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1997-12-03 第141回国会 衆議院 建設委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十二月三日(水曜日)     午前九時三十一分開議 出席委員   委員長 二階 俊博君    理事 遠藤 利明君 理事 佐田玄一郎君   理事 田野瀬良太郎君 理事 谷畑  孝君    理事 太田 昭宏君 理事 岡島 正之君    理事 鉢呂 吉雄君 理事 中島 武敏君       赤城 徳彦君    井奥 貞雄君       金子原二郎君    佐藤 静雄君       高市 早苗君    橘 康太郎君       東家 嘉幸君    蓮実  進君       古屋 圭司君    松本 和那君       渡辺 博道君    赤羽 一嘉君       伊藤 英成君    市川 雄一君       岩浅 嘉仁君    西野  陽君       川内 博史君    山本 譲司君       辻  第一君    濱田 健一君       上田 清司君  出席国務大臣         建 設 大 臣 瓦   力君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 亀井 久興君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       久保田勇夫君         国土庁計画・調         整局長     河出 英治君         国土庁大都市圏         整備局長         兼国会等移転審         議会事務局次長 林  桂一君         国土庁防災局長 山本 正堯君         建設政務次官  蓮実  進君         建設大臣官房長 小野 邦久君         建設大臣官房総         務審議官    小鷲  茂君         建設省建設経済         局長      五十嵐健之君         建設省都市局長 木下 博夫君         建設省河川局長 尾田 栄章君         建設省道路局長 佐藤 信彦君         建設省住宅局長 小川 忠男君  委員外出席者         行政改革会議事         務局参事官   小山  裕君         経済企画庁調整         局産業経済課長 田中 信介君         外務省経済協力         局有償資金協力         課長      佐渡島志郎君         労働省職業安定         局雇用政策課長 太田 俊明君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  荒田  建君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  梅野捷一郎君         建設委員会調査         室長      白兼 保彦君     ――――――――――――― 委員の異動 十二月三日  辞任         補欠選任   玉沢徳一郎君     橘 康太郎君   松本 和那君     渡辺 博道君   中西 績介君     濱田 健一君   樽床 伸二君     上田 清司君 同日  辞任         補欠選任   橘 康太郎君     玉沢徳一郎君   渡辺 博道君     松本 和那君   濱田 健一君     中西 績介君   上田 清司君     樽床 伸二君     ――――――――――――― 十一月十一日  地下室悪用マンション建設制限に関する請願  (菅直人紹介)(第三二一号)  同(中田宏紹介)(第三二二号)  同(葉山峻紹介)(第三二三号)  同(伊藤茂紹介)(第三七八号) 同月十七日  高速道路等通勤割引に関する請願逢沢一郎  君紹介)(第五四五号)  道路整備に関する請願逢沢一郎紹介)(  第五四六号)  川辺川ダム建設事業促進に関する請願(園田  博之君紹介)(第五七二号) 同月二十五日  川辺川ダム建設の中止に関する請願菅直人君  紹介)(第六七六号)  同(菅直人紹介)(第六九七号) 十二月一日  関越自動車道上越線暫定車線区間完成四  車線化早期実現に関する請願小坂憲次紹介  )(第八八九号)  同(堀込征雄紹介)(第八九〇号)  新たな道路整備五箇年計画策定道路特定財  源の堅持に関する請願小坂憲次紹介)(第  八九一号)  同(堀込征雄紹介)(第八九二号)  第四次急傾斜地崩壊対策事業五箇年計画策定  と所要投資規模確保に関する請願小坂憲次  君紹介)(第八九三号)  同(堀込征雄紹介)(第八九四号)  地下室悪用マンション建設制限に関する請願  (辻第一君紹介)(第八九五号) 同月三日  関越自動車道上越線暫定車線区間完成四  車線化早期実現に関する請願小川元紹介)  (第一〇六〇号)  同(宮下創平紹介)(第一〇六一号)  同(北沢清功紹介)(第一二〇三号)  新たな道路整備五箇年計画策定道路特定財  源の堅持に関する請願小川元紹介)(第一  〇六二号)  同(宮下創平紹介)(第一〇六三号)  同(北沢清功紹介)(第一二〇四号)  第四次急傾斜地崩壊対策事業五箇年計画策定  と所要投資規模確保に関する請願小川元君  紹介)(第一〇六四号)  同(宮下創平紹介)(第一〇六五号)  同(北沢清功紹介)(第一二〇五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十一月十日  急傾斜地崩壊対策事業促進に関する陳情書外  二十五件  (第三三号)  本州四国連絡道路通行料金の設定に関する陳  情書  (第三四号) 同月二十六日  高規格幹線道路網等整備促進並びに新たな道  路計画策定等に関する陳情書外三件  (第一四〇号)  高規格幹線道路地域高規格道路に関する陳情  書外一件  (第一四一号)  道路交通網整備に関する陳情書  (第一四二号)  新たな道路計画策定道路財源確保に関する陳  情書外八十五件  (第一四三号)  地方道路整備に関する陳情書外二十一件  (第一四四号  )  道路予算拡充に関する陳情書外二十三件  (第一四五号)  道路整備費の拡大・確保並びに地方における高  速自動車道整備促進に関する陳情書  (  第一四六号)  幹線道路等整備促進に関する陳情書  (第一四七号)  高速自動車国道等整備促進に関する陳情書  (第一四八号)  常磐自動車道早期整備促進に関する陳情書  (第一四九  号)  東北中央自動車道建設促進に関する陳情書  (第一五〇  号)  日本海沿岸東北自動車道早期建設に関する陳  情書(第一  五一号)  渥美半島縦貫道路早期実現等に関する陳情書  (第一五二号)  第二東名・名神高速道路早期建設等に関する  陳情書  (第一五三号)  道路交通安全対策のための法・条例制定等に関  する陳情書  (第一五四号)  日本海国土軸構想及び太平洋新国土軸構想並び  に地域連携軸構想等推進に関する陳情書外四  件  (第一五五号)  地域連携軸構想等推進に関する陳情書  (  第一五六号)  東九州軸の新しい全国総合開発計画への位置づ  けと関連プロジェクト推進に関する陳情書  (第一五七号)  九州西岸軸構想及び島原・天草・長島架橋構想  の推進に関する陳情書  (第一五八号)  有明海・八代海沿岸地域を環状に結ぶ広域的道  路を活用した同地域開発促進に関する陳情書  (第一五九号)  本州四国連絡橋建設促進に関する陳情書外一  件  (第一六〇号)  都市計画法に関する陳情書外一件  (第一六  一号)  関西文化学術研究都市等建設促進に関する陳  情書(  第一六二号)  近畿圏既成都市区域における工場等制限に  関する法律の廃止に関する陳情書  (第一六三号)  社会資本整備促進に関する陳情書外三十五件  (第一六四号)  公共事業推進に関する陳情書外一件  (第一六五号)  治水関係事業予算拡充に関する陳情書外二件  (第一六六号)  水資源対策の充実・強化に関する陳情書外一件  (第一六七号)  下水道整備促進等に関する陳情書外一件  (第一六八号)  河川等整備促進に関する陳情書  (第一六九号  )  月浜第一水門の早期改築築堤工事促進に関  する陳情書  (第一七  〇号) 十二月二日  大戸川の河川改修事業に関する陳情書  (第二一  八号)  治水事業財源確保に関する陳情書  (第二一九号)  下水道整備促進に関する陳情書  (  第二二〇号)  第四次急傾斜地崩壊対策事業五箇年計画策定  に関する陳情書外七十六件  (第二二一号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 二階俊博

    ○二階委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷畑孝君。
  3. 谷畑孝

    谷畑委員 おはようございます。自由民主党の谷畑でございます。  きょうは、一般質問ですので、最近起こっている問題だとか、また、建設行政にかかわる基本的なさまざまな問題を、限られた三十分の私の持ち時間の中で行ってみたいと思います。  まず、瓦建設大臣にお伺いをするわけですけれども、先週、山一証券を初めとして、一連の金融機関経営破綻ということで、国民、私の地元におきましても、大変な不安感を持っておるわけでございまして、先行きに対する大きな不安があるわけでございます。  また、同時に、最近の株価の問題で、少し私が調べましても、バブル期のときに、ある上場の建設会社が、八九年のときには二千二百七十円、ところが、十一月二十八日には四十六円と、二けたの株価になっておる。また、ある大阪建設会社ですけれども、これも上場されているわけですけれども、八九年には千七百三十円、十一月二十八日には八十二円、このように建設、ゼネコンと言われる大手が二けた台になるということ。  この金融システムの不安と同時に、次は建設業界が倒れていくのではないか、こういうように言われているわけでありまして、こうなりますと、そこに参画する中小企業零細企業を含めて、大変な不安と危惧を持つわけですけれども、そのことについて、大臣、どのように認識されているか、お伺いをしておきたいと思います。
  4. 瓦力

    瓦国務大臣 谷畑議員から、昨今の経済情勢についての大きな不安の広がりに対しまして、危惧を持って御質問をいただきました。  私も、昨今の経済情勢につきましては、大変厳しい状況にある、かように認識をいたしております。しかし、あらゆる努力をもちまして、この不安の解消をし、経済が安定をし、また、今お話しのように、それぞれ建設に携わる企業が平静を取り戻した事業推進できるような、そういう環境が一日も早くつくれるような手だてを、あらゆる方途を通じまして講じてまいりたい、かように考えておるものでありまして、だんだんその落ちつきが見えるかに見えますので、それらに期待しながら努力をしてまいりたい、かように私どもは思っておるところであります。
  5. 谷畑孝

    谷畑委員 十二月一日にテレビが入りまして予算委員会が行われたわけですけれども金融システム安定化対策本部長でもあります前の総理宮澤総理質問するということで非常に好感を持たれまして、私ども後援会の皆さんもよくテレビも見てはりましたし、一定程度株価も落ちついてきたような感じで安心感があるわけです。  しかし、いずれにしましても、ビッグバンが始まる、同時にまた、建設業界におきましても、不良債権等を抱えて、自然淘汰はもちろん避けては通れないし、いろいろとそういうことになっていくわけです。しかし、それにもかかわらず、やはり一定程度一生懸命にやっている建設業者もおられるし、また、淘汰される業者も当然あります。  そういう状況の中で、建設省としてこの業界に対するいい知恵というのか、手だてというのか、支援策というのか、そういうものがあるのかないのか、また考えておられるのかどうか、そこらの点をもう一度大臣にお聞きをしておきます。
  6. 瓦力

    瓦国務大臣 さきの質問に関係して若干申し上げておきたいわけでありますが、委員指摘のように、背景を見ますと、建設投資が横ばいでございまして、加えて、建設業者数が、平成二年度に比べまして平成九年度におきましては一一%ふえておるわけであります。そしてまた、御指摘のように、景気足踏み状態である、加えて、公共投資が抑制されておるわけでありますので、経営環境は極めて厳しいということを先ほどお答えをさせていただいたわけであります。  また、これに対しまして、メーンバンク等破綻による資金確保困難化、また、委員が今御指摘のように、ビッグバンを控えた金融機関取引先選別強化などに加えまして、金融機関融資動向建設業経営に非常に大きな影響を及ぼしておるわけでありますので、これらにつきましても、強い関心といいますか、注視をしてまいっておるところであります。  加えて、こういう状況でありますから、各省庁と連携を密にいたしまして、政府系金融機関活用等を図り、また、中小建設業者に対する円滑な資金供給が図られるように努力をしておるところでございます。  また、今、建設業界が淘汰されるに任せるのか、こういう厳しいお尋ねでございますが、建設省といたしましては、こうした状況を踏まえまして、中小中堅建設業者上位ランク工事に参入しやすくするための入札契約制度の改善を図るとか、あるいはまた、不良債権処理等促進するための赤字会社指名排除というのがあるわけでありますが、こういう取り扱いがなされないような努力もしていかなければならぬ。これは総理指示もありまして、こういう困難なときでありますから、赤字会社指名排除扱いというものを是正してもらいたい、こういう努力もいたしておるわけであります。また、政府系金融機関活用による中小建設業者への円滑な資金供給確保されるようにしてまいりたい。  また、経常JV活用など企業連携、協業化、それらの強化によりまして経営力の安定を図っていくような方向づけでございますが、そういうような努力をしてもらう。そういう措置を講ずることによって、建設業者経営の安定、また、財務体質強化を図っていかなければならぬ。  こうしたことが、今厳しい経済情勢下でありますが、委員指摘のように、建設業構造改革ということにある面ではつながると思うわけであります。こういう時期でありますので、建設業界も緊張をした中にあるわけでありますが、体力を強めていただく、そういうような方策をこれからも講じてまいりたい、こう考えておるわけであります。
  7. 谷畑孝

    谷畑委員 大臣の力強い決意で建設業界に対する、自然淘汰もさることながら、いい企業には支援をしながら、体力をつけていただけるようお願いをしておきたいと思います。  また、今回、財政構造改革特別措置法という法律によって実施されていくわけですけれども公共事業を七%カットするということにもなってこようと思うのですけれども、その中で、景気回復というものはどうしてもやはり財政構造を立て直すためにも必要であるわけでございます。  ところが、御存じのように、財政構造改革特別措置法という法律ですと、景気回復するというこの法律は、なかなかうまくいかないというか矛盾するというのか、景気回復する財政出動ができないし、また大幅減税というものもなかなかしにくい、また金利をさらに下げるということもできない、こういうような難しい状況があるわけです。その中でも、限られた中で景気回復するためには、私は、やはりこの建設委員会における課題は大きいと思うのです。  例えば、市街地活性化に対する取り組みだとか、あるいは土地流動化に対する取り組みだとか、あるいは規制緩和に対する取り組みだとか、そういうものを、従来の発想にとらわれることなく、もっと抜本的に目玉をむくくらいの政策をやって、景気回復への道筋をつけていただきたい、このように私は思っているわけでございます。  それでは、次の質問に入りたいと思います。  先ほど申し上げましたように、財政構造改革特別措置法という法律が施行されるに従って、公共事業が七%カットされるわけでありますけれども、この七%カットされるということに基づいてどのような視点と、また今後そういう構造的なことも求められておると思います、公共事業あり方についてのそういう構造的な視点も必要だと思うのですけれども、それらの点について、建設行政あり方、変化についてどう考えておられるか、お聞きをしておきます。
  8. 瓦力

    瓦国務大臣 景気動向を見ながら適切な手だてを打つようにと、また厳しい環境であるから目玉をむくようないろいろな方策を講じてみてはどうかというようなことでございます。私どもといたしましても、今規制緩和の中で財政出動が期待しがたい現段階でございますけれども、あらゆる努力をしてまいらなければならぬ、こう考えておるわけであります。  さて、委員から御指摘のように、七%のキャップがかぶった、極めて厳しいというようなことを前提とした御質問でございますので、お答えいたしますと、厳しい財政状況のもとでございますが、公共投資、これらの効果が減少することのないように努力をしていかなければならぬ。関連産業への影響は避けられないものがあるわけでありますが、今後さらに十分に注視していくというようなことをただいま申し述べさせていただいたわけであります。  こういう状況の中でございますので、まずコスト縮減、これによりましてできるだけの努力をしつつ公共事業効率化を図りまして、事業量確保して将来の発展基盤を効率的に形成していくことが、財政削減による影響を緩和する上でも重要なことであると考えております。  建設省では、本年四月に策定した公共工事コスト縮減対策に関する行動指針、これに基づきまして各種施策関係機関とともに推進しているわけでありますが、具体的にはいわゆるVE方式と呼ばれる民間のコスト縮減技術、こうした提案を受け入れつつ、入札契約方式の試行であるとか、あるいは技術基準の改定、こういうような各種施策を実施いたしまして、御案内のように厳しい財政下でありますが、うんと工夫をして努力してまいろう、こういうことでございます。
  9. 谷畑孝

    谷畑委員 効率化工夫をしながら、七%カットというものをさらに構造的にも改革も進めながら効果の上がるようにしていきたい、こういうことでございますので、ぜひそういう方向で進めていただきたいと思います。  私、過日政令都市議長、副議長さんの会合に出ておりまして、とりわけこの公共事業七%減ということについて、ちまたでは、配分を、都市部はもう大いにカットだ、地方都市にその分を割り当てるようにやるのだ、こういう話が出ておりまして、そんなことはけしからぬ、政令都市などは一番税金を国に納めて今までもほとんど交付税で返ってこない、特に私ども大阪府なり市と懇談をしますと、この話ばかり出てきますね。その中で、実は都市部においては七%カットどころじゃない、カットが二割か三割だ、こういうように実は言われているわけです。  というのは、御存じのように、都市においても、やはり快適な生活を維持する意味でも、例えば鉄道においては高架をしなければならぬし、また基幹道路はもう混雑をしておりますし、さまざまな生活に関連する公共事業は必要でございまして、もう都会部はいいんだ、ゼロなんだ、これでは投資額そのもの自身、人口一人当たりの投資額というのはトップは鳥取なんですよ、大阪なんて一番下になってしまうのです、本当の話が。そこらの点を、大臣、どのように考えていただいているのか。いろいろと意見はあろうかと思いますけれども、率直に申し上げておきたいと思います。
  10. 瓦力

    瓦国務大臣 六月三日に財政構造改革推進についてと閣議決定されまして、その中で、地域経済への配慮や、地域間格差是正という観点に留意すること、こう書かれておるわけであります。私も、これは大切なことでありますので、いろいろ委員会でも申し上げましたところ、都市をどうするのか、こういう御質問もいただきながらやってまいりました。  これは、率直に言いまして、首都圏とかそれぞれ非常に巨大化する中で、地方におくれをとっておる部分というのは下水道にいたしましてもございます。そういう部分に着目いたしますと、おくれの部分というのは、国土の均衡ある発展であるとか国民生活、こういったものを考えますと、勢い整備促進していかなけばならぬという観点があるわけでありますので、こういうことが閣議決定でさように是正をすべしというこの御意見であろうと思うわけであります。  しかし、こういう話の後、各県の知事さん方もお見えになり、それぞれの地域政策につきまして、陳情等、またお話等伺っておりますが、東京都知事大阪府知事も参りまして、道路整備を初め社会資本整備についてはひとしく我々も心配である、なおなすべきことはたくさんあるというような御注文もございました。当然のことでございますので、それらのことを踏まえながら努力をしてまいりたいと思っております。  また、先般、近畿地建大阪を訪ねましたときに、大阪周辺を一時間ほどずっと上空から見させていただきました。阪神・淡路の災害の跡もありますし、関西圏経済活動がこれからいよいよ期待されるところでありますので、そうした視察をさせていただいたわけでありますが、順次これから本四の架橋もできましたり琵琶湖の体制も行き届いたりいたしまして整備がなされておるわけでありますので、これからそれぞれ都市部にもそういう作業があるということは十分承知をいたしております。  よって、平成十年度の建設省概算要求に当たりましては、経済構造改革関連社会資本について物流の効率化に資するもの、また防災公園整備、これは事業費として三%増でございます。加えて言いますと、渋滞対策、これも都市部でありますが事業費を二%アップする、また密集住宅市街地整備、これらにつきましても事業費を二七%増と、厳しい状況でありますが、地域の特性を踏まえつつ重点化ということは十分踏まえてまいりたいと考えております。  これらのことを踏まえながら、土地高度利用を誘発する都市基盤整備推進、加えて都市リノベーション等土地取引活性化有効活用に向けた施策推進することによりまして、大都市圏における社会資本整備というものを的確に推進してまいりたい、こう考えております。
  11. 谷畑孝

    谷畑委員 ぜひそういう効率化重点配分ということで、大きな視点に立ってしていただくことを要望しておきます。  それでは次に、最近新聞にもよく報じられてきましたけれども、十一月二十六日の政府行政改革委員会規制緩和小委員会がまとめた報告案が今記事になっておるわけですけれども公共事業入札発注制度改革、こういうぐあいなことになっておりまして、また、それに対して建設省は代案を行革委に示しておるという報道が最近出されております。この件について少し、もう時間がございませんので簡単で結構ですので、どういう視点なのか、説明をしていただきたいと思います。
  12. 五十嵐健之

    五十嵐政府委員 お答え申し上げます。  まだ最終的な結論が得られるという段階ではございませんけれども新聞で見ておりますと、一般競争入札の問題それからランク制の問題が特に取り上げられておると思います。建設省としては、基本的に透明性客観性競争性を高めるという改革をこの四年間やってまいりました。こういう姿勢は委員会の方にお伝えをしているところであります。  ただ、一般競争入札の問題につきましては、これは発注者側からいきますと、不良不適格業者の参入排除が大丈夫かどうか、資格審査の事務量の問題をどうするか。受注者の方からいきますと中小建設業者への影響、こういったような問題があるのではないか。あるいはランク制の問題につきましては、現在の工事の適正な施工を確保する、公正、効率的な業者の選定、それから中小建設業者の受注機会の確保、こういったような重要な機能を果たしているのではないか、こういうような考えを持っておりまして、現段階では慎重な検討が必要ではないかという考えを持っているところでございます。
  13. 谷畑孝

    谷畑委員 次に、行政改革について少し質問をしたかったのですけれども、ちょっと流れ的に言って時間がございません。一府十二省ということで、とりわけ国土交通省ということで、どうもきょう最終の結論が出るというような話でございます。そのことについてはまた他の委員の皆さんが質問されると思いますので、時間の関係上、少し飛ばさせていただきたいと思います。  せっかく質問の機会をいただきましたので、申しわけないのですけれども、ここでちょっと地元のことについて一、二だけ申し上げたいと思いますので、よろしくお願いをします。  国土庁にお伺いしたいのですけれども、実はこの委員会におきましても、十二月八日には阪神・淡路の被災地を含めて視察をすることになっております。あの地震からもうはや三年近くこれからなっていこうとしているわけです。  私が住んでおるところの、八尾空港の跡地といいましょうか、ここは陸上自衛隊もありますし、保安庁もありますし、それから民間のそういう飛行場もございます。そういう意味では非常に便利なところでありまして、阪神大震災の起こったときにはもうまさしく、主要な道路が閉鎖されるということもあったりして、現地へ行くのに一日がかりということでありましたが、そのときに、八尾空港の自衛隊を含めて、あるいは民間セスナ機を含めて非常に活躍をして、物資から情報から非常に大きく注目をされたわけであります。私ごとですが、朝ジョギングでいつもあそこを、そのぐるりをずっと走っておるのです。  そこで、地元大阪府が中心になりまして、近畿一円の自治体の協力もいただきまして、西日本の広域防災基地にしよう、こういうことでこの三年間取り組んできたところでございます。ようやく国土庁が平成十年度にそのことについて調査をしようじゃないか、こういうことになっておると思います。そのことについて、現状と見通しというのがございましたら、国土庁にお聞きをしておきます。
  14. 山本正堯

    山本(正)政府委員 お答えをさせていただきます。  先生御案内のとおり、八尾空港は、阪神・淡路大震災におきましては、警察、消防、自衛隊等のヘリコプターの活動拠点として、人員、物資の輸送に大変重要な役割を果たしてきたということは御案内のとおりでございます。  八尾空港につきましては、現在、地元大阪府、市において、近畿圏における広域防災基地としての整備検討が進められておるというふうに聞いております。私ども国土庁といたしましても、こうした近畿圏を含めました大都市圏における広域的な防災拠点が大変重要であるということでございまして、そういうものにつきましての関係省庁や地元公共団体と密接に連携をとりながら、近畿圏を初めとした大都市圏における広域的な防災拠点についての体系的な調査検討を今後早急に進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  15. 谷畑孝

    谷畑委員 私も含めて、ぜひ平成十年度のそういう西日本の広域防災基地の拠点として調査費がいただけるようまたこれは頑張らなければならぬ、このように実は思っています。ぜひひとつ頑張っていただきたい、こういうように思っています。  次に、都市計画道路ということで八尾富田林線が、その広域防災基地の中を通っていく新しい道路計画でございますけれども、今そのことについて地元ヒアリングが始まったり都計審で審議をしたりしておるわけですけれども、これらの点について今地元からの陳情があるのか、あるいはまたどういうような今後見通しにあるのか、その点、わかっておる範囲で結構ですので、説明をしていただきたいと思います。
  16. 木下博夫

    ○木下政府委員 お答えします。  今お話ございましたように、都市計画道路の八尾富田林線は全長で九・一キロございまして、一部は既に整備済みもございますが、八年度から補助事業で鋭意やっておるところ、さらには、ことしの暮れの府の審議会で都市計画決定をするところが約二・四キロあると伺っております。  大変地元でもこの路線につきましては重要視されておられますし、先ほど国土庁からもお答えしたような防災基地あるいは空港とのアクセス、こういう問題でやはり環状道路の一つとして大阪府も長期計画の中に入れてございますので、我々、地元ともよく御相談しながら支援させていただきたい、こう思っております。
  17. 谷畑孝

    谷畑委員 どうもありがとうございました。  時間が本当にもう最後になってきました。国土庁長官に一つ最後にお伺いをしておきます。今年度閣議決定する予定になっております二十一世紀の国土づくりの指針となる全国総合開発計画の概要を少しお聞きしたいと思います。  特にこのことについては、今京都でCO2を含めての環境国際会議が開催されております。これからやはりどうしても人と自然の調和ということも大事になってこようかと思いますので、環境を重視し、人間が居住する上で自然とのいわゆる共生というのか、そういう点に基づいたことだろうと思うのですけれども、その点について少し簡単に説明をしていただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  18. 亀井久興

    ○亀井国務大臣 今、谷畑委員から御質問のございました新しい全国総合開発計画でございますが、申し上げるまでもなく、すっかり最近環境が変わってきておるわけでございまして、経済もどんどんグローバル化してきております。いわゆる地球時代と言ってもいいような時代が来ようとしておりますし、また情報化もますます進んでくる。  そうした中で、長期的な視点に立った新しい全国総合開発計画がどうしても必要ではないか、そういう考え方でございまして、均衡のとれた国土づくりということを従来の全総でも掲げてきておるわけでございますが、それを具現化していくための新しい発想といたしまして、複数の国土軸から成る国づくりを進めていこう、そうしたことも新しく示しておるところでございます。もう既に国土審議会の計画部会におきます検討報告をいただいておるところでございまして、これをさらに肉づけをしていくということでございます。  今委員から御指摘ございました環境問題、こうしたことについてもその中に盛られておりまして、国土の安全と暮らしの安心の確保、あるいは自然の恵みの享受と継承、こうしたことを基本的な課題ととらえました上で、災害に強い国土づくりの推進、自然環境の保全や流域圏に着目した国土の保全と管理など、安全で自然豊かな国土の形成に取り組む、こうしたこともはっきりと示されておるところでございます。  いずれにいたしましても、国民の皆様に夢と希望を持っていただけるような全国総合開発計画を、何とか本年度中に策定をしたいと考えております。
  19. 谷畑孝

    谷畑委員 どうもありがとうございました。終わります。
  20. 二階俊博

    ○二階委員長 田野瀬良太郎君。
  21. 田野瀬良太郎

    ○田野瀬委員 自民党の田野瀬でございます。  早速質問を始めたいと思うのですが、通告いたしておりました景気対策につきましては、先ほど谷畑委員からの質問で詳しくございましたし、また御答弁もございましたので、これはもう省かせていただきたいと思います。  そこで、これまた谷畑委員から公共事業七%カットの話が出ておりますが、私は大変な田舎から出てきております議員として、大変谷畑委員には恐縮でございますが、違う立場で質問をさせていただくことに相なるわけでございます。  何としても財政構造改革はやり上げなければならない、これはもうひとしくだれしも認識をいたしておるところでございますが、社会資本整備が大変おくれております地方、これはもう地方経済公共投資に大変依存をいたしておりまして、言うなれば一つの産業であるわけでございます。そこへ七%カットというようなことになりますと、それこそ今中山間地域は、大変過疎も進み、林業不振等々、もう本当にへたり込んでおる、こう言っても過言でないような状況でございます。  そういうことで、地方はこの七%カットに対してまして大変戦々恐々といたしておりまして、これに対する対策を何としてもこの機会に強くお願いをしておかなければならぬ。ただ、谷畑委員に敬意を表しまして、都市部と田舎とかいうような観点からではなくて、整備率がおくれておるか、おくれておらないかという観点から、ひとつ観点を変えて質問をさせていただきたい、このように思うわけでございます。  例えば、道路をとってみましょうか、国道をとってみましょうか、その整備率において、進んだところとおくれたところとの差がどれぐらいあるのでしょうか、まずそれをちょっとお聞きしたいと思うのです。
  22. 佐藤信彦

    佐藤(信彦)政府委員 道路の場合に、整備の指標というのがいろいろございますが、舗装率とかそういったものなんかは、国道については不通区間を除きますとかなり進んでおりますし、その中で、改良が済んだものの改良率、これも大体八〇%から九〇%いっております。ですが、こういったところが交通渋滞が起こってきますと、それだけ道路としては利用が障害になるといったことで、混雑率がオーバーしているところを排除したものを一般的な整備率といったようなことで取り上げているものがございます。それでいきますと、大体おおむね五割から六割程度が平均といったことでございます。  したがいまして、整備の進んだところもせいぜい七割ぐらい、あるいは少ないところは三割とか、そういったところかと思います。正確な数字を持ってきておりませんので、アバウトでございます。
  23. 田野瀬良太郎

    ○田野瀬委員 今の御答弁から、進んだところで七割、おくれたところで三割、大きな地域間格差があるわけですね。戦後から数えて約五十年を一つのタームにとっても、その間に大変な地域間格差が出てきておるわけでございまして、公共事業七%カットのこの機会に地域間格差是正する、こういうとらえ方をぜひしていただきたいと思うのですが、大臣、いかがなものでしょうか。
  24. 瓦力

    瓦国務大臣 ただいま道路局長から道路整備状況についてお答えがありましたが、今委員指摘のように、生活関連等の事業への重点化の例というので、建設省として重点化を進めてまいりたい、また平成十年度の予算で要求をしてまいりたい、こう考えております。  特筆いたしますと、町村の下水道整備がおくれておりますから、これを取り戻したい、また高齢者向けの公共住宅の供給につきましてもそのおくれがありますので、そうした点にも留意してまいりたい。また、安全な国土づくり、こういったことを進める上で、緊急の土砂災害防止対策でございますが、これを大幅に九五%ぐらいを伸ばしたい、こういうようなことで、河川、それぞれにおきましても手だてを講じてまいりたい、この予算でもめり張りをつけてまいりたい、こう考えておるわけであります。  都市地方という視点でとらえるということではなくて、やはり国民生活がそれぞれ地方にありましても快適な暮らしができるようなことに留意していかなければならぬ、こういうように考えるわけでありますので、地域間の格差の是正という観点を頭に置きながら、委員指摘のように整備水準についての配慮をしてまいりたい、こう私どもは考えておるわけであります。  いろいろこれから手だてをすべき問題が具体的にはございますが、委員からの先般のお話を伺いましても、奈良県におきましての道路整備、また、大変不自由をかこっておられる方々の御意見も徴する機会がありましたので、これらにつきましても十分これから勉強し、努力をしてまいらなければならぬ、こう考えております。
  25. 田野瀬良太郎

    ○田野瀬委員 とにかく国民はひとしく平等に快適な生活をうけるという権利を有しておる、私はこのように考えるわけでございます。今の予算措置のシステムでいきますと、進んでおるところはいつまでも進んでおる、おくれておるところは永久におくれておる、そういう状況をずっと続けておるわけでございまして、こんな機会に、その格差を是正するところのめり張りのある予算措置をぜひ大臣よろしくお願い申し上げたいと思います。  先般、大変田舎の社会資本整備のおくれておる村長、村会議員を連れ立って大臣陳情を申し上げたのですが、そのときのことをよく御記憶いただいて今御答弁いただいて、大変感謝しておる次第でございます。どうぞひとつその点よろしくお願い申し上げたいと思います。  とにかく、今、マスコミ、新聞等で日本の政治、行政、大変な批判を受けておるところでございます。大変景気が悪い、経済情勢が悪いのですが、今もって私は、世界一の国だ、このように確信をいたしておる次第ございます。人間の一番の願いは、私はやはり今、健康だと思うのですが、このことを一番満たしておるのが世界で日本だ。長寿国世界一、これは日本である。これを見ても大いに誇りを持ってしかるべき日本国である、このように私は考えておるのです。  ところが、外国人が日本にやってくると、いまいち評価を受けないということが言われております。幾ら長寿国であれ、所得世界一であれ、日本というような国に住みたくない。諸外国からの観光客の話によりますと、大都会の満員電車で朝夕通っておるあのさま、二時間ほどかかって都心部へ通ってきておる。都心部へやってくるのはいいけれども、郊外へ二時間かかって帰ったらよほどいい住宅が待ち受けておるのだろうと思いきや、ウサギ小屋のような住宅が延々と続いて、しかも一億も一億五千万もする大変な豪華な家に住んでおる。とてもとても日本には住むことができない。  あこがれの念をもっと日本の国に諸外国から持ってもらっていいはずの日本が、この間も運輸省の観光担当の人と、聞いておりますと、ビジネスマンはたくさん日本にやってくるのですが、観光客は世界諸国の中で最低位に位置しておる。モンゴルへ行く観光客は日本に来る観光客とほとんど同数だ。ほとんど世界の中で最低位に位置しておるということでございまして、この辺のところがこれからの日本の大きな課題である。どんな指数をとってもこれだけ世界一ずくめの日本が、諸外国からあこがれの念をいまいち持たれないというのは、我々これからしっかりと考えていかなければならぬ。  言われてみたら、私も大阪都心部に住んでおる者でございますが、近鉄で大阪へどんどん入っていくと、上から都心部を眺めてみると、本当に雑然とした都市風景、これは何とかせないかぬのではないかな、このように思うわけでございます。日本にはまだまだ自然がたくさんあるわけでございまして、ほんの限られた地域に日本のほとんどの人間が住んでおるわけでございます。整備のおくれておる地方をもっと整備することによって豊かな生活ができるわけでございまして、大都会部からもっともっと人を間引いていって田舎にどんどん住めるように、そういう国にしていく必要があるのではないか、私はこのように思うわけでございます。先ほどから申し上げております。その格差を、ぜひこの機会に是正していただきますようによろしくお願い申し上げたい、このように思うわけでございます。  さて、これまた谷畑委員から質問があった件ではあるわけでございますが、ちょっと視点を変えて、今回の行政改革の話でございます。  きょう、行政改革の最終報告が出るのでしょうか。ちょっとまだ出にくいというようなことも聞くのですが、我々も随分心配いたしました河川局の分離、これはどうやら国土交通省という名のもとで、道路、河川一体ということでおさまるようでございまして、これにつきましては御同慶にたえない次第でございます。  ただ、運輸行政と統合した国土交通省という名のもとで大くくりになる、これも私は当初からそれがいいのではないかと考えておった一人でございまして、これにつきましては一定の評価をいたしておるものでございますが、先ほどから申しておりますように、膨大な旧国鉄の債務処理問題を抱えておる運輸省と一緒になることによって、道路特定財源を旧国鉄債務償還に充てるというようなことがもしあるとすれば、これはとんでもないことであるわけでございまして、これは断じて許すわけにいかないわけでございます。受益者負担をモットーとしておりますこの道路特定財源、先行きおかしなことにならないのかどうか、建設省としての確固たる意思をここでお聞きしたい、このように思うわけでございます。
  26. 瓦力

    瓦国務大臣 道路特定財源は、省庁の再編と次元を異にする問題でございますし、今委員危惧されて具体的な事例を申されましたが、これらとのかかわりは基本的にないわけでありまして、省庁の再編によって何ら変わるものではない、こういう結論を先に申し述べさせていただきます。  といいますのも、道路特定財源は、いわゆる立ちおくれておる我が国の道路整備、これを緊急かつ計画的に進める、こういうことで、受益者負担の考え方に基づきまして、自動車の利用者に負担を求めておるものでありますし、また、道路整備に対する強いニーズにこたえるために、現在、自動車重量税、揮発油税等につきまして、道路整備に充てる、こういうことを基本にいたしまして、暫定税率を課して財源確保を図ってまいっておるところであります。  加えて言えば、一般財源及び道路特定財源に加えて、借入金を活用して道路整備を今行っておるわけでありますので、余裕は全く見出しがたい、地方からの要請も非常に強いものがある、こういうことを踏まえまして、受益と負担の関係を崩すことになりかねないこれらの問題に対しまして、私どもは、財源は道路整備に充当するという基本姿勢を今後堅持してまいることが肝要である、こう考えておるわけであります。
  27. 田野瀬良太郎

    ○田野瀬委員 これはひとり建設省にお任せする仕事ではなく、我々もしっかりとこれにつきましては認識をしていかなければならぬ、このように思うわけでございまして、ともにその方向に向かって頑張っていきたいものだと思います。とにかく、道路というのは大変な経済効果を発揮する、特に景気が不振を続けておる今日、この道路予算をいささかも落としてはならないと考えておるものでございます。  先般、私の選挙区、奈良県の大変田舎の天川村でございますが、三〇九号線、約二・五キロのトンネルをつけていただきました。先般、村長と、どうでしたか、よくなりましたかという話をしておりましたのですが、それはそれは村民生活が大変向上したということでございます。先般の、十一月の紅葉期でございましたが、その村はもう大変きれいな紅葉シーズンを迎えるわけでございます。そのトンネルできたがために何と五万台の車が入ってきて、もちろん青年団から消防団から挙げて交通整理に汗を流したのではありますが、沿道に村民挙げてお店を出した。それこそ、家庭でつくったばらずしを出したり、おにぎりを出したり、あるいはその地域の特産であります柿の葉ずしを出したりして、それはそれは大にぎわいで、一日で最高売り上げのおうちは八十万円売り上げた、村挙げての大変な経済効果があったのだ、そういうことでございます。さらに、その村からどの高校へも通学できない、大変な峠がございまして、冬になれば恒常的に積雪する、雨が降ればすぐ崩れて道が通れないというような悲惨なる状態であったのですが、このトンネルのおかげで、スクールバスをつくって、そして最寄りの駅まで運ぶことによって家から通えるようになった、二十人ほどの高校生でございますが、家から通学できるようになったのだ、大変な生活向上になったのだということでございます。  こんな話を聞くにつけ、道路がいかに大事であるか、あるいは経済効果をいかに発揮するかということを私はつくづくと痛感したわけでございます。公共事業七%カットではありますが、道路につきましては大変な経済効果発揮しますので、この道路特定財源も含めて道路行政については一層ひとつ力を入れていただきますように、この機会に篤とよろしくお願いを申し上げておきたい、このように思います。  さて、続いてでございますが、ここのところへ来て一層林業不振、木材業不振でございます。もう業者からあるいは林業家から悲痛な叫びが聞こえてくるわけでございまして、このままではもう中山間地域に人がいなくなる。特に深刻なのは、間伐を必要とする山が約五割、日本の国土の七割を占める山の半分が間伐がなされておらない、それはもう放置したままである。とても間伐をする力はないし、間伐をして木を育ててもとても経済的に成り立たないということは、もう私から言うまでもないことでございます。間伐をしない山は、どうしても根が浅いものですから、土砂崩れ、崩壊事故が起こりやすい。あるいはまた、間伐をしないものですから山が真っ暗になってしまいまして、日が当たらないものですから、草その他植物が育たない。ですから、地肌がむき出しになって、雨が降りますとその土砂がどんどん川へ流れ込んでいって、天井川をつくったりあるいはダムの土砂の堆積を早めたりというようなことで、間伐がなされないということの悪影響はもう甚大なものがあるわけでございます。これは、一に林野庁の仕事ではあると思うのですが、林業振興に公共事業を抱えております建設省の果たす役割も大きなものがあろう、こういうふうに私は思うわけでございまして、ぜひひとつこの先建設省にお願いしたいわけでございます。  とにかく国内材の新たな需要を掘り起こさなければならないと思うわけでございますが、最近になりまして、我が県におきましてもその間伐材を利用したウッドブロックをつくる施設ができたわけでございます。私は、建設省におかれましても、自然環境あるいは眺め、環境の保全等々に力点を置いた河川法の改正がなされ、この十二月一日から施行になっておるわけでございまして、この機に、コンクリートむき出しのいろいろな工事から、できるだけ自然に優しいというか自然に親しむ、すなわち木材を大いに活用した工法に切りかえていっていただけないものだろうか、ウッドブロックをいろいろなところに使っていただく、こういうところの検討を進めてもらえないものだろうか。そのことは建設省でも最近になって大いに検討し始めたということも聞いておりますので、その辺のところのお考えあるいは状況をこの機会にぜひ聞かせていただきたい、このように思うわけでございます。
  28. 佐藤信彦

    佐藤(信彦)政府委員 間伐材の利用についてでございますが、道路事業におきましては、周辺の自然と調和した良好な道路づくりといったことで、この間伐材の利用ということについても十分検討させていただいているところでございます。特に、道路ののり面に間伐材でつくりました小段にポット苗、そういったものを植えるといったような、木の香る道づくり事業といったことを始めております。特に、防雪さくとかそれから防雪板などにも、これは災害の方に関係しますが、そういったことにも活用している例もございます。  それから、今先生おっしゃられましたウッドブロックでございますが、これにつきましても、またその強度や維持管理についてどんな使われ方が一番いいのかといったようなことも検討させていただきたいというふうに思っているところでございます。
  29. 田野瀬良太郎

    ○田野瀬委員 国土を守るという視点から、この間伐材の活用をぜひ早急に進めていただきますように、よろしくお願い申し上げたい。  とにかく、大変重要でございますので、国内産の需要を建設省におかれましてもお考えいただきたいと思うのですが、その象徴的な例として、現在京都で迎賓館を計画中でございます。これは大いに木材が使われると聞いておるのですが、まさか国外産、外国から輸入した木材を使うというようなことはないのでしょうね。これをお答えいただきたいと思うのです。
  30. 小野邦久

    ○小野(邦)政府委員 お答えを申し上げます。  京都迎賓館でございますけれども平成八年三月基本計画を取りまとめたところでございまして、現在基本設計を行っております。平成十年度に実施設計をやるわけでございます。この実施設計が完了した段階で迎賓施設の概要等が決まってくる、内装にどういうようなものが使われるのか、具体的な検討がその中で行われるということでございまして、お話としてはこれからの課題、こういうことだと思うわけでございます。  御案内のとおり、我が国の歴史、文化に根差した和風の空間を表現するということが今回の和風迎賓館の建設の目的でもございます。また、木を活用してそのよさを生かした建築とするようにということも一つの大きな課題になっております。そういう観点から、できるだけ、伝統的な技術や技能の活用にも配慮しつつ、木を活用した、あるいはそのよさを生かした建築とするように努めていきたい。その場合には、やはり当然国内材ということも大変大きな課題になるというふうに思っているところでございます。
  31. 田野瀬良太郎

    ○田野瀬委員 国内産、特に我が奈良県では、吉野、宇陀等々に何百年物であっても杉、ヒノキ、日本一のものが控えておりますので、どうぞひとつ御検討していただいて、ぜひ使うていただきますようにお願いを申し上げまして、時間が参りましたので、私の質問を終わらせていただきたいと思います。  以上でございます。ありがとうございました。
  32. 二階俊博

    ○二階委員長 伊藤英成君。
  33. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 きょうは、道路整備とその財源の問題を中心にしながらお伺いをしたいと思っております。  さっきもちょっと話が出ておりましたけれども、先般、我が党が反対しておりました財政構造改革法案が成立をいたしました。先ほど自民党議員の皆さんも、本当は反対だという意味なのでしょうか、そんな感じでちょっと言っておりましたけれども、私としては、あの法案が成立したのは非常に残念である、こういうふうに思っております。政府の財政再建を進める方針が決まって以来、建設省においては、平成十年度の概算要求に大変苦労をしてきたのではないかと私は思います。  そもそも、道路整備について考えたときに、現在道路整備の主たる財源というのは、これは自動車ユーザーからの道路整備の特定財源によっているということですね。また同時に、ほとんどが赤字国債や建設国債に頼ることなく事業は進められているのです。そして、国の財政赤字の原因ではなくて、むしろ豊かな国民生活あるいは国民経済の実現に貢献をしてきている。こういう経済効果も相まって、むしろ税収増に貢献をしているということですね。  今のその財源等の実態からしてみても、そもそも財政構造改革の議論とは本当は別のものと考えるべき話でしょう。だから、そういう意味では、道路整備について、もちろんコスト縮減等の努力はしなければなりませんが、公共事業の削減対象からは本来除外して考えるべきものであると考えます。もしもそのときに除外しないとするならば、そうならそうでそのやり方がまた別になければならぬ、こういうふうに思うのですが、大臣の所見をまず伺います。
  34. 瓦力

    瓦国務大臣 伊藤議員にお答えをいたします。  伊藤議員もよく御案内のとおり、道路整備は、移動時間を短縮するとか輸送コスト低減によって地域経済活性化をもたらしたり、税収の増大にも大きく寄与いたしておるわけでありまして、財政構造改革経済構造改革の両立を図るためにも道路整備推進が重要である、こう考えております。  財政問題につきましては、大変厳しい財政状況の中で、一方におきましては、将来にわたる財政の不足、不備を子々孫々にもたらしてはならぬというようなことで、今財政構造改革に対する諸問題がとり行われたわけでありますが、私は、そういう観点を考えましても、道路整備推進が果たしていく役割は大きい、こう考えておるわけであります。  また、公共事業にしても、高規格道路整備を考えてみますと、九年度末で七千二百六十五キロでございますから、いわゆる道半ばでございまして、地方とのかかわりにおきましても、これからも高規格道路網の整備というものを進めてまいりたいと存じますし、交通渋滞による時間損失は全国で年間十二兆円に及ぶだろう、こういうようなことも言われるわけでありますので、道路は、生活を支え、国民経済を豊かにする基本的な基盤をなすものだ、こう認識をしておるわけであります。  よって、公共事業の中でも、それぞれの意義はありますが、一つ道路をとってみますれば、我が国の経済基盤をつくり生活を向上たらしめる大事な事業である、こういう認識でございます。
  35. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 道路は非常に重要だ、今大臣も言われました。私も先ほど、そもそもの話もちょっと申し上げたつもりであります。そういうふうに考えたときに、平成十年度の概算要求の中身を見ますと、いかにも筋論から外れた話、あるいは矛盾なり問題点が多過ぎる、こんなふうに思います。  まず最初に、私は、本当は国の道路整備というのは、本来は一般財源でやるべきものだと思っております。これは多分みんなそう思っている。しかし、資金不足の時代に、国民経済上の道路整備の必要から、いわば緊急避難的に道路整備のための道路の特定財源制度をつくった。これは昭和二十九年から始まったということですね。だから、そういうふうにして、無理に自動車ユーザーにお願いをしてきたということでしょう。そういうふうにやってきた。  過去の道路整備の五カ年計画をずっと見ても、第一次五カ年計画にいわゆる一般財源の比率はどのくらいあったかというと、三・七%。第二次五計が七・三%。そしてどんどんと上がっていきまして、まあいわばどんどん正常化へ向かっているわけですね。そして、第六次五カ年計画では二二・七%まで一般財源の比率は上がりました。そして、さっき申し上げたように、本来これはもっとどんどん上げていくべきものでしょう。三〇%、五〇%あるいは一〇〇%といくべき話だったのでしょう。ところが、第七次五計でまたちょっと下がってきた。そして、八次、九次。そして、やはりこれはいかぬということで、十一次五計でやっと一七・六%まで一般財源比率が回復してきました。そうやってまいりました。そして今度、第十二次五計の始まる初年度の平成十年度に一般財源比率がゼロというのはどういうことか。どういう理念で道路整備をこれから進めようとするのか、これはどういうことでしょうか。
  36. 佐藤信彦

    佐藤(信彦)政府委員 五カ年計画の中での国費の比率というのは、そのときの財政事情にかなり影響を受けている経緯はございます。  今回の平成十年度についてでございますが、第十二次の五カ年計画もございますが、平成十年度の概算要求におきましては、平成十年度の公共投資の予算については対九年度比七%マイナスの額を上回らないということで公共事業を概算要求させていただいております。  その中で、道路整備につきましては、特に国民の強いニーズを踏まえまして、それから先ほどお話もございましたように、財政構造改革、それから経済構造改革の両立に資する事業といったことの認識の中から、厳しい財政事情の中ではございますが、通常の予算枠に加えまして二つの特別枠で要求を行わせていただいております。一つは、物流効率化による経済構造改革特別枠、それからもう一つは、生活関連等公共事業重点化枠でございますが、これらの別枠を最大限活用して要望を行っているところでございます。  その結果といたしまして、ただいま先生がおっしゃられたように、概算要求におきましては、道路特定財源の全額がこれに入ることになりまして必要な財源が確保されるという形になった次第でございます。結果として、一般財源はゼロということになったわけでござます。
  37. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 ではもう一つ。  先ほど申し上げたように、本来一般財源でというのは局長もそう思っていると思いますね。そして、そういうことを大事にした道路整備をしていこうかなと思ったら、例えば平成九年度の分でもNTTの九百十八億円を除いた約五百億円、四百八十八億円くらいは入れたっていいじゃないか、そんなふうに思ったりするのですよ。先ほどのお話にも関連するのですが、要するに道路特定財源があり余っているということなのでしょうか。
  38. 佐藤信彦

    佐藤(信彦)政府委員 先ほど申しましたことの繰り返しになるわけでございますが、通常の予算枠、それをベースといたしまして特別枠を加えていきますと、最大限確保したものが今の額になるといったことでございます。  これは、これまでの予算におきましてもシーリングのとき、いろいろございますが、そういった中で、九年度におきましてもその前の年におきましてもやはりシーリングの中、それに合わせまして特別枠とか重点化枠を加えていくといったことで行っております。そういったことの結果でございます。
  39. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今のお話はまた後で触れます。  先ほども他の議員から話がありましたけれども、今のような状況が起こっている。あくまで道路整備は一般財源でやるのだよということは本当に貫徹していかなければならぬということを考えながら、いろいろなことを考えていかなければいかぬわけであります。したがって、そういうときに、ユーザーの立場から見れば、さっき申し上げたように、道路整備はそもそも一般財源でやるのだよ、そして、その足らざるところを、いわば私は先ほど緊急避難的にと申し上げましたけれども、その部分をユーザーの部分でカバーするのだよ、だからその納めた税金は、それは絶対に道路整備に使わなければいかぬということですね。  それが、例えば国鉄債務の処理問題に云々という話もされたりいたしますが、この問題について、改めて私からも建設省としてはどう考えるのか伺います。
  40. 佐藤信彦

    佐藤(信彦)政府委員 国鉄の債務処理案についてでございますが、これは現在財政構造改革会議の企画委員会において検討がされているというふうに伺っております。したがいまして、私どもは処理案についてはまだ伺っておりませんが、先ほどもいろいろ話がございましたが、道路特定財源につきましては、我が国の立ちおくれた道路整備を緊急かつ計画的に進めるために、受益者負担の考え方に基づきまして自動車利用者に負担を求めているものでございます。  したがいまして、特に道路整備に対する強いニーズにこたえるために、自動車重量税、それから揮発油税等につきましては、道路整備に充てることを理由として財源確保を図っていくとともに暫定税率なども堅持していくといったことで、道路整備にこれらの特定財源を堅持していくといったことの方向で私どもとしては考えているところでございます。  それから、特に現在のような状況におきまして、そういったほかのものに回すということは、納税者の方々、利用者の方々の御理解も得られないのではないかというふうに私ども考えている次第でございます。
  41. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 大臣に決意を伺うのですが、これは簡単に結論だけでいいのですが、この道路特定財源の他への転用、流用は絶対にさせないということで、体を張ってでもやりますというふうに決意をいただきたいと思います。
  42. 瓦力

    瓦国務大臣 日ごろつき合っている伊藤さんとは違った言葉が出てまいりまして、私もどきっとしておるわけでありますが、今道路局長がお答えをし、さきの質問にも私が答えてまいりましたが、この特定財源の堅持は、強い世論、また道路整備を早く進めていこう、こういう熱意が一体となった中で行われておるわけでありまして、これは受益者の理解をいただきながら進めておる仕事でありますから、私はこの基本はしかと守っていくことが必要だと思っておるのです。  でありますので、体を張るという言葉は国会において必要かどうかということには声が詰まるわけでありますが、本質的な問題を考えまして、この受益者の理解というものを得ながら進めるという特定財源である、そういう中で道路整備を行っていくという本旨に基づけば、極めてこれは大切な考え方だ、尊重してまいらなければならぬということでは意思を貫いてまいりたいと存じております。
  43. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 税収見積もりの方から、今回の道路予算の概算要求の部分についてちょっと見てみたいと思うのです。  さっき私が申し上げたように、今回一般財源を投入しないことによって、例えば平成九年度と同程度を投入することを前提とすれば約五百億、合わせて実質的に一千億というふうに考えるべき話なのかもしれません、オーバーフローするのが。それ以外の側面からちょっと伺いたいのですが、まず第一に揮発油税は、最近の税収の伸び率は、三%から四%伸びております。平成十年度の要求の伸び率、要するにその見積もりをゼロとしていますね。最近三、四%ずつ伸びているよ、しかし十年度はゼロというふうにしている。それから、石油ガス税について、同じように最近の伸び率を見ると二、三%伸びているのですが、平成十年度の要求はマイナス九%。それから、重量税についても、最近はずっと四、五%伸びているのですが、平成十年度の伸び率はゼロ%。これはどういうことなのでしょうか。
  44. 佐藤信彦

    佐藤(信彦)政府委員 平成十年度の概算要求に当たりまして、建設省といたしましては、揮発油税としまして二兆六千百三十億、それから石油ガス税として百四十五億、それから自動車重量税として六千七百二十七億の税収を見込んでおるところでございます。  この推計の根拠でございますが、平成八年までの税収の実績並びに今後の景気動向といったものや燃費の向上等を勘案して算出したものでございまして、平成八年度から平成十年度にかけて、年平均で行いますと、揮発油税が一・三%の伸び、それから石油ガス税がマイナスの一・七%、それから自動車重量税については〇・九%の伸びといった状況でございます。これらを考えに入れまして、推計をしているところでございます。
  45. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 私は、無理に過小評価を、見積もりをしていると思います。  ざっと計算してみても、今までの実績等々を見ても、私などが推計いたしますと、揮発油税について、最近の実績の伸び率で例えば五・四%、あるいは最低でも四%としましょうか、四%として見たときにどのくらいになるかというと、さっきのお話の、九年度が二兆六千百三十億円ですから、四%伸びて一千四十五億円の増収になります。石油ガス税も、本来は伸ばしてもいいはずのものをマイナス要求しているのですから、昨年並みとしたとすれば八億円増になる、そして、最近の実績の二・五%伸びたといたしますとそこで四億円、計十二億円の部分が出てまいります。重量税についても、同じように最近の実績の四・五%伸びたといたしますと、約三百億円程度低く抑えているという話になります。今言ったのを合計すると、千三百五十七億円のオーバーフローが発生するはずであります。実質上はほぼこんなような感じで発生していくと私は思います。  それをいろいろと、特定財源がその部分で多くなるな、片方では事業量を何とかしなければいかぬというので、無理やりこういう話にしているのではありませんか。
  46. 佐藤信彦

    佐藤(信彦)政府委員 この税収の見込みでございますが、これはどうしても、概算要求を出していくときに、前の年の前ですから二年前、二年ぐらいのタイムラグがございます。そういったことで、見込みのとり方が現状と多少違う点もあるかと思います。ここら辺のところは、また予算編成のときには恐らく税務当局が行う推計ということになるかと思いますが、平成九年の四月から消費税の引き上げなどが行われているといったような影響、それから、来年以降また公共事業費がこれだけ抑えられたといったようなこともございますので、そういった意味では、また伸びが今までとは多少違ってくるのではないかといった感じもいたしております。  ですが、仮に概算要求を上回る特定財源の税収が上がってきた場合におきましても、先ほどの物流化枠とか重点化枠、それからさらには、受益者負担という意味での特定財源の使途として考えております道路関係社会資本への活用とか、そういったことによって道路特定財源は全額道路整備に充てられるものというふうに思っております。
  47. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今いろいろお話をされたところが実はまた問題だと私は思っているのです。  まず伺いますが、今、例えば物流特別枠の話をされました。建設省はこれについて幾ら要求しているかというと、道路だけで千七百二十億円ですね。政府全体の枠が千五百億、それに対してこの道路関係だけで千七百二十億というのは、普通で考えれば、千五百億を超過した分の二百二十億円というのはそのまま減額されるのではないかというふうに何となく思ったりいたしますが、建設省はどういうふうに思ってこれだけ政府の枠をオーバーする部分を要求しているのでしょうかね。
  48. 佐藤信彦

    佐藤(信彦)政府委員 これは平成十年度の概算要求の基準におきまして、生活関連枠につきましては各事業シェアの一・五倍、それから物流特別枠につきましては、一般公共に占めます各事業シェアの四倍まで要望可能ということにされておりまして、これら特別枠を可能な限り活用しながら要求させていただいたというところでございます。
  49. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 さっき税務当局の大蔵省の査定云々という話がありました。実は、先ほど私は、道路特定財源についての税収見積もりについて、揮発油税はどうだろうか、重量税はどうだろうか等々について、本当はこういうふうになるのではないでしょうかという話をいたしました。そして、建設省の見込みとどんなに差があるかという話をいたしましたけれども、税務当局の方から、私がさっき申し上げたように、そもそも建設省の出している話は、その見積もりでは低過ぎるのではないかということで査定をされる。したがって、逆に言うと、道路特定財源の税収見込みが増額されるという可能性はありませんか。
  50. 佐藤信彦

    佐藤(信彦)政府委員 先ほど説明しましたように、税収見込み、これは税務当局で予算編成時に行うものでございますが、私ども、今聞いているところでは、そういった消費税等の影響から見てもそれほどふえる話ではないというふうに伺っております。
  51. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 それから、先ほど道路関係社会資本云々という話がありましたね。今回、いろいろ見ていて非常に気になりますのは、建設省がいわばこのオーバーフローを、あるいはオーバーフローが起こる現象を回避するために、住宅とか都市局が扱っている道路、そごで道路関係社会資本という新しい概念を持ち出してきて、いわば、従来一般財源で行っていた事業を、あるいはその事業道路特定財源を投入しようとしているということですよね。具体的に言いますと、住宅関連で三百五十億、都市再開発で三十億、合計三百八十億をそこに概算要求をしていると思います。  例えば、住宅関連の住宅宅地関連公共施設整備促進事業のうちの道路整備事業、これを前年度の四・四倍の三百五十億に伸ばしているのですね。そうでしょう。その仕事は、もともと道路特定財源と一般財源の双方でやっていたのですが、道路特定財源の比率をばあんと上げてきて、さっき申し上げたように、オーバーフローする部分をここにさらに投入をして、結果としてオーバーフローしないかのごとき形のものをつくり上げているということだと私は思うのです。  そして、同じような仕事だと思うのですが、住宅宅地関連幹線道路整備事業は、従来からこれは全額一般財源で行ってきて、そして平成十年度もそういう取り扱いをしているわけですね。  では、この二つの仕事の整合性はどういうふうにとられるのだろうか。どういうことでしょうか。
  52. 佐藤信彦

    佐藤(信彦)政府委員 住宅関公の方についてのことでございますが、これは、御存じのように、良好な宅地供給を図る観点から、その開発に関連する必要不可欠な道路整備を宅地開発と一体的に行ってきておるものでございます。これにつきましては、道路特定財源の不足するものについて一般財源を補いつつ、その整備を円滑に進めてきたところでございます。  ですが、最近のこういった財政事情になってきますと、一般財源そのものもかなり充当は難しくなってきているといったこともございまして、道路整備は、そういった住宅関連のものも、それから本来の私どもがやっているものにつきましても、やはり整合性を持って整備していかなくてはならないといった観点から、こういったものにつきましても特定財源を、従来両方でやってきておりますが、その割合が、特定財源の方にもともと八十億であったものが三百五十億というふうにふえた状態になっております。  そういったことで、道路整備の分野、一般財源、それから特定財源で行っている分野、いろいろございますが、一般財源の足らないところをまた特定財源で補う、これは事業を進めていくに当たりまして、片方だけが進行するということになりますと、バランスが崩れましていろいろな問題が生じますので、そこら辺を補てんする意味からこういうことを行わせていただいているところでございます。
  53. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 全然私わかりません。  初めの方に、例えば国鉄の債務云々という話もいたしました。要するに、この特定財源はどういう経緯で、どういう目的でつくっているのだろう。そもそも道路も一般財源でやるべきものだ、やむを得ず緊急避難的に道路に使うためにということでお願いをしてきたというわけですね。そして、その分については、非常に厳粛に受けとめて、ユーザーのあるいは納税者の信頼を損ねないようにということで、大臣を初めとしてみんなが取り組んでいるのでしょう。それがだんだんとなし崩し的に、他への転用あるいはそれに近いものをつくり上げるというふうにしている。多分、もう建設省の皆さん方も本当はそんなことは絶対やりたくないと思っていると私は思うのですよ。ところが、何とかして、この特定財源の部分がオーバーフローをしてしまいそうなものだから、表面上そういうことがないようにということでほかのところにどんどん移していったというふうなことをしているのだと思います。  実は、さっきちょっと言い忘れましたけれども、税収の見積もり等の話をさっきちょっといたしました。例えば、揮発油税の問題でも、皆さん方のところで今回の処理の仕方で若干わかりにくいなということは、例えば揮発油税の伸び率ゼロ云々とやっている。片一方、特会全体の対前年度比も、九八%ということで二%ダウンしている。いいですか。そういうときに、直入分は直入分として六十三億円入れていますよね。これは伸びているのですね。なぜ直入分は伸びているのだろうということ。そしてまた、今度は、では揮発油税収の本体の方を見ると、今私が言おうとしたのは、さっきの直入分が入っていないのは多分決算調整金の問題かなという気がしたものだから、もしもそうだとするならば、本体の方は決算調整金が入っていないと私は思うのですね。  一体この処理は何をやっているのだろうか、ごまかし的にやっているのではないだろうか、どうでしょうか。
  54. 佐藤信彦

    佐藤(信彦)政府委員 平成十年度におきます道路特会の直入額が六十三億円ふえているということでございますが、これは先生おっしゃられたように、平成十年度それから九年度、それぞれ前々年度の決算調整金の差によるものでございます。その結果六十三億円がふえてきているといったことでございます。
  55. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 先ほどからずっと私見積もりの問題等々も言ってきたりしてきたのですが、そういうふうに考えると、さっきも申し上げたように、先ほど来の見積もりの私の推計値、額等をずっと計算すると、一般投入しない分を一千億、五百億、五百億の実質一千億というふうに考えると、ざっと二千九百五十七億円オーバーフローすることになります。さっきの数字をずっと計算すれば、そういう話になる。本当はやはりこうなっているのじゃないかということですよ。  だから、そういうようなときに、ではこれをどういうふうにしていくのだろうか。今のような格好でやっていって、そしてオーバーフローもする、ひょっとしたらほかのところにも使うなんという話が起こればますます大問題でありますし、そんなときに、暫定税率も五年間そのまま継続してくださいと、延長してください。おかしいのじゃないかな、こういうやり方は。だから絶対にこれは考え直した方がいい。  だから、さっき言ったように、平成十年度だけでも約三千億円余剰は発生するでしょう。平成十一年度について見れば、揮発油税の伸び率を入れただけでも私はそれで一千百億円さらに加わると思います。さらに平成十二年度、同じように考えたといたしますと、そこにオーバーフローする額は優に五千億を超えると私は思います。  では、そういうときに、建設省としてあるいは政府としてとるべき道は何だろうかと考えれば、それは何といっても、まずは、こんな状況なら、事業をこういうふうに、道路投資についてこういうふうに進めていくならば、これは重量税など来年度から即減税をすべき話だと思います。これは減税をする分。暫定税率を一部やるとしても、する部分はあるとしても、それを五年延長するなんというのはもってのほかだ、私はこんなふうに思うのです。こんなことをしていて本当に納税者は納得できるかなということですよ。税というのは、本当に納税者から見て、ああもっともだなというような格好でなかったらこの制度がもたないということになります。  この間も私は、道路整備の決起集会云々というところに行って言ってきたのですが、こんないいかげんなことばかりやっているなら、それを直そうと思えば、ユーザー等は納税拒否運動でもしなければ直らないかもしれないとさえ申し上げてきたのですが、本当にこんなことは直した方がいいと思います。  ただ、それは、繰り返しますけれども、まず一つは、本当に自動車ユーザーに対して税への信頼をあるいは納税者に対して税への信頼を持ってもらうために、二つ目には、道路整備はどういうシステムで本当に行われているのかということをもしも理解していない人がいるならば、その人たちにわかってもらうために、そして、三つ目には、先ほど申し上げたように、旧国鉄債務等々、そういうものへの流用等を考えずにあきらめてもらう、流用しないようにしなければならないというふうに思います。そんなことを考えて、まずは減税をすることでしょう。暫定税率についてもそういうふうに考えるべきだと思いますが、いかがでしょうか。大臣にその辺についてお伺いして、私の質問を終わります。
  56. 瓦力

    瓦国務大臣 先ほど申し上げましたが、この道路特定財源、受益者負担の考え方に基づきまして財源を得て行っておるわけでありますから、この特定財源の全額確保、これを全額道路整備に充てるということがなければ、私は、基本的に受益と負担の関係を崩すことになりますから、納税者の理解は得られなくなるということを先ほど申し上げたわけであります。  新たな五カ年計画を実施するためには国費で二十兆円が必要でございますが、ガソリン税や自動車重量税等の道路特定財源で賄われるのは、現在の税率が維持されたとしても約十七兆円でございまして、新たな道路整備五カ年計画におきまして、未充当は生じない、こう申し上げておるわけであります。  そういうことに対しまして、現在要望しておる道路特定財源諸税の暫定税率は、現在要望中である新たな道路整備五カ年計画、これを実施するための所要額を勘案して負担をお願いしているものでございまして、現行計画と同様に適用期限を五年間延長することは不可欠だ。先ほど来委員道路局長の答弁を徴しながらも、改めて申し上げますが、現行計画と同様に適用期間を五年間延長することは不可欠、かように考えておるものであります。
  57. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 先ほど来議論をしてまいりましたことごとについて、私が申し上げたのは、本当にこれから日本の道路整備を、あるいは公共事業なんかもどうやってやっていくのだろうか、あるいは日本の税制をどうしていくのかというようなことを考えたときに、私は最も重要な視点だと思っています。  そして、建設省の皆さん方も、ぜひ先ほど来の議論の部分についてさらに御検討をいただいて、今後直すべきことは直す、先ほど大臣も一応のことは言われましたけれども、それは直すべきものは直さなければならぬ、いい方向に持っていかなければならぬということで、ぜひ御検討をしてくださるようにお願いをして、終わります。ありがとうございました。
  58. 二階俊博

    ○二階委員長 太田昭宏君。
  59. 太田昭宏

    太田(昭)委員 太田昭宏です。  国土庁長官に、新しい全総計画、お聞きしたいと思いますが、公共事業の七%削減、あるいは公共事業悪玉論というようなものがとかく言われ、削るべきものは削らなくてはいけない、しかしやるべきものはやらなくてはいけない、その観点から、国家のグランドデザインというのは非常に大事だという認識をしておりますが、三月ごろにはもう閣議決定という予定であったはずの新しい全総計画が、現在おくれている。この間、審議経過報告というのが十月末に出されたわけですが、これからのスケジュール、目算、それについて、簡単で結構です、お答えいただきたいと思います。
  60. 亀井久興

    ○亀井国務大臣 今御指摘ございましたように当初の予定からおくれてきておるわけでございますが、早期策定を強く期待しておられます全国からの御要望にこたえるためにも、新しい国土のグランドデザインともいうべきというお話でございましたが、非常に大切な新しい全国総合開発計画でございますので、今計画部会から審議経過報告を国土審議会が受けた段階でございますが、これからこれに肉づけをしながら、本年度中には何とか策定をしたい、まとめたい、そのように考えております。
  61. 太田昭宏

    太田(昭)委員 年内に政府としてまとめ、閣議決定も年度内には急ぐという話が伝わっているのですが、どうなんですか。
  62. 亀井久興

    ○亀井国務大臣 年内にということは、今のスケジュールから申しましていささか難しいかと思いますが、本年度中にはということで進めております。
  63. 太田昭宏

    太田(昭)委員 おくれた理由は財政構造改革ということにあると思うのですが、それで間違いないですか。
  64. 亀井久興

    ○亀井国務大臣 主たる理由といたしましては、財政構造改革を進めているという、そうした全般的な状況があったことは間違いないと思います。
  65. 太田昭宏

    太田(昭)委員 それゆえに、私は、内容が変わらなくてはならない。この間の、十月三十日の経過報告を見ますと、果たしてこれで変わっているのかなという感じがするわけなのですが、昨年から延び延びになって、何が変化をしたのかということを端的にお答えいただきたいと思います。
  66. 亀井久興

    ○亀井国務大臣 今御指摘ございました計画部会の審議経過報告におきまして、財政構造改革に関する議論の動向を踏まえまして、計画の目標年次を、当初想定しておりましたのは二〇一〇年ということでございましたが、これを二〇一〇年から一五年ということに延長いたしております。  また、新しい計画で掲げております課題や戦略に沿った分野への投資の重点化、また建設コストの縮減や既存ストックの有効利用等による投資の効率化を進めていくこと、こうしたことを新たに盛り込んでいるところでございます。
  67. 太田昭宏

    太田(昭)委員 私は、財政構造改革という、お金がない、さあどうするか、そのときこそ国家のやるべきことは一体何かということを強調すべきだと思うのです。  長官おっしゃったように、今回これを読ませていただきますと参加と連携とかあるいは重点的な投資あるいは効率的というような、どういうふうにやっていくのかという中身とか方法論、そこに私は新しく加わった面というのはかなりあることは認めます。  認めますが、実は、そういうこと以上に、三つの国土軸というのをふやし四つにしていく、あるいはまた大都市のリノベーション、結局そこの部分については変更はされていない。それはなぜ変更されていないかというと、一つは、太平洋ベルト地帯の発展というものに国家を持っていこう、何を見ながら国家を考えていくかというときに、そういう太平洋ベルト地帯に対してという観点が強過ぎる。もう一つは、対東京といいますか、対大都市ということ、従来型の発想から均衡型の都市あるいは国づくり、そういうものが強過ぎるけれども、現時点で大事なことは、ぜひとも政府にリーダーシップをとってやってもらわなくてはならないことは、対アジア、対世界、そういう観点でどのように公共投資をやるか。  ハブ空港というものを今までの思考線上で、あそこにもここにもハブ空港というのではなくて、上海とかあるいは永宗島とかあるいはマレーシアとか、そういうものに対して日本のハブ空港はどうなのかとかいうような対アジア、対世界、そこの経済的なグローバルスタンダードという時代に即してやっていくという思考が非常に欠けているのではないかということを実はこの経過報告で、大変立派な先生方がやっていただいたのだけれども、もう一遍その点を考えていただいて、そして方法論、中身ということで、どのように効率的に、重点的にということがあってしかるべきだが、私はそちらの構想力が欠如しているように思えてならないのですが、その点いかがですか。
  68. 亀井久興

    ○亀井国務大臣 他の委員会におきましても、太田委員から同様な御趣旨で御高見を拝聴させていただいておるところでございます。  今御指摘ございましたように、今度の全総というのは、ただ単にバランスのとれた国づくりを進める、そうした観点だけではなくて、先ほど御指摘もございましたように、まさに世界が一つになりつつある、グローバル化が進んでいる中で、アジアをにらみ世界をにらんだ国づくりということが特に重要な視点である、そのことは私も全く同感でございまして、そうした観点もさらにつけ加えながら、しっかりとした長期的な構想をまとめていきたい、かように考えております。  また、今お話のございましたハブ空港、ハブ港湾、こうしたことにつきましても、それぞれの地域にきちっと位置づけていく。また効率化重点化という観点から申せば、いわゆる二重投資、三重投資というようなことにならないように、それぞれの地域にきちんと拠点的な空港、港湾等も位置づけるような考え方を盛り込んでいきたいと思っております。
  69. 太田昭宏

    太田(昭)委員 ある新聞によれば、下河辺会長が、株価が下落し、財政再建も厳しい時期だからこそ政府が二十一世紀の夢を確認する明るさが重要である、だから急げと。しかし、いろいろな方に聞いてみると、財政事情が大変だからおくれてきました、すぐ決めることはなかなか難しいね、こう言うのですが、財政事情が非常に悪い、だからこそという声は私もいろいろな分野の方からも聞くわけです。年度内と言いましたが、ぜひともこれは年内、一刻も早く、しかもがっくりするものじゃなくて夢のあるものを、せっかく新しい全総というわけですから、もう一工夫して、先ほど私が申し上げた点も含めて検討されて決めるという方向に持っていっていただきたいということを私はお願いしたいと思います。どうですか。
  70. 亀井久興

    ○亀井国務大臣 太田委員から大変な激励をちょうだいいたしまして恐縮をいたしております。  確かに、御指摘ございましたように、行財政改革、もちろん重要なテーマでございまして、何としても実現をしなくてはいけないわけでございますが、行財政改革そのものが政治の目指す最終目標ではないわけでございまして、何のために行財政改革をやるか、その乗り越えた後の国づくりが大きな目標であろうというように思っております。  その意味から、多くの国民が夢と希望を抱いていただけるような、そうした長期ビジョンを急がなくてはいけない、そのことは私も同様に考えておりますので、私といたしましても精いっぱいこれを早めて策定をするように頑張っていきたいと思っております。
  71. 太田昭宏

    太田(昭)委員 移りますが、けさの新聞を見ますと、日商の十一月の早期景気観測調査、小さく出ているところが多かったのですが、全産業の中で好転と回答したというのはもう大変なマイナス五三・七、「業種別にみると、電気機械や情報関連で「上向きの動きがみられる」ものの、他は総じて景況感が悪化。特に公共事業の落ち込みが響いている建設業は業況DIがマイナス七〇・六と過去最悪を更新した。」という記事が出ています。  ゼネコン危機ということが言われて、九月ごろからいろいろなところで報道されて、今は金融不安ということにかなり来ているのですが、実際のところは、拓殖銀行でも、北海道のこの業界も含めて大変な状況、年が越せるかというような事態になっていることは事実です。  ところが、私は冒頭この話をしたいと思うのですが、その前段として、今補正で公共事業をやる、この間ある新聞で一面にトップでどんと出た。何を言っているのだろうか、これは。先ほどの先生方の話でも、だからあの財政構造改革法案を廃案にしろと言ったじゃないかと。それを与党の人たちは通しました。通した後で、補正は抜け道ではありませんね、とんでもないですよということを我々はあの財革法の委員会でも言ってきた。私も大蔵大臣質問をした、財政法二十九条を厳正適用するのですねと。これは厳正適用いたしますと。ウルグアイ・ラウンドはどうですかと。当初予算においてやるということを明言している。しかしまた、今度は、法案を通しておいて、大変だからということでやはり補正で補正でというような話が出るということはとんでもないことで、財革法を私たちはだからこそやめよと言ったのだけれども建設大臣は、この補正と公共事業問題についてどういうふうにお考えなのかということを、まず中身に入る前に私はお聞きしておきたいと思います。
  72. 瓦力

    瓦国務大臣 太田委員から大変鋭く迫られております。  財政改革は、私どもとして、将来を見通して肥大化したこの財政というものをもう一度構造的に改革をしなければならぬという大きな使命、柱を担っておる世代であり今日の政治だ、こう考えております。今また、委員がおっしゃるように、極めて景気が悪い。景況がだんだん実は建設業でも悪化をいたしておることはお述べのとおりであります。一方におきまして、この景気対策にどう取り組んでいくかというのも現実的な私どもの姿でなければならぬわけであります。  しかし、今私どもは、規制緩和とかそれらの方策を講じながら、でき得る限りの経済対策、景気対策に対応する仕事をしなければならぬ、こういうようなことも考えまして、先般来それぞれの手だてを講じておるところであります。  太田委員から、補正と財政改革と両方にらんでの御質問でございますが、まず当面は両面をしっかりと踏まえて、景気対策というものに十分注視をしながら全力を挙げたいと思っておるわけであります。
  73. 太田昭宏

    太田(昭)委員 与党は、通した限りはそれに沿ってやっていただかなくてはならないというふうに思うわけです。ただ、同じやるにしても、明確に透明性があって、理屈がついてということは、こういう時期だからこそ私は大事だと思います。そこは最低限踏まえておいていただきたいと思いますし、やるからにはびしっと、やるからにはということは、補正をやるという場合の二十九条の適用については厳正にということだけはくぎを刺しておきたいと思います。  そこで、今まで公共事業等が削られるというのは、概算要求では五十九年、六十年、六十一年、六十二年が五%削減というのが最大であったのですね。ところが、この最大五%、今度は七%なのですが、この五%というのは、実は、中身をよく調べてみると、決して五%ではなくて、ちゃんと激減緩和措置というのがそのときに行われて、四年間それぞれ平均しますと二・三%。さらに、補正とかさまざまなものを全部入れますと、調べてみますと、五%などということとは大違いで、五十九年度がマイナスの四・七%、これは大きかったのです。ところが、六十年、六十一年、六十二年、この三年間は実はプラスになっていまして、〇・六%、〇・三%、そして六十二年度は一二・四%。  ということは、これは今まで公共事業がこれだけがくっと減らされたことはないということです。減らされたのは、現実的には五十九年度、そして平成二年度、これ以外はなかったという中で、今度は七%をぐっと削減すると言ったものですから、そんなに急激に落とすならば、野茂のフォークみたいなもので、全員が空振り三振だよ、アクセル踏んだりブレーキ踏んだりというようなことで、政府のそういうやり方が実は大変なことになってしまうということを私は申し上げているわけなのですが、この七%というのはどういう認識をされているのか、厳し過ぎるという認識をされていますか、いませんか、どうですか。
  74. 瓦力

    瓦国務大臣 状況といたしましては、七%削減は大変厳しい課題だと承知をいたしております。しかし、この七%削減の大きな課題を消化しなければならぬわけでありますので、全力を挙げて政策を打ち立て、また見直しをしながら、今対策をさらに講じようとしておるところであります。
  75. 太田昭宏

    太田(昭)委員 七%削減がどの程度経済影響を与えるか、試算されていると思うのですが、どういうふうになっていますか。  建設経済研究所の分析によりますと、これは八月ですからちょっと私のは古いので、新しい資料があるのと思うのですが、それによりますと、九八年度実質公的固定資本形成が九七年度に比べて四兆七千億円の減少、伸び率で一一・九%の落ち込み、これによって民間需要は一兆一千億程度の減退、これは九八年度GDP成長率に対して〇・二ポイントの引き下げ効果を有する、逆に、内需の減少によって外需依存度が高まって、純輸出は一兆円ふえる、雇用については六十五万人の減少が試算されて、全就業者約六千五百万人の一%に相当する、特に建設業業者の比率が高い、これ が建設経済研究所の分析です。  私はさらにこのときの分析よりも厳しい認識をされているのではないかと思います。試算をされていると思いますが、いかがですか。
  76. 五十嵐健之

    五十嵐政府委員 先生御指摘のは建設経済研究所のことしの七月のデータでございます。その後の調査はやっていないわけでございます。  先ほど大臣申し上げましたように、この公共投資の七%抑制、加えまして、このビッグバンを控えました足踏み状態景気等々考えますと、大変に厳しい状況にあるという認識を持っております。
  77. 太田昭宏

    太田(昭)委員 新しいデータはありませんかということを聞いています。
  78. 五十嵐健之

    五十嵐政府委員 建設経済研究所ではその後の調査をやっておりません。
  79. 太田昭宏

    太田(昭)委員 建設省そのものでこの後の試算というのはありませんか。
  80. 五十嵐健之

    五十嵐政府委員 特にございません。
  81. 太田昭宏

    太田(昭)委員 建設業界の倒産件数が急増している。私がいただいた資料によれば、これはかなり深刻で、建設業の倒産件数、負債総額は既に昨年を超えて、負債総額たるやもう昨年の比ではない。それは、一月から十月の時点で既に倒産件数は昨年度を上回り、負債総額はもう三倍ぐらいになるというような状況で、これは大変なことだというふうに思っていますし、負債総額は全産業の五分の一を超える。これは、かなり建設業界というものに対して厳しい認識を明確にし、構造改革をなし遂げるということをし、また、この厳しい中に突き落とすという限りは、そこの負け組というものに対しても、大変な状況にある人に対してどうバックアップするかということを考えてやらなければ、それは政治ではないでしょう。現在の建設業界の倒産件数の実態というのは私の言ったことで間違いないですか、ほかに何かあったら言ってください。
  82. 五十嵐健之

    五十嵐政府委員 倒産の全体の件数につきまして、先生の御指摘のとおりでございます。  特に、資本金の階層別に見てまいりますと、資本金の一千万から五千万円未満のところに特に集中している、要するに全体の半分以上が資本金一千万から五千万のところにあるということでございます。  また、倒産の主因としましては、先生が先ほどから御指摘のように、売り上げの減少というものがこれまた過半数を占めているという状況にございます。
  83. 太田昭宏

    太田(昭)委員 まさに今おっしゃったように、一千万から五千万、そういうところがこの年を越せるかどうか、借りようと思っても、とてもじゃないけれども資金繰りができない、そういう中で、この十二月は非常に大事なときだと思いますね。  しかも、失業といいましても、建設業業者の年齢が非常に高くなっている。これが失業したときの痛手というのは非常に大きい。あるいは、地域別に見ますと、先ほどから質問の中で出ておりますけれども公共投資への依存度は地方が高いわけですね。こういうような就業年齢とか地域別ということに対して、影響度というものについては分析はされていますか。
  84. 五十嵐健之

    五十嵐政府委員 地方におきまして公共事業の占めるウエートが非常に大きくなっているのは先生御指摘のとおりでございます。平均年齢のことも高齢化という御指摘がありました。建設業関係の現在の男子の平均年齢は四十三・六歳、これは全産業労働の四十・三歳をかなり上回っているという状況にございます。  先ほど来御指摘がありますように、私どももこの建設業、特にこの年内あるいは年度末にかけてともかく経営をしっかりお願いしたいということで、入札契約制度につきましての数々の改善策を講じているところでありますけれども、これに加えまして、十一月十八日に決まりました緊急経済対策では、特に中小建設業者への円滑な資金供給確保するための措置、つまり中小企業金融公庫でありますとか国民金融公庫でありますとか、あるいは信用保証協会の保証額の倍増でありますとか、こういうような措置を講じ、既にその実施に入ったところでございます。
  85. 太田昭宏

    太田(昭)委員 さらにお聞きしますが、七%削減というのは実は七%削減ではないのですよ。それは建設省自体がいろいろ試算をされて、例えば中国地建の局長さんが書かれている新聞もあるわけなんですが、結局のところ、工事国債、用地費、維持管理費等、これはいわゆる固定費ということからいきますと、新規契約という部分に関してはまさにこの中国地建では三〇・五%の減少である、こういうわけですね。私も、いろいろなところに聞いてみますと、二〇%だ、二五%だ、三〇%だ。こういう状況は何を生んでくるのか。仕事がない。新しい仕事が七%削減、実は七%削減ではなくて、現場の方では三〇%の削減である。そこに争ってみんなが仕事を得たいとしている。そうしますと、結局これがたたき合いとか密告とか奪い合いみたいな、そういう形になっていくということが目に見えている。そういうことについてどういう対策とかフォローをしようとしているのかということが私はどうも見えないわけです。  ただでさえこういう状況が悪い中で、ゼネコン危機に対してどう手を打つのか。これは幅広い経済的なものがあるでしょう。もう一つは、この七%削減ということに対して、実は七%削減ではなくて三〇%ぐらいの大変な削減である。さらに言えば、これは三〇%にとどまらないのだよ、五〇%、六〇%実は減るのですよ。来年は補正なんというのはできるわけではないということから考えると、補正予算を入れたそういうものからいくと、実はもう三〇%どころではなくて、どんと落ちて五〇%ぐらいの削減という中でどうやって自分たちを支えてくれるのだろうかということが一つは大事な今の現実であるわけですね。  こういうものに対してどのような対策を講じようとしているのか。これは大事なことで、先ほどもありましたけれども、七%じゃなくて三〇%あるいは五〇%かもしれない、密告もある、たたき合いもある、大変な状況になってくる、さあどうするのかということについて、どのように対策をされるのでしょうか。
  86. 小野邦久

    ○小野(邦)政府委員 今先生のお話でございますけれども公共投資七%削減ということになるわけでございます。  お話にございましたとおり、具体的に継続事業等、あるいは公共事業は大変長い期間にわたって、数年にわたって計画的、継続的に行っていくものでございますので、どうしても例えば過年度国債の歳出化経費といったような義務的な経費も多いわけでございます。先生は管理費とかあるいは用地国債等を挙げられましたけれども、御案内のとおり、そういうものも当然民間企業でいう固定費、あるいは、我々のあれでいいますとやはり義務的な経費ということになるわけでございます。そういう観点からいいますと、新規事業につきましてやはりもっと削減をしていかざるを得ない、これが実態でございます。  御案内のとおり、来年度の概算要求に当たりましても、事業効果の早期発現を目指して、一カ所当たりの事業費を多目に確保することによって何とか効果が早くあらわれるようにしたい、こういうことも考えておりますので、新規事業箇所はそういった点からもかなり絞り込んだ要求ということになっております。具体的には、十二月段階で予算案の編成を財政当局にお願いをして決まった後でないと詳細なお話はできないわけでございますけれども、来年度の要求自体は、新規事業箇所は七%を上回って恐らくは減っていくということでございます。  ただ、これは御案内のとおり、新規事業につきましてはそういうことでございますけれども、全体の経済がどういうような形、特に建設業界影響を与えるかということでございます。やはり公共事業を七%削減し、しかも、従来でございますと財投等を使っていろいろ事業費確保ということも図ったわけでございますけれども、現在、財政投融資事業につきましても大変厳しい中でスリム化を進めておりますので、なかなか事業費確保というものができないわけでございます。  これはそういうまま放置をするのか、対策を打たないのかということでございますけれども、特に中小建設業者対策としては、そういう厳しい中でもより以上に参入の機会が与えられるようないろいろなことを考えております。やはりそれぞれ企業がこういう厳しい中で頑張っていただくということに尽きるわけでございますけれども、そういう中で、やはり限られた予算の中、あるいは事業費の中でございますけれども、より以上に中小企業の方々が、しかも本当に努力をしておられる方々が事業参加の機会を与えられるような具体的な制度の改正というようなものをやることによって下支えをしていこう、こういうことを考えているわけでございます。  やはり日本経済全体が、特に不良債権等の処理を一刻も早くすることによって安定的な成長軌道に乗っていくということが基本というふうに考えざるを得ないわけでございますけれども、特に公共投資につきましては、七%という大変厳しい状況の中で、やはり中小企業等を中心により頑張っていただけるような、そういう土俵づくりということが基本だと思います。
  87. 太田昭宏

    太田(昭)委員 制度の改革も含めてというのは何を想定されておっしゃったのですか。
  88. 小野邦久

    ○小野(邦)政府委員 先ほど中小建設業者の受注機会の確保対策というふうに申し上げましたけれども、特に中小建設業の方々というのは公共事業への依存というのは比較的高いわけでございます。やはり民間投資の部分が六割とか七割とかといったような形ではございませんで、五分五分あるいは六割、七割が公共事業という方も多いわけでございます。その意味では、公共投資の抑制による影響というものは中小の方々にとって大変きつくなってくるわけでございます。  こういう点から、例えば建設省の直轄工事におきましては、分離、分割発注の推進でございますとか、あるいは上位ランク工事へ参入機会をより以上に拡大できるような、あるいは経常JVと申しまして、既に先生御案内のとおり、中小建設業者の方々がお互いに二ないし三でJVを組んで、より以上に大きな上位ランク工事に参入できるような、そんな制度改正もいたしました。  現実に、十月末段階ではおよそ二百五十の新しい経常JVが競争参加資格の申請を現在地方建設局に行ってきております。また、本年度の上半期におきましても、A及びBランク工事の約半数において下位ランク業者の方々に入札の機会が与えられた、こういうこともございました。  これは私どもの直轄工事の概要でございますけれども、やはり金額で七割が地方公共団体のお仕事でございますので、地方公共団体の方々が理解を持ってそういうような制度改正あるいは制度改善といったようなものを進めていただくように、あらゆる機会を通じてPRをし、周知徹底に努めているところでございます。ただ問題は、やはり国の予算が大変厳しい中で、地方の単独事業というものの比率も私どもの概算によりましてはかなり減ってきております。  来年がどうかということでございますけれども、先ほど補正予算等のお話もございましたけれども、そういう点で特にこれから厳しい局面を本当の意味で迎えていくということが心配な点でございます。
  89. 太田昭宏

    太田(昭)委員 食い上がりとか経常JVとかいうことで数字も今いただいたのですが、私は、そういうことは進んでいかなくてはいけないというふうに思いますし、同時に、赤字のゼネコンを公共事業入札から除外しないようにという通達が何回も何回も出されて、十月には事務次官名で出されている。特に、この辺の経常JVとか、あるいは食い上がりもそうですし、赤字のゼネコンを排除しないようにというようなことは、今おっしゃったように、上で言っても現場の方は、地方の方は、かなりこれはそちらの方が厳しいわけですよ。  そういう現状があるということに対して、通達を出しました、私たちはやることをやりましたというのではない、もうちょっときめ細かな手が打てないかなと私は思っているのですが、いかがですか。
  90. 五十嵐健之

    五十嵐政府委員 先生御指摘のように、その通達一片で世の中片づくわけではないというのは御指摘のとおりだと思っております。  私どもも、今回、十月に事務次官名で通達を発しましたときも自治省と連名で出しましたし、それから、市町村長さん、知事さん、それぞれの首長さんのところに直接この文書が渡るというやり方が自治省の方ではあるわけでありまして、このやり方でともかく目に触れていただくというところまでやりました。  それで、その通達を受けまして、全国の公共団体がこの問題について今までどう取り組み、これからどうするのだという御意向を今調査しているところでございます。これを早くまとめまして、また、その結果によりまして自治体との話し合いを進めていきたいと考えております。
  91. 太田昭宏

    太田(昭)委員 今私が言い、そしてまたお答えいただいているのには、大臣、かなり落差があるのですね。それは、経済的なそういう全体の底上げは非常に必要だし、建設省ができる部分、できない部分、当然あるかと思いますが、本当にこれは深刻な事態であるわけです。官房長も先ほど、それは皆さんの努力で頑張ってもらうしかないという発言も一言あったけれども、そういうことは言えないわけです、突き落としたのはどっちかという話になるわけですから。それを、はい上がってこいと言うわけにはいかないわけです。これは、私は、非常に対策が生ぬるいし、弱いという気がしてならないわけです。大臣、いかがですか。
  92. 瓦力

    瓦国務大臣 建設業は大変厳しい環境に直面いたしておりまして、公共事業への依存度の高い中小中堅建設業者にとって影響は大きいわけでございます。これらの対策のために、先ほど官房長を初めそれぞれが、受注機会の確保、あるいは経常JV、また赤字会社指名排除是正の通達等の手だてを講ずるほか、実は、金融機関に対しましても支援方を要請してまいるとか、あるいはまた官の方はなかなか厳しい財政事情を背景にしておるわけでありますので、やはり民間が動きやすいような住宅を中心とした対策、手だてを講ずるとか、あるいはまた、地域、町づくり等についての魅力が一層増しますと、もう戦後五十年を経てまいりますと、ビルの建てかえ等がいろいろ行われる一つの時期でありますから、容積率を思い切って緩和することによって町づくりと一体になって行うとか、そういったかつてない政策というものを掲げながら、政策誘導に今努力をしておるわけであります。  建設業界も、好況になりますと、右肩上がりのときはどんどん業者数はふえるわけでありますし、またその体質というものは、なかなか強化していく方に作用が動かないわけでありますけれども、これから大変厳しい時代の到来であります。業界自身も体質を整えながら取り組んでいく、一つの厳しい時期ではありますが、また新たな道を切り開いていく大事な時期でもあると思っております。  建設省としては、何かすべきことはないかということで今意欲的に取り組んでおるわけでありますが、やはりこれから年末でありますので、格別さらに心配をしていかなければならぬ問題を委員から御指摘を受けまして、さらなる努力課題をしょった、こう認識いたしておるところであります。
  93. 太田昭宏

    太田(昭)委員 政府経済対策の一一・一八のものを見ますと、民間活力を使って社会資本整備する、いわゆるBOTとかPFIというのがかなり大きな要素としてアドバルーン的に上がっているような気がしますが、私は、まだ研究段階というか、アイデアの段階にすぎないなというふうに思えてなりません。民間の報道等を見ましても、PFIとは何かとかBOTとは何かなどという解説記事が出るような状況では、とてもじゃな いけれども具体化されないだろう、もっと積極的にメニューを提示するとかいう作業が必要である。  日刊建設産業新聞の十一月十七日、これによると、第一回目の建設省の会合で、リサイクル公園と有料道路橋というような検討がなされているとかいう記事が出ているわけなのですが、現在どのような段階にあるのか、あるいはメニュー等を提示してイメージ化されるというようなことは非常に大事だと思いますので、その進捗状況についてお話をいただきたいと思います。
  94. 小鷲茂

    ○小鷲政府委員 ただいま十一月十七日付の新聞を御紹介の上でおただしでございましたが、おおむねこの新聞で報道されているとおりでございまして、御指摘のとおり、イギリスにおきまして、近年、PFIという民間事業主体が公共的サービスを提供するという仕組みが始まっておりますし、また、片やBOT、この方は開発途上国を中心に各国でかなり古い時代から取り上げられてきておりますけれども、こういった最近の事例もございますものですから、我が国におきましても、同じような方法があるいは可能なのではないかということで、まさに研究を始めたという段階でございます。  建設省内に委員会を設けまして、民間のこういったテーマに経験を持っていらっしゃるような方々、あるいは金融機関を含めて各界の方々に御参集いただきまして勉強会を始めておるわけでございますが、実は、海外で行われているからすぐ日本で実行できるかというと、今まで多少勉強した過程でわかりましたのですが、外国の場合と日本の場合というのはかなり状況が違うという点がありまして、そっくりそのまま海外のものを日本に平行移動で持ってくれば実行できる、そういうことでは必ずしもないという状況はわかってきております。  一番問題なのは、やはり金融の仕組みが違うわけでございます。日本の場合には、企業について金を貸すという制度でございますが、海外の場合には、よく言われておりますプロジェクトファイナンスという仕組みがございます。こういうものがあるために、独立採算性あるいはリスクのあるプロジェクトが民間で実行できるということなのでございますけれども、日本の場合には、プロジェクトが失敗いたしますると後々まで責任を追及される、こういうリスクのとり方でございますので、民間企業もリスクをあえてとってプロジェクトをやろうという意欲に欠けるという問題がございます。そういうベーシックな基盤整備まで含めて取り組んでいかないと、海外のようなああいった仕組みが必ずしも十分機能しないのではないかという問題点が早々と指摘をされている状況でございます。  さはさりながら、私どもといたしましては、抽象的な議論ばかりしていってはどうかという視点から、おっしゃいましたように二つのケースを、具体的な事業を前提にいたしまして、何が問題なのか、どこが問題なのかということを、ケーススタディーを通じまして整理していきたいというふうに考えておるわけでございます。  それで、来年の春ぐらいまでにはそういう問題点を整理いたしまして、しからばどういう部門でどういう条件が整えば可能なのかということを早急に整理して、いわゆるガイドライン的なものを中間的にも出したいというふうに考えております。
  95. 太田昭宏

    太田(昭)委員 もうかれば民間としてはなかなか返したくはないという状況もあるでしょうし、海外のBOTが、東南アジア等で、これからまた新聞記事になってくるかもしれませんが、なかなか難しいという状況があったりというような事態が生まれかねない。慎重に、しかも早くこれについてはやっていただきたいということを要望して、私終わります。
  96. 二階俊博

    ○二階委員長 午後一時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時一分休憩      ————◇—————     午後一時三十一分開議
  97. 二階俊博

    ○二階委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両件調査のため、本日、参考人として住宅都市整備公団理事梅野捷一郎君及び荒田建君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  98. 二階俊博

    ○二階委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  99. 二階俊博

    ○二階委員長 質疑を続行いたします。西野陽君。
  100. 西野陽

    ○西野委員 新進党の西野陽でございます。瓦大臣とは二十年来知己を得ておる私にとりまして、このたびこういう形で相対峙をさせていただきますこともまた感慨ひとしおでございます。どうぞよろしくお願いいたします。  まず、質問に入ります前に、一言つけ加えておきたいというふうに思います。  それは、けさの朝刊でございましたが、首都高速の料金収受について競争入札を導入する、こういう記事が出ておりました。これは、実は私が初めて国会に議席を与えていただきまして、最初の委員会での質問、すなわちことしの二月二十日、本委員会で御質問を申し上げて指摘をさせていただきました。いわゆる首都高、それにかかわります関連の丸投げ随意契約の問題を取り上げました。それが、きょう質問をさせていただきますこの時期に、首都高公団から、競争入札に付していく、こういう報道がされましたことも、また私にとりましては、早速首都公団が対応していただいたと、非常にありがたいと思っております。  ただ、そういうことではあるのですが、私も長年地方議員をやっておりまして、議会で問題を提議いたしまして、それに対応をしていただきました節には、新聞発表をされる前に、大体、質問をした議員に、実はその後こういう経緯で取り組むことになりました、こういう報告が本来あるのです。実に地方の方が親切でありまして、中央省庁の建設省というのは非常に水臭いな、率直にそのように思っております。どうぞ、やはり少なくとも委員会で申し上げたことにつきまして、それがお取り上げいただいて、結果、成就をいたすということになりました節には、少しばかり担当者の方から、こうこうなりましたというお話ぐらいはいただきたいな、こういうことを、お礼を兼ねて一言苦言を申し上げておきたいなというふうに思います。  それでは、早速質問に入らせていただきたいと思いますが、まず、省庁の再編問題でお話をいたしたいと思います。  本日の夕方と承っておりますが、政府の行革会議から省庁再編につきましての最終報告があると聞き及んでおります。その大枠につきましては、去る十一月の二十二日でございましたか、総理が記者会見でその基本方針を示されました。すなわち、国土の総合的、体系的な開発利用のために社会資本の整合的整備等に責任を有する省として、建設省国土庁、北海道開発庁を母体にして国土交通省を設置することの方針が示されたところであります。このことは、私どもの党が先般来、日本再構築宣言を提唱いたしました省庁再編ともいみじくも一致をいたすわけでありまして、大変私はそういう意味では評価をしたいと思います。  問題は、その中身に幾つかの問題があります。その課題をこの機会に、行革会議の事務局関係の方、おいででございましたらお尋ねをいたしたいというふうに思います。  今発表されております省庁再編は、現在たしか二十二あります省庁を割って足しまして、言ってみたらこれは看板の塗りかえをしたようなものでございまして、これだけで本当の行革ができたなんということは思っておられないでしょうし、私どももそう評価はできません。要は、この省庁の持つ膨大な許認可権とか権限を、例えば地方にゆだねる、あるいは規制緩和をまず先に進めて、その上で初めて、その後に追って省庁の再編をすべき、このように思っておるところでございます。  それにつきまして、今行革会議の中でどのような内容になっておりますか、お尋ねします。
  101. 小山裕

    ○小山説明員 お答え申し上げます。  今回の省庁再編でございますけれども、これにつきましては、縦割り行政の弊害等を排除する、それで高い視点と広い視野からの政策機能を発揮させるという考えに立ちまして、行政目的等に対応した大くくり編成を行うという考えが基本となっております。  その際、中央省庁の機能でございますけれども、これにつきましては、先生おっしゃいましたように、官民の分担の見直し、それから規制緩和推進、それから地方分権の徹底、こういったものを行いまして、まず国の行政をスリム化する、そして効率化を図るということを前提としているわけでございます。  具体的には、独立行政法人制度の創設だとかあるいは公共事業の実施体制の見直し、局や課の数の削減、定員の削減等の措置を盛り込むということで現在議論が進められているわけでございます。  最終報告は、本日夕刻の会議で決定という運びになっておりますのでいまだ決定をされてはおりませんけれども、これまでの論議の方向においては、そういった考えに立ちまして省庁を再編するという考えでございます。
  102. 西野陽

    ○西野委員 そのように、スリム化するとか定数削減を行うとか許認可権限を移譲する、これが本来の行革の姿勢であろうというふうに思いますので、どうぞそういうところになりますことを期待をいたしておきたいと思います。  ところで、もう一点、仄聞するところで、私はそのメンバーでもありませんからわかりませんけれども建設省と運輸省が実質合体をされる。そうしますと、ここに一大巨大利権官庁というのが出現をするのではないかというような御批判がありまして、それを払拭するために、地方建設局、港湾建設局をブロックごとに統合しまして、そしてその該当機関に予算の一括計上をし、さらには一括執行を行うと総理が言われたわけでありますけれども、これはどういう意味なんですか。
  103. 小山裕

    ○小山説明員 お答え申し上げます。  国土交通省でございますけれども、これは、先ほど先生もおっしゃられましたように、国土の総合的、体系的な開発利用、そのための社会資本の整合的整備等に責任を有する省として設置するものでございますけれども、一方において、これにより巨大な利権官庁が出現するのではないかという御懸念もあると承知しております。  これにつきましては、原則として、本省については企画立案、総合調整業務を行うことといたしまして、実施業務については、まず徹底的な地方分権、民間活力の活用を図る。それとともに、地方ブロック機関を統合いたしまして、そこで実質的な公共事業の調整、決定、執行の機能を担わせるという仕組みを確立したらどうかということでございます。これによりまして、巨大化あるいは利権化という御懸念にこたえようという考えでございます。  具体的な内容につきましては、こういった考え方に基づきまして、今後政府において検討されるのではないかというふうに承知しております。
  104. 西野陽

    ○西野委員 一括計上ということになりますと、国の建設大臣が責任を持って予算を計上し、国会の審議を経て、さらに最終的にその執行についてチェックをするというこの姿勢がなくなってしまいまして、各ブロックで予算計上をするという意味が含まれているのでしょうか。ちょっとこの辺を教えてください。
  105. 小山裕

    ○小山説明員 総理のおっしゃられております一括計上の意味というのは、必ずしもつまびらかではございませんけれども、私ども行政改革会議の議論におきましては、そういった、いわゆる各ブロックごと、地方の方の力を強めるという観点で、各ブロックにおける公共事業について、実質的な計画の決定だとか、各公共事業の調整だとか、それから予算の執行、そういったものは各ブロック機関に担わせて行うべきではないかというふうな観点で議論がなされております。
  106. 西野陽

    ○西野委員 ぜひそのシステムとしては、本来の姿を間違わないように、きょう発表されることを、あるいはまた、今後取り組まれることを期待しておきたいと思います。  さらにもう一点。これは報道によるわけですけれども、全総の計画策定地方振興政策、これらは今まで国土庁が行ってきたわけですね。その国土政策を総務省とか農林水産省に所管させようとする動きが何か一部にあるようなことをちょっと承ったのです。しかし、もしもそういうことになりますと、今回のこの国土の総合的、体系的な開発利用等に責任を有する省と言われた総理の考え方と、さらには、昭和四十九年に国土庁が設置をされた、いわゆる国土行政に対しては先駆的な役割を果たす国土庁の精神にむしろ逆行するのですが、こういうことはないでしょうか。どうでしょうか。
  107. 小山裕

    ○小山説明員 国土交通省につきましては、国土の総合的、体系的な開発利用、そのための社会資本の整合的な整備というものに責任を有する省ということでございまして、建設省、運輸省、国土庁、北海道開発庁を母体として設置するということでされているわけでございます。  行政改革会議は本日夕刻に最終報告を決定するわけでございますけれども、方向としては、この結論をもとに取りまとめるということになろうかと思っております。
  108. 西野陽

    ○西野委員 では、次に移らせていただきたいと思いますが、公共事業について何点かお尋ねをしたいと思います。できるだけ簡略に質問いたしますので、どうぞ簡略な答弁をお願いしたいと思います。  まず、我が国の社会資本整備というのは、対GDPで比較をしましても、発展途上国とほぼ同等の高い水準にありますし、米国の約二倍ぐらいでずっと推移をしてきているわけですね。しかも、長期にわたる膨大な公共投資というものが現実に行われてきたわけであります。  ところが、翻って、それだけやってきたのだから我が国は快適な国土で住みやすい町という実感が、さてあるかどうか。さらにはまた、公共事業にかかわりますコストがなぜ外国と比べて高いのか。さらには、公共事業を執行するについての汚職等の不祥事が後を絶たないのはなぜなのか。不景気だと言われたら、そのたびに公共事業のいわば拡大を図りつつ、その目的を達成するために投資をされてきたわけでありますね。  そこで、そういうことをこの機会に謙虚にやはり反省をして、総括をする必要があるのではないか。その疑問にこたえなければならぬと思うのですね。その意味では、要するに、公共事業にかかわりますいろいろな仕組みというものをこの際見直す必要があるのではないかという観点から、何点か御質問を申し上げたいと思います。  まず、事業効果と事前評価という問題でありますが、公共事業が、なぜその場所に、なぜその方法で、そのスケジュールで施工することになったか。  例えば、ダム計画はかつて三百八十カ所ほどあったようでありますが、ことしになりまして、十二カ所が計画中止をし、さらには休止をされ、四十カ所に至っては実質的な進捗が足踏み状態である、こういうことが発表されておるわけですね。これはなぜなのだろうか。当時はそれは必要であったのではないか。なぜこういう休止、中止という状況になってきておるのか。  さらに、これは所管が違いますけれども、大規模林道で、山形県の真室川小国線、非常に急峻な山岳地でありますけれども、七六年に着工いたしまして、計画がちょうど二〇%ほど進みまして、距離にしましたら十四キロだそうでございますが、そこまではできておるのですけれども、九四年にこの事業は八〇%を残して中止をされておるわけです。これはむだだなと思うのですが、現場では、自然破壊につながるとか、いろいろな御批判があったそうでございます。さらに干拓事業では、熊本県の天草開発は六九年に着手をされて、漁民の反対等があって七三年には、その間、事業費約六十億を投入して、現在中止をされております。  このように公共事業は、当初は必要だと思って膨大な費用を投入して、計画、実施、進行したけれども、途中で中断をしている。このことは一体何を物語っておるのか。これは時間がありませんので、概して、一般的にどういうわけでこういう事業が中止等々になっておるのか、この点についてお尋ねします。
  109. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 ただいまお尋ねの、ダム関係についての中止並びに休止の理由につきまして、少々具体の事例で申し上げるしかないわけでございますが、御説明をさせていただきます。  まず、中止をいたしましたダム、三ダムございますが、これにつきましては、すべて補助事業のダムでございます。そして、段階としましては、実施計画調査段階、すなわち、そういうダムが実際につくれるかどうかということを調査する、そういう段階のダムでございまして、一つ、多目的ダムでございます日野沢ダムにつきましては、利水者がもう水の需要が見込めなくなった、そういう理由に加えまして、治水上の対策としては、別途より効率的な対策が見つかるということがございます。  乱川ダムにつきましては、これは洪水調節のダムでございますが、地質調査を行いましたところ、どうしてもそこでつくれない、場所を動かすとしますと、非常に長いつけかえ道路が出てくる、そういうことで効率性が担保できないということ。  そしてまた、満名ダムにつきましても、治水上の代替案がより効率的なものが見つかる。要するに、地質調査を行った結果、掘削量が非常に大きくなるとか、そのダムサイトではできないというようなことでございまして、当初、そういう調査を行うために着手して、その結果として中止の決断をしたというものでございます。  そのほか、休止ダムにつきましては、利水上の理由等によりまして、新たな水需要が出てこないという状況の中で、今後、洪水調節の対応としてどういうものがとれるかというようなことを検討しようというもの、あるいは、地元の非常に長い反対運動の中で対策がとれないということで、再度、休止をして対応策をもう一度考えよう、そういうものでございます。
  110. 西野陽

    ○西野委員 これは個々に聞けばそれなりの事情はあるのでしょうけれども、当時の計画段階と、実施調査をしてみたら違ったとか、いや効率が悪くなったとか、地元がどうだったとか、いろいろの課題があると思うのですが、要するに、机上の計画と現場へ入った場合の実施段階と、状況が非常に違う。  どうなんですか、建設省ではこういう公共事業に対する効果評価というのは何かやっておられるのですか。
  111. 小野邦久

    ○小野(邦)政府委員 お答えをいたします。  先生お尋ねの費用効果分析でございますけれども、これは、事業の優先採択度がどうかということは大変重要な課題でございまして、これについての基準を公表することによって、公共事業全体、あるいは事業透明性確保を図ろう、こういうことにいたしております。  具体的には、例えば道路事業とか流域下水道事業などにつきましては、費用効果分析の試行、公表を既に行っております。来年度、他の事業も含めまして、費用効果分析の充実等によって対応していきたい、こう思っているところでございます。  具体的に、現在のところ、各事業のそれぞれ評価項目、評価基準というのは、ある意味ではばらばらでございます。それは各事業の目的、効果等が違うものでございますからやむを得ない面があるわけでございまして、何とかそういうものを押しなべて統一的な基準ができればと思っているところでございますけれども、そういう点につきましてもなお一層検討を進めてまいりたい、こう思っております。
  112. 西野陽

    ○西野委員 本年から費用効果分析というのをやっておられるようなのですが、これはこれとして意義のあることだと思うのです。ただ、これは費用面の効率だけでございまして、さらに広範囲の環境だとかいろいろな分野での評価というものは、これは大変だと思うのですが、やはりそういうものを取り込まれれば、計画したものが予定どおり事業が進捗するということになるのではないかというふうに思うのですね。  例えば、フランスの例をとりますと、今度できましたリオネル・ジョスパン内閣は、公共事業を全部見直すというところで、評価を数値で、数であらわしているのですね。十九項目、技術、環境経済効果、利便性、収支性はどうだという項目がずっとありまして、そういうふうな多岐にわたる事前の評価というものを費用だけではなくておやりになることが、大変だと思いますけれども、結果的に事業を当初のとおり推進することになるのではないか、このように思いますので、そこらについてのさらなる事業効果、申し上げた点等々についても今後取り組まれる気持ちがあるのかどうか、お考えをお聞きしたいと思います。
  113. 小野邦久

    ○小野(邦)政府委員 先生お話しのフランスの例はテレビでも私ども拝見をいたしまして、私どもの担当でも研究をいたしているわけでございます。  具体的に公共事業自体は、御指摘のとおり、効果だけで測定ができるものではございませんで、あらゆる角度から、事業の有効性あるいは実施の速度等、あるいは環境に与える影響等ももちろんでございますけれども、考えていかなければいけない項目だと思っておりまして、さらなる制度の充実に努めてまいりたい、こう思っております。
  114. 西野陽

    ○西野委員 お願いします。  次に、行政のあり方なんですけれども、大体国は、やはり国と地方との役割分担というようなものを考えなければいかぬと思うのですね。やはり、ハブ空港だとかハブ港湾、あるいは複数県にまたがりますところの幹線高規格高速道路とか、こういうようなものは、これはもう当然国でやる、それ以外のものはやはりできるだけ地方にゆだねる。そうすることによって、地方で独自性を発揮する、そういうことにもなってこよう、そういう公共事業の役割分担をしっかりやっていかなければならぬのではないかなというふうに思います。  そういうことだとすれば、お金の問題ですが、この補助金行政というのが、全国一律で補助率の基準を決めておられるのも何かおかしいと思いますし、受けた側は、地方自治体は、せっかく補助金をもらったのだから、途中で中断をしたら補助金を返還しなければならぬから、効率その他問題があっても、とにかく執行しよう、こういうところが現実にあるような気がするのですね。しかも、これはもう最近、師走になってまいりましたら、わんさとそれぞれの地方からすごい人が陳情陳情と東京へ押しかけてきておられるのですね。これは時間と経費が実にむだなのです。  私どもの党は、先ほど申し上げましたとおり、補助金等については、国がやるべきもの、地方に対しては一括交付金でやるべきだ、こういうことを主張してきておるところでございますけれども、一挙にというわけにはいかないのでしょうが、私どもの党が申し上げております。そういう点については、今どういうお考えを持っておられますか。
  115. 小野邦久

    ○小野(邦)政府委員 新進党の方でおつくりになりました公共事業についての改革案、十分読ませていただいております。  私どもも研究をさせていただいているわけでございますが、補助金を廃止して、事業別の例えば交付金といったようなものにすべきではないかというお尋ねでございますけれども、補助制度は、例えば一つの公共団体を超えるような広域的な施設の整備でございますとか、あるいは全国的にバランスのとれた施設整備を進めていく場合、あるいは国家的なプロジェクト、例えば大規模な空港とか港湾といったようなそういうものに関連して必要となる集中投資、こういったようなものを的確に実施していく場合には大変有効な手段ではないか、こう思っているわけでございます。もちろん、そういう点では、ひもつきになるというような御批判もあるわけでございますけれども、制度自体としては、これを的確に運用することが、事業全体の効率性を、あるいは効果的な実施に大変意味があるのではないか。  ただ、その場合に、できるだけやはり公共団体の創意工夫、あるいはがんじがらめに公共団体を縛るというようなことのないように、創意工夫を生かした、本当に必要な事業が行われるようなそういう制度改革、あるいは制度改善というものを進めていかなければならない、こう思っておりまして、補助金自体のメニュー化、統合化とかいったような、あらゆる角度から、現在、考え方の見直しを進めているところでございます。  過去、何年かにわたりまして、統合化、メニュー化、あるいは零細補助金の廃止等もやってまいりました。また、いろいろな意味での、地方分権推進委員会あるいは行政改革会議自体もそうでございますけれども、いみじくも国と地方の役割分担の見直しというふうに先生おっしゃいましたけれども、より広い観点からは、国、地方の役割分担の見直しの中で、的確な事業ができるような、そういう道を探るべきだ、こう思っております。
  116. 西野陽

    ○西野委員 さらにもう一点、公共事業にかかわるいろいろな癒着問題がありまして、これにちょっと触れておきたいと思うのです。  要するに、これは、まず最初に入札制度を改革したらいいのですよ。幸い国の方は、六・五億以上につきましては一般競争入札という制度を既に取り上げていただいておるところでありますけれども、現実に、自治体、特に市町村、全くこれはほとんどやっていないところが多いのですね。そこに、指名競争入札というところにいわゆる癒着の根源が私はあるように思えてならないのです。  これらを徹底して、国が行っておる一般競争入札制度に切りかえるという点について、国の方でお取り組みをいただけるかどうか、どなたに伺ったらいいのですかね、お答えいただきたいと思います。
  117. 瓦力

    瓦国務大臣 お答えいたします。  いわゆる一般競争入札、指名競争入札、それぞれ方式がいろいろございましょうが、長短があることは委員も御承知のとおりでございます。  また、今御発言のように、大規模工事、六億五千万以上につきまして一般競争入札を導入した、平成五年から導入したところも今委員がお述べのとおりでございまして、国、政府機関、指定都市も加えましてそれぞれ導入済みでございます。  市町村においては、一部一般競争方式を導入しておる、かような状況であります。発注工事の規模や資格審査等の執行体制を勘案して、その導入について判断しているもの、かように理解するわけでありますが、冒頭申し上げましたように、それぞれ長短があるところでありますので、これらを賢明に選択をしながらやってまいるということに当面は相なろうと思うわけでありますが、順次、力がついてくれば、一般競争入札というような道も私は開かれていく傾向というものはあろうと思うわけであります。
  118. 西野陽

    ○西野委員 ぜひこれは、指名なんて主観でやるのじゃなくて、やはり公募型でやるのです。一般入札でやるべきなのです。これはもうぜひ地方公共団体にも、その実が上がるように、ひとつ建設省を初め指導をいただきたいというふうに思っております。  ところで、時間がありませんので、ちょっと税制の問題で、私は前の委員会でも質問を申し上げて、当時の亀井大臣が非常に前向きな答弁をいただいておるのですけれども、例えば地価税、これはバブルで踊りに踊った昭和六十一年から平成三年まで、午前中に買った土地が午後に売ったら倍になる、本当に泡ですね、こんなことが現実にあった。それで、平成四年から七年に地価税は〇・三%、相続税評価額に対する〇・三%、土地が下落をしました平成八年になってやっと〇・一五%になった。さらに今低迷しているのですね、土地は。現在そのままになっているのです。  これについて、ことしの五月二十一日に申し上げましたとおり、文字どおりこれはバブル期の遺産であるから地価税の廃止を訴えましたところ、私の質問に答えて大臣が、税制につきましては、時に合った状況で全力を挙げて廃止に向けて取り組んでいく、こう答えておられます。  先般も、景気対策として自民党の方から、政府・自民党が土地税制についても改正するという報道を聞いておるのです。橋本総理も先般の予算委員会で非常に前向きに答弁をされておるわけでありますし、しかも、固有名詞を挙げてなんでございますが、前国土庁長官も、いやもうあれは凍結しますよと個人的に発言をされているのです。どうですか、もうやりますか。お答えください、地価税。
  119. 亀井久興

    ○亀井国務大臣 今、地価税のことについての御質問でございますけれども、申し上げるまでもなく、現在、私ども土地政策の目標が、従来の地価を抑制をするというところから、土地の有効利用を促進するという、そこに観点を移しておるところでございまして、現在の全体的な状況を考えてみますと、土地の保有課税ということについては、まだいろいろな見方もあろうと思います。私どもとしては、制度そのものは維持すべきであると考えておりますけれども、凍結ということで負担の軽減を図ってまいりたい、そのように考えております。
  120. 瓦力

    瓦国務大臣 今、国土庁長官が述べられたところでありますが、バブル対策税制としての使命は終えた、私はこう思っておりますから、地価税につきましては廃止ないしは凍結というようなところで、これから始まります税調もございますから、そういう方針で我々は臨みたい、こう考えておるところであります。
  121. 西野陽

    ○西野委員 国土庁長官、特に長官の方には、個人の長期譲渡所得課税等々も、平成二年までは三二・五%だったのですね。それが平成三年に一回改正をし、ちょっと三九%に上がりまして、平成七年、そして平成八年にそれぞれ改正をされてきているわけです。これも、やはり土地の動きをさせなきやなりませんので、三九%というのは、バブルが崩壊した後ですから、これはもう廃止すべきなのですよ。三二と二六ぐらいに、最低そこにすべきなのです。ぜひこういうこともあわせてお取り組みをいただきますよう、最後にそこのあたりを再度聞かせていただいて、質問を終わらせていただきたいと思います。
  122. 亀井久興

    ○亀井国務大臣 譲渡益課税のお話でございます。  私ども土地の有効利用を促進するという観点、また、そのための土地取引活性化ということをどうしても進めていかなくてはいけないということで、税制のことも特に重要なテーマだと思っておりますので、これからまた税制の御議論があるわけでございますが、今おっしゃいました譲渡益課税の抜本的な見直しはぜひとも進めてもらいたい、かように考えております。
  123. 西野陽

    ○西野委員 よろしくお願いします。  では、終わります。
  124. 二階俊博

    ○二階委員長 川内博史君。
  125. 川内博史

    ○川内委員 民主党の川内博史と申します。  この臨時国会から建設委員会の正式なメンバーに加えさせていただいておりまして、大臣、よろしくお願いを申し上げます。  私は鹿児島から出てきておるのですけれども、災害が多いところで、建設省さんにも大変お世話になるところがたくさんあるわけですね、道路にしてもそうですけれども。  出水市で土石流がこの夏発生をいたしまして、たくさんの方々が被害を受けられたのですけれども、そのときに、私も現地を見に行きましたときに、瓦大臣の前任の亀井大臣が作業服姿で、ランニングシャツ一枚で現地の災害対策本部の最前線で尾田河川局長とともに陣取って、汗をふきながら陣頭指揮をとっていらっしゃる姿を拝見いたしまして、大変ありがたいことだなというふうに感謝の気持ちを持ったのです。  きょう私がお尋ねをするのは、そういうふうに建設省として国民の生命財産に大変な責任を負っているわけでございますけれども、昨今、金融機関がばたばたと倒産なり自主廃業なりしていくわけでございます。一般的には私たちというのは、あんな大きな会社がまさかつぶれるなんてと、危ない、危ないということは薄々うわさで聞いていたりするわけですけれども、実際にその会社に、例えば北海道拓殖銀行や山一証券に勤めている人たちでさえ、自分の会社は何となく危ないということを聞かされながら、しかし倒産のニュースを見て初めてそれを知るという状況だと思うのですね。  日本という国の状況もまた一緒で、このままではいかぬ、このままではいかぬとみんなが思いながら、まあ何とかなるだろうというふうに思いながら一日一日を過ごしているというのが今の状況。それである日突然、にっちもさっちもいかなくなるときがもしかしたら来てしまうのではないかというふうに思うわけでございます。  そういう金融機関経営破綻に関連して、また、大手のゼネコンも危ないところが幾つかあるというふうに言われているわけでございます。まずお尋ねをさせていただきますが、この夏以降に、東海興業、多田建設、大都工業という上場ゼネコンが経営破綻を来しているわけでございますが、破綻前の公表されている債務の金額、そして破綻後に公表された債務の金額を、その差額を含めて教えていただきたいというふうに思います。
  126. 五十嵐健之

    五十嵐政府委員 お答え申し上げます。  三社について御報告を申し上げます。  東海興業でございます。東海興業につきましては、四月末現在の資産総額、三千五百二十四億でございました。これが、修正後、つまり修正貸借対照表でございますが、修正後は千四百二十九億円になっておりますので、二千九十五億円の減ということでございます。一方、負債の方でございますが、前は三千四百三十七億でございましたけれども、修正後は五千百十億になっておりますので、差額千六百七十三億、負債は千六百七十三億ふえた、こういうことでございます。同様に、多田建設は、七百四十七億資産が減じまして、負債は百六十六億ふえた、こういうことでございます。それから、大都工業につきましては、資産が七百四十三億円減りまして、負債が三百二十七億円ふえた、こういうことでございます。
  127. 川内博史

    ○川内委員 上場企業というものは、貸借対照表を公開をして、我々一般のマーケットにいる人間というのはそれを信頼して投資をするなり株を買うなりするわけでしょうけれども、これら三件の例を見ておりましても、今御説明ありましたとおり、破綻前と破綻後と全然数字が違う。ということは、建設省さんもゼネコンから出てくる損益計算書、貸借対照表をそのままは信用されていらっしゃらないのだろうというふうに思うわけでございます。その経営実態というものをどういうふうにして探っていらっしゃるのか、あるいはより実情に近い経営状況をどういうふうに把握されようとしていらっしゃるのか。  山一証券の例では、富士銀行は山一証券が破綻することを知っていたけれども、大蔵省は全く知らされていなかった、知らなかったと。もしかしたら知っていたのかもしれないのですけれども、私どもが知る範囲では知らなかったということになっているわけでございます。  建設省さんは、業界を束ねる立場として、ゼネコンの真の経営実態というものをどのような形で把握されようとしているのかということについて御答弁をいただきたいと思います。
  128. 五十嵐健之

    五十嵐政府委員 まず、そういう会社更生の手続に入ったという段階で、必然的に変わってしまう部分が出てくるわけでございます。例えば土地でありますとか株でありますとか、通常は取得原価で貸借対照表を構成するわけでありますけれども、そういう事態になりますと、実際の力はどれだけになっているのだというようなことになりますので、その分だけ減ってくる。それから、子会社に対して債権を持っているから、それは別に不良ではないのだけれども、倒産という事態になれば完全に不良になってしまう。こういうようなことで事情の変化があるということでございます。  つまり、毎期毎期の、平常時といいますか、正常なときの計算期の貸借対照表それ自身に問題があるということではないということでございます。  貸借対照表そのものは、御案内のように、公認会計士でありますとか監査法人でありますとか、そういったところでちゃんとチェックを受けて、それで株主のみんながそれを認めてやっていくということでございます。それ以上行政の側で、これはおかしいのではないか、あるいは実際はそうではないのかということをやることはございません。実際問題といたしまして、知事業者を加えまして五十六万四千の業者であります。そういったことは考えておりません。
  129. 川内博史

    ○川内委員 型どおりの御答弁をいただいて大変うれしゅうございますけれども。もちろん数字が変わる部分を含めて、真の経営実態というものを破綻後に建設省さんは知ることになるのか、それとも破綻する前にある程度の数字というものについて把握される努力をしていらっしゃるのか、また、そういう努力をしていらっしゃるとすればどういう努力をしているのですかということをお尋ねしたわけですけれども、もう一度御答弁をいただけますか。
  130. 五十嵐健之

    五十嵐政府委員 許可行政庁であります私どもの方に参りますのは、許可の申請書のときと、それから毎年の決算、四カ月後でありますけれども、届けられる、それで承知するということでございます。特に何かがありまして情報を探るというような姿勢はとっておりません。
  131. 川内博史

    ○川内委員 今は大蔵省もちょっと態度が違うのでしょうけれども、護送船団行政という言葉がありますけれども、もともと建設業界というのは建設省が束ねていく護送船団行政ではないでしょうから、当然、出てくる書面をある程度信頼してその行政を進めていくというのはそのとおりだというふうに思います。また、その姿勢は正しい姿勢だというふうに思うのであります。  しかし、今大変な経済的な危機に日本の経済というものは直面していると思うのですね。普通の状態ではないと思うのです。こういう状態の中で、では、出てくる書面を信頼して行政を進めていく場合に、例えば午前中の質疑の中で新進党の太田先生の方から、ゼネコンの経営実態が悪い、しかし、再建に努力をしようということで正直に赤字を申告した法人にも、その技術力あるいはノウハウというものを評価して、しっかりと指名に入れていくべきだ、通達を出しているだけでは生ぬるいのではないかというような御指摘があったかと思うのです。  もう一度、重なる質問になるわけですけれども、そういう本当に頑張っていこうとされていらっしゃる皆さん方に、今度は建設省として何かできることというのは必ずあるはずでございまして、午前中の御答弁も含めて、もうちょっと突っ込んだ御答弁をいただければというふうに思っております。よろしくお願いします。
  132. 五十嵐健之

    五十嵐政府委員 お答え申し上げます。  主としてバブル当時あるいはバブル以後でございますけれども、膨大な土地というものを持ちまして、これが私どもの考え方といたしますと、できるだけ早く処理すべきものではないかと思っております。もちろん強制するような話ではありませんけれども、当然それをやっていただかないと、現在は、個々の企業を超えまして、経済全体が言ってみますと土地に沈んでしまっているというような状況になっているわけでございます。  そこで、最初申し上げましたのは、建設省等におきましては、赤字になったからといって指名から外すというようなことはやっていないわけでございますけれども、自治体におかれてはそういうものがありますので、今までも何度かそういう要請をしてきたのであります。しかし、午前中にもちょっと御指摘がありましたけれども、なかなか成果が上がっていないではないかということがございました。  ことしの十月に建設大臣が自治大臣と話し合われまして、両方の次官名で、しかも直接それぞれの首長さん、市町村長さん、知事さんですが、首長さんのところに直接目が触れるやり方をやってもらおうか、それから通達を出した後、これを受けて各自治体はどうお考えなのか、これももちろん強制的にという世界ではないので限界はあるのですけれども、自治体にどういう姿勢でお臨みなのか伺おうではないか、そこまで今決まったわけであります。今その調査段階に入っているわけであります。  それを見ながらということがあると、現に企業は言っておられるわけでありますけれども、熊谷組でありますとか間組でありますとか、来年三月にかなり大規模な赤字決算に踏み切ったわけであります。これ以外のところでもそういう動きがまだあるのではないかとは思いますけれども、詳細はまだ承知しておりません。要するに、そういう枠組みと、それをにらみながらの個々の企業の対応が出てきている、こういうことでございます。
  133. 川内博史

    ○川内委員 個々の企業、それは大手はもちろんのこと、私の地元の鹿児島などは、中小業者の皆さんも本当に必死の思いでことしの年末を乗り越えよう、冬を越えようということで頑張っていらっしゃるわけでございますけれども、そういう中で、国会が今回財政構造改革法案というものを参議院まで通過をしたわけでございますけれども、私は、どうにもこの財政構造改革法案というものが通ってしまったことがいいことだったのかなということをいまだに疑問に思うわけでございます。  建設業公共事業の七%削減という、これも午前中に御質問があったかと思うのですが、この影響が大変に大きかろうと思うのです。思い切って赤字決算をしてきれいにしてもう一回やり直そうというときに、仕事の絶対量が圧倒的に減るという事態になっていくわけですから、これは頑張ろうと思っているのに、頑張ってもむだだよと言っているのと同じようなことなのではないかというふうに思ったりもするわけでございます。  きょうは経済企画庁の方、労働省の方にもいらしていただいておりますので、その辺の影響について手短に、この公共事業七%カット景気及びGDPへの影響、失業者の予測、それらについて若干のコメントをいただければと思います。
  134. 田中信介

    ○田中説明員 お答えいたします。  経済全体への影響ということで、財政構造改革法案の成立によりまして公共事業が七%削減されたときの影響を積算しろということでございますが、公共事業関係費が削減されたことによって、具体的に建設業事業がどれぐらい縮小しかつ雇用が縮小するのかということは、積算を定量的にするというのは非常に難しゅうございます。  ただ、大まかに申し上げれば、発注ベースでいいますと、工事ベースで民間が約六割、それから官公庁が三割。それで、建設業の就業者数というのは約六百八十万人ぐらいでございますので、これを単純に計算しますと、仮に官公庁需要が七%減少すれば、それによって影響を受ける可能性がある人間というのは十七万人ぐらいでございます。  ただ、建設工事の大宗を占めます民間需要というものが今後堅調に推移いたしますれば、こういった公共事業のマイナスの影響というのも、民需の拡大によって雇用機会の拡大というものが期待できますし、また仮に、純然と官公需の方が減少したとしても、就労日数の削減とか労働時間の削減、あるいは企業の合理化、こういったことによって対処をすることも可能でありますので、具体的に失業者がこれぐらいの人間が出るということを、そういうことを言うことはなかなか難しい状況でございます。  それで、私どもむしろ重要だと思っておりますのは、現在景気足踏み状態でございまして、これは構造改革というのが非常におくれているということで、民間それから消費者が将来に展望が持てないということがございますので、こういったところを規制緩和を中心に思い切った経済対策を打つ必要があるだろうということで、御承知のように、十一月十八日に二十一世紀を切り開く緊急経済対策ということで、四本の柱で対策を打ち出しました。  その中で、百二十項目あるわけですが、そのうちの土地取引活性化有効活用というのが四本柱の一つでございまして、これが三十一項目ございます。こういったことで……(川内委員「手短に」と呼ぶ)土地取引活性化とか有効活用というのが非常に重要だと思っておりまして、こういったことで建設業の需要の活性化というのを強力に図っていくことによりまして、失業が発生するというようなことが生じないようにしたいというふうに思っております。  以上でございます。
  135. 太田俊明

    太田説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘の、公共投資の削減に伴いまして一時的には雇用面に影響が及ぶ可能性もあるわけでございますけれども、一方で、財政構造改革等を通じた経済活性化によりまして雇用面にプラスの影響が生じることも考えられるわけでございまして、全体としてその影響度を定量的に試算することは困難な状況でございます。  私ども労働省としましては、建設業を初めとした雇用動向を十分注視いたしまして、関係省庁とも連携しまして、新たな雇用機会の創出への支援、失業なき労働移動への支援、あるいは適切な職業紹企業務の実施などの雇用対策、あるいは能力開発対策を積極的に推進しまして、労働者の雇用の安定に努めてまいりたいと考えております。
  136. 川内博史

    ○川内委員 経済企画庁さんそれから労働省さんの見解というのは、非常にお気楽な、楽観的な見通しを持っていらっしゃるのだなというふうに思います。一言で言えば、多少は混乱するけれども大したことはないというのが今のお答えの、二十字以内で要約しなさいと言われたら大体そんなことになるのかなというふうに思うわけでございますが、実際に現場の皆さんにそんなことを言ったら、大変なおしかりを受けるのじゃないかというふうに思うのです。  なぜ見通しが甘いというふうに私が申し上げるかと言いますと、経企庁さんなんて、最近になってようやく足踏みと言い始めたぐらいの見方しか持てないようなところなわけですから、当然甘い見通ししか持てないだろうというふうには思っていましたけれども、本当にそれでは国民の皆さん方に申しわけないなと思うのです。  というのは、銀行や証券会社の経営が非常に危なくて、今資金の出し手がいないわけですよ。マーケットにお金が回らないわけです、どこにも。そういうときに、例えば建設省さんが容積率の規制の緩和をする、あるいは土地税制の改正をする。制度を幾ら変えても、都心のビルは空き室がいっぱいありますし、これ以上容積率を緩和してもだれもビルを建てる人はいないですね、ビルを建てるお金もないわけですから。銀行からお金を借りようと思っても貸してくれないし、また、借りてビルを建てたって入る人はいない。税制が変わったから、では土地を買いましょうかといっても、それは土地を買うお金がないし、貸してくれる銀行もないということです。  今、資金の出し手がない状態の中で、私は、ではだれが出すのかというと、やはりある程度はケインズ的に国が出していくべきだろうと。ケインズの時代はもう終わったと言われますけれども、私は、ある一面でケインズの経済理論というのはまだまだ有効に機能する部分もあるというふうに思っているのです。そういう今の情勢の中で、政府公共事業を実施して世の中を活性化させていくという一面のサポートをすることは当然必要だというふうに思うのです。  そういう中で、この財政構造改革法案が成立をしたというのは、建設大臣にお伺いをしたいのですけれども、今こそ社会資本整備をすべきだとか、あるいは景気対策の面からもこの公共事業の七%削減というのはのめないというような、この財政構造改革法案に対する建設大臣の御意見というのはなかったのかなというふうに思うわけでございますが、御見解をお聞かせをいただければと思います。
  137. 瓦力

    瓦国務大臣 川内委員にお答えいたします。  今ほど経企庁並びに労働省からの答弁もございましたが、広く我が国の経済情勢の中でも、建設業における業況は極めて厳しい、かように判断をいたしておるわけであります。  しかし、まだ我が国の持てる力というものはあるわけでありますから、これからどう発揮していくかという課題にも着目してまいらなければならぬ、かように存ずる次第でありまして、この財政構造改革というのは、もう財政再建が喫緊の課題でございますから、これに対応していくという一つの必要性、さらに住宅社会資本整備の必要性というのは一方にございます、公共投資経済への影響等を総合的に勘案をいたしまして、ぎりぎりの選択をして決定されたもの、かように理解をしておるわけであります。  こういう環境の中で、さすれば、なお予算もマイナス七%のキャップをかぶるというようなこと等を踏まえながらも、できる限りの配慮をしていかなければならぬというようなことで、建設省予算の十年度概算要求におきましては、経済構造改革推進するためのいわゆる物流の効率化であるとか、中心市街地の活性化などに資する事業、また、経済に与える影響を勘案いたしまして、用地補償費比率が低いものなど、短期間に高い事業効果が発現できる分野、こういったところへ重点化を図っていこうとするものであります。  またさらに、いろいろインセンティブを与えながら土地等に対しての活性化も働かす、いろいろな分野におきまして、建設省といたしましても、全力を挙げて経済活性化のための手だてを講じておるところであります。  財政がなかなかついてこないということについておまえは賛成なのか反対なのかというようなことでありますが、今申し上げましたとおり、私どもは、財政再建という喫緊の課題と、また景気を一方におきましてしっかりさせていかなきゃならぬということと両輪を持っておるわけでありますので、血を出し、苦労して、何とかこの窮地から脱却したい、こう努力をさせていただいているところであります。
  138. 川内博史

    ○川内委員 建設大臣、昭和十二年のお生まれだというふうに経歴で読ませていただいたのですけれども、私の父が昭和十年の生まれでございまして、大臣は私の父のような存在であるわけでございます。私たちの子供たちや孫たちの時代に財政のツケを回さないというのが何か金科玉条のように言われているわけですけれども、私は、親の借金は、親が残したものは子供が返すというのが当然人の道だというふうに思っておりますので、大臣が財政を使って借金された分は私どもが返してまいりますので、どうぞ頑張ってやっていただきたいというふうに思うわけでございます。もちろんいい事業をですよ、いい事業をやっていただきたいというふうに思うわけでございます。  質問をここで大転換をさせていただくわけでありますが、こういう金融とか建設業というのが大変に厳しい状況の中でも、一部にむちゃくちゃ景気のいい人もいる。むちゃくちゃ景気がよ過ぎて警察に捕まったりするわけです。小池さんとか泉井さんとかですね、むちゃくちゃ景気がよかったけれどもこけちゃったという人たちがいるわけでございまして、この件に関して若干、残りあと二分ほどでございますか、質問させていただきたいと思います。  この泉井さんの官僚に対するたび重なる接待というものに関して、大蔵省や通産省の方は実名で名前が出ているわけでございまして、大変な御接待を受けたというふうに報道をされているわけでございます。建設省さんの中にも、泉井さんの証言によれば、これは国会の中での証言じゃなく週刊誌の記事ですから果たして本当かどうかは疑わしいところがあるのですが、少なくともこの週刊誌の記事によれば、建設省の官僚の方で泉井氏と会食をした、泉井氏が建設省の高官の方と会食をしたという証言があるのですが、省内で調査を行われたかどうかということをお尋ねをさせていただきたいと思います。
  139. 小野邦久

    ○小野(邦)政府委員 お答えを申し上げます。  この御質問の件でございますけれども、一部報道等におきまして、建設省の名前が出ているということは十分承知をいたしております、週刊誌等でございますけれども。ただそれ以上の、現在の状況のもとで具体的な指摘というものはございませんので、調査を行うべき状況にあるとは考えておりません。また、調査の実施も大変困難だということもございまして、現在のところは調査を実施いたしておりません。
  140. 川内博史

    ○川内委員 調査をされていないという官房長の御答弁でございますが、この泉井さんの問題というのは大変に政治倫理にかかわる、山崎拓政調会長がその身の潔白を晴らすために政治倫理審査会に申請をしたということもございますし、はっきりさせておくべき課題だと思うのですね。それはもう当然何もないわけでしょうから、会食をしたなら会食をしたと、それはだれだということをはっきりさせておくべきだというふうにも思うのです。  今特に行政に対する信頼、官僚の倫理性あるいはモラルというものが大変問われている。国民かり、今まで日本の役人というのは優秀だと思っていたけれども本当は悪いことをしていたのかなみたいな思われ方をしているわけでございますから、建設省としてしっかり調査をすべきではないかというふうに思うのです。官房長は調査をしていないということを御答弁されたわけですが、建改大臣調査をしてそれを明らかにするという御意思がおありになるかどうかということをお尋ねをさせていただきます。
  141. 瓦力

    瓦国務大臣 私も、就任いたしましてから、綱紀の粛正を常々機会あるごとに申してまいっております。なお、建設省におきましてもそういう機運がしかとあると私は承知をいたしております。特にこういう経済情勢、ましてや機構が大きく変わり得るときでありますし、緊張を日々なくしてはならぬわけであります。  なお、委員の御質問の中にもありますように、このいわゆるよって立つ質問の根拠は極めて不明確なところが多い質問でございますので、かような問題について調査をすべきかどうかということになりますと、客体すらよく見当たらないということがあります。  私は、常に公務員としての襟を正した、そういう綱紀に対する基本的な姿勢というものは堅持されてまいるというようなことでおりますので、調査を進めるという問題意識はただいまのところ持っておりません。
  142. 川内博史

    ○川内委員 調査をしていただけないということでございます。残念な気持ちがするわけですけれども、よって立つところは不明確であっても、国民が重大な関心を持って見ていることについて誠実に対応していくというのは我々の行政あるいは政治の役目なのではないかというふうに思うのですが、もう一度大臣お願いします。
  143. 瓦力

    瓦国務大臣 たびたびお答えすることではいかがかと思いますが、その資料をお見せいただきたいと思うのです。やはり私どもは、人を疑ってどうするというよりも、信頼して精いっぱいの仕事をしてもらいたい、こう思っておりますので、私はそういう不誠実なことで申し上げていることではないということだけ御認識を賜りたいと思います。
  144. 川内博史

    ○川内委員 この資料については、きのう建設省の方にお渡しをしてございますので、後ほどごらんいただければというふうに思います。  時間もございませんので、調査をしていただけないということで、次の質問に移らせていただきますが、山崎拓さんが建設大臣であったときにベトナムに行かれております。建設大臣に就任してから行っておりますし、就任する前にも行かれております。建設省はODAの所管ではございませんが、まあ日本国の建設大臣ともなれば、いろいろな国からぜひ我が国へ来てくださいと言われるだろうというふうに思うのでありますが、山崎氏の大臣在任期間というのは平成三年十一月五日から平成四年十二月十二日、約一年間なんですけれども、その在任期間中に外遊というか海外へ出られたのは一回だけ、そのカンボジア、ベトナムの訪問だけというふうに聞いております。  当時の山崎建設大臣の場合には、どういう要請に基づいて、何の目的でカンボジア、ベトナムへ訪問をされたのかということを、建設省の事務方の方からの御答弁になるのでしょうか、お願いいたします。
  145. 五十嵐健之

    五十嵐政府委員 お答え申し上げます。  当時の山崎建設大臣の御出張は、平成四年四月から五月にかけてカンボジアとベトナムへの訪問でございます。この前までに、例えばベトナムによりますカンボジア侵攻あるいは中越戦争等々の武力衝突がありまして、そこのあたりの、これは平成三年十月になりますが、パリ和平協定が締結されたというような状況でございました。  そういった今申し上げました幾つかの戦争になるわけでありますけれども、この戦後復興において最も肝要なインフラ整備あり方につきまして、政府要人との会談あるいは建設関係国際プロジェクトの視察、こういったことを目的にカンボジアとベトナムを訪問したものでございます。  それから、どういう経緯かという御質問でございますけれども、当時のスン駐日ベトナム大使がロック・ベトナム建設大臣からの招聘要請を山崎大臣に直接表明されまして、これを応諾したというのが経緯でございます。
  146. 川内博史

    ○川内委員 その要請というのは文書によるものだったのですか。それとも口頭でただ単に、私が先ほど申し上げたように、日本の建設大臣ともなれば、もう海外の人に会うごとに、ぜひ大臣、我が国へ来て視察してください、我が国へお越しください、これはみんな言うと思います。瓦大臣もこれからどんどん言われると思うのですけれどもね。そういう中で、なぜベトナムだったのかというのがどうにも解せない。もっとはっきりした理由というものがあったのだろうというふうに思うのですね。決して他意はありませんよ。文書による要請ではなかったわけですよね。
  147. 五十嵐健之

    五十嵐政府委員 文書による招聘ではございません。先ほど申し上げましたように、スン大使が直接山崎大臣のところにお見えになってそういう招聘をされたということでございます。
  148. 川内博史

    ○川内委員 では、その要請を受けてベトナムへ行かれた。この訪問に山崎元建設大臣と同行をされたのは、政府あるいは議員、民間人、どういう方たちが同行をされたのか、また現地でのアテンドはだれがされたのかということを教えていただけますか。
  149. 五十嵐健之

    五十嵐政府委員 お答え申し上げます。  随行は九名でございます。建設省の技監、それから建設経済局あるいは道路局の課長、それから住宅局の専門官、それに秘書官、秘書といったところでございます。それに道路公団から課長が随行しております。それに警護官、こういう構成で、合計九人が随行しておりまして、民間人の随行はございません。現地のアテンドは大使館が行ったものと思われます。
  150. 川内博史

    ○川内委員 それで、中心的にはというか、そういう建設省のお役人さんたちと大臣がベトナムへ行かれた。いろいろな方々にお会いになられたと思うのですけれども、この建設大臣のベトナム訪問の成果というのは何だったのかということをお尋ねをいたします。
  151. 五十嵐健之

    五十嵐政府委員 現地で政府の要人に会われているわけであります。具体的には、ボー・バン・キエト首相、それからゴー・スアン・ロック建設大臣、この方が招聘されたわけでありますが、それから運輸次官、それから国家計画委員長、水利大臣、それからホーチミン市の副市長等であります。  そういった政府の要人に会われまして、先ほど申し上げましたように、戦後というような状態であります。戦後復興におきまして最も肝要なインフラ整備あり方についての意見交換を行ったこと、それから建設プロジェクトに関する視察を行いまして、これは具体的には、ビエンホアの高速道路、ホーチミン市でありますが、それからタンロン橋、それから労働者住宅、ハノイであります。  こういった建設プロジェクトに関する視察を行いまして、今後の建設分野の技術協力あるいは技術交流のあり方についての情報を得るという成果を得たのであります。
  152. 川内博史

    ○川内委員 技術交流、技術協力についての、その後それはどうなったのですか。
  153. 五十嵐健之

    五十嵐政府委員 先ほど申し上げましたベトナム侵攻以降、いろいろな支援や何かが途絶えていて、そこに首相でありますとか建設大臣でありますとか、そういう方々、要人との意見交換が始まったということが一番大きい。それに、あと向こうも、その国におきましても、戦争直後でインフラなんかめちゃくちゃでありましたので、そこについてのアドバイスと言ってはあれかもしれませんが、あるいは意見交換、そういったようなことが行われたというのが成果だ、こういうことを申し上げております。
  154. 川内博史

    ○川内委員 視察をして意見交換をして帰ってきたということかと思うのですが、先ほどの大臣からおしかりを受けた資料ですけれども、時系列的には、これは泉井さんの証言は別にして、事実はずっと列挙、羅列してあるものですから、これだけは確かなことだと思うのですけれども、九二年一月に、故渡辺美智雄副総理兼外相が、ベトナムへの円借款をそろそろまたやるべきじゃないかということを話されていらっしゃる。それで、外務省の調査団がベトナムに派遣をされた。  派遣されたのは、当時ベトナムはODAを受けて、それがお金がなくて返せなかったそうです、二百三十億円余り。それで、外務省の調査団が一月にベトナムに行って、九二年四月に山崎元建設大臣がベトナムを訪問した。それで九二年、同年の十一月にベトナムへの円借款が四百五十億円再開をされたという。これは私も偶然だと思うのです。偶然こういうことになっているというふうに思うのですが、事実を確認をさせていただきたいのです。  きょうは外務省さんにも来ていただいておりまして、外務省が平成四年一月に調査団を送っているわけでございまして、五月に山崎建設大臣のベトナム訪問、六月に三菱石油がベトナムの石油の採掘権を獲得して、十一月にベトナムに対する円借款が再開をされるという、九二年にいろいろなことが起こっている。  そこで、ベトナムに送った調査団の目的及び再開された円借款の内容、そしてその円借款がどのように使われたのかを手短にお願いいたします。
  155. 佐渡島志郎

    ○佐渡島説明員 御説明申し上げます。  まず第一の九二年、平成四年一月のミッションでございます。目的は二つございました。  第一は、今委員も御指摘になりましたとおり、延滞債務問題、残っておりました借金をどうやって返していくのかという問題を意見交換をする。まだ当時再開ということまでは決定をしておりませんでしたので、その道を探るというのが第一でございます。  それから第二番目は、私ども、もし再開するということになれば、経済協力の中身を決めていくために、当時のベトナムの経済状況あるいは政治の状況というものを理解しておかなければいけない。あるいは、当時ベトナムがようやく軌道に乗せましたドイモイの政策の中身を知りたいということで行ったのが一月のミッションでございます。  それから第二に、九二年に最初に再開をいたしましたのは、円借款のうちでも商品借款でございますが、これは輸入決済、当時のベトナムの外貨準備というのは急速に減少をしておりました。ドイモイを始めまして、輸入の一種の自由化が起こりまして、急速に商品輸入が進んでおったわけですが、準備がなくて、その輸入の決済用に四百五十五億円ということで商品借款を出しました。  その中身でございますが、委員あるいは御承知かと思いますけれども、ベトナムは依然として、今日でもそうでございますが、石油の精製施設、ダウンストリームがございませんで、当時の供給しました外貨の決済の対象になった大半は、石油製品、精製品でございます。
  156. 川内博史

    ○川内委員 同僚の議員との間で若干の時間の調整をさせていただきますので、もう少し外務省さんにお尋ねをするのですが、一月に調査団を派遣して、延滞債務があったというのは、要するに外貨準備が減ってベトナムにお金がなかったわけですよね。それが、調査団を派遣したら十一月までにその二百三十億が返ってきたというのは、その調査団が何を調査されたのか。その返済の原資は、ではこれだったらば返せるなということは、どこで確信を得たのか。
  157. 佐渡島志郎

    ○佐渡島説明員 私、ちょっと手元に当時の記録を持ってきてはおりませんけれども、どのお金で返せるかというのは、当時、その段階で具体的に調査をしたのかどうかというのは、申しわけございませんけれども、今お答えすべき材料を持っておりません。後刻、きちんと調べて御報告をしたいと思います。
  158. 川内博史

    ○川内委員 九二年当時のベトナムのGDPというのが、円ベースでどのくらいであったのか。その二百三十億というお金がベトナムにとってどのくらい大きな、あるいは小さな金額であったのかを最後にお尋ねいたします。
  159. 佐渡島志郎

    ○佐渡島説明員 お答え申し上げます。  九一年当時、日本円でベトナムのGDPは約九千四百三十億円でございます。九二年が約一兆二千六百七十億円と承知しております。
  160. 川内博史

    ○川内委員 二百三十億といえば、その九千億のうちの何%か、二%か三%ぐらいでしょうか。べトナムにとっては本当に大きなお金だったと思うのですが、それがなぜか九二年中に返済ができた、そして、また四百五十億の円借款ができたということで、その詳しいことについてはまた後日御報告をいただけるものと思いますので、これで質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  161. 二階俊博

    ○二階委員長 山本譲司君。
  162. 山本譲司

    山本(譲)委員 民主党の山本でございます。  先ほど来、公共事業の問題、また公共事業費の七%カットに関連をして幾つか質問がございました。建設省としても、独自に公共住宅建設コストの低減に向けての検討をされている、こう伺っております。まずは、この点について幾つか質問をさせていただきたいと思います。  建設省では、平成六年の三月に、住宅建設コスト低減に関するアクションプログラムというものを策定されて、これを受けまして、平成八年三月に、住宅建設コスト低減のための緊急重点計画というものが、建設省と法務省、厚生省、通産省、この四省によってまとめられたわけであります。この緊急重点計画によって、住宅建設コストがこの計画策定前と比べてどれぐらい低減をされるのか、どれぐらい低減をすることを目指しているのか、この点についてまずお伺いをいたします。
  163. 小川忠男

    小川政府委員 お答えいたします。  ただいま引用されました緊急重点計画でございますが、これ自体は直接的に低減目標を掲げているわけではなくて、低減するための政策を体系的に整理したというふうな性格のものでございます。  ただ、この緊急重点計画の前提になりました、先生も御指摘になりました平成六年につくりましたアクションプログラム、これにおいて目標を掲げております。これによりますと、二〇〇〇年度までに標準的な住宅建設コストをこれまでの水準の三分の二程度にしたいというふうな目標を掲げております。
  164. 山本譲司

    山本(譲)委員 今お話のありましたように、アクションプログラムの中では、三分の二ですから、三三%以上の低減ということになるわけですが、それから三年半が経過をしたわけでありますが、現在、公共住宅建設費の低減の効果というのは一体どのくらい出ているのか、具体的な数字がありましたらよろしくお願いいたします。
  165. 小川忠男

    小川政府委員 言うなれば実績でございますか、アクションプログラムの基準になりましたのは平成四年度の実績でございまして、それを出発点にいたしますと、平成八年度の推計でございますが、標準的なプランあるいは仕様、これを設定した上で試算した結果でございますが、大体九一・五%程度までに下がっているというふうな試算がございます。
  166. 山本譲司

    山本(譲)委員 九%ぐらい低減をしたということでありますが、このアクションプログラムの中に、住都公団でありますとかあるいは地方住宅供給公社、この供給事業におきましても、例えば率先して海外の建築資材を導入するでありますとか、そのことによってコスト低減を図る、こんなくだりもあるわけであります。  今、国内では、例えばBLマークでありますとか、あるいはPL法ですとか、いろいろな規制もあるわけであります。あるいは安全に向けての基準があるわけでございますが、その辺の、それぞれ海外のものの認定制度とかそんなものもやはり検討されているのでしょうか。また、具体的な検討をされたら、どういう形にするのか、どういう制度にするのか、今具体的なものがあったら御報告をいただきたいと思います。
  167. 小川忠男

    小川政府委員 御質問の趣旨を正確に理解したかどうかちょっと自信がないのでございますが、今おっしゃいましたBLマーク、ベターリビングといいますか、優良住宅部品認定制度というのがございます。海外にも似たような制度があるといりふうに聞いております。ただ、BL部品認定制度の運用につきましていろいろ議論がございまして、例えば公庫融資等の基準にするということについてはいかがなものかという議論もございました。そういうふうなことから、私どもとしましては、消費者保護の観点から、いいものはいいというふうな形で認定をする制度であるということに機能を純化したいというふうなことで、整理をやらせていただいております。
  168. 山本譲司

    山本(譲)委員 今、質問の趣旨がよくわからないということなのですが、趣旨としては、BLマークですとかPL法とか、いろいろ国内で安全基準がある中で、海外製品を積極的に導入をするという場合、果たしてそれが適用されるのか、または新たな制度というものを導入するのか、そういう質問でございます。その答えはいいです。  今、まさに消費者という言葉がありましたけれども、PL法の制定以来、以来といいますか、それ以前からでしょうけれども住宅でありますとか建物に対する、その性能に関する消費者意識というのはどんどん高まっていると思います。ぜひ、このコスト低減によって安全性が低下するというようなことが当然ないようにお願いをいたします。ないですよね。——はいということでございますので、次の質問に移りたいと思います。  そもそも住都公団というのは、国民に良質で何よりも安い価格で住宅を供給するということが目的で設立をされた公益法人であります。現在、住宅都市整備公団が行っている建てかえですね、この建てかえに関して、先ほど質問をいたしましたアクションプログラム、これは平成十二年までに三分の二に低減をする、あるいは平成八年度段階では九%の低減をしたということでありますが、当然建てかえに際してもこのアクションプログラムというものが反映されているのかどうか、またその結果、家賃にも影響を及ぼすのかどうか、その辺についてお聞きをいたします。
  169. 荒田建

    ○荒田参考人 ただいまの御質問、アクションプログラムで政府全体としてコスト削減に取り組んでいるわけですが、それが公団の賃貸住宅、特に建てかえにつきまして、どういうような形で家賃の方に反映されているのかというような御質問かと思います。  公団住宅の賃貸住宅の建てかえ、三十年代の団地、非常に古くて狭くなっているということは先生も御承知だと思います。建てかえを行っておりますけれども、全体の建設コストの削減という部分につきましては、新規の賃貸住宅と同様に、その賃貸住宅のコスト削減という形で鋭意取り組んでおります。私どももコスト低減に一生懸命取り組んでおりまして、原価という意味では着実にその成果が出ているという段階でございます。  ただ、家賃の問題で非常に難しいのは、家賃を決める場合には、当然周辺の公団賃貸住宅の家賃の水準ですとかあるいは民間の同種規模、同じような機能を持つものとの比較で決めていく。供給時点におきます。そういう市場の問題ですとか、あるいは供給時点におきます、我々財投資金で建設しておりますが、そういった金利水準によってもまた変わってくる部分がございますので、コスト削減が直ちに家賃の低減にストレートにつながるという関係にはないことを御理解いただきたいと思うのです。  いずれにしましても、そういうコスト削減の努力というのは、必ず公団の賃貸住宅の家賃全体の低減には間違いなくきいてくるというふうに考えております。
  170. 山本譲司

    山本(譲)委員 家賃設定については、後ほど時間がありましたらちょっとお聞きしたいと思いますが、当然原価を基本に家賃というのは設定されるわけでしょうから、原価が安くなれば当然の理屈として全体の家賃にも反映をする、安くなる、こう理解をいたしました。  今、公団全体では賃貸の部分約七十二万戸、二百万人の方が居住をされているということですが、現在その中で建てかえ対象になっている総戸数は幾つなのか、また現に着手をしている戸数、これが幾つか、それぞれお聞かせをいただきたいと思います。
  171. 荒田建

    ○荒田参考人 お答えいたします。  公団が現在建てかえ対象として想定しておりますのは、昭和三十年代に建設された古くて狭い団地がございます、そのうち、いわゆる地主と共同で建てております借地方式の市街地住宅という概念の住宅がありますが、そういう借地方式のものはいろいろ相手との調整等々も時間がかかりますので、それを一応除いた数字で、二百十三団地、十五万九千七十戸ほどを対象に今建てかえ事業を行っております。  今先生おっしゃいました、そのうち幾つ着手しているのかというものは、現在、平成九年三月末時点でございますが、百三十五団地の六万二千百五戸、約三九%という状況でございます。
  172. 山本譲司

    山本(譲)委員 六万二千戸というとかなりの数字でございます。  現に今着手をされていて、さまざまな公団の皆さんと居住者の皆さんとの話し合いの中で、建てかえ後の高額な家賃の問題でありますとか、あるいはその計画の持っていき方だとか、そういった問題が原因で住民の方との間に摩擦が起きている、そんな例も頻繁に私お聞きするわけであります。  まず第一点として、毎年多くの補助金を政府から受けているわけですね、そうして建てかえ前と建てかえ後にかなり家賃の開きが出てくる。そこで、例えば全国平均で見ますと、建てかえ前と建てかえ後では、床面積も当然ふえたりするので一概には家賃だけでは比較できないと思いますけれども、その床面積も含めて、大体平米当たりどれくらいになったのか、家賃がどう変わったのか、その辺について御説明をいただきます。
  173. 荒田建

    ○荒田参考人 先ほど、これまでに着手した団地の建てかえ戸数を申し上げました。非常に古くて狭くて陳腐化しているわけですけれども、その建てかえの前後の住宅の床面積を比較いたしますと、建てかえ前では平均いたしますと三十五・五平米、これが建てかえ後で六十二・三平米、倍率にいたしますと一・七五倍というような形で、相当広いタイプのものが供給できるようになったということでございます。  それから家賃でございますけれども、たまたま八年度着手の団地の家賃を見てみますと、建てかえ前の平均の戸当たり家賃は約三万円でございます。これは三十五平米の平均のところでございます。これが建てかえ後、初年度の家賃でございますけれども、九万二千円強という形でございます。ただ、この九万二千円というのは建てかえ後六十二平米になった段階での家賃でございまして、単価の比較でいきますと、建てかえ前は平米当たり約八百七十三円、それから建てかえ後初年度は千六百四円という形でございまして、単価的には二倍弱、単純な値段の比較でいきますと三倍ぐらいになりますけれども、単価差でいけば二倍であるというような状況下にございます。
  174. 山本譲司

    山本(譲)委員 ちょっと今、初年度のデータを出されたわけなんですけれども、まあ、建てかえられて一年で引っ越される方はそうはいないと思うのですけれども、これは傾斜家賃になるわけですよね。最終的な数字を言ってください。
  175. 荒田建

    ○荒田参考人 今の例で申し上げますと、八年度の例で申しますと、古い団地、古いところに、三十五平米のところにお住まいになっていた方は約三万円と申し上げました。これは、同じ面積の新しい賃貸住宅に引っ越しなさるということになりますと、最終で六万九千七百円ぐらいになります、それは傾斜終了後の家賃になりますけれども。今入居されている方々に対しましてはまたあれなんですが、先生御承知のように、段階的に上げていくといいますか、激変緩和措置をとってございますから、いきなりここに上がっていくわけではございません。先ほどの例でいいますと、三万円のところが最初は三万二千円という形で、段階的に最終家賃にすりつくような形で、できるだけ激変緩和をしているというような状況でございます。
  176. 山本譲司

    山本(譲)委員 先ほど例にとられた六十二・三平米で九万といったのが、最終的には十一万六千円ぐらいにこれはなるわけですね。一平米当たりでいうとそれはもう倍以上になるわけであります。公的住宅である公団の賃貸住宅であるにもかかわらずこれほど大きな格差が出る建てかえというのは、先ほどのお話ですと、その建てかえ対象団地の定義は、若干借地権で借りているところとか以外の、三十年代に建てられたところは漏れなくすべてということでありますよね。これは例外的なものというのは考えられないのか。これはすべて建てかえ計画を、これだけ家賃が高くなるという現状の中で、やはり何が何でも行わなきゃならないのか、この辺について。
  177. 荒田建

    ○荒田参考人 ちょっと今の御質問でございますが、私どもが三十年代の団地約十数万戸、今建てかえで大体三分の一くらい進捗しておりますけれども、それに着手しておりますのは、御承知のように、非常に狭いし、非常に古いしという、家賃はもちろんそれなりに安うございますけれども、居住水準から見た場合に、あるいは周辺の土地利用の状況から見た場合に非常に低利用になっておる。三十年代の団地ですから、御承知のように、今となっては非常に立地条件もよろしくて環境もいいというようなところがあるわけでございます。  そういったところで今建てかえを全面的に進めているわけですけれども、敷地の適正利用が必ずしも図られていないとか、特に設備水準なんですが、例えばエレベーターの問題にしましても、あるいは防水パンといいまして洗濯の排水、洗濯機置き場もないとか、それからいろいろスラブ厚の問題等々がございまして、一応建てかえは、全面的に三十年代は進める、もちろんリフォームということも考えなければいけないと思います。
  178. 山本譲司

    山本(譲)委員 今言われたようなところが現にあるのも、それはわかっております。しかし、時代によって、あるいは場所によっても随分条件もタイプも違うわけでございますから、今最後にリフォームということも言われましたので、例えばそういった一括の建てかえではなくて、家賃などの、その居住者の状況によって柔軟な対応をしていただけるということですね。リフォームなどで も対処をされるというような答弁が最後にございました。もう一度、ではその件について質問いたします。
  179. 荒田建

    ○荒田参考人 現在のところ、三十年代の団地は一応建てかえという方針でやっていきたい。四十年代もそろそろ陳腐化してまいっているものですから、そちらについてはできるだけリフォームという形にしませんといけないなと思っております。しかし、御指摘の点は検討はしたいと思いますが、一応今のところ三十年代は建てかえでいきたい、こういう状況でございます。
  180. 山本譲司

    山本(譲)委員 ぜひ検討をお願いをいたしたいと思います。  実際、現時点で訴訟なんかも起きておりますね。また、かなり私自身の耳にも、具体的な計画をつくる段階、あるいはそれ以前に、住民の方との話し合いをぜひもっと積極的に持っていただきたい、公団の皆さんに持っていただきたい、そんな要望もたびたびいただきます。ぜひそういう意識を持っていただくと同時に、これは質問でございますが、一般的に住都公団の住宅建てかえをするとき、どんな手続をやられるのか。これは住民の皆さん、それと当然自治体なんかも絡んでくると思うのですけれども、その辺はどういう進め方なのか、お伺いをいたします。
  181. 荒田建

    ○荒田参考人 建てかえを進めます際には、当然公共団体との間で協議を行います。公共団体の長の方々に意見を聞く、あるいは実質上、形式的なやりとりだけではなくて、市の行政上いろんな部分と関連してまいりますので、当然行います。それから、いろんな基準法上の手続も行いますし、一定規模以上の団地であれば、環境アセスメントもやる。  そういった中で、住民、特に今お住まいになっている方々との対応でございますけれども、居住者との間では説明会も開催していただきますし、少なくとも現地に職員が常駐するような体制を とって、前広に、住みかえ動向、この建てかえに対する意見、それから建てかえ後の建物に対するいろいろな要望を、私どもとしては誠心誠意伺っております。  そういうことにつきましては、これからも居住者の方々と十分な意見交換、十分要望を聞くような形で進めてまいりたいと思っております。
  182. 山本譲司

    山本(譲)委員 実際、東京の武蔵野市の緑町団地という公団では、当初公団が立てられた案に対して住民の方が対案を出して、例えば十四階建ての予定だったものを住民側が八階建てと主張されて、その折衷案として十二階に抑えたり、総戸数もある程度抑えたりといった努力もされているということで、こういった公団の姿勢は評価をしたいと思いますし、このような住民参加型の建てかえ計画というものをぜひ今後とも進めていただきたいと思います。  まだまだちょっと、賃貸部分の家賃の問題ですとか聞きたいことはあったんですが、時間がございませんので、次に移らせていただきます。  続きまして、今賃貸の問題についてお伺いしましたが、住都公団の分譲マンションについて、ことしの八月ですか、今全国二十九団地で七千ちょっと、このうち売れ残り、塩漬けなんて言われていますけれども、この千二十戸に対して、平均でいいますと約一千万円ぐらいの値下げを行った。この一連の動きに対して、将来の居住条件がまたくるくる変わるんじゃないか、そんな不安が、公団住宅にお住まいの皆さん、公団のマンションにお住まいの皆さん、あるいは、当然これから公団のマンションを購入する可能性のある消費者の皆さん、こんな間にもそういう不安が急速に広まっているわけなんです。  まず最初にお伺いいたしますが、現在公団が抱えている、公団が予定をされている全国の分譲マンション、分譲予定住宅、これで着工中あるいは今後着工予定の件数、これは幾つありますでしょうか。
  183. 梅野捷一郎

    ○梅野参考人 お答えを申し上げます。  この九年の十月末現在で着工中の分譲住宅は約七千八百戸でございまして、今後の着工予定、先生がおっしゃいます予定というのは先々のこともあろうかと思いますが、今後の着工予定につきましては、御案内のとおり、分譲住宅業務からの撤退という方針もございまして、現在、それ以外の建設計画については見直し中であるという状況でございます。現在着工中のものは約七千八百戸でございます。
  184. 山本譲司

    山本(譲)委員 これから七千八百戸に対して、やはりこれを販売するわけですから、住都公団というものが信頼をされる売り手なんだ、こういうことをしっかりと根づかせなくてはならないと思うのです。  そこで、この公団の分譲マンション、この販売価格を設定するその基準はどのようになっているのか、この件についてお伺いします。
  185. 梅野捷一郎

    ○梅野参考人 私どもの分譲住宅の販売価格でございますが、当初、新規に売り出す場合には、いずれにいたしましても、そのかかりましたコスト、原価でございますが、原価というものを当然ベースにするわけでございまして、その上で、私どもの公団住宅全体の相互の、たくさん供給いたしておりますし、バランスを考えるとか、周辺の民間市場のいろいろな契約の状況でございますとか価格の状況でありますとか、今申し上げた原価をベースにしながらも、そういうものを勘案して決めていくということになるわけでございます。  先ほど御指摘ありました見直しの件については、新規の分譲価格設定ということでございませんので、これにつきましては、今日、その見直しをした住宅状況につきまして、販売状況でございますとか、周辺の取引事例でございますとか、改めての不動産鑑定というようなことを参考にしてもう一度決め直すというようなことで、価格を設定をいたしておるということでございます。
  186. 山本譲司

    山本(譲)委員 一言で言うと、よくわからないのですけれども、二年ぐらいで果たして二〇%も、周辺のマンションはそこまで下がっているのかどうなのか。  この中で、分譲価格の調整準備金というのがありますね。これについて説明をお願いします。
  187. 梅野捷一郎

    ○梅野参考人 ただいま価格の設定の仕方の基本的な考え方を御説明申し上げたわけでございますが、その一番ベースになります住宅等の原価、コストということになろうかと思いますが、これにつきましては、用地の取得費が、それぞれの時期でありますとか場所でありますとか、敷地のいろいろな条件によりまして、ばらつきも若干の幅の中であるわけでございます。また、取得しました土地住宅としてつくり上げていく場合に、地盤の条件等によりましては、でき上がるものはほとんど同じではございますけれども、基礎工事費には大変な幅が出るとか、いろいろなことがございます。  したがって、その原価というものをベースにいたすわけでございますが、実際に購入されるサイドから見ますと、住宅の効用という意味から見ると、それぞれの均衡というものもあるわけでございます。そういうことで、設定される最終的な価格については、全体の均衡を失しないことで決まってくるわけでございます。  その結果として、原価との差が出てくる、個々の団地では差が出てまいります。そのようなものを、差が出てきた場合に受け入れるところとして、今御指摘の分譲価格調整準備金というものを規則に基づいて設けておるわけでございまして、原価と売価の間にプラスが出ればそこへ繰り入れるし、足りない場合はそれを取りますというための準備金として、そういう枠を設けているということでございます。
  188. 山本譲司

    山本(譲)委員 原価から算出した価格が大変低い場合は若干の上積みをして、余った収益をこの価格調整準備金に積み立てて、そして逆の場合は取りますということでありますよね。そこで、これが一体どういう基準で積み立てられたり取り崩されたりするのか。これは本当に個別にどこが一体どうなっているのかというのがわからないと、どうもその動きというのがやはりわからないのです。これは個別の分譲マンションで、どういう計 算で、どういう基準で分譲価格設定がされたのか。  例えば、浦安にできたマリナイースト21というのがありますけれども、この中でも、平成元年の販売の海風の街、それと平成六年の夢海の街、それぞれ例えば代表的な間取りの分譲マンションを例にとって、その販売価格というのは説明できますでしょうか。
  189. 梅野捷一郎

    ○梅野参考人 今、先生の方から御指摘ございました浦安の例で、夢海の街の例で申し上げますと、平成五年の十月に第一次の募集をいたしまして、その後四次の募集が平成七年四月ということでございますが、その間、一次から二次、三次、四次と来たわけでございます。  それぞれ住宅の中身もいろいろ違うわけでございますけれども、その段階での価格は、一次の場合には、平米単価に置き直しますと七十六万七千円でございます。二次が、平成五年の十二月でございますが、七十五万六千円でございますし、三次が、六年の五月でございますが……(山本(譲)委員「数字はわかっているので、考え方を」と呼ぶ)そうですが。  それは、先ほど御質問ございましたように、私どもの最終的な個々の住宅の販売価格につきましては、ベースになります原価と全体の周辺との均衡とを考慮して、先ほど申し上げたような形で個々に決めてくるということの結果が、今一部申し上げましたような価格になっておるということでございます。
  190. 山本譲司

    山本(譲)委員 この価格でいうと、相当な開きがあるわけですよね。どうもその使われ方が、その個別のマンションでどういう計算なのかというのがわからないと、まだ今売れ残りの分もありますよね。実際、こういう基準でこうなったというのが示されないと、また購入をしてもいろいろな抽象的な理屈をつけて、その後値下がりがあるのじゃないかと、さらに買い惜しみになってしまうのじゃないか、そんな悪循環になるのじゃないか。  また、例えば今お伺いをしましたマリナイーストにしても、原価という意味では、建設コストというのがそんなに値上がりしたのか、あるいはその土地代というのが値上がりしたのか。そうはしていないと思うのですよ。それでこれだけの開きができるというのは、どうもうがつた見方をすると、公団の放漫経営のツケをここで挽回しようかな、そういうこともあるのじゃないか。ぜひこの辺を細かいところまで出せるようにしていただきたいと思います。  そして、今、もともと公団に住まれている方、公団の分譲マンションを購入された方々が、これは価格が下がる前に、公平な価格政策と情報公開を求める全国連合会というものをつくられて、住都公団にいろいろな質問をされたと思うのです、これは十一月の二十八日に。これはこの質問に対して文書で回答はなされるのでしょうか。いかがでしょうか。
  191. 梅野捷一郎

    ○梅野参考人 先ほどのマリナイーストの一次から四次までの経緯でついた値段に、御指摘のように平米単価でそんなに大きな差が出ていないということは、ぜひ御理解いただきたいと思います。  それからもう一つは、私どもの住都公団の分譲住宅の価格設定については、長年大変な信頼をちょうだいしていたわけでございますが、今回のもろもろの社会的環境の中で大きな価格の見直しをしたということで、その信頼が、一部といいましょうか、これまでの信頼が結果として揺らいだということについては、大変残念に思っているところでございます。そういうことを受けて、今御指摘のような住民の方々から、強い御不満をバックに御要望が来ているというふうに考えております。  私ども、今回の分譲の空き家の住宅の見直しにつきましては、それぞれの管理組合に対しまして……(山本(譲)委員「済みません、文書で回答するのかどうかと聞いているのですよ」と呼ぶ)私どもは既に御説明もいたしておるわけでございますが、最終的には、個々の御心配になっている入居者の方々に、的確に私どもの立場なり内容が伝わるような方法で御説明をさらに進めていくべきだろうというふうに考えておりまして、どのような方法が最も的確であるかどうかについて検討中であるということでございます。
  192. 山本譲司

    山本(譲)委員 何で文書で回答できないのですか。どうも口頭で言ったことが、例えばこれまで購入時期に、決して値下げはしませんと言われていた、それは文書ではその契約を交わしているわけじゃないですから、ところが値下げをされた。そういった疑心暗鬼なんですよ。ぜひ文書で回答するように。いかがですか。
  193. 梅野捷一郎

    ○梅野参考人 先ほど申し上げましたように、私どもは、今回の見直しをした際に、その間の事情なり経緯につきまして文書をもって各管理組合に御説明、御連絡を申し上げております。その後、いろいろなことを、それぞれのお立場から御要望なり御質問が来ているわけでございまして、それにどういう形でお答えすることが、その文書で御説明した以上のことが的確に伝わるのかということを検討させていただいているということでございます。
  194. 山本譲司

    山本(譲)委員 大臣、やはり公団といいますと公的性格の強い公益法人であります。率先して情報の公開でありますとか、きちんとした意思の疎通をするということがこれは本当に重要なことだと思うのです。これは公団の住民の方々だけではなくて、ひいては一般の消費者の方々への適切な情報公開、これをやることによって、まだ八千近くこれから分譲しようというわけですから、やはり信頼につながると思うのです。公団の情報公開、この問題に関して、ぜひ政府としてというか建設省としても進めるように努力をしていただきたいのです。どうですか、大臣
  195. 瓦力

    瓦国務大臣 ただいま山本委員の詳細な質問に公団側も御返答申しておりましたが、今、私に対します質問は特殊法人の情報公開についてでございますが、特殊法人のディスクロージャーにつきまして、平成七年十二月十九日に閣議決定がなされておるわけでありまして、それに沿いまして民間上場企業並みの情報公開を推進しているところでございますが、住宅都市整備公団におきましても、これらの方針に沿って、本年関係法令を改正して財務関係書類の充実を図るなど、その推進に努めているところでございます。  これは御案内のとおり、先般、住都公団の方向づけがなされる中で、情報公開等も含めまして、財務関係書類の充実など努力をしておるところでありますので、委員には御理解を賜りたい、かように存じます。
  196. 山本譲司

    山本(譲)委員 ぜひ、今言われた全体の政府の動きと合わせて、住都公団への情報公開の徹底ということも強く要望していただきたいと思います。  最後になりますが、先ほどからの公共事業の問題。当然国民の税金を使うものですから、費用対効果ということをしっかりと考えていかなくてはならない、しかし、実態としてはどうも使われていない施設があったり、あるいは数十年前に計画をされたのだけれども、既にその本来の目的がなくなった、そんな事業も残念ながらあるというのが実態だと私は認識をしております。  その一つとして、熊本県の川下りで有名な球磨川水系の川辺川ダムというのがあると思うのですが、これは昭和五十一年ですね、計画策定時。これは総事業費が三百五十億円だとされていたのが、昭和六十二年に千百三十億円に増額をされた。そのほか関連事業として、その川辺川ダムの上流部に砂防ダムを二百三十基ぐらい建設をして二百三十億円、さらには、マスコミなんかでは、今もう既に一千億円以上お金が投入されているのじゃないか、そんな話もあります。  そして、水没予定地域の住民の皆さんへの移転補償費でありますとか、あるいは取りつけ道路、この設置費、こういったものに大体どれぐらいお金がかかっているのか。そしてさらに、これからそれらのものすべて事業執行済みの場合、すべて事業を執行した場合、総予算は幾らなのか、これはダムの本体の費用も含めてですね。そしてさらに、当然水没地の五木村で、ふるさとづくりだとかそういういろいろな村づくり、村の振興策というのが行われていますが、こういった事業に対しての補助も含めた関連事業費、これは総額で幾らになるのか、御説明いただきたいと思います。
  197. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 ただいまお話の川辺川ダムでございますが、このダムは、球磨川水系の支川の川辺川につくっておるダムでございます。このダム地点におきます流入量三千五百二十立方メートルを、過半をため込みまして、下流に流すのは二百立方メートル毎秒ということで、このダムの治水に果たします効用は、一回辺川にとどまらず、球磨川水系全体に及ぶダムでございます。(山本(譲)委員「済みません、額だけを」と呼ぶ)また、五木村の村長さん、そしてまた相良村の村長さん初め、地元からもこのダムの促進について大変強い要望が寄せられておるダムでございます。(山本(譲)委員「いや、そんなこと聞いていないですよ、額を聞いている」と呼ぶ)むだなダムではないということをまず申し述べさせていただきます。  そして、今までに使いました。地及び補償費でございますが、七百十億円でございます。そして今後、全体の、ダム本体をひっくるめまして幾らかかるかということにつきましては、現在精査を行っておるところでございます。  そしてまた、お尋ねの地元の振興にかかりますいろいろなものにつきましては、水源地対策の整備計画に基づくものとして六百十二億円を予定をいたしておるというところでございます。
  198. 山本譲司

    山本(譲)委員 どうもこれから総事業費が一体幾らかかるのか、まだ検討中ということでありますが、先ほど西野委員質問でしたか、今、ダム建設で中止あるいは休止というのが数十カ所ある、その理由の一つとして、利水の問題なんかも挙げられました。現に今、この川辺川ダムに関連して、その一つの目的であるかんがい、これに関して訴訟まで起きて、利水者である農家の人たちが、本当はこんなはずじゃなかった、水は本当は必要ないんだ、そんな訴訟も起きている状況であります。  休止、中止、先ほど幾つか例を挙げられましたが、そういう対象の一つとしても、時間がありませんので細かいところは申し上げられませんが、幾つかの問題も存在しているこの川辺川ダムの再検討というものをぜひお願いをして、私の質問を終わりたいと思います。
  199. 二階俊博

    ○二階委員長 中島武敏君。
  200. 中島武敏

    ○中島(武)委員 私は、きょうは二つ質問したいと思っております。  住都公団分譲住宅の空き家解消のための価格引き下げ措置、それに伴う既購入者への対応について、今山本議員が質問した後半とダブります。それからもう一つは、公益法人の政治活動について伺いたいと思っているのです。  まず最初に、空き家の問題ですけれども、住都公団はことし七月三十一日、分譲空き家住宅解消のための抜本対策として、二十九団地千二戸の空き家住宅に対し、平均約一千万円の分譲価格の引き下げを行った。一般的に言って、引き下げ措置そのものを私は否定するものではありません。むしろ遅きに失した、そういうふうに思っております。  そこで、具体的に伺いたいのですけれども、今回の引き下げ措置というのはどのような理由によるものであるのか、また、住都公団法上、分譲住宅の価格引き下げ規定はあるのか、まずこのことを伺います。
  201. 梅野捷一郎

    ○梅野参考人 今回の、今御指摘の分譲住宅の価格の見直し、引き下げでございますが、その理由につきましては、私ども、従来から、私どもとしては精いっぱいの、御利用いただくためのいわゆる販売努力といいましょうか、PR、御理解いただくための努力等もさんざん進めてきたわけでございます。一点は、さまざまな、特に不動産関係、住宅関係を含みます経済状況の、いわゆるバブルの崩壊というような状況がございまして、当初、市場に出しましたときの価格の設定と現在の状況との間には、価格上の大きなギャップが出てきたということを客観的に認めざるを得ないということが一点でございます。  またもう一点は、これだけのたくさんの社会的な資産である住宅を、長きにわたって未利用のままでいるという状況は、私どもの公団の性格上からも許されないということで、できるだけ御利用いただけるような条件というものを見出していく必要があるということが一点ございます。  それから、全体の見直しの一つとしては、二年以上経過したものについて価格の見直しをいたしたわけでございますが、この二年という期間は、市場におきます販売物件の価格の設定というものに対する一般の状況、慣行等から見ても、新たな見直しをする対象であるというようなことを考えて、今申し上げましたような点を総合的に考慮いたしまして、今回の引き下げという形での見直しをやむを得ず実施をさせていただいたということでございまして、法上も、いろいろな条件変更等があった場合には見直すことができるという決まりになっているところでございます。
  202. 中島武敏

    ○中島(武)委員 公団法上の規定については答弁がありませんでしたが、これについても私また質問しますから、答弁してください。  これは公団が出された文書です。そうですね。これを読んでみますと、今お答えがありましたけれども、この中で強調している理由の大きなものは、やはりこうなんですね。公団分譲住宅の価格見直しの文書なんですけれども、これによりますと、「趣旨」として「市場価格との乖離が生じ」、「市場価格等を勘案し価格の見直しを行う」、こういうふうになっていますね。その点は今御答弁もありました。それから、分譲から撤退をするということが大きな理由であるということもこれには書いてありますね。答弁なかったけれどもね。それから、同時にここには、今回の措置は、不動産市況の変化に伴う価格の変更だ、こういうふうに書いてあるのです。  さて、伺いたいのは、公団当局は、不動産市況の変化にいつお気づきだったのですか。
  203. 梅野捷一郎

    ○梅野参考人 最初に、先ほどの、価格変更については定めがあるという漠然としたお答えで、大変失礼をいたしました。私どもの規則の中に、「譲渡の対価の変更等」という規定が十三条にございまして、物価その他経済事情の変動等に伴い必要がある場合には、建設大臣の承認を得た上で変更することができるということが根拠になっております。  それから、不動産市況の変動というのは、たまたま今回の値下げの対象といたしましたのは、先ほど申し上げましたように二年を経過した物件でございますけれども、当時市場に出しました住宅が、いわゆるバブルの上がり下がりというプロセスの過程で市場に出していったという物件でございまして、そのことについて、状況が激しく変動しているという認識は、当時からそれなりには持っていたつもりでございます。  私ども住宅につきましては、需要者から御選択をいただく条件の中で、確かに価格という問題が最大のものであることは十分理解いたしておりますけれども、私どもが提供する住宅から得られるさまざまなサービス、環境とか、そういうことも含めて市場にお出しをいたしておるわけでございますので、今御指摘の不動産市況そのものに対する変動の実態については、かなり以前から認識はしていたというふうに私どもは感じておるところでございます。
  204. 中島武敏

    ○中島(武)委員 かなり以前とはいつですか。
  205. 梅野捷一郎

    ○梅野参考人 いついつからという明確なお答えは大変しにくいわけでございますが、私どもも、一般の皆様方がお感じになった、結果から見たヒータを過ぎた平成に入ってからということになろうかと思いますが、同時に感じていたというふうには思いません。若干、結果から見た物価、地価の変動のピークを過ぎたころから感じ出したというふうに御理解いただきたいと思います。
  206. 中島武敏

    ○中島(武)委員 そうですが。不動産研究所の資料によりますと、首都圏、東京、神奈川、埼玉、千葉の民間分譲マンションの平均価格は、一九九〇年を境として急激に下がっております。ところが、公団の資料によりますと、首都圏の分譲集合住宅の平均価格は、一九九四年まで基本的には上がり続けるのですね。上がり続ける。そして、それから下がり始めるわけであります。地価はどうかというと、国土庁の都道府県地価調査によりますと、一九九〇年を境に下がり続けているのですね。  民間分譲マンションが劇的に価格引き下げが行われているということを、バブルがはじけた早くから承知しておった、こういう先ほどの答弁なんですね。だとすると、これは非常に私は重大だと思うのだけれども、気はついておりました、だけれども見直しを行う時期というのは、市場価格の変化に伴って価格変更を行ったんだと、さっきも言われるし、それからこの文書にも書いてある、これはおかしいじゃないか。早くから気がついておって、やらなかったのか、一体これはどういうことなんだということが非常に大きな問題になるわけであります。  そういうふうに気がついてもやらなかった、だから空き家住宅がどんどんふえたのじゃないか、これは率直に言いますけれども、私は公団当局の経営の不始末、失敗じゃないか、こういうふうに思うのですけれども、どうですか。
  207. 梅野捷一郎

    ○梅野参考人 先ほど申し上げました中で、幾つかの大変重要なことを御指摘だと思いますが、私どもの価格に対する認識は、地価の頭打ちであるとかを感じ出したときに、その後どういう形でさらに下がっていくのかどうかというところまで、明確な認識を確実につかむというレベルでのお答えをしたわけではないということが一点ございます。そこまでは十分には読み切れなかった時期も当初はあったということでございます。  それからもう一点は、私ども住宅の場合には、一般的には、計画的な団地をやる観点から見ますと、かなり長期にわたるという事業の性格がございます。このことが質の高い環境のいい住宅を供給できているという一つの利点でもございますけれども、今回のような価格の変動が大きく動いた場合の追随性には、残念ながら、やや弱い点がございます。  そういうこともございまして、また、私どもが先ほど御説明申し上げましたように、価格については原価というものを、一番基本的にはベースにしているということもございます。今申し上げましたような大規模で長期にわたる事業を一般的にやっているということもございまして、そのことによる影響というものを本当に振り払うといいましょうか、見直すといいましょうか、そこまでの決断をするまでにはやはり時間を要したということでございます。
  208. 中島武敏

    ○中島(武)委員 どうも納得のいかない答弁ばかり返ってくるのですね。  それでは、もう一回聞きます。分譲マンションが下がり続ける、これをきちっとはっきり認識したのはいつですか。
  209. 梅野捷一郎

    ○梅野参考人 価格の見直しをしなければならないかというような具体的な結果につながるような意味での認識をし出したのは、この一年ぐらいというふうにお考えいただきたいと思います。
  210. 中島武敏

    ○中島(武)委員 私はその答弁を聞いて、この一年ぐらい、こういうお話なのですね。もう世の中どんどん地価は下がっているわ、分譲マンションは下がっているわというのは、梅野さんは前、こんなことを言っては失礼ですけれども住宅局長じゃなかったですか。だから、僕はこんな答弁を今時分やるというのは甚だ心外なのです。  だけれども、非常にはっきりしたことは何かというと、今度の空き家を値下げして販売するというのは、やはり公団がはっきり認識しなかったというのですから、非常に大きな責任があるのですよ、これは。いいですか。だから本当に、先ほど言ったけれども、失政なんだなということをはっきりもう一度申し上げておきまして、次を聞きます。  この値下げの財源というのは一体どこから捻出したのか。それから、価格調整準備金が財源と聞いておりますけれども、この準備金はどんなものなのか。さっきもお答えがありましたかね。それから、空き家住宅の値下げの財源にする根拠はどこにあるのか。これをはっきり伺いたいと思います。
  211. 梅野捷一郎

    ○梅野参考人 先ほど申し上げましたように、私どもが提供する住宅の全体的な評価をもってお受けとめいただけるという面もございまして、直前まで販売努力をしてきたわけでございまして、その中での価格の占めるウエートというものをいじらなければいけないというふうに認識をし出したのが、先ほど申し上げたようなことだというふうに御理解をいただきたいと思います。  それから、その結果として出てまいりました価格差についての財源は、先ほども他の先生から御質問ございましたような分譲価格調整準備金という中で、いわば内部財源から充当することとして考えておるところでございます。
  212. 中島武敏

    ○中島(武)委員 ちょっと時間がかかり過ぎますので、一々答弁漏れがあっても、本当は聞きたいのだけれども、だんだん時間を食ってしまいますので、この問題に関してもう一つ聞きます。  それは何かというと、価格準備金というのは結局、分譲価格の中に含まれているものでしょう。そこから生み出す以外に生み出しようがないわけですよ。だから、空き家住宅の価格引き下げには使うけれども、既に購入している人たちの分譲価格の中にも含まれているわけですから、それには使わないということになりますと、これは大変な不公平が生まれるんじゃないですか。
  213. 梅野捷一郎

    ○梅野参考人 私どもは、この価格調整準備金につきましては、市場に現に出しておる住宅の価格を原価をベースにして決める際の、前後の、上に出る場合、下へ出る場合の差を調整するという趣旨で設けているわけでございまして、既に今回の対象団地の中で御購入いただきましたものにつきましては、その段階の条件で御購入いただいたと。今回のことで大変痛みを感じられたということについては、大変我々としても心苦しいわけでございますが、その点については、その財源を使って補てんをするというようなことについては考えていないという状況でございます。
  214. 中島武敏

    ○中島(武)委員 またお答えがないのだけれども、これは分譲価格の中に含まれているのでしょう。そのことについて、では、今度答弁するときにはっきり言ってください。価格調整準備金、これは分譲価格の中に含まれているものなんでしょう。そうじゃなしに、どこかから生み出されてくるものですか。そこをひとつ、いや、待ってください、一つ一つ答弁漏れを指摘しなきゃいかぬのは甚だおもしろくないのですけれども、同時に、私、もっと問題だと思うことがあるのです。  それは何かというと、販売するときには、値下げしない、値下げできない、こういうふうに販売員が言っていたという多くの証言があるのですね。そして事実、公団は過去に値下げをした経験はありませんね。  だけれども、売れ残りが多数発生しているという状況下で、伊藤茂史副総裁が昨年の六月二十五日のNHK「クローズアップ現代」、ここで値下げできない旨を同じく発言しております。購入者は公団当局の値下げはしないんだということを信じて、それはそうなんです、一販売員がやっているのじゃないのです。副総裁がそういうふうに、値下げをしませんということを、非常にはっきりその趣旨をテレビで述べているのですから。  いいですか、これは一販売員の方針じゃないのです。公団の方針なんです。だから、買う人はそのことを信用して、信じて購入したわけですよ。ところが、実際には今度値下げになった。これは契約違反じゃありませんか。
  215. 梅野捷一郎

    ○梅野参考人 先ほどの調整準備金の中に既に購入されている方々の住宅が含まれているかどうかということでございますが、既に御購入になった住宅について、先ほど来御説明いたしておりますように、原価と実際に最終的に設定された価格の間に差が生じているとすれば、その場合には、プラスもございますしマイナスもあるわけでございますが、そのことが準備金に影響を与えることは事実でございます。  したがって、先生御指摘のように、含まれているかと一般的なことで申し上げると、プラスもマイナスも含まれているというふうに御理解をいただきたいというふうに思います。  それから、値下げはしないということをいろんな立場あるいは機会に従前申しておったという御指摘でございますが、いろいろな表現がされたと思いますけれども、価格の見直しをするという考えはその時点では全くなかったという背景のもとにそういうことをやっていたということで、最終的にはそのときの条件の中で、さまざまな条件を検討された上で、きちんとした手続のもとに契約を結んでお買いをいただいたというふうに考えておりますので、そのことに瑕疵があるというふうには考えておりません。
  216. 中島武敏

    ○中島(武)委員 もう一つ、非常に問題だと思うことについてお尋ねいたします。  それは、公団は現状有姿販売という名目でやみ販売を行っておりますね。これは、公団が購入者にモデルルーム使用料や補修費という名目で購入資金の補てんを行うものですね。調査によりますと、これによる値下げ率は六%近くから一五%に達しているわけです。多摩ニュータウンでは、空き家のほとんどを現状有姿販売していたのではありませんか。これは一体公団法のどこに基づいての値下げだったのでしょうか。これを伺います。
  217. 梅野捷一郎

    ○梅野参考人 現状有姿販売につきましては、御指摘のように、モデル住宅として一般に中をごらんいただきますとか、いろいろな形で公開をしておいた住宅ということになるわけでございますから、その間の、一般に公開をしたことによるさまざまな減価というものを織り込んで、結果として、最終的に、お求めいただくときにはその分を差し引いているということでございまして、価格の設定としてはごく一般的な方法ではなかろうかというふうに思っております。
  218. 中島武敏

    ○中島(武)委員 現状有姿販売は、すべてモデルルームじゃないんですよ。そのことは、公団自身が販売するときにいろいろな人たちに話をしております。たくさんの証言がある。だけれども、一つの団地でもたくさんの現状有姿販売をやっておられる。これはモデルルームとは違うのです。モデルルームに対する扱いと同じように値引きを事実上するということをやっているのですね。だけれども、このことは、公団法のどこを探しても、こんな名前の、現状有姿販売なんというものはないんですよ。だから、これは、公団法で認められているものではないようですから、やみ販売じゃないかということを私は指摘しているわけなんです。  そこで、次に伺いたいと思うのですけれども、今回値下げ対象になりました二十九団地のうち十七団地の購入者が、先ほどもお話がありました、住都公団に公平な価格政策と情報公開を求める全国連合会、これを結成をして、先日、公団との話し合いが持たれたということを私は聞いております。それで、この連合会は公団総裁への抗議と質問書を提出したのです。公団の見解を求めているわけです。  このように、何で既購入者による連合会が発足したのか、ここなんです。七月末の公団による空き家住宅の値下げ発表後、八月一日に一片の通知を管理組合の理事長に行ったのです。その後、同月中旬ごろに、さらに補足の文書が同じく出されておりますが、しかし、既購入者に対する誠実な話し合いに応じてこなかった。だから、居住者、既購入者は非常に憤慨したのです。つまり、言葉をかえて言えば、公団の誠実な対応がなかった。だから、こういうふうに連合会を結成してまでもこの問題はたださなければならないという気持ちで、この連合会に結集している人たちは立ち上がっているんですよ。  私は、そこを公団の皆さんにはちゃんとよく理解をしていただきたい。公団に責任があるんです。いいですか、先ほども言ったけれども、値下げしなければならないかと気がついたのは一年前だ、こう言うわけですよ。どんどんどんどん下がり始めてから何年たっていると思いますか。九〇年がバブルがはじけたときですよ。民間はどんどん下げている、そういう状況の中で、昨年まで、下げなければいけないかとか、そんなことを思わなかったというのですから、今になってそういうことをやるということになれば、これは公団の責任だということははっきりしているでしょう。その上誠実な態度をとらないものですから、こういう連合会を結成してもこれはたださなければならないという気持ちになってきたんですよ。  だから、私は、既に購入している方々、居住しておられる人たち、その方々に今後どのように対応なさるおつもりなのか、ここはひとつはっきりさせてもらいたい。どのように誠実に対応するつもりなのか。これです、第一。  それから二つ目には、誠実に話し合いを行って納得のいく解決策を出すように、公団の方でも力を尽くしてもらいたい。公団に責任がありますよ、この問題は。さっきのあなたの答弁の中で非常にはっきりしている。だから、それをどういうふうにしようとしているのか。  それから三つ目には、情報公開。これは積極的に応じてもらいたい。わからないんですよ。私だってわかりにくいんだ。そういうのをちゃんとやはり情報公開をして、ああなるほど、こうなのか、こういうふうに納得のできるような措置をとっていただきたい。  それから四つ目。質問に対して文書回答をせよというふうに、この連合会の人たちは言っているんです。なぜ文書回答ということを言っているか。それは、一片の通知を理事長に対して行って、それ以後誠実な態度をとってこない。だから信頼関係が壊れているんですよ。率直に言います、これは。信頼関係が壊れている。この信頼関係を取り戻さなきゃいけない。だからこそ、文書で回答してくれ、どうも言うことがわからない、こういう気持ちなんですよ。だから、みんな怒り心頭に発している。  以上、四つのことについて、明快な理事の答弁を求めます。
  219. 梅野捷一郎

    ○梅野参考人 既入居者に対する対応について、あのような全国一斉に見直しをするという環境の中で、どういう御説明を申し上げればよろしいかということについては大変苦慮もしたわけでございますが、結果として、さまざまな混乱等も考慮いたしまして、決定後に御連絡を申し上げるという方法をとらせていただいたわけでございます。その結果として、今先生から御指摘のように、私ども、その後につきましても、説明の要望をちょうだいした団地につきましては、既にそれを受けまして改めて御説明をした団地も十四団地ございますし、順次、しかるべき舞台を、状況を設定して、誠意を持って御説明にも当たりたい、対応もいたしたいというふうに考えております。  しかし、私ども、今回の見直し以降、それなりに努力をしたつもりでございますが、今先生から御指摘のような点があるということで、私どもは、さらにそれを真剣に受けとめて、より一層誠実に皆様方の御心配なり御疑問にこたえていくように努力をしたいというふうに思います。  それから、情報公開の点につきましては、恐らく今の御指摘は、今回の問題を含めて全体のことも御指摘かと思いますが、先ほど大臣からも御指摘ございましたように、私どもも、全体的な情報公開に積極的に取り組もうということで鋭意進めているところでございます。できれば、今進めているもののほかにも、一般の方々にもわかりやすく我々の持っておる情報なり御説明を御理解いただこうということで、電話やファクスによります自動情報提供システムを始めるとか、インターネットで始めるとか、結果として既に、例えば電話、ファクスによる情報提供におきましては、年間三万ヒットぐらいのアクセスをちょうだいいたしておりますし、また、インターネットでも年間十三万件のヒット数を数えるようなアクセスも ちょうだいしているというようなことでございます。  なお一層、どういう方法でやればいいのかというようなことも含めまして、情報公開について、これは、皆様方に情報提供するだけでなく、私どもに対するきちんとした御理解を得るためにも必要でございますので、努力を続けたいと思っております。  それから、最後の、文書でという御要望をいただいております。  これについては、どういう形で私どもが対応すれば、末端にいらっしゃる分譲住宅を既に購入されておる一人一人の方に私ども状況を御説明し、御理解をいただけるアクセスになるのかということを十分考慮した上で決定をさせていただきたいというふうに思っているところでございます。
  220. 中島武敏

    ○中島(武)委員 さっきも言いましたけれども、信頼は壊れているんです。だから、この信頼を回復するためには文書で回答してくれ、こういうふうに言っている。そのことについても、もう一度よく考えてください。やはりそうでないと、これは壊れた信頼を取り戻すのは大変な問題ですよ。  最後に、もう時間のようですけれども建設大臣、お聞きになっていてどう思われましたか。公団に対する的確な指導、そしてこの問題の解決がスムーズにできるように、建設大臣の決意のほどを聞かしていただいて、終わります。
  221. 瓦力

    瓦国務大臣 先ほど以来、住都公団の分譲住宅の価格問題につきまして、いろいろ質疑がとり行われておりました。大変大きな経済の変動でございました。そういったことを踏まえまして、近年の不動産市況の変化に対応した、住都公団としては、まさに厳しい選択が迫られる中で、適切な売れ残り解消ということに私は努力をしたと思うわけでありますので、中島委員にも御理解をいただきたいと思うわけであります。  なお、信頼関係が壊れた、こういうお話もありましたが、私は、信頼関係はこれからも維持することによってこれから住都公団の問題というのはさらによくなるわけでありますから、努力をすることが必要でありますから、この委員会における信頼関係が住都公団にお住まいされる方々に伝わりますように、私は、中島委員も御努力、御協力をちょうだいしたいと思うのです。  といいますのは、やはり住まいしておられる方々にとりましては、恐らく大変不安もありましょうし、公団はこれからも誠意を持った努力を重ねると私は思いますので、御理解をいただいて、御協力賜ればありがたいと思います。
  222. 中島武敏

    ○中島(武)委員 終わります。
  223. 二階俊博

    ○二階委員長 辻第一君。
  224. 辻第一

    ○辻(第)委員 きょうは、不況の問題と関連して、住宅問題について質問をいたします。  不況が深刻ですね。失業も最高、倒産も激増いたしております。国民中小企業中小業者の皆さん方、大変苦労をしているわけであります。殊に、四月からの消費税の増税や特別減税の廃止、九月からの医療保険の改悪による九兆円の国民の負担増、そういう中、さらに財政構造改革など新たな負担増がやられようとしているわけでありますが、そういう中で、既に国民の個人消費が大幅に落ち込んでおります。  不況対策として個人消費の拡大と中小企業活性化は重要な柱でありますが、我が党は、当面、個人消費の拡大のための緊急措置として、消費税を五%から三%に引き下げて五兆円の減税、二兆円の所得税の減税を提案いたしております。また、その財源には、軍事費を削る、公共事業のむだをなくすなど、財政再建十カ年計画も明らかにしているところでございます。とにかく深刻な不況、また、財政危機などの状況の中、建設省に対しましていろいろな国民の要望があるわけであります。不況対策もそうですし、行政改革の問題もあろうと思います。  そういう中で、建設大臣にお尋ねをいたします。公共事業でありますが、産業基盤型といいましょうか、大型プロジェクト中心の公共事業から、国民生活基盤、例えば公共住宅でありますとか、住宅、防災、生活道路下水道、他省庁でいいますと、福祉施設や教育施設、こういう国民生活に直結する公共事業に転換をすべきではないか、このような声が大きくなっているわけですが、大臣の所見を伺います。
  225. 瓦力

    瓦国務大臣 辻委員にお答えいたしますが、多年にわたりまして辻委員もこの建設委員会に所属をされて、ある面では、我が国の来し方五十年、いろいろ苦労の連続であったことも御承知かと思うわけでありますが、今私どもは、住宅社会資本整備を進める上におきまして、一つには活力にあふれた経済社会活動を実現する、また、安全で豊かな国民生活の実現を図る、このことはいずれも重要なことだと心得ておるわけであります。  今日まで、やはりどちらかといえば、住まいをどう確保するかということでありましたり、道路を舗装するというような時代でありましたが、これからはさらに質の問題に転換せざるを得ないわけであります。また、魅力ある国土づくり、こういうことが言われるわけでありますが、もう企業も住む人も国境すら選ばない、こういうような時代にもう向けておりますので、私は、これから住宅社会資本整備というのは、まさに魅力ある国土づくりに向けましてバランスのとれた投資が求められておる時代だ、こういうぐあいに理解をいたしておるわけであります。  でありますので、辻委員指摘のように、産業基盤型からいわゆる生活密着型へ、なかなかそこが割り切れないところがありまして、両面をどうつくり上げていくかという課題に挑戦する時代だ、こういう認識を持ちまして、国民のニーズ、経済社会の活動の変化に応じまして的確に事業を実施してまいりたい、かように考えておるところであります。
  226. 辻第一

    ○辻(第)委員 産業基盤型から生活基盤型ですね、大きく転換をすべきであると重ねて要求をして、次に移りたいと思います。  住宅建設住宅問題に絞ってお尋ねをいたします。  人間にふさわしい居住は福祉の基礎だとか、あるいは安全で健康で文化的な生活ができる住宅、これが本当に重要なことでありますが、今の我が国の状態では、まだまだそういう状態には到達をしていない。しかも、不況でありますとか高齢化でありますとか失業とか、いろいろな要素が伴いまして、そこで公共住宅に対する要望が一層高まっているというのが今日の状況ではないかと思います。  そういう状況の中で、公共住宅をもっと大幅にふやすべきではないか。来年の予算で公共住宅建設計画はどうなっているのか、お尋ねをいたします。
  227. 小川忠男

    小川政府委員 お答えいたします。  来年度の住宅建設戸数でございますが、これは概算要求ベースでお許しいただきたいと思いますが、公営住宅につきましては三万七千戸、それから特定優良賃貸住宅、これにつきましては四万二千戸、それから住都公団につきましては二万戸、公社につきましては一万六千戸、概要そういうふうな水準になっております。
  228. 辻第一

    ○辻(第)委員 我が国の公共住宅は、ヨーロッパ諸国に比べましても大変少ないですね。例えば英国は二二・六%だそうでありますが、我が国は七%。また、あの阪神大震災、あのとき、あれは特別の例と言われればそうなんですが、公共住宅の安全性というのが本当に如実に示された、私はそういうふうに思うのです。  今、本当に住宅に困っている方がたくさんあって、安全で住みやすくてしかも低廉な公共住宅をという声は本当に大きくなってきていると思うわけであります。そういう点で、ことしは、公営で四千戸減っているのですか。それから公団住宅も四千戸減っているのですか。そのかわり、借り上げ住宅であるとか高齢者の賃貸住宅がふえていますよということでありますが、この三年ほどは毎年減っているのじゃないでしょうか。どうしてもここで、本当に公共住宅を積極的にふやしてい く、そういう方向で御努力をいただきたいと思うのですが、重ねて答弁をいただきたいと思います。
  229. 小川忠男

    小川政府委員 ただいまのお話にもございましたように、確かに来年度、公営住宅は若干減少しております。ただ、お話にもございましたように、別途高齢者向けの新しい制度の枠組みを創設して公営住宅を補完するというふうな知恵も出したいというふうに考えております。  全体としまして財政構造改革が進む中で、公共住宅につきましても完全にそのらち外であるというわけにはなかなかいかないと思います。残念でございますが、やはりそれなりの影響は受けるわけでございます。ただ、できるだけいろいろな住宅政策全体の中でのやりくりを通じまして、例えば公営住宅等々については必要な戸数を確保したいと思いますし、また、その確保する努力の中では、やはり例えば借り上げ方式ですとか、近年新しく導入されたような知恵といいますか、制度といいますか、そういうふうなものも十分に活用しながら対応したい、このように考えております。
  230. 辻第一

    ○辻(第)委員 時間がありませんので、はしょった話になりますけれども、神戸市のことでお尋ねいたします。  あの阪神大震災からもう大分たったわけでありますが、神戸市も非常に御苦労いただいているのはわかるのですけれども、現実の問題として、公営住宅に、近くでないとか、それから入居が一九九九年、一年半ほど先ですか、そういうところはやはり応募割れというのですか、申込者が満たないという状況も起こっているのですよ。  そういう中で、被災六区というのですか、神戸市の一番被災のきつかった地域ですね、六つの区、そういうところで民間のマンションが売れ残っていると言うといかぬですが、あいているのがぎょうさんあるそうです。それを、借り上げ住宅というのがありますな、既に四千戸でしたか、神戸市が借り上げていただいているそうですが、地域の住民の希望としては、自分の住んでいた、これからも住みたい、住み続けたい、その地域で借り上げ住宅をぜひ確保してほしいという声が非常に強いようであります。  幾ら神戸市さんに要請をしても、神戸市さんはまだそこまで踏み切れないという状況のように聞いておるのですが、もし神戸市さんがやりたいと言われたら、建設省はそれに対して、予算がないとかいうことなしに対応していただけるのでしょうか。
  231. 小川忠男

    小川政府委員 生身の人間の居住でございますので、非常に難しい問題だと私も思います。  ただ、全体的な現在の状況を御報告させていただきますと、七万七千戸の公的な住宅を来年度しかるべき時期までに総力を挙げて完成させたいというふうなことで現在やっているわけでございます。現段階ではその七万七千戸の総数をふやしたいというお話は伺っておりませんが、その枠内で、今お話ございましたように、近場に民間マンションの手ごろなものがあるというふうなときに、ではそれを借り上げようという話が県なり市でもしございましたら、ございましたらという前提は、それが公的な住宅としてきちっと管理可能であるという前提でやはり借り上げるべきだというふうに県、市がおっしゃいましたならば、国としてはそれに対して必要な対応をしたいというふうに考えております。
  232. 辻第一

    ○辻(第)委員 そういうことになりましたら、よろしくお願いをいたします。  それから、ことしの一月から毎月の住宅着工戸数、それから、九二年から毎年の着工戸数、それから、本年度の着工戸数の見通し、もう少し先の見通し、この点についてお尋ねをいたします。
  233. 小川忠男

    小川政府委員 一月からの着工戸数でございますが、一月に、十一カ月ぶりに初めて前年度割れをいたしまして、それから十カ月連続でマイナスというふうな状況が続いております。  それから、各年度の戸数でございますが、九二年度は合計で百四十二万戸、九三年度が百五十一万戸、九四年度が百五十六万戸、九五年度は百四十八万戸というふうな形で推移してきております。それで九六年度でございますが、これはいろいろな状況もございまして、百六十三万戸というふうな極めて高い水準になっております。  それで、今年度の見通しでございますが、確たることはまだ申し上げにくい状況でございますが、ただ、ここ三カ月ばかり、年率換算にしまして百三十万戸台というふうな水準にまで落ち込んでおります。したがいまして、全体を通した年度の数字としては百四十万プラスアルファくらいかと、これは省としての推計ではございませんが、そんな感じかと思います。  それから、来年度でございますが、今のところまだ確たる見通しを持っているわけではございませんけれども、やはりここしばらく百三十万戸台であるというふうなことがかなり重くのしかかってきている状況でございます。
  234. 辻第一

    ○辻(第)委員 相当減少をしたというのを感じましたけれども、しかし地域といいましょうか、私は奈良と京都と東京で、主に木造住宅、在来工法、そういう関係者を中心にいろいろ懇談をし、御要望を聞いてきたのですけれども、深刻ですね。その百六十万とか百五十万が百三十万台になるとかいうような、そんな程度の感じじゃないのですね。  もう八月から仕事がなくなったとか、中には十一月からちょっと出て、年末に向けてちょっと修理だとか、そんなのが来たとか、大工さんにいたしましても、左官屋さんにいたしましても、畳屋さんにいたしましても、塗装の方もあります、いろいろありますね。これではどうなるのかというのが皆さんのお話でしたね。しかも見通しがないというお話。それから、後継者がおらぬ、これは何とかしてほしいということ、いろいろお話を聞いてきたのです。  それから、いわゆる大手の住宅メーカー、プレハブ系というのですか、そういうふうな大手が小さい仕事まで、小さい注文までとりに来るというふうな中で一層仕事がなくなる、こういうお話をいろいろ聞いてきたわけであります。  そういう中で、今の個別住宅の中でいわゆる木造住宅、先ほど申しました、そういうものの割合はどうなのか、どんどん減少してきているのではないかというふうに思うのです。  それから、あの阪神大震災で、プレハブ系が安全で、これまでの在来の木造のは安全性に乏しいというような、どういったらいいのですかな、宣伝とか、あるいは国民の皆さんの気持ちの中でそういうのがだあっと広がったみたいに思うのです。ところが、この木造の関係者にいろいろお話を聞きますと、そんなに耐震性、安全性で劣るものではないのだと自信を持っておっしゃる方が大部分でございました。それから、一般的に大工場で大量生産するものに比べると高くつくのだろうなと我々も思っていたのですが、その経済性というか、価格の問題でも、そんなに高くないのだというお話を聞いてきたわけであります。その点について建設省の御認識を伺いたいと思います。
  235. 小川忠男

    小川政府委員 伝統的な木造軸組み住宅の推移でございますが、確かに長期的には若干といいますか、少しずつ減少するというふうな傾向にはございます。ただ、ここ数年単位で見た場合には大きな変化というのはございませんで、例えば平成八年度、これは百六十三万戸の時期でございますが、戸建て住宅が全体で八十万戸ございました。百六十三万戸のうち八十万戸、そのうち軸組みが五十三万戸ということで、三分の二というふうなウエートを占めております。この水準はここ数年間それほど変わっていないという状況でございます。  それから、耐震性の問題でございます。確かに、今おっしゃいましたように、地震の直後にいろいろな話が流れました。ただ、木造軸組み住宅が倒壊したのが多いというのは事実ではございますが、平たく言えば、古い住宅が多かったというふうなことでございまして、現段階におきます建築の基準といいますか、耐震基準を満たしておれば、木造の軸組みであっても十二分な強さがございます。ほかの工法に比べて劣るというふうなことは絶対にございません。  それから、経済性といいますか、単価の問題でございますが、実はこれは非常に難しい面がございまして、相当程度個人の趣味、趣向が入りますので、どちらが高い、どちらが安いとなかなか申し上げにくいのでございますが、ただ、実際問題として、金融公庫でお借りになった方々の分析から見ますと、軸組みの平均的な坪単価でございますが、五十七万円という数字が出ております。ツーバイについては六十三万円、それからプレハブ住宅一般については六十二万円というふうな水準のデータになっております。  ただ、くどいようでございますが、これは金をかけようと思えば幾らでもかけられますし、安くしようと思えば安くできるというふうな性格でございますので、あくまでも金融公庫の実績はこうであるというふうな御報告でございます。
  236. 辻第一

    ○辻(第)委員 日本というのは本当に高温多湿ですね。そういう中で、この気候、風土に在来の木造住宅というのは非常に適応しているといいましょうか、僕は、すばらしい建築様式ではないのか、このように思うわけであります。日本の風土ではぐくまれた木造軸組み住宅、そしてそのすぐれた建築技能、これを引き継いでいく、そして木造住宅で働いていらっしゃる方々の栄誉や生活を守っていく。そういういろいろな意味で、どうしても私は、在来の木造住宅を守り維持していく、さらに振興させていくということで、建設省としては今までもいろいろやってきていただいているようでございますが、もっともっと、十二分にぜひやっていただきたい。  それから、後継者の問題です。この後継者の問題でも、これは深刻な問題でありますが、いろいろ難しい問題でもあろうと思いますけれども、これも十二分の対応をしていただきたいということでお尋ねをいたします。
  237. 小川忠男

    小川政府委員 ただいまお話がございましたように、いろいろなアンケート調査をとりましても、やはり木造住宅に対する要望というのはかなり高い水準になっております。  先ほど申し上げましたように、戸建て住宅の三分の二が実際問題木造住宅であるというふうなことを考えますと、将来におきます日本の住宅政策を考えるときに、例えばコストをもう少し下げたいとかあるいは質をよくしたい、いろいろなことを考えるときに、それだけのウエートを占めております木造軸組みの帰趨というのは実際問題大きな意味を持つと思います。  私どもとしては、そういうふうな観点から、大工、工務店の近代化でございますとか生産の合理化、あるいは今お話がございましたような後継者あるいは技能者の問題、総合的にやってきたつもりではございますけれども、引き続き努力させていただきたいと思っております。
  238. 辻第一

    ○辻(第)委員 やはり現場は深刻なのですね。私は、国民のニーズは在来の木造というのは大きいと思います。その辺に救いがあるのですけれども、やはり現場は非常に厳しゅうございますので、PRも含めて、安全性も経済性も、そういうことも含めて十二分に御対応いただきたい、重ねてお願いをいたします。  今、住宅建築の関係業者のお話を中心にしましたが、中小建設関係の企業業者、労働者は倒産、失業という問題で本当に悩んでおられます。そういう中で、今私どもにいろいろ相談がある問題の一つに下請代金の未払い問題がある。これが確かにふえております。しかも、なかなか解決をしないという問題がふえておるのです。そういうことで、この問題に、何遍も同じようなことを言いますけれども、十二分の対応をいただきたい、精力的に対応をいただきたいということを要望したいと思います。  それから、時間の都合で重ねて申し上げますが、今、いわゆる貸し渋りの問題、これで非常に御苦労いただいているのです。ですから、この問題は、建設省としても大蔵省や通産省とも協力して、本当にこの問題を解決できるように御努力をいただきたいと思うのです。  この二点でお尋ねをいたします。
  239. 五十嵐健之

    五十嵐政府委員 お答えを申し上げます。  先生御指摘のように、最近の建設業、大変厳しい状況にございますので、元請、下請間の代金不払い問題というのが多く発生していると認識しております。  建設業法に基づきましてこれらの行政指導を行う枠組みがあること、あるいは建設産業における生産システム合理化指針、これは発注者から学者から下請から資材業者の方、これらを全部統合してまとめられた合理化指針でございますけれども、これの普及、徹底というようなことがまず基本にありまして、毎年でありますけれども、八月、十二月に下請代金支払い等の適正化について、あるいは予算が成立したときにはいわゆる執行通達で、適正な下請契約を結ぶこと、そしてその代金支払いの適正化といったことを繰り返し指導しているところでございます。  当面、十二月も控えてということがありまして、資金繰りの点について配慮しなければいけないという御指摘でございますが、その第二点につきましては、十一月十八日にできました二十一世紀を切り開く緊急経済対策、ここで中小企業関係の対策が、既存の対策が充実したことに加えまして、新しい制度も設けられているわけであります。これらを活用いたしまして、建設業関係にも使っていきたい。  具体的には、例えば小企業経営改善資金融資枠というのが国民金融公庫の関係でありますけれども、通常の融資枠五百五十万に別枠百万という制度になっておりますが、今回の特例では四百五十万、つまり、五百五十万足す四百五十万、こういうことになりますので、一千万の特別枠ができております。  それから、取引している銀行、建設業も厳しいのですが、銀行の方も厳しくなっておりますけれども、銀行の方が厳しくなったときどうするのだという問題がありまして、金融機関との取引が、要するにそちらの都合で著しく変化した、資金繰りに困ったというような場合には、これも中小企業金融公庫でありますとか国民金融公庫からの新しい別枠の融資制度が設けられているところであります。  そしてさらに、信用保証協会からの債務保証を受ける場合に、従前の枠の二倍までできる、こういうような制度まで設けられています。  こういったことで、建設業関係にフルに活用いただきたいと思っております。
  240. 辻第一

    ○辻(第)委員 この二つの問題、本当に深刻な問題でございますので、効果が上がるように、御苦労でありますが、御対応をいただきたいということを重ねて要望いたしまして、最後に建設大臣——もう時間が終了ですか。  それでは、終わります。
  241. 二階俊博

    ○二階委員長 濱田健一君。
  242. 濱田健一

    濱田(健)委員 両大臣には、六時間近く、本当に御苦労さまでございました。最後の質問になります。二、三十分、少し短く終わるだろうと思いますので、おつき合いいただければ幸いだと思います。     〔委員長退席、太田(昭)委員長代理着席〕  まず最初ですが、第百二十一回の臨時国会で、土地有効利用と税の関係で、新たな借地制度への道を切り開きましたいわゆる借地借家法の改正案としての定期借地権制度、これの現状はどういうふうに展開しているのかということと、その貸している方の税制面での優遇といいますか、この間の何らかの問題点といいますか改善点というようなものがあるのではないかということをちらちらお聞きするわけですが、その辺どうでございましょうか。
  243. 五十嵐健之

    五十嵐政府委員 お答え申し上げます。  平成四年八月に御指摘の借地借家法で創設されました定期借地権制度、私ども、できるだけ上物といいますか住宅部分に金を突っ込んでいただいて、いいストックを残していただきたいという感じを持っているわけでありますが、この定期借地権、できるだけ普及していただきたいというように思っております。  平成八年十二月末までの累計を見てみますと、約一万戸でございます。大体年間三千戸といったようなペースで進められております。  一般的な、つまり土地住宅も所有権というような住宅と比べますと、同じ敷地面積でいきますと大体六割ぐらいで売買されるということになりますので、大変いいことになっていると思います。それをまた活用して、実際には、利用される方は敷地面積で土地の所有権を持っている場合に比べて一・五倍、それから延べ床で一・三倍というように、できるだけいいストックに働いているということになっております。低コストで良質な住宅宅地が供給されている。  今先生御指摘の点は、例えば、税金でいきますと相続税、これは五十年以上でありますから、最低五十年ありますので必ず相続が発生すると見ていいわけでありますが、この相続税の評価額が、今現在底地価格の八割といったようなところになっておりますので、私ども、もっと低くしていただかないと定期借地権を供給する方もちょっとインセンティブがないのではないかというように考えております。今、そういったことを税制改正で税務当局に要求をしているところでございます。
  244. 濱田健一

    濱田(健)委員 まだ制度が始まってしばらくしかたっていませんので、その辺のところはこれからの課題だろうというふうに思いますが、見守っていきたいと思っております。  これと同じような制度というのか、今度は家の方で今話題が出てきているというふうに思います。良質な賃貸住宅の提供促進の立場ということで、定期借家権制度の導入ということで、院の中でも、経済対策の一環にも触れられておりますし、学者の皆さんを含めていろいろな声が聞こえてきているようです。  法案の作成については、今法務の方で検討中ということでございまして、法案の面からはああだこうだということを現時点では言えないということは十分知りつつも、住宅行政に責任を持つ建設省として、この制度の現時点での国民的なメリットというようなものは、私もいろいろ調べましたけれども、役所としてどういうメリットがあるというふうにお考えか、お聞かせください。
  245. 小川忠男

    小川政府委員 お答えいたします。  日本の住宅事情の現状を見たときに、やはり一番大きな問題というのは、持ち家に比べて賃貸住宅がいろいろな意味で質が悪いというふうなことだろうと思います。持ち家が六割、借家に住んでいる方が四割、この比率は長い間ほとんど変わっておりません。  したがいまして、やや長い目で見たときに、借家についてどういうふうな形で政策を展開するのかというのはやはり基本的な問題の一つであろうと私どもは思っております。そういうふうな観点から見たときに、やはりいろいろ検討すべき課題はあろうかとは思いますが、基本的には今言われております定期借家権、これについては積極的に導入する方向でいろいろな検討を進めていくべきではなかろうかというふうな考えでおります。
  246. 濱田健一

    濱田(健)委員 この制度が導入されるとしたときには、今までであれば居住権といいますか、法律的な用語として適切かどうかはわかりませんが、それを盾にとっていろいろなトラブルが起きてきた。しかし、うまく運用のできる制度にしていけば、一定の期限だけでいいところに住みたい、また、それよりも、家族構成かれこれが違ってきたときには家をかわるというようなことになるだろうと思うわけですが、やはり住まう権利という点から見て、現時点で建設省が、こういう制度を導入するに当たって気をつけておかなくてはならない点はこういうところが幾つかあるのじゃないかというような点がございましたら。
  247. 小川忠男

    小川政府委員 難しい御質問だと思いますが、現実の制度の組み立て方が定期借家権といってもいろいろな幅があり得ると思います。  したがいまして、現実の制度の組み立て方いかんによって問題の出方は違うとは思いますが、ただ、一つだけあるのは、やはり民事関係とはいえ、本当に困るような方が現実出たときにどういうふうな対応が可能なのかという点は、制度を組み立てるときに念頭に置いておくべきテーマの一つであろうというふうに考えております。
  248. 濱田健一

    濱田(健)委員 今のお答えのとおりだと思うのです。  私たちは、この話が出てくる中で、先ほど申し上げましたように住まう権利という部分と、やはり弱者対策というのは絶えず念頭に入れておかなければならないということで、党内には、どういうことなのかという疑問とか本当にそれでいいのかというような意見もいろいろございます、正直言って。やはり高齢者、障害者、母子家庭の皆さんとか、住宅弱者のための配慮、そして先ほども出ておりましたけれども公共賃貸住宅の増設や家賃の引き下げといったようなものを、この法案をつくっていくプロセスの中では考えていかなければいけないのじゃないかということを表明しておきたいというふうに思います。  次でございますが、いわゆる政府経済対策の中に、仮称ですけれども都市構造再編プログラム策定推進というふうに書かれた部分がございます。幾つか、道路整備とか容積率のアップとか民間投資の活性化というようなものを推進しながら、将来の都市像を明らかにしてこのプログラムをつくっていく、そういう要素を盛り込んでいきながらということでございます。これは、それはそれでいいとして、それだけでは少し欠けたところがあるのではないかなというふうに思っておりますので、もう少し詳しいビジョン的なものがあれば、お考えの途中ではないかとは思うのですが、聞かせていただければ幸いだと思います。
  249. 木下博夫

    ○木下政府委員 お答えします。  今お話ございましたように、このビジョンにつきましては、これから各公共団体にもお願いしてつくっていただこうと思っておりますが、基本的には、午前中の御質問でも若干お答えしたところと重なるかもわかりませんが、今、我が国の都市のいわば段階を考えてみますと、ある程度投資を行いまして都市そのものが成熟してきたということが私どもの認識の前提にございます。  しかしながら、都心におきましても既成市街地におきましても、新たな投資ももちろん必要であろうと思いますが、その方向づけがいま一つはっきりしていないというような段階でございますから、それぞれの都市が個性を持っていわば進展したとき、どちらの方向へ向かって各都市整備されるか。  そのときには、どのぐらいのスケジュールで道路なりあるいは各種の公共施設が整備されていくか、そのとき必要な事業費はどのぐらいになるか、あるいは、その整備がされることによって、例えば容積その他の都市計画上の規制などがこれからどう変化していくか。あわせて、民間の方々のそれに付随するいわば投資額がどのぐらいになろうかというようなことについて、各都市ごとにある程度の期間をもちまして整備してはどうか。これが、それぞれの国民、住民の方々に、先行きに対しての一つの方向づけをしっかり姿としてお見せすることにもなるし、経済活性化にもいささかつながるのではなかろうかという思いを持っております。  各都市が一斉にこのプログラムなりビジョンをつくるというのは、各都市の事情がありますからできかねるかと思いますが、先般、大臣も、東京都知事あるいは大阪府知事等ともお会いしまして、日本を代表する都市の首長さんにこの御提案を申し上げましたら、大変その意向について各県とも御協力いただくようなお話になっておりますので、我々は、そういう意味では、各ブロックの例えば中心都市的なところについてはできるだけ早い時期にこの構想をまとめていきたいと思っております。
  250. 田中信介

    ○田中説明員 現在、景気足踏み状態にあるということで、去る十一月十八日に取りまとめられました緊急経済対策におきましては四つの柱がございまして、土地取引活性化有効活用というものがその最重点課題の一つになっているわけでございます。今ございました都市の再編プログラムと連携をいたしました都市中心市街地における容積率の抜本的緩和でありますとか、あるいは郊外型住宅、農地転用の円滑化、その他三十一項目にわたって、土地取引活性化有効活用という対策を決定したところでございます。  この対策が着実に実行されれば経済的な効果は非常に大きいというふうに期待をしておりまして、景気も早急に回復軌道に乗るということを私どもは強く期待しておるところでございます。
  251. 濱田健一

    濱田(健)委員 全国各地を歩くと、昔ながらのその町の発達した産業ベースといいますか、明治、大正、昭和の初期までの部分が残っていると、この町はこういう思いで生きてこられたのだというのがわかるのですが、新しくできていく町というのは、どこに行ってもほとんど変わらない、ほぼ同じという感じが私はするのです。  ですから、今のお話からいったときに、最低限の生活をしていくためのベースというのはどこも一緒でしょうけれども、やはり一つ一つの町が、日本全国もしくは世界に対して、この町はこういう独自性を持って、そのことで新しい町をつくっていく。そのことがほかのところにもこういうふうな町づくりないし生きていき方があるんだというような主導権といいますか、そういうものをつけるような特色といったらいいのでしょうか、そういうものをやはりこの構想の中には入れていくべきだなと思うのですね。  私たちは、十八日の緊急経済対策が出たときに、例えば、この町は廃棄物ゼロのリサイクル都市だとか、再生可能エネルギーを基本とする自然都市だとか、高齢者、障害者に配慮された福祉都市だとか、日本に一番少ない、ヨーロッパの都市に比較できるような芸術文化都市というような形で、地方分権の立場で、各自治体が国と一体となって、そういう独自性、アイデンティティーを持った都市づくりというのができるようなプログラムの構想を、ぜひ国の方も提示をしていただきたいという思いを述べさせていただいておりますので、よろしくお願いしたいというふうに思います。  最後の質問にしたいと思うのですが、同じ経済対策の中で郊外型住宅等の取得促進というのがございます。先ほどの質問にもあったように、いわゆる第一住宅の取得ないし優良な賃貸という部分も、全体を見るとまだまだ不足をしている。優良なと言った方がいいかもしれませんが、不足をしているという実態の中で、週末居住用の郊外型住宅とか、退職後の本格居住のために先行的に確保する住宅というのは一般庶民から見たらまだまだ次の次という形になるのですが、一つの経済対策としては、当然こういうビジョンというのはあり得る、また推進していく一つの方策として大事なところだというふうに思います。  そういう面で、三項目ぐらい、国有林を民間に提供するとか、いろいろ書いてありますが、もう少し具体的に、こういう部分をどのように進めていこうとされているのか、建設、経企、両方からお聞きして、質問を終わりたいと思います。     〔太田(昭)委員長代理退席、委員長着席〕
  252. 田中信介

    ○田中説明員 お答えします。  十一月十八日の緊急経済対策におきましては、二十一世紀に向けた住宅の新しいニーズということで、郊外型住宅について幾つか対策を講じております。  一つは、お話にもありましたような、週末居住用であるとか退職してから本格的に住むために先行的に住宅を取得するとか、そういったニーズに対して住宅金融公庫の融資を拡充する。その観点から、地域限定要件であるとか面積要件の緩和を行うというようなことを決めております。  それ以外でいいますと、お話にございました、国有林野の中の適地で要望のある民間企業とか地方公共団体等にセカンドハウスというのを積極的に開発をさせるというようなことを決めております。加えまして、郊外型住宅ということになりますと、市街化調整区域における宅地開発を促進しなければいけないということで、農地転用の円滑化と並行いたしまして、都市計画法上の地区計画というのを新たに創設するというようなことを政府として決定をしているというところでございます。  潜在的にこういった郊外型住宅のニーズというのは、欧米までいくかどうかわかりませんが、非常に大きいものがあって、経済的な効果ということでも強く期待をしているところでございます。
  253. 木下博夫

    ○木下政府委員 お答えいたします。  経済対策をおまとめになった経企庁の方から総合的にお話がございましたが、若干補足的になりますが、建設省サイドとしてお答えをしたいと思います。  先ほど先生もおっしゃられましたように、各都市がもっともっとこれから元気になっていくという必要があると私どもも思います。加えて、一方では財政的には大変厳しい状況になってまいっておりますし、人口動態、世帯の規模、こう考えますと、恐らく有識者それぞれお話ございますように、二十一世紀の一〇年代になりますと、日本の人口も静止状態になるでありましょうし、各世帯もいわば少子化社会という時代の中で、住宅あり方あるいは都市あり方ということについては、私どもが今考えております以上にいろいろな変化があることも否めないのではなかろうかと私どもは思っております。  そういう状況把握、見通しの中で、今御質問がありました、郊外型住宅と一言で言っておりますが、これにもいろいろなタイプがありましょうし、私どもがこの中で今考えておりますのは、やはり都市といわば農村といいますか、地方との交流ということもありましょうし、例えば遠距離通勤を解消していかなければいけない点もあろうかと思います。  先ほども申し上げましたように、各都市の都心部の整備ということを私どもは、これからの都市政策ではまず第一に優先していかなければいけないと思いますが、一方では、都市にお住まいの方々が、週末を含めて、かなりの長期間にわたります休暇を有効に生かす意味では、住まいの場所ということでは第二、第三の場所をこれから求めていく流れというのは、これも恐らくふえていく状況ではなかろうかと思います。  そういうことから、今経企庁の方からも少しお答えをいたしましたけれども、調整区域、御案内のとおり、これは基本的には開発は抑制されておりますが、私どもは、そういうところでできるだけ安い価格で住宅をお求めになる、そういう環境づくりという意味では、やはり、例えば地区計画などをもっともっと活用できるような形で、計画的ないわば集落づくりというのをしていく必要があろうかと思います。現に、集落地域整備法というものがつくられておりまして、これは農林サイドと都市サイドが一緒になって今進めておりますが、正直申し上げて、まだまだこれのいわば実績は上がっておりません。  そういうことで、これから私ども、今回の経済対策の中で考えておりますのは、調整区域内において、ある一定の計画的な町づくりを地区計画という手法でやっていってはどうかということで、これから農林サイドとも十分協議をさせていただきたいと思いますが、できるだけ早い時期に法案等もつくらせていただいて、国会にもお諮りするような機会を持ちたいと思っております。  それに先立つような形で、税制あるいは金融という面におきましてのいわば支援策というものも既に要望として出させていただいておりますので、この辺について御理解いただいて、私ども、これは決してぜいたくということではなく、むしろそれぞれの国民がいわば限りある人生の中でいい生活をしていくためには何を求めるかと考えますと、やはりこうした住まい方、あるいは、先ほど申し上げた、都市地方との交流の活発化によって元気のある都市地域が生み出されるという信念に基づいてこの施策を進めていきたい、こう考えております。
  254. 濱田健一

    濱田(健)委員 すばらしい回答だと思いますので、頑張っていただきたいと思います。  最後に、両大臣、この三、四週間、地元に帰るたびに、計理士や税理士をしている友達と、ちょっと話をしようねというふうにして会う時間をとると、必ず会えないのです。それは、建設土木業者を含めて、中小の、中よりも小ですね、小、零細の皆さん方の倒産が頻発していて、夜も寝られないぐらいだという状況が続いているらしいですし、現実に私もそういう状況に出くわしているところでございます。建設国土という立場で、今つくられている経済対策、緊急な景気対策を含めて、大変でしょうけれども、御努力をいただきたいというふうにお願い申し上げて、質問を終わります。  ありがとうございました。
  255. 二階俊博

    ○二階委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二分散会