○大森
委員 京浜臨海部、これは日本の大
企業、ひいては
日本経済のいわば生産拠点として百年を超える歴史を持っているわけでありますけれども、埋め立てられた広大な自然の海浜はほとんど大
企業によって占有され、事実上、市民が締め出されたような、そういう形になっているわけです。
その京浜臨海部が、大
企業みずからの身勝手な行動やリストラと
土地の切り売りによって深刻な空洞化が進んでいる。例えば神奈川県の調べでは、この
地域の八社だけで約二百七十ヘクタールもの遊休地が生まれています。その内訳は、NKK、日本鋼管が百七十ヘクタール、コスモ石油が三十三ヘクタール、コマツが十ヘクタールなどとなっているわけでありますけれども、こういう深刻な事態。
国土庁の答弁ありましたけれども、私は
指摘をしなければならないのは、今進められている再編
整備構想、実際にその下絵をかいているのがこういうNKKなどの京浜
地域の大
企業自身ではないかということです。例えば、京浜六社から成るベイエリア研究会、これで再編構想をたびたび打ち出しておりますけれども、この研究会の座長をされているのが慶応大学の
伊藤滋教授であるわけですが、実は国土庁の報告書、調査
委員会の
委員長も同氏が務められているというところにもこれは具体的に
指摘をされると思います。
今、
地方自治体を巻き込んで、東京湾横断道路、臨海副都心計画、あるいは千葉幕張などの大規模プロジェクトが東京湾全域で展開をされているわけでありますが一例えば臨海副都心計画、もう既に五兆円の赤字が見込まれるということで、むだと浪費の典型的な大規模プロジェクトと言われているわけです。この臨海副都心計画は開発
面積が四百四十八ヘクタール。ところが、この京浜臨海部再編
整備計画の
対象面積はその十二倍に当たる六千百ヘクタールにもなるわけであります。臨海副都心計画は総
事業費が約十兆円と言われていたわけでありますが、同じ性格の同じ形でこれを進めるとなれば、この京浜臨海部の再編
整備構想というのは、総
事業費はもうそれこそ天文学的な数字になってしまう、こういうことになるわけです。
しかし、この京浜臨海部再編
整備については、それ自体は大変重大な問題であるわけですから、これを、進められているような大
企業本位で進めるのか、それとも、市民の暮らしや雇用あるいは
地域経済の振興や防災、
環境保全、こういう点で積極的に貢献する、市民に開かれた京浜臨海部再生を目指す
立場こそ重要になるのではないかと私は思います。
この点で、神奈川県、川崎市、横浜市の三者が昨年十一月に京浜臨海部の再編
整備に関する基本方針という報告で、京浜臨海部の産業の再
活性化や再編
整備に取り組むに当たって、考慮すべき種々の法
規制が存在するとして、その
一つにこの
工場立地法が挙げられて、これは先ほど述べられたとおりであります。そういう意味で、今回の
工業集合地の
特例の適用が
全国あまねく四十七
都道府県至るところにあるということではなくて、具体的には、非常に特化した
対象地域として、その
一つにこういう京浜臨海部があるのじゃないかということも言えるのではないかと思います。
そこでお聞きをしたいわけですが、この法案第四条第一項第三号、新たに
工業集合地の
特例を導入することとして、さらに第六条で隣接
緑地を掲げているわけでありますが、この際、この費用等が
事業者の一部の負担、それから
届け出だけが
義務づけられている。これは
企業責任、
事業者費用負担の原則、これを崩すことになってしまうのではないかという心配があるわけですが、この点はいかがでしょうか。