○山中(燁)
委員 なかなか
理解が、私はすとんと落ちないのですけれども。
実は
日本の拠出金がずっと、いろいろなレートの
関係もございましたけれども、ここ六年間世界、で一番のコントリビューションをしてきたということになっております。それは大変にいいことでありますけれども、ところがDACの諸国における
ODA、これは
外務省から出していただいています白書に載っているわけですけれども、GNP比というのを見ますと、
日本は二十一カ国中十九位なわけです。総額では一位ですけれども、GNP比では二十一カ国中十九位で、現在のところ〇・二%です。
これはちょっと予断ですけれども、この白書の中を調べてみましたら、年次が書いてないのは年次漏れではないかというのがあって、
日本の棒グラフの動向がありますけれども、何年のだかちょっとわからないので、これは後で訂正なさったらよろしいかと思います。
それはさておきまして、もう
一つ、
日本の国民一人当たりの
ODAへのコントリビューションというのは、これは二十一カ国中十二位でございます。これもまあ世界の
ODAの拠出国の中で中ぐらいのところということで、決して一番ではありません。それから、先ほど
ODAの質の問題ということがありましたけれども、ここにちゃんと「質(贈与比率)」と書いてありますが、これは二十一カ国中二十一位でございます。これは一番上ではありません。一番下なのです。
こういう現状ともう一点、私どもがいつも考慮に入れておかなければいけないことは、もし本当に
国連を
中心にして動こうということであれば、一九六八年の第二十三回総会において
援助量の増大ということに関してGNP比一%の
目標、これは難しいところにありますね、一九七二年までに達成すべきであるが、それができない国は一九七五年までに達成するように
努力する。
政府開発援助の
目標は〇・七%として、それを七〇年代半ばに達成するという
国連の決議がなされております。
日本は大変大きな拠出をしていますし、今
日本の経済が非常に厳しいということは十分
承知で、あえて申し上げますけれども、この
目標に向かって近づいている、
努力しているということが本当に国際的にわかっていただける
数字がこの中に出ているのかどうか。その上に、今回のように一〇%削減はいたし方ないとしても、押しなべて一〇%であればこれは
説明がつきますけれども、この任意の拠出にこれほどの荷重がかかってしまった。ということは、大変大きな国際的な悪い
日本のイメージを定着させてしまったのではないかというふうに懸念しています。よいことというのは、一般社会でそうですけれども、わかっていただくのにすごく時間がかかります。しかし、悪事千里を走るということもありますけれども、何かよくないということはあっという間に広がってしまいます。
ですから、これを修正して、復活
予算でもとに戻せば
日本の信頼はもとのとおり回復できるのかというと、私はそうは思いません。この受けたダメージは大変大きい。どういうことになるかというと、国際的な圧力、そういうもので復活したのであって、
日本が積極的に、同じ
予算を出すのに積極的にこれをみずから、ここのところは大事なところであるという、きちんとプライオリティーを置くか、もしくはほかと平等に、公平に一〇%の削減にするということをしなかったことのツケというのは、やはり信頼感という形で、信頼の醸成が一番大事な今の時期に信頼感を損ねたという、そういう側面が非常に大きいと思います。
もう一点、やはり
緒方貞子さんが、先進工業国の中で
日本の難民
受け入れの実績が極端に低い、極端に低いというのは、例えば一九九六年度、米国が一万六千六百人、英国が二千七百六十五人、そして一番少ないという部類であるイタリアでも百七十二人ですけれども、
日本は一名である、こういう統計が出ているわけです。
そういったものをかんがみまして、こういった極端に低い上に拠出金が大幅に削減されれば、人道
分野での
日本の
国際貢献の姿勢が問われかねない。そして、他の
支援国が
日本に見習って拠出金を削減するというマイナスの
影響も懸念されるのだということを強調していらっしゃいますし、何度も出ましたように、
アナン事務総長から二度も一カ月の間に橋本
総理に書簡が届き、
小渕外務大臣もアメリカでお会いになったということであれば、この与えた
影響がどれほど大きいか。これは今回のたまたま
予算がこうなったという問題を超えて、
日本の
国際社会の一員としての
役割というのをどう位置づけているか、そういったことに通じるのではないかと私は思います。
実はこれはもう本当に時間がないところでちょっとやってみただけなのですが、大蔵省管轄のIMFへの
日本政府の出資額というのを、これは十六日現在の一ドル百二十四円というレートといたしまして、それで換算をしてその百分の
一つまり一%が幾らになるかということを算出してみましたところ、これが百三十二億円になります。そうしますと、ただいまの
国連関係の
任意拠出、この削減の金額というのは百四十九億円でございます。IMFの
予算の一%をこちらに例えば補てんするというようなことを、同じ一〇%削減の中でも、バランスをとればこういった国際的なダメージは避けられたのではないか。なぜこれが事前にできなかったのかということが、先ほど
小渕外務大臣が、決まってから時間がなくて各省庁間の折衝がなかったということを
指摘なさいました。そういった点があるのだとすれば、その辺をこれから仕組みとして
改善していかない限り、こういうことが二度三度と起こるのではないか。私はそういった意味で大変に危惧を持っております。
その辺の、これからの
復活折衝の中あるいは
復活折衝の前でも、大蔵省あるいは他の省庁と話し合って、そして即座にここに充てんする分、この負荷を少しでも軽減するという
努力をしていただけますでしょうか。