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1997-10-31 第141回国会 衆議院 財政構造改革の推進等に関する特別委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十月三十一日(金曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 中川 秀直君    理事 甘利  明君 理事 佐田玄一郎君    理事 白川 勝彦君 理事 中山 成彬君    理事 野田 聖子君 理事 北側 一雄君    理事 中井  洽君 理事 海江田万里君    理事 児玉 健次君       浅野 勝人君    小野 晋也君       大石 秀政君    大野 松茂君       奥山 茂彦君    木村 隆秀君       小林 多門君    佐藤  勉君       桜田 義孝君    実川 幸夫君       田中 和徳君    竹本 直一君       谷畑  孝君    中野 正志君       西川 公也君    穂積 良行君       目片  信君    持永 和見君       渡辺 博道君    渡辺 喜美君       安倍 基雄君    赤松 正雄君       一川 保夫君    太田 昭宏君       岡田 克也君    左藤  恵君       斉藤 鉄夫君    鈴木 淑夫君       田端 正広君    谷口 隆義君       中野  清君    西川 知雄君       原口 一博君    池田 元久君       石毛 鍈子君    生方 幸夫君       五島 正規君    佐々木憲昭君       矢島 恒夫君    秋葉 忠利君       濱田 健一君    粟屋 敏信君       上田 清司君  出席国務大臣         内閣総理大臣  橋本龍太郎君         法 務 大 臣 下稲葉耕吉君         外 務 大 臣 小渕 恵三君         大 蔵 大 臣 三塚  博君         文 部 大 臣 町村 信孝君         厚 生 大 臣 小泉純一郎君         農林水産大臣  島村 宜伸君         通商産業大臣  堀内 光雄君         運 輸 大 臣 藤井 孝男君         郵 政 大 臣 自見庄三郎君         労 働 大 臣 伊吹 文明君         建 設 大 臣 瓦   力君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     上杉 光弘君         国 務 大 臣         (内閣官房長官)村岡 兼造君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 小里 貞利君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (沖縄開発庁長         官)      鈴木 宗男君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 久間 章生君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      尾身 幸次君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      谷垣 禎一君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 大木  浩君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 亀井 久興君  出席政府委員         内閣法制局長官 大森 政輔君         内閣法制局第三         部長      阪田 雅裕君         人事院総裁   中島 忠能君         人事院事務総局         管理局長    尾木  雄君         人事院事務総局         職員局長    佐藤  信君         総務庁長官官房         審議官     西村 正紀君         総務庁人事局長 中川 良一君         経済企画庁調整         局長      塩谷 隆英君         経済企画庁総合         計画局長    中名生 隆君         経済企画庁調査         局長      新保 生二君         科学技術庁長官         官房審議官   興  直孝君         外務省アジア局         長       阿南 惟茂君         外務省経済局長 大島正太郎君         外務省条約局長 竹内 行夫君         大蔵省主計局長 涌井 洋治君         大蔵省主税局長 薄井 信明君         大蔵省理財局長 伏屋 和彦君         大蔵省銀行局長 山口 公生君         文部大臣官房長 小野 元之君         文部大臣官房総         務審議官    富岡 賢治君         文部省初等中等         教育局長    辻村 哲夫君         文部省教育助成         局長      御手洗 康君         文部省高等教育         局長      佐々木正峰君         厚生大臣官房総         務審議官    田中 泰弘君         厚生省年金局長 矢野 朝水君         社会保険庁運営         部長      真野  章君         農林水産大臣官         房長      堤  英隆君         農林水産省構造         改善局長    山本  徹君         食糧庁長官   高木 勇樹君         水産庁長官   嶌田 道夫君         通商産業大臣官         房商務流通審議         官       岩田 満泰君         通商産業省環境         立地局長    並木  徹君         特許庁長官   荒井 寿光君         中小企業庁長官 林  康夫君         中小企業庁小規         模企画部長   寺田 範雄君         郵政大臣官房総         務審議官    濱田 弘二君         郵政省貯金局長 安岡 裕幸君         郵政省簡易保険         局長      金澤  薫君         労働大臣官房長 渡邊  信君         建設大臣官房長 小野 邦久君         建設大臣官房総         務審議官    小鷲  茂君         建設省都市局長 木下 博夫君         自治大臣官房総         務審議官    嶋津  昭君         自治省財政局長 二橋 正弘君  委員外出席者         財政構造改革の         推進等に関する         特別委員会調査         室長      大西  勉君     ――――――――――――― 委員の異動 十月三十一日  辞任         補欠選任   渡辺 喜美君     奥山 茂彦君   赤松 正雄君     斉藤 鉄夫君   谷口 隆義君     鈴木 淑夫君 同日  辞任         補欠選任   奥山 茂彦君     渡辺 喜美君   斉藤 鉄夫君     赤松 正雄君   鈴木 淑夫君     谷口 隆義君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  財政構造改革推進に関する特別措置法案(内  閣提出第一号)  漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整  備計画の一部変更について承認を求めるの件  (内閣提出承認第一号)      ――――◇―――――
  2. 中川良一

    中川委員長 これより会議を開きます。  内閣提出財政構造改革推進に関する特別措置法案及び漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の一部変更について承認を求めるの件の両案件を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木淑夫君。
  3. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)委員 おはようございます。新進党鈴木淑夫でございます。  本日は、財政構造改革推進に関する特別措置法案に反対する立場から、総括的な質疑を行わせていただきたいというふうに思います。  初めにはっきりさせたいことでございますが、私ども新進党が、財革法と略させていただきますが、この財革法案に反対しておりますのは、財政構造改革あるいは赤字削減中期的目標として追求することに反対しているからでは決してありません。私どもが発表した「日本構築宣言」に明記してございますように、私ども中期目標として、財政構造改革財政赤字削減実施することを非常に大切な政策として政策体系の中にきちっと位置づけているのであります。  それにもかかわらず、どうしてこの法案に反対かといいますと、この法案実施に移すと、財政構造改革あるいは財政赤字削減に失敗するだろうと思うからです。むしろ逆行しているからであります。最初にそのことをはっきり申し上げて、質疑に入りたいと思います。  なぜ私どもは、この法案財政再建に逆行している、これでは赤字削減に失敗すると考えているかと申しますと、大きく言って、二つ、この法案に問題があるからであります。  一つは、これは先週二十一日火曜日の当委員会においてるる申し上げましたことでありますが、この法案によりますと毎年毎年赤字削減していく、その意味で柔軟な景気刺激策を含む景気対策財政政策でとることを不可能にし、手足を縛ってしまっている。そのことから、経済長期停滞に陥れば税収が落ち込んで、財政赤字は逆に拡大するぞということであります。  もう一つは、これは歳出削減についていわゆるキャップをかぶせているわけですが、項目別キャップをかぶせている、別の言葉で言えば、何のことはない、項目別シーリングであって、これはプラスシーリング、ゼロシーリングマイナスシーリング、分かれているだけだと私は思います。しかし、単なる歳出繰り延べを内容とするようなこのキャップでありますから、この経済に対するデフレ効果というのは極めて大きいだろうというふうに思います。  もし歳出構造を、規制緩和とかあるいは地方分権、そのことによって要らなくなった行政組織縮減とか、そういう形で構造を動かしながら歳出を抑えていくならば、実質ベースで見た歳出というのは必ずしもそんなに落ちないし、むしろ経済効率を高める方に動きますので、そのデフレ効果は小さいと思うのでありますが、このように単なる繰り延べであると、大変にデフレ効果が大きい。  以上の二つ理由で、これを実施に移したら、かえって日本財政赤字拡大してしまう、そのことを憂えるがゆえに、こんな法案を成立させてはだめだと言って反対しているわけであります。  さて、今申し上げましたことをもう少し掘り下げて、質疑の形で展開させていただきたいというふうに思います。  まず第一点、毎年毎年、財政政策に縛りをかけている、赤字国債、そして法の精神からいえば財政赤字そのものをびた一文ふやしちゃならぬ、この縛りがあるゆえに、経済に対して非常に深刻な、中期停滞的な影響を及ぼすであろうという点から入りたいと思います。  尾身企画庁長官確認のために質問をさせていただきたいのでありますが、この財革法案定義、SNA上の一般政府貯蓄投資バランスとして定義してありますが、この財政赤字の対GDP比率が過去において、高度成長が終わった後で結構です、七〇年代後半以降今日まで、三%を上回りた時期というのはいつであり、そのとき民間経済は一体どういう状況であったか。例えば、民間貯蓄投資バランスはどうであったか、経常収支はどうであったか、この点について、ごく簡単で結構でございますから、確認意味を含めてお答えいただけますでしょうか。
  4. 新保生二

    新保政府委員 お答えいたします。  一般政府財政赤字GDP比で三%を上回りましたのは、第一次石油ショック直後、七五年から八二年まで三%を上回っております。それから、ごく最近では九五年度に四%ということで三%を上回っております。  まず、七五年以降の民間余剰貯蓄超過幅でありますが、御承知のように、石油ショック後の景気後退も反映しまして、七五年から七七年にかけては貯蓄超過が大きくなっておるわけであります。その後、七九、八〇年と第二次石油ショックが起きまして、貯蓄超過幅がさらに縮小するという形になっております。  これを受けまして、経常収支動きも、七五年から七七年ぐらいまでは黒字がふえるという形でしたが、七九、八〇年は石油ショック影響もあって縮小する、そういうような動きになっております。
  5. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)委員 ありがとうございました。これは確認意味質問したわけでございます。私の手元にも正確なグラフ数字がございます。おおむね、今の政府委員のお返事のとおりであります。  私がなぜこんな質問をしたかといいますと、財政赤字の対GDP比率が三%を上回っているときは、常に民間貯蓄超過拡大しております。民間貯蓄超過がなぜ拡大しているかといいますと、大体、民間貯蓄の対GDP比率というのは大きくは動きませんから、そういうときというのは、民間投資がすっかり落ちこんで民間投資の対GDP比率が低下しているために民間資金余剰拡大をしているときであります。唯一例外的には、七九年から八〇年のところの第二次石油ショック経常収支が急激に赤字になったときというのがございます。  これは、また総理に大学の講義みたいだと言われそうですが、もう先生方、百も御承知のように、財政赤字というのは、イコール民間黒字マイナス経常収支黒字なんですね。この恒等式の関係は常に保たれております。だから、財政赤字が三%を超えてしまっているときというのは、民間投資が落ち込んで民間黒字拡大してしまっているとき、あるいは何かのはずみに石油ショックのようなことで経常収支赤字拡大したときなんですね。  これはもう例外的だからどけますと、財政赤字の対GDP比率を下げたければ何をしたらいいかといえば、民間黒字縮小したらいい。民間黒字縮小させるためには何をしたらいいかといったら、民間投資の対GDP比率を引き上げればいいんですよ。いつでも、民間投資の対GDP比率が落ち込むような経済停滞局面において財政赤字拡大しているのです。つまり、財政赤字縮小の唯一の道というのは民間投資刺激なんですよ。これを確認するために、今企画庁お答えいただいたわけであります。  民間投資が伸びて民間投資経済成長を引っ張る民間主導型の経済成長のときはなぜ財政赤字が縮むかといえば、二つ理由で縮む。  一つは、民間が引っ張ってくれているから、財政面から刺激をしないで済む。歳出拡大なんかしないで済む。もう一つは、民間が引っ張っていますから、活況を呈して、民間からの税収がどんどんふえます。ですから、両面から財政赤字が縮んでいくのですね。  昨年、OECDがこの財革法案定義にある財政赤字黒字、これが歳出面歳入面のどういう動きによって拡大したか縮んだかを詳しく調べて発表したものがございます。  これも企画庁さんに聞いてもいいのですが、もう御存じでしょうし、時間を節約する意味で私が申し上げますが、九一年、これはバブル景気が終わった平成不況の初年度で、まだ余熱のあるときですね。このとき、実はこの財革法上の財政黒字であります。その対GDP比率は実に二・九%です。これが最近の数字としてわかっている九六年に、赤字の四・八に落ち込んだのですね。二・九が赤字の四・八に落ち込みましたから、七・七%ポイント悪化したわけです。  なぜ悪化したかと歳入歳出面を見ますと、歳出が五・八%ポイントふえた。これは、景気刺激を一生懸命やった、あるいは分母のGDPが伸びないということもありますが、歳出の対GDP比率は五・八寄与していますが、それだけではないのですね。何と、歳入の側が曲がりなりにもふらふらしながら成長しているのに、税収純減をいたしましたから、歳入の対GDP比率で一・九%ポイント赤字がふえている。つまり、そういう形で、歳入歳出の両側から赤字拡大しているわけであります。  これは、さっき私が言ったことの裏返しなんですね。財政赤字縮小するときは、民間投資経済を引っ張っているときです。逆に民間投資が沈滞してしまうと、歳入では税収が落ちてしまうし、歳出では景気刺激しなければいけないから、両面から財政赤字拡大してしまうわけです。  ですから、間違いのない財政赤字縮小策というのは、さっきから言っているように、民間投資刺激することなんですよ。民間投資主導型の持続的経済発展に早く持っていくことなんですね。これがこの法案の中に全く欠けている。それどころか、逆です。そういう経済政策を縛っているのがこの法案であります。  ここにもう一つこんなグラフがあるのですが、これはことしの七月三日の日経新聞に出たグラフであります。何かといいますと、米国政府の資料からつくったものでありまして、米国政府赤字がどういう理由で最近縮んできたかということをグラフ化したものであります。  御承知のように、九二会計年度には、米国政府赤字というのは何と三千億ドルぐらいあった。それが最近は、とうとう一千億ドルを切ってきたわけであります。当時、九二、三年ごろに何と言われていたかというと、このままほうり出してお、けば三千億ドルの赤字は、九七、八年になると、最近になると四千億ドルに膨らんでしまうだろうというふうに言われていた。このグラフの一番上が、ほっぽり出しておけばここまで行くだろうというグラフなんですね。ところが実際は、ここまで下がったわけです。そして、現在ただいま一千億ドルを切るところまで下がっている。これだけ、ほっておいたケースに比べて三千億ドルも赤字が縮んだのですね。  なぜ縮んだか。三千億ドルの縮小のうちの一千億ドルは、確かに政策努力による歳出削減です。ところが、二千億ドルは、三分の二は景気拡大に伴う税収増なんですよ。だから、赤字を本気で縮小させようとしたら、いかに民間支出主導型の持続的な成長軌道に乗せることが大事かということを米国の例も端的に示しているのであります。  では、現在どうやって民間支出主導型の景気回復に持っていけるでしょうか。政府は、それは規制緩和だ、構造改革だとおっしゃる。それは、確かに中期的に見れば規制緩和ビジネスチャンスが広がる、そうすれば投資も出てくるでしょう。しかし、これはあくまで中期であります。  短期的には、閣僚の先生方委員先生方もよく御存じのように、改革というのは短期的にはデフレ的でさえあります。それはそうですよね。規制緩和というのは、規制に守られていた、既得権益に保護されていたセクターが追い込まれていって、かわりに規制緩和で出てきた新しいビジネスチャンスを生かすセクターが伸びてくるんですから、優勝劣敗の世界が展開されますから、これは短期的にはデフレ的な効果を持つのですね。  だから、規制緩和を初めとする構造改革だけで民間支出主導型の成長軌道に戻すことは不可能であります。むしろ、一時的には景気が悪くなることさえ考えておかなければいけないですね。それを国民に向かって、じっと我慢、じっと我慢改革には苦痛を伴う、じっと我慢と言っているうちに、ずるずるずるずる景気の方が悪くなっているというのが私は現状だと思います。  これはもう経済学が教えているように、経済学も、これはいいかげんな常識ではなくて一応社会科学なんですから、大勢の人が合理的に考えて考えてできている学問なんですから、経済学が教えているように、やはりマクロ的な景気刺激策が必要なんですよ、短期的に。そして、構造改革に伴う苦痛をそれで消して初めて民間支出主導型の成長に戻るんだと私は思うのですね。  では、マクロ政策は何か。常識的には財政政策金融政策です。ところが、金融政策、御承知のように、公定歩合〇・五%、長期金利に至っては、この前申し上げましたが、今世紀最低の水準が一・七%台だった、とうとうそれが一・六%台に下がり、瞬間風速で一・六を切ったりしている。こんな超低金利では金融政策は動けない。動けないというよりか、これはケインズの言うリクイディティートラップで、幾ら金融緩和しても投資が反応してくれない状態です。そうしたら、残りは財政政策しかないじゃありませんか。  財政政策というのは、言うまでもなく歳出面減税面歳出増加減税かという問題があります。しかし、歳出面については、私どもも、今の歳出というのは相当むだを含んでいると思います。むだを含んだままの歳出をふやしていくというのは問題であって、やはりこの法案精神として出ているように、歳出は、さっき言いました規制緩和とか地方分権とか、あるいはそれに伴って要らなくなった行政組織縮減とか、さまざまな方法でむだを排除する形で削減をしていかなければいけない。とすれば、残る対策減税ということになります。大きな方向として直間比率是正なんですから、減税といった場合に浮かび上がってくるのは直接税の減税になってくる。  そこで、先般来、法人課税減税所得課税減税ということを言っております。これに対して、この前、私、尾身長官質問いたしました。同じ質問は繰り返しませんが、片一方で歳出削減しながら他方減税をしたら、乗数効果として景気刺激になるかねという話ですね。  これはまた先般と同じ東大財政学の正教授井堀さんの議論を引用させていただきますが、そしてそれは同時に今の経済学では常識になっておりますが、これは刺激効果を持つのであります。この前、尾身長官は、公共投資あるいは歳出削減マイナス乗数効果の方が減税プラス乗数効果より大きいのは常識だ、だから歳出削減をしながら減税したってだめだ、むしろ乗数効果プラスマイナスマイナスだとおっしゃった。それで、それが経済学常識だとおっしゃったのに対して、私は、それは古いケインズ経済学常識ですよ、現代経済学常識ではないと申し上げたんですね。  なぜそういうふうに申し上げたかといいますと……(発言する者あり)質問質問はそのうちしますよ。尾身長官が余りお困りになったら悪いだろうと思って、私、答えまでしゃべってしまっているんですが、そんなにお答えになりたいなら質問いたしますがね。  今言っているのは、先週の火曜日の質疑確認をさせてもらっているんですね。非常に大事なことは、減税をするときに、将来また増税ですよと言ったら、国民減税で豊かになったものを貯蓄に回してしまう。ところが、この減税恒久減税です、将来増税しません、なぜなら他方歳出をカットしているから、このとき一番減税効果は大きくなるんですね。これが現代経済学ポイントです。  要するに、減税乗数効果というのは、人々が将来増税されると思っているか、恒久減税だと思っているかにかかっているんですよ。これは、さっきから言っているように、現代経済学常識だし、東大井堀教授財政学の正教授もそう言っているんです。  長官、この前長官現代経済学常識ではそういうことは起きないようなことをおっしゃいましたが、長官は同時に、口を開くと、期待が大切だ、人々は将来どうなるかと予想している、その予想が非常に大事だと言っている。僕は、長官はいいことを言っていると思いますよ。もしそうならば、将来増税するかしないか、増税予告つき減税なんというのは全然乗数効果はない。だけれども、これは恒久減税だと言ったときには非常に乗数効果は大きくなってくる。その点、長官はどうお考えですか。
  6. 中川良一

    中川委員長 鈴木君にちょっと申し上げますが、これは質疑でございますので、そんなにお答えになりたければお答えさせてあげるという発言は御注意ください。  尾身経企庁長官
  7. 尾身幸次

    尾身国務大臣 まず、政府財政支出を、もちろんむだを省いていくことは大変大事なことでございます。同時に、政府財政支出はいわゆる政府の財貨・サービス購入ということになっておりまして、一回物を買う、あるいは一回支払いをするということになりますので、それ自体景気効果がございます。そしてまた、その波及効果、いわゆる乗数効果がその後に続いてくるわけでございます。  減税の場合には、一遍懐にそのまま入りますが、貯蓄に回る分もございまして、そこから先の乗数効果でございまして、経済に対する効果という点から見たら、私は財政支出、つまり政府の財貨・サービスの購入の方が、他の条件が同じであれば、国民経済に対する影響はそちらの方が減税よりもプラスになるというふうに考えておりまして、一人や二人の学者はどうおっしゃっておられるか知りませんが、全体の学界としては、これが常識だと思っております。
  8. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)委員 条件が同じならばとおっしゃいましたが、それこそが間違いなんですね。条件は変わるのであります、将来の予測で。今のお答えは、限界貯蓄性向、限界消費性向一定という条件が変わらなければという前提でお話しになっている。そうじゃないんですよ。限界貯蓄性向、限界消費性向は、将来の予測によって変わるんです。その予測を入れてこないような経済学というのは、本当に古臭いケインズ経済学なんですね。  それから、歳出をすればまず懐へ入るとおっしゃるが、歳出の中にはむだもたくさんあるし、土地買収費もあるし、全部が支出に回るなんということは絶対にあり得ないということも申し上げておきましょう。  そういうわけで、総理、私が今申し上げていることは、財政赤字を本気になって減らすためには、どうしたって民間支出主導型の成長へ持っていかなければだめですよ。民間支出主導型の成長へ持っていくのに、今おやりになっているように構造対策だけでは、既に沈滞している経済に対してむしろデフレ効果の方がいって、大変なことになりますぞ。やはりマクロ的な景気対策しかないでしょう。その場合に、さっき言ったように金融政策は動けない、財政支出はむしろむだを排除するのだという話になったら、減税、それも直接税減税でしょう、その効果はありますよということを申し上げたわけです。  もう一つ、この法案は実は財政赤字削減に成功しないのじゃないかと言っているのは、先ほども申し上げましたように、歳出のむだを排除して、規制緩和や行政改革と表裏の関係で歳出削減していこうという発想が法案には入っていない。法案の中に書いてありますことは、いわゆるキャップで、プラスシーリング、ゼロシーリングマイナスシーリングと並べてあるだけで、構造をいじるのだ、そしてその結果として歳出を切るのだということを明記しておられないですね。これが私は問題だというふうに思います。  公共投資を例に挙げて申し上げたいのでございますが、私ども新進党は「日本構築宣言」の中に明記しておりますように、公共投資については二つの方法でむだを排除していきたいというふうに思っております。  一つは、単価の引き下げです。バブルのときに民間公共投資も単価が非常に上がりました。その後、民間は必死のリストラをやって、価格破壊でありますから、相当下がった。公共投資の単価はほとんど下がっていない。そのために、これは建設省の統計でありますが、三、四割建設単価に違いが出ているという統計もございます。ですから、今の指名入札制度を廃止して、もっと競争を促進して単価を下げていくことはお考えにならないのですか。それをいたしますと、公共事業費は、予算額としては、名目額としては抑えていても、実質ベースでは公共投資は伸びることが可能になりますので、景気に対する悪影響は極小化できるわけですね。  私ども、再構築宣言にもう一本非常に大事なことを言っております。それは、今のように中央省庁が五カ年計画なら五カ年計画をつくって、それに沿ったプロジェクトを持ってきた地方公共団体に補助金をつけるという制度は、むだが多過ぎますよ。これはまず交渉事で、官官接待とか交通通信費だとか書類作成、大変な手間がかかる。このむだを省くため、そして地方のどこにインフラが不足しているかなんということは地方の方がよく知っているのですから、一括して資金を交付して地方公共団体に公共投資を考えさせれば、同じ予算額でも大変効率が高まるじゃないかということを言っております。  この二本の柱で公共投資の効率を高め、単価を下げるならば、予算額として抑えていっても実質の公共投資がふえますから、デフレ効果は非常に小さくなってくるのですよ。  建設大臣、恐縮でございますが、恐らく私が今言っているような、新進党が言っているようなことはそちらでも御検討だと思うのですね。ここの法案には出ていないのですが、それをおやりになるお気持ちがございましょうか、お伺いいたします。
  9. 瓦力

    ○瓦国務大臣 鈴木委員お答えいたします。  むだはないかと、限られた財政状況の中にあるわけですし、貴重な資源を有効に公共投資に回しながら住宅・社会資本整備に取り組んでいく、このことは私どもに与えられた最大の課題でございますから、さような努力を怠りなくやっておるわけでございます。  今御指摘のように、これは本年四月になりますが、公共工事コスト縮減対策に関する行動指針、いわゆる行動指針というものを定めて、今各省庁協力をしながらコスト縮減、このことに努力をし推進しておるところでありまして、それの果実効果も出てきておるわけであります。こうしたことは常々やっておるわけでありますが、これからもさらに日々そういう努力をしなければならぬ課題だ、こう心得ております。  それで、具体的取り組みの中では、物流の効率化、技術開発促進、こういったことを通じまして、資材コストの縮減、それから委員が今御指摘の民間コスト縮減技術、こういったことを意欲的に取り入れて検討を加えながら実施をしておるわけでありまして、入札・契約方式の点にもお触れでございますが、このことにつきましても、試行をしながら推進をいたしておるわけであります。  なお、委員からは補助金の問題等につきまして御指摘もございますが、これは国と地方の適切な役割というものがあるわけでありますので、これらにつきましても、広域的な観点から施設の整備を行うとか、住宅・社会資本整備につきましては、やはりこれは全国的にバランスのとれた施策を講じていかなきゃならぬ。いわゆるシビルミニマム、ナショナルミニマムと申しますか、こういったことを確保してまいるということは大切なことでございます。  加えて言いますと、国家プロジェクト、これらもあるわけでありますから、有効な方法を講じまして、こういう景気状況の中でありますから、一層、官だけではなしに民間の力も巻き込みながら、財政運営も知恵を出し合いまして推進をしたいという取り組みをいたしておるところであります。
  10. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)委員 どうも瓦大臣ありがとうございました。  公共投資の単価引き下げ、そのための入札制度の検討等をなさるということでございますが、これはもうぜひとも早急にお願いをしたいところであります。  それから、補助金に関連しておっしゃいました。  私ども新進党も、再構築宣言の中に明記しておりますように、国家的なプロジェクト、中央で決めなきゃいけないようなプロジェクト、ハブ空港とかハブ港とかその他基幹的な交通通信とか、そういうものは国でやるべきなんだよということをはっきり言っております。  しかし、今、余りにも細かいことまで、国が五カ年計画を決めて、これに合ったプロジェクトを持ってきたものにしか補助金をつけないぞということをやっていると私どもは思うのですね。これを全部洗い直して、規制緩和、行政の過剰介入をやめる、中央の地方に対する過剰介入をやめるという観点からぜひとも洗い直していただきたい、洗い直すべきだというのが私どもの主張です。  その上で、こんな細かいことは地方地方の事情によるんだから、地方公共団体に任せた方が投資効率はいいという部門を中央で決めるのはやめなさい、補助金やめなさい、一括交付しなさい、こう言っているわけでありますから、根本的な考え方において食い違いがあるのではない。違うのは、もっと切り込むところがあるじゃないですか、規制緩和の余地があるでしょう、それがうまくいけば行政組織縮減できるじゃないですか、こういうことを言っているわけであります。  さて、以上、私は、二つの点で、この財革法案というのはその意図に反して、かえって経済を停滞に追い込み、それからデフレ的なむだを含んだ形のままの歳出削減をすることになって、結果、財政赤字は逆に拡大さえするぞということを言っているわけでありますが一総理政府におかれては、この財革法案を本当にこのとおり実施した場合に、本年度の九兆円増税に続いて、来年度以降六年間これを実施した場合に、日本のマクロ経済がどうなるかというシミュレーションをおやりになりましたか。そういうチェックをおやりになりましたのでしょうか。いかがでしょう。
  11. 尾身幸次

    尾身国務大臣 私ども、先ほど来委員のお話をお伺いをしておりまして、投資拡大すべきである、経済を活性化すべきであるという意見につきましては、同意見であります。  ただ、その手法が違っておりまして、財政構造改革を進める中で、今までの公共事業を建設国債で増大させるとか、あるいは赤字国債を出して消費を促進するために減税をするとか、いわゆるそういう意味財政出動の手法は、現在の経済の状況、財政状況から見て不適切であるし限界がある。したがって、今までの古いそういう発想を転換して、新しい発想に立った運営をしていきたいということであります。  その意味は、先ほど来のお話のとおりの、規制緩和を進めるとか、あるいは土地の流動化をして、バブルの後遺症になっていて景気上昇の大きな妨げ、しこりになっている不良債権の処理を実質的に進めるとか、あるいは企業活動のグローバルな展開の中で、日本という国が、日本の企業も含め、世界の企業も含め、経済活動、事業活動の拠点としてそういう企業に選ばれるような対策をするとか、そういういわゆる構造改革をすることによりまして民間の活力を十二分に発揮させて新しい日本経済の体制をつくり上げていく。そして、それによって投資もふやし、そして貯蓄の裏返しである消費もふやして、全体として経済構造を活性化していき、その中で財政構造改革経済構造改革をまさに両立をさせていきたいという考え方でございます。
  12. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)委員 私、さっき言いましたでしょう、そういう構造改革は結構だ、大いにやろうと。しかし、これは中期的に効果が出てくる話で、目先はデフレ的効果を持っているものですから、これだけでやろうとしたら経済はますます沈滞するぞと言っているわけですね。そこで、なぜ財政刺激を一時的に赤字拡大してでもやろうとしないのか。その方がかえって経済に元気が出る。  特に、私最初に申し上げたように、過去の統計を見れば、民間投資が上がってきたときに財政赤字が減るというのはもう明々白々です。民間投資を上げるための対策をなぜ打たないかと言っているのに対して、政府は、いやいや、構造的な対策で大丈夫だ大丈夫だと言っておりますが、じゃ大丈夫な証拠を見せなさい、シミュレーション結果を見せなさいと言ったら、やっていないと言うじゃないですか。こんな無責任きわまりない経済運営ないですよ。口で言っているだけで、全然チェックしていないじゃないですか。計画があるならちゃんと出してごらんなさい、シミュレーションがあるなら出してごらんなさい。  どういう理屈で、どういう数字で、今のこの沈滞し切った、株価もどんどん暴落して、アメリカが先週末戻ったから戻るかと思ったら日本だけがおっこちてしまような、こういう状況から立ち直れるんですか。ちゃんとしたチェックしていないじゃないですか。計画局は何のためにあるんですか、経済審議会は何のためにあるんですか。何にもしていないじゃないですか。
  13. 新保生二

    新保政府委員 お答えいたします。  先生が御指摘のように、短期の局面では財政赤字削減デフレ効果を持つというのはそのとおりであります。OECDの経験でもそういう関係が出てきております。ただし、より長い中期、三年とか五年とかいう局面でやりますと、デフレ効果を相殺するようなメカニズムが働き始めるわけですね、金利の低下であるとか、外需がふえて景気刺激するという形で出てきますので。  OECD諸国の経験を見ますと、実は、二十カ国のうち、この九一年から九六年にかけて財政赤字削減を大幅にやった国が十三カ国、財政赤字拡大して景気刺激した国が七カ国あります。この国を見ますと、財政赤字拡大した国が成長率が高くなって、財政赤字削減を大幅にやった国が成長率がダウンしたかというと、そうはなっていないんですね。中期的にはこの関係はゼロであります。これを三年にしてもゼロであります。  つまり、短期ではデフレ効果はありますけれども、三年もたてばそのデフレ効果は消滅するたぐいのものであるということだと考えております。
  14. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)委員 私はそんなよその国のことを聞いているのじゃないんですよ。日本についてちゃんとチェックしているのかと、経済企画庁は、あるいは政府は。  それは、今言ったことはそのとおりです。海外の例を引けば、歳出削減に重点を置いた国の方が増税に重点を置いた国よりは成功しているというのはありますよ。でも、そんなことは百も承知です、それを聞いているのじゃない。日本についてちゃんとしたシミュレーションがあるのかと聞いている。  それがないとおっしゃるから、じゃ私、民間のシミュレーションをここで御紹介しますよ。大和総合研究所、大和総研のシミュレーションであります。そして、これは四―六月期のGDPを入れた上でのシミュレーションであります。  この結果、どういうことになると彼らは予測しているかといいますと、まず成長率、最初の九八年度から二〇〇〇年度までの集中改革期間、平均たったの一・六%であります。その後、それは規制緩和や何かの影響がようやく三年、四年たって出てくるということもあって少し上がってきますが、それでも二〇〇一年から二〇〇三年までの成長率はたったの二・二%であります。ですから、この六年間の平均は一・九%成長。  日本で一・九%成長でありますと、これは労働力が余ります。したがって、失業率は、このシミュレーションによりますと、現在の三・四%から四・五%へ向かって上がってくるんです。これは、平均が四・五に参りますと、学校を出たばかりの十五歳から二十四歳の人たち、今でさえも失業率七%ぐらいなんですね、これも二けたになってきますよ。そして、定年を過ぎてまだ働きたい、五十五歳から六十四歳、十分働ける人たち、この人たちは今でも失業率四%ぐらい、これが恐らく六%前後に上がるんじゃないですか。そうすると、これは社会的な大問題になってくるというふうに思います。  そして、こういうふうに失業率が上がってくるということは、もちろん企業経営がうまくいかないということですから、このシミュレーションには出ていないけれども、倒産多発ということを当然考えておかなきゃいけないでしょう。  それから、このシミュレーションには出ていないが、資産価格、地価がまた下がるかもしらぬ、株価はもっと下がるかもしらぬ。そうしたら、いわゆる資産デフレがここからもう一つ強まっていく可能性があるのですね。その場合に、ただでさえ不良債権を持ってひいひい言っている金融機関がもつだろうかということであります。これは単なる預金取扱金融機関だけではない、問題の、国民生活と密着な関係にある生保だって、かなりの生保がえらいことになるでしょうね。まず、金融危機勃発は間違いないと思います。  さらに、アメリカとの関係で何が起きるか。経常収支黒字の対GDP比率、この四―六月期にぽんと二・六に上がりましたね。この大和総研のシミュレーションでは、何と来年度早くも三・四に上がるというんですよ。その上、二〇〇〇年以降になると四%台になってくる。御承知のように、二%台の黒字の対GDP比率で摩擦は起きてくる。三%を超えると危機的になりますよ。この数字によれば四%台に上がってくるんですね。  どうですか。政府で全然シミュレーションしていないとおっしゃるから、今ちゃんと詳しくお教え申し上げた。こういうシミュレーションが出ているのです。総理、これは非常に危険な状態だと思いませんか。いかがでございますか。
  15. 中川良一

    中川委員長 経企庁新保調査局長
  16. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)委員 私、総理に伺っているんです。経企庁の役人なんかに聞いていません。総理が今お答えくださろうと動いておられるのに、何ですか、委員長は。委員長は無責任です。総理が今お答えくださる。
  17. 新保生二

    新保政府委員 お答えします。  鈴木委員の挙げられた民間のシミュレーションというのは、日本のモデルの特徴を備えていまして、財政政策効果が短期的に非常に大きい、乗数が大きいという想定なんですね。しかし、世界的な学界の動向は、先ほど先生もおっしゃったとおり、財政政策は短期ではデフレ効果はあるけれども、その乗数は言われるほど大きくないというのが最近の学界のコンセンサスであります。ウォールストリート・ジャーナルは、それを踏まえて、近年の日本経済運営に対する批判を行っていまして、要するに、大規模な歳出追加策が期待されたほどの効果を持たないという事実を無視した、その結果、財政赤字拡大増税を迫られているのだと。  そういうことですから、九一年から九五年にかけて、先生の言われたような歳出追加を中心とする財政政策は非常に強力にとった、それでも効果は小さかったというのが現実であります。
  18. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 先ほどからの中井理事の言葉を借用いたしますならば、鈴木教授の講義を非常に真剣に拝聴しておりました。そして、その講義に対してはお礼を申し上げます。その上で私は、ちょっと議員と意見を異にする部分があるな、これは率直にそう感じました。  例えば、このような状況下、議員が論議を展開されましたように、一時的に財政赤字拡大をする、そして減税あるいは公共投資の追加、これは当然ながら議員はその公共投資のコストの削減もあわせて御主張になりましたことを私はあわせて伺っておりました。しかし、そういう形で仮に景気拡大させる、しかしそれは、その増収額でそのために必要とする公債の増発発行額を消し切れるかというと、私は必ずしもそうは思えません。  ある意味では、我が国はまさに今日までの間、バブル経済の崩壊後、景気対策として大型の補正予算を累次に組んできました。また、税制においても議員御指摘のような方向を見た時期がございます。しかし、その結果として、私はそれはそれなりの底支え効果があったと思いますけれども、公債残高は急激に累憎いたしました。そして、現在の財政状況というのは危機的な状況にあること、これも議員もお認めいただいているところであります。この上、少子・高齢化の進展というものを考えますと、要するに、国民生活のセーフティーネットとしての社会保障支出というものがある、当然ながら制度のより合理的な安定した姿を模索していくにいたしましても、一定の自然増は必ず出てまいります。  こうした財政構造をこのまま放置しておくことができるかといえば、私はもう限界に来ている。むしろ、経済の活力の低下を食いとめるためにも、あるいは将来に背負い切れないような負担を残さないという点に対しても、財政構造改革というのは一瞬のちゅうちょも許されない状況にあると私は考えております。  その上で、既によく御承知のとおり、この法律案に書き込む、書き込まないではなく、規制緩和にいたしましても、分権の推進にいたしましても、他方で加速させております。また、今後において、その進展を受けた形で行政改革というものも当然ながら進めていくわけであります。  私どもは、これは政策選択の問題として、私は議員が引用されましたような東大の偉い先生の学説を批判するほどの力はありません。しかし、もしそういうことをあえて申し上げることを許していただけますならば、先ほどお触れになりました現在の証券市場の状況におきましても、数年前の証券不祥事によりまして、特定の人間への補てんが行われていたことから、一般投資家の心理は完全に冷えました。これがようやくある程度戻り始めた時期に、現在大変な混乱が起きております。こうした状況の中で、市場が信頼を取り戻して、一般の投資家が戻っていただける状況をどうつくるか、むしろそうした問題も私の頭の中にはあることは申し上げておきたいと存じます。
  19. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)委員 総理と同じように、私も、この財政赤字削減しなければいけない、そうしなければまた二十一世紀、高齢化してさまざまの財政ニーズが出てくることは見えているのに大変だぞ、もう全く同意見です。それは、私が同意見なだけじゃない、新進党の再構築宣言の中にだってそういう言葉はあるのです。  ただ、総理が今おっしゃったことで、私、一つだけ違うと思うのは、これは先週火曜日にも申し上げた、一瞬たりともという言葉、要するに財政赤字はもうびた一文ふやせない危機的なところへ来ているんだとおっしゃることですね。僕はそこが違うと思います。相当財政赤字は大きい。だけれども、びた一文ふやせないなんという理屈はないんですね。それは経済刺激して、一回ふえるかもしれないけれども、それからぐっと縮んでいくということであれば、一時的な財政赤字、若干ふやすくらいのことができないはずはないんですね。そこのところが違うのです。  さらに、この大和総研のシミュレーションで、最後に一番大事なところを私まだ申し上げていないんです。大和総研のシミュレーションによると、最終年、二〇〇三年の財政赤字の対GDP比率は何%になると思いますか。三%なんか切りません。これは二〇〇三年になっても三・四%です。ということは、このやり方じゃ目標にしている財政再建はできないということですよ。それを私どもは申し上げているのです。  最初に言いましたように、この財革法、ねらいとするところはいい、我々も同じだ、財政赤字削減をしたい。しかし、財政赤字削減したいがゆえに、この法案じゃだめだと言っているんです。この法案じゃ財政赤字削減はできない、そのことを言っているんです。  きょうは総括質疑ですから、一番大事なその点を強調したいと思います。私どもは、赤字削減はどうでもいいなんて言っているんじゃない。赤字削減は物すごく大事だ。だけれども、この法案じゃ逆になるぞ、逆行するぞ、赤字削減できないぞと言っているんですよ。それが最大の理由で、この法案は断固つぶしたいというふうに思っているわけでございます。  これを申し上げまして、残りの時間は、同じ新進党の北側委員に譲りたいと思います。  どうもありがとうございました。
  20. 中川良一

    中川委員長 この際、北側一雄君から関連質疑の申し出があります。鈴木君の持ち時間の範囲内でこれを許します。北側一雄君。
  21. 北側一雄

    ○北側委員 新進党の北側一雄でございます。  総理、あしたからロシアにいらっしゃるんですね。お疲れとは思いますが、よろしくお願いいたします。大蔵大臣とはきのうまで再三やってまいりましたので、きょうはぜひ総理と討論をさせていただきたいと思っております。  今、鈴木委員からもございましたが、総理財政改革の必要性、将来の世代に重い荷物、負担を残してはいけない、これはもう、ここにいる我々、同僚議員の共通の認識だと思います。そこが違うという話はないと思うのです。  問題は、その財政改革をしていくための手法、手段、そこの違いなんだろうというふうに思うわけでございますが、この法案、二〇〇三年度に財政赤字三%以下にするんだという当面の目標設定をされておられます。この財政赤字三%以下という当面の目標設定は、これは理解できるのです、平成十五年度、二〇〇三年度がいいのかどうかは別にして。また、この財政赤字定義が、貯蓄投資差額なんというふうな極めてわかりにくい定義を使っておるということ、本当はもっと単純に、その年度の国、地方の公債発行高とその他の借入金、要するに借金の対GDP比率とすれば非常にわかりやすいのになと思うのですけれども、そういう問題もちょっと置いておきまして、財政赤字三%以下という当面の目標設定自体はよく理解できるんです。  もちろん、この法案にはほかにも幾つか問題点はございますよ。あるんですけれども、今日までの当委員会の議論で一番集中しているのは、この時期にこの法案を通してしまっていいのかという議論が一番多いわけなんですよ。今のこの経済情勢、景気情勢の中で、ある意味じゃ財政の手足を縛ってしまうわけですね。財政出動の機動性を奪ってしまう。そういう法案をこのタイミングで通すことが一体どうなんだろうかということが、やはりこれまでの議論、幾つかの問題点の議論はありますが、最大の議論はここです、ポイントは。  これは私の意見でございますけれども、現在の先行き不透明な経済情勢、こういうことを考えますと、少なくとも政府が、総理が予見をされておった様相と少し違ってきているのではないかと思うのです。  六月三日の閣議決定に基づいてこの法案はつくられているわけですが、その六月三日の時点とは、政府の予想した経済状況とは相当様相が違ってきているのではないか。恐らく政府は、四、五、六ぐらいで消費税引き上げの消費の低迷もおさまるだろう、七月、夏場からはもとに戻るだろう、こういう前提でこの法案を臨時国会に出そうというふうに考えられたと思うのですけれども、でも、現在の経済状況はそうなっておらない。景気の状況は、私どもから見れば極めて悪い、これは実感です。  私は、ぜひ総理に、これは率直に提案申し上げたいのですけれども日本経済、先行き不透明です。いろいろな不安定な要素がございます。この法案につきまして、今国会で成立させるというのではなくて、少し先に延ばしたらどうですか。総理、いかがですか。
  22. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 私は、議員の御議論を頭から否定するのではありません。ただ、先ほど鈴木議員と議論をいたしましても、私どもと御党の間に考え方の差異があること、これは事実でございました。そして、その上で、政府として今国会にこれを提案し成立をさせていただきたいと願っている気持ちは、一層むしろ強いものがあります。  なぜなら、この法律案が通過、成立をすることを受けまして、当然ながら、次年度以降の一定期間における財政の範囲というものは見えてくるわけであります。少なくとも、その赤字削減の目標というものは確定をいたします。  その中で、それぞれの政策における重点配分あるいは優先順位等は、毎年の予算編成の中で整理をしていくべき問題でありますけれども、私は、それと同時に、これだけが今考えられているものではないということを繰り返すことをお許しいただきたい。それは、規制緩和も当然、緩和だけではない、撤廃もそうですし、分権を進めていくこともそうですし、そうした意味での構造改革をより加速させなければならないということは、言外に議員が指摘された点として、私はそのような思いで今の御意見を承っておりました。  その上で、今国会成立をぜひお願いを申し上げたいという気持ちは全く変わりません。
  23. 北側一雄

    ○北側委員 物にはやはり順序というか、その順序が非常に大事なような気がするのですね。  構造改革規制緩和、これをどんどん先行させる。私はこれはもう大賛成です。しかし一方で、本法案のような、今の経済情勢で財政出動の手足を縛ってしまうような法案をこの時期、このタイミングで出してしまうのがどうかということを心配しておるのです。  九兆円の負担増、我々から言いますと九兆円の負担増がことしございました。消費が低迷しております。この消費の低迷は、恐らく政府からすれば予想外に長く低迷をしておる。これは、経企庁長官もそういうお話をされておられます。  超低金利、公定歩合〇・五%、もう異常です。これは二年以上続いている。異常な状況ですよ。年金生活者は大変です。この公定歩合の引き上げが、なかなかしたいけれどもできない、いまだにそういう経済環境、経済条件になっているんですね。株価は、御存じのように低迷しています。ここのところはもう大変な急降下ですね、総理御存じのように。  また、金融不安もささやかれております。また、金融の本来の機能が今果たされていない。貸し渋り、来年の自己資本比率を維持するために何とか資産の内容を健全化しないとということで、今、金融機関はもうきゅうきゅうとしています。不良債権の処理、貸出資産の圧縮に一生懸命、だから貸し渋りであり、厳しい取り立てが進む。だから、中小企業の倒産が今史上最高です。そういうような状況。  一方では、アジア経済が低迷している。アジアの通貨の価値が低下する。これは日本の外需に、輸出に大きな影響を与えることは必至です。日本の外需の四割を占めています。  こういうふうな環境下で、財政の出動を縛ってしまう、機動性を縛ってしまうこの法案をこのタイミングで通してしまったら、私は、後で困ってしまうんじゃないかと思うのです。  現実問題、自民党の景気対策が出てきました。この間もありましたが、税制改正の内容だけ見たら、努めるとか書いていますよ。書いていますけれども、その項目だけ積み上げていったら一兆円ぐらいの税制改正の内容ですよ。それぐらい、本当は自民党の議員の方々も、今景気は厳しいぞという認識を持っていらっしゃっているわけでございまして、財政の出動を縛ってしまうような法案をこのタイミングで、もう少し時期をずらしたらどうなんですかということを私は申し上げているんです。  現実問題、では、この法案をこの国会で通さないで、例えば、例えばですよ、来年度の、十年度の予算の成立までに通せばいいわけですよ。今もう既にこれは、この内容で閣議決定があるわけですから、この閣議決定に基づいて概算要求されているわけです。それに従って予算編成されるわけですから、この閣議決定自体があるわけですから、別にこの法案をまた、まあ廃案にしろとは言いません、継続にしたっていいわけじゃないですか、今先行き非常に不透明で不安定な要素が強いわけですから。私はそういうことを申し上げているんです。  どうですか、総理、来年の通常国会までこの法案、先がどうなるかわからないわけですから、不安定なわけですから、もう少し継続にして様子を見ませんか。
  24. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 繰り返しになりまして恐縮でありますけれども、私どもは、あくまでもこの国会でこれを成立させていただきたい、そして、国の財政運営、その方向を明示いたしたい、そういう気持ちを強く持っております。  その上で、議員がいろいろと、こういう点で心配ということを触れられました。確かに今、アジアの通貨市場、非常に複雑な動きをいたしております。その中で、国際的な支援スキームを最初に進めてまいりましたのが、御承知のとおり、タイのバーツでありました。  そして、たしか一昨日であったと思いますけれども、私自身がスハルト大統領との電話で、IMFとの構造調整プログラムの策定をインドネシアも急いでもらいたい。そのプログラムが設定されることを前提に、第二線準備について我々も協力の用意がある。インドネシアのファンダメンタルズはそんなに悪いわけじゃないんですから、むしろその金融の安定というもののためにも、構造調整プログラムをIMFと早くセッティングしてもらいたい。同時に、そういう構造調整を行うということになれば、我々もまた、世銀やアジ銀と相談をしながら、その構造調整の工夫というものも一緒に考えるよという話を一昨日いたしたところです。  IMFとの構造調整プログラムの論議は相当進んでおると思いますけれども、あと何日かかるのか、これは私はわかりません。そういう意味では、国際的な中での我々の役割というものをも日本が果たしつつあること、これはぜひ御理解をいただきたいと思うのであります。  それからまた、先ほど鈴木議員に対して、私は、あるいはおしかりを受けるかもしれませんけれどもという断りを申し上げた上で、現況の日本の証券市場の混乱について触れました。  ようやく一般投資家が戻り始めたやさきにこうした混乱が生じておること、これは確かに、それは六月時点に想定していたかと言われれば、こういう事態を想定しておったわけではありません。総会屋への資金提供なんというものを想定するなんということは全く考えておりませんでした。しかし、これが一般投資家の心理を冷やしたことも、私は無視できないと思っています。どうすれば市場に戻ってもらえるかという工夫は、別途我々は考えていかなきやなりません。これは本来、市場としての信頼を回復するための自己努力が前提でありますけれども、こういうものも我々は考えていかなきゃならないでしょう。  あるいは今、金融機関の貸し渋り、債権回収の強化というお話がございました。先日、通産、大蔵両大臣に指示をし、こういうときが政府系金融機関が役割を果たすとき、要するに、資金繰りで困らないだけの対応策を工夫しろ、準備をしろ、それに応じられる用意をしろ、これにはそれだけではなく信用保証の問題とかいろいろな問題がつきますけれども、既にそういう態勢も動かしております。  もし、お許しをいただけますならば、その辺は通産大臣から補足答弁をお許しいただきたいと存じます。
  25. 北側一雄

    ○北側委員 それでは、私のこの質問を、少し観点を変えて質問させていただきたいと思います。  この委員会の前半の総括質疑で、我が党の西川委員総理と議論をさせていただいたわけでございますが、このときの総理の御答弁の中に、こういうくだりがあります。  これは、政治責任の問題と絡めまして、総理の答弁をそのまま言いますと、この法律の「目的とする条件を政府として全うできなかった場合、政治責任というのは私は大変重い言葉だと思いますけれども、と同時に、客観的にそういう状況を維持することのできないような情勢が生まれる場合、全く現時点において予想し得ない、」総理はここで湾岸危機とか湾岸戦争の例をお引きになりまして、そういう予見しがたい事態が発生いたしましてこの法律の目的が守れないといった場合、政府はこの法律の改正案を国会に提出する責任があります、こういう御答弁をされておられるのですね。  この客観的にこの法律の目的を維持することができないような情勢が生まれる場合、湾岸危機、湾岸戦争の場合であれば九十億ドル支援という問題がございました。そんな金どうするんだ、財政出動しなきゃいけない、公債発行だ。そうするとこの法律は守れないということでございますね、だから法律を改正する。だから、そういう予見しがたい情勢が生まれる場合もあり得るんだという御答弁を総理はされておられます。  そこでお聞きをしたいことは、例えば経済状況が、湾岸戦争とか湾岸危機というお話をされていますけれども日本のこれまでの経済の歴史を見ても、第一次オイルショックまた第二次オイルショック、また円高不況等々、過去歴史がございました。そういう外の要因によって日本経済が厳しくなる、景気が悪くなる、そういう事態がございました。経済が何らかの原因によって著しく悪化するような場合、こういう場合も、総理がおっしゃっているこの予想し得ない事情の中に入ってくるのでしょうか。
  26. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 西川議員との論議を引用されましたが、確かに私そういう例を引いてお答えしたことを覚えておりますけれども、御質問がどういう形であったかを正確に記憶をいたしておりません。大変恐縮でありますが、御質問の方も御紹介をもう一度いただきまして、その上でお答えを申し上げたいと存じます。
  27. 北側一雄

    ○北側委員 西川さんがいらっしゃいますけれども質問の部分はちょっと長いのですが、「この法律というものに違反した場合、」「政治責任だけが発生するのでしょうか。そして、もしそうだとするならば、その発生した政治責任というのはどういうことなのでしょうか。」という質問に対するお答えなんです。
  28. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 確かに、私は湾岸危機から湾岸戦争を例示にとってお答えをしたわけでありますが、これは、当時全くだれもが予見していなかった、ある日突然のイラクのクウェートに対する侵入から始まった行動でございました。  そして、最初、国際貢献として用意をいたしました十億ドル、これは予備費の範囲内で対応ができたとたしか記憶をいたしております。しかし、すぐ、もう十億ドルの負担が必要になりましたとき、これは予備費だけでは対応できず、相当な節減を各省に求めたと記憶をいたしております。  そして、湾岸戦争が勃発した直後、多国籍軍に対する貢献として求められました金額は、到底そうした対応の中で吸収できるものではございませんでした。  結果として、一方で、政府の提案しておりました当初予算案の中、一部をみずから修正し、それによって財源を捻出し、なお足らざる部分を短期的な時限を決めての国民への御負担をお願いし、その税収というものを担保として短期のつなぎの国債を発行し償還した。確かに西川議員から御質問がありましたときに、そうした予見できない事態、しかも、国内における課題ではなく、海外における要因が日本を直撃するようなケースにおいて、これはおのずから政府自身が努力をしてこの法案が守れないというのとは違った要因、そうしたことからそのような御答弁を申し上げました。  議員の御指摘の中に、どのような事態を想定されるかわかりませんが、大変不幸な記憶でありますけれども、例えば阪神・淡路大震災のような巨大災害が発生をし、短期に非常な資金を必要とするようなケースが全く起こり得ないかと言われれば、残念ながら、我々はそうした災害に現に遭遇した記憶を持っております。  となれば、その時点においては、予備費対応なり国会で御論議をいただきました予算の一部流用をお認めいただくなりということで当面の対応はするにいたしましても、その復旧、復興等に想像以上の、予測できませんけれども、非常に大きな資金を必要とするということが国民的にも明らかなような場合というものも、これはあり得るだろうと思います。  しかし、そういう不幸な事態を前提にエクスキューズをつくるということは、私は、なるべくならそういう事態が起こらないことを願うということでありますし、むしろ災害防止といった方からの努力をしていきたいと思いますけれども、今議員の仮定されましたようなケースが全く起こり得ないという保証はないわけでありまして、その場合には、むしろその事態そのものへの瞬間の対応というものは予備費であり、あるいは予算費目の変更、流用といった手法で対応するにいたしましても、国民的な合意が得られるような事由であるなら、これは変更を法律案の改正案という形でお願いを申し上げるケースも皆無だとは私は断定できないと思います。
  29. 北側一雄

    ○北側委員 今の総理の御答弁は、非常に大事な御答弁だと私は思います。  今の経済というのは本当にグローバル化されておりまして、この間の株価の連鎖反応じゃございませんけれども、すべて日本だけの要因じゃなくて、プラスアルファで、国外による要因によって日本経済というのは大きく変動するような構造にもうなってしまったわけです。好きとか嫌い関係なしに、我々はそういう方向を選んでしまったわけです。地球の裏側で起こった事変が日本経済にまともに影響を与える時代です。  という意味で、そういう国外における要因も相重なって日本経済が著しく悪化し得る、もちろん我々はそういうことがないように努力しなきゃいけないわけでございますが、そういうことは予想されるわけでございます。あり得るわけです。  そういう場合に、今の総理の御発言は、そのために必要な経済対策を打たないといけないというふうな場合に、予備費でまずはやりましょう、そして予備費で足りなかったら、国民的合意があるならば、場合によってはこの法律の改正をすることもあり得ますよという御答弁であったというふうに理解いたしますが、総理、いかがですか。
  30. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 今、西川議員との速記を手にいたしました。そして、西川議員からの御質問は、私は、仮定を置いてお答えすることをお許しいただきたいと思うというところから始めております。議員はこの点を御引用になりませんでしたけれども、要するに、先刻来、西川議員は御自分の論議の中で、これが成立することは絶対認められない、絶対反対だ、自分は反対だということを言い切ってこられた上で、成立を前提とした御質問をされた。それに対して、あくまでも仮定という形の中で私はお答えを申し上げたわけであります。  そして、先ほど来いろいろな角度から御論議がありますけれども、私は、本当に議員に誠実にお答えをしようと思って、今、例を、こうしたケースは絶対に否定できないということを申し上げました。  しかし、その上で、我が国の経済運営あるいは財政運営ということから議論をいたしました場合に、過去本当に財政対策、何回も経済状況が悪化したということで我々やってきました。そして、その結果として発生したものが巨大な財政赤字であります。そして、その反省の上に立って、我々は、こうした手法をとることがいいことではないと真剣に考え、その反省の上に立ってこの法律案というものを提案させていただいております。  ですから、私は、本当に極端なケースを例示で絶対ないかと言われれば、そういうことはあり得ないことではないということを申し上げましたけれども、これを余り拡大して御論議をいただくことになりますと、原則にまた戻ったお答えを申し上げなければならなくなります。  そして、私は、この法律案というものは、累次の財政対策経済対策というものを行ってきて、巨額の累積赤字をつくってしまった、これを次の世代にまで引き継がずに何とか解決のめどをつけていきたい、その反省からこれを提案しているということだけはぜひ御理解をいただきたいと思いますし、その意味におきましても、次の国会に先送りという御提案をいただきましたが、私はあくまでもこの国会で一日も早く成立をさせていただきたい、繰り返しお願いを申し上げる次第であります。
  31. 北側一雄

    ○北側委員 総理の御答弁はよく私は理解しましたが、ただ、今の御答弁は、やはりそういう経済の急激な変化の中でこの法律の改正の必要性が出てくる場合を全く否定するわけにはいかないよという御答弁であったことを確認させていただきました。  そこで、ちょっと次の質問をさせていただきますが、この法律の中に、第六条の一項の六号で国民負担率の規定がされております。  この法律の目的は、財政赤字平成十五年度に三%以内にする、赤字国債の発行から脱却する、公債依存度を引き下げる、この三つが当面の目標として第四条には規定がございますが、国民負担率を五〇%を上回らないように抑制するというふうにこの第六条の一項の六号では規定があるわけなのです。  この国民負担率というのは、括弧の中でごちゃごちゃ書いていますが、要するに、隠れた国民負担率、財政赤字を含めた国民負担率、ですから税と社会保障負担とプラス財政赤字、これを足したものが隠れた国民負担率、これを五〇%を上回らないように抑制することと挙がっています。これは、やはり同じように目標と考えていいのでしょうか。この法案の目標と考えていいのでしょうか。
  32. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 国民負担率というもの、これは、究極的には国民が必要とされる公共支出の水準とバランスをする、表裏をなす、そうした性格のものでありますから、本来なら、その時々の情勢の中で国民的な選択が行われるものという言い方もできるかもしれません。  しかし、同時に、今極めて高齢化が速いスピードで進展しているその状況で、国民負担率というものが長期的にはある程度上昇せざるを得ないということは避けられない状況と見込まれます。しかし、同時に、そのままのスピードで国民負担率がふえた場合に、これは私は本当に、経済の発展という意味からも、社会の活力を維持するという意味からも、非常に大きな問題を呼ぶと思いますし、この上昇は極力やはり抑制するということは必要だと思うのです。  ですから、この法律案におきましては、当面の財政健全化目標の達成に向けた財政運営に当たっての踏まえるべき観点として、財政赤字を含めた国民負担率が五〇%を超えないという規定を置かせていただきました。
  33. 北側一雄

    ○北側委員 ちょっと念のためにお聞きしますが、来年度から平成十五年度までの六年間、現在の制度を前提にして、この国民負担率、財政赤字を含めた国民負担率がどのように推移するか。数字だけで結構です、これは事務当局で結構ですから、お答えください。
  34. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 お答えいたします。  社会保障負担等については一定の前提を置いて推計しておりますが、名目成長率三・五%の場合、平成十年度四五、十一年度四五、十二年度四五%、いずれもすべて程度でございますけれども平成十三年度が四四、平成十四年度が四四、平成十五年度が四四。これはいずれも、さきにお示しいたしました試算を前提にして試算しております。
  35. 北側一雄

    ○北側委員 一・七五の場合はどうなんですか。
  36. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 一・七五%の場合、平成十年度から十四年度までが四五、十五年度が四四程度でございます。
  37. 北側一雄

    ○北側委員 私は、この財政赤字も含めた国民負担率、これが「百分の五十を上回らないように抑制すること。」こちらが本当は非常に大事な目標なんじゃないのかな、むしろこの四条の当面の目標というのはそのための手段じゃないのかなというふうに思っております。だから、この数字が本当に守られるのかどうか、これからもまたしっかり見ていきたい。社会保障制度改革によって国民負担が何かどんどんふえてきて、この百分の五十を上回るようなことが絶対ないように監視していきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  そこで、もう一問質問をさせていただきますが、これは大蔵大臣とおとといの当委員会でもさんざん議論をした話なんですけれども……(橋本内閣総理大臣「続きを」と呼ぶ)いやいや、大蔵大臣とはもう十二分にこの議論はさせてもらいましたので、ぜひこれは総理お答えいただきたいのですが、総理のお手元にこれは行っていますか、「財政事情の試算」という資料。行っていなかったら、ぜひ事務局から渡してください。  それで、もう前置きの話は全部やめにしまして、これは数字は仮定をしまして、名目成長率が一・七五もしくは三・五、それを前提にしまして、そして平成十年度は概算要求の数字ですが、この概算要求というのは既にこの法律案の内容を踏まえた概算要求になっているわけですね。だから、財政構造改革に向けてしっかり絞られた数字になっているわけでございます。  それで、そういう絞った、歳出削減をしっかりやった十年度の数字であるにもかかわらず、要調整額が二・九兆から二・一兆出ますよというのが示されております。この法案に基づいて、公共事業、公共投資や社会保障やODA等々、個別の歳出項目をしっかりキャップで絞っておきながら、これは上限でございますけれども、それでも要調整額が二兆から三兆出ますよ、こういう趣旨でございます。  そして、一番下の欄に長期債務の話がありまして、国鉄長期債務とか国有林野特会累積債務、こういうものについて年内中に決着をつける。そうすると、例えば、概算要求の段階ですけれども、運輸省からは〇・七兆、それから農水省からは〇・一兆、国債費としてこれは計上されておるわけでございます。これをそのまま認めてしまいますと、この要調整額がふえる要素になるわけですね。  一方、今の経済情勢を見ますと、一・九%ということしのGDP、これは達成不可能でしょう。また現実に、この間も主税局長とやったのですけれども、八月末時点の税収が当初の予想よりも落ちている。落ちているのです。税収がうまく入ってきていない。とすると、この税収・その他収入のところも下方修正になる可能性が相当ある。そうすると、要調整額がまたふえてしまう。  また、今与党で協議されています、そして来月には経企庁で出される景気対策、この税制改正でどの程度の財源になるのか。有価証券取引税、地価税だけでこれは五千億ありますから、自民党のおっしゃっている対策によればこれは廃止するという話ですから、そんなものを入れると五千億、そんなものはしかし大変だなと思うのですね。あと、それに法人税を実質減税するようなお話もある。そうすると、これも要調整額の膨らむ要因。  だから、この二兆、三兆となっておりますが、さらにふえる要因もあるということでございます。経済成長三・五なんというのはちょっと来年厳しいでしょう、正直言って。  そうすると、むしろこの大きい方の数字に要調整額がふえてくる。これが普通の財政中期展望で出ている要調整額だったらいいのですよ。そうじゃなくて、この法案公共投資七%減、社会保障は八千五百億ふえるところを三千億に削る、ODA一〇%減、これはあくまで上限ですけれども、ここまで歳出削減をされておきながら、これでまだ要調整額が二兆、三兆、場合によっては四兆なんというふうなことがあり得る、これをどうするのかということは、ここはやはりきちんと言っていただかないといけないと思うのです。  実際、この中を、この要調整額を減らそうと思ったら、さわれるところというのはそんなにないのですね。それはもう公債金収入の額をふやすわけにはいかないし、国債費の歳出をそんなに減らすわけにいかないわけでございまして、そうすると、さわるのはもう実際は一般歳出が中心的な項目にならざるを得ない。では、一体この一般歳出の中のどの個別の歳出項目をさらにこの法案よりも削減させようとするのか、そこはきちんと答えていただかないと、これはこの法案の骨格の部分ですから、これはやはり我々、納得できないんです。総理、どうですか。
  38. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 今、本当なら、十二分に大蔵大臣と議論をされたということでありますが、十三分、十四分にもしていただきたいと率直に私は思います、なぜなら過去の議論の経過を知らずに今突然お尋ねをいただくわけでありますから。  ただ、その上で私自身から申し上げられることは、我々は、予算編成のプロセスにおいて、ありとあらゆる工夫を凝らしてこの目標を達成しなければならないと覚悟を決めているということであります。  そして、議員は、この試算表に幾つかの不確定要因をつけ加えられました。そうした不確定要因をも含めて、我々は、この財革法に定められる、これは成立させていただけると私は信じておりますけれども、その成立をいたしました財革法にもとらないような予算編成をするという決意を持って臨むということでありまして、個々の予算編成作業はこれからやっていく作業であります。
  39. 北側一雄

    ○北側委員 本当は、時間があったらこの問題をもっとやりたいのですが、厚生大臣、これは大変ですよ。まだ削るという話になるかもしれないわけでして、これは本当に大変だと思います。また、公共投資をこれ以上削って本当に経済は大丈夫なのか、私、自民党の先生方も率直にそう思われているんじゃないかと思うのですよ。  そこで、一点だけこれに関連して、総理、最終、お聞きいたしますが、この要調整額の処理で、増税ということはあり得ませんね。
  40. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 これを、こういう言い方をするとまたしかられるでしょうか、今増税国民にお願いできる状況でしょうか。私は、今一番正確にお答えをいたすとするならば、今増税という手法を採用することを国民にお願いできる状況ではないだろうということを申し上げるにとどめたいと思います。
  41. 北側一雄

    ○北側委員 増税というのはないんだというお話を今得ましたので、それじゃ最後に、ちょっと話は変わりますが、冒頭の話になりますが、明日からロシアにいらっしゃいます。エリツィン大統領と、非公式でございますが、首脳会談をなされると聞いております。  これ、もう私、サウナに入って裸のつき合いをする、本当にいいことだと思いますよ。ここで本当にお互いの信頼感、首脳同士、トップ同士の信頼感を醸成する、すばらしいことだと思う、大事だと思います。非公式でございますけれども、この首脳会談の目的につきまして最後に御答弁いただいて、終わりたいと思います。
  42. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 けさ、参議院からの御案内で、ロシアの上院議長にお目にかかりました。そのとき、私が、ぜひあなた方も理解をしていただきたい、あなた方というのはロシアの上院であります、同時に、エリツィン大統領に私が伝えたいこと、これは本年のデンバー・サミットの前に、ヘルシンキにおける米ロ首脳会談が行われ、これに出発する前に、クリントン大統領から私が電話をいただいた。そして、ロシアをG8という形でサミットのプロセスに加えたいと、多分私が反対するだろうという想定をされていたのかもしれません。その場合は説得したいということだったのかもしれません。それを提案することについて協力を得たいということでありました。  私は、G8化、結構、そのかわりにこれは一つ条件がある、G8の中で国交が不正常な状態の国が存在をすることは、それ自体が異常なことであり、不幸なこと、そしてロシアと日本の間に北方領土の問題があることをあなたは知っているはずだ、領土交渉自身は我々のことだけれども、それを加速するような働きかけをぜひしてほしい。  私は、クリントン大統領はその約束を守ってくれたのだと思います。なぜなら、デンバー・サミットにおいて、わざわざ、エリツィンさん自身の指示で相当な時間をとったバイの会談を持つことができました。その雰囲気の中から、非公式の会い方で、モスクワであるいは東京でという形ではなく、胸襟を開いた議論ができないかというその話から、明日のクラスノヤルスクヘの訪問が出てまいったわけであります。  当然のことながら、我々の間に解決しなければならない問題があります。そして、今世紀に起こったことは今世紀中に解決をしょうよ、少なくともその解決の道筋はつけようよ、これが私がエリツィンさんに伝えたいメッセージであり、そのために私の方も努力をするが、あなたも努力をしてほしい、その一点がお互いの気持ちの中で通じれば、私は、それだけで週末を利してクラスノヤルスクに飛んでいくそれだけの価値がある、そのように思っております。
  43. 北側一雄

    ○北側委員 以上で終わります。
  44. 中川良一

    中川委員長 これにて鈴木君、北側君の質疑は終了いたしました。  次に、中山成彬君。
  45. 中山成彬

    ○中山(成)委員 自民党の中山成彬でございます。  当委員会も、二十日から始まりまして二週間、朝早くから夕方遅くまで、閣僚の皆さん方、本当にお疲れさまでございます。委員の皆さん方も、御審議への御協力、本当にありがたく思っている次第でございます。  きょうは質問の時間をいただきましたが、何しろ与党ということで時間もございません。いろいろお聞きしたいこと、お願いしたいこともございますけれども、ひとつ簡潔にお答えいただければありがたいな、こう思っているところでございます。  私、役所に入りましたのは昭和四十一年でございました。その前年に戦後初めて国債が発行されましてから、この三十年余りというのは、常に歳出歳入を上回る、財政危機の連続でありまして、財政改革ということはずっと言われてきたわけであります。思い出すのは、昭和五十五、六年ごろ、あの渡辺美智雄大蔵大臣が財政再建キャンペーンということで、お茶の間まで入って一生懸命頑張られました。懐かしい思い出になりました。  しかし、すべてそういった改革がうまくいかなかったということで、今回はキャップをかぶせる、それぞれの項目にキャップをかぶせて、そして法律とか制度まで変えなければとてもやっていけない。私は、これは大変なことだと思います。それこそ、のたうち回るような大変なことだと思いますし、しかもこれをこれから六年間やるということでございますから、ある意味では大変強引、また不遜なことではないか、こんな感じがするわけです。  ちまたは不景気ということで、大型補正予算を組めとかいろいろな声があるわけでございまして、金利も安いし金も余っている、やろうと思えばやれるような状況でありますけれども、しかし橋本総理は、いや、そうじゃない、このまま続けていけば日本は破綻する、二十一世紀を生きる子供たちのためにも何とか明るい未来を残したい、こういうことで言われているわけでございます。私もこの考えに賛成でございます。  総理大臣のこの行政改革財政改革にかける不退転の決意をもう一度お聞かせいただきたいと思います。
  46. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 今議員からお触れをいただきましたように、なぜこの時期にという声があることを知りながら、また多少強引だという御批判も受けながら、何としてもここから財政構造改革に取り組みたい、また取り組まなければならないという思いを強くいたしましたものが、私どもの子供の代あるいは孫の代に対し、いたずらに借銭を負わせながらこの時期を過ごしていくことは、本当にこれ以上許されるのかという思いでありました。  そして、今日まで、私はバブル崩壊後とられましたさまざまな対応策というものがそれなりに景気の下支えをしてきたということを決して否定しておりません。しかし、同時に、その結果として国債残高が累増したということもまた事実でありまして、この利払いを含め既に一般歳出を非常に圧迫している状況にあり、新規施策を選ぶにも苦労しなければならないという状況が生まれております。これは我々として、もう続けられることではない。  先ほど来の御論議の言葉を逆にまた拝借しますなら、短期間の痛みというものを覚悟してでも私たちはこの財政構造改革をやり遂げなければならない、そのような思いでいっぱいであります。それだけに、ぜひできるだけ早い機会に本法律案を成立をさせていただき、全力を挙げて他の施策とともにこの財政構造改革に取り組めるようなその基盤をお与えをいただきたいと心から願います。
  47. 中山成彬

    ○中山(成)委員 財政改革の必要性はよくわかる、しかし、景気の悪いこのときになぜ、こういうふうな意見が多かったように思うわけでございます。実際、町で聞く声あるいは地元に帰りましても、そういう悲鳴にも似た、すっかりお客さんが来なくなったとか、売り上げが減ってしまった、こういう声ばかりであります。  私も、最近のこの不況の状況は、まず四―六月期のGDP二・九%マイナス、ここから始まったというような気がするのですけれども、弱気が弱気を生んでしまった。日本は同一民族で、しかもこの情報化社会でございますから連鎖反応が起こったのではないか、こう思うわけでございます。今GNPに占める個人消費の割合が六割を超えてしまいました。その消費の動向というのが景気を左右するわけでございます。  今の状況というのは、そういう意味で私は消費不振といいますか、需給のミスマッチとそれから将来に対する先行き不安、余り買いたい物はないし、それよりはどうも高齢化社会になって金が必要そうだからとりあえず貯金しておこうか、財布のひもが締まっているという状況だと思います。ですから、早く国民に将来は大丈夫だと、ちゃんとやるから安心してお金を使いなさい、そういった安心感を与えることではないか、このように思うわけであります。そういう意味では、この財革法案は一刻も早く成立させる。そしてまた介護法案ですね、これも実施までにいろいろと地方の声も聞いてもらいたい、こう思いますけれども、この介護法案も早く通しまして、国民にまず安心感を与えるということが一番大事ではないか、このように思うわけであります。  そしてまた、二つ目には、今与党の方でもいろいろと短期の景気対策を考えておられますが、先ほど鈴木教授経済学を講義されましたけれども、私は、ちまたの経済学といいますか、そういった面から何か消費を直接刺激するものはないかということをいろいろ考えるわけであります。  所得税減税ということも言われますけれども、どうも減税してもそれがすぐに消費に回らない。確かにこの所得税減税も、行く行くは直間比率の是正とかあるいは累進構造の是正とか、そういった観点から私は必要だと思いますけれども景気回復という意味では余り効果はないのではないか。  もっと何か直接景気刺激するという意味では、それこそちまたの経済学かもしれませんが、今地方に至りますまで公務員の皆さん方が本当に自粛してしまっているのですね。官官接待はけしからぬということで、自分のお金で飲むのもはばかられるような状況であります。しかし、公務員も一市民であり一消費者です。四百五十万人の方が一人で二万ずつ使うと九百億になるわけです。そういう意味で、ぜひ公務員の方々も、これから年末年始、忘年会とか新年会がありますから、ひとつ町に出るように、そういったことを官房長官、ひとつ記者会見でも何か言っていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  48. 村岡兼造

    ○村岡国務大臣 今、中山先生のお話、二、三年前から各地方の県、都市で官官接待というようなことが起きまして、我が秋田県なんか一番にぎわした方でございます。よく中身を見ますと、各県によって違うと思いますが、需用費という中で交通費もあるいは食糧費、接待費、皆ごちゃごちゃになりまして、それの問題点があった。  やはりこれは、官官接待とかそういうものは悪い、私はこう思っておるわけでございますけれども、ただ、我が県の実態を見ますと、公務員が自分の懐で飲んでいるのも、あの新聞のおかげで、あれは県の金で飲んでいるのじゃないかとか交通費で飲んでいるのじゃないか、出張費で飲んでいるのじゃないか、そういう白い目で見られておりますから、おっしゃるとおり萎縮をしている。それからまた、竣工式とか何かで、私も出席をいたしますと、式典にはずうっと公務員がいる、式典が終わりますと、さっといなくなって、乾杯のときにはいない、これもどうかなとは思いますが、これはまた公務員の倫理規定もありますから、それにのっとってやる。  堂々とPRしろと言われてもなかなか困りますが、お互いに金を出し合って忘年会をやる、自分の金でやる、それは正々と、卑屈にならぬでやっていただきたい、こう思っているところであります。
  49. 中山成彬

    ○中山(成)委員 ぜひ、自分の金で飲むのに何のはばかることなかれということ。もっと公務員の皆さん方も自信を持ってもらいたい、これが日本景気回復に大きな影響を与える、こういうことを申し上げたい。  二つ目は、交際費課税を一時期緩めたらどうかという話なんですね。  景気が悪くなりますと、会社はすぐ、まず交際費、そして鉛筆一本まで節約する。これが、自分のところはそれでいいのですけれども、それでは金が回らなくなつちゃうのですね。ですから、まず年末年始、年末商戦もありますけれども、一時的に、そういう消費を刺激するという意味で、交際費課税を少し緩めるというようなことも私は物すごく効果があると思うのですけれども、大蔵大臣、いかがですか。
  50. 三塚博

    ○三塚国務大臣 交際費課税、税制全体の中で、党の論議の中では余り出ていないように思います。いずれ政府税調もそのところまで議論になると思いますが、財政当局とすれば、論議を収れんされたところで見きわめながら、どう対応するかということになるのでありますが、全体に御辛抱をいただくというのが来年度予算編成の基本であり、要調整額を満たして、なるほど、よくぞそこまでやり抜いたと言われるところを目指しておりますものですから、御辛抱をいただきます。
  51. 中山成彬

    ○中山(成)委員 よくわかりますけれども、要するに、会社の金で飲むのはけしからぬ。しかし、もうかって金を持っている人が金を使わないのはもっとけしからぬ。私は、そういう発想の転換が必要なときじゃないかな、これからの日本は、いわゆる消費文化といいますか、そういったことを目指すということではないか、このように思うわけであります。  短期的な景気対策ということはいずれまた打ち出されると思いますけれども、中長期的には経済構造改革。これは非常に難しい言葉でございますけれども、私なりに考えますと、ここまで発展してきた日本経済を我々がもっと豊かに生きがいのある生活ができるように、GNPの内訳といいますか、雇用、働く場もそっちの方に移していくと  いうことではないかと思うわけでございます。  今度の経済構造改革のプログラム、これにつきましても、そのように国民経済をよりよくするために成長してほしい、あるいは成長が望まれる情報通信とかバイオとか、あるいは医療介護、そういったものについて、規制緩和を初めとして、資金とか、あるいは人材、技術、こういったものについて政府の方でも支援していこう、こういうことでございます。  大変結構なことだと思うのですけれども、まず、事業を始めるに当たりましては、資金ですね、お金が必要。これにつきましては、ベンチャーキャピタルとか、あるいは従業員にやる気を起こさせるためにストックオプションの制度とかいろいろ考えられていますが、何といいましても、資金供給の大もとは民間の金融機関。ところが、どうもこの民間の金融機関が、BIS規制とか、あるいは大蔵省の早期是正措置、さらに、金融ビッグバンということを控えまして経営体質の強化ということばかり考えて、そういう新規事業あるいはリスクのある仕事に対して金を出さないという感じがするわけであります。  これができるのも、いわゆる超低金利といいますか、金利が安いからだ。銀行も、ある意味では預金者の犠牲の上にあぐらをかいているという感じがするわけでありますけれども、こういった貸し渋りの問題、さらにまた今問題になっていますけれども、私は、政府関係金融機関もこれから非常にそういった意味では重要だと思うのですけれども、大蔵大臣の見解をお聞きしたいと思います。
  52. 三塚博

    ○三塚国務大臣 貸し渋りの問題点についてはいろいろ論議をいただいておりますので、その点を踏まえて適切な指導をいたしておるところでございます。  同時に、政府機関の金融機関に対しまして、こういう時期でありますから、特に中小企業、特に不況業種と言われるすそ野の企業者の皆様に対して十二分の体制をとってほしい、通産と連携をとってやり抜くこと、こう命じておりますので、よろしくそこのところは……(発言する者あり)わかりましたということですから、終わらさせていただきます。
  53. 中山成彬

    ○中山(成)委員 年末の中小企業金融の対策についてもよろしくお願いを申し上げたいと思います。  それから、そういうふうな新しい商品とかサービスを提供する技術開発が必要でございまして、そういう意味では、今回の財政構造改革、大変厳しい中で科学技術振興費は五%増が認められた。本当にこれはすばらしいことだ、こう思うわけでございます。そして、私は、これから技術を開発していくために何があるかなといろいろ考えますと、どうも特許庁にたくさん特許が眠っているんじゃないかという気がするので、こういったところに対するアプローチということも、通産大臣、ぜひ考えていただきたいと思うのです。  時間がありませんので、次は人材ということについてお話ししたいのですけれども、新しい企業、ベンチャービジネスを起こしていく、いわゆる企業家を育てなきゃいかぬわけですけれども、アメリカでは、大学とかあるいはビジネススクールを出た人、優秀な人ほどそういう企業家を目指すというふうに言われますけれども日本の場合には、一流大学を出て大企業へ、そういう志向が強いわけでございます。  私は、ぜひ日本のこれからの子供たち、文部省のテストでも、選択式には強いけれどもどうも記述式には弱いというような結果も出ていますけれども、新しく自分で課題を見つけて、それをどのように解決していくか、発想豊かで感性の鋭い、そういった子供たちがこれから必要ではないかと思うのですけれども、文部大臣の見解をお聞かせいただきたいと思います。
  54. 町村信孝

    ○町村国務大臣 お答えいたします。  今中山委員御指摘のとおり、ベンチャーに関するいろいろな制度、仕組みが整備されている中、要は、それを受けて立つ人材がどれだけそろっているかということが極めて重要であろうというふうに私も考えているところであります。  戦後の教育の中でいろいろな進歩発展もあったわけでありますが、どうしても、今委員御指摘のとおり、いかに効率的に記憶をするかというところにややもすれば教育の力点が置かれて、自分の頭で考え、そして行動するという面、あるいは新しいベンチャービジネスに取り組む精神的なたくましさとでもいいましょうか、そうしたものにやや欠けるような子供たちが今少しずつふえているような感じがいたしております。  したがいまして、一つは、教育課程の面でできるだけ絞りをかけて、厳選をして、そしてできるだけゆとりを持って学ぶ、そして自由な時間にもっと自分の頭で物を考え、そして行動できる、そういうような教育をつくっていきたい、今そういうような教育課程審議会での再検討をやっているところであります。  また、ベンチャービジネスに関するいろいろな学科が大学の中でも実は随分出てきておりまして、ベンチャービジネス論とかベンチャービジネスセミナーとか、随分大学の中にも生まれてきております。そういったものを大いに促進をしていきたいし、あわせて、民間企業の研究所と連携をする大学院というものもまた随分生まれてきております。こうした動きを大いに助長していって、そうした人材の育成の面でも遺憾なきを期してまいりたい、かように考えております。
  55. 中山成彬

    ○中山(成)委員 教育改革も橋本内閣の掲げる六大改革一つでございますから、ぜひ頑張っていただきたいと思います。  人材という意味で私は心配しますのは、やはり子供が少なくなっているということでございます。少子社会というのはいろいろ問題がございますが、経済構造改革という面からは、若い人が少なくなるということは、新しい科学技術に対する対応力が弱くなる。これからそういう新しい技術、いろいろなものが出てきますけれども、そういう意味で私は非常に大きな問題が出てくるんじゃないか、国力の上でも、経済力の上でも。  そこで、今与党の方で、子供をたくさん産み育てられるような、そういうふうな応援をしようという検討が進められています。子供はやはり国の宝だ、みんなのものだという気持ちがとても大事だ。たくさん子供を産んでほしい。そういう意味では、この前安室奈美恵さんが結婚された、二十歳で結婚ということでございまして、安室現象というのが出てこないかなと思うわけです。本当に子供を産み育てるというのは大変でございますから、こういう景気対策ということではなくて、制度的に、扶養控除制度とかあるいは年金の面でもいろいろ面倒見るとか、そういったことも考えていただきたいと思うのですけれども、子供さんがたくさんいらっしゃる総理大臣にお聞きします。
  56. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 私は、今議員が指摘をされました問題について、最近、これは本当は厚生大臣からお答えをいただいた方がいいと思うのですが、人口問題審議会が出しました「少子化に関する基本的考え方」「人口減少社会、未来への責任と選択」という、この全体像というもの、このリポートを非常に興味深く見ております。  この中では、今まで通常私どもが少子社会というものに対して考えておりました以上にその影響というものも分析されておりますし、またその少子化の要因と背景というものにも従来以上に私は踏み込んでいるのではないかと思います。そして、それに対する対応というものも指摘をされておりまして、非常にこのリポートは、私は従来にない視点でこの問題を掘り下げたもの、そのように受けとめてまいりました。  本来でありますなら、例えばエンゼルプランのようなものをお答えをする、あるいは税制上の措置あるいは年金といった形でお答えをする方が議員のお求めには合うのかもしれませんが、より本質的な問題として、少子化の問題に対し分析をしたものとして、私は、この人口問題審議会のリポートというものの中から、未婚率の上昇の問題なども実は非常にうまくポイントをとらえているように思いまして、社会慣行あるいは個人の価値観というものまでを含めて考えなければならない問題でありますだけに、幅広い議論がより行われ、その中から検討されていくべき課題、そのようにお答えを申し上げたいと思います。
  57. 中山成彬

    ○中山(成)委員 さて、構造改革の一環として、法人税の問題を考えたいと思うのです。  株の暴落が一日にして世界を震憾させるような、そういうボーダーレスの世界でございます。よく言われるように、企業が国を選ぶ時代。ですから企業は、事業環境のいい、事業コストの低いところを、安いところを選んで動いているわけであります。  今の日本というのは、入ってくる企業よりも出ていく企業の方が圧倒的に多いわけであります。私は、地方で税金をまけてまでも企業誘致ということを一生懸命やっている、あるいはヨーロッパ諸国もそうですね、そういったことを日本も考えなきゃいけない、これからは雇用ということが非常に大事になってくるんじゃないか、こう思うわけです。  そこで、電力などのエネルギーあるいは物流コストを下げようということで、産業界も一生懸命になっているんですけれども、この法人税につきましては、どうも大蔵省のガードがかたいようであります。もちろん、課税ベースを広げまして、そしてその浮いた分で法人税を下げよう、これも私は効果があると思うんです。今度の財政構造改革と同じで、ぐっと締めてしまいますと、その中でいろいろな動きが起こりますからね。新しい企業等についてはプラスでありますから、何かそこに起こるとは思うのです。私は、国民経済活動によって生み出された果実の一部をみんなのために使わせてもらっているんだ、そういう感覚が必要じゃないか。要するに、財政至上主義じゃ困るなというのが私の率直な感想でございます。  そこで、お願いでございますけれども、新しい分野に進出したりあるいは新規の設備投資をしたものについては、税収中立以上にプラスアルファのものとして何か考えられないか。中小企業も同じでございますけれども、財源がない、赤字国債は幸せないと言われますが、私は、余りかた苦しく考える必要はない、その分については赤字国債じゃなくて建設国債だ、建設的国債だというぐらいの感じでいいんじゃないか、このように思うわけでございますが、大蔵大臣、いかがでございますか。
  58. 三塚博

    ○三塚国務大臣 示唆に富んだお話も独特に披歴しながらのお話でありますが、税は、簡素、公平、中立という大原則がありますことは、御案内のとおりであります。  法人税減税につきましては、経団連、各種団体までぜひグローバルスタンダードに近づく努力を、こういうことで政府税調に真剣な論議を今いただいております。党税調、三党の中でも行われておると承っております。課税ベースを広げる、そして合理化を進めることによって、これは私も、グローバルスタンダードに近づくための改正が必要である、こう思っております。下がりますことは、新規事業、中小に対しても勢いをつけることでありますから、真剣な論議をただいま承っておるという段階であります。  いずれにいたしましても、これは例年のことでありますが、十二月中旬に党税調、三党の協議、政府税調、同時に答申が、最終取りまとめが出ます。これを受けて内閣において決心をする、こういうことになります。
  59. 中山成彬

    ○中山(成)委員 よくわかります。要するに、卵を産む鶏を大きくする、経済をまず大きくすることによって財政再建もできるんだという観点も忘れないでいただきたいということを私は申し上げたかったわけであります。
  60. 中川良一

    中川委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三分休憩      ――――◇―――――     午後一時七分開議
  61. 中川良一

    中川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中山成彬君。
  62. 中山成彬

    ○中山(成)委員 それでは、続きまして、中心市街地の再活性化について質問いたします。  大店法の規制緩和とかあるいはバブルの崩壊、さらにはモータリーゼーションの進展などで、今、全国的に町中が廃れつつあるわけでございまして、中心市街地の活性化ということが来年の予算要求の目玉の一つにもなっているわけであります。町中を活性化する、これは経済構造改革にもつながりますし、また、きれいな町並みを子孫に残す、これも大事なことであります。  ところで、空洞化の原因になりました大店法でございます。これはもう緩和されるところまでされているというような感じもしますけれども規制緩和によりまして雇用がふえたという面はあるかもしれませんが、しかし、昔からの伝統とか文化あるいは地域のぬくもりといったようなものが失われたという面もあるのではないかと思います。  そういう意味で、大型店の出店に関しましても、アメリカ、フランス、ドイツのように、地元がノーと言える、そういう地元の自主性を尊重すべきではないか、このようにも思うわけでございますが、通産大臣の御見解をお伺いいたします。
  63. 堀内光雄

    ○堀内国務大臣 お答えを申し上げます。  現行の大店法では、大規模小売店舗審議会におきまして、地域の消費者の利益の保護と周辺の中小小売業の事業活動の機会の確保、その双方の観点から調整を行っているわけでありまして、その審議の中で、地域の消費者、小売業者、学識経験者等からの意見を聴取することになりまして、市町村長、都道府県知事からの意見も踏まえて総合的な判断を行っているところでございます。  また、大店法の見直しにつきましても、現在、本年中に結論を得べく、十二月まであと二回の審議を行うことにいたしておりますが、産業構造審議会と中小企業政策審議会の合同会議において審議を行っております。消費者の方々、小売業の方々、学識経験者の方々など関係者の方々に十分御議論をいただいて、その結果をもとに、消費者利便の最大化と我が国流通業界の健全な発展を図られるように所要の措置を行う考えでございます。  先生のお話のございますような、地域における、市町村の拒否によって外国は許可が与えられなくなるというようなことも御指摘をいただきました。確かにそういう面はございますが、大体外国におきましては、地方自治体がマスタープランなどをつくりまして、その都市計画に基づいて、そこ以外には建てられないというような方法がとられているものでありまして、ちょっと基本的に日本の状態とは違うというふうに思っております。
  64. 中山成彬

    ○中山(成)委員 この市街地活性化につきましては、駐車場の整備が一番大事だと思っているわけでございまして、建設省も、土地区画整理事業その他駐車場の整備については、ぜひ力を入れていただきたいと思っている次第であります。  建設大臣にお聞きしたいのですけれども、公共事業の削減というのは地方経済に大きな影響があるんじゃないかと大変心配しております。特に地方では公共事業に頼る率が高いわけでありまして、農村では農業をしながら建設業に従事している人が非常に多い。しかし、今の状況を見ますと、米が安くなった、あるいは、例えば里芋が一俵二、三百円しかしない。これは一反歩四、五万しかならぬわけでございまして、このままでは農村は大変だな、こう思うわけであります。  また、公共事業の削減、これが地方のインフラ整備にも大きな影響があると思っているわけでございまして、都市と地方では整備に大きな差がございます。例えば下水道整備をとりますと、人口百万以上の都市は九七%、しかし、五万以下の都市はまだ一八%ということでございまして、地方の人たちは、地方にしわ寄せになるのではないか、あるいは地方切り捨ての心配をしているわけでございます。建設大臣、その辺のところの配慮をよろしくお願いしたいと思います。
  65. 瓦力

    ○瓦国務大臣 お答えいたします。  中山委員は午前中から、財政並びに経済運営について大変造詣の深い方でございますが、わかりやすく御質問をいただいておる中で、地方の問題は非常に深刻度を増すわけでございますので、私に対する質問は、公共事業についての地域配分といいますか、地方配分については十分留意しろという御指摘かと思うわけでございます。  既に委員御案内のとおり、首都圏と地方におきましては相当の開きも生じておるわけでございまして、やはり構造改革は最も今重要な仕事でありますが、その中においてどう配分をしていくかという問題につきまして、最善の努力をいたしたいと思っておるわけであります。  社会資本の整備は、もとよりストックの効果にとどまらず、GDPを押し上げ、雇用を創出する、こういう効果もあるわけでありますので、委員御指摘のとおり、地方圏では、都市圏に比して、生産力を誘発し、就業機会を創出する上で非常に重要な役割を担っておる、こう考えるものでございます。  このことに留意をいたしまして、この財政構造改革推進についての中でも、地域経済への配慮を十分に行いつつ公共事業を適切に執行してまいる、こういう趣旨が述べられておるわけでありますので、この本旨に沿って努力をしてまいりたい、こう考えております。
  66. 中山成彬

    ○中山(成)委員 続きまして、農林大臣にお伺いいたしますけれども、これからの米余り現象、これは恒常的なものになるのじゃないか、こう思うわけでございまして、これ以上の減反はなかなか大変だなと思うわけであります。  農家の方々も大変心配しておりますけれども、今自民党の方で毎朝検討が進められておりますが、所得補償方式の導入とか、あるいは農家に直接減反のお金が入るようにというようなことも考えていただきたい。  また、守るべき農地はきちっと守らなければいけませんけれども、例えば、住宅地がそこまで来ている田んぼ等で米をつくるのはやめる、本当に米しかできないところでつくるような、そういった観点から、農地の活用ということについてもぜひ考えていただきたい。これは、きれいな町づくりと先ほど申し上げました点からも、農地政策も見直していただきたい、このように思うわけでございます。
  67. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 お答えいたします。  まず、米の問題についてでありますが、三年連続の豊作に加えまして、本年も作況一〇二を記録するなど、需給がかなり緩和をいたしております。  これらを背景に、自主流通米の価格の低下、あるいは計画外米の増大が顕著であります。御承知のように、政府の備蓄も上限となる水準を大幅に上回っておりまして、生産調整についてもまた、不公平感あるいは限界感が指摘されているところであります。  このような状況のもとで、食糧法の目指す米の需給と価格の安定を図るため、現在、備蓄運営、生産調整、稲作経営等、米政策全般の再構築に向け鋭意検討を進めているところであります。  具体的には、生産調整は、多少これはやむを得ないことでありますけれども、共補償を全国規模に展開して、いわば適地適産を推進する、あるいはまた価格の低下等の際の補てんの基金制度を創設する、あるいはまた麦、大豆等への転作奨励の制度を拡充する等々を考えているところでございます。  また、農地転用につきましては、これは国民に対する食糧供給の確保を図る観点から、優良農地の確保ということは必要でありますけれども、しかしながら、集落周辺の農地や、道路、上下水道等都市的環境が整備された農地は原則として転用を許可する。あるいはまた、農村の活性化のための計画的な工場の誘致、あるいはまたそのための住宅建設等を目的とする農地転用は、これまた転用の許可が弾力的にできる措置を講じてきたというところであります。  なお、従前の都道府県の許可権限二ヘクタールを倍増の四ヘクタールにして、さらにこれらを推進しようという、今、来年の通常国会冒頭に向けて努力しているところでございます。
  68. 中山成彬

    ○中山(成)委員 UR対策につきましてはいろいろな委員の方が発言されましたが、地方で聞きますと、要するに、補正予算がつくものだと思っていましたから、当初予算で面だけを整備して、補正でパイプラインを敷設しようとしていた。そういうところは来年田植えができないということで、地元の世話役の方々が本当につらい立場にあるわけであります。  いろいろあると思いますけれども、政治は約束が大事だ、政治不信にならないようにということは十分考えていただきたい、これはお願いする次第であります。  次に、きょうは人事院総裁が来ていらっしゃいますので、お聞きします。  私は、この行財政改革、いろいろありますが、この前あるマスコミのアンケート調査に答えまして、一番大事なのは何か、公務員の意識改革である、こう答えたわけであります。公務員というのは、お金もうけとかあるいはぜいたくというのは求めない、古い言葉でありますけれども、世のため人のために働くことを一生の目標にする、そういう人が公務員になってほしい、こう思うわけであります。権限争いとか、あるいは予算や定員を獲得することが出世につながるのではなくて、自分の仕事は大事だ、こう思って一生懸命働くのはもちろんでございますが、常に大所高所から国民のこと、全体のことが考えられる、そういう公務員になってほしいな、こう思うわけであります。  公務員というのは、私はそういう意味で士であってほしい、そういう気持ちを持っておりますが、倫理研修等を含めて、人事院総裁はどういうお考えか、お聞きしたいと思います。
  69. 中島忠能

    ○中島政府委員 お答えいたします。  今先生がおっしゃいましたように、公務員に入ってくるときに私たちの方で意識調査をいたしますと、やりがいがある仕事にめぐり合わせることが多いから、あるいは、社会、公共のために働きたい、そういうことができるからという回答が非常に多く返ってきております。  ところが、先生が御心配されますように、現在少し公務員に元気がないのではないかというような御指摘もいただいておりますけれども、やはり今は一つの転換期だろうというふうに思うわけでございます。  不祥事を起こしまして、公務員が国民からたたかれておる、公務員の世界が信用されなくなっている。そういうことに伴いまして、公務の世界の情報公開が強く求められるとか、あるいは、直接決定に参加したいということで住民投票制度があちらこちらで出てくるとか、あるいはまた、オンブズマンというものがいろいろ発言するとかいうことで、従来の行政手法というのが適用できなくなっているなということで少し戸惑いがあるんじゃないかと思います。  こういうような原因につきましては、各方面の力によりまして徐々に解決していかなきゃならない。そうすることによって、かつてと同じように、政策形成過程におきまして、あるいは行政執行過程におきまして、公務員が十分に力を発揮できる、初志を貫徹できるような環境ができてくるだろうというふうに思います。  そういうような考え方に基づきまして、私たちも、力及ばずながらそれぞれ努力をしてまいらなきゃならないというふうに考えております。そうすることによって、国民がまた公務員の世界を信用してくれる、そして国民の福祉が向上するというふうに考えます。そういう自覚を持ちまして努力をさせていただきたいというふうに思います。
  70. 中山成彬

    ○中山(成)委員 時間があれば、CO2の問題とか、あるいは地方財政の問題等についてもお聞きしたがったのでありますけれども、時間がありませんので、最後に一つだけ。  これはお願いでございますけれども、二〇〇〇年のサミットが日本で開かれることになっています。ことしはデンバー、来年はバーミンガム、再来年はドイツのケルンというふうに聞いていますが、ぜひ次のサミット、日本でも地方でやってもらいたい、このように思うわけでございます。  特に宮崎県の場合、知事が先頭に立って、何とか宮崎でということで誘致運動に動いているわけであります。御承知のように、宮崎県というのは天孫降臨の地でございます、日本発祥の地でございますので、ぜひそういったことも考えていただきたい。すばらしい施設もできております。  この点につきまして、外務大臣、そして警備を担当します自治大臣、上杉大臣は宮崎の選出でございますけれども、ひとつ御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  71. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 二〇〇〇年の日本におけるサミットにつきましては、現時点では、まだ時間がありますので白紙の状態であります。  ただ、全国の地方都市から、希望、要望、照会等が参っておることは事実でございまして、そういった意味で、宮崎県初め多くの地域で希望があることにつきましては承知をいたしております。  他のサミット国のひそみに倣うことはありませんが、例を調べてみますと、大体三回ぐらいはその首都並びに首都近郊でやっておるのですが、四回目以降は他の地域に移っておるようでございます。そういった意味から考えると、我が国におきましても、三回東京でいたしておりますので、今後は他の都市も、プラマイいろいろ検討した上で、ひとつ考えてみてよい問題ではないかと思っております。
  72. 上杉光弘

    ○上杉国務大臣 お答えいたします。  国際会議の開催等を通じまして、地域の活性化、国際化への取り組みにつきましては、自治省としても支援をいたしておるところでございます。  二〇〇〇年のサミット開催でございますが、過去、昭和五十年からの経緯を見てみますと、首都圏で行われたものが七回、そして地方で開催されたものが十五回でございまして、倍以上が地方で開催されておる。流れとしては、地方の傾向が非常に強い。あるいは、その国の文化とかあるいは遺跡とか、そういうもの等も活用されたものになっておるわけでございます。  地元からどうということじゃありませんが、宮崎は天孫降臨の地、神武天皇、初代天皇、御先祖の地でもございます。また、ローマに遣欧使節で行きました伊東満所の出身の地でもあり、我が国外交の父と言われる小村寿太郎公の出身地でもございます。我が国の歴史、伝統、文化、あるいは外交史等においても、極めて意義あるものと考えておるわけでございまして、このような意味からも、外務省を中心として、関係各省庁での検討を踏まえて、諸般の事情を考慮した上、決定をされるものと思います。  私といたしましては、地元ではございますが、公正、公平に対応してまいりたいと考えております。
  73. 中山成彬

    ○中山(成)委員 時間が参りましたので、これで終わります。ありがとうございました。
  74. 中川良一

    中川委員長 これにて中山君の質疑は終了いたしました。  次に、谷畑孝君。
  75. 谷畑孝

    ○谷畑委員 自由民主党の谷畑孝でございます。  私は、参議院議員を六年務めさせていただきまして、新しい選挙制度の中で、衆議院議員としてこの新しい舞台に移ったわけでございます。とりわけ橋本総理におかれましては、私自身、通産政務次官として一年二カ月御指導いただきましたし、本当にいろいろとお世話になりました。また、今回のこの衆議院の新しい舞台でもいろいろと御支援をいただきまして、心より感謝を申し上げたいと思うわけでございます。  さて、私も戦後生まれとして、昭和二十二年、ベビーブームでございましたけれども、やはり私どものころは、まだ幼いころは貧しさも知っておりますけれども、基本的には高度経済成長のその中で育ってきたわけでございます。そういう意味では、本当の不況というか、生活に対する苦しさ、こういうことに対しては非常に恐れもございますし、今回、日本の社会も非常に大きな転換期の中で、その中でどうしてもやはり財政構造改革をしていかなきゃ日本が世界の日本として成り立っていかないんだ、こういう橋本総理の決意ということについては非常に私自身も賛意も表したいし、また支援もしなきゃならぬ、このように実は強く思っているところでございます。  しかし、先ほど申しましたように、何としても、高度経済成長で育ってきたものですから、少しでも景気が落ち込むことについては、もう地元へ帰りましても、やはりいろいろと陳情を受けるに当たって苦しむわけでございます。  私も、参議院から舞台を移るときには、もう余りきれいごとばかりの政治家ではいかぬ、たとえ議席を失っても、まあこれはちょっとオーバーでありますけれども、基本的には日本の国のために骨太い政治家としてスタートしなきゃならぬ、こういう決意でやってきたわけでございます。消費税五%も、出陣式のとき、まずそのことに賛成からこの選挙戦を戦わせていただいた、こう思うわけでございます。  それで、時間も十分ということで、本当に時間がなくて申しわけないのですけれども、改めて橋本総理に、日本の大きな転換の中で財政構造改革を実現することによってこれから日本の社会が大きく好転していくんだ、こういう力強い決意、抱負をひとつ語っていただきたいと思います。
  76. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 今議員から、敗戦後二年たった時期に生まれた、そして育つ時期にはまだこの国に貧しさが残っていた、しかし基本的に自分たちが育ってきた世代は高度経済成長を謳歌した世代、そうした思いの中から、将来にツケを残すことはこれ以上もう許されないという財政構造改革に対してエールを送っていただいた。私は、それを大変ありがたく今拝聴しておりました。  今回の法律案、いろいろな御批判がありますけれども、それぞれの主要の項目に対し、経費ごとに量的な縮減目標を設定いたしております。その意味において、これは相当厳しいという御批判もあります。あるいは、もっとめり張りをつけていいとおっしゃる方もあります。さらに、先送りをしてもいいのじゃないかとおっしゃる方もありますが、私は何としても、一切の聖域なしという中でそれぞれの量的な縮減目標を設定することによって、その仕組みの根底から見直さなければならない状態をつくり出すことにこの構造を変えていきたいと本当に思います。  そして、少なくとも次の世代にこれ以上不必要なツケを残さない、少しでも負担を軽減するために我々は全力を尽くしていく責任がある、それをこの法律案にかけたい、そのような思いで提案をさせていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。
  77. 谷畑孝

    ○谷畑委員 力強い決意をお聞きいたしまして、非常に力強く感じるわけでございます。この法案質問するに当たりまして資料を読ませていただく中で、私も当初は、やはり世界の株暴落ということを含めて、緩やかな景気回復も非常に厳しい状況にある中で、財政構造改革という法律と景気回復というのはなかなかかみ合わないし、むしろ矛盾する、そういうように考えてもおりましたし、時には緊急避難が必要じゃないか、そういうことを思うときもあったわけであります。  しかし、資料を見ていく中で、とりわけアメリカが、一九八〇年代の中で、非常に財政赤字と貿易赤字という大変なダブルパンチの中で、しかもそういう不況という状況の中で、あえて財政構造改革、いわゆる包括財政調整法というものをつくり上げて、しかも増税までする、こういう思い切ったことをやって、その中からようやくして、いわゆるクリントンさんの九七年度の報告によりますと、九二年の二千九百四億ドルの赤字が九七年には何と二百二十六億ドルに、十三分の一まで財政赤字を減らしたという。これは、真剣にこの教訓を学ばなければならぬのじゃないか。  そういう意味では、財政構造改革のこの法案景気を回復するということについてはきちっと分離をして、同時にまた結びついておるわけでありますから、そこらの点が非常に大事じゃないかと思います。  とりわけ、もう一度ひとつ総理の方に、やはり財政構造改革を成功させるためにも、アメリカも好況の中で財政赤字がさらに解消したということもありますから、ぜひ日本における景気の回復ということについても、力強い決意をお聞きをしておきたいと思います。
  78. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 今議員から、アメリカの例を引いて、財政構造改革景気の回復、これは必ずしも二律背反ではないという御指摘をいただきました。私もそう思います。  その上で、我々はこの財政構造改革を進めながら、今、規制の緩和、撤廃といった行動を通じての産業構造改革にも取り組んでおるわけでありますが、このためにも、例えば、午前中御指摘をいただきました金融機関の貸し渋りとか、あるいは債権の回収の加速化といったものに対して、今まで以上に政府系金融機関が役割を果たさなければならない部分がある。あるいは、ハイリスク・ハイリターンの世界に日本の資金というものは従来は必ずしも回ろうとしなかった。こういうものがアメリカ型の産業を育てていくために、特に立ち上げの資金供給というものをどう位置づけていくのか、誘導する仕組みをつくるのか。  いろいろな宿題があることは間違いがありませんけれども、私は、財政構造改革必ずしも、経済縮小均衡というお話も随分出ましたけれども、そういう状況だけでは決してない。景気の回復をこれによって導き出すことは間違いなしに私どもは中長期にできることであるし、その短期間の痛みというものを最小限にとどめる努力をあわせて払っていきたい、そのように考えております。
  79. 谷畑孝

    ○谷畑委員 どうもありがとうございました。  あと時間が二分しかないということになってまいりましたので、それでは本当に最後、橋本総理におかれましては、通産大臣のときにアメリカのカンター、いわゆる日米自動車部品交渉のあのとき、WTOに提訴をするということまでも含めて頑張られたあのエネルギーで、ぜひひとつ日本財政構造、そして六つの改革を推し進められていくことを心より願うものであります。  あと一分ということで、最後、大蔵大臣に質問して終わりたいと思います。  この間、六年間の中で三年を集中期間として削減していくわけですけれども、やはり先ほどの議論の中にもありましたように、過去、一九九二年から九六年までの間で本当にたくさんの経済対策をやってまいりました。十六・五兆円の先行減税、事業規模六十兆円の経済対策、五年間にこういう状況を打ちながら、緩やかという状況でありますから、私は、ぜひひとつ財政再建だけではなくて、構造的な財政構造改革をやはりしていく必要があると思いますので、そのあたりの決意もお伺いして、質問を終わります。
  80. 三塚博

    ○三塚国務大臣 谷畑議員が、財政再建も重要だが、構造改革というこのキーワードに触れられて、決意表明を、こういうことであります。  少子・高齢化時代は世界の先端を行く勢いでございます。高齢化社会は福祉国家の究極の目的でありますが、少子化は、これからその意識を置いて、平均的な国民人口がキープされるようにしていかなければなりません。このまま放置をするということになりますと、総理言われるとおり、後世にツケを残してまいります。それと同時に、このことによって諸制度が疲弊をしてまいります。国民精神はもとよりのこと、経済全体の仕組みが旧態依然たるもので終わるわけでございますから、その展望はおわかりのとおりであります。  そういう中で、めり張りのきいた量的縮減目標を立てさせていただきました。同時に、各種制度の検討を義務づけるということで、制度本体に切り込む英断をここにいたさせていただきました。与党各党の御理解に深い感謝を申し上げます。  財政は、国民生活のバックボーンであります。六大改革の基本であろうと思います。ですから、この柱がバックボーンに値するものでなければなりません。そういう点で全力を挙げますことが、国民の最終的な理解を得ることにつながります。そのことの進行に当たっての成果は、世界の大きな評価を受けることになります。さすが日本は、経済大国だけではなく、後世に責任を負う国民である、そして世界のサポートにも責任を負う民族、国家であるという評価に相つながることを信じて疑いません。
  81. 谷畑孝

    ○谷畑委員 どうもありがとうございました。終わります。
  82. 中川良一

    中川委員長 これにて谷畑君の質疑は終了いたしました。  次に、池田元久君。
  83. 池田元久

    ○池田(元)委員 民主党の池田元久でございます。大変御苦労さまです。  御存じのように、連鎖的に株価の下落が起こりまして、世界同時株安となっております。その後、ニューヨークは落ちつきを取り戻し、香港は波乱、東京市場も反発後再び急落、きょうも前場の引けで二百円以上下げております。大変不安定な動きを示しているわけです。株価の下落の影響、それが経済にどういう影響を与えるか、大変心配されるところです。  経済企画庁は、景気は緩やかな回復基調にあるものの足踏み状態にあると言っておりますが、この景況感を変更するお気持ちはないのかどうか、お尋ねをしたいと思います。
  84. 尾身幸次

    尾身国務大臣 景気の現状でございますが、御存じのとおり、消費税の引き上げが四月の初めにございまして、その前の駆け込み需要が消費あるいは住宅建築等でかなり大幅にございまして、その反動として、四月―六月を中心とし、七月―九月にもやや尾を引いておりますが、大きな反動減があったところでございます。  そして、そういう中で、しかし景気の現状は、消費、あるいは特に設備投資等を中心といたしまして、基礎的な部分では、消費問題については、賃金所得等もそこそこ伸びておりますし、企業収益も拡大をしている、そして設備過剰感も少なくなっているという現状の中で、伸びるべき下地はあるというふうに考えております。ただ、消費はそこそこの状態でございますが、設備投資はやや上がっているという状況でございます。その他、住宅建築は低迷しておりますが輸出は伸びているという、いろいろな状況を総合的に見まして、景気は緩やかな回復過程にあるものの足踏み状態にあるというふうに認識をしております。  なお、ここ極めて最近の動向を見ますと、やや厳しさが増したかなという感じは持っております。
  85. 池田元久

    ○池田(元)委員 いずれにしても、景気は停滞し、一方には巨額の財政赤字があります。こうした中で、どのような経済財政運営を進めるのか、打つ手はあるのか、国民、市民が一番知りたいところです。橋本総理の率直な御見解をお尋ねしたいと思います。
  86. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 今、やや厳しさを増したかという言葉を補足して、経済企画庁長官から現況についてのお話を申し上げました。そして、従来から私自身申し上げておりますように、この力強さが出てこない最大の問題点が何かというなら、やはり私は構造的な問題だというとらえ方をいたしております。加えて、昨今の証券市場の、あるいは為替市場のアジアにおける乱高下に端を発した問題等々がそのほかにもあるわけでありますが、基本的に我々がとらえなければならないものは、やはり構造的な問題。  そうなりますと、やはり規制の撤廃あるいは緩和というものを初めとしながらいかにして新たな産業が立ち上がれるか、立ち上げることができるか、こうした点に焦点を合わせながら経済構造改革というものを進めていく、それには政府の行動計画そのものを可能な限り前倒しをしていきながら、新たな施策の追加をしながらフォローアップをしていく、こうした努力を進めてまいりたいと思います。当然のことながら、土地の有効利用とかあるいは土地取引の活性化といったものはあるわけでありますが、細かく入ることはいたしません。  しかし、いずれにしても、こうした経済の体質改善を行うことによって不透明感を払拭していく、何よりもそれが大事なことであり、これがまた回復基調を確実で力強いものにもしていく、私どもとしては、そのような考え方で、効果的な経済対策を早急に確定したいと今努力をしております。
  87. 池田元久

    ○池田(元)委員 今のお考えの中で、経済構造改革、そして当面の対応、ちょっと触れられましたが、不良債権の処理というのは大きいですね。私たちも、現在の景気の動向、国民に与える影響を大変心配しております。  民主党といたしましては、負担の大きい中堅世代などを対象に、費用対効果の大きいローン減税を初めとする第一次の緊急経済対策をまとめたところです。景気の停滞は、単なる景気循環というよりも、国際化、情報化の中で日本経済構造改革がおくれていること、今もありました、金融機関の不良債権の処理が滞っていることによるのではないかと思います。このため、今テーマとなっている財政構造改革は、政策選択の幅を広げる、将来世代にツケを残さないというばかりではなく、公共事業や輸出、工業依存型の経済構造を変えて経済の再活性化を図るためにも行わなければならないと私は思います。  政府案は、これまで委員会で指摘されましたように、構造改革とは名ばかりと言わせていただきます。理念も余り感じられません。そこで、民主党では、財政の危機を国民、市民とともに克服するために、財政をわかりやすく、そして、構造改革につなげる枠組みとして対案、これは四つあります、対案をまとめた次第です。これはいずれ論議されますので、御理解をいただきたいと存じます。  さて、財政再建はどうなるかという点からお尋ねをしていきたいと思います。  政府案は、二〇〇三年で日本財政赤字GDP比を三%以下にするという目標などを掲げて財政再建をするとしていますが、目標どおり財政再建は達成できるのかどうか、端的にお尋ねしたいと思います。
  88. 三塚博

    ○三塚国務大臣 端的にというと、達成するべく全力の限りを尽くしてまいります。
  89. 池田元久

    ○池田(元)委員 これから大蔵大臣にもぜひ答弁をいただきたいと思います。  財政赤字GDP比三%以下という目標への達成の道筋はどう描いているか、大筋示していただきたいと思います。
  90. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 お答えいたします。  さきに御提出しました資料「財政事情の試算」でその道筋を示しているつもりでございますが、現在の経済計画を前提に、名目の経済成長率を一・七五から三・五%を前提といたしまして税収等を計算し、かつキャップを前提に一般歳出を仮置きいたしております。そういたしますと、その中で、この法律に基づきまして、特例公債、九年度予算で七兆五千億ございますが、これを平成十五年度にゼロといたしますと、毎年度一・二五兆円減らしていかなければなりません。それを前提として計算してまいりますと、平成九年度にGDP比五・四%であるものが、平成十五年度には二・五から二・六%になるということでございます。
  91. 池田元久

    ○池田(元)委員 今、もう既に説明されましたが、「財政事情の試算」、これはこの委員会でもたびたび取り上げられました。十月一日の政府・与党の財政構造改革会議に大蔵省が出したものですが、今度の財政再建は、六年後の目標を掲げて行ういわば六年計画。ですから、これは大変重要な試算だと言えます。  この試算の内容は今御説明になりました。要するに、成長率を二つに分けて、赤字国債の発行を毎年同額減らして最終年度の二〇〇三年にゼロにするという試算になっているわけです。目標、要するに健全化目標として三%もあれば、もう一つ赤字国債発行ゼロというのもあります。目標の一つである赤字国債発行ゼロを与件、要するに前提にした試算と言えると思いますが、一言確認をお願いします。
  92. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 先生の御指摘のとおりでございます。
  93. 池田元久

    ○池田(元)委員 そうしますと、主要な健全化目標、第一の目標である財政赤字の対GDP比三%を達成するにはどうなるかという試算ではないわけですね。そうでないことがわかりました。  三%達成への試算をまず示すべきではないかと私は思います。この試算のように三%以下に結果としてなるというのではなくて、三%達成への試算を中心にした国民にわかりやすい財政再建プランを示すべきだと思いますが、総理大臣のお考えをお尋ねしたいと思います。
  94. 三塚博

    ○三塚国務大臣 これは、財政目標、御案内のとおり、七一五兆円赤字公債を発行いたしまして歳出歳入の合計を合わしたのであります。この七・五兆円を、六カ年かけますから一・二五兆円毎年減らしていくということになりますと、三%の財政赤字、収支が国内総生産比率でそうなります、こう申し上げておるわけであります。
  95. 池田元久

    ○池田(元)委員 残念ながら三%達成への試算ということは示してもらえないわけですね。一番大事なところですよ。ここが欠けているわけです。  さて次に、いわゆる要調整額、歳出歳入のギャップに関連しまして、歳出歳入の各項目について端的にお尋ねをしたいと思います。  まず、国債の利払い、償還に充てる国債費ですが、国債残高はふえ続けておりますね。答弁でありました。試算にあるとおり、国債費は六年の間では抑制できないのではないかと思いますが、端的にお答え願います。
  96. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 お答えいたします。  毎年度の公債金収入は減少してきますが、残高そのものはふえてまいります。
  97. 池田元久

    ○池田(元)委員 国債費は抑制はできないと理解していいと思います。  次に、地方交付税についてですが、これは二番目ですね、地方交付税。  上杉自治大臣、いらっしゃいますね。地方も巨額の財源不足が続いており、「交付税額の抑制などというものは考えられない」、などというものは考えられないという大変強い表現です。そしてさらに、「考えておりません」と述べています。それでよろしいわけですね。確認ですから。
  98. 上杉光弘

    ○上杉国務大臣 お答えいたします。  国税五税の一定割合であります地方交付税は、地方公共団体の固有の財源でございます。地方にとっては歳入でございまして、国の他の歳出と同列に論ぜられるものではないと考えております。  また、地方財政は、平成六年度から非常に巨額の財源不足が続く極めて厳しい状況にございます。交付税では、四兆円台から五兆円台の幅で財源不足が恒常的になっております。特に今年度は、五兆九千億の財源不足でございます。その上に、国が財政運営を国債に依存しておりますから、国の補助事業あるいは地方が進めております単独事業、これらの財源不足も借金、借入金に頼らざるを得ない、こういう状況にあるわけでございます。  このような状況を考えれば、一般会計から交付税特別会計に繰り入れるべき交付税の額の抑制などは考えられないと申し上げておるところでございます。必要額の確保に、地方財政が運営に困らないようにその確保に全力を挙げてまいりたいと思います。     〔委員長退席、中山(成)委員長代理着席〕
  99. 池田元久

    ○池田(元)委員 この前と同様の答弁でございました。  次に、一般歳出は後回しにして、歳入の方に移りたいと思います。  税収ですが、税収の前に、税収の中に含まれるのですが、基本的な点、増税について午前中も質疑が交わされました。こういう六年間の計画ですから、プランですから、この間に税をどうすべきか。増税できる状況にはないということはおっしゃいましたが、この六年の間に増税は行わないと考えてよろしいのですかと総理大臣にお尋ねをする次第です。
  100. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 基本的に税負担水準というものが、財政状況とか税制全体のあり方を踏まえてその時々の国民的な議論の中で検討されるべきものであることは、もう前提としてよく議員御承知のことであります。  一方、この財政構造改革法案財政構造改革の当面の目標の達成に向けまして、歳出改革縮減のための具体的な方策と枠組みを規定する、そして国は財政構造改革推進する責務を有するという構成をとっております。  ここで私どもが考えておりますことは、財政構造改革推進するに当たっては、まずやはり、歳出改革縮減に最大限の努力を傾注すべきであるということでありまして、先ほどどなたかの御質問にもお答えをいたしましたが、当面の目標を達成するための増税というものを国民にお願いできる環境ではないと考えておりますと、改めてもう一度申し上げます。
  101. 池田元久

    ○池田(元)委員 税収ですが、九七年度は六十・七兆円、九八年は六十一・八兆から六十二・九兆を見込んでいるわけですが、現在の消費減退、景気の冷え込みから達成は難しいと思いますが、一言御答弁をお願いします。
  102. 薄井信明

    ○薄井政府委員 平成九年度、現在の税収につきましては、現在、年度全体の四分の一しか進んでおりませんので、完全に見通すことはできませんが、対前年度比では三%増になっている、ただしそれは、予算上は一一%を見込んでおりますので、その間八%の低いところを走っております。  ただし、これも理由があります。消費税増税分が年度後半に出てくる、あるいは特別減税をやめたことの半分の効果が後半に出てくる、それから去年の八月、たまたま不良債権の関係で法人税が大きくなっております。そんなことが影響しているのだと思いますが、いずれにせよ、ことしどうなるかはまだ見きわめられない状況にございます。  なお、今後につきましては、来年度については年末までに来年度の経済がどうなるかということを踏まえて見通していかなければならないと思っております。  なお、「財政事情の試算」におきましては、もっと先まで見込まなければならないわけで、これは成長率について一・七五なり三・五という前提を置いて、あとは弾性値一・一を用いて試算しているということでございます。
  103. 池田元久

    ○池田(元)委員 そのように大変厳しい状況です。これまでの他の委員の指摘でも、政策減税を行えばもっと税収が落ち込んでくるわけです。  私は、きのうの参考人の質疑でも、どの党の推薦でもいいのですが、自民党推薦のエコノミストは、日本経済成長率は八〇年代は四%ぐらいあったが、今はもう半分になっている。成長率がかつてよりか大変落ちてきているわけです。一・九%の達成も難しい状況です。税収の伸びは余り見込めないというのが客観的な事実ではないでしょうか。  そして、各項目やってきましたが、最後に残った一般歳出ですが、個別経費にはキャップがかかっています。涌井さんは、「厳しいキャップがかかっているので一般歳出の部分については大幅な削減はあり得ない」と当委員会で言っておりますが、一般歳出のカットはできないわけですね。
  104. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 前回の答弁で申し上げましたのは、従来のシーリングのもとでの概算要求に対する査定の状況よりも、今回のキャップ制度のもとでの要求からの査定というのは従来よりは大幅なカットは難しい、さはさりながら要求を精査してカットしていくということを申し上げたわけでございます。
  105. 池田元久

    ○池田(元)委員 要調整額は、ここにあるとおり、成長率一・七五%、二〇〇一年度以降は一般歳出ゼロとした場合、一番下ですが、九八年度は二・九兆、九九年四兆、二〇〇〇年は四・五兆、そして最後に二〇〇三年四・八兆、六カ年を合計しますと二十四・九兆円、巨額の要調整額が生じることになります。来年の九八年度で見ますと、一・七五%で二・九兆、三・五%では二・一兆、これをどう調整するのですか。  私は、先ほどから歳入歳出の各項目を見てきましたが、国債費と地方交付税は抑制はできない、それに一般歳出も今のやり方では大きく削れない、歳入の方では税収も伸びない。それで二兆円から三兆円規模の要調整額をどうして解消できるか、お答えを願いたいと思います。
  106. 三塚博

    ○三塚国務大臣 本件につきましては、いつも申し上げておりますとおり、ありとあらゆる手法で解消するべく全力を傾ける、こういうことになります。  これは具体的にどうだと言われると思います。ただいまは量的縮減目標を明示をいたしたキャップ制のもとで概算要求をいただいております。諸制度を見直し、聖域なく、こういうことの中で切り込んでいくわけです。厳正な査定の中で歳出カットを図るわけでございますから、歳出の基本方針は御理解いただけると思います。歳入につきましても、ありとあらゆる努力をすることによって、租税収入・その他の収入につきましても確保をしてまいる、こういうことであります。
  107. 池田元久

    ○池田(元)委員 どういう方法があるのか教えていただきたい。しかも、この要調整額に国鉄の長期債務、国有林野特会の累積債務、これを処理するための費用をそのまま加えますと、初年度八千億、来年度以降平年度で一・七兆円が加わるわけです。要調整額というのは、これは官僚用語ですね。霞が関の用語かもしれません。これは歳出歳入のギャップ、調整できなければはっきりした赤字なんですよ。この調整の可能性が今聞いても本当に疑わしい。そういった疑わしい要調整額を計上したこのようなものが財政再建の道筋、プランと言えますか。総理大臣にお答え願いたいと思います。
  108. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 先ほど大蔵大臣、非常に率直に、ありとあらゆる手法を使ってこれを達成しなければならないのだということを申し上げました。また、先日来、逆にこうした法律の設定そのものが違憲の疑いがあるといった御指摘もございました。そして、それについては、政府の予算編成権を縛るという御議論、それからもう一つは、国会の審議権に抵触するといったような御議論もございました。各種の御議論の中において、私はこの法案、妥当なものと考えておりますし、我々はこの数字に向かって全力を挙げて取り組んでいき、目的を達成しなければならないと考えております。
  109. 池田元久

    ○池田(元)委員 この要調整額を赤字として国債で穴埋めをした場合はどうなるか、大蔵省の事務当局に計算してもらいました。国鉄、国有林野の累積債務は別にしても、財政赤字の対GDP比は、九年度は五・四%ですね、それで出発しますから。二〇〇〇年度では四・九から四・五。そして、最終の十五年度では、一般歳出の伸びによってそれぞれ違うのですが、六通りありますが、そのうち一つのケースを除いて全部三%以上。要するに、目標年次の二〇〇三年度の一番主要な財政健全化目標、それがこれによると、二%一般歳出が伸びた場合には四・一%。そして三・三%、これは成長率が三・五%の場合です。三・九、三・三そして三・六、二・九。  このように見てくると、この政府財政再建プラン、目標達成は、このままでは極めて難しいということがもう明らかなのです。計画を始める前から計画倒れになるおそれが強い。  私も好きこのんでこんなことを言っているわけではありません。破局のシナリオは安易に語ることなかれと言いました。しかし、現実の姿、数字は大変冷厳な現実を突きつけているわけです。初めから計画倒れになるおそれがあると言わざるを得ません。  さて、時間がありませんので、公共事業の問題についてお聞きしたいと思います。  総理は、ことし三月十八日、財政構造改革五原則を示し、その中の一つとして、公共投資基本計画などあらゆる長期計画について大幅な縮減を行うという方針をお出しになりました。ところが、その後、閣議決定と法案で、公共投資基本計画は三年、公共事業の長期計画は二年、それぞれ延長しただけで、法案には「計画に定める事業の量を変更することなく」とわざわざ書き込んで、計画自体はそのままとなっているわけです。「大幅な縮減を行う。」という大変な原則、ゴシックで大きく書いてあります。それは早くも後退したのではないでしょうか。
  110. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 公共事業関係の長期計画、財政構造五原則を踏まえて、計画期間を二年、土地改良については四年の延長をいたしました。計画期間がこれで変わりますことによりまして、単純計算で単年度約三割の縮減効果がございます。
  111. 池田元久

    ○池田(元)委員 単年度のことを言っているのではないことは御存じかと思います。  公共投資基本計画を三年延長した理由について、数量、金額の面からいうとどうか、お尋ねをしたいと思います。これは大臣にお願いしているのですけれども、経企庁長官に。
  112. 中名生隆

    ○中名生政府委員 お答え申し上げます。  公共投資基本計画につきましては、ことしの六月三日に閣議決定されました財政構造改革推進についてにおきまして、委員御指摘になりましたように計画期間を三年間延長することとし、これによりまして、六百兆円ベースで見て十年間で四百七十兆円程度ということで、投資の規模を実質的に縮減を図るということを行いました。また、あわせて、その後の情勢の変化等を踏まえまして、内容の見直しも行うということでございます。  我が国の公共投資の水準というのは……(池田(元)委員「いや、理由について端的に言ってください」と呼ぶ)はい。この三年間の延長を行いましたということは、我が国の公共投資の水準というのを、おおむね景気対策のための大幅な投資追加が行われていた以前の水準にまで引き下げるということでこういう延長をいたしております。
  113. 池田元久

    ○池田(元)委員 そうしますと、景気対策の大幅な追加が行われた以前の水準に引き下げる、それはパーセントで言うとどのぐらい引き下げるのか、一言でお答え願いたいと思います。
  114. 尾身幸次

    尾身国務大臣 景気対策のための大幅な追加が行われた以前といいますのは、大体私ども八五年から九一年度というふうに考えておりまして、特別に公共事業を行いました八七年度を別にいたしまして、五%というふうに考えております。程度ということです。
  115. 池田元久

    ○池田(元)委員 要するに、言わんとするところは、公共投資の対GDP比、九四年で六・六%、それを五%程度にする。そうすると、割り算すると大体七五%ですね。単年度平均ではそういうことになります。  それで、次に、公共事業の長期計画については、五年のものを二年、十年のものを四年。これは、単年度平均の事業量では、七分の五ですから、〇・七一四、二九%カットということになりますね。その理由について端的にお答え願いたいと思います。
  116. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 公共事業関係の長期計画につきましては、先ほどの公共投資基本計画の改定の趣旨を踏まえまして、各計画の事業費の総額を、景気対策による大幅追加が行われた以前に策定された前回計画の総額と同水準に抑制するという観点から、二年ないし四年の延長としましたということであります。
  117. 池田元久

    ○池田(元)委員 期計画十六本のうち、昨年暮れ七本が改定されました。これらの長期計画の事業総額は、前の計画に比べて一・四一倍、大変な金額でふえている。二年延長すると、単年度は一・四一掛ける七分の五、だれでも計算できますね、イコール約一。ですから、これは前の計画の事業量を確保できるといったところが一つ理由ではないでしょうか。  法案では公共投資関係費を七%以上削減するとなっていますが、五%や一〇%ではなくて七%にした根拠を端的にお答えいただきたいと思います。
  118. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 平成十年度の公共投資関係費につきましてマイナス七%にいたしましたのは、一つは、先ほどからのお話のとおり、やはりバブル崩壊過程で大幅な公共投資の積み増しをした水準をそれ以前の水準に戻すという観点、それからもう一つは、やはり厳しい財政事情の中で来年度の一般歳出を前年以下にする等の点を総合的に勘案して、財政構造改革会議として決定されたところでございます。
  119. 池田元久

    ○池田(元)委員 総合的な勘案というのが出てきました。  基本計画と長期計画、そして法案、つまり七%以上のカット。この三つを比べてみますと、単年度の事業量では基本計画は二三%カットですね。それから長期計画は二九%カット。この二つには施設費が入る、入らないというのはあるわけですよ。それから、年数ですから整数で割るということもあります。それにしても違う。そして、九八年度は七%以上カットする。  これらの三つに整合性はあるんですか、整合性は。二三%、二九%、七%、特に基本計画と長期計画と、七%カットの間には整合性はあるのか、端的にお答え願いたいと思います。
  120. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 公共投資基本計画と長期計画につきましては、先ほど申し上げましたように、景気対策を行う水準以前の状態に戻すという意味で、整合性はあると思います。  それから、来年度の公共投資関係マイナス七%につきましては、これは御案内のとおり、計画の中では、常に経済財政状況に応じて弾力的に行うと書いてあります。それは、毎年度の公共投資予算を幾らにするかというのは、毎年度、毎年度の財政経済事情の中で決めていくということで従来やっておりますし、そういうことで、今回も財政事情を勘案して、最終的にマイナス七%になったということでございます。
  121. 池田元久

    ○池田(元)委員 しかし、二十数%と七%では、弾力的にやるといっても余りにも弾力的というか、開きがありますね。  実は、なかなか言いにくいのは、この七%以上のカットは、そこにいらっしゃる橋本総理大臣が官邸で裁断されたというふうに伺っているんですが、この七%の根拠について総理大臣にお尋ねをしたいと思います。
  122. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 裁断とかそのような形ではなく、経済構造改革を議論する中においてこの数字がおのずから出てき、決まるべくして決まったということです。
  123. 池田元久

    ○池田(元)委員 総理大臣らしからない答弁で、ちょっと理解に苦しみます。こんな大事な国の大きな裁量的経費である十兆円もの公共事業について、七%以上カットする、閣議決定をし、法案として提出した、そういうものには明確な根拠が必要なんです。  しかし、今ずっと伺っておりますと、七%は腰だめ、目の子算と言うほかはないのかなという感じがいたします。基本計画と長期計画そして七%は、つじつまがいません。基本計画、長期計画と七%、つじつまが合わない。私は、本会議政府案を「構造改革なきつじつま合わせ」と申し上げましたが、つじつまも合っていないのです。褒め過ぎでした。評価を一層下げたいと思います。  次に、公共事業の改革についてお話をしたいのですが、公共事業の見直しの手法として、時のアセスメントというものがあります。北海道で導入を始めたものですが、公共事業を根本から見直すというこのやり方について、政府としてどのように考えるか、導入すべき手法だと思いますが、どうでしょうか。一言お願いします。
  124. 瓦力

    ○瓦国務大臣 池田委員お答えをいたしますが、今委員御指摘のように、北海道庁は時のアセスメントをやっておるわけでございますが、我が建設省におきましても、平成七年七月から、大規模公共事業に関する総合的な評価システム、これを、新規事業の評価及び計画策定後長期間を経過し社会経済情勢が変化した場合の再評価を対象といたしまして、地域の意見を審査委員会等を通じて聞くシステムでございますが、既にダムとか都市計画手続を必要としない高規格幹線道路、こういった二十以上の事業について実施をいたしておりまして、それぞれの意見を踏まえまして事業者として責任を持って判断することといたしておるわけでありまして、このシステムを今後さらに再評価を行ってまいるというようなことで活用してまいりたい、こういうぐあいに考えております。     〔中山(成)委員長代理退席、委員長着席〕
  125. 中川良一

    中川委員長 池田君、時間が参りました。
  126. 池田元久

    ○池田(元)委員 最後に、今ずっと述べてきましたように、政府案では構造改革にはつながらない、財政再建の道筋を示していないと申し上げたいと思います。  当面の経済の状況に対しては、私たちは、短期的には機敏な対策をとる、底流にある金融機関の不良債権を早期に処理しなければならないと考えています。
  127. 中川良一

    中川委員長 再度申し上げます。時間が参りました。
  128. 池田元久

    ○池田(元)委員 同時に、国民に目に見える形で、中長期的には経済構造改革につながる実効ある財政構造改革を進めて、経済の再活性化を図らなければならないということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  129. 中川良一

    中川委員長 これにて池田君の質疑は終了いたしました。  次に、児玉健次君。
  130. 児玉健次

    ○児玉委員 日本共産党の児玉健次です。  最初に、橋本総理大臣にお尋ねをします。  あなたが議長として主宰なさった財政構造改革会議、本年の一月二十一日から、その都度首相官邸を会場として行われました。この会議は、いかなる法令に基づき、その経費はどの予算から支弁されたのか、事務局をどこが担当したのか、お示しいただきたい。
  131. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 お答えいたします。  歳出改革縮減と合理化を進めるため、政府・与党が一体となって検討を行う新たな場を設けるという橋本総理大臣の構想を受けまして、本年一月、橋本総理大臣を議長とする財政構造改革会議が設置されました。その場所は……(児玉委員「根拠となる法令は」と呼ぶ)根拠は――失礼いたしました。ということで、政府・与党の検討の場ということでございます。(児玉委員「予算は」と呼ぶ)予算というのは、実際問題として、官邸でやっていますから、予算は多分必要はないと思います。
  132. 児玉健次

    ○児玉委員 根拠すべき法令もなく、そして公的な予算の支弁もなく、そして事務局も選定をしていない、このことが明らかになっています。そして、会議には、中曽根康弘、竹下登、宮澤喜一、村山富市氏など、橋本内閣成立に至る与党の元首相、大蔵大臣その他が名前を連ねていらっしゃる。  元勲及び練達の人、総理、お聞きになった言葉であると思う。これは戦前、枢密院で、明治政府にとって元勲及び練達の人、枢密院は一八八八年に創設され、国政に関する天皇の最高諮問機関でした、その顔ぶれを元勲及び練達の人と当時評された。その枢密院すら、創設の翌年に発布された明治憲法の第五十六条に法令的な根拠を設定されておりました。  財政構造改革会議にはいかなる法令上の根拠もない。そして、そこで何が議論されたのか、私たちは資料要求の冒頭に議事録の提出を求めましたが、返ってきた答えは、議事録は存在しないというものでした。そのような会議だからこそ、六月三日、この会議財政構造改革推進方策を取りまとめたら、それにわずか三行の前文をつけ加えて閣議でこれを決定し、公的なものにしなければならなかった。この法案は、その出自にふさわしいものだと思います。総理、いかがですか。
  133. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 大日本帝国憲法から始まる講義、ありがとうございます。私は、その枢密院というものが、そういう経緯をたどったものだということを教えていただいたと思います。  その上で、政党政治において、政府・与党がそれぞれのテーマを選び、それぞれの会合を持つことが、私は間違っている行動だとは思っておりません。
  134. 児玉健次

    ○児玉委員 政府・与党がさまざまな協議をなさる。しかし、そこで論議された内容が寸分たがわない形で即日閣議で決定され、そしてこの法案として出されてきている。  以下、この法案について、何点か御質問をしたいと思います。  最初に、文部省に伺いましょう。  一般会計から国立学校特別会計への繰り入れ、私立学校の経常費補助金、これは歳出予算の項、目のいずれに当たりますか。そして、私立大学等経常費補助金、九六年度、九七年度の金額と、九八年度の要求額を示していただきたい。
  135. 小野元之

    小野(元)政府委員 お尋ねございました私立学校の経常費補助金は、項の私立学校助成費がございますが、その中に目として、私立大学等経常費補助金と私立高等学校等経常費助成費補助金がございます。  それぞれの金額につきましては、平成九年度が……(児玉委員「大学だけで結構です」と呼ぶ)大学だけでございますと、私立大学等経常費補助金につきましては、平成九年度が二千九百五十億五千万円、平成十年度の要求額が二千九百五十億五千万円でございます。
  136. 児玉健次

    ○児玉委員 厚生省に伺いましょう。  厚生年金保険法、国民年金法の事務執行に関する費用は、歳出予算の項、目いずれに当たるでしょうか。
  137. 真野章

    ○真野政府委員 お答えいたします。  一般会計予算書におきまして、項、社会保険国庫負担金、目、厚生保険特別会計へ繰入及び項、国民年金国庫負担金、目、国民年金特別会計へ繰入でございます。
  138. 児玉健次

    ○児玉委員 そこで、総理、大蔵大臣と私は議論したいのですが、この委員会において私どもの木島議員が、国会の予算審議権とこの法案の関連についてかなり突き詰めた論議をいたしました。そして同時に、我が党の石井郁子議員が、教育に対する国の支出負担の抑制が、今日の厳しい教育の状況のもとでそれをますます困難に追いやることについても明らかにいたしました。  法案の第十七条第一項、政府は、一般会計からの国立学校特別会計への繰り入れが前年度を上回らないようにするものとすると法案は明記しております。第二項で、私立学校に対する国の補助金、それも前年度を上回らないようにするものとする。法案は、予算の目に当たる部分にまで触れて、それも単年度ではなく、三年間にわたって規制をしております。  木島議員がこの問題について触れたとき、政府は、大くくりだから問題ないんだ、大きくくくるのだから問題ないと懸命に答えました。私たちは、将来にわたって予算編成を大きくくくることに問題がある、このように指摘してまいりましたが、同時に、予算の項、目に当たる部分まで三年間拘束している。大くくりだからいいという根拠が崩れたではありませんか。答弁を求めます。
  139. 三塚博

    ○三塚国務大臣 その質疑は拝聴してまいってきたところでありますが、御指摘は内閣の予算編成権との関係等についての御質疑と存じます。  この法律案におきましては、内閣は、太くくりな、主要な経費ごとに定められた量的縮減目標、これに従いまして予算を作成しなければならないことになります。この法律案自体は歳出権限を政府に与えるものでないことから、歳出権限を政府に与える予算とは法的性質が異なることであります。  第二点として、予算編成の際に内閣がよるべき基準を定めるにとどまっておりまして、個々の経費について網羅的に具体的な予算計上額を定めたものでないことに御留意ください。  そういう観点から、これまで立法されました財政法、地方交付税法、生活保護法等の予算に関する法律と同様、憲法で内閣に付与されました予算を作成し提出する権限を侵害することにはならない、こういうことであります。
  140. 児玉健次

    ○児玉委員 その点がまさに問題ですね。  今大蔵大臣がおっしゃった生活保護法、確かに国の負担、補助の率は決めております。しかし、年々の生活保護の予算がどのくらい支出されるかということは決して決めてはいない。問題なのは、予算の項、目についてこの法律案が細かに規定している。しかも、先ほどの厚生省の年金における事務費の問題、これは法案第十条ですが、この法案が成立したら、約七百億円が保険料の中から事務費に振り充てられるということが自動的に法的義務として生まれてくるのです。そういうものとしてこれが国会に出され、私たちの審議権を侵すものになる。いかがでしょうか。
  141. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 法案と予算審議権との関係につきましては、先ほど大蔵大臣が御答弁申し上げたところでございますが、実際問題として、日本の法形式というのは予算と法律という二つの形式になっております。その中で、毎年度のように予算関連法案というのを御提出して、御審議いただいているところでございます。  このような例というのは、具体的に法案の中で予算を定めている例というのは多々ございます。例えば、昭和五十六年に成立しました、行政改革推進するため当面講ずべき措置の一環としての国の補助金等の縮減その他の臨時の特例措置に関する法律におきましてもそのような規定もございますし、多々同じような前例があるところでござ  います。
  142. 児玉健次

    ○児玉委員 私は端的に聞きたいのですが、先ほどの私立大学経常費補助金、平成八年度は二千八百七十五億五千万だった。平成九年度は二千九百五十億五千万、若干増額されています。この法案が提出され、そして、概算要求に向けてこの法案の中身が先取り的に提起された。その結果、平成十年度の要求額は二千九百五十億五千万、ことしの額と寸分変わりがない。法案における、上回ってはならないということが見事な縛りになってここに出てきている。  私たちが来年の通常国会において予算を審議するとき、年々二千数百万の方々の署名がある私学助成の強化、それを増額修正した場合にこの法案との関連はどうなるのか、端的にお答えいただきたい。大蔵大臣。
  143. 三塚博

    ○三塚国務大臣 この法律案の第二章で大くくりの、主要経費ごとの量的縮減目標を規定いたしておりますが、これらの規定は、あくまでも予算を作成するに当たりまして、内閣を拘束する規範でございます。国会における予算審議権がこれによりまして拘束されるものでないことは、既に申し上げているとおりに再確認を申し上げます。
  144. 児玉健次

    ○児玉委員 いや、実に明確な御答弁が既に橋本総理から行われている。十月十七日、衆議院本会議で、小杉議員の質問に対して橋本首相はこう答えている。「こうした方策などを皆が守ること、皆が拘束されるということを法律によって明確にすることにより、財政構造改革を強力に進めていく」。この「皆」の中には国会が入っているでしょう、どうです。
  145. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 私は、大変目をつり上げられるのが恐ろしゅうございます。政府の我々が国会を拘束するなどと大それたことを申し上げたことはございません。  その上で、政府は、予算編成権を持ち、予算の提出権を持っております。国会は、御審議をなさる権限を持っておられる。それを拘束するものではありません。
  146. 児玉健次

    ○児玉委員 目をつり上げているつもりはないので……。  今の総理お答えは、「皆」の中に国会が含まれていないということを私ははっきり確認させていただきましょう。  そこで、最後に、二つのことについて総理お答えをいただきたいと思うのです。  この法案の第二章第一節「社会保障」、そこの第八条のところにこういう文言がありますね。「次条から第十二条までに定める措置を講ずること等により、社会保障関係費の額を次のとおり抑制するものとする。」その部分を代表にして、この法案の随所に、社会保障について「抑制するものとする。」だとか「廃止を含めて見直しを行う」などと出てまいります。  日本国憲法第二十五条、「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」「向上及び増進に努めなければならない。」と明記しております。明らかに、今度の法案で社会保障を、前例のないほどの形で、連続的、系統的に縮減していく。これは、この憲法に逆行し、二十五条を空洞化するものではありませんか。総理の見解を求めます。
  147. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 長々と御答弁をする時間も多分ないと思います。(児玉委員「ありますよ」と呼ぶ)いや、既に議員の時間が切れているという紙が来ているのが見えております。  ただ、その上で、昨日来も同じような御議論をさせていただいたところでありますが、私は、議員と考え方を真っ向から逆さにいたします。  我々は、高齢・少子社会においても、なおかつ国民の暮らしのセーフティーネットになる社会保障をつくりたい。そのためには、次の世代との間の負担の公平も含めて、国民が納得し得る仕組みをつくらなければなりません。そしてそれは、仮にその負担をどうするかというなら、税で御負担を願うのか、保険料で御負担を願うのか、あるいは一部負担で御負担を願うのか、あるいは給付の水準を見直すのか、国民の選択にかかる部分であります。  その上で、セーフティーネットは必要だということを我々は繰り返し申し上げ、将来にわたって維持、存続の可能な仕組みをつくりたい。何回も申し上げているところであります。
  148. 児玉健次

    ○児玉委員 社会保障における国民の給付、これは、現物給付であれ、現金の給付であれ、すぐれてその多くは個人消費に直結をしますね。この何日かのこの委員会の論議の中で、大体大きなコンセンサスが生まれつつあることは、今個人消費をどうやって前進させていくか。そのときに、社会保障の充実が経済発展の妨げになるという呪縛から解かれる必要がある。その意味からも、この憲法二十五条の新たな意味を私たちはつかみ直したい、こう思うのです。  もう一つの御質問。それは、橋本首相、あなたはこの後、内閣、国会の意思を三年間、六年間にわたって制約し、拘束する、そのことはできないと思うのですが、お答えをいただきたい。
  149. 中川良一

    中川委員長 児玉君、持ち時間が終了いたしました。  橋本総理大臣。
  150. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 現に、法律案を国会が御審議をいただいております。我々は、この国会で何としても成立をさせていただきたい、そうお願いも申し上げております。その上で、これをどう決定されるか。我々は絶対に通していただきたいと思っておりますが、ある意味では、議員御自身をも含め、院がその判断を下されることになります。
  151. 児玉健次

    ○児玉委員 終わります。
  152. 中川良一

    中川委員長 これにて児玉君の質疑は終了いたしました。  次に、濱田健一君。
  153. 濱田健一

    濱田(健)委員 そろそろ二週間の審議が終わろうとしておりますが、審議終局に向けて、教育問題について二点、お尋ねをしたいというふうに思います。  今回のこの財政構造改革、そして、この私たちが論議している法案総理も常におっしゃってこられましたとおりに、私たちの子供たちや孫たち、将来の日本を背負う人たちにツケを回さないということで、厳しいところ、耐えがたきを耐えながらやっていくというふうにお話をしてこられました。  私は、少子・高齢化社会の中で、少子という部分について視点をとらえれば、今少なくなっていく子供たちが将来の日本を支え、すばらしい国に発展させていくためには、やはり教育という部分に力を入れるということは、未来への先行投資と言われてきて、現状でも変わらないというふうに思うわけでございます。  それで、いわゆる財政構造改革会議の展開の中身についても、一定程度の教育費について配慮がなされてまいりました。しかしながら、第十六条関係を見ますと、これから先、いわゆる児童生徒の減少による合理化、そして徹底した受益者負担というふうに書かれているところでございますが、この整合性はどうなのか。子供たちが少ないからこそしっかりとした教育費をつけて、教育というものの充実を図っていくべきではないのか。  そして私は、勝手ですが、受益者負担というのは、教育については教育を受ける子供たちや親たちが受益者ではなくて、最終的に教育の成果によって国がすばらしい方向性に向かっていく、国こそが受益者になるというふうに思っているところでございますが、いかがでございましょうか。
  154. 三塚博

    ○三塚国務大臣 六月三日に閣議決定をされました財政構造改革推進についてを受けまして、本法律案におきましては、文教予算については児童または生徒数の減少に応じた合理化、二点目として、受益者負担の徹底等の観点から見直し、抑制するものとすると規定をいたしておるところです。  我が国の危機的な財政状況にかんがみまして、今般の財政構造改革は、文教予算に限りませんで、あらゆる歳出分野を例外なく対象としていることも御理解いただいておるところであろうかと存じます。ただ、教育費につきましては、財政構造改革会議におきましてもさまざまな御議論がなされたことは、私も終始出ておりましたから、承知をいたしております。  私としても、教育の重要性にかんがみまして、さまざまな御意見に十分耳を傾けてまいりたいと考えております。
  155. 濱田健一

    濱田(健)委員 大蔵大臣、年末の予算編成を含めて、その辺配慮をいただきたいというふうに思います。  今までのいろいろな教育費の経過を見てまいりまして、特に義務制の学校におりました私からしますと、義務教育費のいわゆる負担というものがどんどんふえてきている状況の中で、市町村の学校がその中でやりていく教育だから、いわゆる財源的なものを各自治体に動かしていこうという方向性が強まってきていたと私は思うのでございます。  しかしながら、今回の財政構造改革の方向性というのは、国も地方もいろいろな痛みを分け合っていくということはもちろんでございますが、そのツケ回しをしていくということではないというふうに思うのでございまして、先ほどの質問の中身を含めまして、これまで地方分権推進委員会が第二次答申の中で、義務教育費は国庫負担というものを堅持していくべきだ、存続していくべきだというような指摘をしておりますけれども、その線について、私の方からは、しっかりと守っていただきたいという趣旨を含めてお尋ねをしたいところでございます。
  156. 町村信孝

    ○町村国務大臣 ただいま御指摘の第二次勧告、国が義務的に負担を行うべきと考える数少ない分野である、こういう趣旨にのっとりまして今回の概算要求も行わせていただいている、かように考えておりまして、いずれにしても、この義務教育費国庫負担制度、教育の機会均等、そしてその水準の維持向上を図るという上では、大変に重要な制度である。文部省といたしましては、この制度の根幹について今後ともしっかり堅持してまいりたい、かように考えております。
  157. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 今文部大臣が答弁をいたしましたことにつけ加えるとするならば、その上で私は、できるだけ義務教育諸学校、権限と責任を持てるようにしていただきたい、そして、それに父母の声が反映する仕組みをどうしたらいいのかを本当に考えてもらいたい、文部省にこの問題を提起し、既にこの作業に入ってくれてもおります。  こうしたことを総合し、子供たちの未来というものを確保していきたい、御協力を心からお願いを申し上げます。
  158. 濱田健一

    濱田(健)委員 今総理が話をしてくださいましたとおりに、学校の現場は、昔は文部省に縛られたというような感覚があったようでございますが、今は文部省の方がもっと地域のいろいろな事情や子供たちの実態にかんがみてやってほしいというふうに伝達をされているようなんですが、なかなかその体質が変わっていかないという逆な現象を私自身も感じているところでございます。  今の現象的に起こるさまざまな、私たち大人が憂える子供たちの実態というものを、今総理がおっしゃったようなところで、具体的に、学校にいらっしゃる校長さん初め多くの先生方、地域のお父さん、お母さん、先輩の皆さん方、そして子供たち自身が一緒に学校や地域をつくっていくというようなシステムや、そして財源的なものもしっかりとつくっていただきたいなというふうに思っているところでございます。  総理の御日程がおありのようでございますから、あと一分程度時間がありますが、これで質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  159. 中川良一

    中川委員長 これにて濱田君の質疑は終了いたしました。  次に、粟屋敏信君。
  160. 粟屋敏信

    ○粟屋委員 本日の質疑におきまして、鈴木委員また谷畑委員から、アメリカの財政収支の改善についてお触れになりました。  振り返ってみますと、一九九〇年、平成二年でございますけれども、日米構造協議が行われまして、その際、アメリカは日本に対して市場開放を要求し、日本はアメリカに対しまして財政収支、貿易収支の双子の赤字の改善を要望いたしました。そのときのアメリカの財政赤字が二千二百十億ドルあったわけであります。そして一九九二年、これが二千九百億ドルに至ったわけであります。それが、二十七日にクリントン大統領が発表いたしましたように、一九九七会計年度で二百二十六億ドルまで少なくなったわけであります。  これをどういうふうにして達成したか。そういうことを考えてみますと、一九九〇年、九三年に包括財政調整法、OBRAというものをつくりまして、義務的経費、裁量的経費の削減目標、それとレーガン税制の行き過ぎと言っては語弊がありますけれども一所得税、法人税等の改善をやりまして、その財政収支改善の方向に向かって進み出したわけであります。  それと同時に、九一年はマイナス成長でありましたけれども、九二年以降は経済成長を遂げてまいったわけであります。それらが重なって、今回のアメリカの財政収支の改善の成果が出たと私は思うわけでございますが、このアメリカの財政再建の道筋に対する評価と、それと同時に今回の財革法、これと経済とのかかわりが非常に密接であると思いますけれども、その点につきましての総理の御見解を伺いたいと思います。
  161. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 議員が要約されましたクリントン政権の今日までの政策を繰り返すことは避けたいと存じます。その上で、私は、今御指摘になりましたようなさまざまな要素に加えて、やはりドルに対しては、これが基軸通貨であるという国際的な重みの中で、その価値を安定させていくために、G7を初めとして各国がこの信認を確保するためにさまざまなサポートを組んできたということも一つの要因として挙げていいのではないかと思います。しかし、その上で私は、このOBRAあるいはメディケアの歳出削減といった痛みを伴う手法も含めて、ここまでアメリカは見事な成果を上げてきたと思います。  日本におきましても、アメリカだけではありません、他の国々も一生懸命に努力をしておられますから、そうした各国の枠組みを参考にしながら、この歳出改革縮減についてあらゆる角度からの徹底的な検討を行い、財政構造改革特別措置法案、この形をもって、私どもは主要経費ごとの量的縮減目標あるいは各種の制度改革の内容を方向づける、そうした枠組みを定めさせていただきたいと国会にお願いを申し上げております。これによりまして財政構造改革を強力かつ確実に進めていきたいと心から願っておるところでありまして、一日も早い通過成立によろしく御尽力を願いたいと存じます。
  162. 粟屋敏信

    ○粟屋委員 今総理もお触れになりましたけれども、私は、我が国の財政再建はこの財革法だけではできない、こう思っております。地方分権とか規制緩和はどんどん進んでおるというお話でございますけれども、その姿がより明確になることが必要であると思いますし、同時に、経済運営よろしきを得なければならないと思っておるわけでございます。  次にお尋ねをいたしたいのは、来年度予算、平成十年度予算の重要性である、こう思っておるわけであります。六年間内閣の方針を縛るわけでございまして、六年先の平成十五年に財政赤字の対GDP比三%以下というふうに目標を設定しているわけであります。それが、初年度からその目標達成に疑義を抱くような予算編成であってはならない、こう思っておるわけであります。  ただ、なかなか困難な課題がたくさんあると思います。税収が予想どおり伸びるか。これは来年度の経済成長がどうなるかということも関連をいたしますので、今後の景気対策の重要性も当然前提としてあるだろうと思います。それと、今までいろいろ議論のありました要調整額、これをどういうふうに始末をしていくかという問題もあるわけであります。  初年度で財政再建の目標が狂ってはならないわけでございますけれども平成十年度予算編成にかける大蔵大臣の御決意、どういう方向でこれを編成していくかを含めてお答えをいただきたいと思います。
  163. 三塚博

    ○三塚国務大臣 ただいま粟屋委員の御指摘、また御激励という心情も痛感するわけでございますが、まさに六年後、財政赤字の対GDP比率が三%を達成するということは、この法律の根幹の部分であります。それは、後世にツケを残さない、九年度七・五兆円発行いたしました、それを六年目にはゼロにすることによって世代間ギャップを埋め、国民的な理解と協力の中で日本経済が再活性化への道を歩む最大のポイントのところでございます。  しからば、要調整額が二・一兆円あるのではないか、二・九もありますけれども、二・一もあるのではないか。これにつきましては、ありとあらゆる検討と努力の中でこの調整額を埋めてまいりますことが橋本内閣の命題であり、至上の努力目標であります。編成、原案をつくる者として、努力のあらゆるものを重ねまして、達成をさせていただくようにしてまいりますが、格段の御理解と御協力をお願いします。
  164. 粟屋敏信

    ○粟屋委員 大蔵大臣、あらゆる努力を払い、あらゆる手法を使って目標を達成するという御決意でございますから、しっかりやっていただきたいと思います。  以上で質問を終わります。
  165. 中川良一

    中川委員長 これにて粟屋君の質疑は終了いたしました。  次に、上田清司君。
  166. 上田清司

    ○上田(清)委員 無所属クラブの上田清司でございます。  お疲れのところ恐縮ですが、総理、現実の今の経済の状態が、消費不況だとか政策不況であるとかあるいはまた改革不徹底のための不況ではないか、こういう議論がありますが、要するところ、先がよく見えない、こういう思いが国民の皆さんにあるのではないかなというふうに私は思っているところであります。  再三、この財革法の審議の中で、今の状況の中で、たとえどんな状況でも増税は頼めないような思いがするという総理の御認識とお言葉がございますが、私は、この先が見えないというところを逆手にとって、総理みずから思い切って大胆な御提案をされればよろしいのじゃないかなというふうに思っております。  その大胆な提案というのは、この本文の中に、この赤字削減増税によらないで支出削減でやっていく、また、構造改革でやっていくということ、増税をしないということをきちっと明記すれば、おのずからこれは相当な改革が始まる。また、増税をしないということに関して国民の不安もなくなる。  そういう意味で、これはしっかりと総理自身の手で、増税をしないということを本文の中に明記されればいかがかなという御提案をさせていただきますが、いかがでしょうか。
  167. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 私は、議員からそうした御提起をいただき、内閣としての奮起を促されたことに敬意を表したいと思います。その上で、私どもが今この法律案を御提案を申し上げ、ぜひ一日も早く通過、成立をさせていただきたいとお願いを申し上げております。  今増税できる環境にないと思うということは、私は今までも申し上げてまいりましたが、同時に、税制というものは、やはりそのときそのときにおいて弾力的に対応されるべき施策のものでもあります。今の案でも六年間縛るのかというような御意見もあります中で、私は、できますならば一刻も早くこの原案を通過、成立させていただきたい、御提言に謝意を表しながら、改めてお願いを申し上げます。
  168. 上田清司

    ○上田(清)委員 ぜひ増税をしないということを何らかの形でアピールされることによって、国民の不安も晴れ、あるいは株価も上昇し、経済にも新しい動きが出てくるのではないかというふうに思います。  最後は、大蔵大臣、総理ともに、ウルグアイ・ラウンド農業対策費は補正予算に組まないとおっしゃっておりますが、農水大臣には大変恐縮ですが、含みを持たせた発言をしておられますので、こういうところがやはり改革が不徹底ではないかなというふうに私は感じますので、総理、大蔵大臣と同じ御見解なのかどうか、はっきりと申し上げていただければ大変ありがたいと思いますが、いかがでしょうか。
  169. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 大変御熱心な御質問お答えして前にも申し上げたところでございますが、いわゆるUR対策は、農村の体質を強化し、しかもにわかな国際化の波に対応し得るような、あるいはまた将来の展望を切り開くためにどうしても必要な事業だ、こう考えます。そういう意味で今までも、御承知のように、その趣旨や緊急性を踏まえまして各年度予算に補正を含む所要額を計上してきたところであります。  しかし、先般総理の御発言にもありますように、いずれにせよ、この経費の取り扱いについては事業内容の見直しとあわせて予算編成過程で検討するとされておりますし、現在党でも熱心に御検討いただいているところでございますので、御理解いただきたいと思います。
  170. 上田清司

    ○上田(清)委員 その自民党の経済対策の中で、補正予算に入れるというようなことを私は文言で見ておりますので、若干検討している域をもう超えておるのじゃないかなというふうに思います。とかく、九四年から始まって、補正予算と本予算の差が逆に一対三だ、これはやはり異常だ、補正予算の方が多いという、これはやはり異常だというふうに私は思っておりますので、どうぞこの点も改めていただきたいということをお願い申し上げまして、終わります。  ありがとうございました。
  171. 中川良一

    中川委員長 これにて上田君の質疑は終了いたしました。  次回は、来る十一月四日火曜日午後二時委員会、午後一時五十分理事会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時一分散会