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1997-12-05 第141回国会 衆議院 大蔵委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十二月五日(金曜日)     午前九時開議 出席委員   委員長 村上誠一郎君    理事 井奥 貞雄君 理事 佐藤 静雄君    理事 坂井 隆憲君 理事 村田 吉隆君    理事 北側 一雄君 理事 谷口 隆義君    理事 池田 元久君 理事 佐々木陸海君       新井 将敬君    飯島 忠義君       石原 伸晃君    稲葉 大和君       今村 雅弘君    衛藤征士郎君       奥山 茂彦君    河井 克行君       木村 隆秀君    小林 多門君       佐藤  勉君    桜井  新君       桜田 義孝君    下地 幹郎君       杉浦 正健君    砂田 圭佑君       田中 和徳君    田中 昭一君       目片  信君    渡辺 具能君       渡辺 喜美君    木村 太郎君       北脇 保之君    権藤 恒夫君       鈴木 淑夫君    中川 正春君       並木 正芳君    宮地 正介君       村井  仁君    鰐淵 俊之君       海江田万里君    末松 義規君       日野 市朗君    佐々木憲昭君       秋葉 忠利君    中西 績介君       岩國 哲人君    吉田 公一君       上田 清司君    北橋 健治君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 三塚  博君  出席政府委員         法務省刑事局長 原田 明夫君         大蔵政務次官  中村正三郎君         大蔵大臣官房金         融検査部長   原口 恒和君         大蔵大臣官房総         務審議官    溝口善兵衛君         大蔵省主計局次         長       細川 興一君         大蔵省主税局長 薄井 信明君         大蔵省証券局長 長野 厖士君         大蔵省銀行局長 山口 公生君         証券取引等監視         委員会事務局長 堀田 隆夫君         国税庁次長   船橋 晴雄君  委員外出席者         参  考  人        (日本銀行総裁) 松下 康雄君         参  考  人         (日本銀行副総         裁)      福井 俊彦君         参  考  人         (株式会社整理         回収銀行専務取         締役代表取締         役))     堀口  助君         大蔵委員会調査         室長      藤井 保憲君     ――――――――――――― 委員の異動 十二月五日  辞任         補欠選任   新井 将敬君     桜井  新君   飯島 忠義君     目片  信君   河井 克行君     奥山 茂彦君   田中 和徳君     渡辺 具能君   山中 貞則君     下地 幹郎君   渡辺 喜美君     佐藤  勉君   鈴木 淑夫君     鰐淵 俊之君   秋葉 忠利君     中西 績介君   吉田 公一君     岩國 哲人君 同日  辞任         補欠選任   奥山 茂彦君     河井 克行君   佐藤  勉君     渡辺 喜美君   桜井  新君     新井 将敬君   下地 幹郎君     稲葉 大和君   目片  信君     飯島 忠義君   渡辺 具能君     田中 和徳君   鰐淵 俊之君     鈴木 淑夫君   中西 績介君     秋葉 忠利君   岩國 哲人君     吉田 公一君 同日  辞任         補欠選任   稲葉 大和君     山中 貞則君     ――――――――――――― 十二月五日  酒販免許制度堅持等に関する請願伊藤英成  君紹介)(第一八四三号)  同(石崎岳紹介)(第一八四四号)  同(岸本光造紹介)(第一八四五号)  同(桜井新紹介)(第一八四六号)  同(田中眞紀子紹介)(第一八四七号)  同(谷川和穗紹介)(第一八四八号)  同(中馬弘毅紹介)(第一八四九号)  同(戸井田徹紹介)(第一八五〇号)  同(羽田孜紹介)(第一八五一号)  同(桧田仁君紹介)(第一八五二号)  同(保利耕輔君紹介)(第一八五三号)  同(村田吉隆紹介)(第一八五四号)  同(谷津義男紹介)(第一八五五号)  同(柳沢伯夫君紹介)(第一八五六号)  同(井上喜一紹介)(第二〇六八号)  同(今村雅弘紹介)(第二〇六九号)  同(笹川堯君紹介)(第二〇七〇号)  同(村田敬次郎紹介)(第二〇七一号)  同(浅野勝人紹介)(第二二一九号)  同(草川昭三紹介)(第二二二〇号)  同(笹川堯君紹介)(第二二二一号)  同外一件(竹本直一紹介)(第二二二二号)  同(中馬弘毅紹介)(第二二二三号)  同(丹羽雄哉紹介)(第二二二四号)  同(羽田孜紹介)(第二二二五号)  同(二田孝治紹介)(第二二二六号)  同(柳沢伯夫君紹介)(第二二二七号)  同外一件(亀井静香紹介)(第二三六九号)  同外三件(中山正暉紹介)(第二三七〇号)  同(野田実紹介)(第二三七一号)  同(与謝野馨紹介)(第二三七二号)  勤労所得控除六十五万円の創設に関する請願  (愛野興一郎紹介)(第一八五七号)  同(赤城徳彦紹介)(第一八五八号)  同(池田行彦紹介)(第一八五九号)  同(坂井隆憲紹介)(第一八六〇号)  同外四件(下地幹郎紹介)(第一八六一号)  同外八件(武部勤紹介)(第一八六二号)  同(津島雄二紹介)(第一八六三号)  同(中川昭一紹介)(第一八六四号)  同外一件(野呂田芳成君紹介)(第一八六五号  )  同(鳩山邦夫紹介)(第一八六六号)  同(荒井広幸紹介)(第二〇七二号)  同(江藤隆美紹介)(第二〇七三号)  同(川崎二郎紹介)(第二〇七四号)  同外二件(林幹雄紹介)(第二〇七五号)  同(渡辺周紹介)(第二〇七六号)  同(赤城徳彦紹介)(第二二二八号)  同(池田行彦紹介)(第二二二九号)  同(柿澤弘治紹介)(第二二三〇号)  同外二件(小杉隆紹介)(第二二三一号)  同(木幡弘道紹介)(第二二三二号)  同(佐藤剛男紹介)(第二二三三号)  同外四件(住博司紹介)(第二二三四号)  同(中川秀直紹介)(第二二三五号)  同外五件(能勢和子紹介)(第二二三六号)  同(野呂田芳成君紹介)(第二二三七号)  同(鳩山邦夫紹介)(第二二三八号)  同(桧田仁君紹介)(第二二三九号)  同(山下徳夫紹介)(第二二四〇号)  同(渡辺周紹介)(第二二四一号)  同外六件(亀井静香紹介)(第二三七三号)  同(笹川堯君紹介)(第二三七四号)  同外四件(中川昭一紹介)(第二三七五号)  同(羽田孜紹介)(第二三七六号)  金融及び証券に係る事件の徹底究明に関する請  願(羽田孜紹介)(第一八六七号)  計理士既得権を遂行するための計理士に公認  会計士資格付与措置早期実現に関する請願  (石井啓一紹介)(第一八六八号)  同(小林多門紹介)(第一八六九号)  同(河本三郎紹介)(第一八七〇号)  同(葉山峻紹介)(第一八七一号)  同(畑英次郎紹介)(第一八七二号)  同(河上覃雄君紹介)(第二〇七七号)  同(笹川堯君紹介)(第二〇七八号)  同(中馬弘毅紹介)(第二〇七九号)  同(佐藤静雄紹介)(第二二四二号)  同(田中和徳紹介)(第二二四三号)  同(田中昭一紹介)(第二二四四号)  同(原健三郎紹介)(第二二四五号)  同(鴨下一郎紹介)(第二三七八号)  同(村田吉隆紹介)(第二三七九号)  大幅な所得減税実施住宅取得促進税制の拡  充に関する請願中桐伸五君紹介)(第一八七  三号)  同(小林守紹介)(第二〇八〇号)  同(土肥隆一紹介)(第二〇八一号)  インドネシアへの原発輸出に対する日本輸出入  銀行融資反対に関する請願吉井英勝紹介  )(第二〇六七号)  共済年金充実等に関する請願肥田美代子君  紹介)(第二三六五号)  食料品非課税実施消費税廃止に関する請  願(児玉健次紹介)(第二三六六号)  同(佐々木陸海紹介)(第二三六七号)  同(中島武敏紹介)(第二三六八号)  消費税廃止国民金融公庫の中小業者への融資  拡充に関する請願佐々木陸海紹介)(第二  三七七号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  預金保険法の一部を改正する法律案内閣提出  第七号)      ――――◇―――――
  2. 村上誠一郎

    村上委員長 これより会議を開きます。  内閣提出預金保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁松下康雄君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 村上誠一郎

    村上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. 村上誠一郎

    村上委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮地正介君。
  5. 宮地正介

    宮地委員 おはようございます。きょうは朝早くから、日銀松下総裁には、預金保険法改正に伴う審議に当たりまして、大蔵委員会に御多忙の中御出席をいただきまして、心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。  また、村上委員長におかれましては、この大蔵委員会は、よき先輩の伝統と歴史のある、大変に重みのある委員会でございます。どうか、中立、公正にして冷静沈着なる委員会運営を、私は、先輩委員長経験者の一人として期待をしたいと思っております。  そこで、まず、この預金保険法改正案について審議するバックグラウンドでございますところの現今日本経済状況について、どのような認識を持たれているか、この点からまず大蔵大臣にお伺いをしたいと思います。
  6. 三塚博

    三塚国務大臣 今日の経済状況月例経済報告にも申されておりますように、経済基調は変わらないものの足踏み状態、こういう表現であります。それはおのおのとり方が、前提がありますと、違うことであることは理解をいたします。しかし、全体の展望の中で、二極化の傾向はございますものの、正確な表現であろうと考えておるところでございます。  こういう中において、政府とすれば、絶えず経済動向最大限の関心を持ちながら、適時適切に対応していくことは、責任の存するところであります。
  7. 宮地正介

    宮地委員 今日のいわゆる実体経済認識、これをどうしっかりと持つかによって、これからの政策運営も大変重要になってくるわけであります。  特に今最大の問題は、一つは、失業率が、今まで三・三とか三・四、二百二十万人、こういう状況でありましたが、ここに来まして三・五%、二百三十七万人と、完全失業率完全失業者が非常に増加しているということであります。  もう一つは、いわゆるトリプル安に見られるように、円安が進行して、今百二十九円を超えました。  さらに経済成長率政府が今年度見通し一・九%という見通しを出しておりますが、恐らく〇%か、下手をするとマイナス成長に終わるのではないか、こういう先行きに対する不安が非常に今出ているわけであります。  その上、ことしになりまして特に金融破綻が目立ち始めております。日産生命金融破綻、三洋証券山一証券、そして北海道拓殖銀行。特に、山一証券自主廃業によりまして七千五百人の従業員の再就職活動が始まっておる。この金融不安に対して、国民は、今、日本経済に対して大変な不安と、また信頼を失いつつあるわけであります。  海外におきましても、昨日あたりは、ジャパンプレミアムが一%に拡大をしておる。また東アジアの通貨不安によりまして、大変な影響日本にも出ておる。  こういう、まさに今日の経済環境に対しましては、既にこれは昭和初期金融恐慌あるいは経済恐慌に類似するような、匹敵するような、そういう流れに入っているのではないかと大変危惧する専門家も出てきている状況であります。  私は、そういう中において、現今経済環境経済実態というものをしっかりと受けとめ、適切な対策をスピーディーに措置しないと、日本丸経済は大変深刻な事態に落ち込んでいくのではないか、そういう危惧をしているわけであります。  日銀総裁経済動向について日銀短観等で常に分析をされ、重要なそうした指標なり、現在の経済実態について一番御存じ総裁現今経済実態をどういうふうに把握されておりますか、御確認したいと思います。
  8. 松下康雄

    松下参考人 ただいまの経済の現状に対します私ども判断は、景気はこのところ減速傾向が強まっているというものでございます。  最終需要面におきましては、輸出設備投資が引き続き増加基調にありまして、これが経済活動の下支えに寄与いたしております一方で、個人消費は、四月の消費税率引き上げをきっかけに大きく落ち込みました後、その後も持ち直しのテンポは緩やかなものにとどまっております。また、住宅投資も低調に推移をしております。  こうした最終需要動向のもとで、生産はこのところやや弱含みの展開となっておりまして、このような需要生産面での動き所得雇用面にも次第に影響を及ぼし始めているという状況でございます。  ただ、民間の経済活動の基礎になります企業収益や、また雇用者所得は、増加テンポが鈍化してきてはおりますけれども輸出設備投資の支えもありまして、これまでのところ増加基調自体はなお維持されております。  こういったことから見まして、私どもでは、景気後退局面に入っているというようなことではないと考えておりますが、生産所得、支出をめぐるこの循環の働きというものが弱まってきていることは否定できない点でございまして、万一この減速局面がさらに長引くようなことになりますというと、経済自律回復力を失わせるおそれもございますので、今後の消費回復テンポ在庫調整の進捗の度合い、また、企業や家計のマインド面動きなどにつきまして、引き続き私ども注意深く点検をしてまいることが必要であると考えております。
  9. 宮地正介

    宮地委員 今そういうような厳しい経済環境の中で、いかに日本経済活性化させるか、この政策判断が一番今政府に私は求められていると思います。  いみじくも今、日銀総裁は、後退局面には入っていないが大変厳しい環境にある、特に消費需要の伸び悩みも今認めた発言をしているわけです。特に今のこの経済不況、これは政策不況であるとも言われているわけです。特に平成九年度予算編成、この中においては、消費税増税あるいは特別減税廃止、あるいはこの九月から医療費の値上げ等々、国民負担が九兆円を超える負担増になっておる。言うなれば、ブレーキを踏みっ放しの状態で今日にあるわけであります。  そして国際的な、先ほど申し上げましたような東アジアにおける通貨不安、そして日本金融不安による信用の失墜、ジャパンプレミアム等拡大している。今そういう状態の中で、日本経済活性化させるために、あるいは金融不安、金融システム安定化のために、自民党もいろいろ苦労している、政府も苦労している、承知をしています。  しかし、私は、今そうした中において、経済活性化をする当面一番重要なことは、この十二月の二十日から二十五日、来年度予算編成予算編成案について閣議決定をする、この来年度の予算編成案が、本当に経済活性化につながる予算編成になっているかどうか、国民は今注目をしているわけです。概算要求も終わり、大蔵主計局も寝ずに各省との切った張ったをやってきたでしょう。各省の来年度予算編成の概要もほぼ固まってきています。総体として、平成十年度予算案閣議決定されたとき、国民が、ああ、これは来年はいけるぞ、日本経済活性化先行きが見えるぞ、こういう予算編成案が出されるかどうか、これが最大の問題です。  大蔵大臣、自信を持って、活性化する、そこにつながる予算編成の案が閣議決定されると思っておりますか。大蔵大臣のその点についての、今の段階ですから具体的な発表はできないでしょう、しかし、あなたの決意はそこにきちっと定まっているかどうか。出た後、なんだこの予算はと国民ががっかりするような予算であったら、日本丸経済は沈没しますよ。あなたは責任とりますか。  まず、来年度予算編成は、国民の期待できる予算をつくるのだ、今つくっているのだ、その目玉は何なんだ、この点について、大臣決意見通しについて伺いたいと思います。
  10. 三塚博

    三塚国務大臣 私も、国民の支持を得て、選挙区でありますが当選をさせていただいて、今日にあります。絶えずこの国の未来と国民生活安心というものを基本に据えながら、自分なりにできる限りのことをやってまいりました。  今日、こういう事態の中で、大蔵大臣を拝命をいたしました。人生、めぐり合わせというものは回避することなく、その事態における困難な問題に全力を尽くすということ以外にないという決心の中で取り組んでまいってきております。  眼光紙背に徹するという言葉がございます。同時に、民主政治議会政治は、国民の声を大事にしながら、また実体経済のあり方、展望を、これをしっかりと踏まえながら取り組んでいくことは当然のことであります。  六大改革がございます。それぞれが前倒しになって行われておるところもありますし、これからスタートの本格に入るところもございます。そういう政府方針、これは政府・与党全体として日本経済の安定、成長国民生活安心、こういうことで決められたところであります。  現下の基本的な政治課題といえば、御説のとおりであります。まさに金融システムの安定、そして預金者の皆さんをしっかりとお守りをしていく、そのことで地域経済が安定の中に邁進できる、国家的にそのことが前進をしていくということであると信じますがゆえに、ただいま来、長年の経験の中で、御勉強の中で含蓄のあるそれぞれの御指摘をいただきました。共有するところ、多々ございます。財政構造も御承知のとおり危機的状況にあるということだけは間違いありません。その中で、どうするかということについて、大蔵大臣としても心中深く期すものを持っておるつもりであります。  こういう中で、全体の展望の中で、我が国金融システムが安定をしていく、その中で経済前進をしていくベースをつくり上げることが極めて重要でありますこと、委員も共鳴していただけるものであろうと思います。そういう中で、全知全能を傾けまして頑張り抜いてまいります。政治家たる国務大臣として全力を尽くすこと、申し上げさせていただきます。
  11. 宮地正介

    宮地委員 今いみじくも、政治家たる国務大臣として全霊全魂を傾けてやるという、その決意には私も敬意を表したいと思います。ぜひその気持ちを忘れずにやり抜いていただきたい。  特に、今回の株価のあのアジア通貨不安からの全面安、そしてその後、アメリカやヨーロッパは景気が好調ですからすぐ回復をいたしました。我が国は、経済が今活力を失い低迷していますから、景気回復力が非常に悪い。株価動向は、もう日銀総裁はプロですから御存じのとおり、株価動向に八カ月おくれで大体景気が追いかけていく。今の株価のこうした低迷状態というものは、もう来年の景気見通しを示している一つの象徴なんです。  だから、私は、来年度予算編成が、これが決め球になる、ここをしっかり押さえておかないと、来年度もことしと同じような、二の舞になることを大変危惧しているわけであります。  そこで、一つは、来年度予算編成に対して、経済活性化の中で大事なことは税制改正です。  今も政府税調がいろいろ検討しておる、自民党でもいろいろやっておる、いろいろニュースは入っています。ことしは増税特別減税廃止、そして医療費引き上げ政府財政構造改革の中でそれなりの理論を持ってやったんでしょう。来年度はどういう税制改正にするんだ、これは大きな経済活性化のポイントですよ。来年政策を誤ったらこれは大変なことになる、さらに落ち込んでしまう。政治家として全霊全魂を打ち込むというなら、私は、政治生命をかけて来年の経済活性化に向けてこの予算編成に取り組んでもらいたい、その一つ目玉税制改正です。  一つは、我々も提唱しています法人税の国と地方、法人事業税合わしてこの実効税率五〇%、これをどこまで切り込めるか。大蔵省当局の言うように課税ベース拡大財源はとんとん、こんなけちくさいことを考えていたら経済活性化しません。これはもう大臣決断です。生で何%切り込めるか。それは財源が減るでしょう。  もう一つは、先ほど日銀総裁がおっしゃったように、消費需要が停滞しておる。景気の六割は消費、この消費に火をつけるのは、まず国民の千二百兆円の預貯金がどう日本経済を信頼して消費につながるようにさせるか、この引き金をどう引くかが問題で、その引き金一つがいわゆる所得減税論。それは、所得減税したから直ちに景気に反映する、これは非常にいろいろあるだろう。しかし、一つ引き金であることは間違いない。  この法人税減税所得税減税。あるいは金融機関百貨店や、こういう一番の一等地にお店を持っている、これをねらってバブルのときに保有税として地価税をつけた。あのときはそれなりに意義があったでしょう。もう今はバブルが崩壊して金融機関も四苦八苦の経営状態百貨店だって消費が伸び悩んで大変な状態、こんなときは地価税は、保有税なんですから凍結するかあるいは思い切って廃止する。あるいは建設不動産が今大変だ、この年末に建設不動産関係関連中小企業はかつてない大倒産がふえるだろう。仕事がない、金が回ってこない、中小零細企業建設業者の悲鳴は、悲痛は今大変です。あるいは不動産業界もそうだ。土地の流動化をするために法人個人譲渡益課税をどう軽減するか、こんなことは当たり前。  これは、申しわけないけれども薄井主税局長のところの判断じゃない、主計局長のところの判断じゃない、大臣政治判断です。日本経済活性化させるために、政府税調の答申は尊重しなきゃいかぬ、こういう一つのしがらみはあるにせよ、大臣決断で、今の日本経済実態を見たとき、経済活性化するためのフォローアップの一つとして、今申し上げたような思い切った税制改正、あなたが決断しなきゃいけない。薄井さんは事務当局としてはそれは当然いろんなことを考える。大臣、いかがですか。
  12. 三塚博

    三塚国務大臣 委員は、政党政治の仕組みを全部御承知の中で御説を展開されておること、まさに同僚政治家として当然のことであろうという言外の前提でお話をいただいております。  税制、いつも申し上げるわけでありますが、イコール政府そのものであり、国家であり、政治でございます。そういう中で、公平の原則の中で、時代に適切に対処をしていくというのも方針一つでございます。  いろいろ御指摘がございました。総括的にまず申し上げさせていただきたいのは、大蔵大臣という立場は、内閣における税の担当国務大臣として、政府税調、いわゆる国民代表の各位の取りまとめ最大関心を持つ。当然、税制一般についての諮問を申し上げての上で、ただいま論議が進行いたしておること、御承知のとおりであります。それと、党税調、三党における協議会においても、特に党税調は真剣な論議が毎日展開をされておるところでございます。私も党税調に出まして税制の扱いについての基本方針を申し上げ、検討、取りまとめを要請いたしておるわけでございます。  そういう点で党及び政府税調の答申取りまとめをいただく、こういうことの中で私として本問題について見解を申し述べる機会があろうと思いますし、それまでの間、いろいろと報告、御意見もお聞きをいたしながら対応をいたしておるところであります。  ただいまの段階で直ちに個別項目についての私の見解はお許しをいただきたいと思います。大変な危機感の中で、緊張感の中で、政府税調党税調、三党協議、また国会の中で、宮地先生に代表される真剣な御議論をいただいておるわけでございますから、それもしっかりと踏まえながら今後に対応をしてまいるということで、前段申し上げました私の政治家としての決心とあわせて、御理解いただければと思います。
  13. 宮地正介

    宮地委員 私はそうした党税調政府税調あるいは連立政権の三党税調等々の手続のやり方は十分承知しています。それを言っているんじゃない。今大事なのは、政治家三塚国務大臣としての決断日本経済活性化日本丸を救うかなめ役にいるんですよ。政治生命をかけてその決断をする、そのくらいの度量で立ち向かってもらいたい、その期待を込めてきょうは質問をさせていただいているんです。  ぜひ、今月、ことしに決まる来年度予算編成の中で、この税制改正案についても、何だと言われるようなそんなものに終わらないことを私は期待したい。また、国民が、来年度は日本経済も明るい見通しが出てくるな、やる気が出てくるな、元気が出てくるな、こう言われるような予算編成を、大臣の全身全魂を込めて立ち向かうという決意があるならぜひやっていただきたい。あなたは橋本内閣の中においてもそれなりのできる重要な主要な閣僚の一人ですから、私は期待をしたいと思いますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。閣議決定した後、何だ、あの大蔵委員会における質問は空質問だったのかとがっかりさせないようにぜひお願いしたい。  そこで、きょうのこの預金保険法案に関連して少し聞いていきますが、大臣、これは銀行局長じゃありません、あなたで結構です。時間がありませんから、残り三十分ですから、端的に聞きます。  この預金保険法で、いわゆる破綻銀行同士を合併させる新しいスキームをつくった、ここがポイントだ。これは、福徳銀行及びなにわ銀行の合併を視野に入れてこの法案を提出されたのかどうか、大臣、端的に伺いたい。     〔委員長退席、佐藤(静)委員長代理着席〕
  14. 三塚博

    三塚国務大臣 私はいつも申し上げていることでありますが、大蔵大臣の責任は、いかなる事態にも対処して国民の利益を守らなければならない、こういうことであります。同時に、金融システムの安定を期さなければならない。昭和恐慌のお話がありました。あのようなことは未然に防ぎ切っていかなければならないというのが内閣における大蔵大臣の責任であります。  よって、今御指摘をいただきました固有名詞の二行がございましたが、私は、それもそうだろうと思います。四十七都道府県の都庁、県庁所在地がございます。そこには複数以上の銀行が営業を展開いたしております。そういうことも視野に入れながら、昭和恐慌のきっかけ、また、世界のそれぞれの異常な状態発生の背景の突破口というものを頭の中に入れながら、万全を期していくということが大蔵大臣の責任であろうということで、この法案を提出をさせていただいたところであります。
  15. 宮地正介

    宮地委員 視野に入れてやった、わかりました。  もう一つ伺いたい。北海道拓殖銀行、これは北海道地域の分は北洋銀行に営業譲渡した。本州の受け皿、今決まっていません。これは健全な銀行を受け皿に今検討しているのか、あるいはそうした破綻をするような銀行が出た場合、この北海道拓殖銀行の本州部分はそこと新規合併してこのスキームでいけるのかどうか、大臣はどういう判断をしているんですか。
  16. 三塚博

    三塚国務大臣 本件は、北海道拓殖銀行が海外から撤退をいたしまして、北海道経済金融に特化をいたしまして責任を果たそうということにいたしたところであります。そして、海外の支店、セクションだけではなく、本州にある、東京周辺、大阪もあると思うのでありますが、その周辺の支店も撤退をして北海道に特化をしていこう、こういうのが二弾にあったわけでございます。  そういう中で、今日の破綻の状況に相なりました。北海道は北洋を受け皿銀行として金融業務に当たっておるわけでございまして、東京・関東圏という表現で支店展開のところを申し上げさせていただきますと、それぞれの地域、その地域の金融機関、また不動産資産があるわけでございますから、産業、経済界がそのことによって買い取りをいただけるか。こういう両面で、金融機関がその機能を評価いただければ買い取るということになるでありましょうし、また、そのことが取りまとめまでにスムーズにいくもの、若干の検討の時間、難しいもの、こういう現実の仕分けも出てくるだろうと思います。  そういう中で、まずは北洋銀行を中心として、北海道経済影響を与えないように全力を尽くして、今政府もサポートする、日銀もサポートすることの中で頑張っていただいておるということであります。
  17. 宮地正介

    宮地委員 ちょっと大臣、私の質問がわかっていない。北海道拓殖銀行は、今回の経営破綻について、営業譲渡したのは北海道分だけなの、大臣、北海道分だけ。そこは北洋銀行に営業譲渡して、本州部分はまだ受け皿の銀行が決まってないの。私が講義するのは申しわけないんだけれども。  この本州部分の受け皿は、健全な銀行が見つかれば、その銀行が受け皿として、北洋銀行と同じように、本州部分の営業譲渡なり不良債権のそうした対応をするでしょう。今回はこの預金保険法で、A、B両方破綻会社を合併させて、不良債権の分だけは預金機構できちっと処理させて、身軽にして新規の銀行でスタートさせようというシステムに変えるわけでしょう、この法案は。この法案のこのシステムを、この本州部分のところで拓銀については適用できるんですかと大臣に私は聞いているわけです。だから、銀行局長、ちょっとフォローして大臣に答弁させてください。
  18. 三塚博

    三塚国務大臣 保険法とは直接関係ございません。営業譲渡できるよう今努力をしておる。具体的にどういうところというところまでは聞いておりませんが、営業譲渡できる先を現行法の中で今全力で努力をいたしておる、こういうことであります。
  19. 宮地正介

    宮地委員 現在、まだ受け皿が決まっていないから、またその状況によって、今後銀行局長、ぜひ報告してもら、いたい。  きょうは法務省も来ていただいていますから、先に法務省刑事局長、時間の関係もあるので、山一証券の問題について少し聞きたいと思います。  山一証券が今回自主廃業になったんですよ。この自主廃業にしたのは山一の経営陣だ、こういうことなんですが、会社更生法の選択もあった。しかし、自主廃業という選択をした。特に、この山一がいわゆる飛ばしで簿外債務二千六百億出した、これはまことにゆゆしき問題、これが引き金自主廃業に追い込まれたという話もあります。  問題は、山一は、例の総会屋問題で既にこの夏に捜査の手が入っている。ブツはもう東京地検に入っている。捜査当局としては、その後この簿外二千六百億の問題が発覚したわけですから、当然捜査の対象として重大な関心を持って私は捜査に当たっているものと見ているわけですが、刑事局長、この点についてどのような対応になっているか伺いたいと思います。
  20. 原田明夫

    ○原田(明)政府委員 お答え申し上げます。  委員指摘山一証券に関しましては、現在さまざまな角度から報道もなされておりますし、また、国会におきましても広い角度から御議論がなされているということにつきまして、法務当局といたしましても承知しているところでございます。現在、関係行政当局におきまして、このような事態に至った経過、またその原因につきまして実態解明が行われているというふうに承知いたしております。  そこで、検察がこの件に関しましてどのような角度から取り組むかというようなことにつきましては、具体的な事件でございますので、法務当局としてはお答えを差し控えさせていただきたいと存ずるのでございますが、一般論ということで申し上げさせていただきますれば、検察は、まさに事実関係につきましては、証拠に基づいてどのような事実があるかということについて認定をした上で、法に照らして刑罰法令に触れるような行為が認められるという場合には適切に処理してまいるものと考えております。
  21. 宮地正介

    宮地委員 国税庁の次長も来ていると思いますが、当然、地検の捜査の中で国税の専門の部門については国税の査察と連携をとって、いろいろとこうした問題は調査に当たる過去の事例があるわけで、今回においても、国税もこの問題に重大な関心を持って対応しているかどうか。
  22. 船橋晴雄

    ○船橋政府委員 お答え申し上げます。  今委員お尋ねの件につきましては、個別にわたる事項でございますので、答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。  一般論として申し上げますならば、破綻金融機関や赤字法人であるからといって私どもの調査が行われないということはないわけでございまして、国税当局といたしましては、従来から、常に納税者の適正な課税を実現するという観点から、あらゆる資料、情報の収集に努め、申告書等の総合検討をいたしまして、課税上問題があると認められる場合には、捜査を行うなどによって適正な課税の実現に努めているところでございます。    〔佐藤(静)委員長代理退席、委員長着席〕
  23. 宮地正介

    宮地委員 刑事局長、時間が何か次があるようですから、どうもありがとうございました。  いずれにいたしましても、今回の山一のこの簿外債務二千六百億は、我々素人の感覚でも、これは刑事事件に相当する問題に発展するのではなかろうか、こういうふうに見ているわけであります。まさに経営者の責任問題が法的に明確になってくる、そういう可能性があるのではないかと見ております。捜査当局あるいは国税当局の今後の捜査の推移を見守っていきたいと思っております。  そこで、大臣、もう一つお伺いしておきたいと思います。この預金保険法、来年の通常国会にまた再改正案を提出する考えで検討に入っておりますか。
  24. 三塚博

    三塚国務大臣 これは何回も申し上げておるところでございますが、ぜひ新しい選択肢を与えてくださいと。そのポイントは、預金者保護であり、金融システムの安定であり、ひいては経済不安が連鎖的に反応しないように、また地域中小の産業界の皆様に安定した資金が支給されますようにということで、ルールを決めさせていただいて、お願いを申し上げておるところでございまして、ぜひとも早期成立をお願いしたいということで今日まで来ておるところでございます。  それと、党内においてまた院内各委員会において論議が出ております預金保険機構の強化に関する財源の問題については、議論は議論として行われておりますから、私は私として、そのあり方ついて心中深く期すものを持っております。  そういう中で、財源の問題は財源、企画立案のルールづくりをこの際お認めをいただき、お願いを申し上げたいと申し上げておるところであります。
  25. 宮地正介

    宮地委員 要するに、もう一度来年の通常国会に再改正案が出てくることを大臣は今ほのめかしたわけです、財源論だとかシステム論だとか言っても。  なぜこの臨時国会で、来年通常国会で改正するその検討事項についてもあわせて一緒に改正案として提出をできなかったのか。最近の金融機関の相次ぐ破綻というものが引き金になって、自民党内でいろいろ議論が出てきた、与党内でいろいろ議論が出てきた、後追いで間に合わない、だからその分は来年の通常国会マターで改正案をお願いする、まあこんな感じではないのかな、私は私なりに判断しています。  ただ、問題は、この預金保険法のいわゆるスキームが新たに一つここでふえる。この預金保険法の改正によって、預金保険機構というもののスタイルが、今後銀行のこのスタイルが、来年の通常国会では、恐らく今度は証券の方にも、生保、損保の方にも影響が出てくる。もう既に証券関係についても、証取法の位置づけで、いわゆる寄託証券補償基金の抜本的な改革も今検討されていると聞いております。そしてそれはできるだけ預金保険機構に右へ倣えの方向にしたい、そういう検討もされていると聞いています。あるいは生保や損保の保険契約者保護基金、この問題も保険業法に位置づけをしていく、こういうことも今後当然議論されてくる。  要するに、この預金保険法の中の預金保険機構というものが一つのモデルになって、証券も生保も損保もそれに近いような機構に変えていきたい、そういう願望なり議論が既に出ている。そこに、公的資金の活用の問題は別どして、これが非常に大事なモデルになっている。それだけにこの改正案というものの今国会における議論は大変重要なのだ。金融機関のかなめである銀行、生保、損保、そして証券、この三つが、来年の通常国会マターで、再び改正案として、預金保険法、保険業法、証取法ということで出てくる。  だから私は、この臨時国会におけるこの委員会審議は徹底して慎重審議をすべきだ、参議院の押せ押せの圧力などに衆議院大蔵委員会が屈してなるものか、そのくらいの決意村上委員長にも頑張ってもらいたい、こういう願いで先ほどは最初に申し上げた。  大臣、そういう観点から私は、来年の通常国会、今後証取法改正や保険業法改正も視野にあるのでしょう、この点について確認したい。
  26. 三塚博

    三塚国務大臣 本件も、集中審議、総理出席の中でも申し上げさせていただきました。要すれば、今回の法律は、前回来申し上げておりますとおり、安定した金融システムに、補完措置として足らざる点をここに加えよう、このことで安定を期していこう、こういうことで御提案をして、御審議をいただいております。  全体の中で、預金保険機構の、今一・三あるわけでございますが、足らないのではないかといういろいろな御指摘がございます。転ばぬ先のつえという先人のことわざがございます。今流に言えば危機管理であります。これに対応するものをどうするのかという国会論議の中で、橋本首相からも、セーフティーネットの完備を期すべしという両院の意思を受けて、私も事務当局に、何がやれるか、何をやらなければならないかということで検討をし結論を出せ、こう言って今日にあります。  ですから、御指摘のように、寄託証券補償基金、これを法的なものにということで、これはスタートをして準備に入って通常国会でありますことは、御指摘のとおりであります。保険についても、支払い保証制度の導入を法的なものにということで、これも検討に入っておると思います。  ですから、セーフティーネットの問題、その財源はどうするのか、こういうことの御論議はやはり全体の盛り上がりの中で取り進めなければなりませんし、政府はそれを待つばかりではなく、政府の責任においてやらなければならぬことを今真剣な検討を展開しております。  緊急を要する問題としてこの預保の改正案の必要性は何回も申し上げましたから、これ以上申し上げません。私から心を込めてお願いを申し上げますのは、政治は危機管理に万全を期すというところにあるわけでありますから、格段の御理解の中で成立をお願い申し上げたい、こう重ねて申し上げさせていただきます。
  27. 宮地正介

    宮地委員 日銀総裁日銀特融の二十五条の発動につきましては、これはやはり厳格にチェックをして発動しなくてはならない。大蔵大臣の認可を得てやるわけですが、特に今回、山一に約一兆一千億、それから拓銀の方には約二兆二千億、こうした特融が出ているわけであります。  そこで、日銀の二十五条発動によるこの発動四原則、この四原則の中に、モラルハザード防止の観点から、破綻金融機関の経営者、株主、出資者等関係者の責任が十分に追及されることというのが三つ目の原則に入っていますね。今回、山一と拓銀に対する特融について、この点についてはどういう確認をされて融資をされたのか、総裁の御説明を伺いたいと思います。
  28. 松下康雄

    松下参考人 まず、山一証券についてでございますけれども、現在の山一証券の経営者は、責任問題については十分に認識をしておりますが、当面は円滑な自主廃業をスタートさせるという責任を果たす必要がありますということで、現在はなおそういう業務に精励をしているという段階でございます。  私どもといたしましては、山一につきましては特に、単なる経営破綻、つまり放漫経営といったような問題を超えまして、そのほかにいろいろの法的な問題につきましての責任があるのではないかという点がございます。それらの責任につきましては、関係のそれぞれの当局が御調査中であると思いますので、そちらの方からこれは明らかに、また厳正に対処されていくことになると思うのでございますが、経営上の責任といたしましては、会社そのものが廃業によりまして解散をするということになりますので、その際に、当然に役員は一切その職を失うということでございます。こういうことをもって責任をとってまいる。そのほかに、例えば社内的に何らかの格段の責任があるかどうかという点につきましては、株主総会その他の判断ということもあろうかと思います。それらを総合いたしまして、私どもは、この役員に対する責任は十分に今後検討され、厳正にその追及が行われるという前提で決定をいたした次第でございます。  拓銀の場合につきましては、関係の現在の役員は、責任をとりまして既に皆退職をいたしております。この点を私ども判断の材料にしたわけでございます。
  29. 宮地正介

    宮地委員 日銀総裁、今後あってはならないですが、まだ非常に金融機関の不安材料はたくさんあるわけです。既に私のところにも、生保の関係あるいは金融機関の関係、証券会社の関係でも何カ所か危ないのがある、こういう情報も入っています。また再び日銀特融が出ないことを期待しますが、現実は相当厳しい。既に、きょうの朝刊によれば、安田信託銀行の海外からの撤退等を芙蓉グループが総力で支援をする、もうこういう内容の報道もされている。新たなこうした問題も出てきている。それだけに、国民の貴重な税金であるだけに、どうか日銀総裁は厳格な発動をよろしくお願いをしたいと思っております。  そこで大蔵大臣、最後に、不良債権の処理について今のような、いわゆる銀行関係であればこの預金保険法の対応でいく、あるいは証券であれば先はどのような基金でいく、生保、損保であっても基金でいく、そういうようないわゆるシステムで今後対応し切れるのかどうか。根本的には、やはりアメリカで行われているような日本版RTC、いわゆる不良債権処理公社のようなものを独立して創設をしていくことが、今後の不良債権処理の問題として非常に大事な時期に来ているのではなかろうか。この問題についても、真剣に政府として検討をしていく段階に来ているのではなかろうか。  もう一つは、いわゆる経営破綻の問題について、山一はいわゆる自主廃業、三洋証券は会社更生法、拓銀は営業譲渡、いろいろな形で経営破綻の事後処理をしております。しかし、日銀特融で一兆一千億とか二兆二千億とか、国民からすれば想像もつかない莫大な資金が融資される。当然、法的手続によってこうした問題についてはきちっと対応されるべきである。そういうことを考えましたときに、できるだけ会社更生法というこの道を最大限、できないところもあるでしょう、生保のような相互会社のようなところは。しかし、できるだけ会社更生法という法的手続によって、裁判所の手によって保全管理命令をして債権の処理をしていく。  いろいろ事情はあったにしろ、山一の自主廃業というのは、従業員を路頭に迷わす。再就職先の活動もさせなきゃならない。顧問委員会という委員会をつくってそこに任す、しかしこれは社内の機構であります。確かに日銀日本証券業協会等から出向者が出ていく、しかし手足はすべて山一証券の社員。果たして自浄作用が働くだろうか、こういう問題も私はあろうかと思っております。  大臣、会社更生法をできるだけ活用して法的手続によってこうした問題をやっていく考えがあるか、また、根本的な不良債権処理機構として日本版RTCを今後日本においても検討していく考えであるかどうか、この二点について確認をして、時間がありませんので質問を終わりたいと思います。
  30. 三塚博

    三塚国務大臣 ただいまの御提言でございますが、会社更生法であります。三洋証券はその道を選ばれたところであります。今後もケース・バイ・ケースでこれに対応していきたいと存じます。  同時に、証券、保険についての御言及の中で、システムの問題の御提起がございました。  金融三法によって、システムのあり方、セーフティーネットをきっちりとしなければならぬという両院の議論もあります。また、三党党内、政府においても、この問題についてはありとあらゆる選択肢を考えながら万全を期するべく検討をいたしておるところでございまして、今後十二分に対応できるようにしてまいりたいと御提案の御意見を拝聴させていただいたところであります。
  31. 宮地正介

    宮地委員 どうもありがとうございました。
  32. 村上誠一郎

    村上委員長 次に、岩國哲人君。
  33. 岩國哲人

    岩國委員 岩國哲人でございます。太陽党を代表して、質問させていただきます。  まず最初に、長野証券局長にお伺いいたします。  以前からどの会社でも行われておりました大株主会、大株主説明会と言われるものがあったと思いますけれども、株主総会に先立って、内々に大株主だけを集めて、業績あるいは企業の経営方針等について説明する、この大株主会あるいは大株主説明会と言われたものは今でも広範囲に行われておりますかどうか、まずその点をお伺いしたいと思います。
  34. 長野厖士

    ○長野政府委員 私もかつての慣習を詳しく承知しておるわけではございませんけれども、現時点でどのようなことかということを聞いたことはございます。  これはインサイダー取引の問題があり得るということで、何年前になりますか、インサイダー取引の規定を整備いたしました以降はそういったことが行われていないということを聞いております。裏を返しますと、それ以前においてはそのような説明会みたいなことが行われておったのではなかろうかというのを話として聞いたことがございます。
  35. 岩國哲人

    岩國委員 こうした預金者保護あるいは預金保険に関連して、銀行のあり方というものに関連してこういうことをお伺いしているわけでありますけれども、その大株主会というものが、大蔵省の指導あるいは通達その他によって禁止されているという事実はありますか。あるかないかだけを簡単に。
  36. 長野厖士

    ○長野政府委員 もう一度確認してみますが、私の承知する限り、大蔵省で禁止しているということではない、むしろインサイダー取引という一般的な規定の中で対応されておると考えております。
  37. 岩國哲人

    岩國委員 局長の御答弁を解釈いたしますと、特にそういう禁止も、それから自粛の通達もされていない、むしろインサイダー取引の疑いを持たれることから企業みずから自粛されて今はほとんど行われていないというふうに理解してよろしいわけでしょうか。  次の質問に移らせていただきます。  いわゆるメーンバンクというものがあります。筆頭株主であり、そしてメーンバンクとしていろいろな金融の面倒を見ている。そのメーンバンクに対する事前の説明というものは株主総会の前に行われておりますかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  38. 長野厖士

    ○長野政府委員 これは一般の企業とその取引先金融機関の関係でございます。私は、その内容について承知いたしておりません。
  39. 岩國哲人

    岩國委員 仮に、メーンバンクに対してほとんどの企業が事前に内部情報あるいは内部経営情報というものを説明しておるということになりますと、インサイダー的な動き企業銀行との間に今でも根強く、そして広範囲に行われているという疑念を持たざるを得ないわけであります。  例えば、新聞に報道されておりますけれども山一証券が十月六日にそうした簿外債務について富士銀行に説明しておる。恐らくこういったようなことは、それぞれの企業証券会社からも、重大な経営情報についてはメーンバンクにまず知らせる。株主総会あるいは大蔵省にも先立ってまずメーンバンク、筆頭株主に説明するということは、今でも慣行あるいはそれを超えてルールとして行われているんじゃないか、そのように思いますが、証券局長の所感をお願いいたします。
  40. 長野厖士

    ○長野政府委員 この点は、企業の経営上のいろいろな関係先への御相談事項がどのような形で行われるかというのは、むしろ先生の方がお詳しいのではなかろうかと存じますけれども、例えば、企業が増資をしたい、あるいは減資をしたい、これはそれぞれ株主にまず御相談があったりするんだろうと思います。  そういった情報はインサイダー取引上問題になり得る情報でございますけれども、インサイダーの規制上問題になり得る情報を提供してはいけないという考え方はとっておりませんで、そのような情報を入手した人間は、インサイダー取引に該当するような不正な行為を働いては罰せられる、こういう体系にいたしておりますから、事柄によりけりではなかろうかと存じます。
  41. 岩國哲人

    岩國委員 将来の経営戦略について大株主に相談するということは、これは決して禁止すべきことではないと私は思います。しかし、株価、極端に言えばきょうの株価、あすの株価に直接影響するような内部情報を特定の一部の株主に提供するということは、これは明確に禁止すべきことではないでしょうか。  またさらに、裏返して言えば、それを知り得た者は直ちにその情報を公開し、あるいは監督当局に通告するということが当然行われなければならないと私は思いますが、この点についてどのように思われますか。
  42. 長野厖士

    ○長野政府委員 一般論としてのお尋ねでもございますし、また個別の事案を念頭に置いた御質問であろうかと存じますので、その両面からお答え申し上げますと、例えば、私どもに有価証券報告書を提出すべき立場にある企業が、今おっしゃられるような株価に大きな変動をもたらすような要因があるということを認識した場合には、これはタイムリーディスクロージャーをなさるのが本来の責務であろうと思います。そのタイムリーディスクロージャーと並行して、いろいろな方々にその善後の策につきまして御相談をなさるということはあろうかと思います。  したがいまして、私どもは今特別検査で監視委員会及び官房検査部で検査に入っておりますけれども、先生の御質問の御念頭にあります個別事案につきまして、タイムリーディスクロージャーという観点から、いつ会社が情報を開示すべき立場であったのかということにつきましては解明していただきたいと私は念じております。
  43. 岩國哲人

    岩國委員 証券局長に最後、一問質問させていただきます。  そうした富士銀行が知り得た十月六日から山一証券大蔵省に説明した十一月十七日までのこの四十日間、その重要な情報をタイムリーディスクロージャーしなかった、自分だけの情報としておった、ある意味では情報隠匿をしておったということに対しては、私は大変遺憾に思います。局長のタイムリーディスクロージャーの精神からも反しておりますし、失礼な言葉を言いますと、一罰百戒の意味からもこれは何らかの処置を検討しておられると思いますが、どのような処置を検討しておられますか。
  44. 長野厖士

    ○長野政府委員 正確に御答弁申し上げますと、発行体企業が背負っておりますタイムリーディスクロージャーの責務というものは、今御指摘の日時から大蔵省に報告があったという日時までではなくて、国民一般に現実にその会社によってディスクロージャーされた日時まででございますから、今仰せの四十日というのは、四十日に若干さらにプラスアルファがあると私は考えております。  いずれにいたしましても、そういったディスクロージャー上の問題というのは証取法にも規定があるわけでございますから、どのような時点で、恐らくは、取引先銀行に相談に行った時点が発行体企業がみずから認識した時点であったと考えるべきか、もう少し前という想定をしても私は勘ぐりではないと考えておりますから、それらも含めて検査担当部局によって解明され、その内容が不適切であれば証取法に照らした取り扱いを検討していくという段階になろうかと思います。
  45. 岩國哲人

    岩國委員 ぜひとも、今後のためにも範を垂れるような意味で、明快で適切な処置がとられることを希望して、証券局長に対する質問を終わります。  次に、預金に関連いたしまして、この預金保険法預金者の定義についてでありますけれども預金者というのは日本国籍を有する者か、あるいは日本国籍を有しない者もこれから対象とするのか、その点をまず最初にお伺いしたいと思います。
  46. 山口公生

    ○山口政府委員 国籍の要件はございません。
  47. 岩國哲人

    岩國委員 そういたしますと、国交のない国の国籍を持っている人が預金をしたものに対しても日本人と同じように保護されるというふうに理解してよろしいですね。一言だけ。
  48. 山口公生

    ○山口政府委員 保護されます。
  49. 岩國哲人

    岩國委員 次に、こうした国際化、ビッグバンの過程において外国の銀行の支店が数多くこの東京にも開かれておりますけれども、例えば、日本銀行に円預金をした場合と片仮名の名前の外国の銀行の支店に円預金をした場合も同じようにその円預金は保護されますか。
  50. 山口公生

    ○山口政府委員 済みません、ちょっと待ってください。――外銀の支店は預金保険法の対象ではございませんけれども、現実に、今預金保険法の運用ではシステミックリスクを起こさないという観点をとっておりますので、広い意味で、金融三法での機能の範囲内において資金援助等の形で保護されるということが可能でございますし、現実にそういうシステミックリスクを起こすような場合には保護されるというふうに考えてよろしいかと思います。
  51. 岩國哲人

    岩國委員 最近は、こうしたビッグバンに絡みまして、また銀行の破綻、倒産等に絡んで、私の預金は安全だろうか、安全でないだろうか、これはもう国民関心事になりつつあります。  その中で、新聞、週刊誌等で行われている解説というのは、一千万円まではどうも保護されるらしい、そしてビッグバンというのは、日本銀行も外国の銀行も全く差別なしに、サービスがいいところ、金利の高いところ、それが外国の銀行であっても選べる時代がやってきた、しかも預金は一千万円までは安全。このような解説を集約いたしますと、今局長の答弁されたようなややこしい答弁ではなくて、もう明快に一般庶民の頭の中には、片仮名の銀行日本銀行も同じように差別なくどこでも保護される、このような解釈がかなり浸透しつつあります。  今の局長の答弁では私もよくわかりませんけれども、もっと明快に、隣の外国の銀行でも日本銀行でも全く同じようになっているのか、あるいは外国の銀行に持っていくと少しその辺の扱いが違うのか。扱いに全く差がないのかあるのか、その点をはっきりと答えていただけませんか。
  52. 山口公生

    ○山口政府委員 私の答弁が誤解を与えてはいけませんので、今確認して申し上げますと、預金保険法金融機関の対象には外銀の支店は入っておりません。したがって、預金保険法はその対象といたしておりませんので、私が申し上げたことが間違った解釈の印象を与えているとすれば、それは訂正させていただきます。  それで、外貨預金等のお尋ねとか、あるいは外国人の邦銀への預金とかいうような御懸念が一般の方にあるというお尋ねでありますと、外貨預金については預金保険法上の対象の預金にはなっておりませんけれども、先ほど私が申し上げた趣旨は、金融三法でもって資金援助という形でロスを穴埋めする場合には入り得るということを先ほど私は申し上げたかったわけでございます。
  53. 岩國哲人

    岩國委員 銀行の国籍によって差別があるかどうかということを明快にしたいということと、もう一つは、今局長のおっしゃった円預金とドル預金、つまり通貨の顔によって差別があるのかどうか。同じ日本の三菱銀行なら三菱銀行に預けた円預金とドル預金は同じように保護されるのか、次に銀行の国籍によって差別があるのかないのか、その二点、あるなしだけの答えをいただきたいと思います。
  54. 山口公生

    ○山口政府委員 銀行の国籍と申されましたが、外国銀行の支店というのは対象外でございます。  それから、預金の種類、外貨預金かどうかということについては、預金保険法の商品の対象にはなっておりませんが、資金援助の形をとる場合にはすべてのそういった債務が含まれ得るということで、保護されていると言っても過言ではないと思います。ただし、これはこの特例期間だけの話でございます。      〔委員長退席、佐藤(静)委員長代理着席〕
  55. 岩國哲人

    岩國委員 巷間に売られておるいろいろな解説書あるいは週刊誌、新聞等におきましても、これから円でもドルでも、あるいは日本銀行でも外国の銀行でもといったようなことが、恐らくその辺を歩いていらっしゃる人の頭の中にはしみ込んでいると思うのですね。それが、通貨によって違いますよ、あるいは預け先によって同じ預金といっても差がありますよということは、もっと明確にしなければならないと思います。  逆に言いますと、もしこの預金法案なるものがそのような差別を含んでいるとすれば、そのような差別を、むしろ一般庶民、一般預金者の感覚に近いものに改正をすべきではありませんか。  さらに混乱を来しているのは、先日一日、私も衆議院の予算委員会の席上で伺っておりまして、あらゆる金融商品が全額保護される、このような大蔵大臣の答弁がなされました。そして、三十分前に予算委員会理事会に提出されました大蔵大臣の趣旨、書き直されたものでありますけれども、これは予算委員会大蔵大臣が答弁されたものと少し私はニュアンスが違うように思います。   大蔵大臣の答弁は、預金保険の本来の対象である預金等はもちろんのこと、それ以外の金融機関金融商品についても、例えば生命保険については支払保証制度の整備を図る等、それぞれの機能や現在議論されている様々な意見も踏まえ、その安全性確保に万全を期す、との趣旨である。かなりこの辺はただし書きのようなものがついた形になっておるわけであります。これは大蔵大臣の答弁の訂正なのか補足なのか、あるいは趣旨説明なのか、この辺が私には理解しかねます。  したがいまして、保険も含まれるのか含まれないのか。例えば同じ預金の中でも、私が今この席で質問いたしました円建ての預金と外貨建ての預金とが、何か局長自身もすぐおわかりにならないようでいろいろ御相談があったようですけれども、法案提出の責任者である局長自身がこうした点がまだ不明確な点を多々残したままでこの法案が採決されるとか、あるいは審議が終了するということに対しては、大変私は問題があると思います。一般庶民の、預金者の感覚、期待あるいは解釈と随分違うところがあるのではないでしょうか。  もし大蔵大臣の御見解がありましたら、衆議院予算委員会での答弁に対してこの書面をもって回答されましたことについて、御見解をお願いいたします。     〔佐藤(静)委員長代理退席、委員長着席〕
  56. 三塚博

    三塚国務大臣 これも先般の委員会で何回も申し上げたとおりでございます。私が申し上げました趣旨は、預金保険の本来の対象である預金等はもちろんのこと、それ以外の金融機関金融商品につきましても、その安全性の確保に万全を期す、こう申し上げておるところであります。
  57. 山口公生

    ○山口政府委員 いろいろその根拠とか理屈を申し上げましたので、なかなかわかりにくい御説明をさせていただいて申しわけないと思っておりますが、端的に言いますと、この五年間の特例期間中は預金取扱金融機関金融商品については保護されるということでよろしゅうございます。それはそういう仕組みが整備されているということでございます。  それから、保険、証券につきましては、これはそれぞれ、寄託証券補償基金の制度整備、保険については支払い保証制度というのが今検討されております。そこでの検討でどこまで保証するかということの議論がなされるというふうに思いますが、必要であれば関係者に答弁させます。
  58. 岩國哲人

    岩國委員 私の持ち時間が残念ながら終了しましたので、最後に、こうした不明確な点をできるだけ明確に説明していただきたいということ、それから銀行の国籍、預金者の国籍、通貨の国籍、このような差別がどこでどのように存在するかということをこの法案の中で明快にしていかなければならないと私は思います。そのような幾つかの疑惑、疑問を残したままの欠陥法案は、もっと十分に審議をしてからこれは立法すべきではないかという意見を申し添えまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  59. 村上誠一郎

    村上委員長 次に、今村雅弘君。
  60. 今村雅弘

    今村委員 どうも皆様、本当にお疲れさまでございます。  もうこの法案の審議も随分と熱心にやられるということで、私も大分前から質問の時間をもらっておったわけでございますけれども、おくれおくれということで、その間に野党の皆様方が大変熱心に勉強されてしっかり質問されて、私の聞くところも余りもうなくなってきたというような感じもいたしております。そういう中でございますが、非常に素朴な疑問しか持っていないわけでございますが、そういったところについていろいろお伺いしたいというふうに思っております。  木枯らし一番と言いますけれども、とんでもない木枯らしということで、まさに暴風雪といいますか、あっという間に上場の金融機関が四つほど姿が見えなくなってしまった。これは大変な状況だというふうに思っております。そしてまた、このまさに暴風雪といいますか、これは今後とも下手すると猛威を振るう、あるいはこれに対してどう対応するかといったことがこれからの大変な課題でありまして、とにかく早く手を打たなければということが一番我々としてもやらなければいけないことではないか、あるいは政策当局としても今一番必要なことではないかというふうに思うわけでございます。  そういう中で、時間の関係もいろいろあるかと思いますので、一つにはやはり山一関係、それからそれに関連して大蔵省、日銀あるいは関係金融機関といったものの責任、そしてまたこういったものを生じたいろいろ会計制度、そしてまた最後にこの預金保険法案のことにつきまして関連して質問したいという、四点ほどに分けてお聞きしたいと思っております。  まず第一点でございますけれども山一証券のことでございます。  倒産と言っていいのか、自主廃業ということのようでございますが、どうしてこういったいわゆる日本を代表すると言ってもいいような四大証券の一角を占める会社がこうも突然に、そしてまた簡単につぶれてしまうのか。  お手元にちょっと資料を配っております。これは「日経会社情報」、千円で売っている本でございますけれども、その中のことしの秋号の中から山一証券のこれを持ってきているわけでございます。もっと本当は詳しい資料で説明すればいいのでしょうけれども、恐らく投資家の皆さんを含めて、これをバイブルとしてある意味ではいろいろな投資の判断等にされると思いますので、こういったもので見てもいいのではないかというふうに思って持ってきたわけでございます。  こうして見ますと、四大証券の中ではやはり格差はあるようでございますが、少なくともまず言えることは、配当もちゃんとこの数年間やって、五円の配当あるいは三円の配当ということを続けてきておる。一株当たりの配当はこういうふうになっているわけでございますし、また左手の方の下の「財務指標」という中でも、純財産額が四千六百四十八億、あるいは有価証券の含み損益でも二百三十億、こういった数字が出ているわけでございます。  確かに、この九七年三月期の利益という部分では、これは千六百四十七億ほど赤が出ている。これはたしか山一ファイナンスの特損の関係だったのではないかというふうに思っておりますけれども、いずれにしろこれで見る限りは、だれが見たってそんなにおかしいと思わない。右の方に「視界不良」と書いてありまして、経営陣大幅刷新というようなこと、これは新聞等でも出ておりますし、ここでしっかり体制を変えて、さあこれからだということで、ある意味では投資家の方も期待されておったのじゃないかというふうに思うわけでございますが、視界不良どころか、とうとうどこかにぶつかって見えなくなってしまったというのが実態なわけでございます。  先ほど言いましたように、どうしてこういったことでいとも簡単に、また突然につぶれるのか。あるいはこういう中身で、例えば負債等も三兆五千億等々と言われておりますけれども、こういったものがどういうことになっているのか。そういったものについて、まずこの原因、状況等についてお伺いしたいと思います。     〔委員長退席、井奥委員長代理着席〕
  61. 長野厖士

    ○長野政府委員 今村先生御指摘いただきましたように、また、配付の資料にもございますように、山一証券の経営状況というものは、四大証券の一角であるという立場と同時に、また、その中ではある弱さというのを示しておりました。  その過程で、総会屋への利益提供事件、あるいは一般企業への損失補てん事件といったものも刑事事件の捜査の対象になってきておったという状況でございますが、決定的に大きかったのは、二千六百億という、ただいまお示しになりましたいろいろな帳簿に載っておらない負債というものが発覚し、それを計上せざるを得なくなったということに尽きるかと存じます。  資産・負債の全体の状況はどうかというお尋ねでございます。  証券会社の財務諸表は、やや一般企業と異なる部分がございます。たくさんの負債勘定での有価証券、それから資産勘定での有価証券で膨らみ上がっておりますけれども、ざっと申し上げれば、現時点で三兆五千億という負債でございますけれども、そのうちの二兆七千億ぐらいは、そういった証券業務に伴います、有価証券の出し入れに伴います負債だというふうにお考えいただけます。金融機関からの借入金とか社債とかいったものが四千二百億円、顧客からの預かり金や保証金が千八百億円ということでございますから、そのあたりが一般事業レベルでの実際の負債に近い概念かなと思います。そういった中での二千六百億円という簿外債務は、余りにも大きかったということだと思います。
  62. 今村雅弘

    今村委員 ただいまのお答えでは、なかなか私もそう簡単に納得できないなという感じがいたしております。  と申しますのは、いみじくも今、証券会社は普通の会社と違うよと言われたわけでございまして、これは、こういった財務諸表のつくり方等が違う部分もございますが、何より違うのは、やはりこの仕事が、単純に言うと、電話一本、机一個あって、そして注文を受けてその売買手数料で稼ぐ、これが一番原点なわけでございます。例えば銀行だったら、預かった金よりもたくさん貸し出して、それがデフォルトしてとれなくなってしまう、これは非常に単純なことでわかるわけでございますけれども証券会社の場合は、今言った負債も、お客様から預かっておる預かり証券等々、こういったものは、もちろん形の上ではそれは負債になっているのかもしれないけれども、株式等々は現実に値がついているわけでありますから、その部分で、市場でも売ろうと思えばすぐ売れるし、そういう意味では、この三兆五千億なりという数字をそんなに過大に評価してはいけないのじゃないか、評価と言っては変でございますが。そういう意味で、ちょっとこの辺、単に簿外があったからということではどうもよくわからない。  そして、もう一つは、仮に簿外があっても、ここに挙げていますように、純資産でも一応、これは正しいかどうかは別にしても、やはり純財産額で四千六百億ぐらいある。あるいは、後でまた申しますけれども、仮に簿外が二千六百億にしても、例えば山一証券従業員は、正社員といいますか、本社で七千五百人ぐらいですか、山一ミディというような方も入れて一万人に近い。仮に正社員の人だけで七千五百人とっても、人件費が年間、仮に一千万とすると、七百五十億円ということになるわけですね。そうしますと、こういう廃業をするよりは、たとえ賃金を三分の一カットにしてでも、そういった大幅なリストラをやっていけばこの二千五、六百億の簿外債務でも償却できるのじゃないか、そういった非常に単純な疑問を持っているわけです。そういう意味で、この辺についてもう少し御意見を伺いたい。
  63. 長野厖士

    ○長野政府委員 先ほどお示しいただきました資料、三月期の決算でございますので、純財産額が四千六百億とございます。これが九月期の段階ではさらに三百億減少いたしまして、四千三百億というのが中間期決算でございます。その上で、先般、簿外債務が発覚いたしました。  その他、現在会社が持っております資産の目減り等も考慮いたしまして、そこからさらに三千三百億ほど会社の純財産が減少するということで、十一月の二十五日に、純財産額が今約一千億円であるという御報告が来ておるわけであります。そして、そのときの御報告の注記には、この後裁判を起こされるかもしれない、我が方は負債と思っていないけれども、裁判を起こされるかもしれない金額がさらに二百五十億ございますという報告にもなっております。  そのような状態におきまして、この証券会社はその規模の資産状態のもとで営業が継続できるであろうか、あるいは、その財産状況はともかくといたしまして、顧客の信頼、マーケットの信頼、いろいろな資金調達といったものが円滑に行っていけるだろうかという状況で会社の最終的な御判断があったと存じます。  先生がおっしゃるとおり、例えば賃金を三分の一にしてしまうとかいうような御方策、それは社内で十分に議論されたかどうかは私は存じませんけれども、そういったいろいろなリストラの努力とかあるいは人員の削減といったことも経営会議では検討されておったようでございますけれども、そのぎりぎりの限界をやっても事業の継続が困難であるという御判断に至ったと承知いたしております。
  64. 今村雅弘

    今村委員 今証券局長もおっしゃいましたけれども、やはり山一の中でも、これはいろいろ聞いた話でございますけれども、廃業するのがいいのかあるいはリストラ策をつくってやった方がいいのか、あるいは外資と提携してやるべきだとか、あるいは証券業参入という道が開かれなかった中で銀行等にこういった営業権を分割するなりして、それでお店、従業員を維持した方がいいのか、そういうけんけんがくがくの議論があったように聞いているわけですね。  しかし、それが最終的には自主廃業となったということでありますけれども、私は、このBS上で見た場合、あるいはこの山一の持っているいろいろな業務のノウハウ、あるいはのれん代、あるいは人材、そういったものをやはりもう少しきちんと評価してやっていけば、何もここで一気にばったんといく、またいかせる必要もなかったのじゃないかという疑問を先ほどから持っているわけでございます。  そういう中で、先ほど来、話が出てくるのかなと思っていたのですが、要するに、BS上は問題に、まあ問題はあるのでしょうが、そこまでいかないとすると、やはり営業を継続していく上でのまさに運転資金といいますかつなぎ資金といいますか、そういったものについて結局これは問題があったのじゃないかというふうに思うわけですね、拓銀しかり、三洋証券もしかりでございますけれども。その点は、この山一の場合はどうだったのでしょうか。
  65. 長野厖士

    ○長野政府委員 御指摘のとおり、山一証券につきましては、現実にこういう財産の毀損という問題と同時に、市場での信頼が損なわれと申しましたけれども、市場での信頼が損なわれと申しますのは、ただ評判のことを申し上げているわけではなくて、現実に資金の取り入れというものが急速に困難になっており、今まで借り入れておったものも、期日が来るごとに返済という状態になっておったということでございます。  したがいまして、ばたんといかせるということよりも、例えば何らの手も打たずに十一月二十五日という日に事業継続した場合、そこで事実上の資金ショートによるデフォルト、取りつけが起こっておっただろうと私は考えております。
  66. 今村雅弘

    今村委員 なかなかよくわからないところがあるのですが、その辺はやぶの中というのか、当事者じゃないのだからよく見えないのです。ただ、どうなのでしょうかね。私は、先ほどから突然というふうに言っているわけでございますが、恐らく世の中の人みんながそういう印象を受けておると思います。  そういう中で、この間、やはりこの委員会等でも何回か出てはいるのですが、大蔵省とかあるいは日銀、あるいは関係する金融機関銀行、そういった中で、相談といいますか、そういったものはなかったのですか。
  67. 長野厖士

    ○長野政府委員 富士銀行をめぐるお話でも若干示されておりますように、会社と、その会社をめぐる資本なり資金なりを提供する人との話は行われておったような形跡がございますが、先ほど外資との提携というような道も先生から御指摘がありましたけれども、一番大事な点は、二千六百億の含み損があるということを発表しない、していない状態でのそういったお話し合いというのは非常に難しいという状況にあったと存じます。  そして、こういった実際二千六百億という含み損があるという状態を発表した上で、なおかつ資金供給をしてくれる人がいるかどうかということを探る道というものは、時間的な余裕があれば私は全く不可能だったとは申しませんけれども、先ほど来申し上げておりますように、マーケットにおきまして既に不信感があった上に、二千六百億のロスがありますということを発表した後、資金的にこの会社は事業の継続の可能性がなかったということになろうかと存じます。
  68. 今村雅弘

    今村委員 時間の関係がございますのでもうこれ以上はあれしたいと思いますが、いずれにしろ、山一については、前回も、九三年の十月ごろですか、一回、たしか証券取引等監視委員会か何かで少しいろいろ調査、検査されたことがありますね。そういったこととか、全く同じ時期にコスモ証券の飛ばし事件が起きたりとかありますので、そういったところについては、やはりもっと監督官庁としては、しっかりアンテナを立てて情報をつかんで、もっとしっかりした対応をしてほしい。何もないときに検査に行って、いろいろ言われているわけでございますけれども、本当に必要なときに必要な検査をするといったことは、今後ともきちっとしてもらいたいなというふうに思うわけでございます。  それから、これはちょっとだれに聞いていいかよくわかりませんが、関係があればということでございますが、もう一つは、富士銀行を初めとする関係金融機関の対応でございます。  例えば富士銀行なんかは、これはある意味では貸し手でもありますし、また株主としての地位も持っているわけですね。貸し手の責任と経営上のそういったチェックもさることながら、例えば株主として三・六二%ですか、持っているわけでございますが、これは全部吹っ飛べば損失が幾ら出るのか。まあ額面でいけば四十五、六億ということになるのでしょうけれども、実際はもうちょっと高いでしょうから、そういう株主としての損害も実はあるわけですね。  こういったものについて、銀行は、そういうところで損をするよりは、先ほど言ったように、何とか助けなければいけない、あるいは株主として営業報告書等々をもっとチェックする役割があったのじゃないかという感じがいたしております。その点はどういうふうにお考えでしょうか。よかったら、銀行局長になるんですかね。
  69. 山口公生

    ○山口政府委員 今村先生おっしゃいますように、メーンバンク、主力は富士、興銀、東京三菱と言われておりましたけれども、そういうところが山一証券の破綻に至る前にいろいろな御検討も山一問題ということでなさったのかもしれませんけれども、最終的にはやはり各銀行判断でございますので、そこは経営者自身の問題だというふうに言わざるを得ないと思います。  もちろん、株主の立場では、株式の価値が毀損されるというようなことが起きますので、そういった意味では、責任という表現は適切ではないかもしれませんが、そういう形では負担を負うわけでございます。  ただ、よく言われます、関係で知り得た事実が云々という話がありましたけれども、もしそういうことと関連して何か違法な行為があれば、私どもとしてはそれは適切に対処するということでございますが、各行の取引先あるいは関係先との商行為そのものについては、私どもとしては関与する立場にはないというふうに言わざるを得ないと思います。
  70. 今村雅弘

    今村委員 いずれ、これは関係銀行の株主の立場として、もう総会屋はそう出てこないでしょうけれども、いろいろそれは追及はあるかと思います。そちらにお任せするしかないと思いますが、それに関連して第二点の方に入っていきたいと思います。  一連のこういう中で、銀行といいますか、晴れた日には傘を貸すけれども、雨が降ったら取り上げるということがちまたでよく言われておりまして、どうもこの問題についてもそういう感じがしてならないわけでございます。  そうした中で、一連の倒産劇の中で、今公的資金の導入、そういったことが、あるいは支援という形でいろいろ言われているわけでございます。事ここまで事態が緊迫してくると、大変な事態になっているという中で、そういったものをまじめにやはり検討しなければいけないし、我が党でもいろいろ勉強はしているわけでございます。やはり今は大変だということで確かにそういう機運があるし、新聞論調等もそんな感じがある、あるいは民間の人もそれは大変だなということでしょうけれども、これは不思議なもので、こういったことがある程度方向になって決まり出すと、逆の動きといいますか、バランス感覚と言ったらなんでございますけれども、そういったリアクションが出てくることも、また世の常でございます。  そういう意味で、私は、そういうことにならぬようにということで大変心配しておるわけでございますが、そういうことにならない前提として、何といっても、これは金融機関企業努力といいますか、いろいろなリストラを含めたそういった姿勢といいますか、そういったものをきちっとしてもらわないと、この政策はうまくいかないのじゃないかということを強く思っているわけでございます。  もう古くなりますけれども、今で言う、何になるのですかね、債権買取機構になるのかどうかわかりませんが、平成四年の九月ごろに、いわゆる担保になった不良不動産といいますか、不良債権の担保不動産買い上げということの中で公的資金を導入するなりそういう議論になったときに、当時の日経連の会長が、それはおかしい、もっと銀行は自分たちのリストラなり、身を削る努力をしなければだめだということを言われたのですね。当時、やはりメーカーは大変な競争の中で、本当に身を削る企業努力をやっておる、そういう中で銀行だけが、紙切れ一枚でもうかるようなところが何だ、額に汗も流さないでというようなことだったと思います。  現実に、やはり日本のメーカーはこうやって厳しい国際競争といいますか、そういったものにもう頑張ってやってきた、そしてそれが今の強さにりながっているわけですね。そういう意味で金融機関はどうかといったなら、これはもう御案内のとおり、まさに今まで護送船団といいますか、過保護な中でぬくぬくと育てられたといいますか、非常に弱い。今まさにその弱さが露呈してきているわけでありますから、リストラといいますか、企業体質強化といったことは、まさに銀行を強くするという意味でも絶対今後必要不可欠なことだと思うのですね。  そういう中で、企業努力としては、やはり一つには、できるだけ効率化を図る努力、そしてもう一つは、いかに営業努力の拡大を図るか、この二点があるかと思うわけです。  まず第一点の、リストラといいますか、いろいろな効率化等について、今までどういうことをやってきておられるのか。これにつきましては、銀行局長の名前で、たしか十月だったですか、そういった通達等も出ておったわけでございますが、これについて各金融機関はどういう対応をしているのか、あるいは今後大蔵省としても、通達を出しっ放しなのか、そのフォローをどういう形でやっていかれるのか、こういったものについて考え方をお聞かせ願いたい。     〔井奥委員長代理退席、佐藤(静)委員長代理着席〕
  71. 山口公生

    ○山口政府委員 金融機関のリストラ努力、自助努力の問題を御指摘になりましたが、金融機関も不良債権の処理に本格的に当たってきておりまして、徹底した経営の合理化を迫られているという状況であります。不良債権の問題は、基本的には各金融機関が自分でそれは処理をする問題でございますから、そのためにもリストラはきっちりやるということが当然のことで、その心構えでやっていると思います。  例えば、これは主要行だけですが、従業員約八千二百人を八年度で削減していますし、店舗が九十店舗削減、従業員ベースアップを見送っておりますし、役員賞与は七年度、八年度と返上であります。  こういった努力は評価する必要があると思いますが、ただ、じゃこれで十分かという話になりますと、やはりこういった時代にさらなる合理化努力が必要ではないかということで、各方面からも厳しい御指摘があります。それで、それらを真摯に受けとめる必要があるということで、当局としては、事務連絡で、こういうような強い指摘があるということを改めて各金融機関に流したわけでございます。  各金融機関もその社会的責任を痛感していると思いますし、内部管理の体制とか、徹底した合理化を進めるというふうに思っておりますが、各金融機関、それぞれ事情も違いますし、それぞれの努力をしていただく必要がありますが、私どもがお伝えした厳しい指摘がやはりきっちりと徹底される必要もあるわけでありまして、これから検査とか監督を通じまして、こういった状況についてもフォローアップをしていきたいというふうに思っておるわけでございます。
  72. 今村雅弘

    今村委員 取り組み方としては、姿勢としてはわかるんですけれども、問題は、やはりそれを具体的に、きちんとした形で示してもらわなきゃいけないというふうに思うわけでございます。  だれだって、いや、ちょっと困ったから金貸してくれ、助けてくれと言ったときに、助けてくれと言った人が実は懐の中に大金をいっぱい持っていて、いや、おれ金ないから助けてくれよと言われたって、何言ってんだ、こっちだってそんな金ないよということになるわけであります。  そういう意味でお聞きしますけれども、じゃ例えば、平成四年のこのときも問題になっているわけでございますけれども銀行の、例えば銀行員の給与水準とか具体的なデータ等こういったものについて、当時もなかなかこれはオープンにしてくれないんですね。こういうものは今後ディスクローズされる、あるいはさせるといいますか、そういう姿勢があるのか。  あるいは、この間日銀の問題のときにも、日銀があちこちにいろいろな福利厚生施設を持っているとか、そういう話もあったわけでございますけれども、そういった持っている資産は、含みも含めて、こういう状況なんだということをもっともっとこの際ははっきりオープンにしてもらわないと、そういう中で、一般的には世間よりも四割給料が高いとか、あるいはボーナスも多いとか、あるいは先ほどベアを言われましたけれども、じゃ一般の昇給はどうなっているんですか、これは。  そういったものも含めて、もっともっと、これは今までと全く違う局面ですから、助けてくれと言うんだったら自分たちのすべて脱ぎ捨ててさらけ出す、そういう中で助けてくれと言うべきじゃないかと思うんです。今後、そういう詰めを、フォローを具体的にどうされるのか、それについてお考えがあれば伺いたいし、お考えがなければ今後そういったものについてまたお聞きしたいということでございますが、いかがでしょうか。
  73. 山口公生

    ○山口政府委員 銀行業界全体の問題と各行の問題はそれぞれだと思います。また、賃金等の問題は、これは労使交渉で決まる労働協約の問題もありますので、余り一方的にこうあるべき、あああるべきと言うべき問題ではありません。それは経営者、それから組合との関係もございます。  そういったことを頭に置いた上でお話をしなきゃいけませんが、全体的に見ますと、やはり銀行等の賃金は全体に比べますと高い状況であることは間違いない。労働省の統計によりましても、八年度の男子平均で八百八十六万八千円という数字があります。例えば卸売業が七百三十五万三千円、建設業が七百六十八万三千円、不動産が七百十五万六千円、放送業が八百六十七万一千円、証券業等が七百九十九万円、保険業は九百六十七万四千円。これはどのカバレッジかという問題はあるかと思いますが、これを見ましても銀行は高い方だと思います。  それは、生産性を上げ、社会的に貢献していれば高いということを非難するべきではありませんけれども、一方でリストラが迫られておりますので、その点については各行とも最大限の努力をしていって、この不良債権問題の解決等に努めていっていただきたいというふうに思っております。     〔佐藤(静)委員長代理退席、委員長着席〕
  74. 今村雅弘

    今村委員 その点につきまして、今後もいろいろまたフォローしていきたいと思っておりますが、とにかく公的資金を入れると言うからには、そういう入れていただく銀行については、先ほど言いましたように、やはりすべてディスクローズするということを、ぜひこれは一つの条件ということで進めてもらいたいなというふうに要望しておきます。  それからもう一つ銀行、これは貸して初めてもうかるわけですね。ところが、現実に今貸し渋りがいろいろ起きている。これについてはいろいろBIS規制だ何だという話もあるのでしょうが、それ以前に、銀行そのものは本当にまじめに、これはと思った企業家を育てるなり、大事な成長産業である、小さいけれども助けてあげよう、育てる、そういう本当の意味での融資能力というのかあるいはそういう態度というのを持っているかということについて非常に疑問を持っているわけです。  これについては、今までまさに日本銀行が、担保主義といいますか、右肩上がりで、土地さえとっていればと、そういう安易な、そういった融資でもってやれてこれたという風土のなせるせいかもしれませんけれども、やはり基本的にはお金は人に貸すものだ、あるいは事業に貸すものだという観点に立ってやってもらいたいなというふうに思うわけでございます。  そういう中で、最近思うのは、消費金融といいますか、俗にサラ金と言っていいと思いますけれども、そういう会社が大変な利益を上げて絶好調ということですね。これはいろいろ景気が悪いからそういうところに行くのもあるかもしれませんが、現実に銀行はなかなか貸してくれないから、やはりそこに行かざるを得ないんだということでどんどん伸びている。あるいは、非常にいろいろな、何といいますか、使ったことがないからあれですけれども、お自動さんですか、そういうやはり何とか借りやすい仕組みといいますかそういったものを、与信の問題、いろいろな問題をクリアしながらやっていると思うんですね。  そういった点について、一体一般の銀行はこういった個人金融拡大を含めてどういう営業努力をやっているのか、その辺がよくわからない。何にもそういうリスクも冒さないで、ただじっとして、大事な資産をとにかく守るだけ、あとは営業が悪くなりましたからこれも助けてください、それじゃ商売にならぬわけですね。  そういった面について、この辺のサラ金、消費金融とかそういったものの伸びている一つの背景なりなんなり、あるいは今言った銀行の貸し出しの問題を含めて、どういう認識を持っているのか、銀行局長、お願いいたします。
  75. 山口公生

    ○山口政府委員 先生の御指摘のとおりだと思います。個人のニーズにきっちりこたえていくということは、やはり銀行にとって大変重要な役割だと思います。現に、各金融機関ともに個人向けのローンについては積極的に取り組んでおるところでございますが、ますますその必要性は高まるわけでございます。  ちなみに、ある銀行のディスクロージャー誌を見ますと、住宅ローン関係も、一本だけこういうローンがありますよというのではなくて、いろいろ、変動金利型、上限金利設定型、固定金利選択型、あるいは親子のペアのローン、親子のリレーのローン、それから住宅のリフォームローン、アパートローン、アパートのリフォームローンというふうに、やはりそれはかなり多くの商品を並べております。また、その他のローンにつきましても、自由型あるいは目的型、介護設計型、環境設計型とか、いろいろ種類をふやしてはおります。  要するに、個人のこういったニーズにきっちりこたえられるように、いろいろ工夫をして、社会的な使命を果たしてもらいたいというふうに私も思います。
  76. 今村雅弘

    今村委員 先ほど来言っていますように、そういう公的な支援を要請するについては、自助努力、そしてまたこういった稼ぐ努力、そういったものをやはりしっかりやってもらうということを前提にしてしか、我々は絶対これは認めないということを強く述べておきたいと思います。  それから、少し話題を変えますが、今非常に低金利という中で、いっか大蔵委員会でもちょっと一回お伺いしたと思うのですが、いわゆる外資系の金融機関が、大変高利回りということで、いろいろ積極的なアプローチをかけてきている。  今度の一連の騒ぎの中で、郵便局にみんなお金が行ってしまうのじゃないかというふうに思っていたら、意外や意外、郵便局もふえていない。これはほかの、いろいろ時期的な問題もあるのかもしれませんが、こういう取りましたお金は一体どこへ行ってしまったのかねという中で、それも関連あるかないかは別として、これから先、こういった外資系でやられる預金といいますか、こういったものについての商品設計あるいはいろいろな勧誘。これは、プロの人というより、ある程度わかっている人だったら、為替差損のリスクもありますよとか、そういったことがわかるわけでございますけれども、新聞等の広告を見ていると、どうも余りそういうことは書いてないで、ただその金利が六・五とか、そういうことばかり目立つわけでございます。  この辺について、これは大蔵省として、金融当局として、そのままにされるのか。まさにレッセフェールで、自己責任ですよということでやられるのか。あるいはもう少し、やはりこういったものについてはこういうリスクもありますよという広告等の指導といいますか、そういったものをやられるのか。その辺について、これからの取り組みといいますか、どういうことで考えておられるのか、ちょっとだけお伺いしたいと思います。
  77. 山口公生

    ○山口政府委員 これは別に、外資系云々に限らない話だと思います。それは、日本の、本邦の系統の金融機関においても同じであります。  いわゆるハイリスクでハイリターンというものの商品がどんどんこれからふえていくということは、先生の御指摘のとおりだと思います。そうしますと、利用者は、その商品の性格を正確に理解する必要があるわけであります。  そこで、今、新聞の広告等ではいいことだけが書いてあってというふうになっております。そういうことで誤解を与えてはいけないと思います。それはきっちりと、リスクの説明もあってこそ自己責任が問えるわけでございまして、そういう形がとれますれば、自己責任が徹底できる。そうすると、利用者の方々がわかった上での御購入になる。例えば、株式投資にしてもそうです。証券投資にしてもそうです。そういうリスク商品については、そういう説明をきっちりしていく。商品ファンドについて、例えばルールづくり等をやってまいりました。  そういうふうにいろいろな商品が出てまいりますので、その辺をきっちりやっていく必要があると考えております。
  78. 今村雅弘

    今村委員 いずれにしろ、大変な金融資産でありますので、そういったものが海外に流出しないように、そしてまた、そういった預金者の方が泣きを見ないように、その辺については、またよろしくお願いしたいと思います。  時間がなくなってきましたので、まだいろいろございますが、最後に一言だけ申し上げます。  今回の一連のいろいろな金融問題等の背景には、まさに、今まで日本経済が右肩上がりを前提として土地等の資産を担保にした、そういった経済の運営といいますか、それでやってきたということがよく言われるわけでございます。  そういう中で、企業会計も今後やはりいろいろ改めなければいけないのじゃないか。今までのように、基本的にはこれは原価主義ということでいくのでしょうが、やはりこういったものについては時価主義とか、そういったものを大胆に入れなければいけないのじゃないか。  ついては、早期是正措置の中でも自己査定の問題が出てくるわけでございますが、そういったものについても、正式にきちんとやる分はやる分として、そのほかに簿外で、あるいは含みでどれだけの損があり、得がありといったことも何らかの形でわかるような対応を今後やはり勉強してもらいたいなというふうに思うわけでございます。これは、いろいろ商法関係を含めて出てくるので大きな問題だと思いますが、今後この辺についてぜひ勉強しておいてもらいたいなということです。  それから、本当に最後でございますが、今回の法案、この委員会の中でもいろいろな意見が出ているわけでございます。確かに今のこの厳しい状況の中で、これで間に合うのかといった問題とか、あるいは、まだいろいろ細かいことも詰めなきゃいけない問題があるわけでございますが、いずれにしろ、経済というものは生き物、いっどう変わるかわからない。そういう中で、やはりできるだけ迅速な対応といったものをいろいろな形で今後は金融当局もやってもらわなきゃいけない。そういう中で、やはり一番大事なことは、政策当局の断固とした取り組みといいますか、姿勢といいますか、そういったものを示すことが一番今の即効薬じゃないかというふうに思うわけでございます。  そういう意味で、今回のこの預金保険法案も、まだまだ不十分ではあるかもしれませんけれども、とにかくやることはやるんだ、やれることはやるんだということで、ぜひこの法案をしっかり通して、また次の対応をしっかり、またそれはそれで考えておいてもらいたいということを最後にお願いいたしまして、質問を終わります。  以上です。
  79. 村上誠一郎

    村上委員長 午後零時三十分に委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時七分休憩      ――――◇―――――     午後零時三十二分開議
  80. 村上誠一郎

    村上委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁福井俊彦君及び株式会社整理回収銀行専務取締役堀口助君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  81. 村上誠一郎

    村上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
  82. 村上誠一郎

    村上委員長 質疑を続行いたします。北脇保之君。
  83. 北脇保之

    ○北脇委員 新進党の北脇保之でございます。  私は、預金保険法案に関連して幾つかの質問をいたします。  まず第一に、金融破綻を含め、金融機関が問題を起こした場合の刑事、民事の責任の追及についてお伺いをいたします。  今、金融機関の破綻に伴って、公的資金を導入すべきかどうかというような議論がいろいろ行われているわけでございますが、私どもも地元でいろいろな声を聞くと、公的資金云々ということを議論する前に、やはり金融機関の経営者の責任、これをもっとはっきり追及するべきだ。民間の事業者は、自分の会社が倒産というようなことになれば私財をなげうたざるを得ない。その以前に、もうリストラということで大変血を流すような努力をしている。それに対して、金融機関だけが破綻を来したときに公的資金で守られるというようなことがあったらおかしいではないか。その前に、やはりその経営者自身がみずから血を流すようなリストラをするべきだし、いざ破綻というようなことを招いたならば、刑事、民事の責任をしっかり引き受けるべきだ、こういうような声が大変大きいわけでございます。  もちろん私は、この問題については、民間の経営者の責任を追及するだけではなくて、より大きな政治の責任、さらには大蔵省を初めとする行政の責任、これをはっきりさせていく、このことが大前提であるとは思いますが、やはりこの金融機関の経営者の責任というものも見逃してはならない、こう思います。  国民は、今までの住専以来、そして幾つかの金融機関の破綻、この過程の中で、その民間企業の経営者が十分な民事、刑事の責任をとっているとはとても思っていないのです。景気のよかったときには大変いい目を見ていた人間が、うまく責任をすり抜けて、いざ破綻というようなときにはもうそのかつての当事者はいないということで、責任の追及がされていない、このことに大変な不満を持っております。こういう国民の声を大蔵大臣はどう受けとめるか。  そして、今までの住専以来、そして金融機関の破綻、この中での企業経営者の刑事、民事の責任の引き受け方、これが十分なものであったというふうに受けとめているかどうか。まず、大蔵大臣の御認識をお伺いいたします。
  84. 三塚博

    三塚国務大臣 国民間にそういう御意見のあることはよく承知をいたしております。両院においても、審議の中でその声の高いことも承知をいたしております。  金融機関の破綻処理に際して、預金保険機構が破綻金融機関からの不良資産の買い取りを行うことになる段階で、これらの資産の回収等を図っている中で、仮に当該金融機関に対して経営者が刑事あるいは民事上違法な行為や損害賠償の責任を負うような行為を行っているということが判明いたした場合には、預金保険機構が厳正に対処していくことは当然のことであります。今後は、さらに具体的な事案に即して、事実の解明そして責任追及を鋭意行ってまいる所存であります。  同時に、行政の責任に言及をされましたが、今日の重要な課題である金融システム上の問題について、行政は、ありとあらゆるものを点検しながら、しっかりとこれに対応していく政策の立案を私の指示に従ってやっていただくことが行政の責任を果たすことになります。そのように事務方が一生懸命やっておることも付言を申し上げて、答弁にかえます。
  85. 北脇保之

    ○北脇委員 ただいまの大臣の御答弁の中に具体的なことがございましたので、ちょっとその点をもう一度お聞きいたします。  というのは、預金保険機構が不良債権の買い取りをして、その回収を行うときに問題があれば、つまり金融機関の方に問題があれば、この機構として厳正に対処していくというふうにおっしゃられました。  その厳正な対処ということの中身がどういうことなのか。今の預金保険機構で与えられている権限はどういうものか、そして実際どういう対処をするのか、その辺を具体的にお教えいただきたいと思います。
  86. 山口公生

    ○山口政府委員 お答え申し上げます。  預金保険機構の中に特別業務部というのを置いてございます。その中に、司法関係者、警察関係者等を中心に、刑事、民事上の責任追及のための体制が整えられております。  御承知のように、預金保険機構は住専の関係の部分も持っておりますし、また整理回収銀行の部分の担当も持っております。いずれにせよ回収機構の組織を下部に持っておりますが、そうしますと、回収が図られる段階でいろいろな事件が発覚する、あるいは刑事あるいは民事の問題がそこで明らかになる、それでそこで適切な措置をとるという姿になっております。  それで、先に進んでおります住専の方は、既に告発し、検挙されたものが、私の手元では二十件ございます。中では脅迫とか、競売入札妨害とか、そういったものが主でございます。そういった厳しい取り扱いをしております。もう一つの整理回収銀行の方も、だんだんこれから買い取った資産の回収に入ってまいりますので、これも同じように告発をしていく。既にこれまでに検挙されましたのが三件ございます。  今後、こういづた回収業務がこれから進んでいくわけでございますので、そのときにそうした違法行為等があれば、それは告発をしていく、また民事的にも追及していくということを厳しくやっていくという体制であり、またそういうふうにやっていくべく努力をしておる次第でございます。
  87. 北脇保之

    ○北脇委員 ただいま預金保険機構のもとにある住専の機構と整理回収銀行で告発をする仕組みになっているというお話がありましたが、この預金保険機構自体が刑事的な告発をする、こういう権限もあるのでございましょうか。
  88. 山口公生

    ○山口政府委員 預保は、先ほど申し上げましたように、司法関係者とか警察関係者等を中心に、そういった体制でございますが、実際に告発しているのは、各回収機関がやるわけでございます。
  89. 北脇保之

    ○北脇委員 ちょっと観点を変えて次に質問いたしますが、金融機関の破綻処理の話になりますと、米国のSアンドLの八〇年代後半における処理、これがよぐ引き合いに出されます。この中で、米国においては民事、刑事の責任追及が非常に厳しく行われて、その結果として千人単位の経営者が刑務所行きになったということをよく言われます。  米国と日本の仕組みのどこにどういう違いがあるのか。米国においてはここまでの追及が行われた、その仕組み、なぜそれができるのかという、そこのところをお答えいただきたいと思います。
  90. 山口公生

    ○山口政府委員 民事、刑事上の責任の追及といいましても、刑法あるいは民法等の法律に基づいてやるわけでございます。したがいまして、特別に、預金保険機構あるいはその下部組織である回収機関がそれを超えた責任を追及することは考えられないわけでございます。しかし、そういったものに抵触した場合には、告発をし、検挙をしてもらうということを、必要な場合は速やかにやるということでございます。  アメリカの場合の先生の御指摘は、恐らくFDICの機能としての問題だと思います。SアンドLの処理のときに相当人数の者が刑事責任を問われた、民事責任を問われたというのは御指摘のとおりでございますが、これもアメリカの法律の規定で、例えば虚偽の報告をしたとか、あるいは詐欺を働いたとか、あるいは私物化して横領したとか、そういったものが対象になっておるわけでございます。  だから、基本的な考え方は同じだと思うのですけれども、その取り組みの姿勢とかいうことは、日本においてもこれから積極的にやっていく必要があると思いますので、その辺での比較の議論はあると思いますけれども我が国においても、民事、刑事の問題、責任追及の問題というのは、やはりこれだけ大きな問題になっておるわけでございますし、きっちりとやっていく必要があるというふうに考えます。
  91. 北脇保之

    ○北脇委員 私は、大蔵省の方は米国の事例というものも十分調査研究し、よく御承知かと思いますものですから、それを我が国との比較の上で参考にして、今後の我が国の適切な仕組みづくりに少しでも役に立てることができればという趣旨でお聞きをしております。ですから、米国と比較したときに、どういうところに違いがあって、そしてその違いがどんなふうに今の結果の違い、結果の違いというのは、そういう刑事責任をとらされている人間の数の多さの違いに反映しているかという、そこのところをお聞きしているわけです。  具体的に言いますと、一つは、刑事責任のことを考えた場合には、犯罪を構成する構成要件の考え方に何か日米で違いがあるのかどうか。特に言えば、日本の場合でもいろんな一連の不祥事の中で、総会屋に不正融資をしたとか、そういうケースであれば刑事訴追されておりますけれども、そうではなくて、非常に平たく言えば、放漫経営をした、一つの経営の一環として誤った経営をして破綻をもたらした、そういうようなケースにおいてどこまでが刑事責任を追及されるような形に米国においてはなっているのか。そういう一つの、刑事責任を問われる構成要件の考え方の違いがあるかどうか。  それとあわせて、その責任を追及していく仕組みとして、今おっしゃられた預金保険機構の仕組みとか証券取引等監視委員会などの仕組み、日本の仕組みはそういうものであろうと思いますけれども、それと比較して米国のFDICなりRTCなりの仕組みはどこが違うのか。  その二点、構成要件の考え方の違いと追及する仕組みの違い、この辺について、わかる範囲で結構でございますからお答えいただければと思います。
  92. 山口公生

    ○山口政府委員 先生のお尋ねの件につきましては、恐らく米国の場合は、SアンドLを法的に処理したRTCのケースを頭に描いていらっしゃると思うわけでございますが、私が先ほど申し上げた、多数の犯罪の検挙があったといいますのも、RTCの強力な機能、これは管財人機能も持っておりましたので、その過程において民事、刑事の責任追及をやり、有罪判決が千八百五十九人出たということでございます。  ただ、お尋ねの犯罪の構成要件等を見ますと、虚偽報告、資産隠匿、横領、詐欺等でございます。したがいまして、軽々に私がアメリカの法律を全部知っていると申し上げるのは間違いでございますけれども、こういう状況を見ますと、もともと経営の仕方が悪かったというだけでは、こういった犯罪構成あるいは民事責任の追及というのはそれだけでは問えないのではないか。しかし、それは逆に、アメリカ等でも非常に盛んな株主の代表訴訟とか、そういった民事上の請求権を否定するものではありませんし、そういった形での追及というのは別途あると思います。  公的機関が追及しているのは、それでもって利益を得たとか、あるいはそういった申し上げたような犯罪をやったというような場合である。したがって、日本の場合も基本的にはそれと同じ考え方でやるわけだと思うのでございますけれども日本のこの預金保険機構の仕組み自体は、預金者の保護のための組織でありますので、これそのものが管財人としての立場には立っておりません、一つ預金者の権利を代理するという立場には立ち得ますけれども。そこは少し違うのかなと。それは、整理回収銀行の回収機関としての性格も、回収機関としての位置にあるということは若干違うのかなと思うわけでございます。  それから、先ほど申されました監視委員会等は政府機関で、これは監督・検査の機関であるというふうに申し上げたいと思います。
  93. 北脇保之

    ○北脇委員 今までのお話ですと、預金保険機構が刑事責任の追及にかかわるケースというのは、不良債権を買い取って回収というようなことで、住専の機構とか整理回収銀行が出てきて回収に入るというケースにおいて刑事責任追及ということにかかわってくるということかと思うのですが、ただ、そこで、預金保険機構が金融機関破綻処理にかかわるケースというのは、そういうケースばかりではなくて、合併について資金援助をするとか、株式を取得して破綻金融機関を吸収するような場合にも資金援助するとか、いろいろ預金保険機構が関与するケースがあるわけですね。ですから、そういうような場合で不良債権の買い取りということが伴わなければ、預金保険機構そのものは刑事責任追及というところに登場してこないのではないかと思うのです。  ですから、そういう意味で、我が国においても、金融機関の破綻処理に携わる機関が刑事責任を追及しつつ破綻処理に当たっていくということが必要だと思いますものですから、その点からすると我が国の制度は不十分だというふうに思うのですが、この点について、大蔵省、どのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
  94. 山口公生

    ○山口政府委員 確かに先生のおっしゃいましたように、救済合併で不良債権もあわせて受け取っていただく場合は、そのロス分を全部贈与をするという形での資金援助になると思います。それはそれで一つの方法としてあるわけでございますが、最近の例は、多くは、優良資産を引き取ってもらって不良債権は買い取る、つまり回収機能は回収機関に委託するという、現実には整理回収銀行に委託するという形での運用が主になってきております。したがって、多くの場合は、そういう個々の回収に当たっていろいろな事件に遭遇する、判明するということだろうと思うわけでございます。  ただ、前者の場合、全然あり得ないわけではございませんけれども、そのときも、資金援助、贈与をするときにはいろいろやはり調査をいたしますので、そこでもし判明するようなことがありましたら、それは適切に対応をするということになるわけでございますし、また、受け入れる側の銀行、受け皿銀行の方でも、そういった違法行為があれば、それはもちろん追及することは国民の権利としてあるわけでございますので、いろいろな形での、そういう不正を見逃さないということは、いろいろな段階で可能ではないかというふうに思うわけでございます。
  95. 北脇保之

    ○北脇委員 いずれにいたしましても、冒頭に申し上げたように、国民の受けとめ方、そして感情というものは、金融機関の破綻の際に経営者が刑事的、民事的な責任を十分に負っていないという感情、それが非常に強いということでございます。  ですから、今後、金融システムの安定ということで思い切った政策が必要かと思いますが、そういったことを講じていく場合に、やはり責任追及、今までは何か余り国民が納得するような結果が出ていませんけれども、これからはこういうふうな形で、新しい形でやっていくんだ、そのことを明らかにして、そこに国民の信頼といいますか、それを獲得しないと、なかなか思い切った策ということについての理解も得られないのではないか。その点で、この刑事、民事責任の追及の仕組みというものをきちっとしていくということが非常に大事だということを申し上げて、この質問は終わりたいと思います。  次に、今提案されている預金保険法改正案そのものについて、幾つかお尋ねをしたいと思います。  まず、今回、地域経済に非常に大きな影響を与えるような金融機関の破綻について、特例措置として、破綻金融機関同士でも合併を認めていくという時限的な改正内容があるわけですが、このような措置が出てきた背景をいろいろ考えてみますと、一つは、破綻金融機関は存続させないという一つの原則にのっとって処理された阪和銀行のケース、ちょっと漠然とした言い方で恐縮ですが、このことが一つ背景にあるのではないかなという感じがするのです。  阪和銀行は存続させなかったということで、そのことによって、それでは実際、地域経済を含めてどのような問題が血じたというのか。そして、そのことを大蔵省はどのように評価しているか。さらに言えば、本来、破綻した金融機関で存続の価値のないものはもう市場から退場してもらうのだという、その考え方自体に変更はないのか。その点をまとめてお聞きいたします。
  96. 山口公生

    ○山口政府委員 阪和銀行の処理は、今先生の御指摘にありましたように、業務停止命令をかけまして、それで紀伊管理銀行という預金の払い戻しだけの小さな銀行を設立いたしました。そこを受け皿銀行の形にしましたが、預金の払い戻しだけでございますから、貸し出しとかそういったものまで引き継ぐという機能は持っておりません。したがって、業務を停止しまして、預金の期日の来たものの払い戻しだけを窓口でやっていただいたということでございます。  いわゆる、あいまいな言い方で恐縮ですが、受け皿銀行がなかった、探せなかったという例でございます。そういった場合どういうことが起きるかといいますと、預金者は、もちろん、そういう紀伊管理銀行のような払い戻しのための銀行をつくりましたから、これは可能でございます。それからシステム的なリスクもそこには起こしておりません。ただ地域の、これは和歌山県でございますが、地域であの後、かなり新聞等では、こちらよりは地元の方での報道が多いのですけれども、後遺症が非常にある、特に中小企業の資金繰りが苦しい、それから地元企業が新たな取引銀行探しに難航しているという記事が何度も出ております。  これは私どもも、阪和銀行の処理のときには、できるだけどこか引き継いでもらえないかということで努力はしてみたのでございますけれども、ちょっといろいろな不幸な事件等が過去にありましたために、そういう銀行を見出すことができなかったということでございます。  したがって、評価として見ますと、私どもがよく申しております預金者、システム、それから願わくは健全な取引先、その願わくは健全な取引先というところの保護がちょっとできなかったというのは大変残念なケースだと思うわけでございます。  そうすると、この阪和銀行のケースだけが市場から退出させたのかというと、実はそうでもないわけで、そこをぜひ御理解いただきたいのでございますが、仮に受け皿銀行があっても、その銀行は退場するわけです。例えば、今回は北拓のケースがございます。これは北洋銀行に受け皿銀行になっていただきましたので、北海道の経済には最小限の被害でというふうに願っておりますけれども、この場合でも、北拓は消滅いたします、経営者は全員退陣いたしますという形をとるわけでございます。  したがって、過去の例でも、そういった形で、受け皿銀行があるのでそこに営業譲渡するケースであっても、その銀行は退場いたします。債務超過の場合には、資本金は全部なくなりますので、株主は全部負担をしますし、それから経営者は全部退陣しますし、従業員の方々も一回契約関係は切れますのでそこまではおれない、一部の方は受け皿銀行に移っていただく可能性はありますけれども。  そういうことでございまして、先生の御指摘の点について言えば、破綻の金融機関は退場をいたします。しかし、そのときに、地域の取引先まで守れたか守れなかったかというと、守れなかった例の一つが阪和銀行でございます。  それから、比較的数も少なくはないのですが、信用組合のケースにおきましては、これを整理回収銀行が買い取ってしまいますから、これも預金者は保護されますけれども、地域の取引先の保護は、信組の場合は十分に図られていないという形になっておるわけでございます。  したがいまして、ちょっとくどくなって恐縮ですが、破綻になって退場をさせますけれども、その機能が引き継がれる場合と、その機能をばらばらにしてしまわなければいけないケースとがあるという違いはありますが、そういった意味での破綻金融機関は存続させないという原則は守られているというふうに考えております。     〔委員長退席、佐藤(静)委員長代理着席〕
  97. 北脇保之

    ○北脇委員 今の、破綻した金融機関を合併などで処理していくということの問題点についてはもう既にこの委員会でも再々指摘があり、破綻した金融機関が合併して新しい金融機関になっても実態は何ら変わらないということは、我が党の北側委員が昨日指摘をしたところですから繰り返しませんが、いずれにしても、金融機関を救済するということと預金者を保護するということは別物なんだ、そして預金者保護ということを第一に考えていくということは政府方針としてもはっきりしていると思いますので、そこをちょっと確認させていただきたいと思います。いかがでしょう。
  98. 山口公生

    ○山口政府委員 金融三法をお認めいただきましたので、預金者の保護には万全を期すことができるわけでございますし、システムも、その存在を前提日銀の特融も出していただけるという状況でございます。したがって、守れる。  問題は、借り手側の問題でございます。  健全な取引先と私は表現させていただいておりますが、それまで守るべきかどうかというのは、それは政策判断かもしれません。しかし、私どもは、この特例期間の間の機能をお認めいただいておりますので、できれば、金融機関が破綻しても、社会的なコストといいますか、金融機関を処理するためのコストというのももちろん一つの大事な見地でございますけれども、社会全体がそれでこうむるコストというものを最小限にすべきではないかという考え方に今立っておりまして、したがって、できれば受け皿銀行を探す。  例えば、北拓のときに北洋銀行という銀行にお願いしたわけで、北洋銀行も快くそこは御了解いただいているわけでございますけれども、私どもはそういうことをやるべきでないということになりますと、例えば北海道経済のことをどうするんだ、あるいは地域経済、取引先をどうするんだという御質問をたくさんいただいております。そういうことから見ますと、私どもとしてはその機能を与えていただいておりますので、でき得れば、そういう借り手の方の事情まで考えたベストのことをやった方が、社会的なコストあるいは今の経済状況からして一番いいのではないかということでやらせていただいているということでございます。  だから、確かに預金者だけを見ればいいというのが預金保険法の考え方であるかもしれません。それは、ずっと先の状況、将来はそういうふうに純化していくというのは、それはあるかもしれません。しかし、では預金者は、例えば一千万の元本だけでもうすべて終わりという、今の時代にそれが果たして、預金保険の本来の姿だからそれに純化しろという議論になった場合には、そうした社会的なコストというものが相当膨大になっていく、一言で言うとシステミックリスクあるいは地域経済の混乱というふうになるおそれがあるのではないかというふうに考えて、今のような政策をとらさせていただいているということでございます。
  99. 北脇保之

    ○北脇委員 今のお話の中で、銀行がつぶれたときに借り手といいますか、取引先に混乱が生じるということも配慮しなければいけないというお話がありましたけれども、これもこの委員会で何回も言われていることですが、金融機関をつぶすといいますか退場させるということになれば、そういうことは伴う。  それに対して、もちろんそういうことを、混乱を起こさしめないような配慮が必要だということは否定するわけじゃありませんが、その一方で、安易に破綻金融機関を救っていくことがモラルハザードにつながるとか、また預金保険機構で対応していった場合に、最終的に預金保険機構の財源だけで対応し切れなければ、公的資金の導入とか国民の最終的な負担になってくるとか、そういったこととの利益衡量をどう考えるかということが問題なわけですから、単にそういう取引先の問題が生じるからというようなことだけで救済していくとか一またそれを、これもたびたび言われていることですが、行政当局の裁量的な判断でやっていくということは、やはり問題があるということを申し上げておきたいと思います。  それから、今のことに関連して、この委員会でもたびたび確認された話ですが、預金保険機構で預金者を保護するといったときに、保護する対象は何なのかということがたびたび議論になりました。それについては、法律を読めば、預金保険法で言う「預金等」とは何かということで、これは限定的なものだということは明らかだと思います。  ただ、たびたび答弁があったように、破綻金融機関の処理のために資金援助をするという場合は、それは金融機関の救済といいますかそのために資金援助をするということだから、資金援助をすることによって、銀行等に預けられている金融商品は結果的に保護されることになるんだ、こういうようなお答えだったと思います。  そうなると、資金援助の特例を発動して資金援助をするときに、では援助額を決めるときの基準はどうなるのか。ペイオフコストの中でおさまる場合は、その必要額を資金援助する、これははっきりしていると思うのです。ただ、ペイオフコストを超える場合も特別資金援助ができるということになっていますから、では金額を決定するときの基準はどうなのか、上限はどうなのかということがはっきりしないのです。  もし、この法律の趣旨が、法律に言うところの「預金等」の保護が目的だというのだったら、法律に規定している「預金等」の保護には十分な資金援助をすればいいというような考え方も出てくると思うのですが、その辺がこの法律は非常にあいまいだと思うので、特別資金援助をするときの金額の決定の基準はどうなっているのか、それをお尋ねをしたいと思います。
  100. 山口公生

    ○山口政府委員 お尋ねの資金援助の量の問題でございますけれども預金保険法に基づきまして破綻した金融機関の受け皿となる金融機関に対して資金援助を行う場合には、最終的には、資金援助を行うか否かや、その援助の金額については、預金保険機構の運営委員会、これは保険料を拠出している金融界の代表で構成しておりますけれども、そこが決定を行う仕組みとなっております。  資金援助の額は、破綻金融機関の損失額を自己資本でまず穴埋めして消したものに、営業譲渡に要する費用等を加えたものとして計算されます。それがこの法律の形でございますが、昨年成立させていただきました金融三法におきまして、預金保険機構が受け皿金融機関に対して資金援助を行うに当たりまして、資金援助に要すると見込まれる費用が保険金の支払いに要すると見込まれる費用、いわゆるペイオフコストを超える場合にも、大蔵大臣が、これは金融監督庁長官が、信用秩序の維持のために必要であると認めるときは、資金援助ができるような時限的な措置が認められているわけでございます。したがって、そこには、必要性を認定してそのペイオフコストを超えて出すことが現実に可能であるということであります。どこが限度ということではないわけで、極端に言えば、ロスを全部埋めるということが可能なわけであります。  木津信組の場合も、これは相当な額になりまして、実は金融三法を制定していただく前に木津信組が大きな社会問題になって、窓口に相当預金者の方が殺到されたという事件がございました。木津信組の場合も、最終的にはこの特別資金援助の方式で処理を行っておりまして、具体的な資金援助額は、木津信用組合の損失額等から自己資本額を差し引いた金額を整理回収銀行に金銭贈与をしているところであります。これは整理回収銀行が資産を全部引き取りましたので、そういう形になってございます。
  101. 北脇保之

    ○北脇委員 そうしますと、先ほど私がちょっとお聞きしました資金援助によって救済する場合は、預金者保護については、預金保険機構に加入している金融機関等の商品であれば、これは特別資金援助の全体の中で保護される、こういうことだということでよろしいでしょうか。
  102. 山口公生

    ○山口政府委員 先日、海江田先生の御質問でも同じようなことがありましたが、そういう御理解で結構でございます。預金取扱金融機関金融商品ということですね。
  103. 北脇保之

    ○北脇委員 それで、この預金保険機構による金融破綻処理ということですと、どうも預金者保護と金融機関の救済ということがごっちゃになってしまって、線が引けないというふうに思うのですね。それは、もちろん事の事情として線が引きにくいということもあるのは理解できます。ただ、預金保険法そのものの本則を見ると、片方で保険金の支払いという、ペイオフという手段があって、それと並んで資金援助による救済という手段があるわけですから、やはりペイオフというのが本来、本則的な処理手段として想定されているということは事実だと思うのですね。それを今、特例期間ということで、一千万を超えて計算した資金援助でできるようにしているわけです。  これは私の、一つの私見としての考えなのですが、それではペイオフという仕組みがあるというその本則に立ち返って、そのペイオフの額を、預金者の預金を全額保護するという形で金額を引き上げることで、このペイオフ、ペイオフという言い方は変ですね、保険金支払いの仕組みというものを活用していく、そういうことをすれば、まさに預金者保護のために預金保険機構を使っているのだということが明確になると思うのです。そういうような改正の考え方というのはどのように考えられるか、お聞きしたいと思います。
  104. 山口公生

    ○山口政府委員 先生の御指摘は非常に筋の通った議論だと私は思いますし、現に法律にはそういう道も開かれております。預金を買い取るという形でございますね。  ただ、そういう方法は一つの手段として現に法律にありますし、そういうことも可能にはなっておりますけれども、例えばCDとか公金預金等は、実はその対象から外れている。資金援助の場合には入るというふうに申し上げましたけれども、一応買い取るとなると、預金保険法で対象としているやはり「預金等」となりますから、例えば公金預金をとってみますと、それは対象には入りませんですね、あるいはCD等は。そうすると、そういう処理をした途端に相当不測の動きはするだろうというふうに思うわけであります。  それから、そういった形での、一部の預金だけ、あとはカバーしないということが明らかになりますと、今度は、例えば日銀の特融を出すときの担保、根拠をどこに置くかというような、かなり難しい問題にもなるケースもあり得ると思いますね。  したがって、今の法律体系としてはそれもできます。現にそういう選択をやる可能性もそれはあると思いますけれども、種々の情勢を見たときに、社会的に一番コストの少ない方法を今考える、現代の我が国経済に一番合ったやり方を考えなければいけない。  せんだって鈴木先生からも、いろいろ原則のお話、教えていただきましたけれども、かなり歴史が長く制度として積み重なっていきますと、どんどん発達しながら原則が打ち立てられる状況になっていくと思うのですけれども、今の状態では、やはり混乱を起こさないというところを最大限の政策課題にしているというところは、ひとつ現状を御理解いただきたいというふうに思うわけでございます。
  105. 北脇保之

    ○北脇委員 ただいまの点で一つだけ確認させていただきたいのですが、今の制度でも、保険金支払いのときに、預金債権を概算払いで買い取るという仕組みがありますが、その概算払いで買い取るという中に、その金額を計算するときに、預金の全額を保護するに相当する金額で概算払いするということも含まれているのか、それを確認させていただきたいと思います。
  106. 山口公生

    ○山口政府委員 この概算払いの制度は、この間の手続法のときに議論させていただいた制度でございますが、先生おっしゃいましたように、これを一〇〇%にするということは可能でございます。  ただ、それは、問題と言うとちょっと私として言い過ぎかもしれませんが、その場合どういうケースになっていくかと申し上げますと、そういう一〇〇%買い取りにしますと、それはペイオフが前提となるわけですね。ペイオフだけれども、一定額だけではなくて全部、こういう形。そうすると、まず当該破綻の金融機関の業務はストップするということにいたします。それで、先ほどから申し上げました取引先の関係は全部切ります。したがって、その取引先の資金供給というのは図られない。それからもう一つは、先ほどちょっとくどくど申し上げて恐縮でございましたが、公金預金など、本来の対象になっていないところは、これは保護されないという形になっていくわけでございます。  そういう処理が現実の法律体系としては可能であることは先生の御指摘のとおりでございますが、それが、現実に適用したときに混乱を起こさないかどうかという見きわめが必要かなというふうに思うわけでございます。     〔佐藤(静)委員長代理退席、委員長着席〕
  107. 北脇保之

    ○北脇委員 ただいまの問題は、預金保険法という、もとからあった法律、それが保険事故を想定して、その対処ということでできていたところに住専処理絡みといいますか、いろいろな金融問題の処理を乗っけてしまったために、若干の矛盾が出ているというような感じがいたします。いずれにしても、今の金融システムの大変な事態を乗り切っていくための手段としては、やはり預金保険法のびほう策といいますか、継ぎはぎではなかなか対処できない、やはり抜本的な対策が必要だ、そういうふうに思います。  そういう意味で、これは私どもの党がずっと主張しておりますが、今回の預金保険法改正案というのは、とてもそれだけでこの事態に対処できるものではないので、もう一度根本から議論し直した方がいい、そういうふうに思います。  それから三番目に、証券の関係をちょっとお聞きしたいと思うのです。  寄託証券補償基金という制度があります。これによりますと、補償の対象となるものが、預かり金、それから寄託有価証券、保証金、証拠金及び代用有価証券、さらに兼業業務により寄託を受けている金銭、有価証券等々、こういうふうになっておりますので、言ってみれば、お客さんから預かった資産、これについて補償をするということだと思うのです。  ですから、この寄託証券補償基金で、お客さんの資産に仮に何か穴があいていたときに埋めるというところを超えて、証券会社の経営の失敗によって生じた、さらに上回るロスといいますか、そこのところまでこの基金を利用して補てんをしていくということはできないのじゃないかと思うのですが、この点についてはいかがでしょうか。
  108. 長野厖士

    ○長野政府委員 お答え申し上げます。  御指摘の点は仰せのとおりでございます。したがいまして、現実に事が起こっておりますのは三洋証券のケースでございますけれども、顧客の資産に関しましては寄託証券補償基金が発動して肩がわりをしておりますけれども、一般債権者の債権につきましては、現在裁判所の保全命令下にございまして、その中で残余財産からの配分をする、寄託証券補償基金からの補償は行われないということでございます。
  109. 北脇保之

    ○北脇委員 ただいまのお答えは大変明快なお答えだったと思います。  ちょっと関連しますが、そもそもその寄託証券補償基金で対応する必要が生じてくるということ、それは本来、お客様から預かった資産を明確に分離して経理していれば、そこは手つかずということで、寄託証券補償基金が発動しなくても、証券の破綻のときに、そのままその証券に残っているものをお返しすればいいということだと思うのですけれども、どうも三洋証券の破綻のケースなんかでは、そういうお客さんの財産と証券会社の財産がどんぶり勘定になっていて、証拠金とか預かり金というようなものが証券会社の資産運用、ファンディングに使われていたというようなことが報じられておりますが、実態はどうでしょうか。
  110. 長野厖士

    ○長野政府委員 お尋ねのとおり、証券会社におきましては、お客さんの資産をできるだけ分別管理をするということにいたしますと、証券会社の経営破綻の影響というものをお客様に及ぼすことはございません。  ただし、制度的に、先ほど先生が寄託証券補償基金の補償対象としてお挙げになりましたようなものは、現在の仕組みにおきましては証券会社に対する一般債権となるものでございますので、それは証券会社においてその資産の使用を行っておる。したがって、返還に差しさわりが生ずるので、そのような場合には寄託証券補償基金で補償いたします、こういう仕組みになっておりますので、御指摘いただきましたように、できるだけ顧客財産を分別管理をするという方向へ持っていけば顧客が巻き込まれる余地が少なくなりますので、諸外国の例も参考にしながら、その方向で今後、分別管理の制度の充実をいたしたいと考えておるところでございます。
  111. 北脇保之

    ○北脇委員 ちょっとわからなかったところがあるのですが、寄託証券補償基金で補償対象となっている例えば預かり金なんかでも、分別して管理をすることは必要だけれども、それは一般の債権者の持っている債権と同じという扱いになるということでしょうか。
  112. 長野厖士

    ○長野政府委員 御説明が不十分で申しわけございませんでした。  例え話で例を挙げて申し上げますと、例えば来週国債を買ってほしいということで、百万円を証券会社にお預けになったという方がいらっしゃった場合、それは証券会社が預かりっ放しのお金ですので、何か事があった場合には、法律上、他の一般債権者と同じ扱いを受けるということを申し上げました。したがいまして、そういったお金について分別管理をできるだけやっていくことができないかということが考えられます。  分別するという意味は、証券会社の中から外に出すということでございますから、そういったお客さんから預かっている、例えば証拠金などというのは典型的な例でございますけれども、それを証券会社が受け取っておるのではなくて、証券会社から今度は外に、例えば信託銀行に預けてしまっておくということになりますと、証券会社が破綻を起こした場合でも、お客様はその信託銀行に預けられている資産から返してもらえるという仕組みをとることができますので、分別管理を充実いたしたいというのは、そんな仕組みを充実していきたいということを申し上げたわけでございます。
  113. 北脇保之

    ○北脇委員 それでは、分別管理がされていない段階で預かり金が証券会社にとどまっていれば、その証券会社でその預かり金を、別にお金に色がついているわけではないですから、運用の方に使おうが、そのことは別に問題ではない、こういうことでございましょうか。
  114. 長野厖士

    ○長野政府委員 これは業務の遂行上、どうしてもそんな局面が出てくると思います。例えば株式の売却をお客様が委託した、きょう株式の売却ができた、お客様にあした渡すというとき、その日一日、その代金は証券会社にございます。これは一般の商取引のときにも同じ現象が起こると思いますけれども。そういった範囲ではどうしても、分別管理をすれば顧客と証券会社の間の債権債務関係をゼロにできるかと申しますと、今のような例からいって、ゼロにはできません。しかしながら、例えば信用取引の証拠金として預かっているものといったものは先はどのような方法で分別管理ができるのではないかということで、できるだけ証券会社の一般の、いわばどんぶりとおっしゃいましたけれども、一般の金銭の中に埋もれてしまうという部分を少なくしたいということを申し上げておるわけでございます。
  115. 北脇保之

    ○北脇委員 最後に、日銀からもおいでいただいておりますので、日銀に関連することをお尋ねしたいのです。  山一証券の破綻について、日銀特融、この償還が果たして大丈夫かということは、たびたびこの委員会で質問がありました。それに対する総裁のお答えは、当面、九月末で債務超過になっていないということが前提ですけれども、さらにそれに加えて、寄託証券補償基金の拡充とおっしゃったか、見直しとおっしゃったか正確ではありませんが、そういうことも含めて政府でいろいろな対応を検討されているので、そのことも考慮に入れれば償還は大丈夫だというふうに考えているというお話でございました。  今の寄託証券補償基金の性格からいうと、先ほど確認したように、補償の対象になっているものは限られているということですので、それ以外の一般債権債務関係で生じてきたようなロスをこれで埋めていくということができない。そういうことを考えると、日銀の特融の償還のためにこの基金を活用していくということは限界があるというふうに思うのですが、その点についてはどういうふうにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
  116. 福井俊彦

    ○福井参考人 お答え申し上げます。  ただいま委員から御指摘のとおり、日本銀行が特融を行います場合に、最終的にそのお金が戻ってくる、つまり償還の可能性についてぎりぎりまで私どもは詰める、詰めた上で行うということを行っております。山一証券の破綻のケースにつきましても、そもそも証券会社の破綻のケースで特融を出すということ自身、大変臨時異例のことでございまして、それだけ経済的なバックグラウンド、あるいは金融的な環境が急激に厳しくなっていた状況ということでの臨時異例の措置でございますが、いかに臨時異例の措置の場合であるといえども、最終的な日銀特融の償還可能性については十分検討の上、行ったということでございます。  既に、委員今お述べになられましたとおり、特融を行いました時点での私ども基本的な判断は、山一証券は債務超過ではないと考えられるということでありますが、万一検証をしていく過程で債務超過に陥った場合にも、政府におかれて本件、つまり山一の件の最終処理を含めて、財源確保のためいろいろな方策を検討されるということを承知の上、行ったということでございます。  今御指摘がありました寄託証券補償基金の財務基盤の充実あるいは機能の強化等の措置というのは、これは場合によっては法制化を要するということでありましょうから、その辺のところはこれからの国会の議論に大きくかかっているところでございますけれども、これもあくまで選択肢の一部として政府が考えておられる、そういう理解の上で実施したということでございまして、政府のいろいろな最終的な処理の中で特融の返済財源も確保されることを私どもは強く期待している、こういう状況でございます。
  117. 北脇保之

    ○北脇委員 最後に、大蔵大臣にお尋ねいたしますが、今の日銀の方の御答弁に対応して、政府としては、日銀の特融の償還を必ず行えるようにするために、今の寄託証券補償基金の見直しといいますか、そのことを含めて、今までいろいろな対応をすると言われてきたこと、具体的にはどういうような用意があるのか、そのことをお聞かせいただきまして、質問を終わりたいと思います。
  118. 三塚博

    三塚国務大臣 本件につきましては、通常国会、次期でございますが、本件について、ただいまの御論議も踏まえながら提出をし成立を図る、こういうことでございます。
  119. 北脇保之

    ○北脇委員 非常に抽象的なことで、改めてということになりますが、以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  120. 村上誠一郎

    村上委員長 次に、中川正春君。
  121. 中川正春

    中川(正)委員 新進党の中川正春です。  引き続きまして、質問をさせていただきたいというふうに思います。  まず冒頭、今いろいろな経済政策の議論がございます。恐らくは大蔵省のそれぞれの部局の中で精いっぱいそれぞれ担当者が検討をして、議論をして、その結果として大蔵省全体として現在の経済政策というのが上がってきているというような、そのプロセスは新聞紙上でも、あるいは中身の議論の中でもそれぞれあらわれてきておるところなのですが、考えてみると、現在のいわゆる経済がこれだけ沈み込んでしまったその原因、それぞれ指摘をされている中に、増税をやったということ、それからそれぞれ不良債権がそのまま残っているということ、それに加えて来年度を含めた予算のフレームが非常に縮まったものになってきているということ、こういうことが重なりながら、現在、これは政策の間違いなのだ、政策不況なのだ、こういう表現の中で指摘をされておるわけであります。  これを振り返って各部局に戻して考えてみると、やはり主計局、それから主税局の、簡単な言葉で言ったらひとりよがり、自分の範疇の中で財政のつじつまを合わす、それから、それこそ税金というのは一円たりとも下げないのだということ、そこのところが非常に大きく出てきておりまして、それが結果的には金融自身がそれぞれ今やっていかなければならない状況の足を引っ張るような結果になっているのではないか、こういうふうに思うわけであります。  もう一つ、それをさかのぼって考えていくと、今度はバブルが崩壊をしたときに、その後、これは今度は財政出動だ、こういうことでどんどん補正を組み込みました。これもやはり主計局の思い入れだと思うのですよ。私たちがこの国を動かしていかなければいけないのだ、私たちが経済動向というのをコントロールしていかなければいけないのだ、そういう使命感に燃えて恐らくはああした政策をやったのだろう、こういうふうに思うのです。それは、今度は逆に裏を返して、あれはきかなかったのだから今度は財政バランスだということで、これを今頑張らないと、それこそ日本の次の世代がおかしくなるという理論のもとに、主計局、主税局、頑張っておる、こういう状況だと思うのです。  これは前々から指摘されていることなのですが、大蔵省の中がどうも主計局、主税局ペースで政策誘導がなされて、それが突出するために日本全体の経済運営というのがゆがめられていく、この結果、特に最近状況がおかしくなってきた、こういうことだと思うのですね。  それに対して、行政改革の中で大蔵省をどうするかという議論があるのですが、私はこの結果を見るだけでも、やはり対等の立場でそれぞれがトータルで議論をしていくという土壌をつくってやらないと、いつまでも主計局中心のこうした政策から脱皮できないのではないか、そんなふうにも感じるわけであります。  この結果を見ただけでも、金融と財政の分離はこの際はっきりしていって、それぞれが対等の立場で政策バランスをとる、ポリシーミックスというのをもっと健全な立場でやっていく、そういう観点にここで立ち戻らないといけないのだというふうに思っております。  そういった意味から、大臣、大所高所から、この状況をどう見ておられるか、お聞きをしたいと思います。
  122. 三塚博

    三塚国務大臣 大蔵省の機能、責任論についての御質疑でございます。  政党内閣においては、政治家国務大臣として主管を分担をいたします。大蔵大臣は、各局を統括をして、この国のために、国民のために政治を実行するということになるわけでございまして、御指摘は御指摘として受けとめます。そういう見方もあるだろうということを私は全く否定するものではございません。これを統括して、前段申し上げました政治の大目標に向かって取り組むというのが、政治家である国務大臣の役目でございます。  主計局がイニシアをとって全体を統括する、そういうことは、私の知る限りでは、ございません。主税局、財政の基本は税でございますから、そういう点で、公平の原則に基づいて、税の徴収を図って資源配分をいたすという目的があります。これも主計局ペースで物事が決まったという事実はないと私は見ております。その時々の内閣が、その時々の公平の原則に基づいてとり行う、こういうことで、責任は政党内閣、主管大臣に帰するところでございます。  そういう点で、財金分離の話が出ましたが、今度の行革の取り決めの中で、来通常国会スタートまでに結論を出す、こういう決定でありまして、これはこれとして、就任以来、私は行革の基本方針を守る、こう申し上げてきておるわけでありますから、議会制民主主義によって生まれた内閣の責任でやる、こういうことでありますから、これはこれとして担当してまいったところであります。  以上、申し上げましたとおり、今日の事態に対応しながら、大蔵大臣として、また国務大臣として、全省を挙げて金融システムの安定維持、そして預金者の皆様に御安心をいただく、そのことによって不透明感、不安感が払拭をされまして、本来の日本の姿を取り戻させていただきますために、事務方ともども、その先頭に立ちまして、適時適切に指示をしながら取り組んでおるということであります。
  123. 中川正春

    中川(正)委員 言われるとおり、ここでそれこそ政治が機能しなければならない、こういうことだと思います。  そんな中で、まず何が優先課題なのか、ここをどうぞ、今日本の国内で沸き起こっているこの経済状況をしっかり私たちが受けとめて、財政だけにこだわる、そのことだけを言い募るというふうな、そんなかたくなな議論じゃなくて、大蔵省の中のそれぞれの担当ももう一回心を大きく開いて、今何をしなければいけないのかということ、これを政治のリードで、ひとつ原点に戻ってやっていただきたい。これをまず冒頭お願いを申し上げたいというふうに思います。  そこで、先ほどのいわゆる金融の危機でありますが、これまでいろいろな議論が出てきておりまして、答弁を聞くほど、あるいは中身を突っ込んでいくほど、整理がなかなかできてこないという状況が生まれてきているのではないか。だから、それだけにもっともっと時間をかけてこれはじっくりきわめていかなければいけないことじゃないかということを、改めて思い募っておるようなところであります。  私は、今はちょっとこれを国民の立場から、金融の不安というのは確かにある、この金融の不安の中身というのが国民の立場からしてどういうことなのかということを、一つ一つ指摘といいますか、項目別に分けてみながら、それに対する政府の今の政策というのをもう一回確かめていきたいというふうに思っております。  これは五つほどに分けたんですが、一つは単純なことで、これは預金者や投資家が、自分が預けているお金が本当に戻るのかな、大丈夫かな、それがずっと高じていきますと取りつけ騒ぎに結びついてくるという、こういう不安であります。  それから二つ目は、最近議論が高まっていますが、一つ金融機関の破綻というものが連鎖を起こしまして、決済システムの停止だとか、あるいは他の業種にも及ぶ連鎖倒産というものを引き起こしながら地域の経済を破壊していくというこのプロセス、これがシステミックリスクということなんだろうと思うのですが、これに対する不安というものがあると思うのです。  これは即、目の前にある不安でありますが、これのもう一つ背景として、私たちの心の中にとげみたいなもので挟まっている、奥深くの底流というのがあるのだと思うのです。これが、一つは不良債権の存在そのものであると同時に、一体この不良債権の規模というのがどういうふうになっているのか、日本は本当に危ないのか、大丈夫なのか、この辺の心のとげというのがあるのだろうというふうに思います。  それから四番目が、これは最近になって現象が顕著になってきて、私も地元へ帰ると、銀行が金を貸してくれることを渋り始めてきた、いわゆる銀行の貸し渋りが見えてきております。これは、こういう現象が景気の足をさらに引っ張りまして、全体が縮小均衡、経済自体がぐうっと縮まっていくような、そういう現象を今起こしてきつつある、こういうことに対する不安であります。  最後に、五番目に、これは国際的に見て今日本がどういう状況に立っているかということだと思うのです。  海外で円が売られ始めております。それに連動して、連動してというよりも、それぞれのタイミングの中で、韓国やタイ、まあ発火点は日本なんだろうと思うのですが、引き金を引いたのは日本だと思うのですが、これがいわゆる金融恐慌を起こしつつある。こうした金融不安というのは、さらに発展していくと、今頑張っておるアメリカそのものの足まで引っ張っていって、世界の経済状況というのが本当に深刻なものになっていく可能性をはらんでいる。そういう今の日本の立場に対しての不安、こういうことだというふうに思います。  そこで、これは一つ一つ確かめていきたいのですが、まず第一の問題です。  預金者や投資家が取りつけ騒ぎは起こさないように、政府がこれは保証していきますよ、二〇〇一年まではペイオフしないでみんな守っていきますよ、こういうことを再三言っておられますが、しかし、どうも具体的な話になると、きょうの質問でもそうだったのですが、もうひとつはっきりしない。どこまでを今保証していこうとしているのか。預貯金、いわゆる貯蓄商品いろいろありますが、預貯金については大丈夫ですよというのは、外貨預金も含めて確認をされたところだと思うのですね。  その後に続く信託とそれから金融債、まず、これについてはどうなんですか。はっきり答えていただきたいと思います。     〔委員長退席、村田(吉)委員長代理着席〕
  124. 山口公生

    ○山口政府委員 しばしば御答弁を申し上げておりますが、結論的に言いますと、預金保険の対象になっている預金取扱金融機関金融商品、これが、資金援助の形をとった場合にはすべて入りますということを言っておるわけでございます。したがって、今おっしゃったものも当然該当いたします。  ただ、それは二〇〇一年までのそういう仕組みがあるからということでございまして、また、くどく言えば、本則がこういうふうになっておりまして附則がこういうふうになっておりましてという説明をして、そういう形になっている。だから、アプリオリになっているものではないということですね。
  125. 中川正春

    中川(正)委員 そういう話では国民にとってはわからないのですよ。金を出しているから保証しますということじゃないと思うのですよね。  特に、その中で私はもう一つ理屈がわからないのは金融債。たびたび金融債の話が出ているのですが、救済する方では入れたいだろうけれども国民にとっては、何で金融債が税金で保証されなければならないんだという、そこの議論があるんだと思うのですよ。もう少しはっきりさせてください。
  126. 山口公生

    ○山口政府委員 これは海江田先生のときの議論もいろいろあったのですが、負担の問題とか、そういういろいろ不公平ではないかという議論は当然出てくるかもしれません。しかし、今の時点で、この附則で認められている手段でもってそういうものが入る。入り得ると言ったらちょっと誤解を生みますので、入るような運用をしてきております。  ただ、一つ先生に御理解いただきたいのは、それは破綻をした場合の話でありまして、破綻しないように健全にやっていくという、もっともっと前の段階のことが一番大切でありまして、現に金融機関はそういうふうな運営をいたしておりますので、そこはまず御安心いただきたいというのが大基本でありまして、いざというときの、ぎりぎり最後のときの話でどうかとおっしゃいましたので、今の法律の仕組みはそういう手段が確保されておりますということでございます。それは、預金保険の対象になっている機関の金融商品ということになっていくわけでございます。
  127. 中川正春

    中川(正)委員 だとすれば、これは法律に欠陥があるんだと思うのですよ。そこのところは前回改正のあったときにいろいろ議論があったんだろうというふうに思うのですが、しかし、信託と金融債というのは、これはどう考えても国民が納得すべきところではないんだろうと思う。こういうあやふやなところがあるから、片方でおかしいじゃないかという議論が出てきて、もう片方で、いや、どこまで保証してもらえるのかさっぱりわからないという不安が出てくる、こういうことだと思う。  そこのところを、もう一回答弁しますか。
  128. 山口公生

    ○山口政府委員 ちょっとまた細かくなって大変恐縮ですが、信託のところは、少し正確に申し上げますと、そもそも信託商品については、信託銀行には法律上信託財産の分別管理義務が課されていることから、顧客財産の安全性は預金保険制度の適用いかんにかかわらず確保されております。さらに、貸付信託などの元本補てん契約のある信託商品、ビッグなどについては預金保険の対象にもなっている。だから、信託と一くくりでおっしゃいましたのではくっとしたお答えをしましたけれども、細かく言えば、そういうふうに一つ一つなっているということでございます。
  129. 中川正春

    中川(正)委員 そこのところをはっきりさせるということ、これが一つは不安というものに対する対応でもあるんだということを肝に銘じていただきたいと思います。  それともう一つ、保険があるんですよ、保険。保険についてはどうですか。具体的に言いましょう。  いろいろな種類があるのですけれども、定期保険、生前給付つき定期保険、終身保険、養老保険、子供保険、それから貯蓄保険、個人年金保険、変額保険、疾病医療保険、保険もいろいろあるのですよね。この中身はどうなんですか。どこまで保証するのですか。
  130. 山口公生

    ○山口政府委員 保険商品につきましては、支払い保証制度を今真剣に議論をしております。したがいまして、そこで、どこまで、どういうものを対象に保護するか、また特例的なものを設けるかどうか、そういったことを含め、今鋭意議論をしております。  そこでの結論を待って、これは恐らく法律改正のマターになると思いますのでまた改めて御審議をお願いすることになると思いますけれども、その支払い保証制度、この整備で保険商品の保護といいましょうか、保証といいますか、そういうことを完備していきたい、こういうことでございます。
  131. 中川正春

    中川(正)委員 しかし、保証していきますよとこの間大臣答弁されましたよね。大臣、ちょっと確かめますけれども
  132. 三塚博

    三塚国務大臣 これは何回も申し上げているところであります。どうぞ、この制度について私が申し上げているところは、安定性の確立。この議事録、ちゃんととってあるんです。その安全性確保に万全を期す、こう申し上げて、前段、これを読みましょうかね。読まぬでいいですか。
  133. 中川正春

    中川(正)委員 私の読解力が悪いのか、それとも政治言葉というのはこんなんだからわからないのかあれですけれども国民がこれを聞いていたら混乱しますよ、これは。そこが危ないというんですよ。  だから、もう一回聞きますが、この保証していくという今のお答え、よろしいよ。今それを政策としてまとめようとしている、これはわかりますよ。そのときに、もう一つはっきりしてほしいのは、方向性として、支払い保証基金というようなものを生かしていこう、いわゆる保険制度をつくっていこうという方向性があるんだろうと思うのですが、その保険制度というのは、私だけでやる、いわゆる業界だけでそれを支えていくような制度でやるのか、それともいざというときに、やはり政府保証なり日銀特融を通じてなり、あるいは直接の政府の公的資金というのをそこへ入れ込んでいくよという前提で考えていくのか、そこはどうなんですか。
  134. 山口公生

    ○山口政府委員 その点につきましても、今後検討されていくと思います。  保険の場合は、一番大切なことは、保険契約そのものが継続をされるということだろうと思うわけであります。預金の場合は、元本保証のケースですと、その元本が返ってくるということですね。ところが、保険契約の場合は、これは息の長いものが多い。まあ短いものもありますけれども。そうすると、例えば私が生命保険に入って、それで三十年掛けて云々というときに、途中で切られてしまいますと、私は新しい条件でまた別の保険会社に入らなければいけません。そのときに条件が不利になります。私、身体検査をすると健全でないかもしれません。そうするとまた保険料が上がります。そうすると、契約が切れること自体が不利益になるわけです。  だから、保険の場合は、契約を継続してあげるということがまずは大切であります。  この間の日産生命のときも、契約の継続はありますが、あのときには、未来にわたっての基礎率が、私正確にはちょっと覚えていませんが、五分五厘で回したのが二・七五という今の金利に直したというようなことをしただけで、あとは継続をさせたというふうに聞いております。
  135. 中川正春

    中川(正)委員 これに対してもやはり明確な答えが返ってこなかった。いわゆる話の筋をほかへ持っていきましたよね。こういう部分というのがやはり不安につながっていくんだ。  今は、これは政府の責任ですよ。次の通常国会の中にそうした意味でのしっかりした方針が出てきて法制化されるという前提で我々も一緒に議論を重ねていきたいというふうに思うのですが、やはりそうした中途半端さ、これを反省していただきたいというふうに思っております。  それから次に、システミックリスクの方でありますが、これは日銀あるいは政府、いろいろなルートで今これを防ぐ道筋が考えられています。  私は、ちょっとわかりやすい図でと思って資料を配付させていただいたんですが、これは、預金保険機構を中心にして今この法律の中で実施されている手法であります。  これに対して、日銀特融から始まって、もう日銀だけでも、前に言いましたように出資、借り入れがありますし、それから政府の方も、出資から保証から、これは信組特別勘定に限りますけれどもありますし、いわゆる公的資金というのを広義にとれば、いろいろな形で既にメカニズムは働いている。しかし、それは限定されたものだ。特に政府保証に限っては、信組特別勘定、信組にのみ働いている。こういうことであるから、今自民党の中で起こっている議論というのは、これを一般の銀行にも広げていけるような枠組みをつくっていこう、そういう意図というのはわかるのです。しかし、私は、その中に非常に危険な要素というのが含まれているのだろうというふうに思うのです。  それは何かというと、もともと民間が民間だけで、ということは、この業界だけで預金保険機構をすべて賄っておって、お互いが保険制度というのをつくりながらその中で運用をしていくということであれば、それを使う目的というのが、これはよく批判される破綻金融機関の救済であってもいいと思うのですよ、こういう時代背景の中では。あるいは預金者保護、これはもちろんのことでありますが、この預金者保護に加えて、私は、業界でやっているシステムであれば、それなり金融機関、お互いが助け合うという制度、これを保険制度でつくりましたよ、それで成り立っていくのだろうと思うのです。  ところが、これに公的な機関が関与をしまして、それに保証であろうが、直接の出資であろうが、一あるいはまたそれこそ特別の貸し出しであろうが、どんな形にしたって公的に資金を流すということになったら、これはおのずとその目的は峻別をされなければいけない、そういうふうに思うのですね。そこのところの峻別があって初めて公的資金の議論ができるのだろうというふうに思うのです。  だから、公的資金は必要なんだが、しかし、今議論されているような預金保険機構を通じてやった場合には、その支出の目的というのがあいまいになってしまう、ぽかされてしまう。それで、それの大義名分として、いわゆるシステミックリスク、あるいはまた、もう使い古されたのかもしれませんがツー・ビッグ・ツー・フェール、あるいはその地域でどうしてもなくてはならない銀行だから、こんなような理屈でその辺の基準というのがなし崩しになっていってしまう、こういう危険をはらんでいるというのが、今それぞれの議論から出ている話だというふうに思うのです。  そこで、大蔵大臣としては、そこの峻別、公的資金のあり方、これはこれまで何回も出てきた議論だと思うのですが、もう一度、そういうことを前提に、公的資金のあり方というのをどう整理をされていこうとしているのか、大蔵大臣の御意見をいただきたいというふうに思います。
  136. 三塚博

    三塚国務大臣 公的資金、政府とすれば公的支援の体制いかん、こういうことで、私も事務方にそのあり方について、点検、分析、検討、結論を出す、こういうことで指示を与えておるところでございます。  峻別をどうするのか等々の問題があります。ただいまの委員の意見、御党もいろいろと意見があります。各党もいろいろと意見があります。百罰百戒、一罰百戒、五十罰百戒、いろいろあります。こういう中で、国民世論を代表して国会にお出になっておられるわけでございますから、私は謙虚にそれをお聞きをしておるわけであります。聞くだけで何もしないわけではない。何回もこれも申し上げておるとおり、点検を指示し、政策立案へのありとあらゆるものを出せ、こう言って真剣に論議をいたしておるところでございます。  国民世論の動向をしっかりと見定めながら、同時に、我が国金融システムが万全であるためには何をしなければならぬか。本委員会でも余り出ない論議で、世界一の債権国、国民の預貯金は、大変な国民性のおかげで一千二百兆預貯金があります。いろいろ言われておりますけれども、貿易等でまた頑張り抜いてやっておる、それもあります。政府の持っております外貨準備高、二千二百億ドルであります。これも世界一であります。  こういう中で、どうしてこの今日の事態を、醸し出されておる不安感を、正常な姿を見詰める中で、しかし、なおかつパニックの経験があります。風聞が風聞を呼んで、ある日突然ということがあります。それを出させないために、セーフティーガード、安全な取り組み、ネットワークをどうつくり上げていくかというのが政治に与えられた基本であります。  こういうことで、ただいまの御意見は、拝聴しながら今後に生かします。
  137. 中川正春

    中川(正)委員 日銀の方から御苦労さまでございます。  今のところ、さっきのような話をしているうちにいろいろなことが起こってくるだろうと思うのです。もう既に特融は三兆円を超えてきた。こういう中で、海外からも円に対する信用、大丈夫なのか、日銀そのものがそれこそ不良債権で倒れてしまうのではないかというふうな状況さえ心配をされるということであります、今は特融しかないわけですから。  こういうことに対して、日銀としては、どういうスキームがこれから先必要なのかという問題意識を持っていられるか、そこのところをお聞かせください。
  138. 福井俊彦

    ○福井参考人 お答え申し上げます。  ただいま委員から非常に重要な御質問をちょうだいしたというふうに思っております。  金融システムの保全あるいはシステミックリスクを防止するということの本質は、やはり日本経済そのものの発展の基盤をあくまでもしっかり確保するということでございます。経済金融システムは不可分の一体ということでございます。したがいまして、そこのポイントを押さえてきちんと対応できる枠組みをそろえるということが、世界のマーケットの中から日本を見た場合にも日本に対する信認がつなぎとめられる、あるいは信認が高まる、今の委員の言葉をかりれば、日本という国の通貨に対する信認が高まる、そういうふうになると思います。  したがいまして、金融システムの保全を図るためのもろもろの枠組みにつきましても、これは精級に、必要なものをきちんとタイムリーに整備していく必要があると思いますけれども、それぞれの仕組みについて、同時に役割分担、限界というものをしっかり明らかにしながらやっていく。  例えば日本銀行の特融につきましても、これはシステミックリスクを防ぐためにある局面においては使わざるを得ない、使うことが必要だということがございますけれども、しかし同時に、これは一方において、通貨の信認の基礎を掘りますリスクを背負いながらやっているということでございます。したがいまして、日本銀行が執拗にお願いしておりますとおり、最終的なロスは日本銀行負担できないのだということを強く申し上げているところも、そのところにございます。  一方、金融システムの保全を図っていくためには、しかし、日本の仕組み全体としては、どこかでこのロスを吸収していく仕組みを持っていないと、全体の仕組みとしては不十分だということになると思います。  それで、ロスを吸収していく仕組みのかなめにあるものが預金保険機構ということで、現に日本でもこれが活用されてきておりますけれども、この預金保険機構の仕組みそのものも、一方において、これが余り安易な仕組みだというふうに認識されれば、金融機関のモラルハザードを呼ぶということがございます。これで一千万円以下の保証ということを超えて預金全額を保証するというふうなこと、あるいはさらに公的資金を入れるかどうか、そうした節目節目で、モラルハザードを生むリスクとの兼ね合いということを十分吟味した議論がやはり必要だ、こういうふうに思うわけでございます。  預金保険機構は、もともと一千万円以内の預金を保証する、しかもそれを民間の資金で保証する、そういう原点にある仕組みそのものについても、もしかしたらモラルハザードを呼ぶリスクがあるというふうに、原点からその問題を引きずっておりますので、この機能の拡充は私は必要だと思っておりますが、同時に、モラルハザード防止のために問題点をしっかり押さえておく必要がある、そういうふうに認識しております。
  139. 中川正春

    中川(正)委員 ちょっと一つ一つ長くかけ過ぎたので時間が足りなくなってきました。次に移ります。  不良債権そのものでありますが、これは、一つは透明性の確保ができてない。特に、検査等しても、基準に照らし合わせてこれだけ不良債権がありますよという、その申請の中で計算した数字だからこんなものですよ、こうしゃあしゃあと言えるような状況じゃないのですよね。それが実際、破綻を起こして、ふたをあけてみたら、もうそれこそ二十五倍。そんなばかなというような話になるわけですよね。これも本当に国民のサイドから見たら、すごく大きな不安要素として映ってくるわけであります。  それだけに、これまでの局長の答弁だけでは、どうも国民としては、それは余りにも無責任じゃないか、大蔵省、どこまでおまえ胸張ってたんだ、こういうことになってしまって、非常に不本意なことだというふうに思います。それはもう答えはいいのですよ、同じような話がまた出てくるのだろうというふうに思いますから。だけれども、それは国民にとっては納得できないんだということだと思うのです。  じゃ、不良債権そのものに対して、これをマクロ的にどういうふうに償却をしていくのかということが一つ。それからもう一つは、これは償却するだけではだめなので、整理回収のための新たな仕組みというのをどういうふうにつくっていくか。この二つがそろって、初めて不良債権の対策になっていくのだろうというふうに思うのですね。  まず、どういうふうに償却をしていくか、この政策政府としてはどういうふうに持っているか、お聞かせをいただきたいと思います。
  140. 山口公生

    ○山口政府委員 私どもの説明が不十分なのかもしれませんが、不良債権は政府が責任を持って何か償却をするようなイメージをもしお持ちになっているとすれば、それは違うわけでございまして、不良債権は、金融機関がそれぞれ抱えております。それは自分の経営努力、業務純益なり含み益なり、あるいはこれまでの蓄積なりでそれは解決していく必要があるわけでございます。  先生のおっしゃっているのは、破綻したときの不良債権をどうするかと。それは回収体制の問題とかそういう問題は重要な問題としてあると思いますけれども、別に先生がどうこうと申し上げているわけじゃないのですが、不良債権そのものを政府が責任を持てという意味でもし国民の皆様が思っておられるなら、それは違うということを申し上げます。
  141. 中川正春

    中川(正)委員 私は、聞く相手を間違えたんだと思うのですよ。さっきのは、銀行局長としての答えなんですよね。  ところが、全体、マクロで見ていった場合に、ちまたに言われているように、あるいはみんなが理解しているように、なぜこれだけ低金利政策というのが日銀の方で続くのかという、トータルな政策があるわけです。それで、そういうそれぞれの部局のトータルな話というのが整合性を持ってこれからの経済を前向きに進めていこう、こういうことで理解をしていかなければならぬ。  ところが、さっきいみじくも銀行局長、自分の立場で一生懸命話をしたように、今の主計局、財政というのは、それを一生懸命やっているのですよ。それで、そんな中で、これは私たちの権益を守らなければいけないんだという発想が出てくる。そういうことを指摘したかったのです、恐らくそういう答えが出てくるだろうと思って。そこの垣根というのを乗り越えていかないと、なかなかこれは今の破局は克服できないというふうに思っております。  日銀の方にもう一回聞かせていただきたいのですが、今のそういう状況をしっかり把握をしていただきながら続けていっていただくんですね。
  142. 福井俊彦

    ○福井参考人 重ねてお答え申し上げますが、先ほど申し上げましたとおり、経済金融の仕組みは不可分の一体でございます。したがいまして、金融政策よろしきを得て経済全体の立ち直りというベースをしっかり築くとともに、一方で、金融システム保全のために十分な対応を講じていく、日本銀行もその中で力いっぱい、限界までその機能を発揮させていただきたい、そういうふうに思っておるわけでございます。
  143. 中川正春

    中川(正)委員 次に、その回収の方ですが、整理回収銀行の方から来ていただいておりまして、御苦労さまです。ありがとうございます。  今、こういう状況の中で頑張っておっていただきますが、実績を見させていただくと、なかなか、二八%ぐらいでありまして、このままでいくと、まだまだ整理回収銀行に不良債権は覆いかぶさってくるし、恐らく預金保険機構が買い取った分はすべてそちらへ行くんでしょうから覆いかぶさってくるし、現在の体制でいくと、どうも塩漬けになっていってしまうという可能性もはらんでいると思うのです。  この際、実務担当者として、どういうところが問題であるのか。全体の仕組みとしてこうあるべきだということを、まあこれは議論ですから、大臣も、それぞれの立場の人たちの話をしっかり聞いて政策をつくり上げていく、こういうことを言っておられるのですから、それなりの立場で、今の現状とそれから問題点、お話をいただきたいと思います。
  144. 堀口助

    ○堀口参考人 お答えいたします。  私ども整理回収銀行は、昨年の九月に東京共同銀行を改組いたしまして、預金保険機構の協定銀行として、信用組合の整理回収を行っているところでございます。  共同銀行時代に三つの信用組合を事業承継いたしました。その後、整理回収銀行になりましてからは、兵庫二信組、それから大阪信用組合、それから木津信用組合、それから三福信用組合、阪神労働信用組合、北九州信用組合、神奈川県信用組合といったところの営業の譲り受けないし資産の買い取りを行いまして、現在、八つの事業部で回収業務をやっているところでございます。  こうした資産にかかわる債権回収等については、それぞれの資産の譲り受け以降、その内容を精査しまして、債務者、債権の内容に応じた最も適切な手段、方法により、全力を傾注して回収を進めているところでございます。  お尋ねの回収状況でございますが、最新の数字といたしましては、本年十月末現在、回収累計額が六百七億円でございまして、帳簿価格で見ました回収率で申し上げますと、一五・七%となっております。  組織面等の問題につきましては、私どもは、今のところ回収効率化を目指して組織面でも試行錯誤を続けながら取り組んでいるところでございますが、私どもは回収の実践部隊でございますので、与えられた枠組みの中で精いっぱい尽くす、これが私どもの立場であるというふうに考えるところでございます。
  145. 中川正春

    中川(正)委員 それなりの問題意識は持っていられると思うのですが、そういうことがこういうところで出てこないというのがこの国の悲しさなんですよね。やはり責任を持ってやっていられるだけに、問題点の指摘もしっかりしていただいて、私たちもその次の組織をつくり出していかないと、それこそここへ一番しわ寄せが来るというふうな問題意識もあるわけですから、どうぞ頑張っていただきたいというふうに思います。  そこで、まあこれは不十分なのですが、今議論の出ているサービサーをこの日本にも取り入れたらどうかということであるとか、あるいは日本版のRTC、これを導入をしたらどうか、言いかえれば回収公社ですか、こういう議論があります。今、どの辺まで行っていますか。
  146. 山口公生

    ○山口政府委員 公的な回収の必要性というものが、いろいろな金融機関の破綻が続きますと高、まってくることは御指摘のとおりだと思います。したがいまして、その回収体制の充実をどうしたら図れるかということは重要な課題だと思っておりますので、先生の御指摘の点等も踏まえて、これから慎重に十分な検討を加えていきたいというふうに思っております。
  147. 中川正春

    中川(正)委員 公的資金の導入が是か非かということにつながってくるのですよ、この議論は。一方で税金を使うのですよということになれば、じゃ金を借りたまま行方不明になっているのをそのままにしていくのか、あるいはアングラへ回って暗い資金として流通しているのをそのままにしていくのか、そんな中でさらに公的資金を導入するのか、この議論に返ってくるのですよ。だから私は、前向きにはっきりしなければいけない、こういうふうに言っているのです。この時点ではっきりしていかないと、公的資金が入りませんよ。もう一度答弁ください。
  148. 山口公生

    ○山口政府委員 先生は公的資金を入れるという前提でいろいろお話しいただいておりますが、私どもは、預金保険の原資の問題で大型の破綻が生じたことによる懸念等が生じてはならないという観点から、あらゆる事態に対処するための方策ということで、公的な支援というものが必要かどうか検討を命ぜられている段階でございまして、まだその回収機能の充実のための体制づくり等は、無縁とは言いませんけれども、また別途の重要な問題として考えていきたいというふうに思っております。     〔村田(吉)委員長代理退席、委員長着席〕
  149. 中川正春

    中川(正)委員 もう総理大臣大蔵大臣も、公的支援、その辺は議論の余地を残しながら、やりますよと国民に対して言っているのですよ。それが安定につながっているのですよ、今の。そこまで話が来ているのに、事務当局がそういう形でひつくり返してしまったら、これは何にもならないということであります。  そういった意味で、前に出るときは前に出なさいよ、それが私はこの一連の今回の議論を通じて一番感じたことでありました。はっきりさせるときにはっきりさせていくということが、国民の理解を次のステップで得られていくということだと思っております。  次に、大分時間がなくなってきまして、もうこれだけしかできないと思うのですが、銀行の貸し渋りの問題であります。  これまでの答弁は、公的金融機関が頑張りますから大丈夫です、これは一言で言えばこういう形だと思うのです。  ところが、私、これまで地域というか地方におりまして、県会議員をしていまして、この公的金融機関のあり方というのに非常に疑問を持っているのですよ。というのは、どっちかというと、公的金融機関で金を借りている人たちというのはリスクのない企業、言いかえれば優良な企業がいい条件で公的金融機関から金を既に借りているということなのですよ。それで、リスクの高いものは、これは公的金融機関でもやはり同じように排除しているのですよ。その責任、どうなんだ、信用保証協会の焦げつきが大きくなってきたじゃないかとみんなに責められて、今問題になっているじゃないですか。そんな意識を持ちながら、じゃ民間とどんなふうな違いがあるのだということを前提に考えていくと、公的金融機関はこういうケースでは役に立たない、こういうふうに思っております。  そういう前提で、本当にこれだけでいいですかということを、その政策だけでいいのですかということをだめ押ししてお尋ねをしたいと思います。
  150. 山口公生

    ○山口政府委員 民間金融機関において、審査、つまりリスク管理をかなり厳密に行うようになってきたという話は、私もしばしば耳にするところでございます。  その対応として、政府金融機関で別枠の融資枠を設けまして、例えば中小公庫では、一般枠は四億八千万でございますが、別枠一億五千万円を設けまして、そういった健全な先に対する融資に万全を期そうということでございます。  政府金融機関は優良なところにしか貸さないというふうな御批判をちょうだいしましたけれども、例えば担保範囲に動産とかソフトウエアを含める担保のとり方のやり方とか、評価を弾力的にするとか、あるいは遠隔地のものの扱いをできるだけのことをやるとか、政府金融機関金融機関なりに中小企業の実情に十分配慮してやっておりますので、ぜひその努力を認めていただきたいというふうに思います。
  151. 中川正春

    中川(正)委員 この問題は、銀行局長だけに任せておいては解けない問題だというふうに、これも改めて思います。  構造的に何でこういう銀行の貸し渋りが出てきたかというのは、もうここで議論するまでもなく、皆さん御理解いただいておると思うのですよ。結局、株価が下がったということ、まだまだ下がっているということ、これが一番の原因なのですよ。自己資本に保有株式の含み資産がそれぞれ金融機関に入っておる、それが下がってきているわけですから、早期是正措置がしっかりここできいていて、資産を減らして自己資本の比率を維持しようとする銀行の意思がここで働いている。これがシステミックに働いているということなのですよ。  それが貸し渋りをもたらしているとすれば、そこのもとの原因に政策としてぴしっとしたものが入ってこないと、これはばんそうこうを張るような形の、政府系の金融機関がどうやこうやというような議論では解決のできない問題なのです。それを国民はじっと感じているから、不安があるのですよ。その辺に入っていこうと思うと、これは銀行局の議論じゃないのです。トータルでやはりその議論が聞こえてきて、こちらへ向いてはね返ってこなければということだと思うのですよ。そこのところを、大臣
  152. 三塚博

    三塚国務大臣 政府金融機関は全く機能しないというのは認識が違いますので、もっと実態を御調査ください。  国民金融公庫、多年にわたり信頼を置いて中小零細の各位に評価を受けておること、私も地方議員上がりで今日まで来ておりますが、一番頑張っておる。中小企業金融公庫、これまた政策目的を持ってしっかりとやらさせておりますし、その他環境公庫もあり、幾つかあります。こういう時期にこそ政府機関であるという使命感に燃えて懇切丁寧にやるべきである、こう申し上げ、御指摘がございましたから、改めてこのことを強く要請をしておきますし、監督もしてまいります。  通産省との共管でありますが、通産大臣からも、窓口を設けるなど丁寧にやるべし、自治大臣からは、さらに信用保証協会の管轄、都道府県として本件についても督励をしていただくように申し上げておるところであります。  同時に、民間の金融機関は、日本経済、そして地域経済安定のため頑張り抜いておる企業をしっかりと支えるという社会的使命がございます。よって、このことは、貸し渋りということでこれだけの批判を受ける以上、奮起をしてこれに対応すべきものと強く私は期待をいたしておるところであります。
  153. 中川正春

    中川(正)委員 そういう答弁が返ってくるから、率直に言って不安になるのです。私はそんな、全く政府系の金融機関が働いていないと言うのじゃないのです。これは対症療法だと言っているのです。  私が答えてほしかったのは、今貸し渋りが起こっているというのは基本株価の問題がある、株価の問題がそれぞれの銀行を萎縮させているんだ、そこのところをもっと基本的に考えていかないと、全体が縮小均衡で縮まったまま、そこで均衡してしまうような日本経済になるということ、ここが危ないんだということなんですよ。そこの認識をどういうふうに政策として反映をしていただけるのか、これを理解してほしいということで大臣に振ったわけなんですが、政府系の金融機関ということに非常にこだわりを持って、もともと持っておられるのでそれが出てきたのだろうと思うのですが。そんな中で、もう一回答えてください。
  154. 三塚博

    三塚国務大臣 委員の質疑は、今日の状況が極めて不安定でどうにもならぬように、聞いている人は聞こえるのです。ですから政府委員は、そうではありません、破綻の場合の対応と、今頑張っておる人、会社、金融機関、これの努力を評価してほしい、こう言っているわけです。私も常にそのことを申し上げております。  含み益の問題はよく知っております。株式市場については、さまざまな要素で動くわけですから、主管大臣としてその水準に言及するということはしないということで、自由市場の中、これだけのファンダメンタルズの強い我が国経済に支えられておる中央マーケット、ここがそれぞれに動いてプライスが最終的に決まっていく、これをしっかりと見詰めながら、注意深く、そして警告として受けとめながら、精いっぱいやり抜いておるというのが現況であります。
  155. 中川正春

    中川(正)委員 私は、自民党の中でも今議論が出ている財政投融資の使い方がここで出てくるのかなと思って期待をしていたのですけれども、今のお話を聞いていると、そういうところでもないようでありますので、その話はまたこれからの議論としまして、時間が来たようでありますので、ここで質疑を終わります。ありがとうございました。
  156. 村上誠一郎

    村上委員長 次に、鈴木淑夫君。
  157. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)委員 新進党の鈴木淑夫でございます。  提出されております預金保険法の一部を改正する法律案について、質疑を続けたいと思います。  日銀の福井副総裁総裁のかわりにお忙しい中を急遽お越しいただきまして、どうもありがとうございました。  さて、昨日夕方に総理にお越しいただいて質疑をしたわけですが、総理のお答えの中で繰り返し強調しておられたことは、今のような金融危機に直面して破綻金融機関処理の選択肢を一つでもふやしたいんだ、この預金保険法改正はそういう意味で我々の選択肢が一つふえるんだ、これは二〇〇一年三月までの時限立法にもなっているんだから認めてくれよということをしきりと言っておられたですね。私の耳の底にはっきりと残っております。  三塚大蔵大臣、総理の答弁もずっと聞いておられたと思うわけですが、二〇〇一年三月までのいわば暫定的な時限的な措置なんだということは、これは本来なら恒久化してはいけない、何かそういう要素がこの特定合併の中にあるからでしょうかね。なぜ、これは恒久的措置でなくて時限的で、また時限的だからちょっと認めてよというニユアンスで総理は繰り返しおっしゃったのでしょうか。蔵相自身は、時限にしなければいけない理由は何だと考えておられますか。
  158. 三塚博

    三塚国務大臣 私は、ただいま、あらゆる選択肢、その中で最終的に何が現況に一番マッチをし、御安心をいただけるか、今日の不安感、こういうものが解消されていくことになるのかとマクロに考えております。
  159. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)委員 今のはお答えになっていませんね。あらゆる選択肢とおっしゃるが、私が聞いているのは、なぜ時限ですかと言っているのですね。なぜ恒久的な選択肢としてでなくて時限なんですかと聞いているのですよ。二〇〇一年三月までというのは、何かやはり恒久的な制度にするのには問題があるが、ちょっとお許しいただきたいみたいなところがあるのでしょう。そのことを聞いているのです。もう一度お答えください。   一〇山口政府委員 おっしゃいますように、今回、時限的な措置で、附則で書いてございます。これは、まずは、預金保険の制度は破綻した場合の救済手段を整備しておるわけでございますが、これは行政のあっせんという、監督庁になりますが、監督庁がまずあっせんをしてというのが最初に来るケースでありますね。だから、そういう意味では、やはりこの時代の要請が背後にあるというふうに思います。  それでまた、コストをその分少なくするという要素もありますし、それから現在の時点で申し上げたいのは、健全な銀行が受け皿になるのが本来の姿でございます。本則をお読みいただきますと、健全な銀行が破綻金融機関を引き取るという形でそこに援助するわけですから、健全な受け皿金融機関が容易に存在する状況でありますれば、それは本則できっちりやれる話であります。  そうすると、そういう金融機関が現実にあるかないかという今の現状を見たときに、しかもそれが複数そういったものがあったときに、だれも受け皿が見つけられない。そうすると、先ほどちょっと御議論がありました阪和銀行のときのような、業務停止命令をかけて地域経済影響を及ぼしてというルートに行かざるを得ない。そうすると、その要素が余りにも影響が大きい。それが幾つも生ずるおそれがあるという現状を踏まえての、政策的にやるという要素がありますので、この二〇〇一年までの制度とさせていただいているわけでございます。
  160. 三塚博

    三塚国務大臣 今、鈴木委員の最初の質問を勘違いしました。おわびします。  というのは、前委員が公的資金のフレームワークでわんわんとやるものですから、それの延長線上にそれがあるというふうにとりまして、二〇〇〇年度までをそういうことで財源的な措置をとったものですから、そう申し上げたことはおわびを申し上げます。  今銀行局長が言いましたように、二〇〇〇年度末まで時限的な措置、法律の基本はそう書いております。このことは、やはり特別な状況にかんがみまして発動される措置とすれば、その辺が適切な時期かな、こういうことで金融システムの観点から、また預金者保護の観点からそのように定めさせていき、地域の経済の困難、国民間の困難を収束してまいりたい、そういうことで、訂正をしながら再答弁させていただきました。ありがとうございます。
  161. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)委員 率直に訂正をいただきまして、ありがとうございました。  でも、まだ私は御説明になっていないところがあると思うんです。二〇〇一年三月までというのは適当なタイミングじゃないかと思うからとおっしゃっているわけですが、それは、二〇〇一年三月ぐらいまでに何とかこの不良債権問題を克服したいというのは共通の気持ちだと思うんですね。だから、普通ならこれはちょっとまずいんだけれども、原則を曲げてでもやろうという感じがあるんでしょう、この特定合併には。  どこのところをちょっと原則を曲げて、これは時限だから許してちょうだい、こう言っておられるんですか。
  162. 山口公生

    ○山口政府委員 先ほど申し上げましたように、健全な金融機関を当事者として含む場合、これが原則だと思うわけでございます。  しかし、これは経営が悪化した金融機関のみが当事者ということでございますので、やはり金融システム安定のため不良債権処理に積極的に取り組む期間、これは先生もそういう御理解だと思いますが、二〇〇〇年度末までの措置ということでお認めいただきたいということでございます。
  163. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)委員 割と正直に今銀行局長おっしゃったんですね。つまり、普通なら、破綻した二つの金融機関、受け皿銀行がなきゃ解散しちゃうわけですが、受け皿銀行がない場合に、これは定義の問題になりますけれども、私は、明らかに一種の救済をするということですから、かなりこれは例外的で、本来なら許されないことだけれども、とにかく急いで二〇〇一年三月までに不良債権問題を克服したいので、ちょっとどうかと思うがやらしてちょうだいということなんだろうと思うんです。  それで、実は二〇〇一年三月というのは、言うまでもなくペイオフをしない期間とも一致しているわけですね。だから、これもそうなんですよね、大臣。ペイオフは本来しなきゃいかぬのですよ、自己責任原則なんですからね。もう一千万円の元本までと約束したら、約束だからペイオフをしなきゃいかぬ。だけれども日本の実情からいうと、どうも国民の皆さんは、ペイオフなるものがあるんだ、それで、預金取扱金融機関が破綻した場合に一千万円を超える元本はパアなんだとか、その辺のところがよくわかっていないんじゃないか。  また、相当な不良債権があるものだから、そういう一千万円超支払い不能みたいなことは起こるな、これはやはりちょっと混乱が起きそうだ、そういうことから、本来ならペイオフしなきゃいけないんだけれども、ちょいと約束を変えて、法律を変えて、二〇〇一年三月までは御免こうむるよというのがこの措置ですよね。  そうしますと、預金保険法というのは、本来保険なんですから、約束どおり一千万円以下のところだけ保険を払うということなんだけれども、ちょっと法の原則を曲げるものですから、これまた時限立法で、資金援助をして不良債権を買い取っちゃおうという方へ附則でどんどん拡大してきているんだというふうに思いますね。  山口局長、さっき、預金保険法というのは破綻した場合の救済のためでございましてみたいなことを言ったけれども、本当はそうじゃないんですね。これはペイオフコストを賄うためのものとして出発したんですね。ペイオフコストを賄うということは、経営は原則的には整理されちゃうんですからね。そういうものとして預金保険法は出発しているんですよ。だけれども、今言ったことで二〇〇一年三月まではちょっと御免こうむるよといって追加して入ってきたのが資金援助なんですね。その資金援助が、さっき山口局長言ったように、ペイオフコストを上回る部分について資金援助が入ってくる、こういう話にどんどん拡張をされてきているというふうに私は理解します。局長、よろしいですか、それで。
  164. 山口公生

    ○山口政府委員 非常にきっちり整理していただきましたので、おおむねそのとおりだと思います。  一カ所だけ私の考え方を言わせていただきますと、資金援助というやり方は、これは本則で認められております。ただし、先生もそういうお気持ちで申されたと思いますが、ペイオフコストの範囲内ということでございます。
  165. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)委員 そうですね。ペイオフコストを上回る資金援助もお許し願いたいというのが、やはり時限立法でちょいとお許し願いたいで入ってきたわけですよね。  ですからこれは、ではもう入ってきたからその資金援助を利用して経営まで救済しちゃえというものでは本来ないんだと思うんですね。これは、本来はペイオフコストを上回る部分の預金支払い資金の不足を埋めてやろうという思想で入ってきているんじゃないですか。ついでに経営まで救済しちゃおうという思想は本来ないんじゃないですか。大臣、いかがでしょう。
  166. 山口公生

    ○山口政府委員 確かに経営まで救済するという考え方ではないわけでございます。したがいまして、金融機関そのものを救うために、例えば、よく今いろいろなところで議論されておりますが、健全に成り立っている金融機関に何か応援をしてあげようとかいう議論もありますが、そういうものをこれでイメージしているわけではございません。  ちょっと私、しばしば申し上げてくどくなりましたが、今の状態ではこういう事態に陥りますからということを申し上げ、それで当該金融機関は、きのう御批判はありましたけれども、消滅をさせます、それで大きなリストラをして本当に生まれ変わります、そこが言ってみれば健全な受け皿というイメージでございますけれども、そういう手法をお認めいただきたいということでございます。
  167. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)委員 そこで山口局長あるいは大蔵省の見解と私どもの見解がはっきり違ってきちゃうんですね。  きのう北側委員、弁護士さんでもいらっしゃるので、非常にきっちりと整理して質問したはずなんですよ。つまり、二つの破綻金融機関はなくなっちゃって別のものになるんですよ、だから、こっちは消滅しちゃうんだから整理されているんだという山口局長の言い方に対して、何を言っているんだ、例えば株主を見てごらんなさい、二つの破綻金融機関の株主が新しい合併銀行の株主になるでしょう、それでその株は、恐らく株価は上昇します、だから大変な利益を得るじゃないですか、これが救済でなくて何でしょうと。  それはそうですよね。だって、破綻金融機関の不良債権部分に預金保険から金を入れて、そこのところを資金援助で買い取っちゃって、身軽になったものの株主になるのですから、これは身軽になって合併した銀行は、形の上ではそれは二つとも消えて新しいかもしれないけれども、継続しているんですね。  それで、北側委員は、したがって経営者の責任追及もできないじゃないかと。大蔵省は経営者の責任を追及すると言っておるが、株主から見れば追及する動機がないよ、むしろ株価が上がつちゃって万歳だ、うまいこと大蔵省から資金援助を受けて、ありがとうということはあっても、経営者の責任追及なんて出てこないじゃないか。そういう意味で、私どもはこれは救済だと言っているんですよ。だから、そこでもうはつきり銀行局長あるいは大蔵省と私どもの見解は違っているのです。これは救済なのですね。  私は、新進党に限らず野党の皆さんがこの預金保険法の特定合併に反対している理由は、まさにそこにあるのだと思うのですね。これは実質的には救済じゃないか。救済のために金を入れていることになって、これは預金保険法の考え方から一歩踏み出しちゃっているよ。そして、どの破綻金融機関をそうやってくっつけて事実上救済しちゃうかの判定が行政側にあるじゃないか、大蔵大臣あるいは来年からは金融監督庁長官にあるじゃないか。  そうすると、これまた多くの野党委員指摘しているように、今までの裁量的な密室で指導するような金融行政からおさらばをして、事前に明らかにしたルールでやっていきましょう、裁量型からルール型への金融行政の転換という大原則、それは政府もそういう原則を掲げたはずなのに、それでみんなで一致したはずなのに、それに明らかにこれ逆行しているでしょう。この一点で野党の意見はみんな一致しているのですね。そして、この一点でこの法案はまずいよと言っているわけであります。  そうしたら山口局長、きのうそういう民主党委員の質問に対するお答えの中で、いや、そんなに裁量で勝手にやるわけじゃないよと、この特定合併を認める場合の基準みたいなものを幾つかおっしゃったじゃないですか。もう一度その基準をおっしゃってみてください。
  168. 山口公生

    ○山口政府委員 先生のいろいろ御整理された御意見の中で、ちょっと私どものイメージと違うところがありますのでぜひお聞きいただきたいと思います。  資金援助という言葉を使っておりますが、この場合は不良資産を時価で買い取るということでございますので、贈与があるわけではございません。したがって、簿価と時価との差というのは当然、株主勘定まで使ってある程度消さなければ、償却しなければいけない。つまり、ゴーイングコンサーンですと時間をかけながら償却すべきものが、一挙にそこで償却を行わなければならないということでございます。  したがって、預金保険機構としてはさらに二次ロスがあるのではないかとかいうお話が、それは御指摘はあるかと思いますが、プラマイゼロの形で一応引き受けるわけでございます。資金援助という言葉が非常に国民の皆様に誤解を与えているのかもしれませんが、法律用語としては、資金援助という形の中に時価で買い取るという行為があるわけでございます。もちろん贈与というのもあります。しかし、贈与のイメージでお考えになりますと、先生おっしゃいましたように株価はぽんと上がってしまう、得するんだ、こうなりますけれども、実を言いますと、実質的には何も贈与はないわけです。  なぜかといいますと、破綻ということを申し上げますと、破綻は預金の支払い等が停止するおそれがあるという段階の場合ですから債務超過ではない。つまり合併ですから、債務超過では合併はできませんから、債務超過ではないという状況のものです。そうするとどういう状況かというと、資金ショートが起きる可能性があるという状況でございます。そうすると、株主の資本勘定でできるだけ消して、だから場合によっては少し資本金が過少になるかもしれません。しかし資産は不良資産がないという新しいイメージで、しかも職員はいろいろ、少し減るかもしれません、経営者も責任ある人はみんなどきます。新しいイメージで再出発するということでございまして、私ども、説明も不十分だと思って反省しておりますけれども、この特定合併の場合に、何も贈与してあげる、助けてあげるということではございません。その可能性を与えるために不良債権を時価で買い取るということだけでございます。したがいまして、そこのところはぜひ御理解いただきたいということでございます。  それから、今おっしゃいました、いろいろ裁量的ではないかという御指摘がございますので、例えば今申し上げた、債務超過には陥っていないけれども多額の不良債権を抱えて資金繰りに困難を来しているというようなケースだと思います。だから、そのときにはやはりマーケットのその金融機関に対する信認の度合いとか、どの程度の速さでどういつだ預金が流出しているかとか、マーケットの状況はどうか、例えばコール市場等がどうかということ。それから、あっせんの要件につきまして申し上げますと、ある地域の経営の悪化した金融機関が複数存在するということ。複数存在するということ、これは二つと言っているわけじゃありません、もっとある場合もあります。それから、それらが連鎖的に預金払い戻し停止に陥るおそれがあること。その業務の全部の廃止または解散が行われる場合には、地域または分野における資金の円滑な需給及び利用者の利便に大きな支障が生ずるおそれがあることを原則的に考慮すべきであると思います。  具体的に地域への支障という場合には、例えば金融機関のその地域で担っている役割、それから金融機関の規模、口座数とか取引先数とか、金融機関の特色、取引先の特色などです。それから金融経済情勢等、これは資金需要の程度とか貸し出しの姿勢などを勘案して判断すべきものというふうに考えます。
  169. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)委員 最後のところで私の質問に答えてくれたのでその話を今すぐしますが、その前に、最初に、これは時価で買い取っているのだから必ずしも助けていることにならないという理屈をおっしゃいましたが、これはとんでもない間違いですよ。たとえ時価で買い取っても、そのことによって合併銀行の不良資産比率はぐっと下がるのだから、それから自己資本比率はだっと上がるんですから。そうでしょう、資産が小さくなって。これは大変有利に働きますよ。株価は上がるに決まっていますよ。だからこれはもう広義の援助であることは間違いない。  ですから、山口局長のあの説明は間違っているんだ。これはやはり助かってしまうんです、物すごく。助かるのです。だから株主は喜ぶし、経営者だって喜んじゃいますよ、これは。こういう経営者が喜ぶ、株主が喜ぶようなことを行政側の裁量でやる。どの経営、そのバックにいる株主にこういううまい目を見させるのかなというのを行政側が裁量で決めるというところに野党委員はみんなひっかかって、これは金融行政の逆行だと言っているわけです。  それで、その裁量というところで今四つばかり要件をおっしゃって、いや、我々だってそんな恣意的にやろうとしているのじゃない、ある程度客観性のあるルール、基準があるといって今四つおっしゃったわけですね。ところがこの四つの基準、私に言わせるとおかしいのじゃないか。  最初、複数あるのはいいですね、これ基準というよりも前提だから。  その次に連鎖というけれども、ある地域の比較的小さな銀行一つ破綻したら、どういう理屈で連鎖が起きるのですか。連鎖なんか起きないでしょう。大体今、日本銀行が間髪を入れず飛び込んでいって、最後の貸し手として、レンダー・オブ・ラスト・リゾートとして支払い不能をぱっととめちゃうんですから、支払い不能の連鎖なんというのは起きていないじゃないですか。どうしてこんな一地域の小さな銀行で連鎖が起きるのか。  それからもう一つ。地域とか分野というけれども、これまた拓銀のような都市銀行一つを整理することになったって大変ですね、あの地域への影響。そうでしょう。あれをあえて整理するわけでしょう。もうわかっている話だから名前を言っちゃいますけれども、どうしてあの大阪にある、なにわとそれから福徳、ここでそういう地域への影響とか連鎖とか資金需要がどうのこうのとか、そんな大げさなことを言うんですか。拓銀で大丈夫だったことがどうしてこんな一地域の小さな銀行で問題が起きるんですか。一向にわからぬ、僕はそこが。説明してください。
  170. 山口公生

    ○山口政府委員 先生の御指摘はごもっともな点がございますが、私ども、日々各銀行状況を見ておりまして、個別行を、いろいろの例を挙げると大変私は適切ではないと思いますが、せんだっての徳陽シティ銀行、これも基盤預金がどんどん抜けたわけでございます。預金は保護されますと言っていても抜けるんです。それが現実でございます。それが現実でございまして、国民の皆様は賢明でございますからよくおわかりでございます。  したがって、説明をしましたら風評が起きても数日で一応はおさまりました。しかし、それはある程度の評価がある、定着している場合はすぐ戻ります。しかし、一般の、マスコミ等の話題になり、もうきょうもあすもといろいろと話題にされますと、安心してくださいと言っても基盤定期とか大口とか、そういうのが抜けるんでございます。コール市場におきましても、コール市場を守りますと言っても抜けるんです。とれません。もう無担コールもとてもとれないという状態、有担で出しても難しいという状況が出てくるわけであります。  これが現実でございまして、私どもは何とかわかってほしいということで、大臣にも談話を出していただいたりして、御安心ください、システムは壊しませんからと力説しておりますけれども、現実はそんなものではないような気がします。  したがいまして、確かにそれは理屈からいうとおかしい、それはそのとおりでございますけれども、連鎖的にということは絶えず起きる可能性がある、私は現実問題としてあると思います。理論的にはあり得ないという御主張も私はわかりますが、現実には起こり得るということです。  それで北拓の場合、あれだけ大きかったのに何も起きていないじゃないか。それは、北洋銀行という銀行を受け皿に間髪を入れずに決められたからでございます。これは営業が、そのまま窓口があけたまま運営ができる、健全な先にはそのまま続けられる、コールもこれでデフォルトを起こさないということがすぐわかったからでございます。  したがいまして、受け皿銀行がありますれば、いろいろお名前を申されましたけれども、そういう個別銀行とは全く別に、一般論として申し上げますと、受け皿銀行が見つかりますれば、全部と言っては強調し過ぎかもしれませんが、世の中に御安心を与えることができると思っております。これが現実でございます。  しかし、受け皿銀行が見つからない場合、私、阪和銀行のとき、本当に、本当に苦悩したわけでございますけれども、見つかりませんでした。このときには、やはり地域の皆さんには相当御心配をおかけし、職員の皆さんにも非常にお気の毒な思いをさせました。私のところにいっぱい取引先の方も見えました。何とかできないだろうかという陳情も受けました。大蔵省が資金をあるいは資本を何で集めてくれないんだ、こういうおしかりすら受けました。しかし、そういうのが現実だということをぜひ御理解いただきたいと思います。     〔委員長退席、村田(吉)委員長代理着席〕
  171. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)委員 ペイオフはしないといったって、この銀行は破綻しそうだと思ったら、預金を引き出しに行きますよ。だって、あれは元本しか保証しないんですから。利息は入らない。それから、最終的には元本だけ払い戻してもらうにしても、ひとまずシャッターが閉まつちゃったり行列になったりするかもしれないと思って、そういうのは嫌ですから、だからどうしたって、うわさが立ったらじりじりと預金の流出は起きるわけですね。  けれども、もし債務超過でなくてそういうことが起きているのであれば、これは日本銀行のレンダー・オブ・ラスト・リゾートの機能で流動性危機は乗り切れるわけですよ。そしてインソルベンシーだったときに限り、その後で厄介なことは起きるわけですね。  山口局長、それから大蔵大臣にもお聞きいただきたいのですが、この前、私は問題を整理して、こういう言い方をしました。銀行が破綻したとき、二段階の選択肢があります。第一段階の選択肢というのは、これを救済するのか、整理するのかという選択肢があります。二段階目は、整理するとなったときに、解散しちゃうのか、それとも不良債権を引き取って健全な部分を受け皿銀行に継承させるのか、いわゆるPアンドAですね。そういう二段階の選択肢があるんですよということを言いました。  そして、最初の選択肢、救済するのか整理するのかということの基準について、アメリカではこういう変遷があったということを申し上げましたね。  最初は一九三三年の、大恐慌の後ですよ。このときは、やはり救済しないと大変だということで、RFCが積極的に劣後債や優先株なんかを買って、どんどん資金援助をして救う形が多いんですね。けれども、これはちょっとモラルハザードを呼ぶし、他の産業との間で不公平過ぎるじゃないかという話になってきて、戦後は、そんな救済をどんどんやつちゃいけないよ、原則はやはり整理だねということになってくる。  けれども、自己責任原則でやっているんだから原則は整理だ、他産業だってそうやって整理されているんだから整理なんだが、しかしツー・ビッグ・ツー・フェールというのがあるじゃないかといって出てきたのが、コンチネンタル・イリノイのときですね。それで大きな銀行はやはり地域あるいは分野、今まさにおっしゃった言葉ですよ。地域あるいは分野で支障を来すから、大きな銀行はこれは自己責任と言っていられないから救済するのかなというのが、コンチネンタル・イリノイのとき出てきた。  しかし、それもやはり大銀行の間のモラルハザードを生むじゃないか、また他の産業との間で不公平じゃないかということで、最終的に一九九一年にできたFDICIA、連邦預金保険公社改善法では、これはツー・ビッグ・ツー・フェール原理も原則的にだめだ、これはモラルハザードが出過ぎる、大銀行だけ優遇して不公平だ、最終的にたどり着いたのがシステミックリスク原理ですよ。システミックリスクがある場合に限り、システミックリスクを救う手段としてやむを得ないから経営を救済することも許されるというふうになってきた。  それからもう一つこのときに出てきたのが、さっき局長が言われた継承銀行を見つけてPアンドAでいくかという話ですね。それで、さっき僕は、山口局長、大変正直におっしゃったなと思って聞いていたのは、阪和銀行で懲りたんですね。あれは本当に大変だったと思います。御苦労されたことは私もよく知っている。阪和銀行はPアンドAができなかった。受け皿銀行が出てこない。僕は、大蔵当局は大変苦労されたと思います。お取引先が押しかけてきたりなんかしたんでしょう。これは大変だったというのはよくわかります。  しかし、アメリカの場合にこれをどういうふうに処理しているかというと、整理することに決まった場合に、解散しちゃうのと、何とか受け皿銀行へくっつけるのと、ここの選択は御承知のようにコストテストでいくわけですね。どっちが社会的コストが低いだろうということでやるわけです。コストテストをやると、多くの場合、PアンドAの方が社会的コストが低いのですね。それは山口さんが言われたとおりですよ。受け皿銀行があると社会的コストが低い。それはなぜかというと、最大の理由として指摘されているのは、単なる優良な資産・負債だけじゃなくて営業権を伴うので、その分高く売れる。ということは、その分、社会的コストが低くなる、処理コストが低くなってくるのですね。そんなこともあって、本当はそれはPアンドAの方がいいに決まっているのです。  しかし、山口局長、阪和で、なぜ受け皿銀行が出てこなかったか、なぜ資産・負債を引き取るところが出てこなかったか。これは理由があるわけですよ。あの資産・負債、一見健全だけれども、どの銀行もあれを引き取ったがらなかったのは、あの背後にいる顧客関係を全部知っているから。あの顧客までしょい込んでしまったら大変だと思っているから。そういうときは、コストテストをしたら、あれはやはりPアンドAの方がコストが高いねということになってしまうのだと思いますよ。  ほかのケース、それはもう拓銀の場合なんというのは、あれは相当営業権がついていますから、北洋銀行にしてみれば、三番目の昔の相互銀行ですから、あの店舗も一緒にもらえるのかということで、当然苦しいこともあることはわかっているが、受け皿銀行として受けて立ったというふうに思いますね。  だから、行政当局として、受け皿方式、PアンドAがいいというのは、お気持ちはよくわかるし、それは出てくればそうだと思うのですよ。だけれども、出てこないときはそれなりの理由があるのです。だれも欲しくないと言っているのです。今、この激しい時代、特に大阪なんていうのはたくさん金融機関があるのですよ。たくさん金融機関があるのに受け皿銀行が出てこないというのは、経済の中にその理由がある、あるいはそのバックのお客さんの中にその理由があるのだと思いますよ。だから、それに逆らってまで行政介入で、破綻銀行二つ、それも資金援助で悪いところを引き取って、自己資本比率が上がり、不良債権比率が下がり、株価が上がるという非常にいい格好をつくってまで、それも行政裁量でですよ、選んでやるという必要はないのだと思います。  何度も言いますけれども、それは行政当局としてはつらいですよ、その受け皿銀行がないケースは。だけれども、それが経済の論理だとすれば、これは受けとめなければいけないと思いますよ。そこのところがちょっと違うんじゃないのということを申し上げておきます。どうぞ。
  172. 山口公生

    ○山口政府委員 先生の方で受け皿銀行が何か心当たりがございます場合は、ぜひお知らせ賜れば幸いでございますが、私どもが一番苦労するのはそこでございます。  それは経済原則からいうと、営業権、まあのれん代があるからそういうのが当然出てくるだろう。それは、そういう時代になれば私は大変いいと思いますが、今、各金融機関は自己資本比率で相当神経質になっております。優良な資産を抱えても、分母だけがふえてしまう、分子が足りない。そうすると、せっかく優良銀行だということでやっていたのに、自己資本比率が落ちてしまうということもあります。それから、やはりお客の層が、層と言うとちょっと誤解があるといけませんが、お客との関係がどうも自分のところの銀行とは少し違うということで、なかなかそうは言われましても、という議論もあります。  私どもが一番苦労するのはそこでございまして、それが、この特例期間にそういった問題が全部きれいになって本筋に戻れば、一番私はありがたいと思うし、私のポストに座る人も比較的ゆっくりと夜も眠れると思うのですけれども、そういう状態にございますことを一つ御報告しておきます。  それともう一つ、先生が非常にうまく整理していただきまして、システミックリスクの原則、不可欠性の原則、ツー・ビッグ・ツー・フェールと申されましたけれども、私どもがやっておりますのも、実は、ペイオフコストを超える、そういう特例的なことがやれる原則として先生もお使いだと思うわけでございます。救済のために、システミックリスク云々ではなくて、ペイオフコストというものがアメリカにもあるわけで、そのペイオフコストを超えて特別なそういう援助をし得る場合はどういう場合かということで、不可欠性の原則とかつー・ビッグ・ツー・フェール、ツー・ビッグ・ツー・フェールはちょっとそのものというイメージがありますけれども、システミックリスク原理もペイオフコストを超えていいかどうかというふうに私ども理解をしているわけです、もし間違っていたら御指摘賜りたいと思うのですけれども。  そうしますと、今の我が国において、ペイオフコストを現に超えて資金援助をしたり、あるいは救済合併のときも援助しているわけです。そういうことを附則でやらせていただいておりますが、それは、ある意味では、今の経済状況我が国の置かれている金融環境からいって、非常にそういうシステミックリスクも起きやすい。  例えば、三洋証券の例があります。これは証券会社の例ですが、デフォルトがちょっと起きただけで、コール市場はとまりそうになったわけです。  そういうふうなシステミックリスクの非常に発生しやすい状況であるということで、ペイオフコストを超える援助をお願いしているということでございます。
  173. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)委員 そんなことは全部わかった上で言っているわけですから、時間がもったいないので、まだまだ質疑したいことがたくさんありますので、ちょっと変えます。  せっかく副総裁、お見えになっていて、実は、今の議論の中で、副総裁にも日銀はどうかということを聞きたかったのですが、そういうことをしていると時間がなくなってしまいますので、ずばり、日銀にしか聞けないことを聞きたい。  というのは、この前の同僚委員の質問の中で、特融が、万一、相手が債務超過で戻ってこないようなことになったら大変だなという話があって、それはもうそのとおりだ、大事な銀行券の裏づけとなっている資産ですから。そのときに政府が、それはもう日銀の貸し出しというのはそういうものだ、円の信用の基礎そのものだ、だからそういうことは政府承知の上だとか、そういう理解の上でとか、それから、もう必ず政府の責任で返済可能にしてくれると期待しているという意味のことをずっとこうおっしゃったのですね。  その後、蔵相、いかがですかというのに対して、通常国会に提出を図るというおっしゃり方をされていたのですね。これは何を指していますか。日銀の特融の返済資金を公的資金の形でしっかり入れるということについて通常国会に法案を出すという意味なのでしょうか。ちょっと、もう少し御説明いただけるとありがたいのですが、お願いいたします。
  174. 三塚博

    三塚国務大臣 通常国会に法律を出すというのは、寄託証券補償制度を申し上げておったと記憶いたしております。日銀について通常国会に法律を出すということはございません。開かれた独立性を付与されまして、日本金融のために貢献をいただく、こういうことであります。
  175. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)委員 そうしますと、副総裁に伺いますが、今の特融の返済の保証はどのような形で与えられていますか。
  176. 福井俊彦

    ○福井参考人 お答え申し上げます。  やや重ねてお答え申し上げるような形になって恐縮でございますが、山一の破綻に伴います特融に関しましては、基本的な認識は、山一は債務超過でないという前提での特融でございます。したがいまして、その推定のとおり物事が運びますれば、最終的に山一証券の帳簿が閉じられるときには、残りの資産で日本銀行の特融は全部返るということでございます。  しかし、特融実行の時点で山一証券の帳簿の隅々まで確認して特融を実行したわけではございません。そういう時間的余裕はございません。したがいまして、最終的に帳面を閉じたときに、なおそれだけでは返済不能の部分が残る可能性というものは否定していないわけでございまして、その場合においては、先ほど大臣が御答弁なさいました寄託補償基金の拡充というふうな措置を含めていろいろな措置を政府の方において検討される、そこに信をおいているということでございます。     〔村田(吉)委員長代理退席、委員長着席〕
  177. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)委員 ということは、山一への特融の話だけをされていたわけですな。ほかの銀行については債務超過が、拓銀はもう完全に債務超過だと思いますが、あの辺のところはどうなんでしょうね。
  178. 福井俊彦

    ○福井参考人 ただいま山一のことだけをお答え申し上げまして、大変失礼いたしました。それ以外出ております特融は、すべて金融機関の破綻のケースでございます。  これらにつきましては、当該金融機関の破綻の最終処理の局面におきまして、預金保険機構の発動がございまして、ロスの補てんがいろいろな形でなされます。その時点で特融は全額回収できるということでございます。現にこれまでも、コスモ信用組合その他の幾多の事例におきまして、破綻の最終処理の局面で全額回収済みとなっております。
  179. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)委員 私も、過去において全部回収されていたということは十分承知をしております。だから今回についてもそういうふうになるためには、三塚蔵相、やはり今の預金保険の基金だけでは、拓銀のような大きなケース、それからまだこれからも出てくる銀行破綻処理を考えますと、足りないことはもう明らかになっているわけですから、何らかの形で公的資金を入れていくスキームを早急につくらないことには、日銀特融の返済も保証できないということだと思います。  したがって、公的資金の話に移りたいと思いますが、三塚蔵相、住専処理のときの六千八百五十億円は、住専という預金取扱金融機関でないところへ公的資金を入れたわけですけれども、今でもあれは適切な措置であったとお考えでしょうか。
  180. 三塚博

    三塚国務大臣 当時大変な論争のあったことは百も承知をいたしておるところでございますが、当時の大変な諸状況、ジューセンが国際用語になったところで、日本金融はどうなるだろうかというさなかでございました。そういう意味で、我が国不良債権問題の緊急かつ象徴的な課題であったことは、共通の価値観があると思います。  その安定維持のために、この問題に早期の処理をするということで六千八百五十億円の財政支出を判断した。こういうことで、その後、処理策が決定され、不良債権問題について、中坊さん初め三機関、全力を尽くされて、先般の参考人の際にも、予想をそれなりに上回る形で処理が進んでおりますという報告、その後さらに取り組むということを聞いておるところでございます。
  181. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)委員 私が蔵相の見解をお伺いしたがったのは、もっと具体的に言いますと、あれは預貯金の支払い資金の不足ではない、それを埋めるためではない公的資金であった。それはもう言うまでもなく、どこかの経営を救済した資金ですね。それについて、経営救済のためにああいう形で公的資金を入れたのは今でもやむを得ないとお思いですかというふうに、質問をもっと具体的に変えさせていただきます。いかがでしょうか。
  182. 三塚博

    三塚国務大臣 前段申し上げました世界的な日本に対する評価、また国内的に国民間に増幅いたしました強い批判、また不信感、心配、こういうことの中で、やむを得ない措置であったと私は思っております。
  183. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)委員 私がなぜこれにこだわるかといいますと、この前、日曜日のテレビを見ておりましたら、自民党の加藤幹事長は、キャスターの田原さんが、預金支払い資金の不足じゃないところに六千八百五十億円を入れたじゃないかと言ったら、いやいや、あれはやっぱり預金者を救ったんだ、農協を初めとする農林系金融機関の貯金者を救ったんだ、こういう答えをされておったのですね。  田原さんはそれ以上突っ込まなかったのですが、私はあれを聞いてびっくり仰天しまして、あの論法を使ったら、預貯金取扱金融機関の経営を救うのが全部正当化されてしまう。あれはやはりあんな論法で国民をごまかしていってはいけないと思いますよ、これからの公的資金投入の論議は。  これからの公的資金投入の議論は、預貯金を扱っている金融機関の経営を救えば預貯金者を救ったのだなんてばかなことを言っていたらだめだ。そういう公的資金投入論では、国民は決して納得をいたしませんし、許さないだろうというふうに思います。これからは、きっちりと預貯金の支払い資金の不足というところに結びつく形で投入をしていただきたいというふうに考えております。  それから、またちょっと変わりますが、さっき蔵相がやや不快な思いをされたテーマを繰り返して申しわけございませんが、例の貸し渋りの話でございます。  私は、この貸し渋りについては、そういうのは存在しないとか言う方もおられますが、これはもうこの委員会でさんざん質問が出ていることで、国会議員の方なら選挙区の関係でよく御存じだと思うのですね。  ついこの間の日銀短観の、例の金融機関の貸し出し態度判断DIというのを見ても、中小企業に対するDIは、引き締めもしていないのに急速に下がってきてしまっていて、過去の引き締め期並みのところに下がっております。  ですから、そういうオーバーに言えばクレジットクランチに近いような状況が引き締め期でもないのに起きていることは間違いないと思うのですが、このよって来るところは、言うまでもなく早期是正措置なんですね、来年四月の。  これに対する対策として、先ほどお答えのございました政府金融機関から中小企業へお金を貸すよという話と、あとは宮澤構想として伝えられている、それから恐らく自民党の若い勉強熱心な議員さんも研究しておられるというふうに聞いておりますが、財投資金を使って優先株、劣後債なんかを買って自己資本を上げてやれば、そういうクレジットクランチ的な動きを和らげることはできるだろう、二つぐらい対策が出ているわけです。  しかし、これは両方とも問題があると思うのは、まず政府系の金融機関については、さっきも同僚の中川委員がちょっと言っておりましたが、大体政府金融機関が金を貸すときは抵当権でも一番抵当だとかいろいろな条件がございまして、必ずしも借りやすいものではないのですよね。  それから財投資金で優先株、劣後債を買うに至っては、マーケットで消化されないようなものを、国民の郵貯、年金、簡保という大事な、国民から国がお預かりしている資金で買う、有償資金を使って買うというのはいかがなものか。これはもう典型的な救済になってしまう。市場へ出せばいいのですよね。でも市場で消化できないものを財投資金で買うということを通じて貸し渋りを緩和するという発想は、これはもう非常に迂遠で、実は典型的な金融機関救済になっているだろうというふうに思いますので、この二つの措置とも今言ったような問題点があるということについて、三塚蔵相はどういうふうにお考えでしょうか。
  184. 三塚博

    三塚国務大臣 貸し渋りの問題は、両面の問題がありますことは御案内のとおり。よって、これは詳しく申し上げません。もう大蔵委員の先生方、すべて答弁、御質疑の中で出ておりますから省略させていただきますが、ポイントは早期是正措置に原因があるのではないかという御指摘は先生からもお出しをいただきました。  本件は、金融システムの健全性確保と金融行政の透明性確保の両面から不可欠な制度として既に取り決めてまいったところでございます。そういう中で、そのことが全く関係なく貸し渋りだと私は言うつもりはありません。因果関係は受けとめながらも、しからばどうするのかということであれば、前段も申し上げましたが、政府関係機関に思い切った資金投入をいたすように措置を政府として、私からも強く要請をし、やらさせていただいております。財投機関の資金は御案内のとおりでございます。窓口もしっかりさせることにより、特に都道府県との連携を深める中でそれぞれの県で年末資金対策が真剣に行われておるということにも相なりましたから、そういうことで中小企業の皆様方の年末対策、来春に向けてのベースづくりにお役に立てればと、この点については万全を尽くしていかなければならないと思っておるところであります。  公的資金の問題については、御説ありますこと、また鈴木委員の御提言も承っておるところでございまして、まさに公的支援、公的資金という問題は国民世論の動向でございます。といいますことは、国会論議、大変熱心に展開をされておることに私は重大な関心を持っておるものであります。特に、予算編成権、原案づくりの責任者でもあります。そういう中で、金融システムの安定維持は大蔵大臣に与えられた最大の職務でございますから、その点について論議取りまとめ動向を見ながら、私としても決心をしなければならぬ時期が参る、こう思っておるところであります。今後とも御鞭撻のほどお願いします。
  185. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)委員 公的資金の投入についての今の蔵相のお言葉、私はしかと受けとめて覚えております。どうぞできる限り早い時期に蔵相の御方針そして政府の御方針を打ち出されますようにお願いをいたします。それこそが、さっき言ったシステムの動揺を和らげる上で極めて大事な手法だというふうに思います。  今議論していた貸し渋りに関連した話なんですが、私は、大蔵大臣日本では実は早期是正措置と早期処理の順序を間違えたなと思うのですよ。  前にもちょっと申し上げましたので、蔵相は覚えていらっしゃるかもしれませんが、アメリカではRTC、整理信託公社をつくって不良債権の早期処理をどんどん始めたのが八九年からなんですね。九〇年、九一年、九二年と三年間、ねじり鉢巻きで不良債権の整理を進めたわけですよ。そうしておいて九二年の暮れに早期是正措置が入ってくるわけですね。そしてその時期になると不良債権の重荷もなくなったし、米国景気は久方ぶりの現在に至るまでのブームに向かって動き出す、回復をし始める、そのプロセスの中で早期是正措置をやったから、貸し渋りの問題というのはほとんど社会的な問題にもならなかった。結構うまくいったのですね。ところが、日本の場合は、早期 是正措置を来年の四月からと決める一方、残念ながら住専処理の六千八百五十億円に対して国民がすごいアレルギーを起こしちゃったものですから、早期処理の方はちょっとこの二年間、余り手がついていなかったと思うのですよ。  というのは、随分前に、ことしの二月の予算委員会でも御指摘申し上げましたが、政府の公約というのは、一方では、公的資金は信用組合以外は入れませんとおっしゃった。他方では、ペイオフは二〇〇一年三月までやりません、大銀行はつぶしませんですから、これは両立しない。景気がばあっとよくなれば別ですよ。景気が悪い中で、これは両立しないに決まっているじゃありませんか。特に本年度のような超デフレ予算を組んだらこの破綻は必ず来ますよと私はことしの二月の時点で申し上げて、そのとおり景気が悪くなり、金融の破綻が起きているわけで、私はちっともうれしくないのです、こういう悪い予測がぴたっと当たっちゃうというのは。しかし、これは予見できたことだというふうに思うのですね。  だから蔵相、やはり早期是正措置はいいが、早期処理が進まないうちに順序を逆にしてやるとこういう問題が起きるということをぜひ御理解いただきたいと思います。  それで、私の提案というのは、早期是正措置は少し先へ延ばしたらどうか。妙な形で公的資金を入れるぐらいならその方が健全ですよということでございます。公的資金で劣後債や優先株を買ってしまうとか、政府金融機関を叱咤激励するのはいいと思います。ないよりはましだからいいと思いますが、そんなに効果が上がるとも思えないですね。だから、やはり間違えない方法は、ちょっとごめんなさいと言って早期是正措置を先延ばしすることじゃないかと思いますが、これを蔵相に対する今回の最後の質問にさせていただきます。いかがでしょう。
  186. 山口公生

    ○山口政府委員 ちょっと大臣の御答弁の前に、早期是正措置をいろいろ事務的にやっておりましたので……。  金融システムの健全性の確保は、まず自己査定をきっちりやってもらう。当然やっているべきことなんでございますけれども、それを公認会計士の方にもきっちり見てもらってやってください、償却すべきものは償却してくださいという当然のことを当然のようにやってくださいということでございますのと、もう一つは、行政の透明性を確保しなさいということを言われておりまして、それを自己資本比率でやる場合にはこういうふうにしてやりますということを省令でもきっちり書いてございます。  そういう要請があっての行政でございますので、この早期是正措置を延期というようなアイデアもお示しいただきましたけれども、逆に言うと、例えばもし海外から見たときに、また先送りするんですか、あいまいにするんですか、不透明にするんですか、こういうふうな議論も生まれるおそれもあるなという感じは受けております。  したがいまして、やはりここは苦しいでしょうけれどもやっていかなきゃいけない。ただ、これを口実にいろいろ健全なところに対して対応されると、それはちょっと困るなという感じはしております。
  187. 三塚博

    三塚国務大臣 ただいまの本件についての御指摘は、しかと承ってまいります。特に、不良債権の処理に極めて重要な焦点が合っております。これまた金融システムの安定総合策の中で対応していかなければならぬことでありますので、先ほど来の質疑の中で申し上げた決意には変わりありません。よって、この二つの課題を両々相まって整合性を持たせて、四月には円滑に導入できるように対処してまいりたいと存じております。
  188. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)委員 蔵相、ありがとうございました。  一言だけ、さっきの山口局長が言ったことに申し上げておきますが、それは、海外から見て早期是正措置の延期はちょっと格好が悪いのは確かです。ただ、その理由が、日本版RTCをつくってきちっと公的資金を入れ、また強力に不良債権を回収する早期処理をやるためだ、順番が間違っていたからちょっと後ろへずらすんだというなら、私はむしろ海外からの評価は、上がることはあっても下がることはないと思っています。  蔵相、きょうはどうもありがとうございました。これで私の質疑を終わります。
  189. 村上誠一郎

    村上委員長 次に、日野市朗君。
  190. 日野市朗

    ○日野委員 昨日、橋本総理に当委員会においでをいただきまして、いろいろお話を伺いました。中で非常に強調されたことは、善意の取引先ということを述べられまして、今まで余り当委員会の中でも出てこなかった概念が出てきたような感じがいたします。私も出たり入ったりしておりますから、その間でその議論があったのかもしれません。  しかし、この場は金融秩序の安定というのが一つのテーマでありますから、この善意の借り手というような問題について少し概念を明らかにしておく必要があるのではないか、こんなふうに私は思います。借り手ばかりじゃなくて、取引先という言葉をお使いになったわけですね。  それで、その概念を明らかにするために、講学事例をひとつここで構えましょう、講壇事例といいますか。さっき阪和銀行の話が出ましたが、どこも受け皿がない、どこも助けてくれないという銀行一つ出たといった場合、預金者は預金保険機構の方から預金保険によって救済をされるということで、それ以外の善意の借り手ということになると、どのようなところが考えられていくのかということですね。だれも助けないという前提で考えてみるわけですよ。そういう人たちはどのようになっていくのか、ひとつ。
  191. 山口公生

    ○山口政府委員 先生の御指摘は、破綻処理の場合に受け皿が見つけられない、整理、清算型の場合に正常な取引先がどうなるか、こういう御質問でございますけれども、まず、業務停止命令がかけられます。したがって、健全といえども、その取引先は資金供給が途絶えるわけでございます。したがいまして、その取引先は、他の銀行政府系も含めましてそういうところに駆け込むということになるわけでございます。  もちろん、審査に時間がかかりますし、特に民間銀行の場合は、預金は置かせてくれますけれども、当座貸し越し契約まで進むには、結構その方がその事業で問題なくやっていくという確証がない限り、なかなかそこまでは信用してもらえない。前の銀行とはうまくいっていましたよと言っても、新顔の方が見えて預金をどんと積んでくれる、それは構いません、違法な預金は別ですけれども。そうでないときに、取引を、そういう当座契約を結んで小切手を出して構いませんよというような感じにするには、やはりそこには信用が確立していなければいけない。  そうすると、取引先の方々は、やはりそういう銀行に駆け込んで一生懸命御説明をされ、また、その説明を一からある意味ではやるわけでございます。それで信用してもらって、その契約関係が初めて成立する。その間、非常に資金の潤沢な企業の方は問題ないでしょう。しかし、日々、職員の方々の給料をいつも銀行でというような場合には、なかなかそれは容易ではないなという感じがするわけでございます。     〔委員長退席、佐藤(静)委員長代理着席〕
  192. 日野市朗

    ○日野委員 確かに、局長おっしゃるとおり、その間、かなりの時間的なラグはあると思うのですね。しかし、私、やはり銀行における取引というのは、かなり銀行間の情報交換や何かがありまして、そういった信用度というものはかなりはかられているように思うのですね。  例えば、あそこはもう随分手形交換所や何かでも何の問題もない、それからあそこの手形、あそこの小切手はどこでも容易に割り引くとか、そういう当座取引なんかについての情報というのはかなり行き渡っていて、その時間的なラグというのはそれほど長いものではないと私は思いますが、どうでしょうか。
  193. 山口公生

    ○山口政府委員 私どもより先生の方が実社会の実務をよく御存じでございますので、私の方は一般論としてしか申し上げられませんが、やはり新規融資のストップということがありますと、中小企業の新規借入先の開拓は大変だろうなと。阪和銀行のときの新聞記事等でも随分拝見させていただきました。やはりそういう事例はあるのではないかというふうに思うわけでございます。
  194. 日野市朗

    ○日野委員 私も、そのラグが全然ないだろう、スムーズに事が運ぶとは思っておりませんがね。  ただ、例えば破綻債権それから延滞、金利減免というような幾つかの不良債権の類型があります。そういうものを抱えている、そういう取引先であればまたこれは別ですが、普通、誠実に債権債務を履行しているという取引先であれば、与信契約また受信契約、こういったものというのは比較的スムーズに行われるのであって、この問題を、きのう総理が非常に強調されましたので、特に私、局長のお考えそれから大臣のお考え、大臣もこのことを言われましたからお考えをただしておきたいのですが、それほどまで強調すべきことであるのかどうか。  それに、きのうあたり載ったのでしょうか、私のところに前の西村銀行局長の、あれは朝日の「論壇」だと思いますが、書かれたのが私のところに回ってまいりまして、読ませていただきました。  西村さんは、非常にそれはつらいものだということをお書きになってはおりますが、いかにつらい事態になるのか、さらにそれを解消するためのどのような手だてがあるのかということも別に書いておられるわけではないので、私としては、金融秩序の安定ということを大きな目で見ながら、一つ一つ金融機関に対する対処ということではなくて、大きな目で見るという見方をした場合に、それほどこの問題は大きくクローズアップされるべき問題なのかどうか。この点についての疑問であります。
  195. 山口公生

    ○山口政府委員 先生の御指摘は大変よく私も理解できるところでございますが、私どもの方で強調させていただきたいのは、現時点における現実でございます。それは、一つだけの小規模な金融機関の場合というふうに限って見た場合には、その影響というのはそれぞれうまくこなせるということもあると思います。あえてそういうことをやると言っているわけじゃございませんので、誤解なきようにお願いします。  ただ、今回、特別な特定合併というものをお願いしておりますのは、複数の金融機関が存在して、それが同じような処理を続けてやるということを迫られたときに、果たして一部の方々に御迷惑をかけるだけで済むであろうかというような問題が発生するわけでございます。そういう問題もぜひ強調させていただきたいということでございます。
  196. 日野市朗

    ○日野委員 要は金融秩序の問題でございますから、やはり我々、金融秩序といいますと、先ほどからいろいろ議論も続いておりますが、それがどのように連鎖的な反応を起こしていって、金融秩序に対して大きなつめ跡を残していくかということは、私どももこれはよく存じているわけでありますが、金融秩序の安定というと、そのことを言っただけですべてが説明され尽くされたような感じを持って、そして荒っぽいというか、乱暴な処理をするというようなことはできないんだと思います。  私は今、講壇事例をということで、一つ、どこも助けなかった場合どうなるという話をしました。しかし現実には、そういうことというのはなかなか希有なことだというふうに私思いますね。  この法案をつくった時期というのは、現在に比べれば比較的金融全体が、現在に比べればですよ、安定をしていた時期だったろうと思います。その中で、大体危ないのはあれとあれ、こういうふうに言われていたわけですね。巷間伝えられていたわけでございますよ。特に関西の方では、私はここではもうやはり名前は言いませんが、巷間伝えられて、あれとあれというような話が出ておりまして、きょうは顧客の質の問題までこの委員会の中では出たりしておりますが、そういう比較的安定していた時期につくられた法案でございますね。  私は、現状で、この緊迫した状況の中でこれが有効に機能できるのかどうかということについては多大な疑問を持っているのでございますが、局長よりは、これは大蔵大臣に聞いた方がいいのですかな。現状、こういう大型の金融機関自主廃業から始まって、それからそっちこっちで、コールから金がとれなくて倒れたとかそういう話が、比較的大型のものが出てきている中で、このような機構で金融秩序の安定のためにというのはちょっと無理がありゃしないか、私はこう思うのですよ。  この法案を見た場合、これはやはりローカルな金融機関というものを想定しているんだろう、私はこう思いますが、現在は、ローカルな金融機関ばかりじゃなくて、もうそれこそオールジャパンのところまで倒れる、また場合によっては、山一証券なんか、全世界的な規模で活動をしていたところが自主廃業に行かざるを得なかった、こういうような状態ですからね。この法案にそれほど執着する必要があるのかという思いも私いたします。  この法案がどの程度機能を有効に発揮できるのか、この法律が成立した場合ですよ、私は非常に疑問に思います。その辺はいかがでしょう。
  197. 山口公生

    ○山口政府委員 大臣の御答弁の前に、少し説明を加えさせていただきますと、この法案は、これを今後の処理すべてに使うという趣旨のものではございませんで、総理や大臣が申し上げておりますように、手段の多様化でございます。受け皿銀行が見つからない場合のケースを想定した、手段の多様化をぜひ与えていただきたいということでございます。  確かに先生おっしゃいますように、もうローカルの問題よりは、ある意味ではもっと大きな話になっている。それは、そういう現象が現に起きました。ただ、だからといって、ローカルの問題あるいは地域経済の問題というのが看過されていいというものでもないような気がいたします。それは、大きな銀行においても適切に処理しなければいけませんし、小規模の銀行においても適切に対応するということが必要ではないかというふうに思っているわけでございます。
  198. 三塚博

    三塚国務大臣 本件は、提案の説明でも申し上げましたとおり、破綻処理の手法をつけ加えさせていただきましたということであります。そして、ケース・バイ・ケースで選択をしていくことであり、手段の多様化を求めておるところであります。  そういう中で、ウエートは金融システムの安定であります。いわれなきうわさが飛ぶような昨今であります。冷静に物を見ていただくことによって物事がおさまっていくわけでございますが、地域といえども全体に影響を及ぼすこと、全くないと断言できません。アジア経済の不安定な状態どもあります。韓国は、IMFから示された調整プログラムを全部のむことによって本格的な安定に入ると見ております。さらに、アジアの安定も日本の全体に及ぼすわけでございますから、そういう点で、ましてや国内の地域における騒ぎが、最悪の事態が出ることによって、だれもこれがどうなるかという先行きは断定できないところに今日の不安定がございます。  転ばぬ先のつえと先ほど申し上げさせていただきました。もっと言えば危機管理の最大の問題であろうかと思っておりまして、そういう中で、特に地域経済がそのことによって巻き込まれ、最大の被害を受けることがあってはなりませんね。こう考えながら、政治の手法として加えさせていただき、お願いを申し上げておるというのが率直な考えであります。
  199. 日野市朗

    ○日野委員 先ほどから山口局長も、いろいろ苦労話まで交えてお話しになりました。確かに阪和なんかは非常に苦労されたケースであろうというふうに思います。  それと同時に、私は、大蔵省の御尽力、御努力というものに対してはかなり評価しているんですね。よくこれほどまで一生懸命動いていろいろなことをなさる。これは、受け皿銀行を見つける、いろいろなところのスキームをつくってはいろいろなことをやってこられた。それが間違ったと指摘されるものもあるでしょう。しかし、いろいろなことをやってこられて、今まで金融に対処してこられたわけですね。  ただ、この問題を見ていて、現実に、名前はやめますが、関西の方の二つの金融機関が危ないというような話が出て、そしていかにも、いろいろな努力をしたけれども受け皿銀行もないというようなケースが出てきたというのは非常に希有なこと、まれなことのように私は思えるんですね。このようなケースは全国的にずっとあるんですか、現実の問題として。現実の問題としてあるかということは、将来予測されるようなこともあるのですか。ちょっとそこのところを聞いておきましょう。
  200. 山口公生

    ○山口政府委員 この法案は一般的な形での御提案を申し上げておりますので、そこはぜひ御理解賜りたいと思いますが、やはりその際の問題点としては、受け皿銀行がなかなか見つからないというのがベースにあることも事実でございます。それは、現に私どもがいろいろと個別の処理をしているときの感覚がございます。  それは、各銀行は自己資本比率をかなり気にしております。そうすると、優良な資産を引き受けましても、資本勘定の方が大変潤沢でありますれば問題がないんですけれども、どうしても、貸し出し競争のような時代を経ておりますので、かなり資産が大きく膨らんでおります。じゃ資本調達の方が容易にできるかというと、なかなか増資も難しい。それから劣後債、劣後ローンもなかなか今取り入れが難しい。それから利益の方も、業務純益も限界がある。ましてや株式の含み益等も、株価によっては減少をするということで、やはりその辺を非常に気にされているということでございます。  だから、ある特定のことを申し上げるわけではございませんが、一般的に、受け皿銀行が名乗り出てくるような経済状況、先ほど鈴木先生もおっしゃっていましたが、理屈としてはそれは成り立つと思いますが、なかなか現実的にはそれが難しいという客観的な情勢はしばらくは続くのではないかというふうに思います。
  201. 日野市朗

    ○日野委員 これは法律案ですから一般論ということになるのは当然のことなんでありますが、今、個別処理をやっておられての勘ということを言われたのですが、私はその内容を深く突っ込もうとは思いません。むしろ受け皿銀行となるべき銀行の慎重な態度ということに注目をするのが本当なんでしょう。  しかし、結局は大蔵省あたりのいろいろな努力でそういう受け皿銀行や何かをちゃんと見つけていくというのが、本来は正しい態度ではないかというふうに私は思うのですね。もう倒れそうな二つの銀行をくっつけて、そしてそこにこの預金保険の金を、余り潤沢でもない金を入れるということは、いかにもこれはいい処置であるとは私には思えない。それで、当面、今より前の時期で比較的まだ金融情勢が安定していたころに、あそこだけは何とか助けないと、もうあの地域ちょっと危ないよというのでこの法案をつくられたような感じがしてならないのです、私は。そんなことありませんか。  一般論だということは、一般論で法案を出さなければならぬということはよく知っているのですよ。そして、もっと銀行局も真剣になってこれからの金融問題に対する取り組み、これをやっていかなければいかぬでしょう。そうすれば、この法律が適用されるのは個別、そのケースだけということになりやしないか。来年は自民党あたりでももっと別のいろいろな知恵を出してこれに対する修正を加えるような話もありますが、そうすると、その銀行の問題だけに、そこに適用するためだけにこの法律案について議論をした、しかもこんな大騒ぎをして議論をしたと言われかねない、そんな気がするのですが、いかがでしょうか。特にこれについては大臣にもちょっと意見を聞いておきたいですね。
  202. 山口公生

    ○山口政府委員 おっしゃいましたように、この法律案がどういうケースに具体的に適用されるかというのは、今後の状況次第でございまして、それは、私は見通すことは難しいというふうに思います。  ただ、先ほど先生がおっしゃいましたように、大蔵省が努力して受け皿銀行は見つけていけばいいのではないかという御指摘でございますけれども、これが経済原則にのっとって見つかれば、それは何ら問題がないと思います。しかし、なかなかそういうふうな状況にないということもるる御説明いたしました。しからば、大蔵省が何らかの、非常に批判を浴びておりますようなやり方あるいはそういった手法ということは、ごれはもうとるべきでない、護送船団方式からの決別をしろというふうにずっと言われまして、私どもはそういうことでやらせていただいている、透明性のある行政、そういう方向でやりたいと思っております。  したがいまして、大蔵省が見つければいいのではないかという意見が時々マスコミ等でもありますけれども、それは見つける努力はいたします。いたしますが、それはあくまで経済原則にのっとったものでなければならないというふうに思うわけでございます。
  203. 日野市朗

    ○日野委員 誤解をされると困りますから、ちょっとお話ししておきますが、私はもう破綻する金融機関まで助けろなんて言っているのじゃないですよ。そこはちゃんと市場の原則を働かせて、それでなおかつ危なくなってきた、助けられるものは助ける、そういう方向に進むということなのであって、破綻したところまでどうのこうのと私言っているわけじゃありませんから、ひとつ誤解をなさらないように。大蔵大臣、おっしゃることはありますか。
  204. 三塚博

    三塚国務大臣 今回の特定合併のあっせんという点でありますが、経営が悪化し、預金の払い出し停止に陥るおそれのある金融機関が複数存在する、これが一点。これらの金融機関がその地域で果たす金融機能を維持することが、預金者や取引先を初めとする地域経済のために不可欠だと認められるような場合について行う、こういうことであります。  この措置の対象となる破綻金融機関の定義については、預金払い戻しを停止した、または停止のおそれのある金融機関でありまして、従来の考え方を変えるものではございません。これらの要件に関し、あらかじめ機械的な基準を示すことは事案の多様性等を考慮しますと困難でありますので、従来の取り扱いと同様、当該金融機関の取引状況等を踏まえながら、個別具体的に判断をしてまいるということであります。  なお、最終的に資金援助を行うのかどうかという問題がございます。この決定は、預金保険機構の運営委員会において行われることでございまして、これまでの資金援助と同様、当局の裁量により預金保険の発動が決定されるわけではございません。  いずれにいたしましても、当局としては、今回の措置が安易に発動されるべきではないと考えておりまして、厳格な制度的歯どめを設けている趣旨にかんがみ、その発動に当たっては厳正に対応してまいる、こういうことでございます。
  205. 日野市朗

    ○日野委員 この新設合併、特定合併についての発動というのは、今大蔵大臣も言われたのですが、そのためにはやはり正確な金融機関に対する情報というものを持つことが必要でございます。私も、随分、世界の各国における金融機関に対する監督・検査などについて見聞するところございましたが、どうも我が国金融機関に対する検査・監督というのは、日銀考査も含めて、非常に甘いように思えてならないのですよ。  そこで、まず、どのように日銀の考査をも含めて行われているか。この点について、常識的なことは結構でございます、日銀は、その目的に照らして、その目的にふさわしい考査をやっておられるわけでありますから、量的にどの程度の考査をやっておられますか、毎年。金融危ないぞと言われるようになってきたこ三二年ぐらい、そこいらで結構ですから、ちょっと示してください。まず、人員と件数ですね。
  206. 福井俊彦

    ○福井参考人 お答え申し上げます。  日本銀行で考査に携わっております実働の人員、頭数でございますが、約百十人でございます。  考査を年間どれぐらいの先に実施しているかでございますが、昨年の実績で申し上げますと、年間に約二百四十の金融機関を訪問して考査をしているということでございます。  個別の金融機関ごとに、では何年に一回ぐらいの頻度かということになりますと、状況によりましてこれはかなり波がございますが、委員ただいま御指摘のとおり、約三年に一回ということを中心に、前後かなり幅があるということでございます。
  207. 日野市朗

    ○日野委員 大体、都銀、長銀、そこいらだと三年ぐらい、それから信金あたりだと二年ということじゃないですか、周期は。
  208. 福井俊彦

    ○福井参考人 お答え申し上げます。  地銀あるいは第二地銀、信用金庫といったところが二年に一回ないし三年に一回ということで、若干幅がございます。
  209. 日野市朗

    ○日野委員 感想を伺いますが、こういうふうな金融情勢になってくれば、もっと密度を高くやっておけばよかったという御感想はお持ちになりませんか。
  210. 福井俊彦

    ○福井参考人 頻度も問題でございますけれども、やはり私どもの意識は、考査の内容ということがより重要かと。頻度という点では、実は大蔵省の検査もこの間に入っておられますので、対象先金融機関からすれば、大蔵省、日本銀行双方からかなりの検査ないし考査を受けているということでございます。  私どもの意識といたしましては、金融機関の業務内容が非常に変わってまいりますし、現に変わってきておりますので、考査内容の高度化を図っていくという点の方がより重要ではないか。頻度を上げようと思いますと、どうしても多くの人数が要りまして、トータルとしてのやはり私どもの資源の限界に達するという問題もございます。
  211. 日野市朗

    ○日野委員 今度は大蔵省の検査について聞きますが、もうこうやって聞いているとあれですから私の方でどんどん言ってしまいますから、違っていたらおっしゃってください。  大体、都銀、長銀、信託、ここいらは検査周期は三年程度、それから検査期間については一カ月から二カ月、一回の検査については十人から十五人ぐらい。それで、大体、都銀、長銀、信託については対象になるのは年に七、八件というところでしょうか。それから、地銀、第二地銀、これについては検査期間二年から三年。信用金庫の場合は二年程度。大体検査の内容についてはそんなもので、やはり人員の不足というのがかなり大きく響いているのではないかというふうに思いますが、いかがお考えですか。
  212. 原口恒和

    ○原口政府委員 検査の概要についてはおおむね今先生が御指摘になった状況でございます。定員につきましても、昨今の金融情勢をめぐる中で、いろいろ関係方面に働きかけを行い、理解を得ながら増員に努めているところでございます。  今後ともそういう努力をしながら、ただこういう厳しい行財政事情のもとでございますので、検査手法の充実あるいは検査の周期等につきましても、例えば早期是正措置が入りますといろいろ自己査定ということを前提に検査をやっていくことになります。そうなりますと、金融機関を一律な周期で考えるということではなく、ある程度めり張りをつけていくということも必要になってくると思います。そういう中で、できるだけ充実するように工夫を凝らしていきたいと考えております。
  213. 日野市朗

    ○日野委員 私も、大蔵省の検査体制、日銀についても言えることですが、これを見ておりまして、今日の金融の混迷というのはやはり検査体制をきちっとしておかなかったところに大きな原因があったような気がいたします。  ちょっと国際的に比較をしてみますと、日本の場合は大蔵省の検査対象機関というのは千三百を超えているわけです。そして人員はどうかというと、大蔵省の本省とそれからあとは財務局のスタッフを使ってやるわけですが、四百十九人だ。あとは都道府県に大体六百八十から六百九十ぐらいがいる。  米国の場合を見ますと、OCC、FRB、FDIC、OTS、それから州のスタッフとなっており、国法関係で七千八百、それから州関係で九千三百というスタッフを持ってやっておられるわけです。  日本の場合、こういう限られた人数で検査をやる。幾ら質を高めたって、これは限界があります。こういう状況を直していかないと、これからの金融秩序を正していくということにはいかにも人数不足ではないか、こんな思いがいたしますが、大蔵大臣、どうですか。
  214. 原口恒和

    ○原口政府委員 御指摘のように英米に比べると少ない人員であることは事実だと思います。また、これは今までのいろいろ金融行政の成り立ち、そういうこと、あるいは予防的な行政をやってそれを監視するということと、今後、事後的な監視に向けてどういうふうに検査を持っていくかというのは難しい課題だと思いますが、一方で、こういう厳しい行財政事情のもとでございますから、急にアメリカ並みの人員というわけにもまいらないと思います。そういう中でできるだけ努力をしてまいりたいということだと思います。
  215. 日野市朗

    ○日野委員 金融機関の内情のディスクローズということがよく言われますが、金融機関自身がディスクローズをしていく、これも大事です。それと同時に、大蔵省が知り得た情報についてディスクローズをしていくということは非常に大事なことです。それなのに、私は、この程度の検査スタッフではまことに寒心にたえない。これで日本金融機関に対する国民の信頼を引き寄せようというのはかなり難しい仕事ではないか、こんなふうに私は思っております。ですから、ここいらは、こういう根本になるところからひとつ正していかないといけないのではないかというふうに私は思います。私の注文として聞いておいてください。  それから、この二つの法案について私の率直な感想を述べさせていただく。  先ほどからちょっと話題に出ておりましたが、預金保険制度というのは本来こういうふうに使うものではないのです。預金保険制度の機能の枠をこんなに拡大してしまったら、歯どめがなくなってしまう、そんなふうに私は思うのです。大体、共済制度みたいなものですから、この預金保険というのは。ですから、国の政策を実現していくためにこういうところに足を踏み込んで、そしてその機能の枠を広げていくということには私は反対です。  それよりは、きちんと公的な資金を入れるということを私は言うべきだろうと思うのです。確かに住専問題なんかで非常に不幸なことがありました。私はその影響が非常に尾を引いているような気がしてなりません。しかし、やはりここは国民の皆さんにしっかり、何で公的な資金を入れなければならないのか、そこのところをよく理解してもらうような努力をしなければいけないと思いますよ。  これからは特にビッグバンの時代です。こういう病める金融機関金融秩序を抱えて、あの世界の荒波の中にこぎ出していくというのは大変なことです。これはちゃんと大臣の責任において整理すべきことではないかと私は思いますが、その点について一言伺って終わります。
  216. 三塚博

    三塚国務大臣 日野委員の預金保険機構に対する思い入れ、また分析、住専のときに党代表として大変御苦労をいただいた経緯を私も承知をいたしておりますだけに、重く受けとめてまいります。  今回の一部改正も、前に私からも申し上げましたとおり、地域経済を守らなくてはいけない、また、そこから発する信用不安を未然に波及をとめるという、このことが預金者保護の基本にかないます、こういうことで御提案申し上げさせていただきました。そういう中で、余りそれを使い過ぎるのではないかということでありますが、その機構の持つ権限の中で新たな手法を加えさせていただくということで万全を期したいというのが偽らざる本意でございます。  また、公的資金の導入についての御懸念、表明をされました。これは、まさに国民的な理解、最終的な合意を得るというのが大変大事なポイントであることと存じております。そういう中で、その御心配、また警告をしかと受けとめてまいりたいと存じます。
  217. 日野市朗

    ○日野委員 終わります。
  218. 佐藤静雄

    佐藤(静)委員長代理 次に、海江田万里君。
  219. 海江田万里

    ○海江田委員 まず最初に、大蔵大臣にお尋ねをします。  先ほど同僚委員の質問に対して、次期通常国会で、寄託証券補償基金の改正案は、これを出したい、提案をしたいというような御発言がございましたが、今問題になっております預金保険法改正案でございます。今出ておって、もちろん議論しておるのは承知をしておるのでございますが、引き続きこの預金保険法のさらなる改正案というものを次の通常国会に出す必要があるとお感じになっておられるか、それとも、いや、この預金保険法の改正でもうすべて万全であって、次期の通常国会では出す必要がないとお考えになっておられるか、どちらでしょうか。
  220. 三塚博

    三塚国務大臣 本件は、海江田委員もよくおわかりのとおり、手法を加えて、ただいま申し上げましたような万全の態勢をとらせてください、こう申し上げております。  財源の問題は、御案内のとおり、国会論議国民間の御論議、そして各党間の御論議がございます。そういうことの中で、今後の取り組みということについて、ただいま真剣な検討が党サイド、各党において行われておるわけでありますから、本件については重大な関心を持って見ておるということが基本であり、御指示いただきました寄託証券補償制度については、もう既に申し上げておるとおり、来国会へ、こういうことで準備が進められておるということであります。     〔佐藤(静)委員長代理退席、委員長着席〕
  221. 海江田万里

    ○海江田委員 本委員会でのこの預金保険法の一部改正案に関する議論を聞いておりまして、とりわけ大蔵大臣の十二月一日の予算委員会での御発言、それから当委員会での山日銀行局長の御発言等を聞いておりますと、私は、やはり次期の通常国会で預金保険法を改正する必要があるのではないだろうかというふうな認識を持つに至ったのですが、今度は銀行局長、いかがですか、必要ありませんか。
  222. 山口公生

    ○山口政府委員 ただいま大臣の御指示でもっていろいろなことを検討しておりますので、何とも今の段階では申し上げられません。
  223. 海江田万里

    ○海江田委員 山日銀行局長は御自分が一番よく御存じだろうと思いますけれども、私は、預金保険法の改正をしませんと、当委員会でるる述べられました各種金融商品の保護というものはできないのではないだろうか、そういう認識を持っております。  この問題、随分議論になりまして、私も少し冷静に整理をしてみたわけでございます。それについて、私なりの整理をこれから開陳いたしますので、もし間違っているような点がありましたら御指摘をいただきたいと思います。  発端になりましたのは、先ほどもお話をしましたが、十二月一日の予算委員会での大蔵大臣の御発言でございますが、その前提になっておりましたのは十一月二十六日の大蔵大臣日本銀行総裁の談話でございます。そして、さらにもっと言いますと、実は十一月二十六日の談話の中でも出てまいりますが、どういうように出てくるかというと、「大蔵省、日本銀行は、十一月二十四日の談話の中で、預金等の全額を保護するとともに、」こういうくだりがあるわけです。「預金等」という言葉がここで出てくるわけでございますが、この談話の中でも指摘してありますように、十一月二十四日のこの金融システムに関する大蔵大臣談話の中でもやはり「預金等」という言葉は出てまいります。  ところが、「預金等」という言葉は出てまいりますが、この十一月二十四日の談話では、これは実は山一証券が大きな問題になった直後でございますけれども、「今後とも、銀行等預金取扱金融機関については、我が国金融システムの根幹をなすものであることから、いわゆる金融三法を基本として、預金等の全額を保護するとともに、」ということで、「いわゆる金融三法を基本として、」そして「預金等の全額を保護する」、こういう表現になっておるわけでございますね。それが、二十六日になりますと、この「いわゆる金融三法を基本として、」という文字が抜け落ちているわけでございます。  ただ、抜け落ちてはいますけれども、私は、この種の、この預金等の保護については、当然のことながら、いわゆる金融三法を基本とするということは、これはやはり揺るがすことのできない基本的な考え方だと思うわけでございますね。私たちは、昨年の国会でこのいわゆる金融三法というものを新しいものにしたわけでございますから、その法律の土台の上に立って金融行政をやっているわけですから、当然のことながら、金融三法というものは守っていかなければいけない、その基本の上に立ってあらゆる措置が講じられなければいけないと思うわけでございますが、これはいかがでしょうか。  この二十六日の談話には「預金等の全額を保護する」ということで「いわゆる金融三法を基本として、」という文言が抜け落ちておりますが、これは相変わらず二十六日でも生きておる、そういう認識を持っていいわけでございますか。
  224. 三塚博

    三塚国務大臣 私もまた談話を見ております。二十四日は、御説のとおり、お読み上げのとおりであります。二十六日の一で、「大蔵省、日本銀行は、十一月二十四日の談話の中で、」ここの中で含まれておるわけです。
  225. 海江田万里

    ○海江田委員 私も当然含まれておるという認識なんですが、含まれておるとするならば、先日来いろいろ議論があります、あるいは、きょうも山日銀行局長は非常にはっきりとおっしゃられましたけれども、預金保険対象金融機関取り扱いの金融商品についてはこれを保護するというお話がございますが、預金保険対象金融機関取り扱いの金融商品を保護するということは、預金保険法を逸脱していませんか。いかがですか。
  226. 山口公生

    ○山口政府委員 法律の読み方の問題かもしれませんが、私が申し上げているのは、特例期間中の資金援助の形をとった場合に、ロスを全部埋めることができるという形を機能として与えてありますので、回りくどい言い方をすると非常にまたわかりにくくなるということで、保護されますということを言っているわけでございます。
  227. 海江田万里

    ○海江田委員 法律の読み方というふうにおっしゃいましたけれども、読み方ではございませんが、これははっきりとこの法律の条文の中に、「預金等」ということがどういう内容を意味するかということが書いてあるわけでございますね。  これはもう言うまでもございませんが、この「預金等」というのは預金保険法の第二条、真っ先でございますから、これはよもや銀行局長知らぬという話はないはずでございますが、この「預金等」の定義づけがございまして、この「預金等」ということは、一に預金である、二に定期積金である、三に銀行法第二条第四項に規定する掛金である、四に信託業法に係る信託契約により受け入れた金銭である、こういう書き方をしているわけでございますね。  それから、この「預金等」という文字が出てまいりますのは、これは第五十四条でも出てまいります。第五十四条で、「保険金の額等」という項目でございますが、ここで「預金等」と書きまして、そしてこの「預金等」の中で括弧がございまして、「外貨預金その他の政令で定める預金等を除く。」ということでございます。では、その「外貨預金その他の政令で定める預金等を除く。」ということで、その政令を調べてみますと、これは預金保険法施行令でございますが、その第三条の中で除くものが書いてございます。一に外貨預金でございます。二に譲渡性預金でございます。三に預金等に係る証書が無記名式である預金、こういうように全部具体的に中身が法律の条文の中に書かれているわけでございますね。  そういうふうな理解でございますが、これは「預金等」ということでこの法律に書かれておる認識でよろしいのかどうなのか。それは読み違えとかいうことでは私はないと思うのですが。
  228. 山口公生

    ○山口政府委員 今先生は本則をお読みいただき、政令をお読みいただきました。そのとおりでございます。
  229. 海江田万里

    ○海江田委員 そうしますと、それからさらに附則の十六条、先ほど来いろいろ出ております。  本来でしたらペイオフをするはずでございますけれども、そのペイオフができませんから、その間は特別資金援助をするという枠組みが決めてございます。この附則十六条の特別資金援助の場合も、当然のことながら「預金等」と言われる中にこれは規定をされる、規制をされる、そこを逸脱してはならぬというふうな理解が一般的であると思いますが、いかがでしょうか。
  230. 山口公生

    ○山口政府委員 ここで言っておりますのは、いわゆるペイオフコストを超えて資金援助ができる、これを特別の援助という形で規定しておるわけでございます。
  231. 海江田万里

    ○海江田委員 そうおっしゃると思って、私は先ほど、金融三法を基本としてということを確認するかどうかということをお尋ねをしたわけでございますが、先ほど来大蔵大臣は、「十一月二十四日の談話の中で、」という中でこの三法を基本とするという立場を確認をしたということでございますから、三法を基本とする限り、例えば譲渡性預金でありますとか、譲渡性預金は一部もうやっております、これは実のことを言いますと。ただ、これも本当のことを言うと違反でございます、逸脱でございます。  それから、外貨預金等の発言もございましたけれども、外貨預金ははっきり名指しでもって、これはいわゆる施行令の方でも対象外とするということが書いてございますけれども、こういうことを入れるということは、これはちょっと本当に、まさに逸脱を超えて違反というふうな認識をしてよろしいのではないですか。いかがですか。
  232. 山口公生

    ○山口政府委員 これは、昨年の通常国会で御審議賜りました金融三法で、この特例期間内の特別な措置としてお認めいただいております。本則の考え方はおっしゃるとおりだと思います。しかし、機能としては、私はそれは与えられていると思います。  それで、余計なこととおっしゃるかもしれませんが、この規定があるおかげで日銀の特融も問題なく出すことができるわけでございます。一部はカットするということになりますと、いわゆるシステミックなリスクというものを現在招来するおそれは非常に高いと思います。そういうこの三法の認めていただいた機能を使っているということが、逸脱しているとは私は思いません。  ただ、おっしゃるとおり、このペイオフが原則だという法律の考え方そのものは、先生のおっしゃっているような趣旨が基本的にはあると思います。しかし、今はこの特例の期間中であるということをぜひ御理解いただきたいと思います。
  233. 海江田万里

    ○海江田委員 そうなりますと、山日銀行局長の御発言は、預金保険対象金融機関取り扱いの金融商品という表現でございますね。よろしゅうございますか。預金保険対象機関取り扱いの金融商品と先ほど御発言があったのですけれども、これをすべて保護する、すべて入りますという表現ですが、それはさっき言っておりますよ、私きちっと聞いておりましたから。  そうなりますと、例えば外貨預金の場合でも、外貨預金というのはもちろん邦銀もやっておりますけれども、外国銀行もやっておりますね、外国銀行日本の支店が。外国銀行というのは、この預金保険対象金融機関になりますか、なりませんか。
  234. 山口公生

    ○山口政府委員 先ほども御答弁申し上げまして、ちょっと私勘違いして、また訂正した部分でございますが、外国銀行の支店は対象になりません。
  235. 海江田万里

    ○海江田委員 ということになりますと、委員もお聞きいただいておわかりになったと思いますけれども、同じ外貨建ての預金でありましても、邦銀の支店でつくった外貨預金というのは保護されるけれども、外国銀行でつくりました、幾つか有名な銀行もございますが、そこでつくりました外貨建ての預金というのは、これは保護されないというふうに理解をしてよろしいわけでございますね。
  236. 山口公生

    ○山口政府委員 そういうことでございます。
  237. 海江田万里

    ○海江田委員 委員もおわかりいただいたと思いますが、これは大変おかしな制度でございますね。こういうことをアメリカが聞いたら果たしてどういうことになるだろうというようなことも考えられますので、まあ大変これは整合性を欠いた話になっておるんですね。  確かに緊急の課題であるというこの信用不安、あるいは預金についての不安感を払拭をするということは大変緊急な課題であるということはもちろん十分にわかるわけでございます。しかし、そこでできることとできないことはおのずから制限があって、もし現行の法律でできないことであれば、それはなるべく早くにこの国会に法律の改正案を提出して、そしてそこで議論をしなければいけないというのは、これはやはり法治国家に住む我々としては当然のことだろうと思うわけでございますね。  その点で、今回の措置というのは、あるいはまだ具体的な措置になっておりませんが、皆さん方のお考えになっておりますこの方針というのは、これは大変そのあたりに疑義がある、法律を逸脱をしたところに及ぶ可能性があるということを私は指摘をしたいと思います。  何か発言がございましたら、どうぞ。
  238. 山口公生

    ○山口政府委員 一つ発言をお許しいただきたいと思いますが、外銀支店の財務の健全性は母国の監督当局が最終的に責任を負うという考え方でやっております。
  239. 海江田万里

    ○海江田委員 それはわかっておりますけれども日本の国内で預金をする場合のその不公平さというのは、これはやはりあるということ。それは本来からいけば、外貨建ての預金自体が、これはもう御案内だろうと思いますけれども預金保険法の中で、あるいは施行令の中で、外貨建て預金は外しますよということでございますから、私は何もその外貨建て預金もこの保険対象にしろなんていうようなことを言っている話では全然ないのです。  むしろそれよりも、あらゆるものを守ると言ってしまったところから、どうやってそのあらゆるものを守ると言ったことを何とか整合性を持たせようかというところで、預金保険の対象の金融機関の商品については守りますよと言ってきたところから今出てきたような矛盾が生じるということで、私は外貨建て預金を守るべきだなんてことはさらさら考えておりません。むしろ、そちらの根っこの方に問題があるのではないかということでございます。  それから、金融債でございますが、この金融債についてもやはりいろいろな議論のあるところでございます。  私たちの記憶に新しいのは、ことしの四月ごろに、この金融債をどうすればいいかということで随分いろいろな議論がございましたけれども、それについてはやはりいろいろな問題があるということで、これはそのときは結論が出なかったわけですね。  それがここのところへ来て急に、金融債も当然のことながらこれは守るというようなお話がございますけれども、これだって、さっき私がお示しをしました預金保険法の施行令の中で、預金等に係る証書が無記名式である預金ということでいえば、割引金融債なんか完全に無記名でありますから、これは当然外されなければいけない話になってくるわけでございますね。  それから、そもそもこの金融債というものが、世界的な金融自由化の流れあるいは世界的な金融商品の流れの中で果たして合うものなのだろうかどうなのだろうか。もともと、これは言うまでもありませんけれども、産業に対する資金を供給するために長信銀を幾つかつくって、その長信銀に独占的に発行を許してきた。その結果、本来だったら、主力商品は五年物の利付の金融債ですけれども、それを長信銀に許してきた結果どうなったかというと、国債でも五年物の利付の国債は出さないとか、あるいは社債でありますとか、電力会社、この間中部電力が初めて四月に五年物の利付社債を出すことになりましたけれども、これまでそういう電力会社などは五年物の利付の社債を出したいということを言ってきたにもかかわらず、それは妨げをしてきた。これは、そういうような問題もある金融商品なわけですね。それを、こういう事態だからといって、全部これは保護しますということが果たして言えるのかどうなのか。いかがでしょうか、幾つか問題が多岐にわたりましたけれども
  240. 山口公生

    ○山口政府委員 一つ、前の点で、これは国民の皆様にぜひ知っていただきたいのでございますが、私は、海江田先生の御質問で、法律的にどうかと言われましたので、そのぎりぎりの可能性を述べているだけでございますので、何も外国銀行の支店が問題だとかいうふうにおとりになると、それは大変な間違いでございます。外国銀行もきちんとした本国の指導のもとに健全にやっておるということを、ぜひそれは主張したいと思いますので、そういう趣旨で私は申し上げていないということをくれぐれもよろしく御理解を賜りたいと思います。  それから、その金融債の方のお話でございますが、金融債も基本的にはその銀行が健全に運営している限りにおいては何ら問題がないわけでございます。先生のお尋ねが、法律的に言って含まれ得るかどうかというぎりぎりの話をなさるわけですから、国民の皆様はそこが御心配であるということで、私は可能性があると。それで、可能性があると言うと、また不安だということで、現にそうやっていろいろCDも、公金預金も守っていますという事実を申し上げている。そういうことでございますので、そこを余り過大に受け取られると、金融に携わっている人たちにとってみると、非常に一喜一憂するということになりかねません。  大事なことは金融機関が健全に運営していくということでございますので、今金融債のお話もありました、それからけさほどは信託商品のこともありました、これはすべて健全にやっている限りにおいては何ら問題がないということを、ぜひ国民の皆様に御理解いただきたいと思います。
  241. 海江田万里

    ○海江田委員 それはもちろん理解をしておって、今おっしゃられたような誤解をする方はほとんどいらっしゃらないのじゃないかなというふうに思うわけでございます。  私が言っておりますのは、これはやはりかなり超法規的な措置であることは事実なんですね。超法規的な措置であるという以上、私は先ほど冒頭にお尋ねをしましたけれども、やはり預金保険法の改正をできるだけ早い機会にやりたい、そういうことを何でおっしゃらないのですか。全く改正をしないで、寄託証券補償基金については、これはやるというはつきりしたお話がありましたけれども、この預金保険法の方はやるともやらないとも言わないということですが、必要とあればやるということぐらいはおっしゃれるのじゃないですか。どうですか。
  242. 山口公生

    ○山口政府委員 預金保険法の考え方をどういうふうに構成するかの問題だと思います。  今の預金保険法は、ペイオフ、これを原則にしております。そのペイオフの対象預金も限定しております。しかも金額も一千万の元本というふうに。その考え方を基本的に変えてしまうのか、あるいは、そういう原則は原則で残したまま、いずれはそこにいくけれども、しばらくの間は特例的にやるかという、そこはかなり政策的に難しい判断だと思います。現実を法定するために本則を変えるのがいいのかどうかという問題と、そういう考え方は引き続きやるべきかどうかというのは、非常にこれは難しい議論をしなければいけない問題だと思います。
  243. 海江田万里

    ○海江田委員 難しくありませんよ。さっきも確認をしましたけれども、いわゆる金融三法を基本として、預金等の全額を保護するということで、これはそこが原則なわけですから。その原則を外したことを、私はやはり逸脱ではないかということを申し上げているのであって、これはやはり変えるべきですよ、だれが聞いたって、だれが考えたって。どうですか、大臣
  244. 山口公生

    ○山口政府委員 金融三法は特別な扱いを認めていただいたという趣旨でございます。
  245. 海江田万里

    ○海江田委員 これはいつまで言ってもしょうがありませんけれども、やはり原則というものは、とりわけ金融三法の中でもこの預金保険法の原則というのは、非常に厳密に規定をされているわけですから、特例でその規定を若干緩めるという場合でも、私たちの理解というのは、それはその金額を、一千万のいわゆるペイオフをしませんよ、何億でも構いませんよということであって、金融商品をやたら広げることが果たしてそれでいいのかどうなのか。これは前にも議論しましたが、保険料の問題等もあり、裏表の問題等もあり、それでいいのかということはやはり大きな問題。  それから、当委員会の調査室がまとめました資料にも、やはりこの附則第十六条のところで、「機構は特別資金援助として、ペイオフを行わず預金を全額保護するとしている」ということで、ここは「等」も抜けているわけですよ。ここはまあ本当は「等」を入れた方がいいと思いますけれども、それが一般の理解なんですよ。預金を保護するということ、ペイオフはやらないけれども、一千万円というところで切らないけれども、だけれども保護されるものと保護されないものがあるんだよということが、やはりこれが一般の、物のわかった、あるいはきちっと議論をしてきた人たちの常識なわけですから、余りその常識を覆すことがあってはいけない。  それから、大変残念なことでありますけれども、当委員会での議論でも、ほとんど自己責任でありますとか、あるいはハイリスク・ハイリターンでありますとか、そういうことについての発言がぴたっと皆様方の方から、大蔵省の側からぴたっとそういう発言が消えてしまいました。この自己責任の原則でありますとか、ハイリスク・ハイリターンの原則でありますとか、これはこれから金融の本格的なビッグバンに向けてぜひ国民の一人一人に知っていただかなければいけないテーマ、考え方でございますから、それはやはり機会あるごとにそういう発言をしていかなければいけない。  ただ、先日来、大臣あるいは銀行局長がおっしゃっているような話では、どこをどう振ったところで、どう逆立ちをしたところで、自己責任の原則でありますとか、ハイリスク・ハイリターンでありますとか、そういうことは出てこないということ、とれを私は大変残念なことだというふうに考えております。  それから、証券局長がおられますので、一つだけお尋ねをします。  例の三洋証券の破綻で、それこそ今問題になりました補償基金に大体二百億ぐらい必要なんじゃないだろうかということで、そのうちの百億はこれは野村証券が出してください、残りの百億について、当時四大証券でありました山一も三分の一出してください、およそ三十三億円でございますが、そういうお話があった。そしてそういうことで話が進んでいたのが、今回山一が破綻をしてしまいましたので、山一がこの三十三億円を出すのですか、それとも山一が出す予定になっておりました三十三億円というのはどこかほかが負担をするというような話し合いがついておられるのでしょうか、どうなのでしょうか。
  246. 長野厖士

    ○長野政府委員 お答え申し上げます。  多少正確にあのときの考え方を申し上げますと、寄託証券補償基金、既に支出予定になっておるものを考慮しまして、おおむね三百億程度の財政基盤であるという中で三洋証券に対応するということでございましたので、その三洋証券に対応する部分が具体的に幾らになるか、これは保全手続が終わりませんとわかりませんけれども、そのうちの百億円については野村証券から拠出をしていただいてそれに充てるということが決まっております。その後、三洋証券、最終的に確定をいたしましたら拠出額がわかりますけれども、その場合には寄託証券補償基金の残高が減少することは避けられませんので、将来の備えとしてさらに百億円程度、主要証券会社において、将来、一たん緩急あるときのための拠出の用意があるという御意思を御表示願えないかということをお願いしましたところ、三社から、そのようなことであればそのような用意があるというお返事をいただきましたが、おっしゃるとおり、その三社のうちの一社が現在このような状況になりました。  これにつきましては、こういった重大な事情の変更でございますから、万やむを得ないことと考えております。それにつきまして特段の、その分をまた補てんとか他の方の増額とかいうことは今考えておりません。
  247. 海江田万里

    ○海江田委員 日銀総裁にお越しいただいておりまして、申しわけございません、もうほとんど時間がなくなってしまいましたが、私が懸念しておりますのは、やはりこの間の問題で、ジャパンプレミアムの問題でございます。  三カ月物のユーロドル金利でジャパンプレミアムが一%を超えてしまったというような状況もございます。そうしますと、日本金融機関のいわゆる国際業務での損失というものが、ジャパンプレミアムが一%を超えますと出てくるのではないだろうかというふうに懸念をされるわけでございますが、この対策方、日銀として何かお考えになっておられるでしょうか。
  248. 福井俊彦

    ○福井参考人 ジャパンプレミアムが急速に上昇いたしましたのは最近のことでございますけれども、おっしゃるとおり、そのプレミアムの幅が現時点では非常に大きくなっております。この状況が今後長引いた場合には、海外で金融活動をしております日本金融機関のコストを非常に上げる。したがいまして、業務展開に対して支障が出てくる、リスクがあるということでございます。  逆に言いますと、そういうリスクを考えながら、日本金融機関が早目に手当てをしている部分もございますけれども、早目に手当でしょうとすればするほどマーケットにプレッシャーがかかりまして、逆にプレミアムを上げている部分もあるわけで、なかなかこの辺の処理は難しいわけでございますが、基本は、私どものできますことは、日本国内の金融市場において流動性を厚目に供給することによって海外のマーケットにも緩和効果を浸透させていく。技術的にはそういうことでございますけれども、より根本的には、やはり諸般の対策がきちんと講じられて、日本金融システム全体に対する保全についてマーケットの信認が高まっていくこと、これが一番大事な点だというふうに思っております。
  249. 海江田万里

    ○海江田委員 この問題、もう少し本当はお話をしたがったのです。日本金融機関の海外の資産の問題、円建ての外国債の問題とか、かなりバランスを欠いたところもありまして、それが為替市場に与える影響とか議論したかったわけでございますが、もう時間も来ましたので、大変残念でございますが、またの機会に譲りたいと思います。ありがとうございました。
  250. 村上誠一郎

    村上委員長 次に、末松義規君。
  251. 末松義規

    ○末松委員 民主党の末松義規でございます。  きょうは、ビッグバンで増加が予想されます外資系の金融機関、このことについてお聞きをさせていただきます。  ビッグバンでいろいろと国際化が進みますと、どんどん外資系の金融機関がふえてくると思います。また、逆にふえないと、東京市場が世界の中心の金融市場とはならないわけですから、どんどんふえていっていただきたい。  今、外資系金融機関、聞きますと、日本に九十三行、銀行ですけれども、九十三行で百四十五の支店があると言われております。私がこの預金保険機構との関係で聞きたいのは、外資系の金融機関に対しまして、日本では預金保険機構に加入すら認められない。一方、海外はどうかといいますと、アメリカは任意加入が認められておりますし、またイギリスではほかの銀行と同様に強制加入となっている。ドイツでは任意加入、またフランスでは強制加入、そういうふうなことなんですが、日本ではなぜか全く預金保険機構に加入を認められていない。  まず、その理由からお尋ねしたいと思います。
  252. 山口公生

    ○山口政府委員 現在、御指摘のとおり外銀の在日支店は預金保険の対象になっておりません。もちろん、こちらの現法の形で出ているのは日本法人ですからいいのですけれども。  これは、現在の預金保険制度が、預金保険法上規定されている金融機関については強制加入となっております。一方、外銀について見ますと、強制という考え方もあり得るでしょうが、任意加入とせざるを得ない場合も考えざるを得ないと思います。そうしますと、法的及び現実的にどのように兼ね合いをつけるのか。それから、アメリカのように任意加入制を仮にとるとしましても、高額の担保資産を預けさせる等の措置が可能かどうかといういろいろ難しい問題があります。そういう問題がありまして、現在は我が国の強制加入のシステムの中に外銀の在日支店は入っておらない。  ただ、先ほど海江田先生にも申し上げましたが、支店がどうこうという趣旨で申し上げているわけではございませんので、それは御理解いただきたいと思います。
  253. 末松義規

    ○末松委員 局長、アメリカとかほかの国はそういう問題点をクリアして任意加入以上になっているのですけれども日本はその任意加入すら認めていない理由は何なのか。日本の場合はそういう点はクリアできないのですか。
  254. 山口公生

    ○山口政府委員 いろいろ制度の組み方の問題がございますので、それはいろいろな検討はできると思いますけれども、当該支店の経営に破綻が生ずるかどうかは、原則として、我が国の行政あるいは検査権限の及ばない外国の銀行の支店の問題であるということ。それから、現在、我が国の預金保険制度が申し上げましたように強制加入となっておりますので、すべての外国銀行の在日支店を強制加入にできるかどうかということ。それから、仮に任意加入とした場合には、先ほど申し上げたような仕組みがうまく整合的になるかどうかというようなことで、慎重な検討が必要だというふうに思っているわけでございます。
  255. 末松義規

    ○末松委員 この問題、では、もうちょっと掘り下げますけれども、私がお聞きしたいのはその哲学なんです。  先ほど、外国の企業だから検査もできないうちは責任ないよということは、それは業者の観点からは言えるのですけれども預金者の保護、日本国民が外資系の銀行に預金をした、そういう場合には、先ほど海江田先生の質問にも言われていましたけれども、同じ外貨預金をしても、日本銀行に預金した場合には保護される、外資系の銀行に預金した場合には保護されない。ということは、同じ日本国民にあっても、そこの区別は外銀か邦銀かで全然違うということですね。そんなことをやっていいのですか。その哲学をちょっと聞かせてください。
  256. 山口公生

    ○山口政府委員 こうした銀行の健全性の確保につきましては、母国できちんと監督をしていくという考え方がベースにある場合におきましては、こうした措置をとることも十分理屈が合うというふうに思います。
  257. 末松義規

    ○末松委員 アメリカとかほかの国と日本は違って、母国がきちんとしていればその支店は健全だという前提日本だけ立つということなんですけれども、では、もうちょっと話を進めましょう。  もしこの外資系の銀行が破綻した場合は、預金者や投資家の保護というのはどうなるのですか。
  258. 山口公生

    ○山口政府委員 そういうケースを私は余り想定をしたお答えはしたくないのでございますけれども、万が一のことで言いますと、我が国としても、本国における対応を踏まえて事案ごとに最も適切な対応をとるということだろうと思います。
  259. 末松義規

    ○末松委員 本国というと、ではアメリカの銀行だったらアメリカがどうするかを待っているということですか。そうすると、預金をした日本国民というのは、アメリカ政府がどうするか、あるいはアメリカの措置がどうなるかまで待たなければいけないということですか。日本はそれまで一切何もしないということですか。答えてください。
  260. 山口公生

    ○山口政府委員 本国における対応を踏まえてということではありますが、もちろん我が国とのいろいろな連絡、情報交換あるいは対応策の相談というのはあると思います。
  261. 末松義規

    ○末松委員 自分でとる気はないのかと聞いているのですよ。相談してもいいですよ。当然情報交換してもいい。自分でとる気がないのかと、同じ日本国民に対してどうして区別を設けるのだということなのですよ。
  262. 山口公生

    ○山口政府委員 我が国におきましては、法制上そういうふうな姿にしておりますので、現行法上は、我が国がそういう預金保険の対象としてこれを扱うということはできません。
  263. 末松義規

    ○末松委員 法律上できない、最後はそういうことなのですね。  では単に、法律に外資系は預金保険機構に入れてはいけないということは実際に書いてあるのですか。
  264. 山口公生

    ○山口政府委員 預金保険制度の対象になっていないということでございます。そういう法律を私どもは執行している立場でございますので、現法律のもとではそういうふうにやっております。     〔委員長退席、佐藤(静)委員長代理着席〕
  265. 末松義規

    ○末松委員 では、これはまさしく大蔵委員会の話であって、それは別に大蔵省としてもそれを本意にしているわけではないという位置づけなのですね。答えてください。
  266. 山口公生

    ○山口政府委員 先ほど申し上げたようないろいろな問題点もあり、慎重に検討しなければいけない事柄であるということでございます。また、母国監督当局との緊密な情報交換をやると申し上げましたが、そのほかに、日本銀行とも連携して、流動性の状況等については注視をしてまいるということでございます。そういうやり方、考え方で今まいっているわけでございます。
  267. 末松義規

    ○末松委員 大蔵省の方は、そこについて何ら哲学がないということですね。そこがわかったわけです。  そこで、もうちょっと聞きますけれども日銀総裁がいらっしゃっているのでちょっとお聞きしますが、もし外資系の銀行がつぶれた場合に、日銀特融の対象にはなるのですか。
  268. 福井俊彦

    ○福井参考人 お答え申し上げます。少し実態に即してお答えいたしますので複雑になりますけれども日本銀行は外国銀行の東京の店に対しては取引をしております。したがいまして、法律上ないしは制度的には、日本銀行は当該外国の金融機関に対して貸し出しを行うことができます。しかし、実際に貸し出しを行うかどうか、特に、その金融機関の資金繰りに問題が起こって貸し出しを行うかどうかというのは非常に複雑な判断でございます。  と申しますのは、外国の銀行が東京で活動しているということは、恐らくその銀行は国際的に広く業務展開をしている銀行でございます。東京の市場で資金繰りに問題が起こるということは、恐らく本国の本体においても資金繰りの問題を抱えているでしょうし、あるいはニューヨークにおいてもロンドンにおいても問題を抱えていると思います。  東京市場の資金繰りについでは、日本銀行がふだんから一番正確に把握しております。ニューヨークにおいてはニューヨーク連銀が把握しておりますし、ロンドンにおいてはバンク・オブ・イングランドが把握しております。そして、本国においては当然その本国の中央銀行が、これは資金繰りだけではなくて、その銀行の経営の内容、本質までつかんでいる。  こういうことでございますので、外国の銀行が東京市場で問題が起こり始めたときには、私どもが掌握している資金繰りの事情を本国の中央銀行につぶさに連絡するわけでございます。ニューヨークからもロンドンからも同様のことが行われて、本国の中央銀行はその銀行の全世界の資金繰りを正確に知る。そして同時に、経営の本質も知っているということでありますので、結局、その国の中央銀行がその国の政府当局、日本で言えば大蔵省ですが、そこと協議されながら、その銀行に対する基本的な対応策を決められる。それが前提になって諸外国の中央銀行はどこまで協力できるか、こういう問題になるというふうに思います。多くの場合、そういう国際的な連携、協議のもとに物事が処理されるということでございます。  東京市場だけで自己完結的に処理できるケースというのは非常に少ないのではないか。そういうケースはほとんど想像できませんけれども、例えば極めて物理的に、外国銀行の東京の支店に、例えば火災その他天災、雷が落ちたとかいうふうなことで物理的な事故が起こって資金繰りショートが起こるというふうなことがあった場合に、これは自己完結的なものだということが判断されれば、東京市場で私ども日本銀行が責任を持って資金繰りの面倒を見ることができると思いますが、そういうふうに実態を速やかに判断して対処をするということでございます。
  269. 末松義規

    ○末松委員 そうすると、特融という場合も考えられ得るという位置づけですね。
  270. 福井俊彦

    ○福井参考人 特融となりますと、その銀行の全体の資金繰りの問題、その銀行全体の経営の問題でございますので、実際問題としては、本国の対応でもって処理されるということがほとんどだろうと。現地で特融が行われるということは、結果としてはほとんど考えにくいということだと思います。
  271. 末松義規

    ○末松委員 私も、先ほどから銀行局長の答弁を聞いていて、どうも何か日本が国際市場になれない、あるいは東京が金融の中心的なマーケットになり得ないという一つの大きなネックが、さっきの銀行局長の答弁にあらわれているのではないか。現行法がこうですから、結局外資系に対してはやらないのですよと。つまり、言いたいことは、実際に英国などはきちんとしていますけれども、ルールをしっかりつくって、それは別に外資系であっても邦銀であっても、区別なくきちんとしたルールのもとで市場が運営されるということが、これからの国際金融マーケットの大きな条件だろうと思うのですね。  そういう意味で、私もいろいろとニューヨークでもまたロンドンでも大蔵省に対する批判を聞きましたけれども、どうも邦銀のコントロールあるいは監督にきゅうきゅうとして、内向きになって外を見てこなかった、そういった点がまさしくこの預金保険機構にも一切外資系は入らせないというようなことにあらわれているのではないか、そこが一番大きなネックになっているのではないかと思います。  この点、大蔵省でもきちんとこれから検討していただいて、どうすれば東京が国際金融マーケットになるのか、その点についてルールを、別に日本人であろうが外国人であろうがいいのですよ。要するに、きちんとしたプレーヤーがいて、それに対しては、フェアであり、フリーであり、グローバルだと。あそこまで橋本首相が言われているわけですから、そんな山口局長が言われているようなことを繰り返し言うのであれば、これは全くフリーでもなければ、フェアでもなく、グローバルでもないというふうに批判されてもしようがないのではないかと思いますが、特に何かコメントはございますか。
  272. 山口公生

    ○山口政府委員 バーゼル・コンコルダットというものがあります。その考え方に従えば、銀行の健全性については、第一義的には母国監督当局が責任を負うというふうにされております。  しかし、先生がおっしゃるように、では、それがあるから絶対この制度を変えないのだと私はかたくなに言っているわけではありません。それは、いろいろな国のいろいろな方策もあります。いろいろ参考にしながら検討していく必要があると思いますが、最初に申し上げたように、いろいろ難しい問題もある、困難な問題があるということもぜひ御理解いただきたいというふうに思うわけでございます。
  273. 末松義規

    ○末松委員 それは、日本がイニシエートして、自分が真っ先にやるので大変困難だというならわかるのですよ。ただ、ほかの国はやっているではないですか。なぜ日本だけがやれないのだという疑問が今度はわいてくるわけですよ。しかも、日本が目指しているのは、きちんと東京を国際マーケットにするというふうに言っているのですから、まさしく次の検討課題として緊急にこれも検討していくべき問題ではないかと言っているわけです。  時間がありませんから次に進みますが、次は、これはちょっと大蔵省さんの方には厳しいのかもしれませんけれども、私、選挙区に帰って地元の方々と話します。そのときに、きのう橋本首相が来られて、この預金保険機構について、処理のために武器を一つ与えてくださいというふうに言われていたのを印象深く聞いているのですね。  ただ、私が素直に思うと、私はまだ一年生議員ですのでこの委員会についても新しくてあれなのですけれども大蔵省に法律的には、銀行法もそうですが、基本的にすべて与えてきたではないか。要するに、行政指導を初め大蔵省がいろいろとやることについてほとんど認めてきた。それで、では事実はどうなったのか。大蔵省の監督あるいは検査体制で実際どうなったのかというと、今、都銀とか主要証券会社とかあるいは保険会社とかこういうのが破綻して、日銀特融が次々と出されて、金融破綻でここの委員会でも皆さん委員の方が右往左往しているわけですよ。  そうしますと、国民から見て、地元の人もよく言っていますけれども大蔵省というのは一体何なんだというふうなことを私も言われますし、私もそういうふうに思うわけです。実際、ではだれに責任があるだろうといったときに、この責任論についてはここで何回も議論されましたけれども、聞こえてくる言葉は、いろいろな武器を持ちながら、信用秩序維持という一言でずっと大蔵省はやってきましたけれども大蔵省も大蔵大臣も首相も全く責任をとるという言葉はない。これまで適切に指導監督をやってまいりました、この言葉なのですよ。つまり、責任を一切とることがなくて、次にもう一つ新しい武器を与えてくれとこの預金保険機構で言うわけですよ。  では、失敗したときの責任はどうするのだというふうに言った場合に、そのときには、例えば預金保険機構で破綻銀行と破綻銀行、いろいろと今関西系を中心に事情があるのはわかりますよ、わかるけれども、この破綻したもの同士を大蔵省があっせんしてくっつけて、これがまた、この新しい銀行がまたつぶれそうになるということも十分考えられるわけです。それで破綻しましたといったときに、大蔵省は何と言うのか。いや、ただあっせんしただけですというふうに言うのですか。そこについてお答えをしていただきたいと思います。
  274. 三塚博

    三塚国務大臣 御説は承りました。  昨日、橋本首相が、武器を与えてください、こう言った意味は、予想される事態に対応し万全の策をとる、何回も申し上げておる転ばぬ先のつえ、危機管理という国家行政の中の基本において、国民生活を守り、地域を守るというのは政治に与えられた大きな使命でありますことは、与野党の枠を超えて大事なポイントであろうと思います。  我々、立候補いたしましたその都度、このお国のため、この国民のため、この地域のため、命をかけてやります、こういう表現でやられてきておることは、どなたも異論がなかろうと思います。そういう意味で、危機に際しての新しい選択肢をお与えください、こう申し上げておるわけでございます。どうぞ、その言わんとする意味を御理解をいただきますし、大蔵省は何なのか、私もよく聞いております。  しかし、その都度その都度ベストを尽くしてやってきた。しかし、ああすればよかった、こうすればよかったということもあります。そのことを踏まえて今日に対応をしておるわけでございまして、政権は、国民の総選挙によって与えられるものであります。その結果として、内閣が任期中責任を負うということであります。負うがゆえに、ありとあらゆる場面に対応した対処策をきっちりと構築をするということでありまして、今日的な課題として言えば、この事態を、万全の態勢といかぬまでも、でき得ることはすべて手を尽くしてやり抜いていくということで国民各位の御安心を得たいということで、まず責任を果たすというのは、国務大臣内閣総理大臣だけではなく官僚の諸君の、これまた国家に対する最大の義務である、私はそう思っております。
  275. 末松義規

    ○末松委員 大臣の御決意もいいのですけれども、では、責任を果たさせてくださいと言うならば、今まで責任を果たさなかったことに対して言わびというものを入れていいのじゃないですか。そうしたら、次の責任を与えられますよ。  それも全くなくて、次から次に、ただ市場がこれを決断しました、いや市場というのは強いですねという話、確かに市場主義というのは今の潮流ですけれども大蔵省の対応を見ていると、二枚舌なんですよ。あるときは、市場でもうしょうがありませんと言いつつ、またあるときは、いやこれは信用秩序ですから全部出ていきますということの区切りが全く不透明。そこら辺をきっちり、もし破綻がこれだけ起こったのだったら一つわびを入れて、それからもう一回やり直しますということがなぜ言えないのか。  私は、大臣が万全にと言う気持ちはわかります。大臣としてはそれはもう万全にとやらなければいけない、それはわかるのです。わかる。あとちょっと主語と述語をきちんとしていただければいいのですけれども、いずれにしても、そのときに大蔵省を引っ張っていく上で、そこはきちんと責任というものを認めていただかないと、いずれ国民はこれに対して大きな怒りを大蔵省にぶつけてまいると思います、あるいは政府にぶつけると思います。そのときに、ぜひそこは意識していただきたい。  私、最後になりますけれども、今、連絡によりますと、ただいま議院運営委員会で、八日の本会議の開会を自民党は強行採決したという報が入りました。この委員会でまだこの法案の審議が行われているにもかかわらず、採決もしていない、それなのに強引に定例日外にこの法案を上程する本会議の開催を決めたということは、議会のルールを無視した暴挙じゃありませんか。自由民主党に強く抗議します。  委員長大蔵委員会をないがしろにして、こんなことをしていいのでしょうか。(発言する者、離席する者多し)
  276. 佐藤静雄

    佐藤(静)委員長代理 質問を続行してください。(発言する者あり)     〔佐藤(静)委員長代理退席、委員長着席〕
  277. 村上誠一郎

    村上委員長 大蔵委員会と議運は関係ありません。関係ありません。(発言する者あり)いやいや、それは違います。大蔵委員会と議運は関係ありません。(発言する者あり)いやいや、それはほかに介護法とかいろいろあります。関係ありません。関係ありません。それは関係ありません。関係ありません。(発言する者あり)審議を続行します。着席してください。審議を続行します。(発言する者あり)いやいや、それは、大蔵委員会と議運は関係ありません。関係ありません。審議を続行します。(発言する者あり)それは関係ありません。大蔵委員会と議運は関係ありません。審議を続行します。(発言する者あり)静粛にして、委員の諸君は着席してください。(発言する者あり)いやいや、それは関係ありません。議運と大蔵委員会は関係ありません。(発言する者あり)いやいや、それは大蔵委員会と議運は関係ありません。それは議運のマターであります。我が大蔵委員会のマターではありません。委員の諸君は着席してください。議運のマターと大蔵委員会は関係ありません。関係ありません。(発言する者あり)いや、それは関係ありません。着席してください。(発言する者あり)いや、だめだ。いやいや、認めません。着席してください。大蔵委員会と議運は関係ありません。末松君、質疑を続行してください。(発言する者あり)まあ静粛に、静粛に。議運のマターと大蔵委員会、関係ありません。質疑を続行します。(発言する者あり)議運と大蔵委員会は関係ありません。議運と大蔵委員会は関係ありません。質疑を続行してください。(発言する者あり)静粛にしてください。質疑を続行させます。議運と大蔵委員会は関係ありません。大蔵委員会は独自の委員会であります。質疑を続行します。末松君。末松君、質疑を続けてください。大蔵委員会と議運は関係ありません。大蔵委員会は独自の委員会であります。質疑を続行してください。(発言する者あり)静粛にしてください。静粛に、御静粛にお願いします。末松君に申し上げます。質疑を続行してください。末松君、質疑を続行してください。持ち時間が消化します。大蔵委員会と議運は関係ありません。質疑を続行してください。末松君。(発言する者あり)委員の諸君は着席してください。静粛に願います。末松君、質疑を続行してください。大蔵委員会と議運は関係ありません。大蔵委員会は独自の委員会です。  末松君、質疑をしなければ、時間切れでございます。終わりにします。  委員の諸君に申し上げます。大蔵委員会と議運は関係ありません。大蔵委員会大蔵委員会、独自の委員会であります。質疑を続行してください。委員の諸君は着席してください。  末松君に申し上げます。残り時間六分、始めていただかねば、交代お願いします。時間は経過しております。持ち時間はもう既に終わっております。(発言する者あり)御静粛に願います。末松君に申し上げます。質疑を続行してください。着席してください。(発言する者あり)だめです。それは認めません。そんな独自なことは認めません。  末松君の質疑は終局したものとみなします。末松君は、自分の持ち時間を放棄したとみなします。  次に、佐々木憲昭君。――佐々木憲昭君。佐々木君、お願いします。お願いします。  次に、佐々木憲昭君。
  278. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 質疑に入る前に、一言申し上げたいと思います。  先ほど議運で、この法案の採択を前提として、本会議を月曜日に設定するということが強行採決された。これは、絶対に私は認めるわけにはいきません。現に、私がこれから質問をしようとしているわけで、採択されていないじゃありませんか。これだけ重要な法案を、参考人の質疑もやっていない、あるいは質疑時間も十分とっていない。大体、大蔵委員会全体をないがしろにするものでありまして、私は、この点について強く抗議をしたいと思います。  その上で、具体的な質問に入りたいと思います。  預金保険機構、これはますます、実際には預金者を保護するという本来の目的から離れまして、銀行救済、金融業界全体に対する支援、こういう性格を強めております。現行の預金保険法では、破綻した金融機関を健全な金融機関に吸収合併したり、営業譲渡などを行う際に資金援助ができるようになっております。今回のこの改正案では、これに、新設合併や特定合併によって新しい銀行をつくる際、そこに資金援助のスキームが加えられるということになっております。  その一つは恒久的措置でありまして、経営が悪化した金融機関と健全な金融機関が合併して新しい銀行をつくる、そういう際にも資金援助ができるという仕掛け。もう一つは時限的措置でありまして、経営が悪化した複数の金融機関が合併して新しい銀行をつくる場合にも資金援助を可能にする、こういう仕掛けであります。これは、二〇〇〇年度まで時限的に行われる。  そこでまず、この特定合併、時限的措置のスキームについてお聞きをしたいと思います。  合併の対象となるのは、経営が悪化し、預金の払い戻しに支障が生じるというようなことが懸念されるけれども、商法上の考え方もあって、実際の適用は、まだ債務超過には陥っていない金融機関を対象にしているというふうに考えられますけれども、これはこういう理解でよろしいでしょうか。
  279. 山口公生

    ○山口政府委員 おっしゃるとおり、債務超過に陥っていますと、合併ということができませんので、おっしゃるとおりでございます。
  280. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 そうしますと、新設合併に伴う預金保険機構からの資金援助というのは、結局その中心は不良債権の買い取り、こういうことになると思いますけれども、それはそれでよろしいですか。
  281. 山口公生

    ○山口政府委員 時価での買い取りでございます。
  282. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 債務超過に陥っていない、それならば資金援助をわざわざする必要はないと思うわけですけれども、これはなぜ資金援助をしなければならないのでしょうか。
  283. 山口公生

    ○山口政府委員 不良債権の存在でもって資金繰り等で困難を来す例がございます。特定の銀行のことを言っているわけではありませんが、そうした場合には、非正常債権の買い取りということが必要になるわけでございます。
  284. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 資金繰りというお話がありましたが、現実の資金繰りを効果的に行うためには、当然これは日銀特融という問題があるわけでありまして、何もこの預金保険機構からの資金援助、つまり不良債権の買い取りというものは必要がないと思うわけですけれども、この点はいかがですか。
  285. 山口公生

    ○山口政府委員 日銀特融の場合の前提条件としまして、日銀特融が返ってくるという前提に立たなければいけないわけでございますね。そうすると、債務超過に陥っておりません状態ですけれども、これは通常のゴーイングコンサーンで考えるわけでございます。つまり、不良債権が存在しても、一気にその期にすべてを償却引き当てをするということとは違う概念でございます。例えば、三年あるいは五年かけて、利益を上げながらあるいは含み資産を使いながら償却をしていくというのが通常なわけでございます。したがって、この場合には、そういった買い取りという形で、簿価と時価との差額、これを銀行は一挙に負担をするということになるわけでございます。したがって、そういう仕組みにならざるを得ないということでございます。
  286. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 しかし、このことは、安易に乱用されますとモラルハザードを招くということで大問題があると思うわけであります。それで、歯どめはどこにあるのかという問題が出てくるわけですね。当委員会でもいろいろ議論がありましたが、安易に乱用される危険性がある、基準が示されていない、結局大蔵省の裁量だけにならざるを得ないのではないか、癒着そのものがそういうところにあらわれているんじゃないか、こういう疑問を私も持たざるを得ないわけであります。  そこで、特定合併で預金保険機構の資金援助を受けるためには、大蔵大臣のあっせんというのが前提になるとされておりますけれども、改めてこの点についてお聞きしたいんですが、大蔵大臣は何をあっせんするんですか。
  287. 山口公生

    ○山口政府委員 監督庁に来年の年央からなりますが、これは合併することをあっせんするということでございます。
  288. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 ということは、仮に破綻金融機関同士が預金保険機構の資金援助を受けたいということで特定合併を認めてほしいと大蔵省に言ってきても、それはそのまま認めるわけではない、こういうふうに解釈してよろしいですか。
  289. 山口公生

    ○山口政府委員 御指摘のとおり、あくまで当局のあっせんが必要でございます。
  290. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 特定合併は、要するに、大蔵省のあっせんがなければできない、こういうふうに理解してよろしいですね。
  291. 山口公生

    ○山口政府委員 今は大蔵省、今後は金融監督庁ができた後は金融監督庁になりますが、そのあっせんがないとできません。
  292. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 それでは、具体的な問題についてお聞きをしたいと思います。  福徳銀行となにわ銀行の合併の関係でありますが、十月九日に発表されました「合併に関するお知らせ」こういう文書があります。それによりますと、それぞれの取締役会で、平成十年十月一日をめどとして、対等の立場で合併を行うための準備に入ることを決定しましたとされております。また、その日の大蔵大臣大臣談話によりますと、「平成十年十月を目途に合併することで基本的な合意に達した旨両行より報告を受けた」とされております。  このことは、両行がいわば自主的に合併を決定したというふうに読めるわけですけれども、そう受け取ってよろしいかどうか。つまり、大蔵省が何かそこであっせんしたりやらせたりということではないというふうに理解してよろしいですか。
  293. 山口公生

    ○山口政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  294. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 いずれにしても、双方で、福徳銀行、なにわ銀行が合併を決めましてその準備に入った、そういうことでありまして、確かにこう書かれております。   合併のための基本事項  (1) 株式会社福徳銀行と株式会社なにわ銀行とは対等の立場で合併いたします。合併の法手続き上は、株式会社福徳銀行を存続会社といたします。  (2) 合併期日は平成十年十月一日を目処といたします。  (3) 新銀行の名称は別途検討いたします。  (4) 株式の合併比率は一対一を基本といたしますが、詳細は今後決定いたします。  (5) 新銀行の本店は、大阪市中央区東心斎橋一丁目五番九号に置きます。  (6) 新銀行の頭取には株式会社なにわ銀行から、副頭取には株式会社福徳銀行から就任いたします。このように、極めて具体的な合意事項がなされております。  そこで、合併は既に合意をされ、そしてその準備に向けて走り出しているということは明らかでございます。  そこで大蔵大臣、もはや合併というものをあっせんする必要はなくなっているわけであります。ということは、この預金保険法改正案が仮に通りましても、この両行には特定合併の適用はできないはずであります。なぜなら、既に合併というものは、あっせんされる前に合意されて実行されているからであります。この点はいかがでしょうか。
  295. 山口公生

    ○山口政府委員 同じ合併でありましても、今先生がお読みいただきましたような通常の合併とこの預金保険を使った合併というのは違うということを私どもは考えております。したがって、あっせんの対象にはなり得る。したがいまして、そこは矛盾しない、可能であると思っております。
  296. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 あっせんすべき合併というのは、もう既に合意に達しているのです。あっせんの必要ないじゃありませんか。合意に達して、既に準備はどんどん進んでいるわけであります。あっせんというのは、合併をあっせんすると先ほど言いましたね。もう合併は決まっているのです。何をあっせんするのですか。
  297. 山口公生

    ○山口政府委員 私が申し上げておりますのは、預金保険を使った合併ということでございます。そういうコンテクストの中でのお尋ねでございますので合併と申し上げましたが、今両行が発表しておりますのは普通の合併でございます。したがって、両行の発表でもわかりますように、「合併のための基本事項」を見直す場合があり得ますということを言っているわけでございます。私どもがあっせんしますのは、預金保険を使った合併のあっせんということでございます。
  298. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 預金保険法が通っていないわけであります。だから、合併をあっせんするというのは、既に合併が決まっているものの合併を将来あっせんする、この法律に基づいてもう一回あっせんする、こういうことになるわけでありまして、これは全然つじつまが合わないわけであります。合併をあっせんするわけであります。もう合併は決まっているのです。あっせんする必要ないじゃありませんか。
  299. 山口公生

    ○山口政府委員 法律にも書いてございますが、特定合併のあっせんという行為をやるわけでございます。それが先ほど申し上げているような預金保険の仕組みを使った合併をあっせんするということでございます。
  300. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 預金保険を使った合併、なぜ預金保険を使わなければならないのですか。
  301. 山口公生

    ○山口政府委員 お断りしますが、あっせんをやるとまだ決めたわけではありません。これは、その状況で、しばしば申し上げておりますように、複数の金融機関が存在し、それがこのままの状態にいった場合に起き得るケースを考え、それでこの特定合併が適当であるということであっせんを行うわけでございます。もちろん、相手方は、これを受ける受けないは自由でございます。
  302. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 決まっていない。しかし、預金保険の適用が適当である、こう判断すればやると。  では、なぜ適当であると判断できるのか。適当であるという理由は何ですか。     〔委員長退席、村田(吉)委員長代理着席〕
  303. 山口公生

    ○山口政府委員 その点につきましては、先般来るる申し上げている事情、そういった状況に陥っている場合ということでございます。
  304. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 内容がよくわかりません。もう一度具体的にお答えください。
  305. 山口公生

    ○山口政府委員 まず、破綻金融機関ということでございますので、この場合は、債務超過には陥っていないが、多額の不良債権を抱え、現に資金繰りに困難を来しており、早晩必要な資金を確保できなくなる可能性が高いというようなケースでございまして、またそのときに、ある地域に経営の悪化した金融機関が複数存在すること、それらが連鎖的に預金払い戻し停止に陥るおそれがあること、その業務の全部の廃止または解散が行われる場合には、地域または分野における資金の円滑な需給及び利用者の利便に大きな支障が生ずるおそれがあることなどの要件を考え、特定合併のあっせんをすべきときにはするということになろうかと思います。     〔村田(吉)委員長代理退席、委員長着席〕
  306. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 要するに、債務超過には陥っていない、しかし、不良債権が大きい、不良債権の重荷がいろいろなマイナスの影響を与えるので、それで支えなければならない。簡単に言うとこういうことでしょうか。
  307. 山口公生

    ○山口政府委員 あくまで破綻した場合に預金者を守るというのが基本でございまして、そのままの状態にいった場合に、しばしば申し上げておりますように、業務を停止せざるを得ない状況になったときには、今度はその破綻の処理としても取引先に多大な影響があり、またそういうことが地域に連鎖をするおそれも生じるということで、社会的なコストを考えた場合にそれが必要だというふうに考えておるわけでございます。
  308. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 要するに、不良債権の重圧が大変大きい、その影響で破綻の可能性がある、だから支えなければならない。こういうことを事実上おっしゃっているわけですね。  さてそこで、先ほど御紹介しました「合併に関するお知らせ」、この文書の中でこういうくだりがあります。「不良債権の処理について 合併によりますリストラ効果等によりまして、左記のとおり大幅に収益力は強化されます。」ということで、幾つか計算があります。「従いまして、一般貸出先向け不良債権と引当金との差額二百億円を全額引当いたすとして、二年間で完了いたします。」不良債権の処理は二年間で完了いたします。それで、幾つかそのほかの要因もありまして、そこに書いていますけれども、「これらを考慮いたしましても、現在の不良債権は三年以内に処理を完了いたします。」こう書いているのですよ。  要するに、自主的にこの二つの銀行が合併計画を発表し、そして合併によってこのような効果があります。つまり、不良債権の処理は二年間で完了するとか、あるいは三年以内に処理を完了する、こう言っているじゃありませんか。これであれば何も預金保険の適用は必要ないのではありませんか。
  309. 山口公生

    ○山口政府委員 ひとつ誤解をしていただかないようにお願いしたいのでございますが、この特定合併のあっせんを当該銀行にするということをもう決めたわけでもございません。  それから、その両行が発表しているものは、これは財務体質の議論をしておりますけれども、また先ほど申し上げた資金繰り等のいろいろな問題もございます。したがいまして、私どもは、この法律が御審議をされ、それで成立しませんと、現実に特定合併のあっせんもできませんし、また特定行を、今どこどこをそうするということを私どもが決めているわけでもございません。  したがいまして、その点についてはちょっとコメントを差し控えるべきだと思います。
  310. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 それならば、これだけ処理はできます、合併すればこのように完了いたします、二年、三年でできます、こういうふうに発表されているわけですから、当然、この預金保険法の改正された特定合併は適用されない、こういうことを明言すべきではありませんか。
  311. 山口公生

    ○山口政府委員 私どもが特定行について、その特定合併をあっせんする、しないということを今決めるべき話ではないと思います。
  312. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 決めるわけではないといっても、この大臣談話にも、それから「合併に関するお知らせ」の中にも、この適用の可能性をにおわせているわけであります。したがって、この計画書によりますとその必要はないということがはっきりしているわけですから、当然適用すべきではない、こういう結論を大蔵省は今出すべきではありませんか。今このように、二、三年でもう処理できますと言っているわけですよ。債務超過にも陥っていない、合併すれば二、三年で処理できますと。自主的に合併を決め、もうあっせんも必要ない。何でそこに余分な預金保険からの支援が必要なんですか。
  313. 山口公生

    ○山口政府委員 先生がおっしゃいますように、この両行の関係について、適用する必要がないと今決めることもおかしいのではないかと思います。  私どもとしては、この法律を成立させていたださましたら、地域経済等の影響等を重大な問題としてとらえ、それで必要なときには必要な行為をとらせていただくということでございます。しかも、特定の銀行のことを今とやかく言っているわけではございません。制度をお認めいただきたいということでございます。  それからもう一つ、先ほど大臣談話でも「改正案が成立した段階で」云々と示唆しているというふうにおっしゃいましたが、それは当事者がそういうことを言っているということを大臣の方の談話の中に組み込んであるということだけでございます。
  314. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 これは、まさに銀行救済のための、救済というよりも銀行支援のための法案だということは極めて明白であります。  重大なのは、この法案によりますと、特定合併の際には、その要件としてリストラ実施計画の大蔵大臣承認、これを明示しているということであります。これは端的に言いますと、人減らしを進め、雇用不安を一層あおるものだと言わざるを得ません。  要するに、大蔵省は、債務超過にも陥っていない複数の銀行を、いわば裁量によって破綻金融機関と認定し、本来銀行が処理できる程度の不良債権をわざわざ預金保険機構に買い取らせる、そういうことをねらったものであります。裁量というより銀行との癒着、まさに護送船団そのものじゃありませんか。大蔵省が事後的に、形だけあっせんという形をこの際とれば、不良債権を買い取らせることができる。いわば大蔵省によって不良債権を飛ばすということができる。まさに従業員の首切りもこれによって合法化される。  そういうわけでありますから、これは預金者保護などというものでは全くない。まさにそれどころか、銀行支援、銀行救済そのものじゃありませんか。昨日、当委員会で、橋本総理も、裁量と言われても仕方のない部分がある、こうお認めになりました。こんな欠陥法を我々は認めるわけにはいかない。撤回を求めるものであります。  次に、破綻した山一証券の問題に関連をしてお聞きをしたいと思います。  十二月一日の予算委員会集中審議で、松下日銀総裁は、山一証券が債務超過に陥る可能性があることを言及しました。そうなれば、これは穴埋めという問題が出てくるわけであります。山一証券の前会長行平氏は、債務超過になるかどうかわからない、こう言っております。証券業協会の会長も公的資金の導入ということを要求しております。  しかも重大なのは、この時期に自民党山崎政調会長が日経のインタビューで、寄託証券補償基金への公的資金投入を打ち上げているということであります。山崎氏は、寄託証券補償基金について「安定装置として公的資金投入の余地を設けることは検討対象になる。究極のところ、財政出動がありうるという前提のものだ」このように述べています。  我が党は、銀行破綻に公的資金が認められないということは当然でありまして、これは繰り返して表明しておりますが、証券会社ではなおさらであります。山一証券の破綻の実態究明も進んでいない、そういう状況の中で証券に対する公的資金投入の話が出てくる、これはもう絶対に私は承服できないわけであります。  そこで、大蔵大臣の見解を伺いたいわけですけれども、今回の問題も含めまして、証券の破綻についての公的資金の導入について、これをしないと明言できますか。
  315. 三塚博

    三塚国務大臣 今委員の御指摘でございます。  証券会社の破綻に伴う不測の事故により顧客が損失をこうむることのないよう、証券会社の破綻処理制度等の環境整備を十分に行う必要があると考えておるところであります。既に大臣談話でも申し上げてきておるところでございます。  具体的には、先般の証取審報告に指摘されておりますように、顧客資産の分別管理の徹底、そして証券会社が任意に設立した財団法人である現行の寄託証券補償基金を証取法上の法人と位置づけるなどの補償制度の充実を図ること等の考え方を基本に、顧客資産の安全確保に万全を期してまいると申し上げておるところでございます。そういう点で投資者は信頼をして参加をいたしているわけでございますから、今日の山一のケース、システムの重要なポイントを占めておりましたことにかんがみ、預金者保護と同時に投資者保護ということであります。  ちなみに、御党の熱心な保険者の問題についても、保険制度の充実について真剣にただいま検討を進め、でき得ますれば次の通常国会においてこれを提出しなければならぬと思っておるところであります。
  316. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 聞いたことには全然答えておりません。私がお聞きしましたのは、公的資金の投入について、つまり財政資金も含むわけですけれども、しないと言明できますかと聞いているのですよ。基金を整備するという話を聞いているのではありません。聞いたことに答えてください。
  317. 三塚博

    三塚国務大臣 根幹の話を御質問いただいております。これは、当委員会でもう何回も何回も私が御答弁を申し上げてまいりました。公的資金の導入という院内外のお声があることは百も承知であります。各党のそれぞれに対する対応も存じ上げてまいりました。  同時に、公的支援と総理は申し上げております。私も、公的支援の対応、国民世論の存するところに耳を傾けながら、事務方にもありとあらゆる選択肢を考えながら検討するように、いわゆるセーフティーネットであります、国民の皆様の御心配をいただかぬようなものをつくり上げてまいるという意味の選択肢、このことについて申し上げたところでありまして、まだ、その結論を、どういう形でするかは得ておりません。動向をしっかりと踏まえながら判断をして、取り決めていかなければならぬ問題であります。
  318. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 公的支援、この中には、最終的に財政資金の投入というものも含まれますか。
  319. 三塚博

    三塚国務大臣 あらゆる選択肢をチェックをし、点検をし、そして検討をし、今日の金融のシステム体制の万全を期するためには何が必要で、どう進めるべきか、院内外において御議論をいただいておる。政党でも御議論をいただいておる。主管である大蔵省としてしっかりとこれに対処する案を検討し、提出せよ、こう申し上げておるところであります。
  320. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 あらゆる可能性の中には入る。私は、現在の議論というのは、国際的に見ましても、日本独特の、先走った、グローバルスタンダードから外れた、そういう内容の議論だというふうに思わざるを得ないのです。なぜなら、欧米諸国と比較して違うからです。  では、大蔵省にお聞きしますけれども、欧米、とりわけアメリカやイギリスで、証券会社の破綻に公的資金、財政資金をこれまで投入した実例はありますか。
  321. 長野厖士

    ○長野政府委員 米国、英国の例でお答えを申し上げますと、米国には証券投資者保護公社、英国には投資者補償機構という法的な存在がございまして、これまで相当数の証券業者等の破綻処理を行ってきております。それぞれ三百件弱だと存じ・ます。  これらの制度につきましては、これまでの仕組みの中では、証券業者等からの拠出金をもって投資者保護に要する費用に充てることが原則となっており、財政資金が証券会社の破綻処理に利用された過去の例はないと承知しております。  制度といたしましては、アメリカの証券投資者保護公社は、SECから十億ドルを限度として借り入れることができる、政府からの借り入れができるという形になっております。
  322. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 実際に財政資金の投入の例は一度もないということであります。  ですから、ここで私は、日本の議論というのは、大変、資本主義全体の中からいってもいわばノンルールになっているのではないか、そう思わざるを得ないわけであります。預金を預かり決済機能を担う銀行証券会社とでは、これはもう基本的な性格の違いがあるわけです。  一九九五年のイギリスのベアリングズ社の破綻の際には、イングランド銀行総裁はこう言っております。公的資金は導入しない、はっきりと宣言をしているわけですね。きょうの日経によりますと、世界的には証券会社の自己責任原則が基本、このように書いているわけでございます。日本金融界に対する世界の不安感というのは、危機を招いた当事者や政府の責任が極めてあいまいな点にある。例えばイギリスのガーディアンあるいはフランスのル・モンドなどは、そういう点を指摘しております。ル・モンドは、日本経済にとって必要なのは真の企業倫理と政治責任に関する信頼である、こういうふうに述べまして、ルール無視の体質を問題にしています。是正すべきはそういう点なのです。  山一証券の破綻の実態解明というのは、これはまだまだ途上であります。乱脈な経営内容の全容は、いまだ明らかではありません。したがって、政治の責任は、安易な財政資金投入、そういうところに議論を持っていくのではなく、破綻の原因の究明とすべての関係者の責任の追及、徹底的な実態の究明であるという点を私は強調したいと思うのです。  破綻の原因究明という際、山一証券の破綻は、いわば飛ばしによる簿外債務の存在であります。これが市場の不信を招き、資金繰りが行き詰まった。したがいまして、この飛ばしの全容の解明というのが不可欠であります。関与した旧経営陣の責任はもちろんですけれども、検査でつかめなかった大蔵省の責任もあるというふうに私は思うのですけれども大蔵大臣は、この大蔵省の責任問題についてどのようにお感じでしょうか。
  323. 三塚博

    三塚国務大臣 今回の事件に対しましての大蔵省の責任はどうか、こういうことであります。まずもって、証券取引等監視委員会及び大臣官房金融検査部の山一証券に対する過去二回にわたる検査、これにおいて、いわゆる飛ばしの有無についても念頭に置きつつ、あるいは同社の財務、経営の健全を確保する観点からも、実態解明に努めているところでありますが、そのような取引は把握できなかったと報告を得ているところであります。実態解明に努めて、そのような取引は把握できなかった、こういうこと。  一般論で申し上げますと、いわゆる飛ばしは、顧客の保有する評価損を抱えた有価証券が簿外で転々売買されるものでございまして、証券会社の帳簿にそれ自体の痕跡が残らない取引であり、その解明には困難性があった、このことは小生も理解するところであります。  なお、両部局は、同時に、十一月二十五日より山一証券に対する検査を行っておりまして、本件の徹底的な実態解明を踏まえまして、適正に対処することによって職責を果たしていかなければならぬ、こう申し上げておるところであります。
  324. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 把握できなかったということでありますが、やはりここで大事なのは、そういう検査体制そのものの抜本的な強化ということが、今後このようなことを起こさないためにも大変重要だと思いますけれども三塚大蔵大臣にその点についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  325. 三塚博

    三塚国務大臣 御指摘の点は傾聴してまいります。同時に、公務員数の総数の縮減というのが、行政改革の観点から与えられております命題でもございます。  そういう中で、ビッグバンを控え、さらに金融システムの維持のために、公正な市場でなければならない、自由な市場でなければいけませんし、透明性のある市場、これが要求されております以上、本件の御指摘の強化については、ありとあらゆる点検と努力をしながら検討を進めていかなければならぬ問題かなと思います。
  326. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 関係者の責任問題としまして、今回の飛ばし行為によって損失補てんを受けた企業の側の責任というものもあるわけでございます。山一証券の飛ばしによる簿外債務は、裏を返すと、それだけ損失補てんを受け利益を得た企業があるということだと思うわけです。ところが、どういう法人があるいはどういう個人が損失補てんを要求し、どれだけその利益を受けたのかという面はまだ全然明らかになっていないわけであります。  そこで、ことしの六月に産経新聞が山一証券の飛ばしの実態を報じたことがあります。その報道では、山一証券の飛ばしに関与した企業名を実名で挙げまして、飛ばしを繰り返す中で大手百貨店が三十九億円の利益を上げた、大手素材メーカー、乳業会社、大手製鉄グループの金融子会社も同様に利益を得ているということも明らかにしています。  この飛ばしが山一証券の損失の重要な要因になり、経営破綻の原因となっていったわけですから、これらの利益を受けた企業が応分の負担をするということは当たり前のことだと思うけれども、こういう点で、どの企業がどのような利益を得たのかという点を明らかにするのは政府の責任だと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
  327. 堀田隆夫

    ○堀田政府委員 私ども監視委員会は、金融検査部と合同で、先ほど大臣の御答弁にございましたけれども、十一月二十五日から特別検査に入っておりまして、その中で事実関係を解明するということで現在頑張っているところでございます。  先生の御指摘は、飛ばしの相手企業を公表すべきではないかというお話でございますけれども、その点についてちょっと御説明させていただきますと、いわゆる飛ばしにつきましては、まず証取法上は、証券会社が顧客を勧誘する際に、通常の社会通念上のサービスを超えるような特別の利益を提供することを約して勧誘しているかどうか、勧誘する行為に当たるかどうかというのがございます。これは証券会社の禁止行為でございまして、証券会社の問題。その法令違反の事実が確認できますれば、私ども大蔵大臣に対して行政処分等の勧告をいたしまして、大蔵大臣において行政処分をしていただくということになります。  一方、さらにこの当事者間の契約内容のいかんによりまして、この飛ばしの、何といいますか契約の締結行為の段階で、あるいはその実施段階で、利回り保証、あるいは先生がおっしゃいました損失補てんに当たる可能性もあるということでございまして、その損失補てんなり利回り保証ということになりますと、これは顧客サイドについても、場合によっては要求罪に該当する可能性があるということでございます。この要求罪の規定は前回の証券不祥事にかんがみて設けられたものでございます。  私どもは、これから検査をしてまいりますけれども、その中でこうした罰則を伴う違法行為、損失補てん等の行為が明らかになるということになりますれば、検察庁に対して告発をいたします。その告発の段階でもちろんその概要を明らかにするということになると思います。また、告発をいたしますと検察庁は起訴いたしまして、あとは公判の場でいろいろな事実関係が明らかになってくるということでございます。そういう段階に至りましたときに、私どもといたしましては事実関係を明らかにしたい、企業名等を公表したいと考えております。それに至る前に、あるいはそうでない状況において企業名等を公表することは適切でないと考えておるところであります。
  328. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 国民の中には、例えば新聞の投書などを見ましても、こういう損失補てんを受けた会社がほおかむりしてひたすら沈黙を守っているが、社会正義の面からも、道義的にも、かかる会社に何のおとがめもないことは許されない、こういう投書が載っておりますし、一罰百戒の意味を込めて損失補てんを受けた会社を公表すべきだ、こういうふうな声もあります。こういう点で、ぜひ厳密な調査とその結果の公表を求めたいと思います。  最後に私は、日産生命の破綻との関連で銀行の問題について申し上げたいと思います。  私は、当委員会で、提携ローンを組んで日産生命の商品を大量に販売し、募取法など法違反も明らかとなっている事実がありますが、この点についての調査については前向きの答弁がありましたけれども金融機関の責任あるいは金融機関負担、こういう点ではまともなお答えがなかったように思うんです。私は、日産生命がこのような破綻に陥った背景にある、やはり銀行の問題をもっと解明すべきではないかというふうに思っております。そこで、大蔵省がこの問題でどうも及び腰ではないかという印象を受けるわけでありますが、大蔵大臣に一言お伺いをいたします。  癒着の問題というのはいろいろな形で指摘がありますけれども、その一つ政治献金の問題でございます。そこで、大蔵大臣大蔵省の責任者でもありますし、同時に自民党の大幹部でいらっしゃいますのでお聞きをしたいんですけれども、この日産生命と提携していた銀行などの金融機関、例えばその提携していたのは百六十行を超えておりますけれども、例えば四十六行が、調べてみますと、私ここにリストを持っておりますけれども国民政治協会に一九九四年、九五年、九六年度、三年間合わせまして合計で約五億八千万円の政治献金が行われております。  献金の問題については、きょうの朝日新聞で常磐大学教授の岩井さんがこういう談話を載せております。「業界が自粛を検討するのは当然だ。」これは証券業界の話であります。「むしろ自民党の方が先に辞退すべきだろう。政党への献金は以前から何かあった時の「保険」などと言われてきたが、政界の公的資金投入議論を見ていると、その「保険」が効いてきた、という感じ」がした、このように政治学の教授が指摘をしているわけであります。  そこで大蔵大臣に、やはりこういうことがあるので提携金融機関の責任について明確にこの事実をえぐり出すという姿勢に立てないのではないかという疑問を私は持つわけですけれども大蔵大臣はこの点どのように考えていらっしゃいますか。
  329. 三塚博

    三塚国務大臣 政治資金を受けておりますから手心を加える、全くございません。公的資金を、小選挙区施行に伴いまして国民の税金をちょうだいすることになりました。それぞれが厳正にその経理を明確にし、公表をし、対応して、寄附者との関係を遮断いたしておるところであります。  また、各政党、と言っても自民党のことだけ申し上げさせていただきます。それぞれの機関から受けました献金は、これまた公正に、法に基づき報告を申し上げておるわけでございまして、いささかもそのことによって行政に手心を加えるなどということは、私は断じてないと確信をいたしておるところでございます。  以上でございます。
  330. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 政治献金を受け取るということは当然、献金をする側は見返りを求めるものであります。したがって、この点をきちっと禁止をするという姿勢に立たなければ、まともな大蔵行政は行うことはできないという点を私は指摘をしたいと思うのです。  最後に、今回、この預金保険法案が審議をされている途中で、まことに遺憾ながら議院運営委員会で強行採決をされ、定例日でない月曜日に本会議を開催するなどという、大蔵委員会全体をないがしろにするような決定が行われたことに強く抗議をいたしまして、質問を終わります。
  331. 村上誠一郎

    村上委員長 次に、上田清司君。
  332. 上田清司

    ○上田(清)委員 採決の予定がこの予定表の中には入っておりませんが、採決を前提に議運の方で本会議の上程を決めたということも伺って、よくない。委員長に申し上げますが、皆さんを呼び戻すために、できれば一たん休憩にされたらいかがでしょうかという御提案をさせていただきますが、いかがでしょうか。
  333. 村上誠一郎

    村上委員長 御意見は伺っておきますが、委員長は、その意向に沿うつもりはありません。
  334. 上田清司

    ○上田(清)委員 それでは審議を進めます。  まず幾つか、時間もありませんのでぽんぽんぽんとお伺いしますので、簡単に答えていただきたいと思います。  まず、生命保険の保険者は保護されますか。つまり、日産生命で予定利率の引き下げを行ったりしておりますので、大蔵大臣は保険者を守ると言っておられますが、もう既に先行事例においては守られていないというふうに私判断しておりますので、これは保険部長、あなたの説明は長くてどっちにしても答えぬから、あなた要らない。逆指名で、局長か大臣、お願いいたします。
  335. 山口公生

    ○山口政府委員 現在、支払い保証制度の整備の研究に入っており、早ければ次の通常国会に御審議を願うということで、その点についての手当てをしたいということでやっております。
  336. 上田清司

    ○上田(清)委員 既に日産生命においては予定利率の引き下げを行っているという事実があるということで、事実は違うことで先行しているということをまず申し上げておきたいと思います。  それから、長野証券局長、山口局長は、山一の飛ばしや簿外債務について、いつお知りになりましたか。簡潔にそれぞれお願いいたします。
  337. 長野厖士

    ○長野政府委員 私は十一月十七日に報告を受けました。
  338. 山口公生

    ○山口政府委員 私は十一月の二十一日でございます。
  339. 上田清司

    ○上田(清)委員 ありがとうございます。  私は、この改正法案は行政裁量が非常に大きいということで、できるだけ指導要綱なるものを、内部でそれなりに研究されたということを前提にぜひ出していただきたいということでお願いをしておりましたが、正式な形での文書等々は出していただけませんでした。何とか納得のいく形でこの悩ましい問題を片づけたいというふうに思っておりましたが、まだほかにもそれぞれ理事の井奥先生なんかの御努力でたくさんの資料を出していただきまして、私は、破綻した銀行が過去において、住専も含めて必ずしも経営者の責任追及やあるいはその後のリストラが進んでいないという判断をしております。  特に、主要二十一行のそれぞれ役員の報酬の資料をいただきましたけれども、五年の三月、都市銀行一人当たりの役員報酬が三千六十一万、六年三月三千六十三万、逆に二万ふえています。七年三月二千九百九十三万、八年三月二千九百七十万。長期信用銀行関係でも、五年三月二千九百十万、二千八百五十九万、二千八百二十三万、二千四百万と、若干ここで落ちていますが、役員の報酬に関する限り、とてもリストラをしたとは思えない。  特に、御承知のとおり大蔵省の配慮で、無税償却でもう既に都市銀関係で三十五兆。これは国民の、極めて超低金利と言われる政策の中で、百万預けても二千円しか利子をいただけない、実質的に所得の移転が銀行の方へ行っている、こういう状況の中で果たして許されるのか。大蔵省得意の行政指導や行政裁量を使えば、私は、この都市銀行関係にもあるいは非公式な形で物が言えたのではなかろうか、こんなふうに思っております。  退職金に至っては全然リストラどころか、ひどいものであります。例えば、五年の三月期に長期信用銀行関係で役員の退職者が全部で二十人いますが、四十五億ですよ、総額が。一人当たり二億二千万の退職金。これは実は、本当は一億ぐらいなんですね、普通は。一人、私の推計だと二十五億ぐらいもらったばかがいるんですよ、恥ずかしくもなく。かつて大蔵大臣に、そういう可能性があるから機会があったら注意しておいてくださいと申し上げたことがございました。間違いなくこれはもらっていますね、この数字だと。  それで、大体それぞれ都市銀行、長期信用、信託、まあ信託は五千万ぐらいですが、一億ずつぐらい。全然減っていませんよ、報酬が、退職金が。全然減っていないじゃないですか。どこがリストラなんだ。一番の親玉じゃないですか。責任者じゃないですか。一方では職員の数は減らしています。それから店舗の数を減らしています。責任者の人たちが何にもやっていないじゃないですか。ふざけている。こういうことを見たので、もう賛成する気なくなつちゃったですよ、はっきり言って。  責任の追及にしてもそうですよ。木津信では刑事事件、民事事件起きていますけれども、あなた方の先輩が行っている兵庫銀行では民事もなければ刑事もない。兵庫銀行なんか破綻前六百九億だったのが、破綻後一兆五千億で二十四倍になっているじゃないですか。こういうのは普通、粉飾決算というんですよ。だからそこの責任者はお縄ちょうだいなんだよ、普通は。何か検査の仕方が、違うからどうのこうのなんていう話ばかりで終わっちゃうでしょう。こんなの許されないんですよ、本当は。だから身内に甘いのじゃないかという批判を受けてしまうんですよ。  そういうことですから、私はずっと以前から、大蔵省の金融行政、なかなか難しいのではないか、多くの銀行があって四年に一回か三年に一回か丁寧に見ていくことも大変じゃないか、おまけに接待担当の人がいるからちょろっと情報漏れたりもするし、だからいっそのこと検査行政をやめて自己責任でやらせて、問題が起きたときにきちっと検査を丁寧にやる、そっちの方がいいのじゃないか。  今、委員の皆さんに資料を配っております。衝撃的ですよ、これは。東海銀行、あの六百億の損失を出した東海銀行の内部資料です。  総合口座の印鑑の登録された証票とその後口座からどんどんお金を取った部分と、筆跡も違えば印鑑も違う。いいですか。那須洋司さんという名前でちゃんと口座をつくられた。その後、同じ名義、同じ口座番号なのに印鑑が違う、那須洋司という名前は筆跡が違う。それで十億円出されている。同じようなパターンで、印鑑も違うし名前も違うのに一億一千九百七十二万出されている。同じ形で三十億も出されている。  一週間に一回支店では検査をするんですよ、御承知のとおり。一カ月に一回本店で検査をするのでしょう。大蔵省は三年か四年に一回検査をするのでしょう。一体どういう検査をしているのですか。山日銀行局長、大蔵省の検査には全く瑕疵はありませんか。
  340. 原口恒和

    ○原口政府委員 金融検査に当たりましては、銀行の業務全般の健全性を確保する観点から、資産の内容ですとか収益、あるいは内部管理体制、各般にわたってチェックをしております。また、御承知のように限られた時間でやりますから、全店舗の個々の事象を全部チェックするということは不可能ですので、できるだけ、その内部管理体制、そういうものに問題がないか、そういう不祥事等が起きないような体制になっているかどうかについて重点を置いて、最近は調査をしているところでございます。
  341. 上田清司

    ○上田(清)委員 前にも、富士銀の不正融資事件で二千六百億の損失を出しながら、前の銀行局長なんか、その稟議書が四十五日さかのぼって印鑑を各役員が押しても、内部の慣行だから認められるといって、しゃあしゃあと発言されている人もいるのですよ。そういうのを認めるような大蔵省なんですよ、山日銀行局長は訂正されましたけれども。  こういうやり方でずっとやってきて、果たして皆さんの行政裁量が信用できるのか。だから、基準を出してくれと言ったし、せめて文書で要綱を出しなさいということを私は再三言ってきたわけです。  とにかく、時間がもう余りありませんが、普通の支店でこういうことがあれば、だれだってわかるわけですよ。筆跡違う、印鑑違う。それがそのまますっと通っているじゃないですか、平成三年当時。それで、やっと裁判になって出てきたのじゃないですか。――そういうつまらぬことを言わないでください。  やはり検査できないのですよ、大蔵省でこういう個別の検査なんかはもともと。おまけに接待攻勢まで受けてしまうから、なおできないわけですよ。だったら、いっそのことしない方がいいと私はずっと提言を申し上げてきました。余分な仕事を減らす。そういうことを申し上げたい。  それで、この東海銀行の不正融資事件の主犯の森本さんという人は、平成四年の八月の第三回公判で、こういうことを法廷で証言しているのです。こうした不正行為はBIS規制をクリアするためにやったと。大蔵省、これはどういう意味かおわかりになるかと思いますけれども、これはやはり一緒になって隠ぺい工作をやってきたということなんですよ。もう裁判の判例でもそういう形が出ているのですけれども、あなた方はしゃあしゃあと、一緒になってやったと言わない、絶対認めない。そういうことを一つ一つ、きちっと内部で責任をとって、明らかにした上で、どんどんいいものを出していただきたい。そうすればみんな賛成しやすい。何かじわっと、だれも大蔵省で責任とっていないじゃないですか、この金融行政に関して言えば。  だって、アメリカで大和銀行のスキャンダルが発覚したときに、アメリカの野村証券は、BIS規制違反だということで、国際決済銀行から百万ドルの罰金を科されたじゃないですか。こういうことを全然あなた方は検査の中で見ることができなかったじゃないですか。だから、検査行政をやめて、自己責任できちっとやらせて、あの答申にもあったように、きのう北側委員が言っておられましたけれども、できるだけきちっと明朗にやって、あなた方はできるだけ何もしない、そういうことをやろうと言ったのですよ。  とにかく日銀法の改正のときも私は申し上げました。これは金融ビッグバンじゃなくて、いいかげんにやっているとビッグバタンになってしまう、バタンだと。今バタンになっているじゃないですか。あなた方、本当に検査していたら、今、破綻銀行は破綻せずに済んでいるのじゃないですか、きちっと指導できていれば。  ここだけ聞きたいと思います。大蔵大臣、本当に銀行検査をきちっと大蔵省ができるのであれば、本当は破綻銀行というのはあり得ないのじゃないですか。できないということの証明じゃないのですか。このことだけ御見解を伺いたいと思います。
  342. 三塚博

    三塚国務大臣 ビッグバタンだという言葉を使いながら、厳しく御指摘をいただきました。検査をさらに厳正に行うよう、全力を尽くさせてまいります。
  343. 上田清司

    ○上田(清)委員 大蔵大臣、ありがとうございます。  私、大変悩ましいこの法案について、仲間も含めて、わずか五人ですが、大変悩み、苦しみました。当面の火消しをすることが大事なのか、それとも本格的な改正をしていくということがいいのかどうか、大変悩ましい問題がありました。  ただ、当面の火消しをするにしても、どういう消し方をするのかという基準や条件や綱領みたいなものがはっきりしないと、これはやはり認められないのじゃないかという考え方を最初から持っておりましたので、そういうことをお聞きし、あとまた、いろいろな資料で直前になって大変御迷惑をおかけしましたが、やはりこれは十分私は納得する形になりませんでした。まことに、この御努力に対して、十分立法府の一員としてこたえることができませんが、これから立派な改正案がどんどん出てくることによって、十分協力してやっていきたいということを表明いたしまして、終わります。ありがとうございました。
  344. 村上誠一郎

    村上委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後六時三十七分休憩      ――――◇―――――     午後十時四十三分開議
  345. 村上誠一郎

    村上委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  預金保険法の一部を改正する法律案を議題として、議事を進めます。
  346. 佐藤静雄

    佐藤(静)委員 本案に対する質疑は終局されんことを望みます。
  347. 村上誠一郎

    村上委員長 ただいまの佐藤静雄君の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  348. 村上誠一郎

    村上委員長 起立多数。よって、本案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  349. 村上誠一郎

    村上委員長 これより討論に入ります。  この際、討論は御遠慮願います。  直ちに採決に入ります。  これより預金保険法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  350. 村上誠一郎

    村上委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  本案の報告書の作成を委員長に一任するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  351. 村上誠一郎

    村上委員長 起立多数。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  352. 村上誠一郎

    村上委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後十時四十五分散会