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1997-12-04 第141回国会 衆議院 大蔵委員会 第10号 公式Web版

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  1. 会議録情報

    平成九年十二月四日(木曜日)     午後四時四十七分開議 出席委員   委員長 村上誠一郎君    理事 井奥 貞雄君 理事 佐藤 静雄君    理事 坂井 隆憲君 理事 村田 吉隆君    理事 北側 一雄君 理事 谷口 隆義君    理事 池田 元久君 理事 佐々木陸海君       新井 将敬君    飯島 忠義君       石原 伸晃君    今村 雅弘君       衛藤征士郎君    大石 秀政君       大野 松茂君    河井 克行君       木村 隆秀君    小林 多門君       阪上 善秀君    桜田 義孝君       下地 幹郎君    杉浦 正健君       砂田 圭佑君    田中 和徳君       田中 昭一君    田村 憲久君       渡辺 喜美君    木村 太郎君       北脇 保之君    鈴木 淑夫君       中川 正春君    並木 正芳君       宮地 正介君    村井  仁君       海江田万里君    末松 義規君       日野 市朗君    佐々木憲昭君       秋葉 忠利君    吉田 公一君       上田 清司君    北橋 健治君  出席国務大臣         内閣総理大臣  橋本龍太郎君         大 蔵 大 臣 三塚  博君  出席政府委員         大蔵政務次官  中村正三郎君         大蔵大臣官房総         務審議官    溝口善兵衛君         大蔵省証券局長 長野 厖士君         大蔵省銀行局長 山口 公生君         大蔵省国際金融         局長      黒田 東彦君         証券取引等監視         委員会事務局長 堀田 隆夫君  委員外出席者         参  考  人        (日本銀行理事) 本間 忠世君         大蔵委員会調査         室長      藤井 保憲君     ————————————— 委員の異動 十二月四日  辞任         補欠選任   新井 将敬君     大野 松茂君   石原 伸晃君     阪上 善秀君   田中 和徳君     田村 憲久君   山中 貞則君     下地 幹郎君   渡辺 喜美君     大石 秀政君 同日  辞任         補欠選任   大石 秀政君     渡辺 喜美君   大野 松茂君     新井 将敬君   阪上 善秀君     石原 伸晃君   下地 幹郎君     山中 貞則君   田村 憲久君     田中 和徳君     ————————————— 十二月四日  計理士既得権を遂行するための計理士に公認  会計士資格付与措置早期実現に関する請願  (吉田公一紹介)(第一二二九号)  同(高市早苗紹介)(第一四三九号)  同(砂田圭佑紹介)(第一五二二号)  同(小林興起紹介)(第一六五九号)  同(渡辺喜美紹介)(第一六六〇号)  同(井奥貞雄紹介)(第一七五六号)  同(池田元久紹介)(第一七五七号)  同(杉浦正健紹介)(第一七五八号)  同(鳩山邦夫紹介)(第一七五九号)  同(深谷隆司紹介)(第一七六〇号)  同(村井仁紹介)(第一七六一号)  食料品非課税実施消費税の廃止に関する請  願(大森猛紹介)(第一二三〇号)  酒販免許制度堅持等に関する請願(青山丘君  紹介)(第一二三一号)  同(麻生太郎紹介)(第一二三二号)  同(井奥貞雄紹介)(第一二三三号)  同(衛藤征士郎紹介)(第一二三四号)  同(太田誠一紹介)(第一二三五号)  同外一件(金子原二郎紹介)(第一二三六号  )  同(倉田栄喜紹介)(第一二三七号)  同(中馬弘毅紹介)(第一二三八号)  同(西岡武夫紹介)(第一二三九号)  同(原健三郎紹介)(第一二四〇号)  同(松下忠洋紹介)(第一二四一号)  同(御法川英文紹介)(第一二四二号)  同(宮澤喜一紹介)(第一二四三号)  同(村田吉隆紹介)(第一二四四号)  同(茂木敏充紹介)(第一二四五号)  同(森英介紹介)(第一二四六号)  同(柳本卓治紹介)(第一二四七号)  同(相沢英之紹介)(第一三五二号)  同(井奥貞雄紹介)(第一三五三号)  同(河村建夫紹介)(第二三五四号)  同(東家嘉幸紹介)(第一三五五号)  同(中川秀直紹介)(第一三五六号)  同(原健三郎紹介)(第一三五七号)  同(松下忠洋紹介)(第一三五八号)  同(宮澤喜一紹介)(第一三五九号)  同(茂木敏充紹介)(第一三六〇号)  同(柳本卓治紹介)(第一三六一号)  同(大野松茂紹介)(第一四一一号)  同(木部佳昭紹介)(第一四一二号)  同(栗原博久紹介)(第一四一三号)  同(佐藤勉紹介)(第一四一四号)  同(中野寛成紹介)(第一四一五号)  同(藤井裕久紹介)(第一四一六号)  同(松下忠洋紹介)(第一四一七号)  同(武藤嘉文紹介)(第一四一八号)  同(池田行彦紹介)(第一四九七号)  同(金子一義紹介)(第一四九八号)  同(阪上善秀紹介)(第一四九九号)  同(西田猛紹介)(第一五〇〇号)  同(原健三郎紹介)(第一五〇一号)  同(松下忠洋紹介)(第一五〇二号)  同(村井仁紹介)(第一五〇三号)  同(矢上雅義紹介)(第一五〇四号)  同(渡辺具能紹介)(第一五〇五号)  同(渡辺喜美紹介)(第一五〇六号)  同(池田行彦紹介)(第一六四二号)  同(石破茂紹介)(第一六四三号)  同(斉藤斗志二君紹介)(第一六四四号)  同(鈴木恒夫紹介)(第一六四五号)  同(土屋品子紹介)(第一六四六号)  同(若松謙維君紹介)(第一六四七号)  同(渡辺喜美紹介)(第一六四八号)  同(木部佳昭紹介)(第一七三二号)  同(岸田文雄紹介)(第一七三三号)  同(佐藤静雄紹介)(第一七三四号)  同(鈴木恒夫紹介)(第一七三五号)  同(中谷元紹介)(第一七三六号)  同(野呂田芳成君紹介)(第一七三七号)  同(平沼赳夫紹介)(第一七三八号)  同(細田博之紹介)(第一七三九号)  同(柳沢伯夫君紹介)(第一七四〇号)  勤労所得控除六十五万円の創設に関する請願  (相沢英之紹介)(第一二四八号)  同(愛知和男紹介)(第一二四九号)  同(赤城徳彦紹介)(第一二五〇号)  同(粟屋敏信紹介)(第一二五一号)  同(石橋一弥紹介)(第一二五二号)  同(稲葉大和紹介)(第一二五三号)  同(越智通雄紹介)(第一二五四号)  同(大口善徳紹介)(第一二五五号)  同(岡田克也紹介)(第一二五六号)  同(粕谷茂紹介)(第一二五七号)  同(河井克行紹介)(第一二五八号)  同(木部佳昭紹介)(第一二五九号)  同(岸田文雄紹介)(第一二六〇号)  同(熊谷市雄紹介)(第一二六一号)  同(熊代昭彦紹介)(第一二六二号)  同(栗原裕康紹介)(第一二六三号)  同(坂井隆憲紹介)(第一二六四号)  同(桜井郁三紹介)(第一二六五号)  同(鈴木俊一紹介)(第一二六六号)  同(鈴木宗男紹介)(第一二六七号)  同(中井洽紹介)(第一二六八号)  同(中川昭一紹介)(第一二六九号)  同(中川秀直紹介)(第一二七〇号)  同(中島洋次郎紹介)(第一二七一号)  同(平林鴻三君紹介)(第一二七二号)  同(古屋圭司紹介)(第一二七三号)  同(穂積良行紹介)(第一二七四号)  同(柳沢伯夫君紹介)(第一二七五号)  同(山口俊一紹介)(第一二七六号)  同(愛知和男紹介)(第一三六二号)  同(赤城徳彦紹介)(第一三六三号)  同(粟屋敏信紹介)(第一三六四号)  同(石橋一弥紹介)(第一三六五号)  同(江口一雄紹介)(第一三六六号)  同(越智通雄紹介)(第一三六七号)  同(岡田克也紹介)(第一三六八号)  同(粕谷茂紹介)(第一三六九号)  同(河井克行紹介)(第一三七〇号)  同(熊代昭彦紹介)(第一三七一号)  同(栗原裕康紹介)(第一三七二号)  同(河野太郎紹介)(第一三七三号)  同(島村宜伸紹介)(第一三七四号)  同(鈴木俊一紹介)(第一三七五号)  同(中川昭一紹介)(第一三七六号)  同(中川秀直紹介)(第一三七七号)  同(仲村正治紹介)(第一三七八号)  同(福田康夫紹介)(第一三七九号)  同(穂積良行紹介)(第一三八〇号)  同(松永光紹介)(第一三八一号)  同(愛知和男紹介)(第一四一九号)  同(遠藤利明紹介)(第一四二〇号)  同(小川元紹介)(第一四二一号)  同(越智通雄紹介)(第一四二二号)  同(河井克行紹介)(第一四二三号)  同(木部佳昭紹介)(第一四二四号)  同(熊代昭彦紹介)(第一四二五号)  同(栗原裕康紹介)(第一四二六号)  同(新藤義孝紹介)(第一四二七号)  同(鈴木俊一紹介)(第一四二八号)  同(玉沢徳一郎紹介)(第一四二九号)  同(中川昭一紹介)(第一四三〇号)  同(中川正春紹介)(第一四三一号)  同(仲村正治紹介)(第一四三二号)  同(葉梨信行紹介)(第一四三三号)  同(萩山教嚴君紹介)(第一四三四号)  同(穂積良行紹介)(第一四三五号)  同(森山眞弓紹介)(第一四三六号)  同(山口泰明紹介)(第一四三七号)  同(横内正明紹介)(第一四三八号)  同(愛知和男紹介)(第一五〇七号)  同外二件(遠藤武彦紹介)(第一五〇八号)  同(熊代昭彦紹介)(第一五〇九号)  同(高村正彦紹介)(第一五一〇号)  同(鈴木俊一紹介)(第一五一一号)  同(中川昭一紹介)(第一五一二号)  同(仲村正治紹介)(第一五一三号)  同(萩山教嚴君紹介)(第一五一四号)  同(藤波孝生紹介)(第一五一五号)  同(森山眞弓紹介)(第一五一六号)  同(柳沢伯夫君紹介)(第一五一七号)  同(山口泰明紹介)(第一五一八号)  同(横内正明紹介)(第一五一九号)  同(愛知和男紹介)(第一六四九号)  同(石川要三紹介)(第一六五〇号)  同(石破茂紹介)(第一六五一号)  同(冨沢篤紘紹介)(第一六五二号)  同(中川昭一紹介)(第一六五三号)  同(仲村正治紹介)(第一六五四号)  同(萩野浩基紹介)(第一六五五号)  同(萩山教嚴君紹介)(第一六五六号)  同(森山眞弓紹介)(第一六五七号)  同(柳沢伯夫君紹介)(第一六五八号)  同(池田行彦紹介)(第一七四一号)  同(小澤潔紹介)(第一七四二号)  同(川崎二郎紹介)(第一七四三号)  同(佐藤静雄紹介)(第一七四四号)  同(坂井隆憲紹介)(第一七四五号)  同(鈴木俊一紹介)(第一七四六号)  同外五件(鈴木恒夫紹介)(第一七四七号)  同(田中和徳紹介)(第一七四八号)  同(中川昭一紹介)(第一七四九号)  同外一件(野呂田芳成君紹介)(第一七五〇号  )  同外二件(鳩山邦夫紹介)(第一七五一号)  同外五件(桧田仁君紹介)(第一七五二号)  同外十五件(細田博之紹介)(第一七五三号  )  同(松沢成文紹介)(第一七五四号)  同(森山眞弓紹介)(第一七五五号)  中小自営業者婦人自家労賃税制等に関する  請願(中川智子紹介)(第一二七七号)  同(松本惟子君紹介)(第一五二〇号)  金融及び証券に係る事件の徹底究明に関する請  願(村井仁紹介)(第一二七八号)  同(木島日出夫紹介)(第一五二一号)  大幅な所得減税の実施、住宅取得促進税制の拡  充に関する請願(石井紘基紹介)(第一四九  五号)  同(深田肇紹介)(第一四九六号)  同(伊藤忠治紹介)(第一六六一号)  同(古賀一成紹介)(第一六六二号)  同(濱田健一紹介)(第一六六三号)  同(五島正規紹介)(第一七六二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  預金保険法の一部を改正する法律案内閣提出  第七号)      ————◇—————
  2. 村上委員長(村上誠一郎)

    村上委員長 これより会議を開きます。  内閣提出預金保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として日本銀行理事本間忠世君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 村上委員長(村上誠一郎)

    村上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 村上委員長(村上誠一郎)

    村上委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。谷口隆義君。
  5. 谷口委員(谷口隆義)

    谷口委員 新進党の谷口隆義でございます。  まず、審議が始まる前に一言申し上げたいというように思います。  昨日の大蔵委員会、当委員会理事会におきまして、本日は定例日ではない、そういうようなことで開会はすべきでないというように申し上げておりましたが、委員長の職権で本日委員会開会というようになったわけでございますが、我々といたしましても、本日の委員会開会、今般の金融状況をかんがみますと、やむを得ないというように考えておるところでございます。  ただし、本日の終局はやめていただきたい。あしたも定例日でございますので、あしたの審議も粛々とやっていただくという前提で本日審議をさせていただきたい、このように申し上げまして審議に入りたいというように思います。  今般のこの金融状況の悪化は大変なものでございます。本日の株式市場状況を見ておりましても、三日連続また日経平均が下落したりしておりまして、中でも金融株中心に下落しておる、そういう状況が続いておるわけでございます。先日、我が国のこの株式市場が一万五千円台を割りました。大変危機的な状況になったわけでございますが、そういう状況の中で、株式市場は一応の落ちつきを取り戻しておるところでございます。  この一応の落ちつきを取り戻しておる原因は、これは、大蔵大臣公的資金導入議論が、この前提条件はいろいろございます。例えばモラルハザードの問題もございますし、また、多々越えていかなければいけない前提条件があるわけでございますが、公的資金導入論国会の中で沸き起こって、また自民党党内においてもそのような議論があると聞いておるわけでございます。そういう状況の中で一応の落ちつきを取り戻しておる、こういうような状況でございます。しかし、今回のこの預金保険法改正案につきましては、この法案そのものには、全くそういうことは論じられておらないわけであります。  先日、私の質問において申し上げましたが、来年の通常国会において今回提出預金保険法を改正して、修正をしてやりたいというような、自民党党内にあるというように聞いておるわけでございますが、この年末を迎えて、金融機関の中には資金の調達が大変厳しいというようなところもあるやに聞いておるところでございます。今こういう状況の中で年末を迎え、また新年を迎える、何もやらない、こういうことではまた再び株式市場動揺が始まるのではないか、このように私は考える次第でございます。  冒頭、大蔵大臣にお聞きいたしたいわけでございますが、今回の株式市場動揺、また、私が今申し上げましたこの公的資金導入論に関係して、大蔵大臣の御所見、御見解をお伺いいたしたいと思います。
  6. 三塚国務大臣(三塚博)

    三塚国務大臣 株式市場は、注意深くこれを今見ておるところでございます。心から安定を願っておるところでございます。  今日の公的支援委員公的資金、こういうことでありますが、金融システムのまず安定のためには、ただいま御審議をいただいておる預金保険法改正案による措置を一刻も早く破綻処理の手法として追加することが重要でございまして、本法案の早急な成立をさせていただきたいということを冒頭申し上げさせていただきたいと存じます。  何回も申し上げておりますとおり、金融システム安定性の強化を図るために、公的支援を伴ういろいろな考え方が出されております。この公的支援によりましてセーフティーネットを完備し、そして預金者を保護することが重要であることは、御案内のとおりであります。  したがいまして、いかなる事態が生じましても対応できますよう、預金者保護のために公的支援により利用可能な資金を拡充していきますことについて、今後も検討をしていかなければなりませんし、現に、国会論議を踏まえながら、与党三党の中、また自民党の中におきましても真剣なこの辺の御論議が行われておるところであります。  それを正面にしっかりと受けとめながら、政府として、本件についての支援体制についての研究、勉強、立案に対しましての諸準備をいたさなければならぬというところに来ておりますことは、御案内のとおりであります。
  7. 谷口委員(谷口隆義)

    谷口委員 これは前回も私申し上げたのですが、この十二月十二日で会期末を迎えるわけでございます。その後、年末を迎えて、また新年を迎えるわけでございますが、今おっしゃっているようなお話はいつ議論をするというようにお考えでございますか。  市場の方はこれを先取りして、どうも順調に審議が進んでおらない、アドバルーンはぶち上げたのだけれども、それに対してこの国会の中の真剣な審議が行われておらないというようなことで、先取りしたような形でどうも動いておるような形になっておるわけでございますが、大蔵大臣といたしまして、この審議をいっどのような状況で行おうというように今考えていらっしゃるのでしょうか。
  8. 三塚国務大臣(三塚博)

    三塚国務大臣 できるだけ早く成案をまとめるべく全力を尽くしております。  その大前提でございますが、ただいま申し上げました預金保険法改正法案について、速やかなる成立をお願い申し上げるということであります。
  9. 谷口委員(谷口隆義)

    谷口委員 この預金保険法案は、私は従来から申し上げておるわけでございますが、その地域にとって重要な金融機関をつぶしたくないという不可欠性原則に基づいてやられるものでありまして、前回申し上げましたように、我が国金融システムが破綻するというシステミックリスク原則と申しますか、そういう観点からの法案ではない、このように従来から私は申し上げておるところでございます。  また、今回、経営不振の金融機関同士を合併させる、そのあっせん大蔵省当局がされる、そこにおいて裁量行政が介在する、このように言われておるところでございまして、あっせんをする基準は一体どのあたりにあるのか、このようなことになるわけでございます。  例えば、来年の四月に金融機関自己査定に基づく早期是正措置が発動するわけでございまして、我が国金融業界においては、それを先取りをするがごとく、今貸し渋りが起こっておる最大原因は、来年の四月からこの早期是正措置が始まる、こういうことが最大原因である、このように言われておるところでございます。  この早期是正措置の場合に、数値基準として、国内においては四%を超えるかどうかということが一つ指標になるわけでございますが、例えば今回のこの法案について、先ほど私が申し上げましたような数値基準が全く入っていないわけでございまして、仮にこのあっせんをする場合に、自己資本比率一つ指標に使うというような考え方も十分考えられると思うわけでございますが、このようなことについてお聞きいたしたいということ。  またもう一点、先日の委員会同僚議員が質問しておりましたが、今現在、百四十九行の金融機関の中で大蔵省出身銀行役員が、あのとき御答弁をされたのが多分百十七名とおっしゃったようにお聞きしたのですが、いらっしゃるというようなことで、かつて金融機関においてもそれなりの不祥事も出来したわけでございますが、一方、経営者責任をとがめる、経営者刑事罰を問われるような事例がなかった。これは一つは、大蔵省出身役員がおられて、大蔵省行政に、そのあたり裁量的な余地があってそのようになったのではないか、このように言われております。また、それがモラルハザードを出来させるのではないか、このようにも言われておるところでございます。  私は、今回の法案だけではなくて、今回、この不良債権処理全体の問題として公的資金導入論が起こってくると同時に、一方において、そのような経営を不振ならしめた責任経営者またそれに準ずるような方の責任を問わなければいけない。このような事例は、アメリカにおいてペコラ委員会と言われるようなものがあって、大変多数の経営陣が重い刑罰を受けたというような事例があるようでございますが、このあたりのことも含めて御見解をお伺いいたしたいと思います。     〔委員長退席村田(吉)委員長代理着席
  10. 山口政府委員(山口公生)

    山口政府委員 いろいろなお尋ねをちょうだいいたしましたけれども、あっせんをする場合に、例えば自己資本比率が何%というような御議論をなさいましたけれども、昨日も御説明申し上げましたように、これは、経営困難な金融機関を放置しておった場合に業務停止命令がかかり、それが整理、清算型にならざるを得ない、そういうことが地域経済に影響が大きい、また、それが複数存在する場合に、それは何とか手を早く打った方がコスト的にも安い、地域経済のためにもなるということでございますので、実際上、経営破綻といいましょうか、そういう状況に陥っている、支払いが滞るおそれがあるというような状況に陥るということが要件でございまして、ただ単に数字的にどうこうということではないというふうに思います。行政として見て、どうしても今そういうあっせんをするというようなことが政策として必要なときということだろうと思うわけでございます。  それから、百四十九行に百十七名という御指摘、たしか私もそういうふうに大蔵省出身者の数をお答えしたと思うのでございますが、それにつきまして、大蔵省出身がいるからモラルハザードが起きたということは私はないと思うわけでございます。もし仮にそういうことがあれば、大蔵省出身であろうがどこの出身の方であろうが、それは刑事的、民事的な責任は追及されるということになるわけでございます。  それから、ペコラ委員会のこともお触れいただきました。確かにアメリカペコラ委員会が大量の、たしか相当な数の犯罪件数を挙げたというふうに言われておりますけれども、その事例を幾つか見てまいりますと、今、たまたま私は持っておりませんけれども、その経営者が私物化している、あるいは自分の利益のためにSアンドLを使ったというようなこと、ペコラ委員会のみならず、その後のSアンドL処理のときの話でございます。ちょっと混同して申しわけございませんが。  いずれにせよ、アメリカでそういう厳しい責任追及をやっておりますけれども、軽いと言ってはなんですけれども、虚偽報告とかそういったものも全部きっちりきっちり、法令に違反したものは罪を問うております。ひどいのになりますと、何とか事件ということで御紹介されておりますような、私物化した経営者というものが刑事罰を受けているということでございます。  そういった刑事的な責任もきっちりと問うていくということは、我々の行政にとっても必要になってくるものだというふうに思います。
  11. 谷口委員(谷口隆義)

    谷口委員 先ほど申し上げましたように、来年からの早期是正措置は、あれはたしか四%、二%、〇%、このように区分されておって、〇%を下回るということは、これは債務超過になるということですね。債務超過になった金融機関については破綻の道を考えていく、こういうような基準であるわけでございますが、今回のこのあっせんをする場合も一つ基準になり得ると思うのです。  そういうような観点で私は申し上げたわけでございますが、なぜこのようなことを申し上げるかといいますと、要するに、それぞれの事情に応じて個別対応で行政裁量の入る余地を持たせるということについては極めて大きな問題がある。今までの当委員会審議を聞いておりましても、たくさんの委員の方がそのようにおっしゃっておったわけでございますので、そのようなことを申し上げたわけであります。
  12. 山口政府委員(山口公生)

    山口政府委員 先生の御意見につきましては、私どもが今あっせんの対象として考えておりますのは、債務超過ではないということを条件にしております。債務超過になって継続は不可能ということであれば、それはもう個別銀行破綻処理ということになろうかと思います。そうすると、どういうことで破綻という現象が起きるかというと、資金繰りに行き詰まるという形での支払いに困難を生ずる、こういう事象が考えられるわけでございます。
  13. 谷口委員(谷口隆義)

    谷口委員 確かに流動性の問題が大きいわけでございますが、ただしかし、この二%であるとか四%であるとかという、破綻に至らないまでも自己資本比率が極めて低下してきたというような基準は、一つの大きな基準になり得ると思うわけでございまして、そのように申し上げたわけでございます。これに対しても御答弁をお願いする時間がちょっとございませんので、私はそのように申し上げたいというように思います。  あと、何かきょうニュースを見ておりますと、自民党党内で、金融機関の代表者が呼ばれて、貸し渋りをやめるように、このようなお話があったかのように聞いておりますが、貸し渋りは、先ほど申し上げたようなことで、最大原因早期是正措置にあるというように言われておりますし、私もそのように思っております。  いろいろ貸し渋りの原因があるわけでございましょうが、従来から私が申し上げておったように、金融機関不良債権は三つに分類されますね。破綻債権と金利減免債と、あと延滞債権、このように三つに分かれている。一番問題があるのは延滞債権。要するに、我が国では六カ月延滞になれば、この状態で延滞債権として不良債権として上がってくるわけです。  ところが、その間に内入れがあるということになってくると、これは正常債権になってしまうわけですね。そういうようなことを意図して追い貸しをしておる金融機関が極めて多いというように聞いております。この追い貸しをすることによって不良債権になることを避ける、このようなことが言われておるわけでございまして、不良債権の公表額はどのぐらいだと私は従来から何回かお尋ねしましたら、銀行局長は、先日も二十七兆円ぐらいになったというようなお話でございました。  これが信じられない最大の理由は、そのような追い貸しが行われておる、追い貸しを行うことによって、現実不良債権であるにもかかわらず正常債権であるかのごとくやっておるというようなことが極めて大きな問題だというように私は思っておりまして、ひとつ貸し渋りの原因と申しますか、仮に追い貸しがその対象になっておるとしたら、ここに来て急激に不良債権がふえてくる可能性がございます、実質的に不良債権でありますから。そのようなことについてどのようにお考えでしょうか。
  14. 山口政府委員(山口公生)

    山口政府委員 最近の動きについて非常に的確な御指摘をいただいておりますが、公表不良債権ベースでの話でございますが、追い貸しの形でもって正常債権にしてしまう、そういうことが仮にあれば、実質的には何ら解決していないという状況がその銀行では続くわけでございます。  そこで、次の四月からの早期是正措置は、あくまで自己査定をして、自主的な判断をしながら自己資本比率をはじくという作業をするわけでございます。そうしますと、そういう表向き正常債権の形をとっても、公認会計士が、それは回収の点で問題があるというふうに認定する可能性が多いわけでございます。そうすると、幾らそういう形をとってみたところで、先生は御専門でございますのでもう釈迦に説法になって恐縮でございますが、償却すべきものがふえて、それで自己資本比率が実質的に大分減っていくということになるわけでございます。だから、公表不良債権だけを形をつけるということは、もはや金融界もできなくなるということだろうと思うわけでございます。
  15. 谷口委員(谷口隆義)

    谷口委員 これが私は極めて重要だというのは、もう糸一本でつながっている企業があるわけですよ。この糸一本でつながっている企業というのは、実質的に不良債権化しておるのだが、金融機関が追い貸しをすることによって、それで正常債権であるかのごとくやっている。この一本の糸がぱちっと切れたら、ばたっと不良債権として上がってくるわけで、今急激に貸し渋りをしておる対象にそのようなところが集中的に多いというように私ちょっと聞いたわけでございますが、そうしますと、一挙にばあっと不良債権がふえてくる可能性がある。これについて私は大変憂慮しておるわけでございますが、一応、これは私の意見としてということでとどめておきたいと思いますが、大変大きな問題だと思います。  それで、今、日銀の本間理事に来ていただいたので、日銀の問題も含めてお聞きいたしたいと思います。  先日、私は日銀特融のお話をいたしました。そのときに、山一の資産状況、財政状況のことをお話ししたわけでございます。四千三百億の資産があって、それからレスするというか控除されるべきものが、簿外負債が二千六百、またその他もろもろ全部合わせますと三千三百控除されて、実質的には一千億の資産があるということで、こちら山一は資産超過になっておるので回収は間違いないというような松下総裁のお話でございました。  私はそれに対して、今一兆一千億の特融を発動しておって、財務諸表から見ますと返済できる金額は一千億しかないんですよ、これで全額回収できるんですかというようなお話をした折に、突然長野証券局長が手を挙げられて、財務のことですから私が答弁しますというように言われたんですが、私は、これは後で、そのときは何も不思議に思わなかったんですが、大変奇異な感じがしたんです。  日銀特融のお話をしたときに長野証券局長がおっしゃったのは、要するに現金の積立分が要ります、店舗に積み立てなければいけません、その他の負債もあります、ですから本来一千億なんですが一兆一千億特融したんです、このようなお話だったんです。  これはまさに日銀と大蔵省の関係を物語っておるような答弁だったものですから、またもう一回ちょっとお聞きしたいんですが、基本的に、一兆一千億の特融を行って一千億しか返ってこないんですよ、今の財務諸表を見ますと。簿外資産があれば別ですが。一つは、おっしゃっているように、返還するために店舗において現金を積み立てるんだと。現金を積み立てるにしても、一兆円からの現金を積み立てる必要がありますか。  だから私は一つ聞きたいのは、この一兆一千億の特融をなされたのは本来どこで決められたのか、どこでこの特融の金額を決定されたのか、またこの決定される算定根拠はどこにあったのか、これをお聞きしたいと思います。
  16. 本間参考人(本間忠世)

    本間参考人 お答えをさせていただきます。  特融は毎日日々変わって、当然でございますが、数字が変わっております。私どもは、特融を実施いたしますに当たりましては、山一証券から、当然でございますが、日々の資金繰りにつきまして詳細に報告を受けておりまして、今お話しのとおり、大きくは、一つは、顧客から預かっております現金のところの顧客資産の払い出しというのがございます。これが日々何がしか出ております。  それからもう一つは、国内及び海外で山一証券がいろいろ顧客との間で有価証券の売買の取引をしております。これの決済。新しい取引はもうとまっておりますので、これまでにいたしました決済の決済未了の部分、いわば最終的な決済の結了に向けてのプロセスが今進んでおるわけでございます。そこのところに一時的に山一が先に立てかえ払いをするような金が起こりますので、そこの金を一つ一つ全部チェックをいたしまして、それを、必要な部分について山一に対して特融をもって融資をしているということでございます。  これは、山一がある意味で立てかえ払いをした形になっておりますので、時間がたてばこれは山一に戻ってまいります。そうしますと、これは日銀にそのまま返してもらう、こういうことになっておりまして、ここ数日は、むしろそういうことで山一からの返済は回収超になっております。(谷口委員「特融の金額はどこで決定されたんですか」と呼ぶ)  金額は、これは政策委員会から授権を受けまして、基本的には私どもの実務の段階で、日々の金繰りの中で山一証券の特融を実施いたしております。
  17. 谷口委員(谷口隆義)

    谷口委員 要するに、決算書がございます、決算書というか財務諸表が。あの財務諸表がすべてを物語っているんです。例えば立てかえがあれば立てかえ金と出てくるんです、全部それに。それ以外に簿外の資産があったりとか、簿外の負債はございません。いや、粉飾したらまた別ですよ。  ですから、要するに、資産が毀損して一千億しかないといえば、立てかえをやろうと何をやろうと、もうそれだけなんです。それ以上に本来は返ってこないんです。そこに一兆一千億入れたというのは、私はちょっと理解に苦しんでおるわけでございまして、要するに、現金を積むといっても、こんなようけ、店舗のところへ現金を積むのかな。ほかの負債に入れかわったって、それも理屈に合わないんです、計算書が全部物語っているわけですから。今現在の資産状況、負債状況は、全部それを見ればわかるわけです。それを根拠にして私はお話ししておるんですが、それを見るとどうも理屈に合わない、特融の金額と資産状況と。それで私は申し上げているんです。今おっしゃった答弁も、もう全然説得力がないものですから、はっきり私は理解できない。  それで、もう一つ聞きたいのは、簿外負債。これは飛ばしですよ、二千六百億。この二千六百億の飛ばしというのは、飛ばしというのは決算期を利用してずっと回すわけでしょう、とつととつと、A社、B社、C社と。最終的に山一に戻ってきた。これが全部損失だったということで簿外負債が二千六百億あるんですが、これは全部損失じゃないでしょう。今持っている、戻ってきた有価証券の取得価格はこの分いけるわけだから、どうしてこの二千六百億が全部損失なんですか、御答弁をお願いいたしたいと思います。
  18. 長野政府委員(長野厖士)

    ○長野政府委員 具体的に、現在飛ばしに使われている有価証券の時価が幾らで簿価は幾らかというのは、今検査の中で確認する作業になるかと思いますけれども、したがいまして、これはいささか例え的に申し上げますと、もともと二千六百億という損失がある。それを簿外の有価証券としてどこかに避難させるときに、例えば時価が二千四百億の有価証券を五千億という簿価にして子会社等に持っていけば、二千六百億の含み損がこの会社に残らずに、子会社その他のところに隠すことができるという仕組みでございます。したがいまして、その使われている有価証券の簿価がどれだけになっておるかというのはこれから確認しなくちゃいけませんけれども、そういった形で隠したロス額が二千六百億という報告を聞いておるわけでございます。
  19. 谷口委員(谷口隆義)

    谷口委員 ちょっと今のも理解できないんです。  要するにロスが出てくるのは、どんな株かわかりませんよ、たくさん株があって。今おっしゃるように、その株の取得価格と時価があって、時価と取得価格がわかっていないとロスが出ないんですよ。ですから、株の明細もあるはずなんです、そういう意味では。明細がないとロスが出ませんから。  私は、簿外負債と言われているのは飛ばしの金額そのものだと思っておったんですが、これは、飛ばしの金額そのものだったら全部損になりますよね。おっしゃるとおりですよ、証券局長が。五千億あって二千四百億が時価だったら、二千六百億がロスになるわけですから。  そうすると、その前提で、その飛ばしの対象の株なり債券なりがあって、それの時価と取得価格がわかっておるという前提ですが、それはわかっているんですか。     〔村田(吉)委員長代理退席、委員長着席〕
  20. 長野政府委員(長野厖士)

    ○長野政府委員 例えば、百億の株式に対して時価が五十億になって、五十億の含み損が発生した、この含み損を飛ばしという手法で処理するときにどうするかというと、新しい債券を組み立てまして、例えば時価百五十億だけれども簿価を二百億にするという形で関連会社などとの取引をしたというような形で持っていけば、それがこちらの帳簿から消える。したがって、ある種の、既にある有価証券に含み損を抱えたまま飛ばして動いておるということではなくて、その目的のためにそういった含み損を消せるような有価証券に仕立ててそれを処理するというのが飛ばしの手法のように感じられております。それが、今回の場合にどういつだ具体的な手法がとられておるかはさらに詰めたいと思いますけれども、そういう性質のものでございます。
  21. 谷口委員(谷口隆義)

    谷口委員 要するに、その簿価の対象となった有価証券が捕捉されておるという前提でないと損失は出ないのですね。わかりますね、ロスだけ出ませんから。それはもう捕捉されているんですねということを聞いているわけです。
  22. 長野政府委員(長野厖士)

    ○長野政府委員 私どもが報告を聞きました段階では、みずからの持っておるペーパーカンパニー等において、このような有価証券の形態で含み損を抱えた形のものをいわば持たせておりますという報告を受けておりますので、現在、検査におきまして、その内容につきましてそのとおりであるかどうかの確認をしておるということでございます。
  23. 谷口委員(谷口隆義)

    谷口委員 これは要するに、証券取引監視委員会が今検査に入っておるというようなお話を聞いておりますが、この簿外負債というのは、発見がやはり極めて難しいのですね。  それで、すぐにこの二千六百億という数字が出てまいりましたので、私は、これはもう当然ながら、今申し上げたように有価証券が特定されておって、それの時価と取得価格が特定された結果出ておるのだろうということで今お聞きしたのです。そうでないと、ロスだけは出ません。これ、ロスだけは出ないんですから。ずっと最後戻ってくるわけです。戻って、今現株がないと、現株というか最終的に山一のところに来てないと、ここで損が出ないわけですから。まあ、いろいろなパターンがあると思いますが、そのことを申し上げているのです。  だから、事によるとこれは逆算して出したんじゃないかというようなマスコミの報道もあるのですよ。債務超過じゃないと言うためにこれを持ってきたというようなマスコミの報道もあるわけでございまして、私はそういう観点で今お聞きしたのです。今後、私が申し上げたことに対してまた御報告をお願いしたい。その検査の結果が出てくるだろうと思いますので、ぜひ御報告をお願いいたしたいというように思います。  それと、短期金融市場において日銀が日々資金を供給しておるというように聞いております。これはいわゆる日銀法二十条の、手形、債券を担保にした担保貸し付けですね、それで市場をじゃぶじゃぶにしている。市場は、資金の出し手と取り手がおられて、取り手の方は取ったいのだけれども、今、例の三洋証券以降大変タイトになっておって、もう危ないところには貸さないというような、あのデフォルト以降です、かなりタイトになったということを聞いておりまして、そういうこともあって、日銀の方は市場をじゃぶじゃぶにするようにやっておるというようにお聞きいたしておるわけでございます。  そこでお聞きしたいのですが、今回、三洋証券以降、北拓、山一と続いたわけでございますね。その辺の状況の中で、市場に供給しておるいわゆる二十条の貸付金、融資ですね、これがどのくらいの金額今現在あるか教えていただけますか。
  24. 本間参考人(本間忠世)

    本間参考人 ただいま委員御指摘のとおり、特に三洋証券への対応以降、金融市場が非常に緊張感を高めておりまして、出し手と取り手の間の国会いというのが非常につきにくくなってきている状況にございます。  これに対しまして、私どもは、これまたただいま御指摘ございましたように、国債あるいは手形あるいはCPの買い入れ、あるいは買い現先、やり方はいろいろございますが、いろいろな手法を駆使いたしまして、この短期の金融市場資金を思い切って投入をしております。  お尋ねのこの金額でございますが、これは基本的にはオペによりますものでございますが、先週の半ば以降、特に二十七日木曜日、これは一兆二千億、二十八日金曜旦二兆七千億、十二月一日、今週の月曜日二兆五千億というような金額を投入しながら、金融市場落ちつきを期待するということで対応いたしておりまして、現実にこういった対応の結果、短期の、特にオーバーナイトのコールレートは大幅に低下をしてきているという状況にございます。  全体の金利が下がる中で、出し手と取り手との間のある種の緊張関係というものも、ひところに比べて落ちつきの方向に向かってきているというふうに認識をいたしております。
  25. 谷口委員(谷口隆義)

    谷口委員 今本間理事がおっしゃったのは、いわゆる平常時に比べると大体どのくらい多いのですか。
  26. 本間参考人(本間忠世)

    本間参考人 これはちょっと技術的なことになりまして恐縮でございますが、金融機関から日本銀行は準備率に基づきまして準備金を積んでいただいておりまして、日々の市場の中でこの準備を積んでいただかなければならない金額、これを所要準備と言っておりますが、それを上回るところの金額が、平常に比べてこの資金がより多く供給されている、こういうふうに考えております。  その金額でございますが、先週の火曜日、それまでのところは大体多くて千、二千、特に多くて三千、四千、五千というようなことでございましたが、先週の火曜日二十五日、これが今の市場の平常時に比べて一兆一千六百億円多い供給をしております。二十六日一兆一千八百億円、二十七日一兆一千二百億円、二十八日一兆五千五百億円というふうな状況でございます。
  27. 谷口委員(谷口隆義)

    谷口委員 それで、今度二十五条の特融のことをお聞きしたいのですが、日銀開聞以来、特融のピークは一兆二千億だったというように聞いておるわけでございますが、現在、先日の当委員会において総裁がおっしゃったのは、大体三兆八千億ぐらい今出しておるというような状況のようでございます。  もちろん金制調答申にもありますように、特融は回収可能性の観点が極めて重要でございます。回収できないようなところに特融を出すということについては、これは大変問題がある、こういうようなことであるわけでございますが、この日銀の特融が無制限にふえてまいりますと、通貨供給量がふえるということで日銀の財務内容が悪化する。中央銀行としての日銀の財務内容が悪化すると、我が国の信用力は低下する。我が国の信用力が低下すると、これが円安に結びつく。現実に今もう百二十九円台で、きょうも見ておりましたら若干円安傾向でございます。  また、莫大な通貨供給量の増大は、一方でインフレを招来する可能性もございます。今現在デフレ経済状況の中で、今回このような状況の中で日銀特融において莫大な特融をなされて、市場において急激にふえたということによってインフレが招来しますと、まさにスタグフレーションになりはしないか、このような危惧さえ言われておるところでございますが、このようなことについて日銀の御見解をお願いいたしたいと思います。
  28. 本間参考人(本間忠世)

    本間参考人 特融も日本銀行の貸し出してございます。ただ、これは無担保の貸し出してございます。これ以外に、先ほどお話のございました有担保の貸し出し、これは調節貸し出しとして、先ほど数字を申し上げましたようなものもこれまた貸し出してございます。結局、金融政策、インフレとの関係というお尋ねでございますので、金融政策運営というものに当たって、この特融の金額が増大することがどういう意味を持つのかということでございます。  全体の金融市場におきます資金の供給の量というものが、仮にそのときの経済の姿との対比におきまして過大である、これは特融を含めてという意味でございますが、特融以外のいろいろな資金の供給の手段がございますので、その結果、全体の金融市場資金の供給が過大であるというようなことに相なりますれば、このときにはやはり、市場からその資金の量を、供給していたものを今度は吸い上げるということによって、これが要するにいわゆる金融調節でございますが、そこの中でインフレを防止するという対応を、これはこれで別途金融政策の観点からとっていかなければならないというふうに思っております。  現段階は、この特融が先ほど申しましたような形で出ていくということについて、これは別途個別の対応ということで対応しているものでございます。
  29. 谷口委員(谷口隆義)

    谷口委員 最後でございますが、一点だけ、本間理事、今申し上げたように、今円安傾向が続いておるわけでございますが、これに対して危惧、危機感を持っていらっしゃいませんか。最後にお聞きして、終わりたいと思います。
  30. 本間参考人(本間忠世)

    本間参考人 為替相場は、やはり一国の全体の対外価値でございまして、その国の経済の地方というものが、ほかの国の経済のそのときの地方との対比においてどういう位置関係、相対関係にあるかということを端的に示す指標だというふうに考えます。もちろん、日本に対する今のいろいろな判断の中に金融システムに対する大きな不安というものがあって、それが何がしか為替相場の中にあるいはあらわれているということかもしれないというふうに私は思いますが、しかし、これはやはり、アメリカ状況あるいは今置かれたアジアの状況その他もろもろの集合体のあらわれでございますので、この定量的な評価は当然難しい、そういう性格のものだと思います。  ただ、多分先生の頭におありになることがそういうことかと思いますが、金融システムがしっかりしなければやはり為替相場も非常に難しいことになるということは、私どもとしても、大きな意味合いの事柄として常に念頭に置いて対応をすべきものだというふうに考えております。
  31. 谷口委員(谷口隆義)

    谷口委員 以上で終わります。
  32. 村上委員長(村上誠一郎)

    村上委員長 これより内閣総理大臣に対する質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北側一雄君。
  33. 北側委員(北側一雄)

    ○北側委員 新進党の北側一雄でございます。総理、三十分でございますが、よろしくお願いをいたします。  まず最初に総理にお伺いしたいわけでございますが、平成七年十二月二十二日の金制調の答申「金融システム安定化のための諸施策」、この中に、今後の金融行政のあり方、また金融機関破綻処理のあり方はこうあるべきであるという理念が書かれております。  私は、この金制調の答申というのはある意味で大変評価をしておりまして、これを転機にやはりこれまでの護送船団方式の金融行政から決別をしないといけない。金融行政のあり方としては、透明性の高い金融システムを早急に構築していく必要があるのだ、監督当局においても行政姿勢の転換が必要であり、市場機能の補完的役割を果たすことを基本として、透明性の高い新しい行政手法の導入をするのだ、こういうことがうたわれています。  また、金融機関破綻処理のあり方としては、このように述べられております。「金融機関破綻処理においては預金保険が発動されることとなるが、預金保険の発動により保護されるべきは預金者、信用秩序であり、破綻金融機関経営者、株主・出資者、従業員ではない。従って、預金保険の発動に際しては、」ここからこの答申は三つの要件を言われるわけでございますが、一つは、破綻金融機関は存続させない、二番目に、経営者の民事、刑事上の厳格な責任追及を行う、三番目に、株主、出資者の損失負担が行われる、この三点が金融機関破綻処理前提条件だというふうな答申になっております。  私は、これはもうこのとおりだというふうに思っておるわけでございますが、今後の金融行政のあり方、また金融機関破綻処理のあり方、今申し上げた答申のような理念でよろしいのか、確認をさせていただきたいと思います。
  34. 橋本内閣総理大臣(橋本龍太郎)

    ○橋本内閣総理大臣 今回御審議をいただいております預金保険法の一部を改正する法律案の内容は、議員がよく既に御承知のとおりでございます。また、さきの金融三法におきまして整備をされました預金保険機構における預金者保護金融システム安定の仕組み、こうしたものもよく御承知のことでございます。  その上で、私はその御質問があると思いませんでしたので、その原文をここに持ってはおりません。しかし、今お読みをいただきましたように、そうした内容というものは当然大切なことばかりでありますし、私は、護送船団行政と言われました従来の金融行政からは、当然のことながら決別をしなければならない。そしてより透明度の高い制度であるべきであり、そして破綻の場合、保護されるべきものは預金者であり、そして経営者、刑事、民事を問わず責任がある者は、その責任は当然追及を受ける、そしてその破綻した金融機関は存在をしなくなる、そうした点を、私は、今議員が述べられた答申の、答申、報告、どちらでありましたか正確には覚えておりませんけれども、その方向というものは我々が目指しているもの、そのように思います。
  35. 北側委員(北側一雄)

    ○北側委員 今の総理の御答弁を確認させていただいた上で、この法案について質疑をさせていただきますが、私はよくわからないのです。  この預金保険法、今審議されております預金保険法改正法案は、今申し上げた、今後金融行政というのは透明化、透明性の高いものにしていかなければいけない、ルール化が大事だ、ルールによる行政にしていくんだ、これとこの法案というのは、私には逆行するように思えます。  また、破綻処理のあり方というのは、破綻金融機関はもう存続させないんだ、経営者の民事、刑事の責任を追及するんだ、株主、出資者の損失負担はきちんと行われるんだ、こうした三原則も今回のこの預金保険法改正法案は満たしておらない、全く逆行する法案になっておるのではないかという疑問を持っておるわけでございます。  こうした疑問は、私どもが言っているだけでなくて、自民党内からも、与党の皆さんの中からもそういう声が聞こえてまいります。これは預金者保護ではなくて、銀行救済ではないかというふうな声が聞こえてまいります。  一つずつ確認をさせていただきたいと思うわけでございますが、この法案で、二つ以上の破綻金融機関が合併する、その合併に当たって、大蔵大臣もしくは将来は金融監督庁長官の合併のあっせんがある、そしてこの新たに合併された新銀行に対しての金融支援が預金保険機構からなされる、また預金保険機構は不良債権の買い取りを行う、こういう法案の内容になっているわけでございますが、まずこの透明性という観点から考えて、大蔵大臣金融監督庁長官があっせんする場合、これはあっせん前提でございます、この法案は。この破綻処理は、大臣、当局のあっせん前提でございます。  このあっせん基準というのは一体何なのかということでございますけれども、法文を読む限りは甚だ不明確でございます。法文に何と書いてあるかと申しますと、法文では、「その破綻金融機関が業務を行っている地域又は分野における資金の円滑な需給及び利用者の利便に大きな支障が生ずるおそれがあると認めるときは、」という要件で、大蔵大臣、将来は金融監督庁長官が、この破綻金融機関二つ以上の合併をあっせんするとなっています。私は、これでは余りにも基準が不明確と言わざるを得ないと思うわけでございますが、総理、いかがですか。
  36. 橋本内閣総理大臣(橋本龍太郎)

    ○橋本内閣総理大臣 これはもう委員がよく既に御承知のことでありますけれども、仮にあっせんを行う場合の要件というものにつきまして、あらかじめその機械的な基準などを課すという場合には、これは制度が必ずしもどの場合にもワークするとは限らない。その状況というものは、やはりこれまで同様という言い方をすると、多分透明性に欠けるというおしかりを受けるのかもしれないのですが、それぞれの金融機関の取引状況などを踏まえながら、個々のケースに即して判断をされる性格のものだと私は思います。  そして、この預金保険機構そのもの、あるいは今特定合併の例を挙げられたわけでありますけれども、少なくともその複数の金融機関はこの合併によりまして消滅をするわけであります。そして法的に消滅をするだけではなく、モラルハザードを防止するためには、幾つかのかせがかかっております。当然ながら、大胆なリストラその他が要求され、新たに生まれるものは健全な新銀行であって、そこには健全な取引関係が存続するわけでございます。  そして、ある地域経営の悪化した金融機関が複数存在して、それらが連鎖的に預金払い戻し停止に陥るおそれがある、地域経済に重大な影響が及ぶおそれがある、こうした場合に、これを未然に防止するという公共的な観点から必要があると判断をした場合、合併のあっせんは行われるわけでありますし、私ども、こうして考えましたときに、今我々はこうした手段を持っておりません。そしてこの状況の中で、今申し上げたようなことをできるようにしておくことは、私は非常に大事だと思います。  しかも、その場合におきましても、これは、自分のところは余り調子がよくないという金融機関の方からあっせんをしてくれと言い出すわけではない、まさに地域経済等を考えまして、公共的に必要だという場合にこれは行われる行為でありますから、私は必要な方途だと考えております。
  37. 北側委員(北側一雄)

    ○北側委員 今総理はモラルハザードの問題だとか、それから破綻金融機関が法的に消滅云々とおっしゃった。これはまた後で私反論しますけれども、ここで言っている特定合併の要件、「破綻金融機関が業務を行っている地域又は分野における資金の円滑な需給及び利用者の利便に大きな支障が生ずるおそれがある」こういう要件というのは、それまでその地域の中で活動していた金融機関が破綻をし、解散とか廃止というようなことになってしまったら、これはどんな金融機関の破綻であれ、資金の円滑な需給や利用者の利便に大きな支障を生ずるおそれがあるというのは当たり前の話なわけなんですよ。  私が申し上げているのは、こういう不明確な基準で、結局、行政当局が救うか救わないかという違いが出てきてしまう。これこそこの平成七年の金制調の答申がだめだと言った裁量行政であり、不透明な行政なんじゃないんですか。そういう意味で私は、この法案というのは、金融行政の透明化、ルール化という理念に反する、裁量行政、護送船団方式のこれは復活、存続だというふうに思わざるを得ないわけなんです。  これは金融機関から見たらどう見えるか。金融機関の側から見ましたら、預金保険機構から資金援助をしてもらえるのか、不良債権の買い取りをしてもらえるのか、それはもう当局の裁量に任されてしまうということでございまして、当局が破綻金融機関を生かすか殺すかの権限を持ってしまうということになってしまうわけでございまして、これは私は、あるべき金融行政のあり方ではないというふうに思うわけでございます。  さらに、地域にそういう経済的な大きな影響を与えるという意味では、それは別に金融機関だけではないわけでございまして、大手ゼネコンやノンバンクが倒れた場合も、そうした一般企業でもそうした破綻が地域経済に大きな影響を与えるわけでして、なぜ金融機関だけこのような救済策があるのか、これは理解できないわけでございます。  総理、この法案というのは、先ほどおっしゃった預金者保護ではなくて、これはまさしく金融機関救済のための法案じゃないですか。金融機関の救済のための資金援助をしようという法案じゃないですか、どうですか。
  38. 橋本内閣総理大臣(橋本龍太郎)

    ○橋本内閣総理大臣 今回の措置におきまして対象となる破綻金融機関の定義、これは私が知ります限りにおきましては、預金払い戻しを停止した、あるいはその停止のおそれのある金融機関ということになっていると思います。そして、そういう意味では、私ども、この場合、預金者を保護する手法として、こうした手段は選択肢の中に入れさせていただきたいと考えております。
  39. 北側委員(北側一雄)

    ○北側委員 こう聞きましょう。先ほど総理も、例えば破綻金融機関AとBがありました、このAとBが当局のあっせんによって合併いたします、こういう話なんですね。その合併したところに支援をしましょう、不良債権は預金保険機構が買い取りますよと。このAという銀行、Bという破綻銀行、二つとも破綻金融機関です。これが法的に消滅するとおっしゃいましたけれども、私から言わせればそうじゃないんだ。これは合併ですから、新設合併なんですよ。  A銀行、B銀行が合併して新たにCという新銀行ができる。健全な銀行です。AとBの権利義務一切は、原則としてこのC銀行は一切承継するんですよ、法的には。一たん法的に消滅してしまって、C銀行は全く新しい銀行というわけじゃないです。法律上はこれは全く継続をしておるわけなんです。合併というのはそういうものなんですよ。合併したから従来の権利関係、義務関係が全くなくなるわけでも何でもない。法的に消滅というのと違います、これは。そういう意味では、破綻金融機関は存続させないというこの原則に反する話であるということを申し上げなければいけないのです。  例えば、破綻金融機関AとBがあります。この株主はどうなりますか、合併して。
  40. 山口政府委員(山口公生)

    山口政府委員 新設合併でございますので、株主はそのまま継続されますが、株主としては、しばしば御説明申し上げておりますように、時価での買い取りでございますから、時価と簿価との差というのは損失であります。そこは株主の負担ということで、例えば積立金、利益金等があればそれは全部費やされるということで、株主の相応の負担はもちろんあるわけでございます。
  41. 北側委員(北側一雄)

    ○北側委員 時価が違ってそこの負担があるのは当たり前の話です、そんなのは。私が言っているのは、株主としての地位は新設のこの会社、C銀行にも移るでしょうと言っているんです。  普通の金融機関の破綻でしたら、株主は、この株券はもう紙になるんですよ、紙くずに。ところが今度は健全な金融機関ですよ。それまで破綻金融機関A、B、それがCという健全な新しい銀行になる。本来、破綻金融機関ですからもう紙くずに近い株券が、逆に言えば健全な金融機関になって株価が上がってしまうということなんです。これは金融機関破綻処理原則からいって絶対おかしい話ですと私は言わざるを得ない。  この金制調答申では、「金融機関破綻処理のあり方」として、「株主・出資者の損失負担が行われること、」というふうになっているわけでして、銀行局長がおっしゃっているような話じゃないんですというふうに申し上げたい。答えは結構です、時間がありませんから。  それから、これは同じように、破綻金融機関の債権者……(発言する者あり)何が誤解だ。誤解は君らが誤解しているんだよ。破綻金融機関の債権者、この債権者も、金融機関が破綻したならば、預金者は別ですよ、預金者以外の債権者は、やはりこれはもう清算手続で入っていけないのですよ。預金者は別ですよ。だけれども、この場合には、この破綻金融機関の債権者も、預金者以外の債権者は、そのまま新設されたこの新しいC会社、ここにすべて債権がかかわっていけるのです。  こんな、法的に消滅するなんていうのは、これは言葉の遊びでして、実質上はすべてAとBの権利義務関係、株主も含めてですよ、すべてC会社に移るわけです。だから、法的に消滅なんというような言葉は、これは全然当てはまらない。破綻金融機関は存続させない、これは当てはまらない。株主、出資者の損失負担が行われない、こういうふうに、言っている原則に大きくこれは反することと言わざるを得ません。  そして第二原則の、民事、刑事上の厳格な責任追及をする。民事、刑事上の厳格な責任追及を、じゃ一番だれがすべきか。市場原理からいって、これはだれがやるのかといったら、これは株主なんです、本来は。役員、取締役に対する責任を追及していく株主の訴訟なんですよ。また債権者なんですよ。法律上の利害関係を持っている株主や債権者が破綻金融機関経営者責任を問うていくというのが筋なんです。このスキームでいってしまったら、この法案の内容でいってしまったら、新しい健全な会社になるわけですから株主は大喜びです。そんな株主代表訴訟なんかやるわけがございません。債権者も同様です。  そういう意味では、今回の法案のやり方というのは、明らかにこれは平成七年十二月のこの金制調の答申の理念に大きく反する、逆行する法案であると言わざるを得ません。また、銀行を、金融機関を救済していくわけですから、経営者モラルハザードを助長することは明らかです。総理、いかがですか。
  42. 橋本内閣総理大臣(橋本龍太郎)

    ○橋本内閣総理大臣 大変議員に逆らうようで申しわけないのですが、やはり、今言われた複数の金融機関、すなわち破綻あるいは破綻寸前にある複数の金融機関は法的に消滅はするのです。当然ながら法的に消滅をいたします。そしてその責任は、当然ながらその経営に当たっている方々は負わなければなりません。  そして同時に、新たな金融機関は、確かにその不良債権の部分、不良資産の部分を預金保険機構に譲り渡すことになって、健全な姿のものが生まれます。そしてその間に、当然ながら大きなリストラその他は行われるでありましょう。そして、そのときに救われるのは、一人は預金者であり、もう一人は善意のこの金融機関を利用している方々であります。  私は、議員の御論議、真剣に今伺っておりましたけれども、やはりこの選択肢を我々は与えていただきたい、その気持ちに変わりはございません。
  43. 北側委員(北側一雄)

    ○北側委員 総理、今大事なお話をされましたよ。善意の取引先ということでしょう。善意の借り手でしょう、善意の借り手。そこは私も考えているんです。だけれども、それを言い出したら、破綻金融機関の善意の借り手を守らなければいけないなんというふうに言い出したら、そうしたらもうすべて保護をしないといけなくなってしまうのですよ。  今我々が求められている金融行政のあり方というのは、これは今、日本の金融機関は多過ぎるわけですから再編をしなければいけない。弱い者は、やはりこれはある意味では破綻をしていただくしかないわけなんです。そういうふうな方向にしないといけないというのが、私は、今我が国金融行政の一番のポイントであるというふうに思わざるを得ません。  従来のように、金融機関をすべて守っていくんだとなれば、これは全く昔と同じように、先祖返りしまして、裁量行政復活、護送船団方式の復活になるに決まっているわけでございます。私は、この法案の内容というのは、明らかに従来のこの金制調の答申の理念、流れに反するものだということを改めて強く主張しておきたいと思います。  また、先般、北海道拓殖銀行が破綻をいたしました。今求められているのは、与党内でも議論をされておられますけれども、公的資金導入という言葉が連日新聞をにぎわしておりますけれども、今にぎわしている話というのは、この預金保険法改正法案と全く関係のない話で、もっと根本的な話をしているわけでしょう。  北海道拓殖銀行の破綻に見られるように、従来の金融三法、金融三法といってもこれは去年の話なんですけれども、金融三法の枠組みというのは、信用組合の破綻の場合にのみ最終的に財政資金が、最終的ですよ、担保されている。ほかは担保されていない。こういうあり方がいいのかどうか、北海道拓殖銀行の例というのがそれを我々に突きつけているわけでございます。そこが問題で、公的資金導入が今大きく議論をされておる。  その問題と今回の預金保険法改正とは全く無関係な問題で、今議論をしないといけないのは、日本の金融システム全体をどう安定化させるのかというところが一番の問題でして、この預金保険法改正法案を通すことが日本の金融システムの安定につながるわけでも何でもないわけでございます。  そういう意味では、もう来年の通常国会にその法案が多分出てくるんでしょうから、そのときに一緒にまた議論すればいいと私は思うわけでございまして、先にこれだけ通す必要なんか全くない、無理して通す必要は全くないというふうに申し上げざるを得ません。  そこで、預金保険機構の収支状況についてちょっとお聞きしますが、預金保険機構のお金の方は、もうとてもじゃないけれども、少なくともあの金融三法をつくった当時に予測した数字とは全く合わないわけでございまして、これは不足するのは明らかでしょう。大蔵大臣、いかがですか。
  44. 三塚国務大臣(三塚博)

    三塚国務大臣 ただいま二・七兆のうち実行済みが、御案内のとおり一・四兆円でございます。今後二〇〇一年三月までの使用可能な財源見込みは約一・三兆であることは、何度も御答弁を申し上げさせていただきました。  今後発生し得る金融機関の破綻を現時点で予測することは困難でありますが、仮に、現在見込まれる預金保険機構の財源では対処が困難な状況が発生した場合には、遅くとも一九九九年三月、平成十年度末までに、機構の業務や金融機関の財務の状況等を勘案いたしまして、保険料率の検討を行うということでございます。
  45. 北側委員(北側一雄)

    ○北側委員 預金保険料、つい去年上げたばかりなのにまた上げるのですかという話なんですね。そんなことをしてしまったら、預金者の利息にもひいてはきっと影響してくるでしょう。結局、強い金融機関をつくらなければいけないときに、世界に通用する金融機関をつくらなければいけないときに、また地域の中で本当に頑張っている金融機関を守っていくためにも、私はこんな、これ以上の、上げたばかりの預金保険料をまた上げるなんていうのはよくないというふうに思っております。  本当は時間があったらもっといっぱい質問したいので、ぜひ明日も、委員長、私、質問に立たせていただきたいと思っております。  せっかく総理に来ていただいていますので、山一証券の飛ばしの問題についてちょっとお聞きをいたしますが、私は、この山一証券の簿外債務問題、飛ばし問題というのは、これはもうとんでもない話だと思っております。  この間、私、大蔵委員会の質問で、証券局長、いらっしゃるでしょう、監視委員会の事務局長でも結構ですけれども、山一は、十月六日、富士銀行に簿外債務の存在を告知した、山一側から富士銀行に二千六百億円の簿外債務があると報告したと。こういう事実はありましたか。確認されましたか。イエスかノーだけで結構です。証券局長
  46. 長野政府委員(長野厖士)

    ○長野政府委員 そのとおり確認いたしました。
  47. 北側委員(北側一雄)

    ○北側委員 事実そのとおりであったということですね、証券局長
  48. 長野政府委員(長野厖士)

    ○長野政府委員 富士銀行から、事実そのようなことがあった、記者会見でも申し上げたという報告がございました。
  49. 北側委員(北側一雄)

    ○北側委員 当局も確認されたわけでございます。  総理、山一はもちろん問題があるのですが、富士銀行は、十月の六日に、二千六百億円の簿外債務があることを山一の役員から直接聞かされたわけです。これは、その山一という会社にとって極めて重要な事実を当事者から聞いたわけですね。私は、富士銀行は、当然のこととして、大蔵当局に対してきちんとそのことを報告しないというのはとんでもない話だと思うのです。  というのは、この十月六日以降も、山一証券の株が売買を、市場において取引をされているわけでございまして、これは、ある意味では、一部の人間だけが山一の極めて大事な話を聞いて、もしくはそこでとどまらないでほかの人たちに伝わる可能性もあるわけでしょう。これはすぐに富士銀行は、富士銀行というのは金融機関なんですから、普通の企業じゃないわけですから、すぐ大蔵当局に報告しなければいけない、しなかったというのはとんでもない話だというふうに私は思っておりまして、この問題というのは、インサイダー取引だとかそういうことにもつながる可能性のある問題だと思っておるのです。  総理、いかがでしょうか。また、事務局長、何かあったらおっしゃってください。
  50. 橋本内閣総理大臣(橋本龍太郎)

    ○橋本内閣総理大臣 全くそういう御質問があることを予測せずにここに参りましたので、私なりの感じでお答えをすることはお許しをいただきたいと思います。  私自身、十一月のある時期に、山一証券状況が悪いということを聞いた一人でありますけれども、そのことをだれにも言うべきものではない、そういう姿勢でまいりました。その上で、やはり私は、金融機関として、こうした重大な法律違反が行われていたことを承知した、その段階でとるべき行動というものはおのずからあるものだと思います。
  51. 堀田政府委員(堀田隆夫)

    ○堀田政府委員 一般論でお答えすることをお許しいただきたいと思いますけれども、私どもは常に市場をチェックしておりまして、市場で価格が特異な動きをしている、あるいは急に売買高がふえている、減っているというような銘柄につきましては、証券会社からいろいろ事情を聞きましてどういう顧客から委託があったのか、あるいはどういう取引動機で委託があったのかというようなことを聞きまして、監視をしております。  そうした中で、例えば先生おっしゃいましたようなインサイダー取引でございますとか、株価操縦に当たる件でございますとか、そういう法令違反に該当する行為がございましたら直ちに犯則調査に切りかえまして、徹底的に事実を究明いたしまして、厳正に対応するということでやらせていただいているところでございまして、この活動を日常的にやらせていただいているということを申し上げさせていただきます。
  52. 北側委員(北側一雄)

    ○北側委員 ありがとうございました。  まだたくさん質問したいことがございますので、さらに質疑を続行されますことを強く望みまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  53. 村上委員長(村上誠一郎)

    村上委員長 次に、池田元久君。
  54. 池田(元)委員(池田元久)

    池田(元)委員 私も委員長に一言申し上げたいと思います。  預金保険法改正案審議は、今まで出ておりますように、大変重要です。引き続き十分審議することが委員長の任務であることを自覚されますようお願いをいたします。
  55. 村上委員長(村上誠一郎)

    村上委員長 御趣旨は承ります。
  56. 池田(元)委員(池田元久)

    池田(元)委員 ぜひそのようにしていただきたいと思います。  さて、きょうは、総理がいらっしゃいましたので、総理に対してお尋ねをしたいと思います。  不良債権処理の行き詰まり、もうずっとこの処理というものが課題になっておりましたが、ここへ来て金融機関の破綻が相次ぎまして、ついに都市銀行と四大証券の一角が崩れまして、大手金融機関は倒れないという不倒神話があえなく覆されました。今、我が国は、ビッグバンに対する準備、不良債権の早期処理という二つの問題に立ち向かわなければなりません。国民の皆さん、市場参加者はこの事態に、経済がどうなるか、政府は何をするか、大変注視しております。  最高責任者としての橋本総理大臣に、わかりやすく、明確に、メッセージとしてお考えを示していただきたいと思います。
  57. 橋本内閣総理大臣(橋本龍太郎)

    ○橋本内閣総理大臣 大変大きなお尋ねでありますので、あるいは舌足らずになる点がありましてもお許しをいただきたいと思うのであります。  まず、今起きております問題、山一の、たまたま今北側委員からも御指摘がありましたが、これは、飛ばし、そして損失補てん、総会屋への利益提供という、まさに法を逸脱する行為を積み重ねた、その破綻と私どもはとらえなければなりません。その上で、我々が保護すべき投資家、それは国内だけではありません、海外も含めてでありますけれども、この方々に対しての手当てはきちんと行い、その影響が及ばないという対応をとってまいりました。また北海道拓殖銀行、北海道の特に大きな経済の中枢でありますだけに、御承知のような仕組みを持ち、これを支える工夫をいたしました。  同時に、これから先、私どもがやはり金融システム全体を考えますときに、まず守るべきもの、それは預金者であり、投資家であり、そしてその方々に対するセーフティーネットをいかに築くかということに問題は係ると思います。言いかえるなら、我々が守らなければならないのはシステムであるということでありましょう。  同時に、私は細かく累次の経済対策を並べ立てるつもりはございませんけれども、我々は一方で、財政の構造を立て直すという大きな問題にも直面をいたしております。それだけに、その財政構造改革と背馳しない範囲でどれだけのことができるか、そして、それは預金者を守ることであり、セーフティーネットとしての役目、システムの安定を守る、ここに焦点を合わせたものにしなければなりません。  早急に具体策をまとめようとし、今努力をしているさなかでありますが、これによりまして、システムに対する信頼が市場における信認をつくり上げてくれることを願っております。
  58. 池田(元)委員(池田元久)

    池田(元)委員 最初に山一と拓銀の個別の破綻処理をおっしゃった後、預金者保護金融システムの安定に努力されるという趣旨のことをおっしゃいました。それから、具体策は早急にやりたいと。まだ明示されておりません。  私は、この半月の間をちょっと振り返ってみたいと思います。  総理の動静というものがあります。十一月十七日に拓銀の破綻が公になり、二十二日未明に山一の自主廃業への動きが明らかになったわけです。橋本総理大臣は、その未明の記者会見で、行革の集中討議の後ですが、「報告を受けていない。事実関係を把握していないから、コメントのしようがない」とおっしゃいました。しかし、今、北側委員の質問の中で、十一月の某日に山一の状態については報告を受けているとおっしゃいましたが、「事実関係を把握していないから、コメントのしようがない」とおっしゃっただけで、APECに出かけました。  APECも大変重要です。私としては、橋本総理大臣はAPECから直ちに帰国して、金融不安の解消策を果断にやると思っていました。また、やるべきだと思っておりましたが、残念ながら、その後カナダにとどまり、帰国してからも、個別の破綻処理策を中心に対応に追われるだけで、まだトータルな危機対応策を打ち出せずにいると言っていいのではないかと思います。  私は、危機管理がどうなっているのか大変心配です。こういうときこそ政治の果たす役割は大きい。最高指導者として、宮澤さんもおっしゃいましたが、陣頭に立って確固とした対策を打ち出し、国民に直接訴えなければならないと思います。公的支援、「公的資金ではなくて公的支援だ」という言葉にこだわっている場合ではないと私は思います。  さきの委員会でも申し上げたのですが、世界恐慌のときのルーズベルトの言葉、「恐怖自体を恐れなければならない」という言葉が最近よく引用されますが、私としては、この橋本政権の無策、対応の遅さを恐怖する、恐れると言わないわけにはいかないと思うのです。総理大臣としての責任をどのようにお考えになっているのか、お尋ねをしたいと思います。
  59. 橋本内閣総理大臣(橋本龍太郎)

    ○橋本内閣総理大臣 確かに私は、詳細を知らないのでコメントできないということを申しました。それは御理解をいただきたいのでありますが、その直前まで記者会見をし、その記者会見場で出なかったこの問題を特定の社の方から突然聞かれたわけであります。実際問題として、経営状況が悪化をしているという報告は受けておりましたけれども、その時点におきまして、私は、山一証券が自主廃業を決定したという報告に接していなかったことは事実であります。  しかも、これは市場に大きな影響を与える出来事でありますから、そして翌日は日本は休みでありますし、ちょうど休日が一日他の国より多くなるその週末から週初めにかけての時期でありました。当然のことながら、他の市場、日本より先に開く市場の影響というものは私は心配をいたしましたし、連絡を大蔵大臣ともとり合いながら、日本よりも先に開く市場に与える影響を回避するために、自分なりに努力をしたつもりであります。その上で、APECに参りました。  議員は、帰るべきだと仰せられましたけれども、もしあの時点でAPECに私が行き日本の状況を説明していない状況、言いかえれば、この問題によって足どめを受けて、出席予定のAPEC非公式会合並びにカナダの公賓としての役割を断念して戻ったとした場合、それは市場にどのような影響を与えますでしょうか。私は議員と見解を異にするかもしれませんが、連絡はとり合いながら……(発言する者あり)いや、まじめにお答えをしているのですから聞いていただけませんか。
  60. 村上委員長(村上誠一郎)

    村上委員長 静粛に。
  61. 橋本内閣総理大臣(橋本龍太郎)

    ○橋本内閣総理大臣 よろしゅうございますか。内外記者会見等で、日本が最大の債権国であり、国内の問題として処理し得るものであり、同時に、海外における営業活動を活発に行ってきた山一証券のその海外の顧客にも損害を与えないようにきちんと対応していることを説明できてよかったと私は思っております。
  62. 池田(元)委員(池田元久)

    池田(元)委員 明確なメッセージなしでした。この日程を見れば、APECは大変重要ですが、その後はどうかなというのが率直な印象です。それを申し上げているわけです。やはり最高指導者は確固としたスタンスを、こういう危機のときこそ国民にアピールしなければならない。指導者不在でこの危機が克服できるか、私はそこを憂慮しているから、あえて言っているわけであります。  さて、橋本総理大臣は、十一月の二十九日、自民党の加藤幹事長と会談し、これはカナダから帰ってきた後ですね、「一番重要なのは預金者保護だ。金融機関を救うものではないとの原則は守っていきたい」、また「金融改革の中で耐えきれない金融機関が選別、淘汰されるのはやむを得ない」と言ったと各紙が伝えております。  私も集中審議で橋本総理大臣の発言を聞いておりましたが、破綻はやむを得ないと言ったわけではないとたしかおっしゃっていたと思うのですが、それはわかります。しかし、この各紙の報道によれば、選別、淘汰はやむを得ないという考えをお述べになったと思うのですが、それをちょっと御確認していただきたいと思います。
  63. 橋本内閣総理大臣(橋本龍太郎)

    ○橋本内閣総理大臣 守るべきは預金者であり、市場に参加しておられる投資家であり、何よりもシステムであるということを私は確かに申し上げました。
  64. 池田(元)委員(池田元久)

    池田(元)委員 淘汰やむなしということは今おっしゃいませんでしたが、各紙が伝えております。しかも、これは単なる憶測ではなくて、会談の終わった後、政権党の幹事長におっしゃったことのようです。  私は、淘汰やむなしという発言はけしからぬと言っているわけじゃありません。やはりそういうメッセージが必要だ。最高指導者が何を考えているのか、それは当然責任ある立場の発言として我々は受けとめるわけですから、その辺の、淘汰はやむを得ないという発言、今の総理の発言はちょっとわからないのですが、それは言ったか言わないか議論してもこれ以上進みませんので取りやめますが、では、この預金保険法改正案というものはどういうものか。  今、北側委員もいろいろ論じられて、私もつい先日当委員会で質問をいたしました。要するに、経営が不振の銀行同士の合併に対しても預金保険機構から資金援助をする。特定合併といっておりますが、その対象となる金融機関基準についてお聞きしましたが、はっきりしない。要するに、業務もしくは財産の状況に照らし、預金等の払い戻しの停止のおそれのある金融機関、これだけなんですね。客観的な経営状況をあらわす指標というのは幾らでもあります。そういう客観的な指標によって基準を設けるべきだと思うのですが、そうではない。  それから、大蔵大臣そして金融監督庁の長官のあっせんで行う。しかし、客観的な基準を設けて、それを厳正にチェックすれば済む話でございまして、こんな大蔵省やそしてその後を引き継ぐ金融当局のあっせんなどは必要ではありません。つまり、これは業者行政を残すと言わざるを得ません。  現在の市場といいますか、世界の大きな流れは、裁量行政から市場中心、事後チェック型の行政への転換がトレンドといいますか流れとなっているわけです。まさに、この預金保険法のスキームといいますか、この考え方は時代に逆行していると言わざるを得ません。要するに、経営状況が悪くなって、本来、市場から退場しなければならない銀行金融機関に、不良債権などの財務状況がはっきりしないまま資金が投入されるおそれがあると言えます。法案の内容は、淘汰はやむを得ないという考え方からいいますと、まさに百八十度異なっているわけです。  橋本総理大臣の先ごろまでの女房役と言われております前官房長官が、これも当委員会で申し上げましたが、きょうは橋本総理大臣がいらっしゃいますのでお尋ねしますが、「今回の小手先の預金保険法改正では、公的資金がなし崩し的に、経営の悪化している金融機関に対して導入されるようになってしまう。預金者保護に名を借りた金融機関の救済としか国民の目には映らない」と言っております。  この預金保険法改正案が、果たして、政府が一生懸命今根回し、働きかけをしておりますが、それほどの意味があるのかどうか、この前官房長官の発言も含めて、橋本総理大臣にお考えをただしたいと思います。
  65. 橋本内閣総理大臣(橋本龍太郎)

    ○橋本内閣総理大臣 恐らく、たびたび本委員会において大蔵大臣初め政府側が御答弁を申し上げておると思いますけれども、この改正案の必要性と緊急性として皆さんに御説明を……(発言する者あり)
  66. 村上委員長(村上誠一郎)

    村上委員長 御静粛に。
  67. 橋本内閣総理大臣(橋本龍太郎)

    ○橋本内閣総理大臣 していないんですか。(池田(元)委員「していないです。きのうから始まったばかりです」と呼ぶ)失礼しました。申し上げておりますと思っておりました。それは取り消します。信用不安の連鎖的波及の未然防止、あるいは中小零細企業対策、さらに不良債権処理といったことを御説明をしておると私は思っておりました。もし御説明をしていなかったとすれば、これはおわびを申し上げます。  その上で、こうした経営の悪化した金融機関のみを当事者とする対応、これが、この法案の中で二つの類型の中の特別なものとして二〇〇〇年度末までという時限措置をとっているその理由でもあります。これはある意味で、今システム改革のプロセスにおいて、我々がとり得る選択肢をふやさせていただきたい、そういうお願いを先ほどもいたしましたけれども、今も同じように申し上げざるを得ません。ぜひ御理解をいただきたいと思います。
  68. 池田(元)委員(池田元久)

    池田(元)委員 弱い者同士の合併では本当の苦境はしのげない、どうしてこういう合併の方策を立てるのか理解に苦しむという地元の報道資料もございます。  この預金保険法改正は、今でも苦しい預金保険機構の収支を大幅に悪化させるおそれもあるわけです。この預金保険法、これは七、八月から大蔵省が手がけている問題、その後に大変な金融危機といいますか、金融不安が広がってきた。今自民党でも党の金融システム安定化対策本部というのが急遽つくられて、預金保険法の財源強化策については、改正案を今国会提出して成立させるべきだという声が多数を占めた。  今やるべきことは何なのでしょう。こういう問題のある、裁量行政を残したびほう策じゃないはずなんです。今やるべきことは、国民の皆さんの金融不安を解消すること、そして市場の信認をはっきりさせること。ところが、ほとんどないじゃないですか。言葉だけで破綻はないとか、じゃ裏づけはどうかと聞きますと、ほとんどおっしゃらない。そういう言葉だけですから、国民や市場参加者は信頼をしないのです。現在の金融危機に対して、確固とした、危機を進行させない全般的な対策を打ち出さなければならないと思います。  私たちももう既に緊急金融対策、先ごろ菅直人代表が一部を予算委員会の集中審議で申し上げました。徹底した関係者の責任追及とかディスクロージャーの徹底、破綻銀行整理法の制定による金融破綻処理の法的枠組みの整備、これは強力な公的債権回収機関の創設……
  69. 村上委員長(村上誠一郎)

    村上委員長 池田君に申し上げます。  お時間でございますので、手短にお願いいたします。
  70. 池田(元)委員(池田元久)

    池田(元)委員 こういう提案をしております。  まさに政府が今やるべきことは、このような全般的な対応策でなければならないわけです。この預金保険法のような、裁量行政を残したびほう策、銀行の延命策、そういうものではないはずなんです。もう完全に、そのプライオリティーといいますか優先順序が間違っております。なぜこの預金保険法改正案の採決を急ぐのか。  そうではありません。今やるべきことは、自民党の中にも良識派がおります。改正案を今国会提出して審議成立させるべきだ、これが常識じゃないですか。なぜこのような預金保険法の改正を急がなければならないのですか。ぜひそこを考え直して、今やるべき金融対策、全般的な金融対策について、国会に皆さんの提案をしてください。そして堂々と論議をすべきではありませんか。  橋本総理大臣、最後に一言お願いします。
  71. 橋本内閣総理大臣(橋本龍太郎)

    ○橋本内閣総理大臣 今御意見は拝聴させていただきました。  その上で、私は今御指摘になりました部分を時限立法にしている趣旨も申し上げ、使える武器はできるだけふやさせていただきたい、先ほども申し上げたとおりであります。
  72. 村上委員長(村上誠一郎)

    村上委員長 次に、佐々木陸海君。
  73. 佐々木(陸)委員(佐々木陸海)

    ○佐々木(陸)委員 日本共産党の佐々木陸海です。  預金保険法の一部改正案審議が佳境に入る直前に、きょうの総理の質問が設定をされました。私は、この設定について、与党の真意を多少いぶかるところもあるのですが、あすからの審議前提として、せっかくの機会でありますので、総理に何点かお聞きをしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。  一つは、さきの予算委員会の質疑で私質問させていただきました。預金保険機構が預金者保護とは言いがたい機構に変質しているのではないかという質問をしました。つまり、ある特定の金融機関の破綻に大きな責任を負っている別の金融機関があるとしても、その金融機関には一銭の負担もさせないで、全部預金保険機構が負担をしてその処理をしてしまうという形に変質してきている。そういう意味では、預金者保護ではなくて関係金融機関負担軽減機構、あるいはもっと広く言えば銀行業界救済機構、さらに言えば不良債権最終処分場といいますか、金融機関のごみためになっている、これが今の預金保険機構の実態ではないだろうかということを、問題を提起いたしました。  これについての総理の認識はお聞きできませんでした。どうぞきょうはその点について、簡潔で結構ですが、総理の認識をお聞かせ願いたいと思います。
  74. 橋本内閣総理大臣(橋本龍太郎)

    ○橋本内閣総理大臣 せっかくのお尋ねでありますから、簡潔と言われましたが、少し長くお答えをお許しいただきます。  さきの金融三法におきまして、特例期間に限りますけれども、ペイオフコストを上回る預金保険による資金援助を可能とさせていただきました。こうした制度の基本的な考え方を踏まえながら、例えば破綻金融機関から事業譲渡などを受ける受け皿の金融機関に対して預金保険機構の資金援助を行う、こうした方式によりまして、預金などの全額を保護すると同時に、金融システムの安定を確保してきておるわけであります。金融三法によりましてこれまでの七倍の保険料を金融機関から集めることによりまして、ペイオフコストを上回る預金保険による資金援助を可能といたしました。そして預金者保護金融システムの安定の確保に万全を期しているわけであります。  同時に、受け皿金融機関が、必要に応じて破綻金融機関から貸付金、店舗あるいは従業員を引き継ぐことになりますけれども、これによって、自己資本比率の低下など相応の負担を負うことにもなります。  私どもは、いずれにいたしましても、今後ともに、金融三法に基づいて整備をされましたその仕組みの基本的な考え方を踏まえ、預金者保護あるいは金融システムの安定確保を図ってまいりたい、そのように考えている、そのとおり申し上げます。
  75. 佐々木(陸)委員(佐々木陸海)

    ○佐々木(陸)委員 あすからの審議に生かす前提としてお聞きしておりますので、次の質問ですが、今回の預金保険法の一部改正案は、破綻金融機関債務超過に陥る前に合併させて、預金保険機構が資金援助をするというスキームになっております。それがすべて大蔵省あるいは金融監督庁の裁量によって進められるということになっております。  私たちの見方からすれば、これは預金者保護からますます離れて、結局、金融業界保護、業界保護ということに重点を置いたものに変質していってしまう、そして、そこに大量の資金を投入することになってしまうというふうに考えますが、総理はどうお考えでしょうか。
  76. 橋本内閣総理大臣(橋本龍太郎)

    ○橋本内閣総理大臣 先ほど、当然御説明を申し上げていると言ったら、説明していないとしかられましたけれども、私は、今回の法案、改正法の必要性というものを簡潔にくくるならば、信用不安の連鎖的波及の未然防止、また中小零細企業対策、そして不良債権の早期処理ということに区切ってお答えを申し上げたいと思います。  同時に、我々は今、この状況の中におきまして、確かに、経営の悪化しております複数の金融機関同士をどう処理していくかという点についてのスキームを持っておりません。そしてこれを、双方が消滅し、預金保険機構が不良債権の譲渡を受けますことにより、新たに健全な銀行をつくっていく。時限立法でお願いを申し上げておりますのも、この状況の中の選択肢をふやさせていただきたい、その思いであることは、繰り返し御答弁を申し上げております。
  77. 佐々木(陸)委員(佐々木陸海)

    ○佐々木(陸)委員 次の問題ですが、九五年十二月の金制調の答申は、「金融機関破綻処理金融システム内の最大限の負担により行われることが原則」であるというふうに述べております。他方、首相は、例えば十一月十三日の衆議院本会議で、不良債権の早期処理金融機関は取り組んでおり、全体の状況は改善しておりますと言っておりますし、また全銀協の会長なども、不良債権処理は順調に進んでいる、全体として償却は終わりに近づいているということも言っております。  総理は、公的支援ということを最近になって言い出されましたが、それは、現在の問題をシステム内の負担では解決できないという認識に到達したという意味でしょうか。そのことをお伺いしたいと思います。
  78. 橋本内閣総理大臣(橋本龍太郎)

    ○橋本内閣総理大臣 それぞれの金融機関におきまして不良債権の早期処理に努めておりますことから、不良債権の総額は引き続き減少している、これは確かに御答弁を申し上げております。そして、こうした不良資産の処理が各金融機関及び市場全体の健全性、透明性の向上につながる、そうしたことから、金融システムの信頼感を確保するためにも、今後とも引き続き進めていく必要がございます。  他方、不良債権処理のための財源、これは毎期の業務純益と内部留保の取りましによっておるわけで、個別金融機関にとってみれば、不良債権処理は、内部留保の取りましによる財務基盤の弱体化をもたらすという面もあることは事実です。ですから、例えば不良債権を多額に抱える金融機関の場合に、財務基盤の弱体化あるいは多額の不良債権処理に伴う毎年度の赤字決算で、市場の信頼が低下をする、資金繰りの悪化を招く原因となることもないとは言えません。  いずれにいたしましても、金融システム安定性を強化していく、そのためには、公的支援を伴ういろいろな考え方が、今、国会の御議論の中においても、また識者の間でも出ておるところでありますけれども、私は、公的支援によってセーフティーネットを完備する、そして預金者を保護するということは重要だと本当に思っております。ですから、いかなる事態が起きても対応できるように、預金者保護のために公的支援による利用可能な資金を拡充しておくことは、今後検討すべきことだ、そのように思っております。
  79. 佐々木(陸)委員(佐々木陸海)

    ○佐々木(陸)委員 今の問題とも関連しますが、私が十一月六日の本会議で、不良債権処理の問題で、これ以上、財政資金投入を行うというようなことがないと断言できるかというふうに質問したのに対して、総理は、「仮に、現在見込まれる機構の財源で対処が困難な状況が発生した場合には、平成十年度末までに保険料率の検討を行うことといたしております。」保険料の検討でそれに対処するんだという趣旨をお答えになっておりますが、この保険料の検討という問題と公的支援云々という議論との関係はいかがでしょうか。保険料の検討もして、ただ、さらに高めた上でも、やはり万全の対策をとるためには公的支援が必要だというお考えなんでしょうか。
  80. 橋本内閣総理大臣(橋本龍太郎)

    ○橋本内閣総理大臣 先ほど大蔵大臣が他の議員に答弁をしておられましたけれども、預金保険機構の財源につきまして、平成八年度から平成十二年度までの五年間の財源見込み約二兆七千億円、このうち実行済みの金銭贈与が約一兆四千億円ということで、今後、平成十二年度までに使用可能な財源見込みが約一兆三千億円になっている。したがって、この一兆三千億円によって対応してまいりたいということを先ほど大蔵大臣は答弁をされたと思います。同時に、今後発生し得る金融機関の破綻というものを現時点で予測することが困難だということも大蔵大臣は言われました。  そして、仮に、現在見込まれる預金保険機構の財源で対処が困難な状況が発生した場合、遅くとも平成十年度末までに機構の業務あるいは金融機関の財務の状況等を勘案して、保険料負担のあり方について検討を行うことにしているということでございます。  今、本当に金融システム安定性を確保する、強化する、こうしたことにつきましては、公的支援を伴ういろいろなお考えが、国会でもそれぞれから示されておりますし、世の識者の方々からも示されております。  先ほど私が申し上げましたことは、まさに公的支援によってセーフティーネットを完備する、預金者を保護する、これが重要なことだ、いかなる事態が起きてもこれに対応できるように、預金者保護のための公的支援による利用可能な資金を拡充していくことを今後考えていかなければならない、そのように申し上げてまいりました。  まさに、金融システムの安定につき、預金者保護というものを目的にしながら、公的支援を含めて具体策を早急に得て、強い決意で臨んでいきたい、そのように繰り返し申し上げているところであります。
  81. 佐々木(陸)委員(佐々木陸海)

    ○佐々木(陸)委員 今の答弁を受けて、あすからの預金保険法一部改正案の質疑に生かしてまいりたいと思いますので、どうぞ委員長、よろしくお願いいたします。  終わります。
  82. 村上委員長(村上誠一郎)

    村上委員長 次に、吉田公一君。
  83. 吉田(公)委員(吉田公一)

    吉田(公)委員 まず、総理にお尋ねをしたいと思うのであります。  総理は、公的資金導入の必要性を予算委員会でもお認めになられましたが、公的資金導入の必要性を御答弁されたということは、総理御自身が当然財源ということを考えて御発言があったのかと存じますが、その財源につきまして、総理御自身はどういう財源を必要なのか、まずそのことをお尋ねしたい、こう思います。
  84. 橋本内閣総理大臣(橋本龍太郎)

    ○橋本内閣総理大臣 今、他の委員に対し、私は公的支援という言葉を使いながらお答えを申し上げております。そして、具体策を早急に煮詰めたいということも申し上げております。今さまざまなお考えが示され、それぞれに特色を持ち、同時にそれぞれが、目的は同じでありましてもいろいろなスキームを伴うものでありますだけに、私どもとしても、そのどれがベストの、あるいは複数の選択肢でベストミックスかという結論はまだ出しておりません。ですから、今具体策を早急に煮詰めたいということも申し上げました。財源というところまでお答えをできる状況ではないということは御理解をいただきたいと思います。
  85. 吉田(公)委員(吉田公一)

    吉田(公)委員 一国の総理が金融不安を解消するために、総理御自身がとにかく何らかの公的支援を行うということで市場も安定したようでございますし、つまりそうした心理的な波及効果というものは非常に大きなことだろう、こう思います。  したがいまして、さらにできれば、総理が御発言または大蔵大臣が御発言をされて、そして波及効果があって、実情は公的資金導入しないで済む、そういう方法が一番いいと思うのでありますが、その波及効果について大蔵大臣は当然大事なことだと思われておりますが、今後引き続き責任を持たれまして、一国の総理並びに大蔵大臣責任を持って公的資金導入する、したがって心配のないように、こういうことを引き続きおっしゃっていただけるのかどうか、その点の決意をお聞きしたい、そう思います。     〔委員長退席佐藤(静)委員長代理着席
  86. 三塚国務大臣(三塚博)

    三塚国務大臣 総理から集中審議の際にも申されましたとおり、本日の最終の、総理の出番のこの審議でもたびたび答弁がありましたように、その基本は私も同じであります。預金者保護という基本論、大原則、これをしっかりとしたものに担保していきますためには、システムの安定維持ということも御案内のとおりであります。  そういう観点から、今回の法律改正を一日も早く成立をいただきたいとお願い申し上げておりますのは、いわゆる波及効果という話をされましたが、今回新しい破綻処理の手法等追加をいたしたところであります。そのことは地域経済、中小企業の皆様方だけではなく、その地域から全体的に連鎖反応を起こすことのないように未然にこれを防止していくことも預金者保護の大目的にかなうものである、こう考えておるところであります。  主務大臣の大蔵大臣というのは、金融システム安定の問題に起きたいかなる事態にもありとあらゆる手を尽くしてこれに対処していくという責任がございます。そういうことで、総理と、時に指示を受け、また報告を申し上げながら今日の事態に対処をいたしておるわけで、今回の法律は、手法を示すことによりまして、これによって守ってまいりたいということであり、特に財源の問題、党内において、国民間において、また国会においてもなされておりますが、これはこれであります。まず急がなければならぬのはこの法律の制定であるということを重ねてお願いを申し上げて答弁にかえます。
  87. 吉田(公)委員(吉田公一)

    吉田(公)委員 基本的なことなんですけれども、本改正案が出ましたときには、当然この程度で済むだろうという考え方で本改正案提出された、こう思うのであります。しかし、その後、わずか一カ月足らずに、本改正案の思惑を超えた、枠を超えた金融破綻、証券破綻、生保破綻が起きて、これじゃ間に合わないということについて当然お気づきだと思うのでありますが、その点はいかがでございましょう。
  88. 三塚国務大臣(三塚博)

    三塚国務大臣 ただいま一兆三千億円の預金保険機構の予定されておる収入がございます。これで対応をしていくことになるわけであります。  先ほど、十年度末までというのはこれで大丈夫かというような声がありますものですから、本件についてはその作業にまず入ろう、こういうことでございます。
  89. 吉田(公)委員(吉田公一)

    吉田(公)委員 かねてから言われておりましたが、預金者保護あるいは投資家保護ということについてはまさにそのとおりでございます。  ただ、不良債権というのはどこまでが不良債権なのか、一体総額幾らになるのか、まことに不透明なところがまだたくさんあるわけでありまして、少なくとも不良債権処理に当たりましては、当然公的資金は私は使うわけにはいかないだろう。あくまでも、預金者保護と投資家保護に公的資金導入された場合には使う必要があるかもしれませんけれども、不良債権という概念がどこまでが不良債権なのか。つまりは、不良債権ということになれば、とにかくどれだけのものだかわからなくなってしまう、だんだん範囲が広がってしまうというようなことになりかねないわけでありますから、不良債権については公的資金導入しない、こういうことはいかがでございますか。
  90. 三塚国務大臣(三塚博)

    三塚国務大臣 不良債権につきましては、それぞれの機関が今全力を尽くして解消、そして経営の健全化に向けて努力をされております。そのことをしっかりとサポートをさせていただいておるところでございます。
  91. 吉田(公)委員(吉田公一)

    吉田(公)委員 時間がなくなりましたので、以上で終わります。
  92. 佐藤(静)委員長代理(佐藤静雄)

    佐藤(静)委員長代理 次に、上田清司君。
  93. 上田(清)委員(上田清司)

    ○上田(清)委員 無所属クラブの上田清司でございます。きょうは特に、四人の他のメンバーから一任をいただいてきましたので、ぜひ明確なる御答弁をいただきたいと思います。  まず、先般の衆議院予算委員会大蔵大臣は、あらゆる金融商品が全額保証される、保護される、このような御答弁をなされて、昨日大蔵委員会で山日銀行局長が、金融債や金銭信託は含まれるが、証券、保険商品は預金と性格が異なるというような御答弁をされていましたが、どちらが正しいのでしょうか。総理、御裁定をお願いいたします。
  94. 三塚国務大臣(三塚博)

    三塚国務大臣 これは先般の委員会においてもお答えをさせていただき、きょうの参議院大蔵委員会におきましてもお答えをさせていただきました。  私が申し上げました趣旨は、預金保険の本来の対象である預金等はもちろんのこと、それ以外の金融機関金融商品についても、その安全性の確保に万全を期すということを申し上げたわけでございます。
  95. 上田(清)委員(上田清司)

    ○上田(清)委員 極めて微妙な時期でございますので、誤解を受けるような発言は厳に慎んでいただきたい、このように私は申し添えたいと思います。  続きまして、きのうも申し上げましたが、この法案は、金融監督庁並びに大蔵大臣あっせんによるものとする、いわばどういう状況下で合併させるのかとか、どういうリストラをさせていくのかとか、極めて行政裁量の範囲が広い法案であります。立法府の務めは、行政裁量をできるだけ狭めていく、これが立法府にある者の私は務めだと思っておりますので、昨日も基準を文書で出してくれということでお願いをしておりましたが、何の連絡もないままに今に至っております。二度請求を政府委員室の方にいたしましたけれども、出せないという返事もありませんでしたことをまず申し上げておきたいと思います。非常にたるんでいると。  それで、具体的に聞きます。  地域経済に与える影響が大きいと判断すれば、資金援助をある意味では武器に不振銀行の合併をあっせんできるということでありますが、例えば県内における主要メーンバンクがどの程度カバーできるような、例えば貸付額がどのぐらいだとか、取引先がどのぐらいだとか、口座数がどのぐらいだとか、その目安も、多分大蔵大臣の方に銀行局長を中心に内部で、こういう形でやっていきたいという、多分何らかの形で私は内部文書があるのじゃないかというふうに推察しているのですが、そういう基準をこの委員会の皆さんに見せていただかないと、なかなかこれは納得できないと私は申し上げておりますが、大臣、いかがでございますか。
  96. 三塚国務大臣(三塚博)

    三塚国務大臣 本件も何回か申し上げております。また同じようなことを申し上げます。  今委員の御指摘のような基準については、細部のことについては銀行局長から答弁をさせますが、特定合併のあっせんというのは、経営が悪化をし、預金の払い戻し停止に陥るおそれのある金融機関が複数存在するときに、これらの金融機関がその地域で果たす金融機能を維持することから、預金者や取引先を初めとした地域経済のために不可欠と認められるような場合について行うことといたすということの中で、前段答弁を申し上げましたとおり、預金者保護金融システムの安定という基本の中でお願いを申し上げておるところであります。
  97. 山口政府委員(山口公生)

    山口政府委員 大臣の御答弁に補足をさせていただきたいと思います。  総理からも申されましたように、これは、その地域の問題、深刻度の問題等、それから破綻の連鎖の問題等がございますので、余り一つ基準というもので割り切れるものではございません。それは、せっかくのお認めいただくこの機能が作用できなくなるおそれもございまして、そこはケース・バイ・ケースになりますけれども、私が今の時点で考慮すべき点をあえて挙げてみますと、例えば、ある地域経営の悪化した金融機関がまず複数存在するということ、それからそれらが連鎖的に預金払い戻し停止に陥るおそれがあるということ、それからその業務の全部の廃止または解散が行われる場合には、地域または分野における資金の円滑な需給及び利用者の利便に大きな支障が生ずるおそれがあること、こういうことではないか。  それで、今先生おっしゃいましたように、地域への支障というと、やはり金融機関のその地域での担っている役割とか、それから金融機関の規模、規模には口座数とか取引先数というのはもちろんあると思います。それから金融機関の特色、取引先の特色、それから金融経済情勢があると思います。資金需要の程度がどうか、全体の貸し出し姿勢がどうかというようなことを勘案しながら、ケース・バイ・ケースでの対応でございますけれども、これは、しばしば先ほど総理から御答弁いただきましたように、地域経済にとって大変重要なことでございます。債務超過ではない状態でございますので、このままいきますと、業務停止命令、整理、清算型ということになるということでございます。     〔佐藤(静)委員長代理退席、委員長着席〕
  98. 上田(清)委員(上田清司)

    ○上田(清)委員 全然わかりませんでした。  それじゃ、停止するおそれのある金融機関、こういう議論でやってくると、例えば債務超過がどのぐらいなんだとか、そういう議論をやはりしなければ、もう大蔵省が全部万能じゃないですか、あっせんに関して言えば。今大蔵省に全幅の信頼がないのですよ。破綻してしまえば、後で出てきたら、木津信で二十五倍、兵庫銀行も二十五倍、こんな検査がありますか、事前検査が。そういう不信感をいっぱい持ってきたのですよ。  木津信のときに、武村大蔵大臣は、これで山は越えたと言った。山の始まり。三洋証券のとき、これで終わりにしたいと三塚大蔵大臣は言われていた。住専のときに、もう公的資金はこれっきりにしたい。こういうことを何度も首脳の方が言われながらも繰り返しているのですから、よっぽどそういう基準を明確にされない限り、国民のいわば賛成はとれない、私はそんなふうに思ってきのうから申し上げております。  具体的に、どういう形で停止のおそれ、例えば払い戻しができなくなる、そういう基準を大蔵当局の方で考えておられるのか。これは具体的に大蔵大臣や総理に御進講があったのでしょうか、こういうケースだったらこうなりますという。
  99. 山口政府委員(山口公生)

    山口政府委員 債務超過ではない場合でございますので、破綻としての状況は、資金ショートのおそれということでございます。それは、日々コール市場からの調達の状況とかそういうことで、毎日また時間で変化いたします。それをある一定の水準でというのはなかなか難しいのでございますけれども、資金繰りは全く問題がない場合は、債務超過ではない場合は問題は生じないわけでございます。だから、資金繰りの問題ということは、先ほどの預金払い戻し停止に陥るおそれがあるということの一つのポイントでございます。
  100. 上田(清)委員(上田清司)

    ○上田(清)委員 何度も申し上げますが、この法案行政裁量権の大変大きな法案であることだけは間違いのない事実だと思いますので、事前に相当丁寧な具体例について私どもにやはり説明がある、こういう場合にはこうなるだろう、過去の事例でいえばこうなるだろう、木津信だったらこういうことだっただろう、そういうことを幾つかやはり具体的なケースとして説明して、我々はこういうイメージだ、そういうものを出さない限り、これは法律案としてもともと欠陥なんですよ、私はそんなふうに思います。  総理、いかがでしょうか。総理は先ほどから一応、いろんなケース・バイ・ケースだからなかなか言えないということも言っておられますけれども、これほど行政裁量権があっていい法案でいいんだろうかと私は率直に思いますので、もう時間がありませんので、せっかくおいでいただきましたので、一言御見解を賜りたいと思います。
  101. 橋本内閣総理大臣(橋本龍太郎)

    ○橋本内閣総理大臣 確かに、この法律案の構成、特にこの時限的措置につきまして、破綻の危険性のある金融機関の方から申し出ることができない、まさにその意味では裁量という言葉を用いられていたし方のない部分があることは私も認めます。その上で、なぜこれが時限にしてあるか、時限でこの手法をお願いをしているかということもぜひ御理解をいただきたいと思うのであります。  先ほど来、大変大きなケースについていろいろ例示を挙げての御質疑をいただきました。しかし、ここに具体的なケースを私が持ち合わせているわけではありませんけれども、地域にある複数の金融機関、あるいはその複数というのも、五つも六つもあるかもしれません。そのうちの複数の金融機関経営状態で、破綻が生じそうな状況の中で、破綻をさせてしまう前にその二つを消滅させて健全な部分を生かすという手法は、私どもとしては、これからの時代に使わせていただきたい政策手段の一つであるということも事実であります。そしてそれが、先ほど来申し上げておりますように、地域経済の中で大きな影響をもたらさないように対応する手法の一つであるということも、私は事実として存在すると思います。  本来なら、金融破綻というような状態を心配しないで済むのがベストでありますけれども、我々は今、金融システムの改革の中において、現実の、かつて我々が考えもしなかった四大証券一つが、あるいは都市銀行一つが運命を変えるという事態におります。こうした状況は少しでも早く終わらなければなりません。そのためには、使える選択肢はぜひ一つでも二つでも多く与えていただきたい、率直にそのような思いでいることを私は申し上げたいと思います。
  102. 上田(清)委員(上田清司)

    ○上田(清)委員 時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。
  103. 村上委員長(村上誠一郎)

    村上委員長 次に、小林多門君。
  104. 小林(多)委員(小林多門)

    小林(多)委員 自由民主党の小林多門でございます。総理並びに大蔵大臣には、連日大変御苦労さまでございます。  時間がありませんから、はしょって質問をさせていただきたいと思いますけれども、今審議をされております法律案について、一部、国民の皆さん方から私に対しても、なぜそんなに急ぐのだろうか、あるいはまた、なぜ改正が必要なのだろうか、このような、素朴な質問でありますけれどもということを前提に置いて私に尋ねられたのであります。  そこで、私はこの機会に、私を含めて、国民の皆さん方がわかりやすいように、わかりやすい言葉で総理から御説明をいただきたいと思います。
  105. 橋本内閣総理大臣(橋本龍太郎)

    ○橋本内閣総理大臣 これは、預金保険法全部を御説明する時間的な余裕もないと思います。そして、先ほど来の御質問が、まさに附則関連の時限的措置に集中いたしております。  そして、この特定合併というものを考えましても、これはまさに、経営が悪化して預金の払い戻しに支障が生じる、あるいはそういうおそれがある、そうした事態の発生が懸念されます金融機関がたまたまその地域に複数ありましたときに、やはり金融機関というのは全部、それぞれの地域におきまして果たしている役割というのは大変大きなものがあります。預金者に対しましても、また取引先に対しましても、地域経済の中で不可欠な存在でありますが、それが複数、非常に危険な状況になりましたとき、預金保険機構が不良債権の買い取りなどを行う。そして、その金融機関、複数の非常に内容の悪いもの、これは消滅をする、法的に消滅をする。  当然ながら、そのときに責任者はいろいろ、先ほどの御議論にもありましたように、刑事上、民事上問題があれば、厳しく処分を受けるでありましょう。同時に、その消滅させた二つの、ある複数の金融機関のよいところを一つの新設の金融機関とすることによって、地域経済への影響を食いとめながら処理をしていきたい、こういう手法をひとつ新たに認めていただきたいというお願いを申し上げているわけであります。
  106. 小林(多)委員(小林多門)

    小林(多)委員 ほかにたくさん質問があるわけでございますが、これから総理も公務があるようでございますから、以上をもって私の質問を終わります。
  107. 村上委員長(村上誠一郎)

    村上委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時四分散会