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1997-11-26 第141回国会 衆議院 厚生委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十一月二十六日(水曜日)     午前十時二分開議 出席委員   委員長 金子 一義君    理事 佐藤 剛男君 理事 津島 雄二君    理事 長勢 甚遠君 理事 根本  匠君    理事 岡田 克也君 理事 山本 孝史君    理事 金田 誠一君 理事 児玉 健次君       江渡 聡徳君    衛藤 晟一君       大村 秀章君    阪上 善秀君       桜井 郁三君    鈴木 俊一君       田村 憲久君    戸井田 徹君       能勢 和子君    原田 義昭君       桧田  仁君    堀之内久男君       松本  純君    山下 徳夫君       青山 二三君    大口 善徳君       坂口  力君    福島  豊君       桝屋 敬悟君    矢上 雅義君       吉田 幸弘君    米津 等史君       家西  悟君    石毛 鍈子君       中桐 伸五君    瀬古由起子君       中川 智子君    鴨下 一郎君       土屋 品子君    土肥 隆一君       山本 幸三君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 小泉純一郎君  出席政府委員         厚生政務次官  原田 義昭君         厚生大臣官房長 近藤純五郎君         厚生大臣官房総         務審議官    田中 泰弘君         厚生省健康政策         局長      谷  修一君         厚生省保健医療         局長      小林 秀資君         厚生省生活衛生         局長      小野 昭雄君         厚生省医薬安全         局長      中西 明典君         厚生省保険局長 高木 俊明君  委員外出席者         環境庁企画調整         局環境保健部環         境安全課長   中島 正治君         文部省初等中等         教育局特殊教育         課長      辰野 裕一君         文部省体育局体         育課長     玉井日出夫君         厚生大臣官房障         害保健福祉部長 篠崎 英夫君         厚生委員会調査         室長      市川  喬君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月二十六日  辞任         補欠選任   安倍 晋三君     阪上 善秀君 同日  辞任       補欠選任   阪上 善秀君     安倍 晋三君     ――――――――――――― 十一月二十五日  中小自営業者婦人の健康と母性保護、社会的・  経済的地位向上に関する請願北橋健治紹介  )(第六七五号)  同(辻元清美君紹介)(第七五二号)  同(土井たか子紹介)(第七五三号)  同(藤木洋子紹介)(第七五四号)  同(石井郁子紹介)(第八〇一号)  同(木島日出夫紹介)(第八〇二号)  医療保険制度改悪反対医療充実に関する請  願(矢島恒夫紹介)(第六九〇号)  介護保険法案抜本的修正に関する請願(穀田  恵二君紹介)(第六九一号)  同(志位和夫紹介)(第六九二号)  同(松本善明紹介)(第六九三号)  同(瀬古由起子紹介)(第七二二号)  公的介護保障制度早期確立に関する請願(古  堅実吉紹介)(第六九四号)  子供性的搾取・虐待をなくすための立法措置  に関する請願海江田万里紹介)(第七二一  号)  同(海江田万里紹介)(第七五一号)  同(海江田万里紹介)(第七七九号)  同(森山眞弓紹介)(第八〇〇号)  児童を性的に搾取する行為を禁止するための児  童福祉法第三十四条の改正に関する請願土井  たか子紹介)(第七四九号)  遺伝子組換え食品安全性確保に関する請願  (藤田スミ紹介)(第七五〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十一月二十六日  医療制度充実に関する陳情書外二件  (第七一号)  地域医療保健福祉対策推進に関する陳情書  外二件  (第七二号)  社会福祉対策充実強化に関する陳情書外一件  (第七三号)  国立ハンセン病療養所医療福祉改善等に  関する陳情書  (第七四号)  国民のための公的介護保険制度確立に関する  陳情書外一件  (第七五号)  看護婦の増員・夜勤改善に関する陳情書  (第七六号)  腸管出血性大腸菌による食中毒の発生防止対策  の推進に関する陳情書  (第七七号)  遺伝子組換え食品安全性等に関する陳情書外  八件  (第七八号)  遺伝子組換え食品輸入禁止等に関する陳情書  (第七九号)  世界保健機関神戸センター運営支援に関する  陳情書  (第八〇号)  公的年金受給者現況届改善に関する陳情書  (第八一号  )  児童扶養手当公的年金の併給に係る制度改善  に関する陳情書  (第八二号)  放課後児童対策事業法制化に関する陳情書  (第八三号)  少子化対策充実等に関する陳情書外二件  (第八四号)  子供商業的性的搾取撤廃に関する陳情書  (第  八五号)  ダイオキシン対策への特別な財政措置に関する  陳情書外四件  (第八六号)  広域廃棄物処理対策推進等に関する陳情書  (  第  八七号)  水道施設等整備促進に関する陳情書外一件  (第八八号)  非イオン界面活性剤水道法における水質基準  の設定等に関する陳情書  (第八九号)  合併処理浄化槽施設整備事業助成に関する陳  情書(第九  〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  厚生関係基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 金子一義

    金子委員長 これより会議を開きます。  厚生関係基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大口善徳君。
  3. 大口善徳

    大口委員 新進党の大口でございます。  それでは、時間もありませんので早速本題に入りたいと思いますが、本年五月十三日、本会議におきまして、私は重症心身障害児教育現場での医療バックアップ体制について質問をさせていただきました。それに対して、橋本総理また小泉大臣から、「重症心身障害児方々地域において安心して暮らすことができるための施策充実に努めていきたいと思います。」こういう答弁をしていただきました。これを受けまして、文部省厚生省でどのような対応をされているか。まず、文部省からお伺いしたいと思います。
  4. 辰野裕一

    辰野説明員 養護学校医療的ケアの問題につきましては、恒常的かつ手厚い医療的措置を要する児童生徒につきましては、基本的には、病院等に入院して療養に専念しつつ病弱養護学校教育を受けたり、あるいは訪問教育を受けることが適当だと考えておりますけれども養護学校に通学する場合でも、手厚い医療的介護が必要な場合には、医療機関併設、隣接する学校へ通学させるということが適当であると思っております。  問題は、医療機関併設、隣接していない養護学校に通学する場合に、今広く行われております医療的ケアについてどのように考えていくかということにつきまして、医師法との問題等もありますことから、前回の先生の御質問も受けまして、法制上の考え方整理や、望ましい医療福祉等との連携あり方について、本年七月から厚生省と協議の場を設けさせていただきまして、現在検討を進めているところでございます。  それから、平成十年度予算としまして、特殊教育における福祉医療との連携に関する実践研究ということで予算要求をしておりまして、この予算が認められますれば、これらの検討を踏まえまして、幾つかの都道府県において実際的に望ましい連携方法等について調査研究を行っていきたい、このようなことを通じまして望ましい解決方向を探っていきたいというふうに考えておるところでございます。
  5. 大口善徳

    大口委員 この医療ケアを必要とする児童の数というのは千六百四十六名とも言われております。そういう中で、やはり教育現場は非常に困っておるわけであります。そういう点で、国が医療ケア基本方針についてきちっと出していただかなきゃいけない、こう思うわけでございます。  また、平成十年度に実践研究というものをするということでありますが、その項目として、養護教諭をどうしていくか、それから学校職員活用をどうするべきか、あるいは看護婦配置、これは複数配置ということの要望が強いようでありますが、そういうことをどうするか、あるいは訪問看護ステーション制度活用、それから専門医巡回指導医療機関との連携救急医療体制ネットワークづくり、こういうことが課題になってくると思います。  この点につきまして、文部省実践研究との関係で、これらの項目について研究対象とされ、また特に訪問看護ステーションですとか専門医巡回指導、あるいは救急医療体制ネットワークづくり、どのように考えておるか、お伺いしたいと思います。
  6. 辰野裕一

    辰野説明員 医療的ケアに関連いたしまして、ただいま先生が御指摘になりましたような具体の方策について、例えば校長会等におきましてもさまざまな研究を進めておりまして、先生指摘のような事柄についても、我々いろいろ要望を受けております。  ただ、今の段階で一番校長会等でもポイントとして指摘しておりますのは、これらの施策考えていく上でも、その基盤となる、前提となるいわば枠組みの問題についてでございます。といいますのは、現在広く養護学校で行われております経管栄養とか導尿とか吸引とかのような行為危険性はそれほど高くないが、またある程度定型的な行為、こういう行為について、これが医師法で禁止されている医療行為との関係をどう整理すべきか、この辺のところが整理されないと、いろいろな具体施策についてもなかなか検討しにくいということがございまして、校長会等要望を見ましても、まず第一に挙げられておりますのが、国における基本的な考え方整理基本方針の明示ということでございます。それからその際、関連いたしまして、教員がどこまでできるのか、ないしはやってはいけないのか、その辺のところを明確にしてほしいということがございます。  ですから、この辺につきまして、現在厚生省ともいろいろとお話をさせていただいておる段階でございまして、この辺の検討結果も踏まえまして、御指摘のような十年からの予算における研究におきましては、今御提示のありましたさまざまな施策も含めて研究を進めてまいりたいというふうに考えております。
  7. 大口善徳

    大口委員 現場はそれを待っておるわけなんですが、いつごろまでに結論を出すのか、来年度、実践研究をした上で。どう考えておるのか、どうでしょうか。
  8. 辰野裕一

    辰野説明員 これは、検討それから実践研究進捗ぐあいにもよるわけでございますけれども、できるだけ我々も課題については明確にして実践を行っていただきたいし、その結果についてはなるべく早期検討に生かしていきたいというふうに考えております。
  9. 大口善徳

    大口委員 その早期にというのはいつごろですか。平成十年度を受けていつごろになりますか、早期にというと。
  10. 辰野裕一

    辰野説明員 予算につきましては、現段階で私が申し上げられる立場ではございませんし、これが通りまして平成十年度には実施されるわけですから、その進捗状況を見ながらなるべく早期にということでございますので、御理解いただきたいと思います。
  11. 大口善徳

    大口委員 これにつきましては、厚生省協力をしていくということで大臣の御答弁もあるわけでございます。  実際、宮城県におきましては、訪問看護ステーション活用ということを県で助成をしてやっております。それから専門医巡回指導、これにつきましては、東京都、横浜市でもう既にやっております。それから救急医療体制ネットワークづくり、こういうものについては厚生省協力がないとできません。それから、医療行為ができるかどうかという問題は、今十分検討されているということでございますので、その点についてはある程度煮詰まってからお伺いするにしましても、この三点についての協力についてどうお考えですか。
  12. 篠崎英夫

    篠崎説明員 重症心身障害児を就学させている養護学校におきます専門医巡回指導あるいは緊急時の医療対応する体制づくりにつきましては、養護学校管理運営の問題の一環として、地域専門病院あるいは医師会などの協力を得て適切に対処されるべきものと理解をしております。  文部省が十年度予算で行おうとしている実践研究につきましては、文部省から具体的な協力要請があれば、重症心身障害児医療に精通した医療機関やあるいは専門的な知見を有する医師に関する情報の提供など、必要な協力をしてまいりたいと考えております。
  13. 大口善徳

    大口委員 訪問看護ステーションについては今の段階では保険の適用はないわけでありますけれども、この点についてはどうお考えですか。
  14. 高木俊明

    高木(俊)政府委員 訪問看護ステーションを利用して重症心身障害児に対する吸引等医療的なケアというものを行っておるところがあるわけでありますけれども、問題は、全体としてどういうようなこういう障害児に対するケア体制を構築するかということでないかと思います。  そういった中で、例えば訪問看護ステーション活用するというような体制整備というものはあり得ると思います。その際にその費用をどういうふうに負担するかという問題ではないかと思います。その分を現在は医療保険では見ていないわけでありますけれども、これはやはり全体の体系の中で例えば公的な体制というものを整えていくわけでありますから、むしろそういったような体制をきちっと整えていくということをまず第一義的に考えるべきだと。  そういった中で、例えばやむを得ず個別的に訪問看護というものを活用しなければならないという場合が現実に出てくるとすれば、そこについては、私どもとしても、十分この重症心身障害児方々が安心できるように、そういった支援というものは全くしないということではなく、考えていかなければいけないと思っております。  いずれにしても、全体として安心して養護学校で生活できるような、そういう体制をどうつくっていくかということでありますから、文部省ともよく御相談しながら、この辺についてはできるだけ実情に沿った扱いというものを私どもとしても考えていきたいと考えております。
  15. 大口善徳

    大口委員 この問題は、文部省厚生省縦割り、それから厚生省の中のいろいろな縦割りの問題もあります。特にそういう点で厚生省協力というものは不可欠であります。その点について、厚生大臣からその取り組みについてお伺いしたいと思います。
  16. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 委員指摘のように、文部省との連携協力は不可欠だと思いますので、どのような対応がいいか、それぞれ文部省と相談しながら厚生省としても適切な対応をしていきたい、そう思っております。
  17. 大口善徳

    大口委員 次に、情報公開についてお伺いしたいと思います。  我が党におきましては、患者保護情報公開に関する法律、仮称ですけれども、そういうことで、レセプトあるいはカルテ等開示の問題を含めまして、今、法案の作成について検討しておるところであります。そういう中で、まずレセプト開示についてお伺いをしたいと思います。  レセプトというのは、これは医療機関保険者に対する支払い請求書になるわけでありまして、このことにつきましてはもちろん保険者がこれの管理にあるわけでありますけれども保険者のものということでありますけれども、毎月保険料を払っているのは被保険者である患者であるわけです。そしてまた当然自己負担もしておりますし、その請求がどういうものなのかということを知ることは、私は当然の権利であると思います。  しかしながら、今あるのは、この厚生省局長通知平成九年六月二十五日に通知として出されているわけであります。本来からいえば、これはきちっと法律規定をすべきである、こういうふうに考えるわけでありますが、この点についてどうでしょうか。
  18. 高木俊明

    高木(俊)政府委員 このレセプト保険者からの情報開示ということにつきましては、従来の方針を変更しまして、先ほど先生指摘のとおり、本年六月からこれについては開示をするようにということで指導をいたしております。  基本はあくまでも、医療というのはやはり医師患者との信頼関係というものを基調にすべきだと考えておるわけでありまして、そういった意味で、私どもとしては、そういう点に立った運用がやはり基本だろうというふうに考えております。  ただ、これを法律上きちっと位置づけるべきかどうかということにつきましては、これだけに限らず、医療情報取り扱いについて現在いろいろ御議論がございます。こういった御議論というものを踏まえながら、今後やはりそういった中でその一環として考えていくべきものではないかというふうに考えておりますが、私どもとしては、現在のところ、この六月の新しい方向というもので十分対応できるのではないかというふうに考えております。
  19. 大口善徳

    大口委員 この通知の中で、一つは「診療報酬明細書等管理する保険者判断による」ということで、保険者がこれを開示するかどうかを判断するわけであると思います。しかし、その中で、本人傷病名等を知ったとしても本人診療支障が生じない旨を医療機関に確認する、主治医に確認するということになっているわけであります。  そこで、保険者管理であり、保険者判断する、しかしながら、傷病名について診療支障がないとの確認ということからいきますと、主治医が最終的な判断権を持っているのかどうか。  それから、これについて一つ基準というものがないわけであります。  例えば悪性疾患の場合、告知の問題があるわけでありますけれども、これにつきましても、本人が求めているわけであるから、これはその要求に応ずべきであるということは当然考えられるわけであります。また、悪性でないものについてはこれはもう公開をすべきであって、悪性でないものについて拒否する理由というものは私は見当たらないと思います。また、精神疾患につきましては、これはいろいろな議論がございます。医学的な考え方、これは議論していかなければいけないところでありますが、いずれにしましても、今の通知においては、このあたり基準というものがはっきりしていない。現場のお医者さんも困るのではないか、こう思うわけであります。  また、対象となるレセプトの範囲につきましても、これは診療報酬請求権の時効ということで、国公立は五年前までのレセプト、それからそれ以外は三年前までのレセプトというものが対象になっているわけでございますけれども、今、磁気レセというもの、後にお伺いしますが、そういう形で電子保存するわけでございますので、このあたりにつきましても明確に規定しておくべきではないか、こういうふうに思いますが、いかがでしょう。
  20. 高木俊明

    高木(俊)政府委員 まず最初に、開示をするかどうかということについて主治医の裁量に任されているという件でございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、やはり医療基本というのは、医師患者との信頼関係というものが基調であります。そういった中で、診療行為というものを医師現実患者さんにやっておるわけですから、診療支障があるというようなケースがあり得るわけでありまして、それについては、保険者が一方的に行うというよりも、やはりそれぞれ個々の診療ごとにそういった意味での支障が出てくるということが考えられますので、一律に基準というものを求めるということはなかなか難しいのではないかというふうに思っております。  それからまた、問題がありそうなケースについては、やはり主治医の了解を得た上で保険者開示するなら開示するという方が、私は、やはり患者医師との関係を踏まえて、その方が合理的ではないかというふうに考えております。  それからまた、レセプト保管期間の問題でございますけれども、これは現在も、例えば政府管掌健康保険であれば五年、それから国民健康保険であればやはり五年というようなことで一定の保管というものを指導しております。これにつきまして今後きちっと法的に規定すべきかどうかというのはこれから、先ほど申し上げましたような全体の情報管理なりあるいは情報開示あり方なりの規定の仕方という中で考えるべきことだろうというふうに思いますけれども、現在のところは私ども、今申し上げましたような方向でそれぞれの保険者保管管理というものをするように指導しているという状況でございます。
  21. 大口善徳

    大口委員 例えば悪性でないようなものについて開示を拒否する、診療差しさわりがあるというような、まあどう考えても合理的な理由保険者としても認められない、こういうような場合についても保険者としてはその主治医の意見に従わなきゃいけないのか。それからまた、こういうふうに開示を拒否された場合に不服申し立てする機関ですとか、あるいは主治医判断正当性をチェックする機関といいますか、こういうことについてはどう考えておられるのか。また、そういう申請者不服申し立て権ということについてどう考えておられるのか、ここら辺をお伺いしたいと思います。
  22. 高木俊明

    高木(俊)政府委員 これはまさにケースバイケースでありますから、一律にはなかなか論じられない面があると思います。保険者が見て、どうも合理的な理由がなく、主治医の方が開示に対して積極的ではないというような場合については、やはりケースバイケースだろうと思います。ただ基本的には、やはり主治医にその判断というものをゆだねるといいますか、その理由をきちっと聞いた上で開示をしていくということを基本にした方が、当面の取り扱いとしては私は、医師患者との信頼関係というものをきちっと構築していく上においては適当ではないかというふうに考えております。  それからまた、そういった主治医判断がどうも余り合理的ではないのではないかというようなケースについて、やはりそれなりのきちんとした不服申し立てができる機関とかあるいはチェック機関が必要ではないかというお尋ねでありますけれども、これも、あえてそういったような機関を新たに設置する必要があるのかどうかという問題があると思います。やはりそういった問題については個別ケースとして、主治医患者さん、それからまた保険者主治医との関係の中で、話し合いの中で解決をしていくということでよろしいのではないかというふうに考えております。
  23. 大口善徳

    大口委員 このことにつきまして、明らかにそういう理由がないような場合に保険者判断で、主治医は拒否していてもそれが合理的でないという場合は保険者判断としてやはり開示をする場合があると思うのですけれどもね。それからまた不服申し立て機関につきましても、どう考えておるか、大臣からお伺いしたいと思います。
  24. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 基本的に、レセプトというのは保険者からの要求についてもあるいは患者本人からの要求についても開示すべきだと私は思うのです。  ただ、今保険局長から答弁ありましたように、これは医師患者との信頼関係にもよるものでありますし、病気の種類によっていろいろ難しい問題もあると思います。というのは、家族がどうしても患者本人に知らせるなという場合がありますね。その場合どうするのか。患者本人にとっても、家族が知っていて自分が知らないというのは、患者立場に立つとこれまた納得できない面があると思うのであります。家族にとってみれば、病気が重いから本人には知らせたくないという場合もあるでしょうし、むしろお医者さんに頼んで、何とか知らせないでほしいという家族現実にいる。しかし患者にとってみれば、本来は、重ければ重いほど自分の病気を知りたいという欲求が出てくるのは当然でありますから、その点、私はケースバイケースというのがあるのじゃないか。  しかし、今厚生省としては、レセプトはできるだけ本人要求があれば開示するように指導しておりますから、その辺は、自発的にお医者さんがみずからの裁量権あるいは見識によって知らせるべき問題じゃないだろうか。客観的な基準を設けるといっても、その客観的な基準はどういうものか、実に難しい点があると思います。私は、今厚生省自身としてはできるだけレセプト開示するよう指導しておりますから、そのことで解決すべき、また解決できる点が多いのではないかというふうに思っております。
  25. 大口善徳

    大口委員 ただ要するに、主治医開示すべきでないという場合も、根拠がないような場合は保険者の独自の判断として、やはり判断権保険者にあるわけですから、開示をする場合もあるということはお認めになりますか。いや、これは大臣、お答えください。
  26. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 それはいいと思いますね。
  27. 大口善徳

    大口委員 次に、カルテの記載とレセプトの記載が同一でない場合があります。これは、診療報酬を請求する請求書であるレセプト診療の記録であるカルテとの性格の違いもあるわけでありますけれども、例えば、軽い高血圧に抗うつ剤を打つとか、あるいは胃炎についても抗うつ剤を打つですとか、あるいはマルメ点数とか定額点数の場合ですとか、医科点数表の解釈等もありまして食い違う場合がある。こういう場合に、両方比べたときに患者さんの方で混乱する場合があるわけですね。  こういう医療現場における混乱について、やはりこれは保険者レセプトの見方について相談の窓口を置くとか、こういうふうにしないとなかなか、レセプトを見せられて、それでカルテとの違いを見てもわからない場合もあるわけですね。こういう点についてもやはり保険者としてそういう窓口を設けるべきじゃないかな、あるいは行政として設けるべきじゃないかな、こう思うわけですけれども、いかがでしょうか。
  28. 高木俊明

    高木(俊)政府委員 ことしの八月二十九日にまとめられました与党協の医療制度に対する抜本的な改革案がございますけれども、その中でも、いわゆる患者に対する相談窓口というものをできるだけ設置していく方向ということが打ち出されております。これは保険者機能の一環ということもさることながら、そのほかの機関にもできるだけそういったような相談窓口というものを整備していったらいいのではないかということが指摘をされておりまして、私どもとしましても、こういった与党協における改革案の方向に沿って、できるだけ患者さんあるいは被保険者方々が便利なような、そういった相談窓口の設置等について今検討をしておるところでございまして、私どもとしては、できるだけ前向きに取り組んでいきたいというふうに考えております。
  29. 大口善徳

    大口委員 次に、医療費の明細書についてなんですが、今大臣レセプト開示について、開示をすべきだ、こういう前向きの答弁があったわけでございますけれども患者医療費の明細書を交付してほしいという場合には、これは基本的にそれに応すべき義務といいますか、そういうものをやはり医療機関が負うべきである、こういうふうに思うわけであります。  厚生省の今回の抜本改革案の中でも、償還基準額を超えて負担を求める場合には医師だとか薬剤師は明細書を発行しなければいけない、こういうふうになっている。これをもっと拡大して、求められた場合当然これを交付すべきである、費用につきましてはこれは考えなきゃいけないと思いますが、そう思うわけでございますけれども大臣、いかがでしょうか。
  30. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 基本的にその方向であるべきだと思っております。
  31. 大口善徳

    大口委員 次に、カルテの情報提供についてお伺いしますが、これにつきましては、ことしの七月十日からカルテ等診療情報活用に関する検討会、こういうものがスタートしたわけであります。私は、このカルテの情報提供ということにつきましても、患者さんが、みずからの病状に関する記録なわけでありますので、それについてその情報を自分で確保するという意味の自己決定権といいますか、そういうものがあるのではないか、こう思うわけであります。  諸外国を見てみましても、アメリカでは州法、あるいはスウェーデンは法律、ドイツでは判例でもって契約上そういう権利がある。またイギリスにおいても法律でカルテの情報開示についての請求権というものを認めているわけでございまして、そういう点で、日本におきましてもそれは権利として認めるべきではないか、こういうふうに考えておるわけです。この点について、大臣の方からお願いしたいと思います。
  32. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 カルテ情報の提供について、現在、カルテ等診療情報活用に関する検討会において議論されております。原則として診療情報患者に提供する方向で今議論が進んでいると理解しておりますし、法律に明記すべきかどうかについては、この検討会における結論を得た上で、今後改めて検討していきたいと思っております。
  33. 大口善徳

    大口委員 今大臣が引用されました検討会、これは平成九年度に報告を出す、こういうことであります。来年の三月三十一日までということでございます。そういう点で、この結論は、皆さん待っておるわけでございますから、情報公開の流れの中でも早急にやるべきだと思います。大臣として、この結論、これはいつごろ出すべきとお考えでしょうか。大臣としてお伺いしたい。
  34. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 本年度中に検討会の結論が出ますから、それを踏まえてできるだけ早く準備をしたいと思います。
  35. 大口善徳

    大口委員 できるだけ早くということですけれども大臣としてはいつごろを考えておりますか。
  36. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 できるだけ早くしたいと思います。
  37. 大口善徳

    大口委員 それじゃ、通常国会で議論ができるということではないか、我々もその法案を出す予定でもおりますので、よろしくお願いしたいと思います。  このカルテにつきましては、これを開示されても、やはりそれが患者が読めなきゃいけないという問題もございます。大臣は余り外国語を多用すべきでない、こういうことでありますけれども、例えばカルテにつきましては、外国語と日本語を混入させて書いたり、非常に見てわからないという面があります。そういう点について、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  38. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 できるだけわかりやすい日本語を使うというのは、私は事務当局に指示しております。そういうことから、今委員指摘の点は私は当然だと思いまして、現在のレセプトでも一私が大臣に就任してからも、レセプトって何だという苦情が随分私の事務所に来ています。診療報酬明細書というよりも、一般的に言えば診療費の明細書で十分わかるわけですね。この点も、わざわざ難しい診療報酬明細書よりも、これは専門用語だそうでありますけれども、一般には診療費の明細書だという方がわかるわけです。  いかにわかりやすい日本語を使うかというのはあらゆる場面でも言えるのではないかということでありますので、今委員の御指摘を踏まえて対処したいと思います。
  39. 大口善徳

    大口委員 最後に、レセプトの審査の電算化についてお伺いをします。  さきの決算委員会におきまして、高木局長の方から電算化につきましては答弁がありました。それは、医療機関が九割方既にコンピューターを導入している、そういうことで、厚生省としても来年度中、平成十年度中に大部分がそういう電算化処理について乗っかかれるような、そのような計画というものを検討している、こういう答弁だったわけであります。  それで、今、審査・支払機関においては大体十二億の件数を処理しているわけであります。そして、局長の話ですと手を挙げたところは全国どこでもその磁気レセプトについて審査・支払機関において受け入れます、こういうふうに私はそれを受け取ったわけでございます。  それにつきまして、審査・支払機関の方で、コンピューター等の関係で今現実にどれだけ処理をしているのか。そして今の状況であれば処理可能な件数がどれだけなのか。しかしながら、これが今までは、地区指定とか都道府県指定とかいろいろ制限をしていたわけです。また医療機関の指定というような形で制約していたものが、自由届け出方式になるわけですね。この自由届け出方式も、平成十三年度というのを前倒しして来年度に導入するということなわけでありましょうけれども、そういう形で全国からだれでも磁気レセプトについて受け入れますよということに対して、審査・支払機関にそれだけの能力があるのか。それがなければ、それこそ医療機関もそういう方向で行こうということに対して水を差すことになると思います。  そういう点で、これは相当お金のかかることでもありますし、審査・支払機関とのどういう詰めをこれからしていくのか、来年どれぐらい手を挙げることが予想され、その手を挙げたところに対してちゃんと対応していくのか、そこら辺をお伺いしたいと思います。
  40. 高木俊明

    高木(俊)政府委員 何点かございますけれども、まず、現在医療機関でそれぞれ、いわゆるパソコン等を使いましてレセプトの電算処理をしているのは、病院では九割を超えております。また、全体のレセプトの中で八割を超える枚数が、既に各医療機関では電算処理をされておるわけであります。  ただ問題は、これを受け入れられるような体制が非常におくれておりまして、そういった意味で、支払基金に例えばフロッピーなりあるいはテープでというわけには今いかないわけでありますが、現在、九月の診療分で見ますと、まだパイロットスタディーということでありますから、全国的には百五十一の医療機関しかやっておりません。  そういうような状況でありますので、まず一点は、支払基金なりあるいは国保連合会なりがそれをフロッピー等で受け入れられるような、そういったいわゆるソフト面での改良、改革というものがどこまで技術的にできるかということを今やっておるわけであります。それと同時に、出し手の方もできればソフト面での統一をできるだけしていただく方向の方が、受け手の方も効率化ができますので、そういった面での取り組みというものもやはり必要であるというような観点も検討しております。  それと同時に、最後にお話ございましたように、これは、受け入れる側をきちんと整備するということになりますと、やはりかなりそれなりの金もかかりますし、それからまた体制整備ということについてもいろいろと問題がございます。それらをやはり総合的に今検討しておりまして、医療機関サイドの方は既に病院内での電算化というのは進んでおるわけですから、それを十分受け入れられるような仕組みというものを早急に進めていくということであります。  私どもとしては、これまでの考え方というものをもう一回見直して、そして、できるだけ実態に沿うような形で受け入れられるように今検討しておりますので、この検討の結果を見た上でやはり全国的な普及状況というものを考えていかなければならないだろうと思っております。
  41. 金子一義

    金子委員長 質疑時間が来ましたので、終わらせてください。
  42. 大口善徳

    大口委員 では、以上で終わりますが、来年度中にその体制をとるという局長答弁について、私はしっかり見ておりますので、よろしくお願いします。  以上です。
  43. 金子一義

    金子委員長 以上で大口善徳君の質疑は終了いたしました。  次に、福島豊君。
  44. 福島豊

    ○福島委員 本日は、化学物質過敏症のことについてお尋ねをさせていただこうと思っております。  その前置きといいましてはあれですけれども、最近、この「奪われし未来」という本が日本でも翻訳、刊行されまして、大変注目を浴びております。現代社会というのはさまざまな化学物質に汚染された社会であると言っても私は過言ではないと思いますが、その化学物質と健康問題ということについて新たな警鐘を打ち鳴らす、そのような書物であろうかというふうに思います。  化学物質過敏症とは直接に関係しませんが、この書の序文に、ゴア副大統領が序文を寄せておりまして、その一説を御紹介したいと思います。  この本は、多様な合成化学物質がホルモン分泌系の繊細な作用をどのように撹乱しているのかを鮮やかに描いたわかりやすい研究報告である。初期の研究から既に合成化学物質とさまざまな現象との関連性が指摘されていた。精子数の減少、不妊症、生殖器異常、乳がんや前立腺がんなどのホルモンに誘発されたがん、多動症や注意散漫といった子供に見られる神経障害、そして野生生物の発達及び生殖異常、こんな現象が問題視されていた。  科学の審判は、今ようやく始まったばかりである。人類が直面している脅威の性質と規模は、科学研究が進むにつれて正しくとらえられるようになるだろう。また、合成化学物質が世界経済のかなめとなっている以上、深刻な環境問題や健康問題が実は化学物質の働きと密接な関係にあることを裏づける証拠は、物議を醸すことになるだろう。  ふえ続ける証拠に対処すべく、米国科学アカデミーは、危機評価のための専門家グループを組織した。これは重要な一歩だが、今後は、さらに研究を続けて、合成化学物質が障害を誘発する仕組みを初め、同じような特性を持つ合成化学物質の数を確認したり、化学物質への暴露が今後もどのような形で生じ得るのかを見きわめる必要があろうというような序文を寄せております。  この問題につきましては、さきの国会におきまして鴨下委員も取り上げたところでありますが、今まで、化学物質による健康障害といいますと、ともすれば発がん性ということが注目されるところでありまして、それ以外の分野におきましては十分な研究がなされていなかったのではないか。この書が啓発するところは、発がんということだけでなくて、内分泌系に対しても、ホルモン類似の作用を及ぼすことによって非常に多面的な健康障害を引き起こすことがある、しかも、これは極めて微量の化学物質によっても引き起こし得るということでありまして、生殖異常というようなことはヒトという種の未来そのものにも大きな影響を及ぼすのだという意味では、これは大変貴重な報告なのだろうというふうに思っております。  その化学物質は何十万という種類がありまして、それに取り囲まれて我々は生活しているわけですが、その化学物質が健康に及ぼす影響ということで、一つは、この内分泌に対しての撹乱作用、また生殖といった人にとって極めて重要な生理機能に対して及ぼす作用、こういうことも非常に今大切だ。  また、最近こういう本も出ました。「環境問題としてのアレルギー」という本でございまして、これは東京大学の伊藤教授が編者になられて組まれた本でございますけれども、アレルギーというのも実は環境問題である。これはさまざまな観点がございますけれども、化学物質という観点からいえば、例えばシックハウス症候群のように家屋内の化学物質がアレルギーを誘発するということがある。これは私自身が経験したことでございますが、そういう意味では、化学物質がアレルギーに対してどのような影響を与えているのか、こういう側面も極めて大切な問題だと思います。  この極めて多くの化学物質に囲まれた現代生活において、その化学物質が我々の健康に与える影響、今までの知見だけでは十分ではないと私は思っておりまして、幅を広げた多面的な研究というものを本当に推進していかなければ我々の健康、そしてまた我々の子孫の未来も守ることはできないのではないか、そのように思っております。  厚生省におきましては、来年の予算の中におきましてこういった研究を進めるというようなお話もお聞きはいたしておりますが、本日は、その関連としまして、化学物質過敏症というものがある、今までさまざまな対応をなされておられるとは伺っておりますが、まだまだ私は十分ではないのではないかというような思いもありまして、取り上げさせていただいた次第でございます。  化学物質過敏症患者の会というのがございまして、全国で数百名の方が会員になられまして、まだまだ一般には知られていないこの化学物質過敏症に対して、医療の面におきましても、また行政の面におきましてもしっかりと対応していただきたいということで活動している会でございます。  化学物質過敏症といいますと一体どんな病気なんやという話がまず出てくるわけでございまして、私も、医者をしておりましたときにはこういう病気があるということは知りませんでした。具体的に大臣にもお聞きいただきたいと思います。「症例集」というのがございまして、この症例をお聞きいただければと思います。  これは千葉県の女性の方の症例でございます。   私の化学物質過敏症の原因は畳の下に多量に敷かれた工業用ナフタリンでした。これは古い話ですが、   昭和六十三年七月、母と二人で貸家に入居しました。外から臭って来るのか、家の中が臭うのか、何かスースーする臭いがするのです。  数日すると体中がちくちくし、目がしばしぱしてきました。  日がたつにつれ症状が強くなり皮ふや目の他に頭が痛くなり、こめかみ辺りが圧迫され、背中がつっぱり首のリンパ腺がはれている様な感じで、脳とせき髄の神経までやられている様でした。  このナフタリンを畳やさんに掃除機とほうきではいてもらいましたが、床と畳にしみ込んでしまい何の効果もありませんでした。畳を上げた床下には水がたまっていました。こんな床下でしたので、床も低い事もあって前の畳は腐ってしまったのです。そんな訳で湿気で虫がわかない様にと畳やさんが多量にナフタリンを入れてしまったのです。  ナフタリンを入れたとわかったのが入居して二ケ月過ぎていました。その間に皮ふ科にも行きましたが自律神経といわれ数日かよいました。  原因がわかってから内科に行きました。先生に引っ越しをしなければなりませんといわれました。このナフタリンの家に百日住んでしまいました。  次の家を決め、不動産やさんにナフタリンが入って無い事を確かめました。しかし住んでみると何か臭いがするのです。隣の方に聞きましたら一年位前に白蟻の薬をまいたという事でした。お客が来ても臭いが気にならない様です。  症状はますます悪化してしまいました。  目…充血。上下左右動きにくい。目玉が硬くなった感じ。ぱさばさする。ごろごろする。痛い。つっぱる。  鼻…鼻水が出る。痛い。鼻血が出た事がある。鼻がのどに流れる。くしゃみが出る。小鼻がこわばる。ほほがはれる。  口…くちびるがヒリヒリする。くちびるがはれる。くちびるが黒ずんで赤い。舌がざらざらする。舌がヒリヒリする。上あごがざらざらする。空気がにがい。等々と続くわけでございまして、長くなりますので中途で省略いたしますが、極めて多彩な症状が、この場合でしたらナフタリンがきっかけになって、その次はシロアリの駆除剤が恐らく引き金になってこういう症状が出てきたのだろう。  ただ、この問題はなかなか、先ほどもありましたように、お医者さんに行きましても、自律神経でしょう、気の病じゃないですかというような言われ方をすることがありまして、まだまだ世間の認識というのは薄い。  また、実際に、例えばその家に住んでいたとしても、この方はこういう症状が出るけれども、外から来られた友人の方は何も感じないというふうに非常に個人差がある問題でもありまして、そういう意味ではとらえにくい疾患であるというふうに私は思っております。  しかし、現実に、「症例集」にありますように、たくさんの症状を訴える患者さんがおられるわけでございまして、化学物質が我々に与える健康障害ということに注目し、きちっと対応していただきたいと私は思っております。  まず、疾患としてまだまだ十分確立されているわけではないというような意見もあるわけでございますけれども厚生省としまして、この化学物質過敏症についての認識といいますか、どのようにとらえておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  45. 小林秀資

    ○小林政府委員 お答えをいたします。  化学物質過敏症は、極めて微量の物質により頭痛や疲労感など多岐にわたる症状を呈する新たな疾患概念として提起されているように私ども承知をいたしておりますが、まだ原因が何であるか、化学物質が関係しているらしいということはわかりますが、今先生がおっしゃられたとおり、すべての人がなるわけでもないし、またすべての人が感じるというわけでもない、でも感じる人はやはり感じるとおっしゃる、そういうような状況だと思います。  厚生省としては、このような症状で悩んでおられる方が多いという事実は承知をいたしておりますので、その実態解明を進めているところでございます。
  46. 福島豊

    ○福島委員 実態解明を進めておられるということでさまざまな御努力をなさっておられるかと思いますが、現在まで具体的にどういう取り組みをし、また、どういう研究成果といいますか結果が出てきたのか、そしてまた、それについての評価といいますか、その点についてお聞きしたいと思います。
  47. 小林秀資

    ○小林政府委員 厚生省といたしましては、平成八年度に、まず疾患概念の整理、診断基準検討を行うための研究班を実施いたしたところであります。そこでまず診断基準の案というものをつくっていただきました。その結果や現時点での知見を総合的に整理したパンフレットの案もつくっていただきまして、実際にパンフレットを作成し、今関係機関に幅広く配付をしたところでございます。きょうお持ちをしたこれをつくっていただいて、これは、診断基準とか化学物質とはとか、症状それから原因物質等々書いたものでありますが、これをつくって、今各保健所等に配付をして御理解を深めるようにしているところであります。
  48. 福島豊

    ○福島委員 聞くところによりますと、パンフレットを三万部ですか、つくられたというふうにもお聞きいたしておりますが、まだまだ恐らく一般の認識というのが行き届いていないのではないか。  実際に患者の会の皆さんからお寄せいただく声というのは、先ほども申しましたように自律神経失調症ではないかとか、症状としては重なるところが非常に多いわけですね。その原因の追求というところまで行かずに門前払いといいますか、そういうふうな形になるケースも多々あるのではないか。そういう意味では、患者の会の方の要望が非常に強いのは、どこに相談したらいいのか、相談をする窓口が欲しい。できれば保健所に行けば、そういった悩みについて聞いてほしいというような要望もあるわけですね。  三万部ですか、配付していただいて、実際どこまでそういう対応につながっているのかということについて、厚生省としてどのようにお考えなのか、また、そうした相談窓口を設けてほしいという意見についてどのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
  49. 小林秀資

    ○小林政府委員 従来から保健所では健康相談という窓口を設けておって、種々の御相談に応じる体制になっていると承知をいたしております。そういうことで、厚生省の方では、先ほど申し上げましたようにパンフレットを作成して、これはすべての保健所に配付をしております。  ただ、先ほど担当者と話したところ、保健所に配付したのだけれども、じゃ実際にそれが読まれているのか、クリニックに活用されているのかというところまでのフォローは、残念ながらしておりませんでした。  ただ、各保健所の相談というのは、各自治体が実際にはその地域に合ったことをやっているということでいろいろやっていらっしゃいますけれども、たまたま先生がさっきおっしゃられましたように、ドクターでさえこの病気の存在について余りよく御存じないという現状があると、実際に相談に来られても、受け手の方にそれに対する知識がないと、どうしても従来ある疾患の中に当てはめようとする。そういうことになってしまったのでは、実際に患者さんの御理解も進まないし、本人も不平不満が中へ残ってしまうという状況下にあろうと思いますので、私どもとしても、一層の知識普及ということに努めてまいりたい、このように思っているところでございます。
  50. 福島豊

    ○福島委員 先ほど、研究班で診断基準等々について取りまとめられたというお話がございました。診断基準がなければ診断もできないわけですから、まずこれは入り口の部分で極めて大切なことですね。  私は、ここからもうちょっと研究を進めていかなきゃいけないというふうに思います。まだ病態といいますか、病気の発生、症状の発生のメカニズムもよくわからないわけですから、病態解明という意味での研究も非常に必要だ。  もう一つは、疫学的な調査といいますか、どの程度そういう患者さんがおられるのかという調査をするということは物すごく大切だ。また、この疫学的な調査というのは、そういう調査をするということによって、実は現場に対しての一種の啓蒙にもなるわけですね。ああ確かにこういうことがあるんだな、例えば自分の診ている患者さんにどのくらいそういう患者さんがいるのだろうか、そういう意識を持っていただくためには、やはりそういう研究を大規模にやる必要があるのじゃないか。  病態解明そしてまた疫学的な調査、そしてまたさらにはどうやったら治療ができるのだろうかというところに至るわけですが、その一連の研究をこれからどのように推進していくのか、この点についての厚生省のお考えをお聞きしたいと思います。
  51. 小林秀資

    ○小林政府委員 今先生がお話しされたように、今後の発展の方向としては、診断基準をつくって、そしてまず疫学調査をやる。疫学調査というのは診断基準がないと入っていけないわけですね。疫学調査をやると同時に、診断基準ができることによって、その病気の人が何人かも把握することができる。そうすることによって原因の追求にもつながるということで、最初に診断基準ありきだと私は思うのであります。そこは今、さっきも申し上げましたように、スタートはできた。  あとは今後の問題になるわけでありまして、残念ながらまだ厚生省研究班では、疫学研究班というところまでは至っていなくて、先ほどお話がありましたように、室内の空気中の化学物質と化学物質過敏症のかかわりについての調査を今、九年度でとりあえずやっているところですけれども、引き続き、患者さんの診断基準ができたところですから、それによって患者さんの動向もわかるようになるし数もわかるようにだんだんなっていくわけなので、今後、今先生がおっしゃられたようなストーリーでだんだん研究の拡大を図っていく必要があろうか、このように思っております。
  52. 福島豊

    ○福島委員 予算も限られておりますから、なかなか一遍にあれもこれもというわけにはいかないと思いますが、着実に進めていっていただきたいな、そのように私は思っております。  何が化学物質過敏症の原因になっているのかという診断をするのは非常に難しいわけですね。といいますのは、日常の生活空間の中にはいろいろな化学物質がある。どれが原因だかよくわからない。となりますと、診断をきちっと、この物質が原因ですということを言うためには、そういう化学物質を全部排除した空間をつくる、いわばウルトラクリーンルームというのをつくって、そこに患者さんにお入りいただいて、それぞれの化学物質をちょっとずつ入れてどういう反応になるのかという、そういう研究をしなきゃいかぬわけですね。そういう研究施設が建設されることになりました、動くことになりましたという報道が先日NHKでありました。  これは北里大学、化学物質過敏症を我が国において先駆的に研究されてこられた大学でございますけれども、そこが中心になって運営するということのようでございます。先ほども言いましたように、こうした病態解明のための研究としてこれは極めて大切な取り組みだと思うのですが、なかなかお金のかかることでもございますし、こういった研究はできればやはり公的な支援のもとに進めていただければというふうにも私は思っておるのですが、この点についての御見解をお聞きしたいと思います。
  53. 小林秀資

    ○小林政府委員 北里大学ですばらしい研究室をほかの御協力を得てつくられて、ああやって原因物質が何であるか探求するための施設としてはぜひとも必要な施設で、そうやって研究が行われるということは大変いいことだ、私はこのように思っております。  ただ、政府として、じゃどこまで財源を出して応援できるのかということが次の問題になるわけですけれども厚生省立場から申し上げますと、結局いろいろな疾患対策の必要性がたくさんあるわけであります。化学物質も私は大変重要だと思っておりますが、それはやはり限られた財源の中で、そのどれがより優先順位が高いかということをよく考え、それから研究でも、一挙に広げてもなかなかだめで、診断基準があって次のところと順番にステージを踏んでいくわけですから、そのステージの進め方のぐあい、それから他の研究との調整をした上で考えていくべきものだと思って、今の段階具体的に施設整備助成するとかということまではまだ考えは至っておりません。
  54. 福島豊

    ○福島委員 また、研究ということにおいては非常にクリーンな環境をつくるということも重要ですが、治療ということにおいてもこれは重要だと思うのですね。特に、例えばアレルギーの治療の一端として、さまざまなアレルゲンを排除したそういう空間をつくることによって例えばアトピー性皮膚炎でもかなりよくなるということはあるわけです。  これもまたNHKで報道されておりましたが、スウェーデンではアレルギーガーデンというような療養施設がありまして、そのアレルゲンを極力排除した空間をつくることによって、そこに患者さんにお住まいいただく、そしてアレルギーのさまざまな症状が改善されていく、そういう療養施設があるわけです。私は、これは我が国においてもきちっとやはりアレルギー対策という観点も含めて取り組むべきじゃないか。そういう療養環境を整えた一これは診療報酬でそういうものは今評価されないわけですから、しょうと思ってもなかなか、持ち出しということになりましてできないというのが現実だと思うのですね。  化学物質過敏症の提唱者でありましたランドルフさんという博士、随分昔の話でございますけれども、総合環境管理病院、環境が健康に大きく影響するということで、環境を管理するような病院、そういう療養環境をつくるような病院、こういうものをつくったらどうかということを数十年前ですが提唱しているわけでして、今アレルギー疾患もこれだけふえてきて問題になっているわけですから、従来の取り組みからもうちょっと、一歩先に出たような形で環境を主眼とするような取り組みをしていただけないか、この点についての御見解をお聞きしたいと思います。
  55. 小林秀資

    ○小林政府委員 アレルギーの研究というのは厚生省は相当前から一生懸命やっておりますが、一向に私どもから見る限りははかばかしくないというのですか、きちっとした対策のところまでなかなか結びつかない状況下にあろうと思うのであります。  そういう中でいろいろな試みが行われるわけでございます。厚生省としても、その辺については研究投資をして、アレルギーというのはたくさんいろいろな問題がありますから、そういう意味では今後も投資を続けて、そしてその解明に努力をしていきたいと考えております。  ただ、今御提案の病院環境ですか、ということを改善するというのも一つの方策だろうと思いますけれども、それについては、まだそこまでちょっと勉強しておりませんので、もう少し検討させていただきたい、このように思います。
  56. 福島豊

    ○福島委員 勉強していないということでございますが、十分勉強していただいて、環境を変えるということ自体が一つの治療なんだ、私はそう思います。環境を変えるといいましても、個人の力で住宅環境を変えるといってもなかなか難しい場合もあるわけですね。一時的に避難をして、そしてまた病状はよくなるわけですから、そういうことによって治療そのものが前進するということはあるわけですね。またもとに戻っても、その場合に大分よくなっている、耐え得る、そういうことがあるわけですから、その点については、治療というのは一体何なのか、薬物治療だけではないわけですから、視野というものをもっと広げて対応していただきたい、私はそれをお願いをいたしておきます。  そしてもう一つは、さまざまな化学物質が化学物質過敏症の原因になるわけでございまして、そういう意味では化学物質の管理というのは物すごく大切なことなんだろうというふうに思います。この点につきましては、こんな意見がございます。日本の化学物質管理は先進各国と比較して大幅におくれている。  これは環境庁さんにおいでいただいておりますので御意見をお聞きしたいと思うのですが、排出・移動登録制度を導入し、またその改良を続けている。日本では化学物質について欧米先進諸国に及ぶほどの管理体制というのはできていないわけでございまして、そういう意味ではいろいろなものが野放しになっていると言っても過言ではないのではないか。こちらの原因の側の面からの対応というのもしっかりしていかなければいかぬと思いますが、この点について環境庁の御見解をお聞きしたいと思います。
  57. 中島正治

    ○中島説明員 ただいまのお尋ねでございますが、環境庁におきましては、これまで環境保全の観点から主として個別の化学物質に注目をした対策を実施してきたところでございます。しかしながら、御指摘のように、多種多様な化学物質を効果的に管理していくためにはこうした個別の対策だけでは必ずしも十分ではございませんで、有害な可能性のある化学物質を幅広く対象といたしまして、事業者が行政に報告し、これを何らかの形で公表するということによりまして包括的な化学物質管理を図ろうとしております環境汚染物質排出・移動登録制度、いわゆるPRTR制度と言っておりますが、これが有効であるというふうに私ども認識しております。  環境庁におきましては、平成八年度から、環境汚染物質排出・移動登録制度の我が国への導入を目指しましてPRTR技術検討会を設置し、検討を進めているところでございます。本年度からは、神奈川県及び愛知県の一部の地域におきまして、排出規制の対象となっている物質だけではなく、有害な可能性のある広い範囲の物質をも含みます百七十八種類の化学物質につきまして、約一千七百の製造業等の事業所を対象にしてパイロット事業を実施しているところでございます。  今後、本パイロット事業の成果などを踏まえまして、我が国にふさわしいPRTR制度の導入に向けましてさらに検討を進めてまいりたいと考えております。
  58. 福島豊

    ○福島委員 今百七十八種類の化学物質を対象としてというふうなお話がございましたが、例えばアメリカであれば六百五十種類ですか、英国であれば五百種類、ドイツであれば工場等で使用するすべての環境汚染化学物質というように、極めて幅広く欧米諸国では対応しているというふうに認識をいたしているわけでございます。スタートするときから一気にたくさんというのは大変難しいことかもしれませんけれども、この先進欧米諸国の水準に少なくともやはり見合うぐらいのカバーができるような体制を一日も早くきちっと築いていただきたい、そのように要望させていただきます。  そして最後に、この化学物質過敏症と関連しまして、これは東京都の施設でございますが、杉並区の廃棄物中継施設の問題についてお尋ねをしたいと思います。  これは化学物質過敏症とも重なる事柄でございまして、経緯を御説明しますと、昨年の四月に井草森公園の一角で不燃ごみの東京都清掃局杉並中継所が稼働を開始したわけでございます。この稼働を開始しました後、周辺の住民にさまざまな症状が起こってまいりました。どんなことかといいますと、目のかゆみであるとか、目がちかちかする、涙が出る、のどの痛み、せき込み、いがらっぽい、たんが出る。先ほど症例を御紹介しましたが、それと極めてよく似た症状を持った患者さんが周囲に出た。また、頭が痛くなったり、はな汁が出たり、くしゃみが出たり、そしてまた皮膚が赤くなったりはれたりとか、熱が出たりとか、呼吸困難になったりとか、ぜんそく様の症状が出たりとか、しびれとか口内炎とか唇のはれ、非常にさまざまな症状を周囲の住民の方が経験された。  どのくらいかといいますと、六月二十日、稼働しましてから二カ月後には入院患者が初めて出まして、そしてまた夏ごろまでには三人が入院し、外来には十名程度が通うようになった。その後も、東京都また杉並区を初めとしましてさまざまな調査が行われまして、九六年七月四日の調査ですと、八百六十四人中百二十三名が不調を訴えた、また十一月七日ですと、千三百九十二人中三百十九人の人が不調を訴えたというふうに、これはなかなか見過ごすことのできない比率でこういう症状が起こっているわけでございます。  私も中継所に行ってまいりまして、こういった問題が起きましてから、東京都としましても、排気塔に活性炭のフィルターをつけて、できるだけ有害なものは出さないようにしたりとか、そしてまた出てきます汚水の処理をきちっとしたりとか、さまざまな取り組みをなされておられるということもお聞きしましたし、また、空気中の化学物質についての調査も何回か繰り返し行われているということもお聞きしました。その結果が、実は何が原因だったのかよくわからないということでございまして、私も東京都の職員の方から御説明をお聞きしまして、ここまでやってわからないんだから、やはりなかなか難しい問題なんだろうなというふうには思ったのです。  しかし、化学物質過敏症と思われる症状がこれだけ多数発生しているというようなことも含めまして、これは一体何だったのか、何が起こったのかということについてやはりきちっと追求しなきゃいかぬのじゃないか、国としてもそのように指導しなきゃいかぬのじゃないかというふうに思ったわけでございまして、まず、厚生省としまして、こういった問題、東京都の所管の話ではございますけれども、そういった出来事についてやはり一定の認識なり見解を持つべきだと思いますが、その点についてお聞きしたいと思います。
  59. 小野昭雄

    ○小野(昭)政府委員 御指摘の杉並区の中継所でございますけれども平成八年の三月から、不燃ごみを一たん集めてまいりまして、そこで効率的に処理するために施設が稼働したわけでございます。扱うごみの種類は、プラスチック、瓶、缶、金属等の不燃ごみでございますが、一日約百八十トンが搬入され、また中継されて外へ出ていっております。  御指摘のございました点につきましては、東京都から適宜状況を聴取してきたところでございまして、今先生お話ございましたように、東京都におきましては、環境調査、これは一般大気中及び中継所からの排ガスのベンゼンあるいはトリクロロエチレン等の濃度の測定を行われまして、いずれも問題はなかったというふうに聞いておりますが、今御指摘ございましたように、平成八年の七月になりまして、杉並区の方にいろいろ住民の方々からの訴えがあったということもございまして、従来、活性炭フィルターは外へ出る排気口の方へつけていたわけでございますが、一般に言うような換気口にもこれを設置いたしまして、排ガスの処理に万全を期しているというふうに聞いております。  訴えを起こされる方々もおられると聞いておりますが、今後とも都と十分連携をとりまして、技術的に援助可能な方法があれば、私どもとしてもできるだけ、そういった技術情報の提供でございますとか具体的な対応につきまして、東京都とよくお話をしながら対応してまいりたいと考えております。
  60. 福島豊

    ○福島委員 そしてまた、原因究明ということもありますが、いまだに苦しんでおられる方がおりまして、私も直接お話をお聞きしましたが、杉並区から転々と引っ越しをされて、なかなか杉並の近くには立ち寄れないというような方もおられます。新たに症状を訴える人の数というのは非常に少ないと思いますけれども、いまだに症状を訴え続けている方がおられるということも事実でございまして、こういった方についての対応というのをきちっとしていただきたいなというふうに私は思います。これは東京都との連携ということが当然前提になるわけでございますが、その点につきましてお願いをさせていただきたいと私は思います。  また、環境庁の方にもおいでいただいておりまして、これは環境という観点からも極めて大切なことでございますので、この問題が昨年発生しました後、どのような対応をされ、どのように認識しておられるのか、お聞きをいたしたいと思います。
  61. 中島正治

    ○中島説明員 御指摘の杉並中継所周辺におきまして症状を訴え続けられる方々の存在につきましては私どももお聞きしておりまして、このような事態に関しましては、環境庁といたしましても、環境保全の観点から、関連する情報の収集などに努めてきたところでございます。  症状を訴えられた患者さんを診察した医師によれば、一部にがん症状等の異常が認められたとされておりますが、こうした症状については、化学物質についての過敏な反応との関連も示唆されておりますが、医学的には不明な部分も多いというふうにもお聞きしております。  環境庁におきましては、こうした化学物質過敏症につきまして、本年の十二月から、関係する分野の専門家の方々による研究班を設けまして、原因や本態などについて検討をすることとしておりまして、来年度以降さらに具体的に調査検討などを進めてまいりたいと考えております。
  62. 福島豊

    ○福島委員 以上で質問を終わりますが、こうしたさまざまなことが現実に起こっているわけでございまして、未然に防ぐというのがやはり一番いい道なんだと私は思うのですね。PCBにしましても、一九三六年時点で実際には工場の労働者には症状が出ていた、その後それが見過ごされて三十六年続いてこれだけの汚染を招いたわけでございまして、そういう意味では、一つ一つの出来事についてどれだけ注視し、そしてまたその本質は何なのかということを追求することは極めて大切なのじゃないかというふうに私は思っておりまして、引き続きの対応というのをお願いいたしたいと思います。  以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
  63. 金子一義

    金子委員長 以上で福島豊君の質疑は終了いたしました。  次に、青山二三さん。
  64. 青山二三

    ○青山(二)委員 新進党の青山二三でございます。  きょうは、私は、公的臍帯血バンクについてお伺いをしたいと思います。  日本人は古来よりへその緒というものを大変大切にしていると聞いております。現に産院では、新生児から取り出したへその緒を桐の箱に入れまして父兄に渡す、こんな習慣があるようでございます。大臣もそうだと思いますが、ほとんどの人が大切に桐の箱に入れたへその緒を持っている、このように認識をいたしておりますけれども大臣はそのへその緒についてどのような御感想をお持ちでしょうか。まずその辺からお伺いしたいと思います。
  65. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 私のへその緒はどこにあるかわかりませんけれども、もう捨てられてしまったんだと思いますけれども、前から、へその緒を桐の箱に大切にとっておく方がたくさんおられるということは、私は知っております。  それと同時に、このへその緒が大変重要な治療に使われる、臍帯血移植にとって大変重要なものであるということを知りまして、今まで捨てられていたものでこんなに貴重なものがあったのか、これを何とか活用できないかということで今一生懸命努力されている方々のお話を聞きまして、何とかそういう方向で、このへその緒が立派な医療として役立てるような方法がないものか、真剣に検討していきたいと思っております。
  66. 青山二三

    ○青山(二)委員 ただいま大臣から御答弁いただきましたように、へその緒が今、医学の面から光が当てられ、活用されようとしているわけでございます。  これまで本当に簡単に捨てられていた胎盤とへその緒が、白血病やいろいろな病気に極めて有効な治療法の一つとして、人の命を助ける、こういうことに役立つことが、今世間から大きな注目を集めているわけでございます。このことは、女性にとりましても、出産のときの幸せを増すことにもつながりまして、大変価値あるものとして心動かされるという女性も多いと思います。  そこで、この臍帯血、大変なじみのない言葉でございますので、ここで少しこの臍帯血ということについて御説明をいただきたいと思います。
  67. 小林秀資

    ○小林政府委員 お答え申します。臍帯血とは、胎盤とへその緒の中に含まれている血液をいいます。この血液は、お一人の、一つの胎盤とへその緒の間、大体五十ミリリットルから百五十ミリリットルという少量のものでございますが、この中には骨髄の五ないし十倍の造血幹細胞というものが含まれておりまして、さらにまた、成人の骨髄中の造血幹細胞よりも増殖能力が高く、免疫反応が起こりにくいという性質がありまして、近年、移植のための造血幹細胞として活用がされ始めているものであります。
  68. 青山二三

    ○青山(二)委員 そこで、日本では毎年六千人弱の人が血液のがんと言われる白血病にかかって、特に子供のがんの中ではこの白血病が最大の割合を占めていると聞いておりますけれども、これに間違いございませんでしょうか。また、この白血病などの難治性免疫不全症の病気で亡くなっている方はどれぐらいいるのか、過去五年間にさかのぼってお教えいただきたいと思います。また、あわせてその治療法もお伺いしたいと思います。
  69. 小林秀資

    ○小林政府委員 まず、患者数について申し上げたいと思いますが、直近の調査である平成五年の患者調査によりますと、骨髄移植で助かる病気一つの白血病というのは一万七千人の患者さんがいらっしゃいます。また再生不良性貧血の患者は七千人と大体推定をされているところでございます。  一方、死亡者数につきましては、厚生省の人口動態統計によりますと、平成三年のデータでございますが、白血病による死亡者数は約五千六百人。そして毎年大体百ないし二百人程度増加をしておるところでございます。平成七年には六千百人という数字になっております。同様に、再生不良性貧血による死亡数は平成三年より九百人弱で推移をしておりまして、平成七年でも八百七十三人という数字でございます。  これらの治療でございますけれども、抗がん剤による化学療法、それから放射線療法、それから骨髄移植というものがあるわけでございます。骨髄移植の方が、数がたくさんあれば、多分化学療法とか放射線療法よりはそちらへ期待される方が多いと思います。
  70. 青山二三

    ○青山(二)委員 ただいま御説明にございましたけれども、白血病や再生不良性貧血の治療には骨髄移植が有効である、このような御答弁でございましたが、これは非常にすぐれた治療法であるにもかかわらず、骨髄移植を受けたくても受けられない多くの患者さんがいるということも聞いております。それは、ドナーにかかる精神的、肉体的そして社会的負担が重く、骨髄バンクのドナー登録者に限界がありまして、適合するドナーがなかなか見つからない、そしてコーディネートに時間がかかるなどの理由考えられるわけでございます。  そこで、現在行っております骨髄移植の問題点について御説明いただきたいと思います。
  71. 小林秀資

    ○小林政府委員 骨髄移植の問題点といたしましては、実際に骨髄を提供される方が見つかった後のことですけれども、大体その方に四ないし五日程度の入院を必要といたします。それから、全身麻酔下で骨髄液を採取をいたしますが、これに伴う身体的負担等もありますので、骨髄提供希望者をふやしていく上での問題点となっているわけでございます。  また、今先生もおっしゃられましたように、骨髄移植に当たりましては、骨髄提供者と骨髄移植希望者の白血球の型が適合することが必要でありますが、骨髄提供希望者の登録数が、白血球の型が適合する骨髄液をすべての骨髄移植希望者に提供する段階までにはまだ至っておらないのであります。少し数字を申し上げますと、骨髄移植希望者の九割が適合するためには、日本の場合、登録者数が十万は必要である。現在は九万人程度でございます。  このため、厚生省としても、骨髄提供希望者の確保に向けて骨髄移植の普及啓発活動の一層の強化を図るとともに、アメリカの骨髄バンクと提携をしておりまして、向こうにも日系の方がいらっしゃいますので、また日本には提供したいという者がいらっしゃいますので、これを交換する、こういう提携を始めておりますし、今後引き続き近隣諸国とも提携を進めるべく今努力をしているところでございます。
  72. 青山二三

    ○青山(二)委員 白血病などの治療に際しましては、骨髄移植に必要なのは骨髄の中の血液中にある造血幹細胞であると言われております。そうであるならば、同じく造血幹細胞を含む臍帯血の移植も白血病の治療に極めて有効であるということがわかってきたわけでございますが、この理解に間違いないのかどうか、確認をしたいと思います。  また、この臍帯血移植は大変なじみが薄く、その症例も少ないと聞いておりますが、骨髄移植とどのような違いがあるのか、お教えいただきたいと思います。
  73. 小林秀資

    ○小林政府委員 お答えをいたします。  まず、骨髄移植では、骨髄提供者が決定してから実際の移植に至るまで、提供者の意思確認に慎重な手続を踏む必要があるため、数カ月の時間を要したりいたしておりますが、臍帯血移植の場合には、あらかじめもう胎盤からとってあるものですから、冷凍保存してある臍帯血を用いますので、患者さんが出たときにすぐそのタイプさえ合っていれば供給することができる、こういうことでございます。  また、骨髄移植では提供者に骨髄採取のための全身麻酔、入院等の負担がかかりますが、臍帯血移植の場合には提供者への負担がありません。結局もう赤ちゃんが生まれた後は不要物になっているわけですから、そういう意味では、提供者の協力が大変得られやすいということでございます。  また、骨髄移植に比較いたしまして、臍帯血移植では免疫反応が起こりにくい、ということは副作用が出にくいということになるわけであります。  臍帯血移植にはこのような利点がありますが、欠点もございまして、提供者から採取できる臍帯血が、先ほど申しましたように五十から百五十ミリリットルと少量でございますので、主に体重の軽い小児、体重三十ないし五十キログラムまでの方にしか使えないという欠点がございます。また、臍帯血を必要なときに利用できるようにするためには多くの臍帯血を常時適正に保存していなければならない、そのために大変な費用が要るということがもう一つ欠点であろうと思います。
  74. 青山二三

    ○青山(二)委員 そこで、この暖帯血移植の現状についてお伺いしたいと思います。  現在までに臍帯血移植は諸外国、特に進んでおります欧米諸国や日本でどのくらい行われており、その移植の成果はどのようになっているのか、伺いたいと思います。
  75. 小林秀資

    ○小林政府委員 欧米では、近年、臍帯血バンクが設立をされまして、臍帯血移植が行われ始めているところでございます。  研究者の最近の報告によりますと、アメリカ合衆国では、一九九二年にニューヨーク血液センターにおいて臍帯血バンクが設立され、一九九六年十一月の時点で約六千件以上の臍帯血が保存をされ、二百七十例程度の非血縁者間の移植が行われております。ヨーロッパにおいても、一九九四年に、フランス、ドイツ、イタリア、イギリスなどの研究機関を中心として、国際間の暖帯血バンクのネットワークが設立されたと承知をいたしております。  このような状況下で、これまで欧米では五百例以上の非血縁者間の移植が行われたと承知をいたしております。ただ、生着率等については、個々の国でどの程度であったかということはちょっと承知をしておりません。生着率は、全般に臍帯血移植の場合は大体五割は生着をする、こういうことをお伺いしております。  我が国の分を少し申し上げます。  我が国におきましては、各地の研究者を中心に今日まで地域的な臍帯血バンクが設立され、合計千五百件の暖帯血が保存をされておりまして、平成九年九月までに合計二十六例の臍帯血移植が行われ、このうち六例が非血縁者間の移植であると承知をいたしております。  また、厚生省としては、平成七年度から臍帯血移植についての研究を続けておるところでございます。
  76. 青山二三

    ○青山(二)委員 ただいま御答弁がございましたが、欧米では五百の移植が行われている、我が国ではわずか二十六件ということでございますが、このように欧米と日本と比べて、この日本の現状を大臣はどのようにごらんになっておられますか。
  77. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 欧米に比べて少ないということでありますが、むしろ、欧米で先に行われていたそのことに着目して、日本でもこのいい制度といいますか、移植医療を生かせる方法はないものかということでこの運動が盛り上がってきたと思うのであります。欧米の例を参考にしながら、日本でもこの臍帯血移植のよさに着目して、今後どういう形で実施に移していくか検討すべきではないかなと思っております。
  78. 青山二三

    ○青山(二)委員 大臣の大変前向きな御答弁をいただきまして、ありがとうございました。  それでは、臍帯血移植について、先ほど数多くのメリット、少しはデメリットもあるけれども、大変なメリットについてお話をいただきました。ここでちょっと確認をしたいと思うのでございますが、まず、臍帯血の提供と採取についてでございます。臍帯血のメリットとして考えられますことは、まず、採血の際、母子ともに健康な安産の結果として提供されるために、安全で時間的、経済的な負担も少ないということであると思います。  そこで、臍帯血の提供について確認いたしますが、私は、これは献血と同じではないかと思います。いかがでしょうか。これは、例えば提供する場合に、出産後の胎盤の血液を提供しますというふうに了解をするということでよいと考えているのでございますが、これはいかがでしょうか。また、その血液の採取について、母子ともに全く安全とも聞いておりますが、その採取の方法についてもお伺いしておきたいと思います。     〔委員長退席、根本委員長代理着席〕
  79. 小林秀資

    ○小林政府委員 採血の方法は、普通に注射器を使って採血をするということだと思います。問題は献血かどうかということですけれども、いわゆる献血というのは、今まで使っているのは、本人が自分の体から、生きていらっしゃる人からいただくということを献血と言っていて、臍帯血をどういう言葉を使うかというのは、今まで前例がないのではないでしょうか。  ただ、従来言う献血ということの概念とは少し違うように思います。というのは、今までは不要のものとされていたものから使おうということであります。ただこれは、要は清潔に扱わないと、後で保存をいたしますので、どうしてもそういう意味ではきれいにきちっと扱うということが大変大切だ、このように思っております。
  80. 青山二三

    ○青山(二)委員 それでは、その採取した血液は、ただいま御答弁にも少しございましたけれども冷凍保存されるということでございますが、検査と保存ということについてもお伺いしたいと思います。
  81. 小林秀資

    ○小林政府委員 採血は清潔に行っていただいて、その血液の検査と申しますのは、もちろんお母さんに何か病気があったりなんかしたり、赤ちゃんに病気があったりというそういう場合に除くものもあると思いますが、一番問題になりますのは、白血球の血液型、タイプを調べて保存をするわけであります。調べずに保存をしてからというわけにはいかないので、それでは赤ちゃんなどへの移植に間に合いませんので、要は、とった血液の白血球のタイプ、それを検査をする、そして検査して確認して記録をとどめて、番号をつけてそれを液体窒素の中で保管をする、こういうことになります。
  82. 青山二三

    ○青山(二)委員 臍帯血の造血幹細胞は、免疫反応を起こすことが少なくて移植後の拒絶反応が起きにくいことが考えられますけれども、まだそのほかにメリットがございますでしょうか。
  83. 小林秀資

    ○小林政府委員 先ほどもお答えを申し上げたと思いますが、結局、患者さんがいらっしゃつて、必要なときにすぐ提供することができる。これが骨髄移植ですと、そのいただく方にもう一遍話をして本人の御都合を聞いてということになりますが、この場合はもう冷凍で保存がしてありますので、そこが大変都合がいいということが挙げられると思います。
  84. 青山二三

    ○青山(二)委員 臍帯血移植が本格的に行われますには、まず医療保険の適用が欠かせないと思うわけであります。暖帯血移植は、保険が適用されませんために現在では一千万円もの費用がかかる、このように聞いております。費用の面からも治療が受けられない患者さんを救うために、一日も早い臍帯血移植への保険適用が必要であろうと私は思うわけでございます。  厚生省は、最近、臍帯血移植は有効な治療法であると認め、公的医療保険を適用させて医療現場に普及させていく方向を決めたというような報道がございましたけれども患者が皆公平に治療を受けられるためには保険適用は欠かせないわけでございます。さらに、保険の適用で医療技術として厚生省がお墨つきを与えていただくことができるならば普及は大変進んでいくわけでございまして、数千人と言われる骨髄移植の待機者にとっては大変大きな希望であります。そういうことでございますので、臍帯血移植に対しましては一日も早い保険の適用が必要でありまして、医療保険の適用を来年の四月からぜひ実 施していただきたい、また実施すべきではないか、このように思っておりますけれども厚生省としてそのようなスケジュールがおありかどうか、お伺いいたします。  それからもう一点は、臍帯血を国の血液事業に位置づけるべきである、このように思いますけれども、御所見を伺いたいと思います。
  85. 高木俊明

    高木(俊)政府委員 臍帯血移植につきましては、まだ我が国は実績が非常に少ないわけですが、治療法としては有効な治療法の一つだというふうに私ども考えているわけであります。これを保険適用するということにつきましては、本年度、臍帯血移植の評価等に関する研究というのが実施されておりまして、この成果を踏まえまして中医協におきましても御検討いただきたい、このように考えております。
  86. 中西明典

    ○中西政府委員 臍帯血につきましては、一般の臓器移植でいいます一対一の移植、肝臓移植でありますとか腎臓移植でありますとか、そうしたいわゆる臓器移植とは異なりまして、先ほど保健医療局長の方からも御説明申し上げましたように、相当の臍帯血をプールして、その中から白血球のHLAのタイプが合うものを拾ってくる。年間百件ぐらい移植するとすれば約二万件の臍帯血プールが必要ではないか、そういうことも言われているわけでございます。  そういったところで一般の臓器移植とは全く異なりますし、他方、血液製剤につきましては、御承知のとおり献血血液から血液製剤をつくり、これは基本的にはすべて医薬品として市場に流通する、また製造、販売については薬事法の規制をかぶせて市場で流通する、そういう仕組みになっているわけでございまして、そういった面液製剤のようなものと同一視するというのも、これまたなじみにくい面があるのじゃないか。  したがいまして、臍帯血はやはり臍帯血として、臍帯血移植の特性を踏まえ、また骨髄移植との関連もございますので、そういった問題もよく考えながら、どういう仕組みが普及していくに当たって最も適切であるのか、このあたりを専門家あるいは関係者の意見もよく聞きながら検討を進めていきたい、かように考えております。     〔根本委員長代理退席、委員長着席〕
  87. 青山二三

    ○青山(二)委員 今、検討を進めていきたいという御答弁でございましたが、やはり臍帯血、これは血液だと思うのですね。ですから、そういう血液事業として検討を進めていただきたいと強く要望しておきます。  次に、このようにすぐれた臍帯血移植を効果的に提供するためには、一刻も早く暖帯血バンクを設立することが強く望まれるわけでございます。  フランスでは国立臍帯血バンクが設置されておりまして、アメリカではニューヨーク血液センター暖帯血バンクに、先ほど六千と言われましたでしょうか、ある説では七千から一万もの臍帯血がストックされ、今日までに五百例の移植が行われている、このような現状でございます。ですから、この臍帯血バンクの設立ということはもう世界的な潮流になっているということは私は間違いないと思うわけでございます。  一方、日本では近年、神奈川、近畿、東海暖帯血バンクなど幾つかの地域バンクが発足いたしまして、この夏には公的バンクのモデルケースとして東京臍帯血バンクが設立されたわけでございますが、その現状を見ますと、バンクをつくっている一部の大学病院あるいは医療機関などがボランティアに等しい状態で臍帯血の採取それから保存等を行っておりまして、さらに、輸送につきましては臍帯血バンク支援ボランティアの会が受け持っているという状況でございます。  ですから、臍帯血を安全に採取し、検査、保存、輸送するシステム、そして、医療現場の求めに応じて移植待機者に適合する臍帯血をスムーズに提供できる公平で安全なシステムを確立するためには、体制、資金両面で国の関与が不可欠であり、公的バンクが必要なことは明らかでございます。骨髄移植待機者が常時二千人程度おり、なかなか適合する骨髄提供者が見つからない、そういう現状を考えましたときに、提供者の不足は深刻でございまして、臍帯血移植はこれを補うものとしてもっと以前から考えられていたものと思います。  しかしながら、日本では、従来の骨髄移植の陰に隠れて臍帯血バンク設立の動きがほとんど見られなかったというのはなぜでしょうか。このあたりをお伺いしておきたいと思います。臍帯血の保険適用とともに、公的バンクの設立は移植を進めるための車の両輪と考えるのでございますが、厚生省のお考えをお伺いしたいと思います。
  88. 小林秀資

    ○小林政府委員 今先生が、なぜ臍帯血移植がおくれているのか、公的バンクの設置がおくれているのかというおただしでございますが、まだ我が国では、平成九年十月時点で二十六例という症例、先ほど申しましたように、生着率といいますか生存率が五割という状況下でございまして、五割というのは、あと五割の方はうまくいかないわけでございまして、場合によっては命を落とされることもあり得るわけでございますので、そういう意味では、もう少し精度を上げていくとかということが必要になってくるのだと思います。  また、保存をしておく臍帯血自体が細菌の汚染があったりしては大変でございますので、その採血、分離、保存の基準あり方というのも検討する必要があるということで、これは平成七年以来やっておるわけでございます。  先ほども大臣が御答弁申し上げましたように、このこと自体は、クリアすべき点は多いけれども実現をすべき問題である、このように私も思っておるところでございまして、そのために必要な研究だとか措置を順次、今進めておるところで、確かに欧米に比べておくれているということはありますけれども、私は間もなく追いつけるのではないかな、こんなふうに思っておるところでございます。
  89. 青山二三

    ○青山(二)委員 大臣は先月の参議院の予算委員会で、我が党の浜四津敏子議員の質問に答えまして、臍帯血治療について、大変いいことだ、今まで捨てられていたへその緒が骨髄移植治療と同じような効果を発揮し、しかも副作用がない、これを人類のために生かそうということが大事であり、何とか利用できるように整備する必要があるという大変前向きな御答弁をいただいております。大臣は公的バンク設立などに大変積極的に取り組んでいただけるものと、私は大いに期待をいたしております。  その際、事務当局にも指示してある、このようなお答えもございましたけれども、その公的臍帯血バンク設立につきまして、具体的な取り組みについて大臣からお伺いをしたいと思います。
  90. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 具体的な取り組みについては事務当局に指示しておりますが、いずれにしても、この臍帯血バンクという名称がいいかどうかはと一もかく、大きな可能性を持った治療法だと私は思っているのです。今まで捨てられていたものがこのように多くの人に役立てることができるということでありますので、どういう方法がいいか、欧米先進国の例を見ながらできるだけ早くこれが現実活用されるように準備をするようにと指示してあります。  民間のボランティアの運動も今盛んに起こってきておりますから、そういう点につきましても、よく現実を見ながら、連携して、厚生省としてどのような支援策ができるかということも含めまして、趣旨を現実に生かせるように、どういう方法があるかということを事務当局に指示しておりますので、積極的に取り組んでいきたいと思います。
  91. 青山二三

    ○青山(二)委員 大臣の大変前向きの御答弁をお伺いいたしましたので、質問を終わらせていただきます。大変ありがとうございました。
  92. 金子一義

    金子委員長 以上で青山二三さんの質疑は終了をいたしました。  次に、家西悟君。
  93. 家西悟

    ○家西委員 民主党の家西です。まず最初に、一九六一年に釧路で多発したスモンは、当時は風土病であるとさえ言われてきました。そして一九七二年に整腸剤キノホルムが原因であるということが判明しました。以来今日まで二十五年間、薬害スモン被害者は、治療法もなく、視力障害や身体の麻痺などに苦しみ続けています。  そこでまず、スモン対策が薬害被害者対策であるという認識は今日も変わっていないことを確認させてください。その確認の上で、今後も、難病対策としての調査研究事業について、基本的には被害者の恒久対策事業に直結するものであるか、また薬害被害者の対策として国の責任ある事業だと受けとめてよいのか、大臣の御見解を伺いたいと思います。
  94. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 スモンという病気が薬害であるという認識は持っております。今後ともこのスモーン病対策事業については、厚生省としても積極的に取り組んでいくという姿勢には変わりありません。
  95. 家西悟

    ○家西委員 ぜひともよろしくお願いしたいと思います。そして、その苦しんでいる被害者の方々の気持ちをぜひとも受けとめて、研究事業とかそういうものに全力を挙げていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。  そして続きまして、難病についてお伺いしたいと思います。  まず、難病の理念について正確に定義していただきたいと思います。そして、諸外国では見られない位置づけのようですが、その理由についてもお述べいただければと思います。
  96. 小林秀資

    ○小林政府委員 お答え申し上げます。  難病の概念につきましては、昭和四十七年十月にまとめられました難病対策要綱で次のように整理がされております。  まず一つのグループが、原因不明、治療方法が未確立てあり、かつ、後遺症を残すおそれが少なくない疾病。二つ目が、経過が慢性にわたり、単に経済的な問題のみならず介護等に著しく人手を要するために家庭の負担が重く、また精神的にも負担の大きい疾病とされているところでございます。  次に、難病対策が我が国独自の施策として確立された背景につきましては、昭和四十年代に行われたスモンの研究体制、すなわち調査研究協議会の設置や患者への研究協力謝金支給制度が大きな成果を上げたことが挙げられます。このことが希少難病に対する社会的関心を盛り上げる契機となり、昭和四十七年の難病対策要綱に結実したものと考えております。
  97. 家西悟

    ○家西委員 今の御答弁を踏まえて具体的にお伺いいたしますけれども、難病指定の中に悪性リューマチがありますけれども、リューマチ患者の多くは、長年の闘病とたび重なる手術にもかかわらず治癒されるには至っておりません。  例えば慢性リューマチが難病指定されていないのはなぜでしょう。悪性リューマチと区別されている根拠は一体何なのでしょう。その辺をお尋ねしたいと思います。
  98. 小林秀資

    ○小林政府委員 お答え申し上げます。  特定疾患治療研究事業は、今申し上げましたように、原因不明、治療方法が未確立の疾患のうち、難治度、重症度が高く、患者数が比較的少ないため、公費負担の方法をとらないと原因の究明、治療方法の開発などに困難を来すおそれのある希少疾患を対象として実施をしております。  悪性関節リューマチは、関節症状に加えて、血管炎を初めとする全身症状を伴う重篤な疾患でございまして、また患者数も約五千と比較的少ないことから、昭和五十二年に特定疾患として扱われることになりました。  一方、慢性関節リューマチは、難治性疾患でありますものの、症状はおおむね関節に限られておりまして、疾患全体としての重症度は比較的低いこと、さらには患者数が平成五年の患者調査で約五十万人と多いことから、対象疾患とはいたしておりません。
  99. 家西悟

    ○家西委員 特定疾患治療研究対象疾患という位置づけについても、一部考え直す必要性があるど感じますけれども、スモン、サリドマイド、HIVのような薬害については、国の責任として治療を研究する必要性があることは明らかだと思います。しかし、リューマチを例にして考えるならば、悪性リューマチの患者の中にも裕福な方もおられるでしょうし、また生活に困っている人もいると思います。  だとすると、患者研究協力に対する謝礼という性格だけではなく、患者の生活援助というか福祉的な視点も取り入れて今後対応していくべきではないかと私は考えますけれども、いかがでしょうか。
  100. 小林秀資

    ○小林政府委員 特定疾患にどの病気を指定するかということは、専門家の先生方にお集まりをいただいて、先ほど申し上げました定義に基づいて疾患の数を順次ふやしてきて、その一つずつについて皆さん方の、学者さん方の御意見を得て入れているわけでございます。今のところ、いわゆる悪性関節リューマチは難病指定、特定疾患指定になっておりますが、慢性関節リューマチは、実はその外側にいらっしゃる八十疾患、全体で百十八疾患が研究対象になっていますね、そのうち三十八が特定疾患で公費負担となっています。この残りの八十疾患の中にも、実は重症の方もいらっしゃる。しかし公費負担のサービスというのはない人たちがいます。そこにもまだ関節リューマチは入っていないということですから、先生が今おっしゃったこっちの疾患よりもまだこの間の疾患の方々の方に気の毒な例があると私どもは承知をいたしております。
  101. 家西悟

    ○家西委員 ぜひとも、そういう人たちがいるということも忘れずに対策をとっていただきたいと思いますし、難病に指定されている中にも、それ以外にかかる費用、おむつ代とか付き添いの問題とか、そういう費用が非常にかかっているということもぜひとも考慮していただいて、今後の対策というものに取り入れていただきたい。  こういう運動というか医療費の問題というのは私も実体験してきました。一疾病を公費負担していただくためにはどれほどの努力をしなければならないか。そして、患者が不自由な体を使って地元や、また厚生省を初めとした関係省庁へ陳情へ来るということを重ねてきてようやくつかんだものを、財政の問題、そういったところから、やむを得ない措置かもしれないというようなことは理解はするのですけれども、実際問題としてこういうことはぜひともやめていただきたい。そして、そういう人たちに対して社会的福祉という観点をぜひとも持っていただきたいということを切にお願いして、次の質問に移らせていただきたいのです。  次は、エイズ予防法についてですけれども、一九八八年にエイズ予防法が可決されたときに、多くの患者団体、労働団体、市民団体がこの法律に強く反対したという経緯がございます。このときなぜ多くの反対論があったのか、大臣、御存じなのでしょうか。ぜひとも大臣の方からお答えいただければと思います。
  102. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 エイズ予防法制定当時の状況を調べてみましたけれども法制定に当たって、国会において三度、延べ二十一人にわたる患者・感染者、医療関係者、弁護士等の参考人から意見聴取を行った、あるいは各方面からいろいろな意見を伺ったということを聞いております。  そして、その中で、公衆衛生の観点から、法的根拠があれば対策が進められる等立法措置を求める意見があった一方、差別を助長する等の理由で、患者・感染者等から多くの反対意見があったということもわかりました。  そのようなさまざまな意見を踏まえつつ、国会において、法案の一部を修正して可決し成立したものであるということを伺っております。
  103. 家西悟

    ○家西委員 本年九月三十日付のエイズ疾病対策課から出された「HIV感染者情報」という資料で、世界のHIV患者の発症状況が示されております。一九九七年六月三十日のWHO報告の資料ですが、我が国の患者数千四百四十七名に対し、アメリカ五十八万一千四百二十九名、フランス四万五千三百九十五名、タイ五万九千七百八十二名などとなっています。人口比率からいっても、これほど極端に日本の患者数が少ないことは常識的に考えられませんが、このことについて厚生省としてどうお考えでしょうか。
  104. 小林秀資

    ○小林政府委員 日本では諸外国に比べまして人口当たりのエイズの患者さんが大変少ないというのは、先生のおっしゃられたとおりだと私も承知をいたしております。  ただ、エイズの患者さん自体はいまだにずっとふえ続けておりまして、昨日の発表でも今までにない増加を示した、相変わらずエイズの患者さんはふえているという状況下にあることも事実でございます。  患者が少ない件については、専門家の間では定説というのはないのでありますけれども厚生省で、我々が考えていますことは、一つは、欧米における主要な感染経路であります静注の薬物乱用が少ないということ、もう一つは、避妊方法としてコンドームが多く使われることなどが主要な原因であろう、このように認識をいたしております。
  105. 家西悟

    ○家西委員 私は、それだけとは到底思えません。  私は、やはりこのエイズ予防法というものが管理型の法律であるということから、患者医療機関かち遠ざけているのではないかと。そして、結果として患者の掌握が非常におくれていって、発症してから病院へ来られる、感染してキャリアの間に病院へ来られて検査を受けられたというのではなくて、もっと最悪の状況になって、もうどうすることもできない状況になって初めて掌握されているからこの数ではないのかというふうに私は懸念をしていますけれども、その辺についてはいかがでしょうか。
  106. 小林秀資

    ○小林政府委員 先生の御指摘に反論するデータがありませんので、先生の御意見は御意見として、あり得べきとして理解できるところであります。  ただ、私どもの感じは、保健所等でも名前を匿名のままでも検査ができるというのをやっておりまして、そこで受診をされる方は結構いらっしゃいます。そこは、病院と違って無料で検査をやっていますし、匿名で、名前は何でもっけるわけですが、そういうところも御活用されることができるようになっておりますし、もう一つは、治療でもって命を落とすようなことにはならないような治療法というのも出てきたということは新聞情報等で皆さん御存じでございますので、私は、結構、皆さん感染の機会があったと自分で認識される方はそれなりの方法でもって検査を受けられているもの、このように思っています。  ただ、残念な事例で、献血を利用される方が若干出て、それでまた別の問題を起こしてしまっているということは大変悲しいことでございますけれども、そういう意味でいくと、まだそういう保健所等でやるサービスだけでは足りないので、先生がおっしゃるように隠れてしまって、潜ってしまったと通常言われているような方がないという保証もありませんので、そこは私はそんなに多くないのではないかな、こんなふうに思っていますけれども先生の言われるのが正しい可能性も十分あります。
  107. 家西悟

    ○家西委員 私は、自分が当事者であって、そういうところは見てきましたけれども、保健所で簡単にこの検査を受けることはそんなに容易ではないということを知っています。  行くと、エイズの検査ですかということを患者さんは言われます。そして、何か心当たりがあるのですかとかというようなことまでずっと質問されていくわけです。こんな状況において、そう簡単に保健所で検査を受けるとは、私は到底思えない。  プライバシーが守られているということを言われますけれども、確かに名前は出さなくて結構、だけれどもそういうような事細かい説明、そして興味津々とした質問をされるということについては、やはり改定されるか改正されていかない限り、そういった検査を目的として来られる方はいないでしょう。逆に献血を利用して検査をしようという人たちがふえるのじゃないか。逆に、それによってHIV感染者、ウインドーピリオドの問題でそういう人たちがふえるということを私は危惧してやまないのですけれども、ぜひともそういうふうに変えていただきたい。  一切そういうような質問もしない、HIVの抗体検査を受けに来ましたということを言ったら、何も言わずにそのまま採血をし、そのまま帰し、何日に来てくださいというような体制に改めるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
  108. 小林秀資

    ○小林政府委員 先生が御指摘のように、その質問に答えないと検査をさせないというようなことはあってはならないと思います。  今担当に少し聞いたのですが、実際の段階では、検査とは別に、カウンセリングという意味で保健所の職員が努力をしているというのが誤解をされている面もあろうかと思いますが、今先生がおっしゃられたのは、気持ちはよくわかります、十分フォローしてみたいと思います。
  109. 家西悟

    ○家西委員 ぜひともそれはお願いしたいと思います。  そして、時間がもうほとんどありませんけれども、昨年の十二月の予算委員会での私の質問において総理が御答弁いただいたことについて、確認させていただきたいと思います。  総理は、感染症全般の体系の見直しの中でエイズ予防法についても言及されておられましたけれども、私に対して、これからも率直な問題点の指摘、でき得ればそれを具体化するための協力をお願いしますというふうにおっしゃっておられましたけれども、このときの総理の発言は、福祉型の法律に改めていくため努力するという認識だと私は受けとめておりますけれども大臣の御答弁をぜひともいただきたいと思います、これで間違いないのかということで。
  110. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 私としても、総理答弁の趣旨に沿って今後検討を進めていきたいと考えております。  現在、公衆衛生審議会伝染病予防部会において、感染症対策の見直しについて最終的な意見の取りまとめが行われているところでありまして、今後厚生省においても、同審議会からいただく御意見を踏まえて、平成十年の法改正に向けて見直しを図っていきたいと考えております。
  111. 家西悟

    ○家西委員 ぜひともそういうふうにしていただきたい。  私は、自分がエイズ予防法という問題で非常に差別を受けてきた、そして周りの仲間たちも非常に差別を受けたという実態を見ています。そういった実態からして、この法律、今までのエイズ予防法というものは、やはり管理型、社会防衛的な発想しかなかったと言わざるを得ない。これは何としてでもやめてほしい。そして本当に社会福祉をうたうような、そして患者ケアしていく体制。そして先ほども言いましたように検査を簡単にしてほしい。そして自分たちのような不幸な人たちをふやさないでほしい。そして今回のいろいろな問題で、私は思っています、エイズ予防法を通してでも。そして公衆衛生審議会の審議の内容についても不満もあります、正直言って。なぜ管理をしていくのか。どうしても福祉の視点が見えてこない。ケアを中心としてやっていただくべきだと思います。そうすることが最も感染症対策を進めることだと思います。  そして、百年ほど前のイギリスでもやはり、梅毒がはやったときに、管理型でやろうとしたときに蔓延してしまった。それを逆に福祉型、患者のプライバシーを守りそして医療費も無料にしていく対策をとったときに初めて蔓延が防止できたという実体験があります。  そういうことをぜひとも日本でやるべきだと思います。そうしないと、日本の今見えている少ない患者の数がアメリカのように、またタイのようにふえてくるのじゃないか。そうなってからの対策というものでは、私は、出おくれるというか、今でさえ出おくれていると思いますけれども、それをおくらすことになるのじゃないかということを申し上げて私の質問を終わりますけれども、ぜひともそのような法体系に変えていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
  112. 金子一義

    金子委員長 以上で家西悟君の質疑は終了をいたしました。  次に、中桐伸五君。
  113. 中桐伸五

    ○中桐委員 民主党の中桐伸五でございます。  本日は、さきの通常国会で消費者問題等に関する特別委員会で取り上げましたエステティックサロンの問題について、さらに質問を行いたいというふうに思います。  まず冒頭でございますが、このエステティックサロンにつきましては国民生活センターに極めて多数の苦情が寄せられておりまして、平成八年度で六千八百六件、そのうち契約等の問題が六千百二十八件でございますが、特に私がこの委員会で重視したいことは役務品質、つまりサービスの内容に関して苦情が八百件あるという状況でございまして、この問題についてきょうは特に重点的に質問を行いたいというふうに思っております。  財団法人の日本エステティック研究財団というものがございまして、この財団が厚生省から受けた厚生科学研究費、この研究費につきまして、七月二十二日付の毎日新聞の報道によりますと、この研究費がほとんど研究費に使われず他に流用されたという内容の報道がございました。もしこれが事実だといたしますと、これは国民の税金の一部が不正に流用されたということでございますから、極めてゆゆしき問題であるというふうに認識をしているところでございますが、その点につきまして厚生省は事実関係調査中ということでございましたので、まずその結果がどのようになっているのかということをお聞きしたい。  そして、もしこのことが事実であるとすれば、こういった交付された補助金の取り扱いをどのようにするのかは重大な問題ですし、これは返還を求めるなどの厳正な措置が必要ではないかというふうに思いますが、厚生省はいかがお考えでしょうか。
  114. 田中泰弘

    ○田中(泰)政府委員 お答え申し上げます。  御指摘の問題でございますが、今回の厚生科学研究費補助金は、日本医科大学の元教授でございます、この方が財団法人の日本エステティック研究財団の理事でございますが、この教授を主任研究官といたしまして平成五年から八年度にかけまして合計一千百七十万円の補助をしたところでございます。この補助金の扱いにつきまして、御指摘のとおり新聞で報道されたところでございますが、関係者からの事情聴取などを含めましてこれまでの調査によりますと、本研究補助金につきましては、本人理事をしております財団の研究事業との経理上の混同があるといった不適切な取り扱いが見られたところでございます。  現在、この補助金につきまして、国の研究事業として使われたことが経理上特定できるものはどれかといったことにつきまして、関係書類等をもとに詳細な調査を進めているところでございまして、早急に調査結果を取りまとめたいというふうに考えております。  それから、その結果を踏まえての対応についての御質問でございますが、今回の調査結果を踏まえまして、場合によりましては補助金の返還等を含めて厳正に対処する考えでございます。  以上でございます。
  115. 中桐伸五

    ○中桐委員 今調査中ということでございますので、できるだけ速やかにこの調査を行っていただいて、しかるべく、先ほどの御答弁にありましたような措置をすべきときはしていただくということでお願いしたいと思います。  さて、もしこれが事実ということが判明する、しかしながら、先ほどの調査でも途中経過でもございましたように、このような事例というものを踏まえまして、厚生科学研究費という極めて公的な研究費について、これはやはり研究課題の設定あるいは選定あるいは研究成果の問題についてきちんと評価をして、そしてその評価基準やあるいは評価の結果を透明性を高めて情報公開するなど、あるいは公平な評価あるいは研究課題の選定など行っていくことが重要であるというふうに考えるわけでございますが、この点について厚生大臣はいかがお考えか、御見解を伺いたいと思います。
  116. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 委員指摘研究費について、透明性、公平性の確保が重要であるということは全く同感であります。  本年八月に「国の研究開発全般に関する評価の実施方法の在り方についての大綱的指針」というものが定められ、現在政府全体として研究費の適正な活用に取り組んでいるところでありますが、厚生科学審議会においてその研究評価のあり方について今検討しております。年内に結論を取りまとめる予定でありますので、それを踏まえて、研究課題の採択や研究成果の評価の一層の透明化、公平化を進めていきたいと考えております。
  117. 中桐伸五

    ○中桐委員 ぜひその方向でお願いしたいというふうに思います。  さて、同じく先ほどの毎日新聞の新聞報道によりますと、実はこのエステティック研究財団には、調べたところによりますと、何人かの厚生省の元職員の方が就職をされているというふうな事実もございますが、こういう中で厚生省が、さきの消費者問題等の特別委員会でも議論をしたところでございますが、エステティックサロンで行われている電気脱毛という施術について、これは医師法違反に当たるということが医事課の方からの判断として出されているということがございます。しかし、その電気脱毛に関することも含めまして、講習会をエステティック研究財団が行いたいために厚生省の担当課の職員を複数回にわたって接待していたという報道がなされているわけでございますが、こうした事実がもしあるとすれば、財団を指導する立場として問題ではないかと思うのですが、厚生省の御見解はいかがですか。
  118. 小野昭雄

    ○小野(昭)政府委員 今御指摘のございました厚生省の担当職員と財団の役員が会合を持っていたということは事実でございますが、これは年一回程度の儀礼的なものというふうに聞いております。  しかしながら、こうした会合でございましても公務員が出席するということは不適切でございますので、昨年末に厚生省職員倫理規程が制定されたわけでございますが、それ以降は一切行わないということといたしておるところでございます。
  119. 中桐伸五

    ○中桐委員 こういうふうに疑惑を持たれるような行為については極めて、もしそういうことがあれば大変問題でございますので、先ほどの態度で厳正に行っていただきたいというふうに思います。  さて、私先ほど質問したのは、講習会をやるというこのエステティック業界の技術レベルの向上あるいは業務の遂行に当たっての質の向上、こういったことから講習会を行うということについては私は反対するものではございません。この講習会については、例えば国際エステティック連盟という国際的な業界団体がございまして、ここにおいては国際的な資格としてのパスポートというものを発行し、同時に資格証明書を発行するというふうな業界独自の自主的努力をやっているというふうに聞いております。この中には、このパスポートを取得するためのカリキュラムとして、解剖学とか科学技術論とか身体各部位の各論、これらについてのカリキュラムが組まれて行われている。そしてまた試験についても、理論的な問題についての口頭試問、そして実技試験、さらに習熟度に関する面接試験というふうな三つの試験を行っているというふうに聞いております。  このような自主努力はどうしても必要でございますが、さて、この電気脱毛等も含めた、エステティック財団が計画していた講習会というのは現在どのようになっているか、その状況をお知らせいただきたいと思います。この講習会の内容につきましては、先ほどの新聞報道などによりますと、極めてお粗末なものという批判が出ているということが書かれておりますが、その点についても、どのように考えるのか、御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  120. 小野昭雄

    ○小野(昭)政府委員 当初企画されておりました講習でございますが、美容電気脱もの概論と各論、それから施術症例の報告のほかに、皮膚科学、公衆衛生学等を内容とするものであったわけでございます。ただ、その内容につきましては、この業界は大手から中小までさまざまな業者がいるわけでございまして、エステティックの業界におきます技術向上のための第一歩の取り組みとして、財団や業界内で検討を重ねまして、合意できる形で取り組まれることとなったものというふうに聞いております。  現在の講習会の状況についてのお尋ねでございますが、今回御指摘のございましたような報道がございまして、医療関係者あるいは業界関係者からもいろいろな意見が出されたということもありまして、今回は約一カ月の通信教育のみにとどめまして、研修終了時の講習及び認定試験は中止したところでございます。
  121. 中桐伸五

    ○中桐委員 通信教育というような形のものになったということなんですが、先ほどの国際エステ連盟などの基準、取り組みを含めて、さらにこの点については再検討していただいて、十分な指導厚生省として行っていただきたいというふうに思います。  さて、時間がございませんので、その次に移りたいわけでございますが、このエステティックサロンで行われている電気脱もの問題について、これは極めて位置づげが不明確といいますか、これが医師法に違反するという見解がこれまで出されておるわけですが、この見解にもし変わりがないとしますと、これから行っていく、業界の技術レベルの向上ということのために行う研修制度、この研修制度の中に電気脱毛という項目が入りますと、医師法違反との判断をしている厚生省通知との整合性が問題になるということになるわけでございますが、この点について、どのように厚生省としては今後対処されていかれるのか。  また、この点について、医師法違反であるということになりますと非常に問題が複雑になってまいりますので、新たに、これは国家資格かどうかは別ですが、つまり、国際エステ連盟等がつくっている自主的な資格等のことも勘案しながら、しかし、いずれにしてもレベルアップをするための何らかの取り組みが必要である。具体的に言えば、国家資格ということであれば、そういう資格法あるいは業法というふうなものを設定することによって何らかのレベルアップを図る必要があると思うわけでございますが、これらの点について、厚生省の御見解を伺いたいと思います。
  122. 小野昭雄

    ○小野(昭)政府委員 昭和五十九年に健康政策局の医事課から、電気脱毛は医行為であるとの見解を示しているところでございますが、この医行為の内容につきましては、医学等の進歩によりまして変わり得るものでございます。  いわゆる電気脱毛について申し上げますと、昭和五十九年当時と現在のものでは、その機器が格段に進歩いたしております。一例を挙げますと、例えば昭和五十九年当時は通電量のメーターがございませんでしたが、現在はございます。それから、一回の通電時間が六十秒から百八十秒かかっていたわけでございますが、現在は七、八秒でございます。それから、針の反復使用は、五十九年当時は反復使用いたしておりましたが、現在は使い捨てでございますし、一回に挿入する針の数も十六本から一本というふうに減ってきております。  そういった状況がございまして、最近の電気脱毛機器につきましてはそういう性能の向上があるということもございまして、可罰的違法性がないと認められるケースもあるわけでございます。昭和五十九年以降、医師法違反の容疑で摘発しました四つの事例はいずれも起訴されていないというふうなこともございます。そういった状況を踏まえますと、現在では、一律に取り締まりの対象とすることは難しいと考えております。  しかしながら、先生指摘にございましたように、日本エステティック研究財団が講習を始めたことにつきましては、現状を少しでも改善をいたしまして、利用者の安全を高めようという取り組みであることから、直ちに中止させなければならないという性格のものとは考えておりません。  それから、業法その他の考えはという御指摘でございますが、医師法違反によります取り締まりが困難だというふうな現実にかんがみますと、御指摘のような資格法あるいは業法を制定いたしまして、これによりまして規制を行うことは一つの方法であろうと考えております。  しかしながら、過去の臨時行政改革推進審議会の答申におきまして、資格制度の新設を厳に抑制すべきであるとされておりまして、行政改革の視点からは、新たな資格法あるいは業法を制定することは現実的でないと考えておりますし、また、関係者が非常にたくさんおりますので、その調整を行うことは非常に時間を要するということで、現時点では非常に困難であると考えております。  しかしながら、先ほど申し上げましたように、業界がその技術レベルを向上させるという自主的な取り組みをさらに積極的に進めるということは意味があるものと考えておりまして、御指摘の点も踏まえ、よく検討したいと考えております。
  123. 中桐伸五

    ○中桐委員 非常に複雑な問題というか、それにさらに、いわゆる資格をどんどんつくっていくということについても必ずしもそれでいいというふうにも私も思わないところでございまして、この点につきましては、さらに検討していただきたいと思います。  しかし、いずれにいたしましても、このエステティック業界の中で業界団体に加入している率が約一割と、この前消費者問題特別委員会で通産省がお答えになっていたと思うんですが、そうしますと、業界そのもののリーダーシップを発揮しましても一割にしか影響が出ないということでございまして、かなり問題は深刻ではないか。  先ほどの苦情の件数が年々増加をしておりまして、今年度も、まだ半期でございますが、ほぼ同じような件数が上がってきている。その中にはサービスの質の問題も含めて出てきているということでございまして、この点につきまして、やはり業界がもっと広く、エステティック業界にかかわっている、そういう業務をしているところをカバー率をどんどん上げて、そして、かつレベルの高いカリキュラムを組み、技術研修、理論研修、理論学習、そして業務の適正な運営というふうなものについて、どうしてもこれは急いでやる必要があるというふうに私は思うわけでございます。  そこで今後、一つ医師法との整合性をどのように図るのかという問題、そして、特に急がれる業界の技術水準の向上、こういう点につきまして大臣としてはどのようにお考えなのか、今後の決意をお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
  124. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 今政府委員から答弁しましたように、この問題についてはいろいろ難しい点もあると思いますが、消費者も気をつけてもらわないといけないと思うのです。  業界といっても、業者はたくさんいる。その水準も大違いだ。中にはいいかげんなものもあるかもしれませんし、問題のないところもあるかもしれませんが、この点について、電気脱毛等について、今、お医者さんでなくても被害を出さないでできるような機械なり技術が発達しているという点もあると思います。いわゆる性能が向上しているようでありますが、この点について、一律にこれを取り締まりの対象にするというのがなかなか難しいようであります。  一方、電気脱毛についてはいろいろ消費者から健康被害の苦情が寄せられております。この健康被害を減少させるためには、特に悪質なものについては医師法違反で取り締まることができると思いますが、今後は業界による自主的な取り組みによって技術水準の向上と営業の適切、妥当が図られるよう、厚生省としても指導をしていく必要があるのではないかというふうに感じております。この点については、よく消費者にも理解してもらう、そして業界にもきちんとした対応をとってもらうような指導が必要だと私は考えております。
  125. 中桐伸五

    ○中桐委員 消費者の問題についてどのようにやっていくかということについて、これは情報公開とか何か適マークとか、そんなものもあるだろうし、それは業界独自でやっていいわけですけれども、そういったことが必要だろうというふうに思いますので、その点については最後につけ加えさせていただきます。  どうもありがとうございました。
  126. 金子一義

    金子委員長 以上で中桐伸五君の質疑は終了いたしました。  次に、瀬古由起子さん。
  127. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。  昨年の四月一日にらい予防法が廃止されましてからちょうど一年七カ月たちました。この間、私は、全国にあります国立療養所の十五カ所のうち八施設を回らせていただきました。皆さんの実態に触れて、またお話を聞いて、大変大きな衝撃を受けました。この歴史は本当に涙なしには聞けないというお話ばかりでございました。  群馬の栗生楽泉園には、特別病室という患者さんを閉じ込める重監房跡がありました。コンクリートで囲まれた室内は、真冬には零下二十度にも低下して、一日二食、おにぎり一個に水一杯、多くの患者さんが飢えと寒さで凍死する、そういう悲惨さでございました。投獄の理由も、穴のあいた長靴では作業ができず、かわりを要求しただけで夫婦で投獄された人、身に覚えのない殺人者の嫌疑をかけられたまま凍死した人もありました。隔離の必要のない人たちを閉じ込めて、ハンセン病患者さんの全人格を否定するような仕打ちをとってきた国の責任というのはまことに重いと私は感じています。  こうした経過の中で、らい予防法が廃止されて新しい措置を講ずる法制定に当たり、衆参の両院の厚生委員会では、「政府は、本法施行に当たり、深い反省と陳謝の念に立って、」「特段の配慮をもって適切な措置を講ずるべきである。」このような附帯決議が行われました。附帯決議には、入所者に対する「医療福祉等処遇の確保についても万全を期すこと。」このようにございます。  そこで、具体的にお伺いいたします。  まず入所者の問題なんですけれども、高齢化とともに、合併症や痴呆症、寝たきりの人などの増加など障害の重度化が療養所では進んでいます。これは単に高齢化というだけのものではなくて、患者さんが隔離されたと同時に、まともな治療がない、食事も不十分、重症患者さんを二十四時間で看病する、自給自足で農地を開墾するということで重労働させる、こういうことが原因になっているというものも随分多いわけです。特に病気の特質で、患者さんの手足の感覚がないとか、冷たい熱いの判断ができない、目の不自由な方も大変多いのですね。そういう意味では、介護者の充実というのが大変不可欠になっています。ヘルパーの配置など介護体制充実が急務になっていますけれども、これはどのように検討されているのか、お伺いしたいと思います。  また同時に、医療充実の問題も大変重要です。百床当たりの医師の数が一般病院に比較しまして八分の一、看護職員は三分の一以下になっています。しかも、医師というのは、その療養所に所属する医師なんだけれども、私が行ったところでは、週一日か二日しかいない、あとはほかの病院にずっと出かけている。実際に入所している病院ではお医者さんがいないので、わざわざ療養所からほかの病院に通院しなければならぬ、こういう状況もございました。  真に入所者のための医療機関充実、施設設備の体制充実というのが大変大事だと思うのですけれども、この介護と医療体制充実について御質問いたします。
  128. 小林秀資

    ○小林政府委員 お答えを申し上げます。  国立ハンセン病療養所につきましては、国家公務員の定員事情が非常に厳しい状況下におきまして、入所者の高齢化、後遺障害からくる要介護の増加にかんがみまして、介護体制充実を図る観点から、従前より、他の施設に増して不自由者棟に従事する介護員、それから看護婦を中心に定員確保に努めてきたところでございます。  近年でいきますと、平成四年度、五年度、六年度とずっと定数が、四年度が十三人増、五年度が十三人増、六年度十三人増、そういうふうにふやしてきております。  今後、定員の状況はさらに厳しいことが予想されますが、引き続き入所者の高齢化等に伴う不自由度の実態に即して必要な定員措置がとれるよう努力をしてまいりたいと思います。
  129. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 ぜひ充実させる方向でお願いしたいと思います。  二つ目には、退所希望者の問題について質問させていただきます。  附帯決議では、「退所することを希望する者については、社会復帰が円滑に行われ、今後の社会生活に不安がないよう、その支援策の充実を図ること。しこのようになっております。  社会復帰支援方策調査検討会で社会復帰の希望者アンケートをとりますと、百名の方が社会復帰したいと希望されている。目が不自由だとか、体が不自由だとか、家族の受け入れが大変だとか、いろいろあります。それでも、私はこれをきょう持ってきていますけれども、ここに百名の方の面談結果が載っています、どうしても一度社会へ出てみたいんだ、こういう思いがつづられていまして、私は本当にこれを見て感激いたしました。何とかこの皆さんの期待にこたえなければならないのではないか、国がきちんと責任を果たすべきだと私は思うのですね。  ところが、今検討されているのですが、ぜひこれはお考えいただきたいと思うのですが、例えば、支度金といいますか一時金を百万円前後渡して、あとはどうぞ生活保護で生活が困ったらやってくださいよというのでは、余りにも、今までの歴史や経過を考えれば、私はとても社会復帰できるという状況ではないと思うのですね。そういう意味では、本当に一人一人の状態に応じて、そしていろいろな家族の事情に応じて、例えば住宅も必要でしょうし、また生活の訓練だとか職業の訓練も必要ですし、家族を説得しなければいかぬというものもあります。それから、希望者の中には、せめて今までの苦労を考えれば有料の老人ホームぐらいの待遇はぜひ与えてもらいたい、こういう御希望もございました。  そういう意味では、一時金をぽんと渡して、あとはもう困ったら生活保護をやれみたいなことではなくて、本当に柔軟で人道的な心ある対応が私はこの退所希望者の場合には求められていると思うのですが、その点いかがでしょうか。
  130. 小林秀資

    ○小林政府委員 入所者の方で約百人の方が退所したいという要望があるという調査結果は私どもも承知をいたしております。  それで、我々としてはこれらの方々の社会復帰を進めるために、現在は四つの施設で八人のケースワーカーを置いてこれに対応させておるところでございます。しかしながら、近年は定員事情も大変厳しいので、ケースワーカーが得られないところは病院の福祉室の職員によりましてこれに対応すべく努力をしておるところでございます。  ただ、先生も施設に行かれて御存じで、私もこの局長のポストにつきましてこれで一年半程度になりますが、ほとんど国会中は外に出られませんし、その他のときでもほとんど省内におることが仕事の事情で多いのですけれども、出るとき、時々あるのですけれども、国立病院の中でらいの療養所だけは三カ所、私も見せていただきました。結局、私どもも、先生が先ほどおっしゃられたように法律の改正、廃止というのがおくれたこと、それからその患者さんの実態、気の毒だというのはよく私も承知をいたしておりまして、できるだけ御希望に沿えるようにというふうに私ども思っております。  ただ、患者さんの中にも、園にいること自体が拘束というわけではないのでして、園の中で楽しく暮らされる方も私は一つの選択だと思っておりまして、患者さんの中には園におることでかえって満足されている方もいるということも御理解をいただければと思う次第でございます。
  131. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 もちろん、この園でずっと生活したいと思う方々たちにとってはふるさとになっているというものもありますよね。しかし、できれば出てみたいと言われる方の希望をぜひかなえていただくために今後の柔軟な対応、そして生活やさまざまな、やはり一定の援助は必要だと思うのですね。その点でもぜひ御努力をいただきたいと思います。  それから、先ほどケースワーカーの配置という問題がありました。もちろん厳しい定数の中というのは存じておりますが、とりわけ困難な、さまざまな今までの歴史的な経過がございますから、一人一人への対応が本当に、人道的な配慮という点でいえば、そういうベテランのというか専門のケースワーカーなりソーシャルワーカーというような配置がぜひ必要だと思うのです。そういう意味では、私は、行ってみまして、ぜひ全園にやはりソーシャルワーカーの配置ケースワーカーの配置というのは必要じゃないかと思うのですけれども、その点は、退所者だけじゃなくて今いる人たちも含めた援助という点で必要だと思うのですが、いかがですか。
  132. 小林秀資

    ○小林政府委員 先生も御質問の中で言っていただきましたように、大変定員事情が厳しいということは御理解いただきたいと思いますが、私は、患者さんへの福祉の気持ち、そして実際の福祉サービスというのは特定の職員だけがするものではない、実際には病院で働く職員全員が挙げて患者さんの退所、退園ということにも御協力をいただくということが肝要ですし、そういう心がなければ園の中の温かさというのも出てこないと私は思っております。そういう意味では、できるだけ定数の確保については今後とも努力をしたいと思いますが、もう一つは、私ども関係職員全員に、患者さんに対してのお気持ちを正しく持ってそして一生懸命やっていくように督励をしたい、このように思っております。
  133. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 もちろん全職員の皆さんが本当に御苦労されて努力されているというのも、私も現場に行ってみましてよくわかりました。しかし同時に専門家の、この歴史的な背景にふさわしい配置も必要なので、その点でぜひ御努力いただきたいと思います。  群馬の栗生楽泉園の沢田五郎さんがこんな歌を歌ってみえるわけです。   串刺しの虹鱒六尾買い持ちて生家の前を過ぎまた帰るなり  お土産にくし刺しのニジマスを六匹持っていったけれども、家の前に立って、入れずにまた戻ってきた、こういう歌なんですね。  ハンセン病の元患者さんでありまた現在入所者である方々の平均年齢はもう七十歳を超えています。時間がもう少ない。そして同時に、家族との心からの交流というのを願ってみえるわけですね。しかし、まだまだ社会の偏見といいますか、やはり長い間の隔離政策による誤解というものもたくさんあるわけです。そういう意味では、御当人はもとより家族の人たちも、その人生がある意味では本当にめちゃくちゃになってしまったという経過があるわけです。亡くなった方もいる。無念の思いで重監房のところに血で悔しさを書いた方もいるわけです。  そういう方々に、本当に、国としてはどうこのハンセン病の歴史を考えるのか、歴代の厚生大臣にも謝っていただいたわけですけれども、こういう家族方々関係者の方々にも、謝罪の手紙といいますか、名誉回復のための措置というのをぜひとっていただきたいと思うんですね。その点、大臣のお考えをぜひお聞きしたいと思います。
  134. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 今お話を聞いておりまして、患者さんの中にも希望なり意向が十人十色的なものがあると思いますけれども、できるだけ希望に沿うような対応が必要ではないかと思っています。  また、このハンセン病患者の中で特に社会復帰を望む方々については、円滑に行われ、不安のない生活が送れるように支援していくことが大切ですし、この病気に対する誤解とか偏見というのはいまだかなり強いと思いますので、この偏見や差別をどのように解消していくか、これは今後の課題だと思っております。  らい予防法廃止の際の附帯決議の趣旨を踏まえまして、社会復帰のための支援策を今後充実していくとともに、このハンセン病に対する正しい知識の啓発活動、この活動にもより一層努力を続けていきたいと思います。
  135. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 ぜひ手紙を出してほしいということについてはいかがですか。
  136. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 今後、この対応によっておこたえしていきたいと思います。
  137. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 ぜひお願いします。  こういう形で、誤解や偏見を取り除くための啓発活動、これをうんと一層充実といいますか、努力をしなきゃならないというのも附帯決議に出ているんですね。ところが、ことしのこの啓発活動についての予算が五%概算要求で減額されています。そういう意味では、今までの経緯からいうともっと予算をふやさなきゃいかぬという状況があるわけですね。そういう点ではそれにふさわしい予算の確保というのが私は必要だと思うのですけれども、これはいかがですか。
  138. 小林秀資

    ○小林政府委員 十年度のハンセン病の予防や啓発に係る予算要求につきましては、入所者の減少それから既定経費の見直し等によりまして減額になっておるのは先生の御指摘のとおりでございます。  しかしながら一方で、ハンセン病医療知識の普及や、らい予防法廃止の記念事業として、ハンセン病入所者の方々の人権尊厳を宣言するための東京での国際会議開催費については増額要求をいたしたところでございます。また、国立ハンセン病療養所の運営費それから施設整備費を合わせますと前年度より増額要求となっておるところでございまして、療養所入所者の処遇の確保等、附帯決議の趣旨を踏まえ、ハンセン病対策全体としては必要な予算要求を行っているところでございます。  それから、先生がおっしゃられた啓蒙、啓発普及については、うまい下手を言うと申しわけないのですけれども、役人はどうも余り上手でないような感じもいたしますけれども、一生懸命勉強して頑張りたいと思います。
  139. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 ぜひ今後、この啓発のための事業については一定の予算の確保という点で努力をしていただきたいと思います。  将来計画については、療養所が皆さんにとってふるさとですから、ここをどうしていくのかという問題があるわけです。厚生省はかつて、この療養所については統廃合の対象とはしないというふうに言ってみえるわけです。私もそのとおりだと思います。今後の問題としては、もっと地域との交流だとか、例えば、先日、群馬の草津町の町当局と町議会からも御要請を受けたんですが、例えばその町の町民の皆さんが使えるような施設で交流できる、そういうものなんかもつくっていったらどうだということで、話し合いが今始まっているようなんですね。そういう住民の皆さんの理解に支えられ、自治体にも支えられて、そして同時に、療養所の皆さんがやはり希望するというか、こういう方向である意味では検討していくというのが、将来計画のあり方では大事ではないかと思うんですが、いかがでしょう。
  140. 小林秀資

    ○小林政府委員 ハンセン療養所の将来計画でございますが、国立病院・療養所は、先生御案内のように、昭和六十一年につくりました再編計画で二百三十五でしたかを百六十五ぐらいの数、ちょっと数を細かく記憶しておりませんが、再編成をやっていくということをやっておりますが、ハンセンの療養所についてはその計画の中には入れておりませんということをまず申し上げたいと思います。  ただ、十年後、二十年後もそのままかと申しますと、先生御存じのように、ハンセンの患者さん、新発生が非常に減っていまして、実際には園に入られる方はもうないわけで、だんだん減っていく一方なので、その先までのことをどうするかということは、現時点では見通しが立たないというのが現状でございます。  しかしながら、そういう時期が到来することはあるんでしょうけれども、そのときに当たっても、その患者さんの状況だとか地域社会との状況を考慮して議論を深めて考えていきたい、このように思っております。
  141. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 あくまでも患者、その入所者の意思を尊重するという点はいいですね。
  142. 小林秀資

    ○小林政府委員 もちろん、入園者の御意思は十分尊重させていただこうと思っています。
  143. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 最後になりましたが、先ほどらい予防法の問題もございました。そして、幾つかの、やはり長い歴史で厚生省としても国としても誤った歴史がある場合にきちんとその教訓を明らかにしないと、また同じことをこうやって繰り返していくという問題がありますね。このらい予防法の歴史的な経過、その教訓についても、ぜひ厚生省としてはきちんと調査していただいて、それをやはり国民の中に明らかにしていく、そういう作業もぜひ進めていただきたいと思うのですが、最後に厚生大臣に伺いたいと思います。
  144. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 過去の経緯を踏まえて対処していきたいと思います。
  145. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 ありがとうございました。
  146. 金子一義

    金子委員長 これにて瀬古由起子さんの質疑は終了いたしました。  次に、中川智子さん。
  147. 中川智子

    ○中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子です。  きょうは最初に、今非常に大きな社会的関心を呼んでいます遺伝子組み換え食品のことで一点だけ質問をしたいんですけれども、遺伝子組み換え食品認可に際して、日本モンサント社が発売許可を得るために厚生省に昨年九月に出された資料で、英文と日本文が、訳文があったんですけれども、そこの安全性の部分において改ざんがあったのではないかという市民団体の指摘がありまして、これは新聞報道もされました。  英文では組み換え前と後では八種類のアミノ酸に統計的な有意差があったというふうに書かれていたんですが、訳された方の文章にはこれが有意差はなかったというふうな表現になっておりました。これに対して厚生省は認識しているかどうか、このような事実があったのかどうかということと、同時に、この市民団体に対する質問に対してはどのようにお答えになったのかということをお伺いしたいと思います。
  148. 小野昭雄

    ○小野(昭)政府委員 本件の申請に必要な資料につきましては英文資料そのものでございまして、要旨は、これは日本語でございますけれども、参考として提出されているものでございます。  本件の英文資料におきましては、組み換え前のトウモロコシと組み換え後のトウモロコシのアミノ酸値の比較におきまして、一部のアミノ酸について両者の間に統計上の有意差があるとされているわけでありますが、これに加えまして、文献等で既にわかっております多くのトウモロコシのアミノ酸値との比較も示されておりまして、これらの値を総合的に評価いたしまして、アミノ酸値につきましては結論的には有意差がないとされているわけでございます。  これに対しまして、日本語で書かれております要旨には、有意差がないと、今先生指摘がありましたように結論のみが書かれているわけでございまして、今私が申し上げましたような、その結論に至る過程が日本語として正確に示されていなかったということでございまして、この件に関しましては資料の改ざんには当たらないというふうに考えております。  なお、申請について審査を行います委員は、英文資料そのものを読んで審査をしているわけでございますが、その結果といたしまして、申請されたトウモロコシの一成分でありますアミノ酸については、科学的に見て問題がないと判断されたものでありまして、適切な安全性評価が行われたものというふうに考えております。  ただし、申請にかかわります資料というのは一般に公開し自由に閲覧可能としているということから考えますと、今回のように申請書類の本体であります英文資料と要旨の内容が異なっているといったような誤解を与えることは不適切であると考えておりまして、申請者に対しましては、このような誤解を与えるような記述をすることがないよう注意したところでございます。  さらに、この件につきましては、来る十二月三日に開催を予定しております食品衛生調査会常任委員会におきまして事実経過について報告し、再審査の必要性についても御判断をしていただきたいと考えております。
  149. 中川智子

    ○中川(智)委員 今のお答えでわかりましたが、普通は、日本人ならやはり日本文を読むわけですね。ですから、誤解を与えるということは今後、まさにこのように非常に細かい資料になりますと、きっちり適正にしていただきたいというお願いを一点しておきます。  と同時に、今、情報公開のことをおっしゃいましたけれども、この閲覧は、この消費者団体というか市民団体は、三週間かけて全部手書きで英文、和文を写したわけなんです。今、情報公開と一口におっしゃいましたけれども、週三日間の限られた時間で、そして手書きでしなければいけないという、このような、情報公開とはおよそ言えないような形でされていることに対しては、私はもうこれは非常に問題だと思います。  コピーもだめで写真もだめ、そしてまた英文で読みにくいところを手書きで写さなければいけない。この実態に対して、これが本当の情報公開と言えるのかどうか。そして、この情報公開に対して、仕方、いわゆる情報公開そのものに対して非常に不満がうっせきしておりますし、情報公開と言うことは恥ずかしいぐらいの中身なのですが、大臣に、今このような現実の中で、コピーや写真を今後していくべきだという声に対してどのようにお考えか、これは大臣に通告してありますので、ではお二人にお願いします。
  150. 小野昭雄

    ○小野(昭)政府委員 閲覧に供しております資料につきましては、食品衛生調査会の決議に基づきまして、特定の者に利益または不利益をもたらすことのないように、特許申請中の技術に関する情報等、財産権や企業秘密にかかわる情報を除いたものとしておりまして、資料のコピー及び資料の持ち出しにつきましては禁止しているところでございます。  コピー等につきましてはいろいろ御指摘がございますけれども、現在、国が一方的にこうした資料を公開するという法的根拠はございません。また、現実の問題として、非常に大部の申請書類のコピーを官庁で行うというふうにした場合には、そのための人員、予算等が必要になってしまいますし、また、コピーのために持ち出していただくというようなことになりますと、申請書類の管理という点で認めがたいところでございます。このように、現在のところ大変困難ござますが、今後、情報公開法の議論の中で適切な公開の方法が整理されれば、それに従って対処してまいりたいと考えております。
  151. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 今政府委員答弁しましたように、技術的な問題、あるいは官庁に人手を要するとか手間をかけるという問題もあるようでありますが、情報を知りたいという一般の市民の方々、そして、情報公開法として、適切な情報公開というのはどういう方法があるかという点を踏まえて、基本的に情報公開方向で今いろいろな制度を進めておりますので、どのような適切な方法があるか、これについて、私は、整理して検討していくべき問題だと思っております。
  152. 中川智子

    ○中川(智)委員 知る権利が保障されているにもかかわらず、実際には現場ではそのような形では知る権利が保障されていないということですので、ぜひとも前向きに、よろしくお願いいたします。  それでは、次の質問に移らせていただきます。  今市販されている食器、そして、特に学校給食で非常な勢いで広がりつつありますポリカーボネートの安全性の問題と、学校給食で使われていることに対しての懸念について質問いたします。  現在、全国で一千二百万人の子供たちが学校給食を食べています。食器に関しましては、一九八〇年ごろに、今までアルミ、この中でも委員の皆様、学校給食を食べているときはアルマイトというかアルミの食器で召し上がった方が多いと思うのですが、そのアルマイトをポリプロピレンに変更しようとする動きが全国的に広がったのですが、そのときに、いろいろなところの住民運動というか、親の反対の声が上がったのですね。  その理由一つとして酸化防止剤BHTの溶出が指摘されて、やはりこれに対する不安の声が大きいということで、一九八五年ごろからは、今度はメラミン食器が普及しました。そして、メラミンからこれまたホルムアルデヒドが溶出するということで、メラミンは使いたくない、大切な子供たちの体に、少しでも心配なものが出ているものに対しては怖いということで、これは福岡県の飯塚の反対運動がもう全国的に問題になりまして、飯塚もメラミンから磁器の食器に変わったのですけれども、いつも、何か子供たちの体を考えた形での選び方ではなくて、食器に関しては非常に安易な形で、割れないものとか、そういうふうに安上がりということが前面に出されて、本当に安全性に対しては、ポリプロはやはり危なかったからだめ、じゃ次はメラミン、メラミンもやはり危ないからだめ。そして今ポリカーボネートが食器でたくさん使われています。しかし、このポリカーボネートというのが、哺乳瓶にも使用されているほど安全なものだということで宣伝されまして広がっていっているのですが、これまたビスフェノールAという環境ホルモンの物質が出ているということで、最近、これがとても危険だということが言われています。  環境ホルモンは、乳がんの、がん性の細胞がふえるということ、もう一つは、精子が減少する。この間の新聞なんかでも、精子が半減しているという非常に恐ろしい、少子化問題を深刻に憂えるこの厚生委員会では特に真剣にこの安全性の問題については検討していただきたいと思うのですけれども、このビスフェノールAが溶出するということが指摘されているにもかかわらず、それに対して厚生省が積極的に取り組もうという姿勢が全然見えていませんが、このビスフェノールAに対しての厚生省のただいまの認識についてお伺いしたいと思います。
  153. 小野昭雄

    ○小野(昭)政府委員 ビスフェノールAにつきましては、これはポリカーボネート樹脂の原料の一つでございますが、このビスフェノールAを含めまして、いわゆる内分泌撹乱作用があるのではないかというふうに指摘をされている物質がございます。これが人の健康にどのような影響を与えるかについてはいろいろなお話がございますけれども、また国の内外におきまして研究が進められているところでございますが、いまだに未解明なところが多うございまして、これは国際的にもこういう取り組みを進めていこうということで、現在、調査研究が進められておりまして、強力に取り組んでいくことが必要だというふうに考えております。  ポリカーボネート樹脂からのビスフェノールAの溶出につきましては、食品衛生法の規定に基づきまして、毒性試験成績等を踏まえまして規格を定めております。本規格は米国やEUの規格に比べましても厳しいものとなっておりまして、このようなことから、ビスフェノールAの溶出につきまして、現段階においては国民の健康確保に支障があるというものではないというふうに考えております。
  154. 中川智子

    ○中川(智)委員 これは、環境庁のリスク対策検討会の監修による環境ホルモンという研究班の中間報告におきましても、「ビスフェノールAがエストロジェン作用を有している」ということが明記されているわけです。縦割りの中で御存じないかもしれませんが、やはり環境庁ともきっちりとこのあたり連携して、しっかりと調べていただきたいということを要望としてお願いします。  それと、これは学校給食の食器に使われているということで、文部省にぜひともきょうお答えいただきたいのですけれども、疑わしきは使用せずというのが姿勢としては正しいと思います。もう合理化などで、安上がりにするという合理化案なんかは通達でどんどん文部省はお出しになるのですが、こういうことになりますと、設置者の責任において判断してもらっているという答えがいつも返ってきますが、文部省は、このビスフェノールAが溶出されているという危険性が一部でといいますか、かなり多くの認識に今なっているのですが、このような食器を学校給食に使い続けていくということに対して、どのようにお考えでしょうか。
  155. 玉井日出夫

    ○玉井説明員 お答え申し上げます。  食器の安全性についての御指摘でございます。  もちろんこの安全性については当然必要なことだと認識しておりますけれども判断の、第一義的には、関係機関において、先ほど厚生の局長もお答えになったとおり、食品衛生法によって確保されているわけでございます。それに基づいて現在まさしくそういうさまざまな食器というものが市販され、その中から各学校の設置者である市町村が最も適切なものをやはりそれぞれの事情に応じて判断し、採用しているというのが実態でございますし、私どもとしても、まずはそういう安全性を確保することは当然のことでございますけれども、今申し上げたとおりの形で、それぞれの設置者において適切に御判断いただいている、かように考えているわけでございます。
  156. 中川智子

    ○中川(智)委員 もう質問時間が終わったのですけれども、本当に子供たちの体をつくる一番大事な時期の小学校六年そして中学三年間食べていく給食なのですね。いわゆるプラスチックのこういう学校給食で使われている食器なんかで食べていらっしゃる家庭はないと思うのです、今。それで、選択する余地がないのです。子供たちは、もうその食器で出されたら、これは怖いからあっちの食器で食べたいということは言えません。ですから、ぜひとも、安全性に疑いがあるならば、それをやめて、たくさんほかにも食器があるのですから、そのような形で使っていただくことを心からお願いして、終わります。
  157. 金子一義

    金子委員長 中川智子さんの質疑は終了いたしました。  次回は、来る二十八日金曜日、委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。      午後一時九分散会