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1997-12-04 第141回国会 衆議院 本会議 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十二月四日(木曜日)     —————————————  議事日程 第十号   平成九年十二月四日     午後零時三十分開議  第一 外国等による本邦外航船舶運航事業者に     対する不利益取扱いに対する特別措置     に関する法律の一部を改正する法律案     (運輸委員長提出)  第二 日本放送協会平成六年度財産目録貸借     対照表及び損益計算書  第三 日本放送協会平成七年度財産目録貸借     対照表及び損益計算書  第四 平成十七年に開催される国際博覧会の準     備及び運営のために必要な特別措置に関     する法律案内閣提出参議院送付)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  日程第一 外国等による本邦外航船舶運航事業   者に対する不利益取扱いに対する特別措置   に関する法律の一部を改正する法律案運輸   委員長提出)  日程第二 日本放送協会平成六年度財産目録、   貸借対照表及び損益計算書  日程第三 日本放送協会平成七年度財産目録、   貸借対照表及び損益計算書  日程第四 平成十七年に開催される国際博覧会   の準備及び運営のために必要な特別措置に関   する法律案内閣提出参議院送付)  村岡外務大臣臨時代理APEC非公式首脳会   議及び閣僚会議に関する報告及び質疑     午後零時三十四分開議
  2. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 日程第一は、委員長提出の議案でありますから、委員会審査を省略するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。     —————————————  日程第一 外国等による本邦外航船舶運航事業者に対する不利益取扱いに対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案運輸委員長提出
  5. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 日程第一、外国等による本邦外航船舶運航事業者に対する不利益取扱いに対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  委員長趣旨弁明を許します。運輸委員長大野功統君。     —————————————  外国等による本邦外航船舶運航事業者に対する不利益取扱いに対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案     〔本号末尾掲載〕     —————————————     〔大野功統登壇
  6. 大野功統

    大野功統君 ただいま議題となりました外国等による本邦外航船舶運航事業者に対する不利益取扱いに対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案趣旨及びその内容を御説明申し上げます。  本案は、昨三日の運輸委員会におきまして、全会一致をもってこれを成案とし、委員会提出法律案とすることに決したものであります。  平成八年十一月、米国連邦海事委員会は、我が国港湾労使慣行である事前協議制改善等を求めて、何のとがもない我が国海運企業に対して、米国の港へ寄港するごとに課徴金を課することとする内容日米友好通商航海条約に違反する  一方的な制裁措置提案し、平成九年十月には、日米政府間で事前協議制改善等について実質合意したにもかかわらず、当該制裁実施した上、いまだその撤回を行っておりません。  一方、外航海運分野においては、WTOのような国際的機関による紛争処理の仕組みが確立していないことから、かかる事態において我が国が対等な立場交渉を行うことが困難な状況となっております。  本案は、かかる現状にかんがみ、外国等本邦外航船舶運航事業者に対し不当に差別的な負担金納付を義務づける等の一方的な制裁措置を講ずる場合において、一定の対抗措置を講ずることを可能とすることにより、今回の米国連邦海事委員会実施したような一方的かつ不当な制裁措置の発動を牽制し、交渉における我が国の対等な立場の確保を図ろうとするもので、その主な内容は次のとおりであります。  第一に、運輸大臣は、外国等本邦外航船舶運航事業者に対する不当に差別的な負担金納付の義務づけ、もしくは本邦外航船舶運航事業者の使用する船舶外国の港への入出港の制限等措置実施し、または決定する場合において、当該措置により生ずる事態に緊急に対処する必要がある と認めるときは、当該外国外航船舶運航事業者に対し、期間を定めて、対抗措置を命ずることがある旨を通告することができることとしております。  第二に、運輸大臣は、当該期間経過してもなおその事態が消滅していないと認めるときは、当該外国外航船舶運航事業者に対し、対抗措置として、本邦の港への入港の制限等措置を命ずることができることとしております。  第三に、運輸大臣は、外国等本邦外航船舶運航事業者に対し不当に差別的な負担金納付を義務づける措置実施し、または決定する場合において、当該外国外航船舶運航事業者に対し、当該負担金に相当する金額の国庫への納付を通告することができること、また、その納付をした当該外航船舶運航事業者に対しては対抗措置を命じないこととしております。  その他所要の規定整備を行うこととしております。  以上が本案趣旨及びその内容であります。  何とぞ、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。(拍手)     —————————————
  7. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。      ————◇—————  日程第二 日本放送協会平成六年度財産目録貸借対照表及び損益計算書  日程第三 日本放送協会平成七年度財産目録貸借対照表及び損益計算書
  9. 伊藤宗一郎

  10. 坂上富男

    坂上富男君 ただいま議題となりました両件について、逓信委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  両件は、放送法第四十条第三項の規定に基づき、会計検査院検査を経て内閣より提出された平成六年度及び平成七年度の日本放送協会決算であります。  まず、平成六年度決算について申し上げます。  財産目録及び貸借対照表によりますと、一般勘定資産総額は五千七百二十一億九千万円、これに対し、負債総額は二千二百六十三億円、資本総額は三千四百五十八億九千万円で、資本内訳は、資本二千七百四十億一千万円、積立金五百六十六億一千万円、当期事業収支差金百五十二億七千万円であります。  損益計算書によりますと、一般勘定における経常事業収入は五千六百八十一億五千万円、経常事業支出は五千五百二十八億三千万円であり、差し引き経常事業収支差金は百五十三億二千万円となっております。これに経常事業外収支差金等を加えた当期事業収支差金は百五十二億七千万円となっております。  次に、平成七年度決算について申し上げます。  財産目録及び貸借対照表によりますと、一般勘定資産総額は五千九百三十一億五千万円、これに対し、負債総額は二千四百四十二億六千万円、資本総額は三千四百八十八億九千万円で、資本内訳は、資本二千八百八十六億円、積立金五百七十二億九千万円、当期事業収支差金三十億円であります。  損益計算書によりますと、一般勘定における経常事業収入は五千七百八十三億八千万円、経常事業支出は五千七百二十六億四千万円であり、差し引き経常事業収支差金は五十七億四千万円となっております。これに経常事業外収支差金等を加えた当期事業収支差金は三十億円となっております。  両件につきましては、検査の結果、記述すべき意見はないとの会計検査院検査結果がそれぞれ添付されております。  本委員会におきましては、昨三日、両件につきまして、自見郵政大臣海老沢日本放送協会会長及び牛嶋会計検査院第四局長からそれぞれ説明を聴取した後、質疑を行い、同日質疑を終了し、採決の結果、両件とも全会一致をもっていずれも異議がないとの議決をした次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  11. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 両件を一括して採決いたします。  両件の委員長報告はいずれも異議がないと決したものであります。両件は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、両件とも委員長報告のとおり議決いたしました。      ————◇—————  日程第四 平成十七年に開催される国際博覧会の準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律案内閣提出参議院送付
  13. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 日程第四、平成十七年に開催される国際博覧会の準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律案議題といたします。  委員長報告を求めます。商工委員長斉藤斗志二君。     —————————————  平成十七年に開催される国際博覧会の準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律案及び同報告書     〔本号末尾掲載〕     —————————————     〔斉藤斗志二君登壇
  14. 斉藤斗志二

    斉藤斗志二君 ただいま議題となりました法律案につきまして、商工委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  本案は、平成十七年に愛知県で開催される国際博覧会の円滑な準備及び運営に資するため、国等 において特別の措置を講じようとするものであります。  その主な内容は、  第一に、国は、博覧会協会に対し、博覧会の準備及び運営に要する経費について、予算の範囲内においてその一部を補助することができるものとすること、  第二に、郵政省は、博覧会協会が調達する博覧会の準備及び運営に必要な資金に充てることを寄附目的として、寄附金つき郵便はがき等を発行することができるものとすること、  第三に、国家公務員等博覧会協会に出向した場合における共済組合組合員資格等について必要な特例を設けることなどであります。  本案は、去る十一月七日参議院より送付され、同月二十六日当委員会に付託され、二十八日堀内通商産業大臣から提案理由説明を聴取し、昨十二月三日に質疑を行った後、討論を行い、採決の結果、多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決いたしました。  なお、本案に対し、附帯決議が付されました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  15. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 採決いたします。  本案委員長報告は可決であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  16. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  国務大臣発言APEC非公式首脳会議及   び閣僚会議に関する報告
  17. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 外務大臣臨時代理から、APEC非公式首脳会議及び閣僚会議に関する報告について発言を求められております。これを許します。外務大臣臨時代理国務大臣村岡兼造君。     〔国務大臣村岡兼造君登壇
  18. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) 先般開催されましたAPECバンクーバー会合について、外務大臣臨時代理として、私より報告いたします。  我が国よりは、非公式首脳会議橋本総理大臣閣僚会議小渕外務大臣及び堀内通商産業大臣が出席いたしました。  首脳会議では、アジアにおける通貨金融問題、気候変動問題、新規参加問題の三点が焦点となりました。  まず、アジア通貨金融問題については、橋本総理より、最近のアジア諸国通貨株式市場の変動にもかかわらず、アジア経済基礎的条件は基本的に良好で、依然高い潜在成長力を維持しており、健全なマクロ経済及び構造政策等は、この潜在的な成長力を実現するためのかぎであることを強調し、APEC首脳間で共通の理解を得ることができました。  また、APEC首脳として、さきにマニラ合意された、金融通貨の安定に向けたアジア域内協力強化のための新たな枠組みに強い支持を表明するとともに、APECとしても、アジア通貨金融問題について引き続き取り組んでいくことに合意いたしました。  さらに、現在のAPEC地域経済情勢によって、貿易投資自由化円滑化の勢いが損なわれてはならないことについても一致いたしました。  次に、橋本総理より、地球温暖化防止京都会議成功に向けての協力を求めました。その結果、APEC首脳として、京都会議成功に向けた強い政治的メッセージが出されるとともに、気候変動問題の解決に向けて、先進国途上国双方協調的努力が必要であることで一致いたしました。  最後に、新規参加問題については、橋本総理から積極的に支持を表明したロシアベトナムペルーの三カ国が来年のマレーシア会合から新たに参加することで合意いたしました。  閣僚会議においては、まず、貿易投資自由化円滑化分野で、自由化行動計画実施改善のプロセスが軌道に乗り、さらに、これを補完するものとして、早期自主的自由化に取り組むべき九つの最優先分野が特定されたことは、重要な成果であります。  経済技術協力については、特にインフラ整備及び環境分野について目に見える成果が示されました。  以上、本年のAPECは、アジア通貨金融問題、気候変動問題というAPEC地域にとって喫緊の課題について、APECとして域内外に力強いメッセージを送るとともに、自由化円滑化経済技術協力については、実行の年にふさわしい具体的成果を上げ、また、APECの将来に深く関係する新規参加問題にも決着を見ることができました。これらにかんがみ、APECバンクーバー会合は、極めて建設的かつ有意義な会議であったと認識いたしております。  以上でございます。(拍手)      ————◇—————  国務大臣発言APEC非公式首脳会議及   び閣僚会議に関する報告)に対する質疑
  19. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。順次これを許します。小此木八郎君。     〔小此木八郎登壇
  20. 小此木八郎

    小此木八郎君 自由民主党の小此木八郎でございます。  本日は、十一月二十四日、二十五日にカナダのバンクーバーで開催されましたAPEC非公式首脳会議び閣僚会議に関連して、何点かにわたって質問をさせていただきます。  最初に、アジア通貨金融情勢についてお伺いをいたします。  今回の首脳会議は、最近のアジア諸国通貨株式市場の動揺もあり、大変難しいかじ取りを要求される時期に開催されました。それゆえ、ことしのAPECは、例年になくアジア通貨金融問題に大きな議論が集中したのではないでしょうか。  総理御自身が、アジア経済基礎的条件は基本的に良好であり、なお高い潜在成長力を維持しているという旨を主張され、それがAPEC首脳間の共通認識として盛り込まれました。アジア経済の将来に対する不安感を払拭し、通貨株式の安定への心強いメッセージとなって発信されましたことは周知の事実であります。まさに時宜を得たものであり、大変心強く感じております。  さて、アジア通貨安定のための具体的構想については、マニラで行われた関係国地域通貨当局間の合意である金融通貨の安定に向けたアジア域内協力強化のための新フレームワーク、これへの強い支持が表明されるとともに、APECとして対話と協力を一層促進するための中心的役割を果たすとの認識で一致したと承っております。  そこで、このような首脳間の御努力で、健全なマクロ経済政策構造政策を初め、アジア金融市場の安定と潜在的成長を顕在化させ、持続的成長へと向かわせることが可能でありましょうか。総理のお考えと御認識をお伺いいたします。  さらに、マレーシアマハティール首相通貨投機規制論を提唱されました。為替自由取引を基本として世界的に安定した為替取引がなされるよう首脳会談でも話し合われたと聞いております。  一握りの投機家の思惑で一国の経済が左右されるような事態を招くわけにはまいりません。私は、そのような通貨投機に即座に対応できるような国際機関を創設すべきと考えますが、総理の御見解はいかがでありましょうか。  続きまして、貿易投資自由化円滑化についてお伺いいたします。  昨年のスービック宣言に基づき、早期自主的自由化分野として、今回、十五分野が取り上げられ、そのうちの九分野が早急に自由化作業を開始する分野として特定され、具体的な進展があったものと考えます。非常に困難でセンシティブな問題でありますが、自由で開かれた貿易投資の前提で、加盟国自主性の原則のもとでこれら自由化作業参加したことは高く評価されることであります。  ところで、それ以外の残りの六分野についての進捗状況はどのように進んでいるのかをお伺いしたいと思います。  次に、地球温暖化問題についてでありますが、総理は、APEC首脳との会談の際、地球温暖化防止京都会議合意についての協力各国に要請されたとの報道がなされております。  私は、今回の会議において、各国協力のもとに合意を得られ、地球環境のこれ以上の悪化を防ぎ、未来ある子供たちにすばらしい地球を残すことは我々政治家の責務であると考えます。  先日、日本人として初めて宇宙遊泳を行った土井隆雄さんは、宇宙から見た地球は本当にすばらしく、胸を打たれましたとその感動を伝えております。  このすばらしい地球を守るため、内閣は全力を挙げて、日本のためだけではなく地球全体のことを考え合意を得られるようなさらなる努力をしていただけると思います。  今回のAPECでは、気候変動問題への世界的規模対応を加速させるため、先進国の歩み寄りを求めるとともに途上国努力も求め、国際社会による協調的努力が必要であることがうたわれました。さらに、今回の会議成功に向けた強い支持が打ち出されるなど、議長国としての総理温暖化への取り組みに対する強い指導力を評価するものであります。  しかしながら、温暖化防止に対しては、途上国を初めとして世界じゅうで一層の協力が必要でありますが、今後の取り組みについてお伺いをいたします。  次に、加盟メンバー新規参加についてお伺いをいたします。  九八年より、ロシアベトナムペルー参加を認める歴史的決定がなされたと承っております。ロシア新規参加については、なおメンバー内で慎重論があったと聞いておりますが、それにもかかわらず、十一月のクラスノヤルスクでの日ロ首脳会談後一カ月足らずの間にロシア参加が実現いたしました。これは、橋本総理及び小渕外務大臣が、APECの各メンバーと協調されつつ、首脳会談等での議論を積極的にリードされたためと考えております。  日ロ関係の前進にとって、さらに、ロシアAPECにおいて責任と協力関係を共有することは、この地域の安定にとって極めて有益なものであると考えます。同時に、APECにおいて日本、アメリカ、中国、ロシアの四極が一層の協力を進めることは、この地域の安定と繁栄において極めて有益であると考えます。  総理は、ロシアAPECにおいて果たすべき望ましい役割について、さらに、我が国APEC中心とするアジア太平洋地域における外交政策について、総括的にどのようにお考えでありましょうか。  最後になりますが、橋本内閣は、例えば普天間基地の返還や行政改革の問題など、歴史に残るさまざまな業績を上げられたり、その場面に携わっておられます。今回のAPECにおける成果も、総理業績一つであることは間違いありません。  そこで、私からの提案でありますが、もっとわかりやすく、国民の目の前で、みずからの業績や国家的に決断しなければならないことを、今以上に国民に御説明なさってはいかがでしょうか。  お忙しい身で、なかなかこれは難しいかもしれませんが、記者会見とは別に、総理みずから、テレビ中継で、例えば図やグラフなどを使って、総理みずからのお言葉で、国民にわかりやすくその思いを訴える機会は設けられないでしょうか。このようなことを続けていくことにより、国民にさらに政治に関心を持ってもらうための一つの方策になるのではないかと私は考えます。  以上の点をお伺いし、私の質問は終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)     〔内閣総理大臣橋本龍太郎登壇
  21. 橋本龍太郎

    内閣総理大臣橋本龍太郎君) 小此木議員にお答えを申し上げます。  まず、アジア金融市場潜在的成長についてのお尋ねがございました。  先般のAPEC会合におきましては、アジア経済の基礎的な条件は基本的に良好である、なお高い潜在成長力を維持している、健全なマクロ経済運営構造調整によるさらなる成長が可能であると共通認識を得ることができました。我が国としては、国際機関各国と協調しながら、アジア持続的成長に向けて適切な政策運営を行ってま いります。  次に、通貨危機対応する国際機関についてのお尋ねがございました。  従来、通貨危機への対応は、IMFを中心とする国際的な枠組みの中でなされてまいりました。さらに、議員が御指摘になりましたように、このような枠組みを補完して、アジアにおける域内協力を強化するために、先月マニラで新たなフレームワーク合意され、APEC非公式首脳会議におきましても、これが支持されたところです。  このフレームワークは、巨大な資本移動に伴うリスクへの対応について、我が国も積極的に加わって精力的に議論を重ね、合意に達したものであります。地域金融通貨の安定に大きく資するものだと考えております。  次に、早期自主的分野別自由化についてのお尋ねがありました。  先般の閣僚会議におきましては、メンバーから最も高い支持が得られた十五分野のうち、早期自主的自由化に取り組むべき分野九つを特定をしたわけであります。残りの六分野につきましては、さらなる準備作業が必要、そうした分野であると認識されておりまして、明年六月の貿易担当大臣会合において、評価と検討を行うことになった、そのように報告を受けております。  また、温暖化防止について、取り組みお尋ねがございました。  京都会議では、先進国削減目標を定め、またこの会議以降、途上国の今後の取り組みについての検討を進めることに合意をすることが重要だと考えています。  当然ながら、我が国議長国として、地球温暖化防止に意味がある、衡平で実現可能な目標合意される、そして世界的な取り組みの第一歩が踏み出せるよう努力してまいります。  なお、京都会議におきましては、現在、代替フロンなどの温室効果ガスをどのような形で数値目標の中に、対象に含めるか、あるいは森林など、温室効果ガス吸収源をどう扱うか、途上国に対し将来的にどのような形で地球温暖化防止取り組みを求めるべきか、排出権取引共同実施EUバブルをどう扱うかといった点につき、公式、非公式の議論が行われているさなかであります。  次に、APECにおけるロシア役割及びアジア太平洋地域における我が国外交政策というお尋ねがありました。  私は、ロシアがこのアジア太平洋地域における重要なプレーヤーとして、APECにおいても建設的な役割を果たすことを期待いたしております。そして、そのために積極的に協力もしていきたいと考えております。  同時に、APECロシア参加をしましたことで、日米中ロ、四カ国の首脳がともに会する機会が初めてできました。従来のサミットプロセスでは日米、そして新たにことしからロシアが対話の場に入ることになりました。APECの場におきましては、日米中という対話の場はありました。今回、APECロシアが加わりましたことで、四カ国の首脳が自然な形で一堂に会することができる機会が生まれたわけであります。  我が国としては、日米安保体制を堅持しなが、ら、関係国との友好関係を促進し、APECなどを通じて地域の発展に積極的な役割を果たしていきたいと考えております。  最後に、記者会見とは別に私自身の言葉で訴える機会を設けろという御提案をいただきました。  この内閣が進めておりますそれぞれの分野あるいは安保・沖縄問題など、こうした重要な政策の節目節目に私自身今までも記者会見を行い、自分の考えはお話ししてきましたし、また、各種の媒体を活用した政府広報の充実にも努めてまいりましたが、今の御意見をも受けとめながら、今後ともさまざまな機会をとらえて国民の皆様にわかりやすく説明するよう私としても努めていきたいと思います。(拍手)     —————————————
  22. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 北脇保之君。     〔北脇保之君登壇
  23. 北脇保之

    ○北脇保之君 新進党の北脇保之でございます。私は、新進党を代表して、村岡外務大臣臨時代理APEC報告に関して質問いたします。  橋本総理は、十二月一日の衆議院予算委員会の集中審議において、APECの際の日米首脳会談冒頭のカメラ撮りで米国人記者から、日本は大丈夫か、IMFに支援要請を出すのはいつかと質問されて、本当にびっくりし、跳び上がってしまったと話されております。しかし、ここは米国人記者の誤解をとがめるよりも、事ほどさように、海外では日本金融システム不安が重大視されていることを深刻に受けとめるべきではないでしょうか。  まず第一に、現在のアジア金融経済危機と日本経済とのかかわりについて、総理認識お尋ねいたします。  今回のアジア通貨危機では、第一段階において、タイ、マレーシア、フィリピン、インドネシアなどASEAN通貨株式が売られ、第二段階では、十月二十三日の香港株式大暴落が日本、欧州に飛び火し、ニューヨークまで暴落しましたが、ようやくニューヨークが反発して泥沼の連鎖安は何とか食いとめられました。  こうした一連の過程で、世界第二位の経済規模と世界最高の対外純資産を持ち、アジア経済中心的位置を占めている日本経済は、株安、通貨不安の連鎖を食いとめる役割を果たすことができなかったばかりか、拓銀、山一証券の破綻を招くなど、逆に不安を増幅する結果となっています。  日本経済が現状のままで推移し、アジア通貨危機が次第に米国経済の土台を掘りますことになれば、世界経済は信用収縮から世界的恐慌への道をたどりかねません。その意味で、日本経済の動向は極めて重要であります。政府が、金融行政において不良債権の抜本的処理とセーフティーネットの構築を怠り、財政政策において、景気が本当に回復するかどうかという時期に九兆円に及ぶ国民負担増と公共投資削減という財政再建一本やりのデフレ策をとった、まさにその政策の失敗によって不況を招いた責任はまことに重大です。(拍手)  総理は、世界経済及びアジア経済の現状に照らして、日本経済の果たすべき役割をどうお考えに なるか、そして、日本経済を政策不況に陥らせた政治的責任をどうお考えになるか、お尋ねいたします。  第二に、アジア金融経済危機の解決のために政府はどのような対策を実行しようとしているのか、総理並びに大蔵大臣にお尋ねいたします。  まず、APEC非公式首脳宣言では、マニラで蔵相及び中央銀行関係者が策定したIMF補完協調支援等の枠組みを力強く支持するとしていますが、日本は具体的にどのような取り組みをするのでしょうか。  また、日韓首脳会談では、総理は韓国への協力を鋭意検討する旨述べられましたが、どのような用意があるか、お尋ねいたします。  第三に、日米首脳会談でクリントン大統領から要求された、金融システムの改善、内需拡大、既存の日米貿易取り決めの遵守、規制緩和の推進、この四項目への対応について、総理並びに関係大臣にお尋ねします。  クリントン大統領からは四項目の経済政策要求があり、日本経済の現状がアジア経済の回復を可能とするに十分かとの疑念、そして、日米貿易黒字が再び膨大なものになれば政治問題化するとの懸念が表明されました。日米首脳会談においてこれほど具体的な政策要求が出されたことは、我が国政府の政策能力に疑問を呈されたも同然であり、まことにゆゆしき事態です。橋本総理は、これらの項目について実行を約束しましたが、現政権の政策路線で実行できるとは考えられません。  今、日本経済に最も必要なのは、私たちが従来から主張しているとおり、大規模減税、規制の撤廃を中心とする徹底した内需拡大と経済構造の転換です。このままでは、円安、対米貿易黒字の拡大は必然であり、政治問題化は避けられません。  橋本総理並びに関係大臣に、この四項目への具体的な取り組みについてお尋ねいたします。  最後に申し上げますが、アジアにおける深刻な金融経済危機が続く中で行われた今回のAPECで、大きな役割を果たすべき日本が、山一証券の経営破綻の表面化など国内対策に右往左往するありさまで、リーダーシップをほとんど示さなかったことはまことに遺憾であります。  また、クリントン大統領は、日本経済の現状がアジア経済に与える影響について懸念を表明しましたが、橋本内閣経済政策の失敗は、単に日本国内の経済危機を招いただけでなく、今やアジア並びに世界の経済にとって最大のがんとなっています。実体経済を軽視し、その場しのぎの経済対策に終始する橋本内閣の退陣こそが、世界の通貨情勢の安定、ひいては世界経済の発展に寄与するものであります。  このことを強く訴え、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)     〔内閣総理大臣橋本龍太郎登壇
  24. 橋本龍太郎

    内閣総理大臣橋本龍太郎君) 北脇議員にお答えを申し上げます。  まず第一に、日本経済の果たすべき役割及び日本経済を政策不況に陥れた政治的責任というお尋ねがありました。  我が国としては、内需拡大による力強い経済成長を達成することが世界経済との調和を図る観点からも重要であると考えており、十一月十八日の経済対策閣僚会議におきまして経済対策を決定したところであります。  企業や消費者の景気の先行きに対する不透明感を払拭し、我が国経済を民間需要中心の自律的な安定成長の軌道に乗せていくために、今回の対策に盛り込まれた施策を強力に進めていきたいと考えております。  また、金融システムの安定につきましては、預金者保護を目的として、公的支援を含めて具体策を早急に得て、強い決意を持って金融システムの安定性確保に全力を挙げて取り組んでいきたいと考えております。  なお、財政構造改革や先般の税制改革、これは、我が国の危機的な財政状況、少子・高齢化といった我が国経済社会の構造変化に対応したものでありまして、真に必要な改革だと考えております。  次に、韓国に対する我が国協力についてのお尋ねがございました。  昨日、韓国とIMFとの間で経済構造改革プログラムが原則合意をされ、IMFなどの国際金融機関による総額三百五十億ドルに上る緊急支援策が発表をされました。我が国としては、最大限にこれを歓迎し、米国等関係諸国と協議をし、韓国に対する百億ドルの金融支援を行うことを決定いたしました。  また、クリントン大統領の日本経済及び日米貿易黒字に対する懸念についてのお尋ねがございました。  政府としては、ただいま申し上げましたとおり、十一月十八日に決定した経済対策に盛り込んだ施策を強力に進めていくとともに、金融システムの安定につきましては、強い決意を持ってその安定性確保に全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えておりますし、この対応は、我が国だけではなく、アジア経済の安定にとって重要だと認識しております。  また、内需拡大、規制緩和の具体的な取り組みについてもお尋ねがありました。  今申し上げました、十一月十八日に決定いたしました経済対策は、二十一世紀を見据えて経済構造改革を進めて、我が国経済を民間需要中心の自律的な安定成長に乗せていく必要、そうした観点から、規制緩和を中心とした経済構造改革の断行、土地の取引活性化と有効利用、魅力ある事業環境の実現、中小企業対策という四つの点に重点を置いております。  これらの施策は、いずれも内需中心経済運営に資するものであり、強力に進めてまいりたいと考えておりますし、本年五月に策定をいたしました経済構造の変革と創造のための行動計画の可能な限りの前倒しと、新たな施策の追加も含めたフォローアップを年内に行うべく、内閣を挙げて現在作業を進めております。  さらに、現行の規制緩和推進計画の期間終了後の規制緩和推進の具体的な取り組みにつきましては、行政改革会議の最終報告やら行政改革委員会 の最終御意見を伺いながら、年内にも方針を明らかにしたいと考えております。  残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)     〔国務大臣三塚博君登壇
  25. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 北脇議員にお答えを申し上げます。  アジアにおける金融通貨の安定に向けた域内協力の強化につきましては、先月マニラで新たなフレームワーク合意されました。APEC非公式首脳会談でも支持されたところでございます。  我が国といたしましては、本フレームワークに基づき、諸外国と協調いたしまして、域内の金融通貨の安定のために積極的に貢献してまいる所存であり、具体的には、本フレームワークのイニシアチブを推進するため、来年度前半にも次回会合我が国が主催することになっておるところでございます。  次に、先般行われました日米首脳会談におきまして、クリントン大統領より、日本経済について、金融システムの改革、内需拡大、既存の日米貿易合意の遵守、規制緩和が重要である旨の発言がありましたこと、承知をいたしております。  現在、金融システムの安定性の強化を図りますため、公的支援を伴ういろいろな考えがございますが、私としては、公的支援により、セーフティーネットを完備し、預金者を保護することが重要であると考えておるところであります。  したがいまして、いかなる事態が生じましても対応できるよう、預金者保護のため、公的支援により利用可能な資金を拡充していくことを今後検討すべきではないかと考えており、具体案を得るべく、全力を挙げて取り組んでおるところであります。(拍手)     〔国務大臣堀内光雄君登壇
  26. 堀内光雄

    国務大臣(堀内光雄君) 北脇議員にお答えを申し上げます。  既存の日米貿易取り決めの遵守についてのお尋ねでございますが、我が国は、これまで、我が国市場のアクセスの改善等を目的といたしまして、米国との間で、自動車、板ガラス等の分野で、日米両国政府のとるべき措置について合意を締結してきたところでございます。  我が国といたしましては、合意に定められた日本側の措置について、例えば、外国車の輸入促進のための各種支援措置、あるいは自動車補修部品の分野での規制緩和の実施など、これまでも誠実に履行をしてきた問題について、その旨、日米協議の場で米国政府に説明をしてまいりました。  我が国といたしましては、今後とも、これらの合意を誠実に履行してまいる覚悟でございます。(拍手)     —————————————
  27. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 枝野幸男君。     〔枝野幸男君登壇
  28. 枝野幸男

    ○枝野幸男君 私は、民主党を代表し、ただいまの報告のうち、特に金融問題に集中して、総理並びに大蔵大臣に質問をいたします。  総理は、金融機関の破綻が相次ぐ中、APEC首脳会議等の外交日程をただ淡々とこなすのみで、この間、国内問題に対してはもちろんのこと、アジア各国経済危機に対しても何らのリーダーシップも発揮していません。聞こえてくるのは、宮澤元総理の御活躍と、三塚大蔵大臣の支離滅裂な発言だけであります。総理の危機感とそして指導力の欠如は、見過ごし得るものではないことを最初に申し上げたいと思います。  しかも、ただいまの報告では、アジア経済について、基礎的条件は基本的に良好であるとの極めて楽観的な見通しが示されています。しかし、その認識が甘過ぎることは言うまでもありませんが、そもそも、今回のアジア各国におけるバブル崩壊について、日本にも大きな責任があるとの認識が全く示されていないことは甚だ問題であると考えます。超低金利政策等、極めて内向きで自己中心的な金融政策の結果、国内の過剰な資金がアジア各国へ流出し、それがバブルを引き起こし、そしてそれが今崩壊をしているのであります。総理は、こうした御認識をお持ちでしょうか、また、アジア各国への責任をどのようにお感じでしょうか、お伺いをいたします。  さて、相次ぐ金融機関の経営破綻は、もはや金融恐慌の段階に入りつつあると考えます。こうした中、不良債権の処理は順調に進んでいるなどというのうてんきな発言を繰り返してきた大蔵大臣が、幾ら現状では今後破綻する金融機関はないと発言をしたとしても、だれが信用をするでありましょうか。  そこで、総理御自身の認識としても、現状で今後破綻のおそれのある金融機関はないと本当にお考えなのでしょうか。その認識の根拠となる情報も含めて、数字を挙げて御説明ください。さらに、もし破綻のおそれのある金融機関がないのであるならば、新たな公的支援の必要性など生じないはずでありますが、その点はどのようにお考えでしょうか。  さて、先日の予算委員会において我が党の小沢鋭仁議員は、金融機関が破綻した場合について、金融機関に持っている預金、あるいはそういった商品、あらゆる金融機関の商品は心配しないで結構ですよ、全部保護するんですよ、そういう理解でよろしいんですかとお尋ねをしました。これに対し大蔵大臣は、そのとおりでありますと答弁しておられます。  しかし、あらゆる金融機関の商品をすべて民間の力で保護したならば、預金保険機構等に対する負担が著しく高くなり、健全な金融機関の経営まで揺るがしかねません。また、財政資金によって補てんをするのだとしたら、金融機関との取引以外の場面で経済的損失を生じた場合と比較をして、到底公平、公正であるとは考えられません。預金保険法の対象である四種類の債権については、万難を排してでも保護する必要がありますが、私は、金融債や生命保険まで財政資金で保護することは、明らかにモラルハザードを生じ、許されないことであると考えます。  そこで、財政資金を投入してでも保護する範囲はどこまでなのか。金融債、生命保険は保護されるのか。そして、保護される対象それぞれについて、例えば阪神・淡路大震災による被害の個人補 償の場合と比較をして、どのような違いがあるのか。総理の具体的かつ網羅的なお答えを求めます。  今般の金融危機に対しては、財政投融資資金の導入や政府保証による日銀融資など、一見すると、財政資金を投入しない方法での対応策が議論されています。しかし、破綻金融機関を処理するための資金については、返済される可能性が低く、結局は相当程度国民負担を余儀なくされるはずであります。一時的なつなぎ資金は別としても、返済の見込みがあるならば、そもそも公的支援がなくても破綻することはないはずであります。  批判を恐れ、国民負担をごまかすやり方は、橋本総理御自身がかつて国鉄改革の際に、清算事業団の長期債務として棚上げをする形で採用したやり方であります。そして、その利息が雪だるま式に拡大して、今その処理が大問題となっているのであります。総理は、その過ちを再び犯すつもりなのでしょうか。御見解をお伺いいたします。  いずれにしても、金融機関の相次ぐ破綻について、大蔵省の責任は重大であります。  これまでも、証券不祥事や大和銀行ニューヨーク支店事件など、大蔵省の検査監督能力について厳しい批判がなされてきました。しかし、大蔵幹部が何らかの責任をとったという話は聞いたことがありません。また、大蔵省の天下りの自粛も進んでいません。責任を明らかにできないところか、天下りという利益すら受けている大蔵省にこれ以上金融行政を担わせることは、到底許されることではないと考えます。少しでも恥という意識があるのであるならば、大蔵省の局長以上の幹部は、破綻金融機関に倣って総退陣すべきであり、また、少なくとも金融機関に天下りをしているOBも、みずから職を辞すべきであります。そして、財政と金融の分離を一刻も早く明確にするべきであります。  このことは、昨年十二月に与党三党で合意し、公表をされているものであります。ところが、昨日の行政改革会議の最終答申でも先送りをされてしまいました。公党間の合意として公表されていることすら守ることなく先送りをするような政党や総理大臣を、国民はどうやって信用したらいいのでしょうか。公党間の政策合意というものをどのようにお考えになっているのか、総理の釈明を求めます。  次に、三塚大蔵大臣にお尋ねいたします。  大臣の御発言、特に委員会での御答弁は、主語と述語が入り乱れ、支離滅裂であり、質問の意味すら理解しておられないと疑いたくなることも少なくはありません。こうした大臣の御答弁は、政治的思惑で意図的にあいまいにされているのでしょうか。それとも、誠心誠意まじめに答弁をしても意味不明なのでしょうか。いずれであるのか、今回は明確に御答弁ください。  最後に、こうした金融危機の中、賢明な橋本総理がこのようにわけのわからない発言を繰り返す大蔵大臣でよいと考えているとは到底私には理解できません。総理の、大蔵大臣に対する率直な御評価を伺って、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手)     〔内閣総理大臣橋本龍太郎登壇
  29. 橋本龍太郎

    内閣総理大臣橋本龍太郎君) 枝野議員にお答えを申し上げます。  まず第一に、最近の東南アジア経済の不安定な状況認識についてのお尋ねがありました。  その原因は、私はさまざまあると思いますけれども、近年の東南アジア通貨の過大評価と、これに伴う経常収支赤字の拡大、また海外からの大量の流入資本の一部が生産的でない用途に使われていた国もあった、こうしたことも挙げられると思います。  しかし、アジア経済基礎的条件は良好であり、私は、依然高い潜在成長力を有している、APEC首脳の間におきましても、この認識共通するものであります。  次に、金融機関の経営状態等についてのお尋ねがございました。  現時点で業務の継続に支障を来している金融機関があるとは聞いておりませんけれども、いずれにせよ、金融システムの安定性確保は我が国経済の発展にとって不可欠でありますし、公的支援を含め、強い決意を持って取り組んでまいります。  次に、金融商品の保護などについてのお尋ねがございました。  金融商品の安全性については、その確保に万全を尽くしてまいります。  また、阪神・淡路大震災の問題については、政府を挙げて取り組んでまいりましたが、一方、金融システムの安定性を確保することは我が国経済の発展にとって不可欠でありますし、公的支援を含めて、強い決意で取り組んでいくことに変わりはありません。  次に、公的支援についてお尋ねがございました。  金融システムの安定性を確保し、内外のマーケットの信認を維持することは極めて重要であると考えております。私としては、金融システムの安定については、預金者保護を目的とし、公的支援を含め、今後、具体策を早急に得て、金融システムの安定確保に全力を挙げて取り組んでまいります。  次に、財政、金融の分離の問題についてお尋ねがありました。  本件につきましては、与党間の協議の結果、昨日、現下の金融情勢にかんがみ、緊急金融システム安定化対策の取りまとめが急務である、したがって、財政、金融分離については、来年通常国会召集時までに、三党合意に基づき、具体策を協議し決着するとの確認がされたものと承知しております。  次に、大蔵大臣をいかに思うかというお尋ねがございました。  私は、三塚大蔵大臣を全面的に信頼し、ともに仕事をしていきたいと考えております。  残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)     〔国務大臣三塚博君登壇
  30. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) ただいま枝野議員の御質問でありますが、最近の金融の諸問題をめぐる私 の答弁についてのお尋ねであります。  申すまでもなく、預金者保護を初めとする金融システムの維持、そして安定は、大蔵大臣の重要な職責でありますこと、議員御承知のとおりであろうと思います。特に、最近の状況のもと、金融システム全体が揺らぐことのないよう、日銀との連携や破綻処理スキームの発動など、あらゆる手だてを検討、駆使してきたところであります。  国会における答弁も、こうした基本的な考え方に立ちまして、国民皆様に誠意を込めてお訴えを申し上げてまいったところであります。その意のあるところ、よくお酌み取りいただくことを念ずる次第であります。(拍手)     —————————————     〔議長退席、副議長着席〕
  31. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) 松本善明君。     〔松本善明君登壇
  32. 松本善明

    ○松本善明君 私は、日本共産党を代表して、APEC報告に対して質問をいたします。  第一に、今回のAPECは、アジアの一連の金融不安の影響を受けて、緊急アジア通貨会議の様相を呈した点についてであります。  マレーシアマハティール首相を初めとした東南アジアの指導者たちは、今回の金融市場の混乱の原因は、アメリカとヨーロッパの投機家がつくった、自由市場の名のもとに投機による破壊行為が認められているとして、投機的な取引を規制する制度をAPECにつくるべきだと主張をし、首脳宣言には、金融市場の安定回復には効果的な金融分野の規制がかぎとの一文が盛り込まれたのであります。  IMFのカムドシュ専務理事も、規制を考えるべきときが来たかどうかの検討を開始したと述べております。世界的な金融自由化のもとで、金融市場は巨大な賭博場となり、投機的な通貨取引の規制は緊急不可欠となっております。  ところが、クリントン大統領は、市場の規制など逆効果と言い、橋本総理も、投機的な動きだけを規制するのは難しいと、これに追従した発言をしたということであります。  総理、なぜ投機的取引の規制に反対したのでありますか。投機的な通貨取引を放置しておいてよいということでありますか。アメリカが言う自由とは、多国籍企業に都合の悪い障害をなくし、その巨大化を図ろうとするものであります。規制緩和万能で、アメリカ流の経済路線を全世界に押しつけるのは経済覇権主義であります。  こうした横暴を許さず、必要な規制をするということは当然であります。アジア通貨が新たな下落局面に入っているだけに、明確な答弁を求めるものであります。  第二に、金融機関の破綻に対する税金投入の問題についてであります。  APECに先立っての日米首脳会談で、クリントン大統領が日本に公的資金の導入を事実上迫ったということが報道をされております。事実はどうだったのか、一体、アメリカは日本に何を要求したのか、報告を求めるものであります。  総理は、帰国後の国会答弁などで、預金者保護の名目で公的支援を明言しておりますが、公的資金の導入は、財政投融資資金にせよ、政府保証にせよ、最終的には国民の税金の投入につながります。金融破綻に何の責任もない国民にこの負担について理解を求めることは到底できません。  宮澤元総理の、ビッグバンに備えて大銀行は身軽にしておく必要があるなどというのは、大手九銀行がこの一年間で一兆二千億円ものため込み利益をふやしたという事実を見ても、国民の怒りを呼ぶだけであります。金融破綻は、その企業グループや金融業界全体の責任で処理することを原則とすべきではありませんか。答弁を求めます。  今なすべきことは、このような破綻をもたらした金融業界や政府の責任を徹底的に議論することであります。欧州のマスコミは、資金投入ばかり議論するのは配管工事のようだと皮肉っているのであります。国際信用を回復するためにも、公的資金導入ではなく、議論の方向を真相の徹底的解明と責任追及に変えるべきではありませんか。明確な答弁を求めます。(拍手)  第三は、日米首脳会談で、総理から新日米ガイドラインについて、健全に運営協力していきたいと述べたことであります。  新ガイドラインは、政府がいかに言い逃れようとも、日本が武力攻撃を受けないのにアメリカが行う戦争に自動参戦していく参戦方針書であることは、アメリカの関係者の発言によっても裏づけられているのであります。アジアに最大の脅威をもたらす安保条約の大改悪だからこそ、アジアには強い警戒心と危機感が広がっているのであります。総理アジアを重視するというのなら、この参戦計画を直ちにやめるべきではありませんか。明確な答弁を要求いたします。  第四に、地球温暖化問題です。  日本外交のやるべきことは、憲法の平和原則に基づく国際貢献であります。地球温暖化防止京都会議は、その絶好の機会であります。難航をしているようでありますが、思い切った排ガス規制ができなければ、地球温暖化が進み、火山噴火の誘発、台風の多発、洪水、高潮や少なくない国の水没などが起こり、地球の存続、人類の生存さえ危うくなります。削減目標を決めることは、会議中心問題であります。日本は、京都会議議長国として率先して削減目標を大幅に引き上げ、アメリカに同調を求めるべきではありませんか。総理の決意を伺いたいと思います。  最後に、私は、対米追随と軍事力優先の外交政策を大きく転換をし、憲法の平和原則を守って、世界とアジアの平和に貢献するよう強く要求をして、質問を終わるものであります。(拍手)     〔内閣総理大臣橋本龍太郎登壇
  33. 橋本龍太郎

    内閣総理大臣橋本龍太郎君) 松本議員にお答えを申し上げます。  まず、投機的な通貨取引についてのお尋ねがありました。  資本の自由な移動は世界経済の発展の基礎であり、また、通貨取引の実効性ある規制も容易ではないと思われます。一方、私は、資本移動に伴う為替リスクの状況を適切にモニターするメカニズムの検討が必要ではないかと考えており、APEC非公式首脳会議におきましても、その旨発言を したところであります。次に、日米首脳会談についてのお尋ねがございました。  この会談におきましては、クリントン大統領から、アジア経済の安定のためにも日本経済の力強い回復が必要であり、金融システム改革、内需拡大、規制緩和などが重要であるとの指摘があり、これに対し、私の方から、金融システムの安定性確保に万全を期すこと、また、経済構造改革、規制緩和などを通じ経済の活力を見出すことを考えている旨説明をいたしました。  金融機関の破綻処理につきましてもお尋ねがありましたが、金融システムの安定性を維持するためには、まず各金融機関が経営合理化などに取り組み、最大限の自助努力をすることが基本であると考えております。また、その経営実態を積極的に国民に開示することが重要であり、破綻処理に際しては経営者の厳格な責任追及を行うことなどが必要であると考えております。  次に、新たな指針に対するお尋ねがございましたが、アジア太平洋地域には依然として不安定要因が存在しており、指針及びそのもとでの作業における日米安保体制の一層の充実は、この地域の平和と安定に貢献いたします。このような指針の性格につきましては、関心を有する各国説明を行っており、おおむね理解を得られておりますが、異論があることもまた事実であります。  次に、京都会議についての御質問がありました。  議長国である我が国がこれを成功させるよう国際的に全力を尽くすことは当然であり、京都会議におきまして、現在では意見の分かれております各国立場を収れんさせて、地球温暖化防止に意味があり、衡平で実現可能な目標合意が得られるよう一体となって努力してまいります。(拍手)     —————————————
  34. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) 深田肇君。     〔深田肇君登壇
  35. 深田肇

    ○深田肇君 私は、社会民主党・市民連合を代表し、バンクーバーで開かれたアジア太平洋経済協力会議に関する政府の報告についてお尋ねをいたします。  今度のAPEC成果一つは、我が国努力が実って、来年からベトナムなどとともにロシア加盟国になったことであります。これによって、APECは、日本、アメリカ、中国、ロシアを初め、北東アジアに重大な関心を持つ主要国が一堂に集う唯一の場となりました。この国際的な重みが一段と増したわけであります。このため、APECに臨む日本政府が国際情勢についてどんな認識を持ち、また北東アジアの新たな国際協調をどう形成するのか、一層厳しく問われるようになったと言わなければなりません。  さて、日本は、一つの中国という立場から日中友好の前進を、そして、西暦二〇〇〇年までには日ロの平和条約の締結を、また、先般は与党訪朝団を契機として日朝の国交正常化を目指し、努力する局面にあるわけであります。  ところが、このような緊張緩和と平和外交のもとで、新たな防衛協力の指針によって日米関係だけは逆に軍事的な同盟関係を強化しようというのは、総理、矛盾するのではありませんか。このことについて、アジア諸国から懸念の声が聞かれますが、その声を今日段階でどのように把握しておられるかについてお答えをいただきたいと思います。  今度のAPECの特徴を経済的な側面から見ますと、アジア全体を覆う金融通貨不安のただ中で開催されたことであります。非公式首脳会議の宣言では、各国の政策の相互監視や、金融システム改善のための経済及び技術の協力という国際支援の早期実施について提起をしております。しかし、加盟各国金融通貨不安の拡大をストップするためのコストを互いに分かち合うという具体的な合意がされたわけではありません。特に、日本やASEANが提唱していたアジア通貨基金構想が生かされなかったのはどのような事情によるものか、今後の見通しを含めて御報告をいただきたいと思います。  また、加盟国経済改革が前進しているかどうかについてであります。一九九四年、APEC閣僚会議のボゴール宣言は、先進国が二〇一〇年、途上国は二〇二〇年までに貿易投資自由化することを言明しているところであります。今度の会議で、これに向けた各国の足取りが一層確かなものになったと言えるのかどうか、総理の評価と認識伺いたいと思います。  また、今後、アジアにおける日本はますます存在感が小さくなるという指摘があります。その背景には、中国の経済成長と比べて日本経済の将来に不安材料が多いことや、アジアの相互信頼を醸成するための努力がこれまでの日本に不足していたことなどを挙げなければなりません。  例えば、人道的な見地から迅速を要する食糧援助や戦後補償問題について、日本はいつも後手に回っていました。また、過去の植民地支配やアジア太平洋戦争における侵略について、政府高官や政治家がしばしば間違った発言をしてまいりました。  これらの反省の上に、アジアの一員としての自覚が求められていると思います。このような日本立場について、アメリカにも理解を求めながら、在日米軍とその基地を縮小するよう、不断に働きかける姿勢が一層必要になると思いますが、総理、いかがでございましょうか。  以上、私の質問といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)     〔内閣総理大臣橋本龍太郎登壇
  36. 橋本龍太郎

    内閣総理大臣橋本龍太郎君) 深田議員にお答えを申し上げます。  まず、新たなガイドラインに対するお尋ねがございました。  国際社会に依然不安定要因が存在する中で、新しいガイドライン及びそのもとでの作業は、新たな時代における効果的な日米防衛協力のあり方を示し、日本の安全の確保及びアジア太平洋地域の平和と安定に貢献するものであります。  このような指針の性格につきましては、韓国、中国、ロシアなどの国々に対し説明を行ってきており、おおむね理解を得られたと考えますが、す べてが納得されている状況ではございません。  アジア通貨基金についてもお尋ねがございました。  先般マニラ合意をされました新たなフレームワークは、アジア諸国協力して支援する枠組みを用意するとともに、域内サーベイランスの強化などを図ることになっておりまして、これは、いわゆるアジア通貨基金構想の考え方と軌を一にするものであります。このフレームワークアジアの持続的な成長、ひいては世界経済に貢献することを確信をいたしております。  次に、ボゴールの目標に向けての足取りについてのお尋ねがございました。  閣僚会議では、現在の経済情勢によって、貿易投資自由化円滑化の弾みが損なわれるべきではないという点で意見が一致をいたしております。具体的には、自由化行動計画のプロセスが軌道に乗り、早期自主的自由化に取り組む分野も特定をされました。これらは、ボゴールの目標達成に向け着実に進展している証左であると私は考えます。  次に、アジアの一員としての自覚及び在日米軍についてのお尋ねがございました。  我が国は、アジア諸国との友好関係の増進あるいはAPECなどの地域協力への参加を通じて、この地域の発展に積極的な役割を果たしてきておりますし、これからも、また、そうした役割を果たし続けるでありましょう。  一方、我が国の安全及びアジア太平洋地域の平和と安定に重要な役割を果たしている在日米軍につき、現時点ではその削減を求めることは考えておりません。(拍手)     —————————————
  37. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) 前田武志君。     〔前田武志君登壇
  38. 前田武志

    ○前田武志君 私は、太陽党を代表いたしまして、ただいまのアジア太平洋経済協力会議APEC非公式首脳会談及び閣僚会議に関する報告について政府の見解をただすものであります。  アジアにおける通貨株式市場の危機、我が国金融不安という状況下で開かれた今回のAPEC経済の危機管理に焦点を合わせたのは当然の成り行きであります。  APECが、金融市場の危機防止と国際システム強化、さらに国際通貨基金、IMFを補完する協調支援の枠組みづくりなどを首脳間の合意とし、その中で、IMFによる新たなメカニズムと協調アレンジメント、いわゆるマニラフレームワーク早期実施を打ち出しました。  現在進めているインドネシア、韓国などを初め各国に対する金融支援と本枠組みとの関係、支援の条件日本が分担する資金や資金拠出の方法及び管理はどのように行われるのか、御答弁を求めます。  クリントン大統領との会談は、専ら日本金融問題とマクロ経済政策について議論が交わされたと承知しております。日米首脳会談に先立ち、十一月初旬にはルービン財務長官が三塚大蔵大臣に私信を送り、日本金融政策と経済政策に懸念を示したと米国で報道されています。その後、サマーズ財務副長官も来日し、三塚大蔵大臣に日本の内需拡大策を要請されたとされています。  これら一連の日米経済担当責任者の接触の上に行われたAPECでの日米首脳会談では、その後の日本国内の金融機関の破綻も含めて、クリントン大統領から内需拡大等マクロ経済政策と不良債権問題、金融システム改革について強い懸念と要請があったと報道されていますが、クリントン大統領からは具体的にいかなる要請があったのか、また総理はどのような対応で臨もうとされているのか。  今日本に問われているのは、真の企業倫理を回復し、市場論理を確立し、行政の透明性を確保するとともに政治の責任に対する信頼を取り戻すことであるだけに、総理の御決意を込めた御見解をお伺いいたします。  今回の首脳宣言の別添にある、インフラ開発のための官民のパートナーシップ進化のための枠組み、いわゆるバンクーバーフレームワークの中で、持続可能な都市並びに地方の統合及び多様化を支援するためのインフラストラクチャー整備を促進する、そのために、大規模なインフラプロジェクトの民間投資を増進する資産担保証券の市場を含む流動性の高い国内債券市場の整備を促進するとうたつています。  これはまさしく町づくりを証券化して市場に乗せ、民間の直接投資を呼び込むスキームを整備するということを意味しております。欧米の投資市場では、金融市場株式市場と並んで、例えば住宅モーゲージやREITと言われるような証券化された町づくり市場が主流となっています。  今後の少子・高齢化、社会構造や地域構造の変化、多様化する国民のニーズ等にこたえる町づくりを全国的に展開するため、あわせて持続的な内需拡大を図るという観点から、さらにはビッグバンに対応する意味からも、直ちに本スキームを我が国実施に移す、すなわち町づくりの市場化を促進するべきであり、そのためには他の金融・証券とのイコールフッティングの観点から、税制改正、規制緩和等が必要であると考えます。総理の御見解をお伺いします。  今回のAPECは、従来の域内における経済交流の拡大が目的だったものから、目前のアジア通貨金融不安などを背景に危機管理の役割を担うようになったほか、環境等の地球規模の問題にも積極的に取り組むようになりました。  それに加えて、来年からロシアの新規加盟が決まったことにより、APECは、日本、アメリカ、中国、ロシアの四大国が定期的に顔をそろえる外交舞台になります。  ロシアアジア太平洋の枠組みに入ることで、この地域での日米中ロの政治的対話の機会がふえ、東南アジア諸国連合、ASEANを中心APECが大国主導になるのではないかという懸念が広がっています。今後大国とASEAN諸国との調整役も含めて、日本はこうしたAPECの変化に対応した外交戦略の構築が求められると考えられます。総理の御見解をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣橋本龍太郎登壇
  39. 橋本龍太郎

    内閣総理大臣橋本龍太郎君) 前田議員にお答えを申し上げます。  まず、アジア各国に対する金融支援についてのお尋ねがございました。  アジアにおける金融通貨の安定に向けた域内協力の強化につきましては、先月マニラで新たなフレームワーク合意をされ、APEC非公式首脳宣言でもこれが支持されました。日本は、このフレームワークに基づいて、諸外国と協調しながら域内の金融通貨の安定のために積極的に貢献をしてまいる所存であります。  我が国によるその支援の具体的な態様につきましては、具体ケースによって定められることになりますが、例えば今回韓国に行おうとしております支援、これはまさにこのフレームワークの基本的考え方と方向性を同じくするものでございます。  次に、日米首脳会談の具体的内容と今後の対応についてお尋ねがございました。  クリントン大統領との会談におきましては、アジア経済の安定のためにも日本経済の力強い回復が必要であるとの指摘がありました。私からは、金融システムの安定性確保に万全を期すこと、また、経済構造改革や規制緩和などを通じ経済の活力を見出すことを考えている旨を説明し、特に規制緩和につきましては、バーミンガム・サミットまでに、確認できる成果を上げたい旨を説明いたしました。  政府としては、企業や消費者の景気の先行きに対する不透明感を払拭して、我が国経済を民間需要中心の自律的な安定成長軌道に乗せていくために、十一月十八日に決定した経済対策にも盛り込まれております施策を積極的、強力に進めていきたいと考えておりますし、また、金融システムの安定に関しましては、預金者保護を目的とし、公的支援を含め具体案を早急に得て、強い決意を持って金融システム安定確保に全力を挙げて取り組んでいきたいと思います。  次に、バンクーバーフレームワーク実施した場合における資産担保証券と他の金融商品とのイコールフッティングが必要ではないかというお尋ねがございました。  新たな証券化スキームによります資産担保証券、どのような課税を行うかについては、そのスキームの具体化にあわせて、公的サービスの財源である税の基本的な性格あるいは公平、中立、簡素といった租税の原則も踏まえながら他の金融商品との課税のバランスを図り、適切な課税方法について検討が行われるものと考えます。  なお、証券化スキームの規制緩和につきましては、現在、特別目的会社を活用したスキームを検討中でございます。  次に、APECの拡大の成果を踏まえた外交戦略というお尋ねがございました。  御指摘のように、なお一部の国には、経済だけに限るべきという議論が存在をいたしますけれども、その中でAPEC通貨金融あるいは環境等重要な課題の取り組みを既に始めております。そして、その中において、ロシアベトナムペルー新規参加を決定したことは、APECの幅を広げる意味でも大きな成果となりました。  そして、議員からも御指摘がありましたように、まさに日米中ロという四カ国が一堂に自然体で会せる場が生まれたわけであります。今後は、アジア太平洋地域の繁栄と安定を希求する日本外交政策の中におきまして、一層戦略的にAPECを活用するように心がけていきたいと考えております。(拍手
  40. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  41. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) 本日は、これにて散会いたします。     午後二時五分散会      ————◇—————