これはもう各国が相当に自分のところの産業とか経済というものを抑えながら実施をしていかなきゃならぬという面もありますから、その点ではなかなか自分だけが先行してということにはなりにくいという面はあります。  そういうところで会議が相当に時間もかかったし、最終的にでき上がったものもとりあえずはあの程度かなと思いますけれども、これから環境と地球温暖化の防止を本当に進めていくということからすれば、あそこでとまってはいけない。さらにまた毎年、COP3、COP4とあるわけでございますから、そういうところへ強化をしていく必要があるのではないか、そういうふうに感じております。
  135. 小川勝也

    小川勝也君 先ほどの天下り問題に関しまして、順番が変わってしまいましたが、十二月八日に北海道開発庁と北海道開発協会の関係で新聞記事が出ております。これは私も以前から大体わかっていたことでもございますし、鈴木長官もよく御存じのことだと思います。  先ほど申し上げましたように、さまざまな天下りに関する肯定論あるいは必要悪論みたいな話もございますし、その中の大部分は私も理解をさせていただいているつもりでもございます。そしてまた、日本的な慣習といいますか、特に北海道では官がたつとばれる風習が強いわけでございますし、一朝一夕に制度で変わるものじゃないと思います。  しかしながら、景気、経済がこういうときに、そして橋本内閣も行革をする、そして社会システムを変えていくんだというときに、いつまでもこのままでいいのかという疑問が私の中には残るわけでございます。  鈴木長官からもその点に関しまして御答弁をいただきたいと思います。
  136. 鈴木宗男

    国務大臣(鈴木宗男君) 北海道開発庁も七千五百人の職員がおりますから、しかも技術屋さんが多いわけでありますから、それなりの経験、知識は生かされるべきだと、こう思っております。同時に、幹部職員になりますと、五十二、三歳でもう既に退職であります。しからば、その持てる能力をそのままほっておいていいのかというと、私は国益の観点からもったいないという感じがいたします。ですから、私は節度あるその経験や知識、技術は生かすべきだと、こう思っております。  私自身思いますのは、役所をやめる際、退職金ももらえますし、同時にそれ相応の年になりますと年金もついてくるわけであります。給料なんかの面でもらい過ぎだとかあるいはボーナスの取り過ぎだとか、こういうことをとにかく考えれば、きちっとしたルールの中で私はその人材が生かされるというのは悪いことじゃないと、こんなふうに思っています。
  137. 小川勝也

    小川勝也君 長官の御答弁は大体予想できました。  しかしながら、北海道開発局と北海道開発協会あるいは開発ファミリーとかさまざまた言い方をされております。これは多分民間がやれる仕事をも自分たちの系列の中に加えているというところにも問題があると思います。さまざまな状況の中でいろんな経験をされていくと思いますので、こういうことを将来に向けて疑問視している人間がいることもあわせて記憶をしておいていただいたらいかがかなというふうに思います。  今、大木長官から御答弁をいただきました。私どもも一生懸命この地球温暖化対策、少しずつでございますけれども努力をしているつもりでございます。しかしながら、なかなか一般の方に御理解をいただけない部分もございます。今までさまざまな歴史の中で、特に私が生まれ育ってきた時代は、高度経済成長時代と申しますか、少しでも便利な生活を追求していく歴史でございました。ここに大きな問題が生じてきて、地球全体で一人一人の努力によって変えていかなきゃならない部分が出てきた大きな問題だと思います。そして、先般から問題になっておりますダイオキシン問題も人類共通の課題ということでは同じだと思います。  厚生大臣に、ダイオキシン対策で最新の情報があるかどうか。そして、私は北海道でございますが、廃棄物処理法の関係で北海道では十万人規模の焼却炉をつくるというのが大変な問題でございます。この辺通告してございますので、簡潔に御答弁をいただきたいと思います。
  138. 小野昭雄

    説明員小野昭雄君) 廃棄物の焼却施設から排出されますダイオキシンが大きな問題になっていることは事実でございまして、これを削減していかなければならないわけでございますが、本年の八月に廃棄物処理法に基づきます政省令を改正いたしまして、焼却施設の構造の基準あるいは維持管理の基準というものを強化いたしました。また、規制対象施設の範囲を拡大したところでございまして、十二月から施行されているところでございます。  厚生省におきましては、この新しい基準の円滑な施行を図りますために、都道府県の担当者を対象といたしましたブロック会議を開催いたしましたし、廃棄物の焼却施設の設置者に対しまして今回の規制措置説明するパンフレットを作成いたしましたり、また施設の改善事例を集めたものを作成いたしまして都道府県を通じて配付したところでございます。こういったことを踏まえまして適切に対処してまいりたいと考えているところでございます。  また、ごみ焼却施設の国庫補助の点のお尋ねでございます。  私どもといたしましては、公共事業費の費用の削減あるいは焼却によりまして発生いたします熱エネルギーの有効利用等の観点を踏まえまして、来年度から離島を除きまして、一日当たりの処理能力が百トン以上の全連続式の焼却施設を国庫補助の対象とする考えでございます。このために、都道府県に対しまして、小規模なごみ焼却施設を集約化いたしまして広域的にごみを処理するための広域化計画を策定するようにお願いをしているところでございまして、現在都道府県におきましてその策定に向けて検討中でございます。  しかしながら、広域化を図りましても、今御指摘のように、百トン以上の全連続式焼却施設とすることが困難な地域がございます。これらの地域につきましては、地方財政措置の活用を図りますとともに、ごみを燃やさないで固形燃料化する、RDFと申しておりますが、そういったものも非常に有効でございますので、都道府県と連携を密にしてそのような対応をとりたいと考えております。
  139. 小川勝也

    小川勝也君 北海道の自治体の首長さん方は大きな苦悩と問題を抱えておりますので、厚い御配慮をお願いしたいと思います。  そして、最後の質問になるわけでございますけれども、私が環境に興味を持ちましたのはそんな古い歴史ではございません。ダイオキシン問題も一生懸命勉強させていただきました。そして近年大きな衝撃を受けた本がございます、きょうは持ってきておりませんが。それと、私はちょうど見られなかったんですけれども、「NHKスペシャル」で化学物質による生殖異常の問題が取り上げられておりました。これもいろんな方々から反響が寄せられております。そしてまた、ちょっと分野はずれるのでありますけれども、先般厚生大臣もおいでいただきましたが、同僚家西議員の本も感動を持って読ませていただきました。  先ほどの地球温暖化を含めまして、我々人類が未曾有のステージに到達したんじゃないかな、私たちが今までの考え方で次の未来を見通すことは非常に難しいんじゃないかな、いろんな問題が指摘されております。残留殺虫剤の問題やDDT、PCB、ダイオキシンの問題、そして薬、食品、さまざまな問題がございます。  大きな質問になって恐縮でございますけれども、人類が新たな時代に到達するためにやらなきゃいけないことが何なのか、厚生大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  140. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 大変大きな課題を言われましたけれども、地球環境の保全ということと人間の生命と健康というのは私は深くつながっていると思います。想像もできない一地域の汚染が全世界につながる、気がつかない問題が地球の生態系を壊す。最近ではよくわかっていることでありますけれども、森と海というのは実に密接な関係があるんだということから見ましても、国民の生命と健康を守るということと地球環境の保全、これは一体であるという観点からの対策がこれからより重要ではないかというふうに考えております。
  141. 小川勝也

    小川勝也君 最後に環境庁長官にも言いただきたいと思っておったわけですけれども、時間の配分がうまくいきませんで中途半端になりました。  先ほど申し上げましたように、さまざまな研究レポート等を読ませていただきますと、食物連鎖と残留化学物質、それがどんどん蓄積されてきて生殖異常、そしてこれが人類にまで影響を及ぼしているという報告も上がっております。二十一世紀を生き抜くために我々もやらなきゃいけないことがたくさんあると思いますし、厚生大臣環境庁長官、大きな観点から日本の行政を見据えていただきたいとお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  142. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 私は、まず労働大臣にお尋ねをさせていただきたいと思います。  事業所内での障害者虐待事件というものが再三このところ社会問題化しております。先回私は、アカス紙器事件について、そうした現場の人たちの声を率直に聞いて事実を確認し、対応をされることを要望いたしました。その後、関係機関との連携強化を図るということがいろいろされておりまして、その対策が図られておるやに聞いておりますが、どのような対策を講じておられるのか、お尋ねをいたしたいと思います。
  143. 伊吹文明

    国務大臣(伊吹文明君) ただいま先生指摘のように、アカス事件というまことに残念な恥ずかしい事件がございまして、その御指摘を受け、労働省といたしましても、事業所内で人権が無視をされたような悪質な事件が起こるなどということはあってはならないことだと考えまして、関係省庁、具体的には我々雇用を扱っております労働機関、障害者の関係を扱っておられる厚生省の福祉事務所、特殊学校の教育を扱っておられる文部省関係教育委員会、それから人権問題を扱っておられます人権擁護委員会等と連絡をとり、お話をさせていただきまして、定期的に会合を持ちまして、今先生がおっしゃったようなことが二度と起こらないように、そして障害のある人も完全参加と平等のもとに働くことによって生きているということを実感できる社会ができるように、常日ごろの連絡を密にしながら今やっておるところでございます。
  144. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 障害者雇用連絡会議が幾つか都道府県が主催をいたしまして開催済みと聞いておりますが、ここで問題になった問題点、それからどのような指導が必要だと考えておられるのか、あるいはどのような再発防止対策を講じておられるのか、お尋ねをいたします。
  145. 伊吹文明

    国務大臣(伊吹文明君) まず、御指摘のような恥ずかしいことが起こらないようにするためには、国民一人一人がそういう自覚を持ってやっていただくということが基本でございますので、とりわけ事業主の方に対しまして、障害者を雇用することの意味をよく理解していただき、そのための細かい指導あるいは援助というものをやっております。  もちろん、各種の助成金の支給とかそういうことはあるわけでありますが、そういうお金の面よりも、障害のある人をこの社会の中で受け入れて、彼らもまた自立をして社会を支える側に回っていくという気持ちで生きてもらうということがいかに大切かということを事業主の方に理解してもらうように努めております。  先ほど申し上げました連絡協議会も、今半数以上の都道府県において既に何度も開催されているわけでありますが、まだ準備のできていないところも残念ながら約二十ほどございますので、そこについても先般の御指摘を受けて今鋭意準備を進めているところでございます。
  146. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 そうした障害者を社会の中に包み込んでいくためには障害者の法定雇用率というものがございまして、それを達成するために労働省もさまざまな努力をしてこられたと思います。昨今の法改正におきまして雇用率もアップされておりますが、なお一般の民間企業においてはこの雇用率の達成が十分だとは言えない状況にあると思います。どのような取り組みを今後していかれるのか、お尋ねをいたします。
  147. 伊吹文明

    国務大臣(伊吹文明君) 御承知のように現下の経済・雇用情勢はまことに厳しくなっておりますが、今御指摘がございましたように、障害者雇用促進法で定められた身体障害者を雇用していただく率というのがございます。これはもう先生よく御承知のことですが、民間企業では一般に一・六%という率が定められておりますので、この率を守っていただくようきめ細かな指導事業主に申し上げ、同時に、法定雇用率未達成の事業主については一種のペナルティーがございますし、また雇用率達成のための厳正指導を行っておると同時に、各種助成金の支給等についてきめ細かな指導、配慮をしておるところでございます。  同時に、障害を持っておられる方にも、働くことによって生きている喜び、存在感、そしてもちろん経済的な収入を得られるように障害者の方々の御相談にも乗っているというのが現状でございます。
  148. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 平成九年の障害者雇用促進法の改正によりますと、平成十年の七月一日以降は法定雇用率も一・六%から一・八%にアップされまして、さらに一層の努力が求められております。その実施に向けて鋭意御努力をいただくことを心から期待したいと思います。  それでは次に、厚生大臣にお尋ねをいたしたいと思います。  昨今、知的障害者施設白河育成園というものにおける園児に対する虐待、その他、保護者らの引き取り問題が大きく社会問題化しております。厚生省はこの事件についてどのような調査をし、事実をどのように把握しておられるのか、お尋ねをいたします。
  149. 田中泰弘

    説明員(田中泰弘君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、白河育成園で大変な事件が起こりまして、極めて残念なことと思っております。  事実関係についてのお尋ねでございますが、これまで東京都、福島県が監査、調査をいたしました結果として報告を受けておるところによりますと、白河育成園におきましては、入所者に対しまして指導、訓練の名のもとに行き過ぎた体罰が行われたり、向精神薬、抗てんかん薬、睡眠薬等が過剰に投与される等の人権侵害にかかわる処遇の実態確認されたという報告を受けております。  また、寄附の問題でございますが、公的助成を受けずに平成七年に施設を整備した際の建築費につきまして保護者全員からの寄附が充てられるということでございまして、その寄附金につきましては、法人の後援会総会において話し合いの上決定されたというふうに聞いておるところでございます。  現在、保護者あるいはその支援者等から施設に入っている方々の引き取りについての要望が出,施設あるいは地方公共団体等の話し合いが進められているというのが現状でございます。
  150. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 問題になっておりますのは現在入所している人たちの引き取り問題であろうと思いますが、全入所者のうち何名が入所の施設が見つかっているのか、あるいは待機している人たちは何人で、なおかつ行きどころがなくそこにおられる人たちは何人なんでしょうか。  そうした入所者が退所することによって、補助金の減額等によりまして経営が困難になっているということなどが新聞で報道されておりますが、その点に対してはどのような状況になっているのでしょうか。
  151. 田中泰弘

    説明員(田中泰弘君) お答え申し上げます。  入所者三十名がおられましたが、既に二十三名の方が退所され、自宅で待機されております。この二十三名の中で東京都が措置しました十八名の退所者につきましては、今月の十七日以降、新たな施設に措置がえをするということが決定いたしております。それから、横浜市等から入られました三名、これも退所者で既に待機されている方でございますが、この方々につきましては、既に新たな施設への措置がえが進んでおるという状況でございます。現在、退所中の方々の中で残り二名の方々が残っておられますが、早急にその行き先を定めるべく検討を急いでいるというところでございます。それから、三十名のうち二十三名の方が退所されましたが、残りの七名の方々については、一応今のところ残留希望というのが保護者等から出されているという状況でございます。  それから、この施設の関係でございますが、今申し上げましたように入所者七名の方が残留を希望されているという事情の一方、新たな入所措置はもう行わないということが決定されております。それからまた、施設建設費の償還財源関係の寄附金も確保できなくなるということから、事実工事業停止に等しい状態になっておりまして、今後の法人の存続にかかわる事態も生ずることが予想されるということでございます。  福島県とも密接に協議の上、適切な対処をしてまいりたいというふうに思っております。
  152. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 その場合に、保護者の人たちの出された寄附金の処理などについては何か検討をされておるでしょうか。
  153. 田中泰弘

    説明員(田中泰弘君) お答えいたします。  寄附金の問題につきましては、当時無認可の施設から認可の施設になる際に各保護者から寄附金が集められたわけでございますが、それは後援会の総会において話し合いで決められたというふうに伺っております。私どもとしましては、後援会に加入されている皆さん方の話し合いの上で解決すべき問題ではないかというふうに思っております。
  154. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 その保護者からの寄附金が幾らぐらいだということについては把握しておられますか。
  155. 田中泰弘

    説明員(田中泰弘君) お答え申し上げます。  詳しい数字は持っておりませんが、三十名の方で一人当たり八百万円を目標に寄附が進められたということでございまして、その寄附は現在途中まで経過したというふうに把握しております。
  156. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 そうすると、途中までですと総額は幾らぐらいまで集められているんでしょうか。
  157. 田中泰弘

    説明員(田中泰弘君) 一括払いの方、それから計画的に年限を決めて払われている方、いろいろございまして、現在その数字は手元に持ち合わせておりません。
  158. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 その数字はでき得る限り早く御調査いただきまして、当事者の話し合いだけではなくて、何らかの形で指導が必要ではないかと思われます。  さらに、この白河育成園の場合は大変多くの暴行事件が問題になっております。入園者に対するさまざまな暴行以外に、薬物の投与とか、とりわけ理事長その他から受けた女性の性的被害の訴えが、随分大きな苦情というか訴えになっておりますが、この点につきましてはどのような御調査をされておるでしょうか。
  159. 田中泰弘

    説明員(田中泰弘君) お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、先日の報道で、女性の入所者が新たな性的な被害を受けたという訴えがなされた報道が出ております。この点につきまして、福島県の県南の福祉事務所が当該法人の理事長から事情聴取を行ったところでは事実の確認ができなかったという報告を受けておりますが、現在、この三名の女性の方々措置いたしました東京都内の二つの福祉事務所でございますが、事実関係の調査に入っているということでございます。  以上でございます。
  160. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 厚生大臣にお尋ねいたしたいんですが、こうした障害者施設における人権侵害事件は、関係方面にさまざまな申し出があったにもかかわらずその措置がとられていなかった、したがって発見が遅くなって被害を深刻化し、かつ拡大したということが言えると思います。とりわけ、知的障害である人たちの苦情というものは真剣に外部が受けとめることが少ないというのが今までの社会的な傾向としてあるわけであります。この点について、障害者一一〇番などさまざまな対応をしたいというふうに配慮を述べておられるわけですが、厚生省としてはこれに対してどのような対策を講じられたでしょうか。
  161. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 白河育成園事件等については、大変ゆゆしき事件でありまして、あってはならない事件であります。今政府委員から答弁いたしましたように、既にこの問題について厳正処分をするように指導しているところであります。今後、障害者に対する人権侵害等の発生防止について迅速に的確に対処しなきゃいけないということでありますので、現在関係審議会に御審議をいただいております。その審議を踏まえて適切な対応をとる必要があると考えております。
  162. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 法務大臣にお尋ねいたしたいと思います。  最近、さまざまな人権侵害事件というものがふえておりますが、どのような人権侵害事件の傾向があり、その中で障害者の人権侵害の割合といいますか重さといいますか、そうしたものはどのように把握されておるでしょうか。
  163. 横山匡輝

    説明員(横山匡輝君) お答えいたします。  平成四年から平成八年までの五カ年間において法務省の人権擁護機関が受理した人権侵犯事件は、各年次とも年間一万五千件ないし一万六千件台で推移しております。  このうち、私人によって引き起こされた人権侵犯事件内容別に見てみますと、件数の多い順に、一番目は、親の子に対する婚姻妨害や離婚の強要、職場内での意に反する不当な行為の強要など、社会的地位、経済力、強迫、暴力等を用いて個人に対して義務のないことを行わせたり、正当な権利の行使を妨害するなどの強制圧迫であります。二番目は、家庭内において妻、高齢者、幼児等の弱い立場にある人を虐待するなどの酷使虐待、三番目が、借家人を追い出すために嫌がらせをするなど、正当な手続を経ない実力行使を行うことや、騒音等による侵害などの住居の安全に対する侵犯、それから四番目が、名誉、プライバシー等に対する侵犯、五番目が、労働権に対する侵犯、六番目が、同和地区住民に対する差別等の差別待遇となっておりまして、これらの事件が全事件の約八七%を占めており、この傾向はここ数年大きな変化はございません。  それで、障害者に関します人権侵犯事件につきましては、全体としては統計上把握しておらないのでございますが、白河育成園におけるような事件、これは社会福祉施設における人権侵犯事件として把握しております。これによりますと、平成四年から平成八年までの五年間で合計十三件、そして本年は現在までのところ白河育成園の事件を含めて三件でございます。  以上でございます。
  164. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 そうしますと、こうした障害者の人たちに対するいわゆる人権擁護のためのシステムが必要だと思います。  まず、窓口の相談体制を充実すること、あるいは特殊なそうした人たちの権利侵害の訴えを聞くための対応のシステム化が必要であろうと思います。さらに、やはり現場にコンサルタントを置くなり、あるいは訪問調査をするなり、さまざまなシステムが必要だと思いますが、この点につきまして、法務省としてはそうした人権問題を統括される省庁といたしまして今後どのような形で対応されようとしているのか、お尋ねいたします。
  165. 下稲葉耕吉

    国務大臣下稲葉耕吉君) お答えいたします。  先ほど来お話に出ておりますアカス事件でございますとか、白河育成園の事件等々を伺いまして、私ども胸が痛む思いでございます。  障害者の人権擁護の重要性につきましては、法務省といたしましても十分認識いたしております。  そこで、昭和五十六年以降、啓発活動の強調事項の一つといたしまして、障害者の完全参加と平等を実現しょうということを一つの目標に掲げておりまして、障害者に対する差別や偏見を解消し、人権尊重の意識の普及高揚を図るための啓発活動や、人権相談所における障害者の人権に関する相談活動等に積極的に取り組んでいるわけでございます。  先生御承知のとおりに、人権擁護委員方々全国に一万四千名いらっしゃるわけでございまして、そういうふうな方々の大変なお力添えをいただいているわけでございますが、法務省も法務局八カ所、地方法務局四十二カ所、そのもとに今申し上げましたような人権擁護委員先生方がいらっしゃるわけでございます。  御指摘ございましたような形で、私どものできますことは、そういうふうなことで、未然にああいうふうな事件防止できるような啓発活動というふうなものを積極的に進めるということ、それから、今御指摘がございましたように窓口をいろいろ工夫いたしまして相談活動に積極的に取り組んでまいるような仕組みをつくりたい、またそういうふうなことで努力いたしているところでございます。
  166. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 障害者の人権問題は終わりまして、これは衆議院の予算委員会で問題になりました点のフォローアップを一点させていただきたいと思います。  大蔵省に紀律委員会ができているわけでございますが、現涌井主計局長が泉井からピカソのデッサンか、あるいはリトグラフかエッチングなのかよくわからないんですが、絵を受けた、そしてそれを返却したというケースがありました。さまざまな記録を読みましても、それがピカソであったのかなかったのか、あるいはエッチングであったのかリトグラフであったのか、今その絵がどこにあるのかという点などについて明快になっておりません。  まず、紀律委員会などで大蔵省としては内部でどのような調査をしておられるのか、その結果についてお尋ねをしたいと思います。
  167. 武藤敏郎

    説明員(武藤敏郎君) 涌井主計局長本人に事情を聞きましたところ、今ピカソのデッサンではなかったかというようなお話がありましたが、ピカソのデッサンということではなくて版画であったという認識でございます。エッチングかリトグラフかというお話もありましたけれども、そこはよくわかりません。版画であったということでございます。  それから、紀律委員会についてもお尋ねがございましたけれども、この紀律保持委員会は具体的個別の不祥事について議論をするような場ではございませんので、ここで議論がされたということではございません。
  168. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 そうすると、その絵は涌井主計局長は返したと言っているわけですけれども、それは今どこにあるんですか。泉井に返したんでしょうか、それとも検察庁に押収されているという話もありますが、それについてはどのようにお考えでしょうか。
  169. 武藤敏郎

    説明員(武藤敏郎君) これは平成八年の秋に泉井氏に返却をいたしましたということですが、現在それがどこにあるかは私どもはわかりません。
  170. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 その絵がピカソではないと言われますか、それともわからないんですか、どちらなんでしょうか。
  171. 武藤敏郎

    説明員(武藤敏郎君) 本人はピカソのデッサンではなかったと思うというふうに言っております。
  172. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 その絵の価格についてはお調べになっていらっしゃいますか。
  173. 武藤敏郎

    説明員(武藤敏郎君) 価格についてはよくわかりません。
  174. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 そうしますと、大蔵省の方では紀律保持に関する委員会ができているということですが、個別のケースについてはそこでは議論をされないんですか。一体何をやられる委員会というふうに把握したらよろしいんでしょうか。
  175. 武藤敏郎

    説明員(武藤敏郎君) この紀律保持委員会は、かつて東京協和信用組合の前理事長から大蔵省の職員が供応を受けたといったようなことで社会的な批判を受けるに至りました。このような事態を招かないように、平成七年の三月に職員に対する信頼を回復するために紀律保持委員会を設置したわけでございます。  この紀律保持委員会は、職員の紀律保持の徹底、その状況の監視、問題点等がございますればその改善等を行うための検討というのが組織の主たる目的でございまして、今申し上げましたとおり、個別具体的な不祥事について議論をするというような場ではないわけでございます。
  176. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 大蔵大臣にお尋ねしたいのですが、そういう個別的な各疑問点があった場合は、紀律保持委員会で具体的に議論をしないとすれば、それはどこでどのような形で実情調査を行われるシステムが大蔵省に確立しているのでしょうか。
  177. 三塚博

    国務大臣三塚博君) そういう事態がありますと官房長が職員に事情を聞くと、こういうことでございます。  本件は、涌井官房長の厳重口頭注意の際、官房長でありましたから、改めて本人に直接私が聞きまして、厳重注意ということにさせていただきました。
  178. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) 時間でございますので、簡潔にお願いします。
  179. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 それでは終わります。
  180. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 沖縄返還問題についてですけれども、この問題は、戦後、日本またアメリカの関係、さらにはアメリカのアジア太平洋戦略のかかわりにとって非常に重要な画期になったと思います。  日本共産党は、この問題の真実をアメリカの解禁文書を使っていろいろ研究してまいりました。私も、この数カ月内で解禁されたこの時期の文書を入手して精読してまいりました。今回の解禁文書の中には、米政権が決定した沖縄返還の基本方針となったニクソン大統領承認国家安全保障決定覚書十三号、この文書ですけれども、六九年五月二十八日付があります。(資料を示す)  国務、防衛、財務、CIA長官あてキッシンジャー署名のこの決定なんですけれども、何が書いてあるかというと、日米関係を米国の利益の観点から改善する、在日米軍基地機能を確保する、このことを基本点として確認して沖縄返還を行う。そして、対日交渉に当たっては二つの根本の獲得目標があるとして、まず軍事基地の通常の使用を朝鮮、台湾、ベトナムとの関連で最大限利用する、自由にする。そして、沖縄にある核兵器保持を希望しつつ、交渉の最終段階で、緊急時における核の貯蔵と通過の権利を保持することを条件に核兵器の撤去を考慮する用意がある、こういうことを挙げているわけです。  そこで、大臣、沖縄返還に当たって交渉で大きな問題になったのは、日本にとっても核兵器とそして基地の作戦使用、この二つの問題だと思いますけれども、その点いかがですか。
  181. 高野紀元

    説明員(高野紀元君) お答え申し上げます。  沖縄の返還に当たりまして日本政府として重視した点に関しまして、今委員指摘になりました核抜き・本土並みという点があったことはそのとおりでございます。その結果に関しましては、沖縄返還協定あるいはその前にございます佐藤・ニクソン共同声明第八項等で確認されているとおりでございます。
  182. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 日本にとっても、核抜き・本土並みという言葉があるように、この二つの課題が最大の懸案だったということは明白になったと思うんです。  それで、国家安全保障決定遂行のため、大統領が作成を指示した沖縄交渉についての戦略文書というのがあります。手元にありますけれども、この文書です。(資料を示す)  これは六九年七月三日付、トップシークレット、センシティブ、極秘、厳重注意と記された交渉のかぎを握る、そういう文書なわけです。米政権が沖縄返還にかけたすべての思惑はこの文書の中にすべてあらわされているなと、私、読んで思いました。  六九年十一月ということで開催が合意された佐藤・ニクソン首脳会談に向けての手順、段取り、各レベルでの交渉のタイムテーブル、そこでの訓令、交渉内容が詳細かつ細心に用意されているわけです。  その第三段階、八月交渉と称されておりますけれども、そこには、自由出撃は日本の財政負担とともに公式、非公式の両方で了解の素案をつくる、核問題については議論はするが最終決定は行わない、そう記されているわけです。核問題の最終決定というのは、首脳会談で文字どおり行われることにゆだねられたわけです。  ここに、十一月の十九日にホワイトハウスで行われた日米首脳会談の議事録があります。(資料を示す)七ページですよ、これ。これもシークレット、センシティブというふうに書かれております。  私、これを読みまして、議事録の三分の二が核問題に充てられているわけですね。とりわけ、核兵器が撤去されることを直接公式に表明することは難しいということを両者、大統領と首相が確認し合って、そしてその後、事前協議等々の処理などでどうするかということについて協議しているわけです。  そのさわり、最後のところでこういうくだりがあるんですね。引用します。原文は英文ですが、翻訳したものです。大統領は、核問題をどう取り扱うのが最善であろうかと首相に尋ねた。最終的に、もちろんこのことは明るみに出るでしょう。しかし、首相はこの問題を共同コミュニケに含ませなければならないとは考えなかった。大統領はそれに同意した。こういうくだりがあるわけです。大臣、この引用したやりとりがあったわけですけれども、そのことを承知していますか。
  183. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 沖縄返還に至る間についてはいろんな経過があったとは存じますが、私自身それは承知をいたしておりませんが、いずれにいたしましても、核抜き・本土並みということで沖縄が返還されたことが事実でございます。
  184. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 局長はどうですか。
  185. 高野紀元

    説明員(高野紀元君) 今、大臣がお答え申し上げましたとおりでございます。  沖縄の返還に関しまして、公約どおり核抜きで実現したことは、当時から政府が累次御説明しているとおりでございまして、佐藤総理大臣御自身、また歴代の総理大臣、外務大臣がその旨を明確に国会の場でも御答弁申し上げております。
  186. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 そういうことを言われるんだけれども、今私が紹介したように、アメリカの議事録はあるわけです、ここに現に。こういうものについては読んだことがない、知らないと。そしたら、議事録というのは双方でとるわけですから、十一月十九日に行われたこの会談、日本にこの議事録あると思いますけれども、それどうですか。
  187. 高野紀元

    説明員(高野紀元君) 沖縄の返還に至りますまでの日米間では、当然のことながら各種の政府間協議が行われまして、その中で例えば当時の愛知外務大臣と駐日米国大使とのやりとりもございますし、その他日米間で協議委員会等を設けてやっております。
  188. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 議事録があるか、首脳会談の。あるかないか。イエスかノーか。
  189. 高野紀元

    説明員(高野紀元君) それで、そういうやりとりが各レベルでございます。そういうものについては、従来から申し上げておりますけれども、その具体的な内容については申し上げることは差し控えたいと思いますが、いずれにしても今委員が御指摘の核抜きがどうなったか、本土並みになったかという点についての結論は、日米間の合意は返還協定及び佐藤・ニクソン共同声明に書いてあるとおりでございます。
  190. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 日本側に十一月十九日に行われた会談の議事録はあるということを今確認されましたね。ありますよね。ないなんといったらこれはえらいことになる。  それで、あるならば、アメリカがこういうものを発表して、私はこの国会でこういう問題を提起したわけだから、少なくともこの問題について日本側の議事録がどうなっているか、それを示すべきじゃありませんか。ここにも通訳として外務省の赤谷源一審議官が同席したと書かれている。そして、彼が苦労してこの議事録をつくったということも言われております。ですから、その議事録、やはりその該当部分を示すというのは当然じゃありませんか。
  191. 高野紀元

    説明員(高野紀元君) 繰り返して恐縮でございますが、返還に伴う諸側面に関する問題は……
  192. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 議事録を示すかどうかというそれだけだ。時間がないんだからいいよ。示すかどうか。
  193. 高野紀元

    説明員(高野紀元君) 協議がいろいろ行われたことは事実でございます。それで、今委員が具体的に言われている点については私今ここに承知しておりませんが、いろいろなやりとりがあったことは当然でございます。佐藤総理大臣が申し上げている答弁がございますので、念のためちょっと申し上げたいと思うんですが……
  194. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 いろんなやりとりがあったのは当たり前なんだよ。そのやりとりの中身を聞いているわけでね。  大臣、議事録はあるんですよ。そして、私が今問題にしたこういう箇所、少なくともここで言われているのは、共同声明の中で、含ませない方がいい、つまりいずれ明らかになるだろうと言われている秘密の部分があるということがここで暗示されているわけですよ。そこが問題なわけで、議事録があるわけだから、大臣、責任を持ってその部分を読んで、実物じゃなくてもいいから、こう書かれているということを報告する、そういうことをやる気持ちはありませんか。
  195. 高野紀元

    説明員(高野紀元君) 大臣がお答えになる前に恐縮でございますが、いずれにしても佐藤総理大臣が昭和四十五年の二月二十六日に衆議院予算委員会で……
  196. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 ここで紹介するかどうかだけ聞いているんだから、それだけで結構だ。
  197. 高野紀元

    説明員(高野紀元君) 申し上げているとおりでございますが、この問題についての日米間の合意というものは共同声明のほかにない、それから、その後の沖縄返還協定に明示されているとおり、完全に核抜き・本土並みの形で返還が実現したということは累次申し上げているとおりでございます。
  198. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 アメリカの資料のことを聞くと、あなた方は、読まない、聞かない、すぐそう言うけれども、自分たちのところに持っている、自分たちの主権によるそういう資料、それさえも出さないのか。これは本当に問題だと思いますよ。  大臣、少なくとも国会でこういう問題になったんだから、その部分はこうですよということをあなたが国会で報告する。原文を見せろなんて言っているんじゃないよ。そういう気持ちはありませんか。大臣に聞いている、やるかやらないか。
  199. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) お示しの資料は、アメリカの情報公開法か何かに基づきまして公開されたものの資料かと存じますけれども、日本政府としては、今この問題についてここで御答弁する立場にはありません。
  200. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 私が聞いているのはアメリカの資料じゃないんですよ。日本の議事録で、今こういうアメリカで発表されたところに秘密協定の疑惑がある、私はそう指摘しました。それについて、その疑惑が、疑惑というのならそれを晴らすために報告するつもりはないかと聞いているんですよ。しかし、そういうことをやるつもりはない。  やっぱりこれは非常に大事なんですね、重大なんですよ。というのは、このアメリカの文書の中で、やはり六九年四月二十九日付の国家安全保障研究覚書五号という文書がある。その中には重大なことが書かれているんですね。核兵器、これを緊急時にどうやって持ち込むか、どういうケースがあるかということについて、事前の合意によって、アメリカはアメリカが緊急事態が存在すると判断したときに核兵器を持ち込むことができる、そういうことを想定して交渉するということも書かれている。あるいは、核武装した航空機と艦船の通過権のみ日本に保障させる、そういう選択肢をいろいろ考えているわけですよ。しかも、こういう海軍、艦船のトランジットは日本が黙認している、これを沖縄に拡大するんだ、そういうことも言われているわけですよ。ですから、お題目みたいに、そういうことはあり得ない云々ということを繰り返しても、どんどんこういう形で出てくる問題、この問題に対してやはり外務省が、政府が責任を持って対応する、このことがどうしても必要だと思うんです。  私は、はっきり言って自分たちのところに、そして自分たちのところでしか見れない、国会にも回さない、そういう資料を持って核抜き・本土並みでやりましたということをオウムのように繰り返す、これは全く無責任だと思うんですよ。こういう態度を繰り返しているということがまさに大問題だと私は思います。  そういう点で、私はもう一つお聞きしたい。それは、それならば大臣、この場で沖縄交渉に関してアメリカとの間で秘密了解も秘密合意もない、そのことを断言してくださいよ。それやってください、大臣。時間がないから大臣で。
  201. 高野紀元

    説明員(高野紀元君) 大臣の御答弁の前に事務的に御説明だけさせていただきたいと思いますが、今の委員の御指摘の沖縄における核兵器の問題に関しましては、沖縄返還に関し昭和四十四年十一月の日米共同声明、沖縄返還協定第七条でございます。それから沖縄復帰の日の昭和四十七年五月十五日に発出されたロジャース国務長官の福田外務大臣あての書簡、これに明確に書いてございます。返還時に沖縄に核兵器が存在しなかったということはそこで明らかになっております、当該条文をちょっと省略させていただきますが。  かつまた、返還後は沖縄についても日米安保条約及び関連取り決めが全面的に適用されるということも確認されておりまして、日米安保条約上、核兵器の持ち込みが行われる場合にはすべて事前協議の対象になり、また核の持ち込みについては、事前協議が行われた場合の政府としての対応は、これは常に拒否するという考えであることは御説明してきているとおりでございます。
  202. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 大臣、ここで私聞いているのは、秘密協定がない、先ほどからそういうふうに言われているでしょう。それならばここで、アメリカとの間で秘密協定は沖縄交渉に関してはありませんということをはっきり断言してください。
  203. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 逆にお尋ねしては申しわけございませんが、秘密協定なるものはどういうものか存じませんが、私ども政府といたしましては、先ほど北米局長が御答弁申し上げましたように、核抜き・本土並みで沖縄が返還され、今日、重大な装備の変更等においては事前協議という条項によって、このことが今まで発動されていないということに信頼を置いて、この問題についてはそのようなことはないと、こう確信いたしております。
  204. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 秘密協定はないということをこの国会において断言できない、そこに問題の深刻さ、そしてまたみずから知りながらこのことについて国会に正直に報告しない、そうした姿勢があらわれていると私は思いますよ。  私、次の問題に行きたいのですが、それは沖縄交渉の中で、やはり六九年の初頭というのは非常に重大な位置を占めたということを私はこの文書を読んで感じました。  そこでお尋ねしたいんだけれども、愛知外務大臣とジョンソン駐日大使、彼らが東京で会談を行っておりますけれども、六九年の初頭、いつ行っているか、それをお尋ねいたします。
  205. 高野紀元

    説明員(高野紀元君) 申しわけございませんが、当時の愛知外務大臣とジョンソン大使の会談は、沖縄の返還に至るまでの間にかなりの回数行われているということは承知しておりますが、具体的な日付については手元にございませんので、恐縮でございます。
  206. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 ちゃんと通告してあったんですけれども。  こちらから言いましょう。一月十日に行われております。この会談、ここに報道もありますし間違いないわけですけれども、(資料を示す)この報道の中でも沖縄返還のことが言われておりますが、その中身が私は非常に大事だと思うんです。それは、ジョンソン駐日大使からロジャース国務長官あてのこの会談の報告をする極秘電報、一月十一日付ですけれども、これがある。  これに何が書かれているかというと、こういうことがあるんですよ。愛知は、在日米軍基地に関する我々の現在の秘密了解を表面化させることなしに、在韓国連軍を支援するため、沖縄を自由使用するという方式を我々に与える可能性を示唆した。こう言っているわけです。さらに、敵対行動が再開された際には、この秘密了解を実行し、朝鮮では我々の行動を全面的に支援し、在沖縄基地が引き続き効力を維持するために、その方式を見出すために最善を尽くす断固たる決意を示した。このように電報に書かれている。(資料を示す)これですよ、この電報に書かれている。  この秘密了解、これは一体何ですか。
  207. 高野紀元

    説明員(高野紀元君) 御指摘文書は、私どもの承知している限り、米国政府部内の文書でございますので、そういう文書について私どもとしてコメントすることは差し控えたいと思います。.他方、今の御指摘は、事前協議の部分のうちの戦闘作戦行動のための基地としての日本の施設・区域の使用ということでございますが、これに関しましては、米国から仮にそういう事前協議を受けた場合につきまして、政府としての基本態度は、我が国の国益確保という見地から、具体的事案に即して自主的に判断してイエス、ノーを決めるということが従来からの考え方でございます。  これにつきまして、米国政府との関係においては、直接にせよ間接にせよあらかじめその事前協議について許諾を、イエス、ノーをあらかじめ約束したということは一切ございません。したがって、具体的事案に従って我が国の自主的な諾否、イエス、ノーの決定が妨げられるようなことはないというふうに考えております。
  208. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 それで、この愛知外相が言っている秘密了解というのを実は今回また私は手に入れたんですよ。手元にあるんだけれども、「アメリカの対日政策」と題する国家安全保障会議報告六〇〇八の一、六〇年六月十一日付の文書、この中に朝鮮半島有事の際には事前協議を適用除外するという了解事項があるわけですね。愛知外相が語っているのはこのことなんです。私は今大変な事態が起こっていると思うんですよ。先ほど認められなかったけれども、核についても密約がある。事前協議、この日本から、日本の基地を使っての出撃についても密約がある。しかも、沖縄返還の機会にそれを日本全土に拡大した、対象も拡大した、こういうことも今回の文書の中に出ているわけですよ。  それはすべて結果が示していると思うんですけれども、ロジャース国務長官が、ちょうど首脳会談が行われる直前ですよ、その日の直前、数時間前に議会指導者に対して説明している。何と言っているか。日本側は日本と沖縄の基地を朝鮮や台湾への武力攻撃に対処するために使用することを認めるという強力な保証を我々に喜んで与えようとしている、沖縄と日本を一緒にすることによってこの包括的な保証は実際上我々の基地使用に関する日本の制約を拡張する、そう言っているわけですよ。まさにこういう事態が起こった。これはやはり非常に重大と思うんですね。  ですから、こういう形で核についての秘密合意、そしてまた基地の自由使用についての秘密了解、これがあった。このことが今回この文書から明らかになったわけですよ。日本の外交にとってもまさに重大な問題をはらんでいる。それを知らぬ存ぜぬ、核抜き・本土並みでやりました、それをオウムのように繰り返している。これは大問題だと思いますよ。  私、最後に、せっかく久間長官がいらしたのでお聞きしたい。  アメリカは、この返還を利用してアメリカが人権の擁護者であるということを示すとか、あるいは沖縄のごたごたを日本政府に全部かぶせちゃうとか、そういう利点を挙げている。それに加えて、経済的利点も言っているんですね。  沖縄の核を撤去するために日本が幾ら払うと約束をしているか、そのことを御存じですか。
  209. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) 時間ですから、簡潔にお願いいたします。
  210. 高野紀元

    説明員(高野紀元君) 一九七二年の沖縄返還時の交渉過程におきまして、移転や核撤去にかかる移設費用について日米間でやりとりがございました。その結果、総額といたしまして、合衆国軍隊より承継する資産の価額、同軍隊が沖縄返還後に負担する労務費、核撤去にかかる費用等で三億二千万ドルの支払いを我が国としてするということが取り決められた経緯がございます。
  211. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 時間ですので、終わります。
  212. 椎名素夫

    ○椎名素夫君 金融システムの問題について伺います。  これに関連して、韓国のことに関心を持っているんですが、IMFを中心として韓国に緊急融資をするということになった。それに当たっていろんな条件がついているわけですね。それを見ますと、金融改革の断行、特に不良債権に苦しむ金融機関の閉鎖、整理、金融機関の情報公開の促進、外国金融機関の業務の認可、外国人の株式保有枠の拡大、企業財務の透明性の促進とか輸入規制の撤廃とか、これを読んでみると日本がこれまでに進めてきた、あるいはこれから進めようとしているようなことがまさに連ねられているというふうに見えるわけです。    〔委員長退席、理事野沢太三君着席〕  それで、日本との違いというのは、韓国の場合は非常な、もうどうにもならないところに来たのでIMFにこれらの改革を強制されるというところが違いだと思います。日本の場合は、韓国あるいは他のアジアの国と異なっておりまして、対外債務がない、もちろん債権が非常にたくさんあるわけです。したがって対外的な資金の逼迫というようなこともない。これは非常に幸運なことであります。したがって、IMF融資のような、お金を貸してくれというようなことも言わなくて済むということでありますから、今の金融の問題も基本的には自力で解決をするゆとりというのがきちっとやればあるわけです。  しかし、今の我々の金融システムの問題を見ておりますと、一つの危険というのは、この金融不安というのが長引きますと、今さまざまな問題が起きておりますが、これが実際に日本の経済そのものの足を引きずって非常に難しい状態になるということだと思います。  前から韓国政府の言っていたことを聞いておりますと、ことしの半ばごろまでは、韓国の経済のファンダメンタルズは健全であって心配はないという主張をずっと繰り返してきた。しかし、いよいよ金融機関の資金が逼迫して財閥が傾いて、政府も判断と対応を誤ったために、一気にもう恐慌状態に陥ってしまったということだと思います。    〔理事野沢太三君退席、委員長着席〕  日本は韓国よりははるかに経済に厚みがある。したがって耐久力もあるということは言えますけれども、基本的に考えてみると、金融機関が持ち株制度で企業を支える間接金融に非常に日本の経済体質の重点がある。また、その金融機関を政府がいわゆる護送船団方式で支えてきたというような構造は、全然韓国とは違うとも言えない。極端に言えば似たり寄ったりの体質を持っていて、潜在的には韓国と同じような体質。したがって危険というものを抱えているんじゃないかと思うわけです。これは、アメリカの市場原理に基づく金融構造、経済構造に比べて柔軟性を欠いている、ひ弱な構造であるというようなことも言えるかと思いますが、大臣、この点についていかがお考えでしょうか。
  213. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 韓国との比較の御質問でありますが、委員も既に御案内のところでありますけれども、我が国の経済基盤というのは基本はしっかりしておるだろうと思うんです。八千億ドルを超える対外純資産、加えまして千二百兆円の個人金融資産、外貨準備高、御案内のとおりでございます。  こういう状況の中で、これをいかに活用するかということが大事でありますが、まさに資産でございますから、この部分については民間活用が展開をされるように税制等の整備を行う、ビッグバン、金融制度の自由闊達な市場造成のために環境整備を行う等、外為法の改正案を提出し成立をいただいたのもそういうことであります。それと臨時国会、前国会におきまして持ち株会社等、また預金保険法改正案等が成立を見ましたのもベースづくりということであろうと思っております。
  214. 椎名素夫

    ○椎名素夫君 おっしゃったことは大体そのとおりだと思うんですが、もう一つ、外からよく批評されることですけれども、日本の危険といいますか、韓国と違って外から強制されない、したがって自主的に日本が変わってもらうより仕方がないということなんですけれども、どうものろいねということがあります。  いろんな問題を先送りして、確かに今ベースをつくるという御認識はそのとおりだと思うんですけれども、例えば不良債権の問題というのはもうバブルがつぶれて以来ずっと我々の頭にのしかかっておって、まだ実際には解消されない、それのはっきりしためどもまだついていない。数年間は、悪口を言う人に言わせると、昔のよき時代には少しぐらい困っても問題を先延ばししていれば自然に片づいてしまったということは、うまくいかないかなというような気分、もうそろそろなくなってきましたけれどもしばらくはありましたね。  そういう強制されないことで先延ばしをしてきた。その結果、相当日にちを迫られて外為法の改正、これはもう来年の四月からということになる。それから、二〇〇一年までにはビッグバンを完成しなきゃいかぬというようなことにある意味では追い込まれている。その間、今問題になっている金融システムの問題の解消ということも早急にやらなきゃいかぬというようなことだと思うんです。  今のようなことがありますから、ある意味では待ったなしで相当のスピードでやっていかないと、本当に日本が二〇〇一年までに今おっしゃったようなビッグバンの基盤をきちっと整えておくということが一体間に合うのか合わないのかということは幾分心配になります。  まだまだ片づいていない問題はたくさんあるのでありまして、今までいろいろおやりになってきた。外為法の改正というのはもちろんそのとおりです。それから、BIS規制に合わせるための早期是正措置というのもやっておられる、金融監督庁をつくった、それから大蔵省の中で金融の部門をどうするかということも進んでおられる、日銀法も改正した。  しかし、不良債権の処理とその破綻の対策の問題というのはまだきちっとは、くっきりとは見えていない。それから、情報開示というのもまだまだ道遠しということであるし、それからいわゆる公的金融の改革というのも郵便貯金の問題も含めてまだまだ先が長い。それから基本的には、この間特措法のときに申しましたけれども、企業の会計を明確にするという会計制度の見直しあるいは税制の見直し、これもこれからの問題である。また、今申しましたけれども財投資金というものをどういうふうに使っていくか、自主運用ということだったらそれにまつわる問題というのがいろいろ出てまいりますが、これもまたはっきりした形にはなっていない。これを三年ぐらいでやらなきゃいかぬということだと思うんです。  一体、今申したようなそれだけのことを本当にできるのかねという気がいたしますが、しかしやらなきゃいかぬということになって、その間私はいわゆる公的資金というのを注入するということは恐らく避けられないだろうと思うんです。そうなりますと、いわゆる政府のアカウンタビリティーというのが非常に重要になってまいりまして、仲間内だけで話がつくのならいいんですが、公的なお金を使うということになりますと一挙に国民全部が当事者になるわけでありまして、これは当事者の納得がなければ十分のスピードを持って物事を進めるというわけにはなかなかいかない。そこあたりを本当にわかるように国民説明するということが非常に重要だと私は思っております。  公的資金というと非常に皆さん怖がって憶病になっているわけですが、あの住専のときに感じましたことは、六千八百五十億を注入するということになった際に、お話を聞いていると、当事者間で詰めに詰めたと、大蔵省、銀行それから農林系の金融機関、当事者間でもうこれだけ詰めたんで仕方がないから税金だという話になったんですね。  ところが、これは大変な間違いなんで、当事者というのは、その話をしている当事者の間で話がつけば、当事者間で詰めに詰めて結論が出たというわけですが、これではどうしても計算が合わない、だからよそからお金を持ってこなきゃいかぬ。公的資金というか、税金と言った途端に、本当は納税者がその瞬間から当事者になったわけです。しかし、新しい当事者、最も重要な当事者には相談なしに、当事者で話を決めたからこうなったというところが当時の怒りの一番大きな理由だと私は思うわけです。  ですから、これからの始末をつける中でも、恐らく公的資金、いろんな形があると思います。税金もあるでありましょうし、あるいはいわゆる郵便貯金のお金を使うということもあるでしょうし、国債を発行してということもあるでしょうし、いろいろありましょう。そのときに、当事者に当然国民全体が、あるいは少なくとも納税者が引きずり込まれるわけですから、そこにわかるような、そしてみんながそれならばやろうというような説明というものをやるのは私は政府の最低の責任であろうと思っております。  そういうことはお考えになっていると思いますが、いかがでしょうか。
  215. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 椎名委員の御指摘は民主主義の原則、心がけなければならぬことでございます。  ただいまも御指摘がありましたアジア通貨の不安、そして日本がそのアジア通貨の不安も受けておることは御案内のとおりであります。しかし、経済の基礎的基盤、金融的な基盤、国民資産という意味でありますが、対外資産の世界一の保有量という意味でも申し上げられるわけでございます。踏ん張るだけの十二分の力は持っておる、必要なものは施策であると、こういうことであります。  公的支援、公的資金、税金でありますが、これの活用についてどうするかということについては、預金保険法の論議を通じ、集中審議を通じまして絶えず交わされた大きな論点でございました。そういう中において、預金者による取りつけ騒ぎを起こさない措置をとる、国民各位に安心をいただくという強化策をとってまいりましたし、その都度日銀特融をもって万全の体制をとり、昨今の冷静な状態が出たことだけは御理解いただけると思います。  そういう中で、もう一つはマーケットの株価の動き、レートの動きなどを見ておりましても、日本経済に対する不透明感、こういうものがそこに働いておる。その理由は、椎名委員が言われました不良債権の解消が進んでおらないのではないかと。前進はしておるわけですが、年末にはそのことの現段階における進行状況の発表もなされるということになっておるわけで、不透明感はそういう意味解消に向かうと思います。ディスクロージャーまたしかりであります。このことは、当事者の努力を促しておりますし、そういう方向に出てきておることも、国会の論議のおかげもこれあり、そうなっておるわけでございます。  そういう中で、今朝の各紙一斉の報道がございました。宮澤先生を本部長とする金融システムの安定化策についての具体的な提案、最終の党総務会に対する報告を受けて確定議になります。国債を十兆円交付する、預金保険機構ということであるわけでございますが、そして危機管理勘定、特別勘定を設けましてシステム安定に全力を尽くす、こういうことになり、この確定議が上がりましたところで政府に要請があると思います。  また、総理も今夜遅くでありますが帰国をいたします。そういう中で、記者会見で、今日考えられる最高の方式であると、こう言い、また私自身も大蔵大臣としてこれを受けてベストの限りを尽くしまして、法律も必要なようですから法律もつくらなければなりませんし、この十兆円のお金がその都度、瞬時に使えるように取り組んでいかなければならない。  金融システムの安定こそ国民に御安心をいただき、預金者保護に通じますし、経済の安定発展にも大きな道を開くものと信じておりますので、すべてこの問題について事務方にも、指示が間違いなく来るので全力を挙げて検討し成案を得るようにと、こういうことで命じておるところでございまして、万全を期してこれに取り組んでまいる。そして、アカウンタビリティーの話が出ましたが、国民各位に向けて、また各党に向けてもこのことについて御説明を申し上げ、御論議はあると思いますけれども、御理解を深めていかなければならないことである、こう思っておるところであります。
  216. 椎名素夫

    ○椎名素夫君 大変に御丁寧に御答弁いただいたから時間がなくなってしまいました。  今のお話なんですが、あれは非常にわかりにくいですね。それから、幾分玉突きみたいな、大変に知恵のあることをなさったと感嘆しておりますけれども、ああいうことはなるべくなさらない方がいいと私は思うんです。もっと正面からなさるべきだと思いますが、時間がなくなりましたから、あしたまた続きをさせていただきます。
  217. 水野誠一

    ○水野誠一君 さきがけの水野でございます。  小里総務庁長官にお尋ねしたいと思います。行革の取りまとめ、大変御苦労さまでございました。きょうは独立行政法人にかかわる問題として、特殊法人の改革について大臣の御見解を伺いたいと思います。  この独立行政法人という新しい形態が行革会議長終報告の中でも出てまいりました。その記述の中では、特殊法人と独立行政法人との関係として、「特殊法人については、その存続の必要性を徹底して見直すとともに、民営化、事業の整理縮小・廃止などが積極的に進められなければならない。」、このように書かれております。これは私は大変結構なことだと思います。現在、与党三党でこの特殊法人の改革についてさまざまな討議をしておりまして、私もそのメンバーとして参加をさせていただいておりますが、その実感として申し上げると、非常に各省庁からの抵抗の強い部分でもございますし、なかなか難しい仕事だというふうに実感をしております。  そこで、今回この特殊法人問題が十分に整理されないうちに新たな形態としての独立行政法人が生まれてくるということに対して、私はいささか危惧を覚えているところでございます。そのためにもしっかりとした特殊法人改革、これを敢行しなければいかぬというふうに思うわけですが、この点につきまして大臣の御決意のほどを例えればと思います。簡潔にお願いいたします。
  218. 小里貞利

    国務大臣(小里貞利君) 今次取りまとめをさせていただきました行政改革会議の最終報告及びただいまお話がございました与党の特殊法人改革協議会、両面におきまして水野議員、当事者として大変積極的に御協力をいただいたいきさつがございます。  ただいまお話しの特殊法人の関係でございますが、お話しにもございましたように特殊法人、現在は九十二ありましたのが八十六になっております。あるいはまた、近々、計画として、閣議等を経ましてこれが縮小を図る対象法人を除きまして七十二から、あるいは七十六前後になろうかと、こう思っておるところでございます。  しかしながら、特殊法人だけを対象にして考えましても、これをもってして決して十分なものでないことはお話しのとおりでございまして、これの廃止、民営化または整理合理化を積極的に図らなければならないということはお話しのとおりでございまして、さる行政改革最終報告におきましてもそのことがきちんと明記をされておるところでございまして、いよいよこれから省庁再編推進基本法等の作成にかかってまいります。これと並行いたしまして、ただいま強く御指摘がありましたように、これが改革の対象、客体団体もたくさんございますから徹底的に精査をさせていただきまして、そして関係方面とも十分御相談をし、納得をいただく形で断固進めなければならない、さように考えております。
  219. 水野誠一

    ○水野誠一君 ありがとうございました。  行革につきましては、財政、金融の分離問題などまだ積み残し問題もございますので、なお一層よろしくお願いをしたいと思います。  それから次に、防衛庁にお尋ねをしたいと思います。  防衛装備品の納入代金を製造業者四社が過大に請求していたという問題がございまして、この件はもう既にさまざまな報道がなされておりますし、またけさの毎日新聞にも関連記事が載っておりました。また、去る十一月十二日には衆議院決算委員会において同じような質問が出ております。そこで、幾つかの点は明らかになってきているわけでありますが、依然その内容の公開性と公平性について疑問が残っておりますので、お尋ねをさせていただきたいと思います。  防衛装備品の購入契約のうち、件数の約九割、額にして約二割が契約締結時に契約金額が確定される一般確定契約という形態をとっているということであります。今回の事案は、原価計算についての内部告発を発端として契約締結後の特別調査を実施したところが、四社から二十一億円に上る過剰請求があったということで、その返還を求めたというのが事の真相だと理解をしております。  しかし、十二月になりまして、そのうちの一社の返納金額の算定額が引き下げられたという新たな報道がございました。下請契約の試作品の開発などで生じた約二億円の損失について、減額を業者が申し入れてこれが認められたということであります。私はこのことをここでまた取り上げるつもりはございませんが、この一連の問題を見てまいりますと、以下の点について疑問が出てまいりました。これから申し上げる点についてお答えをいただければと思います。  まず、衆議院の質問でも取り上げられておりますが、四社に対する特別調査、たとえそれが企業秘密に属する部分があったといたしましても、これは貴重な国費の使い道を誤る可能性を有していた問題の多い契約についてのものでございますので、ぜひ差し支えのない範囲での情報公開を求めていきたいと思うわけでありますが、この点についていかがかという点であります。  今申し上げました減額請求の件の真偽も関係すると思いますが、いかがでございましょうか。この点についてお答えをいただきたいと思います。
  220. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 平成五年から七年までの間に行われました四社に対する特別調査の結果につきましては、防衛庁としてはもう既に可能な範囲で公表をしておるわけでございます。  といいますのは、一つは、余り公表していないんじゃないかというような御疑問を持たれるかもしれませんけれども、それ以前の問題でございまして、五年から調査にかかったわけでございます。そういうようなこともございまして、過去にさかのぼる形になっておるわけでございます。  それともう一つは、今委員が御指摘されましたように、一般確定契約でございますから、もうそこで契約してしまっているのでございますから、本来なら裁判を起こしてでも取れるかどうかという、そういう疑問がございます。そういうときに、相手のやはりそういう内部に入って調査をするわけでございますから、相手の同意を得た上でやっているわけでございます。  そうした結果、どうも工数計算に間違いがあるじゃないかということで相手を問い詰めまして、相手の方もそれを認めたからここについてはこういうふうに返還しようというようなことで、言うなればそこで新たな契約関係ができ上がって返還をさせたということで、その当時の関係者としてみれば返還させることに精いっぱい努力をしたんだろうと思います。  したがいまして、そういうことでございますから、中には個別の原価計算の帳簿その他がもうないものもございました。そういうようなものにつきましては、当時の原価資料が既に処分されておって個別契約ごとの差額を明確に確認することが困難でありましたから、当該企業の公的資料である決算報告書及びこれらの補助簿等からまず防衛庁向けの売上高を算出して、次に決算報告書及びこれらの補助簿を基礎として売上原価、一般管理費及び販売費、利益等をおのおの算出した上で、これらを合算して修正計算価格を算定してこれを返せというような形になっておりますので、今から見ますとなかなか個々の計算内容についてもどかしいといいますか、もっと正確なやつがあってしかるべきじゃないかという御指摘もあろうかと思いますけれども、そういう事情が実はございます。  しかし、そういう中で、今新聞の報道等で減額したんじゃないかというお話がございましたけれども、それはそういうわけではございませんで、防衛庁と直接契約している場合もありますけれども、防衛庁とほかの会社が契約してそれがそこの下請になっている場合、そういう場合についてもおかしいじゃないかということで担当者としては返させる。全部を一緒に見て、とにかく防衛庁との関係で入ってきたものについての原価が幾らだったのか、それに対して売り上げがどうだったのか、その差額からいったらこれだけは取り過ぎているじゃないかということで取り返したわけでございますので、そういう意味ではニコー電子の原価差異額の算定につきましても他社と同じように上記の方式によったところでございまして、報道にあるようにニコー電子について有利な取り扱いを行ったという事実はないわけでございます。
  221. 水野誠一

    ○水野誠一君 関連してもう一つ伺いたいと思うんですが、返納方法について、四社のうち二社は一括返還を求められたというのに対しまして、残りの二社は後の契約の減額変更で全額処理することが認められたというふうに聞いております。これはいささか不公平な感じもするのでありますが、また同時に会計法上問題がないのか、この二点についてお尋ねしたいと思います。
  222. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 先ほど申しましたように、一般確定契約が成立しているわけでございますから、それの結果としてこちらから払い過ぎているのを返せというのをどういう形にするかということになりますと、新しい実は契約でございます。したがいまして、相手から了解を得て相手との新しい契約を結ぶようなものでございますから、一種の和解契約みたいなものになるわけでございます。したがいまして、相手の会社からこういう形で払いますということで、一括払う人もおれば、あるいはまた今度もらうものの中から差し引いてくださいということになるとそれから差し引かせるという、言うなれば相手の申し出によって異なった差を生じた。  それはやはり今考えてみますと、その当時の担当者としてみれば払い過ぎている金をとにかく返還させるということに一番頭を使ったわけでございまして、結果として返還をさせたということでございまして、これは現在の会計法その他の処理からいっても何ら違法ではないということは後々、今の時点で各省とも協議いたしておりますけれども、そのような結論になっております。
  223. 水野誠一

    ○水野誠一君 さらに関連しての御質問で恐縮ですが、再発防止のために制度調査というのが導入されたというふうに聞いております。これは、平成八年度では五社、九年度では十社を対象にしているということでありますが、全部で三百社程度ある業者の数から考えますとペースがいささか遅いのではないかという感じもいたしますが、その点についてはいかがでございましょうか。
  224. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) この一般確定契約を結ぶまでの間におきましては、例えば初めての場合ですとかなり慎重にやりまして、チェックをしながら条件つきでやっておいて後からさらに確定するというそういうようなことをやっていく。いろんな形がございますけれども、一般確定契約というのは普通の場合はまず相手を信用してかかるわけでございます。  ところが今度みたいに、言うなれば意図的にやられたんじゃないかという疑いがあるぐらいの感じでございますから、こういうことが入っているということになりますと、一般確定契約しているものについてもこれはやはりチェックしなきゃならない。そういうことで、少しチェックをしょうじゃないかということで制度調査を取り入れたわけでございます。  しかしながら、これは能力的にも正直言いましてなかなか、会計検査院みたいに制度的な権限を持っているわけじゃございませんので、なかなかそれができない。言うなれば相対の契約当事者でございますから、それについて制度的に入っていくというのもそうできるわけでもございません。  そういう問題もございますが、もう一つはやはり人数、予算、出張経費とかいろんなことが限られますので、今言いましたように抜き打ちといいますか、行くときは言いますけれども、言うなれば何社かをピックアップすることによってどの程度それがきちっと守られているかチェックすることでやっていこうということで、今言われたように五社、十社、今後はもう少しふやすことができないかというようなことで内部でも指導しております。  それと同時に、このようなことをもう少し工数集計、要するに工数の集計の分析において問題があったわけでございますから、そういうときに工数集計がおかしいぞというのがすぐわかるようにシステム的に何かやる方法はないかということで、平成八年度からその開発をして、今そういうデータを逐次蓄積、整備することによって、異常工数の早期発見等に努めることによってこういう問題を乗り切ろうというふうに思っているところでございます。
  225. 水野誠一

    ○水野誠一君 ありがとうございました。  次に、郵貯資金の自主運用についてお尋ねしたいと思います。  やはりこの行革会議の最終報告の結果、将来における郵貯資金の全額自主運用が決まりました。それに先立って、郵政省はこの十月に郵貯資金の自主運用計画案を作成しております。それによりますと、運用に当たっての考え方は、公的分野への長期資金の供給と証券金融市場での市場運用の充実を柱に、安全確実な運用を行うことを基本とするということであります。ここで書かれております資産構成イメージを見てまいりますと、国債などが三〇から四〇%、財投債や財投機関債等が三〇から四〇%、地方債、地方公共団体貸し付けが一〇から二〇%となっております。  これを現状と比べてみますと、今私は手元に平成八年度の実績があるんですが、実際八年度、国債が七十六兆で三四%、それから財投債、財投機関債、これが九十四兆で四二%、それから地方公共団体貸付債等が三十一兆で一四%ということで、ほぼこの現状と変わらない割合になっているわけであります。これでは、現在も批判のあります特殊法人などへの資金流入が直接の貸し付けから債券の購入に変わっただけではないかなと、そんな感じもするわけであります。  確かに、安全確実な運用を心がけるという視点からいけば債券への投資を重視せざるを得ないということもわかるんですが、これでは自主運用というふうに胸を張って言えるかどうかということもいささか疑問がございます。つまり、資金運用の安定的なパフォーマンスを維持するために財政構造改革あるいは行革、そのどちらにもかかわる重要課題であります特殊法人の整理合理化に逆行するようなことになってはいけないというふうに考えております。  そこで、財投機関債などを購入する際に、特殊法人の事業評価などを一層厳しくしていく必要があると考えます。例えば事業の効率化への取り組み、あるいは天下りの実態ども含めた情報開示の度合いや、会計監査制度の導入の有無などをメルクマールにすることなども考えられるんではないかと思うわけでありますが、二百兆という大変大きな資金の運用に当たっての大臣の御決意、御所見を例えればというふうに思います。
  226. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) 水野委員にお答えをいたします。  今、先生の御質問の中にあったわけでございますが、郵便貯金資金の預託の廃止ということですね。これはもう先生も入っております与党の十者協でも大変貴重な御決定をいただいたわけでございますけれども、全額自主運用が同時に打ち出されたわけでございまして、今も御指摘のとおり大変その責任の重大さを感じております。  今、郵貯資金については、全額自主運用となった場合、社会資本整備等の公的分野の長期資金の供給を引き続き行っていきたいというふうに考えております。  いわゆる対象分野について、これは厳しく見直していく必要があると思っておりますが、しかし基本的にこの公的社会資本整備のための公的分野への長期資金の提供というのは引き続き、やはりむだなお金、そういったことはもういけませんけれども、基本的な部分は残るというふうに認識をいたしておりますので、そういうふうに長期資金の供給を引き続き行っていきたいというふうに考えております。  また、今先生の御質問の中にありました財投機関の発行する債券、財投機関債でございますが、これは原則としては政府保証はないというふうに思われておりますけれども、これについても一般論としては運用対象となるものというふうに考えております。  具体的にどのような財投機関を運用対象とするのかについては、現時点ではどの機関がどのような債券を発行するのか大変まだ不明確な点が多いわけでございますので、発行条件等を見ながら今後検討してまいりたいというふうに思っております。
  227. 水野誠一

    ○水野誠一君 もう一点、郵政省に伺いたいと思います。  郵政三事業にかかわる特別会計のうちに郵政事業特別会計というのがございますが、その中で需品費という費目がございます。今年度予算では一兆三千億円という大変大きな額になっております。  国営事業としての郵便事業は、独占事業でもある信書の郵送など、こういった仕事もあり、そのコスト構造についての合理化、効率化が進行しづらいのではないかという指摘がございます。これが事実かどうかはここでは論じませんが、この需品費についてだけとって考えますと大変不透明な点が多いという感じがいたします。  この需品費の中に集配運送費という費目がございます。これは九年度予算では二千三百十九億円が計上されております。これは郵便局間の郵便物の輸送業務の外部業者への委託料というふうに考えてよろしいかと思います。  これは郵便物運送委託法に定められた部分であるということでありますが、その法律によりますと、第三条に「郵便物の運送等を委託する場合には、競争による契約によらなければならない。」とあり、原則は自由競争となっておるわけであります。しかし、実際はただし書き条項によって随意契約ということになっております。契約は四年ごとに見直されるということでございますが、受託業者は実際はほぼ固定されている、また料金も運輸省への届け出料金は幅運賃のない固定運賃となっているということでございます。  今、行革の重大テーマとして郵政三事業の民営化ということが論じられたわけでありますが、こういう状況の中で、せめてこの集配運送費ぐらいは自由競争によるコストの削減ということが何とか実現できる部分ではないかなというふうにも考えるわけでありますが、この点について大臣の御見解を伺って、質問を終わりたいと思います。
  228. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) 時間でございますから簡明に答えてください。
  229. 長谷川憲正

    説明員長谷川憲正君) 実務的な部分が多うございますので、私の方から御説明させていただきます。  郵便物の運送につきましては、先生指摘のとおりに、運輸省の確定額の運賃をもって決められておりますものですから随意契約ということになっております。その理由は、一言で申しますと、信書の送達あるいは現金の運送という非常に貴重なものを扱っておりますし、郵便物のダイヤに合わせて厳格な運行が求められているということからそのような扱いになっております。  しかしながら、私どももコストの削減には大変に努力をしているところでございまして、事業者の方々にいろいろな形での料金の引き下げの努力をお願いしております。その結果といたしまして、この十一年間、自動車運送の運賃、料金というものは値上げはされておりませんし、むしろ最近では往復割引等の努力もなされておりまして、郵政事業全体の支出の中に占める集配運送費の比率も年々低下をしてきているところでございます。これからもそのような方向努力をしてまいりたいと思っております。
  230. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) 本日の質疑はこの程度といたします。  次回の委員会は明十七日午後一時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十分散会