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1997-11-27 第141回国会 衆議院 農林水産委員会 第5号
公式Web版
会議録情報
0
平成
九年十一月二十七日(木曜日) 午前九時
開議
出席委員
委員長
北村
直人君
理事
赤城 徳彦君
理事
鈴木 俊一君
理事
松岡 利勝君
理事
松下 忠洋君
理事
久保 哲司君
理事
矢上
雅義
君
理事
小平 忠正君
理事
藤田 スミ君 石破 茂君 金田 英行君 木部 佳昭君
岸本
光造
君
熊谷
市雄
君
栗原
博久
君 住 博司君 園田
修光
君 高鳥 修君 仲村 正治君 丹羽 雄哉君 二田 孝治君 牧野
隆守
君
御法川英文
君
目片
信君 一川 保夫君 上田 勇君 木幡 弘道君
佐々木洋平
君 城島 正光君
菅原喜重郎
君 安住 淳君 石橋 大吉君
鉢呂
吉雄君 春名 直章君 前島 秀行君 堀込 征雄君
出席国務大臣
農林水産大臣
島村
宜伸
君
出席政府委員
農林水産政務次
長
岸本
光造
君
農林水産大臣官
房長
堤 英隆君
農林水産省構造
改善局長
山本 徹君
農林水産省農産
園芸局長
高木 賢君
食糧庁次長
川口
將志君
委員外
の
出席者
外務省経済協力
局無償資金協力
課長 八木 毅君
農林水産委員会
調査室長
黒木 敏郎君 ――――――――――――― 本日の
会議
に付した案件
農林水産業
の
振興
に関する件(
平成
十
年産米穀
の
政府買
入
価格等
) ――――◇―――――
北村直人
1
○
北村委員長
これより
会議
を開きます。
農林水産業
の
振興
に関する件について
調査
を進めます。 この際、
平成
十
年産米穀
の
政府買い入れ価格等
の
米価審議会
への
諮問
について
政府
から
説明
を聴取いたします。
川口食糧庁次長
。
川口將志
2
○
川口政府委員
おはようございます。
米穀
の
政府買い入れ価格
及び
標準売り渡し価格
の
米価審議会
への
諮問
につきまして御
説明
申し上げます。
食糧法
のもとでの
米穀
の
政府買い入れ価格
は、
自主流通米
が
制度
的にも実態的にも
米流通
の主体となったことを踏まえまして、
自主流通米
の
価格動向
を反映させるほか、
生産コスト等
を参酌し、
米穀
の再
生産
を確保することを旨として
決定
することとされまして、
平成
七年十二月に
米価審議会
の
意見
を聞いて
算定方式
が
設定
されたところであります。
平成
十
年産米穀
の
政府買い入れ価格
に関しましては、最近の
米需給
の大幅な
緩和
と、これに伴う
自主流通米
の
価格
の著しい
下落
など、大きな
環境
の
変化
のもとでの
決定
ではありますが、先般、このような
需給事情
を
改善
するための新たな
米政策
の
確立
が図られ、これにより
需給
、
価格
の
改善
が期待されること、また、
政府買い入れ価格
については、
行政価格
としてできる限り安定的な
運用
が求められること等を踏まえまして、今回もこれまでの
算定方式
に基づき
算定
することといたしまして、一昨日の
米価審議会
に
諮問
を行い、本日、御
審議
をいただいているところであります。 また、ただいま申し上げた新たな
米政策
は、
米穀
の
生産
、
流通等
の
全般
にかかわるものでありますので、
標準売り渡し価格
につきましても、
政府買い入れ価格
とともにその
一環
をなすものとして、
政府買い入れ価格
と一体的に御
議論
をいただく必要があるものと考え、今回の
米価審議会
につきましては、従来と異なり、
標準売り渡し価格
につきましても
政府買い入れ価格
と同時に
諮問
を行い、あわせて御
審議
をお願いしているところであります。 なお、
米穀
の
標準売り渡し価格
につきましては、
食糧法
において、
米穀
の
需要
及び
供給
の
動向
、
家計費
並びに
物価
その他の
経済事情
を参酌いたしまして、
消費者
の
家計
を安定させることを旨として定めることとされておりまして、今回の
米価審議会
においては、この
食糧法
の趣旨を踏まえ、
米穀
の
需給動向
、
財政
の
事情等
を総合的に考慮することを
内容
とする
諮問
を行い、御
審議
をお願いしているところであります。 以下、これらの
諮問
の概要につき御
説明
を申し上げます。 まず、「
諮問
」を朗読させていただきます。
諮問
平成
十
年産米穀
の
政府買
入
価格
については、
米穀
の
需給動向
・
市場評価
を反映させつつ、安定的な
価格運営
を図るとの
観点
に立って
算定
を行い、この
算定
に基づき
決定
する必要があると考える。また、
米穀
の
標準売渡価格
については、
米穀
の
需給動向
、
財政
の
事情等
を総合的に考慮し、これを
決定
する必要があると考える。これらについて
米価審議会
の
意見
を求める。
平成
九年十一月二十五日
農林水産大臣
島村
宜伸
次に、「
諮問
の
説明
」を朗読させていただきます。
諮問
の
説明
米穀
は、国民の
主食
としての役割を果たすとともに、
我が国農業
において重要な
農産物
としての地位を占めております。 しかしながら、最近の
米穀
の
需給動向
につきましては、連年の
豊作等
により本年十月末の
国内産米
の
持越在庫量
が三百五十二万トンとなつていることに加え、十月十五日現在の本
年産米穀
の
作況指数
が一〇二となっており、大幅な
緩和基調
で推移しております。 このため、
自主流通米
の
価格
が大幅に低下し、
稲作経営
に大きな
影響
を与えるとともに、
生産調整
につきましても、
不公平感
の
高まり等
の問題が生じております。 また、
備蓄
につきましては、本年十月末の
国内産政府米
の
持越在庫量
が二百六十七万トンと適正な
水準
を大幅に上回り、その適切な
運営
を図ることが課題となっており、「
財政構造改革
の
推進
について」においても、「米について、
政府備蓄水準
の
早期適正化
を進め、
米価
を含む
農産物価格
について適切な
価格設定
を行う」とされました。 このような中、望ましい
水田営農
の
確立
を図るとともに、
稲作経営
の将来
展望
を切り拓くことを旨として、
生産調整推進対策
、
稲作経営安定対策
及び
計画流通制度
の
運営改善
を
基軸
とする「新たな
米政策大綱
」を取りまとめ、これにより
米穀
の
需給
と
価格
の安定を図ることとしております。
平成
十
年産米穀
の
政府買
入
価格
及び
米穀
の
標準売渡価格
につきましては、
計画流通制度
の運 営の
一環
として、「
主要食糧
の
需給
及び
価格
の安定に関する法律」の
規定
に基づき、適切に
決定
する必要があります。 まず、
平成
十
年産米穀
の
政府買
入
価格
につきましては、新たな
米政策
を踏まえ、引き続き、
自主流通米
の
価格
の
変動率
及び
生産コスト等
の
変動率
を
基礎
として、
需給動向
・
市場評価
を反映させつつ、安定的な
価格運営
が図られる現行の
方式
により
算定
することとしてはどうかということであります。 次に、
米穀
の
標準売渡価格
につきましては、以上のような
事情
のほか、ミニマム・
アクセス輸入米
につきましては、
国内産米
の
価格体系
との
整合性
も踏まえながら、適切に
供給
していく必要があることを総合的に考慮して
決定
することとしてはどうかということであります。なお、実際の売却に当たっては、
備蓄
の適切な
運営
を図る
観点
から、
標準売渡価格
を
基準
としつつ、
需給動向等
に
対応
して弾力的に
予定価格
の
設定
を行う必要があります。 次に、
資料
2の横長の
資料
でございますが、「
平成
十
年産米穀
の
政府買
入
価格
の
試算
」という
資料
がございます。これにつきまして簡単に御
説明
を申し上げます。 まず、目次をめくりました一ページでございますが、「
平成
十
年産米穀
の
政府買
入
価格
の
試算
」についてであります。 その1は、「
政府買
入
米価
の
算定
の
考え方
」でございます。
自主流通米価格形成センター
において形成されます
自主流通米
の
入札価格
の
動向
の
比較
による
価格変動率
と、
生産費調査
に基づく
米販売農家
の全
算入生産費
の
動向
の
比較
により
生産コスト等
の
変動率
を求めまして、これらの
変動率
を均等のウエートにより前年度の
政府買い入れ価格
であります
基準価格
に乗じ、「求める
価格
」を
算出
することとしております。 この場合、
自主流通米価格
の
変動率
の
算出
に
当たり
ましては、すべての
上場銘柄
の
加重平均価格
を用いることといたしておりますし、また、
生産コスト等
の
変動率
の
算出
に
当たり
ましては、前
年産米穀
の
価格決定
時から最近までの
物価
・
労賃
の
動向
、それから単収の
動向
を織り込むことといたしております。 「求める
価格
」の
算式
は、右にあるとおりでございます。 次に、二ページでございます。
政府買い入れ米価
につきましては、
需給事情
、
市場評価
を反映させつつ、安定的な
価格運営
を図る
観点
から、まず、
自主流通米
の
価格
の
変動率
を求めるに
当たり
ましては、
移動
三カ年
平均
による
比較
を行いまして、その際、
需給変動
による
価格
への
影響
を
緩和
するため、
生産調整面積
の
変更
を
決定
した年、こうした年は
需給
、
価格
の
変動
が大きいものと考えられますことから、
行政価格
を決めるに
当たり
まして、一定の
平準化
を行おうとするものであります。そういう
観点
から、こうした年の
年産
に係る
自主流通米
の
入札価格
について
平準化
を行うということでございます。 また、
生産コスト等
の
変動率
を求めるに
当たり
ましては、
移動
三カ年
平均
による
比較
を行うことといたしておりまして、その際には、
平準
単収を用いることといたしております。 次に、「
算定
」でございますが、以上申し上げましたような
考え方
に基づきまして
算定
した
平成
十
年産米穀
の
政府買い入れ価格
は、六十キログラム
当たり
一万五千八百五円、前
年産価格
に
比較
いたしますと、金額で四百十二円
引き下げ
、パーセントで申し上げますと二・五%の
引き下げ
となっております。 次に、三ページでございます。三ページは「
算定要領
」でございます。 まず、
基準価格
は、先ほど申し上げましたように、前
年産米穀
、つまり九
年産
の
政府買い入れ価格
でございまして、一万六千二百十七円を用いております。 それから二番目に、
自主流通米価格
の
変動率
でございます。
自主流通米価格
の
変動率
につきましては、
自主流通米価格
の中期的な
トレンド
を反映させるという
観点
から、すべての
上場銘柄
の
加重平均価格
の
直近
三カ年
平均
とその前年の三カ年
平均
とを
比較
するということにより求めております。 この場合、
生産調整面積
の
変更
を
決定
した
平成
六年、七年、九
年産
の各
年産
の
価格
につきましては、各
年産
の
加重平均価格
と、その
年産
の
入札取引
における
基準価格
との
平均価格
を用いることといたしております。 こうしたことで求められます
自主流通米価格
の
変動率
は九四・五五でございまして、約五・五の低下になっております。 それから、四ページでございます。四ページは、
生産コスト等
の
変動率
でございます。
生産コスト等
の
変動率
につきましては、
生産費調査等
に基づきまして、
家族労働費
、
物財
・
雇用労働費等
、単収のそれぞれにつきましてその
変化率
を求めまして、
家族労働費
と
物財
・
雇用労働費等
について全
算入生産費
に占めるそれぞれの
割合
によりウエートづけを行いまして、
最後
に単収の
変化率
で割り戻すというようなことを行っております。 これを
算定式
において見ますと右のような式になるわけでございます。こうした
算定
の結果、
生産コスト等
の
変動率
は一〇〇・三五%となり、わずかですが上昇を示しております。 次に、五ページでございますが、ここからは今の前のページでの
算定
の
算式
のそれぞれの
算定要素
の
説明
でございます。 まず、
労賃
の
変化率
でございますが、
労賃
の
変化率
につきましては、労働省の毎月
勤労統計調査
におきます
建設業
、
製造業
及び運輸・
通信業
の
事業所規模
五人以上三十人未満の賃金の、
直近
一年
平均
とその前年の一年
平均
とを
比較
することにより求めてございます。その結果は右の③のとおりでございます。 次に、十アール
当たり
の
家族労働
時間の
変化率
でございますが、これにつきましては、
生産コスト等
の
動向
の中期的な
トレンド
を反映させるということと、また今後の
客観性
、
連続性
のある
算定
を考慮するという視点から、
直近
三カ年
平均
とその前年三カ年
平均
とを
比較
することにより求めております。その結果は右の③にございますような
数字
になってございます。 六ページでございます。六ページは、
物財
・
雇用労働費
の
農家購入価格等
の
変化率
についてでございます。 これにつきましては、
米生産費パリティー指数
、これはいわば
稲作経営
にかかわります物
財費等
の
物価指数
といった性格のものでありますが、これによりまして、当年一月から
直近月
までと、その前年の同
期間
の
物価水準
とを
比較
することにより求めております。 この場合、九
年産米価
においては、
消費税引き上げ
の
影響
を既に反映させていることに伴いまして、
税率引き上げ
の
影響
が
ダブルカウント
にならないように、
平成
九年四月、
消費税
の適用以後の
米生産費パリティー指数
については百五分の百三を乗じて、
消費税
の二重
カウント
を回避するという措置を講じております。それによります
変化率
は右のとおりでございます。 次に、十アール
当たり
の
物財
・
雇用労働費等投入量
の
変化率
についてでございます。
投入量
の
変化率
につきましては、
米販売農家
の十アール
当たり
の
物財
・
雇用労働費等
の
直近
三カ年
平均
とその前年の三カ年
平均
とを
比較
することによって求めるわけでありまして、この場合、
価格変動要素
を取り除きまして
投入量
の
変化率
とするために、デフレーターによりまして
直近
三カ年
平均物財
・
雇用労働費等
を
基準年産
であるその前年の三カ年
平均価格水準
に修正するという操作をいたしておるところでございます。そうして求められました
変化率
は、右の欄の一番下にあるとおりでございます。 次に、七ページでございます。十アール
当たり
全
算入生産費
に占める
家族労働費
の
割合
についてでございますが、
基準年産
の十アール
当たり
の全
算入生産費
に占める
家族労働費
の
割合
によるとい うことでございます。 それから、十アール
当たり
の
収量
の
変化率
につきましては、近年の
作柄
の著しい
変動
の経験を踏まえまして、より
客観性
、
安定性
のある
算定
をしようということで、
米販売農家
の十アール
当たり収量
を
平準化
した
収量
の、
直近
三カ年
平均
とその前年の三カ年
平均
とを
比較
することにより求めております。 次に、八ページでございますが、八ページは
類別
、
等級別価格
の
算出方法
でございます。 これまでの計算で出されました求める
価格
、すなわち
ウルチ
一-五類、一-二等
平均
、
包装込み
、
生産者手取り予定価格
を
基礎
にいたしまして、
銘柄間格差
、
等級間格差等
を前提に、
ウルチ
三
類一等裸価格
を求め、
算出
いたします。この
価格
をへそにいたしまして、右のような表に開いて各
類別
、
等級別
の
価格
を定めております。 これについては以上でございます。
最後
に、お手元の
資料
3でございますが、「
米穀
の
標準売渡価格
の
改定内容
」でございます。 一ページでございますが、
国内産米
については、基本的な
考え方
といたしましては、
国内産米
の
標準売り渡し価格
については、
食糧法
の
規定
に基づき、「
米穀
の
需要
及び
供給
の
動向
、
家計費
並びに
物価
その他の
経済事情
を参酌し、
消費者
の
家計
を安定させることを旨として定める」こととされております。
標準売り渡し価格
の
設定
に際して考慮すべき米をめぐる
事情
についてでございますが、その一は、最近の
需給動向
でございます。 御案内のとおり、現在の
需給動向
につきましては、
政府
及び
民間双方
とも過剰な
在庫
を有しておりまして、こうした全体
需給
が大幅な
緩和基調
で推移することを反映いたしまして、
自主流通米
の
価格
が急激に
下落
をしている
状況
にあります。 こうした
状況
を放置すれば、
主食
である米の
需給
と
価格
の安定という
食糧法
の目的を達成することが困難となることから、一つには、
生産調整推進対策
、二つには、
稲作経営安定対策
、三つには、
計画流通制度
の
運営改善
、こうしたものを
基軸
とする総合的かつ
実効性
の高い
対策
を講ずることとしたところであります。 それから、二番目の
家計費
の
動向
でございますが、米の
消費価格
は、全体
物価
も安定的に推移している中で、最近の米の
需給
を反映して軟調に推移しているところでございます。 それから、
政府管理コスト
については、
備蓄上限
を上回る
備蓄保有
、
備蓄米
の
保管期間
の
長期化等
によりまして、最近では大幅な
管理経費
の
増嵩
がもたらされているということでございます。 それから、
政府買い入れ価格
についてでございますが、
政府買い入れ価格
につきましては、今回の
米価審議会
において、四百十二円、率にして二・五%の
引き下げ
の
諮問
を行っているところでございます。 それから、
標準売り渡し価格
の
改定
についてでございますが、これについては、
政府買い入れ価格
の
引き下げ
の効果を
消費者
に適切に還元する等の配慮を行って適切に
設定
する必要があるということでございます。 そういうことで、
平成
十年一月一日以降の
標準売り渡し価格
については、額にして二百五十七円の下げ、率にして一・五%の
引き下げ
とすることとしているところであります。
最後
の(4)に書いてありますのは、いささかわかりにくい文章となっておりますが、これは、
現下
の異常な
需給環境
のもとで、
標準売り渡し価格
を
基準
として定める
入札売り渡し
の
予定価格
については、機動的な
運用
を行う必要がある旨を記述したものでございます。 以上でございます。
北村直人
3
○
北村委員長
以上で
説明
は終了いたしました。 ―――――――――――――
北村直人
4
○
北村委員長
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。
栗原博久
君。
栗原博久
5
○
栗原
(博)
委員
島村農林大臣
を初め、農林省の皆様、日ごろ新たな
米政策
を初めとする農政の展開について多大な御努力をされていることについて、まずもって敬意を表する次第でございます。 今、
次長
さんから九八
年産米
についての御
説明
がありました。マイナスニ・五%である、それで六十キロは一万五千八百五円ということで
諮問
されておるわけでありますが、
生産費
が〇・三%プラスでありますけれども、しかしながら
自主流通米
の
変動率
がマイナス五・四五%。このことは、私やはり今後
自主流通米市場
におきます
価格
の
変動
について大きなインパクトがあると思うのであります。 今年度の
米価
の動きを見ましても、一俵
当たり
三千円から四千円ぐらい昨年度に比べて落ちておりますから、
農家
の
方々
は大変この米の暴落におびえておりまして、三町歩ぐらいつくっている
農家
でありますと百三十万から百四十万ぐらい
実質減収
でございますから、大変な問題であると思います。 そこで、先ごろ新たな
米政策
の
大綱
が示されました。
生産調整
は昭和四十六年から始まりまして二十七年目を迎えております。この間、いろいろと
対策
が講じられまして、六度ほどの
対策
があったと思うのです。
平成
八年から新たに
生産調整
の
施策
ということで共
補償
などのこういう新しい
制度
が設けられましたけれども、今回のこの
作柄
の一〇二%、あるいはまた
在庫
が三百七十万トンあるとか、先ほど私が申し上げました
米価
の
下落
ですね。こういう問題で三年度の
対策
が二年目でとんざして、三年目で新たな
施策
ということで、
経営安定対策
とか
計画流通
の
対策
とか
生産調整
。当面
生産調整
は、七十八万ヘクタールに上乗せすることの十七万六千ヘクタール、
生産調整
の
転作率
が二八・八%から三五・五%。例えば
新潟
の場合、二〇・四%が二八%ですから、
生産調整
が約四割
強プラスアルファ
になるわけでありまして、大変な実情であります。 いろいろ私申し上げました。
全国共補償制度
を新しくつくるとか、あるいはまた今度、
基準価格
、三年
平均
に対して
農家
の拠出を二%出して、
価格下落
について補助をするというような
制度
も新しくできるわけでありますが、それはそれとして、要するに、この二年度目でとんざしまして、三年目の新しいこのような
対策
が出たわけです。これを
農家
の
方々
が血みどろになって
生産調整
を実行してやった場合、果たして本当にこの新しい
大綱
が示したものを、また
再来年度
ですか、
変更
するというようなことが絶対ないように、そういうことについて
島村大臣
の御所見をひとつお聞きしたいと思います。
島村宜伸
6
○
島村国務大臣
栗原委員
にお答えいたします。 なるほど、
生産調整
について確たる
数字
が
長期
にわたって示し得ない。これは何といっても自然が
相手
でありまして、私十四年前に政務次官当時、五十六、五十七、五十八は、まさに八七、九六、九六、九六、四年の不作で
大変米
の
需給
が心配されたところでありますし、また
平成
五年は七四と、大変な冷夏の
影響
を受けて、非常な凶作だったわけであります。 こういうこととあわせまして、この四年間はどうであるかというと、一〇九、一〇二、一〇五、一〇二と四年
連続
の
豊作
でありまして、あくまで自然が
相手
でありますから、我々としても可能な限りこれに弾力的に
対応
しようというのは当然でありますけれども、しかしそれはそれといたしまして、やはり米の
需給
が大きく
緩和
したとかあるいは逼迫したという場合には、それ相応の
対応
はやはり余儀なくされるところであります。 今
新潟
の例が披歴されましたけれども、例えば私
ども東京
の場合ですと、五〇・二が六〇と大変な
生産調整
のパーセンテージを受けているわけでありまして、やはりそういうことごとについては、あくまで一生懸命一年間取り組んで結果を生んでおられる
農家
のお
立場
に立って、いわば将来に向かって
農家
の
皆さん
がきちんとした
展望
を持ち、意欲的に
農業
に従事できるような
環境づくり
をするという基本に立った我々のこれからの
対応
をしていきたいと思っております。 そういう意味では、御承知のようにこのところ四年の
豊作
ということで、
自主流通米
の
価格
が大
きく低落
をいたしまして、また
生産調整そのもの
につきましても、
正直者
がばかを見るというような
批判
もなきにしもあらず、こういうような
状況
にあったわけであります。このような厳しい
状況
を打開するために、
米政策全般
の再構築を行うことといたしまして鋭意検討を進めた結果、新たな
米政策大綱
として取りまとめたのが今回の
米政策大綱
であります。 本
大綱
におきましては、
作況等
による
生産量
の
変動等
に機動的に
対応
し得る
柔軟性
の高いシステムとして新たな
米政策
を構築することとされておりますし、また、各年の
需給動向
、
施策
の
実施状況等
を踏まえ、
施策
の
継続性
や
営農
の安定にも配慮しつつ、適宜必要な見直し、
改善
を図ってまいりたい、こう考えております。 こういう問題は一〇〇%というものはあり得ないわけでありますが、このところ私は
全国
を回る機会が多いわけでありますけれども、
農家
の
皆さん方
の反応は、まあこれだけよくぞ踏み込んでくれたというような
評価
を受けるわけで、私は大変ありがたい、こう受けとめているわけであります。
栗原博久
7
○
栗原
(博)
委員
ありがとうございました。
北村直人
8
○
北村委員長
次に、
熊谷市雄
君。
熊谷市雄
9
○
熊谷
(市)
委員
島村大臣
、
大変お忙しい
ところ御苦労さまでございます。早速ですが、今度打ち出されました新たなる
米政策
の
大綱
について、
大臣
の
考え方
を伺いたいと思います。 今度の
大綱
については、その見方あるいは
立場
によっていろいろ指摘なり
批判
もあろうかと思いますが、今現実に当面している米問題というものを打開するためにどうするか、その手法について我が党としては約四カ月間にわたる長丁場で真剣な
議論
を積み上げてまいりましたし、当然のことながらその間においては
生産者
の
稲作農家
の生の声も聞きました。
生産団体
からの
意見陳述
なども幾度か聞いて、十分にこれらを反映したものである、そのように考えておりますし、言うならばこの
大綱
というのは、
生産者団体
と党とそして
政府
の三位一体になった手づくりの中から集大成として打ち出されたものだ、このように私は認識をしております。当然これは百点満点、ベストなものではないにしても、
現下
の厳しい
財政状況下
にあって、よりベターなものを出すことができたのかな、こんなふうにも思っております。 その中にあって、
大臣
にも大変御尽力をいただいたわけであります。特に最終段階において、これは農林予算の枠ではどうにもできなかったものが三項目、八百億余りあったわけでありますが、これは大蔵
大臣
との折衝という形の中で、よくあの大蔵
大臣
を説得されてこれを物にした。したがって、
生産者
の要請というものにほぼこたえることができたのかな。これは特筆すべき事項であると思います。 そこで、この
大綱
を打ち出すに当たって、
大臣
は談話を出されました。この談話の中に、特にこれは画期的な新機軸になるというように
大臣
は胸を張られましたし、その
内容
というものを見ましても、この取り組みは道のりは大変厳しいけれども、関係者が一丸となって
推進
をすれば、我が国稲作
農業
に必ずや明るい
展望
が開け、本来の活力を取り戻すことができるものであると確信する、そのためには
稲作農家
の不安というものを払拭するように全力を傾注する、こういうかたい決意を述べられたわけでありますが、私も非常に共感をしております。恐らく、
全国
稲作農家
の打ちひしがれた心境というものを奮い起こすものではないか、こんなふうに考えますので、この場でもう一度、この
大綱
を進めていくに当たっての
大臣
の御決意をお伺いさせていただきます。
島村宜伸
10
○
島村国務大臣
かつては
全国
農業
者の代表としてリーダーシップを発揮された
熊谷
先生から御
評価
をいただきましたこと、感謝申し上げます。 ただいまお話がありましたように、私もできるだけ注意をして、農村の
皆さん
、特に、指導者の方だけでなくて、第一線の青年やあるいは
農業
従事者の
方々
のお話を承るようにしているところですが、今お話を承ったようなことごとをそれぞれのお
立場
から伺って、大変にありがたく思っております。 また、その一方で、米の
価格
やあるいは米の
生産
を初めとする
農業
全体に対しては、当然に国家
財政
というものを無視してこれに
対応
できませんし、また、
消費者
の理解というものも当然に必要であります。このことについても、私は意図的にそういう機会を設けてお話を承っているところですが、それぞれの
立場
でまずまずの結果を得たということを実はありがたいと思っております。 いずれにいたしましても、米を取り巻く厳しい
状況
を踏まえまして、
食糧法
の目指す米の
需給
の安定、
価格
の安定を図るために、
生産調整
、
稲作経営
あるいは
計画流通制度
の
運営改善
等、
米政策全般
の再構築に向け検討を行ってきたところであり、先般、その成果として、新たな
米政策大綱
を取りまとめたところであります。 また、その背景には、本年夏以来、まさに大変な御努力で与党三党の側にもいろいろな御検討や御
調査
をいただいたところでありまして、そういうことごとが両々相まって、いわば
皆さん
に、ある意味で、この時期においては
評価
できるということにつながっているのではないか、こう受けとめているわけであります。 また、この
大綱
は、稲作、転作一体となった望ましい
水田営農
の
確立
を図るとともに、我が国
稲作経営
の二十一世紀に向けてのいわば将来
展望
を切り開くことを基本理念に据えているものでありまして、今後、この
大綱
に即した各般の
施策
を総合的かつ的確に
推進
することにより、稲作に携わる
農業
経営者の
方々
の不安を払拭するよう全力を傾注してまいりたい、そう考えております。
熊谷市雄
11
○
熊谷
(市)
委員
よろしくお願いします。 終わります。
北村直人
12
○
北村委員長
次に、一川保夫君。
一川保夫
13
○一川
委員
新進党の一川保夫でございます。 私の方から、このたびの新たな
米政策
を中心にしまして、今後の我が国における水田
農業
なり
稲作経営
の問題について、特に基本的なところについて
大臣
にお尋ねしたい、このように思っております。 先ほど
大臣
の答弁にもございましたけれども、
大臣
は
全国
各地を回られて、今回のこのことについて大変高い
評価
を得ているというお話がございました。ただ、私の認識としましては、今のこの新たな
米政策
の中身というのは、現実問題、まだそんなに末端に話がおりている問題じゃないというふうに思います。まあ農協、JAの幹部の
方々
なり、各府県、市町村の担当の責任者ぐらいは、それなりに関心を持って当然中身は見ているというふうに思いますけれども、個々の
農家
なり、またある程度従来から
農業
に関心のあった方も含めて、今回のこの新たな
米政策
についてまだ十分理解されている段階ではないというふうに私は思います。 私も、昨日から、この
農林水産委員会
が開催されるということもございまして、
政府
の方からこういう
考え方
が出されたということについて、自分の地元の実際に
農業
に取り組んでいる
方々
、専業的な方もいらっしゃいますし、また兼業的な方もいらっしゃいます。また、関係の市町村の担当の
皆さん方
ともちょっと
意見
交換をしました。そういうのをトータルしまして、これから基本的なところをお尋ねしたいわけです。 一番
皆さん方
の共通している認識は、やはり我が国の
農業
の基幹的な作物でありますこの米、稲作というものが、二、三年ごとに基本的な
施策
が動いてしまうということに対して、本当に意欲を持ってこれからの
農業
に取り組むという者にとっては、非常に先が見えてこない、先行きの
展望
が開かれないということが大体
皆さん方
の共通した
意見
でございます。また、兼業的に取り組んでいる
方々
にしましても、これからの稲作というものがどういうふうに推移するかということについて、やはり従来から米を中心に栽培をしている
農家
にとっては大変関心の深いテーマでもありますけれども、どうもはっきりとした見通しが立たない。何となく一、二年でそういった基本的なとこ ろが
変更
になる可能性というのを常に秘めているということもございまして、なかなかしっかりとした投資なり、そういったものにも熱意がだんだん薄らいでくるというようなことも見えているような感じがいたします。 そこで、今回の新たな
米政策
というものを策定するに
当たり
まして、当然ながら、これまでの米にかかわる
施策
のいろいろな見直し、あるいは従来取り組んでこられた
施策
の反省点、そういったものが前提にあると思うのです。また、こういう
施策
を打ち出さざるを得ないという背景も当然あるわけです。 そういう点で、まず最初に、なぜこういう新たな
米政策
を策定せざるを得なくなったのかというその背景なり、それから、近年の米にまつわるそういう
施策
に対する反省点といいますか、そういうものを込めて、
米政策
のこれまでの総括みたいなところをお尋ねしたいというふうに思っています。
島村宜伸
14
○
島村国務大臣
お答えいたします。 米につきましては、
平成
七年に施行いたしました
食糧法
に基づきまして、全体
需給
のバランスを図るための
生産調整
の
推進
、豊凶
変動
に備えた
備蓄
・調整保管の適切な
運用
、また、
需給
実勢を反映した適切な
価格
形成等の
施策
を的確に組み合わせることにより、その
需給
と
価格
の安定を図ってきたところであります。 しかしながら、最近の米をめぐる
状況
につきましては、四年来の
豊作
ということもあり、
需給
が大きく
緩和
をいたしまして、これらを背景に、
自主流通米価格
の低下、あるいは
生産調整
についての
不公平感
の
高まり等
の問題を生じているところであります。これをこのまま放置すれば、
食糧法
の目指す
需給
と
価格
の安定が図られなくなるばかりか、稲作
生産
の活力が著しく低下し、
我が国農業
、農村の維持、発展に重大な支障を生ずるおそれがあります。 このような認識に立って、
米政策全般
の再構築を行うこととし、鋭意検討を進め、先般、その成果として新たな
米政策大綱
を取りまとめたところであります。
一川保夫
15
○一川
委員
確かに、米の過剰現象が生じてきた、作況の問題もいろいろとございます。自然を
相手
にする、そういう産業であるということは
大臣
も先ほどおっしゃったとおりでございます。 ただ、今
大臣
の答弁の中で、若干、もう少し掘り下げた答弁をいただきたいのですけれども、近年の
米政策
に対する一種の反省点みたいなものがちょっと聞かれなかったような気がするわけですが、そのあたりいかがでしょうか。
島村宜伸
16
○
島村国務大臣
なるほど
米政策
については、ある長い
期間
をとらえて見れば一貫性を欠いているとかあるいは多少その間に
内容
の
変更
があったということは、これは事実だと思います。 ただ、何より、先生は専門家ですから釈迦に説法ですけれども、自然が
相手
のことでもありますし、また
消費者
のニーズの
変化
、これもまた無視できません。特に最近は、いわば米の消費の減退というものもこれは全く無視できませんし、また国際的には、私たちは常に忘れてならないのは、世界の人口急増と、また同時に砂漠化の急速な進行等も含めて、これからやはり、日本の
主食
である米の
生産
の維持というものに対しては、多少一貫性を欠くとしても、常に弾力的に、農村あるいは
農業
関係者のいわば意欲を損ねない、将来に向かって積極的に取り組んでいただくような
環境づくり
を我々はしていかなきゃいけない、こんなふうに思います。
一川保夫
17
○一川
委員
先ほどもちょっと触れましたけれども、今、水田
農業
について非常に意欲を持って取り組んでいこうとする
農家
の
方々
も、徐々にではありますけれども、ふえてきているような感じも私は一部ではしております。ただ、先ほども触れましたように、どうも将来の
展望
がはっきりと見えてこないということに対する不安感が常につきまとっているわけでございます。 今回この新たな
米政策
を発表するに
当たり
まして、
大臣
の談話なり、いろいろなものを見させていただきました。そういう今回の一連の
資料
の中にも、表現としては、例えば、
米政策全般
についてその再構築を図るというような表現の仕方とか、あるいは、望ましい
水田営農
の
確立
を図るというようなこともはっきりと記述されてございますし、また、
稲作経営
の将来
展望
なり
我が国農業
の未来をこの
施策
によって切り開いていくんだというような言い方もされております。それから、我が国の農政のあすを開くんだというような表現も見かけたような気もします。また、二十一世紀に向けて農政改革の先駆けとしたいというようなこともこの一連のいろいろな
資料
の中にも見られます。 まさしく今私が言いましたような、また、いろいろ出されている
資料
の中のこういう記述については、私は、そういうことであれば非常に頼もしいなというふうに思うわけですけれども、どうも今回のこの中身を見る限りにおいてはまだそこまで、本当に二十一世紀を先取りしたような我が国の水田
農業
の将来
展望
というものは、しっかりとしたものがどうも見受けられないような感じがいたします。 そこで、農水省の方でお考えの
稲作経営
に対する将来
展望
、
水田営農
への一種のガイドライン的なものを現時点でしっかりと示すべきじゃないかというふうに私は考えるわけです。 それで、この新政策は特に期限は切っておりませんけれども、ただ、
在庫
調整
期間
と称して一応ニカ年というものは描いておりますので、この政策は少なくともニカ年間は動くだろうというようなことで恐らく
皆さん
受けとめられると思いますが、じゃ、ニカ年後、三年目以降はどうなるんだというようなことも当然心配になるわけです。 そういったことも踏まえながら、これからの我が国の
稲作経営
の将来
展望
、見通し、そういうものについて、何か稲作を経営されている
農家
の
方々
が元気が出るような、そういう御
説明
をぜひこの場でしていただきたいと思います。
高木賢
18
○高木(賢)
政府
委員
稲作経営
を中心といたします経営の将来
展望
につきましては、新政策におきまして、他産業並みの年間労働時間で、その地域の他産業従事者と遜色のない生涯所得が得られる経営の姿というものを示しているところでございます。 具体的には、麦、大豆を取り入れた経営規模十ないし二十ヘクタールの個別経営体、それから稲作を中心としながらも野菜など集約作物を取り入れた個別経営体、さらには一ないし数集落にまたがる稲、麦、大豆を主体とする組織経営体、まあ組織経営体については北陸地方に特に多く見られるわけでございますが、こういった姿を
展望
をいたしております。ただ、これは
全国
平均
版でありまして、やはり地域の実情に応じた姿を描く必要があるというふうに考えております。 そこで、
平成
五年に制定されました
農業
経営基盤強化促進法におきましては、まさに都道府県ごとの独自性に基づいて、その県の経営の姿を基本方針という中で明らかにしておりますし、それに基づきまして、市町村ごとに、その市町村に適した経営類型の姿を描いている基本構想というものを策定をいたしております。これによって、地域の実態に即した効率的、安定的な
農業
経営の姿というものが示されているわけでございます。その姿に向かって努力する
農業
者に対しましては、これをいわゆる認定
農業
者ということで認定をいたしまして、既に稲作関係では三万を超える
農業
者を認定をいたしておりまして、その経営発展に必要な金融上あるいは税制上の支援措置、スーパーL資金などの支援措置を講じているところでございます。 今回の
対策
の関連におきまして、地域で、例えば麦、大豆をさらに強化するとか、そういったビジョンを地域なりに描いていただいて、その
推進
を図っていただきたいというふうに考えております。
一川保夫
19
○一川
委員
それではちょっと次のテーマに移らせていただきます。 米の問題が、ウルグアイ・ラウンドの交渉以来 いろいろな面で国民に関心を持たれてきておるわけですけれども、当然ながら、次期の
農業
交渉も含めたWTOの交渉が二〇〇〇年に予定されておるというふうに聞いております。そうした場合に、今回のこの新たな
米政策
、二年間なら二年間この骨子が動かないとすれば、この二年間この政策が動いた後に次期の
農業
交渉が始まるわけです。また一方では、UR関連
対策
が若干その
施策
の実施
期間
を延ばすというお話もございますけれども、UR
対策
もある程度目鼻が立ってくる。また一方では、
農業
基本法を今現在見直しをかけておりますけれども、それにつきましても来年には大体の中身が見えてくるということになりますと、ここ一、二年に、米を中心にした農政というものが非常に重要な時期に差しかかっているというふうに私は思います。 そういう
施策
が動き出したそのすぐ後に
農業
交渉が始まるわけですけれども、では、今農林水産省といたしまして、次期の
農業
交渉に臨むに
当たり
ましてどういうような基本姿勢で臨まれようとされているのか、そこがまず一点です。 私は、これまでのああいう国際交渉の背景なりをいろいろ聞いている場合に、前回のURの交渉の段階では、我が国の米に対する世論というものが非常に分かれていたというふうな感じがします。要するに、米を輸入するかしないかという問題も含めて、
農業
をある程度手厚い助成をするかしないかという問題も含めて、国内の世論が二分化されていたような感じがいたします。そういうことは、これからの交渉を迎えるに
当たり
まして、次の
農業
交渉までには少なくとも我が国の
農業
について国内の世論をしっかりと統一していくということが非常に大事なことであろうというふうに思っています。 そういう面では、今回のこの新たな
米政策
も含めて、非常に大事な
施策
なりその判断がここ一、二年の間に控えているわけですけれども、そういうことも含めて、次期交渉に臨むまでに基本的にはこういうことは農政としては
確立
しておきたいというところをちょっとお聞かせ願いたいと思います。
島村宜伸
20
○
島村国務大臣
我が国は、米につきまして、WTO
農業
協定上の特例措置を適用して、関税化を行わず、輸入数量制限と国家貿易を維持いたしました。このことから、ミニマムアクセスを超える輸入は確実に避けられることになったわけでありまして、
国内産米
と輸入米を通じた全体的な数量調整が可能になったところであります。 現在適用されている米の関税化の特例措置は、七年目以降、すなわち
平成
十三年以降の取り扱いについては六年目である
平成
十二年の交渉で決められることとなっております。その際には、
長期
的な視点から、
主食
である米の安定
供給
を図るとの
観点
に立ち、
我が国農業
の重要性や特例措置の継続に伴う代償等を総合的に検討し、交渉に臨むこととなるように考えております。 なお、私は、自分の生まれ育ちも東京ですし、選挙区も東京でございます。いわば
消費者
の
立場
におるわけでありますが、ちなみに私の選挙区や私と関係のある地域の
方々
は、少なくも、
農家
は過保護であるとか米の
生産
はむだであるとか、あるいは輸入に頼ればいいといったような無責任な
意見
はまず聞かないと思います。 私は、常に、米の
生産
というのは単に日本人の食の安全を確保するだけじゃなくて、やはり国土の保全や自然
環境
保護、
全国
的に日本の国を守るという見地に立って、これは不可欠のものであるということをずっと言い貫いてまいりました。やはりこういうことに対してきちんと実情を知っていただくことが大事ですし、特に我が国の食糧の自給率は四二%、穀物自給率に至っては三〇%でありますから、将来に向かって日本人の食の安全というものを確保するためには、私は在任中に、可能な限りこういうことの事実を知って、理解を深めてもらおう、こんなふうに考えているところでございます。
一川保夫
21
○一川
委員
今の
大臣
の答弁に対しても非常に我々としては関心の深いところなのです。先般、
財政構造改革
特別
委員
会でも
大臣
にちょっとそのお話をさせていただいたのですけれども、
島村大臣
が
大臣
になられたということで、確かに東京都にお住まいの方の
大臣
でもございますし、そういう面では、今後の農政なりまた
農業
の持つ役割、そういったものにつきまして、大都会の住民の
方々
にしっかりと理解していただくように
大臣
のお
立場
から御努力を願えれば、これがまた国民世論全体に対する
影響
も非常に大きいものがあろうというふうに思っております。 特にここ二、三年のいろいろな世論
調査
等のそういうものを見ておりましても、以前までは確かに、先ほどちょっと私が触れましたように、
農業
に対しては非常に国内の
意見
が分かれていた時期があったというふうに思います。安いものはどんどん輸入すればいいじゃないかとか、あるいは、余りにも
農業
に対して投資が大き過ぎるのじゃないかとかいうような言い方も含めて、何か都市と農村部の一種の対立みたいなものとか、あるいは
生産者
と
消費者
の対立、あるいは
農業
関係者と一般の経済界の対立、そういうような図式が非常に見えたわけですけれども、そういったものをできるだけ解消するということが非常に大事なことでございますし、また、最近の
消費者
の
動向
にしましても、多少値段が高くてもやはり国内で安全な食糧をつくってほしいというような、そういう世論というのは相当高まってきております。 そういう面では、農政を展開する上での世論の動きというのは非常に力強いものがあるわけですけれども、やはりそういった
消費者
も含めた国民のいろいろなニーズにしっかりとこたえられるような農政をぜひ展開していただきたい、そのようにお願い申し上げておきます。 次に、今回のこの
米政策
で最も関心が強いのは、やはり
生産調整
の問題だというふうに思います。 先ほど来ちょっと話題に出ていますように、今回の
生産調整
に対する転作の比率も相当大きくなってきております。こういったことを米の
需要
と
供給
という
観点
から見れば、確かに、米が過剰になってきた場合に、それに見合うような作付面積を減らしていくという計算は成り立つわけでございますけれども、私は、こういうやり方でもしずるずるといった場合に、我が国の水田
農業
、稲作
農業
というものが非常に厳しい局面を迎えるのではないかということを感じております。 単なる米の
需給
ということも確かに大事なんですけれども、そういう
観点
プラス、最近
評価
されていますように、水田の持つ国土保全機能とかあるいは
環境
保全機能とか、そういう
観点
で我が国の水田というものをしっかりと、ある一定のものは保全、守っていくというようなスタンスが一方でないと、私は、米が過剰になったということで稲作の作付面積をそれに合わせて減らしていくというやり方は、ある面では非常に日本の
農業
を弱くしてしまうというふうに思うわけですけれども、そのあたりに対する御見解、いかがでしょうか。
島村宜伸
22
○
島村国務大臣
なるほどおっしゃるとおり、米の
需給
の
状況
によって稲作にいろいろな制限が加えられて、これがしかも極めて不安定ということでは、これはまさに米を主
生産
品とする
方々
は安心して
農業
に取り組めないということにもなります。 そこで、今回のいろいろな改正の中で盛り込まれましたように、例えば、
全国共補償制度
を導入したり、あるいは
自主流通米
の
価格
が低落したときにはある程度これを補てんするという
制度
も導入したり、また一方で、我が国で米以外で大きく自給率の低い、例えば麦、たしか八%と記憶しますし、大豆は二%、こういうようなものに対しての転作を可能にするためのいろいろな措置等も今回は思い切って盛り込んでいるところであります。 しかも、二十年前には百七十七万ヘクタールあつたいわば稲作にしか使えない湿田が、その後の土地改良その他を進めた結果、百万ヘクタールこの転作を可能にするというような土地改良が進ん だりいたしておりますので、これからいろいろな意味で弾力的に、総合的な視野から
農家
の
皆さん
にもいろいろお取り組みいただけるような
環境づくり
をし、それをもって
皆さん
には将来への
展望
を切り開いていただきたい、こんなふうに考えております。
一川保夫
23
○一川
委員
我が国の
農業
にとりまして、やはり水田の機能というのは大変重要なものがあるというふうに思います。それは、一つの畦畔という、ああいう区画の中で水を貯留するということも当然あるわけでございますけれども、そういう機能も含めて、水田という農地をやはりしっかりと守るところは守るというような姿勢をぜひ貫いていただきたい、そのように思っております。 また、今回のこの
施策
の中で若干気になりますのは、私は北陸の出身でございますけれども、例えば北陸なり東北地域を中心にしまして、いろいろな面で良質米奨励ということで
皆さん
品質の向上に向けて、それは
全国
各地もそうだろうと思いますけれども、そういうことで大変な努力をされてきております。もともと米の単作地帯というのは東北なり北陸地域ということで言われておりました。そういう面では、米の質、安全度も含めておいしい米をできるだけ
供給
しようということで
皆さん
大変意欲に燃えているわけですけれども、今回のこの一部
価格
補てん
制度
とかこういうものを導入することによって、市場的に割と
評価
の低いようなお米が生き残っていってしまう。そういったことが、逆に言いますと、良質の米をつくろうと思って意欲を持っている
方々
にとっては、意欲がそがれるのではないかというようなところがちょっと気になるわけですけれども、そのあたり、いかがでしょうか。
島村宜伸
24
○
島村国務大臣
何回か申し上げたのですが、私は、十四年前政務次官に就任の際に、
消費者
の
意見
として、いわば積み残しの古米、古々米、古々々米と、古い古いお米を、当時の保管の技術の中で劣化したお米を無理やり新米に突っ込んでやっていることは、かえって米の
需要
をどんどん減退させてしまう、あわせてまた、おいしいお米とまずいお米との
価格
差というものをきちっと設けないことには
消費者
の理解と協力は得られない、こういうことも申し続けたところであります。 今や、その意味では、米のそれぞれの程度に応じての
価格
形成ができておりますし、そして同時に、こういうことがきちんと、よりおいしいお米を志向してつくっていくという形にならなければ、やはり米離れという現象に拍車をかけることにもなりますので、これらは当然に我々はこれからもさらに踏み込んでやっていく必要があるだろうと思います。 ただ、一つだけ、私は自分の不明を恥じたわけでありますが、自分から希望して、古米の保管というものがどれだけ進んだのか、六年、七年、八
年産米
で、実は政治家と官僚諸君と新聞記者の
皆さん
とで試食をしてみました。実は、たくさんの人が集まって、その結果をあらわしましたら、六、七、八
年産米
を当てたのはたった一人でありまして、全くわからないくらい保管の技術が上がっていることもまた改めて知らされたわけでございまして、これからは、いろいろな角度からお米というものに対する理解、お米のよさというものをもっと知っていただくための努力をするのが私の責任の一つである、こう考えております。
一川保夫
25
○一川
委員
これからの水田
農業
ということを考えた場合に、やはり先ほどの、次期
農業
交渉までには、我が国の
農業
の構造をできるだけ
改善
しておく、あるいは
農業
の体質を
改善
し強化していくということが急がれるわけです。そういう面では、農政のあらゆる
施策
を構造政策という
観点
でしっかり
評価
をし直して、急ぐべきものは急ぐということが非常に大事なことだろうというふうに思います。また、
農家
の所得ということを考えれば、
農産物
の
価格
政策という
観点
から
農家
の所得ということに
観点
を移して、いろいろな
施策
を切りかえていくということも一方では非常に大事ではないかというふうに考えております。そういう面では、今回のこの新たな
米政策
というのは、ある面ではこれからの我が国の
農業
のスタートラインとしては非常に重要な意味を持っているというふうに思います。そのあたりにつきまして、今回のこの新たな
施策
の位置づけについて、ちょっとお尋ねしたいわけでございます。 先ほど来私がちょっと触れましたように、今回のこの
施策
を二十一世紀に向けた農政改革の先駆けだというようなことをおっしゃっていらっしゃいますし、また、
我が国農業
の未来を切り開くんだというようなことまでおっしゃっています。そういうことからすれば、当然、この
施策
の今後の農政に対する位置づけというものは、相当しっかりとしたものがあるんだろうというふうに思いますけれども、そのあたりの御見解をお願いしたいと思います。
島村宜伸
26
○
島村国務大臣
今回新たに実施することといたしております
稲作経営安定対策
については、
需給
実勢に応じた
価格
形成を基本に据えまして、その
価格
変動
が
稲作経営
に及ぼす
影響
等を
緩和
するという点で画期的な
施策
だろうと考えております。 なお、本
対策
は、
自主流通米価格
の
下落
の程度に応じて一定
割合
の補てん金を交付するものでありまして、一定の所得を
補償
する、いわゆる所得
補償
政策とは異なるものと考えておるわけであります。
一川保夫
27
○一川
委員
確かに、今回の
米政策
、若干新たな
観点
で検討をされてこられたという、その成果は見られるとは思いますけれども、これからの将来に向けて本当に安心してといいますか、こういう目標に向かってこれくらいのことをチャレンジしたいというような意欲が出てくるかといったときに、まだ若干その意欲が出てこないのではないかという心配がございます。 そういう面では、最近私は地域のいろいろな実情を見ておりまして、構造政策の
一環
でございますけれども、特に
農業
の基盤の整備ということが、それは
農家
個々では
対応
できない問題です。やはりその地域全体で取り組むべき問題でもございますし、いろいろな歴史的な経過もその地域の施設には
皆さん
ございます。特に、戦後間もなく整備されたような、例えばかんがい施設、排水施設、そういったものが相当の年月が経過しております。 そうかといって、特に中山間地域では、そういう施設を新たなものに更新したいという時期に既に到達しているわけですけれども、それを更新しようとすれば当然大きな経費がかかります。当然
農家
負担もかかります。そういうことに対する熱意が非常に今薄らいでいるというのが現状だろうというふうに私は思います。 しかし、これだけ
生産調整
目標比率が上がってきまして、転作をせざるを得ないという
状況
になってくれば、従来のような湿田のような状態だけでは畑作物は導入できないわけです。やはり排水を完備しなければならないということもありますし、それからまた、特に中山間地域であればなおさらのこと、付加価値の高い、米にかわる
農産物
を導入せざるを得ない
状況
に今来ているわけです。そうすれば、やはりもっとかんがい施設もしつかりとしたものを完備しておきたいという気持ちも当然あるわけです。 そういうことからすれば、私は、そういった個人資産に直接かかわる事業ももちろん大事ですけれども、かんがい排水施設的なものは基本的には
農家
に余り負担をかけないでしっかりと整備してあげる、そういう政策をぜひ展開してほしいというふうに思いますけれども、そのあたりに対する御見解を聞かせていただきたい。
山本徹
28
○山本(徹)
政府
委員
ただいま先生御指摘のかんがい排水施設、これは
農産物
の安定的な
生産
のためのまさに基幹的な施設でございまして、ダム、水路等のかんがい排水施設の総額は、
平成
七年度の建設費で換算いたしまして約二十二兆円に達します。 これらの施設のうちで、老朽化し、機能の低下が生じているというものも出てきております。最近の新しい技術ですと、水管理施設の自動化というような技術がございますが、こういったものも 導入しながら計画的に更新を図るということが重要になっておりますので、
平成
十年度の概算要求におきましても、かんがい排水事業は二千四百七十八億円を計上して、その積極的
推進
を図ることにいたしております。 先生御指摘のように、これは
農業
者に直接受益する施設でございますので負担金をいただいているわけでございますけれども、これらも逐次できるだけ
改善
を図る努力をいたしております。さらに、特にこれらの
農業
用水は、地域の防火用水、さらに良質な田園の
環境
を提供するための水辺空間の造成といったような多面的な機能もございますので、こういった機能の充実も図りながら、県、市町村とか土地改良区が実施されるかんがい排水施設の多面的機能の維持管理活動を支援する新しい事業も要求させていただいております。 また、先ほどお触れになりました中山間地域、これはさまざまな条件が不利な面がございます。一方では国土・
環境
保全といったような重要な公益的機能も持っておりますので、この地域のかんがい排水事業につきましては、一般のかんがい排水事業に加えて、採択要件の
緩和
をしたり、また、
農家
負担の軽減に配慮した中山間地域総合整備事業もできるだけ活用して整備を進め、できるだけ無理のない形でかんがい排水施設の更新、また新しい技術の導入ができるように努力しているところでございます。
一川保夫
29
○一川
委員
今UR関連
対策
も、
財政
事情
が逼迫している折ということで、いろいろな見直しがかかろうとしております。
期間
を延ばすというお話もございます。しかし、農民の
方々
に対する一種の約束事でもございますので、先ほど言いましたように、次の
農業
交渉まで余り時間もないわけでございますし、この二、三年の間に、やはり基本的に急ぐべきものについてはしっかりと農村地域の
方々
の期待にこたえてその約束を果たすということが非常に大事なことではないかというふうに私は思います。 先ほどのかんがい排水施設なり、最近の担い手を確保するためのいろいろな圃場整備事業なり、ああいったたぐいの仕事も、やはり地域の
皆さん方
の合意があってこそでき上がる仕事でございます。やっとやる気を起こしたときに、いや、これはしばらく延期しますということでは、その意欲もなくなってしまうということでございますので、UR関連
対策
のこれからの実施のあり方も含めまして、今回のこの
米政策
が本当にこういう方向で真剣に取り組んでいかれる、また、これからの
農家
の
皆さん方
にもそれなりにしっかりと理解してもらえるという前提に立てば、そういった背景にあるもろもろの
施策
もしっかりと連動して動かしていくということも非常に大切なことではないかというふうに思っております。 そこで、私は、
最後
に
大臣
にお尋ねしたいわけです。 先ほどもちょっと触れましたけれども、これからの本当の専業
農家
的な
方々
、大規模なそういう
農家
というものは、一方でいろいろな
施策
を今動かしておられるというふうに思いますけれども、それじゃ、こういう大規模な
農家
の
方々
がこれから本当に意欲を持ってやっていけるような農政が動いているかといったときには、まだそこまで私はいっていないと思うのです。 それは、基本的には
農家
の
方々
は、専業
農家
から兼業の
方々
まで規模の大小さまざまでございますので、そういう面ではどこに焦点を当てていくかというのは非常に難しいわけですけれども、これから意欲を持って水田
農業
に取り組んでいきたいという
方々
に対して、
大臣
の方からひとつ力強い決意のほどを聞かせていただきたい、そのように思います。
島村宜伸
30
○
島村国務大臣
これからの
農家
、まさに大規模
農家
ほど
生産調整
による
米価
の安定というメリットを受けるものであること、また、大規模
農家
であることをもって特別の扱いをすれば、地域のほかの
農業
者に大きなしわ寄せが行くこととなりその理解が得られないことから、大規模
農家
の
方々
にも理解と参加をいただきたいと考えているところでございます。 また、
平成
十年からの
対策
におきましても、助成金の体系について、転作
営農
に取り組む大規模
農家
の育成を図るために、担い手への農地、作業の集積による経営規模の拡大を支援するための措置を講ずるほか、大規模
農家
が
生産調整
に取り組みやすい手法として、直播栽培による減収を
生産調整
として
評価
する手法を引き続き講ずることといたしております。
一川保夫
31
○一川
委員
これからの
農業
、特に大規模な
農家
の
方々
も含めまして、やはり
農業
生産者
の自主的な判断なり努力が生かされるような、そういう農政というのは非常に大切だというふうに思いますので、ひとつよろしくお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。 ありがとうございました。
北村直人
32
○
北村委員長
次に、小平忠正君。
小平忠正
33
○小平
委員
民主党の小平であります。
大臣
、御就任になってから初めて私のこの
委員
会での質問でありますので、一言、御就任おめでとうございます。大都会選出の国
会議
員としては珍しくというか、
農業
に非常に御造詣深く、
農業
の、また我が国の農政の
振興
のために御健闘されておりますこと、まず敬意を表したいわけであります。そして、まさしく厳しいの一語を通り越した
現下
の
我が国農業
情勢ですから、ひとつ新しく希望ある
農業
の
展望
のために頑張っていただきたい、このように御期待申し上げたいと思います。 ところで、いよいよきょうは米審なんですが、もう
大臣
もこれから午後には米審会場に、そういう予定でおありでしょうが、もう既に二・五%ダウン、そして金額にして昨年から四百十二円ダウンで、一万六千円台を切りまして一万五千八百五円ですか、そういうところまでなってきていますが、米審が一昨日、きょうとやっている最中に何かもう既に決まっていると。それも先週にもうこの方向が出されている。米審の形骸化が叫ばれて久しいのでありますが、非常に私もこれについては危惧を感じ、この必要性に対して疑問を感じておりますが、
大臣
、これについていかがなものか、
大臣
のお気持ちを簡単で結構ですからお願いしたいと思います。
島村宜伸
34
○
島村国務大臣
まず、冒頭の御激励、心から感謝申し上げます。 私は、なるほど大都会選出の政治家ではありますが、もともと私は、集団疎開とかあるいは転勤生活とか、農村との交わりを深く持った経緯がありますし、政治家になってからもずっと地方にかかわる問題に取り組みましたので、むしろ私の方が、公平、公正にこれからの農政を思い切って転換するためには、やりやすい、あるいは公平な
立場
に立てるのではないかとひそかに自負しているところであります。 また、ただいま
委員
から、米審の
意見
を聞く意義についての御質問がありましたけれども、今回の場合は、四年来の
豊作
を受けまして
自主流通米
が大きく
下落
したこと等を踏まえて、いわば思い切った
米政策
の転換、特に二十一世紀に向けてのいろいろな
対応
が迫られたことから、今までと多少背景を変えたことは事実でございますが、それはそれといたしまして、米麦の
政府
の買い入れ
価格
及び
標準売り渡し価格
の
決定
は、
食糧法
上
米価審議会
の
意見
を聞いて適正に
決定
すること、これは、何も法律だけでなくて、やはりそれが
農家
の
皆さん
にとってもあるいは
消費者
の
立場
に立っても、納得のいくいわば権威を背景に持てるということになるのだろうと私は考えます。 その意味で、国民の
主食
であり
我が国農業
の基幹作物である米麦の
価格
という国民経済上も重要な事項であること、また、
審議
の対象、すなわち
価格
を上げる下げるの性格上、
生産者
あるいは
消費者
等の利害に直接
影響
するものであること等、極めて重要な事項であることにかんがみ、私は、
米価審議会
のいろいろ御
審議
というものは非常に価値がある、そう受けとめております。実は、一昨日、一回目の
米価審議会
に伺いまして、
委員
各位からいわば自由な場における質疑等が行われたわけでありますけれども、さすがにそれぞれの立 場を代表する方の御
意見
だな、そう受けとめさせていただいたところであります。 いずれにいたしましても、
米価審議会
におきましては、こうした趣旨を踏まえて、幅広く、
生産
現場あるいは生活者や学識経験者などのさまぎまな
立場
からの御
審議
をいただいておるところでありますので、今後ともその
審議
を重視していくことが重要である、そう考えております。
小平忠正
35
○小平
委員
私も、昨年、政務次官のときに米審会場で米審
委員
が真摯に
議論
されていることを拝見していますので、その御労苦に対しては心から敬意を表します。しかし、先に結論ありきで既に決まっていることに対して、こういうことでいかがなものかなと。これは、私のみならず、すべての
皆さん
が感じていると思うので、私は、今後これについての
改善
策をしていくことも必要だと。確かに、今回は今後の新たな
米政策
の方が前に出まして、
米価
そのものが後ろに引っ込んでしまつた、その感が否めないものがあるものですから、ちょっと指摘させていただきます。 ところで、今申し上げましたこの新たな
米政策
、確かに、食糧の安定的な
生産
そして
需給
を含めて、目的を達成する方向に向けては
評価
できるものもございます。一応私どもは
評価
いたしております。 例えば、最初
政府買
い入れが七十万トンというものを、五十万トン復元して百二十万トンにした、あるいは今後の新たな政策への移行
対策
の
一環
として九
年産
の所得補てんというか、そういう予算措置も設ける、そういうことを含めてでございます。これについては、この後さらにまた時間を与えられておりますので、
政府
委員
に対してもう少し事務的な質問もしていこうと思っております。それなのでこれは後に譲りたいと思います。 ところで、短い時間なものですから、私は、非常に私自身危惧しているというか考えていることについて
大臣
の御見解をお伺いしたいのであります。御承知のように、我が国は食管法を終えて新
食糧法
を導入しました。実は、この法案に向けての質疑が
平成
六年のWTOの特別
委員
会の場において、一条約七法案ですか、これは一括
審議
をされまして、大きな
委員
会でございました。当時、私も
理事
の一人として、当時は村山総理、そして大河原農水
大臣
、そういう布陣でございましたが、質問した経緯がございます。 その中で、新
食糧法
の中で、緊急時における
対応
ということで、言うならば、八十条にうたっております米の不足時、例えば
平成
五年のようなあの大凶作がありました。そのときには
消費者
がパニックを起こさないように、米の緊急
対策
、これについてはきちんとうたっている条項が網羅されております。しかし、法の公正、公平性をうたうなら、では逆に米の余剰時、
豊作
時ですね、どうしても米が余れば米の
価格
が
下落
する、そのときにいかにして
生産者
を守るかというこの条項が入ってございません。 もっと言いますと、米の不作時においてはそういう条項があり、さらに八十一条では、言うならば自主流通法人等には米の強制提出を命令するという命令条項が入っているのですね。そして八十二条には、特にその第二項には、
生産者
に対して米の不足時には
政府
は米の強制出荷、あの戦前の、言うならば米の強制出荷命令ですね、統制令ですよ。あれに類する条項が八十二条の二項でうたわれているのですね。頭には「
生産者
に対する指示」となっておりますが、実際には命令、「命ずることができる。」これは言葉をかえての命令ですよ。そういう条項がうたわれておりますね。 しかるに、今申し上げましたように、米の
豊作
時には、言うならば余剰時ですね、
価格
が下がる。そうすれば、当然
生産者
は来年の再
生産
に向けて、もっと前には、どうやってその年のお正月を迎えるかという、現実の問題として大変なことが起きるわけですね。 そのことが実際ことし起きました。
平成
九年、米の
価格
が大変な暴落をした。そういうことを私は当時既に危惧をいたしまして、当時の大河原
大臣
に質問をした。そのときの御答弁では、それについては
生産調整
、
備蓄
あるいは調整保管等によりきちんと適切な措置が行われ、著しい余剰や
価格
の暴落は起こり得ない、そういうことを配慮しているということも含めて答弁をいただきましたが、私が懸念したとおり、二年後にこのような事態が起こりました。 したがって、やはり今回のこのことを、
平成
九年のこの現実をまだ忘れないうちに、
政府
として、この新
食糧法
の見直し、改正ですね。一方で不作時に対する措置をうたっているならば、余剰時に対して、暴落のときに対してどうやって
生産者
を守るかというこのことを、今後
政府
としてはこの新
食糧法
の改正に向けて取り組んでいく、そういうお考えはございますか。お伺いしたいと思います。
島村宜伸
36
○
島村国務大臣
新
食糧法
の御検討をいただいている段階というのは、私はたまたま党の国対
委員長
を務めておりまして、それで、三党の座長なども務めておりましたので、当時の国会の大変熱心な御
審議
、大変生々しく記憶をいたしております。 その際にもいろいろ御指摘はございましたけれども、今般のように、四年来の
豊作
ということで米の
需給
が大きくバランスを失っている段階でも、今回我々が打ち出した政策をごらんいただければ御理解がいただけるのではないかと思いますが、決して高飛車な、何か見切り発車のような、そういうことはいたしておらない、当時の大河原
大臣
の御答弁にもあったその趣旨はそのとおりに生かされている、私はそう考えております。 特に、新
食糧法
の一番の基本的理念は、何といっても米の
需給
の安定、
価格
の安定、これをきちっと守って、
農業
、農村が本当に安心して仕事に取り組めるということを考えに置いておりますから、今回我々が
対応
したことでありますように、
主食
である米の
需給
、
価格
の安定を図るためには、例えば全体
需給
のバランスを確保するための
生産調整
、あるいは豊凶
変動
に備えた
備蓄
・調整保管の適切な
運用
、さらにはまた、
需給
実勢を反映した適切な
価格
形成等の手法を用意し、これらを的確に組み合わせ、実施しておるところでございます。 そういう意味では、大変厳しい
状況
下に置かれてはおりますものの、我々の可能な限りの
対応
はしておるつもりでございます。
小平忠正
37
○小平
委員
そういう
大臣
の御
説明
は、こういうような事態が到来しなければ信じられるのですけれども、実際に
平成
九年、これは、
農業
は天候にも大きく左右されると同時に、私は、今回は一種の政策災害とも言えると思うのですね。そういう中で、今の御答弁でそうですがと安心できないと思うのです。 その証拠に、今回のこの九
年産
の
対応
について
政府
も大変苦慮しましたね。当初、来年以降のことについてはいろいろと今後の問題として取り組んでいけると。しかしことしのことについては、それは
対応
すべき予算、財源もない、あるいは法的な裏づけもない。ですから、行政レベルで粛々とこの
対応
をできないという問題があり、これは先般食糧庁長官も、行政レベルを超えた問題だ、私も長官との話のときにそういうことも聞いております。 ですから、政治レベルでこれについての
対応
をしていただきたいという、そういうような経緯もありました。これはもう与野党を超えて、私どもは、これの解決のために
政府
に、何とかせいと、平たく言って強く迫った結果、この新たな
米政策
で、農水省、食糧庁が抱えております財源をいろいろとやりくりをして、あるいは資産の売却まで含めて、そしてさらには学校給食まで廃止をする、そういうことまで打ち出して財源を捻出して、そしてこの新たな政策への移行
対策
という名目をつくってこの九
年産
の措置に
対応
した。 ところが、新
食糧法
でしっかりこのことをうたっていれば、こんなことをしないで行政、事務レベルで粛々とこの
対応
策がとれたわけですよ。ですから、私はこれは欠陥であると思う。だって、 法律というものは、やはり公正さ、公平さが旨でしょう。それを思うと、私どもはこの事態に、このことが記憶から薄れないうちに改正の方向に向かって取り組んで、国民の
主食
を担っている米の
生産
農家
にどうやって安心して
営農
してもらえるかという、これについて
対策
をつくっていくのがやはり
政府
の役目である、私はこう思っております。 今はまだ事務段階でそういう
状況
ですから、
大臣
もはっきり言えないでしょう。しかし、私はこのことを強く指摘しておきたいと思います。いや、もう結構です。これはもう今の段階ではそういう御答弁以上ないと思うので。ただ、私は、このことは
政府
当局もやはり進めていかないと、今後同じことが起こった場合に、またそのときに右往左往するということになりますので、ぜひ真剣にとらえていただきたい、こういうふうに思います。 時間がないので、通告したのとはちょっと順序が変わりますが、先にもう一点、私が非常に危惧したことについて、せっかくの機会でありますので、米審に行かれる前にまた
大臣
にお伺いしたいと思うのです。 今、このWTO、そういう新しい条約の中に入って、我が国もウルグアイ・ラウンドという、数年かけて
議論
に
議論
を重ねて、貿易立国の日本としては、国際社会で孤立を避けるために、この際やむを得ざる措置としてウルグアイ・ラウンドを受け入れ、そして、お米については部分自由化を受け入れたわけでありますね。あと三年残っております。今、毎年お米が段階的にふえながら、今後三年間、さらにMA米が入ってまいります。 そして、三年後には新たなWTO再交渉が控えておりますね。これに向かって、
政府
はもう既にその下準備というか、もちろんこれはアメリカやEUや豪州を初め、あるいはアジア各国との複雑な交渉が控えておりますが、特にメーンであります。アメリカですとかEUとかとそういう交渉あるいは事務的なレベルでの作業が行われているのかどうか、そこはどうなのでしょうか。ということは、これは早く進めないと、そのときになって急速やっても間に合わないと思いますので、そこはどうなのですか。もう交渉作業は始まっているのですか。
島村宜伸
38
○
島村国務大臣
それは、国際社会で我が国がこれだけの大きな力をこれからも維持しようというためには、各国間との調和、協調、これは当然でありますから、いろいろな角度での話し合いはあるかもしれませんが、少なくも、この次期交渉は、
平成
十二年の交渉で決められる、こういうことになっているわけであります。 少なくも、我が国は、米については、WTO
農業
協定上の特例措置を適用して、関税化を行わずに数量制限と国家貿易を維持したところでありまして、今後も、現在適用されている米の関税化の特例措置の七年目以降、すなわち
平成
十三年以降の取り扱いについては万全を期してこれに臨むという考えでおります。これは、前回の交渉でそういう判断に立ったという意味合いがそのまま継続されると私どもは考えております。
小平忠正
39
○小平
委員
万全の態勢で臨まれるということはもちろんですけれども、私が指摘しているのは、それに向けて、もちろん
大臣
が、その衝に当たる方がするのは、それは
平成
十二年です。しかし、そのときに急につけ焼き刃的にやっても間に合わない。今から事務的な準備、下準備、地ならしが必要ですね。これをしていかなければ間に合わないと危惧します。 その理由の一つとして、今
大臣
、国家貿易というお話がございましたが、我が国はMAを、ミニマムアクセスを受け入れて、これは部分自由化ですね、そういう
状況
で関税化は避けたわけです。当時の措置としてはあれがやむを得ざる措置だったでしょう。振り返ってみてこれがよかったかどうか、これは後世にゆだねるとして、あの時点ではその選択はやむを得ざるものがあったと私は思います。 問題は、このMAが切れる
平成
十二年、三年後ですね。そのときに、我が国がそのまま部分自由化を継続するのか関税化を受け入れるのか、そこの岐路に立ちますね。そのときに関税化を受け入れるとしても、カレントアクセス、年間八十万トンという大量の米の輸入からスタートするのですね。ということは、最低で八十万トン。このまま放置をしておいて、その交渉時に慌てて交渉に臨んでも、各国は日本の八十万トンじゃ認めないでしょう。百万トン、百二十万トン、そういう要請が来ると思います。 今、来年、再来年、二年かけて大幅な減反強化をして、十七万六千ヘクタールをさらに減反強化をして、二年間で二百万トンの
備蓄
に減らしたいと。それも、年間八十数万トンの
備蓄
の減少でしょう。これでも大変な国内的な減反をするわけですね。それと
比較
してもおわかりのように、最低でも八十万トンがカレントアクセスで入ってくるということは、これは、今後我が国の国内の
生産
体制を考えるとゆゆしき問題ですよ。 したがって、これについて
政府
としてどう臨んでいくのか。カレントアクセス、国家貿易としてやるのか、あるいはでん粉のように民間貿易に移譲して、そして市場原理にゆだねて、国民のニーズにこたえながら進めていくのか。これも一つの選択肢ですね。しかし、国家貿易を外せば、これはもう自由経済の世界ですから、下手をすれば無制限な輸入もあり得る、これも危険なこともあります。 しかし、それらも含めて、今後どうするかという今後の我が国の基本的な米の輸入体制、そこのところを今から、もう三年では短いと私は思うのですよ。これについて今から真剣に作業を進めていかないと、そのときになって急速慌てふためいて交渉に臨んでももう遅いと私は思うのですね。だって、外交交渉とはそういうものでしょう。ではカレントアクセスを継続するのか否か、私は、今から
政府
にそんなことの答えを期待しておりません。今後の課題ですね。そういうことも含めて今からその事務的な作業をしていくことが必要だ、私はそう思っていますので、これは
大臣
でも
次長
でも結構ですが、これについて御見解をお聞きしたいと思います。
島村宜伸
40
○
島村国務大臣
平成
十二年の交渉に向けまして、我が国の基本的な姿勢は、あくまで
長期
的な視点から我が国の
主食
である米の安定
供給
を図るとの
観点
に立ち、
我が国農業
の重要性や特例措置の継続に伴う代償等を総合的に検討し、交渉に臨むことになると考えております。 具体的には官
房長
からお答え申し上げます。
堤英隆
41
○堤
政府
委員
今
大臣
からお答えを申し上げたとおりでございますが、先生の御指摘のそれは、二〇〇〇年になってにわかにということについてはそのとおりでございまして、私どもも、国際交渉の場におきまして、例えば昨年も食料サミットがございました。そういう場で
政府
として全力で立ち向かいまして、それぞれの国の資源をやはり最大限生かしていくということがこれからも重要ではないかというような点でありますとか、それから、
農業
が持っております食糧
生産
という機能のほかに、公益的機能、さまざまな
環境
の問題あるいは国土保全の問題、そういったことも総合的に考えていかなければならない。言ってみれば、非貿易的関心事項といいますか、そういうことについての
農業
の持っております多面性、そういうことにつきましても各国に訴えてきたところでございます。 そのほか、
大臣
あるいは政務次官、それぞれいろいろな機会をとらえまして、国際交渉の場あるいは海外出張等の場で要人とお会いしながら、そういった日本の
対応
につきましても
説明
をしてきているところでありますし、そういったことがやはり二〇〇〇年に向けていろいろな意味で先々有益な形になってあらわれる、そういうことを思いながら努力をしているところでございます。
小平忠正
42
○小平
委員
私が指摘したいことは、早く席を立って交渉に、作業に入られたい、そのことを、今官
房長
もそのような見解がございましたので、ぜひこれについてしっかりと御検討あらんことを期 待いたしております。 あと五分弱なものですから、ひとつ事務的なことは後の
政府
当局への質問に譲ります。
大臣
、今我が国は、回転
備蓄
、そういうことでやっていますね。これは、別に法律もありませんし、新
食糧法
でもないし、政省令でもない、単に
運用
上の
政府
のそういう方向ですね。例えば、米の適正
備蓄
が百五十万トンなんて前に言っていましたが、それらに類する問題ですね。 私は、これについて大いに不満があります。回転
備蓄
であるがゆえに何とかこれを売らなきゃならない。しかも、約束では、古米としてその段階で市場に放出すべきものを、ことしの春には、約束をたがえて、古米、新米抱き合わせで市場に放出をし、
自主流通米
の世界に大変な
影響
を与えた、米の
価格
の
下落
に対して。そして、
生産者
に大変な迷惑をかけた。 私は、政治の要請というのは、民に迷惑をかけるんじゃなくて、
政府
がその被害、
影響
をまず抱える。それと逆のことをやってしまった。大いに反省をしてもらいたいと思います。しかし、そもそも回転
備蓄
であるがゆえにそういうことになつたわけですね。私は、棚上げ
備蓄
に変えるべきだと思うんですね。 そうなると、棚上げ
備蓄
ですと米が売れないから
財政
負担がかかる、こういう見解でしょう。例えば、平たく言って、トン
当たり
三十万円として、百万トン置けば三千億なんということをよく言いますね。 でも、私は、これは一食糧庁が抱えている問題じゃなくて、国全体としてどのように考えるかということだと思うんですね。ですから、国の防衛が、軍事費が国家の安全保障なら、食糧は国民の安全保障ですよ。米の
備蓄
ということは、一億二千万強の国民の命を守る大事な
備蓄
ですね。そうとらえた場合に、一農水省、食糧庁の域を超えて、
政府
全体としてこの
備蓄
の財源をつくるべきだ、私はそう思います。 時間も来ましたので、これについて
大臣
、基本的な考えをお聞きして終わりたいと思います。
島村宜伸
43
○
島村国務大臣
米の
備蓄
は、改めて申し上げるまでもなく、不測の事態に備えて、
主食
の安定
供給
のため、一定
期間
米を保有するものでありますが、現行の
備蓄
の
運用
につきましては、回転
備蓄
においては順次
在庫
の
年産
が更新されるため、棚上げ
備蓄
に比べまして品質が一定に保持されることから、
主食
用への円滑な
供給
が可能となるわけであります。 一方、棚上げ
備蓄
では、一定
期間
の経過による品質の劣化等により
主食
用への販売が困難となり、
主食
用以外の、例えば飼料用等へ振り向けざるを得なくなるなど、多額の金を払って買ったお米を相当落ち込んだ
価格
で売らざるを得ない、まさに多大な
財政
負担を伴うこと、改めて言うまでもございません。 そういうことから、現行回転
備蓄
方式
をとっているところでありまして、現時点でこの
備蓄
方式
の
変更
は考えておりません。
小平忠正
44
○小平
委員
終わりますが、一言だけ。 確かに財源的な問題、農水省の枠内ではそういうことは私も理解できるんですが、私が指摘していることは、商品価値があるかないかじゃなくて、
備蓄
そのものに対する見解、基本的な考えを、要するに国民的な合意をしっかり
政府
、特に農水省は、
備蓄
の必要性、意義を訴えながら、商品価値がなくなってもいいんだ、回転
備蓄
だって、古米から古、古、古と、古が三つぐらいついていったら実際もう売れないんですよ。そうしたらえさ米か廃棄処分でしょう。それも同じ財源、要するに
財政
的な投下でしょう。ですから、そこのところを考えて、もう当初から基本的な
備蓄
に対する考えを持っていただきたい、そういうことを指摘したのであって、役所がつくる答弁をそのまま言われるんじゃなくて、
大臣
の生の声を聞きたかったのですが、時間が来ましたので終わります。 ありがとうございました。
北村直人
45
○
北村委員長
次に、藤田スミ君。
藤田スミ
46
○藤田(ス)
委員
最初に
大臣
にお伺いをしたいと思います。
大臣
が
諮問
された
政府
米
価格
は、現行
政府
米
価格
一万六千二百十七円を二・五%
引き下げ
まして一万五千八百五円にするというものでありまして、
政府
米
価格
は六十キロ
当たり
四百十二円
引き下げ
になりました。これによる
農家
減収額は、
政府買
い入れ数量百万トンを前提にしたとしても、年間六十九億に及ぶものであります。 もう既に、ことしに入って
消費税
増税など九兆円の国民負担が暮らしを圧迫し、そのことによって新たな不況を誘っているということは多くの関係者も指摘しているところでありますが、当然この九兆円の負担増というのは
農家
の
皆さん
にもかかっているわけであります。さらに、農村が高齢化しているために、医療費の負担増が都市よりもより深刻な事態にあることは言うまでもありません。こういうときに新たな六十九億円の負担増ということになるわけであります。
政府
米
引き下げ
は、
稲作農家
一世帯
当たり
、私は四千五十三円の減収というように計算いたしましたけれども、これを、仮に四千四百二十六万の国民総世帯で換算してみれば千七百九十三億円の負担増になるわけなんです。今九兆円の負担増を行って、さらに千七百九十何がしか億円の負担をふやすということで、果たして国民が納得するものなのかどうか。 今回の
政府
米
価格
の
引き下げ
はまさにそういうことでありまして、単に
稲作農家
の減収になるだけではなく、農村経済に深刻な打撃を与えるものではありませんか。社会政策的に見て、
大臣
、この問題をどのように受けとめていらっしゃるか、お答えください。
川口將志
47
○
川口政府委員
ただいま、
米価
の
引き下げ
に伴う
農家
の減収の問題について御指摘を受けました。 確かに、
米価
の
引き下げ
について具体的な
数字
については申し上げませんが、一定の減収があることは事実かと思います。しかしながら、こうした全体の、
自主流通米価格
全体がこれほど低下をしている中で、やはり適正な
米価
を
設定
するということでは、現在の
算定方式
に基づきまして、
自主流通米
の
価格
形成の実態を反映し、また一方では
生産
コストの
変動率
を反映するということでやっておりますので、現実の流通の主体を占める
自主流通米
の
価格動向
を無視してこうした
政府
米価
そのものを
決定
するということは、現在の
制度
のもとでは無理があるのではないかというふうに考えております。
藤田スミ
48
○藤田(ス)
委員
今度は
大臣
お答えくださいね。 問題は、この
生産者
米価
引き下げ
だけじゃないんです。
自主流通米
が九七年
米価
暴落で、
農家
の収入の減収は、これは六十キロ
当たり
三千円
下落
するとして、四百七十万トンですから二千三百二十億円。今回移行
対策
費で四百六億円を入れていったとしても千八百九十四億円に及びます。さらに十七万六千ヘクタールもの減反強化で、
対策
期間
のニカ年で千九百十八億円になる。それに九七年のこの減収を加えていけば、実に三千八百十二億もの減収になるのです。私はこれも、
稲作農家
一世帯
当たり
どれくらいの減収かということを計算したら、ざっと二十二万二千数百円の減収になります。そして、これを四千四百二十六万国民総世帯で換算してみると、驚いたことに九兆八千三百数十億円の負担増に匹敵する
内容
になってくるわけであります。
稲作農家
は、
消費税
増税などに加えて、いわば国民負担換算で約十兆円に及ぶ負担、それを二カ年かけられるということになるわけです。だから、農村の疲弊さらに農村地域経済に与える
影響
は極めて深刻なものになる。当然、
農家
の離農は進み、集落の維持も困難になりかねない。その
影響
の深刻さについて十分
大臣
は認識していらっしゃるのかどうか、今度は
大臣
にお答えをいただきたいのです。そこが聞きたいのです。わかりやすくするために、私は、国民の負担感、それをみずから計算をして
大臣
にお伺いをしています。
島村宜伸
49
○
島村国務大臣
お答えしたいのはやまやまですし、私は、かつていろいろな機会に答弁をする場 においても私なりに誠心誠意御答弁申し上げてきたわけでありますが、にわかにそちらの
試算
を持ち出されて、
数字
をるる挙げられて、それに対して答えよというのは、いささか私たち自身も
対応
に困るわけであります。
大臣
として一つの省の責任者でありますから、やはりそれ自身もまた議事録に残ることでもございますので、もしそういうことに答弁を求められるのであれば、事前に、こういう
試算
があるけれどもそれについてどう思うかということであれば、この次からまたお答えをしたいと思います。
藤田スミ
50
○藤田(ス)
委員
私、子供の数学でもわかるようないわゆる算数
方式
で計算しているのです。難しい計算の仕方を出しているのじゃないのです。非常に単純に、それを国民の世帯に割り当てて換算すればどれくらいの負担になるかということで計算したのです。そうしたら二十二万数百円の減収になる。 私は、今回これくらいの計算を農水省がやってもいいんじゃないかと思いますよ。そんなふうに、今聞いたからわからない、それじゃ、
数字
抜きに考えて、
大臣
はこの現状をどういうふうに、地域経済に及ぶ、そして農村の崩壊につながる、そういう点での認識を持っていらっしゃるか、それを聞かせてください。
島村宜伸
51
○
島村国務大臣
我が国は、御高承のとおり、世界的な
比較
の中でも大変に劣悪、非常に恵まれない
環境
のもとでいわば
農業
が営まれているわけでありますから、それを何としても、その体質を少しでも強化し、またこれをいろいろな角度から支え、農村、
農業
の一つの活性化につなげようと我々は毎日腐心をしているところであります。 そういう意味で、いかに自然のもたらした結果とは申せ、四年来の
豊作
ということでございますから、これだけ米余り現象を生じますと、当然のことに、
自主流通米価格
が大
きく低落
したり、あるいは計画外米が増大したり、市場が大きく混乱をいたしているところでありまして、
農業
を営む
方々
のいわば不安、あるいは将来に向かっていろいろな意味で
対応
に困惑していることは十分承知をいたしておりますが、ただ、細かい
試算
その他については、私の方には
対応
できない、こう申し上げたところであります。
藤田スミ
52
○藤田(ス)
委員
先ほどからも
大臣
は何度も言っておられますけれども、
需給
と
価格
の安定といっても、この市場原理をきかせていく新
食糧法
のもとでは、減反をしても
価格
が落ちる、どんなに減反を広げても
価格
が落ちる、そういうことにならざるを得ない。私は、そこにこの新
食糧法
の深刻な矛盾と欠陥があるというふうに考えます。 だから、私たちは、
米価
の下支え、それを国として行うべきだということを強調しているし、今回の
政府
米
価格
の
引き下げ
は、そういう点でもとんでもないことだ。 予算がないとは言えません。国のウルグアイ・ラウンド
対策
、農水省の中にあるウルグアイ・ラウンド
対策
を初め公共事業を真摯に見直していけば、下支えするぐらいのお金は出てくるわけです。どうしてそれをやらないで、こういうふうな新方策だ、新政策だというものが出されてきたのか。 しかも、
政府
が出してきた、
価格下落
の
稲作経営
に及ぼす
影響
を
緩和
するためにということで、
基準価格
からの
価格下落
分の八割を補てんしていくと言われている
稲作経営安定対策
などの米新政策でありますけれども、その財源は、これまでの
計画流通
推進
総合
対策
費と
農家
の新たな持ち出しで進めるものであって、
農家
に対する
財政
からの支援はこれまでと何ら変わらない。 この米新政策で、これまでの
財政
資金、すなわち
主要食糧
費、これは
財政構造改革
法案でキャップをかけられようとしておりますけれども、それでもこのために新たに増額するということになったのですか。すなわち、これまで国から
農家
に移転してきた
財政
資金は、米新政策でふえるのかどうか。その点を明らかにしてください。
島村宜伸
53
○
島村国務大臣
新たな
米政策
に係る所要額は、総額六千百一億円であります。 この財源といたしましては、従来の米関係助成金二年分四千四億円に加えまして、食管の事業の抜本的見直し、一般農政費の見直し、九年度予算での
対応
、そして後年度の財源の充当等により財源を確保することとしたものであります。 したがって、
農家
等に支払われる助成金等は、実質的に増額されることになります。
藤田スミ
54
○藤田(ス)
委員
主要食糧
費以外の資金も投入するということでありますけれども、それも従来の、今御
説明
の、農林水産予算の組み替えで、本来
農家
に
財政
資金として渡るものを名目を変えるだけのものじゃありませんか。結局新たに
農家
に
財政
資金として渡るものはない、そういうことでしょう。新たに
財政
を投入している、
大臣
の御
説明
でもそういうことであったと思いますが、この点も答えてください。
高木賢
55
○高木(賢)
政府
委員
新たに
農家
に支払われる助成金の増額部分は、食管の事業の抜本的見直しでありますとか一般農政費の見直しということでありまして、今まで
農家
に行っていたものを振りかえるという、直ちにそういう性格のものではございません。一部予算の振りかえ的なものもございますけれども、基本的には
農家
に行く分が増額されるというふうに認識をいたしております。
藤田スミ
56
○藤田(ス)
委員
わかりました。 結局、
財政
から新たな支出はしない、そういうことなんです。 そして、減反を十七万六千ヘクタール拡大するといいますけれども、私は、そのこと自身が今度の米新政策の本当のねらい、これが本質であると言わざるを得ません。 しかし、今回の減反の拡大、
米価
の
引き下げ
などの米新政策は、これは言うまでもなく
財政構造改革
路線に沿ったものでありますが、これでは
稲作経営
をやっている大規模
農家
も小さな
農家
も区別なく大変経営が苦しくなる、崩壊していく、そして米
生産
が縮小に追い込まれてしまう。その行き着く先は、経団連が提言で示している米の完全自由化と私は言わざるを得ない。この点では、米新政策でも、新たな
米政策大綱
の「
対策
構築に当たっての基本的
考え方
」でこう書かれています。「次期交渉が近いことにかんがみ、国際的な視野に立った米問題について、国民食料の安定
供給
や
我が国農業
の発展を図る
観点
からの検討を進める。」、これ自身が、米の完全自由化を受け入れるための国内調整政策を意味する、そういうふうに受け取ったらだめですか。私は、ここではっきり次期交渉では米の完全自由化は行わない、そのことを
大臣
の御答弁ではっきりと聞かせていただきたいわけです。
川口將志
57
○
川口政府委員
御指摘の
大綱
の中のなお書き、お示しをいただきました文章でございますが、この文章につきましては、次期交渉をもにらみながら、国際的な視点を含めて総合的な見地に立って、国民の
主食
である米の安定
供給
、あるいは
我が国農業
の基幹である水田
農業
の
振興
等を図る上での基本的
立場
を書いたものでございまして、次期交渉について具体的な方向性を示したりあるいは一定の予断を持ったものでは一切ございません。
島村宜伸
58
○
島村国務大臣
ただいま
次長
から御
説明
したとおりでありますが、少なくも、
長期
的な視点から
主食
である米の安定
供給
を図るとの
観点
に立って、
我が国農業
の重要性や特例措置の継続に伴う代償等を総合的に検討し、交渉に臨むという考えに立っております。
藤田スミ
59
○藤田(ス)
委員
具体的に、そうすれば、次期の交渉ではもう米は除外せよ、そういう
立場
で一貫して臨む、そういうふうに聞いていいんですか。完全自由化は受け入れないということはそういうことになるわけでありますが、もう一度
大臣
お答えください。
島村宜伸
60
○
島村国務大臣
もう一度申し上げます。 私どもは、
長期
的な視点に立って
主食
である米の安定
供給
を図るとの
観点
に立ち、
我が国農業
の重要性や特例措置の継続に伴う代償等を総合的に検討し、交渉に臨むことになる、そう考えております。
藤田スミ
61
○藤田(ス)
委員
はっきり完全自由化は受け入れられない、そのお言葉を聞かせていただけないということは、一体どういうことでしょう。 特例措置というのはミニマムアクセス米のことですよね。そうでしょう。そうすると、ミニマムアクセス米は、最終には八十万トンまで行くわけでしょう。それは
新潟
産米に相当する分量になるのです。物すごいものが入ってくる。この特例措置が、それ以上特例措置という名目でふやされていったとしても、それは国内の、日本の
立場
からいえばもう完全自由化に等しい大変な問題になるのです。だから、特例措置、それを維持されたら困るわけです。 WTO協定から米を除外していく、そういう
立場
に立たない限り、昨年の国際食料サミットのあの決議も生きてきませんよ。もう一度お答えください。
島村宜伸
62
○
島村国務大臣
私どもは、あくまで、ミニマムアクセス米を決めた経緯にいたしましても、要するに我々の国家の
主食
というのは米であるという認識に立ってぎりぎりの選択をしたところでありまして、あえてWTO
農業
協定上の特例措置を適用し関税化を避けたということでございます。 したがって、今後もこの姿勢を貫いて交渉に臨む考えであります。
藤田スミ
63
○藤田(ス)
委員
またこの問題はこれからも引き続いて取り上げていきたいと思います。きょうはもう時間がなくなりましたので次の質問には移れませんが、しかし、今減反だというなら、ほかのものをつくっても成り立つような、そういう方向に農政を変えなければ、本当に日本の
農業
はつぶれます。だから、
農産物
の輸入についても抑制をかけていく、そしてまた、他作物についても
価格
保障を真剣に考えていく。そうして、農政全体を転換させていかなければ、減反だけ押しつけ、今回二年間こういう措置をとってもそれで救いがあるものじゃない、私は、そのことを強く申し上げて、この質問を終わりたいと思います。 ありがとうございます。
北村直人
64
○
北村委員長
次に、前島秀行君。
前島秀行
65
○前島
委員
十分ですので、二つほど質問をしたいと思います。 一つは、今度の
平成
十年度の減反が新たに十七万六千ヘクタール追加して九十六万余になった。この前の減反のときもこれがもう限界だと言って、また新たに十七万余が加わった。文字どおり、減反というか、
生産調整
というか、言い切れないですね。例えば北海道は四七・二%ですし、
大臣
のところの東京なんかは、まあ東京はそれでもいいのかなとは思うけれども、六〇%ですね。四五%以上のところが五、六県あって、調整をするなんという段階ではない、ぎりぎりだ、国内で何とか調整しようとなるとこういうところだろうと思いますね。 これだけの量、しかも四年前が一〇九%の作況率ということ、ことしが一〇二、大体よっぽどのことがない限り一〇二や三の
作況指数
というのは続く可能性大だ。となってくると、過剰というのが恒常化してくるという前提に立たなければいかぬだろう。それをいろいろな工夫で、減反という手法でやるにも限界が出てくるのではないだろうか。だとするなら、片方で水田、稲作ということはいろいろな側面から重要だとすると、やはり国際的に外に向かって、この米の過剰処理というものを含めて考えていく必要があるのではないだろうかという時代にかかってきたと思うのです。 先ほどの質問の中にも、WTO、二〇〇〇年
対策
も既に始めるという、そういうことも含めて、外に向かって、外国との
対応
の中でこの問題を処理していくという発想、国内だけでいろいろな工夫をしてももう
財政
的にも限界が来ているという感じがするわけなんです。そういう面では、国際的な視野で片づけようという意味で、ここのところ一、二年
議論
になってきていますのが、東北アジア、要するにジャポニカ圏で、中国の南部の方、台湾ですね、南北朝鮮と日本というこのジャポニカ圏で、食糧安全保障という意味で、
備蓄
構想みたいなものを
政府
間でひとつ考え出したらどうだろうかという
考え方
ですね。 現に国際ルールとの関係がありますから、単純に援助というところには限界がありますから、
備蓄
制度
という、
政府
間の信頼といいましょうか、
政府
間の約束事として処理をしていくということになると、国際ルールとの関係でもクリアされる部分もあるし、また、北朝鮮、共和国の方には現実に食糧不足がある、国連が援助しろということがある。ここは国際ルールでクリアできる条件があるわけでして、それにこういうジャポニカ圏の
備蓄
構想というものを組み合わせれば、私は、かなりの可能性というのが現実的にあるんじゃないだろうか、外務省を初めとする外交努力というのが当然前提ですけれども、相当真剣に考えてみる必要があるのではないだろうかなという、その時期に来たような気がします。ぜひ、この辺のところを、ひとつ北朝鮮の援助問題も含めて、国内だけで処理するのじゃなくして外に向かっても対処するという意味で、この構想を積極的にやってみるというつもりがあるかないか、
大臣
、そこのところを聞かせてください。
島村宜伸
66
○
島村国務大臣
御指摘の東アジア食糧
備蓄
機構の設立につきましては、既存の食糧援助に関する国際機関との重複や国際ルールとの
整合性
、また新たな
財政
負担等の問題に留意する必要があります。いずれにいたしましても、
備蓄米
の活用方策の検討は重要な課題であると認識しておりまして、現在、諸外国等の
備蓄
食糧、余剰
農産物
の活用方策等の
調査
研究を行っておるところであります。
前島秀行
67
○前島
委員
大臣
、これは、前の藤本さんなどにもちょっとあれして、かなり政党間の
議論
でも、農水の与党間調整
会議
などでもひとつ真剣にやってみようじゃないかと。私たちが一度、中国の行政の関係者、それから韓国の研究者なども来てもらってシンポジウムをやったことがあるわけでして、これは直接の
政府
間のベースじゃもちろんありませんけれども、かなり前向きであるし可能性を持っていると。私は、特に、中国がこれからかなり経済的に発展をしてくると、同じ米でも良質米への
需要
というのがふえてくる、そうすると、かなりの部分がジャポニカを食べていくという可能性も出てくるわけでありますから、これは基本的な米
対策
としてもぜひ真剣に取り組んでもらいたいなというふうに思います。 と申しますのは、今、
生産調整
という、共
補償
を背中にした、減反と組み合わせたことには、私はどうしても限界があるし矛盾があると思いますね。要するに、
食糧法
という形で位置づけたというのは、米を商品として市場ベースに乗せようというのを片っ方でやっているわけでしょう。そこには当然、
価格
差が出てくることは
当たり
前だと。しかし、片っ方で過剰米になったから調整するという運動をやる。共
補償
というものを背中に持ちながら運動として調整をし合おうということになってくると、どうしてもやはり一律主義というのはぬぐい去れない部分の原則ですね。 片っ方で市場原理があって、片っ方ではそれはできないという、そこのところの調整ということになれば、物すごく基本的には矛盾する、限界があるということは間違いないわけでありまして、毎年毎年このことをお互いにその団体との間で苦しみ合うということだろうと思うので、やはり国際的に目を向けた工夫に乗り出すということをぜひひとつ考えてもらいたいということが一つ。 もう一つ私が
大臣
に聞きたいのは、この
備蓄
制度
の
考え方
をもう少し基本的に変えなきゃいかぬな。先ほどの小平さんの質問と同じなんですけれども、基本的には
備蓄
というのは
消費者
のための
考え方
としてあることは、私そのとおりだろうと思いますね。これは、単に
消費者
の
観点
だけではなくして、
生産者
の
観点
でこの
備蓄
制度
というのを考えてみるという発想ですね。これは、回転
備蓄
から棚上げ
備蓄
という発想を導入するということなのだと思います。私は、米のすべてを、過剰なものを面積でやるということについて、どうしても運動的な側面があると、並列主義といいましょうか、均等主義を乗り越えられませんから、な かなか達成できないし、また、ある意味だったら奨励しなくちゃいけない地域までも減反させるという限界が来るわけでして、どうしても
備蓄
制度
という
備蓄
の
考え方
を、単に
消費者
だけという概念じゃなくて
生産者
の側にも向いた
備蓄
制度
に変えてみる、そうすると、それは回転
備蓄
から棚上げ
備蓄
の
考え方
を導入するということですね。 だから、僕は現実的に、全部これを棚上げ
備蓄
にしろということについては、正直言って
財政
的側面も厳しいことは間違いないと思うけれども、例えば二百万トンあるいは三百万という量を超えたときには、もうある程度、五十万トンとか百万トンは棚上げ
備蓄
にして減反の対象から量的に外していく措置をとっていくとか、やはりそういうふうに
備蓄
制度
というのを、
消費者
の側からだけではなくして、
生産者
の側からもどう組み込んでいくかという発想でこれに対処していくということもしないと、最初に言ったように、九十六万ヘクタール余の減反というのにはもう限界がぎりぎりに来てしまっている、北海道はもう五〇%近いということ、私は限界が来ているのだろうと思いますね。 そういう発想というのをこの
備蓄
制度
の中に入れる。せめて、全量ではなくしても、五十万とか百万トンぐらいはそういうふうに入れていく発想といいましょうか、
考え方
を導入する時期ではないだろうか、またしないと、減反といいましょうか、もう基本的な操作ができなくなるのじゃないだろうかと思いますが、その辺の
考え方
をお聞きします。
島村宜伸
68
○
島村国務大臣
すべておわかりの上でおっしゃっている、こういうふうに思いますが、少なくも回転
備蓄
は、順次
在庫
の
年産
が更新されて、いわば古米とはいっても十分新米に準ずるような味覚が得られる。そういう意味では、棚上げ
備蓄
に比べて品質が一定に保持されることから、
主食
用への円滑な
供給
が可能となりますが、棚上げ
備蓄
では、これは一定
期間
の経過による品質の劣化は避けられないことでありまして、
主食
用への販売が困難となり、
主食
用以外、例えば飼料用へ、こういうことになりますと、トン三十万円で買ったものを二万円で売るというようなことになるわけですから、これは正直申して、例えば
消費者
とか一般の
方々
の理解が得られない。 ましてや、今こそとおっしゃいますが、この
財政
逼迫してぎりぎりの
状況
に置かれている段階で、新たな
財政
負担を伴うこういう
制度
の導入というのは、これは正直言って無理があるように思います。したがって、我々は回転
備蓄
方式
をとっているところでありまして、現時点ではこの
方式
を変える考えはございません。
前島秀行
69
○前島
委員
終わります。
北村直人
70
○
北村委員長
次に、堀込征雄君。
堀込征雄
71
○堀込
委員
新しい
米政策
、いろいろ御苦労いただいて決着したわけでありますが、少し全体的なことをお聞きをしてまいりたいと思うのです。そうはいいましても、米が大きな
在庫
を抱えて非常に転換期にあることは間違いないわけであります。二十一世紀もこの米を中心とした日本の
農業
をどういうふうに守って生かしていくかという
議論
をしなければなりませんし、具体的な取り組みもしなければならない。 しかし、御存じのように、我が国の中にはいろいろな論議があるわけでありまして、もっともっと競争原理を導入しろとか、もっともっと国境の垣根を取り払ったりいろいろなことをやれとかいう
議論
をやる方も、それは大勢あるわけでありまして、私ども、やはり世論の支持を得ながら、来るべき世紀も
農業
や米というのを位置づけながらやっていかなければいけない、こう思うわけでありまして、そういう具体的な取り組みというのをどういうふうにするのかという視点で今回の
米政策
なども私はとらえていきたい、こういうふうに思っているわけであります。 そこで、そういう意味では、例えば財源なども、あるいは今財革法をやっているわけでありますから、これはやはり明らかにすべきところは明らかにして、世論の支持を得ながら、日本の大事な米だから支出していくのですよというようなところはちゃんとやるべきじゃないか。一部報道では、何かこれは二年間で六千百億ですか、昨年までの
生産調整
だ何だかんだというお金が大体二千億ですから、それを組み替えて一千億上乗せしたと。何か農林省というのはたたけばどこかからいろいろ出てくるのじゃないかという話もあるわけです。いや、一部報道にあるわけです。 ですから、そういうことを世論に理解をしてもらいながら、苦しい中でこういうふうにしてきましたよというきちんとした
説明
がやはり必要だと思うのです。一般予算の組み替えだ、来年度予算の前倒しだ、こういうような
説明
をされていますが、
財政
改革法案との関連もあり、そういうことを、世論の支持を得ながら今後の農政を進めていく意味でも、やはりある程度きちんとした
説明
というのがあってもいいと思うのですが、
大臣
、御見解いかがでしょうか。
島村宜伸
72
○
島村国務大臣
お答えいたします。 今御指摘がありました新たな
米政策
についての財源不足の問題でありますが、この
米政策
に係る所要額は、総額で、御承知のように六千百一億であります。この財源は米関係助成金二年分四千四億円のほか、九年度予算での
対応
あるいは後年度の財源の充当、食管の事業の抜本的見直し、一般農政費の見直し等により財源を確保することとしたものであります。 今農林水産省はたたけば出てくるというお話がございましたけれども、それこそ、私は省の責任者として、まさに連日連夜本当に骨身を削る思いでこのいろいろな財源の措置をしたという現実を知っておりますので、すべてをおわかりの堀込
委員
としてはひとつ認識をお変えいただきたいと思います。
堀込征雄
73
○堀込
委員
あわせて、実は、今度の
米政策
で行く行ぐ二百万トンの
政府
米の管理を主として食糧庁がおやりになるということになるわけですね。行政改革ということで一府十二省庁で、この後、第二弾の各行政改革の
議論
になると思うのです。 私は、食糧庁もこれから何をやるのかということを、明確に国民に理解できるようなことを早目にきちんと出すべきじゃないか。やはり、全量管理のときの食糧庁の体制を引きずっているのは事実でありますから、今度
米政策
でこの麦、大豆、飼料作物も含めて自給率を上げるための
対策
もやるわけですから、新しい時代の日本の食糧自給率のために食糧庁というのは大事な組織としてこれからこういう役割を果たしていくのですよというようなことを早目に出していかないと、これはもう林野庁だって一万五千人を五千人に減らすような話になってしまっているわけですから、国民の理解を得られるように、早くそういう必要性、そしてまた、私は、この組織を将来の食糧行政の中で生かせば、やはり相当な国民の理解が得られる体制ができるだろう、こういうふうに思うわけでありまして、そのことはちょっと要望も含めてでありますが、
大臣
、見解がありましたらお聞かせください。
島村宜伸
74
○
島村国務大臣
実は十四年前に私が政務次官になりましたときには、農林水産省の職員は七万六千人でありました。現在四万五千人でございます。これは食糧庁、林野庁、いろいろな関係者を思い切って人員削減をしてきた、大変な思いでスリム化を図ってきたところでございまして、むしろ私の方が驚いているというのが現実であります。 今回の行政改革につきましても、十一月二十二日未明の総理会見において、農林水産省の存続など、一府十二省庁の大枠が明らかにされたところでありますが、細部については十二月三日に公表される行政改革
会議
の最終報告を待つ必要があります。 今御指摘の食糧庁につきましては、農作物検査実施業務の民営化を検討していく旨、及び農政全体の動きを踏まえ機能的、効率的な体制への再編整備を進めていくことを検討していく旨を行政改革
会議
の場において明らかにしているところでありますが、その具体化については最終報告を見た 上で検討していきたい、こう考えております。
堀込征雄
75
○堀込
委員
終わります。
北村直人
76
○
北村委員長
以上で
農林水産大臣
への質疑は終わりました。 質疑を続けます。 次に、
栗原博久
君。
栗原博久
77
○
栗原
(博)
委員
今まで
島村大臣
のお話を、いろいろ御答弁を聞きまして、大まかな姿は理解できるのですが、要するに今回の新しい
米政策
というのは、転作をぐっと二年間延ばして、二年間で過剰米を整理するということであると伺っております。私は、この多大な米の
生産調整
率のアップは、それを実施します
農家
の
方々
、あるいはまた
農業
団体、あるいはまた自治体にとりましてもなかなか苦渋の道を歩むと思っておるのであります。
生産調整
が、一番最初は約五十四万ヘクタールから、今回は約九十万近い転作でございますから、こういう中におきまして、今回共
補償
で最高十アール三万円を交付できるとか、あるいはまた麦とか大豆を上手につくりますと九万円ぐらいの収入があって米の収入と余り変わらない、そういう手当ても講じられておりますが、やはり
生産調整
の転作が
全国
平均
三五・五%、例えば私ども
新潟
県においては二〇・四%が二八%になるわけでありまして、こういう新しい
制度
をつくったといたしましても、
生産調整
の実施の段階になるとこの達成がなかなか厳しいというふうに実は私は思っておるのです。
生産調整
は、最初目標面積を割り当てて、その後五月ごろその確定した面積に合わせてまた面積の配分があるやに伺っております。そこで、共
補償
という
制度
と、あるいはもう一つは地域間調整ですか、県内においては市町村の中において
生産調整
を達成できるところとできない市町村でお互いに面積を譲り合い、当然そこには対価が伴うと思うのでありますが、あるいはまた、都道府県の間にも実際あるというふうに伺っています。
新潟
県も、昨年度実は七十ヘクタール
生産調整
を他の県に持っていただいて、それで持っていただいた部分を当然対価を払っているかと思うのであります。 こういうことで、時間がございませんので端的にお伺いしますが、このような地域間調整について、都道府県間あるいは市町村間において今後ともどのような取り組みを行われるかということを第一点、ひとつお聞きしたいと思います。 もう一つは、この地域間調整は、今まで、九年度は秋田県、山形県、茨城県、神奈川県、
新潟
県で出し手としてお願いして、それで宮城県、埼玉県、東京都、長野県、岐阜県、三重県で引き受け手ということで約百二十九ヘクタールあったということでございますが、この事務を進めるに当たって、なかなかその事務形態が煩雑、難しいというようなことをこの地域間調整を実際にやっています系統団体、要するに農協団体ですね、そういう事務屋の方から伺うのであります。これをどのように簡素化できるかどうかということを第二点目にお聞きしたいと思います。 それから、先ほどちょっと私申し上げましたけれども、やはり出し手と受け手、要するに
生産調整
をお願いする側と
生産調整
の面積を受ける側との間に当然対価が伴うわけでありまして、
平成
五年度には市町村間で約七千五百六十七ヘクタール、県同士では約一千四百ヘクタール地域間調整をやった。今年度、九年度は、市町村間で二千四十九ヘクタール、都道府県間で百二十九ヘクタールと伺っています。こういうことで、答弁しにくいかもわかりませんが、こういう出し手側の負担と受け手側の受益は大体どんなふうになっているか。これは具体的な
数字
でなくてもよろしゅうございますが、この三点、ひとつ政務次官からお伺いしたいと思います。
岸本光造
78
○
岸本
政府
委員
ただいまの問題は
数字
にかかわる問題でございますので、事務方から
数字
の
説明
をさせます。
高木賢
79
○高木(賢)
政府
委員
まず、第一点のお尋ねは、今後の地域間調整をどのように行うかというお尋ねでございます。 これまでも、今お話がございましたように、都道府県間、市町村間における地域間調整をやってまいりましたけれども、今後さらにその地域間調整を一層
推進
するために、系統団体を
運営
主体としてやっているわけでございますが、傘下の
生産者団体
に対して、出し手あるいは受け手になる意向があるかどうか、また、その場合条件は何かというような意向
調査
をまず積極的に行いたいと存じます。 それからもう一つ、
調査
結果とあわせまして、地域におきます水田
農業
の
状況
とか
生産調整
の実施余力の有無などの情報を得まして、これをあわせて活用することによりまして、調整活動に的確に取り組めるようにしたいというふうに考えております。 団体が主体的に行うべき問題でありますけれども、行政としても、情報交換とか調整活動の促進などにつきまして具体的支援をしたいというふうに考えております。 それから二番目は、事務手続が煩雑ではないかというお尋ねでございます。 これは、やはり受け手と出し手の間を調整するということなので、例えば両方の間で確認書を締結したりとか、あるいは経済的に
補償
というのでお金のやりとりもあるわけなので、どうもその辺をしっかりしておかなければならないという意味で、書類のやりとりなどで多少手間がかかるという面はあると思いますが、また逆に紛争は起こらないというか、予防のためにはそういった手続をしっかりするということは不可欠なことと思います。 ただ、むだなことをする必要もありませんので、団体側でどういうふうに簡素化の御要望を持っているか、そういうことも十分お聞きして、協議、調整したいというふうに考えております。 それから三番目に、実態はどうかということでございます。 まさに先生御指摘のようなやりとりが各県の間でございます。その場合に、当然幾らかのお金を出し、また受け手はもらう、こういうことでございますが、これはまあ、いわば企業秘密というのは大げさですけれども、例えば高い県などがどこかでありますと、低いところがもっとよこせとかいろいろな問題がありまして、なかなか正直なところが表明されていないというのが実態でございます。ただ、これが余り法外な値段ということになりますと、これは、当然出し手側もそれには合意はできないわけでございまして、やはりそれぞれが相対で折り合う条件を模索しておるというのが実態かと思っております。 まあ幾つかの
数字
も聞いてはおりますが、そういう
事情
でございますので、
数字
にわたる話までは御勘弁をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
栗原博久
80
○
栗原
(博)
委員
ありがとうございました。
北村直人
81
○
北村委員長
次に、
熊谷市雄
君。
熊谷市雄
82
○
熊谷
(市)
委員
前段、
大臣
に対して、今度の新たな
米政策
の
大綱
についての取り組みの意欲というか決意というか、そういうことについてお尋ねをしたわけであります。特にその中で、談話の中で、
稲作農家
の「不安を払拭するよう全力を傾注する」、あえて私はこの文言を特に取り上げて決意も伺ったわけでありますけれども、言うならば、今度の
大綱
というもの、これは失敗なしに必ず成功させなければならない、こういう前提で取り組むということが極めて大事になってくるわけであります。そのためには、やはり極めて過度な
生産調整
というものに
生産者
がどうかかわってくるか、そういうふうになるわけでありまして、この不安の払拭ということが前提になる大きな課題ではなかろうかな、こんなふうに思います。
生産者
は、今まで何回となく、この
生産調整
というもののかかわり合いの中で、
価格
を安定するためにやるんだ、そういうものを前提にしながら取り組んでまいったわけであるし、そういう期待の中でまた取り組んできたというふうになるわけでありますが、まあ結果は御承知のように全く逆でありまして、値段がどこでとどまるかわからな いという暴落の道を真っ逆さまに落ちていってしまっている、それを防ぐためにということで今度の
大綱
というのをやるわけであります。一回通った苦い道を、またこうだから進みなさいというふうに言われても、素直に、はい、そうですがというふうにできないこの心境というものが今までの過程の中で出てきたのかなというふうに思うわけであります。 したがって、こういうものを踏まえて、この不安というものを払拭するということについて、具体的にどんな手法、手だてというものをお考えになっておられるか、お伺いしたいと思います。事務局でもよろしゅうございます。
川口將志
83
○
川口政府委員
これまでの
需給
あるいは
価格
の実態の中で、現在の
生産者
農家
は大きな不安、あるいは将来に対する希望が持てないというような声をよく聞くわけでございます。今回、私どもで実施をいたすことにいたしました新しい米
対策
は、そうした皆様方の不安を払拭するということで、
価格
変動
に対する一定の経営の安定バッファーをつくっていくとか、あるいは共
補償
等で実効的な
生産調整
を実施するというような多面的な、総合的な
対策
を講ずることによりまして、そうした将来に向かって
農家
が十分安心をして
営農
に取り組める
制度
に、中身についても逐次その実態を把握しながら
改善
を加えていきたいというふうに考えております。
熊谷市雄
84
○
熊谷
(市)
委員
この点が一番肝心で第一であると思いますので、特段にこの点に対して配慮しながら、重点を置いてお取り組みをいただきたいというふうに思います。 次に、少し具体的になりますが、今度の要綱の中で
政府
米の販売、これは一つの計画を立ててやるわけですが、計画どおりに売れないという場合には、やはりその
政府
米の買い入れ数量というのを今度それだけ減らすのですよということとか、あるいは
作況指数
一〇〇を超えた場合の
対応
にしても、これは
主食
として市場にすぐに出すというのじゃなくて、一応それを隔離する形において調整保管というか、そういう手法をとるというような形にしているわけであります。 これは、言うならば
在庫
量、
備蓄
量二百万トンという
水準
に必ず持っていく、そういう
考え方
の中での操作としては当然そうだろうなというふうには我々は納得できるわけでありますが、
生産者
からすれば、そういうふうに都合が悪くなった場合は、
政府
は自分の体を身軽にするということを優先して、その重荷というものは
生産者
の方に勢いかぶせてくるのかという、痛みというのはともに分かち合うということじゃなかったのかという、これもまた素朴な疑問が出てくると思うのです。 いろいろ
変化
の中で操作をしていくということは、これは極めて大事であるし、その適切性というものを欠いてもだめだということはよくわかるわけですが、さきに申し上げた不安というものと関連をして、そういう場合には、一方的に
生産者
の重荷というのじゃなくて、何かうまい方法がとれないものかな、こんなふうに思っているのですが、何かないでしょうかね。その辺のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
川口將志
85
○
川口政府委員
今回の
政府
米の販売が計画未達になった場合に、その分、
政府買
い入れ数量をスライドさせて減少させるというような新しい
備蓄
運営
のルールを今度の新政策
大綱
の中に織り込んだわけでございます。 これは、おっしゃるように、
政府
米販売が計画どおりにいかない場合には買い入れ数量が減少するということで、
生産者
に対しても一定の
影響
があるわけでございますが、
政府
の役割が、新
食糧法
のもとで
備蓄
に限定をされまして、かつ、その
在庫
水準
が、現在適正
水準
をはるかに上回る
水準
にある中で、やはりこうした取り扱いを
制度
運用
の上でやっていかざるを得ないというのが実情でございまして、御理解をいただきたいと思います。 したがいまして、こうした新たなルールのもとでは、むしろ、
生産者
におかれましては、
自主流通米
として出荷することを基本としてお考えをいただきまして、
政府
米の販売
状況
によって
政府買
い入れ数量が次第に増加をしていくというようなお考えで取り組んでいただくことが必要ではないかというふうに考えておる次第でございます。
熊谷市雄
86
○
熊谷
(市)
委員
時間もあれですから、申し上げたいことはいっぱいあるわけでありますが、
最後
に、この
大綱
というものを着実に実行に移していくということは、これは、
生産団体
が、あんたたちが主体だよというふうに言われても、そうはいかないものがたくさんあるわけであります。したがって、極めて困難な
状況
の中でこの
大綱
というものを実践に移していくというふうになるわけでありますから、当然、行
政府
あるいは自治体、そういうものの責任、指導というものを十分に発揮していただいて、総力を結集した形で
推進
に取り組んでいただきたい、このことを御要望申し上げて終わらせていただきます。 ありがとうございました。
北村直人
87
○
北村委員長
次に、一川保夫君。
一川保夫
88
○一川
委員
私の方から、先ほどの質問に引き続きまして、今回の
米政策大綱
の中身等につきまして御確認をさせていただきたい、そのように思っております。若干、通告の中身が細部にわたっていなかったと思いますので、そのあたり、
皆さん方
の常日ごろの勉強の成果をぜひ聞かせていただきたい、そのように思いますので、ひとつよろしくお願い申し上げます。 まず、私も先ほどちょっと言いましたように、今回のこの
大綱
、最近ようやっと取りまとめられたということもございますけれども、まだこの中身の周知徹底が一般の
農家
のところまでそんなにおりていないというのが実態だろうと思います。大幅な
生産調整
の面積がこれから配分になるわけでございまして、そういう面では、これから各都道府県なり市町村それから
農業
団体等を通じながらそれぞれの
農家
の
方々
に入っていくんだろうと思いますけれども、今後基本的に、大まかにどういうスケジュールで個々の
農家
に、
皆さん方
にこういうお話を進めていかれるのか。 そういったところとか、あるいは、そういう面で今回相当
考え方
が大幅に変わった点もあるわけですけれども、
農家
の
皆さん方
の十分な理解なり協力が得られる、そういう自信のほどをちょっと聞かせていただきたいんですけれども。 〔
委員長
退席、鈴木(俊)
委員長
代理着席〕
高木賢
89
○高木(賢)
政府
委員
今後のスケジュールについてのお尋ねでございます。 まず、あした、各都道府県の
農業
担当主務部長さんにお集まりいただきまして、今回の
対策
につきましての趣旨の徹底を図りたいと考えております。 次の段階としては、各県で恐らく次に市町村への
説明
という段階になろうと思います。さらに、市町村から各集落なり
農業
者の段階ということになろうと思いますが、大体、例年の例ですと、県から市町村に行くのが来月の後半ぐらい、それから
農家
段階に行くのが年明けて早々ぐらい、こういうことになろうと思っております。その過程でまたいろいろと御質問なり御疑念なりがあると思います。そういう点につきましては、御要望に応じて、私どもも団体ともども
説明
の体制を組みまして
対応
していきたいというふうに考えております。 そういう中で、各
農家
にもいろいろお話をする機会もあろうと思いますが、新しい
対策
でございますので、また
需給事情
の厳しい
状況
のもとでの大変量の多い
生産調整
ということでございますので、十分な御理解を賜るように、しっかり
対応
してまいりたいと考えております。
一川保夫
90
○一川
委員
大幅にそういった転作等の面積がふえてくる、また今後の水田の
営農
に対してもいろいろな不安感を抱いているという
状況
の中でございますので、そういった末端の
生産
農家
の
皆さん方
に対する
説明
を、十分理解していただけるように丁寧な
対応
をぜひお願いしたいというのが私の率直な気持ちでございます。 この政策が動き出すことに対する若干の不安め いたものが幾つかございまして、それにつきましては、一つは、転作物を導入できるような、そういう水田を持っている地帯は割と新しい政策のメリットが生かせる。例えば麦とか大豆、飼料作物も含めて、こういうものを導入できるような
状況
のところは割とこの政策のメリットを生かせるかなという感じがいたすわけです。 しかし一方で、現状では条件が非常に悪い、例えば湿田地帯なり山間地域の水田等で、現状でも調整水田とかあるいは自己保全管理をせざるを得ないような、そういう水田を抱えておるところというのは場所によってはたくさんあるというふうに私は思います。 そうした場合に、今回の
米需給
の安定
対策
といったような政策については、果たして、受取額といいますか補てん額と実際に拠出する額、そういうものがどうなってくるのかという面の心配が非常にあるような気もしますし、そういったところも含めて、条件的に非常に転作物を受け入れやすい地域と非常に条件の厳しいところ、こういうところに対してはどのような指導をされていくのか、まずちょっとお聞かせください。
高木賢
91
○高木(賢)
政府
委員
御指摘のありました地域のうち、まず中山間地域でございますが、御指摘のように、平場と比べまして、団地化をするにも難しい
事情
があるというようなことがあろうかと思います。 そこで、今度の
対策
におきましては、麦とか大豆とか飼料作物などの団地化を行う場合に、平場の地域に比べて要件を
緩和
して、団地化に取り組みやすいようにするというのを一つ
対応
として考えております。 それからもう一つ、麦、大豆、飼料作物というものが難しいという場合に、その地域の気候とか土地条件に適合した作物、これを地域特産作物ということで選定をいたしまして、その産地形成を促進するときに、助成措置として、今単価一万円というものを考えておりますけれども、これを助成するということで
対応
したいというふうに考えております。 御指摘のように、それでもなおかつ、湿田とか気象条件だとかそういうことでなかなか作物がつくりがたいという場合には、調整水田ということにならざるを得ない面があるというのも実態かと思います。それからまた、二年間の緊急
対策
ということでやりますので、これは永続するということでは必ずしもございません。機動的な
需給
への
対応
ということを考えましても、むしろ調整水田は積極的に
評価
すべき面もあるというふうに思っております。調整水田の場合には、いわゆる
全国
共
補償
から一万円、さらに地域でまとまって加入すればプラス五千円tいうことで
対応
を考えておるところでございます。
一川保夫
92
○一川
委員
もう一つ、ちょっと気になることがございまして、それは、非常に規模の小さい
農家
の
方々
で自分で食べる米を主体につくっておられるような飯米
農家
というようなのは、当然ながら
自主流通米
の出荷というのが非常に少ないわけでございます。また、逆に大規模な
農家
は、計画外流通米としていろいろな面でその販路を自分なりに努力しながら
対応
してきたというのも事実だというふうに私は思います。そういう、逆に非常に規模の小さい
農家
の
方々
なり、あるいは非常に大規模にこれから取り組もうとしておる
方々
が、果たしてこの政策のメリットをうまく生かしてこれるかというところがちょっと気になるのですけれども、そのあたりいかがですか。
高木賢
93
○高木(賢)
政府
委員
規模の小さい
農家
でも、それなりに販売ということが行われる場合には、その
価格
ということが響きますから、その
対策
のメリットを受ける面があると思います。また、先ほど言いましたように、地域でまとまって加入した場合には一定額の追加交付というかプラスの交付ということを考えておりますので、そういった地域のまとまった運動の中で規模の小さい
農家
も取り組んでいただけるのではないかというふうに思っております。 それから、大きな
農家
につきましては、これは逆に米の
価格
の安定ということに大変大きな魅力を感ずるものというふうに思っております。 したがいまして、
生産調整
対策
の
推進
と裏腹で行います
経営安定対策
、これと
全国
共
補償
、セットでの加入ということを考えておりますが、そういったメリットを十分に御理解をいただきまして、加入の促進に努めていきたいというふうに考えております。
一川保夫
94
○一川
委員
それから、今回、こういった
制度
は、基本的には
農業
者の拠出金と
政府
の助成というものを資金にして
対応
していくという中身になっておるわけです。例えばこういう
農家
からの拠出金、これは当然
全国
的にやるわけですけれども、実際のやり方としまして、基本的にはその正確な水田面積というのは短
期間
でちゃんと掌握できるかということを、まず私なりにちょっと疑問に思うのです。 そういうことを踏まえて
農家
からそれに相応する拠出金を出してもらうわけですけれども、じゃ、それをいつの時点で、どういう流れでもって出していただくのかというところがちょっと見ている限りではわからないのですけれども、そのあたりいかがですか。
高木賢
95
○高木(賢)
政府
委員
水田面積につきましては、現在行われております地域共
補償
、これで現実には面積にして七割以上の方が加入をしておられます。そういうことで、地域の実態としては、だれがどのような水田面積にあるかということは十分把握されているというふうに思います。その点で、多いじゃないか、少ないじゃないかというような騒動が起こったということも聞いておりませんし、それぞれの地域でだれがどれだけということは、はっきりしているというふうに思います。 それから、いつお金の、何というか拠出を求めるのかということでございますが、これはまだ結論を得ておりません。早急に
生産者団体
と相談して適切な時期を選定をしたいというふうに思っております。
一川保夫
96
○一川
委員
現実問題、拠出金というやり方というのは、非常に
農家
の
方々
にとっては関心のあるところでもございますし、余り煩雑なやり方をされてもこれまた大変なことだろうと思いますので、
皆さん
に十分理解していただけるようなやり方で、ぜひ早目に周知徹底をしていただきたい、そのように思っております。 それから、今回のこの政策は、基本的には当然
生産調整
に協力した
方々
に対してメリット政策を生かすというのが根底になっているわけですけれども、じゃ、
生産調整
に参加しない方、そういう方が当然ながら出てくるというふうに想定されますけれども、そういう
方々
に対する農林省としての
施策
というのはどういうふうに動いていくのかというところが、全く放置の状態で、
生産調整
に参加しない
方々
から
生産
された米の
生産量
なり、また流通
状況
なり、そういったものが一切掌握されないという格好になってしまうのか。そういった、
生産調整
に参画しない、今回の政策のメリットは生かされないけれども、それを承知の上でいろいろ
営農
を展開されていく
農家
の方がもしいるとすれば、それに対しては農林省はどういう
対応
をされるのですか。
高木賢
97
○高木(賢)
政府
委員
今回の
対策
につきましては、今先生御指摘のとおり、
生産調整
をやらない人に対してはメリットが行かないということで明確にいたしたいと存じます。 したがいまして、そのメリットについて、我々は十分魅力があるものというふうに考えておりまして、その
説明
なりお話をするということは当然していかなければならないと思います。 ただ、どうしてもそれは嫌だという人がいた場合に、首に縄はつけられないわけでありますから、その人たちについてはそういうメリットは一切ないということで、いわば経済的な利害をどのように御判断されるか、こういうことに最終的にはなろうとは思います。 ただ、そうはいっても、そういうそっけない
対応
をするつもりはございませんで、なるべくなら全体として我が国の米がしょっているいろいろ な、もろもろの問題の解決のためにともに取り組んでいこうじゃないかということを十分
説明
をしていきたいと思っております。
一川保夫
98
○一川
委員
それからもう一つは、
生産調整
に協力をして目標の面積をこなした
農家
の中で、そこで
生産
された米が
自主流通米
として出ていく部分と、あるいは計画外流通米として出ていく部分、これまたそういうことが想定されます。
自主流通米
として出ていったものについては、当然ながら、今回の政策のメリットを生かすということで、いろいろな
価格
補てん等の恩恵にあずかるというふうには思いますけれども、計画外流通米として出された部分、そこの部分というのはどうなりますか。
高木賢
99
○高木(賢)
政府
委員
生産調整
に関する助成金につきましては、先ほどから申し上げておりますように一〇〇%
生産調整
の目標を達成した人に限るということにいたしております。 一方、
稲作経営安定対策
につきましては、
自主流通米
を対象とするということで考えておりまして、この
全国
共
補償
と
稲作経営安定対策
と一体的なものというふうに考えておるわけでございます。 なお、経営者が、
生産調整
は実施した、しかし経営上の判断から計画外流通米のみを出荷するということも
食糧法
上認められたものでございまして、米の出荷先について特に限定はしていないということでございます。 〔鈴木(俊)
委員長
代理退席、
委員長
着席〕
一川保夫
100
○一川
委員
そのあたりはわかるのですけれども、今回、ちょっと先ほどのお話の中にも、両方の今の拠出金を出す
制度
につきましてはセットで加入していただくんだというような言い方が一方でございました。加入をすれば当然、本来であればその恩恵にあずかるわけですけれども、実際に計画外流通米としてさばいた場合に、それは対象にならないということで理解していいのですか。
高木賢
101
○高木(賢)
政府
委員
経営安定対策
、つまり一定の
価格
下がった場合に補てんをするという方の
対策
は、
自主流通米
を対象として考えておるということでございます。それから、一般の共
補償
とかその他の
生産調整
対策
の支出は、
生産調整
を一〇〇%達成した人ということで考えておりまして、多少その範囲が両
対策
の間では異なっておるということでございます。
一川保夫
102
○一川
委員
ちょっと、簡単なことなんですけれども、要するに、十アール
当たり
三千円だとか、あるいは
基準価格
の二%とか、そういう拠出金を出した
農家
の中でも、場合によってはその
価格
補てん的なものをもらえないというケースもあり得るということなんでしょう、要するに計画外で出した場合には。そういうことじゃないんですか。
川口將志
103
○
川口政府委員
生産調整
実施者におきましても、その出荷につきましては、
自主流通米
に出す部分あるいは計画外流通米に出す部分、同一の人が二つのルートに出荷をするということが十分考えられるところであります。その場合にも、現在考えております
経営安定対策
につきましては、その者の
自主流通米
の出荷分についてだけ
経営安定対策
の補てん金の対象になる、したがいまして、拠出金につきましても、
自主流通米
計画として出荷される分についての拠出金を御負担いただく、こういうことになると思います。
一川保夫
104
○一川
委員
じゃ、その問題はそういうことで理解させていただきます。. 次に、今回、先ほどちょっと触れましたけれども、十アール
当たり
三千円とか、あるいはその
基準価格
の二%を
農業
者から拠出していただく、それに対して
政府
の助成を加えて一つの資金を造成していくということになっておるわけですけれども、この十アール
当たり
三千円という、その根拠みたいなものとか、それから
基準価格
の二%というところ、何となく
数字
を丸めたようなところもございますけれども、なぜこういう
数字
なりこういうものが出てくるのかという、その
算出
根拠みたいなものはどうなっているのですか。そこをお聞かせ願いたいと思います。
高木賢
105
○高木(賢)
政府
委員
まず、
全国
共
補償
である
米需給
安定
対策
について求めております水田面積
当たり
三千円ということの
考え方
でございますが、まず水田面積ということにしておりますのは、これは水稲作付面積でやったらどうかという
考え方
もありますけれども、先ほど
委員
御指摘のように、水稲作付面積だと毎年
変動
する可能性がございまして、なかなかつかまえるのが難しいのが実態だと思います。水田面積ですと、これは地べたですから動きませんので、とらえやすいといいますか、
安定性
があるという点が一つでございます。 その次の単価でございますが、これは今の地域共
補償
での拠出
基準
を見ますと、大体五、六千円というのが相場といいますか、
平均
でございます。そういうところから、加入のしゃすさとか、それからまた、今五、六千円で出しておるものは地域独自の取り組みにも使われております。したがって、
全国
での拠出ということを考えた場合には、その半分ぐらいの三千円というのが適当であろうということで、これも
生産者団体
とも十分
意見
交換を行った上で考えたわけでございます。
一川保夫
106
○一川
委員
そういう面では、現状で割と
生産調整
の比率、
転作率
の低い水田にある程度特化した地域にとっては、ここで言います麦とか大豆とか飼料作物がしっかりと導入できる場合にはそれなりのメリットが出てきますけれども、そういうものを即導入しづらいような地域であれば、従来割と水田をたくさんつくっていたという地帯は、何かこの
制度
のメリットが本当に生かされるのかなというところがちょっと危惧されるわけです。そこのところは大丈夫なように御指導していただくしかないわけですけれども、そのあたりはどうですか。
高木賢
107
○高木(賢)
政府
委員
御懸念の点は、米を主体とする地域から提起をされております。しかしながら、拠出した額だけでなくて、その半分に相当する額を国庫助成もいたしますし、現実、実態を見ますと、米を主体としている地域にありましても、やはり相当な転作も行っておるのが実態であります。 それから、先ほど申し上げましたが、地域でまとまって加入した場合には全額国費をもって単価五千円ということで支払うことにしておりますので、具体的にどうやるかによって違いますけれども、定性的に申し上げて、相当程度はそのうちそれぞれの地域にも交付が行われる、還元されるというふうに思っております。
一川保夫
108
○一川
委員
今回のこの政策の中で、奨励する転作物等の位置づけで、麦、大豆、飼料作物が入っているわけです。この三つの作物にこだわったような書き方になっているわけですが、こういう作物をつくれるところはいいですけれども、つくれないようなところというのは非常に心配になるわけです。まずそのあたり、基本的な
考え方
をお聞かせ願いたいと思います。
高木賢
109
○高木(賢)
政府
委員
今回の
対策
におきまして、水田における麦、大豆、飼料作物、三つの基幹的な作物に限定して特別の技術
対策
を講ずるということにしておりますが、この麦、大豆、飼料作物は、御案内のように我が国で極めて自給率の低い作目であります。 したがって、今後その
生産
の拡大が期待される作物であり、また非常に懐が深いといいますか、ゆとりのある作物だと思います。これが、そのほかの作物ですと、すぐ
需給
問題の天井にぶつかりまして、
価格
の
下落
とか、また別の問題を引き起こす。そういう意味では、麦、大豆、飼料作物につきましてはそういうおそれが余りないということで、非常に戦略的な作物として位置づけられるということであろうと思います。 それからもう一つは、土地を余り利用しない集約型の作物でなくて、土地の広がりを必要とする土地利用型の作物であるということで、米にかわる水田の有効活用という点を考えますと、これは先ほど先生からも水田の活用についての御指摘がありましたけれども、まさに水田を有効活用する、維持するという面から見て非常に土地利用型作物としての基幹的な位置を占めるものというふ うに思っております。 それからもう一つ、これらのものは、それ自体として直ちに食用に供するということではなくて、加工を経て、あるいは牛とか動物を経て製品化されるというものでございまして、いいものをつくるために技術
対策
というものが不可欠であるという点があろうかと思います。 そういった点を勘案して、この三つの作物に重点を置いたということでございます。
一川保夫
110
○一川
委員
そういうことだというふうに理解させていただきますけれども、私がこれまで水田で取り入れてこられた転作物の実態をいろいろと見させていただきますと、先般も、ここにいらっしゃる政務次官にもお話をさせていただきました、いろいろな
価格
の問題で申し入れをさせていただいたときもありましたけれども、水田に導入されている大豆なり麦等も含めて、まず非常に単収にばらつきがあるということですね。それと、そういうものに意欲的に取り組んでいる
農家
、地域と、何となくおつき合い程度にやっているところとあるのではないかというふうに私は思います。そういうところをもう少し、本当に意欲的にやる
農家
の
方々
が意欲を持って、これから水田で畑作物を導入していこうという意欲が出てくるような、そういう何か
施策
がもっとしっかりと動かないと、いつまでも転作に対してこういう奨励金的なものを交付するというやり方は、これは未来永劫に続く問題じゃないと私は思いますけれども、そのあたりの基本的な
考え方
をお聞かせ願いたいと思います。
高木賢
111
○高木(賢)
政府
委員
御指摘のとおり、特に大豆などにつきまして、大変単収にばらつきのあるのが実態でございます。基本的な技術を励行した場合と、例えば単に種をまいてさしたる管理もしていない場合というものを比べますと、もう倍、半分以上の単収に開きのあるのが実態でございます。 私どもは、先ほど申し上げましたが、大豆とか麦とか、こういうものはやはり商品として売れるものでないと、これは実需者も、加工メーカーですけれども、引き取っていただけない。これでは外国産の麦、大豆に打ちかって、それに振りかわって自給率を上げることもできないというふうに思っております。 ただ、つくればそれだけで自動的に自給率が上がるものではないものでありますから、やはり一定の品質、まとまりというものを確保するということが非常に重要だと思います。そういった方向に
農業
者の
方々
も向かって
生産
し販売をしていくということを誘導するために、今度の
生産調整
対策
におきましても、それぞれそういった熱意ある取り組みに対して助成措置が手厚くなるように、こういうことで基本的に仕組んでいるつもりでございます。 例えば、
全国
共
補償
で支給する場合、支払いの場合にも、麦、大豆など、あるいはソバなども入りますけれども、そういった作物を
生産
する場合の方が調整水田などよりも手厚く支援されるようにするとか、
水田営農
のプラスアルファの助成につきましても、転作
営農
を取り込んで規模の大きな経営として営む場合、
生産
の組織化を図る場合、団地化をする場合、こういった場合につきましてプラスの加算がなされるという体系にもしておりまして、技術
対策
におきましても、
基礎
的な技術よりさらに高度な技術、土づくりとか単収向上につながる技術、こういうものについての支援を手厚くするということを通じまして、意欲的な
農家
が積極的に取り組んだ場合、より手厚い支援措置がとられるという体系を仕組んでいるところでございます。
一川保夫
112
○一川
委員
私もこれで質問を終わらせていただきますけれども、基本的にはこれだけ転作作物を導入する面積がふえてくるということであれば、いろいろな面の条件整備をしっかりと農林水産省各局を挙げてぜひ取り組んでいただきたいというふうに思います。 それとまた、今回のこういった新たな
米政策
も、私はこれは恒久的な政策というものではないというふうに理解しておりますけれども、一種の緊急避難的な性格も持ったものだというふうに思います。やはり、将来的にも水田で
農業
を営む
方々
が皆安心して一つのしっかりとした
展望
を持って
農業
が営めるような、そういう骨太の政策をぜひ早急に構築していただきたいというふうに思います。 また、今回若干気になる中には、減反がこれだけ増加してきますと、来年の新米の出回りが若干減る、当然減ってくるわけですね。そういうこととか、もし、今異常気象の時代ですから、来年極端な不作になった場合に
米価
がぐんと上がってしまうのじゃないかというようなことを考えた場合に、逆に
生産調整
に参加しない人がえらいメリットが出てくるということがあり得ることでもございますので今回のこの政策を動かすに当たって、十二分に末端の
農家
の
方々
に理解していただくように全力で努力をしていただくように心からお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。 ありがとうございました。
北村直人
113
○
北村委員長
次に、小平忠正君。
小平忠正
114
○小平
委員
それでは、引き続いて質問をさせていただきます。 今席は、
岸本
政務次官、やはり初めてでありますので、御就任おめでとうございます。ぜひ、厳しい
農業
情勢、御奮闘を心から御期待申し上げます。 先ほど私も、
大臣
に幾つか私が問題としていますことについてお聞きしましたが、今回は、言うならば米の新たな政策、これについて少しくお伺いをしたいと思います。まず、これも同僚議員からも既に質問等ありますので、簡潔に済ませたいと思うのでありますが、大きく分けて今回は、
生産調整
の
推進
対策
、それと
稲作経営安定対策
、それに転作の円滑な実施のための特別
対応
、そういうことに分けられると思います。しかも、二年間というスパンで、大幅な
生産調整
を二年間でするという、そういう方向の中で二年間に大ぐくりして、このような六千百一億円という二年間分出されました。 それで、これは、
数字
的なことをとらえますと、言うならば一年間の関係予算、これが二千二億円でありますから、単純な話、トータルで二年間四千四億円。簡単な算術、引き算しますと約二千百億円がショートしている。そういう中でどうやつてこの財源を捻出するかという。先ほど同僚議員からも発言、質問があった中で、農水省はたたけば出てくるのじゃないかという、そういう質問がありましたが、私も、何か打ち出の小づちかな、そんなふうに一時思いました。いろいろと
説明
をお聞きしますと、
生産調整
の
推進
対策
については、先ほども指摘しましたように、米飯給食のカットですとかあるいは主要関係費からいろいろと削減するとか、それから食糧庁が持つ資産の売却等によって、そんなことで何とか出るのではないかなということは理解できます。 しかるに、
稲作経営
から今後の特別
対応
まで含めますと、これは非常に苦慮されて、いろいろと支払い等が
平成
十一年という、
生産者
に対する、あるいは団体に対するそういうものが年度をまたぐということで、一年間のちょうど空白ができるので前倒しできると。そういうことも含めて単純に三年間の分を二年間にまとめて出しているという、そういうようなこともお聞きいたしております。 それに、さらに今回の目玉というか、麦、大豆、これらの飼料作物に重点的な転作奨励をして、そこに手厚く助成なり
対応
したいという、そういう方向はお聞きしましたが、これで大丈夫なんですか、果たしてこれでできますかね。
川口將志
115
○
川口政府委員
今先生御指摘のように、今回の
対策
を組むに
当たり
ましては、非常に財源の面で苦労した面がございます。一つは、先生がおっしゃいました
生産調整推進対策
については、御指摘のように食管事業の見直し。これは具体的には、学給の段階的廃止に伴います浮いた財源を二カ年分で二百五十億程度これに投入する。それからさ らに、
政府
管理経費
の縮減。私ども
備蓄
運営
でやっていく上で必要な経費がございます。そうした経費を年間五%程度削減をする。それを二年続けて五%の削減を続けることによりまして約百十五億程度の節減をする。それから……(小平
委員
「そんなことはわかります。もう
数字
はいいです」と呼ぶ)それで、そういうことで、経営
対策
については、御指摘のように、多年度にわたる分を二年度の
対策
に投入するということで浮かしておるわけです。 これについては今後の食管予算として無理がないかどうかという趣旨の御質問かと思いますが、
平成
十一年度につきましては、
対策
の二年度目ということで
需給環境
が若干
改善
されることが期待できる一方、
生産調整
関係の助成金を中心に相当の支出もございまして、キャップのかけられた
主要食糧
関係費の中で厳しい財源
運用
を強いられるのではないかというふうに考えております。しかし、
平成
十二年度になりますと、
需給
改善
が相当進展するというふうに考えられますので、
生産調整面積
の縮小であるとか、そうした面で経費がむしろ非常に少なくて済む局面を迎えるだろうというふうに考えておりまして、かなりのゆとりが出てくるのではないか。 そんなことで、全体の資金
運用
といいますかということを考えておりまして、こうした見込みのもとに集中改革
期間
中に財源をできるだけ前倒しをして有効に使うということが十分可能ではないかというふうに考えている次第でございます。
小平忠正
116
○小平
委員
このように
対策
を立てられたのですから、要は、我々はこれに一々細かい点等々を言えば切りがないので、しっかりと、この
対策
を講じられたのだったら、これを予定どおり実行できるような、特に、いわゆる猫の目行政というのは、ころころ変わるからそういう指摘を受けるのですよね。やはり
継続性
を持って、この方向で安心して米の
生産
から転作作物を含めてこのとおりやっていけるという、そういう安心感を持たせることが大事なので、しっかりやっていただきたいと思います。 米の
需給
見通し等も出ていますけれども、これだって私から言わせれば果たしてこのとおりいくのかと。今ほどの、
生産調整
にくみしない
生産
農家
もある、そういう絡みや、また計画外米の市場の出回りもある。そういう中で、この
需給
見通し一つとっても、計画表もいただきましたが、これで果たしてうまくいくのかねという懸念を持っています。要は、私が言いたいことは、これはしっかりと進めていただきたい。 ただ、せっかくですからあえて問題点的なことで指摘しますと、稲作の
経営安定対策
という中で、
価格
が
下落
した場合、
自主流通米
の過去三カ年の
平均
米価
をとって、そして八割方補てんするということになっていますね。でも、問題は、過去三カ年の
平均
米価
ということは、その過去三カ年
米価
がよければいいですよ、高い
水準
に位置していれば。たまたまことしのように低い、
下落
していますと、これを
基準
にやったのでは、その八割ですからさらに
下落
してしまうのですね。それでは実効的な意味がないですし、そしてもう一つは、こういうことをやっていて、補てんということに対しての
生産者
負担もあれば
政府
の拠出分もある。やはり財源というものの枯渇も心配されますね。そういうことを含めて、果たしてこれでやっていけるのかな、具体的にこの一点、さらにそれをお伺いしてみたいと思います。
川口將志
117
○
川口政府委員
御指摘のように、
基準価格
は過去三年間の
自主流通米
の
平均価格
をとるということでございます。したがいまして、
下落
傾向を続ける場合には、またさらに翌年度、
基準価格
が下がっていくということは当然あるわけでございます。 ただ、今回の
対策
におきまして米の
需給
と
価格
の安定を図るためには、何よりも効果的な
生産調整
を行うということが基本であると考えておりまして、そのためにも
需給
実勢を反映した適正な
価格
形成がなされ、その市場
価格
がシグナルとして
生産
現場に的確に伝わっていくということが大事ではないかと考えております。 こうした
考え方
から、
稲作経営安定対策
の補てんの
基準
となる
価格
につきましても、
価格
低下の
影響
を三カ年ということで
緩和
をしつつも、その
水準
は
自主流通米
の
価格
形成の実態に即した透明性のあるものにする必要があるというふうに考えておりまして、こうした
観点
から過去三カ年の
自主流通米
平均価格
をもって
基準価格
とするということに考えたわけでございます。 今般の新しい
対策
につきましては、
稲作経営
対策
を初めとして、
生産調整
に対するメリットを明確にすることにより
実効性
のある
生産調整
を
推進
する、それを通じまして
米需給
の
改善
あるいは
価格
の回復を図ろうということでございまして、このような
対策
におきます
施策
を総合的に実施することにより、
生産調整
が円滑かつ的確に実施されて、結果としまして
価格
の安定が図られ、今先生御指摘のような事態をむしろ回避することができるのではないかというふうに考えている次第でございます。
小平忠正
118
○小平
委員
価格
の安定が図られるように、もろもろ含めてしっかりやっていただきたいと思います。 きょうは外務省見えていますか。――海外援助という点で、ちょっと確認を含めてお聞きしたいと思うのです。 たしかケネディ・ラウンドで我が国は、というよりは先進諸国は、小麦換算約七百五十万トンの海外援助の義務を負いましたね。そして、大きいところを言うと、アメリカが約四百四十万トン、EUが百六、七十万トン、我が国は三十万トンを後進国というか飢餓のところに対して援助をする義務を負っております。 近年、アメリカ等の国内
事情
によって、アメリカは大幅にその援助額、量を減らしていますので、最近では二百五十万トンぐらいまで減っています。これも今世界の
批判
を受けているところでもあるでしょう。逆に、一時期難民等の増大によって一千万トン規模まで海外援助がふえたときもありましたね。そういうことをここ数年繰り返しております。 さて、日本の場合ですが、小麦換算三十万トンという海外援助義務を、我が国は今まで、小麦は御承知のように約七%自給率がある、たしかそうですね。大豆が二%ぐらい、もう惨たんたる
状況
です。したがって、その小麦についても、海外に援助をする際に我が国はお金を出して、そのお金でアメリカ初めあるいは東南アジア、そういう輸出国に現物を提供してもらうという形でしてきました。 しかし、国内でのいろいろな米の余剰の体制、それからいろいろと、我が国は食管法という時代が終わった。食管法というものは、米の輸入はしない、そのかわり輸出もしないという、これは鎖国ですね。しかしその時代が終わって、今新
食糧法
で堂々とこれは輸入の義務を負っているのですから、要するにMA米ですね、したがって、輸出も堂々とやろう、しかしそこには
価格
差もあってなかなか難しい。ならば海外援助をもっともっとふやしていこう、そういう声は非常に強くあるのですが、そういう
状況
等、これはそれで間違いないですね。 そこで今回、何か十万トンお米をことしは海外援助に出した、東南アジア、アフリカ含めて。でも、そうは報道されていますが、実態は、もう少し正確に言うと、そうではなくて、十万トンに相当するお金を我が国は提供した。そして、そのお金でもって提供を受けた国は日本から、我が国からお米を買い付けろ、そういうことで、一歩前進です。しかし、非常にややこしいやり方で、なぜ堂々とアメリカやEUがやっているように現物の米を海外援助というふうにしないかという、そこのところも含めて外務省からちょっと
説明
をいただきたいと思います。ちょっと簡潔にお願いします。
八木毅
119
○八木
説明
員 御
説明
申し上げます。 現物供与ができないかという点でございますけれども、これは国内法、
財政
法とかあるいは食糧 法との関係がございますので、外務省として有権的に解釈を申し上げる
立場
にはないわけでございますけれども、私どもが関係の省庁から伺っているところでは、被援助国に対して直接に穀物あるいは米を供与するということはできないというふうに承知しております。 また、食糧援助を増大させるべきでないかというお考えにつきましては、我が国としては、これまで食糧援助規約の定める年間拠出義務量三十万トンあるいはそれを上回る規模で援助を実施してきているところでございます。 今後とも各方面の御理解を得ながら国際社会の食糧問題の解決に対して貢献してまいりたいというふうに考えております。
小平忠正
120
○小平
委員
直接現物を提供できない、今そのような御答弁がありましたが、課長、事実はそうじゃなくて、アメリカやあるいは例えばタイとか、そういう米の輸出国に対して配慮をするという外交上の関係から日本が遠慮をしているということなのですね。そうでしょう、実際は。そんなことKRで、ケネディ・ラウンドで決めたわけじゃないのですね、現物を出せないなどということは。そうでしょう。違いますか。イエス、ノーだけでいいですから。
八木毅
121
○八木
説明
員 食糧援助規約上は、現金を供与する、あるいは現物を供与する、どちらも可能でございますが、国内法令との関係で現物供与はできないというふうに私どもは伺っております。
小平忠正
122
○小平
委員
国内法令ということは、それは食管法時代の
考え方
であって、そこがもしまだ改正されていないのなら、新
食糧法
になったのですよ。食管法ならその国内法令はわかるのですよ、日本は現物の米を外に出さない、海外へ出さないということは。でも、時代は変わって新
食糧法
だ。だから、今課長指摘のように、もしそういう国内法令がまだ存続するのだったら、これはやはり行政の不手際ですよ。早急にこのことは改正をして、現物も援助できるということに変えていかないと前進しない。そこは今後検討してください。その上で、今、十万トンの海外援助に国内の米を使うことは、これは一歩前進。これは
評価
します。したがって、これを来年も再来年も現物の米を出すということ、そしてさらに量をふやしていくということ、そのことも大いに検討していっていただきたい。これは農水省、そういう方向で検討されていますね。そこだけどうですか、農水省。
川口將志
123
○
川口政府委員
無償の現物供与という問題については、少し研究をさせていただきたいと思います。 それから、量については、KRの援助の量についての
考え方
もあわせてお尋ねでございましょうか。(小平
委員
「そうです、量も」と呼ぶ)無償の現物供与ということではございませんが、御案内のとおり、KR食糧援助につきましては、私どもとしても、
平成
八年度に十万トンのKR援助をしておるわけでございます。 また、
政府
米を利用しました
平成
九年度の食糧援助につきましては、被援助国からの要請を踏まえまして、WTO協定の国際ルールとの
整合性
であるとか
財政
負担の問題であるとか、総合的に考えながら
政府
部内で現在検討をしておるところでございまして、九年度分としましては約十五万トン程度に増加をさせるということを考えているところでございます。
小平忠正
124
○小平
委員
次長
、済みません、時間が来ましたので。 要は、そういうことを、今、事務的な
説明
はありましたけれども、私は、堂々と海外援助に米でもって当たれということを要請しているのであって、そういう方向で取り組んでいかれるならそれでよしとします。 時間が来ましたので、
最後
に一点。 今、新
農業
基本法に向かっていろいろと
政府
調査
会の設置を要請し、それで、食料、
農業
、農村、三部会でいろいろと、数回にわたり検討を続けられております。私の耳にするのでは、甲論乙駁というか、両論、いろいろな
意見
が出てなかなか方向が見えにくい。しかも、十二月に中間報告を出す、そういうことが言われていますけれども、実際それができるのか。何か両論併記で終わるのではないか、そんな心配もしています。ぜひ
政府
としてもっとリーダーシップを発揮して、あの
調査
会のメンバーは、
農業
関係者も経済界も、いろいろな人が入り込んでいるのですよ。そういう中でやっているので、いろいろな
意見
が交錯するのです。だから、そこで出てくる
意見
はわかるのですよ。でも、持っていく方向性のリードはやはり
政府
がしっかりやっていただかなかったら、本当に意図する新
農業
基本法はできないですよ。 せっかく
岸本
政務次官お出ましですから、
政府
としてのこれに向ける決意というかお考えをお聞きして、終わりたいと思います。
岸本光造
125
○
岸本
政府
委員
お答え申し上げます。 ただいま
調査
会において鋭意検討をしていただいておるところでございますが、先生御指摘のような風聞というか憶測というか、そういういろいろなお話も外部から私の方へも聞こえてまいります。基本的には、二十一世紀の日本の食料、
農業
、農村、これがしつかり地に足をつけてやっていけるような方向をこの基本法で定めていくということがねらいでございますので、そのために鋭意努力をして、十二月の中間答申を待ち、来年夏の最終答申を待って、先生御発言の御期待にこたえられるよう全力で取り組んでまいる所存でございます。
小平忠正
126
○小平
委員
終わります。 どうもありがとうございました。
北村直人
127
○
北村委員長
次に、藤田スミ君。
藤田スミ
128
○藤田(ス)
委員
引き続きまして、十七万六千ヘクタールの減反拡大問題で、今回の
生産調整
は、ずばりお伺いいたしますが、
農家
にとって任意のものであるのかどうか、この点を明確にしていただきたいと思います。
高木賢
129
○高木(賢)
政府
委員
御案内のように、約三割の
需給
ギャップがあり、かつ相当なる
在庫
があるという
状況
のもとでは、米の
需給
と
価格
の安定を図るということは、
生産者
、
消費者
双方にとって重要な課題であります。したがって、この着実な実施が必要であるというふうに考えております。 規模や実施方法につきましては、
生産者団体
と十分
意見
交換を行って定めたところでありまして、関係各位の理解と協力を得てその
推進
を図ってまいりたいというふうに考えております。
藤田スミ
130
○藤田(ス)
委員
その御
説明
は、要するに、最終的には
農家
それぞれの判断にかかってくる、そういうところまで聞かせていただいていいわけですか。もう一度確認です。
高木賢
131
○高木(賢)
政府
委員
強制という意味が必ずしも定かでありませんけれども、刑罰をもって促進するといった意味での強制ではございません。
藤田スミ
132
○藤田(ス)
委員
そうすると、結局、任意ということになるわけであります。そうでしょう。最終的には任意ということになるでしょう。それは、
食糧法
そのものがそうなっていますからね。もうちょっとはっきり言ってください、次に質問できませんから。はっきり言ってください。
高木賢
133
○高木(賢)
政府
委員
任意とか強制とか、二者択一ということではなくて、現在の
稲作農家
がしょっている苦難、これを
全国
の
稲作経営
農家
がともどもしょってこれに対処していく、これが
生産調整
の本質であろうと思っております。
藤田スミ
134
○藤田(ス)
委員
随分言い方が変わっていますね。いろいろ言われるけれども、最終的にはそれは
農家
の判断、それにゆだねられるものでなければ
食糧法
と合わないわけです、つくる自由、売る自由、そう言われたわけですから。違うのですか。その一言を言ったら困るのですか。だから今度のこの新たな
米政策大綱
にこう書いてあるのですか。「
生産調整
と関連付けた各種補助事業の
推進
のあり方」そういうことをまくらにして「未達成市町村に対する個別指導の強化」「都道府県の目標達成に向けた取組の中での実情に応じた優先配慮措置の
運用
」。この「個別指導の強化」とか「優先配慮措置の
運用
」、こういう言葉が使われたのは今回初めてなのです。 だから、読み方によったら、補助金カットのお どしを材料にして、市町村を通じた締めつけで減反を強制しているのかな、個別指導の強化ということはそういうことを意味するのかな、こういうふうに読めるじゃありませんか。どうなんですか。
高木賢
135
○高木(賢)
政府
委員
つくる自由ということがあるとすれば、それは同時に
価格
低下の結果をもたらすということが相伴っておるということだろうと思います。したがって、
価格
低下のデメリットを防ぐために、
全国
の
皆さん
が共同して、
生産調整
で
需給
調整をして
価格
の安定を図ろうということで取り組むのが
生産調整
の今後のありようであろうということを申し上げているわけでございます。 その中で、優先配慮措置につきましては、現在行われている
対策
におきましてもとっておりまして、これはまさに、今大変
財政
難のときに、
生産調整
をやり、転作をやり、やったところがやはり現在の土地利用型
農業
の
展望
を開く地域でございますので、そういった関係の補助事業につきましては、そういった努力をした市町村に優先的に配慮するということであります。そういうことで基本的に今後も考えております。 ただいま、未達成市町村に対する個別指導の強化ということがございましたが、達成されていない市町村というものがだんだん固定化する傾向というのが出てまいっております。やはり、それを放置していたのでは、達成している市町村からの
不公平感
の訴えが大変強うございます。私どもには大変その関係の声が聞こえてくるわけでございまして、しからば、じゃなぜそういうところは達成できないのかということについて、関係当局として十分実情を把握して必要な指導をしてまいる、こういう趣旨で考えているわけでございます。
藤田スミ
136
○藤田(ス)
委員
私は、今のお考え自身が、地方分権の
考え方
からしてもとても認めることはできません。こういう減反強制の仕組みはやめるべきであります。あなた方は、ミニマムアクセス米だけはどうしても入れなければいけない、国際約束だと言われながら、
生産者
に対しては簡単に約束を破っていかれる、私はそのことを怒りを込めて申し上げておきたいと思います。 次に、
政府
は、
政府
米の売り上げ不振を受けて、九六
年産
の
政府
米比率が六〇%以上の産地の特定品種について、九八
年産米
から
政府買
い入れ数量を限定化する措置を打ち出されました。本来、これらの産地というのは、
自主流通米
の
生産
条件が不十分なために
政府
米
生産
比率が高いんじゃありませんか。その
生産
条件が変わらない中で
政府
米の買い入れ制限を行うということは、その地域にとっては米
生産
を中止しなければならない、そこに追い込まれてしまうということを意味しませんか、食糧庁長官。
川口將志
137
○
川口政府委員
御指摘のように、今回、米の政策
大綱
の中で、一定の販売不振の銘柄につきましては買い入れ制限を行うということでございまして、具体的には、御指摘のように
政府
米に六〇%以上、逆に言いますと、
自主流通米
に四〇%以上流すもの以外は買わない、こういうふうになっておるわけでございます。 これは、今までのそうした産地のビヘービアと申しますか
対応
としましては、ほとんど
政府
米に持ってきて、みずから
自主流通米
としての販売努力をしないというところがございまして、結局はそういうお米は
消費者
の
需要
が余りないということになるわけでございまして、そういうことで、やはり
備蓄
の
運営
という限りは、売れないものを買うことは要するに販売ができないということでありますので円滑な
備蓄
運営
ができないということで、今回そういう措置をとったわけでございます。これは、私どもの
備蓄
運営
の適正化という
観点
からいいますと、やむを得ざる措置であるというふうに理解しているところでございます。 それから、今回は
政府
米は六〇%までは買うということでございますので、過半のものについては、
政府
で買い、残ったものについては
自主流通米
で処理する、販売をしていただく、こういうことでございます。ほとんどの県は
自主流通米
に多くのものを出しているわけでありまして、そうした産地につきましては、今後、そうした産地に適した他の品種、
市場評価
の高い他の品種に転換をするように御努力いただきたいということで、
生産者団体
を通じましてさらに一層指導していきたいというふうに考えております。
藤田スミ
138
○藤田(ス)
委員
もう終わらなければなりませんが、一言、他の品種って何ですか。
川口將志
139
○
川口政府委員
それは地域によってさまざま適する品種がございますでしょうし、また、そうした技術的な問題については十分、県等を通じまして地元の普及センターその他の技術的な支援を得ながら、そうした他の、より
市場評価
の高い品種への転換を図っていただくように指導すべきものと考えております。
藤田スミ
140
○藤田(ス)
委員
私は今の
説明
で納得できるものじゃありませんが、時間がありませんので終わらなければなりません。 ただ、他の品種に指導する、本当にそれがやられても、今実際日本の
農業
の実態は、他の品種に転作を求めてもできない実情、そこを本当に変えなければもうどうしようもないんです。日本の
農業
の経営形態から見たら、今もう単一経営がずっと広がっている中で、稲作の単一経営がまた広がってきています。そういう中で、問題を本当に解決するためには、日本全体の
農業
が立ち行くように、そこの
施策
に取り組んでいかなければ日本の
農業
は根本から崩れるという点で、私は、今回のこの措置も非常にいじめっ子に似た、残酷な、稲作を中止に追い込む措置だというふうに申し上げまして、終わりたいと思います。 ありがとうございます。
北村直人
141
○
北村委員長
次に、前島秀行君。
前島秀行
142
○前島
委員
私、先ほども言いましたけれども、米の流通を市場に乗せて商品化している、片方で
生産
の方が、今の
議論
じゃありませんけれども、やはり減反というのは強制できなくて、最終的にはそこの
農家
の判断になっているわけでありますから、どうしても
制度
的にも実態論的にも限界が来ちゃっているといいましょうか矛盾が来ちゃっているということは言わざるを得ない。ましてや、新たに十七万六千ヘクタールの追加によってぎりぎりのところに来ているわけでありますから、どうしても、転作というのが減反の附属としての転作ではなくして、もう基本的に、ある品種、特に大豆、小麦等々を中心にして構造を変えていくという
考え方
、発想というものもかなり入れていきませんと、
制度
的にもあるいは実態的にも限界が来ちゃっているんではないだろうかな、こういうふうに思います。それで、今度の転作、新たな助成措置で、大豆だとか麦、あるいは大豆と麦をプラスした場合の所得のシミュレーションなんかが出ているわけでありまして、このシミュレーションを見ると、米よりか大豆等々の方が上がるようなシミュレーションにはなるのでありますけれども、結果的には二年という形にならざるを得ない仕組みになっているわけです。この辺のところを、減反の裏返しとしての転作という発想ではなくして、こういうものを機会にして基本的に構造的に変えていく、ある意味でいったら地域的に転作政策というのもスライドするぐらいの
考え方
もとるべきではないだろうかな、そういうところにもう来ているんだろう、こういうふうに思うわけであります。 ぜひそういう面で、この減反の
一環
としての転作ではない、基本的にその辺のところを今後どうやっていくのか。この転作が固定化するといいましょうか、定着化するというふうな方向での政策的誘導というものがこの際必要だろうと思います。その辺のところの
考え方
を示してほしいと思います。
高木賢
143
○高木(賢)
政府
委員
米の
生産調整
に
当たり
ましては、今御指摘のとおりでございますが、米の
需給
、
価格
の安定ということに加えまして、まさに地域の実情に応じて大豆、麦、飼料作物、その他の作物もありますけれども、そういう作物への転換を図る、それを定着をさせて望ましい
水田営農
の実現を図るという基本的な態度が大事だと思います。 ただ、一つ私どもの悩みといたしましては、これでずっと続くというのではなくて、二年間の
需給
調整が済んだ場合には、また米の
生産量
、一定量必要だという局面もあろうかと思います。そういった面から、機動的な
対応
としての例えば調整水田みたいなものも片目ではにらんでいかなければならない
事情
にもあろうかと思います。 そういうことはございますけれども、まさに適地適作という
観点
から、麦、大豆で、あるいは飼料作物で畜産に結びつけていく、そういうことで相当な地域
農業
の姿を
展望
していく、また、
農業
経営としてもしっかり取り入れて、例えば二年三件で麦、大豆を入れて米とともにやれば相当な所得になるわけで、思い切ってそういう方向に取り組んでいくという方もおられると思いますし、現実に、私どもが今回の
対策
に
当たり
ましていろいろ各地の実例を調べたところでも、かなり意欲的にそういうことで取り組んでおられる方もおられます。米もある程度はやりながら、さりとて限界があるということで割り切って取り組んでおられる方もかなりおられるというふうに力強く感じたわけでございます。 そういう点で、麦、大豆を米とともに土地利用型の経営の中に入れ込んでいくということについて支援するということで、今回の
対策
ではかなりめり張りをつけて、
全国
共
補償
の資金からの支給対象についても、麦、大豆等の作物の作付を行う場合に高い単価を
設定
するとか団地化とか組織化とか、大規模
営農
に取り組むという場合に助成金の単価を高くして交付するとか、さらには、技術
対策
として
生産
性の向上とかに取り組む意欲的な
農家
に対して手厚く
対応
するというようなことで対処してまいりたいというふうに考えております。
前島秀行
144
○前島
委員
終わります。
北村直人
145
○
北村委員長
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時五十三分散会