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1997-11-25 第141回国会 衆議院 大蔵委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十一月二十五日(火曜日)     午後一時十六分開議  出席委員   委員長 村上誠一郎君    理事 井奥 貞雄君 理事 佐藤 静雄君    理事 坂井 隆憲君 理事 村田 吉隆君    理事 北側 一雄君 理事 谷口 隆義君    理事 池田 元久君 理事 佐々木陸海君       新井 将敬君    飯島 忠義君       石原 伸晃君    今村 雅弘君       衛藤征士郎君    大野 松茂君       河井 克行君    木村 隆秀君       小林 多門君    桜田 義孝君       下地 幹郎君    砂田 圭佑君       田中 和徳君    田中 昭一君       桧田  仁君    目片  信君       渡辺 喜美君    木村 太郎君       北脇 保之君    権藤 恒夫君       鈴木 淑夫君    中川 正春君       並木 正芳君    原口 一博君       宮地 正介君    村井  仁君       山中 燁子君    海江田万里君       末松 義規君    日野 市朗君       佐々木憲昭君    秋葉 忠利君       吉田 公一君    上田 清司君       北橋 健治君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 三塚  博君  出席政府委員         大蔵政務次官  中村正三郎君         大蔵大臣官房長 武藤 敏郎君         大蔵大臣官房金         融検査部長   原口 恒和君         大蔵大臣官房総         務審議官    溝口善兵衛君         大蔵省主計局次         長       細川 興一君         大蔵省主税局長 薄井 信明君         大蔵省理財局長 伏屋 和彦君         大蔵省証券局長 長野 厖士君         大蔵省銀行局長 山口 公生君         大蔵省銀行局保         険部長     福田  誠君         証券取引等監視         委員会事務局長 堀田 隆夫君         国税庁課税部長 乾  文男君  委員外出席者         公正取引委員会         事務総局経済取         引局企業結合課         長       鵜瀞 恵子君         警察庁長官官房         参事官     竹花  豊君         労働省労政局労         働法規課長   三沢  孝君         参  考  人         (日本銀行総裁松下 康雄君         大蔵委員会調査         室長      藤井 保憲君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月二十五日  辞任         補欠選任   木村 隆秀君     目片  信君   桜田 義孝君     桧田  仁君   杉浦 正健君     大野 松茂君   山中 貞則君     下地 幹郎君   鈴木 淑夫君     原口 一博君   村井  仁君     山中 燁子君 同日  辞任         補欠選任   大野 松茂君     杉浦 正健君   下地 幹郎君     山中 貞則君   桧田  仁君     桜田 義孝君   目片  信君     木村 隆秀君   原口 一博君     鈴木 淑夫君   山中 燁子君     村井  仁君 十一月十三日  預金保険法の一部を改正する法律案内閣提出  第七号) 同月十七日  中小自営業者婦人自家労賃税制等に関する  請願白保台一君紹介)(第四八二号)  同(一川保夫紹介)(第五一五号)  同(坂上富男紹介)(第五一六号)  同(達増拓也紹介)(第五一七号)  同(畠山健治郎紹介)(第五一八号)  同(石井郁子紹介)(第五九〇号)  同(大森猛紹介)(第五九一号)  同(金子満広紹介)(第五九二号)  同(川内博史紹介)(第五九三号)  同(木島日出夫紹介)(第五九四号)  同(児玉健次紹介)(第五九五号)  同(穀田恵二紹介)(第五九六号)  同(佐々木憲昭紹介)(第五九七号)  同(佐々木陸海紹介)(第五九八号)  同(志位和夫紹介)(第五九九号)  同(瀬古由起子紹介)(第六〇〇号)  同(辻第一君紹介)(第六〇一号)  同(寺前巖紹介)(第六〇二号)  同(中路雅弘紹介)(第六〇三号)  同(中島武敏紹介)(第六〇四号)  同(春名直章紹介)(第六〇五号)  同(東中光雄紹介)(第六〇六号)  同(平賀高成紹介)(第六〇七号)  同(不破哲三紹介)(第六〇八号)  同(藤木洋子紹介)(第六〇九号)  同(藤田スミ紹介)(第六一〇号)  同(古堅実吉紹介)(第六一一号)  同(松本善明紹介)(第六二一号)  同(矢島恒夫紹介)(第六一三号)  同(山原健二郎紹介)(第六一四号)  同(吉井英勝紹介)(第六一五号)  勤労所得控除六十五万円の創設に関する請願  (安倍晋三君紹介)(第四八三号)  同(大石秀政紹介)(第四八四号)  同(鹿野道彦紹介)(第四八五号)  同(塚原俊平紹介)(第四八六号)  同(保利耕輔君紹介)(第四八七号)  同(堀之内久男紹介)(第四八八号)  同(森英介紹介)(第四八九号)  同(安倍晋三君紹介)(第五一二号)  同(小坂憲次紹介)(第五一三号)  同(吉田左エ門紹介)(第五一四号)  同(小川元紹介)(第五三九号)  同(三ッ林弥太郎紹介)(第五四〇号)  同(小里貞利紹介)(第五六四号)  同(小澤潔紹介)(第五六五号)  同(原田昇左右紹介)(第五六六号)  同(山口俊一紹介)(第五六七号)  同(江崎鐵磨紹介)(第五八四号)  同(小野晋也君紹介)(第五八五号)  同(栗原博久紹介)(第五八六号)  同(古賀誠紹介)(第五八七号)  同(高村正彦紹介)(第五八八号)  同(中尾栄一紹介)(第五八九号)  共済年金給付現行水準維持に関する請願(石  橋大吉紹介)(第五〇七号)  酒販免許制度堅持等に関する請願棚橋泰文  君紹介)(第五〇八号)  同(根本匠紹介)(第五〇九号)  同(前田正紹介)(第五一〇号)  同(佐々木洋平紹介)(第五三七号)  同(達増拓也紹介)(第五三八号)  同(佐々木洋平紹介)(第五五五号)  同(田中和徳紹介)(第五五六号)  同(玉置一弥紹介)(第五五七号)  同(中馬弘毅紹介)(第五五八号)  同(中山太郎紹介)(第五五九号)  同(長勢甚遠君紹介)(第五六〇号)  同(野中広務紹介)(第五六一号)  同(萩山教嚴君紹介)(第五六二号)  同(目片信紹介)(第五六三号)  同(井上喜一紹介)(第五七五号)  同(奥田幹生紹介)(第五七六号)  同(奥山茂彦紹介)(第五七七号)  同(佐々木洋平紹介)(第五七八号)  同(佐藤剛男紹介)(第五七九号)  同(高鳥修紹介)(第五八〇号)  同(玉沢徳一郎紹介)(第五八一号)  同(中山太郎紹介)(第五八二号)  同(穂積良行紹介)(第五八三号)  共済年金改善に関する請願畠山健治郎君紹  介)(第五一一号) 同月二十五日  酒販免許制度堅持等に関する請願井上喜一  君紹介)(第六五三号)  同(小沢一郎紹介)(第六五四号)  同(笹山登生紹介)(第六五五号)  同(鈴木俊一紹介)(第六五六号)  同(住博司紹介)(第六五七号)  同(高鳥修紹介)(第六五八号)  同(中山太郎紹介)(第六五九号)  同(福島豊紹介)(第六六〇号)  同(増田敏男紹介)(第六六一号)  同(松沢成文紹介)(第六六二号)  同(江口一雄紹介)(第六七八号)  同(大原一三紹介)(第六七九号)  同(笹山登生紹介)(第六八〇号)  同(鈴木俊一紹介)(第六八一号)  同(高鳥修紹介)(第六八二号)  同(中馬弘毅紹介)(第六八三号)  同(大原一三紹介)(第七〇〇号)  同(梶山静六紹介)(第七〇一号)  同(木村隆秀紹介)(第七〇二号)  同(坂上富男紹介)(第七〇三号)  同(桜井郁三紹介)(第七〇四号)  同(鈴木俊一紹介)(第七〇五号)  同(中馬弘毅紹介)(第七〇六号)  同(船田元紹介)(第七〇七号)  同(松浪健四郎紹介)(第七〇八号)  同(森喜朗紹介)(第七〇九号)  同(大原一三紹介)(第七二八号)  同(久野統一郎紹介)(第七二九号)  同(杉浦正健紹介)(第七三〇号)  同(鈴木俊一紹介)(第七三一号)  同(棚橋泰文紹介)(第七三二号)  同(中尾栄一紹介)(第七三三号)  同(宮地正介紹介)(第七三四号)  同(村山達雄紹介)(第七三五号)  同(保岡興治紹介)(第七三六号)  同(太田誠一紹介)(第七六一号)  同(北橋健治紹介)(第七六二号)  同(河本三郎紹介)(第七六三号)  同(塩田晋紹介)(第七六四号)  同(田村憲久紹介)(第七六五号)  同(近岡理一郎紹介)(第七六六号)  同(松永光紹介)(第七六七号)  同(村井仁紹介)(第七六八号)  同(村山達雄紹介)(第七六九号)  同(荒井広幸紹介)(第七八四号)  同(上田清司紹介)(第七八五号)  同(太田誠一紹介)(第七八六号)  同(奥野誠亮紹介)(第七八七号)  同(笹木竜三紹介)(第七八八号)  同(田村憲久紹介)(第七八九号)  同(畠山健治郎紹介)(第七九〇号)  同(原健三郎紹介)(第七九一号)  共済年金改善に関する請願堀込征雄紹介  )  (第六六三号)  勤労所得控除六十五万円の創設に関する請願  (飯島忠義紹介)(第六六四号)  同(大野松茂紹介)(第六六五号)  同(菅直人紹介)(第六六六号)  同(杉浦正健紹介)(第六六七号)  同(鯨岡兵輔紹介)(第六八四号)  同(河野太郎紹介)(第六八五号)  同(自見庄三郎君紹介)(第六八六号)  同(宮澤喜一紹介)(第六八七号)  同(梶山静六紹介)(第七一〇号)  同(金子原二郎紹介)(第七一一号)  同(河村たかし紹介)(第七一二号)  同(鯨岡兵輔紹介)(第七一三号)  同(野呂田芳成君紹介)(第七一四号)  同(深谷隆司紹介)(第七一五号)  同(森喜朗紹介)(第七一六号)  同(久野統一郎紹介)(第七三七号)  同(高村正彦紹介)(第七三八号)  同(佐藤孝行紹介)(第七三九号)  同(深谷隆司紹介)(第七四〇号)  同(福永信彦紹介)(第七四一号)  同(三ッ林弥太郎紹介)(第七四二号)  同(森喜朗紹介)(第七四三号)  同(小澤潔紹介)(第七七〇号)  同(神田厚紹介)(第七七一号)  同(佐藤孝行紹介)(第七七二号)  同(深谷隆司紹介)(第七七三号)  同(松永光紹介)(第七七四号)  同(柳沢伯夫君紹介)(第七七五号)  同(中川秀直紹介)(第七九二号)  同(深谷隆司紹介)(第七九三号)  同(武藤嘉文紹介)(第七九四号)  同(柳沢伯夫君紹介)(第七九五号)  中小自営業者婦人自家労賃税制等に関する  請願北橋健治紹介)(第六六八号)  同(北橋健治紹介)(第六八八号)  同(辻元清美君紹介)(第七四四号)  同(土井たか子紹介)(第七四五号)  同(藤木洋子紹介)(第七四六号)  同(石井郁子紹介)(第七九六号)  同(木島日出夫紹介)(第七九七号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  持株会社設立等禁止解除に伴う金融関係  法律整備等に関する法律案内閣提出第五号  )  銀行持株会社創設のための銀行等に係る合併  手続特例等に関する法律案内閣提出第六号  )  罰則の整備のための金融関係法律の一部を改正  する法律案内閣提出第一四号)      ――――◇―――――
  2. 村上誠一郎

    村上委員長 これより会議を開きます。  内閣提出持株会社設立等禁止解除に伴う金融関係法律整備等に関する法律案及び銀行持株会社創設のための銀行等に係る合併手続特例等に関する法律案の両案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁松下康雄君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 村上誠一郎

    村上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. 村上誠一郎

    村上委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。並木正芳君。
  5. 並木正芳

    並木委員 新進党の並木でございます。  実は、二十一日の大蔵委員会質問させていただくことになっておりました。それが本日になったわけですけれども、この四日間にまさに金融危機はさらに一歩進んだというか、御案内のとおり重大な事件があったわけでございます。このように、日々国民を取り巻く大変な金融不安が拡大しているわけでございますけれども、この連休中といいますか、その間に起きた山一のいわゆる自主廃業という、このような案件も含めて質問をさせていただきたいと思います。  本来、金融持ち株会社に対しての二法案、この解禁は、日本ビッグバン時代の本格的な到来を目前にして、いわゆるメガコンペティション時代、国際的大競争を生き抜くために、既存のぬるま湯的な体質から脱皮し、強い金融機関をつくり出す、これがねらいであるわけであります。ところが、現実に強い金融機関ができる云々の以前にさまざまな問題が起きているわけです。  昨年十一月に政府が示されたビッグバン、これに対してまずきちっとした道筋をつけなければ、山一破綻も、ビッグバンというのはこういうものだと、社員そのものからそういう意見もあったそうでございます。そのようなまさに淘汰の時代ビッグバンだとすれば、もう来年の四月には外為自由化ということが迫られているわけで、そうしたきちっとした道筋つけずしてこの金融不安はぬぐえないと思いますけれども、その点について、ぜひ大臣から、今後のビッグバンに向けての総体的スケジュール、そしてこの法案をどういうふうな位置づけとして考えているのか、その辺の明確な方針をお聞かせください。
  6. 三塚博

    三塚国務大臣 ビッグバンにつきましては、当委員会においてかねがね申し上げておりますとおり三原則、フェアであり、フリーであり、そしてグローバルである。公正、公平、透明性、そして国際基準に合った市場をつくり上げていくことによりまして、ロンドン、ニューヨーク並み市場に生まれ変わらせていくということで、既に御案内のとおり、外為法成立を見たところであります。  今回、改めまして金融持ち株会社解禁について御提案を申し上げ、提案趣旨説明の中で、取り組んでいくということにさせていただきました。具体的な分野におけるポイントは、利用者利便向上経営効率化、さらには金融システム安定化に資するという観点からの重要な役割を有する問題であるということであります。  具体的には、銀行を例にとりますれば、持ち株会社の活用によりまして、分社化を通じた専門化・高度化した金融サービス提供金融業務を営む兄弟会社間における相乗効果発揮、さらに銀行新規分野への参入や他業態からの銀行分野への参入円滑化等が期待されますことから、利用者のニーズに応じた多様な金融サービス提供による利用者利便向上金融分野における競争の促進と銀行経営効率化が期待できるということであります。また、持ち株会社を通じた兄弟会社化による合併代替業務提携強化も可能となりますため、銀行経営基盤強化に資すると考えております。このことが銀行強化及び銀行経営効率化と相まちまして金融システム安定化につながるものと考え提案をさせていただきました。  今後のスケジュールにつきましては、既に実現可能なものから順次実行しておるところでございます。本国会におきましても、金融分野における持ち株会社制度整備を図る法案など、金融システム改革関連法案提出いたしております。  改革のプランにおきましては、法律改正が必要な事項の大半について、次期通常国会に所要の法案提出を目指すことといたしております。多くの事項については九九年度までに完了させることといたしております。  今後も、スケジュールに沿いまして制度整備を早急に進め、着実に改革を推進してまいるところでございます。
  7. 並木正芳

    並木委員 大臣は今ペーパーをお読みになっているわけなんですけれども、まさに淡々とビッグバンを語られているようですけれども、先ほど申し上げたような世界的な大競争時代にあって金融システム改革を余儀なくされている、この日本経済が置かれている現状認識あるいは景気の現況、これについてかなり見解が我々とは違う。そういった点で、ぜひ大臣そのものが政治のリーダーとしての独自の考え方の中で的確な施策を打っていただきたい。果たしてそうした当初のペーパーどおりやり方で済む問題なのかどうか、その辺の認識が、日本経済が置かれているかなり危機的な状況が、我々とはずれているんじゃないか、そういうふうに感じるんです。  ところで、さすがに十一月の月例経済報告では、経企庁でも景気は緩やかな回復から足踏み状態になった、こういうふうな表現に変えてきているわけですけれども、この足踏み状態だとか緩やかな回復、こういうふうな表現は、単純に国民に何となく大丈夫なんですよというようなことだけの印象を与えたいがためだと。しかし、一方で現実を厳しく認識しているのかというと、どうもそう見えない。そうしたところで、むしろ足踏み状態というのははっきり景気がもう停滞状況に入った、特に先行指標では今後そういうことが当然予期されるんですけれども、経企庁が出しているのは、本来、遅行指標といいますか、後を見ての考えですけれども、この辺について景気停滞、そういうことで考えていいのか。  さらには、この足踏み状態という状況になったときに、当然今までの景気対策で済むわけはないわけなんですけれども、その辺について新しい施策を打ち出す、そうした考えがあるかどうか、その辺をまずお聞きします。
  8. 三塚博

    三塚国務大臣 委員は、ペーパーを読んでいるということでありますが、確実に問題提起をしておるわけでございますから、そう御理解ください。  景気足踏み状態、そういう表現になりました。しかし、回復基調は変わらない。しからば足踏み状態との関連でどう解釈するのか、こういうことであります。  産業の二極化ということが言われて久しいわけでございます。一生懸命やって頑張っておられる産業界企業については、先般の政府発表景気対策にも明示されましたとおり、ありとあらゆる手段を講じてこれを押し上げていこうと。貸し渋りの問題、これも金融機関早期是正措置を控えての経営合理化、リストラの結果として出ておるのではないかと言われておりますが、それはそれとしても、やはり金融界の需要に、要請に応じてこれが行われるということは大事でございますから、本件については思い切った措置を講ずるよう、通産、中小企業庁関連大蔵当局といたしましても真剣にこのことの対応を進め、既にスタートを切っておるところでございます。  一方、委員も御承知のとおり、指標の詳細を見ていただきますと、それなりの回復基調が出ておるわけであります。あえてここで、専門家でありますから言及を申し上げません。よって、この中において、経済構造改革、高コスト是正ビジネスチャンスの確立、そして頑張り抜いておる企業に対する金融の具体的な対応ができるように、その措置を講ずるように、こういうことで既に本日ただいま第二弾の金融体制についての作業が通産省を中心に対策本部として設置をされ、大蔵当局も、これをしっかりとサポートしながら金融体制について万全の態勢をとってまいるということになります。  規制緩和の問題について久しく言われ続けてまいりました。ビジネスチャンスの拡大、そして経済活動活発化、こういうものに向けても全力を尽くしておるところでございまして、じわじわとこのことが全体にしみていくものと考えます。やるべき手だてを確実に構造改革分野に進めていく。構造問題と長年今日まで来ました諸問題に的確に対応するということにおいて、活力をもたらすことだけは間違いございません。  そういうことの中で、政府経済対策、そして党は党で第三次対策に取り組まれておるところでありますし、私も、すべての分野がこういう時期でございますから、預金者投資者そして保険契約者、資産について完全に保証するという万全の対策を、日銀と協調の中で昨日発表いたしたとおりでございます。そして同時に、金融システムの安定のために全力を尽くして取り組んでおるところであります。
  9. 並木正芳

    並木委員 足踏み状態になったという中で、多少、きのうの大臣の話では一歩踏み込んだような考え方も示されたようでありますけれども、こういった景気不透明感は今現在も一層高まっているわけであります。  さきに、北海道拓殖銀行破綻したわけです。都銀初経営破綻ということですけれども、大手二十行はっぷさないんだ、こういうことが国際公約であったかと思います。そうしたことからすると、この国際公約ははっきりととんざした、そして今後もその辺については保証ができない、そしてまた護送船団方式と長年言われてきた大蔵やり方、これも既にこういう方式はとれないんだということを、はっきりとこの崩壊を自覚した、そういうふうに考えられると思うのですけれども、そのように解してよろしいのでしょうか。
  10. 山口公生

    山口政府委員 国際的に活発に活動している銀行につきまして、その破綻が起きて、国内のみならず国際的に大きな問題が生ずるということがあってはならない、その金融機能が損なわれないようにしなければならないという趣旨をるる申し上げてきたわけでございますが、拓銀の場合は、海外拠点を廃止するなど既に海外業務からは撤退しておりますし、したがって国際的なオペレーションはやっておりません。しかしながら、我が国、とりわけ北海道におきましては重要な金融機能を果たしておることは事実でございます。そうした状況を踏まえまして、受け皿銀行を確保して、引き続き預金者や健全な取引先取引に支障が生じないように最大限の配慮をしたということでございます。  護送船団方式崩壊ということなのかという御質問でございますけれども、護送船団方式という言葉の意味が、もし競争制限的な規制とか事前指導的な監督ということを意味するのであれば、そういう行政手法はもうとり得ないし、とってはならないというふうに思っております。金融自由化国際化の進展に当たりまして、自己責任原則の徹底と市場規律の十分な発揮を基軸とした行政を行っていくことが重要だというふうに考えておるわけでございます。
  11. 並木正芳

    並木委員 拓銀は既に国際的な活動をやめたところだから国際的に影響は少ない、したがって大蔵省海外に向かってこうしたものをつぶさないというような約束はもう既に意味がない、そういうようなお話かとも思えるのです。そういう形で次々に大手の二十行、それを海外業務をやめさせて、それで大丈夫なんですよということで、これで国際的な、ほかの国に対して金融不安を与えるようなことがないという、まあ二十行の二十位だから影響は小さいと言えばそうですけれども、今後の推移を考えるとその辺どうなのかと思うのですけれども、その辺については局長、どうなんですか。
  12. 山口公生

    山口政府委員 私が申し上げたいことは、個別銀行の、名前がそのまま存在しなければいけないというようなことよりは、国際的に見て、その果たしている金融機能というのが損なわれないという点が大切であろうということを申し上げております。今回の拓銀におきましても、そういった意味では、金融機能というものは対外的にも対内的にも守られておりますということを御理解いただきたいということでございます。
  13. 並木正芳

    並木委員 そこで、これは銀行とは違いますけれども、山一証券が破綻した。これについての国際的な影響というのも大きいと思うわけですけれども、私の最初の二十一日の質問では山一証券危機説、富士銀行支援云々でこれができない、そういうようなことで、どうなんだというような質問だったのですけれども、そのとおり、四日たったらはっきりと自主廃業破綻をしてしまったわけであります。今後、これから金融ビッグバン時代あるいは淘汰の時代と言われる中で、その二〇〇一年を待たずしてもこうした金融ビッグバンにもう対応できず破綻していく、そういう機関があるのか、その辺についてはどうお考えですか。大臣どうですか。
  14. 山口公生

    山口政府委員 確かに、御指摘のように、金融システム改革が進展しますと金融機関間の競争活発化していくということは予想されるわけでございます。したがって、それぞれの金融機関利用者の真のニーズをとらえ、その多角化あるいは高度化等によって対応していくと同時に、思い切ったリストラをして切り抜けていくということだろうと思います。  この競争社会を切り抜けていくには、それぞれ、マネーセンターバンクはマネーセンターバンクとしての生き方、それからリージョナルバンクはリージョナルバンクとしての生き方、もっと小さい地元密着の中小の金融機関はそれなりにしっかりした経営はやっていけるものと思います。したがって、いろいろな形での競争が激しくなり、それが金融機関経営にいろいろな影響を与えるということは否定できないと思います。しかし、それは各金融機関がみずから自覚し、勝ち残っていくといいましょうか、そういった努力をぜひやっていただきたいというふうに思っております。
  15. 並木正芳

    並木委員 そうしてほしいというのはよくわかるのですけれども、認識として、幾つかの信用組合が破綻していって、今度は直近では三洋証券だ、やれ拓銀だ、そしてついには四大証券と言われる山一だ、こういうような形になってきた。さらにはというのが当然今大きな不安になっているわけですけれども、この辺について厳しい見方と対応が必要だと思うのですけれども、大臣はどうお考えなんですか。
  16. 三塚博

    三塚国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、政府金融行政の基本というのは預金者保護であり、投資者保護であり、保険契約者保護、この基本、これは厳然と守りながらいついかなる場合でも対応します、こう申し上げてまいりました。万全を期してまいるということにすべてが尽きようかと思うのであります。  同時に、それと全く同列の中でお互いに影響し合う形でありますのが、これだけの経済産業国家でございますから、金融システムであります。よって、金融改革ビッグバンはここにスタートを切り、御審議をここ一年いただいておるところでありまして、金融システムが安定し維持される、また維持していくということについて取り組んできておるところでございます。そういう点で、これまた万全を期しまして、あらゆる事態に対応できる体制をこれからも改めて構築をしていく。  金融三法によって万全を期してきたわけでございます。今日ただいまの山一の事態に対しても、投資家保護、顧客の保護という観点で万全を期しておるわけでございます。それを超えて、今後にもありとあらゆる事態に対応できることをつくり上げていかなければならぬということで、早急にこれを行うよう事務方に指示をいたしておるところであります。
  17. 並木正芳

    並木委員 そういうふうなことで、自信ありげというようなことも感じられますけれども、山一証券ですけれども、これが今簿外債務、こういうことでいろいろ報道されております。今大臣が今後の対処というのを言われたわけですけれども、こうした簿外債務、これについても十一月十七日、もう直前ですけれども、初めてそれを聞いてわかったのだと。さらには二十二日にそれを国民の前に発表したわけなのですけれども、富士銀行、これは先ほど申し上げたメーンバンク、支援するか云々なんて話題になった富士銀行ですが、既に十月六日には知っていたというようなことも報道されております。  大蔵は当然検査を行っているわけで、あるいは証券取引委員会とか日銀も考査を行っているわけですけれども、こうしたものはいつそれぞれ直近では行われたのでしょうか。
  18. 三塚博

    三塚国務大臣 補足は担当局長にやらせますが、まず富士銀行の件でありますが、そうした事実はないということであります。私が本件について証券局及び証券取引監視委員会から山一証券について報告を受けましたのは十七日、こういうことでございます。
  19. 原口恒和

    原口政府委員 山一証券に対する検査の日時でございますが、山一証券に対しましては、最近におきましては七年の十一月及び五年の二月に検査を実施したところでございます。
  20. 松下康雄

    松下参考人 山一証券に対します日本銀行の考査は、直近は本年の六月、七月にかけて実施をいたしております。
  21. 並木正芳

    並木委員 日銀に至っては本年の六月、七月にも考査をしている、あるいはちょっと前になりますけれども七年の十一月に大蔵も検査に入った、こういうことなのですけれども、その前のそれぞれの検査、考査で前兆といいますか、その段階では全く何も発見できなかったということなのでしょうか。
  22. 原口恒和

    原口政府委員 金融検査におきましては、御指摘の検査のときもでございますが、対象先金融機関等から提出された資料等に基づきまして、金融機関等の財務、経営の健全性について実態把握を行ってきているところでございますが、御指摘の本件につきましては、このような提出された資料等に基づくチェックでは遺憾ながら把握するに至らなかったということでございます。
  23. 松下康雄

    松下参考人 日本銀行の考査は、リスクの顕現化というものを未然に防止するという観点から、各種のリスク管理体制をチェックするというやり方を行っているわけでございますが、実際の方式は、これは基本的に取引先金融機関との信頼関係を基礎といたしまして、考査先の協力に基づいて実施をしてきているところでございます。  今回問題となっております多額の含み損並びに簿外債務につきましては、本行考査におきまして同社の協力、説明が得られませんでしたために、遺憾ながら把握することができなかったものでございます。
  24. 並木正芳

    並木委員 つまり、これまでのそういう事態を見ても果たして本当に監督指導していけるのか、しかも、その辺のものをきちっとせずして、この金融ビッグバン、ある意味での自由化、そういうところに対応できるのか、非常に危うげな分かれ道に立っているのじゃないかというふうに思うわけです。この辺について、証券局長の長野さんおいでですけれども、証券の方で全く指導、発見できなかったという事態を責任も含めてどういうふうに考えているのでしょうか。
  25. 長野厖士

    ○長野政府委員 お答え申し上げます。  前回の証券不祥事を契機といたしまして、証券行政のあり方に関しましては、やはり監督というものと検査というものが一緒にいたのではなかなか検査の方が十分にできないのではないか、あるいは監督に適正を欠く面が出ないかということで、検査・監督の分離ということで、現在の大臣官房検査部及び証券取引等監視委員会におきます検査体制と私ども証券局の監督という仕組みにさせていただきました。  最近の一連の諸問題等におきましては、監視委員会とあるいは大臣官房検査部におきまして適正に業務遂行をいただいておるという印象と認識を持っておりますが、本件につきまして、巨額の簿外債務というものが、事の性質上という側面があるのかなと思いますけれども、発見できなかった。  思い起こしますと、大和銀行事件というのが米国でございましたときに、やはりニューヨーク連銀がかなり先端的技術と大勢の人員をもって検査をいたしましたけれども、十年間井口なる人の簿外債務というものを発見できなかったという事例がございますけれども、私どもの立場から見れば、検査というものは大変難しい要素があるのであろうと想像いたします。  しかしながら、事前予防行政から事後的チェックという体制に行政を切りかえる中で、やはりお願いできれば、この検査の体制というものにつきましても、人的な面といったものは私どもが側面的に支援しなければいけない要素がございましょうけれども、検査体制の充実ということは今後とも大きな課題であろうと考えております。
  26. 並木正芳

    並木委員 今証券局長のお話あったわけなのですけれども、こういう状況で、現実にここまで至ってしまった。ふたをあけてみたらわかったのでしょうがないですよ、聞いたのは十一月十七日ですから、そういうような、仕方がないのだ、信頼関係の中で相手が裏切ったのだからというような話も出たのですけれども、それで本当に大蔵省として今後のまさに金融ビッグバンの備えをきちっとけじめをつけられるのかどうか、その辺について大臣もう一度お考えをお聞かせください。
  27. 三塚博

    三塚国務大臣 検査の権限、限界というものがあります。提出されない書類からは到底困難な事態です。しかしそれをやり抜けということの激励を含めてであろうと理解をしますが、行革の時代、限られたメンバーの中で精力的にこのことに対応せしめるということにおいて、今後どういうことができるか、真剣な検討の範囲であろうと思っております。  事柄が、私も同様の問いを事務方にいたしておるのでありますが、証券取引等監視委員会、調査権を持つ委員会にして、簿外ということもこれあり、その書類がありませんものですから把握ができなかった、実態がそうであったことを確認いたしておるところであります。  そうでありますと、前段の、体制をどうつくり上げていくか。金融監督庁、御案内のとおり、御論議の末、議決いただいたところでございます。このスタートに当たり、しっかりとした今日の教訓を生かすということで対応していく、こういうことになろうと思います。その移行するまでの間、人員が少ないからということではなく、ベストの限りを尽くしてやり抜いてまいらなければならぬというのも教訓の一つであります。
  28. 並木正芳

    並木委員 ということになると、山一側が事実を隠匿していた、そういうことがはっきりしているわけです。我々新進党も、この法的責任については、やはり経営責任を厳しく問うべきである、そういう考え方であるわけなんですけれども、飛ばしとかあるいは簿外債務、この辺の問題になると明らかに証券取引法違反あるいは商法違反、こういう重大な企業犯罪と考えるわけです。きょうは警察庁にもおいでいただいておりますけれども、警察庁の方、この辺の事実を見ながらどう対処していくお考えなのか、そのお考えをお聞かせください。
  29. 竹花豊

    ○竹花説明員 お答えいたします。  お尋ねの件の報道がなされておりますことは承知しておりますけれども、御指摘のような法令に違反するかどうかは、具体的事実関係に即して判断されるべき個別事案でございますので、答弁を控えさせていただきたいと思います。  なお、警察といたしましては、刑罰法令に触れる行為があれば厳正に対処する所存でございます。
  30. 並木正芳

    並木委員 これは、法的なきちっとした処分というのがある意味での不安というのを払拭していく、あるいはけじめをつけて国民の理解を得ながらこうしたその後の処理に当たっていくということが必要不可欠だと思いますので、現状では今のお答えのようなところまでかと思いますけれども、ぜひきちっとやっていただきたい、そのように要望をしておきたいと思います。  ところで、それにつけても、今回もまたこの債務が一体幾らあるのか、あるいは直近の拓銀の問題、この不良債権が一兆円、あるいはその倍になるんだ、こういう話もあるわけです。当初大蔵省の方では、主要銀行の不良債権は二十兆円ほどだ、今一年に四兆円ぐらいが処理できるから、五年間たてば二十兆円、すなわちビッグバン、二〇〇一年までには問に合いますよ、こういうようなお話も再三お聞きしているわけですけれども、実際この破綻後の露呈した不良債権額を見ると、とてもとてもそんな額ではないというようなことがもう既にだれの目にもはっきりしているし、国民も、大蔵省の言うことを信用できるのか、こういうことになってきていると思います。  その辺で、もしこの二十兆円を大幅に上回るとなると、当然不良債権処理のこの計画も大幅に狂ってくるし、二〇〇一年には一千万円のペイオフなんというのも実行される。こうなると国民に大きなパニックを与えていくわけですけれども、まず経営の基本は、そうした損失を確定するところから始まるというような話もあります。  一体、この不良債権について、これは多少地価の変動とか株価が変動したり、当然変動はあり得るわけですけれども、プラスの方の変動は今少ないわけで、今後プラスになる云々というのは別にして、現時点でどの程度の不良債権を処理しなければならないという認識なのか、お聞きしたいと思います。
  31. 山口公生

    山口政府委員 不良債権の問題がいろいろ議論をされておりますが、この不良債権の額が幾らかということにつきましては、今私どもがしばしば御説明しております公表不良債権二十七兆九千億円でございますという数字は、一つの基準でもって全金融機関統一的な報告を受けている、その集計でございます。それは全銀協の統一開示基準というものに基づいたものでございまして、そのもとは金融制度調査会でこういう方針でという方針があって、それで基準をつくっておるわけでございます。その基準が、破綻先債権、延滞債権、金利減免等債権ということでそれぞれ基準があります。六カ月の延滞とか、それから金利減免も約定時の公定歩合以下の水準まで下げた場合とかいう一つの客観的基準でやっております。したがって、不良債権というものの概念をそういう客観的な基準で集める。実はアメリカも、そういう一つの基準で集めて、それで統計としてとり、その傾向をずっと見ているわけでございます。  確かにいろいろ、もっと多いんじゃないかという御議論があることも承知しております。それは不良債権というのも、例えば全く正常とは言い切れないというものをすべて不良債権という認定をしますれば、それは実質的にかなり大きいという議論があることもよくわかります。しかし、税務会計との関係をとらえながら一つの基準でずっと時系列的にとっている。それが八年、ちょうど一年前は三十四兆八千億あったのが今二十七兆九千億でございますということで、全体としては、したがって下がっている。その部分が下がっているということはこれは紛れもない事実でございまして、これは何も信用できないというものではありません。  しかし、その問題と、また個別金融機関破綻の問題といいますのは、全体としてはそのバブルの後遺症をだんだんこなしつつあるにもかかわらず、こなし切れない銀行経営問題を生じているということでございます。  そうすると、そういうこなし切れない銀行がこなそうと思っても業務純益等が上がりません。したがって、本来であれば、不良債権は一気にその場で消すわけではありません、企業会計的に消すべきものは消すんですが、そうでない部分は業務純益等でだんだん消していくわけでございます。金融機関は不良債権を一切持っちゃいけないといったらそれはもう全く安全な運用しかしないわけですから、そういうことは現実的ではないわけで、ある程度の不良債権というものがほとんどの金融機関にはもちろん存在しているわけです。それを業務純益でだんだん消しておって、それが消し切れないような状況になっているということを背景に、北拓の場合は御存じのように資金がショートしたという事態も加わったわけでございます。そういう個別銀行の事態がいろいろと、淘汰という言葉をマスコミ等では使っておられますが、そういったものが市場から厳しい評価を与えられて破綻に陥ったということでございます。  だから、全体の話と個別銀行の話とがかなりいろいろ議論をされておりますけれども、そこはある程度区別していただきたいなというふうに思っております。     〔委員長退席、村田(吉)委員長代理着席〕
  32. 並木正芳

    並木委員 ある基準でとかいうお話もあったのですけれども、といいますと、今、山一がいろんな事実を隠匿していたという話も出たわけなんですけれども、例えばそういう拓銀の不良債権が二倍になるんじゃないかとか、これは基準の違いで、そういう事実を隠匿しているというか銀行が不利な事実だから隠しているんだ、そういうことじゃない、単にこの基準が違うだけですよというお考えですか。
  33. 山口公生

    山口政府委員 そこの点についても、私の方から御説明しなければいけないと思います。それは、公表不良債権と言われておりますものを、私が申し上げた一つの基準で、全金融機関統一基準で出しているわけでございます。  それで、拓銀で言われておりました不良債権の存在というものにつきましては、今検査が入っておりますのではっきりはわかりませんが、それは見方としては、例えばそういう六カ月延滞とかいうことの基準でやるわけではありません。現実に一本一本の貸付債権が本当にとれるのかとれないのか、つまり回収できるかできないかというのを全部見るわけでございます。したがって、そういう形式的な公表不良債権のベースとは全く違った、今度はそういう破綻をした拓銀というものの本当に回収できる債権がどれくらいあるか、回収できない債権がどれくらいあるかということをこれから見るわけでございます。そうした場合に、かなり多い額が出てきているんじゃないかという御指摘が、破綻の場合にしばしば御指摘されるわけですけれども、それは不良債権という言葉をいつも同じように使っておりますから、かなり誤解を与えて申しわけないと思っておりますが、厳密に言うと、そういう概念の違いがあるわけでございます。  それで、預金保険で面倒を見るという形でのロス云々という話になりますと、実質とれるかとれないかという話でございまして、形式的に六カ月以上とか金利減免があるという数字とは全く別の世界に入っていくということでございます。したがって、公表不良債権の方は全体を見る数字として有効であるということでございます。
  34. 並木正芳

    並木委員 そのように個別対応で、不良債権処理については、出てきたら対応、出てきたら対応と繰り返してきているわけですけれども、これでは世界の金融市場、そこからまさに不信を招く。日本金融ビッグバンなんというのが世界市場に向けて公開され、そういう形で世界から評価を受けるという事態になる前に、まさに不信だけが募っていってしまうような、そういう危惧もするわけですけれども、この辺についてもお聞きしたいと思うわけです。  さらには預金保険の問題ですけれども、これは後ほどもいろいろ法案もありますので出てくるかと思いますけれども、今回のこういった処理の中で、預金保険、ことし七倍に引き上げておるわけですけれども、またまた底をついた。底をついたら何とか次の保険料で間に合うか、またつぶれた。こうしてその場その場で過ごしているような状態なんです。今、政府保証債を発行して財投資金投入というのですけれども、この辺の形、むしろゆがんでしまうような感じもするのですけれども、そういう方針なんでしょうか。  もう一つ聞いておきますけれども、日銀の方でつなぎとして特別融資を続けてきて既に拓銀までで二兆円になるとか、そういう話も聞いております。さらには山一だとかいうことを考えると、今後この山一についてもかなり無制限に、とにかくこれは預金者保護というものもあるのでしょうけれども、日銀はかなり基準を持たずに特融に踏み切っているようです。今後こういう中でどんどん特融ばかりが膨らんでしまう、最後は預金保険でもちろん返せない、政府保証債なんというのは返す当てがない、ついには国民の税金しかない。政府保証債も既にそういうものを含めての発行かと思いますけれども、その辺について、日銀の総裁にもお聞きします。その両方の点をお聞かせください。
  35. 山口公生

    山口政府委員 先生お尋ねの前半部分から、まず私の方からお答えさせていただきます。  まずおっしゃいましたのは、不良債権を個別に一つ一つ対応するのではなくて一挙にやるべきだという声があるという御指摘でございますが、不良債権というものは、各銀行が大なり小なり抱え、それを償却すべきときは償却するという形で、主に業務純益とかあるいはこれまでの内部蓄積で償却するわけでございます。したがいまして、それを一挙に、例えば次の三月期で全不良債権を企業会計とは別に引き当ててしまえという命令を出せば、それは一挙に損を出すということになってまいりますけれども、しかし、本来企業会計からいいますと、企業会計上償却をすべきという認定をされたものは完全に償却すべきである、しかしそうでない部分はいろいろ引き当てをするなりして対応をできるだけやっていくというものでございますので、一つ一つの銀行対応と一挙にやれという議論とは、本当は私はちょっと次元の違う話かと思います。  それから、預金保険の方でございますが、しばしば申し上げておりますように、五年間で二・七兆円の財源があって、今一・四兆円が使われた、それには木津信組の約一兆円が含まれているということでございますが、残りは一・三兆円でございます。それで足りるか足りないかという議論があります。これは五年間に入ってくる財源としての議論でございます。それと、よく底がついたという話が出ます。これは保険料は年々入ってきます。四千六百二十億円ずつ入ってきます。それと支出との関係での、資金繰りの問題での底をついたという議論もあります。そこは、私どもとしては区別をつけながらやるというふうに考えております。  ただ、その財源が大丈夫かという議論は、今後どういった形の破綻があるのかということにかかってくるというふうに思いますので、今の段階でどうこうできない。ただ、十年度末までに保険料の見直し等を行うという政令での規定になっております。
  36. 松下康雄

    松下参考人 今回の山一証券に対します日銀法二十五条に基づく貸し出してございますけれども、これは、今回の特融を行いましたのは、山一証券が自主廃業を行いますとともに海外業務からの撤退をいたしますのに必要な資金につきまして融通を行うものでございますけれども、これは、山一証券自体の財務内容は、現段階では資産超過の状況にあるというふうに認識をいたしておりますので、この山一証券の清算が結了いたしました時点を考えますと、その資産の処分によりまして負債の処理に充てる財源が賄えます。これによりまして日銀の二十五条に基づく融資も返済をされるということでございます。  このような状況のもとで、私どもも、中央銀行としての経理の健全性ということは非常に大切なことでございますけれども、やはり山一証券の整理に伴います内外の金融・資本市場や我が国経済に及ぼします影響をよく考慮いたしまして、この融通に踏み切ったものでございます。
  37. 並木正芳

    並木委員 個別の現状処理についてはお聞きしましたけれども、さきに拓銀が、まさに都市銀行がつぶれるというときにもかかわらず、株価が上昇したわけですね。それはいわゆる不良債権の処理に公的資金が導入される、こういうふうに市場が先読みしたんじゃないかというようなことが言われました。しかし、橋本総理がそんなことは言っていない、そういうようなことでまた株価が下落しました。  そういうことを考えますと、マーケットはまさにうそをつかないというような言葉もあります。そういうことからすれば、市場が何を望んでいるかということがはっきりわかると思います。この辺につきまして、昨日も大蔵大臣のお話があったようですけれども、我々議会に対して、はっきりとその辺の方針、公的資金導入、もちろんこれにはさまざまな法的な責任の問題とかがあると思いますけれども、その辺についてもう一度お聞かせください。     〔村田(吉)委員長代理退席、佐藤(静)委員長代理着席〕
  38. 三塚博

    三塚国務大臣 本件につきましては、何回も言うようで恐縮ですが、預金者投資者保険契約者の保護について万全を期するということと同時に、金融システムの問題、これは我が国の金融システムの維持安定、同時に、これだけの経済国家でございますから、国際金融システムの中に枢要な位置を占め、協調して活動をして世界経済の安定維持、発展に尽くしておりますこと、御承知のとおりでございます。  こういう中において、大蔵大臣として、あらゆる事態に対処し、適切に対応するというのは責務でございます。このことに全力を尽くす、そういうことの観点から、ありとあらゆる選択肢について点検をし、これをさらに検討をし、預金者保護、三者の保護でありますが、内外の金融システムの維持安定のために、セーフティーネットとよく言います、セキュリティーとも言います、そういう根幹にかかわることでございますから、安定維持のために対応をするべく、あらゆる選択肢を点検、これに対応、早期にこの具体策をつくり上げるようにという指示をいたした、こういうことであります。
  39. 並木正芳

    並木委員 不良債権の処理をしていく上で、我々の考え方の中に、やはりデフレギャップという中での景気の沈滞化、こういうものがあるから、それを本来の、日本のほとんどの経済専門家の潜在成長率というのは三%を超えるというふうな意見もあります、これにまず戻すことが必要なのじゃないか、それも不良債権処理策の一つじゃないかということで提案させていただいているわけです。  財政構造改革法案という流れとは、我々はある意味では、本質的には構造改革あるいは行政のリストラ、こういうものをやっていかなければならないというのは同じなのですけれども、この辺の、当面の経済を浮揚させる、こういうことについてはかなり違うところなのです。  今、総理がクリントン大統領と日米首脳会談もされているようでございます。まさにアメリカ等の考え方からしても、貿易黒字というのがどんどん日本では拡大しているということでありますから、日本の内需拡大、すなわち財政出動も含めた景気対策を求めてきていると思うのですけれども、アメリカ側とのその辺の情報が入っていれば一つはお聞きしたいということと、その辺の問題について、もう事態がいろいろ変わってきているわけです。景気がまさに足踏み状態だと言っているわけですよ。もう緩やかな回復というのはない、足踏み状態だ、そういう認識で、今後、当然変えてしかるべきだと思っています。もうそういう形で変えられないとかいうことでは生き物であるところの経済に適切な対応はできないと思いますけれども、その点について大臣のお考えを、アメリカでの情報も含めてお聞きします。     〔佐藤(静)委員長代理退席、委員長着席〕
  40. 三塚博

    三塚国務大臣 アメリカからの報告はまだございません。  今回、その前段で、外務大臣さらに通産大臣、APEC経済閣僚、外務閣僚、こういうことでの協議におきまして、アジアの通貨の安定、システムの維持等について話し合い、協調体制の中で取り組んでいこう、IMFの国際機関これあり、そしてアジア基金構想というのがございましたが、それのあり方を補助的機関、補完措置としてしっかりとやることでアジアの安定を期してまいろうという報告を受けておるところであります。また同時に、このことは、総理由発の前のミーティングで既に、その基本を堅持してまいる、次官クラスのフィリピンにおけるアジア金融、通貨の安定のための協議を受けて、さらにそのことも総理に報告をいたしておるところであります。  経済の問題につきましては、全力を尽くして、我が国は、御承知のとおり今月十八日決めた政府景気対策を果敢に前進せしめる、こういうことで取り組むことが経済の不透明感を払拭をする有効な手だてになるだろう。それと、三党の中におきましても、第三次の政策的な取り組み、また与党としての立場から、さらに当然のことながら三回目の提案をというようなことなども聞いておるところでございますが、首脳会談におきましては、世界の通貨の安定、そして経済の安定的な成長推進、こういうことでお話があろうと思います。  そういうことで、まだトップ会談の報告は何も入っておりませんけれども、二閣僚、また行く前に橋本首相とアジアの通貨の安定、システムの安定について話を申し上げた一端、十八日の政府景気対策をさらに強力に推進する決意表明で理解を得る、こういうことを聞いておるところであります。
  41. 並木正芳

    並木委員 時間がなかなかないので、同僚の谷口委員また北脇委員質問されますので、そちらにお譲りしようかと思うのですけれども、最後に、簡潔に二点お聞きしたいと思うのです。  一つは、金融ビッグバン、こういう時代にあって、郵貯の問題なのですけれども、こういう巨大な二百三十兆も抱えるような国営金融機関があって、それが今後その資金の自主運用に入るということなんですけれども、まさにこの金融競争が自由な公平な競争という形のものとすると、大蔵的な立場からして、こうした金融のシステムが残って市場に入ってくるということになれば、金融ビッグバンにふさわしくないのではないか。  いろいろ理由はありますけれども、時間もありませんので、端的に、まず、こういう民間の機関は、預金保険も先ほどからのように払ったり税金ももちろん払っているわけです。片方は預金保険も払わなければ税金も払わぬ。こういうことだけでも非常に不公平なわけです。しかも、自主運用といっても果たしてどこまでできるのかも疑問があります。こういうものが本当に介入してくると、やはり金融界にとっては大きな問題になると思いますけれども、まず、そのことを一つお聞きします。  もう一点は、大蔵省の不祥事と余り言いたくないのですけれども、多くの職員の方はまじめに忠実に仕事をされていると思います。しかし、金融界もいろいろ問題を起こしていますけれども、大蔵省自体もここで、第一勧銀の大蔵検査の最中に当の検査官が飲み食いの接待を受けて、ゴルフまで接待を受けていた、こういうことがあったということなのですけれども、こういうことが慣行化しているということはくれぐれもないのでしょうね。会計検査院ではこういうことが慣行化して問題化したこともあります。そういうような点をきちっと国民の前にお話ししていただきたい。特別国税調査官というのが連鎖汚職で三人もそろって脱税に協力していた、こんなこともあるわけですけれども、これを今の事実とともに、こういう綱紀の緩み、それについて大蔵大臣はどう考えているのか、最後にその辺をお聞きしたいと思います。
  42. 三塚博

    三塚国務大臣 第一段の郵貯自主運用でございますが、かねがね申し上げておりますとおり、郵貯は簡易にして少額の預貯金を扱う、こういうことで今日まで来ております。よって、民間金融市場との整合性を図ることが必要ではないかと私は考えております。  さらに、先般来の一勧の話を御指摘になりました。検査に対する社会的信頼を著しく損なうものでございまして、極めて遺憾なことでございます。よって、私から担当金融検査官の処分をいたしたところであり、なおかつ責任者に、綱紀の粛正に格段の努力をするように、こういうことを伝達をいたしており、今後さようなことのないように体制を整えておるところであります。
  43. 並木正芳

    並木委員 では次、北脇委員にお譲りしたいと思います。
  44. 村上誠一郎

    村上委員長 次に、北脇保之君。
  45. 北脇保之

    ○北脇委員 新進党の北脇保之でございます。  私も、金融持ち株会社法案についての質問の前に、山一証券が自主廃業に至った、この件について質問をいたします。  最近の出来事に限っても、日産生命の破綻に始まって、三洋証券、拓銀、そして今度は山一証券ということで、銀行のみならず証券会社、そして保険会社も破綻を来しているということで、今回の出来事は国民に大変大きな衝撃をもたらしました。そして同時に、この日本金融システムの不安というものが日本発のデフレとなって、東南アジアや韓国、そしてさらには好調と言われている米国経済にも飛び火をして、世界的な不況をもたらす引き金になるのではないか、こういう大変大きな心配もされているところでございます。  そういう意味で、今、この経済、財政の衝に当たられている政府は、日本国民の生活を守るというだけではなくて、世界経済の安定を維持するという意味でも大変重大なところに来ているということを指摘せざるを得ないわけでございます。その意味で、今回の事態、責任は大変重大である。この対処を誤らないように、幾つかの質問をさせていただきます。  私どもは、一連の金融改革、特にビッグバンのことについては、従来から賛成の立場をとっております。ただ、外為法の審議がされたときにも申し上げたことでありますが、ビッグバンをやるためには、やはりその前提条件となることをしっかりこなしていかないと大変なことになるという警告を発してきたところでございます。  その前提条件は何かといえば、一つは情報公開。今でも不良債権がどれだけあるのだということがどうも信用できない。政府の発表どおりじゃないんじゃないかということで、この情報公開の点についてもまだまだ不十分でございます。  それから、不良債権の処理をきちっと進めること。これについても再三申し上げてきているわけではございますが、株価や地価の下落を伴っておりますので、不良債権がまるで逃げ水のように、償却をしたと思ってもまたさらに不良債権が発生してしまう、こういう状況でございます。  それから、三番目に私どもが指摘した点は、金融機関破綻したときの預金者、投資家の保護のためのセーフティーネットをきちっとつくるべきだ、これがないとビッグバンということについても不安が解消されないんだ、このような点を指摘をしてきたわけでございますが、そのいずれも十分に達成されないままに、山一証券という四大証券の一角を占める百年の歴史を持つ名門証券が廃業のやむなきに至ったということで、これは大変な事態である、このように思います。  そこで、具体的な質問に入りますが、先ほどの並木議員も同僚として質問をした点ではあるのですが、一つは飛ばし。二千六百四十八億円に上る簿外債務の大半はこの飛ばしが原因になっている、このような報道がされているわけでございますが、私は大蔵省の検査に不備があったと言わざるを得ないというふうに思います。  先ほどの並木議員の質問に対する答弁では、簿外債務というものはそもそも帳簿が存在しないのだから、それを検査で発見することはできないんだというお答えでしたけれども、これはほとんど意味をなさない答弁だと思います。  と申しますのは、平たく言えば、証券、銀行にしたって、常に適正な、適法な運営をしているとは限らないんで、だからこそ検査というものがあるわけですから、検査を受ける側は、違法もしくは不適法なことをやっていれば、それを必死に隠そうとするわけです。そこを見つけ出して是正していくのが検査の意味であるわけですから、帳簿がない、提出がなかったからわからなかった、これではほとんど検査の意味をなしていないということだと思います。  そこで、一つは、山一が飛ばしをやっていて簿外債務を抱え込んでいるということは、数年来、金融界では常識だったと言われているわけですね。そのことを大蔵省は知っていたのか。金融界でそういうふうに言われているということを知っていたのか。もし知っていて、それを徹底的に追及しなかったとすれば、これは大蔵省の怠慢であります。もし逆にそれを知らなかったとおっしゃるのだったら、金融界市場の関係者がみんな知っている、言っているということを知らないという、そのような監督当局で果たして責任が全うできるのか。情報収集能力において非常に問題があると言わざるを得ない。このことを知っていたのかどうか、知っていたとしたらどういう対応をとったのか、このことについてお答えをいただきたいと思います。
  46. 堀田隆夫

    ○堀田政府委員 監視委員会の方からお答え申し上げます。  今先生御指摘になりました、いわゆる飛ばしとしていろいろうわさがあった件につきましては、ことしの六月に一部報道がされたこともございまして、私ども、六月の時点で山一証券に対しまして、社内調査をきっちりして私どもに報告してくるようにという指示を出したということでございます。かたがた損失補てんについての調査等も一方で行っておりましたが、そうした一連の調査、検査の中でそういう指示をおろしたということでございまして、そういった経緯を踏まえまして、十一月十七日に山一証券の社長から、多額の簿外債務がある旨、さらには十一月二十四日に、その簿外債務が二千六百四十八億円に上る旨の発表が行われたという経緯でございます。
  47. 北脇保之

    ○北脇委員 新聞報道によれば、この飛ばしの大半は九一年から九二年のころに行われたと言われているわけなんです。しかも、そういう飛ばしが行われているということが金融界で常識化していたという事態というのはもう数年来続いている、こういう報道がされているわけでございます。  ですから、私が先ほどお尋ねしたことは、その七年の十一月もしくは平成五年の二月の検査、さらには今の六月時点のいろいろな報告とか、そういうときに初めて知ったということなのか、それとももっと前からその金融界で言われていることを知っていたのか、このことをお聞きしているわけでございますので、それについて端的にお答えいただきたいと思います。
  48. 堀田隆夫

    ○堀田政府委員 ただいまお尋ねのいわゆる飛ばしにつきましては、かねてからそういううわさが流れておるということは承知しております。  私ども、今先生御指摘ございましたけれども、過去二回、五年の二月と七年の十一月に官房の金融検査部と合同で検査に入っておりますが、その際に、いわゆる飛ばしの部分についても念頭に置きつつ事実解明に努めたということでございますけれども、先ほどちょっとおしかりもございましたが、いわゆる飛ばし取引が簿外で顧客の間を転々売買されるという性格のものでございますので、証券会社の帳簿には痕跡は残っていないということで、それを把握するには至らなかったということでございます。
  49. 北脇保之

    ○北脇委員 今のお話ですと、検査をしたけれども発見できなかったということだと思います。しかし、専門家の間の指摘としては、その飛ばしの痕跡というのは有価証券報告書にもう出ているのだということでございます。というのは、特定金銭信託について山一本体に非常に不自然な増加がある、ここを追及していけばこの飛ばしの事実に突き当たるはずだというような指摘がありますが、この特定金銭信託の不自然な増加というものについて大蔵省は検査において着目をしたかどうか、したとすれば、その点からどのような結論を引き出すことができたのか、またできなかったのか、その点をお答えいただきたいと思います。
  50. 原口恒和

    原口政府委員 御指摘の七年十一月の時点におきましては、バランスシートの各般において、いろいろな観点からチェックはいたしております。ただ、先ほど事務局長からも御説明いたしましたように、特定金銭信託そのものに違法行為があったということではなくて、それの寄託先を通じまして、またさらにその先においていろいろな操作が行われたというふうに聞いております。そういう点もございまして、当該検査において、バランスシート面からの検査においてそういう事実を把握するに至らなかったということではないかと思います。  ただ、細かい状況につきまして、なお今後、資産内容及び財務内容について、山一証券の営業休止の届け出を受けまして、早急に、できれば本日中にも検査を行う方向で準備をしております。その内容によって、その辺もチェックをしていきたいというふうに考えております。
  51. 北脇保之

    ○北脇委員 結局、検査をしたけれども飛ばしを見つけることはできなかったということでございますから、検査の役割を果たしていなかった、検査に問題があったと言わざるを得ないと思うのです。  ですから、そのことを踏まえて、大蔵省としては、今回の山一の検査について、なぜ飛ばしを発見できなかったのか、検査の体制、それから検査の仕方、そういったことについてどこに問題があると反省をしているのか、そのことを率直にお答えをいただきたいと思います。
  52. 堀田隆夫

    ○堀田政府委員 ただいま金融検査部長からお答え申し上げましたように、本日、金融検査部と合同でまた山一証券に対しまして特別検査を実施したい、午後から入りたいと思っておりますが、そうした検査の中で、どういう事実関係があったのか、またそれが従来の検査ではどうして把握できなかったのかということをよく検討してまいりたい、そういうことも念頭に置きながら事実解明に当たっていきたいと思っております。
  53. 北脇保之

    ○北脇委員 問題は、当面事実を解明するということだけではなくて、やはり同じような問題が何度も繰り返されているわけですね。例えば拓銀の北海道銀行との合併の件なんかにしても、それは大蔵省としては合併の条件は整っていると思ってやられたことでしょうけれども、北海道銀行の目から見れば、例えば不良債権の状況なんかにしても、合併はちょっとできないということで破談みたいな形になったわけで、このことは証券業に対する検査ということと同じではありませんが、大蔵省における事実の把握、そういうところに問題がある、こういう事例が続いているというふうに思います。  ですから、これから先、山一証券の現状をどう把握するか、そのために検査をやるやらないということだけではなくて、やはり今までの検査体制のどこに問題があったのかということを率直に大蔵省自身で解明をし、それを明らかにしていく、そういう責任が大蔵省にあると思います。  それをやらなければ、金融監督庁の法案は成立はしておりますけれども、金融監督庁にこれを移したとしても、その金融監督庁そのものについては、組織の改編ができているだけで、検査をどのように質的に改めていくのか、こういうことは出ていないわけですから、何ら日本金融行政は前進しない、こういうことになると思います。  そこで、やはり率直に、どういうところに問題があるのかということをみずから摘出をしていくということをぜひやるように求めたいと思います。  それから次に、これまた並木議員もお尋ねしたことではあるのですが、この飛ばしの件については、やはり経営陣の責任というものを法的にきちんと追及していかなければいけない、これは重大な課題だと思います。  その点で、先ほど並木議員は警察庁に質問をいたしましたけれども、私は大蔵省に対して、今判明している事実の中で、飛ばしというものが商法や証券取引法に照らしてどのような刑事的、民事的な法的責任につながってくるのか、それをどのようにとらえているかということをお答えいただきたいと思います。
  54. 堀田隆夫

    ○堀田政府委員 監視委員会の方から、証取法との関係をちょっと御説明させていただきたいと思います。  飛ばしとは、一般には、含み損のある有価証券を決算期の前に、その含み損が表面化するのを避けるために、決算期の異なる他の企業に転売していく、それを証券会社が仲介するという形をとるものでございます。  その場合、証取法上、社会通念上認められている証券会社のサービス以上のサービスをしている、特別の利益を提供する行為というのは証取法健全性省令違反ということになっておりますけれども、その可能性があるのかどうか。それから、さらにもう少し話を進めますと、損失等が発生したときにそれを補てんするために利益を提供する旨の約束などがあれば、これはいわゆる利回り保証に当たる可能性もある。また、有価証券を会社が引き取った上でその評価損に対して適正な情報開示を行わないということになりますと、有価証券報告書の虚偽記載に当たる可能性もあるということでございまして、その辺、そういった問題意識でこれから事実の解明をしていきたいと思っておるところでございます。
  55. 北脇保之

    ○北脇委員 次の質問として、投資家保護のことをちょっとお尋ねしたいと思いますが、山一証券の自主廃業に伴って、投資家保護をどのような仕組みでやっていくことになるのか。特に、山一証券は債務超過でないというふうに大蔵省は言っておりますけれども、これが本当に債務超過でないと言い切れるのか。債務超過でないということであるならば、その資産の中で負債を返していくということが可能なんでしょうけれども、これが債務超過でないと本当に言い切れるかどうか、このこともあわせてお尋ねをいたします。  そしてさらに、仮に債務超過でないとしても、債務を償還していくためには資産の処分とかということが必要になってくると思うのですが、自主廃業という形をとる中で、そうした資産の処分をどんな手順でやっていくのか、そしてそれを円滑に順調に進行させることができるのかどうか、その見通しについてお尋ねをいたします。
  56. 長野厖士

    ○長野政府委員 きょう提出されました山一証券からの臨時報告書によりますと、九月期決算のときに四千三百億ありました資本勘定が三千三百億減少し、一千億という報告でございます。この三千三百億減少した中に二千六百億の御指摘の飛ばしの処理が入っております。そういう状態でございますので、財務的には債務超過ではないということを申し上げております。  一方、顧客資産に関しましては、すべて顧客の要求に応じ、円滑に返還されるということになっておりますので、この点につきましては、今後、債務超過が起こるのか起こらないのかといったことは全く御心配なく顧客の方々は引き取ることができるということでございます。  最終的に、これからおっしゃられました資産の処分等を進めてまいらなければいけません。しかし、このような状況になりますと、会社のみでこの資産の処分を行うということにつきましては、会社資産の万全の保全という意味では問題があろうかと考えますので、私ども昨日出しました命令の中で、会社の中に中立的な顧問委員会というものを設置していただきまして、そこには名古屋高裁の元長官でいらっしゃる方に委員長になっていただきまして、一種の例え話的に申し上げますと、破産手続におきます破産管財人、あるいは会社更生法手続におきます保全管理人にかわる役割のものとしてこの顧問委員会及びその委員長という方におつきいただき、例えば大きな資産を時価よりも大変低い価格で譲渡をしてしまって会社資産を逸失せしめるというようなおそれのある行為につきましては、すべてこの顧問委員会にチェックをお願いし、その了承のもとに処分していただくというような内容の昨日の命令になっておりまして、それによりまして資産の保全を図ってまいりたいと思います。  なお、その上で、そうやって整理していったときに、今一千億と申したのが本当に全部残るのか残らないのかという御指摘の点はございます。その間の資金繰りにつきまして、先ほど総裁からお話がございました日銀特融というものがございますけれども、その特融の返済の段取りというものに支障を生ずるか生じないかという問題が起こり得るというふうに、そういう意味での御質問というふうに承らしていただきますと、その点につきましては、昨日の大蔵大臣の談話の中で、本件の最終処理も含めまして、いずれ、先日来御報告いたしております寄託証券補償基金制度というものを法制化し、その財政基盤を充実していくという課題が明年の法改正事項としてございます。その中で、処理体制というものをこの件の進捗状況を見ながら検討してまいりたいと考えているわけでございます。
  57. 北脇保之

    ○北脇委員 ただいまお話の出ました顧問委員会については、その任期はどれくらいなのか、すなわち、その顧問委員会が任務を全うして存在が必要でなくなるまでどれくらいと見込まれているのかをお聞きいたします。
  58. 長野厖士

    ○長野政府委員 この会社は、今日以降まだ会社の形態の展開というのはいろいろ残っておるだろうと思いますけれども、仮に最終的に清算というイメージを持ちました場合には、その清算の結了までということになります。不動産を含めましていろいろな資産の処分がありますから、いささかの時間はかかろうかと思っております。
  59. 北脇保之

    ○北脇委員 今は明確にどの程度というお答えはなかったのですが、とにかく社員も七千五百人本社だけでもいらっしゃるということでもありますし、どういうふうな処理が行われていくか、これは今後の証券会社、金融機関破綻を来したときの処理の一つの前例にもなってくると思いますので、円滑な処理が行われるように御努力をお願いしたいと思います。  そして、今関連して、三洋証券の破綻のときにも預かり資産の保護という問題があって、それについては寄託証券補償基金、これを活用していくというようなことかと思うのですが、これについては、基金の残高がことしの三月末で三百五十一億円、本来は一社二十億円という支払い限度額があるところを、三洋証券については例外を認めて、無制限で全額を補償していくということになったというふうに承知しております。その結果、三洋証券については二百億円程度をこの基金から補てんをして、その資産保護に当たらなければいけないというようなことかと思うのですが、この二百億円という数字がそれでよろしいのかどうか、またこの二百億円分がなくなった後、その補てんをする必要が生じてくるということで、この対応についてはどのような形でこれを補てんしていくのか、この点についてお答えをいただきたいと思います。
  60. 長野厖士

    ○長野政府委員 お答えを申し上げます。  三洋証券の場合には、会社更生法の手続に入っておりますので、一般顧客の保全につきましては、一般顧客が持っております権利というものを寄託証券補償基金が肩がわりして代位してしまう。一般顧客に対しましてはすべてお返しし、その部分、寄託補償基金が債権者として、一般債権者並みで三洋証券に臨むという体制でございます。したがいまして、それは今後、法律に基づきます手続が進みます中で、残余財産がどれだけであって、債権者がどれだけであって、したがって何割の配当になる、あるいは何割の債権カットになるということが決まってまいります。  二百とおっしゃられました数字は、一般顧客の債権、寄託証券補償基金が肩がわりする全体の財産額が四百億でございますので、仮にロス率が五割になれば二百の負担になる、六割になれば二百四十の負担になる、七割になれば二百八十の負担になる、そういう性格の数字でございまして、これは今後の会社更生手続が進行しないと、この配当率について何ともまだ見当がつきません。しかし、そのようなオーダーの負担の要素をはらんでおるということでございます。  そこで、寄託補償基金につきましては、御指摘の残高がございますけれども、現在残っております残高の中では、かなり巨額のものがこれに注入されるということになりますので、三洋証券の破綻処理に際しまして、大蔵大臣の談話にもございますように、主要な証券会社に御協力をお願いいたしました。野村証券より百億の本件処理に対する拠出をお願いする、それから他の主要証券会社からは、現在直ちに拠出するということではないが、基金の残高は減っておるのだから、将来、この次発動するときを念頭に置いて、その折の拠出の用意というものを、ある意味ではスタンドバイ的にお願いする。そういったことを整えて、基金の処理、財源の安定を図っておるところでございます。
  61. 北脇保之

    ○北脇委員 ただいまの三洋証券のみならず、山一証券の方についても、場合によったら、基金の活用が必要になってくるかもしれないという御答弁だったかと思いますので、この基金の重要性というのは増してきていると思います。  そこで、今の、財源をどう確保していくかという問題については、しばしば批判されている奉加帳方式と実質的には変わりないと思うのです。野村証券から百億は提供を受けたかもしれませんが、そういうその場しのぎといいますか、そういうことで果たして証券破綻のときの一つのセーフティーネットとして十分であるかどうか、これは大変疑問だと思います。  ですから、財源をどう確保していくかということをもうちょっときちっとするということと、あわせて、任意的な寄附でやっているような、こういう基金をもっときちっとした法的な制度にしていく必要があろうかと思いますが、それも余りのんびりしていたのでは間に合わなくなってしまう。ですから、財源の確保、それとあわせて制度整備ということについて、どのような予定を持っているのか、それをお聞かせいただきたいと思います。     〔委員長退席、井奥委員長代理着席〕
  62. 長野厖士

    ○長野政府委員 お答え申し上げます。  後段の方から先にお答えさせていただきたいと思いますけれども、昨日、大蔵大臣の談話の中で、寄託証券補償基金制度の法制化、同基金の財務基盤の充実等々のことをおっしゃっていただきました。すなわち、御指摘のとおり、寄託証券補償基金制度は、現在は財団法人として業界の任意な仕組みであり、拠出するのは寄附金である、したがって税法上の損金扱いにもならないし、拠出を強制する道もないということでございます。その点におきまして、預金保険制度と大変異なっております。  諸外国におきましても、これと同様の制度を整えておりますけれども、すべて法律上の基金として位置づけ、証券業界に籍を置く者はそれに対して、計算の仕方はともかくとして納付義務というものを持っておる。そして、それに対しましては税法上の損金扱いができるという仕組みができております。すなわち、日本の預金保険並みのシステムが海外においても整っておるようでございますから、明春、証券取引法の改正を御提案申し上げます中に、重要な事項としてこの法制化ということを御提案させていただき、御審議いただければと考えております。  先般の三洋証券の処理にそれが間に合っておればというおしかりはちょうだいいたしました。今日整っておりませんことは残念でございますけれども、そういった現在の仕組みの中で納付義務をかけられないという財団法人として機能いたしておりますので、事実上の奉加帳という御指摘でございましたけれども、本来業界全体で負担するべきものでありますけれども主要証券会社にとりあえず現在の制度の枠組みの中で御尽力いただけないか、その御尽力いただくことが会社更生法という適用の道を開くかぎになっておりましたものですから、限られた時間の中でその御要請を行い、御了承をいただいたところでございます。
  63. 北脇保之

    ○北脇委員 この金融システム対策の問題は、これから預金保険法案の審議の場などを通じて同僚議員の方から細かくされることと思いますので、きょうのところは山一証券、そして三洋証券の破綻についての質問はこれくらいにしたいと思います。  最後に大蔵大臣にお尋ねをしたいのですが、最初に申し上げたように、今の日本金融システム不安というのは、それ自体が日本の経済の健全化を妨げているのみならず、世界的なデフレを招きかねないという非常に重大なところに来ていると思います。  そこで、大蔵大臣は、昨日の記者会見で、この金融システム対策についてはあらゆる選択肢を点検をして市場の不安感の払拭に努めていくということをおっしゃっておりますが、このあらゆる選択肢の検討、そしてその中からどのような対策を講じようとされているのか、それをお聞かせいただきたいと思います。
  64. 三塚博

    三塚国務大臣 金融システム不安を解消するためにあらゆる選択肢を点検、そして早急に政策を立案したい、このように申し上げてきております。要すれば、市場の不安感の解消が安定維持につながるということであります。段々の議論がございますように、現在は金融三法によって担保されておるわけでございますが、それを過ぎる部分についてどうするのかということも当然議論になってきております。宮澤元首相の提案等もこれあり、また国会の論議でこのように、国民間の議論においても不良債権との関係等もこれあり、行われておることなどを考えますと、やはりこの際何ができるか、またやらなければならないかという点検、立案に向けての作業を早速始めていただく、こう申し上げたわけでございます。  同時に、経済の不透明感という問題も、金融システム、マーケットの不安感がそれに影響しておることもございますから、基本的にそのことは大事なこと。その基本は、御案内のとおり預金者であり、投資者であり、保険契約者の契約、預金の行為、投資の行為が確実に守られてまいりますというこの大原則は、今日だけでなく金融ビッグバンにおいても担保されていかなければならぬということでございます。  国会の論議を傾聴しながら、国民間の論議をこれまたしっかりと傾聴しながら、また同時に、与党間における議論も政党として、与党としての責任でやられておること等、基本的には私の立場は国会の論議と国民の論議を大事にしながら取り進めていかなければならない、こういうことでございます。
  65. 北脇保之

    ○北脇委員 ただいまの政府金融システム対策というのは、住専処理の中でその形が決まったと思います。それが今や破綻しているということは明らかです。その住専処理の中で出てきた対策というのは、一つは今おっしゃられた金融三法であり、これでは信用組合にしか公的資金導入の道を開かないで、それ以外は預金保険機構で対応できるという見方を持っていたわけですし、それも超低金利政策をとることで不良債権はなし崩しに処理できていくだろう、その上で特に経営危機を招くような金融機関が出てくれば、それはもう個別処理で、大蔵省得意の行政指導で対応できていくというようなそういうセットで考えていたと思うのですが、それがもう通用しないということは明らかだと思います。  というのは、もう破綻する銀行、証券もありますし、銀行に限っても、そんな小さなところだけではない、都市銀行の一角が崩れた。しかも、その破綻の来し方が、大蔵省が見切りをつけてもうだめだというふうに言ったというのではなくて、マーケットで資金が調達できなくなって退場を余儀なくされる、こういうふうになってきているわけですから、この点をとってみても、大蔵省が住専のころに想定したレールはもう通用しない。ですからこそ、もっと透明なきちんとした情報開示、そして危機管理対策、これを早々に打ち出していかないと、このままずるずるいきましたら日本金融システムに対する世界の信認は失われるばかりだ、こういうことだと思います。これは大変深刻だと思います。そのことを政府・与党は本当に同じ土台に立って受けとめて対策を速やかに講ずるべきだ、そういう責任がある、私はそれを指摘させていただきたいと思います。  次に、持ち株会社法律について幾つか御質問をさせていただきたいと思います。  一つは、この金融持ち株会社という仕組みは、金融の世界で業態間の垣根をなくしていく、銀行、証券、保険というようなそういう垣根をなくしていく一つの手法であるというふうに理解はしているのですが、既に銀行、証券、信託銀行などの間では子会社をつくってこの垣根を乗り越えていくという手段が講じられて現実に動いているのですが、そういうやり方持ち株会社によるやり方というものがどういうふうに整理されるのか。その辺を、それぞれに長所、短所があって両方の仕組みを使いながら業態別の分野規制をなくしていくということであれば、長所、短所、どういうところにあるのか、そしてどうやってそれを併存させていくのか。単に何か仕組みを複雑にするだけで、仕組みを用意したけれども利用されないということになっては余り意味がないかと思いますので、その辺のところを御説明いただきたいと思います。
  66. 山口公生

    山口政府委員 今先生の御指摘は、確かに、業態別の子会社のやり方持ち株会社でやるやり方、一体どういう関係なのかというのは当然出てくる疑問でございまして、どちらかでいいじゃないかという議論もあろうかと思います。  ただ、私どもも、アメリカの制度等を見ますと、やはりそれは経営者の経営戦略の問題で、ある銀行は専ら持ち株でやる、ある銀行は子会社でやる、いろいろな経営形態をとっておるわけでございます。一般的に子会社の場合は簡単につくれるという感じはいたします。持ち株の場合はいろいろ手続が要るわけでございます。その点は子会社方式の方がメリットといえばメリットでございますが、ただ、子会社でやったときは、どうも自分は子会社だという意識がその経営のマインドにいかなる影響を与えるかという面を考えますと、もう持ち株会社の下でみんな対等の会社であるというふうに並べた方が経営効率としていい場合もあろうかと思うわけでございます。しかも、リスクの遮断という意味からいいますと、やはりそこは別会社としてきちんきちんと対応するということもあろうかと思います。  じゃ、どちらを選択させるかという問題になりますが、私どもの判断では、その経営者の判断でどちらでもいい、より使いやすい形をつくってあげるというふうに考える方がいいだろうということで御提案を申し上げているわけでございます。
  67. 北脇保之

    ○北脇委員 具体的な法案の中身のことになりますが、銀行が純粋持ち株会社を設立して、従来の銀行の株主が持ち株会社の株主になった、そういうような場合に、株主としての権利ということを考えたときに、従来のように銀行の株主であれば銀行経営について直接株主として意見を言うことができるわけですが、持ち株会社が間に挟まると、持ち株会社の株主というふうになった場合にワンクッションありますから、銀行子会社の銀行経営について持ち株会社の株主が従前どおり、ほとんど実質的には同じような発言権を持つことができるのかどうか、株主権の実質的な低下ということを来さないのかどうか、この点をお尋ねいたします。
  68. 山口公生

    山口政府委員 先生御指摘のように、この法律を出す際にも一番法的に難しい点でございまして、いろいろと法務省等とも検討をさせていただきました。その結果、株主の立場が変わるということをどう考えるか。その際、経営形態を変えることによって余りにも株主の権利が害されてはならないということで、まず、通常の合併や営業譲渡以上に加重された総会決議を要するという条件をつけていますし、また、反対の株主は株式買い取り請求権を行使できるということで確保してございます。  それで、御指摘のとおり、従来の株主による銀行子会社の経営に関する関与方法がこれから間接的なものになることはおっしゃるとおりでございます。ただ、子会社に対する経営管理はこれからは銀行持ち株会社の主たる業務になりますので、その持ち株会社の株主になる人たちは、銀行持ち株会社の株主総会の議題とすることによってその決定に参画できるわけでございますし、また、持ち株会社の取締役の選任とか解任権の行使を通じて、間接的に子銀行の、今度は子銀行になりますね、その銀行経営管理に影響を行使できるとか、あるいは、持ち株会社の取締役がその株主に対して善管注意義務を負いますので、その善管注意義務の中には当然銀行子会社の経営管理行為というもののあり方が構成要件になりますので、間接的にはなりますけれども、かなりの部分はそういった形での権利というものが、適正権利の行使を通じて関与することが可能というふうに考えた次第でございます。
  69. 北脇保之

    ○北脇委員 確かに、持ち株会社というものを認めるということと今の問題というのはもう一緒について回ることなので、持ち株会社を認める以上は、あとは運用で、持ち株会社の株主総会というようなものが銀行子会社の経営についてどの程度チェックをするかという運用をしっかりしていくということかなと思いますので、その辺はお願いをしたいと思います。  それから、検査・監督のことをちょっとお尋ねしたいのですが、金融持ち株会社ができて、銀行子会社がそのもとにできたというような形になったときに、大蔵省による検査、これをやるときに、具体的に言えば、もう持ち株会社銀行子会社と両方を同時に検査しないと何か実態把握ができないというようなことになるんじゃないかという感じがするのですが、その検査のあり方、どのようになるわけでございましょうか。
  70. 山口公生

    山口政府委員 お答え申し上げます。  この法律案におきましては、銀行持ち株会社が今度子会社になります銀行などの経営管理機能を有することにかんがみまして、銀行などの健全かつ適切な運営を確保するために必要があるときは、銀行持ち株会社等に対して立入検査を行うことができるというふうにしております。  具体的な立入検査の態様としましては、銀行持ち株会社などの実態に即して検討してまいりますけれども、例えば銀行持ち株会社の場合は、子銀行、今度子供になるのですが、その銀行等に対する経営管理の状況銀行持ち株会社に係る規制の遵守状況を把握するために、銀行持ち株会社だけを検査するということもございます。あるいは、銀行に対する立入検査に際しまして、同時に経営管理をやっている持ち株会社の方にもあわせて行くという場合もあります。それから、銀行だけに今までどおり立入検査に行って、持ち株会社に行かないという場合もあろうかと思います。  ただ、こういったものは、必要な限度においてやるという基本的な考え方は変わりはございません。
  71. 北脇保之

    ○北脇委員 ただいまのことにも関連するのですが、早期是正措置というものが来年の四月から発動される。そうなると、銀行持ち株会社というこの新しい形態についてもその早期是正措置をどのように適用していくのかという問題が出てくると思うのですが、その場合の是正措置発動のチェックの基準というのはどういう考えになるのかということと、具体的な処分といいますか、是正措置の相手方とかその内容、それがこの新しい形態のもとではどのように取り扱われるのか、これを御説明いただきたいと思います。
  72. 山口公生

    山口政府委員 早期是正措置は来年の四月から単体の銀行に対して適用される措置でございますが、確かに、この銀行持ち株会社というものができますと、そのグループに対しても何らかの措置をとるべきでないか、当然そういう議論になるわけでございます。したがいまして、連結した自己資本比率規制という形での、行政透明性の観点もありますし、何らかのきちんとした基準を設けていくべきだというふうに思います。  そういう形での連結自己資本比率規制を課すことといたしておりますけれども、やはり基本的な考え方は今の早期是正措置と同じでなければ、全く違う仕組みをとるのはおかしいというふうに思っておりまして、銀行持ち株会社グループの連結した自己資本の充実の状況の区分に応じまして、銀行持ち株会社に対して、そのグループの自己資本を充実させる方策を盛り込んだ改善計画を提出してくださいというような形の命令を出すことになるというふうに考えております。  それで、連結自己資本比率の水準がなかなか向上しないというときには、銀行そのものの経営の健全性が損なわれるおそれが生じる場合もございますので、そのときにはあわせて銀行に対してもその必要な措置を命ずるというようなことも必要かなというふうに考えておりまして、基本的には今の早期是正措置考え方透明性を持って一つの基準をつくって改善命令等を出すというのを連結ベースでグループでやるというような考え方をとりたいというふうに思っております。
  73. 北脇保之

    ○北脇委員 ただいまのことに関連して、税の方で、やはりこういうものができてくると、法人税の納税についても連結納税制度の導入が急がれると思うのですが、これについてはいかがでしょうか。
  74. 薄井信明

    ○薄井政府委員 持ち株会社についての御質問ということになろうかと思いますが、株式の所有を通じて他の会社の事業活動を支配するということを主たる事業とする、これが持ち株会社だと思います。そういう意味では、今までも専ら事業を行いながら子会社の株式を所有することは認められておりまして、いわゆる事業持ち株会社と言われるものですけれども、我が国でも既に多くの事業持ち株会社とその子会社というものが存在しているわけでございます。そういう意味で、事業持ち株会社も、それから今御指摘の純粋持ち株会社といいますか、この両者については質的には同じものだと思っております。  そういう意味で、その種の持ち株会社と連結納税制度との関係につきましては、持ち株会社との関係ということよりも、税制としての基本である企業集団に対する課税のあり方、これまで日本の法人税は個々の企業ごとに税負担を考えるという基本方針をとってまいりました。これとの関係で連結納税制度の是非を考えていかなければならないということでございます。  そういう意味では、政府の税調でもそういった趣旨からの勉強は始めておりまして、この議論につきましては、日本における企業経営の実態、あるいは商法等の関連制度、さらには租税回避とか税収減がどうなるかということも含めて議論を続けております。慎重な検討が必要とされる研究課題として、昨年の税調答申等でも触れられておりまして、今日もこの検討を続けておる次第でございます。
  75. 北脇保之

    ○北脇委員 この持ち株会社制度そのものが、分社化を通じていろんな金融商品を、高度なものを開発し提供するとか、逆にまた、それぞれの業態ごとのグループの中でリスクを遮断しつつ新しい発展を求めていくというような趣旨だと思いますので、そのこととその他の制度の整合性がとれていないといけないと思いますので、そういう観点からも税の面の検討を急いでいただきたいというふうに思います。  そして、このことに関連してなのですが、ちょっと抽象的な質問で恐縮には思うのですが、今度の金融持ち株会社、これは、破綻した金融機関の株式を持ち株会社が取得して銀行持ち株会社になるような場合に、そういう銀行持ち株会社は預金保険機構に資金援助の申し込みができるというふうになっておりますから、一つの金融破綻処理策という意味合いも持っていることは間違いないと思うのですが、その点は、こういう持ち株会社制度を新たにつくることによって、金融機関破綻処理にどの程度使われることになるのか。いわゆる制度としての使い勝手みたいなものがどの程度というふうに評価されているのか。ちょっと抽象的な質問で恐縮ですが、お答えをいただきたいと思います。
  76. 山口公生

    山口政府委員 御指摘のとおり、銀行持ち株会社破綻金融機関を子会社としてぶら下げるということも可能になっております。その際に、預金保険機構から一定の要件のもとで資金援助が行われるということも可能になっております。  したがいまして、持ち株会社の子会社といいましょうか、銀行からいうと兄弟会社みたいなものになることによって救済をされるという可能性が出てくるわけですが、正直申し上げて、現在、銀行が不幸にして経営が行き詰まったときに、他の健全な銀行合併の形で引き受けてくれれば、それは救済が完璧に行われるわけでございますが、私どもの経験からいいますと、例えば人事体系が違うとか、あるいは給与の水準が違うとか社風が違うとか、いろんなことが実は言われるわけでございます。つまり一緒になることに、日本的な慣行といいましょうか企業一家の精神といいましょうか、そういったものが案外根強くある以上、簡単に、優良資産だけなんだから引き取っていただけませんかといっても、そこにはそういった問題もあるわけでございます。  そうしますと、どうしても営業譲渡等で何とかならないかという形になって、従業員の皆様方とかそういった問題については、ちょっとどうしようもないという状況になる。そうすると、持ち株会社の場合は別会社のまま資本が注入されるわけです、もちろんリストラ等が前提になるわけですけれども。したがって、少しその辺についてはバリエーションが広がるかなと。  別に、これがあるからといって、持ち株会社破綻金融機関を引き受ける義務があるわけではありません。しかし、いろいろ破綻金融機関の処理をできるだけ社会的コストを少なくして進めようというときに、こういった持ち株会社制度というものが仮に働くのであれば、それも一つの可能性を与えてくれるものであろうというふうに期待しているわけでございます。
  77. 北脇保之

    ○北脇委員 実際、こういう持ち株会社というのはどの程度実際にできてくるのか、そういうところもちょっと知りたいところなのですが、現に子会社形式の業態別の、規制をまたぐ形態はありますから、そういったものが子会社形式から持ち株会社による兄弟会社というふうに転換をしていくというような動きが現実にあるのかどうか。また、全くそういうものもないところで金融持ち株会社というものが、本当にこの法律の施行後、近い将来のうちにそういうものができてくるという業界の状況にあるのか。その辺をちょっと教えていただきたいと思います。
  78. 山口公生

    山口政府委員 おっしゃるように、幾ら仕組みをつくってもだれも利用しないということであると、私どもこれだけ御審議を熱心に賜っているかいかないということになるわけでございますが、現実に、マネーセンターバンクでは非常に関心を持っていただいております。  それは、やはりいろいろな面があると思います。一つは、商品が非常に多様化していきます。そうすると、利用者の方からいって、やはりより便利な形を求めてくる。企業からいうと、シナジー効果を出すという面もあると思います。それから経営効率化からいっても、得意分野をぐっと伸ばすというような、思い切った特色を出していけるというようなメリットもある。それからもう一つは、先ほど申し上げた人事管理とか人事体系とか、そういったものでのいろいろな問題、もう少し欧米のシステムのいいところも取り入れるというような、いろいろな考え方があると思います。  したがって、アメリカであるいはヨーロッパでとっているから必ず日本でこれがどんどん広がるというふうには私は思いませんけれども、これからの金融システム改革が進んでくると、マネーセンターバンクの中ではひとつやってみようという銀行が私は必ず出てくると思います。そうすると、なかなか手続とか税制の面があると思いますが、どこかがやり始めますと、きっとそれはまたそのメリットがだんだん強調されていくような展開になるのではないかというふうに思っておる次第でございます。
  79. 北脇保之

    ○北脇委員 どうもありがとうございました。  率直に申し上げて、今の山一証券の破綻というような大変な危機的な事態の中でビッグバンに向けての制度整備を論ずるということも、ちょっと何かそぐわないというぐらいの感じが正直なところはございます。それだけに、とにかくこの危機を乗り切っていくということで、私どももいろいろな具体的な提案をしてまいりますので、そういうことで、ぜひ今後この委員会において実りの多い議論がなされるように、そのことに努めるということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  80. 井奥貞雄

    ○井奥委員長代理 次に、谷口隆義君。
  81. 谷口隆義

    ○谷口委員 新進党の谷口でございます。  まず初めに、先ほどから並木委員また北脇委員質問をいたしたわけでございますが、現下の金融情勢の混乱状況についてお聞きいたしたいというように思います。  先週の、十一月十七日の月曜日に北海道拓殖銀行経営破綻、また十一月二十二日でございましたか、早朝、山一自主廃業というようなニュースが入ってまいりまして、二十四日に正式に自主廃業が決まったわけであります。市場は大混乱をいたしておりまして、どうも本日の株価も、引け値が一万五千八百六十七円、八百五十四円安ということでございます。これに対して政府また日銀は種々対策を講じられておると思うわけでございますが、まず初めに、このようなことについてお聞きしたいわけであります。  先ほどから質問が出ておりましたので、なるべく重複を避けていきたいというように思いますが、まず初めに、私は、大変疑問に感じておるのは、先日、三洋証券の経営破綻がございました。三洋証券の経営破綻は、会社更生法の適用申請という形で行われたわけであります。その結果、コール市場、インターバンク市場においてデフォルトが初めて発生して大変な混乱状況になったということを聞いておりますが、今回は、自主再建の道を初めから考えないで、みずから自主廃業というような山一証券の対応になったわけでありますが、このあたりの状況につきまして御説明をお願いいたしたいと思います。
  82. 長野厖士

    ○長野政府委員 山一証券は、経営の御判断として自主廃業に向けた営業休止をされたわけでございまして、その御判断の中には、資金需要、簿外債務の財務上の処理、更生が困難とされるもろもろの要素があったかと存じます。これは新聞報道でございますし、私、今時点でまだ確かめておりませんけれども、山一証券の方では、弁護士さんも会社更生の道を研究してみたけれども、その道がなさそうだという弁護士の判断があったという報道も承知いたしております。  先ほど、三洋のケースにつきまして、私、北脇先生にお答え申し上げましたように、会社更生法が受理されるためには一般顧客の資産をすべて肩がわりするという存在が必要だったわけでございまして、寄託証券補償基金がそれを肩がわりしたので受理されましたけれども、今回そういった体制を整える余地がなかったということも、私のサイドから見ますと、その点が三洋とは大きな違いがあるなと思っております。
  83. 谷口隆義

    ○谷口委員 要するに、山一証券は再建は不可能であったということでございますか。
  84. 長野厖士

    ○長野政府委員 再建の問題とは別に、更生法の場合には保全命令をかけて全部保全されますが、そうしますと、顧客の資産はすべて引き出せないことになります。顧客の資産の引き出しができるようにするためには、どなたか顧客の資産、債権を肩がわりする存在があって、他の一般債権者を害するおそれが全くないという仕組みが必要であるというところで、寄託証券補償基金が肩がわりするというのが三洋証券のシステムのポイントでございますけれども、今回の場合に、そういう御相談が詰まっていなかったということもあろうかと思います。
  85. 谷口隆義

    ○谷口委員 マスコミの報道の範囲でしか私はまだ今情報を入手しておりません。  それで、何点かお聞きいたしたいわけでありますが、今回、先ほどから出ておりました簿外債務があった。当初、長野証券局長の記者発表によりますと、二千億以上というような話でございましたが、どうもこれは二千六百億程度あるというようなことを今聞いております。また、先ほどから聞いておりますと、証券取引委員会の方で調査されるのでしょうか、また調査するということで、これが拡大するのではないかというようなことが巷間言われておるところでございます。九七年の九月末現在で自己資本が四千三百十四億円というような状況のようでございまして、証券局長の談話によりますと、このうち簿外負債が二千六百億程度ある、それで資産の側で一部どうも傷ついているものがあって、最終的には自己資本が一千億程度ではないかというようなお話でございます。  調査した結果、これはちょっとわかりませんが、先ほどから大蔵の検査また日銀の考査のお話がございました。簿外債務というのは極めて難しいことは難しいのだろうと思いますが、しかし、これは結局出てきてからびっくりして対応するわけにいかぬわけで、その検出方法を何らかの形で考えなければいけないわけでございます。仮にこれがまた新たに一千億以上出てまいりますと、債務超過になります。債務超過という事態になりますと日銀特融が発動できないというようになるわけでございますが、このあたりの状況について、どのようにお考えでございましょうか。     〔井奥委員長代理退席、委員長着席〕
  86. 松下康雄

    松下参考人 特融の返済についてでございますけれども、現在の山一証券は基本的に資産超過の状態というふうに認識いたしておりますので、同社が廃業、解散に向けまして資産処分を進めていく中で返済財源が確保されることとなると考えておりますが、もし万が一、同社が債務超過の状態に陥るというような場合には、資産をすべて処分いたしたとしましても、特融の返済財源が確保できないことになるわけでございます。  ただ、その場合におきましても、政府におきましても、本件の最終処理も含めまして、寄託証券補償基金制度の法制化でありますとか同基金の財務基盤の充実や機能強化等を図りまして、十分の処理体制を整備すべく適切に対処したいということでございますので、特融の返済財源につきましても確保されるものと理解をいたしております。
  87. 谷口隆義

    ○谷口委員 これもマスコミの報道でございますが、山一本体の借り入れ総額が三兆二千億程度、また連結決算ベースのグループの負債総額が六兆七千億程度というような報道がございますが、これについて正確な数字がおわかりでございましたら御報告をお願いいたしたいと思います。
  88. 長野厖士

    ○長野政府委員 本日、山一証券から臨時報告書が提出されまして、九月三十日現在の補正をしておりますので、本日届けられた現時点での計数として申し上げますと、負債総額は三兆五千八十五億円余でございます。  なお、連結ベースにつきましては、ただいまのは山一証券単体の臨時報告書でございまして、連結処理する会社につきましては、まだ経営方針も決まっておりませんので、今回、臨時報告書は提出されておりません。したがいまして、最も新しい数字は平成九年三月三十一日現在ということになりますけれども、そこにおきます山一証券の連結財務諸表におきます負債総額は六兆六千九百六十七億円余でございます。
  89. 谷口隆義

    ○谷口委員 それは簿外債務は入っておりますか。
  90. 長野厖士

    ○長野政府委員 いわゆる簿外債務といいますもの、資産の減少に立てましたり負債の増加に立てましたり、処理はそれぞれそれに対応する処理ということでございますけれども、それを入れた数字でございます。
  91. 谷口隆義

    ○谷口委員 これは大変な事態でございまして、先ほどから申し上げておりますように、市場も混乱をいたしておるようでございます。  それで、日銀の方もかなりの資金を投入されていらっしゃるようでございますが、いま一つお聞きしたいのは、山一証券また拓銀の関係で日銀特融を今現在の時点でどの程度されておるか、おわかりになりましたら御報告をお願いいたしたいと思います。
  92. 松下康雄

    松下参考人 現在、日本銀行が実行いたしております日銀法二十五条の貸し出し全体の残高は、十月末には三千七百二十五億円でございましたが、本日午後一時の段階では約三兆一千億円となっております。
  93. 谷口隆義

    ○谷口委員 それを拓銀山一に分けて、山一で幾ら幾ら、拓銀で幾ら幾らというように御報告をお願いしたいんですが。
  94. 松下康雄

    松下参考人 本日昼の段階におきまして、北海道拓殖銀行向けは約一兆九千億円でございます。なお、山一証券向けは約八千億円でございます。
  95. 谷口隆義

    ○谷口委員 山一証券は、本日一日で出た日銀特融でございますね。
  96. 松下康雄

    松下参考人 さようでございます。今後の支払いに必要な、所要の資金を前もって供給いたしたという面もございます。
  97. 谷口隆義

    ○谷口委員 松下総裁の、これは二十四日の談話であったと思いますが、日銀は、山一の主力取引銀行と協力しつつ、日銀法第二十五条に基づき、顧客財産の返還、内外取引の決済、海外からの撤退などに必要な資金を供給する、また、山一は債務超過でなく、政府も寄託証券補償基金制度の法制化など適切な対処をするので、日銀資金の回収に懸念を生じる事態ではない、このようにおっしゃっておるわけでございます。  先ほど私、冒頭お話をいたしましたように、みずから自主廃業の道を山一証券は選択したわけでございますが、自主廃業を選択し、先ほどお話をしましたような、自己資本も余力一千億程度というような状況の中で、回収可能性に問題はないのかというように私は思うわけでございますが、このあたりについて、総裁の御見解をお願いいたします。
  98. 松下康雄

    松下参考人 山一証券の現状におきます資産負債の内容につきましては大蔵省において検査を行うということでございますので、その結果を待ちまして、この点におきますところの判断ができると考えております。  その後の債権の回収等につきましては、私どもとしましては、所要の債権の回収を進めることによって円滑な債務の弁済が履行できますように十分努力をしてもらいたいと考えておりますし、また、この点につきまして、今後の山一証券の業務を管理いたします公共的な委員会の設立ということもございますので、このあたりをもちまして、適正、適切な債権回収を進めてまいることが重要であると思っております。
  99. 谷口隆義

    ○谷口委員 いずれにしましても、回収可能性のないような日銀特融はないと考えてよろしいのでしょうか。
  100. 松下康雄

    松下参考人 私どもといたしましては、中央銀行の財務の健全性を図るということは重要な事項でございますので、特別融資をいたしました場合に、回収については十分に注意を払い、努力もいたすつもりでございます。  本件の特融につきましても、最初にお答えを申し上げましたように、万が一、山一証券が債務超過の状態に陥るというような場合におきまして、政府においても、本件の最終処理について十分の処理体制を整備すべく適切に対処していくということでございますので、私どもといたしましても、そういった枠組みの中で特融の返済財源が確保されるものだと理解をいたしております。
  101. 谷口隆義

    ○谷口委員 本日のインターバンクマーケットの状況、私まだその情報を入手しておらないわけでございますが、先ほどお話ししましたように、例の三洋証券のデフォルト以降、大変疑心暗鬼が出ておって、そういう危ないうわさがあるところについては全然資金を出さないというような状況の中で、どんどん硬直的になっておるように思うわけでございますが、国内におけるインターバンクーマーケットの現在の状況を御報告お願いできれば、ぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。
  102. 松下康雄

    松下参考人 我が国の金融システムをめぐります内外の環境が急激に厳しくなっておりますところから、私どもとしましては、仮にも金融システム全体の安定が損なわれるということがないように、中央銀行の立場から最大限の努力を行ってまいることが極めて重要な状況であると認識をいたしております。  こういう点から見まして、私ども、今回の山一証券に対します臨時異例の日銀法二十五条に基づく融資の実行に加えまして、仮に市場の流動性の低下などの不測の事態が生ずるおそれがあります場合には、市場に対しまして潤沢に流動性の供給を行うなど、必要な措置をちゅうちょなく講じていく考えでございます。  私ども、本日も朝から市場状況を注目いたしまして、市場の需要に十分応じた資金の調節を行ってまいりますように、十分な注意を払って監視をしているところでございます。
  103. 谷口隆義

    ○谷口委員 これも十一月二十四日の大蔵大臣の談話でございますが、預金などの全額を保護するとともに、インターバンク取引などの安全を確保し、金融システムの安定を確保していく、このように三塚大蔵大臣はこの談話でおっしゃっておるわけでございますが、このインターバンク取引などの安全を確保し、金融システムの安定を確保し  ていくというのは、具体的にはどういうことを  おっしゃっているのでしょうか。
  104. 山口公生

    山口政府委員 先生御承知のように、三洋、北拓、山一いずれもそうでございますが、市場におけるインターバンクの取引、これが非常にとれなくなるというような、資金繰りの面での破綻という感じが起きております。したがいまして、今一番大切なことは、このインターバンク取引における信用収縮的な動きをとめるということでございます。  したがいまして、システミックリスクと言われるのはまさにこの点でございまして、この点を防ぐということで、我が国における、体に例えて言いますと血流をとめない、酸欠状態を起こさないということでございますので、万全を期すということを大臣談話の中で大臣からお触れいただいたところでございます。
  105. 谷口隆義

    ○谷口委員 先ほど申し上げましたように、このインターバンクマーケットにおいて資金のやりとりにブレーキがかかる可能性がある。これは大変まずいことでございます。そういうことは避けなければいかぬわけでございますが、市場金利が急上昇し、資金調達が困難になる可能性もあるわけで、そういう意味において先ほどの談話が出されたのであろうというように理解するわけでございますが、私、従来から金融機関の不良債権の問題も取り上げておりまして、こういうことはある意味では予想されたことだと思います。  また、規模の大小は別にして、今後このようなことが起こる可能性は極めて大きい。銀行もそうでございますし、証券会社もそうでございますし、生保においても経営状況が極めて厳しいところがあるようでございますし、またゼネコンにおいても、ゼネコンはちょっと金融機関から離れますが、大変厳しい経営環境にあるというように聞いておるわけでございまして、そういう観点で考えますと、危機管理体制、何かが起こったときにどういうマニュアルで動くというような、これは透明なルールと申しますか、そういう処理システムを一刻も早く構築しなければいけないというように言っておったわけでございます。  先日の大蔵委員会においても、私質問させていただきました。どうもこのところ、三洋証券の問題においても、寄託証券補償基金従来一社二十億というものを、これは初めから例外で対応された。また、今回の状況を見ておりますと、一件一件その対応の仕方が全く違うというようなことでございまして、大枠で、一つの透明な処理の大きなルール、それはそれぞれ個別の状況が異なるでしょうからそのとおりにはいかないだろうというように私は思うわけでございますが、ですから、また後ほど審議される預金保険法改正の問題についても私はその観点からいろいろ意見を申し上げたいところがあるわけでございますが、どうも大枠のところがルールがはっきりしていない。ですから、極めてその状況状況によって異なるわけでございまして、より一層国民に不安感を高まらしめておるのではないかというように考えるところでございますが、いわゆるこの金融システムの危機管理体制について御見解をお伺いいたしたいと思います。
  106. 長野厖士

    ○長野政府委員 証券会社のケースで御答弁申し上げたいと存じます。  本年に入りまして四件、小川証券、越後証券、三洋証券そして今回の山一と、証券会社の経営の行き詰まりを経験いたしました。その処理の形がそれぞれ違うという御指摘ではございますが、会社それぞれの実情が異なりますので違ってこざるを得ない面がございますけれども、基本的にベースに置いておりますのは、顧客資産をすべて保護する、それが可能な枠組みというのは、それぞれの会社の資産・負債の状況なり債権債務の関連でどうなるかということを見ながら、あるいは寄託証券補償基金の枠内で処理可能か、二十億という枠内で可能であるかないかといった形ですべて異なっておりますけれども、ベースはそういうことだろうと思います。  その上で、私ども今研究させていただいておりますのは、既存の会社更生法あるいは破産法という手続、今回その更生法の適用を裁判所におきまして特例的に認めていただきましたけれども、証券会社に適用する場合に、自然に入っていける形でないということは私ども非常に率直に感じます。したがいまして、証券会社についての独特の破綻法制といいますか、破産法制といったものをつくっていく必要があるだろうと現在考えておりまして、また、その意味で現在、不幸な二つの例でございますけれども、こういった場合の問題点というものを実地に私ども知識として蓄積しつつございますので、これをベースに、できますれば、明年の証取法改正の時点に間に合うようでございましたら、またこの破綻法制につきまして、知恵が出ましたら、御提案させていただくような方向でこれから精力的に勉強してみたいと思っております。
  107. 谷口隆義

    ○谷口委員 これは先ほど質問の中に出ておりましたが、山一の顧問と財政担当役員から富士銀行役員に対して、国内千六百億、海外一千億の簿外負債があるというようなことで、十月六日に口頭でわかった。ところが、大蔵省の方は十一月十七日に聞いたと言われておる。先ほど大蔵大臣の御答弁を聞いておりますと全く知らなかったということなのですが、もう一回確認したいと思いますが、これはどうですか。     〔委員長退席、村田(吉)委員長代理着席〕
  108. 長野厖士

    ○長野政府委員 私は、十一月十七日に簿外債務をきちんと承知し、大臣に御報告申し上げました。  このような案件の処理につきましては、私ども、大和銀行事件その他非常に忘れることのできない経験を持っておりますから、不当に私どものところで隠ぺいするというような気持ちは毛頭ございません。
  109. 谷口隆義

    ○谷口委員 大変大きな出来事でございます。  先ほど十一月十七日の拓銀の問題もちょっと申し上げましたが、拓銀の問題を何点かちょっとお聞きしたいのです。  拓銀の直近の大蔵省検査はいつあって、どのような状況でございましたでしょうか。
  110. 原口恒和

    原口政府委員 拓銀の検査についての御質問でございますが、北海道拓殖銀行につきましては、去る十月十四日に検査に着手しておりますが、現在なお鋭意検査を続行している段階でございます。  検査結果がまとまる時期を含めまして、個別金融機関の検査の詳細に関する事柄については、答弁を差し控えさせていただいておるところでございますけれども、一般的に申しますと、この程度の規模の銀行であればニカ月程度かかっているということでございます。  ただ、ケース・バイ・ケースということと、いろいろ異例な状況でもございますので、なお検査を続行しているという段階でございます。
  111. 谷口隆義

    ○谷口委員 これも先ほど質問に出ておったのですが、公表不良債権の金額ですね。銀行局長、先ほど御答弁をされていらっしゃいましたが、一番大きな問題は、追い貸しをしておる、不良債権でありながら不良債権でないような対応をしておるというのが最も大きな問題なのだろうというように私は考えております。ですから、海外においても我が国の金融機関の不良債権の金額がこのようなものではないという一つの大きなところは、どうもこの追い貸しがかなりあるのではないかというように私は思うわけでございますが、今回の拓銀の件も含めて、この不良債権の金額、追い貸しの問題も含めての御答弁をお願いいたします。
  112. 山口公生

    山口政府委員 不良債権問題につきましては、先ほども御説明申し上げましたけれども、公表不良債権額というのは一つの基準で統計的に集めております。  今、先生がおっしゃいましたように、そうすると、その統計にあらわれない形で、実質的に不良債権を隠した形になるのではないかという点につきましては、私どもそれは大変な問題だろうと思うわけでございます。ところが、それはレポートで出てくる基準がそういった基準であります以上、やはり個々の金融機関のその個々の貸し出しでしかわからないわけでございます。  今回、早期是正措置を来年から導入させていただきますが、その前提となるのは、自己査定をきっちりやるというのが前提であります。したがって、貸付債権も含めて、全部自分のところで、そういった実質不良債権化しているものを追い貸ししてやっていないかというところまで全部チェックすることになっております。その結果、償却すべきものは全部償却するという形で、今度は自己資本比率をはじくということでございまして、まず自己チェックから始まるわけです。もちろん、大蔵省の検査等でそれが適正かどうかということは事後的にチェックされますけれども、自分の方でそういうものをチェックするという体制がこれから整備されていくというふうに思うわけでございます。
  113. 谷口隆義

    ○谷口委員 銀行局長のお話で、来年の四月から早期是正措置が開始されますから、最近は、その対応金融機関が追われております。ですから、今、貸し渋りの問題が出ております。この貸し渋りも、正常な営業循環の中での貸し付けの貸し渋りと追い貸しの貸し渋りとあるわけでございまして、いずれにしましても、この不良債権が明確に処理をされるであろうと言われていますね。いわゆる多数の企業破綻が出るのではないかというように思われておるわけでございますが、この通常の営業債権における貸し渋りと追い貸しにおける貸し渋り、このあたりの状況についてどのようにお考えでございましょうか。
  114. 山口公生

    山口政府委員 確かに今、世上、貸し渋り現象ということが言われておりますけれども、基本的には、現実の金利等を見ましてもそれほど上がっていないということを見ますと、資金需要自体がかなりまだ弱いという客観的な情勢にあります。そうしますと、今先生がいみじくもおっしゃいましたように、金融機関が今回貸さないと言ったのが、正常な取引の関係のところにそういうことを言っているのか、あるいはもうあなたのところとはつき合いませんという、リスクの管理上、審査を正常化したといいますか、厳しくしたということで出ないのか、その辺がやはりあろうかと思います。その中間というのもあるかもしれませんけれども。  いずれにせよ、その貸し渋り現象ということが、この金融が非常に緩和している中でもしあるとし、それが正常な取引先まで及ぶということであれば、それは好ましいことではないわけでございます。しかし、そういった現象が例えば自己資本比率の観点からいや応なしに来ているとすれば、金融機関としては、例えばローンパーティシペーションの形でリスクを他の金融機関とシェアするとかいろいろな方法があるわけで、知恵を出していただくことになるわけでございますけれども、一方、政府金融機関において、こういうときこそきちんとした対応をするという役割を果たすということで、今回の景気対策でも打ち出していただいたわけでございます。  もう一つお話がありましたのは、早期是正措置が出てくると破綻がいろいろ出てくるのじゃないか、こういうふうにおっしゃいました。  確かに、自己査定を厳しくやり、公認会計士がきっちり償却すべきものは償却すべきということを見ていきますので、企業としての銀行等はあいまいな経営は許されなくなることは事実でございますが、ただ、早期是正措置というのは破綻させるための措置ではございませんで、例えば四%という基準を切って三%になれば、今までは何となくそのうち何とかなるだろうというのが、早速、行政としてそういう改善命令が出て、改善計画を立ててという、早目に手を打つということでございますので、そういったことがむしろいい方向にきいてほしいなという感じがしておるところでございます。
  115. 谷口隆義

    ○谷口委員 拓銀のこの九七年九月末の決算は、巷間これは債務超過ではなかったのかと言われております。これについて、どうでしょうか。  債務超過であれば、日銀特融は、先ほど総裁のお話によりますと、何兆円かちょっと今メモがございませんのであれですが、出しておるわけでございますが、九月末の拓銀の決算は債務超過でなかったのかあったのか、確認したいと思います。
  116. 山口公生

    山口政府委員 九月末の決算はまだ拓銀は出ておりません。
  117. 谷口隆義

    ○谷口委員 そうすると、日銀総裁にお聞きしたいんですが、拓銀は債務超過でないというようなことで日銀法二十五条の特融をされたのかどうか、御答弁をお願いいたしたいと思います。
  118. 松下康雄

    松下参考人 私どもは、拓銀に対します日銀法二十五条の貸し付けを行いますときには、この貸し付けの性質というものが、拓銀の業務が受け皿銀行に移管されるまでに拓銀が預金の払い戻しその他に必要とする資金をつなぎ資金として供給するということでございます。  したがいまして、最終段階で拓銀の処理方策が実施されます段階では、預金保険機構からの資金援助とそれから拓銀自体の資産売却等による回収資金とによりまして日銀の債権は回収をするという考え方でのこれは融資でございますので、拓銀自体が現状債務超過であるとないとに関連なく、その返済につきましては、そういう方式考えられているということでございます。
  119. 山口公生

    山口政府委員 ちょっと追加してお答え申し上げます。  金融三法でお認めいただいております機能から、預金保険機構が資金援助という形で、仮に債務超過状態ということがこれから明らかになりましても、ロス埋めできるという仕組みがありますので、そういったことが可能になっておるという御理解を賜りたいと思います。
  120. 谷口隆義

    ○谷口委員 今回の拓銀の処理についても、極めて異常といいますか、道内の営業を引き受けたのが北洋銀行、第二地銀でございますね。この第二地銀の頭取が記者発表をしておりまして、このようなことをおっしゃっているわけでございます。「十五日夕刻に、大蔵、日銀から強い要請があり、数時間のうちに話がまとまった。拓銀の河谷頭取からは十六日昼に電話で要請があった」というように説明をされております。  こんなに簡単にできるんですか。
  121. 山口公生

    山口政府委員 御承知のように、拓銀の場合は資金がとれなくなるというおそれが見込まれたわけでございます。したがって、急遽、十七日に処理案を出す必要があるわけでございます。そのときに受け皿銀行というものがある場合は、健全な取引先が引き継げるわけでございます。これがない状態でありますと、阪和銀行のときに大変御心配をおかけしましたけれども、取引先ほどこへ行っていいかわからないという状況になるわけでございます。  したがって、当局としては、当然日銀と私どもとしては、関係者等々、急遽、その辺のベストを尽くすことが大切であります。預金者は保護されます。それは金融三法でお認めいただけました。それからインターバンク等も、金融三法の裏づけがありますから可能でございます。しかし、願わくば健全な取引先まで、少なくとも北海道の部分は混乱を起こさないようにしてあげるということが行政としてもベストを尽くしたことになると思います。  したがって、急遽、そこは受け皿を探すということは私ども当然の務めだと思います。別にこれが急遽であるから特別なことを私どもがやったということではありません。関係者と十分そこは濃密に議論をして、こういった形にさせていただいたということでございます。  おかげさまで、北海道の店舗も含め、本州もそうでございますが、拓銀は窓口はあけて営業がまだできております。これが受け皿がない場合は窓口を閉めざるを得ません。それが決定的に違うものでございます。
  122. 谷口隆義

    ○谷口委員 銀行局長のおっしゃりたいことはよく理解できるわけでございますが、いずれにしましても、今、当初からのルールがずっとやはり批判を大変浴びておるわけでございます。大蔵省、日銀が無理やり引っ張っていく。もっと過去を振り返りますと、道銀と拓銀との合併の話においても、どうも道銀は拓銀がこのように業績が悪いとは思っておらなかったようでございまして、それが結局合併話が崩れた一つの原因であったようでございます。そういうようなやり方が果たしていいのかどうか。金融システムを守るためにはどういうことも許されていいのか。冒頭のお話に戻るわけでございますが、一刻も早く危機管理体制を整えて、透明なルールで行い得るような処理システムを、処理スキームを考えなければいけないというようにこれは強く訴えるものでございます。  これはもう銀行局長が一番よく知っていらっしゃると思うわけでございますが、今後またかなり破綻するだろうと思います。証券局長も御存じのとおり、証券会社もかなり破綻するだろう。また生保においてもこのままいくようには思えません。ですから、そういう金融システムを守り切らなければいけないわけでございます。我が国のインフラを崩すわけにいかないわけでございまして、一行、一行フォローアップしていくというやり方ではなくて、一刻も早くそういう角度でこの処理システムを築き上げていただきたい、また築き上げていかなければいけないと思うわけでございますが、御見解をお願いいたしたいと思います。
  123. 山口公生

    山口政府委員 いろいろな御批判があることは承知しておりますが、私どもが一番大切に思っておりますのは、現時点においては預金者を保護するということ、それから金融のシステムを守る、先ほどインターバンクのお話がございました、それを守るということでございます。願わくば健全な取引先も守る、こういうことを基本的な原則にしております。  いろいろな目でごらんいただきますと、それぞれの個別の話が何か個別ばらばらな対応のように映るかもしれません。しかし、私どもとしては、破綻したところは必ず消滅しておりますし、その機能をどれだけ残すのかということをやっておるわけです。  したがって、受け皿銀行がある場合もあります。受け皿銀行がない場合もあります。しかし、先ほど三つ申し上げたところを、できるだけ私どもは機能として残してあげたい。それは、銀行は消滅します。だから、株主の方々は大変それは残念な思いをされるでしょうし、従業員の方々もなかなかそこはつらい思いをされるでしょう。しかし、金融機関というものの公的なファンクションはできるだけ守るということでございます。  したがいまして、私どもが一番大事に思っておりますのはその点でございまして、各銀行の処理がいろいろな形で行われているということも、その目的がそこに帰着するということから、それぞればらばらのイメージを与えていることも、そこは御理解賜れるのではないかというふうに思っているわけでございます。  なお、ちょっと御質問の前段にありました道銀、拓銀の問題も、決して私どもがこうしなさいと言ったわけではありませんで、北海道で二つの銀行がこれからやっていけるだろうかということでリストラ合併をしようと自発的に言われた話でございまして、その点はちょっと、私どもからこうしなさい、こうした方がいいのではないかということを申し上げたわけではないことをつけ加えさせていただきます。
  124. 谷口隆義

    ○谷口委員 次の金融持ち株会社質問に移りたいわけでございますが、いずれにいたしましても、先週十七日また二十二日にこのニュースが出てまいったわけでありますが、金融に与える影響が極めて大きい経営破綻でございます。ですから、また、当大蔵委員会においても一般質疑をやっていただくよう、これは委員長に申し上げたいというように思うわけでございますが、よろしくお願いいたします。
  125. 村田吉隆

    ○村田(吉)委員長代理 理事会で検討をいたします。
  126. 谷口隆義

    ○谷口委員 それでは、金融混乱状況におきます質問を終わりまして、金融持ち株会社質問をさせていただきたいというように思います。  今回の金融持ち株会社は、銀行持ち株会社、また保険持ち株会社、また証券持ち株会社と、それぞれの業法に基づいて行われるわけでございますが、三者の対応が異なっております。このような対応の異なりについてひとつ御質問をいたしたいわけでございます。  まず、銀行持ち株会社と保険持ち株会社はそれぞれ業法に基づき総理の許可が必要である。これに対して、証券持ち株会社の場合は証券会社から過半数株主を届け出ればよいというようになっておるようでございます。  また、銀行持ち株会社は、不動産業、製造業など一般事業会社は子会社とすることはできない。また、業務については経営管理等に限定されておる。一方、保険持ち株会社は、子会社の範囲は制限されないが、一般事業会社を子会社にする場合は事前承認を要する。証券持ち株会社はこのような規制はない。  それで、銀行持ち株会社と保険持ち株会社金融監督庁長官の監督を受ける一方、証券持ち株会社は、証取法に基づき、報告徴求、立入検査の規定を設けられておる、取引規制等は証券会社本体を対象にするというように決められておりまして、それぞれの対応が異なっておるわけでございますが、このあたりの理由を求めたいと思います。
  127. 山口公生

    山口政府委員 お答えいたします。  基本的には余り過剰な規制は置かないという考え方には基づいておりますけれども、それぞれの担っている役割からくる制約というものがございますので、違った対応にしてございます。  まず、銀行について申し上げますと、これは決済システムを担っておりまして、その経営悪化が金融システム影響を与えるおそれがあるという点にかんがみまして、保険会社などに比べて相対的に厳格な規制が課されているところでございます。  したがいまして、銀行持ち株会社につきましては、傘下の銀行との一体性というものを重視しまして、子会社の範囲に制限を設ける。つまり、先ほどお触れになりました一般事業会社とか不動産を設けるということにつきましては、銀行に課されている規制に準じました厳格な規制でそれができないというふうにしてございます。  一方、保険契約者の保護の観点からの保険持ち株会社についての規制でございますが、これも保険会社に準じた規制を課していく必要がございますけれども、保険会社は決済システムを担ってはおりません。それから信用秩序に与える影響が限定的であるということを踏まえまして、例えば子会社の業務範囲につきましては、基本的に制限を設けない、あるいはグループ合算の株式保有制限等を設けないという形をとりながら、緩やかな規制という形にしてございます。  さらに証券会社になりますと、証券取引の仲介者としての取引行為の適正確保の観点から規制を行う必要がございますけれども、これは基本的には証券会社本体への規制、つまり、その業務を見ていくということでございますので、それで対応可能であるために、証券会社につきましては規制をかなり緩くしてあるというような違いを設けているわけでございます。
  128. 谷口隆義

    ○谷口委員 わかりました。  次に、今回、三角合併方式のスキームが法案として出てきておるわけでございます。  三角合併方式とは、既存銀行がまず一〇〇%出資で持ち株会社となる子会社を設立し、さらにこの子会社が一〇〇%の出資で銀行の孫会社として銀行を設立した上で、この設立した銀行は幽霊銀行ということでございますが、この幽霊銀行が既存銀行を吸収合併し、最終的に持ち株会社が既存銀行を傘下におさめるものである、こういう手法でございます。  この三角合併方式においては、合併により債権債務は包括承継され、その効果は原則海外にも及ぶということでございます。実際問題、海外における債権債務及び許認可の承継については現地当局との交渉に相当の負担がかかるようでございます。また、国内の根担保についても、消滅銀行の債権を担保しないで、被担保債権範囲の変更登記が必要であるというようになっておるようでございます。そういうようなことになっておりますので、今、アメリカで認められておると言われる株式交換制度ですね、逆三角合併方式、これを導入してはどうかという議論がございます。  この逆三角合併方式というのは、消滅会社ではなく存続会社の株主から株式を強制的に現物出資させる点で既存会社の株式と持ち株会社の株式を直接交換するのと変わらず、現行商法においてはこの株式交換制度というのは認められておらないわけでございますが、このようなことも認めていけばどうかというような考え方があるわけでございますが、これについて御見解をお願いいたしたいと思います。
  129. 山口公生

    山口政府委員 今、先生の方から御専門の立場でかなりお詳しいお話がございましたが、確かに、銀行持ち株会社を設立する際にはいろいろ根抵当の問題、海外の問題がございまして難しいということで、何らかの設立の特例が設けられないかということで、いろいろ検討したわけでございます。  その際、もちろん商法を所管しておられる法務省との綿密な協議をやったわけでございますが、そこで三角合併方式を採用させていただいたわけでございます。これは一言で言いますと、商法上株主保護などに関する規定が比較的整備されている合併手続を基礎として、特例を設けるということでございます。  今、アメリカでの御紹介がございました株式交換制度あるいは逆三角合併方式、これは逆三角合併もある意味では株式交換の要素が入っておりますので、広く言いますと株式交換方式等、こういうふうに呼ばさせていただきますが、これになりますと、我が国の商法にはこれに類する制度が全くございません。したがいまして、株主や債権者の保護をどう考えればいいのかというところについての商法の検討が必要なわけでございます。したがって、法務省等の御所管になりますけれども、幅広い観点からさらに検討を行っていく必要がある課題ではないかというふうに思っています。  確かに、先生おっしゃいましたように、株式交換、あるいはアメリカでよく使われる逆三角合併方式になりますともっと簡単な形になるということは、私ども十分承知しておりますが、そういう現行法制の、株主あるいは債権者の保護の考え方との調整というのがなかなか法制的にも検討を要するというところで、今回、三角合併方式を採用させていただいたということでございます。
  130. 谷口隆義

    ○谷口委員 金融持ち株会社も、先ほども出ておりましたが、税制上の対応を行わないと、現実の問題、なかなかこれは法律をつくっても進まないというような問題がございます。それで、これも先ほど出ておりましたが、連結納税について、現在、OECD加盟国二十九カ国の中で、十八カ国で導入されておるというように聞いておるわけでございます。  これは過去に、私も大蔵委員会でこの問題について質問したことがございまして、NTTの分離分割に伴う租税上の特例と申しますか、これがございまして、内容を見ますと、資産譲渡益非課税、不動産移転登記非課税、設立登記非課税、また特定費用負担金制度、これは要するに自主的に三年間損益通算ができるというような制度のようでございますが、そういうことで、NTTの分離分割のときにこれを入れたわけでございます。  今回、この金融持ち株制度において、税収の減収の問題も当然考えなければいけないことであるとは思いますが、企業全体の活性化の問題等もまた考えていかなければいけないというように思うわけでございます。  主税局長、この連結納税についてもう一度御答弁をお願いいたしたいと思います。
  131. 薄井信明

    ○薄井政府委員 ただいま御指摘いただきましたNTTの際の特例でございますが、確かにその際税制上の措置を講じておりますが、これは、国の政策によりまして、いわば強制的に持ち株会社であるNTTを再編成するという固有の事情に基づくものでございました。それと今回とは背景が異なると考えております。  ただ、一般論として申し上げたときに、いわゆる連結納税制度をどう考えるかという問題と、それから持ち株会社といいますか、金融持ち株会社に関する法案が出ているわけですが、これに伴って設立の際の税制をどうするか、こういう二つの問題に分解されるのかと思います。私ども、金融持ち株会社の設立に伴う税制上の措置につきましては、幾つか検討すべき点がございます。そういった点を踏まえまして、平成十年度の税制改正作業の中で検討してまいりたいと考えております。  ただ、連結納税制度につきましては、そもそも法人税の基本原則である、企業集団全体に対して負担を求めるかどうかという議論になりますので、この点については、委員が御指摘のような点あるいは日本企業経営の一般的な実態、そんなことを踏まえまして、慎重な検討を続けていくべき課題であると認識しております。
  132. 谷口隆義

    ○谷口委員 もう一つ、税制上の対応についてお聞きしたいのですが、資産譲渡益課税というのがございます。新設の子会社に対して営業移転を行う場合に、特定現物出資等に土地等が含まれる場合の圧縮記帳の問題がございまして、これが現在課税繰り延べ割合が八〇%というようになっておるわけでございますが、この結果、親会社から子会社へ土地を持っていく際にリースをせざるを得ないような状況になっておるというようなことがございます。これを現行八〇%を一〇〇%にするというようなことはお考えなのか、主税局長、ちょっと御答弁をお願いいたしたいと思います。
  133. 薄井信明

    ○薄井政府委員 ただいまの御質問は、土地などの資産を現物出資して子会社を設立する場合に生じます譲渡益の課税のあり方についての御質問であります。  現在、組織形態の変更の観点だけでなくて、幅広く課税ベースの見直しをしております。そういった中で、含み益課税のあり方の観点とか、それから資産の含み益を保有する企業とそういう含み益を保有しない企業との間の課税の公平の観点も踏まえまして議論はしたいと思っております。
  134. 谷口隆義

    ○谷口委員 わかりました。  そろそろ時間が参りましたので、最後の質問としたいと思います。  これは冒頭お聞きしなければいかぬことを、ちょっと失念いたしておりまして、お聞きしたいと思います。  今回のこの金融持ち株会社というのは、ビッグバン関連で、ビッグバンを行う、グローバルスタンダードに照準を合わせるということは、現下の我が国の企業状況を見てまいりますと、株式の持ち合い制度があります。一つは、この株式の持ち合い制度が株主総会を形骸化しておる、このように言われるわけでございまして、この持ち合いを解消する方向に進めておるのがこのビッグバンである、このように認識いたしておるところでございます。一方、今回の金融持ち株会社は、逆に資本を集中させようというような観点で行われておるところでございます。このあたりの整合性について、御答弁をお願いいたしたいというように思います。
  135. 山口公生

    山口政府委員 確かに先生おっしゃいますように、株式を相互に持ち合いをしてきたということが、ある意味では日本経済の特色であり、またそれが、いろいろ問題にはされておりますが、別の面では企業の安定的な発展に寄与したという面もあるわけでございます。しかし、現象として、持ち合っても余り意味がないというものが少しずつ解消されているということも、証券市場の観点からいうと、望ましい動きとも言えるわけでございます。  こうした動きが徐々に進んできているということは、新しい経済の方に少しずつ移行してくるということだろうと思いますが、ただ、それはあくまで各企業の判断でございますし、安定株主工作というのが一方で行われるとかいう現象もありますし、それは徐々に徐々にの変化ではないかという感じもいたします。  一方、この持ち株制度といいますのは、例えば子会社で持っておるものを兄弟の会社にしていくとかということが主でございまして、例えば銀行持ち株会社で申し上げましても、一般産業までどんどん傘下におさめるという仕組みはつくっておりません。金融界という、金融業の中でのシナジー効果を発揮させながら、リスク管理あるいはリスク遮断ということをきっちりするという経営手法でございますので、必ずしもそこのところは矛盾するものではないというふうに考えるわけでございます。
  136. 谷口隆義

    ○谷口委員 それでは、時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。
  137. 村田吉隆

    ○村田(吉)委員長代理 次に、海江田万里君。
  138. 海江田万里

    ○海江田委員 本日、本会議におきまして、三塚大蔵大臣の不信任案が否決をされました。三塚大蔵大臣はひな壇に座っておられて弁明の機会もなかったわけでございますが、私は、三塚大蔵大臣に対する不信任の声というのは野党が党利党略で出したものではありませんで、やはり国民の間にそういう声が大きくあるというふうに考えております。きょう、本会議で不信任案は否決されたわけでございますが、株価はきょうも大きく先週末を割り込みまして、八百五十四円安ですか、再び一万五千円台に戻ってしまったということでございます。  三塚大蔵大臣、不信任案が否決された感想を、この間の山一証券の問題、それからもちろん三洋証券の問題、北海道拓殖銀行の問題等これあり、昨日、一昨日、私どもはテレビで三塚大蔵大臣のコメントというものは聞いているわけでございますが、やはりいま一つ肉声というものが伝わってこないという感じがいたしますので、率直に、否決をされたところでございますが、その否決を受けて一言、御感想をいただきたいと思います。
  139. 三塚博

    三塚国務大臣 院の決議が行われたわけでありますから、私はそれをしっかりと受けとめてまいるということであります。
  140. 海江田万里

    ○海江田委員 多数決で否決をされたわけでございますが、大蔵大臣の不信任ということが本会議の議題に上ったということはやはりしっかりと受けとめておいていただきたいと思います。  それで、山一破綻につきまして、まず幾つかお尋ねをしますが、実は今回のこの山一破綻の問題は、私はかなり根深い問題を内包しているのではないだろうかと思います。この一つの破綻が簿外債務ということであるわけでございますが、その簿外債務の具体的な手口になりましたのが、いわゆる飛ばしと言われております大変不正常な取引の形態でございます。  この飛ばしということ自体は一九八〇年代からあったわけでございますが、私は、飛ばしが大変巧妙になる、あるいは飛ばしがかなり活性化をされる背景に、一九九一年七月八日付の証券局長の通達第一一三五号、これは御案内のように九一年というのは平成三年でございまして、この年の六月に例の損失補てんがございました。この証券会社の損失補てんの温床になっておりましたのが、これはこの証券局長の通達の文章の引用でございますけれども、「さしあたり、いわゆる損失補填の温床となりがちな取引一任的な勘定における取引の取扱いについて、下記のとおり通達する」ということで、いわゆる営業特金と申しますけれども、この営業特金をやめるようにということを顧客に対して働きかけをするようにということで、この通達を出しているわけでございます。その通達の日付が七月八日付でございます。通達の発出先は、日本証券業協会会長あてでございます。  この通達が出されたことによりまして、いわゆる営業特金というものができなくなったわけでございます。この営業特金というのは、例えば一事業法人当たり数千億というような非常に大きなボリュームのある取引であったわけでございますから、一片の通達を出して、それですぐにこの営業特金というものがなくなるわけではないわけでございますから、この通達を出した後、これまで営業特金と言われていた取引がどういうふうになつたかということを、当然のことながら証券局はフォローしていなければいけないわけでございますが、どのようなフォローをしていたのかということをお尋ねしたいと思います。
  141. 長野厖士

    ○長野政府委員 営業特金の廃止は、平成元年の十二月に一部の証券会社の損失補てん問題がございまして、補てんの自粛とともに営業特金の原則廃止ということが行われました。その後、平成三年の夏にいわゆる証券不祥事がございまして、損失補てんといったものが幅広く話題となりまして、それを契機に証取法を改正しまして損失補てんを禁止しますとともに、その段階で飛ばし取引についても通達で禁止することになりました。  このような一連の措置につきましてどういう措置をとってきたかということでございますけれども、それぞれこういった諸措置に応じ、検査の機会があるごとに、そういった内容につきましてはチェックしてきておったということでございます。
  142. 海江田万里

    ○海江田委員 もう少し大きな声で御答弁をお願いしたいと思います。株式市場だけではなくて、証券局長が元気をなくす必要はないわけでございますから。毎日の心労はお察しを申し上げますが。  それから同時に、やはり中身をもう少ししっかりとお話しをいただきたいわけでございますが、この取引一任勘定については原則廃止でございますけれども、幾つかのケースについては、今後も引き続いて継続をしてよろしいということを決めておるわけでございます。それらの報告がきちっと出ているのかどうなのか、これはいかがでしょうか。
  143. 長野厖士

    ○長野政府委員 取引一任勘定の禁止は当然ながら検査対象の項目になっておりまして、その違反行為等が指摘されることは、時折確かめております。
  144. 海江田万里

    ○海江田委員 先ほどもお話をしましたけれども、とにかく一社当たり数千億円というような単位で証券会社とつき合いをしておって、そしてそれがいわゆる取引一任勘定というように何でも全部任せてしまうということは禁止をされたわけでございますけれども、ただ、やはり幾つか抜け道がございまして、この幾つかのケースではそれに類するような行為が引き続き行われていたということがあると私は思うのですね。しかも、それに利用されるのが、先ほど冒頭にお話をしましたいわゆる飛ばしと言われる行為であるということでございますが、この飛ばしということが、そもそも大蔵省は飛ばし行為自体が違法なことだというような認識を持っておられるのかどうなのかということを、念のためお答えいただきたいと思います。
  145. 堀田隆夫

    ○堀田政府委員 飛ばしは、含み損を抱えた有価証券を決算期の異なる企業に転売する、証券会社が仲介するということでございます。個々の事実関係によると思いますけれども、証券会社のそうしたサービスが通常の社会通念上のサービスを逸脱するようなものであれば、証取法上の「特別の利益を提供することを約して勧誘する行為」という、これは省令違反になりますけれども、法令違反になる。さらに、勧誘する段階で、損失等が発生した場合にはそれを補てんする、そのために利益を提供するという約束等をしたとすれば、それはいわゆる利回り保証ということになりまして、これは証取法違反になります。そういう法令違反の可能性を含めているということでございます。
  146. 海江田万里

    ○海江田委員 それではお尋ねをしますが、そういう法律違反につながらない飛ばしというものは本来的にあるものなのでしょうか、どうなのでしょうか。
  147. 堀田隆夫

    ○堀田政府委員 結局、飛ばすといいますか転売をする段階での取引の価格と、例えば時価がどの程度食い違うのかというようなことで、それが相当違う場合には特別の利益提供に当たるというようなことになってくると思います。
  148. 海江田万里

    ○海江田委員 今のお答えも聞こえにくいのですね。クリントン大統領も少し耳が遠くなったようで、私も同じ世代ですから耳が遠くなったのかもしれないけれども、もうちょっとはっきりおっしゃっていただいて結構です。もう一度同じことをもっとはっきりおっしゃってください。
  149. 堀田隆夫

    ○堀田政府委員 顧客間で有価証券が転売されていくわけです。それにつきまして証券会社の役職員が仲介をするというのが普通のケースでございます。つまり、その場合の含み損がどの程度あるのか、それは結局その有価証券を転売するときの売買価格とそれから時価との差というようなことになりますが、その辺などで乖離が著しいというようなことになりますれば、それは特別の利益提供行為ということになると思います。
  150. 海江田万里

    ○海江田委員 私はそもそも法律違反にならない飛ばしがあるのかということをお尋ねをしたわけでございまして、もちろんその法律違反の中身が証券取引法でありますとか、あるいはこれは場合によっては粉飾決算ということもありますから商法の違反でありますとか、そういう中身について分かれていく可能性があるのですけれども、全くそれらに、法律に触れない飛ばし行為というものがそもそもあるのかどうなのか、私は大変疑問ですね。私はむしろないというふうに断言をしてしまった方がいいのではないだろうか。大蔵省がそういうような飛ばしについてわけのわからない立場をとっているということが、実は飛ばしを野放しにすることにつながるのではないですか。いかがですか。
  151. 堀田隆夫

    ○堀田政府委員 証券監視委員会が発足いたしまして、過去二回、飛ばしにつきまして、特別の利益提供に当たるということで大蔵大臣に対して勧告をするということをしておりますけれども、いわゆる典型的な飛ばしということになりますれば、それはそうした特別の利益提供に当たる可能性が強いというふうに思います。
  152. 海江田万里

    ○海江田委員 やはり飛ばしはおかしいのですね、正直に申し上げまして。私が先ほどお話をした営業特金、取引一任勘定取引が廃止をされたというところから、そういう意味ではまさに飛ばしはもともとおかしいわけでございますけれども、そのおかしい飛ばしの違法性というものが非常に濃厚になってきたという認識を私は持っておるのですが、証券局長、いかがでしょうか。
  153. 長野厖士

    ○長野政府委員 飛ばしという言葉をどういうふうに定義するかということであろうかと思います。有価証券を顧客間で転々と売却していく、それはある意味では先生の、法律に当たりそうもない、そういう有価証券の転売の仲介は飛ばしとは言わないと言えば飛ばしてはないということになりますので、そこのところはちょっと定義の問題になろうかと思います。  今現実に問題になっておりますのは、しかし飛ばしはすべて問題であろうとおっしゃっておられるのは、現実市場価格と取引上仕組まれた価格に大きな乖離がある。その大きな乖離を持った売買をするのはなぜであるかと言えば、原因はともかくとして、一たん何らかの損失が会社に発生した、しかしそれは顕在化させたくない、したがって含み損を抱えた有価証券に組みかえることによって、しかも相手方が決算期が異なるので、期末評価ということが起こらないような形で、出して引いて出して引いてもございますし、出したままに動かす場合もございますけれども、そういった取引をする。そのことの中には、そもそもそういった隠さざるを得ない損失が発生した行為は何だったのであるか、そしてその損失を隠すようにすることになったのは何であるか、それから実勢価格と乖離した債券の売買というのがおよそ証券会社の行為として適正なのか、あるいはそういったものが企業会計上決算期を飛ばしておるということをどういうふうに認識するか等々の問題がある。その意味では飛ばしは問題があるのではないかとお尋ねでありますれば、そこまで全部ひっくるめた可能性まで含めて問題があるとお答え申し上げさせていただきたいと思います。
  154. 海江田万里

    ○海江田委員 飛ばしの問題で、この山一証券の問題の一番直近でやはり大きな問題になりましたのが、これは一部の新聞、産経新聞でございますけれども、これが報道をしました、これはまさに山一証券が絡んでいるわけでございますけれども、東急百貨店との間で飛ばしがあったのではないだろうか。実際にそれが起こりましたのは、若干古い時期でございますけれども、平成四年までの四年半にわたって二十四社の株ですか債券ですか、飛ばしをやっていたということがあるわけでございますね。そのことは新聞報道もあったということで、これは証券取引等監視委員会が乗り出して調査をしているわけでございますが、これは全く違法行為がないということで問題にしなかったわけでございますか。
  155. 堀田隆夫

    ○堀田政府委員 今先生のおっしゃいました報道はことしの五月、六月時点で行われておりますけれども、その報道に接しまして、私どもは当時山一証券に対しまして犯則調査も実施しておりましたが、この問題について厳正な社内調査をしてその結果を私どもに報告するようにと、私どもの報告徴取権に基づいてそういう指示をいたしたところでございます。  話が何回かございましたけれども、そういった経緯を踏まえて、過日十一月十七日に山一証券の社長から多額に上る簿外債務があったというふうに報告があったというふうに認識をしております。  この問題は、本日からまた特別検査に山一証券に官房の金融検査部と同時に入りましたので、その中で事実関係を解明いたしまして、証券取引法に違反する行為があったのかどうかということをよく念査をしていきたいと思っております。
  156. 海江田万里

    ○海江田委員 今のお話ですと、六月にこの問題があって、それから調査に入っていて、そして十七日にこの簿外債務の問題が出てきたということでございますから、一連のものとしてとらえていいわけでございますね。それを御返答ください。
  157. 堀田隆夫

    ○堀田政府委員 ただいま受けております山一証券からの報告におきましては、その簿外債務の存在は、幾らあるという報告は受けておりますけれども、その発生経緯についてはなお調査が十分行き届いていないということでございまして、そこは引き続き詳細な調査をするようにという指示もしているところでございます。したがって、先生が御指摘の案件がこの簿外債務にどのような形でつながっているのかということは、今の段階では断定できないということでございます。
  158. 海江田万里

    ○海江田委員 もう少し詳しくお話をいただきたいのですが、六月ごろそういう新聞報道があって、そして証券取引等監視委員会は、当然のことながら、これは山一証券に対して聞き取りを行ったということでございますね。そして、その聞き取りを行う過程の中からこの簿外債務の話が出てきたということですか。もう聞き取り等はずっと断続的にこの十一月まで行われていたのですか。途中夏もございますけれども、何回ぐらい聞き取りをやって、それから、例えばこれは東急が大変いろいろな資料を持っておるわけでございますが、東急側の調査等も行ったのかどうなのか。わかっておる範囲で構いませんから、何回ぐらいやって、時間的にどういう段取りでこの十一月十七日というところを迎えるに至ったのか、そこのところをもう少し詳しく教えてください。
  159. 堀田隆夫

    ○堀田政府委員 先ほど申し上げましたように、六月時点で報道等がございましたので、山一証券に対しまして社内調査を命じております。次にはっきりしたアクションがございましたのは、十一月十七日の社長の報告ということでございました。  その間において、私どもは片っ方で犯則調査を行い、あるいは内部管理体制の問題について検査等を行っておりまして、その傍ら、社内調査を早く取りまとめるようにということで繰り返し指示をしたというのが実態でございます。
  160. 海江田万里

    ○海江田委員 じゃ、この飛ばし、東急の問題から入っていって、ある程度、当然のことながら、それの処理をどうしているのかという話になってまいりますね。簿外の債務というようなことに証券取引等監視委員会が気がつかれたのは、金額とかなんとかは別にして、これはどうも簿外で処理をしているようだよということにお気づきになったのは、いつごろですか。
  161. 堀田隆夫

    ○堀田政府委員 いわゆる飛ばし取引というものは、一般的に言いまして簿外で行われるのが通例でございますので、飛ばし取引という報道があるからには、実際にそういうことが行われているのであれば、どこかの時点で簿外に飛び出して、簿外の取引が行われているんだろうなという推測はいたしておりましたけれども、さっき申し上げましたように、その百貨店の件と簿外債務の問題を具体的に結びつけるというところまで私ども行っておりません。これからの検査の問題でございます。
  162. 海江田万里

    ○海江田委員 あともう一つ、東急百貨店に対する調査等は行ったわけですか。
  163. 堀田隆夫

    ○堀田政府委員 先ほど申し上げましたが、私どもの持っております報告徴取権に基づいてこの報告を求めたということでございますけれども、まずは証券会社の中における社内調査を指示したということでございます。
  164. 海江田万里

    ○海江田委員 やっていないと受け取っていいわけですね、これは。
  165. 堀田隆夫

    ○堀田政府委員 個別の問題について、個別の事案の中身について申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、今まで申し上げていることからおわかりのように、私どもは、まずは証券会社の社内調査を取りまとめるようにということを指示したということでございます。
  166. 海江田万里

    ○海江田委員 個別の中身については差し控えるということをおっしゃっていますけれども、これは個別の問題ではありますけれども、全然守秘義務等とかの話じゃないわけですよ。調査をしたのかどうなのかということで、これはいろいろな形で情報提供があったわけでございますから、そしてまた東急百貨店の方の役員等は、いろいろなことで外部に対して、新聞等に発言もしているわけですよ。これは証拠はあるんだ、明らかな違法の飛ばしであるということをはっきり言っているわけですよ。  そういうことを全く聞かないでいて、どうして調査ができるのですかね。それで簿外の債務があるということにつながってきたというようなことになるのですかね。もう一度御答弁をどうぞ。
  167. 堀田隆夫

    ○堀田政府委員 先ほどから申し上げておりますけれども、簿外債務のかなりの部分がいわゆる飛ばし取引によるというふうに今、会社も発表しておりますけれども、その具体的な中身について、簿外債務の発生過程でどのような証券取引法違反行為が行われたのかというのを究明するのが私どもの仕事でございますけれども、それはこれからやらせていただくことであるということでございます。
  168. 海江田万里

    ○海江田委員 この簿外債務の話につきましても、どうも大蔵省は、あるいは証券取引等監視委員会は、この事実をなるべく早く明らかにするということに対して、私は、やはり随分怠っておるのではないだろうか。  例えば、十七日に野沢社長ですか、これが証券取引委員会に行って、そして簿外債務はこれこれの金額があるということを言ったわけですけれども、そのときなぜすぐに公表をしなかったのですか。あるいは、そのときこの野沢社長に対して、事務局長がお会いになったのですか、どういうふうに言いましたか。
  169. 堀田隆夫

    ○堀田政府委員 社長が証券監視委員会にお見えになりまして、私はお会いしておりませんけれども、担当者がお会いしてお話を承ったということでございますけれども、野沢社長のお話は、多額の簿外債務があるというお話でございました。二千億円を超える多額の簿外債務がある。ただ、その発生の経緯、あるいはその過程で何らかの法令に違反する行為があったのかどうかというのはまだよくわからないという御説明がございました。  それに対しまして私どもの方からは、さらにそこを含めて、その金額の確定の問題もございますけれども、きちっと詳細な調査をして改めて報告するようにという指示をしたというのがそのときのやりとりでございます。
  170. 海江田万里

    ○海江田委員 それで、十七日以降改めて報告はあったのですか。いつあったのですか。
  171. 堀田隆夫

    ○堀田政府委員 それは一応大蔵省に対する報告と同じ日でございますけれども、十一月二十四日に簿外債務が約二千六百億円に上るという報告を受けたということでございます。     〔村田(吉)委員長代理退席、委員長着席〕
  172. 海江田万里

    ○海江田委員 二千億を超えるというところが二十四日に二千六百億という形で金額が確定をしたということでございますが、二十二日にまさに証券局長が記者会見をやってこの事実を発表しているわけですよね。この間五日間ですけれども、二千億円を超えるということは別に二千六百億円と矛盾はしないわけでございますから、その間何か本当にわかったことがあるのですか。時間稼ぎじゃないのですか。  それからもう一つ確認ですけれども、きのうの記者会見で、記者の、簿外債務を報告したとき大蔵省は情報公開しろと言わなかったのかという問いに対して、野沢社長は、ありませんでしたと。情報公開をしろという大蔵省のサジェスチョンはなかったということを言っているわけですけれども、これはそのとおりだと受け取って構わないわけですね。
  173. 長野厖士

    ○長野政府委員 タイムリーディスクロージャーを慫慂いたしますのは私の立場でございますから、御報告申し上げます。  十七日に報告を受けました。しかし、大変複雑な取引のようでございまして、その取引の実態を聞き取るのに、私どもの職員も若干の日にちがかかってはおりました。しかし、御指摘のとおり、重要な事実がございました場合にはタイムリーディスクロージャーというのが課題でございます。このタイムリーというのはどの範囲かといえば、投資家がきちんと判断できる程度に情報が正確になっておる段階でできるだけ早くということでございます。  私は、海外のいろいろな事例等、従来からこの問題に対していささか敏感にさせていただいておりましたので、例えば大和銀行事件は、いろいろな途中の経緯はございますけれども、非公式にされているかはわかりませんけれども、正式にニューヨーク連銀に入ってから、ニューヨーク連銀が大和銀行に公式にディスクロージャーさせるまでの期間といったもの、これは市場取引への影響等々を考えて寝せておりますけれども、その期間といったものを考えまして、それを超えることは私としては適切ではあるまいという認識は持っておりました。そこで、できるだけ早く実態を解明してディスクローズしてもらいたいということを申し上げましたし、先方の社長との間でも、私はタイムリーディスクロージャーの問題があるということは明瞭に申し上げております。  その上で、二十二日の段階で私自身の口から、会社が発表される最終的な計数がどうなるかは確認をしておりませんでしたので、二千億を超えるという数字にさせていただきましたけれども、それだけの事実を私自身から発表させていただきました。
  174. 海江田万里

    ○海江田委員 十七日に山一証券の社長から証券取引等監視委員会が話を聞いて、そして二十二日、この間五日あるわけですけれども、これはもう五日でやむを得なかったんだという話でございますか。もうそれ以上短縮することはできなかったという認識ですか。
  175. 長野厖士

    ○長野政府委員 率直に申し上げまして、取引の形態というのを追いかけてまいりますと、現在の段階でも、今会社がディスクローズしている取引の実態につきまして私自身がどこまで理解し得ているかという点につきましては、自信が一〇〇%あるわけではございません。  そのような制約の中で、しかし、それを開示すべしとして判断せざるを得ない状況でございますので、五日間の作業の中で、ぎりぎりどうやらこの段階では開示すべきであるし、連休が三日続きまして、本日になりますと十七日から八日目ということに相なります。八日目といいますのは、先ほど申しましたニューヨーク連銀が開示されたタイムリミットと同じ日にちでありますから、きょうまでは待てないというのが私の判断でございました。
  176. 海江田万里

    ○海江田委員 取引の実態を把握ということでお話がありますけれども、実際は、例えば取引の実態についてはほとんどまだ明らかになっていない部分があるのですね。むしろ記者会見などで、先ほども引用しましたけれども、野沢社長などが記者に突っ込まれてようやく重い口を開くということが幾つかあるわけですね。  例えばこの簿外債務の中身でございますけれども、これは二千六百億円だということでございますけれども、この二千六百億円の中身につきましても、海外と国内とに分かれているということで、例えば海外の場合、どういう取引で生まれたのか。  オーストラリアの現地法人を使った外債の取引がある。そこに売却したが、山一が現先取引で買い戻すことになっており、そこで損失が出たというような話が出ているということでございますが、大蔵省からはそういうような具体的な話が全く出てきていないわけでございますね。  しかも、先ほども若干議論がございましたけれども、この海外のオーストラリアの取引についていえば、これはまさに特定金銭信託の口座を利用しているわけですね。二千億円ですか、これは。しかも、その時点というのは、これはもう有価証券報告書を見ればすぐわかるわけでございます。これが平成四年の三月末、第五十二期でありますけれども、特定金銭信託の金額が二千四百三十九億六千二百万円となっておりまして、その前の平成三年三月末は特定金銭信託が七百四十四億一千八百万円ということで、およそ二千億からの金額がここで急激にふえているわけですね。  こういうのを見ていれば、だれが考えたって特定金銭信託がふえているなということと、それから先ほどの、これは山一の側がそういう意味では白状したわけですけれども、オーストラリアの現地法人を使ってそういう取引をやった、それで資金の手当てというものはその特定金銭信託のところから手当てをしたということで、ほぼ構造は明らかになってきているわけですね。  山一は、当然そういう話というのは大蔵省にもしているわけでしょう。聞いているわけでしょう、この手口というか、どういうやり方で簿外のこの債務を膨らましたのかということは。そういう事実は確認しているのですか。
  177. 堀田隆夫

    ○堀田政府委員 具体的にどういう取引が行われていたのかということにつきまして会社側からある程度の説明は聞いておりますが、ただ、私ども、大変複雑な取引で、聞いただけでもよくわからない、いろいろなわからないところがあるということでございます。その辺はこれからの検査の中で解明していきたいと思います。
  178. 海江田万里

    ○海江田委員 いやしくも証券取引等監視委員会の事務局長でございますから、私なんかは、私といわずにここの委員もそうだろうと思いますけれども、新聞報道を見る限りでも大きな構造というのはわかるのですよ。その大きな構造を理解するぐらいは当然のことながらできるはずで、しかも、この処理に当たって、わかったところを適時適切に情報公開をしていくということは何ら差しさわりのあることでも何でもない。むしろそういう処理に資するものだと思うわけでございます。  オーストラリアの現地法人を使ったこの外債購入を通して海外債務が一千六十五億円ということですけれども、山一は当然のことながら欧州にも現地法人を持っていますよね。この欧州の現地法人を使った簿外債務というものはないのですか、あるのですか。聞いたことがありますか、そういうことを。
  179. 堀田隆夫

    ○堀田政府委員 今の段階では全然聞いておりません。
  180. 海江田万里

    ○海江田委員 聞いていないというのは、質問をしたけれどもないという返事が返ってきたのですか、それとも質問自体をしていないのですか。
  181. 堀田隆夫

    ○堀田政府委員 会社側の説明を受けたということでございますけれども、私どもの立場としては、やはりそれを実際に臨検等いたしまして検査をして確認をして、それからその事実関係を私どもなりに明らかにしたい、立場上そうしたいと思っているところでございます。
  182. 海江田万里

    ○海江田委員 今聞いていないとおっしゃったわけですから、聞いていないということは、質問をしたけれどもそういう答えが返ってこなかった、そういう答えというのは欧州でもあるかもしれませんという答えが返ってこなかったのか、それとも質問自体発しなかったかのどちらかじゃないですか、これは。  さっき、聞いていないということをおっしゃいましたよね、私の質問に対して。その聞いていないということはどういう意味なんですか、二つにとれますので。そのどちらかしかないと思うのですよ。だから、そのどちらかでお答えください。
  183. 堀田隆夫

    ○堀田政府委員 実際に私はやりとりに加わっていないのであれでございますけれども、恐らく、実際問題、会社側が今海外の現法を使った取引として説明をしておりますのはそのオーストラリア現法だけでございますから、その話を聞いてそれ以外にあるのかどうかということを聞いたかどうかちょっとわかりませんけれども、それはいずれにしてもこれから検査で明らかにする問題であるというふうに考えております。
  184. 海江田万里

    ○海江田委員 委員長、少し注意してくださいよ。何のために私たちはこうやって時間を使って、大蔵大臣もそれから日銀総裁もこの委員会に来ておるんですか。新聞報道にあること以外に一歩も踏み出さないじゃないですか。みんな新聞報道を見て、そうなのかということをわかるしかないじゃないですか。この委員会は何のためにあるんですか。少しでも前向きな情報を提供して、そしてこれからいろいろな議論をやらなければいけない話じゃないですか。  海外の債務と帳簿外の債務というのが一千六十五億円ぽっきりかどうかということは、この後いろいろな問題が出てくるのですよ。この簿外債務がもっと膨らんでいけば、それこそトータルでもって債務超過に陥る可能性だってあるんですよ。そうしたら、日銀総裁が先ほど来お答えをしておるようなことがどういうことになるのかとか、いろいろな問題が出てくるわけですよ。どうしてそれが言えないのですか。何のために来ているのですか。答えてください。
  185. 長野厖士

    ○長野政府委員 私がお答えした部分と事務局長がお答えしている部分と若干次元が違うことがありますので、御説明させていただきたいと思います。  タイムリーディスクロージャーという観点では、先ほど私が記者会見で話したと申しましたけれども、法律上は、会社が臨時報告書を出して、私どもが受け取る立場でございます。会社自身の開示義務の話につきましてでございます。会社の事実上の開示というものを、そういった事由が発生しておるらしいという状況を私どもが把握してから会社に勧め、実際に開示させるまでの件につきまして先ほど申し上げました。  しかし、私どもが把握してから会社が発表するまでの期間というものが、それでは会社の開示として適正な期間であったかという保証はございません。会社自身が私どもに報告する前にいつの時点でこの事象を認識しておったか、それと本日の臨時報告書との間の開きにディスクロージャー上の問題はないのかという問題が残っております。  その上で、また、本日臨時報告書が提出されました。それに計数が補正されております、九月中間期の決算。その計数が正しい表示であるのか、それともまだそこに問題があるのかは、本日入りました検査によってさらに検査されるというこれからの手続があるということでございます。
  186. 海江田万里

    ○海江田委員 その本日報告があった話など、別に局長の話を聞かなくても、きょうの夕刊かあしたの朝刊を見れば出る話ですよ。  そんなことを聞きたいのではなくて、私が今、これは特に海外の債務が一千六十五億円とあるけれども、ここで話が出ているのは、まさにオーストラリアの現地法人が抱えております債務がそれだけの話ですよということで、一千六十五億がオーストラリア・シドニーの現地法人による外債購入を通じて出た損ですよという話になっているから、山一は、オーストラリアなどというのはむしろ気がつかない方で、ヨーロッパにもたくさんあるわけですよ。それらがどうなっておるのかということを聞いているわけですよ。それを調べたのかということを聞いているわけですよ。どうしてそれが言えないのですか。調べたけれどももうないという答えが返ってきたのなら、それはそれでいいですよ。安心しますよ、これは。だけれども、調べてもいないのだったら大変な問題ですよ。どうですか。
  187. 堀田隆夫

    ○堀田政府委員 今の時点で、ほかの山一の現地法人がかんでいる取引がある、あるいは抱えている簿外債務があるということは、私どもつかんでおりません。それはこれから検査の中で解明していきたいと思っております。
  188. 海江田万里

    ○海江田委員 これは山一の関係者が、いやシドニーだけではないんだ、ヨーロッパでもその種の取引はあるんだということを発言しているわけですよ。だから、当然のことながら、これはもっと海外の債務が膨らむんだということを言っているわけですよ。そんなことも全然聞いたことないですか。直ちに調べていただいた方がいいですね。  そして、やはり国会に出てくるからには、きちっと聞かれたことに正しく答えるとか、できるだけ一番新しい情報といいますか、そこを開示すべきだと思うのです。全くこれは何にも話が進まない、新聞報道以外に話が進まないというのは、何のためにいるのか、何のために貴重な時間を使ってみんなでこうやって議論しているのか。あるいはその議論の前提になるものがもう崩れてしまいますので、ぜひそれはよろしくお願いをしたいと思います。  それから、日銀総裁、先ほどから大変お待たせをしておりますが、山一が債務超過になっておるかどうかということは、実は日銀特融と非常に大きな絡みがあるということでございますが、せんだって、一昨日ですか政策委員会をやって、その政策委員会の中で山一に対する特融で随分議論が紛糾をしたというふうに、これも新聞報道を通して聞いているわけでございます。  その論点の一つは、確かに債務超過であるかどうかということが一つの論点だろうと思いますけれども、もう一つ、私はやはり山一に対する特融というのは、それこそ昭和四十年代の証券不況のときの特融というものがありますが、あのときとは全然事情が違うわけでございますから、やはりこれは拓銀などの金融機関銀行破綻に伴う特別融資とは大きく事情が違うと思うのですね。とりわけ証券会社で、これは決済ネットに入っていないわけでございますから、そこの議論がどういうふうに、どんな議論が出て、どういうふうに結論を得たのかということをお話しいただけませんか。     〔委員長退席、井奥委員長代理着席〕
  189. 松下康雄

    松下参考人 私の立場から、政策委員会の御議論の内容につきましては、今後これは内容を公開してまいるということで現在準備中でございますけれども、今の段階はまだその実行の前の段階でございますので、余り具体的なことを申し上げるのはいかがかと思いますけれども、確かに御指摘のように、この山一証券に対します日銀の特融の実施につきましては、これは非常に異例な形の融資でございますから、いろいろとその効果、目的その他につきまして御議論がございました。  ただ、今の債務超過の点につきましては、むしろ、私どもの方から議案を御説明をする段階におきまして、現状、山一証券は基本的には資産超過の状態でございますから、同社がこれから廃業、解散に向けて資産処分を進めていく中で返済財源が確保される仕組みになっておりますということを実は申し上げまして、それで御了解をいただいたというふうに思っているところでございます。
  190. 海江田万里

    ○海江田委員 証券会社は銀行と違うということについての御議論、お考え、これをお聞かせください。
  191. 松下康雄

    松下参考人 私どもかねて申し上げておりますけれども、証券会社の場合には、これはいわゆる資金決済の機能を持っておりませんので、そういう意味では、仮に破綻が起こったといたしましても、いわゆる金融システムに対するシステム上のリスクを生じるということは通常は考えられないところでございます。そういった点から申しまして、普通の場合でございましたらば、証券会社の破綻に際しまして日銀法二十五条の適用による融資を行うという例はまずないのではないかというように申し上げてきたところでございます。  ただ、この山一証券の場合におきましては、一つには、現状、我が国の金融システムにおきましていろいろの破綻の事案がございますとか、そういういろいろの情勢から、金融システムの安定に対する内外の関心が現在非常に高まっているところでございます。  また、もう一つ、山一証券自体について見ますというと、これは規模の大きな証券会社でございまして、非常に幅の広い各種の証券関連取引をやっておりますし、またその顧客の数も非常にたくさんに達しております。また営業活動の範囲も、国内のみならず広く諸外国の資本市場金融市場においても営業いたしておりますので、仮にこれが破綻をする場合には、金融市場、資本市場に及ぼす影響というのは、場合によりまして、これは国際的にも非常に大きなものになる懸念がございます。  そういった点から見まして、私どもは、我が国の金融システムの安定を確保する、システミックリスクを排除するという点から申しましても、やはりこの件につきましては、二十五条の融資を実行することによりまして、自主廃業、清算の過程が滞りなく進んで、金融市場や資本市場に不安、動揺を与えることがないようにいたさなければならないというふうに判断をしたわけでございます。
  192. 海江田万里

    ○海江田委員 総裁談話がありまして、これを読ませていただきましたけれども、おっしゃるように、かなり苦渋に満ちた決断になっておるなと私は理解をしておるのですね。あるいはこれを臨時特例の措置とするということで、これを今後の例にしないよというような意味合いが込められているのだろうと思います。  これは、実際に政策委員会でそういう話になったかどうかということはわからないわけでございますけれども、やはり議論が百出をしまして、特にこの特融を発動するかどうか、特融を実行するかどうかというところでいろいろな意見がある場合、普通、物事の話し合いの席では、例えばこういう条件が整えば特融を発動してもいいんじゃないだろうか、こういう条件が整えばそういうことに踏み切ってもいいんじゃないかというようなことで、ある種の条件あるいはある種の前提を置いて結論を出すことが間々あるわけでございますね。  それで、私はどうもこの間の動きというものを見ておりまして、先ほど証券局長も、寄託証券補償基金の法制化ということに大変力強く、そこだけ声が大きくなってお話をしておったようでございます。あるいは日銀総裁もそこのところは力を入れておって、不思議なことに平仄が合っておるわけでございますが、この寄託証券補償基金の法制化ということについて、これは政策委員会で話が出たのかどうか、本当はそれをありていに言っていただけると一番いいんですが、それが言えない場合でも、この寄託証券補償基金の法制化というものは日銀としてぜひ実現をしてもらいたいものなのかどうなのかということを御答弁いただきたいと思います。
  193. 松下康雄

    松下参考人 ただいま御質問にございました、どういう場合には二十五条の日銀特融の発動ができるかという点につきましては、簡単に申し上げますが、私ども、四つの条件が考えられると申しております。  それは、第一には、金融システムに非常な安定を害するようなリスクがある場合でございます。第二は、日本銀行以外には資金の供給ができないという場合、日銀の資金供給が不可欠であるという場合でございます。第三の点は、経営者等、そういう破綻に対して責任のある者に対する責任の明確化が明らかに行われるということであります。第四番目が、中央銀行としての日本銀行の財務の健全性を妨げないという点でございます。  ただいま御指摘になりました点は、私どもといたしましては、今後このような事案が仮に出てまいりました場合に、日本銀行の財務の健全性を妨げないという点を確保いたしてまいりますためには大変有益な措置であろうと思っておりますので、さように記者会見でも申し述べた次第でございます。
  194. 海江田万里

    ○海江田委員 この寄託証券補償基金でございますが、世界的に見ましても法制化というような形になっているというのは理解しておるわけでございますが、たまたま、これはきょうですか、朝日新聞を見ておりましたら、蝋山阪大教授、この方は御案内のように証券取引審議会の総合部会の座長になっておりますが、かなり言い切りをしておりまして、「寄託証券補償基金制度の拡大には反対だ。証券会社と銀行は根本的に違う。投資家の資産が分別管理される限りシステム全体に与える影響は少なく、かえって経営者のモラルハザードを招く弊害が大きい。」というような意見もあるわけでございますね。  ですから、これはまだこれからかなり議論をしませんと、先ほど証券局長は通常国会でというようにお話しになっていましたけれども、通常国会で本当にもうその方向で突っ走るということでいいんですか、どうなんですか。
  195. 長野厖士

    ○長野政府委員 昨年十一月に総理から金融・資本市場改革の宿題をちょうだいいたしまして、御指摘の総合部会で検討が各方面にわたって行われました。蝋山先生が座長であり、そして六月十三日に、蝋山座長のもとで報告書をおまとめいただきました。それには、この制度の法制化を御提言いただきました。  ただし、蝋山座長のお気持ちをそんたくすれば、その記事が正確かどうかわかりませんですが、まず証券会社において一番大事なことは顧客資産の分別管理である、それを徹底すれば一般債権と混同される可能性が少なくなっていくので、まず最初に考えるべきはそちらであろう、これは総合部会のお考えもそうでございます。それから、しかし恐らく、総合部会の座長として蝋山先生が御提言になったわけでございますから、任意の団体としてやるのではなく、イギリスでは例えば金融サービス法の枠の中でやっておりますけれども、そういった法律上の仕組みとしてやるべきであるという考え方があろうかと思います。  その上で拡充に疑問を挟んでおられるとすれば、まあ想像で物を言っては申しわけございませんけれども、拡充という名のもとに証券市場における投資家がすべて守られる、預金保険におきますペイオフをしないで青天井で守るというような意味でこの拡充ということを考えておるのであれば、それは違うという御趣旨であろうかと思います。  そして、この総合部会の御提案では、むしろ預金保険制度に倣っていくような形で、一社当たり二十億円という考え方ではなく、一投資家当たり例えば一千万円という仕組みに変えていくべきではないかという御提言をいただいておりますので、そういったことを御報告して、その蝋山先生の記事を総合御勘案いただきたいと思います。
  196. 海江田万里

    ○海江田委員 大蔵大臣、大分お待たせをしました。公的資金の導入につきまして、これは大いに議論をしてください、国会等でも議論をしてくださいということでございまして、残された時間議論をしたいと思うんですが、大蔵大臣から、ちょっと整理してお教えいただきたいんですが、現在、これは自民党あるいは内閣と言っていいんでしょうか、公的資金の導入についてどんな議論がされているのか、どんなアイデアが出てきているのかということをちょっとわかりやすくお話ししてください。――これは大蔵大臣にお願いしているんです。大蔵大臣の理解で結構ですから、大蔵大臣にお願いをします。
  197. 三塚博

    三塚国務大臣 私は、この段階で大臣指示ということで事務方に申し上げましたのは、金融システム安定確保のため、どのような措置をとることができるか、あらゆる選択肢について点検し、さらなる政策を検討するよう指示をいたしたところであります。  党においては、御案内のとおり報道されておりますから付言はいたしません。宮澤提言、渡辺委員提言、それと保岡提言、山崎提言、そうあります。国民間の議論を要約して言いますれば、経済学者、専門家の皆様方のそれぞれの発表、紙上における提言等がございます。さらに国会、衆参において今日まで本件の論議が行われてまいりました。こういうことでございます。
  198. 海江田万里

    ○海江田委員 幾つか提言があるということをずっと、私の知らないようなのも随分お話しいただきましたが、幾つでも結構です。今六つ七つぐらいおっしゃいましたけれども、それぞれ一つずつごく手短に、理解をされている範囲で結構ですから、要約をして教えてください。お願いをします。――いやいや、委員長、だめですよ。それは、大蔵大臣がどういう理解をしておるかということですから。
  199. 三塚博

    三塚国務大臣 わかりました。そのために政府委員に正確に申し上げるように、具体的にと……。私よりわからぬかもしれぬけれども。  ここで出ておりますものを申し上げますと、日銀や民間金融機関の出資により新たな機関を創設し、金融機関が自己資本充実のために発行する優先株を新機関が購入するという案、また運用部借り入れ、一部産投会計からを原資として開銀内に金融システム安定化基金を設け優先株を引き受けさせる、さらに預金保険機構の資金が不足した場合、同機構が債券を発行し政府保証をつけた上で資金運用部が引き受ける、金融機関が発行する劣後債を指定単を初めとする郵貯等の自主運用資金で引き受ける等であります。  以上であります。
  200. 海江田万里

    ○海江田委員 ありがとうございます。  それぞれのメリット・デメリットがあると思うのですね。今四つお話をいただきましたけれども、一番初めのだとこういうところで少し問題が起きるのじゃないかとか、この点はここがすごくいいよというような中身についてお話しいただけますか。
  201. 三塚博

    三塚国務大臣 これは、海江田さんが言われましたから、詳細に説明しました。  前段申し上げましたように、あらゆる選択肢について点検をし、さらなる政策を検討するよう指示をいたしておるわけであります。その内容は、国民間において真剣な論議が行われておりますこと、国会論議において、各党代表から、また委員から議論が行われておりますね。そしてさらに、自由民主党の中において真剣な、具体的な提案をしつつ行われておりますね。これらを踏まえて真剣な点検をするように、こう申し上げておるわけであります。  国民間の議論が極めて重要ということは、住専の反省に基づき、そのようにしてまいることが政府として大事なこと、こういうことでございます。
  202. 海江田万里

    ○海江田委員 国民間の議論が大事だということは全くそのとおりだろうと思いますが、それをどこでやるのかといったら、恐らくこの場でやるのじゃないかなというふうに思うのですね。  これは確かになかなか難しい話なんですが、ある程度中身を、もう時間もありませんけれども少し議論をしたいと思いますので、さっき私が言った、四つ今大蔵大臣がお答えをいただきましたけれども、それぞれのメリット・デメリットあるいはどういう基本的な考え方に立っているのかということをもう少し、これは大蔵大臣でなくてもよろしゅうございますが、答えられる立場にある方がいらっしゃったらお答えいただきたいと思います。
  203. 三塚博

    三塚国務大臣 これは前段申し上げましたとおり、国民間の議論、そして国民の声を代表するという意味で各党の皆さんの議論、具体的にこのことにアプローチをいたしておりますのは、ただいま自由民主党、それぞれの機関であります。与党の二党からはそれなりに御提言があり、私の聞き及ぶ範囲では、論議がこれから、きのうのきようでございますから、さらに先週から党においては検討、論議が進められておりますので、そういうことで与党三党協議も行われるのかな、こういう段階であります。
  204. 海江田万里

    ○海江田委員 私どもは与党じゃありませんので、そういう党間の協議じゃなくて、まさにこの大蔵委員会で議論しなくてどこで議論するのですか。国民の間の議論というのはどこでするのですか。大蔵委員会でやりましょうよ。  だから、そのためには、今せっかく四点おっしゃっていただいたのですから、それぞれがどんな考え方で出てきているのか。これは大蔵大臣の理解で結構でございますから、それぞれ、これが一番いいと思うのだけれども、これはこういうような欠点もあるよとか、そういうことをおっしゃっていただいていいのじゃないですか。それで初めて議論が始まるので、とにかく議論しましょう、議論しましょうということだけで、その中身を全くお話しにならないで、それで議論しろと言ったって議論できないですよ。特に大蔵大臣が、これは議論をしてください、国民の間で議論をしてくださいというふうにおっしゃったわけですから。
  205. 三塚博

    三塚国務大臣 ですから、海江田委員、ここのところです。  ポイントだけ絞って申し上げますと、国民間、それは国会ということになります。国会は政党政治であります。内閣が政策については最終的に責任を負います。もちろん議員立法というのもあります。これはこれで取り進めさせていただく。そういう中で、自民党が今深刻な論議をしておりますという段階で、具体的にこのことが私どものところに、私も党員でございますから、報告があります。こういう段階であり、党の論議を踏まえ、そして検討が内閣との間に行われるのかな、こんなふうに推測はいたしております。  ですから、主管大臣として、前段申し上げましたように、あらゆる選択肢を点検し、今後に対応するようにということで指示をいたしたところであります。大蔵政府機関は、国民の世論に耳を傾け、国会の論議に絶えず出ておるわけでございますから、その分析はきっちりとなされておるものという前提の中で、指示をいたしております。     〔井奥委員長代理退席、委員長着席〕
  206. 海江田万里

    ○海江田委員 自民党に議論をしてくれということを言っておるということはよくわかっているのですけれども、では、まだ自民党から余り報告とかは来ていないわけですね。あるいは大蔵省に検討してみろと言って、大蔵省からその報告は受けていないわけですか。命令を発出した段階で、中身についてはまだ何にもわかっていないという段階ですか、大蔵大臣として。
  207. 三塚博

    三塚国務大臣 これは、ですから、私から指示をいたしたわけであります。党からは、党最終案がまとまる直前でございませんと提示がないというのが、今日までのこの種案件の取り進めのベースになっております。そういうことで、私は党員でございますから、同志の諸君から、意見はこういう意見です、こういう意見ですというのはありますけれども、私は財政構造改革主管大臣として心血を注ぎ、今日まで来ております。  そういう中で、参議院の本会議が今週行われるやに拝聴いたしておりますが、それと金融ビッグバン、こういうことでありますので、私は、政治家である主管大臣として、国民間の議論をしっかりと重大の関心を持って見詰めながら取り組んでいかなければならぬという決意をいたしております。
  208. 海江田万里

    ○海江田委員 困りましたな、これは。  もう時間がありませんので、要するに、公的資金の話は、やはりモラルハザードの問題がポイントだろうと私は思うわけですよね。優先株の問題にしてもそうでございますし、それから預金保険機構に何らかの形で政府保証債の発行を認めて、公的資金でそれを買い取るという場合でも、やはりモラルハザードの問題がポイントだろうと思うわけですね。  とりわけ政府保証債を出して買い取りをするという場合は、これはアメリカのRTCというのがその方式でSアンドしの処理をやりましたけれども、ただ、そのアメリカのRTCがやったときは、これは日銀総裁なんかにも関係してくると思いますけれども、預金の払い戻しだけをやったわけです。今度の場合、日本の場合は、今の預金保険機構をそのまま当てはめてしまいますと、破綻しそうな金融機関に対する出資のところが出てきますので、そうすると、本来だったら公的資金を入れなければ倒れるべき金融機関が生き延びてしまうということにつながってしまう。ここのところをどういうふうに考えようかというのが私はポイントではないかなというふうに考えるのですが、やはり、今の預金保険機構がそのままで果たしていいのかどうなのかということを少し考えてみたいと思うのですね。  ただ、残念ですけれども、本当に質問時間が終了してしまいまして、これは申しわけないけれども、政府とそれから大蔵大臣にも、本当に国民が期待をしているような議論がこの大蔵委員会でできていないというのは大いに責任があると思うので、それはやはり大いに反省をしていただかなければいけない。もっと質問に対してきちっとした答弁をやっていただきますように、これは後で大蔵委員長からも政府方に厳重におっしゃっておいてください。お願いを申し上げます。  以上です。
  209. 村上誠一郎

    村上委員長 次に、佐々木陸海君。
  210. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 日本共産党の佐々木陸海でございます。  山二証券の問題や北海道拓殖銀行の問題は大変重要な問題でありますけれども、金融持ち株会社法案そのものも大事な問題でありまして、私の質問のすぐ後に採決という段取りになっております。時間が限られておりますから、山一の問題や拓銀の問題は別の機会に譲らざるを得ません。  その意味では、この山一問題、拓銀問題などの重要性からいって、これらの問題については、別途集中的な審議の機会をぜひこの委員会でもつくっていただきたいということを最初に委員長にもお願いを申し上げておきたいと思います。いかがでしょうか。
  211. 村上誠一郎

    村上委員長 理事会において検討させていただきます。
  212. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 そのことを申し上げた上で、三十五分という限られた時間の中で、金融持ち株会社関連の二法案について、特に銀行持ち株会社について、その創設がさまざまな問題を生み出すということを考えて、その幾つかを聞いていきたいと思います。  銀行持株会社創設のための銀行等に係る合併手続特例等に関する法律案というのが出ておりますが、その第一条に、銀行持ち株会社金融業務の効率的運用に資するものであると書いてあります。法律で、この銀行持ち株会社金融業務の効率的運用に資するということを定めている。このような規定は恐らく世界的にも例がないだろうという話も聞いております。  銀行持ち株会社の効用に関して、橋本首相は、本会議での私の質問に対して、「銀行など金融機関経営形態の選択肢の拡大」をもたらすものだということを述べました。六月の金制調の答申でも、「銀行経営形態の選択肢の拡大」ということを効用として挙げております。つまり、銀行が自分の経営の形態に関して選択肢を広げることができるのだということを大きな効用として挙げているわけであります。  金制調の答申では、「銀行による金融関連新規分野への参入」ということも言っております。銀行持ち株会社のもとにこういう形で証券業が入り、銀行が証券業を行うようになる、これが銀行持ち株会社の最大の問題だと私は思います。  もちろん銀行は、既に業態別子会社という形で証券業に参入しておりますけれども、銀行持ち株会社が証券業を傘下に入れるということは、これまでの銀行と証券関係に新しい変化を生み出すのではないでしょうか。橋本首相は、本会議での私の質問に対して、「今回の解禁が直接銀行業と証券業の関係を大きく変更するものではないと考えております。」というふうに答弁をしましたが、銀行と証券が今までの親子の関係から兄弟の関係にも発展するということは、大きな変化ではないのでしょうか。大蔵省のお考えを聞きたいと思います。
  213. 山口公生

    山口政府委員 業態間の相互の参入問題は、金融の新しい流れとして我が国でも既定の方針として進められているところでございます。  これまでは、業態別子会社という形で、銀行が親となって証券会社の子供を持つ、あるいは証券会社が親となって銀行を子銀行として持つということは認められておるわけでございます。今回、それが経営の多様化の形のために、今度は兄弟で並ぶということが選択肢として出てくるわけでございますが、基本的には、この改正をもって銀行と証券との相互参入問題が何か大きな変化をもたらし、あるいはそれが一段と変わった事態をもたらすというものではございません。  親子の関係と兄弟の関係、どちらがいいのか、どちらがどういうメリットがあるのかという御質問は先ほどもございましたけれども、それぞれ一長一短でございますけれども、相互の関係という観点からいうと、そこは変わらないというふうに思っております。
  214. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 金制調の答申では、「兄弟会社経営悪化によるリスクも親子会社の場合に比べ及びにくいと考えられ、リスク遮断等の面では相対的に優れていると考えられる。」というふうに銀行持ち株会社の方を評価しています。親子関係では、証券子会社が今度の山一のようになったときに、親の方がそのリスクをもろにかぶることになるけれども、それが金融持ち株会社のもとでは、つまり兄弟の関係になればそういうリスクは銀行にとってはなくなる、こういう変化は当然出てくるのじゃありませんか。それは銀行側から見れば一つの大きなメリットになるのじゃないでしょうか。
  215. 山口公生

    山口政府委員 リスクの遮断ということは、銀行の健全性という観点からいうと、どういう形態をとっておっても大変大切なことでございます。そのリスクの遮断がよりとりやすいという経営形態からくるメリットというものは当然あると思います。それはあくまで銀行の健全性という観点からでございます。
  216. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 銀行の健全性というメリットだと言いましたけれども、親子関係から今度は兄弟関係になる、そして持ち株会社の中で銀行も証券も営業をしていくということになった場合に、親子の場合に比べて、証券会社が危ないことになった場合でも銀行がかぶらないという点ではいいということなのです。それは銀行の健全性という問題もありますけれども、また銀行が、証券会社がいろいろな冒険を冒した場合でも守られるという面もあるということも一つのメリットになるということは当然のことじゃないでしょうか。
  217. 山口公生

    山口政府委員 銀行の健全性という観点から、そのリスク遮断ということがあるわけでございます。  先生のお尋ねは、今度は証券側からの問題でございましょうか。いずれにせよ、このリスク遮断のメリットがあるということを強調しておりますのは、銀行の健全性が、他のリスクから遮断しやすいという点でございます。
  218. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 それは結構です。  いずれにしても、この証券と銀行の関係ですが、これは長い歴史の経過もあります。いわゆる高度経済成長の終了とともに企業銀行離れというものが進んで、企業の方が内部資金とかユーロ市場での低コストの資金の導入とかいうもので銀行を余り必要としなくなってきたという経過がありまして、銀行は優良な貸付先を失うということが広がってまいりました。  そこでの銀行対応として、一つは、バブル期に典型的な、土地を担保とする不動産業への貸し付けの拡大ということがありました。これが大きな失敗となって今世間を騒がせているということは、歴然とした事実であります。  いま一つは、銀行が、そういう企業銀行離れに対する対応の中で、証券業務への進出ということをいろいろ考えてきたわけで、八一年の銀行改正で公共債の証券業務はできるようになりましたけれども、社債の引き受け業務等産業金融を何としてもやりたいというのが銀行の長い間の願いであったということは間違いのない事実だと思うのです。そして、その第一歩として業態別の子会社ができて、九三年からそのもとで既存の証券会社との激しい争いというものもやりながら、銀行の子会社としての証券が急速に実績を伸ばしてきたという事実があると思うのです。  そして、そのもとで、これは証券業界からの訴えですけれども、ことしの一月のある新聞の報道によると、銀行とその子会社の証券が一体となって、製造業の国内普通社債で、社債管理会社であるメーンバンクが発行会社と引受証券会社の決めた以外の特約を付することを要求して認めさせた例とか、あるいは国内普通社債の発行登録を検討中の製造業の会社に、メーンバンクの頭取が同伴依頼者もなく証券子会社の社長と訪問して証券子会社の発行登録の事務取りまとめ役を要求しただとか、あるいは海外ワラント債でメーンバンクの支店長と本店幹部が証券現地法人の主幹事を要請し、発行会社が拒否すると執拗に要求したとか、証券会社側からの訴えですけれども、そういう証券と銀行が一体となって法律にも反するような方向のものまでやりながら銀行は証券の中に進出をしてきているということが伝えられているわけであります。  そして、そういうもとで金融持ち株会社に関して、ある論者はこういうことを言っています。今、仮に金融持ち株会社解禁され、銀行子会社の銀行業務と並んで証券子会社がフルラインの証券業務に進出することが可能になれば事態はどのように変化するであろうか、まさに金融持ち株会社を通じた銀行による企業金融の証券化の取り込み、企業金融の丸抱え、間接金融も直接金融も貸し出しも株式の発行もという結果を意味することになるであろうというような論評がありますし、それからまた証券団体協議会議の出している、これは正式の報告ですが、この三月に「金融持株会社制度の導入と今後の課題」というものの中では、問題点として、「銀行による業務領域の一方的な拡大になる可能性が極めて高い。このことは、多数の金融機関による公正な競争金融・資本市場の健全な発展を阻害すると同時に、大銀行による金融・資本市場の事実上の支配に繋がるものであり、国民経済に与える打撃は大きい。」というようなことを証券業界の方からは言ってきているわけであります。  ですから、銀行業界の、銀行の側のねらいは非常に明白でありまして、銀行が実質的に証券業務に乗り出していく、兄弟会社という関係のもとでリスクは遮断しながらも今まで以上に、子会社の場合以上に露骨にこういうことをやっていって、それがいろんな危険を招いていくんじゃないかということは当然考えられるんじゃないでしょうか。
  219. 山口公生

    山口政府委員 先生の御指摘はかなり多岐にわたる御指摘かと思いますが、一つは、我が国の法制におきまして、ヨーロッパでとっておりますようなユニバーサルバンクの形は今回選択しておりません。したがって、銀行が証券業務を自分でやるという、そういうヨーロッパでとっている道はとっておりません。アメリカのような証券と銀行は分離するという考え方は、日本もそれを踏襲しております。そういう前提でお話し申し上げます。  その場合に、先ほど申し上げました銀行の健全性からくるリスク遮断ということから、例えばファイアウォール等、アームズ・レングス・ルールというルールを確立しております。逆に、今度は証券の方からのお話を先生御指摘されました。これは、証券市場の公正性を確保するという観点から、証取法の方で現にそういうふうなファイアウォール規制の根拠がありますし、現に証券取引をゆがめない形を、証券取引にそういった悪い影響を及ぼさないような形は既にとってございます。それは親子関係であっても同じでございます。それが兄弟になったからといって、それが緩くなるわけでもございません。それが一点。  もう一つおっしゃいましたことで、フルラインの業務をやれるやれないという話がありました。これは子会社展開をするときも、実は今度の金融システム改革で、九九年度下期中に、業態別子会社の業務範囲制限という一部制限をしておりました、それを撤廃します。銀行の子会社であっても証券会社であることには変わりないということにするわけでございます。もちろんきちっとしたファイアウォールがあっての話でございます。逆に証券の子会社の銀行であるからといってこれが銀行でないということではありません。別法人であります。したがって、そこのところは九九年度下期にフルラインにするという金融システム改革考え方がございます。それは親子関係でもそうでございます。したがって、今度は兄弟関係の持ち株会社形態をとった場合にも、そのときに同じ扱いにするということでございます。  したがって、一言で言えば、親子関係のものを兄弟関係に移してもその実態は変わらないということを申し上げたいと思います。
  220. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 確かに、今度提案されているものはヨーロッパのユニバーサルバンクの形態とは違うということは事実ですけれども、しかし、今おっしゃいましたファイアウォール、バリアというものが、では銀行についてどんなものが規定されていますか、今度の法律では。
  221. 長野厖士

    ○長野政府委員 アメリカのグラス・スティーガル法に相当します法体系を証取法が日本ではカバーをいたしておりますので私の方から御説明さしていただきますと、現在ファイアウォール規制といたしまして、役職員の兼任禁止でありますとか証券取引に係るいわゆるアームズ・レングス・ルールあるいは信用供与を利用した抱き合わせ的行為の禁止といったものが法律禁止されておりますし、省令レベルでは利益相反に関する開示、親金融機関発行証券の引受制限、共同訪問の禁止等々がございます。  これらのファイアウォールの考え方は、親子間の場合でも、今後兄弟になりましたときでも、基本的には同じように適用されるべきものと考えております。
  222. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 今おっしゃったのはほとんど証券子会社の方を規制する条項でしょう。銀行が力を持っていて兄弟の証券子会社をいろいろ動かすというようなことに対して銀行の側を規制する規制は何があるんですか。
  223. 長野厖士

    ○長野政府委員 これは銀行が証券業務をやることを禁止するという形で証取法に書かれておるわけですから、共同訪問の禁止というのは当然のことながら証券子会社は自由に行けるわけで、銀行がこういう証取法で禁止されているこれらのことをやってはいけないという法体系でございます。銀行に対する規制でございます。
  224. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 要するに、証券子会社の方を規制するものしかないわけですよ。そうでしょう。
  225. 長野厖士

    ○長野政府委員 親銀行が共同訪問をした場合には証取法に禁止されているという意味で、親銀行に対する規制があるということでございます。今申し上げたのは親銀行に対する規制で、親銀行はそういうことをやれば、証券会社でないわけですから、こういった規制で違反になるという親銀行に対する規制でございます。
  226. 山口公生

    山口政府委員 若干補足させていただきます。  銀行法の体系は、銀行の健全性を維持するというのが眼目でございます。したがって、銀行法でのファイアウォールはアームズ・レングス・ルールという、特別な条件で貸し出しをしたりしてはいけない、それが銀行の健全性に響くという考え方からでございます。  今御紹介ありました証券取引法のいろいろなファイアウォールは、これは取引でございます。証券取引法は取引に関してやるわけでございますが、その名あて人というのは証券会社であることもありますし、場合によってはその親銀行であることもありますし、一般の投資家である場合もあるわけでございます。そういう行為を規制しているのが証取法でありますので、考え方が少しそこは違っておりますので、その点を御理解賜りたいと思います。
  227. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 金制調の答申では、それらの措置とともに、「顧客の側の誤認防止、適正な市場価格形成機能の確保等の弊害防止措置を講ずることも適当と考えられる。」というふうに言っていますが、この措置法案の中に含まれているんですか。
  228. 山口公生

    山口政府委員 お答えを申し上げます。  今御指摘の点は証券取引の方の話でございますので、証取法の方の世界で既にあるファイアウォールでございます。
  229. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 この間本会議での私の質問に対して橋本首相は、「銀行持株会社を活用し、業務展開を図り、さまざまな商品を扱う場合におきましても、例えば、顧客が商品の内容について誤認しないためのルールづくりが必要であろうと思われます。」というふうに答弁しておりますが、このルールづくりという点はどうなんですか。
  230. 山口公生

    山口政府委員 これは銀行、証券、保険すべてにかかわる問題であると思いますが、その商品の性格あるいはリスクを預金者あるいは投資家あるいは契約者にきちんと説明しなければいけないということでございます。  例えばの例でございますが、今度解禁されます間貸し方式の投資信託を銀行で売るというときも、これは元本保証がありませんよということをきちんと説明するということは当然でございまして、この点については自主ルールで担保するということでございまして、それぞれの金融取引において顧客に誤認をさせないということは、ファイアウォールの問題とは別に、一番基本的なことだろうと思っております。
  231. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 首相の答弁は、そういう「ルールづくりが必要であろうと思われます。」というのですが、そのルールづくりはこの法案の中に含まれているのですか。
  232. 山口公生

    山口政府委員 お答え申し上げます。  今回の法律は、持ち株会社の、つまり組織形態の問題でございます。したがって、今御指摘の点は、金融取引における顧客との関係のルールでございますから、今回の、今申し上げたような投資信託については、自主ルールできちんと守るというふうにしております。  いずれにせよ、お客様が商品がどんなものかわからないで買うあるいは預けるということがないようにということをこれから徹底させるということでございます。
  233. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 そのルールづくりは、これから進める計画があるわけですか。
  234. 山口公生

    山口政府委員 いろいろな商品が金融システム改革が進むと出てくると思います。それから、先ほど申し上げた投資信託を銀行が売れるようになるという事態もまたあります。その都度きっちりと対応していくということでございます。  既にあるものを誤認させないようにするというのは、当然今もやっておるわけでございますけれども、これから特に複雑な商品が出てきたり、あるいは本来銀行で売っていなかったものをこれから銀行で売るというようなことが解禁されたりしますと、そういうところに特に気をつけながら対応していかなければいけない、こういうことでございます。
  235. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 要するに、これから様子を見ながらその辺のルールづくりはまたやっていこうという話なんですね、その点については。
  236. 山口公生

    山口政府委員 それは広くそういった対応をやっていく必要があるということでございます。もちろん、かなり金融システム改革が進んでいきますと、今度はそういった取引のルールといいましょうか、消費者保護的な考え方で新しい法律体系というものを考えていくということも必要になってくるわけでございます。  ただ、今の段階でどういう商品がどういう形で出てくるかというのが、まだ緒についた段階でございますので、その都度対応してまいりますけれども、行く行くは、よく金融サービス法とかいう言葉で言われておりますけれども、縦割り的な、業態的な規制ではない、少し横の、あるいは商品で見た基本的なルールというものを法律的にも整備した方がいいのじゃないかという声がありまして、そういったことも私どもとしては、体系としてなっていきますれば、それは法律でしっかりしたものに受けとめていくということになろうかというふうに思っております。
  237. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 そういうものも含めて弊害防止のための諸措置というものを金制調の答申もいろいろ言っているわけですね。  金制調の答申では、しかしそういう「諸措置は、持株会社活用の効果を減殺することとならないように必要最小限のものとすることが重要である。」というふうにも言っておりまして、我々から言えば、この答申自身大分銀行寄りということにならざるを得ないのですが、大蔵省は、言ってみれば、その答申の言っていることさえ、まだこういう点では具体化がしていないということを言わざるを得ないと思うのです。  金制調の答申は、「米国においては顧客の利便性向上等の観点から、同一持株会社傘下の銀行・証券会社間の弊害防止措置を緩和する動きがあることにも留意する必要がある。」というふうに述べています。アメリカが弊害防止措置を緩和しているから日本もそれに倣えというわけですが、そのアメリカでは、銀行持ち株会社傘下の銀行と証券の関係も、主として証券業務に従事する会社は子会社になれないという規定はまだ生きていると思いますし、その限定された環境の中でさえさまざまの厳しい規制があると思うのですけれども、このアメリカで、緩和策は提案されても淡々と進んでいるわけじゃない。グラス・スティーガル法の改正論議は長期にわたって続いてはいるけれども、今もって結論は出ていないということじゃないかと思うのですが、その辺はいかがですか。
  238. 山口公生

    山口政府委員 御指摘のように、アメリカでもファイアウォールの規定がございます。最近、従来二十七項目あったファイアウォールのうち十八項目が廃止され、残りは概略八項目になったというふうな情報もございます。  これは何を意味するかといいますと、金融商品が大変多岐にわたり、相互に組み合わされてくるという商品の方の統合化といいましょうか、そういう動きがあるわけでございます。そうした場合に、いわゆるシナジー効果、つまり組み合わせた形のものは、銀行と証券あるいは保険というものがうまくタイアップした形で対応できる。つまり、お客様はいろいろなニーズを持っているわけです。お客様は銀行の窓口へ行けばすべてが終わっていた時代ではなく、お客のニーズは、例えばキャッシュフローがこうだから、あるいは入金あるいは出金の予定がこうだから、この間どういうふうな運用をしたいとかいう、いろいろな要請があるわけです。ニーズが複雑になります。そうしたときにシナジー効果を発揮して、総合的に対応するというのが基本的な流れであります。  しかし、先生が御指摘のように、じゃ、それをヨーロッパ的なユニバーサルバンクでやるかどうかということになりますと、やはり我が国の方はアメリカでのそういった考え方を受け継いでいる流れがありますから、また一面では、そういったファイアウォールをきちっとして確保しておかなければ、取引そのものがゆがめられるおそれがあるという考え方があるわけです。その調和点をいかにするかということでございまして、そこは両方重要な側面だと私は思っております。
  239. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 いずれにしても、アメリカでは長い間議論をされて、今もそれなりの厳しい規制がなされているわけですけれども、我が日本の国会では、わずか六時間程度の審議でこういうものを通してしまおうというのは、私は本当に心配だということを言わざるを得ないわけであります。  次の問題ですけれども、銀行持ち株会社制度のもとでは、形の上では持ち株会社という親会社の下に銀行や証券の子会社が並ぶことになるわけで、全く同列の、形式的には兄弟会社が並ぶという形式になるわけですが、しかし、これはあくまでも形式で、大銀行がみずからつくる銀行持ち株会社というようなものにおいては、実質的には銀行がグループの支配者になるんじゃないでしょうか。その点はいかがでしょうか。
  240. 山口公生

    山口政府委員 今、子会社で主にやっているものを兄弟の方に並べるということであります。それで、形式的には持ち株会社というのが親になって、子供として銀行あるいは証券会社、あるいはノンバンクも入ると思いますが、そういったものが並ぶということでございます。  実質的に銀行が全部支配するのではないかというのは、それは実質論でございまして、私どもとしては、別会社としてきちんと存在しているというふうに思っております。それが実質的に銀行影響力というものがないかということになりますと、それは何とも申し上げられませんが、ただ、資本関係としては、銀行が子会社をずっと持つというのとは違って、今度は株主は、持ち株会社というのが株主になるということでは違うと思います。
  241. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 要するに、実質的に銀行が支配者のようになる形もあり得るということは否定できないですよね。
  242. 山口公生

    山口政府委員 株主はあくまで、兄弟で並ぶのは、全部持ち株会社でございます。  ただ、今おっしゃった支配とかいう、実質的に影響力をどれくらい及ぼすかというのは、それはまた人的な関係だとか、そういったものの実質の問題でございます。これは私の方からは何とも申し上げられないということだろうと思います。
  243. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 実際にアメリカでも、例えば最大の銀行持ち株会社であるシティコープの下にはシティバンクという銀行がある。そして、実際にはこの両者の役員陣は兼任が多くて似通っている。シティバンクが決めたことをシティコープが追認するような形で持ち株会社が使われている。つまり、必ずしも持ち株会社が一番上位にあり戦略決定部署であるわけではないということも、これはアメリカの例ですけれども、そういうものが生まれてくることもあり得るわけでしょう。それは否定できないですよね。
  244. 山口公生

    山口政府委員 例えばシティコープとシティバンクとの関係がいかなるものかというのは私はよくわかりませんが、実質的にだれが意思決定の実権を持っているかということと、この法律の形式あるいは組織の形態ということとはちょっと別問題ではないか。子会社方式でやっている場合に比べて、今度、兄弟会社に並べる場合の方が銀行の支配力が余計強まるということには、直接的にはつながらないというふうに思います。
  245. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 しかし、銀行持ち株会社の子会社、例えば証券子会社がやったことに問題があった場合に、その子会社の責任が問われるのは当然なのですが、事柄の性質によっては、それを支配している親会社の責任よりも、むしろ実質的な支配者である兄弟会社、中核の金融会社の責任を問うということも当然あり得るわけです。そうでないと、子会社にすべての責任をなすりつける、それができなくなったらペーパーカンパニーに近い持ち株会社に責任を転嫁して本当の支配者は陰でせせら笑うという事態が生まれかねない。そうなると、この銀行持ち株会社制度というのは、外部に対しては全く無責任な体制になってしまうという危険もあるのじゃないかと思うのですが、そういう心配はありませんか。
  246. 山口公生

    山口政府委員 今申されたケースでいいますと、持ち株会社の子会社であります銀行が、他の子会社であります、例えば証券会社との関係で責任を負うべき問題が出るのじゃないかという御指摘かと思いますが、その証券会社の株式の過半数を銀行が持つわけではありません。しばしば申し上げているように、株主は持ち株会社でございますから、当然その業務方針について銀行が責任を負うべきものではないと思います。しかも、別法人でございますから、証券会社に何か生じた問題で、すぐ銀行に、例えば不法行為責任が生じるということはないというふうには思います。  ただ、例えば銀行が証券会社に何かをやらせた、不法行為をやらせたということであれば、それは当然民法の不法行為責任はあると思います。しかし、そういうものと今議論していただいております組織形態とは、私は別問題だというふうに思います。
  247. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 やらせること、やらせ方もいろいろあるわけですよね。今度の法案でもちゃんと、銀行が本当にみずからアクロバット的な演技を演じて銀行持ち株会社をつくるというケースも想定した法案が出されているわけですよ。だから、銀行が中心になってこの銀行持ち株会社というものをつくるわけですから、でき上がって、それは親と子という関係になるにしても、実質的には銀行が支配していて、その中はブラックボックスだからよくわかりませんけれども、その銀行が、持ち株会社を通じながらということになるのか直接かは知りませんけれども、いろいろな形で実質的な支配を及ぼしながら証券子会社に悪いことをやらせるということだって考えられるじゃありませんか。考えられませんか、そういうことは。
  248. 山口公生

    山口政府委員 しばしば御答弁申し上げておりますように、その違法行為をやらせるということは、どういう形態をとっておっても違法なものは違法でございます。それは責任を追及すべきであります。しかし、この組織形態がこうなったからといって、その危険性がふえるというものではないと私は思います。それは経営者のコンプライアンスの問題、遵法精神の問題に尽きると思います。
  249. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 そういう危険性はそれはどのような形態でもあるでしょうけれども、その危険を冒した場合に、守られやすい形になるということですよね、要するに。そのことを私はさっきから言っているわけであります。  もう時間が来てしまいそうですけれども、だから、本当にそういう意味では、私は、銀行持ち株会社というのは、利用者との間のリスク遮断装置みたいなものになってしまって、実質的に権力を持っている銀行にとっての無責任な体制ということが装置になってしまう危険性が大変あるということを率直に指摘せざるを得ないと思うのです。  時間がもう来てしまいましたから、まだいろいろ聞きたいこともあったのですけれども、これでやめにして、ちょっと公正取引委員会と労働省、大変申しわけありませんでしたけれども、時間が来ましたので、これで終わらせていただきます。
  250. 村上誠一郎

    村上委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。
  251. 村上誠一郎

    村上委員長 両案に対し、日本共産党から討論の申し出がありましたが、協議の結果、御遠慮願うことになりましたので、御了承願います。  これより採決に入ります。  まず、持株会社設立等禁止解除に伴う金融関係法律整備等に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  252. 村上誠一郎

    村上委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、銀行持株会社創設のための銀行等に係る合併手続特例等に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  253. 村上誠一郎

    村上委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  254. 村上誠一郎

    村上委員長 ただいま議決いたしました両案に対し、村田吉隆君外五名から、自由民主党、新進党、民主党、社会民主党・市民連合、太陽党及び無所属クラブの共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。池田元久君。
  255. 池田元久

    ○池田(元)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。     持株会社設立等禁止解除に伴う金融関係法律整備等に関する法律案及び銀行持株会社創設のための銀行等に係る合併手続特例等に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。  一 金融持株会社解禁により、銀行等影響力を行使して産業支配を行うことのないよう、競争政策の観点からその実態について十分な監視を行うとともに、預金者保護等の観点から銀行持株会社グループによる株式保有制限や他業制限等の規制が遵守されるよう努めること。また、ディスクロージャーの内容の充実にも配慮すること。  一 銀行持株会社形態を活用して、多様な金融又は金融関連業務に進出することにかんがみ、銀行持株会社グループが行う金融商品の販売に当たっては、商品内容の説明、銀行による圧力販売の防止等により預金者等の利用者が不利益を被ることとならないよう配慮すること。  一 銀行持株会社だけでなく他の金融持株会社についても、持株会社の設立手続を円滑化するための方策について検討すること。  一 金融持株会社制度を活用しやすいものとするため、金融持株会社の設立の際及び設立後における税制上の問題の検討を進めること。 以上であります。  何とぞ御賛成賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
  256. 村上誠一郎

    村上委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  257. 村上誠一郎

    村上委員長 起立多数。よって、両案に対し附帯決議を付することに決しました。  本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。大蔵大臣三塚博君。
  258. 三塚博

    三塚国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って配慮してまいりたいと存じます。ありがとうございました。
  259. 村上誠一郎

    村上委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  260. 村上誠一郎

    村上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     〔報告書は附録に掲載〕      ――――◇―――――
  261. 村上誠一郎

    村上委員長 内閣提出、罰則の整備のための金融関係法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。秋葉忠利君。
  262. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 社会民主党の秋葉でございます。議題になりました罰則の整備のための金融関係法律の一部を改正する法律案について、また関連事項について、何点か質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、大蔵大臣に伺いたいのですけれども、この関係法案整備するに当たって幾つか非常に重要な点があるというふうに思いますが、その一つがディスクロージャー、すなわち情報の公開。これはもちろん金融関係会社がその運営についての詳細な情報を市場に公開するということが非常に大事である、そのことが一つ大事な柱であるというふうに認識をしております。それからもう一つは、これは例えばインサイダー取引規制にかかわることですけれども、以前この大蔵委員会でも質問をいたしましたけれども、英語で言うとコンフリクト・オブ・インタレスト、すなわち利害関係の衝突ということを避ける。ほかにもいろいろと条件がありますけれども、やはりこの二つの柱が非常に重要ではないかというふうに考えます。この点について、その重要性についてまず最初に御確認をお願いしたい、これが一点でございます。  それからもう一点は、大蔵省としてこういった罰則を強化して市場整備を図る、オーダーをきちんと保っていく、秩序を保っていくということになるわけですけれども、こういった指導監督の立場にある大蔵省としては、当然みずから範を示さなくてはいけないというふうに私は考えます。ですから、情報公開ということと、それからインサイダー取引というようなことに関連してコンフリクト・オブ・インタレスト、この二点の重要性、それから何よりも大蔵省が率先をして模範を示すことが重要であるというふうに考えますが、この点について御確認いただければと思います。
  263. 三塚博

    三塚国務大臣 それでは、私から申し上げます。  利益相反の回避は同感であります。  同時に、みずから率先をすべしという御提言、承ってまいります。
  264. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 きょうの質問をするに際して大蔵省の方と話をしているうちに、一つ確認をしておきたい事項が出てまいりましたので、改めて一点だけ、これは質問通告をしたことになるのかどうかわかりませんが、通告の中で出てきたことですので、改めて御準備をいただくまでもないと思うので確認をしたいと思いますが、テリー伊藤という人の書いた「お笑い大蔵省極秘情報」という本がございます。この本、皆さんお読みになっていると思いますが、実は、この本の中で評論家の佐高信さんの著書についての批判が展開されております。そのことに端を発して、佐高信さんが大蔵省の官僚二人、それに加えて飛鳥新社を相手取って名誉毀損の訴えを起こしております。  この中には、一応大蔵官僚という名前で、仮名ですけれども、これは「主計局キャリア官僚・反町高雄(仮名)」と書いてありますが、その人とのインタビュー、それから「主計局キャリア・軍司誠(仮名)」という人とのインタビュー、「大蔵官僚・上野行夫(仮名)」という三人の名前が出てくるのですが、この人物が特定できないために、特定できないまま訴訟が行われているわけです。大蔵省としては、こういったインタビューに応じた官僚はいないのだということを確信を持って言明できるということを伺いましたけれども、改めて、その点について御確認をお願いしたいと思います。     〔委員長退席、村田(吉)委員長代理着席〕
  265. 武藤敏郎

    武藤政府委員 大蔵省に関しましていろいろ出版物の中で書かれることは時々あるわけでございますけれども、その一つ一つについて調査したりコメントしたりというようなことは、私どもとしてはやっておらないところでございます。  ただ、昨年八月に、評論家の佐高さんから、名誉毀損だということで仮名大蔵官僚二名に対して民事訴訟が提起されたということがございますので、仮名大蔵官僚が実在するかどうかということでありますので調査を行いました。これは一応その対象となる人間が主計局所属のキャリアの官僚であるというようなことでございますので、当時在籍した者に事情聴取を行いましたけれども、テリー伊藤氏と面識のある人物はいなかったということでございます。
  266. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 わかりました。それが調査の内容だということがわかりましたが、それは、当時主計局に属していたすべての官僚の方に対して、直接  一問一答といいますか、そういう形で調査をして、その中にテリー伊藤氏のインタビューに応じた人はいなかったということになるわけですね。そういう結論でよろしいのでしょうか。
  267. 武藤敏郎

    武藤政府委員 指摘されました、当時主計局に在籍した者ということで、キャリア官僚が六十五名ということでございましたが、担当の者が事情を聴取しております。そういう意味では、全員に対して事情聴取を行ったというふうにお考えいただいて結構でございます。
  268. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 その調査はいつ行われたのでしょうか。
  269. 武藤敏郎

    武藤政府委員 この御指摘の期間が平成七年十二月から平成八年の七月までの間ということでございますので、その間に在籍した者について、その後行ったわけでございます。
  270. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 その後というのはいつの時点でしょうか。わかれば教えてください。
  271. 武藤敏郎

    武藤政府委員 平成八年の秋でございます。
  272. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 これについて、現在これは係争中ですけれども、飛鳥新社側の弁護人の言によりますと、これはテリー伊藤氏と直接話をした上、それから飛鳥新社側も、これは本をつくった当事者ですから、そちら側の言い分によりますと、これは実在の人物であるということになります。それと今の大蔵省のお答えと、両方を足して二で割ると、可能性として唯一残るのは、平成八年の秋ですから一九九六年の秋、それ以前の段階では主計局にいたけれども、去年の秋に日本にいなかった人という答えになってしまいます。毎年大蔵省からは入省者全員、同期入省の方は皆さん海外に留学されるわけですから、そうすると、残る可能性としては、その時点で海外に留学されている方の中にこのインタビューに応じた人がいるというのが結論になりますけれども、そう結論してもよろしいのでしょうか。
  273. 武藤敏郎

    武藤政府委員 当時在籍した者については、全員から事情聴取したところでございます。
  274. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 海外にいる人についても事情聴取をしたということですね。いや、一人一人直接顔を合わせて話を聞いたということを伺いましたので、となると、わざわざ海外に出かけて事情聴取したのか、その辺がちょっとよくわかりませんので。
  275. 武藤敏郎

    武藤政府委員 当時在籍した者で調査時点に海外にいた者は、入ってまだ数年の留学生でございますので、これは電話で聴取いたしました。
  276. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 わかりました。ありがとうございました。  大蔵省側で調査をされた内容についてはそれで一応つじつまが合いますので、次の質問に移りたいと思います。  実は、この一連の質問は法務委員会で我が党の保坂議員が質問をしてきた点でありますけれども、時間が十分でなかったり、あるいは十分なお答えがいただけなかったということで、再度質問をさせていただきたいと思います。  これはもう新聞にも広く報道されていることですけれども、一九九四年の秋から冬にかけて第一勧業銀行に対しての大蔵省の検査があったわけですが、その際に、検査官が第一勧業銀行、すなわち検査の対象となる銀行から接待を受けていたという報道がございました。それに対して大蔵省側では、調査をした上きちんとした処分をしたというふうに報道をされております。処分のことについては、処分をするという行動を迅速にとったというふうにこれは評価されていると思いますけれども、その調査の結果について、例えば具体的にどのくらいの金額、どこで何回ぐらい、それから日時もあわせて調査をされたわけですから、その内容を公表していただきたい。  これはただ単に、週刊誌的と言うと週刊誌が怒るかもしれませんが、イエロージャーナリズムといいますか、そういう視点から伺っているわけではなくて、私は、やはり大蔵省が信頼を回復するためには、自分たちに自浄能力があるんだということをきちんと示す必要があると思います。その第一歩としては、やはり事実関係を明確にすること。恐らくその中には大蔵省としては当然公開したくない情報というものも入っていると思いますけれども、そういったものも含めて、事実を公開することによって、その事実に基づいてきちんとした世論の支持を得られるような措置をとるということが、私は信頼回復のために一番正しい選択肢だというふうに思います。その第一歩として、ぜひきちんとした情報公開を行っていただきたい。その趣旨で、再度今申し上げたことを伺いたいと思いますが、わかっている範囲で結構ですから、お答えいただきたいと思います。
  277. 武藤敏郎

    武藤政府委員 第一勧銀の御指摘の検査につきましては、当時の検査部の管理課長でありました日下部という者と、上席金融証券検査官でありました宮川という者の二名がその御指摘の件に該当するわけでございます。  それで、まず日下部でございますけれども、平成六年の十一月十四日に昼食をしておりますが、場所は東京プリンスホテルでございます。それから平成七年の一月二十日に夕食をしておりますけれども、場所は西新橋にある小料理屋のふじ岡というところでございます。昼食一回、夕食一回、計二回の食事でございます。  それから宮川でございますけれども、平成七年の一月八日にゴルフをやっております。ゴルフ場は、いろいろ調査いたしましたけれども、本人の記憶と第一勧銀側の記憶が一致していないということがありまして、場所としては、神奈川県内のゴルフ場であるということがわかっておるわけでございます。  それから、金額がどのぐらいであったかというお尋ねでございますけれども、この接待費用につきましては、両名に自主的に清算するように命じておるところでございますけれども、関係書類が捜査当局に押収されておりまして、第一勧銀側が一体幾らかかったのかということが判明しておりません。  そこで、日下部につきましては会食代として五万円、宮川につきましてはゴルフ代として十万円を第一勧銀にお預けいたしまして、清算を要請しているところでございます。
  278. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 ありがとうございました。  こういう情報を最初に法務委員会で保坂議員が質問をしたときに一緒に言っていただければ、恐らく不必要な手間をかけることもなかったわけですし、それから五万円、十万円、これは清算すればいいのかという別の問題が出てきますけれども、例えば今お話しいただいたような内容であって、その上で清算の措置をとっているという意味づけと、いやそれはどこで御飯を食べたのか全然言えませんということを言って、いや調べてくださいと言っても、それは文書では出せません、答えもできませんというような何か隠しているような背景があった上で、でもとりあえず五万円金を出して清算しているからそれでいいじゃないですかというのとは、世間に与える印象が全く違うということにぜひお気づきいただきたいと思います。やはりこうして出していただいた上で、じゃ、どうしようかということになるんだと思います。  それで、次の質問ですけれども、第一勧銀の場合にはこういう接待があったということがわかりました。ということは、これはやはり人間というのは、一つの例外があると大体ほかのところでも同じようなことがあるんだろう、そういった傾向があるものですから、大蔵省の検査時のほかの銀行からの接待についてお調べになっているかどうか。やはり身を正すという立場からはそういった調査が必要ではないかと思いますけれども、調査を行われたのかどうか伺いたいと思います。
  279. 武藤敏郎

    武藤政府委員 第一勧銀の事案につきましては、第一勧銀が検査忌避という銀行法違反を行っていた、そういう銀行から、しかも検査の期間中に、これは、実際の検査それから現場の検査を終わって公表ということが行われるまでの間、公表からさらには示達という最終的な処理が行われる間ということで相当長期間になるわけでございますけれども、この間に今御報告申し上げましたようなことがあったということで、これは社会的信頼を損なうものであるという観点で、大変厳しい処分を私どもとしては行ったわけでございます。  このような事例はほかには報告されておりません。万一、これと同様の重大な疑義があるというような場合には、調査を行うことにしたいと考えております。
  280. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 今のお答えの中には直接出てきませんでしたけれども、要するに、ほかの銀行については調査を行っていないという結論でよろしいんでしょうか。しかも、その調査をするかどうかの基準というのは、何らかのスキャンダルが生じた場合には調査をするけれども、それ以外の場合には調査はしないということでよろしいんでしょうか。     〔村田(吉)委員長代理退席、委員長着席〕
  281. 武藤敏郎

    武藤政府委員 綱紀の粛正につきましては、御承知のとおり、さまざまな自主規制を行いまして、さらにそれを幹部の間で点検するというようなことをやっておりますので、私どもといたしましては、現在、ほかにこのような問題があるというふうには考えておりませんが、繰り返しになって恐縮ですけれども、そういう事例が、疑義が出ればそれは調査をいたしたい、このように考えるわけでございます。
  282. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 済みません。何度も同じことになって申しわけないのですが、調査はやっていないと一言おっしゃっていただければもうそれでいいのですが、調査をしていないということを言うのがそれほど難しいことなんでしょうか。今の論理的な結論はそうなりますから、あえてそれほど難しいことであれば言っていただかなくてもいいのですが、調査していないということをこの場で発言することについて何か問題があるのでしょうか。
  283. 武藤敏郎

    武藤政府委員 第一勧銀の問題があったということをもって、ほかのところも同様に調査をするというふうには私どもは考えておりません。
  284. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 していないのですね。ちょっと時間がもったいないですから、それはまた別のところで続けたいと思います。  同じような、これは今度は文芸春秋の十一月号なんですが、ここでは、田谷元主計局総務課長、今やめられているわけですが、この田谷氏が泉井被告の全額負担で接待を受けた回数が全部で四回、九二年七月二十八日、それと十一月十日、九三年九月七日、それから十一月二十八日ということが出てまいります。これが事実かどうか、大蔵省としては調査、確認を行ったかどうか、これも伺いたいと思います。
  285. 武藤敏郎

    武藤政府委員 いわゆる泉井事件につきましては、泉井氏との関係について、昨年末からことしの初めにかけまして職員から事情聴取をいたしました。御指摘の田谷元総務課長につきましては、既に退職した人物でございますので、本人からの事情聴取は行っておりません。
  286. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 そこも大変おかしな話で、田谷元総務課長が、これが全く大蔵省と関係のない人で接待を受けたのだったら大蔵が調査をしないということはわかります。接待を受けた時点では、大蔵省のれっきとした総務課長であった。そのことが問題になって、そのことが大蔵省の信頼を失わせている。そういう事実があるわけですから、それに対して大蔵省としてやはり身を正す一信頼を取り戻すためには、まず事実をきちんと確認した上で、その事実を、大蔵省としてどういうふうにこの事態を認識しているかということを示すというのが第一歩だと私は思います。  やめてしまったからということで、やめた人とは一切口をきかないのかというと、それは国会の周辺にあります、例えば天下りのケースですとかその他もろもろのケースで、都合のいいときには大蔵省その他の官庁をやめた方々と現役の皆さんが話をしているという事実、これはれつきとした、もう日本じゅう知らない人はいないくらい知れ渡っているわけです。こういうときになると、もうやめた人だから知りませんというふうに言われると、これはやはりおかしいなという結論にならざるを得ない。これは大蔵省の失墜した信頼を取り戻すためにもぜひ調査をしていただきたい、そのことをお願いしたいのですけれども、いかがでしょうか。
  287. 武藤敏郎

    武藤政府委員 今、文芸春秋十一月号の記事ということで、平成四年、五年のそれぞれ二回ずつの日付を御指摘になりましたが、私どもとして、これが事実に反するというふうに確信を持って言うつもりはございません。したがいまして、それはそういうことがあったのではないかというふうに心証を持っておりますけれども、それと、退職した人間に対してそういうことを確認するまでの、現在においてそういうことまで事情聴取を行う必要はないというふうに考える次第でございます。
  288. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 そこの認識は少し違うと思います。繰り返しになりますけれども、失墜したのは、それは田谷さん個人ということもあるかもしれませんが、大蔵省が信頼されていないということです。それが現在の、現下の日本の世界的な評価ともつながっている。だから、大蔵省としてはきちんとした事実調査を行って、事実を公表することによって信頼を取り戻すというところが大事だと申し上げているので、そこのところがどうしても御理解いただけないようですので、これはまた別の機会にいたします。  例えば世界的に信用がなくなっている日本金融政策、それから大蔵省の権威を高めるためにはいろいろなやり方があると思いますけれども、その一つの方法として、アメリカで行われているブラインドトラストという制度があります。そういったものを例えば大蔵省提案をして、日本の内閣の中に取り入れていく、あるいは官僚の皆さんの中に取り入れていくというようなことが行われれば、それなりのインパクトがあるというふうに私は思います。  ブラインドトラストというのは、例えばアメリカでは、大統領に就任をした際に、大統領が持っている資産は大統領自身が運用できないことになります。その運用をしている人が十分に大統領とは距離がある、直接話もできない、完全に第三者の立場において運用を行う。したがって、大統領が行う政治的な決定が自分の資産の増減には全く影響を与えないというような制度になっています。  残念ながら、日本ではこういった制度はありませんけれども、現在の失墜した信用を回復するために、例えばそういった制度日本の官庁の中に取り入れよう、少なくとも内閣の中に取り入れようというような提案が出てくることによって、やはり世界的に、少なくともアメリカに対しては日本の反省といいますか、身を正す上での気概といったものが理解されるというふうに思います。  例えばこういったブラインドトラスト制度等を、これだけでなくてもいいのですが、これはほんの一例ですけれども、そういったことを採用する検討をお願いできるものでしょうか。  これはできれば大蔵大臣にもお答えいただきたいと思いますけれども。
  289. 三塚博

    三塚国務大臣 委員の御意見は、御見識だと思います。よって、我が国の内閣の事例を申し上げさせていただきます。  公職にある者の清潔さを保持する仕組みとして、財産公開をやらさせていただいております。一つは、資産公開制度ということで、閣僚の就任時及び離任のときの資産を公開し、その間の変動を明らかにするということといたしております。また、閣僚在任期間中、株式等の有価証券、不動産、ゴルフ会員権等の取引を自粛いたしますとともに、持っておる株式については信託をすることといたしております。  このような仕組みを取り決めてやらさせていただいておるわけでございまして、みずから律していくことは大変大切なことであると存じます。
  290. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 自粛していくというのが大体中心的な考え方のようなんですが、そこで実は先ほど来の質問関連してまいります。  不祥事が起こった際に、例えば大蔵省としてきちんとした調査が行われて、その事実関係がすべて公開される。そのことが当たり前になっている社会であれば、例えば今おっしゃったような自粛ということで、同時に情報公開をすることによって、私たち国民の側からは一体何が起こっているのかということが十分わかります。しかしながら、先ほどからのお答えの中、それからこの答えが出てくるプロセスでわかったように、大蔵省としてはなかなか事実調査も行わない。わかっている情報でも隠そうとする。法務委員会でも質問をして、大蔵委員会質問をして、ようやっと出てくるような形になっている。こんなにちっぽけな、三回会った場所を聞くのにさえ、我々国会議員が何時間も大蔵省と折衝をしないと、こんな情報でも出てこない。こういったことが背景にあって、自粛をしますと言われても、なかなかそんなことで済む話かなという結論になってしまいます。  だからこそ我々は、例えば私がここで提案をしているのは、ブラインドトラストという制度をつくって、そこにすべて委託することによって第三者の手で運用するという、客観性を加えることによって制度の担保を図るべきだという提案をしているわけです。その点について、質問時間がなくなりましたので、三塚大蔵大臣には、以前にもコンフリクト・オブ・インタレストをぜひ大蔵省の若い官僚の皆さんに研究をしてもらいたいというお願いをしましたけれども、このブラインドトラスト制度についてもぜひ省内で御検討いただきたい。もって日本金融システムについての信頼回復の第一歩にしていただきたい。それをお願いいたしまして、質問を終わります。
  291. 村上誠一郎

    村上委員長 次回は、明二十六日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時四十一分散会