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1997-11-05 第141回国会 衆議院 財政構造改革の推進等に関する特別委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十一月五日(水曜日)    午前十時開議 出席委員   委員長 中川 秀直君    理事 甘利  明君 理事 佐田玄一郎君    理事 白川 勝彦君 理事 中山 成彬君    理事 野田 聖子君 理事 北側 一雄君    理事 中井  洽君 理事 海江田万里君    理事 児玉 健次君       浅野 勝人君    小野 晋也君       大石 秀政君    大野 松茂君       木村 隆秀君    小林 多門君       佐藤  勉君    桜田 義孝君       実川 幸夫君    田中 和徳君       竹本 直一君    谷畑  孝君       中野 正志君    西川 公也君       穂積 良行君    目片  信君       持永 和見君    渡辺 博道君       渡辺 喜美君    安倍 基雄君       赤松 正雄君    一川 保夫君       太田 昭宏君    岡田 克也君       久保 哲司君    左藤  恵君       谷口 隆義君    並木 正芳君       西川 知雄君    原口 一博君       池田 元久君    石毛 鍈子君       生方 幸夫君    五島 正規君       佐々木憲昭君    矢島 恒夫君       秋葉 忠利君    畠山健治郎君       濱田 健一君    粟屋 敏信君       上田 清司君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 三塚  博君         農林水産大臣  島村 宜伸君  出席政府委員         大蔵省主計局長 涌井 洋治君         水産庁長官   嶌田 道夫君  委員外出席者         財政構造改革の         推進等に関する         特別委員会調査         室長      大西  勉君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月五日  辞任         補欠選任   田端 正広君     久保 哲司君   中野  清君     並木 正芳君   秋葉 忠利君     畠山健治郎君 同日  辞任         補欠選任   久保 哲司君     田端 正広君   並木 正芳君     中野  清君   畠山健治郎君     秋葉 忠利君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  財政構造改革推進に関する特別措置法案(内  閣提出第一号)  漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整  備計画の一部変更について承認を求めるの件  (内閣提出承認第一号)      ――――◇―――――
  2. 中川秀直

    中川委員長 これより会議を開きます。  内閣提出財政構造改革推進に関する特別措置法案及び漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の一部変更について承認を求めるの件の両案件を一括して議題といたします。  両案件及び池田元久君外一名提出修正案に対する質疑は、昨四日終局いたしております。  これより内閣提出財政構造改革推進に関する特別措置法案及びこれに対する修正案並びに漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の一部変更について承認を求めるの件の両案件を一括して討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。野田聖子君。
  3. 野田聖子

    野田(聖)委員 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となっております財政構造改革推進に関する特別措置法案及び漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の一部変更について承認を求めるの件に賛成し、民主党提案修正案に対し、反対討論を行うものであります。  御承知のように、我が国は、敗戦の中から、国民のたゆまぬ努力により、一人当たりの国民所得が米国の丁三倍になるなど豊かな経済社会を築き上げてまいりました。しかしながら、高齢化の急速な進展、それに伴う生産年齢人口の大幅な減少が見込まれるもとで、今までのような右肩上がり経済成長が望めない状況となっております。  一方、こうした我が国経済的繁栄を築くために、これまでに注ぎ込んでまいりました財政支出の結果としての長期債務残高は、国と地方を合わせて、今や国内生産額に匹敵するまでの巨額なものとなり、主要先進国の中でも最悪と言われる危機的な財政状況となっております。さらに、今後、少子高齢化進展に伴う財政支出増加が確実視され、現状を放置したままでは経済活力が著しく低下し、将来世代に背負い切れない負担を残すことは明らかであります。  本法案は、こうした我が国財政の危機的な状況を踏まえ、安心で豊かな福祉社会健全活力のある経済を実現するという課題対応できる財政構造を実現するために提出されたものであり、まことに時宜にかなった措置であります。  それでは、具体的に賛成する理由を申し述べます。  第一は、財政構造改革の緊急かつ必要性についてであります。  我が国財政赤字は、平成年度で国、地方を合わせて約二十八兆円、また、平成年度末での長期債務残高は約四百七十六兆円に達する見込みとなっております。このまま財政赤字のさらなる増加を放置すると、世代間の公平を損ない、景気は低迷し、国民生活水準は切り下げられ、失業率が上昇する等の深刻な社会問題が生じることとなることは言うまでもありません。その意味で、一刻も早く財政構造改革に着手し、その着実な実行を図ることが強く求められているところであり、本法案はその期待に添うものであります。  その第二は、本法案において量的縮減目標を設定するとともに、制度改革及び基本方針を定める等、財政構造改革具体的方策を明らかにしていることであります。  本法案において、これまでの概算要求基準にはない例えば公共事業費の七%削減政府開発援助費の一〇%削減を初め、防衛費社会保障関係費等抑制を示し、個々の歳出の中身にまでも踏み込んだことは財政健全化に向けた改革を確実に行うことのできる方策として評価すべきものであります。  その第三は、財政構造改革目標を明確にしていることであります。  財政構造改革推進する上で重要なことは、政府みずからが、目標を掲げ、実行するという強い意思を示すことであります。  本法案において、財政赤字国内生産比三%などの目標を定めたことは、財政改革に対する政府の並々ならぬ意思を示したものであり、高く評価するものであります。  なお、承認案件については、漁港整備計画計画期間を二年間延長するものであり、財政構造改革を着実に推進する見地から賛成であります。  未来に夢をつなぐためには、一粒万倍の言葉のとおり、今、財政構造改革という一粒の種をまくことが何にも増して必要であります。財政構造改革がやがて実を結び、我が国経済社会活力を維持し、豊かな長寿・福祉社会をつくる礎となり、必ずや、やってよかったと言われる時代が来ることを私は信じて疑いません。  私ども自由民主党は、今はつらくとも、行財政改革に果敢に取り組み国民の負託にこたえていくとの決意をここに改めて表明いたしまして、私の賛成討論といたします。  なお、民主党提案修正案については、量的縮減目標に関する規定を削除する等、財政構造改革の道筋を何ら示しておらず、非現実的であり、反対いたします。(拍手
  4. 中川秀直

    中川委員長 次に、原口一博君。
  5. 原口一博

    原口委員 新進党原口一博でございます。  私は、新進党を代表し、ただいま議題となりました政府提出財政構造改革推進に関する特別措置法案及び漁港法第七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の一部変更について承認を求めるの件に反対し、民主党提出修正案賛成する立場から討論を行います。(拍手)  少子高齢化社会を目前にして、日本財政に求められているのは、小さな政府の実現であります。財政構造改革で目指すべきは、納税者の利益とかけ離れた歳出抜本改革であり、不透明な政府支出の排除です。しかるに、政府案は、単なる歳出削減あるいは繰り延べであり、何ら構造改革となっていません。  単なる赤字削減目標支出削減が不十分であるなら、この政府案の先には必ずや大増税が浮上してしまいます。大蔵省自身が、二〇〇三年で二から三兆円規模の要調整額が必要との試算を公表していますが、痛みばかりで効果なしの政府案てんまつをこのことが如実に物語っております。  不良債権処理のおくれ、金融不安、雇用悪化不況型倒産の恐怖に追い詰められている中小企業政府には、不況にあえぐ国民の悲鳴が聞こえないのでしょうか。  GDP比三%の赤字削減と言うなら、民間投資を活発にして分母のGDPを大きくすること、これを目標とすべきなのに、政府案では、財政機動性を奪い、なおかつ、分子に当たる赤字削減のみにきゅうきゅうとする余りにも乱暴な法案だと言わざるを得ません。しかも、公共事業等既得権益については単なる繰り延べで温存しているのに対し、社会保障文教といった国民生活に重要な予算を非情にも切り捨てています。  我々新進党は、政府に対して、不良債権問題を速やかに解決し、内需拡大経済政策へと大きく踏み出すように幾度となく要求してきました。しかし、住専処理誤りを初め、景気判断誤りや相次ぐ国民負担増など、政府経済失政は目を覆うばかりであります。  この政権枠組みではもはや改革などできない。ツケのみが国民に回される。我々新進党は、政権交代こそが最大景気対策であると強く訴えるものであります。(拍手)  法案審議の過程で、多くの委員から、政府案景気にさらに悪い影響を及ぼすこと、構造改革にふさわしい内容が全くないこと、二〇〇三年度の対GDP比三%との目標値概念自体が著しく妥当性を欠き、恣意的なごまかしの余地の懸念があること、量的数値目標にその根拠が全くないこと、本法案法制化の意義が不明で、憲法上の疑いを多く抱えること等が明らかになりました。  この点、民主党提出修正案は、政府原案の主要な問題点を削除するとともに、財政構造改革目標値についても、簡明な、国と地方債務合計額の対GDP比として修正を加えた上で、財政構造改革国民共通目標とすることに目標を絞り込んでいます。経済状況に柔軟に対応しつつ、財政構造改革目標を法文として明記し宣言することは重要であり、その方向性意思は明確であります。  以上、政府原案反対し、民主党提出修正案賛成する主な理由を申し述べました。  委員各位の賢明な御判断と、とりわけ二兆円の特別減税を御主張される社会民主党、さきがけ両党所属委員各位におかれましては、その御主張政府原案が全く相反する内容である点に十分御留意され、自己の政治信念に忠実なる御選択をされんことをお願いし、私の討論を閉じます。(拍手
  6. 中川秀直

    中川委員長 次に、生方幸夫君。
  7. 生方幸夫

    生方委員 私は、民主党を代表し、議題となりました内閣提出財政構造改革推進に関する特別措置法案及び民主党提出修正案について、政府原案反対修正案及び修正後の政府案賛成立場で意見を申し上げます。  国民皆様方に多大な影響を与える財政構造改革を進めるには、何よりもまず国民皆様方理解と協力を得ることが必要でございます。そのためには、財政に関してのあらゆる情報を国民に公開し、その前で明らかにする必要があると思います。  政府案は、財政赤字指標として中央政府地方政府貯蓄投資差額合計額を用い、これを二〇〇三年度までに国内生産GDPの三%以内にすることとしております。しかし、貯蓄投資差額といってもほとんどの国民には理解ができません。貯蓄投資差額には、外国為替管理特別会計など為替相場次第で変動する事業会計収支も含まれ、予算審議段階では確たる見通しも立ちません。これでは、法律財政健全化目標を決めても、国会予算を民主的にコントロールすることは不可能でございます。  二〇〇三年度までに赤字国債ゼロという政府案のもう一つの目標も、財政構造改革の役に立たないことは明らかでございます。従来のように赤字国債建設国債を区別して、赤字国債だけを悪者扱いし、建設国債は野放しにするという財政運営のやり方では累積債務拡大を防げません。  財政健全化には、国全体の公債発行借入金総額を国の経済規模に対して一定の範囲内に抑制することが重要です。そのためには、赤字国債という部分だけではなく、国債全体を管理する新たな財政運営規律を確立する必要があります。いわば公債発行総額管理、国と地方債務総額管理という考え方です。英国の予算編成のルールであるコントロールトータルはこの考えに基づいて運用されていますが、日本でも大いに参考にするべきです。  民主党修正案では、国全体の借金を最も端的に示す国と地方自治体の公債発行及び借入金総額財政健全化指標とし、債務総額管理考え方に立って、二〇〇三年度までに国内生産GDP比で三%以内に抑制していくことを当面の財政健全化目標としております。  財政構造改革を進める上で重要なことは、財政健全化予算重点配分という構造改革課題を同時に実現でき、与野党が合意できる柔軟な枠組みをつくることです。政府案のように、三年間の集中改革期間分野別歳出上限キャップを設けることは、予算重点配分という本来の財政構造改革を阻害し、かえって財政硬直化既得権益化を招くおそれがあります。  政府案のままでは、仮に年末に政権交代があって、新政権が思い切った予算重点配分を行おうとしても、予算編成の前にこの法律を改正しなければならず、予算編成におくれが生じて景気に悪影響を与えるおそれがあります。分野別キャップ方式日本版コントロールトータルである債務総額管理方式に改めることで、初めて財政規律の確保と予算重点配分を両立できるのです。  政府案の各歳出分野別改革方針具体性に乏しく、行政改革への熱意も感じられません。公共事業に関する計画の一律二年延長も、むだな事業を時間をかけてやり続けるだけで構造改革にはつながりません。公共事業予算は、入札制度改革や「時のアセスメント」の観点から時代に合わなくなった公共事業を見直す仕組みを導入することで大幅に抑制していく必要があります。  防衛関係費についても、肥大化する後年度負担抑制を図らなければ、ポスト冷戦時代にふさわしい戦略的な人員、装備の見直しは不可能です。財政構造改革をやり抜くことが日本経済体質改善につながっていくと私たちは確信をいたしております。  財政再建の抜け穴を防ぐためには、補正予算編成は、災害や予想を超えた景気悪化など、緊急かつ避けることのできない経費に限定するべきです。それでも、阪神・淡路大震災やオイルショックのような事態があれば、一時的に財政再建のペースを緩める必要が生じます。  修正案では、公債発行及び借入金増額を伴う補正予算国会提出に際して、目標年次までの残りの期間に必要な歳出減または歳入増のための計画国会提出するよう政府に義務づけております。これはいわば日本版のペイ・アズ・ユー・ゴー、収支相償原則と言えるものです。この方法を取り入れることにより、財政健全化目標年次を動かすといった議論もできるようになり、景気動向に応じた柔軟な対応も可能になります。このように、フレキシビリティーを持たせ、毎年、執行状況に照らした見直しを行えるというのが民主党修正案の特徴でございます。  財政構造改革は国家百年の計であり、与党の多数で押し切るのではなく、与野党の合意できる内容修正することが必要でございます。民主党提案以外に財政構造改革の道はないということを委員皆様に強く訴えて、私の討論といたします。(拍手
  8. 中川秀直

    中川委員長 次に、矢島恒夫君。
  9. 矢島恒夫

    矢島委員 私は、日本共産党を代表し、財政構造改革推進に関する特別措置法案及び漁港整備計画の一部変更について承認を求める件に反対討論を行います。  まず初めに、本法案は、今後三年間の予算骨格を決めてしまうとともに、国民に大きな負担増をもたらすという重大な内容を持っているにもかかわらず、公聴会も開かず、審議不十分のまま本日採決されようとしていることに強く抗議するものであります。  本法案反対する第一の理由は、この法案が、医療社会保障教育中小企業など国民生活のあらゆる分野予算を連続的に削減し、多大な国民負担を強いるからであります。  とりわけ医療社会保障分野での国民負担増は深刻です。来年度は、現行の医療社会保障制度を維持するだけに必要ないわゆる当然増経費の八千五百億円のうち、五千五百億円が削減されます。二兆円負担増と言われる今年度医療保険制度改悪でも国の予算削減は三千億円ですから、来年度はことしを上回るような国民負担増になる危険があります。その上に本法案は、再来年度以降も連続的な予算削減を義務づけるのです。このような連続的でかつ大幅な国民負担増は、歴代自民党政府でさえできなかった前代未聞のことであり、国民の生命と健康、福祉を重大な危険に陥れるものであります。  その一方、今日の財政危機を招いたゼネコン奉仕公共投資軍事費などの浪費構造にはメスを入れずに温存されています。  公共事業現状には多くの国民批判が集中しているにもかかわらず、本法案ではわざわざ「事業の量を変更することなく」と明記し、公共事業浪費的内容はそのままです。この法案によっても、社会保障公費負担は二十兆円、公共投資五十兆円という、他の先進諸国には見られない異常な財政構造は基本的には変わりません。  また、軍事費についても、SACO経費別枠扱いという特別の優遇措置をとり、実質的に増額になる道を開いています。浪費構造メスを入れない本法案は、財政構造改革とは名ばかりの、国民生活切り捨て法案にほかなりません。  反対する第二の理由は、この法案が、憲法に定められた予算年度主義原則を踏みにじるとともに、国会予算審議権をも実質的に奪うものだからであります。  本法案は、来年度予算総額を今年度以下に抑えるとともに、今後三年間の主要経費ごと上限を定めるなど、予算骨格を決めようとしています。これが憲法第八十六条に規定する予算年度主義原則に反することは明白であります。  さらに、国会が各年度予算案を審議する段階では、本法案によって社会保障教育など主要経費骨格が事実上決まっているわけですから、国会予算審議権を実質的に奪うものであり、国の財政処理国会の議決が必要とした憲法第八十三条にも反し、財政民主主義をじゅうりんするものであります。  反対する第三の理由は、消費税増税などの九兆円負担増という間違ったかじ取りによってもたらされている不況に拍車をかけるものだからであります。  この法案でさらなる負担国民に押しつけるなら、GDPの六割を占める個人消費は一層落ち込み、日本経済により大きな困難をもたらすことは明らかです。これでは、税収不足、さらなる負担増、一層の税収不足という悪循環になってしまいます。国民負担をふやして浪費の穴埋めをしようという本法案では、政府の掲げる財政再建すらできないことは明白です。  日本共産党は、公共事業浪費など財政危機の真の原因にメスを入れることによって財源を生み出し、国民生活向上社会保障の充実を図りながら財政再建を進めるという財政再建十カ年計画を発表しています。こうした方向こそ財政危機から脱出する確かな道であります。  なお、民主党提出修正案は、主要な経費量的縮減目標を削除しているものの、政府案国民生活切り捨て骨格をそのまま容認するものであり、賛成できません。  財政構造改革の名に値せず、国民に多大な負担を強いる本法案は、撤回しかないことを最後に強調して、私の討論を終わります。(拍手
  10. 中川秀直

    中川委員長 次に、濱田健一君。
  11. 濱田健一

    濱田(健)委員 私は、社会民主党市民連合を代表して、ただいま議題となっております財政構造改革推進に関する特別措置法案及び漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の一部変更について承認を求めるの件、両案について賛成民主党修正案について反対討論を行うものであります。(拍手)  我が国財政は、主要先進国の中でも最悪の財政赤字を抱え込み、危機的な状況を呈していると言っても過言ではありません。今後の少子・超高齢化の一層の進展を踏まえれば、次の世代に過大な負担を残すことのないよう財政構造改革を本格化すべきことは、党派を超えた喫緊の課題であろうと認識するところであります。  本案は、このように危機的な我が国財政状況を踏まえた上で、財政構造抜本改革の端緒を開こうとする姿勢が見られるものと評価するものであります。  この見地に立ち、まず、本案賛成する理由を申し述べます。その上で、国民批判にも真摯にこたえていく、政府与党の態度を明確にするという意味立場からも、二月二十五日の社民党申し入れに対する政府の誠実な取り組みもあわせて求めておきたいと思います。  さて、賛成する最大理由は、本案財政構造改革に向け実効ある取り組みを開始しようとするものであるということであります。  かつ、ただ、単純な削減主義に陥るのではなく、社会保障文教科学技術などが例外事項として対応が図られていることも評価に値すると言えます。これは、未来への投資としての性格を持つ分野については重視すべきという社民党主張が酌み取られたものと認識しております。  また、今回の改革で軽視し得ない前進面は、すべての経費について要求上限が設けられた点であります。これにより、省庁横並びの一律シーリング方式は、実質的に終えんを迎えたことになります。旧来の経常的経費投資的経費といった枠に限定されることなく、優先度緊急度政治判断し、これに基づいためり張りのきいた政策の取捨選択が行われることが可能になったとも言えるのではないでしょうか。  公共投資については、メスの入れ方が足りないとの批判が散見できます。ただし、今回の財政再建名目成長率三・五%、一定経済成長前提として成り立っていることなどを考慮すると、それなりの削減幅になったとの解釈も可能です。  何より、雇用動向地域経済に与える影響などにも十分に目配りしつつ最大限の歳出削減を行う、このことは、建設国債に安易に頼る借金体質の転換に向け、みずからの退路を断つ重い決断であったとも言えます。  要は、公共投資に係るキャップの内実をいかに高め得るのか、つまりは、従来にないコスト削減努力を断行できるかが問われているのであり、社民党としても、この取り組み徹底化を厳しく求めていきたいと考えます。  名実とも国民本位財政構造改革へと磨き上げていくためにも、さきに触れた我が党の申し入れに対して、政府の具体的で誠実な対応を改めて強く求めるものであります。  私たちは、この申し入れにおいて、消費税率の改定に伴う消費減退景気最大懸念材料になり得る可能性は否定できないとの観点から、従来の節約努力の額を大幅に上回る節減の実を上げる、また、この節減によって生じた財源使途は、景気の回復、生活消費に資することを最優先課題にすべきだと要請してきました。この点に関しては、与党間でおおむね、節減財源使途については、節減額が明らかになった時点で検討する、その場合、我が党提案の趣旨を十分踏まえて、国民生活を最優先にし、国民負担増対応することなどが合意されています。  したがって、生活向上を通した国民本位景気対策になり得る特別減税等に関しては、与党全体として積極的に検討していくこと、また、社会保障改革等においても、十分な社会的弱者対策を講じていくことを前提として、私の両案賛成討論といたします。(拍手
  12. 中川秀直

    中川委員長 次に、粟屋敏信君。
  13. 粟屋敏信

    粟屋委員 私は、太陽党を代表し、ただいま議題となっております財政構造改革推進に関する特別措置法案及び漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の一部変更について承認を求めるの件に反対立場から討論を行います。(拍手)  我が国の国、地方を通ずる財政赤字は、ストックにおいてもフローにおいても先進国中最悪の状態にあり、財政再建は現下の急務であります。しかしながら、本法律案は、歳出削減のみに偏し、財政再建の道筋が明らかでないものであります。  今、我が国は、経済社会全般にわたって改革が求められております。これはまた、戦後五十年続いた国の形の再構築であります。財政構造改革もその一環であり、経済構造改革行政改革地方分権等諸改革と表裏一体をなすものであります。国の形の再構築の全貌が明らかになっていない現状において、量的削減のみでは真の財政再建はできません。歳出歳入両面にわたる質的改革方向を示すべきであります。  また、財政再建経済との関係が不明確であります。財政再建のためには、歳出削減はもとよりでありますが、経済成長に伴う税収増が必要であります。政府財政事情の試算によりますと、平成七年十一月の構造改革のための経済社会基本計画経済成長率に準拠して算定されているのでありますが、その計画で描いた経済の姿と実体経済は大きく乖離をしております。現在の危機的状況にある景気についても、政府はいまだ明確な対策を示しておらず、また、中長期的な経済運営についても指針が示されていないのは、まことに遺憾であります。  また、三・五%成長を前提としても、要調整額平成十五年度までの累積が十三・五兆に達し、国鉄、林野の債務処理を加えればさらに膨大な額となりますが、その処理の方策が明確になっておりません。  以上申し上げたところにより、両案について一は、政府の意欲は買うとしても、財政再建方向づけをするためには不十分であるとの考えにより反対をいたします。  なお、民主党提出修正案については、財政の透明化その他問題の解決に資するとの見地から賛成であることを申し上げまして、討論を終わります。(拍手
  14. 中川秀直

    中川委員長 これにて討論は終局いたしました。
  15. 中川秀直

    中川委員長 これより採決に入ります。  内閣提出財政構造改革推進に関する特別措置法案及びこれに対する修正案について採決をいたします。  まず、池田元久君外一名提出修正案について採決いたします。  本修正案賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  16. 中川秀直

    中川委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。  次に、原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  17. 中川秀直

    中川委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、内閣提出漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の一部変更について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  18. 中川秀直

    中川委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両案件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり)
  19. 中川秀直

    中川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     〔報告書は附録に掲載〕
  20. 中川秀直

    中川委員長 本日は、これにて散会いたします。    午前十時三十三分散会