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1997-11-28 第141回国会 衆議院 環境委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十一月二十八日(金曜日)     午前九時開議 出席委員   委員長 山元  勉君    理事 杉浦 正健君 理事 鈴木 恒夫君    理事 萩山 教嚴君 理事 長内 順一君    理事 田端 正広君 理事 小林  守君    理事 藤木 洋子君       大野 松茂君    奥山 茂彦君       川崎 二郎君    久野統一郎君       河野 太郎君    桜井 郁三君       桜田 義孝君    新藤 義孝君       砂田 圭佑君    滝   実君       戸井田 徹君    山口 泰明君       山本 公一君    大野由利子君       塩田  晋君    武山百合子君       中村 鋭一君    並木 正芳君       佐藤謙一郎君    田中  甲君       北沢 清功君    土井たか子君       前田 武志君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 大木  浩君  出席政府委員         環境政務次官  山本 公一君         環境庁長官官房         長       岡田 康彦君         環境庁企画調整         局長      田中 健次君         環境庁企画調整         局地球環境部長 浜中 裕徳君         環境庁大気保全         局長      野村  瞭君         環境庁水質保全         局長      渡辺 好明君  委員外出席者         国土庁計画・調         整局計画課長  浜野  潤君         外務省総合外交         政策局国際社会         協力部地球規模         問題課長    津曲 俊英君         外務省経済協力         局調査計画課長 吉田 雅治君         通商産業省環境         立地局環境政策         課長      松永 和夫君         通商産業省基礎         産業局総務課企         画官      櫻井 俊樹君         自治省行政局選         挙部収支公開室         長       櫻井 勝彦君         環境委員会調査         室長      鳥越 善弘君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月二十八日  辞任         補欠選任   桜田 義孝君     新藤 義孝君   戸井田 徹君     山口 泰明君   保利 耕輔君     久野統一郎君   中村 鋭一君     塩田  晋君   佐藤謙一郎君     田中  甲君   土井たか子君     北沢 清功君   岩國 哲人君     前田 武志君 同日  辞任         補欠選任   久野統一郎君     保利 耕輔君   新藤 義孝君     桜田 義孝君   山口 泰明君     奥山 茂彦君   塩田  晋君     中村 鋭一君   田中  甲君     佐藤謙一郎君   北沢 清功君     土井たか子君   前田 武志君     岩國 哲人君 同日  辞任         補欠選任   奥山 茂彦君     滝   実君 同日  辞任         補欠選任   滝   実君     戸井田 徹君     ――――――――――――― 十一月二十六日  ダイオキシン類による環境汚染防止強化に関  する陳情書外二件  (第一七九号)  大阪湾有害化学物質対策推進等に関する陳  情書  (第一八〇号)  大阪湾赤潮防止対策推進に関する陳情書  (  第一八一号)  琵琶湖の総合的保全推進に関する陳情書  (第一八二  号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  環境保全基本施策に関する件(地球温暖化防  止問題について)  地球温暖化防止の国際的・国内的取組推進に  関する件      ――――◇―――――
  2. 山元勉

    山元委員長 これより会議を開きます。  環境保全基本施策に関する件について調査を進めます。  本日は、地球温暖化防止問題を中心として調査を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。桜田義孝君。
  3. 桜田義孝

    桜田委員 おはようございます。本日は、十二月に開催されます気候変動枠組み条約第三回締約国会議、いわゆる京都会議につきまして質問させていただきます。  まず、具体的な質問に入る前に、京都会議の成功に向けて大変な努力を傾けておられます環境庁長官並びに環境庁政府関係者に対しまして、心から敬意を表する次第でございます。  一九七二年の国連のストックホルム会議をきっかけに世界各国地球環境問題に大きな関心を示し、海洋汚染原子力汚染、動植物の絶滅などの地球環境の危機を回避するためにさまざまな条約が締結されていることは、既に御承知のことと思いますが、このような国際的な潮流の中、九二年の地球サミットで採択されたのは気候変動枠組み条約であります。  気候変動枠組み条約は、いわゆる温室効果ガス排出削減し、ガスの増大がもたらすであろう地球温暖化を回避することが目的であります。現在の二酸化炭素排出量は、年間約六十二億トンにも達し、これは一九五〇年当時の四倍にも相当いたします。海面上昇などの現実的な被害も必至の状況であります。  しかしながら、この条約の運用を誤ると、温室効果ガス削減を実際に行った国と削減を行わずにその恩恵だけを受ける国が生じ、締約国の間で不公平を生じるおそれがあります。具体的な数値目標を設定し、その履行については法的な義務を課すことが不可欠であると考えております。  そこで、温室効果ガス削減を、具体的な数値目標という形でいかにして締約国義務として履行させるかが問題となるところでありますが、温室効果ガスは日々の日常活動の結果として各国産業規模に相応して発生するものでありますので、それを抑制するとなると、各国産業経済に少なからぬ影響を与えます。特に、途上国産業を著しく阻害しない形での対応が必要と考えます。  そこで、京都会議を前にして、各国では具体的な削減目標が次々と提案されております。まず日本では、二〇〇八年から五年間に一九九〇年比で五%の削減アメリカでは、一九九〇年レベルに戻すこと、そしてEUにおいては一五%削減を提案しているところでありますが、実際に一五%の削減数値目標として話題に上った場合、その審議結果によってはアメリカ議定書を締結しないことも心配されるところであります。そこで、世界最大二酸化炭素排出国であるアメリカをどのようにして議論の土台にのせるかが最大関心ではないかと思われるわけであります。  そこでお伺いいたします。  EU温室効果ガス削減目標として一五%を提案しておりますが、理想論はともかく、この数値は、我が国に限らずアメリカや他の先進国も到底容認できるような状況ではないと考えます。締約国が例外なく受け入れられるという意味で、実現可能な数値目標について合意を得るため、我が国は、議長国としてEUに対してどのような働きかけをなされるおつもりか、これを環境庁長官にお伺いしたいと思います。
  4. 大木浩

    大木国務大臣 ただいま桜田委員の方からいろいろと現状について御説明がございました。特に、EUが掲げております一五%削減案、これは、御存じのとおりにいわゆるバブルということで、EU全体としての数値を出しておるわけでございますが、日本側としては、前々からこのバブルというもののあり方というのは一つ問題であるし、それから、今のお話のように、一五%の数値というものが、よその国にとっては当面ちょっと受け入れがたい数字ではないかという問題もあるわけでございます。  その辺を考えまして、いろいろとEUと折衝しておりますが、まず一五%の数値ということについては、最近はEUもかなり弾力的な考え方を、非公式にですけれども表明をしております。EUとしては、自分のところではこれだけやれるのだという数値考えておりますけれども、我々としては、しかしそれをそのままよそも一緒に同じレベルでということになるといろいろと問題がありますから、各国が置かれた状況、そういったものを勘案して、そこに何らかの差別、差異化と言っておりますが、これを設けるということが一つ考え方基礎にあって交渉を続けております。EUも、自分のところがどうするかということもありますけれども、よその国に対して、当然にこれをまた、自分がやるからそれを自動的によそにもということについては、多少弾力的な考え方を持ち始めているのではないかという感じを私どもは受け取っております。  他方、アメリカにつきましては、先ほどお話がございましたように、一九九〇年比安定化ということは、わかりやすく言えば、ゼロ%削減、こういうことになるわけですが、これではいかにも低過ぎるのではないか。特にアメリカが非常に期待しております、いずれ近い将来に開発途上国一緒にこの仕組みの中に入ってもらうということは、実際には義務化を伴う削減というものにだんだんに入ってもらいたいということですから、そういう話を進めるためにも、もう少しアメリカの方も大きな数字を出してもらえないかというところで、その辺が今交渉の一番大きなポイントでございます。  差異化というのは、日本の場合には、御存じのとおりに、かなり精密な方程式をつくりまして、それを各国に当てはめるということを言っているのです。しかし、国によりまして、その差異化条件というか、基礎になるいろいろな要素が違うものですから、自分のところはこういう状況にあるからこれも差異化に入れてくれ、こういうようなことがいろいろありますから、なかなかそれがまとまりにくいというわけでございます。  ということで、差異化の問題は今後も、恐らく京都会議以降も、この差異化仕組みというものをもう少し精密にする交渉が続くと思いますが、今度の京都会議日本側が言っているような差異化というものがそのまま採用されるかどうかということは、今なお交渉中でございますので、これはひとつ我々としてはできるだけ差異化要素というものは生かして、先ほど委員がおっしゃったように、それぞれの国が置かれた状況というものをある程度勘案いたしませんと、全部の国が参加してくれるというところはなかなか難しいわけでございますから、その点は強調しつつ、しかし、日本側が言っているような当初案というものをもう一字も直さないというようなことではなくて、今後交渉を続けたいというふうに考えております。
  5. 桜田義孝

    桜田委員 続いて、途上国削減義務を負わせるかどうかの問題についてちょっとお伺いしたいと思うのです。  いわゆる地球温暖化の元凶とされる温室効果ガスは、主として先進国産業活動の循環結果によることは申すまでもございませんが、先進国途上国では技術面資金面でもかなり差があり、実効的な対策については、同レベル議論をするには若干飛躍があるとも考えられます。地球環境問題そのものを南北問題ととらえて解決する学者もいるくらいでございますので、途上国に対して削減義務を課すとなると相当な努力が必要とされるのではないだろうかと思っております。  そこで、いわゆる南北間の経済格差に着目し、南北問題の解消に向けて、先進国だけが削減目標を遵守するということになってしまったとしても、技術移転の進展や市場経済の著しい発展が予想される途上国では温室効果ガス排出量が大幅に増加すると予想されます。締約国のほとんどが途上国である以上、削減目標が課されないのでは意味がないのではないかと考えます。また、十分な議論合意に基づいて、何らかの削減義務が必要ではないかと考えますが、京都会議におきましてはどのような対策を進めておられるか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  6. 大木浩

    大木国務大臣 細目につきましては、もし必要があれば、また後から政府委員からも補足説明をしてもらいますが、基本的な考え方というのは、実は途上国につきましては、従来からいろいろと話し合いがありまして、その結果として、いわゆるベルリン・マンデートというのがあって、それが一つの基本的な、従来からの話し合いをまとめた文書があるわけですが、そこでも、途上国に直ちに義務化は求めないということが一応の了解ということになっておりますから、恐らく今度の京都会議で直ちに途上国に対してそういった法的な拘束性を持った排出量削減の約束ということは求めないということになります。  同時に、まさしく今おっしゃったように、将来ということを考えますと、二〇一五年から二〇年くらいになりますと、むしろ途上国の方が、世界温暖化ガスの過半はそういった国から出てくるという状況が予想されますから、これは何としてもできるだけ近い将来に途上国義務化削減にも参加してもらいたい。  ですから、いつからどういうふうに参加できるか。しかし、参加するにつきまして、いろいろとまた条件や何かがありますから、そういったものを検討しながら、できるだけ早い時期において、途上国、特にいわゆる中進国とか、それからガス排出量が多い国につきましては特に関心が深いわけですけれども、そういった国々も、ある時点からはしっかりとそういった義務化のシステムの中に入ってもらえるように、これをできるだけこの京都会議で、そういった将来への仕組みをつくることについてはできるだけはっきりしたものをつくりたいということで、交渉を進めてまいりたいと考えております。
  7. 桜田義孝

    桜田委員 京都会議では、具体的な数値目標を掲げた議定書を採択した場合、当然我が国履行義務が生じるわけでございますが、温室効果ガス排出削減に向けて、現実には石油、石炭などの化石エネルギー消費を抑えなければならないわけですし、代替エネルギー確保を早急に行う必要があるところであります。石油代替エネルギーとして将来的にも期待がかかっているのは、何といっても原子力ではないだろうか、そんなふうに考えております。  先ほどお話ししたのですが、日米共同世論調査でございますが、エネルギー問題に関して、地球温暖化防止のために火力発電を減らし原子力発電をふやすべきかという、日本アメリカで共通した項目に関してアンケート調査をとったところが、日本賛成二九%、反対が四〇%、アメリカでは賛成が四〇%、反対が四九%というような調査結果が出ているわけなんです。実際のところ、日米両国とも世論を二分している状況でございます。  そこで、ちょっとお伺いしたいのですけれども政府は、二〇〇八年から五年間で温室効果ガスの五%削減というものを提案しておりますが、これは実際のところ、原子力発電所二十基の設置ということが前提になっていると言われております。我が国エネルギー政策の是非はともかく、環境庁もそのような前提考えていらっしゃるのかどうか、ひとつお伺いしたいと思っております。
  8. 浜中裕徳

    浜中政府委員 お答えをいたします。  二〇一〇年までに原子力発電所二十基増設に相当する原子力を開発するということは、平成六年に代替エネルギー供給目標の一部として政府決定をしたものでございまして、こうした考え方が今回の政府CO2削減対策に盛り込まれていることは御案内のとおりでございます。  環境庁がどう考えているのかというお尋ねでございますけれども、私ども環境政策立場からいたしましても、例えば平成二年に地球環境保全に関する関係閣僚会議決定をいたしました地球温暖化防止行動計画におきまして、原子力開発利用につきましては、二酸化炭素排出しないエネルギーといたしまして、安全性確保前提にこれを推進するということを定めております。  それから、環境基本法の制定を受けまして、平成六年十二月に閣議決定をいたしました環境基本計画におきましても、原子力基本法などに基づき、放射性廃棄物処理処分対策などを充実させつつ、安全性確保前提として原子力開発利用を進める、こういうふうに定められているところでございます。  環境庁といたしましても、こうした考え方にのっとりまして、この二十基増設という目標に向けた原子力開発利用推進していくに当たって、安全性確保放射性廃棄物処理処分対策充実を大前提として取り組んでいくべきものである、このように認識をしているところでございます。
  9. 桜田義孝

    桜田委員 ここからは、温室ガス排出削減我が国経済に及ぼす影響について、ちょっとお伺いさせていただきます。  二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素、オゾン、フロンの各物質は多くの国民日常生活の中から排出されているわけですが、これらの排出削減を実現しようとすれば、一般市民が自動車に乗るのを控えなければならなくなったり、電気消費量制限を受けたり工場の操業に支障を受けたり、さまざまな面で、生活スタイル変革経済活動制限を受けることになってしまいます。  八〇年代から、地球環境問題を考察する場合、持続可能な発展という言葉が一つのキーワードとなっておるところでございますが、環境保護を重視する余り、例えば途上国開発権先進国の論理で妨げてはならないということもありまして、環境産業発展は相互に対立するのではなくて、両者をいかに調和させていくかということが二十一世紀の地球の命運を決するに大事な立場だと考えております。  そこで、地球温暖化対策として排出削減を行った場合、我が国経済活動に少なからず影響を及ぼしますが、通産省はどのような考えでいらっしゃるかお伺いしたいと思っております。  また、持続可能な発展を目指すためには、環境ビジネスという新しい産業分野をいかに育成していくか、どのようなお考えを持っているかお伺いしたいと思っております。
  10. 松永和夫

    松永説明員 お答えいたします。  地球温暖化問題への対応策を講じていくに当たりましては、桜田委員指摘のとおり、地球温暖化防止国民経済の健全な発展、その両立を図るということが基本的な考え方でございます。  このような認識のもとに、我が国国内対策につきましては、エネルギー起源CO2排出削減につきまして、エネルギー供給面におきまして最大限対策を講じるということに加えまして、エネルギー需要分野におきましても、産業、民生、運輸、各部門につきまして最大限対策を講じております。こうした政策努力を積み上げることによりまして、健全な経済発展というものを阻害することなく、我が国CO2削減目標というものを達成できるための対策パッケージというものを政府として取りまとめたところでございます。  御指摘環境産業についてでございますけれども環境問題への積極的な対応に当たりましては、最近の国際的な環境への意識の高まりを考えますと、環境産業という部分に着目いたしまして、国際競争力の維持という観点も踏まえまして、いち早くそういうものに着目をしていくということが大事であるというふうに私ども認識をしているところでございます。  具体的には、ことしの五月に閣議決定いたしました経済構造変革と創造のための行動計画ということの中に、今後、成長が期待される十五分野一つにこの環境産業というものを位置づけておりまして、事業者事業活動全般にわたる環境への配慮の促進、あるいは基盤となります技術開発促進等々の各種の施策を、関係省庁と連携をとりまして総合的に展開をしていく、そういうところでございます。
  11. 桜田義孝

    桜田委員 続きまして、緑化政策についてお伺いしたいと思います。  通産省の方から今御答弁をいただきましたけれども環境政策そのもの我が国産業構造経済力そのものに悪影響を及ぼすことがあってはならないと考えている次第でございます。京都会議では、排出削減プログラムを含んだ議定書が採択される見込みというふうに解釈しておりますが、温室効果ガス削減は、過去二回の石油ショックで省エネルギー国民に幅広く定着したところであり、これ以上の義務づけにはかなり困難が伴うのではないだろうかと考えております。  そこで、私も以前、前の通常国会のときに環境問題で質問させていただいたのですが、ややもすると、いろいろ経済活動を抑制するような形で環境問題というものが議論されがちですが、そうではなくて、どんどん産業発展するような形で、プラス思考の中でいろいろな政策を練ってやっていくのがいいのではないだろうか。  その中で、私は、緑化政策、いわゆる二酸化炭素吸収するについては植物が効果的なわけでございますので、できる限りプラスの、経済活動が活発になるにはやはりCO2削減について大規模緑化政策を広く進めるということが、また大きな政策一つで取り上げてもいいのではないだろうか、そんなふうに考えておるところであります。  それで、二酸化炭素吸収源としての緑化政策をより進めるためには環境庁としてはどのような考えをお持ちでいらっしゃるか、また、その推進に当たる政策等を聞かせていただければありがたいと思います。
  12. 浜中裕徳

    浜中政府委員 緑化対策推進についてのお尋ねでございますが、私ども計算によりますと、平成七年度、我が国森林がどのぐらいの二酸化炭素吸収、固定しているかという計算をしてまいりますと、これは我が国から排出される二酸化炭素の大体八%ぐらいというふうに計算されるところでございます。したがいまして、温暖化対策といたしましては、どちらかといいますと排出源対策中心になるわけではございますけれども、確かに御指摘のとおり、吸収源対策申しま すか、緑化対策などが極めて重要であるというふうに認識をしているところでございます。  私ども政府といたしましては、森林を保全し緑化推進するために、まず、これは環境庁の所管でございますけれども自然公園自然環境保全地域を適正に管理をするということがございます。それから、これはどちらかといいますと林野庁などのお取り組みになりますが、持続可能な森林経営を進める。それから、建設省などが進めておられますが、都市の緑を充実をする。こういうことに取り組んでいるところでございます。  こうした中で、環境庁といたしましては、自然公園などの適正な管理によって森林を守るということを進めますとともに、自然との触れ合いの機会を積極的に提供する。それから、間伐材を利用したエコマーク製品の拡大などを進めまして、森林の適正な管理が一層進むよう、国民意識の向上にも努めているところでございます。  私どもといたしましては、こうした施策を通じてなお一層吸収源対策を進めてまいりたい、このように考えております。
  13. 桜田義孝

    桜田委員 最後に、これは御要望ということでお聞きいただきたいのです。  私も前の環境委員会におきまして、環境政策日本一国だけではなく、世界的な協調関係の中でやっていかなくてはならない。特にお隣の中国影響日本酸性雨が大分降って被害を受けているというような状況がありますので、中国では非常に砂漠化現象が進んでいるところでございますので、日本だけではなく隣の国も、地球的規模緑化政策ということで中国大陸緑化政策にも日本として協力していただければ、世界地球温暖化防止に役に立つのでないだろうかと思って、今後の環境政策にぜひ生かしていただくよう御要望申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
  14. 山元勉

    山元委員長 次に、長内順一君。
  15. 長内順一

    長内委員 新進党の長内順一でございます。  まさしく京都会議が十二月一日から開催される、もう本当に目前に迫ったわけでございます。その中での委員会ということで、やはりこの成否ということが、我が国だけではなくて、御承知のように私たちの未来を決定づける。そして、それはだれが決定づけるかということになりますと、まさしくきょうここにいる皆さん、そして、なかんずくその大変な国際会議の議長という大きなお立場になりました環境庁長官、この責務は非常に大きいものがある、こういうふうに認識をしているところでございます。  大木環境庁長官は、就任して間もなくこの京都会議の議長ということが決まりまして以来、寝食を忘れてという表現がまさしくふさわしいと思いますが、さまざまな形でこの成功のために御努力いただいている、このことには私の方からも敬意と感謝を申し上げたいと思います。  きょうは、そんな意味では、京都会議の成功ということで、短い時間ではありますが、率直に質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  まず、京都会議についてはいろいろな期待もあり、逆に、先ほどからお話がございますようになかなか難しい問題がいっぱいありまして、これを一つにまとめるというのは、これはたしかワシントン・ポストか何かの論評ではありませんけれども、全く違う足を一つの決まったサイズの靴に合わせるようなものだなんというような論評もございましたけれども、非常に難しい。この中で、長官がこれからどういうリーダーシップを発揮されて、そしてこの京都会議、まさしく世界じゅうが注視している京都会議なのですが、どういう形でこれから取り組もうとされているのか。  そこで、初めに、議長として長官は何をもってこの京都会議を成功というふうに位置づけるのか、ちょっと雑駁な質問で恐縮でございますが、この点についてお伺いしたいと思います。
  16. 大木浩

    大木国務大臣 御激励を含めた御質問でありがとうございます。  御存じのとおりに、この地球温暖化防止の話というのは一九九二年ごろから、基本的な条約ができ、またいろいろな会議がずっと進んでおるということです。率直に申し上げまして、九二年から本年九七年までのこの五、六年の動きというものを振り返ってみますと、一応条約ができて、みんなが自発的にひとつ削減をしましょうということでスタートしたのですが、残念ながら、なかなか自発的だけでは十分な結果が得られないということですから、やはり法的な拘束力を持った義務ということを取り決めようではないかというのが今度の京都会議の一番大きな目標だというふうに私は考えております。  確かに各国が、自分ができるのはどの程度の数字かということになりますと、今のところまだばらばらになっておりますけれども各国のいろいろな提案というものの中身を子細に検討してみますと、それほど離れてはいないのです。ですから、そういうものを今私どもとしてはできるだけ収れんさせるように努力をしておりますけれども、一番大事なことは、少なくともこの一九九七年京都会議において、まず先進国としては全体としてこれだけのことは必ずやるのだぞということをはっきりと内外に打ち出せるということが非常に大事だと思います。  先ほども御質問がございましたけれども途上国も早晩入ってもらわなければいけないわけですけれども途上国を説得するためにも、やはり先進国でしっかりしたみずからの方策ということを打ち出しませんと、なかなか途上国の方は乗ってこないということであります。その数字につきましては、今まさに議論をしておるところでございますからなかなか難しいわけでございますし、先ほどちょっと申し上げましたし、御質問にもあったと思いますが、やはり各国が置かれた状況は多少違いますから、全く同じ数字でスタートということになるかどうかというあたりになりますと、その辺はちょっと知恵を出した方がいいのではないかという感じがいたします。  とにかく先進国全体として、意味のある、実質的な削減というものをきちっと法的な拘束性を持ってスタートするということが一番大事であり、それをてことして、今度は、いずれ将来開発途上国の方も参加をしてもらえる、そういった仕組みをつくる。少なくとも、いつごろからそういったものはきちっと話し合いができるのか、そしていつごろになったらできるのかといったことについて、できるだけ明確な、要するに先進国の今の義務化と、それから開発途上国の将来の参加というところが結びついているような感じがありますから、その辺のところをしっかりとこれから進めてまいりたいというふうに考えております。それができれば、私は京都会議は最小限の成功には達しておるのではないかというふうに考えております。
  17. 長内順一

    長内委員 率直な御答弁をいただきました。確かにこれだけ難しい中で、今長官がおっしゃったように、法的拘束力をしっかりと今回の京都会議で発揮するべく議定書を締結するということは、これはそこまで行ったら本当に私は大変な成功だというふうに思っておりますし、ぜひそこへ向かって御努力をいただきたいというふうに思うわけでございます。  ただ、今長官がみずからおっしゃったように、大変難しい問題、それで各国間でえらい隔たりがある。先進国先進国の中で、例えば日本アメリカEUと、これは例の削減目標を見ただけでも随分違っているわけでありまして、そこに今度は、今お話にございました先進国途上国との問題がある。  こういう複雑な中で、この間長官がヨーロッパの諸国を回られて大変な調整の作業をされたと思うのですが、戻ってきてすぐのテレビの会見か何かで、国際合意は可能であるというような記者会見をされておりまして、これはどういうことが裏づけとなっているのかなと。言葉をかえれば、これだけ大変なものをどう調整し、国際合意に持ち込もうとされているのか。その辺、全部は明かすわけにはいかないかもしれませんけれども、少な くとも自信のほどを、裏づけのほどを御説明いただければありがたいと思います。
  18. 大木浩

    大木国務大臣 何か自信のほどということで、なかなか難しいわけでございますが、先般東京でも非公式に閣僚会議を行いまして、そのときも各国環境大臣レベルの人がかなり参りまして、それぞれに、今の時点で、今の時点というのは東京での会議の時点ですが、今の時点ではいろいろ違った数値目標を出しておるけれども、少なくとも何とかしてまとめたいということで、時間はかなり迫っておるけれどもまとめたいということは、共通の意識として、そういった政治的な意思はお互いに確認し合ったということでございますし、その後、いろいろな会合がございます。先般のバンクーバーにおきますAPECの首脳会議もございまして、そこでもそういった意味の宣言は出されておるわけでございます。  これはやはり私は、なかなか最終段階まで、具体的な数字の詰めというものは時間がかかると思いますし、時間がかかるというか、時間が足りないわけです。しかし、環境大臣等々、今度の京都会議でも、前半はむしろ事務的ないろいろなレベルで、周辺と言うと言葉が悪いのですが、数値目標に関係のある問題もありますからいろいろありますけれども、そういった問題をできるだけ詰めて、最後の後半のところでひとつ調整をしようという感じでありますから、これは決してできない話ではないのではないか。  ただ、先ほどから申し上げておりますけれども、全く同じ数字を本日ただいまからやるというようなことになると、これはなかなか難しい。ですから、これはやはり一つの共通目標、それから先進国全体としてここまではやるんだという確認はいたしますけれども、具体的にどういうふうに、どういう時間帯でこれから削減を行っていくかということについては、多少各国の事情を考慮したような形になることも、一つの選択としては考えられる。  しかし、いずれにいたしましても、そういったことで、既にアメリカも、日本ももちろんですけれどもEUも、かなり歩み寄りのための方策をいろいろと検討しておる。正直に申し上げまして、今のところ一番姿がまだはっきりしていないのはアメリカですけれどもアメリカも含めて、先般も、橋本総理とクリントン大統領の間でも、京都会議を成功させよう、まとめようということについては合意をしておられますので、これはその合意をひとつ基礎にして、私どもとしても頑張ってまいりたいというふうに考えております。
  19. 長内順一

    長内委員 くしくも今お話しいただきましたように、やはりアメリカですね。先ほど桜田さんの質問の中にもありましたけれども、要するに、EUの方はまだかなり柔軟的に物を考えているなという感じがするのですが、最大排出国のアメリカが何か非常に自国の案に固執しているように思えてなりません。  そんな意味では、今の長官のお話で、事務サイドを含めていろいろな交渉がありましたよと。しかし、少なくともこの問題については各国のトップリーダーがそれなりの判断をされて、そして最後は、きちっとした形ではないかもしれないけれども、一定の方向の、法的拘束力のある方向で着地できる、このように受けとめてよろしゅうございますでしょうか。
  20. 大木浩

    大木国務大臣 一言で言えば、その可能性を信じて今私ども努力しておるわけですが、EUアメリカの間では、これは温暖化問題ばかりじゃありませんが、ある程度定例化されておりますアメリカEUの首脳会議というのが十二月五日にワシントンで予定されております。ということですので、私どもも、EUの方とも話し合いを続けながら、ひとつアメリカがしっかりとまとまるように自分の案を見直して出てきてもらいたいということは、伝えてあるわけでございます。  ただ、先ほども申し上げましたが、いろいろと各国の置かれている状況がある。実は、一九九〇年から今までの各国努力、それから、これから各国がすべき努力ということを考えますと、確かにアメリカの場合には九〇年からむしろ排出量がふえてしまっておる、実は日本も同じような状況があるのですが。日本の場合には非常に省エネの努力はいたしましたけれども排出量温暖化ガスが減るということの直接の対策ということは、必ずしも結果としては、数字としては減っていないわけですけれどもアメリカの場合、それじゃどれだけ省エネあるいは排出ガス削減について努力したかということになりますと、少なくとも数字を見る限りは、やや成績が悪い、こういうことは言えます。  ただ、それだけに、今置かれている状況から、これから今度は非常に急速に削減させなければいかぬということについては、アメリカも相当努力をしなければいかぬということですから、その辺はある程度理解しながら、しかし、やはり世界最大排出国でございますアメリカですから、大いにアメリカとしてもリーダーシップを発揮してもらって、ひとつみんなが納得できるような数字というものを示してもらいたいということで、ただいま交渉を続けているところでございます。
  21. 長内順一

    長内委員 やはりこの削減目標というのは、今回の京都会議の結果を評価する場合に非常に大事なポイントになってくると思います。そういう意味では、今お話しのようなリーダーシップをぜひ発揮していただいて、そしてこの京都会議から、少なくとも具体的、現実的に温暖化防止の第一歩が踏み出されたというような足跡がきちっと残るような御努力をぜひお願いしたいと要望しておきたいと思います。  それで、そうなりますと今度、例えば京都会議で、今長官がお話しになったような形で一定の方向性が確認され、そして議定書が取り交わされて、いよいよ今度はこれが実現に向かって各国が動き出すということになると思うのですが、その場合、日本の国は、特に議長国という立場もありまして、なかんずく率先してこの問題には取り組んでいかなければならない。つまり、文書の上での締結から、今度は具体的にそれをどう実行していくかということになってくるわけでございまして、この点について数点お伺いをさせていただきたいと思います。  まず、今回、今長官の方からいろいろお話がございましたように、先進国それから途上国を含めて合意のためにあらゆる努力をしていくのだというようなお話がございました。その中で、先般APECで橋本総理が京都イニシアチブというものを発表されております。これは、途上国義務を課する前に——COP1、ベルリン会議ですか、この折にさまざまな議論があって、その結果どうなったかというと、途上国には義務を課さないということで、それがずっと言質をとられているというのはあれですけれども、ずっと今日まで引きずっているわけではございます。  今回いきなり義務を課すということは、これはまた国際合意を得るための交渉としてはまことに不確かなことになるわけでございますから、そうではなくて、途上国が要求しているような、要望しているような、先進国においてはひとつ範を示してもらいたい。  それからまた、私たちに国際協力をしていただきたいというふうに何か主張しているようでございますが、今回の橋本総理の発表になりましたまさしく京都イニシアチブ、これは、人、わざ、金といいますか、こういうものを途上国のために提供していこうということが柱になっているというふうに受けとめさせていただいております。  この中には、これから実施されるものが三本の柱として具体的に載っているわけでございますが、この点について質問させていただきたいと思います。  まず、金の方ですが、今ODAの削減ということで、私もこの間国連に行って、国連本部で随分多くの方から、今国連は金がない、アメリカは十五億ドルの拠出金を滞納していると。そこへもってきて、国内事情が厳しいと言いながらも、日本がODAの一〇%カット。これが大変な余波でございまして、特に影響があるのは、私は一〇%だから一律一〇%かなと思っておりましたけれども、さまざまなところでアンバランスになりまして、例えば緒方さんのいらっしゃる国連難民高等弁務官事務所、あそこの削減率三九%なんというのを見まして、それから人道だとか人権だとか、こういうところが非常に大きな幅で削減されている。  私は、今回総理が京都イニシアチブという形でこうやって出されたことには、これはこれとして大変了とするものでありますけれども、実際に資金的な、財源的な裏づけは本当に大丈夫なんだろうか。環境問題だとか、先ほど申し上げました難民だとか人権だとか、これから日本がよって立つようなそういう分野においてはぜひとも積極的な支援をしていかなければ、やがて今度はそのリアクションが必ず日本に返ってくるわけですから、そういう意味では、今回の京都イニシアチブの中で、円借款を四十年で〇・七五%なんという物すごく優遇された条件で出しているわけでありますが、この財源は本当に大丈夫なのかどうなのか、外務省に伺っておきたいと思います。
  22. 吉田雅治

    ○吉田説明員 お答えいたします。  今先生から御指摘のございました温暖化につきましての金利〇・七五%、償還期間四十年、これは円借款の資金を使いまして実施するものでございまして、私どもも、円借款の原資でございます一般会計、財政投融資あるいは償還金その他を含めまして総合的に判断をいたしまして、この金利で実行できるというふうに考えて発表させていただいた次第でございます。
  23. 長内順一

    長内委員 それから、さらに今度は、人、技術、金ということなんですが、人の件について、若干細かい話になりますけれども申し上げておきたいというふうに思います。  それは何かというと、今まで途上国の支援、人的支援ですね、これはもちろん国が率先してやっておるのですが、次の段階になるとどうなるかというと、やはり即戦力を求められますから、派遣して、現地に行ってから一生懸命勉強してなんというものではありませんので、やはり使える人間をどうしても必要としておるわけであります。  そんな意味では、国で足りない分はどうなるかというと、企業だとか、それからなかんずく地方自治体に要請をしているケースが今まで非常に多いように伺っているわけでございます。今回も、平成十年度から五年間で三千人の温暖化対策関連分野の人材育成に協力する、こんな一項目があるわけでございますけれども、そういう専門職員だとか何かを海外に派遣する。特に自治体や何かはそうなんですが、派遣した後、今定数削減がどこの自治体でも大変厳しゅうございますから、欠員のまま、しかも一番働く係長だとか課長補佐クラスが引き抜かれて、それでしばらく補充がないだとか、こういうケースが非常に多い。そして、そればかりではなくて、出ていった方が帰国して非常にハンディキャップを感ずるようなことが多いようです。  これは私も、先ほどの、国連に行ったときに明石さんともいろいろ話をしましたけれども、国連職員でずっと頑張ってこられた、意欲のある方はたくさんいらっしゃるんだけれども、今は精神力だけで国際貢献に頑張っていらっしゃる。使命を果たして帰国する、そうしたら、自分のポストがなかなか、同期の人方から見たら、あれ、ちょっとおかしいなというようなことが随分ある。  これから、環境問題に金も出すということもそうですが、それ以上に、技術だとか人、この協力というのは途上国に対して大きな力になっていくわけでありますけれども、私が今申し上げたようなことをきちっとクリアしておきませんと、これから先、本当に優秀で意欲を持った方がオーケーというふうになかなかならないんではないかなというふうに思います。  政府として、この問題にこれからどういうふうに対応されるのか、お伺いしたいと思います。
  24. 吉田雅治

    ○吉田説明員 今御指摘ございましたように、人づくりというのが非常に大切な、ある面で最も大切なものの一つでございまして、特に専門家として出ていっていただく方については、今まで、もちろん勤務先の給与補てん等の措置をとっておりますけれども、今後とも、帰国された後の処遇、そういったことについて十分努力をしていかなければならないというふうに思っております。  また、専門家の派遣と同時に、実際に途上国の方々を、その場合でも、まさに企業あるいは地方公共団体の方にお世話になっていわゆる研修をさせていただくわけでございますけれども、こういったことも拡充していきたいというふうに考えまして、今回、三千人の人づくりということで御提案させていただいた次第でございます。
  25. 長内順一

    長内委員 そういう漠然とした答弁じゃなくて、具体的に何をやるかというような答弁を期待したわけでありますけれども、ちょっと時間がないものですから、この次、この件については一度しっかり議論をしていきたい。  いずれにしても、おっしゃったように、海外に対する支援の中で、人的そして技術的な支援というのは、金と同じ、またそれ以上の大事な問題だと思いますので、ぜひともお願いをしたいと思います。  それで、先ほど申し上げましたように、法的拘束力のある数値目標、これが決定した場合は、今度は実効ある具体的な対応ということなんでありますが、国内対策について若干お伺いしたいと思います。  この間、中環審で中間取りまとめですか、あそこでかなり突っ込んだものが出てきております。私は、確かにああいう形のものは非常に大事だと思いますけれども、ずばり、やはり一つは、法的拘束力のあるもの、例えば、仮称、温暖化防止基本法の制定なんかという抜本的なこともこれから考えていかなければならないというふうに思いますし、それと同時に、経済構造を変えたり、それからライフスタイルを変えたりするわけですから、今までの延長線上ではこれはきっと削減目標を達成することはできないと思います。  そういう意味では、もっと踏み込んだ形で、ただ単に規制をするということだけではなしに、いわゆるさまざまな誘導策も含めた総合的な国内対策というのがこれから必要になってくるというふうに私は思いますけれども、その点についての御見解をお願いしたいと思います。
  26. 浜中裕徳

    浜中政府委員 中環審の中間取りまとめについての御指摘でございますが、お話しのとおり、京都議定書で拘束力のある目標が決められますと、その達成を確実に担保する仕組みが必要でございます。さきの中央環境審議会での中間取りまとめにおきましても、国民各界各層の御参加を得て、多数の対策を総合的、長期的に行っていく枠組みといたしましては、法制度上の対応が必要ではないかということでございまして、今後、国民の意見を伺いながら検討すべきであるという指摘を行ったところでございます。  今後、京都会議の成果を踏まえまして、中央環境審議会では本格的に審議をいただく予定でございますが、私どもも、その結果を受けて、必要な法制度の改善や整備も含めて温暖化対策推進に努めてまいりたい、このように考えております。  こうした中で、今回の中央環境審議会の中間取りまとめにおきましても、「国内の法制度の基本検討課題」ということで、事業者国民などに対する教育・学習、広報の推進などとともに、長期的にライフスタイルを変革し、また、市場競争を促進することによって排出削減を図るための経済的な負担の段階的な導入、あるいはその導入の方針やスケジュールも制度上明らかにしておくと効果的ではないかという指摘もいただいたところでございます。  私ども環境庁におきましては、環境基本法の規定を踏まえまして、環境税等についての検討作業を行ってきたところでございますが、京都会議の結果を踏まえまして、さまざまな政策手段、この中には御指摘の誘導的な手法というものも十分に視野に入れまして、どのようにこれらの政策手段を組み合わせていくことが適切であるかにつきまして、中央環境審議会において本格的に審議をしていただく予定でございます。
  27. 長内順一

    長内委員 それからもう一方では、やはり国が一生懸命になる、それから各団体、企業、国民一人一人、地方自治体、こういうところがこぞって総合的にやっていくということになるわけなんですが、一つお伺いしておきたいのは、地域間格差の問題なんですね。  それは何かといいますと、今回、国際規模といいますか世界規模で見た場合に、先ほど長官からお話がありましたように、それぞれの国々によって国の事情が全く違うわけですね。ですから、それによって削減目標も変わってくる、そこで今御苦労されている、こういうふうになるわけです。それで、くしくも長官がおっしゃったように、一律にばさっというわけにはいきませんよ、十分尊重しながらやらなければなりませんよというお話がございました。私は、国内の対策においても地域間のそういう問題というのが出てくるのではないかなと思っております。  それは何かというと、一九九〇年当時にもう既に工業化されて地域が開発されて、それで排出ガスがいっぱい出ている地域と、それから、私は北海道なんですが、北海道のずっと外れの方の、まあ過疎とは言いませんけれども、そのようなものですね、非常にまだ開発されていない地域と、この辺を一緒くたにしまして、そして、これから京都会議で決まりましたので一律こういうふうにしますよだとか、ああいうふうにしますよ、これは非常に無理があると思うのですよ。  ですから、私は、地域間の格差を十分認めながら、この対策を、どちらかというと地域の実情に合わせた形で進めるべきである、こういう考えを持っておるのですけれども、御見解をいただきたいと思います。
  28. 浜中裕徳

    浜中政府委員 京都会議の結果が出てまいりますと、これを受けて国内の温暖化防止対策を進めていかなければいけないと思います。この対策におきましては、全国的な見地から取り組みを行うことはもちろんでございますが、同時に、御指摘のとおり、地域性に応じて効果的に行う仕組みをつくることも必要であるというふうに認識をしております。その場合に、地方公共団体が果たす大きな役割というものも、私ども重視をしていかなければいけないだろうと考えております。  これまで環境庁におきましては、地方公共団体の地球温暖化防止対策推進する地域推進計画の策定というものに対して支援を行ってきたところでございますが、今年度からは、さらにこれに加えまして地球温暖化対策モデル事業の補助というものも開始したところでございまして、こうした取り組みを通じまして地域性を生かした取り組みをぜひ促進をしていきたいというふうに考えております。  さらに、中央環境審議会の今般の中間取りまとめにおきましても、都道府県知事が地球温暖化防止のための計画を法定計画として策定、公表することなどを検討課題として挙げているわけでございまして、今後の中央環境審議会における本格審議を通じまして、そうした実効ある取り組みができるような仕組みづくりをぜひ御検討いただきたいと思っておりますし、それを踏まえまして私どももその仕組みづくりに努めていきたい、このように考えております。
  29. 長内順一

    長内委員 時間になりました。  本当に、先ほどから申し上げておりますように、私たちの子供だとか孫の代にどうこの自然を残し、そしてそれと共生した生き方ができるかという非常に大事な問題でございますので、ぜひとも長官のリーダーシップに期待をしながら、そして、私どももそれをさらに推進していくということを決意しながら、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  30. 山元勉

    山元委員長 次に、武山百合子さん。
  31. 武山百合子

    ○武山委員 新進党の武山百合子です。  早速、COP3、京都会議中心にお伺いをしたいと思います。  今後五年、十年、十五年、近い将来にこんなに大きな会議日本で行われることはないであろうというぐらい大きな会議で、国民も、そして世界じゅうが注目している本当に大きな会議なのですけれども、数日後に控えて、もう皆さん何回も聞いたと思いますけれども、私も人並みに、議長を務める大木長官の現在の決意と心境をお伺いしたいと思います。
  32. 大木浩

    大木国務大臣 先ほどからも御質問がございますが、やはり今度の京都会議というのは、地域的にもほとんど全世界的、それから時間的に考えますと、とりあえず十年、二十年のことを議論しますけれども、その結果というのは今後それこそ五十年、百年に及ぶという大変な会議でございますから、私どももその辺の重要性を十分に意識しながら取りまとめに努力をしてまいりたいと思っております。  地球温暖化の科学的ないろいろな知見と申しますか、これは誤差の範囲はそう大きくなくて、五十年、百年たてば必ず非常に問題になる。だからもう今から、遅きに過ぎてはいけないので、早くから対策をしなければいかぬ。  ただ、この五年、十年ぐらいのところをとりますといろいろ議論がある。ある程度、五年、十年はまずできることからやろうというような気持ちの方というか国もあるというところでございますが、やはりこれは遅きに失してはだめでございますから、一九九二年以来のいろいろな実績というか、むしろ、実績ができなかったということの反省の上に立ってひとつ今度はしっかりしたものをつくりたいということでございますから、先ほどからも申し上げておりますように、少なくとも意味のある第一歩というものをしっかりとつくり上げたい、そういう気持ちで京都会議に臨みたいと考えております。
  33. 武山百合子

    ○武山委員 どうもありがとうございます。  意味のある第一歩ということですけれども、その意味のある第一歩の第一歩をどのようにつくられるのか、もっと具体的にお話ししていただきたいと思います。
  34. 大木浩

    大木国務大臣 第一歩というのはいろいろな意味で、従来から、同じことを繰り返して恐縮でありますが、九二年以来いろいろと討議は続けてきたけれども、法的な拘束性というものがなかったものですから、各国がそれで自由に自発的にやりなさいといった結果、必ずしも望ましいような状況になっていない。まずその反省から私どもはスタートしなければならないと思います。  そういうことで、今回は、少なくとも先進国につきましてはできるだけ多くというか、望ましいのは全部ですけれども先進国はまず全部が法的な拘束性のある義務化に参加をしていただく、これがまず一番大事ではないかと思います。参加して、削減率の数字も大きければ大きいほどいいのは間違いないわけですけれども、この点につきましては、とにかく参加をしてもらわなければいかぬということですから、その辺はある程度の柔軟性は考える。  と同時に、開発途上国も、これから十年、二十年という時点を考えますと、まさにもう間もなく開発途上国の方が排出量が五〇%以上になってしまうというような現状があるわけです。開発途上国からいえば、今まで先進国がやりたいことをやってきて、今、今度は自分たちにも義務化を求めるか、こういう気持ちはあると思いますけれども、これはしかし現実にそれだけの排出量開発途上国からも予想されるわけでございますし、そういったことは開発途上国自身にとっても決して望ましいことではない。  ということで、いろいろな形で、あるいは技術的な、あるいは資金的な協力を開発途上国に対しても行いながら、これからやはり開発途上国先進国もともどもにこれからの地球環境の改善に向けて努力をしていくということを基本的な方向として考えながら、京都会議をひとつ何とかまとめたいというふうに考えております。
  35. 武山百合子

    ○武山委員 そうしますと、達成すべき目標を明確化していく以上、法的な拘束力を持たせることが必要になってくるわけです。その辺、必要性を感じているのはもう事実だと思いますけれども、どのくらい法的拘束力を考えていらっしゃるのか。裏側のことで戦略的にもあると思いますけれども、ぜひ国民の皆さんに伝えたいと思いますので、その辺、法的拘束力についてもっと詳しくお話ししていただきたいと思います。
  36. 大木浩

    大木国務大臣 これは、法的拘束力と言う以上は、ある程度数値というものが伴わないと全くの精神論になってしまいますから、これはきちっとした数値というものを出す。ただ、その数値が、先ほどから申し上げておりますように、完全に一律になり得るかどうかということは、まさにこれからまだ交渉しなければならぬわけでございますが、法的な拘束力を持った数値というものは、これは必ずつくる。  ただ、それをどうやって強制していくといいますか、こういうことになりますと、これはもう各国がそれぞれ国際約束に基づいてやっていくということですから、そのためには、こういった政策を国内的にもやっていくんだよ、あるいは国際的にこういう取り組みをつくるよということは、これはできるだけ具体的にそういったものについての合意も、その今の数値議論一緒に並行して進めていくということであろうと思います。  ただ、それぞれの国家というものは主権国家でやっておりますから、国内の政策についてどこまで調整できるかということについては、京都会議で全部すべてのものができ上がったということではなくて、これからいろいろな経験を経ながらそういうものを強化していきたいということであろうと思っております。  そういうことでは、京都会議ですべてが決まるというよりは、恐らく、今度はCOP3ですけれども、COP4、COP5というのも当然に毎年行っていくことになると思います。したがいまして、そういうものを積み重ねて、だんだんに国内対策についての共通の認識ということもできるだけ固めていきたいというふうに考えております。
  37. 武山百合子

    ○武山委員 そうしますと、先ほど質問にもありましたけれどもアメリカ数値はどのようにお考えになっておりますか。アメリカが出している数値に対してです。
  38. 大木浩

    大木国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、先般のバンクーバーにおきますAPECの会議でも、橋本総理とクリントンさん、直接に話をして、京都会議の成功に向けてはちゃんと協力するんだ、京都会議できちっとしたものをつくるんだ、こういう合意はされたというふうに理解しております。  ただ、その具体的な数値になりますと、実はこれはある意味におきましては、外交交渉と言うと言葉が悪いのですが、むしろ私は、今回の交渉というのは外交交渉で、お互いに、どちらかが勝てばどちらかが負けるというようなことではなくて、共通の目標に向かって努力してもらいたいとは思います。しかし、例えばアメリカ立場に立ちますと、自分の国内のいろいろな産業方面からの要望もあるということですから、これはやはり相当そういったところを、国内を説得するためによその国の協力体制というものもできるだけ引き出して、その上で最終的な自分の提案をするんだろうというふうに考えております。  したがいまして、御存じのとおり、現在ではアメリカとしては一九九〇年並みのレベルで安定化——安定化というのは実は同じことをやるという意味ではございませんで、先ほどから申し上げておりますように、既に一九九〇年レベルに比べますとアメリカの現在の排出量は一〇%ぐらい上がってしまっているのですから、そこから下げるということですから、これは決して努力なしにできるということじゃございません。努力をしなきゃいかぬ。  しかし、それにしてもやはり九〇年並みのレベルのままで二〇一〇年前後までその程度かということについては、ほかの国からいいますと非常に不満が残っておるということですから、その辺については引き続き、アメリカ側にはもう少し何かできないかという態度でこれからも折衝をしてまいりたいというふうに考えております。
  39. 武山百合子

    ○武山委員 日本は、いろいろな意味で外圧、外圧といって外圧をかけられているのですけれども、ぜひアメリカ日本から外圧をかけていただいて、やはりこういうとき、日本が一番立場上言えると思うのです。さんざんいろいろな意味日本を指導してきたというか、日本に外圧をかけてきたわけですから、もう本当に議長国のリーダーシップで大いに外圧をかけていただきたい。  本当に現状追認的なスタンスというふうに思われているわけですよね、アメリカ日本という二つの国が非常に削減目標が少ないということで。そして、これは十分な成果はもう期待できないとみんな思っているわけです。もちろん私は野党ですので、EU並みの高目の目標を設定すべきではないかと、我が党も一五%削減を主張しているのですけれども、五%以上にぜひ上げていただきたい。その努力の過程の詳しい状況をちょっと説明していただきたいと思います。
  40. 大木浩

    大木国務大臣 いろいろなところで主張しておりますので、全体の、まとめた状況の御説明ということになると思います。  実は、御存じのとおり、EUの方も、一五%と言っておりますが、国別の削減目標を見てみますと、大体大きな数字を言っておりますのはドイツ、イギリスあたりでありまして、そのほかの国はむしろふえる、削減でなくて増加する国もあるわけでございますし、ポルトガルあたりは、たしか四〇%だと思いましたけれども、かなりまだふえるじゃないか。そういうところは、まだ我々としてはなかなか納得しないところであります。  ただ、EUというのは、御存じのとおりに、ああいう非常に特殊な、問題によっては自分のところの主権をある程度EUというものにゆだねてしまうというような非常に特異な機構になりつつありますから、そうしますとなかなか、全体としてこれだけ削減するんだから、後はひとつ責任を持って全体として一五%削減するんだからというような議論が続いております。  ただ、先ほどもちょっと申し上げましたけれども自分のところが一五%だから、それをよそのところにもそのままということについては、ややEUとしても無理かなという感じを持ちつつあると思いますし、私どもとしても、国によっては必ずしもそれほど削減してないじゃないかということを言いながら、しかし、お互いにできるだけ、全体としては、まあある程度現状も見つつ、しかし、これからの努力ということでは、できるだけ公平なことになるようにということで努力をしておるわけでございます。  今、日本についても一五%とおっしゃいましたが、これは残念ながら、私ども、今、政府として一五%まで引き上げたというか引き下げたというか、要するに削減した場合の対策ということになりますと、これはなかなか大変でございます。先ほどお話がございましたけれども、例えば原子力発電所といったものも計算に入れないとなかなか大きな数字が出てこない。その辺はなかなか難しい。  こういうようなことがありますから、痛しかゆしの点はあります。しかし、いろいろな対策を重ねて、産業部門、運輸部門、それから民生部門、全部重ねて、ひとつ何とか日本側としてもできるだけこれから、すぐにどこまでということもありますけれども、むしろ長期的にこれからも削減に向かって努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  41. 武山百合子

    ○武山委員 ぜひとも、あと数日ですけれども日本案の五%以上に努力していただかないと、今まで何のために努力してきたのかという、成果がやはり期待できないわけです。  先ほどEUお話がありましたけれども、二十三、二十四日とルクセンブルクとドイツをたしか訪問されていたと思います。それぞれ関係大臣と協議されたと思いますけれども、その協議の内容、それから成果をぜひ説明していただきたいと思います。
  42. 大木浩

    大木国務大臣 EUなりあるいは国別の、私が行ってまいりましたのは具体的にはルクセンブルクとドイツでございますし、それからその前に、二十二日だと思いましたけれども、イギリスの副首相で環境大臣を兼ねておるプレスコットさんとも、これは大阪で会いました。  ということで、EUの今の考え方というのを、全体として言いますと、先ほども申し上げましたけれども、一応EUとしては、自分はいわゆるバブルという形で共同でやる、これはEUというものの存在ともかかわることであって、その仕組みは変えられないんだということで、これは非常に強い。ですから、私どもは引き続き、しかしそういうバブルという形でやることについてはいろいろ問題点はあるんじゃないかなと言っておりますけれども、なかなかこれはきついということであります。ですから、バブルというものを頭から認めたわけじゃないのだけれども、それはそれとして、そういう共同でやるということについてはある程度理解を示しながら、しかし全体としてどういう形が可能であるかということを議論してまいりました。  それで、EUは一五%と言っておりますが、その点については、みずからの数字もほかの国とのバランスもありますから多少見直すという気持ちがちょっと出てきておるというのは、ここまでは申し上げてもいいと思うのです。ただ、これからの交渉のやり方ということになりますと、イギリスのプレスコットさんあたりはむしろ取りまとめるという方でかなり努力しておられて、いろいろと具体的なお話がございました。  ですから、これは我々が今後交渉を進めるに当たりましては、そういったいろいろな考え方というものも一つ、これはEUというよりはイギリスがいろいろと努力しておられるということからのお話でありますけれども、しかし、EUの中でイギリスというのは非常に重要な国でありますから、イギリスはそういうふうに考えておるかということは一つ頭の中に置きながら、これから交渉を進めたいと思っております。  それからルクセンブルクは、今EU委員会の方の議長国でございますね。ですから、サンテールさんという委員長さんがおられまして、先ほども申し上げましたけれども、いずれアメリカへ行って、アメリカEU首脳会議も行われますけれども、ルクセンブルクの方は今のところ、自分がどうするかということよりは全体として取りまとめようということでありますから、ルクセンブルクがどうのということは余りなかったのですけれどもEU各国の意見をできるだけ取りまとめて、何とかしてアメリカと妥協に達したいというお話でございました。  それから、ドイツの方の環境大臣はメルケルさんという、これは女性の大臣でございますけれども、第一回の、COP1の議長ざんもやって、女性ですけれどもハードネゴシエーターということになっておりまして、しっかりした交渉の上手な方だと思います。  メルケルさんからもいろいろと個々の問題については、ドイツとしての、ないしはEUとしてのお考え方は伺いました。これは非常にメルケルさん自身はっきり言っておられたのですけれども、これはやはり交渉事だからいろいろなものが関連しておるわけですね。関連しておりますので、数値目標を最後に決める前に、ほかの問題について全部自分のところの態度を決めてこうだと言ってしまうのは少し早いのじゃないか、こういう感触が非常にはっきりとしておりました。  したがって、メルケルさんも十二月の会議の後半には来られますけれども、十二月のたしか七日だったと思いますが、十二月七日にEU環境大臣会議が行われる。もうそれは七日ですからぎりぎりですけれども、その時点までは本当に最終的なEUとしての態度ということはなかなか出しにくい。  しかし、いろいろとお話をしておりまして、この問題についてはこういう考え方だ、ほかの問題についてはこういう考え方だというようなことは、かなり詳細に意見交換をしてまいりましたから、一応EUとしてどういう形かという最後の姿というか、最後の数字とかそういうものは出してこられませんでしたけれども、どういうアプローチを考えておられるかということについては、かなりいろいろと情報をいただいて帰ってまいりました。
  43. 武山百合子

    ○武山委員 どうもありがとうございます用意思が通じたようですので、ぜひ協力的に進めていただきたいと思います。  それから、先ほどの話に戻りますけれども、法的な拘束力を持たせることが必要だということはもちろんわかっていることですけれども、達成状況を客観的に監視する機関の設置が必要だと思うのです。その辺は考えていらっしゃいますでしょうか。
  44. 浜中裕徳

    浜中政府委員 達成状況を客観的に監視する機関というお尋ねでございますけれども、当然のことながら、削減目標に法的拘束力を持たせるということになりますと、各国目標を守っているかどうか、その遵守の状況を点検をいたしまして、必要に応じて適当な措置が講じられるような仕組みが必要でございます。  これまでの京都に向けました交渉におきましては、具体的な遵守措置の発動は、議定書締約国会合、こういうものをつくりまして、そこで行うという考え方でございます。  そうした考え方のもとで、現在、これまでの準備会合の議長を務めておられたエストラーダさんという大使でございますが、この方がつくられた議長テキストがございます。これが京都会議交渉の土台になるものでございますが、この議定書の条文には、各締約国による議定書のもとでの約束の遵守状況、こういうことに関する情報を締約国会合に各国が提出をする。その提出をされた情報に基づきまして、これを専門家が審査をいたしまして、締約国会合にその報告を出します。そして、締約国会合ではそうした報告を受けて検討を重ね、議定書の実施に関して必要な事項があればそれを決定することができる。こうしたことを通じまして、各国の実施状況を把握し、監視をしていこう、そして必要な是正措置を講じていこうということでございまして、現在そういう方向で議論が進められているところでございます。  各国ともほぼそうした方向で基本的には考えようということで議論が現在進んでおりますが、締約国会合がとるべき遵守措置の細目、具体的なあり方等につきましては、今回の京都での合意を踏まえましてさらに検討していくことになる、このように考えております。
  45. 武山百合子

    ○武山委員 日本はリーダーシップをとれる立場にあるわけですから、もうこの第三者機関をつくるんだと一言大木長官が言えばできるはずですので、ぜひそういう方向で、国民は期待しておりますので、やっていただきたいと思います。  それから、実現のための政策手段についてなのですけれども、直接的な規制にウエートを置くのか、それとも税制それから補助金等経済的手段によって誘導する方がよいと考えるのか、その辺どのように考えているかお聞かせいただきたいと思います。
  46. 浜中裕徳

    浜中政府委員 京都会議合意を経まして、今後我が国として地球温暖化対策をどのように進めていくかということにつきましては、去る十一月十三日に関係審議会合同会議においてその基本的方向が示されたわけでございますが、この報告書におきましては、対策は適正な規制的な手法と誘導的な手法を初めとする多様な政策の組み合わせによって達成されるべきである、このようにしているところでございます。  私ども環境庁におきましては、直接的な規制につきましては、国民の間に地球温暖化防止の重要性の認識が高まって、このための規制措置を受け入れる素地ができれば、今後このような措置の導入あるいは措置を強化するということについて積極的に検討を行うことが必要であろう、このように考えております。  また、経済的手段につきましては、本年七月に環境に係る税・課徴金等の経済的手法研究会というものを環境庁で設けておりますが、そこの研究会が、議論のたたき台として炭素税などの具体的なオプションの案を四つほど提示をさせていただきました。今後は、これまでの議論も踏まえながら幅広い視野からの御意見をいただいて、国民的な議論のもとでさらに検討を深めてまいりたいと考えております。  いずれにいたしましても、直接的な規制と経済的な手段のいずれかをということではなくて、これらを組み合わせて政策効果を高めていくことが必要であろうと考えております。中央環境審議会におきましても、京都会議の成果を受けまして今後の対策の具体的なあり方を検討していただくことを予定しておりますが、この場におきましてもそうした観点から審議がなされるもの、このように考えております。
  47. 武山百合子

    ○武山委員 両面ということですので、期待をしております。スピードに欠けるというのが日本の執行状況なのですけれども、ぜひスピードを持ってやっていただきたいと思います。  それから、最後の質問になりますけれども、新エネルギーへの大胆な転換が必要と考えているわけですけれども、具体的には何に重点を置くとよいのか。それが原発への転換であっては本末転倒だと思いますけれども、新エネルギーへの大胆な転換、どのようなことを考えていらっしゃるか、ぜひ御説明いただきたいと思います。
  48. 浜中裕徳

    浜中政府委員 新エネルギーに関するお尋ねでございますが、これにつきましては、政府といたしまして、平成六年十二月に新エネルギー導入大綱を定めておりまして、これに基づきまして、例えば太陽光発電につきましては二〇一〇年度の設備容量四百六十万キロワットを目指して、いろいろな導入の支援でございますとか、マニュアルの整備などを行っているところでございますが、本年の通常国会におきまして、新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法が制定をされまして、取り組み体制の明確化や事業者への金融支援スキームの整備がなされたところでございます。  太陽光発電につきましては、ただいま申し上げましたとおり、二〇一〇年度四百六十万キロワットということでございますが、これに加えまして、廃棄物発電につきましては二〇一〇年度四百万キロワット、それからクリーンエネルギー自動車につきましては、二〇一〇年度で石油消費の量に換算をいたしまして三百二十四万キロリットルに相当するものを進めようということでございます。また、コージェネレーション、いわゆる電気と熱の同時供給でございますが、これにつきましては二〇一〇年度に千九百十二万キロワット、このような形で導入を進めていこうということでございます。  今後とも、二酸化炭素排出の少ないエネルギー供給構造を実現すべく新エネルギーの導入などをぜひ推進していきたい、このように考えております。
  49. 武山百合子

    ○武山委員 時間になってまいりました。事ここに及んでは、私は、政府に期待するのが最後の望みというか、それのみでございます。八、九、十と最後の詰めば私もぜひ参加したいと思っておりますし、見届けたいと思っておりますので、成果を期待しております。  どうもありがとうございました。
  50. 山元勉

    山元委員長 次に、田中甲君。
  51. 田中甲

    田中(甲)委員 田中でございます。  各党の理事の皆様方や委員長のお計らいをいただきまして、質問の時間をいただきましたことを感謝申し上げます。  大木環境庁長官は、外務省出身でいらっしゃいまして、外交官として大変豊富な経験をお持ちになられている。そこで、今回のこの京都会議のことに関しましても、やはり外交交渉だからという言葉が随分と出てくるのですけれども、外交交渉の基本ということをぜひ御指導をまず冒頭に賜りたい。
  52. 大木浩

    大木国務大臣 外交交渉にもいろいろございまして、先ほどからちょっと申し上げたのですが、例えば全く意見が二国間で対立している、どっちかが勝てばどっちかが負けるような交渉もありますし、そうではなくて、お互いに共通の目的に向かっていい形の仕組みをつくろうという交渉もあるわけですが、私は、基本的には今回の京都会議交渉というのは後者に属するのではないか、少なくともそういう面が非常に多いのじゃないかという気持ちでこれからひとつ話し合いを進めていきたいというふうに思っております。  ただ、お互い、各国がやはり自分の国内の問題も抱えておる。例えば、御存じのとおりに、アメリカあたりは非常にまだ産業界の方から、急速なる削減については無理だ、反対だというような声が強いわけでございまして、残念ながら上院の方でそういった、特に途上国との関係をきちっとしないと自分の方は削減については同意できないよという感じの決議までできてしまっておるということですから、その辺で、アメリカは非常に今、途上国をどの程度までしっかりと、将来の義務化について少なくとも話を始める仕組みというものがきちっとできるかというところで、まだそういう考慮からなかなか自分のところの最終的な姿というのが出てこないという面はございます。  しかし、もうこれでいよいよ京都会議も始まるわけでございますから、ひとつアメリカもできるだけ世界のリーダーとして頑張ってもらいたいということは、毎々強く申しておるということは先ほどから御説明のとおりでございます。  いずれにいたしましても、私は、やはり今申し上げましたように、共通の目的といいましても、お互いに妥協しなきゃいかぬ面はありますから、これはよく言われるのですけれども、外交交渉では、ひとり勝ち、あるいはどっちかが百点でどっちかがゼロ点というようなことはやはり問題が残るのじゃないかということですから、基本的にはどこかに妥協を求めるということがどうしてもあると思います。  しかし、それにしても、その結果としてそれぞれの関係国が、百点ではないにしても、みんながこれから共通の目標に向かって進んでいこうというような気持ちになれるような交渉にしたい、ぞれが外交交渉の一般的な言い方としては目標じゃないかな、大変に一般的なお答えで恐縮でございますが、一応そういうふうにお答えさせていただきます。
  53. 田中甲

    田中(甲)委員 大臣、どうもありがとうございます。  大臣が今おっしゃられましたように、各国がこの京都会議では、国益をにらみながらということはこれは当然なわけでありますから、そういう面で大変に御苦労されることだと思います。しかし、議長として、あるいは議長国として、国益ではなく、言うならば地球益といいますか、そういうものを考えていく姿勢というものを打ち出していくことが非常に重要なんだろうというふうに考えております。  私は、AGBM8に出かけさせていただきまして、状況を見ている中で、今の話に関連するのですけれども、これは国益にも及んでいない。どうもAGBM8の日本の姿勢というものは省益ということがかなり強く感じられたのは事実であります。  そこで、私は、ぜひとも成功させていただきたい、成功の定義というものを、さきに質問された質問者の答弁の中から私もしっかりと聞いておりました。その成功させていただきたい京都会議前日、十一月三十日にAGBM8が再開されるということもあわせまして、ここで環境庁、外務省、さらには通産省から、ドイツのAGBM8でのそれぞれの省の反省点ということを挙げていただきたいと思うのであります。と申しますのは、このAGBM8でどのような反省点があったかということをしっかりと確認して京都会議に臨んでいただきたいという思いからであります。どうぞよろしくお願いします。
  54. 浜中裕徳

    浜中政府委員 環境庁の方からまずお答えを申し上げます。  AGBM8におきましては、いろいろな各国間の争点の選択肢を相当に絞り込んだ議定書案が取りまとめられましたことは大きな成果であると考えているところでございまして、我が国京都会議議長国といたしまして、四つの非公式の交渉グループの一つの議長を務めるなど、議論の進展に尽力をしたところでございます。  それで、確かに御指摘のとおり、目標レベルあるいは途上国の問題などにつきましては、課題が残ったわけでございます。  先進国間の数量目標レベルに関しましては、各国とも確かに国益もいろいろ違っているということもございましたけれども、この問題は既に各国首脳レベルにまで上がっているといいますか、首脳レベルがコミットしているような問題でございまして、事務レベル交渉を行いましたAGBM8の段階では、なかなか各国代表団とも妥協を行う権限が与えられていなかったというようなことで、課題が残ったのではないかというふうに考えております。  また、途上国の参加の問題につきましても、途上国側にはベルリン・マンデートの範囲を超える義務の強化に同意させられるのではないかという強い懸念がございまして、こうしたことが交渉を困難にした面があったのではないかというふうに考えております。  しかしながら、このAGBM8の後、私ども我が国といたしましては、京都会議議長国といたしまして、やはり事務レベルだけではなくて政治レベルでの働きかけもぜひ必要である、そのような働きかけなくしてはこのような大きな問題の解決は難しいということから、十一月の八日、九日、東京におきまして非公式閣僚会議を開催をして、先進国間、あるいは先進国途上国の間での取り組みの推進に向けまして、建設的な対話をすることができたのではないかというふうに考えております。  また、先ほど来大臣から申し上げておりますように、APECの首脳会議におきましても、橋本総理から米国のクリントン大統領にも働きかけをしていただいたところでございます。また、大木長官も、先般、EU議長国のルクセンブルクやあるいはドイツの大臣とも協議をしてきたところでございまして、こうしたことを通じまして、京都会議の成功に向けた各国の政治的な決意はより強固なものになっているのではないか。楽観は許されないわけでございますけれども、国際合意を得るための国際的な機運は着実に整っているのではないか、このように考えているところでございます。
  55. 田中甲

    田中(甲)委員 ありがとうございます。反省点を簡潔に挙げていただきたいと思います。  あと二省それぞれお話をいただくわけでありますけれども、今のは問題点や課題は含まれていましたが、反省点は入っておりません。ひとつ簡潔な答弁をお願いいたします。
  56. 津曲俊英

    ○津曲説明員 先般行われましたAGBM8につきましては、先ほど環境庁の方からもお話があったところでございますけれども京都会議に向けた最後の準備会合だというところでございまして、我が国を初めまして各国とも、それぞれの提案について詳しい説明会とかいろいろなことを行いました。かつ、先ほどのAGBM本体、それからノングループ、いろいろな会合にも積極的に参加したわけでございます。  そこでは、実は見えないところでもさまざまバイ会談とか重ねまして、それぞれの主張なりの問題点など、相当理解は深まったというふうに思っておりますけれども、結果的には、数量目的それから途上国問題、政策措置などを中心に重要な部分でのコンセンサスはいまだできておりませんけれども、とにかくそういう努力を重ねるということはやはり必要であるというふうに考えておりまして、今後とも、この京都会議においても同様の努力を、さらに努めてまいらなくてはいけないというふうに思っております。
  57. 松永和夫

    松永説明員 お答えいたします。  御指摘のとおり、AGBM8で十分な前進が見られたかどうかということにつきましては、御指摘のとおりであろうと思います。  その背景にございますのは、環境庁、外務省の方からもお答えさせていただいておりますように、各国の主張、利害というものが非常に先鋭に対立をしているということでございまして、そのバックグラウンドには、この気候変動問題そのものが各国経済問題あるいはエネルギー問題と極めて密接に絡んでいるということだろうと思います。  その辺のところを十分に認識をいたしまして、なかなか難しい交渉でございますけれども、いかに各国立場を収れんさせていくのかということにつきまして、AGBM8の反省を踏まえまして、その後、非公式閣僚会合等いろいろ幅広い交渉ルートというものをつくり上げていくということが大事だというふうに認識しております。
  58. 田中甲

    田中(甲)委員 ありがとうございました。  私は、このように感じました。少しお話をさせていただきますけれども、まず通産省が表面に出過ぎていた、紛れもない事実だと思います。環境庁あるいは外務省がリーダーシップをもっともっととっていかなければいけない。だからこそ、今回の京都会議大木環境庁長官が今までの経験を踏まえて皆さんから期待をされているという姿なのですから、通産省が表面に出過ぎるということは、京都会議の場では極力控えていただきたい。  次は、十月の二十六日、私がボンに入る一日前あたりから、非公式の協議というもの、閣僚会議が東京で行われるという情報が会場内に随分流れたようです。こういう情報が流れますと、エストラーダ議長が一生懸命取りまとめをしようとしているAGBM8というのは求心力を失った、これはどうやら事実のようです。  そこで、私が申し上げたいのは、今回、この京都会議は、問題を先送りすることなく、京都でまとめ上げるのだという決意をどんなときにでも持ち続けていただきたい。一部ではCOP4もあるのだというような声が聞こえできますが、そうではない、京都で一つの方向を示すのだという強い決意を、ぜひとも議長を務められる環境庁長官にはお持ちをいただきたいという点が二点目であります。  さらに、削減の五%の基準に、差異化や拘束力の問題など、正直、この言葉が正しいかどうかは別といたしまして、抜け穴があるという印象を与えてしまったようであります。議長国日本、この積極性が感じられないと、EU途上国からは、日本アメリカに対してのあきれ顔、さらには一部で米国に迎合し過ぎたという声もあったりしたわけであります。  そこで、議長を務められる大木長官に、積極的な議長国日本の姿というものをつくり出す決意をここでお聞かせいただければありがたいと思います。
  59. 大木浩

    大木国務大臣 いろいろと仕組みのことにつきまして、今後の温暖化ガス削減のための仕組みを今つくろうと思って頑張っているところでございますが、確かに各国考え方が違います。これは、必ずしも自分のところの利益を守ろうということだけではなくて、どういう仕組みをつくったら今後長期的に一番うまくいくかということになりますと、これはかなり、何といいますか、議論している人の頭の中にもいろいろと違ったことが入ってくると思うのですね。ですから、そういう感じが実はAGBMの会議ではかなりあったのじゃないかなということがあります。それはあえて反省と言えるかと思います。  それから、東京でいずれ閣僚会議をやるからAGBMはということも、それは確かに後で反省してみますとそういうこともあったかもしれませんが、私どもとしては、AGBMにはいずれにしても閣僚レベルがほとんど行かれなかったということなものですから、どこかで閣僚レベル会議もしなければならぬかということであえてやったのがかえってマイナスになったかもしれません。  いずれにいたしましても、もう今度は後がございませんので、京都会議では、先ほどからお話がございましたように、少なくとも、先進国としては全体としてこれだけかちっとやるのだということを、そしてそのための仕組みをきちっとつくるのだ、そこまでは何とかしてまとめませんと、これだけの大きな会議をやった意味もございませんので、何とかしてそういう形に持っていきたいというふうに考えております。そして、同時に、途上国につきましても、やはり将来の参加ということについてひとつしっかりとした仕組みをつくりたい。その二つについてこれから頑張っていきたいと考えております。
  60. 田中甲

    田中(甲)委員 大臣の力強い御答弁をいただきました。期待しております。どうぞよろしくお願いします。  さて、もう一点問題点を感じて帰ってまいりました。与党の方々まで政府案に対して、まあ反対ということではなかったのでしょうが、ちぐはぐな姿、発言ということがドイツのボンで、あのAGBM8の中で聞こえてまいりました。これは、参加国やNGOが非常に戸惑っておりまして、日本の政治指導力というのが非常に問われた一面でございました。  これは私たち議会側の問題でありますが、政府はもとより、与党、野党を問わず、議会が一体となって対応していく、こういう姿が必要なのだろうと思います。国内外の関心がやはり薄かったということがありますので、私は、国民にこの問題を啓蒙していく、京都会議の成功というのは最終的に数値というところも大臣もおっしゃられていますけれども、同時に、京都会議が終わってから、国内的にも地球規模においてもこの問題が極めて重要なのだという啓発をしていくことができたということなのだろうと思います。  京都会議から世界の流れが変わってきたぞというものをつくり出していく、その啓発を起こしていくためにも、私は、ぜひ環境委員会理事の皆さん方や山元委員長にお願いしたいのですけれども委員会決議というものを行うことはどうやら皆さん方の努力でもう取りまとめられたとお聞きをしておりますが、国会決議というものを時期を見て、この京都会議が開催中、総理大臣は八日に入られるということを聞いておりますけれども、そんな時期をにらみながら、ぜひとも国会決議を行って日本国民に対する啓発ということをしていきたい、そして理事委員長の御努力によって進めていただきたいという、これは私からの要望であります。  環境問題に関する国会決議というものをいろいろ探してきたのですけれども、随分古い資料になりますが、例えば四十七年にポリ塩化ビフェニール汚染対策に対して国会決議が行われています。これは八項目にわたる内容で、きちっと、国民の健康を守る、そしてこの問題に対しては十分な対応を国会が中心となって行うのだということが言われている。その後、何回も出たものでありますが、私も非常に関心がありまして、フランス、中国の核実験に抗議するというのが何回となく、環境問題の側面もとらえながら国会決議が繰り返されております。ソ連のチェルノブイリの原発事故に関しても国会決議が行われているなど、国会決議を行いながら国民に啓発をしていくということがやはり大事なのだろうと思います。  くどくどと申し上げて申しわけありません。ぜひ委員の皆さん方、理事の皆さん方を中心に、委員長、取りまとめをいただきたいと、これは御要望を申し上げる次第でございます。  もし大臣から一言、御所見がございましたら。
  61. 大木浩

    大木国務大臣 国会決議の方は、これは国会のことでございますので、特に今のところ発言は差し控えさせていただきますけれども先ほどからの地球温暖化の問題について、国民の間で意見がばらばらじゃないか、政党の中でもいろいろな御意見があるじゃないかというのは全くそのとおりでございますが、これは実は各国とも、かなりその国の中でいろいろな意見がある。それだけこの地球温暖化問題というのが、大事ではあるけれども、比較的最近急速に意識され始めたということです。  では、政府としてしっかりしたPRができておるか、広報活動ができておるかということになりますと、正直申し上げまして、私は非常に不足していると思います。せっかくつくったいろいろなパンフレットが、先日もいろいろとおしかりをいただきましたけれども、どういう形でどういうふうに国民に向かって広報していくか、よく御理解いただくかということは非常に重要な問題でございます。一言で申し上げれば、私は、その点については大変におくれているということを認めざるを得ないということでございますから、そういう意味におきましては、各政党あるいは院として、いろいろとこれからもひとつ御指導をいただきたいと思っております。
  62. 田中甲

    田中(甲)委員 大臣の力強い御発言もいただきました。ぜひ、これもまた京都会議の成功に向けての議会の後押したと思いますので、関係の皆さん方にどうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。  実は、モンゴルの砂漠で植林活動を昨年してまいりました。四十七度を超える灼熱のあの暑さの中で一本一本のポプラの苗木を植えるのですけれども、その植林活動を終えてから、江沢民当時総書記にお会いをしてまいりました。今の政党でありませんで、さきがけという政党の元代表とともに出かけてまいったわけでありますが、そのとき江沢民総書記が、砂漠の緑化をしてくださっている日本の皆さんありがとうということをおっしゃられて、私たちの団が、中国の人民軍と日本の自衛隊がともにこれから大規模な砂漠の緑化ということをしていくような、そんな活動ができればいいですねと申し上げたところ、江沢民氏が、それは実現可能かもしれません、ぜひ積極的に進めましょうというような答弁をされた場面に私は立ち会いました。  地球環境の改善というものは国家間の信頼というものを醸成する、そんなことを肌に私自身感じて帰ってまいりましたので、お話をさせていただきましたが、先ほど桜田委員質問の中でも最後に、中国との間でもぜひとも緑化推進ということをやってみたらどうかということがございましたので、大臣に御検討をいただき、前向きに取り組んでいただければありがたいと思います。  時間の都合上、続けてお話をさせていただきます。  オゾン層の保護法について、テーマが変わりましたが、御質問をさせていただきたいと思います。  くどくどと私が申し上げるまでもなく、皆さん方はよく御存じだと思いますが、昭和六十三年にオゾン層保護法というものが既にでき上がっております。しかし、その実態というものはどうも十分な成果を上げていない、そんな認識をしておるところなのです。  担当の方から、簡潔で結構でありますけれども、例えばカーエアコンのフロンの回収、業務用の空調機器のフロンの回収実態、冷蔵庫のフロンの回収実態、法律ができたけれども現状はどうなのか、御報告をいただければありがたいと思います。
  63. 櫻井俊樹

    櫻井(俊)説明員 お答えいたします。通商産業省でございます。  通商産業省が平成八年時点に実施いたしました調査によりますと、廃棄されるカーエアコン、業務用冷凍・空調機器等からの特定フロンの回収率でございますけれども、カーエアコンについては二七%、業務用冷凍・空調機器については二〇%、家庭用電気冷蔵庫については数%。ただし、この数%の数字には、市町村等が回収しているフロンの量は含まれておりません。こういうような調査結果になっております。
  64. 野村瞭

    ○野村政府委員 今通産省の方からお答えいただいた中で、家庭用冷蔵庫の市町村ルートの回収率がございませんでしたので、私ども調査した結果を申し上げますと、台数ベースで五七%というのが八年度末の現況でございます。
  65. 田中甲

    田中(甲)委員 ありがとうございました。  十分な回収がされていないという受けとめ方をいたします。我が国における回収、再利用というものがさらに進むように、世界第二のフロンの生産国として、やはりこれは責務を果たしていかなければならないと思います。  これもまた、環境委員会理事の皆さん方を初めとする多くの委員の方々の御理解をいただく中で、ぜひ、現在出されているオゾン層保護法の改正について議員立法で進めていくような動きというものをおつくりいただければありがたいと思います。我が民主党でもその考え方を今持たせていただいているところですが、これを進めるに当たりましては、皆さん方の御理解や御意見というものを聞きながら、ぜひ委員会で取りまとめていただき、進めていただければ大変にありがたいと思います。  ハイブリッドカーの話を最後に申し上げて、私の質問を終わります。  うちの代表、菅代表でありますけれども、きょう、ハイブリッドカーを購入いたします。京都会議では大臣もエコカーに乗られるということをお聞きしていますけれども、どうぞ霞が関においても積極的にそのような動きというものをぜひともつくっていただきたいと思うのですが、大臣、いかがでしょうか。
  66. 大木浩

    大木国務大臣 ハイブリッドカーを含めての低公害車の使用ということは私の方も考えておりまして、たしか環境庁で今七台ほど持っておりますけれども、関係各省、もちろん政府全体としてもそういうことはできないかということは前々からお話ししておりますので、これからひとつ課題として勉強していきたいと思っております。  政府ですぐにいきなりある車を買いかえるとかなんとかいうことになると、なかなかそこら辺のところがさっとはいきませんけれども、これから一つの課題として順番に、できるところは実施をしていきたいというふうに考えております。
  67. 田中甲

    田中(甲)委員 ありがとうございました。積極的にぜひ進めていただきたいと思います。  大臣、京都会議に当たり、国際合意よりも厳しい削減を自国が示すことが、先進国であるという一つの行動準則ではないかなと私は考えておるのです。ですから、地球環境改善に労を惜しまない、それがいずれ自国の国益に必ずなるのだという、まさに国益と地球益というものを一体化させる地球共生の発想というものが、ぜひ京都会議議長国を務める我が国日本の姿の中からうかがえるような、そんな会議にしていただきたいと心からお願いと御声援を申し上げまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  68. 山元勉

    山元委員長 次に、小林守君。
  69. 小林守

    ○小林(守)委員 引き続き、民主党の小林です。  時間がございませんので、取り急ぎ質問に入させていただきます。  地球温暖化防止京都会議を目前にいたしまして、COP3の成功のかぎは日米の方針転換にかかっている、このように集約できるのではないかと思います。  この日米両国というのは、いわゆる九五年のベルリンで行われました国際会議、ベルリン・マンデート、このベルリンにおける約束、宿題を忘れてきたというか、やらないで今度の京都会議に出なければならない立場の国だ。いわば地球環境、また地球温暖化防止の、劣等生と言うことは問題だと思いますけれども、要は、努力を怠ってきた。しかも、大変な宿題を抱えて、ごねている国、出たくないような対応で臨んでいる国と言わざるを得ないというふうに思うのですが、この日米双方が大きなネックになっていると言わざるを得ない状況だと思います。  さて、十一月二十日の日経新聞社の主要企業千二百社、回答数は五百四ということでありますけれども、この温暖化対策アンケート調査では、二〇一〇年に九〇年比五%以上の二酸化炭素排出削減が望ましいと答えた企業が五六・一%、半数以上になっております。政府案が形成される過程の中で、一般的に温暖化対策に極めて抵抗感が強いと言われてきた産業界が積極的な姿勢を示しているではないか、このように私は受けとめたわけであります。  また、AGBM8などの準備会合の中で、日本政府案については、差異化方式とか、柔軟条項と言っていいでしょうか、弾力運用というような考え方、この辺については、抜け穴ではないか、削減緩和を助長するものだというような形で、世界のNGO団体等からの厳しい批判にさらされておるわけであります。  このような状況を踏まえて、京都会議議長国として、成功に向けて日本がリーダーシップをいかに発揮するべきか、いよいよ正念場の、腹を据えた戦略も含めて取り組んでいかなければならない、その議長を務める長官に、幾つか見解を伺いたいと思っております。  まず、この日経新聞のアンケート調査数値についてどのように受けとめたかということも含めて、私は、政府案に固執せずに、差異化方式とか柔軟条項などをまずは取り下げるというような立場に立って、合意形成を優先すべきではないか、このように考えますけれども、長官の御見解を伺いたいと思います。
  70. 大木浩

    大木国務大臣 各社別でいろいろとアンケートをとっておられるので、これはどういうふうにされたか細かい点は存じませんが、一つの私の感じでは、業種によってかなり反応が違うということでございまして、今の、会社の数にすると五十何%とかいうのが出てくるかもしれませんが、残念ながら、もう少し各社の、何といいますか、数量的な排出数字とかそういうものを見ると、正直言いまして、業界全体としてみんなが、どんどん進めましょう、五%でももっと大きな数字でもいいよというところまではまだちょっといっていないという感じを持っております。  しかし、逆に、それだけの数の会社が、もっとできるではないかということを言っておられるわけですから、これはひとつしっかりと受けとめて、これから考えさせていただきたいと思っております。  ただ、いずれにいたしましても、今度の京都会議での成功というのは、やはりきちっとした仕組みをつくるということでございまして、抜け穴ではいけないということでございますから、では今度は、日本立場として、あるいは議長の立場としてどういう話をしていくかということです。議長という立場からいいますと、できるだけたくさんの国が、脱落者なしに参加してもらえることが望ましいということが一方にはございます。しかし、同時に、これからの五十年、百年のことに対する第一歩、本当に意味のある第一歩ということからすれば、できるだけ大きな数値目標を出したい。両方があるわけでございます。  私は、今の感じを持ちますと、できるだけみんなに参加してもらうということからいいますと、日本側は、全体としての数値として五%、それからまた今の差異化というようなことも一緒に出しておりますが、差異化ということについてはむしろ将来も、どういう仕組みをつくるかは別といたしまして、やはり差異化ということを一つ入れないと、なかなか本当の意味でみんなが参加してくれないというところはひとつ御理解をいただきたいと思います。  ただ、おっしゃるとおり、抜け穴になってはいけないということでございますから、やはりそれぞれの国の置かれた状況、それから、先ほどアメリカ日本が非常に怠けておったではないかというお話は、数字としてはそうなのですが、ただ、日本の場合は、言いわけではありませんけれども、私は、省エネについては非常に努力してきたと思うのですね。しかし今の、排出ガスの方の削減は成功したかということになるとなかなか難しい。  ですから、省エネはしたけれども、それではなぜそういうことになっているかということですが、一つは、省エネはしたけれども、問題になっておりますガス削減ということに直接どこまで結びついておったかなということがありますし、それから、産業活動ばかりではなくて、運輸とか民生の方もございますから、もちろん産業活動の方も全部いいとは言いませんけれども、ほかの部分もあるということですから、その三つの部門全体について、これからどういうことができるかということを考えながら、しかし、繰り返しになりますけれども、できるだけきちっとした抜け穴のない仕組みをつくりたいというふうに考えております。
  71. 小林守

    ○小林(守)委員 そこで、これからの国内対策も含めた日本の姿勢というか、そういう観点に立って、この京都会議に向けて、私は、数値目標が高いのが、もちろんいいにこしたことはないと思うのですけれども、そうではなくて、まずはその枠組みづくりを最優先にすべきではないのか、このように考えております。  実は、国際社会が地球環境問題で初めて合意したオゾン層保護のモントリオール議定書、これについても日本はまさに大きな宿題を抱えている、宿題をやらないと言わざるを得ない国なのですけれども、この議定書についても毎年毎年さまざまな見直しを行って、前倒しでオゾン層保護のための施策合意を積み重ねている。  こういう実績があるわけでありますから、オゾン層保護のこのモントリオール議定書の方式に倣って、まずはしっかりとした枠組みをつくる。そして毎年毎年、COP4、COP5と積み重ねる中で、技術開発とか、それから各国の取り組みの現状からいってここまでできるではないかという、階段を一歩上がれば眺望が開けてくるわけでありますから、そのレベルレベルでさらにできることについて見直しをしながら国際合意をさらに高めていく、高い目標値にいかなければならない。  少なくとも今IPCCの科学者は、五〇%から七〇%まで削減しなければだめだというようなことを言っているわけであります。それは到底できない話だと思いますけれども、それに向かって一歩でもいいから前進をしていこうというような取り組みが今求められているのではないか、このように考えているわけであります。  大事なことは、何度も議論されておりますけれども途上国の参加、そして近い将来途上国義務化の責任を負ってもらう、こういうことをしっかりと展望しながら京都マンデートなるものを合意できれば成功と言っていいのではないかな、私はこのように思っているわけでありまして、温暖化防止の入り口の仕組みができるかどうかが勝負なのだ、成功かどうかの分かれ目ではないか、このように考えておりますけれども、長官の御見解を伺いたいと思います。
  72. 大木浩

    大木国務大臣 今の委員の御見解、全くそのとおりでございまして、一番大事なのは、とにかくその第一歩として、しっかりした仕組みができる、それを土台にいたしまして、いろいろとこれからさらにそれを改良していく、それから見直しをしていく。見直しというのは、決して抜け穴ということではなくて、さらに改善していくという意味での見直しでございますが、そういったものを積み重ねていくということが一番大切なことではないか、私はそのとおりに考えております。
  73. 小林守

    ○小林(守)委員 終わります。
  74. 山元勉

    山元委員長 次に、藤木洋子さん。
  75. 藤木洋子

    ○藤木委員 前回は参考人の質疑などで、環境庁地球温暖化対策技術評価検討会の座長を務めておられる平田参考人から、技術評価検討会でまとめた報告書の検討内容が、関係審議会合同会議がまとめました最終報告書に全く反映されなかったということが明らかにされました。さらに、にもかかわらず、実現可能な技術によって、二〇一〇年時点で九〇年レベルを約一八%削減ができるということを強調されておりました。  そこで、実質二・五%程度という日本政府の提案だとか、あるいは九〇年レベルとほぼ同レベルとなるとした関係審議会合同会議の最終報告書にどうしてこれが反映されなかったのか、その点についてお伺いをしたいと思います。  日本政府の提案づくりに当たりまして、環境庁は、国立環境研究所が行いましたCO2排出量の将来予測で、政府が介入しエネルギー効率などの技術的な対策をとるならば、二〇一〇年までに七・六%の削減が可能だとしておられました。  ところが、結果的に実質二・五%削減というふうになりましたのは、自動車の燃費改善率であるとかあるいは普及率であるとか、さらには鉄鋼業界の粗鋼生産量などでCO2削減量を過大に見積もっていた、つまり環境庁の試算ミスがあって、これを認めたということになるのでしょうか。環境庁、その点いかがですか。
  76. 浜中裕徳

    浜中政府委員 お答えを申し上げます。  先生御指摘のとおり、環境庁におきましてはAIMモデルというものを過去使いまして、このモデルの前提は、排出削減に効果的な、したがってエネルギー効率の高い技術が経済合理的な限りはすべて導入される、一たんそういう技術がありますと、個々の国民や企業が、実際にはその技術を選択するかどうかというのはさまざまな判断によって決められるわけでありますが、モデル上は経済的にそちらの方が、例えば費用効果的である、安いという場合にはすべてそちらが選択されるという前提を置いたモデルを使いまして、二〇一〇年時点でそういうモデルを使って計算をいたしますと、一九九〇年に比べて七%程度の削減を行うということは技術的に見れば可能である、そういう見通しを示したことは事実でございます。  我が国政府全体としての提案の検討に当たりましては、こうした私どもの見通しも参考にしつつ、実際には現段階で政策としてどの程度実行可能かというような点も重視をいたしまして、個々の産業分野での削減可能量を積み上げて推計をいたしました。その結果といたしまして、二〇一〇年で一九九〇年レベルに比べて安定化することは可能であるという結論に至ったものでございます。しかしながら、このレベルを実現いたしますためには、実際問題といたしましては既に一九九五年で九〇年比八%以上増加しているわけでございますから、それから比べますと相当大幅な削減をしなければならない、こういうものでございます。  ただ、実際に我が国が提案いたしました目標数値につきましては、こうした削減可能量の積み上げとは別に、地球温暖化を防止する上で意味があり、現実的であり、かつ衡平である、こういうことを三つの原則といたしまして、先ほど来大臣からお話し申し上げておりますように、多くの国の参加が欠かせないということ、それからEUが提案しておられるような一五%というのは非常に現実的でないということから、五%を基準削減率とする提案をしまして、我が国の具体的な目標として当てはめる場合には、おおむね二・五%削減、このようなものにしたものでございます。  このような観点で、私どもといたしましては、検討結果は政府案の検討の過程では十分に参考にされたものであるというふうに考えております。
  77. 藤木洋子

    ○藤木委員 質問以上のことをお答えいただかなくても結構でございます。  私が伺いましたのは、環境庁の見通しが甘かったのかどうかというところが一番知りたかったわけで、今のお話を聞いておりますと、環境庁CO2排出量の将来予測というのはそれ自身が問題だったのではないというふうに言われるわけですね。しかし、より現実的な数値、こういうところで実質的には二・五%削減というふうになったということでございますから、結局は環境庁通産省に負けた、こういうことになると思うのですね。  さらに、前回、平田参考人の意見陳述で、環境庁地球温暖化対策技術評価検討会は、二〇一〇年におけるCO2削減可能と見込まれる量が九〇年レベルの約一八%に相当するとしておられます。しかし、この検討内容は、合同会議の議長でもある近藤参考人もお認めになっておりましたし、平田参考人も通産省に負けたと述べておられますように、結局合同会議の最終報告書には全く反映しなかったわけです。  環境庁は、この合同会議に対しまして政府説明をなさいましたときに、この技術評価検討会の実現可能な技術によるCO2削減可能性について合同会議の審議会のそれぞれの委員の皆さんに納得してもらえるようによく説明をされたのでしょうか。その点をお伺いしたいと思います。
  78. 浜中裕徳

    浜中政府委員 合同会議におきましては、エネルギーの需要抑制対策中心とした地球温暖化対策の基本的な方向について検討することが目的でございまして、個々の対策技術の可能性を審議したものではございません。そういうことでございますので、環境庁といたしましては、二酸化炭素排出量の現状あるいは見通し、それから民生分野の取り組みでございますとか国の率先実行計画、あるいは経済的措置の検討状況などの関連資料を会議に提出をいたしまして審議に御協力を申し上げたところでございます。  また、今後に普及すべき対策技術、ただいま御指摘の、平田参考人の御指摘になった技術の点でございますけれども、これは合同会議に至る前の政府内部の検討作業におきまして、先ほども申し上げましたように、環境庁側の検討結果も参照されているところでございます。合同会議におきましては、二〇一〇年レベルエネルギー起源二酸化炭素排出量については一九九〇年に比べて安定化させることができるという対策の案が報告をされたわけでございますが、こうした対策を通じて導入を図る技術の中にはこの技術評価検討会で検討された技術もメニューとして含まれているわけでございます。  ただ、合同会議では、時間の制約もありまして個々の対策技術についての詳細な審議は行えなかったわけでございますので、政府が報告した対策の基本的方向は適切であるとしたわけではございますが、それに満足することなく、長期的にはさらなる削減を目指すこととして、対策の具体化を関係審議会にゆだねたところでございます。  環境庁といたしましては、京都会議の成果も踏まえまして、国内対策をさらに深く掘り下げ、具体的な対策を総合的、計画的に講じるために、中央環境審議会において直ちに本格的な審議をいただく予定でございます。
  79. 藤木洋子

    ○藤木委員 随分長い御答弁でしたけれども、要するに説明はできなかったということでございました。  ですから、今も私が指摘いたしましたけれどもエネルギー利用効率を改善いたしまして大幅な削減が可能になるということがわかっているにもかかわらず、産業界の意向を受けた通産省に負けてしまって、実質九〇年レベルを二〇一〇年まで先送りする、こういうことになったのだと思います。  経団連の豊田会長の発言の中にこういうのがございますけれども、多くの業界にとって、これ以上の取り組みは極めて難しくなった、こういう言葉に代表されておりますように、産業界で大幅な削減目標の策定に対して反対をしているという態度の表明がございます。日本鉄鋼連盟の今井会長の場合は、環境庁の七%削減など実現できそうもない数値目標は絶対に出すべきではないとまで言っておられます。また、石油化学工業協会の香西会長は、世界に先駆けて四割もエネルギー効率を改善してきたなどと、産業界の多くの代表が大幅な削減目標の策定に反対を表明しております。  これら産業界の主張が、直接的にも各種の審議会を通じまして議論をされ、環境庁に出されたのだと思いますけれども、結局この主張が低い数値目標の提案となっているのではないでしょうか。環境庁、どうですか。
  80. 浜中裕徳

    浜中政府委員 お答えを申し上げます。  我が国の提案をいたします際に、政府でいろいろな検討をいたしましたが、そのときの主要な観点は、先ほど来申し上げておりますように、まずデンバー・サミットや国連環境開発特別総会でも確認をされました地球温暖化防止意味があること、そして現実的で、かつ衡平である、こういうことをまず三原則といたしまして、議定書には主要国の参加も不可欠である、そしてEUの提案しているような一五%というレベルはなかなか実現が難しい、こういうことを考慮いたしまして、我が国として五%を基準削減率とし、各国の事情を考慮して衡平性を実現するために差異化を図る、こういったことで我が国の提案をまとめたわけでございまして、ただいま御指摘のような産業界のさまざまな御意見というようなものがこれに影響したということはございません。     〔委員長退席、小林(守)委員長代理着席〕
  81. 藤木洋子

    ○藤木委員 外国のせいであるかのようにおっしゃいますけれども日本産業界が大幅な削減だとか一律削減反対をしているというのは、これは事実でございます。  経団連の環境自主行動計画というのがございますが、これを見ますと、鉄鋼業界では、生産工程でエネルギー消費量を一〇%削減するためには年間三千億円、二〇一〇年まで約三兆円の省エネのための投資が必要としております。  化学業界は、エネルギーの原単位を一〇%減らすというような努力をするといたしますと、年平均にして百億円強の省エネ投資をしなければならない。  セメント業界でも、最大限エネルギー消費削減するために、年平均いたしますと百八十五億円の省エネ投資を行うということにしているわけですね。  このほかにも、自動車業界では、日産が三百億円、三菱が二百億円、日野が三百五十億円、いすゞが二百十億円、こういった省エネ投資をしなければならないというふうになっているわけです。  この削減目標が高くなればなるほど、関係業界の省エネ投資もまた増額するということは明らかでございます。  多くの業界にとりましてこれ以上の取り組みは極めて難しくなった、このように述べている業界は、経済効果を考えてできるだけ低目の削減目標の設定を要求していると思うのですけれども環境庁、それはいかがですか。
  82. 浜中裕徳

    浜中政府委員 ただいま御指摘のとおり、地球温暖化対策を強化することが産業活動を停滞させるのではないかという懸念が一部にあることは私ども承知をしております。  しかしながら、昨年六月に閣議決定をいたしました昨年の環境白書でございますが、そこでいわゆる環境産業あるいは環境ビジネスということについて触れておりますけれども我が国の中でも、例えばエネルギー効率の高いといったすぐれた技術を持っている企業がかなり出てきておりまして、二酸化炭素排出削減した場合でも、直ちにそれが生産の縮小などに結びつくのではなくて、省エネ型の生産設備が導入されるということによりまして生産が維持され、あるいは需要の増大も期待されるわけでございますので、そういったことから我が国経済に直ちに重大な影響を与えるとは考えられないわけでございます。  合同会議の報告でも、温暖化対策は企業に一定の費用を確かに負わせますけれども、一方で新規の需要や環境産業の創出、技術革新の誘発などの経済的な効果もあると述べられているところでございます。  したがいまして、我が国の企業は地球温暖化防止に必要な対策は実施していただけるものというふうに考えておりまして、御指摘のようないろいろな御懸念があることは私ども承知しておりますけれども、一方で、そういった対策を積極的に進めることによるプラスの効果もあるわけでございますから、地球温暖化防止に必要な対策は実施していただけるものであるというふうに考えております。
  83. 藤木洋子

    ○藤木委員 企業が自主的に省エネ投資を行っているのだからその自主行動計画を尊重して見守るということのようでございますけれども、法的な拘束力をもちまして大幅な削減を決めるということをやったら、自主性にゆだねる以上の、より一層の効果が求められることは確かだと思うのです。  こうした産業界の意向を反映いたしまして、政府部内でも、とりわけ産業界を所管いたします通産省が、二〇一〇年の九〇年レベルでの安定化、これを主張したというふうに私は伺っております。地球温暖化問題への国内対策に関する関係審議会合同会議の答申でも、対策が所期の効果を発揮すれば二〇一〇年時点のエネルギー起源CO2排出量は九〇年レベルとほぼ同じレベルとなるという政府の主張に対しまして、この対策基本方向というものは妥当なものというふうにしております。  さらに、十月三日付の東京新聞でございますけれども、これによりますと、与党三党でつくって いる地球温暖化防止京都会議対策プロジェクトチーム、これの愛知和男事務局長も、自民だけの会合になると商工族議員らが抵抗して話が進まないという産業界の強硬姿勢を示唆しておられるところでございます。そうした動きが、実質上九〇年レベルを二〇一〇年まで先送りした提案となったのではないかと思うのですね。  反対する産業界とこれをサポートする役所だとか政治家、その圧力による影響は許せないと思うのですが、大臣、どのようにお考えでしょうか。     〔小林(守)委員長代理退席、委員長着席〕
  84. 大木浩

    大木国務大臣 いろいろと御意見が各政党の中でも、あるいは個々の個人の、個々の議員の方でもそういう御意見はあると思います。  私も商工関係をずっとやっておりましたから、いろいろな御意見があることは十分存じておりますけれども、やはり科学技術的にここまでやれるという議論と、しかし、それをやるためにはいろいろな手だてが要る。もちろんそれは広い意味のコストということで、お金の意味のコストもありますし、産業構造の変化とかそういうこともありますから、それをどこまですぐにやるか、あるいはできるかというのは、やはりある程度政策のプライオリティーあるいは選択の問題だと思うのですね。  しかし、これだけ地球温暖化問題が本当に先鋭化しておりますし、日本としてもしっかりと京都会議、これから第一歩を踏み出していかなければいけないということですから、これはそういった立場からの主張というものは私どもとしても進めてまいりたいと思っておりますし、また、関係政党なりあるいは院の方でもいろいろと御議論いただきまして、どの辺が本当に今一番日本として妥当な選択かということは、ひとつまたいろいろと御議論をいただきたいと考えております。
  85. 藤木洋子

    ○藤木委員 先日の平田参考人が、一度ならず通産省に負けたと言われたことを、私は非常に印象深く聞いております。  それでは自治省にお尋ねをいたしますけれども、九四年、九五年、九六年の法人等の寄附と政治団体の寄附総額の推移がどのようになっているか、金額を各年度ごとに述べていただきたいと思います。
  86. 櫻井勝彦

    櫻井(勝)説明員 お答えします。  自治省では毎年、自治大臣届け出の政治団体の収支報告書の要旨の公表の際、自治大臣届け出の政治団体の寄附……(藤木委員「金額をおっしゃってください」と呼ぶ)失礼しました。集計し公表しているところでありますが、それによりますと、平成六年については、法人等の寄附の金額については二百六十九億三千万円、政治団体の寄附の金額は三百八億八千二百万円。  平成七年については、法人等の寄附の金額が百六十五億六百万円、政治団体の寄附が二百五十九億七千五百万円。  平成八年については、法人等の寄附が百七十八億四百万円、政治団体の寄附が二百二十五億四千七百万円となっております。
  87. 藤木洋子

    ○藤木委員 今自治省から説明がございましたけれども、九五年には統一地方選挙があり、参議院選挙がありました。九六年には衆議院選挙がありました。しかし、九五年からは約三百億円の政党交付金が出されることになりましたので、九四年度の法人等の寄附総額が、今お話があったとおり三四%減額になっているのですね。政治団体の寄附総額も、九四年から九六年を見ますと、二七%減額になっているのです。  ところが、私が調べました業界の政治献金の資料、今お手元にお配りさせていただいておりますが、見ていただいたら一目瞭然だというふうに思いますが、これによりますと、結局、地球温暖化防止条約が発効した九四年、COP1が開かれたのが九五年、そしてCOP2が開催されたのが九六年、CO2の大幅削減を求められている各業界が軒並み政治献金を急増しているという問題です。  もう時間がございませんから、詳しく一つ一つを申し上げませんが、その資料を見ていただいて、業界でくくって言いますと、七つの業界だけの政治献金の合計でも、九四年に二億八千百万円が九六年には五億八百五十万円と、二倍近い額になっているわけです。  くしくも一月ほど前に、アメリカのグリーンピースがワシントンで発表している報告書がございます。それは、アメリカエネルギー・自動車業界が共和党議員を中心に多額の献金を行い、米政府温室効果ガス排出量削減政策に圧力をかけているという報告でございます。  私は、こういったことで日本政府が動かされて数値目標影響を与えるというようなことは断じてあってはならないというふうに思います。  私たち日本共産党は、政治献金そのものをきっぱりと禁止をして、こういった疑惑、疑いを晴らすということが何よりも大切だと思っておりますし、政党助成金にも反対をする立場を貫いておりますけれども、どこから見ても疑いのない、そういったすっきりとした関係につくり上げていくために、環境庁は全力を挙げて御奮聞いただきたいということを心から訴えさせていただいて、質問を終わらせていただきます。
  88. 山元勉

    山元委員長 次に、北沢清功君。
  89. 北沢清功

    北沢委員 私は、環境庁長官に、非常に世紀的な、二十一世紀に向けての非常に重要な国際会議の中で御苦労いただくわけでございまして、ぜひひとつ世界環境をよくするために頑張っていただきたいということをまずもって激励を申し上げたいと思います。  今回の会議というのは、一九九五年のベルリンの第一回の条約国の会議の中で、世界的に数値目標を討議いたして実効ある取りまとめをするのがCOP3であるということを実ははっきりと目標が語られておるわけでございまして、今、答弁の限りでは、大変に難しい問題もある、アメリカにもあるし、途上国の問題もあるし、またヨーロッパの中においてもという御発言がございました。これは、私は、ヨーロッパの例をとってみても、ヨーロッパの中の発展途上国と言われる国もあるわけですから、そういう意味で、統一的な要素ではないと思います。しかし、基本的には、今言ったような国際的な取り決めをするんだということがはっきりと明示されておる以上は、やはりこのことはまとめていかなければならないのではないかと私は思っております。  今まとめないとするならば、例えば今回緩やかにする場合においては、先進国がその態度を示さない限りにおいてはやはり発展途上国も乗ってこないわけですね。問題は、CO2被害というのは総量の問題ですから、今日緩やかにして安易な形をとれば、これはもう二、三年、五年後には急速に数値を高めなければいけない。また、発展途上国も、途上国としての問題もありますけれども先進国がそういう形で示すことによって発展途上国が総量として加わってくるならば、非常に有効な今回の数値のあり方であろうと私は思います。  たまたま日本政府数値は二・五%、ある意味ではゼロではないかというふうに言われておりますけれども、これは先ほど環境庁からお話がありましたように、積み上げ方式ですね。ですから、積み上げ方式の中でそういうことになりましたということですから、積み上げ要素の中で果たしてそのことが正しいかどうかということをやはり検証していかなければいけないと思いますね。  私は、今回、この京都会議に国会派遣の議員団として派遣されるのですが、その冒頭、政府方針に協力をして一致してという、そういう実は方針が配られまして、そのことは撤収されたのですけれども、しかし、そのことが非常にかかわりがあることでありまして、やはりその根拠である成長率の三%、ことしは〇%と言われていますが、そういうものを前提にしているということですね。  それからもう一つは、原発の二十基という問題が出てきておりますが、このことも今の状況から見て大変なことであって、私は今のペースでいけば十基くらいではないかという、実は先ごろの委員会大野先生の御意見もございましたし、また参考人の回答もございました。  ある議員は、環境対策よりは、むしろこの二十基を確保したということを鬼の首でもとったような感じで非常に喜んでおりまして、そういう意味で、何か環境問題というのが、この間のドイツの会議もそうですが、アメリカから相当敏腕なロビイストが来て条約そのものも破棄しようというような、そういうロビイストの活動が実はあったということで、ひんしゅくを買ったという事実がございます。ですから、そういう意味で、まとまらないということが率直に私ども議員の中の、いろいろの各政党の数値によって示されていると思います。  しかし、今度の意思決定の手段は政府ペースで進められていますね。だから、世界のこういう動きになったのは、世界のNGOの積極的な活躍、危機感、そういうものが今日の環境問題の大きな進歩になっているわけですから、日本の外交や日本決定の手段の中でも、私は、複数外交をすることによって、NGOの考え方等も広く認識をすることによって、政府の主張もある面では援助できる形になるのではないかというふうに思っております。それを私は複数外交であると言っていいと思います。環境問題はそのことが容認される問題だろうと思いますね。  そういうことを含めて大いに各政党間の協議を煩わさなければいけないが、日本が最終段階にどうするかということですね。そこが私は、首相の決断による、また長官のこの問題に対する最大の問題点だと思います。  ですから、今そのことはまだ日本国民の中における認識も、もっと積極的に広報も促進しなければいけないのですが、そういう意味で、この十月に発行された政府広報紙のパンフ「地球のために私たち日本が今、できること。」ということでありますけれども、今言ったような原子力を二十基にするとか、そういうことはこういうふうに国民に配られております。  そのことができないこと、ないしは、できても、やはり環境庁の問題としては、今でもいろいろと原子力については問題が出ております。そればかりではなくて、核廃棄物の処分の方法がまだはっきりと決まっていないわけですね。だから、危険性とかそういうものを含めて、そのことが国民から、また地元がすっかりいかない。僻地へ持っていっても、僻地はそれにしがみついて金を取ったいけれども反対せざるを得ないという原子力反対の実情もあるわけでありますから、そのことを、産業界の意思と一致することによってこの問題の解決に当たるということも、やはり環境庁としては相当考えなければいけないことだろう、私はそう思っております。  そういうことで、先ほど申したことを含めて、この広報紙で大々的に宣伝し、容認されるというのはどういう御見解か、長官にお答えをいただきたいと思いますし、また、通産省とはどのような協議をされたか、また、このパンフレットについて明確な問題点があるかないかということも含めて、意思表示をしていただきたいと思います。それから、地球環境を率先して考えていくべき環境庁としてのこの問題に対する姿勢についての御回答もいただきたいと思います。
  90. 大木浩

    大木国務大臣 まず、先般から日本案なるものを出しておりまして、これは一律の目標としては五%、しかし、いわゆる差異化というものを適用いたしますと、日本が今すぐにやれるのは二・五%程度、こういうことを出しておるわけでございますが、この案をつくるに当たりましては、当然ながら関係各省といろいろと協議を重ねて、総理の御判断も含めてつくり上げたものでございます。  したがって、その中身というものは、例えば今の原子力の話もございましたが、これは当然これからそれも必要な一部ということで進めていくという前提のもとにつくり上げた。今原子力発電所をつくることについてはいろいろ問題がありまして、国内的に相当厳しいという状況は理解しておりますけれども、これはあくまで関係省庁とも協議をしながらというか、協力しながらその実施のために進んでまいりたいというふうに考えております。  それから、パンフレットにつきましては、これも別に一字一句まで議論したわけじゃないのですけれども原子力の話も入っております。私は、原子力の話というのは非常にいろいろと国内的に問題があるということは、反対があるということは十分わかりますけれども、やはりこれからクリーンなエネルギー一つとしてそれを上手に使っていくということは、これからの日本エネルギー政策の中では避けて通れないところじゃないかなということでございますので、それも含めてでないとなかなか目標が大きなところまでは達成できないよということは、これはなかなかきついところですけれども、あえて正直に申し上げないといけないのじゃないか。そういう意味では、正直に申し上げて広報を進めていくということじゃないかというふうに考えております。
  91. 北沢清功

    北沢委員 原子力問題についての論議はきょうはやっておりません。問題は、このことが、実際にできないような形のものができるような説明がパンフレットで出てきます。  それからもう一つ、他のエネルギーに転換をしなきゃいけないわけですが、実はこの間テレビを見ておりましたら、太陽光の補助金が今まで三分の二が二分の一になった、それで私も入れる気にならなくなったというような、そういう市民の声をテレビでやっていました。これはむしろ、原子力に直接的に使う以外の金というものは、何百億という金があるのですね。だから、環境庁がもっと科学技術の、環境技術を含めてもっと予算を相当積極的にしないと、スウェーデンなんかは日本と同じ領土を持っているのですが、人口や経済力はもっと少ないですね。はるかに低い。しかし、このことに関しての予算というのは日本の何倍と持っているのです。  そういうことがやはり問われるわけで、日本が今回問われているのは、議長国ということじゃないのですよ。日本の持っている潜在的な経済力や、または日本の持っている国際的な中立性といいますか、ある意味では位置がいいということ、それと日本世界環境技術先進国であるということですね。その三つだと私は思うのです。ただ議長国ということじゃないのです。そういう意味で、議長国にふさわしいということの意義というのは、そのことをきちっと置いてこれからの環境行政に積極的に予算要求をしたりして生かしていかなきゃいけない、そういうことだろうと思います。  それから、企業も五%削減がなかなか厳しいという共同通信の、三割からの世論調査が出ています。しかし、環境対策室とか環境規制とか、そういうことを設けるという意味で、またはこれを積極的にやるということについては九〇%は積極的ですね。そういうことも一つ視野に入れながら、これからの環境対策環境予算、投資、そういうものについて積極的にひとつお願いしてまいりたいと思います。  最後にもう一つ。  私どもはある程度、五%が行き詰まった場合における提案についてポケットへ入れておかなきゃいけないですね。そのことを私は言っているわけなのです。だから、さっき言った論拠を基礎にしたのではたしか〇%みたいなものですけれども、やはり今言ったようなことやいろいろな技術的な可能性を含めてポケットへ入れておかないと、世界をまとめられないのです。そのポケットへ入れるものを、今私ども与党で、実はきのう私論議しまして、この三日までにポケットへ入れるものをもう一度再検討しようという考えでおります。これは与党の考え方でありますから。  そういう意味で、ひとつ長官におかれても積極的に検討されて、まとめるために、また今言った日本の役割、それを含めて御決断をいただきたいということを申し上げて、私の質問とさせていただきます。
  92. 山元勉

    山元委員長 次に、前田武志君。
  93. 前田武志

    前田(武)委員 このたびのCOP3、京都会議に私も参加をさせていただくことになりましたので、急速岩國委員にかわりまして、ぜひその前に大臣にちょっと御所見を伺いたいということで登場させていただきました。  今まで既にCOP3の目指す中身等については議論も相当尽くされてきたように思います。要は、我々生物相の一つに所属するわけでございますが、その生物相とそして自然環境、その相互関係の中で地球環境というのが現在あるわけですが一その地球環境を取り巻くその中で、人間の活動が地球環境総体が持っているいろいろな諸活動から出てくる負荷を何とかバランスさせ得る限度を超えてきた、そこに問題があって、こういうCOP会議が開かれ、そしていよいよCOP3では二〇〇〇年以降の排出基準を策定するというところまで至った。これは、ある意味ではやはり人類の一つの進歩といいますか、そこまで国際協調をやって地球環境を何とか守っていこうというところに相なったわけですが、その難しさは御議論のとおりでございます。  というようなことを前提にしながら、私は、日本においてももちろん九〇年のレベルということで行動計画において決め、やっているわけでございますが、なかなかそれがうまくいかない、このCOP3以後について具体的にどういうふうにやっていくかといった、その展望の方について若干お聞きをしたい、こういうふうに思います。  ところで、もちろん、この地球温暖化防止行動計画関係閣僚会議において決めたというふうに承知しておりますが、既にその九〇年目標ということにおいては平成六年度に七・二%もオーバーしているということも聞いております。非常にこれは難しい目標で、絶望的と言ってもいいでしょう。  そこで、地球環境保全についてこの行動計画を決めたあの後ごろだったですか、あの前後に私も環境委員会におりまして、非常に環境庁さん苦労されて、各省調整をやって、各省の合意を得たということも承知しております。  あのころと今とでは環境に対する理解というものもさま変わりだろうと思うのですが、日本の行政組織からいいますと、もちろんそういう目標値というものは環境庁が調整して、日本の国における各レベル、自治体であれ企業であれ、事業者国民一人一人、そのすべてが出す環境負荷については各省庁どこかがその窓口として責任を持つわけでございますから、縦割りで決めていったというようなことは当然のことであって、これはこれで一つ政府としてのやり方としては理解ができるわけであります。  しかし、それではなかなかうまくいかない。その後のこの行動指針に基づいての政府の具体的なやり方の中で、縦に対して横といいますか、結局は各地域でそういう負荷が出てくるわけでありますから、そういう縦に対しての面的な地域という意味で、これは差し当たっては地方自治体とかいうことになるのでしょうが、そういう面的な面での行動計画の受け皿、あるいは政府としての役割分担、それはどういうふうに具体的にやってきたのか、あるいはやれなかったのか、あるいはそういう装置ができたのかできないのか、その辺についてまずは御質問をいたします。
  94. 浜中裕徳

    浜中政府委員 御指摘のございました地球温暖化防止行動計画につきましては、平成八年度の関係施策の実施状況を調べますと、既に四百六十五件という施策が各省庁によりまして実施されているわけでございます。  この中で、ただいま御指摘のございました地域ごとに特色のある取り組みをどうやって進めるかという点でございますけれども、これにつきましては、私ども環境庁におきまして、地球温暖化防止地域推進計画というものを多くの地方自治体につくっていただこうというようなことで、これまで数年間にわたりましてその支援をしてまいったところでございます。  ちょっと今手元に数がございませんけれども、かなりの数の都道府県あるいは政令指定都市等の地方公共団体におきまして、そうした形で、地域ごとに特色を生かした取り組みを進めようということで計画をつくっていただいている。最近はその中で、具体的な数値目標といたしまして、一九九〇年レベルに比べまして例えば一〇%削減をするというような目標も具体的に掲げて、自治体としての取り組みを進めよう、こういうようなところも出てきている。  こういう状況でございまして、今後ともさらに、現在中央環境審議会において検討をいただいているところでございますが、京都会議の成果も踏まえまして、さらに審議を深めていただきまして、そうした結果を踏まえて、私どもとしては地域での取り組みの推進をさらに促進してまいりたい、このように考えております。
  95. 前田武志

    前田(武)委員 はっきり言いますと、四日市であれ川崎であれ、非常に公害に悩まされたところについては地域において先端的に積極的に取り組まれたわけでございますが、一般からいうと、地域の住民、我々も地域に戻れば、非常にいい環境の中で暮らしている場合には余りそういうものはぴんとこない、また大都会においてもそういったものが住民一人一人に意識されているかというとそうでもない。  ところで、COP3、地球全体の環境、それに対して各国が、先進国開発途上国、それぞれどういうふうに役割を分担して責任を負っていくかというような仕組みになっております。それと同じように、日本の国全体について、各分野ごとの縦割りということで今やっているわけですが、それに対して、各地域ごとにどうかというような仕組みも、当然装置としては、縦糸、横糸と先ほど私が申しましたが、非常に重要でございます。  さらに言えば、エコロジカルな、自然とそして我々生物相というものの関係におけるエコロジカルといいますか、私も難しい専門的なことはよくわかりませんが、そういうものはある地域の割と流域単位で、そこで水が太陽エネルギーを媒介してサイクリックに回るわけですから、もちろん炭酸ガスなんていうのはそういうものを超えていきますけれども、そういう林相であったり、太陽エネルギーもそういうものと関連をするわけでありますから、そういった意味においては、何か地域の単位として、行政単位のみならず、流域といったようなエコロジカルなそういう単位というものが重要ではないか。  そこに住んでいる住民にしても、我々、ここにおられるどなたも必ず、東京であれ、私の場合には大和でございますが、それぞれに母なる流域があるわけであって、そこには歴史が積み重なって、その水利をやり、田んぼを耕し、山を育て、そして下流には海があって、そういう中で地域の文化が発展してきたということで、流域という点に関しては、住民一人一人が、歴史的な経緯も含めて、環境に対する意識があるわけです。  したがって、環境管理という観点からすると、この流域圏というものは一つの、私が言う縦に対する横というか、地域的なもの、その単位としては非常に重要ではないかな、こう思います。  この面について、国土庁が全総計画において既に流域圏的な考え方を打ち出しておられるし、そういうものを受けて、森林計画なんかは流域単位にやっているという事実もございます。その辺を含めて、国土庁に流域圏の考え方、ごく簡単に御説明を願います。
  96. 浜野潤

    ○浜野説明員 御説明いたします。  新しい全国総合開発計画につきましては、国土審議会の計画部会におきまして、その骨格となります審議経過報告が取りまとめられまして、去る十月に国土審議会に報告され、公表されたところでございます。  この報告におきましては、新しい計画の基本的な課題の一つといたしまして、自然の恵みの享受と継承ということを掲げまして、自然界の物質循環に負荷が少なく諸活動が営まれるような循環型の国土を形成することが必要であるというふうにしております。  このために、先生御指摘のように、自然の系でございます水系と、これに関連をいたします森林、農地、都市によって構成される流域圏に着目をいたしまして、健全な水循環の保全、再生でありますとか国土の管理水準の向上に向けまして、総合的に施策を展開するというふうにしておりまして、環境保全の観点からも、流域という地域単位での施策展開を図ることの重要性を十分認識しているところでございます。  今後、関係各方面と調整を図りながら作業を進めまして、新しい全国総合開発計画を本年度末を目途に策定してまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。
  97. 前田武志

    前田(武)委員 そこで、今の議論を踏まえて、最後に長官に御所見をお聞ぎしたいわけでございます。  もちろん各分野別の、国の行政官庁、そして地方自治体もございますし、それから、事業者、企業、そして国民一人一人、こういった環境に対する各主体が、COP3を踏まえて環境に対する行動を起こしていかなければいかぬ。それがここでいろいろ議論になっている日本の責務であり、また、これからの発展途上国に対する一つのモデルを提供することにもなっていく、こういうふうに思います。  そして、そのためには、国民一人一人が具体的に地域の一員として環境というものを自覚していくためには、今の議論のように、流域というような圏域というものに根差して意識して行動していく、やはりそういったことが必要ではないか。  そういう意味において、地域の単位として流域に着目することによって各主体の環境保全の行動を集約していく、そういうような考え方で、縦糸に対してこういうものをもう一つ入れる、そういうようなことでCOP3以降の施策環境庁長官においては考えていかれるお気持ちがありゃなしや、御所見をお伺いして終わります。
  98. 大木浩

    大木国務大臣 流域ということを言われましたのは、前田委員、非常に国内も、それからまた海外の御経験も多いので、そういったところからの御発言でもあるかなと思っておりますが、例えばヨーロッパなどでは、いろいろと一つの川が国際的な意味を持っておりますから、みんなで共同して何とかそれをきちっと守っていこうというような気持ちがあるわけでございます。  ですから、私が環境庁長官になりましてから実は一番初めに感じたのは、むしろ中央と県と市町村といった縦のことなんですが、いろいろやってみますうちに、今度はまた先ほどおっしゃいました横ですね。横の話は、これは自治体がまだ個々にやっているというところがありまして、なかなか横という意味でのつながりはまだ不十分だと思いますが、さらに、縦、横、もう一つそれに活気をつけるというか、国民一人一人が意識を持つということでは、今おっしゃったような流域というのは非常にいいアイデアというか、いいアプローチだと思いますので、こういったものもこれから十分頭に入れながら、日本国内あるいはCOP3を基礎とした国際的ないろいろな取り組みにつきましても、そういったような考え方をひとつ積極的に進めてまいりたいと考えております。
  99. 前田武志

    前田(武)委員 終わります。
  100. 山元勉

    山元委員長 これにて本日の質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  101. 山元勉

    山元委員長 この際、地球温暖化防止の国際的・国内的取組推進に関する件について決議をいたしたいと存じます。  本件につきましては、各会派間におきまして御協議をいただき、お手元に配付いたしておりますとおりの案文がまとまりました。  委員長から案文を朗読いたし、その趣旨の説明にかえたいと存じます。     地球温暖化防止の国際的・国内的取組推進に関する件(案)   より良い地球環境を保全し、将来の世代に継承することは、人類共通の課題であるとともに、今日における国際政治の最も重要なテーマであり、同時に、我々に課せられた重大な責務である。   よって、政府は、次の事項について最大限努力をすべきである。  一 京都で開催される気候変動枠組条約第三回締約国会議において、将来の世代により良い地球環境を引き継ぐという大いなる目標を実現するとの視点に立って、二〇〇〇年以降の温室効果ガス排出削減の数量目標を適正に設定し、その実現のための効果ある政策・措置等を決定するよう、議長国としてのリーダーシップを遺憾なく発揮すること。  二 京都議定書等を踏まえて我が国として必要な温暖化対策を実施するための法制度の整備に当たっては、地球温暖化問題の深刻さ等を十分認識し、現在の社会経済システム及び国民のライフスタイルを早急に見直して、長期的、継続的な温室効果ガス排出削減を着実に推進し、環境基本法に規定する持続的発展が可能な社会の構築に向けて、各界挙げて取り組むこと。  三 我が国二酸化炭素排出量の現状を踏まえ、地球温暖化防止行動計画の見直しを早急に行い、実効性が確保できる多面的な地球温暖化防止対策を樹立するとともに、対策の緊急性などを十分認識して、国、地方公共団体、事業者及び国民すべての主体が積極的に取り組むこと。  四 我が国は、地球環境保全を軸にした国際協力を行うこととし、今後、温室効果ガス排出量の増大が見込まれる途上国に対して、早期に温室効果ガス排出抑制・削減が図られるよう、技術、資金、人材育成等の面から有効かつ適切な方策を講ずること。   右決議する。 以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。  お諮りいたします。  ただいま朗読いたしました案文を本委員会の決議とするに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  102. 山元勉

    山元委員長 起立総員。よって、地球温暖化防止の国際的・国内的取組推進に関する件を本委員会の決議とすることに決しました。  この際、ただいまの決議につきまして、大木環境庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。大木環境庁長官
  103. 大木浩

    大木国務大臣 ただいま御決議いただきました件につきましては、その御趣旨を十分に尊重いたしまして、努力いたす所存でございます。
  104. 山元勉

    山元委員長 本決議の議長に対する報告及び関係各方面への参考送付等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 山元勉

    山元委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時五十三分散会