○東
委員 義務的な経費がふえているので、極めて逼迫している財政
状況を踏まえると、任意拠出の分野にしわ寄せが行かざるを得ないという基本的な
考え方なのだろうと思いますけれ
ども、それも私にとってみれば、基本的によく
理解できないことでございます。
九二年に閣議
決定された
政府開発援助大綱の援助理念の一つとして、人道的考慮という一点がございます。この視点から見たとしても、
日本のODA援助をしていく上での基本的な理念、また方針というのがあるに違いない。それに
基づいて、財政が逼迫したときに、それなりの方針を明確にしつつしていくのが本来の筋なのではないのか。
これから二点について、二つの角度から質問させていただきます。一つは、
外交方針が転換されてしまったのではないのか、もう一つは、
国連重視から二国間援助へシフトしてしまったのではないのか、この二点から質問させていただきます。
まず一般論でございますが、ODA削減自体は従来の
政府の
立場に大きく矛盾しているように思えてなりません。九七年の
外交青書のODAに関する部分におきましては、ことしてすよ、「
日本は引き続きODAを重視し、積極的な取り組みを行っている。」、また別のところで「ODAは国際社会に対する
日本の貢献の最も重要な柱であり、国の繁栄を世界の安定と繁栄に高度に依存する
日本自身にとって不可欠の重要性を持つとの確信に
基づいている。」、また別のところでは「支援していくことは、途上国の人々の生活の向上に役立つのみならず、
日本国民の生活を守ることにもなる。」、また別のところでは「ODAを通じて国際社会の取り組みに積極的に参画することにより、
日本が国際社会の信頼を勝ち得ていくことは、
日本の国際社会における地位を高め、ひいては、広い意味での
日本自身の安全保障にも資することとなる。国際社会における相互依存の深まりという変化の中で、ODA等の国際協力を強化していくことこそが、長期的に安定と繁栄を享受するための方途である。」、別のところではまた、
日本が開発途上国を支援する理由は、単に援助することが望ましいからだけではなく、
日本にとって、あるいは
日本国民にとって開発援助をすることが必要だからでもある。また別のところでは、
日本が歴史的、政治的、経済的な諸事情を勘案した場合、その経済力、そして技術力を生かしたODAは
日本の国際貢献の最も重要な柱であると言えよう、このようになっています。
つまり、ことしの
外交青書においても、ODAを
日本の国際貢献の最も重要な柱と位置づけをしています。
日本の安全にとって、また必要としているものでもあると思います。
しかし、閣議でODA削減一〇%ということが
決定されるに当たって、前
外務大臣、これは現
外務大臣とは直接かかわり合いがありませんけれ
ども、どのような
議論をしたのか、また閣議において、このODAを一〇%削減することは
日本のまさに
外交の重要なカードを失ってしまう、そのような
議論がされたのだろうと私は思うのですが、一切そういうことは伝わってこない。ODA削減一〇%というものがあっという間に広まってしまった。前の
外務大臣を私は非難するつもりはありませんけれ
ども、基本的に、そのODA削減一〇%という報道がなされた後、多くの機関から、多くの国々から、私のところにもいろいろな形で反応がございました。
そのときに、内閣で
外務大臣がこの問題についての最終的な決断をしたのだから、まず
外務大臣にこの問題を徹底的に訴えるべきだ、さらにまた、そのような方針を決めた与党である自民党の皆さん方に徹底的にこの問題についての重要性を訴えるべきだ、このように申し上げました。その後、反応を聞かせてください、そしてその上で、できることがあるならば徹底的に私たちも、また私の自分の
立場において、この問題について言及させていただきたい、このように申し上げた次第でございます。
閣議
決定、
小渕現
外務大臣は御存じないかもしれませんけれ
ども、どういう
議論があったのか、まずその点についてお聞かせ願いたいと思います。
日本の
外交方針を転換してしまったのではないのか、私はこのように思えてならないのですけれ
ども、今の
外交青書、これは
政府の
文書ですから、そこに書かれていることと今回の
決定、この間における整合性をどのように
理解したらいいのか、その点について御
説明願いたいと思います。