○寺前
委員 久しぶりの
質疑でございますので聞きたいことがたくさんあるのですが、時間がありませんので、思いつくままで恐縮でございますが、新しい
大臣におなりになりましたから、率直に要点だけを
質問するようにしたいと思います。
まず
最初に、きょう、
外国等による
本邦外航船舶運航事業者に対する不利益な取扱いに対する
特別措置に関する
法律の一部改正というのをしようとしておりますので、この件に関して、時間がありませんから見解だけを述べさぜていただきたいというふうに思います。
いわゆる
海運の対抗法案なるものですが、私は、まず
最初に、今日のこの
事態に対して
指摘をしておかなければならぬことがあると思うのです。それは、本来、
海運摩擦等の解決のためには、力によるのではなく、あくまでも話し合いによる解決を目指すべきであります。交渉の相手国である
外国が、自国の交渉を有利にするために一方的に制裁を行う場合には、
我が国としても、防衛的な立場からこのような不当な制裁に対抗できる措置を持てるようにするということは当然のことであります。したがって、この
法律の提案に対しては賛成です。
しかし、
考えなければなりませんことは、この
日米間の交渉の中で発生している問題です。私は、第一に、覚書の中に、
運輸省が国内の労使慣行に干渉させる道を開いたものになるのじゃないだろうかという問題を気にします。また、覚書では、
米国船社に
港湾運送
事業の免許を、受理から約二カ月以内に申請を承認し、別
方式による
港湾運送
事業を可能にするような約束も含まれているというふうに見られます。これは、
我が国の
港湾運送
事業法に基づく需給
調整や事前
協議制をないがしろにすることになるのではないだろうか。この覚書に起因する
我が国の
港湾運送
事業の混乱は、そういうところから見るならば、すべて
運輸省が責任を負わなければならないということになると思います。
現在、新ガイドラインに対応した国内条件の
整備が政府部内でも
検討されていると聞いていますが、このような中で、事前
協議制が、国内の労使問題であるのにもかかわらず、
米国政府から不当な制裁が行われて、変更を余儀なくされるということになってくる道が開かれていくということになると、労働組合の影響力をそいでいき、そこに働く労働者の働く自由と権利を奪って、
周辺有事等への国内条件
整備の突破口にされていくという不安も持たざるを得ないわけであります。
したがって、私は、
米国の不当な制裁から
我が国の国内問題である労使慣行と事前
協議制を守る対抗措置については賛成でございますが、とってきた態度についてはこの際に改めて反省をしてもらうことを提起をしておきたいというふうに思います。
さて、この間、運輸
委員会において
運輸大臣からごあいさつを受けました。きょうは、このごあいさつについて聞きたいと思うのです。
二十八・一兆に及ぶ国鉄長期債務の本格的処理は最重要課題だと
考えています。私も非常に大事な問題だと思います。国鉄分割・民営化から十年はたちました。借金はふえる一方で、何の解決もない。千四十七名の労働者を路頭に迷わせないと言っておきながら、今日まで解決されないままに進んできている、そういうようなことから、さらに、国民の
交通に対する安全性の面から
考えても、これは一層不安をつくっている面もあるのではないだろうかということを
考えたときに、
大臣が、これが最重要課題であるとして、単に長期債務の問題だけではなくして、このやってきたこと全体に対する見直しをひとつきちんとやってもらうということを
前提にして取り上げていただきたいということを、まず
最初に要望しておきたいと思います。
その上に立って、時間の都合がありますので、私は、労働者の問題についてきょうは聞いておきたいと思うわけです。
二、三日前の新聞に、またテレビにも、JR大月駅の列車衝突事故で回送電車の運転士が逮捕されたということが載っていました。非常に大きな事故でした。一歩さらに誤るならば超大事故ということになりかねない、そういう内容を持っていました。当時の新聞を読みますと、乗員乗客六十二名の重軽傷者を出したということが書いてあります。
ところが、問題は、それにとどまらない最近一連の、例えばJR東
日本を見るだけでも、職場にまかれておりましたところのチラシを見ると、「場内冒進事故発生!(本年累計十七件)」というのが、十月十七日に小金井駅の構内で何か事故が発生したことがまかれていましたけれ
ども、本当に、社内では、「列車は、
鉄道信号の現示に従って運転すること」の徹底、「信号冒進は、お客さまに怪我をさせる列車衝突事故等の重大事故につながることを再認識させること。」など、いろいろな
状況が職場では起こっているようです。東所沢電車区では十月十七日に非常
事態を宣言して、社員に注意をするということまで行われています。
そこで、私は、きょう聞きたいのは、こういう事故を、本人が悪かったんだというだけではなくして、経営者の側のこういうことにならないようなあり方の問題が、私は、経営を指導する面から
考えるならば、
考えなければならない問題だというふうに思うわけです。
国鉄の時代に、
鉄道運転規則に基づいてどういうふうに昔はやっていたんだということを聞きますと、例えばこういうことを言っていました。国鉄時代に三河島事故を教訓に労使の枠を超えた事故防止
委員会が
設置されて、これに基づいて、乗務員に対して毎月一回の反復訓練が行われていた。当時は勤務時間内に二時間、時間外二時間の計四時間毎日実施され、分割・民営化前の八五年から訓練の指定日が日勤勤務から泊まり勤務の翌日分に指定され、だんだん訓練というのが軽く扱われていくというふうに、経営の、何というのですか、もうけの範疇で人を動かすという取り扱いから外されていくという方向に進んでいって、今では時間外に二時間だけやっているという方向で、実施期間も二週間に短縮されるというふうにして、こういう訓練というものが非常に軽視されるようになってきているということを、古くからおった
関係者が言っておるわけです。
私は、経営が合理的に進んでいくということはいろいろ
考えるかしらないけれ
ども、やはり安全ということを重視するならば、そういうふうに訓練を時間外でやらせていくというようなことではなくして、時間内にきっちりと指導するという体質に管理者がなっていかないと、これはよくないのではないだろうかというふうに思うわけです。
大臣もあいさつの中で、運輸行政の基本であります安全の
確保に万全を期すと言っておられるのですから、安全を
考えるときに、指導する管理者の方がそういう態度では悪いのではないだろうかというふうに思うのですが、いかがなものなのでしょうか。