○本村
説明員
お答えいたします。
エジプトにおけるテロの危険性でございますが、エジプトでは、
平成四年の後半から、イスラム原理主義の過激派による外国人観光客襲撃事件というものが、各種そういうテロ事件が発生いたしましたが、当初このテロ事件はエジプト南部に集中していたわけでございますが、
平成五年からはカイロを含めエジプト各地に波及しております。そして、
平成五年の二月にはカイロ市内で外国人二名が死亡する等の爆発事件が起こっております。
他方、治安当局はイスラム原理主義過激派の取り締まりを非常に強化いたしまして、多数の過激派が逮捕されたわけでございますが、その活動は完全に封じ込められたというわけには至りませんでした。
こういう
状況のもと、各種のテロ事件が発生する
可能性が非常に高かったわけでございますので、外務省としましては、
平成五年四月に、エジプトに旅行される場合には通常以上の注意が必要であるという
意味で注意喚起を発出した次第でございます。
その後、エジプトの首相、内相、情報相等の
政府要人への暗殺未遂事件でありますとか外国人観光客襲撃事件というのが相次ぎまして、
平成五年十二月にはカイロでオーストリア人観光客が九名テロで殺傷されるという事件が起こりまして、
平成六年二月に再度この注意喚起を発出しております。
このように、エジプト国内では
平成四年以降テロ事件が非常に多発していた次第でございますが、エジプトの国外におきましても、例えば
平成七年六月にはエチオピア訪問中のムバラク大統領暗殺未遂事件等が起こっております。
しかしながら、
平成七年以降は、このテロ事件の発生件数はエジプトの南部を除きまして減少していたわけでございますが、
平成八年四月になりまして、カイロにおきましてギリシャ人観光客十八名がイスラム過激派と思われるグループに殺傷されるという事件が起こりました。
私
ども外務省といたしましては、エジプトでは取り締まり当局の
努力にもかかわらずテロは完全には根絶されていない、場合によってはテロ事件の方が続発いたしまして邦人観光客も巻き込まれる
可能性も排除し得ないということで、改めまして邦人観光客に対して再度注意を促すということで、
平成八年五月に注意喚起を発出した次第でございます。
その後、ことしの九月にはカイロでドイツ人観光客が十名殺されておりますが、この事件は、エジプト
政府の調査の結果、精神異常者の犯行であるという結論が出されまして、ドイツ
政府もこの結論を受け入れておりまして、外務省としましても、この事件だけでテロ事件の多発につながると結論づける
根拠には乏しいと判断いたしまして、注意喚起の発出は行っておりませんでした。
今回は邦人観光客十名が亡くなられまして、極めてこれは卑劣なテロ行為でございまして、橋本総理の方からもムバラク大統領に対しまして、真相の究明とテロ事件の再発防止を要請しております。
いずれにしましても、テロは少人数でも行うことができますし、完全に抑え込むということも非常に難しい面もございますが、この種テロ事件の再発を防止していくという観点から、エジプトの治安当局、それから米、独の友好国と情報交換をさらに進めてまいりたいと
考えております。
それから、渡航情報等の周知徹底でございますが、申し上げましたように、数回にわたりまして渡航情報をエジプトにつきましては発出してきております。外務省としましては、渡航情報が出ますと、まず報道機関に提供しますとともに、運輸省、警察等の関係省庁にも御連絡し、それから都道府県の県事務所の方にも連絡し、旅行団体等にも提供しております。それから、旅行会社につきましては、日本旅行業協会と全国旅行業協会を通じまして、そのメンバー各社に情報提供を行っております。加えまして、外務省の邦人保護課の中に海外安全相談センターというものを設けておりまして、電話でありますとかファクスとかインターネットを通じまして、国民の
皆様方に直接情報を提供できるようにしてございます。また、現地のエジプトにおきましても、日本大使館の方から、日本人会あるいは現地の主要旅行社等に対しても情報提供をしている
状況でございます。
以上でございます。