○長野政府
委員 まず、三洋証券は特殊な
ケースであるか、他に類似するものはないかというお尋ねでございますけれ
ども、先ほどお答え申し上げましたように、関連ノンバンクを抱え、そこに多額の与信を抱えておるという危険な状態の証券会社という
意味では他に例がない、本社だけの特徴かと思います。もちろん、昨今の経済情勢の中で、証券会社各社は経営状態が万々歳という状態じゃないことは当然でございますけれ
ども、別途私
どもは証券会社に対しましては自己資本規制比率をかねてより適用いたしておりまして、これは
銀行で明年以降とられます早期是正措置の証券版が既に実施されておるということでございまして、そういった危険水域に入った場合には、私
ども改善命令を出し、是正の措置も各会社においてとっておりますので、そのような
意味では、本件で他の証券会社を連想していただくことは適切でないのではなかろうかと考えております。
そこで、将来の備えという御
質問でございます。ただいまのように申し上げたにせよ、今後は証券会社の業務が
自由化される、あるいは競争が激化されていくという金融システムの改革が進んでまいりますと、証券会社経営の健全性の
確保ということを片方でとりつつ、万一の事態に備えた
整備が必要であろうかと思っておりますので、ただいま申し上げました自己資本規制比率といったものも適切なものとしていかなければいけないと考えておりますし、あわせて、お尋ねのございました寄託補償基金の充実という課題がございます。
この点につきましては、もう先生の方から御
指摘がありましたように、財団法人として任意の拠出になっておる、したがって税務上もその拠出金は損金扱いされずに単なる寄附金扱いになっておるといった問題もございます。これは欧米では
法律上の仕組みとして
制度化され、したがいまして証券会社は
法律上の義務として負担金を納付する義務がある、それに沿った税法上の取り扱いが行われておるという例がございますから、そういった
方向で考えるべきではないかというのが一点ございます。
それから二点目には、これも御
指摘にございました、一社当たり二十億という限度でございます。一社当たり二十億という
考え方がよろしいのかどうか。むしろ、顧客に万一のことがあったときに自分の資産はどのように保全されるであろうかと考えますと、欧米にございますように、十万ドルまでは補償いたしますとか何万ポンドまでは補償いたします、その上は何%でございますという、お一人当たりという補償の
考え方、これは
銀行におきます預金保険でとられている
考え方でございますけれ
ども、そういったものを取り入れていくべきではないかというような御
議論もございます。そういったことを踏まえまして、次期
通常国会にこの
制度の
改正を証取法の
改正の中で提案させていただけないかということで、現在詰めております。
なお一点、長くなりましたけれ
ども申し上げますと、顧客
財産の管理の場合には、証券会社の場合には分別管理ということが大切でございます。三洋証券の例を申し上げますと、顧客の資産二兆七千億ということでございますけれ
ども、その九八、九%は保護預かりという形で分別管理された資産でございますから、証券会社の破綻と関係なく戻ってくることになります。
そういった形でなく、証券会社の一般
財産に紛れ込んでおります顧客資産というのが御
指摘の四百四十億前後あるであろう。それはどういうものかと申しますと、国債の代金を払い込んだけれ
どもまだ現物が届いていないとか、株式を売却したけれ
どもまだその売却代金がお客さんに返っていないとか、あるいは信用取引におきます証拠金といったようなものが一、二%。つまり四百四十億という世界でございますから、もし証券会社においてもっと今の顧客資産の中から分別管理というものを徹底していきますと、より安全に顧客の資産が担保される。例えば委託証拠金として積んでおるものを証券会社の一般
財産とせずに外部に積み立てることによって、何らかの形のときがあれば完全に保護されるという形にすればよい。この
点も欧米の方が私
どもよりもやや進んでおるような感じがいたしますので、その点もこれからの検討課題として進めてまいりたいと思います。
〔井奥
委員長代理退席、
委員長着席〕