○山花
委員 今大臣がお話しになった最後の部分が、これまでも
議論のテーマであったということは
承知しております。ただ、この数年、大臣の答弁もだんだん進んできたというふうな印象を私は持っているわけでありまして、この部分についての歴代の法務大臣の答弁がだんだん進んできて、
検討をしなければいけないんじゃなかろうか、こういう雰囲気を持ちつつあるというのが実はこれまでの答弁を振り返っての印象でございます。
きょうは残された時間で泉井問題をやりたいと思っているものですから、この地位利用罪につきましても、民主党としては今、法案作成の準備をしております。与野党の皆さんにそれをお示しして御
検討いただきたいと思っておりますので、この点については以上の程度で、次の質問に移りたいと思います。
以下、泉井事件を中心に質問させていただきます。
冒頭申しましたけれ
ども、私もこれまで幾つかの事件については、
調査検討、事件解明のための努力をする機会がございました。ただ、私の実感として、今回の泉井石油商事件は極めて難解であるというのが印象であります。これまでのほとんどの事件については、調べてまいりますと、ある程度、国会の
議論な
ども通じて、事件の輪郭と申しますか本筋ということがわかってきた、こういう気がするのです。最近のリクルート、共和、佐川についてもそうでした。でも、今回の泉井事件というのは大変難しいというのが私の実感であります。
一言で言うならば難しさは、この事件は本来、政財官にかかわる汚職の事件としてスタートしたはずであります。しかし、そうはなっていない。起訴されたのは泉井さんと、関西空港の社長もおりますけれ
ども、本当に絞られた形になってしまいました。
初めからの経過を振り返りますと、この二、三年、大阪国税の税務査察に始まって、昨年大阪の国税局から告発を受けた検察庁は、大阪が引き受けるのじゃなくて東京地検の特捜部、しかも、脱税事件ならば財政
経済班でしょう、特捜部の中にある三つの班のうちの
一つの特殊直告班がこれを受けたと
承知しています。同時に、これも随分スピードが速かったと思うのですけれ
ども、わずか一週間ぐらいで逮捕され、そしてそこから取り調べが始まっています。
こうした経過から考えて、単なる脱税事件を超えたものではないか、こういうように私も考えておりましたし、皆さんそう思っていたのじゃないでしょうか。また、さまざまな雑誌、マスコミを通じて明らかにされている泉井さん本人の発言の
内容、報道等もそのことを裏づけています。
私もたまたま、被告人となっている泉井さんが拘置所の中で日々の取り調べの
内容を記録したということで、時折取り上げられている備忘録の中の政治家にかかわる中心的な部分について、これは原本じゃなくてコピーでしたけれ
ども、見て勉強する機会がありました。検察官の取り調べの対象はまさに政治家に絞られて、そこで連日取り調べが行われている、こういう実態を知る機会がありました。一方において、通産省の方でも、政治家ではありませんけれ
ども、事務次官以下、現職幹部六人が処分されるというような事態も進んでまいりました。
でも、起訴されたのは、脱税事件、そしてあと二つの事件が加わりましたけれ
ども、泉井さんほか一名だけだったわけであります。
こうした大変難解な事件であり、しかし、やはりそれでは事件、事案の解明ということにはならないだろうと考えた場合に、私は、既に国会の中で手続が進んでいる泉井氏に対する当
委員会における証人尋問が事案解明のためには不可欠であると思っています。改めて、ここでは十分時間をとって、泉井氏に証人として出頭していただき、事案解明の努力を当
委員会としてなすべきである、こういうことを私は冒頭に強調したいと思います。今後の手続は
予算の
理事さんにお願いすることになると思いますけれ
ども、どうしてもそれは必要なことだと思っています。
さてそこで、公になったさまざまな資料に基づいて、以下、疑問を提示して必要な御意見を伺いたいと思います。
前回の
委員会において我が党の仙谷
委員が、文芸春秋十一月号の告発記事、これを引用して質問をいたしました。この記事は政治家ならばだれでももうお読みになっていると思いますけれ
ども、多数の政治家及び官僚の実名を挙げています。多額の献金、料亭での政治家の会合に要した費用のツケ回し、あるいは官僚らの料亭などでの接待の事実を極めて具体的に明らかにしています。
この文芸春秋は、焦点は、その題名のとおり、山崎拓現自民党政調会長に当てられています。もし、ここに書かれているとおり、彼が告発していることが事実であったとするならば、政調会長の責任はまことに重大であると思います。そうでない、事実無根であるとするならば、逆に泉井氏が、あるいは出版社の側が名誉毀損の責任を免れがたいと思っています。これはだれもが思っている疑問なのじゃないでしょうか。
総理も、きょう午前中、従来からおっしゃっていましたけれ
ども、政治家としてはみずから疑惑の解明のための努力をすべきである、その機会と場所ということがあればいいんだ、こうおっしゃっていましたけれ
ども、そういう機会を御本人がどう選ばれたでしょうか。
この間、新聞に報道されているところによれば、去る十月九日、東京地裁に対して、文芸春秋と泉井氏本人を相手取って、これらの記事は事実無根であり、原告の政治家としての社会的評価を著しく低下させ、原告の名誉を著しく毀損するものであるとして、謝罪広告と一千万円の慰謝料を求める訴状を提出した、こういう報道があります。
私は、この告訴状の
内容を拝見して、
検討してみました。二つの大きな疑問を持ちました。
まず
一つは、一般論的ですけれ
ども、一年、二年、三年、四年、五年というのが大体民事の名誉毀損罪のやりとりの流れだというのは常識だと思いますが、なぜ長期の時間を要するそういうのを選択したのだろうか。名誉毀損罪について黒白つけるということになれば、刑事の告発は当たり前です。なぜ御本人は民事を選んだのかなというのが一般的な疑問です。
第二番目。
内容を拝見しますと、謝罪広告と一千万の慰謝料請求ですから、提訴の理由として、何が事実無根であって名誉毀損に当たるのかということについて、告訴状ですから書いています。
内容は、全体を要約しますと、山崎氏が泉井氏に自分の建設大臣就任を故
渡辺美智雄氏に頼んだとされるくだりについて、名誉毀損として謝罪広告と損害賠償を請求されているのです。
これを読んでみると、訴状を正確に冷静に読んでみますと、御本人の意図がどうだったかはわかりませんけれ
ども、金銭の授受など、建設大臣就任に関する部分を除いたすべての部分については名誉毀損の理由になっていないのです。したがって、訴えの理由にもなっていないのです。では、そのとおり全部認めたのでしょうか、こういうことになります。
これまでのマスコミの報道などによりましても、これは政調会長御本人じゃない、その事務所側だと思うのですけれ
ども、我々のグループには総選挙、参議院選のたびに一回に二千万か三千万ぐらいの単位でまとまった資金の提供は受けていた、こういうコメントがございました。でも、そういうことなどをあわせて考えると、この損害賠償の請求自体、大変疑問を提起したと言わざるを得ないのであります。
私は、この政調会長の名誉毀損、損害賠償請求事件の提訴は、「政治
倫理に反する事実があるとの疑惑をもたれた場合にはみずから真摯な態度をもつて疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう努めなければならない。」とする政治
倫理綱領には沿っていない、かえって疑惑を深めたものになっているのではなかろうかと思っています。
こういう
観点からすると、私はやはり、まずは泉井氏の証人喚問をして、そしてそれぞれの場で、考えればいろいろな場が政治家としてあるのだと思うのです、疑惑を晴らす中で国民の疑惑を解くべきだ、こういうように考えますが、こういう考え方について
総理の御所見を伺いたいと思います。