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1997-11-06 第141回国会 衆議院 消費者問題等に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十一月六日(木曜日)     午前九時四十分開議 出席委員   委員長 宮地 正介君    理事 小野 晋也君 理事 岸田 文雄君    理事 久野統一郎君 理事 佐藤 剛男君    理事 青山 二三君 理事 福留 泰蔵君    理事 石毛 鍈子君 理事 藤田 スミ君       飯島 忠義君    小此木八郎君       大村 秀章君    木村 隆秀君       小林 多門君    能勢 和子君       山口 泰明君    松沢 成文君       松浪健四郎君    肥田美代子君       細川 律夫君    熊谷  弘君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      尾身 幸次君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     根來 泰周君         公正取引委員会         事務総局経済取         引局取引部長  上杉 秋則君         経済企画庁調整         局長      塩谷 隆英君         経済企画庁国民         生活局長    井出 亜夫君         経済企画庁総合         計画局長    中名生 隆君         経済企画庁調査         局長      新保 生二君  委員外出席者         警察庁生活安全         局生活環境課生         活経済対策室長 柴田  健君         文部省教育助成         局地方課長   徳永  保君         通商産業省産業         政策局消費経済         課長      樋口 一清君         通商産業省生活         産業局サービス         産業課長    加藤 裕之君         運輸省鉄道局業         務課長     安原 敬裕君         自治省行政局公         務員部公務員課         長       飛弾 直文君         参  考  人         (国民生活セン         ター理事長)  及川 昭伍君         特別委員会第二         調査室長    田中 宗孝君     ――――――――――――― 十月二十八日  遺伝子組換え食品の表示に関する請願(北沢清  功君紹介)(第二八五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  物価問題等国民消費生活に関する事件      ――――◇―――――
  2. 宮地正介

    宮地委員長 これより会議を開きます。  物価問題等国民消費生活に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として国民生活センター理事長及川昭伍君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 宮地正介

    宮地委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. 宮地正介

    宮地委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤剛男君。
  5. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 自由民主党の佐藤剛男でございます。  本日は、最初に、公正取引委員長から、独禁法の中の再販価格維持契約法律的に言いますと二十四条の二でございますが、その運用について私の見解、簡単に言いますと、公正取引委員会運用には問題がある、権限を越えて運用いたしておる、違法性を持っておるという問題意識を提起させていただきます。後に、尾身大臣に、最近の経済情勢等を踏まえまして御質問をさせていただきます。  以上のような形で進めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。  それでは最初に、再販価格維持行為再販行為でございますが、委員長委員の方々の参考に、法律の二十四条の二をちょっと配らせていただきます。よろしゅうございましょうか。
  6. 宮地正介

    宮地委員長 どうぞ。
  7. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 再販というのは、小売店販売する価格をメーカーが指示しましてこれを守らせる行為、これをいうわけでございます。それで、再販行為というのは、販売業者間の競争を制限し消費者利益を害することから、独禁法で原則として違法とされているわけでございますが、この二十四条の二という、これは昭和二十八年に導入された規定でございますが、これによりまして、一部の商品については例外的に独禁法適用除外項目になっているのは御承知のとおりでございます。  そして、大まかに分けますと、お手元の二十四条の二の第一項、世に言う、薬関係であるとか、例えば資生堂の何とか化粧品であるとかというのが一項関係でございます。そして、これは、私の理解するところ、指定再販商品と通称、称しているのでありますが、これについては、本年の一月に、すべての商品について指定取り消し告示による手続での取り消しということで、ないはずでございます。  今問題になっているのは、四項をごらんいただきたい、これは著作物というものなのです。四項をごらんになりますと、「著作物を発行する事業者又はその発行する物を販売する事業者が、その物の販売の相手方たる事業者とその物の再販売価格を決定し、これを維持するためにする正当な行為についても、第一項と同様とする。」こういう規定があるわけでございます。  そして、世に言う著作物再販というのでありますが、六品目が世に聞くところですが、私はその告示も見たこともない、政令にもない、省令にもない。何か知らないが、公正取引委員会がみずから著作物でございますと言うと  著作物定義もないのです、この二十四条の二には。と言うと、著作物になって、適用除外になる。そして、今いろいろ問題になっている新聞など、著作物品目というのが、書籍新聞雑誌レコード盤音楽用テープ音楽用コンパクトディスクCD、この六品目著作物再販ということになっているわけであります。  私が問題にしようとするのは、この二十四条の二の第四項、これは「第一項と同様とする。」という法律規定があるわけであります。この三項には、一項の商品について、例えば化粧品とかそういうようなものについては、告示によって指定が行われ、取り消すときには告示を取り消す。ところが、この四項については、「第一項と同様とする。」と書いてありながら、ここが問題なんですよ、公正取引委員会はそういうふうな六品目について、一体どういう形で著作物という概念定義して、そして世に言っているのか。  私の理解するところ、告示というのは見たことがないが、まず委員長、私が申し上げておるこの四項の六品目著作物について、いかなる根拠に基づいて、いかなる法律法律はここにあるんだけれども、基づいてなされているか。私は告示を見たことがないが、これがあるならば、告示を見せていただきたい。
  8. 根來泰周

    根來政府委員 ただいま御質問の点でございますけれども法律には第二十四条の二の第三項に、「第一項の規定による指定は、告示によってこれを行う。」というふうに書いてあります。それでは、その告示というのは第四項の「第一項と同様とする。」という「同様」の中に入るかどうかということでございますけれどもごらんのように、第二項に、「公正取引委員会は、左の各号に該当する場合でなければ、前項の規定による指定をしてはならない。」というふうにありまして、一号、二号というのがございます。  一号、二号には、例えば、日常使用されるものあるいは自由な競争が行われているもの、こういうものについては告示によって再販商品であるということを明確にする、こういうふうに書いてあるわけでございますから、四項の著作物というのはいずれもこういうものに当たらないことははっきりしておるわけでありますから、この「同様とする。」という中には、三項の、告示によって行うという規定は含まれていないというふうな解釈であります。  なお申し上げますと、著作物内容について明確ではないという点は、確かにそういう御指摘はある意味では正しいと思いますけれども、これは、法律の建前として、著作物というのは何かというものを本来は明確に書いておくのが親切であろうと思います。  しかしながら、著作物というのは、法律の中にはアプリオリに、例えば、生き物というのは何かというような定義を置いていない場合もたくさんあるわけでございまして、そういうふうに考えるのか、あるいは当時ありました著作権法というものを念頭に置いて著作物というふうに書いてあるのか、その辺が明確ではありませんけれども、従来から私ども著作物解釈といたしまして、書籍雑誌新聞紙それからレコード盤、これは立法当時はそういう解釈でやってきたわけでございます。  ただ、その後の科学の進展によりましてテープあるいはCDが出ましたから、それも「発行する」という中に入るのであろうという解釈運用してきたわけでありまして、これは決して公正取引委員会独断偏見でやってきたというわけではございませんので、その辺については、私どもは若干異議がございます。
  9. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 見解の違いですが、私は、独断偏見公正取引委員会運用している、そして法律根拠も、今の第二項の委員長の御説明は理解できないのです。なぜこの二項があるから四項の著作物というものが告示手続なしに、公正取引委員会委員長がいいと言うと著作物になつちゃうんですか。公正取引委員会のどこで決定しているのですか。これは重大なことなんです。  委員長、私が申し上げているのは、新聞あるいは書籍雑誌レコード盤音楽用テープ音楽用コンパクトディスクだ、こう称している。それは世に言われているだけであって、根拠はどこにもない。告示もない。アナウンスメントで、どこかが言うと著作物になる。  それで、今、新聞がどうだ、これは文化物であるとか、いろいろな議論が出ております。なぜそういう議論が出てくるかというと、平成八年三月の閣議決定で、私はこの閣議決定内容もおかしいと思っているのですが、再販価格維持については、すべての指定商品再販維持告示を廃止し、これは一項の関係の話、また、再販適用除外が認められている著作物については、平成九年度末までに、つまり来年の三月までにその範囲の限定明確化を図る、こんなものが突如として出てきている。  私は、それはおかしいと思っておりますが、閣議決定のことですから置いておきながら、重要なことなんですね。昭和二十八年に二十四条の二が入った。四十何年たっていますか、今。これはもう五十年近い間、社会的に一つの秩序となっている。経済的な仕組みができ上がっている。この経済的な仕組みは、告示もないんですよ。おかしいじゃないですか、委員長。こういうものについて、じゃ、これは廃止しますといって新聞を廃止するときどうするんですか。告示もないから廃止しようがない。廃止法というものでもつくるんですか。何とか何とか廃止法書籍何々廃止法。これはどういうことかというと、公正取引委員会が二十四条の二を適正に運用していなかった。告示をしていなかった。  そして、さらに委員長質問します。六項を見てください。これは、「第一項に規定する事業者は、」となっていて、四項の形によって第一項と同様とするわけですから、本来ならば、新聞なり雑誌なり書籍なりレコード盤業者は、再販価格維持契約をしたときに公正取引委員会に届け出なきゃならない。こういうふうに読むのが、私は法律屋でございますが、私は行政立法を三十近く手がけて、改正法までやってきた男でございますが、通常の読み方はそう読むのが素直な話であります。  私は、内閣法制局をきょう呼んでいませんから、その見解を伺おうと思いますが、事は非常に重大であります。四十数年間にわたって、あたかも法定主義ですよね。法律に基づくものが、法律はあるが、運用が、これについて告示すらもない。公正取引委員会委員長新聞はあれしますよと言いますと、その対象じゃなくなっちゃう。雑誌適用除外でありますよ、じゃ、適用しますよ。  これは国民生活をずっとやっていて、新聞社人たち、それからレコードをやっている人たち関係業界も、消費者も絡んでいるわけですから、そういう人たち法的安定性を著しく損なうものであって、公正取引委員会のものは瑕疵がある。重大なる瑕疵があって、この問題については違法である。再販価格維持契約について、公正取引委員会のこれまでの運用について、二十八年のときから失敗している、間違えている。私はこの問題を提起いたします。それについての委員長見解をお聞きして、また次回、内閣法制局なり当時の立法者をあれしていただく。  ここまでで、とりあえず委員長の御見解を。委員長法律の専門で、犯罪というものは、罪刑法定主義といって、きちっと書いていなければ、構成要件がなければならないという、検事の最高のポストにつかれた方でございますから、私はあえて法律問題を挑むわけではございませんが、委員長、ひとつ有権的な解釈をお願いしたい。
  10. 根來泰周

    根來政府委員 おしかりを受けて大変恐縮でございますけれども、私どもはちょっと先生の御意見とは違うわけであります。あくまでも著作物という解釈でありまして、解釈をどうするかというのは、私ども解釈もありますし、これはずっと歴代委員長国会で御説明も申し上げてきたわけでございまして、その点について特段の異議がないわけでございます。そういうことでずっと運用してきたわけでございます。  それで、罪刑法定主義も引き合いに出されてお話がございましたけれども、もし、例えば雑誌書籍新聞紙再販を廃止するということになりますれば、当然これは国会事項でございまして、この二十四条の二の条項を削除するなり変更するなりということで国会の御審議をいただくわけでございまして、私どもは勝手に、新聞紙はあしたから再販対象になりませんというようなことは言えないわけでございますので、その辺若干、誤解と言うとしかられるかもわかりませんけれども、ちょっと違うのじゃないか、こういうふうに思っております。  いずれにせよ、私どもは従来からそういう解釈をしてきておるわけでございまして、そういう解釈国会でもお認めいただいているものと理解しているところでございます。
  11. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 重大なる見解の相違であります。事は重大でありますので、この問題について、ただいま委員長国会でもお認めになっていると言われた、それを証明していただきたい。それから、例えば音楽用コンパクトディスクはいつ指定されて、どういうふうな手続国会に報告されているのか、どういう形かも教えていただきたい。  つまり、私が申し上げるのは、この二十四条の二の法律だけはあるのだが、法律運用が、手続部分でどこで決まってどうなるのか。こんなばかなことないでしょう。そもそも独禁法には著作物定義というのはどこにも出ていないのですから。だから、公正取引委員長が言われるように、当時における著作権法著作物ではないでしょうか、こんな話になっている。  これ自身も、これは何なのかというと、告示とかなんとかで担保されて初めて、国会立法機関としての、国会というのは国権の最高機関なんですから、立法機関なんですから。解釈の問題については内閣法制局なりがしていますが。僕は委員長に申し上げているのです。歴代委員長の、ずっとさかのぼった二十八年のころのあれですから、委員長、私の言っていることに、過去に余りしがらみにとらわれないでお話を聞かせていただきたいと思います。  そこで、委員長、いずれにしましても、六業界の、書籍新聞雑誌レコード盤音楽用テープ音楽用コンパクトディスク、この関係者参考人を当委員会に招聘することを要求いたします。
  12. 宮地正介

    宮地委員長 佐藤君の要求に対しましては、理事会で協議をさせていただきたいと思います。
  13. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 ありがとうございました。そういうことで、ひとつよろしくお願いいたします。  それでは、尾身大臣質問させていただきます。  私の最も敬愛いたしております尾身大臣が、ただいま八面六臂の御活躍をせられているのを拝見いたしまして、非常に心強い限りでございます。  そこで、私がきょう取り上げようといたしておりますのは、きょう財政構造改革法律が本会議にかかるわけでありますが、財政再建法じゃないわけでございますから、構造改革の問題について非常に注意しなければいけないこと。注意しないと、後々大きな課題になる。もっと具体的に言いますと、日本アメリカとの間の大きな摩擦要因になる。  それはどういうところでそういう摩擦要因になるのかというと、アメリカ側の立場に立てば、日本経済運営というのは総貯蓄というものが総投資に比べて非常に多いのだ、つまり総貯蓄過剰型の経済になっているのだ、投資不足経済になっているのだという観点から、これが経常黒字日米関係においてアメリカ側赤字日本側の対米黒字というのは今増大いたしておるわけでありますが、その問題になるわけであります。  この問題につきまして、非常に注意して、大臣はもう十分いろいろな御発言においてその点を指摘されたりいたしておりますので、この問題について、私はあえて、きょうはパネルを持ってまいりました。  大臣、こういうことなんです。一九九五年暦年までしかとれないのですが、私がよく当委員会において問題提起しておりますISインバランス問題、これは非常に重要なる問題だということを、私はかねてからいろいろな場で指摘いたしているわけであります。  どういうことかといいますと、経常収支というのは、等式でいいますと、経済学的な言い方をしますと、総貯蓄から総投資を引いたものが経常収支なんです。別の面からいいますと、経常収支というのは貿易収支プラス貿易外収支、これを経常収支というわけですが、貿易の物の差、物が移動する、それに例えば保険とかそれから輸送費とかというのは貿易外、目に見えない、インビジブルのものなんですが。全体の、別の形からいうと総貯蓄概念なんです。この統計国民経済計算年報にあるのであります。これは英語でセービングといいます、セービングスというのです。それから総投資の場合でいいますと、インベストメント。つまり、SマイナスIという議論カレントアカウントという形でいうのであります。  九四年、十三兆円経常収支黒字になっている。九五年も十兆円黒字になっている。一九九七年の、一番新しい統計というのはないのですが、これは国民経済計算をやっていきませんといかぬわけですから。これは、今の動向でいいますと、経済企画庁カレントアカウントは恐らく七、八兆円ぐらいになるのじゃないのかなと私は見ておりますが、そこら辺は後ほど大臣答弁等でお聞きできるのじゃないかと思います。この問題が出ますと、これだけ余ってしまいますと、ここが総貯蓄イコール投資になっている形じゃないと経済というのは均衡を保てないわけであります。  そういう意味でございまして、この問題について、私はあえてこのパネル問題提起を申し上げたわけでございますが、そのあたりについて、尾身大臣の御見解をまずひとつお聞きしたいと思っております。
  14. 尾身幸次

    尾身国務大臣 国民経済計算におきまして、総貯蓄と総投資の差額が経常収支であるというふうなことは委員おっしゃるとおりでございまして、私ども経済政策一つ観点は、その間の正常なバランスをとっていくということであろうかと思っております。
  15. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 そういう観点でいいますと、総投資が不足している部門、ところが今、財政の赤の部門でこれがなかなか一般会計を発動できない。そうなってくるといろいろな知恵を使わなければいけないというのは、大臣テレビであるいはいろいろな場でおっしゃっておるところでございます。金を使わないで頭を使ういろいろな方法があるわけでありますが、それについて私は一つ問題提起を、一つの案としまして頭を使ってやる方式を問題提起をいたしますので、その考え方について御見解をお聞きしたい。  それはどういうことかといいますと、財政投融資というのは毎年度大体約四十兆円ございます。残高は四百七十四兆円ぐらいあるわけでありますが。この四十兆円の財政投融資資金を、財投資金というと簡保資金あるいは年金資金になるわけでありますが、それを地方公共団体土地開発公社等自主的運用といいますか、運用させまして、そしてその金利部分利子補給一定期間する。  そうするとこれは一般会計にいくという話なんですが、これについては、仮に一兆円の利子補給をしましても、すごい効果が出るのですね。私は三年間ぐらいやるべきじゃないか。三兆円の利子補給をやりますと、これは財投資金の今の借り入れの金利というものと比べまして、すごい効果が出る。これを例えば地方の、私の場合でいいますと福島の道路の、建設省直轄工事なんという形で道路があるのですが、それについては必ず土地の収用とかいうものが要るわけでありますから、先行的に土地開発公社等がこの安い資金で、財投一般会計部門利子補給をやったもので買収する。それは私は一定期間限定していいと思います、三年間ぐらいの形で。  そうしますと猛烈に効果が出ると私は思っておりまして、これをすることがISインバランスを解消する、つまりISバランスに持っていく、総貯蓄と総投資バランスを保つということでございますが、このあたりについて、大臣の御見解をお伺いいたしたいと思っております。
  16. 尾身幸次

    尾身国務大臣 利子補給によって財投資金を活用して、土地開発公社土地先行取得というようなことをやらせたらどうか、こういうお話でございます。  まず第一に、私ども、現在の財政状況から見て、赤字国債を出して減税をしてそのお金で物を買うというような、いわゆる財政出動的な考え方はなかなか難しいのではないかというふうに考えているところでございます。そういう中で、余り財政出動的なやり方ではなしに経済を順調な回復軌道に乗せるという意味から、民間活力を中心とした経済活性化を図っていくということが必要であるというふうに考えておりまして、そういう意味で、規制緩和とかあるいは土地流動化とか、そういう政策をとっていきたいというのが私どもが今考えている経済対策の基本でございます。  その中で、今佐藤委員のおっしゃいましたことも一つの案ではあろうかと思いますが、これは三年間に限定ということであればそれなりの効果があろうかと思いますが、それがまたひいては、その土地がそのままある種の残高として残って、年一兆円というような金額の支出が長く続くというようなことになれば大変なことでもございますし、そういう点をいろいろと考えまして、総合的な検討が必要かと考えております。
  17. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 ひとつ大臣に御検討をお願いいたしたいと思っております。  それから、大臣が、私はテレビで拝聴させていただいたのですが、御立派な一つのアイデアだなと思っておりまして、私もかねてから言っております問題が、農振法の見直し農業振興地域の整備に関する法律というのがあるわけでございます。  これは、農地、いろいろな優良農地等がありますが、そこが農振地域になりますと、例えば減反しましても、東京にいる娘のために家を建てようと思いましても建てられないのであります、農振地域構築物はだめと。これは、現在の米の需給関係等々を見ても、農振地域があるところというのは大体もう過疎です。過疎になってしまいます。学校も、小学校も六級、一年一学級ぐらいになってしまいまして、そういうところが私の地域にもたくさんあります。それこそ田園地域です。  ですから、そういうのを、農振法の全面的見直しということをおっしゃっておられまして、僕は、これは金のかかる話ではないし、そして地域の中において農家の方々と都市の方々、都市に行っている人たち地方に週末を過ごすための別荘なら別荘を持とう、一反歩の農地を持とう。今は、五反歩以上じゃないと農業者になれないで土地を持てないわけであります。  ですから、そういうふうなガーデニングの形を受け入れて、そして、まあセカンドハウスですね。こっちでマンション、アパートにいる、狭いが、向こうのどこかに行けば庭つきの、庭つきというか自分で畑いじりができる、福島に行けば福島でできる、群馬に行けば群馬でできるという方式を私は検討すべきであるということをあらゆる機会で申し上げております。なかなか難しい問題ではありますが。  それに関連しまして、今住所というのは、民法にありまして、主たる根拠地を言うとなっている。私は住所が二つあってもいいと思うのですね、二つ認めても。  どういうことかといいますと、三千二百十八、日本には市町村の数がある。約三千三百ある。そのうちもう一つ、最も自分を大切にしてくれる市町村を選ぶ権利を都会の人に与えるのです。そうすると、各市町村みんな競争しますよ。そこに税金を払い、選挙権まで行使できるような形でも私は考えてもいいと思いますが、そういう地域を選んで、そういう地域のところには、仮に農振地域であれば農振地域を外して、しかも土地を持てて、そして住宅公庫がそれに対して融資をする道をやる。  そういう二十一世紀に夢を持つような、月曜日がハッピーマンデーでもいいし、金曜日がハッピーフライデーでもいいのですが、そういうふうな環境づくりをやるということも、私は経済企画庁経済対策の大きな環境づくり、これはお金が要る話ではないわけでありまして、頭を使う話でございますから、そこら辺は尾身大臣の主張されておる、頭を使って対策をやるという点に該当するのじゃないですか。アイデアで申し上げてあれなのですが、そのあたり大臣の御見解をお伺いできれば幸いでございます。
  18. 尾身幸次

    尾身国務大臣 農振地域に住宅をつくったり、あるいは第二の、まあ第一、第二も含めまして住宅をつくるという今の委員お話、大変大事な話だというふうに思っておりまして、お金を使わないで景気対策をやる中で、いわゆる過疎過密問題というのがございます。そして、公共事業を縮減する中で、都市部と比べて地方の方が大変に大きな痛手をこうむって、地域経済活性化に対して非常にマイナスではないかというような御意見もございます。  そういう状況の中で、他方、米も過剰でございまして、米過剰で減反をしている、三割以上の減反をしているという状況のもとで、農振地域といえども農地転用を非常に厳密な意味で禁止に近い状態で制限をして、かつ米が余るというような現象が農業対策の観点から見ていいかどうかという問題もございます。  そういう問題を総合的に勘案してみますと、委員のおっしゃったような、農地の転用を弾力的にして、そしてそこに住宅をつくるなりあるいは工場をつくるなり地域活性化を図っていくということは、大変大事だというふうに思っております。  きょうだだいま具体的にどういうふうにするかということは、現在関係省、農林省や建設省と協議中でございまして、具体的には申し上げられませんが、建設省の都市計画法のいわゆる開発許可についての運用も含め、法律も含め、それを直すという問題、それから、農振法や農地法をもうちょっと弾力的に運用して、農地に住宅をつくることができるようにさせるという問題につきましては、今度の経済対策の中で具体的な結果を出すべく現在詰めをしているところでございまして、それがまた地域社会、地域経済の発展につながるものと考えております。また、いろいろな意味での御支援をよろしくお願い申し上げます。
  19. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 大臣から非常に力強い御発言を賜りまして、私は、経済企画庁はそういう環境醸成といいますか、そういう環境をつくることの政策が非常に重要な、各省庁にまたがる場合ですね。その意味におきまして、非常に心強い御答弁をいただきましてありがとうございました。  大臣に対します質問はこれで終わりまして、また公正取引委員会質問いたします。私の持ち時間はあと五分でありますので、申し上げさせていただきます。  というのは、私はここでダンピング、不当廉売の問題というのを何回か取り上げました。そして、特に価格が安い、ダンピングというのは、独禁法の体系では不公正取引という規定が十九条にありまして、そしてダンピングの場合、最終的には二年以下の懲役まであるのですね。二年以下の懲役まであるのですけれども、ダンピングにつきまして、不当廉売について、特にビールとか石油、ガソリンそれから家庭電器、そういうふうなダンピングについてこれを発動したことがない。つまり告発したこともない。  それで、規制緩和規制緩和と言うのですが、これはかつてアメリカは市場開放と言っていたわけです。細川内閣のころにディレギュレーションと始まって、これは規制緩和と訳して言ったのですが、この規制緩和と市場開放、これと独占禁止法体系というのは車でいいますと両輪である、アメリカはそういうふうにやってきているのですね。  なぜそうなのかというと、アメリカは異民族の国家であります。あらゆる人種のるつぼであります。そういうことで、大きな資本が強いと弱い人たちが出てくる。そういうふうなことで、規制緩和を推進すると同時にフェアトレード、いわゆる公正取引というものが非常に重要な形にやっているわけであります。ですから、フェア・トレード・コミッションというのは千人ぐらいを超えているのがいます。  ですから、そういうふうな面について、今公正取引委員会の大きな仕事というのは、一つのこれからの仕事は、持ち株会社の問題についてのいろいろな整備をし、運用をきちんとする。今まで持ち株会社は禁止されていたわけですが、これが解禁された。これは一つ規制緩和で、経済スキームとして私は画期的なことだと思っております。私は、この問題について、持ち株会社推進を、持ち株会社禁止をのかせということをここで言った男でございまして、尾身大臣が、大臣になられる前に、いろいろな御貢献をされて実現したわけであります。  不当廉売も、この問題について不公正取引の問題で真剣にやらなければいけない。ところが、これについて私はかねてから申し上げているのですが、五百何人の公正取引委員会部門の中で、どちらかというとカルテルとかそういうことについて公正取引委員会は非常に関心をお持ちだが、この不当廉売について、私がここで大分この問題についてしつこく取り上げてからかなり調査が進んできておりますが、いまだに私は十分ではないと思っているわけであります。  アメリカにおいては、ダンピングをいたしますと、州法によりますとマークアップ法というのがあるのですが、これは法律違反になりまして、仕入れ原価を超えて小売の場合には六%、卸の場合には三%、それをやって、それ以下のものはダンピングという形になっているわけであります。  現在、それを取り締まるのは独禁法であり、独禁法にはちゃんと法律の条項がある。先ほど、私と見解は違いましたけれども再販価格維持については規定がありながらへんちょこりんな運用をやっている。ところが、こちらの方はきちんと法律がありながら一罰百戒もやっていなくて、規制緩和ばかり進んでいったら、酒屋さん、今中心市街地のところの中心ですよ、もう時間がなくなってしまったからあれですが、免許の問題について、小売店について、国税庁の方は今度は受給条件を緩和するとかなんとか言っている。今、どこに行っても酒を売っているじゃないですか。キオスクに行っても売っているし、何に行っても売っているし、もう規制緩和そのものになっている。  規制緩和すればいいというものではないんです。それなりの、公正取引委員会がやり、あるいは国税庁なら国税庁がきちんとしたものを、弱い者を守ってやるということを考えなければつぶれちゃいますよ、みんな。中心市街地のところの中心になっているのは小売店。それからガソリンスタンドについてもそうです。  今後とも引き続きまして、この問題について、私は弱者保護の立場から当委員会において問題を提起し続けることを申し上げまして、ちょっと時間がなくなってしまいました、再販のことばかりいたしましたので。  最後に、公正取引委員長に、この不当廉売問題について現在の公正取引委員会としての取り組み状況、そしてどういうふうな形で組織体制を組んでおられるか、そこら辺について御質問いたしまして、私の質問を終わります。
  20. 根來泰周

    根來政府委員 この委員会でも再々そういう御指摘を受けておりまして、私ども職員が少ないわけでございますけれども地方事務所の職員等を督励いたしまして、その端緒の把握に努めて、またその都度警告を行っているところでございます。  こういう愚痴をこぼしても何ですけれども、人数も少ないし、そういう事案は各地にたくさん発生しておりますので、なかなか端緒がとりにくいのでございますけれども、いろいろ御指摘いただければ、その都度適正に対処したいと思っております。
  21. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 それでは、公正取引委員長によろしくお願いいたしまして、また引き続き近い機会にこの問題について取り上げさせていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  22. 宮地正介

    宮地委員長 山口泰明君。
  23. 山口泰明

    ○山口(泰)委員 私は、埼玉十区から選出されております自民党の山口泰明と申します。  本委員会委員長であります宮地委員長の中選挙区時代の地盤の一つでありまして、私の選挙でも大変に宮地先生の後援者にも応援をしていただきました。大変ありがとうございました。  私はこの世界へ、民間の中小企業のガス会社の役員からいきなり入ったものですから、各委員会で必ず私が最初に申し上げるのは、こうして委員会の答弁を聞いていますと、言語明瞭、意味不明といいますか、非常にわかりにくい、難しい言葉がたくさん出てくるわけでございます。  それは勉強すればわかると思うのですけれども、しかし国民の方たちは、本当に勉強の好きな方はごく一部で、余り勉強が好きでない方が多いものですから、私は、やはり政治不信の一つは、もっと国会のこういう委員会もわかりやすい言葉を使えば、特に、私はガス屋出身でしたから、主婦の方等はそういった難しい言葉にはなじまない。そういうことで、ぜひ大臣初め答弁される方も一般の方にわかりやすく、そうするとこれは政治不信の解消にもなると私は思いますので、ぜひそういった方面でお願いをしたいと思います。  まず第一点目は、財革の特別委員会とかで尾身大臣は何回も何回も同じことを聞かれて、大変心苦しいのですが、ひとつ、最初でございますので、お聞きしたいのです。  現在置かれている経済状況でございますけれども、先月初めて足踏みという言葉を使いました、それまでは緩やかなという言葉を使っておりましたけれども。実際、私の選挙区あたりでも、私は酒が好きなものですから、飲み屋さんに行っても、スナックが居酒屋に変わってしまう。要するに、お客さんが二軒目に行かない。もう一つは、タクシーの運転手さんにも言われるのですけれども、稼働率が本当に、一昨年からですか、どんどん稼ぎが少なくなってしまう。まさにタクシー業界というのは売り上げそのものが自分の収入に響くものですから、そういった面を見ても、私は政府で言っていた指標より実際は本当にもっと冷え込んでいるのではないかな、こう思っております。  それで、自民党もさきに規制緩和の前倒し等の政策を発表いたしました。国民の間ではまだ依然として所得減税をしてほしいという声もありますけれども財政再建のことからいうと矛盾もします。私は政策減税も早くやるべきだと思っているのですけれども、そういったものを含めまして、長官に易しく、平易に答えていただければ大変ありがたいのでございますが、よろしくお願いいたします。
  24. 尾身幸次

    尾身国務大臣 最近の景気動向、たびたびお話をしているわけでございますが、経済は生き物でございまして、時々刻々変化をいたします。そういう中で、四月に消費税の引き上げがございまして、一月-三月を中心として、あるいは住宅建築などはその前からでございましたが、住宅建築それから消費を中心として、非常に大きな、予想以上の駆け込み需要がございました。その結果として九六年度の経済は非常に、予想以上に伸びたわけでございますが、その反動が四月からございまして、消費の停滞、それから住宅建築は非常に落ち込みました。  それからまた、設備投資はそこそこの伸びを示しているわけでございますが、まだそう大きな活発な動きになっていないという状況でございます。輸出の方は、輸出入バランスの方は非常に大きな拡大をしているということで、これまた多少国際的に問題もございますが、輸出と設備投資で景気を支えているというような状態が続いてきているわけでございます。  景気につきましては、駆け込み需要の反動が徐々に薄くなってきているというか、なくなりつつある状況でございますが、なお足元の回復テンポが緩やかでございまして、回復の基調そのものは失われていないというふうに考えておりますが、いわば足踏み状態という状態になっているかなというふうに考えております。  消費の方につきましても、実は雇用もそこそこにふえておりまして、それからまたいわゆる賃金所得もふえてきているわけでございまして、消費者の懐はそこそこの状態になっているわけであります。しかし、消費が必ずしも思ったように伸びていないという実情にございます。  それから設備投資の方について見ますと、企業収益は昨年と比べましても相当の伸びを示しておりますし、それから設備の過剰感というのも段々なくなってきているわけでありまして、バックグラウンドとしては設備投資はもっと大きく伸びてもいいような、いわば余力を持っているわけでございます。  設備投資はそこそこ伸びておりますが、消費がそう伸びていない、そして景気が足踏み状態にあるという状況でございますが、これは一つには、簡単に言いますと、懐は豊かなんだけれども先行きの経済に対して何となく心配だというような気分がございまして、これは企業の景況感といいますか、先行きどうなるかなという感じでありますけれども、そういうものも非常に下がってきているわけでありまして、そういうわけで経済にもうひとつ活力が戻ってきていない、そういう感じがするわけでございます。  そういう前提で私ども財政、御存じのとおりGDP、一年間の所得に匹敵するような借金の残高を抱えているわけでございまして、いわゆる財政出動という形での景気対策はとり得ない。少し前でございましたら、建設国債つまり借金をしてそして公共事業をふやす、あるいは赤字国債といいますか、これもまた借金をして減税をして消費者に物を買ってもらうというような対策をやってきたわけでありますけれども、それが続いてきた結果として、その対策自体は景気の下支えになりましたけれども財政赤字が先ほど申しましたように非常に積み上がってきてしまったということで、財政出動をしない、むしろ財政構造改革をしながら景気対策を進めていくという課題に現在私ども直面をしているわけでございます。  では、どういうことでやっていくかということでありますが、大きく分けて三つ考えておりまして、一つは、企業の国際的な展開の中で、経済の国際化という問題がございます。そういう中で、日本の企業やあるいは外国の企業が日本という国を生産拠点あるいは経済活動の拠点として選ぶような魅力ある国にしていかなければならない。いわゆる空洞化の反対、空洞化を防いでいくということにもつながると思いますけれども、そういうことをやっていかなければならない。  そのためには、税制の面で、今日本は法人課税実質五〇%と言われておりますが、外国並みの四〇%を目指して、その第一歩を踏み出す引き下げを実現していかなければならない。それからまた、有価証券取引税のように外国に余り例のない税についても見直して外国並みにして、東京マーケットをニューヨークやロンドン並みにできるような基盤をつくっていかなければいけない。そういうことをやらなければいけないと考えております。  それから二つ目は、バブルの後遺症、不良債権がまだ残っておりまして、これが非常に経済のしこりになっているわけであります。これは一つには土地が動いていない、担保不動産の土地資産が動いていない、売れていないということでございまして、その流動化を促進するために、税制の問題も含め、規制緩和の問題も含め、これをもっと弾力的に動かすような、そしてそれによって不良債権の処理を進めて経済活性化する、そういうことをやらなければいけないと考えております。  それからもう一つは、規制緩和でございまして、先ほど申しました農地について転用をもっと弾力化するとか、都市部においては容積率の緩和をして、東京は地上過密、空間過疎というような状況になっておりますから、民間活力を出して、容積率緩和をして、もうちょっと東京を立体的にする、そういうことも必要かと思います。  そういう政策を総合的にいたしまして、全体として二十一世紀に向かって民間活力中心の経済活性化を図って、そしてそれによって経済を順調な回復軌道に乗せていきたいと考えております。経済の先行きに対してやはり日本国民全体が夢を持てるような方向性を打ち出すことによって、消費その他の分野でも経済活動が活性化してくるというふうに考えている次第でございます。
  25. 山口泰明

    ○山口(泰)委員 どうもありがとうございました。ぜひ長官に頑張っていただければと思います。  訪問販売についてお聞きをしたいと思います。  今、消費不振による景気の低迷で、安くて良質なものを買い求める消費者向けの訪問販売が近年非常にふえているわけでございますけれども、これに伴い消費者トラブルが増加したことを踏まえ、昨年の訪問販売法の改正によりまして消費者保護の充実が図られるようになっているのですけれども、行政において最近の苦情処理は実際上どのように行われているのか、また訪問販売等をめぐる消費者のトラブルの実態等をお聞きしたいと思います。
  26. 井出亜夫

    ○井出政府委員 お答え申し上げます。  国民生活センターでは、消費生活に関する消費者からの直接の相談を行うとともに、各地の、全国に約三百三十ほどございます消費生活センターに寄せられた相談情報を収集しております。  これによりますと、訪問販売等に関する法律により規定されております販売形態、訪問販売それから通信販売、電話勧誘販売についての苦情相談件数というのは、平成四年度に約六万五千件、五年度に八万四千件、六年度は九万一千件、七年度十一万二千件、八年度十二万二千件というふうになっております。平成八年度の件数は、平成四年度に比べまして約九割増というふうになっております。なお、平成九年度は、現在のところ七万三千件という状態でございます。  特に、昨年、訪問販売法の改正によりまして電話勧誘販売につきまして規制が強化されたわけでございますけれども、これにつきましては、従来大変増加傾向というふうなものが見られたわけでございますが、頭打ちの状況というふうになっておりまして、今後の推移を見ていきたいと思っております。  これらの苦情相談の具体的な内容と申しますのは、例えば訪問販売で申しますと、路上で声をかけられて強引に契約をさせられたというふうな問題。あるいは、送られてきた商品瑕疵があるということで、これは通信販売の問題でございます。あるいは、電話勧誘販売等につきましては、仕事中にしつこく契約を勧められるというふうな内容になっております。  以上でございます。
  27. 山口泰明

    ○山口(泰)委員 それでは、警察庁にお聞きしたいのですが、悪質な事業者を排除していくためには、法律の強化だけでは不十分であり、こうした企業や販売員等を厳しく取り締まっていくことが必要であると思います。  昨年の訪問販売法改正後の取り締まりの状況はどのようになっているのか、また、今後の警察の取り組みについてもお聞きしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  28. 柴田健

    ○柴田説明員 訪問販売、通信販売等の訪問販売事犯につきましては、平成九年上半期で申しますと、四十四事件、百二人を検挙し、これらの事犯に係る被害は、被害者総数約四万人、被害総額は約四十五億円余に上っておるところでございます。なお、昨年と比較しますと若干減少傾向にあるところでございます。  内容的に申しますと、強引な勧誘で売りつける押しつけ商法ですとか、官公署から来たような紛らわしい言い方をして売りつけるかたり商法、あるいは催眠商法と雷われる旧来型の各種事犯に加えまして、資格商法の被害者からさらに金銭をだまし取る悪質な二次被害商法、また代金引きかえ郵便制度を悪用して金銭をだまし取る送りつけ商法、さらにコンピューターネットワークを悪用した通信販売事犯などを検挙しているところでございます。  警察といたしましては、今後とも、国民の取り締まり要望を踏まえつつ、消費者保護の観点から、関係行政機関、団体等との密接な連携のもとに、悪質業者を早期に把握した上、徹底した取り締まりを行いますとともに、消費者が悪質商法の被害に遭わないよう効果的な広報、啓発活動を積極的に推進していく所存でございます。
  29. 山口泰明

    ○山口(泰)委員 それで、代表的と言ったら大変失礼かもしれませんけれども、日経で先月、そして五月にも出ていたのですが、朝日ソーラーの悪質な訪問販売が、国民生活センター等でも調査を行い、本年四月に公表し、相当話題を呼んでいるのです。一度この社長は、今回の処分を厳粛に受けとめている、お客様や関係者に多大な迷惑をかけ申しわけない、今後は社員教育の徹底や、本社が契約者に電話して長期契約を確認するなどちゃんとしたいというふうに談話はなっているにもかかわらず、また今度、十月には支店長が逮捕された、こういう状況なのでございます。  その朝日ソーラーの件に関して、わかる範囲で結構ですからお答えいただければと思います。
  30. 井出亜夫

    ○井出政府委員 朝日ソーラーの件でございますけれども、苦情の件数は、平成五年度に約六百六十件ございました。六年度が一千百件、七年度が同じく一千百件、八年度一千六百件、九年度は現在のところ七百件余りとなっております。  四月の十日に国民生活センターが実名公表を行ったわけでございますけれども、その後の苦情と相談というものにつきましては減少をしております。  私どもは、今後この推移というふうなものをしっかりと見きわめてまいりたいと考えております。
  31. 山口泰明

    ○山口(泰)委員 賢明な消費者がだまされない、だまされる方が悪いといえばそれまでかもしれませんが、やはりぜひそういう点で御指導いただければありがたいと思います。  時間がなくなってしまったので、最後に、私もゴルフが大好きなものですから、預託金のことでちょっとお聞きしたいのでございます。  預託金は十年とか十五年たつと償還されるというふうに皆さん思っているのですけれども、聞くところによりますと、ゴルフ場の理事会の決議により預託金の据置期間を延長する決議を行った場合があると聞きますが、その場合は、会員はその決議に拘束されて預託金の返還の請求ができないのかどうか、その辺を一点だけお聞きしたいと思います。
  32. 加藤裕之

    ○加藤説明員 ただいまの預託金制の問題でございますけれども、御高承のとおり、こういう形態のゴルフ場の会員契約は、基本的には私人間における債権債務関係ということでございますので、基本的には、その据置期間の延長決議の拘束力といったものについては、個々の事例に応じて司法が判断をするという性格のものではございます。  ただ、私どもの承知しておる範囲では、これまで既にそういった司法の場におきまして幾つかの判断が示されておるわけでございまして、大筋、理事会による据置期間の一方的な延長決議、こういったものについてはその効力を否定するという考え方が主流であると承知をしております。  特に、昭和六十一年の九月に最高裁の判例といったようなものが出ておるわけでございまして、これは途中で会則の変更をしたとかいろいろな特殊なことはございますけれども、その理事会の延長決議につきまして、従来の会員に対しては、会員の個別の承諾がなければ据置期間の延長の効力はないというふうに判断をされておるところでございます。  以上でございます。
  33. 山口泰明

    ○山口(泰)委員 どうもありがとうございました。  大臣初め各答弁の方、わかりやすい答弁でありがとうございました。
  34. 宮地正介

    宮地委員長 青山二三君。
  35. 青山二三

    ○青山(二)委員 新進党の青山二三でございます。  きょうは、私は、マルチ商法あるいはマルチまがい商法と言われておりますもので消費者が大変迷惑をこうむっている、多大な被害をこうむっているという点から、この商法についていろいろと質問をさせていただきたいと思っております。  本委員会は、物価問題等に関する特別委員会ということで、過去、国民に大きな被害を与えております悪徳商法問題につきまして再三再四取り上げまして、特にマルチ商法やネズミ講につきましては、その対策について集中審議とかあるいは参考人質疑を行った、そういう経緯がございます。  中でもネズミ講問題は、昭和五十三年、超党派の議員立法としてネズミ講禁止法、正式な名前は無限連鎖講の防止に関する法律が本委員会から誕生いたしております。また、その改正法も、昭和六十三年に、宮地委員長が衆議院予算委員会で取り上げた後、舞台を本委員会に移しまして、極めてスピーディーに制定されたと聞いております。  その由緒ある委員会で、またまた被害の深刻なマルチ商法問題を取り上げなければなりません。それだけに、先ほど申しましたように、大きな被害をこうむっている、被害の深刻さが増している、後でいろいろと述べますが、見逃すことのできない大きな社会問題を起こしている、こういう点で質問をさせていただきたいと思います。  マルチ商法につきましては、昭和五十一年には、行為規制法ながら、悪質なマルチ商法は実質禁止するということを立法趣旨として訪問販売法が制定されまして、この立法趣旨を踏襲して昭和六十三年に一度改正し、昨年の国会で再び強化改正いたしました。そして、昨年の十一月二十一日より再改正法である訪問販売法が施行されまして、ちょうど一年になるわけでございますが、被害の現状、業者の動向などをどのように確認しておられますでしょうか。まずその辺からお伺いしたいと思います。
  36. 井出亜夫

    ○井出政府委員 国民生活センターに寄せられております訪問販売関係の苦情相談件数でございます。  これにつきましては、販売形態が訪問販売あるいは通信販売、電話勧誘販売というものの合計をとりますと、平成四年度が六万三千件、五年度八万四千件、六年度九万一千件、七年度十一万件、八年度は十二万件となっておりまして、平成八年度の件数というのは、平成四年度と比べまして約九割増ということになっております。平成九年度につきましては、現在のところ七万三千件程度でございます。  それから、特に昨年法律改正によりまして規制を強化いたしました電話勧誘販売につきましては、年々増加傾向にございましたが、やや頭打ちというふうな現象が出ております。  今後とも、この推移を見守るとともに、適切な広報活動、情報提供等々を行ってまいりたいと考えております。
  37. 青山二三

    ○青山(二)委員 御答弁でもわかりますとおり、大変な相談、被害が出ているということでございます。  それで、きょうは、大変お忙しい中、国民生活センターの及川理事長にお越しいただいております。過日は、本委員会が淵野辺の国民生活センターにお邪魔をいたしまして、いろいろと視察をさせていただきまして、大変ありがとうございました。きょうは、この委員会においでをいただきまして、大変重要な問題を何点かお伺いしたいと思っております。  国民生活センターは、本年四月十日付で、先ほどの質問にもございましたが、テレビで盛んにPRしておりました朝日ソーラー社の社名を、その販売方法により全国的に消費者の苦情が多発しているということで公表いたしました。広く消費者に注意を呼びかけております。これは、さすがに国民生活センターであると拍手をする地方行政関係者が多いと聞いております。  ところで、その朝日ソーラー社のPIO-NETによる苦情を見てみますと、一九九二年三百九十五件、九三年が六百六十件、九四年が千百十七件、九五年が千百二十八件、九六年が千六百四十六件と聞いておりますが、これに間違いございませんでしょうか。
  38. 及川昭伍

    及川参考人 先日は、御視察をいただきまして大変ありがとうございました。  お尋ねの朝日ソーラーに関する苦情相談件数でありますけれども、御指摘ございましたように、平成五年度は六百六十件、六年度は千百十七件、七年度は千百二十八件、八年度は千六百四十六件という推移で来ておりまして、本年度に入りましてからは七百八件というふうになっております。
  39. 青山二三

    ○青山(二)委員 ただいまお答えがございましたように、このように三年連続で千件の苦情を超え、営業活動改善の要請をしてもそれを受け付けなかった、そういうことで社名が公表されたと聞いております。  実は、日本アムウェイ社の苦情も、全く同じPIOINETで苦情数字がここ四年連続で千件を超えていると聞いております。しかも、昨年度などは千五百件以上とも聞いておりますが、これに間違いございませんか。
  40. 及川昭伍

    及川参考人 御指摘の数字は、端数では若干違っておりますが、ほぼ間違いないのかなと思っております。  ただ、この数字の中には、朝日ソーラーの場合と違いまして、商法が特殊な商法でありますから、商法それ自体に対する不審についての問い合わせ等の件数がほぼ半数入っておりまして、加入する前に、それが我々のところへ寄せられた問い合わせ相談として解決されている事例もございます。そういう意味で、単純に朝日ソーラーの数字と、朝日ソーラーの場合には完全に契約した後の被害というのが大部分でございましたけれども、この場合と、単純な数字の比較は必ずしもできないことがあるのかもしれないと思って、私どもは重大な関心を持ってそれぞれについて調査をしているところであります。
  41. 青山二三

    ○青山(二)委員 今御答弁がございましたけれども、いろいろな、朝日ソーラー社では被害があった、そういう数字で名前を発表した。日本アムウェイ社の社名は、問い合わせとかそういうもので被害ではないというようなことで発表しないんだということではございますけれども、やはりこんなにたくさん相談が寄せられている。  国民生活センターだけではございません。日本消費者連盟には、毎日、相談がない日はない。中には、もう、のめり込んでしまって家族が大変困っている。中には、今までの事例では、自殺未遂まで起こしている。こういう自殺未遂をする人が、国民生活センターに、困っているので自殺をしたいんだけれどもどうしましょうなどという質問はしないはずでございます。  あるいは問い合わせの相談かもしれない、日本アムウェイ社とはどんな会社なのだという問い合わせもあるかもしれませんけれども、やはり氷山の一角ではないかと思っております。この千五百件、四年連続して千件を超える、そのほかにもいろいろなところに相談が寄せられる、こういうことでございますので、私は、もうこの辺で公表をしてもよいのではないか、このように感じておりますけれども、いかがでございましょうか。
  42. 及川昭伍

    及川参考人 私どもは、過去に社名を公表した事例は十件ほどございます。もちろんその中には件数が非常に多いということで公表したものもありますし、あるいは件数が数件であっても、生命、身体に重大な被害が及び、その被害が拡大するおそれのあるものについては、それぞれの措置を講じた上で公表してきております。  本件についても、おおむね千件の苦情ないし問い合わせが四年間続いているわけでありますので、私どもとしては、それぞれについて調べたり調査をしたりいたしております。  全体のうち、約五割が苦情であります。しかも、この会社に関する件について言えば、本人からの相談が約五割、周囲の人たち、親や兄弟や友人や周りの人が非常に心配しているという相談が約五割あります。そういう実態も踏まえまして、事実の調査というのはほかの案件と比べて非常に困難であり、そしてさらには、朝日ソーラーの場合と違って、具体的に法令違反が顕著にあるという案件でもございませんので、調査は慎重にいたしております。そして、対応策等についても、それぞれの担当部長から会社のそれぞれの関係者に改善の要望をしたりしている最中でございまして、その経過等も踏まえ、デュープロセスの手続も経た上で、必要に応じて社名公表を含めて検討していくことにいたしているところでございます。
  43. 青山二三

    ○青山(二)委員 いろいろ検討を加えて社名を発表するというような御答弁をいただきましたので、私ども、この問題につきましては、注意深くこれからも見守ってまいりたい、監視を続けてまいりたいと思いますので、どうかその対応をよろしくお願いを申し上げまして、及川理事長さん、大変お忙しいところ、この委員会においでくださいましたことを心から感謝を申し上げます。この問題は、これからもこの委員会で取り上げてまいりたいと思いますので、またそれぞれに質問させていただきたい。またのお越しを心からお待ち申し上げております。きょうは、大変にありがとうございました。  それでは、続きまして、文部省にお伺いをしたいと思います。  最近、立て続けに、茨城、佐賀、滋賀県下で、小中高のれっきとした教員がこうしたマルチ組織に入会し、妄信状態となって、同僚や教え子、そしてそのPTAなどの人たちを勧誘しているということが表面化しまして、地方公務員法違反で処分されたことが報道されております。これは、去る十月八日の日経新聞にるる出ておりました。  そのほか、いろいろな新聞にも、先生方がマルチ商法で子供たちの親にいろいろな商品を売りつけているということが報道されておりますが、このことを文部省さんは承知されておりますでしょうか。
  44. 徳永保

    ○徳永説明員 お答え申し上げます。  先生が今御指摘いただきました、そういった組織に入会をしていたことに関連をして処分されたといった新聞報道については、承知をしております。児童生徒の指導を預かる者として大変残念なことではございますが、これまで報道されたところによりますと、茨城県、滋賀県、佐賀県におきまして、八名が懲戒処分を受け、諭旨免職となった者が一名いると承知をしております。  このほか、文部省では毎年度、県の教育委員会の方から、公立学校教員の懲戒処分等の状況の報告を受けておりますが、平成七年度までの段階では、二名が文書訓告等の措置を受けている状況でございます。
  45. 青山二三

    ○青山(二)委員 それでは、さらに申し上げたいのでございますけれども、滋賀県で県の教育委員会が後追い調査をいたしましたところ、新たに五人が同様の行為をしていることが発覚をいたしまして、処分をされております。  これは、この三県だけではないと思われるわけでございます。実際、私たちが調査いたしましたところ、静岡県、愛知県、福井県などで、教員が参加しているといううわさを聞いております。  文部省は、現在、消費者教育に大変力を入れておりまして、新指導要領では、小中高すべてにわたり消費者教育を導入していると聞いております。平成五年三月十日の参議院予算委員会で、我が党の木庭健太郎議員の質問に対しまして、当時の森山眞弓文部大臣は「文部省といたしましても、学生指導担当者の会議などを通じまして各大学に対して学生に対する指導を求めているところでございますが、今後とも学生がマルチ商法などの消費者トラブルに巻き込まれないように一層指導を充実してまいりたいと存じます。」と答弁されています。  しかし、目下の現状を見ますと、学生への指導もさることながら、消費者教育の現場で教壇に立つ教員に対しての指導が必要なのではないでしょうか。何らかの対策及びそのほかの県での実態調査の必要があると思いますけれども、いかがでございましょうか。
  46. 徳永保

    ○徳永説明員 公立学校教員の服務監督につきましては、もちろんこれは地方公務員でございますから、一義的には公共団体で行うわけでございます。すなわち、それぞれの学校の設置者でございます、都道府県立の教員にありましては都道府県の教育委員会、さらに市町村立の小中学校の教員にありましては市町村教育委員会が服務監督を行う、また、そういった公立学校教員が服務規律に違反をした場合には、都道府県の教育委員会が懲戒処分等の処分を行っているところでございます。  御承知のように、地方公務員たる公立学校教員でございます。勤務時間におきましては、その全力を挙げて職務を遂行すべき義務がございますし、また、勤務時間外であっても、営利企業の従事等を行うためには服務監督権者でございます教育委員会の許可が必要でございます。  お尋ねの件につきまして、新聞で報道されたところでは、教員が処分を受けているということでございます。このことは、それぞれの教育委員会におきまして、教員の服務規律の確保に厳正に対処した結果であると考えております。  文部省といたしましては、これまでも教員の服務規律の確保につきまして、都道府県教育委員会の担当課長を集めた会議、あるいは担当者を集めた研修等の場におきまして指導をしてきているところでございます。また、教員の懲戒処分の実態等につきまして、例年、すべての処分等の状況を各都道府県教育委員会から報告を受け、これを公表することにより、各県の参考に供しているところでございます。  今後とも、このような取り組みを通じまして、教員の服務規律の確保と各教育委員会における適正な対応を期していきたいと考えております。
  47. 青山二三

    ○青山(二)委員 しっかり文部省、頑張っていただきたいと思います。もう、まさにこれは汚染のような気がいたします。しっかりと消費者教育をしなければならない教員がこういったマルチ商法に手を染める、これはとんでもないことだと思います。  ところで、文部省は、これら処分された教員が加入しているマルチ商法組織は同一組織であるということを御存じでございますか。
  48. 徳永保

    ○徳永説明員 御指摘の件に関しまして、報道された処分につきまして県の教育委員会からの報告では、いずれも日本アムウェイ株式会社に係るものであるというふうに報告を受けております。
  49. 青山二三

    ○青山(二)委員 実は、教員だけではございません。おひざ元の通産省職員が日本アムウェイ社に入会していたことが、過日の週刊誌で報道されております。  また、香川県の観音寺というところでは、市の職員が、これまたアムウェイ社に入会をして販売をして、五百万円の収入を得ていたことが発覚いたしております。本人は地方公務員法により処分を受けまして、市長が市民に対して陳謝するという騒動になっておりますが、この事実を自治省は把握しておりますでしょうか。
  50. 飛弾直文

    ○飛弾説明員 新聞報道によりますと、香川県観音寺市の職員二名が、外資系の無店舗販売会社の製品の販売促進活動の一環に関与し、本来の給与以外の収入を得ていたことが、営利企業等の従事制限を規定した地方公務員法に抵触するとして減給処分に付されたところでございます。地方行政に対する住民の信頼の確保が重要となっておりますこの時期に、このような事案が発生しましたことは、まことに残念なことであると受けとめております。  自治省としましては、地方公務員の綱紀の粛正と服務規律の確保について、これまでも各種会議の場や通知等を通じましてその徹底を図るよう指導してきたところでございますが、特に、昨年十二月十九日には、国の事務次官等会議の申し合わせの趣旨を踏まえ、各地方公共団体においても適切に対処するよう事務次官通知を発出したところでございます。  地方公共団体における公務員倫理の問題は、第一義的には当該地方公共団体みずからがその責任において適切に対応していくべき問題でございまして、今後とも一層の公務員倫理の確立と綱紀の粛正に万全を期していただきたいと考えております。
  51. 青山二三

    ○青山(二)委員 自治省もしっかりこの問題に取り組んでいただきたいと思います。  今いろいろお話し申し上げましたとおり、教員も市役所の職員もそれぞれ試験を受けて就職しております。問題は、そういう優秀な人々であっても、マルチ商法を知らぬまま友人、知人から勧誘されまして、マルチ独特の冷静な思考力を奪ってしまう集団催眠、マインドコントロール説明会、こういうものがございますけれども、これに出席してしまいますと、だれでもたやすく短期間で法外なお金が得られると思い込んで、熱狂状態あるいは妄信状態になってしまうことでございます。それがマルチ商法であり、そこがそもそも問題のスタート点でございます。  朝日新聞、これは九六年二月一日にこういう記事がございます。   竜ケ崎市内の小学校の女性教諭(三四)が、無店舗で家庭用品を販売する日本アムウェイの販売員をしていたことがわかり、「兼業禁止や信用失墜行為の禁止を定めた地方公務員法に触れる」として学校から厳重注意されていたことが三十一日、明らかになった。教諭は進退伺を千代倉邦彦・市教育長に提出している。千代倉教育長は「誠に残念だ。教諭全体への指導を強化したい」としている。少し中を飛ばしまして、最後に、   斎藤佳郎教育次長は「先生が販売員をやっていれば、学校に行っている子供の親は少しでも買ってあげなければという心理的な圧迫を感じることになり、公正であるべき勤務ができなくなる。このような場合、口頭で注意している」という記事でございます。  そこで、今度は通産省にお伺いをいたします。  改正訪問販売法の目玉の一つに、同法十八条の二の申し出規定がございます。  消費者団体の日本消費者連盟から九月十九日付で、この日本アムウェイ社の一連の問題に対し、教員と生徒の父母、職場の上下関係など、断りにくい人間関係の中での売り込みが多い、こうしたしがらみによる勧誘行為は迷惑勧誘行為に当たることを通達などで明示するように求め、かつ、小中高における教員によるマルチ商法等への関与について調査、厳重な措置をとるよう文書で申し出をしておりますが、通産省は今後どのように対応するつもりでいらっしゃるのか、お伺いをいたします。また、おおよそのタイムスケジュールはどうなるのかも伺いたいと思います。  さらに、十八条の二の申し出規定を生かすために、定期的、例えば一年に一度ぐらいはその内容や措置を公表すべきであると思いますけれども、いかがでしょうか。
  52. 樋口一清

    ○樋口説明員 日本消費者連盟からは、九月十九日付及び十月三十日付で、訪問販売法十八条の二に基づく申し出書を受理したところでございます。これにつきましては、速やかに必要な調査を行い、適切な対応を検討してまいりたいと考えております。  また、申し出内容等の公表につきましては、一律に公表することは適切ではないと考えておりますが、業務停止命令が発動された場合にはその旨を公表するなど、内容に応じまして適切な対応を図る所存でございます。  訪問販売法につきましては、今後とも消費者啓発、事業者への指導の徹底を行うとともに、警察等関係機関との緊密な連携による法の厳格な運用に努め、消費者被害の発生防止に努めてまいりたいと考えております。
  53. 青山二三

    ○青山(二)委員 ただいま御答弁いただきましたけれども、適切な対応を図る、適切な対応を図るということで、大変抽象的でございます。私は、勧誘行為は迷惑勧誘行為に当たることを通達などで明示していただきたいという申し出に対して、どのように対応するのかと質問したはずでございますので、もう一度その辺を明確に御答弁いただきたいと思います。
  54. 樋口一清

    ○樋口説明員 職務上の上下関係等、人間関係のしがらみによる勧誘行為につきましては、これを一律に迷惑を覚えさせるような仕方として規制をすることは困難であると考えておりますが、いずれにしましても、連鎖販売取引等に関する消費者啓発を充実させること等によりまして、消費者被害の防止に努めてまいりたいというふうに考えております。
  55. 青山二三

    ○青山(二)委員 通産省もしっかり頑張っていただきたいと思います。  それでは、きょうは警察庁にもおいでをいただいておりますので、質問させていただきたいと思います。  今は大変な超低金利下で、悪徳商法も多く、事件も大変発生いたしております。警察もその摘発で本当に大変なことはわかっております。ことしは特に、昨年来、大型出資法違反事件また大型詐欺事件の摘発で、なかなかマルチ商法摘発まで手が回らないということは推察できますけれども、改正施行後、まだマルチ事件の摘発はたった一件しかございません。  しかしながら、摘発にまさる啓発はなし、摘発にまさる啓発はなしてございます。数年前に全国の警察がマルチ商法のいろいろな業者を相次いで摘発いたしましたが、その後はPIOINETの苦情件数も大変減少したという事実がございます。  ここで、ぜひとも頑張っていただきたいと思いますが、マルチ商法挑戦への決意をお伺いいたします。
  56. 柴田健

    ○柴田説明員 マルチ商法につきましては、数年前でございますが、委員御指摘のとおり、大変大きな社会問題となったわけでございます。そこで、警察といたしましては、全国挙げまして、平成五年、六年、集中的な取り締まりを行い、平成五年八事件、平成六年十六事件を検挙するなど、諸対策を講じたところでございます。その影響もありましてか、その後、苦情相談が減少したということを承知しております。  警察といたしましては、この種取引に伴う違法行為につきまして、関係行政機関とも連携しながら、今後とも徹底した取り締まりを行いますとともに、広報活動を推進し、消費者保護に万全を期してまいりたいと考えておるところでございます。
  57. 青山二三

    ○青山(二)委員 大変心強い御答弁をいただきました。ありがとうございます。しっかり頑張っていただきたいと思います。  それでは、時間も参っておりますので、最後に大臣にお伺いをしたいと思います。  今までいろいろなやりとりをお聞きいただいておわかりのとおり、マルチあるいはマルチまがいの商法は、訪問販売法が改正されても、また法律が強化されても、一向に減るどころか、教員や地方公務員、果ては国家公務員に至るまで、アムウェイのようなマルチあるいはマルチまがいの商法に手を染める、こういう実態が次々と明るみに出ております。  こうした大きな社会問題に対しまして、政府の重要な立場にいらっしゃる経済企画庁長官としては、今後どのような対策を講じていかれるのか、御所見をお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。よろしくお願いいたします。
  58. 尾身幸次

    尾身国務大臣 消費者に被害を及ぼす悪徳、悪質商法につきましては、消費者保護会議におきまして、積極的な取り締まりを行うとともに、関係法令の厳正な運用を行うことが決定されているところでございます。  また、近年、消費者事業者との間の契約をめぐるトラブルが急激に増加していることにかんがみまして、消費者契約の適正化のための具体的かつ包括的な民事ルールの立法化に向けまして、現在、その内容及び論点の具体的な検討国民生活審議会の消費者政策部会にお願いをしているところでございます。  今後とも、消費者契約の適正化のための環境整備、あるいは製造物責任制度を初めとする消費者安全の徹底、消費者教育、情報提供の推進などを大きな柱といたしまして、消費者利益を擁護、増進する施策の推進に努めてまいる所存でございます。
  59. 青山二三

    ○青山(二)委員 大変ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
  60. 宮地正介

    宮地委員長 福留泰蔵君。
  61. 福留泰蔵

    ○福留委員 新進党の福留泰蔵でございます。  尾身経済企画庁長官におかれましては、現今の日本経済が大変厳しい状況の中で、まことに重要なお仕事でございます。日々大変御苦労さまでございます。また、予算委員会財政改革特別委員会等の御活躍ぶりを拝見いたしまして、大変頼もしく感じているところでございます。きょうは、できるだけ長官の答弁を中心にいただきながら質疑をさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。  私は、この消費者問題等特別委員会、本年四月の委員会でも質疑をさせていただきましたが、その際は、これから来るべき高度情報通信社会の進展に当たって、消費者保護の必要性から、いわゆるプライバシーに関する包括立法が国内において早期に整備されるべきではないかという趣旨からの質疑をさせていただいたところでございます。  私は、当委員会が、国民生活を守り、消費者の立場に立ってさまざまな問題を検討する重要な委員会だと思っております。私はそういう観点から、きょうは最後の方で、今いろいろ言われております電子商取引に関する問題で、消費者保護という立場から若干質疑をさせていただきたいわけでございます。この問題というのは、実は私は経済的にも大変重要な問題だと思っております。財政が大変厳しい状況の中で、財政構造改革をどうしていくか、日本の来るべき新しい時代の経済の柱をどうつくっていくのか、持続した発展をどう築いていくのかという観点からも、こういった分野というものを積極的に発展させていかなければならないという立場でもあるわけでございます。  冒頭、質疑通告の中で、経企庁長官の方へ現今の景気の状況、そしてこれからの対策について質問させていただくということを通告させていただいておりますが、先ほど自由民主党の山口泰明議員の方から同趣旨の質問がございました。恐らく私も今質問すれば同じ答弁がなされると思います。  時間の都合でその部分は若干割愛させていただきたいと思いますが、先ほどの答弁によりますと、財政構造改革を当面は進めなければならない、そういうことで現状では財政出動はできないという立場である。政府としてはその立場であるということであり、景気対策の柱は三つであって、一つは、日本を国際的な経済情勢の中で魅力的な国にしなければならない、二点目が、不良債権の処理の問題に絡んで土地の流動化対策が必要である、三点目が、規制緩和が必要である、こういうことであるというふうに聞いたわけでございます。  私は、財政出動をいかにすべきかとか、実効性のある景気対策をすぐに打たなければならないとか、さまざまな議論は予算委員会財政構造改革特別委員会等でなされているところでございまして、きょうはその議論をここでさせていただくつもりはございません。  実は、私が一つ関心を持っておりますのは、アメリカもかつてはかなりの財政赤字を抱えておりました。アメリカは、九三年時点では、そのままほうっておくと九七年から九八年ごろには四千億ドルを超える財政赤字になるのではないかと言われていたわけでございますが、九七年現在におきましては、一千億ドルを割ってきたわけでございます。つまり、当初予想された財政赤字が四分の一に減ってしまっているというのが現状でございまして、アメリカ経済パフォーマンスが今非常にいいということは、これはだれしもが認めているところだろうと思いますが、片や、今日本経済的に大変困っている。  先日の株価の動乱のときにもその実態がまた明らかになってきたわけでございますが、このアメリカ財政赤字が減ってきた要因、そして今のアメリカ経済パフォーマンスがいいという要因はどの辺にあるか、突然の質問で恐縮でございますが、長官の御見解をお聞かせ願えたらと思います。
  62. 尾身幸次

    尾身国務大臣 大変難しい問題でございますので、私なりに考えているところを申し上げますが、日本と違っている点は、実は二つあるかなというふうに考えております。  一つは、もちろんいろいろあると思いますが、一つは、規制緩和日本より実ははるかに進んでおりまして、新しいビジネスがどんどん起こっている、特に電気通信関係、その他サービス関係で起こっていることによりまして、労働力が非常に各ビジネスの間を流動化している、そういう実態にあって、新しいベンチャーが起こっていることによるというふうに考えております。  それからもう一つは、不良債権処理が、最初多額のお金がかかりましたが、いわゆるSアンドL、セービングス・アンド・ローンの不良債権処理が、非常に短い期間に抜本的に行いましたために進んでいた、そのことが景気の足かせになっていない、その点で日本と実は大変違っているなというふうに考えております。  そういう意味で、アメリカでは、後でお話も出るかと思いますが、いわゆる情報社会に対応できる規制緩和、自由化が進んでおりまして、その中から新しいビジネスがかなり起こっている、そしてまた、新しいビジネスに対する国民の支援体制というものもできてきている。  そういう意味で、私ども、全部アメリカのまねをするというつもりはございませんが、やはりアメリカのいいところはできるだけ採用しながら、日本経済活性化を図っていきたい、こういうふうに考えております。
  63. 福留泰蔵

    ○福留委員 私も、長官の今の御意見と全く同じような意見を持っております。  アメリカのグリーンスパンFRB議長が、九七年七月、議会で証言されたそうでありますが、今の高成長下の米国経済においてインフレが顕在化しない原因は、情報化と技術革新によるコスト削減とクイックレスポンスであること、特にコンピューターや通信機器への投資が年率二五%のベースで伸びており、この情報、技術による生産性の向上が企業の大幅な収益増に寄与しており、この結果として、今米国経済は百年に一回あるか二回あるかぐらいの好循環である、こういうふうに言っておるわけでございまして、確かにそのとおりだろうと思います。  そして、それに引きかえ、我が国が今経済がある意味で言えば失速状態になっているのは、バブルの崩壊後のその対応の中で情報通信分野への投資が大きく立ちおくれてしまった、これが一つの要因ではないかと私は考えているわけでございます。この情報通信分野への投資が伸びることが、やはり経済活性化につながっていくのだろうと思いますし、それが企業、さまざまな分野における効率化にもつながっていくのだろうと思います。  そういう意味で、規制の緩和というのは大変重要なことになろうかと思いますが、その一つの分野として、先ほど申し上げました電子商取引ということが、今盛んに話題になっているわけでございます。  電子商取引というのは、エレクトロニックコマース、つまり、さまざまな経済活動をデジタル一情報に置きかえていく動きがあるわけであります。通常、企業と消費者の間で言えば、私たちが買い物をするときには現金を使って、またお店に行って買い物をするわけですが、それを、最近急速に普及しておりますインターネット等を利用して買い物をする。また、企業と企業の取引においては、さまざまな契約、またいろいろな設備仕様の打ち合わせ、設計等を含めて、企業間の取引もデジタル情報ですべて行っていくというふうなことがこれから急速に広がっていくだろうと言われているわけでございます。  先ほど申し上げました観点から、こういった電子商取引というものは、二十一世紀の社会においてなくてはならないものだろうと思いますし、これが進展していくことが、やはり経済一つのかぎを握っていくのではないかと思っているわけでございます。  さて、その一方で、この電子商取引というのは、経済的な要因もさることながら、消費者の立場からしてみても、これから来るべき高齢化社会等を考えてみましても、自宅にいながら買い物ができるというふうなこと、また欲しいものが世界じゅうどこからでも手に入るというような意味で、利便性という意味でも消費者には大変プラスになってくる部分があります。しかしながら、その一方で逆に、この新しいものに対してさまざまな消費者トラブルというものも生じてくるおそれがあるわけでございます。  日本においても、昨今、インターネットやパソコン通信を使いました通販ビジネスが始まっておりますけれども、いまだ発展途上という感じでありますし、今後多くの問題が生ずる可能性もあるわけでございます。このトラブルの実態も、私も先ほど当委員会で行われました国民生活センターへの視察に参加させていただきましたけれども、現地においてもPIOINETを利用してのそのことが紹介をされておりましたけれども国民生活センターにおいても、さまざまなそういう苦情が、また相談が来ているところだろうと思います。  具体的な問題としては、例えば、携帯電話の安売りということでお金を送ったのに商品が届かないとか、有名ブランドのスニーカーを購入したが届いた商品がにせものだったとか、それからまた、申し込んだけれども、金だけ送ったけれども全然相手側もわからなくなってしまったとか、さまざまなトラブルがあるようでございます。これは、いわゆる電子商取引というネットワーク上の取引のために、相手を突きとめにくく、結局泣き寝入りをしてしまうというふうなケースになってしまうようでございます。  これは、私は事前に情報をいただいておりますので、私の方から申し上げますけれども国民生活センターや各地の消費生活センターなどの消費者相談窓口に、昨年度で百件、今年度で既に七十七件ほど寄せられているということでございます。  こういった観点から、経済企画庁としても、先ほど申し上げたとおり、こういった分野については経済的な観点からも積極的に推進すべきである。その前提として、消費者の保護を図りつつ、そしてこの消費者の保護というのは、消費者を保護するだけではなくして、インターネットを通じてのいろいろな買い物についても、私も個人的にそれにアプローチをしたことはありますけれども、やはりどこか不安がつきまとうわけであります。個人的な情報がどこかで盗まれてしまうのではないか、またこれが本当に確かなものであろうかどうか、そういう不安があると、どうしてもそれを利用する気になれない。そういった消費者の保護があれば、またこういった分野の需要が拡大するということも考えられるわけでございます。  そういった観点からも、この消費者保護ということは、電子商取引のさまざまなシステム開発、さまざまな仕組みの開発と相まって、同時並行で進めていかなければならない問題だと思いますけれども経済企画庁としては、こういった電子商取引についてどのようなお考えを持って、そしてどういうふうに具体的に今お進めになっていらっしゃるか、お聞かせ願いたいと思います。
  64. 尾身幸次

    尾身国務大臣 今福留委員おっしゃるとおり、電子商取引が高度情報化社会におきましてどんどん進んでくるということは、世界の趨勢でもございます。そしてまた、我が国もそういう体制を早くつくって、いわゆるグローバルスタンダードの問題も含めまして、これを積極的に進めていかなければならないというふうに考えているわけでございます。他方、それに伴いまして、プライバシーの問題とかあるいは国際的な取引をどうするかとか、今御指摘の消費者保護の問題をどう解決していくかとか、そういう問題もございます。  最近、消費生活相談窓口に寄せられておりますインターネット関係の、いわゆる電子商取引にかかわる苦情相談件数はかなり増加してきているわけでございまして、通産省とも相談をいたしまして、パソコンの利用に伴う消費者問題のクレームの窓口の整備あるいは情報交換、対応の協議等を行うために、関係団体も含めまして連絡協議会、パソコン利用に関する消費者問題連絡協議会を本年一月に設置したところでございます。  この協議会を含めまして、今後、電子商取引に伴います消費者をめぐるトラブルが適切に解決され、そして新しい時代にふさわしい体制が整うよう全力を尽くしてまいりたいと思っている次第でございますし、また、国際的な基準の統一といいますか、そういうルールづくりもこの面では大変に大事だというふうに考えている次第でございます。
  65. 福留泰蔵

    ○福留委員 今長官の方から、最後の方で、国際的な基準づくりが必要であるというお話をいただきました。  確かに、今インターネットというのは、グローバルにそしてリアルタイムで世界じゅうとアクセスができるという面で、国境がなくなった世界とも言われているわけでございます。それを利用してさまざまな商取引が国際的に広がるということになるわけでございまして、これは、世界各国を見てみても商慣習とか体系はそれぞれ異なるわけでございますので、またその慣習が違う、体系が違うということによるトラブルの発生も十分想定されることでございます。  そういう意味で、この国際的な標準は、やはり早急につくっていかなければならないだろうと思っておりますし、こういった分野の発展というのは目覚ましいものがあるわけでございますので、これはもう待ったなしの状況ではないかと思っております。  現在、消費者政策に関する調査研究等を行い得る唯一の国際機関であると聞いておりますけれども、OECDのCCP、消費者政策委員会で、国境を越えた消費者取引において消費者の利益が図られるように、取引のルール作成を進めていると聞いておるわけでございますが、その進行状況と、経済企画庁として、消費者保護の立場から、どんな方針でこの国際ルールづくりに臨んでいかれるのか、お伺いしたいと思います。
  66. 尾身幸次

    尾身国務大臣 OECD消費者政策委員会は、消費者政策に関する加盟各国間の情報交換、検討並びに協力の推進を目的として設立されているわけでございます。現在、この委員会におきましては、電子商取引等の国境を越えた消費者取引に係るトラブルの未然防止、解決等に関する政策検討が行われているわけでございます。  特に、電子商取引につきましては、本年三月に、我が国から、消費者保護のためのガイドライン等の作成等を目指した電子商取引に係る消費者保護のプロジェクトを提案しているわけでございます。これを受けまして、消費者政策委員会では、消費者保護のためのガイドラインづくりを進めておりまして、主として詐欺、不正行為の規制、消費者被害の救済、プライバシーの保護というような三つの観点から検討が進められております。  経済企画庁といたしましては、引き続き、関係各省とも協力をいたしまして、電子商取引に係る国際的なルールづくりに積極的に取り組んでまいりたいと考えている次第でございます。
  67. 福留泰蔵

    ○福留委員 私は、こういった国際的な場での日本の主張というものを明確にしていただきたいと思うわけでございます。その前提として、私は、やはり国益を考えるということも重要であると思いますし、さらに、それぞれの国情の違いというものも踏まえた上で日本としての立場を明確にしていくということも必要でありましょうし、そして、それに足らざるところを国内的にどのように整備していくかという観点も必要だろうと思っております。  実は、先ほども申し上げました、四月にこの委員会で質疑をさせていただいたときに、早期にプライバシーの保護に関する包括立法を行うべきであるという主張をいたしました。そのときにも、実はヨーロッパとアメリカは、プライバシーの保護に対する考え方が違いがあります。ヨーロッパはどちらかというと包括立法でもう既に整備されております、プライバシーの保護という観点アメリカは慣習法でそれが守られている。日本はそれがないという現状でもございます。  そういうことをよく踏まえた上で国際舞台に臨むべきだろうし、私は、そういう意味で、今の電子商取引の問題と若干ずれるのですけれども、早期に日本の国内においてもプライバシーの保護に関する包括立法検討すべきであろう。今研究会が開かれて検討段階に入っているとは聞いておるのですけれども、やはりこれは早期に実現させるべきであろうと思っているところでございます。  時間が若干なくなってきましたけれども、この電子商取引の問題については、当然、恐らく通産省が主体となってさまざまな整備に取り組んでいらっしゃると思います。きょうは通産省も来ていただいているようでありますから、この点について、消費者保護の面からはどのように通産省としては考えていらっしゃるのか、説明をしていただきたいと思います。
  68. 樋口一清

    ○樋口説明員 通商産業省におきましては、本年十月に消費者取引研究会を設置いたしまして、電子商取引における消費者保護のあり方について検討を開始したところでございます。これは、電子商取引の普及とともに増加することが懸念されております消費者トラブルを防止し、電子商取引の健全な発展を図るために必要な環境整備のあり方について検討を行うものでございます。  なお、研究会におきましては、電子商取引が技術革新の著しい分野であり、実態の変化も大きいと考えられることから、その発展が阻害されることがないよう、当面は民間の自主的な取り組みにゆだねることを基本的スタンスとしつつ、消費者トラブルの実態を十分に踏まえて、既存の取引ルール等では不十分と思われる点につきまして、必要な方策を検討していくこととしたいと考えております。
  69. 福留泰蔵

    ○福留委員 電子商取引の問題については、これからますます発展しなければならない問題であろうと思いますし、その前提として消費者の保護がなされて、そしてそれがセキュリティーがしっかりして消費者が安心して使えるものであるということが、またこれが発展につながるわけですから、ぜひともその面でのお取り組みについてはよろしくお願いを申し上げたいと思います。  また、もう一方で、こういう新しいものについては、それを知らないことによって消費者がだまされるということもさまざまあるわけでございます。ガイドラインの策定等でトラブルを防止する対策をとろうといろんな業界でもやっているわけでございますが、先ほど申し上げたとおり、消費者自身も、安易にだまされないようにするような正しい商取引の知識を身につけなければならないと思っているわけでございます。今後、こういった分野での消費者への啓発活動について経済企画庁としてはどのような方策をお考えなのか、最後にお伺いをしたいと思います。
  70. 尾身幸次

    尾身国務大臣 電子商取引等の新しい取引形態に対応いたしまして、消費者の自立と主体性の発揮を支援するため、消費者みずからが必要な情報を選択し、正しく理解した上で適切に活用することができるよう、消費者教育、啓発を図ることが大事であると考えております。  こういう考え方のもとに、経済企画庁といたしましては、消費者教育、啓発を消費者行政の重要な柱の一つといたしまして、関係省庁と連携しつつ推進に努めているところでございます。  これに加えまして、消費者教育支援センターを通じました学校の教材やあるいは指導マニュアルの提供、都道府県等への消費者教育の専門家派遣などを実施しているところでございます。また、国民生活センターにおきましては、消費者及び地方公共団体職員等を対象とした研修講座を開催するほか、消費者向けの情報誌等によります消費者への情報の提供を図っているところでございます。  今後とも、そういう施策を充実してまいりたいと考えております。
  71. 福留泰蔵

    ○福留委員 時間が参りましたので以上で質問を終わりますが、いずれにしても、この分野というのは、先ほど申し上げました、消費者を守るという立場だけではなくして、これからの日本経済を支えるという意味でも大変推進していかなければならない分野でございます。ぜひとも消費者保護はそういう意味でも重要であるということを御理解いただいて、積極的にお取り組みいただくようお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  72. 宮地正介

    宮地委員長 石毛鍈子君。
  73. 石毛えい子

    ○石毛委員 民主党の石毛鍈子でございます。  本日、私は、高齢社会が進行しております折、どうしても、例えば痴呆の状態などをお持ちになる方、そういう方々が地域で暮らされるようになる、あるいは地域福祉の時代というふうにも申しますが、知的障害をお持ちの方が地域で暮らされるようになっていく、そうした何らかの意味で支援を必要とする方々が消費者として、消費者市民として地域で暮らす時代の消費者行政のあり方などを中心に、もう少し幅広く消費者行政一般について質問をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  まず最初に、公正取引委員長にお尋ねさせていただきます。  公正取引委員会は、ことし五月に、有料老人ホームの表示、契約について実態調査を行った上で、不当景品類及び不当表示防止法に違反するおそれのある五つの有料老人ホームに警告を発しておられます。この警告に関しましては、高齢者福祉の分野でも消費者を保護するために公正取引委員会が有効に機能を果たすことができる、そういうことを社会的にお示しになられたという意味で、関係者には大変注目されるところでございます。  そこで、私は厚生委員会にも所属しておりまして、公的介護保険法や医療改革の審議に参加してきた者として質問をさせていただきますが、今後公的な社会サービスの分野でも規制緩和が進み、マーケットメカニズムの導入が進められていくという状況でございます。  私が申し上げるまでもないと思いますけれども、こうした医療や介護、福祉などというようなサービスは、日ごろ消費者として一般的に消費するというサービスの性格とは少し違っておりまして、例えば入浴サービスなども、どんなふうにそれが行われるのかということを消費者としてはなかなか理解しがたいというような意味で、情報の非対称性ということが申されますが、そうした特徴。あるいは、サービスは生産と同時に消費がなされるものですから、財と違いまして、少し使ってこれは使い勝手が悪いということで返品がきくというような特質があるものとは、財とサービスの性格の違いですけれども、そうした特徴もございます。  それから、公的介護保険が今参議院で審議中でございますが成立をいたしますと、例えばホームヘルプサービスというサービスでも、同じサービスが、ある部分までは保険給付のサービスとして実施され、それを上回る部分あるいは横出しとよく言いますけれども、そういう部分に関しましては私的なサービスとして組み合わされて提供されるというようなことも当然起こってくると思います。そうしますと、さまざまな分野で、この医療ですとか介護ですとか福祉というようなサービスというのは、なかなか理解しがたい特徴を持っていると言ってよろしいかと思います。そうした公的な社会サービスに規制緩和が進みマーケットメカニズムの導入が進んでいる今日の状況で、特段の消費者保護の手だてということが必要になっている、そういう時代ではないかというふうに私は認識をしておりますけれども公正取引委員会委員長といたしまして、こうした状況認識をどのようになさっていらっしゃいますか、あるいはこれからどういう公取委としましての方向性をおとりになろうとしていらっしゃいますでしょうか。そのあたりの基本的な御認識につきまして御意見を賜れればと存じますので、よろしくお願いいたします。
  74. 根來泰周

    根來政府委員 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、私どもの職員の数はたくさんあるわけではございませんけれども、これから公正取引委員会がどういう方向で仕事をしていくかということをいろいろ考えてみまするに、一つは、談合とかそういう非常に社会的に大きな話を厳正にやっていくということも一つの問題でございますし、先ほどほかの委員から御指摘のありました不当廉売とか、そういう点もやるということもございますけれども、それ以外に、やはり消費者行政ということに力点を置いてやっていかないといかぬのじゃないか、消費者保護ということでございますが。  というのは、今の老人ホームの問題でもいろいろの問題でも、各省が所管しているわけでございまして、第一義的に各省が監督しているという立場でございますけれども、やはり横断的にいろいろ目配りしておる機関というのは、公正取引委員会もその一つだろう、こういうふうに考えているわけでございます。  ですから、国民生活センターとか各都道府県の消費者センター、あるいはいろいろ苦情を申し立ててこられる方がございますが、そういう人の話を小まめに聞いて、一般的には小さい話かもしれませんけれどもその人にとっては大変大きな問題だと思いますので、そういう問題を手がかりにして、今度の有料老人ホームの問題もそうでございますけれども、一般的な調査をして、そして問題があれば所管官庁にいろいろ御注文を申し上げる、あるいは個々の施設について問題があれば、その施設に対して警告等の法的措置を講じていくという立場を推進していくことが重要だろうと考えております。
  75. 石毛えい子

    ○石毛委員 ありがとうございました。  私もこの質問を準備いたします過程で、公正取引委員会の担当の職員の方からお話を伺わせていただきましたけれども、正直言いまして、公正取引委員会のスタッフの人数が大変少ないということ、ましてや消費者取引課それから監視室と言われましたでしょうか、合わせて三十人と伺いまして驚きました。ただし、全国に消費者モニターの方も千名いらっしゃるということですので、さまざまな方々のお力に支えられ、協力を得て機能をしているというふうに理解をいたしました。  もっとふやす必要があるのではないかという私の問いかけに、担当の方は、行革の折ですからというような御答弁をなさっていましたし、それから、公正取引委員会としての職員は、人数のふえ方で言えば他分野に劣らないというようなこともありますというようなことでおっしゃられておりました。  今、委員長は、一般的には小さいお話かもしれないけれどもというふうにおっしゃいましたけれども、だれでもこれからの時代、介護を必要とするというような点では、断面を切れば人数は小さいかもしれませんが、可能性という意味あるいは普遍性という意味ではもっともっと広いテーマだと私は思いますので、ぜひこれからもさまざまな福祉や医療や介護の分野にも十分に注目いただきまして、一層のいい監視といいますか、行政をしていただけますように要望を申し上げまして、本日おいでいただきましたことに感謝を申し上げたいと思います。  続けて、経済企画庁長官にお願いいたします。  財特の委員会では、大変長い時間質問をさせていただきましてありがとうございました。きょうは少し角度が違ったところで、またどうぞよろしくお願いいたします。  尾身経済企画庁長官にも、私は、今根來公正取引委員長にさせていただきました質問と同趣旨のお尋ねをまずさせていただきたいと思いますけれども、時間もございませんので繰り返しませんので、これから経済企画庁といたしまして消費者保護行政、いろいろまだ未開拓の分野があるというふうに私は認識しておりますけれども、長官といたしましてはどのような認識でいらっしゃいますでしょうか、あるいは今後どういう方向性で取り組まれていらっしゃるかということをまずお伺いいたします。
  76. 尾身幸次

    尾身国務大臣 先ほどからお話をお伺いしておりまして、これからますます高齢化社会が来る、その高齢化社会において、特に高齢者の皆様は心身機能の低下等によりまして、情報獲得の点であるいは交渉力の点で普通の消費者とは格差が大きい、そしてまた、老後の生活のために資産を持っておられる方もおられるというような状況もあるかと思います。  そういう中で、やはり社会福祉あるいは医療、介護等の点におきましても、消費者といいますか、お年寄りといいますか、そういう方々に対しましても、消費者保護という観点をしっかりと踏まえて対応してまいる必要があると考えております。
  77. 石毛えい子

    ○石毛委員 しっかりとという御覚悟をお伺いいたしましたその続きとして、長官に質問を続けさせていただきます。  現在、国民生活審議会で、消費者契約適正化法の検討を行っているというふうに伺っておりますが、この検討の経緯、そしてまたおおよその内容、そしていつまでに立法化が行われるかということについて御答弁をお願いいたします。
  78. 尾身幸次

    尾身国務大臣 検討内容の詳細につきましては政府委員から答弁をしていただきますが、近年、消費者事業者の間のトラブルが急増していることにかんがみまして、消費者契約の適正化のための具体的かつ包括的な民事ルールの立法化に向けまして、国民生活審議会において、論点整理あるいは対策の立法化の具体的な内容について今検討しているところでございます。  今後のスケジュールといたしましては、来年初めごろに中間報告を取りまとめていただきまして、さらに各界からヒアリング等を実施いたしまして、来年末を目途に最終報告を取りまとめる予定でございまして、その後、早期の立法化に向けて努力をしてまいりたいと考えております。
  79. 井出亜夫

    ○井出政府委員 国民生活審議会で御議論をいただいております内容につきまして御説明をさせていただきます。  最近の消費者事業者の間の契約上のトラブルといたしまして、契約の締結過程あるいは契約の内容面における問題というのが増加をしております。  例えば、事業者が契約内容や契約条件について消費者に十分な説明をしないままに契約を締結させる、あるいは、不意打ち的な勧誘方法でございますとか強引な勧誘方法、こういうものをもって消費者の契約の意思というものが不確かなままに契約がなされてしまうというふうなこと、あるいはまた、解約を申し入れたにもかかわらず事業者に契約書上解約はできないことになっているというふうに言われている問題でございますとか、あるいは、解約の際に不当に高額の解約料というふうなものを要求されるというふうな問題もございます。  これらの問題は、現在の個別の立法あるいは取引の基本法でございます民法というふうなものではなかなか解決ができないということで、言ってみますと、民法の特別領域というふうなところに消費者の契約を規律する、そういう法律があってもしかるべきではないかというふうな議論問題意識のもとに検討しているものでございます。
  80. 石毛えい子

    ○石毛委員 続けてこの問題に関して質問をいたします。  私は、社会サービスも、これからマーケットメカニズムの活用が進む以上は消費者契約であるというふうに理解をしておりますけれども、今現在の公的な社会サービスですと、例えば医療は民法上では準委任契約というふうに解釈されているというふうに私は受けとめておりますが、そうした状況のもとで、しばしば患者は医療被害など不利な立場に立つことも多いという事実があると思います。  委任という条項を読んでみますと、法的にサービスの提供者の方に委任をしてそのもとに行われるというのが大前提で、それに続けて準委任というような形で公的な医療サービスも位置づけられているのではないかというふうに理解をしておりますけれども、現在、消費者契約適正化法の検討がなされているという今の御説明ですが、この検討の中で、新しく法律が制定されます折には、医療あるいは介護サービスというような社会サービスもこの適正化法が包括するサービスの範囲に入りますでしょうか、どうでしょうか。その点をお尋ねいたします。
  81. 尾身幸次

    尾身国務大臣 消費者契約適正化法につきましては、昨年十二月の国民生活審議会消費者政策部会の報告にもございますように、「消費者取引における業種や取引形態を問わずにすき間なく対応することが可能」なものにすることを考えております。したがいまして、医療や介護サービスにつきましても、これが消費者取引である限り、基本的にはこの法律対象になるものと考えておりますが、この点も含めまして国民生活審議会で御審議をいただいて、結論をいただくということになっております。
  82. 石毛えい子

    ○石毛委員 これから綿密な議論を進められることとは思いますけれども、私は、基本的な認識といたしまして、どんな障害をお持ちの方でも、あるいは理解力に困難というような状況がおありの方でも、まず消費者市民として存在されている、生活をされているということが基盤だと思いますので、まずは普遍的な法律がベースになりまして、それに付加する形で必要なものは特別法というような形でつけ加えられていくということが、法律に関して素人でございますけれども、普通の市民としての考え方ではないかと思います。ぜひその点を御理解いただきまして、まずは基本的に普遍的な法律の中で権利を実現していく、充実していくという方向で審議をお願いできればというふうに要望を申し上げたいど思います。  続けてもう一点質問でございますけれども、ただいままで質問させていただきました続きの内容でございますが、現在法制審議会では成年後見法の制定というようなこと、あるいは厚生行政でもこれから高齢者や障害をお持ちの方に関して適切な後見人の選任を支援する仕組み、そうしたことをシステムとして整備していく検討を始めているやに伺っております。  私は、経済企画庁といたしましても、これからさまざまな消費契約をめぐるトラブルですとかあるいは契約の取り消しその他、知的障害をお持ちの方もあるいは痴呆の方も、そうした契約行為に入るということは当然のこととして起こるわけですから、経済企画庁の方でも、何らかの後見的なあるいは代理的なシステムを考慮されていかれたらいかがかというふうに考えるものでございますが、長官、この点はいかがでございましょうか。
  83. 尾身幸次

    尾身国務大臣 高齢化社会に対応した消費者行政の推進が必要でございまして、こうした観点から、成年後見制度はその整備が重要であると考えております。  成年後見制度につきましては、昨年十二月の消費者保護会議におきましてその内容検討していくことが決定されており、現在、法制審議会成年後見小委員会において審議されているわけでございます。今後、法制審議会における審議を経て、平成十一年の春の通常国会に法案を提出する予定であると聞いておりますが、先ほどの委員お話の問題も含めまして、適切に対応されていくものと考えております。
  84. 石毛えい子

    ○石毛委員 今の長官の御答弁、申しわけありません、終わりの部分を私が聞き逃したのかと思いますけれども経済企画庁としても適切な対応を考えていくというふうにお答えいただきましたのでしょうか。恐縮でございますが……。
  85. 尾身幸次

    尾身国務大臣 経済企画庁といたしましても、適切な対応を推進してまいります。
  86. 石毛えい子

    ○石毛委員 ありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、別の質問に移らせていただきたいと思います。  現在行政改革会議が進行中でございまして、今月末にも報告書が出されるという状況でございますけれども、私は、新聞報道などを拝見いたしておりますと、これまで経済企画庁が所管されておられました消費者行政がどこに位置づくかということが必ずしも明らかになっていないというふうに新聞報道などでは理解しております。  消費者行政は私が申し上げるまでもなく、多くの省庁にまたがっている横断的な行政と考えておりますけれども、この点、経済企画庁長官の御認識はいかがでございますか。
  87. 尾身幸次

    尾身国務大臣 消費者行政は、おっしゃるとおり、いわゆるサプライサイドの省庁とは違った意味で非常に横断的な行政であると認識しております。
  88. 石毛えい子

    ○石毛委員 先ほど長官は、法制審議会の成年後見制度に関連しまして、十二月に消費者保護会議が開催されてというふうにお話しなさっておられましたけれども、この消費者保護会議の会長はどなたでいらっしゃって、そして構成メンバーはどなたでいらっしゃるのかということをお答えいただきたいと存じます。
  89. 井出亜夫

    ○井出政府委員 お答えを申し上げます。  会長は内閣総理大臣でいらっしゃいます。構成メンバーは、内閣官房長官、総務庁長官、経済企画庁長官、科学技術庁長官、環境庁長官、法務大臣、大蔵大臣、文部大臣、厚生大臣、農林水産大臣、通商産業大臣、運輸大臣、郵政大臣、労働大臣、建設大臣、自治大臣、国家公安委員長公正取引委員会委員長という形になっております。
  90. 石毛えい子

    ○石毛委員 今御答弁いただきましたように、消費者保護基本法第四章第十八条に規定されております消費者保護会議は、会長が内閣総理大臣、そして委員の構成メンバーは多くの省庁の所管大臣ということで、まさに全省庁横断的な会議として構成されているということが改めてはっきりしたと、はっきりしていることでございますけれども、この場で御確認いただいたと思います。  行革会議議論内容、私はつぶさに情報をいただいているわけではございませんけれども新聞報道などで見ておりますところ、消費者行政をあるいは雇用福祉省や経済産業省に持っていくというような御意見もあるやに受けとめております。それは大変まずいのではないでしょうかということを申し上げたいと思います。  多くの省庁にまたがる消費者行政を単独の省庁の中に位置づける、ましてや雇用福祉とか経済産業とか、そういうところでは本来的な消費者保護行政を遂行していくということについては不適切ではないか。私は、行政改革の中で置かれることになると今伝えられております内閣府の中に消費者保護会議を位置づけていくことが当然ではないかというふうに考えているものでございますけれども、この点、尾身長官、どのようにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
  91. 尾身幸次

    尾身国務大臣 行政改革につきましては、現 在、行政改革会議におきまして省庁再編成を中心とする検討が行われているわけでございますが、先ほど来お話しのとおり、消費者行政は今後さらに重要なものになると考えておりますし、またその性格からして中立的、横断的なものであり、そして省庁再編における位置づけにつきましても、その性格に応じてしかるべきものにすべきであるというふうに考えております。
  92. 石毛えい子

    ○石毛委員 前半の御答弁はかなり明確であったように今承りましたけれども、後半、終わりの方の御答弁は、省庁再編に応じてしかるべきというところでおっしゃられて、必ずしも内閣府というふうに、私は申し上げたのですけれども、その点に関しましては明瞭にお答えいただきましたでしょうか。
  93. 尾身幸次

    尾身国務大臣 消費者行政が中立的、横断的であるという性格に応じてしかるべきところに位置づけられるべきであるというふうに申し上げました。  私自身、この問題については、行政改革会議において諸般の検討が行われておりますので、どこに置くべきだという具体的な場所について、ここで申し上げるのは差し控えた方がいいかなというふうに思いますが、この消費者行政の性格自体が中立的、横断的なものであるという、その性格をしっかりと踏まえた上で位置づけられるべきであるというふうに考えております。
  94. 石毛えい子

    ○石毛委員 私は、現在この消費者問題特別委員会の中に設けられております遺伝子組換え食品の表示問題等に関する小委員会委員にも所属をさせていただいておりまして、議論を進めております。そうした議論を通じまして、私が今痛切に感じておりますことは、今、消費者が財やサービスを消費する際に知識を持ち得ない、そうした性格のものが大変ふえているということでございます。  かつて、何十年昔を思い浮かべれば、私どもが消費するかなり多くの財、サービスの生産というのはそれほどなかったと思いますが、財は地域で生産されて、自分がある程度生産過程を理解できて、そして消費者としてのある種の納得ですとか、そうした消費対応に基づいて生活できていたという時代だったと思います。  今、生産の方はどんどん高度化が進み、あるいは高度科学化が進みというふうに申し上げてよろしいでしょうか、消費者の素朴な理解の届かない生産のところにどんどんどんどん進んでいっている、こういう時代だと思います。ですから、この生産の著しい、超高度化というふうに申し上げてよろしいでしょうか、そういう時代に、消費者行政もそれに対応して充実していかなければ、消費者は安心して生活を営むことが大変難しい、そういう時代が現代だというふうに私は認識をしているところでございます。  そういう意味で、これから消費者行政はもっともっと発展させていく必要があるだろう、そういう認識に私は基づいておりますので、ただいま尾身長官は、お立場上、特定の行政府をお言葉にされるということについては控えられたのだと思いますけれども、横断的に、中立的に考えて適切なところに所属するようにというお考えをお述べいただきました。  私は、それに続けさせていただきまして、ぜひ、先ほど来、生産の超高度化に対して消費者行政の進展という、その意味を込めまして、内閣府に経済財政諮問会議と並ぶ位置で消費者保護会議が置かれるべきではないかということを申し上げまして、最後、要請になりましたけれども申し上げさせていただきまして、ちょうど時間になりましたのでこれで質問を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
  95. 宮地正介

    宮地委員長 藤田スミ君。
  96. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 きょうは経済問題を中心に委員会を開こうということになっておりましたので、私は、消費者の立場から、今日の不況、その最大の要因である個人消費の落ち込みの問題について、特に尾身長官にお伺いをしていきたいと思います。  十月二十四日の日に、日本百貨店協会、日本チェーンストア協会が売上高をそれぞれ発表しております。これを見ますと、とにかく百貨店もスーパーも六カ月連続売り上げマイナスというような結果になっておりまして、特に、景気には左右されないと言われてきたスーパーの売り上げも、このところずっとマイナスを記録しながら、九月はとうとう落ち込み幅が百貨店を上回ってきているわけであります。これはどういうことを意味するかというと、食品や日用品まで売れなくなってきている、こういうことではないかと思いますが、小売、サービス業にも広がっておりまして、このことは、消費関連指標を見ましても依然前半を下回る水準で推移しているという点で明らかであります。  もう長官は御承知かもしれませんが、十月二十七日の日経で、こういう状態について日本経済研究センター顧問の金森久雄氏は、  景気が冷えてきているのは政府の政策の誤りの結果である。  政府は景気回復を持続させるように需要拡大政策を続けるべきであった。ところが政府は無謀にも大需要削減政策を断行した。すなわち九七年度は消費税の引き上げによって五兆円、特別減税の廃止によって二兆円、社会保険料の引き上げなどによって約二兆円、合計九兆円が国民の懐から政府に移転した。政府は温めてやるべき病人を逆に冷やしたようなものである。大変鋭い批判をしております。  私ども日本共産党は、二月の予算委員会で、九兆円の負担増は国民に耐えがたい重圧を押しつけるとともに、経済のかじ取りとしても根本的に間違っているのじゃないかということで断固反対をしたわけでありますが、残念ですが、それが的中していると言わざるを得ません。  そこで、長官にお伺いしたいのですが、現在の不況は、今金森さんのお話を御紹介しましたが、九兆円の負担増を国民に強い、個人消費を冷え込ませたこの失敗が原因だ、こういう指摘をどう受けとめられますか。国民への負担の押しつけという政府の政策が不況の原因ではないかという問題について、長官の御意見をお伺いしたいと思います。
  97. 尾身幸次

    尾身国務大臣 最近の景気動向でございますが、設備投資につきましては、設備の過剰感が薄れつつあることや企業収益が緩やかに回復していることを背景といたしまして、製造業を中心に回復傾向にございます。それから個人消費も、回復のテンポが低調であるものの、消費税率引き上げに伴います駆け込み需要の反動減から立ち直りつつありまして、雇用は、伸びは鈍化しているものの、消費の下支え要因となっているというふうに考えております。全体として民間需要を中心とする景気回復の基調は失われていないと考えておりまして、いわゆる腰折れというような状況にはないと認識しております。  先ほどのお話の数字でございますが、百貨店販売につきましては、店舗調整前でございますと、四月-六月にはいわゆる反動減が非常に大きくございましたが、七月-九月期には対前期比で四・二%の伸びを示しているということで、百貨店の販売等につきましては、いわゆる引き上げ後の四月-六月の反動減からの回復基調にあるというふうに考えております。それから、チェーンストアの販売額で見ましても、店舗調整前で見ますと前期比で七-九月は一・三%プラスになっておりまして、同じようなことが言えるのではないかというふうに考えております。  そういう中で、私ども財政構造改革を進めながら、経済を正常な回復軌道に乗せるために経済構造改革を同時に進めていくというふうにする必要があると考えておりまして、規制緩和やあるいは土地有効利用等によりまして民間の活力を最大限に発揮させるような政策をとって、そして経済を正常な回復軌道に乗せていきたいと考えている次第でございます。
  98. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 日本百貨店協会の調べでも、九月の売上高は総額三・九%のマイナス、それから全国スーパーの売上高は四・三%のマイナスということになっております。  いずれにしても、私は、大臣が私の質問に真っすぐ答えていらっしゃらないのじゃないか。これからのことはおっしゃるし、認識はおっしゃるけれども、どうしてこんなに経済の冷え込みが出てきたのか、それは個人消費を冷え込ませた九兆円の負担増が大きな原因になっているのだということについて御答弁をいただいていないと思いますが、一言だけ、その点についてはどうお考えなのか、それをお聞かせいただきたい。一言で結構です、時間が制限されていますから。
  99. 尾身幸次

    尾身国務大臣 原因というよりも、経済の現状認識についての違いがあるというふうに考えておりまして、現在、私ども、全体として見て経済の回復基調は失われていないけれども、やや足踏み状態かなというふうに認識しているわけでございまして、その大きな一つの原因は、消費税の問題に対する反動であるというふうに考えております。したがいまして、現在の景気の現状の認識についてやや委員意見が違っているかなと考えております。
  100. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 わかりました。私は、そのお考えが、実は国民負担増自体の影響を無視しておられるんじゃないか。駆け込み需要の反動は強調されますが、しかし、実際にはやはり率直に見ていらっしゃらないんじゃないかと思いますし、それから、庶民の家計の状況に対する感覚とは非常に離れたものがあるというふうに思うわけです。  そこで、私は、国民に負担増を押しつける政策が家計にどれほどの重圧をかけたかということについて、これはさまざまな試算で明らかにされているわけでありますが、日生協の試算というのがあります。この試算は、経済企画庁の方でもある広報に引用されたこともある試算であります。  この日生協の試算を見ますと、四十代前半の夫婦で、夫は年収七百八十万円のサラリーマン、妻は専業主婦、子供二人という平均的な世帯であります。ここでは、消費税は年間八万七千三百九十九円アップし、特別減税の廃止と合わせて年間十五万五千六百六十二円の増税。そして、九六年秋から年金の保険料率が上がりましたから二万四千八十九円、そして九月から医療費の自己負担増で二万三千五百七十二円。この家庭の場合は、合計で年間二十万三千三百二十三円に上るということになっているわけであります。  これだけの負担が出てまいりますと、消費者としては、どうしても生活にそれこそ大なたを振るわざるを得ないわけでありまして、実収入の伸びも期待できない中では、本当にどこを切り込もうかと毎日頭を悩ませているという実態だというふうに思うのです。加えて、九月の家計調査を見ましても、こういう状態の中で、もう病気になっても医者に行くことさえ控える事態というのが出てきているという点は、どうしても直視しなければならないと思います。  そこで私は、消費税の駆け込み需要の反動、そういう一時的なものという認識はもう当たらないのではないか。そんなに単純に消費がもとに戻るというふうにお考えなのかどうか、その点、もう一度お聞かせください。
  101. 尾身幸次

    尾身国務大臣 消費はやや横ばい的に推移しているというふうに考えておりますが、この消費が私どもが期待しているようにまだ伸びてこないのは、消費者の懐は一人当たり賃金所得あるいは雇用等の状況を見てもそこそこ伸びているわけでございまして、そういう状況の中で消費が私どもの期待する程度に伸びてこないのは、将来の経済に対する信頼感といいますか、そういうものが低くなっているというふうに理解をしております。  他方、先ほどのお話のとおり、財政面での近年の政策経済にマイナスの影響を及ぼしたということは、これは認めざるを得ないと思っておりますが、財政状況が厳しい折から、私どもといたしましては、赤字国債を出してお金を借りて、そのお金で例えば所得減税をして消費を伸ばす、そのお金で物を買っていただくというような形の政策は適切でない。その理由は二つございまして、消費者の懐がそこそこ豊かになっているという点と、財政が厳しいという点でございます。  したがいまして、これから私どものとるべき政策は、規制緩和とか土地の流動化とか、あるいは経済条件を諸外国に比べて同じようにする、そういういわゆる経済構造改革を進めまして、そのことによって経済取引を活発化し活性化していく。そういう展望が二十一世紀に向かってしっかりと開けることが、消費者の将来に対する信頼感を回復して、全体の景気そのものを引き上げていくであろう。そして、それによって経済を正常な回復軌道に乗せていきたいと考えている次第でございます。
  102. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 財政状況が厳しい中でこれ以上国の財政を発動させるわけにはいかなかったんだ、だから消費税増税やむなしという、消費税増税は、国の財政を勘案すればやむなくそういう方向に行かざるを得なかったのだという、そういうふうに聞こえましたが、そういうことですね。
  103. 尾身幸次

    尾身国務大臣 私は今先行きのことを申し上げたわけでありますけれども財政構造改革を進めながら経済構造改革を進める必要があるということを申し上げたわけでございます。
  104. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 わかりました。この問題についてはまたもう一度言いたいと思います。  しかし、そういう流れの中で実は消費税増税も医療の改悪もやられてきたわけでありまして、この問題については、さくら銀行専務の阿蒜さんが、「日本の首相は日本経済をよくすることをまず考えていただきたい。政策の失敗をまず認めてもらいたい。国民からこれほど可処分所得を奪ってはだめだ。」ということを指摘しているということを私は一言申し上げておきたいと思うのです。  しかも、私は、今政府が進めていこうとしておられる方向がそんなに甘いものじゃないということを申し上げたいわけです。それは、サラリーマンの中で収入の低い世帯、中小企業などに働く労働者の世帯の実態を見れば、非常に顕著に矛盾が出てきているということを示していると思います。  つまり、総務庁の家計調査では、八月の勤労者世帯の消費支出は実質値で〇・三%のマイナスになっておりますが、この中で注目せざるを得ないのは、収入の高い上位二〇%層の消費支出が前年同期に比べまして二・一%ふえておりますが、しかし下位二〇%の層は八・八%落ち込んでいるわけであります。この層では、ことしに入って、二、四、五、六、八月、五度もマイナスを見せています。三月の駆け込み需要の際でも二%の伸びにとどまっているということは、この下位二〇%の層の暮らしの厳しさというのがよく出ている。収入面での抑制傾向も見られます。  この点についても、日興リサーチセンターは、低所得者層の実収入が抑制され、同時に消費支出が加速度的に減少しているということを指摘し、その理由はどういうところにあるのかというと、中小企業と大企業の収益格差が続き、中小企業の人件費支払いは収益環境の悪化を背景にして昨年度から減少に転じているということを挙げています。つまり、需要の低迷と経済の構造変化が中小企業の経営を悪化させて、消費税などの負担増とあわせて、相対的に賃金の低い中小企業の賃金がさらに抑え込まれていく中で、下位二〇%の層は非常に苦しくなっている。そういう中で悪循環が出てきている。  したがって、私は、景気を回復させていくためには、どうしてもここへの対策、苦しんでいる庶民、国民の消費を拡大させていくことではないかというふうに考えるわけです。私どもはそのために、消費税をもとに戻すこと、所得税減税をことしは特別減税で、その後は恒久化することなど、とにかく個人消費を直接温めていく景気対策が必要だというふうに考えておりますが、この点はいかがでしょうか。
  105. 尾身幸次

    尾身国務大臣 先ほど来何回か申し上げておりますが、私ども財政構造改革を進め、そして経済構造改革を進めることについて甘い認識を持っているつもりはございません。財政は世界で最も悪い国の一つに入っております。そういう中で、将来に負担を残す、ツケを残すことを避けながら健全化を図っていく、財政構造改革を進める必要性もあると考えております。  そして、それを進めながら、従来のパターンの財政出動、具体的にいいますと、公共事業の増大とかあるいは直接の減税とか、そういうことではなしに、民間の活力を生かした形で経済活性化し、そして雇用もふやし、そしてその中から消費者の懐も豊かにしていくことが必要である。これを全力を挙げて取り組みたいと考えている次第でございます。
  106. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 経済構造改革法案の質疑の中で、私どもは、そのやり方は国民の暮らしに一層重圧をかけてしまって、これでは景気の回復にも結びつかないということを申し上げておりますし、今おっしゃる規制緩和あるいは土地流動化、法人課税の見直し等の構造改革も、それは結局大企業への負担軽減、支援にはなっても、しかしそれがだんだんに国民に回ってくるというほど甘いものじゃない、今一番大事なことは、直接個人消費を拡大していくことが大事なのだということを申し上げているわけであります。  私は、今大臣のおっしゃっている方向は、経済の将来に対する信頼感などとても国民が持ちようもないし、これでは不況を脱出することはできないということを申し上げ、重ねて、個人消費を直接誘い込む、そういう政策を訴えておきたいと思います。  なお、一問だけ、運輸省にお願いしておりましたので、お許しをいただきたいと思います。  こういう経済状況の中で一番打撃を受けている障害者の方々が、今、JR各社の身体障害者運賃割引制度について非常に大きな期待を持っております。  私は詳しくは申し上げません。しかし、予算委員会で去る三月、総理も運輸大臣は九州男児だからというふうに持ち上げられまして、古賀大臣も、任せておけ、この点については大いにやろうということで検討を約束されました。いまだに実現が見えないわけでありますが、その後どのように検討され、そしてどういうふうに今努力をされておられるのか、明らかにしていただきたいと思います。
  107. 安原敬裕

    ○安原説明員 お答え申し上げます。  障害者に対する割引につきましては、現在身体障害者及び精神薄弱者を対象としていますが、これは鉄道事業者の理解と協力のもとに、常時介護者の同行がなければ移動が困難な重度の障害者につきまして、二人分の運賃をそれぞれ半額にして一人前でいい、実質的に一人分の負担とするということで負担軽減を図る、これを基本的な考えとして実施しておるところでございます。  御質問の件につきましては、従前より御要望いただいておるところでございます。単独で乗車する場合に、JRなどでは片道百キロ以上という制限をつけております。また一方で、そういった制限を設けていない鉄道事業者も数多くあるわけでございます。  また、新たに精神障害者を割引の対象に加えていただきたいという要望がございますが、これについても今各社で検討をいただいております。本年九月には、広島にあります広島高速交通におきまして、新たなこういった制度の導入が行われております。  いずれにいたしましても、こういった割引制度の拡充などにつきましては、基本的には鉄道事業者の経営上の判断に係る問題であるというふうに考えております。そういった意味で、現在、鉄道事業者に対し所要の検討を要請しているところでございます。  また、こういった障害者に係る運賃割引制度につきましては、関係者間でさまざまな意見がございます。したがいまして、現在、鉄道局長の懇談会でございます鉄道運賃問題等検討会、これは学識経験者、マスコミの代表、鉄道事業者などで構成しておりますけれども、その場におきましても一つのテーマとして議論を進めているところでございます。  以上です。
  108. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 時間が参りましたので、これで終わらざるを得ませんが、障害者の方が総理にこの問題について質問状を出したところ、運輸省の方から今鉄道会社に要請している、これは国会答弁と一緒であります、そして検討している。ところが、鉄道会社の方に言いますと、JRの方は、政府に要請している。これでは障害者の問題は決して解決いたしません。そして、急行料金だけでは実態に合わないので特急料金にもこれを適用するようにという要求についても、本当にボールの投げ合いみたいな状態になっております。  私は、少なくとも予算委員会で総理と運輸大臣があれだけのかたい約束をされた以上、その実現に向けて運輸省が今後特段の努力を重ねていただきたいということを要請いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
  109. 宮地正介

    宮地委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時三十六分散会      ――――◇―――――