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1997-12-03 第141回国会 衆議院 決算委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十二月三日(水曜日)     午前九時三十分開議 出席委員   委員長 冬柴 鐵三君    理事 高市 早苗君 理事 原田昇左右君    理事 穂積 良行君 理事 大口 善徳君    理事 葉山  峻君 理事 佐々木憲昭君       熊谷 市雄君    佐藤 静雄君       佐藤  勉君    田邉 國男君       滝   実君    戸井田 徹君       山口 泰明君    石垣 一夫君       草川 昭三君    井上 一成君       中林よし子君    武村 正義君  出席国務大臣         通商産業大臣  堀内 光雄君  出席政府委員         資源エネルギー         庁長官     稲川 泰弘君         資源エネルギー         庁石油部長   林  良造君  委員外出席者         大蔵省主計局司         計課長     田頭 基典君         会計検査院長  疋田 周朗君         会計検査院事務         総局次長    森下 伸昭君         会計検査院事務         総長官房総務課         長       船渡 享向君         会計検査院事務         総局第五局長  小川 光吉君         参  考  人         (石油公団総裁小松 國男君         参  考  人         (石油公団理事)新  欣樹君         決算委員会調査         室長      天野  進君     ――――――――――――― 委員の異動 十二月三日  辞任         補欠選任   山口 泰明君     戸井田 徹君   若松 謙維君     石垣 一夫君 同日  辞任         補欠選任   戸井田 徹君     山口 泰明君   石垣 一夫君     若松 謙維君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  歳入歳出実況に関する件(石油開発に関する  問題)      ――――◇―――――
  2. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 これより会議を開きます。  歳入歳出実況に関する件、特に、石油開発に関する問題について調査を進めます。  本日は、石油開発に関する問題について、通商産業大臣及び会計検査院長より説明並びに参考人から意見を聴取した後、質疑を行うことといたします。  質疑は、まず、各党を代表する委員が順次質疑を行い、その後、各委員が自由に質疑を行うことといたします。  なお、御発言はすべて着席のままで結構でございます。  それでは、まず、通商産業大臣より説明を聴取いたします。堀内通商産業大臣
  3. 堀内光雄

    堀内国務大臣 本日は、石油天然ガス開発政策について御説明申し上げたいと存じます。  まず最初に、石油天然ガス開発政策必要性について御説明させていただきます。  我が国の一次エネルギー供給に占める石油割合は、第一次石油危機以降、減少傾向で推移してまいりましたが、昭和六十年度以降は下げどまり平成八年度実績では約五五%と、依然、我が国エネルギー供給大宗を占めております。我が国は、石油のほぼすべてを輸入に頼っており、特に、中東にその八〇%以上を依存いたしております。  さらに、近年、アジア地域におきましては、経済発展に伴いエネルギー消費が急速に増加をいたしており、同地域におけるエネルギー需給の安定の確保が、我が国エネルギーセキュリティー観点からも重要な課題となっております。  こうした状況の中で、非中東地域を中心として石油自主開発推進し、我が国石油供給源を多様化しつつ、我が国への石油安定供給の中核となる権益原油の拡大を図るとともに、中東諸国との友好関係維持強化に努めることが、我が国エネルギーセキュリティー確保するために不可欠であります。また、石油代替エネルギーである天然ガス開発利用促進は、我が国石油依存低減石油市場安定性向上を図る上で重要であります。さらに、石油天然ガス開発推進し、エネルギー需給の逼迫が見込まれるアジア地域を初め、世界石油天然ガス供給余力を拡大することは、世界第二位の石油消費国としての我が国国際的責務でもあります。  現在、我が国自主開発原油輸入量は、平成八年度実績日量六十七万バレルであり、我が国原油輸入量の約一五%に当たります。しかしながら、欧州の非産油国は、我が国に比べ石油依存度が低いにもかかわらず、その自主開発比率を見てみますと、例えばフランスがおよそ五〇%、イタリアがおよそ三〇%、ドイツがおよそ二〇%であります。これに比べ、我が国自主開発比率は、着実に増加しつつあるものの、なお十分とは言えないのが現状であります。  こうした観点から、平成五年の石油審議会におきましても、我が国エネルギーセキュリティー確保のため二十一世紀初頭における我が国自主開発原油日量百二十万バレルに拡大することを目標とすべき旨報告されているところであります。  次に、以上のような政策的要請にこたえるべく、現在、通商産業省において、主として石油公団を通じて推進しております石油天然ガス開発政策内容について、御説明をさせていただきます。  石油天然ガス開発は、極めて高いリスクを伴うとともに、莫大な資金を要するものであり、我が国企業資金調達支援することが必要であります。  我が国企業海外において本格的に石油開発事業を開始したのは、今世紀の半ばであります。このため、十九世紀から海外において石油開発を進め、現在までに優良鉱区を取得、保有している欧米系国際石油会社と比べ、我が国企業は、原油販売による収入及びそれによる資本蓄積が少なく、探鉱開発投資する自己資金が限られております。この結果、資金を外部に依存せざるを得ず、大きな金融コストを負担し切れないのが現状であり、石油天然ガス自主開発を進めるためには、我が国企業による資金調達支援することが可欠であります。こうした状況を踏まえ、石油開発企業に対し、探鉱事業費原則七割を限度出融資をする探鉱投融資制度による、リスクマネー供給を行っているところであります。  この他、海外地質構造調査技術開発推進等我が国石油開発企業支援を行うとともに、共同研究実施等を通じ、中東を初めとする産油国との友好関係維持強化を行っているところであります。  特に近年、サハリンやカスピ海周辺諸国を初めとする旧ソ連地域、ベネズエラ、コロンビア等中南米地域アジア太平洋地域など世界各地におきまして、外国企業への新たな鉱区開放の動きが活発化しております。このチャンスを生かし、新規鉱区獲得探鉱開発活動成功裏に行えるか否かが、今後の中長期的な我が国石油安定供給を左右することになり、この意味で、この数年間が我が国石油開発の正念場であると考えております。通商産業省といたしましても、この世界情勢をとらえ、適切な政策の実行を心がけてまいりたいと考えております。  他方石油開発政策実施につきましては、これまでも石油公団業務効率化に努めてきているところであります。例えば、平成七年の閣議決定を踏まえ、探鉱投融資採択時における審査基準の見直し、審査体制明確化等を行ってきたところであります。今後とも、一層の効率向上に向け、指導してまいる所存であります。  以上、石油開発政策について御説明申し上げましたが、通商産業省といたしましては引き続き、石油公団業務効率化を図りつつ、我が国エネルギーセキュリティー確保に全力を挙げて取り組んでまいる所存でございますので、よろしく御指導をお願い申し上げます。
  4. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 次に、会計検査院長より説明を聴取いたします。疋田会計検査院長
  5. 疋田周朗

    疋田会計検査院長 本日の御審査は、石油公団による石油開発会社への出融資についてということでございます。  石油公団では、石油等探鉱に必要な資金供給を行うため、探鉱開発を行う石油開発会社に対して多額出資及び融資を行っておりますが、会計検査院といたしましては、これらの出融資多額に上っており、しかも高いリスクのもとで行われることにかんがみ、従来から重要な検査対象の一つとして鋭意検査に取り組んでまいりました。  それでは、会計検査院が行っております、石油公団による石油開発会社への出融資、いわゆる探鉱投融資事業検査概要につきまして御説明いたします。  まず、検査観点でございます。これは資料の一ページでございます。  検査に当たりましては、このような投融資実施が適切に行われているか、また投融資に係る事業効果は発現しているかなどの観点から、投融資実施状況石油開発会社事業経営などについて検査しております。  それから次に、検査実施体制でございます。これは二ページでございます。  第五局上席調査官通商産業担当実施しております。このうち、石油公団検査に従事している職員は四名でございます。また、検査実施状況でございますが、探鉱投融資事業検査に係る実地検査を施行した人日数は、過去三年間では年間三十人目から八十人目程度となっております。  次に、検査方法でございますが、これは三ページにございます。  主として、公団の本部や石油開発会社において事業計画及び事業実績について聴取し、さらに帳票等証拠書類事業実施状況を確認するなどして検査をしております。  続きまして、検査報告に掲記した事項についてでありますが、お手元に配付しました資料の四ページに示しております。  昭和五十一年度の決算検査報告に「特に掲記を要すると認めた事項」として「石油等探鉱開発を行う会社に対する投融資資産について」を取り上げております。  石油公団では、昭和五十一年度末現在、石油開発会社四十社に対して投融資を行っており、石油開発投融資資産は二千八百七十九億円に上っておりましたので、公団投融資に係る探鉱事業について調査いたしました。  その結果、石油開発会社のうち十一社は、公団から出資金二百五十一億円を受け入れ探鉱事業実施してきましたが、いずれも探鉱開発に失敗し、休眠状態のまま存続している状況でありました。  これら休眠会社の五十一事業年度末現在における正味資産額の合計は四十六億円にすぎず、資本金額を大幅に下回っているので、今後、これら会社解散して清算を行う場合には、公団投融資資産額の大部分損失処理しなければならなくなることから、公団が保有している石油開発投融資資産のうちには多額不良資産が含まれていると認められました。  つきましては、「石油探鉱開発事業に対する公団投融資事業は今後も引き続き行われるものであり、探鉱事業が不成功に終わり事業を取りやめる事態となる会社も更に発生するものと思料されるので、このまま推移すると公団が保有する不良資産は累増するものと認められる。」旨を掲記いたしました。  その後、さきの十一社は解散していることを確認しております。  この昭和五十一年度の検査報告以後、探鉱投融資事業について事態を注意深く見てきたところであり、その後、石油公団決算及び主な業務実績概要につきましては、毎年検査報告の第五章第二節に掲記しているところでございます。  以上、会計検査院検査概要について御説明いたしましたが、会計検査院といたしましては、今後とも石油公団探鉱投融資事業について引き続き注視するとともに、検査観点検査方法などについてさらに創意工夫を加えながら、石油公団業務全般について検査していく所存でございます。  簡単ではございますが、これで説明を終わらせていただきます。
  6. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 次に、参考人より意見を聴取いたします。石油公団総裁小松参考人
  7. 小松國男

    小松参考人 本日は、石油公団による石油開発企業への投融資事業について申し上げたいと存じます。  まず初めに、石油探鉱事業特性石油公団投融資事業概要について申し上げます。  我が国エネルギー供給大宗を担う石油安定供給確保することは重要な課題であります。そのためには、石油自主開発推進する必要がありますが、石油探鉱事業は極めてリスクの高い事業であり、我が国民間企業のみでは、そのリスクを負って膨大な投資を行うのは困難であります。このため、昭和四十二年に当公団設立され、自来、我が国民間企業が行う石油探鉱事業に対する出融資及び開発段階における債務保証を行うことにより、探鉱開発事業支援を行ってきたところであります。  石油探鉱事業は、井戸を掘って石油ガスを発見するものでありますが、膨大な投資に見合う十分な石油ガス確保されて初めて商業生産に移行できるものであります。井戸を掘って商業生産に至る確率は、これまでのところ五%にすぎませんが、これは、欧米主要企業と比して遜色のないものであります。このように、石油探鉱事業は極めてリスクが高いものであり、成功した井戸から生産する石油ガスの収益で、成功に至らなかったもののコストをも賄うことを想定して進められる事業であります。  石油探鉱事業はこのような特性を有するため、探鉱が不成功に終わった場合には、石油公団融資金の返済を求めず、出資金とともに損失として処理しており、他方探鉱成功商業生産に至った場合には、融資金元本利息生産量に応じた特別負担金、さらには可能な配当等を受け取ることになっております。このような融資減免制度石油探鉱投融資制度上確立されており、石油公団は、かかる制度にのっとって個々の案件について対処してきているところであります。  このように、石油公団は、案件によっては回収のできないものが生ずることを想定した一定制度のもとで、リスクの高い探鉱事業に対して出融資を行っているものであります。  次に、探鉱投融資事業実績及びその成果について申し上げます。  石油公団は、民間石油開発企業に対し、原則として探鉱事業資金の七割を限度として出資及び融資を行っておりますが、設立以来平成八年度末までの投融資累計は一兆七千二百六十一億円に達しております。  民間企業は、リスク管理等のためプロジェクトごと開発会社設立しており、これまで投融資対象となったプロジェクト会社数は、平成八年度末までの累計で二百六十六社に及んでいます。このうち、生産中または生産準備中の会社が四十四社、探鉱中の会社が六十八社、解散準備中の会社が十社であります。平成八年度末までに解散または清算手続中のプロジェクト会社は百四十四社であり、これら企業に係る出資処分損及び融資元本減免による損失処理は、八年度末までの累計で約三千七百二十億円であります。他方生産中等成功企業からの配当利息等事業収入は、累計で約七千七十億円であります。このため、これまでの損失処理によって石油公団業務遂行に特段の支障が生じているような状況にはありません。  これまでの石油公団支援により、石油自主開発推進については相当の成果が上がってきております。具体的には、自主開発原油輸入量について見れば、石油公団設立時に日量二十七万バレルであったものが現在では日量六十七万バレルと、約二・五倍に増加しております。こうした自主開発原油については、二度にわたる石油危機のさなかにおいても減少することはなかったわけでありまして、我が国エネルギーセキュリティー確保に多大な貢献をしてきていると考えております。  次に、いわゆるナショナルプロジェクト状況について申し上げます。  第一次石油危機以降、閣議了解などで政府支援姿勢を明確化したり、石油公団連絡調整役として一定役割を果たし、ナショナルプロジェクトと称される事業が数例あります。これらのプロジェクトは、経済界挙げて大型、有望プロジェクトを志向していた時代のもとに成立したものであります。これらのプロジェクトを遂行している企業は、総じて、一九八〇年代半ば以降の油価の下落、低迷及び円高進展等により、経営に深刻な影響を受けてきたところであり、このことは、我が国石油開発にとって極めて不幸な出来事と考えております。  これらの企業においては、コスト低減等経営努力を続けられているところであり、石油公団としても、これらプロジェクト我が国への石油安定供給に果たしている重要な役割にかんがみ、引き続き支援を行ってまいる所存であります。企業経営努力と昨今の円安傾向による好影響などとも相まって、経理内容の改善が図られることを期待している次第であります。  現在、ロシアやカスピ海周辺の旧ソ連邦地域中南米を初めとして、世界的に鉱区開放が急速に進んでおり、これまで欧米主要企業に比べて後発であるがゆえに何かと不利な面が多かった我が国石油開発企業にとっては、新規鉱区獲得の絶好のチャンスが訪れております。石油公団としては、業務及び資金の一層の効率化に努めるとともに、このようなチャンスを逃さず、我が国民間企業探鉱開発活動を積極的に支援してまいる所存であります。  どうか決算委員会先生方におかれましては、こうした状況を御賢察の上、我が国エネルギーセキュリティー確保のため、私ども石油公団業務運営に引き続き御理解を賜りますようお願いいたしまして、私の意見陳述を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  8. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 これにて説明並びに意見の聴取は終了いたしました。     ―――――――――――――
  9. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤勉君。
  10. 佐藤勉

    佐藤(勉)委員 自由民主党の佐藤勉でございます。  本日は、堀内大臣、大変御苦労さまでございます。総裁におかれましても、お忙しい中、本当に御苦労さまでございます。自民党といたしまして私と山口先生で御質問をさせていただきたいと思いますが、私においては総論的な御質問をさせていただきまして、山口先生には各論的な質問をさせていただくということでお願いを申し上げたいと思います。  まず、今月の一日から京都で開催をされております気候変動枠組み条約の第三回締約国際会議で、西暦二〇〇〇年以降の地球温暖化に関する国際的枠組みについて結論が出されようとしております。我が国としても、二酸化炭素排出削減策としてさまざまな方法を講じていく必要があると考えられますし、また、石油は限りある資源であるということでありまして、今の現況でいきます一と、四十数年で限られるというふうなお話もございます。今後、社会や家庭での省エネルギー化を図るとともに、天然ガス、新エネルギーなどの導入促進により、石油などの化石燃料に対する依存度を減らしていく必要があると私は考えております。  そこで、環境対策省エネルギー、また脱石油化に対する通産省取り組みについてお伺いをしたいと思います。
  11. 稲川泰弘

    稲川政府委員 我が国二酸化炭素排出量の九割はエネルギー起源でございますために、今後、エネルギー供給需要の両面から二酸化炭素排出量削減を図っていくことが必要でございます。  エネルギー供給面におきましては、新エネルギー天然ガス導入促進することが大事でございまして、特に、二酸化炭素を発生いたしません太陽光発電などの新エネルギー導入強化を図ることといたしてございます。このために、住宅用太陽光発電普及措置実施など、新エネルギー抜本的増加を図るための予算要求を行っているところでございます。御指摘のような化石燃料への依存度を低下するという趣旨で、これに加えまして、国民理解を得まして、引き続き原子力発電導入を進めていく必要があると考えてございます。  次に、エネルギーを使う側におきましても抜本的な省エネ対策を行うことが必要でございます。  具体的には、産業部門では、現在、経済的、技術的に想定されます最高水準省エネ設備導入など、工場におきますエネルギー使用合理化を徹底することといたしてございます。また、民生運輸部門では、家電製品自動車などの省エネルギー基準を大幅に強化する方針でございます。  通産省といたしましては、産業界省エネ努力支援すべく、例えば高性能工業炉、ボイラーの開発促進などを図るために必要な予算要求を行っているところでございます。また、民生運輸部門についても、新しい機器開発等支援を行うほか、国民の一人一人に対しまして、冷暖房の適温調整、あるいは自動車利用の自粛などの省エネ努力お願いをしていくこととしております。
  12. 佐藤勉

    佐藤(勉)委員 しかしながら、平成六年の総合エネルギー調査会において、長期エネルギー需給見通しで、平成二十二年においてもエネルギー供給の四七・七%を石油が占めるという見通しになっているようでありまして、今後しばらくはきっと、エネルギー供給の中では石油は中核的な位置を占めざるを得ないという状況にあると思われます。  そこで、今後のエネルギー需給見通し並びに石油需給見通しをお伺いをしたいと思います。
  13. 稲川泰弘

    稲川政府委員 御指摘のございました平成六年六月に策定をいたしました現行の長期エネルギー需給見通しにおきましては、省エネ政策推進を前提としておりますけれども、九二年度から二〇一〇年度にかけてエネルギー需要は約二割増加をする見通しでございます。この間、石油の一次エネルギー供給全体に占めますシェアは、五八・ 二%から御指摘のございました四七・七%に低下いたしますが、御指摘のありましたように、依然として一次エネルギー供給に占める石油割合は他のエネルギーに比して極めて高く、引き続き枢要な地位を占めるものと考えてございます。  なお、昨今のエネルギー需要はこうした予想を上回る勢いで増加をいたしてございまして、この長期需給見通しにあります二〇〇〇年の数字を、既に一九九五年の段階で超えております。  こうした増加の一方で、地球温暖化への対応を図りますために一層の省エネルギーへの取り組みが必要となっておりまして、今後のエネルギー需給見通しにつきましては、COP3の京都会議の結果を踏まえまして、必要に応じ、総合エネルギー調査会の場で御議論をいただきたいと考えてございますが、いずれにいたしましても、石油安定供給は、我が国エネルギーセキュリティー確保上、必要不可欠の問題であるというふうに認識をいたしてございます。
  14. 佐藤勉

    佐藤(勉)委員 よろしくお願いを申し上げたいと思います。  石油海外依存度が九九%を超えるということで、日本としては、安定的に石油確保するための努力がほかの国にも増して絶対に必要なのだと思いますが、そこで、石油を安定的に確保していくための現段階取り組み、そして今後とろうとしている取り組み等々をお伺いをしたいと思います。
  15. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 一言お願いを申し上げます。  できるだけ大臣からお答えできるところはお答えいただいた上、補足をいただく部分について政府委員補足をいただくようなことで進めたいと思いますので、御協力をいただきたいと思います。
  16. 堀内光雄

    堀内国務大臣 石油安定供給確保というのは、我が国エネルギー安全保障上の最重要課題であると認識をいたしております。そのために、当省といたしましては、従来から石油の備蓄、海外における原油自主開発、また産油国への協力等施策を講じてきたところでございます。今後とも、これらの施策推進しながら、石油安定供給確保に万全を期してまいりたいと思っております。  以下、政府委員の方から具体的に説明を申し上げます。
  17. 林良造

    ○林(良)政府委員 ただいま大臣からも申し上げましたとおり、また先生からの御指摘にもございますように、石油安定供給は、我が国一次エネルギー供給の過半を占めております石油、かつまたその石油というのは中東依存度が八割でございますが、中東においては御承知のように、第一次石油危機以来、最近では湾岸危機などもございまして、そういった意味で極めて脆弱な供給構造かと認識しております。  したがいまして、そういう供給途絶が起こった場合にも間違いなく石油が手に入る、あるいはそれが起こった場合に不測の事態に備えるものがある、そういうことが非常に重要と思っております。具体的には、石油備蓄につきまして、国家備蓄五千万キロリットルあるいは民間備蓄七十日という目標でやってまいりまして、本年度、国家備蓄について五千万キロリットルを達成いたしました。  ほかに、特に原油自主開発について、極めて重要と考えております。しかしながら、これにつきましては非常に高いリスクと莫大な資金を要するということでございまして、石油公団による成功払い融資投融資支援という形で現在まで進んできておりまして、現在のところ、六十七万バレルにまで着実に自主開発原油増加をしてきたと思っております。  それから産油国との関係につきましては、石油開発あるいは精製分野における共同研究などを実施をしておりまして、一般的な投資のミッション等の派遣とあわせまして、産油国との関係強化をしていくということを進めてございます。
  18. 佐藤勉

    佐藤(勉)委員 いずれにいたしましても、今まで石油に関しては二度ほど大変な状況があって、その状況においていろいろな施策を講じてきたのだと思います。そういう中で、先日の湾岸戦争においても、そのかいがあってといいますか、パニックに陥らないような状況にあったというのはその成果なのだと私は高く評価をさせていただいております。今後とも、ひとつぜひともそういうことが起きたときの対応等々にも気を使っていただきたいと思います。  石油の安定確保を図るために、我が国自主開発というのが非常に必要になってくるのだと思います。既得権をとるという意味ではこれから絶対に必要なものだと思いますし、石油輸入割合を高める意味では絶対に必要な、重要なことであると考えられます。  そこで、石油自主開発必要性、そして意義、並びにその現状と今後の見通しについてお伺いをいたしたいと思います。  また、石油公団におかれましても、石油公団投融資した石油開発現状をお伺いをしたいと思います。
  19. 堀内光雄

    堀内国務大臣 石油自主開発推進ということは、安定的な供給源確保という点からも極めて重要な意義を持っていると考えております。  自主開発原油輸入量は、平成八年度現在で、先ほども申し上げましたが日量六十七万バレルであります。来世紀の初頭には日量百二十万バレルを目指しているわけでございまして、これをしっかり確保していかなければならないと思っております。  その対応といたしましては、先ほども申し上げました中央アジア中南米を中心とする鉱区開放などが今活発に行われておりますので、我が国といたしましてもこれにしっかりと対応してまいりたいと考えております。  数量その他については、政府委員から説明をいたします。
  20. 林良造

    ○林(良)政府委員 石油自主開発に関連いたしまして、日本企業が持ちます権益原油といいますのは、日本に危機の場合にも確実に入ってくるという意味でも重要でございますし、また、そういう活動を通じて産油国との関係が非常に緊密になるというような点でも重要でございます。また、現在の世界石油情勢の中で、供給余力を常に持たせておくということが極めて重要でございまして、それに対する貢献という、その三つの観点から極めて重要かと考えてございます。  具体的には、近年、中央アジアあるいは中南米等々におきまして鉱区開放が非常に進んできております。これは、従来閉じておりました産油国鉱区が、その開発に外国の技術、資金が必要だということで開放をされてきておるものでございまして、我々としても、今がそういう意味では非常に大きなチャンスだと考えております。そういうことから、来世紀初頭に向かいまして、日量百二十万バレルを目標として、引き続き石油公団による支援等によって着実に増大を図っていきたいと思っております。
  21. 小松國男

    小松参考人 それでは私の方からは、石油公団投融資をしました石油開発現状についてお答えを申し上げたいと思います。  ただいま通産省の方から基本的な方針、政策についてお話がございましたが、それを受けて石油公団支援をいたしております民間石油開発プロジェクトは、現在、海外の三十カ国において百二十二社が生産探鉱活動を実施いたしております。  現在生産中のプロジェクトは、アブダビ等の中東、それからインドネシアを中心とする東南アジア、それから北海、アンゴラその他アフリカ地域など、世界各地に展開いたしておりますが、近時は、先ほどもお話が出ておりますロシア及びカスピ海周辺の旧ソ連地域中南米を初めとして、鉱区開放の動きがありまして、これに対応して、新祝プロジェクトへの取り組みも意欲的に行われております。  今後は、サハリン、アゼルバイジャン、ベネズエラなどで新たな開発により自主開発原油の一層の増加を図っていきたい、かように考えておりま す。
  22. 佐藤勉

    佐藤(勉)委員 もちろんそういう形で一生懸命やられているという現況はよくわからせていただいているわけでありますけれども、その開発をされた石油を安定的に供給をしなければならないということがあるのだと思います。  そういう中で、今お伺いをした中で聞いても、非常に心配な部分、国もあるのだと思います。例えば何らかの不測の事態が生じた場合でも、産油国から日本に確実に供給されるということが必要なことだと思いますし、大変重要なことだと思います。そこで、大変なリスクをしょって自主開発をした石油が日本に確実に供給をされるためにどのような具体策が講じられているのか、また講じようとしているのか、お伺いをしたいと思います。
  23. 堀内光雄

    堀内国務大臣 先生指摘のとおり、自主開発をした石油が確実に日本に供給されるということが一番重要なことでございます。  そういう意味で、石油公団プロジェクト投資対象として採択するに当たりましては、権益原油の本邦への持ち込みが原則可能であることを条件としているというふうに考えておりますので、その点は間違いないものと思っておりますが、公団の方から具体的な取り組みについては御説明を申し上げます。
  24. 小松國男

    小松参考人 それでは、石油公団が実際に自主開発原油を本邦に持ち込まれることを担保するためにやっている事業について申し上げたいと思います。  まず、投融資対象を採択するに当たりまして、自主開発原油を本邦に持ち込むことが可能かどうか、この点について事情を聴取すると同時に、何らかの事情で自主開発原油を持ち込めないような場合にはプロジェクトのパートナーでありますメジャーとか産油国石油会社にスワップ等の協力を仰ぐことができるかどうか、こういう形で、現物を持ち込む場合、それから現物が非常に難しい場合にはスワップその他、相手、共同プロジェクトをやっておるメジャー、産油国会社が実際にスワップで我が方に供給できるかどうか、こういう点も含めて審査をいたしております。また、実際に出資または貸し付けをする基本契約を締結する際にも、同様の趣旨を確認し、必要な場合には念書も入れるということにいたしております。  さらに、実際にその開発原油が日本に持ち込まれているかどうか、これを確認するために、原則として、毎月、自主開発原油輸入量実績の報告を求めております。  以上でございます。
  25. 佐藤勉

    佐藤(勉)委員 いずれにいたしましても、大変な事態にならないように、何重にも何重にもいろいろな施策を図っていただきたいと思います。  次の質問に移りたいと思います。  新たな石油開発は、各国とも大変競争が激しくなるのだと思います。先ほどの大臣総裁のお話のように、探鉱、採掘のための技術力は大変向上しているのだと思いますが、何回も申されておりましたが、よりリスクが高く、採算に乗りにくい案件がふえているものと思われます。  先日も、読売新聞だったと思いますが、十一月十六日の新聞に石油公団の記事が載っておりまして、この記事の見出しだけを見たときには、本当に心配せざるを得ないというふうな状況があると思います。ただ、お話を聞いてみれば、かなりリスクをしょうものでありますから、そういうものに関してはいたし方ないのかなというふうに思うわけであります。  そこで、石油公団案件に対する審査能力、リスク管理が大変重要になってくるのだと思います。石油公団のこうしたことに対する取り組み及び審査体制についてお伺いをしたいと思います。
  26. 小松國男

    小松参考人 お答え申し上げます。  先生指摘のように、石油開発というのは、もともと多額資金を必要とし、しかも極めてリスクが高い事業でございますので、石油公団は従来から、技術的事項、経済的事項事業実施関連事項について厳正な審査実施してきておりますけれども、先生指摘のように、最近、さらにリスクが高く、また採算に乗りにくい案件増加していることも事実でございます。  こういう事情にかんがみまして、石油公団としても、審査基準、それから審査体制、これを整備するということで、現在は、それぞれの事項につきまして、技術部、地域担当の計画各部、資金部等で、公団自身が所有する情報も加味しまして、より的確な審査が行えるよう努力をいたしているところでございます。  さらに、審査を経た後は、部長会、役員会の審議を経て、公団も全体として厳正な採択をする体制を整えております。  さらに、最近は、発見確率、その他技術評価に当たっての定量化、これも図るということで、技術基準の改善も検討し、リスク管理の適正を図り、今後ともその改善に努めてまいりたいと思っております。
  27. 佐藤勉

    佐藤(勉)委員 いずれにいたしましても、大変リスクの高い事業だというのは、もうこういう御説明を聞けばわかるわけであります。私は、こういう記事になること自体が、情報公開、ディスクロージャーというものがある程度必要なのではないかなというふうに思う一人でありまして、話せばわかっていただけるというものに関しては、これからもっともっと透明化を図るということが必要なのではないかと私は思います。ぜひともそんな形でこれからもディスクロージャーに意を用いていただきたい、これは御要望としておきたいと思います。  財政の監督機関である会計検査院に、巨額な国や石油公団出資が現在どのようになっているか、現状の分析を望む期待は大変大きいと思います。先ほど御報告をいただいたわけでありますが、このような国民の期待にこたえるために検査院として今後どのように対応していく考えなのか、具体的な説明をお伺いをしたいと思います。
  28. 疋田周朗

    疋田会計検査院長 お答えいたします。  探鉱投融資に関する検査は多くの難しい要素を持っているわけでございますけれども、石油国民にとりまして必要不可欠なエネルギーであり、かつ探鉱投融資には多額の国費が投入されておりますことから、今後も引き続き検査実施していく必要があると考えております。  検査に当たりましては、投融資した資金が目的どおりに使用されているか、効果が十分上がっているか、こういった観点から石油公団石油開発会社におきまして検査を行いますほか、必要に応じまして海外に所在する現地事務所や採掘現場に赴きまして、探鉱や採掘などの実態を調査、確認することも考えております。  いずれにいたしましても、今後、検査観点検査方法など、さらに創意工夫を加えながら検査実施してまいりたいと考えております。
  29. 佐藤勉

    佐藤(勉)委員 いずれにいたしましても、検査の体制を見ますと、海外にも出かけて検査をしておりますが、逆に私が心配なのは、今の予算で検査院はやっていけるのかなというふうな心配がありまして、その辺のところもぜひとも加味していただいて、これからも的確に検査お願いしたいと思います。  最後になりますが、大臣、お越しいただいて大変御苦労さまでございます。大臣に、省エネルギー対策並びに石油の安定的供給確保に対する決意をお伺いをしたいと思います。
  30. 堀内光雄

    堀内国務大臣 先生指摘のとおり、これからのエネルギー問題につきましては、供給の面と省エネルギー、消費の面との両面から真剣に取り組んでまいらなければならない問題と思っております。有限の資源を有効に活用するとともに、地球温暖化問題に対応するために、通産省としては、抜本的な省エネルギー対策に取り組んでまいりたいと思っております。  具体的には、産業部門では、現在、経済的、技術的に想定される最高水準省エネ設備導入などを考え、また、工場におけるエネルギーの使用の合理化を徹底させてまいりたいと思っております。特に温暖化問題での今度の取り組みに際しま しては、ボイラーなどの今まで排出してロスになっているような問題をさらにもう一回エネルギーに活用する、そういう研究あるいは開発のために相当の予算を投入しようとか、いろいろな問題を徹底して、工場におけるエネルギー使用合理化をやってまいりたいというふうに思います。  また、民生運輸部門では、家庭電気製品、家電の製品だとか自動車などの省エネルギーの基準を大幅に強化していきたい。自動車においては、エネルギー効率を二〇%上げるというような問題についても、時間はもちろんかかりますが、研究をさらに進めて成果を上げていきたいというふうに思っております。  またさらには、一方では、冷暖房の適温調整だとか自動車の利用の自粛などというような、国民の一人一人にエネルギーの消費の節約を行っていただくことも、これまたお願いをしていかなければならないというふうに思っております。  一方では、石油我が国の一次エネルギー供給の過半を占める重要なエネルギーでございますので、その供給構造も今依然として脆弱でありますが、これをしっかりと石油安定供給確保するために、今後とも、石油の備蓄あるいは海外における原油自主開発産油国協力などというものを含めて、施策推進してまいりたいと思っております。
  31. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 佐藤君の質疑を終了いたします。  次に、山口泰明君。
  32. 山口泰明

    山口(泰)委員 自由民主党の山口泰明でございます。  佐藤先生の後を受けまして、各論に入る前にちょっと、先ほど通産大臣のお話のありました中で、石油代替エネルギーである天然ガス開発利用促進は、我が国石油依存低減石油市場安定性向上を図る上で重要でありますというお話もいただきました。  現在、世界石油埋蔵量は約一兆バレルで、そのうちの三分の二が中東に賦存しているわけです。我が国も八〇%の原油中東から輸入している現状でありますけれども、第一次石油危機以来、世界の各国政府企業は、中東以外での油田の発見、開発努力をしてきました。大きな油田の発見は、ノルウェーとイギリス沖合の北海油田、それからメキシコ油田ぐらいで、結局、残存の石油埋蔵量の三分の二は依然として中東地域にあるという現状であります。このことを考えたとき、代替エネルギー問題はこれからの最重要課題であると私は確信をしております。  その代替エネルギーとして、私は、天然ガスを二十一世紀のクリーンエネルギーであるとまたまた確信しているわけです。実は私、大学を出て四十八年からガス業界に、昨年当選するまでおったものですから、身をもって体験をしているわけでございます。世界的に見ても埋蔵量が豊富で、中東への依存度が低く、供給安定性が高く、そしてまた環境にも優しいエネルギーとして、需要も高まるものと考えております。  今開かれております京都会議にEUがCO2の一五%削減を掲げているのも、資源としての天然ガスと、その天然ガスを長距離、大量輸送できる社会資本としてのパイプラインがヨーロッパには網羅されてあるわけでございます。石油開発も重要ではありますが、これからは、我が国近隣にも比較的豊富に発生します天然ガスの利用を促進し、アジア地域においてガス開発を積極的に進めるとともに、そのガス我が国にパイプラインで早期に供給すべきであると私は考えておるのですけれども、大臣の御所見をいただきたいと思います。
  33. 堀内光雄

    堀内国務大臣 先生おっしゃるとおり、我が国におきましては、これからのクリーンエネルギーとしての天然ガスの利用ということは、大変重要な課題だというふうに考えております。  現在、天然ガスの九七%を海外からの輸入に依存をいたしておりまして、インドネシア、マレーシア、オーストラリア等から液化天然ガスの形態で輸入をいたしてきております。近年、より近隣のサハリンにおいて、サハリン1及びサハリン2プロジェクトとしてガス開発の計画が進んでいるところでございます。これらはサハリン・プロジェクトとして取り組んでおりますが、これが実現いたしますと、現在の供給源からより近隣の供給源へ分散を図ることができるわけでありまして、我が国エネルギー安定供給に資するものだと考えております。  サハリンから我が国への天然ガスの輸送方法については、一部の事業者において、先生の御指摘のようなパイプライン輸送の事業可能性の調査が行われております。本構想が商業的に成立をいたすことになりますと、結果的に天然ガス効率的な利用拡大に資するものだと考えております。通商産業省といたしましては、事業の可能性の調査の進捗状況及び需要業界との協議の動向を見守りながら、今後、必要に応じて所要の環境整備を検討してまいりたいと思っております。  さらに、近年、先般の橋本総理のロシアのエリツィン大統領との会談などにもございましたように、シベリアのガス田の開発の問題が出てきております。中国、韓国等へのパイプラインで供給する構想も関係者間で検討されております。本構想が実現しますと、北東アジア地域での、環境負荷の少ない天然ガスの利用の促進に資することとなりまして、有意義なものになると考えております。  本構想の実現のためには、まずガス田の事業化の可能性についての経済性等の総合調査を行う必要がございますが、現在、これをいかに行っていくかについて、日本の石油公団、ロシア、中国、韓国の関係機関との間で予備的な意見交換がなされている段階でございまして、その動向を見守ってまいりたいと考えております。
  34. 山口泰明

    山口(泰)委員 ありがとうございました。  それでは各論の方に参りたいと思います。  石油公団は、石油会社や商社などが設立した石油開発会社に対しまして、石油権益の取得交渉、探鉱、試掘などの開発に要する費用を対象に、原則として七〇%を限度出融資しているわけでございます。  この投融資については、先ほど佐藤先生も言われました過日の新聞報道によりますと、昨年までに、石油開発会社二百六十四社に対しまして、出融資計で一兆六千九百億円を投じており、このうち、百十五社の会社解散清算したが、公団がこの清算会社から回収したのはわずかに百三十九億円で、三千四百億円余は回収不能と報道されています。まず、これが事実であるのかをお伺いしたい。  また、財政構造の改革が求められる中、石油公団出融資は非効率であり見直すべきであるとの声が一部にはありますけれども、石油開発成功率が世界と比較してどの程度なのかも含めて、公団石油開発現状、そして石油開発成功例、また失敗例も含めて、具体的にお伺いしたい。  また、それにつけて、こういう出融資を決めたりする決定権はどのところにあるのか。私は民間会社なものですから、民間ですと、幾らリスクが多いから勝手にやれといっても、やはり責任のとり方というものもあるものですから、その辺も含めてお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  35. 小松國男

    小松参考人 お答え申し上げます。  石油公団は、先生指摘のように、リスクの高い探鉱事業対象に、民間企業に対しまして出資及び融資による資金支援を行っております。したがって、探鉱事業成功した場合には、出資については配当融資について元本及び利息の支払いにより投下資金を回収いたしますが、不成功となった場合には、収入がないため、出資は処分、融資元本は減免して、それぞれ損失として処理いたしております。  石油公団は、昭和四十二年度から昨年度末までに、石油開発会社二百六十六社に対し、累計一兆七千二百六十一億円の出融資を実行いたしましたが、平成八年度末までに解散した会社は百二十六社、清算手続中の会社十八社であります。これら会社に係る出資処分損及び融資元本減免累計額 は、先ほどの新聞に二千四百億と書いてありますのは、累計額は三千七百二十億円であります。また、解散した百二十六社からの資金回収の累計額、新聞報道によると百三十九億円となっておりますが、これは三百十六億円であります。ただ、これは失敗した会社に関する分でございまして、他方生産中等成功企業からの配当利息等事業収入累計で約七千七十億円ございます。これまでの損失処理によって、石油公団業務遂行に特段の支障は生じておりませんし、財務面では十分問題はないというふうに私どもは考えております。  次に、石油公団が現在支援をいたしております民間企業というのは、海外三十カ国で百二十二社が生産活動を実施いたしておりますけれども、この会社が持ち込んでおる自主開発原油輸入量、これも先ほど申し上げましたけれども、石油公団設立当時の二十七万バレルから八年度は六十七万バレルと、二・五倍に伸びておりますし、今後さらに、サハリン、アゼルバイジャン、北海などでの新たな開発によりまして、自主開発原油増加が期待されております。  また、御指摘投資効率につきましても、世界的に商業発見率の水準は極めて低いと言われている中で、我が国の商業発見率は、先ほども申し上げましたが、約五%でございますし、また商業油田の発見コストも一バレル当たり四・二二ドルでございます。これは、欧米メジャーがいろいろマニュアルレポートで発表しておりますが、その数字には全然遜色がございません。大体メジャー並みまたは特定のメジャーよりも低いというふうに私どもは考えております。そういう意味で、国際水準並みの投資効率確保しているというふうに考えております。  他方リスクが極めて高いという探鉱事業の特殊性から、残念ながら不成功に終わるプロジェクトもございますが、現在、ロシア、カスピ海周辺、また旧ソ連地域中南米などを初めといたしまして、今世紀最後の鉱区取得の絶好のチャンスが訪れておりますので、よい油田プロジェクトに挑戦して、このチャンスを物にして、我が国エネルギーセキュリティー確保する上でさらに努力をしてまいりたい、かように考えております。
  36. 山口泰明

    山口(泰)委員 それでは、昨年度末現在、今話がありましたように、清算手続途上の会社が十八社あるとのことでありますけれども、この十八社に対する出資融資累計額は幾らになるのか。また、資金の回収についてどのような見通しを立てているのかもお伺いしたいと思います。
  37. 小松國男

    小松参考人 お答え申し上げます。  平成八年度末現在で、清算手続会社は、先生指摘のように十八社でございまして、出資累計額は二百十七億円、融資累計額は百三億円で、合計で三百二十億円でございます。  この十八社は探鉱事業が不成功に終わったために、現在清算手続に入って、今後解散になるわけでございますけれども、残余財産がある場合にはその処分益を資金回収いたしますけれども、基本的には、これは十八社ともプロジェクトが失敗した企業でございますので、大部分出資を処分し、融資元本を減免し、それぞれ損失として処理することになるというふうに考えております。
  38. 山口泰明

    山口(泰)委員 今新聞報道に挙げられておりますジャパン石油開発ほか九社、うち一社については既に解散しておるそうですけれども、それらに対する公団出資及び融資額の総額についてもお伺いしたい。
  39. 小松國男

    小松参考人 お答えを申し上げます。  先ほどの、新聞に掲載されましたジャパン石油開発ほか九社の主な石油会社に対する出資累計額は三千五十三億円、融資累計額が六千六百三十七億円、出資融資合計で九千六百九十億円でございます。  なお、先ほどお話がございましたように、一社、オマーンは既に解散しておりまして、この会社に対する出資は五十一億円、融資は百三十二億円、合計で百八十三億円でございますが、この会社については既に損失として処理をしております。  以上でございます。
  40. 山口泰明

    山口(泰)委員 これら九社は、いずれも生産中あるいは追加探鉱の可能性を検討中とのことでありますけれども、例えばジャパン石油開発に対しては約千三百億円の出資のほか多額融資が行われているわけです。これらの会社が将来不成功に終わり資金の回収ができない場合には、公団経営に多大の影響が出ることと思われております。各会社現状及び公団リスク管理策についてもお伺いしたいと思います。
  41. 小松國男

    小松参考人 御指摘のジャパン石油開発など九社のうち八社は、中東アジア、アフリカにおいて石油生産中でございます。自主開発原油の約四割に相当する日量二十八万バレルの原油我が国供給しております。残る一社は、現在探鉱中でございます。  生産中の八社は、一九八六年半ば以降の油価の下落、低迷、及び円高の進行によりまして経営に深刻な影響を受けたところでございますが、各会社とも、コスト削減など経営努力を行い、円滑な事業継続を図り、我が国石油安定供給に重要な役割を果たしております。  資金の回収につきましては、今後の油価、為替等の状況によりますし、現時点で確たることを見通すのはなかなか難しい状況にございますけれども、各会社経営努力と最近の油価、為替、最近油価割合に高どまり、安定しておりますし、為替も円安の方向に来ておりますので、相当の好転が期待されるところでございます。  いずれにいたしましても、石油開発は巨額な資金を必要とする極めてリスクが高い事業でありますため、石油公団は、民間企業から申請があったプロジェクトにつきましては、経済的事項、技術的事項事業実施関連事項等について厳正な審査を行いまして、また途中の過程におきましても、事業計画、予算、資金収支等をチェックするというような適正な管理を行いまして、こういう損失をできるだけ減らして収益企業に持っていく努力をしたいというふうに考えております。
  42. 山口泰明

    山口(泰)委員 それでは、昭和五十一年度決算検査報告において、石油公団投融資資産について休眠状態会社があるなどの不良資産が含まれているという指摘をしております。指摘の態様としては特記事項ということで、その後の処理については特に決算検査報告に記載されていませんが、この事態について、会計検査院としてはどのようなフォローアップを行ってきたのか。  また、三千四百億円余が回収不能となっているという今回の報道にある事態は、昭和五十一年度決算検査報告における指摘の延長線上にあると思われますが、これに対してどのような見解を持っているのか、お伺いしたい。  さらに、出資会社に対する会計検査院検査状況、特に新聞報道されている十社に対する検査状況について説明をお伺いしたい。
  43. 疋田周朗

    疋田会計検査院長 まず、特記事項のその後のフォローアップの状況について御報告申し上げます。  昭和五十一年度決算検査報告で取り上げました石油開発会社十一社は、五十二年度から平成二年度までの間に解散決議をしましたり、公団分の株式の処分をしたりいたしまして、休眠状態に対する処理を終わっております。その間、検査を通じまして、この十一社のみならず、その後発生した同様の事態につきましても、解散手続や株式処分の見通し、またその進捗状況の把握に努めてきたところでございます。  なお、具体的な検査取り組みなどにつきましては担当局長の方からお答えをさせていただきたいと思います。
  44. 小川光吉

    ○小川会計検査院説明員 今回のマスコミ報道にあります三千四百億円の回収不能の問題と検査報告関係でございますが、今回のマスコミ報道にあります三千四百億円余の回収不能額のうちには、さきに掲記いたしました十一社に係る投融資損失も含まれているところでございます。  五十一年度の検査報告では、公団石油開発融資資産の中に探鉱事業が不成功に終わり休眠会社となっている会社に係る多額不良資産が含まれているということを問題にいたしたわけでございます。その後も、石油開発事業の性格上、事業に失敗した会社が発生しておるわけでございますが、それらはいずれも解散しておりまして、その際には多額の回収不能額が発生するため、公団ではそれを損失処理してきておられる結果がさきの金額というふうに考えているところでございます。  それから、今回の新聞報道にございます十社の検査状況でございますけれども、そのうちの北極石油ほか五社につきまして、ことし本社に赴きまして、三十人目余を充てて探鉱事業計画や事業実施状況等を聴取するなどして検査実施いたしました。  検査しました五社各社とも、油価の下落や円高の影響ということがあったりいたしまして生産に移行できなかったりしておりまして、収入が減少して繰越欠損金を計上している状況でございました。  このようなことから、石油公団探鉱投融資事業については、多額投融資が行われていることから、原油価格等の動向を見きわめながら、今後も事業の適切な実施事業効果の発現の観点から充実した検査実施してまいりたいと思っているところであります。
  45. 山口泰明

    山口(泰)委員 ありがとうございました。
  46. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 これにて山口泰明君の質疑を終了しました。  次に、石垣一夫君。
  47. 石垣一夫

    石垣委員 新進党の石垣でございます。  先ほど、通産大臣石油公団総裁あるいはまた会計検査院長から、我が国エネルギー事情、特に石油開発現状並びに石油公団決算状況について報告がございました。きょうは商工委員会でございませんので、エネルギー政策の根本的なことは所管の商工委員会に譲るとして、きょうは決算面の立場から、特に石油公団についてお伺いしたい、このように思うわけであります。  それでは、まずお伺いしたいのは、行政改革の一環として現在特殊法人のあり方が問われておりますね。これは、第二臨調で第五次答申として既にこの問題が取り上げられております、昭和五十八年三月十四日。「特殊法人等の整理合理化」の中で「具体的措置」として、特に「石油公団石油開発については、施策目的と産業の実態を踏まえ、開発体制の見直し、対象事業の厳格な選定等を通じ、事業効率実施及び資金効率的運用を図る。」こういうふうに指摘があるわけであります。  こういう観点に立って私は、公団石油探鉱開発に対する投融資の実態についてお伺いしたい、このように思うわけであります。  ちょっと委員長、済みません、ひとつ資料の配付をお願いいたします。
  48. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 はい。配ってください。
  49. 石垣一夫

    石垣委員 先月、十一月十九日の読売新聞に「「北極」に消えた千百九十一億円」「石油公団ずさん支出」こういうことで記事が出ておりました。私たまたまこの問題を調査しておりまして、さもありなん、こういう感覚を持ったのでございます。  まず、いわゆる石油公団石油資源開発投融資及び企業解散の実態調査結果について、今お手元に私なりの調査した資料をお配りしたのですけれども、結論から申し上げれば、我が国石油資源開発会社は、主に昭和四十二年、石油開発公団設立されて以来、二百六十六社の法人が設立されて、いわゆる出資融資対象として、半ば国策会社の使命を持って我が国の自主油田の開発に貢献をしてきた、これは評価をいたします、この面は。それなりの成果を上げてきたと。  しかしながら、残念なことではありますけれども、もう既に解散した会社は百四十四社、その負債金額は約三千七百二十億、こういうことが明らかにされております。これは明らかに回収不能金額でございますから、これは大きな欠損になります。  現在生産している会社は百二十二社、この百二十二社の中で、現在休眠会社解散等を検討している会社が約十五社あります。そのいわゆる不良資産というか、回収不能と予想される金額は約三百九億、合計四千二十九億に上る、このように考えられます。年々不良資産が累積している、こういう実態でございますけれども、通産大臣、今の私の申し上げましたこの実態についてお認めになりますか。
  50. 堀内光雄

    堀内国務大臣 今の数字、実態につきまして、公団の方からまず説明をさせてよろしゅうございますか。
  51. 石垣一夫

    石垣委員 はい。
  52. 小松國男

    小松参考人 それでは、今先生指摘の百四十四社でございますけれども、私ども石油公団が今までに融資をし、解散という形で清算手続中それから解散、両方含めますと百四十四社でございます。これに対して、先ほど御説明申し上げましたように、三千七百二十億円の損失が出ているということで、これは損失処理をしたわけでございますけれども、これは失敗した会社についての損失処理の実情でございまして、あと一方、生産をしている会社につきましては、先ほど申し上げましたように、自主開発原油が二・五倍に伸び、十分その自主開発実績を上げていると思います。  問題は、三千七百二十億円という数字をどう評価するかということだというふうに思いますけれども、私どもといたしましては、この失敗の三千七百二十億円の損失に対しまして、生産中の成功企業からの配当利息等事業収入累計で七千七十億円ございます、こういうことで、実際にはその損失をカバーして、なおかつ財務面では問題がない状況にある、かように認識しております。これは先ほど申し上げたとおりでございます。  ただ、先生指摘のように、解散に追い込まれた会社については、今後反省すべき点もあると思いますし、そういう意味で、今後とも、審査効率化それから事業運営についてのその後のフォローアップ、リスク管理の定量化、こういうことも含めまして、審査基準の一層の改善と、それから、引き続き事業管理の適正化に努めていきたい、かように考えております。
  53. 石垣一夫

    石垣委員 今の答弁ですけれども、三千七百二十億、現実的には明らかにされているわけです、百四十四社で。さらに十五社あると私は言っておるわけです、私の調査では。  その後、石油公団として、この百四十四社以外に、解散準備とかあるいはまた休眠状態であるとか、こういうことについて把握されておりますか。
  54. 小松國男

    小松参考人 先生指摘の百四十四社以外に、解散準備中の会社が現在十社ございます。
  55. 石垣一夫

    石垣委員 そのことを言わないとだめじゃないですか。あなたは、百四十四社でちゃんと帳じりが合っている、もう解散している会社もあるけれども現実に百二十二社が生産していると。しかもそれは、先ほど説明ございましたけれども、プラス・マイナス、プラスなんだ、こういうことなんですね。  では、申し上げましょう。  三千七百二十億は明らかに回収不能ですね。それで、約七千七十四億ですか、これの内訳は、いわゆる受取配当金が千五百五十七億一千九百万、それから貸付金利息が四千五百五十九億九千九百万、その他九百五十六億七千五百万、合計七千七十三億九千二百万、約七千七十四億ですね。こういう実態なんですよ。  石油開発事業によるいわゆる受取配当金というのは千五百五十七億なんですよ。百歩譲って、その他の収入を入れましても約二千五百十四億なんです。この約七千七十四億の六五%、あなたがおっしゃった三分の二は貸付金利息なんですよ。本当は受取配当金と受取利息が逆にならなければいかぬわけですよ。それでこそ初めてこの開発事業成功していると大見えを切れるわけです。これは大見えを切れるような中身ではないですよ。どうですか。
  56. 小松國男

    小松参考人 先生指摘の点でございますが、まず、石油公団探鉱事業資金供給形態というのは出資融資に分かれておりまして、出資の場合には配当融資の場合には利息資金回収を行う、これが石油公団のスキームでございます。  利息収入の方が多いのではないかという御指摘でございますが、これは、出融資累計額一兆七千二百六十一億円のうち、出資は七千百四十一億円で、融資の方が一兆百二十億円。ですから、出資に対して融資の方がはるかに多いわけでございます。これは、実際に石油公団が七割を融資いたします場合に、民間企業の自主性を尊重するために出資原則五〇%ということで、あとは融資で七割まで持っていくということにしておりまして、融資の方が多いわけですので、配当に比べて融資利息収入が多いのは、私どもとしては当然だというふうに思っております。
  57. 石垣一夫

    石垣委員 いわゆる石油資源開発事業としての、まあ言ったら事業というのは経営と同じですな、これがやはり事業の実態をあらわすのですよ。そうじゃないですか。これがもっと逆になってくると、初めてこの事業成功していると大見えを切れるわけですよ。  それをあなたは、先ほどから聞いておりますと、七千七十億入っている、損失が三千七百二十億円、ちゃんとうまいこといっていると、こういうことなんですけれども、決して私はこれは大見えを切れる事業開発の中身ではない、このように指摘をしておきます。  次に、今石油公団総裁からいろいろとお話がございましたけれども、こういう不良資産の増大あるいはまた回収不能金額の増大について、通産大臣としてどのようにお考えですか。
  58. 堀内光雄

    堀内国務大臣 ただいまの御質問でございますが、数字的な問題でございますので、エネルギー庁長官の方から説明をさせていただきます。
  59. 石垣一夫

    石垣委員 いやいや、数字的な問題はいいですよ。  しかし、こういう不良資産が増嵩し、さらにまた回収不能金が増嵩しているというこの現状について、先ほど私は、臨調の行政改革の指摘もいたしました。これは昭和五十八年ですよ。こういう中で、なおかつこれは事業内容、性格上やむを得ないことがあるとしても、大臣としてどうお考えですか。
  60. 堀内光雄

    堀内国務大臣 いろいろとただいまの御質疑状況を拝聴いたしておりまして、一つには、石油開発というのは極めて高いリスクを伴うもので、莫大な資金を要するものでありますから、十分な資本の蓄積のない我が国の普通の企業においては資金調達がなかなか困難だということから、そういう大きな金融コストを負担し切れないのが現状であるということは委員も御認識をいただいていることだと思います。  これを踏まえて、今、石油公団探鉱投融資制度をもとに取り組みを行ってまいっているわけでございますが、今の成功した場合、不成功の場合の数字を拝見いたしておりまして、一つには、今の特殊法人の改革の問題と兼ね合わせて考えますと、ディスクロージャーの問題がやはりもう少ししっかりとしていかなければいけないことだろうというふうに思いますし、同時に、会計結果に対する監査体制というものをもう少ししっかりしていって、ここではっきりとそういうものが明確に御回答申し上げられるような体制づくりということが必要ではないかというふうに感じているところであります。
  61. 石垣一夫

    石垣委員 ディスクロージャーの問題につきましては、これは特殊法人全般の問題で今大きな論議になっております。漸次そういう方向になると思うのですけれども、今日、こういう多額の不良債務を抱え、また、いわゆる回収不能金が増嵩していく、こういう状況の中で、私は、やはりこの石油公団経営の赤字についても抜本的に考える時期に来ているのではないか。これからますます、先ほど話がございましたように、サハリンの油田の開発とか、またはシベリアの天然ガス開発とか、いろいろあります。それだけに、石油公団の占める位置というのは重要になってくるわけであります。と同時に、やはり、おっしゃっているように、ディスクロージャーについてもどんどん積極的に取り組んでいく、こういうことが必要ですね。  そこで、また観点を変えて申し上げますけれども、特に出資融資金額の大きい、百億以上の会社のリストアップをいたしました。  全部これはもう解散をしておりますね。オマーン石油開発、これは中東ですけれども、昭和六十三年解散、百八十一二億。二番目に新日本石油開発昭和六十年解散、百七十一億。北海石油開発昭和五十八年解散、百四十三億。ラントウ石油開発平成四年解散、百四十二億。新日本海石油開発平成六年解散、百三十六億。ナイジェリア石油開発昭和五十五年解散、百二十三億。ジャンビ石油開発平成元年解散、百十八億。イラン石油昭和五十六年解散、百十六億。中国北部湾石油開発平成二年解散、百五億と、百億以上の金額の会社解散したのが九社であります。  この会社がどういう経過で解散したのか、特に、一番のオマーン石油、それから五番目の新日本海石油開発、九番目の中国北部湾石油開発、この実態について説明いただきたいと思います。
  62. 小松國男

    小松参考人 先生指摘の百億円以上の出融資を受けている会社でございますけれども、まず、こういう金額が多いのは、探鉱対象となる構造が非常に多いとか、また探鉱作業量が多いとか、また日本側企業の参加シェアが非常に高い、こういう場合には当然石油公団出融資額もふえてくるわけでございますけれども、このプロジェクトの採択に当たっては、先ほど来御指摘のように、極めて厳正な審査を行っておるところでございます。  また、御指摘の三社の状況でございます。  まずオマーン石油開発でございますが、これは、昭和五十六年十月、日本石油ほか三社の民間グループにより設立されまして、先生の御資料にございます公団からの出融資百八十三億円を受けまして、一〇〇%の権益シェアで、オマーンの陸上鉱区探鉱事業実施いたしました。残念ながら商業化できるだけの油田が発見できないということで、昭和六十三年に解散いたしております。  次に、新日本海石油開発でございますが、これは昭和五十一年六月に出光石油開発により設立されまして、探鉱作業が相対的に多く、また公団からの出融資は百三十六億円を受けております。これは、アメリカのアルコ社の持っていた権益に五〇%で参加した事業でございますが、その後、海上鉱区で油田を発見し、昭和五十九年から十年間生産事業を行いましたけれども、生産が終了したため、平成六年に解散をいたしております。  次に、三番目の中国北部湾石油開発でございます。昭和五十七年の十一月、出光石油開発ほか四社の民間グループにより設立されましたけれども、探鉱作業が相対的に多く、公団からの出融資は百五億円を受けまして、九・八%の権益シェアで中国北部湾鉱区探鉱事業実施いたしました。これはほかの国際企業との共同プロジェクトでございます。これは、油田を発見しまして、昭和六十一年から三年間、試験生産事業実施いたしましたけれども、商業生産移行は困難であるということがそういう全体のコンソーシアムで判断されまして、その結果、平成三年三月に解散をいたしております。  以上でございます。
  63. 石垣一夫

    石垣委員 次にお伺いしたいのは、出資融資を受けて二、三年で会社解散していると思われるケース。これは十社あります。  お手元に資料を配付しておりますけれども、シエコマドラ石油出資額が二億円。ジャペックス西東海、出資額が五億円。スエズ湾石油出融資が二億円。北東海石油、同じく一億円。西トンハイ石油、四億円。パプアニューギニア沖石油開発、三億円。東トンハイ石油、三億円。マラバール石油、五億円。モエコジャワシー石油、二億円。ジャペックス・ノース・スロープ・コーポ、出融資三億円。合計三十億。  さらに、四年以内に解散している会社が九社、百十億、こういう数字があるのですけれども、設立して二、三年で解散するということについて、私はちょっとこれ、疑問に思うのです。しかも、出資額が非常に金額的に少ないので、それだけ資本力が弱いということになるのですけれども、こういう実態についてどのようにお考えですか。
  64. 小松國男

    小松参考人 先生指摘の、非常に短い期間で解散に至っているのじゃないか、これはおかしいのじゃないかというお話でございますけれども、探鉱期間というのはそれぞれのプロジェクトにおいて違っておりまして、例えば構造が一つの場合には、大きな構造の真ん中に井戸を一本掘って、もうそれでだめならだめということで非常に簡単に勝負が決まるプロジェクトでございます。同じプロジェクトの中でも、構造が十個あるために、三つやってだめでも後の七つは成功するかもしれない、これで相当時間をかけ、五年、十年をかけるというケースもございますので、必ずしも、探鉱期間が短い、そしてその結果が出るのでおかしいということには私はならないというふうに思う。  実際、今先生指摘のように一-三年、二、三年で結論が出て解散に追い込まれている会社もございますけれども、先生指摘のその資料にございます十社は、それぞれ探鉱事業を行った結果、残念ながら不成功に終わっておりまして、その後、会社清算を行い、現在は全部解散しております。  以上でございます。
  65. 石垣一夫

    石垣委員 言葉は過ぎますけれども、下手な鉄砲数撃ちゃ当たると、表現はちょっと悪いですけれども、こういうふうな感覚。石油開発は、いわゆる千に三つ当たればいいんだ、極論すれば千三つと、こういう非常に厳しい表現もあるのですけれども、そういう状況だからやむを得ない、こういう感覚ですか。
  66. 小松國男

    小松参考人 実際には、地震探査技術も進歩しておりますし、それから探鉱の技術も相当進歩していますので、そういう意味では、私は確率はかなり高まってきていると思いますが、油一般に言われるように、やはり井戸を掘ってみないと実際に油があるかどうかは確認できない、こういうことで、非常にリスクが高いわけでございます。  その結果として、非常に多くの構造に挑戦する場合、それから非常に大きな構造の一つに挑戦する、まあいろいろのケースがございまして、そのケースごとでございますので、私どもとしては、民間のそういうものに対する十分な技術能力を養う、特に石油公団自身も情報を集めて審査を厳密にしておりますのに結果としてこういうことになったのは残念ではございますが、いたし方ないというふうに思っております。
  67. 石垣一夫

    石垣委員 さらに、特に日本鉱業株式会社系列の、いわゆる冠に日鉱の名前の出る石油会社、これもお手元に資料を配っておりますけれども、これは十社あるんですね、時間の関係で省略いたしますけれども。これが結局、ほとんど六年以内に解散している、しかもその中の一社はもう設立三年で解散している、こういうデータがあるんです。この実態について、どのようにこれを理解されますか。
  68. 小松國男

    小松参考人 今先生指摘の、日鉱関係の多くの会社割合に同じ時期にスタートして、解散して、失敗しているというお話でございますが、これは実は日鉱自身が、今名前を出すのはあれですが、もうここで申し上げてもいいと思いますが、例えばこれはアメリカの大手石油会社コノコでございますが、これと提携しまして、お互いにプロジェクトを回し、向こうのプロジェクトで持っている部分についてこちらも参入して、一緒に共同開発をしようということで同時に始めたものでございます。  結果として、このプロジェクトは残念ながらいい結果が得られなかったということで、先生指摘のような状態になっておりますけれども、これは残念ながら、コノコ、日鉱の技術陣が当たるということでやった結果、まあだめだったということで、私は非常に残念だったと思っております。
  69. 石垣一夫

    石垣委員 日拡の系列の会社が、系列十社もことごとく六年以内に消えている。解散している。これの投融資の額は六十四億ですね。ちょっとこれは私、まあそれは今おっしゃっているような話は話だと思うのですけれども、その後どのようにこの実態について調査されましたか。会計検査院、こういう問題については特に検査はしておられませんか。
  70. 小川光吉

    ○小川会計検査院説明員 今お話しの日鉱を頭に冠した会社を取り上げて特に検査したということはございません。
  71. 石垣一夫

    石垣委員 これは毎年会計検査院検査されているんでしょう。
  72. 小川光吉

    ○小川会計検査院説明員 毎年検査実施しておりますが、開発会社につきましては、人員の関係、日数の関係とかで数が限られているわけでございまして、三社とか五社とかということが今までの検査の実情でございます。
  73. 石垣一夫

    石垣委員 まあ、もう三年前のことですから今さらという感じもしますけれども、今後のこともこれありですからね。  一つの会社の冠をつけた会社が、十社も六年のうちに全部打ち首そろえて解散しているということは、これは異常だと思うのですよ。何かそこにと、ちょっと私は理解に苦しむのです。
  74. 小松國男

    小松参考人 この点は、たまたま日鉱の冠を掲げている会社でございますが、これは実際には日鉱自身が本来やるプロジェクト、これは先ほど申し上げた、石油公団の場合にはワンプロジェクト・ワンカンパニーということがございますので、コノコとお互いにファームイン、ファームアウトして、コノコの持ち分の中にファームインしたのは六つとか七つあって、それが大体同時にスタートしたということです。一般的に言うと、プロジェクトだけでいうと日鉱のプロジェクトであったのを、やはりワンプロジェクト・ワンカンパニーということで、リスクを保険するために会社名を変えておるということで、日鉱の中のプロジェクトだというふうに御理解いただければいいと思います。
  75. 石垣一夫

    石垣委員 いわゆるこのときの融資の査定はどうされたのですか、査定。査定が甘かったと言わざるを得ませんよ、これは。結果論ですけれども。
  76. 小松國男

    小松参考人 これは結果でございますので、何とも申し上げようもございませんけれども、私どもとしては、日鉱、それからアメリカの大手企業のコノコ自身も出資し、融資をしておりますし、石油公団としても、厳密な審査をした結果、結論を出したわけでございまして、当時としては少なくとも最善が尽くされたというふうに私は理解しております。
  77. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 新参考人、ありますか、補足することが。
  78. 新欣樹

    ○新参考人 補足させていただきます。  この日鉱のプロジェクトにつきましては、昭和六十二年にコノコ社より、総裁から申し上げましたように、日本鉱業に対しまして、当初十二カ国で二十二件まとめてファームアウトをしたいという提示がございました。この間いろいろな協議を積み重ね、中ではやはりここはちょっと問題な地域がある、あるいは問題なところがあるというようなことで絞ってまいりました結果、最終的には七カ国十一件を対象にしようということで絞ってきたわけでございます。これが同時期に、いわゆるパッケージとして対象となったということでございます。  この十一件につきましては、先ほど総裁から申し上げましたように、まとめてではなくて一つ一つリスク分散の観点から会社をつくっていったということでございまして、その一つ一つの案件につきましては十分な審査を尽くしてきた、当時の技術陣において十分な審査を尽くしてきた、こういうことでございます。
  79. 石垣一夫

    石垣委員 今、当時の技術陣で十分審査を尽くした、こういうことなんですけれども、今、技術陣は石油公団として万全の体制ですか。
  80. 小松國男

    小松参考人 万全とは申し上げませんけれども、充実してきておりますし、今後とも強化をしていきたいというふうに思っております。
  81. 石垣一夫

    石垣委員 それは総裁としてはそういう答弁は当然だと思うのですけれども、しかし、こういう例が過去にあるわけですから、これは十分心して技術陣の体制についてさらにさらに強化をして、万全に、遺漏なきようにやはり整えていくべきだ、このように私は指摘をしたいと思うのです。  そこで、石油資源開発会社の中には、いわゆるみずから掘削をしないで投資会社に回っている会社もあると聞いております。しかもそれは、海外鉱区に事務所もなければ技術者も派遣していない、ただ相手先の情報をひたすら待つだけの会社。あるいはまた、情報を送ってくるとそれを分析して、そこから公団融資お願いしている。こういう会社の実態があるのですけれども、これは掌握されておられますか。
  82. 小松國男

    小松参考人 先生の言われる意味が、もし実際にプロジェクトに対してオペレーターとして動いているのではなくて出資者としての探鉱会社があるということであれば、そういう数は相当ございます。
  83. 石垣一夫

    石垣委員 だから、ここでやはりいわゆるオペレーターショップになることが大切なんですね。そこのところが今の質問と関連してくるのですけれども、今後、この問題について公団としてどういうふうに取り組まれますか。
  84. 小松國男

    小松参考人 私ども石油公団といたしましては、できるだけ日本の企業がオペレーターとして活躍するプロジェクトがふえることを期待いたしておりますが、いかんせん日本の技術陣、これは石油資源開発、帝石、アラ石、その他含め、また石油公団の技術陣全体を含めましても、メジャー一社とかそういうものに相当するようなことになりますので、幅広く探鉱プロジェクトを展開し、数もふやすということになりますと、なかなかオペレーターですべてやるというわけにまいりません。  ただ、オペレーターをするプロジェクトをふやしたい、これは日本の民間開発企業石油公団も志向しているところでございます。
  85. 石垣一夫

    石垣委員 そこで、これは天下りの問題なんですけれども、いわゆる通産官僚の方、私の調査によりますと、解散した会社の社長がいわゆる元通産官僚というのが非常に目につくわけであります。約九人おります、元通産官僚。  その中で、まず一つ例を挙げてみたいと思うのですけれども、お手元に資料をお配りしておりますように、元事務次官の和田敏信氏です。この方は、十二社も会社解散させておりますね。また、その金額は二百六十七億。こういう現状を見ますと、私は、これはいかがなものか。  いわゆる高級官僚の天下りというのが今世間の大きな指摘を受けておりますけれども、こういう実態です。この方は既にやめておられますけれども、先ほど挙げました資料のあとの八人の方もそれぞれ、現在生業中の方もおられますし、いろいろおられます。こういう実態について、私は、今後天下りは自粛をすべきじゃないか、このように考えるのですけれども、これは大臣、どうですか。
  86. 堀内光雄

    堀内国務大臣 いろいろの事情があったのだろうと思いますが、私も、この表を初めて見ましてちょっと問題な気がいたしますが、何しろそれぞれに事情があったと思いますから、その担当の方から……。
  87. 林良造

    ○林(良)政府委員 私もすべてつまびらかであるわけではございませんけれども、例えばこれは石油資源開発が主たる株主となって設立している開発会社だろうと思うのですけれども、その際に、石油資源開発の社長である和田社長が兼務をするという形で、実際、給与は多分、全部調べていませんけれども、通常ないはずでございまして、名目上責任者として責任を負うという意味で、石油資源開発が主たる株主となったものについてこういうふうにお名前が出ておるものだと思います。
  88. 石垣一夫

    石垣委員 それは十社から全部給料もらっていたら大変なものです、こんなものは。こんなばかなことはないので、これは、ほかの社長のあれを見ましても、一社から受け取っている。あとは全部、いわゆる今おっしゃったような形です。  それはそれで理解しておるのですけれども、現実に、やはり社長としてはこれは責任者ですから、私は名前を貸しているだけだという社長だったら、要りません、こんなものは。そうなると、やはり社長として冠つけた以上は、経営に責任を持たなきゃいかぬのじゃないですか、これは。私はそこから給与をくれないから名前だけだ、そんなもの、会社がつぶれるのは関係ない、こういうことでは困るわけです、これは実際。
  89. 林良造

    ○林(良)政府委員 何もそういうことを申し上げているわけではございませんで、そういう……
  90. 石垣一夫

    石垣委員 了解。了解、了解。  最後に、先ほど会計検査院から、昭和五十一年に特記事項として、石油公団のいわゆる不良債務の増嵩について、今後もこういうことが予想されるからということで指摘をされておるわけですね。二十一年かかっているわけです、今回は。この指摘事項に対して、石油公団としてこの指摘事項を踏まえてどのように努力されてきたのか。
  91. 小松國男

    小松参考人 先ほど来御説明申し上げておりますけれども、石油公団投融資の結果として、ワンプロジェクト・ワンカンパニーということで会社の数が非常に多くなっているのが現在の実情でございますけれども、実際にそのプロジェクト成功または失敗というような結果がはっきり出て、特に失敗したプロジェクトにつきましては、できるだけ早い時期に会社解散し、手続をとるというのが大事だというふうに思っています。  ただ、あくまでもこれは経営者、特に出資者の意向がまず基本でございまして、出資者自身が、あるプロジェクトについてもうちょっと様子を見たいとか、また状況によっては、今後の債権管理その他も含めて会社を残すことでさらに他へのつながりを求めたいとか、いろいろの事情がございますので、その事情を十分酌み取った上で、石油公団としてもむだな会社を残すということはしない、それから、それぞれ十分理由のあるものについては今後とも残さざるを得ない。  そういうことで、会計検査院の趣旨との関係からいえば、民間とも相談しながら、できるだけ速やかに解散手続を済ませる、そういう方向で努力をいたしております。
  92. 石垣一夫

    石垣委員 五十一年の会計検査院指摘は、今日もその指摘が生きているわけでございますから、今後とも十分それに留意されて、慎重なる経営お願いしたいと最後に要望しておきます。  以上です。
  93. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 石垣一夫君の質疑を終わります。  次に、葉山峻君。
  94. 葉山峻

    ○葉山委員 まず、石油公団に御質問をしたいと思います。  御承知のとおり、石油公団は、石油需要が急騰した一九六七年に、通産省資源エネルギー庁所管の特殊法人として設立されました。当初の名称は石油開発公団と、開発が入っていたそうでありますが、ともあれ、海外に出かけていって新たな原油を掘り当てようということが目的でつくられた特殊法人であるというふうに理解しております。しかし、その後、七三年、それから七九年と二度にわたるオイルショックを経験する中で、備蓄がやはり必要だということから、名称も石油開発公団から石油公団に改められまして現在に至っている。  つまり、石油公団というのは、一つは海外原油開発であり、もう一つは石油の備蓄ということだというふうに理解しております。  ところで、備蓄の方は、第一次オイルショックの時点ではわずか数十日分の備蓄しかなかったというふうに言われていますが、それに比較しますと、現在は民間備蓄が七十七日分、それから公団備蓄が同じく七十七日分、合わせて百五十四日分の石油を備蓄しているというふうに理解しておりまして、今、こういう形になっておるわけであります。  ともあれ、まず総括的に伺っていきたいと思うのでありますが、先ほど御説明もあったわけですけれども、少なくともその一九六七年からことしはちょうど三十年になりますね。ですから、その三十年の間に、再確認の意味で伺うわけでありますが、石油公団探鉱投融資累計は幾らかという問題。  それから、先ほどから言っておりますけれども、石油公団の、解散の結果としての損失処理をしたのが総額幾らになるか、つまり回収不能金ですが、まず、それを伺いたいと思います。
  95. 小松國男

    小松参考人 先生からお話がございましたように、石油公団昭和四十二年に設立されまして、今年度でちょうど三十年を迎えておりますが、その間、二百六十六社への石油探鉱事業に対する融資をいたしまして、その累計が、先ほど来御説明申し上げましたように、一兆七千二百六十一億円ということでございます。  その結果、現在、海外では三十カ国において百二十二社が生産または探鉱活動を実施しておりますし、また、これも先ほど来申し上げておりますように、自主開発原油も二十七万バレルから六十七万バレル・パー・デーにふえた、こういうことでございます。今後はさらに、サハリン、アゼルバイジャン、北海など、新たな開発地域自主開発原油増加を期待していただきたいというふうに考えております。  さらに、公団投資効率につきましても、その効率化を図り、現実には商業発見率が五%、それから発見コストは四・二二ドルということで、後発国としてはメジャーに近い線まで来、また、コストについてはそれに遜色のないところまで国際水準に達しておる、かように私どもは考えております。  以上でございます。     〔委員長退席、大口委員長代理着席〕
  96. 葉山峻

    ○葉山委員 お答えのように、損失処理をしたのは約三千七百二十億、言ってみれば、ちょっとした銀行の回収不能金以上のものを出していることは御承知のとおりでありまして、これは余りにも額が多過ぎるというふうに思うわけであります。確かにリスクも非常に大きい事業ではありますけれども、それにしても、これは税金のむだ遣いではないかという一つの批判が集中するのは無理からぬことと思うわけであります。  なぜこういうことが起きるかということになるわけでありますけれども、一つには、いろいろ考え方はあるわけでありますが、ワンプロジェクト・ワンカンパニー方式というのがいけないのじゃないかというような見方もある。特に、そこにおいて今まで、それが掘り当てられなかった場合はすぐ解散をしてしまう、しかも七割までについては、全部返済する義務がないんだ、こういうことで行われてきているわけでありますから、そういう中では今までの経験も蓄積されないのじゃないか。つまり、探鉱して、そこの中での経験の蓄積があるわけなんだけれども、それが他にはなかなか受け継がれないという意味で、このワンプロジェクト・ワンカンパニー方式が果たしてどうなんだ、こういう考え方もあります。  それから、先ほどの石垣委員の御指摘のように、やはりいわゆる公団が一つのヘゲモニーを握っているということによって、かなり癒着もあって、天下り的な事例も多く見受けられる、そこに問題があるんだとか、いろいろ言われているわけでありますが、このような大きい損失金、三千七百二十億という巨額な回収不能金を出したという事柄について通産大臣はどのようにお考えか、大臣の見解を伺いたいというふうに思います。     〔大口委員長代理退席、委員長着席〕
  97. 堀内光雄

    堀内国務大臣 これは、先ほどからも申し上げておりますが、石油公団必要性という意味におきましては、我が国原油輸入の約八割を中東に依存している、その安定供給確保のためには、各地に資源確保できる体制をつくるということは重要なことだというふうに思っておりますので、公団自体の取り組みの、今の内容についてよりも、その基本の問題については、私は一つの必要性のあるものだというふうに考えております。  ただ、一方では、石油開発が非常に高いリスクを伴うもので、また莫大な資金を要するものでありますから、一般の民間の企業では取り組むことができない、その資金調達のために金融コストを負担し切れないという状態でありましょうから、それを負担できるように石油公団探鉱投融資制度ができている、これまた重要なことだろうというふうに認識をいたしております。  その場合に、成功した場合と不成功の場合というのが、先ほどからの公団説明のように、成功率が五%というような非常に低いものであるということに一つの大きな問題があるのですが、これはやはり掘ってみないとわからないという点が、もちろん十分な探査、調査をした結果で行っていたということを前提といたしますと、その結果が出てくるのは非常に低い率ではありますが、不成功の場合には債務を減免しなければならないということ、これまたやむを得ないことではないかというふうに思うのであります。  でありますから、この問題は、やはり一番私の方でしっかりと御質問の点を受けとめるとするならば、これからの取り組みとしましては、探査、調査あるいはこの決定をする段階において、さらに慎重な取り組みをする必要があるのかないのか、これをさらに検討してまいりたい、そして、できるだけそのパーセントが高くなるようなことができるならば、それを実現させていくようにしなければならない。  今までのところの三千七百億の問題について考えますると、公団からの説明のとおり、やむを得ない結果であったのではないか。同時に、片方における、収入、利益の面においては七千億円というものが計上されているということを考えますと、これをさらに大きなプラスに計上できるような方向というものをさらに考える必要がある面もあるかないか、こういうことも含めて検討してまいらなければならないというふうに思います。
  98. 葉山峻

    ○葉山委員 この問題について会計検査院の報告書を見させていただいたのでありますが、検査、これは昭和五十一年ですか、これを出されたのは。  この問題について、会計検査院としてはどういうふうに思われているか、お答えをいただきたいと思います。
  99. 疋田周朗

    疋田会計検査院長 探鉱投融資事業につきましては、非常に多額の国費が投入される事業でございます。また、非常にリスクも大きいということで、私どもも重要な検査対象の一つであるというように受けとめているわけでございます。  したがいまして、その後の検査に当たりましてもいろいろとできる限りのフォローアップを行ってまいったわけでございますし、また今後におきましても、検査観点あるいは検査方法など、さらに創意工夫を加えながら検査の充実を図ってまいりたい、このように考えております。
  100. 葉山峻

    ○葉山委員 私の与えられた時間は二十分で限られておりますので、以下、日本のエネルギー問題について幾つかの点を御質問したいというふうに思います。  御指摘のように、我が国は八割以上を中東に頼っている。しかも、九九・七%を日本の国内でなく海外に依存しているということは御承知のとおりであります。  そこで、さきの十一月の日ロ首脳会談、クラスノヤルスク会談でも話が出たとされておりますイルクーツク州の天然ガス開発石油公団が関与しているというふうに言われておりますが、どうなっているかということであります。  新聞等で報じられるところによりますと、あのバイカルのほとりからウランバートルを通って中国の北京あるいは韓国というような一つのパイプラインの話も持ち上がっているように報ぜられておりますが、このロシア・イルクーツク州のコビクチンスカヤ・ガス田の計画、今どの辺までその話がなっているのか、また、投資額とかプロジェ クトの概要等を説明願いたい、こういうふうに思います。
  101. 堀内光雄

    堀内国務大臣 今の御質問については、直接通産省としての取り組みではございませんので、公団が行っておりますので、公団の方から御回答申し上げます。
  102. 小松國男

    小松参考人 今先生お話しのロシアのイルクーツク州のコビクチンスカヤ・ガス田のガスでございますが、これは、中国とロシアの首脳の合意によりまして、中国、ロシアが、イルクーツク州のガスを蒙古、中国を経て山東省の石油積み出し港、あの辺まで持ってくるというパイプライン計画について一応合意をいたしております。  ただ、その後、やはりユーザーとして韓国が加わるという話がございますし、また、日本といたしましても、イルクーツク州のコビクチンスカヤ・ガス田を中心とするあの地域の、東シベリアのガスというのは、今後のアジアガス供給の非常に重要な位置を占める、こういうことで、日本といたしましても、そのプロジェクトに参画してガス開発からパイプラインにも参加したい、さらには将来の日本の需要にも備えたい、こういうことで、日本も民間企業、住友商事を初めとして十社程度がこれに関心を持っております。  石油公団としては、それをまとめる幹事役を務めながら、現在、ロシアそれから中国、中国の場合はCNPCで、中国、韓国、日本、この四者で、このプロジェクトがフィージブルかどうか、フィージビリティースタディーをこれから始めよう、こういうことで、これからそのフィージビリティースタディーの相談をするということで協議をだんだんに進めていく、そういう段階でございます。
  103. 葉山峻

    ○葉山委員 残り時間も少ないので、もう一つだけ伺っておきたいと思います。  エネルギー源として、私は、二十一世紀にはやはり太陽エネルギーが主流になってくるのではないかというふうに思っておりますけれども、しかし、当面は何とかしのいでいかなければいけない。先ほどお話があるような天然ガスの問題とか、あるいは、いわゆる中東だけに頼らず石油資源についても当然考えていかなければならないと思うので、もう一つだけ伺いたいと思います。先ほどから出ているカスピ海周辺国における石油天然ガス開発動向について伺っていきたいというふうに思います。  私も数年前にこのカスピ海沿岸のバクーという町を訪れました。あそこは、天然ガスももちろんでありますが、非常に石油資源の豊富なところであります。しかも、ゾロアスター教というか、排出ガスの昔からあったような一つの歴史的なところでありますけれども、私が訪れましたソ連政権当時は、第一次大戦当時に比べると十分な開発が行われていなかったと思うわけであります。しかし、最近は関心が非常に高まってきておりまして、しかも、サウジアラビアが約二千三百バレルですか、そういうことで、イランとかイラクとかそういうところは約一千万バレルですか、ともあれ、そういう中では、あの地域が約二千億バレルに匹敵する埋蔵量を持っているというふうに言われているわけであります。  したがって、この地域において、輸送路の問題もありますけれども、そういうことで今どうなっているのか、また、今後の見通しについて最後に伺っておきたいというふうに思います。
  104. 小松國男

    小松参考人 今先生お話しのカスピ海周辺でございますが、これはアメリカ国務省の発表によりますと、二千億バレルの埋蔵量が期待されるということで、実際は、現在の確認埋蔵量は非常に小さいわけでございます。これは今後の予想でございますので、実際にどれぐらいあるかというのは、今後、探鉱が行われ、開発が行われて確認埋蔵量が決まってくるということでございます。  いずれにしても、先ほど先生がお話しのように、旧ソ連に入っておりましたころは、あの地域は、ロシアまたはウクライナに向けてガス供給するということで非常に限定された生産しかされておりません。現在、旧ソ連邦が崩壊して、中央アジア各国それぞれ独立をいたしまして、独立国として、石油ガス資源をベースにして独立を図る、こういうことで国のポリシーが決まっておりまして、そのためには外資を導入しようということで、外国勢に対して門戸を開放して、現在その探鉱開発が進められてきている状況です。そういう意味で、旧ソ連邦にかわって、むしろアメリカ、ヨーロッパ、さらには中国を含めたアジアの国営石油会社も含めまして、この地域に現在、利権獲得のために各国が殺到しているというのが実情でございます。  日本といたしましても、私ども石油公団も、旧ソ連邦解体後、できるだけこの地域石油ガスに対して我々としても参画をしたいということで、一九九四年に石油公団はカザフスタンと地質構造調査契約を結びまして、鋭意、地質構造調査はやっております。  あと、あそこはやはり、カザフスタン、アゼルバイジャン、トルクメニスタン、この三カ国が石油ガスの埋蔵量の期待される国でございます。アゼルバイジャンについては、日本の民間会社が既に国際コンソーシアムに権利を獲得して参入をいたしております。  そういうことで、カザフスタン、トルクメニスタン、アゼルバイジャンについては、石油公団民間企業一体となって、この地域での利権獲得競争におくれないようにということで現在努力をしているというのが実情でございます。
  105. 葉山峻

    ○葉山委員 以上で終わります。
  106. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 葉山峻君の質疑を終わります。  次に、中林よし子君。
  107. 中林よし子

    ○中林委員 日本共産党の中林よし子です。  まず最初に、去る十一月二十八日に、国会の証人喚問で泉井純一被告が、一九九一年から九五年にかけて、現在の自民党政調会長の山崎拓氏に二億七千八百万円を献金し、うち二億円は渡辺美智雄元副総理に向けてであったことを認めました。その上、その原資が三菱石油から出たこと、また、ベトナムでの油田開発に関心を持つ三菱石油の当時の山田菊男社長を渡辺元副総理に紹介したこと、泉井氏自身も、ベトナムを訪問する際、渡辺氏から相手政府高官への紹介状をもらったことを認める証言を行いました。  そこで、私どもの調査によれば、泉井被告はベトナムに、一九九三年十一月一日から十一月五日まで、それから九四年の三月十四日から三月十七日まで滞在、それから九四年六月十八日に入国し、六月二十四日に出国、それから同じく九四年の九月十一日入国し、ちょっと出国は不明です。それから九五年三月十二日入国し、これもちょっと出国は不明となっております。  この間、泉井氏が日本ベトナム石油株式会社の現地事務所を訪問したという報道もあるわけですけれども、その事実がおわかりでしょうか。石油公団の答弁を求めます。
  108. 小松國男

    小松参考人 今先生お話しの、日本ベトナムに泉井さんが立ち寄ったかどうかという問題でございますが、これは本来、投資企業事業活動として公団がこれに立ち入るべき性格のものでございませんし、石油公団自身がお答えする立場にはないというふうに私は考えておりますけれども、先生からの要請を受けて、私どもの関係者が、差し支えなければということで日本ベトナム会社に問い合わせましたところ、九三年の十一月に同社のベトナム事務所に立ち寄ったことがあるという報告だけは受けております。  以上は、御連絡ということで申し上げさせていただきます。
  109. 中林よし子

    ○中林委員 ということになれば、この日本ベトナム石油株式会社との関係というのが極めて濃厚になったというふうに思います。  そこで、泉井被告から山崎氏への献金というのが、九一年十月十四日に一億円、そしてその直後に、九二年二月三日に山崎氏と三菱石油首脳の会談がセットされている。それから、同年五月六日に山崎氏とベトナム首相との懇談が報道され、翌六月に三菱石油がベトナム沖の十五-二鉱区開発権を落札しております。翌月七月七日には山崎 氏に五千万円が献金されており、八月には日本ベトナム石油株式会社設立されております。九三年七月一日に山崎氏に五千万円が献金され、同十一月一日に泉井氏がベトナムを訪問以後、先ほども述べました五回のベトナム訪問があります。三菱石油のベトナム石油開発事業の節目節目に効果的な献金が行われているというのが、この事実からもおわかりだと思います。三菱石油が何の見返りもなく巨額の献金を提供したとはとても考えられません。  泉井被告が検事の取り調べに対する供述を記録した備忘録、これに少し写しを持ってきているのですけれども、この備忘録によりますと、そこでも、検察当局が、昨年の十二月十五日、稲川検事が、ベトナム油田に関する円借款、石油公団出資鉱区開発並びに油田開発成功等について調べたというメモ書きがあります。  それから、ことしの一月二十日、これは佐々木検事が、ベトナムの三井鉱山株式会社のタンク、ちょっと中略しますけれども、ベトナム、マレーシアの渡航記録を検事より提示されメモして終了という記録がありますし、また、四月二十一日、稲川検事の取り調べに調書十六枚サインとなって、三菱石油、ベトナム油田鉱区獲得のため渡辺代議士に依頼度大と見て総裁選用資金一億円用意、山田社長同席、三年十月十四日渡す。  中略しますが、渡辺、二千万円お礼として持参した旨山崎から後日知らされる。また、一千万円以上の政治献金は、例外はあるかもしれないが、ほとんど三菱石油のエージェントとしての泉井からのものの献金であるというような、ちょっと抜き出しの発言でございますけれども、極めて、検察側の調書にも、泉井被告が政官工作をやっているということを調べているのではないかと推測されるところがあります。  ところで、日本ベトナム石油株式会社への出資投資、これは石油公団から現在時点でどれくらい行われておりますか。
  110. 小松國男

    小松参考人 先生指摘の日本ベトナム石油株式会社探鉱事業に対しまして、平成四年十月に投融資事業として採択いたしまして、今年十一月末まででございますが、出資が六十四億円、融資が九十億七千九百万円、合計で百五十四億七千九百万円の融資を行っております。
  111. 中林よし子

    ○中林委員 今お聞きになったように巨額な公的資金が投入された事業に不明朗な工作が行われたとしたら、極めて重大なことだというふうに思います。  それから、これまでの各新聞などの報道で、通産省出身の石油公団理事だとか部長級幹部が泉井被告からたびたび都内の料亭やホテルで接待を受けているということだとか、資源エネルギー庁の幹部も百万円以上の単位で接待を受けているとか、そういうことを東京地検が調べているという報道がありまして、ただ、贈収賄罪には立件し得なかったということで刑事事件にはなっていないわけです。  しかし、こういう一連の事実を見て、金の力で三菱石油側に便宜が図られたのではないか、こういうことが行政をゆがめたのではないか、政治家がどう動いたのかとかというようなことが、これまで泉井被告はマスコミなどではいろいろしゃべっておりましたけれども、今回、国会の証言で初めてこういうお金のやりとりがあったことを認めました。  そういう意味では、ぜひ大臣にお伺いしたいと思うのですけれども、真相究明というものは、刑事事件にならなかったからといってほごにされるのではなくして、しっかりと政治的、道義的責任というものを明らかにすべきではないかというふうに思うのですけれども、いかがでしょうか。
  112. 堀内光雄

    堀内国務大臣 三菱石油が中心になって設立をいたしました日本ベトナム石油株式会社への石油公団探鉱投融資というのは、石油公団において、経済的、技術的観点から厳正な審査を経て対象探鉱事業として実行されていると報告を受けております。  なお、泉井氏と当省の職員の接触の問題につきましては、昨年の十二月に、綱紀の観点から、幅広くかつ厳正に調査が行われたところでありまして、その結果については、職務にかかわる具体的な依頼事をされたとする者はおりませんでして、泉井氏との接触により行政がゆがめられたことはなかったと、佐藤前通産大臣からしっかり引き継いでおります。
  113. 中林よし子

    ○中林委員 みずからの調査の中ではそういう事実がなかったという報告はこれまでもされているわけですけれども、改めて泉井被告の国会証言を聞けば、やはりその裏には金でゆがめられたという疑いが残らざるを得ないということを指摘して、次に移りたいと思います。  そこで、ちょっと天下りの資料をお配りいただきたいというふうに思うのですが。
  114. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 はい、配りました。
  115. 中林よし子

    ○中林委員 済みません。  石油自主開発事業ということで、マスコミなどでも、油田開発成功率が低いのは無理もないが、開発資金の七割を投資融資対象にしながら、失敗したら民間は返済しなくてもいいという気前のよさが甘さを生んだ、こういう指摘もあります。  また、開発会社通産省石油公団のOBの天下り天国になっておって、先ほども指摘されておりましたけれども、開発会社に天下った通産OBの中には一人で八社の役員を兼ねる人物もいた、そういうことも言われております。  私どもが関係労組の協力を得て調査をしたところ、今お配りしたとおり、石油会社に天下った通産省のいわゆるキャリア組は、十一月現在で十三名に上っております。この中には、先ほどもほかの委員から指摘があった和田さんという方もいらっしゃるし、一番最初の徳永さんなどという方は石油公団総裁もされておったというようなことで、通産省は、自主開発原油必要性を説くことで、大蔵に差配されることのない税金で多数のプロジェクトカンパニーを設立して、二段構えの天下り先を生み出してきた、こういう報道もあるわけです。  こういう構造が癒着や不正を生み出しかねないというふうに思うのですけれども、天下りの厳正な自粛、これをやるお考えはありませんでしょうか。
  116. 稲川泰弘

    稲川政府委員 石油公団投融資審査につきましては、経済的、技術的観点から厳正中立に実行をしてまいっておりまして、対象となる石油開発関係企業幹部の出身によりましてこれがゆがめられることはあり得ないというふうに考えてございます。  それから、一部の石油開発会社に当省出身者が就職をしておりますのは事実でございますが、これは、各人の個人としての見識、行政経験、国際感覚などを会社側が評価し、それぞれの職に就職をしているものでございます。  なお、これら営利企業への再就職は、行政の中立性を損なうことのないように、国家公務員法上の厳格な規制のもとに行われているところでございます。
  117. 中林よし子

    ○中林委員 会計検査院にお伺いしたいというふうに思うわけですけれども、会計検査院検査をした報告は先ほどもありました。ただ、検査数というのは、海外でやった分ですね、平成七年ゼロ、平成八年十二人目、平成九年十二人目。会社数としては、平成七年四社、平成八年三社、平成九年十社、合計十六社というふうになっているわけですけれども、現在動いている会社が百四十四社ということになれば、極めて少ない数だと言わざるを得ないのです。今後、日本法人がオペレーターになっている事業だけということではなくして、かなりリスクを伴い、公的資金が投入されているのですから、どこにお金が行っているのかわからないということのなきように、会計検査院の体制を強化されるお考えはないでしょうか。
  118. 疋田周朗

    疋田会計検査院長 私ども会計検査院といたしましても、石油探鉱投融資事業につきましては非常に重要な検査対象であると受けとめているところでございまして、旧来からもそういったこと で鋭意検査に取り組んできているわけであります。  また、探鉱投融資以外のいろいろな、各省庁あるいは公団事業団などで非常にたくさんの事業をやっておられるわけでございまして、私どもといたしましても、限られた要員の中でさらに検査の手法などに工夫を凝らしながら、今後鋭意適切な検査を行っていくように努めてまいりたい、このように考えております。
  119. 中林よし子

    ○中林委員 質問時間が終わったのですけれども、最後に大臣に、先ほどからも言われておりますけれども、会計検査のあり方、天下りの問題それから情報開示の問題などでやはり明朗な石油公団であってほしいというふうに思うのですけれども、その点についての御回答をいただいて、終わりたいというふうに思います。
  120. 堀内光雄

    堀内国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたように、これからの公団のあり方といたしましては、ディスクロージャーをしっかりする、あるいは監査の問題をしっかりと対応するというようなことで、かりそめにも不信感を持たれるようなことのないように、しっかり取り組みをしていくように指導をしなければいけないと思っておりますし、天下りの問題その他につきましても、国民の皆様方に御理解いただけるような公正な形の中で厳正に行っていくというふうに考えておりますので、一概に天下りがいいとか悪いとかいう問題では解決ができないだろうというふうに思っております。その点は、委員先生の御意見をよく受けとめまして、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。
  121. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 中林よし子君の質疑を終わります。  以上で各党を代表する委員質疑は終了いたしました。  これより自由質疑を行います。  この際、委員各位に申し上げます。  質疑のある委員は、挙手の上、委員長の許可を得て発言されますようお願いいたします。また、発言の際は、所属会派及び氏名をあらかじめお告げいただきたいと存じます。  なお、一人一回の発言は三分以内で簡潔にまとめていただくようにお願いいたします。  質疑のある委員は、挙手をお願いいたします。
  122. 穂積良行

    ○穂積委員 自民党の穂積でございます。  石油公団探鉱投融資総額一兆七千億円余り、そして、そのうち欠損累計が既に三千七百二十億円、そして配当利息等収入が七千七十億円、こういう数字ですね。その欠損の実際としては、これはもっと詰めれば実は相当あるのではないか。国民の税金をぶち込んだ石油公団事業が、探鉱事業成功率が五%といいます。そういう非常に難しい仕事だということはわかりますが、企業として見た場合、投資効率とした場合に、一兆七千億円余りの投資の結果もたらされる事業収入というものがこんなものでいいのかという感じは私は持っております。  その疑問の一つは、本当に有効に効率的に探鉱事業が行われているかということでありまして、そのときに、累計二百六十六社という会社、うち百四十四社がもう既に整理されて、さらに百二十社余りやっているということがある。それぞれ、メジャー初め国内の大石油資本をバックに、大商社も背景にあって探鉱事業をやっているのでしょうけれども、こんなに細かく会社が分かれて、地区ごとに総務部門それから技術部門、それぞれ備えて、当たったら結構だがだめだったらそれで解散というようなことを繰り返しているというそのシステムが、本当にこれでいいのかということを私はまず小松参考人にお伺いしたい。  さらに、企業経営の御経験豊かな堀内通産大臣に、この辺、探鉱事業というものについて、国が肩入れするからには、本当にこのようなことで効率的な探鉱への国策が遂行されているかどうかについて、御両所にお伺いしたいと思っております。
  123. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 では、小松参考人、簡潔にお願いします。
  124. 小松國男

    小松参考人 今先生石油公団探鉱投融資対象事業の収益状況、権益状況がこれでいいのかという御質問だというふうに思います。  実は、ちょうど石油公団ができて、それからさらに実際の探鉱投融資が始まった第二次石油ショック後、石油の値段が非常に下がったのですが、当時の円レートが大体三百円から二百五十円、こういう時代に対外投資が行われています。それが、実際に回収に入った段階では百五十円、さらにはつい最近は百円を割るというような、そういう意味で、大体、レートがまず半分になりました。というのは、油を円に換算した場合に、本来もらう手取りの半分しか手取りができない。  それから一方、油の値段は、当時大体三十ドル前後、これは将来四十ドルとか上がるだろうと言われておったのが、実際にはこれも大体十五ドル、今は十七、ハドルと若干戻っておりますが、一番低いときは十五ドルを割るような状態になった、こういう意味では油も半分です。  そういう意味では、本来経営者として投資をし収益が上がると思った中東地域の、例えばジャパン石油開発、こういうようなところも、もし同じことをやっておってもBP、トタールは膨大な利益を実は上げているわけですが、日本勢は、油の値段は確かに同じですけれども、為替レートで事業収入が半分に減ってしまう。  こういう会社が実は、会計検査院からも指摘されたように、今経営状態が非常に悪いじゃないか。過去の債務を全部今抱えておりまして、石油公団がもし民間の銀行であれば、これは債務は早くおろしてやって軽くしてやれば今はもういいのであるとか、石油公団自身が財政資金を持っておりますので、できるだけ返済の可能性があるものは資産という形で石油公団の中にとどめ置くという形をとっております。  それから、利子については、さらに利子が利子を生むという格好で利子加算も行っておりまして、そういう形で、当時開発事業として非常に傷ついた石油開発企業は相当の重荷を背負っておるし、しかも、石油公団制度の減免というのは、実際には返済の延長と金利の一部棚上げはやりましたけれども、あとは全部減免しておりません。  そういう形で全部背負っておりますので、バランスシートとして見た場合に、非常に厳しい会社が今でも何社かある。しかし、その会社は、実際には開発原油を日本に、ジャパン石油の場合はアラビア石油より多い油の量を日本に持ってきている。しかも、今までそういう意味で、日本は二、三年前までは非常に円高のあらしの中で、それから油が安いということで、非常に皆さん苦労したのですが、ここ三年ぐらいを見ますと、油の値段が大体十七、八ドル、場合によっては二十ドル近く戻ってまいりました。それからレートの方も、百二十円を超して、今大体百二十七円とか八円。こういう状況で、現在はジャパン石油でも、個々の年次で見ますともう完全に収益は黒字で、相当石油公団に、例えばジャパン石油はことしも百億返済するというような形で、非常に膨大な財務改善が行われております。  そういう状況ですので、過去十何年、メジャーはそれがなかった、日本の開発企業だけが十数年にわたって非常に厳しい状態、この結果を背負っているのが今の状況ですので、私も、今の収益とか経営状況には満足しておりませんけれども、これは単に経営者が悪かった、それから探鉱投融資の仕方が悪かったのではなくて、やはり一番大きいのは油価と為替ではなかったか。  特に国際的に違う点は、日本がヨーロッパ企業とかメジャーがいいのと違うのは、まさに円高という形で収益をほとんど半分に減らしておる、これが要因だと思います。ですが、過去のことを余り言って、だからいいのだと申し上げる気持ちはございません。ここ二、三年、非常によくなってきております。  それから、新しいプロジェクトもここへ来て出てきておりまして、採算性のとれるプロジェクトがむしろふえてきておりますので、これからの何年かに過去のそういう傷を治し、それから新しい プロジェクトに取り組んでいける、石油公団としてはかように考えております。
  125. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 では、最後に堀内通産大臣に。
  126. 堀内光雄

    堀内国務大臣 今の御質問の中で、プロジェクトごとに、あるいは国ごとに事業会社設立する方式というのは、欧米の国際石油資本等においても、機動的な事業運営、相手国の法律上の制約、収支の明確化というような意味から、広く採用されているようでありますが、これは一つの方向として、誤ってはいないのではないかと思います。  したがって、私どもの国の場合におきましても、ワンプロジェクト・ワンカンパニー方式というのが一般に採用されていること自体は、石油開発会社が国際的に比較して大規模な会社に日本の場合育っていないことの主要な原因とは必ずしも思わないのであります。  ただ、先ほどからの質疑の中で私も感じておりますことは、これはよその先生方から出された資料をもとにして申し上げたのではまことにあれなのですが、一年の間に、六十三年に七つも八つものプロジェクトがスタートするというようなことは、限られた人材、資材をもってする公団としてはちょっと手を広げ過ぎた面もあったのではないかなというような印象を受けまして、やはりもう少し焦点を絞っていくということが必要ではないかというような感じがいたしました。  あとは、我が国石油開発会社の国際競争力の向上ということにかんがみますと、石油開発会社プロジェクトの実践を通じて人材を育成をしたりノウハウを蓄積するとともに、成功プロジェクトの積み重ねによって資金力を強めていくことが必要だと思います。それには、やはり会計上の処理、こういうものを規則をもっと一般的にわかるようなものにして、ディスクロージャーとともに、そういう点を少し明確にしながら、決して今までの処理その他が誤っているとは思っておりませんし、誤りなき処理をいたしておるということはわかりますが、ちょっとわかりにくい面が多いのではないかというふうな感じがいたします。  通産省としましては、探鉱投融資制度を通じた資金面での支援のみならず、海外地質構造等の調査による優良鉱区獲得支援技術開発等もあわせて、石油開発政策を総合的に推進してまいる所存でございまして、国際競争力のある石油開発会社が成長していくことを期待している次第です。
  127. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 それでは、草川君で終わりにしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  128. 草川昭三

    ○草川委員 新進の草川です。  通産省所管の新エネルギー・産業技術総合開発機構、略称NEDOの交付した補助金の問題についてお伺いしたいと思うのです。  ここに泉井純一被告が記した備忘録の写しがあるのですが、これを見ますと、泉井被告が平成四年から七年にかけて三井鉱山側と炭鉱の閉山対策問題について話し合ったと思われる記述があります。文脈から見ますと、三井三池炭鉱の閉山について話し合ったことがうかがわれるわけです。  内容を具体的に申し上げますと、備忘録には、平成七年五月十五日、三井鉱山側が泉井被告に対し、閉山対策の謝礼として二十億円を支払う旨の話をしたと思われる記述があるわけです。また、平成七年の五月三十一日に、泉井被告が三井鉱山の中野副社長、上妻石油部副部長と思われる人物と副社長室で会談し、閉山対策の協力依頼を受けたことがうかがわれる記述も掲載されております。この閉山対策に関する一連の経緯については、泉井被告は担当の検事に六枚のメモにしてこれを提出したということも、備忘録に記されています。  周知のように、その後三井三池炭鉱は閉山をしまして、同炭鉱には、閉山にかかわる炭鉱整理促進費補助金が新エネルギー・産業技術総合開発機構、いわゆるNEDOから交付をされています。このNEDOについても、備忘録に記載があるのです。  しかし、このような不明朗な経緯が被告の記述によって明らかになったことを、私どもは見逃すわけにはまいりません。いわゆる交付金自体の妥当性が疑わしいわけであります。九年度では百二十二億という交付総計額が出ております。会計検査院に対して厳重な検査をすべきであると私は要求したいと思いますが、院長の見解をお願いしたい。  また、通産大臣質問をしますが、国民に疑惑を持たれるような補助金の交付はあってはならないと思います、これは当たり前のことでございますが。徹底した内部調査を行うべきと考えますが、大臣の御見解を賜りたい。これが一つ。  もう一つ、同時に、通産省はこの補助金に関する詳細な説明資料を当委員会に提出していただきたい。この点もあわせて、大臣から二問、御答弁を願いたい。  以上です。
  129. 疋田周朗

    疋田会計検査院長 ただいま御指摘の点につきましては、会計検査という立場でどのように対応していくべきか、よく検討させていただきたいと思います。
  130. 堀内光雄

    堀内国務大臣 補助金の性格、内容というものでございますから、エネルギー庁長官からちょっと御説明をさせるようにいたします。
  131. 稲川泰弘

    稲川政府委員 閉山にかかわります交付金は、御指摘のように、今まで百二十二億円を支出してございます。  ただ、本件につきましては、昨年の十一月のころに、三井三池の閉山にかかわる泉井の働きかけという趣旨での新聞報道があったこともありまして、当時、関係者に確認をいたしましたが、働きかけが行われたという事実はなかったというものが一つございます。  それから、昨年の十二月に、当省幹部職員と泉井氏との接触につきまして、綱紀の観点から、先ほど大臣が申し上げましたように幅広く調査を行いました。その結果は、泉井氏から職務にかかわる具体的な依頼事をされた者はなかったということでございます。  さらに、昨年の十一月八日に、三井鉱山が本件も含めた記者会見を行ってございますが、三井三池の閉山に関連をして、泉井から通産省への便宜取り計らいの申し出があった、しかしこれは断ったというふうに明言をいたしてございます。  それから、閉山交付金につきましては、必要があれば、資料はもちろん御指示により提出をいたしますが、閉山会社の個々の社員の勤続年数でありますとか石炭生産量などの具体的数値から算出をして出す交付金でございまして、この中に裁量の余地が働く部分はございません。そういった性格のものであることを御説明申し上げたいと思います。
  132. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 それでは、資料は出していただけますか。
  133. 稲川泰弘

    稲川政府委員 御指示に従います。
  134. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 それでは、資料は御提出ください。
  135. 堀内光雄

    堀内国務大臣 ただいまエネルギー庁長官から御説明を申し上げたとおりでございまして、資料については、当委員会に提出をさせるようにさせていただきます。
  136. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 では、予定した時間も参りましたので、本日の質疑はこの程度で終了することといたします。  次回は、来る十日水曜日午前九時二十分理事会、午前九時一二十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時十八分散会