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深田委員 先輩、同僚議員のお話を全部伺っておりますので、私の質問とも重複しますから、なるべく早く終わるように努力いたしますので、いま少しの間おつき合いのほどをお願い申し上げます。
それにしましても、
総務庁長官の大変な御苦労話はやりとりの中でよくわかりましたので、それは敬意を表した上で、若干の
意見を申し上げながら御質問しておきたいというふうに思います。なおかつ、持ち時間が短うございますから、
人事院勧告の
完全実施のことだけに絞ってやりたいと思いますので、これもひとつ御理解いただいて、次の
委員会で行革全般のことについては話をさせていただきたいと思っている次第でございます。
実は、社民党の中では、本年度は人勧の
勧告の中身は
完全実施されるだろうと実は思っておりました。
総務庁長官は、先般の
委員会でも努力するよとおっしゃっていただいたわけだし、加えて、私ど
もとは連絡を密にしてる
公務員の労働組合といいますか、連絡会の文献などを拝見いたしますと、三月ごろから
人事院や
政府当局との話し合いもどんどんやっているようでございましたし、
人事院総裁に至っては大変丁寧な回答があったり、ずっと積み重ねの中で八月に
勧告が出てきている。
一言で申し上げるならば、働いている者の側からいうともう少し欲しいんだよというのがあったのだろうと思いますけれども、そこはいろいろな判断の
もとに、今回はこれだけよと言われたことについて、それを了承する立場の中から、これはもうひとつ
完全実施で早期にやってもらおうというところに、おのずから物事は方向として流れておったわけでありますから、そんなこんなを含めますと、スムーズにばっと行くだろうと実は思っておりました。ところが結果は、あえて言わせてもらいますが、不
完全実施だと思いますね。
政府当局の文章は、
勧告どおり行います、ただし云々という文章なので、私は
説明をもらったときも申し上げたのだけれども、
勧告どおりやりますよという表現から入るのは、これは一種のごまかしじゃないか。
人事院の
勧告どおりはいけない、それはこんな
理由であるからできないと、まあ
理由を私は納得できないのでありますけれども、そういう立場を明らかにされた上で、どこだけをどうした、こういうふうになるのなら別ですが、
勧告どおり行います、こう書かれてしまうと、我々の日常用語で言えば
完全実施論ですよ。さすがは
総務庁長官、やってくれたな、
橋本内閣も英断を下したな、こう思ったら、事実はそうでないということが出てくるわけでありますから。
そうなりますと、春以降今日までの、あえて言いますが、労使間や政党との話し合いや院内での話し合い等々はどうなるのかというふうに思いますし、ここでできる不信といいますか、理解できないというところからくる不安感というものは、これからの日本の政治等々について絶対にプラスにならぬだろうというふうに思います。
しかしながら、そうは言いましても、ひょっとしたらそれなりの決断をされるようなものが、人勧の
勧告側に何かそういう幅のある発言があるのかと思って、もう一度いろいろ、八月四日の
勧告に当たっての
人事院総裁の談話なども読ませていただきますなら、これはもう明確に、先ほどから盛んに出ています
憲法の立場からいうところの
労働基本権の代償としての問題であることはもちろんのこと、
民間との関係も考えて今回はこれだけだよと。これだけだというのも、実は働いている
公務員の側からいうともう少し欲しいのだが、そこは、少し足らぬけれども大体こんなところだろうというふうに、まさに
人事院が決断されたという意味もここで読み取れるわけであります。
同時にこのことは、幾つかの文章を読めば読むほど、
人事院は実に正確にやられたなということで高く評価する立場で申し上げるのでありますが、
職員団体の
意見も十分聞いたとお書きいただいているし、そのようにも聞いてもおりますし、同時に、「
行政各部に
勤務する
職員の士気を高め」と。これから行革をやろうというのですから、
職員の士気を高めないと。
行革は、今のところ何か偉い人だけがぱっとやられてしまうようでありますが、十億円で。しかし、今度は
一般の人にもばんばん来るのではないかというので、
雇用問題は次に回しますけれども、不安があることは事実ですよ。日本的土壌からいえば、行革になったらこれは首切りかな、賃金を抑えられるかなと。上がらぬ方がまだいいけれども、これから支払いがとまる、
民間がどんどん倒産していますからね、
民間が倒産しているのを見ておるとそういうふうになるだろうという不安感があるところを、しゃっきり抑えられて、
職員の士気を高めるのだ、こういうことも言われている。
それから、「
労使関係の安定に寄与する」と、これもいい言葉がばっと明確に書いてある。これはもう
総務庁長官はわかっているのだとおっしゃるけれども、あえてそのことを言いたい。それで、その意味からすると「国の
行政運営の安定を図るための基盤である」と。ここまで全部書かれているものが、なぜ今回不完全になったのかということを気にしながら、いろいろと見させてもらいました。
そこで、先ほど先輩の中沢議員の方から出ておりましたけれども、確かに法的にはそういう根拠はないのかもわからぬけれども、我々の
社会的常識、あえて言います、
社会的常識から言えば、人勧はもう出たら
完全実施だという意味合いで、人勧でつくってもらうためには、いろいろと事前にお話し合いをさせてもらったり我々の
意見を言うたりする時期が春から夏までずっとあるわけでありますから。夏に出れば直ちにいただきたい、こうなるのは当たり前であります。
そういうふうに、もう慣例として戦後定着しているわけだし、ストレートに
労働基本権を取り戻してもう一遍構えるかというのは、一部そういう政党があるかもわからぬけれども、今そういうのは常識的になくなっているわけだから。
そうすると、いい慣習ができて、それで、
政府なり働いている労働者や
公務員たちも一緒になって国のために頑張ろうという
状況ができ上がっている
状況の中で、しかも、十一年間そのことは何もなく、昨年に比べればことしは零コンマ幾らが一・幾らまで上げてもらったということでよかろうというふうに、組合側なり働いている側はよかろうというところまで来ているわけですから。
そうすると、そこだけでもう、今回はもう全部オーケーだ、こうやるのが
総務庁長官のおっしゃるとおりだし、これはやはり
官房長官や総理が決断して、大蔵
大臣が本当にわからぬことを言っているなら、大蔵
大臣をこの間不信任してもよかったかなと思いますけれども、それはそうはいかない面もたくさんありましょうけれども。いずれにしましても、きちんとそういうふうに仕上げるべきだということを感じます。
そういったことを、最後の項目の中では「
給与勧告実施の要請」という項目もあって、現在までの
人事院の
勧告制度の果たした役割をきちんと書かれ、これで
民間の
給与の水準に追いつかせることになるのだよと、したがってこれは今後の国のためにいいことなんだというところまで書いて、強い要請をされていることを、若干、まあおわかりのことでありますが、引用をしながらお話をした次第でございます。
そこで、これほど立派なものを出したのに、
人事院総裁に先に伺うのです。皆さん、大先輩たちは皆、先に
総務庁長官に伺っておりましたが、私は、むしろ
人事院総裁の立場からして、皆が質問したらいい御
答弁をいただいておりますけれども、その御
答弁では来年も危ないなという感じがしますよ。
したがって、本当に遺憾なことなんだ、何のために
人事院ができているのだと。
人事院がこれだけのデータを集めてきちんとつくったものを、
総務庁長官も御苦労だとおっしゃったけれども、
総務庁長官がよければあとの人が悪い、こうなるのだから。悪い人はだれなんだ、こうやっていかなければいけませんから、よしあしをするのが目的じゃありませんから。
何が何でも、やはりこれだけ
人事院をつくり上げた歴史的な
経過と、そして
人事院がこれだけ今回はきちんと分析してつくり上げた、まあ今回だけじゃないのでありますけれども、そのことが慣例として十一年間あったということを含めて考えたら、今度の不完全というのはどう考えても納得できない、遺憾なことである、したがって、来年はきちんとやってもらいたいということを
委員会でお話しいただいて、そのことを
総務庁長官はぜひひとつ
総理大臣、
官房長官に伝えてもらって、
閣議できちんと意思を言ってもらうのが、
公務員のためにも、日本国の
国民のためにもいいのではないかということを思いますので、もう一度、大変恐縮でありますが、
人事院総裁の本件に関する所見を伺いたいと思っている次第であります。どうぞよろしく。