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1997-11-18 第141回国会 衆議院 商工委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十一月十八日(火曜日)     午前九時三十八分開議 出席委員   委員長 斉藤斗志二君    理事 石原 伸晃君 理事 小此木八郎君    理事 岸田 文雄君 理事 茂木 敏充君    理事 遠藤 乙彦君 理事 西川太一郎君    理事 松本  龍君 理事 大森  猛君       甘利  明君    遠藤 武彦君       小川  元君    大村 秀章君       奥田 幹生君    木村 隆秀君       栗本慎一郎君    河本 三郎君       竹本 直一君    武部  勤君       中島洋次郎君    中山 太郎君       野田  実君    林  幹雄君       林  義郎君    山口 泰明君       青山  丘君    石井 啓一君       神田  厚君    古賀 正浩君       島   聡君    島津 尚純君       達増 拓也君    中野  清君       吉田  治君    生方 幸夫君       大畠 章宏君    渡辺  周君       吉井 英勝君    横光 克彦君       前田 武志君    鴨下 一郎君  出席国務大臣         通商産業大臣  堀内 光雄君  出席政府委員         経済企画政務次         官       栗本慎一郎君         経済企画庁調査         局長      新保 生二君         通商産業政務次         官       遠藤 武彦君         通商産業大臣官         房審議官    杉山 秀二君         通商産業大臣官         房審議官    岡本  巖君         通商産業省環境         立地局長    並木  徹君         通商産業省機械         情報産業局長  広瀬 勝貞君         資源エネルギー         庁長官     稲川 泰弘君         資源エネルギー         庁公益事業部長 奥村 裕一君         中小企業庁長官 林  康夫君         中小企業庁次長 中村 利雄君  委員外出席者         国土庁大都市圏         整備局整備課長 鈴村 秀世君         商工委員会調査         室長      野田浩一郎君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月十八日  辞任         補欠選任   白川 勝彦君     竹本 直一君   新藤 義孝君     大村 秀章君   武部  勤君     林  幹雄君   村田敬次郎君     木村 隆秀君   伊藤 達也君     鴨下 一郎君 同日  辞任         補欠選任   大村 秀章君     新藤 義孝君   木村 隆秀君     村田敬次郎君   竹本 直一君     白川 勝彦君   林  幹雄君     武部  勤君   鴨下 一郎君     伊藤 達也君     ――――――――――――― 十一月十日  古紙回収再生紙利用の促進に関する陳情書外  一件  (第二八号)  中小企業関係施策に関する陳情書外五件  (第二九号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  工場立地法の一部を改正する法律案内閣提出  第一一号)      ――――◇―――――
  2. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 これより会議を開きます。  内閣提出工場立地法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がございますので、順次これを許します。山口泰明君。
  3. 山口泰明

    山口(泰)委員 おはようございます。自由民主党の埼玉十区から出ております山口泰明でございます。  工場立地法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。  近年、工場立地緑地整備については、各地方自治体にて独自の条例制定するところがふえておりますが、緑地等整備条件地域実情に応じた効果的なものにする必要を考え都道府県への権限移譲地域の声が生かせるものと考えます。地方分権の第一歩としての重要性もかんがみ、賛成の立場から質疑に入らせていただきます。  その前に、私ごとで大変恐縮でございますけれども、私は、昨年の総選挙で、一中小企業都市ガス会社の専務からいきなりこの世界へ入らせていただきました。民間のガス会社というのは、特に台所を預かる主婦とか女性立場の方と非常に交流があるものですから、そんな中で私言われたのは、泰明さん、出るんだったらもっと政治をわかりやすくしてほしい、こういうことを痛切に言われました。  私は、その中で、各委員会でいつも申し上げてきたのですけれども、用語が非常にわかりにくい。政治になれている方はもう当たり前かもしれませんけれども、やはり国民の一般の方は、女性もいれば男性もいる、そして年寄りもいれば、若い人もいる。そして、こちらで答弁される方は勉強の好きな方がおられますけれども、私みたいに勉強の嫌いなのもおります。そういうことで、やはり答弁するときは、委員に答えるのではなくて、国家国民、万人が聞いているということでお答えをいただければ大変私はありがたいということを申し述べて、質問に入らせていただきます。  まず、大臣工場立地法改正後二十四年を経過しておりますが、本法に関する見直しが要請される背景について、工場立地現状を踏まえながら、大臣お答えをいただければ大変ありがたいと思います。
  4. 堀内光雄

    堀内国務大臣 お答えを申し上げます。  工場立地法は、先生指摘のとおり、昭和四十八年に工場立地調査等に関する法律というものを改正をいたして、特定工場に対して二〇%以上の緑地整備義務づける規制を追加して制定されたものでございまして、これは、工場立地環境保全を図りながら適正に行われるルールを整備する観点からつくられたものでございます。  工場立地法施行によりまして、特定工場緑地面積全国平均は、施行される以前の昭和四十八年には緑地面積工場面積に対して五・八%でありましたけれども、平成八年になりまして、その面積割合が一四・三%までふえてまいっておりまして、約二倍以上の改善がされているわけでございます。この法律緑地及び環境施設整備推進に大いに成果を上げているというふうに考えております。  一方では、近年、工場周辺地域生活環境との調和というような面から、そういうものを的確に図るために、地域実情に応じまして、緑地だとかあるいは環境施設整備を進めることが必要ではないかという意見が大きく出てきておりまして、緑地面積設定については、地方自治体が周囲の環境配慮しながら柔軟に設定できる制度に変更するべきではないかという御意見共通緑地というような、緑地面積にその共通緑地というようなものを、公的な面なども含めまして、そういうものを算入する制度を導入したらどうだというような御指摘が、経済構造の変革と創造のための行動計画あるいは規制緩和推進計画あるいは地方分権推進委員会勧告、こういうものの中から、いろいろな方面から指摘をされるようになってきていたところでございます。  こういう見直しを行うことによって、例えば、本法緑地規制が導入された四十九年以前に設置された工場でも、今までは建てかえをするときに緑地面積規制のために建てかえをちゅうちょするというような面がございまして、そのために工場立地緑地整備が進んでいなかったというところが大分ございますが、こういういわゆる既存工場においても、この法の改正によりまして、効果的な緑地整備が進むことも期待されているというふうに考えております。
  5. 山口泰明

    山口(泰)委員 それでは、地域実情等も踏まえてですけれども、周辺地域土地利用状況に応じた基準として、今回二つの基準A区域B区域でその割合が違うのですけれども、その定める理由について、ちょっと担当者の方からお伺いしたいと思います。
  6. 並木徹

    並木政府委員 お答え申し上げます。  今回の改正につきましては、今委員から御指摘のありましたように、工場立地周辺地域環境調和を図る観点から、従来は国が一律で緑地等基準を定めておったわけでございますけれども、地域実態等に合わせまして、緑地面積率等地方公共団体策定することが可能なようにするところでございます。これに際しまして、国といたしましては、こういった地方公共団体が独自の基準を定めるに当たっての上限下限というものの基準を定める一方、その具体的な、地域緑地面積率を定める際の考え方ということを示すことにしておるわけでございます。  今御指摘がございました地域の区分でございますけれども、具体的な考え方といたしましては、例えば工業専用地域等工業系用途地域におきまして、例えば周りが海とかあるいは港湾とかあるいは運河といったようなものに囲まれておるようなところで、住民生活環境に及ぼす影響が小さい区域、そういった地域におきましては、地方公共団体におきまして緑地面積率引き下げが可能であるような地域ということにする考えでございますし、一方、工場住居が混在するなど、住民生活環境保全をより一層図る観点から特に緑地整備配慮すべき区域、こういった地域につきましては、緑地面積率を引き上げる地域ということを考えておるところでございます。  このように考えることによりまして、まさに地方自治体地域実情に応じまして工場立地周辺環境との的確な調和を図り得るようなきめ細かな設定というものが可能になる、このように考えておるところでございます。
  7. 山口泰明

    山口(泰)委員 今回移譲される権限において、準則地域準則への不適合は、勧告変更命令罰則の適用にも至る重要なものであり、これらが適正かつ妥当に実施されるよう、どのような取り組みが行われるのか。また、工場立地法権限移譲に当たり、地方自治体対応能力事務的な対応の用意はできているのでしょうか。
  8. 岡本巖

    岡本政府委員 お答え申し上げます。  今回の地方公共団体への権限移譲というのは、全国知事会でありますとか政令市長会でありますとか、関係地方団体からの御要望を受けて私ども権限移譲するということで、当の移譲される自治体方々の御意向をまず踏まえてやった次第でございます。  それから、今回敷地面積で五万平米以上の大きい工場も、従来国がやっていたものが都道府県あるいは政令市権限移譲されるということになるわけですが、これまで国の案件とされていたものにつきましても、都道府県を経由して届け出を受理して、経由官庁である県で自主的にまず一義的な審査をやるということで事務を処理していただいておりますので、そういう意味からも、今回新たに形式的にも都道府県に移譲される部分について、地方公共団体で適切に、あるいは円滑にこの事務を処理する体制はそれなりにできているものというふうに考えております。  それから、ちなみに今回の権限移譲に伴いまして、都道府県に一件ごと届け出があったものについて国に送付をするというような、そういう事務が今度は軽減されるという効果も有しておりますものですから、先生指摘都道府県あるいは場合によっては政令市事務をやるという場合に、事務量という面でも一方で軽減される部分もございますものですから、ちゃんとやっていただけるものというふうに私ども考えております。
  9. 山口泰明

    山口(泰)委員 この法に関しては、立入検査等規定がないわけなんですけれども、不適合状況に陥る事例がないとも考えられませんので、それについてのお考え方をお聞きしたいと思うのです。
  10. 並木徹

    並木政府委員 お答え申し上げます。  委員指摘のように、工場立地法におきましては、主として工場立地段階におきまして、周辺環境との調和が図られるような基盤整備するというような観点から、入り口規制という観点で行っておりますので、御指摘のように、主に操業段階に入ってから行われる立入検査等規定は設けられておらないところでございます。  しかしながら、本法対象となるいわゆる特定工場でございますけれども、敷地面積が九千平米ということでございまして、比較的規模の大きい工場でございます。こういったものにつきまして新増設が行われるような場合におきましては、自治体におきまして、立地あるいは建築あるいは用水等のいわゆる産業基盤を担当する部局との相談というものが通常行われるわけでございまして、地方自治体においては、実際的にはこういったものについての把握が行われておるところと考えておりますが、もし万一新増設が行われた場合に届け出が出されておらない、あるいは虚偽の届け出が出されておるといった場合につきましては、本法工場立地法におきまして、届け出に関する義務違反としての罰則が適用されるということによって担保されておるところでございます。  ちなみに、今回の改正におきまして、当該届け出に関します義務違反に対する罰金額につきましては、従来の五倍ということに引き上げを行いまして、届け出違反に関します罰則抑止力というものを大きくしたところでございます。
  11. 山口泰明

    山口(泰)委員 ありがとうございました。  工場立地動向調査によりますと、平成二年、バブル以降ということですけれども、立地件数及び立地面積とも相当低迷をしているわけですけれども、景気工場立地関係をどのように認識しているのかもお聞きしたいと思います。
  12. 堀内光雄

    堀内国務大臣 御質問のように、ことしの上期の工場立地件数は〇・三%増、微増でございます。工場立地面積の方は一二・一%減、それぞれ前年同期比でございますが、大分減少いたしております。したがいまして、平成七年以降の増加傾向から減少傾向に転じたとも見られる傾向でございます。これは、景気の先行きの不透明感背景にいたしまして、多額の資金を必要とする工場立地に対しまして、企業が大変慎重な態度をとっているということが一つの要因であると考えております。  こういうような状態のもとで、地域実情に応じた緑地面積設定を可能にするなどのこの法案を本臨時国会提出をさせていただいているところでございまして、これによりまして、緑地整備工場施設のリニューアルが進展することが期待されているところでございます。
  13. 山口泰明

    山口(泰)委員 既存工場における老朽化、建てかえにおける緑地面積についての配慮運用通達のもとで行われていますけれども、権限移譲に当たっては、このような配慮運用明確化透明化を図り、地方自治体による運用が適正、公正に行われるよう、どのような対応をしているかもお聞きしたいと思います。
  14. 岡本巖

    岡本政府委員 お答え申し上げます。  いわゆる既存工場について、準則で定める緑地を確保することが難しいというケースが間々ございますが、これまでの運用の中で、建てかえによって景観が向上する等、周辺地域における生活環境保全に資するという見通しがあって、かつ緑地面積一定程度以上改善する、ビルドする面積がスクラップする面積を超えないという場合には緑地整備について特別な配慮をしていいということで、通達でやってまいっているわけですが、今先生指摘のように、事業者方々の側における予見可能性ということを考えました場合に、国から地方公共団体への通達という形では必ずしも予見可能性をお与えするという点で十分でないものですから、私ども、今回の権限移譲に際しまして、今申しましたような既存工場について、一定環境対応をされるという場合について配慮していいということを準則の中で明らかに書くように準備を進めてまいる考えでございます。
  15. 山口泰明

    山口(泰)委員 それでは、ちょっと一つ飛ばして、中小企業庁長官もいらっしゃるものですから、最近の景気足踏み状態に対し、年末に向けた中小企業の金の貸し渋りのことなんですけれども、実はこの間の日曜日も地元を回っていましたら、私は坂戸市というのが一番大きなところなんですけれども、そこの、下請ではなくて孫請になるのですね、その窓枠サッシの方なんですけれども、もう本当に泰明さん、材料を泥棒でもしてこないともうやっていけないよ、仕事がないから泣く泣く赤字を覚悟で仕事をしているんだという実情でございます。  ぜひ聞きたいことがいろいろあるのですけれども、そこの、そういった一定のところまでいっていない、その下ぐらいの人が一番大変なものですから、その辺の認識についても含めてちょっと長官にお伺いしたいので、よろしくお願いいたします。
  16. 林康夫

    ○林(康)政府委員 お答え申し上げます。  現在、経済のグローバリゼーションあるいは規制緩和等、さまざまな事情で中小企業者が厳しい状況に置かれておるのは、御指摘のとおりだと思います。  私ども、中小企業日本経済の基本を支えるという認識のもとに、できるだけ金融面あるいは技術支援の面あるいは新しい事業を起こす面等々で中小企業活性化を図っていきたい、そして、現在の構造改革を力強く乗り切っていただこうということで、できるだけの対応をしていきたいと思っております。  特に金融対策については、年末を控え、また年末を越えて極めて重要な対策でございますので、私どもといたしましても、現在の情勢のもとで中小企業金融が滞らないように全力を尽くしていきたい、こう考えております。
  17. 山口泰明

    山口(泰)委員 ありがとうございました。持ち時間が参りましたので、わかりやすい答弁でありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。
  18. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 山口君の質疑は終わりまして、次に、島津尚純君。
  19. 島津尚純

    島津委員 新進党の島津尚純でございます。  工場立地法の一部を改正する法律案につきまして質問をさせてただきたいと存じます。  その前に、今回もまた、質問に対しましては、極力大臣並びに政務次官にお願いを申し上げたいということをお願いしておきます。  今回の法律改正は、工場立地周辺地域生活環境との調和を一層図りつつ行われる必要から、  工場内の緑地等面積割合に関する事項につき、都道府県及び政令指定都市が、国が定める基準範囲内において、地域実情を踏まえ地域準則を定めることができる、特定工場の新増設等にかかわる届け出の受理、勧告及び変更命令の主体を国から都道府県及び政令指定都市へ変更する、従来からの工業団地における緑地面積率特例に加え、新たに工業集合地においても特例措置を導入する、このようなことを内容としておりまして、地方分権及び規制緩和観点から見て、一定の評価をいたすことができると考えておるところであります。  しかし、法律案改正に伴う準則改正等、問題も少なくなく、これらの点について明快にしておかなければならないものと考えますので、大臣にお伺いをいたす次第であります。  まず、地域準則策定のもととなります基準は、公表という形がとられ、法律事項ではなく、ましてや政省令よりも位置が低い告示のレベルであります。基準内容は、今後の緑地等面積を定めるための重要な要素となることから、その考え方などについて広範かつ十分な論議を行う必要があると存じます。  そこで、第一点、政府考えでいる内容は具体的にどのようなものであるのか。第二点に、現行の基準において緑地面積が二〇%と定められている根拠、及び今回地域準則根拠となる基準がこの上下五%とされるに至った理由は何であるか。三番目に、これらの内容は、権限移譲を受ける地方自治体に加え、対象事業者にとっても大きな影響をもたらすものであることから、この早期策定とその内容周知が求められると思うのであります。  以上の三点について、大臣のお考えをお伺いをいたしたいと思います。
  20. 堀内光雄

    堀内国務大臣 今の三点の問題のうち、最初の一点の基本的な問題をまずお答えを申し上げたいと思います。  今回の改正は、工場立地周辺生活環境とのより一層の調和を図るということの観点から、一番その土地のことをよくわかっている地方公共団体が、周辺土地利用状況等を勘案をしまして、緑地面積等を独自に設定をすることができるようにしたということが第一でございます。  また、地方公共団体が独自に緑地面積率設定できるようにすることによりまして、国といたしましては、緑地面積率上限下限というような基準を定めることにいたしました。それによって、独自の緑地面積率を定めるに当たっての基本的な考え方一つ提示をするということになっております。  そういうぐあいに明示提示をされました具体的な考え方は、工業等用途地域の中で住民生活環境に及ぼす影響が小さい区域、こういうものについては緑地面積率引き下げができる区域といたします。また一方では、工場住居が混在するようなところ、そういう場合には、住民生活環境保全するために、特に緑地整備配慮すべき区域を、緑地面積をふやす、引き上げることができる区域とするようなことを考えているわけでございまして、その後の数値につきましては、政府委員から御説明を申し上げます。
  21. 並木徹

    並木政府委員 お答え申し上げます。  現在の工場立地法におきましては、今委員が御指摘いただきましたように、国が一律で二〇%という緑地基準を決めておるところでございますけれども、今回の改正に当たりまして、上限下限、これはそれぞれ二五%、それから一五%ということを審議会等において検討をいただいたわけでございます。  この考え方といたしましては、この立地法におきましては、工場立地環境保全を図りつつ適正に行われることを目的としておるところでございまして、緑地整備努力現状よりも後退するということは適切でないということでもございまして、先ほど申し上げましたように、法施行以来、努力によりまして確保されてまいりました緑地面積率を維持向上する必要があるという基本的な考 え方に基づいておるわけでございます。  したがいまして、具体的には、下限値につきましては、新設緑地工場及び既存工場を合わせましたトータルの現時点での平均緑地面積率が約一四%ということでもございますので、こういったことを勘案いたしまして、一五%ということで設定しようとしておるところでございます。  それから、上限値の方でございますけれども、この値の達成につきましては、事業者に対しまして罰則で担保される義務ということになるわけでございまして、こういった観点から、実現困難な値を設定することは適切でないというような観点を踏まえまして、本法昭和四十九年の工場立地法改正施行以降の新設工場緑地面積率平均値が約二五%ということでございまして、こういったことを勘案して、二五%に設定しようとしておるところでございます。  こういった基準公表の問題でございますけれども、従来から、こういった基準につきましては、通商産業大臣及び製造業等を所管する大臣が、関係行政機関の長に協議をしまして告示という形で行うものでございまして、告示に当たりましては、官報において掲載されることになるわけでございます。
  22. 島津尚純

    島津委員 私は、今の質問で三点申し上げたのですけれども、三点目の、この法律改正が成立した場合、早期制定とその内容周知徹底ということはどうなりますかという質問をしたのですが、それについてお願いします。
  23. 並木徹

    並木政府委員 お答え申し上げます。  この基準値制定につきましては、いわゆる上限下限数値につきましては、これは国が定めることになりまして、官報告示をされることになるわけでございますが、こういった上限下限範囲におきまして、地方公共団体が具体的な地域を定めてその基準を定める場合におきましては、地方におきまして、条例等で定めることによりまして行われることになるわけでございます。
  24. 島津尚純

    島津委員 地方権限を移譲することは歓迎されるべきことでありますが、申し上げておきたいことは、経済についての規制緩和はあるにしましても、環境行政については本来規制緩和はすべきものではないと私は基本的に考えるわけであります。  工場立地法研究会の報告によりますと、「事業者においても環境負荷を低減する必要性を認識し、設備投資、改善等公害防止対策の充実をはかってきた」とありますが、事業者環境に対する認識の定着度、そして環境汚染の実態、これは決して環境に対する規制を緩和できるようなレベルではないと考えられるのであります。  その観点から見ますと、これまで国として緑地面積率全国一律二〇%であったものを、国の定める範囲内において自治体地域実情に応じて独自に設定できるとしておりますが、自治体工場誘致に有利になるように緑地面積率下限もしくはそれに近い数値設定し、法目的が損なわれるのではないかということが当然危惧をされてくるわけであります。先ほどの御答弁の中でも、現状より後退することは適当でないと申されましたけれども、そのとおりであります。  このような危惧に対して、環境状況は現在非常に劣化の方向にあることは間違いないのでありまして、この環境保全に逆行しないような仕組みを考えるべきではないかと思うのでありますが、その点についてはいかがでございましょうか。
  25. 堀内光雄

    堀内国務大臣 先ほども御答弁を申し上げましたが、工場立地法制定をされましてから、実際の緑地面積率全国平均というものは、施行以前の昭和四十八年の五・八%から平成八年の一四・三%へと二倍以上にふえてきているわけでございまして、そういう意味では、この工場立地法の成果というものが上がってきていると考えております。  ただ、実際問題として、一律に全国をパーセントで決めておりますために、実情にそぐわない面が各地において出てきていることもこれまた事実でございまして、各地の市町村長の行政区域におきまして、住宅の密集しているような土地における工場、あるいは周囲が森林のような中における工場工場群が集まっているところ、そういうようなものをそれぞれ一律に決めるということには不適当な面があるというふうに各委員会からの指摘も受けておりまして、そういうものを各自治体実情に応じて考えてもらおう。その際に、今までの二〇%を二五%まで持ち上げるというような、そういう枠をさらに広げて、厳しくするところはもっと厳しくできるようにという範囲をつくっているということでございます。
  26. 島津尚純

    島津委員 大臣のおっしゃることはよくわかります。しかしながら、私が先ほど質問を申し上げたその論点からちょっと外れているのではないかというふうに思います。  私が申し上げましたのは、今回A地区、B地区を設けまして、それぞれ一五%から二五%の範囲内で地域準則設定できて、地方で自由に選択できる、このようなことであります。そうしますと、地方でぜひ工場にたくさん来てもらいたいというところは、どうしても一五%と地域準則下限設定をする。そういう傾向になってきた場合に、せっかく四十八年からこの産業活動と環境という問題で一定の役割を果たしてきたこの法律が、その目的が損なわれるではないか。ですから、そのような意味で、その歯どめといいましょうか、そういうものの仕組みはどういうふうになさるのですかということをお聞きしております。よろしくお願いします。
  27. 並木徹

    並木政府委員 お答え申し上げます。  いわゆる御指摘緑地面積率引き下げができる地域ということでございますけれども、先ほど大臣の方からも御説明がございましたように、主として工業専用地域でございますとか、あるいは工業系用途地域ということを考えておるわけでございまして、そういった地域の中でも住民生活環境に及ぼす影響が小さい区域ということで、例えば、海でございますとか港湾あるいは河川といったようなものによりましていわゆる住居等と隔たっておる、こういった地域に限定するというようなことを含めまして、この区域についての適切な緑地整備、あるいは基準、あるいは区域設定が可能なような方向を示すということが第一でございます。  それから、実際にこういった地域につきましての基準を、地域設定とともにこれは地方公共団体においてお決めになられることでございますけれども、これにつきましては法律の中で、こういった地域基準につきましては、まさに地域実情というものを勘案して条例においてお決めいただく、こういうことになっておるわけでございまして、当然、この条例制定におきましては地方の議会の議決ということを経るわけでもございますし、今御心配のような地域環境を一方的に後退させるというような設定が行われることは、環境のいわば立地との両立という基本的方向のこの法律の趣旨も含めまして、考えにくいということでございます。  それから、従来から、古くから形成されてまいりましたような既設の工場等が集まっておるようなそういう地域におきましては、現在でもいわゆる緑地面積率が数%にとどまっておるようなところもございますけれども、こういった地域立地するような工場につきましては、こういったより現実的な目標値というものを設定することによりまして建てかえ等が進みまして、結果としていわゆる緑地等が改善が図られる、こういうこともあわせて期待されておるところでございます。
  28. 島津尚純

    島津委員 次に、同じような問題でありますが、敷地外緑地特例の導入の問題であります。  これは、複数の工場が隣接している地域、すなわち工業集合地と住宅等を効果的に遮断する敷地外緑地が設置される場合に、これらの緑地工場敷地内の緑地面積に算定できる制度であり、自社の敷地でない緑地工場緑地にカウントできることから、例えば自治体緑地を設置して、そのことをもって工場誘致に使われることはないかということがまた懸念をされるところであります。 これが一点。  また、複数の事業者が共同で隣接緑地などを管理する場合、一事業者の転出または工場用地の他用途への転用などにより、当該隣接緑地の恒久性が損なわれる心配があります。当初の届け出事項と実際の運用不適合状況が生じることとならないような対応がぜひ求められると考えるのでありますが、この点はいかがでしょうか。  さらには、この特例の適用が、これまで緑地面積の確保に苦慮しつつも対応を図ってきた事業者との負担の著しい不公平を招くことにならないよう、地方自治体の判断の基準となるような明確な要件が設定されることが必要と思われます。  この三点につきまして御答弁をお願いしたいと思います。
  29. 堀内光雄

    堀内国務大臣 御指摘のように、公共用地のようなものも緑地の中に含めるというようなことが認められるわけでございますが、この場合も、ただ単にそこに緑地があるからそれを含めてよろしいということではなくて、応分の費用の分担なり、公共用地に対する理解を得られる方法を行わなければいけない、また、それは当然議会などにおける問題点の解決もしなければならないということにも波及してくるというふうに思いますし、その他の面につきましても、それぞれの隣接している工場が彼此融通し合うというような面でのお話でありますから、それぞれの業者の間において負担をし合うというようなことも当然出てくるというふうに思っておりまして、基本的には無条件にただそれを利用できるというようなものではないということだけまず申し上げまして、あと政府委員から御説明を申し上げます。
  30. 並木徹

    並木政府委員 工業集合地特例につきましては、基本的には、緑地整備推進し、環境保全を図る、こういう観点から今回の措置を設けることにしたところでございまして、従来、工業団地というものにつきまして、先ほど御指摘がございましたように、一工場あるいは事業場単位ではなくて、全体としてこれをいわゆる住居等との間に共通緑地等を、遮断するようなものを設けるということにおいて、効率的に設けようということでそういう例があるわけでございますけれども、そういった考え方に基づきまして、緑地推進する観点からこれを設けるということでございます。  そういった観点から、今後は自治体がまさにそういった立地環境調和という観点から、事業者に対しまして、緑地整備、これはやはり共通緑地については計画的に整備されると同時に、これが恒久的に保存されなければならない。それから、それを維持するための自治体事業者の負担、こういったものにつきまして具体的に措置をしていく、こういうことになるわけでございますけれども、国といたしましては、やはり計画的かつ恒久的にこの緑地が保存されるようなことにつきまして、そういった考え方につきまして自治体に対して具体的な方向性を示すということを考えておるわけでございます。  実際的には、例えば自治体等におきましては、こういった緑地帯等におきましては協定等を設けるというようなこと等を含めまして、事業者との関係、先ほど申し上げましたように、分担の問題でございますとか、あるいは一事業者が不適切な対応をするというようなことが行われないような形での措置というものがあわせて行われている実例がございますけれども、そういった方向で、今後自治体の方におきましてこの実行というものを進めていくことになるというふうに考えておるわけでございます。  先ほど、不公平ではないかというような御指摘ではございますが、先ほどの団地特例におきます状況というもの、あるいはそういったものに基づきます費用分担等々につきまして、事業者届け出をそういった費用分担について行うことを含めまして、そういった分担について適切に行われるということを期待しておるところでございます。
  31. 島津尚純

    島津委員 今回の法改正のもととなりました工場立地及び工業用水審議会の答申に、生産施設面積率見直しが言われております。生産施設面積率は、業種別に工場敷地面積割合上限を決めるものであり、業種別の環境負荷の程度等を勘案して、一〇%から四〇%の範囲で五段階の区分となっておるのであります。  今回の法改正には盛り込まれなかったのでありますけれども、緑地面積率改正が実現したならば、次には生産施設面積率準則見直しが予想されておるわけでありますが、この生産施設面積率についても緑地率と同じように地方にその権限を移譲するというお考えはないのかどうか、お聞きいたしたいと思います。
  32. 岡本巖

    岡本政府委員 お答え申し上げます。  生産施設の面積率は、工場からの環境負荷を抑えるためにそういう手法に着目した規制をやっているわけでございますが、先生御案内のように、各業種における生産技術でありますとかあるいは公害防止技術、そういったものの実情とか進歩、発展の状況を踏まえながら、各業種別に環境負荷の程度とかあるいは敷地利用の実態というものを押さえた上で、業種別に敷地面積に占める生産施設面積割合上限というものを今定めているわけでございます。  今申しましたような性格に着目しました場合に、私ども、この生産施設面積率については、地域性というよりは、業種ごとの生産技術あるいは公害防止技術の実態をにらんだ上限規制という手法の方がより適切ではないかと考えておりますものですから、現時点で地方への権限移譲ということには必ずしもなじまないのではないかというふうに考えているところでございます。
  33. 島津尚純

    島津委員 次に、関連といたしまして、環境問題に大きなかかわり合いを持ってまいります電力の改革につきまして、お伺いをいたしたいと思います。  大臣は、九月に就任以来、マスコミのインタビュー等に対しまして、発電部門では規制緩和の成果が上がっていることはいいことである、しかし、海外のように発送電を分離すればいいというものではない、このようなお答えをしておられるのであります。私もまさにそのとおりであるというふうに思わせていただきます。欧米と日本の歴然とした国情の違いを考慮せずに発送電分離といった急進的な改革を我が国に導入したならば、得るものは少なく、そして失うものは大変大きいものがある、このように考えております。  昨年十二月に決定された経済構造改革のスケジュールで、二〇〇一年までに電気料金を欧米並みに引き下げるという目標が設定され、五月にはその具体的な行動計画が発表され、電力コストを中長期的に低減するため、現在の電力供給システムを見直すことが決定をされ、七月には通産大臣の諮問機関であります電事審に諮問がなされて、十二月の中間取りまとめに向かって現在話し合いが行われているというのが、一連の経過であろうというふうに思っております。  そこで、この我が国の電力改革につきまして、通産省にとりましてこの一年の中で最大の課題は電力改革と大店法の問題である、このように言われている最大の問題の一つでありますので、ぜひ大臣の基本的なお考えをお伺いいたしたいと思います。
  34. 堀内光雄

    堀内国務大臣 御指摘のように、経済活動の基盤となる電力につきましては、最大限競争原理というものを導入いたしまして、高コスト構造を是正する、外国に比べて非常に高いコストになっているものを是正することが重要だというふうに考えておりまして、経済構造改革の最大の課題として電力の構造改革に今取り組んでいるところでございます。  電力の構造改革については、既にIPPの導入を行って、特定電気事業制度の創設を行いまして、電源開発分野だとか小売分野の一部に競争原理の導入を既に図ったところでございます。そういうものの成果が逐次あらわれてきておりまして、近々、電力料金の値下げの話も来年早々には行われるようなことも見受けられるところでございます。  そういうような分野もございまして、さらに電力改革を進めていかなければならないと考えておりまして、電気事業審議会において現在真剣に審議をお願いしているところでございまして、私といたしましては、こういう電気事業審議会における検討あるいは海外における電力自由化の動きを踏まえまして、電気事業のあり方全般をしっかりと見直してまいりたいというふうに思っているところでございます。
  35. 島津尚純

    島津委員 環境問題に大きなかかわり合いを持つ電力と申し上げましたけれども、我が国のCO2排出量は三億四千万トン、その中で電力部門は八千五百万トン、排出量全体のまさに二五%という大変なものであります。十二月に京都で開催されますCOP3に向かって国内での対策が検討されておるわけでありますが、この電力部門の排出量の削減を進めなければ、二〇一〇年に向かっての目標値の達成というものはなかなか難しいものである、このように思うわけであります。  当然のことながら、電力業界は長年環境問題を経営の重要な問題の一つとして位置づけてまいり、CO2の排出量の現状は、キロワットアワー当たりで比較しますと、九〇年の実績は七〇年の三分の二に減少をいたしております。これは、液化天然ガスの導入や火力発電の熱効率向上の取り組みに加えて、原子力発電の開発による発電量の増加、このことが大変大きいわけであります。現在、原子力による発電量といいますのは、総発電電力量に占める原子力の割合は三四%にも上っておるわけでありますが、この増加がCO2の排出量の抑制面での大きな効果となってきたわけであります。  一方、地球温暖化問題の国内対策を検討する関係審議会の合同会議の最終案によりますと、原子力発電所を二〇一〇年までに二十基増設し、七千五十万キロワットの原子力の導入という方向が打ち出されております。現在稼働中の原子力発電所は五十三基、四千五百二十五万キロワットであります。これに加えて二十基を二〇一〇年までに十三年間で増設すべしというのでありますから、私はこの数字は大変な数字であるというふうに思うのであります。  なぜ大変かというふうに申しますと、現在建設中のものは、東北電力の女川三号、これ一基しかないわけであります。また、電調審を通った着工準備中のものは、白紙に戻された新潟の巻町を含めて四基しかありません。また、今後電調審にかける予定のものが九基でありまして、これらすべてがうまくいったとしましても、合計で十四基であります。  原子力は、計画してから運転開始まで二十五年から三十年を要すると言われているのであります。その上に、動燃のたび重なる事故、不祥事により、原子力の安全性に対する国民の不信と不安は増幅をしておりまして、今まで以上にその開発推進が困難となってきております。ですから、この数字というものは大変な困難な数字であるというふうに今申し上げたわけであります。  しかし、我が国の環境問題、電力を取り巻きます諸情勢を考えますと、省エネ、新エネとともに、原子力の立地については国策としてとらえ、開発推進に当たり、国がもっと前面に出ることが必要ではないか。国民の理解、地域の理解を得るための努力を国ももっと積極的に行うべきではないかというふうに私は考えるのであります。  そこで、この問題につきまして、いかに取り組もうとされているのか、大臣のお考えをお伺いをいたしたいと思います。
  36. 堀内光雄

    堀内国務大臣 御指摘のとおり、今度のCOP3の会議におきましても、CO2の問題は、取りまとめの議長役を果たす日本の国といたしまして大変重要な役割を果たさなければなりません。  その際に、日本におけるCO2の問題を、二〇一〇年におきまして一九九〇年代の状況にまで引き下げるということ、これは大変な難事であるわけでありますが、その基本になるのが、ただいま先生の御指摘のとおり、原子力の二十基の増設ということになっておりまして、これは並大抵のものではないと考えておりますが、これに向かってしっかりと取り組んでまいらなければならないと考えておる次第でございまして、現状などにつきましてはエネルギー庁長官から御説明を申し上げます。
  37. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 今後の炭酸ガス削減対策におきます原子力発電所の重要性、さらには、今後これを建設していくに当たっての問題、課題、委員指摘のとおりでございまして、今後、通産省として、また政府として最大限の建設に向けての努力を続けたいと思っております。  原子力発電の推進に当たりましては、もちろん安全の確保を大前提といたしまして、国民の理解と協力を得ることが不可欠であると認識しております。また、原子力立地問題は、単に立地地域のみならず、大消費地を含めました全国的な国民の理解と協力を得るべき性格のものであるというふうに考えておりまして、通産省といたしましては、一日資源エネルギー庁あるいは全国講演キャラバンといった形でシンポジウムの開催を行っており、また、個別地点、国民一般に対する幅広い理解促進活動という趣旨で各種の活動を行っております。オピニオンリーダー、女性、青少年など、国民各層に応じたきめ細かな理解促進活動を推進をしているところでございます。  今後とも、原子力発電の必要性、安全性について、わかりやすく、かつ入手しやすい広報、情報提供活動を実施していきますとともに、何よりも国がより前面に立った形で、積極的に国民との対話を行うという形で努めてまいりたいと思ってございます。
  38. 島津尚純

    島津委員 今御答弁をいただいたわけでありますが、そのような対策というものは今日までもとられてきた対策でありまして、そういうことで本当にこの困難な数字というものが達成できるかどうか、私は大変疑問に思うわけであります。  そこで、若干提案をさせていただきたいわけでありますが、電源三法による交付金が立地市町村に交付されております。その電源立地勘定の予算規模は約二千二百億円であり、かなりの金額が地元自治体の公共施設等の整備のために交付をされているわけであります。しかし、それにもかかわらず、原子力立地の開発が進まないのは、もちろん安全性に対する国民の皆さん方の理解という問題もありますが、一方、この交付金制度のあり方にも問題があるのではないかというふうに思うわけであります。  一つは、この制度が余りにも複雑化してきたということであります。  昭和四十九年にこの制度ができたときには、交付金、委託費の種類は合わせて六つしかありませんでした。現在では約七十にもなっているのであります。わけがわからなくなっているのです。担当者でもどれが適用されるかわからない、そういう状況です。その結果、特別会計の持つ地元に対するインパクトが薄れてしまっております。ですから、多岐にわたる項目を整理統合すべきではないか、このようなことを思います。  二つ目は、昭和四十九年当時はインフラの整備がまだまだおくれていたのでありますが、ですから、そうした交付金のインパクトはかなり強かったと思うのであります。現在では相当程度インフラの整備が進み、当時に比べてその魅力が低下をしてきたと言えるのであります。ですから、公共施設といういわゆる箱物主体から、地元自治体で最も要望の強い、運転開始から運転終了まで継続して自由に使える交付金が欲しいという要望に対して、これに少しでも近づけるような努力が必要ではないかということを思うのであります。  三点目は、視点を全く変えまして、高齢者も住みやすい町づくりといったような、今までに全くなかった視点からのインフラ整備などに用途の道を広げるべきではないかと思うのであります。  原子力立地の町は、ほとんどが過疎地であります。ですから、高齢化率が大変高いわけでありまして、例えば、これから電調審に申請をする山口県の上関町などは高齢化率が何と四〇%近くになっておるのであります。このような高齢化の地域に、例えば、電力の持つ送電線に設置した光ファイバーを利用した双方向通信による遠隔診療システムや、あるいは在宅介護支援システムなどの整備などにその用途を広げることはできないものかどうかということを私は強く感じるわけであります。  以上、三点申し上げましたが、このような制度改革を通じて原子力立地を強力に推し進めなければならないと存じますけれども、これらの点につきまして、大変重要な問題であると思いますが、このような見直しをされる考えがあるかどうか、ぜひ大臣お答えをいただきたいと存じます。
  39. 堀内光雄

    堀内国務大臣 ただいまの御指摘に対しまして、まことにごもっともな御意見だと存じます。  今まで電源三法の交付金制度につきましては、昭和四十九年の制度創設以来、電源立地にかかわる情勢変化等を踏まえて、累次にわたる施策の充実に努めてきたところでございますが、その結果、ただいま先生の御指摘のような非常に複雑なものになってきたということになるかもしれません。  交付金制度地域のニーズを踏まえた利用しやすいものであるべきことは御指摘のとおりだと思いますので、電源立地地域がその特性に応じた自立的な、かつ持続的な発展を図っていくことができるように、今後とも、地域の御要望を踏まえつつ、交付金制度見直しをしっかりと行ってまいりたいと思っております。  残余の問題につきましては、政府委員から御説明を申し上げます。
  40. 奥村裕一

    ○奥村政府委員 お答え申し上げます。  交付金の制度見直しにつきましては、先ほど大臣からお答えいたしましたように、私どもも、その方針に沿いまして不断の見直しを行っているところでございます。特に地元の方々の御要望、御希望というものをまず念頭に置きながら不断の見直しを行っているところでございます。  一例で申し上げますと、この九年度からでございますが、先ほど先生も御指摘がございましたように、最近の高齢化社会に向かう中で、単にインフラの整備ということではございませんで、さらには、建設期間中の交付金というだけではございませんで、運転開始後もそういった資金にこの交付金が回るようにということで、既存の交付金の制度見直しつつ、新たに、例えば原子力発電施設等立地地域長期発展対策交付金というものを設けて、交付金の整備の拡充ということに努めてまいっている所存でございます。
  41. 島津尚純

    島津委員 この交付金制度につきましては、ただいま大臣の方から見直しをするというような明快な御答弁がありましたので、先に参りたいというふうに思います。  現在、電事審の基本問題小委員会でIPPの問題が話し合われておりますが、このIPPの問題につきまして、やはり環境問題という点から質問をさせていただきたいと思います。我が国の電力供給システムの中に新しい競争原理を導入するという意味で、私は、IPPの導入は積極的に拡大すべきであるというふうに思っておるわけであります。小委員会では、このIPPの潜在的供給力がどのくらいあるのかという検討がなされてまいりましたが、先日、この小委員会におきまして、二千五百万キロワットくらいはあるという数字が発表をされておるわけであります。この数字は、我が国電力の総発電量の約一割強という大変大きな数字であります。  申し上げましたように、IPP導入は結構なことでありますが、懸念されますことは環境の問題であります。先ほど、原子力立地の困難さを克服しても推進すべきであるというふうに申し上げてまいったのは、原子力がCO2排出量削減の切り札であるからであります。しかし、このIPPは逆でありまして、すべてが化石燃料による発電となることは間違いないところでありまして、片方ではCO2削減のために原子力を推進する、他方ではコストを引き下げるためにIPPを導入して、その結果CO2の排出量は増加していく、このように矛盾した状況が生まれようとしておるのであります。この政策の整合性について大臣はどのようにお考えになっておられるか、お伺いをいたします。
  42. 堀内光雄

    堀内国務大臣 まことに御指摘のとおりでございまして、現時点の電力料金の高コスト状況というものを改めるという一つのショック療法と申しますか、一つの改定の手段として取り扱っているわけでございますが、これがそのまま将来にわたってCO2問題の解決とのギャップを生ずるようなことになるのではないか、これは私自身も感じておるところでございまして、そういう問題について今盛んに部内においても研究をしているところでございます。申し込みの入札の内容から見ますと一千万キロワットぐらいのものがございますが、現在では三百万キロワットぐらいの入札の中での取り扱いに制限をしているということもその一つのあらわれだというふうに考えていただきたいと思っておりますが、さらに細部にわたりましては、政府委員の方から御説明を申し上げます。
  43. 奥村裕一

    ○奥村政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、既に二回実施されました現行のIPP入札制度におきましては、いずれも募集量を非常に上回る大規模かつ非常に効率的な電源の応募がございまして、発電分野への一層の競争メカニズムの導入によります電力の構造改革推進を図ります上で、非常に効果的に機能しているというふうに考えてございます。  一方、先生指摘のように、今後、現行制度をより推進する上におきまして、CO2の問題等、環境問題との調整というのは極めて重要になってくる課題だというふうに認識をしております。十二月のCOP3の会合で国際的に新たな枠組みが構築されました場合には、今後のIPP制度運用も、これと整合性のとれたものにすべく検討していく必要があるというふうに認識をしております。  したがいまして、私どもといたしましては、この十二月のCOP3の会合も踏まえつつ、必要に応じまして、総合エネルギー調査会の場でございますとか、あるいは電気事業審議会需給部会を開催いたしまして、先生指摘環境問題あるいはエネルギーのベストミックス問題等々への全般的な対応の一環といたしまして、御指摘のIPP制度環境問題についての議論も整理をして、適切な対応をしてまいりたいというふうに考えてございます。
  44. 島津尚純

    島津委員 どうも私が申し上げた政策の整合性について的確な御説明があったとは思いませんけれども、次に行きます。  現在、電力改革の問題は、電事審と行政改革委員会規制緩和委員会で十二月に向かって検討が進められておるわけでありますが、この規制緩和委員会の方ではかなり急進的な改革論議がなされているようでありまして、十月三十一日に行われた電事審の第三回基本政策部会におきまして、規制緩和委員会のエネルギー担当が出席をされて意見を述べられておるのでありますが、その中で、小売の自由化と小売託送の制度化の提言がなされているのであります。  これはかなり急進的な意見でありまして、EUがEU指令によって九九年から一部自由化を始めることが下敷きにある考えではないかというふうに私は思うのであります。我が国は、国情の決定的に相違する欧米と足並みをそろえる必要は全くなく、我が国独自の供給システムの中で欧米並みの電気料金の引き下げをする道を検討すべきであると考えておるのであります。  もし小売の自由化ということになった場合は、想定されますことは、まず、価格の過度な競争のために、イニシアルコストの膨大な原子力の導入というものはとても手がつけられない、考えられない、そして安い化石燃料に集中をしていく、先ほど申されましたエネルギーのベストミックスは壊れてしまう、また、本日論じてまいりました環境問題には大変な影響を与えることになるだろう、そのように考えるわけであります。  この電力改革におきます小売の自由化というような問題に対して、大臣はいかようにお考えか、お伺いをいたします。
  45. 奥村裕一

    ○奥村政府委員 お答え申し上げます。  今後の電気事業のあり方につきましては、現在、電気事業審議会基本政策部会におきまして、聖域を設けず御審議をいただいているところでございます。そういう中で、審議会におきましては、海外におきます電気事業制度改革の実態等も踏まえながら、これまで我が国自身として行ってまいりました例えば特定電気事業制度の導入というようなことも踏まえつつ、先生指摘の小売の自由化問題につきましても、今後検討していく課題の一つというふうに審議をいただいているところでございます。  その際、審議の過程でも、環境問題への配慮でありますとかエネルギーの安定供給の問題でございますとか、こういうものとの整合性、こういう懸念というものが審議会でも出ておりまして、これを十分検討しつつ、審議会での御検討、御結論をいただきたいというふうに考えているところでございます。
  46. 堀内光雄

    堀内国務大臣 なかなか難しい問題なのでございますが、ただいま政府委員からも御説明申し上げましたように、ただいま電気事業審議会でいろいろ検討しているところでございますので、それに対しての先走った発言はちょっと難しいわけでありますが、一部には特定電気事業制度の創設というのがもう既にございます。これは既に一定地域においては小売まで行っているわけなのでありまして、従来の電力の状況というものから考えますと、一歩もう枠は踏み出していることは確かでございます。  また、そういう中で、今、海外における電気事業制度の改革などの実態も踏まえながら、この小売自由化という問題は審議の中でも避けて通れない問題として取り組んでいらっしゃるというふうに考えておりますが、こういう問題を私自身も今大いに研究をしながら取り組みをいたしておるところでございますということを申し上げさせていただきます。
  47. 島津尚純

    島津委員 余り満足できるお話ではなかったわけでありますが、時間が迫っておりますので、最後の問題に行かせていただきたいと思います。  来月の一日から京都で開催されますCOP3の対応について、お伺いをいたしたいと思います。  このCOP3の対応につきましては、通産省はどうもアクセルではなくてブレーキ役だというふうに見られておるのであります。本日の工場立地法も、活発な産業活動の中でいかに環境保全していくかということが目的の法律でありますが、通産省も今日まで環境問題には大変熱心に取り組んできたわけでありますので、このブレーキ役という汚名を払拭するためにも、COP3に対しまして大臣の強い指導力というものを発揮していただきたいということをお願いを申す次第であります。  さきに発表された議長国である日本の政府案は、二〇〇八年から二〇一二年までの間にCO2の平均排出量を九〇年に比べて五%削減するというものでありますが、実質は先進国全体で約三・二%の削減にしかならないというようなことで、その数値目標の低さに各国から失望感が広がっているという状態であります。この政府案を決定する過程において、通産省の〇%と環境庁の五%との綱引きがあったとも聞いておるのであります。  少なくとも、各国の今日までの取り組みに応じて五%から一〇%の間で差異化を設ける、そのような数値目標を設定することはできないのか、あるいは炭素税についても、中期的な課題として先進国が同時期に足並みをそろえて導入するというような、そういう検討はできないのか。そうすることによって、途上国に範を示して、途上国にもいずれ削減の義務化を図っていくというような提案、もう少し積極的な提案というものはできないものかどうか。このようなことで、COP3についての大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。
  48. 堀内光雄

    堀内国務大臣 私から総括的な御答弁を申し上げまして、また後、政府委員からの補足の説明を、数字にわたっての御説明を申し上げたいと思います。  基本的に申し上げますと、今度のCOP3の対象となる国々を眺めますと、一つはアメリカがございます。アメリカの場合、一九九〇年レベルに戻す、それ以前はなかなか厳しい状態でございましたが、いろいろの折衝の結果、九〇年にまで落としていくということを発表いたしております。  一方では、EUの方におきましては一五%というような数字を出されておりますが、これはEU全体をまとめての数字でありまして、あるいはドイツだとかイギリスにおいては、それこそ東ドイツを含めたドイツにおいては、今までの東ドイツの石炭を石油にかえる、あるいは原子力にかえるような問題において、大変大きな余裕を持っている。イギリスにおいてもそのとおりであります。しかし、フランスにおいては、もう原子力で精いっぱいやっておるので、これはもうゼロ、一歩もマイナスはできないというような意見も出ておりますし、ギリシャにおいては約三〇%増になるというようなところも出ておりまして、EU全体を合わせてまいりますと、なかなかこれは、どこがどれだけの責任を持ってこれに対応するかというようなことがはっきりいたしておりません。  そういうところのEUの問題、アメリカの問題、あるいはもう一つは途上国の問題。途上国の問題におきましては、今度のCOP3においては制限をはめないということに今までベルリン・マンデートでなっておりますので、これをどういうぐあいに今度の京都会議の以降において将来に向かっての枠をつくるかというような問題、こういうような問題がいろいろ含まれてまいりまして、なかなか厳しい、難しい問題ということになっております。  日本の場合は、極端に言いますと、産業界においては、それこそ今までタオルの水を絞りに絞るぐらい徹底して省エネをやっておりますから、世界的に見て一番先進国ではないかというふうに思っております。そういう中でもさらに削減をするような努力をする、これにはそれこそ大変な技術開発を行わなければできない。石炭を電気にといっても、鉄鋼のようなものはそれこそコークスを使わなければできないわけでありますから、そのコークスを使いながら、さらにそれをもう一回乾留をさせてエネルギーに変えるというような努力、これには大体三兆円ぐらいの金がかかるのじゃないかというような話もございます。  いろいろと産業部門において努力をすることをお願いをしたり、指示をいたしたりしておりますが、運輸部門、民生部門、こういうものを含めて全部を考えますと、現在、既に一九九〇年レベルを、ずっとふえているものを約七%も下げなければならぬということになりますと、絞りに絞った手ぬぐいをさらに絞らなければならぬということでございまして、そういう数字の積み重ねの中で、できる最大限の、さらにそれでもなおかつ難しい数字を出したということでございまして、環境庁との間に通産省がいろいろと争いがあったり意見の相違があったりということは、今のところ全くございませんので、それはひとつ御理解をいただきたいと存じております。  最大限の努力の結果、今、五%を一つの数字として、各国の人口増加率だとかGDPの一人当たりの問題だとか、そういうものを含めてそれぞれの国がマイナスの数字を出す、そういう提案をいたしているところでございまして、そういう最大の努力をしていることについて、また大変厳しい問題であるということを含めて御理解を賜りたいと思っておるところでございます。  以下、政府委員から申し上げます。
  49. 岡本巖

    岡本政府委員 ただいま大臣から詳しく御答弁申し上げましたが、簡単に補足をさせていただきます。  日本の今回の提案、基準削減率五%、差異化の提案によって日本は二・五ということでございますが、先ほど来の先生のお尋ねの中にありましたように、日本の今回の対策と申しますのは、供給サイドで原子力を二十基ふやして七千五十万まで持っていく、あるいは新エネルギーを現在の約三倍の石油換算千九百十万キロリットルまで持っていくという、いずれも供給サイドで大変野心的な目標が達成できるということを前提に、他方で、エネルギーの需要サイドで、約四億キロリットル弱の最終エネルギー消費がある中で五千六百万キロリットルの省エネを二〇一〇年時点でやるということでございますが、御案内のように、今現在、日本のGDP、国民総生産当たりのエネルギーの消費量というのは、アメリカの三分の一、ヨーロッパの二分の一ということで、世界の最高水準にあるわけですが、先ほど大臣御答弁でもおっしゃっていました、乾いたぞうきんをさらに絞るという省エネをやって五千六百万のものをやるという、その両方でやるということでございますので、実は私ども大変厳しいものだというふうに、その実現はなかなか容易でないというぐらいに考えております。  今回の日本の提案に対して、ヨーロッパは十分でないのじゃないかということを言いますが、他方で、アメリカや豪州はきつ過ぎてとてもついていけないということを主張しておるのが実情でございます。  そのヨーロッパは、先ほど先生の御質問の中にありましたように、電気事業で大変な民営化、規制緩和が進む。EU統一指令に基づいて、ドイツなんかも、一番高い電気料金を下げなきゃいかぬということで、六割を占めている石炭火力を今一生懸命天然ガスに転換するということをやっているわけですが、日本並みの石炭火力の比率にドイツ、イギリスがもし下がるとすれば、今回日本がやろうとしている六千万トンのCO2削減というのはそれだけでもっても達成できるほどに、九〇年時点における彼らのエネルギーの供給構造というのはCO2がたくさんできるという、それで枠を大きくとって、そこを発射台にして需要を下げるという提案でございますので、私どもは、日本が今考えている提案はヨーロッパに比較しても何ら遜色のない提案だと考えておりまして、現に一人当たりの温室効果ガスの排出量ということでは、仮に今ドイツが主張しています二五%削減、イギリスが言っています一〇%削減を彼ら両国がやった後の一人当たりの温室効果ガスの排出量というのは、日本よりもなお多いという状況でございまして、そういう意味から……
  50. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 質疑時間を過ぎておりますので、簡潔にお願いをいたします。
  51. 岡本巖

    岡本政府委員 済みません。  日本の提案は、私どもの説明が不十分なところはありますが、十分世界に向けて主張していける提案だというふうに考えているところでございます。
  52. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 質疑時間、終了いたしましたので。
  53. 島津尚純

    島津委員 産業活動と環境保全という問題に対しまして、長い間御苦労されてきた通産省であります。ですから、今後、この環境問題につきましても、ぜひ通産大臣の積極的な指導力というものをお願い申し上げ、質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  54. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 次に、生方幸夫君。
  55. 生方幸夫

    ○生方委員 工場立地法の一部を改正する法律案について、まず大臣にお伺いしたいと思います。  地方分権推進するために、今国にある緑地整備権限というのを地方に移すという基本的な考え方については、私の方ももちろん異存はございません。  この法律について細かいところでちょっとお伺いしたいのですが、大規模な工場については、現在一律二〇%以上というふうに決められている緑地を、地方自治体の判断によって一五%から二五%以上に変えることができるという法案でございます。もちろん、趣旨としては、緑地を多くとって環境整備しようということであるというふうには思うのですが、地方自治体の判断によって一五%という下限にもし張りついたとすると、現行二〇%以上であるのにもかかわらず、法律ができたことによって一五%になってしまって、環境がより悪化してしまうというような懸念もされるわけです。  この辺、一五%というのはどういう場合には一五%であって、そうでない場合は、一般的にはこうであるというような基準大臣としてはどのようにお考えになっているのか、そこからお伺いしたいと思います。
  56. 堀内光雄

    堀内国務大臣 ただいま先生のお話のように、今まで国ですべて一律に定めていた緑地面積地方公共団体に任せて、独自の緑地面積率設定できるようにしようということでございまして、国では上限下限基準を定めると同時に、独自の緑地面積率を定めるに当たっての考え方を明示しようということにしております。  具体的には、緑地面積引き下げができる区域については、工業系用途地域の中でも住民生活環境に及ぼす影響が小さい区域に限定をするということでありますし、適切な緑地整備が図られるように配慮をするということになっております。  また、地方公共団体は、土地の利用状況だとか環境保全状況地域実情を総合的に勘案をしてもらいまして、緑地面積等基準条例制定することになりますので、議会の議決が必要になってまいります。地域環境を一方的に後退させるような設定が行われないように考えているところでございます。  なお、古くから形成されてきた工業集積地については、建てかえると今までの法律緑地面積の制限があって、建てかえ、増築が行われないというために、緑地規制が適用されていない面が随分ございました。現在でも緑地面積が数%にとどまっているところがあるわけでございますから、こうした地域立地をする工場に対して、より現実的な目標値を設定することによって、建てかえが進んだり、結果として現状より緑地整備が進むことになるのではないかと考えております。  また、さらに具体的な問題につきましては、政府委員の方から御説明を申し上げます。
  57. 岡本巖

    岡本政府委員 ただいま大臣から御答弁申し上げましたように、どういう地域で従来の二〇%に加えて二五%という上限を引き上げるか、あるいは下方へ引き下げるかということについて、用途地域というものをベースにしながら、工業専用地域でありますとかあるいは工業地域、それで森林でありますとか、港湾でありますとか、運河でありますとか、そういう周辺住民方々生活環境に著しい影響を及ぼすようなおそれがないようなそういう地域というのを我々お示しをする。それから他方で、引き上げるというのはこういう地域だということをお示しをする。そのことと、それから、先ほど大臣の御答弁にございましたように、県の条例制定、そのための議会の中で、環境問題にも十分配慮した各地域での地域準則策定が行われるものというふうに私ども期待しているところでございます。
  58. 生方幸夫

    ○生方委員 工業集合地特例制度の導入というのがございますね、これで住宅等々の間に敷地外緑地をつくって、それも算入していいというようなことがございますが、この敷地外緑地を認めた場合、このパーセンテージは一五よりもっと低くなるということがあり得るのかどうかというのを一点お伺いしたいのです。
  59. 岡本巖

    岡本政府委員 工業集合地特例を認められる場合におきましても、この地域準則をさらに下回るということを特例として認める考えはございません。
  60. 生方幸夫

    ○生方委員 大臣にお伺いしたいのですが、この工場立地法関係の法案は大規模な工場というものに限られているわけですが、私どもが考えるに、中小企業が住宅地に点在しているところ、そういうところこそ、まさに緑地の問題とか環境の問題、騒音の問題を含めていろいろな問題があるのではないか。したがって、中小企業も何とか緑地整備するように考えた方がいいのではないか。  そこで、一つ考え方なんですけれども、今金融機関の不良債権の問題が非常に問題になっております。私の考えなんですけれども、土地を一括して例えば国が買い上げる。ある程度の規模を維持して、そこに中小企業の方たちに集まっていただくような、大規模な工業団地ということになれば大企業に限られますが、そうではないある程度の規模のそういう工業団地というものをつくって、そこへ中小企業の方たちに集まっていただいて緑地整備したり環境整備するということを行えば、中小企業が移ってくることによる経済効果もあるでしょうし、異業種交流がそこの中で進むということもあるし、環境整備されることもあって都市開発にも有効ではないかというような、もちろん景気対策にも役立つのではないかというような感じがいたすのですが、大臣としての私の今のアイデアに対する感想をお伺いしたいのです。
  61. 堀内光雄

    堀内国務大臣 一つの御提案として傾聴をさせていただきたいと思っておりますが、今度の法案の三千平米以上または敷地面積九千平米以上によってカバーできる工場は、総敷地面積全国工場の約九割に達するところから、緑地整備の実効を上げる上で、今のところこういう立地法が効果が上がるだろうということは言われておりますが、中小企業についての御指摘については、確かに中小企業工場立地整備について、法律により義務づけることは企業の負担を考えると慎重を要することだろうというふうに考えております。しかし、中小企業を含めまして緑地整備が進められることは望ましいことだというふうに思いますので、今の先生の御提案なども含めまして、政府としてしかるべき支援の推奨というようなものを進めてまいりたいというふうに思っております。  具体的には、工場立地準則で想定をされている緑地環境施設の設置に要する費用を対象とした中小企業金融公庫による低利融資の制度だとか、緑地環境施設整備の用に供せられる土地にかかる地価税の軽減措置だとかいうような中小企業を含めた特定工場以外の事業者に対する緑地整備を促す支援策なども、いろいろ研究はいたしているところでございます。
  62. 生方幸夫

    ○生方委員 ただ単に緑地整備しろということになると、これはもうかる話ではございませんから、なかなか中小企業も手を出せないと思うのですけれども、工場を移転するということとかを含めれば、設備投資を含めて新たな事業展開ということも考えられるわけで、その辺は政府の融資等も含めて御配慮いただけたらというふうに思います。  今のと関連をいたしますが、きょうの午後、政府としての景気対策が発表されるということですが、景気現状、足踏みどころの状態ではないというふうに私は考えておるのですが、町を歩いていろいろな人の意見を聞きますと、もう後退局面に入ったのではないかというようなのが一般国民考えでいるところでございます。  経済企画庁長官にお話をお伺いしたがったのですが、きょうおいでにならないということで政務次官にお伺いしたいのですが、景気の現況、この間の経企庁の発表では、まだ足踏み状態という判断でございます。この判断が足踏みであるのか悪化しているのかということによって、対策は当然変わってくると思うのですが、足踏みという判断でもし本日の景気対策が出されるとすれば、非常に中途半端なものにならざるを得ない。これが後退、非常に厳しい局面であるというような認識があれば、それなりの対策というものが打てると思うのですが、まず現状景気、この間の判断から、その判断が出された後、きのうの拓銀の倒産というようなこともございましたので、御判断に変化があったのかどうか、そこからまず最初にお伺いしたいのです。
  63. 栗本慎一郎

    ○栗本政府委員 日本経済現状につき御心配を賜りまして、まことにありがとうございます。  経済企画庁といたしましては、今お取り上げになった月例報告の中で、それまでのところ「回復テンポは緩やかである。」緩やかだけれども回復テンポがあるとなっていたのを、停滞している。それから、一応進んでいるというのを「一進一退」、「退」を入れました。さらに、政策態度のところで、これまでは「規制緩和をはじめとした各種経済構造改革を推進する。」と一般的な旗を立てていたわけでありますけれども、「策定する」といたしました。その策定が、きょうの午後発表される、一部既にある程度のところ報道されております、そういうことになります。  それで、御質問の趣旨は、私、テレビや自分の選挙区の、特に商店街の方等から伺っております、本当に厳しいのじゃないか、一進一退、足踏みじゃないのじゃないか、それはよくわかります。けれども、実は業種ごとの差が物すごく大きく出ておりまして、トータルでいった場合に、例えば史上最高の収益を上げているチェーンストアがあるとする。ところが、それを含めまして全体はマイナスが四%。これは店舗調整前でしたら〇・八%、店舗調整前の方が現実の消費の数字が出るわけです。〇・八%だけれども、おれのところはもっとひどいよ、こういう声だろうと思うのです。  これは構造変化途中の問題でありまして、あくまでも、全体を見ますと、例えば個人消費は、何と九月トータルでいいますと二・六%の増、個人消費に関しまして十個ほど統計項目がありますけれども、勝敗率をとりましたら六勝四敗なんです。その中で、雇用者数は伸びており、一人当たり現金給与総額もふえている。  さらに、このところ、私も評論家でございますし、先生も評論家で御活躍になってよくわかっていると思いますけれども、本来経済の動向は、鉱工業生産指数というふうなところとか個人消費のところは重要ですけれども、マネーサプライもまた重要だと言ってきたのが数年前の経済学で最も理論の中心としたところじゃございませんでしょうか。マネーサプライを全然だれも言わないで、オオカミ少年のように引きだ、引きだと言っている評論家がたくさん目立ちましたけれども、マネーサプライはふえているのであります。ふえ方が今三%ですが、これが六%、七%になるといいと思いますけれども、三%前後でここまで来ている。  したがって、堅調な部分があることは間違いがないという意味で一進一退というふうに、もちろん心配していないとかそういうことでは全くございません。今申し上げましたように、業種間の格差は、ある意味で悪いところが物すごく悪くなっている、本当に対策を立てなければいけない、そういうことになっているかと思っています。
  64. 生方幸夫

    ○生方委員 数字からいえば確かにそういうことだと思うのですけれども、全国民がそうでないというふうに判断しているのは、景気の先行きというのですか、今後の日本の経済というものをなかなか日本国民が楽観視していない、これが景気判断に非常に大きな影響を与えているのじゃないかというふうに思っております。  したがって、抜本的に日本の景気をこれからよくするということになってくれば、やはり不良債権の問題をどうするのかということに対して政府がきちんとした方針というものを出して、国民が納得をすれば、ああ、これでこういうことになるんだなということで、ある程度消費にも弾みがっくのじゃないか。  また、財政改革、もちろんこれはやらなければいけないことではございますが、どのようにやっていくのか、それと景気との関連はどうなっていくのかということに対して政府がきちんとした方針というものを出して、ああ、これならば財政改革と同時に景気対策も打てるんだなというようなことが明らかになってくれば、見通しが変わってくると思うのですが、その辺が非常にはっきりしないのじゃないかというふうに私は思っております。  したがって、まず第一点、不良債権の問題、これは大蔵大臣に聞かなければいけない問題かとも思うのですが、経済企画庁としては不良債権の問題についてどのように対処をしていけば景気に明るい見通しが出てくるのかということを、まずお伺いしたいのです。
  65. 栗本慎一郎

    ○栗本政府委員 不良債権の問題に関しましては、金融ビッグバンを目指しての現在の金融対策でございますので、また、喫緊のもの、直近のものはきょうの午後出されるということで、逃げるわけじゃございませんが、その中でやっていくしかないだろうということでございます。  それから、政府の姿勢に対する信頼感といいますか、消費者の立場からいいますと、コンフィデンスという、これについては私はやはり若干PR不足で理解をいただいていない。先ほど申し上げた数字等でも、六勝四敗だと聞いたらびっくりされる方が多分いられると思うのですけれども、その辺に関して、余りにオオカミ少年的にならないようにという意味のPRが、やはり国民の皆さんに対する対話が足りないということは私も考えております。  ただ、金融問題に関しまして、立場上も、時間的にもちょっと深くお答えできないのは非常に申しわけございませんが、その他の点、例えば所得減税をすればという、財政も厳しいけれども、景気が危機的だから所得減税をしなければいけないという御指摘ですね。先ほど申し上げましたように、今ここで、マネーサプライも伸びている、その他、非常にまずい部分もあるけれども、しっかりしている部分もある中でそれをやったら、それこそ世界の物笑いになると思います。  日本売りという話もございましたが、ことしの元旦、日本経済新聞が完全にそれは事実のように書きましたけれども、一月中、日本は売られておりませんでした。日本の投資家が売っておりました。  したがいまして、もう少しきちんと見た場合に、所得税等も、減税は消費の下支えをするのは間違いがない、マイナスになるということはないと思っておりますけれども、一九九四年から今日に至るまで恒久減税が三兆五千億、特別減税が九兆五千億ございました。そして、それぞれ年の節目があるわけですけれども、九四年にその特別減税五・五兆やったとき、翌四半期は消費性向が上がりました。その後は下がりました。一年とりますと、消費性向自体が下がっております。したがって、これはもっと下がるのを支えたのかもしれないということですけれども、いわゆる特効薬ではないということが言えるのではないかと思っております。
  66. 生方幸夫

    ○生方委員 きのうの拓銀の倒産ということを受けて、株価が上がったわけですよね。本来であれば、都銀がつぶれるというような非常事態ですから、株価が下がって当然なのに、株価が史上何位かの勢いで上がってしまうということは、これは政府がきちんと公的な資金を導入するのではないかというふうなことを市場がまず組み込んでそういう反応をしたと思うのですね。日銀特融がなされておりますが、これがどういう形で最終的に決着するのかという筋道を示していかなければいけない。示すことによってはまた大きな反落ということも考えられるわけで、これは大蔵大臣に聞かなければいけない問題ですが、現在の景気状況、通産大臣としてはどのようにおとりになっているのか、お伺いしたいのです。
  67. 堀内光雄

    堀内国務大臣 ただいま経済企画庁の政務次官からも御答弁がございました。基本的には全く同じでございます。  個人消費は、消費税率の引き上げの反動などによって落ち込みからの回復がおくれている、これは確かでございます。また、住宅建設につきましては、昨年の駆け込みがございました。そういう意味で、消費税率の引き上げの反動減で、これも引き続き落ち込んでいることは確かであります。一方では、自動車だとか家電など一部の業種で生産調整も始まっているということもございますので、景気は足踏み状態ということが確かなところだろうと思います。  しかし、稼働率の指数だとか、こういうものは堅調になっておりますし、企業収益は改善されてきておりまして、それを背景としての設備投資も総体として緩やかな回復を行っているわけでありますから、景気が後退局面にあるとは判断をいたしておりません。  しかしながら、最近の景況を眺めてまいりますと、非常にばらつきがございます。生産業の大企業あるいは非生産業の中小企業、この二つを比較すれば大変なギャップがあって、中小企業においてはもう大変な冷え込みだということがございます。そういう意味で、これにしっかりと対応しなければならぬということは、これは確かだというふうに思っております。  そういう意味合いから、きょうの政府経済対策を取りまとめることにいたしておりますが、中小企業対策をしっかりとした対策を行いながら、少しでも、先ほど先生のお話のようなマインドの問題ですね、将来に向かってのはっきりとした展望が開ける、不透明な状態から脱却をするようなためのマインドを、企業家、消費者ともに、中小企業も含めましてマインドを強くさせるというような問題に力を入れて取り組んでまいりたいと思っております。
  68. 生方幸夫

    ○生方委員 自民党さんも一次、二次、三次という景気対策を打ち出すようでございますが、やはり小出しに少しずつ政策を出すのではなくて、大きな展望をまず示すことが私は大事じゃないかというふうに考えております。今度の株価の上昇なんかも、来年度に向けてきっと財政資金が景気対策のために投入されるのではないかというようなことを織り込んで上がっている部分があるわけで、これが仮に来年度そういうことがなされないというようなことになれば、その反動も非常に大きいと思いますので、ぜひとも、手を打つのであれば早目に大きく手を打たないと、小出しにして、幾らトータルとしては大きくなったとしても効果は非常に小さい、そうであれば、前倒しで大きく実施した方がより大きな効果が得られるのではないかというふうに私の意見を述べさせていただきます。  次に移りますが、財政改革との絡みで、これから二十一世紀に向けて少子・高齢化が進んでいく、日本経済の活力がだんだんなくなっていく中で、どのようにしたら国民が幸せな生活を続けていられるのかというのが、財政構造改革論議の中で中心の課題になってまいりました。高齢化するという問題については、これはとどめようがないわけでございます。また、少子化についても、合計特殊出生率が今一・四三ですか、一・四三が、急に二十一世紀になったら二になるというふうなことも考えられないわけで、少子・高齢化ということ自体は、これは避けられないのだと思いますね。  そうなりますと、若者何人でお年寄り何人を支えなければいけないのかという論議になってきて、どうしても負担が大きくなる社会で、社会が活性化しなくなってしまうという、ある意味ではしようがないのですが、非常に暗い論議になってしまいがちでございます。そこで、私が考えるのは、やはり海外からの労働者という人たちに対する規制というのをもっと大規模に緩和をする必要があるのではないかと。  例えばアメリカ経済などを見ていますと、もちろんアメリカの白人の方たちの出生率というのはそんなに高くはないのですが、移民の方たちの出生率が高いということで、アメリカ全体としては二を上回るというような形になっているというふうに統計上はあらわれております。今、日本にも、日本で働きたいという海外からの希望はたくさんあるのですが、いろいろな規制があって自由に入ってくるわけにはいかないようになっているわけです。これで例えば二十一世紀のある時期に、労働人口が足りなくなったから、もう外国人労働者を開放しますから来てくださいというふうに言っても、なかなかその時点で、では行きましょうと、今まで来てくれるなと言っていたのに、今度は来てくれと言ったら行きましょうということにはなかなかならないと思うのです。  私は、もちろん治安上の問題とか失業の問題とかを含めて、一遍に全面的に開放するというのは、これは不可能ではございましょうけれども、やはり少子・高齢化対策という点からも、海外からの労働者をもっと広く受け入れるような方策、方針というのを今から出しておけば、ある時期において日本の経済が非常に不活性になるということを防げると思うのですが、大臣、この辺いかがでございましょうか。
  69. 堀内光雄

    堀内国務大臣 外国人労働者の受け入れについてはなかなかいろいろな御意見がございまして、慎重に取り扱わなければならない問題だと思っておりますが、平成七年の十二月に閣議決定されました第八次雇用対策基本計画におきましては、我が国の経済社会の活性化や国際化を図る観点から、専門的、技術的分野の労働者は可能な限り受け入れることとするが、いわゆる単純労働者の受け入れについては、雇用機会が不足をしている高年齢者等への圧迫あるいは我が国の経済社会に広範な影響が懸念されることから、十分慎重に対応するという閣議決定がなされているわけであります。  こうした考え方に基づいて、入国管理局において入国審査を行っているわけでありますが、発展途上国の経済発展の基盤整備に資するという観点から、通産省、法務省、労働省などの連携のもとに、外国人技能実習制度により、一定の職種について期間を限った上での研修生や技能実習生の受け入れを大いにできるようにしよう、拡大しようということで取り組みを行っているところであります。  本制度につきましては、今年度から一部改正をいたしまして、一部の職種に限っては、研修、技能実習を合わせて最長二年から三年に延長をいたしました。今後、必要に応じてその要件の緩和を検討していこうということになっているところでありまして、そういうように、逐次、外国人労働者に対する問題点というものの取り組みをいたしておりますが、その緩和の問題についてはなお慎重にならなければならない面もございますので、その点は御理解を賜りたいと思っております。
  70. 生方幸夫

    ○生方委員 シリコンバレーなどを見ますと、たくさんベンチャー企業が起きているわけで、私も何回もその辺を訪れておるのですけれども、たくさんのいろいろな人種の方たちが集まっているわけですね。アジアの方もいるし、ヨーロッパの方もいるし、アメリカの方もいる。そういう中で論議がいろいろなされる中で、いろいろなアイデアが出てきて、ベンチャー企業が起きてくる。  今の日本の政府考え方ですと、専門的な知識を持った方とか技術を持った方とかといって、まあいわば玉の部分だけ入れて、来てください、石は要りませんよというのではやはりだめなわけで、玉石混交で来る中に、石の中にも磨けば光る方もいるというような形で、最初から入り口で差別をしてしまうというか、区別をしてしまうのじゃなくて、まず間口全体を広げて、いろいろな方に来ていただく。その中で、日本国内であるいはその専門的な知識が非常に生かされる方もいらっしゃるでしょうし、技術が花開くという方もいらっしゃると思いますので、まずその間口全体を、最初から区切ってしまうのじゃなくて、広げるということをやることが、ベンチャー企業の育成という意味からも私は非常に大事な観点だと思うのですけれども、大臣、いかがでしょうか。
  71. 杉山秀二

    ○杉山政府委員 お答え申し上げます。  先ほど大臣から御説明申し上げましたとおり、専門的、技術的分野、具体的に申し上げますと、研究だとか技術だとか、そういうふうな人材については、現在積極的に受け入れるということでやっております。  それから、研修、実習につきましても、既に毎年、実習の方でいきますと三千人以上の規模で受け入れておりまして、先ほど大臣から申し上げましたとおり、実習の長い期間、三年の分野につきましても広げているということで、できる限りのことではそういった配慮はしていきたいと思っております。  ただ、単純労働者につきましては、先ほど大臣からお答え申し上げましたとおり、治安の面とか、社会全体にいろいろな影響を及ぼす点がございますので、一般的なコンセンサスを得ながら慎重に対応していくということでございます。
  72. 生方幸夫

    ○生方委員 栗本次官、せっかくお越しになっているので、今の外国人労働者、もう少し間口を広めて、次官の御自身のお考え方で結構でございますから、お考え方をお伺いしたいのです。
  73. 栗本慎一郎

    ○栗本政府委員 もう評論家じゃございませんで、ちょっと、個人の意見、ないわけではございませんが、立場上申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、(生方委員日本経済活性化という意味で」と呼ぶ)日本経済活性化という一般的な論点から申し上げますと、それはそこを非常に緩めること、同じく、ことしの国民生活白書で出しましたけれども、女性に対する、一応形の上では日本は男女平等労働という形になっておりますけれども、さまざまの慣行的あるいは、細かく見ますと実質的なバリアが存在しております。この外国人労働者及び女性の労働力を活用すると、トータルで二十数兆円の経済効果があるはずだという試算もございます。二十数兆円がたとえ十兆円であっても非常に大きなものだと思っておりますので、社会に混乱の起きない形ならどんどん進めていくべきなのだろうというように考えております。
  74. 生方幸夫

    ○生方委員 これで質問を終わります。ありがとうございました。
  75. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 次に、大森猛君。
  76. 大森猛

    ○大森委員 日本共産党の大森猛でございます。  最初に大臣に、本改正法案の本法工場立地法制定背景及び立法趣旨等についての大臣認識について、まずお伺いしたいと思います。
  77. 堀内光雄

    堀内国務大臣 本法案の改正のもとになりました工場立地法というものを考えますと、昭和四十年代後半の公害問題の深刻化に伴いまして、事業者は、工場立地に際して、公害だとか災害等の防止に万全を期することはもちろんのこと、工場の緑化等を進めて、積極的に地域環境づくりに貢献することが求められるようになったところから始められておりまして、また、四日市公害訴訟の判決においても、事業者がみずからの事業活動が周辺環境に及ぼす影響について立地段階から注意をする義務を与えられたというのが、基本の法の精神でございましす。  このような状況下で、立地段階から工場周辺地域生活環境との調和を図るということによりまして、工場立地環境保全を図りながら適正に行われるルールをつくるという観点から、昭和四十八年にこの御審議をいただいております工場立地調査等に関する法律というものが改正をされて、特定工場に対しては二〇%以上の緑地整備義務づけるということになったわけであります。そういう意味で、この法律は基本的な考えとしては、公害を防止し、地域生活環境を安定させるということから始まっているものであります。  この工場立地法施行によりまして、特定工場緑地面積率全国平均は、法施行前の昭和四十八年の五・八%から平成八年の一四・三%へと二倍以上改善をされてきておりますので、そういう意味での整備推進に果たしてきた役割は大きいだろうというふうに思っております。  しかし、いろいろな地域の中において、工場自体の環境整備などがだんだん成果を上げてまいりまして、今までの、当時の環境工場の排出される公害量の条件というようなものからは相当大きな改善を図られていることはもちろんでございますし、また内容的に、各地において、それぞれの都道府県において、今の一律な問題ということに対しての苦情が、あるいは緩和すべきだというような御意見も出てまいりまして、そういうものを勘案しながら、この法律についての取り組みを始めたということでございます。
  78. 大森猛

    ○大森委員 おっしゃるように、工場立地法成立は一九七三年、昭和四十八年ですが、もうちょっとリアルに申し上げますと、その前年に、一九七二年七月二十四日、四大公害裁判の一つ、四日市公害裁判訴訟の判決がありました。ここで大企業の社会的責任、工業開発における周辺環境との調和保全義務と責任、これが厳しく指摘をされたわけであります。  七〇年代前半といえば、日本列島改造論、その華々しいころでありますけれども、それだけにこの判決は、当時の田中内閣、政府にとって大変衝撃的な判決で、これも判決の翌日に、田中首相が通産省を初め関係省庁の事務次官を首相官邸に招集をして、この工場立地法の検討を指示をしたと、当時の新聞にも大きくこれは報道されているわけであります。  つまり、この工場立地法制定というのは、一方では、日本列島改造論に裏打ちされた全国的な大々的な工業開発、一方では、全国に広がる公害や環境破壊に対する大きな怒り、その相反する矛盾を調整する、そういう役割を持つ法案として誕生したということが言えるのではないかと思います。  以来二十五年たったわけでありますけれども、あれほど厳しく指摘をされたこの企業の社会的責任、とりわけ大企業というのが、その社会的責任を、あるいは地域の貢献を、法律とかあるいは裁判の判決、こういう強制がない限りはみずから好んで進んでやるものではないということも私ははっきり見えたのではないかと思います。  その具体的な事例として、例えば工場立地法の原点とも言える四日市のコンビナート、つい最近情報開示されたわけですが、当時の被告大企業、大手十社だけで緑地率が発表されました。それによると、十社のうち二五%以上が二社だけ、五社が一けた台、中には五%なんという企業もある。全体として中部の臨海部約一〇%ということで、ほとんど見るべき、新増設は別として、全体として前進がないということが言えるわけですね。  加えて、もう一つ言えば、この四日市公害裁判と同様、大気汚染など企業責任が問われた川崎公害裁判、こちらの方も四日市公害裁判の判決以来二十数年たったわけでありますけれども、わずか十カ月前、つい最近までその企業責任を認めようとせず、争ってきたわけです。  そういう意味で、今規制緩和が大流行しているわけでありますけれども、四日市公害裁判を初め、数々の公害や薬害裁判などで指摘されてきた企業の社会的責任があいまいにされていくということに強い危惧を持つ、これは私だけではないと思うわけです。今回の改正案の提起の中で、この四日市公害裁判あるいは川崎公害裁判に携わってこられた住民あるいは弁護団の皆さんが強い危惧の声を寄せられているのも、当然のことだと思うわけであります。  今回の改正案も、生産施設面積率環境緑地率の緩和ということで大企業の社会的な責任が不問に付されるのじゃないか、あいまいにされる重大な問題がある、こういう視点で具体的に幾つかお聞きをしたいと思います。  まず、法案第四条、工業集合地特例制度を導入することとなっておりますけれども、この対象地域、これは京浜工業地帯など、臨海部をまず最初にイメージされているのじゃないかと思いますが、この点どうでしょうか。
  79. 並木徹

    並木政府委員 お答え申し上げます。  今委員指摘工業集合地特例適用の問題でございますけれども、法律上想定しておりますのは工業集合地でありまして、隣接の緑地が計画的に整備されることによりまして周辺地域生活環境の改善に寄与するというものが想定される地域でございます。  御質問の、集合地の特例がどの地域に認められるかという点でございますけれども、この点につきましては、工場立地法、今回の改正の後、届け出の受理でございますとか、あるいはその後のいわゆる勧告とか是正措置等々の権限都道府県地方公共団体にゆだねられるということでございますので、現時点で私どもの方で具体的な地域名等をお示しすることは難しゅうございますけれども、今御発言ございました、例えば臨海工業地ということにつきまして、先ほど申し上げましたように、法律上の要件を満たせばこの特例が適用される候補地にはもちろんなり得ると考えておるところでもございますし、また、臨海工業地帯にございます地方公共団体からこの特例の導入について要望が提出されておるということも、参考のためお話しさせていただくところでございます。
  80. 大森猛

    ○大森委員 国土庁に伺いますけれども、一九九四年九月、京浜臨海部再編整備構想調査委員会報告書、これが神奈川県、川崎市、横浜市等で発表されていると思うのですが、この計画の基本的な考え方、概要及びその進捗状況、ごく簡潔にお答えをいただきたいと思います。
  81. 鈴村秀世

    ○鈴村説明員 お答えいたします。  京浜臨海部は、京浜工業地帯の中核としまして、我が国の産業、経済の発展を支えてきた地域でございますが、近年の産業構造の変化等によりまして、今後は地域構造が大きく変化することが予想されております。  そういう状況の中で、私どもとしましては、平成二年から三年にかけて、また平成四年度から五年度にかけて、関係省庁また関係公共団体とともにこの地域の実態の調査をいたしまして、広域的な位置づけを踏まえた将来像について検討してきたところでございます。その中では、産業機能の高度化でありますとか、既成市街地に隣接する地区の複合的な土地利用への再編でございますとか、また居住機能の充実、環境の改善、防災性の向上等の基本的な方針を提案しておるところでございます。
  82. 大森猛

    ○大森委員 京浜臨海部、これは日本の大企業、ひいては日本経済のいわば生産拠点として百年を超える歴史を持っているわけでありますけれども、埋め立てられた広大な自然の海浜はほとんど大企業によって占有され、事実上、市民が締め出されたような、そういう形になっているわけです。  その京浜臨海部が、大企業みずからの身勝手な行動やリストラと土地の切り売りによって深刻な空洞化が進んでいる。例えば神奈川県の調べでは、この地域の八社だけで約二百七十ヘクタールもの遊休地が生まれています。その内訳は、NKK、日本鋼管が百七十ヘクタール、コスモ石油が三十三ヘクタール、コマツが十ヘクタールなどとなっているわけでありますけれども、こういう深刻な事態。  国土庁の答弁ありましたけれども、私は指摘をしなければならないのは、今進められている再編整備構想、実際にその下絵をかいているのがこういうNKKなどの京浜地域の大企業自身ではないかということです。例えば、京浜六社から成るベイエリア研究会、これで再編構想をたびたび打ち出しておりますけれども、この研究会の座長をされているのが慶応大学の伊藤滋教授であるわけですが、実は国土庁の報告書、調査委員会委員長も同氏が務められているというところにもこれは具体的に指摘をされると思います。  今、地方自治体を巻き込んで、東京湾横断道路、臨海副都心計画、あるいは千葉幕張などの大規模プロジェクトが東京湾全域で展開をされているわけでありますが一例えば臨海副都心計画、もう既に五兆円の赤字が見込まれるということで、むだと浪費の典型的な大規模プロジェクトと言われているわけです。この臨海副都心計画は開発面積が四百四十八ヘクタール。ところが、この京浜臨海部再編整備計画の対象面積はその十二倍に当たる六千百ヘクタールにもなるわけであります。臨海副都心計画は総事業費が約十兆円と言われていたわけでありますが、同じ性格の同じ形でこれを進めるとなれば、この京浜臨海部の再編整備構想というのは、総事業費はもうそれこそ天文学的な数字になってしまう、こういうことになるわけです。  しかし、この京浜臨海部再編整備については、それ自体は大変重大な問題であるわけですから、これを、進められているような大企業本位で進めるのか、それとも、市民の暮らしや雇用あるいは地域経済の振興や防災、環境保全、こういう点で積極的に貢献する、市民に開かれた京浜臨海部再生を目指す立場こそ重要になるのではないかと私は思います。  この点で、神奈川県、川崎市、横浜市の三者が昨年十一月に京浜臨海部の再編整備に関する基本方針という報告で、京浜臨海部の産業の再活性化や再編整備に取り組むに当たって、考慮すべき種々の法規制が存在するとして、その一つにこの工場立地法が挙げられて、これは先ほど述べられたとおりであります。そういう意味で、今回の工業集合地特例の適用が全国あまねく四十七都道府県至るところにあるということではなくて、具体的には、非常に特化した対象地域として、その一つにこういう京浜臨海部があるのじゃないかということも言えるのではないかと思います。  そこでお聞きをしたいわけですが、この法案第四条第一項第三号、新たに工業集合地特例を導入することとして、さらに第六条で隣接緑地を掲げているわけでありますが、この際、この費用等が事業者の一部の負担、それから届け出だけが義務づけられている。これは企業責任、事業者費用負担の原則、これを崩すことになってしまうのではないかという心配があるわけですが、この点はいかがでしょうか。
  83. 岡本巖

    岡本政府委員 お答え申し上げます。  隣接する緑地整備主体としては、複数の事業者によるもの、あるいは事業者自治体が協力して整備するもの等、いろいろなケースがあろうかと思いますが、私どもは、立地法制定以来の趣旨にかんがみまして、事業者がその費用を一部負担するのが適当、望ましいというふうに考えております。実際にもこれまで、いわゆる緩衝緑地整備というのを自治体あるいは環境事業団、そういったところがやる場合にも、事業者が自主的にその費用の三分の一とか四分の一とか二分の一とかを負担するという形でやってきているものが大部分だというふうに承知しておりまして、今後においても、事業者がその費用を一部負担しながら進めていくものが基本的なパターンではないかというふうに考えております。
  84. 大森猛

    ○大森委員 事業者の費用負担の原則が貫かれるということですか。
  85. 岡本巖

    岡本政府委員 私ども、この工業集合地特例は、あくまでも工業集合地住居その他の周辺生活環境との間で遮断効果を十分に有する緑地が計画的に整備される、そういう地域についてこの特例を認めるということでございますので、中には、例外的に地方公共団体が全額その費用を負担して隣接緑地整備するというケースもあろうかと思いますが、そういうケースについてこの工業集合地特例の適用を認めるか否かというのは、今回権限移譲をします都道府県の判断にゆだねるのが適当と考えておりまして、そういう判断の中で、場合によっては、地方公共団体が費用を大部分、あるいは極端な場合にはすべて負担して行われるというようなものも排除しないというふうに考えているところでございます。
  86. 大森猛

    ○大森委員 実は、この法案の一番の問題点の一つがこの点にあるわけで、お答えにもあったように事業者の費用負担の原則は貫かれないと。  これは、実は工業立地及び工業用水審議会、この法案の関係の審議をしました審議会の議事録を読ませていただきましたけれども、その中でも、例えば「「原則」という表現で事業者の負担義務を弱めてしまうことにより、」等々の、そういう懸念の意見も出されているわけで、これは、例えば京浜臨海部でいえば川崎市、ひいては市民負担でこういうことが進められることになりかねないということになるわけであります。  しかも、先ほど来もお話がありましたけれども、この改正案及び準則改正で、生産施設面積の大幅緩和、例えば高炉による鉄鋼業でいえば二〇%が三〇%に拡大をされる。一〇%、ここでふえるわけですね。緑地面積率の緩和、工業専用地域等でいえば二〇%が一五%、五%ふえる。さらに、この一五%についても限りなく、場合によってはゼロになってしまうということで、一〇、五、一五で合計三〇%、新たに無償で土地が提供されるということに結果としてなるわけで、その費用計算は何十億、何百億にもなりかねない、そういう立地企業への大盤振る舞い、こういうことになってしまうのではないかと思います。  そういう点で、大企業の社会的責任をあいまいにし、緑化義務を軽くするだけではなく、立地企業に莫大な土地を無償提供して、市民にその費用負担を転嫁するものになるということも指摘をしておきたいと思います。  次に移りますが、工業立地に関する権限が、立地により身近な都道府県政令指定都市に移されること自体、これは歓迎するものであります。同時にその際、特に東京の大田区初め工場密集地における関連中小企業者の負担の軽減、住民本位の緑地整備など、環境保全に役立つような地域条例制定を期待するものでありますが、問題は、せっかく権限を移しておきながら、肝心のところで自治体条例制定権を侵害することになっているということであります。この点で、全国には三〇%以上などという、そういう緑化条例を定めている自治体も少なからずございます。こういうものとの関係はどうなるのか。  それから、もう一つあわせますと、川崎市の環境アセス条例、これはゼネラル石油のエネルギーセンター建設計画にかかわる環境影響評価報告書の写しをいただきましたけれども、そこで川崎市の告示第八十二号地域環境管理計画、環境アセスにかかわる環境保全水準、この二五%緑被率、緑地率と定義が若干は違いますけれども、二五%であり、それをクリアしている。そういう計算がこの中でやられていて、やればできるのだということがここで示されているわけですね。  それとの関係についてちょっと、もしこの法案が通過すれば、こういう環境アセス条例、その行政を進める上でこれは重大な障害になるのではないかということですが、どうでしょうか。
  87. 堀内光雄

    堀内国務大臣 今の御質問の中の工場立地法と同じ目的の条例において、本法の上下限を超えた規制値を設定することはどうかというお話がございました。これは不適切な問題だろうと私は考えております。  また、工場立地法と異なる目的の条例において本法上限下限と異なる規制を行われること、今の川崎の問題などを含めては、これは妨げるものではないだろうというふうに思っておりますが、具体的には政府委員から御説明申し上げます。
  88. 岡本巖

    岡本政府委員 お答え申し上げます。  先ほど来の先生の御質問の中で、今度の法律改正が大企業の費用負担を専ら軽減する、そういう御指摘がございましたが、私ども、工業統計をベースに、この対象としております特定工場の中で中小企業がどれくらい占めるかということを推計しますと、六割ぐらいがいわゆる資本金一億以下の中小企業の範疇になるということで、罰則担保の緑地義務づけをやっていくというこの法律の趣旨から見て、緑地整備が後退しない範囲で、あるいは従来の改築できないものがさらに進むということで、従来に比べれば前に進む。そういう中で、地域実情に応じて緑地整備が行えるようにということで、一連の地域準則でありますとか工業集合地特例制度を御提案申し上げておりますので、その点は御理解いただきたいと存じます。  それから、先ほど御質問条例との関係でございますが、基本的な考え方は先ほど大臣が御答弁申し上げたとおりでございますが、都道府県が二〇%を超えて条例緑地義務づける、そういう条例を用意しているということはないというふうに私どもは承知しております。  市町村の中には三市ほど、いわゆる三〇%ぐらいの緑地の率を定めて条例を用意されているところがございますが、この場合は、工場立地法におけるような、罰則担保があるような強行規定ということではなくて、かつ工場に限らず、市民の方、あるいはいろいろなオフィスを含めてできるだけ緑化を進めましょうということで制定されているもので、法律と趣旨をかなり異にするものではないかと考えております。  それから、お尋ねのあった川崎市のその環境アセス条例との関係につきましては、基本的には、先ほど大臣も御答弁申し上げましたように、この法律が目的とするところから、強行的な罰則担保をもって緑地面積比率規制を行うというものである限りにおいては、私どもは国が定めます上下限と抵触する条例は適当でないと考えておりますが、他方で、川崎市の御質問条例が、今言った基本的な考え方に即して、どういう目的のもとにどういう対応規制をするものかということについては、必ずしもその内容を現時点でつまびらかにはいたしませんので、それについての、国の上下限との関係についての御答弁は控えさせていただ きたいと存じます。
  89. 大森猛

    ○大森委員 最後に、本法案についての態度でありますけれども、先ほどのこの委員会に先立つ理事会で、討論については委員長から御遠慮を願いたいとの御発言がありました。  私は、国会法あるいは衆議院規則でも、委員長質問制限の権限はあっても禁止する権限はないということを申し上げて、ここで我が党の反対の立場を明らかにしておきたいと思います。  反対理由の第一は、本法案が、企業が国と地域を選ぶ時代などという財界、大企業規制緩和要求を直接受け入れた新たな産業立地政策を前提としたものだからであります。  既に質問で明らかにしたように、本法案は、対象とする京浜地域など臨海部工業地帯の大規模プロジェクト中心の再編、整備計画の推進を加速化させることにつながるものであります。  第二は、工業集合地特例は、大気汚染など環境悪化の原因者である大企業の緑化義務と社会的責任を大幅に軽減するとともに、本来大企業が負担すべき緑地整備等の費用を地域住民に転嫁するものだからであります。  第三は、地域準則による緑地面積率上限設定等は、地方自治体の緑化条例環境アセスメント条例などの自主的な条例制定権を実質上侵害するおそれがあるからであります。  以上申し上げて、私の質問を終わるものであります。
  90. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 以上をもちまして大森君の質疑は終わりました。  次に、前田武志君。
  91. 前田武志

    ○前田(武)委員 太陽党の前田武志でございます。ラストバッターでございます。時間が大分超過しておりますので、秋晴れでございますが、日照時間を若干短くするつもりでございますので、御協力をお願いいたします。  本工場立地法改正については、既に今までの議論の中でもかなり明らかになっております。工場面積率が今までの四半世紀の間に、この法案が昭和四十八年に大改正されて以来、かなりの実績も果たしているわけでございまして、今回の改正は、緑地整備の進捗や公害防止技術の発展等、そういったことを背景にしながらも、現今の経済社会各般にわたる構造改革、そういった中での特に地方分権規制緩和といったものも背景に、そういう要請にこたえるような形で改正がなされた、踏み出したという意味においては一定の評価をするわけであります。  しかし、全般的に見ると、まだまだ踏み込みが足らないというような感がするわけでございます。そんな観点に立って、二、三の質問をさせていただきます。  まず最初に、工場立地政策の現状考え方についてでございますが、工場立地政策は、もちろんこの法律が大きな基本になっているわけでございますが、本工場立地法のみならず、ちょっと調べてみましたところでも、立地関係であれば、工場立地法、工業再配置促進法、港湾法あるいは工場等制限法、そして国土利用計画法あるいは農地法もそうでしょうし、建設省関係の都市計画法、建築基準法、あるいは今議論になっておりました環境関係法律も、大気汚染防止法を初め騒音、振動、悪臭、水質その他いろいろあるわけでございます。  そういった各省の縦割り行政、これはそれぞれ専門を異にするわけでありますから当然ではありますが、その縦割りの各法律と、今のこの工場立地法が目指している工場立地全般に関しての観点、その辺の整合性、総合性といった意味においては、どうもこの各省庁の規制等の施策が非常に複雑に関連し合って、立地する側にとってはまことにやりにくい、そういう形態に現実にはなっているのだろうと思うのです。  そういった意味において、この工場立地法地方分権観点から今回踏み出されるわけでありますが、他の法律について、これは通産省に聞くというわけにはいかないわけでございますが、大臣が内閣を代表されて、こういった各省庁の法案も含めて、よほど歩調を合わせて地方分権という観点から取り組まなければ、この工場立地法改正そのものの効果というものもなかなか発揮できない、こういうふうに思うのですが、その辺のことについて大臣の御見解をお伺いいたします。
  92. 堀内光雄

    堀内国務大臣 立地環境整備におきましては、経済環境の変化等によりまして時代にそぐわなくなってきた立地規制については見直しをすることが必要だろうというふうに思いまして、先生のおっしゃるとおりだと思います。  これも各省庁にいろいろ分かれておりますが、政府といたしましては、このような観点から、本日取りまとめる経済対策につきましても、工場等制限法における開発試作型の企業あるいはリサイクル型製造業などの適用除外の業種への追加をしようということを考えております。こういうものの前倒しの実施だとか現在のこの工場立地法関係、あるいは港湾法の問題がございます。港湾法も、今までは港湾に関連する工場、業種のものでないと建物は建てられないというものでございましたが、これも、臨港地区の迅速な見直しを行うために、規制を緩和してほかのものも建てられるようなものにしようというような、関連したものも含めまして今回の経済対策に織り込むようにいたしてございます。  今後とも、関係省庁と連携を図りながら、時代の要請に合った立地環境整備に努めてまいる覚悟でございます。
  93. 前田武志

    ○前田(武)委員 次に、工場立地法そのものの地方分権という観点からお伺いいたします。  最近、地方公共団体におけるそういう実績というものは、例えば届け出の累積処理件数なんというのも、ちょっと見ておりますと、随分と多くの実績が重なっておるわけでございます。  そういう意味においても、緑地規制等の工場立地関係条例整備地方においても進んでおりますし、工場立地周辺環境との整備に関するいろいろな経験、ノウハウ、そういった地方における蓄積というものが進んでいるという現況を踏まえますと、工場立地を求める余りに地方環境を無視してまでとにかく工場来てくれというようなことは、多分、地域住民の意識の高さ等、そして今までのそういう蓄積から見ても、そんなむちゃなことにはならないだろう。逆に、そういうことをすると地方間の競争原理が働いて、そういう環境を悪化させてまでというようなところについては、むしろ結果としては不利な状況になっていくだろう、こう思うわけです。  要するに、環境に適正な配慮をしていくというのは、その地域地域の特性に合わせて地方自治が主体的にやっていく、そういう主体性と責任は十分感じてやっていくだろう、こういう期待を持つわけであります。  そんな意味からいいますと、工場立地法という大きな工場立地に関する大本の法律があるわけでございますから、今回のような緑地の、あれは一五%から二五%ぐらいの幅でというようなことでございますが、準則関係についてはもう大幅に地方にすべて分権するというようなことも考えるべきではないのかな、私はそういうふうに思うのです。  要するに、この工場立地法のみならず、通産省がずっとやってきた今までの工場立地のあり方についての流れ、そして経済社会の構造の変化等を背景にして、通産大臣は、今後の工場立地の方向について地方分権との関連でどういうふうにお考えか、お聞かせを願います。
  94. 岡本巖

    岡本政府委員 お答え申し上げます。  今回の法律改正においては、先生御案内のように、地域準則策定でありますとか、それから届け出の受理、勧告変更命令権限地方公共団体権限移譲をするということにしているわけでございますが、私ども、地方分権の大きな方向については極力その方向に沿って取り組むべきだと考えておりまして、そういう考え方で今回かなり思い切った権限移譲に踏み切っているわけでございます。先ほどもお話がございました、例えば生産施設の面積率規制という場合に、これは地域実情に応じてというよりは、各業種ごとの生産技術でありますとか公害防止技術の今の実情を踏まえながら、幾らの面積率規制が適当かという判断によりなじむ性格の事柄なものですから、そういうものについては今回地方への権限移譲ということでは対象にしなかったわけですが、大きな地方分権の流れというのは常に念頭に置きながら、同時に事柄の事案の性格を十分見きわめながら適切に対処してまいりたいというふうに考えているものでございます。
  95. 前田武志

    ○前田(武)委員 シリコンバレーであったりあるいはノースカロライナ州であったり、今の情報基盤の進展というようなものを生かして、工業立地というよりも地域発展のインフラストラクチャーを情報中心にどんどん整備して、そしてそこにグローバル化した市場というものを呼び込み、あるいはそれにうまく乗って大発展をしている地域があるわけであります。  私はこの春にノースカロライナ州を見に行ったわけですが、あそこのハント知事さんですか、この情報ハイウエーというものを、ノースカロライナ州的な独自のそういう情報ハイウエーを構築していって、このやり方等についてもなかなかうまいやり方をとっているのですが、そしてしかも、そこに核になる大学と、そして産官学をうまく組み合わせて既に大きな成果を上げております。教育関係であったり、あるいは遠隔医療関係であったり、あるいは司法といいますか犯罪者の更生関係、そういったことについてもこういうものを利用したり、あらゆるものに利用して、しかも人材がどんどん育ってくるということで、ここに今大きな産業の立地が進んでおります。多分、何か聞いたところでは、東海岸では一番の伸びだということで、日本の企業もどんどん行っておるわけでございます。  そういったことを背景にいたしますと、コンピューターネットワークの発達等を背景に、市場や産業が情報化してグローバル化することによって、先導的な自治体あるいはやる気のある企業家が集まれば、時間や空間を超えて新たな産業を創造していくことが一層容易になってくるのではないか、こういうふうに考えるわけでございます。  産業界の方でも、もう既に国際化の進展というのは当然のこととして受けとめて、産業の集中の是非や地方分散の情勢といった国内の論議を超えて、既に世界を視野に入れて展開をしているわけでありまして、それは企業の大小なんかを問わないのですね。私どもの地元でも、全く零細企業というか家内工業に等しいようなところが、うまくそういったものを利用して世界に展開しているといったような例も見ます。  そういった意味では、狭義の工場立地政策にとどまらず、広く今後の我が国における産業のあり方を考えた場合、政府は、いわゆる情報ハイウエーのような産業基盤整備と各種の規制早期の、しかも徹底的な緩和のもと、一層の地方分権に取り組むべきであるというふうに私は考えるわけであります。  最後に大臣の御所見をお伺いして、終わります。
  96. 堀内光雄

    堀内国務大臣 産業のあり方に関しましては、地方分権の趣旨にかんがみまして、国は全国的規模で行われることが必要不可欠な施策などを重点的に分担をして、地方公共団体地域実情に応じた行政を展開できるようにしていくことが重要だろうというふうに思っております。  通産省としましては、今後とも、個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現を図るために、国及び地方公共団体が担うべき役割を明確にしながら、地方公共団体の自主性を高めるべく積極的に地方分権推進してまいりたいというふうに考えております。
  97. 前田武志

    ○前田(武)委員 終わります。
  98. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  99. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出工場立地法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  100. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  101. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、岸田文雄君外五名から、自由民主党、新進党、民主党、社会民主党・市民連合、太陽党及び無所属クラブの六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。西川太一郎君。
  102. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     工場立地法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一 本法に係る規制見直しにおいては、工場周辺環境との調和に十二分な配慮をすること。    また、準則改正等に当たっては、効果的な緑地等整備推進されるとともに、工業集合地における特例措置については、隣接緑地等の適正な認定により、環境保全に資することとなるよう努めること。  二 地方への権限の移譲に当たっては、地方の自主性を極力尊重するとともに、地域準則基準等の適時適切な見直し等を行い、地方分権の趣旨と整合性のとれた措置が講じられるよう努めること。  三 地域経済の発展及び産業の適正配置の観点から、工場等制限制度見直しを始めとする工場立地施策のあり方等についての検討を深めること。  四 企業地域市民の一員として地域と共生することを促進するため、工場内の環境施設緑地を含む)を可能な限り市民が利用できるよう検討を行うこと。 以上であります。  附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  103. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  104. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、堀内通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。堀内通商産業大臣
  105. 堀内光雄

    堀内国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては「その趣旨を尊重し、本法律案の実施に努めてまいりたいと考えております。     —————————————
  106. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  107. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  108. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時十九分散会