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1997-11-28 第141回国会 衆議院 厚生委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十一月二十八日(金曜日)     午前九時二分開議 出席委員   委員長 金子 一義君    理事 佐藤 剛男君 理事 津島 雄二君    理事 長勢 甚遠君 理事 根本  匠君    理事 岡田 克也君 理事 山本 孝史君    理事 金田 誠一君 理事 児玉 健次君       今村 雅弘君    江渡 聡徳君       衛藤 晟一君    小野 晋也君       大村 秀章君    桜井 郁三君       鈴木 俊一君    田村 憲久君       戸井田 徹君    能勢 和子君       原田 義昭君    桧田  仁君       堀之内久男君    松本  純君       山下 徳夫君    青山 二三君       大口 善徳君    久保 哲司君       坂口  力君    福島  豊君       矢上 雅義君    吉田 幸弘君       米津 等史君    家西  悟君       石毛 鍈子君    中桐 伸五君       瀬古由起子君    中川 智子君       鴨下 一郎君    土屋 品子君       土肥 隆一君    山本 幸三君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 小泉純一郎君  出席政府委員         厚生政務次官  原田 義昭君         厚生大臣官房長 近藤純五郎君         厚生大臣官房総         務審議官    田中 泰弘君         厚生省健康政策         局長      谷  修一君         厚生省保健医療         局長      小林 秀資君         厚生省社会・援         護局長     炭谷  茂君  委員外出席者         文部省高等教育         局医学教育課長 木谷 雅人君         文部省体育局体         育課長     玉井日出夫君         厚生大臣官房障         害保健福祉部長 篠崎 英夫君         厚生委員会調査         室長      市川  喬君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月二十八日  辞任         補欠選任   安倍 晋三君     小野 晋也君   山下 徳夫君     今村 雅弘君   桝屋 敬悟君     久保 哲司君 同日  辞任         補欠選任   今村 雅弘君     山下 徳夫君   小野 晋也君     安倍 晋三君   久保 哲司君     桝屋 敬悟君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  精神保健福祉士法案内閣提出、第百四十回国  会閣法第九〇号)  言語聴覚士法案内閣提出第八号)      ――――◇―――――
  2. 金子一義

    金子委員長 これより会議を開きます。  第百四十回国会内閣提出精神保健福祉士法案及び内閣提出言語聴覚士法案の両案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。根本匠君。
  3. 根本匠

    根本委員 自由民主党の根本匠であります。  私は、時間が限られておりますので、できるだけコンパクトに質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、PSW資格、これを独立した資格とした理由、これについてお伺いしたいと思います。  PSW資格化をめぐっては、さまざまな議論がありました。ソーシャルワーク業務は、福祉保健医療分野を通じて基本的な部分共通でありますから、横断的な資格とすべきである、こういう意見もあります。私も、もし今社会福祉士資格存在せずに、真っ白な状態でこれから全体の資格化考えよう、こういうことであれば、理想的には横断的な資格化が望ましい、こう思っております。  例えば、医師資格免許ですと、カリキュラムに基本的な医療部分は盛り込まれておりますから、医師免許取得すれば、その後、外科耳鼻科あるいは内科、これは、研修によって自主選択のようなスタイルの資格制度もありますし、一つ共通的な資格制度の上でそれぞれの分野を、例えば講習あるいは認定的な上乗せ資格をつくって対応する、こんな資格制度もあり得ると思っております。当時の、社会福祉士が制定されたときもいろいろな議論があって、福祉に限定して社会福祉士が創設された、こんな経緯もございます。  今回のPSW資格化ですが、今回のPSW資格化は、現行社会福祉士制度存在、一方で、近年の精神障害者施策充実要請あるいは社会復帰促進緊急性、これを考えて、各団体意見を踏まえてPSWを独立した資格にした、こういうことでありますが、この必要性、特に社会福祉士との違いも含めて、今回PSWを独立した資格にした理由を明快にお答えいただきたいと思います。
  4. 篠崎英夫

    篠崎説明員 お答えいたします。  まず、社会福祉士のことについてでございますが、社会福祉士につきましては、身体上または精神上の障害があること、または環境上の理由により日常生活を営むのに支障がある者の福祉に関する相談援助を行う職種でございまして、傷病者相談援助を行うための保健に関する知識技術は必ずしも十分ではなく、福祉一般の領域と比較して保健医療に関する専門性特殊性の強い病院において入院者対象として活動することを想定してはおりません。  一方、精神保健福祉士は、精神症状が安定していない精神障害者社会復帰に関する相談に応じ、助言、指導訓練その他の援助を行う者でございまして、精神病院入院中の障害者やそこからの社会復帰途上にある精神障害者業務対象としております。  精神保健福祉士業務対象となる社会復帰途上にある精神障害者については、判断能力社会適応能力が十分でないことがあり、また、精神症状が安定していないことから、常に精神疾患配慮しつつ相談援助日常生活上の適応のための訓練を行う必要があるなどの特殊性がございまして、そのためには福祉に関する知識技術だけではなく、精神障害者保健医療に関する専門的知識技術を有していることが不可欠でございます。そういう意味で、独自資格とすることといたしたわけでございます。  それから、お尋ね社会福祉士資格を基礎として、その上乗せ認定資格とすることにつきましては、今もちょっと申し上げましたように、社会福祉士精神保健福祉士とでは求められる専門性が異なります。それから、両者の専門性を兼ね備える、つまり先ほどの上乗せということになりますと、現行より約一・五倍の養成科目などの履修が必要となりまして、資格取得者の過度の負担になるなどの問題がございます。  また、現行より一・五倍の養成科目などの履修を行おうとした場合、これは、大学におきまして、現在考えております十三科目科目数としてはぎりぎりのところでございますので、大学院修士課程修了程度資格として位置づけられる、つまり大学院修了者という位置づけに、大卒の場合は一・五倍の部分が入ってしまうわけでございますので、人材確保支障を来すおそれがありますし、精神障害者社会復帰を緊急に進める上で支障を来すおそれがある等のことから、社会福祉士上乗せ資格としなかったものでございます。
  5. 根本匠

    根本委員 PSW社会福祉士は、ソーシャルワーク業務というのは共通するのですね。ただ、今お話がありましたように、精神状態が安定しない精神疾患対象とする、そういうことになりますと、固有の知識専門性が必要だから、ここに着目して独立資格化したのだ、こんなお答えですね。  そういう立て方にしていますから、カリキュラムも、精神医療分野福祉ソーシャルワーク業務分野、これが六対四ぐらいのカリキュラムになって、統一資格化するとカリキュラムが膨大になるから、こんなお話だと思うのですね。  今のような考え方PSW独立資格化ということをしたわけでありますが、問題は、残された医療ソーシャルワーカーMSW、この資格化を今後どう具体的に考えていくのか、私はこれが重要だと思うのです。特に、具体的な資格化への道筋をこの法案審議の過程でつけるべきだ、私はこう思っております。  MSWは、医療現場患者対象としておりまして、外科内科患者疾患はさまざまでありますが、社会福祉士MSWソーシャルワーク業務、これは共通いたしますから、MSW資格を今後どう考えていくかということになりますと、私は、二つステップがあると思います。  一つは、現行社会福祉士医療分野MSW、これの共通資格化横断資格化、これが第一のステージだと思います。  次のステップとして、全体を統合、統一した資格化が可能か、そのあり方検討するのが現実的だろう、こう思っております。  ただ、統合資格になりますと、今もお話がありましたが、恐らくカリキュラムも相当なボリュームになる、あるいは大学院卒資格養成施設の勉強時間が現在よりも長くなる、こういう課題も出てまいりますので、ここをどうするか、こういう課題もあるわけですが、このMSWのこれからの資格化の具体的な方向道筋、これについてお尋ねをいたしたいと思います。
  6. 小林秀資

    小林政府委員 お答え申し上げます。  まず最初に、医療ソーシャルワーカー身分法につきましては、今国会には法案が出ていないわけでありますけれども、まずもってこの医療ソーシャルワーカー方々のための資格制度をつくってあげることが大変大切だ、このように思っております。そして、医療ソーシャルワーカー資格制度あり方につきましては、今お諮りいたしております法案成立後、速やかに検討を開始をしたいとまず思っております。  さて、その次に、この資格あり方の中身の道筋ということでございますけれども、道筋という質問に対するお答えとしては、大まかという意味では、まずこの医療ソーシャルワーカー方々身分法をつくってあげて、その後に、社会福祉関係関連法案が全体として調整がとれた、完全に一本化ということになるのかどうかは、まだそこまでは読み切れませんけれども、できるだけ共通をして、こういう職種についていただける方々も、余分な、むだのない教育でもってできるようにしてあげるということは大変大切だと思っておりますが、現に、今度その身分法をつくるに当たっては、実は先回もお答えいたしましたが、医療世界は、医師指示または指導のもとにという形になっていますし、福祉世界は、それは医療現場と離れている社会ということで、またはそちらは医師指示というのは書いてありませんので、そういうところの調整などが残っておるし、また、団体の中の皆さんにもいろいろ意見があるので、具体的にそこの法案がどうなるかということについては、お答えが今の段階ではできかねるという状況下にございます。  そうはいいながらも、社会福祉士受験資格にかかわる実務経験施設医療施設を追加することにつきましては、関係者の要望もあり、医療施設で働くソーシャルワーカー方々社会福祉士資格を容易に取得できるようにする方向で、これは速やかに検討してまいりたい、このように思っております。
  7. 根本匠

    根本委員 とにかく早急に、速やかに、緊急に取り組んでいただきたいと思います。  次に、STの問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  言語聴覚士、スピーチセラピスト、いわばSTの問題でありますが、実はこの問題、言語聴覚障害を持つ子供の親から私も相談を受けておりまして、資格化について関心を持って取り組んでまいりました。今、言語聴覚の機能に何らかの障害を持つ人たち、軽度から重度まで合わせますと、約五百万人。訓練検査等の必要な言語聴覚障害者は、医療機関に限っても、全国で百五万人。これにこたえるためには九千人のSTが必要でありますが、五千人が不足している。多くの人々が満足な治療を受けられない、こんな現状にあります。  一方で、言語療法存在を知らなかったり、あるいはSTは大都市に多くて中小都市にはほとんどいない、こんな地域格差もありますし、近くにいてもニーズが多くて十分に受けられない、こういう問題もあります。他方、アメリカでは、約五万人のSTがもう既に活躍しております。日本STが少ない理由は、国家資格がないために、言語療法という医療行為はあっても身分が確定しない、言語療法は保険診療しているが、保険点数も低い、経営のことを考えるとSTを置くことに難色を示す病院も多い、これが現状であると思います。  その意味で、今回のST国家資格化は大変重要な意味を持つ、私はこう思っておりますが、ST国家資格化の歴史を振り返ってみますと、昭和三十八年から法制化が論議されておりました。実は昭和六十二年に、新たな医療関係資格制度あり方に関する検討会検討されましたが、当時は、職務内容医療教育かについて議論があり、いま少し検討調整が必要ということで法制化が見送られたという経緯があります。それで今回法制化されました。  私は、法制化されたのは大変喜ばしいことでありますが、これからの法制化に当たっての具体的な運用上の課題、これが何点かあると思います。三点ほど、今後の取り組みについてお尋ねをしたいと思いますが、一つは実際に今仕事をしている方にどう配慮するか、二つ目人材確保三つ目処遇改善、この三点についてお尋ねをいたします。  まず、現在業務をしている方への配慮ということでありますが、今ST医療機関福祉施設教育分野、四千人おります。これら現に働いている方については、受験資格特例措置、これを今回の法律規定が設けられております。具体的には、現に病院などにおいて業務を行って、その期間が五年以上となった者、これは厚生大臣が指定した講習会を修了すれば国家試験受験が可能であります。この現任者が円滑に資格取得できるように、指定講習受講場所確保など必要な配慮をすべきだと思っておりますが、この点についてどうお考えか。  二点目は、医療機関における言語聴覚士必要数、これは現在約九千人、こう想定されておりまして、ただ、これから人口がどんどん高齢化していきますから、脳卒中による失語症あるいは加齢に伴う難聴の増加、こういうことが予想されまして、二十年後には約一万二千人必要だろう、こんな予想もあります。今後、必要な人材確保する、こういうことが必要になるわけですが、特に、この点においては十分な知識専門性を有する質を確保する。この質の確保をきちんとしながら必要なマンパワーを養成する必要があると思いますが、その取り組みについてお伺いしたい。  三点目は、人材確保社会的評価向上観点から、処遇改善が必要だと思いますが、この三点についてお尋ねをいたします。
  8. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 まず一つは、現在既に病院等において業務を行っている方についての配慮ということでございますが、今後、法案成立後、現任者が円滑に資格取得できるよう、今先生おっしゃいました指定講習受講場所確保、あるいはその指定講習の時間数が過度な負担とならないようにするなど、必要な配慮をしてまいりたいというふうに考えております。  れから人材確保という点でございますが、現在、言語聴覚士養成校全国で二十校程度あるというふうに承知をしておりますが、法の施行後、所定のカリキュラムあるいは設備を備えた養成学校施設によりまして十分な教育が提供され、また、国家資格化に伴い多くの人材資格取得を目指すことによりまして必要な人材確保されるということを期待をしております。それから処遇の問題でございますが、現在、いわゆるST方々は、身分がはっきりしていないということで、例えば医療機関においては、必ずしも医療職として雇用されていないというようなことがございます。したがいまして、今回の言語聴覚士資格化法制化ということによりまして、言語聴覚士として生きがいを持って業務を行うことができ、かつまた質の高い人材確保するように、そういう点からこの処遇向上を図るべきだというふうに考えておりまして、お触れになりましたように、言語療法に関する診療報酬といケことが現在設定はされておりますけれども、今後、この資格化ということを踏まえて、中央社会保険医療協議会においても議論をして検討をしていただきたいというふうに考えております。
  9. 根本匠

    根本委員 制度ができても運用課題ですから、的確な運用に万全を期してもらいたいと思います。  次に、ST欠格事由見直しについてお伺いいたします。  ST欠格事由の問題、これについては本委員会でも論議がありました。自民党の八代英太議員あるいは障害者団体からも、欠格条項の削除の要請意見がありまして、これを我々真摯に重く受けとめなければならないと思います。  欠格条項を設けているそもそもの理由、これは、医者診療補助を行う医療関係資格者、この資格者は、一定の医学的知識や技能を持って行うのでなければ、人体に危害を及ぼすおそれのある医療行為を行う、こういう業務の特性がありますから、その仕事を的確に実施できるか、患者の安全あるいは資格についての国民の信頼の確保、この観点から規定を置いていると思います。私も趣旨は理解できますし、他の資格についても必要に応じてさまざまな欠格条項規定されている、これが現状であります。  ただ、考える必要がありますのは、資格法が制定された当時と異なってきている障害者をめぐる環境変化だと思います。障害者社会生活への「完全参加と平等」、ノーマライゼーション、これが世界日本の潮流でありますから、今求められているのは、何ができないかではなくて何ができるかだと思います。  平成七年度の障害者プランを初め障害者対策において、これまでも各種資格制度において欠格条項あり方についての検討見直し、これが指摘議論されております。私もこれはぜひ見直すべきだと思います。ただ、一つ一つの個別の見直し、これでは、全体の資格法規としての法律上の均衡、バランスがありますから、この法律上の全体のバランスを失する可能性というものがありますので、統一した共通理念をきちんと踏まえて、言語聴覚士を含めて一つ一つ資格法を点検しながら、医療関係職種全体の見直しとあわせて行う必要があると思いますが、これについての考えをお聞きしたいと思います。
  10. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 現行医療資格についての欠格条項についての考え方は、今先生おっしゃったとおりでございます。また一方、障害者方々が、いわゆるノーマライゼーションという理念のもとに、改めてその資格制度あり方欠格条項あり方検討すべきである、これも現在総理府において全体的な検討作業が行われております。  したがいまして、言語聴覚士についても、今おっしゃいましたような視点で、他の医療関係資格への関係ということもございますので、医療関係資格全体の問題として検討していく必要があるというふうに考えております。
  11. 根本匠

    根本委員 しっかりと取り組んでもらいたいと思います。  最後に、臨床心理士厚生省流に言えば臨床心理技術士CP、これの国家資格化についてお尋ねをいたします。  PSW国家資格化に伴って、残されているのは先ほどのMSW、それともう一つ臨床心理士CPであります。臨床心理士は、現在文部省所管法人による財団法人認定資格ということで運用されておりました。今スクールカウンセラーとして随分活用されておりますし、阪神大震災時にも心の専門家として活躍をしております。臨床心理技術士臨床心理士資格に今後どう取り組むのか。  私の個人的な意見でありますが、この臨床心理士CPの場合は医療教育分野にまたがっておりますし、教育分野で今民間の法人資格成立して現に動いておりますから、これはやろうとすると、横断的な資格にしないと成立しないだろう。具体的に言えば、厚生省文部省共管資格のような形にしないと成立しないだろう、私はこう思っているのですね。ただ、横断資格ということになりますと、先ほども指示指導という言葉が出てまいりましたが、医師とのかかわりをどうするか、これが課題になると思うのですね。医師とのかかわりという点では、PSWST、これが実は今までの医療系資格と異なる点は、指示指導と書き分けたというところであります。  例えば、ST医療系教育系にまたがりますが、医療補助に該当する部分医師指示のもとにある、独立した業務分野医師指導を受ける、今回こう書き分けたところに大変大きな意味があると思います。  今までの医療関係職種は包括的に医師指示を受けるという構成にありましたが、これに対して、今回のPSWについてはソーシャルワーク業務STについては医療行為に含まれない業務、これは医師指示ではなくて指導という構成にした。例えば、ソーシャルワーク業務はあくまでも医療とは別の独立した業務であります。ですから、この部分については指導も受ける必要はないという意見もありますが、PSWソーシャルワーク業務を行うに当たっては、常に患者精神状態疾患状態を把握する必要がある。この観点から、医者から精神疾患アドバイスを受ける必要があるので指導という言葉法律上使った、こういうことだと思うのですね。ただ、アドバイスを受けても、どのようなPSW業務を行うかは、PSWの自主的、独立した判断に任される、こんな制度の体系にしたのが今回なのですね。さらに言えば、指導指示と異なって拘束性はない。この点で、今までの医療関係職種との相違点がありますから、ここが重要な意味を有すると思っております。  これをCPについて考えますと、医療分野教育分野にまたがりますから、一番大きな論点は、CP業務のうち医療行為に該当する業務があるのか。あるいはどの行為業務医療行為に入るか。これが実は大きな論点があるわけですね。  ただ、こういう論点をクリアした上で、もう一つ医療分野で働く場合という問題が出てきますから、この点では、医療行為に属さないCP業務については、STと同様に、医療分野で働く場合には医師指示のもとにあるということではなくて、指導、要はアドバイスを受ける、こういう構成ができるという点で今までと異なりまして、これからの臨床心理士臨床技術士、すなわちCP、この資格制度を組み立てる上で今回のPSWあるいはST法改正は大きな前進だと思います。  これからの臨床心理士臨床心理技術士資格化に具体的にどう取り組んでいくのか。何度も附帯決議で出ておりますので、お伺いいたしたいと思います。
  12. 篠崎英夫

    篠崎説明員 臨床心理技術者資格化につきましては、精神保健福祉士法案成立後、関係者意見調整促進を図ってまいりまして、御指摘のように、文部省など関係省庁とも十分な連携をとり、かつ御指摘医師との関係、今回の精神保健福祉士法、あるいは言語聴覚士の中で用いられている指導の概念などを参考にしながらその検討を進めてまいりたいと考えております。
  13. 玉井日出夫

    玉井説明員 臨床心理士国家資格化の問題でございますけれども、御指摘いただきましたとおり、スクールカウンセラー事業等を通じまして教育分野臨床心理士方々が大変大きな役割を果たしておいていただきますし、またこれからさらに重要になってくると考えております。そういう意味で、今後とも臨床心理士養成活動がより一層推進されることが大いに期待されます。  そういう意味からいきますと、臨床心理士国家資格化の問題は大変重要な課題だと考えておりまして、今後とも厚生省連携を密にして検討してまいりたい、かように考えております。
  14. 根本匠

    根本委員 厚生省文部省、しっかりと連携して、精力的に取り組んでいただくようにお願いいたします。  終わります。
  15. 金子一義

    金子委員長 以上で根本匠君の質疑は終わりました。  次に、山本孝史君。
  16. 山本孝史

    山本(孝)委員 新進党の山本孝史でございます。  冒頭、今回のこの精神保健福祉士法並びに言語聴覚士法については、先週審議をさせていただいて、また今回審議をさせていただく。一部に緊急上程をというお話もありましたけれども、委員長の御判断もございまして、十分な審議時間をとっていただいたということで、自民党の理事の皆様にも御理解をいただいたことにまず感謝を申し上げたいと思います。  まずは精神保健福祉士法について御質問をさせていただきますけれども、今回の精神保健福祉士法は、精神障害者だけを切り取って資格化をするという中において、したがっていろいろな御議論がございました。とりわけ社会福祉分野における資格の分立というものがさまざまな混乱を招くのではないか。先週の審議で、厚生大臣も一本化が望ましいという御発言もございましたけれども、例えばこういう患者さんにとってどうなのか、あるいは教育現場でカリキュラムが多様化していくということについてどういうふうな編成ができるのか、教員の確保はどうなのかというような問題も出てまいります。また、勉強しようという若い人たちにとってもこういう資格の分立というのはさまざまな影響を及ぼすはずであろうというふうに思いますし、厚生省もどういう形で社会福祉の領域における人材確保しようとしているのか。そこのところの理念もしくは戦略的な方針というものが示されているべきであろうというふうにも思います。  そういった意味で、いろいろ議論があって当然だというふうに思いますけれども、厚生省もお認めになっておられますように、精神医療あるいは精神障害者の置かれている状況、言ってみれば荒廃あるいはおくれといったものを考えれば、こういった資格も必要ではないだろうかという意見も党内にありまして、我が党としては、最終的に賛成をさせていただくという立場に立っております。  ただし、前提条件が二つありまして、一つは、今申し上げたこれまでの精神医療あるいは精神障害者の置かれてきた状況をどういうふうに反省をし、総括をし、その上に基づいて今後どういう施策に強力に取り組んでいくのか、そこの姿勢をはっきりと示していただきたいということが一点。  もう一つは、法律制定後十年たちます社会福祉士、当時、六十二年の審議というのは、国会の終盤に社会福祉士及び介護福祉士法という形で出てまいりました。衆参それぞれ一時間半ずつぐらいしか審議をしていない。当時の社会的な状況の中で、介護人材確保というところにずっと審議の中心が行っておりますので、社会福祉士に対する質疑はほとんどなかったと言っていいぐらいです。そういう中で、この十年間、社会福祉士の拡充であるとか取り組みというのは非常におくれてきたというふうに思うのですね。そういう意味でも、今回こうやってきっちりと審議をしていることは大変意義があるというふうに思っておりますけれども、こういった全体的な社会福祉人材確保といった問題は、この社会福祉士法の見直しも含めて、今回抜本的に検討し直すのだという姿勢を厚生省が示していただけるのであればという二つの前提条件をつけて、今回この法案に賛成をしてもいいのではないかという立場に立っております。  そこで、まず大臣にお伺いをさせていただきたいと思いますが、今申し上げました精神障害者福祉あるいは医療というものの現状をどのように厚生大臣として認識をされ、これまでの政府の施策についてどのような総括と反省をしておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  17. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 精神障害者施策については、現在、我が国の精神医療の水準の向上を図る中で充実に努めておりますが、特に昭和六十二年の法改正以降三回にわたる改正によって、人権に配慮した適正な精神医療確保とともに、精神障害者社会復帰促進を図るための所要の措置を講じて、精神障害者福祉施策の推進にも努めてきております。  しかし、反省点として、諸外国に比べて精神病院での長期入院が多く見られる、依然として精神病院における医療及び保護には問題点が少なくないと考えております。精神障害者福祉施策の充実を図り社会復帰促進を図るべく、今後障害者プランに基づく施策の充実を進めていきたいと考えております。
  18. 山本孝史

    山本(孝)委員 大臣、今六十二年法改正についてお触れになりました。話はさらにさかのぼって昭和四十年のことでございますけれども、第四十八国会において精神衛生法の改正案が審議をされております。今からもう三十年以上も前になりますけれども、その折に参考人として出席された都立松沢病院の江副病院長が重要な指摘をなさっておられます。ぜひお聞きをいただきたいと思います。  「社会福祉研究」の四十二号に掲載されております柏木昭先生の論文でその要約を紹介をさせていただきますと、まず御承知おきいただきたいのは、当時は、精神病院ブームと言われている状況がありました。昭和二十五年末に二万床弱であった精神病床が、この改正法審議のときには十四万床になっております。六年後の昭和四十五年には二十四万床と十万床ふえました。昭和六十年には三十三万床、現在三十六万二千床という形で、精神病院のベッド数がどんどんふえていく、そういう状況がありました。  そういう中で、昭和四十年、三十年前に審議をされた折の江副病院長の参考人の意見陳述でありますけれども、今日本に要るのは、精神病院ではなく、リハビリテーション施設である。職親などを含むアフターケアシステムこそ必要。精神病床は日本全体で二十万床もあれば何とかしのいでいける。現在のように精神病院だけつくってあとは何もつくらないというのでは、五十万床あっても六十万床あっても足りない。精神衛生審議会でリハビリテーション施設の重要性を強調したにもかかわらず実現しなかったのは、医療法に抵触するからということだが、それなら医療法改正の必要がある。江副病院長は、当時の精神病院ブームと言われるほどの、今大臣もお触れになりました、病院万能入院中心主義、リハビリテーション施設の整備のおくれを、医療が我々の前に立ちはだかっていると言って、厳しく批判をされております。  この状況が、今おっしゃられた中で、どれだけ変わってきたのかということをやはり思うわけですね。今後、この精神保健福祉士資格化を含めて、今申し上げている精神医療精神障害者福祉について、具体的に、今、障害者プランをもつと充実するのだとおっしゃいましたけれども、それで十分に足りるのか、一体何が問題なのか、何が重要なのか、平成十一年度に精神保健法の改正を予定されておられるそうですけれども、一体どういう形で取り組みをしていこうとしておられるのか、これからの姿勢をもう一度お聞かせをいただきたいと思います。
  19. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 御指摘にありますように、今後、いろいろな重要課題があると思いますが、精神障害者施策においては、特に人権に配慮した精神医療確保とともに、精神障害者社会復帰促進及び地域における社会参加の推進を図ることが重要ではないかと考えております。  このため、精神医療については、精神科救急医療の体制の整備を図るなど医療体制の充実に努めていきたいと思います。また、福祉施策としては、障害者プランに基づく社会復帰施設等の整備、精神保健福祉士資格化による人材確保を図るなどして、精神障害者福祉施策を一層充実していきたいと考えます。  さらに、精神病院の監査体制を強化するとともに、精神保健福祉士資格化により、精神障害者の視点に立って相談援助を行う人材の充実を図ることにより、精神障害者の人権の確保に努めていきたいと考えております。
  20. 山本孝史

    山本(孝)委員 この委員会でも何度か数字が出ておりましたけれども、今、精神障害者は百五十七万人、病院に入っておられる方が三十三万から三十四万人おられる。厚生省は、そのうちの二万七千から三万人ぐらいは今すぐでも院外で処遇ができるはずである、あるいは、かつての調査でいけば、十万人ぐらいの方は病院の外で生活できるはずだというふうに言われてきました。  今、障害者プランでさらに上乗せをされるのは、厚生省が言っておられる、社会復帰施設の建設という形では、三万人ぐらいしかありません。基本的に、予算は残念ながら積み残していくという状況があるのだそうです。一生懸命予算はつけて、社会復帰施設をつくってほしいと言っているけれども、地域社会の理解が得られないために施設の建設が進まない、したがって予算も残っていってしまう、そういう状況もあるのだそうです。百五十七万人という数字から考えれば、日本の人口の数からして、八十人に一人ぐらいの割合になります。大変に普遍的な問題ではないかというふうにも思うわけですね。長年言われてきたことが結局解決してこない、お金をつけただけでは物事は解決しないという状況が残念ながらここにあるわけですね。  その意味で、もっと精神障害者福祉あるいは医療分野に人を投入しないとだめなのだということは、まさにおっしゃるとおり、これまでやってこなかったことが全くもってひどいわけであって、それをここに来て、こういう資格をつくるから物事がすべて解決するのだというような言われ方をすると、かちんとくる人もいっぱいいると思うのです。だけれども、今回、そういう意味で、一歩でも二歩でもここから前進していくのであれば、そこはきっちりとしたものにしないといけないだろうというふうにも理解はしています。  となると、一体、今回つくられる精神保健福祉士というのが、どういう人であって、どういう業務をして、どういう能力を持っている人なのかということは極めて大きな問題になるわけですね。  それで、少し細やかな点についてお聞かせをいただきたいと思いますので、恐れ入ります、大臣も、今、見てくださいということでお渡しをしました、今回の精神保健福祉士資格要件の与え方についての表でございます。これが法律の中に盛り込みがされております。  一番右端のところで、実務五年、講習会で試験資格を与えるという形になっております。これは附則二条に書いてあるわけですけれども、精神病院等での相談業務に五年間従事していれば精神保健福祉士受験資格を与えるというふうに書かれています。こういう与え方というのは、左側のいろいろなルート、十幾つあるのでしょうか、からすると、極めて安易な与え方ではないですかというふうに御質問を申し上げたら、厚生省の御答弁は、現在、精神ソーシャルワーカーの多くは社会福祉系大学を卒業している者と承知しており、精神保健福祉士としての基礎的な資質は十分確保されているものと考えることから、講習会受講によって受験資格を与えることは決して安易ではないというお答えでした。  左側の方を見ていっていただきますと、社会福祉士というのが十一号でございます。上に短期養成機関六カ月、実際には未設置でこういう六カ月の養成機関というのはありませんけれども、こういうものが上にキャップ制のように重なっております。社会福祉系大学の卒業生が多い社会福祉士には六カ月の短期養成施設での勉強が求められている。このつくられ方からすると、精神保健福祉士になるには社会福祉士では足りない教育部分があるんだという形でこうなっているというふうにしか読み取れません。  この点についての厚生省の説明は、社会福祉士精神症状の安定していない精神障害者社会復帰に関する相談援助を行うことを想定していないことから、精神障害者保健及び福祉に関する専門的知識を得るためには、短期養成施設等においてこれら精神保健福祉士としての専門的な知識技術科目履修する必要があり、これらの履修には六百六十時間、六カ月を要するのだという御説明をされておられる。  私の質問は、同様に社会福祉系の卒業生が多いという御説明をされておられる右端の実務経験五年と十一号の社会福祉士との間に、なぜ社会福祉士の方だけ六カ月の短期養成施設での研修を義務づけなければいけないのですか、同様の卒業生じゃないですか、なぜこういうふうに差が出るんですかというところの御説明をいただきたいと思います。
  21. 篠崎英夫

    篠崎説明員 社会福祉士におきましては、今先生も御指摘になっておりましたが、精神疾患の安定していない精神障害者社会復帰に関する相談援助を行うことを想定しておりません。そのことから、精神障害者保健及び福祉に関する専門的知識技術を十分に備えていないため、短期養成施設などにおいてこれら精神保健福祉士としての専門的な知識技術科目履修する必要があるわけでございまして、これはカリキュラムの時間数にすると六百六十時間ということになるわけでございまして、六カ月を要する、こういうようにしたわけでございます。
  22. 山本孝史

    山本(孝)委員 篠崎さん、僕の説明をそのまま繰り返してはだめですよ。  私が質問しているのは、同じように社会福祉系の大学を卒業している人たちが、社会福祉系の大学を卒業しているから五年の実務でいいんだと右端の方では説明されておられるんだよね。同じように社会福祉士だって社会福祉系の大学を卒業しているんじゃないですか。なぜその人たちに六カ月の研修を上乗せしなければいけないのですか、同じじゃないですか、出てきているところ一緒なんですよ、なぜここだけこう違うんですかという説明。  今の僕の説明、あなたが言っている説明を僕が繰り返して、あなたも同じ説明を繰り返しているだけ。そういうことはしないでください。
  23. 篠崎英夫

    篠崎説明員 社会福祉士の方もあるいは精神保健福祉士の方も、福祉系の大学を出ている方について比べますと、福祉系というところでは同じでございますけれども、今申し上げました精神保健福祉士に求められる精神保健及び福祉に関する科目ということでは、時間数で、本則の大学レベルで比べてお話を申し上げますと六百六十時間ございます。片一方、社会福祉士の方の関係福祉系の大学で現在指定科目としてとられておりますのが六十時間でございますので、そういう意味でも、これは必ずしも大学と指定校がマッチするわけではないのですが、時間数で比べますと、医学全体で六十時間の専門的な履修と、片や、医学ももちろん含めた精神医学その他もろもろの精神保健及び福祉に関する専門課程六百六十時間でございますから、約十倍の時間数の差があるということでございまして、それをもって、片一方の方はその時間数の足りない部分、つまり六百六十時間分を六カ月でやっていただくということにしているわけでございます。
  24. 山本孝史

    山本(孝)委員 じゃ、質問をかえますね。  今、これから精神保健福祉士履修しなければいけない指定科目考えていくという、検討するということになるわけですけれども、その折には、現在既に精神ソーシャルワーカーを養成している大学のカリキュラムを参考にしてつくりますというふうにおっしゃっておられる。今二十ほどの大学で精神ソーシャルワーカーの養成を行っておりますけれども、一体その中で、現在行われておる精神ソーシャルワーカーの養成課程の中でどういう科目を教えておられるのですか。
  25. 篠崎英夫

    篠崎説明員 現在、精神保健についての専門的知識技術を教えている大学に例をとりまして申し上げますと、その科目でございますが、例えば精神医学ソーシャルワーク、あるいは精神医学、精神保健精神科リハビリテーション論などが設けられております。  現在、カリキュラム検討委員会におきまして、学者の先生も入っておりまして、この辺も含めて検討しているところでございますが、このほかに申し上げれば、ちょっと細かくなって恐縮でございますが、精神保健福祉論、先ほど申し上げました精神医学、精神保健学、精神保健福祉援助技術総論、各論、それから精神科リハビリテーション学、精神保健福祉援助技術演習、実習などを想定しているところでございます。
  26. 山本孝史

    山本(孝)委員 現在、精神ソーシャルワーカーの養成を行っている大学があって、それらの大学を卒業して精神ソーシャルワーカーとして精神病院等に勤務している者が多くいるという御説明もあったんですね。今働いておられる方たち、精神ソーシャルワーカーとして働いておられる方たちの何人かの方たちは、正式なソーシャルワーカーとしての勉強を受けて出てきて働いているんだという御説明があって、じゃ、どういう科目があったのかといったら、今篠崎さんいろいろおっしゃった科目ですね。養成を行っている大学は二十あるというふうに調査室の資料でも載っています。  じゃ、その中で、今おっしゃった精神障害者福祉論あるいは精神医学ソーシャルワークの勉強を教えている大学というのは二十のうちの七つしかない。関西の大阪市立大学や同志社大学等では、障害者福祉論と精神医学、精神保健精神衛生という科目はありますけれども、今おっしゃった精神障害者福祉論とか精神医学ソーシャルワークという科目はありません。こういう形で、極めて限られた数科目の勉強をして出てきておられる、あるいは数科目だけ教えていることをとって精神ソーシャルワーカーの養成を行っている大学だというふうにおっしゃることに、私はかなり無理があるのじゃないですかというふうに申し上げているわけです。  カリキュラムの内容を見て、あるいは今おっしゃった援助技術各論というようなところで、テキストあるのですかと申し上げたら、テキストはありません、これからつくるんですというお話でした。精神医学ソーシャルワーク学というものがそもそも学として成り立っているんですかというのも極めて私は疑問です、こういうのは。いろいろと精神医学のことをお書きになっている学者の先生方、教授の先生方のお名前を見ていっても、非常に限られた先生の名前しか出てこない。一人の先生が結局、今おっしゃったような科目を全部横並びでやっているわけですね。そういう中で本当にきちんとした教育が行われるのですかというふうに私は首をかしげざるを得ないし、何回も申し上げているように、精神障害者のための資格をつくったんですとおっしゃるから、そのために、そのためにということで障害者福祉論としてやってきているものを精神障害者福祉論と、障害者援助論と言っているものを精神障害者援助論と、何でも頭に精神をつけたような科目をつくらないといけない状況になっているというのは、これは極めておかしいのじゃないですかというふうに思うわけです。ある専門家の方も、多くの科目を設けることは適正に教員を確保することに無理を生じている、学生の科目取得受験科目に偏り、個性化が危ぶまれるという御指摘もあるんですね。  申し上げているのは、将来の社会福祉領域での今大臣もおっしゃっている資格統合とか、あるいは学生の受講の負担だとか、大学側のカリキュラムの編成だとかということを考え合わせても、いたずらに精神精神とつけるような科目をたくさんつくっていくということは決していいことじゃないし、そんなふうに科目を細分化して学習領域を狭めるということが本当に社会福祉人材確保としていいことなのかと言われると、私は違うのじゃないかと言わざるを得ないんですね。  学科の名称を小手先だけで変更して、そしてうちはこういうカリキュラムをやっていますよ、こういう養成をやっていますよという大学のPRだけに使う、養成所のPRに使うという形は、皆さんが意図されておられる部分と全く違うんじゃないかというふうに思うわけです。  したがって、精神保健福祉士の指定科目をつくる際には、今行われているこの教科の内容、カリキュラムの状況等を見合わせて、学校側への負担もあるいは学生の負担も余り大きくないように、もっとゼネリックに勉強をするという方向で指定科目をつくっていくべきだというふうに思いますけれども、この点についての御答弁をいただきます。
  27. 篠崎英夫

    篠崎説明員 先般来、学問的にどうなのかという御指摘がございますので申し上げますと、確かにそういう面がないとは言えないのかもしれませんが、一つは実態がございます。  現在、精神病院あるいは保健所等で約五千名の方々が実務についておられるわけでございまして、それらの方の実態上の経験からする学問的な背景というのもあるわけでございますし、また、今若干そういう御指摘がありますが、だからこそ、今回のこの法案で指定カリキュラムというようなものできちっと学問的に、逆に位置づけていくということにもつながるのではないかというふうに考えております。  ただ、先生御指摘のように、学生さんに過度な負担にならないような形でこのカリキュラムの編成を考えていくということは非常に重要なことでございますので、現在、検討会を設けて学識経験者によって検討中でございますから、御指摘の点も含めまして十分検討を進めていきたいというふうに思っております。
  28. 山本孝史

    山本(孝)委員 要は、資格の分立をするということは非常にしんどいという話をぜひ御理解をいただきたいために、幾つかの例を挙げてみます。  この附則に定める講習会、実務五年で講習会を受けるということになっております。この講習会、どういう講習会が行われるんですかというふうにお伺いをしましたら、現に精神ソーシャルワーカーとして従事している者であるから、講習会履修が過度の負担にならないような形で実施することを検討しているというふうにおっしゃっておられます。その程度の講習受験資格を与えるということは、それも問題があると思うんですけれども、ということは、座学、本での勉強というよりは実務経験を重視して、こういうふうに資格を与えてもいいんだというお考えのあらわれと理解してよろしいでしょうか。
  29. 篠崎英夫

    篠崎説明員 この講習会規定につきましては、精神障害者社会復帰のために精神保健福祉士の養成と資質の向上が喫緊の課題でございまして、こうした視点から、受験特例措置として設けたものでございます。  また、現在精神ソーシャルワーカーとして業務に従事している方におきましては、可能な限り離職することなくその資質の向上を促すことが必要であるということから、五年間に限りまして精神保健福祉士の試験を受けられるような措置を講じたわけでございます。  精神保健福祉士の養成課程につきましては、今先生御指摘のように、実務経験ですから、実習などを重視していることは言うまでもございませんけれども、基本的な考えとしては、その知識とそれから技術と、両方いずれも重視をしているという考え方でございます。
  30. 山本孝史

    山本(孝)委員 私は、実務経験を重視して資格を与えていくという方向性は極めていいと思うんですね。大学だとか養成所の中で先生からレクチャーを受けて勉強をすると、あるいは多少の実習はしますけれども、それは非常に限りがあって、結局はやはり社会へ出ていって実際の経験を積んでいく中で、それで自分としてもまたその後、何といいますか、通信教育を受けてみたりあるいは大学の研究会に出てみたりして、自分自身の技能を上げていくというのが普通の形だと思うんですね。そういう意味では、一定の学問的レベルがあって、そして実務経験があって資格を与えていくんだという形をとる方が、本当はすっきりしているというか、いいんだろうと思うんです。  そういう意味で、実務経験を重視して、この附則二条のような形で五年の実務経験で与えるというのであれば、それはそれとして理解できないことではないというふうには思うんですね。  そういう点で考えて、もう一つ、やはり今後どうなるのかなというふうに思うのは、これは一枚目は精神保健福祉士資格要件で、社会福祉士に対しては、短期養成機関六カ月を課すという形になります。  今度、逆の場合はどうなりますかということです。精神保健福祉士資格を取った人が社会福祉士資格を得るときは、この二枚目の、社会福祉士資格要件のどのルートで取ればいいということになりますか。
  31. 炭谷茂

    ○炭谷政府委員 社会福祉士受験資格につきましては、まず基本的には福祉系大学ということで、この指定科目を学んでいただく、また六カ月のコースとしては四科目の基礎科目履修ということになっておるわけでございますけれども、精神保健福祉士資格を取られた方は、この基礎的な科目、例えば例示で申しますと老人福祉論とかそれから児童福祉論とか、このような科目を勉強されていらっしゃいませんので、この特例的な扱いはないわけでございます。  ただ、先生先ほども引用されましたように、現在の、精神保健福祉士になろうとしている方は、大半の方が福祉系の大学を出られているというふうに伺っております。したがって、このルートで申しますと、実際的には、福祉系の大学の四年制を学んでいれば、ストレートで受験資格、もしくは短期養成施設の六カ月コースということを実際的にはとられる方が多いんじゃないかというふうに思っております。
  32. 山本孝史

    山本(孝)委員 最後の御説明だと、結局、福祉系大学四年で短期養成施設六カ月を受けるというこのルートになるんだろうという御説明ですので。今の炭谷社会・援護局長の御説明の中でも、精神保健福祉士は、社会福祉系の大学を卒業している人が多いだろう、今おっしゃった老人福祉論だとかを履修していないから、その精神保健福祉士人たちはまた六カ月の養成機関が要るんだというふうにおっしゃるわけですね。  精神保健福祉士対象としている人たちの中には、もちろん精神障害者精神患者の方もおられますけれども、痴呆性老人もおられるわけですね。働く場所として特養だとかあるいは老健施設というものも当然出てくるわけで、その人たちが老人福祉論を勉強していないということはあり得ない。そういう意味において、なぜわざわざここでまた六カ月の短期養成機関、六カ月の施設というのは今、未設置なんですよ、これがないために、結局は一遍六カ月も休まなければいけない、あるいは仕事を一遍離れなければいけないという無理を生じてしまう。実務経験をどこで養成させるのかという話でこうなっているのかもしれませんけれども、やはりこれはおかしいんですよね。  今度、精神保健福祉士ができたらどういうふうなルートになるんですか、今度また違う資格ができたらどうなるんですか、今度、今おっしゃっている医療ソーシャルワーカーができたらどうなるんですかというような、ルートのいっぱい細々としたものをつくることは、日本全体にとっても、社会福祉人材確保する点からいっても絶対にいいことじゃない。  そういう意味で、ここは、今回は、冒頭申し上げましたようにあえて認めてはおりますけれども、大変におかしな状況をつくり出すんだということだけはしっかりと御認識をしていただきたいというふうに思うのです。  例えて言えば、お医者さんだって、外科の、内科の、眼科の、皮膚科のお医者さんとおられますけれども、そもそもは医学教育は全部一緒になさって、いろいろな科を回って、それで開業するときは、あるいは病院に勤めるときは何科だというふうに標榜しておられるわけですね。弁護士だってそうですね。検事も弁護士も裁判官もそれぞれに、まずは弁護士の法曹試験に合格をして、その後、専門領域を決めていかれる。それがやはり本当の姿なんじゃないですか。なぜこの入り口のところでだけ、ばさばさと資格を切っていくのかということは、やはりおかしい。  大臣にもう一度、この間の答弁の御確認というか、きょうの私の質問等も御理解をいただいて、先般は、一本化の方向については私も基本的にその方がいいと思うというふうに御答弁をいただいていますし、基本的に資格は細分化でなく、できれば一本化した方がいいというお考えを述べておられます。ぜひその方向で、今回は一つ資格ができますけれども、それであとの資格がおくれるというのではなくて、早急に社会福祉全体の資格の一本化に向かって厚生省として取り組みをしていただきたい。そこのお考えを、もう一度大臣にお聞かせをいただきたいと思います。
  33. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 今、委員の御指摘の問題点、私も十分理解しているつもりであります。しかし、今回の精神保健福祉士法については、精神障害者保健及び福祉に関する専門性を有するという観点から、独自の資格として本法案を提案したものであります。  また、資格の一本化については、さきの委員会でもお答えいたしましたけれども、いろいろ難しい問題があります。社会事業従事者、いわゆるソーシャルワーカー全般の資格制度あり方を踏まえて、いわゆるMSWというのですか、医療社会事業従事者の資格制度あり方について、この法案成立した後、検討を開始したいというふうに考えています。  なお、社会福祉士実務経験施設医療施設を追加し、医療社会事業従事者、いわゆるMSW資格取得の道を開くことについては、今後前向きに検討していきたいというふうに考えております。
  34. 山本孝史

    山本(孝)委員 社会福祉士の実務経験を認める指定施設の中に医療機関を入れるんだということは、この前も御答弁いただいて、その方向検討するということしかおっしゃっていないですけれども、ぜひその方向で取り組んでいただけるものというふうに理解しておりますけれども、今大臣少しおっしゃった、MSWといういわゆる医療ソーシャルワーカー資格を単独にまたつくるということは余り賛成ではないのです、私、今申し上げているように。  今度またそういう資格をつくる、こういう資格をつくるというのではなくて、社会福祉士として、大臣の今の答弁も、今回のこの精神保健福祉士法をつくるということになれば、役所の皆さんは、こういう専門性があるんですから、こういう違いがあるんですから、したがってこういう資格が要るんですという話になるのですね。だから、今までと違う資格をつくろうとすれば、当然、こっちとは違うんです、違うんですということを言わざるを得ないのですよ。片方では、社会福祉士に対して、私たちは医療の現場で働くんですから違いますといってこっちを違う、一方、看護婦さんたちに対しては、いや私たちは社会福祉の領域で頑張るんですからあなたたちと一緒ではありませんといって違うと言う。違いばかり強調して資格をつくろうとするのが今のこのやり方なのですね。  そうではなくて、社会福祉士という全体的な資格を十年間ほったらかしにしてきたのじゃないですか。社会福祉士という資格をもっと大きなものにして、精神医学だって、社会福祉の人だって精神医学を学ばないで社会福祉できないんですから、これからは。そういうところも全部共通にして、やっているカリキュラムなんて限られているのですよ、精神ソーシャルワーカー資格なんというのは。これだけしか、限られた科目しかやらないのであれば、みんながとって、そんなにそこは負担にならないのだから、保健部分福祉部分との資格を一体化する方向カリキュラムの一体化を考えて、そして資格も一体化していくという、そういう形で、そして実務経験を重視しておやりになるなら、各団体がそこでその専門性を与える資格試験をおやりになればいいんだという形でぜひ取り組みをしていただきたいということなのです。御理解いただけましたでしょうか。お願いします。
  35. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 要するに、保健福祉全般の人材確保にどういう質の高い.いい人材を集めるかということだと思うのであります。その点については、今委員お話、細分化し過ぎるんじゃないか、もっと全体的な視野から、全人的な教育というのですかね、そういう方が、いろいろ専門性だけの殻に閉じこもらないで見られるような人材養成はどういう点がいいかという観点、私もよく理解できます。将来、そのような一本化の方向というものが私も望ましいであろうということについては共通の認識をしております。  しかし、現実の問題として今回の法案を提出しているわけでありますので、今後、今の視点も含めまして、将来の検討課題として考えていきたいと思います。
  36. 山本孝史

    山本(孝)委員 大臣らしくない答弁で残念であります。  将来の検討課題というと本当に向こうへ行ってしまうので、少なくとも近い将来とか、検討課題でもすぐ検討するとか、今まで検討してきているわけですから、引き続きさらに力を入れて早急にこの問題に対してのけりをつけていくのだ、あるいは全体、日本社会――もう二十一世紀、目の前なのですよ。保健福祉、介護保険、何のためにやっているのですか。保健医療分野を一体化しようといって、福祉部分を一体化しようとしてやっているわけでしょう。その中で何でこういうふうにして反対の方向のものをやるんだというのは、考え方が違うじゃないですか。だから、そこは早急に力を入れて取り組むんだという、お願いします。
  37. 小林秀資

    小林政府委員 私からまず答えさせていただいて、また足りませんでしたら大臣にお願いをしようと思いますが、MSW法案をつくらなくてはいけないというのは、今回御議論があったからそう思ったというのではなくて、もうずっと前から厚生省はそのつもりで頑張ってまいりました。それは過去の記録や書物を見ていただければおわかりになると思います。  しかし、今日までできなかったというのは、それぞれの職種の方が、自分たちの判断は国民のためにこれがいいとおっしゃっている。皆さんそれぞれ意見は違うのだけれども、それぞれ国民のことを思っていることは事実なんです。それがなかなか調整ができない。ところが、従来、身分法というのは、どちらかというと、会の皆さん方の意見が一致したときには、つくっていこうということでやってこられたという歴史もありまして、私は、十年間も何もしてこなかったのではなくて、努力をしてきたけれども、意見がまとめられなかった。  PSW方々は、自分たちは本当はPSWで早くつくってください、昭和六十二年の精神保健法ができたときに、すぐつくってくださいと彼らはおっしゃった。しかし、ソーシャルワーカー福祉の方は一本になっているのに、医療の方が二本になるということはどんなことかな、余り褒められたことではないではないかといって、当時私が、それは両方一緒につくったらどうでしょうかといってPSW方々に御理解を求めて、そして彼らも理解をして、一緒にやりましょうと。そして、十年頑張ったのです、努力したのです。しかし、それでもできなかった。したがって、これ以上待ったのでは、精神障害者の先ほど言った社会復帰等おくれてしまうじゃないか、早く何とかしょうということで、そこへ今回踏み切らざるを得なくて、そしてつくってお願いをしているわけであります。  それで、今後もMSWについては何とかしてあげようということで努力をする。今先生がおっしゃったように、大臣もおっしゃっていますように、これは本当は一本化という方向がいいのでしょうけれども、今までの過去の歴史を見ると、そう簡単にはできない。しかし、まずMSW法案についてみんなで検討して、もちろん検討するときには、ソーシャルワーカー一本化という方向を向いて建設的につくっておかないと、合わせるにも合わせられなくなってしまうということから、そっちがまず先になるけれども、まずはMSW身分法について御検討し、その中で、もしうまくみんなが意見を一致すれば、そのときに場合によっては全部一緒になるということにもなるかもしれませんけれども、今の段階では、全部一本化ということでいったら何年先にまとまるのかという、とてもとても予測もつかないというような状況下を全体を判断して、大臣もお答えになったようなことだと私は思っております。
  38. 山本孝史

    山本(孝)委員 私、何もやってこなかったと言っているのは、社会福祉士制度はつくったけれども、その後十年間にわたって、じゃどのぐらい人がふえたのですか、どのぐらい社会福祉士社会の中で認識されてきたのですかという点については、極めておぼつかない点がありますね。そこのところは、生み出したけれども、本当はそこにもつと力を入れて、最初はボタンのかけ違いでこうなってしまっているわけだけれども、そこにもつと力を入れてくれば、もっと違う形の解決策もあったのじゃないでしょうかねということを申し上げているのです。  各団体意見を一致させようということで努力してこられたのは知っています。そこも見ております。今回極めて前向きの姿勢で一本化に取り組もうということもおっしゃっていただいているのもわかります。平成十二年度から介護保険が今の予定では導入されるという法案が出ていますよ。保健福祉医療分野が一体化されるということになりますよ。それをもう領域を超えて1最初に申し上げた、医療が常に壁になってきましたと。しかし、そこを超えていく、そういう社会福祉資格というものを考えていく時期に来ているのではありませんか。その中で今回こういう法律がつくられるわけだけれども、ぜひ近い将来早急に検討して、決めていっていただきたいというお願いをしておきます。  いろいろ聞かなければいけない点がありますので、できるだけ淡々とお答えをいただければと思いますが、法案の内容について、精神保健福祉士業務の役割ですけれども、業務を行う場所ですけれども、小規模作業所を含みますか、あるいは老健施設を含みますか。
  39. 篠崎英夫

    篠崎説明員 小規模作業所につきましては、その実態あるいは具体的な実務経験に相当する業務なのかどうか、まだ明確でないところがたくさんございます。そこで、現在その関係審議会で、小規模作業所の位置づけなどについても議論しておりますけれども、その結果を踏まえて、この問題については今後検討させていただきたいというふうに思っております。  老人保健施設につきましては、例えば老人性痴呆の者が老人保健施設を利用するような場合でございますけれども、原則としては病状が安定している場合が多いということを考えまして、現在のところ、「精神病院その他の医療施設」の対象とは想定はしておりません。
  40. 山本孝史

    山本(孝)委員 小規模作業所は頑張っておられるところもたくさんありますので、社会復帰施設として法定はされていませんけれども、その中における指導員としての実務の経験の重視というところをぜひ御検討いただいた方がよろしいかというふうに思います。  それから、今診療報酬上は精神ソーシャルワーカーという書き方がしてあるのですね。今回は精神保健福祉士という制度ができるわけで、精神ソーシャルワーカー精神保健福祉士というのが診療報酬上両方あるというか、医療現場二つあるというような形にもなるわけですけれども、ここの点をどういうふうに解消されるのかという点が一つ。  それから、恐らく方向として今病院に六千人ぐらい今回の新しくつくられる精神保健福祉士を配置したいというお考えなんですね。そこは病院から外へ、できるだけ院外職にしたいというお考えなんでしょうけれども、病院の中におけるデイケア、あるいは病院をベースにしての訪問看護、あるいは退院後の援助指導といったものを全部病院をベースにして行う。すなわち診療報酬を財源としていろいろな活動を行っていくということについては、今の健保財政の逼迫の度合い、あるいはそこへたくさん人を入れていくという方向はいいのですけれども、それをやることにおける財政的な負担というものはいかにして確保していけるのかというところが若干心配になります。この点について、この精神保健福祉士の活動を裏づける財源をどういうふうにお考えになっているのか、お聞かせをいただきます。
  41. 篠崎英夫

    篠崎説明員 まず、精神障害者社会復帰施設福祉の方の社会復帰施設等についてでございますが、それにつきましては事業の運営費の中で対応しておりますが、今後も障害者プランに沿ってその必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えております。  また、精神病院等の医療機関で活動する精神保健福祉士につきましては、その精神障害者の退院の促進における業務の重要性にかんがみまして、現在は精神ソーシャルワーカーとなっておりますが、精神保健福祉士ということにつきましては、将来的には診療報酬上の位置づけがなされることを期待しているという状況でございます。
  42. 山本孝史

    山本(孝)委員 精神保健福祉士という資格を取って病院に勤めてこられる方は、それは診療報酬上の精神ソーシャルワーカーというふうにみなすという理解なんでしょうか。
  43. 篠崎英夫

    篠崎説明員 現在でも精神ソーシャルワーカーという言葉が残っておりますが、それに該当するということになろうと思います。
  44. 山本孝史

    山本(孝)委員 運営費で見ていくということですけれども、運営費の方も、構造改革という中で、財政構造改革法案が通ってばんと社会保障関係費は頭切りをされている中で、先般の大臣の御答弁は、障害者プランについてはほかの予算よりも確保していくのだ、確保していただいているという御説明でしたけれども、社会福祉の領域はどうしても人にかかわる部分ですから、マンパワー確保イコール人件費、ここはどうしてもないと、せっかく資格を与えても働き先がないという形にもなりますので、新しい制度をおつくりになるということは当然財源的な確保をするということが前提でないとやっておられることに整合性がないというふうに思いますので、この精神保健福祉士が十分に活動できる財源を確保するのだという御決意を、大臣、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
  45. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 それぞれ厳しい財政状況の中でどのように重点化、効率化を図っていくかということでありますので、その点も含めて今鋭意努力しているということを御理解いただきたいと思います。
  46. 山本孝史

    山本(孝)委員 今回の精神保健福祉士については、必置制は考えないというふうにお答えをいただいております。社会福祉士審議の折も同じような議論がありまして、必置制にはしないということになりました。  その当時、社会福祉士資格を取れば役に立つことはないというふうな厚生省の答弁もございました。社会福祉士を取ったら何かメリットがありますかといえば、いや、これは身分法ですので特段メリットはありませんというのが当時の議事録に残っております。  そういう形になりますと、資格を取ろうという人が決してふえてこないのじゃないかというふうに思うのですね。社会福祉士とか精神保健福祉士資格取得者がふえるように、またそれらの資格取得者が優先的に採用されるように何らかのインセンティブというか、仕掛けが必要じゃないかというふうに思うのですが、この点はいかがでしょうか。
  47. 篠崎英夫

    篠崎説明員 まず、必置としないという御質問のところからお話をさせていただきますが、精神病院あるいは社会復帰施設保健所などに精神保健福祉士を配置することは私ども望ましいことと考えておりますが、現在資格を持たない精神ソーシャルワーカーがこれらの施設において業務を行うことを排除することにつながりかねないことから、必置ということをしていないわけでございます。  しかしながら、これらの施設で働く精神ソーシャルワーカーの質の確保の重要性にかんがみますと、今後これらの今申し上げました施設において既に働いているソーシャルワーカーの方が資格取得することになるというようなこととか、あるいは施設で新たに採用を行う際には積極的に精神保健福祉士を採用する、そういうようになることを期待をいたしておるわけでございます。  それから、先ほども質問がちょっとございましたけれども、医療機関の場合でございますが、精神保健福祉士に対する特別な診療報酬上の手当ては現在のところは考えておりませんけれども、将来的には診療報酬においてどのように評価すべきかを今後中医協などにおいて検討されるものというふうに期待をいたしております。
  48. 山本孝史

    山本(孝)委員 担当者としては期待をしたいところですけれども、期待だけしていますと社会福祉士と同じ状況になりますので、期待はやはり何か施策的な裏づけをぜひしていただきたいというふうに思います。  臨床心理技術士資格化については、先ほど来の答弁で、今後とも検討していくという形の御答弁しか今多分ないのだというふうに思います。  もう一点、恐れ入ります。今回の精神保健福祉士の指定登録機関あるいは指定試験機関についてどのようなものを想定されておられるのか。これは党内でもいろいろ議論がありまして、新しい資格制度をつくることで仕事をふやすと、私はそうは思いませんけれども、官僚の天下り先がふえるだけじゃないかとかと言う人もおられます。あるいは一番私が気にしておりますのは、関係団体が試験の実施団体ということになりますと、試験の中立性に対して極めて疑いを持たれてしまうというふうに思いますので、何といいますか、公正な試験のできる機関をこの指定試験機関というふうに定めるべきだと思います。どんなものを想定しておられるのか、お聞かせをいただきます。
  49. 篠崎英夫

    篠崎説明員 まずは行政改革の観点からも、精神保健福祉士に係る指定登録機関、指定試験機関につきましては新たな公益法人を創設することは考えておりません。既存の公益法人を活用することを考えております。  具体的にどういう法人か、指定することについて考えがあるかということでございますが、試験事務あるいは登録事務の実施に関する計画が、試験事務または登録の適正かつ確実な実施のためにちゃんとやれるかどうか、それからその事務を行うに当たって経理的あるいは技術的な基盤がちゃんとしているかどうか、それからまた先生が御指摘のように、もちろん公正さがきちっと保たれるかどうか、そういうような観点から既存の公益法人一つ二つを具体的に考えて今検討しておるところでございます。
  50. 山本孝史

    山本(孝)委員 一つ二つというと一つしかないのだから、検討しているのは一つしかない。どこですか、その検討されておられるのは。
  51. 篠崎英夫

    篠崎説明員 先ほど申し上げましたように、既存の公益法人の中で今申し上げましたような基準を満たすものというのは複数あると思っております。それで、この法案成立いたしますれば、より具体的にお話し合いができますけれども、まだその段階ではございませんので、内々は幾つか当たっておりますが、まだイエスという返事をいただいておるわけでもございませんので、どこですかというその具体的な名前については今は差し控えさせていただければと思います。
  52. 山本孝史

    山本(孝)委員 私が申し上げた、公正な試験が行われていると外から見てわかるような団体で試験を行うべきだ、関係団体でやるべきではない。あえて言うと怒られますけれども、病院団体でやるとか、あるいは患者さんの団体でやるとかというふうな形ではなくて、独立した第三者的な機関でおやりになりますか。そこの点の確認をお願いします。
  53. 篠崎英夫

    篠崎説明員 御指摘の点も踏まえまして、今後検討させていただきます。
  54. 山本孝史

    山本(孝)委員 歯切れ悪いですね。そういうのは考えているとしか思えないので、私、割としつこい人間ですから、政省令のつくられ方も今後の運用の仕方もずっと拝見させていただきますので、申し上げているように、公正な試験が行われるであろうというか、行われるという保証のできる指定機関、今だって、社会福祉士の試験を専門に行っている財団法人社会福祉振興・試験センターというような機関もあるわけですから、既存の団体の活用をどうぞおやりいただきたいというふうに思います。  先へ急ぎます。  今回の精神保健福祉士法案の皆さん方の一つの売りは、医師指示ではなく指導業務を行うという、この指導という概念を持ち込んできたというか、見つけてきたというところが皆さんの一つの売りであろうというふうに思います。指導ということで、医師との関係がどうなるのか。逆の言葉で言えば、資格を与えられる精神保健福祉士が、医師とどの程度独立しているのか、あるいは専門性がどの程度担保されるのかというところが一番の問題であろうというふうに思います。  御質問をさせていただきましたら、なぜ指示とはしなかったかという点についてのお答えの中に、業務には、医師とは専門性が異なることから、具体的な業務内容まで拘束されるものではないため医師指示とはしなかったということで、業務専門性あるいは職種専門性というものをうたっておられるわけですけれども、この指導という概念と、今申し上げているように、それは一種、医師を頂点とするピラミッドの中の保助看法的な、下に来るのではなくて、チーム医療という概念をきっちりと踏まえた上の並列的な資格一つであるというふうに位置づけておられるのか、そこの確認をさせていただきたいと思います。
  55. 篠崎英夫

    篠崎説明員 お答えいたします。  ちょっと長くなりますが、前段の方も申し上げさせていただきますと、法令上、指導とは、合理的な理由がある場合、相手方はこれを尊重する必要があるけれども、指示のように、必ずこれに従わなければならないと拘束するものではなく、相手方に採否の選択を許すという意味を有するものでございます。  社会復帰途上精神障害者については、精神症状が安定していないため、個々の精神障害者精神疾患状態や、あるいは治療計画などについても十分に把握した上で相談援助を行うことが必要でありますことから、その業務を行うに当たって、精神障害者に主治医があるときは、その精神疾患状態などについてのアドバイスを受けなければならないものとしたものでございまして、このことを主治医の指導というふうに規定したものでございます。  主治医の指導を踏まえ、精神保健福祉士がどのような相談援助業務を行うか、ここにつきましては精神保健福祉士専門性の範疇でございまして、具体的な業務内容についてまで医師に拘束されるものではない、こういう見解でございます。
  56. 山本孝史

    山本(孝)委員 また新しい言葉が出てきました。アドバイスというふうにおっしゃって、厚生省からの御説明を聞いている中でアドバイスという言葉を私聞いたことがないので、今初めてお聞きをしましたけれども、今の篠崎さんの御説明を繰り返せば、精神保健福祉士が自分で判断をして、これは医師アドバイスを受けなければいけないと思えばアドバイスを受ける、アドバイスを受けないでいいと思えば自分で業務ができるという理解でよろしいのでしょうか。
  57. 篠崎英夫

    篠崎説明員 それは違いまして、主治医がいる場合には必ず指導を仰ぐ。主治医がおられない場合もあるわけです。精神障害者で、回復途上にある、あるいは寛解状態にある、この場合は関係ありません。ただし、主治医があった場合には必ず指導を受けます。その指導の中身の中で、具体的にどういう相談援助をしたらいいか、こういうものについては精神保健福祉士専門性の範疇に入るということでございます。
  58. 山本孝史

    山本(孝)委員 ちょっと説明がはっきりしないので、違う質問をいたしますが、法律の三十二条の二項で、厚生大臣は、免許の取り消し、あるいは停止ができるということがありますけれども、法四十一条にあるところの医師指導を受けずに業務を行ったという場合は、この免許の取り消し、停止の対象になるのでしょうか。
  59. 篠崎英夫

    篠崎説明員 四十一条関係、そして三十二条二項のことでございますが、精神保健福祉士の登録の取り消し、停止につきましては、あくまで個々の事例の内容について判断することとなります。  例示で申し上げますと、例えば、精神障害者に主治医がいるにもかかわらず、その指導を受けずにその方が業務を行って、効果的な相談援助が行われず、結果として患者さんの症状の悪化を引き起こす可能性、そういうものもあるわけでございます。そういうような場合には、これも、もっと言えば、そこで大きな問題になったというようなことだろうと思いますけれども、このような場合には、精神保健福祉士の信用を失墜させることとなるわけでございますので、精神保健福祉士資格の信頼性を保障するため、精神保健福祉士の登録を取り消し、または期間を定めて名称の使用の停止を命ずることができる、このようにしたわけでございます。     〔委員長退席、佐藤(剛)委員長代理着席〕
  60. 山本孝史

    山本(孝)委員 きのうの御説明でも、精神病の患者さんには必ず主治医がいるはずだ、ただ、長く病院を離れておられる方には主治医がどなたかわからないこともあり得るだろうという御説明だったのですね。でも、その説明を聞いておりますと、病人なんだから必ず主治医をつけなさいという話が前提にあって、それで何らかの、症状が寛解したりもするわけで、あるいは急激に悪くなったりもする、そういう状況が起き得るのだから、ちゃんとした主治医の指導を受けなさいよという御説明だろうと思うのです。  その指導を受ける範囲、受診の援助、あるいは入院、退院の援助、療養上の世話、あるいは社会訓練、いろいろな業務精神保健福祉士としてやるわけですけれども、せっかく、私への回答の中で、具体的な業務内容まで拘束されるものではないんだということから指導にしたんだというふうにおっしゃっている部分と、実際にどの程度医師指導あるいは指示に近いものを受けなければいけないのかという点、もう一度きっちりした御説明をいただきたいと思います。
  61. 篠崎英夫

    篠崎説明員 先ほど申し上げましたように、主治医のいた場合には、その主治医の指導があって、指導を受けて行う専門性の範疇に属するものが相談援助でございます。したがって、その相談援助の中身をどうこうするということは精神保健福祉士の範疇でございます。  しかし、その前提となるのは患者さんでございますから、その患者さんの精神状態、つまり、ちょっと具体的になりますれば、例えば、この患者さんにはどういう妄想があるとか、あるいは幻聴があるとか、こういう妄想や幻聴があった場合には、社会復帰を行う上でこういうところは注意しなければいけないとか、そういうようなものは主治医の指導になるわけでございます。それを受けて、それではどういう職場がいいのか。例えば、社会復帰の場でもいろいろなものがありますでしょうし、まずは外への復帰が難しいという判断もあるかもしれません。あるいは、外の社会復帰施設の中でも、クリーニング工場がいいのか、その他の工場がいいのか、そういうものは精神保健福祉士相談援助専門性の範疇に入るということでございます。
  62. 山本孝史

    山本(孝)委員 医療領域で働くソーシャルワーカーさんの位置づけ、あるいは資格の問題で常にもめてきたのは、結局、この医師指導指示という中でですね。  今回も、看護協会等の方たちが、療養所の世話というのは看護婦が保助看法の中でやっていることであって、したがって、医師指示に基づいてやっています、同じようなお仕事医師指導、すなわち指示でない形で精神保健福祉士の方がおやりになるということは、領域がダブりますので困りますという御反対があって、柏木さんと大谷さんの対談が雑誌に載っておりましたけれども、そこでは、やはり最後まで看護協会からの反対があってここはなかなかまとまりにくかったんだ、しかし、今回この指導という概念を御理解いただいて、一種すみ分けができたんですという対談が載っているわけですね。  この概念を援用してくると、医療における、いわゆる今後問題になるであろう医療ソーシャルワーカーの扱いについても、同じように指導という形で仕切るということも一つ考え方としては出てくるだろうというふうに思うわけですけれども、その点についてはどういうふうにお考えでいらっしゃいますか。小林局長
  63. 小林秀資

    小林政府委員 従来考えていましたMSW業務というのは、医師指示という概念でまず従来は整理をしておりました。全部の業務指示が絡むということではないのですけれども、指示の絡むものが業務の中にあるという判断をいたしておりまして、従来はそうしておったところですが、今般、この新しい法案では指示から指導に変わったということでございます。  それで、問題はMSW業務という考え方で、業務をもう少し整理し直せば、逆に言うとその指導が外れるではないかという考え方もあるし、いやそうじゃないんだ、同じ医療施設の中でみんなで一緒に働くのだから、そういうふうに細かく切るのではなくて、包括的に指導という形でやるべきだという御議論もあるし、それは意見が分かれるところなんですね。だから、そこは今後議論を深めていかないと、今の段階でどちらがいいとかということにはならないと思っております。
  64. 山本孝史

    山本(孝)委員 小林局長、そうすると、重ねてのお尋ねなんですけれども、平成元年に医療ソーシャルワーカー業務指針というのが出ていますね。医療ソーシャルワーカーはこういう仕事をするのですということをお決めになっている。今回、この精神保健福祉士医師指導でいろいろな業務医療の領域で行うという形で整理をしたということになりますと、この業務指針の中では、受診・受療援助については医師指示を受けるけれどもそれ以外については受けない、医師指示関係にあるのは受診と受療援助に限定されているというふうに読んでおりますけれども、そうすると、この点をどういうふうにするのか。  すなわち、医療ソーシャルワーカー業務指針を、今回の法律が通ることによって、どういうふうに取り扱いをしていくのか。改定をするのか。その中において医師指示関係が限定されているこの受診・受療援助という部分についての記述をどういうふうにしていくのか。そこのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  65. 小林秀資

    小林政府委員 この医療ソーシャルワーカー業務指針については、法案成立後速やかに行おうとしています医療ソーシャルワーカー資格あり方の中で、これにあわせて検討してまいりたいと思います。
  66. 山本孝史

    山本(孝)委員 業務指針という形で、局長通達でしたかで出ていますね。これは法律ではありませんけれども、現場サイドではやはりこの業務指針に基づいて運営されている部分があるわけで、今回、法律一つこういう形で出ますと、やはり影響がある、改定するというお考えのようであります。  今後、医療ソーシャルワーカーあり方について検討する中で、当然改定が必要であるという認識をさっき示されたわけで、その中で、医師指示関係というものについても当然見直しをしなければいけなくなるだろうということで、早急に改定されるのですねと。すなわち、現場ではこれが生きていますので、皆さんもこれは生きているという認識だと思うのですけれども、そこのところを。
  67. 小林秀資

    小林政府委員 まず、この業務指針というのは厚生省の公式の通知ではなくて、検討会の報告書を全国に見ていただいて、実態上は、今皆さんこれを使っていただいておるというのが事実でございます。これについては当然業務指針も見直すということでございます。
  68. 山本孝史

    山本(孝)委員 いずれ、この精神保健福祉士資格化検討する中で、医療ソーシャルワーカーについては検討の場を設けて協議をしていきますという形で各団体とのお話し合いもついているというふうには聞いているのですけれども、現場サイドで、申し上げているように、今回この医師指導という形が新しい概念として盛り込まれたというか、出てきたことによって、一つの突破口になるのかなと私は思っているのですけれども、そこのところ、しっかりとした仕切りをひとつ考えていただきたいというふうに思います。  医療ソーシャルワーカーの御担当が小林保健医療局長で、社会福祉士の御担当が炭谷社会・援護局長で、今回の精神保健福祉士法の担当が篠崎害保健福祉部長で、それぞれお三方にお聞きをしてみたいというふうに思っておりますが、三人ともにそれぞれ今回の法律の作成で御苦労されてこられた部分があろうというふうに思うのですけれども、医療ソーシャルワーカーの、今何回もお聞きしていますあり方医療ソーシャルワーカーという言い方、私余り適当ではないと思うのです。医療領域におけるソーシャルワーカー資格あり方というものをどう考えていくのか、どういうふうにしたいと思っているのか、篠崎さん、炭谷さん、小林局長という順番でお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  69. 篠崎英夫

    篠崎説明員 医療ソーシャルワーカー資格制度あり方については、法案成立後、速やかに検討を開始したいと考えております。  また、医療ソーシャルワーカー資格あり方検討に当たっては、福祉関係職種とするかあるいは医療関係職種と位置づけるかなど、その性格をめぐって関係者の間にもさまざまな意見がありまして、いろいろと難しい問題が残されております。また、医師との関係を整理することも大変重要なことだというふうに考えております。
  70. 炭谷茂

    ○炭谷政府委員 私も、ただいま障害保健部長のお答えと同じ考えでございますが、ただ、一つつけ加えさせていただきますならば、私どもの所管いたしております社会福祉法人の第二種社会福祉事業という中に無料・低額医療事業というのがございます。その中で医療ソーシャルワーカーさん、大変活躍されている。例えば、先日ある社会福祉法人にお伺いしましたところ、六人の医療ソーシャルワーカーを置いて、そして年間六千件の相談を受けているという大変活発な事例をお聞きしまして、大変感銘を受けました。ですから、これからも社会福祉法人においてこのような活躍というのは期待されるところではないのかなというふうに考えております。
  71. 小林秀資

    小林政府委員 お答えいたします。  篠崎害保健福祉部長の答弁したとおりでございますが、ただ、ちょっと一点つけ加えますと、御議論の中で、医療職種とするか福祉職種とするかという概念が、働いていらっしゃる皆さん方にもある、厚生省の中にも若干あると思います。そういう概念をできるだけ早く取っ払って、余り医療福祉だということでなくて、うまくいくようにできるだけしていきたい、こんなふうに思っております。
  72. 山本孝史

    山本(孝)委員 今の順番でお聞きしたのは、小林局長に先に聞くと後の人が答弁しにくいかなというふうに思いまして、それぞれの領域でそれぞれにお取り組みをしていただいている部分がある、いわば厚生省全体としてお取り組みになるのでしょうけれども、それぞれなりの味のある御答弁であったかなというふうに思います。  最後に小林局長おっしゃったように、この間大臣も、困難性を言うのではなくて、可能性に向かってとにかく頑張って前向きにいきましょうということでしたので、医療職福祉職というようなことではなくというふうにもおっしゃいましたし、炭谷社会・援護局長も、社会福祉士としての活動の中で、医療におけるソーシャルワーカーも非常に活躍しているのだ、だからそこを拡充したいのだというお話をされて、どちらも今のお考えの中では整合性がとれておるというふうにも思いますけれども、ぜひ、何回も言っているように、省の壁あるいは局の壁、もっと激しくいけば、課の間に大きな壁がありますので、そこのところを乗り越えて、厚生省全体として取り組みをしていただきたいというふうに思います。  それで、ここは何回も皆さんがお聞きになっているところで、検討していくというお答えしか出てこないのかもしれませんが、炭谷社会・援護局長社会福祉士の実務指定施設ですね、実務経験を認める指定施設の中に医療機関をぜひ入れるべきだということで、検討していきますというお答えしかありませんが、検討していきますという以上に、一週間たったきょうの時点で、さらにおつけ加えになるお言葉があるのであれば御答弁をいただきたいと思います。     〔佐藤(剛)委員長代理退席、委員長着席〕
  73. 炭谷茂

    ○炭谷政府委員 検討よりちょっと前向きなお答えになろうかと思いますけれども、厚生省としては、社会福祉士受験資格として認められる実務経験として、医療施設における相談援助業務を追加することにより、これらの方々社会福祉士資格を容易に取得できるようにする方向考えていきたいと思っております。
  74. 山本孝史

    山本(孝)委員 検討から方向でというお言葉一つ入って、これで前向きなのかどうかというのは非常に判断に苦しみますけれども。やっておられる業務の内容を見れば、非常に頑張っておられますし、ここはソーシャルワーカーとしての活動をしっかりやっておられますので、ここをぜひ認めるべきだというふうに思います。  カリキュラム検討委員になっておられる牧野田恵美子さんが「社会福祉」で、実習を通じて将来の道を明確にする学生が多い中で、医療機関への実習生の減少が目立っていますというふうにおっしゃっておられる。その背景として、医療機関社会福祉士受験資格の指定施設になっていないから、医療機関での実習を希望する学生が減っているのだというふうにおっしゃっているのですね。反面、医療機関への就職を考えている者は、社会福祉士資格としては成らないわけですから、社会福祉士資格を取らずに医療機関で実習するのだという形がふえてくる。医療機関が指定施設となっていないがために、そこで実習をしても社会福祉士として認められないのであれば、社会福祉士を取る必要はないじゃないかという話になってしまうし、したがって、医療機関での実習をする人も減ってくるのだという話になる。  でも、今回、精神保健福祉士医療機関にたくさん投入しようとしておられるのは、明らかに、そこに新しい、医療の目じゃない、福祉の目で見る専門職を入れることによって開かれた医療にしていこう、医療の質を上げていこうというお考えがあることは明白なので、そこは大いに評価するところなので、したがって、医療機関での実習あるいは医療機関で働くという人をふやしていくためにも、医療機関社会福祉士実務経験施設とするのが、方向じゃなくて、当然そうすべきだというふうに思います。もう一遍御答弁をお願いします。
  75. 炭谷茂

    ○炭谷政府委員 基本的に先生のおっしゃるとおりの方向で、医療施設における相談援助業務というものを実務経験として算定するということで考えるべきだということで検討させていただきます。
  76. 山本孝史

    山本(孝)委員 今の速記録がどういう形で出てくるのか知りませんけれども、きっちりその方向でやっていただきたいというふうに思います。  さて、それで問題は、まあ私いつも日赤病院に行っているのですが、日赤病院社会医療事業室というような形で私の病院は置いておられますけれども、あるいは相談室の、今、実際の病院での設置状況はどうなんですか、どういうふうな、どういうぐらいの方たちが働いておられるのですかというふうに思ったわけです。  それで、官房の統計情報部で医療施設調査・病院報告という、こういう年次の調査をしておられます。その中で、いわゆる医療ソーシャルワーカーあるいは精神ソーシャルワーカーという方たちは、医療社会事業従事者という表現でくくられております。これは、家族や患者に対して、疾病の治療等の妨げとなる経済的、精神的な諸問題等について相談指導を担当する者の実人員を計上していますという形で、今言ったような人たちを、資格をつくられておる。  きのうずっと数字を見ながら、なるほどおもしろい現象になっているんだなということがよくわかりました。  この統計上で、医療社会事業従事者というのは、平成七年の十月現在で六千三百人ほどおられます。この方たちがどこにおられるかというと、医療法人に多くおられるのですけれども、精神病院――クロス集計がされていまして、設置者、厚生省設置の国立病院から大学病院まで、こっち側に精神病院か一般病院かの区別、それで、どこにおられるか、一般病院の中でも、精神病棟を持っている施設持っていない施設でずっと小計がしてあるのですね。  これで見て思ったのは、厚生省所管の病院は二百四十四あります。そこで医療社会事業従事者は百五十一人、病院の数より少ないのですね。日赤は、病院が九十七で、医療社会事業従事者は百七十三人おられます。都道府県も、三百八病院があって、五百十八医療社会事業従事者がおられる。厚生省は、厚生省所管の精神病院が三つあるかと思いますが、その中で、医療社会事業従事者というのは二人になっているのですね。すなわち、病院の数よりも、この統計上あらわれてくる数は少ないのです。  私の友人も、国立療養所で心理の仕事というか、判定士の仕事をしておりまして、身分上は雑役夫と同じだと言っていました。国家公務員の定員制があるものですから、結局、やめてもらわないとだれかが入れない。どこにしわ寄せが来ているかというと、精神障害者の実際のケースワークをやっておられる方のところにしわ寄せが来て、そこが結局ふえない。  だから、これは統計上も出てくるように、精神病院三で医療社会事業従事者二、厚生省所管の病院二百四十四で医療社会事業従事者百五十一という数字。病院における、医療現場におけるソーシャルワーカーの重要性を認識されて、精神保健福祉士という制度をつくろうということで、そこも認識されておられるお手本の厚生省の国立病院の中で、この精神ソーシャルワーカーあるいは医療におけるソーシャルワーカーの数が極めて少ない。日赤は、今申し上げたように二人おられる。恐らく済生会病院だと思いますけれども、精神病院病院と出てきて、医療社会事業従事者は六人おられる。  ベッド数の上で見ていっても、公益法人の病院でいけば、百三十七ベッドに対して一人、これは精神病院の話ですけれども、医療法人の精神病院考えても、百四十ベッドに一人ぐらいの割合でこの医療社会事業従事者、まあ精神ソーシャルワーカーと言っていいのでしょう、という方がおられるということになっている。じゃ、厚生省はというと、千三百ベッドほど持っておられて、お二人しかおられないという状況になっているわけですね。  ここは、極めてひどい状況じゃありませんかという部分、ここをやはりお手本をお示しになるべきではないでしょうか。もっと、精神科あるいは医療ソーシャルワーカーを、定員法があるといっても、国の病院の中にも置かれてしかるべきじゃないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  77. 小林秀資

    小林政府委員 国立病院で、先生のおただしのように、ソーシャルワーク関係の職員が大変少ないというのは事実でございまして、私も大変残念でございます。  ただ、一つには、国という公的なところですと、身分法がないということ自体が実は定数化をするということにとっても大変マイナスな要素になるということも事実であるということは御理解をいただきたいと思います。  逆に、私に言わせていただきますと、民間の精神病院が、従来、診療報酬のついていないときでも、患者さんのために、こういう職種方々を御採用になって御努力されたという民間病院が立派であるというのが私の感想でございます。国立病院ももっと今後頑張っていかなければいかぬと思っております。
  78. 山本孝史

    山本(孝)委員 今全国医療社会事業従事者六千三百二十一という数字を申し上げましたけれども、全国医療に従事しておられる方たちは百五十二万人ほどおられる。その中で、歯医者さんを入れてお医者さんが二十四万人。看護婦、看護士、准看等を入れて八十六万人おられるのですね。二十四万人のお医者さん、八十六万人の看護婦さんたち、六千人のPSWあるいはMSWと言われる人たち、これが全体的に見た割合なのですね。  精神病院で見た場合にどうなるかというと、精神病院にいるお医者さん、これは歯科医師を除いてお医者さんは約七千人おられる。七千人おられることに対して、医療社会事業従事者、今皆さんが力を入れてふやしていこうと思っておられる方たちは二千人なのですね。お医者さん七千人に対して、医療社会事業従事者は二千人というのが今の現状なのです。  これがアメリカではどうなるかというと、数字が逆転するのですね。アメリカで何が一番多いかというと看護婦さんが多い。その次に医療ソーシャルワーカーが多い。その次にお医者さんが来る。少なくとも、お医者さんの数よりは実際に患者さんと日々接しておられる社会事業従事者の方が多くないと、本当の精神科の医療あるいは精神障害者福祉というのは進まないのだというふうに思うのですね。この数字を見て唖然としたわけです。  その中で、国の力の入れ方が極めて悪いというふうにも思うわけです。ここは、五十ベッドあるいは百ベッドに一人ずつ入れていくのだというふうにおっしゃいました。今申し上げたように、民間病院で百五十ベッド前後に一人の割合でおられる。それで、何をしているのですかというふうに友達にも聞きましたら、ひどい場合には、未払いの入院費を取り立てに行く仕事まで私やらされていますというふうにおっしゃっておられて、医療ソーシャルワーカーあるいは精神ソーシャルワーカーという形の確立がおくれているがために、なかなか働きにくい状況があるのだと思います。  そういう意味で、資格を待っているのだというお答えでしたけれども、何はともあれ、やはり人数がふえないことにはどうしようもないというふうに思いますので、申し上げているように、財源確保等も含めてやっていただきたいというふうに思います。  社会福祉士資格ができて十年たちまして、さっき申し上げたように、何もしてこなかったではないかと。ちょっと言い過ぎだったかもしれませんけれども、介護というものが社会的な要請がある中で介護福祉士は随分ふえました。社会福祉士はほとんどふえない。そこはやはり考え直していただきたいというふうに思います。  それで一つは、社会福祉主事というものがあります。三科目主事というふうに言われています。三科目取れば社会福祉主事になれるという状況がありますけれども、ここを改善して、社会福祉主事イコール社会福祉士ぐらいのところまで上げていくべきではないかというふうに思いますけれども、社会・援護局長、御答弁をお願いします。
  79. 炭谷茂

    ○炭谷政府委員 社会福祉主事のいわゆる三科目主事につきましては、非常に専門性について不十分であるという指摘は以前からあるわけでございます。現在は、それについて社会福祉の専門科目を中心に上積みの研修をして対処をしているところでございます。  しかし、そもそも先生が御指摘されましたように、社会福祉主事、特に三科目主事の問題というのは存在するわけでございまして、今後の福祉事務所に必要とする専門性というものの関連で、今後見直す必要があるのではないかというふうに思っております。これは今後、中央社会福祉審議会という場で、こういう社会福祉の基礎的な問題について検討するというふうにしておりまして、きょうたまたま、午後から中央社会福祉審議会の分科会を開きまして、こういう問題も含めて検討させていただきたいというふうに思っております。
  80. 山本孝史

    山本(孝)委員 ぜひその方向検討していただきたいと思います。  もう一つ、三科目主事と同様に、つかさ職がいろいろありますけれども、児童福祉司については、社会福祉士を任用資格とする解釈通知が九六年秋に児童家庭局長から出ております。同様のことを、身体障害者福祉司あるいは老人福祉指導主事等についても、社会福祉士を任用資格とするのだという解釈通知をぜひお出しをいただきたいと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
  81. 炭谷茂

    ○炭谷政府委員 先生の御指摘されました身体障害者福祉司、老人福祉指導主事については、当然私どもの認識としては社会福祉士が任用資格であるというふうにこれまで取り扱ってきたところでございます。  ただ、先生御指摘されました児童福祉司について通達を出したというのは、一部の地方公共団体にこの趣旨が徹底しておらないというために、確認のために出したということでございまして、三つの、児童福祉司、身体障害者福祉司、いずれも社会福祉士になれば任用資格があるということは従来どおりやってきているところでございます。
  82. 山本孝史

    山本(孝)委員 戦略的に社会福祉領域の人材を養成して確保していくというためにも、社会福祉士というもののPRといいますか、もっと受けたい、受ければメリットがあるよというような形にぜひしていくべきだというふうに思うのですね。  若干気になっていますのが、社会福祉士の試験合格率が三〇%というふうに極めて低いです。勉強した上で受けて三〇%の合格率というのは、どういう状況なのかというふうに思います。試験の合格率は絶対評価で行っておられるのか、相対評価で行っておられるのか。一体、百点中何点とったら合格というふうにしておられるのかよくわかりません。試験問題をぜひ公開すべきだというふうに思いますが、この点はどうお考えなのか。  それから、この問題でお聞きしておりますと、合格の水準については大学における単位認定と同程度のレベルとなっておりますと。すなわち、大学を卒業すれば受かるはずだという御理解を示しておられるのですが、申し上げているような合格率。受験者のほとんどが合格する大学もあれば全く合格しない大学もあるという御答弁もいただきました。  合格率の大学問の格差、あるいは大学、専門学校間での格差の存在というものをどういうふうにお考えなのか、まとめて御答弁をいただきます。
  83. 炭谷茂

    ○炭谷政府委員 社会福祉士試験の合格率につきましては、現在、二五%から三〇%の範囲内で推移いたしておりまして、試験の合格率については、大学の場合は二三%、養成施設の場合は、反対に上がりまして、四八%という形になっております。  大学別の合格率は大きなばらつきがございます。これは大学によっては社会福祉士資格を取るということを主たる目的に科目編成をして、それに相当力を入れていらっしゃる。それに対して、また他の大学では、一般的な福祉知識を身につけるというような大学の学校の教育理念というものの差もあらわれているのじゃないのかなというふうにも考えております。  試験問題につきましては、現在既に公開の扱いにいたしております。
  84. 山本孝史

    山本(孝)委員 ごめんなさい。最後が聞き取れなかった。試験問題については……。
  85. 炭谷茂

    ○炭谷政府委員 失礼いたしました。公開いたしております。
  86. 山本孝史

    山本(孝)委員 大学といいますか、やはり養成所の方が、資格を取らせるということで養成しているわけだから、力を入れるということは前提にあるのだろうと思いますけれども、大学卒業程度の資格試験で合格率三〇%とか二五%と言われると、安易に資格を与えるということは問題だとは思いますけれども、できるだけ資格を取る人をふやしたいと思うのです。  ここは、もう少し、カリキュラムの組み方にも多分問題があるのだろうし、やはり社会福祉士というものがもっと魅力がある資格なのだということにならないと、勉強する方も身が入らないというふうにも思います。十年前の御答弁では、取ってもメリットはありませんよという御答弁でしたけれども、そこは戦略的な部分で何らかのものを考えるべきだというふうに思います。ぜひ御検討をいただきたいと思います。  きょうは文部省の医学教育課にも来ていただいていまして、きょうの答弁をずっと聞いていただいていると思います。チーム医療、チーム医療というふうに言われてきました。結局、医師というか医療職社会福祉士の参入を防いできたという形もあります。  一体、大学の中でチーム医療というものをどう教えておられて、医師は万能じゃないのですよ、医師はピラミッドの頂点じゃありませんよという部分をどう教えておられるのか。社会福祉士あるいは医療ソーシャルワーカーの活動というのをどういうふうに評価すべきなんだというふうに大学教育の中で教えておられるのか、そこを御説明をいただきたいと思います。きょう一日の質疑を聞いておられて、医療ソーシャルワーカーというのを文部省としてどう受けとめておられるのか、そこもお聞かせをいただきます。
  87. 木谷雅人

    ○木谷説明員 お答え申し上げます。  今日、福祉医療保健サービスは、これを支えるさまざまな職種方々連携協力によって総合的、一体的に提供することが求められている、チーム医療の重要性は今後ますます高まっていくというふうに認識をしております。したがいまして、医師を養成する医学教育におきましても、社会福祉分野知識及びソーシャルワーカーなど、さまざまな関係者との連携に関する教育を一層重視していかなければならないというふうに考えております。  現在、二十一世紀に向けた医学教育あり方を御検討いただいております文部省の二十一世紀医学・医療懇談会におきましても、こうした福祉医療保健に関する職種間の連携の強化を図るための大学医学部等における教育内容の改善を提唱した報告をいただいているところでございます。  各国立大学医学部におきましても、このような観点からさまざまに工夫しながら教育課程を編成しておりまして、例えば、医学概論とか公衆衛生学、医療社会学、福祉保健医学等々の科目におきまして、社会福祉知識及び福祉医療保健連携という内容を取り扱っております。また、学生に老人保健施設等の介護福祉現場での実習を行わせるというような形で、体験的な学習をさせるというケースも大変ふえてきておりまして、文部省としても、これをさらに推進していきたいというふうに考えております。  今後とも、先生の御指摘を体しまして、各大学において積極的に社会福祉に関する教育に取り組むよう、引き続き努力してまいりたいというふうに思っております。
  88. 山本孝史

    山本(孝)委員 六年教育を受けておられる、あるいは三年教育、四年教育教育年数の長さということではなくて、それぞれ行っておられる専門の領域が違いますという意味合いがあります。言ってみればお医者さんは、野球に例えれば、プレーイングマネジャーとしてそこにはおられるけれども、各選手はそれぞれに、選手それぞれの力を発揮してチームとしてやっているわけですから、全部が全部医師指示あるいは指導でなければいけないという話ではないんだろう。チーム医療という考え方が言われて久しいわけですけれども、なかなかそこが定着してこない。お医者さんの頭を切りかえる教育をぜひやっていただきたいというふうに思います。  言語聴覚士法議論になっております絶対欠格条項あるいは相対的欠格条項の問題ですけれども、医師法以下いろいろな医療各法の中で、いろいろな定められ方をしているわけですね。したがって、私どもも、障害者完全参加あるいは平等という観点から考えれば、こういうふうに絶対欠格条項を置くことで門前払いをしてしまう、欠格条項を置くことで門前払いをするというのはどうなのかなというふうにも思います。  医療の質をきっちりと担保するということも必要だからというのもわかります。そこの折り合いがつきづらいので、各法いろいろな形で書いてあるんだというふうには理解をしておりますけれども、ここはやはり総合的な見直しがどうしても必要であろうというふうに各党ともに意見が一致しまして、今回、委員長提案という形で附則に盛り込みをさせていただくことになりました。  いろいろ議論はあるわけですけれども、附則にも盛り込ませていただきますので、大臣としても、ここのところ、検討について積極的に取り組むんだという御姿勢をお示しをいただきたいというふうに思います。
  89. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 検討いたします。
  90. 山本孝史

    山本(孝)委員 それと、もう一つ言語聴覚士法の問題なんですけれども、法律の施行をいつから予定しておられて、いつ最初の試験を実施する予定にしておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。谷局長でしょうか。
  91. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 法律の施行につきましては、まだ、この成立後一年以内ということで考えておりますが、実際は、来年の夏ごろというようなことを予定をしております。そういうことを前提にいたしまして、第一回の試験というものをできれば来年中に行いたいというふうに考えております。
  92. 山本孝史

    山本(孝)委員 同じ質問篠崎部長、精神保健福祉士法の場合は、施行はいつで最初の試験はいつになりますか。
  93. 篠崎英夫

    篠崎説明員 施行につきましては、法案成立いたしますれば、幾つかありますけれども、早いものは来年の四月一日に施行の部分がございます。それから、試験につきましては、来年の秋以降というふうに考えております。
  94. 山本孝史

    山本(孝)委員 四月施行で、カリキュラム検討等ありましょう。養成機関でのカリキュラム構成等もありますし、受験生といいますか、希望者の募集というような現場の多分状況もあると思うんですね。そういう意味で、できるだけ早く準備をしていただかないといけないと思います。  その折に、繰り返しになりますけれども、きょう一日申し上げているように、細かなカリキュラムをつくっていくというのではなくて、将来の資格統合、あるいは社会福祉領域における人材に求められているカリキュラムは何なんだ、教育内容は何なんだというところをもう一度踏まえて、十分にそこを踏まえた上でカリキュラム構成等をしていただきたいというふうに御要望申し上げておきます。もう一度お願いをいたします。
  95. 篠崎英夫

    篠崎説明員 現在、カリキュラムにつきましては、先ほど申し上げましたように、学識経験者による検討会を続けているところでございますので、御指摘の点も踏まえて、今後準備を進めたいと思っております。
  96. 山本孝史

    山本(孝)委員 最後に大臣にお願いでございますけれども、冒頭申し上げましたように、病院中心の処遇がずっとなされてきた、それを変えていかなければいけない、院外での処遇にしていかなければいけないということで、関係者の努力がずっと続いてきました。  実際には、社会全体の理解がなかなか進まない中で、病院の中に閉じ込められたまま、病院から退院して、特別養護老人ホームに行って、死亡退院という方たちも少なくないというふうにも聞きます。実際に、数の上ではいろいろな数字が出ていますけれども、十万人程度の方たちが、社会で生活ができるにもかかわらず病院の中に閉じ込められているという状況は変えなければいけないというふうに思います。  あわせて、看護婦さんの来手がなかなかないという状況も理解をしています。この数字を見ていましても、いわゆる看護士あるいは準看護士といいましょうか、男性の方たちが働いておられる部分の半分ぐらいの方たちが精神病院で働いておられるんですね。なかなか人材確保が難しいんだろうというふうに思います。  そういう意味でも、今回の精神保健福祉士、いろいろ議論がありますけれども、ここを一つの突破口にして、社会福祉資格全体が見直されて、社会福祉人材の養成確保に大きく取り組むきっかけになって、同時に精神障害者福祉医療改善されていくというきっかけになれば、今回の、いろいろ、この十年来の議論も無意味ではなかったのではないかというふうにも思いますので、そこをひとつしっかりお取り組みをいただくようお願いを申し上げて、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  97. 金子一義

    金子委員長 以上で山本孝史君の質疑は終了いたしました。  次に、石毛鍈子さん。
  98. 石毛えい子

    ○石毛委員 民主党の石毛でございます。  私は、まず精神保健福祉士法の第二条に関係しまして、今後、精神保健福祉士をどのような方向でふやしていくのかということを中心にお伺いしたいと思います。  私は、この厚生委員会で何度か、問題になっておりました大和川病院で起こりました事件について質問をしてまいりました。そうした経緯もございまして、精神病院あり方、また、精神病院入院されていらっしゃる患者さんがどのように社会復帰を、社会復帰という表現もこういう表現でいいのかどうかということもあると私は思っておりますけれども、そういう方向に向けて機能するのかということについて大きな関心を持ってまいりました。  そして、今回の精神保健福祉士法案を見ますと、この第二条に、精神保健福祉士業務は、社会復帰に関する相談、助言、指導日常生活適応のために必要な訓練その他の援助とございますけれども、その業務を利用する患者さんは、現に社会復帰施設を利用している方とあわせて、精神病院その他の医療施設において精神障害者医療を受療している方ということになっております。ですから、この相談その他の援助を利用する方は、現に病院にいらっしゃる方、そしてまた地域にいらっしゃる方というふうになるわけですけれども、以前に所管から説明を伺いましたところ、精神保健福祉士は約一万人必要だというふうな御説明を事務当局から拝見した記憶がございます。ペーパーもいただきました。  そこで、障害者プランなどをひもといてみまして、具体的には九六年版の厚生白書で、地域生活支援事業、援護寮、福祉ホーム等々さまざまな施策が載っております。箇所づけの目標数も載っております。それから精神保健福祉センターに配置するということもございますでしょうし、保健所で精神保健福祉士の方が仕事をするということもありますでしょうし、それから現に精神障害者の方の作業所にも、実態的にこの業務に携わっている方はかなりいらっしゃるというふうに受けとめますと、おおよそ三千人ぐらいは地域を活動の場とするというふうに見てよろしいのでしょうか。そのこともひとつお伺いしたいと思います。  一方、九六年度版の厚生白書では、これは人数がちょっと所管から御説明いただいた人数と違っているのですけれども、厚生白書の方には、精神病院入院患者さんは三十二万人と記載されてございます。いただきました資料は三十四万人となっておりますけれども、厚生白書の方の説明では、「三十二万人のうち数万人は地域の保健福祉基盤が整えば社会復帰が可能」というふうに書かれているわけです。  そして、では、人数がどれぐらいになるかというと、三十二万人の入院患者さんを三十万人というふうに厚生白書には記載されてございます。三十二万人をとるか三十四万人をとるか、現状では三十四万人ということですと、厚生白書の記載のとおり、三十四万人を三十万人というふうに受けとめていいのかどうかということもございますけれども、私がここで強調させていただきたいのは、一万人にふやしていくという精神保健福祉士のうち、どれぐらいの方々医療施設仕事をなさるのであろうかということ、それから、その仕事の結果、将来的に入院患者さんをどれぐらいの人数というふうに見通されているのかということを質問をしたいと思います。
  99. 篠崎英夫

    篠崎説明員 精神保健福祉士の養成で、将来どのぐらいになるのかということのお尋ねの中身でございますが、医療機関考えておりまして、その医療機関におきましては、例えば一病棟五十人というふうに想定いたしますと、その病棟に将来は一人ぐらいのそうした精神保健福祉士の配置が必要ではないかということでございまして、若干数字が三十万か三十一万かというところ、あるいはちょっとぶれるところがありますが、それを割り算いたしまして、医療機関においては、病院を中心にして約六千二百人という数字をはじき出しました。  また、社会復帰施設におきましては、障害者プランが達成いたします平成十四年度で先ほど先生の御指摘社会復帰施設を約千施設考えておりますので、その施設に各一人ずつぐらいと考えますと約千人ということになります。  また、保健所、精神保健福祉センターなど、現在でも精神保健福祉相談員として活動されておる方がおられまして、この方たちも精神保健福祉士資格をお取りになると考えますと、現在の数からしても約二千三百人ぐらいということでございまして、これを合計いたしまして約一万人ぐらいというのを、これも私どもの最低限の目標として考えているというところでございます。
  100. 石毛えい子

    ○石毛委員 質問を申し上げました中で、現在三十四万人が入院患者さんだというふうにすれば、精神保健福祉士入院医療機関で活躍することによりまして、将来的にどれぐらいまで入院患者さんが減っていくのかという、その見通しはいかがでしょうかという質問でございますが。
  101. 篠崎英夫

    篠崎説明員 現在の障害者プランのずっと先のことはなかなか想定がしづらいですけれども、平成十四年度を一応目標として考えますれば、先ほどの、現在の我が国の入院患者さん三十数万人の中で入院期間が一年半以上の方が約七〇%以上おられますので、二十四万人ほどということになります。この中で、症状が重い方から軽い方までおられるわけでございますが、症状別に見ますと、服薬によって社会生活支障なく自立てきる寛解状態、これは精神科の特殊な言葉で、治癒まではいきませんけれども、ある条件のもとでは治っているのと同じ状態であるというのを寛解状態と申しますが、その寛解状態にある者は一一・七%ということでございますから、先ほどのおよそ二十四万人の一一・七%ということで約二万七千人、二万人から三万人ぐらいということを推計いたしております。  これが平成十四年度の、約千カ所の社会復帰施設ができて、そちらに入院患者さんが移った場合の数字でございますので、今より幾ら減るかと言われれば、あくまでもいろいろな諸条件が整った上での推計でございますけれども、二万人から三万人の患者さんの数は減るというふうに考えております。
  102. 石毛えい子

    ○石毛委員 これも厚生省の方からいただいた資料ですけれども、諸外国における精神病床数、人口一万対ということでございます。日本は二十九・一床、それに比べまして、記載されている国ですと、オーストラリアが五・八床、デンマーク七・三床、スペイン七・六床とございます。仮に八床としましても、八、三、二十四、三倍強の入院病床数になるわけですけれども、今部長が申されました退院患者さんが二ないし三万人ということでは、とても日本精神病床数を減らす、北欧、ヨーロッパ並みに減らしていくというところにはほど遠いかと思いますけれども、この辺はどのように理解したらよろしいのでしょうか。
  103. 篠崎英夫

    篠崎説明員 確かに、我が国の人口当たりの病床数は先進諸国の中で極めて高い水準にございます。それは、今までいろいろな歴史的な経緯もございまして、精神障害者が長らく医療的なケアの対象者として今まで位置づけられてきまして、社会復帰の努力が必ずしも十分ではなかったこと、あるいは、家族の介護能力や社会における受け入れ態勢づくりがおくれていたことなどによりましてこのような事態になっておるわけでございます。  先ほど申し上げましたように、今のようなことが背景にあるといたしますと、早急に、つまり、例えばイギリスなどでは万対、約日本の半分ぐらいの数字でございますが、そういうように急激に、体制の整備もせずにただ入院患者を減らすということはまたいろいろな問題も起こると思います。  したがって、現在精神病院入院されております長期入院患者さんの処遇をどうしたらいいかというものにつきまして検討会を設けております。そういう総合的な視点からの検討を踏まえて、将来の我が国の精神障害者入院患者数というものも考えられるのではないかと思っております。
  104. 石毛えい子

    ○石毛委員 先ほど篠崎部長からは、入院医療施設PSWの方の配置が一病棟五十人として一人ぐらいというふうにお伺いしました。私はこのことに関して専門ではございませんから、思いの部分が強いかとも思いますけれども、今部長が申されました長期入院患者さんのこれからのケアのあり方をどうするかというこの検討会と、検討会の結果を踏まえましてどういう職種の方がどのように連携を組んでかかわるかということも当然課題として出てくるだろうと思います。  そのときに、精神保健福祉士の方もやはり役割を果たすことになるだろうというふうに受けとめますと、五十人に一人というそれぐらいの実質的な配置ということではまだまだ足りないのではないかという思いもいたしますけれども、その点は  いかがでしょうか。  それから、時間の関係でもう一点だけ質問をしたいと思いますが、先ほど、どういう施設に何人というふうに挙げられた中に、精神障害者の方が今大変多く、自分たちで運営される部分も含めまして利用するようになっております作業所が挙げられておりませんでしたけれども、作業所にはこうした業務を果たす方を置くということは考えられないのでしょうか。
  105. 篠崎英夫

    篠崎説明員 先ほど申し上げましたように、もっと多く、特に精神病院に配置を考えたらどうか、あるいは、そういう方向考えたらどうかという御指摘でございますが、申し上げましたように、私どもは、一病棟五十人当たり一人ぐらいということで積算をしておりますのも、最低限の目標ということでございますから、事情が許せばそれ以上なってもらうことをむしろ期待をいたしておるところでございます。  それから、お尋ねの小規模作業所につきましては、法定施設ではございませんで、また小規模作業所につきましては、非常によくやっておられる大規模のものからそうでないものまでさまざまな形態は実際存在するわけでございますので、そういうものについての、精神保健福祉士の方をどういうようにカウントするのかということにつきましては、今後の検討課題というふうに考えております。
  106. 石毛えい子

    ○石毛委員 ぜひ、これからの方向患者さんにとってこの仕事が有効に作用するようにということを希望したいと思います。  言語聴覚士法案についてでございますけれども、質問通告をいたしました内容は附帯事項に触れられているようですので割愛させていただきまして、ただ一点、絶対的欠格条項、相対的欠格条項かかわりまして、最初欠格条項ありきではなく、その業務が求めている仕事が何らかのサポートがあれば可能であるなら、その方はサポートがついて業務を遂行するということができるわけですから、例えば目の見えない方には、見えない方をサポートするシステムがあれば業務が遂行できるという考え方、そのことをとるということが大事なんではないかということを申し上げさせていただきまして、具体的な質問については割愛させていただきます。  この機会に、精神病院大和川病院などとも共通する問題だと思いますので、知的障害者の方の入所施設であります白河育成園というそこで起こりました人権侵害の事件に関しまして質問をさせていただきたいと思います。  新聞で報道されておりますが、暴行や薬物投与など大変ひどい事件がこの入所施設で起こっているということに関しまして、厚生省はどのような見解を持ち、どのような対応をとられましたでしょうか。
  107. 田中泰弘

    ○田中(泰)政府委員 白河育成園での事件の要因等についてのお尋ねでございます。  人権侵害に絡みます今回の事件は、あってはならないことでございますし、極めて残念なことと受けとめております。  これまで、福島県、東京都からの報告を受けたところによりますと、その要因といたしましては、施設長やそれから一部職員でありますが、知的障害を持つ方々に対する理解が欠けていた、また、処遇の方法にも問題があったこと、これが主因であり、また、入所者のほとんどが東京都の出身者ということもあり、保護者と関係者の目が行き届きがたかった等が加わり、このような事態を招くことになったと考えております。  厚生省としましては、福島県と東京都に対しまして、いろいろ報告を受けた上、十一月の二十一日に通知を発出いたしまして引き続き実態把握に努めるとともに、退所希望者を含め、現に入所している方々の今後の処遇あり方、また、法人や施設の是正改善等今後のあり方について適切に対応するとともに、国民の信頼の回復に努めるよう強く指導したというところでございます。  以上でございます。
  108. 石毛えい子

    ○石毛委員 今の御答弁の一部にも触れられておりましたけれども、今回の事件が起こりました一つ制度的な要因としましては、福島にある施設でございまして、監査は福島県が行う、しかしながら東京都の方が圧倒的多くを占めて入っていらして、今のお話にありますように、保護者や関係者のなかなかアクセスができないというような問題があるわけですけれども、この点につきましていわば広域措置、行政的にはそういうことになると思いますけれども、そのことにつきまして、厚生省はこれからどういうふうに考えていかれるのかということをお伺いしたいと思います。
  109. 田中泰弘

    ○田中(泰)政府委員 お答え申し上げます。  今回のような事件につきまして、遠隔地に施設があることも遠因でございます。東京都としましても、今後はこういった東京都外の施設はつくらないということを基本方針にしたいというふうに聞いております。  厚生省といたしましては、障害者が住みなれた地域で生活できるように支援することが重要であると考えておりまして、施設入所が必要な場合でも、できる限り身近な施設に入所することが望ましいと考えており、東京都の方針は適当というふうに考えております。
  110. 石毛えい子

    ○石毛委員 今の御答弁で、東京都が都外施設はつくらないというふうに言っている点を確認させていただきたいと思います。  もう時間がなくなりましたけれども、お許しをいただきまして、最後に厚生大臣お尋ねしたいと思いますけれども、こうした出来事は、今回の事件だけには限らず、いろいろなところで多かれ少なかれ起こっていることでございまして、その都度その都度の対症療法ではもう解決するということは難しいのではないかというふうに私は考え、抜本的な対策を打つべきだというふうに考えております。幾つか抜本的な対策には盛り込むべき、考えるべき内容があると思いますけれども、今回の場合も、東京都の「すてっぷ」というところに入所者の関係者の方が相談に行ったということが、事が明るみに出てくる発端になっております。  そうした意味で、各自治体に救済相談機関というようなものを設けるべきではないか。あるいは、定例の監査ではなくて、いわば、ちょっと表現がよろしいでしょうか、不意打ちの監査といいましょうか、そうしたことも必要ではないかというようなこと、それから、なかなか社会関係にスムーズに対応しにくい、そうした方の、知的障害者の方の場合には、人権をサポートするという意味で代理人等の支援者制度をつくるというようなこと、それから社会福祉法人の運営方針ですとかケアの実際について情報をディスクロージャーするというような、多様な方策で当事者の人権を守るということを、ケアをきちっとした水準に設定していくという方向を新しい方策として考えていくべきだというふうに私は考えておりますけれども、その点につきまして厚生大臣の御所見を承りたいと思います。
  111. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 基本的に御指摘のとおりだと思っています。現在、関係審議会において、障害者の権利擁護の方策を含む今後の障害保健福祉施策のあり方や、社会福祉事業等の運営の透明性の確保を図るための方策を含む社会福祉の基礎構造改革に関し、審議が行われております。この審議結果を踏まえて、必要な対応を図っていきたいと思います。
  112. 石毛えい子

    ○石毛委員 審議の場面に移っているわけでございますけれども、私どもも、その立法にかかわる者としまして、ぜひ積極的な発言と参画を果たしていきたいというふうに考えておりますので、その点をどうぞよろしくお願いいたします。  それでは、質問を終わります。
  113. 金子一義

    金子委員長 以上で石毛鍈子さんの質疑は終わりました。  次に、金田誠一君。
  114. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 前回、ST法の関係で、御答弁をいただけなかった部分からまず質問をさせていただきたいと思います。  絶対的欠格事由あるいは相対的欠格事由関係でございますけれども、医師法等で、その欠格事由が定められている類似の法律が結構あるわけでございますが、実際問題として、受験をするときにはこれで振り分けはされるのでしょうけれども、資格を取った後でこの欠格事由に基づいて資格が剥奪をされる、免許が剥奪をされるという事例はないと思うわけでございますが、調査いただいたと思いますので、その辺のところを改めてお聞かせをいただきたい。
  115. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 一つは、免許取得後に、絶対的な欠格事由に該当する者として免許を取り消された例はございません。免許取得後に、相対的な欠格事由に該当するということで免許の取り消しをされました件数でございますが、私どもが把握しておりますのでは、全体で、精神病者ということが十一名、その他の相対的欠格事由による者七十二名ということでございます。
  116. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 相対の方も多少はあるのかなということを知らされましたが、あとはやはり犯罪にかかわる罰金刑等、そっちの方が多いのかな、私どもも犯罪等にかかわるのを問題にしているわけではないということをまずは申し上げておきたいと思います。  それで、相対的欠格事由の中で、精神病、今それによって免許を剥奪ということもあったようでございますけれども、あらかじめ精神病あるいは伝染病というところまで含めて相対的欠格事由にうたい込む必要が果たしてあるのかどうなのかということについてなのです。  例えば、医師法に伝染病という相対的欠格事由はないわけですね。ところが、お医者さんの場合は、もし伝染病にかかっておられて現実に医療行為を行ったとすれば、これは問題があると思うのです。しかし実際、だからといって、欠格事由免許剥奪の事由にまでうたい込む必要があるかどうかという問題なのです。実際の仕事の中で、仕事をしてはいけない状態というのは、ここに欠格事由としてうたい込まれている以外にもいろいろ考えられる、さまざまな業務に従事できない状態というのはほかにも考えられる。そういう範疇でよろしいのではないか、免許剥奪事由にまでしなくてもいいのではないか。  現実に、医師の場合、伝染病というのが抜けているわけでございまして、この辺、医師法に伝染病を書かなくてもいいのであれば、ほかの資格にもこれは抜けていてもいいというふうにも思うのですが、どんなものですか。
  117. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 この考え方といたしましては、伝染性の疾患にかかっている者が相対的な欠格事由となっておりますのは、例えば、排菌をされている、欠格としている、結核というような場合に感染をさせるということを避けるというために設けられたものだと解釈をしております。  ただ一方、今御指摘がございましたように、医師法、歯科医師法においてはそういうような条項がございません。それで、これにつきましては、現在の医師法、特に医師法につきましては、戦前の国民医療法という法律の体系を戦後基本的な部分はそのまま引き継いでいるというような経緯もございまして、そういったようなことから現在に至っているというふうに理解をしております。  ただ、先ほど、この前の御質問のときに申しました、いわゆる相対的欠格事由によって免許の取り消しというその中に、この伝染性の疾患というものはもちろん含まれておりません。過去の事例にはございません。
  118. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 冒頭の絶対的欠格事由の中で、それに該当して免許を剥奪ということはないようでございます。  しかし、実際、事故等で失明をされる、耳が不自由になる等々はもう考えられ得ることで、まさかお医者さんはそういう事故等が一切なかったということではないのだと思います。そういう事故に遭われても、実際問題は厳格に運用されてない、それでも支障がないということなのだろうと思うわけでございます。これが戦前からの法律を引き継いでいるということで御答弁をいただいたわけでございますが、そうであるとすれば、これはもう全般的に見直しの時期に入っているのではないかな、こう思うわけでございます。  たまたま手元に、厚生省からいただいた本で「厚生」十一月号というのがあるのですが、この中に、女医の先駆者荻野吟子ということでございます。女医免許取得第一号の方なのでございますが、たまたま私どもの選挙区、北海道の瀬棚町にこの方は開業されておりまして、町長室に行きますと、この同じ写真が飾ってあるという方だったわけでございます。  たまたまこれを拝見しました。見ますと、当時医学校は女子の入学を認めなかったと。もし卒業できたとしても、医術開業試験を受けることはできなかったという時代でもあったわけですね、明治の初め。今となってはもう考えられないことなのですが、恐らくこの絶対的欠格事由なども、あと何年かすれば、そんなことがあったのかというものになる条項だろうというふうに思います。  当時、内務省の衛生局長である長与専斎さんという方が、海外視察の経験もあり、時代の趨勢としても試験を許可してもよいと判断して、荻野吟子さんが大変苦労をされて、三十過ぎてから医師免許取得をされたという歴史があった。同じように、この絶対的欠格事由、相対的欠格事由の中にも、あと何年かすれば、そんなことがあったのかというものになる可能性の条項が少なからずある、こう思うわけでございます。  そうした立場から、ぜひひとつ、時代の状況を踏まえ、「完全参加と平等」ということを踏まえて、厚生省が先頭に立って、厚生省所管の資格はもとよりでございますが、さまざまな諸資格ノーマライゼーションを推進をする、障害者の行政を所管をするというお立場から、ぜひ積極的にこの推進をしていただきたいと思うわけでございますが、御見解を賜りたいと思います。
  119. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 この問題につきましては、先般来幾つかの御指摘をいただいております。欠格条項というものについて、一定の範囲でそういうものが必要であるということについては御理解をいただけると思いますが、一方、障害者社会活動への参加、いわゆるノーマライゼーション理念の問題、そういうようなことも踏まえて、現在、総理府において各種資格制度に関します欠格事由見直し検討作業が行われております。  私ども厚生省におきましても、単に一つ資格の問題ということではなくて、他の医療関係資格全体とも関係をいたしますので、医療関係資格全体の問題として検討をしてまいりたいというふうに思っておりますし、また、今後そういうことについて積極的に取り組んでいきたいと思います。
  120. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 その際にあわせて御検討いただきたいのは、相対的欠格事由の中の、今回のST法でいえば第三号に、「素行が著しく不良である者」というのがあるわけなんです。そのほかに「罰金以上の刑に処せられた者」等々、犯罪に関連する条項は別にあって、そのほかに「素行が著しく不良である者」という条項があるのですが、これも恐らく該当例はないのではないか。素行が著しく不良であるかそうではないかという判断基準などは、恐らくつくりようもないだろうと思うのですけれども、この「素行が著しく不良である者」はどんな者かなどという質問をするつもりはありませんが、これも当然見直し対象になりますでしょうね。
  121. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 医師の場合に、いわゆる素行が著しく不良あるいは品位を損する行為といったようなことで、免許の取り消しが医師あるいは歯科医師になされた例はございます。ただ、先ほど来お話がございますように、いろいろ過去の経緯はあるにしても、全体的に整合性をとるというような観点からも検討をしていく必要があるというふうに認識をしております。
  122. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 小泉大臣にこの件で最後にお聞きをしたいわけでございますが、厚生省内部で、まず障害を持った方々を直接所管をする部局であるという立場から、ぜひひとつ先頭を切った御検討をお願いをしたい。ST法の文言ももちろんでございますけれども、その他含めてまず厚生省が先頭に立っていただきたいということと、総理府で検討されているというのですが、なかなか外に見えてこない、どういう検討をされているのかも余り定かでない状態のようでございます。したがって、ぜひひとつ大臣の方から督励をしていただいて、閣議で一定の方向性を示していただくなり、そうした積極的な取り組みをお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  123. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 今後検討していきたいと思います。
  124. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 ありがとうございます。  それでは、時間もありません、PSWの方に移らせていただきたいと思いますが、いろいろ勉強をさせていただきました。関係団体からも事情等をいろいろお聞かせいただいて、それぞれわかる点も十分あるわけでございます。  ここまで来てしまった、前回は各局ごとの縦割りということも大きな要因ではないかということも御指摘は申し上げましたけれども、考えてみますと、十年前の社会福祉士法のときにもつとすっきりした形でのレールに乗せておけばというような思いもするわけなんでございます。最初のボタンのかけ違いがなきにしもあらずという気もするわけなんでございます。いろいろ経過をたどってここにたどり着いた。したがって、白紙に物をかくように本来あるべき姿を今にわかにかくのは、これは面倒なのかなということも、現実問題としては理解をせざるを得ないといいますか、するしかないといいますか、そんな思いなんでございます。  しかし、いろいろ経過をたどりながらも、これから行き着くべき先ということは、諸外国の状況等々、それぞれの立場立場の中でも共通する部分、違いを強調するのではなくて共通する部分をいかに拡大していけるのかという観点からこの検討を深めていただいて、諸外国でも既に確立をされた形といいますか、ゼネリックな共通資格がまずあって、その上にどういう形でそれぞれの専門性確保していくかという形が本来望ましいのではないかということを前回から申し上げているわけでございますけれども、これからの検討方向としてそういう方向検討がなされるという理解でよろしいかどうか、伺いたいと思います。
  125. 小林秀資

    小林政府委員 今先生がお話しされましたように、今回はPSW法案を何としてもつくってあげることが大切といって政府提案をしたわけでございます。それで、問題はMSWが、そこの方だけが残ってしまうということがまずあります。  前回もお答えを申し上げましたように、この法案ができましたらMSW法案をまずつくるべく努力をしてまいりたい、こう申し上げました。しかし、基本にあるのは、やはりソーシャルワークという仕事を学んだ人ができれば共通であって、そしてそれにあとどこか必要なところを付加するとかいろいろな条件をつける形でできるのが望ましいという意見は、私もそんな感じを持っておりますけれども、関係団体関係団体でまたそれぞれの思いがありますので、まだ私どもとしては、先生がおっしゃったような意見は私も賛成でございますけれども、今の段階でどうなっていくのかというのは、まだそこまではちょっと残念ながら言及するわけにはいかないと思っています。
  126. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 これもくどいようで恐縮でございますが、規制緩和小委員会の方から、来月早々でしょうか、一定の、社会福祉士受験資格の規制緩和という観点からの報告などがなされるというふうに聞いております。この論点公開の中では、「社会福祉士MSWPSW全体を通じての資格制度の在り方についても検討すべきである。」という指摘もなされておるわけでございます。こういう流れの中での来月早々の小委員会からの意見というのですか、そういう形のものが出てくるのだろうと思います。  確かに、いろいろな経過があり、ボタンのかけ違いがあり、すれ違いがあり、さまざまな状況を経て今日に至っている、それだけに難しいということはよくわかります。しかし、社会福祉士があり、PSWがあり、MSWがあり、これから先も三本立てのままなどという、そんな形にはならないようにぜひひとつお願いを申し上げたいと思うわけでございます。  これもまた、時間がございませんので、最後に大臣に一言だけお聞かせをいただきたいと思うわけでございます。前回も同じ趣旨でお答えをいただいておりまして、これまたくどいようで恐縮でございます。  これから先の検討は、このゼネリックな資格ということも有力な選択肢の一つということで俎上にのせられて、そして関係団体意見の聴取あるいは専門家意見の聴取等々がなされて、そして一定の方向づけがなされていくという形で検討が進むという理解でよろしいかどうか、最後にお聞かせをいただきたいと思います。
  127. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 それで結構だと思います。
  128. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 ありがとうございました。  本当に期待をしたいことはいろいろあったということは理解をいたします。それぞれの団体等にそれぞれの御主張があり、お立場があるということも理解をいたします。  しかし、問題は、そのサービスを受けられる障害者方々あるいは病気療養中の方々精神障害者方々等々でございます。そうした方々の立場ということを原点に踏まえられて、まずは、何といいますか、それぞれの職種ごとの違いはあるのだと思います、その違いを強調することもさることながら、共通する点もこれまた非常に多いというふうに思います。その共通点がどれほど共通するのか、それを最大限拡大をして、共通の基盤を見出し、その上で専門性確保される方策というものをぜひ探っていただきたい、そのことが日本のソーシャルワークの上で大きな意義を持つだろうと思います。  同時に、ここまでこの問題が至った背景には、日本医療福祉特殊性といいますか、両者を隔てるものがあるということも背景には大きくあるのだろうということも、この問題に携わる中から感じ取ることができました。  一つは、関係団体医療関係福祉関係、その中間の方々等々の御努力をいただきたいという希望がございますし、その医療福祉を両方所管される厚生省として、この壁を取り払っていく、取り除いていくということが、医療福祉をつなぐ橋といいますか、このどちら側にいようがその橋をかけて往復自由、そして、その橋がなければ、実際、サービスを受けられる方々は一番救われないことになるだろうと思います。  行政側の努力を重ねて御要請を申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
  129. 金子一義

    金子委員長 以上で金田誠一君の質疑は終わりました。  次に、瀬古由起子さん。
  130. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。  私は、最初に、言語聴覚士法案について質問させていただきます。関係者にとっては三十数年来の資格制度問題が一定の解決をすることになり、評価をさせていただいております。  言語聴覚士法案では、有資格であれば診療補助業務医師または歯科医師指示のもとに行えるとして、例えば嚥下訓練それから人工内耳の調整、この二点が明記されております。その他は省令で定めるということになっております。  省令の範囲を広げると専門職としての独自性がなくなる。どういう範囲を一体考えているのか。少なくとも省令制定前には関係者意見を十分聞くべきだと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  131. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 今御審議をいただいておりますこの法案では、具体的な事例として嚥下訓練それから人工内耳の調整というものを挙げておりますが、これは、一つには、この問題の議論の過程で、この分野医療というのでしょうか医学というのが今後どんどん進歩をする可能性がある、したがって、法律考えられるものすべてを明定するというよりは、やはり今後の医学なり医術の進歩に対応できるような形にするべきではないかというような御意見もあり、こういう形で提案をさせていただいております。  今後、具体的に省令を定めるという作業が必要でございますが、これは専門家あるいは有識者の方々の御意見を伺いながら決めていきたいと考えておりますが、その際には、当然のことながら、関係する、言語聴覚士業務に携わる方、そういうような方々の御意見も聞いた上で決定をしていきたいと考えております。
  132. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 二点目に、養成学校の認定基準の問題についてお聞きします。  ST養成校は二十五校と紹介されております。そのうち、最近つくられたという学校が多くて、蓄積のある学校というのは極めて少ないわけです。  そこで、諸外国の水準を見てみますと、STを初め医療職資格条件というのが、四年制大学以上、こういうのが多いわけですね。この点から見ても、一定の資格、相当の水準が必要だということが考えられます。この点は懇談会でも問題になったようなのですが、どのような検討が行われたのでしょうか。  また、この養成所の認定の基準、特に養成所の質の問題なのですけれども、十分な知識や技能が提供できる水準が私は必要だと考えています。その上で、例えば指導教官の資格や、十分な技能が習得できる施設、それから設備の内容、カリキュラムの内容、また、専門書を十分に備えた図書館の設置だとか、十分な実地研修の保障とか、こういうものが一定の水準というのが必要ではないか。どんどん養成校がつくられて、そういう資格を受けるための養成校が出たとしても、実際には、試験になかなか合格できないとか、試験に合格してもなかなかその水準が達しないというのは、やはり考えなければならないだろうと思うのです。その点での水準の引き上げというのは当然考えられるべきだと思うのですが、その点、いかがでしょう。二点お伺いします。
  133. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 現在、いわゆるSTを養成している学校は、大学を入れて約二十校というふうに承知をしていますが、今後、この養成所におきます設備あるいは教員の問題、それからカリキュラム、あるいは養成課程、そういうようなことについては、先ほどの省令、いわゆる医師指示のもとに行う省令においても専門家意見を聞きながら検討していくわけでございますが、この問題につきましても、有識者に御検討をいただいて、具体的に資格にふさわしい質の確保が図られるような基準というものを作成していきたいと考えております。
  134. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 もう一点、資格条件の、四年制大学懇談会での検討、この辺はどうなったかというようなこと。
  135. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 この受験資格について、四年制の大学の卒業者とするか三年以上の課程を持った養成施設の卒業者とするかということについては、この懇談会の中でもいろいろな意見がございました。一つは、この懇談会で、まず、その養成課程、いわゆるカリキュラムの時間についてはおおむね三千時間というのでいいのではないか、そうしますと他の資格の例においても三年で修了することができる、そういうようなことから、高校卒業者を対象にした三年以上の課程、これに受験資格を与えることが適当だというふうにされたところでございます。  ただ、この問題につきましては、受験資格を与える際に、余り固定的に考えるのではなくて、四年制の大学からさらに、三年課程から別に途中のところに行くとか、いろいろなルートをつくって、できるだけ多様な受験資格にするというような形で措置をしたところでございます。  なお、この大学四年制の問題、それから三年卒でいいかどうかということについては、先ほどの繰り返しになりますけれども、懇談会の場においていろいろな議論があり、かつ今提案させていただいているようなことで関係者の御理解はいただいているというふうに理解をしております。
  136. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 引き続き、今後とも関係者意見もよく聞きながら進めていただきたいと思います。  現在、このSTの配置義務、法的に位置づけられた配置義務というのはどうなっておりますか。
  137. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 現在、STという資格そのものがございませんので、法的に義務づけられたものはございません。
  138. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 施設はあるんじゃないですか、二施設
  139. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 失礼いたしました。医療施設においてはございませんが、児童福祉施設についてはございます。
  140. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 医療施設にはないということなんですけれども、私、幾つか聞いてみますと、例えば民主的な医療機関、それから保険医さんの集まりであります保団連、こういうところでは、医療機関としてもほぼ必要なST確保している、こういうところも、随分努力されているところもございますね。国公立病院、この配置は全くないのでしょうか。
  141. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 現在、これらの方が働いておられる中で、医療施設には約二千人の方が働いておられますけれども、国立の施設、特に厚生省の所管いたします国立の施設については、具体的な数はちょっと承知しておりませんが、非常に少ない数じゃないかと承知しております。
  142. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 民間など、それなりに努力をされているわけですけれども、今回この資格制度をつくるに当たっては、今必要な医療機関、とりわけ国ではきちんとその範を示すという点でも、私は対応する必要があるのではないかというように思うのです。  そういう意味では、この機会に、今後、国立、公立病院も含めてですけれども、配置をしていく。それから、障害者プラン、新ゴールドプランなどにも位置づけていくという点も、配置義務の施設としてちゃんと見直していく必要があるのではないかというふうに思います。また、PTとかOTと同様に診療報酬の基準の引き上げなど、医療機関でも福祉施設でもSTを配置しやすい環境、こういうものを整備していく。やはり専門職にふさわしい処遇、こういうものを保障していくべきではないか。こういう点で、国の姿勢をきちっと持って対応していただきたい。  その点で、最後に厚生大臣にぜひ決意のほどを伺いたいと思います。
  143. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 国立病院また療養所については、定員事情というのは極めて厳しいのですが、今後その必要性について検討していきたいと思います。
  144. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 では、精神保健福祉士法案について質問いたします。  先日、私、委員会精神障害者社会復帰者の目標についてお伺いいたしましたが、厚生省は、二万人から三万人、これは整備する施設の量から出てきたものだという答弁もございました。先ほどは、一年半以上の入院者で寛解状態にある、こういう人を想定してつくっている、こういうことも言われたわけです。  しかし、私が先日指摘しましたように、退院の可能性についてという場合は、厚生省自身が十四年も前に実施した調査でも、少なくとも関係者によっては、十万人規模で想定できるのじゃないか、こういう指摘もさせていただきました。外国の例から見ても、この二万人から三万人の退院者を想定した計画は、大変私は不十分だと思うのです。その点でも、きちんと障害者プラン見直し、引き上げが必要ではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  145. 篠崎英夫

    篠崎説明員 昭和五十八年の厚生省の調査のことにつきましては、前回も御指摘があって存じておりますけれども、障害者プランでは、直近の調査結果を踏まえ推計したところでございまして、当面はその数値目標の達成に向けて努力をしてまいりたいと考えております。  また、精神障害者についての正しい知識の普及啓発に努めまして、精神障害者社会復帰の状況やプランの進捗状況などを踏まえつつ、社会復帰の一層の促進を図るため、今後、必要に応じてプランも見直していくということにいたしております。
  146. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 最近の資料といいましても、実際には余りにも、厚生省が今回精神保健福祉士法案をつくって精神障害者がもっと社会参加、社会復帰ができるようにしたいという決意にしては、やはり今までの延長線上だというふうに思うわけですね。そういう点では、きちんと国としてふさわしい、こういうふうに精神障害者については、今までの延長線上でない施策の前進を図るのだという決意のほどを示す意味でも、この精神障害者社会復帰の人数の目標、こういうものについても私は見直すべきだというふうに思います。  なぜこんな事態になっているのかというのは、まず国の姿勢がありますね。それと同時に、市町村なりそれぞれの自治体の障害者プランの中で、この精神障害者がどう位置づけられているかという問題もあると思うのです。実際には、障害者の計画そのものが、市町村ではつくられているのが一七%、その中で数値目標が明らかにされているのが一八・六%、その中でまた精神障害者の問題を位置づけているというのは大変少ないわけですね。  そういう点でも、私は、各市町村の障害者プラン、こういう問題についても、これは一応総理府が統計はとったりしているわけですが、やはり厚生省としてもきちんと見ていく必要があるのではないかというふうに思うのです。  そういう意味で、市町村の障害者プランが何でできないのか、きちんと進んでいかないのかというと、それは私が前の委員会でも取り上げさせていただきましたが、例えば市町村でいえば、障害者プランそのものが努力義務になっている。きちんとつくらなきゃいかぬという認識がまだまだ足りない問題と、一番大きな理由はやはり財政上の理由なんですね。やってもその保障はないという点で、大変消極的になっているわけです。  そういう点でも、市町村の障害者プラン、そういうものにきちんと精神障害者も位置づけて計画を進める、財源的にもきちんとそれを解決できる方向を国としても示すべきではないか、その点はいかがでしょうか。
  147. 田中泰弘

    ○田中(泰)政府委員 お答え申し上げます。  障害者プランの推進につきましても、市町村の障害者計画が進むことが大変重要でございます。障害者基本法に基づきまして、障害者プラン推進のかなめとして、各市町村において早急に障害者計画が策定される必要があるというふうに考えております。  政府全体としても、御承知のとおり、平成七年五月に総理府の障害者対策推進本部より計画の策定指針が通知され、策定の推進に努めているところでありますが、厚生省としましても、平成八年度から、市町村障害者計画策定モデル事業を創設いたしまして財政的支援を行っているほか、平成八年の十一月に、都道府県等に対しまして「厚生省関係障害者プランの推進方策について」を通知いたしまして、市町村への支援を要請したところでございます。  今後とも、あらゆる機会をとらえまして、市町村の計画策定がなお一層推進されますよう、支援、指導に努めてまいりたいというふうに思っております。  なお、先ほど先生おっしゃいました市町村障害者計画の策定率でございますが、八年度末は一七・九%でございますが、九年度末の見込みを入れますと、三九・一%というのが現在予定として報告を受けております。  以上でございます。
  148. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 障害者計画を進めるようにぜひ御努力いただきたいし、その中にとりわけ精神障害者の問題がきちんと位置づけられているかどうかという点でも目配りをいただき、そして、それにふさわしい国としての体制をつくっていただきたいというふうに思います。  もう一つは、このプランをつくるに当たって、本当に地域に見合った計画になっているのかどうかという点で、特に精神障害者の場合はその点を重視するということが私は大変大事だと思うのですよ。上から計画つくって、つくれといっても、いろいろな偏見や状況がありますからできないという面もありますね。ですから、地域で関係者の方が努力されて、例えば小規模作業所なんかをつくられていますね。そういう中で、地域の理解を得て少しずつずっと広がっていくというものが大変私は大事じゃないかというふうに思っています。そういう点では、小規模作業所などはもっと国としては援助してもらいたいという声もあるわけですね。そういう点では、関係者の本当に期待にこたえた施策の展開というのを、障害者プラン一つ一つ実現していく場合でも大事ではないかと思うのです。  私、ことしの二月の委員会で、全国障害者関係団体が切実に望んでみえた、例えば小規模作業所の問題を何とか、どうするのかということを、ぜひ検討したいというふうに言われたのですけれども、その点、具体的にその後検討はどのようにされたのでしょうか。
  149. 篠崎英夫

    篠崎説明員 現在、私どもの障害関係する審議会におきまして、その中の合同企画分科会と申すのでございますが、そこで、小規模作業所のことも含めて現在検討をしていただいております。前回も申し上げたかと思いますが、中間的なまとめを、今最終段階に入っているところでございまして、なるべく早い時期に中間的なまとめをお出ししたいと考えております。
  150. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 着実に障害者計画についても進めていただきたいと思うのですが、来年の予算の概算要求を見てみますと、百五十一億円の伸びとなっています。本年の伸びは二百二十一億円ですから、伸びが減ってきているわけですね。本来ならもっとうんと伸びをふやさなければいけないのに、減らしている。このテンポでいくと、例えば、私が、ささやかな、もうこれではとても足りないと言っているこの障害者プランでも、来年の概算要求のテンポでいくと達成できないという深刻な状況になっています。例えば、福祉ホームは、来年の概算要求のテンポでいいますと十八年もかかってしまう、入所の授産施設については十六年もかかってしまう。これでは障害者プランを確実にやり切るという点で私は大変消極的な姿勢だと思うのですね。  そういう意味では、その姿勢を変えて、今後、地方自治体からも要求がどんどん出てきた場合に、計画が上がってきた場合にでも、それにふさわしいプランの充実ということを図る決意がおありかどうか、最後に厚生大臣に伺いたいと思います。
  151. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 今まで、予算というのは毎年毎年伸びるのが当たり前という考えでありましたけれども、来年はがらりと変えて、前年度よりマイナスにするという、異常な財政状況に対してどう取り組むかということでやっているわけです。厚生省予算は各省に比べて増枠したではないかと言いますが、現実には、ほっておくとたくさん伸びる中を五千五百億円程度削減しなければならない。その中でも、全体の伸びの中で障害者関係については、より、全予算重点化、効率化の中で必要な施策を確保できるような対策を鋭意努力していきたいと思います。
  152. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 ありがとうございました。以上です。
  153. 金子一義

    金子委員長 以上で瀬古由起子さんの質疑は終わりました。  次に、中川智子さん。
  154. 中川智子

    ○中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子でございます。  質問の前に、先日の私の質問に対して、福祉医療保健分野ソーシャルワーカー全体の資格制度の一本化をぜひとも大臣よろしくお願いしますというときの御答弁に、私はもう本当に涙を浮かべる思いで何度も読み返しましたら、一本化に向けて、一本化に向けて、一本化に向けて、三回も本当に答弁の中にありました。ですから、とてもそれがうれしかったし、また、それを待ち望んでいるということで、答弁をいただいて、もしも後ずさりの答弁でも返ってきたら大変ですので、あの答弁をしっかり重く受けとめて、ぜひとも御努力いただきたいということを最初にお願いいたしましてから質問に入らせていただきます。  最初に、言語聴覚士法案のことで質問をさせていただきます。  養成期間のところなんですけれども、今日では日本も専修学校も随分整備されてきて、社会的に本当に即戦力となるような人材育成をしていることは存じております。また、授業時間数が少ないということは必ずしも言えないかもしれませんが、でもまだまだ日本ではその社会的な評価となるには大学との開きがあるというふうに思っています。本来、両者は社会的な位置づけが異なるのでありまして、それは学校教育法の規定の仕方でそれがはっきりうたわれていまして、大学はやはり、広い知識、深い専門学芸、応用的能力の展開というのが目的になっていますが、専修学校は、職業、実際生活に必要な能力の養成が目的とあるとうたわれています。当然専修学校での教育は、即戦力を詰め込むことになり、機械操作や技能のノウハウを覚えることが中心になります。やはり職業人となってからの経験によって自分の持てる能力を応用展開できるだけの基礎知識や素養の育成ということでは不十分ではないかと思っております。  そして、今回の言語聴覚士法案の中の資格取得のところで、四年制大学と、そしていろいろ先ほどからの御議論でそこがかなり論点になったと伺いましたが、将来的にやはり言語聴覚士の養成を四年制大学一本というところでやっていく、そのようなことを考えていらっしゃるかどうか。そこに対しての将来的な取り組みに対しての御見解を伺いたいと思います。     〔委員長退席、根本委員長代理着席〕
  155. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 この問題については、今先生もお触れになりましたように、法案を出すに当たって議論をいたしました学識経験者によります懇談会の中でも大きな論点一つでございました。懇談会においては、おおむね三千時間を必要時間数、教育時間とするということで、三年以上の課程を有する養成施設、当然のことながら大卒も含まれるわけですが、そういう形で関係者の御理解もいただいたわけでございます。  ただ、この懇談会の報告書の中では、将来の検討課題という形で、今後四年制大学を志向する傾向が強くなる、そういったような社会の動向を見きわめて、養成期間等の問題についてはまた機会をとらえて改めて議論が行われることが必要であるといったような意見がまとめられておりまして、この問題につきましては、この法律が施行された後、いろんな状況の変化、そういうようなものを見ながら改めて検討していく必要があるものと考えております。
  156. 中川智子

    ○中川(智)委員 専門職であるという認識はもう一緒でありまして、やはりその業務内容の中で、医師は六年間ということで位置づけられておりまして、やはりいつまでたっても、医学は一流、医療は三流というようなことでの進み方になっていくおそれがあると思います。やはり医学も医療も一流、そして、その要請に対してはぜひとも前向きにお願いしたいと思いますし、早急に取り組んでいただきたいということを要請としてお願いしておきます。  それともう一つ、四十二条の「医師又は歯科医師指示の下に、」というところにかなりこだわらざるを得ません。  と申しますのは、一つは、看護婦さんの例をとりまして、看護婦は、職種として、医師指示のもとにというところでは法的には定義されていないと認識しております。看護婦と医師指示関係は、業務のところでは、それに限定的に触れてあるというふうに認識しております。  では、医師と歯科医師指示のもとにと定義されている職種は何かといえば、保助看法では准看護婦だけだという認識なんですが、やはり今回の言語聴覚士法案も、時代の変化の中で本当に社会の新しいニーズに応じて生まれてきた全く新しい医療専門職としてとらえるならば、やはりSTは、看護婦や保健婦と並んで協力して業務を行う専門職としての位置づけとして、この医師指示のもとにというのは看護婦や保健婦と同様に不要だ、これは通告していなくて済みませんが、谷局長の本当に深い見識の中での御答弁で結構でございますので、よろしくお願いいたします。
  157. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 このST法案言語聴覚士法案が、ここまで長く関係者の間で要望をされながらなかなかまとまらなかったことの一つには、今まさに先生が御指摘になった部分が背景としてあるというふうに認識をしております。  それは、結局、STの方のやられる業務がどの程度専門性を持っているか。その人たちだけがやれる業務があるのかないのか。それが、あるというふうに考えるか、ないというふうに考えるか。その場合に、今お話しのございました医師指示、あるいは保助看法の中のいわゆる診療補助業務の一部解除というものをどうするかというようなことが、なかなか関係者の間で議論が詰まらなかった。もちろん、それは、単に意見が違うということよりも、認識の違い、STの方がやられる、言語聴覚士の方がやられる業務というものをどういうふうに考えるかというところが非常に大きな論点一つだったというふうに思います。  今回提案をさせていただいておりますのは、言語聴覚士の方がやられる業務にはやはり非常に専門性のある業務というのがある、その部分については、ただ、現在の法体系の中では、生命に対する危険、あるいは人体に対する危害を及ぼす危険性があるということで、医師指示のもとに行うという形で整理をした。  ただ、この法案全体の書き方としては、例えば作業療法士あるいは理学療法士、OT、PTの法律のように、この職種医師指示のもとに次の業務を行う者をいうということではなくて、言語聴覚士という人の業務はまずこうなんだ、その中で、この部分については医師指示が必要です。具体的な例としては、先ほどお話がございました人工内耳の調整ですとか嚥下、飲み込む訓練というものを挙げているわけでございます。したがって、今中川先生がおっしゃったこの部分というのは、医療関係資格の中での一つの大きな流れとしてこういう形でSTも整理をしましたけれども、しかし一方、それ以外の部分もあるということを明確にし、かつまた、福祉関係との連携とか、そういうふうなことも含めてこの法案の中で整理をさせていただいたというふうに考えております。     〔根本委員長代理退席、委員長着席〕
  158. 中川智子

    ○中川(智)委員 それでは、やはり法案成立して流れていく中で、そこに対して問題があるならば、それに対して検討はしていくということでよろしいですね。
  159. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 この問題は、しかしこの法律根本的な部分でありますので、もちろん将来にわたって未来永劫変わらないということで言うつもりはございませんけれども、当面、今私が申し上げた法律のこの基本の部分というのは、これを基本として、法律運用なり、あるいはその他の省令というものを考えていかざるを得ないというふうに考えております。
  160. 中川智子

    ○中川(智)委員 わかりました。  それでは、時間もございませんので、二つ目精神保健福祉士法案のところで、やはり先ほど来、山本委員お話しになっているところがたくさんの方の不安の種にはなっております。  今の指示部分と似通った部分なんですが、こちらには罰則規定がはっきりありまして、四十一条の「精神保健福祉士は、その業務を行うに当たって精神障害者に主治の医師があるときは、その指導を受けなければならない。」とありますが、罰則規定として、その指導に違反した場合という形で、三十九条、また四十条、または四十一条第二項の規定に違反したときは、その登録を取り消すという文言がございます。ですから、これとこれが連動して非常に業務がやりにくくなる、プレッシャーがかかるということが、幾らここが指導でありましても、この二行があるために、そしてまた、それに伴って、罰則規定があって免許を取り消すというのは、本当に身ぐるみはがれるというところでございますので、そこのところの指導が非常にあいまいなんですね、これを読んでいますと。ですから、あいまいなこの指導というところで、あいまいでないように認識して、余りプレッシャーにならないような形での理解の御返答をお願いしたいと思います。
  161. 篠崎英夫

    篠崎説明員 今の御質問に答える前に、先ほどもお答えしたことがございますが、精神障害者に主治医があるときは、精神疾患状態等についての助言を受けなければならないこととしたものでございまして、このことを主治医の指導規定したものでございます。指示ではありませんで、指導規定したものでございます。主治医の指導を踏まえ、精神保健福祉士がどのような相談援助業務を行うかにつきましては精神保健福祉士専門性の範疇でございまして、その具体的な業務内容についてまで医師に拘束されるものではないということになっております。  そこで、先ほどの罰則の関係でございますが、例えば、主治医がいた場合にその指導を受けることは必要なんでございますが、その指導を受けずに業務を行って、結果として患者さんの症状の悪化を引き起こしたような場合、そのことが問題なのではなくて、このようなことを行うことによって精神保健福祉士の信用を失墜させる、こういうような観点から、今のような規定が設けられているということでございます。
  162. 中川智子

    ○中川(智)委員 わかりました。  余りあれですと、余計縛りがきつくなったりしたらあれですので、今の理解で結構です。  それでは最後に、これだけ長い年月がかかったことに対しては、もうこの二法案ができることについてのさまざまな御苦労はずっと伺っておりましたが、その中で、たくさんの団体の中の調整とか、いろいろおっしゃられましたが、私は、やはり医療分野福祉分野のところの厚生省の縦割りということが非常に大きな壁になったのではないかということをいろいろなところでやはり感じますので、市役所の窓口に行っても、本当にたらい回しという言葉がいまだにあります。行ってください、ちょっと。何カ所か行ってください。それで、たらい回しされて本当に疲れ果ててしまうことは、もう身にしみて市民は感じています。この二法案成立させていくことに対してこれだけ年月がかかったことが、厚生省の縦割り行政に対しての反省の言葉というのがないのですが、それに対しての、反省までいかなくても、こういう弊害があって本当に困ったということがございましたら、将来的な展望も含めて、いかがでしょうか。だれに聞けばいいだろう。大臣、縦割り行政について……。
  163. 篠崎英夫

    篠崎説明員 ちょっと御質問にうまく合っているかどうかわかりませんが、精神保健福祉士を今回上程させていただいたわけでございますけれども、精神症状が安定していない精神障害者対象として、かつ精神疾患配慮しつつ、社会復帰に関する専門的な相談援助を行う人材の養成確保を図ることが必要であります。そのために、精神医学などの保健医療に関する専門的知識技術を持った独自資格ということにしたわけでございまして、したがって、この資格を設けることが今までの厚生行政の縦割りの云々というものの結果ではないというふうに私どもは考えております。
  164. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 縦割り行政というのじゃないですが、この言語聴覚士にしても、お話を伺えば、医療の面もある、福祉の面もある、教育の面もある。お医者さんだってそうですね、教育を受けなければお医者さんになれないのですから。そして、医療と介護、これは治療を要するか介護を要するか、微妙な関係にある。  今後、言語聴覚士にしても、医療分野だけに限定しないで、幅広く、福祉とか教育とかいう連携協力、広い視野が必要ではないかなと思っております。
  165. 中川智子

    ○中川(智)委員 ありがとうございました。終わります。
  166. 金子一義

    金子委員長 以上で中川智子さんの質疑は終了いたしました。  次に、土肥隆一君。
  167. 土肥隆一

    ○土肥委員 たった五分しかありませんから、あと五分辛抱してください。  まず第一問は、私は実は、一九九三年、今から四年前の五月八日に、安田病院の特に精神病院であります大和川病院に行きまして、弁護士さんと一緒に面会を申し出たら、見事に四時間もかけてああだこうだといって粘られて、面会に応じてくれなかった。その間には、電気を消す、冷房を消すというような話で、私も非常に穏やかに院長などと話していたのですが、さっぱりらちが明かない。そこで、同じ年の九三年の六月二日に当委員会で安田病院の問題について質問いたしました。そして、四年間たって、ことしの七月に、三病院一気に行政処分をかけて廃院にしてしまったわけでございます。  事もあろうか、私が委員会質問した後、安田病院は私を刑事告訴いたしまして、威力業務妨害だといって今も被告人でございます。早くやってくれと言うのですが、その後、病院もなくなってしまったりして、安田基隆さんは何か刑務所にも入っているようなぐあいでございまして、なかなからちが明かないのですが、私は、この病院の実態を知るにつけ、日本精神医療、あるいは精神行政、精神患者さんに対する行政は一体何なのかということを思うわけです。  ここに読売新聞が、ことしの八月三十一日に、「大和川病院での患者の変死・不審死(判明分)」、こうなっておりまして、一覧表が出ております。実に、保護室での首つりあるいは飛びおり、もう連続して、九五年などは、三月、五月、六月、八月、十月と飛びおり自殺をするわけです。もっと、何というかもう耐えられないような話ですけれども、ウインナをのどに詰めて死に、巻きずしをのどに詰めて死に、焼き魚をのどに詰めて死に、ちくわをのどに詰めて死に、パンをのどに詰めて窒息、パンをのどに詰めて窒息。病院でこんな死に方をするのでしょうか。  したがって、私は、今回の精神保健福祉士が晴れて、晴れてですよ、公式の資格となる。しかし、一体、精神保健福祉士精神病院に入って何事かの仕事ができるだろうかということを思うわけですね。  実は先週二十二日に、大阪精神医療人権センターというところの開設十二周年のお祝いに行ってきました。私は、精神病の患者さんもいっぱいいる、お医者さんもいらっしゃるところで、日本精神病院はどうしたらいいのでしょうかと言ったら、答えがないのです。そして、相も変わらずこうした人権センターだとか民間団体の告発によらなければならないのかということだけが結論でございまして、そういう意味では、この安田基隆院長以下、大和川病院病院長も指定医も全部、院長、理事長の話を聞かないと仕事ができないのです。当事者能力がないのです。  そうした中で、PSWの人がどんな機能を果たすのかということを考えるときに、この法案で、こういう種類の病院、もう全部つぶしてしまいましたけれども、こういう病院は一体どうなるのですか、お答えいただきたいと思います。
  168. 篠崎英夫

    篠崎説明員 大和川病院におきましては、そもそも適正な医療の提供が行われていなかったものでございます。ソーシャルワーカーはもちろん配置されておりませんし、のみならず、患者社会復帰のための相談援助も行われていなかったと認識をいたしております。  大和川病院のケースは、ある意味病院全体の問題でありまして、精神保健福祉士が配置されていた場合の想定をしてというのはなかなか難しいところがございますけれども、精神保健福祉士は、精神障害者の視点に立って精神障害者社会復帰のための相談援助を行うものでございまして、退院のための環境整備が整えば、退院可能な患者についての社会復帰促進や院内における人権擁護に重要な役割を果たしたと考えられます。  ですから、仮定の話ではございますが、大和川病院において精神保健福祉士がその機能を果たしていれば、このような事実をもっと早く発見し、改善に努力できたのではないか、このように考えております。
  169. 土肥隆一

    ○土肥委員 そこは指導ですよ、この法案による。医者指導を受けたら、PSWの人がそれに反抗して仕事ができるかということです。とんでもない話でございまして、対等な立場で、一体、その医師指導に抗して、患者さんの立場に立って、人権の立場に立って、暴力が振るわれるような中で、PSW人たちがどれだけ頑張れるかという保証はどこにもない。  だから、私は今回の法案で反対をいたしますけれども、たった一人で申しわけないのですが、私が反対たった一人のようでございまして、偏屈で言っているのじゃないのです。本当に患者さんを救うためにはどうすればいいかという、そういう構想がないまま資格を導入しても、本当に解決するのですかというのが私の基本的な問題提起なのです。そして、福祉職として介護福祉士がある、今度PSWの人が認定されて、今度MSWだ、そんな議論しません。私はMSWでも反対します。なぜなら、日本の高齢化社会と、そして百万からいる、在宅にいる精神病の患者さんをどう診ていくかという、それはもう福祉世界なのです。医療なんというのは、なんというのはと言うと語弊がありますけれども、一割程度の機能しかしない。あとは福祉世界で包まなければ、患者さんは再就職もできなければ、生活の安定もできなければ、アパートも借りられない、こういうことです。  ですから、私は、厚生省がこの福祉人材を、資格を与えるときに、将来こうしたいという、特に私の言葉からいえば、社会福祉士をベースにして、それぞれ専門分野を持っていただいて、広範な人たちが、PSW人たちも、病院に居つくのじゃなくて外に出ても十分生活できるような、MSWの人は、病院だけでなくて、社会福祉士としても現場で、地域で働けるような、そういう全体的な福祉マンパワーをつくっていかなければ、細分化したのでは、これは日本社会、あるいは高齢化社会の将来にとってよくない、こう思うからであります。  大臣、どうか、将来はこう思うということを、そしてやはり福祉をベースにして、そしていろいろな専門分野をつくるべきだという私のこの訴えをどうお考えになるか、お聞きしたいと思います。
  170. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 考え方はよくわかるのです。しかしながら、現実の問題として、できるだけ障害者社会復帰促進したい、専門家としての能力も、あるいは自負もあると思います。そういう方に意欲的に今後活動してもらうためにも、関係者の要望を聞いて、今回この法案の提出にこぎつけたわけでありますので、一つの将来のあるべき姿のお考えはわかりますが、現実の問題として、この法案成立を図ることが今後の障害者のためにも一歩前進ではないかなというふうに私は考えるので、ぜひとも御理解をいただきたいと思います。
  171. 土肥隆一

    ○土肥委員 現実はほかのところにあるのです。現実の問題がもうまさに待っているのです。それを忘れないでいただきたいと思います。  終わります。
  172. 金子一義

    金子委員長 以上で土肥隆一君の質疑は終わりました。  これにて両案に対する質疑は終局いたしまし     ―――――――――――――た。
  173. 金子一義

    金子委員長 この際、先刻の理事会において協議いたしましたとおり、言語聴覚士法案に対する修正案を委員長から提出いたします。     ―――――――――――――  言語聴覚士法案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  174. 金子一義

    金子委員長 本修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  修正案はお手元に配付してあるとおりであります。  修正の要旨は、政府は、他の資格制度における障害者に係る欠格事由についての検討の状況を踏まえ、適正な医療確保しつつ障害者の自立及び社会経済活動への参加を促進するという観点から、言語聴覚士資格に係る欠格事由あり方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。  以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。     ―――――――――――――
  175. 金子一義

    金子委員長 これより両法律案及び修正案について討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、精神保健福祉士法案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  176. 金子一義

    金子委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  177. 金子一義

    金子委員長 この際、本案に対し、長勢甚遠君外五名から、自由民主党、新進党、民主党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び無所属クラブの六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を聴取いたします。青山二三さん。
  178. 青山二三

    ○青山(二)委員 私は、自由民主党、新進党、民主党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び無所属クラブを代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。  案文を朗読して説明にかえさせていただきます。     精神保健福祉士法案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項につき、適切な措置を講ずべきである。  一 精神障害者社会復帰社会参加を推進するため、障害者プランの充実に努め、プランなどに沿った社会復帰施設等の着実な整備を図ること。  二 社会福祉士受験資格を得るための実務経験施設医療施設を追加することについて検討することとし、また、社会福祉士の養成カリキュラム及び実習内容についての所要の見直しを行う等、社会福祉士制度の拡充を図るとともに、社会福祉士の活用・普及に努めること。  三 精神保健福祉士及び社会福祉士が相互間において資格取得しようとする場合には、それぞれの養成課程において科目免除等の措置を講ずることを具体的に検討すること。  四 医療ソーシャルワーカー資格制度あり方について、速やかに検討を開始すること。その際には、ソーシャルワーカー全般の資格制度あり方を踏まえること。  五 精神保健におけるチーム医療を確立するため、臨床心理技術者の国家資格制度の創設について検討すること。  六 精神病院における不祥事件の多発にかんがみ、精神障害者の一層の人権擁護等を図る観点から、精神病院指導監督の徹底を図ること。  七 精神保健福祉士に係る指定登録機関又は指定試験機関の指定を受けるための新たな法人の設立は行わないこと。 以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  179. 金子一義

    金子委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  180. 金子一義

    金子委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。     ―――――――――――――
  181. 金子一義

    金子委員長 次に、言語聴覚士法案及びこれに対する修正案について採決いたします。  まず、委員長提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  182. 金子一義

    金子委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  183. 金子一義

    金子委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  184. 金子一義

    金子委員長 この際、本案に対し、長勢甚遠君外五名から、自由民主党、新進党、民主党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び無所属クラブの六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を聴取いたします。長勢甚遠君。
  185. 長勢甚遠

    ○長勢委員 私は、自由民主党、新進党、民主党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び無所属クラブを代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。  案文を朗読して説明にかえさせていただきます。     言語聴覚士法案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について、適切な措置を講ずべきである。  一 障害者障害のない者と同等に生活し、活動ずる社会づくり(ノーマライゼーション)を推進する観点から、医療関係職種資格制度における障害者に係る欠格事由見直しを行うこと。その際、現在、総理府を中心に行っている障害者に係る欠格条項見直しに関する検討結果に基づき、これを行うこと。  二 現に病院診療所、学校、福祉施設等において、言語機能、聴覚の維持向上のための訓練検査等業務に従事している者が円滑に受験資格取得できるよう、講習会の実施等について十分配慮すること。  三 言語聴覚士の資質の向上を図るため、四年制大学を始めとする学校養成所における養成課程の充実に努めること。  四 言語聴覚士に係る指定登録機関又は指定試験機関については既存の公益法人を指定することとし、指定を受けるための新たな公益法人の設立は行わないこと。  五 言語聴覚士が円滑に業務を行うことができるよう、保健医療福祉及び教育のそれぞれの分野における必要な条件整備について検討すること。 以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  186. 金子一義

    金子委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  187. 金子一義

    金子委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、小泉厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。小泉厚生大臣
  188. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 ただいま御決議のありました精神保健福祉士法案及び言語聴覚士法案に関する附帯決議につきましては、それぞれの御趣旨を十分尊重し、努力いたします。     ―――――――――――――
  189. 金子一義

    金子委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  190. 金子一義

    金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  191. 金子一義

    金子委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時四十九分散会      ――――◇―――――