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1997-11-28 第141回国会 衆議院 外務委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十一月二十八日(金曜日)     午前十時開議  出席委員   委員長 中馬 弘毅君    理事 福田 康夫君 理事 牧野 隆守君    理事 茂木 敏充君 理事 森山 眞弓君    理事 青木 宏之君 理事 東  祥三君    理事 玄葉光一郎君 理事 松本 善明君       逢沢 一郎君    柿澤 弘治君       熊谷 市雄君    河野 太郎君       阪上 善秀君    櫻内 義雄君       下地 幹郎君    棚橋 泰文君       野呂田芳成君    森  英介君       坂口  力君    島   聡君       松沢 成文君    丸谷 佳織君       山中 樺子君    若松 謙維君       末松 義規君    藤田 幸久君       古堅 実吉君    中川 智子君       平野 博文君  出席国務大臣         外 務 大 臣 小渕 恵三君  出席政府委員         外務大臣官房長 浦部 和好君         外務省総合外交         政策局長    加藤 良三君         外務省総合外交         政策局軍備管         理・科学審議官 阿部 信泰君         外務省総合外交         政策局国際社会         協力部長    朝海 和夫君         外務省アジア局         長       阿南 惟茂君         外務省北米局長         事務代理    田中  均君         外務省欧亜局長 西村 六善君         外務省中近東ア         フリカ局長   登 誠一郎君         外務省経済局長         事務代理    横田  淳君         外務省経済協力         局長      大島 賢二君         外務省条約局長 竹内 行夫君  委員外出席者         防衛庁防衛局計         画課長     金澤 博範君         環境庁企画調整         局地球環境部環         境保全対策課長 小林  光君         大蔵省主税局調         査課長     鈴木 勝康君         大蔵省銀行局銀         行課国際業務企         画官      井阪 喜浩君         外務委員会調査         室長      宮本 吉範君     ————————————— 委員の異動 十一月二十八日  辞任         補欠選任   安倍 晋三君     熊谷 市雄君   河野 太郎君     棚橋 泰文君   伊藤  茂君     中川 智子君 同日  辞任         補欠選任   熊谷 市雄君     安倍 晋三君   棚橋 泰文君     河野 太郎君   中川 智子君     伊藤  茂君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国際情勢に関する件      ————◇—————
  2. 中馬弘毅

    中馬委員長 これより会議を開きます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福田康夫君。
  3. 福田康夫

    福田委員 外務大臣は、九月中旬に御就任されたわけですね。二カ月半になろうかと思うわけでありますけれども、その間、随分いろいろと外交活動、お忙しくやっていらしたようでございまして、私の記憶するところでも、九月の下旬には国連総会に出席され、そして演説もされましたけれども、米中ロを初めとして各国首脳会談をされる、こういうことがございました。また十月になりますと、沖縄に飛びまして大田知事にお会いになる、これはもう外交か内政か、その両方にまたがっていることでありますけれども。また十一月には、橋本エリツィン会談を受けてロシアプリマコフ外相会談をされる、その詰めをなされるというようなこともされたわけであり、大変重要な会議であったわけであります。また、先週はAPECに出席されましたね。  なかなかそれだけでも大変だったと思いますけれども、その間に総理の訪中はある、また訪ロもある、李鵬首相の訪日もある、また北朝鮮日本人妻の帰国という問題もございましたし、その他各国首脳が随分たくさん来られたようでございます。非常に多彩な、外交メジロ押しということで、極めて多忙な外交日程を過ごされてきたのではないかと思います。  私は、就任早々大臣イニシアチブ対人地雷全面禁止条約署名に向けて方向づけをされた、このことは小渕外交のスタートを飾るものとして、大変印象深く思っております。  また、あわせて先ほど申しました日ロ関係については、橋本エリツィン会談で、予想を上回るクラスノヤルスク合意というものができたわけでございます。その後訪日しましたプリマコフ外相大臣がお会いになられて、そして合意の確認をされ、また具体的な、建設的な、前向きな話を行われたということでございます。このことは、日ロ関係の長年の懸案解決に向けて明るい展望を開いたのではないかというふうに、私は率直に評価をしたいというふうに思っております。  しかし、この予想を上回るクラスノヤルスク合意ができたということについては、これはいきなり飛び出してきた話ではないというふうに思います。その前にいろいろな形で、またいろいろな角度からロシアとの関係改善努力がなされたということの上に立って、そういう合意ができたのだというように考えております。  その中には、小渕大臣も、大臣就任ちょっと前にロシアを訪問されていますね。あのときは経済界、政界、またその他の方々と一緒にその団長として行かれたわけでございます。大デリゲーションであったわけでありますけれども、そのときに話をされたこともこの合意に結びついているのではないかというふうに私は思っておるわけであります。  大体、日本外交と申しますと、日本外交は主体性がないとか、大国追随だとか、顔が見えないとか、こういうふうな好ましくない表現でもって言われることが多かったわけでございますけれども、私は、最近の様子を見ていますと、そのような批判をはね返すことができるようなこともちょくちょく出てきている、このように見ております。  例えば、ただいま申しました対人地雷のことについても、これもその一つだと思いますし、日ロ関係対ロ関係のこの交渉についても、日本独自のやり方で成果を上げつつあるというような感じがいたしますので、これはもうそういう点は大いに評価すべきであると思う。また、自主的な外交 をやっておるのだというふうに言ってもいいのではないかと思います。  また、カンボジア選挙につきましても、先般、フンセン第二首相が来られました。そのときに大臣もお会いになって、率直に向こうに対して、自由な選挙を保証する、こういうことを申し入れて、そしてまたそれに対して向こうも約束をするということにまでなったというふうに伺っておるわけであります。  また、来年行われますアジアアフリカ会議、あれも日本イニシアチブでやっておるものであるということでありますし、また、これはちょっと外務省だけではありませんけれども、日米防衛協力のガイドライン、これは私は、日本外交的な自主性を回復する一歩である、このように考え評価したい、このように思っておるわけであります。  ただ、そういうふうに見える部分もありますけれども、外交というのは見えない部分が随分あるわけでありまして、そういう見えない部分においては、先般、イラクで査察問題で一触即発というような状況になったのでありますけれども、幸いにして交戦状態ということにはならなかったのであります。  これに至るその経緯について、外務省も随分いろいろと裏で工作をしたというふうに私は伺っております。アメリカを初め、関係各国に随分働きかけをしたというふうに私は伺っております。こういうものは見えない自主外交というふうに位置づけていいのではないかと思います。  私は、そういう部分外務省外交にはどうしてもつきものであって、その辺、なかなか世間の評価を得られない部分ではないかと思いますが、でき得ることなら折を見て、そういうことを発表してもいい時期に、そういう見えない部分を積極的に国民に知らせる努力をされるということも必要なのではないかというふうに私は思っておるわけであります。  しかし、その反面、評判の悪いところもありまして、特にODAなんかについては批判をする新聞、雑誌の記事なんかもかなりあるということであります。これはいまだに引き続いておるということでありまして、この辺は外交当局も大いに反省し、考えなければいけないというところだろうと思います。  しかし、中にはいわれなき批判も随分あるようでございまして、後で私も調べまして批判の中身を点検しますと、どうも見当違い批判をしているというようなものもありますので、そういうことにつきましては、これまた大いに対外的にそういう正当性を述べられた方がいいのではないかというふうに私は思っております。  とにもかくにも、大臣、大変御苦労されていらっしゃいますけれども、この短期間でありますけれども、現実の外交の中でさまざまな体験、経験をされまして、その上で、今どのように外交及び外務省に対して大臣は御感想を持っていらっしゃるか。  また、来年の通常国会になりますと、外交演説が冒頭にあるわけですね。そこでは大臣外交姿勢を打ち出すわけでありますけれども、そういう外交方針、どのようなことに力点を置いて大臣はこれから外交を進めようとされているか、そのことについて、大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
  4. 小渕恵三

    小渕国務大臣 私、議員に当選させていただきまして以降、外交問題につきましては若干関心深くいたしてきたところでございますが、今般、外務大臣という重責を担うことになりました。改めて、その重要性にかんがみまして、この問題に全力で当たっていきたいと思いますので、御指導をいただきたいと思っております。  九月に就任いたしまして早々に、国連定時総会開催ということになりまして、国連での演説を申し上げましたが、国連につきましては委員御存じのように、我が国としての立場として、国連重視立場から、常任理事国入りを含めまして、国連改革の問題に積極的に取り組まなければならない、こういうことで対夜たしておるわけでご三います。  本件につきましてはなかなか、国連加盟国百八十五という数を数えておりまして、それぞれの地域の利害といいますか、各国主張も異なっておりまして、我が国主張がそのままにこの総会で達成される見通しが難しい環境になっておりまして、残念でありますが、引き続いて努力をしていきたいと思っております。  その後、御指摘のように日ロ問題につきまして、総理自身首脳会談を行い、また、そのフォローアップとして外務大臣同士会談が東京で持たれるというようなこともございましたし、お話しのように、いろいろ課題が山積をし、かつ待ったなしの状況でいろいろと惹起しておりまして、これに適宜適切、誤りなきを期していくということは大変難事でございまするけれども、申し上げましたように、懸命に相努めていきたいと思っております。  そこで、いろいろ具体的な問題にも触れられましたが、対人地雷の問題につきましてお話がございました。  これもけさの報道等御存じかと思いますけれども、橋本総理が正式にカナダを訪問されまして、クレティエン・カナダ首相との首脳会談におきまして、来る十二月三日、四日、オタワで開催される署名式において、我が国としての署名を行うという意思をお伝えいたしたところでございます。  正式な閣議の決定はされておりませんが、総理大臣がそういうことをきちんと、特に対人地雷につきましては、カナダが、オタワ・プロセスに見られるように、主導的にこれを進めてきたということでございまして、その責任者にそういうお話をされたということでありますので、ぜひ、この点につきましては私自身国会のお許しをいただければ署名式に臨みたい、このように考えておるところでございます。  それから、カンボジア問題につきましても、先般、フンセン第二首相が参られました 先般来のカンボジア状況にかんがみまして、また今日まで日本カンボジアに対して、その平和回復のために努力をしてきたこと、そのことをより実現するために来年の自由選挙を行うということでございますが、その間、第一首相、第二首相との間でいろいろ事件が発生して、大変苦慮、危惧すべき環境にもなっておるわけでございます。  独立国に対してでございますから、我が国が一々指図申し上げることでは当然ありませんけれども、我が国として、友人として、また国際社会の中でカンボジアがこれから評価されていくためにも、ぜひこの選挙を全うしていただきたい、そのためには、我が国としてできることは全力を挙げて努力していこうということでお話も申し上げたところでございます。  今後の問題として、さらにアフリカ問題等があります。  これは国連でも申し上げましたが、我が国としては、そうしたOAU諸国、こういう国々のこれからの発展に対して、これまた我が国として大いに協力をしていかなきゃならない。まあアフリカについては、第二次世界大戦も含めまして、我が国としては、全く手を汚していないといいますか、批判をされない立場にありますので、そういった意味で、我が国は公平に、こうした国々に対する支援も素直に受けとめていただけるということでございます。  でき得べくんば、これまた、来年の正月早々にはアフリカ諸国を一巡させていただきまして、我が国立場に理解を求めると同時に、常に国連等におきましては、こうした国々我が国に対して非常に投票権等につきまして協力もいただいておりますので、そうしたことも含めて、このアフリカの問題に取り組んでみたいと思っております。  いずれにいたしましても、重責に身の引き締まる思いでございますが、外交は、申し上げたように、いっときも時を許さない問題でございますから、間違いのないように全力努力をしていきた いと思っております。
  5. 福田康夫

    福田委員 大臣のお考えを伺いまして、ますます御健聞いただきたい、特に日本自主外交の展開に力を注いでいただきたいと心からお願いをいたします。自主外交の種は世界じゅうにあるわけでございまして、イランであろうが、ミャンマーであろうが、アフガニスタンであろうが、至るところにございますので、どうかぜひ外務当局一体となって進展をお願い申し上げる次第でございます。  さて、話を転じまして、一昨日、朝鮮半島のエネルギー開発機構について、その内容についての発表がされておるようなので、これについて私の方からも少しお聞きしたいと思います。  このいわゆるKEDOでございますけれども、これは九四年の米朝合意に基づいて、これを進めようということになったのでありますけれども、ようやく、ことしの七月でしたか、着工に至りました。三年かかったわけでありますけれども、三年間で客観情勢も大分変わってきておるわけであります。当初の目的というのは、これは北朝鮮核開発をとどめるということにあったわけでありますけれども、この目的意義については、その後変更はありませんか。
  6. 小渕恵三

    小渕国務大臣 KEDOにつきましては、御案内のように、一九九五年の三月、北朝鮮の核兵器開発問題、全般的解決を図るために、一九九四年十月の米朝間合意された枠組みを受けて、国会意に定められた北朝鮮への軽水炉供与等、実施することを目的として設立されました。  以降、いろいろ関係国の間に話し合いが進められてまいりましたが、現在、日本側としては、高橋大使を中心にいたしまして、米国を初め各国話し合いを進められておるところでございます。当初の目的その他はもちろん変更はありませんが、ここに各国とどのように負担分担をしてこれを完成せしめるかという問題については、まだ最終的な話し合いがまとまっておりませんけれども、日本としては、日本としての責任を果たしていきたい、このように考えておる次第でございます。
  7. 福田康夫

    福田委員 私は、この目的については、また意義については、最近北朝鮮側の態度もかなり軟化してきているような様子に見受けられるということもございまして、そうしますと、このことがまた北朝鮮日本との間の前進を助ける材料になるかどうか、こんなふうにも考えております。そうなりますと、これもなかなか我が国にとっての、我が国自身にとっての大事な事業であるという位置づけもできるのではないかというふうに私は思っておるわけであります。  総工費等については、従来四十億ドルというふうに言われておりましたけれども、先般の発表によりますと、五十一億ドルを超えるような金額に膨れ上がっているということであります。また、工期も二〇〇三年ということも言っておりますので、そのとおりだと思っております。  この総工費のうち、日本は、意味ある財政的な役割を果たす金額、こういうふうに言っております。これは当初からそういうふうな言い方をしておるのですけれども、この言葉の意味が特別あるのかどうか。要するに、分担金金額が一体幾らになるかということが関心事であるわけで、これはもう相当な金額になるわけですから、我々としても無関心でいるわけにはいかない、こういうことになるわけでありますので、これはまだ交渉中でわからないということであろうかと思いますが、そうですが、局長
  8. 阿南惟茂

    阿南政府委員 この軽水炉プロジェクトの経費、今先生がおっしゃいました五十一億七千八百五十万ドル、邦貨にして約六千三百億円という数字が出ておりますが、日本分担する、韓国分担するこの額は融資でございまして、北朝鮮が返済するというローンでございます。  先生既に御指摘のとおり、日本意味のある財政的役割を果たすということで、できるだけ引受額を低く抑えたいということでございますけれども、他方、日本にとっても重要なプロジェクトでございますので、まさに意味のある財政的役割を果たすということで、現在、日本が引き受ける額について交渉を始めたばかりのところでございます。
  9. 福田康夫

    福田委員 今、融資というお話がございました。これはどこに対して融資をするか。これはKEDO本部ですね。KEDO本部だと思います。そうすると、融資の条件とかそういうこともあるわけでしょうけれども、これもあわせて交渉中というふうに理解しておきます。よろしゅうございますね。  これは当然予算措置を伴うわけで、新聞によりますと、来年度からその措置を講ずる、こういうことになっております。当然、これはもう国会審議をしなきゃいかぬことになるわけであります。そういう性質のものであり、また金額的にも相当大きなものであるということもありますので、何らかの形で節目節目に報告をしていただきたいということをお願いしておきます。  原子炉については韓国分担する、担当する、こういうふうに聞いております。日本から何か機材を調達する、こういうふうな具体的な話はありますか。
  10. 阿部信泰

    阿部政府委員 軽水炉プロジェクトに必要となる資機材の調達につきましては、これからプロジェクトそのものの進捗に伴いまして具体的に内容が固まっていくものと思われますが、日本からの調達につきましても、その可能性はしかるべき機会に開かれていくというふうに考えております。また実際、政府としてもそのように働きかけております。
  11. 福田康夫

    福田委員 本件については、日朝交渉という問題も、将来具体的な問題が出てくるだろう、その場合にはそれとの関連性も出てくるかもしれぬというふうに私は想像をしておるわけであります。  そういう意味で、大変重要な案件でございますので慎重な、また金額交渉もこれありますけれども、日本財政負担を余り大きくしないような、うまい交渉をしていただきたいということをお願いいたします。  時間でございますので、私の質問はこれにて終了いたします。ありがとうございました。
  12. 中馬弘毅

    中馬委員長 続いて、茂木敏充君。
  13. 茂木敏充

    茂木委員 自由民主党の茂木敏充でございます。  今週二回目の外務委員会ということで、小渕外務大臣には大変お疲れさまでございます。  私は、先週から今週にかけて開催されましたAPECバンクーバー会合とも関連いたしまして、今後の日本アジア太平洋外交について、外務大臣に基本的な方針、方向をお尋ねしたいと思っております。  今回のAPECでは、世界成長軸とも言われておりますアジア諸国の通貨、そして株式市場の動揺を受けまして、現下の特にアジア経済日本経済情勢等々が最大の関心事になった、そのようにお聞きしております。また、今回の会合で、来年よりAPECへのロシア正式参加が認められることになったわけでございます。  この結果、太平洋を囲みます日本アメリカ中国ロシア、主要四カ国すべてがAPEC加盟することになった。APEC参加の十八の国と地域のうちでこの四カ国の占めております割合、人口でいいますと八〇%、そしてGNP比では八五%ということで、だれの目から見ましても、この四カ国がメジャープレーヤーになってくる。そして、この四カ国の関係が、冷戦後のアジア太平洋地域情勢、ひいては国際情勢全般の帰趨を左右することになるのは、だれの目にも明らかなのではないかなと考えております。  小渕外務大臣は、外務大臣就任以来、北朝鮮への食糧支援そして対人地雷全面禁止条約署名決定を初めとするさまざまな外交イニシアチブを発揮する一方で、この三カ月弱という短い期間の中で、アメリカ中国ロシア、そこのそれぞれの国の首脳外相とも積極的に会談を重ねてこられたわけでございますが、小渕大臣は、この日米中ロの四カ国の今後の国際関係、そして日本のアジ ア太平洋外交をどのように今後お考えになっていらっしゃるか。まず、基本的な所見をお聞かせください。
  14. 小渕恵三

    小渕国務大臣 今般のAPEC総会におきまして、十八の国・地域に加わりまして三カ国が新たに参加することに決定をいたしましたことは、大変歓迎いたしたいと思います。特に、ロシアにつきましては、実は閣僚会議の過程ではこれ以上参加国をふやすべきでないという議論もありましたけれども、ロシア加盟につきましては、橋本総理クラスノヤルスクエリツィン大統領にも日本の希望を申し上げておったところでございまして、最終的には首脳会談でこれが決定を見たということを実は心からうれしく思っておる次第でございます。  やはりアジアにおきましても、太平洋を挟んで、日米中に加えましてこのロシアが、元来はウラル以西の国という印象が深かったわけでありますが、国の地理的な状況からいえばこのアジアに大きな領土を持っておるわけでございまして、しかしながら、なかなかAPEC諸国にしてみますと、現在の時点ではどうしても貿易その他投資におきましてもロシアのかかわりが少ないということで、先ほど申し上げたような若干の異論もありましたけれども、最終的には、むしろそうした大国アジア太平洋の中で大きな役割を果たしていただきたいということで、参加を見たことは結構なことだったと思っております。  したがいまして、今お話しのように、大国ぶる必要はありませんけれども、しかしアメリカ中国ロシア、そして日本、この四カ国がしっかりとあらゆる面で協調いたしていくということは、安全保障の面からも、アジア経済全体からいいましても大変望ましいことだと思いますので、そういった意味で、ぜひこの四カ国の関係をさらに深めてまいりたいと思っております。  同時に、日本としては、この四カ国の中で日米関係を基軸としながらも、中国ロシアとの関係に積極的に取り組んでまいりまして、前向きにこの四カ国相互の関係が発展されることを心から念じて、努力をいたしていきたいと思っております。
  15. 茂木敏充

    茂木委員 今、外務大臣が基軸と言われました日本アメリカ関係について、もう少し詳しくお尋ねしたいと思っております。  戦後一貫して日本外交日米関係を基軸としてきたのは、今大臣御発言のとおりであり、私も確かな事実であると考えております。  小渕大臣は、青年時代に米国を訪問いたしまして、当時のロバート・ケネディ司法長官ともアポなしでお会いしてきた、こんなエピソードもお聞きしておりますが、最近の日米間には、日米安全保障面では日米防衛協力のガイドラインの実効性を確保するためのさまざまな措置、そして復帰二十五周年を迎えました沖縄の米軍基地の整理、統合、縮小の問題、経済面では日本の対米黒字、ここ数年また広がってきております。この対米貿易黒字を含むマクロの経済問題、また航空交渉を初めとします個別の経済問題等々の懸念も残されております。  確かに、ジャペン・バッシングが激しかった八〇年代や九〇年代の前半と比べてみますと、日米関係は改善しているようにも見えるわけでございます。その一方で、例えば、アメリカの駐日大使が、昨年の十二月十五日のモンデール大使の離任から今月十一月十五日のフォーリー駐日大使の着任まで、実に十一カ月間も不在だったり、最近では、日本がたたかれるいわゆるジャパン・バッシングから日本が無視される、越えられてしまうジャパン・パッシング、これが進んでいるとも言われております。  もちろん、大使が不在だったというだけで即問題事態だ、こういうことではございませんが、私もいろいろ議論させていただいております日米の識者の間では、激しかったジャパン・バッシングに対して、今静かに潜行している、静かに進んでいるジャパン・パッシングを懸念する声が大きく広がっているわけでございます。  そこで、小渕大臣は、新たな世紀に向けまして、冷戦時代と比べれば、朝鮮問題等々一部の問題を除いて、何か共通の目標であったりとか共通の課題を失ったかにも見えるようなこの日米関係の強化のためにどのように取り組むおつもりか、お聞かせください。
  16. 小渕恵三

    小渕国務大臣 日米関係は、先ほど申し上げましたように、我が国外交の基軸でありまして、今日では、アジア太平洋、ひいては世界の安定と繁栄にとって世界で最も重要な二国間関係であることは言うまでもありません。  現在、日米間には、政治、安保、経済、地球規模問題に対する取り組みなど、幅広い分野で協力関係が構築されており、その根幹にあるのが日米安全保障体制であろうと考えております。  そこで、日本アメリカとの関係は、申すまでもなく、あの大戦から以降始まりまして今日に至っておるわけでございますが、このアメリカとの関係につきましては、ただいまお話がいろいろありましたけれども、やはり基本的には、その信頼関係、まことに揺るぎなきものがあると思っております。  しかし同時に、冷戦構造が去り、旧来の日米あるいは中ソという関係でなくて、先ほど申し上げましたように、新しい四カ国の関係が生まれてきているという事態も十分認識をしながら、それぞれの国々との対話をより深めていかなければならない状況であることは言うまでもありません。  米国の中にも、先ほど申し上げた安保条約に対してのいろいろの議論があることは承知をしておりますけれども、私は、政府並びに国民の多くは日本との関係をさらに強化していくべきものと考えておると思いますし、経済問題をめぐりましては、若干の摩擦というものは残念ながら生じないとは言いがたい点はありますが、こうした問題も一つ一つ信頼に基づいて解決のできるものであると思っております。  具体的に申し上げますと、私自身も就任以来、オルブライト国務長官と問題ごとにいろいろお話をしておりますし また電話等でも 相手方からも、また我が方からも忌憚なく意見が申し上げられる関係というものは、全くそういった点では問題はないというふうに思っております。  今、ジャパン・バッシングでなくてジャパン・パッシングというようなお話もありましたが、なるほど、アメリカの中の一部にはそういう考え方もあるかもしれませんが、お互い、日本にとってアメリカアメリカにとって日本の存在を離れて存在はし得るものでないという観点で、今後とも日米間をさらに緊密なものにしていかなければならぬ、このように考えております。
  17. 茂木敏充

    茂木委員 今、外務大臣おっしゃられましたように、積極的な外交交渉、それから共同研究や民間レベルを含めた人材の交流等々を通じまして、二十一世紀への日米の共通のアジェンダ、こういったものをもう一回模索してみる必要があるのではないかな、私はそんなふうに考えているわけであります。  時間の関係で、中国との問題について触れさせていただきたいと思うのですが、日中関係、ことしが日中国交正常化二十五周年、そして来年が日中平和友好条約締結二十周年に当たる節目の年でもありまして、私もこの夏、ちょうど橋本総理の訪中の前に中国を訪問させていただきまして、李鵬首相中国外交部、それから中国共産党の対外連絡部、いわゆる中連部の首脳の皆さんともお会いしてきましたが、一昨年、私が訪中しましたときと比べて、確かに全体的には日中関係は改善しているな、こういう印象を持って帰ってまいりました。そして、九月の橋本総理の訪中、さらに今月半ばの李鵬首相の訪日も、ガイドラインなどいろいろな問題が懸念される中で、結果的には比較的成功裏に終わったのではないかな、こういうふうに私は認識をいたしております。  小渕大臣は、就任後、既に二度にわたりまして銭其シン外交部長と日中外相会談を行いまして、特に先日のバンクーバーでの会談では、先方より改めて小渕大臣に対して訪中招請がなされた、この ように伺っております。これも日中関係改善の一つの大変いいシグナルなのではないかな、このようにとらえているわけでございます。しかしその一方で、一般の国民の皆さんの目から見ますと、日本の対中政策は対米政策と比べてみましても、何かいつも遠慮がちでありまして、そして、例えば領土問題であったりとか閣僚の靖国参拝問題、問題発言等々、何か起こりますと、中国が反発してそれに対して日本が釈明する、陳謝する、こういった繰り返しの状況が大きく改善したとは考えられない面もあるわけであります。  私は、日中関係も、五十年前の過去を常に引きずった状況から二十一世紀はもう脱皮して、もっとフランクに対話できる関係を築くことが、日本にとってはもちろんでありますが、中国にとっても大きなプラスになる、このように考えておるわけであります。  小渕大臣は今後の、一番近い国であります日本中国との関係についてどのような外交方針をお持ちか、お聞かせください。
  18. 小渕恵三

    小渕国務大臣 御指摘のように、最近の日中関係というものにつきましては、大変良好な雰囲気になっておると思っております。首脳間の相互訪問も実現をいたし、橋本総理も北京に、そして李鵬首相も東京に、こういうことで、たまたま日中国交正常化二十五周年にふさわしい、意義深い年となったと思っております。  我が国としては、この中国との良好な関係を維持発展させていくことが、二国間のみならず、アジア太平洋地域、ひいては世界の平和と繁栄に極めて重要であるという観点で、来年には江沢民国家主席の来日も予定されており、こうした機会をとらえて、今後とも日中間でさまざまなレベルの対話を深め、信頼関係を強化し、そして日中友好の関係を努めていきたいと思っております。  また、中国の改革・開放路線を引き続き支援し、WTO早期加盟への支持等によりまして、中国国際社会との一層の協調を促していきたいと思います。  いずれにいたしましても、両国間、両国民の間に若干のわだかまりも現存しているということを否定し得ません。また、日本側にも、いろいろと率直な意見の開陳が時に中国側を刺激して、またそれが反発となり、これが双方の関係を悪化せしめてきたというような時期もあったわけでありますが、しかし私見るところ、中国側の識者も、日本側の本音のところといいますか、日本人の持っておる気持ちというものを理解し、そして、いたずらにこれを両国間の問題として感情的になることは好ましいことでないという、かなり冷静な物の考え方をしてきた方も中国側にも多いような気がいたしております。  そういった意味で、率直に、忌憚のない、時には厳しい意見も闘わし得るような関係になることが本当の意味での大人の関係になることだろうと思っておりまして、ハイレベルの交流はもとよりでございますけれども、民間の方々を含めまして最近の日中の交流がまことに爆発的に増加しておるというようなこともございますし、政府としてはいろいろなできる手段、すなわち経済協力その他も含めまして行うことによりまして、ますます離れがたき、そしてよき隣人としての日中間をつくっていく、これが必要なことではないか、こう考えております。
  19. 茂木敏充

    茂木委員 時間の関係もありまして、いろいろお聞きしたいのですが、最後に、日本ロシア関係についてお尋ねを申し上げたいと思っております。  小渕大臣は、大臣就任以前から中央アジア初め旧ソ連諸国との交流に大変に熱心に取り組んでこられたわけでございます。私は、小渕外務大臣を拝見しておりますと、日本ロシアの平和条約の締結を政治家としてのライフワークとして位置づけておられるのではないかな、このようにも常々想像いたしてきたわけでございますが、この問題につきましては、先日のクラスノヤルスクの日ロ首脳会談で、橋本総理エリツィン大統領、両首脳が、領土問題につき、東京宣言に基づいて二〇〇〇年までに平和条約を締結するよう全力を尽くすことで合意をしたわけでございます。  さらに、それに間髪を入れず小渕大臣が、今月中旬に来日いたしましたプリマコフ外相との間で、首脳会談での合意事項につきまして、その実現に向けて具体的な枠組みとステップを取り決めたことは大変重要な成果であったと考えております。思い返してみますと、日ソ、日ロの平和条約の締結は、幾多の交渉や、小さいながらもまず一歩、こういった合意によって今日の状況をつくってこられたのではないかなと考えております。  一九五六年には松本・グロムイコ書簡、これによりまして領土問題を含む平和条約締結交渉の継続に合意をした上で、その上で日ソ共同宣言、これが署名をされまして、一九七三年の十月の田中総理の訪ソの際、ブレジネフ書記長との首脳会談におきまして、北方四島の問題が戦後未解決の諸問題の中に含まれることが、口頭ではありますが確認をされました。  そしてさらに一九九一年、ゴルバチョフ大統領の来日の際の日ソ共同宣言におきましては、歯舞群島そして色丹島、国後島及び択捉島に明示的に言及するとともに、平和条約が領土問題の解決を含む最終的な戦後処理の文書であることが合意されたわけでございます。  そして、今回のクラスノヤルスクでの首脳会談での合意のベースとなりましたのが、一九九三年のエリツィン大統領訪日の際の東京宣言でありまして、この東京宣言におきましては領土問題を、北方四島の島名を列挙いたしまして、その帰属に関する問題であると初めて位置づけをされまして、領土問題を歴史的、法的な事実に立脚して、両国の間で合意の工作成された諸文書及び法と正義の原則を基礎として解決するとの明確な今後の交渉方針が示されたわけでございます。  小渕外務大臣は、これまでのこういった幾多の平和条約締結に向けての交渉の経過を今振り返りまして、二〇〇〇年が迫ってまいりましたが、二〇〇〇年までの平和条約締結に向けての交渉にどうこれから取り組んでいかれるのか、また、それを踏まえまして二十一世紀の日本ロシア関係をどのように築いていかれるのか、そのお考えをお聞かせください。
  20. 小渕恵三

    小渕国務大臣 今委員お話しになりましたように、戦後の日ソ、それから日ロに至る間の外交当局また先人の努力に対して、改めて敬意を表したいと思います。いずれにしても、戦後直後の状況におきましては、旧ソ連の大きさ、また我が国の戦後の状況等かんがみまして、対等になかなかお話のできない環境ではなかったかと思います。  その中でよく頑張られて、共同声明も発し、国交も回復してきておるわけでございますが、私は、二〇〇〇年を前にして、今世紀起こったことを今世紀中に解決をしたいという橋本総理の信念もそのとおり、大変いい、日ロ間に最終的な平和条約を結び得るチャンスである、こう考えておりまして、この機会は逃すべきでないという気持ちで、これから全力を挙げて対処していきたい、このように考えております。
  21. 茂木敏充

    茂木委員 ポスト冷戦の中で新しい時代の枠組みが見えてきたかな、こんな印象も持っております。APECの中でも、主要四カ国の関係がマルチの関係になっていくと、これまでの敵対関係からそれぞれが世界の中で役割を担う、こういう時代になってきているわけであります。  アメリカの友人に聞きましても、大変小渕外務大臣に対する期待が大きゅうございます。ぜひ二十一世紀のアジア太平洋時代の小渕外交の進展、これを期待いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。
  22. 中馬弘毅

    中馬委員長 坂口力君。
  23. 坂口力

    ○坂口委員 小渕外務大臣に対しまして、初めての質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。  既にもう同僚の議員の皆さん方からさまざまな問題につきましての質問がございまして、重複をするところもございますが、ひとつお許しをいただきたいというふうに思います。  先週、そして今週の水曜日と、二回この一般質問が行われましたが、その中で皆さん方が触れられた問題の中で一番多かったのは、やはりODAの問題でなかったかというふうに思います。このODAの問題は多くの皆さんが触れられましたし、そしてこの水曜日にも河野議員や東議員の非常にすばらしい質問がございまして、言い尽くされた感がございますけれども、この問題は一人でも多くの議員が発言しておいた方がいいというふうに考えますので、私も一言だけ触れさせていただきたいというふうに思っております。  外務省から毎年いただいております「我が国政府開発援助 ODA白書」なるものがございます。上下まことに厚いのを毎年いただいておりまして、なかなか全部拝見することはできませんけれども、今回質問をするに当たりまして少し内容を拝見させていただきました。  そういたしますと、ODA大綱原則につきまして、その基本理念、そしてまた、その運用について書かれております。その運用について書かれておりますところを若干だけ読ませていただきますと、  ODAは定義上も、通常は政府から政府に対する援助である。しかし、日本の援助理念はODA大綱の理念に述べられているように、途上国の人々の生活の向上がその基本目的である。大綱に従って特定国に対しODAの供与を停止するなど見直しをする場合、一般国民に直接的に影響が及ぶ可能性がある。したがって、仮に援助停止を決定する場合についても、緊急的、人道的分野の援助や、相手国政府を通さない援助(国際機関やNGO等を通じた援助)については、凍結の例外とするなどの柔軟な対応を行う必要がある。  まことに立派な文章でございまして、このとおりだと私も思うわけでございますが、こういうふうに書かれております反面におきまして、先日来問題になっておりますように、ODAの予算が一〇%カットということになりました。国際機関、ユニセフやUNHCR等につきましては三五%から四五%、それぞれ幅はございますけれども、カットということが決定されるというような経緯があるわけでございます。  そういたしますと、ユニセフやUNHCR等だけをとりましても、これは現在まで援助をしていたところにかなりの影響を与えることは調査をするまでもなくあるわけでございますが、こういうことを調査して、援助をどういうふうにするかというのは決定しなければならないというふうに書いてあるわけでございます。その辺のところはどんな議論がなされて、そして一〇%カットあるいは三五%から四五%カットというような数字になっていったのか、その経緯を少しお聞かせいただきたいと思います。
  24. 大島賢二

    ○大島政府委員 来年度のODA予算の概算要求の作成に当たりましては、政府全体としてODA一〇%削減という大方針のもとに、外務省といたしましてそのODA予算の約半分を所管させていただいておりますので、その大方針のもとに予算を作成いたしました。  作成方針に当たりましては、ODAにつきましてはいろいろ考慮すべき点があるわけでございますので、当然部内でもかんかんがくがくの議論を踏まえてこういう結論に達したわけでございます。大きな配慮といたしましては、一つはやはり顔の見える援助、こういう厳しい情勢でありますので、顔の見える援助。それから、先ほど先生からもODA白書の関係で御言及がございましたような人道的な配慮、人づくり援助、いろいろ重要視すべき点、この点についても厳しく配慮をいたしながらつくりました。  全体として外務省は五百八十五億円を削減しなければならないということでございました。いろいろ議論を経ました結果、合わせまして五百八十五億円の約四分の三に相当します四百四十億円強を二国間援助、非常につらいわけでございますけれども、削減をいたしました。百三十数億円だったと思いますけれども、多数国間援助の削減に充てる。多数国間援助の削減に当たりましては、義務的経費それから任意的拠出とございますけれども、義務的経費までさわるわけにはちょっとまいりませんので、その調整をするに当たっては任意的な拠出の部分に触れざるを得なかった、こういう状況でございました。大変につらい作成でございましたけれども、作成の経緯についてはそういうことでございます。  これからもちろん予算の編成作業、今行われております。御案内のとおり、来年度予算の作成に向けましては、所管の枠を超えた調整をする、総合調整を図っていくという大方針総理大臣より示されておりますので、仕上がりの段階に向けては、私どもとしましてもそういう趣旨を十分に踏まえながら、できるだけ、厳しい中でも趣旨に沿ったいい予算ができるように、今最大限の努力を傾けている、こういう状況でございます。
  25. 坂口力

    ○坂口委員 この問題は、私は本会議におきます質問でも指摘をさせていただいたところでございます。我々外から見せていただいておりますと、このODAの一〇%削減というのは、何となくいとも簡単に決まったという感じを受けました。  日本の予算が非常に厳しい状況にありますことは私たちも十分承知をいたしているわけでありますが、全体としての日本の予算を見ました場合にも、公共事業のカットが七%という数字もございました。あるいは厚生関係におきます、社会福祉に対します自然増に対しましても抑制をするというお話もございました。年金や医療が八千億円増加をするのに対しまして、その自然増を三千億円切り込むというお話もございました。そうした他の分野におきます財政の厳しさもございますが、ODAの一〇%というのはその中でも突出をしているように思うわけでございます。  各家庭におきましても、財政が非常に厳しくなりましたときには、家庭内におきます消費をそれぞれ節約しながらも、しかし隣近所あるいは親戚とのつき合いはやっていくということでございますから、国といたしましても、厳しくなりましたけれども 厳しくなったから対外的なものを先に余分に切るというのは、これは政府の見識を問われる問題だというふうに私は思います。  そういう意味で、先日来、同僚議員からも多くの質問が出ているというふうに思いますが、小渕外務大臣からは見直しも行うという御発言がありますので、ぜひそれは見直しをしていただきたい。もしもその辺のところが見直しだけでは足らないということであるならば、補正予算で措置をしていただきたい、こんなふうに思う次第でございます。  財政当局は財政上の方からまいりますから、これだけ切り込んでほしいということを言うのは当然だろうというふうに思いますけれども、ODAというのは外務省にとりましては命綱でありますし、大変大きな柱であると思う。どんなことがあってもこれは死守しなければならない予算ではないかというふうに思いますが、いささか簡単に、財政当局の意のままになったと言うとしかられますけれども、そんな感もなきにしもあらずという感じがいたします。  当時、外務大臣でございませんでしたから、その経緯につきましてお聞きをするのは大変失礼でございますけれども、一言外務大臣からも言葉をちょうだいしたいと思います。
  26. 小渕恵三

    小渕国務大臣 当時の池田外務大臣といたしましても、恐らくこのカット率というものは大変ショッキングなことだということで、あらゆる努力をされたのだろうと思います。しかし、結論的に言いますと、政府として、この厳しい財政状況の中でODAにつきましてこのような数字を示し、この機会にODAにつきましても十分な検討をいたすことによりまして、より効果的、効率的なODAのあり方というものも検討する、ある意味でこのチャンスを生かさなければならぬということもあったのかもしれません。  実は、私自身が当時、自民党、与党の対外経済協力委員会の委員長をしておりまして、この数字も示されまして、大変驚愕をいたしたわけでござ います ただ 結論的に言いますと、一〇%あるいは若干のこの数字を政府として改善せしむることもさりながら、申し上げたように、ODAが従来やや聖域的な取り扱いの中で予算額が伸長してきた経過の中で、政府としてこの厳しい情勢に対処しなければならぬということであれば、一たんはこれを受けとめて、そして今後その中でどうした調整ができるか、あるいは将来、若干屈すれば伸びんとしようということで、将来にわたりましては、さらにこのODAを通じて世界に貢献するための見直しの機会ということも考えられるのではないか、こう思いまして、甘受したと言ってはいけませんけれども、これを認めて、前向きにひとつ取り組もうという姿勢で臨んだわけでございます。  立場が今度こういう立場になりまして、私は、この考え方を変更するつもりはありませんが、昨今の世界各国からの期待感、従前非常にその点では、国際機関を含めまして日本努力を多としてきた方が、一挙にこういう数字になりましたので、この点についての、改めて日本のこの予算について大変関心を深くいたしておると同時に、何とかこれを改善してほしいという気持ちの大きさに改めて触れているような次第でございます。  予算が単年度になっておりますのでこういう形になるのかもしれませんが、委員指摘のように、これからの十年度予算編成に当たりましては、諸般の情勢考えながら、与えられた数字の中でどのように措置していったらいいかということについてはさらに検討して対処していきたい、このように考えております。
  27. 坂口力

    ○坂口委員 この基本理念も三つ書かれておりまして、一つは、開発途上国に対します道義的役割、当然のことでございますが。加えまして、日本の平和、安定、繁栄のため、これは日本の国益にもなることであるというふうに書かれておる。また三番目には環境保全が挙がっておりますが、この環境保全の問題も、温暖化ガスに見られますように、当然のことながらこれは日本にもはね返ってくる問題でございまして、情けは人のためならずという言葉がございますが、決して途上国だけの問題ではない。まことに大事な予算であるというふうに思いますので、ひとつ外務大臣の御努力をお願い申し上げておきたいと思います。  さて、きょうの各新聞対人地雷の問題が出ておりまして、これに対しましてODAの予算を百億円、日本が出すという見出しがございます。百億円というものですから一年百億円かと思って見ましたら、五年間で百億円でございますので、年に直しますと二十億円ということになるのでしょうか。この対人地雷除去、あるいはおけがをなすった皆さんに対する医療あるいはリハビリ、そうしたことに幅広く使われるものというふうに思いますが、このODAの予算というのは、別枠でODAですか、それとも一〇%を削り込みます。その中での二十億円でございますか。
  28. 大島賢二

    ○大島政府委員 対人地雷の禁止条約に関連します日本のこれからの支援策につきましてのODA関連の支援につきましては、これは与えられた予算の枠の中で執行していくということを考えております。
  29. 坂口力

    ○坂口委員 そういたしますと、今言われましたODAの中でいくわけでございますから、ほかのところにさらにまたしわ寄せが行くということもあるわけでございますので、それは配分の問題でございますからやむを得ないことというふうに思いますが、ぜひ、そうした新しい分野も出てまいりますので、ひとつその辺も考慮していただきたいというふうに思います。  対人地雷の問題を聞きましたので、続いて地雷の問題をお聞きしておきたいというふうに思います。  先般来もお話に出ておりますように、十二月三日、四日とカナダオタワにおきまして署名式があり、外務大臣が御出席になるということでございまして、まことに御苦労さまでございます。  この地雷は、埋設されておりますものが一億一千百七十三万個、これは昨年四月の国際統計によりますと、そんな数字が出ております。一番多く埋設されておりますところがエジプトで、二千三百万個というような数字も出ております。エジプト、アンゴラ、アフガニスタン、そうした国々が  一、二、三位と続いているわけでございますが、これから地雷を使わない、これはまことに大事なことでございますが、あわせまして、現在埋設されておりますものをどうするかということも非常に大事でございます。  お聞きをいたしますと、現在、年間に大体十万個ぐらい、埋設されておりますものの除去を行われているようでございますが、現在一億一千万個からあるわけでございますから、この勘定でいきますと、十万個ずつ一年間にやっておりましたら、千百年かかるわけでございますか、いずれにいたしましても長い間、現在埋設されておりますものだけを除去するだけでもかかるわけでございます。  さらに加えまして、年々歳々百万とか二百万というのが新しく埋設されているというようなことを聞きますと、これはなかなか追いつかないな、どうしたらいいのかなと途方に暮れるわけでございますが、いずれにいたしましても、日本イニシアチブをとって、国連におきましても、この問題の解決に当たってほしいということを私も思う一人でございます。  そこで、橋本総理のきょうの発言というのは大変重要だというふうに思っておりますけれども、やや額としては焼け石に水の感もなきにしもあらずでございまして、もう少しこれを前進的にどう取り組んでいくかということを、金の額だけではなくて、これは全体のこの問題に対する取り組みをぜひ積極的に進めてもらいたいというふうに思います。  その中で、日本におきましては、地雷の探知機というのは、探索機というのでしょうか、かなり優秀なものがつくられている、プラスチック製のものも発見できるものがつくられておるというふうに今、聞いております。  しかしながら、いわゆる武器輸出三原則に対しましてどうなのかという問題がございまして、この問題につきましては政府の方で検討をしておみえになるようでございます。  武器輸出三原則、これはもうかなり古いものでございまして、佐藤総理が一九六七年四月二十一日、衆議院決算委員会において答弁をされたものでございますから、かなりな年月を経ております。一つは共産圏諸国向けの場合、二番目といたしまして、国連決議により武器等の輸出が禁止されている国向けの場合、三番目といたしまして、国際紛争の当事国またはそのおそれのある国向けの場合、三原則でございます。さらに加えまして三木総理のときに、一九七六年でございますが、それに対してつけ加えられたものがございます。合わせまして武器輸出三原則等、こう言われているところでございます。  これに対して、埋設されております地雷を除去する機器、これの輸出を可能にするために例外措置を多分つくられるのだろうというふうに思いますが、そういたしますと、外務大臣オタワでの署名式に出席をされる前にこれは決定されるというふうに理解をしてよろしゅうございますか。
  30. 小渕恵三

    小渕国務大臣 そのようなことになり得るよう、作業を進めさせていただきたいと思います。
  31. 坂口力

    ○坂口委員 そういたしますと、もうかなり日程的にもないわけでございますが、二日まで、一日、二日の間にも決定をしていただくということになるわけでございます。この三原則を見ました場合に、かなり日時もたっておりますので、この精神はもう変わらないことだというふうに思いますが、文言そのものはこの三原則の文言で果たしていいのかなという感もなきにしもあらずでございます。  その例外措置考えられる、今回はそういうことでございましょうけれども、全体は、もう少し見直すとかいうような御意見は出ておりませんか。
  32. 小渕恵三

    小渕国務大臣 委員の御指摘は、実はもっとも なことだと思いますし、私自身も、対人地雷という武器を除去するわけでございますので、これは武器に当たらないのではないかという素朴な感覚も持っております。  しかし、過去、武器三原則をつくってまいりまして、それにのっとってすべての措置を講じてきたということもございますし、また、今委員指摘のように、かなうことなら私の署名以前にこの問題についても対処したいということで事務当局が非常に苦心をしてまいっておりますので、お許しいただければ、その経過と考え方につきまして御説明させていただければありがたいと思います。
  33. 加藤良三

    ○加藤(良)政府委員 ただいま大臣の答弁にございましたとおりでございますが、我が方として、人道的な対人地雷の除去活動に必要な機材の中に、武器輸出三原則等で言いますと武器などに該当するものが含まれるという場合でありましても、この機材等の輸出につきましては、武器輸出三原則等によらないこととするという方向で、現在最終的な調整を行っているところでございます。  ただし、このことによって我が国から現実に輸出されることがあり得る関連機材等として、具体的にいかなるものがあるのかという点につきましては、現時点でまだ確定的なことを申し上げられる段階にはございません。政府といたしましては、今後有用な機材などがまた開発され得るということをも念頭に置きながら、現在検討を行っているところでございます。
  34. 坂口力

    ○坂口委員 それでは、ぜひよろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。  それでは話題を変えまして、経済問題を一つお聞きをしたいというふうに思いますが、東南アジアが金融危機に見舞われました。タイはバーツを切り下げましたが、マレーシア、インドネシア、フィリピン、台湾、香港、そして韓国にまで影響が及びましたし、この津波はギリシャからブラジルまで及んだと言われております。また、日本におきましては、先日来、日産生命あるいは三洋証券、北海道拓殖銀行、山一証券と、これまた金融機関の崩壊現象が続いている。このことがまた東南アジアに対しましてもさまざまな影響を与えている、こういう現実があるわけでございます。  今や経済問題あるいは金融問題は、単なる金融、経済問題としてだけではなくて、外交問題としても大きな問題になりつつございます。外国の新聞等を見ましても、日本責任問題、それは今までは日本の国内におきます問題あるいは貿易の問題として、例えばアメリカに対しましても輸出量が非常にふえて、そして国内における内需拡大が少ないからその辺をこうすべきだ、ああすべきだというような議論があったわけでございますが、最近の報道はそれだけではなくて、やはり東南アジアにおけるリーダーとしての日本の取り組みということがもう一つ加わってきているように思います。  そうした点で、経済問題について、外務省としてどのようにお考えになっているかということ、総論を先にちょっとお聞きをしたいと思います。
  35. 小渕恵三

    小渕国務大臣 東南アジアに端を発した通貨、株式市場の変動の影響の例からも明らかなように、世界経済の一体性がますます深まる中で、一国の経済情勢の変化は世界市場全体にも大きな影響を及ぼすようになっておることは当然のことでございます。  こうした観点から、我が国としても、アジア地域経済、通貨の安定のため、関係諸国や国際機関と協調しつつ可能な限りの支援協力を実施するとともに、我が国の金融機関の経営問題がアジア市場に動揺を与えることのないよう、万全の対応をとっているところでございます。かかる我が国協力、対応については我が国内外の理解を得ているものと考えており、したがって、議員御懸念のような問題は基本的には生じないという確信を持っておるわけでございます。  先般のAPECにおきましても、同様の考え方が各国からも指摘をいただいておるところでございまして、現在、我が国自身の金融問題をめぐってのいろいろな問題が提起されておるわけでございます。  今御指摘のように、我が国世界経済のリーダーとして、また東南アジアにおきましてのリーダーといたしましても、我が国自身がきちんとした姿勢を示すことが、それぞれの国の不安を解消することにもなることでもございますので、我が国といたしましては、基本的には、このアジアのそれぞれの金融不安というものを、我が国もその責任においてもこれが解消のためにさらに努力をしていくということだろうと思いますし、APECにおきましても、同様の考え方を総理からも各国に伝えておるところでございます。
  36. 坂口力

    ○坂口委員 私の手元に米国新聞論調週間報告がございますが、この中を見ますと、十一月十七日付のニューヨーク・タイムズでございますけれども、そこにシャアノウ氏という国際経済金融専門の方の論文が出ているようでございます。十一月十七日と書いてございますが、私はニューヨーク・タイムズをずっと調べたのですけれども、この日にありませんのであるいは日が違っているかもしれませんけれども、この論文が出ておることは間違いがないようでございます。  そこに書かれておりますことは、日本の金融機関が、今までは国内に非常に集中豪雨的にお金を貸していた、ところが、日本の国内の状況が非常に厳しくなりますと今度は、こう書いてあります。  国内に借り手のいなくなった日本の銀行はそこで、やたらに東南アジア融資を始めた。最初こそ慎重だったが、そのうちに欧米の金融業界が呆れるほどの薄利とリスクをものともせず貸しまくった。これで、東南アジア日本の経験したバブル経済が急激に発達し、それがはじけたのが先の為替危機と株式暴落だ。 こういう書き方でございまして、日本の中でバブルを起こした、同じことを今度はまた東南アジアで起こした、こういう論調になっておりまして、こういう見方もあるのかなというふうに思いながら読んだわけでございます。  どの分野におきましてもグローバル化されてまいりまして、ボーダーレスになってまいりました。そういたしますと、今述べましたのは金融問題でございますが、例えば産業、労働分野におきましても、自動車なら自動車の生産工場がたくさん世界にあちらにもこちらにもできてくる。たくさんできて安い自動車が手に入るということは、ある程度まではこれは消費者にとりましてプラスのことでございますが、さらに生産が進んでまいりますと、そうすると、特に先進国でつくられます自動車等は採算ベースに乗らなくなって、そして失業がふえてくるというようなことがあちらこちらに出ておる。グローバリゼーションによる産業過剰というような記事が目立つようにもなってまいりました。  私が申し上げたいのは、経済であれ産業であれ、非常に世界的になってまいりましたから、その辺のところを、どこが調整し、そしてどこがそれを監視していくのかということは大変難しい問題でございますけれども、どこかでやはりやらなければならない問題だというふうに思う次第でございます。  大蔵省は大蔵省として、国内だけではなくて、世界的に目を見張らしているのだろうというふうに思いますし、日本も、通産省は通産省としていろいろの情報も集めているのだろうというふうに思います。しかし、全体を見ました場合に、それぞれの国の国益と国益を考えました場合に、やはりもう余りにも過剰になり過ぎてはぐあいが悪いというような問題も各分野であるわけでありますから、その辺のところを総合的に見て、意見を言うところがなければならないのだろう。  そうすると、それは一体どこが日本の国の中で見るのかな。外務省が全部見るというわけではないのでしょうけれども、外務省責任というのは非常に大きくなっているのではないかというふうに思いますが、その辺に対する御意見をお聞きし たいと思います。これから非常に重要な問題だというふうに思います。
  37. 小渕恵三

    小渕国務大臣 外交は内政と表裏一体でございまして、その対象とする分野は広範でありますが、急速なグローバライゼーションの進展に伴いまして、産業、環境、雇用といった諸問題のさまざまな側面から、外交的にも重要になっているという御指摘はそのとおりだと思います。  外務省は、対外関係政府が一体となって取り組むべく、これまでも各関係省庁と緊密に連携しているところでありますが、その役割はますます重要となっております。  委員の御指摘は非常に的を得ておるという感じがいたしておりますのは、そうした諸外国の情勢というものを、政治経済、あらゆる分野にわたりましての情報は的確にこれを収集して、それを我が国の政策として反映していく、最終的にはその取りまとめ役はどこかというお話でございまして、結果的には、政府全体であり、内閣総理大臣に帰する問題だろうと思います。  ただ、私の経験上から申し上げますと、たまたまこういう立場におりますから外務省ということでありますが、実はそれぞれの各国の情報というものも、大蔵省は大蔵省としての情報収集は非常に熱心、それから通産省は通産省として、またジェトロを通じたりしましてこれまた熱心、もちろん外務省も在外公館を通じていろいろ情報を的確に把握をいたしておりますが、時にはこうしたものが必ずしも、統一して分析し、かつ一つの方針に導き出されたかというと、いろいろな指摘もなかったといえばうそになる話ではないかと思います。  そういう意味で、委員指摘のように、非常に今大事なときだろうと思うのです。ですから、政府はまさに一体となって、よく連絡、協調しながら、そして方針について誤りのない結論を下すためには、情報の的確な掌握ということが必要だろうと思います。  したがって、その取りまとめはどこかと言われますと、外務省というわけにもいかぬとは思いますけれども、政府として、こういうことの反省が起こらないように、今後とも連絡、協調しながら、適切な政策が打ち出されるように努力していくべきもの、こう考えております。
  38. 坂口力

    ○坂口委員 先ほどのニューヨーク・タイムズの論文を、必ずしも一〇〇%私がうのみにするわけではございません。一つの見方であろうというふうにとっております。しかし、そういう見方もあるということは我々もよく理解をしておかなければなりません。  各企業、あるいは金融界なら金融界だけを見ますと、自分たちのやっていることが行き過ぎているのかどうかということは、判断のつきにくいこともあろうと思います。  それを一つ高いところから見てといいますか、総合的に見て、いろいろの全体の状況というものをアドバイスする、あるいは情報を提供する、そういう役割をどこかが果たさないことにはやはりいけないのではないかという気がいたしましたので、今申し上げさせていただいたわけでございます。  内閣全体の問題ではございますけれども、外務省の果たしていただきます役割というのは、今までの外務省のお仕事からいたしますと少し外れているのかもしれませんけれども、今後はより重要になってくるのではないかというふうに思っておりますので、ぜひひとつそれは検討をしていただきたいというふうに思います。  それから、これは小さな問題でございますが、橋本・クリントン会談の中で四項目、クリントンさんの方から日本に対する要望があったというふうに聞いております。その中で、規制緩和につきましては、来年のサミットまでにひとつ実績が上がるようにという期限つきの発言があったというふうに伝えられております。  クリントン発言は、一つは金融システムの改善であり、二番目には内需拡大への取り組みであり、三番目には既存の日米貿易取り決めの遵守であり、四番目に規制緩和の推進、こうなっているわけで、この四番目の規制緩和につきましては、バーミンガム・サミットまでに成果を上げること、こういう内容でございます。  これは、規制緩和の問題は非常に大きな問題でございますし、来年の五月十五日からサミットが始まるということになりますと、それまでに成果を上げるというのはなかなか並大抵のことではありません。この時期に成果を上げるということになりますと、少なくともことしいっぱいあるいは来年早々にはかなりな手を打たないと、サミットの時点でその成果が上がっているということにはならないだろうというふうに思うのです。これは政府全体の問題はさておいて、それじゃ、外務省なら外務省関係するところでの規制緩和というのは、どんなものがあるのか私よく存じ上げませんけれども、これをやる限り外務省も率先して、やはり自分たちも規制緩和に取り組んでいかなければならないだろうというふうに思いますが、どんなものを考えておみえになりますのか、ひとつお聞きをしたいと思います。
  39. 浦部和好

    ○浦部政府委員 先生指摘のように外務省としては、実施できる規制緩和、所掌事務の性格上、極めて限られておるわけでございますが、例えば一般旅券の有効期限の延長、これは平成七年の一月に既に実施をいたしましたが、従来の五年から十年という措置をとりました。あるいは査証手続の簡素化、迅速化等々、領事移住部関係の項目が多うございます。これを一生懸命やっている、こういうことでございます。  さらに、必要かと思いますので、査証手続の簡素化、迅速化あるいは発給基準の緩和等についても、これは相手国との関係あるいは外国人の日本での活動ぶり等々はございますが、できるだけ進めてまいりたい、かように考えております。
  40. 坂口力

    ○坂口委員 外務省ですからそんな大きなものはないのだろうというふうに思いますが、ひとつお取り組みをいただきたいというふうに思います。  さて、また話題を変えさせていただきまして、日ロサミツトに私も一言触れさせていただきたいというふうに思います。  これは、橋本総理の言葉をおかりいたしますと、二〇〇〇年までに平和条約を締結させる最大限の努力を払うということでございまして、日本の各新聞にもそのような記事が出たわけでございます。これはまことに、このとおりに進むことを我々も期待いたしておりますし、ぜひそうしたい、なってほしい、こういうふうに思いますが、日本に出ております新聞記事あるいは報道、総理の発言とそれから外国におきますマスコミの報道との間には、若干と申しますか、時にはかなりのニュアンスの違いがあるな、こう感じることがございます。  この外務省からいただきました文書におきましても、領土問題につきましては、「両首脳は、東京宣言に基づき、二〇〇〇年までに平和条約を締結するよう全力をつくすことに合意した。」こうなっております。  アメリカのジャーナル・オブ・コマースにもこの記事がございますが、そこには、ロシアは警戒感を示すという言葉が出ておりまして、橋本総理は二〇〇〇年までに締結するというふうに言っておみえになりますが、ロシア日ロ関係専門家の分析は、二〇〇〇年までにはっきりさせるという意味だ、こういうふうに出ている。  二〇〇〇年までにはっきりさせるというのは、二〇〇〇年までに平和条約を結ぶかどうかをはっきりさせるという意味にもとれるわけでありまして、あるいは二〇〇〇年までに平和条約の中身をはっきりさせるという意味にもとれないことはございませんけれども、とり方によっては平和条約を結ぶかどうかをはっきりさせるという意味にもとれるわけで、ロシアは警戒感を示すという言葉は、そうした専門家の意見があることをもとにして論じられているわけでございます。  総理がおっしゃるような状況になることを私たちも期待をいたしておりますけれども、必ずしも向こうのとり方がそのとおりにはなっていないの ではないかという危惧も、実はするわけでございます。現実はどうだったのかということでございますが、何か文書にでもなっていれば、これはお互いにそういうふうに読めるわけでございますけれども、ただ単にそういう話であったというのではかなり、後で内容が違ってくる可能性もございますが、それは文書か何かがございますか。
  41. 西村六善

    ○西村(六)政府委員 文書はございません。  今お話しの点につきまして、この点を御理解いただきたいと思うのでございますけれども、おっしゃられますとおり、いろいろな人がいろいろな議論をしているということは私どももよくよく承知しております。ロシアの国内におきましてもいろいろな議論があると思います。しかしながら、この問題につきまして責任者はどう言っているのかということについて御注目をいただきたいというふうに思うのでございます。  この二〇〇〇年までに平和条約を締結するようにお互いに全力を尽くすという合意は、御存じだと思うのでございますけれども、橋本総理大臣が、十一月の二日でございますけれども、クラスノヤルスクの山荘におきまして、言ってみますれば世界を相手にいたしまして記者会見をエリツィン大統領と一緒にされたわけでございますけれども、そのときに発表をされたわけでございます。  その際に、すぐわきにおられましたエリツィン大統領は、そのとおりですというふうにおっしゃられまして、さらにその後で、我々の双方は、今まで長い間ロシア日本との関係におきまして具体的な期日を議論することを避けていた、しかし日本とともに、既に日ロ関係の問題の解決と平和条約の締結の時期は近づいたのであって、二〇〇〇年までにそれをやるんだということをしるしたのだというふうに彼は言明しているのでございます。これは、世界のテレビに、世界じゅうを相手にいたしましてエリツィン大統領自身が述べられたお言葉でございます。  さらに、十一月の十三日でございますけれども、プリマコフ外務大臣日本に来られまして小渕外務大臣会談をされたわけでございますけれども、その後の記者会見におきましてプリマコフ大臣自身が述べておられるのでございますけれども、クラスノヤルスク発表された、東京宣言を考慮しまたはそれに基づいて、東京宣言に基づいて平和条約が準備され署名されるという表現は、歪曲された流言や、二通りの何らかの解釈がなされるのではないかというような疑念を一切残すものではないというふうにプリマコフ大臣は言明しておられるのでございます。  以上のようなことからいたしまして、ロシア責任ある当局の方々におかれましては、クラスノヤルスクにおいて行われました合意内容について正しい理解をしておられるというふうに考えざるを得ないのではないか、そう考えて何の問題もないのではないかというふうに考えている次第でございます。
  42. 坂口力

    ○坂口委員 ぜひそうであってほしいと私も念願をいたします一人でございますが、そういう記事もございますので、いささか心配をしているというのが実情でございます。  先ほども同僚議員の方からの質問にございましたが、小渕外務大臣は、外務大臣におなりになります前にロシアを訪問されましたし、そして中央アジアにも足を伸ばしておみえになります。カザフスタンやウズベキスタン等中央アジアにも行かれたというふうにお聞きをいたしております。  カザフスタンやウズベキスタンの関係者の皆さん方は、直前に外務大臣が行かれたものでございますから、訪問されたこの小渕先生外務大臣になられたということで、大変期待もし、そして喜んでいるのが実情ではないかというふうに思います。このカザフスタンやウズベキスタンは、日本からの、先ほどから問題になっておりますODAの恩恵にも大変浴しているところでありますし、日本におけるODA予算の削減が我々のところにどんなふうに響いてくるのであろうか、そのことにも大変心配をしていると言って言い過ぎではないというふうに思います。  これらの国は産油国でもございますから、日本にとりましてもこれからの貿易の対象国として大事になることは当然でございますし、もう一つ、旧ソ連領から独立をしたところでございます。しかも、独立をして市場原理を導入して、西欧型の民主的国家に近づこうと努力をしているところの国々でございます。  今まで旧ソ連領の中でかなりいろいろの制限を受けてきたという歴史的な経緯もありまして、これからは自由に羽ばたける国になりたい、そうした過去の歴史に戻るようなことはぜひ避けたいという気持ちも強い国々であります。また、そういう心配もしながら日々の政治にも取り組んでいるめではないかというのが私の感想でございます。  そうしたことも踏まえまして、これは小渕外務大臣に、このロシア周辺の国々、新しく独立をしました国々に対してもひとつ十分な配慮をしていただくようにお願いをしたい、こういうふうに思いますが、ひとつ御意見を承っておきたいと思います。
  43. 小渕恵三

    小渕国務大臣 実は、坂口委員が新進党の、ミッション、中央アジアミッションを率いて現地に参られたというお話を聞きましたので、近いうちにお話し合いをいたしたいと思っておりましたところ、こうした質疑応答の立場になったわけです。  私自身、中央アジアあるいはコーカサス地方、すなわち旧ソ連邦の独立国、こうした地域重要性について改めて日本としても見詰めていかなければならない。広く言えば、中国ロシアに挟まれたといいますか、その中央にあるこの地域がどのように発展していくかということは、またその中に我が国のプレゼンスをどのように設けていくかということは、非常に重要なことだということであります。また、エネルギーその他の面から考えましても、大変大切な地域ではないか、こういうふうに認識をいたしておるわけでございます。  そういった意味で、こうした中央アジア国々につきまして独立以降、先生今御指摘のように、我が国はODAも含めましてかなり協力をしておりました。この点余り報道もされずに ODAの、批判批判ですが、いいことも非常にやっておった地域じゃないかというふうに思っております。  しかし、最近は、特に中国あるいは米国その他各国が競ってこの地域に乗り込んできておるわけでございまして、日本が今まで地道にいたしてきた努力というもの以上な力の入れようでございまして、そういった意味で、せっかく根づかせてきた我が国のプレゼンスというものをもっと広げていかなければならないんじゃないか、こう考えておるわけでございます。  そういった意味で、今後ともこの地域を注目しながら、一つの外交の柱、すなわち総理言われるユーラシア外交の一つとしてこの地域を重視してまいりたい、このように考えております。
  44. 坂口力

    ○坂口委員 ぜひお願いを申し上げたいというふうに思います。  時間がなくなってまいりまして、COP3のことを聞く時間が非常に短くなりましたが、環境庁にお越しをいただいております。  この温暖化ガスのことにつきましては、これはもう今さら申し上げるまでもありませんが、どこかの国が行いましたことでも、これは全世界に影響をすることでございますから、皆各国が協調してやっていかなければならないことだけは言うまでもございません。  一番大事なことは、これから先、五十年先あるいは百年先にこのままでいけばどうなるのかということをきちっと把握をして、それならば我々はこの世代に何をなすべきか、もしも我々がやらなければ、次の世代あるいは将来のその後に続く世代がそれをしょい込まなければならない。この持続可能な発展社会をつくっていきますためには、我々も注意をしなければならない。我々が注意を怠れば、次の世代がその分までもしょい込まなければならない。あるいはまた、それによって起こる環境上の変化というものに対して多額の財源を投入しなければならないときが来る。これは世代 間の配分の問題でもあろうかというふうに思っております。  そうした意味で、今、環境庁がどうなるということをもう少し声を大きくしてしかるべきときではないかというふうに思いまして、環境庁にも来ていただきました。お願いします。
  45. 小林光

    ○小林説明員 環境庁で地球温暖化対策を担当してございます。  今先生指摘のとおりでございまして、この地球温暖化問題、大変、将来世代の被害ということでございます。これについては、科学的な研究等々を踏まえて具体的な内容を説明していきませんと、現代の世代の対策が進まない、こういう事情がございます。当庁の大変重要な任務というふうに心得てございます。  既に、いろいろな啓発用資料等々につきまして世界で行われております科学の研究、これはIPCCのレポートというものが、大変厚いものでございますけれども、二回にわたって出ている。この内容についてもいろいろなレベル、深いものからわかりやすいものまでつくって訴えております。また、特に日本ではどういう影響が出てくるのか、この点も日本国民の対策の決意のためには重要であるということで、日本の科学者の方々の検討会というものを大変長い間組織をしてございまして、この研究の助成、そしてその成果の発表ということもやってございます。  しかし、なかなかまだそういった点が国民の皆様方の御理解をいただいていないという点は、常日ごろから反省をしてございまして、今の御指摘もございましたが、一生懸命この問題については取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  46. 坂口力

    ○坂口委員 時間がなくなりましたから、もう外務省の方からお聞きすることはやめたいというふうに思います。各国の間の調整等をやっていただかなければならないわけでございますが、アメリカ日本とEUとそれぞれ違う数字も出しておりますので、それらを足して三で割るとかというようなことではなくて、ぜひひとつ、現状を把握をしていただいて、しかるべき措置をとっていただきたい、このように思っております。  最後になりますが、先ほどウズベキスタンのことで一言忘れましたけれども、現地はかなり日本の方々もふえましたり、企業がふえたりいたしまして、外務省の皆さん方は少人数で大変御苦労をなすっておりますので、ひとつ格段の御配慮をお願いしたいという、くれぐれも伝えてほしいという言葉がございましたので、この際にお伝えを申し上げまして、この質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  47. 中馬弘毅

    中馬委員長 丸谷佳織君。
  48. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 新進党の丸谷佳織と申します。  小渕外務大臣になられまして初めての質問をさせていただくわけなのですけれども、さきの通常国会で、前外務大臣には大変プロフェッショナルなお答えをいただきまして、随分鍛えていただいたと思うのですが、何せ一年生なもので、不手際もあると思いますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。  さて、十一月の十日なのですけれども、外務委員会の視察で硫黄島の方に行かせていただきました。実際に戦争の残したつめ跡を見、また当時の状況を伺っていく中で、戦争の悲惨さと、また改めて平和の大切さというのを実感させていただいたというふうに思うわけなのですけれども、私自身は昭和四十年生まれでございまして、いわゆる戦争を知らない世代であります。  この私たちの世代こそ、今後、二十一世紀を平和構築の百年にしていかなければならない、また、二度と戦争は起こしてはいけないということを伝えていく、また平和を構築していく世代であるというふうにも認識をしております。そのためには、平和を考え、構築し、また維持していくことが大切だと思いますし、平和は安全保障なしには実現できないというふうにも認識しております。  本日は、その観点から、まず幾つか御質問させていただきたいと思います。  質問通告とちょっと順番が違って申しわけないのですけれども、まず対人地雷の質問からさせていただきたいと思います。  今国会委員会質疑におきましても、何人もの議員の方が、対人地雷につきましては御質問をされているわけなのですけれども、私自身も、対人地雷の条約の署名の御決断をされた外務大臣に敬意を表する一人であります。  本年四月二十二日の外務委員会で、オタワ・プロセスによる対人地雷全面禁止条約の署名について、前外務大臣は、我が国安全保障上の観点から今の段階では参加できないというふうにおっしゃっておりました。そして、小渕外務大臣になられまして署名することになったわけなのですけれども、その理由につきましては、先週の外務委員会で島議員の質問にお答えになったのですけれども、状況が変わってきた、方針変更したわけではなく状況が変わってきた、安全保障上の担保については防衛庁と協議中だというふうに大臣は御答弁されています。  対人地雷の問題につきましては、安全保障上と人道上という二点の観点から考えていかなければならないものでありまして、国内外の世論の盛り上がりによって、人道上の状況は確かに変わってきたと言えますけれども、防衛のために対人地雷が必要だという安全保障上の状況というのは、まだ変わっていないものだというふうに思います。  だとしますと、前外務大臣当時の橋本内閣は、人道上は署名すべき、だけれども安全保障上は、安全保障という観点を見過ごすことはできないというふうに判断されて、現在の橋本内閣は、安全保障上の観点というのはおいおい考えていくことにして、人道的な観点からまず署名しようというふうに政策を変更されたのかどうか、お伺いします。
  49. 小渕恵三

    小渕国務大臣 対人地雷全面禁止条約につきましては、人道的な配慮とともに、御指摘のように安全保障の確保の観点も極めて重要でございます。しかし、政府といたしまして検討、調整を行ってまいりました結果、我が国は、来週オタワで開催される署名式において署名する意向でございます。  我が国としては、将来、我が国がこの条約を締結した場合に、我が国の防衛上の体制に重大な影響を及ぼすこととならないよう、対人地雷の代替手段の導入を含む必要な措置を早急に講じ、我が国安全保障に遺漏なきを期していきたいと思います。  今御質疑ありましたように、人道的な配慮を中心に考えたか、こういうことでございますが、もちろん、今なお防衛上の問題としてこの対人地雷の存在というものを否定するつもりはありませんが、しかし今申し上げたように、ほかの手段が講ぜられないか、あるいは防衛戦略上、戦術上どのような手段が講ぜられるかということも一方では考慮いたしておりますが、今日、まず署名を行い、その後の問題についてはこれから適宜対応してまいりたい、このように考えております。
  50. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 では、防衛庁にお伺いしたいと思うのですけれども、当委員会、ことし四月二十二日に通常兵器条約地雷議定書を審議したときと今とでは、我が国を取り巻く安全保障環境というのは変わってきたというふうにお考えでしょうか。あるいは、対人地雷我が国安全保障上なくてもよいという認識に立っているのかどうか、お伺いします。
  51. 金澤博範

    ○金澤説明員 防衛庁といたしましては、起伏が多くて縦深性に乏しいといった地理的特性を有するとともに、防衛の基本理念といたしまして専守防衛に徹するということにしております我が国にとりまして、敵の着上陸侵攻に対しましては可能な限り前方で対処することが必要でありますが、対人地雷は、我が国に着上陸してくる敵の歩兵等の侵攻をおくらせるための障害を構成する防御的な兵器として、大変有効かつ重要なものであると認識しております。  しかし、近年の対人地雷廃絶へ向けての国際世論の高まり等諸般の情勢を考慮いたしまして、またあわせまして総理よりこの条約に対します署名の意向が示されたことを踏まえまして、防衛庁といたしましては、条約上の対人地雷に該当せず、一般市民に被害を与えるおそれのない対人地雷の代替手段を導入しようということで、かかる代替手段の検討を早急に進めることによりまして、我が国の防衛に万全を期すという考えでございます。
  52. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 国内外の世論が盛り上がってきて、またそういった状況の変化に政府が柔軟に対応していかれるということは大変によいことだと思いますし、私自身署名をすべきだというふうには思っておりますけれども、やはりそこには政府の一貫した姿勢というものが、あるいは強固な信念がなければ、世論の迎合というふうになってしまうおそれもあるのではないかというふうに思いまして、今の質問をさせていただいたわけなんです。  ぜひ政府には、これまでは安全保障上の観点から条約には参加できないとしてきたが、今は安全保障上の担保がこのようにできたので、人道的観点から当然の措置として署名をすることに決めたというふうな明確な政策判断をぜひ示していただきたいと思いますし、また示していく必要があるのではないかというふうに思うのですが、大臣のお考えをお伺いします。
  53. 小渕恵三

    小渕国務大臣 種々議論のあったところでございますが、今防衛庁からも御答弁申し上げましたが、大きな世界の世論もございますし、この地雷の撤去のために、我が国としても多くの資金をそのために提供しておるというようなこともありますし、そういった点で、橋本総理も従前から、何らかの代替手段が講ぜられないかという問題提起もされておりまして、そういった点でもろもろ勘案をいたしまして、政府としては、そのような署名に踏み切ることによって、日本の姿勢を世界に明らかにすると同時に、もとより安全保障上の問題として、講ずべき手段はあらゆる方法をもって対処していくという決断をした、こういうことだろうと思います。
  54. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 わかりました。  では、条約の署名についてなんですが、先ほど坂口議員の方からも御質問がありましたけれども、十二月の三日と四日に署名式を行われるということでした。国会の提出時期についてなんですけれども、大臣はできるだけ早くというふうにおっしゃいましたけれども、防衛庁との調整ですとか、あるいは在日米軍との調整の問題もあると前回の当委員会でおっしゃっておられます。  となりますと、対人地雷の代替手段が例えば考案されなければ、国会提出というのはなさらないのでしょうか。また、在日米軍との調整がうまくいかない場合、批准はしないということになるのでしょうか。お願いします。
  55. 阿部信泰

    阿部政府委員 条約の締結に関しまして、案件国会に提出する時期につきましては、署名の後で具体的に検討に入ることになりますけれども、この点につきましては、安全保障面で日米間の協議を継続すること、それから代替手段や、さらに国内の法制の整備も必要でございますので、そのような検討を行った上で、また署名した各国の締結の動きも踏まえまして、具体的にいつ国会にお諮りするか、その時期を判断するということを考えております。
  56. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 これから考えていくということなんですけれども、署名をしてまだ批准をされていない条約もあるわけですから、本当に批准に向けて、また一貫した信念を持って、強固な信念を持って、ぜひ取り組んでいただきたいというふうに思います。  対人地雷に関しましては最後の質問になるわけなんですが、政府は、昨年の六月にリヨン・サミットで我が国の自主的な対人地雷措置を表明なさいました。その措置といいますのは、我が国は、原則的に国際的な全面禁止に関する合意が達成するまでの期間において、スマート地雷以外の対人地雷は使用しないというものでしたが、今やスマート地雷の方も禁止していこうという傾向にあるものというふうに思っております。  そこで、今回、対人地雷全面禁止条約に署名するに当たりまして、署名当日から日本は条約の第一条の第一項の義務を遵守すると同時に、保有する対人地雷の自主的廃棄を進めることを世界に表明していくといった、何らかの対人地雷に関する、またこちらも確固たる姿勢を示していただきたいと思うのですが、この点についてはいかがでしょうか。
  57. 阿部信泰

    阿部政府委員 御質問のスマート地雷につきましては、この条約との関係で申しますと、第一条で対人地雷すべてが禁止されることになりますので、スマート地雷、あるいはそうでない従来の地雷の区別なく、条約を締結しますと使用が禁止される、こういうことになります。  御質問は、その段階に至る前までも、署名後、その使用をやめるべきではないかという御質問かと思いますが、その点につきましては、これは条約の義務そのものとは直接関係ない問題でございまして、防衛庁当局とも今後どのようなことができるか検討していく必要があると思います。
  58. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 ぜひ検討をしていただいて、また、検討された結果を審議させていただきたいというふうに思います。  今回の対人地雷の全面禁止条約の成功には、NGO団体の貢献が大変大きかったものというふうに思うわけなんですけれども、このNGO団体というのはやはり非営利で、また非政治的な組織であるという面が、大変この貢献に大きなポイントになったのかなというふうにも思います。  しかし、核兵器のような大量破壊兵器ですとか、あるいは、COP3ももうすぐ開かれますけれども、地球環境の悪化等といったような地球規模の大きな問題に関しましては、やはり各国政府が、国益という観点ではなく、国益志向から人間益という志向の方にこれは変えていかなければいけないのではないかというふうに私は思います。  現在、地球規模的な核戦争の危機というのは後退したというふうにも言えると思うのですけれども、一方、臨界前核実験の問題ですとか、あるいは核兵器開発技術、核分裂物質などの流出による核拡散の問題といった、新たな形の核の脅威に直面しているというふうにも思うわけです。  CTBTもございますけれども、本条約の発効の見通しは非常に暗い状況にあって、インドは、状況的には、条約に署名すらしていないわけですね。  ジュネーブ軍縮会議及び国連総会におきまして、インドが本条約採択に反対した理由につきまして、外務省は、この条約中に、核実験禁止という義務と、核兵器国が時間的枠組みを付して核廃絶を行うべき義務とが結びつけられるべきであり、また、このような時間的枠組みを付した核廃絶とのリンクがないのであれば、自国の安全保障上、核兵器保有のオプションを放棄するわけにはいかないということを主張して、これが一番の反対の理由であったというふうに伺っております。  NGO団体ということでは、アメリカの著名なNGO団体、ザ・ニュークリア・エイジ・ピース・ファウンデーションといいまして、核時代平和財団というのがございます。これは今、先ほど述べました時間的な枠組みということに関して、非常に大きく動いていまして、アボリション二〇〇〇という活動をしているわけですね。  これはどういう活動かといいますと、二〇〇〇年までに核保有国に対して期限つきで核兵器を廃絶する交渉を進めていこう、二〇〇〇年までにその交渉を終わらせようという活動なわけなんですけれども、この核実験禁止と時間的な枠組みに関しては、外務大臣はどのようにお考えになるか、大臣のお考えをお聞かせ願います。
  59. 阿部信泰

    阿部政府委員 核兵器の廃絶というのは、原爆の経験もした日本国民の大変強い願望であるわけですが、そのために、いかにして現実的にそれを実現するかということに政府としても外交交渉の場で取り組んでおります。  現実には、やはり核兵器を既に持っている国に対して、それをいかに説得して、廃絶に向けた軍縮の方向に引き込むかということが問題でございまして、残念ながら、今のところ、核兵器を持つている国は期限つきの交渉に入るということは受け入れておりませんものですから、そこまでは政府としても要求できないという段階にございます。  そのような強いNGO等の意見があるということは、私どもも十分踏まえて対処いたしております。
  60. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 できるかできないかというような早急なお答えを全然欲しいわけではなくて、外務大臣にぜひ、核実験禁止とあるいは時間的な枠組みをリンクして考えていくことについては、大臣としてどのようにお考えになられるかという質問をさせていただきたいのです。
  61. 小渕恵三

    小渕国務大臣 核廃絶の究極的な目的達成のために努力を続けていくことは当然でございますが、一方、現実的に対処していかなければならない。理想は理想として、その面において我が国の置かれた立場というものは極めて重要だと思いますので、その方針で貫いてまいりたいと思いますが、現実のいろいろの条約その他につきましては、多くの理解を求めて、最終的に核を有している国々も含めてその廃絶に行っていただく、そのために時に現実的な対応もしなければならないのではないか、このように考えております。
  62. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 お考えをお聞かせくださいまして、どうもありがとうございます。  先ほど言いました核時代平和財団なんですけれども、アボリション二〇〇〇という活動の中で、現在は署名活動等、精力的に活動をしているわけなんですけれども、九七年の一月、ことしの一月、会議を開きまして、ムルロワ宣言というのを採択しました。この内容といいますのが、核兵器の製造と実験によって被害を受けた先住民や植民地支配下にある人々こそ、核廃絶のための計画立案に向けて最大に配慮されるべきであるという趣旨になっております。  この趣旨には大変私も同感いたしまして、また、日本という国を考えますときに、やはり唯一の被爆国であるということを考えますと、核廃絶に向けた努力を一層重ねていくべきだというふうにも思います。  ことしの七月には、札幌の方で三十二カ国の代表が集まりまして国連の軍縮会議が行われました。このときには、核軍縮に向けてはやはり悲観論、楽観論と、それぞれ意見が対立したというふうにもなっております。  この札幌会議の方では幾つか前向きな動きがありまして、第一は、核保有国の元軍高官も加わって、核兵器の全面廃棄を求める活動が活発になってきたということ、そして第二は、非核地帯運動が広がってきたという報告がなされまして、これによりまして傍聴していた人々も大変勇気づけられたという経緯があるのですけれども、次に、この非核地帯条約についてお伺いしたいと思います。  現在、非核兵器地帯条約というのは四つ条約が結ばれています。一九六七年にラテンアメリカ、そして八五年は南太平洋、九五年にアフリカそして同年に東南アジアと、四条約がありまして、アフリカのペリンダバ条約を除いて三条約の方が発効されています。  唯一の被爆国の外務大臣としまして、これらの非核兵器地帯の条約というのはどのように評価をされるのか、お伺いします。
  63. 阿部信泰

    阿部政府委員 核兵器廃絶に向けた動きとしまして、一つの方法としまして地域別に非核地帯を設定するという動きが御指摘のとおり幾つかございます。私ども、基本的にはこれは一つの方法として有用なものと評価しておりますが、ただし、実際にそれが有効なものとなるためには幾つかの条件を満たしている必要があるというふうに考えております。  例えば、そのような地域的な非核地帯につきましては、核兵器を持っている国もその約束に同意しているということが必要でございまして、そうしませんとなかなか実効が上がらないという問題があります。また、そのような条約、取り決めができたことがその地域あるいは世界全体の安定に寄与するということであることが必要でありまして、一時的にも安定を崩すと、またかえって逆の効果があるというような問題があるかと思います。
  64. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 外務大臣の非核地帯条約に対する評価も、今の御答弁と一緒ということでよろしいですか。
  65. 小渕恵三

    小渕国務大臣 我が国といたしましては、アフリカ地域及び南太平洋地域における非核兵器地帯の設置等、地域の平和と安定、核拡散防止の目的に資するものとして評価をいたしております。  中央アジア非核地帯は現在のところ構想の段階にあるものでありますが、我が国は同構想を支持する国連総会第一委員会決議に賛成をいたしており、今後の具体的進展に注目いたしておるところでございます。
  66. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 ありがとうございます。  ただいま外務大臣もおっしゃいましたように、今回の札幌で行われました国連の軍縮会議におきまして、初出席をしたウズベキスタン外務省幹部が、旧ソ連と中央アジア五カ国の代表で中央アジアの非核地帯の創設に向けて話し合いを進めていこうというふうな発表をしたわけなんですけれども、ぜひアジアの一員として日本もこの中央アジアの非核地帯化に可能な支援策を講じていただきたいというふうに思います。  また同時に、非核地帯の意義というのを深く考えながらアジア太平洋地域の平和という観点に立ってみたときに、中央アジアが今話を進めている、そして東南アジアの方はもう既に発効しているという状況なんですが、北東アジア地域の非核地帯条約をつくるというような発想に関しまして、これは大臣として望ましいものかどうか、お伺いします。
  67. 加藤良三

    ○加藤(良)政府委員 北東アジア地域につきましては、例えば韓国北朝鮮との間に国交がございません。それから、我が国北朝鮮との間にも国交がございません。そういう状況でございまして、非核地帯条約締結のための現実的な環境がいまだ整っていないというのが私たちの率直な認識でございます。  日本といたしましては、まずそういう前提として、北東アジア安全保障環境の改善ということのために、米国や韓国などとも緊密に連携しながら、域内の安全保障対話の促進の努力というのをまず進めていくということが重要であると考えています。
  68. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 私の質問がぼやけているせいなのかもしれないのですけれども、ただいま私がお伺いをしましたのは、可能か否かという問題ではなくて、唯一の被爆国の日本外務大臣としまして、この北東アジア地域を非核地帯化していくということに関して、望ましいとお考えなのかどうかというお考えをぜひ聞かせていただきたかったのですが、もう一度同じ質問をさせていただきます。
  69. 小渕恵三

    小渕国務大臣 理想を申せばそういうことですし、ただ我が国は、当然のことながら非核三原則によりまして核を持たない国でありますが、この近隣にはそうしたものを保持している国もございますし、あるいはその核兵器を製造するのではないかという危惧のもとに、そうした事態の起こらないようにKEDOというような形で近隣として協力を申し上げておるところでございまして、そういった意味で、今御答弁ありましたように、残念ながらその環境に今達しておらないという認識でございます。
  70. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 北東アジアは冷戦型の対立がそのまま残っている地帯でもありますし、今現在において非核地帯というのをつくるのは大変難しいということはよく理解をしておりますけれども、また、そういった背景を持つ地帯だからこそ、この非核地帯というのが必要になってくるのではないか、そういうふうに思うわけです。  また、二十一世紀を目前にしてという言葉が本 当にいろいろなところで聞かれますし、それに向けての政策、対策というのは考えていかれているのですけれども、こういった核の全廃ですとか地球規模の環境悪化の問題という、地球規模の問題を考えていくときには、二十一世紀というよりも、本当にもしかしたら三十世紀を目指していかなければいけないような問題なのではないかというふうに思う観点から、ぜひ北東アジアの非核地帯化ということに関しても、本当に超長期的な視野で前向きに御検討していただきたいというふうに要望を申し上げます。  続きまして、北朝鮮の問題について質問を幾つかさせていただきたいというふうに思うのです。  先日、十一月八日から十四日までの間に、日本人配偶者の里帰り第一陣が来られて、そしてお帰りになったわけなんですけれども、第一陣の実現を見た後、今の小渕外務大臣の率直な感想をお伺いします。
  71. 小渕恵三

    小渕国務大臣 長年の間、日本の土を踏むことのなかった日本人配偶者の方々の第一回の故郷訪問が順調に行われまして、これらの方々が肉親と再会し、また級友や知人との旧交を温めることができたことは大変喜ばしいと思っております。いろいろテレビ、新聞、その他の報道を通じましても、率直に、この生まれ育った我が国に戻ってこられて感激をいたしておる姿を拝見いたしまして、大変うれしく思った次第でございます。  これによりまして、北朝鮮在住の日本人配偶者の故郷訪問の最初の、しかも重要な第一歩を踏み出したもの、こう考えておりまして、今後とも故郷訪問を継続的かつ着実に実施いたしていけるような環境のできることを期待いたしております。
  72. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 さきの与党の訪朝団の方が五人の第二陣の里帰り候補者である日本人の配偶者の方と面会したという報道があったわけなのですけれども、これによりまして、また近く里帰りの方が実現していくのであろうというふうにも思います。  この第二陣以降の交渉と、また第二陣里帰りの見通しについてお伺いします。
  73. 阿南惟茂

    阿南政府委員 この事業が今後継続的に実施されることが極めて重要でございます。九月の日朝両赤十字間の合意書でも、継続的に実施されるということになっております。  現在のところ、第二回以降の故郷訪問の具体的な予定はまだ決まっておりませんが、政府といたしましては、今回の貴重な経験を生かしまして、できるだけ早く第二回以降の故郷訪問が継続実施できるように北朝鮮側とも話し合い、また、国内の諸般の準備、調整を行ってまいりたいと考えております。
  74. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 里帰り第一陣、第二陣というふうに順調に行われていくことを本当に切に願うわけなのですけれども、例えば一陣ごとの交渉というのではなく、千八百人ほど日本人配偶者の方がいらっしゃるというふうに言われているわけでして、一陣ごとに十五人、五人というふうな数でいきますと、配偶者の方が高齢ということを考え合わせましても、なかなか難しいところもあるのかなというふうに思います。  よりまして、里帰りに関しましては、里帰りの枠組みを確立するような提起を日本側はしていくべきなのではないかというふうに思うわけなのですけれども、外務大臣のお考えはいかがでしょうか。
  75. 小渕恵三

    小渕国務大臣 日本人配偶者の故郷訪問を継続的に実施されることは大変重要なことでありまして、この点につきましては本年九月の日朝赤十字間の合意書でも継続的に実施されることとなっておるわけでありまして、このことをいかに具体的にいたしていくかということであろうかと思っております。  そうした意味からも、ぜひ、そうした枠組みをしっかりつくるためにも日朝間の意思の交流を深めていかなければなりませんし、現実問題としては、正常化交渉というものをできる限り早く開催をいたしまして、そうした正式な場所でも具体的な案をつくり上げる努力ができれば幸いだと願っております。
  76. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 ありがとうございます。  本来やはりあるべき姿の、自由往来ができるといった本来の理想的な里帰りが実現しますように、ぜひ御努力をいただきたいというふうに思います。  また、そのためには、お隣であります北朝鮮との国交を正常化していく、本当に通常な形に戻していく、常識的な形に戻していくと言った方がいいのかもしれないのですけれども、国交を正常化していくことは安全保障上においても大変重要なことだというふうに思います。  またその前に、ただし、国交を正常化する前に解決していかなければいけない問題も数々あると思うのです。今回の与党の訪朝団によりまして、日本人拉致疑惑ということが言われている方に関しましては、北朝鮮側は、拉致自体は否定したものの、一般の行方不明として捜査をしていくというふうな少し前進の回答も得られておりますけれども、相変わらず麻薬問題ですとか、にせ札問題等も含めて、依然なかなか実態がつかめてこないというのが北朝鮮なのではないかというふうに思います。  実際問題、国交正常化交渉をスタートするに至りまして、北朝鮮が信頼できる国である、そういうふうに国民が納得していくことも大変必要だというふうに思うわけなのですが、我が国政府はどのような方針を持って北朝鮮との国交正常化に今後取り組んでいかれるのか、お伺いします。
  77. 小渕恵三

    小渕国務大臣 委員指摘のように、その実態に触れて、北朝鮮の姿というものはなかなか目に見えてきておりません。しかし、今の日本人配偶者の故郷訪問等、ある意味では極めて小さなことかもしれませんけれども、北朝鮮国際社会へ門戸を広く開いていくために、その扉を一つずつあけていく努力を継続していかなきゃならない。そのことによって一日も早い正常化を願って、努力をしていきたいと思っております。
  78. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 時間もなくなってきたわけなのですけれども、先ほど質問が出ましたが、KEDO理事国大使級会議が十一月二十五日にワシントンの方で開かれまして、軽水炉の建設費の見積もりが約五十二億円ですか、日本意味のある貢献をしていかれるというふうに先ほども御答弁をされていまして、費用についてはただいま交渉中というふうな発言だったと思うのです。  KEDOへの財政拠出が多年度にわたる国際約束となっていく場合、国会承認条約として国会提出になるというふうに外務省の答弁があったわけなのですけれども、次期通常国会へ提出されるのかどうか、その見通しについてお伺いします。
  79. 阿南惟茂

    阿南政府委員 KEDOの事業につきましては、日本が引き受ける額が決まりました後、日本政府KEDOとの間で協定を結び、これは御指摘のように来年度予算から財政負担という可能性が十分にございますので、次期の通常国会にお諮りさせていただきたいと考えております。
  80. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 韓国がかなりの負担をするわけなのですけれども、実際に韓国経済状況を見ましても、かなり苦境に立っていまして、IMFの方に巨額の緊急融資を要請するほどの経済危機に見舞われているのかなというふうに考えますと、日本もこういう状況ではありますが、かなりの額で貢献していくのだろうというふうにも思います。  それだけの額をもって貢献していくという目的には、やはり核の脅威からの回避というものがありますし、それがひいては世界的な平和につながっていく、まだそういった非常に大きな目標のためにも行っている貢献だと思いますので、どうか、先ほど言いました北東アジアの非核地帯条約も含めて、北東アジアの、あるいはアジア太平洋、ひいては世界の平和について、前向きに、確固たる信念を持って御検討願うことをお願いしまして、質問を終了させていただきます。
  81. 中馬弘毅

    中馬委員長 藤田幸久君。
  82. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 まず冒頭で、昨日オタワにおきまして、橋本総理の方から、対人地雷禁止のオタワ条約に正式署名の意を表していただきましたことに、小渕外務大臣の大変御尽力があったと思い ますので、お礼を申し上げたいと思います。  まず、東チモールのことについて御質問申し上げたいと思いますが、私は、ここに大変ショッキングな写真を持ってまいりました。これは、APEC参加をされる前に外務大臣もごらんになったかのようにも伺っておりますが、大変ショッキングな写真でございますが、やはりこれを見ておくことが必要かと思いますので、委員長のお許しがいただければ、委員長以下、委員の方にちょっとお目通しをいただければありがたいと思いますが。  実は、これは約一週間ほど前に世界各国で同時にリリースをされた、東チモールの女性、恐らく高校生であろうと思われる方に対する拷問写真でございます。これが世界各国でリリースされたわけです。私自身は、こういった写真を見ること自体は非常に残念だと思っておりますけれども、これはいろいろな角度から、昨年十二月にノーベル平和賞授賞式から帰国したベロ司教を迎えたデモの後、カテドラルの前で捕まった女性ではないかというふうに見られておりまして、制服の関係から高校生であろう。それで、紙にノーベル賞万歳と書いてある。ところが、拷問された女性に対して、これが報いだ、思い知れというようなことが書いてある。それで、体じゅうを随分くぎで刺されて、大量の出血をされている。目を覆うような写真なわけであります。  チモールについては、もちろん日本政府なりにこれまで努力をされてきたと思いますけれども、例えば、七月にインドネシアを訪問した南アフリカのマンデラ大統領が、東チモールの併合の反対運動をしておりました政治犯と獄中会見をした後、釈放要求をスハルト大統領にしているわけです。最近はスハルト大統領が南アフリカを訪問し、それを受けて、マンデラ大統領の最近の記事によりますと、その仲介について希望が出てきたというようなことが出ているわけでございます。  東チモールの問題は確かに内政の問題でありますが、やはり単に内政ということでは片づけられない様相が出てきておると思います。  日本政府に関しては、ことし一月だったと思いますが、ノーベル平和賞受賞者のホルタさんという方が来日をして、私もお目にかかりましたが、外務大臣等高官にはお目にかかれなかったというふうに聞いておりますけれども、こういった写真が各国に出ているようなことにかんがみ、国連の人権委員会で要請された、国連の拷問に関する特別レポーターというのを派遣するということが合意されているわけですけれども、例えばそういった派遣を、実際に早く実現するようなアプローチをされる。  それから、同じように、国連の人権高等弁務官の事務所の人間を派遣するということが、やはりインドネシア政府の反対でおくれているわけです。やはりこういったことについて、日本政府としても、もう少し踏み込んで対応するような時期が来ているのではないかと思われますが、それについて、きょうもできれば大臣に直接お答えいただければ幸いと思っておりますので、できる範囲で大臣の方からお答えをいただければ幸いです。
  83. 小渕恵三

    小渕国務大臣 東チモールにおける人権状況につきましては、我が国としても重大な関心を有しており、これまでもさまざまな機会にインドネシア側に伝達してきておるところでございます。インドネシアが、国際社会関心に引き続き十分考慮を払いつつ努力していくことを強く期待いたしております。  東チモール問題について、我が国は、国連事務総長の仲介努力を支持し、関係当事者間の話し合いにより平和裏に解決されることを希望しております。  さらに、我が国は、東チモール人包括対話の実施につき、国連を通じて資金援助も行っております。  この件につきまして、APECに参ります折、大変熱、心にこの問題にお取り組みいただいておる諸先生方からも、インドネシア側に対しましても、外務大臣としての考え方をぜひ申し述べてほしいということで御依頼を受けました。率直に申し上げて、実はインドネシアのアラタス外相APECに不参加でございまして、私、ロビーその他でお探しをしておったのですが、なかなかお目にかかれませんで、直接にはお話を申し上げる機会を逸して残念に思っております。いずれにしても、こうした難しい課題でありますけれども、日本としてもその努力をいたしていけるものと考えております。
  84. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 できれば、これから大臣自身のお言葉でお答えをいただきたいと思いますが、これからもインドネシアの首脳とお会いになる機会もおありかと思います。それで、ロビーでお探しになったと言われましたが、多分ロビーで、あるいはインフォーマルなときにお話しになった方がお話ししやすいかもしれませんが、そういった際に、やはりこういった問題について今までの単に国連の仲介というだけではない、もう少し踏み込んだ、国連の仲介に関しましても具体的に、実際、先ほど申しました拷問に関する特別レポーターの派遣とか人権高等弁務官の派遣というものが実質的に行われていないというようなことについて、もう少し、今までとは日本も言い方が変わってきたなというふうに相手に伝えることが重要ではないか。  マンデラさんの場合も確かに、御自身が二十七年間獄中にいたということが、政治犯の釈放についてお話をされるというモラルオーソリティーがあったのかもしれません。何か日本ならではの言い方というのもあるのかと思うのですけれども、その辺、もしそういった機会がございましたらば、大臣の方からより踏み込んだお話をされるお気持ち、お考えがないか、一言お答えいただければ幸いです。
  85. 小渕恵三

    小渕国務大臣 この問題は、インドネシアそしてまたポルトガル等、歴史的経過の中でなかなかふくそうしている問題だろうと思います。  したがいまして、公に我が国立場お話しすることももちろん大切でございますが、たしかまだこの職につきません段階で、ポルトガルのガマ外相ともたまたま会う機会がございまして、いろいろお話をさせていただきました。究極、平和的にこの問題が解決することが望ましいことだろうと思いますので、どういう機会にどういうお話をされることが、関係諸国をいら立たせない形で解決する方法は何かということについて勉強してみたいと思っております。
  86. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 ありがとうございます。  それで、同じアジアのミャンマーの方にちょっと移りたいと思いますが、最近、外務大臣アメリカのオルブライト国務長官とお会いした際に、ミャンマーの首都ヤンゴンの空港拡張工事の支援の再開に関して可能性があるかのような発言をされたというふうに伺っておりますけれども、そういう御発言があったのかについてお答えいただきたいと思います。
  87. 小渕恵三

    小渕国務大臣 我が国といたしましての対ミャンマー経済協力は、民主化及び人権状況の改善を見守りつつ、当面、既往継続案件や民衆に直接稗益する基礎生活分野の案件を中心に、ケース・バイ・ケースで検討の上実施していくとの方針であり、ミャンマー情勢の動向を見詰めつつ慎重に検討してきているところでございます。  既往継続案件でありますヤンゴン国際空港拡張計画につきましては、空港の安全性に特に懸念を有しており、安全面からどのような対応が適当か、ミャンマー情勢の動向を見きわめつつ、種々の側面から検討中ではございますが、ただいま具体的にお尋ねのありましたことにつきまして、オルブライト国務長官と私との外相会談におきまして、米国側から、現下のミャンマーの政治情勢についていろいろお触れになられました。  日本としても円満なミャンマーの発展を祈念いたしておるところでございますが、この空港の問題につきましては、実は既に我が国としては、この空港が安全に飛行のできるための施設として改善していくことは、少なくともこれを利用する人たちにとっての生命にかかわる重大な問題である という認識をいたしておりまして、願わくば、本件については人命尊重ということで、かりそめにも不備なる空港使用というようなことによって大事故というようなものが招来するとすれば、これはどうしても避けなければならない問題で、でき得れば本件につきましてはこの空港を完成させることのできるように、この点については日本側としては希望を持っておるということを申し上げたことは事実でございます。
  88. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 私も八月に全日空でヤンゴン空港に着きまして、空港も実際に視察をしまして、確かにこれは危ないなと。これはやはり、いわゆるミャンマーの政治問題がなければすぐにも直しておいた方がよろしいのだろうなと思うくらい、大変荒れた空港であることは実際に感じてまいりました。  それで、今おっしゃっていただいたような条件が整備されればということですが、ただ、これに関して、ミャンマーに行っておりましたときに聞いた話で、六月に橋本総理が親書をタン・シュエ首相に送られて、その中で、幾つかの条件が整えば、つまり憲法制定の問題とか政党制の問題が触れられていたというふうに聞いておりますけれども、そういった条件が整えば、その空港の援助の再開に前向きであるというようなことが親書に書かれていたというような話も聞いておるわけです。ということは、そこまで総理の親書で書いてあったということは、逆に言いますと、条件が整備されたということを証明しないと、なかなか再開するのが難しいということにもなってしまうので、逆にそういう形で発信をしておったということは、手詰まりにならないのかなというふうにも心配しておるわけです。  今、人命尊重のために再開ができる状況を希望されるということでございましたけれども、そういう条件整備といいますか状況認識として、好転し、再開への環境が近づきつつあるというふうにお考えなのかどうか、もう一言おっしゃっていただければありがたいと思います。
  89. 小渕恵三

    小渕国務大臣 実は三月に私自身、ちょうど水祭りの時期でもございますし、ミャンマーにみずから参りまして、私自身体験として諸般の情勢を把握したいと思っておりましたが、その機会を失しておりまして、したがいまして、現在どのような条件が、先ほど申された条件が整備されつつあるかにつきましては、率直に申し上げて、その判断を今私自身持ち得ておりません。  事務当局として、もしそういうものの現時点の考え方があるとすれば、一応お答えをいただきまして、さらに私としての判断をさせていただきたいと思います。
  90. 大島賢二

    ○大島政府委員 御指摘ございましたように、ことし六月の時点でございますけれども、ちょうどミャンマーのASEAN正式加盟決定したタイミングをとらえまして、ミャンマーにおける民主化あるいは人権状況の改善が必要であるという我が国立場を伝えるために、平林外政審議室長が総理親書を携えて訪問いたしまして、ミャンマー政府に伝えた経緯がございます。  その中で、先ほど大臣から御答弁ございましたように、空港の拡張計画の問題につきましては、特に安全性にかかわる問題は非常に懸念がございますので、どういう対応が適当か事務当局としても今鋭意検討を進めておるところでございます。  なおミャンマー情勢につきましては流動的な側面もございますけれども、こういった情勢を慎重に見きわめて、この問題の対応に当たっていきたいというふうに考えております。
  91. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 もう一つ、この条件に若干関係しますが、現在、ミャンマーの軍事政権に対して新規の有償資金協力、円借款は停止しているわけですが、いわゆるSLORCが発足以前の円借款の扱いはどうなっているのかということなんです。その円借款の一部にいわゆる債務不履行が存在するというふうにも聞いておりますけれども、その額は大体どの程度なのか教えていただければ幸いです。
  92. 大島賢二

    ○大島政府委員 ミャンマーに対します円借款につきましては、八八年に騒擾がございました以後、停止されておるわけでございます。それ以前に約束をいたしましたミャンマーに対します円借款で、現在実施中の事業はございません。停止されたままとなっている、こういう状況でございます。  他方、ミャンマーにつきましては、過去の円借款債務、これは累積で申しますと四千億円強、累積でございます。この過去の円借款債務につきましては、ミャンマー政府が返済義務を継承いたしておりまして、適宜返済が行われております。  他方、ミャンマーの非常に厳しい経済状況がございまして、その返済が予定どおり、計画どおりなされておらないという面もございまして、つまり延滞が発生しているということは事実でございます。延滞額は幾らかといったような問題につきましては、債務国の国際的な信用にもちょっとかかわる問題がございますので、コメントは差し控えさせていただきたいと思っておりますが、現在そういう状況にございます。
  93. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 延滞があると今後の援助再開等々に非常に難しいと思うのですけれども、これからいろいろな意味で条件が整いつつあるのかどうなのか、その辺について一言、もう一度お答えいただければ幸いです。
  94. 阿南惟茂

    阿南政府委員 ミャンマーの内政状況につきましては、御案内のように、政府側とNLDの対話も一進一退というような状況でございまして、私どもはそれを注意して見守っているところでございます。他方、ミャンマーを取り巻く環境と申しますか、近隣諸国の対応は少しずつ変化が出てきているのではないかというふうに見ております。  我が国といたしましては、ミャンマー情勢の改善のためには同国を余り孤立させないで、もちろん国内にあっては対話を進めていくということが重要でございますが、ミャンマーが国際社会の一員として適切な行動をとるように働きかけていくということで、我々が期待しているような大きな内政上の進展がないという現状の中で、そういう期待をしつつ働きかけを行っていくという姿勢でございます。
  95. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 ありがとうございます。  今度は、またODAのことについてお伺いしたいと思います。随分最近は外務委員会でもODAの関連の質問が多いのですが、マルチかバイかというような質問ばかり随分進んでおりますので、ちょっと掘り下げた質問をさせていただきたいと思います。つまり、外務省所管の国際機関への拠出が随分減っているというのが随分出てきております。  ところが、数字を見てみますと、外務省所管の国際機関への分担金、拠出金に関しては十年度の概算要求で二二%のマイナスになっておりますが、一方で、大蔵省の所管の国際開発金融機関、世銀とかアジ銀とかでございますけれども、に対する出資金、拠出金の減額分は、率にしますと一三・九%でございます。ということは、よくマルチがという話になってきているわけですが、大蔵省関係は一三・九%の削減であるのに対して、外務省関係は二二%である。  しかも、よく言われる話で、国際金融機関に関する援助に関しては、ある日本の高官の方がどこかの席で、ある外国の役人に会ったらお礼を言われた。なぜかと聞いたら、実は日本から拠出をしていた国際金融機関から行った援助がその国の援助に渡っていたのでお礼を言われた。ああ、こういったところにも貢献しているのかなというふうに聞いたことがあるというふうな話がありますが、私が認識している範囲でも、透明性と言われる場合に、日本が国際金融機関に出したお金の方がどこに使われているかというのは総体的に非常に不透明である。  それに比べて、この外務委員会でも再三指摘をされてきておるような、UNHCRとかユニセフの援助に関しては日本のNGOも使っておったりもしますし、非常によく見えているわけです。ですから、外務省関係で、特に国連機関、この外務委員会でも森山先生とか山中先生、いろいろな方 が指摘をされてきたものについては、マルチだけれども非常に目に見え、かつ、例えばボスニアにおいてAMDAと難民を助ける会とJVCがやつているということで、プレゼンスとすれば国連を経由していますけれども、日本のお金だというふうになっているのだろうと思うのです。  それに対して、大蔵省の方から行っている国際金融機関に関していえば、どこで使われているかというのは総体的に見えない。であるならば、外務省の中でのバイとマルチということではなくて、マルチ同士の比較でこれだけ差が出ているということは、私は、なぜこんなに差が出ているのか。特に国連機関等に関して言えば、この削減の幅というものについてもう少し具体的な検討が必要ではないかという気が率直にいたすわけですが、これについては非常に基本的なものでございますので、大臣からお答えをいただければ幸いと思います。
  96. 小渕恵三

    小渕国務大臣 ODAに関しまして、大蔵省関係、国際金融機関への拠出金削減率が外務省よりも低いのはなぜかというお尋ねでございます。  外務省としては、国連を通じた国際貢献の重要性は認識をいたしておりますが、ODA一〇%の件に加え一義務的経費増大及び円安といういわば三重苦により、国際機関への任意の拠出金について大幅に削減する概算要求になっておることは御案内のとおりであります。  このODAの予算について、定められた金額の範囲内で各施策の内容を吟味し、所管の枠を超えた総合的調整を行い、重点的、効率的予算配分を行うという基本方針総理より示されております。  そこで、平成十年度のODA予算が対前年度一〇%以上減との閣議決定を踏まえて、各省庁が概算要求を行っているものであり、外務省として大蔵省所管の拠出金についてのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。国連等に対する拠出金についても、国際社会への貢献の観点から、ODAの削減が与える影響はできるだけ少なくなるよう、予算の編成過程においても財政当局と十分相談をいたしてまいりたいと思っておりまして、このような答弁を続けてまいっておるところでございます。  今委員指摘のような国際開発金融機関への出資金、拠出金の数字を私も手元に持っておりまして、今委員指摘のように総額にしてマイナス一三・九%ということになっておりまして、それぞれの機関については、今御指摘のようにそういう数字になっております。  これだけ比較をいたしますと、国連関係の機関の削減率についてのパーセンテージがしばしば御指摘をいただいておりますけれども、これに対しまして数字的に見ますと、非常にこういった差異があるような印象は持たざるを得ないと思っておりますが、国際開発金融機関といえども、国際関係に対する我が国の寄与ということの中で、この予算については御案内のとおり各省庁別の予算配分になっておるわけでございますので、これは大蔵省、そのよって来るところは大蔵省にお聞きを願いたいとは思います。  こういったことを全体に調整しながら、より効果的に図っていくということが政府全体としては務めになるべきものだと思っておりますので、今後予算編成の過程で、全体の国際関係に対する協力という観点から、十分横の連絡をとりながら、日本政府としての効果的な資金を、提供を図っていくべきもの、このように考えております。
  97. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 今、大蔵省のことですのでコメントを差し控えたいという言葉もございましたが、今行財政改革でも言われておりますが、やはり四省庁の調整ということがこれから非常に大切になってくると思うわけです、結局予算を握っているところと、計画をするところと、実行するところが分かれておったりと。  それから、特にこれは質問通告していないのですが、大臣はODA関係の仕事をされてこられたと思いますので、そのまま直にお伺いしますが、特に技術協力に関して外務省以外の省庁が十八ございまして、それでいろいろな技術協力のために財団をつくって、その省庁の人間が出ていって技術協力をしている。かなり省庁同士のダブりもあるわけですけれども、やはりその辺の調整をしていただくということがバイにおいても、私はバイで非常に重要な、例えば青年協力隊の人数が今度は減らされる、これはやはりバイであっても余り減らすべきではないと思っておりますけれども、だけれども一〇%削減というのがある。そうすると、どこで削るかというと、例えば四省庁のコーディネーション。技術協力等に関して、その十九省庁の調整をさらに踏み込んだ形で総合的に調整をしていくということで、バイであれマルチであれ、やはりめり張りをつけるということが可能になるかと思うのですけれども、ODA関係、随分取り組んでこられたわけですので、その辺について基本的なお考え大臣の方からお伺いできれば幸いです。
  98. 小渕恵三

    小渕国務大臣 技協について触れられましたが、今御指摘のように、各役所との連携をとりながら効果的に図っていかなければならぬかと思いますが、そういった点で従前から御指摘がなかったとは言いがたい点もございますので、予算が限界があればあるほど、そうしたことのないように対処していきたいと思っております。
  99. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 それに関連しまして、先ほどの、国連機関に拠出したお金が、NGOが実際にその実行機関としてかなり顔の見える援助をしておるというようなお話がございましたけれども、例えば、アメリカはODAの三〇%を内外のNGOに使っておるというような数字もございます。それから日本政府の方で、ことしの国連総会で、二〇〇一年を国際ボランティア年にという提言もされておられる。  私は、NGOを、あるいはNPOを国内とか国外にむしろ区別をしなくて、いい仕事は外国のNGOあるいは国際的なNGOと一緒にやること自体が日本にとってもいい勉強になるし、特に相手国側にとってもその方がむしろいい援助になるということも多々あると思うのです。  したがって、そういったものもひっくるめて、それから、国連機関あるいは国際機関を通して実行段階で内外のNGOが実際に仕事をするということも含めて、将来はODAの例えば三〇%ぐらいはNGOが結果的に日本政府のお金を使って、あるいは支援を得て、あるいは日本政府が拠出をしたお金を使って、実行段階でNGOがかかわっていくパーセンテージをある程度決めて、少しずつそのパーセンテージを上げていくというような施策が財政削減という面でも、それから量から質へということをおっしゃっていて、量から質へという面でも大変効果があるのではないかというふうに思っておりますが、その辺について、大臣のお考えをいただければ幸いです。
  100. 大島賢二

    ○大島政府委員 ただいま藤田委員が御指摘になったこと、基本的に同感に思っております。  確かに、日本のODAにおきまして、NGOを通ずる実施部分というのが、ほかの国と比べますとまだ一・数%程度で、大変に低うございます。これにはまたいろいろな理由があったわけでございますけれども、ただ、政策といたしましては、ここ数年、NGOとの協力関係、連携関係ということも随分政策的にも力を入れるようにしております。  例えば、一例だけ申しますと、外務省とNGOとの定期的な協議会というようなものも既に始めておりますし、それから、ごく最近には、プロジェクトの具体的な評価につきましてもNGOと共同で評価するというようなことも始めております。  さらに、国際機関を通じます援助に日本のNGOが参加していくということにつきましても、最近若干の実例が出つつあるように聞いておりますし、一例を申し上げますと、例えばUNHCR、難民高等弁務官のプログラムにつきましても、既に日本のNGOが参加してアフリカ等で活躍をしておられますが、さらにそういう活躍が広がっていくように、在京のUNHCRのオフィスも積極 的な活動をしております。  こういったいろいろな形で確かにふえていっておりますので、私どもとしましても、さらにNGOとの連携協力関係をできるだけ深めていくという方針で臨んでまいりたいと思っております。
  101. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 そういった努力は以前と比べて大変進んできたということは評価しておりますが、もっと基本的に、政策として、今のお話は多分外務省関係が主に強かったわけですが、それからもちろん郵便貯金のボランティアというような関係も行っていると思いますが、もうちょっと政策的に全体の日本の、もちろん省庁間の調整をした上で、全体のODAの例えば何%はこういう形にしていくというような、政策的に政治決断をしていただくような時期が来ているのではないかというふうに思いますが、その点、大臣いかがでしょうか。
  102. 小渕恵三

    小渕国務大臣 貴重な御意見として承らせていただきまして、それぞれの省庁との関係も含めまして、努力目標といいますか、目標設定といいますか、こういうものができるものかどうか、アメリカの例も含めまして、勉強させていただきたいと思います。
  103. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 最後に、中国に対するODAについて一つ質問を申し上げたいと思います。  先ほどミャンマーの質問をいたしましたが、最近、中国政府がミャンマーにおけるダム建設のプロジェクトを落札したというような報道もございます。それから、いつも質問しております、カンボジア等における例えば対人地雷中国製がかなり多い。それから、現在の中国の外貨準備高が一千二百数十億ドルになっておる。今は大変な貿易黒字国になっておるわけです。  私は、中国が大変好きな国でございますけれども、好き嫌いは別にいたしまして、ODA一〇%削減という中で、やはり理由がわかって、そして方向性がわかる、あるいは原則にのっとった形で調整をしていくということが重要かと思います。  今、四つ、五つ、事例あるいは理由を申し上げましたが、こういった点を例えば勘案いたしまして、総合的に、中国に対するODAの現在までのレベルでの供与のあり方、ODA大綱も含めまして、そういったもろもろの観点から、現在の中国に対するODAのあり方について妥当なのかどうなのか、大臣の方からお答えいただければ幸いです。
  104. 小渕恵三

    小渕国務大臣 インドネシアと並んで、中国に対してのODAの供与というものは一、二を争っておる数字でございまして、その数字の大きさばかりでなくして、内容についても検討していく問題、課題はあると思っております。  しかしながら、中国におきましては、現在、膨大な貧困人口と開発ニーズが存在することを念頭にいたしまして、円借を中心として、発展のボトルネックになっている経済インフラの整備への支援に力を入れておるところでございまして、特に近年は、中国自身の問題であると同時に、国際的に大きな影響のあり得る大気汚染問題等環境分野における協力に力を入れながら、援助を行っておるところでございます。  こうした意味で、中国の国づくり及び人づくりに効果的かつ効率的に活用されており、中国側においても高く評価されておるわけでございまして、それぞれ検討をすべきことは十分いたさなければなりませんが、現在の段階ではこれが効果的に行われている、こう判断しております。
  105. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 そのボトルネックに対する対応、国づくり、人づくり、それぞれ非常に重要で必要なことだろうと思いますが、ただ、結果として、一方でそれだけ援助をもらっている国が例えば別の国のそういうプロジェクト中国のお金でそれだけ出して、実際に援助をしているわけです。それからいろいろな武器輸出もある。そうすると、今の財政削減の一番の観点の一つは、やはり国民の税金からということがあると思うのですけれども、そうすると、国民の気持ちとして、それはどうなのかなというのが素朴な感じかと思いますけれども、そういう点について、何か働きかけといいますか、折あるごとに言及をしていくというようなお考えがないかどうか、最後に一言質問したいと思います。
  106. 小渕恵三

    小渕国務大臣 確かに、委員指摘のように、中国自身の対外的な協力の姿が御説明ありましたけれども、そうしたことの関連において、我が国の援助そのものについて、率直、素朴な国民の感情のあることも承知をいたしております。  我が国としては、対中国援助の姿については、国民にもさらに周知徹底いたしまして、その効果的な協力についての理解も深めていかなければならない、このように考えております。
  107. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 時間が参りましたので、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  108. 中馬弘毅

    中馬委員長 本会議がございますので、本会議終了後、午後二時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時十一分休憩      ————◇—————     午後二時開議
  109. 中馬弘毅

    中馬委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。松本善明君。
  110. 松本善明

    ○松本(善)委員 外務大臣に伺いますが、新しいガイドラインにつきまして、中間報告以来、いろいろな議論が展開をされていますが、主としてやはり文章に基づいたものが多うございましたが、きょうは少し方向を変えまして、私どもは、新ガイドラインというのはアメリカの戦争に日本が参戦するものだということを主張してまいり、政府の方では、そういうものではないということを言ってきたのが大まかな論戦であったかと思います。私は、一方の当事者のアメリカ側の発言やアメリカ側の文章から見ますと、私どもの主張の方が正確である、客観的に見ているというふうに思うので、アメリカの方の発言を引用しながら御質問をしたいと思います。  やはりこれは国民注目、国民のみならず全世界の注目している問題でありますので、外務大臣からしっかりした答弁をいただきたいと思います。読んでいないというようなことになると困りますので、私が引用する資料はほとんど事前にお知らせしておいたはずでございます。  日本のマスコミでも、週刊誌など「「日本アメリカの植民地」の惨状」というような写真特集が出るというような状況でございますけれども、アメリカの有力紙ワシントン・ポストは、十一月四日に、「同盟国からも憤慨されるアメリカの支配、世界いじめを非難されるアメリカ」という大型記事を掲載し、一体このままでいいのかという問題を投げかけております。その中で、ドイツの有力週刊誌シュピーゲルが九月一日付の大型特集で、「世界の支配者アメリカ」というのをやりましたが、それを引用しております。シュピーゲルのこの特集では、今回盟国も含めてアメリカに対する大きな反発と批判が起きていることを紹介し、東アジアでは、台湾の軍事的防衛を含み得る安全保障同盟を日本と結ぶというアメリカの手前勝手な計画によって大騒ぎになっているというふうに書いております。  これは、今国会でも私どもも質問しましたが、アメリカが台湾関係法を発動することになったときに、新ガイドラインの言う周辺事態になるのではないかという私の質問にも、仮定の問題だということで総理はお答えにならない。我が党の志位書記局長の、中国の内政問題として、こういう場合に対米協力を拒否をするかという問題についても答えない。こういうことから起こっていると思います。  こういう答弁を繰り返していますと、このシュピーゲルの言いますような台湾の軍事的防衛を含み得る安全保障同盟だ、こういうふうな評価の正しさを証明し、このような国際的な評価をますます強めるということになるのではないかと思いますが、外務大臣の御見解を伺いたいと思います。
  111. 小渕恵三

    小渕国務大臣 委員から御指摘のシュピーゲル の論説は承知をいたしておりますが 御指摘のような報道の一々について政府としてコメントする立場ではないと考えております。
  112. 松本善明

    ○松本(善)委員 しかし、これはそういうことでは済まないのではないか。単なるシュピーゲルの報道だけではなくて、私が問題にしておりますのは、仮定の問題として、いわば新ガイドラインの中心的な問題について答えないというその政府の態度がこういう評価を引き起こしているわけだ。  しかも、これは台湾だけの問題ではありません。日本の自衛と関係なく、アメリカの戦争に協力するように安保条約を改悪したということだと私たちは見ております。  キャンベル米国防副次官補は、世界週報のことしの十月十四日号で、新ガイドラインについて、日米同盟再定義のプロセスは、ある意味で北大西洋条約機構、NATO拡大のアジア太平洋地域における帰結だと、あからさまに日米安保条約が双務的な軍事同盟に改悪されたことを意味する発言をしております。これもシュピーゲルの指摘と共通するものなのですね。  外務大臣、このキャンベル国防副次官補の発言をどうお考えになりますか。
  113. 小渕恵三

    小渕国務大臣 これまた御答弁といたしましては、それぞれ有力な方の御発言が世界週報に載せられているということでございますが、御指摘のような、個人としての見解について政府としてコメントする立場ではないというのが答弁でございます。
  114. 松本善明

    ○松本(善)委員 私は、そういうことでいきますと、やはり国民や世界じゅうの疑惑といいますか、批判はますます高まらざるを得ないと思うのです。キャンベル米国防副次官補は、言うまでもなくこの新ガイドラインをつくった中心的な人物であります。同じ世界週報でガイドラインの見直しの目標について挙げております。これはそのことを具体的に証明していると思います。  その第一は、地域の安全が試練にさらされるとき、米国が日本からどのような後方支援が期待できるかを明確にすること。第二に、我々は、日本が憲法の枠内で新たな軍事的任務を担当できると考えている。公海上での機雷除去や船舶検査、避難民の救助、海上監視の強化、非戦闘員退避での協力といったことがその任務となると公然と語っております。  これは、新ガイドラインで言っていることそのままでございますが、政府は周辺事態について私どもが質問をいたしますと、必ず日本の平和と安全に重要な影響を与える事態なんだということで答弁をされるわけです。  ところが、今私の読みましたキャンベル氏の言葉の中にはこの限定は一切ないのであります。そして、これは地域の安全が試練にさらされるときに日本から軍事的協力が得られるようになったということを言っているわけです。日本の自衛と関係なく、地域紛争に日本アメリカに軍事協力する、参戦するということ、先ほど来私が紹介いたしましたけれども、まさに双務的な軍事同盟に日米安保条約が改悪されたということを何よりも、実際に担当したキャンベル氏が物語っているということではないでしょうか。外務大臣、いかがお考えになりますか。
  115. 田中均

    ○田中(均)政府委員 お答えを申し上げたいと思います。  キャンベル国防次官補代理、ちょうど私のカウンターパートでございまして、一緒に協議をいたしましたので、そういう観点からもお答えを申し上げたいというふうに思います。  個々の具体的な発言、表現の問題は別といたしまして、指針の中に盛り込まれている「指針の目的」というのは明らかでございまして、「この指針の目的は、平素から並びに日本に対する武力攻撃及び周辺事態に際してより効果的かつ信頼性のある日米協力を行うための、堅固な基礎を構築することである。」ということが日米両国政府によって確認をされているということでございます。  同時に、委員、軍事的協力云々ということも申されましたけれども、この次に基本的な前提として書かれております。これは、指針そのもののみならず、指針のもとで行われる取り組みということでございます。一つとして、日米安全保障条約及びその関連取り決めに基づく権利義務並びに日米同盟関係の基本的枠組みは変更されないということ、それから二つとして、憲法の制約の範囲内、三として、国際法規に従うということが書かれております。これが日米の理解でございます。
  116. 松本善明

    ○松本(善)委員 外務大臣にお答えいただきたいのですが、これは今のような答弁はもうみんな聞き飽きているのですよ、書いてもありますし。だけれども、こういうことがあるのだがどうかということの大臣としての考えを聞いているわけです。それは、先ほど来のような答弁、私は不満ではありますけれども、そういう答弁しかされないということであればされないで、そういう評価をせざるを得ないということでありますので、大臣からお答えをいただきたいと思います。
  117. 小渕恵三

    小渕国務大臣 先ほど答弁申し上げたとおりで、それぞれのコメントについて、政府としてこれを評価するようなコメントをする立場にはない。  いずれにいたしましても、指針のもとで、取り組みにおいては我が国の専守防衛に徹しまして、日本の憲法上の制約の範囲内で役割を果たすこと、日米安保条約及びその関連取り決めに基づく権利義務並びに日米同盟関係の基本的枠組みを変更しないこと、国際法の基本原則に合致すること等が前提となっていることは、今まで答弁いたしたとおりでございます。
  118. 松本善明

    ○松本(善)委員 では、もう一つ伺いましょう。  やはりキャンベル氏ですけれども、彼は、ことしの九月二十四日の毎日新聞に、指針見直しは湾岸戦争と一九九四年の北朝鮮の核疑惑がきっかけであったということを語っております。  九四年の北朝鮮の核疑惑の問題については、九四年六月十二日のロサンゼルス・タイムズが、朝鮮有事が現実になったら何が起こるかということについて、次のように書いております。  日本に駐留するアメリカの戦闘機は、任務を遂行するため、昼夜兼行で飛行することになるだろう。在日米軍基地と太平洋のほかの場所との間に巨大な空の橋を一夜にして築かなければならないだろう。何らかの戦闘が起きれば、初期の段階で、アメリカは急速にジェット燃料や予備部品、技術支援日本に完全に依存するようになるであろう。日本の領空を無条件で使用することが必要になる。戦争勃発から数日以内に、ワシントンは、日本に対して、アメリカからの数百機の部隊輸送機や数千トンの死活的に重要な補給物資を着陸させるため、札幌、新潟、東京の成田のような主要民間空港の定期旅客便の発着を停止させるよう日本に要請しなければならないかもしれない。戦術核兵器の配備について、そのような動きが起これば、日本戦域にアメリカの核防衛手段の真相を覆い隠している政府の仮面の薄いベールはたちまちはぎ取られるだろう。アメリカの軍事行動の必要は、日本の核アレルギーと衝突するだろう。  こういうような衝撃的な叙述の後、この記事は、日本支援がなかったら、アメリカは朝鮮で戦争を戦い、勝つことができない、こう結論づけているのであります。  この記事はアメリカ太平洋軍準機関紙スターズ・アンド・ストライプスにも抜粋、転載されているものでありまして、アメリカ軍部の考え方、計画にも合致したものだと考えられます。一九九四年は日本協力が得られず、結局、カーター元大統領を北朝鮮に送って、話し合い解決の道を選ぶようになったということは、外務大臣も御承知だろうと思います。これはいわば公知の事実と言ってもいいぐらいになっていると思います。  ところで、アメリカ外交問題評議会委員のマイケル・グリーン氏、今度のガイドラインその他については再々発言をしている方でありますけれども、九七年十一月十一日付世界週報で、新ガイドラインについて、作戦上の観点からも、もし今後朝鮮半島で一九九四年のような危機が生じた場 今、今度こそ日本首相は明確に我々は米軍の後方支援をすると言えるようになったというふうに言っています。  あの九四年のときには日本の方はその態勢がなかった、だから軍事的な措置はとれなかった、今度はその教訓に基づいて新ガイドラインをつくった、だから、今度は日本首相は、朝鮮半島で一九九四年のようなことが起こってもちゃんと米軍の後方支援をすると言えるようになった、こういうふうに言っているわけです。そうなったのではありませんか、外務大臣。  はっきり、問うたことに答えてください、わざわざ出てくるのならば。
  119. 田中均

    ○田中(均)政府委員 これまでも御答弁申し上げておりますように、指針といいますものは、特定の地域であるとか事態、そういうものを議論して策定したものではございません。  ただ、委員おっしゃるように、だからといって、日本が過去の経験、そういうものから何もそれを学ばないでいろいろな政策を検討するかというと、もちろんそうではございません。九四年の北朝鮮の核疑惑を通じて、いろいろな議論が行われました。その中で、例えば難民の受け入れであるとか邦人の救出であるとか、いろいろなことについて、日本としての危機管理ということも同時に考えなければいけない課題であったわけであります。  ですから、そういう日本としての安全を担保する体制といいますものは平時においてきちんと整備をしておかなければいけない、そういう観点、過去の経験から学ぶという観点があることは事実だと思います。
  120. 松本善明

    ○松本(善)委員 部分的ではありますが、九四年の経験からこのガイドラインが生まれてきたということはお認めになったということであろうかと思います。  今、マイケル・グリーン氏がアメリカ外交問題評議会の委員だということを申し上げましたが、この外交問題評議会といいますのは、ブラウン元国防長官、アーミテージ元国防次官補、ブレジンスキー元アメリカ大統領補佐官など、そういうアメリカの軍事関係の大物が参加をしているものでありまして、マイケル・グリーン氏の見解は単なる個人の見解とは言えない性質のものを持っていると思います。  この評議会が五月三十日に「戦争の試練と平和の負担−米日安全保障関係」という報告書を発表いたしました。この報告書は、日本政府が集団自衛のために自衛隊を使うことができないという立場をとっていることや、日米安保条約第六条が自衛隊のいかなる役割にも言及していないこと、日米相互物品役務支援協定、ACSAの九六年が、自衛隊の対米軍支援が平時に限り、かつ武器弾薬の提供を除外していることを指摘して、こうしたあいまいな理由からアメリカが自衛隊を戦争計画に組み込めないでいるのだということで、自衛隊をアメリカの戦争計画に組み込むことを勧告しております。それは次のような文章です。  同盟を強化するかぎとなるステップは、アジアにおける地域的事態に対するアメリカの軍事的反応に対して日本を組み入れる、プランインするために、このあいまいさを完全に取り払ってしまうことである。いろいろ日本政府が言っている、協力できないような理由になっているものを取り払ってしまうことだ。例えば朝鮮戦争の際、日本は、日本から作戦展開する米軍に対する完璧な兵たん支援、あいまいでなく十分な保証、情報の交換、前線での限定訓練を伴った、そういう支援を提供する。この支援は、戦闘役務支援、シーレーン監視・哨戒、機雷掃海、地域的戦域内の米軍部隊の空輸、兵員、装備、弾薬、完全な医療支援、戦闘地域からの緊急退避を含めるべきだ。燃料補給や装備の維持も含むべきだ。しかし、日本政府は、日本国憲法が集団自衛権を禁止していると言って、現時点ではこれらの方法について言質を与えていない。  いわばこういう勧告なのですよ。一言で言えば、日本はこういうことを言っているけれども、日本を戦争計画に組み込むべきだということをこのアメリカ外交問題評議会は、報告書を発表して、勧告をしておるわけです。それがことしの五月三十日なのです。  今私が読み上げましたことは、結局、新ガイドラインに全部含まれています。このアメリカ外交問題評議会の報告書のとおりに、アメリカの戦争計画に組み込まれたということになるのではありませんか。外務大臣、いかがお考えですか。
  121. 小渕恵三

    小渕国務大臣 しばしば同様の御答弁で申しわけありませんが、外交問題評議会におけるこの指摘は、あくまでもこれは私的な団体の見解でございまして、政府としてコメントする立場にはありません。  いずれにしても、指針に言う周辺事態におきまして、我が国は後方地域支援等の対米協力を行うか否か、いかなる協力を行うかにつきましては、我が国の国益確保の見地から主体的に判断して行うものでございます。
  122. 松本善明

    ○松本(善)委員 これは外務大臣、そのようにどんなにおっしゃられようと、相手の方はそう見ているわけですよ。外交問題評議会は単なる私的な機関ではないですよ。これは、言っていることは非常にやはりアメリカにとっては権威のあることです。  この委員のマイケル・グリーン氏、先ほども申し上げましたが、前述の世界週報でこういうふうに言っています。  日本が集団自衛権の行使を認めるならガイドラインの実行はより容易になる。理想を言えば日本が集団的自衛権の行使を容認することが最善だが、現実問題としては、我々の求める九九%が新ガイドラインに含まれている、こういうふうに言っているのですよ。  いわば集団自衛権行使と紙一重のところまで米軍に協力をするということになったということを、マイケル・グリーン氏は言っています。  大臣、気がついておられたかどうかわかりませんが、かつてジャパン・タイムズが中間報告のときに「ウオー・マニュアル」、「アンペール・ウオー・マニュアル」という大きな見出しで報道したことがあります。文字どおり戦争マニュアルということじゃないですか。憲法の集団自衛権に紙一重、アメリカ側からいえば紙一重、九九%集団自衛権に近づいておる。憲法違反のそういう戦争計画に入ったということになるのではないですか。外務大臣の見解を伺いたいと思います。
  123. 田中均

    ○田中(均)政府委員 事実関係でございますから。  このマイケル・グリーン氏のインタビューというものを私も手元に持っておりますが、これそのものについて政府としてコメントする立場にないということは、大臣から御答弁申し上げているとおりでございます。  しかしながら、ここで言っていることは、集団的自衛権の行使ということは否定されているし、それに当たらない範囲内で、これまで明らかにされてこなかった日米の防衛協力のあり方というのは明らかにできる、決して集団的自衛権の行使に踏み込むものではないということが論旨としては書かれているのだろうと思います。これも、日米政府の指針から明らかでございますけれども、日本国憲法の制約の範囲内で日本は行動するということは、日本も米国の政府も当然認識をしているところでございます。
  124. 松本善明

    ○松本(善)委員 それは、憲法違反ではないということを幾ら政府が言っても、実際がどうなのかという判断になるのですよ。  それで、確かにマイケル・グリーン氏、これは憲法違反のことをやろうとしているのだと言ったらそれは大問題ですから。しかし一%なのです、彼の言うのでは。九九%集団自衛権に近づいている。言うならば、弾は撃たない、そのほかのことはすべてやるというぐらいのことがこの新ガイドラインではありませんか。  私は、外務大臣のやはり見解を伺っておきたいと思います。半ば認めたような形の答弁ではありましたが、外務大臣、こういうふうにアメリカ側 で言われていることについて、私は、本来ならば、アメリカがそんなことを言っているけれども、とんでもないと反論するのが当たり前ではないかと思うのですよ。違うと。我々は、そういう今までの政府の答弁でいうならば、アメリカがこんなことを言っているのはけしからぬと言ってしかるべきだろうと思うのだけれども、一言もそういう答弁は出てこないのですね。コメントはしないということだと、やはり私はそういう、事実上はアメリカの言っていることは本当かということになりますよ。  外務大臣の見解を伺いたいと思います。
  125. 小渕恵三

    小渕国務大臣 アメリカ政府責任ある方がそのようなことを申されているということでありますれば、それは謙虚に受けとめなければならぬと思いますが、我が国といたしましては、再々申し上げておりますように、憲法との関係において何らの問題は生ずることのないという立場でおるわけでございます。
  126. 松本善明

    ○松本(善)委員 それでは、アメリカの公式文書でお伺いいたしましょう。  コーエン・アメリカ国防長官は、五月十九日、国防計画見直しの報告書を発表いたしました。四年に一度のものです。報告書は、ほぼ同時に発生する二つの地域的大戦争に勝ち抜くいわゆる二正面対応能力の確保を明らかにしております。そして、これは強力な同盟国との連携を前提にしている、こういうふうに述べているのであります。この方向を明確にしたのが、一九九六年七月十七日にアメリカ国防総省が公表いたしましたジョイントビジョン二〇一〇、別の言い方では二〇一〇年をめざす統合戦略像という文書であります。  ここには、未来の作戦を行う際、我々は同盟国や連合の相手国と一体化し、相互運用性を改善する最も効果的な方法を見出さなければならない。我々の未来の作戦はほとんどすべてにおいて、同盟国や連合の相手国と共同して活動することを期待し、そして、ますます、我々の手続や実行計画立案は、この現実を認知せねばならない。  要するに、同盟国との共同活動を強調して、単独ではもう戦争しないのだ、必ず同盟国と一緒にやるんだという方向を打ち出しているのです。  先ほど来御紹介し、御質問いたしましたアメリカ外交問題評議会の報告も、マイケル・グリーン氏の見解も、この線上のものなのです。アメリカの戦争計画に日本が組み込まれているのは、こういうアメリカの公文書上も明らかな方向の中で起こっている。  私は、外務大臣に最後に伺いたいのでありますが、こういうふうにアメリカが言っていること、これを承知の上で新ガイドラインを進めよう、こういうことでございますか。
  127. 田中均

    ○田中(均)政府委員 委員指摘がございました七月十七日付のジョイントビジョン二〇一〇、これは米統合参謀本部が出した指針でございます。それからもう一つは、国防計画の見直しということにも言及されました。その中で、委員指摘のとおり、今の国際安全保障情勢という観点から考えれば、同盟国との協調というものが大事であるという諸点が盛り込まれているのは事実だろうと思います。  委員指摘の前提として、アメリカの戦争というふうには私どもは考えておりません。まさにそういう国際安全保障上、違法な武力が行使をされる、そういう事態をいかにして抑止するか、いかにして平和をつくるかというのが基本的な前提である、私どももそう考えておりますし、日米安保体制も防衛体制として存在をしております。
  128. 松本善明

    ○松本(善)委員 大臣にも伺いたいのですが、今の答弁ではやはり今までの議論の経過が無視されているのですよ。ずっと、きょうだけじゃないのですよ。例えば、台湾関係条項があります、あるいは米韓条約があります。これらの発動は問題なしにアメリカが独自の判断でやるわけですよ。アメリカが戦争をするという場合に周辺事態が起こり得る、その問題なのですよ。だから、今のお話のようなことではないのですね。私は、本当にこの問題は日本の今後にとって物すごく大事な問題ですから、感想的な意見でもいいですから、外務大臣の見解を伺って終わりにしようと思います。
  129. 小渕恵三

    小渕国務大臣 いずれにいたしましても、我が国といたしましては、いかに後方支援地域支援体制を行うか否かは、我が国の国益の確保から主体的に我が国として行うものでありまして、我が国としては、みずからの憲法によってきちんと対処いたしてまいりたいと思っております。
  130. 松本善明

    ○松本(善)委員 これで終わりますが、答弁をお聞きいたしまして、やはりアメリカの言っていることの方が客観的だ。政府の答弁はそれを覆していないです。  私は、やはりますます、このような安保条約の実質上の大改悪というものをさせないで憲法を守り抜いていくということが大事だということを強調して、質問を終わりたいと思います。
  131. 中馬弘毅

  132. 中川智子

    中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子でございます。大臣、よろしくお願いいたします。皆様、よろしくお願いいたします。  それでは、私は、今月十一月二日から九日まで、衆議院議員超党派七名で、ニューヨークとワシントンに国連協会の御協力を得て行きました。その折にたくさんの方、ちょうど運よくアナン事務総長、緒方貞子さんそれから明石康さん、さまざまな現場で御活躍の方々とお会いしてまいりました。そこで私たちは、割と胸を張って堂々と、本当にいろいろなことを勉強させていただこうと思って伺ったわけですが、そこで伺った話は、特に緒方貞子さんからこのように言われました。  今回、日本のODA予算の一〇%、それが現場では四〇%ぐらいの削減になってしまって、私たちは本当にもっともっとしなければいけない、そして今まで日本が一生懸命出してくれたことによってたくさんの仕事ができたけれども、本当にお金がないと働けないのですと。このように一律カットというふうに言われてしまうと、現場では、もう目の前にたくさん仕事があっても、お金がないということで働けないのですと。悲痛な叫びでした。  この叫びに対して、外務大臣、どのようにお考えでしょうか。ODAの一律カットというところでたくさんの御質問がございますが、現場でついこの間伺ってきました、この、働けない、私たちは一生懸命やっているのにこの日本のODAカットがどれだけ現場では痛いか、そのことを伝えてくれと言われました。きょうはこのような機会を与えられましたので、まず冒頭、そのことについての外務大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  133. 小渕恵三

    小渕国務大臣 私自身も、国連の事務総長から始まりましてそれぞれ機関の責任者から、今委員が御指摘のような点につきましては強い要請を承っておりました。改めて委員もじかにお伺いして、この委員会で御発言を受けていることは承知をして、これから対応していきたいと思っておりますが、改めてでございますが、国連等を通じた国際貢献の重要性につきましてはいささかも揺るぎないものと思っております。  この拠出につきましては、ODAの予算の削減が大変カット率が高かったために、概算要求の段階で一律にこうした削減率に基づきまして大蔵省に要求をいたして、このことが今御指摘のようなそれぞれの機関からの強い要請になっておるわけでございます。今後、本格的な最終の予算編成までには、この問題について外務省としては適切に対応のできるように努力をしてまいりたいと思っております。
  134. 中川智子

    中川(智)委員 ぜひともその声をしっかりと聞いていただいて、私はやはり特にたくさんの声の中で、緒方さん、明石康さんがみずからの健康とか危険とかを顧みずにやっていらっしゃる姿、そしてその場所で働く、特に日本人の方もたくさんお会いしましたが、お金のことは本当はつらくて言えないけれども、でも今はお金なんですという言葉をしっかり受けとめていただきたい、そのように思います。  それでは、続きまして、経済協力局の民間援助 支援室所管のことにつきまして御質問をさせていただきます。  財団法人の日本国際医療団について具体的には質問をさせていただきますが、この医療団が、本年の七月に行われた会計検査院の外務本省に対する定期検査の折に、当財団も同省より交付されている補助金について実地検査を受け、これが不適あるいはまた不当な事項が指摘された結果だと思われますけれども、十一月四日付命令第十四号におきまして、外務大臣名で、平成七年度海外技術協力推進団体補助金確定額を取り消し、金六百七十六万九千九百四十三円の返還を命ずる命令書が出されたと聞いていますが、調べによりますと、同命令書には理由が付していなかったとも聞いております。  まず質問ですが、補助金確定額を取り消した理由について、かつそれは会計検査院から指摘を受けた事項と一致しているのかどうか、また命令書にその理由を付さなかったのはいかなる理由なのかということをお伺いいたします。
  135. 大島賢二

    ○大島政府委員 財団法人日本国際医療団という団体につきましては、開発途上地域にあります国々に対しまして日本政府が行っておりますいろいろな医療協力の推進に寄与する事業を行うこととしております。昭和四十二年に設立をされて、外務省、厚生省両省の共管法人ということになっております。  医療分野におきます活動、具体的にはブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、こういった東南アジア諸国に対します医療とか厚生面での医療行政に対する支援、それからいろいろ日本で発行されております医学書の翻訳、それから巡回医師団の派遣等々、地道ではありますけれども、こういった分野の仕事をやっておる財団でございます。  そこで、ただいま委員の方から御指摘がありました会計検査院との関係でございますけれども、本年七月に会計検査院が行いました国際医療団に対します定期検査の結果に基づきまして、会計検査院の方から外務省に照会がございました。それで、その照会に基づきまして、医療団に対しまして事実関係について確認をいたしましたところ、財団側におきまして人件費について、外務省が補助事業として補助金を出しておりますけれども、その補助金の対象にされている人件費とは違う趣旨の人件費の支払いが一部あったということが確認されましたので、外務省から財団側に対しまして、その分国庫返納をするように求めたものでございます。  この補助事業につきましては、こういう事態もございましたので、適切な運用が図られるように、この国庫の返納以外にも財団の指導監督についてはこれからも十分してまいりたいと思っております。
  136. 中川智子

    中川(智)委員 今の質問の最後に出したことに対しての御返答がないのですが、これは理由が付していなくて、最初は室長名で出されたと伺っているのですが、なぜ理由は書かずに、そして大臣名ではなかったのかということをお答えください。
  137. 大島賢二

    ○大島政府委員 失礼いたしました。  この返還命令につきましては、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律というものがございますが、その法律の十七条第三項という規定がございますけれども、補助金を他の用途に使用した場合に行われる規定でございますけれども、この規定に基づいて、返還をするように命じたものでございます。
  138. 中川智子

    中川(智)委員 平成七年度において補助金で人件費が補助されている職員は補助事業にかかわることは当然だと思われますが、すなわち補助金交付要綱の趣旨はそういうことだと理解しているのですけれども、この財団の事務局組織規程にも、これは理事会の議決により規定しているらしいのですが、そこにも補助事業を分掌するように明記しているとのことですが、これらの諸法令に違反する、不当と言える業務分担はどのようにしてなされたのかというところを伺いたいのですけれども、おわかりですか。
  139. 大島賢二

    ○大島政府委員 本件につきましては、先ほど御説明しましたように、不適切な人件費の支払いということがございました。  さらに本件につきまして調査をいたしまして、本来の目的に沿った事業でないものがあればもちろん改めて指導していきたいと思いますけれども、現在までのところ、きちっと会計検査院からの照会を受けまして調べた結果が先ほど御報告申し上げたようなことでございます。
  140. 中川智子

    中川(智)委員 じゃ、そこのあたりの責任をやはり明確にしていただきたい。理事長あるいは専務理事、そこの方たちがどのように判断して行ったのかということを、しっかりとこちらの方にも後日、御連絡をいただきたい、文書でいただきたいと思います。  そしてまた、それを究明して、権限ですが、今申しましたように、だれがどのような権限を持って行ったかということを調べていただいて、組織ぐるみで行ったのか、それとも個人か、複数名で行ったのかどうかということをお調べください。そして、もし原因が、個人もしくは複数の人々で引き起こされたのであれば、諸法令違反の不法行為としてその人自身が返還金をすべて弁済する、そのように理解していいのでしょうか、その個人の責任として返還金を弁済すると。お願いします。
  141. 大島賢二

    ○大島政府委員 本財団の事業内容に関しましては、そういうことで、人件費の問題について問題があったということで、遺憾といたしております。  この運用体制の改善につきましては、指導監督を行ってきちんとやっていくということにしたいと存じておりますけれども、今委員の方から御指摘のございました細かい運用につきましては、きちんとさらに調査をいたしまして、後刻御報告をさせていただきたいと思います。
  142. 中川智子

    中川(智)委員 その報告を受けた後での措置になるかと思いますが、そのような不祥事を起こした外務省、財団の責任者の処分というのは、まだここでは考えていないというか、これからのことになるわけですね、しつこいですが。(大島政府委員「そうです」と呼ぶ)そうですね。  それでは最後に、今後のことなのですけれども、先ほどのODAやさまざまなものと絡みますが、やはり補助金で行うときの世の中に見えていく姿が非常に不明朗であるということが、かえって一生懸命やっていらっしゃる方々に対してそれが非常に不幸な結果をもたらすということを痛感しております。そこの措置外務省、しっかりと考えて、納得できるような形で計らっていただきたいと思います。  それと、ちょっと重なりますが、今後のことについてお伺いいたしますが、財団においては今なお業務分担は以前のままと聞いておりますが、当然のこととして、行政指導等によって是正される、このように進んでいくべきだと思います。とりわけ担当部署の財団に対する対応策というのをやはり、今まだきっちりとした結果としてはお答えができないかもわかりませんが、この不祥事を受けまして、財団に対する対応を伺いたいと思います。  また、このような不当な業務分担にとどまらずに、特に補助事業にかかわらせなかった、そのことにかかわらせなかった職員の中には、人事面や給与面等々でこれまでずっと不利益をこうむってきたという指摘がございますが、そのあたりの事情の調査と、そして今後同じ過ちを繰り返さないためにはどのような指導を行っていくかということを現時点でここでお述べいただくことについて、お願いしたいと思います。
  143. 大島賢二

    ○大島政府委員 本財団につきましては、先ほど申し上げましたように、非常に高い評価を得ておる仕事をやっておりますが、財団の運営につきましては、補助金の一部分につきまして返還命令を発出したということもございます。  なお、この財団の運用体制の改善につきまして、私どもとしても、指導監督をきちっとやるよ うにしていきたいと思いますが、内情もよく調査をいたしまして、後刻改めて御報告をさせていただきたいと思います。
  144. 中川智子

    中川(智)委員 大体、その報告というのはどれぐらいの期間を持っていただけますか。
  145. 大島賢二

    ○大島政府委員 できるだけ早急にやりたいと思います。
  146. 中川智子

    中川(智)委員 業界用語で可及的速やかにということで、よろしくお願いいたします。  きょうはピンチヒッターで、ちょっと時間が余りましたが、また後是していただければうれしいと思います。  では、ありがとうございました。
  147. 中馬弘毅

    中馬委員長 平野博文君。
  148. 平野博文

    ○平野委員 最後の質問となりました。無所属の平野博文でございます。  まず最初に、私、時間が余ったということで非常にうれしく思っておるわけであります。  小渕外務大臣に初めて質問をさせていただくわけですが、私は、大臣に対するイメージは、ちょうど平成の元号を国民の前に初めて発表された方でございまして、私も若かりしころ、ああ、この方が平成を担う政治家なのかな、このように思ったわけでございますし、また、今その先生に、外務大臣として日本を担っていただく、そういう方に質問をでき得る機会を本当にうれしく思うわけでございます。  また、個人的ではありますが、小渕議員には、スリランカの件に対しまして、日本・スリランカ友好議員連盟の中で大変御尽力をちょうだいいたしました。質問に入る前にお礼を申し上げておきたいと思います。  それでは、質問に入っていくわけでありますが、まず、日ロの関係という視点でいきたいと思います。また、その後、アジアの通貨危機に関しての質問等々あるわけでありますが、順次していきたいわけでございます。ただ、多くの委員が御質問されておりまして、重複は大変、もう四時間にかかっておるわけでありますから、省いて質問をしていきたいと思っております。  さて、ことしの十月末以来、米中首脳会談を皮切りに、日米中ロ、この四国の間で活発に首脳外交を展開されてきたわけであります。とりわけ、アジア太平洋地域における冷戦後の新しい秩序を模索する動きになっているのではないか、このように感じておるわけでございます。  そういう中で、今日まで日本外交というのはどういう基軸で来たか、冷戦という背景があったわけでありますが、米国中心で展開されてきたのではないか。アジア国々に対しては政府間援助という視点で主体的にしてきたように私は思っておるわけでありますが、この認識は正しいかどうか、大臣の所見をお聞きしたいと思います。
  149. 小渕恵三

    小渕国務大臣 日本外交の基軸は、今御指摘になられましたように日米を中心にしてやってまいったわけでございますが、ただ、アジアにつきましては、単に経済協力ということでなくて、やはり日本アジアの一員でございますので、あらゆる面にわたりましてアジアの諸国との友好を深めてまいったわけでございまして、今後とも太平洋アジアの主要な国としての自覚を持ってこれから対処していきたいと思っております。
  150. 平野博文

    ○平野委員 そういう視点で見ますと、さらにこれからの外交国際情勢の変化を踏まえて見ますと、アジア太平洋地域の安定と発展のためには、一つの視点としては、よりグローバル化している国際情勢、さらには多宗教、多民族の多様なアジア地域、多様な各国の事情、アジア主義等々いろいろ課題があるわけでありますが、そのことを踏まえて、まずは日中、日ロ、この両国の対話が必要であろうと思いますし、その前提として、日本外交方針を明確に、まずは日本国内の国民に示すべきではないでしょうか、このように思うわけでございます。  そういう視点で、私は、今の日本というのは、やはり平和憲法のもとで軍事的背景を持っていない、こういう大前提のもとに、相手国との二国間の対話を中心としながら、具体的にどうしていくか。特に、ODAも含めまして、民間ベースをこれからより中心に、主体的になるような方針を出していただきたいと思うのでありますが、そのお考えについては外務大臣、どうでございましょうか。
  151. 小渕恵三

    小渕国務大臣 申すまでもありませんが、日本は現憲法のもとに国際的な、かりそめに紛争がございましても、それを解決する手段として武力を行使しないということでございまして、その前提で各国の理解と信頼を得ながら我が国の国際的な地位を高めていくという立場でございますので、その基本路線にのっとってこれからも当然進んでいかなきゃならぬと思っております。
  152. 平野博文

    ○平野委員 それでは、日ロの関係で少し御質問をしたいと思います。  橋本総理エリツィン大統領との間で非公式な首脳会談、また外務大臣プリマコフ外相との定期外相会議等々開催されたわけでございます。そういう中で、橋本・エリツィン・プラン、さらには二〇〇〇年までの平和条約の締結を目指す、こういうことで、私は、非常に日ロ関係が改善されているのではないか、このように思うわけであります。  しかし、やはり国民の本来の感情からいきますと、北方領土はどうなっているのだ、こういうところが心の隅に常につきまとう課題でもございます。  そういう意味で、今回、北方領土の障害を前面に出さずに会談をされたことに一つの前進が見られたわけでありますが、私は、これからさらに日ロの外交を太くしていただく、そういうことは大前提として必要であろう、また不可欠な外交だろうというふうに思っているわけでありますが、今後、こういう国際情勢の中で日ロ外交のあるべき姿、これをどのように考えられているのか、さらには、その中で北方領土問題をどのように位置づけておられるのか、ぜひ外務大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  153. 小渕恵三

    小渕国務大臣 日ロの関係は、共同声明が発せられ、国交が回復して以降、幾多の変遷を経ましたが、今日は極めてよき関係になっておると思っております。こうした時期をとらえて、かねてからの念願でありました平和条約を締結する絶好のチャンスと心得て対処しようというのが橋本内閣の基本的考え方でございます。  御案内のように、デンバーにおけるサミットにおいて両首脳会談をいたして以来、今日まで御承知のような経過で、クラスノヤルスクでも、東京宣言を前提としての平和条約締結、しかも二〇〇〇年までにという期限も切って努力をしようということでありますので、これをぜひ実現をするために、両国ともこれからあらゆるレベルで努力をいたしまして、そのよき結果を招来するように努力をしていきたいと思います。  来年四月にはエリツィン大統領が再度、我が国を訪れるという機会がございますので、それまで可能な限り、私といたしましてもロシアプリマコフ外相との関係において積み上げて四月を目指したい、こう思っております。
  154. 平野博文

    ○平野委員 今の大臣のお答えの中に、北方領土の問題というのは当然その中に組み込まれて取り組まれるというふうに理解してよろしいのでございますか。
  155. 西村六善

    ○西村(六)政府委員 当然のことでございまして、ただいま大臣が御説明いたしましたとおり、今回のクラスノヤルスク合意におきましては、東京宣言に基づいてというくだりがございます。東京宣言に基づきますと、先生御存じだと思いますけれども、四島の名前を明記いたしまして、この四島の帰属に関する問題を「歴史的・法的事実に立脚し、両国の間で合意の工作成された諸文書及び法と正義の原則を基礎として解決する」というふうに述べているわけでございまして、北方領土問題が中心的な焦点に当たっているというところは間違いないところでございます。
  156. 平野博文

    ○平野委員 私、今お答えをいただきましたことはよくわかりました。しかし、北方領土問題積年の思いとしての最大の障害というのはロシア国 内の国民の世論にある、世論形成ができていないのではないか、このように思うわけでございます。そういう意味では、ロシア国民の中に本当に日ロの平和条約の必要性ということをもっと広く知っていただく必要があろうと思うわけでございます。  そういう意味では、私、ロシア国民に、北方領土というのは日本の固有の領土なんだよ、こういうことを本当に知ってもらう機会を、もっと日本国があらゆる機会を通じて世論を高めていく、またに日ロでそういう機会をつくっていく、醸成をしていく、それが非常に早道ではないか、このように思うわけでありますが、そのような具体的な考え方、認識は大臣お持ちでございましょうか。
  157. 小渕恵三

    小渕国務大臣 全く御指摘のとおりでございまして、ロシアも、言うまでもありませんが、大統領選挙、国民の意思によって大統領を決定するということでありますし、また議会も存在をいたしております。そういう意味で、国民を代表する大統領並びに議会の方々がこの問題について最終的判断をするためには、また国民世論の形成ということも必要ではないかと思っております。  今回、エリツィン大統領もこうした大決断をいたしました以上は、このことを実現するためにはロシア国民自身の認識も深めなきゃならない、そのためにはみずから努力をして、国民の意識を、しっかりした認識を持っていただくための努力をするというような発言もあったやに聞いておりますので、そうした意味で、大統領以下政治家がそのような決断のもと、大いに国民の意識を改革していただくと同時に、日本側といたしましても、これからいろいろな経済協力、すなわち橋本・エリツィン・プランというものを実行することによって、それぞれ各界各層の方々が日本に対する深い理解を深めていくという努力も必要ですし、また人的な交流もできる限りしていかなきゃならない。  そういった意味では、経済界の皆さんが大変熱心に団を組みまして、ここ数カ月の間に訪ロする予定と聞いておりますので、こうしたこと。さらに、実は委員長もおられますが、それぞれ議会の方々がモスクワその他に参られまして、日本側の気持ちを相手側の政治家にもお伝えしておる、これも大切なことだろうと思いますし、昨日も実はエネルギー問題をめぐりましてロシアから多くの国会議員が参られました。そういう方々とも、私自身も、委員長も実は出席をされまして、いろいろな場所で我が国立場を説明しておるわけでありまして、これをトータルに、総合的にもっと進めていくことができれば、ロシア国民の認識も大いに改善されていくのではないか、このように考えております。
  158. 平野博文

    ○平野委員 気が早いわけでありますが、もし返していただけるという前提に立つとしますと、つい先日の中ロの首脳会議では、少し課題が違いますが、中ロの国境線の画定宣言が実はあったわけであります。特に、領有権が変わる島については、旧領を領有している国民の居住に関しては引き続き島の利用を認める、いわゆる共同利用方式という方式が決着されたように聞いております。  中ロの国境の画定の問題と北方領土の問題は背景は異なっておりますが、ロシア側はそういうモデルを一つの解決方法としてモデル化しているわけであります。この北方領土もそういうことも一つの方法としてはあるのでしょうか。仮定の話で申しわけありませんが。
  159. 小渕恵三

    小渕国務大臣 中ソ、今は中ロでございますが、国境交渉は、過去に作成された両国間の国境に関する条約において明確にされなかった境界の正確な画定を課題としたものと承知いたしております。  これに対しまして北方領土は、歴史的にも法的にも我が国固有の領土をロシアが不法に占拠していることに起因するものでありまして、中ロの国境問題とは全く性格の異なる問題であります。したがいまして、両者を同列に論ずることはできず、中ロの方式が北方領土問題解決のモデルになるとは考えておりません。  たまたまAPEC中国の銭其深外相ともお話を申し上げまして、たまたま中ロの首脳会談もあり、日ロの首脳会談もあった。そして我が国の四島問題も実は率直にお話しし、中国ロシアとの関係における境界線画定の問題にも触れまして、いろいろお話ししましたが、率直に言って中国側のお考え我が国考え方を了とされたと私は理解しております。
  160. 平野博文

    ○平野委員 それでは、時間もたってきましたから次の質問に移りたいと思いますが、アジアの通貨、金融不安について、こういうことで御質問を二、三してまいりたいと思います。  御案内のとおり、ことしの七月のタイのバーツの実質切り下げに端を発して通貨危機というのはあちこちに影響が出ておるわけでございます。とりわけ東南アジア諸国経済に深刻な打撃を与えておるというのは皆様御案内のとおりでございます。  東南アジアで発生した通貨危機が隣の韓国での金融不安にまで達したということで、地域間の相互依存が格段に今経済的にも高まっている、また強まっているということでございます。一国一地域における金融不安が世界経済に重大な影響を及ぼす可能性を実は体現をしておる、こういうことであります。すなわち、金融安定化に向けて各国が協調して取り組む必要性を改めて露呈したように思えてなりません。  また、この地域の金融不安が日本経済に及ぼすいろいろな影響も多大なるものがあると私推測をしております。我が国がこの地域における経済的なプレゼンスの大きさを考えるならば、日本アジア通貨経済の安定について主導的役割を果たす責任があろうと思いますし、それがまた国益につながるものだと考えております。  政府は、アジアの金融不安が我が国経済にもたらす影響の大きさをどのように認識し、評価をしておるか、また日本アジア地域の金融安定化に向けて果たすべき役割をどのように認識しておられるか、政府の見解をお聞きしたい。
  161. 小渕恵三

    小渕国務大臣 東南アジアに端を発した通貨、株式市場の変動の影響の例からも明らかなように、世界経済が一体化がますます深まる中で、一国の経済情勢の変化は世界市場全体にも大きな影響を及ぼすようになっております。  アジア国々におきましても、従来、四つの上る竜とかあるいはまたジャイアントタイガーと言われるように目覚ましい発展をいたしてまいりましたが、このところ通貨問題をめぐりまして極めて金融不安定な状況になってきておることは今御指摘のとおりだろうと思っております。タイのバーツやあるいはインドネシアのルピア、こういう通貨と同時に、現在、隣国韓国におきましてのウォンの問題も生じておるわけでございます。  我が国自身も、この通貨、金融問題について今いろいろの対処を要しなければならない時点だとは存じておりますけれども、やはりこの地域のリーダーといいますか、兄貴分といたしまして、アジア全体が安定するために日本として行わなければならない役割も大きく期待をされておるところであります。したがって、タイやインドネシアに対するIMFとの協調の融資も行われようとしておるわけでございまして、そういった意味で、再びアジアが大きく成長のできるように日本としての責任を果たしていかなければならないと考えております。
  162. 平野博文

    ○平野委員 時間が終了しましたというメッセージが来たわけですが、最後に一つ御質問したいのです。  特に日本経済というのは、アジアの通貨危機の打撃を受けると同時に、国内においても、やはり消費税の導入を含めて非常に景気が低迷をしております。そういうことを考えますと、金融機関がますます貸し渋っている、こういうことでございます。  いま一つ詳しく御質問申し上げて聞きたいのですが、時間が来たということでありますので、箇条で御質問申し上げますからお答えをいただきたいと思うのです。  特に、日本の銀行が東南アジア諸国に向けて融資をしておる金額が大体幾らになっているのか。それと、融資をしている金額がどれだけ焦げつきになるのか。もう既に焦げついておるのか。このことを金額ベースでまず一つ教えていただきたいと思います。  いま一つは、このことがますます日米の貿易摩擦を再燃させる要因になると私は思います。といいますのは、やはりアジアの市場が低迷をしてきますと、そのエネルギーがどちらに行くか。日本国内に戻るにしても消費が低迷している、そうしたら必然的にアメリカのマーケットに動くわけでございまして、ますます貿易黒字が拡大する、こういうことでございます。九七年度上半期では、対前年同期比で七五%の大きな黒字になった、こういうことでございます。  私は、そういう視点からは、やはり国内の内需拡大策をとっていくべきだと。ところが政府は、財政再建が急務だと。こういうことで、減税等々を私は前の委員会でも申し上げたわけでありますが、内需拡大策の大きな方法というのはもう減税しかないではないか。  政府は規制緩和だと言っているわけでありますが、改めて、内需拡大策というのがアジアのそれぞれの国に迷惑をかけずに日本が景気回復をしていく大きな要因になると思いますので、そういう視点での考え方をいま一度、財政出動をされてでも減税ということを考えておられるのか、おられないのかわかりませんが、ぜひともお願いをしたい、このように思います。
  163. 井阪喜浩

    井阪説明員 数字だけ申し上げます。  国際決済銀行の国際与信統計がございまして、九六年十二月末の我が国アジア向け債権の残高は、日本円に換算いたしまして約三十兆円ございます。これは、全国銀行の総資産の比率で申しますと、約三%になっております。  それから、どれぐらいが焦げついておるかという御質問でございますが、我が方で把握しておりますのは中長期貸付残高についてでございますが、九七年六月末現在で約一・二%ということでございます。
  164. 鈴木勝康

    ○鈴木説明員 内需拡大策についてのお尋ねでございますが、現在の景気認識につきましては、民間需要を中心とする景気回復の基調は失われていないと考えられますけれども、景気に従来のような力強さを感じることができないというのは、構造的な問題のあらわれではないかと思っております。  こうした中で、民間需要中心の持続可能な成長を達成し、中長期的に日本経済をより活性化するために、規制緩和を初めとする構造改革等を実現することは重要であり、先般、経済構造改革の前倒し等を内容とする経済対策、二十一世紀を切りひらく緊急経済対策を策定したところでございます。  御承知のように、現在の危機的な財政状況のもとでございまして、後世代への負担の先送りといったことにつきましては、財政構造改革に逆行するということで、適当ではないと考えている次第でございます。
  165. 平野博文

    ○平野委員 時間が参りました。  最後に、今規制緩和ということを言われましたが、規制緩和も非常に大事な施策であります。いま一度、内需拡大策に減税、政策減税を含めて恒久減税のあり方を強く私は求めたいと思います。  最後になりました。対人地雷の禁止に向けての大臣の行動、見識の高さに心より敬意を表しまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  166. 中馬弘毅

    中馬委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時十三分散会