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1997-11-20 第141回国会 衆議院 消費者問題等に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十一月二十日(木曜日)     午前九時三十分開議 出席委員   委員長 宮地 正介君    理事 小野 晋也君 理事 岸田 文雄君    理事 久野統一郎君 理事 佐藤 剛男君    理事 青山 二三君 理事 福留 泰蔵君    理事 石毛 鍈子君 理事 藤田 スミ君       飯島 忠義君    小此木八郎君       大村 秀章君    木村 隆秀君       小林 多門君    河野 太郎君       能勢 和子君    山口 泰明君       渡辺 具能君    長内 順一君       松沢 成文君    松浪健四郎君       肥田美代子君    細川 律夫君       中川 智子君    熊谷  弘君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         長官)     尾身 幸次君  出席政府委員         内閣法制局第一         部長      秋山  收君         公正取引委員会         委員長     根來 泰周君         公正取引委員会         事務総局経済取         引局取引部長  上杉 秋則君         経済企画政務次         官       栗本慎一郎君         経済企画庁調整         局長      塩谷 隆英君         経済企画庁国民         生活局長    井出 亜夫君         経済企画庁物価         局長      金子 孝文君         経済企画庁調査         局長      新保 生二君  委員外出席者         外務大臣官房審         議官      本村 芳行君         大蔵省銀行局銀         行課長     内藤 純一君         大蔵省銀行局中         小金融課金融会         社室長     木下 康司君         厚生省医薬安全         局企画課長   吉武 民樹君         厚生省児童家庭         局母子保健課長 小田 清一君         中小企業庁計画         部金融課長   寺坂 信昭君         運輸省運輸政策         局観光部旅行振         興課長     島崎 有平君         労働省職業安定         局雇用政策課長 太田 俊明君         自治省行政局振         興課長     小室 裕一君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     村瀬 興一君         特別委員会第二         調査室長    田中 宗孝君     ――――――――――――― 十一月十一日  遺伝子組換え食品の表示に関する請願(小林守  君紹介)(第三七九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  物価問題等国民消費生活に関する件      ――――◇―――――
  2. 宮地正介

    宮地委員長 これより会議を開きます。  物価問題等国民消費生活に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として日本道路公団理事村瀬興一君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 宮地正介

    宮地委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
  4. 宮地正介

    宮地委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤剛男君。
  5. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 自由民主党の佐藤剛男でございます。  本日は、私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律独禁法再販制度と通称言われております、法律的に言いますと独禁法二十四条の二でございますが、これについて、前回委員会におきまして、私は大まかに御指摘申し上げました。そして御検討を依頼したこともございます。前回は、経済企画庁長官が御出席でございましたので、私は半分を経済対策問題について使わせていただいたわけでありますが、本日は四十五分間、この問題について、公正取引委員会委員長の御見解、また、内閣法制局秋山第一部長から内閣法制局見解につきましてお聞きいたしたいと思います。  私がこの問題を取り上げますことはどういうことかといいますと、独禁法という体系は、経済仕組みというもの、経済秩序といいますか、そういう問題の資本主義社会においての大きな役割を持っておる。しかも、公正取引委員会機能というのが、準司法的機能といいますか、検察官的機能裁判所的機能を持っている。準司法的機関と称するわけでありますが、持っておる。  私は、今日、規制緩和規制緩和ということが進められておる場合に注意しなければいけないのは、法的安定性を損なうような法律運用をしてはいかぬ。それから、弱者保護を徹底しないと、規制を緩和した結果、弱い人、そういう立場が脅かされる危険性があるということの観点から、行政改革最終的改革は、公正取引委員会改革なくして行政改革はないと私は思っているぐらいであります。  司法改革については、自民党の中におきまして、山崎政調会長会長としましてスタートしたところであります。司法改革もやらなきゃいけないわけであります。政治改革をやり行政改革をやる。今日、債務名義の裁判を受けて、民事訴訟をやって、そしていざ差し押さえの段階になると、委員長東京に執行官というのが五十三人しかいないのですよ。これが今日の現状であります。そうしますと、行政改革をして一府十二省へ向かっていった場合に、これについて、司法改革をそのままの形で置いていけるはずがない。法治国家でありますから、きちんとした日本にしなきゃいけない、かような立場であります。  そして、私は二年前を思い出すのですが、規制緩和について商工部会で各省から意見を聞いたわけであります。商工部会は、通産省以外に、公正取引委員会経済企画庁部会でございます。そのときに、公取関係で何も出てこなかったので、私が言い出しっぺでありますが、あの持ち株禁止条項を削れ、これが規制緩和じゃないか、戦後、持ち株会社禁止するという条項マッカーサー指令から入っていた、それこそ削ることが規制緩和ではないか。  しかし、いろいろ経緯があったのですが、与党内においてなかなか字句もそろわない、公正取引委員会もなかなかきちんとした案文を出さない、そういうふうなことで、平成八年の選挙を経てからやっと急速にまとまった。そして、一応持ち株会社の、これは経済仕組みでありますが、これが今実施されようとしているわけでございます。  それからまた、そのときに私は力を入れたのは、公正取引委員会は今五百人ちょっとおるわけでありますが、アメリカあたりを見ますと、もちろんアメリカは人口が倍でありますが、一千人以上もいる。アメリカという国は異民族の国家で、人種のるつぼであります。ですから、弱い人が必ずいるのです。規制を緩和すれば、その弱い人たちを助ける、保護する、そういう目配り気配りをやっていくことに公正取引フェアトレードというのがあるわけだ。これは車の両輪であります。  ところが、日本規制緩和規制緩和ということが、これはかつては市場開放アメリカは言っていた。細川内閣のときからディレギュレーション、規制緩和という形になった。規制緩和がどんどん進んでいって、車の両輪のこちらの公正取引委員会機能がしっかりしないとだめだということで、私は、十七人だったか十六人だったか忘れましたが、その増員要求については非常に力を果たして、公正取引委員会事務局がおるから御存じですが、確保をいたして増員した。  私は、もっと増員しなきゃいかぬと思っています。通産省から百人ぐらい公正取引委員会に行く、経済企画庁から、この行政改革の折に、今いろいろ行政改革最終段階に来ていますけれども、公正取引委員会に百人ぐらい行く。このぐらいの仕組みをやらないと、規制緩和ばかりやって、ダンピング一つとってもそうでした、不当廉売一つとってもそうでした、公正取引委員会は、戦後でき上がった従来の機能にしがみついて方向転換できない、かじ取りが。  ですから、公正取引委員長公正取引委員会というのは、公正取引委員という国会の承認の人たちがいるわけでありますが、五人で結成されているのです。その公正取引委員会が、そういうことでやったものの決定というものが、検事の役割を持つし、また裁判所役割を持つというような、準司法的機能を持っている。決して私は建設業土建屋さんのカルテルばかりをやっているとは言いませんが、カルテルの啓発をするのも必要ではありますが、カルテルに対し課徴金を取るのが、それに重点を置くのが公正取引委員会仕事ではない。大きな部面で目配り気配りをやっていかなきゃいかぬ。  それで、私は、この場におきましても、小売店酒屋さんの問題、ガソリンスタンドの問題、それから安売り電器店の問題、この問題について、ちゃんと不当廉売罰則まであるのだから、体系まであるのだから、これを一罰百戒、発動しなさい、かように言っても、いまだダンピングについても発動しない。泣いていますよ、今の中心市街地酒屋さんたちは。ガソリンスタンド屋さんたちは泣いていますよ。  そういうことについて、非常に公正取引委員会機能というのが、監督するのがいないのだから、国会がやるしかないのだから、下手をすれば暴走するのだから、目配り気配りがないわけですから、そういうことをやるのが私はこの国会立法機関としての機能でもあるし、重要な仕事であると思っているわけであります。  ですから、公正取引委員会頑張れよということで僕は言っているのですが、情けないことに、今これから質問しようとする再販制度、これについての条項、二十四条の二。皆さん方前回配らせていただきましたが、著作権法とそれから公正取引法の、読みやすいようにちょっと太目の資料を配らせていただきました。この問題について、本論に入りたいと思っているわけでございます。そういう気持ちで私は向かいますので。  委員長昭和二十八年のころというと、委員長はたしか三十一年の卒業でございますから、私は三十六年でございますが、まだ大学のころだろうと思います。私は、その昭和二十八年に入ったときから、そのときの運用公正取引委員会は間違えていた、これを検証いたしますので、よく傾聴をしていただいて、しかと答弁していただきたい。  これは一つ経済仕組みを、仮に、例えばレコードを、レコードというのは著作物だ、こういうふうにやって二十四条の二の解釈で認めていたものを、レコードを取っ払う。どういうふうに取っ払うのか。解釈しかないわけですから、解釈を変えましたといって百八十度転回されたら、業界はどうなるのか。法的安定性というものを全く損なうのじゃないか。新聞はどうだ。これはいろいろな意見があるでしょうが、二十八年から続いてやってきたものについて、どういう形で著作物と認めて二十四条の二の第四項の指定がなされたのか。そして、この著作物でないと独禁法上どういう罰則になるのか。まずそこら辺から、基本からお聞きいたしたいと思います。  御承知のように、再販行為というのは、小売店販売する価格メーカーが指示します。そしてこれを守らせる行為再販行為というわけであります。再販行為というのは、販売業者間の競争を制限しまして消費者利益を害することから、原則として独禁法では違法とされているわけです。ですから、まず最初に、違法とされるときの、どれだけの違法になると罰則がかかるのか、どういう手続になるのか、それの御説明をしていただきたい。  それから、次の基本質問ですが、二十四条の二で、この再販行為というのが一部の商品にのみ例外的に許されているわけであります。この適用除外再販制度というわけです。適用除外されているのを再販制度というわけであります。  一項については、これは一般の、化粧品、資生堂の何とか、こういうようなものが一項になっていたわけですが、今日現在、全然、これはもう指定は取り消されて、告示もなくなっているはずであります。一項の場合については、これは公正取引委員会告示によって行うものであります。  ところが、この四項の著作物については、本来、この四項でいきますと、「第一項と同様とする。」と書いてあるわけだから、公正取引委員会決定が出されたら当然告示がされなければならないし、そういうふうに読むのが私は通常だろうと思っているわけであります。  第六項は、「第一項に規定する事業者」ということで、事の性格上、使い分けているわけですから、第六項は第四項についてはかぶらないが、第四項に関する限り、「著作物を発行する事業者又はその発行する物を販売する事業者が、その物の販売の相手方たる事業者とその物の再販売価格決定し、これを維持するためにする正当な行為についても、第一項と同様とする。」ということでございます。  それでは、委員長に御質問します。  今、第四項の再販に対しまして、この著作物でどういう品目指定されておるか、御確認の意味でお聞きします。
  6. 根來泰周

    根來政府委員 先日も答弁いたしましたけれども、昭和二十八年にこの再販制度というのが導入されまして、法律で、今御指摘のように、二つ類型に分かれているわけであります。これはどの本を見ても書いてありますように、指定再販品目というのと法定再販品目というふうに、二つに分かれているわけでございます。  指定再販品目というのは、公正取引委員会指定する品目について再販を認めるということでございまして、この品目については、その当事者から公正取引委員会に届け出ということでその話がスタートするわけでございますけれども、もう一つ法定再販というのは、「著作物」というふうに法律に書いてありますので、著作物解釈で今まで運用してきたわけでございます。  その運用のあり方から申しますと、当初、二十八年の当時の著作物というのは、先日も申し上げましたように、やはり著作権法というのを念頭に置いてのことだと思いますけれども、それは書籍雑誌新聞、それに準ずるというようなことでレコード盤ということを念頭に置いて解釈してきたわけでございます。これは公正取引委員会指定も何もございません。これは解釈運用してきたわけでございます。  ところが、このレコード盤に準ずる形で、テープが開発されまして、テープというのが入ってきましたので、それにレコード盤に準ずるという形で音楽用テープも認めようということになったのでございますが、さらに世の中が進展しまして、CDというのが発売されるようになりました。このCDの取り扱いについて、いろいろ研究会でも研究し、あるいは公聴会でも意見を聞いたわけでございますが、この著作物の範囲についていろいろ問題があるから、これを法的に確定するまでの間、音楽用CD著作物に準じて取り扱おうということになっておりまして、現在は、書籍雑誌新聞紙、レコード盤音楽用テープ音楽用CD著作物解釈して運用してまいっている次第であります。
  7. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 そうなんですね。この六品目がなっております。テープについては、音楽用テープとなっております。映像用、例えばAVテープというのがありますね、今はやりのアダルトビデオというやつですか。そうすると、そういうふうなテープというのは対象になっていないわけですね、委員長
  8. 根來泰周

    根來政府委員 先ほども申しましたように、当初はレコード盤ということを念頭に置いていましたから、それの延長線上ということでございますので、御指摘のような品目については、再販対象にはしておりません。
  9. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 それでは、解釈ですから、どこを見ても、告示にも出てない、省令にもない、政令にもないわけですから、AVテープメーカーが、製作者が、今小売店テープを売っていますよ、そこのところに再販契約をいたしましてやった場合には、違法になるのですか。
  10. 根來泰周

    根來政府委員 これは御承知のことかと思いますけれども、独占禁止法の十九条の不公正取引というのがございます。その不公正取引の概念につきましては、独占禁止法の二条九項だと思いますけれども、公正取引委員会告示でこういう類型は不公正取引ということになるというふうな規定がございます。再販につきましては、たしかあれは告示の十二号か何かで禁止されておりますから、当然これは排除命令ということになります。それで、排除命令をその業者に対して出すということに相なろうかと思います。  なお、その排除命令に対して本人が不服ならば審判という手続に移行しますし、さらにその審判について不服ならば東京高等裁判所司法的判断を受ける、こういうことに相なります。
  11. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 最終的な罰則法律第何条か。
  12. 上杉秋則

    上杉政府委員 お答えいたします。  ただいま説明がありましたように、独禁法上、十九条違反、不公正取引方法を用いた者に対しましては、罰則規定はございません。しかしながら、公正取引委員会命令が確定いたし、行政命令が確定いたしまして、確定した命令違反したという場合につきましては、罰則が用意されております。確定審決違反ということで、九十条の三号でございます。
  13. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 それでは、それを読んでください。
  14. 上杉秋則

    上杉政府委員 「次の各号の一に該当するものは、これを二年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。」三号でございますが、「第四十八条第四項、」これは勧告審決のことでございます。それから「第五十三条の三」、これは同意審決の場合でございます。「又は第五十四条第一項若しくは第二項」、これは審判を経た審判審決のことでございますが、「の審決が確定した後においてこれに従わないもの」に対する罰金の定めがございます。
  15. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 そうなんですね。ですから、最終的には二年以下の懲役、三百万円以下の罰金になる。  日本というのは罪刑法定主義なんです。委員長は検察庁の最高のポストにおられた方。ですから、罪刑法定主義というのは構成要件をちゃんと書いてなきゃいかぬ。殺人といったら人を殺したる者、それから詐欺罪だったら人を欺罔したる者、ずっと書いてある。そういうふうなものに該当するかしないかということで、検察官は起訴して裁判所がやる。ところが、この準司法的機関公取の場合というのは、みずから検察官役割をしている。排除命令を出している。排除命令違反になってくると今度は高等裁判所まで行くけれども、そういう裁判所的機能というのは、同意審決なりあるいは排除審決なりという規定の中で出てきちゃうわけである。だから私はそのことを問題にいたしている。  つまり、今いろいろレコードのことをやっておりますね。何か公聴会だか意見を聞いている。レコードであるとか、今やっているのは音楽用テープだとか音楽用CDとかやっている。これは指定されてから仕組みはちゃんとでき上がっているわけですよ、メーカー製作者も流通も。ところがそれを、百八十度解釈が違いました。法律も一本も出さない、告示も一本も出さない。こんなばかなことがありますか。  そうじゃないですか、委員長日本という国は一つ犯罪についても罪刑法定主義がある。これなのに解釈の違いでなってしまう。それが一つの例でAVテープというのが出てきたら、どこに行くのですか。AVテープ、どこに犯罪ですと書いてあるのですか。書いてないじゃないですか。おかしいという問題をまず提起いたすわけであります。  そして、例えば刑法でわいせつ物というのがあります。いまヘアの解禁というのがなされちゃった。あれは解釈で決めたのでしょうね。あるとき警察なりなんなりが捜査しなくなった。そこから雑誌という方に、今やヘアつき雑誌の方がよく売れるからやっておる。政務次官お笑いになっているけれども、そうでしょう。しかし、雑誌自身は今の再販制度適用除外品目。ですから、雑誌という中で競争が行われているのですよ。雑誌会社で出版している会社、随分倒れていますよ。数限りなく倒れていますよ。これはどういうことかというと、競争が中で行われているのですよ。  だから、なぜヘアつきのものが、名前は言わないけれども、駅のところで――私は問題があると思っているのですよ。教育的ないろいろな問題があるのだが、ここでは法律論だから外しておいても、なぜそういうものが、雑誌を見ると初めから出てき、後ろの方にくっついている。いつの間にかわいせつ物解釈が変わっちゃった。何もそれをやったからといって経済秩序を乱すわけじゃないのですよ、簡単に言えば。性的欲望についてどうして刺激を与えたかどうかというのをわいせつというわけだけれども、雑誌屋さんの中の競争がなされているわけだから、売れないなら消えていっちゃうわけだから、これはそういう意味においては確保されている。ところが、この解釈は、先ほど言いましたようなわいせつ解釈と違うのですね。解釈することがもう罪刑の、法律の条文だという。  それではお聞きします、委員長。  昭和二十八年に新聞雑誌それから書籍レコード盤、これが指定されたとき、どういう手続をされたのですか。議事録がありますか。公正取引委員会の中における、公正取引委員委員長がやられているのですが、当時委員長はたしか横田委員長だと思いますけれども、どういうことで決定されて、どういう発表をしたのですか。
  16. 根來泰周

    根來政府委員 私は、委員長に就任しまして、再販問題がちょうど燃え盛っていますので、いろいろ過去の歴史も調べてみました。ただ、当時の議事録を見ましても、その辺は明確に説明していないわけであります。これは御質問も余りなかったようでございます。ですけれども、当時の私どもの委員会解釈説明といたしまして、レコード盤まで含める、こういう解釈になっているわけであります。  なお、敷衍しますと、各国再販制度も、各国にもそういう例はあるわけでございますし、今は大分減っておりますけれども、当時相当認めていたわけでありますけれども、各国レコード盤を認めている例というのは余り聞いていないわけでございます。しかし、我が国の運用としまして、定価制度というのを前提としましてレコード盤を認めているということだと思います。
  17. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 こういうことでいいのですね、ちょっと今きちっと回答されてなかったですが。要するに何となく決まっちゃって何となく解釈運用されてきたんだ。  それは、委員長はそのころ大学のころだし、私もまだ大学に行っていないわけですから、そんなことで話をすることじゃないけれども、せめて、公正取引委員会として重要なものなんだから、歴史的書物みたいなものがあるのだろうと思うのですよね。そのときどういうふうにやって決定されたかぐらいは、きょうは時間がないから、今度少しまたこの問題は私はアタックしますから、そのときに議事録なり会議録なりを出していただきたい。  そうじゃないと、解釈が、規制緩和ということで新聞適用除外されているのを今度適用するとか、それから音楽用CDを百八十度転回するとか、これは法的安定性を、昭和二十八年からきているものについて、昭和二十八年ということは、昭和二十二年からが五十年ですからもう四十四年、四十四年間、戦後の一つ秩序ですよ。この秩序をぶち壊そうとしている。それをやろうとしているのは解釈の違いであってと、憲法九条の議論をやっておるわけじゃないのですよ。  そこのところの根拠が、著作物というものについてずっと眺めていくと、著作権法というのがあるのですね、日本法律の中に。秋山部長、お聞きしますよ。著作権法上の著作物の中にはレコードは入るのですか。  今、お手元に著作権法を配ってあります。委員の先生、ごらんいただきたいと思います。  私が質問しようとしているのは、第二条の「定義」に、著作物というのが一号に定義が出ています。七号にはレコードといって使い分けています。それから「目的」に、既に「この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送」と使い分けている。ですから、私も法律秋山部長と一緒に、私は通産省で、秋山部長はもう優秀なる法律のあれをされておるわけで、私は大変なる尊敬している後輩でありますが、通常の法律的な、行政立法として考えた場合には、このレコードというのはもともと著作物に入っていなかったのじゃないですか。使い分けているのじゃないですか。それについて、第一部長、名第一部長からの御見解を問います。
  18. 秋山收

    秋山政府委員 著作権法についての御質問でございますが、現行の著作権法によりますと、委員指摘のとおり、第二条で定義といたしまして第一号に、著作物とは、「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」とございますが、第五号で別途レコードというものがございまして、「蓄音機用音盤、録音テープその他の物に音を固定したもの(音をもつぱら影像とともに再生することを目的とするものを除く。)をいう。」とございます。  したがいまして、現在の著作権法の定義では、レコード著作物というものは別に定義されているわけでございますが、ただ、独禁法独禁法で別の法益があるわけでございますから、著作権法の定義なり解釈独禁法著作物というものの定義なり解釈と必ずしも一致する必要はない。むしろそれぞれの立法趣旨などに照らしまして、若干別の解釈があってもこれはおかしくないことであるというふうに考えております。
  19. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 そういう回答もあるかと思うのですが、三百代言的に近い。これは国の中の法律の、内閣法制局を通して私も法律、改正法だの何だの三十近く手がけておりますが、必ず、こういう既存のところの法律はどういうふうに書いてあるか、ここで言葉を見ます。そうすると、はっきりしていることは、著作権法の中における著作物というのはレコードと違いをつけている。  それで、第一部長は、法律それぞれの法益があるんだから別々の解釈は決して悪い話ではない、こう言っておられる。しかし、どこの法益かといえば、この独禁法の法益とこの著作権法の法益とは、先ほど言っているように経済仕組みの問題だからそんなに基本的に違いはないし、法律解釈だけで罰則までついておる。著作権法というのは権利を与える形。そういうものとの観点で、これは著作物という一だからといってレコードを外せと言っているのじゃないのですよ。私が言っているのは、もうずっとレコード盤指定され、CDもなっているんだから、法的安定性が決まっているんだから、これをもしやめるならば法律が必要であると私は思うのです。  それでは第一部長に伺います。この解釈が変わったならば、例えば新聞適用除外品目から独禁法の適用項目に入れる、つまり再販価格、さっきの二年以下の懲役、三百万円以下の罰金。このときには法律が私は必要と思いますが、秋山部長の御見解を問う。雑誌を今度変える場合には法律を必要とする、それから、レコード盤を外す場合には、外す場合といったって法律はないんだから、解釈だけなんだから、それをやる場合には法律を必要とする。まずそれについて、必要とすると思うが、どのような見解か、お聞きします。
  20. 秋山收

    秋山政府委員 お答え申し上げます前提としまして、まず、現行の二十四条の二第四項、これにつきまして、その著作物について告示なりなんなり、あるいは公正取引委員会指定制のもとに置くというのがそもそもの立法趣旨だったのではないかという御前提をお持ちのようでございますが、ちょっとその点につきまして法制局の見解を御説明いたします。(佐藤(剛)委員「それはまだ言ってない」と呼ぶ)  それでは、先ほどの御質問に端的にお答えいたしますけれども、現在の考え方で、大量定型的に流通いたします著作物として、先ほど公取委員長が申し上げた六品目というものを解釈として運用しているわけでございますけれども、そのようなものにつきまして、これを著作物再販対象から外すということになりますと、これは当然のことながら解釈の限界を超える問題でございまして、立法的な措置が必要であるというふうに考えております。
  21. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 待ってました。そういう御答弁が来るのを待っていた。ですから、法律をつくらなければ直せないんですよ。例えば新聞再販価格から外します、つまり独禁法禁止体系に入れ込みます、そういった場合には法律が要るんですよ。それから、音楽用テープにつきましても、音楽用CDについても、レコード盤についても同じなんです。書籍についても同じなんです。雑誌についても同じなんです。だから、書籍にかかわる独禁法第二十四条の二の著作物でない、ないなんてどういうふうに法律をつくるのか知りませんが、公正取引委員会解釈変更に伴う何とかとやるんでしょうね。  というのは、それがおかしいでしょうと私は言っている。法律指定もされていない、政令でもしてない、告示でも指定していないものが、ろくでもない解釈を決めちゃったから、本来なら外に向けなきゃいけない、それをきちんとした手続をとっていないから、今度は、世の中動いているわけですよ。例えば、今レコード盤なんというのはほとんどなくなったでしょう。CDにかわっていますよ。経済というのは、新しい商品ができる、そういうふうなものについて現在のような運用をしておれば、本来例えばCDと同じようにあるいは音楽用テープと同じように、むしろ逆に著作物再販というのにしたくてもできない。解釈で、公正取引委員会が、いやそれは著作物じゃございませんとやるとできない。こんなばかな話はないでしょうということの証明なんですよ、第一部長。  解釈が違うときには法律が要るんだ。解釈するときには法律がない、告示もない。じゃ、二十八年のときにどういうアナウンスメントをしたんですか。公正取引委員会がどこか新聞発表したんですか。それを私は聞いているわけでございまして、その点は事務局が調べてあると思うから、そういうことは調べておけと僕は言っておいたんだから、上杉部長
  22. 上杉秋則

    上杉政府委員 お答えいたします。  二十四条の二の作成の経緯でございますが、二回の国会に分かれて審議がございまして、第十五回国会、これは昭和二十八年三月に提案させていただいたわけでございますけれども、その当時提案された内容というのは、著作物再販対象といたしまして出版物を考えていたということでございます。その表現は、「著作物を出版する事業者が、その出版物の販売の相手方たる事業者とその出版物の再販売価格を維持し、又は決定するために行う契約についても、第一項と同様とする。」ということでございました。  その国会が急速解散になりまして、廃案になりましたので、第十六回国会に再度提出をさせていただきました。これが二十八年六月でございます。その際には、現在と同じ「著作物を発行する事業者又はその発行する物を販売する事業者が、」というような表現に改められておりまして、「出版」から「発行」へと規定ぶりが変更されたものでございます。  この点につきまして内部資料等を精査いたしますと、この文言の変更というのは、第四項に規定する著作物の範囲に、当時ございましたレコード盤を含めることを意図してこのような表現にいたしたというふうに記されているわけでございます。  なお、この点についてどのような形で対外的に明らかにしたかというお尋ねでございますけれども、一点は、当時の法改正の解説書というものがございまして、その中でレコード盤のことが書かれております。これは私的なものでございますが、公的なものといたしましては、独占禁止法第四十四条第一項の規定に基づきまして、内閣総理大臣を経由して国会に報告しております年次報告がございまして、その昭和三十二年度の年次報告におきまして今の点が、レコード盤が入るということが明記されているところでございます。
  23. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 そうだと思うのですよ。そういう経緯はあると思うのです。私は、今一番重要なことをもう確認を得ましたから、つまり、再販品目のうち一品目でも、一品目でもですよ、これを適用除外する、つまり六品目から外す場合でも法律が必要ですねということを言ったら、第一部長は必要ですと。内閣法制局の有権解釈としてこれは重要なものであるのですから、もうそれでいいです。六つ全部やらなくたって構わない。  つまり、国会の我々立法機関がそれについて関与する、そのときにまたそういう議論の場がありますから余り深みに入りませんが、私が今申し上げていることで、委員長、やはり運用がちょっとおかしかったなと。  私は今でも法律を直す必要があると思っているのです。これは秋山部長にお聞きしたいのですが、二十四条の二の四項、著作物、括弧で例示を入れてもいいのですよ、雑誌新聞レコード盤その他政令で定めるものとか、あるいは、その中にずっと六品目を例示して、その他政令で定めるものとかなんとかして、括弧閉じ。このぐらいのことをはっきりとしておかないと、公正取引委員会委員長委員四人の五人で経済仕組みを決められてしまうんだから。だから、先ほど言っているように、危なくてしょうがない。危なげですよ、これは。公正取引委員会改革なくして行政改革は終了しないですよ。危なげです。  経済企画政務次官、せっかく座っておられるから、私が今このお話をしていて、経済企画庁の所管ではないけれども、どのようにお考えになるか、感想をお聞きしたいと思います。
  24. 栗本慎一郎

    ○栗本政府委員 おっしゃられましたとおり、私は個人としての意見は持っておりますけれども、経済企画庁の政務次官といたしましては、経済企画庁自身がこの問題を管掌しておりませんのでお答えは差し控えたいと思いますが、それではせっかくのおただしでまことに申しわけないので、やはり委員のおっしゃられるとおり、経済の問題に非常に大きなかかわりを持つ、基礎構造とまで申しませんが、そういうことについてはきちんと、改変あるいは改善あるいはこれで維持というふうなことについても手続は明確であった方がいいかと思っております。
  25. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 ありがとうございました。  それでは、もう一度この機会に、重要なことですから、秋山部長に御質問します。私は、秋山部長というのは尊敬をしているのですね。将来の日本内閣法制局長官に最も最適な人だと私は思っておるぐらいです。  それで、こういう問題を提起します。音楽用CD、これを六品目から外す場合、これには法律が要りますね。
  26. 秋山收

    秋山政府委員 先ほど御答弁したとおりでございますけれども、現在の六品目につきまして、これが著作物であると、これは商品特性あるいは立法趣旨から見てそういうふうに解して運用されているわけでございますので、それを対象から外すということになりますと、実態の変動というものがよほどない限り、法律をもって、立法をもって対処すべき問題であると考えます。
  27. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 ありがとうございました。それでいいのです。立法政策の課題であると。恐らく六品目対象になっている業界の方々は安心しておられるのじゃないかなと思いますけれども、逆にこういうこともあるのですね。  現行法二十四条の二、これは私はちょっと十分じゃないじゃないか。先ほど言いましたように、「著作物」と書いてあって、著作権法著作物とも別ですという説明があったけれども、法律、政令、少なくとも告示できちんとするとか政省令に落とすとか、外形的に国民全体にわからせる、そういうことをやらないと、二年以下の懲役、三百万円以下の罰金、最後はそういうところまで来るわけでありますから、これについては、この二十四条の二の改正、現行においても改正すべきだと私は思っております。というのは、廃止するときに法律が要るというのだから当然だと思いますが、委員長にそれに対しての御見解を伺いたい。その後、内閣法制局第一部長から伺います。
  28. 根來泰周

    根來政府委員 ただいま委員からいろいろ御叱正がございましたけれども、お話の内容の大筋は当委員会見解と全く一致しているわけでございまして、それは御説明すると非常に長くなるものですから説明はしていなかったわけでございますけれども、平成三年の七月に政府規制等と競争政策に関する研究会から提言をいただきまして、そのときの主題は、音楽用CDを含めるかどうかという問題であったわけでございます。  そのときに、その提言を受けていろいろ公聴会等を開きまして、公正取引委員会平成四年の四月十五日に、「レコード盤音楽用テープ及び音楽用CD再販適用除外の取扱いについて」ということを公表しております。  その中で、簡単に申しますと、要するに、法的安定性の観点から、立法措置によって対応するのが妥当であるとの結論に達した。このため、当委員会としては、今後、再販適用除外が認められる著作物の範囲について幅広い角度から総合的な検討に着手することとしたい。  なお、音楽用CDについては、立法措置によってその取扱いが明確にされるまでの間、当面、レコード盤に準じて取り扱われることとなる。こういう見解を発表しているわけでございます。  ですから、著作物の範囲並びに著作物の根拠について、ただいまいろいろの研究会等を開いて検討していただいているところでございますから、当面はこういうことで推移すると思いますけれども、その結果、立法措置によって解決されるものと考えております。
  29. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 現行の条項法的安定性の観点から適当でないという委員長の御答弁があったわけでございます。  それについて秋山部長の御見解を聞いて、私の持ち時間は終わりですから、終わりにいたしたいと思います。
  30. 秋山收

    秋山政府委員 立法政策論の問題ではございますけれども、今日のように著作物商品が多様化しているような状況のもとで、著作物につきまして現行の二十四条の二第四項は定義も指定制も置いていないというふうに解しておるわけでございますが、このままでよいかどうかにつきましては、当然いろいろな議論があり得ると思いますし、私個人の見解ではございますが、当然整序されてしかるべき規定であると考えております。
  31. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 ありがとうございました。
  32. 宮地正介

    宮地委員長 長内順一君。
  33. 長内順一

    ○長内委員 新進党の長内順一でございます。  私は選挙区が北海道でございまして、最近特に拓銀の破綻の問題が、地元のこの地域を大変揺るがしている問題でございます。今回は、用意しました質問に先立って、この拓銀の問題について、これは大蔵委員会じゃございませんので、預金者それから地元で拓銀をメーンバンクにして営業をされているような中小零細企業の皆さんの視点から、率直に予断を交えずにお伺いをしたいと思いますので、何とぞよろしくお願いしたいと思います。  都市銀行はつぶれないというような一つの神話がございました。大蔵省でも随分そんなことをいろんな機会に発表したこともあったわけでございますが、現実に初めて都市銀行が経営破綻を招いた。実際にこうなってみまして、都市銀行の規模の大きさそれから影響力の大きさ、こういうことを今つくづく実感をしているわけでございます。  そんなことから、ちょっと細かい点になるかもしれませんけれども、確認も含めて質問をさせていただきたい、こんなふうに考えておるわけでございます。  まず、今申し上げましたように、拓銀というのは北海道の中で非常に大きな位置づけをしておりまして、たしか全預金量の四分の一近くを扱っているところでございます。地域経済に大変大きな影響を与えるわけでございますが、今回の経営破綻によって地域経済にどのような影響があるというふうに見ているのか。大蔵省並びに経企庁政務次官にお尋ねしたいと思います。
  34. 内藤純一

    ○内藤説明員 お答え申し上げます。  お尋ねの、拓銀の破綻が道内の経済にどのような影響を与えるかという点でございますが、大蔵省といたしましては、拓銀が北海道におきまして重要な金融機能を果たしてきたということにかんがみまして、その金融機能自体はぜひとも維持することが不可欠であるというふうに考えております。それで、受け皿銀行、今回北洋銀行にその機能は引き継がれるというふうなことになりまして、これが適切に引き継がれるよう、日銀を初めとする関係機関とも協力しつつ、処理方策を早急に取りまとめてまいる考えでございます。  さらに、受け皿銀行へ承継するまでの間、拓銀は従来どおりの営業を継続するということでございまして、この間の資金については、必要に応じ日銀が日銀特融という手段で資金を供給するということになっております。したがって、こういった措置によりまして、すべての預金が保護される。また、健全な融資先等に対する取引についても、これまでどおり支障が生じることのないように対処をしていきたいというふうに考えております。  なお、拓銀の貸出先である健全な地場企業等に不測の悪影響が生じることのないよう、大蔵省といたしましても、政府系金融機関を含む地域の金融機関等に対しまして必要な協力要請を既に行っております。また、北海道庁におきましても、制度融資の充実拡大等の対策を講じていく旨発表しているところでございまして、大蔵省は、こうした関係当局とも協議しつつ、これについて最大限の努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  35. 栗本慎一郎

    ○栗本政府委員 北海道経済の動向に関しまして深甚な御心配を賜りまして、感謝いたします。  拓銀は、言うまでもなく、北海道最大の銀行であるとともに、四分の一を超す預金量を抱えておりまして、今大蔵省からの答弁がありましたように、他の銀行に営業を譲渡するにつきましても、全くスムーズに問題なくいくかどうかについてはやはり心配があるだろうと思います。  経済企画庁といたしましては、地域経済統計を管掌している面からいいまして、北海道の経済が全国の平均の中においてもさらに厳しいものを持っているということを認識しております。百貨店の販売額の減は全国の平均を超しております。さらに、住宅建設戸数、建設全体において非常に厳しい事態にあるということを持っておりますので、そうしたことを踏まえて、きちんと金融機能の維持及び預金者の保護がなされるように注視をしてまいりたいと思っております。
  36. 長内順一

    ○長内委員 今、万全を尽くすということだと思います。そしてまた、経企庁の方もそれをしっかり見守っていただけるということで受けとめさせていただきたいと思います。  細かい話になりますけれども、今回、実は一般的には、朝のニュースで例のサッカーのニュースを見ていたときにテロップが入って、地元の人は、今まで予測はしていたものの、いよいよだなと大変な衝撃を受けたわけでございます。しかし、その中で、私は率直に評価したいと思うのは、今銀行課長がお話しになったようにいち早く三塚大臣自身が直接記者会見をしまして、そして、要するに預金は全額保証されるということを直接アナウンスした。これによって、よくあるような取りつけ騒ぎだとか、こういうものもなく、今非常に冷静な形で、拓銀自体も、そして受け皿になっております北洋銀行自体も平静な営業を続けておるというふうに私は見ておりまして、今回の大蔵省の、大臣自身がみずから記者会見をして、まず預金者保護を直接訴えたということについては、大変評価をいたしたいというふうに思います。  念のためにもう一度伺っておきますけれども、預金は全額保証される、大蔵省、これに間違いありませんね。
  37. 内藤純一

    ○内藤説明員 お答えいたします。  金融機関の破綻処理に当たりましては、現時点においては、金融機関のディスクロージャーが充実の途上にございまして、預金者に自己責任を問い得る環境が十分整備されていないという点、それから、現在、金融機関が不良債権処理を進めている過程でございまして、金融システムの安定には細心の注意を払う必要があるというようなことから、預金者に直接負担を求めることは困難であり、当面は、預金の全額を保護しつつ破綻処理を行う必要があるというふうに考えております。  今回の拓銀の処理に当たりましても、このような考え方に沿いまして処理方策が取りまとめられたというふうに考えておりまして、営業譲渡までの間において預金の全額が保護されるというふうに考えております。
  38. 長内順一

    ○長内委員 今回の処理スキームを決定し、それを管理し推進する大蔵省から、預金については全額保護されるということを改めて伺ったわけであります。  もう一つ心配な点は、先ほども栗本政務次官の方からお話がございました、道内の経済状況が非常に地盤沈下をしておりまして、その中でも、今、これから年末にかけてのこの時期なのでありますが、中小零細の経営者の皆さんにとってみれば、どうしても資金需要が高まる時期に入ってくるわけでございます。  拓銀をメーンバンクにして仕事をされている方、これはもうかなりの数に上るわけでございまして、いわゆるつなぎ資金といいますか、運転資金といいますか、銀行とつき合う経営者のメリットというのはやはりそこにあるわけでございまして、今回のことによって中小零細向けの融資、これが従来どおり取り扱われるのかどうなのか。  また、これは当事者だけじゃなくて、関連する金融機関、それから、先ほどもお話ございましたけれども自治体、そればかりじゃなくて、政府の関連の救済対策、これがやはり非常に大事になってくると思うのですが、この点について、預金は保護されるよ、しかし中小零細の資金繰りについても資金提供というのは十分なされますよ、こういうことなのかどうなのか。その辺のことについて、大蔵省、それから中小企業庁にお伺いしたいと思います。
  39. 内藤純一

    ○内藤説明員 お答えいたします。  受け皿銀行、北洋銀行でございますが、ここへ承継されるまでの間、拓銀は通常どおりの営業を継続することとなっております。この間の資金につきましては、先ほど申し上げましたように、必要に応じ日銀が日銀特融により供給するということになっているわけでございます。したがって、健全な融資先等の取引につきましては、これまでどおり支障が生じないというふうに考えております。  なお、拓銀の貸出先である健全な地場企業等に不測の悪影響を与えることのないよう、大蔵省としても、政府系金融機関を含む地域の金融機関等に対して必要な協力要請を行っておりまして、また、北海道庁におきましても、制度融資の充実拡大等の対策を講じていく旨発表しているところと考えております。  具体的に申し上げますと、十一月十七日、先ほど委員がおっしゃいました大臣談話を発表した日でございますけれども、同日付で、当面の貸し出しの運用について、大蔵省その他関係省庁から、国民金融公庫等政府系の金融機関に対しまして協力の要請をしております。また、当面の保証業務につきましても、全国信用保証協会連合会に対しまして要請を行っております。さらに、地元金融機関への説明会というものも、同日付で北海道財務局そして日本銀行が協力要請を行っている。そしてまた、地元におきます、北海道知事の方からは金融対策の緊急連絡会議の設置等につきましての発表も行われているということで、今後、私ども大蔵省といたしましては、関係省庁、北海道庁等関係当局とも十分相談をしながら、最大限の対応をさらに引き続きやってまいりたいというふうに考えております。
  40. 寺坂信昭

    ○寺坂説明員 御説明申し上げます。  北海道拓殖銀行の今回の事態の推移によりまして、拓殖銀行の健全な取引先でございます中小企業に支障が生じないよう、十七日当日でございますけれども、全国信用保証協会連合会、中小企業金融公庫、それから商工組合中央金庫に対しまして、適切な支援、協力を行うよう要請をしたところでございます。  具体的には、各業種等の実情を十分考慮しまして、貸し出し、保証手続の迅速化、それから担保徴求の弾力化等につきまして、個別企業等の実情に応じた十分な対応に配慮するよう指導したところでございます。  今後とも、本件の推移を注視しつつ、北海道通産局あるいは大蔵省等と密接に連絡をとりながら、関連中小企業者の資金繰りに支障が生じることのないよう万全を期してまいりたいと考えているところでございます。
  41. 長内順一

    ○長内委員 とにかく、できる手段をすべて使って、この大変厳しい状況を乗り越える、そんな支援策をぜひともお願いしたい。  ただ、大蔵省で一生懸命やっていただいているのはよくわかるのですが、今のお答えの中で、健全な企業と、健全な企業にはきちっと融資をしていきますよと。この辺が、どういう企業が健全か、これは大変難しいところなんですけれども、極端なことを言うと、経営的に赤字の会社というのはいっぱいあるわけでございまして、そういうところがいざというときに融資の対象から外されるなんということがこれからあるようであれば、これは万全な対策がとられているということは言えないと私は思います。  これまでも、現実にあった話でありますが、中小企業の中で、今までであればつなぎ資金としてお願いをしたらすぐ貸し出してくれた。ところが、最近になりまして、特に拓銀の話でございますけれども、道銀との合併問題が破綻をしてから、何か今までであれば簡単に融資をしていただいたそのお金が融資していただけない。それによって倒産をしたなんという会社が一社や二社ではありませんでした。  私は、今の中で一つだけ気になるのは、健全な企業にという、そのまくら言葉が果たしてどの辺までを指すのか。もう一度御答弁をお願いしたいと思います。
  42. 内藤純一

    ○内藤説明員 お答えいたします。  先ほども申し上げましたように、私ども、拓銀の貸出先である健全な地場企業等には、不測の悪影響のないように万全の対応をしていく必要があるというふうに考えております。  それは、大蔵省から発表しました大臣談話におきましても同様の考え方が示されておりますが、受け皿銀行へ引き継ぎを行うまでの間、拓銀におきまして、必要と認められる融資はこれを行うことができますが、一方で、拓銀の資産劣化を防止するという観点から、同行に対しましては、銀行法第二十六条に基づき、業務改善命令を発出いたしております。この趣旨は、資産劣化が進みますと、拓銀の資産を不良債権の部分は預金保険機構が引き継ぐというふうなことになっておりまして、この不良債権の額がさらに拡大をするというおそれも十分ございます。  したがいまして、道内の経済の問題を一方でにらみつつ他方でこの資産劣化を防止するという観点で、拓銀の中でもこれをきちんとチェックするという対応も今整備しつつございますけれども、そういった対応をしながら、しかしながら他方で資金は円滑に供給をしていくという、二つの問題について十分慎重に対応していくということで考えているわけでございます。
  43. 長内順一

    ○長内委員 ちょっと今の答弁はなかなか判断が難しいところなんですが、現状はそういうことかもしれません。不良債権の問題とそれから今の相反する問題、将来またそういうふうになるかもしれないという難しい立場に今現状あるのかもしれませんけれども、とにかく私が申し上げておきたいのは、何か健全な取引先ということでぐっと融資先が狭まって、それによって、今まで拓銀をメーンバンクにしながら営業を続けていたようなところが、本当に、これから次から次、年末にかけてあそこもここもというようなことだけはないように、くれぐれも課長、大蔵省でも目配りをしていただきたいということを申し上げておきます。  時間がありませんので、たしか拓銀はへ道内における政府の指定金融機関になっていたはずでございます。これは地方自治法の第二百三十五条で、都道府県単位に必ず窓口を置かなければならないということになっております。  実は、指定金融機関というのは大変なものなんですね。例えば地方交付金から、もちろん補助金から、何から何までここを窓口にして、そして、政府のいわゆる公金がここを窓口にして地方自治体なりなんなりに流れていく、こういう仕組みになっておるわけであります。  今回はまさしく、この北海道拓殖銀行というのは政府の指定金融機関になっております。これは今後、今回の営業譲渡に伴ってどんなふうになっていくのか、これについてちょっと確認をしておきたいと思います。
  44. 小室裕一

    ○小室説明員 お答え申し上げます。  長内委員指摘のとおり、地方自治法の第二百三十五条の規定によりまして、都道府県は、「金融機関を指定して、都道府県の公金の収納又は支払の事務を取り扱わせなければならない。」こととされております。また、市町村は、「取り扱わせることができる。」こととされております。  北海道におきましては、北海道及び札幌市ほか四十市町村が北海道拓殖銀行を指定金融機関に指定していると聞いております。  今回、北海道拓殖銀行が北洋銀行に営業譲渡を行うと発表されましたが、営業譲渡の具体的な内容を子細に承知しておりませんので、当該団体と北海道拓殖銀行との間の指定契約がどのように継承されるかが明確でなく、現段階では、指定がどのようになるのか確たることは申し上げられませんが、いずれにいたしましても、北海道等から具体的な御相談があれば適切に対応してまいりたいと考えております。
  45. 長内順一

    ○長内委員 ということは、政府の公金を預ける金融機関というのは、政府の側ではいわゆる影響力を持たないということで理解してよろしゅうございますか。逆を言えば、自治体なら自治体の方で、私はどこどこの銀行を使いますよということで簡単に決まってしまう、そんな仕組みになっているのでしょうか。
  46. 小室裕一

    ○小室説明員 お答え申し上げます。  長内先生十分御承知のとおり、指定金融機関の指定に当たっては、議会の議決を経るという手続を設けた上でそれぞれの地方公共団体が決定する形になっております。
  47. 長内順一

    ○長内委員 後でまた伺いたいと思います。  それから、緊迫した問題としましては、今地元で雇用の問題が大変大きな話題になっております。  それは、拓銀の銀行職員、これは約五千名です。この皆さんがこれからどうなっていくのか。これについて、当面するのは労働省なんでしょうけれども、大蔵省としても、これからどのようにこの問題を指導していくのか、その件についても伺っておきたいと思います。
  48. 内藤純一

    ○内藤説明員 お答え申し上げます。  拓銀の職員の雇用問題についてのお尋ねでございますが、従業員及び地元の関係者がこれについても大きな関心を有しているというふうに私ども承知しております。  大蔵省といたしましては、拓銀のこの処理スキームというものを今後詳細を詰め、具体化をし、そして実施をしていくということについて、責任を持って当たりたいというふうに思っておりまして、この雇用問題というものも十分配慮をしつつ、雇用関連施策を所管されます労働省並びに北海道庁等とも十分相談しながら、拓銀の従業員が離職したというような場合等におきましての適切な対応がなされるよういろいろと対応していきたい、考えていきたいと思っております。
  49. 太田俊明

    ○太田説明員 お答え申し上げます。  北海道拓殖銀行の従業員数、先生御指摘のとおり五千五百四十九名でございますけれども、現在、受け皿銀行に引き継ぐ北海道拓殖銀行の営業内容の具体的内容、あるいは承継の方法、時期等につきまして、関係者間で詰めがなされているところでございまして、従業員の今後の動向につきましては、現時点ではまだ明確になっていないという状況がございます。  今後、労働省としましては、その受け皿銀行への業務の引き継ぎの状況などを十分見きわめながら、大蔵省や北海道庁などとも十分な連携を行いまして、従業員の雇用問題につきまして適切に対応してまいりたいと考えております。また、北海道拓殖銀行に対しましても、従業員の雇用問題に対しましては万全な配慮をするよう要請をしてまいりたいと考えております。
  50. 長内順一

    ○長内委員 ただいま申し上げましたけれども、直接的には労働省ということで、今御答弁いただいたような形でぜひとも腰を入れてこれはやっていただきたい。しかしながら、この処理スキームをつくってそれを推進している大蔵省においても、決して単なる金の流れで今回の処理スキームを推進していくということだけじゃなしに、今のようなことについても十分目配りをお願いしたいというふうに思うわけでございます。  ちょっと突っ込んで聞かせていただきたいと思います。  まず、大蔵省にお伺いしたいのですが、これまで、歴代の大臣でしょうか、特に三塚大臣が何回か話しておりますけれども、大手二十行はつぶさないということを何回かコメントをされております。しかしながら、現実にこういう事態になりました。これまで歴代の大臣が口をそろえておっしゃっていた、大手二十行はっぷさないと言っていた根拠は一体どこにあったのか、お伺いしたいと思います。
  51. 内藤純一

    ○内藤説明員 お答えいたします。  大蔵省といたしましては、国際的に活発に活動している銀行につきましては、その破綻が生じますと、国内のみならず国際的にも非常に大きな問題になるということが懸念されます。したがいまして、その金融機能が仮に損なわれますと、内外の金融システムに非常に大きな動揺が生ずるということでございまして、こうした動揺が生ずることのないよう対処するということを述べてきたわけでございます。  拓銀でございますが、海外営業拠点を廃止するなど既に海外業務からは撤退をしておりまして、もはや国際的に活発に活動しているという銀行ではございません。ただ、我が国、とりわけ北海道におきましては重要な金融機能を有しているということもまた事実でございます。  こうした状況を踏まえまして、拓銀の金融機能につきましては、この受け皿銀行、この場合には北洋銀行になりますが、ここにその機能が引き継がれることといたしまして、受け皿銀行への承継までの間におきましては、従来の預金者や健全な融資先等の取引に支障が生じないよう、日銀の特融の発動により通常どおりの営業を拓銀が引き続き行うという対応をしているところでございます。  こうした対応によりまして、拓銀が果たしてきた金融機能は今後とも維持をされる、金融システムの安定性は十分確保されていくというふうに考えているわけでございます。
  52. 長内順一

    ○長内委員 今の説明では、どうなのでしょうか、大手二十行はつぶさないんだということが果たしてそういうことなのか。  要するに、グローバルスタンダード、こういう中で、まずは対外的に影響がないことであるということが一つ。しかし、そしてその機能を存続させるということがその根拠なんだということになると、これは大蔵省が、なかんずくトップの大臣がおっしゃっていた大手二十行はつぶさないというのが、本当に国民の側からしてそういうことなのかなという懸念をどうしても抱かざるを得ません。  これからまさしくビッグバンなんといって金融の流動化がどんどん始まる、こんな中において、それを推進し、監督し、そして指導する大蔵省の発言が軽いものであってはならないというふうに私は思うわけであります。  したがいまして、今回のことは、きっとこれからのこういう大手の金融機関が破綻をするという可能性への私は第一歩だというふうに考えているものですから、少なくともその所管をする大蔵省というそのステータス、立場、ここでの発言には十分注意をしていただきませんと、相当な国民の皆さんが、これはピュアに受けとめまして、大手二十行はつぶれないんだ、いろいろなことはあるかもしれないけれども、今までの護送船団方式じゃありませんけれども、最後はどうにかなるだろう、こういう一縷の望みをつなぎながら見ていたというのが現状ではなかったかな、こんなふうに思うものですから、大蔵省のこういう問題に対してのコメント、これについては私はもっと配慮があってしかるべきというふうに考えるわけであります。  そこで、今、拓銀が破綻をした、そして新たな処理スキームができた。それは何かというと、いろいろごちゃごちゃになっている債権それから債務、こういうものを含めて、健全なものについては北洋の方に営業譲渡をするわけですね。そして、いわゆる不良債権と言われているものについては、預金保険機構の方でこれを受けとめて、そして回収に当たる。そして、流動的なつなぎの融資は日銀特融。基本的にはこういう形になったわけでありますけれども、ところで、今この債権、特に不良債権と呼ばれるものが一体どのぐらいあるのでしょうか。というのは、これが固まらなかったら次のステップを踏めないわけですね。  先般、道内のナンバーツーの銀行であります北海道銀行と拓銀との合併話が出た。しかし、この話が不調に終わったといいますか、このときの原因の一つに、実際に調べてみたら、当初公表されていた拓銀の、約九千億だったでしょうか、不良債権以上のもっとどろどろしたものが現実にはあった、こんなことがあの破談の一つの原因になっている、こういうふうにもなっているわけであります。  これからの、大蔵省で今進めようとしております処理スキームを円滑に進めるためには、いち早くこの不良債権が果たしてどのぐらいあるのかということを明らかにしなければならないわけでありますが、これは総額どのぐらいになっているのでしょうか。
  53. 内藤純一

    ○内藤説明員 お答えいたします。  この不良債権額でございますが、委員も御指摘ございましたが、現在の全銀協統一開示基準に基づき拓銀が公表している不良債権額は、九年の三月末で九千三百二十九億円でございます。  ただ、今後この処理スキームを確定していくということになりますと、拓銀の財務計数につきましてこれを固める必要がございまして、既にこの十月に私ども大蔵省の検査が入っておりまして、この検査によりまして拓銀の不良債権というものをさらに洗い直しをいたしまして、そこで数字を具体的に固めていくという作業を現在やっております。この作業の結果を踏まえまして、今後具体的な処理スキームの検討ということに入っていきたいというふうに考えております。
  54. 長内順一

    ○長内委員 今その検査をやっておるということでありますが、完了のめどはいつになるのでしょうか。
  55. 内藤純一

    ○内藤説明員 お答えします。  拓銀に対する当局の検査でございますが、去る十月十四日に検査に着手しておりまして、現在なお鋭意検査を続行しているところでございます。  検査結果がまとまる時期等でございますが、この時期等につきましては、個別金融機関の検査に関する事柄の詳細については、従来よりお答えを差し控えさせていただいているということでございますので、ぜひその点は御理解をいただきたいというふうに思いますが、私どもといたしましては、とにかく鋭意この検査を続行し、速やかに数字を固めて処理スキームの具体化を考えていきたいというふうに思っております。
  56. 長内順一

    ○長内委員 いや、これは本当に急がなければ、後の処理スキームが実行できないわけですから、その間に例えば子会社の四つあるノンバンク、ここへの影響が出たり、既に出ておりますけれども、さまざまな形の影響が出てくるということも考えられますので、大蔵省としては、今までのようなやり方ではなくて、私はこれを固めるということは一刻を争う重大事であるというふうに考えていますので、この促進はそんな悠長に、こういうルールにのっとってこうこうこうだからということじゃなくて、特段の方法でこれは進めるべき、こんなふうに考えていますので、よろしくお願いしたいと思います。  時間がなくなってまいりまして、一つお伺いしたいのは、今回の処理スキーム、先ほど申し上げましたように、片っ方では日銀特融という形で、これはどうなんでしょうか、与党の皆さんから出ているように、公的資金の導入、形の変わった公的資金の導入ということになるのでしょうか。これはちょっと別にしておきたいと思いますけれども。  預金保険機構、これから不良債権の額が固まるとここでこれを引き受けて、そして回収にかかる、こんなふうになるわけでありますけれども、預金保険法では、御承知のように、二〇〇一年の三月までは金融機関のこういう破綻があったとしても預金については全額守られるという特例を設けているわけであります。今回これがこういう形で実施されている。これまでも九金融機関で実施されている。そうなりますと、少なくとも二〇〇一年の三月までにまたこういう事態がひょっとして発生した場合には、この預金保険法で言われているところの、預金については全部守られる、こういうふうになるわけです。  ところが今度は、先ほどの話でありますが、この不良債権を引き受けてそしてその回収に当たる預金保険機構、これが今言いました二〇〇一年の三月末までに使える金額というのが二兆七千億。しかも、その中で、八年度にはあの木津信組、これで一兆四千億を実際に使っているわけでありまして、今この預金保険機構には幾らの金があるかというと、一兆三千億、これしかないわけです。  これは、大蔵大臣が、幾らこれからいろいろな事態があったとしてもそれに対応できるというふうにおっしゃっていても、現実的に一兆三千億しかない。今回の拓銀だけでも、公表されている不良債権というのは九千億。そうなってきますと、まだわからないものがこれからどんどん出てきますと、預金保険機構で今持っているお金だけでは間に合わなくなると思うのです。そうした場合に、どのように対応されるのか。  やり方としては、そのしわ寄せを預金者の方に持っていく、これはできない話ですから、だから、保険料を上げる、もしくはそれこそ公的資金を導入する、こんなことになるのでしょうか。この辺についてちょっと御説明をいただきたいと思います。
  57. 木下康司

    ○木下説明員 委員指摘のとおり、預金保険機構の財源につきましては、平成八年度から十二年度までの五年間の財源見込みが約二・七兆円、これまで実行済み一・四兆円でございますので、残り一・三兆円で今後対応してまいりたいということでございます。  今後発生し得る金融機関の破綻を現時点で予測することは困難でございますが、仮に、現在で見込まれる預金保険機構の財源では対処が困難な状況が発生いたしました場合には、九六年の金融三法に際しまして、遅くとも平成十年度末までに保険料率の検討を行うこととなっておりますので、これに従い検討してまいりたいと考えております。
  58. 長内順一

    ○長内委員 この件についてはまた質問させていただきたいと思います。  最後になるのでしょうか、基本的な考え方についてちょっと申し述べたいと思うのですが、先ほども申し上げましたように、大蔵省ではこれまで大手二十行はつぶさないという公約を掲げてきた。ところが、実際には、日本版のビッグバンが進展してくる、そうなると、先ほど御答弁いただきましたように、二十行をつぶさないということではなくて、二十行の機能を守るという形になってくるわけです。これはどういうことかというと、こんなことを言ったらまた大変影響が出るかもしれませんけれども、これからの日本においては金融機関の経営破綻というのはあり得るということなんです。それが今回現実になった、こういうことだと思います。  それで、私は率直にお伺いしますけれども、そういうふうになった場合には、国民が結局そのリスクを背負う時代になる。そういう時代はですよ。金融機関がいろいろあって、そしてビッグバンであらゆる金融が垣根を越えて動き出す。そうなると、そういう時代というのは、国民がリスクを背負う時代。  では、そのときに、行政だとか該当する金融機関は何ができるのか。これは当然、ディスクロージャー、情報公開、それから透明性を高める、こういうことが国民に判断材料を提供する、こういうふうになるわけです。  私は、今回のことを契機にして、やはりこのことを積極的に進めていくべきである、こんなふうに考えるわけでございますが、この点についての所見をお願いしたいと思います。
  59. 内藤純一

    ○内藤説明員 お答えいたします。  委員指摘の、リスクを国民が背負うという段階に入るということで、そのためにはディスクロージャーが極めて重大であるという御指摘でございますが、私ども全く同感でございます。  金融機関のディスクロージャーでございますが、預金者の自己責任原則の確立のための基盤でございまして、また金融機関の経営の透明性を高めて、市場規律により経営の自己規制を促していくというものでございまして、金融機関みずからがこれに自主的に取り組んでいくことがまずもって重要であるというふうに認識しております。  金融機関のディスクロージャーにつきましては、これまで金融制度調査会におきまして数度にわたり提言がなされておりまして、これらの提言に沿って自主的な取り組みがこれまで進展してきたところでございます。  具体的に申し上げますと、近年の開示項目の拡大の動きといたしまして、不良債権の状況でございますとかリスク管理情報、子会社情報、デリバティブ取引に係る情報等が開示されてきているところでございます。  大蔵省といたしましては、二〇〇〇年度までのできるだけ早期に、この自己責任原則の徹底と市場規律の十分な発揮を基軸とする透明性の高い金融システムを構築していくというふうに考えておりまして、このような新しい金融システムにおきましては、ディスクロージャーの重要性はますます高まっていくものと考えております。したがいまして、今後とも引き続き金融機関がみずからのディスクロージャーの充実を図ることを強く期待しているところでございます。
  60. 長内順一

    ○長内委員 地元問題で次から次に非常に雑駁な質問で、大変失礼をしたと思っております。また、そのほかの質問をお願いいたしました経済企画庁それから厚生省ほかの皆さんに、地元の緊急課題ということで拓銀の破綻問題のみに終始したことについておわびを申し上げたいと思います。  いずれにいたしましても、私が申し上げましたように、今大変な事態の中で現場をどう守っていくか、これが国政に携わる私たちの使命ではないか、こんなふうに考えております。どうか該当する行政の皆さん、そしてそれに関連する方々の一層の御努力を切にお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  61. 宮地正介

    宮地委員長 細川律夫君。
  62. 細川律夫

    細川(律)委員 民主党の細川でございます。  まず、私は、高速道路におきます、そこで売られているガソリンの値段について質問をいたしたいと思います。  現代社会は車社会と言われておりまして、車は社会生活上不可欠の必需品でございます。その車を動かすガソリンの値段というものは、車を利用する者にとって大変重要な問題でございます。  そのガソリンにつきましては、最近、値段が随分と安くなってまいりました。私の地元の埼玉県などでは、一リッター当たり八十円台の店も出てきているところでございます。  ところが、高速道路にありますガソリンスタンドでは、値段が一律に売られているというふうに聞いております。これは、沖縄を除いて全国の高速道路で、今現在は一リッター当たり百一円というところでございます。なぜこういうふうになるのか、財団法人の道路施設協会に聞いてみますと、これは、エネルギー庁の調査に基づきまして全国一律の上限価格を決めていて、そして、業者が結果的にその上限価格販売をしているという説明でございました。  まず最初に、こういうふうに私は聞いておるわけですけれども、現状がこれで合っているのかどうか、説明をいただきたいと思います。
  63. 村瀬興一

    村瀬参考人 事実関係につきましては、今先生がおっしゃったとおりでございます。  ただ、ここで、なぜそういう全国の一律価格としておるかということについて、その背景につきまして若干御説明させていただきたいと思います。  御承知のように、高速道路はインターチェンジから出入りするという閉鎖的な構造になっておりまして、一般の市中に比べまして給油所を選択するという余地が少ないわけでございます。そういう中で恣意的に価格を設定されるということがございますと非常にぐあいが悪いわけでございますので、高速道路を利用されるお客様がどこの給油所でも安心して給油をできるようにということで、給油所の営業者に対しまして上限価格を示しまして、適正な価格販売されるように指導しているところでございます。ただ、具体的な価格につきましては、この上限価格の範囲内で個々の営業者が自由に販売価格決定できるという仕組みになっているところでございます。  それから、その上限価格決定でございますけれども、これは、先生もちょっとおっしゃいましたように、市況を十分に反映させるために、通産省が公表されております給油所石油製品市況週動向調査というものの全国平均価格をもとに毎月行っているところでございます。
  64. 細川律夫

    細川(律)委員 上限価格決定をして、そしてそのもとで自由にガソリンの値段が決められる、こういう御説明でありますけれども、しかし、全国の高速道路のガソリンスタンドすべてがその上限価格販売をされているということは、これは大変大きな問題ではないかというふうに私は思います。大体、高速道路についてはガソリンスタンドは自由に設置ができないわけでありますから、そうしますと、ガソリンの販売価格というのも独占価格で形成をされやすいというのは、これはもうわかり切ったことだろうというふうに思います。  一律の値段で販売をされておりまして、例えば中国だとか四国地方のその地域の値段と高速道路の値段とを比べますと、その地域の値段が高いので高速道路で買う方が安いということになりますけれども、しかし、関東などにおきますと、高速道路の値段といわゆる市場での値段が一リッター当たり十円以上も違うということになります。これは大変大きな問題である。高速道路でいわば独占的な価格が行われているということでありまして、むしろこれは高速道路でも市場原理が働くように、そういう上限価格の撤廃ということを考えるべきではないかというふうに私は思います。  もしそういうことができなければ、全国をブロック別に分ける、九州は九州、あるいは中国は中国、関東は関東というふうに分けまして、そしてその地域で売られている例えば平均の値段を高速道路の上限価格にするとか、そういうことを考えなければいけないのではないかというふうに私は思いますけれども、その点いかがでございましょうか。  特に、関東の高速道路を利用する人たちにとっては、この高速道路での高い値段というものについては非常に不公平感を感じているところでございます。したがって、私は、そういうことがないようにする、それがどうしても必要だというふうに思いますけれども、この点についてはどういうふうに考えて、この不公平感をどういうふうに解決をしていくのか、その点についてお聞かせをいただきたいと思います。
  65. 村瀬興一

    村瀬参考人 上限価格を仮に撤廃いたしますと、現行よりも高い価格販売する給油所が出てくるという懸念があるわけでございまして、直ちに上限価格を全廃するというようなことは、そういう意味で難しい点があろうかと思います。  現在、御承知のように、昨年四月に特定石油製品輸入暫定措置法という法律が廃止されたことによりまして、全国的に石油価格の格差が縮まっているという方向にあるようでございます。そういった状況にございますし、それから、新たな供給業者の参入といったようなことも今後はあり得るかと思いますけれども、いずれにいたしましても、今先生がおっしゃいましたような点につきましては、石油業界を所管しております通産省の御意見も十分承りながら、私どもとしても慎重に検討をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  66. 細川律夫

    細川(律)委員 これにつきましては、ぜひとも早急に是正をしていただかなければいけないと思います。特に、ガソリン一リッター当たり一円高いか低いかというようなことで、消費者はどのスタンドに行って給油をするかというようなことをふだん考えているわけでありますから、この高速道路でのガソリンの値段、価格というものについては、これは当然しかるべく是正をしていただきたいというふうに思います。  もしこの点について政務次官の方で何かお考えがあればちょっと言っていただけたらと思いますけれども、なければ結構でございます。  それでは、もう一点、別の点について質問をしたいと思います。  今、日本では、海外に旅行をする方が大変多くなっております。これは景気、不景気余り関係ないような形で毎年百万人ぐらいずつふえておりまして、今は多分千六百万人ぐらい海外に旅行客が出ているということだろうと思います。そういう海外に出ていかれる旅行客の方が安全な旅行をされるという‘とは、これはまた国としても当然その点について十分な配慮あるいは施策を進めていかなければいけないと思いますが、先般、ごく最近、今月の十七日に、エジプトのルクソールにおきまして大変な事件が発生をいたしました。  日本人の観光客十名を含めます約七十名の方々が、イスラム教のいわゆる過激派、いわゆる原理主義者と言われる人たちのテロに遭いまして、命を失うという大変悲惨な事件が発生をしたわけでございます。  亡くなられた方々に対しては心から御冥福をお祈りをいたしますし、御遺族の方にはお海やみの言葉を申し上げたいと思います。  まず、この事件の概要について、外務省の方から御報告をいただきたいと思います。
  67. 本村芳行

    ○本村説明員 お答えいたします。  この事件は、十一月十七日の現地時間午前八時四十五分ごろ、カイロの南数百キロにございます観光地ルクソールにありますハトシェプスト女王葬祭殿で、六名の武装グループが観光客に向かって自動小銃等を乱射し、御指摘のとおり六十名以上の方が亡くなられまして、二十四名以上の方が負傷されるという事態になりました。このうち、外国人は四十四名でございまして、スイス人が二十五名、御指摘のとおり日本人の方が十名お亡くなりになっておられます。  亡くなられました十名の邦人の中で、六名につきましては既に身元が確認されておりますが、残りの四名につきましては、御遺族の方が今現地に向かっておられますので、そこで最終的な確認が行われることになっております。  十八日に、本件につきましてエジプト政府を代表しまして、ムーサ外務大臣の方から小渕外務大臣に対しまして丁重な弔意の意が表明されております。  この事件は、御指摘のとおりイスラム原理主義過激派による犯行という見方もございますが、現時点では、必ずしも事件の背景等につきましては明確になっておりません。  この事件に関しまして、十八日、橋本総理の方からムバラク大統領に対しましてメッセージを発出いたしまして、我が国としましてはこのような卑劣なテロ行為を断固糾弾する、それから、今回の事件の真相を至急徹底解明して、事件の再発防止に全力を挙げていただきたいという要請をエジプト政府に行っております。  現在、在エジプトの日本大使館におきまして、鋭意事実関係を確認中の状況でございます。
  68. 細川律夫

    細川(律)委員 先ほども申し上げましたように、日本人が海外に旅行するその数というものは大変な数に上っております。平成八年、昨年で一千六百六十九万人という大変な数でございまして、そのふえ方も、毎年百万人を超すようなふえ方でございます。また、今回事件の起こりましたエジプトへの日本人の旅行につきましても、平成五年の時点で二万三千人であったものが昨年は六万人という大変なふえ方でございます。  そういう、海外旅行が多くなっている、この人たちの安全をどういうふうにして確保していくのか、これは大変重要なことでございますけれども、外務省ではどういうふうな施策をとられているのかをお聞きしたいと思います。  特に今回のように、観光している人たちがテロに遭い、銃撃をされ、あるいは刃物で殺される、しかもそれが大量に、たくさんの人が殺されるというようなことは、これはもうあってはならないことでありますし、もしそういう危険なところがあるならば、そこを避けるような形の観光にしていかなければいけないと思います。  聞くところによりますと、外務省の方では、そういう危険度のところを三ランクに分けられているというふうに聞いております。まず第一のランクとしては、注意喚起、危ないから注意をしろという注意喚起。次に、観光旅行は自粛をするように、こういう二段階目。そして次には、そもそも渡航を、そこに行くこと自体を自粛をしろ。こういう三段階の渡航情報を出しているということでございます。  それで、今回のエジプトでのこの場所というのは、いわゆる注意喚起という渡航情報を出していた場所でこういう事件が起こったわけでございます。結果論になりますけれども、例えばこの注意喚起というのを、観光旅行自粛というランクできちんと情報を出していたならば、あるいは日本人に限ってはこういう問題が起こらなかったかもわからないわけでございますけれども、渡航情報として三段階をつくって出されておりますけれども、その基準というものは一体どういう基準でなされているのか。  それから、この渡航情報というのをどういうふうに観光をする人たちに周知徹底をしているのか。  そして、本件に限って申し上げれば、この地域について注意喚起ということについて問題がなかったのかどうなのか。これは、すぐ後で観光旅行自粛ということに変えたようでありますけれども、この注意喚起という地域であったことが問題ではなかったのか。  そして最後に、こういうランクづけについて見直しといいますか、外務省として、こういう三段階の渡航情報を出して旅行者の安全を確保する、こういうことを一たん見直して別のことを考えるのか、あるいはこの三段階の見直しをするのか、そういうことについてどういうふうに考えているか、お聞かせいただきたいと思います。
  69. 本村芳行

    ○本村説明員 先生御指摘のとおり、現在、日本人の観光客の方が千六百数十万人、海外に行っておられまして、また海外で在留されておられる方々も七十数万人という状況でございまして、外務省といたしましても、この方々の安全というのは極めて大事な問題であるということで認識しております。  三点ばかり御指摘ございましたが、最初に、外務省の渡航情報の判断基準でございますけれども、これは、海外に行かれる場合に、この渡航情報につきましては、すべての状況に適用されるような厳密な発出基準というのは現在ございませんで、その国の治安の状況であるとか、あるいは邦人の生命に危険が及ぶ可能性があるか、また現地の情勢がどうなっているかという諸点を総合的に勘案して判断している状況でございますが、大まかな目安を御説明いたしますと、委員指摘のとおり、注意喚起と観光旅行自粛、渡航自粛という三つの点がございます。  注意喚起につきましては、これは治安等が悪化しまして非常に危険な可能性があるという場合に、しかしながら、治安当局による事態掌握が可能である、治安維持能力がある、かつまた現実に向こうに旅行をされておられる方々が自助努力によって危険を回避し得ると判断されるような状況に発出されます。  二番目の観光旅行自粛でございますが、これもまた、治安等が悪化しまして邦人の方等の生命に危険が及ぶ可能性がある場合でございますが、観光等を目的とする不急の渡航者の方は、現在状況が非常に悪化しておりますので、渡航を見合わせていただいた方がいいのではないかということで発出しております。  それから、三番目の渡航自粛勧告でございますが、これは騒乱とかテロとか非常に危険度が高くなってまいりまして、いかなる邦人の渡航者につきましても渡航を差し控えるべきだと判断されるような状況にこの渡航自粛勧告というのは発出しております。  これら三段階の渡航情報につきましては、外務省の方で現地の大使館と種々協議しながらその段階を決めまして発出いたしまして、警察庁、防衛庁、運輸省等の関係省庁にまず御連絡し、かつまた日本旅行業協会、あるいは在外企業協会等にも発出いたしまして、かつ都道府県の旅券を発給している事務所にも連絡することになっております。それから、これはまた報道機関に対しても張り出しを行いまして、運輸省等と御協力しつつ、旅行業者全般に対しまして伝達を徹底している状況でございます。  最後の、御指摘ございましたエジプトにつきまして御説明させていただきますと、近年、エジプトにおきましては、御指摘のとおり、イスラム過激派によるテロ事件というのが非常に多くなっておりまして、最初に注意喚起を出しましたのが平成五年の四月でございます。その後、平成六年の二月にもう一度同じ注意喚起を出しております。その後、平成八年の段階で、ギリシャ人の観光客が十八名殺傷されるという事件が起こりまして、その五月の段階で再度注意喚起を出しております。  最初の二つ、すなわち平成五年と平成六年の場合には、今まで日本人の方はテロに遭遇されるということはございませんでしたけれども、だんだん日本人の方も場合によってはテロの被害に遭われるおそれがあるということを踏まえまして出したものでございます。  他方、平成七年ごろは、エジプトにおきましても、エジプトの南部地域を除きましては、テロの発生件数が非常に少なくなってまいったという状況になりましたので、御指摘のとおり、注意喚起をワンランク上げまして観光旅行自粛にするという状況ではございませんで、他方、冒頭申し上げましたように、ギリシャ人の観光客が十八名殺されたという事件、それから、治安当局が過激派の取り締まりを非常にやりまして、逮捕者が多数出たのですが、そういう過激派自身を完全に封じ込めるという状況にはございませんで、場合によっては各種のテロ事件が非常にふえるのではないかという可能性も排除できませんでしたので、改めて、二回出しておりましたが、平成八年の段階でもう一度、邦人観光客に対しまして注意を促すという意味で注意喚起を出した次第でございます。  いずれにしましても、この三段階の基準につきましては、私ども常時見直しておりまして、この危険度をはかるときには、その国の特殊な状況とか、テロの危険度がどのくらいあるかということを総合的に判断しまして、非常に危なくなった場合にはランクをどんどん上げ、かつまた若干危険度が緩和されるような状況になりましたときには、渡航情報自身も見直しまして、ワンランク下げるということをやっております。  いずれにしましても、非常に危険な地域がふえてきておりますので、外務省といたしましても、各地域の特性等を十分勘案しまして、きめ細かな対応をしていきたいと思っております。  以上でございます。
  70. 細川律夫

    細川(律)委員 もう持ち時間が終わりましたので、運輸省の方からもおいでをいただいておりましたけれども、またの機会にしたいと思います。  いずれにしましても、大変な事件が起こったわけでございます。どうぞ今後とも、外務省、そしてまた観光を所管する運輸省、この情報の周知徹底ということで、こういうことが二度と起こらないような形での今後の御指導をよろしくお願いをいたしまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  71. 宮地正介

    宮地委員長 藤田スミ君。
  72. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私は、先だって発表されました、九七年度の国民生活白書について質問をしたいと思います。  この白書は、ことしは、「働く女性-新しい社会システムを求めて」という副題をつけておりまして、職場で働く女性の現状とその国民生活、社会制度・慣行とのかかわりについて多面的な分析をしております。そして、就業と育児の両立に向けて社会的な支援を進め、女性が働きやすい社会システムに変えていくということを提言していると読みましたが、まず、そういうことで間違いありませんか。
  73. 栗本慎一郎

    ○栗本政府委員 御指摘のとおりだと思います。国民生活白書はこれまでも副題をつけてきておりましたけれども、極めて大きいといいますか、一般的な、豊かな社会を目指してというようなものでございました。今回、働く女性の問題を中心に据えましたことは、諸外国でもさして例のあることではなく、そういう意識を持って作成いたしました。
  74. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 しかし、この白書を見ますと、「「女子保護規定」を解消することで、今後、意欲ある女性の一層の活用が図られることが期待される。」と女子保護規定の撤廃を評価しておられるわけであります。私は、女子保護規定を撤廃して本当に女性が働きやすい社会につながるものなのかどうかということを、白書に沿って質問をしていきたいと思います。  女性に対する労基法の時間外・休日労働、深夜業の規制の廃止は九九年四月から施行されることになっておりますけれども、この撤廃については労働組合からも非常に厳しい批判が集中いたしました。また、法改正の審議の際にも、過労死に象徴される男性並みの長時間労働が女性にも押しつけられ、女性労働者の健康、母性の破壊、家庭破壊を進めることになる、時間外・休日労働や深夜労働ができない女性は正規の雇用から締め出されて、パート労働などの不安定な雇用に追いやられかねず、働く権利そのものを奪われかねない、こういうことで多くの女性が訴えを出しました。  私は、そういう点でも女子保護規定の撤廃は、女性が働きやすい社会に変えていくというその流れに逆行するものではないかと考えますが、いかがでしょうか。
  75. 尾身幸次

    ○尾身国務大臣 大変遅くなりました。  この女子保護規定につきましては、時間外労働、休日労働、深夜業の規定の解消について、女性が働きやすい社会を築いていくという観点から述べているわけでございます。経済社会状況が変化した中で、この女子保護規定が女性の積極的な活用に対してむしろ障害となってきているということが指摘されているところでございます。  今の藤田委員の御意見もございましょうが、他方で、保護規定があるために、女性を雇用する側の企業の立場に立ってみますと、むしろ男性と比べて条件が悪いので使いにくいという観点があって、そのために女性の社会進出を阻害しているという要因があろうかというふうに考えているわけでございまして、そういう意味で、本年六月に労働基準法の一部が改正されまして、この女子保護規定が解消されたものというふうに理解をしております。  そういう意味で、今後、この女子保護規定を解消することによりまして、本当に意欲ある女性がしっかりと社会進出ができるような体制が、むしろそういう意味で整ってきたのではないかというふうに考えているところでございまして、その点は委員の御意見と私ども多少違うわけでございますが、そう考えております。  ただ、しかし同時に、子育ての問題とか、そういう面での女性の働きやすい環境をつくり出すということについては、これはまた同時に手当てをしていかなければならない問題であると考えている次第でございます。
  76. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私は、せっかくの大臣の御答弁ですが、それが女性の現状からかけ離れた考えになっているというふうに思うわけです。  白書で示された調査を見ましても、女性が二十歳代から三十歳代、この前後に離職をする理由は、結婚そして出産が最大になっているわけです。なぜそういうことになるのかというと、女性が働き続けたいと思って、そういう意欲を持っていても、現実に育児、家事などの家庭責任を負った女性が働き続けることができない労働条件、そこが問題になるわけです。だから、ここに新たに女性の深夜・休日労働、長時間労働が押しつけられてくるということになれば、それがどうして意欲ある女性の雇用の拡大、職域拡大ということになるのか。そういう点では大きな疑問を持たざるを得ませんが、その点ではどうでしょうか。
  77. 尾身幸次

    ○尾身国務大臣 育児、家事、特に育児につきまして、働きやすい環境、保育の問題とか、そういうことはしっかりと整える必要があると考えておりますが、女性が男性と比べて、雇用する方の企業から見て、魅力がないと言うと語弊がございますが、そういう立場にさせた場合にはかえって女性の社会進出が妨げられる。そういう意味で、意欲ある女性には同じ条件で働いていただいて、そしてまた、育児等については十分なる社会的措置をするということがむしろ必要なのではないかというふうに考えている次第でございます。
  78. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 育児についての環境を整える必要性というのは、白書の中でも十分示されていると思います。  例えば、女性が就労を継続させ得る条件ということで、その女性の世帯人員の数、あるいはまた二十五歳から二十九歳の女性の一人当たりの保育所定員や利用児童数、そういうものと出生率のかかわり、あるいは六歳未満の乳幼児を持つ女性の有業率とのかかわりというものも分析しておりまして、働く女性への私的な支援体制、それから公的保育サービスの供給体制が整っている地域では、働く女性も出生率を高めることができるし、子供を持っても継続して働き続けることができるという分析結果を挙げております。  同時に、そこの中で言われていることは、女性の就業と出産、育児を両立することが困難な関係が弱まれば、「困難な関係が弱まれば」という言葉を使って、女性の労働力率が上昇する可能性がある、こういうことを言っているわけです。困難な関係が弱まればということの中には、私は、労働条件としての問題が含まれてくるというふうに思うわけです。果たして女子保護規定の撤廃が家庭責任と仕事の両立の困難を解消する方向になるのかというと、それはそうじゃないことは明らかで、より困難にしていくことになるわけです。  例えば、大臣、この保護規定が撤廃されて、深夜業に対する免除申請権というものを創設したと言われますが、しかし、それは子供が小学校に入るまでの期間であります。だから、小学校に入ったら、今度は深夜労働を拒否する権利というものがもうなくなってしまうわけです。そうすると、両親ともそうした労働条件に置かれてしまって、小学生の子供を果たして夜遅くまで留守番させることができるのか、さまざまな問題を抱える中学生を深夜家に残しておくことができるのか。そういうことは家庭破壊にもつながりかねないという深刻な問題になるわけでありまして、働く女性にとっては、出産、乳幼児の育児に加え、両立困難な要素を新たに拡大していくことになる。  そこのところはぜひ考えなければならないというふうに思うわけですが、もう一度お答えください。
  79. 井出亜夫

    ○井出政府委員 お答えを申し上げます。  先生御指摘のように、就業と育児の両立という観点から、保育所の整備でございますとか、あるいは家族の中に子供をケアする人たちがいるかいないかというふうなことによりまして就業が進む、そういう関係を分析させていただいたわけでございます。私どもの今回のレポートでは、特に、就業でございますとか、就業と育児あるいは介護というふうな観点から見て、従来女性の就業継続というのが大変困難だった理由というのは、やはり育児でございますとか、介護というところに非常に大きな問題がある、その関係の改善がなされれば、これは女性の就業にとって大変いい結果が出るということを、そこの困難な関係の解消ということで分析をしておるわけでございます。  一方、女子保護規定の問題というのは、もっと一般的に女子の雇用を考える際に、雇用する側からどういういろいろな問題があるかということを調査したものによりますと、保護規定というふうなものが一つ大きな制約になっているというふうに言われておりまして、その趣旨のもとに法律改正がなされたものと考えております。  もちろん、深夜労働でございますとかあるいは時間外の規制でございますとかいうふうなものにつきましては、男女を問わず適正にこれが行われるということが期待されるわけでございます。
  80. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 雇用する側の制約ではあっても、働く女性の側からの制約は、この保護規定が撤廃されることによって一層出てくるのです。今でも、保育所や学童保育の整備がされていても、勤務時間が適正でないために、なかなかそこに迎えに行く、保育所に迎えに行くという行為さえ困難で、やむを得ず引かなければいけないというようなことになるわけです。  長時間労働が常態化している現状のままで女子保護規定が撤廃されれば、仕事と家庭の責任を両立しなければならない圧倒的な働く女性、それから深夜や休日労働に耐えられない女性というのは、やはり正規雇用をあきらめなければならない。ところが、その正規雇用をあきらめたことによってどれほどの金銭的損失をこうむるか、賃金格差などによって金銭的損失をこうむるかということも白書は非常におもしろい数字を出しておりまして、私はもうきょう時間がありませんので詳しくは言いませんけれども、いずれにしても、短大卒相当の女性の場合は、就労調整しながらパートタイマーで子育て、家庭を受け持って再就職していくということになると、何と一億八千五百万円にも上ってくるというような数字が出ております。  私は、そういう点では、女子保護規定というものが撤廃されるということになれば、これほどの多大な損失を多くの働く女性がなお甘受しなければいけない、もっと甘受しなければいけないことになるということを申し上げたいわけです。  したがって、女性が働きやすい社会システムということで今考えるならば、おっしゃるように、保育制度、育児、介護休暇の充実、これはもちろんです。しかし同時に、男女共通の深夜・時間外労働の規制、そして年間労働時間を、国際公約した千八百時間を実現させていく方向で大幅に縮減、短縮をしていくこと、そういうことではないのかというふうに思うのですね。  女子保護規定の削除をするというこの施行は、少なくとも国際公約した千八百時間の実現までは延期するべきだというふうに考えますが、大臣、いかがでしょうか。
  81. 尾身幸次

    ○尾身国務大臣 女性の社会進出は、基本的にはやはり雇用者側がどうこれを受けとめるかということにもかかわってくる問題でございまして、女性それぞれの方々、御本人がどういう考え方を持つかということも大事でございますが、それと両方相まって決定される問題であるというふうに考えております。  私自身も個人的に、家族に働く女性を持っておりますので、むしろ、保育期間の延長とか学童保育の問題とか、そういうことについて子育てがしやすいような社会的な体制をしっかりつくり上げてくれればもっとやれるのだがなという実感を持っておりまして、そういう意味で、そういう体制の充実を図っていく、そして女性の社会進出をさらに進めていくことが、これからの二十一世紀の日本のあり方として大変大事なことであるというふうに考えている次第でございます。
  82. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 大臣、ドイツでは深夜労働はどんな人間にとっても有害だということで、実は、ドイツは女性に対しての保護規定を設けようということで出たわけですけれども、女性にのみ保護規定を設けるなどというのは違憲だということで、男女とも保護するべきだ、そういう規制をするべきだ、そういうことで打ち出しているわけですね、これは近年の話ですが。  そうすると、雇用者側からの要請というのはもちろんあるでしょうが、しかし、私たちがお互い考えなければならないのは、圧倒的な働く女性がいかに働き続けていく条件をつくっていくかという点で、そういうことを主眼にして考えたら、やはり私は弊害になるようなことはするべきじゃないというふうに思うのです。  まして白書の中でも、引き続き時短を推進するとともに、仕事と家庭生活との調和の観点を含め、健康で安心して働くことができる環境の形成に資する必要があるというふうにしておりますように、そういう方向で今本当に進むべきであるにもかかわらず、こういう状態が出てきたために、今労働省の方は、変形労働時間やあるいは裁量労働制などに対しても規制緩和を進めて、いよいよもって労働条件が一層、出産、育児と両立しがたい方向で動こうとしております。私は、大臣の御家族にそういう働き続けていこうという方がいらっしゃるとしたら、なおそこの点を御理解いただきたいというふうに思うのです。時間がありませんので、もう一点、最後にこの点について御答弁を求めます。  白書は、社会システムとパートタイマーの就労調整の問題も取り上げています。白書が言うように、統計調査でも、パートタイマーが非課税限度額を超えないように調整していることは、これはもう本当にそのとおりであります。だから私は、税制によって就業意欲を阻害されているこの状態は、どうしても改善を図っていく努力をしていかなければいけないということで、パートを含め、課税最低限度額を大幅に引き上げるべきではないかというふうに考えています。  私は、せんだって景気対策として所得税の減税ということを申し上げましたが、ぜひとも、こういう面からも有効な、課税最低限度額を引き上げるという方向を示していただきたい。御答弁を求めます。
  83. 尾身幸次

    ○尾身国務大臣 本年度の生活白書におきましては、パートタイマーの就労調整の問題について取り上げているところでございますが、女子パートタイマーの年間収入分布を九五年の労働省の調査で見ますと、九十万から百万の階層が最も多くなっているところでございます。  この調査によりましてパートタイマーの意識を見ますと、本人の所得税の非課税限度額のほか、配偶者控除等、社会保険料負担や御主人の企業からの配偶者手当等が就業調整を行う理由として挙げられているわけでございます。  私自身も、今委員のおっしゃったことは内容的にはよく理解をしているつもりでございますが、この非課税限度額の問題につきましては、女性の就業にかかわるだけではございませんで、実は、女性も男性も含めました総体としての税体系のあり方、一体、扶養家族手当とかそういう種類のものがいいのかどうかということも含めまして、個人個人が独立した人間として独立の納税体系になるべきではないか、そういう基本論もございまして、その辺との問題、非常に幅広い検討が必要な問題であるというふうに考えているところでございます。  高齢化社会に向けて、税や社会保障等の制度が女性の皆様にとりまして働くことに対する制約要因とならないように、いろいろな意味でより中立性の視点を重視した検討がこれからもなされていくべきであるというふうに考えている次第でございます。  ただいま委員指摘されました問題点については、私自身、非常に大きな問題であり、これをどういうふうな方向で解決するのか、しっかりとした検討をしなければならない問題であると考えております。
  84. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 時間が参りましたのでこれで終わりますけれども、私は、今最も有効な、庶民の懐を温めるそういう減税を打ち出すという点からも、課税最低限度額を大幅に引き上げるという非常に有効な手段、そういうことをぜひ実行していただいて、なお議論は議論として進めていくということで、ぜひこの点を再度要望して、終わります。
  85. 宮地正介

    宮地委員長 中川智子君。
  86. 中川智子

    ○中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子でございます。  きょうは、厚生省の方への質問をしたいと思います。  今、ちょうど十一月は運動会の季節で、私も、近所の、友人の子供たちが通っています障害を持つ子供たちの学校に行きまして一緒に運動会に参加してきたのですけれども、今、産婦人科の現場で妊婦が受けております母体血清マーカー、これはトリプルマーカーというふうに一般に言われているのですけれども、トリプルマーカーのことについてたくさんの不安の声を聞き、私自身もこのままいくと大変なことになるという不安を持ちましたので、きょうは質問をさせていただきます。  ダウン症の子供を持つ親御さんたちのアンケートですとか私の友人の声を聞きますと、この子が我が家に来てから本当に家族のきずなが強まった、そして家が明るくなったという声もたくさん聞かれますし、また、この子が授かったことによってたくさんの出会いを得て、この子によって人生を豊かにしてもらった、そのような声もアンケートやたくさんの文集なんかで拝見しております。  それでも、今産婦人科におきまして非常に安易な形で検査が行われていますトリプルマーカー。その検査自体が、血をとって、そしてその血をとったことだけで、本当に普通のいわゆる私たちが受けるさまざまのたんぱくとか糖尿の検査なんかと同じような形で、検査を受けることによって、その後に続く不安。そして、その結果が確率という形でもたらされているのですが、一〇%のダウン症の子供とか染色体異常の子供が生まれますというような、物すごく範囲が広いわけです。そこのところで、非常に短期間で、また次の検査を受けるかどうかということを決めなければいけない。  妊婦というのは、私も二人子供を産んで経験があるのですが、ただでさえ非常に不安な精神状態にいる中で、情報もきっちり提供されていなくて、短期間でさまざまな検査を受けていき、最終的な決断は、この子供を中絶するかどうかという決断をしなければいけない。トリプルマーカーの普及によって、今妊婦のさまざまな精神的な不安定、そしてまた、その検査メーカー、検査薬をつくっているメーカーが、規制緩和になりますと海外からもどんどん入ってくるということで、厚生省としては、しっかりした対応をこれに対してしていただきたいという思いを込めて質問いたします。  今、このトリプルマーカーがどのような目的で使われているのか、そして日本で今出回っている検査会社は何社あって、その価格について、それとここ三年間の使用状況を教えていただきたいと思います。お願いいたします。
  87. 小田清一

    ○小田説明員 トリプルマーカーの検査を初めとします出生前診断につきましては、近年、診断学あるいは検査技術の進歩に伴いまして急速に発展してきた分野であります。そのあり方につきましては、先生が御指摘のような御意見を初め、さまざまな意見があるところでございます。  御質問の、トリプルマーカーを実施しているところの検査機関ですが、私ども確認しているのは四社ほどと聞いておりますが、一部漏れもございます、六社で行っているのではないかというふうな話もありまして、正確には把握しておりません。  また、その単価の話でございますが、これにつきましてはいわゆる健康保険の対象にはなっておりません、自由診療でございますので、検査費用については特に公的に定められてはおりません。ですから、各医療機関が独自にその料金を定めているということでございまして、個々の医療機関における価格設定については把握をしておりません。
  88. 中川智子

    ○中川(智)委員 今の答弁を伺っておりますと、四社か六社かわからない、非常にびっくりしました。きっちりとそれぐらいのことは把握して当たり前だと思いますし、価格に関しましても、これは県立病院の価格なんですが、胎児染色体検査料一件につきここの病院は二万円なんですが、別の会社ですとこれは一万円、全く倍の価格であるわけですね。  厚生省が、この価格に対しても把握していないというお答えで、きっちりした現状をとらえていないということも驚きだったのですが、といいますことは、情報提供ということが今現場において妊婦にはほとんど、なされているかどうかということも厚生省は把握していないということでしょうか。
  89. 小田清一

    ○小田説明員 それについても把握しておりません。
  90. 中川智子

    ○中川(智)委員 これに対して厚生省としては、やはりきっちりと今の現状をとらえて何らかの形で、これは本当に優生思想といいますか、ダウン症であるかもしれない子供たちが、今現実に中絶という選択を妊婦がせざるを得ない、そのような形のインフォームド・コンセントしか行われていないという状況の中で、このまま放置していいというふうに厚生省はお考えなのでしょうか。
  91. 小田清一

    ○小田説明員 トリプルマーカー等に対する出生前診断の実施状況につきましては、本年度の厚生省委託研究でございます心身障害研究の中で、出生前診断の実施に関する調査、これを実施しておるところでございまして、出生前診断の種類別の実施件数及びその結果の状況、こういった点につきまして、全国的な主な医療機関を対象として調査を行うこととしております。  また、出生前診断を行う際には、事前に十分なインフォームド・コンセント、これが必要でございます。それと同時に、その検査結果に基づいたカウンセリング、こういったものも必要でありますことから、本研究においては、そういったインフォームド・コンセント等の実施状況についても調査することとしております。
  92. 中川智子

    ○中川(智)委員 インフォームド・コンセントに対して調査するということの中身ですね、どのような形で調査しようとしているかというところをもう少し詳しく教えていただきたいのです。
  93. 小田清一

    ○小田説明員 内容等については、専門的事項でございますので、研究班の方に一任をしております。
  94. 中川智子

    ○中川(智)委員 その研究班というのはもう発足していると思うのですが、大体の結論というのはいつごろ出されますか。そして、何人ぐらいの構成かということも教えてください。
  95. 小田清一

    ○小田説明員 研究班は、主任研究者を筆頭として五人の研究者で構成されております。研究結果につきましては、本年度研究事業でございますので、三月末までに終了していただきまして、四月には結果が出るというふうに承知しております。
  96. 中川智子

    ○中川(智)委員 これは要望なのですが、できれば一方での研究者の専門的な研究と同時に、既にたくさんのところで、新聞記事にも載っていますし、また今集会なんかも開かれていますけれども、ダウン症児の子を持つ親の声をしっかり聞いていただきたい。  それと同時に、私は今インフォームド・コンセントをするようにというふうに申しましたが、産婦人科のお医者さんというのは、障害を持った子供が生まれた後は見られないわけですね。生まれる前、その子が生まれた後、家族そしてさまざまな支え合いのそういうネットワークの中で、本当にこの子が生まれてよかった、また親自身もそれに対して、中絶しようか迷ったけれども生んでよかったという声があります。その声をしっかり聞いていくシステムの中には、小児科のお医者さんがその生育状況をしっかり見ていくという現実がございます。  ぜひともここに親そしてまた小児科のお医者さん、できれば遺伝カウンセリングなどのシステムづくりも同時にお願いしたいと思うのですが、ここは私のお願いですので、それに対する厚生省としての考えをお聞かせください。
  97. 小田清一

    ○小田説明員 患者団体の声を十分お聞きするようにということでございますが、これは昨日も患者団体の方の陳情を受けまして、そういった中でいろいろ御意見をお伺いしているところでございます。  また、小児科医の参加をという話でございますが、そもそもこの研究班の主任研究者が小児科の先生でございます。そういったところは十分考えた上で対応していただけると考えております。
  98. 中川智子

    ○中川(智)委員 今、昨日の陳情で伺いましたということでしたが、やはり陳情して大臣に会うのも大変です。普通の市民が厚生省の門をくぐることさえたくさんの制約がございます。これは陳情を受けて声を聞くのではなくて、そのような方たちの声を聞くシステムをしっかりつくっていただきたいと思いますが、いかがでしょう。
  99. 小田清一

    ○小田説明員 現在、この出生前診断のあり方につきましては、厚生科学審議会という審議会の方でも生命倫理全体の中から御議論をいただいておりまして、そちらの方では患者団体等を含めた各種関係団体に広く御意見を伺っていくというふうなことになっております。
  100. 中川智子

    ○中川(智)委員 ありがとうございます。広く御意見を伺って、それをきっちりと生かすというところまでお返事をいただければ最高だったなと思います。  私はこのことに非常に関心を持っておりまして、いろいろな専門家の方たちのお話を聞いているのですが、静岡県立こども病院の長谷川知子遺伝染色体科の医長さんなんですが、この方は今の現実に対して、かなり急速なスピードでこのトリプルマーカーが安易に行われているということを非常に不安を持って指摘されています。  私も羊水チェックというのはもう既に知っていて、羊水チェックの場合は、一人目が障害を持つていたので、本当に今のさまざまの社会のシステムが問題なんですよね。本当に、障害を持っている方でも生き生きと生きられるような福祉国家であるならば、産むことすら心配ない、授かった命を大事にする、それを社会が支えていくというシステムならば心配ないのですが、今まだまだこの国は障害児を産むことによってマイナスのイメージしかないし、また大変に生きにくい世の中であるということが原因になっていると思います。  これは全体的にしっかりと取り組んでいかなければ、障害を持っている命を抹殺していくことによって健常な人しか生きられない世の中ということは、非常にゆがんだ、間違ったあり方だと私は思っています。この長谷川先生が、トリプルマーカーのテストをあたかも通常の検診の一部かのように説明している医院があるということ、それに対して厚生省の指導を今後どのようにしていかれるのかというお考えを伺いたいのです。  例えば、これはジェンザイムかもう一つ会社かわからないのですけれども、資料をまず妊婦にお医者さんが渡します。そのマーカーテストの説明書にはこのように書いています。   もしもこの検査を受けて、胎児の状態を早く知り、精神的・物質的準備を早くしたいと思われたら、受けられるとよいでしょう。生まれてくる子供はどんな状態でも自分の子供であり、あらゆるケースに対して心の準備ができているという方は、受ける必要はありません。あらゆる状態に対して心の準備ができているという方なんてありません。本当に不安で、子供を産むということすら不安なのに、安易に血液検査を、受けさせられてということはおかしいのですが、これは受けるといいと思いますよということで受けて、その結果が降水確率みたいに二〇%、四〇%とか出てきます。ゼロという結果は出ないのですね。  ほんのちょっとだったら、じゃ次に羊水検査。羊水検査になると十万円とかもかかります。すごくお金をかけてますます不安に追い込む。そして、インフォームド・コンセントがきっちりできていないお医者さんは、これは心配ですね、障害児が生まれてきたら大変ですよ、親御さんも大変、生まれてくるお子さんはもっとかわいそうと言われたら、どういうふうな精神状況に陥るかということを想像していただきたいと思います。  きょうは本会議があるということで皆さん大変でしょうから、私はこの続きはぜひとも厚生委員会の方でまたさせていただきますが、最後に、厚生省、今の産婦人科医でのインフォームド・コンセント、情報提供が徹底していないということをしっかり把握されて、今後取り組む姿勢をお聞かせください。
  101. 小田清一

    ○小田説明員 先ほど申し上げましたように、本年度の調査結果の中に、インフォームド・コンセント、それからそれに関連する調査を行っておりますので、そちらの結果を踏まえて必要に応じて適切な指導をすると同時に、厚生科学審議会の方でも議論を進めておりますので、またそちらの進行状況に応じまして適切な処置をとってまいりたいというふうに考えています。
  102. 中川智子

    ○中川(智)委員 私は、これは第二の薬害といいますか、さまざまな裁判がこれから起こってくるような気がいたします。この結果によって、ダウン症の子は生まれません、染色体異常はありませんと言われて、生まれた例が幾つもあります。そのときに、いっぱい検査をしながら、健常児が生まれますという、何というか、お墨つきみたいなのをもらって産んで、生まれた例がありまして、その方の精神的ショックというのは、もう立ち直りがとても大変ということと、もう一つは、中絶した後、心の傷が一生取れないんです。その中絶によってその後不妊症に陥るということもありますし、また、あの子を殺してしまった、そのような心の傷を一生負いながら生きていかなければいけないという、そのことにもしっかりと着目していただきたい。  規制なしの今の開発を許してはいけないと思います。ましてや今普及している状況の中で、これをしっかりと厚生省としては凍結させて、WHOで十二月にこれに対してのガイドラインが発表されますが、WHOのガイドラインではなくて、日本におけるガイドラインをぜひともつくっていただきたい。  もう一つは、遺伝カウンセリング体制を整えていただいて、限定した医療機関のみで検査をしていくようなシステムづくりをぜひともお願いしたいと思います。  これはまた何度も何度も重ねて要望していきたいと思います。  以上で終わります。ありがとうございました。      ――――◇―――――
  103. 宮地正介

    宮地委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  物価問題等国民消費生活に関する件、特に再販制度問題について調査のため、来る二十七日、参考人出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 宮地正介

    宮地委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次回は、来る二十七日木曜日午前九時理事会、午前九時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時十二分散会