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1997-11-21 第141回国会 衆議院 厚生委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十一月二十一日(金曜日)     午後一時一分開議 出席委員   委員長 金子 一義君    理事 佐藤 剛男君 理事 津島 雄二君    理事 長勢 甚遠君 理事 根本  匠君    理事 山本 孝史君 理事 金田 誠一君    理事 児玉 健次君       安倍 晋三君    江渡 聡徳君       大村 秀章君    桜井 郁三君       鈴木 俊一君    田村 憲久君       戸井田 徹君    桧田  仁君       堀之内久男君    松本  純君       青山 二三君    大口 善徳君       坂口  力君    福島  豊君       桝屋 敬悟君    矢上 雅義君       吉田 幸弘君    米津 等史君       家西  悟君    石毛 鍈子君       瀬古由起子君    中川 智子君       鴨下 一郎君    土屋 品子君       土肥 隆一君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 小泉純一郎君  出席政府委員         厚生大臣官房長 近藤純五郎君         厚生大臣官房総         務審議官    田中 泰弘君         厚生省健康政策         局長      谷  修一君         厚生省保健医療         局長      小林 秀資君         厚生省社会・援         護局長     炭谷  茂君         厚生省保険局長 高木 俊明君  委員外出席者         文部省初等中等         教育局特殊教育         課長      辰野 裕一君         厚生大臣官房障         害保健福祉部長 篠崎 英夫君         労働省職業安定         局高齢障害者         対策部障害者雇         用対策課長   村木 厚子君         厚生委員会調査         室長      市川  喬君     ――――――――――――― 十一月十七日  中小自営業者婦人の健康と母性保護、社会的・  経済的地位向上に関する請願白保台一君紹介  )(第五〇一号)  同(一川保夫紹介)(第五二八号)  同(坂上富男紹介)(第五二九号)  同(達増拓也紹介)(第五三〇号)  同(畠山健治郎紹介)(第五三一号)  同(石井郁子紹介)(第六二三号)  同(大森猛紹介)(第六二四号)  同(金子満広紹介)(第六二五号)  同(川内博史紹介)(第六二六号)  同(木島日出夫紹介)(第六二七号)  同(児玉健次紹介)(第六二八号)  同(穀田恵二紹介)(第六二九号)  同(佐々木憲昭紹介)(第六三〇号)  同(佐々木陸海紹介)(第六三一号)  同(志位和夫紹介)(第六三二号)  同(瀬古由起子紹介)(第六三三号)  同(辻第一君紹介)(第六三四号)  同(寺前巖紹介)(第六三五号)  同(中路雅弘紹介)(第六三六号)  同(中島武敏紹介)(第六三七号)  同(春名直章紹介)(第六三八号)  同(東中光雄紹介)(第六三九号)  同(平賀高成紹介)(第六四〇号)  同(不破哲三紹介)(第六四一号)  同(藤木洋子紹介)(第六四二号)  同(藤田スミ紹介)(第六四三号)  同(古堅実吉紹介)(第六四四号)  同(松本善明紹介)(第六四五号)  同(矢島恒夫紹介)(第六四六号)  同(山原健二郎紹介)(第六四七号)  同(吉井英勝紹介)(第六四八号)  公的臍帯血バンクの設立と血液事業法の制定に  関する請願神崎武法紹介)(第五〇二号)  子供の性的搾取・虐待をなくすための立法措置  に関する請願土井たか子紹介)(第五〇三  号)  同(土井たか子紹介)(第五二四号)  医療等の改善に関する請願畠山健治郎紹介  )(第五二五号)  難病医療への自己負担導入反対に関する請願  (土井たか子君外一名紹介)(第五二六号)  同(中川智子君外一名紹介)(第五四四号)  同(土井たか子君外一名紹介)(第五七〇号)  同(中川智子君外一名紹介)(第六二二号)  介護保険法案抜本的修正に関する請願児玉  健次紹介)(第五四一号)  同(藤田スミ紹介)(第五四二号)  同(山原健二郎紹介)(第五四三号)  公的介護保障制度早期確立に関する請願(木  島日出夫紹介)(第六一二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  精神保健福祉士法案内閣提出、第百四十回国  会閣法第九〇号)  言語聴覚士法案内閣提出第八号)      ――――◇―――――
  2. 金子一義

    金子委員長 これより会議を開きます。  第百四十回国会、内閣提出精神保健福祉士法案及び内閣提出言語聴覚士法案の両案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。桝屋敬悟君。
  3. 桝屋敬悟

    桝屋委員 久々の衆議院の厚生委員会でございまして、大臣のお顔を拝見いたしますと、うれしくもあり、本当にお元気なお顔でありまして、本当にお元気かどうか聞いてみたい心境もするわけでありますが、しかし、きょうは一般質疑ではございませんで法案審議でございますから、早速法案の内容に入らせていただきたい、このように思います。  本日は、精神保健福祉士法案それから言語聴覚士法案両方一括審議ということでございますので、ある意味では、この二つの法案、それぞれ資格法でありますが、大事な法案でありまして、一気に一日でいくという話もありましたけれども、本当に時間をかけて審議をしていただけるようでありまして、その点につきましては、理事皆さんに感謝を申し上げたいと思います。  さて、最初に、法案に入ります前に、精神保健対策あるいは障害者対策現状について、トップの質問者でありますから、入り口部分で確認をさせていただきたい、このように思うわけであります。既に御案内のとおり、大変厳しい財政状況の中ではありますけれども、現在、障害者プランが進められております。平成七年の十二月に策定をされまして、この障害者プランというのは、ある意味では、知的障害者あるいは身体障害者プランはもちろんでありますけれども、特に精神障害者方々対策が明確になったということで大きな意味を持つというように私は理解をいたしております。そういう意味では、今回の精神保健福祉士法案背景にありますこの障害者プランがどのように進んでいるのかということが極めて大事だろう、私はこのように思います。特に心配しますのは、財政構造改革、現在議論されておりますけれども、これとの絡みも大変に心配をしておりま旧す。  そこで、平成十年度概算要求厚生省さんとしては既に概算要求をされておられますけれども、そうしたことも踏まえて、現状進捗状況お尋ねをしたいと思います。  それで、いただきました資料の中で、調査室がつくっていただいた資料の中に障害者プランの具体的な数値が出ております。生活訓練施設、いわゆる援護寮でございますが、三百カ所を目標に頑張ると。ショートステイについては百カ所、福祉ホームが三百、グループホームが九百二十、それから授産施設が四百、福祉工場については五十九、社会適応訓練事業三千三百事業所地域生活支援事業六百五十カ所、精神科デイケア施設が一千カ所、初めて明確にこういう数値目標が出たわけでありまして、これは、まさに十四年度までをゴールに現在進められておるというふうに理解をしておるのでありますが、考えてみますと、十年度の概算要求に視点を当てますと、まさにあと五年、本当に順調にいっているのかどうかということが気になるわけであります。  そういう意味では、最初に、私が申し上げた数字に対して、私、今箇所数で申し上げましたけれども、どんな状況で進んでおるのか、まず概要を簡単に御説明をいただきたいと思います。
  4. 田中泰弘

    田中(泰)政府委員 お答えいたします。  障害者プランの中の精神障害者関係進捗状況でございますが、主なものだけ申し上げたいと思いますが、平成十年度の概算要求におきまして、精神障害者福祉ホーム、百人分を要求いたしまして、累計整備量が千三百十人分でございます。それから、精神障害者授産施設四百四十人分要求いたしまして、累計四千二百四十人分でございます。それから、精神障害者福祉工場でございますが、百二十人分要求いたしまして、累計整備量が五百七十人分というところでございます。  これらの施設整備要求でございますが、これまでの整備実績などを勘案いたしまして、そしてかつ、市町村等からの要望を踏まえながら、今後徐々に加速するような計画を立てておりまして、その線に沿って着実に推進を図ってまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。
  5. 桝屋敬悟

    桝屋委員 お答えをいただきましたけれども、きのう通告で申し上げたように、私は箇所数で申し上げたわけだから、ここで私とやっているだけじゃないわけでありまして、多くの方が聞かれているわけだから、わかるように。せっかく私が言った数字がぐちゃぐちゃになって、聞いている人、何にもわからないのですね。それで、箇所数で申し上げて、箇所数では答えられないのですか。  私、もう一回言いますよ。生活訓練施設援護寮三百カ所、これに対して何カ所か、あるいはショートステイ百カ所に対して何カ所かというお答えがいただけないでしょうか。いかがですか。――時間がかかるようですから、そうしましたら、私はわかりやすくということで、今、うちの理事の方から、じゃ目標に対する達成率だけでも聞いたらどうか、こういう話がありました。それで項目については、さっき私が言ったそれぞれの部分で、施設ごとお答えをいただければ幸せでございます。よろしくお願いいたします。
  6. 田中泰弘

    田中(泰)政府委員 お答え申し上げます。  まず、援護寮関係でございますが、十年度要求によりまして、全体の整備量の五六・三%でございます、それからショートステイでございますが、全体の五三・三%でございます。それから福祉ホームは四三・七%でございます。それからグループホームでございますが――グループホームにつきましては、これはちょっと後でパーセントを言わせていただきます。それから授産施設でございますが、四七・二%でございます。それから福祉工場は三二・二%でございます。  代表的なところ、以上でございます。
  7. 桝屋敬悟

    桝屋委員 せっかく教えていただいたのですから、さっき私が申し上げた社会適応訓練事業、それから地域生活支援事業、これは例の人口三十万で二カ所やりますよという、まさに障害者プランの光り物であったと思っておりますが、これとそれから精神科デイケア施設あたりがどういう状況か、概略御説明いただけますか。
  8. 篠崎英夫

    篠崎説明員 今箇所数の問い合わせでございますので、ちょっと私の手元の資料お話をいたしますが、生活訓練施設平成九年度予算で百十九カ所でございます。それから福祉ホームが百ニカ所、それからグループホームが五百四十カ所、それから授産施設通所入所がございまして、通所が百十三、入所が二十四、それから福祉工場が九カ所分でございます。五十九カ所が最終目標平成九年度は九カ所分。それから地域生活支援事業が九十四カ所でございます。デイケア社会保険の方となっております。ちょっと今数字を持っておりません。失礼しました。
  9. 桝屋敬悟

    桝屋委員 余り小さい数字をいっぱい並べても、委員皆さんも傍聴される方も理解がなかなか難しいと思います。  先ほど、まさに達成率が大事だと思うのでありますが、正直申し上げて、私はよくやっていただいているというふうには理解をいたしております。先ほど申し上げたように、七年からで、八年からの七年計画というふうに理解をしておりますので、八、九、十年目の予算の姿ということですから、七年計画の三カ年目ということになりますと、全体で、先ほど説明がありました援護寮で五六二二%、半ばを超えておるということですから、ある意味では順調にいっているのかな、ショートステイについても五三・三%という数字をいただきましたので、予定どおりだろう、予定以上かな、こう思います。  福祉ホームが四三・七%、それから授産施設が四七・一%、福祉工場が三二%という数字をいただきました。道半ぱでありますから、ぜひ順調に進めていただきたいと思うわけでありますが、特に障害者プラン数値目標を出したというところに意味があるわけでありますから、それぞれこういう舞台でその数字は当然ながら検証されるわけでありますので、どうぞこれからもお取り組みをぜひお願いしたいと思います。  私が見るに、福祉ホーム授産施設、それから福祉工場あたり、この三つがなかなか十四年のゴールを見たときに厳しいのではないかな、こう私は感じました。  もう一回言いますよ。福祉ホーム授産施設福祉工場、この三つについて改めてお伺いしたいのですが、特に十年度の財政構造改革影響心配でありまして、概算要求で見込まれた増の数字をもう一回教えてもらいたい。福祉ホーム授産施設福祉工場、この三つについて九年度は何カ所増した、十年度の概算では何カ所になっている、何カ所増と、この増の部分の比較を九年、十年、この三つ施設で教えていただきたいと思います。お願いいたします。
  10. 篠崎英夫

    篠崎説明員 福祉ホームにつきましては、九年度から十年度に向けて十カ所増でございます。それから授産施設については三十カ所増でございます。これは入所通所がございますので。それから福祉工場が四カ所増でございます。
  11. 桝屋敬悟

    桝屋委員 これは九年から十年の増が今の数字ですね。福祉ホームが十カ所、授産施設が三十カ所、福祉工場が四カ所でありまして、例えば授産施設あたりは、私の理解では目標は四百カ所と、いただいた調査室資料では四百になっております。  それで、先ほど説明がありましたけれども、恐らく施設数からいくとまだ半分にいっていない、百四、五十ではないか、こう思うわけでありまして、十四年まで目標を達成するためには、やはり毎年五十カ所ぐらいふやしていかないと目標にはおぼつかないということでありますが、今の御説明では授産施設三十カ所ということでありますから大丈夫かな、やはり財政構造改革影響を受けてこの三プランが、十年、十一年、十二年が財政構造改革でありますから、この三カ年は少しスピードダウンするのかな、こういう危惧をしておるわけでありますが、この点は大丈夫ですか。
  12. 田中泰弘

    田中(泰)政府委員 お答え申し上げます。  障害者プラン関係進捗でございますけれども、七年計画で進めておりますけれども、先ほども申し上げましたように、これまでの整備実績、それから市町村からの要望関係、このあたりを踏まえながら対応していっているということでございまして、昨年度よりも十年度が多少整備量の落ちているものもございます。これは市町村での立ち上がり状況のまだこれからというところがございますので、これは後半の方に重点を置いて整備するということで考えておるわけでございます。  いずれにいたしましても、厳しい財政状況の中でございますけれども、本年も厚生省予算よりも高い伸び障害者プラン関係ではとっておりますし、市町村要望のこれからの出方に十分対応できるように進めてまいりたいというふうに思っております。
  13. 桝屋敬悟

    桝屋委員 今の御説明では、財政構造改革影響ではない、むしろ現場の市町村が、あるいは県や市町村実施体制がなかなか整わないところもある、したがって後半部分でしっかり頑張る、こういう御説明でありました。ぜひお願いをしたいと思いますが、ゴールドプランでもそうでありましたけれども、こういう数値目標を出しますと、どうしても目標は、私はやはり各年度着実にやっていかなきゃいかぬと思うのでありますが、いろいろな状況の中で最後の方に、後半部分に大変な目標が上がって、放物線を描くようにゴールに向かって進んでいく、これではなかなか私は厳しいのではないかというふうに思います。特に、ゴールドプランなんかも一番最後部分財政構造改革にひっかかるわけでありますから、大変にそこも心配でありまして、各年度着実に進めていただきたいと思います。  こんな数字ばかり言って恐縮なんですが、それぐらい実は私ども野党から見ておりまして、今回の財政構造改革、この障害者プランだけではなくてゴールドプランあるいはエンゼルプラン、三プランが着実にこの財政構造改革の中でも進むのかどうか、大変に心配をいたしております。  大臣、これは通告はしていないのですが、財政構造改革とそれからプラン関係、これについては、やはり数値目標を出して、地方もみんな見ているわけでありますから、着実に進められるお気持ちなのか、あるいは場合によっては見直しがあるのか、その辺を大臣のお考えをお尋ねしたいと思います。
  14. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 財政構造改革法案、さらに三千億円増という上限枠が設けられておりますので厳しい予算編成なんですが、九年度予算から十年度予算にかけては大方伸び率が低くなるのですが、障害者プランに関しては他の予算よりも伸び率を確保して必要な施策ができるように今後とも十分配慮していきたいと思っております。
  15. 桝屋敬悟

    桝屋委員 何度も申し上げますけれども、フランというのは数値目標を出したというところに大変に意味があるわけでありますので、そのゴールを目指しながら各市町村取り組んでいるわけであります。どうぞ遅滞のないようにお願いを申し上げたいと思います。  もう一つ障害者プランの中で気になっておりますのが、小さい話で恐縮なんですけれども、援護寮授産施設については配置職員を一名増する、こういうのが障害者プランの中にたしかあったと思います。この資料の中にも書いてございますが、これについては既に手当てをされているのか、あるいは、この一名というのは今回案件になっているソーシャルワーカー意味しているのか、その辺の背景がわかりましたら御説明お願いしたいと思います。
  16. 篠崎英夫

    篠崎説明員 これにつきましては、障害者プランのスタートした平成八年度予算において、それぞれ配置職員を一名ずつ増員して、運営費として国庫補助を既に行っているところでございます。
  17. 桝屋敬悟

    桝屋委員 その一名というのはソーシャルワーカー意味していたということではないのでしょうか、お答えお願いします。
  18. 篠崎英夫

    篠崎説明員 精神障害者生活訓練施設援護寮におきましては指導員ということになっております。これは精神科ソーシャルワーカーを想定して言っておるわけでございます。それから、入所授産施設についても同じでございます。
  19. 桝屋敬悟

    桝屋委員 わかりました。既に手当てをされているということで安心をいたしました。  実は、今回、精神科ソーシャルワーカー精神保健福祉士法案審議でございますが、すぐれて医療機関ということになるのでしょうか、今私が申し上げたようなプラン関係福祉施設関係で申し上げますと、精神科ソーシャルワーカー配置を考えているのが、施設一覧を見ますと、援護寮、これについては精神科ソーシャルワーカーを置きましょう、それから授産施設、これも精神科ソーシャルワーカーを置きましょう。これは配置基準の中に書いてございますが、これはまさに今回のPSW、この法案方々というふうに理解をしてよろしゅうございますか、どうでしょうか。
  20. 篠崎英夫

    篠崎説明員 今お尋ね授産施設についても、精神科ソーシャルワーカーを想定したものでございます。
  21. 桝屋敬悟

    桝屋委員 ちょっと聞き取れなかったのですが、今回のこの資格とは関係ないのですか、あるのですか。もう一遍。
  22. 篠崎英夫

    篠崎説明員 ここに書いてございますが、まだ国家資格ができておりませんので、ただ、いわゆる精神科ソーシャルワーカーということを想定して入れております。まだ資格ができておりませんので国家資格ということではございませんが、今までの実務的に働いていらっしゃる方もおられますので、そういう意味精神科ソーシャルワーカーという言葉を使って配置をしているということでございます。
  23. 桝屋敬悟

    桝屋委員 これは、ここまで質問通告していなかったものですから恐縮なんですが、もちろん今回この制度というのはこの法律ができる前でありますから、精神科ソーシャルワーカーという言葉はイコール今回のこの法案の対象となっている方々かどうかというのはもちろん今から議論されるのだろうと思うのですが、当然ながら、私は、言葉意味からしてもこういう方々なのではないかというふうに理解をしておりますし、これから調整が始まるのだろう、こういうふうに思います。  それで、これはちょっとお願いなんですけれども、小さい話で恐縮なんですが、授産施設には精神科ソーシャルワーカーというのは置くようになっておりますけれども、福祉工場あたりには置かれていないわけでありまして、あるいはまた、地域生活支援事業あたりでも、私は、後ほど議論しますけれども、今回の精神科ソーシャルワーカー皆さん方の活動の場ということは十分想定できるわけでありますから、この法案の中でまた、法ができましたら、そうした議論もぜひ整理もしていただきたいということをお願いしておきたいと思います。  もう一点だけ、時間もないのですが、障害者プランの中で、小規模作業所について、この助成措置充実しましょうという項目が入りました。これも全国の小規模作業所の方は期待をしておるわけでありますけれども、実は予算の姿ではなかなか大変なようでありまして、この部分についてはどういう取り組みがなされているのか、プラン関係最後にもう一回お聞きしたいと思います。     〔委員長退席佐藤(剛)委員長代理着席
  24. 篠崎英夫

    篠崎説明員 小規模作業所につきましてでございますが、助成措置充実を図るために、助成単価平成八年度に百万円から百十万円に引き上げたところでございます。それから、助成箇所数につきましても、平成十年度におきましては、九年度の六百八十六カ所から六十二カ所増の七百四十八カ所について助成措置が講じられるよう予算要求をいたしているところでございまして、今後も、障害者プランを踏まえて、助成措置充実を図って運営安定化を推進していきたい、このように考えております。
  25. 桝屋敬悟

    桝屋委員 百万を百十万に上げたということでありますが、もともとこの百万という前の数字が余りにも小さかったものでありますから、実態からしても相当乖離しておりますし、ここは、今言われた、胸を張って言われたか遠慮して言われたかわかりませんが、プランの中に入ったわけでありますから、ぜひ引き続きお取り組みお願いしたい、御努力をお願いしたい。  箇所数もふやしているというふうに言われましたけれども、私が見る限り、予算上の姿も、箇所数の増の幅が今年度は少なくなっているんじゃないか。六十二カ所、こう言われましたけれども、たしか昨年度は百カ所以上ではなかったか、こう思っておりまして、需要がないのか、あるいは財政構造改革影響があるのか、大変に私は危惧をするところでありまして、お願いを申し上げておきたいと思います。  入り口部分でもう一回大臣お話を申し上げたいと思うのですが、先ほどからなぜ私が小さい数字をお聞きしているかということでありますが、そもそも障害者プラン哲学というのは、あの平成七年のときに、与党さん、もう随分検討されました。我々も野党でありまして、関心を持って見ておりました。その議論の中で、特に精神障害者対策については、そのプランをつくる哲学が、いわゆる社会的入院がどうしてもいらっしゃる、一年半以上のような方が二・七万人いらっしゃる、二万七千人いらっしゃる、当時の話であります。したがって、この二万七千人の方々に対して二、三万人程度の社会復帰ができるようにその受け皿を用意するんだ、これが障害者プランのいわゆる精神障害部分哲学ではなかったか、私はこのように理解をいたしております。  そういう意味では、この受け皿が確実にプランに沿って整備されていくということが極めて大事だろうと思いますし、PSWの、この精神科ソーシャルワーカーの、ほかの部分と違う、後ほどお話ししますけれども、社会福祉士やMSWと違う、まさに大事な役割としてその舞台が用意される、その舞台だろうと私は理解をいたしておりますので、そういう意味では、この今回の資格法、それ以前にその受け皿がきちっとできなければならない、こう思うわけでありまして、そういう意味では、障害者プラン精神障害者対策として進めていく上で、この資格制度も大事だけれども、その受け皿づくりが大事だということをもう何度も申し上げたい。このことを大臣、決意として、大臣の決意をお伺いを申し上げたい、このように思います。
  26. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 今お話しのように、環境整備というのは大変大事なんですが、精神障害者のうち三十三万人が精神病院に入院しておりますが、このうち約五〇%が五年以上の入院患者と、長期入院が問題になっておりまして、その社会復帰の促進が今後重要な課題だと思っております。  このため、社会復帰施設グループホーム整備の大幅な増進、障害者プランの着実な推進を図ることによって精神障害者社会復帰施策の充実を図っていきたいと思います。  また、あわせて精神保健福祉士の養成を図り、これらの福祉施設における社会復帰の促進を図っていく、これが今回の法制定の一つの大きな意義ではないかと思っております。     〔佐藤(剛)委員長代理退席、委員長着席〕
  27. 桝屋敬悟

    桝屋委員 着実に環境づくりも進めていくという大臣の御決意を伺ったわけでありますが、資格制度と同じように、私は、環境づくり、極めて大事だと重ねてお願いを申し上げておきたいと思います。  そこでお尋ねするんですが、今回この精神保健福祉士法案お話を伺っておりますと、今の大臣お話ではございませんが、これからこういう方々をふやしていかなきゃいかぬ、こういう話がありまして、今後一万人必要なんだ、こういう御説明も既にいただいております。これは、ある意味では障害者プランのその後の成果物といいますか、検討の結果でできた厚生省の戦略なのかな、私はこのようにも理解をするわけであります。  この一万人という目標、それはやはり厚生省の一つの、これからの国民福祉を考えた、国民医療を考えた場合の戦略なのか、それはもっと具体的に言うとどういう姿なのか、御説明をいただきたいと思います。
  28. 篠崎英夫

    篠崎説明員 一万人という数字でございますけれども、まず精神病院などの医療機関、それから精神障害者社会復帰施設、保健所、精神保健福祉センターなどの公的機関において、一通り配置されるとした場合の最低限度の目標というような考え方でございます。  これらの施設におきましても、精神保健福祉士を必置とするというようなことは考えておりませんけれども、福祉士の持つ高い資質に着目すれば、今後、これらの施設において既に今いわゆる精神科ソーシャルワーカーとして働いている方がその資格を取得する、あるいは、施設で新規採用を行う場合に積極的に精神保健福祉士を採用するようになる、このようなことを期待しておるわけでございます。
  29. 桝屋敬悟

    桝屋委員 この一万人というのは、精神科をお持ちの医療機関それから保健所あるいは福祉施設、そういう御説明が今ありました。その上で、今御説明がありましたのは、最低限必要な数字なんだ、たしかそう私はお聞きしたのです、最低限必要な数字だと。しかし、当面は必置にはしない、各施設当たりの必置の考えはない、それに向かって進んでいこう、こういうふうに理解をしてよろしいですか。  それと、六千人ぐらいが医療機関だ、こういう説明をいただいておりますが、五十床に一人というような資料も入っております。これはどういう姿なのか、どういうイメージを描いておられるのか、重ねて御説明をいただきたいと思います。
  30. 篠崎英夫

    篠崎説明員 前段の部分につきましては、私ども、先生が今御指摘になったような考えでございます。  後段の部分につきましての、約六千人ということにつきましては、現在、各単科の精神病院では、一名か二名精神科ソーシャルワーカーが設置されているのが、設置されているところでもそのぐらいの数が普通でございますが、これを、一病棟五十床といたしまして、将来的には各病棟に一人ぐらいの精神保健福祉士が設置されればなということで、今約三十三万人ほど入院患者がおりまして、そのうち、障害者プランによりまして二万人から三万人ぐらい社会復帰をするというと、引き算をいたしまして、その三十万人ちょっとを五十人で割ると六千人、こういうことでございます。
  31. 桝屋敬悟

    桝屋委員 この資格法が制定されますと、将来の考え方としては、各病棟に一人ぐらい精神科ソーシャルワーカーがいらっしゃって、社会復帰のために働いていく、こういう姿だろうと思います。  それは福祉施設あるいは保健所あたりでは、具体的に言うとどういうイメージになるのでしょうか。各施設に最低一人とか、そういうことなのでしょうか。
  32. 篠崎英夫

    篠崎説明員 社会復帰施設におきましては、先ほど先生も御指摘になったような、そういう法定施設をまずは想定するわけでございますが、大体、施設に一人ということを考えておりまして、千カ所ならば約千人ぐらいというふうに考えております。  それから、保健所や精神保健福祉センターにおきましては、現在、精神保健福祉法で精神保健福祉相談員というのがございますが、その方々皆さん資格を取られるということを想定いたしますと、約二千三百人ということになるわけでございます。
  33. 桝屋敬悟

    桝屋委員 ありがとうございます。  大体どういう整備か、障害者プランの関連で何点かお尋ねをいたしました。その辺では大分イメージがわかってきたわけでありますが、法案の内容に入りたいと思うのであります。  精神保健福祉士法案のまずは目的でありまして、私は、この法案ができたときに、そもそも資格法でありますから、余り法律の中にきちっと目的は書いていないものですから、これは前の社会福祉士法案をつくったときもそういう議論が国会であったようでありますが、資格法の一つの特徴かなとも思うのであります。  そこで、私なりの言葉理解をすると、お年寄りの社会的入院というのは介護保険で何とかしよう。しかし、残った次はやはり精神病院だ。精神病院の社会的入院を何とかしなきゃいかぬ。全体としてはやはり国民医療費は総量規制の時代に入っている。したがって、今回こういう資格者をつくって、しっかり働いてもらって、まさに社会復帰をしていただこう。これがありていに言えば目標なのかな、こう私は理解をしておるのですが、いかがでありましょうか。
  34. 小林秀資

    ○小林政府委員 お答えを申し上げます。  この法律の目的は、先生のおっしゃられるとおり、精神病院に入っていらっしゃる精神障害者のうち、病状も落ちつきまして、そしてもう医療よりも社会復帰をして、病院の外で生活ができるように、そして職場にも復帰できるようにしてあげることが最大の目的であります。
  35. 桝屋敬悟

    桝屋委員 まさに丁寧に御説明をいただきましたけれども、今言われたような、そういう姿勢でなければならぬと私は思っております。単に総量規制で、この社会的入院を何とかしなきゃいかぬということで、今までの精神保健対策、とにかく施設に入っている人はみんな出てもらおう、こういう安易なことでは許されないのだろうと思います。そういう意味では、先ほど申し上げたような大前提の受け皿づくりといいますか、そうしたものがきちっと進んだ中で私は丁寧になされなければならぬ。まさに何度も今まで精神保健法の改正のたびに議論されてきた点でありまして、その点をぜひ最初に確認をさせていただきたいと思います。  それで、そうはいいながら、私どうしても理解できないのが、この精神保健福祉士というものとそれから社会福祉士それから医療福祉士、先ほどから私も横文字で言っておりますけれども、PSWとかMSWとかSWとか、もう本当にいっぱい横文字が並んで、何が何かわからなくなってくるのでありますが、この法案を見ますと、PSW、精神保健福祉士というのは、精神障害者福祉の領域において保健福祉活動を行う専門職だ、こういう規定であります。  こういう言い方、言い回しからしますと、どこの領域でどういう仕事をやるかということでいいますと、社会福祉士あるいはMSW、医療福祉士さんとの違いというのはどういうことになるのか。時間がありませんから簡単に、禅問答をやりたくないものですから、御説明をいただきたいと思います。
  36. 小林秀資

    ○小林政府委員 簡単にと言われますと大変苦しいのでございますけれども、まず、精神保健福祉士の方からまいりますと、精神病院に入院中もしくは社会復帰の途上にある精神症状の安定していない精神障害者を業務の対象といたしまして、社会復帰に関する相談援助を行う職種でございまして、精神障害者の福祉に関する知識及び技術のみならず、精神疾患別に必要となる配慮、精神疾患を有する者に対する接し方等、精神障害者の保健に関する専門的な知識及び技術が求められる方を申しております。  次に、社会福祉士でございますが、社会福祉士は、社会福祉に関する専門的な知識及び技能をもって、身体上または精神上の障害等に対する理由により日常生活を営むのに支障がある者の福祉に関する相談援助を行う職種でございます。  また、医療ソーシャルワーカーについては明確な定義がございませんが、保健医療の現場におきまして、傷病者の経済的、心理的、社会的問題の解決、調整を援助する者として重要な役割を果たしておるものでございます。
  37. 桝屋敬悟

    桝屋委員 恐らく今のような答弁があるだろうと思って、聞きたくない質問であったわけでありますが、伺えば伺うほどなかなかわからない、国民から見るとますますわからない話でありまして、端的に言いますと、今回の精神保健福祉士というのは、さっき言いました、まさに精神障害者福祉の領域で保健福祉活動を行う、それから社会福祉士というのは、まさに福祉の分野で福祉の仕事をやる、それからMSW、医療福祉士さんというのは、残念ながらまだ資格がないわけでありまして、医療福祉士さんについては、まさに医療現場でさまざまな調整、援助の仕事をなさるんだろう、こういうふうに理解をしておるんですが、よくわかりません、私も。ただ、私は、MSW、今回の法案の中で、いろいろな団体の中でもさまざまな議論があるということはよく承知をいたしております。その上で、社会福祉士、医療福祉士、それから今回の精神保健福祉士というものが、確かに違いがあるし、それから、現場の活動の実態としても特殊な領域がそれぞれできているということは理解ができるわけでありますけれども、しかし、社会福祉士ができて以来、私は、この問題はずっと、団体も議論してまいりましたし、厚生省もお悩みになったと思います。そういう意味で、今回は環境が相整い、この精神保健福祉士法案がまずはできた。しかし、MSWはいいのかということが正直に言ってございます。  私も団体の皆さんと随分議論をいたしまして、やはり皆さんがおっしゃるように、我が国のソーシャルワーカーの包括的な資格制度というものを考えてもらいたい。PSWが先行することによってソーシャルワーカーとしての分断をされては困るんだ、こういう悩みの声も聞かせていただいております。私の立場としては、現状では、精神保健福祉士、この方々が特定の領域として活動実態があるということは十分理解をいたしておりますけれども、そこは大変に心配をいたしております。  特に、今回のPSWの法案の中では、従来のケースワーカーに加えて、医療現場の中で患者さんに対して適応訓練までという、こういう一歩踏み込んだ形のソーシャルワーカーになっておりますから、余計、Mの皆さんからすると、分断されるという思いもあるでしょうし、大変にお悩みになる部分があるだろう、このように思っております。  私、先ほどから質問したいのだけれども、すると答弁が長くなるだろうと思って質問ができなくて悩んでいるのでありますが、まずはお伺いしたいのは、我が国のソーシャルワーカーとして包括的な資格制度を考えるべきではないか。これは、行政改革の方でもう検討されたというのは十分承知しております。その辺はどういうふうに厚生省としてはお考えになっているのか、まずお伺いしたいと思います。
  38. 小林秀資

    ○小林政府委員 先生もおっしゃられたように、患者さんを助けるという意味では、広い意味でのソーシャルワークというのが福祉の現場でも医療の現場でも必要だということについては同じだろうと私も思っております。  ただ、大きく分かれますのは、福祉の現場と医療の現場で違いますのは、医療の現場は、患者さんは、福祉のサービス、リハビリテーション、社会復帰も大事なんですが、まず病気を治すということがある。そういたしますと、一人の病人の方に、お医者さんも指示を出す、ソーシャルワーカーの方も指示を出すで、これが意見が合わなかったときには患者さんが悩まれる、被害は患者さんにいってしまうわけであります。  そういうことで、日本の医療体制では、医療職種はみんな医師の指示のもとに、今回の場合は、医師の指導のもとにという形でPSW、精神保健福祉士の身分法を提出させていただいているわけでございまして、そういう意味では、本来でいいますと、医療と福祉を一緒にしようという概念はあるのですけれども、社会福祉士ができたときも医療の問題が議論になっているんです、国会で。しかし、そのときでも、国会議員の先生方は、まず福祉は福祉でスタートしましょう、医療の問題はそれから後で追いかけていきましょうということで先生方も御理解をされたものと思っております。  私は、社会福祉士法ができたときは精神保健課長をやっておりまして、実は横目で見ておりました。そのときに、PSWも早く制度化すべきであるという附帯決議を国会でしていただきました。それで、厚生省はそれ以来、医療関係ソーシャルワーカーをどうしようか、PSWとMSを別々につくるという考え方と一緒にするという考え方、実は両方ありました。それで、当時厚生省は、両方一緒にして法案をつくりましょうということで、実は、PSWの方は自分たちは独立してでもやりたいと言ったけれども、待ちなさい、MSWの方も一緒にやるべきであろうということでまずやったのですが、どうしてもこれは団体の調整がつかない。六十二年から数えて、ことしてもう十年たっています。十年間やってきたけれども、それができなかった。それで、PSWの方々が、もう私たちは自分たちだけ独立て何とか早く精神障害者社会復帰に努力をしたいのでお願いをしたいと彼らも申し上げ、団体の皆さん、そうおっしゃられたわけです。  そういうことで、今回は別になっているわけですけれども、これは、別々になって、真ん中、MSWの方々の分が抜けていますけれども、行く行くはやはり大きな意味で統合するということも考えられるかもしれません。まずは、最初に福祉だけがスタートしたように、今は精神障害者の方が緊急の課題ですから、そのためにこの法案お願いをしている、こういうことで御理解をいただきたいと思います。
  39. 桝屋敬悟

    桝屋委員 今の御説明は、私も理解できないことはありません。今までの経緯からいたしまして、PSWを、今回環境が相整った、そして緊急の必要性がある、したがって、資格法をつくるんだという、ここは理解ができるのであります。ただ、私、前回の、社会福祉士、十年前の議論をしたときには国会議員ではありませんから理解も何もしていないのでありますが、現場でその姿を見ておりまして、私は、時間がないのでそこの議論はいたしません、後に任せますが、問題点は二つそのときからあると思います。  一つは、やはり何だかんだ言いながら社会福祉士が医療の世界に入れなかったのは、まさにコメディカルの部分資格が皆三年の資格であった、その中に四大の卒業生が入ってくるということに対する問題が一つあった。それから、今回指導という形で整理されましたけれども、その部分をどのように整理するのかということは、ソーシャルワーカー全体の中での大きな議論がその後続いてきたというふうに思っております。それは今でも続いているわけであります。  しかし、今回環境が整ったということでPSWの法案がまずできるということは私も理解をするわけであります。しかし、これは大臣にも聞いていただきたいのですが、PSWの必要性と社会的有益性と、MSWの有益性、必要性は同じだ、このように私は思います。  私は長い間現場におりまして、やはり医療ソーシャルワーカーの必要性というのは国民医療あるいは国民福祉の向上のためには全く必要でありまして、しかしこれは、私の地元を見ても、県立病院や大きい病院ほど医療ソーシャルワーカーはなかなかいらっしゃらない。その部分は、まさに、いらっしゃるところに比べればサービスが受けられないわけでありますから、そういう意味では、PSWは確かに緊急の必要性があるということは理解はしますが、MSWだって同じだ、この部分をちゃんとしてくださいよということを、先ほどの問題点の二点も含めて、ぜひお願いを申し上げたいと思いますが、厚生省の今後の対応をお伺いしたいと思います。  時間もないので、今のところ、もうちょっと整理したいと思うのですが、MSW、この必要性ということを大臣にお聞きする前にまず今の話を局長さんにお伺いして、それから最後大臣にお伺いします。
  40. 小林秀資

    ○小林政府委員 医療ソーシャルワーカーの必要性については、私も先生と同じように大変重要である、このように思っております。そしてまた、今、皆さん方の中に二通りの大きな意見のグループがあることも承知をいたしております。  そういうことで、私どもとしては、この法案を上げていただいた後、直ちに次の問題としてMSWの問題の解決のために努力すべきだ、このように思っております。
  41. 桝屋敬悟

    桝屋委員 時間もございませんから、最後にもう一点、今の話を大臣にお伺いしたいと思うのですが、MSWの有益性、必要性ということを今私はお訴えをいたしました。そういう意味では、今後の問題も含めて、今御説明がありましたけれども、私は、今それと同じく心配がありますのは、PSWができるという、特化した資格ができるということは、やはり一つの危惧を持ちます。  それはやはり、今の我が国の国民医療、国民福祉が、保健と福祉と医療、一体化された中で、ケースワークというのはさまざまな分野であるわけでありますし、あるいはまた、ケースワークをやりたいといってその道に入っても、やはり仕事をする中で、私は精神科が向いている、あるいは、私は一般病院が向いている、あるいは福祉施設が向いているという方もいらっしゃるわけでありますから、私は、そういう意味では、包括的なソーシャルワーカーとしての役割を、保健、福祉、医療の世界の中で、連携のためにも今後ぜひ検討していくべきだ、このように思っておるわけでありますが、最後大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  42. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 それぞれ重要な役割を持っていると思いますが、今局長が答弁されたように、医療関係の従事者なのか、福祉関係の従事者なのか、その線を引ける部分と引けない部分が出てくるんだと思います。  それで、ケースワーカーというのを日本語でどう訳すのか、難しいのですが、まさにケース・バイ・ケースで、いろいろ、働く人だとかがその福祉の場面に臨んで、臨機応変、人間を診てその対応を適切に図っていくという場合に、医療関係者、福祉関係者の間でさまざまな意見があるようなんです。聞けば聞くほど難しい。両方とも、役割、重要である。こういう点をもうちょっと時間をかけて議論して、実際の資格制度と、現場のいろいろな対応をする水準の向上をどう図っていくかという点から考えていく必要があるのではないか。検討させていただきたいと思います。
  43. 桝屋敬悟

    桝屋委員 ありがとうございます。  それで、最後大臣、今のような御認識をいただいたことを大変に感謝申し上げますが、もう一点、全く話は変わるのですが、大臣も前国会のときに、医療保険制度の抜本改革をやりますよということで、医療の技術というものを再評価するんだということで、医療保険福祉審議会が既にスタートしているように私どもは理解しております。  その中で、技術の評価ということについては、私は、ほっておくと、ともするとドクターの技術の評価だけで終わってしまうのじゃないかというふうに思うわけであります。やはり、PSW、今回いい法案でありますし、きょうはSTの話ができなかったのは私大変残念なんですけれども、ドクター以外の周辺の方々、こうした方々の技術というものも、いい機会でありますから、ぜひあわせてその審議の中で検討していただきたい、このことを最後大臣お願いをして、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  44. 金子一義

    金子委員長 以上で桝屋敬悟君の質疑は終わりました。  次に、矢上雅義君。
  45. 矢上雅義

    ○矢上委員 新進党の矢上雅義でございます。  桝屋議員に引き続きまして、両法案について質疑をいたしますが、まず、言語聴覚士法案、そしてまた精神保健福祉士法案、この両案につきまして、非常に重要な法案でもございますし、また、関係者の方々が十年以上にわたって待ち望まれた法案でございます。私は、この法案、大変敬意を表するべき法案であるのではないかと思っております。それはまず、関係団体の皆様方の努力がようやく実ったということでございます。  ただ、私の今回の質問の立場としましては、重要な法案であるからこそ、法案に至るまでの制定過程、また、障害者等の置かれておる現状等をきっちりと踏まえながら、きちんと議事録に残す、また、この法案等に対して寄迂られた各種団体からの批判もきちんと御指摘いたしまして議事録に載せる、これが将来、この法案が成長していく上での糧になるのではないかと思いまして、そういう立場から質問をさせていただきます。  まず、言語聴覚士法案についての質問でございますが、言語聴覚士、いわゆるSTを必要とする人たちの現状、言語や聴覚に障害を持たれておられる方々現状はどのようになっておるのか、また、それらが抱えておる課題についてお聞きいたしたいと思います。
  46. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 言語聴覚士による治療といいますか、そういうことを必要とされる人の現状ということでございますが、そういう訓練等が必要な数ということで、主として医療機関におきます数としては大体百五万人というふうに推計をしております。これは、言語聴覚士、いわゆるSTの法制化に当たって、専門家に集まっていただいて検討を行いましたが、その検討の背景として委員の方に推計をしていただいたものでございます。  具体的に障害の状態別に申しますと、音声障害あるいは構音障害を持つ方がそれぞれ約八万人、それから吃音、いわゆるどもりでございますが、吃音が約二万人、それから失語症を持っておられる方、これが約十二万人、それから、主としてお子さんが多いわけでございますが、言語発達、言葉の発達がおくれている方が約十一万人、それから脳性麻癖の方が約二万人、それから、特にお年寄りに多くなっております聴覚障害、これが約六十二万人というふうに推計をいたしました。これは、現時点での、こういったような障害を持っておられる方の数それから年齢別の数、そういうようなものを参考にして推計をしたものでございます。  これらの障害を持っておられる方々は、実際には、現在、病院等の医療機関、それから身体障害者更生施設等のいわゆる福祉施設、それから聾学校、養護学校等の教育施設において治療あるいは訓練、検査を受けているわけでございますけれども、在宅で実際にどれぐらい訓練を受けているかということについては、率直に申し上げて、十分な把握はしておりません。  現在、こういったような方々に対する指導、訓練につきましては、十分必要な数の言語聴覚士、いわゆるSTが確保されていない、また、しっかりした資格がないというようなことから、この法制化ということについては関係団体からも要望が寄せられてきたところでございます。
  47. 矢上雅義

    ○矢上委員 私がまず障害を持たれる方々現状をお聞きした一つの背景といたしまして、今局長からも御答弁がありましたように、在宅で訓練されておる方々がなかなかつかめない、これは障害者全般について言えることでございます。  障害を抱えておられるお子さんをお持ちの家庭は、やはり世間体等もございまして、なかなか外に出さない。今いろいろな専門家の方々から訓練を受けておられる障害者方々は、ある意味では幸せな方かもしれません。統計にもあらわれずに、家庭の中でひっそりと暮らしておられる各種障害者方々がなかなか表に出にくい。そして、そういう方々を、地元のボランティアの方々小規模作業所みたいな形でとか個人的なボランティアの形で支援しておられるが、それに対する国、県、市町村等の支援体制がまだまだ弱いのではないか、そういう問題点もございますので、今後の検討課題にしていただければと思っております。  続きまして、このような状況にあります障害を持たれる方々に対しまして、現在、STの皆様が現場でどのような役割を担っておるのか、また、現場におきまして現在どのような職業的位置づけに置かれておるのか、そのことについてお聞きしたいと思います。
  48. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 まだ言語聴覚士という資格はないわけでございますが、いわゆるSTと言われている方たちが実際に働いている施設といたしましては、先ほど申しましたように、主として医療施設福祉施設それから教育機関でございます。  関係の団体の方などを通じまして私たちが把握している範囲では、主として医療施設で仕事をされている方が約二千人ぐらい、それから福祉施設が約六百人ぐらい、それから教育施設、これが約千四百人ぐらいおられるのではないかというふうに承知をしております。  具体的にこれらの方がやっておられる業務でございますけれども、言語機能の向上維持のための例えば発声訓練、あるいは聴覚の向上を維持するための補聴器をつけての訓練、それから聴力検査ですとかあるいは音声機能の検査、そういったようなことが主たる業務でございますが、このほかに、機能の回復のための指導、特に家族、本人だけではなくて家族への指導助言、そういうようなことが行われているというふうに承知をしております。  ただ、前の御質問にも関連いたしますけれども、先ほど来申し上げておりますように、このSTにつきましては、国家資格制度がないということから、その教育課程といいますか、修業課程というのでしょうか、そういうものは必ずしも一律ではないということ、それから資格がないということから、結果として、他の医療関係職種と比べて待遇の面で差があるというようなこと、それから、この法案で提案をしておりますが、いわゆる業務独占に当たるような、診療の補助に当たるような業務が行えないというようなことが問題として現にあるというふうに認識をしております。
  49. 矢上雅義

    ○矢上委員 局長の御答弁にありましたが、事実上、STの皆様方の業務というものがある程度確立しておる、ただ、その中で、組織の中での位置づけ等が弱い立場に置かれておるわけでございますけれども、少なくとも、業務としてきちんと専門性を持って位置づけておられて、障害者皆さん方、患者の皆さん方に対してもきちんと業務の面では御奉仕できておる、そううかがえるわけでございます。  そうなりますと、なぜあえてここでSTの国家資格化をしないといけないのか。国家資格化をしなければならない、逆に言うと、国家資格制度を創設しなければ何か不都合があるのか、また、仮に国家資格を創設するとしても、国家資格と呼ばれるだけの制度を創設するわけでございますから、その基準、要件等はきちんとクリアできる状況にあるのか、そのあたりについてお聞きしたいと思います。
  50. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 今回提案をさせていただいておりますこの言語聴覚士法におきましては、言語聴覚士の定義につきましては、厚生大臣の免許を受けて、言語聴覚士の名称を用いて、音声機能、言語機能あるいは聴覚に障害のある者についての機能の維持向上を図る、そのために必要な訓練、検査、助言、指導等を行う者というふうに定義をしているところでございます。  それで、この言語聴覚士の方々、いわゆるSTと言われる方々のやっておられる業務の中には、この法律の中でも明示をしておりますけれども、例えば、発声障害のある方、構音障害等のある方に対する嚥下訓練、物を飲み込む訓練ですとか、それから人工内耳を装着した後の調整の問題ですとか、いわゆる診療の補助業務に当たる、具体的には、医学的な知識あるいは訓練、教育がなければそれを受ける患者さんあるいは障害者の方に危険を及ぼす業務がある、逆に言えば、このSTの方々の行う業務の中にはかなり高い専門性のある業務があるということでございますので、そういう意味で、法律をもって診療の補助業務に関する規定を一部解除をして、この方たちに行うことができるというような形で法律上手当てをする必要があるというふうに考えた次第でございまして、そういう意味で高い専門性があるということと、具体的にはそういう業務に対する幅広い需要があるというようなことから、今回、言語聴覚士法案という形で提案をさせていただいた次第でございます。
  51. 矢上雅義

    ○矢上委員 それに補足をいたしまして質問でございますが、国家資格制度を創設するということは、診療報酬体系上もきちんと位置づけられて、組織においても、また診療報酬上もきちんと位置づけるということが必要になってくると思いますが、そのあたりにつきましての位置づけをどうお考えでしょうか。診療報酬体系上の位置づけについては。
  52. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 現在の診療報酬の点数表の中に、いわゆるこういったような言語障害といいますか、あるいは発言障害、発声障害、こういうような障害を持つ方に対して必要な訓練、指導を行った場合の点数というものが設定をされております。これは、具体的には、その訓練等を行います時間によって二種類の点数表が設定をされております。  ただ、これは、具体的に今議論をいただいておりますような言語聴覚士、いわゆるSTの方が行うということを前提にしておりませんので、先ほど申し上げましたように、結果としては他の医療職種に比べて身分が、資格が明確になっていないというようなことから、今後、仮にこの法案が通過をして、この身分法ができました段階では、具体的にこの言語聴覚士の方たちが行う行為について診療報酬上どのように評価していくか、これはまたその段階で中央社会保険医療協議会の中で議論をされるものというふうに理解をしております。
  53. 矢上雅義

    ○矢上委員 さらに診療報酬の点についてお聞きしますが、例えば、診療報酬の設定の仕方として幾つかあると思いますね。特殊な訓練や検査等をだれに対して何時間した場合には幾らであるという設定の仕方もあれば、さらには、STという資格を持つ方がその病院に一人は最低必要である、そうすると、その病院でとか、またその福祉施設で最低一人は置けるような、そういう人員の頭数に応じた診療報酬の体系のつけ方があると思いますが、今後の流れとしてはどのような方向性を考えておられるのでしょうか。
  54. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 現在の、先ほどちょっと申し上げました診療報酬点数表におきますいわゆるSTが行うような業務についての算定の要件でございますが、これは診療報酬の点数表の中では言語療法ということの中で先ほど申しました二つに分かれておりまして、複雑なもの、それから簡単なもの、複雑なものが百九十点、簡単なものが百三十点ということになっております。この場合には、時間それから従事者の数との関係でこのように点数が分かれております。  今後、結局、今のお尋ねでございますけれども、これを具体的に、ではこの言語聴覚士というものの資格がはっきりした場合どうするかということは、他の例えば理学療法士あるいは作業療法士等の例に倣って、そういうものを参考にしながら、中医協において具体的な問題として議論をされていくということだと理解をしております。
  55. 矢上雅義

    ○矢上委員 これは要望でございますが、必ず置けという規定はないにしても、将来的に、このSTの専門性を考えますと、きちんとやはり配置していった方がよかろう、そういう方向性で診療報酬体系の議論もなされることを要望いたします。  続きまして、このSTの確保をどうやってやっていくのか、養成課程の問題とかを含めまして、将来的にどれだけの人数を必要と考えておられるのか、またその人数を確保するためのプロセスというのですか、どういう形で確保していかれるのか、そういう養成に関する点についてお聞きいたします。
  56. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 ST、言語聴覚士は将来どれだけ必要かということがまずあるわけでございますが、これは、一番最初に申し上げました、そういう専門家の訓練なり指導を必要とする人の数というものを前提にいたしまして、将来のことを推計いたしております。  まず、主として医療機関で行われる年間の言語療法の延べ件数から推計をいたしますと、医療機関におきますSTの必要数というのは約九千人ぐらいかなというふうに推計をしておりますが、ただ、今後人口が高齢化をしてくる、またそういうことに伴う病気なり障害がふえるということを前提にいたしますと、二十年後には約一万二千人ぐらいの必要数になるかというふうに予想をしております。  一方、現在こういったようないわゆるSTを養成されている学校ということにつきましては、大学院を除きますと、四年制の大学も含めて約十七校ございまして、定員が約六百人ということでございます。この法案が通過し、正式に言語聴覚士という新たな身分が設定をされますれば、先ほど申し上げましたように、現に現場で働いておられる方も含めて、そういう方が試験を受けて正式な資格を取っていただくということでございますが、また、あわせて、そういう新たな資格がはっきりすれば、養成施設あるいは大学の学部等も今後ふえていくというふうに予想、期待をしておりまして、そういうことを通じて、必要数というもの、今直ちに必要な数の方をすべて確保するというのは事実上困難でございますが、将来にわたって必要な数の確保ということに努めてまいりたいと考えております。
  57. 矢上雅義

    ○矢上委員 続きまして、受験、養成課程についてでございますが、一番身分法で問題になってくるのが、毎回のことでございますが、現にこの業務をしておられる方々ですね。こういう方々は、何もこういう国家試験を受けるために業務についておられるわけではございませんので、いろいろな学歴の方、いろいろな経歴の方がおられますが、やはり生活にもかかわることでもありますし、また彼らの今まで培ってきた経験を即生かせるという大事な場面も出てまいりますので、今現在勤めておられる方に対する救済措置というものはどのように配慮しておられるのか、お答えいただければと思っております。
  58. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 提案をしておりますこの法案の附則の第二条並びに第三条に今お尋ねのございましたようなことに対する経過規定というものを書いてございます。  一つは、この法律が施行される際、先ほど申し上げましたように、現に病院とか診療所その他の施設において言語聴覚士の業務を行っている方につきましては、その業務経験が五年以上である、かつまた厚生大臣が指定を行います講習会の課程を修了したという場合には、平成十五年三月までは受験資格を与えることができるということにしております。  また、この法律の施行後、先ほど申し上げました、現にある養成所等について具体的に施設基準等を設けて指定をすることになるわけでございますが、それらの養成所において、この法律の施行の際、現に勉強しているいわゆる修業中の方、それから既にこういったところを卒業した方、そういう方たちについても受験資格を与えるという形で経過措置を設けております。
  59. 矢上雅義

    ○矢上委員 これまでこの十何年間、この法案を通すために頑張ってこられました、現場で従事しておられる方々の熱意と、また彼らが培ってきました経験を決してむだにすることのないように、この附則の運用に当たりましては、しゃくし定規ではなく情のある弾力的な運用をしていただければと要望いたしまして、この言語聴覚士法案に対する質疑は終わらせていただきます。  続きまして、精神保健福祉士法案質疑に入らせていただきます。  まず、この問題でございますが、実は、私も身内にいわゆる精神障害者と呼ばれる方が二人おりまして、それはちょうど十五年ほど前ですが、親戚のおじさんに当たる人がアルコール中毒で、夫婦げんかをすると包丁を振り回して非常に危険な目に遭うと。  そういうことで、これは一般の病院では無理だから精神病院に入れようということで親族会議を開きましたが、十五年前といいますと、なかなか世間体が悪くて、まあ世間体は悪いけれども、包丁を振り回すぐらいだから病院に入れようということで、病院の内諾はとったわけでございますが、問題はどうやって本人を同意させて連れていくか、それが大変でした。  もしかするとまた酔っぱらって包丁を振り回すと大変だということで、親族会議等を開いて、親戚の中でベテランが説得して、また何かあったときには若い者が押さえるということで若い者がついていったわけでございますが、私の地元は熊本で田舎ですからいいのですけれども、これが東京あたりで、親戚の方が周りにいない方は大変だと思います。十五年前、そういう一つの問題をクリアするだけでも、相談するところがなくて大変困った思いもございます。  また、親戚のもう一人といいましても、実はうちの義理の母でございまして、躁うつ病にかかりまして、やはり躁うつ病と家族はわかっているのですけれどもなかなか精神病院には行けない。それで脳神経外科に通っておったわけですけれども、なかなか状況が好転せずに、落ち込むときにはすぐ自殺すると言い出すし、調子がよくなると一月に百万ぐらいローンか何かで物を買ってしまうのです。老後の資金で一千万ためておったのが、大体、七、八カ月で全部空になってしまいまして、これは大変だぞと。  ですから、私たち子供はみんな商店街のおじさんとか通信販売会社とかに、うちの母親は少しぼけておるからこれ以上物を買わせないでくれ、来ても何とかこらえてくれとお願いして回りました。そうしたら、一カ月ぐらいすると、逆に、矢上さんのところの息子さんは非常に冷たいな、親をぼけ扱いすると。これは大変なんですよ、相談する相手がいないのですから。  それですから、これは大変だというお墨つきをいただこうと脳神経外科のお医者さんに相談したら、ちょっとそこまでは私どもは立ち入ることはできませんとお断りされまして、それで半年ぐらいかけてやっと躁うつ病でも面倒を見てくれる内科の病院を探しまして、今入院いたしております。  そういう状況がありまして、なかなか相談する人がいない、そういう障害者状況、家族の状況があるのではないかということで、今回この精神保健福祉士法案が出てまいりましたときには、私も身につまされる思いをいたした次第でございます。  そういう前提に立ちまして、今現在、精神障害者の方の置かれておる現状、課題、そしてPSWが今果たしておられる役割、そして組織における位置づけ等について御答弁いただければと思っております。
  60. 篠崎英夫

    篠崎説明員 我が国は、現在、精神病院に入院中の精神障害者約三十四万人、外来通院中の精神障害者約百二十四万人、合わせまして百五十七万人の精神障害者がいるというふうに推計いたしております。  それから、精神障害者の精神疾患の種類別構成につきましてでございますが、入院では、精神分裂病が最も多くて六三・六%ほどになります。次が、器質性精神病一一・三%でございます。それから、外来の方では、神経症が三三・八%、そして精神分裂病が一九・六%というような現状でございます。  また、精神病床数、ベッド数は約三十六万床ございます。精神障害者の入院期間でございますが、全国平均で約四百五十日ということで、先進国で最も長い平均日数でございます。これは平均でございますので、在院しておられる患者さんの在院期間を見てみますと、五年以上の方が約半分の五〇%に上っております。  精神障害者につきましては、今申し上げましたような長期入院とかあるいは社会的入院の問題がかねてから指摘をされておりまして、その改善を図って、精神障害者社会復帰を促進することが我が国の精神保健福祉行政の最大の課題であると思っております。  このため、障害者プランにおきまして、社会復帰・福祉施策の充実強化を行う一方で、精神障害者の視点に立ちまして、精神障害者社会復帰のための支援を行う人材の充実をあわせて行うことが不可欠である、このように考えております。
  61. 矢上雅義

    ○矢上委員 ただいまの御説明にもございましたが、在院期間四百五十日、ベッド数三十六万床、これが日本のこの分野における一つの特徴であるかとは思っております。手元にある資料で見ましても、これは一九九一年の資料ですが、ベッド数が、日本が人口一万人当たり二十九ベッド、アメリカが人口一万人当たり六ベンドと、何倍ですか、約四、五倍の差がございますね。また、入院している入院期間の割合も、五年以上十年未満が一六%、十年以上の入院者が三四%ですから、五年以上からずっと合わせますと、約半分の方がもう入りっ放し。これは、逆に言うと、一度入ったら死ぬまで出てこられないような日本のこの分野の特徴を物語っておるのではないかと思っております。  まず、この社会的入院の問題が一つ特徴として挙げられると思いますし、また、もう一つ、資料等を見ておりまして最近気になったのですけれども、入院の仕方にいろいろありますけれども、措置入院が激減しておる状況がございます。かつて、ピークのころは七万件ぐらい措置入院があったのが、多分今六、七千件、五千件ぐらいに下がっておるのではないかと思いますが、その辺の措置入院が激減した理由等については御存じでしょうか。
  62. 篠崎英夫

    篠崎説明員 確かに、おっしゃいますように、昭和四十五年は約七万六千人ほどでございましたのが、現在、平成八年度では五千三百人ということでございまして、大きく減っておるというのが状況でございます。  理由につきましては、私ども考えておりますのは、まず精神科医療の進歩というのがあるだろうというふうに思っております。それからもう一つは、六十二年に精神衛生法が改正になりましたが、それによる措置入院制度の厳格な運用、こういうものが減少の原因というふうに考えられるというふうに思っております。
  63. 矢上雅義

    ○矢上委員 あともう一つの特徴として、精神障害者の方の置かれている特徴として、先日も安田病院とかいろいろ含めてございますが、人権侵害の問題も結構あるのではないかと思います。家庭における人権侵害のみならず、院内とか福祉施設内における人権侵害等も、私からしますと大変大きな課題ではないかと思っておりますが、この辺についての御見解もしくは事例等ございましたら、よろしくお願いいたします。
  64. 篠崎英夫

    篠崎説明員 残念ながら、精神病院の中で御指摘のような不祥事件が現在も時々あるととは事実でございます。  私どもといたしましては、昭和五十九年に各都道府県に対しまして通知を出しまして、精神病院内における人権侵害事件の再発防止に取り組んでいるところでございますが、今回の大和川病院事件の反省を踏まえまして、指導監督通知の内容の見直しですとか、あるいは厚生省による問題病院への直接立入調査の実施、あるいは精神病院に対する指導監督体制の強化などを図りまして、各制度に基づく監視の連携強化を図って、再発防止に全力を挙げていきたいと考えております。
  65. 矢上雅義

    ○矢上委員 私は、先ほどお聞きしました質問の中で、PSWが現に果たしている役割及び職場での位置づけ等についても質問いたしましたが、患者さん、障害者の方にとりまして、一度病院の中に入ってしまうとなかなか救済を求める場所がない、院内での暴力事件等もございますし。そういう中で、精神障害者の人権に配慮した形でのPSWの皆さん方の役割、PSWが活躍する場面というものはどの程度重点を置かれるの交そもそも考えておられるのか、その辺についてお聞きしたいと思います。
  66. 小林秀資

    ○小林政府委員 お答えを申し上げます。  精神保健福祉士の方々がいらっしゃる病院では、社会復帰を図ると同時に、そういう患者さんの人権ということについても配慮をされる方々でございますので、そういう病院でこういうPSWがきちっと働かれるところについては、人権の問題というのはなかなか生じないものと私ども思っております。現に、多くのPSWを養成する大学でも人権擁護に関する教育が行われているところでございますし、厚生省でも、現在検討中の精神保健福祉士養成のカリキュラムについても、精神障害者の人権擁護の重要性について盛り込むことにいたしておるところでございます。  それから、今ちょっと先生の御質問の中で、全国の精神病院、精神障害者のために少し申し上げたいと申しますのは、実は、精神病院にたくさん長期入院していらっしゃる方、過去からの患者さんが、入ってしまって病気がある程度おさまっても、社会生活が実際にできない、だから出られないということで、何というか、だんだんたまってくると言うと語弊があるかもしれませんが、いっぱいになってしまう。ここ最近のデータでは、一年間に百人入院して、一人以下の数しかその病院に在院していないというようなデータも出ておるところでございますので、最近は学問も進んできたりお医者さんもよく勉強するようになった、PSWの方も一生懸命やられていることで、最近の方についてはそういう長期入院に結びつく例は非常に減っている、このように思っております。
  67. 矢上雅義

    ○矢上委員 続きまして、PSwを国家資格化する必要性、特に、これは先ほど桝屋議員からもお話がございましたが、MSWとの関係、PSWとの関係、福祉分野、医療分野、さらに医療分野の中からあえてPSWを国家資格化する必要性という問題につきまして簡単に答弁いただければと思っております。
  68. 小林秀資

    ○小林政府委員 お答え申し上げます。  国家資格を設ける一般的な基準というのは特にございませんが、資格制度の創設につきましては、昭和六十二年十二月の臨時行政改革推進審議会の答申、これは「公的規制の緩和等に関する答申」でございますが、そこにおきましてその方針についての指摘がなされておりまして、この中で、いわゆる名称独占資格、今回のようなものですが、この名称独占資格については、国民の利便や職業人の「基準を充足している旨を単に公証し、又は一定の称号を独占的に称することを許す資格については、国が設けるにふさわしい特別な社会的意義を有するものに限定する。」との基本的な考えが示されているところでございます。
  69. 矢上雅義

    ○矢上委員 このPSwとMSWの問題で、なぜPSWのみをとりあえず今のところは国家資格化する必要があるのか。いろいろ私も資料等をいただいて考えたわけです。正論からいうと、患者さんにとりましては必要なサービスを受けられることがすべてですから、それがSWであろうがPSWであろうがMSWであろうが関係ない。きちんとした経験とか知識とかを持ち合わせる人であればいいのではないか。そういう意味では、将来的にはというか、理論的にはSWということで一つの制度であれば済むのであろうという気持ちもいたしました。  ですから、私は、この精神保健福祉士法案が出たときは、最初は、よくここまでPSWということで頑張ってこられたなと思いながら、勉強していく間に、これはやはり縦割りではなくて将来的には統合化していく方が本来の道筋ではないかなという気持ちに立ち至っておるわけでございます。  しかし、よくよくまた考えますと、実は四、五日前にこの精神病関係のスタッフの方で詳しい方にお話を聞きましたところ、一般病院と精神病院は少し特質に差がある。それは何かといいますと、精神病院に来られる患者さん方は特徴が二つあって、一つの特徴は全くしゃべってくれずに口を開いてくれない患者さん、また、逆に聞きもしないのにずっと延々としゃべり続けて時間が足りなくなる。つまり、お医者さんからしますと、限られた時間の中で診療しようと思っても、相手がしゃべってくれない、逆に相手の方が一方的にだらだらしゃべられて時間だけ食いますと、お医者さんを長くやっていきますと、これはいけないことかもしれませんが、つき合っていられないというのですか、面倒くさいなという気持ちが人間としてあるのではないかと思っております。また、そういう気持ちがなくても、物理的に時間に制約がある。  そうなりますと、受診する前にきちんと患者さんの気持ちを和らげて意見をお聞きする、しゃべってもらう、その中にはいろいろな問題があると思います。例えばその精神病が引き起こされてきた背景、つまり家族の構成、ひいては遺伝的な問題についても聞かなければならないでしょうし、また家庭環境、周囲の状況等いろいろございます。客観的な事情や主観的な事情を情報収集して、それを分析してお医者さんに伝える。そういう医療行為の中で、もう本当に重要な部分をこのPSWが担っていくのではないかという気持ちがいたしております。これはあくまでも私の経験ではなくて、スタッフの方から聞いたお言葉でございますが。  ですから、PSWをなぜここで急がなければならなかったかというのは、先ほど皆様方から答弁されたように、一本化の努力を図ったけれどもなかなかできなかった、しかしPSWの任務の重要性をかんがみればここで急いでもやらなければならない、そういう理由づけでございましたが、私もこのスタッフの方からお聞きしまして、やはり同感であると思っております。  私の主張ばかり申し上げて申しわけございませんが、引き続きまして、四番目の、PSWの業務と他のSWとの業務の調整について。  いろいろあると思います、有資格者の問題としては看護婦さん、お医者さんとの関係、また、これから資格化されるであろうMSWさんとの関係とか含めまして、その辺の業務調整の問題等について簡単に御答弁いただければと思います。
  70. 小林秀資

    ○小林政府委員 医療の世界は、先ほどもちょっと御答弁させていただきましたように、結局、患者さんにとっては最終的責任者は医者に置いておりまして、したがって医師の指示のもとまたは指導のもとで業務をするという、日本の場合にはそういう体系になっております。したがいまして、いろいろな職種の方が一人の患者さんのためにみんなで協力して話し合ってやっていくという状況に今はなっておりますけれども、最終決定者は医者ということになっておりまして、もちろん問題があれば医者が当然責任をとるという形にもなっているわけでございます。そういう意味では、いろいろな職種の人がおっても、現場でもって実際患者さんのためにならないことが起きるということはちょっと想定しがたい、このように思っておるところでございます。  あと、国レベルで各身分法があって、各団体がありますが、その団体の方々にはこのPSW法案については御了解をいただいているもの、このように理解をいたしております。
  71. 矢上雅義

    ○矢上委員 時間の都合で、最後に一点だけ、この法案について質問いたしますが、STと同じように、現在業務についておられる方々に対する救済措置というものはどのようになっておるのか、御説明いただきたいと思います。
  72. 篠崎英夫

    篠崎説明員 現在実務に携わっておられる方につきましては、五年間に限りまして、その実務経験等を勘案して受験資格を与えるということで、これは省令に基づくものでございますが、現在その範囲等について検討しているところでございます。
  73. 矢上雅義

    ○矢上委員 これもSTと同様、PSWの皆さん方の熱意と経験を生かせるように、積極的に――どうぞ。
  74. 篠崎英夫

    篠崎説明員 省令ではございませんで、附則でそのことが決まっております。失礼いたしました。
  75. 矢上雅義

    ○矢上委員 それでは、そのようにきちんと積極的に対応していただくように、よろしくお願いいたします。  続きまして、最後の分野になりますが、実はこのSTの問題にしてもPSWの問題にしても、本来の目的は障害者の利益にかなうか、最終的には社会復帰が直接の目的でございます。あくまでもST、PSWというものは手段であって、目的は患者の社会復帰にあることを考えれば、今回の、例えば精神障害者の皆様方に対して一番望まれるものは何か、言語・聴覚障害の皆様方にとって一番望まれるものは何かということを国の障害者プランという施策の中から考えていきますと、二点ほどございました。  障害者プランの中で七つの視点というものがございますが、その中に、住まいの確保についてが一点、さらには障害者雇用について等もございますが、まず住まいの確保について、主に精神障害者でございます。  これは実際にあった事例でございます。一月ほど前ですが、私の事務所の女性秘書が住んでおるアパートの隣に精神障害の方が一人で住んでおられました。大分、半年ぐらい前から、夜中じゅう大きな声がするということで、相談は打ち明けられておったわけですけれども、一月ほど前に、夜中の十時から朝四時まで、ドアをどんどんたたかれてあけろと言われまして、それでドア越しにのぞきましたら、裸でずっと朝方四時まで立っておられて、相手の方は男性です。若い三十四、五歳の男性で、うちの女性秘書は二十五歳ですけれども、ずっと裸でたたかれて、大家さんに、もう恐ろしいから何とか引っ越しさせてくれと頼まれたそうです。それで明くる日、大家さんがその方にお願いしましたところ、明くる日の朝には、その大家さんの車の窓ガラスが全部破られておりまして、それで警察にお願いして相談したのですけれども、これはしょせん器物損壊だからその障害者の方が大家さんに弁償すれば済むことだからということで、警察も間に入りませんということで、こういう事例が、私が経験した中でもございます。  そういうちょっとした事例の中でも、障害者の方もどこに頼っていいかわからない、また、そういう事例が起きてくると大家さんにしてもなかなか障害者の方に家を貸そうとはしない。そうなりますと、幾らPSWさんが頑張っても住まいの確保さえできない。そういう中で、今政府はただPSWをつくればいいというだけではなくて、公営であいておる住宅をいかに活用するか、不動産の協会とかいろいろな専門の方に諮ってさらに推し進めていきませんと、ただ資格が一つふえた、行政改革の流れに反した、そういうだけに終わってしまうような気がします。これはPSWの責任ではございませんが、これから積極的に厚生省としても取り組んでいただきたいということで御質問をいたしておるわけでございます。御見解をお願いします。
  76. 田中泰弘

    田中(泰)政府委員 お答えいたします。  今先生御指摘のように、社会復帰についての受け皿、非常に重要でございます。精神障害のある方々社会復帰をし、社会の構成員として地域の中でともに生活を送れますように、その住まいを的確に提供する体制、これは非常に大事でございます。  私どもといたしまして、あるいは小グループで、そして世話人とかまたは管理人、嘱託医、そういう方々の管理のもとで生活ができますように、一つは五人程度のグループホームでございます、それからまた十人程度の福祉ホームでございますが、これを十四年度目標で八千人分を目標として計画期間内に整備するということで、今鋭意努力をしているところでございます。  以上でございます。
  77. 矢上雅義

    ○矢上委員 重ねまして、グループホーム等の福祉施設の拡充と、また提言でございますが、一度厚生省におかれましても不動産関係の全国団体との私的な懇談会でも開いていただきまして、そのグループホームからさらに一歩進んで、出ていかれる方々の受け皿として何ができるか、トラブル処理ができるか等を含めまして、近い将来御検討いただければと思っております。  最後に、障害者雇用の問題でございますが、これは労働省の方に、障害者雇用の現状と課題ということでお聞きいたしたいと思います。
  78. 村木厚子

    ○村木説明員 先生御指摘のように、障害者の雇用を進めることは大変大切な政策課題でございます。  現在我が国では、障害者につきましては法定雇用率というのを定めまして、障害者の雇用を進めております。現在、民間でございますと、この法定雇用率一・六%ということでございますが、実際の実雇用率一・四七%ということで、法定雇用率を下回っているような状況にあるわけでございます。  そういう意味で、その障害者の雇用率を高めるという政策を打っていかなければいけないわけでございまして、従来から、まず基本になります。その法定雇用率、これを守っていない企業に対する指導をきちんと行っていくこと、それから、障害者を雇用してくださる事業主の方々に各種の助成金等々を支給してこれを応援していくこと、それから、障害者自身に職業リハビリテーションの施策を実施して障害者の方の職業能力を高めていくこと、こういった施策を一生懸命やってきているわけでございますが、特に、ことしの四月に障害者雇用促進法を改正をいただきまして、法定雇用率も、民間ですと一・六%から一・八%ということで強化をしたところでございますので、改正法の周知を図りながら、また雇用率の達成指導をより厳正に行いながら、各種の支援措置を充実して、障害者方々が健常者の方々と一緒に生き生きと働けるような社会づくりに努めてまいりたいと思っております。
  79. 矢上雅義

    ○矢上委員 あと私の持ち時間が二、三分でございますので、最後に提言だけさせていただきたいと思います。  障害者雇用率、約二%前後で、低値安定でずっと変わらず続いてきておる。二%を達成すればいいという問題でなくて、本当はもっともっと徐々に徐々に上げていくのが本来ですけれども、国が言うから二%は最低限やっておこうということで、ずっと約二%前後でとまっております。  それで、いろいろ調べてみるのですけれども、小さな会社ほど、そこの社長の心意気で、よし、おれが雇ってやろうみたいな感じで雇ってくださいますから、中規模ぐらいの会社の方が意外と達成率がいい。しかし、大企業に限って達成率が低くなる。  その原因をいろいろ聞いてみたわけですけれども、例えば航空会社、全日空、日本航空、JAS等ございますが、例えばああいう会社が、仮に一万人従業員がいるとしますと、整備士さん、パイロット、荷物の出し入れをする人、スチュワーデス、あとお客様と対応する人というように、ブルーカラー的な方々が大企業におきましては大半であって、事務職であるホワイトカラーはわずかでございます。しかし、一万人掛ける一・六%ということになってきますので、そのしわ寄せば事務職の部分にぐんと濃縮されてくる。そうなると、狭い範囲の事務職の部分に濃縮されてきつい思いをするぐらいだったら、ペナルティーでも払っておけばいいか、そういうことになるのではないかと思っております。  それに対しまして、公務員の世界では、二・何%、二・五、六%雇用達成率がございますが、公務員の世界の場合には、たしか、いわゆる事務職である非現業の部分については一・九だったですかね。現業、サービス部門、いわゆるブルーカラー的な部門では二%とかいうように、ブルーカラーかホワイトカラーできちんと差をつけてあるのですよ。  それに対して、民間に対してはただ一律に一・六%というぐあいに、実態をよく把握せずに、ただ大きな企業だから雇ってくれるだろうと。例えば、大きな企業で重度の障害者の方を雇用しますと、その仕事中に補佐する方を一人つけなくてはいけませんし、また、その方々が一時間ぐらいかけて通勤してくる間に通勤を補助する方々もつけなくてはならない。そうなりますと、なかなか会社としてはそこまで面倒見れぬ。ですから、もっと五千人から一万人規模の会社のブルーカラー、ホワイトカラーの事務特性をきちんと把握した上で、さらに動機づけとなるような施策を持っていきませんと、これ以上一・六%がさらに改善するような余地はないと私は今回分析いたしました。  もう時間がやってまいりましたので、さらなる分析と検討を労働省の方にお願いいたしまして、私の質問とさせていただきます。  終わります。
  80. 金子一義

    金子委員長 これにて矢上雅義君の質疑は終わりました。  次に、金田誠一君。
  81. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 民主党の金田誠一でございます。  小泉大臣には初めて質問をさせていただくわけでございますが、よろしくお願いいたします。  私、かねてから、大臣の行政改革に対する姿勢といいますか、敬服をしておりました一人でございます。本会議での答弁も承りました。郵政三事業など、細部にわたって全部同じ意見ということではないわけでございますけれども、立ち向かう姿勢あるいはその勇気とでも申しますか、党派を超えて隠れたファンの一人、こう自称しておるわけでございまして、大臣にはぜひ頑張っていただきたいと思うわけでございます。  今、ちまたで期待される政治家像というものを私なりに判断しているものがございます。これは大臣、必ずしも本意でないかもしれませんが、一人は、行革を掲げた小泉大臣、もう一人は、薬害エイズを解決した私どもの菅代表、もう一人は、先般宮城の知事に当選された、官官接待を見事に明らかにしてきた浅野知事、この三人が一般的に国民が期待する政治家像というものではないかな、こう思うわけでございます。  そう聞きますと、恐らく大臣、おれは違うという気持ちももしかすればあるのかもしれませんが、ぜひひとつ、この庶民の期待する三人、いずれかの機会に、どこかで忌憚のない会話でもしていただければ何か生まれるのかなというような思いもするわけでございます。  実は、今回ST法、PSW法、この二つを見ますと、行政改革という観点からも問題なしとしない。役所の縦割りというものが頑として立ちはだかって、行革の対象になるべき姿がそのままあらわれていると思うわけでございます。これから順次内容について明らかにしていきたいと思うわけでございますけれども、まず大臣からは、郵政にかかわらず、すべて行革というものについては誠意を持って真っ正面から取り組むのだという決意のほどなどをお伺いできればありがたいと思います。     〔委員長退席、根本委員長代理着席
  82. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 最初に、過分な評価をいただきまして恐縮でございます。  行政改革というのは、郵政だけでなくて、あらゆる行政機構を見直ししなくてはいけないという視点が大事ではないかと思います。  もともと行政を担当しているのが官僚諸君ですから、行政機構を見直していこうとなると、必然的に、今行政の仕事を担当している役所の権限なり役所の仕事を、できるだけ民間なり地方なりに移譲していこう、任せていこうという視点が欠かせない。となりますと、厚生省の分野におきましても、できるだけ民間活力を導入していこう、むしろ福祉の問題につきましても、民間人で情熱のある、意欲のある方に、この福祉の分野に参加しよう、また事業として積極的に展開したいという方には参入していただくということによって、それぞれの分野の仕事が活発化し、水準が向上していくという利点が出てくると思います。  同時に、厚生省というのは、国民の健康、生命に関係する仕事が非常に多いわけであります。必要な規制は行っていかなければならない、安全性とか健康面の最小限度の規制は必要だと思うのであります。こういう点を勘案しながら、少しでも役所の権限なり仕事を見直して、簡素効率、むだを排除していくという姿勢は、我が厚生省においても貫いていかなければならないというふうに考えております。
  83. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 どうもありがとうございます。  その姿勢を伺って安心をしたわけでございますけれども、これから役所と少しやりとりをさせていただいて、大臣にはぜひそれを聞いていていただいて、どうなのかという御判断をその都度その都度していただければありがたいな、こう思うわけでございます。  文部省、おいででしょうか。ST法の方からまず聞かせていただきたいと思うわけでございます。  実は、このST法、厚生省と文部省の縦割り、それぞれの壁によって、せっかくつくる言語聴覚士の機能を半減させてしまっているのではないか、これこそまさに改革の対象となるべきではないか、こういう視点から聞かせていただきたいと思います。  例えば、文部省所管の言葉の学級というのがございます。ふだんは普通学級に通っている子供さん、さまざまた言語の障害、聴覚の障害等で訓練を要するということで、週に一、二回言葉の学級に通って指導を受けるということでありますが、この指導はまさにSTの業務そのものでございます。  しかし、仄聞をいたしますと、言葉の学級だけではございません。例えば特殊学級あるいは聾学校等々、文部省所管、さまざまな教育施設がございますけれども、そういう中でSTがどのように位置づけられ、どう活躍する場を与えられ、そして、そのことによって聴覚に障害を持つ子供さんが救われていくということはおよそ検討されていないというふうに理解をしているわけですが、その辺のところはどうなっているのか。それと、現状はどうなっているか。これからST法ができるわけですけれども、その中に、どう取り組んで位置づけていこうとされているのか、これをお聞かせいただきたいと思います。     〔根本委員長代理退席、委員長着席〕
  84. 辰野裕一

    ○辰野説明員 お答え申し上げます。  障害を持った子供に対する教育ということにつきましては、小中学校等に準じた教科を指導するということのほかに、障害の改善、克服をしなければいけないということから、養護・訓練という特別の領域がございまして、それに対して、例えば聴覚障害の場合でありますと、聴能訓練とか発言指導などを行うということが必要であります。ですから、これを担当する教員につきましては、こういう教育を担当するわけでございますので、養成段階あるいは採用後の各種の研修等を通じまして、これらの子供の教育に対する専門的な知識、技能というものを身につけ、指導に当たっているということでございます。  ただ、この場合、一障害の状態によりましては、こういう教育的な対応のみならず、例えば人工内耳の調整などというものは医療的な対応が必要となってきますので、こういう場合には、医師とかST等との連携を図って適切に対応する。それから、こういう学校の性質上、学習指導要領という教育の基本を定めたものがあるのですが、ここの中でも、こういう学校、こういう教育においては、医療機関等との密接な連携が必要だということがあるわけであります。  STが国家資格化された場合の活用についてでございますけれども、現在既に国家資格化されている、例えば視能訓練士、それから作業療法士、理学療法士などと同様に、広く教育と医療との連携を図る中で、子供の障害の状態や対応の必要性に応じて、それぞれの教育委員会や学校が適切に判断して活用していくことになるということが基本になると思っております。もとより、これが成立いたしましたならば、文部省といたしましても、その趣旨とか内容等につきまして、また、今まで申し上げましたような基本的な対応の考え方につきまして、各教育委員会や学校、それから校長会等の関係団体に対しまして伝えて、適切な活用が図られるように努めてまいりたい、そういうふうに考えております。
  85. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 学校がそれぞれ判断して扱うんだということのようでございますが、本来、耳の不自由な子供さん、言語の不自由な子供さん、特別に週に一、二回通う、もっと通う方もいらっしゃるのでしょうけれども、そういうところにこそSTという方々の能力が活用されるべきだ、そう思うのが普通の国民なのでございます。思わないのは、教育の場は文部省である、STというのは厚生省資格なんだ、厚生省でつくった資格を教育の場にどうするこうするなんということは、何といいますか、今は丁寧な言葉でございましたけれども、普通の言葉で言うと、もう関係ないよというようなことであってはならないわけでございます。  例えば、今までも保健婦などが、養護教諭としての道が一定の研修等で開かれてきているわけでございます。あるいは看護婦もそういう道が開かれているというふうに伺っております。現実に今、養護学校の教員になるには養護学校免許状というものが法律上は必要だ、そういう訓練を受けている者が当たっているよとおっしゃいましたけれども、実際は、その所持率は四四%という数字も私どもでは調査をさせていただいているわけでございますけれども、普通の教員であっても、当分の間、そうした職につくことができるという運用を文部省はされているわけですね。  それが実態の中で、今、本当に専門教育を受けて、まさにそのために資格化されるST法というのができるわけでございますから、その際に、現実に訓練を必要とされている子供さんの立場に立てば、積極的に取り入れる。それは、学校という場は教育という場ですから、STにプラス一定の研修等々、必要かもしれません。保健婦さんが養護教諭になるように、一定の何かが必要かもしれませんけれども、そういうSTが学校のそうした職場で業務を行い得るきちんとした条件を、文部省としても当然整えるべきだというふうに思いますけれども、いかがでしょう。
  86. 辰野裕一

    ○辰野説明員 私どもとしましては、STについて、これが資格化された場合にも、それは関係ないというような対応をとることは毛頭考えてはおりません。  先ほども申し上げましたように、現在でも国家資格化されたものというのはたくさんあるわけでありまして、作業療法士にしろ理学療法士にしろ、これらは肢体不自由の養護学校について、それから視能訓練士につきましては盲学校等において、大いに必要なときに各学校が連携をつくってやるということになっているわけであります。ですから、そういう意味におきまして、これらの職種と同じように、各学校が主体的な判断をして使っていっていただけるようにしていきたいというふうに思っております。  あと、お話の中にありました免許の関係でございますけれども、確かに、御指摘のとおり、免許の所持率というものが大変低いということはまことに残念だと思っておりますし、お恥ずかしい限りでございます。ただ、これにつきましては、私どもとしても、先般、まさにこの点につきまして、協力者会議の御審議を経て、免許の保持率についてはぜひこれを高めていくように、それから、養成段階で取れなかった場合であっても、例えば採用後に認定講習を受けるという手もありますし、それから、学校内外における研修の一層の充実をして、とにかく専門性を高めるという観点に立った総合的な取り組みをしてほしいという通知を先般出したところでございますので、その点につきましては、先生のおっしゃるような御趣旨も踏まえて、我々としても十分に対応していきたいというふうに思っております。
  87. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 厚生省お尋ねをしますけれども、このST法をここまでまとめるに当たって、学校という、言語、聴覚の訓練にとっては非常に幼児期が大事なわけですけれども、その幼児期は義務教育の状況、文部省の管轄下にあるわけですが、そこに通う生徒さん方の言語、聴覚の訓練をするということは極めて重要なことは論をまたないわけでございますが、この法律をまとめるに当たって、さあどうするかということが文部省との間できちんと議論されて、一定の方向づけなり位置づけなりというのがされているものなのでしょうか。
  88. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 今御審議お願いしております言語聴覚士法案につきましては、長い経緯がございますけれども、その過程の中で関係者のなかなか合意が得られなかったということの背景の一つに、現に、こういったSTのような業務を行っている方たちの働いている場として、主として医療施設で働いている方たちと、それから一方、主として教育施設、教育機関というのでしょうか、そういうところで働いている方たちの考え方とか、そういうものの違いというものがなかなか調整ができなかったという背景がございます。  それで、今回、幸いなことにこういう形で関係者の合意が得られましたその背景の一つとして、そういったような教育機関で働いておられるいわゆるSTの方、それから福祉施設あるいは医療施設で働いておられるいわゆるSTの方、そういう関係者の方とも何回も話し合いをし、そういう中で一つの方向が見出されたということでございまして、そのために専門家による検討の場を設けましたけれども、検討の場にそういったような関係の方に何回か来ていただいていろいろ議論をした、また一方、厚生省でも文部省ともいろいろ話し合いをして、こういう形になったということでございます。  現にそういうような方が働いている、私どもが知っている限りでは四千人ぐらいの方がおられますが、そのうち千四百人が教育施設、それから六百人が福祉施設、約二千人が医療機関、医療施設というようなことでございまして、そういう意味で、現在提案しておりますこの言語聴覚士法案をまとめるに当たりましては、私どもとしては関係方々の御理解をいただいたものというふうに理解をしております。
  89. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 何か厚生省と文部省との協議がどのようにされてきたのかということよりも、関係団体、学校に勤務する、あるいは福祉施設に勤務する関係団体との協議ということでの御答弁だったようでございますが、それはそれでよろしいかと思います。  しかし、それぞれの関係者がそれぞれ意見を異にしてきたというのは、例えばPSW、MSWもそうなのですね。これはまた、社会福祉士というのは社会・援護局、MSWは保健医療局とか、そういう役所の縦割りごとの壁があって、私から言わせますと、どうも役所の壁に関係団体が振り回されているというか、そっちの方がまず問題だったのではないのかな。それを役所から言わせると、いや、関係団体の意見調整ができなくて云々という言葉になってくるのですけれども、どうも見ていると、縦割りごとに資格なり管轄なりということが非常に意識として働いている。その結果、PS、MSの関係でもそういうものが生じて、社会福祉士のときにも病院には立ち入りさせないみたいな状況が生じて、そういう縦割りが関係団体にも投影をしてさまざまな混乱を生んできている。事の起こりは、僕は役所にあるのではないかなという気がしてなりません。PS、MSもそういう気がしてなりません。  同じように、今STについて、文部、厚生のきちんとした打ち合わせ、学齢時の子供さんが学校での特殊教育なり言葉の教室、そういうところに通うときに、保健福祉を担当する部局と教育の部局がどうやって連携をとって、第一義的に障害のある子供さんの利益にかなうようにという、子供から発想するという観点が希薄ではないか。厚生省の立場、文部省の立場ということが今の行政の不信を生んでいるし、非効率を生んでいるというふうに思うわけなのでございます。  文部省に再度お聞きしたいのは一点、STが学校で業務を行う場合、保健婦が養護教諭になる等の類似したような制度をこれからつくるお考えがあるかどうか、これだけを聞かせてください。.
  90. 辰野裕一

    ○辰野説明員 ですから、先ほど来何度もお答えしておりますように、学校の判断で医療的な対応が必要なときにSTの協力をお願いするということであります。そういうことで対応していきたいというふうに思っております。  それから、先ほど先生おっしゃいましたけれども、役所間の連携、壁がちょっとあり過ぎるのではないかという話につきましては、確かに、そういう時代ではもうないということは我々も思っておりまして、まことにおっしゃるとおりであります。子供の立場から考えていかなければならないということで、例えば、これまでのように、学校に入る前は医療だ、入ってからは教育だ、出てからは福祉だ、そういうようなことではとても立ち回らない時代になっていくと思っております。  ですから、特に聴覚障害の子供につきましては、先生おっしゃるように早期からの対応をしなければどうにもならない、これは本当にそのとおりでございまして、そういう意味で、特に聴覚障害の子供については、現在幼稚部は非常に充実していまして、それから、学校、幼稚園に入る前の子供につきましても教育相談という形で対応している。さらに、これを教育だけじゃなくて、福祉、医療との関連においてどう充実させるかということについて、特に来年度の予算におきましても、そういう観点から、厚生省と協力していろいろと検討していこうという予算も組んでいるところでございます。  おっしゃるような趣旨はまことにそのとおりだと思いますので、私どもも努力してまいりたいというふうに考えております。
  91. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 おっしゃることとやっていることとが大分違うのではないかなというふうに思います。  大臣、こういう状態なんですけれども、僕はやはり壁があると思うのですよ。厚生省としては文部省の学校教育というところには介入しない、文部省としては、厚生省でつくった資格は、それは各学校ごとに使うのなら使えということで本当にいいのか。そういうところを一つ一つ、これは本当はそうならない仕組み、役所の仕組みとしてそうならないようなものをつくることも一つは検討していただきたいと思うのですが、まずこの問題について、厚生省と文部省がもっと緊密に連携し合うようなそんなテーブルぐらいは、大臣、つくっていただけませんでしょうか。
  92. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 直接のお答えになるかわかりませんが、確かに、社会の制度が進んでいくと、縄張り争いみたいな、あるいは自分の業務を正当に評価してくれという要求といいますか、なかなか難しい問題が各所に出てきていると思うのであります。  お医者さんが足りないとき、あるいは余り医術も進歩していないころは、お医者さんがいろいろな患者さんを診ていましたね。最近、医学が進歩し、病院もいろいろ普及してきますと、専門化が進んできて、あの科に行け、この科に行け。確かに、部分的に見ると、専門化が進んでいい面もあるのですが、果たして人間全体を診ているのだろうかという反省が出てきている。こういう面が各役所の仕事、各関係団体にもあるのじゃないか。  それで、厚生省と文部省も、今出ているのは保育園と幼稚園の問題ですね。これは親御さんの立場、お子さんの立場から見れば、両方ともお子さんを預かってくれる。しかしながら、幼稚園の先生、保育園の先生から見ると、全く仕事は違うんだ、一緒にできないんだという主張が出てくる。この点の調整をどうするかというのは、最近、文部省と厚生省が協議をして、幼保一元化とは言わなくても、もっと融通をきかせてお子さん本位の、人間本位の対応ができないか。似たような面と、保育と教育は違うと言われれば違う分野もたくさんあります。その点の調整はいろいろな面が出てきている。  単に役所だけではなくて、その衝に担当している人が、自分の仕事はこうなんだ、この領域は侵されたくないという面が随分出てきておりますから、その点は、今後複雑な社会になっていけばいくほど硬直化していきますから、行政改革なり制度の見直しというのは随時必要ではないかなというふうに感じております。
  93. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 何か今の問題に対する具体的な御答弁としては大変物足りないわけでございますけれども、ぜひひとつ大臣も御検討いただきたいと思いますし、厚生省、文部省、それぞれひとつ子供の立場に立って、どうしたら一番いいサービス、一番いい訓練を提供できるのかということでぜひ検討して、早急にその道筋をつけていただきたいな、要望しておきたいと思います。  次に、ST法の第四条、絶対的欠格条項についてお尋ねをいたします。  「目が見えない者、耳が聞こえない者又は口がきけない者には、免許を与えない。」この絶対的欠格条項があるわけでございます。あるいは、相対的欠格条項ということで、第五条には、精神病者、伝染病者等々が載っているわけでございます。一方のPSW法は、精神病者あるいは精神障害者方々の人権を守り福祉を向上するという立場でつくっているわけでございますが、一方のST法の欠格条項の中には、精神障害者というのは明確に差別されているわけでございます。非常に矛盾した法律が一緒に出ているなというふうに私は思います。  まずこの絶対的欠格条項について、「完全参加と平等」という趣旨に反するのではないか。常識的に、一見、目が見えない方にSTができるだろうかなという判断もされるのかもしれません。しかし、どんなハンディをしょっていようとも、完全参加と平等でございます。いろいろなサポートの仕方で、不可能が可能になるかもしれない。いろいろな機器も出てくるわけでございますし、アシスタントがつけば可能になるかもしれない。いろいろなことが考えられる。そして、試験を受けて入らなければ資格は取れないわけですから、あらかじめ試験も受けさせない、試験を受けて入っている人でも、そういう病気など障害にかかれば免許を取り上げますよという、そういう決め方をする必要は何もないではないかということなんでございます。  そういう意味からすると、この絶対的欠格条項なりあるいは精神病者、伝染病者等々は修正を要する、私はこう思うわけでございますが、いかがでしょうか。
  94. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 この第四条の「絶対的欠格事由」ということにつきましては、言語聴覚士の行う業務といたしまして、一定の医学的な知識あるいは技能を有する者が行うのでなければ、対象者の方に危害を及ぼすおそれがある、いわゆる診療の補助業務ということを含んでいるということから、対象者の状況を的確に把握する、あるいはそういう方たちと必要な意思伝達を行うということが必要であるということから、現実問題として業務の遂行が困難であると考えられるということから、こういったような条文を設けたところでございまして、同様の条文は、他の医療関係職種、例えば看護婦ですとかあるいは救急救命士等の職種にも同じような規定が置かれているところでございます。  そういうようなことで、特に言語聴覚士については、嚥下訓練ですとか人工内耳の調整等の診療の補助を行うことから、同様の整理をしたものでございまして、そういう本法の性格上、こういう規定をするということはやむを得ないものというふうに考えております。  また、相対的な欠格事由としております精神病者につきましては、それぞれの状況に応じて判断をされるということでございますので、その運用に当たっては、十分そういうことを考慮しながら判断をしていくということが必要であるというふうに考えております。
  95. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 資格法は、医師法、保助看法、いろいろあるわけでございますけれども、おおむね昭和二十二年、二十三年なんという非常に古い法律が多いわけでございます。その法律には、この絶対的欠格条項、相対的欠格条項というのは確かに入ってございます。しかし、新しい法律である例えば社会福祉士法には入ってございません。今回の精神保健福祉士法の方にも入っておらないわけでございます。  業務独占か名称独占かという差もあるのかもしれませんけれども、それは実際、これをクリアして試験を受かってくる方はごくまれだろうと思われるのは、どちらにしたって、業務独占にしたって名称独占にしたって同じですよ。  同じ資格法の中でも、新しい法律の方には結構配慮もされているのかなという気がいたしてございます。昭和二十二年の法律に入っているから今つくる法律にも入れなければならないという、これまたかたくななお役所的な、改革を要する発想はぜひひとつ再検討していただきたいなと思うわけでございます。  こういう質問の仕方は余り好きではないのですが、聞かせていただきますと、医師法には伝染病にかかっている者というのがございません。看護婦にはあるのですが、医師法だけには、いろいろ調べたのですが、ないのです。これはなぜですか。
  96. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 前段の答弁で、他の法律の例を引いて申し上げましたけれども、これは他の法律にあるからこの言語聴覚士法に書いたというよりは、むしろ言語聴覚士法の持っている業務の性格から同様の規定をしたということでございます。  なお、医師法と他の法との違い――伝染性疾患でございますか……(金田(誠)委員「伝染病です。伝染性の疾病にかかっている者というのが医師法には書いてないのです」と呼ぶ)その経緯につきまして、今ちょっと、直ちにお答えできませんので、調べまして、できるだけ早く御報告をさせていただきます。
  97. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 昭和二十二年当時の意識のレベルであれば、頭からもう「絶対的欠格事由」というのを書いても恐らく、余り不思議だと思う方は少なかったのかもしれません。しかし、国際障害者年を契機に、「完全参加と平等」ということで、ハンディキャップをしょっていても、どうすればそのハンディを克服できるかという立場で物を見ようというふうになってきているわけですね。そのために厚生省予算も随分使ってきているわけです。  そして、今回もこの資格法に当たって、確かにこういうハンディをしょっていれば資格を取るのは非常に難しいだろうと思います。しかし、例えば目の見えるときに資格を取られて、途中から事故等で失明をされた、そういう方であれば、補助者がつけば、その仕事というのはできないという保証はないのですよ。かなりできる可能性が強いのではないか。しかし、絶対的欠格条項というのは、その道さえも閉ざすということなのです。これを時代の流れとともに再検討していただけないか。たまたま今答弁の残り部分もございますから、もう一度審議の機会もございます。ぜひ次の審議の機会に向けて、再検討してみるという御答弁を小泉大臣からいただければありがたいなと思うわけです。  .
  98. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 絶対的欠格事由、相対的欠格事由というのもなかなか難しい法律用語だと思うのです。お話の言わんとしているところはわかります。もともと、設けなくたって、そういう人は試験に受かりっこないではないかというお話だと思うのですけれども、一定の人間を対象にする場合に、その業務に支障があるかないか、資格を持っている人に対しては、その資格を持っている人に接する場合には指導を仰ぐという気持ちがありますから、その指導者にふさわしいか、またちゃんと意思伝達ができるかということから、この欠格事由というのは置かれているのだと思います。その点についてある程度の、私はどこの範囲までが正しいかどうかというのはわかりませんが、資格試験を設ける限り、一定の欠格事由というのはあってもいいのじゃないか。その点について、今どれが必要でないか、必要であるかというのは、詳しいことはわかりませんので、政府委員からちょっと答弁させていただきたいと思います。
  99. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 もう時間がなくなってしまいましたから、いいです。  これまた即答できないと思うのですが、ぜひ調べていただきたいのは、医師法にも欠格事由というのはあるのですよ、目の見えない方云々というのが。例えばこれは、事故に遭われた、声帯を取るとかで口がきけなくなられた、いろいろありますよ。しかし、実際問題として、本当に医師免許を剥奪していますか、看護婦免許をとっていますか、その辺も調べていただきたい。形式的に、昔からこう書かれているから、ただ書いているだけではないのですか。それであれば、やはり障害を持った方に対して大変失礼なことになるのだと思うのですよ。ひとつ次回までに、絶対的欠格事由、相対的欠格事由、どことどこは外せるのか、全部外せるのかというのも含めて、現実にどういう運用をされているのかも含めて、ぜひ調べていただきたいということを要望しておきたいと思います。  PSWの方に入る時間がちょっとなくなってしまって……。それでは、大臣、PSW、一点だけ聞かせていただきたいと思います。  先ほど来、ソーシャルワーカーというものに共通する資格にすべきではないかという指摘がずっと出ておりました。そして、先般、九月十一日の規制緩和小委員会の中でも、MSWから社会福祉士に受験をしていく受験資格を規制緩和すべきだというテーマで公開討論が持たれて、参加をされた各業界すべて、それについては異議がないと。規制緩和小委員会始まって以来、企業界が異議なし、賛成というふうになったのはこれだけだそうでございます。この「規制緩和に関する論点公開」、もう第六次にわたって出ているわけでございますけれども……(発言する者あり)もう第七次まで出ているそうでございますが、その中でも、MSWから社会福祉士へ、あるいはPSWも含めた統一的なものをということで再三指摘がされている。十二月早々には、先般の公開討論の結果も踏まえて、具体的な、踏み込んだ報告なり勧告なりが規制緩和小委員会からなされるという状況だそうでございます。  過去をただせばいろいろある。各団体のそれぞれの見解の違いがあったとおっしゃるかもしれない。しかし、私に言わせると、確かにそれはあったかもしれないが、そうなった要因には、それぞれのお役所の所管の縦割りというものも非常に大きな影響を与えていたというふうに思うわけなんです。今まさに規制緩和、行政改革、縦割り行政を排除しよう、厚生省と文部省の間ももっと風通しのいいものにと言われているときに、なぜその辺のところがもう一歩踏み込んだ御答弁にならないのか、先ほど来聞いていて本当に残念なんですけれども、そうした状況。  もう時間がないもので、このPSW、MSWそして社会福祉士に共通するような、そういうベーシックなといいますかゼネリックなというのですか、そういう資格制度については、重要な検討課題だ、やらなければならないことなんだというあたりのこれまたすきっとした答弁を、大臣、いただけませんでしょうか。
  100. 炭谷茂

    ○炭谷政府委員 金田先生引かれました規制緩和小委員会関係で、ちょっと簡単に説明させていただきます。  先生御発言されましたように、十二月上旬にも何か報告が出されるというふうに聞いております。私どもといたしましては、受験資格の実務経験施設に医療施設を追加するということにつきましては、この意見の出された段階におきまして、それを踏まえながら、速やかに検討してまいりたいというふうに考えております。この点だけ。
  101. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 資格問題というのは、余り細分化していくと、本来意欲のある人、実際は資格がなくてもできる人が排除されるという面が出てくると思うのです。そういう面において、私は、今言っているように、できたら一本化したい。  この医療関係部分とあるいは福祉関係部分、専門的に勉強されればされるほど違いを強調したがる面がある。ところが、実際診てもらう人にとっては、人間ですから、これに対応する場合は、両方関係している人が、一人で全部診れる能力があれば本当は一番いいと思うのですね。その辺がすごく難しい問題がいろいろな分野に出てきていると思うものですから、考え方については私は十分、むしろ賛成というか、理解できる面がたくさんあるのです。ただ、関係者で、この問題はいろいろあるものですから、その点、今後検討していく必要があるのではないかなと思っております。
  102. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 時間が来ましたので、終わります。どうもありがとうございました。
  103. 金子一義

    金子委員長 以上で金田誠一君の質疑は終わりました。  次に、瀬古由起子君。
  104. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。  最初に、長崎の被爆者の松谷英子さんが国を相手取り原爆症の認定を求めました、いわゆる長崎原爆松谷訴訟の福岡高裁の判決、これは一審に続きまして松谷さんが勝訴したわけですが、この判決に対して、昨日、国が最高裁に上告いたしました。私は、心から怒りを持って抗議をするものです。松谷さんが原爆症の認定申請を行って、二十年九カ月になります。松谷さんや被爆者の苦しみをさらに続けさせるこの非情な上告は、到底許すことはできません。抗議の意を表明して直ちに上告を取り下げるように要求して、質問に入りたいと思います。  では最初に、精神保健福祉士法案について質問いたします。  かつて、精神病院が隔離収容を基調としていた時代、今も一部にそれが続いておりますが、私は、二十数年前、患者さんと家族の相談相手として社会復帰の橋渡し役、相談役になりたいと思い、精神科のソーシャルワーカーの道に飛び込みました。もちろん、資格制度もございません、そういう時代ですから、病院の都合によっては、あるときには医療分野の手伝い的な仕事をさせられる、またあるときには患者さんから全く切り離された、一般的な、事務的な仕事に回されたこともございました。その当時、家族会だとか精神ソーシャルワーカーの組織づくりに本当に苦労したなということを思い出しながら、今回、この法案が提案されたことに深い感慨を持つものでございます。  そこで、伺います。  まず、この法案提出に当たりまして、各関係者の意見調整のために尽くされた期間、またその努力、または産みの苦しみといいますか、そういうものを考えたときに、先ほど指摘がありましたように、厚生省の縦割り行政、こういう問題、この弊害というのがあるのではないかというふうに私は思うのですね。例えば、社会福祉士は社会・援護局、精神科ソーシャルワーカーが障害保健福祉部、医療ソーシャルワーカーが健康政策局、こう担当が分かれておりますね。この間、こうした縦割りという問題で、厚生省自身は調整のための努力、その責任が十分あったのではないか、この点、どう考えてみえるでしょうか。
  105. 小林秀資

    ○小林政府委員 今、縦割りの御批判をいただいたわけですけれども、厚生省の場合は、精神保健対策は精神保健で、身体障害者身体障害者、こういう、そのグループヘのケアというのですか、医療、そういうことを中心に組織ができているものですから、今回のPSWに関連をいたしましては、これは精神障害者方々のための社会復帰を進めることが目的でこうつくっているということですから、その事業を主体に考えていって、その中には身分法の問題もある、税制の問題もある、いろいろな問題があります。それはその所管の課がやるという形で厚生省の中は組織ができておりまして、その物の見方をどちらで見るかということで、確かに身分法で言えば、各局に分かれたり各課に分かれたりということがあるということは事実でございますけれども、それはそれで、各課が連携をしてその欠点を補って仕事をしているつもりでございます。
  106. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 それぞれの担当の部署は当然あるでしょう。しかし、この資格の問題を考える場合に、さまざまな関係者の御意見が出ていましたよ。その点、厚生省は、もっとイニシアチブをとって全体の調整というのをやるべきではなかったのかということをお聞きしているのです。いかがですか。
  107. 小林秀資

    ○小林政府委員 このソーシャルワーカーの身分法の問題は、まず福祉系と医療系とでは、これは先ほども御答弁申し上げさせていただきましたが、要は、医療がある場合、医師との連携だとか医師の指示、指導のもとにというところの関係がありまして、どうしてもここは福祉系と医療系とは分けざるを得ないということがあります。  ですから、もしそれも全部見ろという形になれば、例えば医療現場においては医師の指示が必要だという法律の書き方はできるかと思いますけれども、そういう対応の仕方はあろうかと思いますが、今のところは福祉は福祉、医療は医療でできたということは事実でございます。  医療の方につきましては、関係団体ともよく話をしたのですが、どうしてもなかなか解決がつかない問題は、特にMSWの方々、医療ソーシャルワーカー方々の中に、要は医師の指示に基づく、または、今までは指導という言葉は出てこなかったのですけれども、当初検討しているときには、医師の指示に基づくという考え方についてどう考えるのかということが、実は医療ソーシャルワーカーの方またソーシャルワーカー資格を持ちながら病院で働いている方々、いろいろな人方の意見はなかなか一本にならない。いつも大体半数近いような状態で分かれている。今回は、過半数の方が、医師の指導のもとにという考え方は了解しましょうとMSW協会の方もおっしゃられて、今回法案を提出するということになった、このように考えております。
  108. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 それぞれ現場でそれぞれの部署がございますから、医療の現場でいえば医師の位置というのがありますよね。私は、難しい面もあると思うんです。だからこそ、今までの延長線上じゃなくて、厚生省が今までの枠を取っ払った調整のイニシアチブを発揮すべきだと。そういう点でも、今回関係者の方が本当に御苦労されたと思うんですけれども、その点での厚生省の努力をもっとすべきだったというように私は思います。  そこで、今回、精神科ソーシャルワーカー資格化をしますと、社会福祉士も資格がある、そうすると医療ソーシャルワーカーだけが国家資格がないということになるわけで、先ほど、一本化したらどうか、やはりこういうように細分化するんじゃなくて一本化の方向ということも言われていましたね。その中でも、今度の法案の附則第四条では、五年後に検討を加えるというようになっております。私は、今この機運の高まったときに、直ちに関係者の皆さんが本当に話し合う場を厚生省としてもきちんと責任を持って設定して、五年後を待つのでなく、直ちにその検討の場を設けるべきだというふうに思いますけれども、いかがでしょう。
  109. 小林秀資

    ○小林政府委員 まず、法案の附則に五年後の見直しの規定がございますが、これは、法律によりまして新たな制度を創設して規制を行うものについては、当該法律に一定期間経過後に見直しを行う旨の条項を盛り込むこととしていることから、精神保健福祉士法附則第四条に五年後の検討規定を設けたところでございまして、私どもの判断で五年という数字とかということを判断したわけではまずございません。  ただ、今先生がおっしゃられましたように、そのMSWの方々の身分法がないというのは先生のおっしゃられたとおりでございまして、この点につきましては、このPSWの法案を御成立させていただいた暁にすぐ検討に入ることが大切かと思っております。
  110. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 本当に、直ちに関係者の意向をよく聞いて、検討の場を厚生省が積極的に設定していただくということで確認をいたします。  そして、検討する場合に、厚生省が今までとってきた姿勢、例えば一九八七年の国会答弁では、社会福祉士は医療ソーシャルワーカーとは別の資格である、こういうような答弁をされているわけです。こういうものについても、今将来の公的介護制度の問題なども、医療とか福祉の分野が入り組んできているといいますか、重なり合う部分がうんと大きくなっている。ですから、これとこれは別みたいなそういう発想も、国会で答弁されたのをひっくり返すというのはなかなか難しいかと思うのですが、この際、やはり時代の流れに沿って見直しをして、そして資格一本化に努力をするべきだと思いますが、いかがでしょう。
  111. 小林秀資

    ○小林政府委員 MSWの問題を検討するに当たって、ソーシャルワーカーの方を排除するというような考え方は毛頭ございません。
  112. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 ぜひ、今までの発想というか、とらわれた発想にこだわらずに、国会の答弁にもうある意味ではこだわらずにやっていくということでよろしいですね。よろしいなら、もう答弁は結構でございます。はい、そういうことを確認いたします。では、関係者の皆さんの合意ができるような将来の資格制度について、ぜひ積極的な対応をお願いしたいと思います。  特に、先ほど大臣からもお話がありましたが、将来この資格の一本化という問題でいえば、それは考え方は理解できると、しかし具体的にどういうようにしていくのかということがあるわけですね。  例えば、これは先ほど少し出ておりましたけれども、資格の互換性といいますか、こういうものなんかも、本格的な制度を変えるまでに幾つかり対応はできるんじゃないかと思うのです。そういう点では、例えば社会福祉士からPSWの受験資格の道はありますけれども、PSWは、医療の現場から社会福祉士の受験資格の道というのは、一部にいろいろな努力をされて取られる方もあるわけですが、なかなか仕事をしながら、医療現場でやりながら社会福祉士の受験資格というのは難しい面もあるわけです。そういう場合に、そういうソーシャルワーカーとしての経験がある意味ではよく考慮された、そういう対応というのは大変必要だというように思うわけです。  そういう意味では、医療の現場にいてもそういう社会福祉士の資格が取れるような、そういう互換性の問題などは、本格的な制度の改正ということがなくても、一定の前進ができるんじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  113. 炭谷茂

    ○炭谷政府委員 先ほど金田先生の質問にもお答えしましたように、十二月中旬には規制緩和小委員会の方で勧告といいますか、そういうものが出されるというふうに聞いております。  ただいま先生の御指摘のありました社会福祉士の実務経験の中に医療機関を入れたらどうかというような点について勧告が出されるというふうに聞いておりますので、出された段階で、それを踏まえて速やかに検討してまいりたいというふうに考えております。
  114. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 例えば、医療の現場から福祉の場に移っていきたいという希望、また医療の現場にいながら福祉そのものも学びたい、こういういろいろな方々がこれから生まれてくるというように思います。そういう希望、願いにぜひこたえていただきたいというように思います。  では、今日の精神障害者の施策の問題に関連してお伺いいたします。  日本の精神障害者の施策というのは、先ほどお話もございましたように、諸外国と比較しても非常におくれております。平均在院日数でいいますと、これは厚生省からいただいたOECDの資料なんですけれども、一九八九年、カナダでは三十一・三日、イタリアでは十九・三日、アメリカでは十二・七日であるとき、日本は何と三百二十五・五日、こういうふうになっているわけですね。  先ほど五年以上入院の患者さんが五〇%と言われておりましたが、十年以上の入院患者さんも三〇・五%を占めている。比較的新しい方はどんどん退院しているという、それは私もよく存じております。しかし、長期の入院になればなるほど退院も大変難しいということも私自身も体験してきています。考えてみましたら、病院に十年も十五年も二十年も、それ以上の人もありましたね、私の経験では。そういう方が、それは社会復帰しなさいといったって実際には無理な話なんですね。  しかし、なぜこんな長期の入院滞在になっているのかということなんですけれども、実際には、これは先ほど言いました在院日数の厚生省が出した資料なんですけれども、日本の場合はずっとこれは長期入院が多いわけです。この資料だけ見ましても、一九七〇年からしかないですが、大体外国はもう七〇年代からも在院の日数が大変少ないわけですね。一つは、日本の場合には偏見の問題もあるでしょう。それは、長い間一定の収容というか隔離政策をとってきた厚生省の責任というのは大変大きいと私は思っています。  同時に、では現場の医療関係者でいいますと、病院から出て社会復帰したいのだけれども中間的な社会復帰施設がないとか、そういう基盤整備が整ってないという問題がありますよね。さらに、そのために精神障害者の場合は、就職の問題やら家族との関係やら近所から、あらゆる働きかけをしなければいかぬという問題もありますから、医療スタッフですね、それこそ精神科ソーシャルワーカーだけじゃなくて、看護婦さんやあらゆるスタッフの充実というのが日本の場合にはおくれてきた、ある意味では厚生省がサボってきたと、私から言わせれば言えるわけです、  では、今いる人たちが、こういう条件のもとでもどれだけの人が退院の可能性があるのかということを調べてみますと、これは総務庁が調べました精神保健対策に関する調査結果に基づく勧告の中に出てきておりますが、この中に、厚生省が昭和五十八年に実施した精神衛生実態調査について指摘しているわけです。この中で、主治医から直接事情を聞いたら、いろいろな条件があれば約三割の人が退院は可能だ、こういうふうに言っているわけです。今入院患者さんは三十四万人ですから、三割可能だといえば十万人ぐらい退院できるということになるわけですね。  ところが、厚生省は今回どれぐらいの人たちを退院、社会復帰できるというふうに想定しているのかというと、二万人から三万人程度が社会復帰できるようにする、それでその対応をするためには、精神科ソーシャルワーカーは一万人ぐらい要るだろう、こういう想定なんですね。昭和五十八年ですから、あれから随分たっています。実際には私はもっと退院の可能性が出ている状況があると思うのです。それでも、十万人ぐらい可能じゃないかといっているのにあえて二万人から三万人と、全く消極的なこの姿勢はどういう数字で出てきているのでしょうか。
  115. 篠崎英夫

    篠崎説明員 前段の御指摘の平成七年の行政監察の報告書によりますこの数字の根拠は、昭和五十八年の厚生省の調査で主治医から聞き取りをいたしまして、今いる入院患者のうちどのぐらいが退院可能かといって、それに主治医が答えた数字を集めて、三〇%の者が退院の可能性がある、これは昭和五十八年の調査で言っておるわけでございます。  それで、今障害者プランに盛ってありますのは、平成八年度にスタートいたしましたが、社会復帰施設を今から大体数倍、たくさんつくることにいたしておりまして、あそこで挙がっております福祉ホームですとかあるいはグループホームですとか授産施設ですとか、そういうところの十四年度の目標数字、それを足したものが約二万人から三万人というふうに考えておるわけでございます。  今後とも私どもその障害者プランの着実な推進に努めてまいりたいと思っております。
  116. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 この二万人から一二万人というのは、厚生省は、将来その障害者プランでこれだけは、先ほど言いましたよね、最低限実現したいと。  しかし、これは実態から違っているのじゃないか。お医者さんから、もっと退院できるよというなら、それを積極的に厚生省目標に掲げて、そのために社会復帰施設をそれにふさわしくやるというのが当たり前じゃないですか。厚生省最初から、この程度社会復帰施設はつくっておいて、人もこれだけだ、それに伴う人数が二万人から三万人、こういうのは私は発想が逆だと思うのですね。きちんと、指摘されたように十万人でも、条件が整えばもっともっと可能性はあると私は思うのです。  そういう場合にも、指摘されているわけですから、それでいえば、十万人といえば二万人から三万人の三倍ぐらいあるとすれば、それこそ今の障害者プランだって少なくとも三倍ぐらいはきちっと目標を引き上げる。本来でいえば、PSWの方も一万人じゃなくて、三倍にすれば三万人ぐらい要る、最低それぐらい要るのじゃないかと思うのですけれども、その点いかがでしょう。
  117. 篠崎英夫

    篠崎説明員 まず、障害者プランが始まってことして二年目でございます。したがって、私どもとしては、今はその目標数値に向かってその充実に全力を挙げる。それで、今後市町村で障害福祉計画がつくられるなどして、その必要数にやはり修正が必要だということになれば、その時点で見直しも考えているということでございます。
  118. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 もう五十八年のときに指摘されているのです、これでは不十分だということは。ですから、きちんと見直しして、今までの精神障害者の政策の転換をぜひ私は図っていただきたい。そういう前提のもとに、本当に意欲を持って精神障害者の分野で働こうと言っているPSWの皆さんが、またソーシャルワーカー皆さんが、社会福祉士の皆さんが本当に力を注げるような政策をぜひつくっていただきたいと思います。  以上、終わります。
  119. 金子一義

    金子委員長 これにて瀬古由起子君の質問は終わりました。  次に、中川智子さん。
  120. 中川智子

    中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子でございます。  私も、今から二十年前に保母試験、保母資格という国家資格を取りました。子育てをしながら、本当に試験を受けに行くだけでも必死な状態で、この国家資格というものをその後私自身が生かしていく中で私の社会参加ということができてきたわけなのですけれども、やはり資格制度というものは、ある程度の専門性を持つということ、それと同時に、誇り、そしてまたやる気にさせるということがすごくこの精神の中に入っているというふうに私自身は思っています。  でも、今PSW、そしてMSWの方たちのさまざまなことがありまして、今回このような形の法案ということでは一定心残りというものがございますので、そのあたりについて質問をしたいのです。同じような苦労を日々担っている人たちが、本来ならやる気を起こして誇りを持って仕事に従事できる者が、かえってやる気をなくさせるような、その方たちをそのままほうっておいてはいけないということを強く私は思っております。  一九八七年、今から十年前に社会福祉士のこの制度が発足する際に、我が党の村山前総理が社会労働委員会で、福祉と医療を分けることに対して非常に疑問視する質問をしました。その折には、医療機関で働くソーシャルワーカーの方は国家資格である社会福祉士から外されたという経過で、十年たってやっとこの精神保健福祉士法案が今回上程されたということは一歩前進で、それに続いて、次の資格に対してしっかりと厚生省として取り組んでいただくお約束をこの場でいただきたいとまず思っております。  質問といたしましては、最初に、これはついせんだって私の事務所にも参ったものなのですけれども、国連の諮問機関でもある、世界六十カ国のソーシャルワーカーを代表する国際ソーシャルワーカー連盟の会長から、この法案導入の再検討を求める旨の手紙が届きました。それで、この中に、やはりきっちりとした、諸外国ではそうだというふうに伺っているのですが、きっちりした一つのまとまった資格があって、それがもっと勉強すればこの資格を取れる、そういうふうに取れていくというのが本来の資格であり、医療と福祉と保健というのをばらばらにして資格を進めるということに対しては、私は疑問をいまだに持っております。  この手紙に対しまして、国連の諮問機関でもありますソーシャルワーカー連盟の会長から来ました手紙についての御感想などを、ちょっと厚生省の方にお伺いしたいと思います。
  121. 篠崎英夫

    篠崎説明員 今御指摘の、国際ソーシャルワーカー連盟の会長のエンバルさんという方からお手紙をいただきました。今まで調べた範囲では、この国際ソーシャルワーカー連盟というのは任意の非政府組織ということでございまして、どういうようなスタンスでこういうお手紙をよこされたか。  昨晩ですけれども、精神保健課の職員が直接会長にお電話をしてお話をしておりますが、我が国の例えば精神保健福祉法、あるいは現在置かれている精神医療の現状については余り御存じがなかったのではないかなという気がいたしておりますが、さらにこの文章の中身等につきまして、お出しになった会長に、この後フォローしていきたいというふうに思っております。
  122. 中川智子

    中川(智)委員 私も余り国際的な人間ではなくて、海外のことをよく知らないのですけれども、アメリカとかイギリスのソーシャルワーカー制度について見習うべき点はかなりあると思っていますが、アメリカ、イギリスのソーシャルワーカー制度について、簡単で結構ですが、厚生省の方から少しお教えいただきたいと思います。
  123. 篠崎英夫

    篠崎説明員 ソーシャルワーカー資格に対する考え方あるいは法律体系などが国により異なっておりますために、単純に比較を行うことは困難であるというふうに考えております。言葉をかえて言えば、全く同じようなものがどこにあるかというと、なかなか難しいかもしれません。  ただ、私ども、あえて例を挙げて、調べさせていただいた範囲でお答えいたしますと、日本社会事業大学の京極学長の著書、これは一九九二年のものでございますが、それによりますと、ソーシャルワーカー資格が、これはきっと似たようなものだという前提だと思いますが、国の法律で定められているのは恐らくフィンランドと日本だけではないかというような記述がございました。  それから、先ほど、外国の例でございますので、イギリスとアメリカのことを私どものできる範囲で調べたところを申し上げますと、イギリスでは一九八三年のメンタル・ヘルス・アクトというのがございまして、これは日本語でいうと精神衛生法かあるいは精神保健法だろうと思いますが、現在の法律でございます。これにおきまして、精神保健医療分野のソーシャルワーカー資格としてアプルーブド・ソーシャルワーカーというのが定められております。それで、精神障害者とのかかわりを持つ上での適性と経験をその資格の条件としているということでございまして、イギリスでは精神保健法の中で位置づけられているということでございました。  アメリカにつきましては、ソーシャルワーカー資格につきましては、連邦政府、つまり国というレベルではなくて、各州の法律により定められております。それで、ちょっと州によって違うところもあろうかと思いますが、全米の大半の州で資格制度を設けております。その中で半数以上の州ではクリニカル・ソーシャルワーカーという資格が設けられておりまして、そうでないソーシャルワーカーと別の資格として設けられております。  さらに、この保健医療ソーシャルワーカしに必要とされている知識の多くは、精神保健に関する知識あるいは精神医療についてのものでございまして、今申し上げましたクリニカル・ソーシャルワーカーの大半が精神保健分野で活動している、このように承知をいたしております。
  124. 中川智子

    中川(智)委員 ちょっとその厚生省の認識と違うんですけれども、アメリカは、今までやはりばらばらのいろいろな協会があったんですが、六つの協会が統合されて全米のソーシャルワーカー協会ができたと聞いています。やはり、今世界的な流れの中で別資格をつくることが、国際的な統合化や日本の行革にも逆行するのではないかというふうに思っています。  そこで、附則の四条、先ほど瀬古さんも質問されましたが、ソーシャルワーカー全体の社会的地位の向上や待遇改善そのものが不可欠であると思いますので、見直しのときには、現行の社会福祉士法を改めて、福祉の専門職として、一括して、医療、福祉、保健を包括した資格にしていただくような形で、これは社会福祉士という位置づけで取り組んでいただきたいと思います。  今回のこれは、与党でもありますし心置きなく賛成をさせていただきますが、この見直しの時期に関しましては、今申し上げた点をしっかりと踏まえて、なるべく早い時期にそのような形で一本化してちゃんとした資格制度をつくっていただくことを、きっちりとした答弁で、大臣と、お二人にお願いします。
  125. 小林秀資

    ○小林政府委員 先ほども答弁させていただきましたが、医療ソーシャルワーカーの身分法が今回は欠けているわけであります。そこにつきましては、この今の精神保健ソーシャルワーカー、PSWの法案が成立した後、速やかに検討会を開かせていただこうと思っております。  ただ、そこまでお答えしておりますが、今先生がおっしゃられた検討の方向、答えの方向についてまでお述べになられましたけれども、私どもとしては、どういう方向でいくかということについては、まだ今の段階では決めかねている状況にあるということを御理解いただきたいと思います。
  126. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 先ほど来からの資格の問題、特に一本化の方向について、私も基本的にその方がいいなと思っているのです。  ただ、今回のPSWというのですか、これを制定する間も、紆余曲折、関係者間でさまざまに意見があったということを聞いております。この制定と同時に、またすぐ直すということは難しいと思いますが、私は基本的に、この一本化の方向でどういう難しい点があるのか、ありますが、一本化に向けての検討が必要ではないか。困難性というよりも可能性に向けての、資格一本化にどういう前向きの姿勢で取り組んでいくかというのは、私も基本的に賛成でありますので、今後十分、今までの御指摘、質問を踏まえて、検討をさせていただきたいと思います。
  127. 中川智子

    中川(智)委員 十二分というのはあっという間に終わるんですよね。いつもそうなんですけれども。  私は、やはり社会復帰をしていくことがとても大事だと思いますが、精神障害の方、そして知的障害の方もそうなのですが、復帰された以降の受け皿というものが本当にないのです。就職先も、また社会の受け入れ体制もございません。マスコミなどでは、何か事件が起きて、もしもその人が精神病院に入院していたといったら必ずそのことが書かれたりします。そこの全面的な取り組みに対して、医療現場が抱え込むのではなくて、やはり地域とのつながりということを同時にやっていっていただきたいと思います。  たくさんの団体の意見でここまでおくれたとおっしゃいましたが、私はかなり医師会さんの声が強いのではないかと思っておりますので、どうぞそのあたりきっちりと、囲い込みではなくて開放して、やはりその一人一人の人が人間として生きていく、そのような基盤整備も同時にお願いしたいと思います。  終わります。
  128. 金子一義

    金子委員長 以上で中川智子君の質疑は終了いたしました。  次回は、来る二十六日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時一分散会