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1997-11-14 第141回国会 衆議院 環境委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十一月十四日(金曜日)     午前九時三十一分開議 出席委員   委員長 山元  勉君    理事 杉浦 正健君 理事 鈴木 恒夫君    理事 萩山 教嚴君 理事 長内 順一君    理事 田端 正広君 理事 小林  守君    理事 藤木 洋子君       石崎  岳君    川崎 二郎君       河野 太郎君    桜井 郁三君       桜田 義孝君    砂田 圭佑君       滝   実君    戸井田 徹君       大野由利子君    武山百合子君       並木 正芳君    若松 謙維君       佐藤謙一郎君    北沢 清功君       岩國 哲人君  出席政府委員         環境庁長官官房         長       岡田 康彦君         環境庁企画調整         局長      田中 健次君  委員外出席者         参  考  人         (芝浦工業大学         教授)     平田  賢君         参  考  人         (財団法人地球         環境産業技術研         究機構理事長)         (中央環境審議         会会長)    近藤 次郎君         参  考  人         (気候フォーラ         ム事務局長)  浅岡 美恵君         参  考  人         (社団法人経済         団体連合会環境         安全委員会地球         環境部会長)         (東京電力株式         会社副社長)  加納 時男君         環境委員会調査         室長      鳥越 善弘君     ————————————— 委員の異動 十一月十四日  辞任         補欠選任   大野 松茂君     滝   実君   中村 鋭一君     若松 謙維君   土井たか子君     北沢 清功君 同日  辞任         補欠選任   滝   実君     石崎  岳君   若松 謙維君     中村 鋭一君   北沢 清功君     土井たか子君 同日  辞任         補欠選任   石崎  岳君     大野 松茂君     ————————————— 本日の会議に付した案件  環境保全基本施策に関する件(地球温暖化防  止問題について)      ————◇—————
  2. 山元勉

    山元委員長 これより会議を開きます。  環境保全基本施策に関する件について調査を進めます。  本日は、地球温暖化防止問題について参考人から意見を聴取いたします。  御出席いただいております参考人は、芝浦工業大学教授平田賢君、財団法人地球環境産業技術研究機構理事長中央環境審議会会長近藤次郎君、気候フォーラム事務局長浅岡美恵さん、社団法人経済団体連合会環境安全委員会地球環境部会長東京電力株式会社社長加納時男君、以上四名の方々でございます。  この際、御出席参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。  本日御意見をちょうだいいたします地球環境問題、とりわけ地球温暖化については、人類の生存基盤が脅かされるという極めて重い課題でございます。したがいまして、近づいております温暖化防止京都会議は大きな意義を持つと同時に、世界の人々が注視しているものであります。私どもも、ぜひ成功させたいと念じております。  参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお聞かせいただき、調査参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。  次に、議事の順序でありますが、平田参考人近藤参考人浅岡参考人加納参考人の順に、お一人十分程度御意見をお述べをいただき、その後、委員からの質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。  なお、念のため申し上げますが、発言の際は委員長の許可を得ることになっております。  それでは、平田参考人お願いいたします。
  3. 平田賢

    平田参考人 おはようございます。御紹介いただきました平田でございます。  きょうはこのような席にお招きをいただきまして、大変光栄に存ずる次第であります。  私、実は、お手元資料がお配りしてございますけれども環境庁地球温暖化対策技術評価検討会という委員会の座長をしております。私、バックグラウンドが機械屋でございまして、特にその中の熱機関とか熱エネルギーシステムを専門にしておりますけれども、具体的に技術でどこまでできるかと。例えば、ライフスタイルでありますとか価値観でありますとかそういう部分というのは、大変大事なことではございますけれども、なかなか定量的な評価が難しい。技術の方も、決して定量的な評価が易しいわけではございませんけれども、実はお手元資料にございますように幾つかの具体的な技術を考えまして、二〇一〇年までに導入可能と見込まれる技術、これはある意味では、既にでき上がった技術を寄せ集めることでどこまでいけるかという試算を繰り返しております。  これは設立されましたのが九五年の七月でありまして、当初は二〇〇〇年の数字、それから二〇一〇年の数字、それで昨年度いっぱい二〇一〇年の数字を詰めてまいりまして、ここにございますのが、ことしの春、二月に環境庁の御担当の方々にお示しをした具体的な数字であります。この数字は、あくまでも環境庁さんの方でも参考としてお持ちになっておった。その後の十二月の京都会議に向けての準備の一種参考資料としてお手元には持っておられた。  それで、これでごらんいただきますと、エネルギー転換部分、それから産業用セクター民生用セクター運輸用と、それぞれの用途別エネルギーの消費を具体的にカウントいたしました。  それの中で、例えば冒頭に書き上げてございますのは原子力発電出力増。これは、パワーストレッチングという言葉で呼んでおりますけれども原子炉安全性を本質的に揺るがすことなく、例えば原子力発電所蒸気タービン蒸気最後冷却をして水に戻します、復水器と申しますが、その復水器冷却水温度が一度、二度下がりますと、たちまち出力がアップしてまいります。そういう意味で、冬と夏とは原子力発電所出力が違うのですね。それで、これまでの一種法律では、定格と申しまして一つ出力に絞って地元と了解をとっているわけですが、これを二重定格と申しまして、例えば、冬は出力を一〇%ぐらいにアップする、夏は今までどおり定格というようなことをやる。  あるいは、新鋭の原子炉でも、これも法律によりまして一年に一回は定期点検をいたしますが、必ずしもその定期点検をそんなに頻度多く、しかも一カ月半ぐらいとめるわけなんですけれども、そういうことを繰り返さなくても、少し定期点検期間を短縮し、新しいものは一年半ぐらいに間隔を延ばす。  そういうようなことで、現在の手持ち原子炉出力アップを図るということは比較的容易なことだと私なんかは考えておりまして、例えばそういうこと。  それから、その下に書き上げてございますのは、次のページをちょっとごらんいただきますが、熱の使い方原理は、ちょうど水の流れ、水力発電と同じように、例えば黒部川でございますと黒四という、一番高いところに第四番目の水力発電所がございます。それで、以下黒三、黒二、黒一と川の上の方から流れてまいりまして、最後海面までの落差を使うのが水力発電でございますが、熱の方は、この水力落差に相当するのは温度差でありまして、例えば、燃料に火をつけますと、あるいは原子炉燃料棒中心には千八百度、二千度に近い高温の熱が出ております。その高温の熱から常温の、つまり海面に相当する常温の十五度C、現在の地球温暖化というのは、この十五度Cが一度上がるかどうかという議論でありまして、その常温までの落差を使ってくるのが熱の使い方でございます。  我々が今まで何をやってきたかといいますと、私のうちも残念ながらガスぶろでございますけれどもガスに火をつけまして千五百度の熱を発生させておきまして、本来は電気をつくることができた高温の熱の落差温度落差を使わずに、いきなり四十六度のふろを沸かす。あるいは、FF暖房というのはまさに千五百度の熱で二十五度の暖房をすることになる。  これは非常に基本的に間違っておりまして、熱力学原理からいきますと、省エネルギーの目標というのは、あくまでも高温のところを電気にかえることなんですね。それを現実のハードにいたしますと、コージェネレーションと申しまして、例えば、燃料に火をつけてすぐエンジンで発電をする、その廃熱暖房したりふろに入ったりするというシステムを各家庭に一台ずつ配るとか、なかなか現実にそれが難しければ、将来は燃料電池時代になりますが、燃料電池熱機関ではございませんけれども、その時代になりますと、各家庭に三キロワットの発電機が入って、その廃熱ふろに入るという時代が来ると思っております。そういう熱を高温から低温まで使うという技術を、原理原則をいろいろ転用いたします。  それで、次のページにございますけれども、最近はやりのスーパーごみ発電というのがございまして、このスーパーごみ発電は、日本の生ごみには非常に食塩分が多いわけですが、それでビニールがたくさん入っておりまして、それを燃やしますと塩酸が出てまいります。その塩酸がボイラーのチューブを腐食するのが怖いわけでして、蒸気温度を余り上げられないのですが、そのごみから出てくる蒸気は、余り温度を上げないでも、そこに高温ガスタービンをくっつけまして、持ち込みまして、そのガスタービン廃熱でこの蒸気スーパーヒートする、加熱をいたします。このスーパーヒートのスーパーをとってネーミングをしたのがスーパーごみ発電でございますが、日本高浜発電所というのは、昨年の十一月から第一号機として動いております。  世界のトレンド、例えばオランダ等では、世界一の巨大なスーパーごみ発電がいよいよことしの秋から動き始めておりますし、こういう一種の完全に確立した既存の技術の組み合わせで高効率ということが可能になるということでありまして、これは先ほど申しました、割合定量化が可能であります。と申しますのは、例えば環境庁のこの委員会では全国の市町村に悉皆調査をかけまして、おたくのお手持ちごみ焼却場はいつごろ更新の時期か、そのときにスーパーごみ発電を導入される御意向はないかというような調査を全部やりました。  それから、これのさらに発展形態石炭火力発電所。これも、今の議論からいきますと、余り高温から蒸気を使っておりません。その石炭火力発電所ガスタービンを持ち込みまして、そのガスタービン廃熱石炭火力をレトロフィットする、再生する、これをリパワリングと言っておりますけれども、高効率化いたします。例えば、普通の石炭火力発電所で四〇%ぐらいの熱効率であれば、ガスタービンをくっつけることによって、これは要するに後づけでコンパインドサイクルにしてしまうわけでございますけれどもたちまちにして五〇%を超えら、そういうことになります。  それのまたさらに発展形態が、右側の原子力発電所原子力発電所は、蒸気温度が三百度ぐらいでございますが、三百度からの蒸気タービンではもったいない。したがって、この三百度の蒸気ガスタービン廃熱で五百度ぐらいまで持ち上げまして、高効率蒸気タービンと組み合わせる。つまり原子力発電所をコンパインドサイクル化する。このポテンシャルも非常に大きいはずでございまして、今、日本全国原子炉は五十一基動いておりますが、この原子炉に片っ端からガスタービンをくっつけるということをやれば、たちまち、例えば百万キロは二百七十万になります。二・七倍の出力アップでありまして、効率がどんと上がる、そういうことであります。  私どもとしてはそういう、まあこの最初の表には原子力のりパワリングは入っておりませんけれども、ごく手近に可能性のある技術を書き上げたものであります。  そうなりますと、燃料である天然ガスが非常に大事でありまして、ガスタービンというのはやはり天然ガスで回すのが一番楽でございます。余計な、例えば油でございますと、硫黄分であるとかバナジウムであるとか、非常に怖いものがたくさん入っておりまして、それでガスタービンの羽根がやられるのですが、天然ガスというのは、メタンガスでありますからそういう余分なものが一切入っておりません。そういうガスを燃やすということで高温ガスタービンを開発して、あとはシステム技術で熱を上から下まで、高温から低温まで使ってくる。  その基本になるのが天然ガスでありまして、お手元のこの一冊、別の資料を配っておりますが、アジアとそれから日本の中に天然ガスを、これは気体でありますからどうしてもパイプラインというのは必須でありまして、ヨーロッパには八十万キロメートルの高圧ガス幹線がございます。アメリカにも四十四万キロの幹線がございます。幹線というのは、四十気圧以上の高圧幹線でありますが、これはアジアにはゼロでありまして、何とかアジアの中にぜひっくりたいということをずっと、約十年ほど言ってまいりました。  実は、中山太郎先生方の大変御理解をいただきまして、四日前にアジアエネルギー共同体推進議員連盟というのを発足されまして、そういう動きと、アジアパイプラインによる天然ガスの供給。遠い将来は、後ほど申し上げますけれどもシベリア天然ガスを運んでくる。まず真っ先にこういう高効率システム中国に普及させる。そのためには、天然ガス中国の中に供給する。それをやがて、シベリア水力発電で水を電気分解いたしまして水素にする、その水素天然ガスに一〇%ぐらいまぜる、これはハイタンと申しますが、二〇一〇年、二〇二〇年ぐらいにハイタンの形でパイプラインで運んでくるという時代を想定、しております。  いずれにいたしましても、このようなシステムを供給すれば、特にアジア中心に供給できれば、技術的に削減は十分可能だというのが私どもの信念であります。  ありがとうございました。(拍手
  4. 山元勉

    山元委員長 ありがとうございました。  次に、近藤参考人お願いをいたします。
  5. 近藤次郎

    近藤参考人 発言の機会を与えていただきまして、先生方に私どもがやっておりますことをお話し申し上げるのは大変光栄に存じます。  御承知と思いますが、実は昨日、合同会議、これは九つの省庁の審議会の連合体でございますが、そこで最終報告合意をいたしまして、その後、若干の修文議長一任ということで昨日中にでき上がりましたものを、本日十時半に総理にお手渡しするということがございますので、途中で中座させていただきますことをお許しいただきたいと存じます。  今問題になっておりますのは、COP3を成功させるということでございます。  これは一つの例がございまして、それはフロンガスのことであります。つまり、オゾン層保護条約というのがウィーンでできまして、その後、御承知のようにモントリオール議定書ができました。だけれども、この議定書は一回で済んだわけではございません。最初は、たしか五つオゾン層破壊ガスの製造を次第に減らしていく、こういう話でございましたのが、後にはこれが、品種にして六十に近い物質がオゾン層破壊の原因になるということが明らかになってまいりまして、実は、このモントリオール議定書は、ついこの間、六月だと思いますが、第六回をやったわけでございます。  私どもも、審議会では、実は、日本政府がどういう提案をなさるかということについては最初から審議をしないつもりでございましたが、国民の方と対話集会というのを東京と大阪でやりました。そのときいつも、大体おまえたちはだらしがない、もうちょっと日本のレベルを高くすべきである、こういうのが国民一般の方。特にいわゆる環境NGOという方々は、日本提案いたしました五%、それにいろいろな途上国条件とか、あるいは先進国でもう既に相当技術を注入している、そういう実績を勘案しまして少し緩和する、そういう条件を例えば日本に当てはめてみますというと、大体二・五%減らすということになるんだという話でございまして、その日本提案が余り低すぎるから、だからアメリカが〇%というような低い、一番たくさん排出している国がそんなことを言っているんだ、これでは到底世界を引っ張っていけないではないか。一方において、EUは一五%削減ということを申しております。そういうことを考えてみましても、COP3がいかに難しいかということが示されております。  しかし、これは京都会議を、とにかく第一回をやって、そして日本のリーダーシップによって、その二・五%でもよろしいしあるいは二%でもいい、少なくともゼロ回答は困りますが、そういう一つ数字を出すことさえできましたら、その後はまた京都議定書というものを次々修正していくことができるわけであります。条約の方はそう簡単に変えられませんが、議定書は変えられるわけでありますから、技術の発達に伴って議定書を変えていくということは可能であると思います。  お手元にあります表は、最初は理論的に科学者研究をいたします。科学者というのは、少し極端なことを言うようでございますが、その使命は、将来のことを正確に予測して、そしてそのことを政策決定者あるいは国民一般の方に申し上げる。後のことを言うならだれだってできますが、将来のことについて申し上げるということが科学者使命だと心得ます。  オゾン層の方では、アメリカのマリオ・モリナあるいはフランク・ローランド、こういう人たちが相当前に説を出しました。それを実際に見て、これは大変だということを申しましたのは、実は最初は気象庁の技官で南極におりました忠鉢さんという方でありまして、この方が南極オゾン層が非常に薄くなっているということを発見いたしました。そのことを、後にニンバスという人工衛星オゾンホールと言われている大きな穴を見つけまして、薄くなっている地域が非常に広がっているということを見つけまして、はっきりさせました。  また、このオゾン上層大気のような大きな実験室の中に入れて、そこへフロンを入れて、それからオゾンがずっと減ってくるということを精密に実験しましたのは、国立環境研究所鷲田博士でありまして、これはもう大分おくれましたけれども、科学的に実証されているということです。  しかし、地球温暖化になりますと、これは実験することができない。今度はエルニーニョで、十一月に入ってから台風が来たり、いろいろな異常現象が起こっていますが、多くの方は、これは地球温暖化ではなくてエルニーニョだ、こういうふうにおっしゃっている方もありまして、この相乗効果があらわれ始めているということを心配しているのですが、それについては何も証拠がない、実験することもできないということが非常に難しいところであります。  ただ、できるのは計算で、スーパーコンピューターで答えを出すということですが、今世界じゅうで五つほど大きなモデル、日本でもやっておりますが、答えが合わないということであります。どうして合わないかというと、基本的なところがわかっていない。つまり、雲が出ますと、冬は雲が出た方が暖かい、夏は雲が出ると日陰に入りまして涼しい、そういうことすらなかなかみんなが納得するような理論がない。これは科学者がまだ研究不足であるからであります。  そこで、条約がせっかくできているのですが、これから議定書をつくって、これをやらなくてはいけませんが、最後に書いてありますように、先進国だけで仲よく条約をつくる、みんなは割合わかりが早いのですが、今度は途上国が非常に大きな部分を出しております。アメリカが全体で二二・五%ぐらい出しておりまして、その次が中国、その次がロシア、四番目が日本で五%足らず、EU諸国はずっと数が少なくなっております。  最近、江沢民がクリントンと会いまして、そこで原子力アメリカから中国へ移転するということに合意を得た。まだアメリカの議会ではもめておるということでございますけれども、そのことに私は大変注目をいたしております。これは、きっとアメリカは、自分のところは減らさなかったけれども中国CO2を減らすことに協力した、だからそのことを勘定に入れてくれと言い出してくるに決まっております。  私は平田さんのパイプラインの話を前に伺っておりまして、日本も早くやらないと、手の早い国がいっぱい近くにおりまして、中国石炭によるCO2発生量自分たちの力で抑えたから、だから世界全体としてはCO2を減らしたんだ、こういうことを言い出す国々はヨーロッパにもロシアにもあると思います。最近の事情をきょう初めて伺いまして、国会の先生方も非常に動いていただいているそうでございますが、そのことは私、大変喜ばしいことだと思います。  いずれにしても、この問題は二十一世紀になりますと最大の問題になると思います。  最後に私は、合同会議で大変難しかったのですが、皆さんがいろいろなことをおっしゃる、なかなかコンセンサスを得ることは難しゅうございました。ただし、あの報告書は、お読みいただければ光栄でございますが、両論併記というところは一つもございません。全部について皆さんがとにかく、炭素税については今後の議論にまっというように書いてあるところはございますが、反対とか賛成とかいうことがあったということは書いてございません。原子力についても同じであります。そこのところは私たちが非常に努力をしたところでございます。  ただ、一つ言えるのは、それは私自身が、お手元資料の一番最後プロジェクト一つ書いてございますが、大気中の二酸化炭素をユーグレナという微生物を使って固定いたしまして、そして、それで食糧をつくるというプロジェクトをやっています。これは今すぐということは申し上げられませんが、いろいろな要素実験は既に成功をしております。ですから私は、このことは委員会では申しませんでしたけれども科学者技術者に任せておいてほしい、原子力、新エネルギー、いろいろ提案されておりますけれども、二〇一〇年まで十三年ある、それまでには何とかしてさしあげるということを申した次第でございます。  御清聴どうもありがとうございました。(拍手
  6. 山元勉

    山元委員長 ありがとうございました。  次に、浅岡参考人お願いをいたします。
  7. 浅岡美恵

    浅岡参考人 気候フォーラムから参りました浅岡でございます。  本日は、このような場にお招きいただきましてありがとうございます。  私は、これまで四半世紀の間、弁護士といたしまして環境汚染製品事故による被害者救済活動に携わってまいりました。その過程で、被害を未然に防止いたしますことの重要性と、しかしながら、日本社会にそのような社会システムが欠落しているということを実感してまいりました。また、被害に早く気づき、適切な対策を早くしなければならない、おくれればおくれるほど被害は深刻になり、かつ回復に恐るべき時間と費用を要するということも見てまいりました。  このことは、気候変動問題におきましてもそのまま当てはまることと思います。IPCCの報告が明確に指摘しておりますように、既に気候変動は起こっております。このまま二酸化炭素などの温室効果ガスの排出が続きますと、とりわけ私たちがこの三十年来の暮らし方を続けてまいりますならば、子供たちに深刻な被害をもたらすでありましょう。さらに、最近の研究によれば、海洋大循環の停止、海底からのメタンの大規模な噴出など、取り返しのつかない環境の激変も起こる可能性すらあります。私自身、三人の子の母といたしまして、気候変動の影響の深刻さと、今直ちに対策をとることの重要性、緊急性を学んでまいりましたこの一年でございます。  私たちは、一九八八年のトロント目標の設定以来、既に十年という貴重な歳月を無為に失ってまいりました。気候変動枠組み条約の締結からも五年の歳月が経過しております。温室効果ガスの十分な削減合意した議定書の採択がCOP3で期待されておりますが、このCOP3は、極めて重要な歴史的意義を持っております。  第一に、気候変動問題は、私たちの文明のあり方に再検討を迫る深刻な問題であります。私たちは、化石燃料に依存したエネルギー多消費型の社会から、文明史的とも言える転回をしていかなければなりません。今年三月に公表されました産業構造審議会地球環境部会の報告でもその一端は指摘されておりますけれども、そこでの結論は、これまでの文明観や産業構造に本質的な転換を迫るものではありません。  第二に、このような文明史的な転回のためには、政策形成過程での市民の参加とそのための情報公開の重要性を幾ら強調いたしましてもし過ぎることはありません。この問題こそ市民が政策形成に参加できる社会への変化の試金石と言えるでありましょう。  第三に、もしこの京都会議が失敗いたしますならば、日本の今後の国際社会における地位に深刻な影響をもたらすと思います。逆に、日本がこのような重要な会議の議長国を務め、困難な会議を成功に導くことができますならば、憲法の前文にもうたわれておりますような、二十一世紀の国際社会における名誉ある地位を占めていくかけがえのない機会となるでありましょう。議長国に名乗り出ましたことを好機といたしまして、この会議をぜひとも成功させていただきたい、私たちもそう考えております。  さて、気候変動問題についての国民の意識を見てまいりますと、本年六月のあるマスコミの世論調査では、八四%の人々が経済や景気に影響が出ても温室効果ガスの排出削減が必要だと答えております。同時期の総理府の調査でも、現在程度の生活水準であればよいと答えた人が八割を超え、一九八五年以前の水準でもよいと答えた人も七割を超えております。最近の世論調査会の調査では、環境税や炭素税の導入についても六六%の人が支持をしております。国民地球温暖化の防止の対策をとっていくことを支持をしているわけであります。また、そのように実践していこうとしております。  しかしながら、日本におきましては、九〇年以来アメリカよりも二酸化炭素の排出の増加率はもっと高く、OECD諸国の中でもトップクラスでありまして、九六年には九〇年比九・四%増となっております。こうした現状から、日本政府はこれ以上の排出削減は不可能であるとの態度に終始してまいりました。しかも、日本政府は最近十月六日まで具体的な自国の削減数値目標も明らかにできませず、アメリカとともに議定書交渉の進展をおくらせてまいりました。  日本は目標数値の国別の差異化を特に強調しておりますが、附属書1の国と申しましても、経済的、資源的、社会環境はさまざまでありまして、差異化についての問題は、それ自身をいけないと申している立場ではありませんけれども、現在差異化提案を行っている国々が、真に公平を実現するためではなく、それぞれの自国の目標数値を切り下げるためにしていることにあります。そのために議論が時間を要しております。差異化についての日本提案にも、理念的意味や理論的整合性を欠いていると言わざるを得ません。  COP3の直前になって、なぜ今このような日本提案が公表されるに至ったのでしょうか。そこに、今日の日本社会の問題性を凝縮して見ることができると思っております。  そもそも、どれだけ削減できるかということは、技術の内容や普及の程度やとられる政策などにかかっておりまして、削減ゼロの場合にはa、b、cのような政策によるシナリオが、削減率一〇%の場合であればx、y、zのようなシナリオがあるのでありまして、それらの中から選択をしてまいるのは国民であります。ただ一つこれであるということではないはずであります。国民の側からもシナリオを提起し、議論する場が必要であります。私たちの側でも、これまでに本当に削減可能性はないのかということを検証してまいりました。  しかしながら、これまでの日本提案に係ります議論の経過はいまだ明らかにされておりませんし、気候フォーラムが開示を求めてまいりました資料も私どもに知らされておりません。省庁間の官僚だけによるプロセスからは、これまでのCOP3の歴史的な意義は消えうせてしまいました。二〇一〇年に九〇年水準に戻すのがぎりぎりである、そのために原子力発電二十基の増設が必要だという通産省の結論だけが残りました。これは、政策決定のプロセスとその結論を国民に説明して了解を得るという行政の求められるアカウンタビリティーを果たしておりませんし、さらに第三者からの科学的検証を排除する、こうした態度にほかなりません。  こうした中で、昨日、地球温暖化問題への国内対策に関する関係審議会合同会議の最終会合がございまして、総理への報告を本日なさるとのことであります。  この合同会議は、これまでの縦割りの省庁間だけの議論を克服いたしまして、地球温暖化問題への対応の基本的な方向づけを行う目的で開催されたはずのものであります。しかしながら、ここでも事態は全く変わりませんでした。通産省は、具体的な根拠を示さないまま政府案を説明し、合同会議はこれを追認したにすぎないと言わざるを得ません。  もともと合同会議は、数値目標について議論をするのではなく、政策方針を検討するという奇妙な位置づけで始められたものであります。しかも、審議は非公開で行われ、十月二十七日と三十日、急速行われたヒアリングもわずか四人の委員出席しただけということに示されておりますように、本当に国民の声を聞こうとする姿勢は見られませんでした。  この合同会議の結論は、政府といいますより通産省の意見と言ってよいものだと思いますが、これが政府の今後の議定書交渉に影響を及ぼすものであってはならないと思います。  さらに、以下、二、三、指摘させていただきます。  この報告は一貫して、日本はGDP当たりの一次エネルギーの利用効率世界最高水準であり、運輸と民生部門の増加に対応することが重要であるとの視点で記述されております。  もちろん、家庭におきますエネルギー消費や個人のライフスタイルの転換の重要性は言うまでもありません。しかしながら、大量消費や大量廃棄型のライフスタイルは、大量生産システムと利便性や快適性を強調した宣伝によって増幅されてきていることを見過ごしていては、とるべき対策を見誤ることになりましょう。  日本の産業部門からの排出は五〇%を超えます。運輸や民生の業務関連部分も加えますと、七〇%を超えております。欧米に比べて大変な高率であり、この部門からの排出削減も重要なことであります。  産業部門における排出削減は、主に経団連の自主行動計画に依拠したものでありますけれども、この計画は総量での排出削減をもたらすものではありません。また、ドイツのように拘束力のある目標でもなく、第三者による検証を受けることにもなっておりません。  なお、産業部門での削減の余地が多いことについては、幾つかの研究で既に明らかにされております。国立環境研究所と名古屋大学によるAIMのモデルでは、九〇年レベルから一五%の削減が、CASAは、エネルギー消費活動の水準をほぼ現在のレベルに維持していきますと、同じく一四・七%の削減が可能としております。  また、この通産省の報告は、削減のための投資の重さだけを強調いたしまして、エネルギーコストの削減や、それによって新たな産業が起こることの効果を見ようとしておりません。  運輸部門でも、ハイブリッドや直噴式エンジンによって大幅な効率改善が見込まれておりますけれども、これを積極的に導入する施策を取り入れるものとはなっておりません。輸送の効率化にも踏み込んでおりません。  エネルギー供給面におきまして、通産省は、原子力発電の推進が必要と強調しておりますけれども原子力発電の設置が困難な現状がその安全性や廃棄物処理問題にあることは、御案内のとおりであります。その問題を解決することなくして、地球温暖化対策を理由に原子力発電所の建設を推進しようとするのは、本末転倒と言うべきであります。むしろ、エネルギー消費自体も削減し、太陽光や風力など新エネルギーの導入にこそ本腰を入れるべきであります。  ところで、通産省の資源エネルギー庁は、通産ジャーナルの今月号で「二〇一〇年の社会」を書いておりますが、これは大変暗いものであります。技術開発能力のない企業は市場から撤退しなければならなくなるとか、家電、OA製品などの使用を断念しなければならないなどとして、国民を怖がらせているのはなぜなのでしょうか。  私たちは、二十一世紀に求められる二酸化炭素排出削減社会というのは、二十世紀型の物質文明とは決別し、エネルギー効率を高め、また再生可能な代替エネルギーを拡充することなどによって、本当のゆとりを感じられる社会になると考えております。  今私たちに求められているのは、削減できるのかできないのかといったこうした議論ではなくして、削減するのだという強い政治的な意思と、どう削減するのかについての国民議論であります。  議会の皆様には、地球温暖化防止に向けた国内の合意形成を積極的に図っていただきますとともに、その過程を通しまして、国民への情報公開と参加という、我が国がこれからの社会的活力を得ていくために必須の課題に取り組んでいただきたいと思います。  ありがとうございました。(拍手
  8. 山元勉

    山元委員長 ありがとうございました。  次に、加納参考人お願いをいたします。
  9. 加納時男

    加納参考人 参考人加納時男でございます。  きょうはお招きいただきましてありがとうございました。十分間で陳述させていただきます。  環境問題で一番の問題は、だれかが何かをするべきだ、サムワン・シュッドという言葉ではないだろうかと思います。我々は、この呪縛から逃れなければいけないと思います。  リオプラス5フォーラムというのが、本年、NGOの方々が集まってブラジルで開かれました。参加してまいりましたが、それぞれ、五日間、政府は何をしているか、国際機関はワークをしていない、消費者はだめだ、企業はだめだという、人のことを批判するだけの発言が続いた後、最終日に私たちは、サムワン・シュッド、だれかが何かをすべきだと書いて、赤い禁止マークをつけました。つまり、私がやろう、私たちがやろう、自主的な行動計画こそこれからの地球環境を解決するかぎだということを誓い合って帰ってまいりました。  私ども経団連は、この自主的行動計画を誇りとしてここまで進めてまいりました。リオ・サミットの一年前、一九九一年に地球環境憲章を発表し、実践し、そして昨年九六年、お手元資料一つ目でございますが、経団連環境アピールを発表し、その中で、私どもの一番大切としております地球企業市民でありたいということを宣言し、そのための自主的行動計画、エコエフィシェンシーの追求等をうたったわけであります。  これに基づき、本年六月に、お手元資料第二にございますように、自主行動計画を取りまとめました。  特徴は、第一に、人から言われ、政府から強制された計画ではなく、自主的にやってきたものであります。自主的につくったものであります。  第二に、三十六の業種、百三十七の産業団体が参加し、製造業、エネルギー産業はもとより、流通業、サービス業、損害保険、トラック協会、航空まで含む世界でも初の大規模な産業界の参加による自主的な行動計画であります。  第三の特徴は、数値目標を極力掲げたものであります。  これも、空理空論ではなく、また、まだ全然ない技術を一遍に一〇〇%普及するといったような空想に基づくものではなく、現実的に我々が考えられ、また挑戦したいという高いハードルを掲げたものであって、数字がいいかげんではないかとかはっきりしないという批判をなさる方も世の中にはもちろんおられますけれども、私どもとしては、産業によっては製品当たりのエネルギー消費量あるいは二酸化炭素発生量を二〇一〇年までに一〇%ないし二〇%、原単位ベースですが削減をするということをここに目標高く掲げたわけであります。廃棄物に至っても、廃棄物あるいは副生品の減量化を促進することによりまして、五五%ないし九五%削減するという大変野心的な計画を立てました。  経団連の計画は数字がはっきりしないというような批判をする学者の方がごくごく一部におられるようではありますけれども、私どもとしましては、何としても二〇一〇年には九〇年レベルを総量としても下回ることを目標とするとはっきり白書をしたのが本年でございます。私どもは、他人に対して批判をするのではなく、みずから宣言したことを行動してきたつもりであります。  一九九〇年から最近に至るまで、もちろん生産活動はふえておりますが、少なくとも産業部門における二酸化炭素発生量はゼロ%に約束どおりとどめてまいりましたし、これからもゼロ%以下を目指して全力を挙げてまいります。  残念なことに日本全体のCO2がふえていることは事実であります。これは民生部門、つまり家庭ですとか業務用、ビルディング等でありますが、OA化が進んだ、また非常に機器が大型化した、効率化した、便利になった、さまざまなことで民生部門で一六%ふえた。また、輸送部門と言っていますが、自動車の利用等に伴うエネルギーも一六%ふえております。  こういったことを直視して提言されておりますのが、本日十時半、あと十五分で総理に報告されます合同会議報告かと承っておりますが、経団連の考えでまいりました、また行動してきたことから見て、この民生、輸送部門に対する産業界の協力ということが非常に重要だと私どもは考えております。  第四の特徴は、この自主行動計画、毎年レビューをし、これを公表していくということであります。  経団連の計画はひとりよがりではないかといった批評も、これもいつも特定のごく一部の方なのですがなさって、それをまた大きな声でおっしゃる方がおられますが、私どもは、自主的に計画したものを自主的に実行し、ここからが大事でありますが、その結果を毎年レビューしまして、これを公表したいと考えております。こういうことによって透明性を高めていきたいと思っております。  このようなことが二つ目にあります資料二でございます。  最後になりますけれども資料第三というところに、本年九月二十六日に経団連で取りまとめましたCOP3に対する見解がございます。  ここでの特徴は、何と言っても、中長期的な視点、地球規模の視点が大切ということを強調しております。  今、メディアも含めまして、京都会議に向けての取材が多く、報道も毎日なされております。COP3を成功させよう、私どももその気持ちであります。COP3を何としても成功させたいと思いますが、京都が終わったらすべてが終わってしまうような、あるいは二〇一〇年でこの問題がすべて終着駅を迎えるという発想はいかがかと思います。気候変動というのは、二十一世紀を通じて、温室効果ガスを現状にとどめるのではないのです、ドラスチックに削減しなければならないという大目標こそ忘れてはならないと思います。それに向かって私ども世界の仲間と手をとり合って、確固たる目標、長期的な目標を立て、それに向かっての力強い第一歩を踏み出すのがCOP3だと思っています。  そういう意味では、若干細かいところではお互い各国の間に事情がございましょうから、十分に弾力性を持ちながらも大きな目で見て、力強い第一歩と長期的な視点についての合意が大事だと思います。  そしてまた、地球レベルでなければいけませんので、発展途上国の参加、これがぜひとも大事だと思っています。発展途上国に対して義務づけるかあるいは義務づけないかといったドラスチックな議論でなく、発展途上国方々が自主的にこの問題に取り組むことを期待し、それを宣言した発展途上国と手を組んで、技術移転なりあるいは環境対策等を、環境ODAの充実等を通じまして発展途上国の仲間をエンカレッジしていくことが大事だと思います。  第二には、政策が重要だということであります。  今、数字合わせに余りにも私どもは目が行き過ぎているのではないかという気がしてなりません。二〇一〇年前後の数字ももちろん一つのステップとして重要ではありますが、もっと重要なことは、設備投資をやった場合に、設備投資にはサイクルがございます。例えば、きょう一挙に断熱材を全部の設備に加えるとか、最新鋭の設備にあした取りかえるわけにはいきません。設備投資のサイクル、住宅の建設のサイクルがございます。そういう意味では、どういう政策を立て、どういう技術をいつまでに開発し、これを普及させていくのかといった政策的な視点が重要だと思っています。  その意味では、炭素分を発電レベルでは全く出さない原子力が果たしてきた重要な役割というものはだれしも否定できないわけでありますので、間もなく報告されます合同会議報告にもしっかりと記述されておりますように、今や世界の常識ともなっております二酸化炭素の排出を少なくするためのエネルギー選択として、自然エネルギーの一層のコストダウン、化石燃料の、平田先生のよくおっしゃっているコージェネレーションであるとかコンパインドサイクル、アドバンストコンバインドサイクルに加えて、原子力の平和、安全な利用も欠かせないことであります。  最後に、パートナーシップについて触れて終わりたいと思います。  先進国はもちろん、みずからのライフスタイルの改定をやっていくことが必要不可欠だと私は思っております。過剰を排し、過剰からシンプルヘ、使い捨てからリサイクルへ先進国のライフスタイルを変えるのに加えまして、発展途上国方々の成長とそれから環境保全を両立するようなそういうパートナーシップを発展途上国との間で、例えば共同実施等によって行っていくことが大事だと思います。また、私ども産業部門、さっき申し上げた、気になっております民生部門、輸送部門に対する機器の生産者でもあります。より効率のいい自動車、より炭素分の少ない燃費のいい自動車をつくってまいりますが、これを選んでいただくのは消費者であります。グリーンコンシューマー活動を期待したいし、また、政府はこれが促進されるようなインセンティブを考えていただきたいと思っております。住宅の断熱、ビルの断熱も同様であります。  政府、企業、NGOが手をとり合って、パートナーシップとなってこの長期的な目標に取り組んでいくことが必要かと思います。ありがとうございました。(拍手
  10. 山元勉

    山元委員長 ありがとうございました。  以上で参考人の御意見の開陳は終わりました。     —————————————
  11. 山元勉

    山元委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。戸井田徹君。
  12. 戸井田徹

    ○戸井田委員 自由民主党の戸井田徹でございます。それぞれの参考人皆さんには、お忙しいところ本当にありがとうございます。心から御礼申し上げたいと思います。  今ずっとお話を聞いておりましたら、本当にここですべてのことが決められたらすべてがうまくいくのじゃないかな、そんな気にもなってまいりました。しかし、現実にはなかなか京都会議も厳しいような、また予断が許されない、そういう状況なのだろうと思います。  そうした中で、私は、浅岡参考人のお話を、もうちょっと何か心に響くような形の話になるのかなと思って内容をじっと聞いておりましたら、どちらかというと何か数字が出てきたような感じで、大変失礼な言い方になるかもわかりませんけれども、若干期待外れみたいな感じが実はあったわけです。  私ども、選挙をこういうふうにしてやっておりますと、人と人のつながり、またそこでお互いどういう意思の疎通があるか、また心の疎通があるか、そういうものを非常に感じるわけでありますし、そういった中でもってマクロのことを個人のところから感じてくる、そういうこともあるわけなのです。  実は、私の子供の小学校で二年前にこんなことがありました。それはどんなことかといいますと、運動会のときに子供の席にテントを張るか張らないか、そういうのが議論として持ち上がったわけであります。そのときのPTAの会長さんというのは非常に環境問題に詳しい人で、そういうことをアピールしながらPTAの中でも話をしていた。PTAのお母さん方は、その話を聞いて非常に理解をし、そうすべきだという話になったわけであります。  しかし、そこで出てきたのが地域の、今小学校の中でも地域とのつながりというのは大変重要視されているわけですけれども、その地域の自治会の会長さんというのが、何で運動会で、太陽を浴びて健康的に走り回らなければならないときに、テントなんか張らなければならないんだと、まるっきり反対の意見が出てきたわけであります。自治会長さん一人だけが結局それに反対するようなことを言って、かといって地域ではその自治会長さんの力というのは大変強いものがあるわけです。それでごちゃごちゃしたわけですけれども、結果的にはテントは張らないということになってしまった。  この一地域の小学校で起きた話ではあるのですけれども、今日本の中ではオゾンホールの影響というのはさほど大きなものではないかもわかりません。南半球のオーストラリア、ニュージーランドの地域の人たちに比べてみたら、それほどせっぱ詰まったものではないのだろうと思うのです。しかし、そういうものが今日本一つの地域の中でもってこれだけ理解に差があるということを考えてみたときに、こういうところに広めていくということは大変な労力が要るものだなということを実は感じたわけであります。  それから二年実はたったわけですけれども、その人が頑固なせいかもわかりませんけれども、そういったことの話になってくると、いまだに認めないという部分があるわけです。そういった人たちというのは恐らく、先ほど浅岡さんの話の中にありました八〇%に入らない、二〇%の部類に入る人たちなのかもわからないのですけれども、今この地球環境問題というのは理屈抜きでもって対処していかなければならない、そういうことをみんなが思いながらなぜそれが大きな動きになり得ないのだろうか、ひょっとしたら、だんだん大きな動きになってきて、我々の時代とまた次、世代が変わらないとそうした大きな動きにならないのかな、そういう感じもあるわけです。  そうやって考えてみますと、技術的なものは別として、やはり子供に対する環境教育、十年たてば子供は十歳大きくなっていく、それをずっと小学校、中学校で教育し続けることによって、二十年、三十年たったら間違いなしにそういうことに意識を持った人間がこの日本、また世界の中枢で働く、社会活動をするということになるのだろうと思うわけであります。  ですから、私非常に、そういう意味では環境教育というものに大きな重点を置いて動いていかなければいけないのではないかな、そういう気持ちを常々持っているわけですけれども浅岡参考人、これに対してどういうふうに御意見をお持ちでしょうか。よろしくお願いします。
  13. 浅岡美恵

    浅岡参考人 冒頭には、十分という時間でございましたので、私の基本的な申し上げたいことを凝縮させていただきまして、お聞き苦しかったかと思いますけれども、先生のおっしゃることは本当にそのとおりだと私も思っております。  私も子供を持っておりますので、本当に子供たちにどう伝えていくかということを伝え方も含めまして自分が学びながら、この一年間こうした仕事をさせていただいてまいったということも、先ほどちょっと紹介をさせていただきました。これは子供だけではございませんで、私どもが仕事をしております中で、大人といいましょうか、私どもの年代からもっと上の方々も若い学生の方々もまだまだ日本の中で事が浸透していない、それは痛感されます。  私たちのこの気候フォーラムの仕事は、全国で二百余の団体のネットワークということにしておりますけれども、これは、より多くの方々にこの問題をお伝えし、一緒に考えていく機会とするためにどうしたらいいかということも一端であります。北海道から九州まで、また一つの団体が全国にネットワークを持っているという団体も数多くございまして、この傘下には相当多くの人々が加わっていることになります。  そのそれぞれの私どもに加わってくださっている団体の皆様が、私どもと一緒につくってまいりました教材等を用いまして、また会報等を用いまして、お知らせいただいたり学習会をしていただいております。私たちがカウントできますものだけでも、この一年間に五百回を超える学習会を持ってまいりました。その中で、何が伝わっていないのかということも、また私どもは知ることになりました。  ただ、一言、この機会に先生方にもお願いしたいと思いますのは、私は先般、十月の最後の準備会合でボンに参りましたときに、ドイツのあるテレビ局から、日本にこの言葉はあるかということを聞かれました。それはクリマカタストロフェという言葉であります。ドイツ語でそう発言するのでよろしいのかなと思いますが、クライメートのカタストロフィーであります。気候変動問題や地球温暖化というふうに日本語で申しております問題を、ドイツでは国内で社会の言葉としてそのように伝え、話し合っている。これは、政府の側もそのような情報を出している。チェルノブイリの事故のように、カタストロフィーという言葉から思い起こしてほしい、子供たちが逃げられないようなそうした大きな深刻な問題なのだ、だから、私たちが今こうした行動をしなければいけないのだ。そうしたメッセージが、政府からも、またしかるべき教育の機会で伝えられている。  しかしながら、日本の現状におきまして、日本の政府の方針が決まらないということに象徴されておりますように、そんなに深刻ではないのだ、あるいは、お任せください、どこかで解決ができます、御心配は要らないのだ、あるいは、そういうことをしていけばこんなに暗い社会になるのだ、国民の意欲を阻喪するような、あるいは認識を深めさせないような、そうした提起が混在しているのではないか。この点を、もっとすっきりした方向で本当に国民が深刻に受けとめ、議論をしてまいれますように、先生方に御指導いただきたいと思います。
  14. 戸井田徹

    ○戸井田委員 ありがとうございます。  確かに、政府が、政府の名のもとに、環境問題に対してこう取り組みましょうということをはっきり言うことによって、多分、先ほど私がお話ししました自治会長さんのような人たちは、一遍にその方向に流れていくんだろうというふうに実は感じるわけであります。そういう意味で、政府の認識、また、その行動の与える影響というものも大変大きなものがあるだろうと思いますし、また同時に、両方の力が相まって、そうしたことが早く理想のところへ追いついていくんではないかな、そういう気がいたします。  また、平田参考人にちょっとお伺いいたしたいんですけれども、私は三年ほど前に、その当時東北大学の総長をやっておられました西澤潤一先生と、中国の三峡ダムの見学を兼ねた旅行をしたことがありました。三日間ほど船の中におりましたから、そこでいろいろなお話を聞いたわけですけれども、そのときに、西澤先生もやはり環境問題に対して大変関心を持っておられて、そしてその中で出た話なんですけれども地球上の水力資源というものの三%をエネルギー化できたら、今使っている地球上のエネルギーのすべてを賄えるというようなことを言われていたんです。  また、そのときの三峡に行った目的というのも、一つは、三峡ダムがなぜできるのか。平田参考人の言われていた黒部のダムと同じように中国の三峡もやるべきじゃないかというような提案もあって、実はそのときに行ったわけであります。しかし、中国の場合には、エネルギー問題だけでなしに治水の問題がある、大きな洪水が起きたときには、三カ月も四カ月も泥の中で生活しなければならない、だからこういう大きなものが必要なんだということを言っておられたわけです。  そのときに、この三峡ダムをやることになれば長距離送電が必要になってくる、そうすると、地球上の水力資源を利用しょうと思うと、一万キロの長距離送電ができればどこにでも電気を運ぶことができるという話をされておられました。  しかし、そこで一番問題になるのが、直流で送らなければならないから、直流から交流に変換するときに、今の変換器ではロスが五〇%以上になって長距離送電の意味がないという話になった。そのときに西澤先生は、自分の考えたSIサイリスタという変換器を使えばロスが五%以内でおさまるという御本人の宣伝もされていたわけですけれども、そういうふうに科学技術というものが今まで不可能であったものを可能にしていくのだ。常にそれに向けてどういう挑戦をしていくか。みんながそれが必要だと思う方向を持っていなかったら、それに携わる科学者もそうしたエネルギーをなかなかその方向に向けられないということも出てくるんじゃないか。  そうすると、水力資源のわずか三%でそれだけのことを賄えるのだとしたら、水力というものが、今使われているそれ以上にもっと使われてしかるべきじゃないかなと思うんですけれども、その点について何か御意見がありましたら、ひとつ。
  15. 平田賢

    平田参考人 大変核心をついた御質問だと思っております。  先ほど、一番最後にちょっと時間が足りなくて詳しいお話ができなかったんですが、私自身、ちょっと三峡ダムの現場に行っておりませんけれどもシベリアに何度か参っておりまして、それは、基本的には天然ガスを考えておったわけでございます。シベリアには御存じのように、レナ川であるとかビリュイ川であるとか、水力発電の可能な大きな、しかもほとんど未開発でありまして、包蔵資源が非常に豊富であります。  そういう意味で、先ほど浅岡参考人の御意見にもありましたように、二十一世紀の少なくとも後半は、かなりの部分、いわゆる再生可能というか自然エネルギーに依存していく。天然ガスといえども、確かにCO2発生量石炭の半分ぐらいでありますので比べれば高級な燃料ではありますけれども、やはりCO2を出すことには変わりはございませんので、そういう意味で、二十一世紀の後半は、可能な限り自然エネルギーへ移行していく。そのときに、御指摘の水力というのは非常に大きなポテンシャルであると思っております。  それで、シベリア天然ガスと同時に開発をして、天然ガスに一〇%から一五%ぐらい水素をまぜてくる。それをハイタンと申します。ハイドロジェン・プラス・メタンという意味で、合成語でありますけれども、そのハイタンにして、次第に水素の濃度をふやしていくと、二十一世紀の後半には純水素を送る時代になるかと思うんですけれども、それが一番最後の図でございます。  アメリカにワールドウォッチ研究所という非常に有名な研究所がございますけれども、そこの副所長のクリストファー・フレービンというのが先日日本にも参りまして、これは九五年に本を出しまして、その結論がそういうハイタン戦略でありまして、水素をつくる、その水素をつくるためには水力とそれから風力ですね。シベリアには風車を建てても余り周りに影響のない地域が非常に広いわけでありますから、それで水を電気分解しながら水素にする。  それで、先ほどのお話のように、水力発電をいたしまして、高圧送電であるいは直流送電でロスを少なくして送ってくるということも、これも大事な戦略だと思いますが、ガス体というのはパイプで運びますのでロスがないんですね、漏れたら困るので。現実に、シベリアパイプラインは永久凍土の対策がやや不十分で、今ヨーロッパに送っております七千キロの長距離パイプラインというのは大分がたがきているということを聞いておりますが、将来、二十一世紀、我々が今お手元に配っておりますようなアジアパイプラインの場合には、永久凍土対策も十分にして漏れないようにするということは、少なくとも高圧送電あるいは直流送電よりはロスが少ないと思っております。  そういう意味で、御指摘の点、非常に私、大賛成であります。
  16. 戸井田徹

    ○戸井田委員 どうもありがとうございました。  そのときに西澤先生は、もう一つ言っておりました。それは、自分の考えた光ファイバーのことで、その技術日本のある大きな企業に、これを利用すべきだということを何遍も言ったけれども、そのときに相手にしてくれなかった。余り相手にしないものだから、しゃくにさわってアメリカに持っていったら、もうアメリカではこれは大変なものだということでもって、即座に使うことになった。それが今の日本アメリカの差だということをその当時言われておられたわけであります。  そうすると、科学者がいろいろな形でそういうことを考えていっても、それを具現化していく上で、企業との関係というものは切っても切れない関係にあると思うわけですね。そうすると、企業がそういったものに対して、科学者の考えたこと、また技術者が考えたことを、どうそれを将来を見る目を持って導入していくか、そこは大変難しいのだろうと思うんですけれども、その辺はやはり企業の姿勢にもよるのだろうと思うのですね。  何とも言いづらいというか、どういう表現をしていいのかわからないのですけれども、結果論からすれば、うまくいけばそれは当然そのときにやってしかるべきだと思うけれども、その最中に、株が上がるか下がるかというのと同じようなもので、そのときに上がるとわかっていれば買うけれども、下がるのがわかっていれば買わない。だけれども、それはわからないときに買わなきゃならない現実というものを考えたときに、やはり企業の姿勢というものでかなりの影響が出てくるのじゃないかなという感じがするのですね。  そういう意味で、先ほど加納参考人は大変前向きなお話をされていたような気もするわけですけれども、これから、恐らく技術的にも採算が合わないかもわからない、だけれども、大きな企業であれば、日本を代表する企業としてそういうものにあえて首を突っ込んでいかなきゃならない、手を出していかなきゃならない、そういう大きな企業としてはまた責任があるだろうというふうに私は思うわけですね。そういうことに関しては、加納参考人、どういうふうにお考えでしょうか。
  17. 加納時男

    加納参考人 加納時男であります。  戸井田先生の非常に核心をついた御質問でございます。目先採算が合わないものに対して、ビジネスとして、企業としてどう取り組むかということでございます。  私どもとしましては、あくまでも経団連という立場でお答えさせていただきますけれども、二つの側面を持っていると思います。企業として採算性をもちろん追求してまいります。しかし同時に、もう一つの面は、我々は、さっき申し上げたように地球企業市民であります。  これをあわせますとどういうことになるのかといいますと、私どもの言葉で、エコ・エフィシェンシー、日本語ではちょっとうまく訳せないのですが、環境効率性というふうに訳している方もいらっしゃるようです。この考え方というのは、エコロジーとエコノミーというものは二律背反ではない。例えば、経済性を考えると環境を阻害し、環境を考えると採算がとれないという在来型の発想ではなく、環境制約こそ実は新しいビジネスのチャンスであるし、あるいは経営を革新するチャンスであるし、今先生の御指摘になられた、長期的に見て、これは非常に重要な技術開発のいわば刺激剤であるというふうに受けとめております。  もとより、研究開発についての国と企業との分担ということも先生の御質問の中に当然あると思います。私どもは、先導的、基盤的かつ長期でリスキーな分野の研究開発は、どちらかというと国の役割であり、今のと逆に、より実証的に近い分野になればなるほど企業の方の分野かなと思っております。もちろん、企業の中で非常に長期的な基礎研究はやっておりますけれども、大まかな分担をするとそういうことであって、それが政府と研究機関、企業とのパートナーシップということで、これからまた大事な問題として、この環境問題を追求していく場合に出てくる問題かなと思っております。
  18. 戸井田徹

    ○戸井田委員 ありがとうございました。  九七年三月三十一日の読売新聞なんですけれども、「日本経済本当に弱いのか」ということでもって、牛尾治朗さん、当時経済同友会の代表幹事にインタビューした記事なんですけれども、そこにこういうことが載っているのですね。   かつて松下幸之助さんから、「一〇%のコストダウンは難しいが、四〇、五〇%のコストダウンは意外とできるもんだ」と聞いたことがある。自動車、エレクトロニクスなどは、一ドル=百三十円、百二十円を突破した時、松下さんのいう四〇%のコストダウン、つまり根本的に物の考え方を変えざるを得なかった。原材料を国産から外国産に切り替え、国内の工場を海外に出す。その結果、つらいながらも、八十円でも赤字にならない見通しが立ち、今百二十円台だからますます競争力が出てきた こういうのが載っているのですね。  これは経済のことなんですけれども環境のこうしたことも同じことが言えるのじゃないか。先ほどの浅岡参考人ですか、言われていたような、こうできるかじゃなしに、こうするのだという、まさにそういうところだろうというふうに思うわけであります。そこに人間の努力、英知が結集して、かなわぬものも可能になってくる。そういう姿勢でいかないと、この地球環境問題というのは乗り越えていけないのじゃないかな、私はそういう気がいたします。  そして、平田参考人資料だったかと思うのですけれども、「二〇〇〇年における各国の二酸化炭素排出量の見通し」ということでもって、それぞれ、デンマーク、ドイツ、オランダ、ずっと出ているわけですね。デンマークとオランダ、この二つに私目がとまりまして、デンマークも総排出量もそんなに多くない一千五百九十一万トン、オランダも四千七百四十五万トン。それが二〇〇〇年には、デンマークは七・九%減、オランダは三・七%減。日本は三億二千万トンですね、そして二〇〇〇年には二・三%増。アメリカは十三億六千七百十二万トンで、二〇〇〇年には三%増ということになっているのですね。  このデンマークとオランダというのは、全然関係ないのですけれども、ODAの拠出金、その中でもって〇・七%というものが一つの目標値として義務づけられた。それを一番に達成しているのがやはりデンマークなんですね。そして、同じようにオランダも〇・七を超えている。あと、北欧諸国がその当時たしかほとんどだったかと思うわけであります。全然環境問題とは関係ないのですけれども、なぜ北欧諸国がこうした国際的な約束事をきちっと守っていくのか、そういうことを非常にうらやましく思ったし、またそうあらなければならないのじゃないかなということも実はそのとき感じたわけであります。  そして、担当の外務省の局長にお話ししましたら、なぜそういう国々はそういうことが達成できるのだということを聞いたら、自分たちはきちっと教育をしている、国民に教育をしているということらしいのですね。そうすると、日本国民に対する教育ができていないのだろうか、国民に対して情報がきちっと提供されていないのだろうか、そういうふうに思わざるを得ないわけであります。  先ほど浅岡参考人が、憲法の前文のことを引き合いに出して、やはり名誉ある地位を占めたい。それはアメリカから押しつけられたという言い方もあるかもわからないけれども日本が終戦後の食うや食わずのときに、自分の頭のハエを追えないときに、非常に大きな理想と夢を持ってその憲法をつくってきた。そうすると、五十年たって、今自分たちが食うに困らず、着るに困らず、雨露しのぐ家に困らない、そういう生活環境の中で生きていながら、既に五十年前に持っていた日本人の大きな理想というものを忘れてしまったのじゃないか、世界では経済的にトップレベルの力を持ちながら、いつしか心の中はすさんでしまったのじゃないか、そういう気持ちを持たざるを得ない、そういう気持ちがするわけであります。  どうかみんなでこの地球環境問題に対しては、世界からばかにされることのない、そして世界の国から、さすがは日本だ、日本を手本にしようと言われるような、そういう行動をとっていきたいなというふうに心から思うわけであります。  あともう二、三分しかないのですけれども最初浅岡参考人に対して大変失礼なことを申し上げたのですけれども、残りの時間、思いのたけをここの委員に対して精いっぱい言っていただけたらというふうに思っております。
  19. 浅岡美恵

    浅岡参考人 貴重な機会を与えていただきましてありがとうございます。  今先生のお話を聞きながら、その先生のようなお気持ちは、私は国民の本当に共通するものではないかと思います。だれしも、今のようなことで済むはずがない、何かおかしいと思っているからこそ、世論調査をいたしますと我々が逆にびっくりするほどの高い数字が出てまいるのだと思います。この気持ちをどうしたらもう一歩前に進めることができるのか、進めさせることができるのか、このことを私どもは今考えながら、COP3に向けて、またその後を見ながら仕事をしております。  何と申しましても、本当に大事なのは、今問われておりますのは、明確なる毅然とした削減社会をつくるのだという、またそれに挑戦し、ビジネスもそこを生き残っていくのだ、それこそビジネスチャンスだととらえられた強い政治的意思だと思います。そのことをお示しいただけるのは、やはり政治家の先生方でありますし、内閣総理大臣そのものでございます。私どもは、そうした政治のリーダーシップというものを国民が待ち望んでいるということをお伝えしたいと思います。
  20. 戸井田徹

    ○戸井田委員 頑張ります。
  21. 山元勉

    山元委員長 次に、岩國哲人君。
  22. 岩國哲人

    ○岩國委員 太陽党を代表して、また各党の理事方々の御了解をいただきまして、こうした質問の時間を与えていただきましたことをまずお礼申し上げたいと思います。  先ほどの戸井田議員とはちょうど違った海、瀬戸内海に向かった戸井田さんの地域と違う日本海の方で、私は市長もさせていただいておりました。そうした小さな市ではございましたけれども、私も環境問題には市民と一緒に取り組み、例えば風力発電を、中国電力の御協力、通産省の御協力をいただいて取り入れて、そして日本海の強い風を受けながら、そしてそれを市民教育また児童教育にも使えるように、そのようなことも実行いたしましたし、また、ごみの固形化あるいはごみを使ったごみ発電、これも既に実行に入っております。  あるいは、近藤次郎会長においでいただきまして、世界各国との協力のもとに、地球地図会議、こうした温暖化環境の問題の取り組み、解決のためには、正確な地球地図がなければ、地形の変動あるいは気候の変化というものを定量的に定期的にフォローすることはできない、そうした人類史上最初の取り組みということも建設省あるいは国土地理院の皆さんと一緒に取り組みをさせていただいたり、またそれが市民のためにも、そうした環境にすぐれたところほど環境問題に不熱心なのが世の常ですけれども環境にすぐれたところでもそうした環境問題に関心を持たせようという試みでもありました。  あるいは、緑を大切にする、そういう樹木医、樹医制度と言っておりますけれども、緑のお医者さんの制度を日本最初に取り入れる。  そういういろいろな取り組みをしてまいりましたけれども、きょう四人の参考人皆さんのお話を伺いまして、これほど熱心にそれぞれの立場において取り組んでいらっしゃる、我々は国会議員の一人としてそれ以上の努力をしてきたんだろうかという胸の痛みを覚えました。大変いい勉強をさせていただきました。  そこで御質問させていただきますけれども浅岡参考人資料の中に、そうした日本の政府の取り組みに対する七不思議といったようなとらえ方をしていらっしゃいます。それぞれ適切な御指摘だと思いますけれども、その七不思議に、私だったらまだまだ不思議なところがある。  例えば、あと二つの不思議。一つの不思議は、そうしたライフスタイルのこれからの転換。大量生産、大量販売、大量消費、そういう時代から企業もそして消費者も脱却すべきだということを常に浅岡さんは強調されます。そのとおりだと思います。  であるならば、私たちの身の回りにあるあの自販機、世界から来る人たちがこの日本に来て、この狭い日本になぜあれほど自動販売機がはんらんしておるのかと。あの自販機のある生活から脱却するということこそ、私は、一番女性の皆さんが力を発揮でき、そうしたライフスタイルはまさに買い物スタイルそのものではないかと思います。お母さんがそういうところで物を買う、子供が見ている、そういう日常茶飯事の何でもないことが、結局、大量生産、大量販売、大量消費の根を断ち切ることのできない原因の一つではないかと私は思います。  その点について、簡単で結構ですけれども浅岡さんの運動の取り組み、その中でどのように位置づけていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
  23. 浅岡美恵

    浅岡参考人 御指摘のとおりだと思います。  このKikoと申しますのは、私どもが出してまいりました、準備会合などの特別な場におきまして各国政府の代表団に向けまして問題提起をするということでつくっておりますもので、これにつきましては英語版もつくって会場配付をいたしましたが、先生の御指摘のような、いわば国内、私たちの問題というものをここに盛り込めてはおりません。それは、関心がないということではございませんで、私たちが行っております学習会やシンポジウム、そうした機会におきましては常に議論になるところであります。  自動販売機につきましては、原子力発電所の一基半分から二基分とも言われている電力を消費しておりますし、二十四時間稼働しております。特に、夏場のピーク時にそれが大きな負担になっているということもそのとおりだと思っております。  それで、私どもが時々議論いたしますのは、電力の安定供給ということを電力会社の皆様はおっしゃるわけでありますが、もしどこか供給削減をすることがあるとすれば、この自動販売機を特定契約をいたしまして、一定のピーク時を超えればそこからとめるとかいうふうにでもしてまいりますれば、よほど市場から撤退させるようなインセンティブにもなるのではないか。また、これは一種の消費者問題も含んでおりまして、私は弁護士として、この普及のためにさまざまな消費者トラブルを招いたことも承知しております。  そうした観点からも、これは抜本的に改善していただけるような制度システムをおつくりくだされば大変ありがたいと思っております。
  24. 岩國哲人

    ○岩國委員 大変ありがとうございました。  エネルギー小国と言われながらこうしたエネルギーのむだ遣い、たとえ省約型の自販機ができたとしてもむだ遣いであることには変わりはないと私は思います。  また、加納参考人がおっしゃいました、またその資料の中にも、廃棄物をこれから資源とみなしていかなければならないという御指摘があります。そのとおりだと思います。  しかし逆に、資源そのものが最初から廃棄物、言ってみれば、こんな製品はつくられたときからもう廃棄物とみなさなければならないような、その一つは私は自販機ではないかと思っております。廃棄物を資源とみなすのではなくて、資源、製品そのものが最初からもう廃棄物だ、このような考え方が必要ではないかと思います。  このようなエネルギーの大量消費、そしてまたポイ捨てという、町の美観を汚す、町づくりに政府も自治体も金をかげながら、できたきれいな町がたちまち自販機で汚されてしまう。青少年の非行問題、そして何よりも、商売の原点、店の中で物を買っていただくという原点を忘れた商人のあり方。自販機に物を売らせて、そして中に入ってくるお客様の数を減らしてしまう、そのような商店街に補助をすべきではない、そのようにさえ私は思っております。  そうした自販機のあり方というものについて、経団連の取り組みというものがもっと積極化することを私は願いながら、加納参考人に、時間の関係で一つだけ御質問させていただきたいことがあります。  それは、経団連の自主行動というものをこれから公表し、それから定期的なレビューをしていく、これは大変大切なことだと思います。その際に、国際社会、国際化時代でございますから、当然企業の国際間競争があります。また、資金調達の面でも、最近の株式市場の世界的な連動性の面、またその株式市場を使った資金調達。そういうときに一番大切なのは、企業の経費をどのように、あるいは企業の利益水準をどのように各国のアナリストが評価していくか。  そのときに、環境に取り組む姿勢はどうなのか。今まででしたらRアンドD、研究開発費はどれぐらいあるかということでもって、アナリストは将来の成長性を評価し、高い株価をそれで位置づけてきたわけです。このように京都における国際会議ということが行われ、政治や行政の場での国際基準を統一していこうという動きが今出てきておりますけれども、経済社会の面で個々の企業の国際比較をするときに、環境への取り組みあるいはCO2削減にどれだけ努力しているかということをアナリストに企業情報として開示し、それを堂々と評価してもらい、その評価を受けて国境を越える投資活動あるいは資金調達をする、そのような時代が来ていると思います。  このような日米の会計基準の統一化については、東京電力さんも日本の各企業さんも大変努力してこられたわけで、そして、日米のそうした企業の比較というのは最近はかなり統一され、例えば退職給与引当金の比較であるとか、あるいは研究開発の比較というものがそのまま簡単にできるようになりました。  しかし、私がお伺いしたいのは、日米欧の会計基準の統一。こうした二十一世紀を目前にして、環境時代ということが企業社会においてこれだけ大きく評価され、そして何度も繰り返される。加納参考人のお言葉ですけれども地球企業市民権、企業市民であるためには、まずそうした会社の環境、あるいはCO2削減の努力というものが数字でよく見える、そして投資家にそれがわかりやすい、アナリストもそれを国際比較がしやすい、そのようなところにまで行かなければ、私は、国際政府間の協力というものが結局経済社会にしっかりと根をおろしていかないのではないかと思うのです。  企業社会における名誉ある市民でありたいというお気持ちは私は高く評価しながらも、しかし最近の日本の企業における、国際社会の中において軽べつと侮辱の中で競争していかれるそのような経営のあり方というものに対する挑戦としても、これは天から与えられた非常に大きなチャンスではないか。日本の企業こそ国際企業社会における名誉ある市民である、そのためには、まず会計基準の統一ということが必要ではないかと思います。これに対して、経団連としてどのような取り組みをしていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
  25. 加納時男

    加納参考人 参考人加納時男であります。  岩國先生、大変示唆に富んだ御指摘、ありがとうございました。また、御質問に即お答えしたいと思います。  先生の御指摘のポイントは、いわばグローバルスタンダードといいますか、今あらゆるものが国際的な基準で共通化していく必要があるのではないかということでありまして、企業会計につきましても、これの国際的な基準化、特に日米欧の間の基準化については非常に重要なことだと認識しておりまして、そういったことも頭に置きながら進めていくということが大事だと思っています。  お話の中で特に強く印象づけられましたことは、コーポレートガバナンスを先生恐らく指摘していらっしゃるのではないかと思います。岩國先生が大成功をおさめられました、かつて御在籍だった企業経営者としての御経験も、私ども尊敬を持って伺ってきたわけでございますけれども、私ども、やはり投資家だけのものではないと思っています。企業は投資家のためというのはフリードマン的な考えかと思いますが、私どもは、ステークホルダー、つまり企業に対する利害関係者は、経営者、投資家、株主、それに加えて金融機関、あるいは消費者、それからもっとさらに将来の市民、将来の消費者も利害関係者だという認識をして、コーポレートガバナンスを認識してきているつもりでございます、少し青臭い議論かもしれませんが。  そういう意味で、私どもは、グローバルスタンダードを考えていく場合に、例えば環境についての基準という先生の御指摘については、ISO14000シリーズが発効いたしましたが、これを積極的に各企業に導入するように経団連として働きかけております。  もう一つ、先生おっしゃいました情報開示でございます。企業関係について、確かに最近いろいろな不祥事があることは事実でございますが、環境関係の事情につきましても、私どもはともかく企業情報を開示していく、私どものお約束しました、毎年レビューをしていくということで透明性を高めてまいりたいと思います。透明性を高めるための方策としては、いろいろな学者の方々からの御提案も今いただいておりますので、そういうことも頭に置きながら、より透明性の高まるレビュー方式も考えてまいりたいと思います。  ありがとうございました。
  26. 岩國哲人

    ○岩國委員 もう時間がなくなってまいりましたけれども、御説明ありがとうございました。  最後にもう一点。デポジット制について、日本の経団連としての取り組みは私はいささか足りないような気がいたします。私も行革審の専門委員として一年半、その中に企業の代表の方もいらっしゃいましたが、非常に慎重な御発言に私は失望したことがあります。  こうした大量生産、大量販売、大量消費というサイクルを変えていくためには、私は、デポジット制というやり方でもって地方自治体の負担を軽減するということに企業も力をかすべきではないかと思うのです。売れればいい、そして消費者がそれをどこかへ捨てればいいということではなくて、捨てさせない、そのためにはデポジット制が必要だと私は思います。それも単に飲料とかそういったレベルだけではなくて、自動車も含めたデポジット制が必要ではないかと思います。簡単で結構ですけれども、よろしくお願いします。
  27. 加納時男

    加納参考人 加納時男でございます。  先生の御指摘、大事だと思います。しっかり受けとめて勉強したいと思います。  デポジット制について一言だけ言わせていただきますと、私自身が消費者でありますし、私は四人の子供の父親でありまして、PTAも十一年やってまいりました。そういうことで私は、リサイクル活動を市民運動としてもやってまいりました。デポジット制はいろいろなところで私は提案をし、発言をしてきております。  経団連としましては、この問題は真剣に考えております。うまくワークしていないではないかという御指摘ですが、これは三者の協力関係、自治体と消費者と企業、これがしっかりと手を組んでこのデポジット制というものを前向きに考えていくべきではないかと思います。現在、これを進めるに当たってさまざまな、きょうは時間がないので申し上げませんが、一つ一つ克服しなければならない問題がありますので、まだちょっと時間がかかっておりますが、将来的な方向としては、先生御指摘のとおり真剣に考えるべきものと考えております。
  28. 岩國哲人

    ○岩國委員 時間が終了いたしましたので、質問を終わらせていただきます。参考人皆さん、どうもありがとうございました。
  29. 山元勉

    山元委員長 次に、大野由利子さん。
  30. 大野由利子

    大野(由)委員 参考人の皆様、きょうはお忙しい中を大変ありがとうございます。  京都会議が大きな歴史の転換点になり、日本が議長国の大役を果たせるようにということで、それぞれの立場で大変御努力をいただいていますことに心から御礼を申し上げますとともに、私ども会議員も、皆様方とともに力を合わせてしっかり頑張っていきたい、このように思っております。  初めに、私は、先ほど浅岡参考人に大変、ちょっと失礼な意見も出たものですから、先にちょっと感想を述べさせていただきたいと思うのです。  日本は欧米に比べましてNGOが育っていない、このように長年指摘されてきたわけでございますけれども、今回COP3を目指しまして、気候フォーラムのNGOの皆さんが大変御活躍をいただいているということを本当に国会議員の我々は心から感謝しなくてはいけないのではないか、我々ができないことをNGOの皆さんがやってくださっていることを心から感謝をする、そういう認識の上で、言いたいことはもちろん何を発言してもいいかと思うのですが、その認識がまず必要ではないか、私はこのように思っております。  地球温暖化防止というのは、やはり何といっても国民皆さんの盛り上がりが必要でございまして、その国民皆さんの盛り上がりのために、合意を得る、コンセンサスを得るために大変時間はかかるわけですけれども、そのプロセスが大事でございまして、何かお上がこうするのだと決めてこうするのだというのであっては、それは決して大きな地球温暖化防止にはつながらないし、またそういうやり方というのは失敗してしまう。私どもは、このCOP3の活動を通しまして、成功を通しまして、本当に、民主主義と申しますか、一人一人の国民が主役でやっていかなければいけないのだ、COP3はそういう大きな試金石でもある、そういうふうにとらえて頑張っていきたい、このように思っております。  質問でございますが、初めに平田参考人に伺いたい、このように思います。  技術面から、大変壮大でそして夢のある御発言をいただきまして、大変希望を持ったわけでございますが、エネルギー転換を進めるとCO2削減が大幅に可能だ、そういうお話でございました。また、エネルギー転換部門及び産業部門の努力の寄与が約八割を占める。また、いただいた参考資料の中に、地球温暖化対策技術評価検討会の座長をやってこられたということでございますが、二〇一〇年における部門別CO2削減可能性は一九九〇年度の総排出量の約一八%に相当する、このようなお話を拝見をいたしまして、私は大変希望が持てる、このように思ったわけでございます。  しかし、例えばコージェネレーションの施設容量が総発電施設容量に占める割合、ドイツが一五%でオランダが二四%、日本は一・六%にすぎない。なぜこんなに日本はおくれているのか、これを大幅に拡大すれば十分可能だ、そういう御意見だと思うのですが、もう一回ちょっと伺いたいと思います。
  31. 平田賢

    平田参考人 これも核心をついた御質問をいただきまして、ありがとうございます。  まず、私、ちょっと立場を説明いたしますと、パイプライン研究会の座長を務めてまいりましたが、そのほかに、日本コージェネレーションセンターと申しまして、コージェネレーションの推進、普及を図り、また技術開発を図るという組織の座長をやってまいりました。  熱力学的な省エネルギーの一番基本は、熱を高温から低温まで丁寧に使ってくることだ。まず各家庭で、ただ単にFF暖房をやるとか、あるいは、私のうちも残念ながらガスぷろだけれどもガスをつけてふろをたく前に、各家庭に例えばエンジンを一台ずつ配給して、都市ガスに火をつけたらすぐエンジンを回す、そこで自家発電をした後、その廃熱ふろに入ってくれ、例えばそういうことを言ってきたわけであります。  それは、なかなか現実には、そのエンジンのメンテナンスだけで大変なことになることは目に見えておりますが、ただ、先ほどちょっと申しましたように、将来、水素時代になって、水素が各家庭に入ってくるようになりますと、そのときには燃料電池が各家庭に入って、電気がつくられて、クリーンに騒音もなく、それからおふろに入るということも可能になってまいります。完全にもう分散型の電源になる。  そういう意味で、この流れを推進したいというふうにかねがね思ってきたわけではございますが、日本の場合、まさに御指摘のように、日本の全電源設備容量の一・七%ぐらいまでやっと育ってまいりました。今、全コージェネレーションの施設の設備容量が約四百万キロワットで、原子炉四基分ぐらいに相当いたします。ここまで、今、年に四十万キロワットぐらいずつ進んでいるわけなんですが、始めましてから約二十年になりますけれども、やっと定常状態に少しずつ入ってきた。  しかし、これは遅いじゃないかとおっしゃるわけでございますが、よく言われるのですけれども、熱の使い道がない。コージェネレーションというのは、電気を出し、その廃熱をきちんと使わない限り余り意味がない、よくそういう御意見が出てくるのですが、私、会長がそんなことを言ってしまうとちょっとまずいかもしれませんけれども、大事なことはやはり電気をつくることでございまして、情報化社会の進展ということを考えますと電気は必需品であります。電気は非常に高級なエネルギー形態でありますから、熱を完全に使い切るということに余りこだわりますと、やはりユニットのイニシアルコストが非常に高くなります。  それで、もともと捨てていた、しかも温度の低い熱はふろに入るか暖房するぐらいしかない。そこに余り、温度の低い熱を必死になってというか、コストをかけて使い尽くすというのはやや今までオーバーに過ぎていると思っております。  逆に言いますと、もう一つエネルギーの大事な法則がありまして、エネルギーは不滅である、形は変えていくけれども日本国じゅうでつくり出したエネルギー最後に全部常温の熱になって環境の中に入っておしまい。そこにエネルギーの保存則があるわけでございますけれども、その常温の熱のちょっと手前、例えば暖房であるとかふろであるとか、四十度とか二十度とかという低温の熱は、日本国じゅうでたいた一次エネルギーは全部そこへ向かって流れおりてくる。ですから、それを途中でつかまえておふろに入るシステムがあれば、一日ふろに入ったって使い切れない、一日暖房をどんなにオーバーにしていたって使い切れないのですね。  今まで残念ながらそのシステムがなかった。要するに、各家庭にお湯を供給しながら発電をするというシステムがなかっただけの話でありまして、そういうことを考えますと、低温の熱の使い道がまだまだ不十分ではございますけれども、それを余りにお金をかけてやること自体は非常に問題が実はあると思っております。  そういう意味で、適当なところで、廃熱を回収しながら余りお金をかけずに、もともと捨てていたエネルギーで一部ふろに入れれば、それがコージェネレーションの目的を達成することにつながると思っております。  それから、実は先ほどの戸井田先生の御質問にちょっと関連するのですが、なぜデンマークとオランダは非常にヨーロッパの中でCO2削減にリーダーシップをとっているかということなんですけれども、まさに教育の問題もございますけれども、両国のコージェネレーションの普及率というのは膨大なものです。今御指摘ありました、全電源設備容量の約三〇%でありまして、これを二〇〇〇年までに四〇%にする、二〇一〇年までに五〇%に持ち上げる。そうすると、全電源設備容量の半分はコジェネなんですね。それで、その廃熱は、確かにデンマーク、オランダは寒いですから、地域暖房に使い、それからオランダは花のハウスですね、使い道がございます。  日本は温暖ですからそういう使い道がないということは確かなんですけれども、コストをかけて低温の熱を一生懸命回収するということではなくて、適当にコージェネレーションの目的をきちんと達成できるようなシステムが分散型で普及できれば、もうそれで私は目的を達するだろうと思っております。  ありがとうございました。
  32. 大野由利子

    大野(由)委員 近藤参考人に伺いたいと思うのです。  今の平田参考人の出された報告の中に、一九九〇年の総排出量の約一八%削減が可能と。しかし、エネルギーの需要そのものがどれだけ伸びるかということによって変わってくるわけです。エネルギーの需要そのものがどれだけ伸びるかというそのことの上で、そこからこれだけ削減したらこうなるという、今回、きょう総理に提出をされたという地球温暖化問題への国内対策に関する関係審議会合同会議、九つの審議会でまとめられたこの中に、大変な御苦労があったと思うのですが、見させていただきますと、産業部門、民生部門、運輸部門、これだけ伸びる、でもこれだけCO2削減するというのが出ていますけれども、これは、先ほど平田参考人のおっしゃったようなものは全部入っているのでしょうか。
  33. 近藤次郎

    近藤参考人 お答え申し上げます。  平田さんの御指摘のものは、入っておりません。  それから、もう一つ申し上げますと、経済成長を二%と見積もっております。そしていろいろな数値を出しております。それも議論はございました、経済成長二%というのはオーバーではないかと。これが前提になって、各民生、運輸、産業部門、そこでどれだけエネルギーが必要になるか、これが前提になっております。  以上でございます。
  34. 大野由利子

    大野(由)委員 あわせてもう一度伺いたいのですが、これから温室効果ガスの排出量がどれだけ将来伸びるかということについて、これもやはり国民合意の上で、これだけ伸びるという合意があった上で、それを削減するためにはこうだというのが必要だと私は思うのですが、この国民合意というものは得られたんでしょうか。  もちろん、人によって意見がいっぱい違いますから、たった一つにまとめるのは難しいかと思うのです。いろいろなシナリオによって、三つなり四つなりこういうシナリオが考えられるということで幾つか代替案みたいなものも出てくることは必要だと思うのですが、私、その報告書を見させていただいたら、まずシナリオが出ていないですね。たった一つだけ数字が出ているのですが、この数字に対して国民合意があったのかどうか。審議会でこれも大変もめたんだけれども政府にこうだと言われたからそのまま受け入れられたのかどうなのか、その辺の詳しいことを伺いたいと思うのです。
  35. 近藤次郎

    近藤参考人 お答え申し上げます。  国民合意を得ることが極めて重要でございまして、実は審議会のメンバーの中にも、例えば鷲尾さんが入っておられますし、それから吉岡さん、これは主婦連の事務局長でいらっしゃる方が入っておられます。そのほかに、十月の末でございましたが、東京と大阪の二カ所で、合同会議主催のもとに、国民の方の御意見を拝聴する会を持ちました。所要時間はたしか二時間少々だったかと思います。東京でも大阪でも、七名七名、つまり十四人の方、それから大阪も同じく十四人の方、気候フォーラムのお話が出ましたが、NGOの方々も含みます。もちろん、産業界と申しましても、経営者側ではなくて労働組合、例えば日本製鉄の労働組合の組合長さんでしたか、そういう方もお招きいたしました。実に多様な御意見を伺いました。  その意見をせっかく聞いて、聞きっ放しになっているではないかという御指摘もあろうかと思いますし、実際に新聞にもそういう御不満の意見があることが出ております。しかし、その意見を個々一々、NGOのヒアリングによれば云々と、一番最初のところでヒアリングをやったということは書いてございますが、それから、経団連はこうおつしゃった、通産省はこのように、環境庁はこのように、運輸省もございますが、そういうような、発言者のどの方がどうおっしゃったかということは一切書いてございません。しかし、一番最後のまとめのところにも、たしか十四ページでございますが、「国民意見により一層耳を傾け、」と書いてございまして、これが本日公表されると思いますので、いろいろな御意見が伺えるものと期待しております。  時間と場所の制限がございますので、確かに全国津々浦々まで回ることができれば理想的でございますが、そうではございません。そのことは、時間的、場所的、経済的なこともございましてできませんでした。しかし私どもは、ここに書かれている中に国民の御意見が入っていないとは決して思っておりませんで、委員先生方も、国民はこうだとか、労働組合ではこのように考えているんだというようにおっしゃっておられました。  以上でございます。
  36. 大野由利子

    大野(由)委員 近藤参考人にもう一つ伺いたいのですが、この合同会議報告書の中に二十基の原子力発電所の増設を書かれております。先ほど、異論がなかった、両論併記にならなかったということもおっしゃいました。これは政府の第二回日本報告書にもそういうふうに書かれていますし、橋本総理もおっしゃっていますから、これは政府の方針だろう、このように思うわけです。  しかし、御存じのように、原発の建設には、電調審を通過してから着工して運転まで九年から十年かかっているわけですね。現在建設予定になっているものが全部実現したとしても、二〇一〇年までに十基しかできないのですよ。それも十基予定どおり進むという保証は何もありませんで、この十基の中には、この前住民投票で反対になった新潟県の巻町の原発の計画書も入っているわけです。  ということは、二〇一〇年に十基もできないということが明白なのに、二〇一〇年に原発二十基を想定しているということは、これは何を意味していらっしゃるのでしょうか。CO2削減が無理なときの理由づけができるように今からそういう予防線が張ってあるのか。国民が反対しようが何しようが、二十基今からもうすごい勢いで何が何でもやるんだ、そういう意味で入っているのでしょうか。どちらなんでしょうか。簡単にお答えいただければと思います。
  37. 近藤次郎

    近藤参考人 お答え申し上げます。  この二十基というのは、もちろん安全性その他、申し上げませんが、国民合意があればすぐにできることです。十年以内にできることでございます。  その一行前に、新エネルギー千九百十万キロリットルと書いてございます。この新エネルギーのことも、これは皆さん、新エネルギーというように申し上げますと、国民の方は反対なさいません。しかしながら、本当に新エネルギー、つまりソーラーエネルギーその他、平田参考人がおっしゃられたように非常に技術的な裏づけが、ソーラーハウスその他ございますけれども、それが果たして千九百十万キロリットルに相当するまでいくだろうか、これは問題でございます。  それではどうしていくのかと申しますと、一番最後ページにも書いてございますが、フォローアップしなければいけない。私たちはそれまでに、これは一応は二〇一〇年を目標にしておりますが、二〇一〇年までにフォローアップを行うということでございます。  総理からも、フォローアップはだれがやるんだ、たった今こういう御下問がございました。フォローアップは、委員方々は、例えば合同会議、今まで先例のない会議でございますが、通産省も環境庁も入っているそういう合同会議がやるということも一案でございます。しかし、問題によっては、例えばエネ庁と中央環境審議会のある部門が合同して審議をする。このフォローアップで担保されておるとお考えいただきたいと思います。  もう一つ申し上げることをお許しいただけるならば、もう一つ手前の十三ページに、「革新的な技術によるブレイクスルー」ということがございます。これは、私自身が関心を持っておりますのは、資料の一番最後ページに絵が載っておりまして、冒頭の陳述で引用させていただいたのですが、平田参考人が言われたものもその中に入っておるとお考えいただきたいと思います。  以上でございます。
  38. 大野由利子

    大野(由)委員 平田参考人に伺いたいのですが、原発というのはコージェネレーションに向かないのではないか。  最初三百度ぐらいの温度ですね。それで、さっき、ガスタービンで五百度にして使うこともできるとおっしゃいました。でも、ガスタービンで五百度に上げるためには、また新たなエネルギーが必要なわけですよね。先生のお話ですと、千五百度ぐらいからだんだん温度が下がってくる、その熱量を全部有効に使うと価値的だというお話だったと思うのですが、そういう意味では、原発は最初が三百度、下がってくると二百度、百度になるわけですから、コジェネにはどうなのでしょう。
  39. 平田賢

    平田参考人 実は、コージェネレーション、先ほど来お話がございますように、現在、頑張ってみても一・六%、四百万キロワットと申しました。しかし、この原理は、まさに御指摘のように、熱を上から下まで使うというか、温度が高い熱をエンジンに使って発電をし、その廃熱ふろに入るんだと先ほど申しましたが、この基本的な発想はいろいろ展開可能であります。  例えば、スーパーごみ発電にいたしましても、スーパーごみ発電というのは、先ほど申しましたように、日本ごみはどうしても燃やすと塩酸が出てきて非常に使いにくい。それで発電するためには、ボイラーのチューブが腐食を起こさない三百度以下の蒸気で回す。ただ、それだけでは効率が余りにも低過ぎる。今、三百度の蒸気蒸気タービンを回しましても熱効率が一一%とかで低過ぎるので、その三百度の蒸気ガスタービン廃熱で四百度とか五百度まで引っ張り上げるのですね。  その同じ原理原子炉に使おうということでして、原子炉は今三百度C以下の蒸気で常時動いております。その三百度の蒸気ガスタービン廃熱で五百度まで引っ張り上げる。すると、そこの部分だけはコンバインドサイクルになるわけですね。その蒸気の一部は原子炉が出す。それから、残りの出力は、例えばガスタービンにたく燃料天然ガスであるか、あるいは灯油であるか、油でも結構ですが、いずれにいたしましても、CO2の少ない燃料で、一番望ましいのは天然ガスですけれども、それでガスタービンをたいて、それの廃熱原子炉から出てきた蒸気温度を引っ張り上げる。それで総合的な熱効率が一挙に五〇%近くになる。そういうことを言っております。  ですから、原子炉そのものはどうせ、どうせと言ったら言葉は悪いのですが、現状のままで三百度の蒸気で満足して回っているわけでありまして、それじゃもったいない、その蒸気温度を引っ張り上げることによって、もっとさらに一段と効率よく使えるはずだということを言ってきているわけであります。
  40. 大野由利子

    大野(由)委員 浅岡参考人に伺いたいのですが、COP3の準備会議でボンに行ってこられて、世界日本政府案に対するいろいろなものを目の当たりにしてこられたと思うのですが、世界の各国がどのように日本の政府案について見ているのか。五%という数値そのものもちょっと低過ぎるのじゃないかという思いがあるわけですが、何か差異化でいろいろ出ている、その三つの差異化についても世界各国はどのように見ているのかについて伺いたいと思います。
  41. 浅岡美恵

    浅岡参考人 日本もそうでありますし、今世界の幾つかの国々から出されています具体的な提案は、最近とりわけそうでありますが、抜け道をいかにつくるかというところに知恵が集中してきております。そのために、私ども市民団体といいましょうか、NGOの側からは、このような抜け道がある、このような抜け道を許しては、何のための会議、何のための議定書づくりなのかという問題提起をしばしばしてこざるを得ない状況にあります。  随分いろいろな抜け道がアメリカ提案等を含めましてあるのですけれども日本提案に対して出されます一番大きな点は、NGO側からも政府の代表団の方々からも私も直接聞くことがありますが、大変わかりにくいといいますよりも、極端に言えば、欺隔的である。本当の姿をわかりやすく示そうとすればできるのに、むしろ逆にわかりにくくといいましょうか、真意が見えにくいようにいろいろカムフラージュをしているがために、むしろ逆に信頼を損なう。真摯な交渉態度という点では、マイナスではないか。  そうした、例えば差異化の条項でありましたり、柔軟性という言葉は大変不適切だと思いますが、努力目標といいましょうか、法的拘束力をいかに無意味なものにしていくかというための規定、条項等は、アメリカ、オーストラリアに配慮したという側面もあるでしょうけれども、いかに日本の目標数値を下げるか、負担の軽いものにするかということにやはり大きな工夫が凝らされている、自国のためのものでもある、そういう点でも信頼を損ねる要因になっているのではないだろうかというふうに思います。  私どもが、Kikoという会議用のニュースで、「日本提案の七不思議」というふうな少しやわらかい表現を使いましてわかっていただくような説明をしたりしていますのも、わかりにくいという中身を私どもからむしろ本当の正確なところを伝えたかったためであります。  そうした問題について、特に最近でありますが、国内向けにも「地球温暖化防止京都会議」というロゴを使いまして、日本政府が「地球のために私たち日本が今、できること。」という形で、日本提案をむしろわかりにくく、あるいは事実を伝えにくくいたしまして、百万部も刷って頒布をしている。  つい先週、ある会場で、ある省の担当しているところでこれが既に配られている、そこに私もパネリストとして参加いたしました。説明に困るといいましょうか、本当はこれではないのだということを言わなければならなかったわけであります。  これは国内向けの資料だというふうにおっしゃって、だからいいのだというふうな説明を政府側がしているということを聞いてまた驚くわけでありますが、やはり国民に対して説明が極めて不正確である、誤解を招かせるようにしている。それが、国際社会においても、交渉の場でもやはり同じようなことがなされているというふうに見ざるを得ません。  これは、日本が議長国という非常に公的な、中立的な立場で、自国の利益を超えてその会議運営をしていこうとなさる上では、本当に、足かせにこそなれプラスにはなっていないということを申し上げたいと思います。目標数値の五%というものも、なぜ五が出発点になったのかという合理的説明はまずできないだろうと思いますけれども、その問題以上に、この差異化及び柔軟性条項と呼ぶものは非常に問題だと思っています。
  42. 大野由利子

    大野(由)委員 浅岡参考人に伺いたいのですが、炭酸ガスとメタンと亜酸化窒素ですか、今その三つが対象というふうな提案になっているようでございますが、それ以外に、代替フロンでありますHFCとかPFCとか六弗化硫黄とか、こうしたものは量的には確かに少ない、一割程度かもしれませんが、温暖化係数からいいますと炭酸ガスの数千倍から数万倍ということで、こういう問題についても、すぐは無理かもしれませんが、やはり削減をしていく、それをきちっと今回の京都会議の中でもそういうものを組み込んでいく必要があるんじゃないか、このように思うのですが、その点についてはいかがでしょうか。
  43. 浅岡美恵

    浅岡参考人 先般のボンの会合での非常に大きな議論一つが、どのガスを対象にするのかということでございまして、先生が今御指摘されました代替フロン等を加えました六つのガスを対象にするのか、日本提案しておりますような三つのガスでやるのかということでございました。  日本の場合、このガスを加えて今試算をいたしますと、最近の国別報告書の記述等も加えましても、温暖化係数に幾つかの考え方があるようでありますが、百年のグローバル・ウォーミング・ポテンシャルを基準にいたしましても九〇年レベルから全体で一・六%増になりますし、三十年を基準に考えましても四・六%増ということになります。日本がこれを提案に加えていないというのは、日本の国内で九〇年レベルに抑える、ゼロにする、あるいは実質的な拘束力〇・五%にしていくということも難しいということがあるためであることは、どの国もよくわかっているわけであります。  最近報道されているところでも、このHFC等の排出が非常にこれから増加してまいるということが強く指摘されているところでありますし、この機会にこうしたガスをこの条約の中に取り込んでいくということは、抜け道を残さない、温暖化防止の会議において温暖化を容認していくような、そこからその排出増加を容認するような形をとらせてはいけないということで、私たちは、大変強くアピールをしているというところでございます。
  44. 大野由利子

    大野(由)委員 一緒くたじゃなくて、やはり別々にきちっと削減目標を立てるということが大事なのじゃないかな、このように思います。  最後に、加納参考人に伺いたいのですが、実は、新進党で日本再構築宣言というのをまとめました。その中で、環境の部門の中で「経済的手法の活用」というものを入れました。実はこれはけんけんがくがく、大変な議論をしたわけですが、最終、新進党のこの再構築宣言に入れることができたわけです。  その中に、環境問題が、産業公害から都市・生活型公害へ移行している、こういう状況の中では従来の規制的手法だけでは不十分だ。やはりもっともっと、汚染量の削減が経済的利益に結びつき、環境負荷の低減をもたらすインセンティブ効果が大きい経済的手法を活用するべきだ。おいしいきれいな水や健康を維持するために何らかのコストを負担する、そういう決意を国民皆さんも持っていただくことが必要じゃないかというのも入れたわけですが、この経済的手法の中には課徴金だとかデポジットだとかいろいろなことがございますが、やはり環境税というものもその中に含まれるかと思うのですね。  きょうまとめられた報告書の中に、環境税はちょっと先送りになったというような結論になっているわけでございますが、この問題について、経済的手法ということについてどのようにお考えになっているか。  私は、もちろん、日本の国際競争力が落ちるようではいけないから、もっと法人税を下げるとかそういう前提をきちっとした上で、CO2削減を一生懸命努力したら、それが経済的なインセンティブが働いてどんどんそっちの方に、市場経済の流れでもってCO2削減になるという、やはりそういう環境というものの視点からの税制の見直しみたいなものが必要なんじゃないか、このように思うのですが、加納参考人の御意見を伺いたいと思います。
  45. 加納時男

    加納参考人 お答えいたします。  環境に関して現在の税制をどう見直していくのかというお話と、それから、新しく炭素税を導入したらどうかという話と、私、二つあるのかと思います。  いろいろ御検討いただいていることには敬意を表するものでありますが、炭素税について経団連としては反対だということは、お手元資料にもはっきり書かせていただいたところでございます。理論的に、経済的措置としてさまざまなものが考えられるということはよくわかります。デポジット制も、さっき御質問がありましたように、これからの真剣な検討課題だというふうに認識しております。  さて、炭素税に焦点を絞ってお答えしますと、これを導入した場合に、一つの国に導入したり、特定の国に導入し、他の国に導入しませんと、今経済活動はグローバル化しておりますから、炭素税を導入している国から導入していない国へ移ってしまうということで、地球全体としては意味がないのではないかという指摘があります。また、高い税率をかけた場合には、経済的な国際競争力を失ってしまうか、あるいは企業が負担に耐えられなくなって雇用不安が生ずるといったことも指摘されております。  それでは、今提案されていますのは、低い税率にすれば問題ないじゃないんですか、低い税率にすれば打撃は少ないのではないかと。おっしゃるとおりかもしれませんが、逆に私の質問は、それは逆に効果がないんじゃないでしょうかということであります。  よく環境税の議論を、この一年近くいろいろな方々と新聞の上でもやってまいったわけでございますけれども、いわゆる低い税率をかけたときのメリットは、これによって財源が得られる、それによってクリーンなエネルギー、クリーンなエネルギーというのは恐らく新エネルギーですとか化石燃料効率的な運用だとか原子力とか当然含むのだと私は理解しておりますけれども、そういうものにその財源を回すんだと言うから、それはちょっとまた議論があるのではないかと申し上げております。  というのは、現在ただでも非常に複雑になっておりますエネルギー税制、それから、かつて制定されて以来、状況は変わってきているにもかかわらず、その制定当時のスキームで運用されている税制について、これを見直すことによってそういう財源は当然生み出されることが十分可能であります。  そういうふうに考えてまいりますと、低率のものをかけよう、低率のもので負担は少なくして財源を得ようというのは、これは税収が目的であって炭素分を減らすのが目的ではないのではないか。これは炭素税と言えるんでしょうか。現に、ヨーロッパ五カ国を調べましたけれども炭素税と言われるものを導入している国でもって一般財源になっちゃっているところが結構ございますし、現実に、エネルギーをたくさん使うようなところには、これは免税ですとか減税ですということになりますと、これは一体何のための税金かという議論もありますので、私どもとしては、現在炭素税を直ちに導入するということについては経団連としては反対しており、本日首相に出されました合同会議の御報告も、先ほど拝見しますと、これについては今後の課題になっているというふうに読んでおります。  ありがとうございました。
  46. 大野由利子

    大野(由)委員 確かに直ちに導入することには多くの問題点があろうかと思いますが、既にスウェーデンだとかオランダだとか、デンマークもでしたか、環境税の導入をしておりますし、環境税が導入された場合はかわりに法人税を安くするとか、国際競争力で不利にならないような手当てはきちっとすることは必要ですけれども、ぜひこの問題についても続けて経団連でも御検討をお願いしたい、そういう思いでいっぱいでございます。  きょうは、参考人の皆様、大変貴重な御意見をありがとうございました。以上で終わります。
  47. 山元勉

    山元委員長 次に、佐藤謙一郎君。
  48. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 民主党の佐藤謙一郎でございます。  きょうは、お忙しいところ、それぞれの権威ある方々にお越しをいただいて、心から御礼を申し上げます。先ほどから示唆に富んだいろいろな御意見、御指導をいただいて、大変参考にさせていただいております。  私は、今度の地球温暖化問題は、人類の将来をだれが決めるかという、まさにそうした大きな問題なのだろうと思います。現実に、隣のアメリカが化石燃料産業に牛耳られた、そうした政治の様子を見るにつけ、そして金と権力を支配する業界が地球益に最も大きな影響を持ってしまっているという現実を我々見聞きするにつけ、この日本がそうであってはいけないという思いから、皆様方に御質問をさせていただきたいと思います。  最初に、四人の方々に、それぞれのお立場で今回の政府案に具体的にどういう影響を与えることができたのかということ、それを一点お聞かせいただきたいということ。  それから、今度の地球益といいますか、我々の人類の将来にわたる大変重要な問題が密室で決められているということ、先ほどからいろいろな委員の方からも御指摘があったわけですけれども、外交交渉とはいえ、こうした問題が本当に非公開であっていいのかどうか。  この二点について簡潔にお答えをいただいて、その後で個々の皆様方の御質問に移らせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  49. 平田賢

    平田参考人 核心をつく御質問でありますが、先ほどの私の資料の表に出しました数字は、環境庁の中で委員会をつくりまして、二年計算をいたしまして、ことしの春に出したのですが、京都会議に向けての準備が始まったわけで、各省庁にこれをベースに、その間にAIMモデルというようなモディファイも行われましたけれども環境庁がそれを持って各省庁に回ったと思っております。  残念ながら、最後合同会議のこの提案には、最終的には負けたと実は思っておりまして、どうも入っていないなという感じがするわけであります。  もう一件、非公開の問題がございましたが、そういう意味では、例えば通産省さんのお考えの数字なりそのバックデータ、それをやはりぜひ出してほしいと思っております。
  50. 近藤次郎

    近藤参考人 お答え申し上げます。  私は、きょう出しました報告につきましては、議長の立場でございますので、個人的な意見は申し述べる機会がございませんでした。  ただ、前回も申し上げましたように、いろいろ相違う意見が、例えば炭素税についても原子力についてもございましたが、結局のところ、両論併記では何を答申しているのか何もわからない。これが一点です。したがって、両論併記はない。  もう一つは、今後の各審議会、これは各省に所属している審議会がございますが、各審議会の手足を縛るということはないということでございました。  次に、公開の問題でございますが、これは、この審議は公開しませんでしたが、その後毎回記者会見をしておりまして、公開は十分したつもりでございます。物理的に、官邸の大広間でやっておりますから、先生方承知のように、あそこで公開ということはいたしませんでした。  もう一つは、日本の五%を決めるときに、どうして密室で決めたのかということでございます。これについて、これは私の個人的な見解でございますが、この問題は、人によっては、これは昔の軍縮会議で戦艦の大きさや大砲の大きさを決めるのと同じ。なぜか。それは直ちに経済に密着するからです。日本なんかは、経済大国でありますから、率先して低い数字を出して、格好のいいところを見せるというのも一つの手でございますが、しかしそれが国益としていかがかということは、私が考えたのではございませんけれども、ということです。  私が一番心配しましたのは、アメリカが五%以下の数字、これはゴアは御承知のように非常に環境派の方でありますし、いろいろな、例えば世界資源研究所、WRI、そのところからの情報でも、アメリカはもっと低い数字を出すはずだと初め聞いておりまして、日本が五%、アメリカが七%と言われると、これは日本は面目を失うなと思いました。アメリカがゼロと言っておりますので、その意味で私は安心しております。これは会議アメリカを引っ張り上げるという日本の力の見せどころだと思います。  以上でございます。
  51. 浅岡美恵

    浅岡参考人 政府の提案、策定途中の提案に私どもお願いをしてまいりましたことは、取り入れられてはいないというふうに思っております。  なぜこのようになったのかということにつきまして、先生も御指摘のように、作成のプロセスが省庁間の密室での議論で取り決められてまいった、長い長い議論をかけましたにもかかわらず、すべてが密室で行われてきたということにあったと思っております。聞きますところでは、通産省と環境庁との間の議論ですら、通産省が主張なさいます、また最終案に盛り込まれました数値に至る経過、根拠が明らかにされていなかった。今般、この国会での議論が始まります中で、ようやく先生方の御質問に対して政府の提案の根拠というものが少しだけ数字として今出されつつある、そのような状況でありまして、それを環境庁が初めて見たというような話もお聞きします。  このようなことが日本の重要な政策決定の中に本当にあり得るのだろうか、私は理解に苦しむわけであります。なぜそれで政府で合意が適正になされたというふうになるのでしょうか。そういうプロセスを、なぜだれもチェックすることができないのでしょうか。これは秘密裏であるということ以外には何物もないというふうに思います。  合同会議におきましても、非公開でなされております。審議会等を公開しなければならないというのは、これは閣議決定であります。どの審議会もそうしようとしているところの最後の最も大きな重要な決定の部分国民を締め出している。官邸で記者会見をしていただきましても、私どもは入ることもできません。  何ら公開の場はなかったというふうに申し上げるほかありませんし、日本が五%でアメリカは何かという御主張もございましたが、日本は五%ではございません。そのようなことを御主張いただくことは、本当に国民に誤解を与えるわけであります。また、アメリカ政府は今、アメリカは六つのガスを含めて提案をしている、日本の二・五%案よりもまだ前向きなのだというふうな説明をしているような状況であります。  このような議論を、今政府提案として公式の場に出された時期になさなきゃいけないということを大変私は悲しく思います。COP3、京都会議までまだ時間があります。この時間を本当に貴重なものとして御活用いただきたいというふうに思います。
  52. 加納時男

    加納参考人 加納でございます。  政府の案、五%、柔軟条項つきという数字について、私は非常に苦労された提案かなというふうに受けとめております。この五%プラスというかマイナスといいますか修正条項というのは、非常に実は厳しい目標だと思っています。  なぜならば、これは三つの前提があります。第一は、国民のライフスタイルを抜本的に変革することを訴えているわけであります。前提にしております。二つ目には、新しい技術が開発され、これが導入され、かつ、かなりの程度普及する、例えば七〇%とか八〇%とか普及するということが前提になっております。三つ目は、先ほど来お話がありましたように、原子力発電所の増強、七千万キロワットにふやすということが前提になっております。  この前提条件を無視して、五%プラス修正条項という数字は何となく少ないのではないかとか、一五%というEUに比べて恥ずかしいというような議論がされますと、非常に私も恥ずかしい思いをします。  なぜなら、EUの一五%をきょう非難するつもりはございませんが、御存じのとおり、中身は、一〇%までのところで各国の合意を得たものでありますが、特殊な要因、非常に石炭、褐炭火力をたくさん使っていた東ドイツを一緒にした西ドイツ、今のドイツ連邦共和国でありますが、これが大きく貢献すること、あるいは天然ガスが発見されたイギリスの貢献を見込む、イギリスとドイツを見込んで実は成り立っている話で、中には四〇%、二〇%ふえている国も入っているわけでございます。そういうことから見て、日本は恥ずかしいということはちょっと変ではないかと思っているわけでございます。     〔委員長退席、小林(守)委員長代理着席〕  差異化については、私ども経団連としては、共通だが差異のある目標ということをつとに唱えてきております。といいますのは、既にことしの国際会議でも合意されておりますように、削減目標は、ミーニングフル、リアリスティックに加えてもう一つキーワードが、エクイタブルでなければならない、衡平なものでなければならないと言っております。  例えば、よくドイツと比較されますけれども、じゃ、ドイツは一九九〇年に一人当たり何トン二酸化炭素を出していたでしょうかということであります。三・五トンであります。日本は何トンか、二・六トンであります。二・六トンの日本がドイツを見て、日本は恥ずかしいというのは、ちょっと私はそれが恥ずかしいと思います、失礼なことを言って済みませんが。  もっと少ないのがあります。これはスウェーデンとフランスで一・八トンないし二トン、つまり金メダルクラスの国があります。これは、スウェーデンは原子力水力でほぼ一〇〇%の電気を賄い、フランスは八〇%が原子力になっているからでありまして、原子力は要らない、炭素分は少なくというのはなかなか難しいのは、この一つを見てもよくわかっていただけるかと思うところでございます。  そしてなお、ドイツが三・五トンであり、それをさらに上回るアメリカが五・四トンであるということも御認識いただきますと、かなり違いがある。違いがあるところを、九〇年をセーノで一斉にスタートしてそこから何%という議論は、おかしいのじゃないか。  もっと言えば、この間NHKでも私の発言が放送されたのですが、点数が五十点の人も九十点の人もあと五点ずつよくしようというのは大変なことでありまして、五十点の人はもっと六十点を目指し、九十点の人は九十二点を目指し、九十五点の人は九十六点を目指し、百点の人は百点でいいよというのが普通の世間の常識ではないだろうか。差異化ということを否定する一律化というのは、非常におかしいのではないかと思っております。  最後に、外交交渉については、全部オープンにして手のうちを全部明かして外交交渉というのは私はできないと思っております。私は政治家ではありませんで、今企業に勤めておりますので外交交渉のプロではございませんが、当然のこ乏ながら、その大枠について、大きな方向性について国民に開示をしていくのは大事ですが、外交交渉の一つ一つのステップで全部明らかにしていくというよりも、幾つかのカードを持ち、国民的な合意のある範囲の中でカードを持って、それで交渉をしていくのが外交交渉の第一歩ではないか。  以上であります。
  53. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 それぞれ御意見をありがとうございました。  また、この問題は、国民的なコンセンサスというものを求めているからこそ、例えば原子力発電の問題や、あるいは炭素税環境税の問題も、果たして非公開で、外交交渉だからといって、隠せば隠すほど国民的な困難なコンセンサスが得られなくなるのではないかなということを私は懸念をしているところであります。  それでは、まず平田先生の御意見を伺いたいと思うのですが、私は、平田先生があるところに、原子力推進論者であるけれども新規の原発立地を求めることは極めて困難になったと非常に率直な、一つ現実的な御見識を示されておられて、本音で語っておられるなということで大変私も信頼を得ることができたわけです。と同時に、科学者でおられながら、大気中の炭酸ガス濃度の増大と地球温暖化の相関のいかんにかかわらず、炭酸ガス濃度の増大は抑制すべきである、つまり、科学的な知見を待たずに我々は既に何か行動を起こさなければいけないという、科学者でおられるからこそ大変重たい発言だろうと私は考えておりますし、熱力学の始祖であるサディ・カルノーの、動力の発生を伴わない熱の高温から低温への移動は正味の損失とみなさなければならないというそうした主張、私もそのとおりだと思います。  そこで一点、平田先生にお伺いをしたいのは、先ほど来盛んにシステムエネルギーのお話が出てきたわけでありますが、一つシステムエネルギー。それからもう一つ地球温暖化防技術産業というものが将来巨大な市場になるだろう、そうした技術開発が新しいビジネスチャンスになるのだというお考えを他で披瀝されておられるわけですけれども、政治として、立法府として、こうじた環境を整えるために何をなすべきかという具体的な提案、提言をいただければと思います。
  54. 平田賢

    平田参考人 ありがとうございました。  私、今御指摘いただきましたように、私自身原子力安全功労者表彰というのを科学技術庁の長官からいただいた人間でありまして、私自身原子力を推進しなくてはだめだと思っているのですが、もう現実にはなかなか難しいという状態だと思っております。  そこで、その非常に危機的な状況を何とか、私、一応技術屋でありますので、現実的な行動をとらなければいけないと思っておりまして、先ほど来天然ガス天然ガスと申しましたけれども、これもやはり二十一世紀へのつなぎだと思っております。つまり、二十一世紀の前半までの、二〇五〇年ぐらいまでのつなぎでありまして、最後はやはり自然エネルギーに、基本的な姿になっていくべきだと思っているわけなのです。  そういう意味で、ぜひ政治の皆様が深く御理解をいただきまして、全体のシナリオというか二十一世紀の後半までの展望をお立ていただいて、当面の十年、二十年の話ではなくて、もうちょっと先までお考えいただいて、それを何らかの意味で政策の上に御反映いただければ非常にありがたいなと思っている次第であります。
  55. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 それでは、近藤先生に御質問させていただきます。  今度の合同会議では、議論をまとめられるのに大変御苦労されたことだと思いますし、そうした御努力に敬意を表したいと思います。  そこで、私は、先ほども申し上げたのですけれどもオゾン層の保護条約モントリオール議定書、先ほどお話があったように、フロンガスによるオゾン層の破壊というのはかなり原因も対策も明らかだというふうに言われておられるわけですが、この気候変動に関しては、なかなか気候の正確な予測ができていない。先ほど来申し上げていた科学的知見といいますか、この不確実性にどう対応するかということは非常に大きなテーマなのだろうと思うのです。  現実にこの地球温暖化は、現実と理想のどの辺に我々が身を置くか、そういう議論だと思うのですけれども、その不確実性の中で、いろいろと気候変動のシミュレーションの結果がばらばらに出てきているわけです。国環研のAIMのモデルもそうです。しかし、今回NGOのデータがいろいろと出されている。WWFですとかCASAですとか、そうしたNGOから発信されたいろいろなデータも含めて、そうした新しい科学的知見に近づこうとする努力に対してどういうお考え方をお持ちかということが第一点。  それから二点目は、大変残念なことですけれども合同会議、各新聞社は非常に辛い点をつけておられると思います。それはもういろいろな立場立場で、ここで議論申し上げてもしようがないことなのだろうと思いますけれども、残念ながら、この結果を見ますと、いろいろなメンバーの方々が日ごろ発言をされている、そういう結果からして、どうも信じがたい、結果として大分乖離があるのじゃないのかな、時代を切り裂くような鮮烈な決意のようなものもダイナミズムも感じられないということだけ申し上げておきたいと思うのです。  先ほどからお話があったように、公聴会に出られた方々から、もう一度これは討論をすべきだ、そういうお申し出があるようです。先ほどは、いろいろな国民意見があるから一々それを聞くのは大変だということでありますけれども、公聴会で意見を聞いた方から、これはおかしいという一つの反論が出たわけですから、何らかの形で、すべての方からもう一度お話を聞くということではないですけれども、これからの国民的なコンセンサスを得るためには、なかなか大変なことですけれども、そうしたことを一つ一つクリアしていくことが必要なのじゃないかと思いますが、その辺の御見解をお聞きしたいと思います。     〔小林(守)委員長代理退席、委員長着席〕
  56. 近藤次郎

    近藤参考人 お答え申し上げます。  まず、最後の方から先にお答えさせていただきたいと存じます。  私は、合同会議の議長という立場でたったさっきまでおりました。その立場で、きょうの朝日新聞の社説などにも出ておりましたが、公聴会をもう一度開くということをここでお約束することは、予算の問題、場所の問題、それからやり方の問題、その他がございまして、正確なお答えをすることを差し控えることをお許しいただきたいと思います。  ただし、本日参考人でいらっしゃいますが、気候フォーラムの先生からも、大阪でやりましたときに、政府の案に賛成であるというのではなくて、非常に格調の高い御意見がございました。これは、一つ一つ、我々が考えている中間報告めいたものに対して、議論を吹っかけるというのではなくて、もっと人類として先を見通した高い目標を、そういう哲学を掲げるべきではないかということを御指摘になられました。  NGOの方々はいろいろな方がいらっしゃって、これは一番最後のところにも書いてございますし、あるいは途中にも書いてございますが、NGOの方々の御意見は、私は非常に大切だと思います。特に、ブラジルのリオの会議でもそうでございましたし、それから今度のボンの会議でもそうでございましたが、NGOの方々がどういうことをおっしゃっておられるかということは、世界のジャーナリズムが非常に関心を持っておられます。そういう意味で、日本のNGOが前向きの御意見をお出しになるということは、側面的に、政府の案を支持するしないは別として、非常に哲学的なところをおっしゃられるということは、私は非常にいいことだと伺っております。  二番目に、最初の御質問に返りまして、ここで議論したのは一体どういうことでやっているのかということを、これも議論になりましたので、ちょっとこれだけは引用させていただきます。  四ページの一番下のところ。ここではいろいろな数字が出ておりますけれども、その数字は、これはエネ庁の数字だけを使っているのではないか、これはAIMの数字を使っているのではないか。それから、WRIとかWWFとか議員が御指摘なさいましたようないろいろな数字がございます。しかし、我々が議論するたたき台としては、みんなが別々な、いやおれの研究ではこうだとか、いやおれの所属している団体はこういう数字である、こうおつしゃられたのでは、そのバックデータを、学会とかと違いまして、その根拠は何かということを聞くだけでも二時間の審議が終わってしまうものですから、それはいたしませんでして、スタートラインは統一したもの、それは政府原案でございます。  以上でございます。
  57. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 どうもありがとうございました。  時間がなくなって申しわけないのですが、浅岡参考人お願いをしたいと思います。  この問題は、いかにそれぞれの立場の人が情報を共有するか、そういうことが大事だろうと思いますが、今回、AGBMから発信された気候フォーラムのKiko、あれがどんなに我々にとって、真の国民の情報が得られたというような大変頼もしい情報であったことかと思います。大本営発表ばかりに取り巻かれた時代と違って、我々は直接情報というものを生で手にする、そうしたツールをいろいろと持たなければいけないわけですが、NGOの方々の努力によって、我々もいろいろな偏見やそういうものをかなぐり捨てることができつつあるような気がします。  ここで、浅岡さんは温暖化問題を知ってしまった者の責任というところからスタートされたということでありますが、今までの市民運動は常に地域エゴがつきまとっていたと言われていた時代がありましたけれども、今、国家エゴに対して新たに立ち上がるNGO、市民参加型社会をつくり上げるまさにチャンスだと思うのです。  情報を共有して、そして自分の問題として議論をして、市民自身が変わりながら政策決定に参画する、我々の政策意思決定に参画をするということの中で、NGOがこれからさらに発展するためにどういう環境が必要なのか。そして、今度の地球温暖化の問題を通じていろいろとネックがあったと思うのですけれども、こういうネックを取り去っていきたいというようなこと、それが政治や立法府の責任である問題について御見解をいただきたい。  それから、加納さんにもいろいろとお話を伺いたかったのですけれども、NGOについて非常に理解を示される御主張をされておられますね。政府、NGO、ビジネスの三極が一体になって新しい何かを見つけ出していくんだということを言われておりますが、こうした、NGOをどう育てていく、育てるというのは語弊があるかもしれませんけれども、どういうふうにNGOが進んでいったらいいのかというようなことについて、御意見をいただきたいと思います。
  58. 浅岡美恵

    浅岡参考人 気候フォーラムと申しますものは、昨年の十二月一日、にわかにアンブレラとして、ネットワークとしてつくりましたようなものでございまして、こうした私どもの活動に政府の皆様も、産業界の方々も、広く国民方々も理解を示してくださっているということに本当に私は感謝をしております。  十分なことはできておりませんけれども、何をしていったらいいのかということを今学びつつあるところであります。一番痛感しておりますのは、先ほど加納参考人から、これは外交交渉であるという点だけを強調されましたが、今日本の問題は、国内政策が合意できていないという外交以前の問題でありまして、国内政策の合意の段階で、特に環境に関します政策は、最後被害や影響の引き受け手は国民一人一人であります。私どもの理解や協力なくして政府の政策があり得るはずがないわけであります。  そうした意味でも、もっと議論ができます土壌、それが当然の社会システムというものが本当に不可欠であろうと思いますし、いかに政府として立派な政策を立てられたといたしましても、国民が協力しなければ、それを理解していかなければ、前向きに受けとめなければ、これはまたその効果も生じがたいものであることは言うまでもないと思います。リオデジャネイロの地球サミット以来、国連の方では、非常に私どもNGOの参加を前向きに受けとめていただいておりますが、これはそうした発想に基づくものであろうかと思います。  しかし、確かに私ども若干前進しているかなと思いますけれども、これまでのこの一年半ほど私がこの問題についてフォローアップさせていただいております経過では、本当に信じがたい情報の遮断であります。先ほどのお話の中でも、国内議論が進まない本当のもとが、省庁間ですら情報の遮断であります。こうしたところが本当に民主主義の社会なんだろうかというふうに思います。  そこで議論しているものを、私は近藤先生の御苦労は推察できますけれども、なぜ両論併記という方法がとられないのか。議論の根拠が出されていないわけです。政府の説明を承っているとしか思えません。そこに、それではおかしいという議論があるときに、その議論に対して根拠が示されていないときに、なぜそれが両論併記にできないのか。まさに審議会が正しく議論報告いただくのであれば、そうしたことを提起いただいて、それが議論を巻き起こす土壌になる。  リーダーシップといいますのは、結論を決めてこれに従えということではなくて、今日のリーダーシップは、いかに議論を起こすのか、皆さんの同意を得るのかというところにあろうかというふうに思います。原子力につきましても同じことであります。なぜ原子力発電所の建設が進まないのか。情報を秘匿なさり、それが非常にドラスチックな形であらわれることを繰り返すからであります。  そうしたことを考えますと、私どもは、近藤先生が、通産省が下書きを書いたんだというふうなコメントが新聞紙上に出るようなそんなやり方ではなくて、市民の声が本当に意見として聞かれるようなシステムづくりのための制度として必要なことは、まず、我々の今回の活動のようなテンポラリーなものではありませんで、本当に力のあるNGOが育ってまいりますような法的な整備が必要であります。基本的に法的人格すら持てないというような特異な制度のもとではNGOは育ってまいりません。これは、財政的基盤も与えるものではありませんし、人を得るということにおいても大変大きな障害になっております。  NPO法案について議論はいろいろなされていること、また、情報公開法について日本最後の情報公開法を持たない国になる、韓国においてもう既に施行段階に入っていく、こうした状況の中での日本の市民参加を促す諸制度の欠落というものにつきまして議会の先生方の御尽力をいただくこと、これが私どもの活動を支える一つの大きな基盤であります。  もちろん、市民サイドで、私どもの活動がより充実したものになり、多くの市民の方に理解を得、変な敷居をつくっていかない、これも大変重要なことだということをこの一年間学ばせていただいております。
  59. 加納時男

    加納参考人 加納でございます。  NGOと企業との関係についての御質問でございますが、地球環境問題は、従来の地域の公害と違って、すべての人が被害者であると同時に加害者であるという特質がございます。したがって、特定の人を規制したり、あるいは排除するといったことではこれは成功しませんで、すべての人の自主的な行動がかぎを握っていると思います。そういう意味では、私は、地球温暖化対策に対してはNGOの果たす役割は非常に大きいと考えております。  御質問にありますように、私ども経団連としては、政府、NGO、企業がそれぞれの役割をしっかり果たしながら、緊密なパートナーシップを持って前進していきたいということでございます。  一、二の例だけ申し上げますと、例えば、先ほど申し上げました新しいライフスタイルの提案、過剰を排するとか、あるいは効率のいい、より炭素分の少ない製品だとか、こういったものを企業は開発をし、コストダウンを図る。NGOの方々は、これらを客観的に眺めた上で、グリーンコンシューマーとしてこういうものを選んでいただく、あるいは推奨していただく。政府の方は、普及するようなインセンティブを考える。こういうパートナーシップがまさにそのトライアングルの輪をしっかりとワークさせるもとだろうと思っております。  私ども、この春リオプラス5フォーラムという世界のNGOの集まりに参加いたしましたし、今日でも、持続的開発のための日本評議会という、まさにNGO団体ですが、それにも私どもは、私自身もそこの評議員をやっております。それから今月あります、歩け歩けストップ温暖化大行進という市民運動に、私も実は発起人になっております。まさに毎日が、市民運動をやりながら企業活動もやっているので、何がNGOで何が企業か、何が政府かというのは、私、中央環境審議会で委員もやっていますが、それぞれ役割はあるけれども、同じ人間がいろいろな役割を果たしていくということもまた必要です。  私の結論を申し上げますとこういうことであって、今までは必ずしも、NGOと企業団体あるいは企業とは今のようなパートナーシップはなかった時代もあります。企業の方では、NGOは何か反政府、反企業、反科学、反科学と言うとちょっと言い過ぎかな、そういう団体であると決めつけ、一方NGOの方は、企業というのはもうけしか考えない、環境なんというのは悪だと思っているとんでもない銭ゲバ集団だ、ちょっと言葉が過ぎましたけれども、そんなふうにおっしゃる方も現におられました。  しかし、今日は変わってきております。今日では、役割は違う、しかし結構同じ人間なんですね。役割は違うということをよく認識しながらも、相手の言うことを聞く、要するに違いを認め合う。違いがあること、ディスアグリーについてアグリーする、アグリー・ツー・ディスアグリーといいますか、これこそ大事だと思うんです。  結びとしまして、排除の論理というのがありましたけれども、排除は憎悪の父であり、寛容は進歩の母である。  ありがとうございました。
  60. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 誠意あるお答え、ありがとうございました。
  61. 山元勉

    山元委員長 次に、藤木洋子さん。
  62. 藤木洋子

    ○藤木委員 日本共産党の藤木洋子でございます。  きょうは、御多用の中を私ども委員会にお運びをいただきまして、まことにありがとうございます。  早速でございますが、質問をさせていただきます。  浅岡参考人にまずお伺いをしたいと思うのですが、IPCCの第二次評価レポート、ここでは、CO2の濃度を現在のレベルに抑えるためには、排出を直ちに五〇%ないしは七〇%削減しなければならない、さらにその後も削減を強化する必要があるんだというふうに警告をしているように私は考えております。当然、温暖化による危機的な影響を避けるためには、このIPCCの警告にこたえまして、当面、二〇一〇年までに大幅に削減するという目標を提案しなければならないのではなかろうか、こんなふうに思うわけですね。  ところが、日米の提案は、九〇年レベルを二〇一〇年まで結局は先送りをするという中身になっているわけです。日米の提案が各国の大幅削減合意を妨げていると論じられているのは当然のところだと思うわけですね。  そこで、ベルリン・マンデートに基づいた抜本的な提案の見直しが必要不可欠だというふうに私は考えているわけですけれども、ボンの準備会合にも御参加になられました浅岡参考人の御意見はいかがでございましょうか。
  63. 浅岡美恵

    浅岡参考人 先生御指摘のとおり、科学者の警告は本当に深刻でありまして、また温室効果ガスの濃度の上昇というものの影響がおくれて長く続くということを踏まえましてこの警告を出されているものだと私どもも受け取っています。  先ほど加納参考人から、差異化についての日本提案について御主張がありましたが、衡平である、エクイタブルであるということを日本提案で御主張になりますが、今の御説明の中でも、なぜアメリカが二・六%で日本が二・五%なのか、なぜこれが衡平なのか、御説明はないと思います。これは、AGBMの議長でありますエストラーダ議長も、それはなぜだと、非常にわかりやすい形で日本提案に対して疑問を呈しておられます。  このように、差異化につきまして、差異化そのものを私どもが否定をしているということではなく、わずか数%という提案をいたしますについてこのような方法をとる。大きく地球を見ますと、近い将来を見ましても、本当に今すぐ対策を大幅にとっていかなければいけないという科学的警告を受けながら、わずか数%のために、自国の目標を〇・何%でも下げようというがために差異化を主張しているというふうにしか見えないわけでありますし、そのために議論が混乱をし、長引き、そして時間が足りずCOP3における合意が流れてしまうことになったらどのように責任を日本はとっていけるのであろうか、こういうことであります。  もし、差異化を主張なさるのであれば、本当に究極の目標達成のために、このような差異化を目標として日本はこのようにこうしよう、こういうふうな御提案をすべきであったかと思いますし、いろいろな方から、政府からは五%提案などだと重ねて強調されておりますので、まずこの五%提案以外の項目を直ちに取り払っていただきたい、私はそう思います。  そうすることによってすっきりした五%提案をなさる、その上で各国と交渉をこれからなさっていっていただいて、交渉でありますから、それは私どもが直接どうこうと言いますよりも、そこで具体的な妥協点を探していただくことはあり得ると思いますけれども、その視点が、スタンスがまず大事ではないかと思います。  また、アメリカは大変議定書交渉を妨げている要因であることは、もうそれは明白であります。アメリカの出しております提案がまた、排出権取引や共同実施を通じまして、ロシア等東欧の国々のこの間の経済的な後退によります排出削減の結果というものを、実態のないまま組み入れられるのではないかという意味での抜け穴の危険があるわけでありまして、そうしたことの提案であります。アメリカに対して、私ども大変強く批判をしております。  しかし、こうしたアメリカ提案を促しているもの、許しているものは、やはり日本のほとんど変わらない態度というものにもある。どちらも交渉を妨げている、後ろ向きにしている二つの大きな先進国、エストラーダさんはそのようにおっしゃいます、二つのディベロップトカントリーと。大きな排出量、責任のある二つの国が交渉をおくれさせているとはっきり会議場でもおっしゃるわけでありますが、中でも、議長国であるという意味日本は責任が重いのだ。やはり会議の成功に向けて日本のスタンスをまずもっと明確にし、前向きにしていく。総理大臣も先般渡航先でそのような可能性もお示しになったということでありますので、それはぜひとも先生方からも促していただきたいと思います。
  64. 藤木洋子

    ○藤木委員 今差異化問題が、今回のこの提案では極めて矛盾があるということを御指摘されたわけですけれども、さらにボンの準備会合で明らかになりましたのは、アメリカなどの工業国の提案の中に、温室効果ガスの低い削減目標さえもさらに空文化させるのではないかというような、超加熱取引でありますとかホットエア取引などという数々の抜け穴が隠されていたという問題で、驚いているわけですけれども、米国のゼロ提案では、二〇一〇年には米国、EU日本の排出量が九〇年レベルで三六%もふえるということになるわけですね。こうなりますと、京都会議で採択されるのは排出削減ではなくて増加のための議定書になる、こういう警告も出されているわけです。  米国と日本政府が姿勢を変えない限り、京都会議での実効ある議定書の採択はできないのではなかろうか、私はこのように思うのですが、その点、浅岡参考人に端的にお答えをいただきたいと思います。
  65. 浅岡美恵

    浅岡参考人 先生御指摘のとおりでありまして、私どもは会場におりまして、特にオープンになりましたプレナリーなどで傍聴しておりますと、まことにアメリカ日本がその交渉を妨げているという様子をつぶさに見ざるを得ません。もう時間がございませんので、本当に早く提案を前向きなものに変えていっていただきたい、そして、議長国としての役割というものをもう一度総理みずから自覚を深めていただきたいと思っております。
  66. 藤木洋子

    ○藤木委員 ありがとうございます。  それでは、平田参考人にお伺いをさせていただきたいと思います。  環境庁地球温暖化対策技術評価検討会、これの座長としても奮闘してこられたところでございますけれども、その報告書にまとめていらっしゃるんですが、検討会では、導入可能な対策技術について、定量的な導入見込み量であるとか、それからCO2削減効果というものをお示しになっていらっしゃいますね。  二〇一〇年のCO2削減可能性というものが、合計いたしますと、実に五千六百三十八万トンに及ぶということになっておりまして、そこではエネルギー転換部門と産業部門のCO2削減の寄与率というのをお示しになっていらっしゃるわけですけれども、これが実に、民生部門や運輸部門を加えました全体の部門の中でほぼ八割を占めている。そういう効果があるんだということを言っていらっしゃるわけですから、この部門でのシステムエネルギーの推進がCO2削減の切り札だというふうにもお述べになっていらっしゃいます。  つまり、各種の技術対策を本当にまじめに取り組みますならば、九〇年レベルで約一八%の削減が可能だという結論をお出しになっていらっしゃるわけですから、日米の提案というのが事実上九〇年レベルを二〇一〇年まで先送りするというものになっているわけですが、検討会の結論からいいますと、大幅な削減が可能なのではないかというふうに思うのですが、その辺いかがでございましょうか。
  67. 平田賢

    平田参考人 そういう意味で、先ほど負けたと申しましたが、残念ながら最後提案には反映されなかったのですけれども、私ども技術屋として、これはあくまでも、システムエネルギーと称しているのは、プルーブンな、もう確立した既存の技術を寄せ集めてシステムに組み上げるだけなんですね。要するに、こっちからガスタービンを持ってきて、既存のボイラー蒸気タービン石炭のボイラーと取りかえる。石炭のボイラーを、例えば天然ガスガスタービンと取りかえて、今までどおりの性能の、出力にしては二倍、あるいは効率にしては、例えば今まで三五%ぐらいの熱効率だったものを一挙に四七、八%に持ち上げよう、そういう提案ばかりを並べているわけなんですね。  そのほかに、もちろん、民生用のペアガラスとか断熱とか、それから、例えば車であればリーンバーンとか直噴とか、それを細々と、それも業界の普及率のヒアリングを全部入れて、これは環境庁のお力ですから全部呼んで、それで、かなり実際的なといいますか、可能性のある、それも二〇〇五年ぐらいに可能性のある、導入、普及見込みを全部出して、それで細々と書き上げたのがこの数字、表でございます。  実は、大事なことは、エネルギー転換の部門と産業の部門が全体の八割だと申しておりますが、この部分が、今回の提案というか、合同会議の結論には消えてしまっているというか、隠れているんですね。  と申しますのは、これは、例えば発電された電気を各用途別に、産業用民生用、それから運輸用運輸用でしたら例えば電車ですけれども、そういう用途に電気を全部振り分けてしまって、したがって、それぞれの部門の寄与率が計算されているわけですが、実はそれをやりますと技術の貢献度がわからないのですね。特に、発電という技術発電に対するもろもろの提案、ここに書いてあるのはほとんど発電に対する技術提案ですけれども、その部分が全部マスクされてしまって、それで、全部末端の需要側からの解析で表に出てこない。それを出したのが環境庁側の立場でありまして、要するに、技術として供給側から議論しているわけですね。ですから、それが抜けたのは残念であります。
  68. 藤木洋子

    ○藤木委員 ありがとうございます。  それでは、発電の方で、加納参考人にぜひ御質問をさせていただきたいと思うのですが、電気事業連合会の環境行動計画では、世界的にも最高水準にあるというふうに自負しておられます。しかし、東京電力の火力発電所での熱効率は、三九・二%に現在とどまっておりますね。  私も、実際、せんだって現場を視察させていただきましたけれども、東京電力では、高効率コンバインド発電というものが横浜火力発電所で稼働されていた、まさにその瞬間といいますか、そういう時期に当たっておりました。七、八号系列の一部運転が開始されている、そういうときに、私、寄せていただいたわけです。しかし、既設の火力発電所のリパワリングについては、何も明らかにしていただくことができませんでした。  ですから、火力発電所の熱効率の二〇〇〇年度目標が四〇%以上と、〇・八%の伸びにしかすぎないというような状況になっているわけですが、さきにもお聞きをいたしました地球温暖化対策技術評価検討会の結果からも、高効率コンバインド発電であるとか既設の火力発電所のリパワリングに力をお入れになりますと、一層の熱効率の向上が十分可能になってくるのではないか、そんな思いを抱いているわけですけれども加納参考人にそこのところをお答えいただきたいというふうに思います。
  69. 加納時男

    加納参考人 藤木先生の御質問にお答えいたします。  先生のおっしゃるとおり、現在、火力発電所、東電の場合ですが、非常に熱効率がよくなりまして、かつての二十数%台から見ますと、三九%という非常に高い数字であります。ごく最近運転を開始しました横浜火力の七、八号系列、今おっしゃった数字は四八%から九%に達しております。そして、これからつくろうとしております川崎でありますが、これが五三%を目指しておりまして、第一の方向は熱効率を飛躍的に上げていくこと。  一〇%ポイント程度上がるだけかということをよく言われますが、これは一〇%ポイントでありますから、比率から見ますと実に二四、五%の省エネルギーになりますし、それは、同じ仕事をするのに必要な燃料が二五%少なくて済むということは、ほかの条件にして等しければCO2も二五%少なくて済むということでありますので、先生御指摘のとおり、これは非常に大事な技術でありまして、私どもとしては、自信と確信と、また責任を持って推進していきたいと思っています。  御質問の二つ目のリパワリングでありますが、これは、リパワリング、リプレース、いろいろなものを含めまして私どもでは総合的に検討し、必要なところからどんどん手を打っていく予定であります。  現在、既に、今申し上げました川崎のリプレース、それから東京地区、加えて千葉県ですが、こちらの方にもリプレースの対象がございます。何分、火力発電所はできてからかなり時間がたったものもございますので、それを修繕して使っていくのがいいのか、あるいはトッピングにガスタービンをくっつけてリパワリングするのがいいのか、それともリプレースしてコンバインドサイクルで最新鋭の最も効率のいいものにしていくのがいいのか、これが世界のいわばトップランナーとしての火力発電技術の課題かな、経営としてもそういうふうに考えておりますが、火力のクリーシな燃焼あるいは効率的な燃焼ということは、原子力と並んで、私ども温暖化対策の大きな柱になっております。
  70. 藤木洋子

    ○藤木委員 ありがとうございました。ぜひ既設炉対策にも力をお入れいただきたいということを重ねて申し上げたいというふうに思います。  最後になりましたが、近藤参考人にお伺いをさせていただきたいと思います。  二〇一〇年までの削減目標を達成するためには、早急に地球温暖化防止行動計画を抜本的にやはり見直していただかなければならない、そんなふうに思うわけですけれども温暖化防止対策基本法、低公害車販売の義務づけでありますとか新エネルギー電力の買い取りなどというような法制度と体制の整備が必要だというふうに考えております。  近藤参考人が会長を務めていらっしゃる中央環境審議会など合同会議では、座長もお務めになったわけですけれども、きょうお出しになられたわけですが、その最終報告がまとめられました。通産省は、省エネ法の改正で事が足りるんだというような立場をとりまして、新たな法制化に極めて消極的だというふうに私伺っております。エネルギーを大量に消費する工場の排出量削減強化であるとか自動車の燃費向上など、規制措置を伴う温暖化防止基本法をぜひ法制化すべきではないかという思いがするわけです。  中環審の会長とされまして、二〇一〇年の排出量を九〇年レベルに安定化することを前提とした温暖化防止基本法という法制化でよいというふうにお考えになっていらっしゃるのか。先ほどは、議定書というのはこれからつくり変えることもできるのだからというようなお話もございましたけれども、今の時点でお気づきのことがあれば、最初からいいものをつくっていただきたいというふうに思っておりますが、この点いかがでございましょうか。
  71. 近藤次郎

    近藤参考人 御質問ありがとうございました。  この問題は中環審の中でも非常に議論をしておるところでございます。中環審の中には、法律の専門の先生やあるいは経済の専門の先生、それからもちろん産業界、あるいはNGOの方もたくさん来ておられます。  それで、全体会議もいたしますけれども、私は技術屋でございますし、どちらかというと科学に近い方でございますから、余り法律でがんじがらめにしてやるということには、すぐやることには私は余り賛成でございません。省エネルギー法も含めまして、あるいは温暖化防止基本法というのも含めまして、すぐやることには、今のこの三大不況と言われているときに、国民の生活を無視して、密室でそれこそ勝手な熱を上げている、こう言われかねないと思います。  しかしながら、やはり基本は、法律をつくっていただいて、そしてしっかりした方針を決めていただく、これが一番大事でございまして、最後最後といってもいつが最後かわかりませんが、極めて近い将来に、このことを国会で御審議いただきたいと中環審の会長としては望んでおります。  きょう御参会の先生方、私は基本的にはそうでございますし、それから、フォローアップという仕組みを書いてございます。フォローアップして効果が上がらなかったらいろいろやりますよ、こういうことでございますが、最初法律ありきという形では、NGOの方々もいらっしゃるし、正直申しましてそう書けませんでした。しかし、フォローアップもこれからいたしますが、それで効果が出ないときには、効果をもっと担保すると申しますか、効果を上げさせるには、やはり何としても国会の御承認も得て法律にしていただく。これは、環境基本法あるいは基本計画、それらを通じまして、国会の御承認を得たからこのように実際に動いてき、中央公害対策審議会が現在の環境審議会に変わりました。先生方、こういうところでお願いするのもいかがかと思いますけれども、今のことは、つまり中環審の会長としてはどうか、これはやはり法律ということでございます。  以上でございます。
  72. 藤木洋子

    ○藤木委員 ありがとうございました。  終わります。
  73. 山元勉

    山元委員長 次に、北沢清功君。
  74. 北沢清功

    北沢委員 社会民主党の北沢でございます。  きょうは、私ども委員会で、四先生の参考人方々に御出席をいただきまして、それぞれの分野で指導的な、環境問題についてお取り組みをいただいておりまして、貴重な御意見をいただいたことを、まずもって感謝を申し上げたいと思います。  きょうを含めてあと十五日で、十二月一日から京都のCOP3の会議がございます。きょう委員会を開いて参考人皆さんから御意見をお聞きをするということは、これからのこの十五日間にどのように日本政府として詰めるかという意味では、私は、大変重要な時期だろうというふうに思っております。  たまたま私ども衆議院においても、また政治の分野でも、環境問題というのは、かつてのオゾン層の破壊、フロンガスの代替という形で一時期そのことが大きくクローズアップされたことがありましたが、やはり日本の現状は悲しいかな一ある面では非常に恵まれたと言っても結構ですが、京都会議の議長国であるということ、そのことがやはり案外、先日もこの委員会で私取り上げたのですが、国民皆さんの世論というものは、関心というものは相当高いというふうに私は考えております。  したがって、けさの朝日の論調を見ても、先ほど資料をお配りをいただいたわけなのですが、やはり関係審議会合同会議についても、相当激励というか、実は厳しい判断をしております。その前段に立つものは、先ごろの政府の提案であります。  その政府の提案については、いろいろと委員皆さんから御意見がありましたように、若干通産ベースであろうということは、私は否めないと思います。ですから、私ども与党、私もCOP3のプロジェクトの一員でございまして十人でやっていますけれども、実は非常に大きな不満を持っているわけであります。決して政府の案そのものにも私どもは満足しておらぬというのが現況でございます。  加えて、政策的な問題はこれからの問題でありますから、税制や支援措置も含めて、または技術開発等も含めて、どのように政策として立案をするかということがこれからの大きな課題だろうと私は思っております。  しかし、そういう中で、先ほど浅岡先生が、当初、戸井田委員発言の中でも触れておりましたけれども、若干遠慮しておられるんじゃないかというふうに言われましたけれども、今までのやりとりの中では相当はっきりしてきておりますね。  この間のボン会議に私どもプロジェクトから三名派遣をしておりまして、アメリカの情勢、特にロビイストと言われる皆さんが、やはりこのことの法的な問題も含めて否定的な活動で企業活動をした方がいいのじゃないかという意味で、大物のロビイストがボンに集まった。加えて、NGOの皆さんが熱心に取り組んでおったということ。私どもアメリカに行っていろいろな立場で要請をいたしました。  したがって、そういう意味で、京都会議議定書というものがどのような結果になるかということは、日本の今の数値目標は五%と言いますが、実際は法的には二・五、ある面では一九九〇年段階ということになると、これは現状アメリカと同じような形でございますから。その背景には、通産の説明では、日本の企業はかつてのいわゆるオイルショックのときに省エネについては徹底したから省エネをなし遂げたんだというふうに実は胸を張っておられますけれども、その他いろいろライフスタイルも含めてあると思います。  そういう面で、浅岡参考人に具体的にお尋ねしたいのです。  先ほどからのお話で大体はっきりしていますが、現状のいわゆる五%と言われる中身はそういうことでありますから、果たしてそのことがいいか悪いか、そのことが果たして世界的な議定書のまとめとして通用するものであるかどうか、そういうことについてお尋ねをしたいと思います。  それから、時間がございませんから私申し上げたいのですが、この間のアメリカの決定というのは私は非常に関心を持っていたんですね。残念にも、アメリカは企業大国でございますからそういう面でのクリントンのああいう決断でございますが、そのときに市民活動の分野、NGOの皆さんと会談をしているんですね。私は、COP3も、NGOというのは世界的な規模ですから、国内ばかりではなくて世界的な情報が集まると思いますね。そういう意味で、市民的な合意というものを得るために、やはりもっと政府機関と市民サイドで活発に意見を交換し合わなきゃいけない。  そういう中で、NGOは首相と率直にこの問題についてお話ししたことがあるかどうかということ、また、そういうことについて希望を持っておられるかどうかということを、二点だけお尋ねをしたいと思います。
  75. 浅岡美恵

    浅岡参考人 京都会議の成否に日本政府の国内的な対応、対外的な対応、いずれも大変大きなかぎを握っているということは先生おっしゃるとおりでありまして、私どももそう思っております。  日本提案が大変不十分であるということの指摘も、ヨーロッパ及び途上国の国々からまた言われているわけであります。AGBMの最後の会合で、ヨーロッパ提案途上国の集まりでありますG77アンド・チャイナという百三十余カ国のグループが支持をいたしました。全世界的に見ますと、百五十カ国ぐらいは日本提案アメリカ提案では困るということで一致しているわけであります。  そうした状況を日本の政府はもっと見てまいらなければいけないと思いますが、その背景には、もっと大胆に私たちの発想を転換しなければこの温暖化問題に対応できないのだ、これまでできなかった、難しかった、だからこれからもできないというふうな言いわけをしていてはみすみすこのまま危機を招いてしまうのだという危機感が足りないということを含んでいると思います。  それに対して、日本の側で削減の余地があるのかということを議論しなければならないことにもなっているわけでありますけれども一先ほど申しましたように削減の余地はあるということをもう一点だけ私は強調させていただきたいのは、きょうお配りいたしましたものの中に「日本提案」といいますこの二枚ほどの紙、これは政府が出しました広報を私たちの側からつくり直した案であります。我々から見るとこれが事実であるというところでありますが、その二枚目の右下のところの「各セクターエネルギー消費量」というところを見ていただきたいのであります。運輸、民生部門がふえている、こういうふうに言われますが、運輸の貨物、旅客の部門、民生の業務、家庭部門、それぞれ区分をいたしまして、この十年間の増加、排出状況を産業の排出状況と比べたものであります。これはしかるべきデータに基づいたものであることを別途お配りしていると思います。何におきましても、産業部門での取り組みというものは全体を下げるために本当に大きな余地がある。  これにつきまして、産業界の効率は特別いいのだ、日本の産業界は世界のトップであるとよく言われますけれども、右の方に、よく使われておりますグラフを見ていただきますとわかりますように、この十年来決していいわけではありません。上がってきております。これは石油の価格と相関しているということを見ていただきましてもこの理由がおわかりになるかと思います。  また、対GDP比でとりわけいいという表が日本の政府広報の中にも使われておりますが、なぜかグラフは足切りがされておりまして、上に空白があります。これは、対GDP比で考えますときは、先ほど加納参考人がいろいろおっしゃいましたようなそれぞれの国の事情があるということで申しますと、日本ヨーロッパアメリカよりは気候が穏やかであります。海に囲まれて、そういう意味でもマイルドでありますし、非常に狭い国土に人口が集積いたしまして、かつ、このページの上にありますように、産業部門からの排出に極めて集中されておりますような集約的な産業活動というものが行われている、こうしたことを踏まえた上で対GDP比がどうなのかということも考えなければいけないのが日本の現状ではないか。  また、ユトレヒト大学の先生の御研究を私どもが聞きました機会にも、温暖な気候を反映いたしまして、室内の暖房につきましての効率は極めて低い水準にあります。これは環境とそれから住宅事情を反映しております。しかし、旅客、貨物の輸送に関する二酸化炭素の原単位当たりの排出、また、照明、電気機器等の排出等は決していいわけではなくて、アメリカを除きましたその他のヨーロッパ諸国の中ほどぐらいの効率であります。  いろいろな点から見まして、もちろん民生部門、家庭部門は言うに及ばずでありますが、それはそれぞれの部門で行われなければなりませんし、また、機器等の効率等の改善ということをしながらまたそれを消費者に示していっていただくというふうなことが非常に功を奏して、政策が適切にとられていくならば削減ができるのだという点につきまして、もっと国民的な確信を持って、産業界も確信を持っていただいて、それが次の日本の産業のステップになるのだという確信を持って出発していただけることが、すなわち日本の政策をもっと前向きに変えていくということであります。そのための時間が本当にこの二、三週間しかないというふうな状況で私どもは大変憂慮しているわけでありますけれども、重ねてその点を主張しておきたいと思います。  それから、もう一つおっしゃられましたのは、こうした私どもの声を、本当に首相のリーダーシップが問われているということで総理大臣にお伝えしたいということで、まず私どもは署名活動を行いました。百日前、これは危機だと私どもが思いまして署名活動を始めました。これはAGBM7の後を受けての危機感からでありますが、百日前から始めまして、わずか一、二カ月の間でございましたけれども、七十万人を超える人々から賛同の署名をいただきまして、先般官邸にもお持ちいたしております。  また、この合同会議の推移を見守る中で、これは国民の声が反映していない、本当に私たちの指摘を政策に取り入れていただくために、総理大臣に意見交換の場を持っていただきたい、例えばクリントン大統領も行ったことがあるではありませんかということで、昨日、総理大臣にそうした機会を私どもと直接持っていただきますようにお願いをいたしました。そうした署名をお届けいたしました。  どう実現されていくのだろうか、この経緯も見守りながら、日本の政府と行政と産業界、そして私ども市民のセクターとがパートナーシップを築いていく方向性、その一歩というものを確認してまいることができる道行きを大変期待しているところであります。先生方の御援助をよろしくお願いいたしたいと思います。
  76. 北沢清功

    北沢委員 時間が参りましたので以上で終わらせていただきますが、頑張っていただきたいと思います。よろしくお願いします。  ありがとうございました。
  77. 山元勉

    山元委員長 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時一分散会