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1997-11-19 第141回国会 衆議院 外務委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十一月十九日(水曜日)    午前九時開議  出席委員   委員長 中馬 弘毅君    理事 福田 康夫君 理事 茂木 敏充君    理事 森山 眞弓君 理事 青木 宏之君    理事 東  祥三君 理事 玄葉光一郎君    理事 松本 善明君       安倍 晋三君    逢沢 一郎君       河野 太郎君    阪上 善秀君       櫻内 義雄君    下地 幹郎君       田中 昭一君    野呂田芳成君       森  英介君    坂口  力君       島   聡君    松沢 成文君       丸谷 佳織君    山中 燁子君       若松 謙維君    末松 義規君       藤田 幸久君    古堅 実吉君       伊藤  茂君    保坂 展人君       平野 博文君  出席国務大臣         外 務 大 臣 小渕 恵三君  出席政府委員         防衛庁防衛局長 佐藤  謙君         防衛施設庁長官 萩  次郎君         防衛施設庁施設         部長      首藤 新悟君         外務大臣官房領         事移住部長   内藤 昌平君         外務省総合外交         政策局著    加藤 良三君         外務省総合外交         政策局軍備管理         ・科学審議官  阿部 信泰君         外務省総合外交         政策局国際社会         協力部長    朝海 和夫君         外務省アジア局         長       阿南 惟茂君         外務省北米局長 高野 紀元君         外務省欧亜局長 西村 六善君         外務省経済局長 大島正太郎君         外務省経済協力         局長      大島 賢三君         外務省条約局長 竹内 行夫君  委員外出席者         環境庁企画調整         局地球環境部環         境保全対策課長 小林  光君         環境庁大気保全         局企画課長   櫻井 正人君         文部省学術国際         局留学生課長  渡辺 一雄君         水産庁資源管理         部管理課長   石木 俊治君         外務委員会調査         室長      宮本 吉範君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月七日  辞任         補欠選任   安倍 晋三君     新藤 義孝君 同月十一日  辞任         補欠選任   新藤義孝君      安倍 晋三君 同月十九日  辞任         補欠選任   伊藤  茂君     保坂 展人君 同日  辞任         補欠選任   保坂 展人君     伊藤  茂君     ――――――――――――― 十一月十一日  日米防衛指針慎重審議、憲法の理念に基づ  く自主的な外交に関する請願(土井たか子君紹  介)(第四五二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十一月十日  核兵器全面禁止廃絶国際条約に関する陳情書  (第一四号)  竹島の領土権の確立及び排他的経済水域全面  適用に関する陳情書外一件  (第一五  号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国際情勢に関する件      ――――◇―――――
  2. 中馬弘毅

    中馬委員長 これより会議を開きます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。森山眞弓君。
  3. 森山眞弓

    森山委員 きょうは、小渕外務大臣をお迎えいたしまして、初めての外務委員会における質疑でございます。そのトップバッターを引き受けさせていただきまして、大変光栄に存じます。  しばらくの間、特にODA予算につきまして御見解を承りたいと思っております。  ことしの六月三日「財政構造改革の推進について」という閣議決定が行われまして、その中でODAについて特に、  我が国財政が危機的な状況にあることに鑑み、量から質への転換を図ることにより、集中改革期間中においては、ODA予算は各年度その水準の引下げを図る。   特に、十年度予算については、対九年度比一〇%マイナスの額を上回らないものとする。 ということが決められまして、これが決まりまして世間に発表されました途端に、世界じゅうに大きな衝撃が走ったというのも決して大げさではないと思います。  その二月ほど後でしたか、八月になりましてから、私、タイへ出かける機会がございまして、そこでタイ人たちといろいろな場で交歓をいたしました。特にODA関係のところに気をとめて視察したわけでございますが、その場でお会いするタイ側方々口々にこのことを取り上げられまして、大変大きなショックであるということを言われたわけでございます。  バンコクスラム街スラム人たちの、特に子供たちの福祉に一生懸命努力をしておられる、草の根無償を受けているプラティープ財団などというのがございますが、そのリーダーであるプラティープさんという女性の方、またベトナムへ参りましたときにはベトナムの小学校日本援助おかげで簡単な学校ではありますけれども、全くなかったところに立派な学校をつくってもらって大変喜んでいるというような方々、その方々の口から、ぜひODAの基準は守ってほしいということを強く要望されたわけでございます。  我が国ODAアジアアフリカ中南米等途上国発展開発に大変貢献してきたということは、当然皆さんよく御承知のことでございます。それらの国の役に立っていることが喜ばしいばかりではなく、それ自体が日本平和外交唯一といってもいい効果的な手段であるということを考えますと、ODAの重要な役割はますますこれからも高まっていくはずだと思うのですが、そのような時期に一〇%カットということが言われまして、大変大きな問題ではないかというふうに思うのです。この一〇%カット我が国外交についてどのような影響をもたらすかということについて、大臣はどのようにお考えでございましょうか。聞かせていただきたいと思います。
  4. 小渕恵三

    小渕国務大臣 ただいま森山委員から御指摘のように、ODA予算につきましては、橋本内閣一つの大きな課題であります財政構造改革という路線の上で、一〇%カットという大変厳しい方針が決定されておるわけでございます。  これに対しまして、諸外国からも今回の日本政府対応につきまして大変危惧の念の強いことは御指摘のとおりでございまして、私も九月に国連総会に行きましたとき、国連アナン事務総長初め関係皆さんから強く御指摘をされておるところでございます。  したがいまして、このODA外交手段として最も重要な一つの柱である、また開発途上国発展支援することを通じまして、国際社会の平和と安定の重要な役割を果たすとともに、我が国国益の増進にも大変資してきたわけでございまして、大変苦慮しておるところでございますが、限られた予算の中で、十年度予算につきましてはできる限り効率的、効果的な予算配分によりまして、そうした諸外国の憂慮に対して、日本としては可能な限り質の高いODAを目指して対処して、御理解を願っていかなければならぬのじゃないか、こう考えております。
  5. 森山眞弓

    森山委員 財政危機が非常に深刻でありますから、その中で立て直しということをしなければならない、聖域なしたということであれば、ODAもその対象にならざるを得ないのはやむを得ないと思いますけれども、一〇%カットということが動かせないならば、その中でその目的にかなうような、より有効に果たせるような使い方ということが必要なのではないかと思います。  量から質へという観点での見直しということがさきに読みました中にもあったわけでございますが、日本の貴重な税金ですから、本当に喜ばれて、役に立って、日本が評価されるというようなことに使いたいというのはみんな同じ気持ちだと思います。  先ほどの閣議決定の文章でも、  被援助国側との事前協議を重視するとともに、衛生・医療・教育及び女性の地位の向上のための支援など社会開発重要性に十分配慮し、被援助国民から真に評価されるものとなるよう努める。 とわざわざ書いていただいてあるわけでございます。  日本の顔がよく見えるODAということがよく言われます。そして、そのような観点から、マルチよりはバイであるというようなことが簡単に言われるわけなのでございますが、この八月、バンコクで行われました女性経済的エンパワーメントのためのアジアアフリカ・フォーラムというのがございまして、そこに私、日本の代表として出席させていただきました。  これは日本がUNDPに特に任意拠出して行われたものでございまして、各国で影響力の強い女性指導者女性実力者たちが、アジアアフリカの三十カ国ぐらいの国々から各二人ずつぐらい参加してきているわけでございます。  私が日本政府を代表してごあいさつを申し上げ、その他いろいろな方々と交歓した中で、すべての人が、自分の公式スピーチはもちろんのこと、私に対する会話の中でも、この会議に私が来られて、こうしてこういう場を経験できる、またみんなと意見を交換して知り合うことができるというのは、非常に重要な、大変貴重な機会であったけれども、これは本当に日本おかげだということをみんなが口々におっしゃったわけでございます。  私は、例えばその同じ額をバンコクのあるタイの国にバイで上げたとしても同じ効果は得られなかったのではないかということを考えますと、必ずしもマルチよりはバイというような簡単な割り切り方はできないはずだと思うのでございます。  国連その他の国際機関分担金の率が高まりまして、円安もございまして、負担額がぐっとふえますので大変つらいところなのですけれども、そのために任意拠出が三〇%も四〇%も減ったという概算要求の結果になっております。  そのために、例えば緒方貞子さんが大変悪戦苦闘しておられるUNHCRとか、西水さんという日本女性が副総裁をしておられる世界銀行などさまざまな国際機関、ユニセフ、WHO、ユネスコ、ILOなど大変困惑をしているわけでございまして、これらの国際機関における日本の信用、またさらには国際社会全体における日本の評価というものが危うくなってくるという心配が大いにあるわけでございます。  また、日本自身がやっているJICAの好評である青年協力隊も三百人から減らして千五十人にするというような話もございますし、ODA我が国外交のほとんど唯一手段であるというのに、これでいいのかという気持ちが強くするわけでございます。  ぜひきめ細かく選別していただきまして、機械的な割り切り方、機械的なカットの仕方をしないように、ぜひお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
  6. 小渕恵三

    小渕国務大臣 これまた御指摘のとおりでございまして、国際機関関連予算につきましては、一律と申しますか、全体に一〇%のカットという中で、それぞれ三五プロから四五プロという切り込みをされておられるわけでございます。との点につきましては、私、大臣に就任前に概算要求が大蔵省に出されておりましたのでこの数字になっておるわけでございますが、その後総理も、この概算要求を提出するに当たりまして、全体をよく見て、予算編成過程において少し全体を見ていったらどうか、こういうお話もされておられるわけでございますので、私といたしましても、これから十二月の予算編成過程の中で、それぞれ国際機関に対しましても、プライオリティーがあると言ってはなんですが、それぞれよく見直しまして、そして、この数字でいいかどうかということについてはこれから財政当局とも話し合ってみたい、こう考えております。
  7. 森山眞弓

    森山委員 ぜひよろしくお願いいたします。  最後に、顔の見えるODAということがよく言われるのですが、その中の重要な柱の一つ留学生受け入れではないかと思います。  留学生受け入れというのはかなり歴史が長くて、昔、戦前から考えれば随分大勢の方が日本へ来ていただいて、それぞれ勉強していただき、その後、その国の指導者になられて、いろいろな意味で日本理解者として日本を助けていただいたということがたびたびあるわけでございまして、留学生受け入れるということは、そのときにその若い人を応援するというだけではなく、日本にとっても大変長い間のプラスになるということを考えますと、そのときそのときの財政事情だけで簡単にカットしていいというものではないと思うのでございます。  しかも、その留学生受け入れ計画というのは、二十年近く前に、ぜひこれをふやさなければいけない、その重要性にかんがみて少なくとも二十一世紀の初頭には十万人にしようという目標をつくりまして、そのために一生懸命努力をしてきたわけでございます。当初はだんだんと順調にその数が伸びてまいりまして、次第に十万人の目標達成も現実に可能かなというところまで参りましたところで、この一、二年急に停滞をし始めました。たしか、五万人前後のところでなかなか伸びていないというふうに承知しております。  そのようなことをちょっと憂慮する向きがあちこちに出てまいりまして、ことしの七月三十一日、文部省の方に諮問機関として設けられました留学生政策懇談会というようなところでも、また自民党の方でも留学生問題特別委員会というのをつくりまして、かなり集中的に研究、勉強いたしまして、それぞれ提言をいたしております。  その中の問題点に既に対応していただいたものも幾つかございますけれども、現在の留学生状況、そして残っている問題点、さらにそれに対する具体的な対策見通しなどについて、少し御説明をいただきたいと思います。
  8. 渡辺一雄

    渡辺説明員 御質問にお答えしたいと思います。  今御指摘のように、文部省では昭和五十八年、一九八三年でありますが、いわゆる留学生受け入れ十万人計画というものを提起いたしまして、現在五万二千九百二十一名、これは昨年五月一日現在の数字でありますが、計画的な増員を図ってきておりますが、御指摘のとおり、専修学校専門課程中心に伸び悩みもしくは減少傾向が見られまして、五万人のオーダーを維持するかどうかということすら危惧される状況に立ち至っております。  文部省では、奨学金充実あるいは宿舎の確保、あるいは高等教育機関中心といたします入学許可手続等改善努力してきておるところでございますが、特に中国あるいは韓国台湾地域につきましては、このところ国、実務レベルでの日本での留学機会に対する熱がやや冷めたといいますか、そういう状況がございます。  その背景には、日本生活コストが非常に高くつくというふうなことももちろんでございますけれども、まだまだ留学情報の提供については必ずしも現地対応が十分でない、さまざま課題が残されておりまして、委員指摘のとおり、この七月には有識者から成る留学生政策懇談会から提言を受け、かつ党の政務調査会の方からもさまざまな御提言をいただいております。  ポイントといたしましては、特に、留学生教授言語であります日本語習得が非常に難しいということがございまして、外国語コース、特に英語を中心としましたコース整備であるとか、あるいは単位互換システムのさらなる充実、さらには、こういった財政状況が厳しい中で特に民間からの協力の取りつけ、これは民間奨学団体の要請ということはもちろんございますけれども、さまざまなボランティア活動の奨励といったふうなこと、いわゆる民間支援にもう少し力を入れるべきではないかといったような事柄、そういったこと。あるいは入学選考方法につきましても、できるだけ留学生負担を少なくするような方法改善が図られないかというふうな点が指摘されておりまして、いわばソフ十分野におきますところの留学生受け入れ環境整備が今後の重要な課題になっておろうかと思います。
  9. 森山眞弓

    森山委員 留学生の問題を初め、ODA考えております人づくりとか、あるいは草の根に対する援助子供たち教育あるいはその健康というようなことを考えますと、一〇%カットというものができるだけそういう分野には少なくとも及ばないように、日本の誠意、日本の温かい気持ちというものが十分理解してもらえるという形をぜひ残していただきたいというふうに思うわけでございます。  総理も、六月二日の閣議決定をなさった後の記者会見の席で、特にODAのことについて発言をされておりまして、ODAの質の向上予算配分重点化効率化民間資金の活用などを通じて、我が国がこれまでにお約束したODAの円滑な執行を確保する、これは当然でありますけれども、今後ともODAの効果的な実施に努め、我が国国際貢献の姿勢を損なうことのないよう万全を期していきたいというふうにおっしゃっていただいておりますので、ぜひ外務大臣もその気持ちを実際に具体化していただくための御努力を、特に年末、復活折衝その他の段階で格別お示しいただきたい、重ねて御決意を承りたいと思います。
  10. 小渕恵三

    小渕国務大臣 御指摘のとおりでございまして、総理からも、私就任いたしまして、ただいま委員がお読みになられましたODAに対する総理のお考えを承っておりますので、予算全体の中でどういう工夫ができるか最大努力をしてまいりたいと思います。
  11. 森山眞弓

    森山委員 終わります。ありがとうございました。
  12. 中馬弘毅

    中馬委員長 続いて、森英介君。
  13. 森英介

    ○森(英)委員 おはようございます。自由民主党の森英介でございます。  私は、現在鋭意交渉が行われております日韓漁業協議の問題について、外務省、特に外務大臣の御見解と御決意を伺いたいと存じます。  御承知のとおり、韓国は長年、日本周辺水域におきまして、たび重なる日韓漁業協定違反や乱脈な操業を続けておりまして、水産資源に対して重大な影響を与え、また沿岸漁具被害を引き起こしております。しかも、これらの韓国漁船船名を隠ぺいしたりなどしていることから、相手方の特定もできないでいるところでございます。  翻って、日本漁業者は、我が国周辺水域においてさまざまな資源管理努力をしてきておりますけれども、韓国漁船のこうした不当な操業によりまして、その努力がなきに等しいものになっております。  このような背景の中で、昨年我が国国連海洋法条約を批准し、七月二十日から同条約が発効したわけでございますけれども、その審議に際しまして、現行日韓漁業協定及び日中漁業協定国連海洋法条約考え方に沿ったものに改定するとの、当時の池田外務大臣を初めとする政府関係者の御答弁があったと記憶しております。  また、加えまして、それに先立つ昨年の三月二十二日には、与党三党の政策責任者の名義で、一年をもって日韓、日中の新しい漁業協定をつくることを目指して、それがもしかなわない場合には破棄も辞さないという与党党合意をしていることも、外務大臣は先刻御承知のところと存じます。  その後、一年半が経過いたしまして、中国との間では、九月上旬の橋本総理訪中の直前に実質合意にこぎつけまして、去る十一月十一日に李鵬総理が来日されました折に新協定調印がなされたところでございますけれども、これは本当に画期的な成果でありまして、ここに至るまでの外務省の粘り強い、また真摯な御努力に対しまして、深甚なる敬意をあらわしたいと思います。  一方、韓国との交渉では、水域の問題で大変難航しておりまして、早期合意見通しが立っていないというのが私の認識でございます。  そもそも韓国は、排他的経済水域境界画定が前提であるとの原則論を一年以上繰り返し主張し、ようやく最近になって漁業についての暫定的解決を図ることに同意してきましたけれども、まだまだその内容日本案との隔たりが大きく、我が国は到底受け入れられるものではないというふうに考えます。こういう状況の中で、我が国漁業者中心とするこの問題に関心を持っている人々は、大きな失望を味わっているというのが正直なところであります。  こうした中で、九月十七日に与党三党は政府に対して、現行日韓漁業協定終了通告を行うよう申し入れを行ったところでございますけれども、その後二カ月以上経過しているにもかかわらず、依然として交渉継続中というのが実情でございまして、この時点で幾つかの点についてお尋ねをさせていただきたいと思います。  その前に、きょう水産庁に来ていただいておりますので、今までの韓国漁船違反操業や、これらによる漁具被害の実態について、簡単に説明報告をしていただきたいと思います。
  14. 石木俊治

    石木説明員 御説明いたします。  我が国周辺水域における韓国漁船日韓漁業協定等に違反した操業は、数年前の水準と比較いたしますと、全体の件数としては減少しておりますけれども、依然として根絶しておらず、また、本年は前年同期より若干上回っておる状況でございます。また、韓国国内法違反漁船操業というのも依然として続いております。これらの違反操業船は、船名等を隠ぺいしたり、日本漁船操業を妨害するなど、その内容は悪質化しております。  例えば、北海道周辺水域では、韓国遠洋トロール漁船が、自主規制措置として定められております禁止区域内において、夜間、監視の目を逃れるように操業しまして、これが定置性刺し網やタコっぽの漁具被害にもつながっているという状況でございます。  また、九州の周辺水域では、韓国国内法違反小型底びき網漁船が、船名等隠ぺいの上、我が国漁船にはその使用が禁止されております網口開口板、オッターボードでございますが、これを用いて縦横に操業し、漁業資源影響を与えるとともに、我が国沿岸漁業シイラ漬け等漁具被害を与えております。  さらに本年は、これも韓国国内法違反となります大型トロール漁船新潟沖等での操業が多数現認されておりまして、我が国のサケ・マス流し網漁船イカ釣り漁船操業が妨害されるといった事態も生じております。  これら違法操業のほか、山陰沖等では、我が国関係者ズワイガニ資源保護育成のために魚礁の設置ですとか移植放流、あるいは漁期、漁獲数量制限等を実施している中で、韓国底刺し網漁船が集中的な操業を行い、資源に悪影響を与えております。  このような状況を受けまして、韓国側に対しては、累次にわたり取り締まりの強化及び関係漁業者への指導の徹底を要請しておりますが、顕著な改善は見られていないところでございます。  また、平成八年の韓国漁船による沿岸漁具被害として漁業者から全国漁業協同組合連合会報告されたものは、北海道周辺水域では百十件、西日本周辺水域では二千五百七十六件に上っておりまして、全般に経営状況が厳しい我が国沿岸漁業者に一層の負担を強いているという状況でございます。
  15. 森英介

    ○森(英)委員 ありがとうございました。  今の御報告のように、相変わらず本当にただならぬ被害を及ぼされておりまして、私、房総半島の人間でありますけれども、今、日本海側の話が多かったように思いますけれども、私どもの銚子沖でも、平成六年ぐらいまで随分韓国漁船が出没いたしまして、地元の沿岸漁業者が大変迷惑を受けたということもございます。  そういった中での日韓漁業協議でございますけれども、まず第一点といたしまして、去る十一月十一日の、これは日中の方でございますが、日中新漁業協定調印を受けまして、今後の段取りというか、今後の日程を伺いたいと思いますけれども、私の認識では、次期通常国会で新漁業協定国会承認を受けまして、来年の九月に発効する、こういうふうに認識しておりますが、これでよろしゅうございますか。
  16. 小渕恵三

    小渕国務大臣 日中漁業協定につきましては、先般、李鵬首相が来日の機会にこれを署名することができました。できますれば次期通常国会に提出して批准を求めたい、こう考えて、今申し上げたような日程でこれが成立することを期待いたしております。
  17. 森英介

    ○森(英)委員 これは、中国にもあれだけせかして合意にこぎつけたわけですから、やはり可及的速やかに国会承認を受けることが私ども日本側の責務だというふうに考えますので、そこのところをよろしくお願いいたしたいと存じます。  それで、先ほど申し上げましたように、与党三党は政府に対しまして、九月十七日に、現行の日韓漁業協定については速やかに終了通告をすべしとの申し入れを行わせていただきました。だからといって、私どもは、一衣帯水の隣国である韓国と事を構えよう、けんかを売ろうという気持ちは全くございませんで、現行協定は、一方が終了通告をしても一年間は継続する決まりになっておりますから、とりあえず現行協定は終了させることにして、一年間と期限を区切って決着を目指した方がよい、こういう考え方に基づくものであります。  その与党三党の申し入れから既に二カ月余りが経過いたしまして、韓国との協議の現状を見ますと、いまだ双方の主張の隔たりは大きく、率直に言って、短時日で合意に至る可能性は極めて低いと考えます。一刻も早く外務大臣外務省御当局に御決断をいただくべき時期ではないかと考える次第でございますけれども、いかがでございましょうか。
  18. 小渕恵三

    小渕国務大臣 日本周辺をめぐりましての各国との漁業協定につきましては、先ほど申し上げましたように日中につきましては既に調印が終わっておるわけでございますし、また日ロ関係で、北方四島周辺の協定につきましても今最終の段階に来ておるわけでございまして、ひとり韓国との協定交渉が大変難航いたしておりまして、願わくばぜひ、先ほど申し上げましたが、それぞれの協定が同時発効可能なようにしていかなければならぬと思っております。  そこで、御指摘のように韓国との問題につきましては、先ほど水産庁管理課長からもお話がありましたし、今御指摘のように、与党三党からの強い要請もございます。また、たしか昨日だと思いますが、日高全漁連会長を初めとして日本漁業者、各漁連の代表の皆さんが、我が国の漁民の悲痛なお声を持って外務省にまでお出かけをいただきました。  本問題につきましては、実は九月に、国連総会のときに韓国の柳宗夏外務部長官とこの問題をお話をいたしまして、一日も早く解決をしなければならない、そのために御協力をお願いしたいということで、その後、韓国側におかれましても積極的に取り組んできた感じはいたしておりましたが、残念ながら、韓国漁船の拿捕事件等がございまして、一時中断の余儀なき状況に相なっております。  したがいまして、私といたしましては、実は、二十一日からカナダ・バンクーバーでAPECも開かれまして、この機会に、韓国の外務部長官と本当に腹を割ってお話をし、一日も早い協定が締結のできるように韓国側努力を改めてお願いをいたしたいというふうに思っております。  したがいまして、現行の協定破棄ということにつきましても、与党三党からの強い申し越しもございますが、私としては、ぜひ両国の外交の責任者同士でこの問題に解決を見たい、こういう気持ちを持ってカナダにも参りたい、このように考えております。
  19. 森英介

    ○森(英)委員 今の大臣の御決意を伺いまして、大変心強く思う次第でございます。ぜひ、今度が最後の機会だというお気持ちで、最高責任者同士で決着を図っていただきたいと思います。  ただ、悲観的なことを言ってはなんでございますけれども、場合によっては、結局合意できなかったケースも想定しておかなければならないと思います。その場合、たとえ今すぐ現行協定の終了を通告いたしましても、日中間で新協定が発効する来年の九月以降も、日韓の間では現行協定は継続しているという状況が生まれるわけです。  そうなりますと、ひとり韓国のみが海洋法条約のルールにのっとらずに勝手に操業できる、こういう事態が出来するわけでございますけれども、その意味では既に、そういうケースを想定した場合には、終了通告をすべき時期を失しているということも私は言えると思います。  いずれにしても、終了通告がおくれればおくれるほど、韓国だけがそういうエアポケットのような状態に置かれる期間が長くなるわけでございまして、そういう場合に政府はどうやって責任をおとりになるのかというようなことも憂慮いたします。  また、日中新協定が締結されるまでは、日韓漁業協議において決着を急ぐのはひとえに日本側の都合だったわけでございますけれども、十一月十一日以降は事情が変わって、中国に対する信義の上からも、おのずから最終期限が決まってしまったと言ってもいいと思います。それから逆算してアクションプログラムというか取り組みのスケジュールを決めるべきじゃないかというふうに考えるわけでございまして、そういう観点から、重ねて、こういう悪いケースの場合について伺うのはなんですけれども、大臣のお考えを確認させていただきたいと思います。
  20. 小渕恵三

    小渕国務大臣 お話しのように、これをただ時間を経過させるというわけにはいかないことだろうと思います。したがいまして、最後の努力を傾注いたしまして、先ほど申し上げましたように、日中ともどもにこれが発効のできるように、ぜひ最大の努力をしてまいりたいと思います。
  21. 森英介

    ○森(英)委員 もう一つ重ねて申し上げますと、日韓間の協議はもう交渉の期限が、しりっぺたが決まってしまったということが言えるわけで、加えて、この日中新協定が締結されたことによって、日韓協定の中身についても制約ができてしまったと見ることができます。  つまり、韓国との間でも日中の協定内容より前に出てもいけないし、また後ろに下がってもいけない、ある種の基準が決まってしまったわけです。そういうことから申しますと、今されている大変ぎりぎりの交渉で、隔たりがあるにもかかわらず、日本側の主張がベースになるはずであって、今後の交渉でほとんど譲歩する余地がないのではないかというふうに私は思うわけでありますけれども、この点についてはいかがでございましょうか。
  22. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 御指摘のとおり、日中漁業協定の発効に関しましては、効力発生のための国内法上必要とされる手続がそれぞれの国において完了した後、両政府間の公文の交換によって合意される日に発効する、こうされております。その上で、今先生の御指摘問題点というのは我々も十分に認識しておるところでございます。  したがいまして、時期的な問題といたしましては、日韓漁業協定についても、日中漁業協定とともに次期通常国会にぜひ提出して審議をしていただきたいということで交渉をいたしておるところでございますが、さらに、内容的な制約という点で、今先生が御指摘になられた点も我々としては十分認識しているところでございます。  それぞれの交渉結果について、これ交渉でございますので、一概に比較するというようなことはなかなか困難でございますけれども、我々といたしましては、いずれにいたしましても、今のような問題意識を踏まえ、かつ新たな日韓協定というものも、日中の協定と同じように国連海洋法条約の趣旨を踏まえたものということで決着をすべく、最大限の努力をしてまいる所存でございます。
  23. 森英介

    ○森(英)委員 ありがとうございました。  重ねて強く要望申し上げたいと思いますが、ぜひ今回の外相会談で、実質合意あるいはその直前までこぎつけていただくように、大臣の御奮闘を心から御期待し、お願いをさせていただきます。  以上で日韓の問題については終わらせていただきます。  後先になりましたけれども、先ごろ、エジプトに観光に行かれまして、本当にいわれもなく大変悲惨な事故に遭遇されました、亡くなった皆様方に対しまして、心から御冥福をお祈り申し上げます。  それで、この件に対する外務省対応について、一点お聞かせをいただきたいと思います。
  24. 小渕恵三

    小渕国務大臣 十七日、エジプトのルクソールにおける観光客襲撃事件の発生を大きな衝撃をもって受けとめております。  今回の事件は邦人を含む多数の観光客を無差別に銃撃、殺りくするという残虐きわまりないテロ事件であり、深い悲しみと強い怒りを禁じ得ないものであります。この卑劣な行為の犠牲者になられた多数の方々とその御遺族の皆さんに対する深いお悔やみと、負傷された方々に対する心からのお見舞いを申し上げます。  テロ行為は、いかなる理由をもっても正当化できません。我が国は、このような卑劣な行為を糾弾いたしてまいりたいと思います。エジプト政府が今回の事件の真相を速やかに徹底解明し、事件の再発防止に全力を挙げることを強く希望いたしております。  昨日、エジプトのムーサ外相からも、私あてにお電話がございました。私からも以上のようなことを強く申し上げておきましたと同時に、事件そのものにつきましても、まだ我が大使館で十分情報を掌握できないということがあればまことに残念なことでございますので、その事件について今後詳細に我が国報告を求めておったところでございます。総理からも、ムバラク大統領あてに同様のメッセージを発せられておることを御報告申し上げておきたいと思います。  我が国といたしましても、エジプト政府に対しましても、負傷者の手当て、亡くなられた方々の御遺体の移送、御遺族の皆様のエジプトヘの渡航を初めといたしまして、全力で現在対処いたしておるところでございます。
  25. 森英介

    ○森(英)委員 終わります。ありがとうございました。
  26. 中馬弘毅

    中馬委員長 続きまして、山中燁子君。
  27. 山中あき子

    ○山中(燁)委員 新進党の山中燁子でございます。  小渕外務大臣は、御就任早々、地雷の全面禁止の決断をなされたということを、私は大変うれしく、高く評価させていただいております。そういうふうな発想で、今、日本が世界の中でどういう役割を果たせるか、ワールドコミュニティーの一員としてどのようなことができるのか、二十一世紀に向かっての外交の新しい形を打ち立てていただきますためにも、外務大臣に大きく御期待を申し上げながら、きょうはCOP3について、そして、森山眞弓先生に引き続く形になりますが、ODAについて質問をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。  まずCOP3の方についてでございますけれども、もうあと二週間足らずで京都で会議が始まるわけでございます。私は、ことしの四月二日の当外務委員会の南極環境条約に関する質問の最後の部分で、このCOP3について触れさせていただいております。  その当時、既に環境庁とそれから通産省との間の省益の問題があってなかなか日本一つとしてまとまらないということが海外において言われ始めておりましたときでございましたので、今ここで日本が必要とされているのは政治的なリーダーシップであって、省庁間の調整を超えた形で京都に向かって準備をしてほしいということで、特に、外交的な取り決めをどうやって遵守していくかという、一九九二年の条約を体現していくかという、そういうところにおりますので、外務大臣外務省のリーダーシップを期待したいということを申し上げておりました。  しかし、ことしの十月、私は二十日から二十六日までボンに参りまして、そこでエストラーダ議長、クタヤール事務局長、パスツール部長、そのほか日本代表団、米国代表団、英国代表団、そのほかドイツの環境担当者、そういった方たちとお話をいたしまして、大変危機感を覚えたわけでございます。  私がそういう形で入手いたしましたいろいろなデータ、資料によりますと、日本の提案に関しましていろいろ言われているのは御承知のとおりと思いますけれども、目標値が低いとかそういう点もございますけれども、一番日本の提案に対する失望感の中で、数値目標であるとか、あるいはEUと米国の中間にあると言われているけれども実際は米国寄りであるとか、そういうことのほかに、議長国としてリードしていくための背景哲学、具体的なコンセプトに基づく積極的な姿勢、そしてこの会議国連機関の主催であるということ、それから、自国案の説明だけではなく、これが国際的な世論をリードしていくのだという議長国としてのそういった自覚、その辺が見えないということが随分聞かれまして、私は、そういった意味で政治のリーダーシップというものに対して大変危機感を覚えました。  そういった事前会合の中でのさまざまな反応を踏まえまして、これは各省庁の方たちがそれぞれに努力していらっしゃるにしても、それぞれ細分化された形で動いているということで、それを総合的にどういうふうに国として提案していっているのかというところが、橋本総理大臣が国民を挙げてとおっしゃったにもかかわらず見えていないというところで大変危機感を持ちまして、これを克服していかないと京都につながっていかないのではないかというふうに思いました。  まず小渕外務大臣には、ボンの事前会合、それから、先日行われました非公式でありますけれども閣僚会議を通じまして、日本がこのCOP3に対しての政治のリーダーシップというところでどのように認識していらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
  28. 小渕恵三

    小渕国務大臣 まず、委員から御激励いただきまして、ありがとうございました。また、しばしば国際会議に出席をされた折の報告書等もお届けいただきまして、読ませていただいておりまして、ありがたく思っております。  そこで、今御質問もございましたCOP3ですが、ぜひ、我が国が議長国としてこれを成功裏に終了させなければならぬ、そういう決意のもとで現在対処いたしております。いずれにいたしましても、地球温暖化問題が自然や人類に深刻な影響を与えるおそれのある重要な問題であるという認識に立ちまして、ぜひ成功のため、国際的なリーダーシップ発揮に努めることが必要であると認識をいたしております。  そこで、今ボンのお話もございました。準備会議、そして同時に、先般、会議を三週間後に控えましての閣僚レベル会合が開かれまして、その段階におきまして、各国の閣僚を含むハイレベルの話し合いにおきましては建設的な空気がかなり醸成されてきたやにお聞きをいたして報告をいただいておりますが、いずれにいたしましても、現段階ではEU並びにアメリカ、あるいは発展途上国、そうした国々の考え方が大変隔たりがありまして、主催国として大変苦慮いたしておるところでございます。  政府といたしましても全力で努力をいたしますし、また議員間におきましても本問題に熱心にお取り組みいただいておりますし、またNGO等につきましても種々の努力を重ねておられますので、こうしたことを一体となりまして成功に導いてまいりたいと思いますので、全力で政府といたしましては努力をいたしていきたい、このように考えております。
  29. 山中あき子

    ○山中(燁)委員 ぜひそうしていただきたいと思います。  あと二週間しかございませんで、けさ京都イニシアチブのことの発表がありまして、発展途上の締約国に対する援助ということの枠組みを提示するという新しい発想もございましたけれども、京都に向けては、具体的な数値目標、それから根拠になるデータの分析の方法であるとか、あるいは国際条約を根拠にしてどういうふうに日本がやってきたかということが、その前の石油危機のときの説明に終始しているというような点も聞かれますと、これからはやはりどうしても、政治的なリーダーシップとしては、それを超えた、省庁間を超えた形で動いていただかなければいけないと思うのです。  そのときに、民生部門に関しましては、WWFの日本の機関が調査いたしました結果、それほどの負担をかけずに日本の誇る技術力を駆使して、新しい形の電化製品、そういったものや、それから省エネというか、オフィスの電気を消すというようなこと、そういったことで一二%、民生部門でも削減できるのではないか。それから運輸、交通部門につきましても、そういった政治リーダーシップがあれば相当の削減が可能であって、総体的に総合して合わせますと、一四・二%の削減が可能であるというような数字を出しております。  もちろんこれは民間の機関でありますから、こういった提案がすべてそのまま、どのように実現され得るものかという検証が必要だと思いますけれども、こういった民間も含めた形の、これを通産省あるいは運輸省がどういうふうに取り込んでいって、可能な数値目標を挙げるという努力をできるのかどうかという、ここの政治のリーダーシップも問われているというふうに私は思っております。  そういう意味も兼ねまして、一つは民生部門、一つは運輸部門、この辺が大変に日本の場合には弱いということが言われていますから、現実には、その辺を加味していくと、五プラスアルファという数字ができるのではないかというふうに思っております。  それで、一つ大臣の御見解をお聞きしたいのは、数値目標というものの位置づけについて、エストラーダ議長が、この目標というものは、この目標に向かって世界が努力する意思と、そういった実際の努力を、行動を喚起するようなインパクトのある数字でなければいけないと言っているわけですが、日本の発想としては、数値目標というのは手が届く、実現可能なところに設定するという非常に現実的な積み上げ方式であったと思いますけれども、こういったエストラーダ議長の認識との乖離についてどのような御見解をお持ちでしょうか。そして、これからの可能性についてもお聞きしたいと思います。
  30. 小渕恵三

    小渕国務大臣 エストラーダさんのお話と我が国の数値の決定につきましての御指摘がございました。一般論的に我が国は、国際社会にコミットメントしたことにつきましては誠実にこれを守っていくという意味では、極めて慎重であると同時に、確実性の高い数字を出してきたと思います。そういった意味で、今度の五%という数字も、日本としては、約束しましたら守れるという形のもので積み上げてきたものだろうというふうに思っております。  かつて日本は、アメリカの自動車の問題について、マスキー法ができたときにも、業界も最大努力をいたしまして、世界に先駆けて廃棄物の規制を守っていくというようなことも達成してきておるわけでございまして、そういった意味では、日本としては、確実に達成できる数字というものを挙げたものであると思っておりますが、今御指摘のように、民間でいろいろの作業も進められておるようでございますので、そういった点についてはちょっと事務当局から加えて御説明させていただきたいと思います。
  31. 小林光

    ○小林説明員 環境庁環境保全対策課長でございます。  今先生、冒頭御紹介ありました、WWFの調査等々につきましても私ども承知をしてございます。また、そうしたNGOの方々の研究のサポートということで、私どものいろいろなモデルの開発した成果等々も提供をしてきているところでございます。  御指摘のとおり民生部門、運輸部門、これは実は我が国でも排出量が一番伸び盛りといいますか、大変増加の著しい部門ということになってございまして、ちなみに民生部門、運輸部門、大体押しなべて、一九九〇年に比べまして既に一五、六%の増加というようなことになってございます。  これに対しまして、民間方々、大変大胆な改善対策ということを前提にいたしまして、例えば家庭用電気製品の待機電力というふうに言われてございますけれども、こういったものをカットするとかいった技術開発、あるいは自動車のうち、大変燃費のすぐれた自動車が大変急速に普及するといったような仮定を置きまして計算されたものだというふうに承知してございます。  政府として、先ほど外務大臣の方からも御説明申し上げましたけれども、日本目標に、これから国際合意を受けてチャレンジしていかなければいけないわけでございます。今積み上がっている数値につきましては若干それに足らないという状況でございまして、これからその目標の達成の過程で、技術革新をもっと進めるとか、あるいは国民各界各層の努力を促していくといったようなことを予定してございますが、そうした中で、そういった民間部門のいろいろな調査といったものはすぐにきっと役立てられていくに違いないというふうに感じているところでございます。
  32. 山中あき子

    ○山中(燁)委員 今の五%プラスアルファと、もう一つぜひこれから踏まえていただきたいのは、エストラーダ議長が、一九九二年の国際条約を批准したすべての国はこれに従って行動すべきであるということで、私もこの条約日本語と英語と調べましたけれども、先進の締約国というのは、やはりきちんと一九九〇年代の終わりまでに九〇年の水準に戻すべく最大の努力をする義務がある、義務、シャルという、そういう表現でありましたし、ボランタリーというのは発展途上締約国のレベルであるという、そこの認識をもう一度することと、それから今のような具体的な科学あるいは技術に関して、あるいは実際的な部門のほかに、私は、せっかく橋本総理大臣が国民を挙げてとおっしゃったのですから、これから二十一世紀に向かって、エネルギーの問題、食糧の問題、さまざまの問題を考えますと、どうしても私たちの今までの生活のスタイルというものを変えていかなければいけない、そして本当のクオリティー・オブ・ライフというものはどういうバランスをとっていくかということを考えますと、利便性の追求と、それから私たちの生活の中でどこを我慢していくか。  せっかく日本は交差点でとまったら自動車のライトを消すというようなことが一応決まっておりますけれども、では日本に来た外国の方が皆さん日本は交差点に来るとみんなライトを消して、そういう意識で国民が生活している、世界の中の環境の問題、地球全体のエネルギーの問題を考えて生活している、そういったところが見られないというところが一つ大きなインパクトのなさであって、大変な努力を積み重ねているのが、そこが出てくることによって、日本全体として動いているという印象ももっと鮮明になるというふうに思います。  そういう意味で、せっかく総理大臣がおっしゃったのですから、少しずつでも省エネのときのようにキャンペーンを張っていく、それは与党、野党を超えて政治家がみんなでやらなければいけないことですけれども、これは国際的な、世界的な規模の問題ですので、ぜひ外務大臣のリーダーシップと、首相へのそういった進言をお願いしたいと思います。  これはお答えいただくものではありませんので、次に、ODAの方に移らせていただきたいと思います。  先ほどもお話に出ました、平成十年度の外務省ODAの一般会計の中の予算概算要求、この中で、国際機関任意拠出の削減のところを見まして、私は本当にショックを受けました。国連環境基金、今日本は環境の議長国をしようとしていますのに、何と四五%の減です。世界食糧計画、これも四五%、それから国連児童基金、ユニセフ、これも四一%、そのほか国連難民高等弁務官計画、そこも三九%、それから国連開発計画、ここも三七%、国連赤十字も三九%。これを合計いたしまして何と百四十九億円が削減されているわけですが、もともとの要求額というのが三百八十六億円で、これは、ODA全体の予算のわずか一・四%にすぎないわけです。その一・四%をこれだけ削って、私はショックを受けたと申し上げましたが、先ほど森山先生は、発展途上国皆さん方が大変なショックを受けているというふうにおっしゃいました。私もこの時期アメリカに行きまして、その後いろいろな国の方ともお会いしました、ドイツも行きましたけれども、先進国もショックを受けました。日本の全体の予算のわずか一・五%がそれほどの影響を与えているわけです。  先ほど外務大臣が、就任なさる前にこれができてきてしまったということをおっしゃったのですが、外務大臣はこの予算書をごらんになって、どんなふうにお感じになりましたでしょうか。
  33. 小渕恵三

    小渕国務大臣 政府は一貫しておりますので、私が就任以前に概算要求で出しました数字も、これも政府考え方に基づいておりまして、私自身もこれを踏襲していく立場にはあります。  ODA予算につきましては従前から、聖域とは言いませんが、議員各位初めこの問題に対する大変な関心の高さから、歴年、予算は伸長してきたわけでございます。言うまでもありませんが、財政状況がまことに厳しいということもありますし、今回の予算につきましては前年度比一〇%減、それから義務的経費はこれは依然として積み上がっていくわけでありますし、また同時に円安という経済環境の中で、三重苦の中で、大変厳しい環境の中でこうした要求がされたものだと思っております。  このODAにつきましては、そうした政府の基本方針が出ました以上は、これに基づいて対処しなければならないことは当然でありますし、考え方によりましては、大変厳しいことでありますが、このODA重要性にかんがみますれば、予算的にも将来さらにもつともっと大きく増大させていかなければならぬ。そのためには、伸びんとすれば屈しよというわけではありませんけれども、この機会ODAのあり方につきましても十分検討を深くしていかなければならない。また、国民的な理解協力も、若干ODAにつきましては十分でなかったかという気がいたしておりまして、最近の週刊誌等を見ますと、一兆円もばらまきをしているのではないかというような、メディアがいろいろ指摘をされているようなことにかんがみまして、我々もいま一度謙虚にこれを見直していく必要があるのではないか。そういった意味で、大変厳しい段階でありますが、しかし、与えられた予算の中でできる限りのめり張りをつけていくべきものだろうと思います。  したがいまして、先ほど森山委員にもお答えいたしましたが、特にこの国際機関に対する協力につきましては、やや一律的カットという感じもしないでもありませんので、これはやむを得ないことだったと思いますけれども、予算編成時におきましては、全体のODAの中でこうした問題をどう考えていくかということについては、先ほど総理大臣のお考えも示されておられるわけでございますので、予算編成段階におきまして財政当局と十分話し合って、与えられた予算の中で立派なものにしていきたい、こういう熱意でおる次第でございます。
  34. 山中あき子

    ○山中(燁)委員 ぜひそれを実現していただきたいとは思いますけれども、私は、返す返すも残念だと思いましたのは、日本国連中心に平和活動をしていくということをきちっとうたっているわけでございます。憲法から始まりまして、ODAの四原則を書いてあります九二年の文章におきましても、そういった国連活動を中心にして動いていくのだということをうたっていたはずでございます。予算のひずみがなぜここへ来てしまったかということ、そこのところで、今ここまで来てしまったものはここまで来てしまった、仕方がないということではありますけれども、その前の段階で、こういう形にならないで済ませられなかったのかということに関して考えたわけでございます。  それで、国連中心にして日本は動いてきた。そして、日本はあるとき、エコノミックアニマルと言われていたわけです。経済を追求して、自分の利益を追求している、ある意味で見苦しい顔の国というふうに評された時期がありましたけれども、八〇年代に入って、私はこのODAというのは大変大きな役割を果たしてきたというふうに思っております。  そして、その中で、経済貢献ということをきちんと日本がいろいろな形で、やり方もいろいろ批判があった面もありますけれども、全体的には大変大きな評価を得て、国際的にも、軍事によらない国際貢献という意味で日本が大変な評価を得てきたのは、このODAの果たした役割が大変大きかった。  その中で、一〇%削減というのは一律であるとしても、なぜこの任意の国連の部分にこれだけのしわ寄せが来たかということ、これは本当にしわ寄せが来たということであれば、各省庁がそれぞれ力関係予算をできるだけ多くとりたいという中で、ここへしわ寄せが来たのかというのが一つと、先ほど出ましたけれども、バイラテラルという考え方、この考え方に基づくと、マルチの部分というのはどうしても弱くなっていくというふうな考え方があってここへ来たのか。なぜここにしわ寄せが来たかということについて、政府委員の方でも御説明いただければと思います。
  35. 朝海和夫

    ○朝海政府委員 大臣から御答弁申し上げておりますとおり、ODA一〇%削減という厳しい予算状況の中にございます。ODAの一〇%減ということは、外務省所管のODAについては、およそ五百八十五億円の減という予算要求にならざるを得ない事情にございます。  そうした全体の中で、国連関係機関、マルチに特にしわ寄せが寄ったということでは必ずしもないと考えております。五百八十五億円減らしていく中で、二国間の援助も大変な切り込みをせざるを得ません。国際機関に関しましては、五百八十五の中の百六十二ぐらいに相当すると思いますけれども、しわ寄せということではなくて、全体が削減されている中で削減せざるを得なかった、特に国際機関につきましては、分担率の上昇、円安、そういった点もあわせて関係してきた、そういうことかと考えております。
  36. 山中あき子

    ○山中(燁)委員 私、単純に考えまして、一〇%削減で、なぜあるところが三九%、四〇%になるか、これは力関係でそこへいったのか、もしくは政治的な判断でそこへいったのか、何か理由がなければ、一律一〇%ということではなくて、優先順位をつけていたということでしょうか。どういうことか。  非常に単純に考えて、もしそれがしわ寄せではないということであれば、なぜここだけが、あるいはほかのところとの濃淡がこんなについたかという理由がわかれば、もしかしたら海外の方たちも、ああ、なるほど、そういう理由だから今回これだけここは削減されざるを得なかったのかということがわかるのではないかと思うのです。そこのところが、私どももわからないとすれば、海外の方にわかっていただけるのでしょうか。
  37. 小渕恵三

    小渕国務大臣 段々申し上げておりますように、来年度につきましては、一挙に一〇%切り込みということの政府の方針が出されまして、それに対応して各省庁、ODAにつきましては四省庁あるいは十九省庁が、この問題につきまして一般的に前年度予算に対しての切り込みをしたということだろうと思うのです。  このODA予算にどの役所がどう対処すべきかというのは、従前からいろいろ議論のあったところでございますが、余りにもその方針が定まりまして以降、各省庁間の話というものが持たれない形で、これは従来予算編成の一つの方式でございますが、各省別にそうしたキャップを、あるいはシーリングをかぶせられた上での対処ということだと思います。  そこで、今御質問の点について、国際機関といえども、今言うように数字が違っておるのではないかということでございますが、私は報告いただいている範囲では、与えられた数値の中でそれぞれの機関におけるプライオリティーといいますか過去の実績あるいは現在の重要性、そして将来にわたっては若干削減を余儀なくされるものと、さらに増加をしなければならない、こういう数値を与えられた限界の中でパーセンテージを設定したというのが、この国際機関に対してたしか三五から四五ぐらいの差が出ておるのだ、こういうふうに理解いたしております。
  38. 山中あき子

    ○山中(燁)委員 なかなか理解が、私はすとんと落ちないのですけれども。  実は日本の拠出金がずっと、いろいろなレートの関係もございましたけれども、ここ六年間世界、で一番のコントリビューションをしてきたということになっております。それは大変にいいことでありますけれども、ところがDACの諸国におけるODA、これは外務省から出していただいています白書に載っているわけですけれども、GNP比というのを見ますと、日本は二十一カ国中十九位なわけです。総額では一位ですけれども、GNP比では二十一カ国中十九位で、現在のところ〇・二%です。  これはちょっと予断ですけれども、この白書の中を調べてみましたら、年次が書いてないのは年次漏れではないかというのがあって、日本の棒グラフの動向がありますけれども、何年のだかちょっとわからないので、これは後で訂正なさったらよろしいかと思います。  それはさておきまして、もう一つ日本の国民一人当たりのODAへのコントリビューションというのは、これは二十一カ国中十二位でございます。これもまあ世界のODAの拠出国の中で中ぐらいのところということで、決して一番ではありません。それから、先ほどODAの質の問題ということがありましたけれども、ここにちゃんと「質(贈与比率)」と書いてありますが、これは二十一カ国中二十一位でございます。これは一番上ではありません。一番下なのです。  こういう現状ともう一点、私どもがいつも考慮に入れておかなければいけないことは、もし本当に国連中心にして動こうということであれば、一九六八年の第二十三回総会において援助量の増大ということに関してGNP比一%の目標、これは難しいところにありますね、一九七二年までに達成すべきであるが、それができない国は一九七五年までに達成するように努力する。政府開発援助目標は〇・七%として、それを七〇年代半ばに達成するという国連の決議がなされております。  日本は大変大きな拠出をしていますし、今日本の経済が非常に厳しいということは十分承知で、あえて申し上げますけれども、この目標に向かって近づいている、努力しているということが本当に国際的にわかっていただける数字がこの中に出ているのかどうか。その上に、今回のように一〇%削減はいたし方ないとしても、押しなべて一〇%であればこれは説明がつきますけれども、この任意の拠出にこれほどの荷重がかかってしまった。ということは、大変大きな国際的な悪い日本のイメージを定着させてしまったのではないかというふうに懸念しています。よいことというのは、一般社会でそうですけれども、わかっていただくのにすごく時間がかかります。しかし、悪事千里を走るということもありますけれども、何かよくないということはあっという間に広がってしまいます。  ですから、これを修正して、復活予算でもとに戻せば日本の信頼はもとのとおり回復できるのかというと、私はそうは思いません。この受けたダメージは大変大きい。どういうことになるかというと、国際的な圧力、そういうもので復活したのであって、日本が積極的に、同じ予算を出すのに積極的にこれをみずから、ここのところは大事なところであるという、きちんとプライオリティーを置くか、もしくはほかと平等に、公平に一〇%の削減にするということをしなかったことのツケというのは、やはり信頼感という形で、信頼の醸成が一番大事な今の時期に信頼感を損ねたという、そういう側面が非常に大きいと思います。  もう一点、やはり緒方貞子さんが、先進工業国の中で日本の難民受け入れの実績が極端に低い、極端に低いというのは、例えば一九九六年度、米国が一万六千六百人、英国が二千七百六十五人、そして一番少ないという部類であるイタリアでも百七十二人ですけれども、日本は一名である、こういう統計が出ているわけです。  そういったものをかんがみまして、こういった極端に低い上に拠出金が大幅に削減されれば、人道分野での日本国際貢献の姿勢が問われかねない。そして、他の支援国が日本に見習って拠出金を削減するというマイナスの影響も懸念されるのだということを強調していらっしゃいますし、何度も出ましたように、アナン事務総長から二度も一カ月の間に橋本総理に書簡が届き、小渕外務大臣もアメリカでお会いになったということであれば、この与えた影響がどれほど大きいか。これは今回のたまたま予算がこうなったという問題を超えて、日本国際社会の一員としての役割というのをどう位置づけているか、そういったことに通じるのではないかと私は思います。  実はこれはもう本当に時間がないところでちょっとやってみただけなのですが、大蔵省管轄のIMFへの日本政府の出資額というのを、これは十六日現在の一ドル百二十四円というレートといたしまして、それで換算をしてその百分の一つまり一%が幾らになるかということを算出してみましたところ、これが百三十二億円になります。そうしますと、ただいまの国連関係任意拠出、この削減の金額というのは百四十九億円でございます。IMFの予算の一%をこちらに例えば補てんするというようなことを、同じ一〇%削減の中でも、バランスをとればこういった国際的なダメージは避けられたのではないか。なぜこれが事前にできなかったのかということが、先ほど小渕外務大臣が、決まってから時間がなくて各省庁間の折衝がなかったということを指摘なさいました。そういった点があるのだとすれば、その辺をこれから仕組みとして改善していかない限り、こういうことが二度三度と起こるのではないか。私はそういった意味で大変に危惧を持っております。  その辺の、これからの復活折衝の中あるいは復活折衝の前でも、大蔵省あるいは他の省庁と話し合って、そして即座にここに充てんする分、この負荷を少しでも軽減するという努力をしていただけますでしょうか。
  39. 小渕恵三

    小渕国務大臣 先ほど森山委員にもお答えいたしましたが、今後予算編成の過程でこうしたものの調整を最大限図っていきたいというふうに思いますが、先ほど申し上げましたように、予算編成の手順というのは従来、一般論的に言いますと、与えられた大蔵省からの数字基づいて各省がこれをそれぞれその範囲の中で整理して概算要求として八月末に提出をしておるということでございますが、ODAにつきましては、先ほども申し上げましたように、各省庁がそれぞれございまして、本来的に言えば、そうしたことも調整済みで出せればいいわけですが、なかなかそれはそうもいきません。  したがいまして、今後十二月の編成に向けて、ODAに関与するそれぞれの省庁との関係の中でぜひこれを調整する努力をいたしますと同時に、外務省としては、今外務省が所管しておる中で、特にこの国際機関等につきましては余りにも、これが発表されて以降、従来、国際機関それぞれにおきましても右肩上がりで予算がついてきたということもありまして、一挙にこうしたショッキングな数字が出てきましたので、いろいろと批判あるいは強い再要請のことをいただいておりますので、そうした声も十分受けとめながら対処いたしていきたい、こう考えております。
  40. 山中あき子

    ○山中(燁)委員 もう具体的に始められることがあるのではないかと私は思っております。  それで、これはODAの一九九二年の閣議決定でございますけれども、ここにODAの四原則というのがございますけれども、ここの基本的な理念の中で、常に発展途上国への援助ということの枠をもう一つ外して、つまりODAがもう一つ次の段階へ進むという前向きの発想に立ってみますと、これは世界の一員として世界の平和と安定にどういうふうに貢献するかという前段の部分を具体化する形のものに直すというのが一点。  つまり、ここにはきちんと、世界の平和と繁栄、それから自由、人権、民主主義、国際社会の相互依存の関係、環境、平和国家、それから世界の平和を維持し、国際社会の繁栄を確保するためにふさわしい努力をするというところまでは大変いいと思うのですが、その後が、それで発展途上国へということで、私は、もう経済協力という発想はここで一段階終えた、一つ役割は終えたと。もっと経済を超えた広い範囲での国際貢献、国際的な開発発展への貢献であるという位置づけをし直して、そしてそこの理念の部分と、それから二番の方の原則のところの二国間関係というのは、もう現在は、これは安全保障の方もそうですけれども、世界全体が、ここにちゃんと書いてあるとおり、相互依存の時代に入っておりますし、申し上げるまでもなく、日本の食糧の特に穀類の自給率、エネルギーの自給率を考えてみますと、日本という国は、たくさんの国とどういう関係を維持していくかということが将来の世代に大変大きな影響を与えるわけですから、二国間が顔が見えるという発想は、大変失礼ですけれども少し古いのではないかというふうに私は思っております。  ですから、二国間も多国間もバランスをとりながら、いずれ多国間に移行していくような、つまりワールドコミュニティーという発想を入れるという、そういった形での見直し。その二点、理念とそれから現実の基本的な原則のところ、そういった見直しを始めるべきではないかと思いますが、その点についてはいかがでいらっしゃいましょうか。
  41. 大島賢三

    大島(賢)政府委員 お答えさせていただきます。  ODAの量的な拡大がなかなか望めない、こういう時期に差しかかっておりますので、先ほど大臣から申し述べられましたように、質の改善を含むいろいろな見地での見直しをする時期に同時に差しかかっている、こういう認識で我々もおります。  そこで、具体的にはいろいろな側面がございますけれども、委員からも御指摘のございましたような諸点を含めまして、さらに、例えば経済的な成長を支援するODAという役割も依然として非常に重要なものがあるわけでございますが、同時に、国際的にも人間の開発を重視する視点というものが近年出てきております。そういったことも含め、さらには環境の問題でございますとかエイズとか人口の問題、こういったいわゆる地球的規模の問題と言われるような問題も、ODA観点から途上国協力に生かしていく必要があるということであると思っております。  さらに、福祉の問題女性の問題等ございますので、そういったあらゆる点をもう一度広い見地から見直しまして、いろいろな見直しに生かしていきたい、こういうふうに考えております。
  42. 山中あき子

    ○山中(燁)委員 ただいま申し上げましたのは、閣議決定のこの物の考え方、ポリシーがどうあるべきかということでございまして、具体的に御努力なさっているのはよくわかっております。しかし、日本のポリシーをもう一度きちんと考え直す必要があるのではないか。  加えて、九月に入りましてから、イギリスの新しいニューレーバーの政権で初めての、これは名称をODAからDFID、つまり国際開発局というふうに変えましたけれども、ここで先週でしたか、ホワイトペーパーが出されました。  そのホワイトペーパーを見ましても、最初に――これがそのホワイトぺーパーの皆さんへの普及の簡単なものでございます、ホワイトペーパーそのものもここにございますけれども。ここに、ワールドポバティーを撲滅するということが二〇一五年までのイギリスの国際援助の基本というふうにもうたわれております。  最初に私がびっくりいたしましたのは、その一番最初に、この地球の、惑星の繁栄のためにという、プラネットという言葉を使っております。もうそういった発想で物事が進んでおりまして、具体的には二〇一五年までに世界の貧困をどういうふうに半減するか、これは一つのモデルになると思います。  そしてその中にも、先はどのように、国連の〇・七%に近くなるために、今までイギリスは減らし続けてきたけれども、この世界が困っているときこそふやしていくのだということをうたっておりますし、その中にやはり非常に強く印象に残りますのは、世界の一員としてということと、世界のリーダーとしてということの自覚と、民間、ボランティアとの協力、多国間との協力、そういったことのほかに、この世界の開発問題点子供たちにどうやって知らしめるかと。これは識字率を上げるという教育援助ではなくて、イギリスの子供を含めて世界の子供たち、つまり将来の人たちにどのように問題点があるか、どういう開発があるべき姿なのかということをうたうのだということをはっきり書いておりまして、一番最後のところには、そのまま訳させていただきますと、私たちの孫の時代のその孫の時代のその次の人たち、つまり将来の人たちのために私たちは今これをするのだということがうたわれています。  そういった発想がもう世界各国の随所に見られるということを考えてみますと、今現実に努力をしていらっしゃるか、していらっしゃらないかというようなことではなくて、日本外交政策の中の国際的な援助政策というもののポリシーはどうあるべきかということの、もう一度見直しの時期に来ているのではないか。そして私は、先ほど申し上げたようなことが大事ではないかと考えておりますが、外務大臣の御見解を伺いたいと思います。
  43. 小渕恵三

    小渕国務大臣 今、山中委員の御指摘のように、海外に対する協力につきましては、バイでなくて、国際機関等を通じましてマルチの形で進めていくべきだというお考えにつきましては、これを否定するものではありません、ありませんが、御批判あったらちょうだいしたいと思いますが、やはりこの国際機関というもの、現在我が国が、それぞれの機関のあり方につきましても、いろいろこれから検討していかなければならない点もございます。  一方、国民のサイドに立ちまして、顔の見えるというのがどういうものかなかなか難しいわけでありますけれども、そうした点で、日本のタックスペイヤーにもそうした国際機関に対しての協力を本当に理解していただくことも大切でありますが、同時に、わかりやすい形での援助というものを通じて、国際的協力をしているという意欲を持っていただくことも必要じゃないか。  例を言って恐縮ですが、先般、フン・セン・カンボジアの第二首相が参られましたときにお話しした中で、カンボジアにおいてのいわゆる日本橋のところに日本の旗とカンボジアの旗を今でも立てて、この橋について、日本側の協力であるということを国民の皆さんにも理解していただいておるというお話もお聞きをいたしました。  この例がそのままということではありませんけれども、やはりバイについての協力も、我が国のタックスペイヤーの協力を今後求めていくというような立場でのわかりやすい事例にもなるのではないかと思っておりますし、また、国連総会に参りましたときにOAUの、アフリカ諸国の外相の皆さんといろいろお話をいたしましたが、そういった方々からぜひアフリカ開発、特にそれぞれの国に対する協力について強い要請もございました。  したがいまして、そうした形でのバランスをとりながらしていかなければならないと思いますが、いずれにしても、将来、国際機関を通じて日本が立派な貢献をしていくという形、そして国民の皆さんも、そうした形が最も望ましいということの理解を得られるということであれば、そういう方針、方向に向かって努力をしていかなければならないのではないかと思っております。
  44. 山中あき子

    ○山中(燁)委員 大臣の明確な御意思をお聞きすることができなくて大変残念でございましたが、そう目的をきちっと認識することによって、今のような一元化を図れない状態ではなくて、経済協力ではなくて、国際開発協力なり国際援助協力なり支援協力なり、一つの省庁に一元化すること、それから基本法をきちっと制定すること、そして評価法を確立して、そのアカウンタビリティーによって国民も海外の人たちもどういうことをしているかが見えるようにすること、そういったことは今ちょうどODAが差しかかっている大事なときだと思います。  とにかく日本は、この過渡期を乗り切ってよい方向に行くためには、そして温かい思考のできる国として国内的にも国際的にも信頼される日本を次の世代に渡していくために、このODAというもののあり方、もう一度きちんと議論をさせていただく機会を持たせていただきたいというふうに思っております。  外務大臣のこれからの御活躍を御期待申し上げております。ありがとうございました。
  45. 中馬弘毅

    中馬委員長 次に、島聡君。
  46. 島聡

    ○島委員 新進党の島聡でございます。  先ほど森委員からも御言及がございましたが、質問に先立ちまして、去る十七日にエジプト南部の観光地ルクソールにおきまして、これまでに十人の日本人を含む七十一人が無差別発砲テロの犠牲になる痛ましい事件が起きたわけでございますが、それについてちょっと言及したいと思います。  まず、亡くなられた方には、本当に心より哀悼の意を表したいと思う次第でございます。  さて、外務省は、九二年からエジプト渡航者に対しましていわゆる注意喚起という情報を流している。注意喚起というのは、私も報道だけでございますのできちんと事実確認しておりませんが、三段階いろいろな喚起情報がある中で一番低い情報であったということであります。それで、その三段階ある中で、事件が発生した今日、三段階のうちの二段階目の情報に繰り上げたということも聞いております。こんなことはだれでもわかるわけでございまして、今危ないということは。  外務省というのは、国民に対して、いろいろな情報を収集して、その上で国民がわからないことが判断できるような情報を流してもらうというのは、国民の生命、安全にとって非常に重要なこれは外務省の仕事だと私は思います。九二年から今の時点まで全く五年間余り変わっていない。  そして、犯人グループと見られるイスラム原理主義過激派集団は、先月十月十七日にロイター通信に、外国人旅行者に対してエジプトに近づかないように警告する文書を発していたという、これは報道でございますので事実確認しておりませんが、そういうふうにあった。ということは、その時点において情勢判断的に注意喚起からもう一つ、きのうやっては遅いのですよ。その時点で情報を上げておれば、その情報を判断して国民の方もどうするかということを聞いた、考えた。  ということは、これは外務省は情勢判断をミスつたのではないか、あるいはそれをきちんと国民に伝えることを怠っていたのではないかと私は思うわけでありますが、外務大臣の御所見を伺いたいと思います。外務大臣に聞いております。――状況説明をした後でもそれは結構です。
  47. 内藤昌平

    ○内藤政府委員 エジプトへの渡航につきましては、イスラム過激派によるテロ事件のおそれがあるということで、注意喚起という渡航情報は先生御指摘のとおり、平成五年以来、累次出してきております。  今回は、それにもかかわらず現地でああいう事件に遭われたということで、今度は観光旅行、不要不急の観光旅行はこの際あの地域にはもう立ち入られないようにしていただきたいということで、さらに強めた次第でございます。  いろいろなテロ情報があるということは、渡航情報という形で、これはインターネット、テレホンサービス、ファクスサービス、旅行者については日本旅行業協会あるいは全国旅行業協会等を通じて流して周知徹底を図ってきたところでございます。しかし、今回のような事件が発生するという具体的な情報は入手しておりませんでした。  政府としては、これまで在外邦人保護、在外公館警備の観点から、日常よりテロ情報に関する情報収集に意を用いております。在ペルー日本大使公邸占拠事件の反省をも踏まえてその強化に努めてきたところでありますが、今回このような事件が生じたことをも踏まえ、今後、テロ情報の収集について一層努力するとともに、そのための体制の整備強化に努めてまいりたいと思っております。
  48. 小渕恵三

    小渕国務大臣 最終的な責任は外務大臣に帰するものだろうと思います。  邦人の海外における身体、財産の安全につきましては、改正されましてたしか五段階のグレードでいろいろ注意を喚起しておったわけですが、今回、正直に申し上げて、イスラム原理主義者のこうした行動あるいはそのアピール等について私自身この情報を的確に掌握しておらなかったということは事実でありますが、しかし、正直申し上げて、よもやという感じがいたしておりますと同時に、我が国の観光者が特に昨今この中近東、特にエジプトに対してたくさんの皆さんがおいでになっておるというこの実態にかんがみれば、今回の状況につきましてより一層注意を持っておくべきであったということを率直に反省をいたしております。  いずれにいたしましても、今回の事件がこうした形で多くの犠牲者を出されたということにかんがみまして、先生御指摘でございますけれども、直ちにグレードを上げてのいろいろ対処につきましては、これを処置したということでございまして、御理解をいただきたいと思います。
  49. 島聡

    ○島委員 今よもやとおっしゃいましたが、ペルーでもよもやでございましたし、今回もよもや。よもやが多過ぎるわけでございます。今度こういうことが起きたら本当に大きな責任だと思いますので、十分に注意喚起をして二度と起きないように、また先ほども御答弁にありましたが、被害に遭われた方に全力で対処をしていただきたいと切望する次第でございます。  次に、先ほど山中委員の方から御指摘がございましたけれども、今回、小渕外務大臣御就任されまして、対人地雷の条約に関しましては本当に英断をされた、私もその点については非常に評価をいたさせていただいております。  これは朝日新聞の社説でございますが、   つい数カ月前、だれがこんな展開を予想しただろうか。対人地雷の全面禁止条約への参加に否定的だった日本政府が方針を変え、条約に署名することになった。   米国との協調や自衛隊の組織維持を重視した外務、防衛官僚の抵抗をおさえ、政治判断を貫いた小渕恵三外相、それを受けた橋本龍太郎首相の決断を評価したい。 私、ここまではよしとします。  それで、その題名が「やればできるのだ」、ということは、この外務委員会で四月二十二日、私も含めまして本当に多くの委員が、これをそうしなさいと言っていたわけです。主張していたわけです。やればできて、今回はできたけれども、前はこう言っています。  私の質問に対してでございますが、さきの通常国会での外務委員会平成九年四月二十二日、池田外務大臣は、対人地雷全面禁止条約についての私の質問に対しまして、  我が国としては、オタワ・プロセスにはその意  義を認めて参加はしていくけれども、今はオタ  ワ・プロセスの中で、少数の国であってもいい  から、なるべく理想に近い枠組みをつくってい  こうという点につきましては、我々は今の段階  ではちょっと参加できない参加できないということは、私だけではなくて、何人かの委員に対して全部きちんと明言されたわけであります。  それで、もちろん、やればできる、これは評価をします。そのときどんどん明言されていて今回できたということは、あのときの外務大臣はやる気がなかったのか。そういうことなのかどうか、どういうことでこういうふうになったのかというその経緯を、外務大臣、御説明をお願いしたいと思います。
  50. 小渕恵三

    小渕国務大臣 経緯のすべてを承知しておるわけでございませんが、前大臣といたしましては、その当時における環境の中で、対人地雷というものを我が国が廃棄するということになった場合の国防上の必要性、あるいは同時にまた、日本並びに極東の安全に多大な責任を負っておる在日米軍等の地雷の問題に対しての考え方と、十分な話し合いが行われておらないということの中で、前大臣としてはそのような判断をされたものだろうと思います。  その後、今御指摘のように、国会におきましてもこの問題に対して強い要請もございましたし、国際的な世論というものも背景にございますし、また、私自身も今回こうした判断を総理に仰ぐ前提といたしましては、日本の安全保障に対しましても、きちんとこのことによって担保されるような方法あるいは他の代替手段というものが考えられるかどうかということにつきましても、担当の皆さんとも十分話し合いをしつつおるわけでございまして、そういった意味で、前大臣といたしましては、その過程にあったということでそのように御判断されたのではないか、このように承知をいたしております。
  51. 島聡

    ○島委員 今お話しなさったことの関連について御質問します。  さきの外務大臣、同じように、今おっしゃったように安全保障の観点でございますが、「我が国は、我が国の安全保障の観点から申しまして、少なくとも当分の間は対人地雷というものを完全に使用禁止するわけにいかないという現実」もあるというふうに答えられました。私はそのとき、なるほど、確かに政治において安全保障は重要なのだから、そこまで言われるならば、残念だけれどもそういうふうにされるのだろうなと思っておりました。それで、今おっしゃったようにいろいろな議論をされた。  ということは、今の段階では対人地雷がなくても、禁止しても安全保障が確保されるというように条件が変わったか、それがきちんと整備されたというふうに判断してよろしいですか、外務大臣
  52. 小渕恵三

    小渕国務大臣 私自身、防衛の専門家でもございませんので、その点について確たる自信があるわけではありませんが、しかし、私自身も防衛局長を招致いたしまして、この点についていろいろと防衛庁の考え方もお聞きいたしております。  現在なお、久間防衛庁長官と最終的な話し合いが終局しておるわけでございませんが、私自身としては、現在の国際情勢、特にこの地雷の問題につきましては、これは防衛上の問題でございますので余り私見を申し上げてはいかがかと思いますけれども、かつての冷戦時代における日ソの関係等の中で、いろいろ政策も遂行してきた過去の例はあるのだろうと思います。しかし、今や世の中が大きな変化をしてきておる段階でございますので、いろいろ代替手段、あるいは他の防衛的な諸政策を遂行するということであれば、それが我が国の安全に対して、これを守り得るものだという感じがいたしております。  いずれにいたしましても、対人地雷というのは、戦車に対するものと違いまして一般の方々が大きな被害を受けることでございますので、そういった点で、この対人の地雷につきましての防衛関係者の皆さんのいろいろの危惧は理解はいたしておりますが、なおこの点については話し合いを進めていきたい、こう考えております。
  53. 島聡

    ○島委員 防衛に関しましては、最も大事なことでありますが、所管外とは思いますので、では、次に外交関係の問題について質問します。  あのときに当時の池田外務大臣は、アメリカ抜きの条約では実効性が薄いという答弁をされたと記憶しております。今回はアメリカは条約に署名しない旨を表明しておりますし、こういうようなことになりますと、今までのままではちょっと参加できないということに関してそごがあると思うのですが、それでも今回は実効性があるとお考えなのですか、外務大臣
  54. 阿部信泰

    ○阿部政府委員 日本政府としましては、去年の六月のリヨン・サミットのときから、地雷の全面禁止に向けて努力するということで外交努力をしております。  その後、オスロ会議条約草案が採択されたわけですけれども、今まで、こういう人道的な配慮と我が国の安全保障を確保するという点も含めまして、目下政府部内で最終的な調整を進めているところでございまして、そのような世界各国の動きを踏まえて最終的な調整を行うことになっております。
  55. 島聡

    ○島委員 ともかく、やればできるのだということでございますので、その意味では非常に評価をさせていただきますが、全くこの委員会審議について、そのときはそうで、急に説明なくぽっと変わるのも非常に、きちんとした説明を、責任を果たしていただきたいと思う次第でございます。  時間の関係で次の質問に入らせていただきます。  先ほど来、随分ODAの問題が出ておりますが、私も同じようにその観点から質問をさせていただきます。  まず小渕外務大臣にお聞きしますが、平成九年五月の行政改革会議の「中間整理」に、「国の行政が本来果たすべき役割」としてこんなふうに書かれております。政府は、国の存立に必要な事項、外交、防衛など、ナショナルミニマムの確保、全国統一の定めが望ましい事項などを担当しというように、つまり、国は外交、防衛を中心としたことをやるべきだ、本来の役割ではないかというような提言がされておりますが、その点について所見をまずお聞かせをいただきたいと思います。
  56. 小渕恵三

    小渕国務大臣 私はかねてから、外交は内政、内政は外交ということを申し上げておるわけでございますが、外交の職にある者といたしましては、日本の国が安全で、他の国との関係を円滑に、友好関係を維持しながら我が国発展を期していくというために、全力で努力をしなきゃならぬ。と同時に、安全保障の面におきましても、我が国の国民と財産を守るために、諸外国との関係を緊密にし、友好関係を維持することとともに、各国との協調によりましてその安全を図っていくという、その職にあるものと考えております。
  57. 島聡

    ○島委員 行政改革の基本原則について、今も外交は内政、内政は外交、それはそうでございますが、私は、中央政府役割としては、外交、防衛というのは非常に極めて重要ではないかということをお聞きしたのですが、その点どうですか。
  58. 小渕恵三

    小渕国務大臣 おっしゃるとおりだと思います。
  59. 島聡

    ○島委員 という意味だと私は思う観点から御質問をさせていただきますが、さきに財政構造改革法案が衆議院で可決されて、今参議院で審議中でございます。財政というのは、国家の活動を映し出す鏡である、それを見れば一体国家がどこに重点を持っているかということがわかると言われております。  私は、そういう意味からいくと、これから特に、これからの日本、今行政改革会議の「中間整理」も含めてやっておることに関しましては、どのように中央政府役割を果たすべきかということについて話されるということでありまして、外交、防衛が重視されるべきであると私は思っておりますが、それがどうもそうなっていない。  財政構造改革法案によりますと、いろいろなところが削減幅を出しています。今、非常に非効率の代名詞と言われる公共事業費は七%の削減でありますが、ODAは一〇%も削減されるという予定だというふうになっています。  なぜ、こんなことになるのか。公共事業費は七%の削減で、ODAというのは一〇%の削減だということを、これ閣議決定されているはずでございますから、外務大臣もそのときには一緒に、されてないかもしれませんが、御責任があるということで申し上げますと、公共事業が七%でODAが一〇%の削減ということは、国としては、外交の非常に重要な手段であるODAは公共事業の削減幅よりも多く削減したということですから、そっちよりも余り重要でない、そういうふうに考えているというふうに認識をしてよろしいですか。
  60. 小渕恵三

    小渕国務大臣 実は、そのように考えることはできないのではないか。それぞれかつての単年度予算の中で積み上げられた形の中で削減すべき目標というものを政府としては打ち立てておるわけでございまして、なるほど一〇%の切り込みということについて、先ほど来いろいろと御質疑、御主張がございましたように、ODAを通じて国際社会の中で我が国役割を大きく発展させていくということについて、この数字そのものは非常にショッキングであることは言うまでもありませんが、しかし政府としては、ODAのあり方も含めまして、この際全面的な見直しをしていかなきゃならない、そういう観点に立ちましてこの厳しい裁断をいたしたものだと思います。  ただ、このことをもって外交問題をより内政に対して軽視するということは一概に言えないものであると思っております。
  61. 島聡

    ○島委員 今、小渕外務大臣が、森山委員への御答弁だと思いますが、非常にこの問題については苦労をしている。よくわかります、それは。効率的な予算配分で効果的にやっていきたいというお話もわかります。  しかし、ということは、一〇%削減しても――今見直すと言われた、全面的に見直せば、効率的、効果的に配分をすれば、当初の外交目標が達成できるとお考えなんですか。ということは、今まで一〇%のむだがあったということを認めるという、そういうことですか。御答弁をお願いします。
  62. 小渕恵三

    小渕国務大臣 決してむだがあったとは考えておりませんが、しかし、世にODAのあり方につきましては、最近非常にきつい御意見もいろいろ内外から寄せられていることは事実であります。  そういった意味で、謙虚に、ODAの従前とってまいりました政策、予算、あるいは内容、質、こういうものにつきまして、この機会にきちんと見直すという機会と逆にとらえて、次の伸長のために努力をしていくということで対処いたしておるところでございます。
  63. 島聡

    ○島委員 同僚議員を初め、るるこの問題については取り上げられたわけでございます。特に、国連主要機関に対する日本の来年度の拠出金削減は、本当に大変なものがあります。ユニセフが四一%、国連開発計画三七%、国連人口基金三五%というふうになっておるわけでございますが、なかなかこれでは、外務大臣国連総会演説で示しました、開発問題や人道支援を通じて国際平和への貢献を重視するという姿勢が、言行一致しないようになってしまうかと思います。  そういう意味では、ODAの圧縮問題について、先ほどから前向きな答弁をされていると私は認識しておりますけれども、その前向きな答弁がきちんと実効が上がるような形で今後進んでいっていただきたい。何度も申し上げますが、やればできる、こうやって褒められた外務大臣でございますので、ぜひともよろしくお願いを申し上げたいと思う次第でございます。  時間の関係がありますので、次の質問に入りたいと思います。  同じくODA関係もありますが、中国の問題について御質問を申し上げたいと思います。  中国では、非常に急激な経済発展に伴いまして、環境汚染の問題が深刻化しつつあると言われております。そしてまた、大気汚染や水質汚濁が目立つ一方、製鉄所や発電所などのエネルギー効率が日本の半分以下とされている。今回のCOP3に関しましても、いろいろな議論がされているところであります。  特に、中国へのODAに関しましては、このような環境問題にどのように対処するか、日本としてもコミットしていく必要があるというようなことがありまして、いろいろなことがされているということも聞いております。  まず最初に、明快にするためにお聞きするのですが、中国の環境問題に関しましては、酸性雨の発生など、日本にも直接影響があるんだということがよく報道等にありますけれども、だから環境に関するODAも増加すべきだというような論理につながるのでしょうが、本当にどれほどの影響があるのかということを環境庁にお尋ねしたいと思います。
  64. 櫻井正人

    ○櫻井説明員 中国からの酸性雨の影響につきましてのお尋ねでございますが、環境庁におきましては、昭和五十八年、一九八三年から、我が国における酸性雨の実態及び影響を明らかにするために、専門家による検討会を設置いたしまして、継続的に酸性雨の対策調査を実施いたしておるところでございます。  この結果、去る四月に取りまとめられました第三次の酸性雨対策調査の中間取りまとめによりますと、酸性雨原因物質の長距離輸送を見るために離島に設置いたしました測定所の中で、特に日本海側に設置されました測定所におきます降水中の硫酸イオンの濃度が太平洋側に比べますと高い、特に冬の間に高くなる傾向が認められるということになっておりまして、酸性雨の原因物質が季節風に乗りまして大陸から運ばれてきている可能性が示されておるということでございます。  ただいま、どの程度影響があるかという定量的なお尋ねかと思いますけれども、酸性雨原因物質の長距離越境移動に関しましては、例えば私どもの国立環境研究所の開発をいたしましたシミュレーションモデルによりますと、特定の気圧配置になりましたときに大陸起源の酸性雨の原因物質の一部が日本の上空に到達する可能性があるということで、定性的なものではございますが、そういった一つの研究成果も示されておるところでございます。  そういったことでございますけれども、御指摘のような意味で、中国が環境問題においても二十一世紀に向かって大変大きな存在であるということは御指摘のとおりだと思っておるわけでございます。  いずれにいたしましても、酸性雨問題につきましては、中国を含めた東アジア地域共同の取り組みを進めていくということが大変重要であると考えておりまして、酸性雨対策に対する共通の認識を形成するとともに、対策の進展に結びつけるための中国を含めました東アジア酸性雨モニタリングネットワークの実現に向けまして、現在、外務御当局の御協力もいただきながら努力をしておるということでございます。
  65. 島聡

    ○島委員 日本政府は、橋本首相の訪中時にもおっしゃった酸性雨対策国際プロジェクトの東アジア酸性雨モニタリングネットワークでございますか、それを進めるためにいろいろな、中国の百都市にコンピューターを無償で設置する等々のことをやっていらっしゃることは非常に存じておりますし、環境技術移転などに協力、環境対策向けの円借款金利を大幅に引き下げるということを表明していらっしゃることもよく存じております。かなり環境に関して重視した経済協力をしていらっしゃる。  先ほど、いわゆる効率的な予算配分、効果的なODA、経済協力をされるということをおっしゃいましたので、その観点から申し上げるわけですが、実は、私も九月三日から六日の間、訪中をいたしておりました。朱鎔基副総理が、橋本総理との会談で、この間日本の国会議員に会ったがみんな自分の息子より若い、その意味でも自分も年をとった気がしたと言われたと報道された、その息子より若い議員の一人であったわけでございます。そのときに、釣魚台で銭副総理外交担当にもお話ししまして、環境問題について懸念を持っていることを申し上げました。水質汚濁防止についてはるる述べられたわけでございますが、大気汚染問題については余り述べられず、結論的に、中国発展途上の国でありますから環境のために成長を犠牲にするわけにはいかないと申されたわけであります。  それと同じようなことをさきに来日した李鵬首相も来日時の会見で、環境は地球的問題であり先進国、途上国とも関心を持つべきだ、しかし先進国と同じ基準を途上国に当てはめ、途上国の成長を制限すべきでないと、同じように成長制限的な政策には非常に極めて消極的なコメントを出されております。  こういうようなコメントのある中で、経済協力、地球戦略的に、いわゆる地球環境に貢献するような形で中国の環境に関する、強化するような技術協力、経済協力をされる、それをいかに効率的にするか、効果的にするか。これをどのように日本政府としては中国に働きかけていくおつもりで、効果的な経済協力を実行されるかということに関して、小渕外務大臣の御見解を承りたいと思います。
  66. 小渕恵三

    小渕国務大臣 対中国に対する協力につきましては、先ほど委員からも御指摘ありましたが、最近の橋本総理の訪中等でも申し出をしておるところでありますが、環境問題につきまして、二十一世紀に向けた日中環境協力、こういうことで全面的な協力をしていくということになっておるわけでございます。  先ほど環境庁から、中国における酸性雨が、中国における種々の煙害その他が我が国にどのような影響を与えておるかということについて御答弁がありましたが、それはそれとして、中国地内におきましても、委員、訪中されてよく御存じだと思いますが、それぞれの工業地帯におけるあの多数の煙突から吐き出される黒煙を考えますと、これが中国国内におきましてもどのような公害を発生して、空気が大変大きな公害となっておるということはおわかりだろうと思います。そういった意味からも、我が国としてもできる限りの協力をいたしていくべきだ。  この点につきまして、いささか古い話になりますが、実はこの中国における環境問題に我が国としてまず積極的に取り組みされました第一歩が日中友好環境保全センター、この建設でございまして、かく申し上げる私がちょうど官房長官をいたしておりまして、竹下総理の訪中に当たりまして、今後対中経済協力のポイントはどこかということでありまして、やや当時としてはまだ早いのではないかというような御意見もありましたけれども、単なると言っては失礼でございますが、いろいろ箱物をつくるよりもこうした環境問題に積極的に、我が国がかつて環境国会というものを通じながら非常に努力をしてきた成果も踏まえまして、隣国中国のこの問題に積極的に関与できたらどうかということで、このセンターの建設に踏み切ったわけでございます。引き続いて、今日、橋本総理も同様な考え方に基づいて対処しておるわけでありまして、中国に対する協力につきましては、この点大変重要な点ではないか。  私自身も三月に中国へ参りまして、江沢民主席あるいは胡錦濤常務委員といろいろお話ししましたが、この胡錦濤さんなども、はっきりした数字はちょっと記憶しておりませんが、たしか全国で十二、三万工場の中で二ないし三万工場が公害発生工場ということで、今自分はこの工場を閉鎖する努力をしておるということであって、日本側の協力も強く求められておった点を思い起こしながら、こうした点に重点的にこれから協力できたら、こう考えておるところでございます。
  67. 島聡

    ○島委員 私、また十一月二十日から訪中いたしますので、またしっかりとその意味で日中の友好に尽力していきたいと思っております。あすからでございます。  次に、日ロ関係について御質問を申し上げます。  まず最初に、いわゆる橋本・エリツィン・プラン、きのうロシアの報道官がかなりちょっと具体的なことも述べたと聞いておりますが、橋本・エリツィン・プランの具体化スケジュールについてお聞きしたいと思います。  先日のクラスノヤルスクでの日ロ非公式首脳会談で、今後の日ロ経済協力の基本になる橋本・エリツィン・プランの推進が合意されたと伝えられているわけでございます。  エリツィン大統領が二〇〇〇年という、平和条約締結を目指すという目標を示したのは、二〇〇〇年までにこの橋本・エリツィン・プランを重点的に実施するということをかなり評価しているのじゃないかというふうに私は理解しております。その意味で、このプランの進展というのが平和条約締結の交渉進展に大きな影響を与えるという意味で注目をしておるわけでございますが、ただこれは、西暦二〇〇〇年までという目標はあるのですけれども、それまでにどのように何をしていくかというような実行計画が明確に示されていないわけであります。  二〇〇〇年といいますと、残された期間、あと三年しかないわけでございますので、ぜひともこの橋本・エリツィン・プランという経済協力計画について、どのような形で計画を進捗させるお考えなのかということにつきまして、スケジュールの概要を含め、外務大臣にお尋ねしたいと思います。
  68. 小渕恵三

    小渕国務大臣 クラスノヤルスクの首脳会談におきまして、両首脳は、今後の両国の経済関係発展の基礎となるべき一連の協力措置、橋本・エリツィン・プランとして実施していくことに一致をいたしました。  こうした首脳間の合意を踏まえまして、十三百の日ロ外相会談において、自分はプリマコフ外相と、まず企業経営者養成計画基づく研修の早期実施等、多くの具体的措置を貿易経済政府委員会を通じて積極的に進めていくことと一致をいたしました。  この首脳会談によりまして、両首脳が非公式といいながら極めて重要な合意を見たわけでございまして、何といっても二十世紀に起こったことですから二十世紀のうちに日ロ間に平和条約を締結しよう、こういうことでございます。  従来、遅々として進まなかった点もございますが、これは何といっても領土問題ということがその前提としてありました。この点につきましては、さきの東京宣言を実行するということを含めて平和条約締結に向かっての努力をしていくということになったことは大きな成果であると思いますと同時に、我々としてはこのことを実現するために種々の努力を積み重ねなければなりませんが、委員指摘のように期限はまことに少ないわけでございます。  したがって、先般のプリマコフ外相との話で合意したことは、せっかく両首脳が決断をしたことなので、これを実効あらしめるために、まず東京宣言を含めた平和条約の締結のためには、少し種々の交渉はできる限りスピードアップといいますか、前へ前へと進めていこうと。特に来年四月に、その春エリツィン大統領が再び我が国を訪れるという大きな機会がありますので、私といたしましては、できればそれに向かってこれから種々の合意を積み重ねていきたい、このように考えております。
  69. 島聡

    ○島委員 今非常に前向きな御発言がありまして、二十世紀に起きたことは二十世紀に解決しよう。今領土問題についても言及されました、東京宣言についても言及されましたが、ということは、西暦二〇〇〇年を目指して締結される日ロ間の平和条約、これには北方領土問題も同時に解決したいという御意思があると考えてよろしいわけですか。
  70. 小渕恵三

    小渕国務大臣 東京宣言を前提とするということであれば当然のことだと思います。
  71. 島聡

    ○島委員 非常に北方領土返還につきましては、今ロシアの国内でいろいろな問題が存在しております。  例えば、ネムツォフ・ロシア第一副首相は、クラスノヤルスク合意に関連しましては、領土の一体性をうたったロシア憲法との関係上、領土問題を切り離して条約の締結を目指す可能性を示唆したとも伝えられておりますし、一方、北方領土を抱えるサハリンにおきましては、島がなくなるという現実問題に関しては、返還に反対する考えが一般的であるようにも聞いております。  ということは、今そのような、当然だとおっしゃいましたので、このような問題をどのように乗り越えて進めるというふうにお考えなのかについて、外務大臣見解をお願いいたします。
  72. 西村六善

    ○西村(六)政府委員 今先生がおっしゃられましたように、いろいろな御意見がございます。  確かに、ヤストルジェムスキー報道官はそういうような意見を述べていることも私ども承知しております。それから、地方におきまして、いろいろな意見があることもよくよく承知しております。しかしながら、一方におきまして、ロシアの国内におきましては、この問題を前向きに解決しなければいけないのではないかという意見があるのもまた事実でございます。  こういう意見を私どもはできるだけ客観的にとらえまして、冷静に対応して最終的な目的に到達いたしたいというふうに考えております。
  73. 島聡

    ○島委員 非常に一般論でございますが、本当にそのとおりだと思いますので、何としても二〇〇〇年までにできるよう努力していただきたいと思います。やればできる、これがきょうのキーワードでございますので、お願い申し上げます。  本当に時間の関係がありますので、もう一つ、ロシアの関連でもございますが、APECについてお尋ねをいたします。  先日行われました橋本総理とプリマコフ外相との会談で、橋本総理は、ロシアのAPECへの新規参加支持問題の方針については既に参加国に伝えてある旨述べたと聞いております。APEC・バンクーバー会議におきまして、我が国として、ロシアの新規参加への支持を改めて主張する意向があるかどうかをまず大臣にお尋ねしたいと思います。
  74. 小渕恵三

    小渕国務大臣 前の質問にお答えいたしませんで失礼をいたしました。  この領土問題の解決というものは、言うはやすく行うはなかなかかたいことは覚悟いたしておりまして、これから全力で努力をしていかなければなりませんが、幸い、実は中馬委員長も先般訪日されまして、チェルノムイルジン首相やルキンさんとお話しされたように聞いております。  ロシアも民主化によりまして議会というものが存在をいたしまして、これが極めて強力であると同時に、エリツィン大統領、与党に対して、野党の厳しい領土問題に対する意見等も我々聞こえてきております。  そういう意味で、これから政府としても全力を挙げますが、それぞれ関係の議員同士とかあるいはその他民間同士とかを通じまして、その環境の醸成をこれからぜひつくり上げていくことができれば幸いだと思いまして、そういった意味で、委員長初め各委員の御支援もお願いをいたしておきたいと思います。  そこで、御質問いただきましたバンクーバー・APECでございますが、この点につきましては、かねて総理からもエリツィン大統領に新規加盟につきまして支持をされ、このことはエリツィン大統領も極めて多としておると聞いております。私自身も、プリマコフ外相にもその向き申し上げますと同時に、バンクーバーにおけるAPECにおいてこの問題が取り上げられるように努力をしていきたいと思っております。  ただ、従来、マニラのAPECの閣僚共同声明によりまして、既に、新メンバーの参加について、申請十一カ国あるいは地域についてのこれからのスケジュールが定められておるようでございまして、バンクーバーでは参加申請審査のための基準の採択、九八年のクアラルンプールではこの基準に基づき新規メンバーを発表、九九年、オークランドで新しいメンバーの参加を認めるというようなスケジュールのようでございますが、こうなりますと、それこそこの申請国が新規に参加できるのは九九年以降ということになると思いますので、この点もできれば他の参加国の外相その他の皆さんともちょっとサウンドをしまして、これが少し前にできないかというようなことも話してみたいとは思っております。
  75. 島聡

    ○島委員 ベトナムの加盟を強く望んでいるのがASEANで、ロシアのAPEC加盟につきましては、どうもこちらのASEAN諸国は加盟条件であるアジア太平洋地域にある国と言えるかどうか疑問だということを言っているということを聞いております。かなり消極的だと言われております。どのように東南アジアの諸国の皆さんを御説得なさるおつもりなのか、お尋ねしたいと思います。
  76. 大島正太郎

    大島(正)政府委員 APEC加盟国の中には、ロシアの加盟問題につきまして、いろいろな考え方があることは御指摘のとおりでございます。  ただ、私どもが現在いろいろ内々に情報収集しておりますところ、大方の国は、少なくともそういうことがみんなの意向であれば反対はしないという方向に既になってきております。したがいまして、今回の閣僚会議あるいは非公式首脳会議において、最終的にその上でどういうふうに議論されるかは今後の問題ではございますけれども、大方、ASEAN諸国を含めまして、少なくとも反対はしないという方向になってきていると思います。
  77. 小渕恵三

    小渕国務大臣 加えまして、我が橋本総理がロシアの加盟を強く推進しておりますのは、従前、ロシアというものはどうもウラル以東の国だという印象が深かったわけですけれども、これから極東といいますか、アジアの国として、ロシアが我々あるいはアジア諸国との関連を深めていくことが大変大切なことだという趣旨にのっとっているのだろうと思いますので、そういった意味でも、アジア各国の御支援と御協力も得て、ロシアがこのアジアにおいて極めて重要な国としてAPECの中で活動されることを期待するという趣旨だろうと思います。
  78. 島聡

    ○島委員 外交がダイナミックであることが非常に必要だと思いますし、また、そのダイナミックがある以上は、きちんと国民に納得がいくような説明をすることを決して軽視してはいけないと思います。それを重視しながら、今後ともダイナミックな外交を、やればできるの精神で実現していただくことを祈念しまして、質問を終わりにします。  どうもありがとうございました。
  79. 中馬弘毅

    中馬委員長 次に、末松義規君。
  80. 末松義規

    ○末松委員 民主党の末松義規でございます。  私も、まず質問の前に、エジプトのあの悲惨な事件による犠牲者の方々、またその御家族の方々に対しまして、心から哀悼の意を表させていただきたいと思います。  きょうは、外務委員会初めての質問ということですけれども、一応民主党として、政府委員制度の廃止や、あるいは政治家との対話を行うということで、基本的に大臣にお伺いいたしたいと思います。  私も、島委員に引き続きまして、対ロシア外交についてお伺いをいたします。  まず、大臣におかれましては、御就任おめでとうございます。これから小渕外交と言われるものを大臣みずから実践されていかれると思いますが、そのときの基本理念あるいは重要外交政策につきましてお伺いいたしたいと思います。そして、その中で、大臣の対ロ外交における比重、それについてもお伺いいたしたいと思います。
  81. 小渕恵三

    小渕国務大臣 就任に当たりまして記者会見で述べたことでございますが、外交におきましては継続が極めて重要であり、我が国としては、引き続き日米関係を基軸としてその維持強化に努めつつ、中国、ロシア、韓国等の近隣諸国との関係を強化し、アジア太平洋を中心とする地域協力の強化、国連などにおけるグローバルな取り組みへの積極的な協力を着実に進めることを主要な外交課題として取り組んでまいりたい、こうした取り組みの中で、自分としては誠実、堅実、果断という  三つをモットーにしていきたいと思っております。  そこで、特に私といたしましては、今、日本が国交を結んでおる国が百八十九カ国、この中で一カ国といいますか、北朝鮮との関係が依然として不正常な関係にございます。したがいまして、願わくば、この極東平和、安定のためにも、我が国との関係が正常な姿になることが望ましいことではないかと思っております。  今御指摘のように、大きな課題として、国連加盟国百八十五のうちで、いわゆる平和条約が結ばれておらないのはこのロシアだけでありまして、この機会にぜひ橋本総理指導のもとでこのロシアとの平和条約を締結し、名実ともに国交を回復すると同時に、きちんとした形での領土というものを我が国に、四島を不法占拠されておる状況を解除して、新しい二十一世紀を迎えたいというのが基本的な希望でございます。
  82. 末松義規

    ○末松委員 対ロシア関係につきましても、大臣の非常に大きな御決意を聞かせていただきました。  この前の橋本・エリツィン会談というのは、ボリス・アンド・リュウという、そういう首脳同士個人的な信頼関係基づいた首脳レベルの段階に日ロ外交が至ったということで、非常に私もすばらしいことだと思っております。  このエリツィンさんというのは、どちらかというと大陸的な気質を持たれた方のようなので、何回もお会いして、そして個人的な信頼関係、特に、相手の立場に立ってお互いがお互いで外交上の知恵を絞っていくような、そういう信頼関係、そういう段階にもっともっと行く必要があるのかなと思うわけです。  例えば、アメリカとロシアでは、新生ロシア後大体十五回ほど首脳会談が行われている。日本も六回程度行われていると聞きますけれども、さらに今度の四月ですか、またエリツィン大統領が来られるということで、それに向けて、日本外交がどんどんその努力を集中させていくということが必要だろうと思います。  私は、日本外交としてこのエリツィン大統領にかけたというぐらいの心意気で今やられていると思いますけれども、ただ、ここで問題は、エリツィンさんが二〇〇〇年まで大統領としての任期がある。ただ一方、日本の方は、総理大臣にしても外務大臣にしても、どうも任期が短いケースが多い。そういった意味で、私思いますには、やはり政権与党の中でエリツィンさんあるいはその重要関係者との間のパイプを太くする、そういった形で継続的に話し合える関係の人を政権与党内にきちんと置いておくべきだと思いますが、大臣のお考えをお伺いします。
  83. 小渕恵三

    小渕国務大臣 おっしゃるとおり、いろいろなパイプを通じてコンタクトするということは非常に大切なことだと思いますし、エリツィン大統領そのものもさることながら、最も信頼される現在の第一副首相等がおられますので、いろいろな方とより太いパイプをつないでいくということはこれは大切なことで、政府間にとりまして、文書の交換だけの問題でなくて、人間的なそうしたおつき合いの中でかなりいろいろな果実が生まれてくるという過去の歴史もございますので、全力で、いろいろな方にお願いをして、その関係を深くしていくように努力していただきたいと思っております。
  84. 末松義規

    ○末松委員 今の質問は、与党だけじゃなくて、もちろん野党についても言えているわけですから、我々としても、そういった意味でパイプを太くしていく、野党としてもパイプを太くしていくということは重要だと思いますが、日本トータルとしてそういうふうな大きな中での外交を行うというときには、そういったことが非常に重要だと思います。  さて、このクラスノヤルスクの橋本・エリツィン会談の成果を、今度は外務大臣として具体化していく上で、最も重視をされておられることはどのようなことがございますでしょうか。また、その観点から、プリマコフ外相が来られて会談をされたわけですけれども、特にお感じになられた点をお聞かせいただければと思います。
  85. 小渕恵三

    小渕国務大臣 まず、先ほど来申し上げておりますように、平和条約締結のための東京宣言に基づいての領土問題を解決しなければならぬ、そのために、先般プリマコフ外相との話し合いによりまして、大臣同士をトップにしての平和条約締結のための委員会を設置しようということで合意をいたしました。  ただ、そのメンバーその他につきましては最終的結論に至りませんでしたので、一月の段階に、まず事務次官レベルでの話し合いを双方の外務大臣の指示によって行っていきたいということにいたしております。その後、先ほど申し上げましたように、四月に訪日されることは既に約束済みでございますので、それまでの間、どのようにいろいろなことを積み上げていくかということでございます。プリマコフ外相としては、次回の外相会談をできる限り早い来年の正月以降、四月までということを申されておりますので、国会のお許しが得られるということでありますれば、四月直前に参りましても四月のエリツィン大統領の訪日ということと重なりますので、できれば間隔を置きたいという感じで、今、訪ロについてもこれから検討を始めていきたい、こう思っております。
  86. 末松義規

    ○末松委員 その内容に入りますけれども、プリマコフさんとも話されたろうと思いますが、領土問題についてはどういうふうなお話し合いがなされて、また、今度どういうふうな形で進めていかれるおつもりでしょうか。
  87. 小渕恵三

    小渕国務大臣 今御報告を申し上げましたそれぞれのハイレベルでの話し合いを、かなり短い間隔の中で数次にわたって行うということの中で将来方向を見出していきたいというふうに考えております。
  88. 末松義規

    ○末松委員 領土を返せ、返せと言っても、そんなことはなかなか進みません。そういった意味で、一時期前まで外務省の中でも、対日関係については、政経不可分だということで縮小均衡になっていた時代もございました。  そういうところからすれば、今はさま変わりになっているわけですけれども、対日外交上、二〇〇〇年までに平和条約締結のための環境整備ということが今の外交の一番の要請であろうかと思うわけですけれども、その中で、外務大臣として、何が重要か。私は、個人的に考えますには、日本民間経済人の方々とか日本の経済界を、いかに橋本・エリツィン・プランを含めたものの方に巻き込んでいくか、表現は悪いのですけれども、皆さんに参加していただくかということが、目に見える実績として、ロシア側からも大きな評価をもらう一番の要請であろうと思います。  もちろん、外務省を初め国内の官庁が、ロシアに対して、経済とか経営のノウハウとか、あるいは知的なインフラとか、あるいは法律的なシステムの整備とか、こういうことは実質的な協議の積み重ねによってやっていくのだろう。その中で大臣のリーダーシップを期待するわけなのですけれども、小渕大臣は、外務大臣と同時に政権与党の重鎮としていらっしゃるのですね。そういった中で、経済界にいかに参加していただくかということが大臣としての、政治家としての手腕だと思うのですが、この点につきまして、大臣の御決意をお伺いしたい。  私が思いますに、これは単に領土問題というのもありますけれども、その枠を超えて、今度日本経済というものが、極東あるいはロシアも含めて、そういったところに、日本経済の活路の一つとして、日本が今後進んでいく道ではないかと思うのです。そういった中から、ぜひ、日本の経済界を大臣の政治的手腕によって何とか参加の方向に持っていっていただきたい、そういうふうに思うのですが、大臣の御決意を改めてお伺いします。
  89. 小渕恵三

    小渕国務大臣 御指摘のように従前は、いわゆる、いわゆるですが、入り口論でとまっておって、なかなか日ソ、日ロの関係が深まりを持たなかったわけですが、ここへ来て、総理のデンバーでの首脳会談以降、クラスノヤルスク、そして明年期待される四月、こういうことで急速に平和条約締結の空気というものは盛り上がっておりますが、その背景としては、やはりロシアが我が国に対する経済的な協力というものも強く期待をしておる点もございますし、今末松委員指摘のように、我が国としても、極東との間の経済的な協力というものをさらに深めていかなければならない。特に、エネルギー資源をめぐっては、これの利用について、我が国としても対ロ、あるいは時に対中も含めまして、アジア全体のエネルギー問題ということについての深い関心を示していかなければならない。  この気持ちが相近寄ってきたという感じが強くしておるわけでありまして、特にエネルギーにつきましては、中山太郎元外務大臣中心にいたしまして、今月の末にアジア全体のシンポジウムを開かれるわけでございますが、そういった点で、日ロ間におきましても、ロシアの資源、こういうものをアジア全体で利用、活用することができないかというようなことも含めて、ぜひ進めていかなければならない。  日ロの関係につきましては、先般、御承知のように、橋本・エリツィン・プランで話し合われた点、すなわち投資協力のイニシアチブ、ロシア経済の国際経済体制の統合の促進、改革支援の拡充、企業経営者養成計画に対する協力、これも今まで日本として、日本に呼んで日本で勉強させて、そして帰っていく。しかし、いかにしても、日本とロシアとの彼我の市場経済に対する感覚が相違しておりますので、せっかく日本で勉強しましてもロシアに帰ったら全く現実と離れているようなことであります。こういった点ではいけないということで、今度、千人規模でロシアで勉強していただいて、そして、その中で優秀な人は五百人日本に来て、また日本の実態にも触れていただくというような具体的ないろいろプランニングがあります。こうしたこともありますし、先ほど申し上げたエネルギーの問題、それから原子力の平和利用の協力等々、具体的にプランを具現化していくということだろうと思います。  そこで、御指摘のように、経済界でございますが、かつて日ソ間にいろいろこういう経済協力をしてきたわけですが、時には、旧ソ連時代も含めまして、法的な面でいろいろと日本との間が難しくなりまして、かなりの額の資金が凍結されたままにあったというような過去の経緯にかんがみて、日本の経済界も今まで飛び込むのには若干ちゅうちょした点があります。  でございますが、長くなりましたが、最終的に、御指摘のように、日本の経済界の人たちも、やはりこれからの極東の、そういったエネルギーも含めまして、我が国、我が会社にとっても極めて重要だという観点も含めまして、積極的に取り組んでもらいたい。政府としても大いにこれを激励し慫慂していきたい、こういうふうに思っております。
  90. 末松義規

    ○末松委員 今大臣、個人的にも政治家として頑張るんだという御決意をいただいたという解釈でよろしいですね。――では、その中で、特に日ロ間で経済交流、それも含めた官民交流が重要だと思うのですけれども、特に経済人の交流、実際にまた変わったロシアを見てもらおう、あるいは変わる予定のロシアを見てもらおうということで、日本から、例えば大臣が今度二月にロシアに行かれるときに民間の経済人をも一緒に連れていく。  例えば、フランスのジョスパン首相が訪ロする際、四十人に上る経済界の代表者を同行させたということもあるのですが、小渕大臣もそういった意味で、経済交流の一環ということで、ぜひ民間のリーダーを同行していただいて、そして実際にロシアを見てもらうというふうなことも検討に値すると思うのですが、大臣、いかがでしょう。
  91. 小渕恵三

    小渕国務大臣 大切な御指摘をいただいたと思っております。と申し上げますのは、日本の最高責任者並びに政治関係方々が諸外国に参りますときに、経済人を同行しますと、時々メディア等でいろいろ御注意を受けることがなきにしもあらずなんですね。  そこで、私は、かつてアメリカの大統領ブッシュさんが来られたときに、時のビッグスリーの自動車会社の社長たちを引率してまいったその席にも同席したことがありました。あるいは、亡くなられましたが、ブラウン商務長官が中国に行きましたときに、経済人を大勢連れまして大デレゲーションで行きました。その後、彼は飛行機事故で亡くなりましたけれども、外国から来られる方々もかなりそういった点で政経相協力してという感じがするのですが、日本の場合には非常にシビアであると考えるのか、あるいは政治経済というものはおのずと別の道で、最終的には協力すべきだということになるのかもしれませんが、これは若干世論もかかわることだろうと思います。  ですから、今の御指摘は私はある意味で、そうした形で経済大もともに行って、政治家も経済の状況をよく知ると同時に、経済人もそれぞれの国との関係について十分承知をすべきであるという考え方とすれば、それは大変一つの見識だというふうに私は思うわけです。  そこで、具体的な今の問題については、実は経済関係は、本十九日より経団連のハイレベルミッションが訪ロいたしまして日ロ、ロ日経済合同委員会が開催をされるということでございますので、まずは経済界代表がモスクワでやっていただきたいと思いますが、将来においては、今委員指摘のような点も考慮してもよろしいのではないか、このように考えております。
  92. 末松義規

    ○末松委員 確かにマスコミの方はいろいろとお書きになりますけれども、ロシアが日本の経済の協力を求めている、それが領土問題も含めた日本の対日外交上、非常に重要であるという御認識があるのであれば、経済協力というものが一番のキータームになるはずなんですよね。というお考えであるならば、マスコミの方が何を騒ごうと、それはマスコミの認識が甘いという形で割り切って、どんどんやっていかれればいい、ひるまずにやっていかれればいいじゃないかと思うわけです。  ただ、その形がもし誤解を受けるというのであれば、それは確かに経済のミッションとそれにたまたま同時期居合わせたという形かどうか、まあそういう形もあるのかもしれませんけれども、そういった意味で、ロシアとの関係では本当に経済関係、例えばロシアの側から今度は逆にミッション、これをいろいろな形で招請もしているかもしれませんが、これもどんどん呼んでいけばいいと思うのですけれども、その辺は大臣、いかがでしょうか。
  93. 小渕恵三

    小渕国務大臣 率直に申し上げて、今ロシアの経済界というものが、たしか向こうの経団連会長という方に以前お目にかかったこともありますが、いわゆるロシア自体の今経済界というものが、どういう方が右代表であり、どういう方がその中核におるかということが十分掌握できておりません。  しかし、いずれにしても、経済界全体という形でなくても、単独で、エネルギー資源とかその他の分野における方々がおるわけですから、できる限り我々としても招致もいたしたいと思いますし、具体的問題の解決のために、ぜひロシアの経済人の訪日も進めていきたいというふうに考えております。
  94. 末松義規

    ○末松委員 そういった意味でいけば、だれが実は代表者なのかよくわからないという御指摘がございましたけれども、そこから作業を始めていただいて、そして、確かに来れる方はどんどん順次来ればいいと思いますし、そういった形で、こちらも今度はそういう受け皿を用意するという努力が大きな力になるのじゃないかと思います。  ただ、そのときに、いろいろな経済人が交流しても、ロシアの中で法的な整備とかシステムとして不備だとか、そういった問題をクリアしないと、経済界の方もなかなか一歩踏み込めないという話がございます。ですから、それに対する日本支援というものが本当に緊急なものになっている。まあ日本だけじゃなくて、アジアあるいは世界的なレベルでのロシアに対するそういうシステム援助というものが必要になっていると思います。  大臣は、橋本・エリツィン・プランにおける政府間貿易経済委員会日本側代表としてやっておられますけれども、率直な御感想で結構なんですが、ロシアを太平洋地域における国際分業体制にある意味では組み込んでいく、これはロシア側の意見からも出ていると思うのですけれども、そういった意味におきまして、今どういった分野が本当に緊急の課題だということで考えておられるのか、率直な御感想をお伺いしたいと思います。
  95. 小渕恵三

    小渕国務大臣 御指摘のように、私のカウンターパートは、東京宣言も含めまして、平和条約につきましてはプリマコフさんということになっておりますし、経済の関係ではネムツォフ第一副首相ということになっておるようでありまして、政府間の関係ではこのお二人を相手にこれから対応していかなければならぬと思っております。  そこで、御指摘のような問題につきましては、先ほどちょっと申し上げましたが、具体的に申し上げますと、企業経営者の養成計画基づく早期実施、あるいはその他、外相会談におきまして、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、これから政府間としてやっていく橋本・エリツィン・プランにつきましては、貿易保険の民間銀行への保証引き受け、投資保護協定に関する事務レベル、あるいはロシア側によるロシア外国投資促進センターの在京事務所を設置する。それから、ハカマダ中小企業支援国家委員会委員長、実は、この方は、今、日本学校の教授をしておる袴田さんという方のおいごさんに当たられるようでありますけれども、こういう方を我が国に招待をしていこうということでございます。  あるいは、サハリン2プロジェクトに対して先般輸銀の一億ドルの融資を表明いたしましたが、これがきちんと活用されていくようなこともしていかなければならない。それから、経団連のハイレベルミッションにつきましては、先ほど申し上げましたが、もう近々訪ロする予定になっております。あるいは、シベリア鉄道復興協力関連ミッション等の早期の訪日等、あるいは政府委員会極東分科会の極東開催早期実現等、メニューは数限りなくありますが、一つ一つこれをこなして、その実を上げてまいりたい、このように考えております。
  96. 末松義規

    ○末松委員 ちょっと民間サイドに立ってお聞きしたいと思いますけれども、最近、日ロ間で債務累積問題が解決されたんだという報道がございましたけれども、この事実関係はいかがでしょう。  また、貿易・投資の推進上、民間からどういうふうな問題点というものが指摘されておられるのか、それについてもちょっとお答えいただきたいと思います。
  97. 西村六善

    ○西村(六)政府委員 ロシアに対する民間及び公的な債務の問題でございますけれども、公的な債務につきましては、パリ・クラブというところで、残存しております日本の債権の処理についての話し合いが行われてきたわけでございますけれども、九六年の四月にその合意が成立をいたしました。それから、民間債権につきましては、ロンドン・クラブというクラブで、何と言いましょうか、メカニズムにおきましてその処理が検討されてきたわけでございますけれども、これも今年の十月に話し合いが成立いたしました。  したがいまして、我が国がロシアに対して持っております公的な債務及び民間債務のほとんど大部分でございますけれども、そういった債務につきましては、それをそれぞれリスケジュールするという方向で問題の処理ができたわけでございます。そのことが意味しますことは、今後、日本とロシアの間の貿易と投資の関係につきまして、よりよい条件が生まれることになったということであろうと思います。したがいまして、そういう意味で報道があることは、正しい報道であるわけでございます。  先生が二番目におっしゃっておられました、貿易・投資を促進していく上にどういう問題点があるか、どういう問題点民間の側から指摘されているかということでございますけれども、幾つかの問題が指摘されていることは確かでございます。  そもそもロシアは、体制がかわりましてまだ六年ぐらいにしかなっていないわけでございまして、いろいろな問題を非常に短期間で処理をしなければいけないという状況にあるわけでございます。したがいまして、国内におきましていろいろな議論や法律の整備といったようなものが行われているわけでございますけれども、かなり立ちおくれているという状況は否めないと思います。  幾つかの問題がございますが、特に非常に深刻なのは税制の問題でございます。連邦税と称されるロシア全体にかかります税の種類は五十種類あることになっております。地方税に至りましては二百種類の税がロシアにおいては存在しているという状況がございます。こういうものを整備しようということを、ロシア側は非常に熱心に取り組んでいるわけでございまして、現在その整理の過程にある状況でございます。  それから、エネルギー、鉱物資源開発と輸出ということがロシアの経済開発の上では非常に重要なわけでございますけれども、その問題に関しましては、国際的な一つの慣行であります生産分与制度というものがあるわけでございますけれども、それをロシアにおきましても採択して実行しなければいけないという意識がございまして、そういう問題意識が非常にはっきりとロシアの当局において持たれているわけでございまして、その方向で、現在、議会におきまして議論が行われている状況でございます。  そのほか土地の所有権、売買の際の条件、それから自由経済地区というものを設けまして、関税を安くしまして投資を誘致するといったような関係につきましての法制度の整備といったようなものも行われております。それから、外国の投資をいかに保証し、保護していくかといったような問題についての議論も行われております。  それらすべては、日本を含めます外国民間企業が、ロシアに対しまして、問題点であるというふうに指摘している点でございまして、それらについてロシア側が鋭意検討を進めているという状況でございます。  もう一つ最後に申し上げたいのは、投資をするに当たりましていろいろな問題が生ずるわけでございますけれども、そういった問題を苦情の処理として受けとめる機関がないというのも大きな問題でございます。この点につきましてもロシア側に改善を要請いたしまして、その点につきましては、先般、ロシアの経済省でございますけれども、苦情の処理を受け付ける窓口をつくる措置をロシア側がとった次第でございます。  以上のような次第でございまして、日本側それから先進各国ともに、ロシア側に対しまして基盤整備を要請し、ロシア側も真剣にそれに取り組んでいるという状況でございます。
  98. 末松義規

    ○末松委員 今、そういうふうな問題があるということを詳しく述べていただきましたけれども、大臣の方も、そういうふうなところを頭に入れつつも、また日本の経済界をとにかく引っ張っていくんだというぐらいの気概で、この日ロ問題についてぜひ積極的な貢献をしていただきたいと思うわけです。  その中で、ちょっと時間もなくなりましたので最後の質問になるかもしれませんが、この国内の体制で結構国内省庁も、いろいろな縄張り意識からいろいろな問題が出てきて、調整も必要になるのかなという気もするのです。橋本・エリツィン会談で一応ゴールというものが見えてきましたので、国内まとまって対ロ外交をきちんと推進しよう、対日外交というよりも日本の経済を、また極東地域において新たな第一歩を踏み出そうという意味も含めて、例えば総理をヘッドにして、関係閣僚レベルを巻き込んだ力強い体制ということもつくっていく必要があるのではないかと思うのです。特に、二〇〇〇年まであと三年間、本当に時間としてはない話ですから、そこをきちんとやっていただきたいと思うのですが、大臣の御見解をいただきたいと思います。
  99. 小渕恵三

    小渕国務大臣 いずれにいたしましても、御指摘のように、時間は切迫しておるという感じがいたしております。そのために急速にこの関係を緊密化し、解決に向かって進んでいかなければならない。そのためには、我が国としても、国民的な理解も求めていかなければなりませんし、また、内閣の中でもそれぞれきちんと協力していただきまして、ひとり外務省のことでなくて、全閣僚、協力をしていけるような体制をつくり上げていって、一致して努力をしていかなければならぬと思っております。
  100. 末松義規

    ○末松委員 御決意を述べていただいたとともに、このロシア問題については本当に超党派でもやっていかなければならない問題だと思いますので、大臣のなお一層の御努力をお願い申し上げて、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
  101. 中馬弘毅

    中馬委員長 大臣が一時席を外しますので、この際、暫時休憩いたします。     午前十一時五十五分休憩      ――――◇―――――     午後零時十七分開議
  102. 中馬弘毅

    中馬委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。古堅実吉君。
  103. 古堅実吉

    ○古堅委員 日本共産党の古堅です。沖縄です。  最初に、今大きな問題となっていますキャンプ・シュワブ沖の海上基地問題について、大臣にお尋ねしたいと思います。  沖縄県民は、米軍基地あるがゆえに、戦後五十年余の苦難な歴史を余儀なくされてまいりました。その中で一昨年の少女暴行事件が発生しました。県民は一〇・二一県民大会で怒りを込めて基地の整理縮小と地位協定の見直しを要求する決議をいたしました。基地なくせのこの県民の願いは、それに加えて昨年の県民投票でも確固たるも一のとして表明されております。  ところが、昨年の日米共同宣言に基づくSACO最終報告は、県民の求めた方向ではなく、県内移設によるたらい回しがほとんどで、基地の再編強化、固定化を進めるものとなっておるのであります。それは県民の基地なくせの願いにこたえたものではありません。今沖縄では、キャンプ・シュワブ沖の海上基地建設をめぐり、重大な局面を迎えて、日に日に緊迫した状況が強まっております。  そこで、大臣は、県民の意に反したSACO報告の実施が、真に基地なくせの県民の願いを解決するものだというふうに考えておられるのかどうか。この基本点について、最初に伺いたい。
  104. 小渕恵三

    小渕国務大臣 沖縄の米軍施設・区域の整理、統合、縮小につきましては、沖縄県の御要望も踏まえつつ、日米両国政府が最大限の努力を払って取りまとめましたSACO最終報告内容を着実に実施することが沖縄県民の方々の御負担を一歩一歩軽減するための最も確実な道であると考えております。  委員お話しのように、これが県民の意に反しておるというお考えを示されておりますが、政府といたしましては、種々お話し合いの中で、このことを着実に実施することが究極的には沖縄県民の意に沿うことである、こう考え努力をいたして  おるところでございます。
  105. 古堅実吉

    ○古堅委員 米軍基地の県内移設は実質的には基地の再編強化、そして固定化であり、何ら問題の解決にはならないものであります。沖縄県民の基地なくせの願いを逆手にとって、新たな基地維持の方策を押しつける、それがSACO報告の押しつけであり、その最たるものが海上基地の押しつけにほかなりません。  大臣は、何が何でもSACO報告は実施する、海上基地を押しつける、こういうお考えですか。
  106. 小渕恵三

    小渕国務大臣 何が何でもというのはちょっとお言葉の上でございますが、政府といたしましては、住民の協力理解を得て移設を可能にし、そして普天間の基地を除いていくということが基本的な考え方でございます。
  107. 古堅実吉

    ○古堅委員 県民の意向を踏まえながらという、先ほどもそうおっしゃっておられましたが、県民の意思というのは、先ほど申し上げたように、一〇・二一県民大会、昨年の県民投票、それによって明確に示されたものであります。それを尊重するという方向ではなしに、日米政府の立場からそれを踏みにじって押しつける、そういうことは、どういう言葉を使ったにしろ県民の意に反するそのものであるということを厳しく指摘し、そういうことを強行することは許されないということを指摘して、次の質問に移ってまいりたいと思います。  次は、防衛庁、施設庁関係にお尋ねいたします。  先日発表された海上基地の基本案は、環境や市民生活への影響、基地の安全性などについて科学的な論拠を何も示さずに、一方的に問題がないということを強調するものとなっています。調査内容も示さず、初めに海上基地建設の結論ありきでは甚だ不公平でありますし、民主的でもありません。また、何ぴとも納得をさせられるものでないことは言うまでもないことです。調査の依頼先、専門家の氏名を含め、調査結果の生のデータなどすべて明らかにすべきだと思いますが、いかがですか。
  108. 萩次郎

    ○萩政府委員 今月五日に、先ほどお話ありました海上ヘリポート基本案を地元に提示をして、今月十二日から昨日まで地元説明会をいたしました。  それで、地元名護市の方でも調査検討委員会を開いて検討したいということでございますので、近日中に調査結果の資料を名護市など関係方面に提出をしたいと考えております。こちら東京におきましても、どなたにもごらんいただけるように、部数が余りありませんので閲覧をしていただくことも多いかと思いますが、そのように考えたいと思います。  それから、今先生お話ありました依頼先とかメンバーという話ですが、調査の依頼というのは私どもの那覇防衛施設局が民間の会社と契約をいたしまして、その契約文書というのはもちろん現地施設局で閲覧が可能でございます。  なお、個々のメンバーというのは、これは個人のプライバシーの問題がありますので、そこは差し控えさせていただきたいというふうに思います。
  109. 古堅実吉

    ○古堅委員 関係資料ということでありますけれども、その結論を出すに至った基礎となるべき生の数字、そういうことを含めて、それを調査した依頼先の問題も明らかにしてほしいということと、それには大体こたえる方向の御返事だったかなと思いますが、この求めているデータ、それはこの問題は、ただ単に一地域住民の問題ではなしに国費をもって調査している、国政にかかわる重大な問題であるという立場からも、この委員会にも提出してほしいと思いますが、いかがですか。
  110. 萩次郎

    ○萩政府委員 調査結果は、検討したいということで提出を要望されております名護市にまず御提出をしたいというふうに考えております。同じ資料はいつでもごらんいただけるわけでございますので、特に委員会に提出というようなことはなくてもよろしいのではないかというふうに考えております。
  111. 古堅実吉

    ○古堅委員 先ほど申し上げたことを繰り返すようですが、国会にも提出して、広く国民レベルから、今政府が進めようとしているこの問題について広く知り、その問題についての見解や対処がとれる、そういう関係に置くべきだというふうに考えますので、再度提出を要望しておきます。  次に、基本案の内容に沿って、具体的な問題について二、三伺ってまいりたいと思います。  基本案の「海上ヘリポート実施計画の作成」の項で、「海上ヘリポートの建設について地元の皆様のご理解を頂けた場合、今後、更に、安全性や生活・自然環境への影響、米軍の運用所要の充足、建設に要する経費等を精査し、具体的な工法と建設場所について総合的な見地から決定の上、」日米政府で実施計画を作成するというふうに述べています。  これは、建設受け入れが得られれば、細かい具体的なことは米軍と政府に任せろということになるんだが、そういうおつもりですか。
  112. 萩次郎

    ○萩政府委員 海上ヘリポートの具体的な工法、建設場所、これは今の基本案で候補地を示しておるわけでございますが、地元の皆様の御意見といったものを踏まえながら、いろいろな見地から総合的に決定をしていきたいと考えておりますが、実施計画そのもの、これは大変細部にわたって設計図のようなものでございますが、そういうものは日米間で決めていくということを考えております。
  113. 古堅実吉

    ○古堅委員 ということは、実際に市民の立場から海上建設に賛成と考えておられるような人々も、個々の具体的な環境その他の問題についてかなりゃはり懸念をしている、そういう方々もおられます。そういう方々も含めて、オーケーを出してしまえばあとは日米政府でやらせてもらいますという、やはりその結論なんだな、今の御答弁はそういうことをしようとしていることなんだなと。そのとおりですか。
  114. 萩次郎

    ○萩政府委員 今回のヘリポート基本案についても、るる現地、皆様方の御関心の項目について調査をして、それぞれの御懸念はないと。あるいは、ある可能性があるのであれば、それについては十分配慮を払う、そういう前提で考えておりますので、そこのところは十分住民の方々の御意見を踏まえながらやらせていただきます。  私が申し上げましたのは、細部の設計図そのものみたいなものは、これはもともと一般住民の方がいいとか悪いとかという種類のものではございませんので、そこはお任せいただくとして、住民の方々の御懸念があられる安全性、生活、自然環境への影響等々については、十分地元の方にも御了解いただける内容にしていく覚悟でありますということを申し上げているわけであります。
  115. 古堅実吉

    ○古堅委員 それでは、具体的な、もう少し個々の問題についてお尋ねしてまいります。これは基本案にも出ていない面もありますが、お答えいただきたいと思います。  基本案の「実施計画の作成」の項では、米軍の運用所要の充足等について、今後日米で協議していくと述べています。そうであれば、米軍の運用にかかわる施設の概要についても今後変更があり得るということを意味するものだと思います。  そこで、基本案で明らかにされていない問題で、以下の諸点についてお伺いしますので、それぞれについてきちっと答えていただきたい。  一つには、移動する二千五百人の兵員の隊舎をどこに建設するのか。二番目に、弾薬庫、航空機燃料の貯蔵はどうするのか。三番目に、燃料供給の施設、パイプラインなどをどうするのか。四番目に、SACOで合意しているように、緊急事態対処の場合、海上基地ではどのように運用されるのか、有事でも六十機以上認めないということなのか、嘉手納基地を初めとした既存の施設との関係はどうなのか。  その四点についてお答えください。
  116. 佐藤謙

    ○佐藤(謙)政府委員 お答え申し上げます。  幾つかありましたものですから、一つずつ御答弁申し上げたいと思います。  最初は、海上ヘリポートには、現在の普天間飛行場に所在します部隊のうちヘリコプター部隊及びその運用に関連します部隊が移駐いたしまして、これによって約二千五百人程度の人員が移駐することとなると見込まれているわけですが、これに対する隊舎等の居住施設についてのお尋ねでございましたが、この点につきましては、現段階ではキャンプ・シュワブの陸上部分に置くことを考えているところでございます。  それから、次のお尋ねは、海上施設に設ける施設の関係で、弾薬庫、航空燃料庫等のお尋ねであったと思いますが、海上施設には、先ほど申しましたように、現在普天間飛行場に配置されておりますヘリコプター部隊とその関連施設が整備されることになるわけでございまして、主な施設といたしましては、格納庫であるとか整備工場であるとか倉庫、司令都庁舎などが整備されるわけでございます。  海上施設に具体的にどのような施設がどのように整備されるかということにつきましては、今後、この海上ヘリポートの建設地、工法を決定していく過程で、細部のこの運用所要に係ります米側との調整あるいは各種技術的検討を経て決定されていくことになると考えております。  その次は、燃料の供給のお尋ねであったと思いますが、この海上ヘリポートへの燃料輸送の方法につきまして、これにつきましては現在米側において鋭意検討を進めているところでございますので、現段階においてその詳細について申し上げられない段階にあるということを御理解いただきたいと思います。  それから、いずれにいたしましても、海上施設の施設につきましては、この海上ヘリポートの建設につきまして地元の御理解をいただけた場合に、今後、米軍運用所要等につきまして精査を行って、そういう中で検討を行っていくことになる、かように考えております。  以上でございます。
  117. 古堅実吉

    ○古堅委員 今四点にわたって質問いたしましたが、隊舎を陸上部分につくるというだけのことで、あとは全部答えられない、これからですということなんですね。  基本案そのものが、科学的な根拠に基づいてそれなりの、住民を納得させるような、そういうものではなしに、建設の結論ありきというふうな宣伝文書になっておりますけれども、今質問したこととの関係でも、この基本案というのは、建設そのものを受け入れるということになったその後は、住民にも知らされないままに日米双方でそれなりに計画を進めていきますというふうな、そういうことにならざるを得ない、そういうものも示し得ない前に結論は押しつけるということが一層明らかになってまいった気がします。  基本案で示されている環境問題についてなんですが、サンゴ・海藻草類、海生生物への影響で共通して述べられているのは、「沖縄近海に広く生息している」、そういうことを理由に、影響があっても問題がないというふうに、もう大体そういう言い方をしています。  「生態系の変化は一年サイクルのものが多く、一年間の連続観測、平均的変化を見るには最低三年の観測継続を要する」、基本案は海洋の生態系調査に必要な最低限のこともやっていない、こういう専門家からの厳しい指摘がありますけれども、いかがですか。
  118. 萩次郎

    ○萩政府委員 今回の調査では、キャンプ・シュワブ沖水域が建設候補地として適地か否かということを判断するために実施したものでございます。その一環として、海上ヘリポートの設置、運用が生態系を初めとする自然環境に及ぼす影響について調査検討を行ったものでございます。  お話がありましたサンゴ等の分布調査につきましては、一般的に行われております調査の手法と同様に、航空写真、それから既存の資料をもとにした予備調査、それから学識経験者からの意見を参考に調査したもの、それに基づいた潜水、目視、こういったもので分布の状況調査したものでございます。  したがいまして、サンゴ等分布調査に要しました期間、その結果については、私どもはそれなりに妥当なものであるというふうに判断しております。
  119. 古堅実吉

    ○古堅委員 三重大学のサンゴ礁学をやっていらっしゃる目崎教授は、もう時間がないので長くは読み上げませんが、「サンゴ環境をやっている者ならだれでも分かる。」こういうものについてわかっていない立場からの問題になっているというふうな、厳しい、もうこれ以上の指摘はないほどの厳しい指摘もございますよ。そういう専門家から指摘されるようなものについて、おおむね妥当な方向などというふうなことでは、これはとんでもない強弁と申さねばなりません。  次に、騒音にしても、明確な飛行ルートも示さないで、騒音の影響が少ない、こう言っても、こうした約束は信用できるはずがないのであります。住民地域の上空を通らず海上ばかり飛行すると言い切れるのかという問題があります。  夜間飛行自粛を含め、そもそも米軍の自粛に任されている問題で、普天間や嘉手納などの事例に見られるように、自粛なるものが守られたためしがない。住民との約束をたびたびほごにしているのが米軍の実態であります。県民はみんなそう受けとめている。それとも、今回の自粛だけは特別だというのであれば、どう違うのか明らかにしてほしい。
  120. 佐藤謙

    ○佐藤(謙)政府委員 お答え申し上げます。  先生も御存じのとおり、今般の代替ヘリポートの建設に際しましては、まさに地元の皆様の安全や生活環境に十分配慮するということで、住宅地の中にございます普天間と異なりまして、住民の皆様に最も影響が少ない海上に建設するということを基本的前提としているところでございます。  その上に、この海上ヘリポートにおきます飛行経路につきましては、先生も今言及ございましたけれども、場周経路を外洋側に設定するとか、あるいは夜十時以降の飛行を自粛するとか、あるいは集落や学校、幼稚園等の上空の飛行は極力避けるとか、こういう措置を講ずることにしているところでございます。  今後、具体的な航空機の運用形態につきましては、米側と詳細にわたる調整を行う必要があるわけでございますが、私どもとしてはこういう考え方で臨んでまいるつもりでございます。
  121. 古堅実吉

    ○古堅委員 自粛という言葉は、県民を納得させる、そういう言葉に値しない。そういうものをもって進めようなどというのはとんでもない話です。  再度外務大臣にお尋ねいたします。  米軍基地建設の是非を問う住民投票は全国でも初めての試みで、画期的なことであります。その意味でのこの住民投票の持つ意味というのは非常に重いものと申さねばなりません。十月三日でありますが、住民投票条例可決後の記者会見で村岡官房長官は、橋本首相はこれまで地元の了解なしに飛び越えて建設することはできないと言っており、そのとおりに考えているというふうに言っておられますが、大臣はどのように認識しておられるのか。
  122. 小渕恵三

    小渕国務大臣 官房長官の発言につきまして御指摘がございましたが、私のところには、議員の事務所からによりますれば、官房長官の発言でない部分も引用されておられまして、当日の記者会見の記録もそういうことになっておると聞いております。  したがいまして、官房長官から直接その発言の趣旨を聞いておりませんのでコメントを差し控えさせていただきたいと思いますが、いずれにしても、政府として、今後とも沖縄県を初めとする関係自治体の御協力をいただき、移設の早期実現に向けて普天間飛行場移設対策本部を中心に全力を挙げて取り組んでいく考え方でありますと同時に、名護市における住民投票におきましても、政府といたしましては本計画案について御理解を得ていきたい、こう考えておるところでございます。
  123. 古堅実吉

    ○古堅委員 橋本総理は、普天間基地の移設については頭越しに特定の場所を押しつけることはしないと繰り返し述べておられます。それは名護市の住民投票の結果を尊重するということか、外務大臣にお答えいただきたいと思います。
  124. 小渕恵三

    小渕国務大臣 住民投票というものは、その地域におきましてそうした手段で市民の意向を聞こうということの努力は是とされますが、その結果につきましては市当局のお考え方もあろうかと思います。  したがいまして、政府としては、お話しのように、総理がいつも申し上げておりますように、頭越しては特定の場所に押しつけない、こういうことを言っておられるわけですから、頭越しにならないように努力するということだろうと思います。
  125. 古堅実吉

    ○古堅委員 少女暴行事件が発生して以来、基地の整理縮小を求めてきたものに対し、日米政府は、SACOの方針を打ち出すなどして県民の要求を踏みにじる方向に進めつつあります。それに対して県民は県民大会や県民投票で明確に示しておりまして、その県民の願いにこたえられない方向のものを、問題解決の方向でもないのに問題解決であるかのように、SACOの実施が問題解決への道だとして押しつける。最たるものとして海上基地を押しつける。そういう方向というのはこれはもう絶対に許されるものではないし、戦後五十余年、基地あるがゆえに苦難の歴史を余儀なくされてきた沖縄県民の立場からは、本当に我慢のできない問題であります。  この問題について近く実施される市民投票の結果も踏まえて、県民の願いにこたえ、基地の整理縮小というのは、県内移設による押しつけ、二十一世紀まで県民に基地との共存を求める、そういう方向ではない、絶対そういう方向ではないという立場を踏まえて政府が対処されるよう、厳しく要求いたします。  最後に、委員長、この海上基地問題にかかわる政府調査というのは、国政にもかかわる大変重要な問題です。先ほど、この委員会に提出するつもりはないという御答弁でありましたが、ぜひ理事会で御検討されて、提出を求められるように御検討を願いたいと思いますが、いかがですか。
  126. 中馬弘毅

    中馬委員長 理事会に諮ります。
  127. 古堅実吉

    ○古堅委員 以上で終わります。
  128. 中馬弘毅

    中馬委員長 続いて、保坂展人君
  129. 保坂展人

    保坂委員 私、社会民主党の保坂展人でございます。  四月二十二日に当委員会におきまして、実は対人地雷の禁止条約について、当時の池田外務大臣に御質問をさせていただきました。今回小渕外務大臣が、政府の中にあったさまざまな慎重論、難しいのではないかという議論を乗り越えてこの条約の署名に踏み切られたということを、非常にうれしく思います。大変よい決断をしていただいたと思います。  ところで、その四月の質疑の最中には、地雷全面禁止というふうに言っても、我が国の防衛上の問題からはなかなかこれは難しいのだと。即時禁止にイニシアチブを発揮できないのかという私の質問に対して、当時の外務大臣は、現在の時点ですぐに全面禁止へ飛び込めとおっしゃっても、お気持ちはわかりますが、まあ具体的には難しくてというお話でございました。  この点なのですけれども、オスロでの会議でも、直前まで日本はアメリカに同調するというふうに伝えられていましたし、また、アメリカがもう既におろした修正案を説明しようという一幕も伝えられていたわけなのですけれども、小渕外務大臣に、いつ、どこで、どの時点でこの御決断をされたのか、そのきっかけ、契機はどこにあったのかということについて伺いたいと思います。
  130. 小渕恵三

    小渕国務大臣 正確に申し上げますと、実は政府としてまだ最終決定をしておりませんが、橋本総理から外務大臣、防衛庁長官に対しまして御指示がございまして、署名する方向で検討せよ、こういうことで、今最終検討に入っておるということでございます。  そこで、どうしてこういう経過になったかということですが、オタワ・プロセスの中でその後オスロの会議等が開かれました。国際的な世論ということもございますが、やはり対人地雷については、世界で一億個もあって、毎日五百人、千人という人が身体を失うというような事態にかんがみますと、人道的立場でこの問題を処理しなきゃならぬ、こういうことで総理大臣としても我々に指示があったのだろうと思っております。  そこで、若干経過を申し上げますと、私、就任いたしまして、本問題について記者会見で御質問をいただきました。素朴に、今のような世界の実態に触れまして、対人地雷というものの被害考えたところ、これを取り除かなきゃならぬということについて、その方向で検討していくべきだという率直な気持ちを持ちました。  しかしながら、この問題につきましては、我が国といたしましても実数は存じませんが約百万個と言われる対人地雷を持っておる、それは言うまでもなく、我が国の安全を確保するために必要なものとして生産もし、保持もしておるのだろう。したがいまして、そうした意味で、日本の安全保障にかかわって、この問題にどう対処すべきかということも含めまして、種々、関係者の皆さんともお話し合いを進めてきておったことが一つです。  また、同時に、我が国には日米安全保障によりまして、アメリカとの協力のもとに日本の安全を確保しているということもございますので、そうした観点に立ちまして、米側との話し合いも進めなきゃならない。現下、今これは進めております。  こういった点で、オタワにおきまして多くの世界の代表者が参加するということでありますし、今お聞きしますと、ほとんどの国が参加されて署名の方向だということでありますので、日本としてもそういう方向が望ましいのではないかと、私自身は今考えておるところでございます。
  131. 保坂展人

    保坂委員 今大臣が、それこそ世界の世論、あるいはこの条約はNGO、民間団体の力が非常に大きかったわけですけれども、そういった方向にいい決断をされていただいたと思います。  アメリカとの問題に絡んでのことなのですけれども、アメリカと日本は離れておりますが、日米安保ということで在日米軍基地がございます。そして、今回の条約にはアメリカは参加をしないというふうに聞いておりますので、そうなると、日本がこれに署名して、加わって、アメリカは参加しないといった場合に、在日米軍の貯蔵している対人地雷の問題ですね、これは撤去してくれるようにというふうに日本としてはアメリカに主張をされると思うのですよ。その点いかがでしょうか。
  132. 阿部信泰

    ○阿部政府委員 在日米軍が保有している物資につきましては、私ども、実は政府として詳細をすべて承知しているというわけではございません。  しかし、条約の詳細につきまして、それが外国軍が持っている地雷についてどういうふうな扱いになるかということにつきましては、今主要なこの条約に署名しようとしている国、特に日本と同じような立場にあるNATOの国などの考え方も踏まえて、これから検討していくということになっております。したがいまして、御質問の点につきましては、これらの要素を勘案しまして、これから適切に対処していくという所存でございます。
  133. 保坂展人

    保坂委員 小渕外務大臣に伺いたいのですが、日本は、この問題についてイニシアチブを世界から求められてきた。余り十分ではない形でしたけれども、この局面で非常にいい役割を果たしつつあると思うのですね。  この点に絡めますと、地雷禁止というのは、これ全部使うのをやめよう、生産もしないし、貯蔵もしないし、一切これは地雷から手を引くんだということだと思うのですけれども、今の点について、在日米軍の貯蔵している地雷撤去について検討する、そして、これは条約の性格上すっきりと遵守をするんだという点で、御姿勢の方をちょっとお話しいただきたいと思います。
  134. 小渕恵三

    小渕国務大臣 私自身も、余り軍事技術上の問題承知しておりませんで、いわゆる対人地雷と同時に対戦車地雷というようなものも存在をするということでございまして、今般は対人地雷ということに限定されておるようでございまして、そういった点で米軍側のいろいろの考え方もあろうかと思いますので、その点について今、日米間で協議しておるということでございまして、それは専門家から御答弁をいただきたいと思います。  私どもとしては、いわゆる対人地雷、これに関して、願わくは全世界でこれが存在をしないという形が最も望ましい姿という観点でこの署名に向かって努力をしていくということだろうと思います。
  135. 保坂展人

    保坂委員 それでは、防衛庁に伺いたいのです。  例えば、この条約日本が署名して、手続に入っていく、そして条約が発効した後に、在日米軍から対人地雷を輸送してくれというふうな依頼があった場合には、どうされますでしょうか。
  136. 佐藤謙

    ○佐藤(謙)政府委員 お答えを申し上げます。  まず、今の問題につきましては、在日米軍の地雷の取り扱いといいましょうか、それについて先ほど外務省から御答弁がございましたけれども、いわば検討中と申しましょうか、そういう状況でございます、まず大前提といたしましてですね。したがいまして、私ども、ここでお答えを申し上げるとすれば、そういう条約上の在日米軍の地雷の取り扱いがどうなるかということを踏まえて私どもとしても対応することになろうかと思います。  それから、あるいはガイドラインとの関係で、ガイドラインで「輸送」というようなことで、もしそれの関係でのお尋ねでございますれば、ガイドラインにおきますいろいろな内容につきましては、先生も御承知のように、まさにいずれの政府についても、立法上、予算上、行政上の措置を義務づけるものじゃないということで、具体的な状況に応じて我が方として個々に判断をしていく、こういうことになろうかと思います。したがいまして、今この場でどうだと、こういうふうに申し上げられないということを御理解いただきたいと思います。
  137. 保坂展人

    保坂委員 それで、先ほど議論のあった海上ヘリポートの問題、私の方からも少しお聞きしたいと思うのですけれども、実は六十三年の防衛白書に、NLP、夜間発着訓練でしょうか、これは主に厚木基地で訓練が行われていて、私もその近辺に住んでおりましたけれども、大変、夜眠れないという騒音被害があったわけです。この時期に海上浮体構造物、つまり海に浮かべる飛行場ということを検討したという記述がありまして、二点でこれは断念をしたと書かれているのですね。  一つは、外洋に設置する大きな海上浮体構造物ですが、これについては、建造、維持、保守に関する技術について、なかなか、基礎的な研究はあっても世界に例がない、実例がないということなのです。二番目には、建造、維持、保守のコストが陸上飛行場に比べてうんと高くなる。  実はこれは九年ほど前のことになりますでしょうか、昭和六十三年という。しかし、振り返ってみて、この二点で断念したという難しい点が今クリアされているのかどうか、この点について外務大臣に伺いたいと思うのです。特に、実例があるのかどうか。こうしたものの実用例というものが、このときにはないと書かれています。今あるのかどうか。私はないのではないかと思うのですが、確認のためにちょっと伺いたいと思います。
  138. 佐藤謙

    ○佐藤(謙)政府委員 技術的なことでございますので、私の方からお答えをさせていただきたいと思います。  私どもの防衛白書の関連でそういう記述がございましたのはそのとおりでございますが、海上ヘリポートの建設方法を去年いろいろ検討したわけでございますけれども、その過程で専門家の方の御検討を仰ごうということで、去年のSACO最終報告を取りまとめる段階で、技術支援グループのほかに技術アドバイザリーグループという専門家の方からの検討を仰ぎました。  そういう中で、今回このくい式桟橋工法、浮体工法という工法、それからポンツーン、箱方式、この二つの方式につきましても、こういった専門的な立場からの御検討におきまして、技術的に実現可能である、こういうふうな御意見もいただいて、あのような形でSACOの最終報告が取りまとめられている、こういうことでございます。
  139. 保坂展人

    保坂委員 時間がもうなくなってきたので、簡潔にもう一度お答えいただきたいのですが、まず一点は実例はあるのかどうかということですね。  それから、コストが陸上飛行場に比べてうんと高くなるということについては変わらないのですね。コスト計算については、じゃ、どういうふうにクリアされているのですかということですね。A方式、B方式言われましたけれども、大体それぞれ幾らくらいかかるのかも含めてお答えいただきたい。
  140. 佐藤謙

    ○佐藤(謙)政府委員 まず、実例ということから申しますと、例えばくい式桟橋方式でございますれば、沖ノ鳥島であるとか、あるいは北海等の海象の荒い海域での石油生産施設であるとか、そういった例があると承知しております。それからポンツーン方式につきましては、やはり石油備蓄基地等におきましてそういった実例があるということでございます。それで、昨年の専門技術者の御検討の中では、こういった実績も踏まえ、いろいろな技術的な点も踏まえて御検討をいただいた、こういうふうに我々は認識をしてございます。  それから、コストの面でございますけれども、これは世上いろいろ言われるところがございますが、実は、どの場所にどういう形で設置するかということで大変変動してくるものだと思います。そういうことでは、まことに申しわけありませんが、今の段階でこれこれと、こういうふうに申し上げられるような段階にございませんので、その点は御理解いただきたいと思います。
  141. 保坂展人

    保坂委員 正確に言いますと、千五百掛ける六百という規模の実例があるかどうか、これをはっきり答えてください。  それからもう一つは、A案とB案ありますね、埋め立てではなくて。報告にもそのそれぞれの企画が出ているわけですから、それぞれの試算で幾らになるのですか。これは答えられるでしょう。どうなりますか。
  142. 佐藤謙

    ○佐藤(謙)政府委員 お答え申し上げます。  今回予定しているような規模そのものの例があるかどうかというのは、それは私自体、今この時点でこういうものがあるというのは承知しておりません。そういったものも踏まえて専門家の方が御判断いただいた、かように思っております。  それから、建設費でございますけれども、これはいろいろな試算もあり得るのかもしれませんけれども、やはり先ほど申しましたように、いろいろな条件によって変わってくるものということで、ここで申し上げるのはお許しいただきたいと思いますけれども、この概略の検討の過程で、数千億円程度とか、こういうふうな概略的な試算といいましょうか、そういったことはあったのは事実でございますけれども、私どもとして、それを確認をし、この程度の建設費になるということはちょっとまた申し上げられるような段階ではございませんので、ひとつ御理解いただきたいと思います。
  143. 保坂展人

    保坂委員 あと一点だけ。  建造、そして維持、保守にかかる予算はどこから出されるのでしょうか。もう一回お願いします、防衛庁の方。要するに、つくりますね、そして維持し、保守するという総枠の予算はどちらから出される予定ですか。
  144. 佐藤謙

    ○佐藤(謙)政府委員 先生のお尋ねは、でき上がった後の維持ということでございますか。(保坂委員「建造、維持、保守というふうに言ったのです」と呼ぶ)  建造につきましては、これは我が方としてそれに当たるということになろうかと思いますけれども、それ以降の経費につきましては、今後いろいろな観点から検討を進めていかなければならないということで、現段階で結論が出ている問題では  ございません。
  145. 保坂展人

    保坂委員 日本は島国ですから、海洋にあるスペースをつくるというのは夢の技術だと思います。しかし、それが軍事的につくられるということ自体に、これは民生用になかなか転換しないという問題も内に含んでいると思います。それで、こういった実例がない巨大な技術の場合に、やはり試行錯誤で、やってみて引き返しという部分が非常にたくさんあろうかと思いますので。  今のお話を聞きましても、沖縄の普天間基地の返還ということで、沖縄の県民も非常に新しい時代の訪れであるというふうに受けとめたわけですけれども、海上にこれだけの巨大な浮体物というか、これができ上がる、そして容積もあるわけですから、そういう意味では、基地の整理縮小というよりは、基地の移転、新規、強化というふうに受けとめている人たちも多いのだと思います。  そして、今最後に外務大臣に伺って終わりにしますけれども、名護の市民投票が十二月に予定をされておりますが、橋本総理大臣も住民の意思は十分尊重したいというふうにおっしゃっております。無理強いはしないのだと。ここで建造に、海上ヘリポートについて反対の意見が多勢を占めた場合には、無理には押しつけないというふうに理解してよろしいのでしなうか。外務大臣としての、沖縄の地元の人たちに対する理解と、市民投票結果をどのように尊重されるのかという点に言及していただきたいと思います。
  146. 小渕恵三

    小渕国務大臣 住民投票の可否につきまして、仮定の問題でございますのでお答えできかねると思いますが、いずれにしても、総理も申し上げているように地元の理解協力を得て進めていくということでありますから、その方針にのっとって最大の努力をし、住民の理解を求めてまいりたいと思っております。
  147. 保坂展人

    保坂委員 いろいろ積み残しがありますが、時間のようなので、これでおしまいにします。ありがとうございました。
  148. 中馬弘毅

    中馬委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時九分散会