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1997-11-26 第141回国会 衆議院 外務委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十一月二十六日(水曜日)     午前九時十分開議  出席委員   委員長 中馬 弘毅君    理事 福田 康夫君 理事 牧野 隆守君    理事 茂木 敏充君 理事 森山 眞弓君    理事 青木 宏之君 理事 東  祥三君    理事 玄葉光一郎君 理事 松本 善明君       逢沢 一郎君    柿澤 弘治君       河野 太郎君    阪上 善秀君       櫻内 義雄君    下地 幹郎君       野呂田芳成君    森  英介君       渡辺 博道君    坂口  力君       島   聡君    松沢 成文君       丸谷 佳織君    山中 燁子君       若松 謙維君    末松 義規君       藤田 幸久君    古堅 実吉君       秋葉 忠利君    平野 博文君  出席国務大臣         外 務 大 臣 小渕 恵三君  出席政府委員         内閣法制局第一         部長      秋山  收君         防衛庁防衛局長 佐藤  謙君         防衛庁運用局長 太田 洋次君         防衛施設庁長官 萩  次郎君         防衛施設庁総務          部長      西村 市郎君         防衛施設庁施設         部長      首藤 新悟君         外務大臣官房領         事移住部長   内藤 昌平君         外務省総合外交         政策局長    加藤 良三君         外務省総合外交         政策局軍備管理         ・科学審議官  阿部 信泰君         外務省総合外交         政策局国際社会         協力部長    朝海 和夫君         外務省アジア局         長       阿南 惟茂君         外務省北米局長          事務代理    田中  均君         外務省中近東ア         フリカ局長   登 誠一郎君         外務省経済局長         事務代理    横田  淳君         外務省経済協力         局長      大島 賢三君         外務省条約局長 竹内 行夫君  委員外出席者         大蔵省証券局企         業財務課長   三國谷勝範君         大蔵省国際金融         局開発機関課長 大村 雅基君         外務委員会調査         室長      宮本 吉範君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月二十六日  辞任         補欠選任   田中 昭一君     渡辺 博道君   伊藤  茂君     秋葉 忠利君 同日  辞任         補欠選任   渡辺 博道君     田中 昭一君   秋葉 忠利君     伊藤  茂君     ――――――――――――― 十一月二十五日  日米防衛指針慎重審議、憲法の理念に基づ  く自主的な外交に関する請願(土井たか子君紹  介)(第七二七号)  同(土井たか子君紹介)(第七六〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十一月二十六日  ILOパートタイム労働条約の批准に関する陳  情書  (第五二号)  中城湾への原子力潜水艦寄港反対に関する陳情  書外八件  (第五三号)  F15イーグル米軍戦闘機風防ガラス落下事  故の原因究明安全管理の徹底及び連絡体制の  確立に関する陳情書  (第五四号)  アメリカ政府による未臨界実験実施計画に関す  る陳情書  (第五五号)  日韓日中新漁業協定早期締結に関する陳情  書  (第五六号)  石川県出身者の一時帰国の実現に関する陳情書  (第五七号)  外国公館設置支援等に関する陳情書  (第五八  号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国際情勢に関する件      ――――◇―――――
  2. 中馬弘毅

    中馬委員長 これより会議を開きます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河野太郎君。
  3. 河野太郎

    河野(太)委員 おはようございます。自由民主党の河野太郎でございます。  先般、外務大臣にお供をさせていただきまして、国連の方へ行ってまいりました。その前に、山本一太参議院議員と一緒になりまして、日本国連貢献考えよう、さらに日本常任理事国入りを目指そうという議員連盟をつくりまして、外務大臣にその会長に御就任をいただいたところでございます。そういった経緯があったものですから、この八月に国連山本一太参議院議員と二人で行ってまいりました。常任理事国代表部の方、あるいは国連の方々、いろいろな方にお目にかかりまして、常任理事国入りの話、その他のことをいろいろとお話をさせていただきました。  そこで国連PKO関係者にもお目にかかっていろいろな話をしたのですが、一つ困ったことがございまして、それは何かと申しますと、かつて日本PKOに関する議論をやりましたときに、参議院PKO特別委員会で、国連コマンドとそれから総理を本部長とするコマンド両方コマンドがあって、片方をお指図と訳して、もう片方指揮だという政府統一見解が出されております。その政府統一見解の話を国連に行ってPKO関係者といろいろやろうとしたのですが、日本語でこっちのコマンドはお指図と訳す、あっちのコマンド指揮と訳すという話を逆に英語でやるときに、お指図という言葉指揮という言葉を何と英語に訳して戻していいかよくわからないのですね。そこで、身ぶり手ぶりでいろいろやりましたが、どうも通じなかったのか通じたのかよくわかりません。  外務省が公式に、コマンドをお指図と訳し、こっちのコマンド指揮と訳すということを英語で言うときに、お指図指揮という日本語を何と英語に訳し戻しているのか、まずお伺いさせていただきたいと思います。
  4. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 国連指図コマンドと、それから、ちょっと今至急原文をチェックいたしますが、指揮の場合、コントロール、あるいはそのような言葉が使われているかもしれません。直ちにチェックをいたします。
  5. 河野太郎

    河野(太)委員 何でこれに困ったかといいますと、PKO局次長とお目にかかりまして、日本PKOというのはこういうことだという話をいろいろしたのですが、五原則というのは向こうもわかっていらっしゃるような感じでしたが、この国連コマンド日本コマンドを、お指図指揮とやってこうなんだという話を三十分ぐらい延々とやったのですが、そのPKO局次長さんは納得しないのですね、そんなことはないと。もし仮にそれが本当なら、それは国連の言っていることと日本のやっていることは違うとはっきりおっしゃいました。そこで、私も困りまして、それじゃ、政府統一見解というのがあるから、これをあなたに送る。それであなた、それを読んで、国連の言っていることと日本のやっていることが違うのかどうかコメントを下さいということで別れたのです。  まず問題になりましたのが、政府統一見解英語になってないのですね。英語にしてくださいというお願いを衆議院なり外務省なりいろいろしているのですが、きょうに至るまで八月の終わりから出てまいりません。政府統一見解というものの英文があるのかどうか、まずお伺いしたいと思います。
  6. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 いわゆる政府統一見解と言われるものの内容は、平成三年十一月二十日、衆議院PKO特別委員会に提出させていただいた資料、それから十二月六日の参議院PKO特別委員会に提出させていただきました資料、それから平成四年五月十八日、参議院PKO特別委員会における外務大臣発言、この三点を指すものと思われます。  この三点そのものについての英文というのは、作成したものはございません。もっとも、国連平和維持活動参加に当たっての考え方というものを、国連平和協力法内容とともに、英文資料の形で作成したものはございます。
  7. 河野太郎

    河野(太)委員 コマンドをお指図と訳す、あるいは指揮とも訳すというところは、私の記憶では、かなりいろいろ議論があったところであると思います。日本PKO関連法案についてここは一つ大事なところで、日本はこういう考え、こういう解釈でやっているんだということが国連並びに関係各国に伝わっているのかどうか。国連PKOのナンバーツーだかスリーだかわかりませんが、役職を持っている人が、私の英語の問題もありますし、使った用語の問題もあると思いますが、そういう話をしたときに、それは違うと言下に否定されているわけです。まあそれは、私の問題が多分にあるのかもしれませんが。  こういうお指図指揮が対外的に説明がきちっとされているのかどうか。国会に向けてはそういう説明がされておりますが、対外的にどこまで、国連にはどういう説明をどこまで、このお指図指揮の話をやったのか。あるいはカンボジアその他で日本部隊が出ておりますが、日本部隊上官になるような人物あるいは組織といったものにどれだけ説明をしているのか。あるいは外務省も、お指図指揮を何と訳すか調べなければわからぬという状況では、それ以降たびたびPKOが出ている、あるいはこれからたびたびPKOが出ていくわけですが、まあお指図を出すというのか指揮を出すというのかわかりませんが、その部隊上官になる人間に対して、このお指図があって、指揮があるんだ、そういう説明を本当に相手がわかるように、英語文章もない、指図指揮用語も何と訳し戻すのかよくわからぬという現状で、これが本当に外国に伝わっているとは到底思えないのですが、そのあたり、外務省、今までどういう説明をだれに対してどうやってきたのか。文書もなく、用語もよくわからぬで、どういう説明ができたのか、ちょっと御説明をいただきたいと思います。
  8. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 まことに申しわけございません。用語がないわけではなくて、今私がちょっと準備が不足だったために調べているということでございます。  それで、国連との関係でございますが、問題の本質に関する限りは、実は私ども認識は、十分日本立場というものが国連に伝えられているということでございます。先ほど申し上げました政府統一見解と称するもの、これはコマンドの問題も含めまして、法律制定過程、それから法律ができた後、その他ずっと一貫して国連責任者説明をいたしておるわけでございます。  例えば、平成三年には、当時の河村国連局審議官からグールディング次長に対して説明をいたしておりますし、平成四年六月には、当時の野村内閣法案準備室長から同じく国連グールディング次長に対して、内容等につき相当詳細な説明を行っております。その際に、いわゆる五原則と合致した形で国連コマンドに適合するよう実施要領作成されるといったような一番肝心な部分についての説明も十分行いまして、その関連での説明資料というものも先方に提供しているということでございます。  そして、そういう状況でございますので、私たちは、我が方の基本的立場について従来から国連側説明し、その理解を十分得ているという心証を持っているわけでございます。それに、実際に展開しているPKO日本部隊参加する場合に、PKO司令官などに対しましては、こういう国連に対する我が国説明を踏まえて、国連本部から説明が行われているということだと思っております。そういう国連本部との間の了解でございますし、この件にこれまで、今委員が御指摘のような点について、国連の実際の展開部隊司令官等関係で問題が特に生じたということもないと理解しております。
  9. 河野太郎

    河野(太)委員 そういう心証である、認識であるということはよくわかりましたが、私の心証認識は、PKO局の幹部の方がよく知らぬ、それは違うと言っているのでありますから、これはもう一度きちんとした説明をし直さなければいかぬのだろうと思います。そこのところは再度統一見解文書にして、国連に対してきちっと提示をしていただきたい。  それから、国連本部から部隊上官になる方に説明があるのは当然だと思いますが、現状では恐らく、このお指図指揮に関しての説明がされているとは、PKO局次長が知らないのですから、それは国連本部フィールドコマンダー説明をするときにそこが入っているとは到底思えません。日本政府として、日本政府はお指図指揮はこういう考えだということを文書にして、フィールドコマンダーにきちんと説明をする必要が当面あると思います。その説明をする文章をまずきちんとつくっていただきたい。  統一見解英文もきちっと、オフィシャルな英訳を、この際こういうことがあったわけですからきちんと英訳をしていただきたいと思います。それがまずできるかどうか。外務省、よろしくお願いします。     〔委員長退席福田委員長代理着席
  10. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 統一見解につきまして、コマンドの問題を含め、我が国考え方ということについて、平和協力法内容とともに我が方の協力活動説明した英文資料というものは既に作成済みのものがあり、これに基づいて十分国連側説明を行っているというのが私ども認識でございます。  それに加えて、ただいま委員から統一見解そのもの、三点セットについての英文ということが必要ではないかということでございますので、その英訳作成につきまして御要望に沿えるように作業いたしたい、こういうふうに思っております。  繰り返しになって恐縮でございますけれども、実際の問題としては、国連平和維持活動への参加に際しては、我が方としては、政府としては十分に国連側協議を行ってきているつもりでございます。しかし、今後とも我が国国連平和維持活動参加に当たっての考え方については、委員の御指摘もございますので、国連側に対してさらに十分な説明を行って、より一層の理解を得てまいりたいと思います。
  11. 河野太郎

    河野(太)委員 それでは、統一見解英文をお待ちしたいと思います。よろしくお願いいたします。  それでは、さらに進めまして、国連常任理事国入りに関する話題が大変に、一部では盛り上がっております。まず現状日本国連常任理事国入り予想どおりになかなかうまく進んでいないという雰囲気もあるようでございますが、外務省は今現状をどういうふうに認識されているのか、現状認識をお伺いしたいと思います。
  12. 小渕恵三

    小渕国務大臣 安保理改革議論の中で論じられております我が国常任理事国入りの問題につきましては、これまでの議論を通じましておおむね各国の支持が得られておると考えております。  本年は、三月に当時のラザリ総会議長が包括的な改革案提示したことなどにより、改革機運は高まり、我が国としても、本年末まで改革大枠につき加盟国間の合意を得るべく鋭意努力をしてきておるところでございます。現在、改革具体案のあり方につきましては十分な意見の収れんを見ることができず、本年中に改革大枠を定めることは困難な見通しとなっております。安保理改革早期実現国連加盟国の総意ともいうべきものであり、我が国としても、来年以降も引き続き各国との緊密な協議を通じて改革早期実現のため努力していく考えであります。  委員指摘のように、今年、私、九月の国連総会で演説もいたしまして、願わくば本年中に何とか実現方につき努力を傾注してきたところでございますが、最後に申し上げましたように本年中の改革につきましては、大変残念ながら、困難の見通しとなっておることを申し上げることは大変残念でございます。
  13. 河野太郎

    河野(太)委員 大変残念でございますが、本年中に枠組みに関する進展がない場合、ここで各国の間で常任理事国をふやそうという動きに少し水が差されて、そういう機運が後退する可能性多分にあると思います。  本来、この年内枠組みだけは何とか決めてしまおうというのが外務省考えられていたことではないかと思いますが、何ゆえ年内にそうした改革ができなくなったのか。さらに、年を越した場合に、こうした動きが冷え込んでくることは十分に考えられると思いますが、それについて外務省はどう思っておられますでしょうか。
  14. 小渕恵三

    小渕国務大臣 先ほど申し上げましたように、九月の総会のときには、河野委員にもわざわざ御同行ありまして、ウドベンコ国連総会議長にもお目にかかりまして、強く要請をいたしたところでございます。この問題につきましては、多くの加盟国が、安保理改革について国連総会で対立的な雰囲気となることを実は避けたい、こういう考え方になってまいりまして、申し上げましたような、ウドベンコ国連総会議長も十二月四日、五日に行われる予定総会会議での安保理改革に関する審議においてはいかなる決定も行わないという考え方を明らかにいたしておりまして、現在、これは何らかの、議長のお考えが改めていただけるものかどうか、なお引き続いて努力をいたしておるところでございます。
  15. 河野太郎

    河野(太)委員 八月の末に参りましたときに、アメリカリチャードソン国連大使からも、ウクライナ代表部は行っておけというようなアドバイスがありまして、まだウドベンコ議長は来訪されておりませんでしたが、ウクライナ国連代表部へ参りまして、ウドベンコさんのアシスタントになるであろう数名とお話をさせていただきました。  そのときの感想は、非常に前任者と違って後ろ向きのような発言ウクライナ代表部の中ではあったような気が、今となってみればいたしますが、日本ウクライナ間の二国間の何かこうした枠組み年内にどうこうしようというような交渉は、これまで外務省の方でどの程度行ってきているのでしょうか。
  16. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 ウドベンコ国連総会議長等とは、例えばニューヨークの小和田国連大使等を初めとして種々接触を行って、我が方の考え方というものを強調してまいっておるわけでございます。  今回は、ラザリ総会議長の提案、それから米国の新しい考え方提示といったような追い風改革にとっての追い風というものもございましたけれども、非同盟の国の決議でございますとか、最近のイタリア、パキスタンの案とか、改革にとっての逆風と考えられるような案も提示されるようになってきている。  そういう中でウドベンコ総会議長連絡をとりましたところ、総会議長は、なるべく安保理改革について国連総会で対立的な雰囲気となることを避けたいというふうに考えておられるようで、このような状況を踏まえて、近く行われる予定総会会議での安保理改革に関する審議においてはいかなる決定も行わないという方向で対応したいという意向になっておられること、これは先ほど大臣が御答弁申し上げたとおりでございます。
  17. 河野太郎

    河野(太)委員 そこで問題になりますのが、分担金でございます。  まずアメリカ国連分担金滞納しております。これについて、政府はどういうお考えであるのか。  それからもう一つは、アメリカが一体幾ら滞納しているのかということについても、国連当局アメリカ政府と、滞納金の額についても差がございます。我が日本政府といたしましては、アメリカ国連に対して支払うべきは幾らなんだ、アメリカが主張する額なのか、あるいは国連当局の試算による額をすべて払うべきと考えているのか、そこの日本政府立場をお聞かせいただきたいと思います。
  18. 朝海和夫

    ○朝海政府委員 アメリカ国連への分担金滞納でございますけれども、私ども分担金を全額支払うのは加盟国義務であると考えております。したがいまして、滞納国滞納の解消に全力を払うべきだと考えているわけでございまして、国連総会の場におきましても、分担金を全額支払うことは加盟国義務であるといった点を明らかにしているところでございます。  アメリカ滞納金の額でございますが、御指摘のとおり、国連側によれば、未払い十四・六億ドルでございます。アメリカは独自の数字を持っているようでございますが、その差は、私の記憶によれば、例えば国連職員組合のようなものに支払われるべき額を控除するのかしないのかといったような点でございまして、そういった点については、国連側アメリカ政府との間でお互いの数字を突き合わせているところと考えております。  いずれにしましても、私どもとしては、その辺の詳細は必ずしも承知しておりませんけれども国連側の計算によれば十四・六億ドルであるということでございますので、それがアメリカ未払いの額なのであろうと考えているところでございます。
  19. 河野太郎

    河野(太)委員 アメリカ分担金を完納した後に、恐らくアメリカ分担金引き下げる、そういう話がもう出ております。日本にも、少し分担金の割り当てをふやせというようなことに当然なってくるわけでございます。アメリカは、日本、ヨーロッパがふやすのはわずかで、常任理事国でありながらほとんど払っていない中国の分担金をふやすんだという主張をしておりますが、日本分担金がふえることも間違いないことだろうと思います。  この新しい分担金に関する交渉が今どういう状況になっているのか、そして我が日本政府は、よもや常任理事国入りの問題が解決する前に、日本の新しくふやされた分担金日本が受け入れる、そんなことはないと私は信じておりますが、そこについての日本政府考え方をきちんと明確にしていただきたいと思います。
  20. 朝海和夫

    ○朝海政府委員 国連分担金でございますが、御承知のとおり、三年に一度見直すことになっておりまして、現在国連の第五委員会の場で議論をしているところでございます。  そこで、御指摘米国分担率引き下げの問題でございますけれども米国米国議会との話し合いを踏まえまして、これまで自分の分担率を二五%から二二あるいは二〇に引き下げることを主張しておりまして、それをいわば条件として不払い滞納金を支払うということを主張しておったわけでございますけれども、この関係法案米国議会で、結局、十一月の十四日、成立しないままアメリカ議会の会期が終わっております。  したがいまして、これからアメリカ分担率引き下げの問題について米国政府がどういうふうに出てくるか、事態を注視しているところでございますけれども、そのこととはいわば別の問題として、三年に一度の見直しを現在行っているところでございまして、いずれにしましても、ことしの末までには来年以降の分担率を決めなければいけないということがございます。  そこで、この点についてまさに交渉が始まっているところでございますけれども、来年度以降の分担率につきましては、通常の国連考え方に従って、支払い能力に応じた支払いという基本的な原則基づいて決定されることになると思われますので、アメリカ分担率云々とは一応別の問題として、日本GNPが近年ドル建てでふえておることは事実でございますから、それを反映して一定の上昇は見込まなければいけない。今後の交渉ではございますけれども日本GNPが上昇している以上、日本分担率がある程度は上昇するのもやむを得ないかなと思っております。  いずれにしましても、今後の第五委員会における交渉を踏まえて、来年度以降の日本分担率あるいは各国分担率が決まっていくわけでございますけれども、先ほど御答弁申し上げましたとおり、分担金を支払うのは加盟国義務でございますから、今後鋭意交渉してまいりますけれども、一たび日本分担率が決まった場合においては、それを支払うのが日本義務であろうと考えているところでございます。
  21. 河野太郎

    河野(太)委員 一たび決まれば払わなければいかぬということでしょうけれども、決まるまでは払わないということだろうと思います。アメリカ引き下げを要求している、それとは別だと今おっしゃいましたから、少なくとも、国連がこれまで決めてきたGNPその他の要件においてある程度自動的に見直しがされる、そういうことだろうと思います。  当然、この年度内に決まる額というのは、アメリカ引き下げ要求とは無関係で、アメリカもそれなりのパーセンテージを払うんだよ、そういうアメリカの議会が何を要求しているかとは全く別な次元で決まる範囲内のことであり、そこを日本が払うというのはやむを得ないかもしれませんが、アメリカがそれを超えて引き下げを求めているわけで、そのアメリカ引き下げ分が反映された分担金支払いならば日本は応ずる義務はない、そう考えてよろしゅうございますね。
  22. 朝海和夫

    ○朝海政府委員 アメリカが自国の分担率引き下げについてどういう交渉態度に出てくるかは、アメリカ法案が廃案に終わったという事情も踏まえて、なお注視する必要があると思います。  ただし、いずれにいたしましても、私どもは、従来からの国連原則であるところの支払い能力に応じた支払いという原則を踏まえまして、現在交渉中ではございますけれども、その原則に従って交渉し、合意に達し、その合意に従って分担率を負担すべきものと考えているところでございます。
  23. 河野太郎

    河野(太)委員 済みません、今よくわかりませんでした。アメリカがどういうふうに出てくるかわかりませんが、仮にアメリカ国連の決めた枠組みを超えて、今はアメリカは払い過ぎているから引き下げろ、そういう挙に出た場合は日本はそれを断固拒否する、そういうことでよろしいですね。
  24. 朝海和夫

    ○朝海政府委員 仮にでございますけれども国連の場において多国間で、アメリカも含めて各国分担率がそれぞれ決まったという場合において、それにもかかわらず、米国あるいはいずれかの国が一方的に、その合意とは違う、より低い分担率でしか支払わないということであれば、国連との関係では当然その国の国連に対する義務の不履行、分担金を払うべきものを払っていないということになると考えております。
  25. 河野太郎

    河野(太)委員 日本常任理事国入りを目指すためには、これまでの常任理事国の了解をとらなければいかぬということだろうと思いますが、そういうことであっても、やはり原理原則を無視したわがまま勝手は常任理事国にも許されないわけでございます。アメリカ分担金に関する交渉については、日本も原理原則を打ち立てて、それに沿ってぜひ動いていただきたいと思います。  そこで、もう一つ、常任理事国入り関係がありますのが日本のODAではないかと思います。  今回、ODA予算を一〇%以上削減する、そういうことになりました。私は、これは政治が間違えたと思っておりますが、決まってしまいましたから、この範囲内でどううまくやるかということをまず考えていかなければいけないのだろうと思います。  非常に不思議なのは、ODA予算全体が一〇%削減であるにもかかわらず、国連関係の国際機関への任意拠出金については四〇%近く削減されているわけでございます。全体を一〇%削減しておいて、その中の部分が四割削減されているということは、どこかが優遇されているわけで、まずその一〇%削減が、どこをどう優遇して、その結果一部国際機関への任意拠出金が四割削減になったのか、そのあたりのメカニズムを少し教えていただきたいと思います。
  26. 大島賢三

    ○大島政府委員 来年度に向けまして、ODAの予算編成に係ります方針が、一〇%を下らない全体の削減を実現していく、こういうことでございます。  外務省は御案内のとおり、政府ODA全体のほぼ半分を担当させていただいております。政府全体として約一千百億円を削減する。外務省関係につきましては、そのほぼ半分でございます五百八十五億円を削減するということで概算要求を提出いたしまして、現在財政当局と折衝しているところでございます。  その外務省関係の五百八十五億円の削減の内訳でございますけれども、そのうちのほぼ四分の三に該当いたします四百四十億円強を、二国間援助、すなわちJICAを通じます技術協力、それから無償資金協力に振り分けまして削減をいたしております。残りの四分の一弱を国際機関に対します拠出金で削減を図る、こういう形にいたしまして、概算要求をつくって今出しておるところでございます。
  27. 河野太郎

    河野(太)委員 外務大臣にお伺いしたいと思いますが、結果として一部国際機関への拠出が、全体は一〇%削減であるにもかかわらず四〇%削減になっているということは、国内のODA予算の外務省が半分で大蔵省が残りだとか、あるいは四つの省庁で分けているとか、十九がかかわっているとか、そういうことは国内の事情でありますから、対外的に見れば、日本はODA全体で一〇%削減なのにもかかわらず特定の機関へは四〇%削減している、日本はそこは重要視していないととられても仕方がないというか、普通にとればそういうことなのだろうと思いますが、外務大臣はこれでよろしいのでしょうか。  しかも、それが国連関係をしている機関であり、今、日本常任理事国入りを果たそうと頑張っているときに、そういう機関への予算の割り当てを四割減らすよ、全体は一〇%しか減らさないのに、そこは四割減らすよと。全体を四割減らしていて、そこも四割減らしている、これならばやむを得ないという説明はできると思いますが、全体は一〇%しか減らしていないのに、そこは四〇%減らしている。そこは当然、外から見れば、日本の優先順位は低いのだととられても仕方がないと思いますが、それで外務大臣は本当によろしいのでしょうか。
  28. 小渕恵三

    小渕国務大臣 来年度予算に対する概算要求段階では、今ほど経協局長が申されたような形で、四分の三、四分の一と、四分の一弱が国際機関、こういう前提のもとでそれぞれ国際機関に対する要求をされたのだろうと思います。その結果、今御指摘のように、国際機関につきましては三五プロから四五プロというような形での削減率になっておりまして、このことは国際機関、マルチの方から考えますと、それこそ半分に減らされたという強い印象を持っておるわけでございまして、そういった点では、我が国が今までそれぞれの国際機関に果たしてきた役割から考えますと、大変な失望感を持たれておるというのは率直に考えざるを得ませんし、また、国連の事務総長初めそれぞれ責任者からも、我が国総理初め私に対しましても、その数字につきましては大変不満が述べられておるわけでございます。  したがいまして、願わくば、これから本格的な予算編成に入っていくわけでございますので、国際機関に対しましては、今概算要求で出された数字で満足することなく、やはり政府としてはこうした機関に対する責任を応分に果たし得るような数字に上げていかなければならない、そのために財政当局とも真剣に話し合ってまいりたい、このように考えております。
  29. 河野太郎

    河野(太)委員 大臣、どうもありがとうございます。そのお言葉を国際機関の人は大変喜んでいると思います。  こちらも、要求するだけでなく、少し知恵も出さなければいかぬと思っておりますが、今大臣がおっしゃられた方向に予算を動かしていく手段が幾つかあると私は思っております。  その中の一つが、国際開発金融機関のジャパンスペシャル・ファンドと呼ばれている基金がございますが、それに手をつけるという方法があると思います。世銀、アジ銀といった国際開発金融機関に対しまして、ジャパン・スペシャル・ファンド、JSFというものを、どこの省庁か知りませんが、日本政府は延々と出し続けてきております。  ところが、このジャパン・スペシャル・ファンドの中身、中身と言っていいのかどうかわかりませんが、ジャパン・スペシャル・ファンドを追っていきますと、アジ銀にしろ世銀にしろ、日本からそういう国際開発金融機関に拠出はされているが、そこで使われていない、そこで眠っている額が巨大にございます。それは、一年間日本からそうしたジャパン・スペシャル・ファンドへの拠出を全くやめても問題ない、そうした大きな額がございます。  しかも、そのジャパン・スペシャル・ファンドに、概算要求では引き続き来年も拠出することになっていると思いますが、ここは一体全体どういう理由で、来年度もお金の余っているところに、一〇%削減されているODA予算の一部を引き続き回そうとしているのか、政府の、関係者の御意見をお伺いいたしたいと思います。
  30. 大村雅基

    ○大村説明員 日本特別基金について御説明させていただきたいと思います。  ただいま先生から御指摘がありましたように、国際開発機関によっては相当程度の日本特別基金の未使用残高があるのは事実でございます。  ただし、これにつきましては、その理由としまして、一つは、九〇年代半ばに各機関とも組織改革を徹底して行いました。いわば量よりも質を重視しようという方針がとられました結果、その結果当該機関の融資が停滞しまして、日本特別基金というのは御承知のように主に案件形成の支援に活用されておるものですから、その結果、日本特別基金についても承認実績が伸び悩んだことが一つございました。  それからもう一つには、日本特別基金は円建てで管理している一方、実際の使用はドル建てでございますために、過去の円高局面で実際の支出が承認時の見込みを下回ったことや、あるいは種々の努力により費用の節約が図られたといったことが大きな要因であったかと思います。  他方、我が国の拠出をどうするかということにつきましては、こういった残高や過去の使用状況等も考慮しつつ対処すべきだというのは先生御指摘のとおりと思います。したがいまして、我々も、概算要求段階におきましては、過去の使用実績等を勘案して要求をさせていただいたところでございます。  しかしながら、各機関とも、さっき申し上げました、組織改革後の業務運営が軌道に乗った特に九六年以降から承認額の伸びが見られまして、特に今後につきましては、環境、民活、インフラや、特に最近におきましてアジアの情勢に見られますように、金融等の分野を中心にさらに資金需要の増大が見込まれますこと、それから二番目には、国際機関は多年度で計画を立てておりまして、過去の使用実績のみで大幅に拠出額を削減するということになりますと、今後の運営に支障を来すおそれがある、そういったことから拠出金の取り扱いについては、こういった事情も十分に勘案する必要があるのではないか、そういうふうに考えておるところでございます。
  31. 河野太郎

    河野(太)委員 引き続きお伺いをいたしますが、今、例えばアジ銀にしろ世銀にしろ、ジャパン・スペシャル・ファンドに残っている金額というのは過去の使用金額の平均を上回っているはずでございますが、そこの御確認をお願いいたします。
  32. 大村雅基

    ○大村説明員 お答えさせていただきます。  残高という数字自体につきましては、恐らく先生がおっしゃっているのはそういう数字ではないかと思いますが、実は、これを公表しているのはアジア開発銀行だけでございます。したがいまして、その他の機関の数字はございませんが、その理由としまして、恐らく、残高というものはそのとる時点によって大きく変わってしまう。今申し上げましたアジア開発銀行の場合ですと、拠出直後に集計しておるものですから、そうしますと、拠出した金額、その一年間分がそのまま残高に入ってきてしまうとか、逆に別のところでとれば、ぎりぎりのところ、年度末等でとりますと非常に下がってしまう。それから、残高といいましても、実際には各機関の中で、承認したけれどもまだディスバースされていないものとか今後の計画に充てられているもの、そういったことがあるものですから、各機関としましては、残高というよりもいわゆるコミット率、大体どれくらいコミットされたのかということで現状把握しております。  したがいまして、その数字で申し上げさせていただきますと、過去五年間の平均で申し上げますと、世界銀行の場合、拠出額の約九割が使われている。アジア開発銀行の場合は、今申し上げましたように若干コミット率は低うございまして、七割。それから米州開発銀行は七割ということでございます。     〔福田委員長代理退席、委員長着席〕
  33. 河野太郎

    河野(太)委員 いろいろ御説明がありまして、その御説明はわかりますが、他方、そんな説明をする前に、もう人の削減までしなければならなくなりつつある国際機関もございます。やっていることは、開発金融機関も国連関係の機関も開発でございます。日本の国内でどの省庁が担当しているかによって、片や、金が余っているという言い方が悪ければ、残っているにもかかわらず拠出を受け、片や予算が四割削減されるというのは非常におかしいし、これは間違っていることだと思います。  日本がお金を出すということによって対外的なシグナルを送っているわけですから、平常はここは何省の管轄、あっちはどこ省の管轄ということがあるかもわかりませんが、事こういう事態になった場合には、日本政府として統一した歩調をとるべきだろうと思います。大蔵省の管轄は余り減らさないけれども外務省の方は四割減らすのだということでは、日本外交のへったくれもないのではないでしょうか。  日本国連に対する態度あるいは常任理事国入りといったことを考えた場合に、それは大蔵省の管轄、外務省の管轄ということはありますが、国際機関に対する拠出金に関しては、日本政府として一本の考えを打ち立て、それに基づいて予算配分をしていくべきだと思いますが、外務大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  34. 小渕恵三

    小渕国務大臣 御指摘は、まことに私自身同感でございます。しかし、さりながら今までの海外援助につきましては、いわゆる十九省庁体制というような中で、それぞれの役所が責任を持ってやってきたという経過があります。さすれば、今回、行政改革におきましても、海外に対する援助について、どのような組織でこれを行うべきかという議論もされまして、一時はそれぞれの省庁を合体して援助庁というような構想も出てきてはおりましたが、残念ながらそういう形になっておりません。  したがいまして、御指摘のように我が政府として、全体で効率的、効果的な援助を進めるためには、より一層今後、現在それぞれに分かれております各省庁とも緊密な連絡をとりながら、今御指摘いただいたような点につきまして効果的に対応しなければならぬ、このように考えております。
  35. 河野太郎

    河野(太)委員 ありがとうございます。  今、外から日本を見て一番批判されているのが、透明性がないということだろうと思います。十九省庁かかわっているというのは、日本政府内の理屈でございます。それは外から見たときに、単なる曇りガラスでしかない。外から日本外交を見る、日本のお金の出し方を見た場合に、はっきりと日本政府の方針がわかる、日本の財政が苦しいというのも外に知ってもらわなければいけませんが、その中で日本はこういうことをやっているんだ、一〇%ODAを削減したんだ、だから国際機関に対する拠出もこういう方針でやっているんだということがはっきりと世界にわかる、それが日本外交に今一番求められていることだろうと思います。  大蔵省の悪口を言うつもりはありませんが、やはりそこは省庁の枠を超えて、日本政府考え方をはっきりと世界に打ち出す、そういう小渕外交をぜひ確立をしていただきたい。そのための第一歩が、今度の予算編成になるであろうと思います。  もう一つ申し上げますと、外務省の方で邦人国際公務員の増強のための施策に関する報告書というのが出されております。やろうとする意欲は大変によくわかります。しかし、これもひょっとすると、お金と同じように縦割りで、外務省に関しての政策なのではないかという危惧があります。  国際機関というのは、外務省が人を出しているものだけではない。大蔵省からも通産省からも、そのほかの省庁からも人が行っている。あるいは民間の人もどんどん出ていっていただかなければいけない。特に日本の人は、若手の女性には非常に多いが、幹部クラスには大変少ないという問題がございます。  それを考えたときに、今外務省がやろうとしていることは、外務省単独でやることではなくて、これも日本政府として、一つの官庁の枠を超えてやらなければいかぬということですが、この間出されましたこの報告書はどういう扱いで、これは外務省単独でやられるのか、あるいはほかの省庁も巻き込んで日本政府として全体でやられるのか、そのあたりのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  36. 朝海和夫

    ○朝海政府委員 国際機関で働く邦人職員の数が少ない、あるいは若い方は割に大勢いらっしゃいますけれども、しかるべきポストの方がだんだん少なくなっているという問題を深刻に私ども受けとめておりまして、先ほど御指摘のとおり、有識者にお集まりいただきまして、今後の対策などについての報告書をまとめていただいたところでございます。  この報告書の扱いとしましては、報告書の中身において、既に、例えば民間との協力も拡充して、官民一体となってこの問題に対処するということが述べられておりますけれども日本政府の中ではもちろんのこと、外務省だけとかということではなくて、政府一体となってこの問題に対処しなければならないと考えているところでございまして、すべての省庁に対しても、この報告書の内容などについて御説明してまいることを考えているところでございます。
  37. 河野太郎

    河野(太)委員 ありがとうございます。  日本が外へ出さなければいけない資源はお金だけでなくて、人的な資源も積極的に出していかなければいけないと思います。本来ならば、私は、この行革で援助庁なるものがつくられればいいなと願っておりましたが、残念ながらその構想はつぶれたようでございます。  別に援助庁なるものがなくとも、きちんと各省庁が連絡をし相談をしていれば、日本政府として一本の方針を打ち立てて、それに沿った外交をすることは全く可能なことでございます。ぜひ、外務大臣指揮のもと、日本の透明性の高い明確な方針のもとの外交というものをぜひ遂行していっていただきたいと思います。  これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  38. 中馬弘毅

    中馬委員長 続いて、東祥三君。
  39. 東祥三

    ○東委員 小渕外務大臣、おはようございます。新進党の東祥三でございます。  小渕外相就任後初めての質問をさせていただきますので、礼儀からいくならば、小渕外務大臣外交方針あるいは基本理念について真正面からそのお考えをお聞かせ願いたいところでございますが、極めて限られた時間でございますので、個別具体的な問題を通して、小渕外務大臣の物の見方、考え方を学ばさせていただきたいと思います。  もう既に、今河野太郎先生から、極めて鋭い、また問題に対しての的確な把握に基づく質問がございましたODA削減の問題について、まず質問させていただきたいと思います。  本来、限られた予算の枠の中でそれをどういうふうに配分するかということは、これは政治家にとって一つの大きな仕事なんだろうというふうに思います。今回のODA削減問題に関しては、当然、小渕外務大臣が就任する以前の概算要求段階でございましたので、その意味においては、この削減それ自体には小渕外務大臣は余り関与していなかったのかもしれません。しかしながら、自民党の重鎮でもあります、さらにまた豊富な、私が想像を絶する以上の豊富な政治家としての経験を有されている小渕外務大臣でございます。その意味において、本当にこの問題について鋭くその問題の本質を探っていくならば、私は、ぜひともこのODA削減の幅を縮小するなり大々的な形での巻き返しを行わなければならないのだろうというふうに思っております。  先週におきます当委員会においても、元官房長官であります森山先生から、さらにまた同僚議員であります山中委員、さらにまた島委員からも、そして本日、外務大臣と同党の政党に所属される河野太郎議員からも同じような角度のお話がございました。  もう既に一週間たっているわけでございますが、この点について前向きに考えていきたいと言うのは、これは今までの政治家のならわしてございまして、本当にそこで議論され、そしてそこでなるほどというふうに納得するものであるとするならば、一週間たった今日、何らかの変化があってもいいのではないのか。改めて外務大臣の御答弁をお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
  40. 小渕恵三

    小渕国務大臣 来年度の外務省予算につきまして厳しい御指摘をちょうだいをいたしております。  本件につきましては、前の大臣時代に取りまとめをし、大蔵省に要求したことではございますけれども、行政は一貫いたしておるわけでございますから、その経緯は我々も継続していかなければならないというふうに思っております。  ただ、当時の環境からいいますと、それぞれの各省予算あるいはまたそれぞれの個別の予算につきましても大変厳しい削減率が提示されまして、その中では、公共事業の七%を超える、一〇%を超えない範囲という大変な数字になりました。推測するにその中で、先ほど御答弁ありましたけれども、四分の三、四分の一のいろいろ数字の策定の中で、やや、機械的と言うのはいかがかと思いますけれども、それぞれ数字を当てはめた感じで早急に八月末の要求段階に提示しなければならなかったのではないか。  その後、これが発表されて以降今委員も、あるいは前の河野委員もそうでありますが、国際機関に対する予算の要求につきましては、これは我が国のODAの基本的な推進に対して大きな問題を提起しているのではないかということでもございますし、また国際機関、特に国連の事務総長初め大変懸念をいたしておるところでございます。こういった点につきましては先ほど御答弁しましたが、いずれにしても、最終の予算編成段階におきまして、いま一度財政当局にもその調整について変更を求めてまいりたい。  この点につきましては、この予算を決定いたしました段階で、重点的、効率的な予算配分を所管の枠を超えて総合的調整を行うべきだという基本方針が総理から出されておるわけでございまして、総理のこうしたお考えも我々は十分受けとめながら対処いたしますれば、必ずその調整は可能ではないかというふうに考えております。しかるべき時期には、再度、大蔵省に対しまして、その点についての外務省考え方提示していきたいと思っております。  なお、私自身も、当時、党の対外経済協力委員長という立場にございましたので、私としては、この数字が出ました以上、これはその中でより効率的な配分のできるようにということを、本職になりましてさらに真剣に取り組んでいきたいというふうに考えております。
  41. 東祥三

    ○東委員 外務大臣の前向きな姿勢は看取いたしました。しかし、その内容に関しては満足しておりませんので、ここでちょっと突っ込んで、前の委員また先週の委員の方々の質問と重複するところが出てくるかわかりませんが、ODA問題について、若干時間をとって言及させていただきます。  中国の遺棄化学兵器の問題、新ガイドラインの問題についても、このODAの問題について感触のいい答弁が得られればすぐそちらに移ろうとしたのですが、余りいいとは思わないので、この問題について突っ込まさせていただきます。  まず、先ほどから御説明がございますが、もう一度まとめさせていただきます。  来年度からODA予算を一〇%削減する。外務省から出されました概算要求を見ますと、国際機関全体に対する予算削減額は百六十二億円。ことしの予算と比べて平均二二・三%カットされている。しかし、国連等の国際機関等に対しては三五%から四五%の削減率に上っていってしまっている。日本からの拠出額に大きく依存しているこれらの機関から見て、致命的な打撃、これらの活動をやめよという行為であると私は思います。日本のODA予算から見て少額かもしれませんけれども、これらの国際機関にとってこうしたドラスチックな決定のインパクトは極めて大きいというふうに思わざるを得ません。  そこで、今までの答弁で非常に不明確なことも含めた上で御質問させていただきますが、まず国際機関に割り当てられている額というのはODA予算全体にとって何%を占めているのか、これが第一点。二点目、国際機関に対する削減率の平均はどれくらいになっているのか。第三点目として、優先順位といいますか、この決定に当たっての判断基準はどこにあるのか、さらにまた、どういう外交政策に配慮して削減額、削減対象を決めたのか、その結果として、どうしてこういう形でODAの割合が決定されることになってしまったのか。一つ一つ明確にお答え願いたいと思います。
  42. 大島賢三

    ○大島政府委員 まず、御質問のうちの第一点の、国際機関全体に対します日本の拠出あるいは分担金の割合でございますけれども、十年前ぐらいには二国間援助七、国際機関関係三、大体こういう割合でございましたけれども、その後傾向といたしまして、国際機関関係分が減ってきておりまして、最近の数字では、国際機関関係が二〇%をやや切るという状況に来ているというふうに思っております。  それから二番目の、来年度の要求につきましては、先ほど議員が御指摘ございましたように、外務省関係のものだけについてでございますけれども、全体の外務省の削減額五百八十五に対しまして国際機関関係は百六十二、率にいたしますと二二%ちょっと、こういうふうになります。  先ほど御答弁させていただきましたように、五百八十五億円を削減するに当たりまして、我々も、中で相当議論を重ねました。その結果、二国間関係を、額にいたしまして四分の三という深い切り込みをしたわけでございます。これ自身につきましても、ODAが我が国外交に占める重要性ということからいたしますと、大変に残念であり、心苦しい、非常に厳しい、この時点での決定であったわけでございますけれども、こういう配慮をいたしました。  したがいまして、残りの部分でございますが、国際機関関係につきましても、義務的な経費がふえてきております、それから円安という状況があるわけでございまして、加えて一〇%削減という、三重苦を伴う非常に厳しい状況のもとでの決定でございました。  そういう状況で個々の国際機関につきまして検討した結果、まず義務的な経費にまで我が国がこの際切り込む。分担金につきましては、これは国際約束に基づき国会の議決をも経て決まっている部分でございますので、この部分を切ることは忍びないということで、どうしてもどこかで削減をするということになりますと、任意に拠出している部分というものに削減の矛先が向かざるを得ないということでございました。もちろん個々の決定に当たりましては、それぞれの国際機関についてそれなりの配慮を加えつつつくったわけでございます。  他方、先ほど大臣からも申し述べられましたけれども、最終的な予算編成に当たっては省庁の枠を超えた総合的調整を行うという方針が示されております。そういうことで、国際機関に対します拠出金についても、国際貢献の観点ということを十分踏まえ、削減が与える影響というものができるだけ少なくなるように、事務当局としても、財政当局と十分相談していきたい、こういうふうに考えております。
  43. 東祥三

    ○東委員 義務的な経費がふえているので、極めて逼迫している財政状況を踏まえると、任意拠出の分野にしわ寄せが行かざるを得ないという基本的な考え方なのだろうと思いますけれども、それも私にとってみれば、基本的によく理解できないことでございます。  九二年に閣議決定された政府開発援助大綱の援助理念の一つとして、人道的考慮という一点がございます。この視点から見たとしても、日本のODA援助をしていく上での基本的な理念、また方針というのがあるに違いない。それに基づいて、財政が逼迫したときに、それなりの方針を明確にしつつしていくのが本来の筋なのではないのか。  これから二点について、二つの角度から質問させていただきます。一つは、外交方針が転換されてしまったのではないのか、もう一つは、国連重視から二国間援助へシフトしてしまったのではないのか、この二点から質問させていただきます。  まず一般論でございますが、ODA削減自体は従来の政府立場に大きく矛盾しているように思えてなりません。九七年の外交青書のODAに関する部分におきましては、ことしてすよ、「日本は引き続きODAを重視し、積極的な取り組みを行っている。」、また別のところで「ODAは国際社会に対する日本の貢献の最も重要な柱であり、国の繁栄を世界の安定と繁栄に高度に依存する日本自身にとって不可欠の重要性を持つとの確信に基づいている。」、また別のところでは「支援していくことは、途上国の人々の生活の向上に役立つのみならず、日本国民の生活を守ることにもなる。」、また別のところでは「ODAを通じて国際社会の取り組みに積極的に参画することにより、日本が国際社会の信頼を勝ち得ていくことは、日本の国際社会における地位を高め、ひいては、広い意味での日本自身の安全保障にも資することとなる。国際社会における相互依存の深まりという変化の中で、ODA等の国際協力を強化していくことこそが、長期的に安定と繁栄を享受するための方途である。」、別のところではまた、日本が開発途上国を支援する理由は、単に援助することが望ましいからだけではなく、日本にとって、あるいは日本国民にとって開発援助をすることが必要だからでもある。また別のところでは、日本が歴史的、政治的、経済的な諸事情を勘案した場合、その経済力、そして技術力を生かしたODAは日本の国際貢献の最も重要な柱であると言えよう、このようになっています。  つまり、ことしの外交青書においても、ODAを日本の国際貢献の最も重要な柱と位置づけをしています。日本の安全にとって、また必要としているものでもあると思います。  しかし、閣議でODA削減一〇%ということが決定されるに当たって、前外務大臣、これは現外務大臣とは直接かかわり合いがありませんけれども、どのような議論をしたのか、また閣議において、このODAを一〇%削減することは日本のまさに外交の重要なカードを失ってしまう、そのような議論がされたのだろうと私は思うのですが、一切そういうことは伝わってこない。ODA削減一〇%というものがあっという間に広まってしまった。前の外務大臣を私は非難するつもりはありませんけれども、基本的に、そのODA削減一〇%という報道がなされた後、多くの機関から、多くの国々から、私のところにもいろいろな形で反応がございました。  そのときに、内閣で外務大臣がこの問題についての最終的な決断をしたのだから、まず外務大臣にこの問題を徹底的に訴えるべきだ、さらにまた、そのような方針を決めた与党である自民党の皆さん方に徹底的にこの問題についての重要性を訴えるべきだ、このように申し上げました。その後、反応を聞かせてください、そしてその上で、できることがあるならば徹底的に私たちも、また私の自分の立場において、この問題について言及させていただきたい、このように申し上げた次第でございます。  閣議決定小渕外務大臣は御存じないかもしれませんけれども、どういう議論があったのか、まずその点についてお聞かせ願いたいと思います。日本外交方針を転換してしまったのではないのか、私はこのように思えてならないのですけれども、今の外交青書、これは政府文書ですから、そこに書かれていることと今回の決定、この間における整合性をどのように理解したらいいのか、その点について御説明願いたいと思います。
  44. 小渕恵三

    小渕国務大臣 ただいま委員がお読みをいただきました我が国のODAに関しての基本的考え方に、いささかの変更はないというふうに考えております。  かつて、このODAにつきましても、その総額におきまして、GNPの一%を目指しながら、経済が大きく成長する過程、また財政的にもかなり右肩上がりでありましたときに、それを予算的にも逐年増加させてきたわけでございますが、今般、御案内のような国家の厳しい財政に伴いまして、いま一度このODAの問題につきましても厳しく見詰めていかなければならない、こういう観点に立ちましてこの決定がなされたものだろうと思います。  先ほど申し上げましたように、私自身も与党の責任ある立場でございまして、池田外務大臣からもその考え方を承り、かつともどもに、やはり予算額が減少するということは、御指摘のように国際的な観点から立ちましても、日本の姿勢、理念、こういうものに変更ありゃという印象を持たれかねないということで、この点につきましてはいろいろと議論もいたしたところでありまして、俗に言う量より質という言葉考えながら、我々としては、この与えられた政府の基本方針の中でより効率的、効果的なODAをどう目指していったらよいかという観点に立って次年度予算はつくり上げられたものと考えております。  率直な気持ちを申し上げれば、大変厳しい削減でありますが、この際、ODAに対する国民自体の心底、理解認識をいただきながら、改めて国際社会の中でこのODAの果たす役割につきましても広く理解を求める中で、今後ともこれは質を高めることは当然でありますが、量につきましても向後、これを増加できるように、来年度はこういう厳しい環境ではありますけれども、今後これが改善できるように最善を尽くしていくというのが、今私が申し上げることでございます。
  45. 東祥三

    ○東委員 ODA重視の外交方針というのは基本的に変わっていない、そのような御指摘でございました。  次に、国連重視から二国間援助へシフトしたのではないのか、こういう角度から質問させていただきます。  国連機関に対する援助を総体的に大きくカットしたのはどういうことなのか、先ほどの御説明を聞いていても、私にはよくわかりません。一番大きくカットされたのは国際機関、とりわけ国連に対するODAの部分でございますが、外交政策において国連重視、国連に対する協力強化などとしてきた従来の政府発言と矛盾するような気がしてなりません。  例えば、九六年九月二十四日、第五十一回国連総会における橋本総理の演説の中で、「さらに国連への協力を強化して、世界の平和と繁栄のために、これまで以上の積極的役割を果たしていきたい」という日本の決意を表明いたしました。  また、九六年一月二十二日、第百三十六回国会における池田前外務大臣外交演説では、  環境、人口、人権、難民、麻薬、テロなどの問題は、国際社会が一致して取り組むべき地球規模の問題であり、我が国の国際貢献の最も重要な柱の一つであります。今後とも、我が国の知識や経験を生かし、国際社会と協力して問題解決に取り組んでまいります。 と、地球規模問題に対する日本の国際協力による貢献を強調しておりますが、このたびの国際機関を中心にしたODA削減によって、日本政府は地球規模問題に対する取り組み方を、国際社会との多国的アプローチから二国間アプローチにシフトするようになるのではないか、このように思えてなりません。これは従来の国連重視等の外交方針と矛盾しないのかどうなのか、従来掲げてきた、ある意味で私も深く賛同しておりますインターナショナリズム、あるいはまた協調主義から大きく後退することになるのではないのか。  また、九六年六月二十九日のリヨン・サミットの議長声明においては、日本政府はこの声明を通じて、   人道上の緊急事態は、しばしば政治的危機によりもたらされるが、我々にとっての特別の関心事項である。我々は、特に、この分野における赤十字国際委員会(ICRC)、国連難民高等弁務官(UNHCR)、世界食糧計画(WFP)、国連児童基金(UNICEF)等による作業を賞賛する。 と内外に宣言しています。  しかし、一年もたたないうちに、賞賛していると高く評価しているこれらの機関の予算削減を大幅に行っております。ICRCは三九%、UNHCRも一二九%、WFPは四五%、ユニセフは四一%のカットを要求しているではありませんか。これらの機関の活動を評価した一方、今後四〇%前後も拠出金を削減するということは、活動をやめろと言っているに等しいではありませんか。  この点について、大臣が言われた、今までの日本政府外交政策の方針と矛盾するものではない、私には到底理解することができません。説明をお願いします。
  46. 朝海和夫

    ○朝海政府委員 私も、外務省におきまして国連を担当する者でございますけれども、今回、予算の状況は大変厳しいものがございますが、私ども国連を重視する外交、地球規模のさまざまな問題、人口の問題、麻薬の問題、環境の問題、人権の問題などなどにつきまして引き続き力を入れていくという基本的な外交の姿勢には、いささかの変更もないと考えております。  予算の話でございますけれども、先ほど経済協力局長から答弁したとおりでございますが、ODA一〇%減ということで、五百八十五億円をいわばひねり出さざるを得ない状況にございます。そうした厳しい状況の中で、私ども決して国際機関の役割を軽視しているとか重要でないと考えているとか、そういうことではございませんけれども、全体として五百八十五億円を減らさなければならないという状況の中で私どもが予算編成として考えましたのは、二国間の援助につきまして、大変つらいことではございますけれども、四百二十億ほどの減額に踏み切りまして、そういう状況の中で国際機関についても、百六十二億円でございますけれども、それなりの削減はせざるを得ないということで、それが結果としてはパーセントで見れば、委員指摘のとおり三九%であるとか四十数%であるとかいうことになりますけれども数字絶対額そのものとして見ますれば、むしろ二国間の経済協力の方をより多く削減したということであると考えております。
  47. 東祥三

    ○東委員 外務大臣、いかがですか。先ほど申し上げましたとおり、限られた予算をいかに配分していくかというのは、政治家にとっての一つの大きな仕事だと僕は思います。またこれから余りいい答えが出ないと、僕はもっと追及していきますけれども。基本的に、どうしても理解できないのではないのか。  一方において人道的な問題について種々活躍している国際機関があり、その致命傷にもなりかねない、その拠出を日本が今日まで行ってきた。それは全体の日本のODA予算からするならば大きな額ではないにもかかわらず、その国際機関にとってみればまさに衝撃的な削減を意味する。そして、その活動自体も大幅に縮小しなければならなくなる、一目瞭然ではございませんか。  僕は、今の説明だと、それはただ単にいかにその数字がこういうふうになったのかという説明をするだけですから、何も伝わってまいりません。外務大臣としてどのようにお考えになるのか。もう一度御答弁いただきたいと思います。
  48. 小渕恵三

    小渕国務大臣 日本外交の大きな柱の一つとして、国連中心主義の外交を展開していくことは、当然のことだろうと思います。そういった意味で、今日まで国連の中で枢要な地位を占めるべく、安保理の常任理事国入り等も含めまして、我が国の活躍の場を広げてまいったわけでございます。しかし、今般、この予算問題に関しまして、これが著しく前年の予算の増加に比べて一挙に大きな削減ということでありまして、そういったことで、今御指摘のような国連に対する基本的考え方が変更したのではないかと言われるような御指摘も出てくるわけでございます。  しかし、この予算をもってしてのみ我が国立場をすべて表現するということでもないかと思いますので、この点につきましては、国際機関にも我が国立場は十分説明をし理解を求めておるところではございますが、今日なおいろいろと我が国に対する大きな期待が膨らんできておることと同時に、それにこたえようとする努力が継続していることに対して、一挙にこうした数字になっておることはまことに残念であります。  したがいまして、先ほど申し上げましたように、国連機関に対しましては義務的経費すなわち国連における分担金の問題等につきまして、先ほども議論ありましたけれども、こうした点についてはなお日本としての立場は十分果たしていきますと同時に、それぞれの国際機関に対しての削減率が極めて大きいということでございますので、繰り返しますが、この点につきましては全力を挙げて来年度予算につきましても期待に沿えるように努力をしていくということを申し上げさせていただきたいと思います。
  49. 東祥三

    ○東委員 基本的な削減の仕方、方法を見直すということですか。
  50. 小渕恵三

    小渕国務大臣 来年度予算につきましてはもう既に概算要求として大蔵省に提出しております。しかしながら、来年度予算の編成過程におきましては、今委員が御指摘いたしたようなお考えも含めまして、財政当局の理解を求めていきたいと思っております。  あわせて、ODAにつきましては昨今いろいろメディアを通じて御批判もいただいております。そういった点を今後どう改善するかというようなことも含めて、予算的にもきちんと財政当局に理解を求められるような努力も続けながら、最終的にいい枝ぶりといいますか形になりますように努力をしていきたいと思っております。
  51. 東祥三

    ○東委員 僕もトーンをちょっと下げてやります。  国際機関に対する日本の役割という角度から、一点、質問させていただきます。  国際社会の平和と繁栄によって日本の平和と繁栄が確保されているという考えに対して異論を唱える人は日本において少ないのではないのか。日本の平和と安全にとって国際社会の平和と安定が必要であるとするならば、それを維持するためには、国際社会と協力して、地球規模の問題、とりわけ環境、人口、エイズ、難民問題に取り組まなければならない、政府も言っている、私もそれに賛同している者の一人でございます。こうした日本努力は、国際社会のためばかりではなくて日本みずからのためになるので、積極的に貢献する必要があると私は思います。  第百四十回国会におきます池田外務大臣外交演説、九七年一月二十日では、   我が国は、よりよい地球社会の実現に向け、人口、環境、福祉、食糧、エネルギー、原子力安全などの諸課題や、テロ、国際犯罪、麻薬問題など市民社会への挑戦と言える諸課題の克服に向けた国際協力に積極的に参画してまいります。また、民主化の促進及び人権の擁護にも積極的な役割を果たしてまいります。 と、九七年の一月に、地球規模問題における積極的な日本の役割を訴えております。  しかしながら、地球規模問題に大きく貢献しているUNHCRあるいはまた世界食糧計画、今申し上げた機関です、国連児童基金、赤十字国際委員会国連開発計画にどのように資金援助を、一方において大きくカットして、そしてこれらの活動を支えていくことに積極的な役割を果たすことができるのですか。これについて御答弁願いたいと思います。
  52. 小渕恵三

    小渕国務大臣 外交演説は我が国外交の指針となるべきものでありまして、今御指摘のような諸点につきまして、我が国として国際的な貢献を果たそうという強い意思を表明したものであります。そのことを具現化するために、先ほど来申し上げておりますように、そうした国際的な機関に対する協力というものはまことに重要なことも事実でありまして、その点につきまして、来年度予算につきまして、万やむを得ず削減に至ったことについてはまことに残念ではあります。  先ほど来申し上げておりますように、そうした御指摘につきまして、国際的な責任を果たす、また外務大臣の演説をこれから具現化してしていくために必要な予算につきましては、再三申し上げておりますように、最善の努力をして、その考え方実現するための必要な予算獲得のために努力をしていきたい、こう申し上げておる次第であります。
  53. 東祥三

    ○東委員 外務大臣がこれだけ言ってくださるのでもうやめたいと思いますけれども、周りにいらっしゃる方々を説得する一つの材料として具体的な国際機関の一つの例を出させていただきます。  UNHCRの件でございます。もう既に緒方貞子高等弁務官を擁しておりますので日本で知らない方はない、このように私は理解しております。  このUNHCRというのは、九七年七月現在、世界で百二十二カ国において活動している機関であります。合計五千四百七十五人のスタッフで、全世界で二千二百万人の難民、国内避難民、帰還民、紛争被災者など人災による被害者、あるいはまた迫害のおそれがある者を保護、援助の対象にしております。職員一人当たり四千百五十人という援助対象者がいるわけです。また、大変実績が高いというふうに評価されているのも御存じのことだろうと思います。実際、ノーベル平和賞を二回もらっているわけでございます。このUNHCRの活動を評価している一方、今回の概算要求で、外務省は三十七億円のカットを要求しています。これは前年の予算より三九%のカットになるわけでございます。  アジアにおける数百万の難民がいらっしゃいます。この三十七億円をカットすることによって、これはUNHCRの方々に概算していただきました、約百万人の難民を救助できる資源がなくなってしまうということです。別の言葉で言えば、今まで日本の援助を通してその人たちを日本は、外務大臣よく御存じのとおり、UNHCRの職員が働くところというのは、現行の憲法解釈上、難しいところで働かざるを得ないという人たちもいるわけです。  また、日本は、御存じのとおり人道大国ということを一方において言いながら、昨年の難民認定率、認定された人というのはわずか一人だと僕は理解いたしております。  私も、UNHCRの元職員だからということで、UNHCRを保護、何か族議員的に言うのではなくて、あくまでも、実際にそれだけの貢献をしているところの額をカットすることによって百万人以上の人々が影響を受けてしまうということが問題だというふうに申しているわけでございます。  もうこれ以上くどくど申し上げませんけれども、実際、御案内のとおり一九八九年に難民の数というのは一千七百二十万人いた。九六年には二千九百四十万人に伸びてしまっている。さらにまた冷戦構造が崩壊した後、紛争によって約四百万人の人々が世界で死んでいるわけです。さらにまた、百以上もの新規の紛争が起こっているわけです。  日本は幸いなことに、幸か不幸かわかりませんが、そういうことが余り報道もされない。また、その結果として、日本がそれらの人々の苦しみ、思いというものを一緒に同苦する、そういう機会もなかなか少ない。それをある意味で緒方貞子さんが代表してくれている、この一つのUNHCRという機関ですが、そこで働いている人々はまさにその苦悩を体現している。その活動を三十七億円カットすることによって援助対象者である百万人以上の人々が直接的な影響を受けてしまう、そういうことを日本はやろうとしているのですよ。  それをぜひ理解してくれた上で、改めてこの概算要求の見直しをぜひ外務大臣の、大物外務大臣ですから、僕は心から尊敬申し上げております、必ずやってくださるだろうというふうに私は期待しておりますので、何とぞもう一度このODA予算、国連への拠出金大幅削減を大々的に見直していただきたいということを要求いたしまして、次の質問に入らせていただきますが、コメントをひとつお願いします。
  54. 小渕恵三

    小渕国務大臣 UNHCRのすばらしい活動につきましては重々承知をいたしておるつもりでございます。また、その責任者として緒方貞子さんの活躍ぶりにつきましても、しばしばテレビ等でも拝見をいたしておるところであります。また、御本人も、副事務総長の御推薦を受けずに専らこの仕事に専念をされるという強い御意思を示されておりまして、そういった意味で大変すばらしい成果も上げておることに、心から敬意を表しておるところでございます。  ただ、いろいろの機関の中につきましては、率直に申し上げれば、どの機関ということは申し上げませんが、国際機関の中ではいま少しく機関として非効率、あるいはむだというようなものがないかどうかということにつきましても、資金を提供する日本としても当然考えていかなければならない問題ではないかというふうに思っております。  削減するということは大変厳しいことでありますが、こうした機会でないと、と言ってはなんですが、あえてこういう機会にやはりそれぞれの機関のあり方につきましても十分検討して、そしてある程度のプライオリティーといいますか、そういうものを考えていく必要があるのではないかと思います。  結論的に申し上げれば、繰り返しますが、私として全力を挙げて委員の御指摘にこたえたい、こう思っております。
  55. 東祥三

    ○東委員 ありがとうございます。  それでは次に、中国遺棄化学兵器問題について質問させていただきます。  中国は、本年四月二十九日に発効いたしました化学兵器禁止条約の発効直前に批准書を国連に提出し、同条約の加盟国となりました。日中間で懸案となっておりました旧日本軍の遺棄化学兵器処理問題に対して、政府は、同条約による義務として我が国が遺棄化学兵器の処理をするとしております。  条約第二条6では「「遺棄化学兵器」とは、千九百二十五年一月一日以降にいずれかの国が他の国の領域内に当該他の国の同意を得ることなく遺棄した化学兵器(老朽化した化学兵器を含む。)をいう。」と定義されております。  この視点から質問させていただきますが、我が国は、完全なる武装解除を求めたポツダム宣言を受諾して降伏いたしました。降伏に当たっては、旧満州と万里の長城以北にいた関東軍はソ連軍に、シナ派遣軍は中国軍に降伏いたしました。そこで、膨大な量の戦車、大砲、小銃、機関銃、航空機などの武器及び弾薬を引き渡しました。これをもって武器弾薬の所有権はソ連もしくは中国に移ったはずである、このように理解もできます。また、ポツダム宣言を受諾して降伏した以上は包括的な武装解除が行われたと考えるのが普通でありまして、これこそ同条約に言う同意に当たるのではないのか、したがって、旧満州の化学兵器は日本軍ではなくソ連軍によって遺棄されたと考えられる、こういう見解もございます。  日本軍が中国に化学兵器を遺棄したという根拠があるのかないのか、この点についてまず御質問させていただきます。
  56. 阿南惟茂

    ○阿南政府委員 今の御質問の点でございますが、これまで中国の国内で、旧日本軍による遺棄化学兵器につきまして現状把握のための現地調査を累次実施してきております。こういう調査結果を踏まえた上で、日本の遺棄化学兵器が中国に存在するということを日本政府としても認識をしているわけでございます。  また、先生が御指摘になりましたポツダム宣言でございますが、ポツダム宣言は確かに旧日本軍が武装解除するべき旨を一般的に規定をしております。先生御存じのとおり、この規定は、日本国軍隊は完全に武装解除せられた後各自の家庭に復帰し平和的かつ生産的の生活を営むの機会を認められるべしという極めて一般的な規定でございまして、このことのみをもって、中国が本件化学兵器の遺棄に関して、化学兵器禁止条約に言う同意を与えたということは言えないと考えております。  そういう状況から、我が国の遺棄化学兵器の廃棄義務を否定することはできないというのが政府の見解でございます。
  57. 東祥三

    ○東委員 もうあと一分しか時間がございませんので、資料を要求させていただきます。  平成四年度から平成九年度まで、中国遺棄化学兵器問題についての予算が計上されております。平成四年度が四百万、平成九年度は五億五千五百万。当然、調査等に使われていると思うのですが、どのような調査にこれは使われているのか、この点について後ほど資料をいただきたいと思います。  きょうは時間が来ましたのでこれでやめさせていただきますが、また別の機会にこの問題について、さらにまた、取り残してしまいましたけれども、新ガイドラインの問題について——済みません、きょう来ていただきまして。質問させていただきたいと思います。  きょうはありがとうございました。
  58. 中馬弘毅

  59. 若松謙維

    ○若松委員 新進党の若松謙維でございます。  東議員と同じく、小渕外務大臣御就任後初めての質問です。バンクーバー・APECでの御活躍、大変お疲れのところ恐縮ですけれども、引き続きよろしくお願いいたします。  恐らく小渕大臣も、橋本総理と例えば日米首脳会談とかそういったところのやりとりもあったと思うのですけれども、まず最初に、今回のAPECのバンクーバー会議での二国間の首脳会談ですか、当事者ではないと思うのですけれども、得られた範囲で結構ですので、その内容及びいわゆる外相会談、それの成果を総括的にお聞きしたいと思います。
  60. 小渕恵三

    小渕国務大臣 まず、橋本総理とクリントン大統領との日米首脳会談で、COP3、アジア経済、日本経済を中心に話し合われまして、今後とも一層協力していくことを合意されました。  また、総理と金泳三大統領との会談で、韓国の通貨、金融の安定化について話し合ったほか、対北朝鮮政策、日韓漁業協定、COP3、APECへのロシアの加盟支持等についても意見を交換されました。  以上のほか、総理はAPEC議長であるクレティエン・カナダ首相に表敬をいたしました。  多分今の時点で、共同声明が発せられた時間帯ではないかと思いますが、いずれにいたしましても、首脳会談におかれましても意義深い話し合いがなされたものと評価いたしております。  私に関しましては、実はオルブライト米国国務長官との会談で、日米関係のほか、ミャンマー、カンボジア、イラン、対人地雷、国連改革、COP3、イラクと、かなり幅広い問題を取り上げました。  また、銭其シン中国外交部長との会談では、来年予定されております江沢民国家主席来日を初めとする日中間の要人往来や青年交流のほかに、朝鮮半島、ロシアの国際情勢について率直な意見の交換を行いました。  また、柳宗夏韓国外務部長官との会談では、懸案の漁業協定交渉につきまして今月末実務者協議開催で合意をいたしましたほか、安保対話、韓国の通貨、金融の安定化や対北朝鮮政策、APECへのロシアの加盟支持についても意見を交換いたしました。  以上のほか、私はAPEC議長国のカナダ・アクスワージー外相を表敬いたしました。  いずれにいたしましても、首脳会談、外相会談とも極めて率直な意見交換ができましたことは、我が国とこれらの国の緊密な対話の一環として意義深いものであったと思っております。
  61. 若松謙維

    ○若松委員 ありがとうございます。  今懸案となっておりますさまざまな重要事項、その中でも特に、御存じの金融危機というか、また通貨危機というのでしょうか、特にアジア地域、御存じのタイのバーツから始まりましてインドネシア、そして韓国、ここら辺の議論が、今おっしゃられましたけれども、かなりあったと思います。  特にバンクーバー会議で、先ほどの東議員にも関係するのですけれども、従来ですと国連というか、まさに多国間でいろいろとそういう金融支援なりをする、当然IMFを枠組みとするのですけれども、今後、地域での対応ももっとさらに重視すべきだというような具体的な対応に移ってきたのかなと私も認識しておりまして、このバンクーバー会議で決められましたお互いの合意というのでしょうか、アジア地域での新しい融資の枠組みというのですか、これは特にアジアの金融または通貨危機に対して今後どの程度効果的に発揮されるのか、外務大臣としての御所見をいただきたいと思います。
  62. 小渕恵三

    小渕国務大臣 今回のAPECのバンクーバー会議で支持をされました金融・通貨の安定に向けたアジア地域協力強化のための新フレームワークは、市場の信頼回復を促し、アジアの持続的な安定成長に大きく貢献するものと考えております。時あたかも、アジア諸国におきまして金融の不安等が発生いたしまして、近々では韓国の問題も実は提起をされました。  こうした意味で、APEC加盟国もみずからの問題として取り組んで、アジアの今後の経済の発展のために、この時点ではいろいろな金融問題が発生はいたしておりますけれども、潜在的な力というものはまだまだお互い持っておるという認識のもとに、効果的にこうしたフレームを大いに活用しながら進んでいこうという、そうした合意がなされたものと理解しております。
  63. 若松謙維

    ○若松委員 さらに、この通貨危機について、ことしOECD入りした韓国が通貨危機に至ったということで、これの対処も非常に重要になってくると思うのです。  それで、韓国がIMF出資額が十一億ドルですか、ですから通常の規定ですと三十三億まで緊急支援を受けられる。それに対して、従来五倍の五十五億ドルを恐らくIMFは提供をするだろう。ところが、韓国の一部当局には、今回の韓国の通貨危機を乗り越えるためには約二百億ドルぐらい必要ではないかというような認識があるわけですけれども、そうすると、これも橋本総理とクリントン大統領でもある程度話をされて、日米でしっかり協力していこうという話にもなっているようです。やはりそうすると、まずこのバンクーバーでの一つの枠組みというのでしょうか、地域での通貨危機を乗り越える枠組みというところで今回の韓国を具体的に取り上げて、それでまず対処できるかという御認識、もしできないということであればやはり日本にはね返ってくると思うのですけれども、これも日米関係というところで何らかの対処をするわけですけれども、そこら辺の今後の対応の仕方、その二点についてちょっと御説明いただけますか。
  64. 小渕恵三

    小渕国務大臣 韓国への支援につきましては、今後、韓国政府とIMFとの協議の結果を踏まえまして、IMFを中心とする国際的支援の枠組みの中でいかなる支援が可能か鋭意検討されるものとなると理解をいたしておりますが、バンクーバーにおきまして、閣僚会議あるいはまたバイの、韓国の外務部長官との話の中で、この問題につきましては首脳間会談で話を進めたい、こういうお話がございました。  今の段階でどういうことになりましたか、実は詳細、わかりましたらすぐ御報告を申し上げますけれども、いずれにしても、橋本総理並びに金泳三大統領との間におきましてこの問題が取り上げられ、お話が進められていると理解をいたしておりますので、その基本的方針にのっとって我が国としては適切に対処いたしていくべきものと考えております。
  65. 若松謙維

    ○若松委員 段取りが、順序が当然あろうかと思いますけれども日本でも今実際、正直言って大変なのですけれども、やはり日本の対応というのもある程度準備が必要で、かつ、それなりに検討されているのではないかと思うのですけれども、いかがですか。それは事務方になりますか、まだ大臣のところには行っていませんね。
  66. 小渕恵三

    小渕国務大臣 今ほど御答弁申し上げました日韓首脳会談につきましては、先方から、十一月十九日に金融市場安定化政策を発表し、市場の安定化に向け努力しており、二十一日にIMFに資金協力要請を行った、この支援が成功するためには日本などの関係国の支援が必要という要請に対しまして、我が方から、韓国のファンダメンタルズは基本的に良好と認識している、金融市場安定化策を歓迎する、IMFを中心とする国際的支援の枠組みの中で韓国に対する協力を行うことを鋭意検討するというのが首脳会談の結果でございました。  これからの段取りにつきましては、まさに、この会談での成果を踏まえて、具体的、現実的にどう対処するかということは、これから政府として検討を早急にいたしていかなければならない問題だろう、こう思っております。
  67. 若松謙維

    ○若松委員 わかりました。進行中の話なのでちょっと答弁も難しいと思うのですけれども。  それでは、外務大臣、いわゆる二国間の外相会議、もしくは総理からの連絡か何かで、特に山一証券について他国の首脳から質問をされたとかいろいろと議論があったとか、また懸念を表しているとか、そんな議論というのはありましたか。
  68. 小渕恵三

    小渕国務大臣 タイムラグもあったかと思いますけれども我が国におきましてこの問題が大きく取り上げられたことについて、その報道その他がカナダ・バンクーバーまでまだ十分届いておりませんで、そういった点では、閣僚会議あるいはバイの会談等で、この問題が私に関しては取り上げられたということはございませんでした。  ただ、オルブライト長官との間で、金融問題について日本側がどのように対応しているかということについての一般論的な御質問はございましたけれども、具体的なことに関しましては、私自身が承知しておりましたので、日本で現下こういう状況になっておるという説明を申し上げた範囲でございます。
  69. 若松謙維

    ○若松委員 それでは、先ほど、アジアの通貨危機に対してIMFを中心に日本アメリカと協力して対処していく、こういう動きだと思うのですけれども、実際に、では果たして日本の本丸がどうなのかというところで、先ほども申し上げましたけれども、今、国際金融秩序安定のために日本は今後どう対応していくのかというのが、やはり先進国もそうでしょうし、また第三国もかなり関心があると思うのです。そういった観点からは、今後どのように国際金融秩序安定のために日本が対応していくのか、御説明いただけますか。
  70. 小渕恵三

    小渕国務大臣 金融・資本市場におけるグローバライゼーションが急速に進展する中、一国の通貨、金融危機は世界市場に当然のことながら大きな影響を及ぼしております。  今後、我が国を含めた国際的な金融秩序の安定を図っていくためには、こうした金融・資本市場の現状を十分踏まえ、国際会計基準の形成に向けての努力や、企業情報開示、ディスクロージャーの充実による市場の透明性、信頼性の向上を含めて、適切な方途につき鋭意検討いたしていく必要があると考えておりますが、本件につきまして、大蔵省からさらに詳細に御説明いただきたいと思います。
  71. 三國谷勝範

    ○三國谷説明員 ただいま外務大臣からディスクロージャーの話がございました。  最近の経済社会環境の変化、金融・証券市場のグローバル化等に対応いたしまして企業のディスクロージャーの透明性を維持していくためには、御指摘のとおり、国際的な動向をも踏まえながら、会計基準につきまして一層の整備が必要になるものと認識しております。  現在、企業会計審議会におきまして、国際的な動向を踏まえまして整備を図るべき課題といたしまして、一つは連結財務諸表制度、それから金融商品、企業年金、研究開発費に係る会計基準などの検討を進めております。  本年六月六日には、このうち連結財務諸表制度の見直しに関する意見書を取りまとめ、公表したところでございます。さらに、今後、二十一世紀に向けまして残された会計上の課題といたしまして、金融商品、企業年金、研究開発費に係ります会計基準につきまして検討を進めておりまして、来年夏ごろを目途に、まとまったものから順次意見を公表していくこととなっております。
  72. 若松謙維

    ○若松委員 わかりました。要は、国際金融秩序安定に、日本の一つの貢献策として、日本の課題でありますディスクロージャー、そこら辺が重要だというお話でありました。  私も外務委員会で一年半前に同様の質問をさせていただきまして、特に、三菱銀行がSECにも上場しておりますし、かつ、あちらのルールでディスクロージャーしておりまして、それが日本の会計基準の不良債権の情報とかなり乖離があるということで、その指摘をさせていただきました。  それに対しまして大蔵省の方がいろいろと説明されたのですけれども外務大臣もそのときに、外務省におきましても、国際的な経済秩序の中で我が国の金融も含めた経済がいかにあるべきかという点からよく勉強し、また適切に対応してまいりたい、このような議論もしておりました。  大蔵省と連絡をとりながら諸外国動きというものを適切に伝えていただいたのではないかと期待しているのですけれども、現実にディスクロージャーの面で、まだ日本の金融機関は不良債権があるのではないかという認識があるからこそ、まだ円安要因ですし、株価が相変わらずこういう状況、そしていわゆる外資がなかなか日本に入らない、こういう認識があると思うのです。  そういった観点から、今の日本のディスクロージャー、特に金融機関が国際比較において現状をどういうふうに認識しておられるか。大蔵省が適切だと思うのですけれども、いかがですか。
  73. 三國谷勝範

    ○三國谷説明員 我が国に限りませんで、各国の会計基準は、それぞれの国の法制、取引慣行あるいは歴史等、いろいろな密接な関係を有しておるところがございまして、その意味で国ごとにそれぞれの違いがあることも事実でございますが、一方で、経済の国際化の進展といった要素もございます。こういった国際的調和の観点に配慮しながら、会計、ディスクロージャールールの改善を現在まで進めてきているところであります。  不良債権等のディスクロージャーに係る基準について申し上げますと、これもSECの基準等いろいろな基準があるわけでございます。私どもといたしましても、ディスクロージャーは不良債権の早期処理を促す上で大きな意義を持つものと考えております。  いろいろな課題につきまして真剣に取り組んでまいりたいと思っております。     〔委員長退席福田委員長代理着席
  74. 若松謙維

    ○若松委員 具体的には大蔵委員会でぜひやらせていただきたいわけですけれども、まず、ぜひ外務大臣認識として持っていただきたいために、情報を提供させていただきます。  いわゆる日本の基準、有価証券報告書ですね、ここに当然、三菱銀行の連結ですけれども、いわゆる不良債権の開示ということで、破綻先債権と延滞債権、よく今新聞で話題になっております、それの金額が、個々に言ってもあれなんで、破綻先債権、延滞債権、そして金利減免等債権、さらに経営支援先に対する債権、これの合計が約一兆二千八百八十五億。それに対して、アメリカは二つのディスクロージャーになっておりまして、未収利息不計上貸出金、これが八千六百六十六億円。さらに、リストラクチャード貸出金、相手の状況が厳しくなって貸し出し条件が変更した、いわゆる危険な債権という意味ですけれども、これが六千七百六十六億円。合計で一兆五千四百三十二億円。約三千億弱の差額がございます。日本の基準の方がまだ少ない。  それで、三菱銀行の場合には、アメリカのSEC基準でディスクローズしていましたので、おのずと債権償却せざるを得ないということで、東京銀行と合併したわけですけれども、結果として、今その体質は非常に健全なのですね。  ですから、今の日本のディスクロージャー、諸外国におくれる、やはり先進国のアメリカに早く日本のディスクロージャーも追いつかなくてはいけないというのは、ぜひ大蔵省、特に企業財務課の認識として持っていただきたいわけです。  さらに、アメリカのディスクロージャーのルールでは、九十日以上の延滞貸出金、九十日以上利息または元本が返済されていない金額もディスクロージャーの対象になっておりまして、それが三菱銀行の場合には三千三百七十七億円。そうしますと、いわゆる不良債権という形でアメリカルールによる金額と日本ルールによる金額は、いまだに約六千億円差額があるのですね。これがまだまだ日本の現実としてディスクロージャーはおくれている。そういう事実認識で大蔵省、よろしいですよね。
  75. 三國谷勝範

    ○三國谷説明員 先生御指摘のとおり、アメリカのSEC基準につきましては、未収利息不計上貸出金、あるいは九十日以上の延滞、あるいはリストラクチャード貸出金といったことにつきましていろいろな基準があることは御指摘のとおりでございます。  現在、私ども、企業会計審議会におきまして、日本のディスクロージャー制度の水準の維持向上のためにいろいろな検討をしているわけでございます。その中の一つには、例えば金融商品の時価評価をどうするか。また、デリバティブをどうするか、あるいは減損の問題をどうするか。そういったことをいろいろ検討しておるところでございまして、先生の御指摘等も踏まえながら、また検討を進めてまいりたいと思っております。
  76. 若松謙維

    ○若松委員 せっかく三國谷課長が来ていらっしゃいますので、もう一つ、事実確認だけさせていただきたいのです。  これは、三菱銀行のやはり連結会計の平成九年三月、決算期なのですけれども、経営支援先に対する債権額、三千七十六億円あるのですけれども、そこの注記にこういう表現があるのです。「損金経理について税務当局の認定を受けて債権放棄等を行い、経営支援している先に対する貸出金」と。税務当局がこれは損金処理を認めますというところだけ、この経営支援先に対する債権額として計上しているということですね。そうすると、税務当局が損金経理を認めていないものもあるわけなのですけれども、それはこの経営支援先に対する債権額のディスクロージャーとして載ってこないわけですよね。そういう理解でよろしいわけですね。わかりますか。
  77. 三國谷勝範

    ○三國谷説明員 専門の先生からの御指摘でございまして、事実関係につきましては、ちょっと私どもも正確を期する意味で言葉を控えさせていただきたいところがあるかと存じますが、いずれにしても、三菱銀行が今回いろいろな形でかなり思い切った、自己査定を含めた不良債権の償却をしたことは事実でございます。また銀行のそれぞれの判断というところもあるわけでございまして、そういったものが今後そういった意味でいろいろ技術的にどのようなところをクリアし、またこれが世界の流れにどのように合致しているか、私どももまた先生の御指摘も踏まえながら勉強させていただきたいと思っております。
  78. 若松謙維

    ○若松委員 これは私の尊敬する方が、私の恩師ですけれども、この点について非常に懸念されておりまして、ちょっとコメントがありましたので読ませていただきますと、   会計原則は国際ルールとして、損益の発生のときに認識する“発生主義”であり、日本だけが大蔵省主税局の反対で損金を主税局が認めたときに“発生”させるという、世界に類例のない日本的処理方法です。 と。これがかなりあるんですよ、まだいまだに。だから、会計は会計として、しっかりと不良債権をディスクローズさせる。その後、損金処理はこれは国税庁が決める。損金処理を決めた後会計処理では、これは世界の信頼が得られません。それをぜひ早急に改定してもらいたいと思います。
  79. 三國谷勝範

    ○三國谷説明員 いわゆる企業会計と税との関係につきましては、また一つの手法としていわゆる税効果会計といった問題もあるわけでございます。こういったことにつきましても、現在、いろいろな角度から勉強させていただいているところでございます。
  80. 若松謙維

    ○若松委員 ぜひよろしくお願いします。  済みません、大蔵委員会になってしまいまして。これは本当に外務大臣日本の会計基準、諸外国から聞いて、やはり日本の会社の決算はわからないと。これはやはり外交問題なんですよね。ひとつこっちの面も関心を持っていただいて、なんだったら私も、僭越な知識ですけれども、情報提供させていただきますので、よろしくお願いいたします。  それで、ちょっと順番が逆になりますけれども、質問通告させていただいております日独年金通算協定、これについての質問に変えさせていただきます。  これは、私もこの外務委員会で何度か質問させていただきました。いわゆる租税条約と同じでありまして、例えば日本の会社が海外に行って海外でも税金を受ける、また日本でも受ける、そうすると二重課税になるということで、それを回避するための取り決めが租税条約。  同じような形で、例えば日本のサラリーマンがドイツなりアメリカなりイギリスなりに勤務する。そこでもその国のいわゆる年金制度なり医療保険制度もありますから、日本も同じように払っていると二重払いになる。これが、委員会のやりとりでは、日本の企業は約二千億円ぐらい負担していると。これを例えばアメリカですと、大体十五カ国ぐらい年金通算協定をつくっておりまして、年金の二重支払いを回避している。ところが、日本はまだゼロなんです。  これを何とか早急にやってほしいということで、今、日独協定を鋭意努力されていると思いますけれども、本当はことしの通常国会で出る予定だったのですけれども、おくれているのですよね。その後にアメリカもあるし、イギリスもあるし。少なくともこの三カ国は早急に、ここ一、二年でやってもらいたいと思うのですけれども、ちょっと現状報告をしていただけますか。
  81. 内藤昌平

    ○内藤政府委員 お答えいたします。  先生御指摘の協定案、これは通常は社会保障協定と申しておりますが、これにつきましては、平成七年九月から政府交渉が始まりまして、これまで六回にわたり交渉を行いまして、協定の早期締結に向けて精力的に取り組んでおります。  御指摘のように、我が国はいまだ、いかなる国ともこの種の協定を締結した経験がないために入念な検討が必要という事情もあり、時間がかかってまいりましたが、本年五月の交渉において、ほぼ実質的な合意を得るに至っております。現在、なお残された若干の論点の解決を含め、最終的な詰めの作業を行っており、来月十二月前半にも次回交渉を行う予定であります。  今後とも協定の早期締結を目指し、ドイツとの間の調整作業を鋭意行っていく所存であります。ドイツとの間で早期に最終的な合意に達すれば、協定案を明年の通常国会にも提出したいと考えております。
  82. 若松謙維

    ○若松委員 ぜひその方向で御努力をお願いします。何か聞くところによると、交渉相手がちょっと体調を壊されたということで、そういうこともあるかと思いますけれども、一年間、協定、少なくとも恐らくドイツだけで五百億円ぐらいの日本企業の年金負担があるはずなので、本当に早急にお願いいたします。  それでは、それ以外の国の進展状況はいかがですか。
  83. 内藤昌平

    ○内藤政府委員 現在、ドイツ以外の国との協定締結交渉はまだ行われておりません。しかし、特に我が国との人的交流の多い国、アメリカあるいはイギリスとの間では、これまでも二国間協定の締結を視野に入れた非公式な意見交換は行ってきております。したがいまして、今後とも、まず日本とドイツの間の交渉状況を見つつ、順次適切に対応していく所存でございます。
  84. 若松謙維

    ○若松委員 最近アメリカ日本にある企業がいわゆる円高で大変年金負担がきついということで、いわゆる在日米国企業も早急にこれを締結してくれというような声が恐らくあると思うのですけれども、それは事実ですよね。そういうことであれば、ぜひ、日独が決まってからじゃなくて、同時並行で進めていただきたいと思うのですけれども、そういった観点からはいかがですか。
  85. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 若松委員におかれましては、この社会保障協定につきまして、長年関心と、政府をエンカレッジするといいますか、いろいろ努力をされておられまして、常々敬意を表しているところでございます。  お尋ねのアメリカとイギリスを中心に考えますと、米国とは実はもうずっと前から話し合ったことがございます。ただし、いろいろ年金の制度が、仕組みが各国複雑で異なるところがございますので、なかなか早急な交渉ということが進みませんけれども、例えば昭和五十八年、米側の事情によりまして、アメリカ側が財政収支の不均衡を問題としたために事実上中断するというような事情もございました。いずれにいたしましても、最近また、先生御指摘のとおりこの問題を解決すべきだという機運が双方において盛り上がっております。  昨年五月、実は予備的な非公式の話し合いということもやったこともございます。我々といたしましては、アメリカとの間も日独協定のめどがつき次第ということでございますので、もうそう遠くない将来でございますけれども、英国とともに並行的に協議アメリカともやっていきたいというふうに考えております。イギリスとの関係につきましては、それと同じように考えているところでございます。
  86. 若松謙維

    ○若松委員 ぜひ外務省におかれては、厚生省とよく連絡をとられて、早期実現をよろしくお願いいたします。外務大臣、よろしくお願いしますね。  それでは、これも恐らく再三にわたり質問が来ていると思いますけれども、COP3ですね。これも小渕外務大臣各国と特に議論があったと思います。そして、新聞記事ですけれども、橋本総理とクリントン大統領が、やはりこのCOP3について議論しております。  それで、まずCOP3なのですけれども、当然COP1からCOP2、COP3ということで、一連の流れがあるわけですけれども、やはり筋論からいうと、先進国がいわゆるリーガルバインディングを設けて、それをしっかりと守るというのが本来の流れだったわけですよね。それで、発展途上国にはそんなに負担を求めない。ところが、アメリカは発展途上国も入れないとだめだと言ってきているわけなのですけれども、これはちょっと先進国として、大人の国としてルール違反ですね。  外務大臣、どう思いますか。本来ですと、アメリカに、あなた、そういうことを言うべきじゃないと。私は、やはり環境立国日本というのですか、そういう切り口もあると思うのですけれども、そういった点から日本ははっきりアメリカに言うべきじゃないかと思うのですけれども外務大臣、いかがでしょうか。
  87. 朝海和夫

    ○朝海政府委員 温暖化防止の交渉でございますけれども委員も御指摘のとおり、私どもも第一義的な責任は先進国側にあると考えております。同じく同様な観点から現在の交渉、ベルリン・マンデートに基づいて行われておりますけれども、ベルリン・マンデートでは、いわゆる発展途上国には新しい義務を課さない、そういう枠組みの中で行っているのが現在の交渉でございます。  ただ、この地球温暖化の問題、より中長期的に考えますれば、二〇一〇年ごろになれば途上国からの総排出量の方が先進国からの総排出量よりも上回ると言われておりまして、そうした見地からは、中長期的には途上国にも温暖化防止のために排出の抑制など努力をお願いしたいと考えておるところでございます。  そこで、米国との関係では、以上申し上げておりますようないろいろな観点を踏まえて、米国には米国なりの独自の主張がございますけれども、京都における交渉の妥結に向けて、より柔軟な姿勢で途上国の問題に対処するよう呼びかけているところでございます。
  88. 若松謙維

    ○若松委員 外務大臣の御見解をいただきたいのですけれども。  質問戻りますけれども、やはりアメリカは先進国たる先進国ですので、ベルリン以来のずっと一連の流れというのは本当は逸脱すべきではないと思うのですね。日米パートナーシップの中で、やはり日本も、そういうちょっと筋をずれた今のアメリカの対応に対して一言言うべきだと思うのです。まず、発展途上国をどうするかという問題以前に、まだアメリカは途上国の議論を今持ち出すべきじゃないとはっきり日本は言うべきだと思うのですけれども、それはいかがお考えですか。
  89. 小渕恵三

    小渕国務大臣 先般、バンクーバーにおきましてオルブライト米国務長官と会談をいたした折にも、私から、数値目標を含む合意に向けて、今委員指摘のような点も含めまして協力をお願いした、得たい旨発言をいたしましたが、一方オルブライト長官から、先般東京で行われた非公式閣僚会議である程度の進展があった、しかし、というところで今御指摘のように、途上国への、さらなる意味ある参加が必要と考えているということを述べられまして、この点につきましてはすれ違っておるということでございます。  しかし、いずれにしても、今回議長国ということで、京都で会議が開かれます。日本として、これを成功させるために、世界それぞれの地域あるいは国によってのこの問題に対しての状況ということが相違がございますので、この点、今大木長官・議長予定者を中心に全力で話し合っている過程でございます。したがいまして、対アメリカのみならず、対EU等の問題もございますし、そういった点で、今総合的にこの問題について対処し、最終的成功へ導く努力をしている過程でございますが、今委員指摘の点についても十分考慮しながら対応してまいりたいと思っております。
  90. 若松謙維

    ○若松委員 ぜひアメリカ交渉相手、大変ですけれども、いろいろと教育的指導をよろしくお願いしたいと思うのです。  確かにいろいろな、例えばまさにサモアとか、本当に海抜ゼロメートル地帯がほとんど国土という国の意見もあるでしょうし、またアフリカ諸国とかいう意見もあるでしょうし、本当にそれをまとめるのは大変だと思うのですね。でも、やはりそれには先進国がとにかく筋に沿った、検討の積み重ねに沿った議論というものをしていかないと、本当にこれは大変な問題になるという認識から、私も再度質問させていただきました。  それでは、京都会議で途上国の対応がまだちょっと見えない状況、入れないよりは入れた方がいいのは決まり切っています。ところが、途上国もやはり意見があるでしょうから、なかなか難しい問題だと思うのですけれども、いわゆる外交当局として、この京都会議で途上国に対する対応、どのように我が国としてしていくのか、これについて御説明いただけますか。
  91. 朝海和夫

    ○朝海政府委員 現在の温暖化交渉における途上国の位置づけ、先ほど御答弁申し上げたとおりでございますけれども、より具体的には京都の会議の中で、先ほど触れましたベルリン・マンデートに従いまして、途上国に対して直ちに数値目標に合意せよということを求めるつもりはございません。ただ、現在の条約の四条一項に書いてあることでございますけれども、すべての締約国が例えば国別計画をつくって報告書を事務局に出したりするといったような、全締約国共通の義務につきましては、先進国もそうでございますけれども、途上国においてもその義務を一層履行するように求めてまいりたいと思っております。  それと別に、より進んだ開発途上国、一部の開発途上国は相当経済社会が発展した段階にございますので、そうした国につきましては、自主的に何らかのコミットメントを、温暖化防止のためのコミットメントに参加することを求めたいと考えております。  さらに、より一般的な意味での途上国につきましては、将来の課題、先ほど二〇一〇年になれば発展途上国の方が全体としての排出量が先進国よりも多くなると申し上げましたけれども、将来の課題としては、今後の問題としてそういうものがあると思いますので、京都後、先進国、途上国ともに話し合いの場をつくっていこうではないか、そういう方向で考えているところでございます。
  92. 若松謙維

    ○若松委員 外務大臣も同じですよね。なかなかこれは本当に難しいですけれども。あと二週間ぐらいですか。直前にならないと本当にこういう話というのは進まないわけですけれども外務大臣、この十二月十日まで大変お骨折りいただくと思いますけれども、ひとつ地球のための外務大臣になっていただきたい、これをお願いする次第でございます。  それで、これも再三再四、衆議院参議院、さまざまな委員会で取り上げられてきましたけれども、OECF不当融資問題につきまして、先週の朝日新聞の一面トップで「経済協力基金の融資「不当」」、「会計検査院指摘へ」。検査院に聞きましたところ、いわゆる不当事項とするということを結論は言っていないようですけれども、でもその方向のようです。  これに対して外務大臣大臣になられたばかりですので、かつ当然ODAの総括責任者として、この問題に関する御所見をお伺いしたいと思います。
  93. 大島賢三

    ○大島政府委員 中国に対しますウナギ養殖関連の事業についてのOECFの投融資でございますが、本件につきましては、政府の直接借款、円借款の場合と違いまして、外務省として、この一々の融資承諾に、制度上、意思決定上、関与する仕組みになっておりませんが、報じられているような債務返済の焦げつき問題が生じているということは承知をいたしております。  そういうことではございますけれども日本と中国の関係上、経済貿易関係を含めまして、関係が円滑に進展していくということは非常に重要なことでございますので、今後、特段の外交的配慮がこの問題の解決に必要ということで、助言を外務省として求められるような場合には、外務省としても協力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  94. 若松謙維

    ○若松委員 なるほど今のお話を聞いていて、これは当然日本の企業が、何度も出てきた日盛産業というところが当事者になっているわけですけれども、そうすると外務大臣、中国で養鰻事業、もう御認識だと思うのですけれども、やはり対中国ということで極めてデリケートな問題という認識もあるわけですか。ちょっと今の御説明が、単なる不正融資ということで日本が一方的に追及するものではなくて、対中国政府に対する配慮もかなり必要のような印象を受けたのですけれども、とにかくODA責任者として外務大臣に、こういう問題、一体どういう御認識があるかどうかだけお聞きしたいのですけれども
  95. 小渕恵三

    小渕国務大臣 委員指摘のことは、OECFの不当融資問題、中国ウナギ養殖問題かと思います。  本問題について、日中関係上、一般に両国の経済貿易関係が円滑に進展していくことは、中国が国際社会との結びつきを強めながら安定的に発展していくことに資するとの観点から好ましいものと考えておりますが、このような観点から、本件融資の返済が順調に行われておらないといたしますれば、まことに残念でございます。  そこで、OECFにつきましては、外務省という立場から考えますと、この海外融資事業の場合には、OECFの判断で融資承諾を行っており、制度上、外務省が個々の案件の意思の決定に関与する仕組みになってはおりません。ただし、特段の外交的配慮が必要と考えられ、助言を求められるような場合には、外務省として協力をいたしていくということだろうと思います。
  96. 若松謙維

    ○若松委員 基本的にやはり極めて遺憾ですね、こういう事件というのは。大臣、それは御認識を持たれますよね。——そうだということです。ぜひこれはないように、また、ほかの議員が何としてもこれは許せないということでいろいろ調べておりますし、ぜひともODA、透明な形で、かつ税金のむだ遣いかないようにさらに努力をお願いしたいと思います。  時間となりましたので、最後、一点だけ質問させていただきたいのです。国連の問題で、大変国連で尽力された、そして我が日本人のホープであります明石事務次長、この方がいよいよ退官されるということで、そのポスト明石の人選が今話題となっておりますけれども、これについては、奮然日本政府として、次期ポスト明石、だれになるのか、当然人選があるのですけれども、もし候補者等わかれば、またどういったポストをねらっておられるのか、お話しいただけますか。
  97. 小渕恵三

    小渕国務大臣 御指摘のように、明石国連次長が今日まで国連におきまして大きなお仕事をされてきたことに敬意を表しております。しかし、国連の約束事と申しますか、ある一定の年限が参ればやはりそのポストは譲らざるを得ないということであります。  日本としては、私も九月にアナン事務総長に面会いたしましたときに、日本人の職員の一般的比率が極めて低いというようなこともかんがみて、さらに人材も豊富であるということで、活躍の場を与えてほしいということがございました。したがいまして、現在しかるべき、ふさわしい人を選任して、できれば、明石次長が持っておったポストであるかどうかは別にいたしましても、それに同等のお仕事を与えていただくように、また、そのふさわしい人材を今選任いたしておる、こういうことでございます。
  98. 若松謙維

    ○若松委員 時間が来ましたので、以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  99. 福田康夫

    福田委員長代理 午後二時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時四十分休憩      ————◇—————     午後二時八分開議
  100. 中馬弘毅

    中馬委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。藤田幸久君。
  101. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 小渕外務大臣に質問をさせていただきますことを大変光栄に存じます。民主党の考え方といたしまして、できるだけ、可能な限り大臣に政治家としてのお答えをいただければ幸いと存じております。  先週来外務委員会でも話に出ておりますけれども、やればできるという、対人地雷の件で大変外務大臣のリーダーシップを発揮して、対人地雷の問題に関しまして大変前進を持つ指導をしていただきましたことを、対人地雷禁止の超党派の議員連盟の事務局長として、一年間外務委員会等で努力をしてまいりました一議員として、心から御礼を申し上げます。  つきましては、ちょうど今橋本総理がバンクーバーのAPECに御出席でございまして、聞くところによりますと、もう一両日中にも日本政府の新しい方針を発表されて、外務大臣みずから十二月三日にカナダの調印式に御出席の御予定というふうに聞いておりますけれども、先週でございますが、トゥン・チャナリットさんという、ICBLを代表してノーベル平和賞をオスロで受賞される、まさにオスロで受賞講演をされる方、カンボジアで両足を切断された方でございますが、車いすで大臣に直接訴えかけをされまして、ぜひオタワでお目にかかりたいという直接のチャナリットさんからのお言葉がございましたけれども、ぜひチャナリットさんから日本のJCBLの署名を三万数千名分直接大臣はお受け取りになられましたわけですが、ぜひ彼の希望をかなえる。  それから、先週お目にかかりましたカンボジアのフン・セン第二首相も、日本における対人地雷に関する取り組みに大変感謝を表明されて、自分自身が調印をするというふうに私どもの前でおっしゃっておられたわけですが、そんな意味で、最終的な日本政府決定及び大臣御自身がオタワに行って調印をされるという決意を、この外務委員会の席で明らかにしていただければ幸いと存じます。
  102. 小渕恵三

    小渕国務大臣 対人地雷全面禁止条約につきましては、この条約の署名に向けまして、現在最終的な調整を行っておるところでありまして、先日のAPECの機会にも、自分から、オルブライト国務長官、あるいはオタワの存在しますカナダのアクスワージー外相にもこのことをお伝えしたところでございます。  長い間この問題にお取り組みいただきました藤田議員、先般、今お話のありましたチャナリットさんをお連れされまして、私もお目にかかりました。対人地雷の大変な被害によりまして両足を失い、またその失われるときにはみずからの手でみずからの足をおので切断したというような実話をお聞きしますと、改めてこの問題の重要性を認識をいたしたところであります。  冒頭申し上げましたとおりに、政府としての最終な決定はできる限り早くお願いいたしたいと思っておりますが、総理自身もこのことについては、署名について、その方向で調整せよという御下令をいただいておりますので、その方針で閣議で決定をし、願わくば私自身もその署名式に参加できれば幸いと願っております。
  103. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 このオタワの条約に恐らく署名をされるのだろうと思いますけれども、このオタワ条約に調印をするということは決して最終的なゴールではなく、むしろいろいろな意味でのスタートではないかというふうに考えております。  例えば、具体的に対人地雷を廃棄していくということが非常に重要な事柄としてあるわけですけれども、最近の報道によりましても、例えば南アフリカは、二百十一回爆破を行って三十万個を爆破したというような事例が報道されております。  それから、いわゆるオタワ条約に調印をしないので、アメリカがあたかも悪役かのようにも伝えられている面がありますが、私は必ずしもそうは思いませんで、アメリカは、既に備蓄の百五十万個を廃棄しておる、それから一九九九年までにさらに百五十万個を廃棄する具体的な方策をとっていらっしゃる。  そういうわけで、日本といたしましても、そういう国際的な廃棄の流れ、それから自衛隊が保有しております固有の地雷の廃棄といったものについて、調印をするだけではなく、やはり相当具体的な努力を国内面でもあるいは国際面でもしていくべきだというふうに考えます。大臣御自身もそういったことに言及をされておりますが、細かい技術的な問題は別にいたしまして、廃棄に対する大臣としての取り組み方についてお伺いできれば幸いです。
  104. 阿部信泰

    ○阿部政府委員 地雷の廃棄の方法及び手順につきましては、先生今おっしゃいましたように、国によっては、一括集めて爆破するという方法をとっている国もあるようでございますし、あるいは一個一個解体するという方法をとっている国もあるようでございます。いずれにしましても、これは保有しております自衛隊が中心に今検討をしているところでございますが、その方法の安全性、経済性ということも踏まえまして、現在鋭意検討しているところと承知しております。  また、条約の第六条によりますと、この条約によります廃棄の義務につきましても国際的な協力をすべしということを書いておりますので、第一義的にはおのおのの国が努力すべきでありますけれども、必要に応じて、国際的な協力も必要であろうかと考えております。
  105. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 大臣からもさらにお聞きをしたいと思いますけれども、この除去活動についてアメリカなんかもかなり、十億ドルの除去費用を各国から集めるというような訴えかけもしておりますし、それから一部伝えられるところによりますと、日本におきましても地雷除去予算というものを、数年間で例えば数十億円といった形でODA予算として考えるというような報道もなされております。  先週来、ODAに関してマルチかバイか、どこをどう削るかという話が出ておりますが、それ以上に重要なのは、こういう非常に有意義なことにODAを使っていくということの方がある意味では前向きで建設的な話かと思いますし、この地雷除去の関係でODA予算を使っていくということは非常に説得力があるのではないかと思います。そういった意味での除去に関するODA、あるいは日本の協力について、大臣の方からお考えをいただければ幸いでございます。
  106. 小渕恵三

    小渕国務大臣 先ほどのお話の中で、アメリカ考え方について御言及がございました。  アメリカといたしましても、今日まで九三年以来、地雷除去のために一億五千三百万ドル貢献いたしておりまして、報ずるところによりますと、二〇一〇年までに十億ドルの基金を全世界的に創設をして、この活動をさらに推進していくということでございます。  我が国といたしましては、ODAとの連携につきまして、対人地雷の全面禁止に向けた国際的な潮流を踏まえつつ、ODAの大綱原則に従い、相手国の安全保障環境や経済社会状況、二国間関係、そして条約第六条の国際協力の規定を総合的に判断した上で、対応を検討していくべき問題であると認識をいたしておりまして、我が国としてのイニシアチブもとってまいりたいと思っております。
  107. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 今ODA大綱に触れられましたけれども、もう一つ、やはりこの地雷の問題で、オタワ条約に調印するしないにかかわらず重要なことは、対人地雷の輸出の面だろうと思っております。  これに関しましては、エリツィン・ロシア大統領も、調印そのものは今回の十二月三日、四日には間に合わないようですけれども、近々、オタワ条約にはかかわりたい、と同時に、対人地雷の輸出禁止をロシアとしても決定をしたいということを、最近、おっしゃっておられるわけです。  実は、大臣もお買いになったと思いますが、いつも私、持ち出すこの「地雷ではなく花をください」という絵本ですが、続編ができまして、いわゆる一冊目と二冊目、合計で二十六万冊くらい現在までに売れました。国会議員の方々も多分もう五千冊近く、外務省の方も大分買っていただきましたが、ふえてまいりました。おかげさまで一年くらいで、この絵本の収益から、これ一冊六百円の純益でカンボジアの十平米の地雷の除去ができるわけですが、わかりやすい話でテニスコートでいいますと、これまでに五百五十面分くらいの面積の地雷原の除去を、イギリスの退役軍人のボランティアグループがしていただいたわけです。  ところが、よく考えてみますと、カンボジアの地雷がどこから行っているかといいますと、ロシアから相当行っておりますが、実は中国からも行っているわけですし、隣接諸国からも行っている。ということは、日本が、今問題になっておりますODAをいろいろな国に出しておりますが、そのODAを受けた国々が製造して輸出した地雷が実はカンボジアに行っている。その地雷を除去するために、これだけ二十六万人前後の日本の人が自分で浄財を払ってこの本を買う。国会議員の方も、外務省の方も、ほかの方々も買って、実はポケットマネーでその地雷の除去をしているということは、税金で払ったお金をODAに使って、それを受けている国が輸出した地雷を除去する、また日本の国民の方の浄財でそれを除去しているということは、やはりどう考えても非常に寂しい、矛盾する話ではないかと思うわけです。  今、ODA大綱ということをおっしゃっていただいたわけでございますけれども、やはり地雷の輸出禁止ということと日本のODAとの関連ということも含めまして、地雷の輸出を禁止するような方向に各国に働きかけをしていくというようなことが一これはよく言われたオタワ条約に入るか、入らないかということにかかわらず、実効的な、いい対策になるのではないかと思うのです。  そういったことについて、一般的な取り組みの姿勢を、政治家としての小渕大臣からお伺いできれば幸いです。
  108. 小渕恵三

    小渕国務大臣 対人地雷の生産国による輸出を禁止させるためには、生産輸出国等を取り込んだ、普遍的かつ実効的な対人地雷の全面禁止を実現することが最重要であります。したがいまして、現在ジュネーブ軍縮会議での条約交渉の早期開始等に努めまして、この会議を通じまして、製造された、されるまでには、それぞれの国の事情で生産国になるかもしれませんが、少なくともこれを輸出させることのないようにということにつきまして、こうした会議我が国としての主張をさらに続けてまいりたい、そして実効ある姿にぜひ持ってまいりたい、こう考えております。
  109. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 たしか大臣外務大臣に就任されて直後の記者会見で、素朴に考えても、日本の人々の浄財でカンボジアで地雷除去をしている、そうしている一方で、オタワ条約に調印をしないということは非常に理解が難しいと、大臣御自身のお気持ち、お言葉お話しいただいたと思うわけです。  同じように、今のこの事例につきまして、例えばカンボジアでODAの受給国の地雷を日本の浄財でもって除去をしているという状況について、素朴にどうお感じになっているか、御自身のお言葉でおっしゃっていただければ大変幸いでございます。
  110. 小渕恵三

    小渕国務大臣 大臣就任のときの記者会見におきまして申し上げたことは、今委員から御披露いただきました。同様な気持ちを持ちまして、戦争が既に終結をしながら、なお敷設された地雷によって多くの被害者が生まれているという悲劇は  一日も早く解消しなければならぬと思いますので、そうした国々に対しての協力を、ODAというような形をとりながらもこれを実現するように、最善の努力をいたしてまいりたいと思います。
  111. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 ありがとうございます。  それから、除去の問題について、もう一つお聞きしたいと思います。  昨年のリヨン・サミットで、橋本総理がこの対人地雷禁止に関して日本政府のいわば方針転換になるような発信をされてから一年ちょっとたちますけれども、その間言われてきたことは、結局日本が、オタワ条約に署名が最近までおくれてきたということもございますけれども国連機関等にお金を拠出している以外に、実効的に除去活動に参加ができる環境がないということがあったわけです。  その一つが、武器輸出三原則というようなこともありまして、地雷除去の機器を輸出できないということでございました。最近は、人道用の目的に関しましては例外扱いをして、そしてできるだけそういった外国における除去活動を、資金関係以外の面でも日本として貢献をしていくような道を検討しているというお話がございますが、その辺の取り組みについてもお伺いできれば幸いです。
  112. 小渕恵三

    小渕国務大臣 地雷の除去ということは大変至難でございまして、先ほど御紹介ありました御本を購買していただきまして、その浄財で、そのお金をもってカンボジアで除去いたしておりますが、爆発物でありますだけに取り扱いがなかなか難しい。したがって、素人といいますか、一般の方々もこれを行うのがなかなか難しいわけであります。  そういった観点に立ちまして、いろいろ地雷の除去のための機器を開発しようという方もおられます。私も最近、NHKのテレビ番組で拝見いたしましたが、「未来派宣言」という中で紹介された大田区の富田さんという技術者が、本来道路の下の空洞を見つける仕事で、その技術を応用しようということで今これを開発中であります。ところが、開発されましても、これはいわゆる地雷という武器の機能を低下させる武器ではないか、こういう認識がありまして、これは日本の武器輸出三原則に抵触するのではないかというような議論もございまして、せっかくの開発されたものも活用できないのではないかというようなお話も出てきております。  願わくば、こうしたことにつきましても政府としても検討いたしまして、地雷の除去に効果的なことが行い得る、しかも日本の技術、特にこれはコンピューターを駆使してやられるそうでありまして、そういった点でぜひ、世界の対人地雷の除去に大きな役割を果たすことができれば幸いである、政府の中でも検討を進めてまいりたいと思います。
  113. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 ありがとうございます。  地雷に関しまして、最後に御質問したいと思います。  先ほど申しましたように、調印は決してゴールではなくてスタートだろうと私は思っております。その関連で今幾つか質問をさせていただきましたが、もう一つの観点で、調印というのがスタートであるということは、やはり調印が行われても実際に発効するまでに時間がかかるわけですけれども、一番重要なことは、調印をした後、しかるべく早目にその批准をするということが重要だろうと思っております。  調べましても、日本政府で調印をした後、まだ批准をしていない条約も幾つかあるということも聞いておりますが、この対人地雷の問題に関しましては、条約に入る、入らないにかかわらず具体的なことをやっていくと同時に、早目に批准をしていただきたいと思うわけでございます。  つまり、批准までに時間稼ぎをしていただきたくない。つまり、ほかの国がまだ批准をしていないからということでなくて、やはりリヨン・サミット以降、対人地雷に関しましては、日本はことしの三月には日本政府主催の会議日本で開いたりということで、日本外交の一つの顔として機能してきたわけでございます。  何か伝えられるところによりますと、九九年の通常国会というような報道もありましたが、やはり九八年の通常国会でもう批准というようなお気持ちでやっていただければと思います。ぜひ、小渕大臣外務大臣でいらっしゃるうちに批准をしていただきたいと思いますが、その点について、大臣からお答えをいただきたいと思います。
  114. 小渕恵三

    小渕国務大臣 公式には、これを批准するかしないかというのは、まだ決まっておらないことでございますが、しかし条約が締結されました以上は、その批准につきまして、署名後具体的に検討することになると思いますけれども、できる限り早く国会で御承認をいただくように努力することは当然のことだろうと思います。  念のため、この問題につきましては、まだ検討が続いておるということの中には、日米間の協議あるいは代替手段や必要な国内法の整備等、いろいろございますので、こうしたことも十分念頭には置いてはございますけれども、一たん調印ということになりましたら、願わくば国会におきまして、これが提出の暁におきましては、できる限り早く御批准いただけることを祈念しております。
  115. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 ありがとうございます。大変力強いお言葉をいただきまして、大変ありがたく存じた次第であります。  それでは、対人地雷とも関係をいたしますが、最近のカンボジアの情勢について幾つか質問をさせていただきたいと思います。  御承知のとおり、七月五日にカンボジアにおきまして武力による行動が起きてから数カ月がたっておりますが、その間、最近ですとフン・セン第二首相、それからその直前にはソル・ケン副首相兼内務大臣、それからつい先週はサム・レンシー国民党党首、いろいろな方々が訪日をされておられますが、日本政府は現在のカンボジア情勢に対してどういう認識を持っているかということをまず幾つかお伺いをしたいと思います。  まず確認でございますが、外務大臣はたしか九月にニューヨークでウン・フット氏とお会いになっておられますが、当時、外務大臣としてのウン・フット氏にお会いになったというふうに理解をしておるわけですが、日本政府は今ウン・フット氏を第一首相として認知をしておられるのか、それからウン・フット首相の任命がパリ和平合意に違反をしていないのか、それから憲法上合憲、合法的であるのかということについてまず確認をしていただきたいと思いますが、ウン・フット氏とは外務大臣としてお会いになったのか、第一首相として九月にお会いになったのか、そこからまずお伺いをしたいと思います。
  116. 小渕恵三

    小渕国務大臣 七月以来カンボジア政府は憲法の遵守と政治体制の維持を表明しておりまして、基本的な政体の変更も行われていないと考えております。かかる観点から、第一首相の選出に関しては、カンボジアの憲法にのっとり、カンボジア人自身が決定すべき問題と認識いたしております。  そこで、お尋ねのウン・フット第一首相が、第一首相としてあるいは外相として外相会談をしたかということでございますが、当時国連におきましては、御承知のように、カンボジアの代表権につきまして最終的決定がなされない段階でございました。したがいまして、国連立場においてのその資格問題については決定をされておらないという過程ではございました。  しかし、私といたしましてはその資格は、冒頭申し上げましたように、カンボジア自身の政治体制の中で決定をされたことでございますが、国連総会に出席の場においてお目にかかりお話をいたしたわけでございますので、正直申し上げて、第一首相としてあるいはまた外務大臣として、その資格を云々するということよりも、むしろカンボジアの情勢についてお話を承り、かつ我が国立場説明する機会を得たい、こう思っておったわけでございまして、当時その資格について私の方からとやかく言う立場ではない。しかし、国連に出席をして、みずからそういう立場で私との会談に応じてきておるということでありますので、そうした立場の方としてお目にかかってまいりました。
  117. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 最近、一連のフン・セン第二首相あるいはソル・ケン副首相等が来日をされまして、かいつまんで言いますと、中立で自由な総選挙の実行を図るためのいわば環境づくり、あるいはそのための条件ということについて、小渕外務大臣あるいは日本政府関係の方からかなり率直なお話をされたというふうに聞いております。  例えば七月以降も、国連の人権センター、プノンぺンにございますが、あるいはアメリカの共和党、民主党のそれぞれのシンクタンク等がかなり詳細なレポートを出しまして、随分、例えばラナリット殿下関係のフンシンペック党の関係者が殺りくをされたとかというような具体的なレポートが出ております。そういった実際に起こった違法なリンチとか殺人とかいうことに関する調査、あるいはその関係者の起訴、それからいわゆる反対派の政党の資産の返還といったものについて、恐らく日本政府の方でもかなり率直な、あるいは厳しい指摘をされたと思いますが、そういったことに対する現在のカンボジア政府側の対応というものについてどういうお答えがあったのか、簡単にお聞かせをいただければ幸いです。
  118. 小渕恵三

    小渕国務大臣 私も先般来日したフン・セン第二首相と会談をいたしましたが、フン・セン第二首相としては、来るべき明年五月の自由選挙のために全力を挙げて努力をしていきたい、こういうことでありまして、経過の中で、ラナリット第一首相の身分の問題等につきましてもいろいろ率直な意見を交換いたしましたが、いずれにしても、平和裏に選挙が行われる、そのために我が国としても可能な限りの支援をしていくということで一致をした次第でございます。
  119. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 実はいろいろそれに対してカンボジア政府の方から、言葉の面では保証するとか、あるいはラナリット殿下に関しては、仮に裁判で有罪になっても、シアヌーク国王からの恩赦による形での選挙参加という方法があるというようなお話があったというふうにも伺っております。  例えば、ラナリット氏に関しましては一たん——司法権の独立ということをカンボジアで言っておりますが、とはいえ、その司法制度あるいは司法に携わる方々の構成を見てみますと、かなり思意的な、つまり行政権の方がはるかに強い国における司法権と思っておりますが、いずれにしましても、一たん有罪が決まった人を恩赦ということは、有罪ということを認めた上で、恩赦によって第一首相を務めた人あるいは第一首相と自分では思っていらっしゃる方が帰っていくということは、和平の仲介という観点から見ますとなかなか難しいのではないかという気もいたしますが、その辺はいかがでしょうか。
  120. 小渕恵三

    小渕国務大臣 カンボジア国内におけるこうした事件以降の対応につきまして私ども立場から多くを申し上げることは差し控えたいと思いますけれども、いずれにいたしましても、第一首相、第二首相がこうした形で抗争をされ、一方が国外におられるというようなことでございまして、フン・セン第二首相の考え方からすれば、国内において国法を犯し、そして今海外に出ておられる、こういうことでございますので、国内におけるその措置については、私の立場からこれ以上申し上げることは控えておった方がよろしいのではないかと思います。
  121. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 外交上そういったことは余り立ち入れず、あるいはこういった場ではお話しになれないかと思いますが、一般論といたしまして、有罪に対して恩赦で帰っていくという、いわば表でもって、平場で条件づくりみたいな話がどんどん、いろいろなところで行われております。  それとは別の次元で、やはりフン・セン氏とラナリット氏、あるいはそれを取り巻く方々同士の信頼醸成といいますか、仲介とまで言わずともそういう環境づくりのようなことを——恐らく現段階で、例えばフン・セン首相にとりまして、一番聞く耳を持つ相手が日本だと。つまり、国連の仲介もASEANの仲介もあるいはアメリカの圧力も今までのところ功を奏してない中にあって、援助が国家予算の四割を占め、その半分ぐらいの援助を出しているところの日本政府に対する聞く耳を一番持っているのではないかという状況がございます。  そういった中で、日本あるいは小渕外相として、このフン・セン、ラナリット氏を囲む方々の間の仲介あるいはその環境づくりといったものに対する取り組み、直接的なことはお話しになれないかもしれませんけれども、仮にそういった方向性というものが可能ならば、お試しになるおつもりがあるかどうか、お伺いできれば幸いです。
  122. 小渕恵三

    小渕国務大臣 我が国は、カンボジアの安定のために明年五月の自由、公正な選挙が重要であり、そのためにラナリット殿下を含む反対派政治家が早急に帰国して選挙プロセスに参加する環境が醸成されることが肝要との立場でございます。  したがいまして、今御指摘のありましたように、ラナリット第一首相殿下におかれましても、来年の五月の選挙にともどもに国民の選挙における評価をいただかれるような立場が望ましいと思います。そのためには、物理的にも御本人が帰国されておられるということは大事なことだろうと思います。  そういった意味で、今お話にありましたように、フン・セン第二首相あるいはラナリット殿下、ともども我が国には多くの友人、知己の方々もおられますし、率直にいろいろな御意見も聞いていただくことのできる方もおられますし、また同時に、私自身も、先般フン・セン第二首相から、ラナリット殿下の法的な問題について率直にお話し合いをいただきました。  こうしたことは、一般的な国と国との関係で、他国に来て自国の政治の姿の中で裁判の問題あるいは裁判以降に対して恩赦の問題等をお話しされるということは、常識的にはなかなかあり得ないことだろうと思うのです。しかし、我が国に対する信頼の度合い、カンボジアの問題について、日本がいかにPKOも含めまして努力をしてき、かつ経済的な協力も惜しまなかったという点も含めまして、率直にそういうお気持ちを述べられたのではないかと思います。  一方、ラナリット殿下につきましても、いろいろの方々がパイプを持っておられます。そういうことで、殿下におかれましても、仲介という言葉はいかがかと思いますけれどもお話をさらに進められて、結果的には平和裏にカンボジア国民の審判を仰ぐことができることは望ましいということの立場において、今のお話も貴重なお話と承らせていただきました。
  123. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 時間がありませんので、二つほど、政府の方で一応調査をしていただければありがたいと思うことがございます。それは、フン・セン氏の来日中もいろいろと約束をされたようなことが果たして実行されるかどうかということが、和平あるいは来年の選挙について重要だと思うからでございます。  例えば、けさの毎日新聞でございますけれども、きのうカンボジアの北西部で、フン・セン第二首相派が雇ったと見られる殺し屋七、八人によって、ラナリット系の司令官が、国連関係者の見ている前で連行され、銃殺をされた。そして遺体が土に埋められた。それで、それを国連関係者が掘り起こした後、火葬されたというようなことがけさの新聞なんかにも出ているわけです。これは国連関係者が目撃をして埋葬したというようなことまでありますから、かなり具体的な事例がいまだに起こっている。実際にこういったことがあったのかどうかというようなことも、やはり逐次報告をしていただきたい。  それから、日本の援助が非常にカンボジアに対して多いということを先ほどちょっと申しました。つまり、援助の半分ぐらいが日本からの援助だと。日本からの援助の八割がいわばプロジェクトに関する援助でございますが、残りの二割はカンボジア政府に対する資金援助、国庫に入るわけですが、その国庫に入っておる援助のうちの三百万ドルほどが、十月の末ですけれども、カンボジア政府の方から無断で引き落としがされた。それが日本政府の方に本来は知らせるべきものが、知らされずに引き落としがされたというようなことも私は聞いておるわけです。  つまり、環境的に言いまして、軍事費にお金が行かないということが紛争を予防する、あるいは拡大させない重要な点でございます。昨今ODAの問題が話に出ておりますけれども、やはりそういったODAというものが、先ほどの地雷の問題もそうです、それからかつてカンボジアで亡くなった中田さん、高田さん、AK47というもので殺されたという話も、前も外務委員会で出ておりましたけれども、やはり援助がそういう軍事的なものに使われないということを検証していくことが非常に重要だろうと思いますので、そういった点についてぜひ調査をしていただきたいということをお願いしたいと思います。  もし、この点について大臣の方からコメントがございましたらば、伺わせていただいて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  124. 小渕恵三

    小渕国務大臣 十分調査いたしまして、さようなことのないようにしていかなければならないと思っております。
  125. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 対人地雷の問題それからカンボジアの問題に関しまして、大臣自身が直接足で行かれた国々、あるいは直接ボランティア団体にもかかわられて今までおやりになってきたことを、外務大臣として政策にいろいろ生かしていただいていることに感謝を申し上げまして、私の質問とさせていただきます。  ありがとうございました。
  126. 中馬弘毅

    中馬委員長 続いて、松本善明君。
  127. 松本善明

    ○松本(善)委員 王城寺原で今月、アメリカの海兵隊の百五十五ミリりゅう弾砲の実弾発射訓練が行われまして、四百二十三発が発射されたということです。  これは小学校がすぐそばにありまして、吉田小学校嘉太神分校というのがあります。その分校の桜田さんという主任はこの実情を、イバラのような十日間だった、こういうふうに言っております。学校の裏には黄色いテープが張りめぐらされて、立入禁止の札が下げられた。百五十五ミリりゅう弾砲の発射音、炸裂音が響く中、分校は下校時間を早めて、父母の送り迎え、それから帰ったかどうかということの確認の電話を徹底させている。近くの中学校は部活動を休止する。こういう非常な緊張状態になりました。  九月の北海道・矢臼別の演習では沖縄の一年分に匹敵する二千八百一発、北富士の約五百五十発と王城寺原、すべて合計いたしますと、約四千発であります。  沖縄は九五年二千七百八十四発、九六年に三千四百五十五発で、沖縄では行われなかった夜間実弾発射訓練も二百数十発行われました。射程距離は、沖縄が四ないし五キロでありますが、これを超えて北富士は六キロ、矢臼別が七キロから十四キロ、王城寺原は七・五キロから十キロ。発射弾数、射程距離など、それから夜間訓練、演習規模は沖縄をはるかに上回っております。  これが事実かどうかということと、外務大臣、こういうような状況になることを大臣は予想しておられたのかどうかということを伺いたいと思います。
  128. 萩次郎

    ○萩政府委員 沖縄の一〇四号線越え実弾射撃訓練の移転は、ただいまお話ありましたように、北富士、矢臼別、王城寺原、それぞれの陸上自衛隊の演習場で本年度三回行われております。  北富士は本年七月三日から九日まで、これは百三十名で、射程五キロ。矢臼別は本年九月十九日から二十八日、三百八十名で、射程十キロ……(松本(善)委員「長官、必要なことだけ。聞いたことだけ」と呼ぶ)はい。王城寺原は本年十一月十一日から二十日までの十日間ということで実施をしております。  なお、弾数については、米側から北富士で五百五十発を撃ったという報告はありますが、矢臼別、王城寺原、それぞれについてはまだ報告がありません。  弾数の問題につきましては、キャンプ・ハンセンで最後の年にやりましたのは四千発弱でございますけれども、これは年によって七千発撃ったり五千九百とか六千とか三千とかいろいろございますが、いずれにいたしましても、特に弾数についてどうこうという決まりがあるわけではございません。
  129. 小渕恵三

    小渕国務大臣 こうしたことを知っておったか、こういうことでございますが、こうしたことというのは今御説明を申し上げた数字だろうと思いますが、あくまでもこれは日米間の協定によりまして、その範囲において行動し、そうした行為をされたものと思っております。
  130. 松本善明

    ○松本(善)委員 これは、なぜ予想していたかどうかということをお聞きしたかといいますと、やはり地元の人たちは、多くの日本の国民はこんなに沖縄よりもはるかに多い訓練が行われるというふうには思っていなかった。一体、こういうことは日本政府としては予想していたのだろうか、話をつけていたのだろうかということを聞きたいわけなんです。  といいますのは、八月二十九日の日米合同委員会は、実弾射撃訓練の移転に関する特別作業班の勧告を受け入れて、外務省と防衛施設庁の文書で同日付で勧告の概要を発表しております。それによりますと、「移転される訓練は、現在キャンプ・ハンセンで実施されている訓練と同質・同量の訓練とする。」というふうにあります。今の施設庁長官の答弁ですと、何千発撃とうと何万発撃とうと弾数は関係ない、いわばそういう答弁なんですよ。  沖縄では、ほかの演習はやっているけれども百五十五ミリりゅう弾砲はこの間やらないんですね。それは、沖縄でやっていたかわりに本土でやるんだ、だから同質・同量なんだ、これを機会に訓練を強化するというようなことはないんだ、こういうふうに日本の国民が受け取るのは当たり前ではないか。  もし、外務大臣がこういうふうになることは予想していたんだということになりますと、これはやはり国民を、悪い言葉で言えばだましていたのではないか。政府の方は予想していると言うのだけれども、国民は、全く予想外の大規模なものだ、こういうふうに受け取っているのですよ。それで外務大臣にお聞きをしております。  それで、外務省と防衛施設庁が発表した沖縄と同質・同量ということに反しないというふうに考えているのかどうかということも、あわせてお答えいただきたいと思います。
  131. 萩次郎

    ○萩政府委員 まず、事実関係から述べさせていただきます。  今お話ありました日米合同委員会におきます合意は、当時キャンプ・ハンセンで行われておりました百五十五ミリりゅう弾砲、それの本土移転ということで、キャンプ・ハンセンでは年間延べ三十数日行われていたということでございましたので、これを本土内の四カ所の演習場で、一カ所十日以内、一年間合わせて三十五日以内ということを決めましたと同時に、規模といたしましては、訓練を行う人員が三百名強、砲十二門、車両六十台ということで規模を決めたものでございまして、射撃弾数が特にどうということは何も決まっておりません。  先生おっしゃいましたように、もちろん年によって七千発をキャンプ・ハンセンで撃ったこともございますし、三千数百発のときもございましたが、弾の数はそのときの訓練計画それから天候、そういったもろもろの要素によって多くもなり少なくもなる、こういう性質のものでございます。
  132. 松本善明

    ○松本(善)委員 では、どうしてそういうことを発表しなかったのですか、初めから。そういうことが初めから決まっているのであれば、当然国民の前に、こういうことなんだ、弾数は多くなるかもしれぬ、夜間の演習もやるかもしれぬということを言うのが当たり前ですよ。何で同質・同量ということだけ言って、ほかのことは言わなかったのですか。それは国民をだましていたということにならないか。もうそういうふうに思っている人はいっぱいいるん、だから。
  133. 萩次郎

    ○萩政府委員 既に公表をされております結論といたしまして、先ほど申し上げましたように、年最大四回、各地域最大十日、訓練人員三百名強、砲十二門、車両六十台、こういう合意については公表をしておるところでございます。  それから、弾数につきましては、先ほどから申し上げておりますように、キャンプ・ハンセンにおいても多い年には七千発、少ない年でも三千数百発撃っているという事実がございますが、弾についてどうこうするというようなことは特に決めてございません。
  134. 松本善明

    ○松本(善)委員 八月二十九日の文書には何もそういうことは書いてないじゃないですか。どういう形で公表したんですか。私たちも知りませんよ。どこへ公表したんですか。
  135. 萩次郎

    ○萩政府委員 先ほどから申し上げておりますように、公表文書の中では、年間最大三十五日、一回十日以内、年四回、三百名、十二門、六十台ということは公表してございます。
  136. 松本善明

    ○松本(善)委員 それが同質・同量の内容だというようなことは国民はわかっていないのですよ。そこがやはりごまかしたと思います。  もしそれでいけば、大臣、これからも夜間は幾らでもやらせる、何万発撃っても構わない、こういう考えで臨むんですか、日本政府は。ちょっと大臣のお考えを聞きましょう。長官は今、先ほど来の事実を聞いていますから。
  137. 小渕恵三

    小渕国務大臣 今防衛施設庁長官が答弁したとおりでございます。
  138. 松本善明

    ○松本(善)委員 いやいや、私が聞いているのは、これからも、夜間の演習は地元はみんな反対です。地元の意向は尊重するということを政府も言っている、頭越しにやるようなことはしないとか尊重するというのは、米軍も言います。それをこれからは、今の長官の話でいけば、夜間もやります、何万発撃ってもそれは関係ないということになるんですよ。そういう考えでいいのかということを聞いているのですよ。
  139. 萩次郎

    ○萩政府委員 先ほど申しましたような日数、部隊の規模、こういうものは決まっておりますので、何万発というようなことは本来あり得ないわけでありますが、弾を幾ら撃つかはそのときの、先ほど申し上げましたように天候、部隊の訓練計画、こういうものによって、その日にちの範囲内で決まってくるものであろうかと存じます。
  140. 松本善明

    ○松本(善)委員 今の話でいきますと、それは何日も続ければ何万発ということになりますよ、期間を長くすれば。そんなことはあり得ないなんてことありません。  だから、日米間の約束でそういうことについては拘束がないのかどうかということを聞いたのだけれども、そういうことについてはまともに答弁をしないというと、ますますこれから本土での演習はみんな地元民は本当に不安になります。  大臣、伺っておきたいのだが、ここでは地元の人たちの抗議に対してアメリカ軍の将校のマーフィーという人が、相手が夜はしないと決めた戦争はないとうそぶいた。だから、沖縄ではやってない演習をやることについて、それはもう戦争というのはそういうものだという話ですよ。そうなったら、戦闘訓練を無制限にやるという考え方ですよ。  それから、説明会では、バレルという訓練司令官説明をして、質疑応答は英語でやれと。これはもう地元民は、物すごい侮辱を感じた。もう植民地根性丸出してはないかと。  私は、日本政府は、やはり日本の国民の受けとめた感情を代表して外交交渉するのは当然だと思います。夜間訓練はやめろということをアメリカに要求をしないかどうか。すべきだと思いますけれども外務大臣考え方をお聞きしたいと思います。
  141. 田中均

    田中(均)政府委員 お答えを申し上げます。  まさに今、施設庁長官から御答弁がございましたように、基本的なところと申しますのは、日数であるとか何回であるとかということについて、合同委員会としての報告というものを受け入れているわけでございます。  同時に、日米安全保障条約の目的を達成する、訓練は一定の目的を持ってやっておるものでございますから、当然その中で、地元の事情というものもございましょう。そういう中で現場の、私も今報道で拝見しておりますけれども、具体的に何を言ったかということは私も十分承知しているわけではございませんけれども、基本的には、合同委員会で決められたところに従って、できるだけ地元に負担をさらにかけないような形で処理をしてまいるというのが基本的な原則であろうというふうに思います。
  142. 松本善明

    ○松本(善)委員 大臣、今国会では、議院運営委員会でも、やはり大臣に聞かれたものは大臣が答えるべきだ、これが本来だと。私ども政府委員が出てくることについて一切反対だというふうには考えませんけれども、政治的なものを聞いているのだから、やはり大臣がきちっとそれについて、アメリカに対して夜間訓練をやらないというふうに要求しないかというふうに私は聞いているのですよ。やらないならやらないということで、大臣の見解を聞きたい。
  143. 小渕恵三

    小渕国務大臣 今、政府委員から御答弁申し上げましたように、日米合同委員会におきまして、双方取り決めをいたし、信頼に基づいて対応をしているわけでございますので、その中の範囲のことにつきましては、我々としては、その範囲の問題として取り組んでおるものと確信をいたしております。
  144. 松本善明

    ○松本(善)委員 結局、夜間訓練を認めるということになる。同質・同量ということで発表されたら、それは沖縄でやってないことはやらない、これはそういうふうに受け取るのは日本の国民は当たり前ですよ。その感情とは非常に離れているということを申し上げておきましょう。  アメリカの太平洋軍の準機関紙の「星条旗」紙の二十一日付は、宮城主城寺原演習場で実弾砲撃訓練を行っている在沖縄米海兵隊は、公務外でも海兵隊員が防衛施設庁職員の同行なしに自由に外出できることを外務省と防衛施設庁が確約したと発表をしております。これは事実ですか。
  145. 萩次郎

    ○萩政府委員 在日米軍人は、日本国内において当然のことながら自由な行動が認められております。  今回の射撃訓練に当たりましては、地元とお話をしたときに、地元の方から、外出させないでくれ、こういう希望がありましたのに対して、我が方から、させないということはできないけれども、防衛庁の自発的な行動ということで、その際にはなるべく防衛庁職員が同行するようにいたしましょうと。まあ、地元の御懸念もこれありということで、やってございます。
  146. 松本善明

    ○松本(善)委員 報道されているところでは、小澤防衛施設庁次長が、アメリカ兵のやむを得ない外出には必ず職員が同行するというふうに言明をしたということが報道されていますが、それは違うということですか。今長官は、なるべくという、なるべくというのと必ずというのは、もう全然違います。だから、地元の人たちは、実際アメリカ兵が仙台の繁華街まで来ているということについて、本当に驚愕しているんですよ。これはもう話は全く違うじゃないかということになっておる。これは防衛施設庁は、外出には職員が同行するというふうに言ったことはないんですか。
  147. 萩次郎

    ○萩政府委員 同行に努めるということで、それなりの努力をしております。  アメリカ人、アメリカ軍人であるから買い物をしてはいけないということになるわけではございませんで、その場合には極力、努めて防衛庁職員が同行するようにということで努めておるわけでございますが、全部漏れなく同行できるかというと、物理的に不可能であろうかと思います。
  148. 松本善明

    ○松本(善)委員 外務大臣、なぜこういうことが問題になるかということを少し御説明をいたしますと、宮城県では直接占領の時代があったのです。そして、王城寺原の周辺の市町村、色麻、大和町、それから大衡村というのがあります。残念ながら日本共産党は必ずしも強くなくて、その三町村で一人町会議員がいるだけです。ところが、この三町村、全部いまだに絶対反対なんです。そして町村長から町村会議長から、みんな反対です。  なぜそうかといいますと、戦後、そういう沖縄と同じような体験をしているんです。私も直接聞きましたけれども、「こんばんは、お嬢さんいませんか」これだけの日本語を覚えて、軒並みずっとアメリカ兵が訪ねてくる。だから、女性がいる家庭は、全部押し入れに女性を隠した。そういう体験をしている人がいっぱいいるんです。今申しました町村長や町村会議長もそういう体験をしている人がいるんです。  だから、同じような問題が起こらないかという心配をみんなしているんですよ。仙台に出てきた海兵隊員は、美しいって日本語で何て言うんだいって聞いて、そして繁華街を歩いている女性に「美しい」と声をかける。それだけ覚えて、あなたはきれいだね、「美しい」と言って声をかける。もうその悪夢が再来したような感情を宮城県の人たちは持っているんですよ。  だから、外出の問題が、アメリカ兵は自由に外出できるんだということでは、これはもう沖縄の少女暴行事件のようなことが起こらないという保証はない。しかも、一カ月滞在するんでしょう。駐留と同じですよ。外務大臣、仙台でこういう少女暴行事件のようなことが起こらない、そういう保証があると思いますか。
  149. 小渕恵三

    小渕国務大臣 無用なといいますか、不慮の事故は起こってはならないことではありますが、そのことを忌避するために親切でそうしたことで、それぞれの担当の者が御一緒に外に出てくるというのは、あくまでも親切な気持ちでなされておるもの、そう思っております。
  150. 松本善明

    ○松本(善)委員 これは、私だけの心配ではないのですよ。大和町というところがありまして、その町議会の議長、佐々木鉄雄さんという、もちろん我が党の議員ではございません。これはこう言っておられます。あれだけ反対した夜間演習を国は強行した、住民への被害など、海兵隊による事件、事故が起きないか不安だ、女性だけの問題ではない、三人寄ればこの話題で持ち切りだ、もうとにかく海兵隊には来てほしくないと。  大臣、こういう普通の人の不安ですよ。それにどうこたえますか。あなたはこういうことを聞いて心が痛みませんか。お聞きをしたいと思います。
  151. 小渕恵三

    小渕国務大臣 そうした不安を持たれる方もおられるということは、今御指摘もございました。しかし一方、我が国の基本的な安全保障のために米軍が果たしておる役割の中で、地元としても協力をしよう、こう考えて対応されている方もまたおられるものと思っております。
  152. 松本善明

    ○松本(善)委員 こういうことが各地で起こっています。  一方、キャンプ・ハンセンでは百五十五ミリりゅう弾砲の演習こそやめたものの、ロケット砲、対戦車砲など実弾演習はやりたい放題やっています。きのうの参議院内閣委員会でもお話があったと思いますけれども。しかも、世界に例のない巨大な海上基地がつくられようとしている。従来のヘリコプターの二倍近い高速で大量の兵員を輸送できるV22オスプレーという最新鋭の垂直離着陸機が配備される可能性もあるということであります。  私は、大臣に聞きたいのは、これは結局沖縄の痛みを分かち合うという口実で本土を沖縄と同じようにする、いわば本土の沖縄化といいますか、沖縄以上に本土の基地を使って、日本の米軍基地機能が飛躍的に強化をされるということではありませんか。そういうふうに思いませんか、この全体の経過を見れば。大臣、いかが考えますか。
  153. 小渕恵三

    小渕国務大臣 飛躍的に増加するとは思いませんで、先ほど施設庁長官も申されましたように、今回の協定に基づいて行うことも同量・同質のものだ、こういうことの信頼のもとで行われていることでございますので、いわゆる沖縄の基地の整理、縮小、統合に、あるいはまたそれぞれの作戦に関して、本土で行うことにつきましても、そのことがより大きな作戦や、そういうものになっておるとは私は考えておりません。
  154. 松本善明

    ○松本(善)委員 実態は基地機能が非常に強化をされているのですよ。  新ガイドラインの平素からの協力のところには、「自衛隊及び米軍を始めとする日米両国の公的機関及び民間の機関による円滑かつ効果的な対応を可能とするため、共同演習・訓練を強化する。」とあります。この移動については民間の協力が行われ、自衛隊も協力をする。言うならば、この移動訓練というのは一つの訓練なんですね。私は、この新ガイドラインがこういう形でもう既に実施をされている、その実態ではないかというふうに思います。  時間の関係もありますので、大臣に伺いたいのは、前回、古堅委員から名護市の住民投票の結果を尊重するかという質問について、市当局のお考え方もあろうかと思いますということは言われたが、政府としてそれを尊重するかどうかということについては、はっきりお答えにならなかった。この結果が反対ということになったら、反対になるかどうなるかわかりませんけれども、結果は尊重するかどうかということを聞きたいと思います。
  155. 小渕恵三

    小渕国務大臣 名護市でこれから行われます住民投票につきましては、極めて住民の意思の表明として大切なものだとは考えております。  いずれにいたしましても、政府としては、これから移設したいと願っておる海上ヘリポートにつきまして、これが住民の理解と協力が求められるように努力をしてまいる、こういうことだろうと思います。
  156. 松本善明

    ○松本(善)委員 これは、反対という結論が出ましたら、海兵隊に撤退してもらう以外にないと思うのです。先ほど来申しました本土での演習に反対をしている人たちも海兵隊の撤退を求めています。海兵隊の撤退については、御存じのように、アメリカの軍部内でもアメリカ国内でもいろいろな議論があります。本委員会でも、我が党以外の議員が何人も何人もその問題で質問をいたしました。海兵隊の撤退を、これだけ国民が反対をしている状況になってきているので、これは改めてアメリカ交渉するということをすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  157. 小渕恵三

    小渕国務大臣 在日海兵隊は、その有する高い機動力、即応性等を通じ、在日米軍の主要な一翼を担っております。国際社会において引き続き不安定な要因が存在する中で、このような在日海兵隊は、我が国の安全及び極東における平和、国際の平和と安全の維持に寄与しておると存じております。  したがいまして、現時点では削減や撤退を求めることは考えておりません。
  158. 松本善明

    ○松本(善)委員 最後に伺いたいと思いますが、海上基地を建設している、これは運輸省も応援しているメガフロート、超大型浮体式海洋構造物についてのパンフレットによりますと、こういうものの耐用年数は百年耐用を目標にしているということであります。一体そういう目標でいるのかどうか。そうなりますと、この海上基地ができるのも二十一世紀に入ってからでしょう。二十一世紀中は海兵隊は撤退しない、ずっと日本にいるということになりかねません。  その二つ、そういう目標にしているかどうかということと、それから、大臣が海兵隊の撤退についてどういう見通しを持っているのか。今は撤退は要求しないということですが、二十一世紀もかけてずっと撤退は要求しないということですか。それだけ伺って終わります。
  159. 萩次郎

    ○萩政府委員 今お話ありました工法二種類を提示をしてございます。くい式と、おっしゃいましたメガフロートといいますか、箱型。いずれももちろん構造物でございますから、耐用命数としては百年とかそういうものがあろうかと思いますが、私どもが求めました第一の要件として撤去可能ということで、海上施設、いずれも十分本当に撤去が可能かということを調べた上で、撤去が可能だという前提でやっておりますので、一度つくったら寿命が過ぎるまで置いておく、そういう趣旨でつくっておるものではございません。
  160. 松本善明

    ○松本(善)委員 大臣の答えの前に、撤去可能を盛んに政府は言うのですけれども、その見通し、海兵隊撤退あるいは海上基地撤去の見通しについてどういうふうに考えているのか、大臣の見解を伺って終わります。
  161. 小渕恵三

    小渕国務大臣 国際情勢あるいは北東アジアの状況というものははかり知れない点もございまして、基本的には、我が国の安全を確保するために必要な海兵隊の存在は、必要な時点まで存在をいたしてまいることだと思います。
  162. 松本善明

    ○松本(善)委員 大変不満ですが、これで終わりにいたします。     〔委員長退席福田委員長代理着席
  163. 福田康夫

    福田委員長代理 秋葉忠利君。
  164. 秋葉忠利

    秋葉委員 社会民主党の秋葉でございます。  一、二点について伺いたいのですが、まず最初に、国連において十月の三十一日、マレーシアなど四十五カ国によって、核兵器禁止条約の早期締結につながる交渉を一九九八年に開始することを求める決議案が提出されました。  この決議案に対して日本政府は全体の賛否は棄権ということなのですが、再びこれが実は第一委員会というところで投票が十一月十日に行われ、その際の日本政府の態度が棄権ということなのですが、この決議案、今度は、十二月初旬に行われる国連総会で再び決議案として本会議にかけられることになっておりますので、その際にはぜひ賛成をしていただきたいということで、お願いと、それから十一月十日の日本の棄権投票ということについての説明をお願いしたいと思います。  まず最初に、日本政府考え方として、核兵器を禁止するということについてはこれは全く文句のないところだと思いますが、小渕外務大臣、核兵器を禁止することには賛成である、核兵器廃絶には賛成だという点、まず日本政府としての考え方を確認させていただきたいと思います。
  165. 小渕恵三

    小渕国務大臣 先ほど決議案の話がございましたが、核兵器全面禁止条約に向けて交渉するよりも、まず包括的核実験禁止条約、CTBTに続くカットオフ条約交渉を早期に開始することが重要であると考えておりまして、先ほどの決議案につきましては、全体として賛成することが困難であるという立場であります。
  166. 秋葉忠利

    秋葉委員 その件については改めて伺いますが、まず一般論として、やはり核兵器の禁止、核兵器の廃絶ということについては、日本政府としては、唯一の被爆国ということまでしばしばおっしゃっているわけですから、これについては当然、禁止それから核兵器の廃絶ということで賛成であるということは言っていただかなくては困ります。
  167. 小渕恵三

    小渕国務大臣 失礼を申し上げました。  核兵器廃絶につきましては、究極的核廃絶に向けた核軍縮の決議案を提案いたしておることでございますので、そのような方針で進んでまいりたいと思います。
  168. 秋葉忠利

    秋葉委員 ここのところについては決議案云々の話ではなくて、一般的な原則として、核兵器に対するどういうことを考えているのかということを伺っているので、決議案についてはまた一つずつ伺ってまいります。  では、決議案についてですけれども、私の理解するところでは、四回に分けて投票が行われたわけですが、その一つ一つについて理由を伺いたいと思います。  これは決議の前文というふうに呼んでいいのでしょうか、理由その他が書いてある部分ですけれども、この第十段落について賛否の投票がありました。その内容、それから、日本はここでは棄権をした。賛成九十九、反対三十四、棄権十七、無投票三十五、その中で日本は棄権をしたわけですが、棄権の理由、これを御説明いただきたいと思います。
  169. 阿部信泰

    ○阿部政府委員 御指摘のとおり、前文の第十パラにつきましては、日本代表団としては棄権したわけでございます。  この前文第十パラは、ジュネーブ軍縮会議で時間的枠組みを伴った核廃絶交渉を進めるべしという趣旨のパラグラフでございますが、現実には、核軍縮を推進するためには具体的な措置を着実に積み重ねていくということが重要でありまして、遺憾ながら、現在の段階においては、そのような時間的枠組みを設定して核廃絶交渉を行うということはいまだ現実的でないということで、棄権をしたわけでございます。
  170. 秋葉忠利

    秋葉委員 棄権をされたわけですね。今の話を伺いますと、反対してもよかったんじゃないかという説明ですが、棄権で、なぜ反対ではなかったのですか。
  171. 阿部信泰

    ○阿部政府委員 そこは先ほど大臣から申し上げましたように、日本政府としては、究極的な核廃絶を目指すべきであるということで、国連総会でも決議を推進しておりますし、また、核兵器の違法性に関する例の国際司法裁判所の判決におきましても、核軍縮を進めるべきであるという意見には我が国としても賛同しているわけでございまして、その意味において、このような核廃絶の軍縮を進めるという趣旨そのものについては、我が国として大いにこれは支持するものであります。  ただ、そこに明確な時間的枠組みを設けるということについては、今のところ残念ながら、現実的に難しいものがあるということで、棄権という態度をとったわけでございます。
  172. 秋葉忠利

    秋葉委員 済みません、賛成して具体性がないという議論を展開されるのはわかるのですが、要するに、賛成すれば、そういう具体的な時間枠組みができて交渉が始まるわけでしょう。それに賛成しないでおいて、現実的に枠組みをつくることには具体性がありませんというのは、おかしな論理ですね。だから、賛成すれば、要するにこの決議案は通って、それではやりましょうということになるわけですから、そうすると、時間的な枠組みの伴った交渉が始まる。それはやりませんと言っておいて、理由を聞くと、いやそれは現実性がないからです。自分で邪魔をしておいて現実性がないと言っていたら、これはもうお笑いにしかならないじゃないですか。  第二番目のところに参ります。主文の第一段落の賛否、これについての投票で日本は賛成をしました。この内容と、賛成をした理由を説明してください。
  173. 阿部信泰

    ○阿部政府委員 主文の第一段落でございますが、ここは、国際司法裁判所の勧告的意見の中にありますところの、核軍縮に向けて交渉を誠実に行い、妥結する義務があるという趣旨をうたったところでございまして、これは我が国としても大いに賛同できるところでありますので、賛成した次第でございます。
  174. 秋葉忠利

    秋葉委員 さっきの第十段落との差のところがよくわからないのですが、交渉を誠実に行い、完了させる義務がある。前の第十段落は、開始する必要性を強調。始めることと会議を完了させる義務があるというのを考えると、先ほどおっしゃった現実性、それから具体性というところからいいますと、開始をする方が簡単なのではないですか。  現実性というのは大体そういうところで判断されるべきことであって、それが、完了させる義務があるというのは現実的だから賛成だけれども、開始をすることは現実性がないから棄権であるという論理も、これまたわからないですね。おわかりになっているのでしたら、説明してください。ごまかしの説明ではなくて、だれにもわかる説明をお願いします。
  175. 阿部信泰

    ○阿部政府委員 委員指摘のとおり、全体の趣旨としまして、核廃絶に向けた交渉を推進するということは我が国政府としても大いに支持しているところでございまして、他方におきまして、そこに具体的な時間的枠組みをつけるということにつきましては、残念ながら現在、核兵器を持っております国がこれに賛同してないということがありまして、したがって、そのような決議を採択しましても、現実には交渉が進まないということがあります。  その結果、現実には、決議の各段落の投票におきましても、西側諸国あるいはNATO諸国の間でもいろいろ投票態度が分かれているというのが、その辺の難しさを反映したものであったのではないかなと考えております。
  176. 秋葉忠利

    秋葉委員 今のことでちょっと、西側諸国それからその他核保有国云々とおっしゃいましたが、それらの国の中で被爆をした、被爆経験を持つ国というのはあるのでしょうか。済みません、皮肉で申しわけありませんが、答えてください。
  177. 阿部信泰

    ○阿部政府委員 もうまさに、それは日本及び日本国民しかないわけでございます。
  178. 秋葉忠利

    秋葉委員 だからこそ日本の態度が、そういった国々と異なった明確な態度をとっても全くおかしくない。それが国際世論の指し示す方向ではないですか。そこの独自性を何も主張せずに、西側の諸国がとか核保有国がということが出てくる、それについて日本国民、特に広島や長崎の被爆者たちはいつも歯がゆい思いをしている。そういったところをもう少し考えていただきたいところです。も、時間的な枠組みをつけると現実性がないとおっしゃいますが、完了させる義務がある。これは完了させるというのは、有限時間の中に終わらせなくてはいけないわけですから、完了させる義務があるといったら、これは時間的な枠組みは当然伴ってくるはずです。  ところが、先はどのような解釈をなさっているのは、これはいいかげんなところで、完了させる義務があるということは言っているけれども、本当はやらなくてもいいのだというような解釈を加えて賛成したということですね。そういういいかげんな解釈をされるというのはやはり問題ではないかと思います。  時間がありませんから先に進みます。  主文第二段落、これについても日本は棄権をしていますけれども、この第二段落の内容と棄権した理由を説明してください。     〔福田委員長代理退席、委員長着席〕
  179. 阿部信泰

    ○阿部政府委員 第二段落は、核兵器全面禁止条約につながる交渉を一九九八年、来年中に開始すべし、こういう趣旨の段落でございまして、これは先ほどの前文の第十パラと似たような趣旨でございまして、同じような理由で棄権をしたわけでございます。
  180. 秋葉忠利

    秋葉委員 先ほどの第十段落は時間枠ですね。今度の主文の第二段落というのはつながる。これが一九九八年に開始、でも、これは開始をするということを言っているだけで、完了させる義務があるなんというのは書いていないわけですね。  完了させる義務があるというところに賛成したら、それはどこかで始めなくてはいけないわけですから、始めることも当然その義務のうちに入ってくると思うのですが、そこは棄権をしてしまう。引き延ばし作戦のときにはそういうやり方というのは確かにあると思うのですが、今のお答えを聞いていると、どうも、国際司法裁判所の言うことには何となく調子を合わせなくてはいけないから賛成だけれども、実質的にはやりたくない、核保有国や西側諸国の意向を受けて、どうも足を引っ張る手助けをしている、足を引っ張るというのはおかしいですが、済みません、英語の表現がすぐ直訳になってしまったのですが、開始をおくらせるというところで協力をしているように聞こえるのですけれども。  それを全体としてまとめると、決議案全体への賛否ということになりますが、これも日本は棄権をしています。これについては、先ほど外務大臣の方からお答えがありましたから、あえて聞きませんけれども。  もう一度伺いますけれども、この点具体性がないということをおっしゃった、カットオフ条約は、ともかく最初から具体性があるという前提で賛成をする、したがって、この決議案には棄権であるという話だと思いますけれども、この棄権を十二月の総会において賛成に変えるためには一体どういう条件がそろえばいいのか、伺いたいと思います。
  181. 阿部信泰

    ○阿部政府委員 大変厳しい御指摘をいただきましたが、この決議の投票に関しましては、日本代表団も大変悩んだようでございまして、御指摘のようになかなか、決議案の構成から見ますと、趣旨としては大いに支持すべきところもたくさんあるわけでございますが、現実の問題としましては、現在、核保有国の間では、アメリカとロシアなどを初めとしまして、現実にかなり核兵器の削減が進んでおります。  核廃絶に向けては、それと同時に核兵器の拡散を抑えるという必要がありまして、その趣旨からは、例の核実験停止条約あるいは御指摘のカットオフ条約、核分裂物質の生産停止の条約といったものも同時に進める必要があるわけですが、実はこの決議は、そちらの後の方は触れていないということがありまして、そういった面でバランスを欠くという面がありまして、支持するのが難しいところがあったということも御理解いただければと思います。
  182. 秋葉忠利

    秋葉委員 カットオフ条約の大事なところは、何か選挙だと名前が大事なのですが、カットオフ条約という名前が決議案の中に出てくることがそんなに大事なのですか。  実質的には、この決議案の中に入っているのは、「核兵器の開発、生産、実験、配備、貯蔵、威嚇及び使用を禁止し、」カットオフ条約で目的としていることはこの中に全部入っているではないですか。  だとすれば、そのカットオフ条約という名前がないだけでおれは嫌だよというと、これは芸能人が番組に出るときに何かはぶてるとか、はぶてるというのは、済みません、広島の方言で機嫌が悪くなるという意味ですが、はぶてたり、それから政治家が自分の名前が投票用紙にない、けしからぬというのと同じレベルの話になるではないですか。本質的には入っているではないですか。  しかも、それは、カットオフ条約というのは、確認する必要もないでしょうけれども外務省が好きな究極的な核廃絶の第一歩、少なくとも方向性は一致している。しかも、この決議案で要求をしているのは、ともかくできるだけ早くこの交渉を開始しましょう。もし必要であれば、例えばカットオフ条約もこの決議案の中で言っているさまざまな努力の一環であるということを確認することも可能でしょうし、あるいはそういった修正を加えることも可能だと思いますけれども、そういった努力はなされてきたのでしょうか。
  183. 阿部信泰

    ○阿部政府委員 このカットオフ条約、核分裂物質生産停止条約につきましては、さきに開かれました核不拡散条約の再検討会議のときに、核軍縮に関する原則という合意の中で、それを始めることが合意されております。  したがって、これまで原爆投下以来、五十年以上にわたって進められてきた段階的な軍縮の努力、大気圏実験停止から部分核停、それから全面核停、あるいは核大国間の軍縮という一歩一歩進んできた努力の中で、次はこのカットオフを進めるべきだという動きがあるわけですが、それを何とか動かしたいという希望がありまして、そういうことを強く言っておるわけでございます。
  184. 秋葉忠利

    秋葉委員 いや、それはわかっています。わかっているから聞かなかったので、聞いたことに答えてください。
  185. 阿部信泰

    ○阿部政府委員 そのような問題も含めまして、この決議については、日本政府としてはやはり現実的な、具体的な交渉を進めるべきであるということで、棄権という態度をとったわけでございます。
  186. 秋葉忠利

    秋葉委員 全然答えになっていません。  ですから、カットオフ条約の交渉を進めることと、この決議案に賛成することは全く何らの矛盾もない。カットオフ条約もより大きな軍縮交渉の一環としてとらえて、日本がそれこそリーダーシップを発揮して、カットオフ条約が大事であるという認識は、これはもうかなり世界じゅう、ほとんどの国が認めているわけですから、それをさらに強力に推し進めるために、例えばこのマレーシア決議案に賛成した四十五カ国と一緒になって、その人たちを説得して、自分たちのグループに、陣営に引き込んで、そしてカットオフ条約を推進するような方向、流れをつくるのが、唯一の被爆国としての日本の役割ではないですか。  今のお話を聞いていると、西側諸国の、あるいは核保有国の顔色は見るけれども日本としてそういう独自の、しかも当然なすべき努力をしていないではないですか。それどころか、本当にくだらないところにいちゃもんをつけて、カットオフ条約という名前が入っていないから危険なのだみたいなレベルの低い話で、日本外務省日本国民の思いや期待というものを裏切っている、こんなばかな話はないですよ。  やはり、もう一度言いますけれども、もうちょっと努力してください、皆さん優秀な外務官僚なのだから。ともかく説得力を持って、自分たちの信念に従って、それはこのマレーシアの決議案だって一〇〇%完璧ではないかもしれない、しかし、そこのところと日本がこれまで推進してきたやり方との一致点を見つけて、そこをてこにして仲間をふやしていくというのがやはり国際政治の場でも当然求められていることじゃないですか。そのくらいのことはぜひやってくださいよ。
  187. 阿部信泰

    ○阿部政府委員 失礼しました。少し言葉が足りなかったかもしれませんが……。  このカットオフ条約につきましては、前回の核不拡散条約の再検討会議でこれを進めるべしという意見がまとまりまして、それを踏まえてジュネーブの軍縮会議でできるだけ早く始めようということで、日本代表団も積極的に動いて、各国交渉を早く始めるようにと努力しております。ちょっとその点の説明が足りなかったかと思います。
  188. 秋葉忠利

    秋葉委員 ということは、このマレーシア決議案、総会では賛成に回ってくれるということも含めて積極的に考えるということですね。
  189. 阿部信泰

    ○阿部政府委員 その点は、もしこれからマレーシア決議の決議案の案文が変えられるものであれば変えられることを探求してみて、その上で投票態度を考えたいと思います。
  190. 秋葉忠利

    秋葉委員 ともかく、ちょっと条件つきですけれども、検討するというお答えをいただきましたので、何もマレーシアの決議案、変えなくてもいいのですよ。要するに、皆さんの柔軟な頭をもうちょっと柔軟にして解釈を変えればそれで済む話なのですから。それで、まだ時間がありますので、私も非公式に皆さんと議論をしたいと思いますけれども、ぜひこの点の賛否について再検討をお願いしたいと思います。  これで質問を終わります。
  191. 中馬弘毅

    中馬委員長 次回は、来る二十八日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時四十二分散会