運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1997-12-05 第141回国会 衆議院 厚生委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十二月五日(金曜日)     午前九時四十一分開議 出席委員   委員長 金子 一義君    理事 佐藤 剛男君 理事 津島 雄二君    理事 長勢 甚遠君 理事 根本  匠君    理事 岡田 克也君 理事 山本 孝史君    理事 金田 誠一君 理事 児玉 健次君       江渡 聡徳君    衛藤 晟一君       大村 秀章君    久野統一郎君       桜井 郁三君    下村 博文君       鈴木 俊一君    田村 憲久君       戸井田 徹君    能勢 和子君       原田 義昭君    桧田  仁君       堀之内久男君    松本  純君       山下 徳夫君    青山 二三君       大口 善徳君    坂口  力君       福島  豊君    桝屋 敬悟君       矢上 雅義君    吉田 幸弘君       米津 等史君    家西  悟君       石毛 鍈子君    中桐 伸五君       瀬古由起子君    中川 智子君       鴨下 一郎君    土屋 品子君       土肥 隆一君    山本 幸三君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 小泉純一郎君  出席政府委員         厚生政務次官  原田 義昭君         厚生大臣官房長 近藤純五郎君         厚生大臣官房総         務審議官    田中 泰弘君         厚生大臣官房審         議官      江利川 毅君         厚生省健康政策         局長      谷  修一君         厚生省老人保健         福祉局長    羽毛田信吾君         厚生省保険局長 高木 俊明君         厚生省年金局長 矢野 朝水君  委員外出席者         参議院議員   上野 公成君         文部省高等教育         局医学教育課長 木谷 雅人君         厚生委員会調査         室長      市川  喬君     ――――――――――――― 委員の異動 十二月五日  辞任         補欠選任   安倍 晋三君     下村 博文君   山下 徳夫君     久野統一郎君 同日  辞任        補欠選任   久野統一郎君     山下 徳夫君   下村 博文君     安倍 晋三君     ――――――――――――― 十二月四日  介護保険法案(第百三十九回国会閣法第七号)  (参議院送付)  介護保険法施行法案(第百三十九回国会閣法第  八号)(参議院送付)  医療法の一部を改正する法律案(第百三十九回  国会閣法第九号)(参議院送付) 同月一日  遺伝子組換え食品安全性等に関する請願(小  坂憲次君紹介)(第八五七号)  同(堀込征雄君紹介)(第八五八号)  公的臍帯血バンク早期設立等に関する請願  (小坂憲次君紹介)(第八五九号)  同(堀込征雄君紹介)(第八六〇号)  同(小川元君紹介)(第九七五号)  障害者施策の推進に関する請願(小坂憲次君紹  介)(第八六一号)  同(堀込征雄君紹介)(第八六二号)  同(小川元君紹介)(第九七六号)  寝たきり老人重度心身障害者とその介護者が  同居可能な社会福祉施設の設置に関する請願  (小坂憲次君紹介)(第八六三号)  同(堀込征雄君紹介)(第八六四号)  同(小川元君紹介)(第九七七号)  男性介護従事者養成等に関する請願(小坂憲  次君紹介)(第八六五号)  同(堀込征雄君紹介)(第八六六号)  同(小川元君紹介)(第九七八号)  子供の性的搾取・虐待をなくすための立法措置  に関する請願(赤松広隆君紹介)(第八六七号  )  中小自営業者婦人の健康と母性保護、社会的・  経済的地位向上に関する請願(岩田順介君紹介  )(第八六八号)  同(佐々木陸海君紹介)(第九七三号)  同(東中光雄君紹介)(第九七四号)  国民健康保険制度抜本改革に関する請願(亀  井静香君紹介)(第九七二号) 同月三日  遺伝子組換え食品安全性等に関する請願(小  川元君紹介)(第一〇四四号)  同(宮下創平君紹介)(第一〇四五号)  同(北沢清功君紹介)(第一一八二号)  公的臍帯血バンク早期設立等に関する請願  (宮下創平君紹介)(第一〇四六号)  同(北沢清功君紹介)(第一一八三号)  障害者施策の推進に関する請願(宮下創平君紹  介)(第一〇四七号)  同(北沢清功君紹介)(第一一八四号)  寝たきり老人重度心身障害者とその介護者が  同居可能な社会福祉施設の設置に関する請願  (宮下創平君紹介)(第一〇四八号)  同(北沢清功君紹介)(第一一八五号)  男性介護従事者養成等に関する請願(宮下創  平君紹介)(第一〇四九号)  同(北沢清功君紹介)(第一一八六号)  国民健康保険制度抜本改革に関する請願(亀  井静香君紹介)(第一〇五〇号)  同(亀井静香君紹介)(第一一一〇号)  社会保障制度改悪反対、制度の拡充に関する  請願(中林よし子君紹介)(第一一〇八号)  中小自営業者婦人の健康と母性保護、社会的・  経済的地位向上に関する請願(吉井英勝君紹介  )(第一一〇九号)  国民健康保険料の引き下げに関する請願(児玉  健次君紹介)(第一一八〇号)  同(瀬古由起子君紹介)(第一一八一号) 同月四日  中小自営業者婦人の健康と母性保護、社会的・  経済的地位向上に関する請願(中川智子君紹介  )(第一三〇六号)  同(松本惟子君紹介)(第一五七一号)  遺伝子組換え食品安全性等に関する請願(村  井仁君紹介)(第一三〇七号)  同(木島日出夫君紹介)(第一五七二号)  公的臍帯血バンク早期設立等に関する請願  (村井仁君紹介)(第一三〇八号)  同(木島日出夫君紹介)(第一五七三号)  障害者施策の推進に関する請願(村井仁君紹介  )(第一三〇九号)  同(木島日出夫君紹介)(第一五七四号)  寝たきり老人重度心身障害者とその介護者が  同居可能な社会福祉施設の設置に関する請願  (村井仁君紹介)(第一三一〇号)  同(木島日出夫君紹介)(第一五七五号)  男性介護従事者養成等に関する請願(村井仁  君紹介)(第一三一一号)  同(木島日出夫君紹介)(第一五七六号)  医療保険改悪反対社会保障の充実に関する  請願(吉田幸弘君紹介)(第一三九六号)  同(瀬古由起子君紹介)(第一五七七号)  子供の性的搾取・虐待をなくすための立法措置  に関する請願(辻元清美君紹介)(第一三九七  号)  同(石毛鍈子君紹介)(第一四六二号)  同(石毛鍈子君紹介)(第一五六九号)  同(肥田美代子君紹介)(第一五七〇号)  同(石毛鍈子君紹介)(第一六九八号)  同(石毛鍈子君紹介)(第一八〇八号)  介助用ホイスト水平トランスファ支給基準  緩和に関する請願(畑英次郎君紹介)(第一四  五二号)  同(岩田順介君紹介)(第一五七八号)  重度障害者寒冷地手当に関する請願(畑英次郎  君紹介)(第一四五三号)  同(岩田順介君紹介)(第一五七九号)  在宅障害者介助体制の確立に関する請願(畑  英次郎君紹介)(第一四五四号)  同(岩田順介君紹介)(第一五八〇号)  重度障害者ケアハウスの設置に関する請願  (畑英次郎君紹介)(第一四五五号)  同(岩田順介君紹介)(第一五八一号)  重度障害者障害基礎年金の増額に関する請願  (畑英次郎君紹介)(第一四五六号)  同(岩田順介君紹介)(第一五八二号)  障害者医療制度改革に関する請願(畑英次郎  君紹介)(第一四五七号)  同(岩田順介君紹介)(第一五八三号)  人工呼吸器を必要とする脊髄損傷者に関する請  願(畑英次郎君紹介)(第一四五八号)  同(岩田順介君紹介)(第一五八四号)  脊髄神経治療研究開発促進に関する請願(畑  英次郎君紹介)(第一四五九号)  同(岩田順介君紹介)(第一五八五号)  入院時における付添介護人に関する請願(畑英  次郎君紹介)(第一四六〇号)  同(岩田順介君紹介)(第一五八六号)  無年金障害者の解消に関する請願(畑英次郎君  紹介)(第一四六一号)  同(岩田順介君紹介)(第一五八七号)  医療保険制度改悪反対、医療の充実に関する請  願(東中光雄君紹介)(第一五六二号)  援護関係諸法国籍条項戸籍条項の撤廃、特  別立法制定に関する請願(岡田克也君紹介)(  第一五六三号)  希望するすべての人が受けられる介護保障に関  する請願(瀬古由起子君紹介)(第一五六四号  )  同(中林よし子君紹介)(第一五六五号)  同(藤木洋子君紹介)(第一五六六号)  建設国保組合の育成・強化に関する請願(石井  紘基君紹介)(第一五六七号)  同(深田肇君紹介)(第一五六八号)  同(伊藤忠治君紹介)(第一六九九号)  同(古賀一成君紹介)(第一七〇〇号)  同(濱田健一君紹介)(第一七〇一号)  同(五島正規君紹介)(第一八〇九号)  保育制度の改善と充実に関する請願(山下徳夫  君紹介)(第一六九六号)  臍帯血バンクの設立に関する請願(若松謙維君  紹介)(第一六九七号)  医療制度改悪反対に関する請願(中林よし子  君紹介)(第一八〇七号) 同月五日  元満蒙開拓青少年義勇軍に対する援護法適用に  関する請願(畠山健治郎君紹介)(第一九二一  号)  子供の性的搾取・虐待をなくすための立法措置  に関する請願(石毛鍈子君紹介)(第一九二  二号)  同(石毛鍈子君紹介)(第二二六八号)  遺伝子組換え食品安全性等に関する請願(羽  田孜君紹介)(第一九二三号)  公的臍帯血バンク早期設立等に関する請願  (羽田孜君紹介)(第一九二四号)  障害者施策の推進に関する請願(羽田孜君紹介  )(第一九二五号)  寝たきり老人重度心身障害者とその介護者が  同居可能な社会福祉施設の設置に関する請願  (羽田孜君紹介)(第一九二六号)  男性介護従事者養成等に関する請願(羽田孜  君紹介)(第一九二七号)  介助用ホイスト水平トランスファ支給基準  緩和に関する請願(岩田順介君紹介)(第一九  二八号)  同(坂本剛二君紹介)(第一九二九号)  同(永井英慈君紹介)(第一九三〇号)  同(畠山健治郎君紹介)(第一九三一号)  同(船田元君紹介)(第二一五三号)  同(栗原博久君紹介)(第二二六九号)  同(野田実君紹介)(第二二七〇号)  同(桝屋敬悟君紹介)(第二二七一号)  同(宮下創平君紹介)(第二二七二号)  同(山口俊一君紹介)(第二二七三号)  同(亀井静香君紹介)(第二四〇三号)  重度障害者寒冷地手当に関する請願(岩田順介  君紹介)(第一九三二号)  同(坂本剛二君紹介)(第一九三三号)  同(永井英慈君紹介)(第一九三四号)  同(畠山健治郎君紹介)(第一九三五号)  同(桝屋敬悟君紹介)(第二二七四号)  同(亀井静香君紹介)(第二四〇四号)  同(船田元君紹介)(第二四〇五号)  同(宮下創平君紹介)(第二四〇六号)  在宅障害者介助体制の確立に関する請願(岩  田順介君紹介)(第一九三六号)  同(坂本剛二君紹介)(第一九三七号)  同(永井英慈君紹介)(第一九三八号)  同(畠山健治郎君紹介)(第一九三九号)  同(船田元君紹介)(第二一五四号)  同(栗原博久君紹介)(第二二七五号)  同(野田実君紹介)(第二二七六号)  同(桝屋敬悟君紹介)(第二二七七号)  同(宮下創平君紹介)(第二二七八号)  同(山口俊一君紹介)(第二二七九号)  同(亀井静香君紹介)(第二四〇七号)  重度障害者ケアハウスの設置に関する請願  (岩田順介君紹介)(第一九四〇号)  同(坂本剛二君紹介)(第一九四一号)  同(永井英慈君紹介)(第一九四二号)  同(畠山健治郎君紹介)(第一九四三号)  同(船田元君紹介)(第二一五五号)  同(栗原博久君紹介)(第二二八〇号)  同(野田実君紹介)(第二二八一号)  同(桝屋敬悟君紹介)(第二二八二号)  同(宮下創平君紹介)(第二二八三号)  同(山口俊一君紹介)(第二二八四号)  同(亀井静香君紹介)(第二四〇八号)  重度障害者障害基礎年金の増額に関する請願  (岩田順介君紹介)(第一九四四号)  同(坂本剛二君紹介)(第一九四五号)  同(永井英慈君紹介)(第一九四六号)  同(畠山健治郎君紹介)(第一九四七号)  同(船田元君紹介)(第二一五六号)  同(栗原博久君紹介)(第二二八五号)  同(野田実君紹介)(第二二八六号)  同(桝屋敬悟君紹介)(第二二八七号)  同(宮下創平君紹介)(第二二八八号)  同(山口俊一君紹介)(第二二八九号)  同(亀井静香君紹介)(第二四〇九号)  障害者医療制度改革に関する請願(岩田順介  君紹介)(第一九四八号)  同(坂本剛二君紹介)(第一九四九号)  同(永井英慈君紹介)(第一九五〇号)  同(畠山健治郎君紹介)(第一九五一号)  同(船田元君紹介)(第二一五七号)  同(栗原博久君紹介)(第二二九〇号)  同(野田実君紹介)(第二二九一号)  同(桝屋敬悟君紹介)(第二二九二号)  同(宮下創平君紹介)(第二二九三号)  同(山口俊一君紹介)(第二二九四号)  同(亀井静香君紹介)(第二四一〇号)  人工呼吸器を必要とする脊髄損傷者に関する請  願(岩田順介君紹介)(第一九五二号)  同(坂本剛二君紹介)(第一九五三号)  同(永井英慈君紹介)(第一九五四号)  同(畠山健治郎君紹介)(第一九五五号)  同(船田元君紹介)(第二一五八号)  同(栗原博久君紹介)(第二二九五号)  同(野田実君紹介)(第二二九六号)  同(桝屋敬悟君紹介)(第二二九七号)  同(宮下創平君紹介)(第二二九八号)  同(山口俊一君紹介)(第二二九九号)  同(亀井静香君紹介)(第二四一一号)  脊髄神経治療研究開発促進に関する請願(岩  田順介君紹介)(第一九五六号)  同(坂本剛二君紹介)(第一九五七号)  同(永井英慈君紹介)(第一九五八号)  同(畠山健治郎君紹介)(第一九五九号)  同(船田元君紹介)(第二一五九号)  同(栗原博久君紹介)(第二三〇〇号)  同(野田実君紹介)(第二三〇一号)  同(桝屋敬悟君紹介)(第二三〇二号)  同(宮下創平君紹介)(第二三〇三号)  同(山口俊一君紹介)(第二三〇四号)  同(亀井静香君紹介)(第二四一二号)  入院時における付添介護人に関する請願(岩田  順介君紹介)(第一九六〇号)  同(坂本剛二君紹介)(第一九六一号)  同(永井英慈君紹介)(第一九六二号)  同(畠山健治郎君紹介)(第一九六三号)  同(船田元君紹介)(第二一六〇号)  同(栗原博久君紹介)(第二三〇五号)  同(野田実君紹介)(第二三〇六号)  同(桝屋敬悟君紹介)(第二三〇七号)  同(宮下創平君紹介)(第二三〇八号)  同(山口俊一君紹介)(第二三〇九号)  同(亀井静香君紹介)(第二四一三号)  無年金障害者の解消に関する請願(岩田順介君  紹介)(第一九六四号)  同(坂本剛二君紹介)(第一九六五号)  同(永井英慈君紹介)(第一九六六号)  同(畠山健治郎君紹介)(第一九六七号)  同(船田元君紹介)(第二一六一号)  同(栗原博久君紹介)(第二三一〇号)  同(野田実君紹介)(第二三一一号)  同(桝屋敬悟君紹介)(第二三一二号)  同(宮下創平君紹介)(第二三一三号)  同(山口俊一君紹介)(第二三一四号)  同(亀井静香君紹介)(第二四一四号)  建設国保組合の育成・強化に関する請願(中桐  伸五君紹介)(第一九六八号)  同(小林守君紹介)(第二一六三号)  同(土肥隆一君紹介)(第二一六四号)  公的臍帯血バンクの設立と血液事業法の制定に  関する請願(長内順一君紹介)(第二一五一号  )  同(青山二三君紹介)(第二一五二号)  同(大野由利子君紹介)(第二二六七号)  援護関係諸法国籍条項戸籍条項の撤廃、特  別立法制定に関する請願(土井たか子君紹介)  (第二一六二号)  高齢者の医療と生活安定等に関する請願(肥田  美代子君紹介)(第二四〇一号)  児童福祉法改正に伴う公的保育制度の充実に関  する請願(園田博之君紹介)(第二四〇二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十二月二日  医療保険制度改悪反対に関する陳情書外二件  (第二〇五号)  臍帯血移植医療保険適用等に関する陳情書外  十件  (第二〇  六号)  難病対策の充実に関する陳情書  (第  二〇七号)  腸管出血性大腸菌O157対策の推進に関する  陳情書  (第二〇八号)  特別養護老人ホーム建設のための予算措置に関  する陳情書  (第二〇九号)  介護保険制度創設に向けての介護サービスの質  ・量の確保等に関する陳情書  (第二  一〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  介護保険法案(第百三十九回国会閣法第七号)  (参議院送付)  介護保険法施行法案(第百二十九回国会閣法第  八号)(参議院送付)  医療法の一部を改正する法律案(第百三十九回  国会閣法第九号)(参議院送付)      ――――◇―――――
  2. 金子一義

    金子委員長 これより会議を開きます。  第百三十九回国会内閣提出参議院送付介護保険法案介護保険法施行法案及び医療法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。  各案は、第百四十回国会で本院においていずれも修正議決の上参議院に送付したものを、参議院において継続審査に付し、このほど介護保険法案及び介護保険法施行法案につきましては修正議決の上、また、医療法の一部を改正する法律案につきましては原案のとおり可決の上本院に送付されたものであります。  したがいまして、参議院修正部分を除いて趣旨説明を省略したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 金子一義

    金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  それでは、参議院における修正部分につきまして趣旨説明を聴取いたします。参議院厚生委員会における修正案提出者参議院議員上野公成君。     ―――――――――――――介護保険法案介護保険法施行法案医療法の一部を改正する法律案    〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  4. 上野公成

    上野参議院議員 介護保険法案及び介護保険法施行法案に対する参議院修正部分について、その内容を御説明申し上げます。  まず、介護保険法案に対する修正要旨は、介護保険事業の運営が健全かつ円滑に行われるよう国が講ずべき必要な各般の措置として、保健医療サービス及び福祉サービスを提供する体制確保に関する施策を明記すること。  次に、介護保険法施行法案に対する修正要旨は、第百四十回国会で成立した健康保険法等の一部を改正する法律平成九年九月一日から施行されたことに伴い、介護保険法施行法案第二十九条等の規定について、所要の整理を行うこと。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  5. 金子一義

    金子委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     ―――――――――――――
  6. 金子一義

    金子委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福島豊君。
  7. 福島豊

    福島委員 大臣、一年に及びます、長時間にわたる審議、本当に御苦労さまでございます。  ようやく参議院を通過したわけでございますが、各紙の論調では、介護保険内容について、まだまだたくさん問題があるという記事がほとんどであったような気がいたします。衆議院での審議の中でも、介護保険問題点、さまざまな詰め切らない点についての質疑がありましたが、私どもが指摘した論点が参議院審議で明らかになったとは到底言えないというふうに私は考えております。  そういいましても多数決の世界でございますので、成立をするということになるわけでございますけれども、実際の施行までの期間の間に、提出された疑問点については明確な答えを出していただきたい、そのように私は思っております。  医療保険改革ということが今大きな課題となっているわけでございまして、この介護保険というのは、参議院での審議でも種々御発言がございましたが、この医療保険改革の前提となる事柄なのだ、だからどうしてもやはり成立させる必要があるのだ、そのような趣旨の御発言が繰り返されたように思っております。私は、この介護保険ということと今後行われる抜本的な医療保険改革というものがどのように関係していくのかということをまずお聞きしたいと思っております。  私は、介護保険の導入の中にはさまざまな趣旨があると思いますが、一つは、医療分野から介護を切り離して医療を純化する、こういう発言もございましたが、そういった区分けをしっかりするというのが一つ視点だというふうに思います。それによって、今抱えている医療費の中の介護にかかわる部分というのは削減することができる、スリム化することができる。  もう一つ視点というのは、介護保険におきましては定率自己負担というものがございますし、そしてまた、高齢者からの保険料の徴収ということで、お金を集める側で新しい仕組みが導入されている。ここのところもまた非常に重要なところではないかというふうに思っているわけでございます。介護保険の一割の自己負担ということ、これはドイツの介護保険では、在宅サービスについてはそういうものはないわけでございまして、なぜここのところに厚生省が甚だこだわるのだろうかというふうに、衆議院での議論のときも私は思っておりましたが、それはこれからの医療保険改革というものを見据えて、高齢者でも一割の定率負担、一割とは限らないかもしれませんけれども、定率負担はしていただく必要があるのだということをこの介護分野確立する、そういうところに最大の眼目があったのではないかというふうにも思っているわけでございます。  まず大臣にお聞きしたいのですけれども、この介護保険というものを踏まえて、これがどのように医療保険改革というものにつながっていくのか、その構造的な面も含めまして、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  8. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 介護保険制度医療保険制度、これの関連性についてはいろいろな議論がありました。この介護保険法案が成立しますと、本来、治療よりも、医療給付よりも介護給付を受ける方が適切な方でさえも、病院に入院している人がかなり存在している、いわゆる社会的入院解消の一助にもなるのではないか、いわゆる医療介護の切り離し、こういう構造的な改革に一歩前進するのではないかという観点から、いろいろな議論がされてきたと思います。また、介護保険が導入されますと、利用者は一割負担する、これと、今度は医療保険制度の方におきましても、高齢者定率の一割を負担するのかというような議論も当委員会でもなされました。  こういう点につきましては、医療介護制度が同じというものでもないと思います。介護の場合については民間事業者が参入してきます。そうなりますと、介護保険制度が想定しております給付サービス以上のサービスを受けようとしますと、自己負担しなければならない。医療制度も同じなのかということになると、医療介護とはまた別の視点がある。それぞれ、自己負担分野をどこまで拡大するかという点については、介護医療とは違った視点がまた出てくるのではないか。今後、医療保険福審議会等での御議論を踏まえまして、その点についても十分な検討が必要ではないかと思います。
  9. 福島豊

    福島委員 大臣が、自己負担というものを考えるときに、医療分野介護分野と必ずしも同じではない、それぞれの特性を考えてこれから検討していく、そのような答弁をお聞きいたしまして、安心をいたす次第でございます。  今社会的入院解消というお話を大臣からちょうだいいたしましたが、厚生省から、社会的入院解消というのは、介護保険の導入によって一体どういうふうに、どういうスキームで実現していくのかということをお尋ねをいたしました。そして、資料をちょうだいいたしました。  私は、資料を拝見いたしまして、単純にいいますと、平成十二年度に、現行制度では社会的入院というものが六万人いる、そして介護保険が導入されるとこれがゼロになる、こういう図でございます、小さくて見えないと思いますけれども。単純にいいますと、介護保険が導入されると社会的入院はあっという間に消えてなくなるという資料をちょうだいをいたしました。  これは本当にそういうことが起こるのだろうかと、この図を見たときに私は非常にびっくりしたわけでございます。確かに在宅介護サービス充実ということが起こるのでしょう。ただしかし、今言われていることは、在宅介護サービスについては、平成十二年度でも想定している水準には到底及ばない、四割ぐらいの利用しかないのではないかということが言われているわけでございまして、そういうことを前提として、平成十二年度に予想される六万人の社会的入院の方が完全に在宅に移るなどということは到底あり得ないというふうに私は思いますが、厚生省の御見解をお聞きしたいと思います。
  10. 江利川毅

    ○江利川政府委員 先生の御指摘になりました資料は、費用推計をするに当たってどういう推計をしたかということに前提を置いた資料だと思います。  平成七年度には十万人ぐらいいる社会的入院が、新ゴールドプランの施設整備によりまして、十二年までに六万人ぐらいに減っていくだろうというのが一つあります。そして、施設サービスにつきましては、在宅サービス充実することによって、例えば現在、特養に入っている人があるいは在宅で生活が可能になるのではないか、老健施設に入っている人の中にも在宅で可能になる人もいるだろう、あるいはまた療養型病床群が整備されていきますので、そういう受け皿で整理されていく人もいるでしょうし、入院している人の中の一部は在宅で生活になる人がいるかもしれません。いわゆる六万人がすべて在宅にとんと移るのではなくて、六万人の中の何人がということではありませんが、特養に向いている人は特養に、あるいは老健施設は老健施設、療養型病床群が適当な人はそういうところに、一部はまた在宅に行くだろう、そして現在施設に入っている人の中にも在宅で生活が可能な人が出てくるだろう。そういうことを総計して、社会的入院解消ができるのではないかというふうに思っているわけでございます。  ただ、人が移る話でございますから、介護保険ができた途端にぱっと切りかわるということは考えられないわけでありまして、いわゆる要介護者であれば、介護申請をしてケアプランをつくって、その人に向いたサービスをつくっていくわけでありますので、その中で徐々に、徐々にといっても何年もかけるという意味ではなくて、例えば十二年度の中で、できるだけそのケアプランの中で、在宅志向、あるいはその人に向いた施設の方に移していく、そういう形で解消を進めていきたいというふうに考えているところでございます。
  11. 福島豊

    福島委員 非常に定性的な御答弁がございまして、理屈ではそういう話かなと思いますが、特養から実際にどれだけの人が在宅に移ることができるのか、これは厚生省もよくわかっているのだろうというふうに思います。特養に入っているような方を在宅に移すためにはどの程度のサービス水準が必要なのかということも、実はよくわかっていると思います。そういうことが平成十二年度にはもちろん実現しないし、そしてその水準を実現しようと思ったときには在宅サービスの基盤というものをどの程度さらに上乗せしなければいかぬかということもわかっていると思うのです。ですから、社会的入院解消するというようなことは安易におっしゃらない方がいいのじゃないか、また、そういうふうにおっしゃるということであれば、やはりそれ相応の覚悟を決めて取り組んでいかなければいかぬことなのだというふうに私は思います。これは申し上げておきたいと思います。  社会的入院解消ということで一つ大切な視点というのは、医療の側の視野というのが非常に大切で、医師の側の認識というのも大切だと思うのですね。この方であれば在宅で何とかなるのじゃないか、そういう流れを非常にスムーズにしていく必要がある。参議院での審議でも、医療と福祉、介護の連携ということを緊密にしていかなければいかぬという話がありました。これはなかなか、じゃ、制度的にどう担保するのかという話になりますと、一概に言えないところもあります。地域の差というのも当然ございますし。ただ、一つ大切なことは、やはり医療サイドの認識を変えていくということが物すごく大切だというふうに僕は思っております。  きょうは文部省の方においでいただきました。医師教育ということにおいて、今までは医学のみを中心として教育をしてきたわけでございますけれども、介護分野、福祉の分野と医学、医療分野というのは、実は連携している、連結している、そこまで医師の頭の中の認識を広げていくということが物すごく大切なんだと思います。  私も大学での医学教育を受けまして、当時は、大分前でしたので、そこまでの認識というのはまだまだなくて、実際には卒後にみずから身につけた知識も多いわけでございますが、これからはそうではない。超高齢社会で働くということを前提としてどういう知識が求められるのかといえば、それは単に医学だけではなくて、介護分野もある、社会保障の勉強もしなければいけない、こういうことを大学での医学教育にぜひとも取り上げていただきたいと私は思う。そして、できるならば、介護実習というような形で、現場の世界というものを医者が知る必要がある。どういうことが行われているのか、何が必要なのか、学生の、若い、感受性の豊かな時代に知ってもらう必要があるというふうに私は思います。  この点につきまして、現状の取り組みと、また今後の見通しということにつきまして、文部省の御見解をお聞きしたいと思います。
  12. 木谷雅人

    ○木谷説明員 お答え申し上げます。  今日、医療介護、社会福祉は緊密に連携し合ってサービスを提供することが求められていることは議員の御指摘のとおりでございまして、医師を養成する医学教育におきましても、介護、社会福祉の分野に関する教育を一層重視しなければならないというふうに考えております。  私ども、二十一世紀に向けた医学教育のあり方を検討しております文部省の二十一世紀医学・医療懇談会におきましても、本年二月に介護関係人材の育成のあり方についての報告を取りまとめております。その中で、福祉、医療、保健に関する職種間の連携の強化を図るという観点から、大学医学部等における教育内容の改善を提唱しておりまして、現在、各大学においてはさまざまに工夫しながら、この教育の充実に努めているところでございます。  また、議員御指摘の介護実習ということでございますが、入学後の早い時期に、老人保健施設等の介護、福祉現場で学生に介護の実習を行わせる、こういう大学も現実にふえてきておりまして、文部省におきましても、平成十年度概算要求において、これをさらに推進するための経費を新たに計上をしているところでございます。  今後とも、各大学において介護、社会福祉に関する教育の充実が一層推進されますように、私どもとしても努力してまいりたい、こういうふうに考えております。
  13. 福島豊

    福島委員 医学部の教育の中では、医学の方が上で、介護といいますか、福祉というのはもっと下なんだという、ある意味では非常に偏った認識がまだまだあるのではないかというふうに僕は思うのですね。そうではない。これはもう役割分担なんだ、同じ横一列の話であって、当然その関係する分野のことについては、相応の尊敬を払いながら学んでいくという姿勢がやはり必要だというふうに私は思っておりまして、今後も引き続き、さまざまな課題はあろうかと思いますけれども、努力をしていただきたいというふうに要望をさせていただきます。  時間も余りありませんので、次に介護報酬の問題につきまして、これも委員会での審議で繰り返し取り上げられました。いま一つ、この介護報酬というものをどういうふうに決めていくのかというその仕組みがよくわからないわけでございます。医療保険と横並びで考えますと、中医協のような、実際にサービスを提供する人と、そしてまたお金を払う人、保険者の側と、そしてまた公益担当といいますか、公益の方を代表する方、そのような構成の決定機関というものを当然つくらなければいかぬという話になってくるのだろうというふうに思います。  介護報酬をどういう水準にするのかということは極めて大切なことでございますが、その仕組みというのがいま一つはっきりしないということで、再度厚生省の御見解をお聞きしたいと思います。
  14. 江利川毅

    ○江利川政府委員 介護保険法が成立いたしますと、平成十二年度から実施ということになるわけでありますが、今の介護報酬を初めとしまして、さまざまなことを審議会にかけて検討していくことになります。その審議会は医療保険福審議会、先般老人保健と医療保険を合体した審議会をつくりましたが、この審議会において審議していただくことを予定しております。具体的にはその中の老人保健福祉部会が中心になろうかと思います。  たくさんありますテーマの中で、介護報酬というのは一体どんなふうに決めるのがいいかというのは、先生御指摘のような三者構成による中医協みたいなものというのも一つの考え方だと思います。私どもは、その具体的な審議のあり方につきまして、医療保険福審議会の老人保健福祉部会にいわゆる考え方をかけ、そしてその中の、例えば各論はそういう構成がいいのかどうかとか、そういうことをかけた上で、その審議の仕方を検討してまいりたいというふうに思っているわけでございます。  いずれにしましても、介護報酬は、関係者のさまざまな立場での意見がございますので、そういう意見が反映でき、利害調整ができるような、そういう仕組みが必要であるということは先生のお考えのとおりだと思いますので、また、そういうふうな方向できちんと審議が行われるような、そういうことに心がけて、先ほど申し上げました老人保健福祉部会の御意見を聞きながら、その審議の場を検討してまいりたいというふうに思っております。
  15. 福島豊

    福島委員 また、私は、せっかく新しい保険制度をつくるわけですから、前国会におきましても、例えば保険証をつくった場合にその活用の仕方というものをもっとよく考えた方がいいのではないかというようなお話もしました。ただ、これは老人医療との兼ね合いで言いましたので、年齢がちょっと違うという話になりましたけれども。  介護報酬の請求、今レセプトの電算化ということを医療保険分野でもしているわけですけれども、今までの経過をお聞きすると、これも時間がかかってなかなかフォーマットが統一されないということで大変なのだという話を厚生省からしばしばお聞きしているわけでございまして、そういうことを考えますと、介護保険を導入して介護報酬というものを請求していく、そういう事務処理につきましても、これは医療と比べるとはるかに項目数も少ないし、単純な話なのだというふうに私は思いますけれども、しかし一定の電算化というのは、全国共通のフォーマットをつくって、効率的なものを、最初に若干お金はかかるかもしれません。投資をしなければいかぬかもしれませんが、そういう将来にわたって非常に効率的に動くようなシステムというものは、時間は限られておりますから、そこまでいくのかどうかという問題もあると思うのですけれども、ぜひそういう仕組みを導入して、それをまた横に広げていくようなことができるような、そういうことは僕は取り組んでいただきたいと思っているのですが、この点についてはいかがでしょうか。
  16. 江利川毅

    ○江利川政府委員 介護報酬は、先生御指摘のように、確かに医療のレセプトよりももう少し定型化した形になろうかというふうに思います。介護報酬そのものもそうでございますし、限度額も設定されるということで医療報酬とはちょっと違う要素があるわけであります。  そういうことについての点検ということになりますと、ある意味で、非常に形式的なというのでしょうか、形をチェックする、そういうふうなものもかなりのウエートを占めますので、そういう意味で、その事務処理の効率化を図る。そのためには電算化は一つの考え方だというふうに思っております。私どもはそういうことも含めて、いわゆる介護報酬の請求の電算化につきまして、先生の御指摘も踏まえて、十分検討してまいりたいというふうに思っております。
  17. 福島豊

    福島委員 そしてまた、介護給付の水準についてでございますが、これは医療と全く同じで、動き始めたときは僕は大丈夫だと思いますが、十年もすると、どんどんどんどん介護給付費が膨れ上がっていって、何とかこれを抑制しなければいかぬという話が出てくるのではないか、恐らく必ず出てくるのではないかというふうに私は実は思っているのです。  そうすると、何が起こるかといいますと、保険料を上げるか、それとも給付水準を下げるかという議論に恐らくなると思うのです。保険料は、今厚生省が試算している保険料では到底賄いきれないのではないかというような評価も一般ではなされております。これは非常に甘く見積もった数字なのではないか。そうすると、医療保険保険料との兼ね合わせでなかなか上げられない、給付水準を下げるしかないなという話になるのかなというふうに思ったりするのです。  ただ、この給付水準の問題というのは、ある意味では大臣が、一方的にとは言いませんけれども、審議会の意見を聞くわけでしょうけれども、一方的に決められるような仕組みに実はなっている。国民はこれだけの水準を期待していても、長期的に見た場合には、なかなかそれは実現しないのではないかという懸念もあるわけでございますが、この点、国民の意思というもの、意見というものを長期的にわたってどう反映させていくのか、その点についてのお考えをお聞きしたいと思います。
  18. 江利川毅

    ○江利川政府委員 介護保険制度で目指しております給付水準といいますのは、高齢者夫婦世帯で、一方が寝たきりになりましても在宅で暮らしが続けていけるような水準を目指したい、すぐにはいきませんが、段階的にそういう水準を実現してまいりたい、こういうことを目指しているわけでございます。  高齢者の数がこれから急激にふえてまいりますので、そうなりますと、当然要介護者もふえてまいりますから、介護に要する費用がふえる、これはどういう仕組みをとりましてもそういうことになろうかと思います。ただ、私どもは、この費用をできるだけ効率的に、介護サービスをできるだけ効率的に実現をしたい。そのために、例えばさまざまな事業主体に入っていただいて、選択を通じての競争を行う、あるいはまた的確な、客観的な要介護認定を行って、必要な人に必要なサービス量を提供する、こういうようなことで全体の仕組みの効率化を図ってまいりたいというふうに思っているわけでございます。  そういう考え方でいきますと、私どもの推計としましては、平成七年度価格でありますが、スタートしましてから十年ぐらいにおける保険料の増は千円ぐらいであろうというふうに見ているわけであります。先々どういうふうな給付水準にし、どういう保険料にするのがいいのかということは、最終的には国民の選択にゆだねられるところになろうかと思います。  ただ、私どもとしましては、できるだけ制度を効率的に運営して、負担を余り大きくしないで、必要なサービス確保できるようにさまざまな工夫をして努力をしてまいりたいというふうに思っているところでございます。
  19. 福島豊

    福島委員 今お話がありましたように、だれもがいつでも安心してサービスを受けられる、その基本的なところは、長期にわたってといいますか、維持していっていただきたい。これは一番最初の議論ですから、そこのところだけお願いをしておきたいと思います。  そして、今効率化をしなければいかぬ、私もそのとおりだというふうに思います。適切に民間事業者が参入できるようにすべきだ。ただ現実は、今措置制度のもとで――措置制度が悪いと言っているわけではありませんけれども、現実にはその実現がなかなか難しい。現場で私はお聞きしますと、二十四時間の巡回介護のような、今までの体制ではなかなか取り組めないようなところには民間事業者が委託で入り始めている。ただ、実際に介護保険がスタートしましても、その時点では実績を持っている事業者というのは恐らく限られたところしかないという話になってしまうと思うのですね。ですから、すぐに競争ということにもなかなかならない。逆にまた、今実績のあるところが大きなシェアを占めると、今度は競争がなかなか起こらないという話になるわけでございますから、この移行期間のうちに、民間事業者が適切に参入できるような、そういうインセンチィブを与えていただく必要があるのではないかというふうに思っておりまして、この点の御認識をお聞きしたいと思います。
  20. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 民間事業の参入についてのお尋ねでございますが、私どもも、先生御指摘のとおり、今後多様化をしますし、また増大をいたしまする要介護のお年寄りの方々の需要にこたえるためには、やはり健全な競争というものを通じまして、効率的な、良質なサービスを提供していく、そういう観点から、民間事業者、これは営 利、非営利を問わず、そういった民間事業者の参入、あるいは多様な事業主体の参入というものが非常に大事だというふうに思っておりますし、それは介護保険ができて直ちにスタートするというよりは、できる準備は今からやっておく、そしてそういうインセンティブが働くような仕掛けというものを考えていくということは大事だというふうに思っております。  こうした観点に立ちまして、今まで措置の世界では、在宅サービス分野におきましても、そもそもその参入というものをかなり規制をいたしてきておった現実がございますけれども、これを順次条件を整えながら、その参入そのものに門戸を開くという形で、従来から訪問介護、いわゆるホームヘルプサービス事業、あるいは訪問入浴事業等につきまして、営利企業を含めまして、委託を進めるという形で進めておりますし、また、今後いわゆる日帰り介護、デイサービス、あるいはショートステイといって、短期入所関係でございますね。こういった点につきましても、やはり一面、適正なサービス水準を確保しなければいかぬということがございますから、こういったものにつきまして、民間事業者の事業指針と申しますかガイドラインといいますか、そういったものをつくりまして、そういった条件づくりをした上で民間事業者への委託を可能にするようなことを進めたいということで、目下介護保険準備前段階におきましても進めております。  さらに、今先生おっしゃったように、そうあれしてもなかなか事業展開ができないではないかという、そのことにつきましても、私ども、例えば過疎地域というようなところで人数がなかなか難しいというところにつきましても、これは営利企業だけではなくて、農協組織等含めた民間事業ということになりますけれども、こういった活用という観点から、一面そういうものを進めると同時に、どこにネックがあるか、どこに力入れをすれば問題点が克服されるかというようなことも含めた、いわゆる二十四時間体制を進める上でのモデル事業をやりまして、そういった問題点等も把握するための、過疎地域におきます在宅の保健福祉サービス推進のモデル事業というものを進めまして、そこらのところが進めやすいような条件を探るということを一面やりながら整備を進めてまいりたい。それで、円滑に介護保険施行時における民間活用につなげてまいりたい、こんなふうに考えておるところでございます。
  21. 福島豊

    福島委員 以上で通告しました質問は終わりましたので、時間は若干残しておりますが、質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  22. 金子一義

    金子委員長 以上で福島豊君の質疑は終了いたしました。  次に、桝屋敬悟君。
  23. 桝屋敬悟

    桝屋委員 福島委員に引き続きまして、私も介護保険、本当に我々衆議院にとりましても久方ぶりといいますか、改めてもう一回法案を読み直さなければならない、こんな思いできょうはこの場に立たせていただいております。しかし、そうは言いつつも、本当に極めて大事な法案でありますから、許された限りしっかりと審議をさせていただきたい、こんな思いでございます。  参議院の議事録を随分と読ませていただきました。衆議院以上の時間をかけてありとあらゆる分野議論をしていただいたということについては敬意を表したいと思いますし、羽毛田局長も、そして江利川審議官も、衆議院のときと比べまして随分とこの制度を研究もなさり、細部にわたって勉強なさったな、こう思っている次第であります。  しかし、そうは言いつつも、恐らく、この国会の中で議論をされているわけでありますから、私たちがこの国会議論をしている間にも、現場市町村においては国会審議を横目に見ながら大変に悩んでおられる、こういう状況もあるわけであります。  恐らく、羽毛田局長も江利川審議官も国会にくぎづけで、現場に行って現場の実態を見る暇もない。今も羽毛田局長の話をここで聞きながら、例えば過疎地域のモデル事業あたりの話もなさったけれども、果たして羽毛田局長がどこまでそのモデル地域の実態、実情というものを認識をしていただいているのか。横で見ながら、恐らく現場に行かれる暇もないだろう、どこまで自信を持っておっしゃっているのか、非常に私も心配をしながら見ておったわけであります。  そういう立場でございますから、私どもはしっかり現場を回る時間もあるわけでありまして、参議院審議をしている間もずっと現場を回ってまいりました。きょうは、時間もありませんけれども、そんな声を何点かこの場に出して審議をさせていただきたいと思います。  時間もありませんので、即本題に入りたいと思うのでありますが、最初に、私は介護保険、さらには、大臣、財政構造改革、この前の厚生委員会審議でもちょっとお話をいたしましたけれども、そうした動きによって、長い間我が国が培ってきた福祉の仕組みといいますか福祉の制度というものが、今大きく変質をしているのではないか、変質をしようとしているのではないか、私はそういう危惧を持っているわけであります。  もちろん、営々としてつくり上げたものをそのままこれから全部続ければいいということではありません。改革は思い切ってしなければならぬと思いますが、その変化のときにありまして、大変に福祉の現場というのは混乱もしていますし、その混乱の中で、特に市町村にとりましては、どの制度をどのように守っていけばいいのか、どの制度をどのように拡充していけばいいのか、あるいはどの制度は合理化していいのか、効率化していいのか、実は大変にちゅうちょしている実態があるわけであります。そこに大変に拍車をかけているのがこの介護保険制度であるということも私は言えると思うのであります。  ちなみに、平成十年度概算要求でお示しをされておられます。もちろん、概算要求でありますから、決まったわけではありません。今から本予算に向けて鋭意検討されるのだろうと思いますが、この概算要求の姿を見ておりましても、介護保険はまだ始まっておりませんし法案も通っておりませんが、明らかに介護保険に向かって着々と準備が進んでいるという実態を見ることができるわけであります。  例えば、在宅福祉サービスの予算を見ましても、事業費補助方式なる言葉が盛んに出てまいります。ホームヘルパーやデイサービスという、在宅サービス三本柱と言われておりますが、こうした事業が事業費補助方式という形で、効率化、あるいは制度の転換といいますか、恐らくこれは、介護保険に向かって準備段階としてお考えになっているのだろう。いや、たとえ介護保険がなくてもやりますよということかもしれませんが、いずれにしても、今、十二年度からは介護保険が始まろう、我々は反対しておるわけでありますが、進められようとしているわけでありますから、当然ながら、介護保険の世界を展望しつつこの制度を仕組まれているのだろうというふうに私は理解をいたしております。  そういう意味で、この事業費補助方式の考え方を御説明いただきたいと思うのです。デイサービスとヘルパー、事業費補助方式をどういう形で今検討されておられるのか、時間がありませんので簡単で結構です、概要をお示しいただきたいと思います。
  24. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 ホームヘルパー、そしてデイサービスにつきましての事業費補助方式への切りかえについてのお尋ねでございます。  私ども、一つには、先生御指摘のございましたように介護保険をにらみまして、介護保険下におきましてはそれぞれの要介護者介護度に応じての報酬が支払われるという形でいきますので、そういったことをにらんで、そこへ円滑に進むという意味でも、事業費補助方式というものを導入していくことを考えたということが一点でございます。  それからもう一点は、やはり現行制度下におきましてもできるだけ、例えばホームヘルパーという方々、人を置くことも大事でございますけれども、その人たちが効率的に良質なサービスが提供できるように、そういう誘因が働くように補助も仕組むべきであるという、いわば現行の制度の効率化という視点と両方あわせまして、事業費補助方式を導入するということを考えたわけであります。  そして、実際はどういうふうに進めておるかということについてでございますけれども、ホームヘルパーにつきましては平成九年度からそういう形を導入いたしました。ただし、これは段階的に進めないと、一挙に進めるということも難しい面がございますから、九年度におきまして事業主体の方におきます選択というものを入れまして、段階的に進めるという考え方に立ってやっております。  それからデイサービスにつきましても、そういう観点から、平成十年度に向けまして、今後の利用者の要介護度あるいは利用実績に応じた補助を行うという事業費補助方式を入れたいということで、これも段階的にということを考えております。  これは、そういう考え方に立って十年度に向けて検討いたしていることは事実でございます。その趣旨は今申し上げましたような趣旨でございます。  この点は、繰り返しになりますけれども、介護保険の導入をにらんでということと同時に、例えば訪問介護、いわゆるホームヘルプサービスにつきましては、会計検査院からも効率的な提供という点で指摘をいただきました。そういったことも一つの契機になっていることも事実でございます。
  25. 桝屋敬悟

    桝屋委員 済みません、羽毛田局長、この事業費補助方式を仕組んだ目的というのは二つあって、一つは効率化、一つは、ちょっと私聞き取れなかったのですが、最初の一つをもう一回。
  26. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 同次元で二つ並べて申し上げるのがいいかどうかわかりませんけれども、最初は、先生の御指摘のございましたように、介護保険制度下における介護報酬の払われ方、そういったものをにらんで、そこに円滑に移行していくために今からそういう準備をしていくということがいいという観点を入れたということ、これは先生が御指摘になった観点でございます。
  27. 桝屋敬悟

    桝屋委員 ですから、今の御説明では事業費補助方式は、介護保険が始まる、その中で介護報酬を今から検討する、そこへ向かっての一つの段階的な準備という側面が一つと、それからもう一つは、やはり効率化を図った方がいい、受け取る立場に立っても効率化を目指すのだ、こういう御説明でございます。  それで、二つありますからちょっと分けたいと思うのですが、ヘルパーについては九年度から段階的に作業が始まっているということですから、ヘルパーは後にして、まずデイサービス。これがやはり現場では大変ショックな情報として伝わっているのです。  さっきの話を整理しますと、この事業費補助方式というのは、今までのデイサービスでありますと、時間がないから僕が言ってしまいますが、例えばB型のデイサービスを用意しますと、十五人の利用実人員、その中に重度特養対象者が五人ぐらいいて、そういう体制で職員配置もし、センターを構えて、そうすれば、B型であれば二千四百万ぐらいですか、定額で補助がされておったものを、効率化をしましょうと。先ほどは、利用実人員、利用者の実態、要介護度という御説明がありましたけれども、それは具体的に言うと、年間、重度の方は何人処遇したか、中度の方は何人処遇したか、軽度の方は何人処遇したか、あるいは痴呆の方は何人処遇したか、それによって単価を設定して実績で払いますよ。いわゆる事業費補助方式というのは、定額方式から実績払い方式へ変わる、このように理解をしてよろしいですか。
  28. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 基本的には先生おっしゃったとおりでございます。  ただし、その際に、どのように要介護度に応じて払うかということにつきましては、そこに、軽度でありましてもいわば固定的に必要になる経費というのは当然ございますから、そこは軽度なり重度なり、実績なりの見方というものは当然区分をして、従来も対象者としていえば同じ対象者でおられるわけですから、従来の同じような方々に対して良質なサービスを効率的にやっておられるところが立ち行かなくなるような事業費補助方式にするつもりはございません。そこは十分検討して、それこそ現場とも話し合いをしながら決めていきたいというふうに思っております。
  29. 桝屋敬悟

    桝屋委員 ありがとうございます。  まさに、今局長おっしゃったような、そのことを考慮していただきたいと思うわけであります。  私も、効率化はいずれ必要だ。介護保険が始まりましたら、恐らく要介護の認定をめぐって大変な混乱があるでありましょうから、これはもう準備として始めざるを得ない。私どもは、この介護法案、反対しておりますから、もちろん反対ではありますが、仮に始まるとするのであれば、それはもう準備をしなければならぬというのはよくわかります。それはよくわかるのでありますが、今局長おっしゃったように、まじめに一生懸命やっているところは、ちゃんと処遇しているところは収益はちゃんととれます、こういう御説明でありますが。  実は、私の地元をずっと回りました。特別養護老人ホームを全部回ってみましたけれども、実際に私は数字を幾つか聞きまして、きょうここで申し上げませんが、既に皆さん方の方から内々に団体等にお示しをされたその数字等からしますと、これは当然ながら運営ができない、パニックです、こういう声があるわけであります。私の地元の県でも、数多くある特養の中で、間違いなくA型で、どんどん来なさい、これで結構です、これで場合によっては今まで以上の収益があるかもしれないというような施設はたった一つであります。ほとんどの施設は、端的に、七割収入が減りますと。七割が減るとどうするかというと、職員の数を切るか、あるいは現在の利用者にやめていただいて、週一回来ていたおばあちゃんに、おばあちゃん、あんたは軽いから、もういいよ、来ぬでも。一年に一回にしなさいと。それは極端な例でありますが、私どもはもっと重たい方を処遇しますと。  ある意味では結構な話であります。しかし、そういう混乱が起きるということでありますので、先ほど段階的という話がありましたけれども、デイサービスについては、段階的にどういうふうに進められるのか、御予定がありましたら、お示しできればお教えいただきたいと思います。
  30. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 段階的にというのをどのように進めていくかというお尋ねでございます。  その前に、今先生、いろいろ数字があって、それに当てはめると採算のとれないところが非常に多くなるというお話がございましたけれども、まさに、まだそこのどういうところに数字を設定をするかということは、実はこれからの作業でございます。したがいまして、それをするについても、現場とのいわばやりとりをして決めたいということで、業界の一部の中に、例えばこういう数字だとどういう形になりますかという形でのお問いかけを内々にしたものでございますから、出ているとしても、決してそれが最終的なものでもございませんし、そういう意味で、まさに先生おっしゃったような形でやってみて、当てはめてみたらどうなるかということをもう一回フィードバックをしまして、それで決めていこうというのが今の段階のところでございます。  その上でさらに、やり方としましては、一挙に切りかえるということではなくて、両方併存する状態をつくって、その上でやっていくという段階的なステップを踏みたいというふうに考えております。
  31. 桝屋敬悟

    桝屋委員 結構です。そのとおりだと思います、私も。  ただ、段階的といいましても、この期に及んで、ただいま平成九年度のもう末でありますから、十年、十一年、私どもはこの法案に反対しておりますが、通されますと十二年から始まってしまうわけであります。段階といったって、そんなに時間はありませんよ。一年ごとに段階を変えても、十年度と十一年度、そして本番実施と、三段階であります。私は、大変にここは危惧をいたしております。  これは、もっと言いますと、特養に入所されている方については、制度が始まりますと五年間経過措置がありますね。これは、施行法の第十三条。いわゆるスタート時点で特養に入っている人はオーケーということで、みなしの状態で五年間はいきましょう、こういうことにたしかなっていましたよね。これは、なぜそういうふうになっているのか。デイが始まったら、デイはそれと同じ扱いがどうしてできないのか。その辺の整理はいかがでありましょうか。
  32. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 本来、特別養護老人ホームにいたしましても、あるいは今の挙げておられますデイサービスにいたしましても、従来の措置の体系におきましても、平たく言ってしまえば、介護を要する老人に対する措置としてやっておったわけでございます。その限りにおいては、基本的には、今度の介護保険になりましても、建前どおりの運用が現在なされておれば、それぞれそういう意味でのそご、あるいは今度新しくなったがために要介護状態という認定がされなくなるという方々がおられるという状況というのは、基本的にはないはずでございます。  しかしながら、そこが運用の中で、実際もう少し広目の運用がされていたりした場合にも、一挙にそれをある日からだめという形にした場合にどうかという議論での、経過措置議論だろうというふうに思います。その際には、やはり本来的には要介護度に従って保険法の施行時からやるべきでございますけれども、特別養護老人ホームというように、言ってみれば生活の場をそこに移しておられる方については、やはりそこは、建前がそうであったにしても、一挙にやるということはなかなか、御本人としても大変でございますし、ある種のそういった移行期間というものが必要だということで五年を置いているということでございます。  その一方、デイサービス等につきましては、言ってみれば在宅、生活の本拠をそこに移すというようなものではございませんから、同様の意味合いにおける経過措置というものはつくっておらないということでございます。
  33. 桝屋敬悟

    桝屋委員 介護保険に本当に取り組んでおられる局長とも思えない言葉だと私は思うわけであります。厳しい言い方をしますが、おっしゃるとおり、局長が言うように、特養については、生活の場であります。したがって、人間の生活がかかっているから、これはやはり経過措置は必要だろう、この御説明。デイサービスは、生活はかかっていない、まあ死ぬことはないだろうということですよ。  デイサービスだって生活の場なんです。介護保険というのは、地域の中に、生活の場に安心していただけるような仕組みをつくろうという、こういう姿勢でしょう。デイと特養はどこが違うのかと私は思うわけであります。そうであれば、デイサービスも、やはり段階的に入れるときにはきめ細かな配慮が要るんじゃないかというふうに私は思うわけですけれども、いかがですか。
  34. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 先生御存じの上での御議論だとは思いますけれども、私ども申し上げているのは、介護を要する状態のお年寄りについて、この介護保険を導入したところでその介護を受けられなくするというようなことをデイサービスについてやるということでは申し上げておらないわけです。あくまでも、本来は要介護状態ということを対象に現在もしておるはずであるし、今後もするはずでありますけれども、その間において、現実に要介護状態にあるという方々以外の方々が利用されている場合のいわば経過的な扱いをどうするかという側面で先ほど申し上げておったわけでありまして、そういう側面で申し上げれば、やはりそれは、特別養護老人ホームのようについの住みかになる場合と在宅サービスの場合とではその事情が違うということは当然あることではないでしょうか。
  35. 桝屋敬悟

    桝屋委員 見解が違うからこれ以上は議論しませんが、確かに、経過措置を考える場合だって、地域では特養に入っている人もデイサービスを使っている人も同じです。それぐらいに現場は悩んでいるということだけひとつ御理解をいただきたいと思うのであります。  私は、現在のデイサービスが運用上、要綱どおり運用されていないというような実態をここで明らかにするつもりもありません。しかし、今まで、平成元年からゴールドプランが始まり、今後の介護保険の展望を目指していろいろ準備をしてきた、その中で、本当に中学校区に一つデイサービスをつくろうというキャッチフレーズのもとに、かつて郵便ポストの数ぐらい保育所をつくろうじゃないかという、あれぐらいの勢いで政府も行政も地方も本気になってやってきたわけであります。その結果、多少の混乱がある。そして、十二年度からは介護保険が始まる。そこの経過措置というのは、特養入所者もデイの利用者も同じであっていいと私は思う。同じ価値観で議論していただきたい、このことをお願いをしたいと思うのです。  具体的に言いますと、私は、要綱どおり運用したくてもできないところもあるのではないか。例えばデイサービスで、僻地の方で、余り僕はこの事例を出したくないのでありますが、一日十五人の利用者確保するのにそれこそ大変苦労しておられるという実態もあるわけであります。ましてや、重度の方をより多く処遇したいと思っても重度の方が現実はいないという実態がもしあれば、そこはやはり何らかの対応が必要ではないか、こう思うのでありますが。  特にデイサービスの事業費補助方式の転換に当たりまして、もちろんそこは少なくとも十二年までは、十年、十一年は選択制なりあるいは経過措置でいくのだろうと思うのですが、それとてもその先、十二年本格実施の後も、私はデイサービス、例えば物理的に採算がとれないようなところが出てくるのではないかという心配をしておりますが、その辺の御検討はいかがでしょうか。
  36. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 それぞれ事業運営が成り立つように介護報酬を決めなければならないという点は、私どももそのように考えておりますので、そのように運用をしていきたいと思います。そのように――運営が成り立つように設定をするという考え方に立って介護報酬を決めてまいりたいと思います。  ただ、先生今お話のございましたように、実は需要の方がそれだけないので、だから本来の要介護の人たち以外も入れないと採算が合わないから要介護の人たち以外も入れるような運用を認めるべきだという点については、これだけやはり介護を要する人たちがいて、その介護を要する人たちのための在宅サービスの基盤整備が急がれておって、そういう状態の中でございますから、できるだけやはり介護を要する人たちのための過不足のない施設運営を図っていくという観点に立たなければならないというふうに思っております。  そういった観点から、実は先ほどの運用の観点につきましても、小規模なものを認める、あるいは他との組み合わせに、他のサービス体系との組み合わせによってある程度小規模なものを認めるとか、そういう弾力運用をして、人が集まらないからあれを緩めて介護を要する人あるいは要支援の人以外の人も入れるということではなくて、そういう要支援の人たち、要介護の人たちに対するサービス体系ではございますけれども、それをいかに効率的にサービス等を組み合わせる、あるいは既存施設を利用してできるだけいわば初期コストのかからないやり方をやるとか、そういった工夫をむしろするべきではなかろうかということで、そういった工夫をしたいというふうに思っております。
  37. 桝屋敬悟

    桝屋委員 私が申し上げているのは、実際に要介護の方の処遇がその地域でできてないという実態があれば大問題だと思います。その市町村で、恐らく町村ぐらいでしょう、そんな中で、実際に地域の要介護の方は処遇ができている、新しくスタートした介護保険の事業計画の中でもフォローできている、それでなおかつやはり今までつくり上げたものがどうしても運営ができない、したがってというようなことが私は実態としてはありますよ、そこは目をつぶっていただきたくないというお願いであります。  それからヘルパーについてですけれども、ヘルパーは十一年度からは事業費補助方式が完全実施というふうに理解をいたしておりますが、それでよろしいですか。
  38. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 そういう方向を目指してやっていきたいと思いますけれども、九年度実施しました状況も見ながら進めてまいりたいと思います。
  39. 桝屋敬悟

    桝屋委員 ヘルパーにつきましては、これは随分今までにヘルパーの運営方式を変えてきておられますから、準備を随分してこられていますから、そこの理解というのは私は多くの市町村で理解をされているのだろうというふうに思っておるわけであります。しかし、やはり現場は、目指す方向はわかりつつも、実態としてはなかなか苦労しておられるというところがあろうと思います。  これは、厚生省が各県の担当者をお集めになって渡した資料の中で、クェスチョン・アンド・アンサーがあります。  この中で、ヘルパー事業について、当然ながら事業費補助方式ということも想定をしながら、常勤ヘルパーを増員したいけれどもなかなかできない、苦しいよというような質問。あるいは、これから事業費補助方式になりますと常勤ヘルパーの月額給与が確保し得ないというようなことも出てくると。まさにこれもさっきのデイと同じでありまして、定額補助から実績払いに変わるという、この移行期において起きてくる問題であります。以前からこの部分は、ヘルパーについては随分努力をされてきたから、私は大分進んでいるだろうと思いましたけれども、やはりこういう質問が出る。  この質問に対しての厚生省の答弁は、厚生省がおつくりになった回答を見ますと、ヘルパーの確保に当たってどうするかというのは、しょせんそれは当該市の判断の問題だ、このように結論されている。  これはいつもこうなのです。それで市町村はいつも寂しくなる、厚生省が信じられなくなる、信頼関係がなくなってしまうわけです。八十一の市町村が、この介護保険ぜひやめろ、こういう陳情があったようでありますが、この辺の姿勢はぜひ変えてもらいたいなと僕は思うのです。  その上で、そこはしようがないにしても、二番目に回答されている中で、これからのヘルパー体制については、介護保険導入について、「導入後は、ヘルパー体制の整備の状況ではなく、どのようなサービスをどれだけ提供したかが保険給付に当たって評価される」のだ、これが介護保険ですという説明ですね。  私もそういうふうに理解をしております。ただ、これほどつらい言葉はない。いいですか。もう一回言いますと、どういうサービス体制の整備をしたかということが問題になるのじゃない、やって何ぼかだ、どれぐらい働きましたかということが問題なのです、それで評価をするのです、こういうことですね。至極当たり前、まさにこれが介護保険の効率化ということだろうと思います。  しかし、局長あるいは大臣、市町村にとって大事なことは、まず体制の整備です。どういうサービス体制をつくるか、これを介護保険事業計画の中でも、今から十年度悩まなければいかぬ。どういう体制を整備するか、これで悩んでいるときに、体制の整備が問題じゃないですよ、幾ら働くかだ、こういうことになるわけです。言われる意味はわかるけれども、聞く市町村にとっては大変つらいということでありまして、体制の整備も極めて大事だと私は思うわけであります。今からそれをしなければいかぬ。そこの悩みがあるということはひとつ御理解をいただきたいと思うのですが、大臣、どうでしょうか、こういう声については。
  40. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 どっちが先か、どっちが大事か。これは両方大事であって、体制が整備されなければサービスができない、幾ら体制を整備したって、サービスされなかったらこれは全然問題にならない。両方大事じゃないかというふうに考えております。
  41. 桝屋敬悟

    桝屋委員 名答弁をいただきまして……。私は大臣とお話をするたびに不思議な気持ちになるのでありますが、ただ、今大臣が、いやいやそれはもうこれから効率化なんだ、何ぼやるかだというふうにおっしゃらなかった、両方大事だと言われたことは評価したい。  やはり市町村にとっては、どういう体制をつくるかということがまず第一なのです。厚生省は、国という立場で効率化を考えれば、どのぐらい仕事をしたか、その仕事量によって判断しましょうというのはそれでいいのですが、市町村では、いつどういう人が出てくるかわからない。もちろん事業計画で今から十年度、後でお話ししますが、実態調査をしたりしますけれども、どういうニーズが出てくるかわからぬわけでありますから、体制は整備しなければいかぬ、ある程度の体制は整備しなければいかぬ、それが問題ではない、実績なんだ、こうなると、大変に私は市町村はお悩みになるだろうと。これは前々から言ってきたことでありますが、しかし、現場の市町村の声を聞くといまだにこういう声が出るということは、これが現場の実態だということであります。  私は、先ほどから話が出ておりますけれども、いやいや、介護報酬の検討は今からやるのです、こういう御説明がありました。これからやるのだということで、実はその辺がきちっと決まっていないと、市町村だって体制整備はできないのですよ。だから私は、この法律は見切り発進だ、こう申し上げたいところであります。  これは、介護報酬をきちっとしないとどういう現象が起きるかというと、今のヘルパー、月額が二十八万ぐらいですか、これを時間どおりやると、どうも厚生省のお考えでは、少なくとも一日六単位は活動してください、一単位が二千八百円ですというような単価設定があります。これがこのまま介護報酬に行くとは思いませんが、検討のベースにはなるだろう。  それだけでいきますと、いろいろな問題が出てくる。恐らく、先ほど福島議員が議論しましたけれども、地方において民間の事業が入ってこれますか、こういう話がありました。まことに大事な視点でありまして、ヘルパーだって、今のような単価設定でいきますと、あるいは実績ということだけに重きを置きますと、民間事業は育ちません。本当に地域に密着をしたいいサービスは育たない。恐らく、大手の資本がどっと入ってきて、設備投資できる資本力を持ったところだけが入ってきて、何かの業界のように、気がついてみたら、全国一律、どこへ行ってもあの業界がヘルプサービスをやっているよという実態になりかねない、特に地方は。私はそこを大変危惧するわけであります。  そういう意味では、介護報酬の検討、恐らく今からだろうと私も思います。しかし、介護報酬の検討に当たりては、しっかりとそういう地域の実態というものを見きわめ、あるいは民間事業の参画ということも十分考慮いただいて、適切な設定ができるように、私は十分な検討をお願いしたい。そして、医療の診療報酬のように、一律だけでなくていろいろな取り組みができるような、知恵のある報酬設定というものが必要だというふうに私は思っておりますが、この介護報酬の検討に当たっての基本的な姿勢をお尋ねしたいと思います。
  42. 江利川毅

    ○江利川政府委員 介護報酬につきましては、サービスの種類ごと、それから内容ごと、あるいは事業所の所在地ごとに、平均的な費用の額を算定しまして設定するということになっております。サービスの費用を具体的に今後実態を把握しまして、その結果を踏まえて、審議会の意見を聞いた上で設定する、そういう手順を踏むわけでございます。  当然、平均的な費用をつかまえて介護報酬を考えるということでありますし、もちろん、この制度によりまして、民間活力を活用して効率的なサービス提供が行われるようにしたいというふうに考えているわけでありますので、民間事業者が適正な運営を行っていれば、当然事業としてそれが成り立つ、そういう水準でなければならないというふうには思っております。  また、大手の企業だけが独占するのではないかというお話もございましたが、特に過疎地域では、例えば農協などが熱心に取り組んでいる実態があるとか、さまざまな活動主体が参加できるようにして、そしてまた、この介護サービスというのは非常に地域性のあるものでございます。そういう意味で、地域のさまざまな活動主体が事業をできるような、そういうことも心がけていきたいというふうに思っております。
  43. 桝屋敬悟

    桝屋委員 ぜひお願いをいたします。  今、江利川審議官からは、農協もあるから大丈夫だと。農協があるから大丈夫なのじゃないのでありまして、一つの例だろうと思いますが、その例はいっぱいあるわけではない、ごく一部でありますから、それで大丈夫というような御説明をいただくと心配にもなるわけであります。  一点だけお願いをしておきたいのは、介護報酬の検討の中で、ヘルパーの単価設定、報酬の設定に当たりましては、今のホームヘルパーの事業費補助方式の現行の要綱あたりを見まして、例えば滞在型での活動で一時間未満の活動を切り捨てないようにしてもらいたい。あるいは、移動も、一単位の活動の中に含めて三十分未満を切り捨てるのじゃなくて、補助対象にしてもらいたいとか、あるいは、大事なことは、移動については、東京の移動と私の地元の山口県の移動は違う、したがって、移動の評価については時間じゃなくて距離でやるとか、そうしたこともきめ細かく私は検討していただきたい。あるいは、一単位の活動時間の中にケース記録の記入時間やあるいは業務の報告時間等、こうしたものも十分入れてもらいたいな、こういうふうにお願いをしておきたいと思いますが、専門的です、江利川さん、どうでしょう。
  44. 江利川毅

    ○江利川政府委員 介護報酬の設定は、これからまさに検討するということになるわけでありますが、ある意味ではサービスのパッケージ的な形で考えていくのがいいのだろうというふうに思っているわけでございます。そういう中でサービスの工夫などが行えるような、最初に先生の前の質問でありましたけれども、そういう工夫が行えるようなことが必要なのだろうと。  それからまた、移動の話がありましたが、介護報酬は地域性を加味するということになっております。地域性というのは、人件費でいえば都市部は高いかもしれませんし、一方では、移動時間等では逆に過疎地の方が大変だということがあるわけでございます。そういう地域性を加味しながら診療報酬を設定する。  そのほか幾つか御質問がございましたが、そういう御指摘も、検討の一つの項目だと思います、踏まえながら検討させていただきたいと思います。
  45. 桝屋敬悟

    桝屋委員 ぜひよろしくお願いをしたいのであります。  時間もないので、私は、最後の御質問にしたいと思うのですが、大臣、今厚生省は各市町村に対してどういう指導をされているかというと、私が聞いた実態を報告しますと、ことし九年度は計画策定に向けた準備期間だと。この計画というのは、介護保険事業計画のことであります。介護保険が始まる、その介護保険の事業計画に向けた準備期間だ、これが九年度、まだ法案は通っておりませんが。それから、十年度はまさに計画策定期間だと。それから、十一年度は計画策定及び介護保険の実施の具体的な準備期間だと。三カ年しかありませんよ、三カ年しか。恐らくこの三カ年のネーミングといいますか体制は、私は、前の通常国会で通っていればこのとおりいくのだろうと思うのですが、ここまでずれ込んでいますから、九年度はなかなかもう大変であります。  だから、私の言葉で言うと、こういう説明じゃなくて、九年度、実態はどうなっているかというと、ことし九年度は、計画策定に向けた準備期間だとおっしゃいますが、現場にとっては、えっ、法が通ったの、大変やな、いよいよ本当に始まるんだなという驚きの年。それから十年度は、計画策定となっていますが、私に言わせれば大混乱、実質この一年しかないわけでありますから、この十年度は本当に大混乱の年だと。それで、十一年度は、もう始まるのです。被保険者の登録や要介護の認定が始まる年でありますから、私は、実質この十年度しかないのだろう、こういうふうに思うわけであります。  私は、こういうことはじっくりと時間をかけてやるべきだ――じっくりといったって、僕はこの法案反対ですから、全部け飛ばすという姿勢でありますが、仮にやるのだったら、三年では無理であります。少なくとも四年は必要だ。法案が通った、九年度、さっきから言っているように、介護報酬すら決まっていない、どういう考え方でやるのかも決まっていない。それを示さなければ、市町村は体制さえ組めない、こういう実態があるわけでありますから、もう一年ほど施行を待って、しっかり国が形をつくって、仕込んで、そして十一年度、実際に計画を策定させて、十二年度、十三年度、余裕を持って十三年スタートでもいいのじゃないか、そうしないと本当に国家百年の計を過つ、このように私は思うわけであります。  そういう意味では、一点だけお聞きしたいと思うのですが、前回の老人保健福祉計画をやっているから大丈夫だ、こういうお気持ちがあるかもしれませんが、老人保健福祉計画は単なる計画でありまして、まあ、単なると言ったら語弊がありますが、それは体制が変わるわけではありませんから、介護保険という実際の保険が始まる、市町村にとっては本当に大変な、生き死にをかけた本番でありますので、そういう意味では、老人保健福祉計画とはわけが違う。実質的な準備期間は十年度一年間だけではないか、こういうふうに私は指摘を申し上げたい。  本当にこれで大丈夫なのか。場合によっては、勇気を持って施行をおくらせるということも必要でしょうし、どうしてもついてこれない市町村、あるいは広域でやるとか新しい仕掛けをしたい、介護保険の中でもっといい形を我が地域はやりたい、もっと時間をくれ、もう一年だけくれというようなところについては特別な配慮があっていいのではないかと思うのですが、一点、その点をお聞きしたいと思います。最後の御質問です。
  46. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 先生の、言ってみれば介護問題に対する重要性を十分御認識の上でのお尋ねでございますけれども、重ねてのことにはなりますけれども、やはり介護の問題というのが大変急ぐ課題である、それから私ども、十二年度からのスタートとしたい。確かに、法施行、おくれもございまして、準備はなかなか大変でございます。私どもの方も大車輪でやらなければなりませんし、当の市町村あるいは都道府県にも大変御苦労をおかけをすることはそのとおりだろうと思います。  しかし、やはり基本に考えなければならないことは介護を要する方々のことでございますから、そういった方々にとってはこれが非常に急がれるものであるということも一面ございますし、また、先般来のお話でもございましたように、介護基盤を整えるという意味合いからいえば、介護保険事業計画を一日も早くやはりスタートをさせないといかぬということもございますので、そういった意味合いからいきまして、大変準備については努力を要しまするけれども、その努力をした上で、十二年度からのスタートということで一生懸命やってまいりたいというふうに考えるわけでございます。
  47. 桝屋敬悟

    桝屋委員 大臣、全国の三千二百の市町村の中で、本当にギブアップしているところもあります。そういうところについては、私は、勇気を持って余裕を与える、あるいは暫定的な態勢があってもいいのではないか、こう思いますが、最後に、そういう本当に困ってギブアップしているところも、いや何としても十二年度という姿勢なのか、場合によっては、いろいろな相談に応じましょう、こういう御姿勢でいただけるのか。最後に大臣のきめ細かな御配慮をお願いして、質問を終わりたいと思います。
  48. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 この法案の提出の経緯をちょっと振り返っていただくと、昨年の通常国会から、もう待てない、早く提出しなさいという声が急激に盛り上がってきたわけです。昨年ですよ。まだ私が大臣になっていないときに。しかしながら、まだ問題点が多いんじゃないかということで、昨年、通常国会が終わって、選挙があるんじゃないかということの中にも、選挙前の臨時国会に提出しなさいという声も出たのです。しかし、これもまだ準備というか、あるいは地方の声を聞かなければいけないということでおくれて、選挙前だから熱心に、選挙前の臨時国会でも法案を準備して提案しなさいという声がありましたけれども、もうちょっとじっくり準備させていただきたいということで、選挙が終わって、やっと臨時国会、昨年の十一月に提案したわけであります。  要介護者が二百万人を超えて、毎年十万人が増加されるという状況を考えますと、反対論はありますが、むしろ早く導入していただきたい、もう個人では限界です、家族では限界です、社会全体で支えていくこの介護保険制度を期待し、準備を進めてくださいという声が多いということを、現実を考えると、私は、もう一年待つあるいは二年待つというよりも、できるだけ早くこの法案を成立させていただいて、十二年度からの導入を目指すための整備を緊急に進めた方がいいんじゃないか。地方自治体でまだ半信半疑のところがあります。本当に通るのか、通ってから考えればいいじゃないか、これは否定しません。だからこそ私は早く成立させていただきたいのです、準備期間のために。本当に成立したとなると、準備の気の入れ方も違ってくると思います。  私は、そういう意味において、できるだけ早く成立させていただいて、十二年度に実施ができるような準備を早くさせていただきたい。そして、地域ごとに実情が違います。その点については、よく地域の実情を考えながら、実情に合わせて対応を考えるということも重要だと思いますので、その点は十分検討させていただきたいと思います。
  49. 桝屋敬悟

    桝屋委員 最後に大臣がおっしゃった地域の実情、ここをぜひきめ細かな対応をお願いしまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  50. 金子一義

    金子委員長 以上で桝屋敬悟君の質疑は終了いたしました。  次に、児玉健次君。
  51. 児玉健次

    児玉委員 日本共産党の児玉健次です。  保険あって介護なし、今はもうこの言葉について説明の必要はなくなりました。この保険あって介護なしの危惧が最も集中的にあらわれているのが特別養護老人ホームだ、私はそのように見ています。  特別養護老人ホームの全国における入所待機者数、去年の四月の段階を中心にして、各都道府県でまとめている時間にばらつきがありますから、調べてまとめたのが皆さんにお配りしている資料です。  この資料は、ことしのこの委員会での論議で既にお示ししております。その後、参議院の私どもの西山議員が、去年ではなくことしの四月から五月を中心にした時期で全国的に調査をしたのが、九万八千三百十七名です。待機者の数は、わずかこの一年間で二万一千六百六十七名ふえている。ごらんのとおりです。もちろん、これが正確な数字だとは私たちは必ずしも思っていないので、裏の注のところに、不明確なところについてはお示しをしております。  問題なのは、特別養護老人ホームの目標は二十九万人です。そして、我々が予算委員会のとき厚生省から出していただいた資料によれば、九五年度の決算ベースで特別養護老人ホームの現在の達成状況は二十三万三千五百六十人。ですから、仮に二〇〇〇年の三月末に目標の二十九万人を一〇〇%達成したとしても、現に、既に実現している二十三万三千五百六十人に全国の約十万人の待機者を足せば、その段階で四万人を上回る待機者が生まれる。しかも、これは極めて加速をしています。私の住んでいる札幌では、わずか五年間で待機者の数が数倍になっています。  そういう状態の中で、お尋ねをしたいのです。  私たち日本共産党は、日本の公的介護制度をとりあえず国民の願いにかなうものにするためには、三つの指標があると思っています。一つは、二十四時間対応のホームヘルプです。二つ目は、待機者のない特別養護ホームです。三つ目は、いつでも利用できるショートステイです。特別養護老人ホームの待機者について私たちが重視するのは、そのような立場からです。  ここで私が、今までの論議を繰り返そうとするのでなく、今の時点で厚生省と若干の議論をしたいのは、現行の措置制度のもとでもこの特別養護老人ホームの待機者の問題は深刻です。入りたいと思ってただ希望している人の数ではありませんから。厚生省がどんな通達を出しているかということもよく承知をしております。医師を含む専門的な会議をやって、そこで希望のあった人たちからそれぞれ出してもらって、そして細かに調査をし、総合判定で、要入院、特別養護老人ホーム入所の対象その他というのを四つの項目について分けている。私が調べたところでは、多数の市町村はそのようにやっています。  そこで、きょう新たに質問したいのは、現行の措置制度でもこの待機者の問題は深刻です。まして、もしこの介護保険制度が実施に移されたとき、本人、家族から特別養護ホームヘの入所が求められる、市町村の介護認定審査会がそれを実現するのが適当だと判断をする、にもかかわらず、入るべき特別養護老人ホームがない。まさに、保険あって介護なしとなる。この状態を改める必要がある。二〇〇〇年の四月、制度発足の時点でもう一遍見直しに着手したのでは、数年おくれになって手おくれになりますね。その点、いかがでしょう。これは大臣の考えを聞きたい。
  52. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 まさに御心配の、保険あって介護なし、サービスなしという御指摘だと思うのでありますが、それがないように、できるだけ早く準備を進めていかなくてはいかぬということで、早期成立を今お願いしているところであります。  当然、いろいろな御心配が出てきておりますけれども、その問題点、御心配というものを勘案しながら、保険あってサービスなしの制度にならないように、しっかりとした基盤整備を進めていくということが最も重要ではないかというふうに考えております。
  53. 児玉健次

    児玉委員 二〇〇〇年の段階で計画を立てたのでは、もう手おくれになる。  そしてもう一つは、現に出てきている住民からの老後の介護に対する強い願いにこたえようとすれば、全国の各県で、二〇〇〇年三月末を到達目標とする特別養護老人ホームの計画、都道府県では当初計画とよく呼んでいますね、その当初計画を都道府県の責任で上回って、そして現にこの当初計画を超す収容定員をつくっているところが幾つかあります。  新潟、鳥取、和歌山、福井、この各県の当初計画と、現に建設中を含む達成状況を厚生省から示していただきたい。どうです。     〔委員長退席、根本委員長代理着席〕
  54. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 今お挙げになりました、ちょっと今、手元にございますのは既に完成をしましたベースでの数字をあれしておりますので、それで申し上げたいと存じます。平成八年度末の現在でございます。  それによりますと、今お挙げになりました、ちょっと福井の数字がございませんけれども、新潟、和歌山、鳥取について申し上げますと、新潟では、八年度末実績で、十一年度末の目標に対しまして九六・四%ということでございます。和歌山の場合には、既にオーバーをして、一〇七・五%ということでございます。鳥取の場合は九九・六%ということで、これらの県は、今のあれからいえば、十一年度目標を非常に、達成という意味では達成に近づいている、あるいはもう達成をしているというところでございます。  一方において、非常に低いところもあるというのが現実でございます。
  55. 児玉健次

    児玉委員 今の厚生省の答えの中で、実態をほぼとらえているのは和歌山県だけですね。和歌山県では、いわゆる当初目標は三千人、そして三千二百二十五人について既に整備が終わっています。そして、なおかつ、今、二百十人ないし二百三十人について内示を得て建設中ですから、一〇七・五%というのはもっと高い数値になります。  新潟について、昨日、私の部屋で直接担当者から聞きました。当初計画は六千二百です。現在、内示を含めて六千七百四十七名に達しています。当初計画より五百四十七床上回っています。鳥取は、当初計画が千六百八十二、そして現在、内示の百七十を含めて千八百九十五、二百十三人分上回っています。そして福井は、当初計画が二千八百、現在二千九百四十七、百四十七人分上回っています。  私は、これらの県の努力というのは貴重だと思います。同様の努力をしているところは、今の四県を含めて、私が承知している限りで八県あります。これらの県は、住民の強い願いに対して、それこそ地方自治の本旨に照らして懸命の努力をしている。こういう県の努力に国はこたえるべきだと思います。  そして、今のお話ですけれども、二〇〇〇年からというのではもう間に合わないので、今の段階でこれは見直しを始めなきゃだめですよ。だって、皆さんは、新ゴールドプランをつくった過程で、その段階で、中間年度における見直しをするということを通達として出して、その通達は今も生きているわけなんですから、このことの努力が今緊急に求められる。いかがでしょう。
  56. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 二つの側面があろうかと思います。  介護保険をにらんだ長期的な基盤体制をどうするかということについては、介護保険導入後における体制も含めて、新しい需要調査というものが必要でございます。その際には、きっちりした需要というものを踏まえ、また在宅サービスというようなものがどう展開をしていくかということも踏まえた上での需要でなければならない。そういったものは、的確にこれから把握をしていくということは法律成立後速やかにやっていくということで、準備的な、実はもう台帳の整備等を含めまして、各県にお願いをして、それにかかっております。そういったきっちりした体制の上に立ってやらなければならない。  そういう意味で、中間的な見直しというものをあえて私どもの方から指示をしなかったのも、そこに介護保険という新しい要素が入りましたから、それを踏まえてやりたいということで、あえて追加的な指示はいたさなかったわけであります。  一方において、現実に、既にそういう形の中で計画を上回る需要が出てきているところをどうするかという点につきましては、私どもは、まず、そういうところにつきましても、先ほど先生待機者というお話がございましたけれども、現に、今回、先ほどお挙げいただきました上回るようなところについても、もう一回そういったことについてきちっと――中には、在宅サービスを一度も受けていないという形で、ただ待機者という形のものもありましたし、それから、二十四時間的な、専門的なサービスを受ける必要が必ずしもないという、それぞれの自治体自身の御判断のあるような数字もございましたから、そういったものをきっちりもう一回厳密に対応させていただいた上で、それで個別に、やはりそれでもどうしても要るというお話のございましたものにつきまして、予算の枠の中でできるだけ対応するという姿勢でやってきた結果でございます。  しかし、この場合にも、基本は、そういうもう整備目標達成に近いところがある一方で、まだ整備目標に達していないところがございますから、全体的な予算の重点配分という意味からいけば、整備の目標を達成していないところをまずやりまして、その上で考えていくという姿勢でやってまいった結果がこういうことでございます。
  57. 児玉健次

    児玉委員 この法案で、特別養護老人ホームの平均費用、これも前の通常国会で江利川審議官と私との間で議論をいたしました。そのとき、特別養護老人ホームの平均費用は月額二十九万円。二十四万円にプラスして、食事提供費から食費の標準負担額を控除した額七百六十円の一カ月分、約二十九万円ですね。これは、あくまで平均額だと思うのです。  それで、いわゆる要介護認定のⅠからⅥまであって、Ⅱより上であれば施設入所は可能、こういうふうになっていますね。このそれぞれの、Ⅴであるか、Ⅵであるか、Ⅳであるか、そのことによって特別養護老人ホームに対して支払われる報酬額に一定の傾斜がつけられると思うのです。今、どんなことを考えていますか。
  58. 江利川毅

    ○江利川政府委員 先生の御指摘のとおりでありまして、要介護度に応じて必要とする介護サービス量が変わりますので、そういうことで介護報酬の額の設定は傾斜をつける、段階をつけるというふうに考えております。  まだ、具体的には関係審議会で詰めるわけでありますが、施設サービスの場合には、施設に入所している人に共通にかかる経費というのがあるのだろう。軽くても重くても共通にかかる経費がある。それ以外に、サービス量については、要介護度に応じてかかる経費がある、そういうことを加味しながら考えていくことになろうかというふうに思います。
  59. 児玉健次

    児玉委員 大臣、ここのところはこの後必ず起こる事態ですから、私はあえて指摘したいと思うのですね。今、審議官のお答えのようにすることになれば、特養の側からすればどういうインセンティブが働くかということです。そのことの是非は別としてです。  すなわち、特別養護老人ホームに、先ほどの認定審査会で、入ることが適当というふうになっていく、そういう中で、特養のサイドからすれば、人手とコストが比較的かからず、しかも重度と判定された方を選ぶことの方が、特別養護老人ホームの受けるべき報酬の額はふえていきますね。そうすると、全国で、恐らく二〇〇〇年の段階では数万人になるだろうと私が見ている待機者の中で、その方の要介護度の認定のいかんからくる選別、排除の要素が重くのしかかってくる、このようになりはしないか、この不安は取り除く必要があると思うのです。いかがでしょう。
  60. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 一面からいえばその不安はあると思いますが、逆に言えば、問題点解消するためにもこの介護保険制度を導入した方がいいという議論にもなってくるわけであります。本来、特別養護老人ホームに入らなくても、在宅で介護サービスを受けて自立が図れるのだったらその方がいい、特別養護老人ホームに入る方は、真に必要な方に入っていただいて、軽度の方は地域の中で自立を図るような方がいいという、両面あると思います。私は、この制度のよさを伸ばすような対策を考えていく必要があるというふうに考えております。
  61. 児玉健次

    児玉委員 軽度の人が特別養護老人ホームに入ることを社会は恐らく勧めないだろうと思うのですね。やはり一定の重度の方たちですよ。その中で結局どの部分が排除されていくかというと、例えば、老人性痴呆で多動、俳回、この部分は、寝たきりに比べれば介護度のランクが一段軽くなっています。そして、その部分が結局一番排除されていくことになるだろう。このあたりは速やかな、実態に合わせた要介護判定の基準の設定が必要だということを私は述べておきましょう。  その上で、次の問題に入ります。  この法律案が成立する場合――私たちは、もし成立した場合と言いたいと思うのですね、やはりこれは練り直すべきだと考えていますから。二〇一〇年前後に第一号の被保険者になる方は、現在五十歳代の前半の方です。そして二〇二〇年前後には、現在四十歳代前半の方が第一号被保険者になります。そのとき日本の高齢者がどのような状況に置かれているか、この問題を、介護医療、年金、その三つの要素を重ね合わせて総合的に判断しなければ、将来の国民に対して国会は責任が負えないということになると私は考えます。  まず、介護保険料についてです。  厚生省は、常に注意深く、発足時点での保険料の月額は、九五年度価格でおおむね二千五百円とおっしゃっている、そのことを私は承知しております。これは九五年価格による試算です。それで一つ伺いたいのですが、デイサービス、標準型一施設当たりの年額。ショートステイ、これは一人当たりの日額。特別養護老人ホームは、定員五十名の併置、一人当たりの月額。それぞれの支給される金額を、平成七年と平成九年度でお示しいただきたいと思います。     〔根本委員長代理退席、委員長着席〕
  62. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 順次申し上げてまいります。  デイサービス、日帰り介護でございますが、標準型のB型で、一施設当たりの年額で申し上げたいと存じますが、平成七年度が二千三百六十四万円でございます。それから平成九年度が二千四百二十一万一千円でございます。  それからショートステイ、短期入所でございますが、一人当たり日額で申し上げたいと存じます。平成七年度が六千百六十円でございます。平成九年度が六千三百十円でございます。  それから特別養護老人ホームでございます。これは定員五十名の、いわゆる併置というところで、一人当たり月額で申し上げたいと存じます。平成七年度が二十七万二千九百九十円でございます。それから平成九年度が二十八万三千百九十円でございます。  以上のようになっております。
  63. 児玉健次

    児玉委員 それぞれについて見てみますと、九五年からこの間、二・四%、二・四%、三・七%伸びています。仮に、九五年から二〇〇〇年までの間、五%ふえるとすれば、二千五百円は、単純な計算で二千六百二十五円になると思いますね。この要素は、今の日本の経済状況からすれば、極めて動きの少ない部分です。決定的な要素は何かといえば、高齢者がその年その年、何人が第一号被保険者になっていくかという問題です。この点で、新しい人口推計において、高齢化の進展が九五年段階の推計より進んでいると思うのですが、  いかがでしょう。
  64. 江利川毅

    ○江利川政府委員 ことしの一月に、新しい人口推計を出しました。私どもが最初に費用推計しましたのはその前の人口推計でございますので、新しいことしの一月の推計によりますと、当初よりも高齢化が進むというふうに出ておりますので、長い目で見ていきますとその影響も出てくるというふうに思います。
  65. 児玉健次

    児玉委員 今の御答弁、数字がないのが残念ですけれども、そのことからも、この二〇〇〇年の段階で月額二千五百円というのは到底維持できない、このことが明らかになってきていると思います。  次に、高齢者医療がどうなるか、この点です。  八月に発表ざれた、この医療の今後の改革についての厚生省の案、そして与党の案、それぞれ共通して、高齢者医療制度は独立する、一割または二割の定率負担、すべての高齢者、すなわち、現在は被扶養者として保険料を納めなくてよい三百四十万人からも一律に保険料を徴収する。  さて、その保険料の額ですが、与党協議会の座長である丹羽雄哉氏は、十月二十七日の講演で、月額五千円程度からスタートすることが現実的ではないかと述べているようです。この月額五千円程度、厚生省、この点をどう見ます。
  66. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 ちょっと丹羽座長が言われた数字そのものは私も承知をいたしておりませんので、まだ抜本改正の中における老人保健の姿というものを最終的に確定をいたしておりませんので、その状態における老人の方々のお払いになる保険料が幾らというところは算定をいたしておりません。
  67. 児玉健次

    児玉委員 与党案についてはそうかもしれないけれども、厚生省案というのはつくられているわけですから。この点、担当者、どうです。
  68. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 厚生省案につきましても大きな考え方を示しまして、その後における御論議に供するという形であれしておりますので、保険料が幾らというところまでの計算をいたしたものではございません。そしてまた、老人保健自体についても、複数の選択肢を示して御提案申し上げておりますので、そういう意味合いからも、今幾らということを申し上げるのはやや危険かなという感じはいたします。
  69. 児玉健次

    児玉委員 年金について触れましょう。  先日成立した財政構造改革特別措置法、その第十条に、「次に掲げる事項について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」こうありますね。その第一で、「主として高齢者が長期にわたり療養を行う医療施設その他の施設に入所している者に対する年金たる給付の在り方」、四として「年金たる給付を受ける権利を有する者となる年齢」、これはどういうことを考えているのでしょう。
  70. 矢野朝水

    ○矢野(朝)政府委員 まず最初の点でございますけれども、これは現在、年金受給者が老人病院に入るあるいは特養に入る、こういった場合には年金は支給されるわけでございます。全額支給されまして、その年金の中から入所者が一部負担をする、こういう形で調整が行われております。これにつきましては、こういった調整をするのがいいのか、あるいは逆に、施設に入所された方については年金サイドで年金を差しとめする、こういう方法がいいのか、そこを検討すべきだ、こういうことでございまして、これは次期制度改正に向けて今審議会等でいろいろ御議論いただいているわけですけれども、一つの検討課題だ、こういう認識をしております。  それからもう一つ、失礼しました、もう一つの問題につきましては……
  71. 児玉健次

    児玉委員 「医療施設その他の施設に入所している者に対する年金たる給付の在り方」、それから「年金たる給付を受ける権利を有する者となる年齢」。
  72. 矢野朝水

    ○矢野(朝)政府委員 失礼いたしました。  後者の問題につきましては、いわゆる支給開始年齢の問題でございます。  これは前回、平成六年の改正におきまして、六十から六十五の間につきましては部分年金を支給する、つまり今の定額部分につきましては段階的に、二〇〇一年から二〇一三年にかけまして支給開始年齢を引き上げまして、究極的には六十から六十四歳の間は報酬比例年金だけにする、こういう改正が行われたわけでございます。  これにつきましても、その後いろいろな意見がございまして、この引き上げスケジュールを例えば前倒しをしたらどうか、こういう御意見もございます。あるいは、報酬比例年金につきましても段階的に引き上げて、支給開始年齢を六十五歳に統一したらどうか、こういう御意見、いろいろあるわけでございます。こういった支給開始年齢の問題につきましても、今回の制度改正の一つの検討項目ということで、現在年金審等を中心に御議論が行われているところでございます。
  73. 児玉健次

    児玉委員 六月三日の閣議決定でははっきり、スライド方式の変更、そして施設入所者に対しては減額を行うことがある、支給開始年齢の変更などが書いてありますね。  そこで、今第一号被保険者は六十五歳からということになっている。そして、年金の支給開始年齢が六十七歳とか、自民党の加藤幹事長のごときは七十歳ということも言っている。もし、年金の支給開始年齢のこれ以上の引き延ばしを許すことがあるとすれば、介護保険制度の第一号被保険者はどうするのでしょう。
  74. 江利川毅

    ○江利川政府委員 仮定の御質問でございますのであれでございますが、基本的に第一号被保険者は――先生の御質問は、六十五歳のままにするのかということでしょうか、それとも保険料の取り方をどうするのかということでしょうか。  いずれにしましても、第一号被保険者につきましては、私どもは、六十五歳以上になりますと、いわゆる要介護になる発生率が変わってくるということを一つのメルクマールにして、六十五歳以上を第一号被保険者にしているわけでございます。  そして、その被保険者の保険料につきましては所得に応じてということでございますから、年金がなくても、その人の所得に応じての保険料の取り方になります。年金があれば、今の制度では一定額以上の年金受給者からは年金天引きということを考えておりますが、支給開始年齢が変わっていけば、それに合わせてその仕組みを考えるということになろうかと思います。
  75. 児玉健次

    児玉委員 時間が来ましたから、最後に一言言いたいと思います。  今、日本の高齢者の二分の一は年金だけで暮らしています。そして、年金受給者の五五%、千百二十七万人が国民年金で、その平均月額は四万四千七百円です。これらの人から、介護保険を月二千五百円、そして医療保険の方、仮に丹羽氏が述べているように五千円だとすれば五千円、医療費の窓口払いが一ないし二割、介護給付の利用料は一割、こうなると、国民の暮らしは成り立たなくなってしまいますね。そこのところを私たちは直視する必要がある。  日本共産党は、保険制度措置制度を組み合わせた公的介護制度をつくりたいと思っています。この後、全力を尽くす。力ある者は力を、給付は平等に、これを国民の総意で実現していきたいと思います。保険あって介護なしのこの政府案は廃案にして、国民の願いに合致したものにつくり直して提案すべきです。そのことを強く主張して、私の質問を終わります。
  76. 金子一義

    金子委員長 以上で児玉健次君の質疑は終了いたしました。  次に、石毛鍈子さん。
  77. 石毛えい子

    石毛委員 民主党の石毛でございます。  介護保険法案に関しまして、委員会としましては最後の質問の機会になるかと思いますと、いささか感無量の思いがいたしますが、これまでの議論の中で取り上げられなかったテーマに、介護保険とボランティア、介護保険制度が始まりましたら、ボランティア制度というのは一体影響をこうむるのかどうかというような論点が残されているテーマの一つとしてあると思いますので、まず、その点についてお伺いしたいと思います。  初めに、厚生大臣に総括的な御所見をお伺いしたいのですけれども、これからますます高齢社会が進み、いろいろな意味で、高齢者の方々だけではなく、お互いにケアを必要とする方がふえていく、そういう社会状況の中では、ボランティア活動も大変重要な要素といいますかになると思います。そのボランティアが活躍する福祉コミュニティーの形成、あるいは地域福祉社会の形成ということに関しまして、最初に厚生大臣の御所見を承れればと存じますので、お願いいたします。
  78. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 ボランティア活動というのは、これからの福祉社会といいますか、社会をお互い連帯して支えていこうということが重要であると考えるならば、私はますます大きな役割を担っていくべきものではないかと。しかも、ボランティア団体というのは、自発的に、みずからこの仕事に取り組みたいという意欲に満ちた人たちですから、そういう方々が活動しやすいような、また正当な評価が与えられるような環境整備をつくっていくことが大変重要であると思っております。
  79. 石毛えい子

    石毛委員 ありがとうございます。  環境整備には、それこそ労働時間のあり方の問題からさまざまあると思いますけれども、これからの社会の努力に期待をして、ますますの活性化を要望したいと思います。  そこで、介護保険との関係でございますけれども、介護保険はケアプランを立てて進めることになっておりますけれども、このケアプランにはボランティアによる介護サービスが組み込まれることは可能でしょうか。最近は、ボランティアといいましても、労働に対する対価はさておきまして、交通費の実費弁償ですとか、かかったコストの実費弁償等は、ボランティア活動にも対価といいますか、支払われるという方向になっていると思いますので、全く一〇〇%無償ということではありませんので、介護給付との関係もあるかと思いますから、この点をまず最初にお尋ねしたいと思います。
  80. 江利川毅

    ○江利川政府委員 ボランティアの方々が介護サービスを行う、そしてその介護サービスの水準がいわゆる介護サービス事業者と同程度の中身である、こういうような場合には基準該当居宅サービスというふうに介護保険の中では位置づけておりまして、介護保険制度給付の対象というふうに位置づけることもできるわけであります。それから、ボランティア活動の要介護者に対するさまざまな支援、これは介護保険法上のサービスに該当しない幅広いものもまたあろうかと思います。そういうものが相合わさって要介護者の生活を支えるということになるわけであります。  介護サービス計画は、要介護者に必要なサービスを計画的に提供する、計画的に受けてもらう、そういうためにつくるものでありますので、当然介護保険給付対象となるボランティア活動であれば、それはある意味ではサービス提供者でもありますし、その人の介護サービス計画をつくるときの会議にも入っていただいてサービス計画の中に位置づけていく。  それから、介護保険法上の介護サービスに該当しない、もっと幅広い支援でありましても、介護サービス計画の中にそういうサービスがどう来るかということを位置づけておいた方が適当なものもあろうかと思います。そういうものは、そういうボランティア団体と話をしながら、介護サービス計画の中に位置づけて、全体としてその人にどういうような形で支援が行われているか、それが介護サービスを見てわかるようにしていく、そういうことも大切ではないかというふうに思っております。
  81. 石毛えい子

    石毛委員 肯定的な回答をいただいたと思いますけれども、もう一度確認させていただきたいと思います。  ケアコンファレンスにもサービスを利用する方の当事者にかかわるボランティアの方は参加が可能というふうに今審議官はお答えいただいたというふうにまず確認させていただきたいと思います。  私は、ケアサービスはこれからますます専門職化していく時代ですから、利用者の方と近い立場で日常生活、関係を細やかに密にしている、そうしたボランティアの方々がコンファレンスに一緒に入れるということは、当事者の方のサポートをするという意味ではとても重要な意味を持っていると思いますので、ぜひそうした方向が活発に展開されるようにと期待しております。  そこで、今審議官がお答えくださいましたようなことは、これから先、介護保険が、実施体制に移してまいります場合に、通知とかいろいろなさまざまな様式で情報を出していくのだと思いますけれども、そうしたところにも記載をしていただけるというふうに理解してよろしいでしょうか。
  82. 江利川毅

    ○江利川政府委員 通知になるのか、あるいは実施要領みたいな形で考えるのか、さまざまな方法はあろうかと思いますが、そういうやり方につきまして、その中に明記をしていくことを考えております。
  83. 石毛えい子

    石毛委員 ぜひよろしくお願いいたします。  恐縮ですが、質問通告をしていなかったことを、簡単な質問ですので、ぜひお受けとめください。  ケアプランをつくる介護支援専門員でしたでしょうか、その方は一定の経験どか研修とか要件はあると思いますけれども、個人営業は可能でしょうか。
  84. 江利川毅

    ○江利川政府委員 介護サービス計画をつくることを一つの事業とする事業主体ということになりますと、都道府県知事の指定を受けるわけでありますが、これは法人格を持っていることが前提でございます。
  85. 石毛えい子

    石毛委員 一人法人ということも考え方としてはないわけではないと思いますけれども、この件に関しましては、それではまた機会がありましたらお教えいただきたいと思います。  次の質問でございますけれども、これは介護保険制度の実施に入っていく前の介護サービスの基盤整備の問題にかかわる質問でございます。  現在ショートステイ、老人短期入所施設の国庫補助対象になります施設はベッド数二十床以上というふうに決められております。これから福祉が地域に密着して、多様な形態で展開されていく、そういう必要がある今の時代だと思いますけれども、私は二十床というところで線引きをするのではなく、二十床未満でも補助対象として設定していくべきだというふうに考えるのですけれども、いかがでしょうか。  現に、例えばデイサービスに付設して五床のショートステイを持っていますとか三床のショートステイを持っていますというような運営の仕方といいますのは、自治体によっては展開しているわけです。効率性の問題とかいろいろあるのは私も理解できますけれども、新しい柔軟な仕組みとしまして、そうした方向性をお考えいただければというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  86. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 老人短期入所施設の補助をします場合の定員基準についてのお尋ねでございます。  現在特別養護老人ホーム等に併設をされます場合には、特段の定員基準というものは設けておりません。弾力的に対応をいたしております。  先生今お挙げになったのは単独で設置をするような場合だろうと思います。この場合につきましてはやはり定員を定めておるわけでございますけれども、これはそういう形で単独でつくりますときに、やはり非常にあれが小さくなりますというと、費用が割高といいますか、効率が非常に悪くなるということでございますので、やはりある程度の規模が必要だろうという考え方でやっておるのでございますけれども、一方において、先生おっしゃったように、できるだけ弾力的に、きめ細やかにということを追求していくと、小さなものも欲しいということは当然ございますから、その折り合いをどこでつけていくかという話になってくるだろうというふうに思います。  そういった点で、一つの方向として、今の特別養護老人ホームみたいなものに併設をされておれば、そういう経営ベースというものはそこにございますし、職員の方々も弾力的に使えるわけですから、そういった方向でその弾力化をするという方向が一つございましょうし、それから、特別養護老人ホームに限らず、例えばデイサービスと組み合わせるというようなこととか、あるいは在宅介護支援センター等と組み合わせるというような形で、そういった複合的な在宅施設をつくることによって、その場合に、総合的に職員の効率的な運用が図られるという中で、定員を下げるというようなことは現にそういう努力をしてきておりまして、二十人というのも、言ってみればそういう努力の結果として今こうなっているわけですけれども、そういった方向での努力というものは今後もさらにやっていかなければならないだろう、検討もしなければならないであろうというふうに思っております。
  87. 石毛えい子

    石毛委員 確認させていただきたいのですけれども、在宅介護支援センターですとかデイサービスセンター、通知をいただきましたのをちょっとそちらに置いてきてしまったのですけれども、そうした場合でも、二十床より少ないベッド数でもよろしいというふうに今おっしゃいましたのでしょうか。
  88. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 数字を挙げて申し上げませんでしたから誤解を生じたかもしれませんが、今特別養護老人ホーム等のいわゆる収容施設に併設をされます場合には、これは定員がございません。しかし、単独の場合には四十人というのを最低にしております。そこが、まずその原則で出発をしまして、しかし、いわゆる在宅の複合施設の場合につきましては、実は二段階で引き下げまして、一たん三十人に引き下げまして、さらにそれを現在は二十人に引き下げているということでございます。現在は二十人までとなっております。  今後さらにそういった組み合わせをどういうふうにしていくかということで、今後の検討課題として、今のような場合に、さらに二十人をどうするかということを検討させていただきたいというふうに思っております。
  89. 石毛えい子

    石毛委員 ありがとうございます。ぜひ積極的に検討をいただきたいと思います。  そこでもう一点、これからのサービス基盤の整備の形態にかかわって質問を続けたいと思います。  先ほど桝屋委員が、報酬の支払い方に関しまして、事業費補助方式にこれから変わっていく、変わり始めているし、これからますますその方向にいくというようなところで御議論をなさっていらしたわけですけれども、私が知っている施設でこういう施設がございます。まさに複合的な利用といいましょうか、デイサービスなんですけれども、子供さんもいらっしゃれば、障害をお持ちの方もいらっしゃれば、痴呆の高齢者もいらっしゃれば、身体介護を必要とされる高齢者の方もいらっしゃる。  今このデイサービスはどの法律にも、福祉法にも当てはまりませんので、非常に運営的には苦労されながら続けているのですけれども、これから事業費補助方式に変わっていきまして、そこにいらっしゃる痴呆の御高齢の方に、まあ介護保険がスタートしたらですけれども、介護保険からサービス給付がなされるというふうになりますと、AさんならAさんという痴呆の高齢者の方にそのサービス給付がついて、その方が、じゃ実際にどこでサービス給付を受けるかということになりますと、今申し上げましたような施設でも、例えば安全性の問題ですとかサービスの質の問題ですとかあると思いますけれども、認可されてもいいんだというふうに私自身は考えるわけです。  それはどうしてかといいますと、私も何度も、そこの施設が好きで訪問しているのですけれども、痴呆の高齢の女性の方が、そこに預けられている赤ちゃんの関係で、物すごく柔和ないい表情に変わられていらっしゃるのですね。  ですから、私はデイのあり方も、もっといろいろな施設も、考え方はいろいろあっていいのだと思いますけれども、今申し上げましたデイに即して言えば、これからもっと、先ほど申し上げましたことに続けて、もっと柔軟な仕組みというのがそれぞれの地域で工夫されていっていいんじゃないかというふうに思いますと、事業費補助方式に変わっていけば、新しい、今までの制度には当てはまらない施設ですけれども、積極的に受けとめていただきまして、それはまたやっている方にも元気が出てくることになりますし、いろいろな意味で活性化、サービスを活性化していくとか地域社会を活性化していくというようなことにもつながっていくと思いますので、ぜひそういう方向も受けとめていただきまして、これから検討のテーマにのせていただければというふうに考えるのですけれども、いかがでしょうか。
  90. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 現行の制度の中におきましても、デイサービス等につきまして、私どもの方もできるだけ実態に即した弾力的な扱いということで、よく申し上げてまいりましたけれども、いわゆる出前型という形でのサテライト型ということで、既存の公民館だとかそういったところを利用して、出かけていってデイサービスをしていただくというようなものも、今、制度の上にのせるような方向に持ってまいりました。  したがって、そういう方向での弾力化、実態に即した方向を目指していきたいというふうに考えております。  先生今具体的にお挙げをいただきましたものについても、今後の検討の中で、もちろん今先生もおっしゃったように、安全性なりあるいは安定なりというものについてどう考えていくかというところを検討しなければなりませんけれども、方向としては、弾力的な扱いができるように持っていきたいと思います。  それを今度介護保険の世界でどうなるかということになれば、結局それは、いわゆる事業指定をいたしますから、事業者としての指定基準の中でどのように安定性、安全性を担保するか、そのことによってどこまでをクリアしていただけるような施設としていけるかということでございますから、先生今お話しのございましたようなことも含めて、指定基準を決めます際にはよく検討させていただきたいというふうに思います。
  91. 石毛えい子

    石毛委員 介護保険の指定事業者ということになりますと、法人格とかいろいろな問題がありますので、細かい点、いろいろとまた御相談させていただきたいと思いますし、お教えいただきたいと思います。  この法律が通過をいたしますと、ますます厚生省、お忙しくて大変だと思いますけれども、ぜひお時間をおつくりいただきまして、今私がちょっと御紹介申し上げました施設に一緒に行っていただければ大変ありがたいと思いますけれども、そういうことも含めまして、お願いをさせていただきたいと思います。  もう一つ質問をさせていただきたいのですけれども、高齢者日常生活用具給付事業の区分緩和ということで質問をさせていただきたいと思います。  今、日常生活用具の給付は十八品目になっていると思いますけれども、これに加えて新しくガス安全システムですとか難燃性の寝具、これを日常生活用具に加えていただくということはいかがでございましょうか。  これから軽度の痴呆性の方ですとか、あるいは虚弱の方のひとり暮らし、高齢御夫妻での在宅生活がふえてくるわけですので、ますますそうした安全システムを充実していくということは重要なことですし、そういう意味で、ガス安全システムそれから難燃性寝具というようなものはぜひ御一考いただきたい品目だと思いますけれども、いかがでございましょうか。
  92. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 日常生活の用具の給付事業につきましてでございますけれども、これは、介護保険ができましたらば、介護保険給付対象になってくるものもございます。それ以外に今、いわゆる要介護ということに着目をしたものではない、例えばおひとり暮らしというような形のことに配慮をした品目も実はございますので、介護保険ができますと、介護保険による日常生活用具と、それから、もっと広い観点からする、そういう用具の支援事業をどうするかという問題が残ってまいります。  したがって、その検討をいたします中で、そうしますというと、やはりそこらのところは、ある意味からいうと、国で一律に何かメニューをきちっと決めてやるというようなやり方がいいのかどうかという点も、実は検討しなければならないと思います。  それは実は日常生活用具だけではなくて、この前来ございますような配食サービスとか、いろいろなそういった、言ってみれば介護保険の周辺でお年寄りを支えていくような、そういった部分がございますから、そういったものを、ある意味からいうと、地域のそれぞれの実情に応じて、例えば今のガスというようなものについても地域によって大分違ってくると思いますので、そういったことを踏まえて、地域での取り組みをまず考え、それをどのように国が支援していくかという形で介護保険の外の仕組みというようなことを考えますので、そこらを総合的に検討してみたいと思います。
  93. 石毛えい子

    石毛委員 いい御答弁をいただけて、感謝いたします。  介護保険は、最近でこそ少し理解度が一般的には増してきたかと思いますけれども、まだまだ、介護保険で一〇〇%地域のケアをフォローしてもらえるんだというような認識が随分広いというふうに私は思います。いろいろな集まりに呼ばれて参りますと、夢の介護保険ではないのですねという参加者の方の言葉が随分たくさん出てまいりますし、批判的な言葉でもそう言われますけれども、介護保険はやはり地域社会のトータルな介護システムの中軸として機能して、そのほかに、さまざまな福祉法ですとか、さまざまな分野でのいろいろなサービスが豊かにネットワークされることでその地域社会が私は豊かになっていくというふうに思います。  今局長がおっしゃられましたように、本当に日常生活用具だけの問題ではございませんので、厚生省といたしましても、そうしたトータルな地域福祉社会のイメージの中で介護保険がどう機能するかというようなところで、ぜひ積極的な情報発信をお願いいたしまして、少し時間を残しますけれども、私の質問をこれで終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  94. 金子一義

    金子委員長 以上で石毛鍈子さんの質疑は終了いたしました。  次に、中川智子さん。
  95. 中川智子

    中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子でございます。  介護保険とともに歩んできた一年だったような気がしますけれども、きょうで終わるのかと思ったら寂しいですが、やはりこれから私も親を介護して、老親を介護して、この介護保険がかかったときにハラ色の介護保険というふうに思っていましたが、それがだんだんチューリップ色になって、今は何かアザミ色みたいな感じで、だんだんハラ色から色が変わってきたような気がいたします。  最後ですので、なるべくぱっぱと質問をして、ぱっぱと答えていただいてやっていきたいと思います。  最初に、要介護認定に時間を要する、私も介護をしていまして、きのうは元気なのにきょうはもう容体が急変していて本当にてんやわんやしてしまうという状態が特に高齢者の場合は多うございます。そのときに必要なサービスを受けたいけれども、介護保険法の中では三十日以内という期限が設けられていますが、これをもう少し迅速な処理が行われるような形の、柔軟な対応を考えることはできるのか、そのような余地を残しているのかということをお伺いしたいと思います。
  96. 江利川毅

    ○江利川政府委員 要介護認定の手続でございますが、現在行っておりますモデル事業等を通じまして、そういう実績を踏まえながら検討してまいりますが、法律上の三十日以内一これは期限でございますので、できるだけ迅速な認定が行われるようにその運用を考えてまいりたいと思っております。  また、要介護認定の申請をしますと、認定される前でありましても、暫定的な介護サービス計画をつくるなどによりましてサービスの利用が可能でございますので、認定まで受けられないということではなくて、認定前であっても申請していれば介護サービスの利用も可能であります。  そういう形で、できるだけ現実面で要介護者に適したサービスがきちんと行われるように運用面で工夫してまいりたいと思います。
  97. 中川智子

    中川(智)委員 そのような形でぜひともお願いしたいと思います。  自治体側の方々の声というのをこの間たくさん聞く機会がございましたけれども、たくさんの自治体が不安に思っている材料があるのですが、その中の一つに、事務費が国と自治体で二分の一ずつ負担という部分に関しまして、その事務費の範囲がどれぐらいになるのか、どれぐらいの人が必要で、その煩雑さというのがどれぐらいなのかということがやはりまだイメージできない状況の中で、この自治体の二分の一負担ということの不安材料に対して、もう少し明確に、国の方として不安を払拭するような御答弁を伺えたらうれしいと思うのですけれども。
  98. 江利川毅

    ○江利川政府委員 老人保健制度あるいは老人福祉制度、こういうものは介護保険制度に移るわけでありますので、これによりまして、新たに生ずる事務もあれば今までの事務の中で不要になるものもあるわけであります。  私どもとしましては、この制度ができることによって生じます例えば要介護認定事務のような新たな事務、そういうような事務につきまして、これが市町村にとりましてはおおむね新規の事務増になるのではないかというふうに思っているわけでありまして、これについて、その費用の二分の一を国庫から交付するというふうにしているわけであります。  いずれにしましても、この事務量、それにつきましては実態を調査して、それを踏まえて、関係省庁とも協議をしながら適切に対応したいというふうに考えております。
  99. 中川智子

    中川(智)委員 私も石毛さんと同じように少し早く切り上げますのでこれが最後の質問になりますが、これは政省令による部分がかなり多い法律になると思います。  そこで、大臣に伺いたいのですが、この介護保険法は、やはり大臣が、何しろ頑張ってやってみなければ、前に進んでいこうというかけ声で、エイエイオーという感じで後ろをくっついてきたような気がするんですけれども、やはり今後、国民に本当に身近に、この保険をきっちりチェックするシステム、それは住民の声を生かす、利用者の声をきっちりと反映した制度にしていくというところでの御答弁を前国会でもいただきましたけれども、やはり大臣、これは大臣をおやめになった後も、厚生省、そして私たち、これにかかわった議員も、きっちりと見続けていって、そのような柔軟な私たちの声を今後発するときに、その声をしっかり受けとめて、いつか本当にバラ色の介護保険法となる日が早く来るように頑張っていっていただきたいと思うのです。  質問は何かといいますと、政省令にゆだねられる部分が余りに多い法律ですので、今後チェック機能ということに対していろいろな形でかかわっていきたいと思いますので、そのあたりの大臣の、この介護保険法の、しっかりした思いと、そして、今後に対する決意をもう一度伺って、質問の最後にさせていただきます。
  100. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 この法案は政省令にゆだねられた部分がかなり多いのは事実であります。しかし、法律趣旨、精神、さらに、国会、衆参両院で議論されました御意見というものを踏まえた範囲内での政省令でありますので、その点につきましては、今までの御意見というものを十分踏まえた政省令を施行していきたい。  さらに、各地方自治体が今後この住民サービスの一番身近な仕事を受け持たなければならない。各地域の実情というものをしっかり踏まえて、そして、介護サービスの要求というのがどの程度になるかというのは、この法案成立後、いろいろ真剣に取り組んでいただく地方自治体によって実情も違ってくると思います。その地域の実情を勘案しながらこの基盤整備に向けてしっかりとした支援策をとっていかなければならないと考えております。  今回の審議におきましても、賛成論、反対論を超えて最も皆さんが御心配いただいた点は、保険あって介護なしてはないか、保険あってサービスないというのを一番御心配いただいたと思います。この点は、我々推進してきた立場として、そのような心配のないような整備を、整えていかなければならない、これが一番重要でありますので、できるだけ早く、この法案成立を願ってきた立場の者といたしまして、十二年度に向けて、しっかりとした円滑な制度が運営されるように、基盤整備に向けてきちんとした対応をしていくよう今後とも最大限の努力をしていきたいと思います。
  101. 中川智子

    中川(智)委員 お疲れさまでした。終わります。
  102. 金子一義

    金子委員長 以上で中川智子さんの質疑は終了いたしました。  これにて各案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  103. 金子一義

    金子委員長 これより各案を一括して討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。瀬古由起子さん。
  104. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 私は、日本共産党を代表して、介護保険法案及び同施行法案について反対の討論を行います。  年間八万人もの女性が介護のために仕事をやめざるを得ない現実や介護による家庭の崩壊など、介護地獄と言われる事態は切実かつ深刻なものになっています。それだけに、必要なときにだれもが安心して必要な介護が受けられる制度確立は、緊急の国民の願いと言わなければなりません。しかしながら、本法案は、こうした国民の願いにはほど遠いものです。  法案に反対する第一の理由は、著しくおくれている基盤整備の問題です。  九月の日本経済新聞などの全国自治体調査では、八割を超す自治体が、基盤整備が追いつかないなどを理由に法案の抜本見直しや制度の延期を求めているのです。まさに保険あって介護なしの現実がますます明白になっていると言わなければなりません。  第二は、保険料、利用料の負担が重く、多くの高齢者や低所得者が介護サービスを受けられなく一なる問題です。  介護保険の導入で、国の負担は三千七百億円、市町村負担は千六百億円を削減する一方で、国民には大幅な負担増を求める内容になっています。制度導入時の負担は、月平均二千五百円の保険料サービスを受けるたびに一割の利用料負担となっており、さらに施設では、これに加えて食事代の負担が加算されます。保険料を負担できない人たちから医療も福祉も介護も奪うようなことは、断じてあってはなりません。  第三は、要介護認定の問題です。れるのか、国民の間に大きな不安が広がっております。モデル事業の結果でも、介護認定の第一次判定と二次判定に大きなずれが生じ、判断の基準も定まっていません。これでは公平で適切な認定が保障されないばかりか、保険給付に大きな格差が生まれ、無用の不信と混乱を招きかねません。  我が党は、保険あって介護なしの介護保険法案は廃案にして、抜本的につくり直し、再提出を求めるものです。  人としての尊厳が守られ、すべての国民に必要な介護サービスが保障される公的介護制度を求めて引き続き全力を尽くす決意を表明して、反対の討論を終わります。
  105. 金子一義

    金子委員長 これにて討論は終局いたしました。     ―――――――――――――
  106. 金子一義

    金子委員長 これより採決に入ります。  まず、介護保険法案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  107. 金子一義

    金子委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、介護保険法施行法案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  108. 金子一義

    金子委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、医療法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  109. 金子一義

    金子委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました各案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  110. 金子一義

    金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  111. 金子一義

    金子委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時三分散会      ――――◇―――――