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石井(紘)
委員 私は、最近、こういう御時世柄、詐欺事件というものが大変ふえているという、
一つの事件を取り上げまして、
自治省並びに
警察庁の御見解を伺いたいと思います。
ちなみに、最近、
警察庁にお調べいただいた数字を見ましても、
平成七年と八年と、この詐欺事件の認知件数、つまり
警察で取り上げて認知をしたという件数というものが、例えば
平成七年は四万五千九百数件、八年になりますと約四万九千四百件、そのうち告訴の事件になったもの、告訴したもの、
平成七年が八百五十四件、
平成八年は千百五十一件というふうに、まだ九年はわかりませんが、こういうふうに、私がざっと
感じるところを見ましても相当ふえていると思います。これは
警察で認知をしただけでありますから、私が後ほど申し上げますように、
警察でまだきちっと取り上げていないというものは相当数に上っております。
そういう中で、この詐欺事件というものについて、私はちょっと
考えていきたいと思うわけです。
そもそも、この詐欺という犯行は、善良な市民を、その善良な心につけ込んでだまし、そして陥れるという極悪非道な行為でありまして、決してこれは放置されてはならないことでございます。しかも、健全な社会を維持するためには、これに厳しく処罰をしなければならないというふうに思います。私は、これまでも国会でしばしばこうした霊感商法等々の詐欺事件等の問題を取り上げまして、政治家として追及活動を院内外で行ってきたのでございます。
多くの場合、この詐欺の被害に遭って人生を決定的に傷つけられる、こういうのは弱い立場のまじめな市民なんですね。立場が弱いがゆえに、あるいは力がないがゆえに、法的にも行政的にも救われるべきものが救われない、こうしたケースは一般社会においても少なくないわけであります。私は、政治家として、こうした矛盾を正すということを大きな使命の
一つというふうに
考えて行動してきたわけであります。
こういう私の立場から、ここに
一つの大きな事件を初めて明るみに出させてもらいたい。この事件を明るみに出すことの是非とか、あるいはプラス、マイナスとか、いろいろ私も悩み
考えた末、重大な覚悟を持ちまして、きょうはその大筋だけを時間の
関係もありますので明らかにする次第であります。明らかにするというか、明らかにせざるを得ないということであります。
その事件と申しますのは、かの有名なおもちゃ類の製造販売等をやっている株式会社バンダイという会社があります。このバンダイという会社は、ごく最近も新聞にも、私が取り上げる以外の事件等でも何かと問題になっている、あるいは訴えられている、事件に絡んでいる、こういう会社のように見受けられます。このバンダイに関する
一つの新しい事件として、今、警視庁に訴えられている事件であります。
その概要を申し上げます。
株式会社バンダイ、一方、有限会社光商会という、バンダイというのは、これは台東区駒形に本社がございます。それから光商会というのは、新宿区西新宿にある、比較的小さな会社です。これはアニメーション映画の製作等々をやっている会社でありますが、ここの間に、若乃花とか貴乃花のアニメキャラクターグッズに関してその商品化権許諾契約を結んだ。
どういうものかといいますと、アニメキャラクターグッズというのは、タオルだとかクッションだとか人形とかセーター、Tシャツ、パジャマ、のれん、ハンカチその他のアニメグッズ、これをこの両社が契約をして、そしてそれに基づいてバンダイが製造販売した、こういうことです。
しかし、この株式会社バンダイは、故意に契約数量をはるかに上回るアニメグッズを製造販売 し、聞くところによると、これは数十億円という
規模であります。この契約の相手方である光商会に対しては、実際の販売数量を大きく下回る虚偽の報告をして、ごくわずかな許諾料しか支払わず、不当に多額の利益を得た犯罪行為を行ったというのが、この警視庁に出されている告訴状その他の関連資料、私が入手した資料によるところの概略であります。
さらに、このバンダイという会社を告訴している光商会は、これを詐欺利得罪及び著作権法違反ということで訴えているわけであります。
事件の内容と経緯をもう少し詳しく説明させていただきますと、光商会という映画フィルムの製作や販売などを行う小さな会社が、
平成三年十月ごろ、「どすこい!わんぱく土俵」というアニメーション映画の製作を行うに当たりまして、日本相撲協会と花田勝治氏、当時の二子山
理事長らから、若乃花、貴乃花ら力士をモデルにしたアニメ像、各力士のしこ名を使用したアニメグッズの商品化権の許諾を得たわけであります。そして、
平成六年五月ごろから六月ごろにかけて全国の百館以上の松竹系映画館で上映され、また、小学館発行の雑誌等にも映画先行漫画として連載をされました。
一々の経緯は省きますが、これらのキャラクターのイラストやそのデフォルメをグッズに使用する上での光商会に帰属する著作権については、バンダイや相撲協会など
関係者の共通に認めるところで、全く問題とはなっていないところであります。
そこで、光商会とバンダイは、
平成五年五月十日に、この著作権の商品化権使用許諾契約を結びました。その内容は、概略、光商会はこれらキャラクター及びその名称を用いたグッズの製造と販売を向こう一年間バンダイに対して与える。さらには、許諾料や数量、製品に貼付する証紙、ラベルですね、これを定めた。さらに、光商会から請求がある場合には、バンダイは許諾商品の製造数量、販売数量、在庫数量、売上金額等を報告しなければならないなどの約束を双方が交わしたわけであります。これによってバンダイは、多量の商品の製作と販売会社等への流通活動を開始しました。
しかるに、花田勝治氏らとバンダイとの直接の接触、話し合い等が行われる一方で、花田氏らが光商会とバンダイの契約数量を大幅に減らすように求めた。そのことに呼応してバンダイは、光商会に対して、著作権許諾商品、そうしたグッズですね、これの数量と品目を大幅に減らしたいという虚構の事実を申し向けまして、光商会を欺こうとしたといいますか、だまそうとした。そして、光商会に許諾商品の、大幅に少なくするわけですから、それを調整数量といいますと、その調整数量に合意をさせたわけです。それで、そのときはもう既に最初に契約をした大量の商品、グッズを製作して流しておったということも後ほど申し上げたいと思いますが、この私のところにある資料によりますと、当初の
計画で予定されていた数量というのはどのくらいかというと、金額にして約七十五億円ぐらいです。そして、調整された後のものは約三十七億円ぐらいであったということであります。
しかし、告訴状の資料によりますと、このとき既にバンダイは、少なくとも当初予定の数量のグッズや証紙を製造して流通に乗せ、販売の行動を進めておった。実際に変更したりあるいは削減した数量の商品を回収するというような意思は全く持っていなかった。この告訴人の訴えによりますと、バンダイは当初予定の数量をすべて販売したのみならず、一部の商品は約束量を超える追加製造までして販売をし、さらに、バンダイは、約束に違反して光商会に無断でシールや下げ札を貼付し、かくして莫大な利益を不法に得たのみならず、光商会には、売り上げは五億五千万円のみであったというふうにでたらめな報告をして、許諾料わずか二千数百万円を支払ったのみであったというものであります。
この事件は、光商会によって、昨年ですから
平成八年の一月ごろ、警視庁に訴えられておるようであります。そして、その後、何度も警視庁で説明等を行っているし、また、警視庁もその犯罪性にかんがみて捜査を行ったといいますか、一定の捜査をしておるということのようでありますが、捜査の内容までは私も立ち入るつもりはございませんが、今るる私が申し上げました事件並びに訴えに関する経過については間違いございませんでしょうか。