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山本(孝)
委員 この
委員会でも何度か数字が出ておりましたけれども、今、
精神障害者は百五十七万人、
病院に入っておられる方が三十三万から三十四万人おられる。
厚生省は、そのうちの二万七千から三万人ぐらいは今すぐでも院外で
処遇ができるはずである、あるいは、かつての調査でいけば、十万人ぐらいの方は
病院の外で生活できるはずだというふうに言われてきました。
今、
障害者プランでさらに
上乗せをされるのは、
厚生省が言っておられる、
社会復帰施設の建設という形では、三万人ぐらいしかありません。基本的に、予算は残念ながら積み残していくという状況があるのだそうです。一生懸命予算はつけて、
社会復帰施設をつくってほしいと言っているけれども、地域
社会の理解が得られないために
施設の建設が進まない、したがって予算も残っていってしまう、そういう状況もあるのだそうです。百五十七万人という数字から
考えれば、
日本の人口の数からして、八十人に一人ぐらいの割合になります。大変に普遍的な問題ではないかというふうにも思うわけですね。長年言われてきたことが結局解決してこない、お金をつけただけでは物事は解決しないという状況が残念ながらここにあるわけですね。
その
意味で、もっと
精神障害者の
福祉あるいは
医療の
分野に人を投入しないとだめなのだということは、まさにおっしゃるとおり、これまでやってこなかったことが全くもってひどいわけであって、それをここに来て、こういう
資格をつくるから物事がすべて解決するのだというような言われ方をすると、かちんとくる人もいっぱいいると思うのです。だけれども、今回、そういう
意味で、一歩でも二歩でもここから前進していくのであれば、そこはきっちりとしたものにしないといけないだろうというふうにも理解はしています。
となると、一体、今回つくられる
精神保健福祉士というのが、どういう人であって、どういう
業務をして、どういう能力を持っている人なのかということは極めて大きな問題になるわけですね。
それで、少し細やかな点についてお聞かせをいただきたいと思いますので、恐れ入ります、大臣も、今、見てくださいということでお渡しをしました、今回の
精神保健福祉士の
資格要件の与え方についての表でございます。これが
法律の中に盛り込みがされております。
一番右端のところで、実務五年、
講習会で試験
資格を与えるという形になっております。これは附則二条に書いてあるわけですけれども、
精神病院等での
相談業務に五年間従事していれば
精神保健福祉士の
受験資格を与えるというふうに書かれています。こういう与え方というのは、左側のいろいろなルート、十幾つあるのでしょうか、からすると、極めて安易な与え方ではないですかというふうに御
質問を申し上げたら、
厚生省の御答弁は、現在、
精神科
ソーシャルワーカーの多くは
社会福祉系大学を卒業している者と承知しており、
精神保健福祉士としての基礎的な資質は十分
確保されているものと
考えることから、
講習会受講によって
受験資格を与えることは決して安易ではないという
お答えでした。
左側の方を見ていっていただきますと、
社会福祉士というのが十一号でございます。上に短期養成機関六カ月、実際には未設置でこういう六カ月の養成機関というのはありませんけれども、こういうものが上にキャップ制のように重なっております。
社会福祉系大学の卒業生が多い
社会福祉士には六カ月の短期
養成施設での勉強が求められている。このつくられ方からすると、
精神保健福祉士になるには
社会福祉士では足りない
教育の
部分があるんだという形でこうなっているというふうにしか読み取れません。
この点についての
厚生省の説明は、
社会福祉士は
精神症状の安定していない
精神障害者の
社会復帰に関する
相談援助を行うことを想定していないことから、
精神障害者の
保健及び
福祉に関する
専門的知識を得るためには、短期
養成施設等においてこれら
精神保健福祉士としての専門的な
知識や
技術の
科目を
履修する必要があり、これらの
履修には六百六十時間、六カ月を要するのだという御説明をされておられる。
私の
質問は、同様に
社会福祉系の卒業生が多いという御説明をされておられる右端の実務経験五年と十一号の
社会福祉士との間に、なぜ
社会福祉士の方だけ六カ月の短期
養成施設での研修を義務づけなければいけないのですか、同様の卒業生じゃないですか、なぜこういうふうに差が出るんですかというところの御説明をいただきたいと思います。