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1997-11-07 第141回国会 衆議院 環境委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十一月七日(金曜日)     午前十時三分開議 出席委員   委員長 山元  勉君    理事 杉浦 正健君 理事 鈴木 恒夫君    理事 萩山 教嚴君 理事 田端 正広君    理事 小林  守君 理事 藤木 洋子君       大野 松茂君    河野 太郎君       桜井 郁三君    桜田 義孝君       砂田 圭佑君    戸井田 徹君       山本 公一君    大野由利子君       中村 鋭一君    並木 正芳君       佐藤謙一郎君    北沢 清功君       土井たか子君    岩國 哲人君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 大木  浩君  出席政府委員         環境政務次官  山本 公一君         環境庁長官官房         長       岡田 康彦君         環境庁企画調整         局地球環境部長 浜中 裕徳君         環境庁大気保全         局長      野村  瞭君  委員外出席者         外務省総合外交         政策局国際社会         協力部地球規模         問題課長    津曲 俊英君         資源エネルギー         庁公益事業部開         発課長     勝野 龍平君         運輸省港湾局建         設課長     布施谷 寛君         建設省河川局開         発課長     横塚 尚志君         環境委員会調査         室長      鳥越 善弘君     ————————————— 委員の異動 十一月七日  辞任         補欠選任   土井たか子君     北沢 清功君 同日  辞任         補欠選任   北沢 清功君     土井たか子君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  環境保全基本施策に関する件(地球温暖化防  止問題について)      ————◇—————
  2. 山元勉

    山元委員長 これより会議を開きます。  環境保全基本施策に関する件について調査を進めます。  本日は、地球温暖化防止問題を中心として調査を行います。  この際、地球温暖化防止京都会議に向けた現在の国際交渉状況について、政府から報告を聴取いたします。浜中地球環境部長
  3. 浜中裕徳

    浜中政府委員 地球温暖化防止京都会議に向けました国際交渉状況につきまして、とりわけ先月二十二日から三十一日までドイツのボン開催をされました第八回ベルリン・マンデート・アドホックグループ会合成果などについて御報告を申し上げます。  この会議には、日本から外務省田辺地球環境問題担当大使を初め、関係省庁実務担当者出席をいたしまして、私も全期間出席をしてまいりました。  今回の会合では、この会合議長を務めておりますエストラーダ大使作成をされました議定書案議論の軸になったわけでございます。全体会合もとに、テーマごとに四つの非公式の交渉グループを設けて議論を行いました。さらに、個別の主要論点につきましては、それぞれ関係国で非公式な協議を積み重ねて交渉が進められたわけでございます。  その成果といたしまして、エストラーダ議長案にさらに相当数の修正を加えた新たな交渉テキスト作成をされました。この新たな交渉テキストは、多くの論点がお互いに関連をしてパッケージとなっておりますために、重要な部分ではなおコンセンサスがございませんけれども、論点相当詰められまして、考えられるオプションが絞り込まれたわけでございます。したがいまして、交渉妥結に必要な判断をしていく上での基礎が築かれたと申し上げてよろしいかと思います。  なお、エストラーダ議長は、調整作業を継続させこの交渉テキストを一層改善するために、今回の会合を閉会とせず、京都会議直前、十一月三十日にベルリン・マンデート会合を再開することとしております。  以下、主要な論点ごとに、今回の結果について概略を申し上げます。  まず第一に、数量目標でございます。  今回の会合におきましては、我が国提案をその前に出しておりますので、これについて説明をし、各国理解を求めております。また、今回新たに米国途上国からも数量目標に関する提案がなされたわけでございます。  米国提案につきましては、二〇〇八年から二〇一二年までの五年間に排出量を一九九〇年レベルに戻し、その後の五年間には一九九〇年レベルを下回る水準に削減をする。それから、排出権取引共同実施といった柔軟性のある措置を導入することとしております。  さらに、途上国の案につきましては、温室効果ガス排出量を二〇〇〇年までに一九九〇年レベルに安定化させますとともに、二酸化炭素メタン及び亜酸化窒素排出量を、それぞれ二〇〇五年までに七・五%削減、二〇一〇年までに一五%削減、二〇二〇年までに三五%削減するというものでございます。  以上、数量目標については、既に提出をしておりましたEUに加えまして、我が国アメリカ途上国といった形で主要国提案が出そろったところでございますけれども、今回の会合におきましては、数値そのものについての実質的交渉には至らなかった次第でございます。  なお、この目標定め方でございますけれども、それを差異ある目標とするかどうかという問題につきましては、米国EUヨーロッパ連合等は、長期的な課題としてはその必要性を認めながらも、京都会合での合意は困難と引き続き主張をしております。他方我が国、スイス、オーストラリア、ノルウェーなどのグループは、関係国協議実施いたしまして交渉テキストに入れるべき合意ペーパー作成し、これが議長テキストに盛り込まれた点が今回の会合一つ成果でございます。ただし、具体的な差異化目標設定プロセス検討は、なお今後の課題となっております。  次に、欧州連合目標として掲げております、その前提となっておりますEUバブルでございますが、これにつきましては、EUが十六日の環境相理事会の決定を経て提案をいたしました新たな条文案、これにつきまして説明をいたしました。これに対して、多くの国々は、責任所在等につき引き続き問題点を指摘し、説明明確化を求めているところでございます。  柔軟性措置につきましては、EUが五年間のバジェットを採用するということを明らかにしたことによりまして、議論が大きく前進をいたしました。  排出権取引共同実施につきましても、アメリカEU等先進国間で導入の条件、手順などの具体的な条文レベルでの協議に入っております。ただし、途上国は、国内措置を優先すべきなどといたしましていまだ反対しておりまして、特に、途上国とのクレジットを伴う共同実施には強く反対をしております。  森林などの吸収源取り扱いにつきましては、我が国EU、小島嶼国連合などは、排出量のみに目標を設けることを主張しておりますが、他方アメリカオーストラリアカナダ、ニュージーランドなどは、吸収源も計算に含めるいわゆるネットアプローチを主張しておりまして、これまでのところ合意に達しておりません。エストラーダ議長は、この点につきまして合意形成に向けて議論をさらに進めるべく強いイニシアチブを発揮しております。  対象ガス範囲につきましては、すべての温室効果ガス対象とすべきと主張しておりますアメリカカナダオーストラリアなどと、当面、二酸化炭素メタン亜酸化窒素対象とすべきと主張する日本EUとの間で、さらに調整が必要な状況でございます。  次に、政策及び措置につきましては、議長テキストは、政策措置義務化共通化を目指すEUと、政策調整を拒む米国との妥協を図るような考え方提案しておりまして、これをもと協議を進めました。主要項目につきまして調整進展が見られましたが、政策分野を定めるリストの位置づけあるいは政策調整の是非について、今後特に重点的な検討が必要な状況でございます。  また、産油国中心とする途上国は、先進国が講ずる政策措置実施に伴って途上国に及ぶ影響の取り扱いにつきまして、政策措置実施に当たっては、悪影響を回避するようにするとともに、損失が生じた場合の補償措置を求めておりますが、このような提案は受け入れられないとする先進国との対立が解消されておりません。  次に、途上国を含むすべての締約国約束実施促進につきましては、先進国は、条約第四条一項の約束範囲内でできるだけ具体的な措置を盛り込もうといたしましたが、途上国は、このような措置は追加的なもので受け入れられないとの立場のために、調整は難航いたしまして、今後さらに調整が必要な状況でございます。  また、既存義務実施推進に当たって、途上国は新規かつ追加的な資金及び技術の支援が必要と主張いたしまして、これに対して先進国は、既存資金、メカニズムでこれに対しては対応が可能だと主張して、対立が続いております。  こうした対立が続く中で、我が国は、先進国及び途上国とそれぞれ会談を行うなどいたしまして、両者の橋渡しをすべく尽力をしたところでございます。  また、中進国などを念頭に置いた自主的な排出目標設定に関しましても、先進国は、途上国参加の一環として自主的に排出目標設定する国に関する規定を導入することを重視しておりますけれども、途上国は、新たな義務を求めるものであるとして反発をしております。その一方で、自主的な参加国基準についての議論もなされまして、また、途上国の中にも一定評価をする国もあるなど、議論進展が見られたところでございます。  最後に、組織的事項等につきましては、前文、定義規定組織事項最終条項等について、主として法制度的な側面から議論をしております。  締約国会議の構成の仕方でございますとか、不履行を是正する措置、あるいは議定書加入国責任分担発効要件など、幾つかの論点京都に持ち越しましたけれども、前回会合と比べかなりまとまったテキスト作成をされ、全体としては検討作業相当進展をしたところでございます。  以上申し上げましたとおり、今回の会合では、京都会議における交渉基礎となるテキスト作成をされたところであります。  多くの点で各国の意見はなお異なっておりますが、今後は、このテキストもとに、ハイレベルでの政治的判断も得ながら、京都での最終合意妥結に向けて、主要部分パッケージとした大詰め交渉を行うことになると見ております。  我が国といたしましては、京都会議直前ベルリン・マンデート再開会合のほか、今週末東京開催を予定しております非公式閣僚会合、そのほか各種の二国間、多国間の機会を利用いたしまして関係国に強い働きかけを行い、京都会議の成功に向けて全力を尽くしていく必要があると考えております。  環境庁といたしましても、関係省庁協力をしながら、大木大臣を先頭に、環境庁を挙げまして最大限の貢献を行っていくこととしている次第でございます。  以上でございます。
  4. 山元勉

    山元委員長 これにて報告の聴取は終了いたしました。     —————————————
  5. 山元勉

    山元委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大野松茂君。
  6. 大野松茂

    大野(松)委員 おはようございます。自由民主党の大野松茂でございます。  地球環境問題、特に温暖化防止問題について、AGBM第八回会合議論などを踏まえながら質問をさせていただきます。  申し上げるまでもないことではございますが、今、二十一世紀を前にいたしまして、さまざまな環境問題に直面をいたしております。大気汚染水質汚濁などの公害問題、身近な緑や貴重な自然の減少など自然環境問題、さらに、地球温暖化は最も深刻な問題として、人類の将来にとって、恐らく二十一世紀にとって最大の心配事でございます。最も重要な解決を急ぐべき課題、このように位置づげられることは当然のことでもございます。  現在こうした事態に直面しているわけでございますが、実は、五十年前の昭和二十二年十月一日の朝日新聞の天声人語欄にこんな文章が載っております。ちょっと読ませていただきます。   九月三十日は中秋の名月アメリカの粉の団子の月見かな。どこかの小学生新聞に出た俳句だそうだが、敗戦後の月見風情であることはたしかだ   いまだにゴウ舎で三度目の名月をながめた非運な人も多かろう。停電のため幸か不幸か月光のひとしお美しいのに詩情を催した人もあろう、   東京もそうだが、戦災都市の秋空がめっきり美しく澄んでいるのに気のつく人もあろう。川の水もきれいになった。従って空の月も水に浮ぶ月も、自然美がましたといえよう   空や川がきれいになったのは、煙突が煙をはかず、川に機械油が流れぬからである。つまり生産がスッカリ止まっているからだ。商工業都市の空や川が澄んでいては、市民の生活は楽にならぬわけである   貫一とやらは涙で月を曇らせてみせると言つたが、来年の今月今夜は、国民の涙ででなく、モクモクと出る煙突の煙で、名月などが見えぬくらいに思いきり曇らせてみたいものだ   名月が曇ったら、炭鉱夫さん達は、あゝおれのシャベルで月が曇ったのだと、大いに威張ってくれ。国会の議員諸公も、去年の今ごろは国管々々で三、四ケ月もワッサワッサともんだつけなあと、ラジオで思い出の座談会でもやってくれ。 こういう記事でございます。  執筆されたのは荒垣秀雄さんでございます。後に、自然破壊、公害問題について活発に発言、行動をされて自然保護運動に大きく貢献をされ、平成元年に八十五歳で亡くなられた方でございますが、この文章には当時のたくさんの皆さんが共鳴、また共感をしたはずであります。私は当時小学校の六年生でございますが、今読んでも特別な感慨がございます。  ただいま引用した記事に比べまして、現在、我が国のみならず世界全体の課題として地球温暖化対策議論している状況は、まさに隔世の感がございます。人類の、地球の存亡にかかわる温暖化問題についての長官の基本的な御認識をお伺いいたします。
  7. 大木浩

    大木国務大臣 今大野委員の方から、昭和二十二年当時の荒垣さんの文章を引用してのお話でございました。二十二年といいますと私もまだ学生であったと思います。いずれにいたしましても、荒垣さんは、これはある意味では先見の明というか、当時から環境の問題を意識しながらここで文章を書いておられますけれども、国民の意識としてはむしろ、とにかく何とかして食べられるようになりたい。政府としても、国民がみんな食べられるようにしたいということで、とにかく生産を拡張しなきゃいかぬということで、御年配の方は御記憶だと思いますけれども、当時は生産のためのエネルギー資源エネルギーを確保しなきゃいかぬということで、国内におきましては、石炭をいわゆる傾斜生産で、優先的にいろいろと措置をとって石炭の増産を図ったということであります。  その後、石炭から石油というふうに移動はしておりますけれども、とにかく生産を拡大するということで、大きいことはいいことだ、大量の生産、大量の消費、そしてその結果、今は大量の廃棄物が出ておる、あるいは地球環境が悪化しておる、こういう状況でございますから、まさに私は、この辺で一遍今までのそういった大量生産というものから方向を転換しなきゃいかぬ、そういう時期に来ているということは、まことにそういう時期だろうと思っております。  地球環境問題につきましては、今我々は五年、十年あるいは二十年先の議論をしておりますけれども、やはり最終的には、五十年たったらある…は百年たったら本当に困ったことになるぞということは、国民もまた世界的にも共通認識だと私は思いますので、それに向かって、遅過ぎないようにいろいろな対策を進めなきゃならない、そういう時期であろうというふうに感じております。
  8. 大野松茂

    大野(松)委員 五十年という時間の経過の中でありますから、その間、その時代に生きる者の責任として、さまざまな努力をしてこの時代を迎えている、このように私も思っているところでございます。  ただいま御報告もいただいたところでございますが、先月末のボン開催されたベルリン・マンデート・アドホックグループ第八回の会合地球環境部長出席をなされて大変御苦労をいただいたそうでございまして、厚く感謝を申し上げるところでございます。  そこでは、地球温暖化防止京都会議での国際合意に向けまして、言うなれば大詰め議論が活発に行われたもの、このように今も承ったところでございます。エストラーダ議長示し議定書案を軸にいたしまして、その議論というのはさまざまな広がりを見せたのだろうと思いますが、そうした中で進展を見たものもたくさんあるようにも思います。  主な争点は何であったのか、また、国際合意進展したものはどんなものがあったのか、そして、活発な議論の上で合意を重ねたものと思いますが、今回のベルリン・マンデート会合以降に残された大きな論点は何であったのか、それぞれお示しをいただきたいと思います。
  9. 浜中裕徳

    浜中政府委員 お答えを申し上げます。  現在、京都に向けましての交渉の大きな論点は何かということでございますけれども、まず最初に一番大きな論点として申し上げるべき点は、数値目標と申しますか数量目標であろうかと思います。それから、これらを達成するために必要とされる政策措置。そしてもう一つは、途上国も含めましたすべての締約国実施推進でございます。  今回のベルリン・マンデート会合におきまして国際的な合意進展した点といたしましては、まず数値目標関係につきましては、排出権取引などの柔軟性を持たせるための種々の措置について、いずれも具体的な議論が行われたということがございます。とりわけ、数値目標基礎となりますいわゆるバジェット、数年間の期間をとりまして複数年目標を掲げる、そういう仕組みでございますが、これにつきまして、今回初めて欧州連合EUが五年間のバジェットを採用するということを決めました。そうしたことから先進国間でほぼ合意がなされたという点が挙げられます。  また、政策措置、それから全締約国約束実施促進、そして組織的事項、こういった点につきましても、特に対立の大きな点を除きましては条文相当絞り込まれてまいりまして、一定前進が図られたと認識をしております。  一方、今後に残された大きな論点といたしましては、数量目標について、この目標レベルが最も大きな争点でございます。そして、これを規定いたします対象ガス範囲をどうするか、ネットアプローチを採用するかどうか、差異化をするかどうか、こうした問題がそれぞれ関連し合っておりますことから、全体をパッケージとした政治的な判断が求められる状況になってきている、このように認識をしております。  また、途上国参加の問題も大きな課題でございます。具体的に申し上げますと、先進国義務の強化とのバランスを考慮しながら、条約に定められました既存義務実施促進を求めるに当たっての資金援助あるいは技術移転をどう進めるか、それから、ある程度発展の進んだ途上国をどう取り扱うか、こういった点を議定書においてどのように位置づけをしていくか、こういったことが大きな課題でございます。  また、途上国発展に応じて地球温暖化防止義務を強化していくべきであるという、いわゆるエボリューションの考え方につきましては、ベルリン・マンデートを超えたものではございますけれども、このような課題についての京都会議以降の検討の進め方につきましても京都会議の大きな論点になる、このように考えているところでございます。
  10. 大野松茂

    大野(松)委員 あすからは東京における非公式会合が始まるようでございますが、今お話しになりました、この集約された論点についてさらに精力的な交渉進展が見られるものと期待しておりまして、多くの論点が相互に関連する中で交渉妥結というものもあるのではないか、こう思っております。  次に、京都会議に向けた国際交渉では、今お話しになりましたように数値目標が既に大きな論点となっております。ベルリン・マンデート会合に先立ちまして、我が国基準目標五%、そして実質目標遵守目標についても提案をされたところであります。この五%の数字の根拠はどういうところにあったのか、お示しをいただきたいと思います。この目標設定というものは国民理解協力を得る上で極めて大事なことでありまして、これらの数字についてもわかりやすさというものが不可欠だと思うのですが、そのような点を踏まえましてお答えをいただきたいと思います。
  11. 浜中裕徳

    浜中政府委員 お答えを申し上げます。  今回の我が国数値目標提案でございますが、この提案をいたしました背景にございますのは、まず第一に、地球温暖化を防止していく上で意味があるということ、かつ現実的であること、そして三番目に、衡平であること、この三つの原則を踏まえまして、その上で、議定書には、日本はもちろんでありますが、米国欧州諸国などの主要国参加が不可欠である、そして他方で、EUは既にバブルによりまして一五%削減という提案を出しておりますけれども、この一五%削減というのはEU域外の国にとって衡平ではなく、かつ現実的でもないのではないか、こういった点を総合的に勘案したものでございます。  さらに、我が国提案は、対象ガス二酸化炭素のみならずメタン及び亜酸化窒素を含む三つガス対象とするとしていること、そして、この提案は二〇一〇年までの技術革新エネルギー事情産業構造変化等によって規定される性格を持っている、そして三番目に、各国削減目標設定におきましては、国内生産当たり排出量あるいは人口一人当たり排出量、または人口増加率による差異化を図るという三つ条件を加味いたしまして、主要国交渉基礎となり得る数字ということで五%を基準とした削減目標仕組み提案させていただいたところでございます。
  12. 大野松茂

    大野(松)委員 私たち認識している範囲の中でもありますけれども、例えば、一九九〇年に比べて二酸化炭素は既に九%も発生量がふえているということもあります。目標が達成されれば現時点よりも一〇%ぐらい削減されるのではないか、こういう見地に立つ方たちも大勢おられるわけでございますが、言うなればこうした具体的な説明というものも今後必要なのではないか、私はこう思っております。  次に、今回のベルリン・マンデート会合においては、我が国アメリカなど主要国提案が出そろいまして、それぞれ交渉のテーブルに並べられたわけでございますが、我が国提案あるいはまたアメリカ提案に対しましてさまざまな議論交渉、また相当の応酬があったように伺っているわけでございますが、参加国の反応というのはどうだったのでしょうか。
  13. 浜中裕徳

    浜中政府委員 お答えを申し上げます。  今回のベルリン・マンデート会合におきまして米国提案がなされたわけでございますけれども、これにつきましては、具体的な国内措置を盛り込んでいるという点は評価がございましたけれども、一部の国を除いて各国とも、その目標レベルが低過ぎるのではないかということで、さらに米国努力を促していく必要があるという発言が多かったわけでございます。  我が国提案につきましては、二〇一〇年までに一五%削減目標として掲げております欧州連合やあるいは途上国は不十分としておりますけれども、一方で、アメリカ提案も出てまいりましたので、この日本提案はかえって現実的で、これが結局最終的な妥協案になるのではないかというような形で評価をしている国もあるところでございます。  しかしながら、こうした目標レベルそのもの以外にも、対象ガス範囲をどうするか、あるいは吸収源取り扱いをどうするかといったことでございますとか、差異化をするかどうか、そして柔軟性を確保するために排出権取引等をどのように取り扱うかといったいろいろな論点がございまして、それぞれに各国の意見も異なっておりますために、日米の提案に対しましても、このような論点ごとにさまざまな意見が表明されているという状況でございます。
  14. 大野松茂

    大野(松)委員 アメリカ提案についてでありますけれども、アメリカは二〇一〇年めどに一九九〇年レベルまで削減するというわけでありますけれども、アメリカの産業界や労働界、そして政界の強い意向の中でこの数字が示された、このようにもお聞きいたします。率直に言って、現行の条約目標を先送りしているにすぎないものではないか、こうも思います。世界最大の二酸化炭素排出国として削減に向けたリーダーシップを発揮しているとはとても思えるものではないわけであります。  京都会議における合意のためには、アメリカに対しましてさらなる目標の引き上げを迫ること、これも大事なことではないかと思いますが、いかがでしょうか。会議をまとめる上では大変重要だと思っておりますので。
  15. 浜中裕徳

    浜中政府委員 お答えを申し上げます。  アメリカの案につきましては、ただいまお答え申し上げましたように各国からもいろいろ批判が出ているところでございますが、アメリカは御指摘のとおり世界最大の温室効果ガスの排出国でもございますし、例えば人口一人当たり排出量あるいは国内生産当たり排出量で見ましても我が国の二倍以上という水準にございます。したがって、さらなる削減努力が期待をされているところでございます。  このままアメリカが現在の提案にこだわった場合には、交渉がなかなか進展しない、あるいは場合によっては合意そのものも成立しないおそれもあると考えております。京都会議合意を形成いたしますためには、各国に柔軟な対応を求めていく必要がございまして、こういった観点から、米国に対しても交渉妥結に向けて必要な政治的判断を高いレベルで強く促してまいりたい、このように考えております。
  16. 大野松茂

    大野(松)委員 一方でEUですけれども、EUは二〇一〇年までに一九九〇年レベルより一五%削減するという、言うなれば積極的な案を提案しております。この高い目標に大変固執しているように見受けるわけでございますけれども、このままでは先進国の多くは合意できないのではないか、このような言われ方もされております。  これを現実のものにするよう交渉をすべきではないかと思いますが、EUに現実的な数値目標を示させることが、アメリカ目標値を見直すように求める上であるいは大きな圧力にもなるのではないか、こう思っております。また、そういうことがこれからの交渉を進める上では有効だと思っておりますが、いかがでしょう。
  17. 浜中裕徳

    浜中政府委員 お答えを申し上げます。  先ほど御説明を申し上げましたとおり、現在EU提案をしておりますいわゆるEUバブル考え方につきましては、目標が達成されない場合の責任関係EUそのものとそのEUの加盟国との間の責任関係が必ずしも明確になっていないという法的な問題でございますとか、あるいはEu全体としては一五%削減を掲げておりますが、その内訳、十五カ国の責任分担を見てまいりますと、大幅な削減をする国から四〇%も排出の増加を認められている国まである一方で、域外国に対しては一律に一五%の削減を求めているといった域内外の不衡平さなどの点で、なかなか今の提案のままでは国際合意は難しいのではないかと認識をしている次第でございます。  しかしながら、京都議定書に向けた交渉は、もはや意見を述べ合う段階から妥結のための解決策を探らなければいけない段階に来ていると考えております。したがいまして、こうしたことからEUに対しましては、各国の指摘を踏まえた現実的、具体的な条文案関係各国協議するようにぜひ働きかけていきたい、このように考えております。  こうした形でEU側に歩み寄りの動きが出てまいりますれば、米国側の歩み寄りも期待できるところでございまして、我が国といたしましても、関係国協力をしながら、もちろんEUとも協力をしながら、具体的なEUバブル問題点の解決策を探りまして、そのことによってEU柔軟性を引き出し、交渉妥結に向けての歩み寄りを求めていく、このような考え方でまいりたいと思っております。
  18. 大野松茂

    大野(松)委員 EUバブルの問題というのはこれからの交渉の中で一番大事なことだと思っておりますが、ともかく京都会議まで残りわずか一カ月でございます。今回のベルリン・マンデート会合におきましても、京都会議での国際合意に向けた大きな進展があったものと思っておりますが、いまだ各国の意見が収れんされていない論点もたくさん残されているように思います。会議の成功のためには、各国のさまざまな意見の収れんに向けてどのようにリーダーシップを発揮していくかということも大事なことでありまして、議長として重い責任を担われております長官の御決意をお伺いいたします。
  19. 大木浩

    大木国務大臣 今大野委員がおっしゃいましたように、いよいよ京都会議も迫っておりますので、何とかしてこの辺で、先ほど部長も申し上げましたけれども、今まではむしろ各国の立場を説明して議論をしておった、これからはひとつ取りまとめの方を主眼として話し合いを進めなければいかぬということだろうと思います。ということで、この八日、九日にも一応各国の、主な国でございますけれども、関係閣僚に集まっていただきまして、そういった視野からの話し合いを進めたいと思っております。  今まで議論しておりましたのは、例えばボンでも非常に技術的なところに入ったということですけれども、こういうものはお互いに関連しているものですから、こういうものをそろそろこの辺で整理をいたしまして、既に先般のサミットでも、あるいは国連の環境のための特別会議でも、各国が首脳レベル合意しておりますように、意味があり衡平かつ現実的なものは一体どういうものだろうということを模索しておるわけですが、それをきちっと形にしていきたいというふうに考えております。  いずれにいたしましても、この京都会議というのは、私は、これが終わりではなくて一つのスタートだ、今後二十年、五十年先を見越した、そのために意味のある一歩がしるされたのだ、そういうようなものにしたいと思っております。そのためには、数値目標を初めその他いろいろの関連も含めまして、本当に全体として前進したということにさせていただきたいと思っております。  と同時に、日本といたしましても、やはり議長国としてということもありますし、それから大きな排出国ということもありますし、いろいろな意味でこれから国際社会でリーダーとして頑張っていくためには、この問題につきましてもしっかりとしなければいかぬということでございます。  このために政府も、関係省庁と一生懸命頑張っておりますが、国民運動としてひとつ環境問題を盛り上げていただきたいということで、既に京都市を初めいろいろな地方自治体でもそれぞれの立場でまた目標を掲げて、自分のところではこれだけこれから数値目標も掲げてやるぞというようなことを言っていただいておりますので、そういった国民運動もあわせて、これから頑張らせていただきたいと思っております。
  20. 大野松茂

    大野(松)委員 ただいま国内問題にもお触れになったところでございますが、京都会議において削減目標としてどのような数字が決まろうとも、これは長期的に続く温暖化対策の言うなれば第一歩にすぎないと思うのです。  我が国の現実を見ますと、二酸化炭素の排出について、運輸の部門であるとかあるいはまた民生の部門などにおきまして、現実には大幅に伸びているところでもあります。これに正面から取り組む必要があるわけでして、それぞれの地方の自治体での取り組みも既に始まっているわけでございますが、国内対策の充実強化に向けて、長官の強い御決意をひとつお示しいただきたいと思います。
  21. 大木浩

    大木国務大臣 今大野委員もおっしゃったように、部門別に考えますと確かに産業、運輸あるいは民生というところで、最近は運輸、民生での排出量の増加がかなり大きいということでございますから、これについては関係省庁にも御協力を願って、必要な措置というものも進めていただかなければならぬわけですけれども、運輸といいましても、これはいわゆる産業部門というよりはむしろ国民の一人一人が自動車を使っておられるわけで、そちらの方も数字が入ってまいります。  それから、民生については、もちろんこれはまた国民のお一人お一人の御参加もお願いしなければいかぬ、こういうことでございますので、政府としてやる措置は一生懸命やりますが、同時に、国民に対しても御協力をお願いする、そういうことでこれからひとつ、そういった意味での広報活動というか、もっと広い意味でのいろいろな活動を進めてまいりたいというふうに考えております。
  22. 大野松茂

    大野(松)委員 ありがとうございました。  ともかく地球温暖化という問題につきましては、地球環境問題の特色でもございますが、被害者と加害者の区別がつかないこと、ここに一番問題があると私は思うのです。ともかくそういう背景の中で、地球温暖化問題は現在の世代と将来の世代の公平という立場の中で考えることが大事であると思います。子供や孫の世代を真剣に考えることがまた人の道でもある、このようにも思うわけでございます。  そのような国民すべてのこれらに対する認識を進める上では、国民地球温暖化対策についてテレビあるいはいろいろなキャンペーンなどを催す中で一層周知をすると同時に、国民皆さん方の御理解を得るような努力がますます求められているのではないか、私はこう思っております。  時間になりましたが、長官には京都会議議長をお務めになられるわけでございまして、数々の御苦労があるはずでございますが、これらに十分配慮をされまして、各国との最後の調整に努めていただいて、京都会議をぜひ成功に導いていただきたい、このようにお願いいたします。  どうもありがとうございました。
  23. 山元勉

    山元委員長 次に、田端正広君。
  24. 田端正広

    ○田端委員 いよいよ地球温暖化防止京都会議まで三週間ということで、大詰めに来ている感がありますし、そしてまた先ほどAGBM8の御報告もいただきまして、これまでの経過もわかるように説明もいただきました。  しかし、お話を伺っていて、一番大事な数値目標を初め、その他、差異化の問題とかあるいは柔軟性の問題とか期限の問題とか、それぞれの各国の言い分、主張がいろいろ食い違って、議長国としてこれをどう取りまとめるかというのは、これはもう大変な難事業だな、非常に難しいな、本当にうまくいくのだろうか、こういう危惧さえしているわけでありますけれども、その辺のところをきょうはまたいろいろとお伺いをさせていただきたい、こう思います。  まず、日本が五%の数字を出したこの基本的な考え方を確認させていただきたい、こう思います。  日本政府案のこのCO2削減数値目標五%というのは、私は非常に不可解な数字だなと思っております。それは、差異化によってGDP当たりでいきますと二・五%マイナス差し引きできる、そして、柔軟条項といいますか、つまり、未達成部分が二%以内ならば削減義務違反にはならない、こういう理屈をお述べになっている。そうしますと、残るは〇・五ということになりますと、この〇・五もCO2以外の温室効果ガスメタンとかそっちの分だ、こういうことになりますと、CO2に限って一言えば結局〇%、こういうふうになるのではないか、こういう思いがします。この私の考え方理解が間違っているでしょうか。その辺、環境庁にお聞きします。
  25. 浜中裕徳

    浜中政府委員 我が国提案考え方についてのお尋ねでございますけれども、先ほど申し上げましたように、我が国提案当たりましては、地球温暖化防止意味があり、現実的で衡平であるということを三つの原則といたしまして、日米、欧州諸国等の主要国参加が不可欠であり、他方で、EU提案の一五%削減といいますものは域外の国にとって不衡平かつ非現実的であるという点を総合的に勘案して、五%を基準とした削減目標仕組み提案させていただいたわけでございます。この基準削減率に対しまして、各国の国情の違いを十分に考慮をいたしまして、各国間の衡平性をできるだけ確保する上で、妥当な理由があるものにつきましてはこれを差異化をする具体的な条件として入れることができる、こういうことでございます、  我が国の場合に当てはめますと、GDP当たり排出量の観点からは、我が国先進国平均の倍程度の効率性がいい形で経済が運営されておりますので、そういった点から、五%に対しまして約二・五%というものが具体的に我が国目標になるわけでございます。これが法的拘束力のある目標ということになるわけでございます。  ただ、先ほども申し上げましたとおり、この提案は、二〇一〇年までの技術革新エネルギー事情あるいは産業構造変化等、現時点では予見し得ない要因によって規定される性格も持っているということでございますので、この目標の達成に向かって最大限の努力をいたしましても、なお現時点では予見し得ないこうした要因によって結果的に目標の達成ができないという場合においては、これは、漫然と過ごした場合に達成できないという場合とは違った形の取り扱いをすべきではないか。具体的には、遵守条項において一定柔軟性を持たせるべきである、このような考え方をしているわけでございます。  もちろん、この目標対象ガス二酸化炭素のみならずメタン及び亜酸化窒素も含むこととしておりますので、二酸化炭素以外のこうしたガス対策がどの程度進むことが見込まれるか、こういった点も考慮していく必要がございます。二酸化炭素のみについて申し上げますと、先ほど御指摘にもございましたが、現在までのぎりぎりの対策の積み上げでは、エネルギー起源の二酸化炭素につきましてはおおむね一九九〇年レベルに戻していく、そのようなところが積み上がっているという状況でございます。
  26. 田端正広

    ○田端委員 私の理解環境庁はおおむねお認めになったと思います。つまり、そういう意味では非常に、いろいろな理屈はつけておりますけれども、日本議長国として提案しているその姿勢が消極的である。ここが、例えばそれ以後アメリカが発表した数値、アメリカはもう最初からゼロ削減を言っているわけですから、そういうことにも影響しているのではないか。議長国でありながら、大きな使命、役割を担っていながら、本当に役割を果たしているのだろうか、何か余りにいろいろなことに気遣いばかりしていて、リーダーシップといいますか指導力を発揮していない、そこを私は懸念しています。  そういう消極的なことが影響していきますと、日本の外交にも、いろいろな意味評価にもかかわってくることでもあり、そして、この京都会議が成功する、しないということについては、これは日本の二十一世紀に向けて大変大きなことになりますから、私は、例えば五%というものももう一回考え直す必要があるのではないかな、こんなぐらいの決意を持っております。  それで、実は、おとといですか、今回のこの京都会議の方に出す資料として政府の方で発表された日本報告書案の中でも、CO2については、二〇一〇年には二〇%ふえる、こういう見通しをお述べになっておりますけれども、私は通産省の方の資料もいろいろ検討してみましたが、通産省の資料がたたき台といいますか、それが基礎になってやはりつくられているのだなということを感じました。  この通産省からいただいた資料でいきますと、最大限の努力を払って、原子力、二十基増設して七千五十万キロワット、そして新エネルギーを千九百十万キロリットル、今の三倍にこれから積み上げていって、これは炭素換算ですけれども、CO2の排出量は三億四千七百万トンになる、つまり九〇年度に比べて二一%の増加である、こういう数値をお示しになっている。これが基礎になっているのだろうと思いますが、今回二〇%という数字を出されたのもここと関係していると思います。これに産業、民生、運輸の各需要部門において最大限の対策を立てて、省エネルギーということをやっていって、それでもなおかつ二〇一〇年には九〇年度比ゼロの安定化レベルである、こういうことになっています。  そうしますと、つまり、このデータがたたき台で、そこから今回の五%が出てきたとするならば、結局二〇一〇年、これだけ、原子力も二十基やります、新エネルギーも一生懸命やります、省エネルギーもこれだけやります、しかし一九九〇年レベルに戻すのが精いっぱいです、こういう理屈だと思いますね。  そうすると、通産省側の資料に基づいて、しかし国際的には何らかの形をつけなければならないから五%という数字を出した。しかし、その五%はからくりがあって、差異化によって二・五にして、そして二%の柔軟条項で、二%はこれは違反してもいい、〇・五はメタンとかほかのガスだ、それで結局はゼロなんだ。こういうことで、数字合わせで終わっていることになっているのではないのかということを感じるわけです。  そういう意味では、日本政府の出した数字というものが各国にもそこのところは見破られているのではないか、信頼性という意味で、日本としてこれから外交交渉にたえ得る中身になっているのかな、こういう思いがしておりますが、長官いかがでしょう。
  27. 大木浩

    大木国務大臣 先ほどから申し上げておるわけですけれども、京都会議では、できるだけたくさんの加盟国が入ってもらって、数値についてきちんとコミットしてもらう、約束をしてもらう。ということになりますと、先ほどから申し上げておりますように、各国が現実的にやれるところはどこだろうという考慮もやはりしなければならない。  それから、もちろん日本としてどこまでやるんだということも示さなければならないということでございまして、確かに日本が出しております全体としての五%、あるいは日本としての二・五というのは一見非常に小さい感じは与えておりますけれども、ある意味では非常に生まじめなといいますか、生まじめ過ぎるかもしれませんけれども、今見えている、ある程度計算できるというものを積み上げて話をしておるわけです。  しかし、先ほどから申し上げておりますように、二・五%までは義務化対象としてやるぞ、こういうことを言っておるわけですから、これは先ほども大野先生のときにもお話があったと思いますけれども、現在はそれよりもかなり高いところへ残念ながら行ってしまっておるものですから、そこから下げて二・五%下げるというのは、決して怠けているわけではないということは御理解いただきたいと思います。  そういうことで、各国も、それは一見非常に小さい数字だなということでの反応もありますけれども、細かく説明をしておりますと、必ずしも全く後ろ向きの数字ではないということは徐々に理解もしてもらっているのではないか。  今回また東京会議でも改めて説明いたしますけれども、各国の指導者が本当に政治レベルで決断できるのはどこだろうなというようなことも、いろいろな国がございますから、ヨーロッパの方はEUが非常に大きな数字を出しておりますけれども、日本のあたりを眺めてみますと、アメリカもそうですし、豪州とかニュージーランド、カナダあたりもそれほど大きな数字ができるというところまではいっておりませんので、まあいろいろと並べてみたときに見ばえがしないということはわかりますけれども、私どもとしては、これを基礎にして交渉を進めたいというふうに考えております。
  28. 田端正広

    ○田端委員 いや、つまり、EUがこれだけだから、どこがこれだけだから、だから五%、こういう決め方というのは私は非常におかしいと思うのですね。要するに、五%の実態が、今申し上げたように結局は〇%、ゼロ削減でしかないということになっているわけです。だから、そこのところが非常に消極的に、世界には、皆さんには映っているのじゃないかということを申し上げておるわけです。  だから、長官、いろいろなことをそういうふうにおっしゃいますが、例えば、原発二十基をつくるということですが、通産省の方お見えかと思いますけれども、二十基本当につくれるのだろうか、そういう気持ちがしています。例えば長官の地元にもしつくるという話が起こったら、これはなかなか、いいよ、賛成だと言えませんよ。  それで、ちょっと具体的に伺いますけれども、例えば青森県の東通に新設の計画になっているようですね。それから、静岡県の浜岡、今四基あるのを次に一基新設する。石川県の志賀ですか、これが二基目。それから、この辺のところは動いているようですが、新潟県の巻は、これはちょっと新設計画がペンディングになっているようです。それから、宮城県の女川、三基目を建設中。今原発の建設状況あるいは予定状況、こういうふうになっていると思いますが、通産省の方、これでよろしいでしょうか。
  29. 勝野龍平

    ○勝野説明員 お答え申し上げます。  ただいま個別の原発の建設状況を先生の方から御説明ありました。基本的にそのとおりでございます。  全体的な状況を簡単に御説明させていただきますと、現在運転中の原子力発電所は五十三基ございます。四千五百二十五万キロワットという状況でございまして、さらにこれに加えまして、本年三月に電気事業者の方から通産大臣に届けられました電力供給計画がございますけれども、これによりますと、二〇〇六年までに新たに運転を開始する発電所として九基という届けがございます。千百二十八万キロワットが計画されているところでございます。また、二〇〇七年以降につきましても、運転開始を予定している原子力発電所も相当数考えられます。  御指摘のように、今後二〇一〇年までの十三年間で約二十基を増設するということは確かに容易ではないというふうに認識しております。しかしながら、通産省としましては、原子力発電所の安全性の確保を第一とし、また、原子力発電所の必要性、それから安全性に対する国民理解、こういったことを求めながら、また、地元の地域の振興、こういったことにも最大限取り組みつつ、何とかこの二十基の増設の実現に最大限の努力をしていきたいということでございます。
  30. 田端正広

    ○田端委員 私は、何も原発をつくれということを推進して申し上げているのじゃなくて、要するに、現実がそれほど厳しいんだという認識長官がどのぐらいお持ちなのか。その厳しい中で、しかし日本はこうやるぞ、こういうことがもっと国民に実感として出てこないと、さっき国民運動ということのお話がございましたけれども、これはなかなか国民サイドからいったら、政府の言っていることと実態とは相当、からくりがあって違うんだということにしか映らない。これは外国にもそういうふうに映っているのじゃないか。そこが京都会議が成功するかしないかの大きなポイントではないか、僕はこういうふうに思うのです。  例えば、もう一つ具体的な例を申し上げますが、国民挙げてそういう省エネの国民的な運動にも持っていかなきゃならないと長官はおっしゃっていますが、きのう実は議員会館の各部屋にこういうパンフを配ってくれました。これは、地球温暖化防止京都会議に向けての政府広報で、環境庁、外務省、通産省で新しくつくられたパンフだと思います。私、これを見て、いや本当にやる気があるのかなと、失礼ですけれども、このパンフで言わんとしていることがよくわかりません。  例えば、日本提案五%というその「五%」も小さい数字で、何か気が引けたような数字を書いて、「三つ条件」ここを大きくしているのですね。対象ガス三つあるとか、差異化によってこういうことになりますとか、柔軟性がありますとか、この三つ条件、こんな国民にはわからないことを何で大きな活字で書くんだろう。  私は、このパンフレットは何のためにつくっているのか、どのぐらいつくったのか、よくわかりませんけれども、こういうやり方そのものが国民にはわかりづらくしているんです。パンフというのは、わかりやすいようにするのがパンフレットであって、それをわざわざ難しく、わからないようにつくって、全国にばらまくというのはどうかと思います。これは環境庁中心なのかどうかわかりませんが、これはどういう趣旨で、どういうことでつくられたんですか。
  31. 浜中裕徳

    浜中政府委員 お答えを申し上げます。  私ども政府におきましては、今回日本提案を出させていただいたわけでございますけれども、京都会議の重要性を御理解をいただき、そして地球温暖化問題についての合意が今回の京都会議で得られることが非常に重要である、こういうことを御理解いただくために、我が国提案の内容も含めまして、そしてまた、我が国の実態といたしまして非常にエネルギーの消費が増大をし、それに伴って二酸化炭素の排出も急速に増大をしておりますので、これを日本において我が国自身が実施をしていくためには大変厳しい対策が必要になる、こういったような趣旨を広く御理解いただきたいということで、このようなパンフレットを作成をし、百万部ほど刷りまして、国民のなるべく多くの方々にお読みをいただき、御理解をいただきたい、こういう趣旨でこれを作成したものでございます。
  32. 田端正広

    ○田端委員 趣旨と中身が全然かみ合ってない。そういう意味でこれは本当に、例えば気候フォーラムの人がつくっているこういうパンフがありますけれども、これの方がはるかによくわかる。そこに、いろいろ苦労なさっている人と、そういう数字合わせみたいなことで言っているのと、やはり気持ちの違いが出ているんじゃないかな、失礼ですけれども、はっきり言わせてもらえばそういうふうな感じがしてなりません。だから、本当に国民協力を得てやろうというのなら、もっとやはり真心のこもったものをつくっていただきたい、こういう思いがします。  話は変わりますが、この京都会議は、百六十か七十カ国ぐらいが参加される、それから政府関係者及びNGOの関係者五千人ぐらいが京都に来られる、こういうことを聞いております。そういう意味では、日本で開く国際会議としたら、規模としても大変な、かつてない会議じゃないのかな。しかもまた、中身は、地球の二十一世紀を救うことができるのかどうか、こういう国際会議ですから、そういう趣旨からいっても非常に歴史的な重みを持った京都会議である、こういうふうに思っております。  それで、私は、もうここから先三週間は結局は外交交渉の、政治的な決断の世界である、したがって、どう議長国として調整するか、これはもうそういう意味では外交努力を最大限やっていただく以外にまとめようがないんじゃないか、こういうふうに思いますが、その中で一番ポイントになるのはアメリカの対応だろう。つまり、CO2排出量世界一のアメリカがこれに加わらなかったら何の意味もないわけですから、そういう意味で、アメリカに対してこれからどう議長国として迫っていくのか、どういう対応をしていくのか。あすから非公式の閣僚会議がございますし、それから月末にはAPECもありますが、その辺のところ、議長の内命を受けている長官としてどういうふうにアメリカに対応されるのか、ちょっと御決意のほどをお願いしたいと思います。
  33. 大木浩

    大木国務大臣 確かに今の段階で、まずはアメリカにしっかりとひとついいポジションをつくってもらって、そして京都会議参加し、それから合意参加してもらうということが当然必要でございます。  アメリカにつきましては、そういうことで、総理、大統領レベルを含め、いろんなところで努力をしております。たまたま高村外務政務次官も先般アメリカへ行っていただきましたし、それから、総理と大統領の間でもいろいろな形で接触は続けております。  必要に応じましてさらにまたいろんなところで話を続けたいと思いますし、今回の東京での会議には、国務次官ではありますけれども、元上院議員も務めました、温暖化会議については政府の、国務省の本当に中心になっておる人物が参りますので、そういったところでもさらに詰めて、さらに京都会議まであらゆるところでひとつ努力を続けて、アメリカがきちっとしたいいポジションをつくって出てきてくれるように努力をしたいと思っております。
  34. 田端正広

    ○田端委員 浜中部長、ボン会議で、アメリカとの折衝の中で、数値目標ではこれはいい答えは引っ張り出せないというふうに思いますが、感触として、京都会議までにあるいは京都会議を通じて、最終的にアメリカから何を引っ張り出せればいいのか、どういうふうにすればいいのか。例えば、ゼロ削減ですから、それはできないにしても、二〇〇八年から一二年、その以降については努力するようなこともおっしゃっておるわけですから、そこのところで数字を引っ張り出せるのか。何か出さないことには、今のようなアメリカ案のままではEUとかほかの国は納得しないだろう。  そういう意味で、納得してもらうために議長国としてどう汗をかくかということが問題だと思いますが、その辺の感触でもし表現できる部分があったらお願いします。
  35. 浜中裕徳

    浜中政府委員 お答えを申し上げます。  ボンにおきまして、アメリカ政府関係者、とりわけホワイトハウスの関係者が、米国政府の発表の後にボンにやってまいりまして、私どもも直接話をお聞きする機会があったわけでございます。その際には、ただいま御指摘のとおり、米国提案は、二〇〇八年から一二年までの第一期バジェットにつきましては、大統領御自身がああいう形で、テレビでも発表をされ、九〇年レベルから見て〇%というものを提案されたわけでありますけれども、第二期、二〇一三年からの第二期バジェット期間目標につきましては、一九九〇年レベルから削減をする、こういうことをおっしゃっているわけでありまして、その点について、私どもも、具体的な数値が京都会議までの間で示せるのかということもお尋ねをしたわけでございますが、その点について必ずしも明確なお答えがあったわけではありませんけれども、米政府関係者もそういった方向に向けて努力はしたいということは言っておったわけでございます。  そういったことも含めて考えてまいりますと、ぜひ米国からの積極的な姿勢を引き出したいということから考えますと、確かに、第二期バジェットについて京都会議までにできるだけ前向きの具体的な数値を出してもらいたいということも、求めていくことの重要な柱としては考えるべきだろうと思っておりますが、それのみならず、第一期バジェット期間につきましても、これはなかなか確かに難しい点はあろうかとは思いますけれども、私ども、姿勢としても、米国に対してさらなる検討を求めていきたい、このように考えているところでございます。
  36. 田端正広

    ○田端委員 大木大臣は、あす、あさってですか、また大変御苦労でございますが、東京での非公式閣僚会議、これはワース国務次官もお見えになるようですので、今のお話、さらにひとつまた具体的に詰めていただけるよう、そして、あす、あさっての会議をどういう形でどういうふうに持っていかれるのか、その辺のところを、差しさわりないところでちょっと我々に教えていただければと、こう思います。
  37. 大木浩

    大木国務大臣 一応会議は二日間予定をしております。第一日は、先進国の中で意見をまとめて、第二日目は、開発途上国の方も参加をしてもらうということであります。  開発途上国にどういうことを言うかというのは、まさしく、先進国の間での意見をある程度まとめませんと、とてもしっかりした物言いができないという感じでありますから、できるだけ第一日の間に、先ほどからお話がありますような目標数値も含めて、どういうふうに途上国に対して物を申すかということを、できるだけ前向きに、しかもできるだけ具体的に説明できるように努力はいたしたいと思っております。  ただ、正直申し上げまして、アメリカにつきましては、どちらかというと、京都会議までにというような言い方をしておりますので、これは、本当に今出せないのというよりは、よその国の出方も見ながらというような作戦的なこともあるんじゃないかなと、これは全く私の推測でありますが、しかし、それならば、それはそれとして、やはり最終的にはきちっとしたものをアメリカとしても出してもらいたいということ、その辺をひとつ主眼にして、この八日、九日の会議は進めたいと考えております。
  38. 田端正広

    ○田端委員 ぜひ御健闘をお願いしたいと思います。  それで、この残る三週間で政府の方も非常に積極的な外交交渉の場を持たれるような計画を伺っておりますが、これは外務省になるのでしょうか、まとめてちょっと簡単に御報告をいただければと思います。
  39. 津曲俊英

    ○津曲説明員 今後、残されました時間の中で日本国として、京都会議を成功させるために、国際合意の形成が進むように、まず、今週末東京非公式閣僚会合開催、それから関係首脳の来訪、総理の外国訪問、それからAPEC首脳会議が今月末にございます。また、その間、特使の派遣、在外の大使による働きかけ、それから関係省庁の幹部等が動くなど、政府が一体となって戦略的に働きかけを行って、今後とも引き続き最大限の努力をしてまいる考えでございます。
  40. 田端正広

    ○田端委員 今概略お話があって、私もいろいろ聞いておりますが、ぜひ、この残された三週間の中で、外務省あるいは環境庁、総力を挙げて、世界に向かってしっかりと日本のメッセージを、議長国としてのやる気を示していただきたい、こう思います。  それで、私、こういう大きな国際会議であり、大きなテーマでありながら、何かちょっと物足らない、何が欠けているんだろう、何なんだろうということを、ずっとここ、考えてみました。それは、皆さんも一生懸命やっている、我々も応援したい、後押ししたい、しかし何か歯車がびしつとかみ合っていない、こういう感じがしてならないのです。それは、どうしたらいいんだろう、何かここで好転させられるような兆しが出てくるようなことができないだろうか、こういう思いがあるのです。つまり、それは、日本政府及び日本国民の総意といいますか、良識といいますか、そういうものがびしっと出てこないから、中途半端といいますか、ちぐはぐになっているんじゃないのかな、こういう思いがします。  したがって、では、どうしたらそれが出てくるのか、こういうことになりますが、まず問題は、政府という場の中に、あるいは閣僚の中に、この京都会議に向けたそういうプロジェクト閣僚会議といいますか、そういうものがないからはっきりしていないんじゃないかな、こういう思いがします。  したがって、総理も、サウジに行き、APECに参加し、いろいろこれから頑張っていただくということですから、総理を中心に、そして大臣、議長なんですから、議長として関係大臣、つまりCOP3閣僚会議というものを閣内につくったらどうか。そして、通産大臣、外務大臣、このお二人も京都会議に御出席になるということですから、そのお二人と三人、しっかり呼吸を合わせていただいて、あとの農水、運輸、それから科技庁、この三人の大臣にも加わっていただいて、それから官房長官にも入っていただいて、こういう七、八人でCOP3閣僚会議というものをつくって、そこで明確な日本の意思を決めていく、議論していく、こういうふうにされたらどうか。そうすると、外国の人にもわかるし、国民にもわかる。これから三週間、時間はありませんが、これをぜひ積み上げていただきたい。一回でも二回でもそういう会議をすべきじゃないかと思いますが、いかがでしょう。
  41. 大木浩

    大木国務大臣 実は、地球環境問題全体についての関係閣僚会議というのがあるのですけれども、これは多少対象が広過ぎるものですから、京都会議に向けての方は、先日も実は、非公式でございますけれども、外務、通産、それから官房長官にも入っていただきまして、関係閣僚の会議をやらせていただきました。これからまた京都会議に向けて随時そういうものは開かせていただきたいと思います。  それから、総理がみずから陣頭指揮をしていただけるというような体制、これにつきましてもいろいろと御相談申し上げておりますので、これからの限られた時間でございますが、ただいま委員からお話がございましたような趣旨で、できるだけ高いレベルでのいろいろな意思の疎通、それからまた日本政府としてのその取り組み方、これを対外的にもわかるように、できるだけ顔の見えるような対策を進めさせていただきたいと思っております。
  42. 田端正広

    ○田端委員 ぜひ長官、ちょっとまだ遠慮されたような物の言い方をされていますが、COP3閣僚会議を設置するよう御進言いただきたい、こう思います。そして、積極的に議長としての役割を、世界に向けて発信していただきたい、メッセージを送っていただきたい、こういうふうに思います。  最後に一つ、先般、二日ほど前に新聞で報道になっていましたが、この京都会議に国会議員の参加を認めないような報道がございました。これは、どういうことでこういう報道になったのかわかりませんが、我々も一生懸命この問題については、もう大変大事なことだということで、かねてから議論もし、いろいろな形で後押しもし、またNGOの皆さんとも会い、いろいろなことをやってきたにもかかわらず、我々もできたら参加したい、こういう気持ちもあるのですが、国会議員が参加してはいけないみたいなことで、これはとんでもないことだ、この国会という国権の最高機関に対して、これはどういう発想でこういうことになっているんだろう、我々の仲間からも非常に怒りの声が出ております。  この問題について、大臣、どういうお考えなのか、最後にお伺いしたいと思います。
  43. 大木浩

    大木国務大臣 国会の先生方がいろいろなお立場から大いに叱咤激励、応援していただいておる事情は、よく私も理解しております。  そして、今度のCOP3の会議につきましては、各国別の代表団に国会議員を入れるとか入れないとか、これはまた国によって差異がございますけれども、この会議自体としては、NGOで、これは日本政府というよりは、むしろこの会議の事務局が、これは準国連的な機関でございますから、そこが一応どういうNGOまでは入っていただいたらいいかという判断はいたしますけれども、国会議員が多数お入りのNGOもございますので、そういう中に極力入っていただきまして、どうぞひとつまた京都会議を注視していただきたい、見守っていただきたい。あるいはそのNGOとしての御参加、これはいろいろな形で御発言できる場もあるわけでございますから、ぜひひとつ極力たくさんの方がおいでいただきまして、叱吃激励していただきたいと思っております。
  44. 田端正広

    ○田端委員 ありがとうございました。
  45. 山元勉

    山元委員長 次に、小林守君。
  46. 小林守

    ○小林(守)委員 民主党の小林です。  いよいよ京都会議まで一カ月を切ったわけでありますけれども、先月末ドイツのボンで行われました準備会合におきましては、各国提案も出そろい、いよいよその大詰めの、詰めの交渉を、この一カ月間で詰めていかなければならない状況になったわけであります。  このAGBM8のテキストができたということでありますけれども、要は、大変大きな隔たりというか相違点が明らかになったというのが実態でありまして、それぞれの国の国益や自己主張、正当化、こういうものがただ単に主張されているというような状況ではなかったか、本当に京都会議が成功に導けるのかどうか、むしろ大変不安の方が大きくなったと言わざるを得ない状況だと思っております。  しかし、人類の未来や地球環境、こういう観点に立って、何としてでも成功させなければならない歴史的な会議だというように思っておりまして、その意味からも、私どもも、後ろ向きの議論ではなくて、何としてでも、政府を初め各党が政治のリーダーシップを発揮しつつ、この会議の成功に向けて議長国である日本責任をしっかりと果たして、環境立国としての日本の国際的な役割を発揮していく絶好の機会でもある、このように考えているところであります。  UNEPのトルバ議長が、ことしは地球を救う多分最後のチャンスになるだろう、こんな言葉も申されております。科学的知見に基づいた地球温暖化の深刻な状況認識しての発言だろうというふうに思いますし、この京都会議にかける思いというものが込められた言葉だというふうに思っているところであります。  十月六日に出されました日本政府案について、国際社会の中で、特にAGBM8の中で大変な批判を受けたと私は受けとめておる一人であります。確かに、議論の中で、EU途上国考え方が大分まとまってきている、それに対してネグレクト、消極的なアメリカ日本、そしてオーストラリアあたりの考え方一つのブロックとして対立した深い溝がある構造になっていると言わざるを得ないというふうに受けとめているわけですけれども、日本政府案について、国際社会、AGBM8における評価について、政府としてはどう受けとめてきたのか。  我々は、この十月六日に出された政府案に対して、官僚主導の、密室の、国民に開かれた議論ではない形でつくられた政府案、そして、国際的なレベルからいっても、温暖化防止への効果がないようなこの数値目標、これらに対して、新進党、民主党、太陽党、そして与党の中でも社民党さん、さきがけさんも党首を筆頭に撤回を申し入れているわけであります。これらについて、まさに国際社会が日本政府案に対して厳しく批判を向けた、それを我々は懸念をして撤回要求を突きつけたというふうに思っているわけですけれども、まず、その辺の受けとめ方についてお伺いをしておきたいと思います。
  47. 大木浩

    大木国務大臣 ボン会議でいろいろと御意見が各国から出ておりますので、そのことにつきましては、もし必要でしたら後でまた浜中部長から御説明します。  確かに、こう三つ、例えばアメリカ日本EU、〇、五、一五というのを並べますと、非常に何か日本は消極的でないかというような印象を与えるかもしれませんが、これは、実はEUにつきましても子細に調べてみますと、彼らの言っていることは、まずは一〇だ、しかしよその国がまた大いに前向きのことを言ったら一五までいくよということを言っておる。ですから、中身についてまた細かくはあれですけれども、一〇から一五のあたりということであります。  それからまた、先ほどもお話がありましたけれども、EU以外の国は、先進国の中でもなかなか、その言い分がどこまで正しいかどうかは別といたしまして、余り大きな数字は出せないと言っている国があるわけですから、日本といたしましては、まずは全体としてまとめる場合の立場ということを考えてみますと、五という数字ぐらいが一つ数字ではないかなということを考えます。  それからもう一つは、日本自体、日本自体としても大きなことを言って自分はできないということでは、これはまたリーダーシップを発揮できないわけでございますから、そういうことからいいましても、五という数字一つ出したわけでございまして、いろいろと御意見はあると思いますが、確かに外から、諸外国からは、特に今の開発途上国とか、それから、EUが自分でもっと大きな数字を出していますから、ヨーロッパの諸国からは、日本数字については満足していないという意見は聞かれますけれども、これを、しかしこちら側としてはこの程度じゃないかなということを出した経緯というのは、あのボン会議でも十分、非常に一生懸命説明いたしましたし、今回の東京会議でもさらに説明をし、どういうことならば最後にまとめられるか、そこら辺に焦点を置いて、ひとつこれからの各国との交渉を進めたいと考えております。
  48. 小林守

    ○小林(守)委員 確かに、国際的な合意を取りつけなければならないわけでありますから、いろいろな意味での配慮とか、それから戦略もあるのだろうというふうに思います。ただ、環境の問題とか、もちろん人権の問題も同じだと思うのですけれども、これは、いわゆる経済交渉とか貿易交渉とか、いわゆる通商交渉レベルの、相互主義というのでしょうか、そういう性質のものではないはずでありますし、また、そういう方向に国際社会が、また世界市民が向かっていかなければならない時代を今我々は迎えているのだろう、そのように思うのですね。  そういう点から、国益的な視点とか、あちらがこうなんだから我が国でもこうでいいんだとか、そういうレベルの、通商交渉的な相互主義レベルの問題ではないというものを大前提に置いて、なおかつ合意形成をしていかなければならない。当然先進国それから途上国の矛盾が、南北問題と同じような矛盾がこの環境、人権等の問題についてもあるのだろうというふうに思いますが、やはり先進国責任というものを考えていくならば、途上国がこうしてくれなければ我々はできませんよというような発想ではなく、人権や環境というのは国境を越えている問題だ、もう地球市民というレベルで物事を発想しなければならないんだというようなことが、この京都会議の大きな前提になければならないのだろうというふうに思うのですよ。  しかし、残念ながら、政府がAGBM8の中で行ってきた動き、それから政府案がつくられてきた経過、それらを見ますると、全くそういう認識がないのではないかと言わざるを得ない数値が出ているというふうに思いますし、また、国際会議におけるリーダーシップのなさ、政治の不在、そういうものを指摘しなければならない、このように思っているわけであります。  先ほど田端委員さんの方も、政府広報紙について触れられました。私も、大変びっくりしているというか、まさに今の日本の政治の状況をそのままあらわした、まことにおぞましいというか情けないというか、本当に恥知らずな広報ではないかと言わざるを得ない、怒りを持ってこれを受けとめました。田端議員はジェントルマンでありますから、非常に優しい言葉で厳しくついておったと思いますけれども、私は本当に激しい怒りを覚えた一人であります。  何で我々が撤回要求をしている政府提案について、国民広報をしてほしいなどと一言も思っておりませんし、この案そのものを、国会における政治の意思としては過半数には及びませんかもしれませんが、少なくともこの案は撤回しろと言っていた案を百万部も刷って国民にばらまく。しかもこの案は国際的にも批判を受けている。この政府案というのはこれでまどまるはずはない。合意を形成しようとするならば、まとまるはずのない案をなぜ国民に広報してアリバイをつくろうとしているのか、極めて遺憾でありますし、またひそかに政策誘導を行っているのではないか、通産省の考え方がこの中に明確に潜ませられております。  「CO2を発生しない原子力発電を国民理解と安全性の確保を大前提として今から約二十基増やすことが必要です。」我々はこんなことを認めたことはありません。だれがこういうことを出していいと判断したのか、これは最終的には政治の責任になると思いますけれども、長官、この内容について責任を持ってこれでいいという形で判こを押したんでしょうか。
  49. 大木浩

    大木国務大臣 この資料は、環境庁を含めて関係各省、それから内閣の方も外政審議室それから内政審議室、それぞれ御相談をしてつくり上げたものでございますから、この内容についてはもちろん私も長官として責任があるわけでございます。  今読み直してみますと、広報資料としては余り上手なできじゃないなという実感は持ちます、私もまことに。百万部刷ったんならもうちょっと上手につくりたかったと思いますけれども、ただ、今の、政府が何かみんなが同意していないものを勝手にどうかというお話につきましては、これは一応、日本政府としては提案として五%ということは共通目標数値としては既に対外的に出しておることでございますし、原子力発電所の話も、総理が何回もこれは国会でも言っておられることですから、なかなか大変だということは存じておりますけれども、やはりこれからむしろ日本としてできるだけ大きな数値を出していく、あるいはそれを実行していくということになりますと、これは一つの大きな要素として原子力というのも出てまいりますから、その辺に言及したということで御理解いただきたいと思います。  ただ、重ねて申しますが、これからのこういう広報につきましては、もっと皆様方の御意見も入れて、もう少しわかりやすいものをつくったらどうかなというのは私の実感でございます。
  50. 小林守

    ○小林(守)委員 長官も批判的な見方をされているというようなことでありますけれども、本当に大変なむだ遣いをなされている。少なくとも国民運動として温暖化防止のための国民の意識を喚起しなきゃならぬというようなときに当たって一番大事なことは、温暖化によってどういう影響が出るのか、どういう被害が想定されるのかという科学的な知見を知ってもらう、具体的にわかりやすく知ってもらう、それが一番政府がやらなきゃならない仕事なんですよ。政府案はこう出していますなんというのは、一応最後のところにちょこつと入れるぐらいならいいと思いますよ。本当に予測される科学的な知見を国民に知ってもらって、どうするんだということを投げかけることが大事なのであって、こんなことを知らせてもらったって困るんですよ。  少なくとも国民運動としょうとするからには、政府提案に対して撤回を要求している新進党、民主党、太陽党、そして与党内にある社民党、さきがけも党首みずから撤回を要求しているものについて、政府がみずからこういうことを出して責任がとれるんですか。長官どうですか。
  51. 大木浩

    大木国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、各党がそれぞれ御意見があることは十分承知しております。ただ政府としては、この今の五%あるいはその他のところを政府案として内外に出しておりますから、そのことについてはこれはあくまで提案でありますから、これからまた外交交渉も続けなければなりませんし、もちろんまた国会でいろいろな御審議があるところで御意見は十分に拝聴したいと思っております。
  52. 小林守

    ○小林(守)委員 今の日本の政治そして行政の極めて大きな問題が私はこの広報にあらわれていると指摘しておきたいと思います。  一番最後のところに赤い字で、「このような対策を精一杯行っても、私たちが二〇一〇年に排出するCO2の量は、今の見通しでは、一九九〇年のCO2の量と同じ程度にまでしか減らすことができません。」云々というふうになって、「国民各層の一層の省エネ努力をお願いしなければなりません。」ということになっていますが、今の見通しではこれしかできない。できないための広報をしているのではないか、こんなことを書いてもらいたくはないですよ。何とかしましょうということが大事なのであって、できません、できません。まさに政府案がつくられてきた経過の考え方がここに生きているんじゃないですか。行政主導、官僚主導の考え方がまざまざと出ている。こんなことのために何万、何千万かかったかわかりませんが、百万部もばらまかれたらば、国民の税金のむだ遣いと言わざるを得ないんですよ。  私は、もう一回つくり直せ、まあつくってしまったものはどうにもならぬけれども、少なくとも、各党の要求状況考え方国民運動としてやらなきゃならない、そういう問題であるならば、相当の配慮をした啓発資料のつくり方があってしかるべきであったのではないか、このように思っております。長官にぜひその辺について閣議の中で問題提起をしていただきたい、このように思いますが、いかがですか。
  53. 大木浩

    大木国務大臣 実は京都会議に向けての、あるいは地球温暖化防止一般についてのいろんな政府資料というのは、環境庁自体でもつくっておりますし、いろんな個別問題で、ここに一つ別のがございます。これはまあ温暖化が進むとどういう健康上の問題が出てくるのかというような多少個別的な説明でございますけれども、そういうことで、総体として、ただやはり政府広報が十分じゃないし、それからまた御説明も必ずしも上手じゃない。それから、さっきから申し上げております、これは多少意見の相違もあるので恐縮でありますが、一応政府としてはここに書いたような五%案というのを出しておりますので、その説明もした。  ただ、何か難しい難しいというところにやや強調が過ぎておるんじゃないかというのが、私もこうやって読んでみますとその実感は持っておりますので、難しいことは難しいことで事実でありますけれども、前向きにもっといろんなことを進めたいということで、そういった姿勢ももっと出るような資料をこれからつくりたいというふうに考えておりますし、そのために努力もしたいと思っております。また、関係閣僚にもその点はひとつお伝えをして、御協力をお願いしたいと思っております。(「環境庁長官頑張れよ、いつまでも通産省のためにやっていたらだめだ」と呼ぶ者あり)
  54. 小林守

    ○小林(守)委員 今ありましたとおり私も全く同感でございまして、ぜひそういうことで頑張ってもらいたい、このように思っております。  それでは次に、ちょっと考え方をお聞きしたいと思うんですが、いわゆる今後の課題の中で詰めなきゃならない基本的な問題、数値目標が挙げられますけれども、そのほかに途上国参加というような課題が大きな問題であるというふうに思うんですね。  実はアメリカ提案の中で、またアメリカ上院議会などでも決議があるようですけれども、主要な途上国意味ある形でこの努力に、いわゆる削減努力参加しないならば、アメリカは拘束力ある義務を負うことはしない、この議定書に署名しないというようなことを、おどしたと思いますが、そういうことを言っております。これについては少なくともベルリン・マンデートに対する違反行為というか枠外の無理押し、強国のおごりというか大国のおごりみたいなものがあらわれていると言わざるを得ないんですけれども、これについて長官考え方をお聞きしたい。  あわせて、要は途上国が、例えば中国なら中国、アジアの途上国の皆さん方が、私たち先進国と同じようにこれからどんどん石炭を燃やし石油を燃やし、原子力をやって豊かな、便利な生活をしたいんだ、この要求に対して先進国は、やめてくれと言えるかどうかなんですよ。この辺について長官の御認識をお伺いしておきたいなというふうに思います。
  55. 大木浩

    大木国務大臣 従来のベルリン・マンデート等に書いてありますところを読めば、確かに途上国に対して今度のCOP3までにというか、COP3においてといいますか、その追加的な義務は課さないということは一つ合意としてあるわけでございます。  ただ、途上国も含めて全体として、これからできるだけまたひとついろいろな協力をしていこうというのは、一つ義務としてもと条約にも書いてございますし、これは義務としては何だということになりますが、それぞれが自分のところで努力しているその実績、そういったものについて報告をするとか、いろいろ計画をつくるならその計画について通報するとか、そういうことがございますから、全体としては途上国も入って一緒にやってもらわなければならぬということは、それは一つの姿だと思います。  ただ、アメリカが、途上国に対してできるだけ早くある程度義務的なものも出してもらいたいということで、特に、非常に排出量の多い国、あるいは途上国とは申せ、だんだん中進国あるいはもう先進国の仲間に入りつつある国、そういった国については、やはりそれらの国の発展等に見合ってできることはだんだんにしてもらいたい、こういうことがございますから、これは一般論としては無理なことではない。  ただ、多少アメリカの要求が、途上国に物申すことが非常に多いということは確かにそのとおりでございまして、京都会議でももうちょっと明確なことを言えないかというようなことにつきましては、多少よその国とアメリカとの間に感じ方に温度差はあります。そういうことですから、京都会議だけではなくて、京都会議及びそれ以降についても途上国がそれぞれの状況に応じてこれからひとつ協力してもらいたい、こういう言葉は私どもも引き続き申しますけれども、京都会議の時点におきましてどこまでできるかということは、これまたやはりアメリカだけじゃなくて、先進国全体としての考え方をまとめて、それを途上国に伝えたい、そういうふうに考えております。
  56. 小林守

    ○小林(守)委員 そういう認識で大方いいと思うんですけれども、問題は、途上国の、豊かで便利な生活がしたいんだ、先進国がずっとやってきたじゃないか、それを我々も求めることに対して、先進国側がやられては困るということは言えないんですよね。言うためにはそれなりの代替措置というか代償措置というか、それだけの責任があるんですね。その責任をきちっと用意した形で、協力してほしい、でないと人類が共滅というか破局に向かうんだということをやはりそれぞれ認識するということが大事なんだろうというふうに思うんですよね。  そんなことで、要は、アメリカみたいな言い方というのは経済交渉レベルの発想なんですよ、残念ながら。おどして相手の妥協を引き出すとか、そういう経済通商交渉レベルの発想で環境問題に取り組まれているという姿が、今国際社会の実態なんだろうというふうに思うんです。日本は、少なくとも環境立国として、また議長国として大きな役割を果たすためには、アメリカに対して相当説得していかなければならぬし、途上国に対しては協力を受けるためにもそれなりの覚悟を持って、先進国責任として、逆に言えば負い目ですよ、途上国の人たち、南の国の人たちの犠牲の上に立ってこの豊かさをつくってきた、資源を収奪して豊かさを守ってきた、これに対する責任を果たしていくという自覚がないと、ともに滅んでいく道を選ぶことになるのではないかと言わざるを得ません。  それで、もう一つ、島嶼国の問題についてちょっとお聞きしておきたいのですが、島嶼国は最も温暖化の被害を受けて何のメリットもないというか、CO2の排出量だって、本当にそれを全部吸収しているというような循環型の経済社会の構成になっているのではないかというふうに思いますし……(「海抜一メートル」と呼ぶ者あり)また、今お話があったように、とにかく温暖化、あと二度平均気温が上昇するならば、海水面が五十センチ以上上昇してほとんどが水没してしまう、この国の人たちが科学的知見に基づいて二〇〇五年までには二〇%削減してほしい、そういうことを提案しています。  これは真摯な議論だと思いますよ。科学者は、今すぐ五〇%か六〇%削減するべきだという言い方をしているんですけれども、ちょっと遠慮されたんでしょう、二〇%という形で、二〇〇五年ですからね、それが。実際のところ、海面上昇があって海没というか、島嶼国の人たちが住めなくなった場合に、その責任は国際社会のどこがどうするのか。じゃ、島を全部物すごい高い堤防で覆うようにするのか、それとも、どうそうちの方へ来てくださいとして全部受け入れるのか、そういう問題が出てくるはずですよ。環境難民の問題が出てくる。もちろん、デルタ地帯とかそういうところもそういう問題が出てくるんだと思いますが、少なくとも、一番被害を受けると想定されるそういう島興国の考え方に対しても、アメリカなんかも頭認識がないんじゃないですか。日本側も残念ながらない。その辺を長官にちょっと認識をお聞きしたいと思います。
  57. 大木浩

    大木国務大臣 これは、環境庁というより外務省主催であったと思いますけれども、半月ほど前だったか、南太平洋の島嶼国と日本との会議がございました。最終的には総理も出てきてレセプションをされたわけですけれども、そのとき、まさしく今のこれらの島嶼国は、地球温暖化が進めば一番最初に被害を受ける可能性が多いところだということで、まさに文字どおり国の浮沈ということ、沈んでしまうからまさしく浮沈でありますけれども、国の浮沈にかかわるということを申しておりました。  ということで、日本政府としても、実はこういった国にはいろいろな意味での経済協力をやっておりますけれども、そういった温暖化の問題も十分視点に入れながら、ひとつこれから協力をしていかなきやいかぬし、それから、今温暖化問題自身については、島嶼国の立場ということも十分考えながらやっていかないと、ということは考えておるところでございます。  ボンの方でも、いろいろと島嶼国としての意見も取りまとめられまして、ほかのG77の国やなんかと一緒に、やはり一番温暖化の問題の緊急性というか緊迫性と申しますか、そういったものを痛切に感じておられる国ですから、そういった国の御発言というものは十分しっかり受けとめて、これから私どもの具体的な施策の中にきちっと組み入れさせていただきたいというふうに思っております。
  58. 小林守

    ○小林(守)委員 代替フロンの削減対象化の問題についても、いわゆる特定フロンの回収システムづくりというような課題にあわせて、温暖化物質としての代替フロンの破壊・回収システムづくり、これについては、環境庁が著した、今後の代替フロン、いわゆるHFCとかPFCとかSF6とか、これらの温暖化係数が炭酸ガスの数千倍の温暖化効果を持つガスの使用抑制、生産抑制、それから代替品の開発とか技術開発とか、そういうことを課題として取り組みますという第二回の気候変動枠組み条約への報告書が出されましたね。その中にもきちっと入っています。  ですから、当然今後、代替フロンの回収そして破壊・再利用システムづくりが行政課題として入ってくると思いますが、その前に、それと同じ効用があるはずの、オゾン層破壊物質の特定フロンの回収・破壊システムを早急につくらなければならない。これは温暖化防止のためにも大きな役割を果たすことができる。民間の研究者の研究結果によると、このまま代替フロンであるHFCなどの使用が進んでいくということになるならば、二〇一〇年には炭酸ガスの総排出量の一〇%に当たる。そうですよ、数千倍の威力があるわけだから、量は少なくても代替フロンというのは物すごい温暖化効果を持ってしまうわけですから、炭酸ガス排出量の一〇%ぐらいの効果があるということですから、これはしっかりと回収する、排出させないというようなシステムをつくっていかなきゃならないと思います。この点については問題提起をさせていただきたいと思います。  それで、もう時間がなくなってしまいましたけれども、最後に、今、議員集団の中で、何とか日本に、政府に恥をかかせないように、もう本当に大失態ですから、世紀の大失態を犯さないように、何とか政策転換も含めて、やはりフリーハンドを少し与えよう、そんなことで国会決議をつくってはどうかというような機運、動きが行われております。そういうことで、我々も何とか、党派を超えて、日本議長国として京都会議を成功させるために少しでも頑張っていきたいな、決して後ろ向きの議論ではなくて、そんな気持ちでいるわけですけれども、国会決議についての長官の方の御所見を伺って終わりにしたいと思います。
  59. 大木浩

    大木国務大臣 国会決議そのものにつきましては、国会の方で御検討いただくことでございますので、ちょっととやかく言うのは差し控えさせていただきますけれども、各政党がまさに党派を超えて、何とかひとつ京都会議を成功させたい、こういう御熱意は十分私どもわかるわけでございますので、今後ともよろしくお願い申し上げたいと思います。
  60. 小林守

    ○小林(守)委員 終わります。
  61. 山元勉

    山元委員長 次に、藤木洋子さん。
  62. 藤木洋子

    ○藤木委員 日本共産党の藤木洋子でございます。  先月、前回の委員会では、日本政府提案の直後でもございまして、提案国民不在のもと米国にくみして、実質上九〇年レベルを二〇一二年まで先送りするものであって九五年のベルリン・マンデート合意にも反する、こういう問題を議論いたしました。  この実質二・五%、最低限の義務が〇・五%という日本提案とゼロ削減米国提案は、先月三十一日までボンで行われた準備会合でも、途上国初め各国やNGOから批判の対象となったところです。ゼロ削減米国提案は、議長国である日本が自主的、積極的な立場に立たなかったというところに大きな責任があるんじゃないかというふうに私は思うわけですね。米国にくみするという後ろ向きの態度、そういう姿勢をとり続けてきたことが非常に大きな原因だったと思います。  日本政府は、議長国として、米国を初め削減に消極的な国をむしろ説得をして、京都会議温室効果ガスの大幅削減に法的拘束力のある議定書が採択できるように全力を尽くすべきではないかというふうに思うのですが、大臣のお考えを伺いたいと思います。
  63. 大木浩

    大木国務大臣 日本提案アメリカを勢いづけたとか、あるいは、あらかじめアメリカと相談してつくったんじゃないかというような御批判があることは私どももお聞きしておりますが、まず最初に、アメリカと相談してつくったというわけでは決してございませんで、まずこの点ははっきりさせていただきたいと思います。  実はこういうこと、五%をつくるに際しましても、なかなか関係各省の中で意見の相違がありましたことは御了解いただけると思いますが、最終的に総理の御決断で五%というのを出したというときも、さて、これを出したらまたアメリカの方はどういう案を持ってくるだろうというようなことは私どもいろいろ想定しておりまして、ひょっとするとアメリカが非常にまた大きな数字を出してくるんじゃないか、もう多少無責任だけれども、とにかく、政治的にクリントンさんが大きなことを言っていましたから、大きなことというのはちょっと言葉が悪いので、非常に前向きのことを言っておられましたから、そういうこともあるんじゃないかというようなこと、いろいろな場面を想定しておりましたのですが、最終的にはああいう数字が出てきた、ゼロが出てきたということでございまして、決してあらかじめ相談して決めたということではないので、これはひとつそういうふうに御了承いただきたいと思います。  その後、しかし、日本が五でアメリカが〇、片やEUが一五だというようなことで、一五あたりの方が、せっかく出しているのにどうだというふうな御批判があることは十分承知しておりますけれども、先ほどから申し上げておりますように、やはり全体として見ますと、この辺がある程度責任を持って言えるところじゃないかなというようなことで五%を出させていただきました。それを引き続き、今の段階では、日本としてはこれを基礎にして何とか意見を収れんしたいということで努力をしているということでございますので、御意見は御意見としてよくわかりますが、私どもとしては、多少違うところで、政府としてのこの五%案を引き続き中心にして努力を続けておるところでございます。
  64. 藤木洋子

    ○藤木委員 そうはいいましても、京都会議削減議定書の採択にこぎつけられないのではないか、こういうことが非常に憂慮されている、これは現実でございますよね。ボン会合では、一五%削減EU案というのが締約国のほとんどに当たります百五十カ国以上の支持を得ているわけでして、米国初め削減に消極的な国こそ説得しなければならないというふうに思うわけです。  そこで、十月七日、地球環境大気汚染を考える全国市民会議が「CO2排出削減戦略の提言」というのを発表いたしました。九五年レベルの生活水準を変えずに、二〇〇五年で九〇年比一一・六%、二〇一〇年で二一%の削減が可能だとしております。この提言は、各種の二酸化炭素排出削減技術の導入促進、これを図る環境庁の温暖化ガス排出モデルと極めて近い結果を示しております。ただ、問題は、それに加えまして生産、消費、交通、廃棄物処理などのエネルギー消費活動の維持抑制、太陽光などの新エネルギーの導入という政策オプションを組み込んでいることであります。  橋本総理も、政府案にはこだわらない、よい案があれば生かしていきたいと述べております。CASAなど環境NGOの提言も積極的に取り入れて、日本政府提案を抜本的に見直すべきだと思うのです。今この五%は守っていかれるというようなお話でしたけれども、しかし、私は、勇気を持ってここで見直すということを検討すべきだと思うのですが、長官、いかがでしょうか。
  65. 大木浩

    大木国務大臣 これは今、外交交渉をまさに進めているところでございまして、そういう意味では、日本が出したからといって、それをもう一字一句絶対直さないということではありませんし、いろいろと、かなり大きな点についても、これからよその国にも相当考え直してくれと言っている段階でありますから、もちろん直さないとかそういうことは申し上げるのは適当じゃないと思います。  ただ、今の段階で、私どもといたしましては五%の案を中心にして話をしておるということで、五%案にかわる、例えば一五なら一五というのを出したらばそれでまとまるかというと、今度はアメリカはもうこれはほとんど入ってくる可能性はないということでありますし、アメリカばかりでなくてかなりの国が、先進国の中にもそれじゃ入れないという国があるわけでありますから、その辺の現実も見据えながら、これからひとつ折衝を進めてまいりたい。もちろん、世界の国の多くが非常に前向きにいろいろな意見を述べておられるということは十分承知しております。  ただ、今度はやはり日本といたしましても、自分が全くできないことを言うというのも、これもまたいささか無責任な立場だと思いますので、その辺は世界各国の実情、日本の実情というようなことを総合的に考えながら今後も折衝を進めてまいりたいと考えております。
  66. 藤木洋子

    ○藤木委員 残念ながら、今の御答弁では、ボン会合途上国初め各国、NGOから批判されたことを余り御理解されておられないのではないかというふうに伺えて仕方がありません。  実質上九〇年レベルを二〇二一年まで先送りするというような日本政府提案では、削減議定書をまとめることは困難だというふうに私は思います。ベルリン・マンデート合意に従った大幅な削減を提言すべきだということを重ねて申し上げたいと思います。  私たち日本共産党は、九四年に「新・日本経済の提言」を発表しておりますけれども、その分析でも、エネルギーのむだを省き、効率を高め、新エネルギー促進する、こういう三つの方向、これを追求していけば二〇%の削減は可能だというふうにしております。問題は、効率を高めるということだけではなくて、やはりエネルギーの消費そのものを抑える、そしてエネルギーのむだにどれだけメスを入れるかだと思うのです。  自動車、家電製品のモデルチェンジや使い捨て製品などの大量生産、大臣御自身も先ほどお述べになられましたけれども、大量消費構造の見直しが必要だと思います。また、野放しの自動販売機の設置であるとか、ジャスト・イン・タイム方式やダイレクトメールなどの改善が必要です。そして、何よりも国と地方を合わせまして年間五十兆円、これからの十年間では四百七十兆円にもなる公共事業のむだの部分、これを削減することが先決だというふうに思うのです。こうしたエネルギーの浪費やむだを抑えたら、大幅な削減目標は可能になるのではないでしょうか。大臣、その点はいかがでしょうか。
  67. 大木浩

    大木国務大臣 公共事業につきましては、環境庁所管というか、ほかの省庁が所管しておられるところも多いわけでございますので、にわかにこれについてどこにむだがあるかということはちょっと責任を持って申し上げることは難しいわけでありますけれども、公共事業全体の規模というものについてもいろいろと今議論が国会でも行われておるところでございます。これが一つありますし、それから、全体の規模のほかに、一つ一つの工事についてどういうむだがあるかというようなことについては、やはり私どもとしても環境庁の立場から、そういったものがあればひとつこれからしっかりと指摘してまいりたいと思っております。  ただ、今の時点でどこにどういうむだがあるかということになりますと、にわかにちょっと申し上げるだけの資料がございませんので、その点はひとつ一般論として今のようなお答えにさせていただきます。
  68. 藤木洋子

    ○藤木委員 効率を向上させるだけではなくて、それは当然ですけれども、浪費、むだ、これを抑えることが極めて大事だということでは御認識は一致しているというふうに思います。  公共事業のむだの問題では、これまで道路、空港、港湾、ダムなどのむだが、国会で問題が指摘されてきたところです。例えば、過大な需要増加予測に基づくむだな公共事業、これを展開している福島空港だとか各地の農道空港、神戸港の国際コンテナバースの建設、地元で百億円の釣り堀とやゆされた福井港、むだと浪費の典型的な大型プロジェクトとなっている長良川河口堰やむつ小川原開発、そして水の需要がないのにごり押しに建設を推進している細川内ダムや徳山ダムなどが国会で議論されたところでございます。  そこで、一般的に言って、公共事業で道路、空港、港湾、ダムなどを建設する場合に、それに使用される資材、例えばセメント、鉄鋼、コンクリートなどが一体どれぐらい使用され、それがどのぐらいのCO2排出量相当するのか、環境庁として把握しておられますでしょうか。
  69. 浜中裕徳

    浜中政府委員 お答えを申し上げます。  我が国二酸化炭素排出量のうちで、ただいま御指摘の公共事業に関連して発生する量につきましては、現在のところ環境庁としては算出はしてございません。  しかし、研究者の試算として幾つかの結果が報告をされておりますので、その中で国立環境研究所の研究者が算出しているものを一つ御紹介申し上げますと、これは産業連関分析手法というものを使いまして最終需要に着目して二酸化炭素排出量を分析したものでございまして、それによりますと、公的資本形成ということで、道路や河川、下水道などに関連したものを一九九〇年の排出量で見てまいりますと、炭素換算で約二千七百万トンということで、我が国の全体の排出量の約九%程度になっている、このような報告も出ているところでございます。
  70. 藤木洋子

    ○藤木委員 専門家の間ではそのような計算がなされておりますけれども、環境庁自身が調査をされたことがないということでございます。今関心をお持ちなのかどうかわかりませんけれども、私は、環境庁自身がそこに関心を持って調査をされるということは、今回の数値目標を出すに当たって必要だったのではないかと思うのですね。日本削減数値目標を出すに当たってCO2削減のあらゆる可能性が検討、追求されてこなかったのではないか、そういう疑いを持たないわけにはまいりません。  建設省と運輸省にそれぞれ伺いたいと思うのですが、まず建設省には、ダム建設に係るセメントの年間使用量がどのぐらいになるのか。そして、さらに徳山ダムについてはどうか。運輸省には、港湾建設に係る鋼材の年間使用量はどのぐらいになるか。それぞれ続けてお答えください。
  71. 横塚尚志

    ○横塚説明員 お答え申し上げます。  建設省の直轄ダム及び水資源開発公団のダムにおきまして、今年度使用予定のセメントの年間使用量は約十八万トンでございます。  それから、徳山ダムのセメント使用量でございますが、徳山ダムはロックフィルダムでございますので、セメントを使用いたしますのは洪水吐き、監査廊等でございますが、これらで使用予定のセメント量を合計いたしますと約十一万トン程度と見込んでおります。  以上でございます。
  72. 布施谷寛

    布施谷説明員 港湾の整備に使用されます年間の鋼材の使用量につきましては、建設業務統計年報というものに整理されております。鋼材の使用量は、構造物の構造形式によっていろいろ異なりますけれども、全国合計で平成六年度において百五十七万五千百十七トンということになっております。
  73. 藤木洋子

    ○藤木委員 九七年度のダム年鑑にあるセメント納入実績一覧を見ますと、九五年度までのセメント納入実績は二千百十一万七千五百五十トン、九六年度以降の見込みが六百三十万四千五百トン余りというふうになっております。  ダム建設事業を見ますと、九六年度までの河川総合開発事業における竣工ダムの堤体積は、直轄事業で一億一千二百二十万立米、補助事業で八千百六十四万立米、これは端数を切り捨てておりますけれども、合計で一億九千三百八十四万立米となっているわけです。また、九六年度河川総合開発事業の堤体積は二億六千四百六十万七千立米となっております。これらのセメントの使用量は、竣工ダムが約千九百三十八万四千二百トンで、現在建設中のダムが約二千六百四十六万トンとなっております。  ですから、この現在建設中のダムのセメント量を生産するということになりますと、約三百四十八万五千七百トンのCO2を排出することになるわけです。公共事業の一五%を削減するといたしますと、これは、私勝手に言っているわけじゃございませんで、橋本内閣は今後公共事業を削減していくということをおっしゃっておりまして、二〇〇〇年度には九二年の水準に戻す、つまり一五%削減ということをおっしゃっておられますので、それで計算いたしますと、約五十二万二千八百六十二トンのCO2の排出を削減できることになるわけです。  例えば、計画以来四十年で一千三百三億円の予算が使われていながらいまだに本格着工に至っていない岐阜県の徳山ダムは、産業や生活の変化で水需要が根本的に変化しております。ところが、科学的な水需要の検討さえ行われておりません。水は十分足りているのに建設を推し進めようとしている岐阜県徳山ダムの場合、堤体積が千四百七十万立米で、セメント使用量は、今もお話がございました約十一万トン、CO2の排出量にいたしますと約一万三千七百トンが削減できることになるわけです。  こうした、水は十分あるのに建設を推し進めようとしているダム建設の事業、こういったものをむだだというふうに思うのですが、これを抑えるならばCO2の排出を大幅に削減することができると思います。  次に、鉄鋼の場合はどうかということなんですが、九四年度の建設業務統計年報の運輸省港湾局が行った港湾事業費の実績を見てみますと、一般港湾、特定港湾の改修事業あるいは災害関連、災害復旧事業にかかった鋼管、鋼矢板、鉄筋などの鋼材使用量は百五十七万五千百トンです。この鉄の使用量を生産する際に排出されるCO2の量は六十八万八千七百トン程度となります。これを一五%削減をいたしますと約十万トンの排出削減となるわけです。  そこで、今港湾施設の過剰投資が全国的に問題になっていますけれども、例えば過大な需要増加予測に基づくむだな公共事業として国会でも問題になりました神戸港の国際コンテナバース建設がございます。神戸港では、ポートアイランドの北埠頭のPC七、八、九という三つの広大なバースが全く使用されないまま放置されながら、一方で新しいバースの建設が進められております。この神戸港の新しいバース、PCの十三ですね、これは運輸省の第三港湾建設局が行った一般港湾改修事業となっておりますけれども、ここでは一バース三百五十メートル当たりの鋼材使用量は一万三千三百トンとなっております。炭素換算にいたしますと、約五千七百トンでございます。こうした過大な需要増加予測に基づくむだな港湾建設事業をなくしますと、CO2の排出を大幅に削減することができるのではないかと思うのです。  今はセメントと鋼材に限ってちょっと例を私ども試算してみたのですけれども、大臣、どのような御感想をお持ちでしょうか。
  74. 大木浩

    大木国務大臣 個々の公共事業についてその可否を私がにわかに云々することはできません。それぞれの公共事業というのは、お地元なりあるいはその関連の事業をしておられる方がぜひやってくれということでやっておられるわけですから、それぞれの理由はあると思うのです。  ただ、今お話がありましたのは、公共事業自体の可否というよりは、むしろそこに使われておる資材が、例えば鉄鋼とかセメントというものが非常にCO2の排出量が多いからということだと思いますが、では、じゃ何かはかのものにかえることができるかというふうなことが明らかであれば、それはそういう一つ議論ができると思います。  ただ、これもなかなか数値的に十分全体として把握しておるわけではございませんので、環境庁としては、できるだけ、CO2がたくさん排出されるようなものは節約していただければ節約していただきたい、あるいは代替できるなら代替ということは、一般論としては申し上げられるかと思います。
  75. 藤木洋子

    ○藤木委員 時間が参りましたけれども、公共事業に係る資材をつくるときに発生するCO2、私たちは公共事業そのものを否定しているわけじゃなくて、そこにあるむだを省くだけでどれだけ削減できるか、こういうことはぜひ検討されるに値する問題だというふうに思うわけですね。あらゆることを駆使してでもベルリン・マンデート合意を達成していくという立場に真摯に立つということが、今何よりも求められているのではないかということを申し上げたいわけです。  ですから、先ほど来、五%にこだわらないと言いつつ、その五%で説得をしようと試みていらっしゃるということでございますけれども、これはぜひお考え直しをいただきたいというふうに思うわけです。私たちも、日本政府提案をここで抜本的に見直して、二〇一〇年までにCO2の大幅な削減ができる、そういうことをぜひ主張しておきたいと思いますし、議定書が本当に作成されるために全力を挙げて奮闘していただくことを重ねて要望して、私の発言を終わらせていただきます。
  76. 山元勉

    山元委員長 次に、北沢清功君。
  77. 北沢清功

    北沢委員 社会民主党の北沢清功でございます。  きょうは、京都会議に向けてさまざまな、特に目標値を中心として論議をされております。私は、この問題はいわゆる地球規模といいますか、世界的といいましょうか、そして世紀的な最大課題であるというふうに実は理解をしております。したがって、このことは、今までの観念をやはりここで政治家も払拭をしていかないと大変なことになるんじゃないか、そのように考えておるわけです。  特に、目標値については、先ほど五%という政府提案もあり、これに対して野党それぞれ、この問題は全く認知できない問題だというふうに言われておりますが、この発表のときの経過を見て、実は私も与党の与党政策調整会議というもののメンバーでございますし、またそれに基づいて与党で、自民、さきがけ、社民という形でCOP3のプロジェクトチームをつくっておりまして、これは物すごい勉強をしています。この間も、実はボンへ、その立場で派遣をいたしまして、各国政府、またNGO等とも接触を持ち、我々の主張も理解示してもらうべく努力をしておりますが、その中における共通認識というのは、決定の経過は一方的な官僚の提案政府提案ということに理解をされて、もう一度これを考え直そうじゃないかという空気も、自民も含めて、非常に根強いというふうに私は理解をしております。  そういう面で、総理の発言もありまして、今後京都会議に向けて、いろいろ取り扱いについては工夫をしなきゃいけない点もあるかと思いますが、このことは私は最終結論ではないという理解を実は示しております。  そういう面で大臣にお尋ねをしたいのですが、議長国としてこの案にリーダーシップを発揮し、取りまとめる自信がおありでしょうか。また、議長として、環境庁長官としていかがでしょうか。例えば、ドイツはベルリン・マンデートをまとめるために実は非常に努力をしておるわけでありますが、これらを含めての方針をお尋ねをいたしたいと思います。     〔委員長退席、小林(守)委員長代理着席〕
  78. 大木浩

    大木国務大臣 京都会議に向けまして、その取りまとめに議長国として努力をしておるわけでございますが、現状におきまして、まだ大きな点につきまして十分に意見が収れんしておらないということは現実であります。したがいまして、あしたあさって、とりあえず主要国の大臣レベルの方にも集まっていただいて、どうやって収れんしようかというところにポイントを置いて、ひとつ話し合いを進めさせていただきたいと思っております。  一体どういうのが成功と言えるかということでございますが、やはり、一九九〇年から二〇〇〇年に向けて実質的な削減をしようということで今まで話をしてきた。ところが、それが現実にはできなかった。その反省の上に立って、私どもは今度の京都会議というのを進めなきゃいかぬと思います。  そういう意味におきましては、数値がどとにいくかは別といたしまして、やはり決めたことはきちっと各国が守ってもらえるようなものをつくりたい。しかもそれは今後十年、二十年あるいはもう五十年先を見通して、本当に第一歩が意味のある自主的な一歩であったというようなものにしたいというふうに考えております。
  79. 北沢清功

    北沢委員 そうすると、この案でまとめた場合、地球の将来の環境について自信を持って大丈夫と言っていただけますか。その根拠についても、これで温暖化防止ができるという根拠についてもお示しをいただきたいと思います。
  80. 大木浩

    大木国務大臣 どういう状況になったら大変に危険な状態かということはまたいろいろと科学者の間にも御意見にある程度の差異があるようでございます。ただ、ほかっておいたらもう大変なことになるということについては、これはまず間違いないと思います。  ということで、例えばCO2の濃度が五五〇ppmですか、その辺以下に抑えないと非常にいろいろな弊害が出てくるぞというような御議論はありますから、これは一つ目標であろうと思っております。また、総排出量で、これはだんだん人口もふえていくわけでございますけれども、一応の目安といたしましては、一人当たりの炭素換算が一トン以下というような数字も出ております。  この辺は大体科学者の間でも、これを目標にして努力をしなければいけないということでございます。これは結局二一〇〇年、ちょっと遠過ぎますけれども、この辺までも見通さないとやはりこれからの計画は立たないわけでございますから、どこを目標にしておるかということでの御質問のお答えとしては、今言ったようなことが一つの目安になるのではないか。そういうものに向けて着実に、しかもできるだけ早く措置を進めてまいりたいと考えております。
  81. 北沢清功

    北沢委員 先ほどの大臣の御答弁の中で、これからである、出発点であるというふうに言われたわけですが、私は、これはやはり最終的な取りまとめをしなければというふうに実は理解をしておるわけですが、これは要望としておきたいと思います。  ここで、実は私の地元の信濃毎日新聞に掲載された日本世論調査会で実施した全国世論調査の大変興味深い結論がございます。時間がございませんが、地球温暖化に関心がある者が八五%という高率であります。しかし、この十二月の京都会議については、知っているという人が四二%、半数に及びません。政府議長国として、やはり理解を深めていくためにも、周知徹底をするために宣伝活動が必要だということをこの数値は示しているように思われるが、いかがでしょうか。これまで行ってきたPR活動内容、今後の方針についてあわせてお聞きをしたいと思います。
  82. 浜中裕徳

    浜中政府委員 お答えを申し上げます。  私ども環境庁におきましては、地球温暖化問題の重大性と対策必要性、それから京都会議の意義を広く広報するために、昨年六月にパンフレットを作成して以来、各種のパンフレット、これまでに累計で三百六十万部ほどのパンフレットを作成いたしまして配布をしてまいりました。また、テレビ、ラジオ等の広報媒体を通じて啓発も図ってきているところでございます。ことし六月の環境月間におきましてはテーマを地球温暖化に絞りまして、テレビ番組やテレビスポット、記事下広告、新聞の記事の下に広告が載っておりますが、そういったところを使わせていただきまして、あるいは各種のパンフレット等を利用して広報に努めてきたところでございます。  先ほど来いろいろハンフレットについてもおしかりをいただいておりますが、私どもも環境庁といたしまして、地球温暖化日本はどうなるといったようなことで、多くの方々に易しく御理解をいただけるような資料も最近つくりまして、これも広く広報をさせていただいているところでございます。  環境月間以降も、京都会議を支援し成功に導くためにいろいろな主体による広範な行事も実施され、また予定されているところでございます。十一月二十七日からは神戸で地球環境フェアも開催されますし、十二月の京都会議期間中には京都で低公害車フェアも開催するところでございます。  政府広報におきましても、地球温暖化防止に重点を置いて、テレビスポット、テレビ番組などを用いまして普及啓発に取り組んでいきたいと考えているわけでございまして、特に十一月におきましては、京都会議論点主要国考え方議長国としての日本の立場とその役割の重要性に重点を置いて広報を展開していきたい、このように考えているところでございます。
  83. 北沢清功

    北沢委員 そのほかに、この世論調査の結果によりますと、CO2の排出削減のために環境税や炭素税を導入することに六六%の人たちが賛成をしているという事態があります。さらに、その中でも消費者負担を容認するという声が三九%あるということですね。そういう面で、このような調査結果をごらんになって、環境を守るための方策について、環境税などの導入についてはどのようにお考えになるか、お尋ねをいたしたいと思います。
  84. 大木浩

    大木国務大臣 私も就任早々にいろいろこういう税についてどう考えるかという御質問があったときには、税金の問題というのは環境税ないしは炭素税だけじゃなくていろいろなところで目的税的なお話というのがたくさんありますので、そういったものをどういうふうにプライオリティーをつけて、あるいは本当に全体の税制の中で実施できるかというようなことについてはなかなか議論が多いのだろうということは申し上げました。しかし、今お話のございました国民の世論というようなことを考えますと、これはやはり環境問題あるいは地球温暖化防止に焦点を当てた対策としてこういった税制というものも積極的に考えなければならぬのじゃないかということを、私は今個人的にはそういうふうに感じております。  今後、また温暖化防止のための対策ということについてはいろいろなものがあり得るわけですから、そういったものをどういうふうに組み合わせるかということでありますけれども、その中の一つとして、こういった目的税的なものについても今後も真剣に検討させていただきたいと思っております。
  85. 北沢清功

    北沢委員 私は、議員の皆さんの中でもこの温暖化、案が出されたときに、原子力発電所が二十基できるということで、鬼の首をとったような喜び方をしている方がありまして、私も実は下北半島、六ケ所村を先月ずっと回ってみて、日本の原発の廃棄物については、三十年、五十年ぐらいで保存をするということですから、まだ明確な答えが出てないのです。  そういうことと、もう一つは、日本環境先進国である、そういうことを実は言われて、日本は既にオイルショックのときに企業がCO2削減のための技術を達成したという発言がございます。そのことは世界の共通認識で、日本はそういう対策をしたからいいんだという認識が世界の認識であれば、それはそういう論拠は成り立つと私は思いますね。そういうことでこの問題は、避けて通るという意味では、私は非常に不可解なのです。  そういう意味で、むしろ国民の中で意識が高くて、将来に向けての対策については共通認識ができつつあるように私は思うわけであります。それに対して、現状の追認でしかないように見える政府目標案というものは国民とかなりずれていはしないか。こうした国民の動向をきちんと把握された上での政府案なのでしょうか。  本当は、むしろ政府環境庁は、国民の意識の啓発活動を行って、必要があれば、例えば生活のレベルが若干下がっても地球の安全のために省エネへの努力を企業や国民への提案として行うべきであるということについて私は英断が欲しいわけでございます。  環境庁長官としての京都会議に臨む決意を最後にお伺いをしておきます。
  86. 大木浩

    大木国務大臣 国民の生活のレベルを下げてもいいか、こういう御質問だということになりますと、なかなか環境庁長官としてのお答えが難しいわけでございます。レベルを下げるというよりは、むしろできるだけむだは省く、そういうことについてはあらゆる部門で検討を進める。これはやはり環境庁責任でございますので、そういった意識をさらに強めて、京都会議でもしっかりと、京都会議での発言もそうでございますけれども、日本政府として、あるいは国としてのしっかりしたこれからの姿勢が保てるようにひとつ頑張ってまいりたいと思っております。
  87. 北沢清功

    北沢委員 大いにひとつ頑張っていただいて、世界的な合意ができるように最大限の御努力をお願いいたしたいと思います。  最後に、生活を下げるということについて若干申し上げますが、私は何も生活を下げるという意味ではないけれども、しかし、結果としてある面では不便や耐え忍ばなければいけない点があるわけでありますから、そういうことを含めて、レベルが下がる、下がるということになれば、恐怖心が出て事に当たらないという考えも出てくるわけでありますから、あえて申し上げておきたいと思います。  以上です。終わります。
  88. 小林守

    ○小林(守)委員長代理 次に、岩國哲人君。
  89. 岩國哲人

    ○岩國委員 太陽党を代表いたしまして質問させていただきます。  各委員からもきょういろいろと御指摘がありますけれども、私もこの温暖化防止条約の取り組みに関しましては、日本政府の方針といいますか、対応については非常に不十分なものを感じてまいりました。特に、二十一世紀環境問題を論ずるときに、二十一世紀の終わりには確実に現実化するであろうという問題を視野に入れながら二十一世紀の初めにはどうしなければならないかという対応をしなければならないときに、今、日本の取り組みは二十一世紀初めにできることは何かということにとらわれ過ぎて、二十一世紀の終わりへの視点が欠けているのではないかというふうに思います。     〔小林(守)委員長代理退席、委員長着席〕  各国の対応にも差が見られますけれども、とりわけ、こうした問題で一番の大国であります。アメリカに対する配慮、これはアメリカとの事前のすり合わせ等一切なかったという先ほどの長官の御答弁がございました。アメリカとのそうした相談とかすり合わせが一切なかったとすればなおさら問題であって、そのようなアメリカの意向ということを直接あるいは間接に確かめることもなく、そうしたアメリカの意向というものにそんたくしたかのごとく、よく言えば調和させるような案、悪く言えば迎合あるいはすり寄った案を出してしまったような印象を私は受けております。  例えば、小さな国の問題について、まさに国の浮沈をかけた問題であるという長官の先ほどの御発言がございました。そういった小さな島国の中からは、例えばサモアのスレード大使の言葉によりますと、日本の案というのはまさに自分たちの国に沈んでしまえと言わんばかりの案である、このような発言さえ突きつけられているわけでありまして、こうした点についてはもっともっと人道的な立場からも、あるいは世界の中のそうした科学的な先進国日本という立場からも、もっと前向きの案を出して、そしてアメリカをある意味では孤立させるような方向に持っていくぐらいの腹づもりが私は必要ではないかと思います。  そうした意見を最初に申し上げさせていただきまして、次に幾つか質問させていただきます。  こうしたエネルギー節約については、国民一人一人の理解協力が必要であることは言うまでもありませんし、環境庁もそういった点は御努力されていらっしゃると思います。その中で、私の地元であります世田谷区、その中の代沢中町会というところの千五百世帯を対象として、環境庁の方で家庭生活におけるエネルギー節約の実験を今度開始されることになりました。  世田谷区が選ばれたというのは、九七年六月に環境アクションプラン大賞を受賞した地域であるということや、あるいは先月まちづくり優良地方公共団体の表彰を受けたといった、緑を重視した環境重視の町づくりに熱心に取り組んでいるということもあって選ばれたようでありますけれども、こうした中町会の宗会長さん初め皆さん、大変この温暖化の問題については関心を持たれている。そして各家庭において、これはテレビでも放送されておりますけれども、非常に熱心に取り組んでおられます。  これは、十二月十日までにそうした結果を報告するようなアンケートもそこでなされておりますけれども、ぜひともこうしたことを世田谷区だけではなくて、世田谷区も一つの大切な対象地域ではありましょうけれども、これは東京と地方の都市では随分環境も違うと思いますから、少なくとも複数の地域を対象にして、できるだけ早く、そうした総合的な国民運動を喚起するために参考データが出るような方向で努めていただきたいと思います。  この世田谷区のエコロジー調査というものは、いつまでに公表されることになっておりますか。この点についてお伺いしたいと思います。また同時に、これは複数の地区を対象にしてほかの地域でも既に始められておるかどうか。この二つを簡潔にお答えいただきたいと思います。
  90. 浜中裕徳

    浜中政府委員 お答えを申し上げます。  ただいま先生御指摘の世田谷区代沢中町会の御協力を得て現在実施しております調査でございますけれども、これは十一月四日から十二月十日まで三十七日間実施をするものでございまして、その結果につきましては私ども来年の三月末までにまとめて公表をしていきたい、このように考えているところでございます。  こうしたいわゆるエコライフの推進という観点から私ども進めているものでございますけれども、このような取り組みには今後とも積極的に取り組んでいきたいと考えておりまして、今回のような大規模なモニター調査の取り組みは、政府といたしましては初めて行ったものではございますけれども、今後のエコライフの推進につきましては、今回の取り組みの成果も踏まえながら、今回のこのような取り組みの継続も含めましてさらに幅広く検討をしていきたい、このように考えております。
  91. 岩國哲人

    ○岩國委員 聞き漏らしたかもしれませんけれども、いつ新聞その他において発表される予定ですか。
  92. 浜中裕徳

    浜中政府委員 今回の調査の結果につきましては、来年の三月末に発表をしたい、このように考えております。
  93. 岩國哲人

    ○岩國委員 私もそのようなうわさを聞きましたので大変心配したわけですけれども、こういう問題については、もう十二月十日に紙が返ってくるのであれば、もっと早く処理をしてもっと早く発表すべきではありませんか。三カ月もかけるというのは、私は時間のかけ過ぎだと思います。  また、この第二回日本報告書案、この中にも二年前の古いデータがそのまま使われておる。これだけ科学や技術やコンピューターが発達しているときに、なぜ何カ月もかけて、そのようなわずか千五百世帯のデータを分析し公表することができないのか。また、協力された方にとっても、いいかげん忘れたころにどこかで公表されるということではなくて、打てば響くようなもっと素早い対応、役所は役に立つところと書いてあるわけですから、もっともっと早く仕事をする、そのような体制をぜひつくっていただきたいと思います。  そうでなければ、これからいろいろな国民運動をやった場合でも、何か全国のいろいろなデータが出て一年半も二年もかかってからやおら公表される、公表されたころには事態がまた別の方向へ、先へ進んでいるといったようなことになってしまいますから、もっと新年早々ぐらいにも皆さんにその結果がどうだったかということは知らせられるようなことはできないのですか。
  94. 浜中裕徳

    浜中政府委員 お答えを申し上げます。  今回の調査につきましては、この十一月四日から十二月十日までの間に、御協力をいただく千五百世帯の皆様方にいろいろな取り組みをしていただいた結果として、その千五百世帯の実施期間中とその前年の同じ期間の電気使用量、ガス使用量を比較をいたしまして、エコライフ行動というものを熱心に行っていただいた世帯とそれほど行われなかった世帯との間の比較を量的にしてみたいということで、かなり面倒なアンケート調査もお願いしたものでございます。  私ども、できるだけ早く集計をいたしまして発表したいと思っておりますので、一応今のところ三月末ということを予定しておりますが、ただいまの先生の御指摘も十分に踏まえさせていただきまして、仮集計でも早目にできるものはできるだけまとめ、発表させていただきたいと思っております。
  95. 岩國哲人

    ○岩國委員 京都会議成果について、新聞、テレビ等で報道されるころでもありますし、また新年早々いろいろな新聞、テレビの特集番組でこうした環境問題というのが、花形の話題というとおかしいのですけれども取り上げられるときに、やはり家庭に身近な問題としてタイミングよく打ち出すということをぜひ考慮していただきたいと思います。  時間をかけ過ぎるという関連からもう一つ。家庭生活に大きな影響を与える、あるいは場合によってはそうした一般の人の協力が一番必要であるというものについて、サマータイム制度の問題があります。  この報告書の中にも、六十八ページに、「夏期の夏の日照時間と早い夜明けを活用し、省エネルギーに資するため、サマータイム制度について検討中である。」この「検討中である。」という言葉は、数年間私は聞かされているような気がするのです。これは今どこまでいっておって、いつを目標として検討を終了される予定なのか、それをお伺いしたいと思います。
  96. 浜中裕徳

    浜中政府委員 ただいま御指摘のサマータイム制度につきましては、政府といたしましても、地球温暖化防止の観点からも、一九九〇年に策定をいたしました地球温暖化防止行動計画の中で検討を進めることとしておる次第でございます。  その後も、現在に至るまでさまざまな観点からこの制度の導入について検討を重ねてきておるところでございますが、さまざまな国内における実施上の問題点もございまして、残念ながら現在に量るまでその制度の実施のための、例えば法的措置をとるといったことについては結論を得るに至っていない、そういう状況でございます。
  97. 岩國哲人

    ○岩國委員 自治体の取り組みということもこれから大変大切になっていきますけれども、各自治体のいろいろな温暖化防止に向けての計画はできておる、これは四十七ページにそのような表現で報告されておりますけれども、幾つの自治体に具体的にそういった計画ができておりますか。数だけお答えいただきたいと思います。
  98. 浜中裕徳

    浜中政府委員 大変恐縮でございますが、現在自治体の数についての具体的な数字を持ち合わせていないのでありますけれども、最近も例えば京都会議開催する地元の京都市におきまして、二酸化炭素排出量を一九九〇年の水準に比べて一〇%削減することを目標に掲げた具体的な行動計画、自治体としての計画をおつくりになっておるわけでございます。類似のものは例えば鎌倉市でございますとか、それから幾つかのそういった自治体、県あるいは市のレベルにおきまして、たしか四つか五つあったと思いますが、そういう量的な目標を掲げた自治体も今出ているところでございます。  また、そういう具体的な数値目標は掲げておりませんけれども、地球温暖化防止を目指しまして、自治体レベルにおいてそのための計画をおつくりになっている自治体がかなりあるというふうに承知しております。その具体的な数字につきましては、また後ほど御報告をさせていただきたいと思います。
  99. 岩國哲人

    ○岩國委員 そういった数字も十分把握しないで多くの自治体がというのは、印象としては三千三百市町村の二千市町村ぐらいはやっているような感じを恐らく外国には与えているのではないかと思います。それを具体的にどれぐらい把握していらっしゃるのか、それも教えていただきたいと思います。  また自治体の努力に関連してまいりますけれども、それぞれの県あるいは都、そういったようなところで、だんだん水が小さくなっている、あるいは湖が小さくなっている、このような現象を見ます。例えば江戸時代には、私の好きな「鬼平犯科帳」もそうでありますし、「御宿かわせみ」を見ましても、時代劇を見るといつも江戸には水が満々とたたえられて、非常にうらやましいような風景があるわけですけれども、この水も、例えば東京におきましては、一八八〇年から一九八〇年の間、百年間に四三%水面面積が減少しております。また、住んでいるところから川辺、水辺へ行く距離はどれぐらい変化したか。二百十八メートル歩けば行けたところが、もう平均五百メートル。水は小さくなり、そして遠くなってしまった。恐らく、このような現象は各地で起きていると思います。こうしたデータを各県別にお持ちであればぜひとも、後ほどで結構ですから、資料として提供していただきたいと思います。  次に、地球地図についてお伺いいたします。  こうした地球地図の国際的な協力というものは国連を中心にして行われ、そして、日本においても建設省国土地理院の方で予算がつけられて、数年前から具体的にもう作業が、ロシア、アメリカ、中国、韓国、イギリス、フランス、世界の主要な国が協力して、こうした地球環境の問題のために、もっと限定して言えば温暖化防止のための正確な地球地図が必要だ。今、我々が学校で見てきた世界地図というのは、それぞればらばらな基準でつなぎ合わせて、あれで正確だと我々は思っておったわけですけれども、非常に不正確で、また防衛上の理由からわざと不正確なものを出している国がある。それを地球地図という形で、例えば森林面積がどれだけ減少している、砂漠化がどこで起きている、酸性雨の問題にどういう影響がある、これは大変大事なプロジェクトであると私は思います。  ぜひとも今度の京都国際会議においても、日本中心になってそのような温暖化防止のためのそのデータ整理の中心になっているということを大いにPRすべきではないかと私は思います。どんなに新しい技術があっても、どんなに金をかけても、正確な地球地図がなければ事は進まないわけですから、こうした点において、ぜひともこの京都国際会議において十分な広報体制、そして、これを機会に一層国際協力が確保され、そして地球地図の実現が一年でも、一カ月でも早くなるような努力をしていただきたいと思います。  環境庁として、この地球地図についてどのように取り組んでおられるのか。この報告書の中を見ましても、わずか一行しか書いていないのです。長官の所見をお伺いしたいと思います。
  100. 浜中裕徳

    浜中政府委員 私の方から事実関係のみお答えを申し上げたいと思います。  この地球地図につきましては、ただいま先生御指摘のとおり、建設省、特に国土地理院を中心にして取り組みがなされているところでございまして、私どもといたしましても、できるだけの御協力を申し上げたいというふうに考えておるところでございます。  したがいまして、京都会議においても、こうした取り組みをぜひ披露したらいいのではないかという御指摘でございますが、この点につきましては、建設省や外務省ともよく相談をさせていただきまして、最善の努力をさせていただきたいというふうに考えております。
  101. 岩國哲人

    ○岩國委員 それでは質問を終了いたします。  ありがとうございました。
  102. 山元勉

    山元委員長 以上で本日の質疑は終わります。     —————————————
  103. 山元勉

    山元委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りをいたします。  本件調査のため、来る十一月十四日金曜日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 山元勉

    山元委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。  次回は、来る十四日金曜日、委員会を開会することとし、本日は、これにて散会をいたします。     午後零時四十五分散会