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1997-10-30 第141回国会 衆議院 予算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十月三十日(木曜日)     午前九時開議 出席委員   委員長 松永  光君    理事 伊藤 公介君 理事 石川 要三君    理事 西田  司君 理事 深谷 隆司君    理事 山本 有二君 理事 田中 慶秋君    理事 藤井 裕久君 理事 五島 正規君    理事 木島日出夫君       相沢 英之君    臼井日出男君       江藤 隆美君    遠藤 利明君       小澤  潔君    越智 通雄君       大原 一三君    大村 秀章君       奥山 茂彦君    栗原 博久君       河本 三郎君    阪上 善秀君       桜井  新君    関谷 勝嗣君       園田 修光君    武部  勤君       戸井田 徹君    中山 正暉君       根本  匠君    野中 広務君       葉梨 信行君    林  幹雄君       平林 鴻三君    松本 和那君       松本  純君    宮路 和明君       村山 達雄君   吉田左エ門君       渡辺 具能君    綿貫 民輔君       池坊 保子君    北脇 保之君       佐藤 茂樹君    島津 尚純君       城島 正光君    白保 台一君       冨沢 篤紘君    中村 鋭一君       西川 知雄君    西田  猛君       西野  陽君    西村 眞悟君       平田 米男君    松浪健四郎君       丸谷 佳織君    三沢  淳君       山本 孝史君    北村 哲男君       小林  守君    藤田 幸久君       古川 元久君    山花 貞夫君       松本 善明君    吉井 英勝君       上原 康助君    北沢 清功君       岩國 哲人君    堀込 征雄君  出席国務大臣         内閣総理大臣  橋本龍太郎君         法 務 大 臣 下稲葉耕吉君         外 務 大 臣 小渕 恵三君         大 蔵 大 臣 三塚  博君         文 部 大 臣 町村 信孝君         通商産業大臣  堀内 光雄君         建 設 大 臣 瓦   力君         自 治 大 臣 上杉 光弘君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 小里 貞利君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)     鈴木 宗男君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 久間 章生君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      尾身 幸次君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 亀井 久興君  出席政府委員         内閣官房内閣内         政審議室長         兼内閣総理大臣         官房内政審議室         長       田波 耕治君         内閣官房内閣外         政審議室長         兼内閣総理大臣         官房外政審議室         長       平林  博君         内閣法制局長官 大森 政輔君         内閣法制局第一         部長      秋山  收君         警察庁生活安全         局長      泉  幸伸君         警察庁刑事局長 佐藤 英彦君         総務庁長官官房         長       菊池 光興君         総務庁長官官房         審議官     西村 正紀君         総務庁人事局長 中川 良一君         防衛庁長官官房         長       大越 康弘君         防衛施設庁長官 萩  次郎君         防衛施設庁施設         部長      首藤 新悟君         経済企画庁調整         局長      塩谷 隆英君         経済企画庁総合         計画局長    中名生 隆君         経済企画庁調査         局長      新保 生二君         国土庁土地局長 窪田  武君         法務省民事局長 森脇  勝君         法務省刑事局長 原田 明夫君         外務省アジア局         長       阿南 惟茂君         外務省経済協力         局長      大島 賢三君         外務省条約局長 竹内 行夫君         大蔵大臣官房長 武藤 敏郎君         大蔵大臣官房総         務審議官    溝口善兵衛君         大蔵省主計局長 涌井 洋治君         大蔵省主税局長 薄井 信明君         大蔵省証券局長 長野 厖士君         大蔵省銀行局長 山口 公生君         大蔵省国際金融         局長      黒田 東彦君         文部政務次官  鈴木 栄治君         文部大臣官房長 小野 元之君         文部省初等中等         教育局長    辻村 哲夫君         厚生省保健医療         局長      小林 秀資君         厚生省老人保健         福祉局長    羽毛田信吾君         厚生省児童家庭         局長      横田 吉男君         厚生省保険局長 高木 俊明君         通商産業大臣官         房審議官    杉山 秀二君         通商産業省機械         情報産業局長  広瀬 勝貞君         資源エネルギー         庁長官     稲川 泰弘君         中小企業庁長官 林  康夫君         海上保安庁次長 田口 弘明君         建設省道路局長 佐藤 信彦君         自治省行政局公         務員部長    芳山 達郎君         自治省行政局選         挙部長     牧之内隆久君         自治省税務局長 湊  和夫君  委員外出席者         参  考  人        (日本銀行総裁) 松下 康雄君         予算委員会調査         室長      大西  勉君     ————————————— 委員の異動 十月二十七日  辞任         補欠選任   川崎 二郎君     遠藤 利明君 同月三十日  辞任         補欠選任   相沢 英之君     松本  純君   臼井日出男君     松本 和那君   江藤 隆美君     林  幹雄君   遠藤 利明君     平林 鴻三君   大原 一三君     園田 修光君   河村 建夫君     宮路 和明君   菊池福治郎君     根本  匠君   栗原 博久君    吉田左エ門君   関谷 勝嗣君     渡辺 具能君   中川 昭一君     阪上 善秀君   葉梨 信行君     大村 秀章君   村山 達雄君     戸井田 徹君   綿貫 民輔君     奥山 茂彦君   北側 一雄君     島津 尚純君   中井  洽君     北脇 保之君   西川 知雄君     三沢  淳君   平田 米男君     丸谷 佳織君   海江田万里君     北村 哲男君   志位 和夫君     吉井 英勝君   不破 哲三君     松本 善明君   岩國 哲人君     堀込 征雄君 同日  辞任         補欠選任   大村 秀章君     葉梨 信行君   奥山 茂彦君     綿貫 民輔君   阪上 善秀君     中川 昭一君   園田 修光君     大原 一三君   戸井田 徹君     村山 達雄君   林  幹雄君     江藤 隆美君   平林 鴻三君     遠藤 利明君   松本 和那君     河本 三郎君   松本  純君     相沢 英之君   宮路 和明君     河村 建夫君  吉田左エ門君     栗原 博久君   渡辺 具能君     関谷 勝嗣君   北脇 保之君     冨沢 篤紘君   島津 尚純君     白保 台一君   丸谷 佳織君     平田 米男君   三沢  淳君     城島 正光君   北村 哲男君     古川 元久君   松本 善明君     不破 哲三君   吉井 英勝君     志位 和夫君   堀込 征雄君     岩國 哲人君 同日  辞任         補欠選任   河本 三郎君     臼井日出男君   城島 正光君     西川 知雄君   白保 台一君     北側 一雄君   冨沢 篤紘君     中井  洽君   古川 元久君     海江田万里君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  予算実施状況に関する件(景気倫理行革  及び外交等)      ————◇—————
  2. 松永光

    松永委員長 これより会議を開きます。  予算実施状況に関する件について調査を進めます。  本日は、景気倫理行革及び外交等について集中審議を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石川要三君。
  3. 石川要三

    石川委員 限られた時間でございますから、なるべく具体的にお尋ねをし、また具体的にできるだけ簡潔にお答えをいただければありがたいと思います。  まず、この二、三日の間の株の動きというものにつきましては、もうこれは全世界の人が非常に大きなショックを持って、今感じているところでございます。我々もまさかと思った。あの香港、そしてまたニューヨークが、あのような状態になるとは全く予想もしなかったわけでありますが、本当に今さらながら経済というもののグローバル化されているという現状、これについて大変私も驚いているわけであります。  こういうようなことを考えますと、当然、今回のこの動きが、我が国の今当面の問題、特にこれからの将来の日本経済の問題、これらにどんな影響を及ぼすことになるだろうかと大変皆さんが心配していると思いますが、その辺を、まず総理大蔵大臣の所見をちょっとお伺いしたい、かように思います。
  4. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 この数日間の株式相場、これは、委員も御指摘になりましたように、香港市場の大幅な下落に端を発しまして、これが日本欧米諸国にも波及をいたしており、我が国におきましても、一昨日は大幅な下落を見たところでありますが、昨日はまた逆に大幅に値を戻している。非常に動きの激しい展開をいたしております。  株価というものがさまざまな要因を背景に決まるものであることは申すまでもありませんけれども我が国経済状況等ファンダメンタルズは、言えば、決して悪いという状況ではないと私は思っております。  同時に、アジア各国通貨に一部不安定な動きがございました。その中で、タイの問題につきましては、IMFを中心といたします国際関係機関また各国が連帯をして、迅速に対応することができたと考えております。  次に問題になりますのはルピアでありますけれども、昨日、私は、スハルト大統領と電話で会談をさせていただきながら、インドネシア経済におきましてもマクロのファンダメンタルズは比較的良好でありますし、むしろ、投資家の信頼を回復していく上で金融セクターの強化を初めとした構造的な問題にどう取り組んでいただけるかが非常に重要であり、そのためにも、インドネシア政府が現在IMFなどとの間で進めておられる経済調整プログラムの協議、これをなるべく早く合意してほしい、そして実施に移されることを願っているということ、そして同時に、それを前提に、言いかえればそのIMF調整プログラム実施というものを前提に、日本としても、市場の信認を回復緊急事態に備えるという観点から支援を行う用意がある、そうしたことも検討しているということを申し上げたところでございます。  これから先も、株式市場及びアジア各国通貨について、その動向を十分注視していきたい、現在そのように考えております。
  5. 三塚博

    三塚国務大臣 橋本首相から申されたことで尽きるわけでございます。  一昨日は大幅に下落をいたしましたが、昨日は大幅に値を上げております。二十四時間どこかでマーケットが開かれておりますものですから、まさにグローバルな時代の到来をしみじみと感ずる昨今であります。  総理も言われましたとおり、我が国ファンダメンタルズは決して悪くない、しっかりしておると私は見ております。この点を踏まえながら、国際的な視野に立ち、引き続き十分注視してまいる所存であります。
  6. 石川要三

    石川委員 けさあたりの新聞を見ますと、アメリカ見方日本見方、あるいはヨーロッパの見方というものが出ているようでありますが、特にアメリカなどは、むしろ今回のこういう現象を、余り過熱し過ぎている現状から見て、その方がかえっていいというような見方もしているようであります。  今日、我が国経済社会情勢というものは大変な問題を抱えているわけでありますから、そういう観点からすると、これからの動きというものは大変気になるわけでありますので、今、総理並びに大蔵大臣の御見解を聞きまして、ひとつ十分これから御注意をしながら対応についても御検討いただきたい。  そういう中で、特に大蔵大臣にお聞きしますけれども、これだけグローバル化している今日でございますから、当然、経済も、国際協調といいますか、政策協調をしていかなければならないと思いますが、どんなようなことを今なさっていらっしゃるか、その内容について、ちょっと御見解をお聞かせいただきたい。
  7. 三塚博

    三塚国務大臣 経済は、世界経済という言葉がございますとおり、まさにそのとおりであります。通貨、そして株式市場、そしてレート等が総合的に作用しながら世界経済が動いておるわけであります。  我が国経済が、その中で、ファンダメンタルズが決して悪くないと総理も言われるとおりでございますから、これをベースにしながら、かねがね、経済対策としてどうあるべきかという第一点に、規制の廃止、緩和を大胆に進める。前倒しをして取り組むことによりまして、経済活動が広範に展開されていく、ビジネスチャンスが与えられていくことにより、我が国経済界中小を含めまして、その中で取り組ませていただかなければならない。このことにただいま専念をいたしておるところでございます。  それと、土地流動化不良債権解消にもつながる重要なものでございますから、この証券化等を含めた施策を講じております。  そういうことの中で、その前進を図ってまいることが極めて重要だと思っておるところでございまして、全力を挙げてそのことに取り組んでいかなければならない、こう思っております。
  8. 石川要三

    石川委員 ファンダメンタルは堅調だ、こういうことでございますけれども、しかし、それはそれとしても、今日の我が国財政状況あるいは経済状況等を勘案いたしますと、大変大きな問題があることはもう申し上げるまでもないわけであります。それがために今総理も大変御苦心をされて六つの改革に取り組んでいられるわけでありますが、そういう将来的な一つ展望に立っての対策と、それから、これは相矛盾するような面もありますけれども、現在の要するに不況といいますか、そういう状況も現にあるわけでありまして、これに対する対策というものが非常に緊急に叫ばれているわけであります。  それで、当面の問題、将来展望はいろいろと努力されていることはもう十分理解しておりますが、当面の、現在のこの厳しい経済状態、これに対する景気の、何というのですか、活力経済活力といいますか、そういうものに対する対策、これをどういうふうに今これからやろうとしているか。  我が自由民主党としては、緊急国民経済対策というものをつくりまして、それを政府提言しているわけでありますが、その内容につきましては十分御承知だと思いますけれども、現在、政府としてどのようにこれらの問題について取り組むことを考えていらっしゃるか。その点について、総理からひとつお願いします。
  9. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 従来からしばしば御答弁を申し上げてきていることでありますけれども、今、景気回復に従来のような力強さが感じられない、そうした状況があるその基本というのは、私どもは構造的な問題、そのようにとらえております。  そして、今大蔵大臣からも触れられましたように、規制の撤廃、緩和を初めとして、経済構造改革に関する政府行動計画の可能な限りの前倒し、また新たな施策の追加を含めたフォローアップを年内に行うなど、内閣を挙げて経済構造改革を強力に進めてまいりたい、そのように考えておりまして、昨日も経済企画庁長官官房長官に入っていただきまして、私の前でしばらく議論をいたしました。その中には、例えば土地有効利用、あるいは土地取引活性化を促進する方策を考えていくといったものも、もちろん織り込んでおります。  こうした観点を踏まえながら、二十一世紀を見据えて、我が国経済体質改善を行っていく。そして、企業消費者経済の先行きに対する不透明感をどうやって払拭し、我が国経済回復基調を確実で力強いものにしていくか。そのためにも、経済構造改革前倒しなどによる効果的な経済対策を早急に策定していきたいと考えております。  党の方でおまとめをいただきました緊急国民経済対策につきましても、党のそれぞれの部会からのさまざまな要望を踏まえられ、経済対策として政府検討を要請するもの、そうした形で取りまとめられたものと承知しておりまして、これをも踏まえて、我々としての経済対策を組んでまいりたいと思います。  殊に今、昨日、通産あるいは大蔵指示をしたところでありますけれども、こうした状況の中で、金融機関の貸し渋り、あるいは回収といったことで、新規資金が出ないという声が中小企業から上がりつつあります。政府系金融機関が本当に役割を果たすときはこういう時期でありまして、政府系金融機関を督励しながら、そうした中小企業の差し迫った資金手当てというものに対しても対応するよう指示をいたしたところでございます。
  10. 石川要三

    石川委員 今総理お答えを聞いておりまして感じますことは、確かに、いろいろな計画前倒したとか、あるいはその他、土地流動化とか、これから検討してそういうことをやるんだということでございますが、当面の問題としてもう少し具体的な面で、例えば中小企業にはこんなことを考えているとか、あるいは、とにかく経済活性化のためには土地というものの動きが必要ですから、土地流動化についてはこんなふうに考えているとか、そういう具体的なことで何かもし今頭に考えていらっしゃる点がありましたら、ひとつお聞かせいただければありがたいと思います。
  11. 亀井久興

    亀井国務大臣 ただいま総理から御答弁いただいたことでございますが、その中で、土地流動化土地取引活性化ということがございましたので、その点につきまして国土庁が考えておりますことを御答弁申し上げたいと思います。  申し上げるまでもございません、総理もたびたび委員会、本会議で御答弁申し上げておりますけれども土地政策目標を、従来の地価の抑制という観点から、思い切って有効利用を促進する、そういう目標に大きく転換をいたしたわけでございます。そうしたことに基づいて、政府・与党が一体になって、土地有効利用促進のための検討会議も今日まで五回にわたって開いてまいったところでございまして、今御指摘になりましたことについても、さまざまな観点からの御議論があるところでございます。  具体的なことでございますが、国土利用計画法におきまして、地価の安定と、適正かつ合理的な土地利用の確保を図るために、大規模土地取引につきましては事前に価格及び利用目的について届け出を求めることにいたしております。御承知のとおりでございます。この届け出勧告制につきまして、本年の三月末に閣議決定されております「規制緩和推進計画の再改定について」に基づきまして、大幅な運用緩和実施を行ってきたところでございますけれども、先日お取りまとめになりました、先ほど御指摘のございました自民党の緊急国民経済対策におきまして、制度改善についての御提言がなされたところでございます。  私どもといたしまして、この届け出勧告制はいわば土地政策の根幹にかかわることでございますけれども、そのことを念頭に置きながらも、このような提言を含めさまざまな御意見というものをお聞きしながら、最近の地価等動向にかんがみまして、土地取引円滑化に資するという観点から、制度改善に既に着手をいたしておるところでございます。
  12. 石川要三

    石川委員 確かに今のお話の内容全体についてはつかめますけれども、さて、では何を、どうもう少し具体的になるのかなというふうに思うと、なかなかその具体的な答えがつかめないわけであります。  例えば、今も大きな規模の、大体二千平米ですか、そういう以上のものは一つ監視区域制度があるというようなことでございますけれども、そんなものはなくたっていいんじゃないかなと思うのですね、私は。何でそんなものをいつまでも、二千平米というと約六百坪ぐらいですか。ですから、そんなに大きな、一山をどうするとか大きな原っぱをどうするとか、そういう土地計画ではないのですから。  私は、あれは確かに土地の、バブルの中でできた一つ制度だと思いますので、もう既に全然、土地がそんなに動かなくなってしまった今日ではそういうようなものも一切なくした方がいいのじゃないかなと思うのですけれども、そこらの検討はなされていらっしゃるかどうか。
  13. 亀井久興

    亀井国務大臣 今委員が御指摘になりましたことにつきましても私ども十分に承知をいたしておりまして、運用改善ということでどこまでできるのかなということで一生懸命取り組んできたところでございます。  この九月から、都道府県におきましても、取引届け出書類を簡素化するとか、あるいは審査期間を短縮するとか、そうした運用面での改善は精いっぱいやっていただいておるところでございまして、その成果もまだまだ十分に出てきているとは言えないところでございますが、そうしたことも十二分にこれから注意をしてまいります。その運用改善では足りないということも十分に私ども承知をしておりますので、制度改善ということに踏み込んで検討を始めておるところでございます。
  14. 石川要三

    石川委員 確かにいろいろと御努力されているということは私も理解をするのですけれども、正直のところ、今の景気をどうよくするかという一つの具体的な最もインパクトのあるものは何かというと、やはり土地を動かすことがまず必要ではないかと思うのですね、土地政策。そしてまた中小企業対策とか税制とか、もちろん規制緩和もありますが、そういうことはあるのですが、その中でも一番、何というのですか、手にさわれる、感触的に感ずるものは、土地の問題が一番であると思うのです。  そういう点から今申し上げたのですが、例えば、大変御努力されているのでしょうけれども、なかなかそれが目に見えたような状態にならないというのは、この質問をする前に、私の住んでいる町の面積、百三平方キロあるのです、青梅市は。それで、調整区域と市街化区域ですか、その区域の比率は二〇対八〇ですね、二対八です。もう十年前からそうなんです。今日、人口は倍になった、ふえた。それでも依然としてそれは変わっていないのですね。  どうしてそう変わらないのかな。変わる要請がないのか、変わる要請があってもそれがなかなか認められないのか、どちらかなと思っている。実はまだ詳細にそこまで突っ込んで調べておりませんが、一三万の、とにかく倍の人口に膨れ上がってもこの調整区域と市街化区域の比率は依然として変わらないということから見て、私は、もっと積極的にこの土地の、何というのですか、区域の変更なども、もっともっと積極的にやった方がいいのじゃないかな、こういうふうに思います。  それから第二点の問題として、もしそういうふうになかなかこの調整区域、市街化区域の線引きが動かせないとするならば、現在の調整区域の中へうちがもっと建てられるように、現在ではその所有者の家族だけは建てられますけれども他人は建てられない、しかし反面、福祉施設、保育園だとか病院だとか、あるいは老人ホームだとか、そういったような福祉に関するものは一切もうどんどんできるわけですね。そういうものができるなら、うちをつくらせたっていいんじゃないかな。  いろいろと制約は当然かけてもいいと思いますが、制約の上に、もう少し住宅を建てられるような、線引きの見直しといいますか、そういうことによって住宅の建設の促進が結ばれるのじゃなかろうか。私はこんなふうに思うのですが、いかがですか。
  15. 亀井久興

    亀井国務大臣 今、大変貴重な御意見を拝聴しておったところでございますが、検討会議の方もさまざまな御意見、各方面からございますので、今調整中でございますけれども、できれば明日第六回目の検討会議を開かせていただきまして、そこで、今御指摘のございましたような御意見も含めて十分に検討させていただきたいと思います。
  16. 石川要三

    石川委員 あすそういう重要な会議が開かれるということでございますから、せっかくの機会でございますから、もう一つ要望を申し上げたいと思います。これはお答えは要りません、要望でございます。  例えば今、高速道路がどんどんできているわけですね。その高速道路のインターが開かれる。その周辺が、がっちりと緑地になっている場合があるのですね、生産緑地に。というのは、やはりそういう大きい道路ですから、当然市街地の中を通らないで遠くの方を通っている、ずっと。インターができる、できたところの周辺は畑。これはなかなか地目変換もできない、やりたくてもできない。現実にそれはちょうどその町にとっては一番立派な優秀な緑地なんですね。  だけれども、道路はできた。だから、当然社会変化はあるわけなんですが、以前から優秀な農地ですから、それを変えるということはなかなか役所はやらないですね。ですから、そういうところは積極的にやはり変更をしていくという姿勢が私は必要ではないかと思いますので、御参考までにひとつ頭に入れておいていただきたい、かように思います。  さて、時間もどんどん過ぎていきますので、やはり景気対策の中の重要な一つの問題として、中小企業対策というものもあるわけであります。中小企業対策には細かくいうとたくさんあると思いますけれども、それを絞って、要約して、今中小企業の方々が求めている点は何かといいますと、私は二つばかりあると思うのですね。  一つは、何といっても金融の問題があると思うのです。最近非常に地価が下がってきましたので、銀行はむしろ地価が下がったために逆に不良債権として非常に拘束されている。銀行の行動そのものを拘束されているような要素になっているわけでありますから、したがって、貸し出しという点が非常に鈍くなってくる。中小企業に対してはどうしてもそこにしわ寄せが出てくる。こういう傾向が今如実に出てきているわけであります。  我が自由民主党の先ほど申し上げました緊急国民経済対策の中にも、この点につきましては細かく要望を申し上げておりますから、大蔵大臣内容については十分御承知だと思います。しかし、今申し上げました中小企業の、これから十二月に入る、そういう時期的な問題から見ても、こういう対策というものを非常に重要視していただきたい。  この内容についてはもうお目通したと思いますから細かく言いませんが、どれをとってみてもみんな大切なことばかりでありますけれども、特に金融関係、公的金融機関に対しては十分な思い切った大蔵大臣としての言明をひとつやっていただきまして、中小企業が安心して越年できるように、そういうことをぜひお願いしたいと思うのですが、それに対する御見解をお伺いします。
  17. 三塚博

    三塚国務大臣 党及び三党の要望の中にも強く出ておるところであります。石川委員のその御提言政府として、特に財投を担当しております大蔵省として万全を期して、民間金融機関を完全に補完できるまでにはまいりませんけれども、精いっぱいの対策検討し、努力をいたしておるところであります。
  18. 石川要三

    石川委員 次に、やはり中小企業の問題として今大きな課題は、規制緩和の結果、非常に大型店がどんどん各都市に進出をしております。そういうような結果、その影響で一番苦しんでいるのが旧来の市街地の商店街、こういう方々が一番影響を受けるわけであります。  したがって、それに対しては我が党からも、この内容の中に示されておりますように、中心市街地再活性化対策ということで、いろいろな内容につきまして具体案が示されております。それを要約すると、大変細かく分かれておりますが、一つその中で一番大きな問題としては、やはり、大店舗の進出の中心市街地への影響、これが非常に重要な要素を占めておると私は思います。  したがって、大店舗が進出するような場合に、その許認可といいますか、そういったようなことから見て、こういう大店舗ができる、そういう規則というのですか、許可する法律というのですか、そういうものを、私はやはり中央官庁だけではなくして地方の自治体にそれを、いわばまさに地方分化といいますか、そういうことで、その町の市町村長がその町全体のこれからの活性化を考えながら、どこへそういう大店舗を入れたら一番いいか、全体がお互いに協調しながら繁栄できるか。場合によっては非常に逆になってしまう場合がありますので、そこらを地方分権した方がいい のじゃないか。  権限というのですか、そういう許可をする権限というものをもっともっと、中央だけじゃなくて下へおろすということをやっていくべきではなかろうかと思いますが、これは総理にひとつ。
  19. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 本来なら通産大臣がお答えすべきだと思いますけれども、通産大臣は呼ばれておりませんので、私の方からお答えいたします。  今の御示唆は、私は非常に大事な御示唆だと思います。と申しますのは、地方分権推進委からこれまで四次にわたりましていただきました勧告、これを今ベースに、地方分権推進計画の本格的な策定に入りました。しかし、分権推進委からちょうだいいたしました御意見は、四回目の勧告をいただきましたときに私の方から、これで終わりではありませんねと念を押しましたように、地方六団体が従来取りまとめてこられた要望を中心にまとめられております。と申しますことは、例えば、例示で挙げて恐縮でありますけれども、政令市の市長会から出されている御意見のほとんどのものはまだ議論を尽くしておりません。  そうした点で、今議員が御指摘になりましたようなケースも含め、なお分権推進委に御検討願い、より身近な自治体に移していくべき機能というものは存在するであろうと私自身が考えております。そうした中の一つとして関係当局にも伝え、検討させたいと存じます。  その上で一点、先ほど来の御論議にあわせ、この場をかりて院の各位、また地方自治体にも御協力を賜りたいことがございます。  それは、国で例えば景気を考え、あるいはその他の要件を考えまして、規制緩和あるいは撤廃いたしましたものが、自治体の条例等によりまして生かされないケースがございます。先般、自治大臣と建設大臣に指示をし、既にこれは全市町村に対して通達が出されておりますが、例えば、赤字企業の公共事業参入という問題がございました。  過去の不動産取得等によりましてバブル時代に抱えました不良資産を、リストラのために処理しようとしたとき、体質は健全ではありますけれども、単年度赤字になります。そうなりますと、赤字企業は公共事業に参入させないという、これもまた合目的な理由ではあるわけですが、そのために、その年度、公共事業に参入できないことを恐れ、いたずらに不良資産を抱えながら呻吟するというケースがございました。  一部の自治体では既にそうした協力をいただいておったわけでありますけれども、全国的にそうした点で配慮いただきたい、この問題を検討してほしいということで、両大臣御相談の上、既に両次官の名前で全市町村に指示をおろしておりますが、こうしたことも、土地流動化といったものに一方ではブレーキをかけてしまい、同時に、企業が不良資産を抱えたまま、みすみすその年度の公共事業参入の、入札参入の機会を得るために経営体質を悪化させていく、こうしたことは我々としては非常に問題だと思っておりまして、今回改めて全市町村に対しこうした指示を、連絡をとり直してもらったわけであります。  こうした問題点につきましては自治体の方にもぜひ御協力をいただきたい、そうした視点からも御協力を得たいもの、そのように考えております。
  20. 石川要三

    石川委員 いずれにしましても、景気を早く回復して、活性化して、そして不景気という飛行場から飛行機を飛び立たせる、こういうことをしなければいけないわけであります。それと同時に、中期的、長期的な展望に立っていろいろな改革等も進んでやる。私どもは、それが一つになって初めて二十一世紀というものが本当にすばらしい二十一世紀になる、こういうふうなことではなかろうかと思うわけであります。  当面の景気対策ということから考えると、やはりそれなりに、やる施策内容規模によっては財源というものが当然必要なわけであります。先ほど総理も言われたように、例えば法人税の問題等につきましても税制面でいろいろと御考慮いただいているようですが、そういうことだけではなくして、またいろんな対策もやらなければならない。となると、当然、財源というものも考えていく必要があると思いますが、いわゆる今の財政再建計画というものの中からは、新たに大きな減税財源として赤字公債を発行するなんということは毛頭考えられない、私はこう思っております。  そういうことをしてはいけないと思いますが、しかし、よく世上言われるように、今日のこの不況というものの元凶というものは、やはり消費税のあの三%から五%への問題だとか、あるいは特別減税の廃止だとか、医療費の負担だとか、そういうようなことで今日はこのような不況を招いているんだということを言われております。したがって、むしろ大型の、もうどういう財源でも積極的に使ってそれを回復しろという意見もあるわけであります。  私はそういう意見には立たないわけでありますが、国民としてはなかなかその点が理解に苦しんでいるわけでありますから、むしろこの際、なぜ消費税というものを三%から五%へ処置をしたか、そしてまた、特別減税というものをしなかったというその理由はここにあるんだという、そのわかりやすい説明を国民にしっかりとしていかないと、ただ耳ざわりのいいことだけで国民がこれを誤解すると大変なことになりますので、ここで改めて、総理あるいは大蔵大臣、どちらでも結構でございますから、お答えをいただきたいと思います。
  21. 三塚博

    三塚国務大臣 委員から財政出動の問題について、特例公債発行はできないことは理解しつつも、何らかの手だてを講ずべきではないのかということであります。同時に、国民各位に財政出動を行わない理由をわかりよく開陳しろ、こういうことであります。  半歳余にわたる財政構造改革会議、党及び政府代表、総理を中心に私どもそれに出たわけでございますが、真剣な論議の中の結論として、まず健全な財政運営を目指そう、こういうことで、対国内総生産比三%以下と、財政赤字についてでございますが、明示をいたしたところであります。このことは、ヨーロッパが今統一通貨に向けて最後の努力をされております、その明示も、国際連合の基準に従って三%、こういうことでやられておるわけでございます。  我が日本の財政いかん、こういうことになりますと、全体で五百二十兆にもなんなんとする国、地方の債務が累積をされております。国家財政の運営につきましても、国債費、元利の負担、支払いであります。そういう中で、二一%に及ぶ国債費を予算計上しなければなりません。借りたお金は利子をつけてお返しをする、約束どおり元金も返済をするということでございます。この返済をまず怠るということになりますと、経済が破局的な事態に追い込まれることはおわかりのとおりでございます。  家計におきましても国家財政もその基本は同じでありまして、節約をし、大事にし、効率的に使って生活をキープするという賢明な家庭の知恵もございます。国家財政、地方財政だけが、その都度の中で一番手っ取り早くカンフル的な効果のある財政出動に頼る、いわゆる借金をして歳出を起こし、そこで景気の回転をするということは、ここまで参りました破局的な財政状況からいえば、到底でき得ないこと。  しからば何もしないでいるのかということになるわけですが、その点については、総理からも言われましたとおり、財政構造改革会議の結論におきましても、ありとあらゆるものを聖域なき見直しをすることによりという大前提の中で、むだを省こう、そしてスリムな政府になろう、総定員法が決められておりますが、公務員の削減にも大胆に取り組もう、こういうことの中で取り進められております。  歳出カットは、量的縮減目標、いわゆる目標を法律の中に書かせていただいて取り組ませていただいておるところ、全体の歳出がむだがあってはならない、有効、効果的なものに絞ろう、こういうことにさせていただいておるところであります。  いつも言うのでありますが、冬来りなば春遠からじ、これを乗り越えることが極めて大事。冬の時代に土壌を醸成し、そこで着実に春に向けての到来を築き上げていく、こういうことであろう。そのためには、規制の撤廃そして緩和によるビジネスチャンスの拡大を図るというのが一つあるでしょう。土地流動化を進める需要喚起という意味で土地政策があるでしょう。そういう意味で、証券化の問題によってこれに取り組む、そのことにより、結果的に銀行の不良債権も解消のスピードが速くなるでありましょう。  そしてもう一つは、千二百兆の国民の預貯金、ビッグバンと言われる日本的金融システム大改革、これに取り組むことによって有効適切にそのお金が活用され資産価値がふえるように、また同時に、ビジネスチャンスを迎えて資本を調達しようという各位に対して、資金調達が市場においてできるような仕組みをつくり上げさせていただく。これは我が国だけではなく、国際経済というのは強い連携の中で影響力をお互いが及ぼしながら動いているわけでありますから、そういう国際の金融要請についても手だてを講じてまいりましょう、こういうことであります。  予算編成、十二月の中旬から原案作成に参ります。これは、財政構造改革推進についての特別措置法の基本方針に基づいて編成をさせていただくわけでございます。その中で、党からも、また政府税調、また本日のような議論の展開の中でなされておるものをしかと踏まえながら、何が最も有効適切なのかということを取り決めてまいらなければならぬと思っております。  この場をかりて一つだけ、先ほどの貸し渋りの問題でございますが、総理にも先ほどちらっと耳打ちをいただいたわけでありますが、これが政府機関の活用を万全にいたします。同時に、もう一つは、信用保証協会の機能。都道府県知事、全体の金融機関の協力を得るわけでございますが、この機能をぜひ強くいたすことによりまして、担保不足、評価割れということもございます、そういう中で何ができるか。これも通産大臣所管であります、大蔵省と共管でありますが、全力を挙げて取り組んでまいるつもりであります。
  22. 石川要三

    石川委員 今の大蔵大臣お答えにつきましては、私は全般的には全く同感であります。ただ、大蔵大臣も言われたように、やはり財源をどこからか求めるということになると、いろいろと対応の中身はありましょうが、とにかくむだを省くという言葉を今使われました。そのとおりだと思うのですね。  私は今、むだをどうやって省き、その努力をするかによっては、七十七兆円の予算の中から兆円に上るお金というものも生み出せないとは、これは国民の一般的な方々の意見ではそういう見方が普通に見られているわけでありますから、極力やはり簡素、行政のむだを省くということに、もう当然でありましょうが、大いに努力をしてもらいたい。  私は、大臣のように高所大所からではなくして、小さな町の首長などもしておりましたから、どうしても細かい行政の内容についてよく知っているわけでありますけれども、私なりに見るとたくさんありますけれども、その中で、時間の限りがありますから一つか二つだけ取り上げます。  一つは、これが何とかもう少しやれば結果的には大きな節約になりはしないかなと思うのは、例えば道路の整備改修等で、どこへ行っても次から次へ改修をやっている。なぜあんなにやらなければならないのか。あれをもう少し共同溝か何かを使ってやれば、水道だの下水道だの電線だの、そういったようなものを交互にやらないで一遍にそれができる。もう既にやっているでしょうけれども、そういうものをもっと大胆にやらないと、幾らたっても、五十年、穴をほじくってはなすり、また壊し、また穴をほじくる、そういうことばかりが続いている。  恐らく、ここにおいでになる皆さんも盛んに外国を旅したと思いますが、どこへ行ってもこれほどに改修しているところはないですね。なぜ日本はこういうふうにやっているのだろう。確かによその国から見れば社会資本のおくれということがよく言われます。しかし、幾らおくれといえども、もう五十年たっている。しかも、本当に私は毎日毎日通いながら見るのですが、きのうあそこをやっていた、一週間たつとまたそこをやっている。なぜそういうことをやるのだろう。不思議でならない。そういうことを考えると、五十年のそういう繰り返しは私は莫大なむだになると思うのですね。  そういう点について、私は建設大臣の御所見を聞きたい。
  23. 瓦力

    ○瓦国務大臣 石川委員お答えをいたします。  石川委員指摘のように、戦後五十年を経て社会資本整備も順調に進んできたわけでありますが、来し方を振り返りますと、大都市へ人口が集中する、そのことによりまして、都市整備をしなければならない。加えて、昨今においては中心市街地が空洞化する。そういう歴史の中で、私は、量から質へ、質的なものが高度に要請される時代に来たと。  確かに委員指摘のように、我が国の風景を見ましても、電柱文化と言っては大変言葉が過ぎるかわかりませんが、これから近代都市としては共同溝とかそういった施設を整備していきまして、快適な国土にしなければならぬ、こう思うわけでありますが、いかんせん、需要に応じながら体制をつくっていくためにはなお懸命の努力が必要だ、こう思っております。  加えて、道路工事等につきまして御指摘もございますが、いわゆる道路の路上工事のうち、舗装とかこういつものは二割でございまして、一般に掘り返し工事が多い。また、年暮れから年度末に多いというようなことがよくよく指摘をされておりましたが、これも平準化をしなければならぬという努力をいたしておるところでございます。  この工事の八割が、それぞれ、都民生活といいますか、市民生活にかかわり深い、水道であるとか、あるいはガスであるとか、電話工事であるとか、そういったものの専用工事としてやるわけでございますので、道路の工事よりもそちらの方の工事がしょせん多くなる。そうしますと、それを協議体をつくりまして、うまく市民生活にも影響を与えないようにしていかなければなりませんので、東京都の会議におきましても知事以下出席をし、建設省も次官以下出席をして、これを平準化して迷惑をかけないようにしていこう、効率的にやっていこうという協議は繰り返しつつ、これから三割減を目下の目標にいたしまして、第十一次五計、道路整備五カ年計画でも取り組んでいこう、こうやっておるところであります。  委員指摘の本質は、財政が厳しくなり、また景気対策も含めてむだを排除せよというところが主眼かと思いますが、総理指示がこの十七日の閣議になされまして、予算は今大蔵大臣御案内のとおりの財政状況であるから知恵を出せということでありますので、今建設省も挙げまして、コスト縮減であるとか、あるいは費用対効果の問題であるとか、それぞれの工事がいかに大きな経済効果を生むかとか、今までとんかち官庁と言われましたが、知恵を絞る役所として今全力を挙げておりまして、景気対策に寄与したい、こういうことで、総理指示に基づきまして経企庁長官のところでまとめられますが、今知恵を絞っておるところでございます。  以上、答弁とさせていただきます。
  24. 石川要三

    石川委員 今の大臣の御答弁でございますが、大分これから張り切って、大いにエネルギッシュに立ち向かうということでございますから、それはそれとして、ただ問題は、年間の発注工事を平均化しただけじゃだめだと思うのですね。私が言うのはそういう繰り返しのことじゃなくして、もっと、一度やったら二十年や三十年はもうその地域は改修しなくても済むというような方法論、方法を変えないといけないのじゃないかな、むだじゃないかな、かように思うのです。  それは結構です、時間がないものですから。そんなわけで、せっかくおいでになっても本当にこちらの方でお答えしては申しわけございませんが、頭の中に入れておいていただければありがたいと思うのです。  それから次に、これも私はむだの典型的なものじゃないかなと思うのは、例えば福祉関係の施設、特にお年寄りの、老人施設、老人ホームの問題ですね。私は素人ですけれども、この豪華ぶりというのは大したもので、最近よく近在にそういう施設ができるのですが、御招待いただきまして行きますと、何かホテルか何かできたようなすごい豪華けんらんたる建物がある。私は、福祉を切り詰めろという意味じゃないのですね。福祉というのはただぜいたくが福祉じゃないのです。そこだけはきちっとやっていかなければいけない。  そういう点から見ると、例えば私の調べたところによりますど、単価なんかも随分違う、建設単価が。坪当たり、老人ホームは百三十万ぐらいする。普通の施設の約倍ぐらいかかる。この点については、これはお役所の方で結構なんですが、どういうわけか、これが高いと思うのか安いと思うのか、その点だけ簡単に。
  25. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 お答えをさせていただきます。  先生今お挙げになりました単価は、あるいは、補助単価の上にそれぞれの事業者の判断によりまして自主的にそれを上積みされて建設されている場合がございます、そうした中でやられているものだと思いますけれども、私どもの今の単価で申し上げますと、結論的に言えば、実は大分改善はされてきておりまして、むしろ従来非常に福祉施設の単価が低いということで、地方団体等からも非常に御要請等がございまして、年々単価を改善はしてきておるのでございますけれども、今日ただいまのところで申し上げれば、他の、あるいは病院、診療所、あるいは事務所とか学校校舎等、現実の建築着工統計等によってみましても、決してほかより高いということではございません。むしろ若干低目ぐらいの単価でございます。  ただ、今申し上げましたような補助単価の上乗せというようなことを事業主体等がやられるという場合におきましては、先生おっしゃるような豪華なものができるというようなことはございます。  ただ、それにしましても、やはり実勢にあった単価でするということは非常に大事なことでございますので、私どもも、本年度も、特別養護老人ホームだけじゃございません、社会福祉施設全般につきまして建設工事費等の実態調査を今やっております。これに基づきまして、いわば過不足のない適正な単価を設定するということを本年度の予算におきましてもやりたいということで、目下調査を進めておるところでございます。
  26. 石川要三

    石川委員 ここで延々と意見交換したって仕方がないからもうこれで終わりにしますが、今の局長さんの答えを聞いて私は唖然としました。  少なくとも、坪単価が百三十万もする。学校や幼稚園、保育園はその半分に近い、我々の住宅だって坪五十万から七十万ぐらいが一般の平均じゃないかと思うのですが、そういうところから見ると、百三十万もするなんというのは私は豪華だなと思わざるを得ないし、またそういうことが、大変、私もこういう席では言えないことも知っているわけでありまして、これは非常にそこにおいしいみつがあるからいろいろと問題が起こってくるのです。  ですから、今のようなことを続けていくなら必ず私は、まだまだこれからも忌まわしい事件が起こる可能性十分だということだけはここではっきり指摘をしておきたい、かように思います。  最後にもう一つ、やはりぜいたくかなと思う点は、例えば、これは東京都内全域でございますから関東地区はみんなそうじゃないかと思いますが、北海道や何かの寒いところは別として、関東地区、特に東京区域の中で、保育園の子供たちの施設に床下暖房までやる必要があるのかどうか、私はちょっとこれは疑問を感ぜざるを得ないわけであります。先般、そういう保育園の園長さんなどにお話を聞きますと、むしろ子供のためにはそういう施設は好ましくないんだ、かえって子供を脆弱にしてしまう、こういうことをはっきり言っておられました。私も全くそのとおりだと思う。  ですから少なくとも、たくましい、次の二十一世紀を背負うこの日本の国民を育てるには、そういっただ甘やかせばいいというような感覚を持たれるようなことは、私は、この際絶好のチャンスですから思い切って、各省庁の大臣の皆さん方も振り返ってその点はひとつチェックをしてむだを省いていただきたい、そうすれば全体で兆円に上る金というものは必ず生み出せる、かように思うわけでありまして、そのカットは決して福祉のカットではない、福祉はぜいたくじゃなくして内容なんだ、そういうことではなかろうかと思う。したがって、それをぜひお願いしたい、かように思います。  それから最後に、そういうような観点から、もう今日のこの時代になりますと、例えば幼稚園と保育園をとってみましてもほとんど変わるところはないと私は思いますね。なぜ保育園、幼稚園と分けておるのか、いつまでも。  昔は確かに、戦後直後は子供を保育するに欠ける家庭というのは非常にあった。お父さんがいなくなった、お母さんが病気になった、だから子供は保護しなければならない。したがって、そこに社会的責任から保育園というものが誕生したのではないかと思いますが、今日は、もう本当に保育園も幼稚園も全くその差がない。そして、小学校へ入る前の教育というものは両方ともやっている。ですから、どこが違うのか。これは私は区別をする必要はないので、むしろ幼保一元化をやっていった方がいいのじゃないかな、これも結果的には一つのむだをなくすことになろうかと思うわけであります。  こういうことは答弁は要りませんが、きょうは政務次官も来ておりますから、その点の所見だけを一言だけお聞かせ願いたい。
  27. 鈴木栄治

    鈴木(栄)政府委員 石川先生にお答えさせていただきます。  少子化の進行、女性の社会進出など、幼児を取り巻く環境が大きく変化する中で、幼稚園と保育所に対する国民のニーズは高いものとなっております。現在、厚生省との間で検討会を設け、両施設の望ましい施設や運営のあり方について幅広い観点から検討を進めてまいっております。  今後とも、子供や保護者の立場に立って、ふさわしい施設を選べるという観点から、厚生省との連携をより緊密にし、施設の共用化などの弾力的な運用を一層進めてまいります。
  28. 石川要三

    石川委員 最後に、これで質問を終わるのですけれども、要するに、改革というものは大変難しい問題でありまして、私はたまたまここに本を持ってきたのですが、童門冬二さんという、この本をお読みになったかどうか。お読みになりましたか、そうですが。この本を読んで、いかに改革というものが大変かというのをしみじみと感じるわけでありますので、大臣もひとつ十分に御健康に留意されまして、頑張っていただきたい。  心から御健康をお祈りして、質問を終わります。ありがとうございました。
  29. 松永光

    松永委員長 これにて石川君の質疑は終了いたしました。  次に、田中慶秋君。
  30. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 私は、新進党を代表して、この集中審議で、特に今国会は予算がないわけでありますけれども、しかしこのときに、より政策を中心としてこの予算委員会で大いに議論をする必要があるだろう、こんなふうに思っております。  特に政治倫理景気対策、あるいは行政改革、さらにはガイドライン等々がこの予算委員会の今回の課題でありますけれども、私はさきの百四十国会で、総理に対し、公務員倫理法あるいは政治倫理等について新進党として議員立法を提案させていただいたわけでありますけれども、現実には審議未了になり、大変残念に思っております。そ のときに総理は、公務員倫理法より公務員倫理規程があるから、日本の場合はこのことで徹底したい、こんな話でございました。先進七カ国の中で、公務員倫理法の徹底といいますか、ほとんどこれがございますが、しかし、総理においては今もその考え方は変わっていないかどうか、お伺いしたいと思います。
  31. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私はそのとき、正確な言葉遣いは覚えておりませんが、法をもって強制するよりも、この倫理規程が有効に働いてくれることを願う、そして倫理規程をつくらざるを得ないということ自体が悲しいという思いを持ってお答えをした記憶がございます。そして……(発言する者あり)よろしゅうございますか。そして私は、倫理というものを法で規制しなければならないということは残念だという思いは、今もそのとおりであります。
  32. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 大変残念なことに、数々の不祥事が出ていることも総理は御存じだと思います。  総理、あなたの第二次橋本内閣のスタートに当たり、佐藤孝行氏を総務庁長官に任命されました。これは野党初め世論から、さらには党の内部からも罷免要求をされ、そして更迭をされたわけであります。そのときに、社民党の土井委員長が政治倫理法を今国会に提出したい旨、報道されておりました。総理はそのときに、それぞれコメントを求められて、この政治倫理法等々について賛意を表明されたように報道されております。  我々新進党初め野党が政治倫理法というものを、あるいは公務員倫理法というものを提案したとき、それには反対をされ、与党だからといってこれらに積極的に取り組む、その姿勢は、すなわち民主主義の根幹を揺るがすことになるのだろうと思っております。今日本にとって、与党、野党、立場は変えても、少なくてもそれぞれの国家国民の立場に立った形の政策提言には耳を傾け、もっと前向きにそれぞれ検討することが政治の常道ではないかと思いますが、総理見解をお伺いしたいと思います。
  33. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 たしか、新進党から提案をされました政治倫理に関連いたします四法そのものについて、内容まで私は御質問を受けたことがなかったと思います。その上で、私は、公務員倫理については今申し上げましたような感じを持っておりました。言いかえれば、公務員倫理規程に相当する部分というものが御党の案にも含まれておったと存じます。  そして、その上で改めて調べてみますと、公務員あるいはその妻子の資産、収入の公開といったことまでがございました。これは果たして、個人のプライバシーといった基本的な人権に関する問題というものを、どうとらえたらいいのか。目的、必要性、こうしたものについて十分な対応を必要とするのではないか。これは私というよりも、与党としてその当時判断をしたことであったと思います。ちなみに、今私どもは政治家として、また閣僚としての資産公開義務を背負うておりますけれども、私どもの場合におきましても、結婚して独立して世帯を持った子供たちはそれぞれから離れてまいります。そうしたことも考えてまいりました。  そして、今、与党三党で議論をいたしております政治倫理等についての論議、これは一つは政治家個人の倫理問題につきまして、また企業・団体・個人献金につきまして、あるいは国会改革の具体策につきまして、こうした問題点について三党幹事長を含めた政治改革協議会を設立して検討を行い、その結果を臨時国会中に三党首会談に報告をするという内容のものでありまして、多少御党の御意見と、あるいは提出されました法案とは差異があるのかもしれないと思いますし、現在中間の報告を受けておりますが、土井党首が特定の法律案名を挙げられたという中身には、この三党の確認はなっておりません。
  34. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 いずれにしても、時代が大きく変わり、政治倫理という問題が、今日では景気対策や行政改革とあわせて、政治に信頼を取り戻す意味でも大変重要なことであろう、こんなふうに思っているわけであります。ある面では与党だから野党だから、こんな区別は政治倫理にないもの、私は、こんなふうに思って作業を進めてきた一人でもございます。そして、なおかつその範囲というのは、国家公務員や政治家あるいは裁判所初め特殊法人の幹部までという全体的な大きなエリアでやったわけでありますけれども、残念なことにそれぞれ日の目を見ることができませんでした。  そこで私は、この金銭的な問題とあわせて、公務員倫理のあり方は政治家や公務員の金銭にかかわる問題だけではないと考えております。すなわち、憲法や法律にのった民主政治の本質に反する行為をチェックすることも極めて重要ではないかと思っております。  そこで、橋本総理、お伺いいたしたいのは、週刊ポストの報道によりますと、ことしの六月に発足した、竹下元総理を最高顧問とし、マスコミ界や第一線のジャーナリストを中心とする三宝会という組織、任意団体、これについて総理は御存じでしょうか。
  35. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 大変申しわけありませんが、私は、実はその週刊ポストの記事自体を見ておりませんし、それからその記事の内容がどのようなものか存じませんけれども、今、とっさに心当たりがございません。
  36. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 理事会で御理解いただきましたように、今、この三宝会をより御理解をいただく意味で資料をつくってまいりましたので、お配りをさせていただきたいと思います。  この三宝会というものは、私が入手した資料に基づいて今お配りをさせていただいたわけでありますが、この会は、竹下元首相を最高顧問として、財界人七人を代表として、マスコミ界中心に十名の世話人、さらに事務局を、福本邦雄さんという人物が経営する画廊、すなわち、かつて金屏風の舞台となったフジインターナショナルアートに置いてあります。福本さんという方は、竹下元総理と大変親しい人であるということを聞いております。  この三宝会は、新聞そして雑誌などマスコミの第一線で活躍している人たちを中心に、政財界の関係者が定期的に集まって情報交換する会のようですが、設立趣意書を見ますと、幾つかの問題点があります。その第一は、情報を早く、正確にとらえ、行動の指針とするために、立場を異にする各分野の仲間が円滑な人間関係をつくることを目的とするということが第一。第二は、この会を媒介として、不断に新鮮なニュースによる刺激を受け、お互いの職域を超え、足らざるところを補完し合い、さらに飛躍を遂げようとするものです。  この三宝会は、六月に発足したときは、政界の構成は大分変わっているようでありますけれども、政界からは竹下元総理に親しい国会議員も、あるいは事務所の方も参加をされています。となると、この会は、法人会員から主たる活動費を出してもらい、新聞、テレビ、雑誌、その他出版の各社の幹部に協力してもらって、世論操作、世論づくりをする。さらには、最近では、運輸省、通産省、建設省、そして農水省、郵政省、いわゆる利権官庁のOBが五人参加をしております。  活動費を出す企業は利権官庁の情報を知ることができるわけであります。何しろ趣意書には、お互いの職域を超え、足らざるところを補完し合い、そして飛躍をしよう、こう明記をされているわけであります。三宝会は、竹下元首相の政治的影響力を飛躍させようとするシンジケートのような役割をするものではないかと思います。  橋本総理、議会制民主主義を健全に発展、機能させることが政治倫理の最大の課題だと信じております。この点から、三宝会についてどのような感想をお持ちですか、明確にお答えいただきたい。
  37. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今初めて拝見をいたしましたが、この会は、老子の言葉「我に三宝あり、持してこれを保つ。一に日く、慈。二に日く、倹。三に日く、敢えて天下の先たらず」よりとり、三宝会と名づけることとしたと。そうした意味で、 さまざまな分野の方々が集まり、互いに研さんを積まれる。私には、ここに書かれております目的は、そのようにすらりと読めるのでありますが。
  38. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 総理の政治倫理あるいは民主政治に対する認識といいますか、大変残念ながら、私は、そのとおり総理が述べられたようなことかなと思っておりますが、この議会制民主主義にとって、マスコミの存在、あり方、極めて重要であります。政治家とジャーナリストが一定の常識を持って交流し合い、お互いに錬磨し合うこと、そしてこの基本的な緊張感、あるべきであろうと思います。それが議会政治の原点であろうと思います。  この三宝会の問題点は、有名なマスメディアの第一線で活躍している幹部を組織的にそろえ、国民に大変影響力を持っている人たちが特定の政治グループと一緒になって、円滑な人間関係をつくり、職域を超えて足らざるところを補完しようということであります。近代社会、まともな議会政治で考えられない、マスコミを利用した、民主政治に似せた政治支配の発想だと思いますが、総理、どのようにお考えでしょうか。
  39. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、マスコミの皆さんもまた情報を必要とする職種の一つだと存じます。仮に、議員の御議論のように、情報の交換というものがここで行われた場合に、その情報の交換というのは悪なのでしょうか。そして、マスコミの方々も情報を提供される、報道、表現の自由という範囲の中で御自分たちも取材をされる、それをしも問題視しなければいけないことでありましょうか。  私は、少なくとも、今議員から配付をされました資料の趣旨書に目を通しまして、非常に素直にこれを読んで、なぜ、また私に御質問があるのか自体がよくわかりません。
  40. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 私は、総理の政治倫理に対する考え方をお伺いしているのであって、特にそういうことを考えてみますと、それでは、この三宝会というものがどんな組織でできているか、今から申し上げましょう。  朝日新聞の方五人、毎日新聞が三人、読売、共同通信ともに三人、日本テレビ二人、フジテレビ一人、テレビ朝日一人、文芸春秋社三人、講談社二人、プレジデント社一人、選択出版社一人、朝日出版一人。それぞれ重要な人でありますが、あえて名前を申し上げますと、共同の後藤さん、あるいは読売の高橋さん、日経の芹川さん、朝日の佐田さんたちが世話人になっているわけであります。そして、このマスコミ関係が全員、オピニオンリーダーとして政治報道、世論操作あるいはまた世論形成にかかわるマスコミ幹部の顔をそろえているわけであります。  そして、法人会員として、三十五人から成る有名一流企業の人たちが顔をそろえております。これに、先ほど申し上げました五つの利権官庁のOBが参加をしています。円滑な人間関係をつくる、お互いの職域を超え、足らざるところを補完しようというこの特定な政治グループにより、世論づくり、世論操作を目的とするだけではなく、ある面では政治資金を集めるための環境整備の役割を補っているとも言われております。  このようにして、それぞれの幹部が、大変基本的に、かつまたこの政治倫理が問われているときに、このような環境の中で世論操作やあるいは政治資金の問題等々、こういうことが予想される。こういうことについて、私は、橋本総理の、少なくてもこの政治倫理等に対する考え方をお伺いしているわけであります。
  41. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今、大変特定の報道機関名、またその報道機関に所属されるメンバーの人名を挙げられましたけれども、その方々が同じ記事を書いておられる、あるいは、すべての問題を同じように共同歩調をとられてキャンペーンをしておられるというように私には思えません。それぞれが厳しい論陣を張っておられる方々ばかりだと思います。  そして、そういう方々が、御自分の主張は主張として、ともに集まり、それぞれ切瑳琢磨されることが悪いとは私は思いませんし、それでおまえの政治倫理の勘は鈍っているんだと言われれば、これはちょっとやむを得ない。これを読む限りにおいて、私、どうしてこういう行動がいけないのか、よくわからないんですが。
  42. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 それでは申し上げましょう。  橋本総理、この会のもう一つの重大な問題は、よろしいですか、渡した資料にもありますけれども、個人会員に内閣情報調査室長杉田氏が参加しております。あるいはまた、前の大森義夫氏も参加をしております。内閣に関係しております総理として、このことをどう思いますか。
  43. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、彼らが個人として、まず第一に……(発言する者あり)
  44. 松永光

    松永委員長 御静粛に願います。(発言する者あり)御静粛に願います。(発言する者あり)御静粛に願います。やかましいのはその付近だ。御静粛に願います。
  45. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 まず第一に、私は、個人として……(発言する者あり)
  46. 松永光

    松永委員長 今の静粛でない発言は困ります。(発言する者あり)注意した後に君は発言しているね。御静粛に願います。(発言する者あり)御静粛に願います。  総理大臣、お願いします。
  47. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 まず第一に、私は、個人としての行動に指示をするつもりはありません。ですから、私は、前あるいは現の室長がこれに入っておること、これが個人であるのかどうかということがまず一つの問題点であろうと思います。  あるいは、個人として脳裏に職を思い浮かべながら参加をしていたとしても、情報調査室という仕事の性格上、情報が得られると思われる場所でそれらの意見を参考として聞いていくことが悪いことだとは思いません。
  48. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 すなわち、橋本総理は、内閣としては関係ない、こういうことにとれるわけでありますけれども、個人というならば、すなわち、国家公務員法百二条三項の、職員は政党その他の政治団体の役員、政治的顧問、これらと同様な役割を持つ構成員となることはできないという、この行為に反することになりませんか。  法制局長官、この問題について見解をお伺いしたいと思います。
  49. 大森政輔

    ○大森政府委員 突然のお尋ねで、何をどういう観点から聞かれているのか、もう一つよく理解できないわけでございますが、そもそも、情報調査室長がいかなる目的で、どういう立場で参加しているのかということ自体を、私は私の立場で了知しておりませんので、そのような百二条との関係でどうだと言われましても、正確な答えをいたしかねるところでございます。
  50. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 公務員法の百二条三項に、職員は政党その他政治団体の役員、政治的顧問、これらと同様な役割を持つ構成員となることはできないと。この行為を、すなわち、先ほど資料の中に申し上げておりますけれども、三宝会のメンバーとして内閣調査室長が加わっているということはいかがですかということ、このことを明確に聞いているんですよ。
  51. 大森政輔

    ○大森政府委員 ただいまお配りいただきました書面の中には、確かに個人会員として杉田和博内閣情報調査室長なる記載があるようでございますが、これは事実としてそのような個人会員となっているのかどうか、つまびらかにいたしません。  しかも、この百二条第三項、これは「職員は、政党その他の政治的団体の役員、政治的顧問、その他これらと同様な役割をもつ構成員となることができない。」と規定していることは御指摘のとおりでございますが、この三宝会なるもの、これについては私はきょう初めて知ったわけでございまして、この団体が百二条第三項に言う「その他これらと同様な役割をもつ構成員」となっているかどうかについては、よくわかりませんと答えるのが正確なお答えになろうかと思います。
  52. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 法制局長官、あなたにそういう団体の認知をどうのこうの聞いているんじゃないんですよ。いいですか。公務員法の百二条三項、この解釈を聞いているんです。余計なところに答弁しないでくださいよ。
  53. 松永光

    松永委員長 では、百二条三項の解釈をお願いします。  内閣法制局長官
  54. 大森政輔

    ○大森政府委員 百二条三項の解釈を述べろということでございますが、これはお読みになればおわかりのとおり、「職員は、政党その他の政治的団体の役員、政治的顧問、その他これらと同様な役割をもつ構成員となることができない。」と規定してあるわけでございますから、これ以上に何の解釈を求めておられるのか、私はこれ以上の説明は必要ないと思います。
  55. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 長官、いいか。この杉田氏というのは公務員なんですよ。情報室長という、まして内閣の重要な役割をしているんです。日本のいろいろな機密の問題もこの人は知っているわけですから、そういう人がこういう団体に名前を連ねること、これがいいかどうかということを聞いているんですよ、この法律的な解釈の中で。
  56. 大森政輔

    ○大森政府委員 内閣情報調査室なるものが内閣官房に置かれた機関であるということは、これは立場上重々承知しております。その室長である杉田和博氏、その本人についても私は個人的にもよく知っております。  しかしながら、ここで問題となりますのは、その室長がこの三宝会に個人会員として参加しているかどうか。これは、今お配りいただきましたこの書面によればそのように記載してありますが、事実としてそうなのかどうかということは、これは確かめてみなければわかりませんということが一つでございます。  それからもう一つは、この三宝会なるものが、この百二条第三項でなってはならないと言われている政党その他の政治的団体であるかどうかということ自体も、この三宝会を十分に、現実はどういう組織であるかということを十分理解しなければ当てはめができない問題でございますから、百二条第三項との関係で問題がないかと言われましても、現在正確な自信を持ったお答えはできないということを申し上げているわけでございます。
  57. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 この三宝会なるものが、竹下元総理を最高顧問として、それにかかわる国会議員、それにマスコミ人、企業、こういう形になっているわけであります。ですから、その団体が政治的団体とかどうのこうのの解釈をあなたに聞いているわけじゃなく、そこに内閣情報調査室長の杉田氏が加わっていること、こういうことを私は聞いているんであって、この公務員法百二条との関係、こういう形で、まして国の機密に携わる人間がそういうところにぼんぼん出ていって、そして、この目的に書いてあるでしょう。知らざるところを補い、足らざるところを補って、そしてこの目的遂行のために、こういうことを書いてあるんです。  ましてや、私人とはいっても国の機密を担当する人間がそういうところに加わって、そしてそれが、この三宝会なるものがどういう団体だかわからないから法の解釈は述べられないという長官では、私はおかしいんじゃないかな。もう一度見解を述べてください。
  58. 松永光

    松永委員長 田中さん、田中さんね、百二条に該当する団体であるという、あなたは証明をしなければいかぬね。そうした上での質問じゃなければまずいよ。
  59. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 冗談じゃないですよ、委員長見解を聞いているんじゃないよ。
  60. 松永光

    松永委員長 いや、そこが問題になっているんだよ。
  61. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 委員長、それは出過ぎだよ。あなたは公平でやるべきなんだよ。
  62. 松永光

    松永委員長 いやいや、あなたの質問を聞いてそういうふうに……
  63. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 冗談じゃないですよ。あなたがそんな見解を言うんだったら、質問なんてできませんよ。冗談じゃないですよ。
  64. 松永光

    松永委員長 今の法制局長官の答弁は、あなたの言う……
  65. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 委員長に答弁を聞いているんじゃない。
  66. 松永光

    松永委員長 いやいや、だから、じゃもう一回答弁させても同じ答弁になりますよ。  じゃどうぞ、法制局長官、もう一回答えてください。そうでなければ質問にならない。
  67. 大森政輔

    ○大森政府委員 たび重なるお尋ねではございますけれども、今まで申し上げましたとおり、情報調査室長杉田和博氏が、いかなる目的で、いかなる資格でこの三宝会の個人会員となっているのか、なっていないのかということにつきましては、十分に調べてみなければ、それを前提としたお答えができないということが一つ。それから、この三宝会なるものが、この百二条第三項で問題としております団体に該当するのかどうかということは、三宝会の実態をなおよく調査してみなければしかと答えることはできない。  そういう二重の観点から、お尋ねに正面から確定的なお答えをいたしかねるということを申し上げているわけでございまして、これは、たび重なるお尋ねを何度いただきましても、同じ答えしか私としてはいたしかねるということでございます。
  68. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 私は、今の日本の政治倫理を、まず金銭的な問題やらあるいは法的な問題を含めて、いろいろな議論をしておかなきゃいかぬだろう。そしてなおかつ、この三宝会という問題の中で、ここに設立趣意書、情報を早く正確にとらえ、行動の指針とするため、立場を異にする各分野の仲間が円滑な人間関係をつくるということと、もう一つは、新鮮なニュースを受け、お互いの職域を超え、足らざるところを補完し合い、さらに躍進を遂げよう、こういうことであります。  いいですか。そこには政治家のグループ、マスコミのグループ、まして一流企業の人たちが金を出している、こういうことですよ。当然このことを考えて、単なる仲間意識で、茶飲み友達で集まる、こういうこととは全然違うんですよ。目的は明確にしているんですから。  そういうことを含めて、総理総理にお伺いしますけれども、このような、あなたの内閣の一員でありますこの情報調査室長が、極端なことを言えばあなたの命を受けながら、あるいは内閣の機密をしっかりとするこういう人たち、公務員でありながらこのような行動を行っているということについて、あなたの見解は、個人的だから構わないと先ほど述べられているように思いますけれども、少なくても日本の憲法や公務員法の精神に私は反していると思いますが、総理見解をお伺いしたいと思います。(発言する者あり)
  69. 松永光

    松永委員長 お静かに願います。
  70. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 よろしゅうございますか。先ほどから私、この三宝会というものについても、急にこれを見せていただきまして、一読をいたしました感想は申し上げました。  同時に、内閣情報調査室長がいる、それが問題だという御指摘をいただきました。何か私の指示で入っているかのようなこと、そうではなかったんですね。そうともとれるような御発言がありましたので、ちょっと気になりましたが。  まず第一に、私は会の存在自体を議員の御質問で初めて知りましたから、この会に行けとも行くなとも、当然のことながら指示をいたしておりません。また、内閣情報調査室長、この職分から、私自身、彼の行動を別に調べようとも思いませんし、また調べてもおりません。彼は、自分の職務を遂行するに必要な情報を入手するため、そしてそれを分析するために努力をいたしております。  その活動の一環であるのかないのかすら、全く不分明な状況でお尋ねをいただきましたので、先ほどは私は個人であろうという想定で御答弁を申し上げました。そして、その中で行動をしておることについてまで果たして責任を問えるのか。責任を問うということでありますなら、私は、必ずしも委員と意見を一つにはいたしておらないように思います。
  71. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 私は総理と、あなたの責任論を言っているんじゃないんです。政治倫理という問題を含めて、一般国民やあるいは政治家やあるいは公務員や、そういうことを含めて、この公務員倫理や政治倫理の問題は大切な問題ですから申し上げているんです。ですから、あなたに責任をとれなんて一言も言っていません、はっきり申し上げて。  同じレベルでこういう問題をそれぞれちゃんとしておきませんと、ましてや情報室長という、少なくても国の機密を預かる人間がいろいろなところへ行って、いろいろなことをしゃべってやられたら、日本の国はもちますか。私はそういうことを申し上げているんですよ。(発言する者あり)
  72. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 内調室長に限らず、政府の中には、さまざまな情報を持ち、収集したものを秘匿しながら分析し、それをそれぞれの目的に役立てるという職種がございます。  今、議員の御発言ではありませんでしたが、そういう職にある者がべらべらしゃべったら大変じゃないかというような御意見がございましたが、私は、内調室長たる者が、その職をもって知り得た機密をどこの場所であれ不必要にしゃべりまくるというような人間ではないと信じております。
  73. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 いいですか、この目的の中に、新鮮なニュースをもらい、そしてお互いの職場を超え、足らざるところを補完し、さらに飛躍しようということが明確になっているんです。まして総理、いいですか、運輸省の事務次官の経験者、農水省、建設省、通産省、郵政省のそれぞれ事務次官の経験者であるOBの人たちも、すなわち日本のある面での政策機能を全部持っている人たちがここに集まって、民間企業から金を出してもらって、そしてマスコミ各社が全部集まって、そういうことを現実に行っているこの三宝会ですよ。  ですから私は、そういうことを含めて、悪いのか、こういうことでありますけれども、そういうことに対する政治的な倫理、こういうことを申し上げておるわけであります。  それじゃ申し上げましょう。三宝会を定期的に主宰するこの福本邦雄氏、先ほど申し上げたように、金屏風でも問題になりました。イトマンの絵画疑惑に関しても、捜査当局より強制捜査を受けている一人です。  刑事局長、来ておりますか。この疑いというものは、今申し上げたイトマンの絵画疑惑、こういう形でそれぞれ捜査対象になっているようでありますし、捜査当局はこの福本邦雄氏、この人物をどのように認識をされているのかお伺いをしたいと思います。
  74. 原田明夫

    ○原田(明)政府委員 お答え申し上げます。  お尋ねのいわゆるイトマン事件のうち、絵画取引に係る事件につきましては、大阪地方検察庁の検察官は、平成三年八月一三日にイトマン株式会社元常務取締役ら二名を商法の特別背任罪で大阪地方裁判所に起訴しているのでございますが、現在公判係属中でございます。  この問題になりました絵画につきまして、その仕入れ先の一つに御指摘の福本氏が代表取締役をしていた会社が含まれていたという事実はあるようでございますが、いずれにいたしましても、現在公判中の事案に関しまして、審理が行われている状況でございますので、その状況につきまして法務当局として答弁することは差し控えさせていただきたいと存じます。
  75. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 総理、いいですか、このような疑惑のある人が主宰して、事務局を務めているんですよ、この三宝会。そして、そこに内閣調査室長がメンバーになっているんです。少なくても、内閣調査室長という立場で情報を収集するという問題から外れているんじゃないでしょうか。  この情報収集というものがそういう点で、私はある面では、これは何も総理に、あなたの責任とかそういうことを言っているんじゃないんです。こういうことが現実に行われて、世論操作やあるいは世論調査を行われていること、こういうことにあなた自身が危機感を感じませんか。その辺をお伺いしたいと思うんです。
  76. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、マスコミの方々がグーループをおつくりになり、それぞれ議論をされる、それが、私自身、いけないと言う種類のことではないと思います。  それから、その事務局云々というお話まで出てまいりましたけれども、私は、グループがお集まりになった中でだれを事務局になさるかは、そのグループの皆さんの勝手だと思うんです。そのグループがどういう方を選ばれるかということでありましょう。ですから、むしろ私は、議員の御質問を次のように受けとめて、次のようにお答えをいたしたいと思います。  まず第一に、内調室長がどのような考え方でこの会に本当に参画しているのか否か、そしてそれが業務上必要な行動としてなのか個人としてなのか、そして個人であればどういう理由であるのか、その辺、説明をきちんと一度求めようと思います。
  77. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 少なくても国家公務員なんですよ。そういうことを含めて、まして、特に内閣調査室という大変重要な立場にある。こういうところなんで、少なくても私的、公的という問題を超えて、私は、そういう立場の人たち、まして事務局、個人的に私は恨みつらみ、何もありません。しかし、金屏風で有名になったり、イトマンで有名になったり、そして今、なおかつ捜査の対象になっている人たちを事務局にして、それは総理が、その組織がどういうものであろうと関係ないと。  確かに関係ないかもわかりませんけれども、それぞれ建設省を初めとする、あらゆる日本の公共事業と言われているところの主管のOB、まして事務次官のOBの人たちがそこに全部入る、マスコミ人が入る、そして日本の一流の企業三十五社がそこに全部加わって、お金まで出していて、そしてそこから情報を収集しようと。先ほどの目的、お互いに足らざるところを補い、そして飛躍しよう、こういうことが明確になっているものを、総理は、その調査室の個人そのものがどういう立場で出ているかわからないと。  それでは、最後に委員長、お願いしますけれども、今かみ合っておりませんから、先ほど総理並びに法制局長官に、この三宝会も含めながら、あるいはこの問題について調査をしていただけますか。
  78. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 かみ合っていないと言うけれども、最後のところ、かみ合ったと思うんです、私。法制局の分まで私は責任を負っていません。私が自分で申し上げたことです。内調室長を呼んで私は聞いてみるということを申し上げました。この点はかみ合っていると思います。調査と言われるんであれば、私は調査という言葉をお約束するのではございません。  今初めてこれを拝見し、そして、すべてこれを事実としてお尋ねがあったことでありますから、少なくとも私は内調室長に、どういう会なのか、どういうつもりなのか、そこのところはただしてみようと思っております。
  79. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 先ほど法制局長官が、調査をしないとわかりませんと言ったんでしょう。長官、そうじやありませんか。もう一度言ってください。
  80. 大森政輔

    ○大森政府委員 私は、先ほど、調査をいたしますということを前提とした答弁をしたつもりはございません。  先ほど申しましたのは、要するに、情報調査室長がいかなる目的で、いかなる立場でこの三宝会の個人会員になっているのか、なっていないのかということをわからないから、それを前提としてお尋ねに対してお答えすることはできませんと申し上げたわけでございまして、私の立場で、そのような調査をするという立場ではございませんので、調査をいたしますというお答えはいたしかねます。
  81. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 質問をちょっとゆがめないでください。私は、あなたが調査しないとわからないと言うから、委員長に、少なくても発言を求め て、この調査をお願いしたいということを申し上げているんですよ。いいですか。委員長に言っているんです。
  82. 松永光

    松永委員長 それでは、今の申し出の件は理事会で協議をいたします。
  83. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 少なくても、この三宝会というものは、先ほど来申し上げているようにマスコミの第一線の人物がたくさん集まっている。そしてまた、その人たちが、それぞれ日本に対し、あるいはまた国民に対して影響力を持っているんです。また、今申し上げたように、内閣の重要な情報にかかわる人たちが参加をしてきている。企業からそれぞれの活動費を出させている。  これはどうしても特定の政治グループの人たちの情報交換の場、あるいはまた、お互いに研さんしよう、足りないところを補おう、こんなことを言っているわけでありますから、わかりやすく言うと、お互いに利益を求め、あるいはそれぞれ影響力を高めよう、こんなふうにしかとられないわけです。日本を代表するジャーナリスト、そういう人たちがここに参加をして、そして日本がこれからどのような形で、この日本の将来を憂える気持ちはわかりますけれども、そこには利益関係の、事務次官のOBや企業各社が全部加わって、そして日本の将来を憂えていただくことは結構ですけれども、目的が違うんですよ。  そういう問題を皆さん方に明確に知っていていただきたいのは、ここに集まって、そして日本のこれからの、あらゆる政局の問題も話されているということを聞いているから、私はそんなことを含めて、我々が知らない、総理初めみんな知らないところでいろんなことが行われている、これが現実に、政治倫理としてこういうことが本当にまかり通っていいんだろうか、そんな憂いもあります。  そして、まして国民の公僕である公務員の倫理という問題がここに問われているわけでありまして、こういうことを含めて考えたときに、私は、こういう問題をもっと大いに議論をしながら、少なくても、お金だけではない、こういうところで行われているこういう行為そのものも我々はよく認識をしながら、こういうところに利用されるようなことのないようにしなければいけないだろう、こんなふうに思っております。  そこで、文部大臣まだ来ていませんか、そうですか。若干関連して文部大臣に質問させていただく予定でいたんですが、まだ到着しておりませんから、質問を変えて、次に、泉井石油商の問題についてお尋ねをしたいと思います。  泉井氏の事件は、政界、官界を巻き込んだ経済事件に発展するものと、国民はかたずをのんで見守っておりました。この泉井氏は、脱税事件、詐欺事件あるいは関西空港汚職等々にだんだん拡大されて、そしてぼけてしまった、こんなことも言われております。  捜査当局は、新しい局面に入ることはない、あるいはまた終局を宣言されているようなお話あるいは報道をされておりますけれども、法務大臣、これらについて、今後、少なくても今のような、報道されていることと今までの流れ、そして国会で今証人喚問を求めているようなこともあって、これはこのままで済まない、こんなふうに私たちは思っておりますけれども見解を述べていただきたいと思います。
  84. 下稲葉耕吉

    ○下稲葉国務大臣 お答えいたします。  いわゆる泉井事件につきましては、御承知のとおりに、平成八年の十一月二十七日の日に所得税法違反で起訴されました。それから、ことしの一月二十九日の日に詐欺事件で追起訴されております。平成九年の二月十二日の日に、これは関西国際空港株式会社法違反で追起訴されております。  今後の問題でございますが、このような具体的な事件につきまして検察当局が捜査するかしないかというふうなことは、検察当局において判断すべきものでございまして、法務大臣としては答弁を差し控えたいと思いますが、一般論として申し上げますならば、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、検察当局において適正に処置するものと思います。
  85. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 大体そのような答弁かと思っておりましたが、あなたは過去に立派な経験も持っておられるわけでありますし、また、そういう点では、これだけ幅広い、大変政官財の人たちを巻き込んでいるわけでありまして、特に、政界、官界、数多くの人たち、ここで飲食やゴルフを繰り返す等々が明らかになっているわけです。ここにこのように名簿があるわけですけれども、こういう形の中で、それぞれの個人名は今差し控えますが、いつ幾日ゴルフをやったり、いつ幾日飲んだり、全部書いてあるんです。  こういうことを含めながら、そしてなおかつ、いろんな問題、今差し控えるということでありますけれども、詐欺あるいは脱税あるいは関西空港の汚職等々について、今これだけ問題になっておりますこの泉井事件が、少なくても国民はこのことに大変な関心を持っているにもかかわらず、マスコミその他の報道によりますと、新しい局面に入ることはないとか、あるいは終局宣言をされているとか、こんなことが報道されているものですから、法務大臣として、これらの問題について差し控えるということではなくして、あなたの経験からも、こういうことについて再度お答えをいただきたいと思います。
  86. 下稲葉耕吉

    ○下稲葉国務大臣 具体的な事件についての答弁というのは、差し控えさせていただきます。  ただ、法と証拠に基づきまして、検察当局は、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、厳正に適正に処置するものだ、このように思います。
  87. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 いずれにしても、予算委員会でも泉井氏の国会証人の問題がそれぞれ議題になっておりますので、その時点で明確になろうと思いますが、この法と証拠ということでありますけれども、いろんな証拠が今出ているわけですね。この日記じゃありませんけれども、日を追うごとにそういうものが明確に出ている。やはりこれは、これからの日本の将来に向けても、やはり打ち切るんではなくして、オープンにし、明らかにし、透明度の高い形で結果をちゃんとしておかなければいけないんであろうと思っております。  特に総理、今、日本現状というものは、ある面では大変な不況に悩んでおりますね。そして、消費税が三%から五%になり、あるいはまた、特別減税も打ち切られました。医療費の負担増、九兆円等々を含めて、国民が負担を感じているわけであります。泉井疑惑でいろんな形で報道され明らかになっているのは、特定とはいえ、その特定の政治家だけが財布が膨れ上がったり、一方で行革あるいは財政改革と言っても、国民の信頼は得られなくなってくるだろう、こんな心配をしているわけであります。政官財、この疑惑をうやむやにすること自身、私は、決して国民はそのことを許さないだろう、こんなふうに思っております。  総理見解をお伺いしたいと思います。
  88. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今まで何回か同趣旨の御質問をいただきました。そして、私は、この泉井被告という人の事件は現在裁判中であり、立ち入って申し上げる立場にはありませんということも申し上げてまいりました。また、議員から御指摘がありましたように、この泉井被告が何カ月かの間捜査当局の取り調べを受けられたこと、そして、マスコミにおいても本当にさまざまな報道がなされております。その上で、私は、まさに法務大臣答えられたように、法に違反することがあれば厳正な対応を当局は当然とると信じております。  その上で、本会議でも申し上げたことですけれども、国民のこれについての不信というものを払拭しようとするなら、私は、政治家自身、まず常にこれは自戒し、襟を正さなきゃならない、省みて自分自身もそう思いますけれども、そういう思いの中で、明らかにされるべきこと、それは、適切な場で、政治家みずからの判断で明らかにされるべきではないかということを本会議でも申し上げてまいりました。
  89. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 総理も本会議で述べられておりますけれども、泉井氏を喚問することに対して、あるいは詐欺だから、脱税の人間であるから、何を言うかわからないから証人喚問するのはおかしい、こんな議論もかつてあったわけであります。私は、一般に、詐欺で訴えられている人、そういうところから、知らないとはいえ多額の献金をもらう方がよりおかしいんじゃないかな、こんなふうに思っております。  かつて、大阪府の府知事が献金を受けて、正規に選管に届けておりましたけれども、それが多額で明らかになり、みずからその職を辞した、こういうことがあるわけであります。  こういうことを考えたときに、私は、やはり今までのいろんな疑惑もありますけれども、これは今総理が言われるように、明らかに、明確にそういうことを国民の前にする必要がある。どういうことで、総理が述べられておりますけれども、そういう人たちからお金をもらう、そして届ければいいんだというこの感覚について、総理、どう思いましょう。
  90. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 これは私、現時点、マスコミで報道されておりますような姿が仮に周知徹底されていれば、私はその資金の提供は受けなかったという方々は多数おられるだろうと思います。あるいは、ほとんど全部の方が受けられないかもしれません。  その上で、世間からそうした問題が全く提起されず、御存じのなかった時期において政治資金を受けられたということを、私は、過去にさかのぼって、現在知っていることで批判をすることは必ずしもできないのではなかろうか。私自身もそういう御批判を何回か受けたことがあります。  その上で、なかなか自分自身気をつけておりましてもそれが徹底しないことも事実でありますけれども、政治家というものは、政治資金というものを許され、その上でその受領が認められ、手続が決められております以上に、襟を正し、自戒の念を持たなければならないということは、議員の御論議どおりであります。
  91. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 大体、物には常識というのがあると思うんですね、はっきり申し上げて。  この資料等によりますと、一年三百六十五日、そして、ゴルフや宴会でそれぞれ遊行された回数というのが一年に二百回ぐらいあるんですね。普通、常識からするとこういうことは考えられない、私はそう思うんです。総理が言われているのは、やはり物の常識の範囲内だと思うんです。こんなふうに思っております。  そこで、総理にお伺いしますけれども、念のため、前の百四十国会のときの委員会やあるいはまた本会議でも述べられておりますけれども総理は、泉井氏というこの人間に会ったことがあるかどうか、再度確認をしたいと思います。
  92. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 少なくとも私が調べた限りにおいてございませんでしたし、私自身、泉井氏と面識を持っておりません。その上で、大勢のパーティーで一緒の会場にいたとかいうことが全くなかったかと言われますと、これは私もわかりません。  殊に、例えば、大阪APEC中小企業大臣会合とかあるいはAPECそのものの会合とか、非常に幅広い方々が招かれておりました席もございました。そういうところに、少なくとも自分が主催しておりません場所にその方がおられたかどうかまでは、私、本当にわかりません。しかし、私自身の調べた範囲で、面識はないと存じます。
  93. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 政治家ですから、パーティーとかいろんなセレモニーとか、そういう話を聞いているのではなくして、総理が個人的にということで申し上げたんで、その記憶はないということでありますから、またこれは泉井氏の証人喚問が実現された時点で本人から、個人的にどうのこうのということについて、またそれは後段に譲りたい、こんなふうに思っております。  そこで、実は、この九月八日、泉井氏が記者会見、インタビューなどで述べられた、政治家へ渡した資金ということでまとめてみますと、自民党の政調会長に二億七千七百万円、これは平成三年の自民党総裁選の費用、さらには、平成七年のYKK、すなわち山崎拓氏、加藤紘一氏、これは自民党の今の幹事長であります、小泉純一郎氏、これは今の厚生大臣、この新世紀の旗上げ資金も含まれている、こんなふうに言われているわけであります。  また、森総務会長には一千万円、そして三塚大蔵大臣には六百万円、小渕外務大臣には五百万円など、そのほかに自民党の代議士十七人、あるいはこの資金提供以外にパーティー券や機関紙の購入等々を含めますとさらに十一人、こんな形で言われているわけであります。  国会証言でこれらの問題は明らかになろうと思いますが、私が申し上げたいのは、この閣僚の人たち、そして政治倫理等々の問題も含めて、こういう一連のことを含めて、大変恐縮でございますけれども三塚大蔵大臣、あなたは六百万円というお金を泉井氏から献金を受けた、こういうことを認めておりますが、これらについて、泉井氏のその後の九月二十一日のサンデー毎日インタビュー等、三塚さんには清和会のパーティー券の購入とか、いろいろなおつき合いで一千万円ほど使ったという発言も出ております。六百万円と一千万円、この差、こういうことを明確にしていただきたいと思います。
  94. 三塚博

    三塚国務大臣 かねがね、御質問がありましたたびに申し上げておりますとおり、六百五十万献金を受けており、適正に処置をいたしております。
  95. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 それでは、適正に処理をしているということであるならば、その適正の処理の証拠を見せていただきたいと思います。委員長、お諮りをお願いします。
  96. 松永光

    松永委員長 その点は、後日理事会で協議をいたします。
  97. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 適正な処理ということでありますし、特にその処理の中には、選管の報告もあるでしょうし、あるいは領収書もあるでしょうし、いろいろな問題があると思います。少なくても私は、今の商法なりあるいは選挙法なり、三年なり五年というランクで、三年たてば燃やしてもいい、こんな感覚でやられたのでは、まして、この問題はきょう始まったのではないのです。さきの国会、百四十国会でもこの問題が述べられているわけです。  そして、適正なる処理をしているというのであれば、私は、その処理の証拠を明確に、あなたの今の立場を明確にする意味でもお出しになった方がよろしい、私はこんなふうに思いますけれども、そのことを含めて、委員長に、証拠を提出していただきたいということを申し上げておきたいと思います。お諮りをお願いします。
  98. 松永光

    松永委員長 先ほど申したとおり、理事会で後日協議をいたします。
  99. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 それでは次に、小渕外務大臣にお伺いしたいと思います。  あなたが五百万円の献金をいただいたという、こういうことは認めておりますけれども、十月一日の本会議で答弁されている議事録を見てみますと、若干あいまいな部分があるのですね。その問題について、特に、五百万円を、献金を受けたような気がします、そして調査をする、こういうことでありました。これは少なくとも十月一日の本会議の答弁でございました。もうきょうは三十日でありますから、本人は当然、きょうのこの問題について、私は泉井氏の問題を質問するということを明確にしておきましたし、そして小渕外務大臣にも、その担当大臣として、そのことについてお伺いするということを申し上げておきましたので、その調査結果をお伺いしたいと思います。
  100. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 前回、さよう答弁申し上げました。したがいまして、担当者に、十分説明のできるように調査することを指示しております。おりますが、実は、過去何年かにわたっておることでございますし、また内容も、パーティーその他ございまして、まだ正確な結果が出てきておりません。  したがいまして、正確を期するために、さらにこの担当の者に、理解を求められるような数字を出すべく、今調査を命じております。
  101. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 普通であれば、この日の問題を含めて、一日に、外務大臣が調査をして報告します、きょうは三十日ですよね。一カ月たって、さらに精度を高めるかどうか知らないけれども、そして、あなたは五百万円と言っているのです。ですから、泉井氏は五百万円、そしてあなたも五百万円程度、あるいはパーティーだ。パーティーなんて言っていないのですよ、あなたに五百万円の献金をしております、こういうふうに言っているのです。パーティーとか広告費なんて言っていないのです。いいですか。  まだ問題は、先般来、文芸春秋のところで消されている部分、ここに泉井氏が小渕さんに総額で一億円、森さんに五千万円献金したという発言が、初編の中で、原稿ゲラの中であったわけですけれども、それはこう消されてしまっている。ないでしょう。これは明らかじゃないですか。  そういうことを含めて、小渕大臣、この一カ月の中で、五百万円以外のことがあるからここで答えることができないのか。あるいは、私はこれが真実とかそういうことを言っているのじゃない、こういうことがありますよということを申し上げている。そしてその一カ月の中で、こういう問題もあるから今調査中なのかどうか、その辺を含めて御答弁を。
  102. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 文芸春秋の件は、この委員会でも御指摘をいただいておりますが、全く私、身に覚えのあることではありませんという報告をもらっております。  それからまた、それに関して、一部夕刊紙等でそのことを取り上げておるやに聞いておりますが、拝見した範囲では、その数字は紙面大きく躍ってはおりますけれども、そのことの事実関係について記事が書かれておるとは承知をしておりません。  したがいまして、本件につきましては、文芸春秋並びにあれは夕刊紙でありましょうか、そうした事実の那辺にあるかということにつきまして、合弁護士を通して確かめておるということでありますが、私が今得た報告によりますれば、そうした事実はその双方ともないという御返事をいただいております。
  103. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 私は、この初編のところのゲラが消されているどうのこうの、あるないの問題ではなく、こういうことがありましたよということを申し上げた。そしてこのゲラの中には、一億円とか、森さんに五千万円とかという、こういうことが活字の中でまだ残っているから申し上げたわけで、そういうことを含めて、私は、先ほど来、五百万円の調査で一カ月かかるのでしょうかと。  私は、五年、十年調べてほしいと言ったのじゃない。皆さんあのときの答弁も、せめて三年でしょう。今の選管に届けを出すのは三年ですよ。そうすると、どれだけ多くの献金をちょうだいしているかよくわかりませんけれども、三年分の中の五百万円調べることが一カ月でできないのでしょうか。あなたは、明確に調査をして、こういう答弁なんです。そんなことを含めて、もう一度答弁してください。
  104. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 その調査を命じておりますけれども、その中でどのような形で協力を得ておったかということにつきましては、前々にさかのぼることもございまして、その点も含めてきちんと御答弁する方が望ましいという形で、今調査中だ、こういうことでございます。
  105. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 私がお伺いしているのは、五百万円についてお伺いしているのですね、はっきり言って。さらに、パーティー券とか広告代、これを含めてお伺いしているのじゃないのですよ。  だから、五百万円についてあなたはあのときに、よく調べて報告します、こういうことでしょう。結局五百万円以上、ある面では報道されているような形で多額のものが、そういうことで五百万円ということがわからなければ、もっとたくさんあるという立証をあなたはしているようなものですよ。その辺を明確にしてください。
  106. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 五百万円程度と申し上げておるのですが、それが献金という形をとっておるのか、平素おつき合いの中でいろいろな形での御協力になっておるか、そういうこともきちんと確かめた方がよかろう、こういうことでおりまして、そういった意味でさらに精査をするべきことが誠実な御答弁になるのではないか、こういって努力をしておるところです。
  107. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 今、献金かプライベートか、こういう話も出ましたけれども、政治家は、資産公開じゃありませんけれども、少なくても選管に報告する金品の最低限度額、自治大臣、それは幾らですか、教えてください。
  108. 牧之内隆久

    ○牧之内政府委員 個人が政党、政治資金団体以外の政治団体に寄附をいたします場合の個別量の制限は百五十万円、企業その他の団体の場合は五十万円が現行法でございます。
  109. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 いずれにしても今調査中ということでありますから、五百万円以上あるということも本人は認めておられる、あるいはまた個人的あるいは政治献金であったかの区別が明確でない。しかし、今の政治資金規正法等の問題の届け出の義務というものがあるわけでありますから、そういうことになりますと、的確に処理をされているかどうか。その辺に、少なくても一カ月たって報告できないということ自体は、やはりある面では疑惑を持たれてもやむを得ないのではないかと思います。  特に小渕さん、あなたは、いいですか、これからの日本の政治を大きくリードするというような形で、あるマスコミは、小渕さんは次のポスト橋本という有力な候補と言われているわけであります。こんなことまで言われているのですよ。そういうことは明確にしておきませんと、あなたの将来というものが、私は非常に憂えておるわけであります。  ですから、そんなことを含めながら、もっともっと今のような五百万円であるとか一億であるとか、そういうことも含めて明確に調査をして報告をしてください。
  110. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 正直を申し上げて、率直に私自身もそうしたものをみずから報告を信頼してやっておるわけでございまして、そういう意味で、長いおつき合いの中でいろいろな形で御協力をいただいておるのじゃないか、それをできる限り明確にしていかなきゃならない、こう考えております。そういった意味で、政治家の一人として、きちんとすべきものはしなきゃならぬと思っております。  ただ、その額を超えるかどうかについては、今あえて程度と申し上げたのは、そういうつき合いの中でそれ以上のものがあるという実は報告を得ておりませんものですから、その範囲の中でどのようにきちんと精査すべきかどうか、これを検討させている、こういうことであります。
  111. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 少なくても、小渕さんは日本を代表する政治家の一人、外務大臣なんです。そういうことを含めて、やはりその辺が日本的な文化ではなくして、イエス、ノーをはっきりして、これがやはり国際国家の中で通用する日本の政治家の発言ではないかと思います。  そこで、調査をするということであるから、いつ幾日まで、そうでしょう、一日から三十日です。これも調査する、まだできていません。それだったら、いつ幾日までにするのですか。
  112. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 正式に調査がまとまりましたら、それは明らかにすべきものだと思います。
  113. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 私は本会議場で同じような発言を聞いております。そのときは十月の一日でございました。そしてきょうは三十日。あなたは大変まじめな人柄でありますけれども、しかし幾ら信用したくても、一カ月間に出てこない。そして、これが準備あるいは整理し次第ということでありますけれども、少なくてもいつ幾日までに整理する、そういう目的を持って答弁してください。
  114. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 最善の努力をいたします。
  115. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 少なくても、私はこの一カ月間、それぞれ小渕さんの人柄等も考えながら、当然用意されているものときよう伺ったわけでありますけれども、現実には用意されておりません。しかし、整理し次第誠意を持ってといっても日にちがわかりません。物には納期というものが民間企業はよくあります。民間企業はよく納期があるのです。  そういう点で、少なくても調査をするときに、あなたはこれから日本の国をリードするということなんですから、そういうことを含めて、その辺は、じゃ十日を下さいとか四日を下さいとか、その辺を明確にしてください。
  116. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 田中先生の、委員のせっかくのお尋ねでございますが、私としては誠意を持って今真剣にこの調査をさせていただいて、いやしくも誤りなきを期していきたい、こう思っております。
  117. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 大臣がみずからやることではないにしても、あなたが秘書に仕事を命じてやらせるのだと思うのです。そして、一カ月間のタイムスケジュール等々も含めて、きょう出せと言っているわけじゃありませんし、あした出せと言っているのじゃないのです。  ですから、十一月、これから泉井の喚問が明確になるわけでありますから、その前に、その日にちが明確にこれから予算委員会理事会その他で明らかになると思いますが、その前までに出すことをお約束できませんか。
  118. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 繰り返しますが、調査をいたしておりますので、それが結果が出次第発表いたします。
  119. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 これは絶対私は納得できませんよ。そうでしょう。一カ月たって、これからまた泉井氏を喚問しようというときに、このことが本人から明確に五百万なのか、あるいはまた少なくてもこの原稿から外されているように、これを見ると一億とかいろいろなことが書いてあるわけですから、そのことを明確にしていただきたい。あえて私は、そのことを明確にしない限り、この質問はできない、こんなふうに思います。  委員長、お諮りを願います。(発言する者あり)
  120. 松永光

    松永委員長 いいですか。小渕外務大臣。
  121. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 誠意を持ってできるだけ速やかに調査し、報告をいたします。
  122. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 時間の関係もありますし、小渕外務大臣の人柄からして、誠意を持ってするということでありますので、それを期待したいと思います。  私が質問の通告の中で小泉厚生大臣を要求しているのですが、いまだお見えになっていないのですけれども、どういうことですか。
  123. 松永光

    松永委員長 その件は、前の理事会で、厚生大臣の出席は難しいということを前提にしてきょうの日程を決めたといういきさつがありますので、厚生大臣の所管事項については、総理大臣が責任を持って答弁をいたします。  田中慶秋さん、理事会の経過にありましたとおり、きょうは厚生大臣は参議院の委員会のために出られないと。それに対してあなたは、少しでもないか、五分でもないかという話でありまして、その点は自民党筆頭の深谷さんが一生懸命努力してみますということで、きょうの集中審議となったわけです。それで、深谷理事が参議院の方と連絡をして、五分でもここに来られないかということを交渉したんですけれども、審議中であるがために出られないということであります。  そこで、四日の日に集中審議をやるわけでありますので、そのときに新進党の持ち時間の中で小泉厚生大臣に対する質問はやっていただくということで、議事を進めていただきたいというふうに思います。
  124. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 せっかくの委員長のことですから、それをよしといたしますけれども、それであるならば、なぜ、要求大臣から消した時点で、あるいはまた冒頭に、私が質問をする時点で、要求しているんですから、しかじかこういうことできようは出られませんよということを、あのときに私は委員長に申し上げているんですよ、最後に理事会で。ですから、やはりそういうことを、これからこの委員会理事の運営上もそのことを明確にする意味で、あえて私から委員長に申し上げておきます。  そこで、文部大臣お見えになったので話を変えて、先ほど三宝会の話で、政治倫理の問題で話をさせていただきました。  特にこの三宝会なるものは、各放送界からあるいはマスコミからすべての人たち、そして官僚のOB、まして事務次官クラス、さらにはまた現職の公務員、内調の室長まで出ているわけであります。  そういう中で、あなたはかつてテレビ朝日の報道局長を国会に喚問した際、マスコミ関係は特に公平、中立、中道を貫くべきである、このことを述べられております。また、政治倫理ということで、教育というものは、子供たちに対する倫理観をこれからもいろいろな形であなた自身も現場の人たちに指示する、こんなふうに思っております。  この政治倫理や公務員倫理、あるいは世の中の常識等からして、今申し上げたような報道関係すべてを、急に来てもこの三宝会わからぬと思いますけれども、あなたがちょうど公務で出られなかったものですから、そのことをお聞きし、特に世論の操作や世論調査をそのような形でされている、こういうようなお話があるものですから、政治倫理の関係でお聞きしました。  あなたのかつての発言と、今大臣という立場で、このことをあなたに聞くのは大変やぼかもわかりませんけれども、文部大臣として答弁をしていただきたいと思います。
  125. 町村信孝

    ○町村国務大臣 きょうは中学校制度創立五十年、天皇、皇后両陛下をお迎えしての式典がございましたのでおくれて参りましたことをおわび申し上げます。  確かに椿さんの証人喚問、私質問に立たせていただきました。その折、マスコミの皆様方のやはり政治的中立性を疑わせしめるような報道ぶり、あるいはキャスターの発言というものが、当時かなり社会的な批判もあったし、また、それを意図してやったんだという椿さんの発言もあったわけでありますが、結果的には、彼は、それは全く自分の意図するところではなかったという訂正が実はあの証言のときあったことを記憶しております。  いずれにしても、やはりマスコミの皆さん方の政治的中立性、公平性を疑わせるような行動、いろいろな会合への出席というものは、私は、マスコミにも一定の節度が求められるであろうということは当然であろう、こう思っております。  また、私自身は、今文部大臣として健全な青少年の育成ということに責任を持つ立場といたしましても、やはりこの政治倫理の問題は大きな問題であろう。子供の心はやはり大人の姿を映すという部分があるわけでございますので、私ども政治家全体として、倫理の問題にはしっかりと十分な注意を払っていかなければならない、かように考えております。
  126. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 文部大臣みたいな大臣が全部であってほしいな、こんなふうに思っております。これからもぜひ青少年育成のために頑張っていただきたい、こんなふうに思っておりますし、いろいろな流れがわからない面もあったと思いますが、これからもぜひ大いに頑張っていただきたいと思います。  そこで次に、北海道開発庁長官鈴木長官にお伺いをしたいと思います。  ちょっと資料を。  あなたは、九月十六日、米海兵隊歓迎会を自衛隊別海駐屯地の体育館で、地元の村長さん、議長さん、商工会議所あるいは農協やあなたの後援会の役員の皆さんを集めて開催されたわけでありますが、そこには幾つかの問題点があると思います。  今お配りしているように、まず一つには、案内状に会費が書いてなかった、こういうことであります。会費を取らず選挙区内の有権者を招き、あるいは歓迎会を開催し、飲食を伴っておる。これは公職選挙法の百九十九条の二に抵触するおそれがあるということがまず一つ。  それからもう一つは、この食事の内容でありますけれども、通常用いられている、北海道は物が安いかどうかわかりませんけれども、話によると大変豪勢なパーティーだったと承っているわけであります。  こういうことを含めて、報道その他でも問題になっておりますが、後で会費を徴収された。こんな形で、大体政治家として、普通ならば会費を書いて、問題になったら後で金を取る、こんなやり方はむしろ公職選挙法に抵触するのではないかな、こんなふうに考えられますけれども、あなたの認識は、どう思っておりますか。
  127. 鈴木宗男

    鈴木国務大臣 今の田中議員の質問、正確を期したいと思いますけれども、これは私が大臣になる前に企画したものでありまして、私の事務所が事務局になってこの案内状をつくらせてもらってやりました。  そこで、九月十六日のこの歓迎会は、海兵隊の幹部の皆さん少数を呼んでということで、三十四名招待をしております。そして地元の皆さん方二十三名、さらに自衛隊の人五名ということでやりまして、十月一日、送別会をも開くことを当初から計画しております。  そこで、二回の会合合わせて、かかった経費については商工会、自由民主党支部さらには関係者で負担をしましょうという趣旨でやっておりますので、九月十六日のこの案内には会費を書いていなかったというのが事実関係であります。
  128. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 私は、長官に就任をしたからどうということは申し上げていないのです、政治家としてということを申し上げているのです。政治家としていろいろな歓迎会とかパーティーをするときに、会費を取らずに、今連座制であるとか公職選挙法とか厳しくなっているときに、そういう誤解をされるようなことをやっているわけですから、あなたは、まして今それが長官という立場にあるのですから、弁解ではなく、はっきりとその辺を答えていただきたい。
  129. 鈴木宗男

    鈴木国務大臣 ただいま申し上げたとおり、九月十六日の会合と十月一日のフェアウェルパーティーはあわせて一体のものということで最初から計画しておりますので、その旨、私は、公職選挙法にひっかかるものではない、百九十九条の二に該当するものでない、こういうふうに認識しております。これは、当初からの考えであります。
  130. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 それでは、百九十九条の二、あなたはそう思っておるかもわかりませんけれども、これは自治省ですか、この辺についての見解を述べていただきたいと思うのです。特に、会費を取らないで、それじゃ後から取る、この行為というのはおかしいでしょう。そういう形があったから、問題にされたら後から出せばいい、これじゃないと思うのです。ですから、この公職選挙法の解釈を、鈴木長官が述べるのではなくして、専門家に述べてもらいましょう。
  131. 牧之内隆久

    ○牧之内政府委員 公選法の百九十九条の二でございますけれども、公職の候補者等の寄附の禁止をうたっております。  個別具体の事案につきまして、ただいまのような事例がどうであるかということにつきましては、私ども、具体的な調査権限を有しておりませんし、まさしく個別具体の事案に応じて判断をされるべき問題でございますので、御答弁は差し控えさせていただきます。
  132. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 いずれにしても、ちょっと私も時間がありませんが、それぞれの、誤解を生むような、あるいはまた、まして大臣たるものがこの公職選挙法に抵触するおそれのあるようなことは、やはり慎むべきだと思います。選挙法がこうだからという形じゃなくして、まして有権者をそこに集めているわけですから、そんなことをぜひ……
  133. 鈴木宗男

    鈴木国務大臣 事実を正確に認識してほしいのでありますけれども、九月十六日の一回のみならば、田中先生のおっしゃるとおり、これは誤解を招くこともあるかもしれません。しかし、十月一日というワンセットは、私の事務所と地方自治体と商工会と自由民主党の支部、一体となって進めてきた話でありますから、この点……(発言する者あり)ちょっと待ってください。少なくとも、たまたま私の事務所が窓口となっているということでやっている話でありまして、何ら私は触れるものでない。  同時に、もう一つ、これは私の選挙活動だとか、何か私の政治活動に資するものならば問題がありますけれども、私は、日米安保条約の重みだとか平和を享受する者として、海兵隊に対する歓迎の意をあらわすべきだということで、多くの関係者と相談してやったことでありますから、この点も誤解のないようにしていただきたい、こう思います。
  134. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 私は、少なくとも大臣だから、あなたが誤解をされるようなことは慎んだ方がいいよということを申し上げたのですよ。新聞でも、極端なことを言えば、政党交付金で車を買ったとか、そんなことも報道されたりいろいろなことをしているんだから、少なくとも公職選挙法の疑いのあるようなことは慎むべきじゃないかということを申し上げたので、何も開き直る必要はないのです。答弁する必要はないよ。  そこで、防衛庁長官にお伺いします。  この体育館は、少なくとも国有財産だと私は認識しております。その国有財産に、今のような公職選挙法に疑いのあるような形のそういう会合というものはしていいか。あるいは、だれしもがそこを借りたいというならば、我々すべて全部、あるいは国民が全部、防衛施設の、そういう施設を貸してくれと言えば貸してくれるのですか。
  135. 久間章生

    ○久間国務大臣 先ほど鈴木大臣からもお話がございましたように、我が国は、御承知のとおり日米安保条約を結んで、在日米軍が駐留しているわけでございます。その海兵隊と地元の皆さん方が親善交流を図るということは、そういう意味では我が国の国家目的に沿うものでございます。  そういう意味で、実は鈴木大臣の方でそういうことを、大臣じゃございませんでしたけれども、その当時計画をされて、その当時はホテルの方でやられるという話でございましたが、実は北海道の地元の方では、米軍の海兵隊が町の中に出るのはやめてもらいたいという空気が非常に強うございました。それで、自衛隊としても、あるいはまた防衛施設庁としても、これは施設内で行ってもらいたいということを希望を申したようでございます。  そういうことで、体育館をその結果として使ったということでございまして、我々は、だれが主催したからということではなくて、その事業目的、内容が、国家目的、すなわち自衛隊あるいは防衛庁、防衛施設庁のそういった趣旨に合っているかどうかによって判断をして協力をしたということでございますから、ぜひ御理解賜りたいと思います。
  136. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 時間の関係で終わりますけれども、国有財産なり、また自衛隊なり自衛隊の施設なり、そういうことを含めて、やはり国民から疑いの眼で見られるようなことはやめた方がいい。そして、なおかつ、そういうことが問題になるようなことというのは、やはりもっともっと国民の立場に立った、相手の立場に立ってどういう感覚で見られるかということも判断をする必要があるだろう、こんなふうに思いますので、これからそのことについてはよく注意してほしいということだけを要望して、私の質問を終わります。
  137. 松永光

    松永委員長 これにて田中君の質疑は終了いたしました。  次に、西村眞悟君。
  138. 西村眞悟

    西村(眞)委員 時間がさらに限られたものになりましたけれども、冒頭に私の質問の観点を申し上げ、それから簡潔に御質問いたします。  まず、私が質問する観点は、政治の目的からくる倫理というものです。  政治の目的というのは、国民を守り、国土を守る、そして国家民族の永続と尊厳を確保するということですから、その観点から政治に倫理が求められるのだろう。政治の日常の営みにおいて、この観点に奉仕しない、この目的に奉仕しないという政治が明らかにあれば、それは政権の存在理由、存在の正統性を失うのだろう、このように思います。  橋本総理大臣に、総理大臣になられてから我が国にこの観点から起こった具体的なことを通じて、質問をさせていただきます。  まず、ペルーで人質事件が起こりましたけれども、それと同様のものが勃発しているということを私は訴えたい。  二月三日に、予算委員会で私が、十三歳で拉致された横田めぐみという、北朝鮮に拉致された女の子のことを指摘しましたときに、総理は、厳重に捜査機関に、捜査の努力をして対処すると申されました。結果は、現在において七件、十人が北朝鮮に拉致されたと捜査機関が公表いたしました。  ここにおいて、やはり国民の命を守るという観点からするならば、ペルーの人質事件であれ、北朝鮮に拉致された日本人の救出であれ、等価値の国家の課題である。このことを、救出を目的として我が国が動かなければ、我が国は国民の保護をないがしろにする威厳のない国家として対外的な評価を受けざるを得ない。  端的に質問いたしますけれども、あなたは、総理大臣は、真にみずからの政権において救出する御意向なのか否か。そして、そのために我が国が持つカードは、毎年一万人が日本から北朝鮮に帰られまた日本に再入国されるわけですが、この北朝鮮に行き来する日本に住む方々、在日の方々の再入国を禁止する措置をとられる覚悟はあるかどうか。それからまた、サリンの原料を運び、覚せい剤を運び、また日本から物資を持って北朝鮮と日本の間を行き来する北朝鮮の船を、入港禁止の措置をする御意向があるか否か。これをお伺いしたい。  なぜなら、十五名の里帰りの方々が、まるで囚人が護送されるように我が国に来て、また護送されるように帰っていかれるということになりました。お気の毒な立場は同じですけれども、拉致された方とみずからの意思で北朝鮮に渡られた方の優先順位は違う。しかし、我が国においてこの里帰りの問題が生じた途端、拉致された日本人の救出というこの国家目的が背後に退いたような思いになります。  したがって、私は、総理大臣がみずからの政権の中で必ず救出を果たすのか否かの御意向と、それのために日本が持っている今申し上げたカードを切るか否か、これをお伺いしたい。
  139. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 細部にわたりましてまで私が全部を承知しておるわけではありませんので、多少正確を欠く部分があったらお許しをいただきたいと存じます。  まず第一に、北朝鮮による拉致の疑いが持たれておる事件が現に存在し、その人数等々も議員が今触れられました。そういうものが存在をし、捜査当局において所要の捜査が進められている中からそうした疑惑が浮上したということを、事実私は存じておるつもりであります。また、関係機関におきまして、関連情報の収集に努めておりますことも事実であります。  そして、その上で、八月に行われました日朝国交正常化交渉を再開いたしますための予備会談、あるいは九月に行われました日朝の赤十字連絡協議会の場におきましても、日本側からこの問題を提起しておりますことは事実であります。ただし、相手側が否定をいたしたこともまた現実のことでございました。さらに、自由民主党からの申し入れを受けて、外務大臣が国連に対し協力を要請しておられます。  これが大事な問題であること、我が国国民の安全にかかわる重要な問題であるという認識に立つて行動することは当然のことでありますが、今、仮に、日本から朝鮮に渡った、自由意思において現時点においても渡航をしている方々の帰国を阻止するという考え方をカードとして使えという御指摘は、私はいささか議員と意見を異にする部分があるように思います。  また、覚せい剤等が持ち込まれれば、これを当然のことながら取り締まることは事実でありますし、現にそうした事件はございましたし、これに対して厳しく対応したことは、議員も御承知のとおりであります。  サリンにも触れられましたですか。サリンにも触れられましたね。そのサリンも含めという言い方は、ちょっと不穏当かもしれません。  しかしへいずれにいたしましても、薬物乱用をいかに阻止するかというのは、ひとり北朝鮮からの輸入に限ることなく、我々にとって非常に大事な問題であります。ですから、これは北朝鮮と限定をするのではなく、どこから入るものであれ、国内で製造されるものであれ、薬物事犯に対し厳しく対応しなければならないというのは当然のことと存じます。
  140. 西村眞悟

    西村(眞)委員 お答えがなかったんですが、私は、一万人の北朝鮮籍の日本在住の方々が毎年北に行って帰ってくる、これを十五名にとどめよ、日本人の里帰りの数の十五名にとどめて、あとは再入国を禁止する、こういう断固たる措置が日本人の命を救うんだということを申し上げて、この問題についての質問を終えます。  次は領土についてですが、尖閣は我が国の領土でございます。なぜあなたは、私が尖閣を視察したときに私を非難したんですか。そして、あなたは、何か日本人が日本国の領土である尖閣に行かさないようにするという約束を中国としたのですか、あなたとあなたの内閣は。この点が私は疑問なんです。  なぜなら、中国は、ことしの五月の末に中国人が押し寄せたときに、このたびの事態はすべて一年前に日本政府我が国と約束したことを守らなかったから生じているんだというふうなコメントを発しているからです。  お答えいただきたいと思います。
  141. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 そのような御質問をされるというのを聞きまして、APECの際初めて行いました日中首脳会談、尖閣列島の部分を私の発言がどうであったかをもう一度取り寄せてみました。尖閣諸島は我が国固有の領土であるというのが我が国の基本的立場である。また、中国が我が国と異なる立場を有していることは承知している。本件について日中双方の立場は相違はあるが、かかる立場の相違により、アジア太平洋地域ひいては世界全体にとり極めて重要な日中関係全体の健全な発展が損なわれるべきではないとの点では、日中双方の認識は一致しているものと考える。本年七月以来の尖閣諸島を巡る一連の事態については、日中両国政府はかかる共通認識に立って冷静に対処してきたものと考える。今回のような事態の再発により、日中関係が影響を受けることは望ましくなく、そうした観点から努力している。 これはあえて全文を読み上げさせていただきました。  私どもは、尖閣列島が我が国固有の領土であるという主張を全く変えているつもりもありませんし、またそれが実効上我が国の支配のもとにもあると考えております。その上で、それが国交全体を壊すような騒ぎになることを望まないというのは事実であります。  同時に、私は、議員の、渡航を阻止するとかなんとかというお話でありますけれども、むしろ、私が知る限りにおいて、あの土地をお持ちの地権者の方は、ほかの方々が来ることを望まないということを海上保安庁に言っておられるように、海上保安庁でありましたか外政室でしたか正確に今記憶をいたしておりませんけれども、地権者が第三者の立ち入りを望まないという意思を表明しておられるという報告を受けております。
  142. 西村眞悟

    西村(眞)委員 また地主の意向を出されて、この問題に対する、渡航した国会議員への評価とされる。これは、世間がこのコメントを失笑したんです。またこの公式の場でそれを出されるとは思いも及びませんでした。  ただし、この問題は波風を立てないと日中が約束したと言いますけれども、中国は、あそこは中国の領土であるから中国の主権を侵犯したんだ、したがって、あそこの領海に入っても、ここは中国の海である、我が船は何ら違法はない、今月にも我が国領海で海洋調査を繰り返している、こういう事態。着々として中国はみずからの主張どおりにやっている。  こういう事態の中で、中国の常套手段は、波風を立てなくしよう、我が国はそれを受け入れた。そして、中国と同様に我が国の領土であると我が国が主張するならば、我が国は中国と同様のことを世界に示さねばならない、領土は守れない、このように私は思っております。  地主の次元ではなくて、中国は国家主権の次元として私の視察を非難した。ここは中国の領土である、中国の主権を侵犯したのだ、日本国国会議員がと。この次元でのコメントはなぜないのですか。この次元でのコメントは、される用意は今現在ございますか。
  143. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、我が国の領土内において起きております事実に、他国と同一のレベルで答えるという必要を認めません。日本国内において日本の地権者が立ち入りを許す許さないというのは、我が国の立場と考えております。  同時に、今正確に読み上げましたように、我が国固有の領土ということは中国側にはっきりと伝えていることも、今お聞きをいただいたとおりであります。
  144. 西村眞悟

    西村(眞)委員 わかりましたけれども、私は、間断なく水がしみ出るように、尖閣周辺の領海に中国が海洋調査を繰り返しているという具体的な事実の中で突きつけられる問題に関して、地主のレベルだけでお答えいただいては困る。具体的な問題。抽象的にどちらかで話をするときはいい。しかし、具体的にこれが起こったときに、具体的に起こっているときに、地主の顧問弁護士になってもらったら困るということです。私有権は、沖縄の特措法を成立させたように、わかりますように、国家の領土を守る、国防を果たすという次元から下位にあるわけですから、地主の顧問弁護士に弁護士資格もないのに勝手になってもらったら困るのです。  私は、国家の観点からお聞きしている。したがって、世界も国民も、総理大臣のコメントに対しては、いささか、この次元のコメントかという思いをしたと思う。なぜ中国に萎縮しているのかという思いがしたと思う。  時間がありませんから、次に進みます。  私が政治における倫理と言うのは、政治はやはり国家民族の永続と尊厳を守ることだ。永続ということは、政治の最大の倫理は、国家民族の永続のために命をささげた人を忘れてはならないということです。そして、それは各民族において固有の形を持った行動としてあらわれている以上、私はこのことを聞かざるを得ない。  あなたは、二月三日に、靖国神社になぜ参拝しないのかという私の問いに対して、国に迷惑をかけるのなら控えねばならないと御答弁された。私は、あえてそれ以上お聞きしなかった。本年は、あなたは靖国神社に行かずに、反対に、この九月は中国の柳条溝に行かれた。あなたは、真実、総理大臣が靖国神社に参拝することが我が国に迷惑をかけるという判断に至ったのだろうと、私はあなたの行動を見て判断いたしました。そのとおりでよろしいでしょうか。国に迷惑をかけるのですか。
  145. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 先ほど、確かに私は、弁護士資格を持ちませんので、弁護士ではございません。ただし、海上保安庁の諸君が一生懸命に領海警備を行っておりますという実態も、議員はよく御承知のことと、その点だけは申し添えておきます。  その上で、内閣総理大臣の靖国神社の公式参拝、これは、昭和六十年八月十五日に実施をされました後、昭和六十一年以降差し控えられているところでありますけれども、昭和六十年に実施した方式による公式参拝は憲法に違反しないという従来の政府見解は、変わっておりません。  その上で、繰り返し申し上げておりますように、これは心の中の問題であり、私自身、他の方々から強制されて行動するという思いのものではございません。自分がどう思うかということでありましょう。他の人々に強制のできることではない、心の中のことだと思います。その上で、私自身、内閣総理大臣という立場を考慮しなかったと言えば、それはうそであります。
  146. 西村眞悟

    西村(眞)委員 心の中のこととおっしゃるのは、そのまま受けとめておきましょう。しかし、各民族には固有の形というものがある。この観点から私はお聞きしておるわけです。そして、この形、具体的に参拝するのか否かというこの形をお聞きしたときに、あなたは国に迷惑をかけるならば控えねばならないとおっしゃったから、私はお聞きしているわけです。心の問題をお聞きしているのではなくて、形をすることが迷惑になるとあなたは断定して、本年の行動に歩まれているのかということをお聞きしているのです。  あなたはかつて、泣きながら日本軍兵士の遺骨収集に当たられたと私はお聞きしています。このことについては立派だと思う。また、あなたは遺族会会長をされた。決してただ単に会長職が好きだからというのではなくて、遺骨収集に当たられたあなたの心の中が、会長という公的な形にあらわれたのだろう。そして、総理大臣になられるまでは、その形をみずからあらわしておられた。  戦争における戦死者、これは、その戦争が五十年後いかなる評価を得ようとも、その人の生はそこで終わって、その人の生は、国にささげるための戦死であったのです。日中は、相戦った国でございます。その中で死んでいった方々がおる。あなたは、柳条溝で向こうの戦死者のところに参られたと思いますけれども日本総理大臣としては、靖国神社に参り、それはあなたの形だ、そして柳条溝に行くべきだ。これが国の誇りだ。あなたは、心の中ということで逃げられるけれども、英霊に対して申しわけないと思われないのですか。
  147. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 あなたが私の行動をどう理解し、どう御批判になろうと、それは議員の権利であります。そして、私の心の中でどのような思いが渦巻き、その中でみずからの行動を決しているか、これも私の心のことであります。
  148. 西村眞悟

    西村(眞)委員 あなたは内閣総理大臣です。私は、国家の政治の任務として内閣総理大臣にお聞きしている。もはや与党も野党もないのです。私は、日本国国会議員としてあなたに、国家の形を示す立場にあるあなたに答弁を求めている。心の中のことではない。  さて、あなたは、先ほどの尖閣諸島の問題でも、またこのたびの靖国神社のことでも、中国に対してはなぜ萎縮しているのか。あなたは、柳条溝で、どういう背景があって書かれたか、思いがあって書かれたかわかりませんけれども、「以和為貴」、和をもってたっとしとなすと書かれた。  私は、この揮毫を見て、これほどの皮肉はあるだろうかと思った。なぜなら、この和をもってたっとしとなすということを語られたのは聖徳太子です。この話られた方の関係と、「和」という文字の持つ意味と、この二つにおいてこんなに皮肉はない。  なぜなら、聖徳太子は、日出るところの天子、書を日没するところの天子に与うという、中華世界に対峙して日本国のアイデンティティーを千年以上打ち立てられた方だ。あなたは、対等外交、日本人のアイデンティティーを持って対外的、中華世界に対峙をするというこのことに反する、あなたのいわくでは、内心の思いを持って中国に行かれたと私は思わざるを得ない。  もう一つ、「和」という言葉の意味は、小人は同じて和せず、大人は和して同ぜずなんです。あなたの尖閣でやっていること、その発言、靖国神社で萎縮していることは、中国に同じて、そして両民族の和を得させない方向であなたは動いている。なぜここまで萎縮しているのか。この「和」という意味と、聖徳太子が発せられたという意味、この二重の意味において、あなたは自分と正反対の言葉を書かれた。  なぜ私がこのように申し上げるかといえば、和が日中ともにないのです。私のこの質問も、その代表でしょう。  そして、今東京支局長ですか、ニューヨーク・タイムズのニコラス・クリストフ氏が朝日新聞に書いております。中国勤務から日本に移って以来、中国人の大多数が抱く日本に対する敵意、これに日本人は気づいていない。こういう事態の中では、アイデンティティーをやはり恐れずに示さねばならない。しかし、それはなってない。  中国というものは、なぜ我々日本に敵意を抱いているのか。これはプロパガンダによるのです。中国共産党の、共産党政権を樹立する、またそれを維持する戦略というものは大衆動員、大躍進であれ文化大革命であれ、国内に少数の人民の敵をこしらえて、それを攻撃することによって統合を図ろうとする。  葉剣英氏は、文化大革命の終わった後で、文化大革命は大惨害であったと。一億二千万が被害を受け、二千五百万人が命を失った。文化大革命までの間で、大躍進であれ文化大革命であれ、中国共産党政権によって、学者の推計によれば、八千万人が命を失っている。  みずからの国民に対して世界人類史上最大の加害者である政権が、なぜ急に日本に対して反日、日本軍国主義、日本に対する被害と言い募っているのか、この戦略を見破らねばならないんです。国内の反対分子は死に絶えてしまった、後は、反日というキャンペーンをもって統合するしかない。  あなたは、こういう戦略を持つ国家に対して第三次円借款の再開には非常に熱意を示されたというし、このたび訪問されたときにも、第四次円借款二千億円の約束をされている。それで、あなたは、領土についても、人権についても、急速な軍備増強についても、ミサイル、核弾頭のミサイル、これについても、九月に北京で何も言われなかった。アメリカは、言うべきことは江沢民氏に今言っている。なぜ国益の観点からあなたは言わなかったのか。弱みを握られておるのか、私はこのように疑問を抱かざるを得ない。  昭和五十四年にレフチェンコ事件というのがありまして、KGBのスパイ、工作員が我が国会議員またマスコミ関係者二百人をエージェントとして操作したというふうにマスコミで言った。そのとき何と言っているか。日本ほどスパイをやりやすい国はない、日本はスパイ天国だ、多くの協力者が、協力しているという意識なしに協力してくれたとアメリカで語っている。やはり日本はスパイ天国なんだろう。  片や、日本以外の普通の民主主義国家はどうかといえば、昭和三十八年、これはイギリスのプロヒューモ事件、陸軍大臣が辞任された。この辞任は、議会でうそを言ったから辞任したんです。プライバシーのことで辞任したんじゃない。そのことで議会でうそを言ったから辞任したんです。そして、もう一つ辞任の理由は、キーラー嬢がソ連大使館幹部と交際していた人物だったからです。  それともう一つ、時間がないので、象徴的な一例を挙げます。ブラント西ドイツ首相が辞任したのは、ギョーム事件という、これは、個人秘書ギョームが東側のスパイであったことが判明して、東方外交の輝かしい業績の中で彼は辞任したんです。どういう情報がギョームに行ったかということは問題ではなくて、スパイが身辺におったことがわかり、疑惑が生じる、国家の機密が流れるのではないかという疑惑の中で、普通の民主主義国家の公人は潔く辞任しなければならない。  スパイは日本にもいます。私は、橋本総理のプライバシーを問題にするわけではありません。このことはお断りしておきます。しかし、あなたが総理に御就任になる前後から、あなたに関する中国人との親密な交際の記事は出ておりました。その次元で、時点で、私は何も申し上げることはない。それはプライバシーの問題である。しかし、ことしに入って三回連続、あなたが交際していた中国の方は中国の情報部員であったという記事が三回連続出ている。したがって、私は、この民主主義国家における対外的な信頼、そして民主主義国家における国家機密というものの管理の仕方から、これは、この週刊文春が聞いている言葉どおりにあなたに聞かざるを得ない。  小誌という、この雑誌はみずからを小誌と呼んでおりますけれども、橋本総理にただしたいのは、くだんの中国人女性との男女の関係といった話ではない。第一に、彼女が情報部員だったことを知った上で接触していたのか。第二に、もし知らなかったとしたら何を彼女に話したのか、あるいは何かを依頼されたのか。そして第三に、情報部員と交際していた場合、どういう責任を感じているのかという点である。  これは、既に国民が九月に三回連続読んだことでございます。火のないところに煙が立っているならば、国家の威信としてその煙に対処しなければならない。これは放置しておいてはならない。もし交際されておったならば、正直にお答えください。情報部員であるということを知らなかったのであれば、正直にお答えください。そして、何をしゃべったかをこの場でお答えいただきたい。
  149. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 前段、「以和為貴」と揮毫したことについての議員の御意見は、確かに承りました。そして、私は、とっさに、一番あの場にふさわしい文句としてこれを選んだということであります。  次に、特定の女性と云々というお話をいただきました。  確かに、中国に参りましたとき、衛生部の通訳として会議に列席をし、その出張もともに動き、会合すべてに同席をしておりましたから、何を話したかではなく、その席上の議論は彼女がすべてを通訳いたしております。そして、それは、日本に中国衛生部の関係者が参りましたときにも通訳として同行しておりますから、そして私は確かに、本当に苦労をかけましたから、自分で御飯をごちそうしたこともありますので、そういうときに話したこと、これはむしろ通訳という職分からすべてを聞いております。そして当時、ベチューン医科大学の日本語教育の問題あるいは中国医科大学の日本語教育の問題が衛生部との間で議論になっておったと私は記憶をしております。  それから、情報部員であったかどうか、知っていてつき合ったか、あるいは接したかと。私にとりましては、中国衛生部の通訳としての存在でありました。情報部員というような思いを持って接してはおりません。むしろ、情報部員だなんて思っていたら、通訳として使えないでしょう。ですから、完全に通訳として、衛生部関係のすべての会議にその人は存在をいたしました。  以上です。
  150. 西村眞悟

    西村(眞)委員 レフチェンコ氏の証言を冒頭に申し上げた意味をおわかりいただけていない。情報部員というものは、情報部員であるということで接触してくるはずがない。だから、私は、火のないところに煙が立っているのならば、今の答弁では不十分で、彼女がどういう者であって、あなたが彼女の素性を調べたのか否かまで御発表をいただかねばならない。そして、これは既に国民が知っていることだ。国民が、国家の国益の観点からあなたに答弁を求めているということである。情報部員であるということを知らずに、つき合うはずがないでしょうという次元では答弁にはならないのです。どうか……(橋本内閣総理大臣「といいますよりも、委員、大変恐縮でありますが、ひとつこれはお許しいただきたい」と呼ぶ)委員長、私の発言ですか。
  151. 松永光

    松永委員長 いやいや、ちょっと待ってください。  橋本総理大臣。
  152. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 会議に通訳として出席する人間を、事前に身元を調査しろと言われても無理であります。
  153. 西村眞悟

    西村(眞)委員 それはわかるけれども、プライベートでつき合ったその人のことを聞いておるのだ。通訳はすべてある。だから、どうか国益のために、このことで週刊誌というものを軽視してはなりません。週刊誌というものを軽視してはならない。必ず根拠を持って書いているはずだ。そして、これは世界が見ている以上、あなたはやはりもう少し調査の上御答弁をいただきたい。これをお願いして、私の質問を終わります。
  154. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、今の議員のお話は承りました。そして、最初通訳として、そして最後まで通訳の立場で、その間、日本に来たときに、確かに私は慰労をいたしました。そして、最後に彼女が来られたのは、結婚されて、その御主人と一緒に事務所を訪ねてくれた。そのときは通訳ではありません。結婚して御主人と来られた。そして、任地に出ていかれた。  私は、情報部員であったかどうか、全く知りません。知りませんし、調べるといったって、それは私、調べようがありませんけれども、通訳という仕事の性格上、初めから終わりまで、会議のその場にいるわけでありますから、すべてを知るという意味ではすべてを知る立場に、私は中国語はできませんから、その場におったことは全くそのとおりであります。
  155. 西村眞悟

    西村(眞)委員 最後に申し上げます。  総理大臣の御意見は承りました。しかし、今、御交際なさっていた、通訳として始めて、お食事もということは述べられた。そして、私が具体的なことで、尖閣であれ靖国問題であれ、申し上げたあなたの、タフネゴシエーターと言われるあなたの対中国萎縮、この事態を総合すれば、国民の一人として、また議員として、危惧の念を持ってこれをたださざるを得なかったのです。  したがって、わかりませんということよりも、日本の警察機構は非常に優秀でございまして、あなたが通訳としてあいさつに来られたと言う方がどういう方であるか、つかんでいると私は思う。したがって、確かめてください。それをお願いいたします。  質問を終わります。
  156. 松永光

    松永委員長 これにて西村君の質疑は終了いたしました。  午後二時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十四分休憩      ————◇—————     午後二時開議
  157. 松永光

    松永委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁松下康雄君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  158. 松永光

    松永委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  159. 松永光

    松永委員長 質疑を続行いたします。山花貞夫君。
  160. 山花貞夫

    ○山花委員 久しぶりに予算委員会で質問させていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。  きょうは、閣僚の皆さんの中にも二十五周年の表彰を受けられた方がいらっしゃいました。おめでとうございました。  私は、そのときには議席を得るに至りませんでして、一九七六年に初めて議席をいただきました。ちょうどそのときは、総理大臣の犯罪としてロッキード事件が政局を揺さぶっていた時代でした。以来、こうした政治疑獄に絡んだリクルート事件、共和、佐川の事件など、野党の立場で政治の現場で体験してまいりましたし、また、私の場合にはその追及の実務も担当してまいりました。  政治倫理のテーマは、私のこれまでの政治生活における最も大事なテーマの一つでもありました。この数年間は政治改革に取り組みましたが、政治改革の原点は腐敗の根絶にある、そう思って全力を尽くしてきたつもりであります。  この間の政治改革を振り返りますと、前回の衆議院の選挙では、たしか買収事件が三分の一以下に減ったし、あるいは一昨日の最高裁第二小法廷における連座制にかかわる判決等、半歩でも一歩でも前進してきたのではないか、こういう気もいたしますけれども、全体的に考えれば、とても国民の期待にこたえているとは残念ながら言えないと思っています。  とりわけ、橋本政権におけるこの一年間を振り返りまして、私は幾つかの問題を指摘しないわけにはまいりません。  実は、過日の所信表明を伺っていまして、一年前の総理の所信表明を思い起こしました。総理が決意を明らかにした行政改革のテーマは同じでした。  ちょうど一年前、第百三十九回国会におきまして、五つの改革、そして沖縄の問題を内閣の主要なテーマとしてお挙げになり、行政改革こそが大事である、その中では、我が国の行政システムはその限界を露呈している、こう一年前所信表明でおっしゃいました。今回は、六つの改革、沖縄は内閣の最重点テーマ、同じであります。そして、「今日、我が国の行政システムが深刻な限界を露呈していることは明らかであります。」こうおっしゃっています。  昨年は、限界を露呈している、ことしは、深刻な限界を露呈していることは明らかであるということだけが変わっただけで、全体の構成は私は同じではないかと思って読んでおったわけですが、特に指摘したいと思いますのは、行政改革を語る前に、この所信表明演説の冒頭を拝見しますと、「まず初めに」の五文字が入ってまいります。  行政改革の前に、総理は「まず初めに」と述べなければならなかった。昨年は「行政に対する信頼を失墜させる事態が続いたことはざんきにたえません。綱紀の粛正を徹底するよう重ねて求めなければならない状況を本当に残念に思います。」こうおっしゃったのです。ことしは「まず初めに」こうおっしゃっています。「今般の内閣改造における総務庁長官大事に関し、国民の皆様から厳しい御批判をちょうだいいたしました。政治により高い倫理性を求める世論の重みに十分思いをいたさなかったことを深く反省するとともに、多大な御迷惑をおかけしたことをおわび申し上げます。」構成が全く同じで、初めにそれを断らなければならないというのが一年たっても現状であります。  でも、昨年は、公務員の倫理が問われて、そのことについてざんきにたえないとおっしゃった。ことしは、他人ではなく、みずからの倫理が問われてこの国会が始まっています。ざんきにたえないでは済まない段階まで来ているのではないでしょうか。私は、日本の政治の場における政治倫理は、公務員の倫理も同じですけれども、一年たって一昔前に戻ってしまったのではないか、そんなむなしい感じも持ちます。  政治倫理と公務員倫理について、この間、前進したと総理はお考えでしょうか。現状認識について冒頭伺いたいと思います。
  161. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 所信表明二回を引用されての御質問、私自身に対する厳しい言外の叱正は、素直に私は受けとめたいと思います。  その上で、公務員倫理規程、これは午前中にも御議論のあったところでありますが、その法を求める中で、私は倫理規程をあえて選びました。本来、倫理というものを法をもって律するものではないという思いがあったということも率直に申し上げてまいりました。政治の世界においても、その点は変わりのあることではございません。  そして、あえて御当選以来のみずからの政治活動を振り返られながらのお言葉に対し、我々はなお努力をしなければならないものを多く持っている、私自身も当然のことながらより努力をしなければならない部分を持っていると思います。
  162. 山花貞夫

    ○山花委員 九月二十二日、総理は、過日の佐藤長官の就任、閣僚登用に絡んで、いわばおわびの記者会見をされました。私自身、人事権者としての判断が国民の社会通念から許されたものではなかったと、率直に、謙虚に反省しなければならないとおっしゃいました。  でも、私は総理にこう申し上げたいのです。社会通念、国民の皆さんの考えは、もう一歩、二歩進んだところにあるのではないだろうか。総理のとらえ方自体がまだまだ永田町的なのではないかということを指摘しなければなりません。一般の国民の皆さんは、閣僚登用ではないのです、なぜ汚職で有罪になった人がバッジをつけているのだろうか、ここに疑問を持っている。これが政治不信の根源にあると私は思っています。  一般の民間会社ならば、どんな会社でも、裁判で有罪を受けた人は会社にいられません。就業規則で決まっているのです。いわんや、民間の会社ならば、汚職を働いた職員が、あるいは役員が、会社に残っているというようなことは、全く考えられないことであります。やはり、政治家だけが悪いことをしてもバッジをつけることができるのだろうか、むしろそこに国民の皆さんの、一般の社会通念があると考えなければいけないのだと私は思っています。  総理は、この問題について、選挙民がということを含めて、いろいろ意見のあることを踏まえてこれまで答弁されてきました。でも私は、そうなんだろうかと思うのです。  確かに佐藤代議士は地元では当選されてきた。でも、日本の政治全体から見るならば、それは、全体の日本の国民が日本の政治の場にリトマス試験紙を投げ込んだということではないでしょうか。そのことに対して、自民党に復党して、幹部に登用して、閣僚になっていくということは、国民が投げ込んだりトマス試験紙にやはり黒い反応を出してしまったというのが私は今回の問題点ではなかったかと思っています。今、これから私質問したいと思っていますけれども、泉井の問題についても同じです。もう一遍国民の皆さんからリトマス試験紙がこの政治の場に投げ込まれているのだと思っています。  こうした問題に対して基本的にどういう姿勢で臨もうとされておるのか、この点について、総理の所見を伺いたいと思います。
  163. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 あえてお尋ねでありますので、今まで申し上げてまいりました、そしてそれを引用されました議員のお言葉に異論を挟むものではございません。それ以外に私がつけておりましたことに、平成四年に永年在職議員表彰を受けられたこと、平成六年にWTOの特別委員長、平成七年、八年に国会移転の特別委員長に全会一致で選ばれておられるということも私の頭の中にあったことを隠しませんということを申し上げてまいりました。  その上で、私は議員の御指摘を、現行の選挙制度のもとにおいてその選挙区に住んでおられた国民が選ばれた重みというものと比較考量せよという御指摘は、そのとおりにちょうだいをいたしたいと思います。  また、泉井問題。これも繰り返し申し上げてきていることですが、現在裁判中でありますし、立ち入って物を申し上げる立場にはないと思いますけれども、この何カ月かの間、泉井被告という方が捜査当局の取り調べを受けられて、またマスコミにおいてもさまざまな報道がされておるわけで、当然ながら法に反することがあれば当局は厳正な対応をすると思いますし、その上で、国民の政治不信の払拭のために、政治家は、先ほども触れたことでありますけれども、常に自戒、襟を正すという思いを持たなければなりませんし、その上で、明らかにしなければならないこと、それは、適切な場で政治家みずからの判断で明らかにされるべきことだと考えております。  これは繰り返し申し上げてきていることでもありますし、委員の御質問だからということで他の言葉をあえて選ばず、すべての方々に御答弁をしたのと同じ言葉でお答えをさせていただきます。
  164. 山花貞夫

    ○山花委員 私は、今の総理の御意見を含めて、やはり、リトマス試験紙で試験をされているんだと思っています。それは、決して一方的に自民党の責任を言うのではありません。私が言わんとしているのは、日本の政治全体がはかられてきたんじゃなかろうか、そういう視点で考えなければ正しくないのではなかろうか、こう思って、きょうは重ねてお伺いをさせていただいた次第です。  先ほど総理が触れられました公務員倫理問題についても、もう一言触れておきたいと思うのですが、昨年来の議論をずっと振り返りながらやはり印象に残りましたのは、昨年十二月六日、衆議院の予算委員会における総理の以下の発言です。公務員倫理法の制定も検討しなければならないという思いが現在の思いであります、こうおっしゃっていました。  私は単に揚げ足取りではなく、午前中の質問の中でやはり法律でやるのはどうかなという気がするとおっしゃった、その後の流れについても承知しているつもりです。でも、私が十二月六日と言ったことについては、意味を持って申し上げたつもりでありました。  その前の五日の日に、かの通産省の処分が行われました。一連、マスコミでもずっと問題となった通産省の腐敗した実態に対して、牧野事務次官が監督責任を問われて公務員法による処分をされた以外にも、官房長、審議官資源エネルギー庁長官、通商政策局長、産業政策局長などが、おしかりということでありましたけれども、厳重注意等を受けました。  私は、このこと自体、これだって国民の皆さんから見ればおかしな経過だったと思うんです。  いろんな事件が続いて、それぞれ省庁は内規をつくられています。公務員の、みずからの省庁の職員の規律について内規を通達しているはずであります。責任者は官房長です。このときにも、当時、通産大臣は、初めは余り厳しくなかったんだけれども、世論を考えた中で、厳しく措置をとるといって内部のこうした処分までいきました。責任者は官房長なんです。官房長が自分で調べて、あくまでもこれは本人の申告によって処分を決めたというんですから、自分で申告して自分で決めたというのがこの処分です。やはりそれでいいんだろうかということを含めて、当時の処分についても疑問があります。  でも、それが五日の日だったのです。その翌日の予算委員会。だから総理は、そうした事態の中で、検討しなければならないというのが現在の思いである、こうおっしゃったんじゃなかろうかと思っております。でも、これからもう既に一年過ぎているんです。一体、公務員倫理、どうなったんだろうかということを振り返りながら、今の総理の発言を受けまして、各党の動きがありました。  例えば、その総理の発言の後、社民党では党首が記者会見を行って、公務員倫理法大綱をつくりました。当時の記者会見を拝見していますと、二月中には超党派で法律を提案できるようにしたい、ここまで発言があったんです。民主党でも公務員倫理法についての大綱案をつくりました。午前中話題となったように、新進党からも、これは九七年六月十日ですけれども、四法が出ました。法律についてのいろいろな動きがあったんだけれども、最終的には法律ではないというのが総理の選択だったわけであります。  この問題について、いろんな経過がありますので、総務庁長官に伺いたいと思うのですけれども、総務庁でも検討されたと伺っていますが、私がマスコミで知っている限りでは、自民党の内閣部会が案をつくった、総務庁が働きかけてつぶしたということが記事になっていました。どうなんですか、これは。  総務庁としては、この問題について、もう内規をつくったらそれでいいということだったんでしょうか。やはり、倫理についてはもう一歩進むという考え方もあるんじゃないかと思うんですけれども長官から、これまでの経過を踏まえて、御見解を伺いたいと思います。
  165. 小里貞利

    ○小里国務大臣 議員の御発言、大変重い意味を持ったあるいは御指摘であり、そしてお尋ねである、さようにまず気持ちを申し上げる次第です。  なおまた、ただいまお話がございましたように、昨年のそのような厳しい内外の御指摘などを受けながら、各省事務次官会議を最終的に昨年の十二月に行いました。そして、そこで一つの方針を決定いたしました。それを受けました各省庁におきまして、それぞれの禁止事項の明確化、あるいは具体的チェック体制の一つの要項、あるいはまた違反行為などを起こしました場合の制裁措置などを含む、ただいま先生の方からもお話がございましたいわゆる公務員倫理規程、これはしかも法規範性を持つ訓令としてきちんと制定して、これを公表いたしたところでございます。  この中身につきましては御承知いただいておると思うのでございますが、私どもは、とりあえずこれをして綱紀粛正を厳格に実施なし得るもの、また、間断なくその方向で配慮するべきもの、そういう気持ちで対処いたしてまいっておるところでございます。
  166. 山花貞夫

    ○山花委員 お話があった各省庁の内規につきましては、私もできる限り勉強させていただきましたけれども内容はばらばらですね。統一があるようで、綱紀粛正の範囲等についてはかなり差があります。大蔵省が一番きつかったというのが私の印象ですけれども、理由があったからでしょう。  でも、こうした問題について、内規をつくったから大丈夫だったのかといえば、この一年間、そうではなかったんじゃないでしょうか。内規をつくったけれども、やはり引き続いて公務員関係について倫理を問われる事件が続いてきたということではなかったでしょうか。  実は、私はこの点について、これまで当委員会でも幾度か引用されたアメリカの事例等について調べてみたのですけれども、やはり、ある程度の客観的な基準というものについて公務職にある者全体がこれをのみ込むということが必要じゃなかろうか、こういう気がいたします。  アメリカの事例といったって、他の国のことがストレートに参考になるものではないということは十分わきまえながら、でも、アメリカでも腐敗が絶えない、この問題は共通です。したがって、政治の倫理の問題と公務の倫理の問題、この問題を二つに分けて体系ができ上がっていると承知をしています。  そして、政治の倫理の問題についてはきょうは省いて、公務員の倫理について、よく引用されますのは七八年の政府倫理法。これは改正されまして、その後、私がやはり大変特徴的に思いましたのは、その下位規定となっている、政府倫理法と大統領令、幾つかありますけれども、それを受けた連邦がまたさらに細かい規定をつくっている。  この連邦の規定たるや、私はここまでどうかなと思うくらい、なかなか厳しいわけでありまして、よく引用されます二十ドルの贈り物はいけない、これはアメリカの公務員にとって共通の認識でしょう。二十ドルということについては、そのギフトは贈り物だけではない、食事の提供や宿泊も含まれるのだということまで含めて、一般規定がかなり詳しく書かれています。職員間の贈り物につきましても、上司が部下にということまで含まれています。日本ですと部下が上司にということだと思うのですけれども、そこまで含まれている。  そして、印象に残りましたのは、各省の規定を見るとちょっとそういうものがあるものも気がつきましたけれども、毎年一回、トレーニングとして各省庁の倫理の担当責任者が集まって、この趣旨徹底について教育を徹底的にやっておる。こういう実態等につきましては、私はやはりある程度参考にすべきところもあるのではなかろうか、こういう気がしました。  今、行政改革の中で公務のあり方が問われるのですけれども、行政改革議論の中で利益抵触を含んだ公務の倫理の問題についてどれだけ取り上げられているかということについて、私は寡聞にして知っておりません。そうした議論をもやはり念頭に置きながら、公務員倫理について新たな客観的な基準をつくった方がいいんじゃなかろうか、この点について検討すべきではなかろうかと思いますけれども長官にもう一度、この点について御意見を伺いたいと思います。
  167. 小里貞利

    ○小里国務大臣 実は先ほど、法規範性を持った訓令を制定しましたと。そして、その中身たるや、注意事項、チェック体制、禁止事項、細々と、一応各省庁、先生お話しのとおり若干の差異はあるものの、基本的に踏み込まなければならないところはきちんとそれらを、方針を整理いたしまして、そしてさような措置をとったもの、私はそういうふうに理解をいたしますけれども、ただいま再度お話がございますように、幾らこのような公務員倫理規程をつくりましても、要はそれを厳格に遵守する、その基本的なお互いの自覚がなければならないわけでございます。  先ほども実は、間断なくこれを遵守するように、そしてまた、私どもも相互に監視、督励をしていく必要がある、そういう気持ちを持ちまして申し上げたところでございますが、ちょっと一言、時間の関係もございましょうけれども、先ほど先生が御指摘になりましたが、要するにその中身におきまして、意外にと申し上げるとおしかりを受けるかもしれませんけれども、通常の判断でいたしますと、ああこういうところまで具体的に踏み込んだのかなという感じを持ち得る、そういう感じのところもないでもないなという感じを実は持っております。  一例を申し上げますと、例えば、関係業者などとの接触に関する規制、非常に具体的に書いてございます。あるいはまた、予算執行事務あるいは許認可事務等に関する適正化措置、その中身も書いてございます用意外にと申し上げるとまたおしかりを受けるかもしれませんけれども、本当に一つ一つを、朝八時から、役所に行く、役所の勤めが終わった、それから後の問題でも、オール二十四時間にかけてひとつお互いにチェックしていかなければいかぬよ、これは厳正なる注意事項のさまざまなものだよというところまで踏み込んであるわけでございます。  それにしましても、先ほど先生がお話しのように、これは間断なく、なおかつ私どもは厳正に、国民から信頼される、そういう状態をつくるために努力をいたさなければならぬ、さように思っております。
  168. 山花貞夫

    ○山花委員 この問題については、民主党としては、法案をつくって政党間の協議に持ち出したい、こう思っておりますので、またこの点について御意見を賜りたいと思います。  実は、私は公務員の問題ということで伺ってきましたけれども、公務員だけじゃなくて、本来はやはり政治倫理の問題があると思っています。かねてから、収賄罪の関係では、いわゆるあっせん収賄罪の拡大、地位利用罪、とりわけ政治家の地位利用罪といった問題についても検討すべきではないかということがいろいろな機会に繰り返され、議論されてまいりました。この問題について、法務大臣に伺いたいと思います。  幾度か予算委員会その他でも議論されていますけれども、こうしたいわゆる地位利用利得罪というものについて検討することが考えられないだろうかということについて、大臣の見解を伺いたいと思います。
  169. 下稲葉耕吉

    ○下稲葉国務大臣 ただいま御質問ございました、政治腐敗防止策の観点からの公務員の地位利用罪を新設する気持ちはないかどうかということでございますが、これにつきましては、御指摘のとおり、現在いろいろ御検討なされているわけでございます。私どももその議論というふうなものを見詰めると同時に、私ども自身としても検討する余地があるなという感じは持っております。  ただ、反面、正当な政治活動とのかかわり合いにおいてどういうふうに判断すればいいかなという問題等々もございますので、慎重に検討してまいりたいと思います。
  170. 山花貞夫

    ○山花委員 今大臣がお話しになった最後の部分が、これまでも議論のテーマであったということは承知しております。ただ、この数年、大臣の答弁もだんだん進んできたというふうな印象を私は持っているわけでありまして、この部分についての歴代の法務大臣の答弁がだんだん進んできて、検討をしなければいけないんじゃなかろうか、こういう雰囲気を持ちつつあるというのが実はこれまでの答弁を振り返っての印象でございます。  きょうは残された時間で泉井問題をやりたいと思っているものですから、この地位利用罪につきましても、民主党としては今、法案作成の準備をしております。与野党の皆さんにそれをお示しして御検討いただきたいと思っておりますので、この点については以上の程度で、次の質問に移りたいと思います。  以下、泉井事件を中心に質問させていただきます。  冒頭申しましたけれども、私もこれまで幾つかの事件については、調査検討、事件解明のための努力をする機会がございました。ただ、私の実感として、今回の泉井石油商事件は極めて難解であるというのが印象であります。これまでのほとんどの事件については、調べてまいりますと、ある程度、国会の議論ども通じて、事件の輪郭と申しますか本筋ということがわかってきた、こういう気がするのです。最近のリクルート、共和、佐川についてもそうでした。でも、今回の泉井事件というのは大変難しいというのが私の実感であります。  一言で言うならば難しさは、この事件は本来、政財官にかかわる汚職の事件としてスタートしたはずであります。しかし、そうはなっていない。起訴されたのは泉井さんと、関西空港の社長もおりますけれども、本当に絞られた形になってしまいました。  初めからの経過を振り返りますと、この二、三年、大阪国税の税務査察に始まって、昨年大阪の国税局から告発を受けた検察庁は、大阪が引き受けるのじゃなくて東京地検の特捜部、しかも、脱税事件ならば財政経済班でしょう、特捜部の中にある三つの班のうちの一つの特殊直告班がこれを受けたと承知しています。同時に、これも随分スピードが速かったと思うのですけれども、わずか一週間ぐらいで逮捕され、そしてそこから取り調べが始まっています。  こうした経過から考えて、単なる脱税事件を超えたものではないか、こういうように私も考えておりましたし、皆さんそう思っていたのじゃないでしょうか。また、さまざまな雑誌、マスコミを通じて明らかにされている泉井さん本人の発言の内容、報道等もそのことを裏づけています。  私もたまたま、被告人となっている泉井さんが拘置所の中で日々の取り調べの内容を記録したということで、時折取り上げられている備忘録の中の政治家にかかわる中心的な部分について、これは原本じゃなくてコピーでしたけれども、見て勉強する機会がありました。検察官の取り調べの対象はまさに政治家に絞られて、そこで連日取り調べが行われている、こういう実態を知る機会がありました。一方において、通産省の方でも、政治家ではありませんけれども、事務次官以下、現職幹部六人が処分されるというような事態も進んでまいりました。  でも、起訴されたのは、脱税事件、そしてあと二つの事件が加わりましたけれども、泉井さんほか一名だけだったわけであります。  こうした大変難解な事件であり、しかし、やはりそれでは事件、事案の解明ということにはならないだろうと考えた場合に、私は、既に国会の中で手続が進んでいる泉井氏に対する当委員会における証人尋問が事案解明のためには不可欠であると思っています。改めて、ここでは十分時間をとって、泉井氏に証人として出頭していただき、事案解明の努力を当委員会としてなすべきである、こういうことを私は冒頭に強調したいと思います。今後の手続は予算理事さんにお願いすることになると思いますけれども、どうしてもそれは必要なことだと思っています。  さてそこで、公になったさまざまな資料に基づいて、以下、疑問を提示して必要な御意見を伺いたいと思います。  前回の委員会において我が党の仙谷委員が、文芸春秋十一月号の告発記事、これを引用して質問をいたしました。この記事は政治家ならばだれでももうお読みになっていると思いますけれども、多数の政治家及び官僚の実名を挙げています。多額の献金、料亭での政治家の会合に要した費用のツケ回し、あるいは官僚らの料亭などでの接待の事実を極めて具体的に明らかにしています。  この文芸春秋は、焦点は、その題名のとおり、山崎拓現自民党政調会長に当てられています。もし、ここに書かれているとおり、彼が告発していることが事実であったとするならば、政調会長の責任はまことに重大であると思います。そうでない、事実無根であるとするならば、逆に泉井氏が、あるいは出版社の側が名誉毀損の責任を免れがたいと思っています。これはだれもが思っている疑問なのじゃないでしょうか。  総理も、きょう午前中、従来からおっしゃっていましたけれども、政治家としてはみずから疑惑の解明のための努力をすべきである、その機会と場所ということがあればいいんだ、こうおっしゃっていましたけれども、そういう機会を御本人がどう選ばれたでしょうか。  この間、新聞に報道されているところによれば、去る十月九日、東京地裁に対して、文芸春秋と泉井氏本人を相手取って、これらの記事は事実無根であり、原告の政治家としての社会的評価を著しく低下させ、原告の名誉を著しく毀損するものであるとして、謝罪広告と一千万円の慰謝料を求める訴状を提出した、こういう報道があります。  私は、この告訴状の内容を拝見して、検討してみました。二つの大きな疑問を持ちました。  まず一つは、一般論的ですけれども、一年、二年、三年、四年、五年というのが大体民事の名誉毀損罪のやりとりの流れだというのは常識だと思いますが、なぜ長期の時間を要するそういうのを選択したのだろうか。名誉毀損罪について黒白つけるということになれば、刑事の告発は当たり前です。なぜ御本人は民事を選んだのかなというのが一般的な疑問です。  第二番目。内容を拝見しますと、謝罪広告と一千万の慰謝料請求ですから、提訴の理由として、何が事実無根であって名誉毀損に当たるのかということについて、告訴状ですから書いています。内容は、全体を要約しますと、山崎氏が泉井氏に自分の建設大臣就任を故渡辺美智雄氏に頼んだとされるくだりについて、名誉毀損として謝罪広告と損害賠償を請求されているのです。  これを読んでみると、訴状を正確に冷静に読んでみますと、御本人の意図がどうだったかはわかりませんけれども、金銭の授受など、建設大臣就任に関する部分を除いたすべての部分については名誉毀損の理由になっていないのです。したがって、訴えの理由にもなっていないのです。では、そのとおり全部認めたのでしょうか、こういうことになります。  これまでのマスコミの報道などによりましても、これは政調会長御本人じゃない、その事務所側だと思うのですけれども、我々のグループには総選挙、参議院選のたびに一回に二千万か三千万ぐらいの単位でまとまった資金の提供は受けていた、こういうコメントがございました。でも、そういうことなどをあわせて考えると、この損害賠償の請求自体、大変疑問を提起したと言わざるを得ないのであります。  私は、この政調会長の名誉毀損、損害賠償請求事件の提訴は、「政治倫理に反する事実があるとの疑惑をもたれた場合にはみずから真摯な態度をもつて疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう努めなければならない。」とする政治倫理綱領には沿っていない、かえって疑惑を深めたものになっているのではなかろうかと思っています。  こういう観点からすると、私はやはり、まずは泉井氏の証人喚問をして、そしてそれぞれの場で、考えればいろいろな場が政治家としてあるのだと思うのです、疑惑を晴らす中で国民の疑惑を解くべきだ、こういうように考えますが、こういう考え方について総理の御所見を伺いたいと思います。
  171. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 先ほど来、泉井氏の問題について私は、裁判中であるし立ち入って申し上げる立場にはない、その上で、明らかにしなければならないことは適切な場で政治家みずからの判断で明らかにすべきだと考えておりますと、過去申し上げていると同じことを今も確認をいたしております。
  172. 山花貞夫

    ○山花委員 公になった資料で、これは御感想を伺いたいということになるかもしれませんけれども、実は政調会長及びその後援会、政治団体から、新政調査会、派閥へ流れた金の流れを追ってみました。政治資金収支の報告書は三年ですけれども、官報に載っているものを丹念に追っていきますと、ある程度わかります。  一九九一年、平成三年度分、新政研究会から一千万円、山崎拓後援会から二千万円、拓政会から九千万円、関西拓政会から一千万円、拓建会から一千万円、計一億四千万円を拾い出すことができました。一九九二年、平成四年分からは、拓政会から九千万円であります。一九九三年、平成五年分では、拓政会から五千万円、山崎拓後援会から三千万円、計八千万円であります。一九九四年、平成六年分は、拓政会から二千万円であります。一九九五年、平成七年分では、山崎拓の名義で六十万円、拓政会から一千万円、計一千六十万円。  これは私が官報から拾ったものですから見落としもあるかもしれませんけれども、こういう数字が出てまいります。  やはり、これを見ると、政治ってこんなにお金がかかるものだろうか、派閥の献金にこんなにするというのは大変なことなんじゃないかと、我々ではとても想像のつかないもう一つ世界がある、こういう気がします。一年間に一億四千万派閥に上納するというのは、御自分の政治資金も要るのだと思いますけれども、そんなにお金がかかる政治で一体いいんだろうか。  今私はずらっと並べただけでありまして、文春の記事なりに出ている何年幾ら、何年幾らということについて比較はしておりません。ただ、これだけのお金を派閥に献金しなければやっていけないとするならば、大変なことじゃないだろうか。やはりこうして、政治に金がかかるとはいうけれども、必要な経費はだれもが認めなければならないと思っているけれども、こんなにお金を派閥に上げるというようなことは、私は間違っているんじゃなかろうかと思っています。  かつて、政治改革の冒頭、自民党政治改革本部が、後藤田先生などが中心となってつくったあの一番最初の文章には、政治改革のさまざまな問題点が列記されていますけれども、自民党の派閥解消がありました。こんなにお金を、一人一人の政治家が集めて派閥に持っていかなければいけないとするならば、やはり腐敗の根源をそこに求めた後藤田先生など当時の皆さんの見識はそのとおりだったんだと、今さらながらまざまざと思います。  こんなにお金がかかるんでしょうか。こんなにお金をかけているような政治は、私は間違っていると思いますけれども、この点について総理の御所見を求めます。
  173. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 我々は今、かつてと違った新たな選挙制度のもとに選ばれ、国会に議席を得ております。  そして、この新しい制度を採用するに当たり、小選挙区制を主張される方々からは、中選挙区で複数の候補者を立て、同じ党で争う限りにおいて、派閥というものはやむを得ないんだという考え方がございました。私どもは、率直に申して、小選挙区制ではない他の制度を主張した一人です。しかし、圧倒的多くの方々が小選挙区を選ばれたのは、それが派閥解消ということにつながるという考え方を、少なくとも我が党の場合には持たれたものと思います。  そして、今るる官報の中を御自身精査されて述べられた数字というもの、私も拝聴をいたしておりました。ただ、私たちもかつてグループを持っておりました時代に、そんなに、分担というんでしょうか、役割分担というんでしょうか、それほど巨額の資金を派閥に運んだことはなかったなと。おまえは派閥人間ではないとよく言われる理由はそういうところにもあったのかなと思います。
  174. 山花貞夫

    ○山花委員 恐らく、総理も、自分は経験ないとおっしゃったけれども、でも、経験ない総理のような立場も私はいらっしゃると思うんだけれども、経験して随分苦労された方も圧倒的多数じゃなかろうか、こういうように思うんです。やはり、これだけお金を使っているということは間違っていると思っています。そうした問題についても解明して進んでいくためには、泉井証人喚問等は私は必要だということを重ねて強調したいと思います。  もう一つ、証人喚問請求について必要な理由のところを述べたいと思うんですけれども、先日、仙谷委員が文芸春秋のゲラ刷りの問題について取り上げました。これまた随分国会内に出回りましたから、多くの皆さんがお読みになっているんじゃなかろうかと思っていますけれども、このことについて出版社側あるいはその関係者の方は、完成原稿に出ておるものがすべてであって、あとは怪文書である、こういうことをおっしゃったりしています。  でも、私はもう一遍、この校正刷り、再校正の段階ですけれども、じっと分析してみると、怪文書と片づけるわけにはいかないんじゃなかろうか、こう思います。そして、いろいろな疑問が出てまいりました。  実は、出回っている再校正というゲラ刷りは、九月二十三日に出ているものとメモが残っています。完成原稿とゲラ刷りを比較しますと、五十カ所以上の箇所、文字数にして三百八十七字、四カ所が中心ですけれども、削除されまして、四十七字が挿入されて、チェックされたとおりに本文ができ上がっているわけです。やはりこれは怪文書ではないと思っています。  そして、仙谷委員がゲラ刷りから抹消されたと指摘しました完成原稿、出版された本ですと百八十八ページの上段、「小渕氏には総額で一億円、森氏に対しても幹事長時代を中心に五千万円の献金をしています。」の部分だったわけですけれども、さらにほかの部分も実はあるんです。  つけ加えますと、その下の段で「山崎氏以外で、百万円とか三百万円とかいうようなまとまった金を渡したのは」云々という部分に、校正の段階では「山崎、小渕、森氏以外で、」と手が加えられた。完成原稿ではその中から、小渕氏という、小渕大臣の二字が消えています。  完成原稿では「森氏に対しても幹事長時代を中心に五千万円の献金をしています。」という部分が削除されました。そしてその後に、「週刊誌の報道では、」という頭が振られていますけれども「森氏には一千万円、小渕氏には五百万円の資金提供があり、」と文章が書き直されています。  注目される小渕大臣と森議員に関して削除されたのは、六行と「小渕」という二文字であります。そして、両氏について、それぞれ五百万、一千万と訂正されています。一体だれがどんな理由から削除、加筆したのかという疑問が出てまいります。  私が自分で当たったところでは、この一連の文章の削除は、双方できるだけ当たってみましたけれども、結論的には、泉井氏本人の側の強い要請があってと、こういうように聞きました。これが現段階の調査です。  しかし、この告発記事は、泉井氏に対するインタビューをまとめたものであります。とすると、ゲラ刷りまでの原稿に問題の六行が書き込まれ、校正でお二人の三文字が加えられ、さらに再校正で今申し上げたとおり献金額の訂正が行われたというのは、一体どんな事情だったんだろうかということについては、今までの調べではわかりません。やはりこれは真相解明にとって大変大事なポイントではなかろうかと思っています。泉井さんに証人として出てきていただいて伺いたい問題の一つです。  時間がずっと延びていまして、十一月中ということになりますと関心が薄れがちでありますけれども、どうしても事案解明のために必要だということで、改めてこの内容について、仙谷委員の質問を受けて、さらに若干の検討についてお話をして、必要性を強調させていただきました。  小渕大臣に伺いたいと思いますが、このゲラ刷りはお読みになりましたか。
  175. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 拝見いたしました。
  176. 山花貞夫

    ○山花委員 見たとしますと、時期はいつごろでしょうか。
  177. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 記憶しておりませんが、何か院内にこういう文書が出回っておるというようなお話がありまして、秘書からそれを見せていただきました。
  178. 山花貞夫

    ○山花委員 ゲラ刷りが出回り始めた時期だ、こういうふうに把握をさせていただきます。  泉井石油商とは面識はありましたか。
  179. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 大学の同窓ということで、数年前から知り合いになっておったことは事実です。
  180. 山花貞夫

    ○山花委員 泉井本人も大学の関係ということでは強調されておりますけれども、何回ぐらい、どういう機会にお会いになりましたでしょうか。
  181. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 回数まで記憶定かではありませんけれども、一年のうちに一、二回、年末とかそういう機会に食事をともにするというような機会があったように記憶しております。
  182. 山花貞夫

    ○山花委員 大臣に対する献金の有無、事実につきましては、午前中も質疑でやりとりがございました。改めて、一、二だけ確認的に伺っておきたいと思います。  一億円の献金はなかった、こういうお答えでしたけれども、五百万程度とおっしゃっていますけれどももうちょっとあったのではないか、この点について伺いますが、いかがでしょうか。
  183. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 経理責任者からの報告によれば、その程度だ、こういうふうになっております。
  184. 山花貞夫

    ○山花委員 恐らく、これまでの答弁にもありました経理責任者の方は、自分で恐らく収支の報告書をつくっておられると思いますから、見ているのだと思いますね。  先ほども、随分時間がたったのにまだ調査中というのはおかしいじゃないか、こういう質問もありましたけれども、大臣は、古いものはさかのぼってと、こうおっしゃっていました。これは、ある程度さかのぼってということになりますと、大臣のところには何年分ぐらいさかのぼって調べる資料がおありになりますか。
  185. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 定かにしておりませんが、必要な書類は残存しているというふうに理解しております。
  186. 山花貞夫

    ○山花委員 他に移る前に、三塚大臣にもお伺いしたいと思います。  大臣は六百五十万ということで、この点については事務の責任者の方が記者会見で説明したということについても私は、これは新聞報道ですけれども知っております。大臣の答弁も伺っております。  ただ、さっき指摘した文芸春秋では、泉井氏本人は、大臣についても、清和会のパーティー券代の累積であって、まとまった資金提供ではない、こう説明しているのです。どちらが記憶定かという問題はあるかもしれません。でも、大臣の側のこれまでの説明は、九二年百五十万、九三年十二月五百万、二回まとまってということですけれども、これはあれですか、やはりその点については、パーティー券等ではなく、まとまった資金提供を受けた、この事実については間違いありませんでしょうか。
  187. 三塚博

    三塚国務大臣 かねがね、昨年大臣に就任して以来の予算委員会における御質疑、その都度の御質疑で申し上げておりますことは、派閥は今ございませんが、当時、清和会でございましたから、経理担当者が経理を担当いたして、責任を持って報告をするもの等行っております。当時の派閥、清和会に、平成四年、九二年になりますか、百五十万、平成五年、九三年になります、五百万、合計六百五十万円の献金があり、適正に処理したという報告。その前に会見を経理責任者が行って、前後して報告があったと記憶をいたしております。  これが事実そのものでございます。
  188. 山花貞夫

    ○山花委員 経理責任者の方の説明の際にちょっと私気になりましたのは、九二年の百五十万については、大臣がみずから受けたもの、こういう説明だったと思うのですが、これは事実でしょうか、それとも間違いでしょうか。
  189. 三塚博

    三塚国務大臣 当時、派閥会長、安倍会長先生が亡くなりまして、推挽を受けました。会長就任の激励を兼ねた献金が幾つかあったことは事実であります。その中の一つであったろう、こういうことでありまして、私自身が受け取ったという記憶はございません。
  190. 山花貞夫

    ○山花委員 この辺がちょっと事務局長の説明とそごがあったものですから、恐らく私ば大臣がお話しになったとおりじゃなかろうかとこの部分は思うのですが、その後の説明が、増額を要求して、九三年は五百万、これを五十万ずつになるようなくさんの政治団体に振り分けた、こういう説明だったのです。  新法になるとこういう必要があるのですけれども、当時は五十万ずつに分けるというのはちょっと考えられないところもあるわけでして、もしそうだとするならば、しっかりした説明をされておるのですから、どの団体に五十万ずつ振り分けたということについても明らかにしていただけるといよいよ大臣の関係はすっきりするのですけれども、これは事務担当者に命じてしていただけますか。
  191. 三塚博

    三塚国務大臣 おっしゃるとおりに調査をいたさせます。
  192. 山花貞夫

    ○山花委員 ちょっと話がもとに戻っちゃう感じもいたしますけれども、実は、三塚大臣につきましてはもう一つ、公務員倫理関係で伺っておきたいと思います。  実は、涌井主計局長の問題です。泉井さんから絵画をもらったということが明らかになりました。お返しになったということについても大臣が国会でお述べになったところを含めて出ておりますけれども、全体ずっと検討しましたけれども、いつ返したのかということが大ざっぱでわかりません。  大臣の国会の答弁の議事録を拝見しますと、秘書官に調べさせたならば返した領収書があったから間違いない、ここまでおっしゃっていました。領収書があるとするならば、いつなのかということがわかると思うのですけれども、細かいことですけれども、あらかじめ質問通告しておきましたので、おわかりになりましたならば明らかにしていただきたいと思います。
  193. 三塚博

    三塚国務大臣 本件は参議院審議の中で出てまいりまして、予算委員会中でございましたと記憶いたしますが、本人にその事実をただした上で答弁をさせていただいております。  ただいま直接の御質疑でございますから、通告に従って聞いたところ、泉井氏から送られてきた版画は九六年秋、十月に同氏に対し返却をした、宅配便の送付状の控え、十月二十七日付を保管しております、こういうことで、ストレートなお答えは、十月二十七日でお返しをした、こういうことになります。
  194. 山花貞夫

    ○山花委員 実は、これまでの委員会のやりとりで大臣の答弁を伺っていますと、もらったんだけれども返した、結婚祝いだった、それ以上でもなければそれ以下のものでもないのでということでお話しになっているのです。でも私は、このケースについても、そう簡単に済ませていいのかなというのが改めて全体を検討してみての印象でございます。  実は、さっき私は、公務員政治倫理に関して、各省庁の内規が随分違っているということを申し上げたわけですが、大蔵省は厳しいんですね。  とりわけ、あれだけの事件があった後ですから、実は職務上の交際ということにつきましてもほかの省庁から比べると格段と厳しくなっていまして、職務上の関係者以外との交際についても、平成七年五月二十五日の大臣官房から全機関の長にあてた「綱紀の厳正な保持について」という文書の中で拡大されています。職務上の関係者からもらってはいけないというのはどこの省庁でもあるのだけれども、以外の者からもらってはいけないというのは大蔵省だけなわけであります。これは倫理規程として厳しくでき上がっていると思うのです。  では、厳しくすればきちんと守られたのかというと、実はそうじゃなかったのではなかろうかというのがこの涌井さんの問題で明らかになるわけであります。  涌井現主計局長、元官房長は、九五年、平成七年暮れに泉井さんの方から結婚祝いとして、ちょっとはっきりしないんです、シャガールかピカソのリトグラフかデッサン、いろいろと出ていますけれども、とにかく絵画を贈られて、一年たった九六年、平成八年秋に返した、こうされております。ここで大臣の、それ以上のものでもなければ以下のものでもない、こういうお答えが出てくるわけですけれども。  涌井さんが大蔵省官房長に就任したのは九五年五月二十六日であります。私が今指摘した大蔵省の厳しい内規ができましたのは九五年五月二十五日。前官房長がさっき申し上げたようなたくさんの省内のみずからを含めた処分をして、後始末をきちんとやって、厳しい内規をつくって次の仕事に進まれたのが五月二十五日。涌井さんは二十六日、翌日に就任したわけですから、事務引き継ぎの一番大事なテーマだったと思いますね。もらったのはこの年なんですね。  この年は、もう二月ごろからわんわん、二信組問題で大蔵省の問題が揺れ動いた一年間でした。  大蔵省の官僚が二信組の前理事長と専用ジェット機で豪華香港旅行なんというのがずっと新聞にたくさん出た年でもありまして、高橋さんの国会証人喚問が三月にあった。そして、田谷さんのマスコミ報道が始まった、処分された。そして、涌井官房長の前任者であった官房長が厳重注意処分。これも、官房長ですから自分を厳重注意処分にした、こういう格好になるわけですけれども。そうして、武村大蔵大臣が月給二〇%相当額の一カ月返納。主計局次長、事務次官、主計局長、官房長と関税局長らが口頭による厳重処分。こういう処分がずっと続いておったときの出来事なんですね。それで一年たった。  機会を見て返したとされていますけれども、涌井さんの平成九年二月十七日の衆議院予算委員会における答弁によれば、脱税事件で告発されるということを仄聞いたしまして返した、こう言っているんです。やはりこれは、流れを見ますと、危ないから返したんだということです。それ以上のものでもなければそれ以下のものでもないということでは済まないんじゃないでしょうか。  口頭で注意をしておさめた、こうおっしゃるんですけれども、高価な品物をもらった時期というものが、公務員の汚職の摘発が行われ、公務員の倫理が問われておったさなかでした。官房長としてその責任者であった。危ないから返したということではいけないんじゃなかろうか。  私は先ほど大臣の泉井関係を伺ったんですけれども、泉井さんからもらった官房長の問題について、やはり随分甘いんじゃないか、こういう気がして泉井関連を調べておったわけですが、大臣、いかがでしょうか。この点について、甘かったんじゃないかとお思いになりませんか。
  195. 三塚博

    三塚国務大臣 本件は、御指摘のとおり、泉井氏から贈られてきた版画、九六年秋と先ほど申し上げましたとおりであります。これはまさに結婚祝いということで贈ってこられましたという事実関係が確認をされました、後ほどこれはお返しをする、こういうことでございます。その限りにおいては、結婚祝いをそのままにしておきましてお返しをしたと。  山花委員は、脱税云々ということがありますが、そのことはそのこととしまして、官房長の基本は、結婚祝いでありましたにしても、さほど親しくないということで、私からはこれが一つの理由、口頭厳重注意の基本としました。  それと、美術品というのは、見方によって、趣味のない人は買う気も起こらぬ、無理無理買うとすればそれだけの値段、欲しい人はそれだけのまた値段をという、収集家はそんなことだと聞いております。美術品といった価格の判然としない品物を結婚祝いとはいえ受領いたしましたことは、やはり不注意のそしりを免れないこと、こういうことで、一月三十日、口頭による厳重注意の処分を行ったものでございます。  本件、官房長の結婚祝いという私生活に関する行為でございましたから、それ以上でもそれ以下でもない。しかし、これはこれとしても、人事管理の責任者である以上、自後そしりを受けることのないように厳正に管理をしてほしい、こう申し上げて、そのような措置をとったことでございます。  山花委員から、当時の大臣としてちょっと認識が甘いという御指摘でありますが、その御批判は御批判としてちょうだいをいたしておきます。
  196. 山花貞夫

    ○山花委員 厚生大臣にもお伺いする予定でしたが、きょうは参議院の方と伺っていますものですから、省略をしたいと思います。  自治大臣にお伺いしたいと思います。  いろいろと政治資金の関係を調べてまいりますと、保存期間、収支報告書は三年です。三年以上前のものは見ることができません。今度も泉井関係で見ようと思ったのだけれども見れませんでした。でも、考えてみるとおかしいですね。政治資金規正法違反事件につきましては、時効が三年のものもありますけれども、五年のものもあるんです。時効が五年なんだけれども、三年たったらもう見ることができなくなるということは、書類がなければ絶対にこれは取り上げることができませんね。  結論的に申し上げます。政治資金規正法の収支報告書の時効については五年にすべきじゃありませんか。この点について大臣の見解を、担当大臣として伺いたいと思います。
  197. 上杉光弘

    ○上杉国務大臣 お答えいたします。  保存期間が三年で、その間閲覧ができるようになっていることはもう御指摘のとおりでございますが、御意見につきましては、十分この点は留意しつつ、必要に応じまして各党会派において御議論をいただくべきものと考えております。
  198. 山花貞夫

    ○山花委員 同時に、見て大変不便に思いますことは、最近随分よくなったんだけれども、この閲覧の部屋等々、報告書というのは私は十年もすればパソコンの時代になるんじゃないかと思いますけれども、コピーをすると随分、閲覧といいますか、国民の皆さんの監視の目、我々の調査というのは進むんだけれども、今でも昔どおりの仕組みなんですね。  これは数年前から野党の政治改革の協議の中でもやりましょうということになっていたんですけれども、スペースの問題とか、地方も含めてですけれども、ちょっとまだということで待っておったんですが、こういう問題についても御検討をいただきたい、こういうように思っております。これは公職選挙法の特別委員会の方で、また民主党としては問題提起をさせていただきたいと思っています。  残り時間が少なくなってまいりました。私の質問の趣旨を改めて最後に整理をさせていただきたいと思います。  冒頭指摘しました総理の所信表明の言葉をおかりしますと、深刻な限界を露呈しているのは我が国の行政システムだけではありません。政治、行政、そして昨今の連日マスコミが報道する経済界の不祥事に見られるようなそれぞれの分野のリーダーたちの倫理面での欠如、ここがまさに深刻な限界を露呈している。こういったこの国の腐敗の現実を直視すべきだと思います。  行政改革会議が中間報告で言っている、新しい二十一世紀を臨んでこの国の形を再構築するためには、この国の戦後五十年の歴史を正しく検証した土台の上に、倫理観豊かなあるべきこの国のあり方が理念としてしっかり据えられるべきではなかろうかと思っています。  午前中の議論にもありましたけれども、この国のあらゆる分野における護送船団方式による個人の責任の回避、個人としての倫理観の喪失、あいまいさ、事なかれ主義を脱しなければならないと思っています。政治の責任はまことに重大です。政治家一人一人の良心が問われている今の時代だと思っています。  政治不信解消のために、我々は、間違いのない第一歩を踏み出すためには、泉井問題解明のための証人喚問が絶対必要であると思っています。  第二番目、公務員倫理法の制定。第三番目、政治的地位利用罪の新設の問題。第四番目、政治資金規正法の改善の問題。第五番目、泉井さんの証人喚問を終えたならば、その内容を踏まえての新たな関係者の証人喚問も必要だと思っています。仙谷さんが指摘した備忘録などの疑惑解明に必要な資料の取り寄せもこれから議論されるべきだと思っておりますけれども、そうしたことを一つ一つ行っていくことが大事な今日の政治状況ではなかろうかと思っています。  そうした主張を申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  199. 松永光

    松永委員長 これにて山花君の質疑は終了いたしました。  次に、吉井英勝君。
  200. 吉井英勝

    吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。  私は、きょうは景気対策の問題について伺いたいと思います。  ことし九月に発表されました国民所得統計速報によりますと、GDPは年率換算で一一・二%のマイナス成長となり、翌日のマスコミ各紙は「消費低迷、予想超す」あるいは「予想以上の厳しさ」と書きました。景気が深刻な事態にあることははっきりしております。  九六年の経済白書で、政府も、景気牽引力の二大主役として消費と設備投資を挙げてきました。景気回復するには、日本経済景気牽引力の二大主役である個人消費と中小企業活力を取り戻すこと、ここに直接の対策を進めるということが必要であります。  そこで、まず第一の、個人消費について伺いたいと思います。  マスコミ各紙は、誤算は、消費税上げを含む九兆円近くの国民負担増が個人の消費行動を予想以上に大きく変えたこと、これは日経が九月に書いておったことですが、ほかにも、消費税率引き上げ後の個人消費低迷の影響が自動車や関連産業、住宅関連などに広がったことを浮き彫りにしたなどとしております。  ことし二月四日の衆議院予算委員会におきまして、日本共産党の志位書記局長の質問では、景気回復の二大主役の第一の主役である消費の中心、GNPの六割を占める個人消費が立ちおくれているということと、第二の主役である中小企業の活気が出ていないことを指摘し、この点では総理も認識は一致していることを答弁で認められました。  その上で、二大主役がこれまでにない立ちおくれにある、そういう中で負担増をやって、景気は大丈夫かと質問したわけです。これに対して総理は、消費税の税率引き上げ並びに特別減税の廃止で、四−六月期の影響はあると答弁しました。  しかし、九兆円の負担増が、総理の予想をはるかに超えて、消費を冷え込ませ、景気を落ち込ませ、その落ち込みを、総理の言われた六月までの影響にとどまらないで長引かせているというのが、総理、これが実態ではありませんか。
  201. 尾身幸次

    ○尾身国務大臣 消費につきましては、今おっしゃいましたように、一月−三月までに、これは住宅建築もそうなんでございますが、消費税引き上げに対する駆け込み需要がかなりございまして、その駆け込み需要の反動として、四月−六月を中心として反動があった、消費について減退もあったということでございます。  そして、その需要の反動減が七月−九月にもやや尾を引いているわけでございますが、その反動減の影響も徐々に薄れてきているというふうに理解をしております。
  202. 吉井英勝

    吉井委員 私が聞いておりますのは、まず総理に、総理は、九兆円の負担増が四−六月期の影響はあると答弁で認められたわけです。しかし、九兆円の負担増というのは、総理の予想をはるかに超えて、消費を冷え込ませ、景気を落ち込ませている、その落ち込みを、総理が言われた六月までの影響にとどまらないで長引かせているというのが今日の実態ではありませんかと。つまり、二月の総理答弁と今日の違いのところを総理に伺っているんです。
  203. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今、経済企画庁長官お答えをいたしましたように、状況は認識をいたしております。  その上で、改めてもう一度確認をしろと言われますなら、確かに私は、四−六の影響というものをあの時点で認めておりました。そして、私が予想した以上にその影響が尾を引いていたということをあえて言えとおっしゃるなら、今までもその影響を私認めてないわけではないんですから、その影響が現実にあることを認めております。
  204. 吉井英勝

    吉井委員 ですから、二月に、四−六月期でとどまると見ておったその見通しが間違っていたと。  このときには、実はこれは別な答弁で、政府発表ということになると、四半期の第一期にはそれなりの影響は受けますが、後半は一・九%の経済成長が達せられると言っておられたのも、しかし今では年率換算でマイナス一一・二%になってきているし、これ以外に、各シンクタンクの経済エコノミストの見ておるところその他でも、あるいはマスコミの主要百社アンケートとか、あるいは定点観測とか、私もさまざまなものを見ておりますが、いずれも非常に見通しは厳しい。ですから、こういう点では、当時の政府の予想や見通しが誤っていたということははっきりしていると思います。  さて、そういう中で、消費税など九兆円の負担増が景気を深刻にしたということは明白なわけですが、実は私は、きょうは厚生大臣にも伺っておこうと思ったわけです。昨日、厚生大臣の出席を求めました。質問通告もいたしました。もともと、予算委員会理事会で我が党の木島理事は、本日は景気集中審議ですから、景気問題というのは厚生省無関係ということじゃありませんから、厚生大臣の出席を求めておりまして、欠席されるということについては反対をしました。まず、理事会で同意はしていないということを明確にしておきたいと思います。そして本来、どの委員会であれ、予算委員会をやっているわけですから、私は、それを欠席されることについては、まず厳しく抗議をしておきたいと思います。  これまで、不況の時期に、増税や医療保険制度改悪などで九兆円も国民負担をふやしたという例はありません。それで、今度はこの上に、財政構造改革法案で来年以降三年連続して国民負担増となるわけです。  これは総理に聞いておきたいのですが、医療費の連続的な負担増というのは、受診抑制など国民の命と健康にかかわることはもとより、景気対策観点からいっても、個人消費を冷え込ませてしまう、そして景気回復の足を引っ張るということになるのではないでしょうか。この点、どうですか。
  205. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 まず前半、厚生大臣が出席しないことについての御不満は、これは私がお答えをする筋のことではないと存じます。(吉井委員「それは総理に言ってませんから。あなたには別な点で。向こうへ言ったんです」と呼ぶ)では、私じゃないんですね。向こうへ言ったんですね。それなら安心いたしました。いや、私の顔を見ながら言われたものですから、恐れ入ります、今度は、委員長のときには委員長の方を見ていただきたいと思うのです。  その上で、私は、ならば、今の日本の医療保険制度を将来ともに国民生活の中に定着させて、セーフティーネットとしていくために、どういう工夫をしていけばいいのかということを申し上げたいと存じます。  確かに、今回審議をお願いいたしましたものは、破綻に瀕した医療保険制度の財政対策という視点からのものでございました。これから先御議論をいただきたいと私どもが願っておりますこと、それは、せんじ詰めるならば、二十一世紀の高齢・少子社会において、なお国民生活のセーフティーネットとして医療保険制度を私たちは堅持していきたいと思います。  その場合に、国民の負担と給付の世代を超えた公平をも含めて、公平性をどう組み立てるのか。そして、当然のことながら、これは御党からもしばしば御指摘のあったところでありまあすけれども、その中で、いわゆる薬価差益というものに医療機関の経営を依存しない診療報酬体系はいかにあるべきか。もっと詰めて言うなら、ドクターズフィーとホスピタルフィーをどう組み立てていくのか、そこまでを含めての御論議を願わなければならないであろうと我々は思っております。また、それは、まさに将来ともに安定したセーフティーネットとしての役割を果たす医療保険の仕組みというものを築いていく上で必要なことでありましょう。  その場合に、よく小泉厚生大臣が申し上げますように、その費用は何かでつくらなければなりません。給付の水準を高目に設定するのか、ある程度負担可能の範囲に組み立てるのか、保険という仕組みに依存して保険料を中心とした仕組みをつくるのか、あるいは税という形で国民に御負担を願うのか、すべてはこのバランスの上にどのような仕組みを組み立てるかにかかっておる。  その選択は、厚生省としてできるだけ多くの選択肢を国民の前に提示することにより、国民の御意見を入れながら、我々はその制度設計を、世代間の公平も含めて、給付と負担のあり方、さまざまな視点から、医療供給体制をも含めて、これを築いていかなければならないと考えております。
  206. 吉井英勝

    吉井委員 財政の問題につきましては、日本共産党は財政再建十カ年計画というのを既にきちっと示してもおりまして、問題は、国民の犠牲でそれをやるのか、それとも、ゼネコンやあるいは製薬メーカーを初めとする、大企業を初めとする聖域とされている部分にメスを入れるのかどうか、そこが問題です。国民の犠牲に立って財政再建というやり方では、景気の足を引っ張ることになる。既に九兆円負担で、現にそれがあらわれているわけであります。  実は、せんだって、厚生省が九六年国民生活基礎調査というのを発表いたしましたが、この中では、九五年に一世帯当たり平均年間所得六百五十九万六千円、前年比マイナス〇・七%。平均所得の減少は、六二年に調査を開始して以来初めてのことだと。生活意識調査の部分でも、苦しいという回答世帯が四六・五%で、過去十年で最高という数字になっております。  つまり、不況のとき、苦しいときほど医療とか福祉の充実が必要であって、それを、あべこべのことをやって負担をふやすということになると、国民にとって生活が厳しくなるだけの話じゃなくて、あるいは受診抑制という問題だけじゃなしに、そのことがまた景気回復の足を引っ張っていぐことになるわけであります。  私は、だから、財政構造改革だといって、来年から連続して三年間、受診抑制につながったり、既に所得が厳しくなっているところへ負担をかぶせるというやり方では、景気対策として大変だ。財政の再建の道は、我が党が言っているように、別にあるということを申し上げているわけであります。  ところで、厚生省のこの基礎調査に関連する分析では、社会保障の改悪の部分、皆さんからすると改定ということになりますか、その部分には触れたがらないで、賃上げ率の低迷とか低金利、こういう問題などのためにということを触れているわけです。そこで、今日この消費を冷え込ませたものというのは、この消費増税などによる九兆円負担増の問題だけじゃなしに、次に、超低金利政策が景気に与えている問題、このことについて伺っておきたいと思います。  九〇年代に入ってから、政府は公定歩合を、九一年の七月一日からそれまでの六・〇%を五・五%に、さらに次々と引き下げて、九五年の九月八日からは〇・五%という史上最低金利に引き下げました。これによって国民の利子所得が家計から奪われたわけですが、そこで、経済企画庁に数字だけ先に確認しておきたいと思います。  景気の底を示した九三年十月、ちょうどその時期に当たる九三年九月二十一日には公定歩合を二・五%から一・七五%に引き下げたわけですが、個人企業を含む家計、それから金融機関と非金融法人の部門別に、この九三年度を基準年度として、純利子所得は、九四年度及び九五年度に基準年度からこの増減がそれぞれどのようになっているか、このことを最初にお聞きしておきたいと思います。    〔委員長退席、伊藤(公)委員長代理着席〕
  207. 新保生二

    ○新保政府委員 お答えいたします。  国民経済計算によりますと、非金融法人企業の純受取利子所得は、九三年度に比べて九四年度は二兆五千九百二十四億円の増加、九五年度は四兆二千百十九億円の増加であります。金融機関の純受取利子所得は、九三年度と比べて九四年度は二兆五千六百五億円の増加、九五年度は一兆五千五百五十四億円の増加であります。家計の純受取利子所得は、九三年度と比べて九四年度は三兆三千五百七億円の減少、九五年度は三兆三百三十九億円の減少であります。
  208. 吉井英勝

    吉井委員 そこで、私の方が準備してまいりました予算委員会への提出資料の配付をお願いします。  提出資料のこの表の一にありますように、家計所得というのは九四年度はマイナス三兆三千五百七億円、九五年度でマイナス三兆三百三十九億円、それから金融機関は九四年度でプラス二兆五千六百五億円、九五年度でプラス一兆五千五百五十四億円、非金融法人は九四年度でプラス二兆五千九百二十四億円、九五年度でプラス四兆二千百十九億円、こういうふうになっております。つまり、これは、家計から失われた純利子所得は九四、五の二年度で六兆三千八百四十六億円、一方、大銀行へは四兆一千百五十九億円が転がり込んだということになるわけです。  この数字そのものについて、総理、行っちゃったな、総理に、私は、この数字についてどのように受けとめられるか、この点をまず最初に聞いておきたいと思っていますので、ちょっとだけ待っておきますね。
  209. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員長代理 ほかの大臣からできんか。
  210. 吉井英勝

    吉井委員 いえ、総理に。もう帰ってこられるでしょう。
  211. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員長代理 すぐ戻りますから、ちょっとほかの大臣に。
  212. 吉井英勝

    吉井委員 ちょっと待っておきましょうか。
  213. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員長代理 それでは、始めてください。吉井君。
  214. 吉井英勝

    吉井委員 総理、お手元に資料を配らせていただいているのですが、これは、九三年度を基準年度として、九四年度及び九五年度に基準年度からの増減がそれぞれどうなったかという資料です。それで、家計所得は、九四年度はマイナス三兆三千五百七億円とか、そこに書いてあるとおりです。要するに、家計から失われた純利子所得というのを不況のボトムと言われた九三年度を基準にして見た場合の話ですが、二年度で六兆三千八百四十六億円、こういうふうになってくるわけですが、この数字そのものについて総理はどのように受けとめられますかということを伺っております。
  215. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 大変失礼をいたしました。  その上で、公定歩合、金利政策というもの、これは日銀の専管事項でありますから、これについて我々は云々することはできません。  また、この数字、御党が提出されました数字、恐らくこれは数字として正確なものであろうと思います。そして、低金利というものが、我が国経済を下支えする効果とともに、家計の部分において、殊に年金生活者等にとっては非常に厳しい状況を一面生んできたことを私は否定するつもりもありません。
  216. 吉井英勝

    吉井委員 今総理もおっしゃったように、景気対策としてとられてきた超低金利政策は、家計の利子所得を減少させて、景気対策の最大のかぎである個人消費を冷え込ませる、今日では景気の足を引っ張っているということが、今年金生活者のことなどお話しされましたけれども、出ているということを私はまず見なければいけないと思います。  日銀総裁にも、この数字そのものをどのように受けとめられるか、数字そのものについてまず伺っておきたいと思います。
  217. 松下康雄

    ○松下参考人 金利の引き下げが行われます段階では、個人の家計におきましては、金融資産の金額の方が金融負債の金額よりも相当多うございますから、したがいましてネットの利子の受取額は減少をするという筋合いでございます。  その反面に、非金融法人におきまして借り入れが非常に大きく超過しております部分、こちらの方のネットの利子につきましてはプラスが発生するわけでございます。それで、中間におります金融機関につきましては、資産、負債は量的にはほぼ均衡しているところでございますが、ただ、調達金利の動きというものは、運用の金利、つまり借り入れの金利の方が早く利子の変化に感応いたしまして、貸し出しの方の金利はそれがおくれますので、時期的な問題から、金利の低下の局面におきましては、金融機関におきまして一時的に利子所得の上ではプラスが発生をいたします。  ただ、これは、金利が上昇の局面におきましてはその逆となりまして、マイナスの利子所得が経過的に大きくなる、そういう筋合いのものでございます。
  218. 吉井英勝

    吉井委員 九四年度と九五年度の二カ年だけでも六兆三千八百四十六億円、年にすれば三兆円の家計の利子所得が失われた。その上、九五年の九月八日からことし九月八日までの丸二年間、これはちょうど公定歩合が〇・五%という史上最低金利になっての丸二年間ですが、この間に、日本総合研究所の試算によると、これでさらに四兆円が家計から失われたとしています。  総裁、ストックとフローの関係でいろいろ御議論をされたいところもあったのでしょうが、その議論はまた別な機会ということにして、この九〇年の六%からすると、国民の立場からすると大銀行などへの移転所得ははかり知れないほど莫大なものになってきます。  ですから、わずかの利息も生活の足しにしてきた高齢者、年金生活者の暮らしを圧迫してきているだけでなく、今では勤労者世帯全体の生活設計を狂わせ、さらに年金制度の土台も狂わせている。そのことは、これは既に、企業年金の運用利回りの低下、そして超低金利が長期化するにつれて弊害が目立ってきている。日本総研などもそういう指摘もしておりますが、こういうことは指摘できるわけです。  そこで、総裁、やはり今後の金利政策に当たっては、個人消費を冷え込ませないように、消費を拡大するという立場で金利政策を考えていくべきではないかと思うのですが、この点、あなたのお考えを伺いたいと思います。
  219. 松下康雄

    ○松下参考人 初めに一言だけ申し上げますが、ただいま御引用になりました統計の数字は、私も拝見をいたしましたが、若干計算の根拠上に疑問の点もございます。その点は申し上げたいと存じます。  それから、金利の引き上げと個人消費との関係の御質問でございますけれども、確かに家計部門は、先ほど申しましたように、金融資産が金融債務を上回っておりますので、金利収入だけをとって見ますというと、金利が上昇すればネットの利子収入は増加することになるわけでございます。  ただ、経済全体としてこれを見ますというと、金利の上昇は、企業の側の投資採算の悪化とかあるいは企業の収益の減少とか、また資産価格への下押しといったような経路を通じまして、経済活動の全般を制約するということになってまいるわけでございまして、これが、ひいては雇用の悪化でありますとか、あるいは給与所得の減少という問題に波及をいたしますというと、家計部門には総体としてかなり大きなマイナスを生ずる可能性もあるわけでございます。  そういうことで、金利の引き上げの場合には、一方で、設備投資や住宅投資を制約するということから、全体としての家計所得あるいは個人消費につきましても減少させる方向での作用も持つものでございますから、私どもといたしましては、現在の経済情勢のもとにおきまして、当面の金融政策の運営に当たりましては、やはり引き続き金融の緩和基調を維持しながら、まず景気回復の基盤をよりしっかりとすることに重点を置きまして、雇用あるいは個人所得の悪化を防止しながら、経済全体の堅実な発展につなげてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  220. 吉井英勝

    吉井委員 超低金利の中で、これだけ年金生活の皆さんも、それから勤労者世帯全体の生活設計も狂わせる事態になって、そして年金制度の土台そのものが揺らいできているときに、私は、やはりこれが個人消費も冷え込ませて景気に深刻な事態をもたらしているときに、だってあれでしょう、総裁自身が、景気は引き続き四月以降からの減速局面にある、個人消費が低調な状態から脱し切れていないとおっしゃっておられるわけですから、そういう中で今のようなお答えでは、これは本当に今日の国民の消費を温かくするという立場に立った考えというものを持っていらっしゃらないということを言わざるを得ないと思います。  国民には九兆円の負担増、超低金利で、大銀行や大企業には国民所得の移転というのは随分生まれているわけです。そして、大企業の方はリストラで、それがまた消費を冷え込ませていくという問題を起こしておりますが、それなのに、そういうリストラによって実は三年連続して大きな経常利益を上げている大企業については法人税減税を考えるということになりますと、これは不況対策に名をかりた、いわばどさくさ紛れの大企業優遇策ということにならざるを得ないと思います。  やはり今なすべきことは、消費税増税や減税の打ち切り、医療負担増などで失われた個人の消費購買力をもとに戻すということ。ですから、消費税率をもとへ戻すとか超低金利を改めるということ。やはりこのことをやらないと、消費を本当に温めて日本経済に活気を取り戻すということにはならないということを指摘して、私は、不況対策のもう一つのかぎは日本経済の主役である中小企業活力を取り戻すということですから、今日なぜ中小企業がこんなに深刻なのか、その構造問題について見たいと思います。  初めに、通産省から資料をいただいて、事前にこれは確認済みのものでありますが、自動車や電機を製造している大企業が、八五年のプラザ合意以降の円高のもとで生産を海外へ移転し、その結果、海外生産比率は八五年度と九六年度でどのように推移したかというのを見たものがお配りいたしましたこの表の二です。  自動車でいいますと、OEM分を含めて、八五年度の七・二%が九六年には三七・一%と五倍にふえ、これはわかりやすく言えば、海外で日産、ホンダ二社分の生産台数がふえて、国内ではトヨタ一社分の生産台数が減ったということに相当します。カラーテレビは、三八・八%が八七・一%へ二倍以上。VTRは、六・三%が六七・七%へ十倍以上。テープレコーダーは、二三・〇から八〇・〇%へ四倍弱。電子レンジは、二二・七%が七四・七%、三倍以上ですね。また、電気冷蔵庫は、一八・六%が四七・九%へと二・五倍。いずれも異常な伸びを示しております。  これは、いただいた資料ですから間違いないと思っているのですが、念のために、通産省の方にこの数字だけ確認しておきたいと思います。
  221. 広瀬勝貞

    ○広瀬政府委員 お答えをいたします。  今お読み上げいただいた数字が、そのとおりでございます。
  222. 吉井英勝

    吉井委員 それで、やはりこれでは下請中小企業に仕事が回ってこないのは当然だと思うんですね。しかも、海外生産比率が高くなるということは海外での設備投資が伸びるということですから、実際、九七年版通商白書を読みますと、九四年度以降国内設備投資の九一年度水準への回復が見られない中、海外への直接投資が伸びていると書いています。また、通商白書の分析でも、自動車と電機は、産業分野としてぬきんでて海外直接投資の分が多いのがわかる。  これを具体の企業として、経常利益八割増となった、六千億を超えたトヨタ自動車の例を見ますと、国内の設備投資は、ピークだった九一年六月期の六千六十九億円の半分、約三千億円です。これに対して、海外子会社の今期設備投資は一四%増の二千九百億円、過去最高に膨らみました。つまり、トヨタ自動車が国内設備投資を半分にして、これは海外の投資が国内投資と大体同額になっているわけです。ですから、企業の海外進出が国内の景気回復をおくらせる要因になっているのは、通産大臣、これは明らかじゃありませんか。
  223. 堀内光雄

    ○堀内国務大臣 お答えを申し上げます。  先生おっしゃるとおり、海外への展開が大分多いことは確かでございます。  企業が最適な事業環境を求めて国際展開を図るということ、それ自体は、資源の適正配分を通じて、我が国経済活力を高めるという観点から評価ができることだど思いますし、また、貿易や投資の自由化は世界の流れでありますから、日本がこれに逆行することは許されないものだと認識をいたしております。  しかしながら、最近、高コストの構造だとか新規産業創出の阻害をもたらしております規制だとか税制だとかそういうものの構造的要因によって、本来比較的優位を持つ産業までが海外に移転をするといういわゆる産業の空洞化の懸念が高まってきていることも事実であります。  最近の景気回復に従来のような力強さを感じることができないというのは、消費税率引き上げ等の影響などの一時的な問題に加えまして、こうした高コスト構造の問題を初めとする構造的な問題があらわれてきているのではないかというふうにも認識をしているわけであります。こうした一時的な問題と構造的な問題が相まちまして不透明感を招いていることが、現在の我が国経済が直面している課題だと思っております。  企業が国を選ぶと言われている時代でありますから、産業の空洞化の懸念に適切に対応をしていくためには、新規産業の創出、あるいは我が国における魅力ある事業環境の整備というものを実現する規制緩和や税制の改正、改革というものの経済構造改革を着実に進めてまいらなければならないと思っております。  これに加えて、将来の不透明感を払拭して国民の景気に対する信頼感を高めるためには、経済構造改革をさらに加速化させて、そして前倒しにするということを実行していく、そしてその結果、政府の確固たる姿勢を明確にすることが必要だと思っております。  こういう観点から、当面の景気に対する信頼感を高める施策経済対策の形で早急にまとめるとともに、経済構造の変革と創造のための行動計画の着実な実行を進めてまいりたい。可能な限り計画前倒しをして、そして新規施策の追加を含めるフォローアップを行って、国民の信頼、景気に対するマインドを高めていきたいというふうに思っております。
  224. 吉井英勝

    吉井委員 長いこといろいろお話しされたんですが、海外進出が景気の二大牽引力の一つである設備投資を後退させて、その上、海外生産比率の増加で国内生産を縮小させていることが下請中小企業の仕事を減らす、こういうことになっているわけです。そして、景気回復をおくらせておりますし、しかもそれが中小企業の設備投資意欲を減退させて、さらに景気の足を引っ張っている、こういう関係にあります。  このような国内景気を冷え込ませる大企業の海外移転について、ヨーロッパでは、いわゆるEU指令などによって、欧州労使協議会の設置を義務づけ、一定規模以上の工場等の海外移転、縮小、閉鎖、大量解雇については労使の協議を義務づけています。これが国際基準、国際的なグローバルスタンダードです。  だから、日本でも、大企業の身勝手な海外移転を抑えて、リストラや生産拠点の海外移転、産業空洞化を許さない、やはり国内投資をふやすということ、雇用と中小企業の仕事をふやすように政府として指導するべきだと思うのです。この点、これは内閣挙げてやはりそういう取り組みが必要なんじゃないでしょうか。
  225. 堀内光雄

    ○堀内国務大臣 先ほども申し上げましたように、今は企業が国を選ぶ時代と言われているぐらいでありまして、海外に進出することによって企業の展開ができる場合は、これをとめるというものではないと思うのです。  ただ、今構造的に日本の国内における産業が活力を失っている、そして設備投資に対する意欲も失っているというものを直すためには、規制緩和を初めとしてしっかりとした対応を行っていくことによって企業家のマインドを後押しして、そして国内における設備投資を力強く推進させていく、これが政策であると思っております。
  226. 吉井英勝

    吉井委員 実は、もともと大企業といえども、簡単に、国を選ぶということで海外へ行けないわけです。それは、進出先の各国は賃金が安いだけじゃ行けないのですよ。これは、下水道であるとか電力とか港湾とか道路とか、インフラ整備されていないとだめなんですね。それを、政府はODA資金でさまざまな整備をやってあげる、貿易保険、損失準備金制度、外国税額控除制度など、さまざまな仕組みを設けて海外に出られるようにしているわけなんですから、企業が勝手に国を選ぶことができているわけじゃありません。  それだけに、まさにEU指令のように国内の産業や雇用をどう守るかということで内閣を挙げてその取り組みをしなかったならば、私は今日の不況打開はできないということを申し上げておきたいというふうに思います。  そして、現にそういう中で、日本経済経済上の最大の問題は二極構造なんですよ。通産省がことし八月に発表された四−六期規模別製造工業生産指数によると、バブルの好況であった九〇年を一〇〇として、大企業は一〇五・八と好調だが、中小企業は九五・五で、これは史上初の、格差は過去最大に広がったということを言っているぐらいですね。そして大企業の方は、上場企業の経常利益一千億以上が二十三社、製造業はバブル期を超えるほど好況だ。そういう状態にあるのですよ。この今日の二極化した構造を打開しなければいけない。それには、簡単な海外移転を許してはならないということを申し上げておかなければいけないと思います。  最後に、これだけ製造業、非製造業、あらゆる中小企業が苦しんでいる中で、このトンネルを何とかくぐり抜けようという中で、やはり大事な問題の一つは、私は、借りたい人が本当に借りられるようにする融資の問題が一つあると思います。金融対策、いろいろ我々も言ってきて、別枠制度とかいろいろやりました。しかし、現に借りたい人が借りられないというのが実態です。  そこで、時間が大分たってまいりましたので、表三についてのみ、岡山と宮城と山梨についてのみ、この数字でいいかどうか最初に確認して、質問に入りたいと思います。    〔伊藤(公)委員長代理退席、委員長着席〕
  227. 林康夫

    ○林(康)政府委員 お答え申し上げます。  お配りいただいた無担保無保証人融資の保証実績でございますが、平成八年度における実績につきましては御指摘のとおりでございまして、岡山県約七十件、約二億円、宮城県約七十件、約一億円、山梨県約二百件、約八億円となっております。
  228. 吉井英勝

    吉井委員 総理の岡山と大蔵大臣の宮城、通産大臣の山梨の例をなぜ挙げたかといいますと、実は東京の場合は一万百二十六件の二百十九億円余り、埼玉県が九千六百七十九件の三百四十八億二千九百万円、大阪府の九千三百三十一件、三百四十三億円余りと、これは表に書いてあるとおりですが、なぜこれだけ違いが出るかですね。  これは、実は中小企業白書でも、貸し出し態度が厳しいという企業の割合を見ますと、黒字企業は融資を受けやすくて、厳しいとする人は三・二%なんですよ。ところが、赤字企業は、厳しいというのが二四・四%とうんと多いのですね。借りたい人がお金を借りられるようにしないとだめなのに、現実には岡山や宮城、山梨ではなかなか厳しいのです。  それをどう打開するか。制度としていいますと、地方自治体の無担保無保証人融資を保証しているのが中小企業信用保険法に基づく特別小口保険なんですが、この特別小口保険に係る自治体の無担保無保証人融資制度を受けようとしたときに、他の融資制度を使って融資を受けていると、これはなかなか貸してもらえない。そこで、自治体は独自の努力を、東京や埼玉や大阪などはしているわけです。  ですから、金融対策というのならば、まさに借りたい人が借りられるようにすることが必要だ。それには本当にこの小口融資が受けられるように、橋本内閣のもとでの佐藤前通産大臣は、私がかつて提起したときに、それは研究させてもらいたいと言っておられましたが、ぜひその点をよく研究されて、融資制度が本当に受けられる方向を打ち出していただきたい。そうでないと、せっかく金融対策を考えてもうまくいきませんから。  最後にこの点だけ決意を、これは総理からでも伺って、質問を終わるようにしたいと思います。
  229. 堀内光雄

    ○堀内国務大臣 ただいまの特別小口保険制度、これは無保証無担保の保証でございます。これについては、保険料率を低率に下げましたり、あるいは保険限度額の引き上げを、今まで五百万円を七百五十万円に上げる、その対象の拡大を、従業員で今まで五人以下というものを二十人以下というふうに拡大をするというような、資金ニーズを踏まえて抜本的に取り組みをいたしておりますし、これからもこの信用保証協会に特別な相談口を設置することを検討いたしておりまして、真剣に前向きにこれに取り組んでまいる覚悟でございます。  また、もう一つ資金的な問題としましては、年末の金融繁忙期を迎えて、政府系の金融機関、信用保証協会に、特別な相談窓口のもとに、迅速に、また的確に既往債務に対する適切な対応を図っていきたいというふうに思っております。  具体的には、中小企業金融公庫については、現在一般貸付枠が四億八千万円であるところを、別枠として一億五千万円上乗せをする、あるいは国民金融公庫につきましては、一般貸し付け四千八百万円であるところを、別枠に三千万円上乗せをするというような適切な指導を行っておりますし、この対応をしっかり行ってまいる覚悟でございます。
  230. 吉井英勝

    吉井委員 制度上の改革を求めて、終わります。
  231. 松永光

    松永委員長 これにて吉井君の質疑は終了いたしました。  次に、北沢清功君。
  232. 北沢清功

    ○北沢委員 社会民主党の北沢清功でございます。  きょうは、政治家の倫理、公務員の倫理、そして今、毎日司直の手で追われております企業倫理等を含めて、国民の皆さんの毎日のこれらに対する思いというものが、私はうんざりするほど大変なことであろうというふうに思っております。  特に、質問に先立ちまして、先ほど山花先生から御指摘がありました点についても実は私のきょうの質問事項の中に入っておりまして、共通する面も多々あるわけでありますが、しかしこれは、いかにこの国会そのものが政治倫理というものに対してもう与野党の枠を超えて大きな関心を持っているかという意味で、私は非常にいいことであろうというふうに思っております。  特に、今国会において、佐藤孝行氏の閣僚辞任に端を発した政治家の倫理のあり方が改めてクローズアップされている中で、我が党の土井党首が政治倫理国会とも位置づけるというのが今国会でございます。  また、その重要性は、自民党総裁である橋本総理も十分認識をされ、三党首会談の合意に基づいて、九月三十日に政治倫理に関する確認がされております。さらに、政治改革協議会が設置をされまして、ただいま協議が行われております。今国会中に結論を得て、立法措置が必要なものについては成立を図ると明記されておりまして、この三党合意の内容については、総理、よろしゅうございますか、いかがでしょう。
  233. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 先日、与党三党の党首がこの問題をめぐり論議を交わし、その中から政治倫理等に関する三党確認が生まれました。そして、その三党確認を踏まえまして、与党政治改革協議会、現在、政治家個人の倫理問題、企業・団体献金、個人献金などにつきまして、ハイペースで、具体化するための協議を精力的に続けていただいております。その経過は適宜私も報告を受けておりますけれども、よりよい具体策が早期に得られるように期待をいたしております。
  234. 北沢清功

    ○北沢委員 さてそこで、我が党は、国会議員等のあっせん利得行為に対する処罰規定を盛り込んだ、すなわち、国会議員等があっせんという形でいわば顔をきかせることの報酬としての利益を得ることを処罰する、あっせん利得罪の創設を提案をしております。政治家みずからが律して当然であることを、こうした法律で規制しなければならないのはまことに残念なことでありますが、現状はそれを求められているわけであります。  政治家の倫理と言われて久しいのでありますが、こうした実効ある法律の必要性について総理はいかがお考えでありますか、お尋ねをいたしたいと思います。
  235. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今、その与党政治改革協議会におきまして、社会民主党から、これは条文をそのまま読ませていただきますけれども、「国会議員等が請託を受け、他の公務員にその職務に関してあっせんをすること又はしたことの報酬として、利益を収受」するなどしたときは、「七年以下の懲役に処する。」という規定を含んだ国会議員等のあっせん利得行為等の処罰に関する法律の制定、これが提案をされておりますことは私も承知をいたしております。そして、これは一つの考え方だと思います。  同時に、他方におきまして、正当な政治活動を不当に制約しないような配慮をどういうふうにするか、こうした問題点、これは確かに慎重に検討すべき問題もあると思われます。同時に、今既に御党はここに正式に、ここと申しますのは与党政治改革協議会でありますが、ここにこの問題を提起しておられ、議論が行われておるわけでありますから、この議論の推移を見守りながら適切に対処していきたいと考えております。
  236. 北沢清功

    ○北沢委員 関連して、現行のあっせん収賄罪について法務省にお尋ねをいたしたいと思いますが、現在それは十分に機能し、より高い倫理性を求められておる政治家への対応として十分であるというふうにお考えになりますか。
  237. 原田明夫

    ○原田(明)政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のあっせん収賄罪につきましては、昭和三十八年以降平成八年までに八十一人を公判請求いたしまして、審判を求めたところでございまして、その数についていろいろな考え方があり得ると思いますが、この罪の性格を考えますと、それなりの機能を果たしているものと考えております。  ただ、現在、この罪をめぐりまして種々の御議論がなされていることは承知しておりまして、法務当局といたしましても、その推移を見守らせていただきたいと考えております。
  238. 北沢清功

    ○北沢委員 例えば、有罪という重い結果を得ても、開き直りとも言えるような、議員の職にあり続ける、選挙をみそぎと位置づけて復権するといった事態について、国民の政治家に対する政治不信というものを一層あおっておるではないかと いう懸念をされるわけでありますが、いかがお考えでしょうか。
  239. 原田明夫

    ○原田(明)政府委員 法務当局といたしましては、法律違反があり、またこれにつきまして犯罪を構成する場合には、厳正に対応するべきという立場からその職務を遂行するというのが検察の使命であろうと考えております。その結果、その行為に対する判決の結果について、さまざまな評価がなされていくということはあろうかと思います。また、その罪につきまして刑罰が科されたということによって、法律上さまざまな制約と申しますか、効果が付されているという場合がございます。  刑法上の処理といたしましては、それらの罪につきましては、それぞれの法律と申しますか法令によりまして、どのような不利益といいますか制約が課されるということが定められております。そういうものが、法律、各法令によりまして、取り払われているという期間もそれぞれ定めているわけでございまして、そうした場合にどう取り扱っていくかということは、法令上の効果、また一般的社会通念上の効果というのはそれぞれあり得るだろうと考えます。  そこで、それらについてどのような効果を持つのが適当であるのか、また、よしとされるのかということにつきましては、法令で定めていくものにつきましてはまさに法律の問題でございましょうし、またそれぞれ社会通念上の問題につきましては、それぞれの分野においてその事柄の適否を御判断いただいて、それを判断の基礎にされていくというのが実情ではなかろうかと思いまして、それにつきまして法務当局として申し上げられるのは、その限度であろうというふうに考えます。
  240. 北沢清功

    ○北沢委員 このことが、やはり今、国民の側から見ると非常に大きな政治不信になっております。  実は、昨日、与党の政治改革協議会において提案をされておりました、収賄事件が有罪となり、実刑に服した議員の刑期満了後の立候補制限期間について、現行は五年間でございますが、十年間に延長する、また有罪議員を恩赦の適用対象から除外をするということについても、自民党さんも含めて非常に前向きに受け入れていただいたことは、まことに私は評価ができると思っております。  このあっせん利得罪についても、一般世間の常識ではないかと言える当然過ぎる内容と考えておりますが、ぜひ、一歩でも半歩でもお互いの党が歩み寄るような総理の指導性を十分発揮されるよう、意欲的な御答弁をお願いしたいのでありますが、いかがでしょうか。
  241. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今、与党三党の中における話し合いを御紹介になりながら、政府としての対応を求められました。  いずれにいたしましても、その協議の中から生まれてくるものがよりよいものであることを私も願いますし、その検討結果の報告を期待をしたいと考えております。  ただ、今議員から、例えば五年から十年というお話がございました。私は、被選挙権についてこれを延長することに全く異論はありませんが、選挙権まで停止をするのでしょうか。となりますと、私は、投票権まで奪う必要があるのか。被選挙権、立候補する権利は延長する、しかし、投票の権利まで奪うことは、それだけの長い期間奪うことは正しいのだろうか、ふと今、御意見を伺いながら、そのような思いがかすめたことも事実であります。
  242. 北沢清功

    ○北沢委員 要望したいと思いますが、ひとつ積極的な対応をお願いいたしたいと思います。  また、あっせん利得罪に続いて、昨日、政治倫理法案の提案も我が党は与党三党にいたしておるわけですが、これは政治倫理綱領を一歩進めたものでありまして、政治倫理委員会を国会に常設することや、政治倫理審査の対象に、一審または二審で有罪判決を受けた議員を加えることなどが盛り込まれたものであります。  これまで政治倫理綱領があったわけでありますけれども、政治家に対する信頼度や、規制の点で余りにも緩やか過ぎることへの反省から提案をさせていただいたわけでありますが、これに対する御見解についてもお尋ねをいたしたいと思います。
  243. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 委員承知のように、平成四年であったと思いますけれども、国会におきましては、政治倫理審査会の充実を図るための規程の改正が行われますとともに、議員の行為の公正さを監視する方法として、政治倫理確立のための資産公開法というものを成立をさせ、国会の自浄作用を発揮する、そのような仕組みを整えたと思います。この法律は、平成五年の一月から既に施行されております。  与党政治改革協議会、昨二十九日、御党から政治倫理法案要綱案あるいは国会法一部改正法案要綱案というものが提示をされた、そして各党持ち帰り、検討となっている、そのように報告を受けております。  いずれにいたしましても、与党政治改革協議会の協議を見守りながら、私、内閣の立場としては、その検討の結果を拝聴し、よりよき結論が出されることを期待いたします。
  244. 北沢清功

    ○北沢委員 今まで、議員の倫理の追及をする場としての証人喚問等がございますが、やはりこの倫理委員会というものがもっと有効に機能しないと、本当の意味の政治浄化にならぬじゃないかという思いを私は深くするわけでありますから、これらの充実もひとつ十二分に、今後、院でそれぞれ合意を得て一歩進めるように、特にお願いをいたしたいと思います。  それで、さて、政治家の倫理が厳しく言われることは当然のことですが、また公務員についても同様であるということは言うまでもありません。例えば、先ほども出ました雑誌、文芸春秋の最近十一月号で話題となりました石油卸商泉井氏の告発文の中に、その当時大蔵省の主計局総務課長だった田谷廣明氏に仙台港の防波堤工事を促進してほしいと依頼し、補正で例年の倍の予算がついたという、また、官僚たちとの料亭での接待が盛大になされたとかというような話が実は出ております。これは過去のこととはいえ、こうした事実について大蔵大臣はいかが思われますか。また、このように一般的に明らかになった事実について、調査されるなりして把握されているでしょうか。お尋ねをいたしたいと思います。
  245. 三塚博

    三塚国務大臣 ただいま御指摘の文芸春秋の記事については、承知をいたしております。  そこで、申し上げますが、塩釜港の沖防波堤については、昭和五十四年十一月に策定されました港湾計画に基づき、昭和五十七年度に事業が着手されて以来、着実な整備が進められると承知しております。  この間、特に平成五年度において多額の事業費が投入され、事業の推進が図られているが、これは、バブル崩壊後の経済対策の一環として、累次にわたる補正予算において公共事業が追加計上されます中で、航行船舶に対する安全確保や、港内の静穏の確保といった緊急の課題に対処するため、予算の追加計上が行われたものと認識をいたしております。  いずれにせよ、調べました。口添え云々ということは関係のないところである、こうなっております。
  246. 北沢清功

    ○北沢委員 これは実は彼のいわゆる告発文の真偽にかかわる問題でありまして、私は、非常に発言そのものが問題であろうというふうに思いますので、さらに、次年度も含めての予算のつきぐあい等についても関係者から調査をして、このことの裏はきちっととっておかないと、でたらめな発言をされるということになると大変なことであろうと私は思いますので、その点については重ねて要請をいたしておきたいと思います。  厚生省の岡光事件を契機に公務員の綱紀粛正が言われ、昨年十二月の事務次官会議の申し合わせによって公務員倫理規程が作成をされ、各省それぞれ一月に発効しているわけであります。  先ほどもこの問題についてはお話がございましたけれども、公務員の倫理のあり方を求めるものとして、内容的に充実したものとお考えであろうか。監督官庁である総務庁はどうお考えになっておるか。また、これを現在十分機能しているというふうにごらんになりますでしょうか。また、実施状況がおわかりでしたら、お願いをいたしたいと思います。
  247. 中川良一

    中川政府委員 お答え申し上げます。  昨年十二月の事務次官等会議申し合わせに基づきまして、各省庁におきまして、法規範性を持つ訓令として公務員倫理規程を制定したところでございます。昨年十二月中には、すべての省庁で規程が整備されてございます。  この規程は、職員が関係業者等と接触するに当たりましての具体的な禁止事項、また、組織全体として実効を担保するためのチェック体制の整備、さらには、違反行為に対する処分等を適正に講ずることなどを内容とするものでございます。特に、違反行為に対しましては、懲戒処分等、人事管理上の処分を厳正に講ずる旨の制裁に関する規定を設けるなど、綱紀粛正策として実効の確保を図っているところでございます。  今後とも、この規程の厳格な遵守を図ることなどによりまして、綱紀の厳正な保持を図りまして、国民の信頼確保に努めてまいりたいというふうに思っておる次第でございます。  なお、その後、実態について把握しておるかというお話でございますが、この公務員倫理規程の運用につきましては、総務庁といたしまして、機会をとらえまして各省庁に注意喚起を行いますなど、その適正な運用を各省庁に要請しております。  また、倫理規程の中でいろいろな禁止事項がございますが、その例外事例等の取り扱いについて、各省余りまちまちにならないよう、人事担当者を集めて研究会などを開催しておりまして、そうした場を通じまして各省庁における運用状況等の把握に努めておりますが、今後とも、この倫理規程の厳格な遵守を図りますとともに、具体的な運用状況のフォローアップに努めてまいりたいというふうに考えております。
  248. 北沢清功

    ○北沢委員 今御答弁がございまして、先ほどの山花先生への御答弁でも、細かに規定をしているという御答弁がございました。そういう意味で、やはり内部の規程における内部の管理ということ、これは自主的な管理という意味で、ある面では首相の言うように歓迎すべきことでございますが、そういう面での、政という政治の立場からの関心というものがやはり備わらなきゃならないわけで、不断に、そういうものとあわせて公務員の倫理というものが確立をしていかなきゃいけないのではないか、私はそういう思いがしております。そういう意味で、大蔵大臣に、特に厳しいという大蔵省の指摘がございましたから、その点について十分機能しているというふうにお考えでしょうか。  それから、大蔵省の規程による総括責任者である官房長にお尋ねをしたいのですが、同じく、いかがでしょうか、内部監査について自信がおありでしょうか。官房長の責任において違反者はいないと明言していただけますかどうか。今国会の目が倫理について非常に厳しくなっておるときだけに、非常に大きな権限を持っていると言われる大蔵省が注目されておるわけでございますので、実施状況についてここで確認をしておきたいと思います。
  249. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 御指摘の点につきましては、昨年の十二月の事務次官会議申し合わせに基づきまして、大蔵省も職員倫理規程を制定いたしました。そこに関連いたしまして、幹部から成ります規律保持委員会というものをつくりまして、一つは職員に周知の徹底を図ること、さらには全体として常に点検をしていくこと、本当に問題があればそれは審査をしていくといったような体制をとっております。  私どもといたしましては、こういうことでやっておりますので、的確な運用が行われているというふうに思っております。今後も、この遵守を通して、綱紀の保持の一層の徹底を図ってまいりたいというふうに考えております。
  250. 北沢清功

    ○北沢委員 いわゆるこの倫理問題については、ぜひ今国会中で、このような集中審議も行われているわけでありますから、やはりその施策が実りある施策として実行できるような、言葉だけではなくて、取り組みとして実現できるということを私は特に御要請をいたしたいと思っております。  景気問題についてでございますが、今与党で景気対策、不況対策について協議が進められておりますから、あえてここでは取り上げておりませんけれども、その中の一つだけお伺いをしたい。  景気対策の中で、先行きを懸念されまして、与党の具体的な対応が進められており、さらに政府対策が明らかにされるわけでありますので、ここでは詳しくは申しません。ただ、土地有効利用の促進がこのたびの自民党の景気対策一つとなっておりますが、いわゆる地方税も含めて土地にかかる税金を軽くするというだけでは、また何か土地に対する、世界的な水準としては日本土地は高いわけでありますから、庶民の皆さんがうちを建て、経済を活発にできるような、そういう土地流動化策も含めてやはり考えていかないと大変なことだと思います。これについて、いかがお考えでしょうか。
  251. 三塚博

    三塚国務大臣 お答えします。  御指摘のように、自民党緊急国民経済対策、その中に土地税制が盛られておりますこと、御承知のとおりでございます。税制は、財政構造改革との整合性を図ることはもちろんであります。公平等の税の原則や税制の体系からも検討を加えてまいり、十分な吟味、議論を行っていく必要があると考えております。  土地税制につきましては、土地政策全体や資産課税全体の中の位置づけを明確にしながら、土地の二極化などの近時の土地をめぐる状況を踏まえまして、土地有効利用に資するという観点から、引き続き検討を行っていくことが重要であると考えております。
  252. 北沢清功

    ○北沢委員 私は、そのほかに経済の構造改革という意味で、首相がしばしば、これからの企業の力点というものがいわゆる情報通信というものに向けられておるし、また、ある面では勇気あるべンチャービジネスといいますか、そういうものに取り組むということについても、確かに呼びかけておるわけでございます。  過去の日本経済発展は、電機産業、家電産業、自動車産業によって大きく発展を遂げたことでありますから、若干経済的には閉塞状況にございますから、そのことは私は正しいと思いますけれども、加えて、これからの地球温暖化防止という世界的、世紀的な大目標に取り組む中で、これが技術開発等に積極的に取り組みまして、新たな企業としての拡大を目指して、国内のライフスタイルの改造、また企業のあらゆる分野での激変、それから自然環境ももちろんでございます。こういうものに予算を投入するということも大切でありますが、そういうものに対する内閣の取り組みというものが、やはりその面での技術開発なり取り組みが思いのほか活発になるということを、実は技術関係や理化学の皆さんから私は聞きました。  ぜひ、そのことを新たな産業の目標として、内需拡大も含めて、または海外輸入輸出や、支援も含めて考えてもらえないかという提案を実は私はしたいわけでありますが、これについては、首相からお考えをいただきたいと思います。
  253. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 多少夢にわたる部分にお触れになりましたので、お許しをいただきまして、現況から将来に向かって幾つかの課題に触れてみたいと存じます。  現在、いわゆるCOP3、京都会議を控えまして、我が国各国の意見の集約に悪戦苦闘をいたしております。  御承知のように、我々は二〇一〇年を目標にいたしまして、その前後の五年間で、一九九〇年レベルに比べて五%減のCO2削減目標を提出をいたしました。ややもすると、その五%という数字のみが歩き回っておりますけれども、実は、現在、既に九%近く発生量がふえておりますだけに、これは現時点より十数%、我々はCO2を削減しなければならぬということであります。  そうした中で、例えばCO2の固定化ができるか、こういう技術ができれば、これは人間の将来にとって大変なことでありますし、これは大変な産業を生むことにもなりましょう。あるいは、既にこれは織り込んでおりますけれども、自動車の燃費も二〇%以上、現在より減らさなければなりません。これは私は、かつて例えばマスキー法の壁を越えてきた日本の自動車産業の技術力等を考えますときに、何とか達成してくれるだろうと思います。  しかし、例えば今太陽発電というものがある意味で現実のものになりながら、それが実用化としては問題があるのは何かといえば、有効な蓄電池がないからです。太陽光発電を充電できる蓄電池の性能のいいものができたらと、これは夢です、本当に現時点においては。しかし、こういう夢に挑戦をすることは間違いなしに必要でありますし、そういう中から、我々は、将来に向けての新しい我が国のリーダーとしての産業の地位を築けるような技術が生まれることを本当に願います。  これはひとり環境に限りません。福祉の分野におきましても医療の分野におきましても、我々は夢を語ろうとするなら語り得るものはありますし、現に我が国の研究者たちが必死で取り組んでおる中には、必ず将来、産業として育ち得る種があることを私は信じております。いかにしてそれが現実の産業として市場に出るようになるのか、また、そうした製品を受け入れられるような市民生活を築くことができるか。こうした点に対して我々の取り組むべき課題はまだまだ残っておると思います。御協力を心から願う次第であります。
  254. 北沢清功

    ○北沢委員 非常に希望ある御答弁をいただきまして、ぜひその面については、先ほど申しますように政府の姿勢が新たな取り組みや新たな発展につながるわけでありますから、予算もさることながら、そういう面での首相のリーダーシップというものを特に期待をいたしたいと思っております。  最後に、いろいろありますけれども、やはり現在の不況の根底にあるものは、私は将来への展望のなさが心の沈滞感をもたらして、消費の低迷に実際以上に大きな悪影響を与えているのではないかと思います。これからは、不安と不信の時代に入っておるわけですが、政治がきちんとした将来展望、未来の設計図を示す。私もよくヨーロッパへ行くのですけれども、やはり納得のいくことについては耐え忍ぶ、私はそういう風潮をヨーロッパでよく見るのです、日本以上にすごい負担をしているのですけれども。私は、これからの時代というのはただ単なるおいしいことばかりの時代ではない、そういうことも含めて、ひとつ将来への安心感が持てるような、また活力ができるような面での総理の決意といいますか、そういうものを、特に指導力を発揮をしてもらいたいと思います。  それから、政治に不信感があるようでは根本的な言葉に説得力を欠くわけでありますから、政治の信頼性の回復のためにも、私が先ほども申し上げたような政治倫理の問題等についてもそれぞれ前向きの姿勢を、対処を重ねていただくことをお願いいたしまして、最後に御決意だけをお尋ねいたしたいと思います。
  255. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 かつて非常に厳しい目を浴びせられておりました地球上の地域の中で、現在大変な勢いで進歩発展を遂げつつある地域が幾つか見られます。共通するものは、それぞれの地域がかつては内乱あるいは内戦、いずれにいたしましても政情の混乱の言われる地域でありました。それらの地域が政治上の安定を確立し、その後、それぞれの国の足取りが非常にしっかりしております。  そうした例を見ましても、議員が政治倫理というものをその前提に置かれながら政治の安定というものに触れられ、その上で将来という組み立てをされたことに敬意を表したいと思いますし、その上で、我々は必ずこの一時期の厳しい改革のあらしをくぐり抜ける、その先に一人一人の国民が自分の夢に挑戦し、しかも成功するチャンスのある、そうした活力のある社会を持てることを私は心から信じ、努力をしてまいりたい、そのように思います。
  256. 北沢清功

    ○北沢委員 終わります。
  257. 松永光

    松永委員長 これにて北沢君の質疑は終了いたしました。  次に、堀込征雄君。
  258. 堀込征雄

    堀込委員 私は、本日の集中審議は、政治倫理の問題を中心に、総理並びに関係大臣にお伺いをしてまいりたいと思います。  けさほど来、田中先生、山花先生からいろいろな議論がなされておりますし、総理からの御答弁もございました。やや重複する場面があるかもしれませんが、御容赦をいただきながら、お願いをしたいと思います。  言うまでもなく、ここ二、三年、政治腐敗事件が相変わらず続いておるわけでありまして、しかも、政治と業界と官僚が絡んだ幾つかの事件が次々と相次いで起こっているわけであります。  イ・アイ・イ・グループ、高橋治則氏と政治家との関係、あるいは厚生官僚による福祉施設をめぐる汚職事件、オレンジ共済事件、あるいは通産官僚が絡んだ泉井事件、いろいろな事件が相次いで連続して起きておるわけでありまして、私ども、先ほど来総理が明らかにしているとおり、二十一世紀の新しいシステムをつくり出すために大きな変革期にあるときに、こういう連続した事件を断ち切って新しい政治のシステムをつくり出していかなければならない、こういう局面に立っているだろうというふうに思うわけであります。  そういう意味でも、いわゆる政官業と言われる結びつきをどう断ち切っていくか、その決意、そしてその実行、どうやるかということがまさに今問われているのではないか、こういうふうに思うわけであります。  最初に総理に総論的にお伺いをしたいわけでありますが、六つの改革ということで大変御苦労をいただいております。しかも、行政改革は大事な局面に立っているわけであります。しかし、報道関係によれば、官の抵抗だとかいわゆる族議員の抵抗だとかいろいろなことを言われておるわけでありまして、先行きが懸念をされているわけであります。  私は、いわゆる族議員と言われるそういう呼び方はともかくとして、専門的な知識を有し、いろいろな場面で活躍をされる、その知識を活用されるということはむしろ必要なことだというふうに思っておりますし、問題は、問われるべきは、その族議員と言われる人たちに国家国民の利益よりも業界の利益を代表するような言動があった場合に、やはりその責は厳しく問われるべきではないか、こういうふうに思っているわけであります。  私、実は、先ほど来申し上げております政官業の結びつきの話でありますが、最近自治省の政治資金団体の収支報告書をちょっと見てまいったわけでありますが、例えば、通称建設族と言われるような人たちは、建設業界、ゼネコンからの献金が結構多い。あるいは、厚生族と言われる人たちは、やはり医療あるいは薬の業界からの献金が結構多い。  別にこれは違法な献金ではないわけですからそれはそれでいいわけでありますが、ただ、今大きな歴史の曲がり角で六つの改革をやろうとしている、そういうときに、政官業の結びつきみたいなそういう腐敗とスキャンダルを繰り返してきた歴史にピリオドを打って、新しい二十一世紀の姿を示していくときだよ、そういうときには、やはりある程度、そういう今までの姿と変わった政治献金の世界、政官業の世界をつくり出していく決意も必要なのではないか、こういうふうに思うわけであります。  総理、六つの改革で大変御苦労をいただいておることは承知をしておりますが、あわせて、この改革に、そうした今までの、この五十年間続いたと申しましょうか、政官業のトライアングルと言われるような構造を正すこともこの六つの改革の中の大きな目標一つであるということを、やはり総理の口から高らかに宣言されるべきではないかということを一つは申し上げたいわけでありまして、総理の御見解をお聞かせいただきたいというのが一つです。  二つ目に、こういう大きな変革でありますから、できればそのためにも、大臣、政務次官、できれば党幹部もあればいいんですけれども、少なくもこの改革期間中、その在任中は、その省庁の管轄する業界から政治家個人の資金管理団体への献金を自粛するとか、今、報酬一〇%を返上してまで改革をなし遂げようとされているわけでありますから、そうしたこともやはり必要なのではないか、こういうふうに思うわけでありますが、総理見解をお伺いしたいと思います。
  259. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、議員の御提案の中に、非常にうなずける、ある意味では同感をする部分と、全くちょっと考え方が違うという思いで拝聴した部分と、双方がございました。  そして、私は現在、六つの改革というものに取り組み、マスコミの皆さんはその中で行政改革に大変中心的な関心を持っていただいていますし、海外の市場関係者は金融システム改革に非常に関心がいきますし、それぞれ見る方々によって角度は違います。  しかし、ある意味では、もし議員が立論をされましたような政官業のトライアングル、癒着の構造と言われるようなものに引きずられるとすれば、そもそもこんな無謀なことに取り組もうとは私は思わなかったでありましょう。そして、例えば薬価差益を医療機関経営の安定の柱とする現在の医療保険制度から、薬価差益に依存せずに済む医療保険の仕組みを模索するなどという冒険に手を出さなかったでありましょう。  しかし、今この国は、それぞれのシステムを本当に変えなければいけないときに来ているのです。そして私は変えようと、非力ではありますし欠点だらけですけれども、自分なりに一生懸命に取り組んでまいりました。もし、御心配のような政官業のトライアングルというものに足をとられておりますなら、これはどれも提起すること自体が無理だったテーマであります。構造改革は、規制緩和やなんかは一部はできたかもしれません。しかし、それ以外のものは恐らく取り組みは無理でありました。しかし、私はこれに取り組みたいと考えておりますし、また現に取り組んでおりますし、全力を挙げて努力をしてまいりたいと思います。  一方、その間、政治資金管理団体への政治献金を全部自粛しろと言われました。  前にも本院の答弁で申し上げたことがございますが、私は、二度目の選挙の資金とそして相続税を、父の残しました土地つきの家を売り払ってつくり、その差額でマンションを取得し、現在もそのマンションに居住いたしております。それほど資産家では残念ながらありませんし、親が残してくれた企業が存在するわけでもありません。私は、まさに皆さんの、政治資金を提供していただいた方々の善意で今日まで政治活動を続けてまいりました。  これは、現在の政治資金規正法において、量的制限のほか、例えば国から補助金を受けている団体が寄附してはいけないという質的制限があり、知らずに私はそれにひっかかっておしかりを受けたこともございます。そうした自分の失敗をも正直に認めた上で、特定の分野を対象とした規制というものはないということを私は改めて申し上げたいと思います。  現在、与党三党の政治倫理等に関する三党確認の中で、政治資金規正法附則九条及び十条につき「その趣旨を確認し、平成七年一月施行後の実施状況を十分見極め、入念な検討を加え、今国会中の合意に努力する。 その際、わが国民主政治における政党及び政治家の政治活動のあり方を検討しつつ、国民の浄財である個人寄附の拡大など政治資金について、諸外国の政治資金制度などを参考に、具体的な方途を講ずる。」これは、三党首の論議を受けて、その上でスタートをさせるときの文章であります。これに沿っての検討を進めているさなかでございます。
  260. 堀込征雄

    堀込委員 私、別に、総理個人の政治資金の問題あるいは総理の思いは、それはそれとして、この大きな改革は、総理のリーダーシップももちろん必要でありますが、閣僚はもちろん、それぞれの皆さんの協力が必要でありますから、そういう意味で、全体的な政治資金の自粛ということを一案として今申し上げたわけであります。  今ちょうど総理の口から薬価の話やらいろいろ出たんですけれども、まさに私はそうであろうと思うのです。総理自身もそういうことで、一方で献金を、あるいはそのことにとらわれずに厳しい行政も行ってきたということもあると思う。ただ、国民感情からしますと、九月から医療費が上がった、しかしいわゆる医療三団体からの多くの献金がなされているじゃないか、これはもう納得できないじゃないかという感情も国民感情としてはあるわけでありまして、やはりそういうことは一つ心の中に置きながらこの改革に対応すべきではないか、こういうふうに思います。  もう一つ、ただいま、総会屋への不正利益の提供問題、いろいろな議論になっておるわけであります。四大証券から続々逮捕者が出る。それから、最近は電機あるいは印刷関係とか、もうとめどもなく広がりを見せているという実態がございます。国会でも、一昨日、これに対する新しい法律を審議することになって、審議が始まった。総会屋対策の関係閣僚会議も開かれておるわけです。  そういう意味で、一方でそうなんですが、問題を起こした企業からやはりまだ、これは与党だけとは申しませんけれども、政治献金がどんどん入ってくる、あるいは受け入れているというような実態については、これは国民の目から見るとどうも納得できない面があるんじゃないか。総会屋への利益供与はやめなさい、しかし政治献金はよこしなさいみたいな話でいきますと、国民感情としてなかなか納得できない、こういう面があると思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  261. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、議員がそうした形で問題を提起された、そのお気持ちを全く理解しないのではありません。私は、確かに国民の中に、そういう思いのある、そういう部分があることを否定いたしません。その上で、私は、総会屋への利益提供というものは法によって許されていない行為、これは犯罪を構成する問題であるということを申し上げたいと思うんです。  むしろ私は本当に、こうしたことが初め出てきましたとき、その出てまいりました企業の経営者が辞任という手段で対応をしようとしましたときに、その辞任という手法で対応しようとすること自体を批判し、マスコミから多少からかわれるような記事が出されました。しかし、その後、事件は拡大の一途をたどり、辞任という手法でその場を糊塗しようとした方も含めて、現在、被疑者の立場にあります。  しかしそれでは、逆に言えば、こうした犯罪が行われていたことを皆知っていたんだろうか。知っていて政治献金を受けていたという状況と、全く知らず受けていたということとは、おのずから私は大きな違いがあると思います。  そしてその上で、私は、それぞれが良識を持って行動すべきこと、これは法律の条文を読み上げるのではなく感性の問題として議員も提起をされましたが、私も感性の問題として、これは個々の政治家なりあるいは政党なりそれぞれの価値判断において、法の許す範囲において対応すべきこと、そのように思います。
  262. 堀込征雄

    堀込委員 法の話が出たので、私は、法の許す範囲という問題ではなくて、やはり、そういう事件が起きた、だから、この問題が解明するまで一年間ぐらいはこれからは自粛しようみたいな政治姿勢があってもいいのではないかということを指摘申し上げたわけであります。  そこで、今総理からもありましたが、政治資金をどこから受けても、どこから受けたかわからないから、つまり受けた方が適正に処理をされていれば問題がない、このことについて、ちょっと自治大臣に質問をさせていただきたいと思うわけであります。  つまり、政治資金収支報告書に適正に処理されていれば、ほぼ受けた側の問題は免罪されるという仕組みに実はなっているわけであります。ただ、政治資金規正法違反に対する罰則もありますし、適正な処理も要求していますし、高い政治倫理もこの法律は要求をしているわけであります。法律さえ処理すれば、じゃ、それですべて免罪されるのであろうかという問題であります。  例えば収支報告書、さっきも議論になりました、三年間だけ二十条の二で保存義務が付されている。そこで、ちょっと誤りがあると修正報告というのをやることになるわけでありまして、加藤幹事長もありましたし、今総理の口からもありましたし、総理の政治団体ほかもう何人かの皆さんが修正報告をされているわけであります。  そのことはそれでいいんですが、要するに、仮に違法献金があった場合、後で修正すればよいという、これは法律のそういう仕組みになっているのかどうか。例えば三年さきのものでも、修正さえすれば、自治省としてはそれを了とするのか。そのときの、政治資金規正法には罰則がございますが、そのこととの関連は、そこのところはどうなるんでしょうか。
  263. 上杉光弘

    ○上杉国務大臣 お答えいたします。  政治資金の収支報告書の保存期間は三年間でございまして、その三年間における修正というか訂正をすることは可能でございます。しかし、報告書の修正というか訂正をしたからといって、その違反の事実関係は変わらないものと考えております。  ただし、当初、収支報告書に記載すべき事項を記載せず、提出したが、後で加筆修正した場合などは、当初において故意または重大な過失がない場合は、これは罰則の対象とはならないものと考えております。  なお、政治資金規正法上、自治省としては具体的な事実関係についての実質的な調査権を有しておりませんので、この事実関係を調査することはできないことを御理解いただきたいと思います。
  264. 堀込征雄

    堀込委員 わかりました。つまり、自治省としては、修正報告はあれば受けざるを得ない、しかし、政治資金規正法上の違法性というのは阻却されるものではないのだろうという答弁でございましたから、それはいいんです。  そこで、ちょっと法務省、いらっしゃるでしょうか。  七六年に三重県警が補助金関係で三重県の商工会連合会を摘発した例があるとお聞きしているのですが、このほか、近年、贈収賄とか選挙犯罪がかからない政治資金規正法違反の摘発例というのは、ここ二、三年ありますか。
  265. 原田明夫

    ○原田(明)政府委員 お答え申し上げます。  最近、平成四年から平成八年までの五年間について調べてまいりました。この間、起訴された人員の総数は八十六名に上っております。
  266. 堀込征雄

    堀込委員 わかりました。  そこで、きょうずっと質問がございました、いわゆる泉井事件についてであります。  自治大臣にちょっと伺っておきたいわけでありますが、いろいろな構造的な問題、あるいは、もう何人かの政治家の皆さんに渡したという文芸春秋や記者会見での、明らかになっておるわけであります。  時間がありませんので、九五年八月十二日、泉井さんが自民党山崎政調会長に一千万、加藤紘一氏に百万、小泉純一郎氏に百万円を渡した、合計千二百万、こうなっているわけでありますが、この一千二百万は、山崎さんは借りて返した、こう言っているのですけれども、いずれにしても、泉井さんの方から見ると、政治資金規正法の総量規制一千万を個人献金であれば超えている、もし泉井石油商会の団体献金であれば個別制限違反になる。こういうふうに私は思いますが、その解釈、自治大臣、よろしいでしょうか。
  267. 上杉光弘

    ○上杉国務大臣 お答えいたします。  自治省といたしましては、具体的な事実関係につきまして承知いたしておりませんし、また、この記事については読ませていただきましたが、この点について、立場上、答弁は差し控えさせていただきたい。  ただ、一般論として申し上げれば、個人が、政党、政治資金団体以外の政治団体、政治家に対して行う寄附の総額は年間一千万円以内、企業等の資金管理団体に対する寄附の総額は、資本金、構成員の数等に応じて年間三百七十五万円以内から五千万円以内とされておりますことは、もう御承知のとおりであります。  また、個人が一つの資金管理団体に対しまして寄附をいたします場合には年間百五十万円以内、また、企業等が一つの資金管理団体に対して寄附をする場合には年間五十万円以内となっておるわけでございまして、その点については御理解をいただきたい。
  268. 堀込征雄

    堀込委員 わかりました。  つまり、泉井さんの記者会見、文芸春秋の、九五年八月十二日の、しゃべっていることが事実だとすれば、明らかに、出した方のお金は政治資金規正法には違反する、こういうことになるわけであります。  時間がありませんので、そこで、九五年八月の、まあ違法献金ということになるのだろうと思いますが、その違法献金を受け取った山崎政調会長、加藤幹事長、小泉氏の方は、これは適正に処理している、こういうふうに言っているわけであります。ただ、参議院の審議なんかで明らかになっていることは、山崎さんの場合は、もらったけれども返した、こういうふうに言っているわけでありますが、収支報告書では借入金としての記載がない。  報告の記載漏れがあった場合は、政治資金規正法二十五条で、五年以内の禁錮もしくは罰金、こういうことになっているわけでありまして、私は、けさ以来の議論を聞いて、これがまさか生活資金として、個人資金として借りたんだということはないというふうに思いますので、ぜひこれは、出した方が政治資金規正法に違反している可能性が高い、事実だとすればそういうことだ、そして、受け取った方も記載漏れがある、こういうことでありますから、できるだけ早くこの国会で真実を明らかにすべきであろう、こういうふうに思うわけであります。  ぜひ委員長に、時間が来ましたから終わりますけれども、国会対策上のテクニックではなくして、我がこの院の任務として、国民の前に早期に明らかにするような措置をお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
  269. 松永光

    松永委員長 これにて堀込君の質疑は終了いたしました。  次に、平林鴻三君。
  270. 平林鴻三

    平林委員 政治倫理関係のことにつきまして、若干の質問を申し上げます。  まず、法務省の政府委員にお伺いをいたしますが、関西国際空港株式会社法に違反をして収賄の罪で起訴された、同社元会長服部経治被告のいわゆる罪状認否はどのような内容でありましたか。公式の公判記録がなければ、検察側が聞き取った内容がおおむねこうであったということでお答えをいただきたい。
  271. 原田明夫

    ○原田(明)政府委員 お答え申し上げます。  お尋ねの服部被告人は、関西国際空港株式会社法違反被告事件の公判におきまして、泉井被告人から金品供与や酒食の接待を受けた事実をおおむね認めているものの、それがわいろの趣旨であったことを否認しているものと承知しております。
  272. 平林鴻三

    平林委員 服部被告は運輸省に長く勤めておりましたから、例えばロッキード事件にかかわった運輸省関係者の運命なども熟知をしておったと思うのです。また、私は、実は彼とは旧知の間柄であります。私の知っておりました服部君は、気性は快活でありましたし、頭脳は明敏で、ナイスガイでありました。今の彼のことを思いますと、側隠の情を禁じ得ない、そのような気持ちでおります。  その旧知と申しますのは、昭和四十一年から二年にかけまして、服部君は運輸大臣の秘書官事務取扱でありましたし、私は自治省の大臣秘書官事務取扱でございました。毎日国会や官邸に出入りをいたしまして、この予算委員会の部屋でもすぐ近くに座っておったのであります。  当時は、黒い霧解散というような事件で象徴をされますように、スキャンダル続発の時期でございました。田中彰治自民党代議士、あるいは相沢重明社会党参議院議員、与野党ともに刑事事件で逮捕されるというような政治家が出た時期でございました。また、政治資金規正法の改正につきまして議論が沸騰をいたしておりました。当時、橋本総理は既に代議士として縦横の御活躍であったと存じますけれども、恐らくこの当時の御記憶はあろうかと思います。  今日の状況総理、黒い霧時代と比べてどうなんでしょうか。長年政治家として多くの事件を見てこられた総理は、政治家、官僚を含めまして公務員の倫理問題について、今日の状況をどのように認識しておられるか。  また、さきの通常国会の予算委員会でも、次官会議申し合わせでできました公務員倫理規程の制定など、議論があったと承知をいたしております。憲法第十五条第二項「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。」と規定をいたしております。この全体の奉仕者としての倫理が要求をされますが、その倫理の実践を総理はどのようにお求めになるかということをお尋ねしたいのであります。  さらに、最近、行政改革に関連をいたしまして、巷間、改革に協力した役人は出世させるというような話を聞きます。官僚個人の利益をえさにして行政改革に誘導しようというようなことをもし考えておるのであれば、これは、廉直な公務員なら耳をふさぎたくなるような話ではないかと私は思うのであります。  これらの点につきまして、総理の御所見をお願いいたします。
  273. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今、服部元運輸事務次官の話から始められましたが、私にとりましても、彼は運輸大臣在任中の官房長、事務次官であります。しかし、今被告という立場にあります限りにおいて、個人的な言葉は差し控えるべきであろうと存じます。  その上で、たまたま今、四十一年から四十二年、黒い霧解散というのを言われまして、私にとりましては、ちょうど二度目の選挙を迎えたのがこの黒い霧解散でありました。ただ、これはおよそ模範解答ではないと思いますけれども、そのころと今を比べましたときに、私は、政治家ももっと伸び伸びと、官僚の諸君ももっと伸び伸びと、双方が議論をし合ったという記憶がございます。時には相当激しい論争を行うことが何ら不思議ではございませんでした。  そして、その後、例えば公害国会と言われました国会、四十五年の臨時国会でありますが、私自身が当時関係した一人でありますけれども政府側も国会側も多発する公害に追われ、それぞれが問題の焦点をどこに置いてとらえていいかわからないままに、このときも相当手荒な論争があったことを記憶いたしております。ただ、双方ともに、これを何とか解決しなければという気持ちで議論をいたしておりましたから、時に、むしろ政府委員を抑えて説明員が特別委員会で答弁をする、それに対して議員側からその不遜さを注意されるといったような光景も含めまして、私は、もっと伸び伸びとした論議が行われていたような気がいたします。  いつごろからそうしたものがだんだん薄らいでいったのか。ある意味では、それは、混乱の時代からルールというものが次第に確立をしていく、そのプロセスであったのかなとも今思いますが、ある意味では、当時の相当乱暴な議論というのも時には必要なのではないかという感じもないではありません。  そして、そういう中で、その黒い霧事件も含めまして、さまざまな場面を通じて、政治資金規正法あるいは公職選挙法を初めとした制度改革がなされてきたというのが、今日につながる一連の流れだったのではないでしょうか。そして、ある意味では、選挙制度の改正というものもそうした全体の流れの中に入って行われ、その選挙の洗礼を経て我々が当選をさせていただいた、そのような流れになるのではないかと今思っております。  その上で、行政改革に関連をいたしまして、議員から、公務員の倫理について現状をどう思うかということとあわせて、大変重要な問題のお話がありましたので、この点については少しきちんと申し上げたいと思うのでありますが、個人の利益をえさに改革を進めるという御理解でありましたなら、これは総務庁長官の発言を全く誤解されたことでありまして、ぜひこの点は認識を変えていただきたいと思うのであります。  むしろ、過去さまざまな時点におきまして、例えば地方支分部局の整理統合でありますとか一局削減でありますとかいう時点で、それぞれの省庁にあって、そのために努力をした職員は、必ずしもその後のコース、恵まれなかったというのが事実であります。  土光臨調がスタートをいたしましたとき、各省庁から、非常に元気いっぱいの諸君が民間とあわせてここに参加をいたしました。そして彼らは、土光さんの意気込みに本当にほれ込み、自分の出身省庁を相手に回して、随分激しい論争をいたしました。必ずしも、その後彼ら自身が、自分たちがそのとき払った汗が報いられたとは受けとめておりません。  そのようなことがあってはならないということが、小里総務庁長官が先日力説をされたことであります。そして、自分の仕事を守るために行政改革のブレーキになるのではなく、むしろ積極的に、改革を進めるために汗をかいてほしいということを長官は力説されました。  これは、私自身、閣僚懇談会の場におりましたので、正確な事実をお伝え申し上げ、改革に協力することをいわば個人のえさとしてというような思いで総務庁長官が述べられたものではないことだけは、ぜひ御理解をいただきたいと思うのであります。むしろ、現在の行政改革を必要とする状況を彼ら自身が認識し、そのために努力をしてほしいという願いを込めたものでありました。
  274. 平林鴻三

    平林委員 総理からお話を伺いまして、特に総務庁長官の御発言であったようでありますが、行政改革に協力した者は出世させるというようなことは、私の聞き違い、誤解であったように思います。その点、私も了解をいたしました。  総理、外交日程もおありのようでございますから、御退席いただいて結構であります。  そこで、委員長に、この予算委員会の運営につきまして、大変失礼でございますけれども、質問をお許しいただきたいと思います。  この委員会に泉井純一被告を証人として喚問するという話がございますが、これは、予算委員会として決定をいたしておることでございましょうか。
  275. 松永光

    松永委員長 委員会の決定はまだありませんが、理事会において協議がなされまして、自民党側は当初、今国会中に喚問してはどうだという主張、新進党を中心にして、喚問の時期は十月中にやるべきだという主張があり、対立しておりましたが、私が引き取りまして、十一月末までに喚問が実現されるよう最大限の努力をするということで理事会の協議はまとまっておるわけであります。
  276. 平林鴻三

    平林委員 もう一つお尋ねを許していただきたいのでありますが、本委員会は、前国会から継続をしてオレンジ共済事件の解明を行うと聞いておりました。これは間違いございませんでしょうか。  実は、前国会の本委員会の記録を拝見いたしますと、自民、新進、民主、共産、社民、太陽、各党から証人喚問の要求が出ております。しからば、刑事被告人で公判中の人物はともかくとして、初村謙一郎前代議士その他を証人として喚問することは、いつでもできるのではないかと思うのであります。この件も引き続き協議中でございますか。あるいはまた、この件は取りやめになさったのでございましょうか。
  277. 松永光

    松永委員長 それは、前国会の予算委員会で相当議論がなされたそうでありますが、理事会での協議がまとまらずに、何といいますか、今国会に引き継がれておるというふうに私は理解しております。  そして、今国会の十月一日の理事会であったと思いますが、自民党側は、初村謙一郎氏の証人喚問については、前国会で議論をして今国会に引き継がれておるものだという認識の主張があり、新進党の方では、もうオレンジ問題は関係者については済んでおり、泉井氏と同一に論ずるわけにはいかないだろうと。いずれにしろ、引き続き検討はしたい、そういうやりとりが理事会でありました。
  278. 平林鴻三

    平林委員 ありがとうございました。  まことに僣越なことでございますが、お許しをいただきまして委員長にお願いをいたしたいのでありますが、事件続発の折からであるとは申しながら、以前から継続をいたしております問題の処理を中断して、新しく出てまいりました問題を前後逆にしてお取り上げになるというのは、いささか疑問なしとしないのであります。  私は、この委員会には委員差しかえで質問をいたしておりますので、当委員会の運営に口を差し挟むというようなことはいたす気は毛頭ございませんけれども、どうか、順を追って審議をするという意味で、オレンジ事件の解明にも当たっていただきたい、そう思います。これは要望でございますので、委員長お答えを求めるものではございません。  次に、保釈の問題について伺いたい。法務省の政府委員で結構であります。  許永中という人物が保釈中に韓国に出国して、その地で行方不明になって公判も欠席したという話を聞いております。これが事実であれば、検察庁も裁判所も責任があると思います。それはともかく、泉井純一被告は保釈中の身であると思います。  そこで、法律上、保釈取り消しの理由となる行為というのは、どのようなものがありますか。
  279. 原田明夫

    ○原田(明)政府委員 答弁申し上げます。  保釈の取り消しにつきましては、刑事訴訟法第九十六条に定められております。  同条一項によりますと、被告人が、召喚を受けて正当な理由がなく裁判に出頭しないとき、それから、逃亡しまたは逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき、罪証を隠滅しまたは罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者もしくはその親族の身体もしくは財産に害を加えもしくは加えようとし、またはこれらの者を畏怖させる行為をしたとき、また、住居の制限その他裁判所の定めた条件に違反したときには、裁判所は、検察官の請求または職権によりまして保釈を取り消すことができることとされております。  以上でございます。
  280. 平林鴻三

    平林委員 実は、その泉井純一被告は、文芸春秋の十一月号に長文の寄稿をいたしております。私は、この質問で裁判に影響を与えるような気持ちは毛頭ございませんし、ただいま伺いまして、保釈を取り消す法的事由に該当するとも思いませんけれども、保釈中の人物がどういう意図で雑誌にセンセーショナルな見出しの記事を書くのか、本人の気持ちが脇に落ちないのであります。記事を読んでみましても、この人の商売、どうも私にはよくわかりません。さまざまな人を接待する行動も普通の人と違うように思います。  そこで、このような不審な人物、しかも刑事被告人として公判中の人を本院の証人として来てもらって、果たして十分な事件の解明ができるのだろうかなと思います。これは、本委員会が既に御決定になっておることのようでございますが、委員会理事諸公も交えましてさらなる御検討を願ったらどうか、これもお願いでございますから、お聞き取りをいただくだけで結構であります。  そこで、話をもとに戻しますが、この服部被告の公判で、元大蔵省主計局総務課長、この人物が同席をして接待をしたというようなことを泉井純一被告が証人として述べた、こういう話が新聞に出ておりましたが、法務省政府委員、そのようなことがあったかどうか伺いたい。
  281. 原田明夫

    ○原田(明)政府委員 公判におきまして、委員指摘のような、おおむねそのような趣旨の証言があったものと承知しております。
  282. 平林鴻三

    平林委員 実は私、奇妙なことであると思うのですけれども、この大蔵省主計局総務課長という当時の人物でありますけれども、たしか、先年、東京で二つの信用組合のむちゃくちゃな貸し付けで事件がありまして、背任事件で公判になっておると思いますけれども、この東京の二信組の事件の高橋被告の公判というのは、現在どのような進行状況になっておりますか。これも法務省から伺いたい。
  283. 原田明夫

    ○原田(明)政府委員 お答え申し上げます。  お尋ねのいわゆる二信組事件におきましては、高橋被告は、平成七年七月から十二月までの間に、合計五件の背任罪により東京地方裁判所に起訴されたものでございますが、その公判の状況につきましては、平成七年十一月六日に第一回公判が開かれて以降、現在までに五十七回の公判が開かれており、なお係属中であると承知しております。
  284. 平林鴻三

    平林委員 実は、私は余りかようなことにはむしろ迂遠な方でありまして、なかなかよくわからない人間でありますけれども、高橋被告のこの大蔵省官僚との交友や、あるいは山口敏夫前代議士との関係が当事私の耳にも入っておりました。泉井証言に出てきました元大蔵省主計局の総務課長、これも高橋被告と交友があったように私はその当時のうわさを覚えております。今申し上げました、当時新進党幹事長代理でありました山口敏夫前代議士は、この事件で背任罪に問われて、現在被告人の一人になっております。  そこで、ただいま大蔵省主計局総務課長なる人物のお話を申し上げましたけれども、大阪で起こりました泉井純一被告、それから東京で起こりました高橋治則被告、この両名の行動にはどうも類似点がありまして、高級官僚をやたらに接待する。この両被告は無関係なのかどうなのか。  どうも、泉井被告の証言をたどっていきますと、二つの信用組合の例の事件にまた火がつくのではないか。もちろん、私の記憶もあいまいでありますし、確たる事実をつかんでおるものではありませんけれども、前の二信組の事件というのには山口敏夫前代議士も被告になっておるというようなことでありまして、ほかの代議士の、あるいは政治家の名前も、その当時、この二信組事件でちらほらしておったように思うのであります。  もちろん、この泉井事件と二信組事件は、場所も違います、日時も登場人物も容疑事実も全く異なりますが、一つの事件の解明に当たりまして他の事件に新たな事実が発見されたということになれば、これは法務大臣にお伺いしたいのでありますけれども、既に捜査を終了して起訴、公判に入っております事件でも再捜査に取りかかるということがあるかもしれぬと思うのであります。  法務大臣は、長年、この司法警察の面におきましても責任ある地位を務められた方でありますが、再捜査があり得るものかどうかということにつきまして所見をお聞かせいただきたい。
  285. 下稲葉耕吉

    ○下稲葉国務大臣 お答えいたします。  お尋ねは、一定の状況を想定されました上で、捜査をするのかどうかという御質問だろうと思うのでございますが、どのような事項について捜査をするかしないかということにつきましては、検察、場合によっては警察当局において判断すべき事柄でございまして、法務大臣としては、そのような具体的な問題については答弁を差し控えさせていただきたいと思います。  いつも申し上げることでございますが、一般論として申し上げますならば、それは、検察当局においては、刑事事件として取り上げるべきものがあるということになれば適正に処置するもの、このように思います。
  286. 平林鴻三

    平林委員 この事件につきましてはこの程度にさせていただきます。  次は、厚生省政府委員が来ておると思いますが、大阪市の安田病院、院長安田基隆、この安田病院の事件に関連をいたしまして、安田記念医学財団というところから顧問を委嘱された政治家の名前が新聞に出たことがございます。地方紙でありますが、大阪新聞の八月八日の記事を私も見ました。安田記念医学財団というのは厚生省所管の財団法人であると聞いておりますけれども、厚生省はこの記事を読んでおりますでしょうか。  また、監督上必要な検査というのが、公益法人ではありますけれども、行われるように思います。検査などはきちんとしておられたのかということを伺いたい。
  287. 小林秀資

    小林政府委員 お答えをいたします。  まず、八月四日の大阪新聞の記事は承知をいたしておりません。  ただ、財団法人安田記念医学財団は、厚生省の認可法人で現在ございます。ここの顧問として国会議員の方が入っていらしたことは承知をいたしておりますが、現在は辞任されたものと聞いておるところでございます。  次に、この財団は、大阪府が昭和六十三年十月に認可した法人が、途中から、事業を拡大したいということで、平成四年十二月に厚生省の方の認可になりました。そして、平成六年度、八年度に立入検査を実施し、必要な指導を行ってきたところでございます。なお、検査の結果、特に問題となる事項は見当たりませんでした。
  288. 平林鴻三

    平林委員 厚生省の説明によりますと、政治家の顧問は、就任していたことを承知していたが、いずれも辞任をしておる、こういうお話でありました。それでよかったと私も思います。  実は、国会法に基づきまして本院の議決により定めた政治倫理綱領と行為規範、これには、議員は、報酬、ただし括弧書きがありまして、「(自の事業に係るもの及び金額が年間百万円以下のものを除く。)」報酬を得ている企業または団体の名称、役員等を議長に届け出なければならないとされております。  議員はもちろんこの定めに従っていると信じたいのでありますけれども、我々も往々にして、不注意によってあるいは他人の口車に乗せられたりいたしまして、世人の批判を受けるような役職を引き受けることがございます。李下に冠を正さず、瓜田にくつを入れずということでありまして、あらぬ疑いをかけられることのないようにお互い自重自戒したいものと思います。  私、委員会、国会の運営におきまして、これは全く私見ではありますけれども、本院議員の倫理問題は、予算委員会等の証人として解明に応ずるということももちろんありますし、必要な場合もあろうと思いますけれども、むしろ、本院の政治倫理審査会において解明する方法が決められておるわけでございますから、審査会の活用も考慮すべきではないかと、この安田病院の事件にかんがみまして思ったことでございました。  道徳教育のことにつきまして、文部大臣にお伺いをいたしたい。これは、政治倫理どころではない、我が国の国民全体にかかわる問題だと思いますので、この際お伺いしたいのであります。  戦後、修身というのは廃止になりました。倫理、道徳の教育は一時全く無視をされておりました。私ども昭和一けた生まれの人間は、戦前の修身教育は受けましたが、戦後の混乱、窮乏の中におきまして、生き抜くためには道徳どころか、飢えて死ぬかもしれないのに法律なんか守っておれるか、そう思いながら暮らしてきた経験がございます。  今思い出しますのは、吉田内閣時代、昭和二十五、六年ごろでありましょう、天野貞祐文部大臣が国民実践要領を提案しました。これは猛烈な反対を受けた、このことを思い出します。さらには、先ほど述べました佐藤内閣時代、中央教育審議会が、昭和四十一年だったと思いますけれども、「期待される人間像」というものを作成、発表いたしました。これまたいろいろな批判があって、たなざらしになってしまった、そういうことも思い出すのであります。  その後、漸次、道徳教育の位置づけが行われてきたように思いますが、しかし、学校教育の現実を見ますと、道徳教育は全く片隅に追いやられて、惨めな状態になっておるのではないか、そう思うのであります。  私は、六十四年生きてまいりまして、修身の教科書で道徳が身につくとは実は思っておりませんが、しかし、そうかといって、だれも道徳を教えてくれない世の中というのは、これはあろうはずがございませんで、学齢期、学校に行っておるような年ごろのさまざまな学問やら生活経験によって、道徳観念や倫理観が身につくものだろうと思っております。  今日の暴力団、総会屋、汚職その他の事件に省みまして、実は我々昭和一けたの生まれの人間は失敗を悔いております。なるほど、科学技術やあるいは物質、金銭、長生きというような面では成功いたしましたけれども、肝心の倫理、道徳という面では大失敗をしたと思います。この失敗は後々の世代まで尾を引くというものでありますから、後悔先に立たずという感を深くしております。  ちょうどその一回り若い昭和二けた生まれの町村文部大臣にお願いをしたいわけであります。我々の失敗、後悔、これを受けとめて、一歩でも二歩でも肝心の倫理、道徳の向上に向けて前進を図っていただきたいものだ。どうか所見をお伺いしたい。
  289. 町村信孝

    ○町村国務大臣 大変大切なポイントを、平林先生、今御指摘をいただいたと思っております。  今御指摘のとおり、道徳教育、戦後の一時期はとりたてたそういう時間をつくらずにやってまいりましたが、先ほどもお話しのとおり、昭和三十三年以降は、道徳の時間というのを週に一単位時間、四十五分とか五十分とかを設けまして、ずっと今日に至るまで学校の中での道徳の時間というのをやってきたわけであります。  昭和三十三年と申しますと、ちょうど私が……(発言する者あり)いや、もうさすがに生まれておりまして、中学の二年生のころでございましょうか、一年生のころでございましょうか。したがって、私も中学生のときにこの道徳の時間というのを受けたことがあるのでありますが、不幸なことに、どういうことを習ったか全く記憶にございません。  実は、現在学校では、基本的な人間として持つべき倫理観とか、善悪の判断とか、あるいは国を思う心、世界の中で生きていく日本人としての自覚、こうしたものを大切な要素として、学校においてその指導に取り組んでおります。また、そういう学校の取り組みを文部省もバックアップするために、適当な立派な教材をつくったり、教員に対する研修を実施したりということで、施策の推進に努めてはおります。  ただ、率直な反省を先ほど平林委員もお話しになられましたけれども、私どもも、道徳教育をめぐって、特にどんどん価値観も多様化してくる、そういう中で、実際教えるということの難しさ、一足す一が二であるといったように教えることのできない難しさというものもあったと思いますし、かてて加えまして、率直に申し上げまして、一部の職員団体ではこの道徳の時間というものを積極的に活用しようという姿勢もなかったという実情もやはりあったのではないだろうか、私はこんなふうに思っておりまして、率直に申し上げまして、十分な成果を上げてくることができなかったのがこの道徳の時間、そういう意味で平林委員の御指摘のとおりであろう、こう思っております。  そこで、先般の大変悲惨な事件、神戸の事件があったり、心の教育という、言葉は大変いいのでありますが、率直に言って、まだ中身が伴っていないこともありまして、今中央教育審議会で御審議をいただいたりしておりますけれども、やはり学校全体として、この問題は大切だ、先生方一人  一人も、これは大切な問題なんだ、もちろん父兄、保護者も大切だ、社会全体も大切だということでこれに取り組んでいってもらいたいし、そのための努力をしていきたい。  ちょうど今、教育課程審議会で、次の学習指導要領をどのようにつくるかということを議論いたしております。そして、その中で、実は完全五日制ということを二〇〇三年から実行するために、どうしても全体の授業時間を週に二単位時間ぐらい圧縮しなければいけないということもございまして、先般、私どもの同僚議員から数学の時間だけは絶対減らしちゃだめだぞという強い御指摘もいただきましたが、すべての時間、国語の先生方、理科の先生方、もうすべての先生方から、この時間は削っちゃだめだぞという御指摘をいただいておりまして、非常に実は悩んでいるところなんであります。  私どもとしては、その中にあっても、この道徳の時間だけは削ることがないようにやっていきたいし、また、さらなるよりよい教材の開発、充実、こうしたようなことを通じまして道徳教育の時間とその内容の充実に一生懸命取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
  290. 平林鴻三

    平林委員 町村文部大臣の今後の御努力を切にお願いいたしたいと存じます。  実は、用意いたしました質問は以上でありまして、あとは、大変恐縮ではありますが、許された時間内に私の心境を申し述べまして、委員各位の御参考に供したいと思います。  この泉井被告が寄稿した文芸春秋には、かつて田中美知太郎さんという方が巻頭随筆を連載しておられた。この田中氏が、今から十四年前の産経新聞に「政治家に問う、倫理とは何か」と題して書いておられます。これは、きょう持ってきましたけれども、「今日の政治的関心」という、これも文芸春秋社から出ております単行本に載っております。  ほんの一部を引用いたしますが、   いま一部で持ち出されている「倫理」は、単なる政治上の攻撃手段に用いられているだけで、むしろ倫理とは逆のもの、その声が大なれば大なるだけ、程度はますます低下していくものではないかと思う。倫理は何よりも自分自身にかかわるものであって、他人を非難攻撃するためにあるのではない。   まず、この一点に気づくことが倫理第一課である。そして政治家の責任がきびしく問われなければならない倫理としては、医者が患者の生命を親切に見守り、患者のためによいもの、悪いものを判別して、時には患者の欲求にそむいてもきびしく処置しなければならないことがあるように、政治家もまた国事を第一義とし、国民の将来を考え、どれだけのことをしたか、という一点で、責任を問われるべきであろう。この文章を私はさらに味読いたしたいと思っております。これが私の所感でございます。  以上で質問を終わります。
  291. 松永光

    松永委員長 これにて平林君の質疑は終了いたしました。  次回は、来る十一月四日午前九時より委員会を開会し、引き続き集中審議を行います。  本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十七分散会