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1997-11-26 第141回国会 衆議院 決算委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十一月二十六日(水曜日)     午前九時三十分開議 出席委員   委員長 冬柴 鐵三君    理事 高市 早苗君 理事 浜田 靖一君    理事 原田昇左右君 理事 穂積 良行君    理事 大口 善徳君 理事 笹木 竜三君    理事 葉山  峻君 理事 佐々木憲昭君       大野 松茂君    熊谷 市雄君       佐藤 静雄君    佐藤  勉君       阪上 善秀君    下村 博文君       田邉 國男君    山口 泰明君       草川 昭三君    若松 謙維君       佐々木秀典君    中林よし子君       堀込 征雄君    前田 武志君       武村 正義君  出席国務大臣         農林水産大臣  島村 宜伸君  出席政府委員         林野庁長官   高橋  勲君  委員外出席者         会計検査院長  疋田 周朗君         会計検査院事務         総局次長    森下 伸昭君         会計検査院事務         総長官房総務課         長       船渡 享向君         会計検査院事務         総局第四局長  牛嶋 博久君         決算委員会調査         室長      天野  進君     ————————————— 委員の異動 十一月二十六日  辞任         補欠選任   熊谷 市雄君     阪上 善秀君   滝   実君     大野 松茂君   仙谷 由人君     佐々木秀典君   前田 武志君     堀込 征雄君 同日  辞任         補欠選任   大野 松茂君     滝   実君   阪上 善秀君     下村 博文君   佐々木秀典君     仙谷 由人君   堀込 征雄君     前田 武志君 同日  辞任         補欠選任   下村 博文君     熊谷 市雄君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  歳入歳出実況に関する件(国有林野事業に関  する問題)      ————◇—————
  2. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 これより会議を開きます。歳入歳出実況に関する件、特に、国有林野事業に関する問題について調査を進めます。本日は、国有林野事業に関する問題について、農林水産大臣及び会計検査院長より説明を聴取した後、質疑を行うことといたします。質疑は、まず、各党を代表する委員が順次質疑を行い、その後、各委員が自由に質疑を行うことといたします。  なお、御発言はすべて着席のままで結構でございます。  それでは、まず、農林水産大臣より説明を聴取いたします。島村農林水産大臣
  3. 島村宜伸

    島村国務大臣 国有林野事業現状及び抜本的改革方向につきまして御説明申し上げます。我が国国有林は、森林面積二千五百万ヘクタールの約三割に当たる七百六十五万ヘクタールを占め、その大部分は我が国脊梁山脈にあり、国土保全水資源涵養などの上で重要な役割を果たしております。  そもそも国有林野事業昭和二十二年に独立採算制により特別会計のもとでスタートし、その後、例えば高度成長期には拡大した需要に応じた木材供給を行うなど、それぞれの時代の要請にこたえて、国民経済の発展に大きく貢献してまいりました。  財務状況につきましては、昭和三十年代から四十年代にかけては、木材価格が堅調であったことから黒字で推移しました。しかしながら、昭和三十九年に木材輸入が完全自由化された後は、輸入材の増大により木材価格が低迷していること、間伐材需要が減少してきたことなどから、我が国林業経営悪化林業従事者高齢化などのさまざまな問題に直面していく中で、特に国有林につきましても、戦時中や戦後の高度成長期において旺盛な木材需要にこたえて大量伐採を行ったため、伐採適齢期に達した森林が減少してきたことなどから、昭和五十年代に入って急速に収支悪化してきました。  これに対して、独立採算制という枠内で、収入不足財政投融資借り入れで補いつつ、経営改善を図るため、昭和五十三年に国有林野事業改善特別措置法を制定し、ピーク時に八万九千人いた要員を、新規採用を抑制し退職者大半を補充しないという方法により、今日、一万五千人にまで縮減してまいりました。また、財投借入金金利の一部を一般会計繰り入れ対象にするなど一般会計からの支援を徐々に拡充し、経営改善のため最大限の努力を行ってまいりました。  しかしながら、木材価格はその後も低迷する一方、伐採適齢期に達した森林も減少を続け、収支は一向に改善しない状況にあります。  平成八年度の収支構造を見ますと、歳入のうち信入金が約三千百億円と全体の五八%を占めており、また、歳出のうち利子支払いが約千八百億円、償還金が約千二百億円、合計約三千億円と全体の五四%を占めております。この結果、ここ数年は債務残高が毎年二千億円ずつ増加し、平成八年度末には三兆五千億円に達しているところであります。その中には八・五%というような高金利時代借入金も残っており、平均金利は五・二%と金利負担が重荷となっております。この状態をこのまま放置しておけば、ますます債務が累増し、事態が一層悪化する懸念があります。  また、森林の手入れをしないで放置した場合には、日当たりや風通しが悪くなり、下草が生えないため、肥沃な土壌が流出したり、樹木が病虫害に侵されやすくなるなど、森林の持つ国土保全水資源涵養などの機能が低下してしまうおそれもあります。  このようなことから、農林水産省といたしましては、国有林を的確に整備国有林野事業使命を果たすためには、抜本的な改革が必要と考え、今回の改革案を提示したところであります。  改革の第一が、森林整備方針転換であります。これまでの国有林経営は、主として木材生産に役立つ山づくりを行ってきましたが、今後は、国民の要望にこたえ、国土保全水資源涵養保健休養の場の提供などの公益的機能の発揮に重点を置いて森林整備を行うこととしております。  改革の第二が、独立採算制の廃止であります。今回、森林整備方針転換に伴い、木材販売収入などにより森林整備のための費用を賄うという独立採算制は廃止し、森林整備のために必要な所要の経費一般会計で賄うことが必要であると考えております。  改革の第三が、組織要員削減合理化であります。組織については、本庁二部を一部に、十四の営林局・営林支局を七のブロック単位組織に、二百六十四の営林署を九十八の流域単位組織に再編することとしております。  また、要員につきましては、国の業務を、保全管理森林計画治山など民間では担えない業務に限定するとともに、伐採造林等事業実施は全面的に民間に委託することにより、平成八年度末一万五千人を平成十五年度末には三分の一程度に縮減することとしております。今後、職員労働組合の理解と協力を得ながら実施してまいりたいと考えております。  改革の第四が、累積債務処理であります。これは、組織要員の徹底した合理化などぎりぎりの自助努力を行った上で、国有林野事業で返済できる債務はみずから負い、これを超える債務一般会計負担をお願いするという考え方を基本としております。  具体的には、平成十年度末約三兆八千億円に達すると見込まれる累積債務について、林野、土地売り払い、林産物販売等自助努力により今後三十五年間に返済し得る約五千億円の債務国有林野事業特別会計負担し、これを超える約三兆三千億円の債務一般会計に承継していただきたいと考えております。さらに、三十六年後から五十年後までの間に、伐採適齢期を迎えた林産物販売等自助努力により国有林野事業特別会計から一般会計に五千億円を繰り入れることとしております。  この累積債務処理に際しましては、財投借入金について金利軽減措置が必要と考えております。  農林水産省といたしましては、国民共通の財産である国有林を健全な姿で次世代に引き継ぐためには、いっときも早く累積債務を本格的に処理することが必要と考えております。  以上をもちまして、国有林野事業現状抜本的改革方向に関する説明を終わります。何とぞよろしく御審議のほど、お願い申し上げます。  ありがとうございました。
  4. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 次に、会計検査院長より説明を聴取いたします。疋田会計検査院長
  5. 疋田周朗

    疋田会計検査院長 本日の御審査は、林野庁所掌国有林野事業特別会計に関する問題についてということでございます。  会計検査院といたしましては、国有林野事業特別会計が膨大な累積債務を抱えていることにかんがみ、従来から重要な検査対象の一つと位置づけ、鋭意検査に取り組んできているところであります。そして、これまでに国有林野事業経営の問題を含めさまざまな予算執行上の問題点指摘し、当局に改善を求めてきたところであります。  それでは、会計検査院が行っております国有林野事業特別会計検査概要につきまして御説明いたします。  まず、資料の一ページでございますが、検査観点でございます。  国有林野事業財務状況は、平成八年度末で累積欠損金が一兆六千百四十三億円、債務残高が三兆五千二百二十七億円に達し、経営環境はますます厳しくなっております。したがいまして、国有林野事業経営実績を分析して、経営悪化原因を究明するとともに、収入確保及び支出の抑制を図る観点から、収入の面では林産物販売収入支出の面では造林事業林道事業等について重点的に検査しております。  次に、資料の二ページでございますが、検査実施体制についてでございます。  林野庁検査につきましては、第四局上席調査官農林水産担当実施しております。このうち、国有林野事業特別会計検査に従事している職員は五名でございます。また、検査実施状況でございますが、国有林野事業特別会計検査にかかる人日数は、過去三年間をとってみますと、年間三百人目から五百人目程度となっております。  次に、検査方法でございますが、これは三ページでございます。  国有林野事業特別会計収入につきましては、素材等販売契約は適切に行われているかなどについて、各営林署で作成している予定価格調書等により検査いたしております。また、支出につきましては、造林事業等に係る請負契約予定価格算定等は適切なものとなっているか、林道工事等の設計、積算及び施工は適切に行われているかについて、関係書類調査検討したり、現地を確認するなどして検査しております。  続きまして、検査報告に掲記した事項についてでありますが、お手元に配付しました資料の四ページ以降に示しております。  国有林野事業経営収支状況を取り上げたものとしては、特に掲記を要すると認めた事項として、昭和五十年度、六十年度及び平成七年度の三度にわたり検査報告に掲記してきております。また、不当事項等指摘金額は、昭和六十一年度から平成七年度までの十年間で、特別会計が一億六千七百九十六万円、一般会計が二億一千八百四十三万円で、合計三億八千六百三十九万円となっております。  これらのうち、平成七年度の国有林野事業経営に関する特記事項と六年度の社会保険料等に関する処置要求及び意見表示事項について、その概要説明させていただきます。資料の八ページでございます。  まず、平成七年度に特記事項として掲記した国有林野事業経営についてでございます。林野庁では平成三年七月に現行の改善計画を作成しておりましたので、その推進状況等について、国有林野事業全体と営林署単位の両面から調査いたしました。  その結果、国有林野事業全体の経営状況につきましては、自己収入大半を占める林産物収入が減少する一方、職員給与経費等収入に対する比率は上昇しておりました。また、森林整備保全管理等のため必要な投資額多額となっておりました。このため、借入金が増加し、その償還及び支払い利子も増加の一途をたどっている状況でありました。また、営林署経営状況につきましては、外材と競合することのない木曽ヒノキなどの樹種を多く保有している営林署収入超過外材価格影響される杉などの樹種を多く保有している営林署支出超過となっておりました。また、調査した営林署では、その収入の約九〇%が木材生産林からのものとなっており、公益林からのものは少額となっておりました。一方、公益的機能確保等の必要から、公益林に係る造林林道投資額多額に上っておりました。  このように、国有林野事業は、経営改善を推進する上で困難な事情を抱えており、このまま推移すると、平成十二年度までに経常事業部門借入金依存から脱却し、二十二年度までに事業収支の均衡を回復し経営健全性確保するという目標の実現が困難となるおそれがあると認められました。つきましては、公益林に係る経費が明確に把握できるような方途を講じ、その財源のあり方を総合的に検討することなどにより、事態改善が図られることが望まれる旨を掲記しております。  次に、資料の十一ページでございますが、平成六年度に処置要求事項及び意見表示事項として掲記いたしました国有林野事業素材生産及び造林請負化に伴う社会保険料等についてでございます。  林野庁では、素材生産事業等森林組合等に請け負わせて実施しておりますが、その予定価格積算に当たっては、保険料及び共済掛金事業主負担額を、現場作業員の全員が加入しているものとして算定しておりました。しかし、調査したところ、社会保険等適用除外者等について事業主負担額積算していて積算が過大になっていたり、加入すべき者を加入させておらず、積算で見込んだ経費が効果を発現していなかったりしているものが見受けられましたので、処置要求及び意見表示を行ったものでございます。  以上、会計検査院検査概要について御説明いたしましたが、会計検査院といたしましては、国有林野事業経営について引き続き注視するとともに、今後とも、検査観点検査方法などについてさらに創意工夫を加えながら、林野庁所掌事業の全般について検査していく所存でございます。  簡単ではございますが、これで御説明を終わらせていただきます。
  6. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 これにて説明の聴取は終了いたしました。     —————————————
  7. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。穂積良行君。
  8. 穂積良行

    穂積委員 きょうは、非常に危機的な状況にある国有林野経営問題につきまして、この決算委員会において、この問題の根源にさかのぼって質疑をさせていただきたいと思っております。  その前に、ただいま会計検査院長から御説明のあった会計検査院指摘事項について若干触れさせていただきます。  今御説明国有林野事業についての検査結果、不当事項処置要求事項等が十ページからございますけれども、この内容を見ますと、十ページの一番上の「エ」の治山工事契約高が割高になっているという指摘、あるいは「オ」の素材生産請負事業についての労務費積算について改善を求めたことなどは、これは事務的なミスということで理解すればいいと思うわけであります。また、「カ」の職員不正行為については、これは、そうした職員もまれな例ではあるけれども出たということで、それが指摘されたということだと思います。  次の十一ページの「キ」は、国有林野事業森林組合等に一部随意契約によって請け負わせていることについての、その妥当を欠くやりようということでありますが、これについては、我が国林業のうち民有林について、その主たる役割を担っている森林組合というものについての現状分析と、それからこれについてどのような政策を進めていくかということにかかわると思いますので、その点について、この十一ページの「キ」の事項に関連してまずお伺いをしたいと思っております。  これについては、今、私は率直な感想を申しましたけれども会計検査院としては、こうした指摘事項についての林野庁処置についての評価はいかがでしょうか。林野庁がとった処置はおおむね妥当と評価されておられるかどうか。
  9. 疋田周朗

    疋田会計検査院長 私ども指摘に対しまして、林野庁では、指摘の趣旨に沿って、不適切な事態の再発を防止したり、あるいは施策目的が達成されるように関係通達を改正しておられるところでございまして、私ども会計検査院といたしましては、指摘に対して適切な処置がとられたと認識しているところでございます。
  10. 穂積良行

    穂積委員 それでは、林野庁に伺いますけれども林野行政の中で、森林組合についてどのような現状認識を持ち、また、これについてどのような施策を進めているかについて御説明をいただきたい。
  11. 高橋勲

    高橋政府委員 お尋ね森林組合につきましては、平成七年度末現在で千四百五十五組合ありまして、地区内森林所有者の四九%が加入しております。そして、組合員が所有している森林面積は、地区内民有林面積の七三%となっております。その森林組合のうちの約八割が作業班を有しておりまして、民有林の新植の約八割、間伐の約七割を実行しております。ということは、流域森林整備でありますとか、あるいは林業振興にとりまして、中核的な担い手という役割を果たしていると認識しております。  しかしながら、その経営基盤について見ますと、小規模な組合が多くて赤字組合が約三割を占めるなど、依然として脆弱でありまして、その役割を果たしていく上で経営基盤の強化が不可欠と思っております。そのために、本年四月一日から施行された森林組合法及び森林組合合併助成法の一部を改正する法律で、その合併計画提出期限を延長したり、森林組合事業範囲の拡大、あるいは指定森林組合制度の創設、経営管理体制整備などを図っているところであります。これに伴いまして、本年度から、合併関係者間の合意形成を促進することを通じて合併を推進する事業や、森林組合による不在村者等所有森林整備を推進する事業実施しております。  いずれにしましても、都道府県や市町村と連携しまして、森林組合我が国森林整備林業振興担い手として十分な役割を果たすように、取り組みを支援していきたいと思っております。
  12. 穂積良行

    穂積委員 今林野庁長官から御説明をいただきましたが、およそ千四百の森林組合が、従来も、それからこれからも、それぞれの地区での民有林の適切な施業あるいは維持管理等について大きな役割を果たしていくことは間違いがありませんので、その組合体質を強化しながら、その社会的な使命をも果たしていただくような施策を続けていただきたい、こういうことを申し上げたいと思います。  その際、特に、現場をごらんになれば、森林組合作業班高齢化した要員で担われている、そうした現状はもうおわかりと思います。林業担い手確保ということも、これは農業の担い手と共通する面がありますが、十分留意して施策を進めていただきたいと思います。  それでは、この問題はその程度にいたしまして、会計検査院も毎年の検査の結果で取り上げておられる国有林野特別会計経営の実態、これをどうすべきかということについてこれからいろいろ伺いたいと思います。  まず、現在、累積三兆五千億余りという膨大な債務を抱えるに至ったこの国有林野特会でありますが、この原因について、少し問題の所在を明らかにしたいと思います。  私も過去においてこの組織の一員として働いた者でありますけれども、戦後、復興の過程で木材に対する需要が非常に大きくて、これを国有林から極力安定的に供給するということのために要員を抱えて、ピーク時には八万九千人という要員を抱えていた組織であります。今大臣からお話しのように、現在は約一万五千人というところまでリストラを進めてきたという経緯があるわけですが、そうした中で、組織合理化し、要員も削減して、なおかつこのような累積赤字を抱えているというこの国有林野について、材価が低迷している、投じたコストに合わないということで赤字発生になっているということは間違いないと思うのです。  そのきっかけになったのは、大臣説明のとおり、戦後、あの昭和三十九年に外材輸入自由化が断行された、これは国際化という流れの中で、しかも国内材価安定という政策目的のもとに行われたわけでありますが、それによって、国産材が割に合わないような材価になるようになった、こういうことはもう間違いないところでありますが、こうしたことについて、改めて、この材価の推移、そして、これにより国有林野経営が非常に困難を来すことになったことについての認識をお伺いしたいと思います。
  13. 高橋勲

    高橋政府委員 国有林野事業特別会計が、木材生産、その収入ですべての経費を賄うという仕組みになっておりますので、材価の変動が一番影響をもたらしますし、それから、伐採する事業量、これが大きな影響をもたらすわけであります。  御指摘材価につきましては、昭和三十五年というふうな古い時期から申し上げますと、その当時、杉の山元一立方で伐木の作業員を十一人雇うことができたわけでありますけれども、現在では〇・九人というふうに、材価とほかの物価の比較が、相対的な価格という意味で、十一分の一といいますか、そのような価値の下落をしております。  材価だけで端的に言いますと、材価の一番高い時期は昭和五十五年でありますけれども、五十五年に比べて現在の価格はその五八%というふうなことで、非常に低い水準に陥っております。したがって、その事業収入における林産物収入、これが下落一途をたどったということであります。  材価のそれだけ落ち込んだ理由としては、やはり昭和三十九年までの国内木材不足ということで自由化を行いまして、どんどん外材を使うようにしてきた。昭和四十五年にはその外材国産材比率がもう半分半分になりまして、以後は外材がシェアをどんどん拡大し、現在段階では外材が八割を占めている、このような状況でございます。
  14. 穂積良行

    穂積委員 実は、昭和二十二年に戦後の国有林野組織がスタートしてから昭和五十年前後までは、国庫に対して国有林野から稼ぎのうちかなりの額を納付しておった、こういういい時代もあったわけであります。  その国有林野特会から一般会計繰り入れた額は、累計でどのくらいになっており、それを現在の消費者物価に換算したらどのくらいの額になり、それだけ国家財政に寄与したということになると思うのですが、その額等について説明をしてください。
  15. 高橋勲

    高橋政府委員 お尋ねの件は国有林野事業特別会計から一般会計への繰り入れでありますけれども国有林野事業特別会計法に基づきまして、林業振興のために必要な経費等財源に充てる場合に予算の定めるところにより繰り入れを行ってきたわけでありますけれども、その額は、昭和二十八年から五十二年までの間に累計約九百二十三億円となっております。  この繰入額を、例えば消費者物価指数上昇率を用いて試算しますと、約三千億円と見込まれております。
  16. 穂積良行

    穂積委員 今お答えがありましたように、現在の物価で考えればおよそ三千億円は、国民のために国庫に納付して寄与した、こういうことになるわけですね。ところが、実は昭和五十年ごろから、先ほど御説明がありましたように、収入支出関係では支出の方が多くなって赤字に苦しむような体質に変化してしまった、こういう経過があるわけですけれども、その結果、昭和五十一年から、事業費を調達するためにはどうしても金をどこからか借りなければならないということで、借りた相手は財政資金。これは資金運用部から、今いろいろと議論が行われています郵便貯金等資金運用部への預託資金林野庁がお借りして、収入支出のつじつまを合わせたという歴史ですね。  その、いわゆる財投から借りた資金の利息は、現在はたしか平均して五・二%の金利という状況になっていると伺っておりますけれども、今大体市中金利二%台という低利の資金調達が行われる中で、国有林野特会は、三兆五千億の累積赤字に対して、そのような市中金利とはかけ離れた高利の支払いを続けているこういう状況があるわけですね。そこがこの国有林野の、今後どうするかという問題についての一つの大きなポイントだと思います。  そこで、そのような借入金を年々行い必要な支出額を確保する、こういう歴史の中で、一体国有林野特会はこれまでに総額幾ら借金をしたか、その累計。  それから、それに対して、事業費として、本当に中身のある仕事に使ったといいますか、そうした実質の事業費支出累計は幾らか。  それと、年々雪だるま式に借金がふえ、その借金の中には、返せない借金について、利息も含めて元本に繰り入れてということでの複利的なことも含めて、利息を毎年ずっと払ってきた、その利息額の累計は幾らになるか。  そういう状況を数字的に明らかにしていただきたいと思います。
  17. 高橋勲

    高橋政府委員 お配りしてあります資料の、国有林野事業抜本的改革についてというところの十六ページに、その資料、細かい数字で恐縮ですが、載せてあるわけでありますけれども、今お尋ねの件の平成八年度までにどれだけ借り入れをしたかという総額は、四兆六千二百億でありまして、この間償還をしておりまして、一兆九百七十二億を返しております。したがって、累積債務残高が三兆五千億。アバウトな数字で申し上げますと、四兆六千億を借りて一兆一千億を返しまして、三兆五千億が債務残高という数字であります。
  18. 穂積良行

    穂積委員 今長官が十六ページの資料について説明をされましたが、これは各委員の皆さんもよくごらんいただきたいと思います。  改めて私からも数字を確認的に申しますと、昭和二十二年から約五十年の間に、国有林野は、十三兆の収入のうち、稼ぎ出したのが約八兆円。それで、借入金四兆六千億と、一般会計からいただいた四千三百三十二億円、合わせて十三兆余りの収入ということになっている。借金が累計四兆六千億余り。稼ぎ出したのは八兆円余り。  それで、支出の方で真水的に、中身のある事業費支出と私が先ほど言いましたが、何とそれが十兆円ということですね。利息が一兆九千億。元本償還は一兆一千億と長官言いましたが、こういう数字になっているということですね。それらの結果が三兆五千億余りの債務残高ということで、この表でごらんのとおりだと思うのですね。これについて一体どうするんだという話が、私はまさにきょうのこの委員会での主題だと思っておるわけであります。  このように自己収入八兆円ということは、先ほど申しましたように、外材自由化に伴って、材価低迷、これ以上は稼げなかったということですね。そういうことが一つ。  しかし、必要な事業支出として十兆円ぐらいは使わなければならなかった、足りない分は借金で補ったということだが、その借金に対して利息を累計で一兆九千億も払ってきた。今後もこのまま必要な事業を行い、しかし足りない分は借金で賄い、できるだけ稼ぎながらこの経営を維持していけるかということですが、どうもそういうことではもう続かないということで、大臣から御説明ありましたように、今回、抜本的な特会の改善措置というものを打ち出さざるを得なくなった、こういうことだと思うわけであります。  そこで、これまでは、一つは国有林野が担っている、公益的機能と俗に言いますが、重要な役割について、これは稼ぎにならない部分について金を使わなければならない、それを支出してきたということなんですが、これについては今後どうすべきかということだと思います。国民のために稼ぎと離れた仕事をしていくということについては、国民的な理解のもとにこれは特会以外の、一般会計の方で負担してもらうのは当然だと思うわけであります。それが一つ。  それからもう一つ、繰り返し述べましたけれども、現在平均して五・二%という累積赤字に対する利息というものを今後も払っていくのか、これはもう無理ではないか、こういうことで、金利経営に与える重圧というものをなくさなければならないということが必然的な今後の方向だと思うわけであります。  以上二点についてお答えをいただきたい。
  19. 高橋勲

    高橋政府委員 先ほどの表でもう一度、繰り返しになるところもありますが御説明して、今の金利負担とか公益的な経費について申し上げたいと思います。  この表によりますと、「事業支出」という欄がちょうど真ん中辺にございますが、それがトータルで十兆円という数字でありまして、それから左側の「収入」のところで「自己収入」というのがトータルで八兆円。結局、特別会計ですから自己収入事業支出を賄うということなわけですが、昭和二十二年に始まって平成八年までの間に自己収入で得た金額が約八兆円、その間に必要だった事業支出が十兆円。  これをどういうふうに工面したかといいますと、「一般会計より受入」というのが四千三百三十二億ということで「自己収入」の隣の欄にあります。結局、不足した金額は一・六兆円ということでありますが、これをトータルで見ますと、借入金四兆六千億を行いまして、その中から約一兆一千億を元本として返済いたしまして、それから一兆九千億を利子として支払いまして、その残りが一・六兆円、こういう実態でございます。  ですから、借り入れによる金利負担、それから元本の返済、これが非常に大きく、特別会計に難しい、困難な事態を招いたということであります。  そして、現在の借りております三兆五千億の累積債務があるわけですが、この累積債務の約定どおりの返済を、これから利子を支払おうとしますと、約一兆八千億の利子の支払いがこの三兆五千億の元本返済とともに求められるわけであります。したがいまして、財投からの借り入れをこのまま続けていれば、そのために国有林野特別会計が非常に困難な事態になるという状況だと思っております。  それにこれからは、大臣から御説明したように、国有林に対する国民の期待が、木材生産よりも国土保全、環境保全、水資源涵養あるいはレクリエーションの森の造成、そんなふうな公益的な機能を発揮する点に求められておりますので、こういう面からいきますと、やはり木材収入だけでその公益的な機能を賄うというのはもうできないのではないか、そういうふうな森林整備をやるためには、やはり一般会計に必要な資金は要求をしていく方向、新しい特別会計の制度になるべきではないか、そんなふうに考えているところでありまして、この累積債務処理、それから森林整備に要する一般会計繰り入れ、そういうことを新しい制度として平成十年度の予算要求で要求をしているところでございます。
  20. 穂積良行

    穂積委員 まことにこのような借金の重圧のもとに、さらに利息、元本を返すために三千億くらいは毎年借りなきゃならない。そうしたことをいつまでも続けていいのかということからすれば、ここはもうとにかく抜本的な国有林野特会の見直し、経営改善計画を策定し実施するということは当然のことだと思うわけであります。  しかし、これは先ほどちょっと申しましたけれどもピーク時には八万九千人いた組織をとにかく要員を減らしていかなければならない。ただ、生首整理といいますか、そういうことを簡単にやれるかということもありまして、欠員不補充ということで要員を減らす必死の努力をしてきたということですね。その結果、今国有林野に残る一万五千人の要員高齢化が進み、営林署林業事務所に行けば白髪の目立つ年輩の人たちが国有林野を守っているという現実になっているということですね。  そこで、これまで要員減らしには極力努力してきた、そしてそれと並行して、かつては十四営林局があったのを、どんどんこれからも整理統合といいますか、流域ごとの営林局といいますか営林署というか、その辺の組織合理化ということも進めなければならないということになっているわけでしょう。この要員の削減と組織合理化ということについて、およそのこれまでの悪戦苦闘の歴史についてちょっと所感を述べてください。
  21. 高橋勲

    高橋政府委員 御指摘のように、戦後の高度成長期の旺盛な木材需要に対応するための増伐、増伐を行いますとその後の造林ということで、大量の要員が必要だったわけであります。そのときの要員ピークは、昭和三十九年に八万九千人ということでございます。  その後、財政状況悪化というふうなことで、この要員のリストラということを、昭和五十三年に策定しました国有林野事業改善に関する計画、これに基づきまして実行し始めたわけであります。  この改善計画も四回改定いたしましたが、五十三年度に始めたときの要員が六万五千人おったわけであります。八万九千人おった要員を次第に減らして、昭和五十二年までに六万五千人にしてきたわけですが、その六万五千人をさらに、現在の改善計画平成三年度に始まったわけですが、この時点には三万一千人に減少させてきております。その三万一千人を現段階、平成九年度当初は一万五千人にまで減らしてきているところであります。そうしまして、今度はこの一万五千人を、先ほど大臣からの御説明のように、抜本的対策ということで平成十五年度末には三分の一程度に縮減していこうというのが計画でございます。そのときには、やはりこれまでのような木材生産中、心から公益的な機能中心というふうなことで、今までやってきた現場の仕事は民間にすべて委託をして、国有林職員がやる部分は、森林計画ですとか治山事業森林の保全、こういう事業に限定していくことでこのような要員のリストラを可能にしていこうというふうに考えております。
  22. 穂積良行

    穂積委員 今お話しの国有林野は何をすべきかということについて、かつては、とにかく優良なる国産材の供給、それから良好な森林の保全といいますか、そうしたことで国有林野使命が設定されてきたわけですが、今経営がこういう状況だから国有林野が本来担うべき役割というものを、ある程度もうこの仕事はいいじゃないかというようなことでやめてしまうというようなことがあちこち出て、本当に国民的立場からそれでいいのかというような問題などが議論されなければならないところがあると思うわけであります。  その辺、再度、今まで国有林野は、林業のモデル的な施業や何やも民有林の皆さんにお見せしなければというような意気込みで造林を行い、保育を行い、立派な人工林をつくってきたということがあるわけですが、その仕事をかなり手抜きするというようなことになっていいのかというおそれもあるわけです。  それからもう一つ、一般会計にお世話になるという場合に、これ以上お金をかけていいのかということからして、国有林の、大事な国民の休養の場であり、あるいはレクリエーションの場であるということや何やという、その空間を良好な状態で保全していくということについて手抜きするということがあっていいのかということやら、そういう懸念を片方から持たれることになりかねない。その辺は、とにかくなりふり構わず経営改善をするためにこれまで使命と思っていたことの茂らかはもうなおざりにするということでいいのかというあたりの問題について、どんなふうに考えておられるかをお答えいただきたい。
  23. 高橋勲

    高橋政府委員 そのような懸念もなきにしもあらずということだと思いますが、私どもとしましては、先ほど申し上げたような基本的な考え方に立ちまして、木材生産から公益的機能を中心に事業を進めていく。そのためにこれまでの木材生産現場を放棄するということではなくて、そういう箇所も、やはり民有林のモデルになるような森林あるいは長伐期、複層林にするような森林、そういうふうな木材生産の場としての確保もきちんとやります。  そのためには、先ほどリストラの中で要員を申し上げまして組織の方を申し上げませんでしたけれども組織の方も再編しまして、営林局、営林署流域単位あるいは地域ブロック単位に再編いたしまして、営林署は特に、現在二百六十四あるのを流域単位に再編して九十八の組織にしていこうと。この組織はやはり、その流域において民有林との林業の交流、国民一体としての流域管理システム、そういうところでの技術的なリーダーシップというふうなことも考えて再編をしていきたいというふうに思っております。確かに、人も減り、予算も減り、一般会計の導入ということで苦しい面はありますけれども国有林が、現在の国民のニーズに基づいて、国土保全あるいは水資源涵養あるいはレクリエーションの森、そして木材生産というふうな使命をきちんと果たせるように再編をしていきたいと思っております。
  24. 穂積良行

    穂積委員 大臣説明の中で、これからの国有林野事業についての改革の基本テーマとして、第一に森林整備方針転換、今長官がお触れになりましたけれども、そういうことを考えておられますが、それは公益的機能の発揮に重点を移すということはやむを得ないといいますか、当然かなという感じはしますけれども、それと並行しての生産活動というものを手抜きするということについての懸念ということは、これは、現場で今まで国有林野に携わってきた人たちが非常に心配しているわけです。私も現場に行きまして、おれたちが一生懸命国有林野の仕事として木を植えた、下刈りもした、ところが営林署の話では、これから金が回ってこないから、これ以上の下刈り、枝打ち、除伐、間伐といったことなどをもうやる金もない。せっかくこれまで金をかけたのに、立派な人工林として、優秀な木材生産の場として国有林を守っていくということをやめてしまうのかというような心配をよく聞きますよ、これは。その辺を念頭に置いて、これからも国民の皆さんの御意見を十分頭に置いて対処していただきたい、こういうことが一つであります。  それから、独立採算性の廃止というのは、これはここに至れば当然のことであり、これについては国民の皆さんも、これまで国有林野でまじめに仕事をして、優秀な林材供給ということで一生をかけた人の思いも込めた過去の歴史を踏まえて、今回、組織要員を縮小するとしても、そこは、この過去のまじめな仕事というものの結果、やむを得ざるところにより赤字累積し、この始末をつけることになったのだということ、それは国民の皆さんに御理解をいただいて、これについての財政支出等は理解を示していただくということではないかと思いますので、その辺についての当局の理解をいただくための活動というものは、これは怠ってはならないと思うわけであります。  それから第三問、組織要員削減合理化の問題でありますが、私も過去、労使関係の当事者として経験がございます。生身の人間の人生をかけた仕事というものについてどうなっていくのかという思いを十分酌み取りながら、国有林野で働いてきた人たちの、現に働いている人たちの理解を十分求めながら、理解をいただきながら、そうした要員削減、組織合理化を進めるというその辺の心構えはもちろんおありと思いますが、よろしくお願いをしたいと思うわけであります。  そんな思いも込めて、実は私、昭和六十年に大蔵委員会で、政府側の答弁者として、当時の社会党の政審会長の伊藤委員からの御質問に答えた資料を配らせていただきました。これは各委員も、苦渋に満ちた、国有林野経営責任者は十二年前どういう気持ちでおったかお酌み取りいただければということを、自分のことを申してちょっと気恥ずかしいのですが、最後にちょっとお話を申し上げて私の質問を終わりたいと思いますが、最後に、島村農林水産大臣、今までの質疑を通しての大臣としての所見をお伺いいたしたいと思います。
  25. 島村宜伸

    島村国務大臣 さすがに林野事業に直接取り組まれた御経験が生々しく感じられ、感服いたしておったところであります。  国有林野事業につきましては、昭和三十九年の木材輸入の完全自由化以後、木材輸入の増加等により木材価格が低迷していること、また、戦中そして戦後の高度成長期に旺盛な木材需要にこたえて大量伐採が行われましたが、その後植林した木がまだ若いことから伐採可能な森林資源が少ないこと等により、国有林野の管理経営に必要な経費木材販売収入等で賄う独立採算制の維持が困難となっているわけであります。平成八年度末で累積債務が既に三兆五千億円余になるなど、極めて厳しい財務状況にあるわけであります。  このため、農林水産省といたしましては、一、公益的機能を重視した森林整備への転換、二、組織要員の徹底した削減合理化、三、独立採算制の見直し、四、累積債務の本格的処理を柱とした抜本的改革実施することとし、これに必要な財政措置を要求しているところであります。  今後、国有林国民共通の財産であるとの認識に立って、関係省庁との密接な連携のもとに、この抜本的改革の実現に全力を挙げて取り組んでまいる所存であります。
  26. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 穂積良行君の質疑を終わりました。  次に、笹木竜三君。
  27. 笹木竜三

    ○笹木委員 新進党の笹木竜三です。質問を始めさせていただきます。  きょうは、幾つかの点で御質問したいと思っているわけですけれども、大きくいいますと、一つは、この国有林野の会計を何とか立て直しをしていかないといけない、そのためにいろいろ改革をしないといけないと思いますけれども、その前提として、いろいろな経営的な分析がしっかりとなされているのかどうか、そのことをお聞きしたいと思います。  それともう一つは、もちろん採算に合わない部門もたくさんあるわけですけれども民間に委託するとか、いろいろなお話もあります。経営努力がしっかりとなされているかどうか、コスト削減の努力がしっかりなされているかどうか、そういったことについてもお聞きをしたい、そう思っています。よろしくお願いします。  まず最初に、今言った立て直しのための分析がしっかりなされているのかどうかということについて、会計等のあり方全般についてもお聞きしたいと思います。  平成八年度の貸借対照表によると、この特別会計の資産が六兆七千億円、負債が三兆五千億円となっております。例えば、一般会計からこの国有林野事業についてもっとバックアップすべきだということに対して反対の意見を言われる方、これはあえて言っておられるのだと思いますけれども、資産が負債の倍近くあるのなら問題ないじゃないか、そういった極論をあえて言われる方もおられます。まず、これについてどうコメントされるのかをお答えいただきたいと思います。
  28. 高橋勲

    高橋政府委員 お尋ねの、資産と負債の関係でありますけれども、確かに貸借対照表上では、土地、立木の資産が六兆七千億あります。債務が三・五兆円ということで、資産が大幅にまだあるではないか、こういう見方をされる可能性はあるわけですが、私どもこれを分析いたしまして、やはり企業として、企業といいますか経営体として健全にやっていくためには、その資産の中身を詳細に見なければいけない。  その資産の中身を見てみますと、立木竹が約六兆円あるわけですが、その六兆円の中の言うなればすぐお金になるような資産、これは材積勘定ということにしておりますが、それが約二兆五千億、造林仮勘定というふうに申しております、三十年生以下の若い木でまだお金にならない部分でありますけれども、これが三・四兆円あるわけであります。  簡単に申しますと、まだ若い木、これは売れない資産でありますから、これで負債を賄うというわけにはいきませんので、売れる資産だけ見て、もう既に負債はそれを上回っているというふうな状況であります。貸借対照表上はまだまだ負債を資産が上回ってはおりますけれども、実態は、そういう若い木でありますとか、あるいは森林の中でも保安林、国立公園の中の禁伐林、そういうものも資産の中に入っておりますので、資産があるからといって、資産が負債をまだまだ上回っているからといって、実態はとてもやっていける状態ではない。  この負債の方は、言うなれば毎年五・二%の金利でどんどん利子がかさんでいくわけでありますけれども、資産の方は逆にふえていくわけではありませんので、この負債をこのまま借り入れたままで金利を払っていくという状態であれば、いっかの時点ではこの資産全体を上回ってしまう事態にもなりかねないというふうな認識をしております。
  29. 笹木竜三

    ○笹木委員 林野庁は、三兆八千億円の債務のうち、今後三十五年間で五千億円は返済できる、資産の処分とか林産物収入によってだというお話なのですけれども、この五千億円の積算根拠はどうなっているのでしょうか。
  30. 高橋勲

    高橋政府委員 これから新しい体制になりまして、累積債務の方は、一つの我々の予算要求しているスキームで改善を図り、それから、新しい特別会計ということで、一般会計から森林整備に要するような経費を導入してもらうというふうな体制をとりますと、平成十一年から四十五年度までの三十五年の間に、林野の土地売り払いあるいは林産物処分、こういうふうなことで、剰余金が五千億円出ると長期収支で見込まれるわけであります。  今借りている財投資金の約定の最終償還期限も三十五年でありますので、その三十五年間で出てくる剰余金が五千億、これを国有林野事業特別会計負担として支払いをしたい、負担をしたいという根拠でございます。
  31. 笹木竜三

    ○笹木委員 続けてお聞きしたいのですけれども、先ほどから資産の評価六兆七千億円とか、あるいは今、三十五年間で資産処分も含めて五千億円を返していく、そういったお話あるわけですけれども、肝心の資産の評価、これは一番直近でいつ行われているのでしょうか。
  32. 高橋勲

    高橋政府委員 資産そのものを見直したのは、財産の評価ということで昭和五十一年度に評価がえをしております。
  33. 笹木竜三

    ○笹木委員 といいますと、二十年前ぐらいに資産の評価をして、それ以降は資産の評価は一切していないと。資産の評価がえはされているのでしょうか。
  34. 高橋勲

    高橋政府委員 固定資産の価額が頻繁に変動するということになりますと、企業的経営の前提となる財務状況を的確に把握、表示することが難しいということで、国有林野特別会計としては、固定資産の価額が著しく不適当となったときに固定資産の評価がえを行うということにしておるわけであります。  この価額が著しく不適当であるという判断基準は、現在額と改定額の比率がおおむね二倍となっているか否かということを目安にしておりまして、これまでこの基準に達していないということで、昭和五十一年度以降評価がえを行っていないわけであります。
  35. 笹木竜三

    ○笹木委員 行政改革、財政構造改革の議論の中で、この林野特別会計についていろいろな議論があったわけですけれども、大蔵省の方からは、資産の再評価をというような要望も出ております。お話を聞きましても、一般会計の場合は、財産法の規定で五年ごとに評価がえが行われている。一般会計の評価がえのベースで評価した場合と現在の林野庁の評価とでは、少なくとも一・六倍の開きがあるのじゃないかと聞いております。ここら辺の事情については、絶対違うとおっしゃることができるかどうか、お聞きしたいと思います。
  36. 高橋勲

    高橋政府委員 実は、このお配りしてあります「国有林野事業抜本的改革について」の十七ページに、「資産と負債との関係」ということで資料を添付してあるわけです。  貸借対照表上の固定資産の評価がえというふうなことは行っておりませんが、今回、林政審議会に諮りまして、現在の状況のこの国有林野事業を今後どうすべきかという御議論、御論議をいただいて、その中間報告をこの七月にいただいたわけです。その御論議の過程で、やはりこの資産の評価というものをきちんとすべきじゃないかというお話がありまして、これは民間に委託しまして、ここに書いてありますような評価方法でその委託の報告を受けたわけであります。  それによりますと、まずこの表をごらんになっていただきますと、一番左側が貸借対照表の平成七年度末の帳簿上の数字であります。その次の「第1の方法」というのが、言うなれば時価評価ということで評価して、例えば土地でいえば三千三百四十億が時価評価によりますと三兆八千億、現在価額に置きかえればこういう評価になるわけであります。それと同様に、立木竹につきましても評価がえを行って、その資産の評価によればトータルは七兆八千億ということになります。  ですから、そういう目で最近の状況で評価がえはしたかどうかというお尋ねにお答えしますと、こういうふうな手段でまずは実態的に評価を把握しております。  それでも、なおかつ資産と負債につきましては議論があるわけで、なぜかといいますと、その資産と負債の関係をどういうふうに認識すべきかというふうなときに、簿価と、こういうふうに時価で算定をしたときに、やはり企業のリスクとしては低い方の値をとって、その低い方で評価したものを資産とみなすべきだという低価法という企業会計上の方法論があるわけでありまして、その低価法をとりましたのが、この「第2の方法」と書いてあります試算のAとBであります。  この試算のAとBの違いは、実は、「造林仮勘定」という欄で、若い木を若い木のままで現在売ってしまえば試算のAなんですけれども、その若い木が成長していって成長したときに切ろうという形で、その価額を現在価額に引き直したら一兆円ぐらいになる、それが試算のBなわけです。そういう形で低価法で試算A、試算B、それぞれの資産を評価いたしますと、試算のAでは三兆三千億、試算のBでは四兆二千億ということで、現在のこの段階での、平成七年度末では長期借入金が三兆三千億だったものですから、試算のAによりますとマイナスになりますし、試算のBでは若干プラスですが、いずれそのうちにマイナスになってしまう、こういうふうな形で資産については検討をしているところでございます。
  37. 笹木竜三

    ○笹木委員 ようやく最近そういうことをされ始めているというお話は聞きましたけれども、先ほどお話ししましたように、例えばその木材価格ども、評価された時期に比べてどんどん安くなっているわけですし、そういう含み損を拡大させている可能性も非常に高い。そういったことも含めまして、ぜひ処分可能な木材生産林、こういったことの評価がえをさらに厳密にやっていただきたい、そう思います。  それと、改革案では一万五千人の職員平成十五年までに五千人に削減すると言われておりますけれども、そのときに多額の退職金が必要になる。高齢者の方が結構多いとも聞きますし、こういった人件費の固定経費は正確に見積もりもなされていて経営計画にしっかりと組み込まれているのかどうか、それについてもあわせてお答えいただきたいと思います。
  38. 高橋勲

    高橋政府委員 新しい体制に平成十一年一月から移るという予定をしております。そして、要員を一万五千人から約五千人程度に縮減する。確かに、そのときの退職金あるいは退職金の上積みというふうなこともありますので、その間の経費がかかります。それは、長期収支の中で見込んでおります。それから、一応この計画どおり五千人程度平成十六年度になった段階では、その退職金、給与経費は、一応中に見込んで、横ばいで推移するという考え方で長期収支の見通しをしております。
  39. 笹木竜三

    ○笹木委員 さらにお聞きしたいのですけれども、先ほどの委員の質問の中にも、なかなかコスト面では難しいような公益林国土保全上のいろいろなお話もありました。このコスト的に合わない公益林、これはもうコスト的には見合わないとわかっているわけですけれども、これにどれだけの経費がかかっているか、部門別の経費、これの資料などをお願いしたわけですけれども平成七年度のものをいただきました。これ以前のものはないのでしょうか。
  40. 高橋勲

    高橋政府委員 なかなか公益林木材生産林と分けるのが難しくて、これは先ほど会計検査院の方からも御指摘をいただいた件なんですが、公益林、経済林というふうに、山に対して現場は属地的に一応の仕分けをしたのが平成三年の新しい改善計画からでございますので、その結果として数字的に把握したのが提出した資料で、ほかにはない状況でございます。
  41. 笹木竜三

    ○笹木委員 もう五十年代からずっと赤字になっている。それで、この特別会計をどうしようかということでずっと議論されているわけですけれども、コスト的に見合わない国土保全林、自然維持林、森林空間利用林、こういったことにどれだけのお金がかかっているか、これはコストに合わないんだよということを国民にもしっかりと理解を求めていく、それで経営計画も立てていく。  これは当然必要なことで、そういう発想に立てば、当然、部門別でどうなのかということをもっと早く数値化していて当たり前、これは民間の感覚からしたら当たり前だと思うわけですけれども、ことし七月に、林政審議会の中間報告でもそういった指摘もされている。会計検査院もされています。そういったことを受けてようやく、平成七年度のものが初めて出てくるという状態です。これはやはりちょっとひどいんじゃないかと率直に言って思います。こういった努力が足りないから経営的にもさらに悪化を招いたんじゃないかと私は思うわけですけれども大臣にコメントをいただきたい。
  42. 島村宜伸

    島村国務大臣 国有林野事業につきましては、昭和五十三年以降四次にわたる改善計画を策定いたしまして、これに基づき、組織要員削減合理化民間請負の徹底、一般会計繰り入れの拡充等、でき得る限りの経営改善努力を尽くしてきたところであります。  例えば、要員については、昭和五十三年度当初六万五千人から平成八年度末一万五千人に削減し、人件費の抑制に努めてまいったということであります。  しかしながら、木材輸入の増加等によりまして木材価格の低迷、伐採可能な森林資源の減少等によりまして、極めて厳しい財務状況にあり、このままでは国有林野事業使命を果たしていくことが困難となるおそれがあります。このために、農林水産省といたしましては、国有林国民共有の財産であるとの認識に立って、国有林野事業の抜本的な改革の実現に全力を挙げて取り組んでまいる考えであるわけであります。  いずれにいたしましても、現状このまま推移して黒字に転換するとか、現在のいわば赤字体質から脱却できるという見通しが立たないものですから、もはや一般会計繰り入れの拡充等だけでは賄い得ないという判断をして、この際独立採算性を廃止するという考えに立ったところであります。
  43. 笹木竜三

    ○笹木委員 それはよくわかりました。  さらにお聞きしたいのは、今こういった非常に深刻な状態で、新しい枠組みを求めている。それも必要だと思いますし、賛成なわけですけれども、今お話ししましたように、公益林についてはなかなか収支が見合わない、経費がかかっている、そういった問題もあるから、さらに新しい助成というかバックアップの枠組みが必要だ。これは、国民にも理解を求めていかないといけない。  こういった赤字の深刻さはずっと前からあったわけですけれども平成七年度に初めて、部門別で公益林にどれだけの経費がかかっているかの表が出てきている、こういったことでは非常に経営体質として甘いのじゃないか。こういったことでもっと一層の努力がないと、とても国民的な理解は得られないのじゃないか。さっきの資産の評価についても、大蔵が再評価を行えというふうに言っていることも、そういった点とも関係しているのじゃないかと思うわけですけれども、そういったことについて、大臣に一言コメントをいただきたいと思います。
  44. 島村宜伸

    島村国務大臣 森林の持ついわば公益性というのは極めて高いという認識委員も共通だと思いますが、いずれにせよ、日本の国は世界第三位の森林率を誇っておりますし、まさに八割が急峻な山に覆われているという地形等を考えますと、山の管理、すなわち森林の管理というのは極めて重要でありまして、実は内部のいろいろな検討の機会にも、民有林は楽にやっているのに国有林がつらいのはどういうわけかという御質問もあったところであります。  ここのところ私は、機会があれば全国をいろいろ回ってそういう事情を聞いておるんですが、民有林も残念ながら放置状態、手を入れれば入れるほど赤字がかさむだけで、仮に間伐をしなければいけないという焦りを感ずるものを間伐すれば粗大ごみ、半分足らずしか商品としてさばき得ない、いろいろ考えるともう本当に先行きが思いやられる、こういう事情に実は触れるわけであります。我々は、国有林民有林を問わず、この際、将来に向かってこの高い公益性というものを国民によく認識をしていただいて、御理解を深めていただく必要があるんだという気持ちでおります。
  45. 笹木竜三

    ○笹木委員 そのことも私は賛成ですので、ぜひ、経営的な努力のためのいろいろな分析、そして理解を求めるためのいろいろな分析をしっかりとしていただきたいと思っております。  さらに、民間との比較での経営努力についてお尋ねしたいわけですけれども、例えば国有林野基幹作業職員が一日当たり一万四千五百八十四円、民間が一万二千百八十五円、国有林野の基幹作業職員が大体二〇%賃金は高いという現状になっております。あるいは、いろいろの製品生産事業の場合に、民間請負にした方がどうしても収支、経済性がいいという現状があります。これは間違いないでしょうか。
  46. 高橋勲

    高橋政府委員 お尋ねのとおり、やはり直営でやるよりも、能率性といいますか、コスト的には民間に委託した方が安いというのは事実でございます。
  47. 笹木竜三

    ○笹木委員 それともう一点、これは民間のある林業関係の会社が実際の作業をやっていく場合に見積もっている数字なんですけれども、一立方当たりについて伐採、集材、積込、切捨、労災保険料も含んで大体単価を出しております。この場合ですと一立方当たりで一万九千円、そういったふうに割り出して、いろいろ経営的な分析をしているわけです。林野庁でそういった数字はありますでしょうか。
  48. 高橋勲

    高橋政府委員 お尋ねの件は、一つの標準的な方法として、ある場所であるこういう作業をやった場合に立方一万九千円というふうなことが出るとは思いますが、まず場所による違い、北海道と本州、九州では地形とか樹種とか、そういうものが違います。それから、伐採にしましても、使う道具、チェーンソーを使うとか、あるいは最近の高性能の機械を使うとか、それから、集材もトラクターによるのか集材機によるのかとか、いろいろな違いがありまして、やはり立方当たり単価にしますと、安いところでは一万円ぐらいのところで上がる可能性もありますし、場所によって、大径材で専門的なプロが伐採しなければというふうなところではもう少し単価が高いとか、あるいは場所によってはヘリコプターで集材するというふうなところもありますので、そういうふうな作業の実態等条件に応じて変化がありますけれども、私どもの方でも、一応の標準的な、この程度の地形でこの程度の人がやれば立方当たりはどの程度のコストだろうという算定はできると思っております。
  49. 笹木竜三

    ○笹木委員 算定をして、そういった表というか、分析のリストはあるんでしょうか。
  50. 高橋勲

    高橋政府委員 これまでの実績で出したデータはございます。
  51. 笹木竜三

    ○笹木委員 ぜひまた見せていただきたいと思います。  それと、今後極力民間に委託をするということが最初の大臣の報告でもありました。基本的にそういう方向だろうと思います。ただ、例えば民間に委託といっても、造林とか伐採について、これも民間事業所、企業とかに聞いてみましたが、まずやりたくないという反応が非常に多いです。間伐材のことぐらいはちょっとやってもいいけれどもとか、そんな意見が非常に多い。それと森林組合、これは、比較的そういったことに対して積極的なところもあると思います。しかし、御存じのように、森林組合の場合にも、例えば高齢化とかいろいろな問題を抱えております。さっき大臣も言われたとおり、民間の場合にもかなりいろいろな問題を抱えておるわけでして、非常に深刻な経営状態だったりします。  こういった民間委託の前提として、民間に対してどういつだ新しいバックアップというか、枠組みを考えていくべきなのか、そういったことの議論はなされているのかどうか、お答えいただきたいと思います。
  52. 高橋勲

    高橋政府委員 これまで直営でやってきた分野を民間への全面的な委託にということでありますから、確かに御指摘のように、引受手がないと山の作業ができなくなってしまう、そういうおそれもありますので、民間林業事業体の育成というふうなことを考えながらやっているわけであります。  これはまさに、御指摘のような森林組合が活発なところは森林組合を助成するという方向になりますし、そういう森林組合がないところは民間林業事業体の育成というふうなことで、私どもは一やはりこれまでの林業事業体が一番苦労しているのは、事業が継続性がない、それから通年雇用ができないのでなかなか労働者を雇えない、こういうことがあると思います。ですから、そういう意味では、今回国有林の仕事を全面的に民間に委託するということで、民間林業国有林林業現場の作業を一体に引き受ける相手ができる、事業量が安定的に確保できるというふうなところがメリットになりまして、民間事業体の育成には寄与すると思っております。
  53. 笹木竜三

    ○笹木委員 さらに、ちょっと別件で御意見、御感想をいただきたいわけですけれども、例えば森林開発公団が、特定森林地域開発林道事業あるいは大規模林業圏開発林道事業、いわゆるスーパー林道とか大規模林道事業をやっている。それからまた、広域基幹林道民間民有林林道あるいは大規模林業圏開発林道国有林での基幹林道、これは平成八年度、三つ合計しますと大体一千億円、八年度だけで一千億円になります。先ほどの、例えば公益林に非常に経費がかかる、だから赤字になっていくのだというお話があるわけですけれども公益林についての単年度での経費は二百六十九億円。こういった非常に大規模な林道に対して単年度で一千億円。  私も決して林道が嫌いなわけじゃなくて、ああいった林道で車で山に行ったりするのは好きですけれども、この非常に深刻な林業現状を見ますと、こういったことを森林開発公団などが個々の金でやっていくべきなのかどうか。観光とかあるいは学習とかレクリエーション、そういったことのためのでかい道路だったら、これはまた別の枠組みで考えて、あるいは国土計画全体の中で考えていくべきもので、林業と一緒くたにしていくことの問題はやはりかなり大きいのじゃないか、そんな金があったらこの深刻なところにもつと金を使えとやはり言わざるを得ないのじゃないかと思いますけれども大臣のコメントをいただきたいと思います。
  54. 島村宜伸

    島村国務大臣 なるほど、こういう財政事情になりますればいろいろなそういう検討は当然求められることになるとは思いますが、従前は、これは私長く携わったわけではございませんけれども、やはり林業関係者あるいは農業関係者も含めて、林道、農道等をできるだけ切り開いて、それで効率のいい集出荷その他をできるようにするとか、あるいは間伐その他の事業をやりやすくするとか、いろいろそういう配慮のもとに、いわばどんどん地域を開発して、担い手に対する希望というものをある意味では膨らましてきたのではないか、私はこういうふうには考えるわけであります。  そういう意味では、もう最近は、御承知のように計画や設計の見直しあるいは新技術の開発、普及等にも努めているところですし、費用対効果、分析の活用等をやっておりまして、従前のように安直というと言葉がおかしいですけれども、積極的にこういうものを切り開くということについてはかなり改善がされていると思います。
  55. 笹木竜三

    ○笹木委員 もう時間ですから、最後に一言だけつけ加えます。  先ほども言いましたように、ぜひ国民に対する理解を得るためにも、いろいろな分析、さらに資産の再評価もされまして、さらに、例えば国土保全機能についても、保水の機能、土壌の流出を防ぐ機能、酸素の供給の機能、こういったことも、一般の無理解な国民の方ですと、そんなの別に森林じゃなくてもいいんじゃないか、ゴルフ場でもいいんじゃないか、そんな暴論を吐く者もおりますが、例えば管理をした場合としない場合とどのくらいの機能の差があるのか、こういうところも詳しい数値を出しましてアピールをしていかないと、よく言いますけれども、一般市民から水源税とか、こういったこともとてもまだ現状ではほど遠い状況にあります。ぜひそういった分析をされまして、アピールをさらにしていただくことをお願いしたいと思います。  質問を終わります。
  56. 島村宜伸

    島村国務大臣 大変貴重な御指摘と思います。賛成でございますので、ぜひ進めたいと思います。
  57. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 笹木竜三君の質疑を終わります。  次に、草川昭三君。
  58. 草川昭三

    ○草川委員 行政監察局は林道事業の見直しについて、昭和四十二年あるいは四十五年、五十八年、六十二年と勧告を行っております。特に、昭和六十二年六月の勧告では、新規路線の採択の抑制と事業費の集中投費を提言をしているところであります。  きょう取り上げたいのは、時間の関係もございますので、大規模林道の真室川小国線の朝日−小国区間のやり直し工事に絞って問題提起をしたいと思うのです。  林野庁は、昨年の九六年十二月二十日、公共事業の見直し検討委員会で、全国三十二の路線の大規模林道のうち、三区間、これを新規工事の休止を決めて他区間への重点投資をしたと我々は聞いておるわけであります。  この休止をした三区間、北海道、福島と、この山形県の朝日連峰に走っております朝日−小国区間、この三つがあるわけですが、この朝日−小国区間は休止をしたはずなんでございますけれども、ことしの九月二十七日、ことしの話ですが、クラック箇所、クラックというのは、こうひびが入っているのですが、その箇所について保全工事をやっておるのです。それにかけた費用が千七百六十一万六千円強で工事をしておるわけです。クラックの工事というと、我々はクラックが入ったところを掘って削って埋めたというふうに思うのですが、道路全体を一メーター掘り下げまして、ここに写真があるのですが、クラックの工事とはちょっと信じられぬのですよ。百メーターほど、それを一メーター近く掘り下げて工事をやっておるのです。  私がどうしてこの問題を取り上げたかといいますと、たまたま三年前にこの現地工事を私は見に行ったのですよ。現地工事を見に行ったときにも、クラックが入っていたのです。それで、ああ、クラックが入っているな、どうしてですかと聞いたら、これは物すごく豪雪地帯なのです。雪が降りまして、雪水が解けまして道路の下を走るわけですから、もうこれはすぐクラックが入ってしまうわけですね。それで、クラックが入ったよという話を聞いて、私が帰りまして、WTOの特別委員会がございまして、林道の見直しを考えたらどうですかという提言をしたときには、そこを森林開発公団はもう直してしまったのです。手直しをしたのです。その手直しをされたのはいいのですが、エンドレスでこの林道の保全工事というのはやられているということを私は言いたいわけですよ。  大体、非常に高い山でございますから、その保全工事が必要になるというのはもう最初からわかっておるわけです。しかも、ブナを切るわけですから、ブナというのは大きな木ですね。大変今日的には評価されているのですが、戦後のときには杉の方を植えようじゃないかというようなことになったと思うのです。そのブナを切って、大体五年から六年して根っこが腐ってくるわけですよ。腐ってきまずから、路肩というのですか、路盤を支える要素というのがどんどん崩れていきますから、冬場には使われない林道というものは非常にメンテナンス費用がかかるわけですね。その一つとして休止を決めたにもかかわらず、約百メーター程度手直し工事が行われた、保全工事の費用の予算をそこへ使ったという事実があるわけです。  そこで、私がきょう問題提起をしたいのは、千七百六十一万も費用をかけるとするならば、保全工事をするならば、もっと災害防除の優先度の高いところの工事にその費用を投入すべきではないだろうかというのが私の第一番の主張であり、言いたい点であるのですが、その点、農水省は林野庁にどう指導し、あるいは林野庁森林開発公団にどのような、休止をした区域間の保全工事をやるべきかという指導をしているのか、お伺いしたいと思うのです。
  59. 高橋勲

    高橋政府委員 御指摘の件は休止をしたわけであります。事業を重点的に実施し、よその地域のルートの早期完成、そういうことを考えまして、九年度に全国で三区間、これは休止をいたしました。  しかしながら、この朝日—小国区間は、これまでに開設したところを利用できるという箇所があるわけでありまして、そこのところは、やはり通行の安全上、御指摘のような保全工事はやはり必要ではないか。この保全工事を平成九年度にやったのは、相当規模の大きい保全工事をやっておけば、今後は相当な災害が出ない限り、通常の維持補修は必要でしょうけれども、それほど大きな保全工事はしなくても交通の確保ができるというふうなことで、林道のこれまでに開設した部分を有効に活用しようという点から、その通行安全上の保全工事をやったというふうに理解しております。
  60. 草川昭三

    ○草川委員 この区間を将来利用するかしないかという問題が一つありますが、私は、先ほど申し上げましたように、ここから、わずかですけれども離れた、二キロほど離れた同じ朝日工区なんですが、これはまた後で大臣にもお伺いしたいと思うのですが、平成七年の雨で、斜面というんですか、壁面がずさっと下へ、沢へ落ちてしまったんです、ごそっと。それから、道路全体がまたひっくり返った形で落ちてしまっているわけです。私は林道をつくるなと言っているのではないですよ。もともと林道というのは沢をうまく利用して非常に利便性がある、もう三分前ですからはしょりますが、必要だという前提で私は言っているのですが、こういうことをすべきではないと思うのでございます。  会計検査院にお伺いしたいのですが、今のような休止を決定したにもかかわらず亀裂の補修工事を行っているが、見解はどうですか。お伺いしたいと思います。
  61. 牛嶋博久

    牛嶋会計検査院説明員 先生御指摘の件につきましては、森林開発公団からは、完成した林道を山形県に移管するまでは公団に管理責任がありますので補修を行っているという説明を受けております。私どもとしては、このことが直ちに違法、不当であるとは考えておりませんが、先生ただいま御指摘の点を十分踏まえまして、この工事については十分関心を払って検査を行ってまいりたい、そう思っております。
  62. 草川昭三

    ○草川委員 もう一点、検査院は、今の答弁ではないのですが、違法、不当の検査だけではなくて、事業の採択、すなわち政策判断ですが、そのところまで踏み込んで検査をすべきだと思うのですが、その点はどうでしょう。
  63. 疋田周朗

    疋田会計検査院長 ただいま委員指摘の問題につきましては、自然保護の問題についても十分関心を持ちながら、多角的な観点から今後検査を行ってまいりたいと考えております。
  64. 草川昭三

    ○草川委員 では、時間があれでございますから、農水大臣にお伺いします。  今のような現状でございまして、私が見学をした地点から二キロ離れたところで、先ほど言いましたように、コンクリートの壁が折れて沢に転落する、道路全体が流失をしたというようなことを申し上げたわけです。この区間というのは、一メーター当たり約三百万円の工事費がかかるわけで、総額で一億円の事業費がかけられたところなのです。そもそもこういう事業計画は無理だ。それで、特に行財政改革を標榜されている橋本内閣の主要閣僚である農林水産大臣として、林野行政の効率化あるいは簡素化ということをぜひ考えてもらいたいと思うのです。  それで、先ほど杉の話が出ましたが、これをちょっと、この写真ですが、杉というのは皆さん御存じのとおり三角ですよ。とがっていくわけですよ、杉のマークにありますように。ところが、こういうような丸い形になってしまうわけですよ。要するに成長がとまっているのです。それは高い山ですから、杉が育たない。こういうことも含めて、ぜひ林野行政の、特に林道のあり方ということを検討していただきたいということで、最後に大臣の答弁をいただいて、終わりたいと思います。
  65. 島村宜伸

    島村国務大臣 私は、農水相に就任以来、暇さえあれば全国を回ってできるだけ現地の実情に触れたいと常に願っているところであります。このところ委員会がずっと重なりましたけれども、国会審議の暇を少しいただけるようになりましたら、できるだけ委員指摘のように現地を見て、効率性の高い、やはりこれからの林道その他の敷設をしていきたい、こう思います。
  66. 草川昭三

    ○草川委員 以上で終わります。
  67. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 草川昭三君の質疑を終わりました。  次に、佐々木秀典君。     〔委員長退席、笹木委員長代理着席〕
  68. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)委員 民主党の佐々木秀典です。  先ほど大臣あるいは林野庁長官会計検査院長から財務状況についてのお話を承って、まことに深刻だなという思いをさらに深くいたしております。これについては、原因などについても先ほど御説明がございました。こうなったについては原因が幾つか重なっているわけですけれども、その中の一つとしては、やはり外材輸入が多くなって、そのシェアがさっきのお話だと八〇%にも及んでいる。農産物についても非常に輸入が多くなってシェアが多くなってきているとはいいながら、それよりもこの外材のシェアというのは大きいですね。輸入量といいますか、比率的にはこれはけたたましいものだと思うわけです。  ところで一方、そのことについては、日本が金に飽かせて外材をどんどんどんどん入れる、そのために外国の森林が切られていくということについての国際的な批判などということもあるわけです。一方では国産材時代を迎えなければならないということも言われるわけだけれども、そこで一つは、この外材輸入、それから使用、これについてもう少し抑制する。確かに、国産材としては材として使っていくだけの良質なものがどれだけあるかということももちろん関係はある。木は育てるのに長年かかるわけですけれども、しかし、何にしても今の外材のシェアの多さということを考えると、一つにはこの辺をどうするかという問題があると思うのです。これについてはどんなふうに考えておられ、どんなふうに対策を立てていくおつもりなのか、お聞かせいただきたいと思います。     〔笹木委員長代理退席、委員長着席〕
  69. 高橋勲

    高橋政府委員 昭和三十九年に完全自由化して以来、外材のシェアがどんどん多くなって、昭和四十五年で外材国産材が逆転して、現在八〇%、こういう形であります。外材輸入規制でありますとか使用の規制でありますとか、そういう方法もあるわけですけれども、現在の自由経済、自由貿易の中で、今までこういう形で自由化されてきたものを逆に抑制の方向に働くというのは、どうもこれまでのウルグアイ・ラウンド、WTO体制の中では非常に難しいのではないかというふうに思っております。  現在、木材輸入につきましては関税で若干のガードがあるわけでありますが、この関税につきましても、先般のウルグアイ・ラウンドで基本の関税率を約三割程度下げて、この五年間にもっと関税率を低くする。最近のAPECでは、さらにそれも前倒しをして、もっと関税を下げて、ゼロゼロでいこうじゃないかというふうな話もあるぐらいなわけでして、現在としては、この関税を最小限守るというふうな形が一つ考えられる対策だというふうに思っております。
  70. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)委員 大変消極的なお話で、こんなことでいいのかなという思いがするわけです。いずれまたWTOの交渉もあることになるわけですけれども、しかし、やはり我が国のこの森林林業をめぐる状況というものを国際的にも理解をしてもらう必要があるのではないかと私は思うのですね。そういう点で、余り弱腰にならないで、もう少し関税化についても、少なくとも農産物、各種ありますけれども、それぞれに配慮がなされている程度のことはやはり考えないと、恐らくこのままでは日本の林業というのは本当にだめになってしまうのじゃないかということを私は心配いたします。これは、何とか対策をもっと真剣に考えていただくようにぜひお願いしたいと思うのですね。  それから、先ほどの大臣のお話で、とにかく借入金の多さ、それから金利の高さ、これはゆゆしいものがありますね。さっき資料によって御説明がありましたけれども借入金累積総額が四兆六千二百億だ、それに対する金利累積総額も一兆九千億。つまり、借り入れ元本の五〇%に近い、四七、八%になるのですか、それで、返済金については一兆九百七十二億しかないというわけですから、これは借入金もすごいけれども、この利息というのもまことにけたたましいものだと私は思う。大臣の御所見の中でこの累積債務処理については、「財投借入金について、金利軽減措置が必要と考えております。」こう言われておる。本当にそうだと思うのですね。  確かに、資産と負債との関係でいうと、長官お話しのように、資産の方が簿価としては上回っている。しかし、内容が問題ですね、これは全部看過できるようなものではないのだから。実際には、もう普通の民間会社だったら、とにかく事業経営がいけないということで、不渡りを何回も出して、少なくとも二回出して、倒産、バンザイ、破産状態だと思うのですね。委員長も弁護士ですし私も弁護士で、いろいろな会社の整理などもやってきておりますけれども、例えば、それでも会社の立て直しを図ろうというような任意整理だとかあるいは会社更生法による更生手続に入るなどというときには、大体金利などというのはみんな免除してもらうし、場合によったら負債そのものについても、債権者に泣いてもらって一定額を減額してもらって再建を図る、よくなったらまたお返しをしていくというようなことをやるものなのですけれども、なかなか国の方ではそうはなっていないので、こんなに赤字になって火だるまになりながら、なおこうやって国の方では貸し金について金利までちゃんと取り立てるというようなのは、どうも私は納得がいかない。  そんなことを考えながら、大臣が言われる金利軽減措置が必要と考えておるというこの対策を、それではどうなさるのか、具体的にどんなことを考えておられるのか、どうして身軽になろうとされるのか、これをお話しいただきたいと思います。
  71. 高橋勲

    高橋政府委員 現在考えております私どもの概算要求の考え方は、平成八年度末現在ですが、三・五兆円の借入金、新しい体制に移るのが平成十一年一月、ですから、平成十年の十二月までは借入金がふえていく、これはトータルで三・八兆円になると思うのですが、このうちの五千億をみずからの特別会計で返済をしたい、三・三兆円について一般会計に承継し元利ともにお願いしたい、こういう形であります。  この元利ともにお願いするというところで、委員が御指摘の、この金利の軽減も債務の免除も両方含まれておるわけでありまして、私どもとして、ぎりぎりの努力で五千億を負担し、当初の三十五年間で五千億ですが、その後の十五年間で出てくる五千億でまた返済するというふうなスキームも考えておりますが、いずれにしても、当面、この三・三兆円について元利を一般会計で承継してくれというふうな要求をしているところであります。
  72. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)委員 何にしても、これから先、随分長いのですね、この返済については。しかも、それだけ長くやっても五千億、そしてもう一つの考えで五千億、両方合わせても一兆ですから、到底全部の解決にはならないわけです。これはどうしたって、特別会計のやり方などというのはもう破綻を来しているわけですから、国全体としてやはり考えなければならない問題だと思うのですね。そうでないと、これは先へ進んでいかないですね、後ろ向きな話ばかりで。これでは、幾ら森林が国の財産だ、国民全部の財産だ、公益的な機能を持っている、いわば国土そのものなのだと言ってみたところで、ますます荒れ放題ということにならざるを得ないと思うのですね。  そこで、実は私ども民主党で、十一月十一日に北海道で林業調査、現地調査を行ってまいりました。そのときの資料を皆さんのところにお渡ししているかと思いますが、まず、写真が三枚くっつけてあると思います。それから、こういう図面が一つございます。私どもはこのときに、北海道の上川郡の美瑛町というところで、美瑛の営林署管内の民有林国有林と両方見てきたわけですけれども、どちらも、国有林も荒れているし、民有林も荒れているわけですね。  この写真をごらんいただきたいのですが、一番最初にあるもの、これは民有林ですけれども、この一枚目の写真の左側と右側がございますが、この右側の方、これは間伐実施したところでございます。お手元の図面でごらんいただきますと、ここに、この図面の一一七という大きな数字があると思います。このすぐ上の五六と書いてある、入江さんと書いてあるところがこの写真の左側の林なのです。そして、右側の林が、その五六の右側、右上に松村一雄さんと書いてあるこれなのです。これがちょうど隣り合っているのですが、この五六の方は未間伐間伐していないところ、それから写真の右の方、これは間伐をしてあるところ。これはいずれもカラマツですけれども、右の方が二十七年生ですね。それで、ここに書いてありますように、九四年に一度間伐をしているということですが、左の方は、本人がやるやると言いながら、結局間伐をしないでそのままになっているということで、比べていただくといかに違うかということが歴然としているのではないかと思うのですね。  二枚目は、この左の方の未間伐の林です。こういう状況なのですね。見ますと、もう中の木などというのはモヤシのように細くて、それがもう絡まり合っているというか入り組んでいる。それから、その下の方は、これは間伐実施したところで整然となっているわけですね。  これは、地元の森林組合の皆さんにも御案内をいただいたわけですが、ごらんいただいてわかりますように、この図面の二七と書いてある下の方は、ほとんどこれは未間伐状態なのですよ。だから、こういう二枚目の写真のような林がずっとこのような状況で続いているわけですね。森林組合の方でも実は困っているわけです。伐採間伐を勧めているのだけれども、とにかく先行きの見通しがない、金がかかる、今金をかけたってそれが戻ってくるわけじゃないというようなことでそのままに放置されている、放置されているために売ろうと思ってもかえって売れないし、もうどうしようもなくなって荒れ放題になっている、そういう状況を聞かされてまいりました。  また一方、これは図面は行っていないかと思いますけれども国有林を見せていただきました。この国有林については、ドイツトウヒの造林地で、これが法指定としては水源涵養保安林、そして機能の類型の区分としては木材生産林というところで、美瑛営林署管内二十二林班ろ小班ドイツトウヒの造林地というところを見せていただいたのです。  これは、植栽の年度が昭和五年で、林齢としては六十七年たっているドイツトウヒ。ですから、いわば本当は伐採期になっているわけですね。それで、間伐昭和四十二年から平成九年の間にやってきた。下刈りだとかつるの切除伐については記録がないということになっているところなんですけれども、切るにも切るだけの金がないというわけですよ、もう予算が。それとまた、さっきの話じゃないけれども、切ってもとても売れない、したがって、経費にまでも及ばないというわけですね。そのままに、営林署としても切るに切れないという状況で放置しているということも見せてもらいまして、非常に何か身につまされる思いがしてきたのですが、いずれにいたしましても、こういう状況です。  それと、もう一枚皆様のところに横長の紙が行っていると思いますけれども、「旭川営林支局概要」というのが行っていますか。  これが、旭川営林支局でこれだけの地域、一、二、三、四、それから石狩空知までで五つの地域でございまして、支局の計で管理面積が八十七万三千八百十七ヘクタール、営林署の数が十九、それから要員数が一千三十一名ということになっておりまして、単純に要員に対する一人当たり面積ということになると、八百七十ヘクタールぐらいになるかなと思うのですけれども、非常に広大な面積ですね。これをこれだけの要員で管理をし、もちろん生産材についての販売だとかそういう仕事もやってはおるわけです。さっきのお話のように、かつては八万人からいた要員が今これだけに減ってしまって、これだけで管理から何から全部やっているということなんですね。  実は、私の家内も昔は営林局に勤めておりましたのですが、家内の父親も、それから家内の兄貴も営林署勤めをしていたものです。よく家内の兄貴の話などを聞きますと、冬はそれこそ、北海道なものですから、雪上踏査といいますか、スキーを履いたり、それから、かんじきを持って山に入って、テントを持って一週間ぐらい泊まり込んで調査をして、それで間伐の選びをしたり、さまざまな苦労をしながら手塩にかけて山を見てきたと。ところが最近は、お話を聞きますと、とてもじゃないけれども、人手不足で、そんなようなことをしたらもうみんな死んじゃうというようなことで、本当はやりたいんだけれどもやるにやれないんだという話を聞いてきたわけですね。本当に痛切な思いがいたしました。  一方、民有林についてもやはりそうですね。このときも、森林組合組合長さんなんかも言っておられましたけれども林業労働者は、さっきも御指摘のようにみんなもう高齢化だ。例えば、さっきの民有林間伐をやるにしても、間伐をやる人を集めるのがなかなか大変だと言うのですね。この地域の、さっきの、お隣の間伐をやるのに毎日五、六人の方をお願いして、一週間ぐらいかかるんだそうですけれども、その人を集めるのだって大変だ。そして、それが何十年たったら必ず金になるというならわかるけれども、そうはいかない。  その組合長さんも言っていましたけれども、自分の持っているところも、切った後植えたのがまだ三十年ぐらいしかたっていないので、自分の目の黒いうちにはとてもじゃないけれども返ってくるとは思えない、息子の代でもどうかな、せめて孫の代で、おまえたち何とかしろよと。しかし、そのときに果たして売れるようになるだろうか、ますます売れなくなっているんだとすればどうなるんだろうかなというようなことを言っておりましたけれども、本当に私どもとしても、いろいろな思いで感慨を込めたお話を聞いてきたわけです。  そういうことを考えますと、先ほど、単純に自助努力、これからまた一万五千人を三分の一にするんだ、もちろん公益部門にだけ重点を当てるんだからというお話があったけれども、これで果たして山を守るなんということはできるのだろうかと思うわけですね。抜本的な改革というお話もあるわけですけれども、本当にそれでいいのだろうかということについて、大臣、もう少しお考えを、コメントをしていただきたいと思うのです。
  73. 島村宜伸

    島村国務大臣 御高承のとおり、我が国の国土の約七割は森林でありまして、緑と水の源泉であります。森林の果たす役割、先ほど来お話が出ておりますが、木材の供給とかあるいは水資源涵養、清浄な空気の確保等、極めて高い、我々の生活に不可欠な公益的機能を発揮しているわけでありますが、豊かで安全な国民生活の実現に、これからも我々はこのことの確保のために努力をしなければいけない。当然のことであります。  しかしながら、今ほどいろいろ御指摘がありますように、木材価格の低迷や林業労働力の減少、高齢化などによりまして、林業はもう言語に絶する厳しい状況にございます。このような状況を踏まえまして、森林の諸機能の高度発揮と林業の活性化を図っていくために、私どもといたしましては、一、林業経営基盤の強化、林業労働力の確保林業事業体の育成、それから木材の安定供給体制の整備等の推進、また造林林道などの森林整備事業及び治山事業の計画的な推進、さらには地域の実情に応じた多様な森林整備を進めるための森林法制の整備等に重点を置き、総合的かつ積極的な林政の推進に努力していきたい、こう考えております。
  74. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)委員 時間がなくなりました。申しわけないのですが、一点だけ。  本当に現場職員は苦労しています。大臣、行ってごらんになったらおわかりになると思いますが、営林署の庁舎なんてひどいですよ。中には電気代も払えないというところもあるのですよ。みんなもう困っている、予算がなくなって。そういう中でみんな苦労しているのです。  それを、さらに今度減らしていこうとするのでしょう。だからここは、現場で頑張っている皆さんの意見を本当に切実なものとして聞いていただきたい。これまでも労働組合の意見なんかはお聞きになっているのだろうと思うけれども、これからの改革の中で、現場職員だとかそういう労働組合の声というものを十分に聞いていただくための努力をさらに私は続けていただきたいと思うのだけれども、そういうことについて、大臣、御督励いただけますか。
  75. 島村宜伸

    島村国務大臣 全く同感でございまして、私は誠心誠意この問題に取り組みたい、こう思います。
  76. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)委員 ありがとうございました。
  77. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 佐々木秀典君の質疑を終わります。  次に、中林よし子君。
  78. 中林よし子

    ○中林委員 日本共産党の中林よし子でございます。よろしくお願いします。  それではまず最初に、大問題になっております国有林野赤字の問題についてお伺いしたいのですが、これは、先ほどの説明の中でもその原因についてはお話がありました。国有林野事業が構造的赤字経営に転落したのは一九七〇年代の半ばからなんですけれども、その原因、重ねてなんですけれども、端的にお答えいただきたいというふうに思います。
  79. 高橋勲

    高橋政府委員 やはり国有林野事業特別会計ということで、木材収入ですべての経費を賄う、こういうシステムに根本的にその要因があったと思うわけであります。  やはりその収入源である木材価格が、輸入自由化後、それから為替レートの変動等で大変低迷してしまったということ、それから戦中と、戦後の高度成長期、非常に国内経済におきまして木材需要が高まったわけであります。そのときに、外貨もないようなときで、国内森林国有林はもちろん、民有林についてもそうですが、木材を供給しろ、こういうような要請が強くありまして、そこで伐採をして、ですからそのとき、造林はしたわけですけれども、平均的に切って成長量の範囲で切ればこういうことはないはずなんですが、それが非常に大量な伐採で切ったがゆえに現在はまだ成長過程の森林である、そういうことで価格が落ち、収穫量が落ち、そしてその必要な事業費財投から借り入れた、このことがやはり債務累積した要因だというふうに思っております。
  80. 中林よし子

    ○中林委員 確かに、現象面についての原因については、過剰伐採をしたとか、それから価格が低迷したとか財投の金を借りたとか、そういうことをおっしゃるわけですけれども、それをなぜやったのかというところの林野庁としての自己検討、それができていないんじゃないかというふうに思うのですね。  この二十年間にも及ぶ構造的赤字原因、私どもが考えますのは、政府が高度成長時期に、紙だとかパルプだとか、そういう木材産業を初めとした大企業に安い原木を大量に提供したこと、しかも、広葉樹は成長量が低いという理由でもって、生産力を飛躍的に増強する、こういう理由で、先ほどから高い山に杉など植えたという話が出ていますけれども、適地でないのに針葉樹に植えかえて、成長量の二、三倍の過剰伐採をして貴重な森林資源を食いつぶしてきた、政府のやってきた政策そのものが赤字を生み出してきたというふうに思うのですね。  さらに、そういう状況にあるにもかかわらず、木材輸入自由化に踏み切って、急速に大量な木材が外国から入って価格の低迷をもたらした、こういうことを考えれば、もう赤字になることは目に見えていたわけですよ。  そういう状況の中で、しかも追い打ちをかけてですけれども、財政再建を図るということで、一九七八年、国有林野事業改善特別措置法を制定して、以来四次にわたって改善計画が進められてまいりました。このとき日本共産党は、この特別措置法というのは国有林野事業使命を放棄して一層荒廃に導くということで、反対してまいりました。残念ながら、私ども指摘どおりになったと言わざるを得ないというふうに思うのですね。  改善計画と言葉では言っているけれども、端的に言えば、貴重な国有林野の天然材の伐採をやったり、それから土地、林野の売り払いをして、それから徹底的な人員削減をして、しかも不足分は、返済見込みもないのに民有林の二倍もの金利の高い財投資金を借りる、こういうことをやったのが改善計画だというふうに思うわけですね。先ほどから、山から手が抜かれて荒れている状況が言われましたけれども、徹底した人員削減がそういうものをもたらしたし、それから財投資金を借りたということでみずから借金地獄に陥ってきたということで、これまでの政府のとってきた長年のやり方そのものが、赤字財政、破綻への一途をたどってきた最大の原因だというふうに指摘をしておきたいと思います。  先ほどから大臣も、何回も森林というものの役割についておっしゃっているわけですけれども林野庁は、公益的機能のうちの水資源涵養、それから土砂流出防止、土砂崩壊防止、保健休養、野生鳥獣保護、それから酸素供給・大気浄化の六機能についてですけれども、代替法による評価の試算を行っていらっしゃるとおもうのですけれども、その評価額は幾らでしょうか。
  81. 高橋勲

    高橋政府委員 森林の有する公益的機能の評価額につきましては、水資源酒養等をダムで置きかえたとしたらというふうな代替法で計算しまして四兆二千六百億など、委員指摘のような六項目によりまして計算をいたしますと、トータルで三十九兆二千億というふうに評価しております。
  82. 中林よし子

    ○中林委員 森林全体で三十九兆円余りということですが、国有林野森林全体の約三割ということですから、単純に計算しても、国有林の持つ公益的機能の試算は十一兆七千億円余りということになると思うのですね。しかも、国有林の多くは標高が非常に高い脊梁地帯のところにありますし、そういうところは水源地帯が多いということで、国土保全の面などからも非常に重要な役割を担っているというふうに思うのです。また、国有林が存在する地域では、林産業そのものが衰退しているとはいえ、非常に重要な雇用の場にもなっていて、木材関連産業に対する原料提供など、地域経済にも非常に大きな役割を果たしているというふうに思うのですね。  大臣にお伺いしたいんですけれども、こうした重要な森林、その中でも特に公共的役割が非常に大きい国有林にはそれにふさわしい維持管理が必要だというふうに思うのですけれども、その点についてはどのように国有林役割についてお考えなのか、お聞かせいただきたいというふうに思います。
  83. 島村宜伸

    島村国務大臣 御指摘のとおり、まさに森林というのは、国有、民有を問わずきちんと管理をしていくことが、私たちのいわば生活を守る上でもこれは絶対に必要なことだと思います。  先ほど来いろいろ御指摘がありましたように、我が国は木の文化で栄えたという歴史を有しておりますが、これからも、我が国特有の文化を維持していくためにはこの木材の供給というものを確保しなきゃいけません。また、先ほど来お話があるように、国土の保全とか、あるいはまさに清浄な空気、水資源涵養等自然環境の保護、あるいはまた委員が御指摘になりました野鳥獣の保護とか一あるいは災害の防止等々、まさに多面的な公益的機能を有しているわけでありますから、この森林を健全な状態に管理、育成するということはあらゆる政治に優先すると言っても決して言い過ぎではないことだ、私はそう考えております。  このため、近年の自然災害の発生や渇水等を踏まえた山地災害の防止や、あるいは水源涵養機能の高度発揮を重視した森林整備、あるいはまた自然休養林や市町村民の森などの造成整備、さらにはまた健全な森林の造成に不可欠な間伐林道整備などを積極的に推進し、やはりこれは断固守っていかなければいけない、こういうふうに認識をいたしております。
  84. 中林よし子

    ○中林委員 続いて大臣にもう一度お伺いしたいんですけれども、一九九二年に、国連環境開発会議森林に関する世界で最初の森林原則声明を採択されたことは御存じだというふうに思うのですね。この声明では「森林は経済発展及びすべての形態の生命の維持にとって必要不可欠なものである」こういうふうにしているわけです。そしてこの声明は、各国の政府に対して、森林保全のために責任を持って積極的な行動をとることを提起しておりますが、この提起を受けて、日本ではどんな山づくりを今日までやってき、これからどんな山づくりを目指そうとしていらっしゃるのか、その点についてお伺いします。
  85. 高橋勲

    高橋政府委員 最後に大臣にお答えいただきますけれども、今の森林の原則声明、一九九二年のリオで環境サミットが開かれた際に、森林分野では森林条約をつくろうという話もあったわけですが、そこまで至らずに、森林原則声明ということで、世界じゅうの森林を持続可能な森林経営に持っていこう、こういう約束事ができたわけであります。  その後五年を経て、その森林条約にまだ至らずに、現在も、持続可能な森林経営というのはどういうことなんだというふうなことを国際的に論議している段階でありますけれども、やはり環境保全というものに留意しながら木材の利用を図っていくというふうなことが持続可能な森林経営であろうというふうに考えております。  それで、私どもの方は、森林資源基本計画という基本計画をつくりまして、やはりその中で、水土保全、水資源涵養とか土砂の崩壊防止、そういう森林とか、あるいは共生の森というふうな野生鳥獣との共生の森をつくる、あるいは資源循環の森という形で持続可能な森林経営をしていく、こういうふうな新しい考え方を森林資源基本計画でつくりまして、これに基づいて民有林国有林山づくりをしていこうということでやっております。
  86. 島村宜伸

    島村国務大臣 世界的な立場で見ますと、日本の農地面積に匹敵するような、いわば砂漠化がどんどん進んでいる。過度の放牧あるいは過度の伐採等によってどんどん砂漠化が進むということは、世界の急激な人口増加等に照らしましても、食糧資源の確保、安全保障を確保するためにも好ましくないし、いわば資源を確保していく意味において非常に問題だと思います。  今長官からいろいろ説明をいたしましたけれども、私たちは、森林を守るということは、特に我が国のように急峻な山に覆われた国土というものを考えますと、殊さらに必要な仕事である、こういうふうに考えております。
  87. 中林よし子

    ○中林委員 大臣、荒れた山は国有林だ、こう言われているのは御存じでしょうか。
  88. 島村宜伸

    島村国務大臣 そういう話は実は聞いておりまして、実は先般も、宮崎に行きまして、宮崎の林業関係の責任者の方々にお話を伺ったところでありますが、いや、大臣、それは何も国有林だけじゃないよ、我々も手がつけられないで、もう民有林もみすみす指をくわえて見ておるということ、先行きが大変不安だということを私は聞いてまいりました。
  89. 中林よし子

    ○中林委員 それで、先ほどから、非常にすばらしい案づくりの方向だとか、お話があったのですけれども、それと、今回大臣説明された抜本的な改革方向は、もう極めて遊離しているのではないかというふうに思わざるを得ないのですね。  今一番必要なことは、収益につながらない育林事業などを放棄するというか民間委託にするとおっしゃっているのですけれども、そうじゃなくて、そういうところにこそ国が責任を持つべきだというふうに思うのですね。  総理府の世論調査でも、国民の八割が、森林は経済効率に合わなくても国土保全などの役割を重視して整備すべきだ、こういうことを答えているわけです。だから、経済効果だとか、それから赤字解消というのは当然あるわけですけれども、そういうことを優先するのではなくて、この地球サミットの声明も国民世論も本当にしっかり受けとめて、国が責任を持って国有林としての役割を発揮させる必要があるのではないかというふうに思うのです。  そこで、私ども日本共産党は、国有林野の持つ公益的機能が最高度に発揮させられるのは、民営化ではなくして、国が直接維持管理をする国営形態によってこそそれはやられるものだというふうに思うわけです。  では、夢物語みたいなことを言わずに、どういう政策を持っているのだということなのですが、一つ一つ詳しくは言えませんけれども、私どもは、以下の点を実行する必要があるというふうに思います。
  90. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 ちょっと簡潔にお願いします。もう時間が過ぎています。
  91. 中林よし子

    ○中林委員 一つは、国有林の総点検を行って、長期的視野に立って計画的な復旧、整備に取り組むこと。それから二番目に、国有林による労働者の直接雇用を維持して、若い労働者の採用をふやして効率的な事業の実行体制を整備する、三分の一にするなどというようなことはもってのほかだというふうに思います。それから、先ほど言われた独立採算制の問題は、私どもも、廃止するということは大いに賛成です。それから、累積債務については、やはり特別会計から分離して計画的に返済していく。それから五番目は、財源は、先ほどほかの委員からも指摘がありましたけれども、国全体の予算の見直しの中でむだなものは省いてやっていくということです。それから六番目に、国有林の管理経営の民主化。主要な事業計画は国の承認を得る。
  92. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 簡潔にお願いします。
  93. 中林よし子

    ○中林委員 はい。  そして最後に、外材依存を改めて、国内林産業を振興させるということの実現のために私どもも頑張るということを述べまして、質問を終わらせていただきます。
  94. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 中林よし子君の質疑を終わります。  次に、堀込征雄君。
  95. 堀込征雄

    堀込委員 最初から少し耳の痛い質問になろうかと思いますが、三・三兆円という国民負担を求めるわけでありますから、過去の問題点原因というようなものについて、やはりもう少し深く国民の前に明らかにし、あるいは責任というような問題についてもやはり議論が必要なんだろうというふうに思うわけであります。  例の特措法、四回見直しが行われてきまして、今の改善計画は、そのとき私も国会の論議に参加しましたが、累積債務二兆三千億円、二十年間で林野の売り払いで大体一兆二千億程度消すんだ、平成十二年に経常事業部門収支を均衡させて、そこから利益を生み出しながらこの処理をしていくという計画になって、人員も二万人計画、当時三万四千人ぐらいいたはずですが、そういうことでスタートしたはずであります。  私自身も、そのとき国会で何度か指摘をしたのです、相当無理があるのじゃないですかと。しかし、時の林野庁長官は、大丈夫です、これでいけますよということを何度も答弁をしてきているわけですね。ところが、こういう事態になって、債務は三兆八千億円に膨らんだ。いわば再建整備の会社、倒産会社の再建途上であるわけですね。私が指摘したいのは、民間会社であればその管財人ともいうべき林野庁長官が、しょっちゅう人事異動でかわってしまう、事業の途中でも。  それから、そういう意味で、きょうの資料では、伐採の適齢級の森林資源が急減したとか、木材輸入が増加して価格下落したとかあるのですが、こういうことは当時も指摘をされ、そういうふうになったらどうなるのですかということはやられてきたわけですね。議論されてきたはずでありますが、にもかかわらず、どうもこういう事態になってしまった。  今、民間の金融機関、いろいろ事件がありまして責任問題だとかいろいろあるのですけれども大臣の場合は一割の歳費の返上をされておりますが、やはり、三・三兆円を国民の皆さんに負担をいただくということになれば、一体官の責任というのはどういうふうに追及されなければならないのか、あるいはそういうことについてもある程度——私どもは一切責任はなかったんだ、木材輸入下落したからだということだけで僕は理解されるのかなと。やはり、歴代の林野行政、官の行政に相当失敗、誤りがあったのではないか、そういうことの反省というのも国民の前に示すことが必要なのではないか、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
  96. 島村宜伸

    島村国務大臣 お答えいたします。  なるほど、官に責任がないのか、もともと独立採算が無理だというようなことがわかっていながらこのまま放置されてきたということについて、さらにこれをもっと早めて、無理は無理としてきちんとした認識のもとに改善すべきであったという御指摘は、それは一方にあって当然だと思います。  ただ、国有林野事業につきましても、これをそのまま放置してきたわけではありませんで、御高承のとおり、昭和五十三年から四次にわたる改善計画を策定して、これに基づく要員の削減をやってきたところです。昔は六万五千人おったものが、五十九年時点で五万三千だったかしら、それで平成三年には三万一千にし、現在一万五千。相当思い切った削減だと思いますし、むしろ、人員削減という意味では行政改革の一番模範生ではないかと思うくらい思い切った、踏み込んだ人員削減をやり、効率化を図ってきたが、それをやっても、とてもその負担から脱皮できない。  金利にしても、先ほど来御説明があったように、いわば五%を超えるものが五二%もあるというような現実もこれあり、このままでは、木材価格は低落していく、それから、土地は売れない、そして木材による収入も微々たるものだということになれば、これはまさに構造的な問題でありますから、これを改革しなきゃいけないということで、今回思い切った改善計画を出し、我々もこのように身を削っていわば体制を組みますので、ひとつ御理解をいただきたいというのは、ある意味では責任を感じた結果だと私は思います。  就任早々、私が今でも心を痛めていることは、果たして労使の話し合いその他の中で本当に一万五千人体制が現実のものとしてできるのだろうか、これから組合の皆さんとも誠意を尽くしてお話し合いをしていくところでございますが、非常に思い切った改革をしようということでございます。
  97. 堀込征雄

    堀込委員 私、今の改善計画は、要員の話でいえば二万人体制だった、いつの間にか一万五千人になったわけでありますが、さらに現場職員を減らす云々という話じゃなくて、経営責任といいますか、林野庁幹部のところでもそういう姿、姿勢というところがやはり国民に見えるようにしなきゃいけないじゃないかという意味で、実はさっき質問させていただいたわけです。  今これで三・三兆、それからJR債務もあわせて議論をされて、JRの方については幅広く、道路特定財源を使ったらどうだとかいろいろな議論をされているわけであります。こちらの方は三・三兆国債費で持っていく、こういうことでありますから、マスコミ報道で見ますと、これはもう林野庁単独の話じゃなくて、農林省全体の中でも議論をし、農林省全体の中でむだを省いたり、そういうことをまずやるべきじゃないかという論調が多いわけですけれども大臣、どんな感想をお持ちでしょうか。
  98. 島村宜伸

    島村国務大臣 そういう意味合いも含めまして、御承知のように、平成十年度予算編成に当たりましては我が省は九六・四%に今度は減額されるわけですけれども、この国有林予算についてはむしろ二二%増、いわばこの支援といったらおかしいですけれども林野行政の厳しさをよく勘案してそういう予算編成を行っているところでございます。  いずれにせよ、いろいろな体質がありますけれども、これは一気に脱皮をしていかないと、いつまでたっても赤字累積で、第二の国鉄と同じことになりますので、我々は来年一月を期して思い切った体制に変えていこう、こう取り組んでいるものであります。
  99. 堀込征雄

    堀込委員 大臣の決意はよくわかります。ただ、今までの改善計画を変えるときもそう言ってきたのですよ。もう今までではだめですよ、これから思い切って改めますと。当時も、要員も減らします、いろいろな合理化をしますということを実は今までの改善計画でも言ってきた。今度も実は、今度は、ちょっと三・三兆円こっちへやっちゃいますから相当思い切った案だとは思うのですが、大丈夫かなという実は疑問を私持つわけであります。  その一つ、やや具体的な話になりますが、先ほど笹木先生から御指摘ありました三十五年で五千億を出していきますよというこれですね、長官答弁しましたが、どうもよくわからないのですね。ちょっと具体的に、土地の売り払いは幾らで、林産物収入は五千億のうち幾ら予定しているのですか、そういうデータをやはり出してもらいたいのですよ。
  100. 高橋勲

    高橋政府委員 林産物で幾ら、土地の売り払いで幾らというのは今手持ちではないのですけれども平成十一年度から四十五年までの三十五年間、この間の長期的な収入見通しとして六兆四千億を見込んでおります。支出は総額で五兆九千億。そういうことで、収支差が五千億出ますので、この三十五年間で五千億の返済が可能であろう。それから、平成四十六年から六十年度までの十五年間で、収入が総額三兆一千億、支出が総額二兆六千億。そういうことで、収支差が約五千億。ですから、三十五年間でまず五千億を特別会計として引き受け、その後十五年間でその収支差の五千億でさらに負担をするというふうに見込んでいるわけであります。  平成四十一年から四十五年の平均の林産物収入を申し上げますと、千二百四十億というふうな収入を見通しをしております。
  101. 堀込征雄

    堀込委員 そうすると、三千七百億ぐらいはほぼ土地の売却で得る、こういうことですか。
  102. 高橋勲

    高橋政府委員 平成四十一年から四十五年というときの年平均の数字でありますが、その収入の見通しとして、林産物収入が千二百四十億、そのときの土地売り払いは二十億ということで、土地売り払いは早い時期に実行しておりますので、この時点ではもう二十億程度の売り払いになっております。
  103. 堀込征雄

    堀込委員 これもよく、データが出ないのですよね、この前の改善計画のときもそうなんですけれども。ぜひひとつわかるように出していただきたいと思います。  そこで、もう一つ。三十五年間で五千億円の債務を返済していくわけですが、この間、利子補給が要るわけですね。これはどうもちょっと相当な額になると思うのですが、どの程度見積もってどういうふうに消すかという話も、実はこれ、全然わからないわけなんですよ。ここはどうなっているのでしょうか。
  104. 高橋勲

    高橋政府委員 この五千億に必要な利子でありますけれども、利子の金利によりまして大分違うわけであります。過去二十年間の財投借入平均金利を見ますと五・六%なんですが、その五・六%を用いて試算しますと、累計で七千六百億円の利子負担というふうに計算しております。  ですから、これは、五・六%というのはどうも過去の二十年間の実績だから、これを使うという可能性もあるわけですが、現状の見通しからいきますと、金利水準は現在非常に低いわけで、この金利の水準によってはこの額はまた変動するところというふうに考えております。
  105. 堀込征雄

    堀込委員 具体的な細かいことを聞きますと、ちょっとデータを出してもらわないとどうも理解できないことがいっぱい出てくるのです。  例えば、要員を五千人に削減するというふうにおっしゃっているわけですね。これは人件費の削減にはなるのでしょうけれども、あわせて事業収入が減ってくるわけですね。もちろん大幅に減るわけでありまして、これは一体どういうことになっていくのか。それから、経費見通しというのは逆に減るのでしょうが、どういうふうになるのでしょうかという、大方の数字を出してもらわぬと、これは三・三兆も国民負担でお願いする、あと五千億出しますよ、はい、そうですかと、なかなか国民の理解を得られないのじゃないかと思うのですね。  そこをわかりやすく、納得できる姿形というのをやはり出していただくことが大事じゃないか、僕はこういうふうに思うのですが、今の具体的な問題、あわせて今後どういうふうに理解を得るためにやっていくかということについて、ちょっとお答えをいただきたいと思います。
  106. 高橋勲

    高橋政府委員 実は、お配りしてありますこの資料の、抜本的改革の中の十四ページに、今委員お尋ねの件につきまして、正確な数字が入ってはいないのですが、模式図的に平成十一年度以降の五年刻みの推移、長期収支の推移、そして、それの試算の前提条件というふうなことで数字が書いてございます。  ここで、先ほど申し上げましたように、平成十一年から平成四十五年までの収支累計が四千七百億になり、上のグラフでいいますと林産物収入一般会計の受け入れを前提にして、事業経費、人件費、これが、将来的には人件費が下がりますけれども事業費の方は事業量によって変動をしていく。将来的には、現在若い、伐採には向かない木も五年、十年、二十年、三十年という後にさらに伐期適齢期になってくる、そういう収入もありますので、剰余金が将来的にはふえてくるというふうなことで三十五年間で約五千億、それから平成六十年までで一兆円、こんなふうな数字をお示ししているところであります。
  107. 堀込征雄

    堀込委員 終わります。
  108. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 堀込征雄君の質疑を終わりました。  以上で各党を代表する委員質疑は終了いたしました。  これより自由質疑を行います。  この際、委員各位に申し上げます。  質疑のある委員は、挙手の上、委員長の許可を得て発言されますようお願いいたします。また、発言の際は、所属会派及び氏名をあらかじめお告げいただきたいと存じます。なお、一人一回の発言は三分以内で簡潔にまとめていただくようにお願いいたします。  それでは、質疑のある委員は挙手をお願いいたします。
  109. 中林よし子

    ○中林委員 日本共産党の中林よし子です。  国有林野から人員が削減されて山に手が入らないということがどれだけ山を荒らしてきたかというふうに私は思うのですね。それで、改善計画が始まってから約二十年近くなりますけれども伐採跡地への植林は天然更新という名目で実際は放置されてきたというふうに思うのですね。これは、人員が六万五千人から一万五千人まで減らされた結果だろうというふうに思うのです。  国有林野のある地域では、やはり国有林がしっかり手が入っていれば自分たちにとっても非常に助かるのにということは、災害の面からもあるいは林業発展の面からも双方から言われている問題なんですね。それにもかかわらず、しかも大臣も、先ほどからの答弁で山の手入れが必要だとかおっしゃっているのにもかかわらず、人員を三分の一に削減する。赤字を理由にそれをやれば、先ほど委員から示された、手入れの行き届いた木はよく育つけれども行き届かない木は育っていないということにも見られますように、私は、どうしても人を減らして山は守れないというふうに思うのですけれども、この点について、三分の一に減らすとおっしゃっていることと矛盾はしないのか。私どもはむしろふやすべきであろうというふうに思いますので、この点について再度お答え願いたいと思います。
  110. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 高橋長官、簡潔にお願いします。
  111. 高橋勲

    高橋政府委員 我々今考えておりますのは、現場の作業を手抜きをするとかほうっておくとかそういうことではなくて、現場伐採とか造林とかという仕事を、国が直営で人を雇ってやるよりも地域の人にお願いをした方がいいだろうと。民営化、民間実行、いろんなことで言われておりますが、国が直接やるよりは、よく山の事情を知った、その地域の民有林事業もやる、そういう人たちが国有林事業も一緒にやれば、事業量の安定ということも図られて、地域と国有林もまた一体化ができるんだというふうな考え方から、地域の人たちにお願いしようという考えでございます。
  112. 草川昭三

    ○草川委員 簡単に二点質問します。  一つは、費用対効果という話が出ましたが、効果の中に、森林公益的機能確保だとか保護時間が短いとかといういろんなのがあるんですが、ぜひプラス効果のみではなくてマイナス効果もあるということを検討してもらいたいと思うのですよ。マイナス効果というのは識者がいろいろと、林道開設事業についての自然破壊等々を含めて、あるいはまた、先ほど私ども指摘したように崩落の原因になる問題点とかというのがあるので、それをぜひ承知をしておっていただきたいということが一つ。  それから、先ほど、私の質問に対して最後に大臣の方から一般論としての見解は出たわけですが、大臣として、いわゆる事業計画、林道事業計画、非常に高所に林道をつくるということ自身に無理がそもそもあったんではないかということを指摘しているんですが、その点についての見解を賜っておきたいと思います。
  113. 高橋勲

    高橋政府委員 費用対効果の点でそういうふうないろんな因子が必要であろうということで研究させていただきたいと思います。  それから、事業計画で高所のところというのは、地域によってそこをどうしても通らなければという面もあったかと思いますが、これまでが、そういう面で開発志向といいますかそういう点での計画という考え方もありました。ですから、もう少しルートを考えた方法もあるのではないかというふうなことで、先ほど御指摘の山形の朝日の小国線にしましても、地域としてまた新しいルートをどうしようかというふうなことで検討しておりますので、余りにも高所のところで無理のいくような計画は今後きちんと見直すという考え方、それは環境アセスもいろいろ入れますので、そういう方向で検討していきたいと思っております。
  114. 島村宜伸

    島村国務大臣 委員指摘のとおり、やはり今までは右肩上がりの経済を背景に投資をし、そこにまた新たな生産あるいは経済の活力を生むという意識に立ってやってきたものが多いと思います。  もう一つは、全国の過密過疎対策とかあるいは担い手確保するという意味合いも含めて、それぞれの地域に希望を持ってもらうという配慮もあったんだろうと思います。しかし、財政がこのような状況にあるわけでありますから、これからは極端にシビアに対応しなければそれこそ許されないことだ、こういうふうに考えております。
  115. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 今るる大臣並びに林野庁長官から伺ってまいりまして、いかに国有林野事業が厳しい局面を迎えておるか、それに対して、国としてはもう造林とか丸太生産事業は全面的に民間に委託するんだ、国の業務というのは保全管理とか森林計画とかそういう公益的な業務に限定するんだ、こういうように伺ったんですが、そういうことでよろしいんですね。——そうすると、実は私の地元にも大変大きい面積の、大井川水系に国有林があるんですけれども、そこに立派な林道があったりしております。その林道は、国有林管理のために民間には開放しないんです。もみじのときなんかはそこへ行ったら、行った人の話では、こんなきれいなところはないんだ、世界の名所になるぞ、こういうくらいなところだそうですが絶対に行かしてもらえない、こういうことになっているんだね。公益的な事業に限定し、もう丸太も生産しないということなら、それは民間に開放してもらえるのかどうか、それがまず第一点。  それから、民間にいろいろ、森林組合に委託して山をやってもらうということになった場合、森林組合というのは確かにあるんですけれども、非常に広い地域の国有林ですから、やはりかなりの人員になるわけですね。しかし一方、公益的事業に限定するというようなことだと、何か予算は、どういうことになるんでしょうか。アウトプットがないんですから、予算はやりきり。ほんのわずかしか出さない、それで山は荒れ放題ということになったら大変なんですね。  その辺は民間との間で、じゃ、このくらいのことをやるのならこうですよという、何か計画的なものがあってやらなければ——現実的に山を管理して、そしてそれが本当にその地域の役に立つ山であってほしいし、またうまく保全してもらって、水源の涵養とかあるいは大勢の人のレクリエーションとかいろいろなものに役に立つようなところになってほしいと思いますが、そういうものに対してどういう考え方で予算をおつけになるのか、そういうことをちょっとお聞きしたいのです。そういう、地域との融合を考えておられるのか。
  116. 高橋勲

    高橋政府委員 先ほどの、民間の人を入れないで、いいところを全然人に見せないというお話ですけれども、確かに森林生態系を保護するとかそういう目的森林とか、あるいは、場所によっては災害が発生する危険性があるから、林道にここから先は普通の人は入れないとか、そういう形をとっているところもあると思いますけれども、これからそういう場所もきちんと、国民の森というふうな位置づけで、開放できるところをきちんと開放して、見てもらえるところは見てもらえるというふうな考え方で対応したいと思います。  それから、公益的事業に限定と申し上げたわけですが、木材生産をそれで全然やらないということではなくて、現在、機能分類でいいますと、半分以上ぐらいが木材生産森林というふうに国有林の中を考えているわけですけれども、それを新しい考えでは二割程度木材生産を中心とする森林にしようということで、その木材生産の中では、地域の人に造林とか伐採の仕事で働いてもらおう、こういう考え方でいるわけです。
  117. 島村宜伸

    島村国務大臣 一言だけですが、私は、要は今長官が申しましたように、災害の防止という意味合いがやはり大きいと思うのですね。先ほど佐々木委員からいただいた写真など、あそこへぽっとマッチ一本入ったら大変な火事になるのだろうなというおそれをすぐに抱かざるを得ない、こういう面もあります。  ただ、農林水産省といたしましては、農地にせよ国有林地にせよ、これが本当に地域の開発やこれからの国民生活に何か大変貢献するものがあるならば、その枠を囲って一切離さないという意識には立っておりません。  特に、最近伺ったことですが、ソ連が崩壊しても餓死者を出さなかったのは、かなりセカンドハウスのシステムが徹底しておって、皆さんそれぞれ自分のセカンドハウスへ行って農地の開墾をしたために出さなかった、これはまさにその道に大変通じた方のお話ですから確かな話と思いますが、そういうことごとを含めて、セカンドハウスを国民が持って、何でもウサギ小屋に閉じこもらなくてもいいような環境づくりもしていくことが必要なんだろう、こんなようなこともありますので、今お話にあったすばらしいところは、皆さんが楽しめるようなこともいろいろ研究してみたいと思います。
  118. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 特に大井川水系については、非常にいいところでございますので、活用方について積極的に地域と協力していただいてお考えいただきたいと要望しておきます。一回ごらんいただくと、大変すばらしい。
  119. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)委員 今も要員の問題が出ましたけれども、実は、国家公務員の減員数というのは、この二十年間で三万人ぐらいですかね、八十五万から八十二万ぐらいで、九六%ぐらいですね。それに比べると、何といっても先ほどの、一番多いときには八万からいたわけだけれども、例の昭和五十三年で六万五千ですかね、それからの二十年間で一万五千人に減ったということは、二三%になったという、これはもう減員率からいったら大変なものですよ。だからこそ国民の皆さんも、本当にこれでいいんだろうかということはわかるんだろうと思うのです。この数字で見、そしてまた、さっきも私が指摘しましたように、地域で現に民有林国有林状況を見ているわけですから、だから、今後どうなるんだろうかと本当にみんな地域の皆さんは心配しているわけです。  今長官のお話で、これからまたさらに三分の一体制にしても民間の協力が得られれば何とかやっていけると言うけれども、私は、それはちょっと甘いんじゃないかなと思うのです。  この間も、森林組合の方々のお話も承ったのですけれども、やはり国有林については今後も国が責任を持って一元的な管理をしてもらわなきゃ困るという声が非常に強いんですよ。ですから、今、公社化だとか独立行政法人なんという話もあるけれども、これは私は中途半端だと思うんだな。それは確かに部門部門によって民間でやっていただけるものはあると思うけれども、やはり根本的には、最終的には、国有林については国が一元的な管理をするんだということで国民の理解を求め、それに対する財政的な措置、一般会計での手当てということも私はやるべきだ、これは十分に国民の皆さんの理解も得られると思うんだけれども大臣、どうですか、これ。
  120. 島村宜伸

    島村国務大臣 全く同感でして、私は、この在任中、許される範囲で、できるだけマスコミ関係者にも御協力をお願いして、森林から受ける恩恵というものがいかに大きいかということを国民の皆さんによく知っていただこう、そのためのPRを徹底的にやろう、こういうふうに考えています。  また、こういうことは、私は党派を超えての話だと思いますので、ぜひ委員各位のお力添えも願いたいと思います。
  121. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)委員 この辺は、本当に自信を持ってやっていただきたいと思います。
  122. 前田武志

    前田(武)委員 それでは、流域単位森林の管理をしていこうということで、もう進みつつあるわけでありまして、私は、それは大いに賛成でございます。  そして、今までのお話をお聞きいたしておりまして、要するに、国有林も含めて森林の管理というものを地元の山村等、もちろん森林組合等を含めてでしょうが、そういったところになるべく責任を持ってもらって委託もするという方向も結構かと思います。とにかく、そのときに、森林の管理について山村が、誇り、生きがい、責任を持つような知恵のあるシステムをぜひとっていただきたい。  森林の成果などというのは、百年、二百年、いわば日本の歴史そのものがこれにかかっていると言っても過言じゃないわけでありますから、短期の、五年、十年で経済の動きというのはどんどん変わるわけでございますから、余りそういうものに振り回されずに、日本のこのすばらしい一番の資源を大事に守っていく、国土管理をしていく。それはやはり、山村の大きな責任というか使命であり、非常に崇高なる使命だろうと思いますので、ぜひ大臣におかれましても、そういうふうな御指導をいただきたいということを申し上げるとともに、今度は、現実の経済の方に戻ります。  実は、私の地元は吉野林業のメッカでございますが、材木の市が、市を立てても三十分で終わってしまうのですね。もう今や冷え切って、売りも買いもほとんど入らないというような状況に落ち込んできております。それは、やはり住宅着工戸数が百六十万戸ぐらいから百三十万戸を切るんじゃないかというようなところまで行ってしまっている。  そこで、いろいろあるわけなんですが、今ここで特に申し上げたいのは、余りカンフル的なことは申しません、要するに、材木の需要をどういうふうに喚起していくかということなんです。いろいろ知恵を出していろいろな議論をしてまいりましたが、どうも世代的には私どもぐらい、僕なんかでもやっとで、これはまさ目だ、板目だ、いや、この木はなかなか柱としていいねというぐらいのことはわかるのですが、我々の次の世代になると、もう材木のことはわかりません。  私の娘なんかが、ちょっと自分の部屋を改装するのに木を使いたい、こう言うのですね。ところが、町の工務店に行っても、それに親切にきっちりとこたえられる工務店というのはほとんどないというのですね。ところが、材木というのは、素人が見ると一見これでもいいと思うものと、いや、これが何でいいんやろうというような銘木とで、これはけた違いに値段が違うわけであります。そうすると、木のすばらしい自分のインテリア、部屋をつくりたい、マンションの一室にしたいと思っても、どこに相談に乗ってもらって、そしてどういうような合理的なコストでやってもらえるのかということすらわからない。  要するに、木を使いたい人は下流に一億二千万人いるのですが、それに木のことを伝えてあげるその通訳が必要になってきた。昔は通訳は要らなかった。そこが、林野庁の範囲じゃないものですから、私は、そこはもういろいろ御苦労されていることも承知はしておりますが、これは大臣、ひとつ閣議なんかで言っていただいて、文部省から通産省から、もう内閣を挙げて通訳をつくれと、そして木の文化を日本のこの次の世代にもきっちりと理解させるようにしろと、ちょっと遠回りのように見えますが、そういうことぐらいはしなければ、木の本当の使い方、良さ、需要というものは出てこないのじゃないのかな、こういうふうに感ずるものでございますから、一言大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  123. 島村宜伸

    島村国務大臣 私、全く同感でございまして、私自身、住んでいる家も全部木でございますが、これは、ただ住んでいて日本的な雰囲気がいいというよりは、健康にいいように思います。住んで住みやすいようにも思います。  やはりそういうことも含めて、やはり木の文化の中にただ知らず知らずに恩恵を受けるのでなくて、そういうことの意味合いというのは、先ほどちょっと申し上げたPRの中にも含めていただいて、我々はこれから、ない知恵を絞って、木材というものに対する、あるいは森林に対する認識を深めたい、こう思います。
  124. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 では、予定した時間も参りましたので、本日の質疑はこの程度で終了することといたします。     —————————————
  125. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  歳入歳出実況に関する件、特に、石油開発に関する問題について調査のため、来る十二月三日、参考人として石油公団当局の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  126. 冬柴鐵三

    冬柴委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。  次回は、来る十二月三日水曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時三十二分散会