運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1997-12-12 第141回国会 衆議院 環境委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十二月十二日(金曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 山元  勉君    理事 杉浦 正健君 理事 鈴木 恒夫君    理事 萩山 教嚴君 理事 長内 順一君    理事 田端 正広君 理事 小林  守君    理事 藤木 洋子君       大野 松茂君    川崎 二郎君       河野 太郎君    桜井 郁三君       桜田 義孝君    砂田 圭佑君       戸井田 徹君    山本 公一君       大野由利子君    武山百合子君       中村 鋭一君    並木 正芳君       佐藤謙一郎君    北沢 清功君       岩國 哲人君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 大木  浩君  出席政府委員         環境政務次官  山本 公一君         環境庁長官官房         長       岡田 康彦君         環境庁企画調整         局長      田中 健次君         環境庁企画調整         局地球環境部長 浜中 裕徳君         環境庁大気保全         局長      野村  瞭君  委員外出席者         文部省初等中等         教育局教科書課         長       月岡 英人君         通商産業省環境         立地局環境政策         課長      松永 和夫君         資源エネルギー         庁石炭・新エネ         ルギー部省エネ         ルギー対策課長 野口 泰彦君         環境委員会調査         室長      鳥越 善弘君     ――――――――――――― 委員の異動 十二月十二日  辞任         補欠選任   土井たか子君     北沢 清功君 同日  辞任         補欠選任   北沢 清功君     土井たか子君     ――――――――――――― 十二月一日  環境負荷抑制対策充実に関する請願小坂憲  次君紹介)(第八九八号)  同(堀込征雄紹介)(第八九九号)  同(小川元紹介)(第九八二号) 同月三日  環境負荷抑制対策充実に関する請願宮下創  平君紹介)(第一〇六六号)  同(北沢清功紹介)(第一二〇七号) 同月四日  環境負荷抑制対策充実に関する請願村井仁  君紹介)(第一三三四号) 同月五日  環境負荷抑制対策充実に関する請願羽田孜  君紹介)(第二〇四四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十二月八日  ダイオキシン類による環境汚染防止強化に関  する陳情書  (第四〇九号)  地球温暖化防止促進に関する陳情書外十八件  (第四一〇号)  気候変動問題に係る京都議定書数値目標に関し  ての徹底した議論に関する陳情書  (第四一一号  ) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  閉会審査に関する件  環境保全基本施策に関する件(地球温暖化防  止問題について)  請 願    一 環境負荷抑制対策充実に関する請願      (小坂憲次紹介)(第八九八号)    二 同(堀込征雄紹介)(第八九九号)    三 同(小川元紹介)(第九八二号)    四 同(宮下創平紹介)(第一〇六六号      )    五 同(北沢清功紹介)(第一二〇七号      )    六 同(村井仁紹介)(第一三三四号)    七 同(羽田孜紹介)(第二〇四四号)      ――――◇―――――
  2. 山元勉

    山元委員長 これより会議を開きます。  請願審査を行います。  本日公報に掲載いたしました請願日程七件を一括して議題といたします。  まず、審査方法についてお諮りをいたします。  各請願の趣旨につきましては、請願文書表等により既に御承知のことと存じます。また、先ほどり理事会におきまして慎重に御検討いただきましたので、この際、各請願についての紹介護員説明等は省略し、直ちに採否の決定をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山元勉

    山元委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。  採決をいたします。  本日の請願日程の全部、環境負荷抑制対策充実に関する請願は、いずれも採択の上、内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 山元勉

    山元委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。  なお、ただいま議決いたしました請願に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 山元勉

    山元委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  6. 山元勉

    山元委員長 なお、本委員会に参考送付されました陳情書は、お手元に配付いたしておりますとおり、ダイオキシン類による環境汚染防止強化に関する陳情書外六件であります。念のため御報告申し上げます。      ————◇—————
  7. 山元勉

    山元委員長 次に、閉会審査に関する件についてお諮りをいたします。  環境保全基本施策に関する件  公害防止に関する件  自然環境の保護及び整備に関する件  快適環境の創造に関する件  公害健康被害救済に関する件  公害紛争の処理に関する件 以上の各件につきまして、議長に対し、閉会審査申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 山元勉

    山元委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。  次に、閉会審査案件が付託されました場合の諸件についてお諮りをいたします。  まず、閉会中、委員派遣を行う必要が生じました場合には、議長に対し、承認申請を行うこととし、派遣の目的、派遣委員派遣期間派遣地その他所要の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 山元勉

    山元委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。  次に、閉会中、参考人出席を求め、意見を聴取する必要が生じました場合、参考人出席を求めることとし、その人選及び日時等につきましては、委員長に御一任いただきたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 山元勉

    山元委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。      ————◇—————
  11. 山元勉

    山元委員長 環境保全基本施策に関する件について調査を進めます。  本日は、地球温暖化防止問題を中心として調査を行います。  この際、地球温暖化防止京都会議について、政府から報告を聴取いたします。この間、不眠不休努力をしていただきました大木環境庁長官にお願いします。
  12. 大木浩

    大木国務大臣 ただいまお話がございましたいわゆる京都会議でございますが、去る十二月の一日から十日まで、正確に言いますと十一日の昼ごろまでということで、おかげさまでいわゆる京都議定書なるものを採択することができました。  この間、大変に各政党の皆様方に、正式に院の方から御派遣いただきました代表団を初め、いろいろな意味で御声援いただきましたこと、心から感謝を申し上げます。  できました議定書の方は、いろいろと途中経過を含め、中身は既に各先生方も御存じだと思いますし、最終的にできましたもののアウトラインはお手元にお配りしておりますので細目には入りませんけれども、今回合意いたしましたのは、要するに、百五十五の加盟国京都会議であの文書を合意した、こういうことであります。COP3として採択したと言ってもいいと思います。  したがって、今後の手続は、これを各国が、行政府として署名をする、それから立法府において批准をする、こういう手続が残っております。これは、日にちまでまだ正確に決まっていないのですけれども、明年、できるだけ早いところで各国署名ができるように国連の事務局の方で準備をする。それから批准の方は、各国立法府の都合でありますから、いろいろと日にちに差異がかなり出てくると思います。  いずれにいたしましても、議定書の中に書いてございますように、全締約国のうち、国の数でいうと五十五カ国、それから排出量で、それについてコミットをした国の排出量基準とした五五%、この二つの要件が満たされますと、この今の国がそれぞれに批准をいたしますと、今回の取り決め国際条約として発効する、こういう形になっております。  内容につきましては、細かいことはちょっと省略させていただきますけれども、いわゆる排出ガス削減目標として、これは法的に拘束力のある目標でございますが、日本アメリカEUというものを並べてみますと、日本六%、アメリカは七%、EUは八%。これは一九九〇年を基準年といたしまして、今度は二〇〇八年から一二年までの間のこの五年間の平均量と申しますか、五年間の達成目標が今言ったような削減数値である、こういうことでございます。  先生方が見られて、いろいろとその数値が、初めは日本で二・五%と言ったのがどうして急に六%になったとか、そういうことについての御疑問があると思います。これは、内容を見ていただきますとわかりますように、対象となるガスが、いろいろ交渉の結果、初めは日本としてはCO2等ガスということで考えておりましたが、できるだけ多くのガス対象にすべきだというような議論もありましたから、結局六ガス対象とする。そういたしますと、目標値であっても一応の目標達成できる見込みというものが変わってくるわけですから、数字がかなり大きく変わっておる。しかしそれは、これからの努力も含めて、現在、それぞれの国が一応達成できる目標値ということでそういう数字が出てきておるわけでございます。  そういうことで、一言で申し上げますと、この目標値といいますのは、日本といたしましてもかなり背伸びをした数値だ、こういうふうに言うことができると思います。つまり、関係省庁からいたしますと、今まだ本当に、現在あるいろいろな法律あるいはいろいろな政策というものによってすぐに達成できるかというと、それは見えていない。これから見えていないところをきちっと見えるようにしなければいかぬ、こういうものでございますので、これから相当に努力してやっていかなければいかぬということで、実は、本日の閣議におきましても、橋本総理本部長といたします対策本部をつくって、これから国内措置を進めてまいる、こういうことでございます。  そういうことで、これからまさに立法府としての先生方、特にこの環境委員会皆様方の御協力をひとつ心からお願い申し上げたいと思います。御報告にどうもお願いの方がくっついておるわけでございますが、そういう形で今回の議定書をつくりましたので、よろしく御理解のほどお願い申し上げます。  ありがとうございました。
  13. 山元勉

    山元委員長 これにて報告の聴取は終了いたしました。
  14. 山元勉

    山元委員長 質疑申し出がありますので、順次これを許します。河野太郎君。
  15. 河野太郎

    河野(太)委員 自民党の河野太郎でございます。  大木長官、まず御苦労さまでございました。質疑の時間が二十分と大変に短いこともございますので、本日は政府委員の答弁は御遠慮いただきまして、大木長官にお伺いをしたいと思います。まとまった直後でございますので、いろいろ資料等そろわず、わからぬところはわからぬとおっしゃっていただいて結構でございます。  まず、当初の日本削減率が二・五%でありましたが、この議定書でまとまった数値によりますと、日本は六%の削減をする。数値がふえているようでございますが、その裏の中身がいろいろと違っております。  当初の二・五%という数字を出したときの方式とこの六%の方式の差を考慮して、当初の二・五%の数字と同一の基準で比べるとすると、この六%という数字は何%の削減率といえばいいのか。まずそこをお伺いしたいと思います。
  16. 大木浩

    大木国務大臣 いろいろと計算の仕方がありますが、先ほどもちょっと申し上げましたように、一つは、対象となるガスというものが、従来三ガス基準として計算をしておったのが六ガスになるということでございまして、今度の取り決めでは基準が、最初王ガスとそれから後から加えた三ガスでは、前者は一九九〇年を基礎としている、それから後者は一九九五年を基礎としているということで、これは差を設けたのはいろいろと理由はあるわけですけれども、ちょっと省略いたしまして、そういう差はありますが、いずれにしても対象ガスが広がった。  それからあるいは、今回、今回というか前々から議論しております吸収というのがございまして、例えば森林がそういった温暖化ガス吸収するというのがある。これは、削減するという意味からいえばその一部を構成し得る要素でありますが、これをどこまでカウントするかというようなことがあります。これにつきましても、ある程度 それはカウントするというような要素が入ってまいりましたので、二・五が六になったわけです。  では、今の二・五と六とをどう比べるかということですが、同じような考え方でどこまで、まあ一言で申し上げますと、今回の取り決めは、二・五をつくったとき以上に背伸びをしていると思います。したがって、二・五が今回の取り決めでどこまで行ったかというのは、まあ言いにくいのですが、今見えておるところでは、同じような考え方計算しますと五・何ぼというところを丸いナンバーで六にした、こういうところでございます。
  17. 河野太郎

    河野(太)委員 当初、日本の考えでありました削減率二・五%、ガス種類計算グロス方式というのがございましたが、これがいずれも、数字は二・五を背伸びをした。私は、背伸びするのはこれはよかったと思っておりますが、日本政府立場からいえばそうではないのかもわかりません。二・五%という目標背伸びをする目標に置きかわった。ガスは三種類でやるべしという日本主張が受け入れられず六種類になった。グロス方式でやるべしという日本主張も退けられた。  交渉事においてことごとく日本政府はその主張を覆されたわけで、実質的に交渉日本の負けであったと思いますが、一体全体、なぜ日本主張がことごとく入らなかったのか。そのあたり交渉経過といいますか、なぜ日本交渉で負けたのか、そのあたりの御説明をお願いしたいと思います。
  18. 大木浩

    大木国務大臣 負けたと申しますか、私どもは必ずしも負けたとは思っていないわけでありまして、二・五を出したときも、あるいは総理からも何回も言っていただいたのですが、あれは一応交渉のための最初の提案ということでございますから、交渉すればいろいろと変わってくるということは当然予測しておったところでございます。  ただ、各国主張というものにかなりいろいろな立場があって、今の三ガス、六ガスというようなところでも、例えばEUの中でも、三ガスの方がやりやすい国と六ガスの方がやりやすい国があるものですから、交渉の過程でかなり動きました。ということですから、先ほど申し上げましたように、三ガスについては一九九〇年、しかし、あとの残りというか新しく加わった三ガスについては一九九五年にしたというようなところは、日本側としての主張をかなりよく反映をしておると思います。  それから、吸収の方の計算につきましても、日本としては非常に困るような計算方法になりますと、これはできないことですね。今私は背伸びと申し上げましたが、背伸びじゃなくて全然足が離れてしまうというような数字では、これは国際取り決めで、しかも法的拘束力がある、こう言っているのですから、これはある程度見えた数字でなければいけないということで努力いたしまして、吸収源のカウントにつきましてもある程度制限をつけております。  したがって、先ほど申し上げましたようなことで、六%というのは、多少というか、相当背伸びはしておりますけれども、地から足は離れていない数字じゃないかという意味では日本側としても負けたとは考えていないということでございます。
  19. 河野太郎

    河野(太)委員 ガス種類を三から六にふやす、あるいはグロスをやめてカーボンシンクを取り入れたネットにする、あるいは排出権取引なるものを認める、これはことごとく抜け道を加えたということだろうと思います。  本来ならば、ここで、先進国がライフスタイルの変更も含め地球温暖化を防ぐために何をやったらいいのか、どうやったらいいのか、その取り決めをどうするのかというところを真剣に議論をするべき場であったはずで、一番問題になっているCO2をどう減らすのか、どこまでどういうポリシーを持ってやれば、どういう政策をやればCO2がここまでは減らせるんだということを各国が明確にすべきはずだったと思いますが、それをやりたくないがために、代替フロンを入れてみたり、森林吸収カーボンシンクを入れてみたり、はたまた排出権取引のようなわけのわからぬものを入れてみたり、結局、CO2削減努力をしなくともほかのところでカバーができるようなそんなやり方になってしまった。  これは大変に残念なことであって、こんな取り決めにしてしまってよかったのか、削減率がもっと低くとも抜け道がない方が正しかったのではないかと思います。  そういう意味で、私は、環境庁通産省が最後まで内輪もめをして、日本政府としてポリシーがきちっと決まっていなかったところが問題なのではないかと思います。どうも通産省は、この六%という数字を見て、とりあえず代替フロン削減森林吸収でやるところはやってもらって、京都会議の前にいろいろと対策を考えたけれどもその対策を変更したくないというようなことを既に通産省は言っておりますが、そんなばかなことはないはずでございます。  結局、この環境問題に最終的にどこの省庁責任を持つのか。ここまでは環境庁通産省がとにかく引っ張り合ってボールを真ん中に落としているという段階でございますが、事ここに至っては、環境庁がきちんとこの六%という数字責任を持って、通産省が何を言おうが、外務省が何を言おうが、これは主管は環境庁責任を持ってやるんだ、それぐらいのことを日本政府としてはっきり決めておかなければ、こんな削減率目標達成はできないと思いますが、いかがでございますか。
  20. 大木浩

    大木国務大臣 確かに、既存の法令の中で一体だれが責任を持ってやるのかということになりますと、正直申し上げまして、まだ欠落というか空白というか、明確になっていないところがある。これは、結局、内閣全体としてやらざるを得ないということで、実は、まさにそこのところをこれから一歩進めるということで、総理本部長といたしまして、これから温暖化の実際の国内措置を進めるための対策本部をつくるということをきょうも総理の方から御発言をいただきましたので、これからその責任体制もきちっと充実して、まさにそれはもう環境庁が一番直接的な責任の官庁ではありますけれども、同時にこれは内閣全体として取り組んでいただくということで体制を整えておりますので、そのように御理解をいただきたいと思います。
  21. 河野太郎

    河野(太)委員 内閣全体で取り組む、総理大臣本部長である、大変に勇ましい言葉でございますが、そういうものが一番危ないのだと思います。ここがやるのだということをその中でもきちっと明確にしていただきたいと思います。  国内政策について一つ伺いをいたしますと、例えば十月十三日付、民生部門における今後の省エネルギー対策についてというような文書、これは通産省と建設省でしょうか、から出ておりますが、その中を見ると、例えばこんなことが書いてあります。「通常の省エネルギー広報では国民努力実施率は二割強。これを国、自治体が総力を挙げて広報活動を行うことにより、国民努力実施率を五割程度に引き上げる。」その次に、「こうした広報活動によっても国民努力実施率が低い場合には、オフィス等照明規制冷暖房機器設定温度規制等規制措置の導入の検討が必要となる。」という文があります。これを見ると、広報をやります、広報をやるけれども、広報国民の皆さんが動いてくれなければ、だんと規制をするしかないという二段階になっております。  本来はそういうことではないんだろうと思うのですね。一つは、まず広報意識改革。そういうことだ、これからは温暖化を防がなければいかぬという気持ちを持っていただく。その次に、エコラベルその他で、この機械はこういうことですよ、これはいいものですよ、悪いものですよ、そういう情報をきちんと提供をする。気持ちを持っていても情報がなければ動きようがないわけですから、まず広報をやる、次に情報提供をしっかりやる。三番目に、これをこうやったら電気代が 節約できる、あるいは何らかのことによってお金で得になりますよ、そういう経済的な誘導をしなければいかぬ。そこまでやってだめなときに初めて規制をして、それはだめだと言う。  その四段階が今後必要になると思うのですが、これまでの政府その他の対策を見ると、とりあえず広報をやって国民皆様に知ってもらって、それで国民皆様が動かなければ規制をする、こんなばかなことはないと思うのですね。  もう少しきちんきちんと丁寧に、達成するためにどうしていったらいいのかというところに、段階を設けて、その段階を踏んで実現できるようなやり方をきちっとやっていただきたいと思います。それは通産省の範囲内であっても環境庁が手を出して、それはおかしいときちんと言えるような仕組みを政府内でつくっていただきたいと思います。  さて、交渉に戻りますが、古屋公使でしたか、NGO向けのブリーフィングをやられておりました。連日話をお伺いをしておりますと、大木長官が今直接途上国との交渉をやっている、そういうコメントが連日のようにございました。  大木長官を初め日本途上国と積極的に交渉をやっていたということのようでございますが、これは何のためにやられていたのか。アメリカが、途上国が入らないのなら乗らないと言ったからやったのか。それとも、日本として、途上国をこの京都で巻き込む、当初は途上国はいいよということになっていたわけですが、途上国をこの京都できちんと巻き込む何かビジョンがあってやったことなのか。それとも、アメリカと打ち合わせをして、アメリカのために、とりあえず途上国が乗ってくれないとアメリカも乗らぬから何とか入ってくれ、そういうことだったのか。そのあたりを少しお伺いをしたいと思います。
  22. 大木浩

    大木国務大臣 私は、実は議長としての立場日本代表団の一員としての立場ということがございましたので、八割方というのは言い方が悪いかもしれませんが、主としては議長立場から各国意見調整を図った。  もちろん日本代表団としては、またそれぞれに日本側主張日本側主張というのは、できるだけ努力はするけれども、できないことにまで法的拘束力のある約束はちょっとできないという面もありますから、どういう約束ならできるかということでいろいろと努力をしておられたと思います。  私が特に途上国にいろいろ折衝いたしましたのは、法的な義務はすぐには求めない、しかし、いずれそういう状況になってくれば途上国といえどもだんだんに義務的な協力もしてもらいたいということ。それを、どういう状況になったら実際に途上国も話し合いに応ずるか、そこのところがまさに一つの、できればその点については、何年ごろからは途上国も入ってそういった問題についての協議と申しますかをスタートすることができるよということを、何とかできるだけはっきりした形で議定書に取り込みたい。まさにそこのところが、これは別にアメリカからというふうなことではなくて、やはり全世界としてもできるだけ途上国の参加ということは早く位置づけておきたいというのは、これは私は国際社会としても当然に発言していいことだと思うのですね。  ですから、そこのところをまさにやっておったわけですが、今回は、どちらかといえば前回からの約束、これはいろいろな形に、ベルリン・マンデート等にもかなり明示的に途上国の義務化は求めないということが書いてあるものですから、そのところをとらえて、途上国は、義務化を求めないと書いてあるのだから、将来その話を進めるということについても、今すぐにいつだと決めろというのは少し早過ぎるのじゃないかということで、非常に強かった。そういうことがございます。  ですから、私どもといたしましても、せっかくこの京都会議先進国の方の義務化ははっきりと決めるわけですから、それだったらそれに見合うだけの途上国の方の協力というのも求めたいということでいろいろな折衝をしておった、そういうことに御理解をいただきたいと思います。  それから、もう一つ議長としては、削減目標についてもできるだけいい、高い数値をみんなが認めるようにということで、これは先ほどから申し上げておりますように一番苦労いたしましたのは、日、米、EUの中でお互いに、それぞれの立場は差はあるけれどもわかったということで、できるだけいい形でまとめるということで努力をしておりましたが、これはかなり時間がかかったということは認めざるを得ないし、その結果として会議全体が非常に長引いたということも、結果としてはそういうことでございました。
  23. 河野太郎

    河野(太)委員 せっかくまとまったこの協定も、アメリカの今の上院の様子を見ておりますと、批准されない可能性が極めて高いのではないかと思います。何年かかかるかもわかりませんが、このアメリカを巻き込むために日本としてもいろいろと努力をしていかなければいけない。相手が議会でございますから、これは日本政府あるいは日本の衆参両議会が一体となってアメリカの議会に働きかけをしていく、そんなことをやっていかなければいけないのかなと思っております。  この京都会議文書は法的文書であるというふうにいろいろなところでアピールをされております。条約として署名され批准されるという面では確かにリーガルドキュメントだと思うのですが、それじゃ、達成できなかったときの罰則はどうなるのか、法的に何で担保するのかというところはどういう仕組みになっているのか、お伺いをしたいと思います。
  24. 大木浩

    大木国務大臣 罰則といいますと、何となく、刑法上何か罪を犯したらそれに対する罰則があるかというようなことになるわけですが、そういう意味での罰則ではなくて、これは実は、こういうことについての罰則というのは、ある程度、今度のいろいろな義務化がありますから、その義務化について、もしも遵守しないとした場合、その結果としていろいろ立場が悪くなるというようなことをかなり明示的に書き込むというのが一つ考え方でございました。  これは結局、じゃ、どういうことにするかということは、数量的な問題もあるものですから、例えば五%と言って三%しかできなかった場合に、それじゃ、その二%分についてどういう数量的な罰則をするかというようなことがありますが、これは、先ほどから申し上げておりましたような刑法的な罰則とか、あるいは明示的な、直接の経済的な罰則とか、例えば達成しなかったから何か貿易上非常に不利になるとか、そういうような罰則はございません。  ですから、一言で言いますと、罰則は、みんなで国際的に決めたことをできなかったということで、それを今度はCOP4、今後の締約国会議の中で、どこの国ができなかったということを国際社会に知らしめる、そういうための情報の公示ということはありますけれども、それ以上のいわゆる罰則というもの、数量的に明示できるような経済的ないしは刑法的な罰則というものは入っておりません。
  25. 河野太郎

    河野(太)委員 そういう罰則がないことをいいことに、最終的にやらなくてもいいんだということにならないよう、内閣としても全力を挙げてこの削減率達成に向けて頑張っていっていただきたいと思います。  最後に、一つだけお伺いとお願いになりますが、この京都会議、NGOが随分と行っておりました。私も仲間のSAEIというNGOにまぜていただいて向こうへお伺いをいたしました。NGO向けのブリーフィングがあったり、あるいはNGOの意見を聞く会というのを政府が開いていただいたり、そういう意味では一歩前進であったと思いますが、さらにこの六%の削減率達成していくためには、NGOが持っている見識、知見といったものをどうやって政府が利用していくか、あるいは政府がやろうという政策にNGOとしてどう協力してもらえるのか、そのあたり政府とNGOのかかわり方をもっともっと密接にしてい かなければいけない。  特に、NGOの中のすぐれた人材、すぐれた意見というのを政府がバリアなく吸い上げる、そういう仕組みをつくっていかなければいけないと思いますが、環境庁としては、今後NGOとどのように積極的にかかわっていくのか、そのあたりを少し教えていただきたいと思います。
  26. 大木浩

    大木国務大臣 環境問題について、私は、既に現在もNGOが果たしておる役割というのは非常に大きいと思っております。特に今委員もおっしゃいましたけれども、国民一般に対して環境問題の重要性を大いにPRをしていただく。これはもうまさにNGOが現在もやっておられますし、これからもひとつ我々としてもむしろ大いにやっていただきたいという気持ちを持っております。  ただ、いろいろなNGOの活動がございまして、私は、結局環境問題に対する対応というのは、まず現状どうなっておるか、それから今後どういうことができるかということについては、かなり科学技術的な知識も要るわけですから、その辺についてはNGOと言わずいろいろな民間の知識というものは大いに吸収していきたい。ある程度NGOの活動もしながら、同時に政府の各種審議会等にも入っている専門家もおられるわけでございますし、それから各国が、またそれぞれのNGOが活動しておって、その中には既にインターナショナルな性格を持っておるものもあるし、それからそれぞれの国内NGOが相互に意見交換やら共同作業をしておられるというところもございますから、総じて、一言で申し上げますと、環境庁といたしましてもまた日本政府といたしましても、NGOとの共同作業というのは今後従来以上に強めてまいりたいというふうに考えております。
  27. 河野太郎

    河野(太)委員 審議会その他へもっともっと積極的にNGOの知見のある方を登用されるようにお願いをするとともに、もう少し環境庁としても柔軟にNGOとかかわっていただけるようお願いを申し上げます。  質問時間が終了いたしましたので、大木長官にこれまでの御努力に感謝申し上げて、質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  28. 山元勉

    山元委員長 次に、並木正芳君。
  29. 並木正芳

    ○並木委員 長官には長期間お疲れさまでございました。新進党の並木正芳でございますが、順次質問させていただきます。ひとつ簡明なお答えをいただければと思います。  十二月十一日、きのうまでになったわけですけれども、完全徹夜となりました全体委員会などにおいて鋭意御努力をいただきまして、ともかくも先進国全体で最低五%の削減を目指そうじゃないか、そういう数値目標を含めた議定書が本会議採択されるに至ったということで、一定の評価をさせていただきたいと思います。  私も同僚の松崎議員とともに、閣僚レベル会合が始まりました十二月八日にNGOのメンバーとして京都に参加させていただいたわけです。  そこで、最初に印象的なものからお聞きしたいと思いますけれども、そこで行われていたのは、世界の国々が地球益というものをめぐって何ができるかというようなレベルの話よりも、まず現実には国益と国益のそうした先進国同士の駆け引きとかあるいは先進国途上国との対立、そうしたいわば国際的な関係の外交交渉ともいうべき現実をまざまざと感じてきたわけであります。  残念ながら、そうした意味では次の世紀、つまり未来へ向かっての世界へと発信すべき課題である今申し上げた地球益、こういうことをめぐる日本のイニシアチブあるいは日本の役割というのは見えていなかったのかな、さらには、外務、通産、こうした省庁の活動に比べて非常に環境庁の役割というのも見えにくかったのではないかな、そういう印象も強くしたわけであります。  長官はもともと外交畑の国際通と言われているわけでありますけれども、今環境問題を扱う大臣となられて、この会議を終えられて、率直に、私が今申し上げた、これは国民の各層からもこういう声も上がっているところなんですけれども、こうした声に対してどうおこたえになられますでしょうか、その辺の見解をまずお聞きしておきたいと思います。
  30. 大木浩

    大木国務大臣 今国際益というお言葉でございましたか、とにかく国際的な立場からどういった、地球全体として、人類全体としてこれから必要なこと、いわゆるそういった国際益ということを考えなきゃいけないという立場と、それからそれぞれに国益を考えるという立場とまさに二つが、現在でもそこのところをどういうふうに調整するかというのがまさしく今回の京都会議のような国際会議での一つの大きな目的だと思います。  特に今回は、問題が環境ということになりますと、これは本当の意味で、いろんな施策を進める上におきましても国際的な協力がないとできないことが多いわけですから、そういう意味におきましては、できるだけみんなが国益に固執せずに、忘れはしないけれども、国益は十分考えながらしかしそれだけではないということでみんなが国際益を何とか実現するために協調しようということは、私どもも考えておりましたし、各国から来た代表も考えていたと思います。  ただ、現在出てきております代表団というのは国によってかなり違います。例えばカナダのようにNGOの代表も正式の代表団に入っているところもありますし、入っていないところもあるというようなわけですから、それぞれの国によりまして、国際益というかそういったものに対する対応についてはまだかなり温度差があると思います。  今回私ども参りまして、各国政府考え方あるいはその立場というものもかなりよくわかりましたし、それからもちろんNGOの動きというものもかなり、従来以上によくわかってまいりましたので、そういったものを十分頭に入れながら、従来以上に国際益というものが実際の政策の中で反映されていくように、実現されていくようにということで努力をしたいと思っております。
  31. 並木正芳

    ○並木委員 ところで、精力的に完全徹夜もされて委員会を進められたエストラーダ議長の名前というのは非常に周知されるところとなったわけなんですけれども、議長大木という名前がもっと大きく報道などで躍るというところがなかったというのは、日本にとってはせっかくの京都会議で残念だなと思うわけなんです。その辺、国民からするとどうしてなんだろうというようなこともあろうかと思います。その辺については、長官、開催国ゆえに御遠慮なさったのかどうか、そのあたりのお立場を考えた御発言はどうなんでしょうか。
  32. 大木浩

    大木国務大臣 大木個人として、あるいは日本代表団としてPR不足あるいはPR下手だという御意見であるとすれば、まさにその点は反省をしております。ただ、議長として余り表にどんどん初めから出るというか、いつも出ておるということがいいか悪いかということにつきましてはいろいろあるものですから。  日本代表団がいろいろと努力をしておるということはある程度見えておったと思いますけれども、ただ、一つ反省しなきゃいけないのは、数値目標をめぐる交渉におきましては、まさに日、米、EUが一応合意をいたしませんとよその国に持っていけない、それじゃおまえのところの立場はどうなんだと言われますので、日本を含めた先進国は一体どういう立場なんだということがある程度姿が見えてこないとなかなか途上国とも話ができないという面はあったと思います。  そういうことで、見えなかったということについては反省しておりますし、これからも国際合意を行う場合もこれは一つの戦略と申しますか、そういう意味では、せっかく議長職をもらっておるんだからもっと目に見えるような活動をしたらいいのではないかということについては、反省も込めて、これから頑張りたいと申し上げさせていただきたいと思います。
  33. 並木正芳

    ○並木委員 もう一点、インプレッションについてお聞きしたいんです。  私が訪れました十二月八日、橋本総理が本会議場で演説されましたけれども、そのわずかな演説 と、あとアメリカのゴア副大統領がおいでになっていましたのでその方と会見して総理京都を去られた、ごくわずかな時間だったわけです。  また、これは失礼かもしれませんけれども、昨日朝、十一日の朝ですが、大木長官は、会議がまさに大詰めに差しかかったわけですけれども、国会の方があるというようなことで議長辞任してまで戻られる、しかし京都駅でまた会議場へ戻られたという、それは結果はそうだったわけですが、そういうようなことがありました。一部の報道でも大木議長おたおたとかいうのは私も活字で見たのですけれども、そういうようなことでは、やはり国際的な報道あるいはNGO等に対しても非常にマイナスだったのではないかなと思うわけです。  先ほど申し上げましたように、大木長官は国際通の方ですから、そういったところで果たしてなぜそんな判断をされたのかなと非常に率直に疑問に思うわけですけれども、その辺についてお聞かせいただければと思います。
  34. 大木浩

    大木国務大臣 議長として最終的に終わる前にあの場を離れるということが非常に国際的にマイナスであるということは、私も百も承知でございますし、特にこの環境会議につきましては、たしか前のリオのときも、結局日本は、あのときは総理は宮澤総理であったかと思いますけれども、出られなかった。  そういうことにつきましては、まさにせっかく御質問があるのに対して何か言いわけをするようですけれども、ひとつ国会の方も御理解を願いたいということで、私も自民党を通じて申し上げましたけれども、まだその結論が出ていないということで、結局、とにかく帰る準備をしろということでございましたので、その説明をしながら帰って、京都駅まで近づいたところで話がついたということでございましたので、また会場に戻らせていただいたということです。  いろいろとその辺のところについては、もっとほかのやり方がなかったかということは私も今考えておりますが、その辺はいろいろと国会の方からの御要望もあったということでございますので、ひとつ御理解をいただいて、これを一つの反省として、今後もまたこういうことについての取り組みのときには、国会の方の御協力も得たいというふうに考えております。
  35. 並木正芳

    ○並木委員 率直に、国会そのものにとっても環境問題に対する取り組みということでは反省点かな、あるいは今そういう現実にあるのかなという気もするのです。長官もその辺ではいろいろ弁明はあられるのでしょうけれども、何せ国際会議でございますので、今後さらに御留意をいただければとも思うわけです。  印象等につきましてはその辺にさせていただきまして、中身についてでありますが、この削減率目標、先ほど河野委員の方でも質問があったわけですけれども、EUの八%というのはともかくとして、アメリカの七%あるいは日本の六%というのは当初の主張よりも大分引き上げられたわけであります。  まず、アメリカのこの七%ですけれども、会議中盤までは、もうゼロ%削減ということでかなりかたくなにこれを崩さなかった。ゴア副大統領がいらっしゃって、柔軟な対応というようなことで、ある面では表に見えないような形で水面下の交渉がなされて、そして七%に応じるというような結論に至ったわけでありますけれども、先ほどの河野委員意見のように、この背景に、削減目標にげたを履かせるといいますか、抜け穴、抜け道といいますか、ネット方式だとか排出権取引だとか、あるいは排出削減ユニット、こういうものをどんどん拡大させていった。  ある面では、この方向性としては、合意のための方便とはいえ、非常に、まさに方便的に余り好ましくないことでもあったのかなということが感じられるわけですけれども、その辺のいきさつについて、お話しできる範囲でお聞かせいただきたいと思います。
  36. 浜中裕徳

    ○浜中政府委員 ただいまアメリカの、なぜ七%に応じるようになったのか、抜け道ではないのか、こういうお尋ねでございますが、交渉の過程におきまして、ただいま御指摘のございましたいわゆるネット方式というものをどういうふうに考えるか、あるいは排出権の取引、あるいはいわゆる共同実施と申しておりました排出削減ユニットをどのように移転するか、入手するか、こういうようなことにつきまして、集中的に、精力的に交渉を行ったわけでございます。  その過程で、我が国の立場からいたしまして、こうしたものについても抜け穴という批判を受けることにならないように慎重に交渉を進めたわけでございまして、吸収源につきましては、基本的には土地利用の変化及び林業セクターというものを範囲としては考えたわけでございますが、その中で、一九九〇年以降の活動に限る、それから活動のタイプといたしましても、植林、森林再生、森林消失、こういった三つの活動に当面限定をするということによりまして、比較的精度が高く吸収量が把握できる、そういうものについて今回は当面定める。そして、今後、科学的知見の進展も考えられますので、今後の締約国会議などにおきましてその吸収源の取り扱いについてのやり方、ルールやガイドラインというものも見直しをして改定をしていこう、このような形にさせていただいたわけでございます。  排出権取引につきましても、具体的にそういうものが導入できることになりましたけれども、ガイドライン等の詳細につきましては、来年、ブエノスアイレスで開催をされます第四回締約国会議でその詳細を決定し、その後に導入をする、そういう意味でのガイドラインづくりというものを、今後さらに国際的な協議を重ねることにしておるわけでございます。  共同実施につきましても、これは議定書の発効後の第一回の締約国会合、あるいはその後におきまして、どのぐらいそのプロジェクトによって排出量が減少したのか、そういった点の検証あるいは報告も含めて、このガイドラインの詰めをさらに行うという形にしたわけでございまして、今後とも御批判を浴びることがないように努めてまいりたいと思います。  アメリカといたしましては、そういった交渉経過もございましたが、そういったさまざまな幅広い対策をとることを重視しておりまして、そうした中で、そういった対策も加味して、今回七%というような対策を進めることに合意をして、そして先進国全体としてこの地球温暖化対策を積極的に進めていく歴史的な決定をしようというクリントン大統領の強い決断のもとに、こうした高い削減率にコミットするということに決定をされたものというふうに私ども理解をしております。
  37. 並木正芳

    ○並木委員 そのいきさつの概要はわかったわけですけれども、一部報道に、先ほど河野委員からもありましたけれども、アメリカ議会の議員団長ですか、その方が、上院で絶対にこれは葬り去る、こういうようなことも発言しているとあります。日本としては、COP3の議長国として、これは国会も含めてのことになろうかと思いますけれども、そういうことのないように、アメリカに対してやはり責任を持って対応していくことも必要だと思います。これについては先ほども質問がありましたので、要望とさせていただきたいと思います。  ところで、日本の方は六%ということなんですけれども、先ほどから長官も、背伸びした数字だとか、あるいは不透明なまだ未確定な努力目標値だというようなニュアンスに聞き取れるような発言もあったわけなんです。通産省の方ではぎりぎり四・五%だというところで、一度エストラーダさんの試案にも四・五という、何か半端な数字が一たんは示されたというようなこともありましたけれども、結果六%になった。これについて、まず環境庁の方はどういうふうな印象というか考えを持っておられるか、もう一度お聞きしたいと思います。
  38. 大木浩

    大木国務大臣 いろいろとその細かい点はちょっと、もし必要があれば補足しますけれど も、先ほどから申し上げております背伸びというのは、できないという意味じゃなくて、これから努力をすればできる見込みがあるということで、足が地にはついておる、つながっておるという意味背伸び背伸びと申し上げておるわけでございます。  それで、六%というのは、先ほども、前の二・五とどっちがいいんだというような御質問がありましたけれども、それは、それほど違わないけれども、最終的に取りまとめるためにはもう一歩背伸びをしなければいかぬところはあるというのが正直な感じでございます。  ただ、これからやることについては、科学技術的な知見といいますけれども、これはかなりそれぞれの研究者なり研究機関の調査によって差が出ておりますので、その辺をどうだということになれば、それは一番いい方のそういう科学的な知見を寄り集めればもっとできるのではないかな、六%は十分できるのではないかなということは考えておりますけれども、まさに今申し上げましたように、一言で言えば、背伸びをしなければいかぬけれども足が地についておるのが六%の数字だというふうに考えております。
  39. 並木正芳

    ○並木委員 それでは、通産省の方に来ていただいていると思いますのでそちらにお聞きしますけれども、せっかくですから、時間もありませんのでまとめてちょっとお聞きをさせていただきます。  今の六%という数字なんですけれども、通産省としてはどういうふうに考えるのか。必ずしも環境庁と同じではないのかな、この辺がまさにこの京都会議でもあったわけですけれども、その辺についてまずお聞かせいただきたい。  それと、この六%という数字になりますと、今までの通産省が言っているぎりぎりの削減値というのとかなり違ってくる。そういうことでは、この夏に産業界が自主行動計画というのを出されました。こういった点もかなり見直しが、まさに自主ですから見守るということではあるかとも思いますけれども、かなり見直しが必要になってくるのかなと思います。こうした動きはどうかということですね。  さらに、これはやはり産業界の方でも厳しいという見方が多いということもお聞きはしておりますけれども、逆にこれを、災い転じてと言うと変な言い方かもしれませんけれども、日本の、今いろいろな意味で、私も大蔵委員もやっているのですけれども、経済的な意味でも行き詰まったところがあります。これを、世界の今トップレベルにあるとも言われている日本の環境関連産業、これをさらに一層促進することによって、次の時代を担うような、経済的な意味でも新しいリーディング産業となり得るというふうにも考えるわけです。その辺について、通産省として今後環境庁ともタイアップされてぜひ進めていただきたいわけですけれども、今後の方策等について、今の三点か四点、まとめてお答えいただければと思います。
  40. 松永和夫

    ○松永説明員 お答え申し上げます。  一点目の、日本政府といたしましてコミットいたしました六%の削減目標でございますけれども、御指摘のとおり、また大木大臣がお答えになられましたように、非常に厳しいものと重く受けとめております。しかしながら、この数字につきましては、これから政府一丸となりまして確実に実現できるように努力すべきものというふうに受けとめております。  具体的には、日本政府の提案として発表いたしました、目標値のベースになっております、今先生御指摘の産業界の自主行動計画というものを踏まえたものでございますけれども、その国内対策のパッケージに加えまして、今回の議定書の中で新たに加えられましたネット方式、いわば吸収源対策というところでかなりの部分の数字の積み上げが可能ではないかと考えております。  加えまして、これも新たに加えられました議定書の中のものでございますけれども、共同実施あるいは排出権売買といったようなものを日本といたしましても積極的に活用していくということでこの六%という数字の実現に対応していきたい、政府一丸となって対応していきたいというふうに考えております。  それから、こうした流れの中で、御指摘のとおり環境産業の位置づけというのは非常にますます大きなものが出てくるのではないかと思っております。  通産省におきましては、ことしの五月に閣議決定されました「経済構造の変革と創造のための行動計画」の中で、今後新たに成長が期待される十五分野の一つにこの環境産業を位置づけております。二〇一〇年にはこの環境産業の市場規模、現状十五兆円が三十七兆円まで大きくなる可能性があるということで指摘されておりますけれども、こうした環境産業が新たにこうした市場規模を持つようになるように、政府としましても、その基盤となっております関連の技術開発の推進でございますとか、あるいは事業者における環境マインドの醸成、あるいはそのための制度的な枠組みといったようなものにつきまして、これも同じく政府一丸となりまして総合的に推進してまいりたいというふうに考えております。
  41. 並木正芳

    ○並木委員 ともかくも地球環境政策のスタートラインから、半歩という意見もあるのですけれども、一歩踏み出されたわけであると思います。  また、御案内のとおり、行革会議等でも、環境庁を環境省にというような、こうした論議もされているところでありまして、私としても、今後こういう地球益に向かって日本が積極的にイニシアチブをとっていく、そういう政策を展開されていくということを大いに期待しているわけであります。  時間もないようですので、最後に長官に二点お聞きします。  一つは、本議定書の採択を踏まえて、国内に向けて、生産や生活を一層省エネ型経済構造へと転換を図るべきだということになると思いますけれども、いかにしてそれを先導していかれるかというこの環境政策について、その決意を一点お聞かせいただきたい。  もう一つは、京都会議もやっと終えたというところでほっとしたところではあると思いますけれども、議長国としての日本の今後の国際的な役割についてということで、途上国問題等も残されたわけですが、そういった意味でのCOP4、ブエノスアイレス会議へ向けての長官の決意、この二つについて最後にお聞かせいただければと思います。
  42. 大木浩

    大木国務大臣 京都会議で決まったことをこれから実行していくということで、これはよく私ども申し上げているのですが、この温暖化政策として、部門別で考えますと、産業、それから運輸、運輸というのは国民が実際に自分で車を動かしているというところも運輸に入れれば運輸、それから民生一般でございますね。この三つで実は過去数年の実績というのは、産業界は、いろいろと見方によって違うけれども、かなり努力したと私どもは思うのです。  ところが、運輸、民生の方は、少なくとも数字の上ではなかなか削減されていないということでございますから、私どもとしては、今の産業の方はもちろん通産省を初め関係各省の努力を引き続きお願いしたいけれども、きょう私は運輸大臣にもお目にかかってお願いしておいたのですが、運輸の方と民生の方、これについては相当これから広報活動も広めましてお願いをしないとなかなかこの数字目標達成できないということですから、その辺を頭に入れて、全体としての広報活動を強化してまいりたいというふうに考えております。  それから、これからの地球益を考えながらの日本の外交はどうだ、こういうお話でございますが、私は、まさにこれからの日本外交というのは平和国家日本としての外交でありますから、そのためには環境問題で努力するというのはまさに日本の国の国際社会における地位を高からしめる一つのゆえんだと思いますので、そういうことを十 分意識しながら、これから環境庁立場からも仕事をしてまいりたいというふうに考えております。
  43. 並木正芳

    ○並木委員 ありがとうございました。
  44. 山元勉

    山元委員長 次に、小林守君。
  45. 小林守

    ○小林(守)委員 民主党の小林です。  大木長官には、COP3の議長として大変大きな役割を果たされたわけでありまして、その御労苦に心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。  御承知のように、COP3京都会議の目的であった温室効果ガス削減法的拘束力を持った議定書がようやく十一日になって採択されました。地球環境問題の解決に向けた全人類的な取り組みがこれからようやくスタートする、このように認識をしているところであります。  COP3京都会議で、各国の事情の違い、利害の対立、こういう大変困難な問題を乗り越えながら、議定書採択に向けて努力されました各国政府の関係者、そして特に、地球環境の未来世代の代弁者として地球益の視点に立って必死に活動されました多くの国際NGO、そして国民皆様に改めて心から敬意を表したいと思っているところであります。  特に、ハプニングがございまして、大木長官、COP3の議長が最終局面において会場を離脱するというような危機があったわけでありますけれども、それらがまさにNGOの皆さん方の問題提起によって大失態にならずに済んだというところは、私は本当に感謝を申し上げたいと思うところでございます。  さまざまな困難を乗り越えて、数値目標、しっかりと枠組みを定められたということもまた大きな成果だったというふうに思うわけでございますが、今度のCOP3において対象ガスが三種類から六種類に拡大された、さらには吸収源、ネット方式の導入というようなものが新たに入ってきたわけであります。今後、これらについては検証可能な方式として国際的に確立されなければならない、まさに抜け穴として削減緩和という形で利用されてしまうようなことがあってはならないわけでありますから、そういう点で検証可能というものを相当科学技術的にもきちっと詰めた議論をこれからやっていかなければならないのだろう、このように思っているところであります。  そこで、長官には、今回のCOP3の成果と今後の課題について総括的なお話をしていただければと思います。
  46. 大木浩

    大木国務大臣 自分でやって成果というのもなかなか評価するのはしにくいのですけれども、一言だけあえて申せば、今回の会議の最大の成果は、とにもかくにも法的な拘束力のあるものをつくったという、まさにこの一点にあると思います。実は、法的な拘束力ではないけれども、途上国ももう少し、将来に向かっては必ず協力してくれるという言質といいますか、そういったものをある程度枠組みの形でつくり得ればもっとよかったと思いますが、残念ながらそこまではいかなかったということだろうと思います。  いずれにいたしましても、こういった法的拘束力のあるものをつくった以上は、今度は日本としてもそれを実現しなければいかぬということでございますから、先ほどから申し上げておりますように、そのためには、これはもう環境庁だけではなくて政府全体として取り組まなければいかぬということで、政府としては、総理本部長とする対策本部をつくりまして、これからいろいろと施策を進めてまいりますので、そのためには恐らくいろいろと立法措置も必要になると思いますので、よろしくまた国会の御協力もお願いしたいと思っております。
  47. 小林守

    ○小林(守)委員 次に、今回の議定書の採択の中で対象ガスが三種類から六種類になったわけですけれども、そのふえた三種類については、御承知のようにいわゆる代替フロンのハイドロフルオロカーボン、パーフルオロカーボン、それから六弗化硫黄、この三種類が追加されたわけであります。特にハイドロフルオロカーボン、HFCの排出禁止、そして回収・再利用、これをしっかりとした形で確立しなければならないというふうに思うのですね。  このHFCというのは特定フロンの代替物質として使われているということでありますから、その回収・破壊・再利用のシステムというのは、特定フロンの回収・破壊システムと同じルートで処分できるというか対策が立てられるものなのではないか、このように考えるわけであります。  現在、その特定フロンについては、我々は法的規制が必要だという立場に立って、今国会においてオゾン層保護法の改正案という形で議員立法で出させていただいておるわけであります。要は、CFC等の特定フロンの対策において我々はどうしても法的規制が必要だという考えに至ったのは、自主的な取り組みは既に業界では始まっておりますけれども、しかし市場メカニズムではどうにもこれは回収が進まないという実態が明らかになっているわけであります。そういう点で、相当思い切った法的なバックアップのシステムをつくらないと回収は進まない、破壊も進まないというふうなことになるわけであります。  そういう観点に立って、新たに追加されました対象ガスとしてのHFC、代替フロンの代表と言われるHFC、車の冷媒とか冷蔵庫の冷媒とかそういう形で使われているものですけれども、これらについては今後自主的な取り組みでやっていくとするのか、それとも法的な措置として考えていくのか。既に我々は特定フロンの問題で強く問題提起をしているわけなんですけれども、その辺について政府考え方をお聞きしたいと思います。
  48. 野村瞭

    ○野村政府委員 HFCについてのお尋ねでございますが、HFCの回収等の具体的な促進方策につきましては、京都会議の結果を踏まえまして検討していかなければならない課題の一つというように考えておるところでございます。  一方、特定フロンの回収等につきましては、御指摘もございましたけれども、既に開始をされておる回収・破壊のシステムづくりを強化をしていくということが重要と私ども考えているわけでございます。  特定フロンの回収・破壊・再利用につきましては、関係十八省庁から成るオゾン層保護対策推進会議におきまして本年の九月、さらに一層の促進方策を取りまとめたところでございます。この取りまとめに基づきまして、関係省庁におきましては、所管する業界団体等に対しまして回収等に取り組むよう要請を行っているところであります。  環境庁といたしましても、HFCも含めましてフロンの破壊技術の確立てありますとか地域における取り組みの支援等によりまして、フロン回収・破壊のためのシステムづくりをさらに促進をしてまいりたい、そのように考えておるわけでございます。
  49. 小林守

    ○小林(守)委員 自主的な取り組みでいくのか、それとも法的な取り組みでいくのか、ちょっと明確な答弁はいただけませんでしたけれども、今後ともこの問題については我々も真剣に追求をしていきたい、このように考えております。  さて、次に、十二月八日、我々も国会議員顧問団という形で参加をさせていただきましたCOP3の閣僚級会合における冒頭の橋本総理の開会宣言の中で、私は非常に、なぜこういう発言がもっと早く出なかったのかというような強い印象を持った言葉がございました。ちょっと読ませていただきますが、橋本総理がその会合に先立って、  二酸化炭素の削減のために厳格なルールを定めることは、経済に悪影響を及ぼすと考えられる方がいらっしゃるかもしれません。しかしながら、私は、きちんとしたルールの設定こそが、かえって、商品の品質向上や生産コスト削減のためのイノベーションの引金を引く契機となると考えます。そして、それが、設備投資を促進し、新たな需要を創出し、新規産業を生み出し、さらには、地球環境の保全と経済発展のトレードオフを終結に導くのです。 このように総理の発言の中にございました。  大変そのとおりだと思いますし、さっきも言っ たように、なぜこれがもっと早く、例えば政府案が決められる前に総理の発言としてあったならば、日本政府の提案というのは相当変わってきたのではないか、私はこのように思えてならなかったわけであります。  特に政府案の決定の経過の中では、これは通産省の方の考え方だったと思いますが、CO2を五%削減すると雇用が百十七万人減少し、GDPが一・七%減少するということを通産省は言っているわけでありまして、これが大きく日本案の消極性というものにつながってしまったのではないか、このように思えてならないわけであります。  今回の議定書で、日本は六%削減という目標値が与えられたわけでありますけれども、これについて長官並びに通産省の方から所見を伺いたいというふうに思いますし、特に通産省については、CO2を五%削減すると雇用が百十七万人減少するよというような発言はもうとにかく許されないというふうに言わざるを得ないんですけれども、いかがでしょうか。
  50. 大木浩

    大木国務大臣 環境問題についての非常に難しい点の一つは、これは日本に限りませんけれども、各国が、一方においては国内の経済発展というのを目指していろいろな施策を行っておる、片一方においては環境保全のためにむしろだんだんそういうものを強化していかなきゃいけないということでございますから、恐らく、産業界を初めとして国民の方からすれば、一体政府がどこまで例えば規制を強めていくのかということがわかれば、いろいろと経済界としてもそれに対応した準備あるいは投資とか、そういったことがあると思うんです。それから、そのためのこれからのいろいろな科学技術の開発というようなことも、それぞれ政府も考えますけれども業界でも考えるというようなことですから、ある程度そういった政府の姿勢をできるだけ具体的に示すことによってこれからの環境問題の促進もさらに加速化されると思います。  そういう意味におきましては、早かったか遅かったかということはいろいろと御意見の分かれるところでございましょうけれども、とにかく総理がああいうような発言をしていただいたということは、私ども非常に大きな励みとなるものと考えております。
  51. 松永和夫

    ○松永説明員 お答えいたします。  今回の数値目標の六%の削減でございますけれども、通産省といたしましても、今回法的拘束力のある合意が取りまとめられたということを高く評価しております。これを実現をしていくために政府一丸となって努力をしていくということが必要であろうと思います。  日本政府の提案のベースになっております考え方は、経済成長とそれから環境保全ということのバランス、その両立をいかに図っていくかということがポイントでございまして、そのためにぎりぎりの政策パッケージというものをつくったわけでございます。それをベースにいたしまして、さらに今回の議定書の中で明らかになりましたネット方式吸収源の確保ということと、それから共同実施あるいは排出権売買といったような国際的な取り組みというものによります削減率の上乗せということを踏まえて、あわせましてこの六%の実現に向けて努力をしていきたいというふうに考えております。
  52. 小林守

    ○小林(守)委員 それでは最後に、同じく十二月八日の閣僚級会合に先立ちまして、ミクロネシアの地域にあるんだそうですが、ナウル共和国のクロデュマール大統領が演説をされました。私は大変感銘を受けたわけですけれども、このナウル共和国というのは、ニューギニアの東方にありまして、赤道直下の小さな島国であります。二十一・三平方キロという、人口が一万一千人の国でありますが、このクロデュマール大統領から、橋本総理やゴア副大統領を前にいたしまして、大変感動的なというか、危機感を持った発言がありました。少し読ませていただきますけれども、このナウルという国は、  背景には不毛の土地を抱え目の前には恐るべきノアの洪水が迫り、身動きが取れない。遠く離れた国で排出された温室効果ガスが、地球温暖化と海面上昇を引き起こしている  結果を知っていながら、あらゆる国と文化を破壊へと導くことは、人類におぞましい犯罪と呼ぶに値する。いかなる国も、誤解にほかならない「自国の利益」を優先させることにより、世界中の国が物理的にも精神的にも生き残ろうとする試みを踏みにじる権利はない。この犯罪は、文化的な大量虐殺ともいえるもので、全世界の人々に許されるものではない。 このような内容の発言がございました。  大変小島嶼国の立場から危機を訴えておられたというようなことで、我々は今後、この小島嶼国の、最も被害を受けるそういう国々の人々の生存権というか環境権というか、そういう視点に立って最大限できることを積み重ねていかなければならないと。  冒頭私もお話し申し上げましたように、今回が初めてスタートラインに立ったんだというようなことではなかろうかと思いますけれども、長官にはこのクロデュマール大統領の演説についての御感想をいただいて、終わりにしたいと思います。
  53. 大木浩

    大木国務大臣 地球温暖化が進みますと、最も早く、しかも深刻な影響を受ける国の一つはやはりこの小島嶼国だと思います。まさにそういうことでは、このクロマデュール大統領の発言というのは非常に深刻な自分のところの立場を述べられたというふうに考えております。  そういうことでございますので、これは一つは、やはり先ほどからもお話がございますけれども、この環境問題については、国益も国益ですけれども、やはり地球益と申しますか国際益と申しますか、そういった観点からの議論というものもさらに従来以上に強化されなきゃならぬじゃないかというふうに考えております。  それから、これら国々と日本との関係につきましては、いろいろと技術あるいは経済協力というものもかなり進めております。ただ、それだけじゃなかなか、やはり島嶼国がまさに言っております、自分のところの国が沈んでしまうじゃないかということについては、これはもう全世界的にやはりやらなきゃいかぬということでございますから、日本としても、その一員としてこれからひとつ従来以上に積極的に進めてまいりたいと考えております。
  54. 小林守

    ○小林(守)委員 終わります。
  55. 山元勉

    山元委員長 次に、藤木洋子さん。
  56. 藤木洋子

    ○藤木委員 土曜日も日曜日もなく、日夜を分かたず本当に議長として全力を挙げて取り組んでこられましたことに、まず最初に心からの敬意を表明させていただきたいと思います。  そこで、大臣はしばしばこのように述べておられるんですね。京都会議というのは画期的な第一歩であって、日本議長国としての責務を果たした、このように述べておられるんですが、本当にそうだったのかという問題でございます。  今回の京都会議に課せられた責任というのは、九五年のベルリン・マンデートに基づきまして三つのことをやらなければならなかったと思うわけですね。第一には、先進工業国による温暖化ガス排出量の抑制、削減、それから気候変動枠組み条約の不十分さを解消するということが一つでございましたし、第二には、温暖化ガスの特定期間内の抑制、削減の定量的な目標を設定すること、第三に、法的拘束力を持った取り決めを、二〇〇五年までに九〇年レベルよりも二〇%低いレベルにするよう求める小島興国連合の提案を考慮してCOP3までに締結をするということでございました。  今回の京都議定書は、EU国内外のNGOの強い要請の中で、二〇〇八年から二〇一二年までに、九〇年レベルでEUが八%、アメリカが七%、そして日本が六%の削減をするということにはなりましたけれども、これで先進工業国の責任を十分果たしたことにならないと私は思います。さらに、排出権取引だとかネット方式、バスケット方式、こういった抜け穴を認めてさらに先 進工業国の削減目標を実質的に引き下げ、大量排出国の責任の棚上げにつながるということになったと思います。これでは、温暖化での深刻な状況を訴えている小島興国の提案を考慮して温暖化防止という歴史的な任務を果たしたとはとても言えないというふうに思うわけです。  ですから、これは明らかにベルリン・マンデートからも大幅に後退をして先進工業国の責任を十分果たすものになっていない、不十分な議定書となった、こう思うわけですけれども、京都会議議長を務めてこられた大臣の御認識をお伺いしたいと思います。
  57. 大木浩

    大木国務大臣 いろいろと京都会議で主な目標というのがあったと思いますが、ぎりぎりは、とにかく法的に拘束力のある削減目標値を含めた文書をつくる、国際取り決めとしての文書をつくるということが最小限の目的であったと私は思いますので、いろいろ交渉の過程では、これでは本当にできないんじゃないかというような危機的な状況も実はありましたけれども、とにかくできたということについては、議長国としての最小限の責任は果たしたんじゃないかなと思っております。  それから、その中身につきましては、何かいろいろ抜け穴というお話がございましたけれども、抜け穴ではなくて、例えば今お話が具体的にありましたので私も多少触れさせていただきますけれども、対象ガスを三つから六つにしたとか、あるいは吸収の問題も入ったというのは、ある意味においては抜け穴であるよりは、この温暖化問題のいろいろ全体的な科学的な知見をきちっと充実して公正な判断をするためには、むしろ必要な方向だと私は思うんですね。ただし、問題は、今まだ現在の科学的な知識では十分にそれを数量的に把握できないという問題もあります。  それですから私は、方向としては決して抜け穴ではなくてむしろ一つの向かうべき方向だと思います。例えば、今の三ガスから六ガスにするというようなことは決して日本としては抜け穴ではなくて、むしろ従来以上に目標値計算するときにはきつくなるわけですから、そういうことでいえば決して私は抜け穴ではないと思います。  ただし、これから科学的な知見がだんだんに集積されるのに伴ってそういったものはきちっと充実していかなきゃいけないということでは、確かにそれだけを議論しておって国内的な措置がおろそかになってはいけない、そういうことについてはそのとおりだと思います。
  58. 藤木洋子

    ○藤木委員 しかし、結局低いレベルの合意というものは先進工業国の責任を果たすことにはならないわけでして、ベルリン・マンデートから見るならば、やはり大幅に後退したということだけは明らかだというふうに思うわけです。  こうした不十分な議定書になったのはどうしてかということなんですけれども、日本議長国としてリーダーシップを発揮し得たかどうかということがさまざまな新聞紙上でも論じられております。結局、アメリカ政府のゼロ%削減に追随をして、引きずられて、実質二・五%削減日本提案に固執いたしましたし、小幅の削減の合意を主張してきたということがあると思います。  京都会議中に日本は、一五%削減を掲げるEUに対しては、本当にできるものでなくては困るんだといって目標の引き下げを求められましたし、その一方で、アメリカなど消極的な目標を容認するグループ別目標を提案してこられました。この提案は、エストラーダ全体委員会委員長から、新たな抜け穴をつくると指摘をされましたし、環境NGOからは、低い目標による合意に向けた動きだという批判もございました。アメリカ日本は、吸収量差し引き式、ネット方式、あるいはガスのバスケット方式排出権取引などの抜け穴を次々と提案したことが、実は議論を紛糾させてきたというふうに思います。  特に、京都会議では、途上国に対する新たな義務は課さないというベルリン・マンデートに反して、途上国にも削減目標を持たせる提案は、途上国から一斉に反発をされました。これも随分時間がかかりました。これらの提案は、京都会議の中心課題となっている先進工業国の責任途上国責任にすりかえようとしたものではなかったでしょうか。  こうした日本京都会議中の姿勢について、EUや環境NGOから、日本議長国なのに米国寄りの立場をとっているとか、議長国の果たす役割はとても大きいのに国益に余りに固執している、また、日本は著しく中立性を欠いているなどの批判が相次いで出たものでございます。  こうした議長国としての日本政府の姿勢が、先進工業国の責任を不十分にした京都議定書となったのではないでしょうか。また、大気中のCO2濃度を現状レベルで安定させるには排出量を五〇%ないしは七〇%削減することが必要という、IPCCの第二次報告書に対応するものにもなっていないということでございます。  ですから、議長国として特別の責任を強く求められていた日本政府は、その責任を十分に果たしたと言えないのではないかという思いがするのですが、大臣、その点簡潔にお答えをいただきたいと思うのです。
  59. 大木浩

    大木国務大臣 繰り返しになりますが、私は、今回の議長国として一番の大きな目標というのは、とにかく今までできていなかった法的な拘束力のあるものをつくる、具体的な数量目標を含めた法的拘束力のある取り決めをつくるというところにまさにあったわけでありますので、みんなが同意しないものをつくっても、それは非常に理想的なものは、ある立場立場によってはこれが一番理想的だというようなものがあり得るでしょうけれども、それでみんなが賛成しないということでは非常に難しいわけであります。  御存じのとおりに、このCOP3といいますか、このCOPの中の規則では、例えばですけれども、多数決で押し通すというようなことはできないわけです。そういうことで、全体が全会一致でないと物が動きません。そういう点も実は非常に難しいわけですが、そういったところから、とにかくあの程度のものならば法的拘束力のあるものをつくることについてみんなが同意できるということでつくった。その結果、非常に理想的な立場からいえば不十分なものという御批判は当然にあると思いますが、ああいうところが一つのできるぎりぎりのところであったんじゃないかなというふうに考えております。
  60. 藤木洋子

    ○藤木委員 実質先送りの日本政府提案が最後まで足を引っ張って、議定書の六%削減も、EUの強い要請やアメリカに結局は引きずられて認めたものではないかというふうに思うわけです。とても議長国としてリーダーシップを発揮して特別の責務を果たしたとは言えないと思うわけです。  これを第一歩として削減対策を強化するということをおっしゃっていられるわけですけれども、今回の低いレベルの合意は、温暖化を食いとめるには余りにも小さな第一歩であるというふうに思います。実現可能な技術で大幅削減は可能でございますから、手おくれになる前に先進工業国である日本責任を十分果たす、その立場をこれから堅持をしていただきますように強く求めて、私の質問を終わらせていただきます。
  61. 山元勉

    山元委員長 次に、北沢清功君。
  62. 北沢清功

    北沢委員 社民党の北沢でございます。  長官、京都会議、大変御苦労さまでした。  今回の議定書に盛られた成果が、果たして今後における地球全体の温暖化効果を歯どめをし阻止できるものであるかどうかということについては、非常に私は心配でございます。そういう意味で、これからのいわゆる世界的な意味での環境政策というものをどういうふうに変えていくか、認識を変えていくかということが、これからの歯どめをかう非常に大きな要素に実はなるんじゃないかと思っております。  その前に、今回の京都会議に至る日本削減目標値の決定の過程を、私は非常に実は問題視をいたします。このことは、産業界や市民グループなど大きな関心を寄せている層でさえ、また私ども、たまたま与党でおりますが、議会そのものも 全く突然のことで驚くほど、非常にオープンな議論がされていなかったということですね。こうしたことがやはり、法的削減目標値が決定されても、国民的なPRも含めて、テレビ、ラジオ等では意義を問われたけれども、これはこれとして、会議の期間中であってしりすぼみをしなければよいがというのが、実は私ども心配している点であります。  今後、国民理解協力を得るために、環境庁は大きな責務を負ったわけでありますから、そのための取り組みについてのお考えをお示しいただきたいと思います。
  63. 大木浩

    大木国務大臣 国民理解を得ることは非常に大事だということは、今度の京都会議でも改めて痛切に感じておるところでございますし、環境庁、私も長官になってから日が浅いわけですけれども、今までも広報活動をやってきたといいますけれども、正直申し上げまして非常にまだ不十分だというのが新しい長官としての認識でありますので、今後ともひとつ、これは予算措置等もありますから、環境庁だけでなくて、それこそ政府全体としてほかの予算も活用させていただきまして、大いに広報活動は努めなければならないというふうに考えております。  とりあえずこれから、京都会議の後を受けまして、きょうの閣議でも総理から御発言がありましたけれども、総理本部長とする対策本部をつくりまして、これから京都会議でいろいろと決まったことを実行するための作業を早速スタートさせていただきますので、どうぞひとつまた御協力をお願いしたいと思います。
  64. 北沢清功

    北沢委員 今回の六%の日本削減目標という数値を今厳しく受けとめているという話が出ましたし、また特に、私もこの前指摘したけれども、日本の高度な省エネ技術をやはり生かせる機会ではないか。たまたま先ほどの通産省の答弁でいきますと、ネット方式なりいわゆる数値の取引等を含めて併用していくのだというお考えですね。厳しいからそういう形もとらざるを得ないのじゃないかということでありますが、それはやはり正面からは、私ども実は、この前の決定値五において、議員団のアピールも含めてぜひ成功してもらいたいということの理念をよく考えてもらいたいと思うのですね。  それから、決して議会側は、出された数値については必ずしも最終目標ではないのだ、そういうことで、改めて民生、運輸の面についても、施策も含めて与党のCOP3の合意があります。それは相当研究したものですから、そのことをやはり政策としても通産省は研究をされて、私どもはできるという確信を持っておりますので、そういう姿勢で通産は取り組んでいただきたい。  議長国としてのリーダーシップを発揮できなかったという今回の評判もある中で、こうした省エネ技術を世界に日本が貢献できるチャンスだというふうにとるべきだと考えます。通産省としてのそうした立場からの御見解をあわせてお伺いをいたしたいと思います。
  65. 野口泰彦

    ○野口説明員 お答えいたします。  COP3で合意されました我が国の削減目標は大変厳しいものだと考えておりますが、我が国といたしましては、地球温暖化防止、経済成長、エネルギー需給安定化の確保といった三つの課題を同時に達成することを基本的な考えといたしまして、その達成に向けて最大限の努力を傾注していく必要があると考えております。  温暖化効果ガスの大宗を占めます二酸化炭素、とりわけその中でも多くの割合を占めますエネルギー起源の二酸化炭素につきましては、エネルギーの供給面での対策とともに需要面におきまして、御指摘のとおり産業、民生、運輸、すべての分野において省エネルギーを強力に推進していく必要があると考えております。  具体的には、まず、電気機器や自動車のエネルギー多消費機器の効率改善のための制度の整備でございます。省エネ法の措置を強化いたしまして、製品分野ごとに想定し得る限り最高水準のエネルギー消費基準、いわゆるトップランナー方式考え方を導入した省エネ基準を設定いたしまして、その基準遵守のための担保措置も講じてまいりたいと考えております。  さらに、産業部門においても、現在経済的かつ技術的に想定される最高水準の省エネ対策を各企業が計画的に進め、エネルギー管理の徹底を図れるよう、省エネ法上の措置も強化してまいりたいと考えております。  さらに、長期的に省エネルギーを実施するためには、国民一人一人の理解と行動が極めて重要でございます。我が国としては、そういった意味であらゆる省エネ対策を導入いたしまして、省エネルギーを推進いたします。それによって目標達成努力いたしまして、世界をリードする省エネ、それから環境と経済成長を同時達成した国を構築していきたいというふうに考えておる次第でございます。
  66. 北沢清功

    北沢委員 私は、今度の問題の中で、日本の持っているすぐれた面は世界的に貢献をするという、頭脳の流出なり、いろいろの対策をやはり途上国にしないと、総括的なものはないのですよ。そういう意味で、今まで通産は、日本の省エネは進んでいる、世界一だということであれば、そのことをどういうふうに世界的なものにするかということが日本のやはり重要な役割だということを私は申し上げて、今質問をしたわけです。  若干時間オーバーになっちゃったからできないのですが、最後に一つだけちょっと、簡単に申し上げます。  今回の問題というのは、アメリカEUとの削減値の競争の中で、日本はある意味では疎外されたような形でのあれなんですけれども、やはり問題は、議長国としての責任といいますか、それを実効性あるものにするために途上国対策を考えていかないと、途上国先進国の誠意ある数値を見た上でこれに協力をするということであります。だから、決して途上国協力しないということじゃないのです。誠意がどのように映ったかということが今回の中で不十分だったというふうに私は思いますから、それらを含めて途上国に対する今後の、炭素税をして応援するとかいろいろな形もあると思いますから、国内対策もさらなることでありますけれども、総体的な地球問題として日本の果たすべき役割を、議長国としての立場から長官から御答弁をいただきたいと思います。
  67. 大木浩

    大木国務大臣 途上国との協力、特に技術的あるいは経済的な協力ということは、今回の京都議定書でもうたっておりますし、具体的にこれから、橋本総理も先般来いろいろと、京都イニシアチブだとか、それからよその国もそういうイニシアチブについては言及しておりますので、そういったものを先進国全体としてさらに強化して、途上国とこれからしっかりした話し合いができるようにひとつ頑張ってまいりたいと思っております。
  68. 北沢清功

    北沢委員 いろいろな面での援助も含めて、日本の果たすべき先進国としての役割を十分にひとつ果たしていただくように要請をいたしたいと思います。  以上で終わります。
  69. 山元勉

    山元委員長 次に、岩國哲人君。
  70. 岩國哲人

    ○岩國委員 太陽党を代表して質問させていただきます。  まず、今回の京都国際会議において、大木長官御自身の個人的な御努力は我々は評価しつつも、全体として、日本政府としての姿勢については甚だ遺憾な点が見受けられたと思います。この点は、今まで各委員からも御指摘のあったとおりであります。まず、そうした政府としての姿勢、取り組みが低過ぎたために、結果的にはいろいろな国際交渉において収れんした数字が期待されたほどには高いものに終わらなかったというのも、日本政府の姿勢に一つの原因があったと思いますし、それは橋本首相自身の取り組み、意欲の低さにも私は原因があったと思わざるを得ません。  また、もう一つ遺憾な点は、これだけ大きな国際会議日本京都で開かれ、また各マスコミも一生懸命にそれを報道しておりましたけれども、 一般国民、我々議員も含めてでありますけれども、協議のプロセスがどうも外部に見えにくい点が非常に印象として残ります。  こうした国際交渉というのは、すべてをオープンにすることはできないことは、私も若干そういう経験を持っておる人間としてよくわかりますけれども、しかしこういった環境問題という、国境を越え、あるいは党派を超え、イデオロギーを超えた問題については、もっとオープンな協議がなされてもよかったのではないか。大事な数字が結局密室での協議に任されてしまった、温室効果よりも密室効果の方が数字を決めてしまったというふうな印象が残ってまいります。  そういった意見を申し上げた上で、とはいいながらも、これだけ大事な取り決めが国際的になされたわけでありますから、我々一人一人がこの問題について真摯な努力をこれから重ねていかなければならないわけであります。国ごとの取り決めはできたけれども、それを地についたものにしていく、こうした長官自身の御努力も含めて、仕事は京都会議で終わったのではなくて京都会議から始まっていく、このような認識のもとに努力していかなければならないと思います。  そういう観点に立ちまして、企業、自治体あるいは一般住民、とりわけ女性の皆さんあるいは学童、こうしたところに対するいろいろな啓蒙の努力も必要になってくると思います。  特に、産業界に対しましては、いろいろなエネルギー節約の努力、技術開発も要望しなければなりませんけれども、もっとわかりやすい国民との接点という点で見ますと、私は何度も触れてまいりましたけれども、デポジット制というものを大胆に大幅に取り入れる、これをやらなければ、とてもあの目標達成できないのではないかと思います。こういった点で、内閣挙げての努力が必要になってくると私は思います。  それから自動販売機、この小さな国に自動販売機が非常に乱立しております。こうした自動販売機の使用制限についても、新たな姿勢が必要ではなかろうか。  こうしたエネルギー節約といった場合に、家庭の中のエネルギーあるいは工場の中のエネルギー節約ではなくて、そういった町中で、特に流通経路においてのエネルギー節約という点は、各報道機関によりますと、今度の補正予算あるいは来年度予算においても、こうした行政的に必要なコストの計上がなされるようであります。各企業が工場ごとにどれだけエネルギーを節約したかということを数量的にフォローすることも大切でありますけれども、製品ごとに、それが末端消費者に渡るまでの流通過程においてどれだけのむだなエネルギーが使われておるか。工場で生産するときには大したエネルギーを使わなかったけれども、その何倍ものエネルギーが結局消費者の手に渡るまでに、冷たいものはいつまでも冷たく、熱いものはいつまでも熱く保つための、こうした自販機を中心とした流通過程におけるエネルギー使用の制限あるいはそれの努力効果ということも、数量化していくことが必要ではないかと私は思います。  また、地方自治体、まさに地に足をつけたような努力といいますと、これは地方自治体の大幅な協力が得られなければ目標達成できないということは、皆さん御承知のとおりであります。この地方自治体に関連しまして一つ質問させていただきたいのは、環境対策、特にごみ処理のやり方によって、随分こうした温暖化防止効果というものは結果が違ってくると思います。  その中で、全国三千三百市町村の持っておりますごみ焼却のための煙突の数は、今一万二千本に迫ろうとしております。しかも、これは減少するよりもまさにふえていこうとしています。地方分権ということに絡んで市町村合併、三千三百を集約していくということも必要でありますけれども、この一万二千本というものをこれ以上増加させない。市町村合併も必要でありますけれども、煙突合併という観点に立って、もっと効率的、そして大型の煙突に集約していく、そして全体としての煙突の本数を目に見える形で、毎年毎年自治体の協力度合いをあらわす上で、これもあらわしていただきたいと思います。こうした煙突あるいはごみ処理の観点から、これからどのような努力をなされるのか。  特に、出雲市でもう既に実行に入っておりますけれども、ごみを固形燃料化してそれを再利用する、再利用することによってエネルギーをむだにしない。そのようなことは、大都市を中心にしてこれから大幅に導入されなければならないと思いますけれども、環境庁として、通産省、厚生省と協力の上に、このような煙突を減らす、そして固形燃料化を大幅に進めるという考えを持っておられるかどうか、ごく簡潔にお願いしたいと思います。
  71. 大木浩

    大木国務大臣 もしもっと細かい答弁をということであれば、後で補足していただきますが、私も長官に任命されてから、まさしく私はその環境問題、特に例えばごみの処理というような非常に具体的な問題について、中央の政府と都道府県あるいは市町村、そういったものがまずは縦の関係、あるいは各市町村の間の横の関係、一体きちっとできておるかといえば、非常に空白がまだございますね。  ですから、本当に強力にその施策を実行するといっても、法的な根拠がないというようなことでしばしば非常におくれておる、あるいはおくれるだけでなくて結論が出ないというようなことが確かにたくさんありますので、そういったことについては、これからひとつ環境庁だけではなくて政府全体の問題として、ちょうど京都会議でも結果が出ておるわけですから、それはそれとして、環境問題全般に対しまして、ひとついろいろなところで強力に、しかも迅速に措置ができるような対策というのを考えないといけない、そういうふうに認識しております。
  72. 岩國哲人

    ○岩國委員 ありがとうございました。  小さな島国でありながら、よその国の資源を大量に利用して、大量生産、大量販売、大量消費、そのお手本のような日本であるがゆえに、ごみの問題についても、よその国に数倍まさるような取り組みあるいは技術の開発、そして自治体の協力というのは仰いでいかなければならないと私は思います。  この大きな地球の中で、そういったごみ密度、人口密度に対比してごみ密度という表現を使うならば、ごみ密度が一番高いのは日本ではないでしょうか。それであるがゆえに、よその国と同じ程度のごみ対策ではとても足らないと思いますし、画期的な時代を迎えるためにも、こういったごみ対策についてはしっかりと取り組んでいただきたいと思います。  特に、その象徴としての煙突、池袋に二百十メートルの高い煙突が立っております。あのように今まで商業地域、すぐれた住宅地域、あるいは交通も含めて多額の国民の税金を使ってのインフラ整備がなされた豊島区、文京区、渋谷区、台東区、そのようなもったいないような土地を、次々とそのような煙突をつくる、工場をつくるために使っていくというのは、これは国家的に見ても大変な損失ではないかと私は思います。そのような子供たちにも見えやすい煙突の数を減らしていくということも必要ではないかと思います。  二番目にお伺いしたいのは、これは学校教育についてでありますけれども、今までの学校教育についても、もっと環境を大切にする、そのような意識を小さいときから持たせるということは、これは必要であることは言うまでもないことであります。  私たちが小さいころは、一番最初に学校教育で「サイタ サイタ サクラガサイタ」、桜の花、それをまさにいい環境の象徴として私たちは受けとめて育ってまいりました。今、小学校一年生の教科書を見ても、一ページ目は全然木のことは触れておられません。二ページ目、三ページ目、四ページ目、二十八ページ目ぐらいになってやっと木というのが出てくるだけで、日本人に一番親しみやすい桜の名前は一切出てこないわけであります。こういった教科書の中にも、そのような環境 あるいは木の大切さ、緑の大切さ、まさに今度はそういう吸収源としての取り組みということになりますと、緑を大切にする学校教育が私は必要であると思います。  同時に、海面とか水面を大切にする。干拓事業をやってどんどん海を埋め立てる、これが環境の時代の税金の使い方かということにつながってまいります。  時間が終わろうとしておりますけれども、大木長官あるいは担当の文部省の方からでも結構でありますけれども、学校教育の中でどれだけこの新しい時代を迎えての環境の問題を児童に教育していくお考えなのか、聞かせていただきたいと思います。
  73. 大木浩

    大木国務大臣 具体的な対策については、文部省がもし必要なら補足していただきたいと思いますが、実は各国の環境についての教育というのを調べてみますと、確かに日本は具体的な教育ということについては非常におくれておるというのが私の感じでありますので、そういった立場から、これから環境庁としては、またひとつ文部省等々とも協力しながら教育を進めてまいりたいと考えております。
  74. 岩國哲人

    ○岩國委員 それでは質問時間が終了しましたので、終わらせていただきます。ありがとうございました。
  75. 山元勉

    山元委員長 本日は、これにて散会いたします。     午前十一時五十分散会