○枝野幸男君 私は、民主党を代表し、ただいまの
報告のうち、特に
金融問題に集中して、
総理並びに大蔵大臣に
質問をいたします。
総理は、
金融機関の破綻が相次ぐ中、
APEC首脳会議等の外交
日程をただ淡々とこなすのみで、この間、国内問題に対してはもちろんのこと、
アジア各国の
経済危機に対しても何らのリーダーシップも発揮していません。聞こえてくるのは、宮澤元
総理の御活躍と、三塚大蔵大臣の支離滅裂な
発言だけであります。
総理の危機感とそして
指導力の欠如は、見過ごし得るものではないことを最初に申し上げたいと思います。
しかも、ただいまの
報告では、
アジア経済について、
基礎的条件は基本的に良好であるとの極めて楽観的な見通しが示されています。しかし、その
認識が甘過ぎることは言うまでもありませんが、そもそも、今回の
アジア各国におけるバブル崩壊について、
日本にも大きな責任があるとの
認識が全く示されていないことは甚だ問題であると
考えます。超低金利政策等、極めて内向きで自己
中心的な
金融政策の結果、国内の過剰な資金が
アジア各国へ流出し、それがバブルを引き起こし、そしてそれが今崩壊をしているのであります。
総理は、こうした御
認識をお持ちでしょうか、また、
アジア各国への責任をどのようにお感じでしょうか、お
伺いをいたします。
さて、相次ぐ
金融機関の経営破綻は、もはや
金融恐慌の段階に入りつつあると
考えます。こうした中、不良債権の処理は順調に進んでいるなどというのうてんきな
発言を繰り返してきた大蔵大臣が、幾ら現状では今後破綻する
金融機関はないと
発言をしたとしても、だれが信用をするでありましょうか。
そこで、
総理御自身の
認識としても、現状で今後破綻のおそれのある
金融機関はないと本当にお
考えなのでしょうか。その
認識の根拠となる情報も含めて、数字を挙げて御
説明ください。さらに、もし破綻のおそれのある
金融機関がないのであるならば、新たな公的支援の必要性など生じないはずでありますが、その点はどのようにお
考えでしょうか。
さて、先日の予算
委員会において我が党の小沢鋭仁
議員は、
金融機関が破綻した場合について、
金融機関に持っている預金、あるいはそういった商品、あらゆる
金融機関の商品は心配しないで結構ですよ、全部保護するんですよ、そういう理解でよろしいんですかと
お尋ねをしました。これに対し大蔵大臣は、そのとおりでありますと答弁しておられます。
しかし、あらゆる
金融機関の商品をすべて民間の力で保護したならば、預金保険機構等に対する負担が著しく高くなり、健全な
金融機関の経営まで揺るがしかねません。また、財政資金によって補てんをするのだとしたら、
金融機関との取引以外の場面で
経済的損失を生じた場合と比較をして、到底公平、公正であるとは
考えられません。預金保険法の対象である四種類の債権については、万難を排してでも保護する必要がありますが、私は、
金融債や生命保険まで財政資金で保護することは、明らかにモラルハザードを生じ、許されないことであると
考えます。
そこで、財政資金を投入してでも保護する範囲はどこまでなのか。
金融債、生命保険は保護されるのか。そして、保護される対象それぞれについて、例えば阪神・淡路大震災による被害の個人補
償の場合と比較をして、どのような違いがあるのか。
総理の具体的かつ網羅的なお答えを求めます。
今般の
金融危機に対しては、財政投融資資金の導入や政府保証による日銀融資など、一見すると、財政資金を投入しない方法での
対応策が
議論されています。しかし、破綻
金融機関を処理するための資金については、返済される可能性が低く、結局は相当程度
国民負担を余儀なくされるはずであります。一時的なつなぎ資金は別としても、返済の見込みがあるならば、そもそも公的支援がなくても破綻することはないはずであります。
批判を恐れ、
国民負担をごまかすやり方は、
橋本総理御自身がかつて国鉄改革の際に、清算事業団の長期債務として棚上げをする形で採用したやり方であります。そして、その利息が雪だるま式に拡大して、今その処理が大問題となっているのであります。
総理は、その過ちを再び犯すつもりなのでしょうか。御見解をお
伺いいたします。
いずれにしても、
金融機関の相次ぐ破綻について、大蔵省の責任は重大であります。
これまでも、証券不祥事や大和銀行ニューヨーク支店事件など、大蔵省の
検査監督能力について厳しい批判がなされてきました。しかし、大蔵幹部が何らかの責任をとったという話は聞いたことがありません。また、大蔵省の天下りの自粛も進んでいません。責任を明らかにできないところか、天下りという利益すら受けている大蔵省にこれ以上
金融行政を担わせることは、到底許されることではないと
考えます。少しでも恥という意識があるのであるならば、大蔵省の局長以上の幹部は、破綻
金融機関に倣って総退陣すべきであり、また、少なくとも
金融機関に天下りをしているOBも、みずから職を辞すべきであります。そして、財政と
金融の分離を一刻も早く明確にするべきであります。
このことは、昨年十二月に与党三党で
合意し、公表をされているものであります。ところが、昨日の
行政改革会議の最終答申でも先送りをされてしまいました。公党間の
合意として公表されていることすら守ることなく先送りをするような政党や
総理大臣を、
国民はどうやって信用したらいいのでしょうか。公党間の政策
合意というものをどのようにお
考えになっているのか、
総理の釈明を求めます。
次に、三塚大蔵大臣に
お尋ねいたします。
大臣の御
発言、特に
委員会での御答弁は、主語と述語が入り乱れ、支離滅裂であり、
質問の意味すら理解しておられないと疑いたくなることも少なくはありません。こうした大臣の御答弁は、
政治的思惑で意図的にあいまいにされているのでしょうか。それとも、誠心誠意まじめに答弁をしても意味不明なのでしょうか。いずれであるのか、今回は明確に御答弁ください。
最後に、こうした
金融危機の中、賢明な
橋本総理がこのようにわけのわからない
発言を繰り返す大蔵大臣でよいと
考えているとは到底私には理解できません。
総理の、大蔵大臣に対する率直な御評価を伺って、
質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。(
拍手)
〔
内閣総理大臣橋本龍太郎君
登壇〕