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1997-11-27 第141回国会 衆議院 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十一月二十七日(木曜日)     午前九時三十分開議 出席委員   委員長 葉梨 信行君    理事 住  博司君 理事 林  幹雄君    理事 細田 博之君 理事 八代 英太君    理事 遠藤 和良君 理事 武山百合子君    理事 山本 譲司君 理事 東中 光雄君       石橋 一弥君    江渡 聡徳君       奥山 茂彦君    河野 太郎君       桜井 郁三君    新藤 義孝君       園田 修光君    田中 和徳君       松本  純君    富田 茂之君       西野  陽君    吉田 幸弘君       佐藤謙一郎君    山花 貞夫君       秋葉 忠利君    堀込 征雄君  出席国務大臣         自 治 大 臣 上杉 光弘君  出席政府委員         内閣法制局第三         部長      阪田 雅裕君         自治省行政局選         挙部長     牧之内隆久君  委員外出席者         議     員 石井  一君         議     員 倉田 栄喜君         議     員 堀込 征雄君         衆議院法制局第         一部長     早川 正徳君         衆議院法制局第         一部第二課長  郡山 芳一君         外務大臣官房領         事移住部領事移         住政策課長   庄司 隆一君         自治大臣官房審         議官      的石 淳一君         自治省行政局選         挙部選挙課長  大竹 邦実君         自治省行政局選         挙部政治資金課         長       岩尾  隆君         特別委員会第二         調査室長    田中 宗孝君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月二十七日  辞任         補欠選任   園田 修光君     新藤 義孝君   松本  純君     河野 太郎君 同日  辞任         補欠選任   河野 太郎君     松本  純君   新藤 義孝君     園田 修光君     ――――――――――――― 十一月十日  永住外国人地方参政権確立のための立法化に  関する陳情書  (第三八号) 同月二十六日  船員洋上投票実現に関する陳情書外五件  (第一八七号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  公職選挙法の一部を改正する法律案内閣提出  、第百四十回国会閣法第九二号)  公職選挙法の一部を改正する法律案石井一君  外三名提出、第百四十回国会衆法第一八号)      ――――◇―――――
  2. 葉梨信行

    葉梨委員長 これより会議を開きます。  第百四十回国会内閣提出公職選挙法の一部を改正する法律案及び第百四十回国会石井一君外三名提出公職選挙法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。  お諮りいたします。  両案につきましては、前国会におきまして既に趣旨の説明を聴取しておりますので、これを省略するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 葉梨信行

    葉梨委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     —————————————  公職選挙法の一部を改正する法律案(第百四十回国会内閣提出)  公職選挙法の一部を改正する法律案(第百四十回国会石井一君外三名提出)     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  4. 葉梨信行

    葉梨委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両案審査のため、来る十二月四日木曜日午前十時に参考人出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 葉梨信行

    葉梨委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     —————————————
  6. 葉梨信行

    葉梨委員長 これより両案に対する質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。住博司君。
  7. 住博司

    住委員 おはようございます。  いわゆる在外選挙法案について、実質審議初めてということですが、トップバッターとして質問をさせていただきます。  御承知のとおり、憲法第十五条には「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有権利である。」「公務員選挙については、成年者による普通選挙を保障する。」云々とございます。そして、公職選挙法第九条で選挙権を定め、選挙権成年に達した二十歳以上すべての国民に保障されている。言うまでもないことでございます。しかしながら、国内住所がないことで選挙人名簿登録されていない人は投票することができない。公職選挙法の二十一条及び四十二条に定められていることによりまして、国外に居住している場合、国政選挙については選挙権があってもそれを行使することができない、こういった図式が続いてきたわけでございます。  海外にいる在留邦人は年々歳々ふえ続けております。長期滞在者永住者を合わせてみれば、平成八年でもう七十六万四千人ということになっておる。言ってみれば、これらの人たちが自分の国の将来を考え、あるいは国の政治について考え、心配し、選挙参加したいと考えるのはごく当然のことだと私も思います。選挙権行使という憲法で保障された基本的な権利をないがしろにしてはならない、こう考えております。  政府の方も、昭和五十九年に一度在外選挙法案国会提出されましたけれども、当時の衆議院の八増七減と言われますいわゆる定数是正法案、これを優先されたということもありまして、実質審議がなく、そのまま六十一年六月の解散で審議未了、廃案になったといういきさつもございます。  在外投票の一日も早い実現が必要だという考えは変わらないわけでございますけれども、まず、この法案提出なさいました政府側として、自治大臣、この法案にかける決意というものをお聞かせをいただきたいと思います。
  8. 上杉光弘

    上杉国務大臣 国際化の社会、国際状況、我が国もその流れの中にございまして、海外に在住する邦人がふえつつあることはもう御案内のとおりでございます。そのような意味で、日本の国のありようを決めていく選挙にすべての国民参加をしていくことは大変大切なことでございまして、そのような意味での環境を整える法体制の整備は必要だと考えております。  そのような気持ちを持って、できるだけ選挙を公平、公正に国民が参画できる環境づくりは大変必要でございまして、この法律を私どもは、皆さん審議によりまして、よりよい方向に持っていっていただきたい、このように考えておるところでございます。
  9. 住博司

    住委員 どうもありがとうございました。  政府案、それから議員提案の方もそうなんでございますが、海外居住者選挙権行使できないのは、選挙人名簿の被登録資格を引き続き三カ月以上住民基本台帳に記録されていることとしているところに着目をいたしまして、各市町村選挙管理委員会の持つ選挙人名簿のほかに在外選挙人名簿登録制度を創設することによって在外邦人選挙権行使の道を開こうとしているということなんですけれども、この在外選挙人名簿選挙人名簿と別に調製することとしたのは一体どんな理由によるものなんでしょうか。  それから、登録申請できる要件の中で、引き続き三カ月以上領事官管轄区域内に住所を有することにしているのはどうしてなんでしょうか。  その二点、ちょっとお尋ねしたいと思います。
  10. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 在外選挙人名簿は、今回新しく法制度化するわけでございますが、これは対象選挙国政選挙に今回の場合限っておりますので、国内選挙人名簿はすべての選挙の共通の名簿ということになっておりますから、その点で異なっているわけでございます。現実問題といたしまして、選挙人名簿は、住民基本台帳というものが確立をしておりますので、それを受けまして職権登録という形での登録が可能なわけでございますが、在外邦人方々は、このように網羅的に国外におられる日本人を把握をするという手だてがございませんので、新たに、申請登録という形をとりまして名簿をつくる必要があるというところからこのような仕組みにしたわけでございます。  それから、その名簿登録要件に、政府案におきましては、領事官管轄区域内に引き続き三カ月以上住所を有するということを要件にいたしておりますが、これは、国外住所、すなわち生活の本拠地を有するということが必要でございますが、そのためにはある程度の期間継続をしてそこに住んでおられるということを要件にする必要があるということ。それから、国内選挙人名簿は、住所を移動いたしましてから四カ月間選挙人名簿にそのまま残っておりまして、四カ月たって消除されるという仕組みになっておりますが、余り早く在外選挙人名簿の方に登録をいたしますと、二重登録という問題が生じてまいります。さらには、一定期間継続して住所を有しておるということを要件にすることによって、名簿正確性を期するということを考えたわけでございます。  さらに申し上げれば、国外に転出をして即時登録というようなことを可能にいたしますと、意図的に選挙区間を移動するということを合法的に認めることにもつながるのではないか、国内において、選挙人名簿登録要件が三カ月間当該市町村住所を有するということとのバランスも失するのではないかというようなことを考えて、このような仕組みにさせていただいたところでございます。
  11. 住博司

    住委員 そういうことであれば、選挙人名簿との二重登録を防止するためにはある程度の期間住所要件が必要だ、こういうふうに考えたということでございますね。  それから、これは両案に共通しておるのですけれども、将来国内住所を定める意思を有する者に限って与える、つまり帰国意思があるかどうかを確認するということになっているのですけれども、それは本当に必要なんでしょうか、どんな意味があるのでしょうか。申請主義ですから、これは、そのこと自体で日本国内政治関心がある、つまり日本国民であるということを、言ってみれば自覚をしてやっておるわけですから、帰国意思があるかどうかということを確認することがあえて必要なのかどうか、その意味についてお尋ねをしておきたいと思います。
  12. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 今回の改正法案は、国際化の進展の中で、海外で仕事をされる方等が非常にふえてきた。この方々は、帰国後の子弟の教育でありますとか福祉の問題とかというようなことで国内政治への関心も非常に高いし、その影響も受けるということで、こういう方々選挙権行使をできるようにしていこうというのが今回の法案の主眼でございますが、一方、帰国意思を有しないという方は、帰国意思を有する方々に比べますと国政への関心一般には薄く、また、国政影響というものをほとんど受けないというふうに思われるわけでございまして、このような方々にまで国政への選挙参加をさせるということについては、思わぬ支障を生じるおそれがあるというようなことから、物の考え方といたしまして、帰国意思を有する者に限るという法文の条項になっているところでございます。  ただ、現実問題といたしまして、登録申請をしていただくということでございますので、帰国意思のない方が登録申請をするということは普通ないではないかというような御意見につきましても、なるほどと思うところがあるわけでございまして、現実の運用といたしましては、例えば、国内に土地があるとか家族が住んでおるとかというような客観的な状況判断のほかに、宣誓書を出していただきまして、それで帰国意思推定をするということにしたいと考えております。  宣誓書につきましても、一般には、宣誓書を出せば帰国意思ありというふうに推定をしていくということでございまして、登録申請に来られた方は、ほとんどは名簿への登録は可能になっていくであろうというふうに思っているところでございます。
  13. 住博司

    住委員 それでは、議員提案の方にもその点をちょっと確認しておきたいと思います。
  14. 倉田栄喜

    倉田議員 基本的には、今お答えをされたとおりでございます。  ただ、本文の中で帰国意思要件といたしましたのは、民主主義という観点からすれば、治者と被治者の同一性、これを図る原理でございますので、日本国の実質的な統治のもとに永久に入らない、そういう人は、基本的な考え方としてでございますけれども選挙権行使する者としては必ずしもふさわしくないのではないのか、また、選挙の結果の影響通常直接には受けない者と現実日本国に居住している者との間に、一票という形で国政に対する同等な影響力を与えることについてはどうだろうか、こういう疑問もございます。  しかし、一方で、より多くの日本国民選挙権行使の機会を与えること、それを利益考える立場もございましょうし、また、帰国意思をどのように判断をするのか、こういう問題もございますので、帰国意思要件を削除すれば、この判断基準、必要な基準を用いないで済む、そういう利益もあるだろうと思います。  こういう点を考えますと、どちらがより有益な制度であるかということは、一義的に決めるのは必ずしもどうかなという気もいたしますし、私は、両論ともそれぞれ理屈があろうかと思います。  そういうことで、私どもといたしましては、帰国意思要件を削除するということでより多くの賛同が得られるということであれば、それは削除するにやぶさかではない、そのような考え方を基本的には持っております。
  15. 住博司

    住委員 なかなか積極的にお答えいただきまして、ありがとうございます。  この法案議員提案も、それから政府案も、そう大きな差異はないのですよね。基本的に、要するに、投票権行使というものを保障しようということについてはお互いに同じだというふうに思っております。  ただ、最大の相違点がありまして、それは、対象となる選挙の範囲ということなんです。政府案は、当分の間衆議院参議院比例代表選挙に限るとしているのに対しまして、議員提案は、衆議院の小選挙選挙参議院選挙選挙も加えておられます。  自治省の方に伺いますけれども、どうして今の時点で、当分の間ということなんですけれども比例区に限っているのか、伺っておきたい。それは、昭和五十九年に出した法案というのは、比例区のない時代衆議院も入っていたわけですね。このときと比べて、なぜ今、比例区だけに限るというふうに決められたのか、そこの点をちょっとかいつまんで御説明いただきたいと思います。
  16. 上杉光弘

    上杉国務大臣 法律では、すべての選挙をやる、こうなっているわけですが、附則で「当分の間、」としておることは、もう御承知のとおりでございます。  今回の政府提出在外選挙法案におきましては、当分の間という暫定措置として、衆議院参議院比例代表選挙に限ることとしておりますが、これは、衆議院選挙選挙及び参議院選挙選挙は、いずれも候補者個人名を記載する個人投票政党に属しておりますからそれは当然といたしましても、候補者個人名を記載し投票する制度でございます。このことから、投票に当たりましては、候補者の氏名、政見、所属政党等周知されていることが必要でございまして、選挙運動期間の十二日ないし十七日の間にこれらを海外有権者周知徹底することは困難な状況にあることによるものでございます。  これに対しまして、比例代表選挙は、政党名を記載し投票する制度でございますから、政党の主張、政策等につきましては、現状におきましても、常日ごろから新聞、テレビ、ラジオ等を通じて海外にも伝わっておるところでございまして、選挙期間中にあえて特段の周知方法をとらずとも、有権者皆さん相当程度情報を得ることができるものと考えられます。  また、在外公館にとって選挙事務は初めてのことでもございまして、まず比例代表選挙から始めまして、その事務処理体制を見きわめる必要もあるのではないか、このように考えておるところでございます。  このようなことから、在外選挙につきましては、まず比例代表選挙から実施をいたしまして、選挙情報の具体的な周知状況在外公館体制を十分見た上で、次の段階として衆議院選挙選挙及び参議院選挙選挙実施を図ることが適当と考えておるところでございます。
  17. 住博司

    住委員 原則は二票である。だから、当分の間は比例だけれども、実績を積んだ上で、次に選挙区という順で考えていくという基本的な考え方がある、こういう大臣の御答弁でございました。  もちろん、私たちも、なれない在外投票選挙事務というのでトラブルが起きたということになれば、それは、言ってみれば大事な選挙についてのトラブルはなるべく起こしたくはないということもありますから、そういう考え方はあると思うのです。ただ、国内なら選挙区と比例で二票、海外は一票のみというのはやはり不平等じゃないかという意見があるということはやはり頭に入れて、これは政府だけではなくて、私ども議論をしていかなければならない。  ただ、今の実務上の問題、初めてのケースということを考えれば、本則では言ってみればすべての国政選挙に認めた上で、当分の間比例だけというふうにしておる今の政府案議員提案はそうではないわけだけれども、要するに、今おっしゃられた、例えば、在外公館選挙に公報を出せない、それにかわる情報提供もなかなか大変だというのは、容易に想像できるのですけれども、その点を踏まえて、あえて二票という平等性にこだわる理由というのはどこにありますか、それは議員提案の方に聞きたいのですけれども
  18. 石井一

    石井(一)議員 こだわらないというふうにお答えするとすれば、当初から二種類の選挙を別個に考えるということで、それはやはり憲法上から見ても、法律上から見ても筋が通らない。結局、選挙実施してみて、可能であれば速やかにそちらに移行するというのが政府案考え方でもあり、また我々としては不本意ながらそれに、今回一歩前進だということで同意をした、こういうふうにお考えをいただきたいと思うのであります。  私は、一、二回選挙実施すれば明らかにそれが可能だということが立証できるというふうに考えておりますので、当然、先生御指摘の地域性によるいろいろの不便であるとか、あるいは情報を伝達するための困難性というふうなものはあると思いますけれども、現在のこういう世界のスピードの速い情勢の中で、これはやはり大きな理由にならないし、どれだけ多くの諸外国が同じような条件のもとに実施をしておるのかというふうなことを考えたら、もう今やそういうことを理由に、片一方選挙実施するが片一方選挙実施しないということは理由として通らない、私たちはそういう認識をいたしております。  しかしながら、五十九年からの御努力、そして今回さらに自民党の皆様方政府案をまとめられて、こういう形で政府案が出てきたということに対して、私たちは全面的にこれに同意したわけではございませんけれども、それを評価しながら、さらに一歩前進することによって選挙制度をひとつ完成したい、こういう考え方でございます。
  19. 住博司

    住委員 自治大臣も経験され、選挙については大変お詳しい石井先生がそうやって非常に積極的にお答えをいただいて、本当にありがたいと思います。  やはりそれは、まさに投票権行使という観点に立って一日も早く実現をしていく、それを保障してあげる、していかなければならない、これは政治行政に携わる者として当然だというお考えから出ているものだと思います。これからまだ詰めなければいけない議論はあるかもしれませんけれども、ぜひ一日も早い成立を目指してお互い努力をしなければいけないと改めて思ったところでございます。  もう時間がなくなってまいりましたけれども、実を言うと郵便投票についてちょっとお聞きしたいんですけれども郵便投票について、政府案では、管轄邦人が多くて公館投票を行うことが困難である在外公館管轄区域に住んでいる人というような説明を受けたんですけれども、それで間違いないのかな。
  20. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 郵便投票ができるものといたしましては、政府案では、在外公館投票が著しく困難であるものとして政令で定めるものというふうにいたしているところでございまして、まだ細部を固めてはおりませんけれども、基本的な考え方といたしましては、当該領事官管轄する邦人の数が非常に多くて、物的一人的に在外公館での投票が著しく困難で、これを無理して実施をするとかえって有権者方々に迷惑、支障を来すというようなところ、あるいは、一挙に邦人が多数集まることによりまして邦人安全性といったようなものが危惧されるようなところ、こういうところを政令で定めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  21. 住博司

    住委員 そこのところはこれから詰めていただきたいと思うんですね。政令で決めるということですから、例えば在外公館から遠隔地にいる人というようなこともよく考えていただきませんと、例えば経済的や時間的な負担というのは多いわけですから、郵便投票ということをあえて認めよう、こういうお気持ちになったとすれば、そこの点もよく勘案をして政令というのは決めていかないと、何の意味があるのかということになっていくということをあえてここで指摘しておきたいと思います。  時間が参りましたので、この在外邦人についての投票権の問題と、ただ、実を言うと私たち前から気になっていたのは、日本にとって、日本海洋国家ですから遠洋漁業従事者方々に対する投票権というものをどう保障していくかということも本当は議論をしておかなきゃいけないと思います。  今回はこの話はちょっと置かなければならない話なんですけれども、これも与野党を問わず真剣に考えて、答えを出すように努力をしたいということをあえてここの場所で表明をさせていただいて、私の質問を終えさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  22. 上杉光弘

    上杉国務大臣 海洋関係も対応いたしておるわけでございまして、このことについては指定港における不在者投票、さらには指定船舶における不在者投票などが認められておるところでございます。  なお、海外での、洋上での航海期間が長くて不在者投票送致等が難しいという、現行の特例制度においてなお投票が事実上困難な方々がおられることについては十分認識いたしておるところでございまして、洋上投票方法につきましては、これまでも法制面実態面等から検討を重ねているところでございます。この問題は、可能な限り船員方々投票できるよう適切に対応してまいりたい、このように考えておるわけでございます。  例えば、具体的に選挙の日程が定まっておりませんでも、指定船舶における不在者投票のための投票用紙交付ができる扱いとしているところでございまして、現実に来年の参議院通常選挙において指定船舶用投票用紙を現時点でも交付できるようにいたして措置しておるところでございます。  いずれにいたしましても、貴重な選挙権行使に係る重要な問題でございますから、今後ともさまざまな角度から引き続き検討をさせていただきたいと考えております。
  23. 葉梨信行

    葉梨委員長 次に、河野太郎君。
  24. 河野太郎

    河野(太)委員 自由民主党の河野太郎でございます。私自身、これまでに七年間海外に住んでおりまして、その間に一度も選挙投票をすることができなかったわけでございます。これだけ多くの日本人方々海外へ勤務する、あるいは海外へ移り住んでいる時代でございますから、在外邦人選挙権の問題というのは一刻も早く解決をすべき重大な憲法上の問題であると思います。この問題につきまして、政府案あるいは議員提案、いろいろな議論が活発に行われていることは大変に喜ばしいことでございますが、議論を活発に行うだけではなく、これはぜひとも一刻も早く成立をしなければならぬ問題だと思います。そういう意味で、皆様の御協力をよろしくお願いを申し上げたいと思います。  二、三問題点を明確にしていきたいと思いますが、まず議員提案のものにつきましては、比例選挙だけではなく衆議院の小選挙区あるいは参議院選挙区にも選挙権を与えるということになっていると思います。本来そうあるべきであるとは思いますが、現時点ではなかなか、例えば選挙公報の配布を、衆議院三百選挙区ございます、それについて、本当にきちっと自分の該当選挙区の選挙公報が在外邦人に渡るのかといった問題を考えましても、なかなか現時点で解決できないところがいろいろあると思うんですが、どういう問題点があるという御認識なのか、あるいはそれにどういう解決策があると考えられているのか、そのあたりのことをお伺いしたいと思います。
  25. 堀込征雄

    堀込議員 先ほども議員からの質問でそういう御指摘がございました。先生海外の御経験を踏まえて今お話がございましたが、選挙公報の配布については、ちょっとこの制度では皆さんにお渡しするのは無理だろう、こういうふうに思っておりまして、それは政府案も多分一緒だろうというふうに思うのです。  ただ、なぜこれを当面、私どもは小選挙区、比例、両方の選挙制度を認めたか。そしてなおかつ、スタートから、事務上のトラブルとかそういうことをいろいろ検討もしましたけれども、しかしよく考えてみますと、今の制度で、比例制度だけできて、小選挙区というかあるいは参議院であれば選挙区の選挙の事務だけできない、あるいは情報が伝達できないということは、どうも合理的理由がないのではないか。そのほか、現実に各国でやっている制度を見ましても、もしいろいろな情報や事務上の問題は、比例選挙でできるとしたらやはりそういうことは選挙選挙、小選挙区でも可能であろう、こういう判断は一つございました。  それから、特に衆議院の小選挙比例代表並立制という制度でありますが、これは一体の、確かに二票の行使でありますが、小選挙区の一票と比例区の一票とを分離して投票するという仕組みになっているのかどうか、この辺も非常に、憲法上の問題を含めて、あるいは制度上の問題を含めて議論をして、これは事務上の困難があってもそれを乗り越えて両方の制度を一緒にやっていただく方がいいのではないか、こういう立場で御提案をさせていただいた、こういうことでございます。
  26. 河野太郎

    河野(太)委員 御説明の趣旨はわかりました。確かに理念は崇高なものでございますが、事務上の問題点を何とか乗り越えてというのは余り現実的ではないような気がいたします。  もう一つ、議員提案に関して御質問させていただきますと、そこまでおっしゃるならば、なぜ補欠選挙は当面除くということになっているのか。理念で突っ走るなら最後までそれを貫き通すべきでしょうし、補欠選挙は事務的にどうも面倒くさい、手続が煩雑でそれは除こうというのであれば、小選挙区制はそれを乗り越えてもやるのだというところと矛盾しているように思いますが、いかがでございますか。
  27. 堀込征雄

    堀込議員 お答え申し上げます。  補欠選挙について除いたわけでありますが、今度の小選挙制度導入によりまして、実は補欠選挙というのは頻繁に起こる可能性が極めて高い。したがいまして、それこそまさにこの在外公館本来の事務に支障を与えるのではないかという点を憂慮をいたしました。  これは実は、五十九年法がその両方の制度を認めていた、そして補欠選挙も外していたということを踏襲をしていることも事実でありますが、実は、今度の小選挙比例代表並立制のこの成立過程で、与野党の協議の中でも、この補欠選挙のあり方につきましては、相当頻繁に起こってこれはやはりまとめる方法考えたらどうだというような協議が行われた経過もございまして、海外もそうでありますが、国内の補欠選挙のあり方につきましても、この制度を入れてさらに検討をしたらどうかという意見が当時から実は与野党からあったわけでございまして、もしそういうことがあるとすれば、一年じゅう頻繁に国政選挙が、どこかで補欠選挙が行われるというような事態が想定されるとすれば、どこかでまとめたらどうかという議論も実はあるわけでございまして、そういうものとあわせて将来的には措置できるのかなという感じを実は持っております。
  28. 河野太郎

    河野(太)委員 御説明されようとすることはわかりますが、どうも分け方がいま一つ鮮明ではないようでございます。私自身、とりあえず確実にできる比例選挙をまず何としてでも一刻も早くやっていただく、そして問題点を把握しながら選挙選挙に関してもやっていくというのが正しいような気がしております。  自治大臣にお伺いをいたしますが、先ほどの答弁で、マスコミ関係からも情報が入るというような御答弁がございましたが、選挙に関する情報をマスコミからとるというのは、現実そういう部分があるとは思いますが、マスコミが必ずしも公正、中立であるとは言えない現状を考えると、マスコミから情報が入るから選挙公報を配らぬでもいいというのは少しおかしいのではないかと思います。一つは、候補者が自分の言わんとすることをきちんと有権者に知っていただく手段として選挙公報があるわけでございますから、それはマスコミというフィルターを通さず自分の考え有権者にきちんと伝えることができるということで、大変に有効かつ必要な手段であると思います。その程度のことの保証ができなければ、在外邦人選挙制度をつくっても、仏つくって魂入れずになるのではないかと思います。  さらに申しますと、公報をきちんと読んでいただく、海外であったとしても公報を配る、あるいは、公報を在外公館なりなんなりに置いておいて、投票に来たときに時間をとって読んでいただく、そうしたことは十分可能であると思いますが、そうしたことも保証せずにやるのは極めておかしいのではないか。さらに、選挙前に突然新党をつくって比例代表へ乗り出すというときに、全くマスコミの報道がないまま選挙に突入してしまうということも理屈的にはあり得るわけでございます。やはり選挙公報をきちんと配布をして、それを有権者に読んでいただいて、その上で投票をいただくということは最低限必要なのではないでしょうか。
  29. 上杉光弘

    上杉国務大臣 お答えいたします。  先ほど申し上げましたのは、なぜ比例選挙だけにしておるのか、こういう御質問に対してお答えいたしたわけでございまして、比例選挙政党名を記しますから、政党の活動等についてはマスメディアを通じて海外にも常日ごろから伝わっておるわけでございまして、そのような意味からすると、政党についての海外在住者の認識というのは、個人名投票する小選挙区や参議院選挙選挙と比べて、おわかりをいただいておるのではないか、そういう意味で申し上げたわけでございまして、広報の必要性がない、あるいは広報をやらなくてもマスコミに任せればいいということではございません。比例選挙だけをなぜ対象にしたかという質問のところで、政党名について記載する選挙というのは、そういう意味では海外在住の皆さんが、御理解をいただいておるのではないか、そういう意味で申し上げたわけでございます。広報の必要性がないとは思っておりません。
  30. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 選挙公報につきましてのお話でございましたので、若干補足をさせていただきますが、現在、公営としての選挙公報は、公示または告示後の二日までに選管等に届け出をしていただきまして、そして、選挙の二日前までに各家庭に配布をするということになっておりまして、現実選挙の二日前までぐらいにしか届いていない実情にございます。  今回、在外投票制度を設けますと、投票した後国内投票用紙を輸送しなければなりませんので、選挙期日の原則として五日前までに投票していただくというふうにせざるを得ないところでございまして、したがいまして、国内と同様の選挙公報を海外にも配布をするということは現実問題として不可能というふうに考えております。  ただ、できるだけ情報有権者方々に知っていただくということは重要でございますので、公示後、各政党名簿登載者等がわかりましたら、それはできるだけ早く各公館に送りまして、有権者方々が目に触れるような対応をとっていきたいというふうに考えているところでございます。
  31. 河野太郎

    河野(太)委員 海外有権者投票用紙を渡さなければいかぬわけですから、投票用紙を郵送する、あるいは在外公館で手渡す、その場合に、選挙公報あるいは名簿、その他必要な資料を同時に手渡して、そこの時点で読んでいただくということも、海外の場合はやむを得ないと思いますが、いかがでございますか。あきらめて全く何もしないよりははるかにその方がいいのではないでしょうか。
  32. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 在外投票公館投票在外公館に出向きまして公館で投票するというのが原則でございまして、国内と同じように、その公館の投票所に行って投票用紙をいただくということになっております。  したがいまして、今の投票用紙を交付をするときに公報を一緒に配ったらどうかということにつきましては、ちょっと対応が困難ではないかというふうに思っておるところでございます。
  33. 河野太郎

    河野(太)委員 今公館での投票が原則であるということでございますが、公館投票ができない部分は郵便投票になると伺っております。公館での投票郵便投票の割合はどの程度になるのでございましょうか。
  34. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 政令で、郵便投票ができるものとしていかなる規定を置くかということによりますが、まだ細部を固めておりませんので、現段階で明確な数字を申し上げることはできません。  検討の主体になりますのは、やはり各公館がどういう実情にあるのか。公館での投票が可能かどうかということは、私どもよりも外務省の方が専門的に把握ができる立場にございますので、私どもから明確な答弁をさせていただくことは避けさせていただきたいと思います。
  35. 河野太郎

    河野(太)委員 今の件について、外務省の御意見もお伺いしたいと思います。
  36. 庄司隆一

    ○庄司説明員 今回の法案在外公館投票が原則でございますけれども、その例外といたしまして郵便投票が認められるということになってはございます。  いかなる者が郵便投票を行えるか、この仕分けにつきましては、先ほど御答弁もございましたけれども在留邦人の数、治安状況、または投票所のスペース等、これを勘案して決めていくことになっております。  これらの点につきまして、個々の公館の事情、これを調査しておる段階ではございますけれども、まだ詰める点が残っておるという状況でございまして、今ここで確定的な数字を申し上げるのは、我々にとって、事務という関係上いささか時期が早いかなという段階でございますので、御了承いただければと思います。
  37. 河野太郎

    河野(太)委員 原則在外公館における投票だという以上、その割合は、例えば九対一とか八対二なんだろうと思います。これが五対五に、あるいは郵便投票の方が多くなれば、原則在外公館における投票ではないと思いますが、原則在外公館における投票という以上、郵便投票の割合は大体どの程度以下で原則ということになるんでしょうか。
  38. 庄司隆一

    ○庄司説明員 今の検討状況の現状でございますけれども、確定的な数字はまだ出てないというお話を申し上げました。しかしながら、現在までの検討の現状、これをかいつまんでお話しいたしますと、公館数におきまして、百七十強の公館がございますけれども、そのうちの郵便投票になるであろう公館、これは五十公館以下に絞られてくる、こう思っております。  その際の、これは在留邦人数、特に長期滞在者数をベースに、それではそういうときに、在外公館投票、それから郵便投票の割合がどうなるかと申しますと、これも大まかな現在の数字ということではございますけれども在外公館投票、これが約三五%、郵便投票が六五%と見込んでおります。  ただ、原則在外公館投票という考え方であるというわけでございますけれども、一言つけ加えさせていただきたいのは、この郵便投票を行う地域におられる方々においても、近隣の在外公館投票を行っている公館において在外公館投票を行うこともできるというシステムにはなってございます。
  39. 河野太郎

    河野(太)委員 どの程度の割合になるのか非常にあやふやな段階で、どちらが原則だと言うのは少しおかしいのではないか。数字をきちんと把握した上文こっちが原則でこっちが例外だと言うならばわかりますが、何か無理やりこじつけをしているような気がいたします。  郵便投票が六五%程度という、仮の数字だろうとは思いますが、ということでございますが、郵便投票というのは必ずしも一〇〇%保証がされていない、不正の可能性がある。かつての日本国内における選挙制度でも郵便投票による不正があったと聞いておりますが、その六五%の郵便投票による不正をどう防ぐのか。不正が行われたとすれば、何らかの方法でわかるのか。それとも、もうそこはある程度仕方がないということなのか。そのあたりの自治省のお考えをお伺いしたいと思います。
  40. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 先ほど在外公館が原則で郵便投票が例外だというお話を申し上げましたが、これは数がどうかということではなくて、物の考え方としてそういう考え方に立っているということでございます。  今回御提案を申し上げております法案は、五十九年の政府提案をベースにいたしております。五十九年法案におきましては、在外公館投票のみでございました。しかしながら、新しく法案を再検討するに当たりまして、在外邦人の数が非常にふえているということで……(河野(太)委員質問に答えてください。時間がないんだから」と呼ぶ)わかりました。失礼いたしました。そういう考え方に立っております。  それから、郵便投票でございますが、今お話がございましたように、郵便投票は過去に不正の温床になったというような批判のもとに一たん廃止をされて、四十九年に一部復活をいたしております。  今回は、郵便投票をせざるを得ない地域がある、それはやむを得ないという前提に立ちまして、在外選挙人証というものを交付をいたしますが、投票用紙の請求をしていただきますときに、その在外選挙人証を一緒に入れて請求をしていただきます。そして、投票用紙を交付したということをその在外選挙人証に記入をいたします。そして、実際に投票用紙を送ってまいりましたならば、外封筒に署名をしていただくようにしておりまして、この署名と在外選挙人名簿登録のときの署名、これを照合しながら本人であるかどうかを確認をする。そういうことで不正の防止を図っていきたいというふうに考えているところでございます。
  41. 河野太郎

    河野(太)委員 一〇〇%不正が防げるかどうかわかりませんが、できる限りの最善を尽くしていただきたいと思います。  海外郵便投票あるいは在外公館における投票というのもございますが、日本国内でもそろそろ、指定された投票所に出向いて投票をするという制度が本当にこのままでいいのか、現在の低投票率を考えると、もう少し別なやり方を考え時代に来ているのではないかと思います。在外邦人投票にしても、あるいは日本国内の新しい投票方法考えるにしても、電子的な形での投票というのをそろそろ考える時期に来ているのではないか。あるいは、選挙公報を電子的な形で閲覧ができるような状態をつくっておく必要があるのではないかと思いますが、電子投票に関する制度上あるいは技術上の研究というのは、今自治省でどの程度行われているのか。もし行われていれば、お答えをいただきたいと思います。
  42. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 自治省におきましては、これまで投開票事務の電子機器利用の可能性及びそのメリットや課題の把握に努めてまいっておりますし、また諸外国状況等につきましても情報収集を行っているところでございます。  電子投票につきましては、ただいまお話ございましたように、理想的な姿とすれば、どこでもいつでも投票ができるということで、有権者の利便性の向上、それから選挙理事務の簡素化、さらには投票率の向上等、大きなものが期待できるわけでございまして、将来的には私どももそういうことをにらみながら研究をしていきたいと思っております。ただ、数年に一度の選挙のために電子投票制度を整備をするということになりますと、非常に導入経費、維持経費、多額の費用を要します。それから、ハード、ソフト両面でのトラブルへの対応、セキュリティーをどう考えるかといったように、多くの検討課題がございます。  また、制度導入の前提といたしまして、現在の投票の自書式を記号式に変えるということが大前提となりますし、それから先ほど申しました、どこでもだれでもどこからでも投票できるというような制度をつくりますためには、各市町村の選挙管理委員会選挙人名簿がデータベース化されまして、それが全国の市町村間でネットワークで結ばれる、さらには本人確認というものがICカード等でできるというようなシステムが整備される必要があるわけでございます。これにつきましては、現在自治省におきまして住民基本台帳のネットワークの整備というものの研究を進めまして、実現に向けて努力をいたしております。  これを念頭に置きながら、それをにらみながら、私どももこの電子投票制度というものの研究をさらに進めてまいりたいと考えているところでございます。
  43. 河野太郎

    河野(太)委員 今の御答弁を聞いておりますと、実現はまだまだ先のことのような気がいたしますが、これはいずれ必要になってくることなのではないかと思います。できるだけ研究を進めていっていただきたいと思います。  議員提案政府提案の比較に戻りますと、議員提案の中に第三十条の六に、海外選挙登録をしない場合、その旨、及びしない理由を伝えるという一項がございます。ところが、政府提案の方にはここが欠けているような気がするのですが、これは登録をしない場合に、していないよ、それはどういうことだという理由をきちんと説明をする方が親切である、そういう言葉遣いでいいのかわかりませんが、親切であるような気がいたしますが、政府提案の場合は、登録をしない場合には、これはただしないのか、しないよということを伝えるのか、あるいはその理由まで伝えるのか、そのあたりのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  44. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 登録拒否の理由等につきましては、政令で通知をするように規定を整備したいと考えております。
  45. 河野太郎

    河野(太)委員 片方は法律に書かれていて片方は政令であるというと、選挙人の登録という大変に選挙権につながるものに関する規定を政令でやるよりは法律でやる、この点に関しては議員提案の方がすぐれているような気がいたしますが、なぜ法律に書かず政令でやらなければいかぬのでしょうか。
  46. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 登録に関しましては、政令に対する受任規定を置いておりまして、その中で処理をしたいということでございまして、内容的に新進党・太陽党提案の内容につきまして詳細に存じているわけではございませんけれども、そこのところを特別な意識を持って異なる案にしたということはないわけでございます。
  47. 河野太郎

    河野(太)委員 政府提案でも、登録されない理由をそれでは教えていただけるということだろうと思いますが、別に野党の肩を持つつもりはないのですが、どうも特別な理由もなくそれを法律に書かないというのは、今の日本の役所の、何か必要ないものは出すなみたいな、情報公開に対する非常に後ろ向きな考え方を象徴しているような気がいたします。どうもそういうことに関する意識をやはりきちんと持たないところから、在外邦人に関する選挙権の取り扱いもここまでおくれてきてしまったのではないかな。もう少し必要なものをとにかく有権者に、国民情報を出すのが役所の仕事なんだ、そういう認識をきちんと持っていただいて仕事をやっていただきたいとお願いをいたします。  時間がありませんので最後の質問にさせていただきますが、前回の総選挙でもいろいろ取りざたされましたのが、先ほどの電子投票とも絡みますが、インターネットによる選挙運動について、これはいかぬということになっていたようでございますが、在外邦人に対するアピールをする、あるいは日本国内でもこれは非常に有効な手段の一つであると思います。それがどうも、そうしたインターネットというものがなかった時代に最初に書かれた公職選挙法にそういう規定がないからこれはいかぬというのは、いかがなものかと思います。必要ならば議員立法でやれということなんでございましょうが、自治省は、インターネットを利用した選挙活動につきまして、現在どういうお考えで、どういうお立場でいらっしゃるのか、最後にそこだけお伺いしたいと思います。
  48. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 御案内のように、公職選挙法では人の視覚に訴えるものはすべて文書図画というとらえ方をいたしておりまして、インターネットのホームページなどのコンピューターのディスプレーに表示される画面は、公職選挙法上は文書図画に当たると解せざるを得ないところでございます。一方、公職選挙法では、文書図画による選挙運動につきましては、法で定める一定のものに制限をいたしております。そういうことから、インターネットのホームページを使用して選挙運動を行うことはできないというのが現行公選法の解釈になるわけでございます。  選挙運動の方法につきましては、これまで国会におきましてたび重なる御審議、各党からの御論議の積み重ねの結果、現在の姿になっているわけでございまして、現行法がインターネットというものを想定していたのかどうか。恐らくは想定していなかったのだろうと思いますけれども、これを選挙運動の中にどう位置づけるかということにつきましては、ただいま申し上げましたことから、まずは各党各会派におきまして十分御論議をしていただきたいというふうに考えております。
  49. 河野太郎

    河野(太)委員 どうもありがとうございました。  その問題については、少しこの国会でも取り上げていかなければいけない問題だと思います。一刻も早く与野党協調のもと、在外邦人に関する選挙権、この立法が行われますことをお願いを申し上げて、質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  50. 葉梨信行

    葉梨委員長 次に、遠藤和良君。
  51. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 私は、この在外邦人選挙法案がこうして議論されることは、待望久しかったことであると思います。できれば期待の声にこたえて、よい法案、すばらしい法案をつくりたい、そのための努力はしたいと思うわけでございます。  そこで、自治大臣にお尋ねしますけれども法律というのは、やはり基本的な精神がどういうものであるかということがその法律の品格を決定づけるわけでございますが、私は、この法律をつくるに当たっては、やはり国外にいる日本国籍を持つ方にも、あるいは国内にいる方にも同じ権利を付与する、こういうことが法律の骨格でなければ、いけないと思います。ところが、閣法の方につきましては、本則では確かにそうなっているわけですが、附則を設けまして、当分の間は比例選挙に限る、このようにしているわけですね。  といいますのは、衆議院議員は五百議席あるわけですが、そのうち比例代表というのは二百ですから、結果的には五百分の二百の方の選出をする権利しか与えない、こういう形になりますし、あるいは参議院の方は総数が二百五十二ですから、二百五十二分の百の権利しか海外の方に与えない、こういうふうになりますね。これはやはり憲法に保障された平等の権利あるいは法のもとの平等原則に政府案は真っ向から反する法案ではないのか、こう思います。  今、海外の方が選挙できないからということで違憲訴訟が起こっているわけですが、今法律がないから起こっているわけですね。ところが、今度は法律ができて、閣法のまま通ったとすると、この法律そのものが違憲ではないのか、こういう訴訟が起こる可能性がありますね。この訴訟に対して十分たえ得るのか、こういうことをまず自治大臣に聞きたいと思います。
  52. 上杉光弘

    上杉国務大臣 これは、政府案では比例選挙のみが対象になっておるので法のもとの平等に反するのではないか、それは法的にたえ得るのか、こういうことだと思います。  憲法第十四条は法のもとにおける平等を保障して、さらに第四十四条で、選挙人の資格は法律で定めるとした上で、「但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によって差別してはならない。」と規定をいたしておるわけでございます。憲法第四十四条ただし書きの規定は、およそすべての差別を禁止したものではなく、合理的な理由に基づく差別については許されるものと解されておりまして、現に公職選挙法においても、例えば禁治産者、選挙違反を犯した者等についてはそもそも選挙権を認められておらず、また、一定期間市町村に住所を有することを選挙人名簿登録要件としておることは御承知のとおりでございます。  今回、在外選挙制度を創設することとしたものでございますが、国外における選挙権行使につきましては、国内から遠く離れ、また我が国の主権の及ばない地域における投票でもございますことから、公正、公平、適切な選挙実現するためには、おのずから国内とは異なった方法によらざるを得ないわけでございまして、国外であるがゆえの特殊性が存するところでございます。このような状況のもとで実施される在外選挙におきましては、対象選挙を、当分の間の暫定措置といたしまして、比例代表選挙に限ることとしたところでございます。  憲法上も合理的な理由に基づく制限であれば許容されるものであり、このことをもって憲法に違反するものではない、たえられるというふうに判断をいたしたところでございます。
  53. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 海外に居住することと、それから比例選挙に限るということが合理的な条件、合理的な判断であるというふうに私は思いません。海外にいるということが国内にいるのとは違った状況になることはわかります。しかし、比例選挙と、小選挙区あるいは選挙区の周知徹底に特別の事情の変化があるということは、私は理解できないところでございます。  政府案は、いずれにしても広報は義務づけていないわけですね、法律では。ですから、比例選挙についての広報もやらないわけですよね、基本的には。それであれば小選挙区と比例に差をつける理由はありませんね。何で比例だけは合理的な理由として今選挙ができるけれども、小選挙区あるいは選挙選挙はどういう合理的理由があって当分の間はできないようにするのだ、これはわかりません。全くわかりません。
  54. 上杉光弘

    上杉国務大臣 足らざるところは専門的な事務方から補足をさせますが、先ほどの質問でもお答えいたしましたように、比例選挙だけとしたものは、比例選挙政党名を記載するわけでございます。小選挙区並びに参議院選挙選挙個人名を記載するわけでございまして、個人名等を含めた、政策でありますとか、特に選挙公約やその他のこと等を十分国内在住の皆さんと同じような形で、公平に判断を求めるための広報やその周知徹底をすることは極めて困難な状況があるという判断にも立っておるわけでございまして、ある意味では、比例選挙というものが、政党という意味では海外にもよく知られ、伝わっておるということについては公平、公正さを欠くことが少ない、国内在住の皆さんよりも。私は、そういう判断に立ってそのように申し上げました。
  55. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 それは比例選挙についても言えることでございまして、公示の直前に政党要件さえ満たせば幾らでも新しい政党はつくることはできるわけですね。それも、じゃ本当に知った上で投票するかという話になるわけですよね。そうすると、政党の党名だからということが合理的な理由にはならないのじゃないかと思いますね。  現に、実際に私は、この七月でございましたか、パリで在外邦人投票権を求める運動をされているパリの会長さんにお会いをいたしまして、谷口吉信さんですか、この方にお話を聞いてまいったのですけれども皆さん考えとしては、やはり日本国内国外に住んでいる日本国民にも全く同じ権利を与えている野党案の方が私たち気持ちにかなっている、閣法の方は差別をしている法案である、こういうふうな認識を持っていました。それから、これは選挙したい人が申請する主義になっているわけですから、申請した人は自分の選挙にだれが立候補しているかということは全部わかっています、十分わかっています。それは、小選挙区を含めて比例区も全部情報は自分たちで入手できまずから、御安心ください。かつ、日本の方よりも私たち日本政治に中立、公平な判断ができると理解をしております。正確な政治判断をして投票参加できると思います。こういうふうなこともおっしゃっていました。あるいは、投票率は日本よりもうんと高くなるんじゃないでしょうか。ですから、ぜひ私たち気持ちを十分しんしゃくして、国外にいる方にも国 内にいる方にも全く同一の権利を付与する法案をぜひつくってほしい。こういうことが現地の人たちの声なんですね。  ですから、そういう声から考え合わせると、比例選挙に限るというのはいささかおかしいのではないかという理解を私はしております。どうでしょうか。
  56. 上杉光弘

    上杉国務大臣 そのような御意見海外在住者のお気持ちというのは、私どもも受けとめておるところでございまして、ゆえに、委員がおっしゃるように、海外在住者であろうと国内在住者であろうと、選挙権行使が平等にできるような環境づくりをすることは当然のことでございますが、暫定措置といたしましたのは、とりあえず比例をやらせていただいて、そして、そのような御意向に沿った将来の方向というものを目指すことは一切やぶさかでないことでございまして、委員の御意見、お気持ちと私どもは全く変わらないところでございます。
  57. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 その暫定というのを、法律上は「当分の間、」という表現になっていますけれども、しばしば法律というのは、当分の間が十年も二十年も三十年も五十年も続く場合があるのですね。これは全くおかしいわけでして、今も暫定というお話があったわけですけれども、暫定というのは、五年も十年もは暫定じゃないですよ、これは。一回やって二回やったぐらい、もう次の選挙ぐらいからはという話じゃないと暫定とは言えないと思いますけれども、暫定という意味はどういう意味ですか。
  58. 上杉光弘

    上杉国務大臣 暫定というのは、十分状況を見きわめまして、海外のそういった在住者の御意見等も、まあ、暫定ということをいっかと言われても大変困るわけでございますが、当分の間この経験をさせていただきまして、法的に公平に、海外在住者の皆さんにも国内在住者の皆さんと同じように、これはいろいろ選挙事務のこともございますし、十分周知徹底する、そういう意味での、我々は国内よりか十分知っておるという先ほどの御意見もございましたが、そうではなくて、行政府の責任としては、海外在住者にも同じような広報というか、認識というものをしていただくということも、これも差があってはならないことでありますけれども、現状では、広報活動をそこまですることは、主権の及ばない国に在住しておられる皆さんにすることは、非常に難しい問題である。  また、ヨーロッパあたりは、新聞がある意味ではその日のうちに届きますけれども、そうでない国に在住しておられる方もたくさんあるわけでございまして、そういうこと等も含めて研究の余地ありとしておるところでありまして、当分の間、これはひとつ比例区だけをさせていただきまして、そういう経験を踏まえた上で方向づけをしなければならない、このように考えておることでございます。
  59. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 国内と同じ広報活動をするということは、法律上は何ら義務づけていないわけです。何の条項もないわけですね。  それは、海外にいらっしゃる方も、義務づけてほしいとは言っていないのですよ。それは大変だから結構です、私たちはみずから情報を得ます、それは結構です、こういうふうにおっしゃっているわけですから、それであれば、比例だけの情報を私はみずから得ますという人はいないのであって、すべての選挙情報を私たちはみずから得ますから私たち選挙する権利を与えてくださいという話ですからね。そういうことだと思うのですよ。  ですから、やはり、そういう有権者気持ちが十分反映される選挙制度でなければ選挙制度意味がないわけですね。だから、選挙制度というのは、選ばれる人がつくるのじゃなくて、選ぶ人が自分たちがどういう制度が望ましいかということを要求するわけですから、そちらの立場に立って議論をすべきだ、こう思います。  ですから、ぜひ大臣政治家として、暫定的というのは、一回、二回ぐらいやったら考えます、このぐらいやらなきゃだめよ。
  60. 上杉光弘

    上杉国務大臣 十分経験を踏まえた上で判断をさせていただきたい。おっしゃるように、そういう環境づくりをしていくことに一切やぶさかではありません。委員のお気持ち、御意見も受けとめまして、今後の対応を十分させていただきたいと考えております。
  61. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 それでは、もう一つ、これは閣法にも衆法にも言えるのですけれども対象者に「将来国内住所を定める意思を有する者と認められる者に限る。」という条項があるのですが、私は、これは削除すべきだと思います。その理由は、やはり、国内の方も、国外の方も、法のもとに平等であるという理念からでございます。  先ほど、衆法の方は、削除してもいいというような早々とした意見表明がありましたから聞きませんが、閣法の方でございますが、これは宣誓書か何か、それを出させる、出してもらうということになるのだろうと思うのですが、将来日本の国に帰りますという宣誓書を出すことを義務づけるのであれば、国内の人にも、あなたは将来外国に行きませんという宣誓書をもらわなきゃ、法のもとに平等じゃないですよ。国内の方には何らそういうことは、宣誓書を出してもらっていないのに、何で国外にいる方に宣誓書を出してもらわなければならないのでしょうか。  それから、国外にいる方の気持ちを言いますと、この在外邦人選挙人名簿登録する、申請する、その申請するという意思は、すなわち、日本国籍がある、また日本の国の選挙にぜひ投票をしたい、こういう意思があるということ自体が帰国するという意思があることであって、何で形式的に誓約書をとらされなきゃいけないの、こういうのがあるのですが、いかがでしょう。
  62. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 将来国内住所を定める意思を有する者に限るといたしましたのは、先ほど来御議論があり、御説明を申し上げたとおりでございますが、その意思があるかどうかの判断で、客観的な証拠がある場合はよろしゅうございますけれども、主観の話でございますので、なかなか困難な要素があるわけでございます。その手法といたしまして、宣誓書を出していただく。宣誓書をもって一般には将来国内住所を定める意思ありというふうに認定をしていきたいというふうに考えているところでございます。  もちろん、在外選挙人名簿への登録をするという方々は、それは、国内政治等に関心がおありであり、ほとんどの方は将来国内に帰りたいという意思をお持ちであろうということは言えるかもしれませんけれども、必ずしも帰る意思ありという方々とイコールではないというふうに考えております。
  63. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 これは大臣にぜひ答えてほしいのですけれども日本の国に帰るという意思を確認する、確認が宣誓書でとれない人は選挙権を与えないというのは、私はおかしいと思うのですよ。それは、日本国籍があればそれで十分じゃないですか。日本国籍があるということは、今も日本国民であるし、将来も日本に帰るという気持ちがあるからこそ日本国籍を持っているわけですよ、何年住んでいても。長く住めば住むほど日本が恋しくなると言っていますよ、みんな。それだけで十分だと思うのですよ。それを、さらに誓約書がなければだめなんだというようなことを言ったら、日本の国というのは昔から変わらない官僚国家だなということになりますよ。  これは政治家の判断として、一々そんな細かい宣誓書なんか必要ないようにします、そういうふうにしますと言ってくださいよ。
  64. 上杉光弘

    上杉国務大臣 実は、このことは非常に、事務方が作業するときに相当検討したようでございまして、在外の自国民の範囲についての諸外国の例等も参考にしたようでございます。  一つは、制限を設けていない国がございます。アメリカとフランスでございます。それから、一定の海外滞在期間により制限を設けている国がイギリスでございまして、海外滞在二十年以内の者、それからドイツは、十年を超えない者といたしております。それから、帰国意思により制限している国がオーストラリアで、三年以内に帰国意思のある者、それからカナダは、海外滞在が五年を超えない者でかつ帰国意思のある者、こうしておるわけでございまして、一番近いというオーストラリア、カナダ等の例も参考にさせていただいた上でこういう方向になった、私は、条文をつくる上でこういうことになったんじゃないかというふうに考えておるわけでございます。在外選挙においては、将来国内住所を定める意思を有しない者は、その意思を有する者に比べまして日本国政との関係が非常に薄く、したがって、一般的には日本国政への関心も薄く、その意思が続く限りにおいては我が国の国内における施策の影響をほとんど受けないと考えられる、こういう理由づけがしてあるわけでございます。  在外選挙対象範囲を将来国内住所を定める意思のある者に限ることとしたものでございまして、憲法上もいろいろの見方、御意見もあると思うのでございますが、合理的な理由に基づく制限であれば許容されるものではないか、対象者を限定すること及び帰国意思の証明の一つとして宣誓書提出を求めることといたしたわけでございます。  なお、諸外国の例については先ほど申し上げたわけでございますが、しかしこういうことはいたしておりましても、何度か経験をするうちに、選挙権行使していただくということについては、これは平等性をあくまで求めていかなければいかぬわけでございますから、そういう意味での対応というものは、これは弾力的に対応していかなければならないものと私は認識をいたしておるわけでございます。
  65. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 今フランスの例がありましたけれども、確かにフランスは国籍だけですね。それからさらに言っていましたけれども海外の方が国内の方と同じ権利行使するために、国内にいる人よりもっとやりやすくしております、むしろ海外の方にやりやすくしています。そういうふうな配慮をフランスの国はしておりましたですね。例えば、どこで投票できるか、投票する場所、名簿を置く場所の話ですね。最終居住地あるいは本籍ということばかりじゃなくて、自分の親戚がいるところとか尊属がいるところだとか卑属がいるところだとか、あるいは税金を納めていたところだとか、そういうところでも自由に自分の意思で選択できるというふうに、海外の人の意思を尊重して、国内にいる人よりもさらにフレキシブルに対応をしております、こういうふうに言っておりました。これも参考になると思いますものですから、ぜひここの項目については、こんな理屈の世界じゃなくて政治的な判断の世界ですから、海外の方が、いい法律ができた、非常に人格の香り高い法律である、こういうふうな評価が得られる法律にぜひしていただきたいと思います。  それから、郵便投票の話ですけれども政府案の方は、在外公館投票が困難な地域として別に定める地域というふうに言っているわけですね。政令で定めるということでしょう。衆法の方は、在外公館の所在地から遠隔地国外住所を有すること、その他政令で定める事由のあるものの投票というふうにある程度明確になっているわけですが、閣法の方で、例えば在外公館単位に、この在外公館在外公館投票にします、この在外公館はすべて郵便投票にします、こういう選択しかないのか。もっと違った選択ですね、例えば大きな地域を抱える在外公館については、近いところは在外公館投票ですけれども遠隔地のところは郵便投票をいたします、こういうふうな定め方もできるのかどうか。政令の中身の問題ですけれども遠隔地ということが理由で、その在外公館の地域の人たち在外公館投票が原則だけれども、この地域については郵便投票もできますよ、同一の在外公館の中でもそういう選択があるのかどうか、これを確認します。
  66. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 投票の方式につきましては、原則として在外公館投票という考え方でございまして、しかしながら、邦人の数が非常に多くて公館での対応が困難な地域あるいは公館投票を行うと治安上の問題が危惧される地域、こういう地域につきましては郵便投票をしていただくという考え方でございまして、一つの公館の区域を遠隔地である等の理由によって区分をするという考え方は現在持っておりません。
  67. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 そうすると、同一公館の中は、ここの公館の中はすべて公館投票です、あるいは別のこちらの方の地域については遠隔地を含むので、近くの人も含めて全部郵便投票にします、こういうふうな話ですか。
  68. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 管轄する領事官の単位で分けるということでございますが、ただ、郵便投票管轄する領事官の区域に住所を有する方は、他の領事館に行って公館投票することは可能でございます。
  69. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 私は、領事館もかなり広いですから、同一の領事館の中でも、その近くの方は在外公館投票はできます、来てください、しかし、ここの地域については遠いですから郵便投票できますよというふうな、そのぐらいの弾力的な政令でもいいのではないか。そうすると衆法の精神も政令の中に生かされるわけですね。これについて、政令に委任する話ですから、大臣、どういう気持ちかちょっと確認します。
  70. 上杉光弘

    上杉国務大臣 お答えいたします。  郵便投票ができるものの範囲については自治省、外務省の両省で引き続き検討することといたしておりますが、公館投票を行うこととする在外公館につきましては、遠隔な地域に限って郵便投票ができるようにすることについては、遠隔地の具体的な線引きが困難であるなどの課題がございまして、現段階においては予定をいたしていないところでございます。
  71. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 法律に書いてあることはそのとおり書いてあるんですけれども、実際は運用に当たっては政令で決める、これから決めるわけでございますから、やはり今衆法の方でいろいろ議論されて、遠隔地の方は、要するに投票に行く人たち気持ちというものが一番この選挙制度では大事じゃないのか、こういう議論なんですね。ですから、そういうことも郵便投票の一つの政令に定める事項に含めてもいいのではないかというふうな話があると思うんですね。ですから、これから審議をして、もう少し海外に住む有権者方々気持ちというものも、今後参考人質疑等々ありますから十分に審議をして、よりよい法案になるように努力をしたいと思います。  以上で質問を終わります。
  72. 葉梨信行

    葉梨委員長 次に、武山百合子君。
  73. 武山百合子

    ○武山委員 新進党の武山百合子です。  実は私、政治の世界に入る前に、一九七三年から九三年まで二十年間アメリカに生活しておりまして、二十年間私は、日本国内はもちろん、選挙参加しなかったわけですけれども、このたび、このようにきょう本格的に議論が始まったということは、大変私自身うれしく、また、海外に住んでいる皆さんも本当に大きな喜びであると思います。  それで、具体的な中身について質問したいと思います。  確認という意味なのですけれども、この被登録資格という点で、二十歳以上の日本国民ということですけれども、これは、永住者、また二重国籍を持っている方がいるわけですけれども永住者については自治省はどのように考えておりますでしょうか。確認という意味でお聞きしたいと思います。
  74. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 帰国意思のある者に限ることにいたしておりますが、永住者であることをもって帰国意思なしというような判断をすることは考えておりません。
  75. 武山百合子

    ○武山委員 それでは、先ほどの遠藤議員の話と重なりますけれども帰国意思があるかどうかという宣誓書をとってということですけれども、例えば、五年、十年海外に生活してしまった、最初は、登録のときには帰国意思がありますと、そういう場合は、先ほど自治大臣からカナダやオーストラリアに近いのじゃないかということですけれども日本は資源がありませんので、資源を買ってそして製品に変えて海外に売るということ、貿易立国ですので、海外に駐在したり、そしてそれに伴う仕事をしていらっしゃる方、たくさんいるわけなんですよね。  それで、ニューヨークエリア、すなわちグレーダーニューヨークというところには、現実にニューヨークの総領事館に在留邦人届を出している数、約七万人いるとも言われているわけなんですね。それだけ多いわけなんですけれども、そういう方々の何年にも及ぶ永住者対象に入るのでしょうか。
  76. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 帰国意思判断の手法といたしまして、客観的な事実がある場合は別といたしまして、宣誓書を出していただくということでございますが、宣誓書を出していただければ、特定の場合を除きまして、帰国意思ありと推定をするという取り扱いを考えております。  それで、特定の場合というのは一体どういうことかといいますと、二重国籍者で、今の在住地の国籍を取得後一度も日本に住んだことのない方、こういう方々については、逆に、私は帰国意思があるということを反証していただかない限り帰国意思がないものと推定をするというような取り扱いを考えているところでございまして、極めてごく少数の方になるだろうというふうに思っております。
  77. 武山百合子

    ○武山委員 それでは、二重国籍の者について今お話が出ましたので、それについてもう少し詳しくお聞きしたいと思います。  実は、私の息子も二重国籍なんですけれども、今二十三歳なんですけれども、もし二重国籍の者が、現在は海外に生活していたとしますね。その者が将来二十五歳なり三十歳なりに帰ってきた場合、そのとき日本国籍も有しているわけですよね、そういう場合は、選挙権は、もちろん国内選挙できるということなんでしょうか。
  78. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 二重国籍の方でも、国内帰国をされた方は国籍は一つになると思いますが、いずれにいたしましても、国内帰国をされた方は日本国選挙権行使できるということでございます。
  79. 武山百合子

    ○武山委員 そうしますと、繰り返しますけれども海外に生活していて二重国籍の者はできないということですね、日本人であっても。海外に生活している場合、二重国籍の者にはこの被登録資格はないという意味ですか。
  80. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 二重国籍者だから今回の選挙権がないということではございませんで、二重国籍者のうち、その国の国籍を取得後、日本国内住所を有したことがない方は、帰国意思がないと推定をいたします。ただし、そういう方でも、いや私は今二重国籍でこれまで一回も日本に帰ったことはないけれども今後必ず帰るんだということの反証があれば、また帰国意思ありというふうにみなすということでございます。
  81. 武山百合子

    ○武山委員 どうもありがとうございます。  それでは、細かい点をちょっとお聞きしたいと思います。  この名簿登録の手続の方法ですけれども、わかりやすくぜひ説明していただきたいと思います。例えば、パスポートだけで総領事館で手続ができるのか、それとも、既存の概念ですと、複雑に、住民票だとかいろいろな書類を整えてその手続をするのか、その辺の手続の方法を簡潔に述べていただきたいと思います。
  82. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 在外選挙人名簿登録申請は、申請者の住所管轄する領事官を経由いたしまして、そこに出向きまして、原則としまして最終住所地の市町村の選挙管理委員会に対して行うわけでございます。その際の提出書類といたしましては、申請書、それから、先ほど申しました帰国意思を有する旨の宣誓書、旅券その他本人の確認ができる公の書類、それから、例えば在留証明書など領事官管轄区域内に引き続き三カ月以上住所を有することを証する書類といったようなものを出していただきまして、確かにその方が登録資格を有するかどうかということを判断していくということになるわけでございます。
  83. 武山百合子

    ○武山委員 そうしますと、パスポートだけでもう申請できるようなお話ですけれども、その在外公館申請書類は備えつけてあるという意味に解釈してよろしいのでしょうか。
  84. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 申請書類や宣誓書は備えつけてあるわけでございますが、パスポートは、これは本人であるかどうかを確認するために必要な資料の一つということでございます。そのほか、その領事官管轄区域内に三カ月以上住所を有しているということを証明するに足る書類が必要でございます。例えば、在留届というものを三カ月たったら大使館に出すようになっているかと思いますが、それを持ってきていただくとか、あるいは、引き続き三カ月前からそのアパートを賃貸している、契約しているとか、そういうような書類を出していただくということになります。
  85. 武山百合子

    ○武山委員 それでは、投票の手続の方なんですけれども、今のお話で、登録が済みまして、在外選挙人証というものをもらうわけですけれども在外公館投票を行う場合と郵便投票という二つが考えられているわけです。先ほど、大きな在外公館、すなわちそこに住人が多いところですね、特にグレーダーニューヨークのようなところは郵便投票ということです。在外公館一館だけを視点に置いた発想なんですけれども、実は、グレーダーニューヨークには、例えば補習授業校とか日本人学校とかがあるわけなんです。そういうところが投票所ということも考えられると思うのですよ。ですから、そういう点、現実にその在外公館一つだけではなく、日本人学校及び補習授業校が何校もあるはずですので、たしか十校近くあると思いますので、そういう点も外務省と検討していただけたら、もっとじかに投票ができるのではなかろうかと思います。それから郵便投票のいろいろな弊害も片づくんじゃないかなと思いますけれども、その点どう思いますでしょうか。
  86. 庄司隆一

    ○庄司説明員 複数投票場所を設けられないかという御質問でございましたけれども、基本的な考え方は次のとおりでございます。  投票行為、これは、国家主権の行使と言っていいものでございまして、その円滑な実施を保障するため、不可侵権等、外交、領事特権及び免除の反射的利益を享受する大使館ないし総領事館、こういう事務所または公邸を投票場所として利用するのが適当だ、こう考えております。御指摘の補習校等を利用してはいかがだろうかということがございましたけれども、こういうような日本人学校等の民間施設の利用は現在考えておりません。
  87. 武山百合子

    ○武山委員 フレキシブルに選択肢が多い方がいいわけでして、将来、ぜひその点お考えになっていただきたいと思います。民間といいましても、政府が援助している、文部省が支援している学校ですので、それは考える視野に当然入ると思いますので、余り固守しないで、幅広く将来考えていただきたいと思います。  それからもう一点、手続上、海外に転勤をしておりまして、例えばある国に十年、そして急にまた別な国に十年という場合は、もちろん選挙人名簿登録をもう一回し直さなきゃいけないということになりますでしょうか。その点ちょっとお答えいただきたいと思います。
  88. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 在外選挙人名簿登録要件でございます当該領事官管轄区域内に引き続き三カ月以上住所を有するということは、登録のときの要件でございまして、登録を継続する要件という位置づけはしておりません。  したがいまして、一般には、住むところを変わられましても、その都度また申請をし直すという必要はございません。ただし、公館投票の区域から郵便投票領事官の区域に移動されたという場合は、郵便投票という新たな投票方式を認めるという手続をとらなければいけませんので、その場合は再度申請をしていただくということになります。
  89. 武山百合子

    ○武山委員 はい、わかりました。  それから、政府案と新進・太陽党両案の縦覧というところでちょっとお聞きしたいのですけれども、これは毎年四回縦覧が自由にできるということですけれども、これはだれでも自由にできるという意味に解釈してよろしいんでしょうか、日本国民であればだれでも自由に。それで広報は、どういうふうにして知らせてくださるのかどうか、その辺ちょっと詳しく聞きたいと思います。
  90. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 在外選挙人名簿につきましては、毎年四回及び衆参の比例代表選挙が行われる際に、政令で定める期間名簿登録地の市町村において縦覧をするということにいたしておりまして、これはもちろんどなたでもそれを見ることはできるということでございます。
  91. 武山百合子

    ○武山委員 それはどのように周知徹底を海外の人にも日本の人にもするのでしょうか。市町村でするのでしょうか。
  92. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 政令で縦覧の期間は定めることにいたしておりますので、それをもって皆さんにはわかるというふうに考えておるところでございます。  なお、この縦覧の趣旨は、在外選挙人名簿正確性を期するということでございまして、そこに載っている方が、実はこの町の最終住所地には住んでなかった人なのにここの選挙人名簿に載っているのはおかしいではないかといったような相互監視的な役割を持たせているというものでございます。  なお、外国に在住されている方々につきましては、もちろん国内にお帰りになった際には、たまたまその縦覧期間に当たっていれば見ることは可能なのでございますが、在外公館ではこの在外選挙人名簿の縦覧というものは考えておりません。ただ、名簿登録の抄本を、ちょっと正確に今出てこないのですけれども在外公館に、管轄区域内の住民の方がどこの選挙人名簿登録されているかというものは、在外公館選挙人証の受け渡し簿と呼んでおりますが、受け渡し簿の抄本を備えてもらうことにしまして、それを閲覧に供するという形を考えておるところでございます。
  93. 武山百合子

    ○武山委員 たしか五年以上海外に住んで将来帰国意思のある者は本籍地に登録するということになっておったと思いますけれども、本籍地になりますと、住んでないという方が必ずいるわけですね、戸籍謄本、抄本がある本籍地になりますので。そうしますと、縦覧をしたときに、この人は住んでないと言われても、実際に住んでない可能性もあるわけですね。今本籍地はどこにでも移動できるわけですよ。それでもいいという意味ですね、どこでもという。
  94. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 在外選挙人名簿登録市町村は原則として最終住所地ということにしておりますが、最終住所地に住民票が残っていない方々がおられますので、あるいはそもそも住民票がなかった方々がおられますので、そういう方々は本籍地を登録地にするということにいたしておりますが、本籍地は選択可能、登録変更可能ということでもありますし、そもそも居住していたかどうかというようなことは要件にもなっていないわけでございますので、本籍地がどこかということをもちまして第三者が選挙人名簿の正当性、正確性を争うということはできないということでございまして、本籍地登録の場合の本籍がどこかということは縦覧の対象からは外すという考え方に立っております。
  95. 武山百合子

    ○武山委員 じゃ、今縦覧の対象から本籍地は外すということの確認ができましたけれども、今本籍地はたしか国内どこにでも指定できるはずですね。例えば、極端な話が、富士山のてっぺんなり、本当に眺めのいいところ、海沿いがいいとかそれぞれ選択肢がふえたわけですけれども、それは今もう確認事項ということで、対象としないということですね。それで、やはり最終住所地を対象とするということでそれは確認できましたので、ありがとうございます。  それから、国外における不在者投票についてお聞きしたいと思いますけれども議員提案の方の国外における不在者投票をぜひわかりやすく説明していただきたいと思います。  国外における不在者投票について、閣法の方はなしなんですね。これは認めませんという意味ですね。議員提案の方は認めますということなんですけれども、これをちょっと簡潔に説明していただきたいと思います。
  96. 倉田栄喜

    倉田議員 今委員御指摘のように、閣法ではこの制度は設けてございませんが、私どもの衆法では国内選挙人名簿に基づく海外不在者投票制度というのを設けてございます。  それは、例えば選挙当日、国外住所に、海外住所は移転をされておられる、しかし海外住所を移した者で三カ月経過するまでは在外選挙人名簿登録はされていない。そのために在外選挙人資格名簿による投票はできないわけでございますけれども国内の方においては当然選挙人名簿に載っているわけでございます。そのために、この制度に基づく海外選挙人名簿に基づいての投票はできませんけれども国内選挙人名簿には残っているわけでございますので、その名簿に基づいて投票ができると考えましたので、国内選挙人名簿に基づく海外不在者投票を設ける、こういうことにいたしました。
  97. 武山百合子

    ○武山委員 ありがとうございます。閣法の方は認めないということなんですけれども、今、海外に旅行する人が大変多いわけですね。将来はどういうふうに考えておりますでしょうか、自治大臣
  98. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 ただいま倉田先生からお話のありましたように、まだ在外選挙人名簿登録要件を満たしていない方もそうでございますが、さらには今お話ございましたように、海外出張とかあるいは短期留学とかといったような方々につきまして、国内選挙人名簿登録をされている、在外選挙人名簿には登録されていないけれども国内登録されている、そういう方々海外での不在者投票制度を設けるべきであるということにつきましては、これは投票機会の拡充等の観点から、意義のあることだというふうに認識はいたしております。  ただ、そういうことをやろうといたしますと、そういう国外における不在者投票制度を設けるということにいたしました場合には、その方が選挙人名簿登録されている方であるかどうか、また本人であるかどうかというようなことを照合する新たなシステムというものもつくらなければならないだろう。非常に複雑な制度にもなりますし、在外公館等の体制等がそれに可能であるのかどうか、こういう検討課題が非常に多いというふうに認識をしているところでございます。
  99. 武山百合子

    ○武山委員 海外に出る方々が大変ふえておりますので、将来は在外公館選挙人名簿の拡充をもちろん図りながら、ぜひそういうことも視野に入れてやっていただけるような日本政治になればいいなと期待しております。  それからもう一つ、先ほどの郵便投票の手続なんですけれども自治省に、詳しく簡潔に郵便投票の手続をお話しいただきたいと思います。
  100. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 郵便投票が行える方は、在外選挙人名簿登録地の市町村選挙管理委員会投票用紙の請求をまずいたしまして、その投票用紙の請求をする際には、在外選挙人証を提示して請求をいたしまして、投票用紙を受け取りまして後、投票用紙投票すべき政党名等を書きまして、それを封に入れましてそこに署名をし、そして投票用紙在中という表示をいたしまして、それからまた別の外封筒にそれを入れまして、それを登録地の市町村の選挙管理委員会にお送りをするということになるわけでございます。
  101. 武山百合子

    ○武山委員 その投票用紙というのは、在外公館で受け取れるのでしょうか。自分で申請して送っていただくのですか。
  102. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 これは在外公館投票ではなくて郵便投票にする理由というのが、先ほど申し上げましたように、邦人の数が多くて公館での対応等が困難ということをその理由といたしますことからも明らかなように、郵便投票による投票用紙の請求も郵便によって行う。公館に出向くことなく郵便によって行うという考え方でございます。
  103. 武山百合子

    ○武山委員 そうしますと、確認の意味でもう一度お聞きしたいと思いますけれども、被登録は、パスポートを持って在外公館へ行って登録していただいて、郵便投票をする場合は、みずから自分のいわゆる最終市町村に請求をするということですね。そのときに、在外選挙人証を同封して請求するという意味ですか。そうしますと、かなりの時間がかかるわけですね。海外から選挙行使したい方はどのぐらいの日数を要して準備に取りかかって、そしてそれを得て投票できる期間というのはどのくらいを要しておりますでしょうか。
  104. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 それぞれの各国の郵便事情によるわけでございますが、公館投票の場合ですと、郵便事情を考慮しまして、原則として投票日の五日前までに在外公館投票を済ますようにいたしております。原則としてでございますので、国によりましては別途もうちょっと早くしてもらわなければならない公館もあるいはあるかもしれませんが、そういう考え方に立っております。だから、それぞれの事情によりますけれども投票用紙のやりとり、それから投票用紙の送付ということでございますので、相当期間がかかるということは御指摘のとおりでございます。ただ、選挙の告示の前から投票用紙の請求はできるというふうに考えておるところでございます。
  105. 武山百合子

    ○武山委員 そうしますと、遠隔地の者はまず在外公館に出向いていって一日がかりになるわけです。それから、いわゆる在外選挙人証を同封して日本へ送るわけですね。それで大体三、四日かかりますね。五日ぐらいかかったとしまして、それでまたそちらから四、五日かかって戻ってくるわけですね。それで十日ぐらいになりますね。それで、そこで書いて、そして送るわけですね。そうしますと、やはり二週間というような形ですね。はい、わかりました。  初めての試みで、一歩踏み出してみるというのが私の考えでもあったわけですけれども、なるべく煩雑な手続を簡潔にしていただいて、時間的にも短く、それでおのおのの在留邦人選挙行使できるということが、やはり現実的に行われている国々があるわけですから、ぜひそういう方向でやっていただきたいと思います。私たち、ぜひともこれを上げて、一日も早く皆さん行使をできるような環境づくりをしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  どうもありがとうございました。
  106. 葉梨信行

    葉梨委員長 次に、山本譲司君。
  107. 山本譲司

    ○山本(譲)委員 民主党の山本でございます。  先ほど来の質問となるべく重複をしないように心がけて、したがいまして、やや細かいところに触れることになるかもしれませんが、早速質問に入らせていただきたいと思います。  今月の四日に行われましたアメリカのテキサス州のヒューストンの市長選挙におきまして、ロシアの宇宙ステーションのミール、このミールに搭乗中のアメリカ人の宇宙飛行士が、史上初めて宇宙から一票を投じたというような報道を目にいたしました。このニュースに接しまして、私は、大変画期的な、すばらしい出来事だと感心をすると同時に、技術的にできないことというのは決してないのだという思い、また、それと同時に、このことと比べまして、主要先進国の中ではほぼ唯一在外選挙すら行っていない、いわば世界の常識である制度のない我が国の現状を大変情けなく感じた次第でございます。  もっとも、日本の場合は、鎖国が解かれたのが百三十年ほど前で、そして選挙そのものが導入をされたのが百年ぐらい前。この当時は当然限定選挙でありまして、直接国税が幾ら以上でありますとか、男性に限るとか、そういった中で、有権者数は五十万人程度だと言われております。その後、何度か制度改正がありまして、今や九千万人以上の方が有権者ということになりました。  しかし、そんな中でも、また国際化時代の今ですら、何十万と言われる在外邦人の方、本来選挙権を持っている、有権者であるべき方に選挙権がないという状況でございまして、これではせっかくこれまで選挙制度、大変開放してきた中で画竜点睛を欠くと言わざるを得ないのではないかと思います。ぜひ一刻もちゅうちょすることなくこの在外邦人選挙制度を成立させていきたいという決意を、私ども民主党としてもぜひ積極的に取り組んでいきたいという決意をまず申し上げたいと思います。  この間、在外選挙制度の問題に関しましては、廃案にはなりましたが昭和五十九年、これは政府提案の在外邦人選挙制度法案、これが提案をされました。その後、政府内あるいは各政党の間、さらには行革審などの場を通じまして具体的な検討をされてきまして、そして本日、初めて二つの法案が実質的な審議に入るわけでございますが、特に議員立法として提案をされました、石井先生外三名提案の公職選挙法の一部を改正する法律案、この関係者に対して、心から敬意を表させていただきたいと思います。  私ども民主党は、国民の参政権というものは当然憲法上保障されている権利でございまして、国内に在住をしている方、海外に在住をしている国民、それぞれ差別なく同等の機会が保障されるということが理想だと思います。したがって、対象選挙区に関しても、比例区及び衆議院でいえば小選挙区、そして参議院の地方区ともども実現をするように望んでいるところであります。また、それと同時に、一方で、国民の代表を選ぶという大きな制度の問題でございます。公正かつ円滑な実行ができるということが、やはりこれも大前提だと思います。  二つの法案を見てみますと、幾つかの大きな違いがございます。その辺の異なった部分を中心に質問をさせていただき、物理的また事務的条件、あるいは妥当性というものを十分検証をさせていただきたいと考えております。  まず、政府提案でございますが、先ほど遠藤理事の方から、在外邦人皆さんからの切実な、投票権を欲しい、当然じゃないか、そういった声が披露されました。今回、政府が提案をされたこの法律を作成、まとめられるに当たりまして、このような在外邦人方々との意見交換を行ったのか、また、行われたとしたら、どのような方法で、どのような方々意見交換を行ったのか、この辺についてまず質問をさせていただきたいと思います。
  108. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 御案内のように、在外選挙制度につきましては、昭和五十九年の四月に政府として法案提出した経緯がございますが、今回の法案もこの五十九年法案をベースにしたところでありますけれども、かねてより、国外に居住する方々や団体の方々から御意見なり御要望が機会あるごとに自治省にも寄せられているところでございまして、最近の事例では、ことしの五月に、海外有権者の、特に在外選挙制度の推進に中心となって動いておられる方々だったと思いますが、インターネットを通じまして、在外投票制度の法制化につきました取り組み状況あるいは実現時期についての見通しなど、御質問あるいは要望が寄せられ、私どももまたインターネットを通じまして御回答を申し上げたところでございます。
  109. 山本譲司

    ○山本(譲)委員 さまざまな意見が寄せられたと思いますが、基本的なスタンスとして、ぜひ投票される立場の側に立って、事務的に困難だからと、主体が執行側にあるのではなくて、投票権を持つそちらの側に立って、この法案をこれから成立させる過程の中で、ぜひ柔軟に対応する部分は柔軟に対応する、そんな姿勢で臨んでいただきたいと考えております。  続きましての質問でございますが、まず、この制度が導入をされる、まあ私はこれは当然近い将来、必ず近々成立をするという確信のもとに質問させていただきますが、制度が導入されても、その制度を多くの方に利用をいただかなくては結局は宝の持ちぐされに終わってしまうわけでありまして、そのためには情報をきちんとお知らせをして、そして対象者に対する周知を徹底して行っていかなくてはならないと思います。  そこで、この周知の問題でございますが、議員提案の中身を見てみますと、選挙が行われる旨の周知領事官ははがきの送付その他選挙人に対し選挙が行われる旨を周知させるよう努めるというくだりがございます。これは具体的にどのようなやり方を想定されているのでしょうか。まず議員提案の方にお伺いいたします。
  110. 倉田栄喜

    倉田議員 お答えいたします。  今回の改正法の二百六十九の三において、当該領事官管轄区域内に住所を有する者のうち政令で定めるものについては、はがきによって周知をさせる、こういうふうにいたしております。  そこで、この「政令で定めるもの」ということでございますけれども、これは、旅券法十六条による滞在の届け出を出している者、郵便投票の手続をした者、さらに在外選挙人名簿への登録申請領事官を経由して行った者であって申請住所等を例えば移転したことが明らかでない人、こういう人たちを予定をいたしております。  御指摘の点で、はがきによる周知が困難なのではないかという御疑問もお持ちの上での御質問かとも思いましたけれども、以上申し上げましたとおり、はがきによる周知も十分可能であろう、こういうふうに考えておりますし、また、本条では、はがき以外の方法も予定をいたしておりますので、例えば、在留日本人協会を通じた広報とか、領事館でのポスター掲示等々、そういうことで周知はできる、このように考えております。
  111. 山本譲司

    ○山本(譲)委員 はがきで周知をすること、これに疑問を持っているわけじゃなくて、これはぜひ積極的にやっていただきたいと思いますが、それよりも、この旅券法十六条が厳密に守られているのかどうなのか、そっちの方が心配でございます。  今お話のあったように、旅券法の十六条に基づいて、いわゆる外国住所または居所などを定めて三カ月以上滞在する者は領事官に届け出をしなくてはならない。そういうところに対してはがきを送られるわけで、これは、選挙が行われる旨の通知だけではなくて、こういう制度が成立しましたよ、したがいまして積極的に申請をしましょう、そういう通知も行うということでしょうか。そういう理解でよろしいでしょうか。
  112. 倉田栄喜

    倉田議員 選挙が行われる旨の通知をするということでございます。
  113. 山本譲司

    ○山本(譲)委員 この辺は、政府案についてはどのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。選挙が行われる旨の通知というのは、これは全然法案にないわけですが、これは必要ないとお考えなのでしょうか。
  114. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 海外におきましても同様でございますけれども有権者皆さん選挙期日の周知等を行うことは極めて重要なことだと認識をいたしております。  国内におきましてはいろいろな広報手段がございますし、また、ほとんどの市町村が、投票所入場券という形で各家庭に送付をいたしておりますが、同じように、はがきなどで名簿登録者等に、選挙はこの日にありますということを在外公館で作成をして発送をするということは、各公館の実情から極めて困難であるというふうに私ども聞いておるところでございます。
  115. 山本譲司

    ○山本(譲)委員 それでは、その前の、今議員提案の方に質問させていただいた問題の一つでございますが、ちょっと今のもわからないので後ほど聞きますが、対象者の皆さんに、この制度が成立しました、申請をしてくださいと、それはどういうお知らせになるのですか、どういう周知方法になるのですか。
  116. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 在外選挙制度ができましたら、自治省におきまして、これに関しますパンフレット、ポスター等の広報資料を作成をいたしまして、国外選挙人につきましては在外公館にお送りをし、また、在外公館は、日本人会等も活用をしながら在留邦人方々にその周知を図っていくということを考えておるところでございます。  また、新しく国外に出られる方々につきましては、都道府県のパスポートの発行窓口などにおきましてもこれらの資料を置きまして、その周知を図りたいというふうに考えております。
  117. 山本譲司

    ○山本(譲)委員 では、これは出国時に周知をするような努力をするという理解でよろしいですね。  先ほどちょっと議員提案の方で、対象者に対して、この制度が通りましたから申請をしたらどうかというような、そういう周知もするということだと理解したのですが、その後の答弁では、どうも、選挙が行われる旨の周知に限るようなお話だったものですから、その辺、確認だけお願いします。
  118. 倉田栄喜

    倉田議員 事実上の問題として、こういう制度ができましたよということを広く周知をしなければならないわけでありますけれども、これは、今お答えのように、在外公館の中におけるポスター等々は十分考えなければいけないことでございますが、はがきによってその人のところにこういう制度ができましたよということを通知するところまでは実は予定をいたしておりません。また、直接の目的といたしておりません。  結局、それは、旅券法十六条の在留届け出をしている者が、また極めて少ないのではないか。実際にまず申請をしていただいて、ここに私どもはおりますよということが確定をできないと、そこにはがきの出しようがないという現実的な問題も考えなければいけないということでございます。
  119. 山本譲司

    ○山本(譲)委員 外務省は、この辺、旅券法の十六条で届け出義務がある、これはちょっと、罰則規定もあるのかどうかを含めて、どれぐらい掌握をされているのか、簡単に。
  120. 庄司隆一

    ○庄司説明員 海外に在留する邦人に対しましてその保護、福祉の向上の事務を行うには、まさに邦人の在留状況を把握するということが必要でございます。  こういう観点から御指摘の旅券法第十六条の規定がございますけれども、これは、在留届け出の提出義務を定めてはおりますが、しかし、実際の問題といたしましては、罰則等の措置もございませんで、また、公館に調査権限もない状況でございますので、実際上は在留届の提出が徹底しているとは言えない現状にございます。
  121. 山本譲司

    ○山本(譲)委員 わかりました。果たして制度は成立したけれどもどれほどの方に周知ができるか。まず、やはり私は入口の部分、これをきちっと、何らかの、これは法律になるのかどうか、実現に向けてそれなりに方策というのをしっかりと考えていかなくてはならないなということを痛感をするわけです。  選挙を、実際投票をするという行動に至るまでやはり三段階ぐらいの周知をする機会、入口であります、こういう法律が通りましたよ、ぜひ申請をしてくださいという周知。もう一つが、これは新進、太陽さんの案に入っております、選挙が行われる旨の周知。これもぜひ政府案の方でも考えていただきたいと思います。そして、最後に、先ほど来広報等のお話もございますが、投票判断するための情報、この周知というのが、やはりこれも必要になってくると思います。国内でありますと、選挙公報、当然これはありますし、選挙期間中のポスターあるいは選挙運動用のはがき、これも無償で供与されます。演説会の開催、新聞の広告でありますとか政見放送、選挙カーの運行でありますとか、やはりさまざまな機会があるわけでございますから、なかなか、事務方の皆さんは難しいと言われますが、先ほど大臣は、広報の必要がないとは思わないという御答弁もいただきました。ぜひその実現に向けて努力をしていただきたいと思います。  時間も余りありませんので、次の質問に移らせていただきたいと思います。  政府案によりますと、管轄領事官管轄区域に三カ月以上在住、これが条件になっているわけなんです。これは被登録者の資格でそうなっているわけなんですけれども、その人の住所管轄する領事官管轄区域内に三カ月以上ということになると、その対象在外公館にいない期間、例えば引っ越したとか、三カ月以内の中で、そういった場合は投票権を失うという理解でよろしいでしょうか。
  122. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 三カ月の居住要件登録のときの要件でございまして継続要件ではございませんので、一度登録をされまして後よその領事官の区域内に引っ越しをされたという方もそのまま登録は継続をいたします。
  123. 山本譲司

    ○山本(譲)委員 じゃ、投票権は当然あるということでございますね。それは確認でございます。当然、議員提案の案に関しても多分そういうことだと思います。  ぜひ、先ほど武山理事からお話もありましたように、不在者投票、これですと、日本国民であり、この法案が通っても瞬間的に選挙権がなくなるということがありますので、ぜひ政府案におきましても不在者投票ということをやはり積極的に考えていただきたいと思います。きのう参議院委員会で通過をいたしました投票率アップの法案、この中にも不在者投票の簡素化ということも盛り込まれておりまして、積極的に不在者投票をやっていただこうという流れの中で、不在者投票が抜け落ちているというのはどうもいかがなものかという感じがいたしますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。  続きまして、郵便投票について先ほど話を聞いてみますと、原則公館投票といいながら、どうもその対象者は全体で郵送が六五%で公館投票が三五%ぐらいになるんじゃないかというような試算も報告をされました。郵便投票だとどうも不正があるんじゃないか、そんな指摘もあるかもしれませんが、先ほど来議論を聞いてみますと、かなり署名の照合でありますとか不正を未然に防止する方策もとられるようでございます。六五%、三五%というような数字が出てきているわけですから、今後政令に定めるということでありましょうが、これは一定の、この数字をはじき出したそれなりのルールというのがあると思うんですが、その辺はいかがでしょうか。
  124. 庄司隆一

    ○庄司説明員 政府法案の四十九条の二が御指摘の問題を定めておりますけれども、その際、在外公館投票できるかできないかを決めるに当たりましては、幾つかの要素を勘案しておるという御答弁をしてまいりました。  具体的には、一つは治安の問題でございますけれども、これは例えば今のアルジェリアがそうでございますけれども、安全上重大かつ差し迫った具体的脅威が存在していると認められる地におきましては、投票を円滑かつ安全に実施することが困難ということで除いてございますし、また在留邦人の数でございますが、これは一つは、極端な例ではございますが、ニューヨーク総領事館七万人おります。さらに具体的な、何人程度をでは基準にしているのかという御質問もあったかと思いますが、これに関しましては、国内の類似の投票形態であります不在者投票等の例も参考にしながら、長期滞在者数約一万人というのが一つの目安になるのではないかと考えております。  いずれにしましても、この点につきましてはさらに検討を重ねて決定していく考えでございます。
  125. 山本譲司

    ○山本(譲)委員 なかなかこの辺は難しいとは思うんです。人口だったら何万人以上だとか、紛争ならどういうものだ、著しく投票が困難という、その何を指すのかという意味というのも非常に難しいとは思うんですが、余り不公平感の起きないようなルールづくりをぜひやっていただきたいと思います。  六五%の郵便投票、かなりあれですね、遠隔地だって入ることもあるわけでございますね、その公館のエリアの中で。それよりも近いところでの郵便投票になるんですか、その郵便投票が可能なのに、遠隔地郵便投票が可能じゃないというようなそんなこともあり得るんで、ぜひ不公平にならないようにお願いをいたします。  遠隔地はそもそもこの法案自体に、投票が困難という中に遠隔地は入らないんですね。答弁はよろしいです。入らないんですよね、政府案は。それで、新進、太陽さんの案にはこれは入ってくるわけでございますが、これもなかなか、何が遠隔地なのか、距離なのか交通の便なのか、やはりこれも不公平が生じる可能性もあると思うんですが、その辺の基準というものを、おありでしたらぜひお聞かせいただきたいと思います。
  126. 堀込征雄

    堀込議員 私ども公館投票の困難な事情の内容を政令に委任していますが、御指摘のように、在外公館から遠隔である地域、それからさっきも数字の話がありましたが、日本人がもうたくさんいて事実上その公館でできないというような、事務的に対応できない地域、それから障害者などを予定しているわけでありまして、今御指摘の遠隔である地域が何キロとかなんとかということはないんでありますが、現実にお聞きをしてみますと、在外公館へ行くことがとても遠くてだめだという人も相当おったり、あるいは行くにしては一日がかりで行って、早朝出ていって夜中に帰らなきゃだめだというようなところも現実に相当あるというふうにお聞きをしました。  したがいまして、そういう意味ではできるだけ投票していただく方に選挙参加をしてもらうという趣旨から、そういうものを以後の政令の中で整理をして、できるだけ幅広く受け入れていただきたい、こういう立場で法案に入れたわけでございます。御理解をいただきたいと思います。
  127. 山本譲司

    ○山本(譲)委員 議員提案の案には、基本的に対象者全員参加していただこう、網羅をしていこう、そういう思想のもとにこの遠隔地での郵便投票ということを取り入れられたんだと考えております。私も全く同意見でございます。なるべく選挙機会を平等に持てるようにしていただきたいと考えております。  最後に、先ほど来お話のありました被登録資格における帰国意思の確認についてということでありますが、どうも先ほど来お話を聞いてみますと、非常に柔軟に対応されるというお答えもございました、これは議員提案の方でございますが。そしてまた誓約書が客観的な判断材料に果たしてなるのか。また、よく海外に行かれている私の知人ですとかに聞いてみますと、自由に仕事をするため、ビジネスチャンスを広げるためにやはりそういう立場でいなければならないとか、あるいはまた、その国々によって例えば永住権の付与の基準というものも随分違ってくるわけですね。ぜひこの辺は撤廃をする方向で調整をお願いできればということを最後に申し上げまして、私の質問を終了させていただきます。どうもありがとうございました。
  128. 葉梨信行

    葉梨委員長 次に、東中光雄君。
  129. 東中光雄

    ○東中委員 我が党は、海外在住者の日本国民選挙権について、永住者を含めて選挙権行使の法的保障をとるべきだということをかねてから主張してきておるところであります。  海外に在住する日本国民が、これまで公選法上の規定によって選挙権行使を奪われてきた、憲法上の基本的な権利行使が公選法上奪われるという状態になっておったのですから、これを正すということは当然の課題だと考えております。  それで、選挙権についてでありますが、選挙権は、憲法が保障する国民の基本的な権利であり、国民主権と議会制民主主義の根本をなす最も重要な権利だ、したがって、国民の居住地が国内国外かを問わず選挙権はひとしく保障されなければならないというふうに、これはもう基本的な憲法上の原則だろうと思うのですが、その点について、自治省それから提案者、基本原則をどう思われるのか、承りたいと思います。
  130. 上杉光弘

    上杉国務大臣 お答えいたします。  憲法第十五条では、「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有権利である。」とし、また、公務員選挙につきましては、「成年者による普通選挙を保障する。」とともに、憲法第四十四条では、「両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によって差別してはならない。」と規定しているところでございます。  申すまでもなく、国政選挙は、国民の代表として国権の最高機関たる国会を構成する国会議員を選出する極めて重要な議会制民主主義の根幹をなすものでございまして、国民がこぞって選挙参加できるよう投票の機会の確保を図ることに努めることは極めて重要なことと認識をいたしております。
  131. 石井一

    石井(一)議員 憲法十五条また公選法九条にのっとりましても、これらの権利を付与するということは、もうまことに基本的な原則の問題であり、我が党並びに提案者になりました太陽党、また、古くは、私は自民党の中におりましたときから政治改革を議論いたしてまいりましたが、常にこのことにつきましては前向きに取り組んできたことは確かでございます。ただ、先生御案内のとおり、官僚のサイドで、実施方針に関しまして外務省なり自治省にそれぞれの見解があり、選挙はやはり公正を期さなければいかぬというふうなことから大変時間がかかったということは、大変遺憾なことであります。  数年前、超党派で海外在外邦人意見を聞きにいく機会がございまして、私は団長で、マレーシアとそれからもう一つはシドニーで現地の邦人の声を聞きましたが、皆様方の声というのは大変切実なものであり、外国におられればおられるほど、日本政治はどうしているのか、我々は日本人として日本の旗を掲げながらこの外地でこれだけ汗を流して働いておるというふうな声を聞きましたときに、私は、この問題というのは民主主義の原点にある問題だ、そういうつもりで取り組んでまいったわけでございまして、共産党の皆様も賛意を表されるということに大変敬意を表したい、そういう気持ちであります。
  132. 東中光雄

    ○東中委員 基本的な国民権利だということは、これはもう異論がないわけです。しかも憲法上の基本的な権利なのだと。  ところが、政府案では、対象選挙を当分の間衆参の比例代表選挙に限定した。小選挙区及び選挙選挙は除外をした。これは、原則上の権利を、憲法上の権利をのけるのだから、のける以上は、少なくとも明確な合理的な理由がなかったらやるべきではないのです。当分の間はなんというようなことをやるべき性質の問題ではないと思うのです。その説明は、国外に居住する選挙人へ候補者個人に関する情報を伝達することは極めて困難であることにかんがみ、こう趣旨で言われています。  これは、比例であろうと選挙選挙であろうと、比例選挙候補者名簿登載された候補者名があるわけですから、それを、投票するときには政党名投票するだけですよね。だから、候補者は、名簿登録された人は候補者なのですから、その個人的な情報というのは、これは必要なことは当たり前であります。それから、小選挙区でも、政党のだれそれということで、選挙法上政党中心になるということ、これははっきり今度はうたっているわけですから、政党に入っていない者は立候補できないというわけではないけれども選挙法上はそうなっています。だから、個人的だといっても、それは候補者が個人だというだけであって、やはり政党との関係は一緒です。質的には同じなのです。  それなのに、小選挙区あるいは参議院選挙選挙は、国民の基本的な権利を抑える。これはやはり、全くほんの若干の量的な違いがあるだけで、質的には、候補者は個人なんだから、比例であってもそうでなくても。そういう状態ですから、これはやめるべきだ。そんなものは、いろいろな理屈を言うたってだめですよ。基本的には憲法上の権利だ、十四条が、十五条が、こう言っておって、四十四条まで言って、そしてするっと抜ける、それはよくないと思うのです。その点どうでしょう。
  133. 上杉光弘

    上杉国務大臣 御指摘の点につきましては、前にもお答えをいたしたわけでございますが、小選挙区、参議院選挙区の選出は、あくまでこれは個人の記名で投票を行うこととなっておるわけでございまして、そのような場合に対する候補者の政策でありますとか、あるいは公約はもとよりでございますが、そのような選挙に対する情報というものを伝達をすることは、数の上からも多いわけでございまして、非常に困難性がある、このようなことを勘案をいたしまして、当分の間はということで、比例代表選挙に限って行うこととしたものでございます。  現段階で具体的な目途について申し上げるわけにはまいりませんが、国外への情報伝達の実態やその進展状況、さらには、在外公館等の体制を見ました上で、当然経験したことも十分参考として、次の段階として、衆議院選挙選挙及び参議院選挙選挙実施ということに対してどうするか検討してまいりたいと考えております。
  134. 東中光雄

    ○東中委員 それはもう決まり文句を大臣が言われたっておかしいですよ。基本的な憲法上の原則だと言っておって、それで候補者個人の情報は、比例代表だって個人の情報は必要なんですからね、あれは名簿に載っておるんだから。投票するのは政党名投票するけれども候補者投票するんですからね。だから、政党が当選するんじゃなしに候補者が当選するんですからね。だから個人情報が必要なんですよ。それから、小選挙区の場合でも、これは政党でしょう。政党と離れてということは考えられない状態であります。  それで、選挙公報の配布を考えていないと言うけれども、これはやはりやるべきですよ。それは比例でも必要だし、個人も必要だ。それぐらいのことは、これはもう技術的な問題なんだから、努力する方法考えて、それで両方とも保障すべきである。  ただ、昭和五十九年の在外選挙法案では、参議院選挙選挙、当時は地方区かもしれませんが、その後すぐ選挙選挙になりました、政府案ではちゃんと入っていましたわね。ところが今度は落としちゃった。衆議院が小選挙区になったからといって、参議院選挙選挙は在外のものを落としてしまった。前は政府自治省としてやったことと今度は変えているわけです。だから、やはり憲法上の基本的な原則にかかわるものをやるというときに、全面的に禁止しておるよりは比例だけでも認める方が、それは認めないよりはいいですけれども、しかし、そこのところはちゃんとせにゃいかぬ、そういう便宜的なことをやっちゃいかぬということをはっきり申し上げておきたいと思うのです。何ぼ言っても、同じことを繰り返したってしょうがないですから。これはやはり選挙権に対する基本的な考え方の問題ですからね。  それから、在外選挙人名簿の被登録資格について、これは両法案とも、将来国内住所を定める意思を有すると認められる者ということをわざわざ書いてあるんですが、これはおかしな話なんですね。日本国民選挙権だと言っているんでしょう。国民選挙権行使国外におるからということで制限したらいかぬと言っているのに、将来、現在じゃないですよ、将来日本へ帰ってくるか帰ってこないか、そんなものは関係ないんですよ。そういうものをわざわざ入れるというのは、何か特別に選挙権を与えてやるみたいな感覚があるんじゃないか。基本的な、根本的な国民権利日本国民権利なんですよ、憲法上は。日本に住んでいるとか住んでないとかということを言っているわけじゃないんですから、こういう形で、将来国内住所を定める意思を有すると認められる者ということはやめるべきだというふうに思うわけであります。  この点について、日弁連が見解を出しております。海外における居住期間や永住権の有無によって区別を設けることはできないんだ、それは憲法上の権利だからということを言っています。  それから、海外有権者ネットワークが書いておる海外在住者の投票制度について「我々の主張」というのを見ますと、やはりこの点も、「「帰国意思」を計る基準方法法案に明示されておらず、場合によっては在住先での永住権を取得している人は「帰国意思がない」とみなされかねない、いわゆる「永住者外し」になる」というようなことを文章にしていますね。  こんなもの、永住者であろうが、それは外国、オーストラリアがどうしておろうが、日本国憲法上の十五条とか十四条とか四十四条とかと言っているんですから、そんなものは関係ないわけですから、こういうこそくなことですね。しかも、それでやることといったら、誓約書をとるんやとかとらないとかという、何にも意味ないですよ。こういうことは両案とも、理論的にもおかしいし、ただ煩瑣にしているだけですね。これは両方ともやめるべきだと思うのですが、検討するということを言ってくださいよ。どうですか。
  135. 上杉光弘

    上杉国務大臣 委員せっかくの御意見でございますが、前にもお答えをいたしましたように、この点につきましては、在外選挙においては、将来国内住所を定める意思を有しない者は、その意思を有する者に比べまして日本国政との関係が非常に薄い。したがって、一般的には日本国政への関心も薄く、その意思が続く限りにおいては、我が国の国内における施策の影響をほとんど受けないと考えられることなどからの理由でございまして、在外選挙対象の範囲を、将来国内に住む、そういう意思のある者に限ることといたしたわけでございます。この点についてはどうぞ御理解をいただきたい。
  136. 石井一

    石井(一)議員 貴重な御提案で、将来検討に値するということを申し上げたいと思います。
  137. 東中光雄

    ○東中委員 大臣の言われていることは、それは官僚はそういうことでつくったんでしょうけれども、ちょっと、大所高所から見たらばかみたいなものですよ。登録申請、わざわざ申請してやるんでしょう。申請する人が、私は将来帰るんだというようなことを、しかも将来のことを一筆入れにゃいかぬのやというのは、これはもう制度としてもばかですよ。これは考えた人がばかだと思いますね。ちょっと、まともに考えたら漫画ですよ、こんなものは。えらいもったいぶっている。もったいぶるべき問題とこんなのは違うというふうに思いますので、これは変えろということを強く言っておきます。  それから、もう時間がないので、今度は、在外選挙人名簿の被登録者資格のうちの住所要件について、政府案と提案者のものとは違うんですね。何でこんなことになるのか。政府案では、引き続き三カ月以上その者の住所管轄する領事官管轄区域内に住所を有することというふうに、ある意味では非常に限定しているのです。市町村の、居住している、三カ月というふうに匹敵するような書き方になっているのですが、これが提案者、衆法の方は、引き続き三カ月以上国外住所を有すること、国外ですから、アメリカに一月おって、イギリスにまた一月おって、その次にフランスへ渡った場合、これも海外に三カ月住所を有する、こういうことになりますね。  そうしなきゃいけない理由ですね。政府は何でこうしているのか、衆法はなぜそうしているのかということについてちょっとお聞きしたいと思います。
  138. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 政府案におきましては、領事官管轄区域内に引き続き三カ月以上住所を有することを要件としているわけでございますが、国外に生活の本拠地である住所を有していることを確認をするためには、ある程度の期間継続をしてそこで生活をされているということが必要でございます。それから、国内選挙人名簿が、国外へ出られても四カ月間は残っているわけでございますので、それとの二重登録期間をできるだけ短くするということ、あるいは選挙人名簿正確性を期するということ。それから、うがった見方をいたしますと、国外転出者につきまして即時登録を認めますと、選挙直前における意図的な選挙区間移動というものを合法化してしまうおそれもありますし、また国内選挙人名簿登録そのものが三カ月間の居住要件を課しているわけでございますので、それとのバランス、そういうことを考えまして三カ月間の居住要件を課したわけでございます。  なお、その場合に、当該領事官管轄区域内に引き続き三カ月、国外に出てから三カ月ではなくて当該領事官管轄区域内に三カ月というふうにいたしておりますのは、ある領事官管轄区域に二カ月住んで、その次に一カ月ある領事官管轄区域に住んで、そこでそこの領事官にこの登録申請が参ったといたしましても、その方が引き続き国外に三カ月で、どこにその前に住んでいたかというようなことを公証していく、確認をしていく手段がないということでございまして、これは当該領事官に引き続き三カ月ということをしない限り公正さが保てない、こういうふうに考えたところでございます。
  139. 堀込征雄

    堀込議員 私どもの案は、三カ月間継続して住所を有することを登録要件ということ、国外に行って三カ月ということを登録要件にしているわけでありますが、国外において引っ越したとしても、もともとこの選挙国内最終住所地、こういうことでありまして変更がないわけでありますから、そのつながりにおいてまず第一点は何ら問題はないのではないか。  それから、今答弁ありましたが、国外住所移転は、既に国内から住民票を移している、消去していますし、現実にまた出国されています。さらには、領事官に在留届を提出するという事実があるわけでありますから、そこに三カ月という要件は、私どもの立場は、移動しても問題ないのではないか。あくまで国内最終住所地が選挙権のところになるわけでありますから、確認できる手段というのは、事務的には大変かもしれませんが、可能であろうということで、なるべく幅広く認めた方がいいだろう、こういう立場であります。
  140. 東中光雄

    ○東中委員 時間ですから、終わります。
  141. 葉梨信行

    葉梨委員長 次に、秋葉忠利君。
  142. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 社民党の秋葉でございます。  時間が余りありませんので、いろいろと伺いたいこと、提案したいことがあるのですが、一点だけ。選挙権海外において取得する際の条件ですが、日本帰国をして日本に住む意思がなくてはいけない。ちょっと長ったらしいあれですので、日本帰国意思があるかどうかというふうに簡単に言わせていただきますが、帰国、ただ帰ってくるだけではなくて、住所を定める意思があるかどうかという条件がついておりますが、その点について、これは憲法違反ではないか。仮に憲法違反でないにしろ、憲法違反に匹敵するような重大な問題をはらんでいるので、削除すべきであるということを申し上げたい。その理由について、質問を何点かしながら、一緒に考えていただければと思います。  この提案理由の中に、こういった前提をつける理由として、海外にずっと住む意思を持っている人は日本政治に対する関心度が低い。それから、帰国意思のある人は政治への関心度が高い。関心度が高い低いということでまず選挙権があるかないかということを決めていいのかどうか。そこの問題点が一つございます。関心度の高い人は選挙権を持てるけれども関心度の低い人には選挙権がなくていいということは憲法のどこに書いてあるのか。これは法制局、それから自治大臣に伺いたい。
  143. 上杉光弘

    上杉国務大臣 私、法律の専門家ではございませんから。
  144. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 では結構です。法制局。
  145. 阪田雅裕

    ○阪田政府委員 御答弁申し上げます。  今の先生の御指摘は、多分先ほどの自治大臣の御答弁で触れられた部分についてのお尋ねであるというふうに思いますけれども
  146. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 時間が短いので、憲法のどこに書いてあるかだけ言ってください。
  147. 阪田雅裕

    ○阪田政府委員 あくまでも一般論として、大臣は、全体を集団的に観察して、関心が高い層それから関心が少ないと思われる層というふうに分けていいという……
  148. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 一般的な話ではなくて憲法の話です。
  149. 阪田雅裕

    ○阪田政府委員 もちろん憲法に高い低いというようなものについて直接規定した部分はございません。
  150. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 憲法では、日本国民選挙権があると書いてあるんです。関心度が高ければ選挙権を与える、低ければ与えないというようなことはどこにも書いてない。それが第一点です。では、仮に譲って、それは外国の場合だから、関心度の高い人に優先的に与えようという議論は成り立つかもしれない。  そこで伺いますけれども関心度をはかる指標として、日本帰国する意思があるかどうかということをその判断基準として用いるということになっていますけれども帰国意思を持っている人が国政への関心度が高くて、帰国意思のない人、外国に永住しようと思っている人が日本国政への関心度が低いという、これを事実として、政府がそういうふうに断定するのはそれは勝手ですけれども、断定で選挙権のありようによって決められては困るのです。ですから、国政への関心度と帰国意思との間に相関関係があるという学問的な研究あるいはデータというものがあるかどうか、お教えいただきたい。
  151. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 帰国意思がある者に限るというふうにいたしておりますのは、先ほど大臣から御答弁を申し上げましたとおりでございまして、国政への関心の高低というものを唯一のメルクマールとして考えたわけではございません。
  152. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 答えられないのでしょうか。そういう相関関係はない。これは要するに自治省、今選挙部長はうなずかれましたね、そこのところははっきりと記録に残しておいていただきたいと思います。  つまり、国政への関心度があるなしで投票権を持たせるかどうかというのを決めるという判断基準をとったとしても、そのことと帰国意思があるかないかによってそれがはかれるというところの間はまるっきり関係がないのです。それを、一部の人がそうだよと言っただけで選挙権というような重い問題についての法律をつくっていいのか、それが二番目の問題であります。私は、これはだめだと思います。今二重の、二つの障害があって、その二つの関門のところでこれを用いることはだめだということになります。  もう一つ、今度は国内に住む人に同じことで問題提起をしたいと思いますけれども、それであれば、今のような立論が成り立つのであれば、日本国内に住んでいて将来外国に永住したいと思っている人には選挙権を与えてはいけないことになります。そういう法律をこれから準備して国会提出することを考えているのかどうか。これも伺いたいと思います。
  153. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 国内におられる方は、現在国内に住んでおられて国政のいろいろな制度下のもとに暮らしておられるわけでございますので、そのようなことは毛頭考えておりません。
  154. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 それも投票率が五割を切っているような選挙が毎年のように行われている。その人たちに対して、棄権をした人たちに対して、今のようなことを自信を持っておっしゃれるのですか。だとしたら、投票率が低くても、今おっしゃったような日本国民すべて日本国内に住んでいることによって政治への関心はあるのだから、だから投票率が低くても心配することはないというふうに選挙部長、次の選挙の開票が終わった後で低投票率についてコメントを求められたときに、はっきりとそういうふうにおっしゃれますね。
  155. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 私のただいまの答弁は、将来海外に住むという者については国政選挙参加権を制限をするという考え方に立つことになるのではないかという御質問お答えしたつもりでございます。
  156. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 となると、国内に住んでいる人と国外に住んでいる人に対しては、これは二重基準を設けている。ダブルスタンダードですね。そこのところがもう一つの問題になってまいります。  この理由のところは、もう最初の二点で十分理由として納得できないものであるということは御理解いただけたと思いますから、実際にこれを実施する際の障害を考えてみたいと思います。  将来、日本帰国して住所を定める意思があるかどうかということをどういうふうに測定するのですか、しかも客観的に。客観的にということは、その人の心の中に入らなくても、例えば百人が百人その事実を確定できる方法があるということです。そういう方法が存在しますか。
  157. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 国内住所を定める、有する意思があるかどうか。これは、例えば国内に家族が住んでいるとかいうような客観的な事実によって証明されるということもありましょうが、一般にはそのようなことは困難でございますので、誓約書を提出させることによりまして推定をするということにいたしております。
  158. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 それを聞いたのじゃなくて、それはわかっています。それは客観的じゃないですね。うそをついてもわからないですね。
  159. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 帰国意思があるかどうかという、意思にかかわる主観的な問題でございますので、完全に客観性を貫徹することは困難かと思います。
  160. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 そもそも、憲法で保障され、しかも私たち民主主義を支える上での一番大事な制度である選挙制度について、しかも選挙権を与えないという重大な規則を設けるに当たって、客観性がまるっきりないうそをついてもそれで通ってしまうような条項を設けるということは、大問題だと思います。こんな条項を設ける理由は全くないということがおわかりいただけたと思いますけれども、もう一つついでに伺います。  もう一つ、法規の中で、帰国意思がないということがわかったときには名簿から削除するということが書いてありますが、それは、帰国意思がないということがわかったというのは、どういうふうに客観的に調べるのでしょうか。私がそれについて考えられる唯一のケースは、一生外国に住みっ放しになってしまって、そこで死んでしまったケースですね。それは客観的に、確かに意思の有無とは関係なく、日本には帰らなかったということがわかるわけですけれども、それであれば、死亡によって削除されるわけですから、それは意味のない削除ですが、実際には調べることができないようなことを法律の中に書いてある。このことの意味はどういうふうに考えたらいいのですか。
  161. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 物の考え方といたしまして、帰国意思のない方には選挙権を遠慮してもらうという考え方に立ちましたので、帰国意思があったけれども、再度更新のとき等には帰国意思がなかったという場合は、またそれは選挙権を遠慮してもらうという考え方になるわけでございます。
  162. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 要するに、余り意味のない条件をつけて、つじつま合わせのための理由をくっつけたので、その理由を正当化するために削除という項目が必要になっただけであって、実情にも全く合っていない、憲法の精神にも全く合っていないということで、これは削除すべきであるということがだんだんおわかりいただけたと思いますが、もう一つ、この議論としていろいろな非公式に議論をしているうちに、ともかく実際の運用としてはあってもなくても同じようなものなのだから置いておいてくださいよみたいな話が、どこかからちらっと聞こえてきたことがありました。本当に人畜無害で、ただ単に形式としてあるだけだということであれば問題はないのですが、事はそれだけではないと私は考えております。  それは、アメリカの選挙制度と比較することによって事の重大性がおわかりいただけると思いますので、一九六〇年代に非常にうねりが高くなった公民権の問題に即して申し上げたいと思います。  アメリカの選挙制度は、日本とは違って、投票を行う際には各人が登録をすることが前提条件になっております。ですから、登録をすることが非常に重要な意味を持つわけですが、事実、アメリカの大統領選挙等でも、投票率は例えば五〇%、その他の選挙でも投票率が三〇%、四〇%というふうに低くなっている傾向がありますけれども、それは、有権者数を分母にとって投票した人を分子に置くとそういう結果になりますけれども、もう一つの統計のとり方があります。それは、登録者数を分母に置いて、実際にそのうちの何%が投票したかという統計のとり方があります。その統計で調べると、どの選挙においても、大体選挙投票率というのは六〇%、七〇%。分母が広い場合よりも一〇%、二〇%投票率は上がります。登録制ということはそれだけ重い意味を持っているのです。  もう一つ、実は、アメリカの登録制度の際に、特に南部において広く行われた慣習として、これは、選挙を行うのだから読み書きができなくては選挙はできない、したがって読み書きができるということを証明するという条件を登録の際につけました。読み書きができるかどうかということは客観的に判断できることですね。自治省、御見解を伺いたい。
  163. 牧之内隆久

    牧之内政府委員 アメリカの、その読み書きができるかどうかということをどういうふうに判断をしているか承知をしておりませんので、御答弁を差し控えさせていただきます。
  164. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 いや、一般論として伺っているので、アメリカでということではありません。  当然、自治省にお入りになる際にも、あるいはその前に大学でも試験を受けているわけですから、試験を受けるということ、その結果を尊重するというのは、読み書きもその一部になっている能力についての客観的な基準があったということを認めていらっしゃることですから、それはそれでいいです。  実は、その読むこと書くことという客観的にこれは判断できる基準が悪用された結果、ほとんどの黒人に対しては読み書きができないという判断がなされて、黒人から選挙権が奪われたという歴史がアメリカにはございます。  そのやり方というのは、ほとんどの場合には、大学の先生方でも答えられないような難しい問題を黒人にだけ課して、その試験に満点をとらなければ読み書きができたことにしないといった方法をとったり、あるいはその他さまざまな巧妙な仕方によって、実質的に試験ということを手だてにして選挙権を制限したという非常に暗い歴史がアメリカにはございます。  こういった一つの条件、帰国意思があるかどうかということが法律に盛り込まれた場合に、これは絶対に使わないのだという保証がどこかにあればまた別ですけれども、それであればこれは当然削除されるべきですけれども、この条件が法律に残ることによって、先ほど選挙部長は、例えば日本国内に家族がいるかどうかということをおっしゃいましたけれども、例えば家族についてのプライバシーを調べなければ客観的にはわからないということになって、プライバシーを侵害するための理由としてこの法律が使われる可能性というのは全く皆無ではありません。アメリカの歴史を考え、そして私たちも人間であるということを考えると、やはりこういった悪用、特に権力による悪用というものを私たちは危惧しなくてはいけないというふうに思います。  そこで、自治大臣とそれからこちらの提案者の方に最後に伺いたいのですけれども、こういった理由、それから、先ほどから何人の方も質問されていると思いますけれども、こういったことを全部総合して、帰国意思日本に改めて住所を定める意思があるかどうかということは、これは憲法上、そして実際的な問題、さらに悪用の問題等考えて、削除することを早速検討するということをぜひここで御発言いただきたいと思います。自治大臣からお願いします。
  165. 上杉光弘

    上杉国務大臣 政府提案としてこのたび出したわけでございますが、委員から今御指摘があり、言われたことについては十分承りました。  また、今回のこの制度についての政府提出につきましては、いろいろな議論を経た上で、海外からの要請も在住の方から強いという、とりあえず比例選挙から、こういうことになったわけでございまして、今後の対応については各会派、十分御協議をいただきまして、今国会の論議によって方向づけをさせていただくものと思っております。
  166. 石井一

    石井(一)議員 大変貴重な御提案がありまして、当然我々は、柔軟にこれに対応していく気持ちを持っております。  我々ローメーカーが、あるいは官僚が、紙上で議論をするのと現地の声が余りに違うということが、今秋葉議員が言われた中で二点ほどあります。  一つは、永住者の方が強く投票権を求めております。我々は勝手に、帰国意思のある者が求めて永住者は求めていないと言うが、これはまず逆であります。現地で大変驚いた一つでありました。  それから、もう一つは、永住者というのもいろいろな種類がございまして、永住者というのは、よほどの専門的知識を持ったり、あるいはその当事国において有益であるという人々をしておるわけであって、永住者という、パーマネントレジデンスなりなんなりというステータスは持っておるけれども、その人は十分帰国意思のあるという日本人がどれだけ多いか。その国に何とか住みつきたいという人間は永住権が取れずに、その国から必ず自分は老後日本へ帰るんだという人は永住権を持っておる。  こういう事実も考えますと、その言葉によって決めるとか、帰国意思があるがどうだとかというふうなことは非常にナンセンスである。しかし、どこかでけじめをつけなければいかぬものですから、前回出しました政府努力の上に、我々はできるだけ可能性のあるものをつくりたいということで出したわけでありまして、この点合意ができれば、速やかに今申されたような意見は取り入れていくべきだというふうに思いますし、重要なことは、比例だけやって小選挙区は飛ばすというのは、これは問題があると思います。  今回、どなたも御答弁されませんでしたし、自治大臣は当然立場上答弁をされませんが、与党の自民党の中において党内をまとめるのに苦労されておるようでありますから、この点は速やかにおまとめをいただいて、とりあえず今回はこれでスタートを切るが、直ちに、当分の間などと言わずに、確実にこの制度を全うされるように、私の立場からお訴えをしておきたいと思います。
  167. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 質問を終わります。
  168. 葉梨信行

    葉梨委員長 次回は、来る十二月四日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時四十二分散会      ————◇—————