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福田委員 外務大臣は、九月中旬に御就任されたわけですね。二カ月半になろうかと思うわけでありますけれども、その間、随分いろいろと
外交活動、お忙しくやっていらしたようでございまして、私の記憶するところでも、九月の下旬には
国連総会に出席され、そして
演説もされましたけれども、
米中ロを初めとして
各国首脳と
会談をされる、こういうことがございました。また十月になりますと、沖縄に飛びまして
大田知事にお会いになる、これはもう
外交か内政か、その両方にまたがっていることでありますけれども。また十一月には、
橋本・
エリツィン会談を受けて
ロシアの
プリマコフ外相と
会談をされる、その詰めをなされるというようなこともされたわけであり、大変重要な
会議であったわけであります。また、先週は
APECに出席されましたね。
なかなかそれだけでも大変だったと思いますけれども、その間に
総理の訪中はある、また
訪ロもある、
李鵬首相の訪日もある、また
北朝鮮の
日本人妻の帰国という問題もございましたし、その他
各国首脳が随分たくさん来られたようでございます。非常に多彩な、
外交メジロ押しということで、極めて多忙な
外交日程を過ごされてきたのではないかと思います。
私は、
就任早々に
大臣の
イニシアチブで
対人地雷全面禁止条約署名に向けて方向づけをされた、このことは
小渕外交のスタートを飾るものとして、大変印象深く思っております。
また、あわせて先ほど申しました
日ロ関係については、
橋本・
エリツィン会談で、
予想を上回る
クラスノヤルスク合意というものができたわけでございます。その後訪日しました
プリマコフ外相と
大臣がお会いになられて、そして
合意の確認をされ、また具体的な、建設的な、前向きな話を行われたということでございます。このことは、
日ロ関係の長年の
懸案解決に向けて明るい展望を開いたのではないかというふうに、私は率直に
評価をしたいというふうに思っております。
しかし、この
予想を上回る
クラスノヤルスク合意ができたということについては、これはいきなり飛び出してきた話ではないというふうに思います。その前にいろいろな形で、またいろいろな角度から
ロシアとの
関係改善の
努力がなされたということの上に立って、そういう
合意ができたのだというように
考えております。
その中には、
小渕大臣も、
大臣就任ちょっと前に
ロシアを訪問されていますね。あのときは
経済界、政界、またその他の方々と一緒にその団長として行かれたわけでございます。大デリゲーションであったわけでありますけれども、そのときに話をされたこともこの
合意に結びついているのではないかというふうに私は思っておるわけであります。
大体、
日本の
外交と申しますと、
日本の
外交は主体性がないとか、
大国追随だとか、顔が見えないとか、こういうふうな好ましくない表現でもって言われることが多かったわけでございますけれども、私は、最近の
様子を見ていますと、そのような
批判をはね返すことができるようなこともちょくちょく出てきている、このように見ております。
例えば、ただいま申しました
対人地雷のことについても、これもその一つだと思いますし、
日ロ関係、
対ロ関係のこの
交渉についても、
日本独自のやり方で成果を上げつつあるというような感じがいたしますので、これはもうそういう点は大いに
評価すべきであると思う。また、自主的な
外交
をやっておるのだというふうに言ってもいいのではないかと思います。
また、
カンボジアの
選挙につきましても、先般、
フン・
セン第二
首相が来られました。そのときに
大臣もお会いになって、率直に
向こうに対して、自由な
選挙を保証する、こういうことを申し入れて、そしてまたそれに対して
向こうも約束をするということにまでなったというふうに伺っておるわけであります。
また、来年行われます
アジア・
アフリカ会議、あれも
日本の
イニシアチブでやっておるものであるということでありますし、また、これはちょっと
外務省だけではありませんけれども、
日米防衛協力のガイドライン、これは私は、
日本が
外交的な
自主性を回復する一歩である、このように
考えて
評価したい、このように思っておるわけであります。
ただ、そういうふうに見える
部分もありますけれども、
外交というのは見えない
部分が随分あるわけでありまして、そういう見えない
部分においては、先般、イラクで査察問題で一触即発というような
状況になったのでありますけれども、幸いにして
交戦状態ということにはならなかったのであります。
これに至るその経緯について、
外務省も随分いろいろと裏で工作をしたというふうに私は伺っております。
アメリカを初め、
関係各国に随分働きかけをしたというふうに私は伺っております。こういうものは見えない
自主外交というふうに位置づけていいのではないかと思います。
私は、そういう
部分が
外務省の
外交にはどうしてもつきものであって、その辺、なかなか世間の
評価を得られない
部分ではないかと思いますが、でき得ることなら折を見て、そういうことを
発表してもいい時期に、そういう見えない
部分を積極的に国民に知らせる
努力をされるということも必要なのではないかというふうに私は思っておるわけであります。
しかし、その反面、評判の悪いところもありまして、特にODAなんかについては
批判をする
新聞、雑誌の記事なんかもかなりあるということであります。これはいまだに引き続いておるということでありまして、この辺は
外交当局も大いに反省し、
考えなければいけないというところだろうと思います。
しかし、中にはいわれなき
批判も随分あるようでございまして、後で私も調べまして
批判の中身を点検しますと、どうも
見当違いの
批判をしているというようなものもありますので、そういうことにつきましては、これまた大いに対外的にそういう
正当性を述べられた方がいいのではないかというふうに私は思っております。
とにもかくにも、
大臣、大変御苦労されていらっしゃいますけれども、この短期間でありますけれども、現実の
外交の中でさまざまな体験、経験をされまして、その上で、今どのように
外交及び
外務省に対して
大臣は御感想を持っていらっしゃるか。
また、来年の
通常国会になりますと、
外交演説が冒頭にあるわけですね。そこでは
大臣の
外交姿勢を打ち出すわけでありますけれども、そういう
外交方針、どのようなことに力点を置いて
大臣はこれから
外交を進めようとされているか、そのことについて、
大臣の御見解をお聞きしたいと思います。