○海野義孝君 今後具体的なこのスキームにつきましては、いろいろ法案をおつくりになるとか、法律の
改正等々、先般いろいろとありましたけれ
ども、預金保険法の再
改正の再々
改正も来年早々には出てくるんじゃないかと思いますが、大変苦渋のそういったスキームというものをこのところやってこられたというように
考えます。これでどうやら最終局面のそういったものになるかどうかという点、私はまだ大変疑問に思います。
なぜ十兆円かという
議論はいろいろと言われておりますけれ
ども、法を
改正してNTTの一応全部を売却するとして、大体十兆円ぐらいかなというようなところからどうも
考えが出てきたかなと思いますけれ
ども、これは現在はいろいろと、例えば産投特別会計であるとか、あるいは国債整理基金特別会計等に一応担保になっているわけで、これをさらに売却すると二重担保的な問題とか、いろいろなそちらの方の法律等も
改正しなくちゃならぬとか、大変厄介なことだろうと思います。
一応表向きは一般
予算の
措置の枠外ということからするならば、今回の財政構造改革法には矛盾しないということでありますけれ
ども、多分に今申し上げたようなこと、それからこれがまた将来的な新たな財政負担となる可能性がないではない等々、この構想も今
考えられる面ではこれかなとは思いますけれ
ども、例えばもっと踏み込んだ、アメリカのかつての整理信託公社、RTC、ああいうような司法権を持ったやはり抜本的な不良債権の回収等、それからまた健全な金融機関等についてのこれへの退路を断つ、いろいろな思い切ったそういうこと、これは二十兆円ぐらいかけてやったようであります。
公的な支援あるいは公的な資金投入、これも
考えてみれば、NTTとかこういったものもかつては国営の企業であって、その分を
大蔵大臣が現在
政府分としてお持ちになっているわけですから、これも結果的には公的な資金でありますから同じことかとも思います。これがここへ来て出てきているという問題がいささか、私は、もっと広く
国民にお願いをするという面で、その片方では現在の金融機関等の
経営等についての責任を追及する、そういった問題等が関連してくるわけであります。
何かこれでいくと、探してみたら打ち出の小づちが一つあった、これを使えば今の財政構造改革法には抵触しない、これを何とか、しかもすぐ全部十兆円使うわけじゃないから、要するに国債を交付しておいて、必要に応じてその資金を現金化して
政府がそれを渡していく、こういうことであります。この問題はよほどしっかりしないと、単なる預金者保護という問題だけじゃなくて、いわゆる今回の預金保険法の
改正の中にも出ておりましたけれ
ども、従来的な健全な金融機関がそういった大変厳しい状態になっているところを受け皿として受けていく、そういうことが今許されないような情勢になってきた中で、悪い銀行同士を整理して、そして合併して新しい銀行をつくっていく、こういうようなものにこの十兆円構想というものも、預金者保護とは言いながらも、そういうような金融機関を救済していくという面で、ここはよほどしっかりした、これは何か特別の監視機関を置かれるというようなことも聞いておりますけれ
ども、私はこの点大変心配するわけでございます。
これに対して、これから具体的にこれが動き出して、法案で来年いろいろ
審議していくわけであります。私はこの機会に、この問題が何か梶山構想以来こういう形で一応まとまってくるということについては、今の段階ではこういうことも、我が国の金融システムの安定化ということは国際的な問題でもありますからそういう
意味でも重要だと思いますけれ
ども、この点、ひとつ慎重に今後これを進めていっていただきたいと、このように思う次第でございます。
時間も限られてきましたけれ
ども、先ほど企画庁
長官、景気のことについて来年についても決して気持ちは晴れていらっしゃらないと。ことしの来年ということでやっぱり来年も大変だなと、このように思いますけれ
ども、私は、景気の見通しというか景気をよくするという問題は今、従来以上に重要になってきていると。評論家や何かの人たちの中には、この期間は歯を食いしばっても財政の厳しさに耐えて、景気はかなり犠牲になってもここを乗り越えていかないとそういう機会はないんだということを言うわけです。
しかし、その
考え方は必ずしも当を得ていないというように私は個人的に思うんです。なぜかといえば、二〇〇一年の四月以降はいわゆる完全なビッグバンということになりますし、それからいわゆるペイオフが実行されると、そういうようになるわけですから、向こう三年というのは極めてそういう
意味では日本の経済の体質というものを成長率も含めて盤石なものにしていくためのかけがえのない三年だと、こういうふうに思うんです。
そういった中で、先月の金融不安のあらしという問題は、これは鶏と卵みたいなものでどこからどう始まったかということは、よって来るところは私はいろいろあると思いますけれ
ども、やっぱり一番の問題は、
国民が生活というか景気が厳しくなってきたということで大変先行きに対する不安というものが強まってきているということが、GDPの六割強を占める消費の問題を初めとしまして、最近の
経営者のそういう設備投資に対するビヘービアの慎重化の問題とか、それから海外要因ではありますけれ
ども、今度はなかなか日本の貿易に対するそういう障害的なものが、アジアの経済あるいはいろいろな混乱によって来年はそれが本格的な年に入ってくる等々の問題を
考えますと、金融不安の理由というのは私なりに
考えたら三つ四つあるんです。
金融がなお私は不安定だと思うんですけれ
ども、理由の一つは、金融システムの安定化に関する具体的な施策というものがまだ決定されていないと。これは今回の十兆円新型国債に基づくスキームで、株式市場も落ちつく、ジャパン・プレミアムもようやく再び拡大から縮小に向かっていく、あるいは五年七カ月ぶりの百三十一円から二円をうかがうような日本の超円安というか、こういったものがこのスキーム等によって次第に解決していくのならば、私は年を越すに当たってこんなに結構なことはないと思いますが、これが一点。
第二点は、金融機関の
経営状況や不良債権の不透明性という問題は、これはこういうスキームができても依然として何ら変わりはないという問題。これが第二点。
第三点は、これは先ほ
どもちょっと始まる前に銀行
局長と立ち話をしておりましたけれ
ども、市場の過剰反応という問題は大変始末の悪い問題でして、これはここへ来て十一月はそのあらしが吹きまくった。過剰反応によって金融不安がさらに加速されたと言っていいのか、中には、水面すれすれにあったところが不幸にしてこれによって沈没してしまったのかわかりませんけれ
ども、こういった点。
それから、もう一つの四点目は、いわゆる株価の低迷とか超低金利が続くことによっての逆資産効果というものは依然としてその危惧の念は払拭できない。
こういう問題等々から
考えまして、一番金融不安を
解消していく大事な問題は、スキームの問題と同時に、景気をよくするという問題を私は一番の中心に据えて
考えていかないと、いたずらにスキームとかそういった問題にこだわり過ぎていると、せっかくの来年の景気、来年の景気といってもスタートはもう今から、この補正
予算あるいは来年の一−三からのあれに始まってくるわけですけれ
ども、最近のあれで見ますと、いわゆる在庫調整の問題は来年の四−六ぐらいまで不幸にしてずれそうだというのが最近の見方です。そういうふうになっていくと、来年度スタート時点は大変重荷を背負ってスタートしていく、マイナスのげたを履いてスタートする、こういうような
状況の中で、片や金融システムができたからもう大丈夫だということを言うのはいささか私は短絡的であると思います。
その点で、一分しかありませんけれ
ども、最後に来年の景気に取り組む企画庁
長官それから
大蔵大臣のお
考えを一言ずつお願いしたいと思います。