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1997-03-27 第140回国会 参議院 労働委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年三月二十七日(木曜日)    午後零時三十二分開会     —————————————    委員異動  三月二十五日     辞任         補欠選任      海老原義彦君    大河原太一郎君      川橋 幸子君     国井 正幸君  三月二十六日     辞任         補欠選任      今泉  昭君     平田 健二君      国井 正幸君     川橋 幸子君  三月二十七日     辞任         補欠選任      平田 健二君     今泉  昭君     —————————————   出席者は左のとおり。    委員長          勝木 健司君    理 事                 石渡 清元君                 坪井 一宇君                 長谷川 清君                 川橋 幸子君    委 員                 上野 公成君                大河原太一郎君                 小山 孝雄君                 佐々木 満君                 西田 吉宏君                 野村 五男君                 今泉  昭君                 武田 節子君                 星野 朋市君                 大脇 雅子君                 笹野 貞子君                 吉川 春子君    国務大臣        労 働 大 臣  岡野  裕君    政府委員        労働大臣官房長  渡邊  信君        労働省労政局長  松原 亘子君        労働省労働基準        局長       伊藤 庄平君        労働省婦人局長  太田 芳枝君        労働省職業安定        局長       征矢 紀臣君        労働省職業安定        局高齢障害者        対策部長     坂本 哲也君        労働省職業能力        開発局長     山中 秀樹君    事務局側        常任委員会専門        員        佐野  厚君    説明員        文部省初等中等        教育局職業教育        課長       池田 大祐君        文部省高等教育        局学生課長    櫻井  清君        通商産業省環境        立地局立地政策        課長       岡田 秀一君        通商産業省機械        情報産業局電気        機器課長     伊藤  章君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○平成九年度一般会計予算内閣提出、衆議院送  付)、平成九年度特別会計予算内閣提出、衆  議院送付)、平成九年度政府関係機関予算(内  閣提出、衆議院送付)について  (労働省所管) ○地域雇用開発等促進法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 勝木健司

    委員長勝木健司君) ただいまから労働委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る二十五日、海老原義彦君が委員辞任され、その補欠として大河原太一郎君が選任されました。     —————————————
  3. 勝木健司

    委員長勝木健司君) それでは、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事川橋幸子君を指名いたします。     —————————————
  5. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 昨日、予算委員会から、本日午後の半日間、平成九年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、労働省所管について審査の委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  予算趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより直ちに質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 長谷川清

    長谷川清君 平成会長谷川でございます。  まず最初労働大臣にお伺いをしますが、この一年、労働行政、これから決まる予算、おおよその規模の中において、非常に重要、主要なそういう問題を幾多抱えていると思いますけれども、まず最初にその中から、現在の雇用失業状況についての認識とその対策について、まず大臣からひとつお伺いしておきます。
  7. 岡野裕

    国務大臣岡野裕君) 長谷川先生御存じのとおり、現下雇用情勢は非常に厳しいと。まず、完全失業率三・三。昨年の五月、そのころ三・四、三・五ということがありましたが、一番最近の値では三・三というふうになっております。有効求人倍率は今〇・七六ぐらいまで回復をしてきたようではありますが、やはり一番厳しい時期にあるというようなことで、労働省関係機関挙げてこの雇用確保ということに万全を期している、そんな次第であります。  先生でありますので抽象的に言いますと、一つには雇用調整助成金、これは景気循環に伴うところの雇用確保。もう一つ大きいのでは、産業空洞化に伴う雇用空洞化対策という意味で、中小企業活力を出していただいてこれを雇用対策に結びつける、また失業なき労働移動というようなことの政策、あれやこれやの手を組み合わせまして一生懸命やってまいりたい、こう思っておる次第であります。
  8. 長谷川清

    長谷川清君 確かに国内のいわゆる生産拠点というものがだんだん海外移転をするという現象がありますし、また、それに伴いまして製品輸入が増加をしていく、こういう状況になってまいりますと、そこからどうしても雇用空洞化という国内雇用問題が悪化していくと、こういう状況現下にあると思います。  そういう点について、産業雇用空洞化現象というものについてどう把握をしているか。さらにまた、今後の対策についてお聞きをしておきたいと思います。
  9. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) ただいま先生指摘の点でございますが、おっしゃるように我が国企業生産拠点海外に移しつつありまして、海外生産比率という形で見ますと、非常に進んでおりますアメリカやドイツよりはまだ相当低いわけでございますけれども、最近それが高くなっていると、こういうことでございます。  またもう一つの点は、海外で生産された工業製品輸入比率、これが高まっておりまして、そういう意味で今後産業空洞化、これがさらに進むことが心配なわけでございます。近年、そういう意味製造業雇用者数、これを見ますとやはり減少してきておりまして、平成五年からの三年間で六十万人減少いたしております。特に製造業関係事業所が集積している地域におきましては、生産拠点海外移転などの影響を受けて雇用状況が悪化し、または悪化するおそれがあるわけでございます。  このため、労働省といたしましては、ただいま大臣からお答え申しましたが、中小企業活力あるいはベンチャー企業活力を生かした雇用機会創出というようなこと、それから失業なき労働移動という形で、産業企業で問題のあるところからそうでないところへできるだけ移っていただく、失業しないで移っていただくというような対策、それから高付加価値化等を担う人材をどう育成するか、そういう対策について全力を挙げて取り組んでいるところでございます。  さらに、本日御審議をいただくことになっております地域雇用開発等促進法改正、これにおきましては、地域における高度な技能を活用した新事業展開による雇用創出あるいは人材育成支援など必要な対策を講ずることとして、そういうことでできるだけ空洞化についての対応をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  10. 長谷川清

    長谷川清君 確かにそういう空洞化現象によりまして国内雇用、六十万人という数字も出ておりますが、こういう空洞化というものに対応して、今の社会は、まだまだこれからの立ち上がり産業ベンチャー企業、そういったものがまだこれからだと、こういう状況下にあると思いますが、そういうベンチャー企業雇用に対する支援策といったようなものについてどう考え、どうしようとしているか、これをひとつお伺いします。
  11. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) ただいま御指摘ベンチャー企業、これはなかなか難しい問題もあるわけでございますが、新たな雇用創出という観点からいきますと、やはり新たな産業企業が興ってきませんとなかなか創出できない。そういう意味で、ベンチャー企業を初めといたしまして新分野展開を行う中小企業、これにつきまして、その担い手としての役割が大きく期待されているところでございます。そういう意味で、雇用対策面からその発展育成について支援することが重要な課題であるというふうに考えているところでございます。  このために、中小企業労働力確保法、これに基づきまして、開業希望者あるいはベンチャー企業等新分野展開を目指す中小企業が行います人材確保育成あるいは魅力ある職場づくりの活動、この制度平成七年十月の臨時国会で御承認いただいたわけでございますので、十一月に創設されました助成金、これを支給すること等によって支援しているところでございます。この支援策につきましては一定活用が進んでおりまして、今後とも一層制度の周知、活用促進を進めてまいりたいというふうに考えております。  またさらに、平成九年度におきましては、ベンチャー企業等人材確保円滑化情報提供強化等を目的といたしまして、ベンチャー企業と、それからベンチャー企業での就業を希望する人材経営面金融面あるいは人材面等各種支援を行っている機関企業との出会いの場を設定するというようなことによりまして、ベンチャー企業発展促進するための施策展開をしてまいりたいというふうに考えております。
  12. 長谷川清

    長谷川清君 日本では、ここのところホワイトカラーに対する関心というか、ウエートが薄れてきているように思いますけれども、今アメリカの方では非常にこれを重視していると思います。ホワイトカラーというものについての職業能力対策の点について、どのようにお考えになっているか。
  13. 山中秀樹

    政府委員山中秀樹君) ホワイトカラー能力開発関係でございますが、最近、産業構造変化ホワイトカラーがより生産性を高めるということが非常に必要になってまいりまして、そういう意味でこのホワイトカラー、従来OJTを中心に対応してきたところでございますが、体系的な能力開発というのは余り行われてきておりませんでした。  そういう意味で、私どもホワイトカラー職業能力開発について総合的かつ中核的な拠点として、本年七月に錦糸町に生涯能力開発センターを開設することを予定いたしておりまして、この生涯能力開発センターでは産業界の参加あるいは協力を得まして、産業界のニーズに応じた職業訓練あるいは教育訓練コース開発いたしまして、例えば自動車産業ですと海外工場事業展開のためのノウハウなんかをマスターするようなコースなどを設定して広くその教育訓練に生かしていきたいというような形で、この生涯能力開発センターの開設のために今準備をいたしておるところでございます。  さらに、ホワイトカラー、体系的で段階的な専門能力開発するということが非常に大切になってきておりまして、かつその習得した能力というのがどの程度になっておるかという評価をすることが非常に今後の労働移動あるいは移動していくときに職業に上手につきやすいような、そういう資格制度みたいなものを、私どもビジネスキャリア制度と申しておりますが、これが平成五年度からスタートいたしております。例えば、人事、労務、あるいは経理とか財務、そのようなことについて一定専門能力を評価して、これがホワイトカラー職業能力の向上に資するということで、私どもこの制度積極的活用を図りながらホワイトカラー能力開発について努めてまいりたい、そのように思っております。
  14. 長谷川清

    長谷川清君 我が国経済雇用という問題がいろいろ今転換期にありまして、これが一つの軌道を走り得るまでの間にどうしても一つ重要になってまいりますのは、職業を紹介する機能という点についての充実強化積極策というふうに考えられますが、この点についてはどうお考えですか。
  15. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) 御指摘のとおりでございまして、我が国経済発展あるいは労働者雇用の安定のために、失業して職を求めておられる方々について無料で職業相談職業紹介等を行う公共職業安定機関役割、これは今後一層重要なものになるというふうに考えております。  そういう意味で、今後さまざまな情報機器活用した雇用情報提供機能強化であるとか、あるいは専門的かつきめ細かな職業相談援助機能、そういうものの強化等を図る必要があるというふうに考えているところでございます。
  16. 長谷川清

    長谷川清君 現在あります労働者派遣事業という二十七業種、今見直しをしていると聞いておりますが、その進捗状況はどうなっておりますか。
  17. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) 労働者派遣事業制度につきましては、昨年の通常国会におきまして労働者派遣事業法改正案について御審議をいただいて、成立した分につきましては昨年十二月に実施いたしたところでございますが、これは基本的に労働者保護という面での一定改善策とあわせて対象の業務を拡大するということで、これは十一業務を拡大いたしたところでございます。  さらに、今後の経済構造変化等を踏まえた基本的な労働者派遣事業制度あり方について、制度全般にわたって検討すべきである、こういうことからの検討につきましては、本年一月から中央職業安定審議会において検討をお願いし、開始している、こういう状況でございます。
  18. 長谷川清

    長谷川清君 もう一つは、有料職業紹介事業の点について、これの自由化という規制緩和状況についてはどのような状態であるのか、これを教えてください。
  19. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) 御指摘の点でございますが、雇用分野におきます規制緩和の問題につきましては、ただいま労働者派遣事業制度とそれから有料職業紹介制度二つ検討課題になっておるわけでございまして、これにつきましては、基本的には労働者保護という観点、これに十分配慮をしつつ進めることが必要であるというふうに考えております。  そういうことを前提といたしまして、有料職業紹介事業制度あり方につきましては、不適切な職業以外は取り扱えるという、いわゆる取扱職業ネガティブリスト化等につきまして、これは関係審議会において一昨年以来御議論いただき、その考え方を意見書という形でまとめていただいたものを実現するということで、その関係省令等改正等についての具体案を作成いたしまして、これも関係審議会に諮った上で実施をする、こういう手順で四月一日から実施をする予定にいたしております。
  20. 長谷川清

    長谷川清君 雇用関係する幾つかの点について今聞きましたけれども、さらに労働省としまして労働基準法、これを抜本的に見直す。戦後五十年、途中でいろいろ手直しはありましたものの、現下のこの大きな変革に、今それからまた将来に向かっての労働基準というものの見直し、この検討状況についてはいかがでしょう。
  21. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 労働基準法につきましては、近年の経済社会変化に伴いまして、柔軟で自立した働き方を通じて存分に能力を発揮していく、あるいはそのことが必要だというような方々ホワイトカラー中心に増大していること、あるいはゆとりを持った働き方のためのさらなる工夫、あるいは賃金、解雇等をめぐる個々の紛争につきましての迅速な解決の仕組み、そういったこと、多々要請が高まっておるところでございます。  私ども、そういったことを受けまして、労働時間管理あるいは労働契約のルールにつきまして勤労者の立場に立ちつつ積極的に見直していくことが必要だというふうに考えております。この点につきましては、既に労働大臣から精力的な検討を進めるようにという指示も受けておりまして、それを受けまして、現在中央労働基準審議会の方にこれらのテーマにつきまして法整備も含めた改善方向につきまして議論検討をお願いしているところでございます。  現在は、この中央労働基準審議会におきまして具体的なテーマごと労使意見の開陳がなされておるところでございますが、今後、さらにそれを整理、集約の方向議論をいただきまして、本年七月には今後の方向につきまして一定方向を出していただきたいということをお願いしておるところでございます。
  22. 長谷川清

    長谷川清君 それでは、今後の高齢化社会を迎えるに当たっての高齢者雇用対策という点で、これはもうぜひ大臣にお聞きをしておきたいと思いますけれども労働省として、大臣として、高齢者労働雇用という点についてお考えをお願いします。
  23. 岡野裕

    国務大臣岡野裕君) 本能寺の信長の人間五十年の舞は有名でありますが、昭和二十年前後までは我々の一生は五十年だという時代があったことから考えますと、女性八十四歳、男性七十六歳ということで非常に長寿に相なってきた、非常に喜ばしいカレントだ、こう思っております。  長寿と同時に、勲章をいただかれる皆さんをよそから拝見しておりましても、七十歳、かつては何人かの皆さんが車いすに乗って天皇陛下にお目にかかる、今日ではほとんどいなくなりました。つまり、高齢化長寿化すると同時に心身ともに若くなってきたのではないか、こう思っております。  そうだとするならば、かつて定年は五十五歳というようなことがございましたが、この立派な体と心とを生かして六十五歳まで現役で働こうというような社会的な雰囲気づくりを私どもはやってまいろうと。定年六十歳、しかしながら、もう五年ぐらいいろいろな形態でやはり職場で楽しく皆さんには働いていただこうというようなもろもろの施策を講じているところでございます。  それからまた、シルバーセンターというようなものを全国的につくってまいっております。非常に大きな効果をもたらしており、かつシルバーセンターに参画をして今そのメンバーに加入している皆さん、それぞれそこに生きがいを求めて、老後と言うと言葉がおかしいと思いますけれども、人生を謳歌している、それがますますまた長寿につながるというようなことだ、こう思いまして、今後とも高齢者皆さん雇用対策にも一生懸命力を注いでまいりたい、こう思っておりますので、よろしくお願いいたします。
  24. 長谷川清

    長谷川清君 ただいま大臣の、六十五歳までは現役よと、そして社会の一員としての、そういう社会をつくっていこうという夢のあるお話がありましたし、これはぜひやっていただきたいと思います。  もう少しく具体的にお聞きをいたしますと、六十五歳の現役社会を実現するためにどういうことをなさろうとするか。予算の面では二千六百億ぐらいの金がついておるわけですから、例えば地域会合を持ったり業種別会合を持ったり、まずはそういうところから始めていくのか。また、六十五歳継続雇用に向けていろんなモデル事業所の設定という問題や、それから、今もちょっと話が出ておりましたが、さらにもう七十歳ぐらいまでと大臣は前回までの答弁でもよくおっしゃっております。私はそれを支持いたしますし、ぜひそうありたい。ネクスト65推進事業といったことなど、今の大臣の御答弁をどんどん具体化していく現実的な道筋について、そう詳しくなくても結構でございますからお話をしてもらいたいと思います。
  25. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) ただいまお話ございましたが、六十歳定年、これについて従来積極的に推進し、かつ国会での御承認もいただいて法律で義務化するということで、これが現実に実現する段階にいよいよなったわけでございますが、高齢化テンポが一方で非常に速いということから、そういう意味では雇用問題、ただいま大臣申し上げましたように、六十五歳までは現役でというような観点でさらに対策を積極的に進めてまいらなければいけない、そういう時代になってきたということでございます。  ただ、これは六十五歳までとなりますと現状労使それぞれのお考え等も踏まえました場合に一律に六十五歳定年を進めるというわけにもなかなかまいらない、こういう状況がございます。もちろん、産業企業の実情に応じて六十五歳定年でやっていただいているところもありますし、そういうことが一般論としては望ましいわけですが、そうもいかないという場合に、さまざまな形態での雇用継続、これを六十五歳まで図っていただく、これが非常に重要であろうということから、定年退職後の継続雇用、これは再雇用であるとかあるいは別の形での、グループ内での雇用とかいろんな形があろうかと思いますが、そういうものに対する助成をしていく。継続雇用に関する計画の作成をお願いし、勧告制度も設け、それから一方で助成措置も設けてこの継続雇用を進めていこう、こういうことでございます。  助成措置の中身としましては、ただいま御指摘もございましたが、六十歳を超える雇用延長促進ということで継続雇用制度導入奨励金であるとか、あるいは雇用の場の拡大という意味での高年齢者多数雇用奨励金であるとか、あるいは職場改善援助という観点からの高年齢者雇用環境整備奨励金、高年齢者職場改善資金融資等と、それから雇用保険制度の中におきまして継続雇用促進という観点から高年齢雇用継続給付、これも国会で法案を御審議いただき雇用保険法改正して実施いたしているわけでございますが、そういうさまざまな対策でこの六十五歳までの継続雇用推進を図ってまいりたいというふうに考えております。  それから、来年度の施策という観点からいきますと、そういう六十五歳現役社会の実現、これを国民的な合意という形で積極的に図っていくという観点から、それを六十五歳現役社会推進会議というような形で会議を設けまして、そういう中で関係者にいろんな観点から御議論をいただき、そういう成果を取りまとめて国民各層へPRする、そんなことも検討いたしているところであります。
  26. 長谷川清

    長谷川清君 お答えいただいたとおり、六十五歳まで継続雇用を求めていくものに対する助成の部分で見ましても五十八億ぐらいの原資がついているということは確かにいいことだと思います。  大臣も先ほど触れられましたシルバー人材活用をという、この点についても一言。  私は、三千三百市町村全部に、画一的に全部ということを求めるのではないが、必要な市町村については少しテンポを速めて設置箇所をふやしていただくという努力を今後もしていただきたいと思うのと、もう一つは、明るいイメージがまだない。シルバー人材センター、着ている作業服ももっとカラフルで明るくて、ああ、いいなと思うような雰囲気づくり一つには全国レベルにおいてやってもらえないかなと。二つのことを望んでおきたいと思います。  それでは次に、出生率の低下に関してという問題で婦人局長にお尋ねをしますが、女性職場における生活と家庭における生活ということの両立社会を実現するということは、労働省の中の仕事として非常に大きなウエートを持っている、こう思いますけれども、そういう点について、今の出生率現状とか、それからそういう対策幾つかの点について、ひとつ具体的に触れてお答えをいただきたいと思います。
  27. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 先生指摘のように合計特殊出生率が非常に下がっておりまして、平成七年では史上最低の一・四二を記録しているということでございます。  これの中で、私ども男女労働者がともに仕事と育児を両立させつつその経験とか能力を生かす環境を整備するということは、これは本当に労働省の大きな課題一つであるというふうに認識をしておりまして、幾つかの施策を講じているわけでございます。  例えば、育児・介護休業法をつくっていただきまして、その法律に基づきまして、育児休業制度が定着し、かつ円滑に運用されますよう事業主や労働者に対しましてきめ細かな相談、指導を実施しますとともに、育児休業に関しましては二五%程度の育児休業給付も出しておりますし、それから各種奨励金を出しまして、育児休業を取得しやすく職場復帰しやすい環境を整備いたしております。  さらに、従業員に育児費用を補助する事業主に対しましてこれまた助成金を支給いたしまして、育児を行う労働者が働き続けやすい環境を整備していること。さらには、育児のために一回退職した者が再就職をしやすいように再就職の支援もしております。そしてさらには、労働時間の短縮ということも非常に重要でございます。などなど、もろもろのことをさせていただくことによりまして、男女労働者職業生活と家庭生活の両立をできるような施策ということで、そういうことを総合的、体系的に推進しているところでございます。
  28. 長谷川清

    長谷川清君 どうすれば子供がふえるのか、妙案がないんでしょうけれども、私もわかりませんけれども、いろんな複合的な要素がそこにはあると思います。  労働省として、限られた状況の中で幾つかのことを、今お話があったように介護休業制度の奨励金を事業主に渡したり、いろいろの奨励金や補助金というものをそこに出しておりますね。介護休業の奨励金を支給したり、育児あるいは職場復帰をしたところに対する奨励金を出したりと、こういう具体的な施策を何年かやっていますから、その実績と評価とでもいいましょうか、効果というか、そういう点について何か御感想ありますか。
  29. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 奨励金につきましては、いろいろな奨励金があるわけでございますけれども、例えば事業所内の託児施設に対する助成金なんかも出しておりますが、これの利用も最近かなり上がってきておりますし、私ども、婦人少年室及び二十一世紀職業財団等々を活用いたしまして奨励金のPRにも努めておりますし、利用度はかなり上がってきているというふうに考えております。
  30. 長谷川清

    長谷川清君 両立支援セミナーというのがあるようでありますが、具体的にはどういうことをやっていらっしゃるのでしょうか。
  31. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) これは、仕事をしながら育児、介護を乗り切ることに役立つ知識や心構えを身につけることを目的といたしましたセミナーを行っているものでございまして、全国で、これは七年度でございますが、大体百四十回を超える回数で行わせていただいております。
  32. 長谷川清

    長谷川清君 結構やっていることはよくわかりました。  それから、各都道府県、市町村に対して必要な経費の補助を行っておりますけれども、そういう地域ぐるみ、中央と地方一緒になってタイアップしてやっていると思いますが、それらに対する、何というのか、報告を受けたり管理したりという状況把握というようなものについては、これはあるんですか、ないんでしょうか。
  33. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 先生指摘の事業といたしまして、ファミリー・サポート・センター事業というのがございます。これは、働いているお母さん、お父さんもですが、急な残業があったり、子供が急病になったりというようなことで、いわゆる突如、保育をしてもらう人を頼まなければいけないというようなことが起こるわけでございまして、こういうことに対処するため、地域地域市町村レベルでこういう人たち、要はサポートしてくれる人を集めてセンターをつくりまして、そういう急な変則的な保育ニーズに対応する事業を行っております。  これも少しずつではございますがふえておりまして、現在九市で行われておりますが、また来年度はさらに二十カ所程度ふやしていこうというふうに思っておるところでございます。
  34. 長谷川清

    長谷川清君 局長には最後の質問ですが、育児だとか介護のために退職した人がこれからまた再就職をしたいということに対する支援もありますよね。これの実績というか、やはりこれも上昇気流にあるんでしょうか。
  35. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 育児、介護のために退職した者に対する再就職支援事業といたしましては、再雇用制度の普及というものと、それから再就職希望者の登録を支援する事業というのがございまして、この再雇用制度の普及の方は必ずしも十分な実績が上がっていないという点がございますが、再就職希望の登録支援事業につきましては、これは育児、介護のために退職して将来的に再就職を希望する者に対しましてセミナーの実施等とか情報提供とか自己啓発への援助というのを行っておりまして、かなり幾つかの地域で実際に実行されているというような状況でございます。
  36. 長谷川清

    長谷川清君 どうもありがとうございました。  それでは次に、労働安全衛生の関係について少しくお尋ねをいたします。  最近、特に大きな規模の災害であるとか爆発の災害とかが起こっておりまして、これが労働災害というものに結びついておりますけれども、この種の労働災害を防止するという視点に立っての、これは大臣にお伺いしておきたいと思います、その対策についてどうお考えですか。
  37. 岡野裕

    国務大臣岡野裕君) 建設業において大規模な災害が起こる例が多うございます。  一番近い例では、大北地区、蒲原沢の土石流災害で十四名の方が土砂の中に埋没をしたという事象がございました。また、火薬等製造業界におきまして、火薬が爆発をして人命に損傷を及ぼすというような例が多うございます。全国的には年間二千四百人という大きな数の死亡災害が発生をいたし、労働省としても鋭意これの未然防止というようなことに努力をいたしているところであります。  そのためには、やはり原因は何であったかということを究明し、それに基づいて事前の対策というものを十分周知し、かつ徹底的に実際に行動するということだと思います。  蒲原沢につきましても、学識経験者等から成りますところの事故究明班というものをつくりまして、現在、ぼつぼつ雪も消えてまいりましたものですから、原因究明の最終段階に入っているというようなことでありまして、全国の労働安全関係の職員総動員でこの対策に今後も当たってまいりたい、こう思っているところであります。
  38. 長谷川清

    長谷川清君 だんだん高齢化が進んでまいりますと同時に、並行的に進行しているのが労働者の健康の状態という問題、健康管理の問題でありますが、健康を確保するために必要な施策の講じ方という点について、いろいろ、過労死が起こっておったり、健康診断それ自身の問題とか、あるいは休暇のとり方の問題としてのリフレッシュ休暇というものがどんどん労使関係でもふえていく、こういう状況等々、労働省としてとり得る対策上の見解についてお伺いします。
  39. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 御指摘のように、高齢化の進展に伴いまして高血圧とかあるいは心臓疾患につながる所見を有する労働者の割合がふえておること、御指摘のとおりでございます。安全衛生法に基づく健康診断におきましても、三人に一人が何らかの所見を有するというような状況も出ておりまして、これからの健康確保対策、大変重要な課題だというふうに受けとめているところでございます。  私ども、具体的な施策といたしまして、まず一つは、日ごろからの健康づくりに労使双方取り組んでいただこうということで、心身両面にわたる健康づくりのために健康測定、それに基づく運動指導あるいは保健指導といったようなものを組織的に展開する場合の助成制度等を展開いたしております。  また、昨年御審議をお願いいたしました労働安全衛生法の一部改正によりまして産業医の方たちの権限等も明確にいたしまして、事業主が健康診断を行う、その結果について産業医等の判断を仰いで、その意見に基づいて必要なら作業場所の変更とか労働時間の短縮等の措置を行わなければならないこと等を織り込みました法律を昨年の十月に施行いたしまして、現在その浸透を図っているところでございます。  私ども、こういった取り組みをさらに推進するために、各地域産業保健推進センターを医師会等と連携をとりまして設置いたしてきておりまして、ここを通じて小規模事業主の方にもそういった健康管理というものを援助していこう、あるいは小規模の事業主の方が共同で産業医を選任する場合の助成制度を新たに始めていきたい、こういった施策を行っておりまして、こういった施策をいわば総合的に活用いたしまして、これからの高齢化社会の中での勤労者の健康確保、そういうことを通じまして、職業生活の充実はもとより、御指摘のございましたような過労死と呼ばれるような事案の発生をなしにしていく、こういう気持ちで取り組んでまいりたいと思っております。
  40. 長谷川清

    長谷川清君 それでは次に、今国会においても用意されております男女雇用機会均等法という問題につきまして、男女の均等な雇用の機会を確保するということはどういうことなのかを大臣の見解としてお伺いしておきます。
  41. 岡野裕

    国務大臣岡野裕君) これから御審議を賜りたいと存じております男女機会均等法でありますが、やはり女性社会的、あるいは職場への進出といいますか、それが現下の傾向だと思います。やはり女性皆さんの意欲とそれから力、これがあって、適切なる職場を得て、そこで自分の能力を十分発揮し、それが正当に評価をされる、非常に人生としての大きな楽しみだと思っております。したがいまして、そういうような雰囲気の、言いますならば環境づくりをやろうといいますのが本法の趣旨になります。  具体的には女性の、言いますならば募集、採用、昇進、そして配置でありましょうか、これらの分野におきますところの差別を全面的に、もう努力義務ではなくて禁止していくということに一歩踏み切ったと同時に、労働基準法上定められておりました深夜労働でありますとか休日労働あるいは所定外時間労働等々についての規制を解除しまして、女性皆さんの職域を拡大しようというようなことを考えておるところでございます。ひとつよろしく、改めて御審議を賜りますようお願い申し上げます。
  42. 長谷川清

    長谷川清君 大臣は提案側の立場に立っておりますから、男女機会均等法の利点の部分を強調されていると思いますが、現行の労働基準法の中における女子保護規定というものがなくなってまいります。そうすると、あと残るのはもう時間外のやつは三六協定。現行との比較において、男女雇用機会均等法がもしできた段階では歯どめは三六協定しかないということになるのではないか。  例えば、質問の観点を変えて言うならば、男女の共通の、男女に関係なく時間外の限度というものについて、新たに三六協定の条項とは別に、例えば現行の場合には一週六時間とか年間で百五十時間とかという歯どめの数字が基本法に載っていますね。これとの関係において、これがなくなった場合の歯どめの、そういうめどづけというものを必要とするのではないかと思いますが、その辺についての見解を聞いておきたいと思います。
  43. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) この機会均等法、またそれに伴う労働基準法改正後の問題として、時間外労働につきましての男女の共通の規制を設けてはどうかというような御意見があることは私ども承知をいたしております。  そういった御意見、もしストレートな上限規制ということであるとすれば、この現状、時間外労働が景気変動に対しまして雇用の調整機能を果たしている、そういったことから、もしストレートな規制ということになりますと、こういった雇用の安定に効果をもたらしている雇用調整機能を喪失させることにつながりはしないかといったような問題、あるいは時間外労働につきましては、その個々の企業業務の実情あるいは労務構成、そういったことに応じて労使が自主的に話し合って時間外労働あり方を決めていく三六協定制度労働基準法あり方との関係をどう考えるのか、そういった問題等々慎重に検討すべき課題があるというふうに受けとめております。  ただ、今後、男女の機会均等が進み、女性の方の職場進出等が進んでいきます中で、やはりこの時間外労働というものをめぐって、仕事と家庭、あるいは地域生活との調和、そういった観点からこの働き方の問題というのはいろいろ議論があろうかと存じております。したがいまして、先ほど御説明申し上げました労働基準法のこれからの改正方向検討していただく中では、時間外労働あり方というのも重要な検討テーマ一つとして審議会の方に御審議をお願いしているところでございます。  したがいまして、そういった議論状況、また結果を見ながら、これからの時間外労働あり方というものについて私ども対応をしてまいりたいというふうに考えております。
  44. 長谷川清

    長谷川清君 この均等法の問題につきましては、次の法案の審議の中で十分な時間をとって深く質疑をしたい、こう思います。  それでは次に、学卒に対する対策上の問題でございますが、今後の新規に大学校を卒業する人たちの就職支援策という問題について具体的にどうお考えですか。
  45. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) 平成九年三月卒業予定の新規大学校等卒業者、卒業予定者の方々、この就職問題でございますが、まず今春の予定者の就職内定状況でございます。ちょっと時点が古くて恐縮でございますが、昨年十二月一日現在におきましての内定状況、大学で八三・五%、前年同期比一・五ポイントの増、短大が六一・六%、前年同期比五・一ポイント増、高等専門学校九六・一%、前年同期比〇・三ポイント減というような状況になりまして、全般的にはやや改善の兆しが見えるところでございますが、依然として厳しい状況にあるわけでございます。  三月も終わるということでもう卒業されているわけでございまして、そういう意味で、最終的な内定状況がどうなっているかという点につきましてはまだ数字の把握ができておらないわけでございますが、いずれにいたしましても、未就職で卒業された方につきましては、私どもとして引き続き公共職業安定機関、特に学生職業センターあるいは学生職業相談室、そういうところにおきましてきめ細かな職業相談あるいは職業紹介を行ってまいりたい。それから、特にそういう方々に対する就職面接会、これも昨年から始めておりますが、これを継続して実施することによりまして、未就職卒業者の方々ができるだけ早期に就職できるように全力を挙げてまいりたいというふうに考えております。
  46. 長谷川清

    長谷川清君 これまで日経連などの経営側と大学側との間でございました就職協定というものが廃止をされていくという場合はどう変化するかという点についてはどうお考えですか。
  47. 岡野裕

    国務大臣岡野裕君) 長いこと就職協定がありました。企業側にとっても個々の学生諸君にとっても、これはやはり生活の知恵みたいなもので運用をされてきたと思うのであります。  ところが、日経連の傘下の各企業が日経連会長の言うとおりにこの就職協定をなかなか守ってくれない、また学生諸君の中で、特に有能な学生諸君は三つも四つも内定を抱えて、ほかの学生は非常に大きな迷惑を受けているという実態がだんだんひどくなってきたということで、今回この就職協定、結びたいけれども実行不可能では結び得ないということになって廃止に至りました。これは結局、就職運動が早まるのではないかということと、長い間就職戦線が続くのではないかというような心配を一ついたしております。  それからもう一つは、男子学生と女子学生との間、あるいは東京、大阪等都会の学生諸君と、言葉遣いがなんでありますが、地方の学生諸君との間、あるいは著名度の高い学校、そうでもない学校、いろいろな意味合いでこの格差というものが拡大するのじゃないかなという心配をいたしております。  しかし、両当事者間で結び得なかったということでありますれば、我々は公共職業安定機関をフルに活動させまして、今申し上げたようなマイナス面が極力少なくなるような対策を練ってまいろうという意味合いで、この我々の機関におきますところの求人の受理や公開、これの開始は大学当局の方でお決めになった六月一日からだよということにいたすことにしております。また、この経済諸団体あるいは情報・出版業者等々の企業に対しまして、正式の内定開始は十月一日以降だと、これが企業側と大学側との合意でありますもので、これを徹底させるようにというようなことを我々指導し周知をしていく。  そうして、公正な採用をしてもらいたいし、間違っても内定をした者の取り消しをすると、最近徐々に景気はよくなっておりますが、今までの経験からしますと内定の取り消しということも間々ありました。したがって、そういうような企業は公表をするというようなこともやったことがございました。というようなことのないように、今私どもは周知をいたすと同時に、求人情報をどんどん公共職業安定機関から提供する、あるいは合同の就職面接会を開催する等、今までやってまいった手を今度はフル活用して、何とか就職戦線が順調に進むようにというように、文部省等々関係の向きとも連絡をとりつつやってまいっているところでございます。
  48. 長谷川清

    長谷川清君 ぜひそういう視点で改善されますように期待をしております。  次に、持ち株会社の解禁に伴いまして生ずるであろう労使関係、二、三の心配事項というものを私感じますけれども労働省としてはこの点についてどう考えていらっしゃいますか。
  49. 松原亘子

    政府委員(松原亘子君) 持ち株会社の解禁に伴います労使関係上の問題につきまして、いろいろな問題が起こるのではないかということから心配がされ、昨年来このことについての議論がさまざまな方面で行われていたわけでございますが、労働省におきましては、これについて主として法律的な見地から考え方を整理する必要があるのではないかということで、専門家の方々にお集まりをいただきまして御検討をお願いいたしました。  その結果が昨年末に報告書として取りまとめられたわけでございますが、この報告書におきましては、持ち株会社が解禁されるということだけに伴って新たに法律的な問題が生じるかどうかということについては、それは生じないと。ただし、持ち株会社が解禁されますと親子会社もふえるということは考えられるわけですので、そういうことについては適切な対応が必要であろうということが指摘をされました。そして、その一つの例といたしまして、既に最高裁の判決でも明らかにされている点でございますが、持ち株会社が子会社の労働者に関して雇用主と同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位にあれば、これは使用者としての責任を負うことになると、こういう考え方が既に定着いたしているわけでございますが、これについて周知する必要があるだろうということが指摘をされたわけでございます。  労働省といたしましては、この報告書に沿ったような形で労使関係者の合意がなされるようにという働きかけをしてきているわけでございます。  また一方、独占禁止法の改正問題を検討されてきておられました与党の独禁法協議会、ここでもこの労使関係上の問題というのが取り上げられたわけでございますが、この協議会から連合、日経連、経団連に対しまして、労使関係者の間で少し検討してほしいという要望が出されたわけでございます。その要請を踏まえて検討労使間でなされまして、労働組合法などの改正の問題も含めて今後検討し、必要な措置をとるということ、その検討期間を二年を目途にするということ、そしてこういった内容を、独禁法の改正議論の過程というふうに私ども理解しておりますが、それに伴っての附帯決議で確認をすると、こういうことを内容とする合意が成立をしたということが独禁法協議会に報告されたというふうに私どもは承知をいたしているわけでございます。  労働省といたしましては、今後この独占禁止法改正案国会で御審議されるんだろうというふうに思いますけれども、そこでの議論も踏まえまして適切な対応をとってまいりたいというふうに考えているところでございます。
  50. 長谷川清

    長谷川清君 ただいまもお答えにありましたように、裁判の中でもはっきりと出ていると。基本的な労働条件等について雇用主と同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定することができるという地位が認められれば使用者としての責任を負うんだ、これを周知徹底する、ここまでなっているのでありますから、これは私の意見ではありますが、それならば労組法に明記をしたらどうかと。  きょうのところは意見を述べるにとどめますけれども、今後の委員会その他の中で、そういった大きな骨張ったところの法律上の問題もさることながら、さらに細かな部分では、実際にこれが執行されていきましたときに、労使関係ではいろいろの問題を扱います。雇用に関する問題もあれば、あるいは労働の条件に関する問題等々がありますが、そういうものの合意形成をしていくのにかなり重要な懸念が生じるのではないか、実際的には。現実の現場ではそのことが想定されると思います。  それからまた、企業が分割をしてみたり統合してみたりというようなこと、こういう世の中でありますからいろいろなことがございます。そういう大きな改編問題等が起こってまいりますと、従業員の意向がここに反映されないままに一方的に進んでしまうといったこと等々、いろいろと心配な点はございますけれども労働省はいわゆる労働者というものを、公平の立場にありながらも、そういうことの不利益をこうむらないように注意深く見守っていただきたい、こう要望しておきます。  時間の関係がございまして、すべての項目について、この一年間の重要なものに触れ得ませんでしたけれども、いずれにいたしましても年間で、本年度は昨年よりは少しふえた状態で、五兆九千三百七十六億ぐらいのお金がこの一年の間に、今私が質問しましたような状況の中にそれぞれ裏づけとしてあるわけでございます。全体に今、中央も地方もむだ遣いが多いと、こう言われておりますけれども労働省に限りましては私の見るところ、これはむだ遣いどころかもっと必要だなという部分が随所にあるのでございます。  私が質問しました内容は、ほとんどが大臣中心として、労働省全員一致、全体で頑張ってほしい、そして、限られたお金ではありますけれども、それ以上の相乗効果を上げていただきたい、実効をと願うものがたくさんございます。私はそのことを皆さんに申し上げて、質問を終わります。  ありがとうございました。
  51. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 先ほど長谷川議員が問題にされました就職協定廃止の影響につきまして加えてお尋ねをしたいと思いますが、就職協定が廃止されまして、テレビなどを見ますと、もう男女学生の会社訪問等が始まったり、あるいはリクルートの書類などがもう大学の学生の方にどんどん届いているようでございますが、大学においてはどのような変化が起きているのでしょうか。それからまた、大学におけるそれに対する対応はどんなふうになっているんでしょうか。文部省の方にお尋ねをいたします。
  52. 櫻井清

    説明員(櫻井清君) 平成九年度の就職協定につきましては、大学側といたしましては九年度も就職協定が必要である、こういう考え方でございましたが、昨年来企業側と協議した結果、最終的に平成九年度は就職協定は締結せず、これにかわりまして大学側は申し合わせを行いました。また、企業側は倫理憲章を定めることになりまして、今後双方はその相互尊重に努める、こういう新たなルールのもとで就職・採用活動が行われることになりました。  この点につきましては、一月二十一日に文部大臣にも大学側、企業側の代表世話人から御報告がございましたが、その際、文部大臣からも大学側、企業側両方に要請しましたように、従来の就職協定の趣旨が、今回の新しいルール、すなわち大学側の申し合わせと企業側の倫理憲章とを相互に尊重する、こういう新たなルールのもとで双方の良識と自主的努力により従来の協定の趣旨が実質的に確保される、こういうことを期待している旨、申し上げたところでございます。  しかしながら、その後一部の企業等におきまして採用活動が極端に早期化すること等が報じられておりますので、大学側といたしましては、去る二月二十日に開催されました就職協定協議会特別委員会におきまして、企業側に改めまして二点申し入れをいたしました。まず一点は、企業側において情報の公開を徹底いたしまして、学生の就職機会の均等を期するため原則としてオープン公募にしていただきたい、その努力をしていただきたいということが一点でございます。さらに第二点といたしまして、早期に採用選考が行われることにより学校教育に悪影響を及ぼすことのないように、大学側の申し合わせを尊重して採用活動を行っていただきたいということを改めて申し入れたところでございます。  また、三月二十一日に開催されました就職協定遵守懇談会におきましても、文部省の方から同様の申し入れを行ったところでございまして、私ども文部省といたしましては、双方の良識と自主的努力によりまして、学生が秩序ある就職・採用活動ができ、なおかつ全国の学生が就職の機会が均等になる、こういうために今後とも大学側とも連携をとりますし、また労働省とも連携をとりまして今後の推移を見守ってまいりたい、こういうふうに考えております。
  53. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 そうすると、文部省と労働省との間に何かその問題に対する協議をする機関など設けられておりますか。労働省の方で。
  54. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) 大学生等の方々の就職問題につきましては、これは大学を所管し、かつ大学において職業紹介をしているという仕組みでありますので、それを所管する文部省と、それから一般的に学生を含めて就職問題を所管する立場の私ども労働省、特に学生の就職問題が非常に困難な時期でございまして、そういう問題につきまして文部省とはいろんな場面で御相談をし協議をしながら対処している、こういう状況でございます。
  55. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 そうしますと、先ほど大臣も言われましたように、就職が早まるという懸念は既に現実化して、それが長期化して、何よりも男女差とか地域差というもので就職の機会の均等、職業選択の自由という基本的な人権が問題になるような状況が出現しつつあるのではないかというように思われるわけですが、具体的に労働行政の方では公共職業安定所その他、ハローワークなどの相談を通じて何か問題点が浮かび上がってきておりますか。まだそんなところまでは行っていないでしょうか。
  56. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) 統計的な数字の把握という面ではなかなか困難でございますが、ただいま文部省からお話もございましたが、就職活動がやはり早まっていると。例えば、大学の学生であれば三年から就職活動が始まっているとか、あるいは短大であれば一年生の終わりの時期から始まっているとか、そういう状況があるというような報告は受けております。
  57. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 内定の取り消しに対して企業名の公表など、これは永井文部大臣のときだったかと思いますが、その前だったのか、やられたことがあるんですが、今回そういうような危険があった場合には、大臣は勇断をもってそうした対応をとられるおつもりでしょうか。
  58. 岡野裕

    国務大臣岡野裕君) 先ほどお話をしました就職協定が廃止になりましたとき、私は記者会見を行いまして、やはり内定の取り消しというようなことで学生諸君にも迷惑をかけるということであるならば、企業名の公開、これはぜひやるべきだ、こう考えているというお話を申し上げました。まだその時期に相なっておりませんもので、今後も動向を見て判断をいたしたい、こう思っております。
  59. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 それじゃ、就職協定についてはこれで質問を終わりますので、文部省の方ありがとうございました。  次に、雇用保険の中での大きな支出の一つとなっております雇用調整金についてお尋ねをいたしたいと思います。  雇用調整金は、景気の変動とか産業構造変化というものに伴って労働者失業の予防とか雇用の安定というために設けられた制度でありまして、もう既に二十年を経過しているわけでございます。  大体このところの傾向といたしまして、雇用調整金が、指定業種あるいは特定不況業種など幾つかに分かれて、経済成長率が鈍化する中で支給要件が漸次緩和されてきていると思うんです。批判として、雇用調整金というのは大企業偏重ではないか、中小企業がその利用をしていないんじゃないかというような批判もあったりしますが、どういう業種に、そしてどんな規模にこれが生かされているのか、大体の概略はおわかりでしょうか。
  60. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) 手元に資料がございませんので的確には申し上げられませんが、例えば雇用調整助成金制度活用状況、これは必ずしも大企業が主ではないというふうに考えております。  確かに、金額面でいきますと、中小企業につきましては規模が小さいものですから大企業が多いという結果になるわけですが、件数で見ますと、最近制度は周知徹底いたしておりまして、中小企業もこの対象になる企業については積極的に活用していただいているというふうに考えております。  例えば、具体的な例で申し上げますと、特に阪神・淡路大震災の際に、その後の失業の予防、雇用の維持というのが非常に大事であった時期にこの制度地域に適用しまして対処したわけでございますが、このときには一部の大企業が確かに使いましたが、中小企業、零細企業、例えば食堂であるとか美容院であるとか、そういうところでむしろ非常によく使われてきた、そういう実情がございます。  それから産業別に見ますと、指定業種自体は確かに雇用調整助成金、最近景気の回復に伴いまして減ってきておりまして、短期的なものにつきましては、今多分二十業種前後になっていると思います、多いときには三百を超えておりましたが。ただ、一方で構造問題を抱えているいわゆる特定雇用調整業種という形で指定しているところはふえておりまして、これは現在多分百二十数業種あるのではないかというふうに考えております。
  61. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 雇用調整金が今までのそうした労働市場あるいは産業構造変化に及ぼしてきた効果というものは大体どのようにつかまえていらっしゃるでしょうか。
  62. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) 雇用調整助成金制度につきましては、これは御承知のように制度発足以来、景気変動期の短期的な不況期の失業を予防して企業に対処していただく、こういう観点からの仕組みとして出発しているわけでございまして、そういう意味におきましては、今までこれは一定の、相当の効果があったのではないかというふうに考えております。  例えば、私の経験で申し上げますと、福岡県の労働部長を三年ほどやっておりましたが、当時はバブルの前でございまして、鉄鋼とか造船が非常に不況だったわけでございます。その際に、鉄鋼ですと高炉を倒さなきゃいかぬということで相当失業問題を心配したわけでございますが、そこのところを失業という形でなくて、雇用調整助成金制度活用して教育訓練あるいは休業して支え、かつ出向制度で別のところで働いてもらう、こんな形で対処したわけでございますが、それがその後、結果としてはバブルにということになったわけでございます。急速な経済の活況化を呈する中で、そういうことで雇用を維持した労働者がそのまま従来の技術、技能を活用してもとの職場に戻る、こういう形でつながった、そういう経験がございます。そういう意味で、短期的な不況に対処する対策としては、これは相当の効果があるというふうに考えております。  ただ、バブル後の今回の不況期のように、そういう短期的な景気の変動とあわせて、大きな構造問題を抱えた産業企業につきましては、この短期的な対策だけではなかなか対処できない、そういう問題点もあるというふうに考えております。
  63. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 確かに、経済が右肩上がりのときは、雇用調整金で支える中で、瞬時の大量解雇やそれに対する不安から労働者は守られてきたと思うわけですが、経済成長率が鈍化してむしろマイナスに近くなったりする不況期におきましては、果たして雇用調整金が失業防止の効果として有益であるのかどうかというような批判が出てきている。  というのは、既に雇用調整金を取得した企業が減員を果たしてきているということも言われておりますし、むしろ新規や常用の雇用量を抑える中でパートを導入してきたというようなことがありまして、果たして失業防止の効果があったかどうかという点については批判があるわけですが、この点についてはどのように考えていらっしゃるでしょうか。
  64. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) 先ほども申し上げましたが、雇用調整助成金というのは、短期的な景気の変動の中におきまして雇用を維持する、失業を予防する、そういう観点から、現在働いている労働者方々についての対応策としては、これは一定の効果のある制度であるというふうに考えております。  ただ、構造問題を抱えている厳しい状況の中でそういう対応だけで対処できるかという点になりますと、これは別の対策考えないとなかなか難しい、そういう側面もある、こういうふうに考えております。
  65. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 むしろ、雇用調整金を出してそこでとどめておくことによって、転職の機会とか職業転換のスピードをかえって落とすのではないか。今は五年ぐらいですよね、長期は。だから、長い期間そういった調整金を出すということはかえってマイナスではないかという批判があるんですが、この点はいかがでしょうか。
  66. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) 基本的にこの制度は、先生指摘のような、転職を妨げるような仕組みではないというふうに考えております。企業として短期的な不況期に即それを失業という形で顕在化させますと非常に雇用不安が大きくなります。したがって、そういう形でないようなふうな、いわば日本的な雇用慣行の中で雇用を維持していただく、これが雇用の安定、失業の予防、社会の安定、そういう観点から非常に重要であるというふうに考えております。  したがいまして、この制度というのはそういう意味では短期的な不況期の雇用対策ということでございますから、そういう意味での助成期間、これは先生指摘の五年とかそういう長期間ということではなくて、短期の一年、二年、せいぜい三年、そういう範囲内での対応策として考えるべき性格のものであろうというふうに考えております。  ただ、もう一点、業種雇用安定法、これは特定雇用調整業種という形で業種を指定しております。これは今言いました構造的な問題を抱えてなかなか短期間に解決しない、そういう意味では、今後の構造改革が進む中で労働者にできるだけ失業しない形でほかに移っていただく、そういうことが必要である。失業なき労働移動というような言い方をしておりますが、そういう対策が今後重要課題になる。  そういう観点からいきますと、そういう対策を仮にとるとすれば、これはやはり関係労使間で十分協議をして、いろんなお話し合いをして、そういう結論を得た上でその労働者が移ると。移る際に、仕事が変われば職業訓練も必要になる、あるいは新しい仕事に行ったところで一定期間の賃金助成もすると、こういう枠組みになるわけでございます。  そうしますと、そういう話し合いをする期間等におきましても当該企業においては相当厳しいと。そういう意味では、移るまでの間に労働者を抱えていただく必要性もあるわけで、構造対策の一環として雇用調整助成金制度活用する、こんな枠組みも業種雇用安定法の中ではあるわけでございまして、一方でそういう役割も構造対策としてあるというふうに考えております。
  67. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 そうしますと、いわゆる休業など、一年、二年、三年ぐらいのスパンで雇用調整をして、それで支える場合と、今おっしゃった構造変化に見合って、業種雇用安定法にいわゆる失業なき労働移動への役割を担わせるというその二つの側面の場合、これからの将来、この雇用調整金の役割はどちら側に軸足を持っていくんだろうかと。  それから、労働行政としては、誘導的と言うと問題ですけれども、つまり、そうしたいわば誘導的な意味でこの雇用調整金を見直されるということはあるのでしょうか。
  68. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) ただいまの点で申し上げますと、軸足としましては、現時点は明確に特定雇用調整業種業種雇用安定法ベースに移っております。  これは、対象業種で見ましても、短期的な雇用調整助成金制度につきまして今二十業種前後だと思います。特定雇用調整業種は百二十を超えているかと思いますが、金額で見ましても、特定雇用調整業種関係については、平成七年度と八年度で見まして大体二百二十三億円ぐらいの雇用調整助成金の実績になっておりまして、短期的な方は一けたか二けたぐらいだと思います。  そういう意味では、今後の構造問題という点からいきますと、軸足は、先生指摘のように構造問題の方に移っていく、特定雇用調整業種という方に移っているというふうに考えます。ただ、今後経済が急激にまたさらに悪化するというようなことになった場合には、その短期的な意味での雇用調整、こういうものについての仕組み、これもやはり必要であろうというふうに考えております。
  69. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 出向に関しては一年ですよね。そうしますと、この出向に関してはかなり雇用調整金は出ているんでしょうか。そしてまた、この出向者が戻るということがあれば別ですけれども、ほとんど戻らないような状況がある中でこの雇用調整金の役割というのはどういうことになるんでしょうか。
  70. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) 短期的な雇用調整助成金制度の出向というのは、これは御指摘のように戻るという前提で、その雇用を抱える一環としてよそに一時出向していただく、こういう枠組みでございまして、この実績は最近において非常に少ないかと思います。ただ、これも短期的な対応策として、そういう形での雇用の維持を図る、こういう観点からの考え方に基づく対策として、不況期における雇用対策の一環で考えられる、こういうことでございます。
  71. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 雇用調整金をもらって、そして何らかの形でそれが生きていけばいいんですが、倒産をしてしまうというケースもかなり出てくると思うんですが、倒産に至るようなケースというのは何か統計はありますでしょうか。雇用調整金をもらっていて、それが行ってみれば倒産になってしまったというようなことはありますか。
  72. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) 統計的な数字は必ずしもございませんが、おっしゃるようなケースも確かにあろうかと思います。ただ、統計的に見ましてそういうものがたくさんあるかというと、必ずしもそうではないというふうには考えておりますが、具体的な統計的な数字できちんとそこまで把握している状況にはございません。
  73. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 百二十数業種を超えて、二百二十三億というのが失業なき労働移動のために使われた雇用調整金といいますと、これは大体労働者にすると何人ぐらいそういった雇用調整金による移動の効果があったのかということは何かシミュレーションされたことはございますか。
  74. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) その点につきましては、休業、教育訓練につきましてはいずれもその延べ日数になっておるものですから、人目で出まして、純粋の労働者が何人というのはなかなか出にくいところでございます。  人目で見ますと、例えば平成七年度の雇用調整助成金の実績でいきますと、休業の場合七十三万一千四百十三人日、教育訓練が八万五千五百二十五人日、それから出向が、これは人数で出ますが、千百四十六人、こんな数字になっております。
  75. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 そうしますと、雇用調整金がその役割を少しずつ変えながら新しい時代に適応しつつあるということがわかったわけですが、ことしの予算などを見ますと、景気の変動とかその他もありますけれども、大体前年度並みでございますか。——そうですよね。わかりました。  そうしますと、問題は、これからの時代というのは年功序列からキャリア保障の時代だと言われて、こういうスキルアップも含めた教育訓練ということが我が国のこれからの未来の労働力の評価を決めていくのではないかと思うわけですけれども教育訓練に対する予算というものはどのような視点から組まれているんでしょうか。職業訓練
  76. 山中秀樹

    政府委員山中秀樹君) 先生のおっしゃるように、構造の変化で新しい時代に新しい職業を見つけていく、あるいは労働移動が円滑に進むという観点から、これから人材養成をいかに充実してやっていくかということが非常に私ども大切な課題であると思っております。  予算関係につきましては、私ども職業能力開発局の予算額、千六百八十一億円が計上されております。
  77. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 その人材養成という点について、資源のない我が国における労働力のあり方について最後に大臣の御見解をお伺いして、終わりたいと思います。よろしくお願いします。
  78. 岡野裕

    国務大臣岡野裕君) 日進月歩の非常に厳しい時代に我々は生をうけている。したがいまして、それにおくれないような新しい技能あるいは技術というものを身につけませんと、産業経済の構造改革の中でおのれの雇用を維持し、あるいは勤労者諸君の全体の雇用確保するのは非常に難しくなっていると思うわけであります。  したがいまして、今まで短期大学校でありましたものを新たに四年制の大学をつくろうとか、あるいは高校、中学の新卒の皆さんの勉強を技能の習得に限りませんで、もう既に職場にある皆さんが新たな先端技術を身につけて新たなベンチャー企業につくり直していくということで、産業発展にも、おのれが雇用にもかなうようにするというようなことで、今後ますます技能の養成、これの意義が高まってまいる。したがって、それの要請にこたえるような労働行政をやってまいる、かように存じておりますので、ひとつよろしく御協力をいただきますように。
  79. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 終わります。
  80. 川橋幸子

    川橋幸子君 民主党・新緑風会の川橋幸子であります。  まず第一に、労働大臣に所信というよりも所感という感じでお聞かせいただければありがたいということがあります。  どういうことかといいますと、岡野大臣は、御出身は郵政省でいらっしゃいまして、郵政三事業を抱えて非常に大規模な予算になれている大臣でいらっしゃるのではないかと私は思いますが、今次の労働省予算をごらんになられまして、その規模についても何か感想がおありかなと思います。それと、一般会計の予算審議を現在しているわけでございますけれども労働省一般会計予算というのは五千億円余でございます。その一方では、十倍ぐらいの五兆四千億余の特別会計でもって労働行政というものは賄われているわけでございます。五千億余の一般会計で、また実施の段階では節減なんていうことが大蔵省の方から指示された場合には、本当に労働省大変だなと同情する気持ちも大きいのでございます。一方では、雇用促進事業団の見直しが与党でいらっしゃる自民党の行革本部の方からも指摘されている、こんな状況であるわけでございます。  官と民の役割ということが盛んに言われます。労働省の場合は、その官と民の役割が一般会計と特別会計、特別会計というのはどこまでが官でどこまでが民かというのはちょっとあいまいなところがございますけれども、こういう予算編成を岡野労働大臣はごらんになられますと、労働省に長くいた人間があるいは見落としているような新鮮な所感をきっとお持ちなのではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
  81. 岡野裕

    国務大臣岡野裕君) 先生いろいろな角度から私に御質問をいただきましたので、あるいは答弁が一、二欠けるかもしれませんがお許しをいただきたいと存じます。  まず、郵政会計との絡みで先生冒頭お話がありました。私、実は、郵政省に二十五年おりましたが、人事、労務、それだけでありまして、経理、主計は一遍もやったことがありませんでその詳細を知りませんが、アバウトで言いますと、郵政省というところは郵便、貯金、保険というような現業部門を持っている。それの特別会計が全体の極めて大きなシェアを持っているという意味からしますと、この新しく置かれました労働省も、先生おっしゃいました、全体で五兆九千億、労働保険特別会計五兆四千億、残りが一般会計五千億というような意味合いでは特別会計が非常に大きい。  特別会計というのは一般会計、税収入等と違いますものですから、みずからの力で集めてまいった、郵便局でいいますと、郵便の切手を売った、貯金にお入りをいただいた、そういったものの対価、これによって諸経費を賄っております。したがって、労働省も同じようにみずからの特別会計で、だから労働省としては大蔵省に大きな顔ができるのではないかと、間違っているかも存じませんけれども、私はそんなふうに思っております。  しかし、郵政会計におきましても、郵便のはがき代、切手代というようなものは国民の皆様の負担に相なるものですから、やっぱり安くて済めばこれにこしたことはない。同じような意味合いで、この労働省の特別会計の中心になっている労働保険特別会計も同じく勤労者の諸君あるいは事業主の皆さんに負担をおかけしているというようなことでありますれば、現下の橋本内閣が考えておりますところの、税金負担のほかに、やはりこの種の負担も全体的に軽減をしてまいるということでございますので、我々としては、限られた予算というものを効率的に配分し、効率的に使用して国民の皆さんの負担を少なくすると同時に、我々の労働行政の全きを期し、よってもって経済発展及び勤労者諸君の雇用の安定、あるいは人生設計の楽しみというような要請に沿えるようにしてまいらなければならない、こう基本的には考えている次第であります。  なお、一部特殊法人等につきまして、橋本内閣としては、各省、その機能の抜本的な見直しをした上で、これの存否あるいは一部機能の廃止等々を考えろというような宿題をいただいておりまして、労働省といたしましても、特殊法人あるいは認可法人等につきまして、その機能一つずつ見直しているその真っ最中だ、こういうことでございます。
  82. 川橋幸子

    川橋幸子君 大変示唆に富むお答え、ありがとうございました。  さて、それでは二点目に移らせていただきます。  橋本内閣におきましては、経済構造改革といいますのがさまざまな改革の中でも大変大きく言われているところでございます。経済構造改革の中で主要なポイントとなっておりますのが市場開放、規制緩和推進ということかと思いますが、このいずれもが経済に影響を及ぼすと同時に雇用にも大きな影響を及ぼすものでございます。こうした経済構造改革を今やれば、将来においてビジネスチャンスがふえるとか、あるいは内外価格差が縮小しまして有効需要が喚起されて新事業といいますか新雇用がふえるといういいお話がある一方で、当面はミクロで痛みを感じる部分もあるのではないかということが指摘されているわけでございます。  ということで、私も市場開放、規制緩和というのは日本のために今やらなければいけないことだとは思うのでございますが、逆に雇用面から考えますと、過渡期におきましてはどんな問題が発生することが予想されるのか。そういう問題が発生することが予想されるのであれば、あらかじめそれに対する準備をする必要があり、こういう準備をするから国民の皆さんにも市場開放、規制緩和といった構造改革に協力をしてほしい、こういう国民への説明というんでしょうか、いわゆるよく言われておりますアカウンタビリティーというものが発揮されますと構造改革に対する国民の協力というものも得られやすくなるのではないかと思います。  ということで、過渡期においてどんな問題が予想され、それのためにはどのような手を打つということが労働行政において考えられているのかお伺いしたいと思います。
  83. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) 御指摘のとおり、市場開放、規制緩和等の構造改革の推進につきましては、積極的な面としましては、新しいビジネスチャンスの拡大によって新たな雇用機会創出が可能となる一方で、規制に依存していた分野におきましては、これによって雇用問題が発生する、そういう可能性、両面がございます。  ただ、他面で、現状のままでそれでは推移したらどうかという点になりますと、これはこの非常に厳しい世界的な経済の中で非常に成長率もダウンして、これまた失業問題がより顕在化する。したがって、構造改革は進めていかなければならない、一方で、その面で雇用問題も発生する、こういうことでございます。  これにどう対処するかという点につきまして、これはなかなか難しい問題ではございますが、私どもの立場として考えられるのは、そういう意味雇用機会が減少する分野から、新たに他の成長分野で雇用が生ずるわけでございますから、その分野に円滑に労働移動ができる、これができれば雇用問題が生じない。これはゼロというわけにはまいりませんけれども考え方の筋道としてはそういうことが非常に重要である、こういうことになるわけでございます。そういう観点からいきますと、そこの間のギャップが大きければ大きいほど失業問題が顕在化してくる、こういうことになるわけでございまして、そのギャップをできるだけ少なくするための雇用対策が非常に重要であるというふうに考えています。  そういう観点から、繰り返しになりますが、一つ中小企業労働力確保法、こういうものに基づく中小企業ベンチャー企業活力を生かした雇用機会創出対策、あるいは業種雇用安定法の機動的な運用によります失業なき労働移動、それに対する支援、そういう対策実施しているところでございます。今回御審議をお願いします地域における集積技能の活用という意味での地域雇用開発等促進法、これもやはりそういう視点を踏まえた対策一つとして考えているところであります。
  84. 川橋幸子

    川橋幸子君 現在、既にもうそうした構造改革に向けてのさまざまな政策メニューがそろいつつあるということかなとは思います。ですけれども、実際に国民といいますか一般市民が知りたいのは、数量的にどこでどのような問題が出るのか。我慢をするならその我慢のしようがあるわけでございまして、そこを明らかにしてほしいというこういうニーズが出てくるのではないかと思います。現在検討中でございますので、いずれさまざまな改革の結論が出て内閣で方針が決まってからということかもわかりませんけれども、ぜひその段階ではそのような情報としての、ミクロヘの痛みのある部分を労働省としても明らかにしていただきたいと思います。  次はまた、きょうは一連の改革の話に結びつけてお尋ねしたいと思っているわけでございますけれども、次は行政改革、その一環としての特殊法人見直しと言うんでしょうか特殊法人改革と言うんでしょうか、主として公務部門における改革が雇用面に及ぼす影響というものも、詳細は方向が決まってからということになりますにいたしましても、予想されることは必至であるわけでございます。  そうした場合、橋本総理は三月初めに日経連根本二郎会長に、行革については雇用面への影響をよく考えてほしいというようなことをお話になったという新聞記事を拝見しておりましたが、こうした公務部門の雇用対策への責任というのは、一体どこが主管して漏れなく責任をちゃんと持ってくれるのかなというようなことが私の心配事でございます。  労働省の場合は民間の雇用に対する責任を所管される。特殊法人というのは民間かなとは思いますが、全体としてはパブリックな公務部門ということを考えましたときに、行革あるいは特殊法人改革ということによって生じます雇用面への対策というのはどのようにやっていくことになるのか教えていただきたいと思います。
  85. 岡野裕

    国務大臣岡野裕君) 現下置かれた情勢の中で橋本内閣がその中核として推し進めておりますところの行革、これによって国民の皆さんの負担を少なくするという意味合いで、私どもは全力投球でこの行革に協力をしていかなければならない、心の底からそう思っている次第であります。  しかしながら、国家中央行政組織から始まりまして特殊法人の組織の統廃合その他、いずれにせよその組織に働く勤労者諸君の雇用の問題が発生するであろうということは、我々最大関心事として見守っているところであります。  ちょうどもう二年前でありますけれども、村山内閣当時、特殊法人の見直しによって発生する雇用問題についての対策本部というものが定まりまして、私労働大臣もその副本部長を仰せつかっているところでございます。組織統合等によりまして国家公務員の失業者が出るというような場合に、その数を極力少なくし、あるいはその再雇用というようなものに結びつけるのは総務庁さんかなと思っております。特殊法人につきましては、総務庁と労働省と五分五分の、あるいは七、三ぐらいの、比重は違うかもしれませんけれども労働省もその一端を担うというような意味合いで、副本部長としては精力的に取り組んでまいりたい。  私は、言い方が間違っているかもしれませんけれども、生首は切らないという言葉が使われております。その意味合いで、やはり定年が来られて満足して御退官あるいは御退職をなさるというような皆さんの後補充の新規採用、それをこらえていくというような意味雇用対策あるいは離職対策、まずこれを講ずるのが称するところの生首は切らないということだと思っております。そういう意味合いで、生首を切らないということを中心に踏まえて円満なる雇用施策として講じてまいりたい。  まことに今の段階では抽象的であります。どのくらいの規模の国家公務員の行政整理が行われるものか、どのくらいの規模の特殊法人、認可法人等の統廃合その他が行われるものか。現在特殊法人は全体で五十二万人の職員を抱えている、その五十二万人がどういうふうになるのかというような展望がまだ開けてまいりません。したがいまして、どのような体制にも応ぜられるような準備体制だけは労働省においてとってまいりたい、こう思っている次第であります。
  86. 川橋幸子

    川橋幸子君 内閣全体でお取り組みになります際には、労働大臣、副本部長でいらっしゃるということで、御活躍をといいますか、ぜひ大臣のしっかりした監視の目で雇用を守っていただきますようにお願いしたいと思います。  その次は、これは規制緩和の一環ということだろうと思いますが、金融ビッグバンということに備えまして持ち株会社が解禁されるということが報じられているわけでございます。持ち株会社の解禁によります労使関係あり方についてはもう既にさまざまお答えをいただいているところでございますが、今度は、その雇用対策役割とか手法が変わっていくのではないかという観点からお尋ねしたいと思います。  持ち株会社というのがどの程度、どういう産業、どういう業種に採用されるか、これはまだ不明なのかもわかりませんけれども、ビッグバンと言われるようなことを考えますと、金融業の中での雇用市場、これだけでも結構大きなものがあると思います。これが大きく変わるのではないかというそういう気が私はするわけでございます。  今まで日本の終身雇用というんでしょうか、労使関係というんでしょうか、いいところがあるというふうに言われてまいった点がございます。どういうことかというと、企業労働市場が非常に柔軟にしなやかに産業構造の転換に対応していくと。例えば旭化成さん、名前申し上げても大丈夫だと思います。旭化成さんは、その昔は繊維だったのが、今はもう本当に総合的な産業になっておられる。むしろ大きな企業労働市場がしなやかに動くことによって雇用確保される。だから、雇用調整給付金というようなことで、循環型の、二、三年間型の不況期にはそういう失業対策といいますか、雇用対策が有効だと言われてまいったわけでございます。  しかし、この持ち株会社というのが解禁された場合には、こういう企業労働市場というものが分割されていくことになるのか、それとも系列会社というんでしょうか、系列化が強化されて、何かグループ企業みたいなものが多くなっていくのでしょうか。その予測をどのように考えていらっしゃるか、それを伺った上で、それでは労働省は、仮定の話でも結構ですが、そういう予測の仮定に立ってどういう雇用対策考えていこうとされるのか、方向性だけで結構ですので、お教えいただきたいと思います。
  87. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) なかなか難しい御質問でございまして的確にお答えできないかと思いますが、例えば金融ビッグバン、これは国際的な経済社会情勢の中で避けて通れない。そうしますと、金融機関についてこれがうまくいかないというようなことで、例えば現実問題として阪和銀行のような問題があるわけでございますが、そういうものが出てくる、これにどう対処するか。  これにつきましてはなかなかいい知恵もないわけでございまして、ああいうふうな事態になるとすれば、それに応じた対策、これは事後的な対策ということにもなるわけでございますが、いろんな知恵を出して、いずれにしろ、失業給付で生活の安定を図る、あるいは個別の公共職業安定機関における職業相談、紹介によって新たなところに就職をしていただく、あるいは必要な転職のための職業能力開発をする、そういうことで最善の努力をしなければならない、そういう場面も想定されるところでございます。  それから、持ち株会社の解禁等、こういう問題につきまして、これはやはり経済構造改革、これが避けて通れない課題である。そういう中の一環としてそういう問題が出てき、これが実行される。そういうことで産業構造変化が急激に進む、あるいは一方で少子・高齢化、こういうものも進展していく、こういう非常に大きな環境変化、これが当然労働市場にも大きな影響を及ぼすことが想定されるわけでございます。  これにどう対処したらいいかという点につきまして、昨年十二月に公表されました雇用政策研究会の報告書におきましても、こうした環境変化に的確に対応しなければ我が国も高失業社会に陥る、そういう懸念がある、こういう指摘がされているところでございます。  このために、雇用対策労働面からの対応としましては、産業経済全体として見た場合に、やはり長期雇用システムのメリットを生かしながら、少子・高齢化に対応した人事、あるいは雇用システムの構築、生涯にわたる職業能力開発の充実等の内部労働市場の改革をより以上積極的に進める必要があるという点。  それから、外部労働市場の整備という観点からいきますと、労働力需給調整機能強化、これは一つには公共インフラとしての無料職業紹介の機関であります公共職業紹介所、こういうものの強化と、あわせまして民間におきます有料職業紹介事業、これについての強化、そういう課題もあろうかと思いますが、そういう問題。あるいは個人主導の職業能力開発推進。そういう非常に厳しい環境変化に対処するために労働者一人一人が積極的に自己の能力開発を進めていく、そういうものについての支援の方法。あるいは失業なき労働移動という形での対策。そんなことが外部労働市場の整備という観点からの必要な対策であろうというふうに考えているところでございます。  労働省といたしましては、こういう提言を踏まえながら、環境変化に適切に対応する必要な施策、これは状況変化に応じてとっていかなければならないわけでございまして、そういう対策について今後積極的に検討してまいりたいというふうに考えております。
  88. 川橋幸子

    川橋幸子君 難しい課題かと思いますけれども経済というのはお金、資源といった単位で見る場合と、人の生涯という単位で見る場合がございまして、ぜひ後者の方の人間の生き方、働き方の問題については労働省の方でしっかりと目配りをお願いできればありがたいと思います。  これに関連してでございますが、雇用対策基本計画、平成七年十二月ですから策定されてそう間もないものでございます。ですけれども、最近の経済構造改革等々のさまざまの改革を拝見しておりますと、もう一度改定するなり少し見直して補強するなり、そういう作業に取りかかった方がよいのではないかというのが、全く個人的な意見でございますけれどもございます。その際は、先ほどの局長答弁の中にも既にこれからは個人への支援政策中心に据えたいというような感じのお話がありましたので、私もその方に努力していただきたいと思っているわけでございます。  いま一点、経済計画と対応しまして雇用対策基本計画が立てられる場合に、産業構造変化よりもむしろかなり細かい職業構造変化というものを情報として国民に示す、それによって個人が自分の行動の中で対処できる部分もかなりある。若者もこれからは、寄らば大樹の陰ではなくて、自分の職業というのを考えるようになるだろうと思いますし、それから、日本の場合六十歳以上の高齢者の人たちも意外に労働力率が高い。これをもし日本のよさというのであれば、そういう引退する前の期間の職業生活にぴったりとくるような短時間の専門職、男性向けの専門職、これは男女に限らずで制度的にはよいのでございますけれども、そういう何かビジョンを示すような職業構造の見通しを立てていただきたいというのが希望でございますが、いかがでございましょうか。
  89. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) まず、雇用対策基本計画でございますが、これにつきましては、平成十二年度までを計画期間といたします第八次の雇用対策基本計画、これが平成七年十二月に閣議決定されたところでございますが、構造改革のための経済社会計画と調和を図りつつ、「経済社会の変革期において雇用の安定を確保するとともに、労働者が可能性を主体的に追求できる社会、安心して働ける社会を実現するための環境整備を図ること」、これを課題として今後の雇用対策の基本方向を示したものでございます。  この計画につきましては、現時点で改定を行うことはまだ考えておりませんが、計画策定後の状況を踏まえまして、地域における高度な技能を活用した新事業展開による雇用創出であるとか、人材育成への支援など新たな雇用対策を講じようということで、今回、地域雇用開発等促進法改正についての審議をお願いしているところでございます。また、今後とも第八次雇用対策基本計画を踏まえつつ、状況変化に応じて必要な対策を行ってまいりたいというふうに考えております。  また、この基本計画を踏まえまして、毎年度、雇用の見通しと職業安定行政の重点課題、重点施策、こういうことで年次雇用計画を作成しているところでございまして、今後、先生指摘のように、働く方々に対して労働省がどのような考え方のもとでどのような雇用対策を行っていくのか十分理解していただけるよう、こうした基本計画あるいは年次計画の周知について努力をしてまいりたいというふうに考えております。  また、職業構造変革、これもなかなか難しい課題でございますけれども、私ども、日本労働研究機構、JILという略称ですが、そこにおきまして職業ハンドブックというのをつくっております。これについては、この職業が今後どういうふうな伸び方をするかというようなことも含めたものでございまして、これについて現在改訂の準備等も進めておりまして、こういう職業の今後のあり方について、先生指摘のように、働く方々に役に立つような形での検討をしてまいりたいというふうに考えております。
  90. 川橋幸子

    川橋幸子君 こんなような局長とのやりとりを大臣お聞きいただけたかと思いますが、労働行政というのはほかの行政とも違いまして、人を対象にすることが一つ。それと、人を対象といいましても、農林業の方とか福祉事業の方というのは、縦割りじゃなくて本当に横断的に全産業にいる人間を対象とする、そういう行政なわけでございます。  そういう特徴点を持つ中で、現在、橋本総理は行政改革会議を主宰されて、二十一世紀の国家機能あり方考えたい、このように打ち出されているわけでございます。労働行政の場合は、そうした労働行政の特徴を踏まえた場合に、二十一世紀の国家機能の中の一つ労働行政としてはどういう点を論点として、どういう方向に行政を伸ばしていくことが必要と、何かお感じになられる点で結構でございますので、お教えいただければと思います。それで質問を終わりたいと思います。
  91. 岡野裕

    国務大臣岡野裕君) 橋本内閣が標榜している一つの柱に、今までの行政はとかく生産者向けの行政であった、しかしこれからは生活者向けの行政をやっていくべきだと、御存じのとおり、そういう言葉が一つ柱としてございます。  その生活者の立場に立ってというものを一番代表できるのが我が労働省であり労働行政だという意味合いで、言いますならば時代の先端を行く行政の一つ労働省は担っている。そこに働き場を得ている労働省二万五千といたしましては、非常に人生意気に感じてやらなければならない、こう私は考えているところでございます。  ところで、先般、笹野先生お話のときにもお答えをしたわけでありますが、そういう生活者が一番基盤とするものは、文化、教養、レクリエーション、あるいはグルメ、スポーツ等々いろいろあるわけでありますが、そういった人生の楽しさを享受するためにも基本になる職場といいますか職業といいますか、これを身につけて、相応の対価を得て生活の基盤が安定しなければ、上部構造的な、今私がお話を申し上げたような人生の楽しさ、これは望むべくもないというような意味合いで、労働行政の中に雇用という柱があるぞと。  この雇用確保するためには、産業構造の変革とか景気の好不況というような問題の中で、それを乗り切っていくべく、やはり自分に自信ある技能というものを身につける職能教育というものがこれから非常に大事になるし、立派な職場を得て労働を提供してまいる場合には、労働安全衛生というような意味で十分その環境が立派でなければ安心した労働の提供はできないのではないか。あるいは、最低生活を維持するためにも労働の最低の条件の基準というようなものは確保していかなければならない。  加えて、女性職場進出というか社会的な存在価値が大きく伸びているというような中で、我が労働省女性局というものがあるというようなことで、そういった労働省の持ついろいろの機能を十分的に発揮して、今、時代の要請にこたえて生活者としての労働行政を進めてまいりたい、こう思っている次第であります。  答えになっているかどうかわかりませんが、そんなつもりでおります。
  92. 川橋幸子

    川橋幸子君 終わります。  どうもありがとうございました。
  93. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 ただいま大臣は、先日の私の質問に対して再度御回答いただきまして、大変なサービスをしていただきまして、心より御礼申し上げたいというふうに思っております。  予算関連の質問をさせていただきたいと思います。  労働省が所管しています認可法人、公益法人、合わせてその数は幾つあるんでしょうか。
  94. 渡邊信

    政府委員(渡邊信君) 労働省所管の認可法人は四つでございますけれども、公益法人につきましては、平成八年十月一日現在の数字でございますが、社団法人が百九法人、財団法人が百十六法人で、合計二百二十五法人でございます。
  95. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 十年さかのぼった推移をちょっと数字でお示しいただけますか。つまりどれだけふえたかということです。
  96. 渡邊信

    政府委員(渡邊信君) 昭和六十二年の数字で見てみますと、公益法人が、社団法人、財団法人合計いたしまして百八十八でございましたから、九年間で三十七増加をしております。
  97. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 九年間で三十七というのは一年間に三つか四つふえた勘定になるわけですけれども、これはどういうふうに我々は受けとめたらよろしいんでしょうか。
  98. 渡邊信

    政府委員(渡邊信君) 十年くらい前にいっとき一年に十ぐらいふえた時期がございましたけれども、例えば最近、過去四年間の数字を見てみますと、政府全体で所管しております公益法人の数の伸び率が五・七%ぐらいでございまして、労働省の所管分公益法人の伸び率もちょうど五・七%というふうなことになっております。ということで、年間四つぐらいということでございますから、特に著しい増加ということではないのではないかというふうに思っております。  また、公益法人は民間の方が設立をされるわけでありまして、公益性等の要件を満たしましたときには労働大臣としてもこれを許可するということでございますので、あくまで民間の方の創意による設立ということが基本であろうというふうに思っております。
  99. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 それでは、この認可法人の我が労働省出身OBの、つまり再就職というんですか、どのぐらいのパーセントになりますか。
  100. 渡邊信

    政府委員(渡邊信君) 本年の一月現在ですが、先ほど申しましたように労働省所管関連認可法人は四法人でございますけれども、常勤役員数に占めます労働省出身者数の割合を見ますと七八・八%ぐらいになっております。
  101. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 約八割ですね。これは多いんでしょうか、少ないんでしょうか。
  102. 渡邊信

    政府委員(渡邊信君) 認可法人も、これはあくまで民間の方が設立をされることが基本であるというふうなことから考えますと、私どももいささか割合が高いのではないかというふうに思います。
  103. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 閣議決定をしております「公益法人の設立許可及び指導監督基準」及び「公益法人に対する検査等の委託等に関する基準」というのが出ておりますが、その中に、こういう法人はOBは三分の一ぐらいが相当であるという基準があるんですけれども、そういうところからすると、この八割というのはどうしたものでしょうか。
  104. 渡邊信

    政府委員(渡邊信君) 今、委員指摘のように、平成八年九月の閣議決定で「公益法人の設立許可及び指導監督基準」というものが決定されておりますが、その中で、公益法人の理事については、所管官庁の出身者が占める割合を理事現在数の三分の一以下とするというふうにされているところでございます。  ただ、この三分の一の計算の仕方でございますが、これは常勤理事だけでなくて非常勤の理事も加えたその中での所管官庁の出身者の割合であるというふうになっておりまして、そういう意味でいきますと、この四認可法人につきましても、非常勤の役員も含めると、もしそういうふうに計算した場合には三分の一以下になっているところでございます。  ただ、実際に職務を執行しております常勤の理事に対する割合が先ほどの八割近いということになりますと、これはやはり相当高い比率ではないかというふうに思います。
  105. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 そういうときには三分の一に減らすように努力するという規定もあります。  そこで、ちょっとお尋ねいたしますが、この法人の労働省出身の役職の一番最高に高いお給料は幾らになっていますか。
  106. 渡邊信

    政府委員(渡邊信君) 労働省のOBの方の給与が最も高い法人の方の給与でございますけれども、認可法人、公益法人、両方通じて見ますと、最高月額ではいずれも百二十万八千円というふうに現在なっております。
  107. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 平均値はそれでいいんですけれども、私の手元にある資料は、労働福祉事業団の理事長は百三十二万五千円と、こういうふうになっていますが、これはこれで正しいんでしょうか。
  108. 渡邊信

    政府委員(渡邊信君) 特殊法人でございますと、雇用促進事業団と労働福祉事業団の理事長の俸給月額が、今、委員指摘のように百三十二万五千円ということでございます。
  109. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 うらやましいなという感じがいたします。  私は非常に労働省が好きな一人ですので、労働行政にとても情熱を燃やしている一人ですので、一生懸命仕事をするならば給料はそれに合うのもいいですし、また法人がしっかり仕事をしているならばそれでもいいというふうに思っている一人ですが、今行革の中で、こういう状況労働省はまさにマークされている一つの省であるというところからすると、こういう現象というのは、やっぱり批判されるんではなくて、よくやっているなというような評価を得ていただきたいというふうに私は思うわけですが、その点はいかがですか。
  110. 渡邊信

    政府委員(渡邊信君) 現在、特殊法人の改革について大変熱心な、真摯な議論が行われている最中でございまして、労働省としましても特殊法人改革に積極的に、前向きに取り組まなければいけないというふうに思っています。  特に、こういった特殊法人、設立をされまして長い年月を経るうちに、やはり日常業務が惰性に流れたり、どうも目的、範囲内ではありましても少し行き過ぎかなというふうなところがありまして、常日ごろ私ども自身の問題として点検をする、見直しをする、効率化を図る、こういった努力を怠ってはならないというふうに考えているわけでありまして、私ども所管の特殊法人につきましても、そういった観点から時代の要請に合うような特殊法人にしていかなければいけない、こんなふうに思っております。また、そういった仕事をしていただく中で理事理事長の俸給というものも適正に決めていくべきだろうというふうに思っているところであります。
  111. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 それでは、認可法人、公益法人、合わせて補助金の総額は幾らですか。
  112. 渡邊信

    政府委員(渡邊信君) 労働省所管の認可法人と公益法人に支出をしております平成九年度の補助金の予定総額は四百三十二億円でございます。
  113. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 九七年二月三日の朝日新聞にこういう記事が出ているのを御存じだと思います。この記事は、公益法人に補助を幾ら出しているかという各省庁の順番別で、労働省は三番目に補助金が多いというふうに指摘されていて、この記事の内容はあたかもそれが国民にとって余り重大ではないかのような印象を受ける新聞の記事になっております。  私は、これを見ましてちょっと憮然といたしまして、お金を使った効果というのは称賛されるべき効果を出さなければいけないわけですが、三番目に労働省が挙げられて、あたかもむだ遣いをしているかのような印象を受けるというのは大変残念だと思いますが、その点についてはどうお考えですか。
  114. 渡邊信

    政府委員(渡邊信君) 御指摘は毎日新聞の記事であろうかと思いますけれども、補助金の絶対額だけではなくて、やはりそれがどのように効果的にあるいは国民のために使われているか、こういったことであろうと思いますから、この絶対額だけでは一概には申し上げられないのではないかと、こんなふうに思っております。
  115. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 一番国民がわかりやすいのは絶対額ですよね。各省庁の中では労働省が三番目に大きいというと、やっぱり何かむだ遣いしているんじゃないかというふうな気になりますので、今、官房長がお答えになったその言葉が、国民にわかりやすく、そうだと思うような活動をこれからしていただきたいというふうに思います。
  116. 岡野裕

    国務大臣岡野裕君) 一般に、今お話しの補助金等につきましては、やはり財政の改革の中で見直すべき非常に大きな柱だということで、各省庁がもう一遍その必要の是非、むだ遣いはないかということを今検討している。その一環として労働省も、補助金の総額というものはそういうふうになっていると、これは国民の税金の負担によるといいますよりは、先ほどお話をいたしました保険の勘定の中からではございますが、国民の負担という意味合いでは同じであります。  しかしながら、私どもがこの補助金等々を出しております相手先は中小企業者が中心であり、そして勤労者中心であり、あるいは勤労を確保しようという皆さんのために出しているものでありますので、そういった点も十分加味して新聞その他もお読みをいただけるような、我々役人としては下手くそでありますがPRも相兼ねて努めてまいりたい、こう思っております。  幸いにして議事録に残る先生の御質問でありますのでお答えをいたした次第でありますが、ぜひ諸先生におかれましてもその面に力点を置きまして、お地元等々で御披露を賜ればまことに幸せだと存じます。
  117. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 それでは、補助金というのは大体期限を切って助成をする、短いものでは一年もあるでしょうし、三年、五年とあるんですが、この補助金の件数の中で期限を切って助成をしているのは何割ぐらいありますか。
  118. 渡邊信

    政府委員(渡邊信君) 期限を付しております補助金は、労働省所管平成九年度の補助金の件数は全体で十九件でございますが、そのうち時限を付している補助金の件数は六件で、割合は三二%でございます。
  119. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 三二%というのは約三割、あとの七割は、私の知る限りはずるずるとそのままいっている期限を付さない補助金ということになるわけですね、そうしますと。これはやっぱり補助金としての目的というのをちょっと外れるんじゃないかなと私は思うんですが、その点いかがですか。
  120. 渡邊信

    政府委員(渡邊信君) 昭和五十五年の閣議決定におきまして、補助金等につきましては五年以内の終期を設定するというふうに決定をされているわけであります。したがいまして、それ以降の新設補助金につきましては、原則五年以内の終期を設定してきたわけでありますが、先ほど申しましたように、いまだ多くのものが時限を付さずに補助金として支出されているというところでございます。  中身をいろいろと見てみますと、人件費等々の補助であったり、なかなか直ちには時限を付しにくいというものもございますが、私どもこれは常にやはり見直しとか効率とか縮小とか、そういったことを考える必要がある、それは当然のことであろうというふうに思っております。
  121. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 まさに今の御回答のとおりだと私も思っております。私も、なれない予算書を手にいたしまして、何とかこのあとの補助金が何に使われているのか一生懸命勉強したんですけれども、力及ばずで、きょうは今そういう状態の中で批判をされないような補助金のあり方というのをしっかりやっていただきたいというような気がいたしますので、その点もあわせて努力していただきたいというふうに思っております。  続きまして、公益法人については、公益法人の設立及び監督に関する規則で事業計画などの提出が義務づけられているというふうに思っておりますけれども、これらの資料については一般公開をしているんでしょうか。
  122. 渡邊信

    政府委員(渡邊信君) 昨年の九月二十日に閣議決定をされました公益法人の設立許可及び指導監督基準におきましても、「公益法人の業務及び財務等に関する情報については、自主的に開示すること。」というふうに決定をされているところであります。  労働大臣の所管に属します公益法人は、委員指摘の公益法人の設立及び監督に関する規則におきまして、毎事業年度ごとに事業計画書あるいは財務諸表等を労働大臣に提出しなければならないこととされております。この資料は労働大臣に提出するわけでありますが、提出するその資料を公開するかどうかということにつきましては各公益法人において判断されることとなっておりますが、閣議決定の趣旨も踏まえまして、公益法人の開示が進むように必要に応じて指導していかなければいけないというふうに思っております。  この資料の公開につきましては、先ほど申しました閣議決定の中におきまして、「情報公開については、技術的検討を行い、具体的基準を定めるもの」とされておりまして、目下その具体的基準について検討中であるとも聞いておりますので、いずれにしましても、こういったものをこれから参考にしながらできるだけ情報開示を指導していきたいというふうに思います。
  123. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 あわせて、特殊法人財務諸表法案というのがありまして、これもまさに公益法人に対しては補助金等を開示しなければいけないというふうになっているんですけれども、この点はどうですか。
  124. 渡邊信

    政府委員(渡邊信君) 今御指摘の法案は、いわゆる特殊法人ディスクロージャー法案ということで、三月十一日に閣議決定をしてこの国会に政府として提出をしているものでございます。  これは、特殊法人の財務諸表等の開示に関するものでございますけれども、こういったものに照らしましても、公益法人のうち特に補助金を受けているものにつきましては、こういったものをできるだけ開示をしていくことが、こういったものの精神からしましても、準じてやはり行っていくことが必要ではないかというふうに考えているところでございます。
  125. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 今のお話では、今の段階では積極的に公示はしていないというふうに受け取れるわけですが、この補助金が何か国民の前にむだ遣いであるようなそういう印象を受けるというのは、やっぱり公開をしないというところに原因があるのではないかなという私は気がしております。  いろんな面からいっても、これは自主的に公開しなさいという条文がある中で、私はやっぱり積極的に公開すれば労働行政というのはこんなに一生懸命やっているんだということがわかってもらえるというふうに思うわけです。そういう意味では、あらゆる法律もあり、いろんな方法もあるわけですから、これからきちっとこの点は公開をしていただければ、私はむだな誤解を受けないで済むと思う一人ですので、その点はそのようにしていただきたいというふうに思います。  さて、私は常々ばかの一つ覚えのようにあることを言うくせがあります。その一つのくせの中で、労働行政というのが働く人というものをターゲットにしている行政であるならば、働き方はいろんな働き方があって、農業で働いている人もやっぱり働いている人の中に入れなければいけないんじゃないかという、そういう持論の持ち主の一人です。今回の予算の中では、農山村雇用開発推進事業というものがあって、そこに予算が計上されています。これはどういう内容のどういう事業でしょうか。
  126. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) ただいま御指摘予算でございますが、なかなか先生のかねがねの御主張にストレートにはおこたえしにくい面があるんですが、この基本的な考え方としましては、平成九年度から新たに実施する農山村雇用開発推進事業、これは農山村地域におきまして地元の農産物あるいは自然の景観等の地域資源を活用した雇用開発のモデルとなるような事業に対して支援を行う、こういう考え方でございます。  これにつきましては、農山村地域におきます雇用開発に当たっては、企業誘致だけではなくて、それぞれの地域関係者の創意工夫によっていわゆる地域内発型の雇用開発を進めていくことが特に重要である、こういう考え方でございます。  具体的には二つ対策でございまして、一つは、市町村あるいは農業関係団体等の関係者によって構成されます農山村雇用開発推進委員会、これは予算上一応モデル的に十五カ所という積算になっておりますが、それが行う事業主に対する指導、助言等の活動に対する支援ということで、一団体で大体七百五十万円程度の単価を考えております。  それから二点目といたしましては、雇用開発計画を策定した事業主がこの計画に基づいて新たに労働者を雇い入れた場合に、農山村雇用開発助成金といたしまして雇い入れ後一年間の賃金に対する助成、これは四分の一、中小企業の場合は三分の一。それから事業所の設置に要した費用に対する助成、これは事業所の設置に要した費用と雇い入れ労働者数に応じて二百五十万円から四千万円というようなことを一定期間行う、そんな内容がこの農山村雇用開発推進事業の概要でございます。
  127. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 局長のなだらかな御説明に総論としては何かおぼろげにわかったような気がするんですけれども、具体的にはどういう職業をイメージしているんですか。どういう仕事の内容をイメージしているんですか。
  128. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) どういう内容の具体的イメージというのがなかなか難しいんですが、要するに一般的な企業誘致というものだけでなくて、農村地域において関係者がいろいろ工夫をしてこういうものをやろうという、こういう形で何か事業をやる場合、それに対して雇用面で雇用開発を進めるという面からの支援をする、こんな考え方のものでございます。  したがって、一般的な例えば工場を誘致してそこに当然労働者を雇い入れる、こういうもの、それだけではなかなか難しいという面もあるものですから、いろいろ工夫してやってくださいと、こういう対策であります。
  129. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 何だかこういうのはわかったようなわからないような感じがするんです。  例えば、これは要するにアドベンチャー農業なんですね。今までの農業とそれにプラスして何か新しいものを開発するんですね。そうすると、例えばシイタケ栽培をして、自分一人ならだめだけれども、その栽培の事業をやるときにだれか一人でも人を雇用するとこの対象になるという意味ですか。
  130. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) ただいまその活用した例が来ました。  おっしゃるように、例えばメロンであれば地元産のメロンを活用したワインとかシャーベット、ゼリーとかそんなものを製造する。そういう事業をやるときに、そこに雇用開発ということで人が働くような場合ですね。あるいはリンゴを活用したジュース、ジャムであるとか、リンゴの木を活用した樹皮細工、リンゴ草木染等の製造販売であるとか、あるいはニンジン、タマネギ等の農産物の規格外品を活用したエキス工場とか、そういういろんな形の地域の特産品等を生かした事業をやる際にそこに雇用開発をすると、こういう場合に支援をしよう、こういうことでございます。
  131. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 苦しい御答弁を大変ありがとうございました。  私はやっぱりこれからは、自然を愛するというのかな、農業に従事して農業で働くという勤労者というのはとても大事じゃないかなと思うんですが、今度初めて農業の方にこういう新しい予算をつけたというのは大変よかったなという半面、農業後継者がいないいないと大騒ぎをしている現状を、農業で働いてもこれはやっぱり勤労者であるという、そういうことから農業の、産業に対する農業という業ですが、後継者づくりに対してこれからどのような労働省としてのお考えがあるかどうかをお聞きして、私の質問を終わります。
  132. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) 実は、私も農家の長男に生まれましたものですから、先生のおっしゃる趣旨はよくわかるんですが、農業に見切りをつけてこっちへ出てきてしまいました。  おっしゃるように、近年、農業労働力の減少あるいは高齢化等が進む中で、我が国の農業あるいは農村の維持発展を図っていくためには、効率的、安定的な農業経営体を育成するとともに、農業を担う人材確保育成することが非常に重要な課題であるのは御指摘のとおりでございます。  農業従事者の多くが自営農家でございまして、一方で兼業農家が非常に多いわけで、兼業農家という面からいきますと、これは御承知のように働く場が二つあって、一方では一般の企業で働いていてかつ兼業で農業をやる、そういう意味での後継者という者はおるわけでございますが、農業だけの自営という観点でいきますと、これがなかなか後継者が難しい、こういう問題がございます。  ただ、最近は農業法人等に雇用される農業労働者、これもふえてきておりまして、今後は農業後継者づくりの観点からも、農林水産省あるいは農業関係団体と連携をしながら、農業におきます雇用状況について実態の把握に努めるとともに、農業の分野におきます雇用管理の改善あるいは魅力ある職場づくり、そういうものを進めることによって、今言いましたが農業法人等におきます雇用の増加、そういうことを私どもの方の対策としても図ってまいりたいというふうに考えているところであります。
  133. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 ありがとうございました。
  134. 吉川春子

    ○吉川春子君 まず、就職協定廃止の問題について伺います。  これは私も実は、大学の方の七つの団体のまとめ役である久々宮先生に東京商船大学を訪れましてお話を伺ってまいりまして、非常に大学側としても困惑しているという様子をつぶさに聞いてまいりました。  それで、さっき文部省も言っていましたように、就職協定を廃止した結果、もう三年生のうちから就職活動が始まる、あるいは短大は一年生のときから始まるとなると、ほとんど大学教育というものは就職活動によってゆがめられるという、今もそうですけれども拍車がかかるわけです。こういう問題を文部省に任せておけばいいとばかりは当然言えないわけですが、この就職協定廃止のときに労働省としては、廃止してもらっては困る、こういうような問題について財界などにきちんと意見を言ったんでしょうか、どんな指導をされたんでしょうか、まず伺います。
  135. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) 就職協定廃止に至る経緯におきますかかわり方の問題でございますが、基本的にこの就職協定につきましては、企業と大学等関係団体で構成されます就職協定協議会においてこの協定が締結されてきた、こういう経緯でございます。それについて、私どもは協議会のオブザーバーとして参加してきている、こういうことでございます。したがって、経緯からいきますと今般の就職協定廃止の決定について直接的なかかわりは持っておらないわけでございますが、ただ、オブザーバーという立場で参画してきた経緯がある。  それから、先生指摘のような心配がある点については、私どももそういう心配もいたしてきたわけでございますが、具体的に労働省として関係団体に働きかけたかという点については、一部そういうお話をしたこともございますが、組織的にやったという経緯はございません。関係者の協議を見守りつつ対処してきた、こういう立場であります。
  136. 吉川春子

    ○吉川春子君 非常にそれはまずいと思います。消極的であると思います。やっぱり労働省として雇用問題全般の責任を負う機関なんですから、それはきちっと財界に対しても積極的にいろんな意見を言う、オブザーバーであっても言うということをやらなくてはいけなかったというふうに思うんです。  労働省として、協定廃止後の企業の動きについて、採用計画の変更等実態をつかんでいますか。
  137. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) 就職協定の廃止に関しまして、御指摘のようにマスコミ等におきまして採用、就職活動の早期化、長期化あるいは多様化等が報道されているところでございます。  私どもとして、この就職協定廃止による影響等について、これは統計的、組織的に必ずしもということではございませんけれども報告を受けておりまして、その概要で見ましても、各都道府県の状況をトータルで見ますと、地方の中小企業においては人材確保の面で心配であるというような声もございます。  それから、学生との相談状況で見ますと、平成十年三月の新卒者の例えば学生職業センターあるいは学生職業相談室においでいただいた方、これが時期が早くなっている。御指摘のように大学の三年生あるいは短大の一年生からの相談、そういうものがふえている、そんな状況がございます。
  138. 吉川春子

    ○吉川春子君 この就職協定の廃止をだれが望んだのか。大学側は望んでいませんでした。そして財界も全部望んだかというと、例えば東商などは強く反対していたわけですね。つまり、言ってみれば日経連が望んだわけなんですよ。大企業が望んだ、こういうことなんですね。やっぱり大企業が思いのままに、今でも有利な上にさらに自由に学生の採用活動ができるというようなことは本当に好ましくないことで、今もお話がありましたけれども中小企業なんかは本当に困っているわけですね。  私はそういう点で、中小企業対策等も含めて、就職協定廃止に伴うことしの実態をよくつかんだ上で、ぜひこんなものは廃止ということでなくするということを含めて、大臣、きちっとこの問題については対処していただきたい。労働省は第三者ではないのですからきちっと対処していただきたいと思いますが、いかがですか。
  139. 岡野裕

    国務大臣岡野裕君) 私の労働大臣拝命直後にこの問題が起こりました。私の仕事だと思っておりました。したがって、いついかなるときかは忘れましたけれども、部下に命じまして全面的に対処をせよと言いましたが、今の担当局長の話ではオブザーバーということで退いていたという話でありますが、私はオブザーバーであるということはレクチャーで聞いておりました。したがって、陣頭指揮をとるのではないなということはわかりました。  しかしながら、文部大臣の小杉先生にも日経連の福岡副会長にも、これは非常に労働省としては大きな関心を持って見守っているぞ、内定の取り消し等々非常に悪質なものについては企業名も公表するぞというような話しかけをしておりましたので、先生がおっしゃるほどには傍観は私自身はしておらなかったつもりであります。  ただしかしながら、今規制緩和のときであります。両当事者、つまり就職協定協議会の両当事者は大学校団体とそれから経営者、この二つであります。したがいまして、両者が話をしているときに、いわば行司であります者が中に余りに割って入るというのはいかがなものか、こうも思っておりますが、現にこの就職協定が廃止ということに相なりました。廃止につきましては先生企業の横暴とおっしゃいますが、私はそこまでは考えておりません。やはり日経連の会長の話はじかに聞いておりますが、要するに日経連の会長が一人の当事者、その柱の中心であると私は考えております。  ところが、日経連の会長が言いますのには、私は就職協定はこういうふうにひとつやってまいりたい、こう思っているが、日経連傘下の企業の中で青田狩りをする者が多くて、大学当局と協定を結んでも日経連傘下の者が守らない。それから、大学側の方も一部の学生が、さっきお話ししました、三つも四つも内定をひとり占めにして、それでもう二月ごろになっておれはお前のところには行かない。無礼な表現で、ぶしつけな、ちょっと表現が荒っぽいのでありますが、キャンセルするというようなことで、改めて学生を探さなければならないというようなことも企業としては非常に困っていることだというような意味合いで、これは翻って言うならば学生諸君の間にもひとり占めをされちゃ困るということがあったのでありましょう。  要するに、日経連側は全体をまとめていく当事者として責任が持てない、責任が持てないような約束はできないというようなことだと根本会長からは聞きまして、それではことしはしようがないかというような中で、そういう廃止という状況の中でいかに学生諸君にうまく私どもが積極的に努力をして雇用に結びつけるような、就職ができるような、そして人生の門出というものを明るい雰囲気の中で学生諸君が船をこいでいければいいなということを願って、先ほどお話をしましたような、悪質な内定取り消し等については企業名公表をもって臨むというようなことを、新聞記者会見ではありますが、物申して警鐘を乱打しているというようなことであります。  今後、推移を見守って、ひとつなるべく多くの学生諸君が就職口を持ち、そしてその中には女子学生も男子学生と同じように、そして中小企業皆さんにも立派な職員が採用できるように私どもも公共安定、全国で六百有余の機関がありますもので、情報の提供だとか合同説明会だとか等々いろいろな手はずを講じまして努力をしてまいりたい、こう思っております。
  140. 吉川春子

    ○吉川春子君 一部の学生のそういう行為によって企業が、企業というか日経連がこういう就職協定を廃止するということになったというお話ですけれども、これは何をか言わんやでございまして、ことしはもう廃止されてしまいましたけれども、ぜひ実態をつかみ、来年以降きちっと正していただきたいということを申し上げて、次の質問に行きます。  労働基準監督官と婦人少年室職員の増加の問題について伺いますが、まず監督官の人数及び労働基準法の適用事業場の数、そして監督官一人当たりの事業場数の推移、これはたくさんありますけれども、一九六〇年、八〇年、九〇年、それと直近の数字でお示しいただきたいと思います。
  141. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 労働基準監督官の数等につきまして御説明申し上げます。  労働基準監督官につきましては、昭和三十五年当時二千三百六十八人でございましたが、その後逐年増員いたしまして、平成七年におきましては三千四百十九人となっております。また適用事業場数でございますが、事業所統計調査によって適用事業場数を数えますと、昭和三十五年百五十四万二千事業場でございましたが、平成七年では約四百三十五万五千事業場となっております。  したがいまして、監督官一人当たりの事業場数につきましては、昭和三十五年当時で六百五十一事業場でございましたが、平成七年については千二百七十四事業場になっております。
  142. 吉川春子

    ○吉川春子君 そうすると、この三十年間で監督官の数は何人ふえたということになりますか。
  143. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 平成七年で三千四百十九人でございまして、昭和三十五年当時が二千三百六十八人でございますから、千人余の増加となっておるかと思います。
  144. 吉川春子

    ○吉川春子君 そして、事業場数は今の数字ですと約三倍にふえているんですね。だから、監督官の数は千人しかふえていない、事業場の数は三倍にふえている。ですから、監督官一人当たりの事業場も倍、三倍近くにふえているわけですね。これでは本当に仕事ができないというふうに思うんです。  私が痛切に感じたのは、蒲原沢、小谷村の災害のときに行きまして、あそこは大町と糸魚川の監督署でしたけれども、それぞれ七人とか五人とか、そういう監督官のところが五千事業場とか持っているわけです。あそこは東京とまた違うんですね。物すごい範囲も広いし、行くのにも何時間もかかる。そういうところで五千も持っていたら本当に、あそこはいろいろあの災害に対してはきちっとした対策も、事前に警鐘を出していたりしてきちっとした働きをされていたということはあのときの質問でも指摘いたしましたけれども、それにしても余りにも受け持ち事業場数が多くて、そして本当に監督官としての業務ができない、物理的にできないということなんですけれども、これは数字で見る限り全国的にそういうことになるんだと思うんですが、労働基準法をこの体制で守らせるということは不可能じゃないですか。  ことしは労働基準法施行五十年ですが、労働基準法違反事例、監督実施率及び違反率、これをちょっと数字でお示しいただきたいと思います。
  145. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 法違反件数、違反率でございますが、昭和三十五年七万八千事業場につきまして何らかの違反が、これは安全衛生法を含めましての違反でございますが発見されまして、当時の臨検指導数から見ますと違反率五七・二%になります。  その後、統計のとり方も違いまして単純に比較はできないかと存じますが、安全衛生法等の関連もございまして、自主点検をやっているかどうかとかそういった項目等について追加してきておりますので、そういうものも含めて申し上げますと、平成七年では十万三千事業場について何らかの違反が発見された、違反率は五八・八%になっております。
  146. 吉川春子

    ○吉川春子君 監督実施率についてもちょっと数を言っていただけませんか。
  147. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 監督の実施件数でございますが、今、率をちょっと計算しないとあれでございますが、先ほど申し上げました適用事業場数が昭和三十五年で百五十四万二千事業場でございましたが、当時の定期監督等の実施件数、これに対して十三万六千件でございます。  それから、平成七年で適用事業場数、先ほど四百三十五万五千事業場と申し上げましたが、これに対応する定期監督等の実施件数が十七万六千件でございます。
  148. 吉川春子

    ○吉川春子君 その数字を見ますと、つまり一九六〇年当時監督実施率は一二%だった。ところが九〇年代に入って三・六%まで落ちている。四分の一ぐらいの率になっているわけです。非常に実施率も低いんですけれども、違反率が高い。  ずっとその数値の推移を見ましても、大体違反率が五割以上、六割近い数値になっているわけです。つまり、法律の違反率が五割とか六割とか、こんなに高く違反される法律というのは珍しいのじゃないかと思います。こういう状態を改善するためには何が必要だというふうにお考えでしょうか。
  149. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 御指摘のとおり、この厳しい行政改革等の中で私ども増員に努めてきておるわけでございますが、労働基準監督官数、ただいまの適用事業場数等に比較して十分かと、こういう点は私どもも本当に足りない、そういった中で第一線の監督官の方の御努力あるいは機動力の発揮その他の手法の工夫によりまして、私ども労働基準法を初め安全衛生法等の履行確保を促してきているところでございます。  こういった状況を補うためには、引き続き厳しい情勢の中ではございますが、関係官庁とも精力的に折衝いたしまして、今後とも増員にまず努めてまいりたいという点が第一でございます。  それからもう一つ、やはりこういった状況のもとで効果を上げていくためには、定期臨検、監督等に加えまして計画的な集団指導等を組み合わせたり、あるいは随時労働基準局、他の監督署、そういったことを含めた応援体制、こういうものを計画的に組んでいくことによる機動力の増加、こういったものによってカバーしていく、そういった努力を重ねながら私どもの使命である労働基準法、安全衛生法等の履行確保に努めていくことが必要かというふうに考えております。
  150. 吉川春子

    ○吉川春子君 大臣、伺いますけれども、要するに事業場の数が大幅にふえる、しかし監督官の数はふえない。そして違反率が六割近い。臨検を実際やるといったってできないじゃないですか。毎年毎年数名ずつの増員というふうに言いますけれども、これはもうそういう水準ではだめだというふうに思うんですね。やっぱり国民にとって一番大切なのは、労働基準監督官が目を光らせていて、そして違反しないように、あるいは違反したらすぐその手だてを講ずるとか、そういうことはきちっとするということが必要なんですけれども、いつも質問すると増員に努めていますと言うんですけれども、私は大臣、これを根本的に考え直して、労働者のためのお役所としてそういうことをきちっとするためにはやっぱりどうしたらいいのかということを本当に真剣に考えていただきたいと思うんですが、いかがですか。
  151. 岡野裕

    国務大臣岡野裕君) 労働安全が確保できない、労働災害が発生してあたら人命が失われる、まことに残念なことであり、労働省としてもまことに遺憾千万だ、こういうふうに現象を見ております。  したがいまして、先生、毎年毎年増員に努力をしておるという話を労働省から聞いているがということでありますが、今回も武藤総務庁長官御自身に私は出向きまして、そしてこの定員の確保に努力をしてまいりました。しかしながら、現下置かれた情勢の中で、やはり国家公務員の定数減というようなことは国民の皆さんの負担を軽減するという意味からしても一番大きな柱になっております。したがいまして、労働基準監督官、これは公務員の中でも特別司法職員でございまして、別異な試験をし、別異な採用をいたしておりますが、公務員の労働省の職員の定数の中にあることはそのとおりであります。  したがいまして、一般的でありますが、私どもは、この前もあるいはお話をしたかと思いますけれども、やはり削減する場合には共摘要員から削減をする。共摘要員の最たるものは本省である。したがって、第一線の国民、利用者、お客様といいますか、そういう皆さんと直接応接をするその第一線に一番要員を割くべきだということで、本省を削減しても、その共通分野の職員を削減しても、言いますならば本省の中でも実際に現業と直接結びつくところの要員を多くする。あるいは労働基準局の定員を本省等から割愛をする。労働基準局の定数を割愛して第一線の労働基準監督官定数等に持っていくというような構えで要請をし、国民の負託にこたえ国の方針に沿うというようなことでやっておりますが、先生おっしゃるように、まだまだ不十分な点がありますことは十分反省をして今後とも頑張ってまいりたい、こう思っております。
  152. 吉川春子

    ○吉川春子君 私は、状況説明もなんですけれども、やっぱり根本的にそのことを肝に銘じて、大臣の任期は一年かもしれないけれども、しかし国民あるいは労働者はずっとそういう状態にさらされているわけですよ。特に中小企業あるいはその他ですね。だから私は、もう何十人でも、たくさんでもふやしたいという大臣の決意を一言伺えばいいのであって、状況は、私も総務庁が定削をやっているなどということは知っております。  続いて伺いますけれども、婦人少年室のこの間の定数について、どの程度ふえたんでしょうか。これも三十年前と今日と比べて言っていただきたいと思います。
  153. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) 昭和三十五年の婦人少年室の職員数は百四名でございました。それに比べまして平成七年では二百三十五人ということで、百二十九人ほどふえております。
  154. 吉川春子

    ○吉川春子君 これもまたけたが違うぐらいの少ない数なんですけれども、一九八六年から雇用機会均等法が施行されましてそれに新たな業務が加わったわけなんですけれども、新たな業務が加わったということと職員一人当たりの女性雇用者数、この間女性雇用者もふえてきていますが、その数値と両方お知らせいただきたいと思います。
  155. 太田芳枝

    政府委員太田芳枝君) まず、二つ目の御質問からお答えさせていただきますと、昭和三十五年ですと職員当たりの女性雇用者が七万人ちょっとでございます。平成七年では八万七千人ということで、やはり少し伸びております。  それから、先生指摘のように、労働省婦人少年室の場合は男女雇用機会均等法の施行ということが非常に大きな契機になっておりまして、実は婦人少年室の定員は、先ほど来るる皆様から御説明がありますように削減ということで国家公務員が厳しい状況の中で削減されてきておりますけれども、昭和四十年の百九十九人が定員がピークで削減されておりましたが、昭和六十年には百七十人まで減っておったわけでございます。それが均等法施行後ふえまして、この間、先ほど申しましたように平成七年二百三十五人ということで、この十年間で少ないとはいえ一・四倍になっているということもございます。
  156. 吉川春子

    ○吉川春子君 その職員数がピークだったときの職員一人当たりの雇用者数は四万五千人、そして九五年では八万七千人、倍ではありませんけれども物すごく女性労働者の数もふえているんです。そして女性の、例えば女子学生の就職差別問題などでまず婦少室へ行くわけです。都道府県に一カ所しかないということで、電話を受けるだけでもパニックになっているということで、私は労働省仕事は、新しいいろんな法律をつくることはもちろんそれも大切ですけれども、大切な法律もあるかもしれないけれども、やっぱり職安とか基準署とか婦少室とか、こういうところで今決められている職種、仕事をきちっとやることだと。そのための人員の確保にやっぱり全力を挙げて取り組んでいただくことが一番重要な仕事ではないか、そのように思うわけです。  大臣に御答弁いただきますとまたちょっと次の質問の関係がありましてあれなんですが、その点を肝に銘じて、ぜひ職員を確保して仕事がきちっとできるような体制を、大臣一言で決意だけおっしゃっていただきたいと思います。
  157. 岡野裕

    国務大臣岡野裕君) 決意いたします。
  158. 吉川春子

    ○吉川春子君 いいです、決意していただければ。  それで、所定外労働時間の問題をちょっとお伺いしたいんですけれども、年間実労働時間、それと所定内労働時間、所定外労働時間を、これはパートを除いておっしゃっていただきたいと思います。
  159. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 前の月の統計調査で見ます年間の総実労働時間でございますが、御指摘のようにパート労働者を除いて平成八年を見ますと、所定内の労働時間が千八百五十五時間、それから所定外が百六十一時間、合計二千十六時間となっております。
  160. 吉川春子

    ○吉川春子君 ですから、パートを除くとまだ二千時間を超えるわけなんですね。非常に長時間労働だというふうに数値が示していると思います。  それで、政府は国際公約でもある労働時間短縮、千八百時間達成のために所定外労働時間の削減ということを進めていますけれども、所定外労働削減要綱、これはどういうものですか。
  161. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 御指摘の所定外労働削減要綱、これは平成三年にゆとり創造専門家会議等の提言を受けまして私ども策定いたしまして、労使労働時間短縮に取り組んでいただく際の一つのよりどころ、指針といたしまして活用してまいっているものでございます。
  162. 吉川春子

    ○吉川春子君 趣旨を言ってください。
  163. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 趣旨がただいまのところでございまして、内容からいたしますと、所定外労働の削減が自由時間の確保や家庭生活あるいは社会参加、そういった観点から必要であるということを共通で理解いたしましょうということが一つ。  したがいまして、そういったことを踏まえて、当面毎年一〇%ずつこの所定外労働時間を削減するとともに、いわゆるサービス残業や休日労働をなくしていこう、こういうことを労使の取り組むべき事項の指針として示している内容でございます。
  164. 吉川春子

    ○吉川春子君 休日労働をやめるということも書いていますね。  それで、もう時間がなくなったんで端的に伺いますが、これは男性の労働者に対する目標でしょうか、それとも男女労働者に対して同じように毎年一〇%ずつ所定外労働を削減し休日労働はやめると、こういうことは男女労働者に対しての目標ですね。
  165. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 私ども、そこに盛り込まれております所定外労働時間の削減はもとより、サービス残業、休日労働の問題について、理念といたしても男女特に分けているつもりはございません。  ただ、実情から申し上げますと、所定外労働時間が現在は平成八年で百四十五時間でございますが、当時は百八十時間前後の水準でございました。これを百四十七時間という目標を置いてそこに一〇%ずつ近づいていくということでございまして、そういったことから見ますと、かなり男性の長時間労働ということを念頭に置いていたことは事実でございます。
  166. 吉川春子

    ○吉川春子君 この問題、引き続きやりたいと思いますが、ともかく労働省は所定外労働時間を毎年一〇%削減する、休日労働はやめる、こういう方針を立てて時短を進めていると。だから、女性はこれからは百五十時間の上限はやめて三百六十時間まで、しかも目安時間でやってもいいとか休日労働の禁止は女性だけ外すということはこの所定外労働削減要綱にも反すると。そのことだけ申し上げて、私の質問、きょうは終わります。
  167. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 以上をもちまして、平成九年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、労働省所管についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  168. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  169. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 地域雇用開発等促進法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  170. 今泉昭

    今泉昭君 平成会今泉でございます。  地域雇用開発等促進法の一部を改正する法律案につきまして、最初雇用の問題から少しお尋ねをしてみたいと思います。  きょういただきました、ここに置いてありました「平成九年度の経済見通しと経済運営の基本的態度」の中に政府の経済見通しが出ているわけでございますが、この経済見通しを作成されたときのいわゆる失業率というものはどのくらい想定をされておりましたでしょうか。    〔委員長退席、理事長谷川清君着席〕
  171. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) いわゆる経済見通しの表の数字としては出ておりませんが、一応それで計算しますと、完全失業率は三・三%ということになります。
  172. 今泉昭

    今泉昭君 バブルの崩壊以降、我が国雇用情勢は大変思わしくない数字をずっと続けているわけでございまして、間もなくよくなる間もなくよくなるという声だけは聞いていたんですが、依然として三%台を切ることができないような水準、特にこの二、三カ月は三・三でずっと続いているわけでございます。  今、来年度、九年度の経済見通しの中で、政府としては同じような状況の三・三%で推移をするというような見通しを含まれているわけでございますが、それに関連して少し数字をお聞きしたいと思います。  例えば、この中ではいわゆる実質経済成長率の見通しを一・九%と見ていらっしゃいます。前の年になるところの平成八年度の確定的な国民生産の伸びはまだ出ていないわけでございますが、いろいろ聞くところによると、三%台に乗るんじゃないか、こういうことも言われているわけですが、これは恐らく消費税の四月一日からの引き上げに向けての駆け込み需要が相当あったと。特に建設の異常とも言えるような戸数の増加であるとかあるいは鉄板消費財の伸びなどを考えてみますと、多少高くなるのは当然だろうというふうに私は考えるわけですが、三%台に伸びるということは、必然的にその次の年の要するに経済成長率のげたを高くしているわけですね。  したがいまして、この一・九%と予測をしているのは、八年度に比べまして経済成長率が落ちるということでありますけれども、実質的には一・九%ではなくして恐らく一%を切る年度間の上昇率にすぎないという見通しを立てているのではないかというふうに、げたが相当高くなると私は見ているものですからそう思うわけでございますが、そういう中で三・三%というのは大丈夫なんでしょうか。
  173. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) 大丈夫でしょうかという御質問に対して的確なお答えにはなりませんが、政府といたしましては十二月の予算編成時点におきまして経済見通しを立てておるわけでございまして、その数字としては、先生指摘のように実質経済成長率一・九%という見通し、それに基づいて失業率は三・三%。これは八年度の平均、これもまだ最終的に出ませんが、平均が大体三・四%ぐらいという見通してございまして、それより若干よくなるという数字でございますが、三・三%。  これがそれじゃ九年度の見通しとしてどうかという点につきましては、足元の現在の状況が御指摘のように三・三%というところで足踏みをしている状況である、こういうことでございまして、それがこれから先どうなるかという点はなかなか難しいわけでございますが、一・九%という見通しとの関係でいけば、この三・三%という数字は実現は可能ではないかというふうに考えているところでございます。
  174. 今泉昭

    今泉昭君 それじゃ二、三のそれに関連することについて具体的にお聞きしたいと思うんですが、例えばバブル崩壊後二つの点で雇用の問題が心配をされてきたと思います。  一つは、バブルの物すごく景気がいいときに、大企業中心としまして、見通しを誤ったせいもあったんでしょうけれども、大量の雇用を行いました。特に争って新卒学卒者を採っちゃった。必要以上に多くの雇用を内部に抱えたということがございました。そういう反動から、バブルの崩壊とともに、特に大企業企業内に約二百万近くの企業失業者を抱えているんじゃないだろうかということが盛んに喧伝された時期がございました。  それから、新聞でも毎日のように出てきたわけでございますけれども、どこどこの某大企業は何年間がかりでリストラに向けて雇用をこれだけ減らすということが連日にわたって出てきたわけでございますが、局長の判断として、その後ずっと各大企業で行われてきました雇用調整、リストラというものが一通り今の段階では終了したというふうに考えていらっしゃるのかどうか、まずそれだけお伺いしたい。
  175. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) 御指摘のように、いわゆるバブル崩壊後の深刻な不況期、これで業種でいえば相当幅広く不況ということでございまして、そういう中で大企業等を中心にリストラが進められてきた、そういう事実経過がございますが、そういうリストラの状況が今日的段階でどういうことかという点になりますと、特に状況の厳しかった製造業の一部業種等も含めて見ました場合に、一応リストラの状況が一段落しているのではないかというふうに考えております。    〔理事長谷川清君退席、委員長着席〕
  176. 今泉昭

    今泉昭君 それからもう一つの、当時言われていたところの、大企業ということではなしに全般的な意味でもう一つの心配の柱と言われた、いわゆる産業空洞化からくるところの雇用の不安ということ、特に製造業中心として高コスト構造の我が国の苦しみから逃げ出すために海外にどんどん企業が出ていったのは御承知のとおりだと思うわけでございまして、既に海外へ進出している我が国企業が外地で雇用している労働者の数は三百万人を上回るのではないだろうかというふうに言われているわけでございます。  現に、製造業の従業員数などを前年と比較してみても、去年あたりは七十万人近く減少しているわけでございます。これも、そういう意味での海外転出ということを軸としただけではなくして、大企業のリストラという面も含めまして恐らく大きく減少しているのではないかと思うんですが、今言いました雇用空洞化の動向ということにつきましては、多少今のところ円安に振れてきているとはいいながら、これもまた一応ストップがかかっている状況というような御判断ですか、それともさらにもっと激化していくという判断か、ちょっとお聞きしたい。
  177. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) その点につきましてはなかなか難しいところでございまして、先生指摘のように、円安というところから以前言われていた空洞化テンポが多少鈍っているかなという感じがある半面、ただ他面でいきますと、これは国際経済社会の中でのいわば避けて通れない道という観点から、先ほど申し上げましたように海外生産の比率が製造業で高くなっている傾向があるわけで、その傾向というのがここでとまるとは考えられない。そういう面があって、やはりいわゆる産業空洞化雇用空洞化につながる。これは非常に今後の心配な点ではないかなというふうに考えております。
  178. 今泉昭

    今泉昭君 雇用空洞化の問題につきましては、特に我が国の高コスト構造というものを受けまして、私どもも大変心配をしているわけですが、これは政府がどのような形で規制緩和、行政改革を行うかということに実は大きくかかっている一面があると思うわけです。と申しますのは、特に空洞化を行っている産業というのは製造業中心になっているんではないかと思います。この製造業というのはどちらかといえば規制の大変少ない産業でございまして、数字で言うと一六%ぐらいまだ規制が残っているようでございますが、ほぼ裸になっているような状態。いわば裸でもって国際的な競争基準の中に投げ出されて、一生懸命努力して我が国経済を支えてきたグループではなかったかと思います。  ところが、こういう製造業国内において、例えば、規制で守られていたほかの産業というのは国際社会の中での、世界的な基準の中での環境になかったわけですから、守られてきたわけですから、非常に生産性が低くて、高い価格でも国内で生きていけたという状況。そういうものを直接的に受ける製造業としては、御存じのように、エネルギーコストは高い、輸送コストは高い、材料コストは高いという中で、一手にその負担を受けながら、実は我慢をしながら頑張っていったところですね。  ですから、そういう意味では、規制に守られたそういう産業の規制を早いところ取っ払って、ある意味では世界的な競争の基準という中で戦ってもらうような一つは体質をつくってもらう。そういう状況をつくってもらうことによって、製造業が何も海外に転出していく、逃げ出していく必要がないようにしてもらうことが政治の役割だというふうに思うわけでございます。しかしながら、なかなか規制緩和というのは先に進まないというような状況であります。  そこで、この空洞化状況考えた中で、これは大臣にお伺いしたいと思うんですが、これからの我が国労働行政雇用対策というのは、我が国産業政策というものとこれは密接に絡んだ問題だろうと思うんです。産業政策の問題を無視した雇用確保であるとか雇用対策なんというのは、私は絵にかいたもちだろうと思うわけでございまして、そういう意味で、閣僚の一員として、我が国の二十一世紀に向けて、その時代におけるところの我が国の戦略的な産業構図というのをどのように考えていらっしゃるのか。  例えば、大変一つのはやりになっている、もう我が国は脱工業化したんだ、あるいは世界的に先進国は脱工業化でいわば情報化産業中心となっていく社会なんだから、そこに向けての要するに高度技能を開発していけばいいというような一つ考え方に基づく産業政策と、そうではないと、第三の波にあらわれているようないわば情報化社会を支えるのは、物づくりを中心とした製造業ががっちり支えた上で乗っかっていかなきゃならないんだということでは、随分産業の戦略というのは違ってくると思うんですが、いかがでしょうか。政府としてはどういう構図を描いていらっしゃるのか、まずお伺いしたい。
  179. 岡野裕

    国務大臣岡野裕君) 政府としては、閣僚の一人としてはという今泉先生のお尋ねでありますが、岡野裕考え方をちょっとお話をしますと、衣食住という言葉があります。もう傍らには、昔、士農工商という言葉がありました。その衣食住といいますものは人間生存の基本だと思うわけでありますが、そのうちで食、これは生産力を自分で維持していくための中心であります。その食を維持するのは農であります。士農工商といって、農は士に続いて一番社会的評価が高かった。それから、工商の工は衣と住であります。織物を織って衣服としてまとい、そして住のために家を建てる。これはいずれも工であります。したがって、農工というものは流通業である商よりも上に位をしていた。  今日、流通業があるいは情報通信産業が非常に優位だといろいろ話がありますけれども、やはり流通業といえども、情報といえども、運ぶものがなければ流通業が成り立たぬわけであります。そういう意味からすると、私は、あるいは農であるとか工であるとかいいますものの重要性の意味というものは、これは変わらないのではないかと。どの産業が重要でどの産業が軽いということではなくて、やっぱり工というような意味での物づくりというものが大切だと。  先生、ちょっときざでありますが、その昔、人間と動物はどこが違うかというようなのを若いころ読んだことがあります。そのころ、ホモサピエンスだとかホモファベルなんて言葉は、五十年も昔ですが、まだ頭のどこかにあります。人間と動物と区別をするのは、やっぱり考える動物だということでホモサピエンスという言葉がありました。だけれども考えるなら猿でも考えるじゃないかというようなことで、その後ホモファベルという言葉が出まして、ファベルというのは道具をつくる人、道具を使う動物という意味合いで、一般の動物と人間とはここが違う、ホモファベルだということからしても、人間の人間たるゆえんは物をつくるのだということだと思います。  そういう意味合いで、今日でも、物づくり、製造業といいますものは人間の一番中核ではないかと。いささかきざなお話をいたしましたが、そんなふうに私はとらまえております。
  180. 今泉昭

    今泉昭君 禅問答をしているようで、ちょっとごまかされたような気がするのでございますが、私どもは、冷戦構造が崩壊をして世界がメガコンペティション、自由主義経済の中で物すごく競い合う時代において、かつて我が国が高度経済成長の初期の段階に行った、通産を中心とした産業政策を国家の戦略としてつくってやれということを、今改めてやれという気持ちは持っておりませんけれども、しかし、今まで経験をしてきたことのないような経済構造の大変革が行われている。我が国だけではなくして世界的な規模で行われておる中において、自由主義経済の競争の中にただ黙って投げ出されていれば、弱肉強食、優勝劣敗の例のごとく、なかなか生きていくというのは難しい情勢にあるんじゃないだろうか。  だから、ある意味では、国がどのような産業政策を持ち、どういう産業政策に重点を置き、そういう中の雇用をどうするかということを多少聞きたいと思ったんですが、さきのお答えではなかなかそれは受け取ることはできませんでした。ただ感じられたことは、とにかく物をつくるというのを基盤にすることは間違いないということだろうと思いますから、そういうことを前提といたしましてちょっとお伺いしたいんです。  とにかく、今空洞化がどんどん進んでいる。今空洞化状況というのはどういう実態になっておりますか。私どもが一般的に聞く段階においては、海外におけるところの製造業の生産比率が九五年の記録では一〇%になった。この調子でいけば一九九八年には二四%になりますよという推計まで出ている。これはドイツやアメリカもしのぐような大変高い海外生産比率でございまして、現に個別の製品で見てみますと、びっくりするような海外生産比率が出ていますね。例えば電気製品のカラーテレビなんかもう八〇%を超えていますし、冷蔵庫だって七〇%、VTRだって六〇%を超しているという状況であります。特に、これはリストラをやってきた大企業中心とした製品に多いわけでございまして、そういう意味で、どうでしょう、この空洞化の流れというものの今の実態をちょっと、もしありましたら知らせていただきたいと思います。
  181. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) いわゆる海外生産比率、個別の産業で比較するのはなかなか困難でございますが、トータルとして製造業ベースでこの海外生産比率を見ました場合に、アメリカ平成五年で二五・二%でございます。ドイツが二〇・三%、かなり高い比率になっております。我が国もかなり進行しているわけでございますが、平成六年度時点で見ますと八・六%。平成元年が五・七%でございますから、テンポがかなり速くなっているんですが、まだ現状としてはそういう状況であると。ただし、個別の産業で見れば先生指摘のようなそういう問題がある、こういうことだろうと思います。
  182. 今泉昭

    今泉昭君 特に製造業中心とした産業がそのような形で海外海外へと出ていくわけで空洞化が進むわけでございますので、そういう中で今回、法案の中で一部改正という形で出されたこの法案というものは、高度技能活用という形で、産業集積基盤におけるところの特に高度技能開発というものを頭に描かれて出されたんではないかと思うんですけれども、特にこの法律というのは、労働省だけの問題ではなくして、通産が同時に出している特定産業集積基盤の活性化の問題と大変オーバーラップしてきている問題ではないかと思うんですが、この産業集積という意味で、いろんな意味での産業集積というのは我が国にあると思うんですね。  大ざっぱに私自身が考えてみますと、要するに製造業におけるところの産業集積という形で分類をしてみますと、一つは、完成品をそのまま消費者に提供できるような企業一つ地域に集まって高度な技能を競い合っているという状況。例えばこれは金属産業でいいますと、三条、燕の洋食器の企業群であるとか、あるいは繊維でいえば、香川県の引田にあるような手袋を中心とした産業集積地、これはいわば産地という表現が一番当たるんじゃないだろうかと思うんですが、そういう意味一つ産業の集積地というのがあると思うんです。  それからもう一つは、企業城下町という意味で、大企業がそこにどぼっと一つあって、とにかくその大企業の生産体制の枠の中に入って、そのお得意さんの大企業が要請する型どおりに高度な技術をつくって供給をしているという集積地。ただし、この場合は、ある意味では非常に転換が難しい、限られた大企業相手の仕事を長いことやっているから転換が難しいという形での産業集積地が一つあると思うんです。  それからもう一つは、製品に種類がなく、いろんな製品をつくりながら、そして顧客もどこという形に限定していなくて、どこの企業とでも関係を結んでいるという、例えば大田区を中心とする工場集落群、川崎地区の同じような集落群、さらには東大阪にあるところの産業集積地であるとか、あるいはまた長野県の坂城にあるような一つの集積地、こういうものがたくさん我が国には存在をしているというふうに考えるんですが、ここで言うところの高度技能を活用する場合の産業集積地を恐らく対象にされている。そのために新しくその部分を加えたんじゃないかと思うんですが、その中にも、実は競争力が大変比較優位性を失って、どんどんなくなっていかなきゃならないような集積地もあるわけですね。  しかしながら、その地域の特色を生かすために地域としては何としても残したい、どんなに金をかけてでも地域の特色を残していきたいという意味で守っていこう守っていこうという集積地もあると思うんですが、ここで言うところの高度技能活用雇用創出というのは、現在ある集積地全部を対象にしているのか、それとも、国として今後こういう方向で伸びていく産業が実は必要なんだから、そこのところに焦点を当ててこれを活用していこうと思っているのか、その点をちょっとお聞きしたい。
  183. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) ただいまの御指摘もなかなか難しい御指摘でございまして、おっしゃるように幾つかのパターンがあるだろうと思います。それから、大企業の城下町と言えるようなところ、そういうところもあろうかと思います。  ただ、他面で、やっぱり競争社会の中で生き残っていくためには、一つ企業だけとの関係ではなかなか生き残れないというようなことから、そこでまた多数・複数化する、こういうような形もあろうかと思います。そういう意味では、パターンがいろいろある中で、やはり共通的なそういう考え方もあろうかと思います。  私どもが行政を進めるに当たりましては、やはり客観的な基準で、一定考え方で整理する、こういうことで対処を考える、こういうことになるわけでございまして、そういう観点からいきますと、今回の法律におきましては、地域としては製造業関係事業所が集積しているところ、経済上の理由によって当該地域における雇用状況が悪化し、または悪化するおそれがある、それで技能が集積していると、こういうようなところで押さえていく、こういうことでございます。  したがいまして、そういうことで押さえた場合には、結果としては今言ったような地域、いずれの地域でも一定考え方で整理する、そういうことで対象になり得るのではないかというふうに考えております。
  184. 今泉昭

    今泉昭君 通産の方も来ていらっしゃると思いますので、通産の方にもお聞きしたいと思うんですが、通産の方では中小企業活性化法案の中で既に九十四の地域を指定されていると思うんですね。要するに前の法律に基づいて指定した実績が九十四ですかございますね。  これらの地域指定を見てみますと、一地域に限定されているものもあると思えば、多町村にまたがる大変広い地域のものもあると思うわけです。恐らくこれもねらいは産業基盤の、特に重要な中小企業対策という意味考えられて、その援助策をいろいろ考えてこられたと思うんですが、労働省の場合の地域指定とかあるいは援助の窓口というものとの調整が、省庁が違うがために行き違いがあったりしちや大変むだが多いわけでございまして、その間の調整というのはどういうふうに行われてきたのかちょっとお聞きしたいと思います。
  185. 岡田秀一

    説明員(岡田秀一君) 御説明申し上げます。  通産省の方で用意いたしました地域産業集積活性化法、これでは新たに基盤的技術産業集積という概念を持ち込んだわけでございますが、この地域と本日御審議いただいております地域雇用開発等促進法の中に設けられます高度技能活用雇用安定地域というのは、どちらも技術あるいは技能というものが集積しているという点で地域のとらえ方に大きな共通点がございます。また、両方の地域にかかわる業種の構成やあるいは規模などの要件もほぼ同様のものを想定しておりますので、おのずと対象となる地域には共通性が出てくると思っております。  また、窓口などの違いで地元に迷惑がかかるんではないかという御指摘がございましたけれども、県の方では、大きなところでは商工部、あるいは労働部ということに分かれておりますけれども、通常のサイズの県ですと商工労働部ということで、商工行政あるいは労働行政が県のレベルでは同じ部で扱われておるということでございます。実はこの二つ法律は、昨年の夏ごろから通産省、労働省で非常に綿密に連絡をとりながら作業を進めてまいりましたので、法律が成立いたしました後、施行する際にも、これまでどおり緊密な連絡をとりまして、法律は別でございますけれども一体的な運用ができるように、両方の法律で同じような地域を可能な限り指定いたしまして、対策も相乗的な効果が発揮されるように連携協力して運用してまいる所存でございます。
  186. 今泉昭

    今泉昭君 これまで法律を施行されていて、今回新しく高度技能活用という形のものをつけ加えられたわけですけれども、今までの政策の効果ということを考えてみていかがなものでしょう。例えば、これは参議院の調査室からもらった資料をちょっと見てみますと、いろいろな施策をとったけれども、実際上、産業集積地におけるところの効果が果たして出ているかどうかということは大変疑問な面があるわけです。  具体的に申し上げますと、例えば東京都の城南地区を中心とする産業集積地の場合、平成三年度は約五千六百の事業所があった。平成六年にはこれが約一千事業所減っちゃって、ここに働いている労働者も一万七千人ぐらい減ってしまっている、こういう実績が出ておりますし、売上高を見ましても、大体三〇%も大幅に減少している、こういう実態があります。さらに三条・燕地区の状況も同じような形で、通産もそうでございますけれども労働省のいろんな意味での援助施策がとられてきているにもかかわらず、大きな代表的な意味での集積地におけるところの活性化というものが目に見えて実は出てきてないわけです。いずれも軒並み事業所の数が減っている、そこで働く労働者も減少している、売上高も減っているという状況なんですけれども、こういう状況を踏まえて、今回の新しい高度技能活用というものをつけ加えられた要因というのは特にどういう点があるか、お聞きしたいと思います。
  187. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) 地域雇用開発等促進法におきます現行の地域でまずどれぐらい雇用機会創出されたか、こういう点につきまして、これも正確にお聞きするのはなかなか難しい点がありますけれども、私ども助成金の支給という面から見た場合に、現行の地域指定、御承知のように雇用機会増大促進地域が四十二地域、特定雇用機会増大促進地域が三地域というような結果でございます。  総量としての雇用状況で見ますと、事業所を設置、整備している地域内に居住する求職者を雇い入れる事業主に対する助成措置、これは地域雇用開発助成金ということでございますが、これを実施しているわけでございます。これによる直接的な雇用創出人員で見た場合に、これは助成金の出発時の昭和六十二年度から平成七年度までのトータルで見た場合に二十五万人という数字になっております。そういう意味では、一定地域における雇用機会の増大に役割を果たしているのではないかというふうに考えております。
  188. 今泉昭

    今泉昭君 新しい製品を開発し、そして新しい技術を生み出してそこに雇用機会をつくっていくという考え方、これはもう当然考えることなんですけれども、今むしろ我が国の場合大変心配なのは、既存の技術というものがどんどん失われていっているという面で雇用がなくなっていっているという心配が大変多いわけです。  確かに、新しい技術を生み出す、新しい製品を生み出すというような意味での雇用創出も大切ではございますけれども、あわせて、現在の技能であるとか技術というものがなくなっていけば元も子もないわけでございます。そういう意味では、現在の技能とか技術ということを考える場合に一番重要なことは、やっぱりこれは人の問題だろうと思います。  そういう意味で、人の技術というものをいかに守っていくかということが大変重要ではないだろうかと思うんですが、そういう面に対しての施策というものがこの中にはどちらかといえば余り強調されていないように思うんです。その点についての考え方をお聞きしたいと思います。
  189. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) 御指摘のとおりでございまして、現在ある技術あるいはすぐれた技能、そういうものを守り活用していかなければ、空洞化する中でそれを放置しておけば我が国の物づくりの基盤が失われてしまう、御指摘のとおりでございます。  これにつきましては、関係団体、私どもの調査等においてもそういう問題がある、こういうことから今回地域雇用開発等促進法改正の御審議をお願いしているということでございまして、従来の対策につきましては確かに、そういう視点にウエートがあったかというと、総量としての雇用という観点からの対策が重点でございまして、すぐれた技能、技術を守り育てる、そういう視点が欠けていたということは否定できないと思います。そういう観点から、今回この地域雇用開発等促進法改正をお願いしたい、こういうことで対処したいというふうに思っておるところであります。
  190. 岡野裕

    国務大臣岡野裕君) 職安局長だとそういうことになると思いますが、職能局長の方であれば、先生がおっしゃいますような旧来から伝統の、例えば高山のたくみでありますとか、屋根職でありますとか、植木屋でありますとかいうような技能はやっぱり非常に重要なものだと。かつてならば徒弟制度、マイスター、ドイツのマイスターではなくて、日本の師匠さんと弟子というようなことで口伝によって、あるいは実践の手法を伝授するというようなことでありましたものを、今度は職能教育というような面でそういうものも取り上げていこう、かつそういう技術を持っている方の社会的評価を高めようというようなことで、私どもは職能大学というようなものを新たに設立をしていくといいますか、というようなものをつくってまいりたい、関係の文部省当局とも相談をしながらというようなことでありまして、いわゆるそういった技能というようなものの貴重さ、それを存続、承継させねばならない。大いに意欲を燃やしているところであります。
  191. 今泉昭

    今泉昭君 この技能の問題は、私は、特にたくみの世界のそのような形での技能、これも大切なことなんですが、その心配というよりも、一般的な熟練技能ということに一番危惧を実は抱いているわけです。  というのは、どんな高度な開発をしてどんな新しい製品を生み出しても、それを実際につくる技能者というのは大変数の多い、すそ野の広い世界で存在しているわけです。例えば、私はよく例に出すんですが、シリコンバレーにおきまして大変すばらしい高容量のICが開発されていきますけれども、それを実際に設計図に書いてみたところで物ができてくれるわけじゃないんです。それをつくるのは一体だれなのか。それをつくる機械をまずつくらなきゃいかぬ、それはほとんどが日本製品です。  御存じのように、ミクロの世界で日本の場合は大変優秀な企業がたくさんあったわけです。例えば眼鏡であるとか顕微鏡やあるいはカメラをつくっていたニコンであるとかキャノンがそれを利用してステッパーといういわばIC製造機をつくっているわけでして、これがアメリカに行って初めてその計画したすばらしい製品ができるわけです。ところが、その機械をつくる前の段階の、要するに物づくりというのはその前の段階なんです。その前の段階の金型であるとか鍛造であるとか鋳物であるとかあるいはメッキであるとか、そういうような一般的な熟練技能者、これのすそ野というものが多ければ多いほど基盤技術というのは安泰なわけでございます。  ところが、そういうところの中小企業というのは大変今高齢化しちゃっていて、まず若者が来ない、三K職場なんかだれも行かない。しかも、さっき話をしました集積基盤の企業が集まっているところというのは、むしろ最近は都市化の流れの中で公害を出すということで追い出されるような状況になっている。工場法の制限があってなかなかうまくいかない。とにかく条件が悪いような状態にばかりなっているわけでありまして、そういう中で新しい製品開発をしても、新しい技能を開発しても、物をつくるところの基盤が足元から崩れていったんではこれはどうしようもないと思うんです。そういう意味で、たくみの世界ではない、その前の段階の熟練技能労働者というもののすそ野をがっちり守るようなやっぱり雇用対策というものが必要なんではないか。  そういう意味では、これは教育制度とも大いに絡んでくることでございまして、私は何もドイツのマイスター制度がいいとは申しませんが、ああいう形の、労働省がやる職業大学というんですか訓練大学ですか、これも一つ考え方でしょうけれども、それには限りがあるわけです、限定されているわけですから。だから国全体がそういう教育システムをやっぱりつくっていかなきゃこの基盤はなくなっていくと思います。  というのは、私どもが若いころは、当時はまだ貧しかったから、中学で優秀な人間が大学に行きたくても行けない、それだったら専門学校に行こうかといって相当優秀な人間が専門学校へ行った。そして、専門学校、高等学校を卒業して現場の職人として製造業に入って現在のいわば熟練労働者の底辺のすそ野を広げてきたわけです。ところが、今それがすっかり崩れてしまつちゃった。そういう人たちが今高齢化しちゃった。こういう資料を見てみますと、大体この基盤技術の中に従事している人たちは四十歳以上の人ばかりです。だからそういう意味での、底辺の労働者が来れるような環境をつくるという意味での雇用創出、こういう点での視点がどうも私はこれにはないんじゃないだろうかという気がしてならないわけです。これは労働省だけがやる問題じゃないとは思いますけれども。  実は、午前中に商工委員会で、産業集積基盤のときにも私このことを申し上げたんですが、これは省庁の縦割り行政ではできないもの、省庁の縦割り行政を乗り越えて日本の産業をどうするか、これからの我が国をどう築いていくかという大きなやっぱり国家戦略という意味合いでの考え方が必要だなというふうに私は思っているわけでございまして、そういう意味での職業訓練というものを考えていただけないものかと思うわけです。どうでしょうか。
  192. 山中秀樹

    政府委員山中秀樹君) 先生のおっしゃるとおりだと私どもは思います。物をつくる設計段階で、設計したはいいが実際現場に行って物ができるかというとなかなかできないということで、今、先生おっしゃったように若い人たちが技能離れを起こして、そういう基本的な金型製作とかメッキとか表面処理とか、こういう基本的なところになかなが入ってきたがらないという面もありますし、そういう面から私どももぜひ熟練技能者が育つような環境というものをどんどん整備していく必要があるというふうに思っております。  そういう意味で、先生御承知のとおり、技能尊重機運等々いろんな政策を講じているわけですが、そういう意味で技能者が社会的に評価されるようなものを、技能検定制度という制度でやっていますけれども企業の方がそれを見て優遇していくとか、いろんな形で物をつくるということについてみんながやっていかなきゃいけない、そんなような状況にあるというのは全くおっしゃるとおりだと思います。  私どもこの公共職業訓練、養成訓練という形で技能労働者、先ほど先生が御指摘のように数は限られておりますが、そういう基本的な技能が身につくような訓練体系というのを十分考えていきたいというふうに思っております。
  193. 今泉昭

    今泉昭君 我が国の場合は、大企業はもう御存じのように企業の中で職業訓練をしていくというような力もありましたしそういう伝統もありましたから、大企業の場合はある意味では心配のない一面があるんですが、ところがこれには金がかかる、高コスト構造なものですから。それも外に出してしまうというような流れがあるということが一つ。  もう一つは、数から言うととにかく中小企業が一番大きな問題。私はこれは東南アジアにいい教訓の例があると思うんです。と申しますのは、我が国の先進的な製造業の大企業がどんどんASEAN地域に出てまいりました。ASEANにおきましてもだんだん経済産業が活性化をしてまいりました。ところが、その次の段階として今度はさらに中国とか——ASEANじゃなくて、さっき言いましたのは要するにマレーシアとか香港とかシンガポールとかというところのリトルタイガーと言われる企業群です。これに対して、今度は新しく中国とかあるいはインドとか、さらに一段おくれたところが同じような形で、日本に続いていたような国がかつて日本を追い上げたような形で今度は追い上げてきた。  彼らが今一番危機感を感じているのは、日本からもらった優秀な物をつくるというものは、いわば大企業が持っているところのエンジニアリング技術と日本のすばらしい機械設備を日本からもらって、現地の安い賃金コストでそれを組み立てて付加価値を入れてつくっていたという形を中心とした産業発展だったわけです。彼らの国々には日本にあるような中小企業中心とした底辺の技術が全くといっていいぐらいないわけです。彼らは今何を日本に要求しているかというと、日本の中小企業産業基盤そっくり来てくれと言っているわけです。というのは、中国とかインドから追い上げられてくるのを防ぐために、そういう基盤を自分たちでつくらなきゃならないということに目覚めているわけです。  ですから、そういう流れを見てみますと、一つ中小企業中心としたすそ野の広い産業基盤というのは我が国産業にとっていかに重要か、そしてそこを支えておる技能労働者というのは大切かということが本当にわかるわけなんです。  そういう意味で、技能の水準を守るということをやっていただきたいと同時に、もう一つここに必要なことは、個々の中小企業群に大切なことは、要するにこれらの中小企業が商取引という面では大変弱い立場に立たされているわけです。大体日本の国内において大企業に納めるわけですから、大企業からがちがちコストを攻められる、そういうところはさっきも申しましたように高齢化をしている、そして設備も老朽化している、これを受け継いでいくような人もなかなか見当たらないというような状況の中で四苦八苦している。  下請振興法などができまして、いろんな意味で商習慣で強い者からいじめられるのをできるだけ国が守ってやろうじゃないかという形の法律幾つかできてはいるけれども、実際の商取引の現場ではとにかく弱い立場に立たされている。これを裏返せば、そこでつくられる技能を使った製品の価値を低く見られているということなんです、要は。このことが、すなわち我が国のそこで働く労働者の熟練労働というものをいかに安く低目に評価をしているかというのが商取引に私はあらわれていると思うんです。  そういう意味でもう一つ重要なことは、商取引の面での新しい仕組みというものを考えていただく、それを下から支えるような商取引というもののシステムを日本がやっぱりつくり上げることが技術基盤をなくすのを防ぐことになるんではないだろうかというように考えているわけでございまして、この法案自体に対しては私は反対する筋合いのものではございません。むしろこれだけではまだまだ物足りないという考え方でございますので、ぜひともそういう意味合いで今後とも大いに努力をしていただきたいというふうに思います。  時間が参りましたので、これで終わります。
  194. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 今回の法律につきましては、製造業関係企業が集積している地域の中で生産拠点海外移転し、製品輸入の増大等の影響を強く受けている事業主が増加しているという状況の中で、とりわけ我が国経済発展を支えた部品、金型・金属加工、試作品作製などの産業に着目して、通産省では基盤的技術産業集積の活性化、労働省としては高度技能の活用発展を通じた雇用能力開発というものを総合的に連結して展開をしていこうというところに特色があると思います。  通産省にお尋ねをいたしたいんですが、この部品、金型・金属加工、試作品作製という我が国における高度技能というものを、産業空洞化の中でどのような産業への展望というものを持ってかかわっていかれるのかということについてお尋ねをしたいと思います。
  195. 岡田秀一

    説明員(岡田秀一君) 御説明申し上げます。  ただいま先生指摘ありましたプレス加工、鍛造、鋳造、メッキ、金型、試作品などを製造する事業者が集積している地域は、我が国の物づくりを支える基盤としてこれまで重要な位置づけを占めてきたわけでございます。しかしながら、昨今、自動車や家電製品などの加工組み立て型産業生産拠点海外移転するという動きが活発になっております。  しかしながら、昨年、私ども通産省が海外移転展開戦略に係る企業調査ということで、特に海外展開を積極的に行っている製造業企業からヒアリング調査いたしましたけれども、大量生産品はコストの安い東南アジアなどに移転するけれども、試作品をつくるとか、あるいは開発をするとか、そういう高度な技術を必要とする部分についてはやはり日本に残していかなきゃいけない。その理由は、日本には基盤技術の集積がございまして、そこには技術が集積している、あるいは高度な技能を持っている技能者が集積している、そういった産業が集積しているということでございます。  したがいまして、これらの産業集積の技術力を強化いたしまして、あるいは労働省さんの方で準備されております法案によりまして、これらの集積を構成している企業で働く技能者の技能を向上することによりまして、今後、日本が産業構造を転換あるいは高度化を図っていく上に必要となります高度な技能、高度な技術を今後とも保持していっていただくということが可能になりまして、さまざまな分野への発展の基盤になっていくのではないかと考えております。
  196. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 そうしますと、労働省の方はこうした地域に集積する技能労働者現状をどのようにとらえておられるのか。それでその技能も、先ほど今泉先生が言われたように、いわゆる手づくりの熟練から、そうしたものが新しいICを使ったコンピューターによる一つの大きな機械化といったものなどへさまざまに分化していくと思うわけですが、そういう人たちの教育訓練というものは具体的にどのようにプログラムを組まれようとしているのか、そしてどういう人たちにどのような支援策考えておられるのかということをお尋ねしたいと思います。
  197. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) まず、御質問の技能労働者現状について申し上げます。  製造業に属する中小企業を対象とする幾つかの調査によりますと、約半数の企業において技能工が不足しているというふうになっておりまして、さらに金型・金属加工等、物づくりの基盤となるような事業を行っている企業におきましては、七割以上が新規採用者を技能工として配属したい、こういう希望を持っているところでございます。  また、多くの企業におきまして、自社で最も難しい生産工程を担当できる経験年数は三年ないし十年としているほか、今後の熟練技能に対する見通しにつきましては、機械組み立て、仕上げ、鋳造を初めとする技能的職種においては、一定の機械による作業代替が進む部分もあるが、全体的には熟練技能を必要とするという考え方が強いようでございます。  このように、技術革新の進展している現在におきましても一定の熟練技能については機械では代替できず、一定の経験年数を積んで形成される技能が生産工程には不可欠であると、こういう認識がされているところでございます。
  198. 山中秀樹

    政府委員山中秀樹君) 今回の法律によりまして、人材育成には具体的にどのようなことをやるんだという御質問だと思います。  この高度技能活用雇用安定地域におきましては、特に人材高度化支援事業というのを平成七年から私ども実施いたしております。これは、特に高度な技能あるいは知識を習得するための教育訓練を行う事業主に対して、その運営に要する経費やあるいは賃金等の助成を行う人材高度化能力開発給付金制度をつくっておりますが、その給付率を中小企業については現在の三分の二を四分の三に高率助成を行うことにより、これを促進したいということが第一点であります。  第二点目は、地域職業訓練センター、全国に七十九配置いたしておりますが、これは中小企業等の事業主が職業訓練を自分で実施する場合の場を提供するための施設として設置いたしておりますが、こういう地域について優先的にこういうものを配置して技能労働者育成に努めるということで、特に優先的配置を実施いたしたいというふうに思っております。  それから、私ども地域人材育成総合プロジェクトというふうに名づけておりますが、こうした地域が自主的に総合的に人材養成の事業を行う場合、例えばその地域における技能に対して理解を深めるための技能者のセミナーを開催するなり、あるいはシンポジウムを開催するなどの人材育成事業と申しますか、そんなもの。あるいは技能を尊重するという機運を守り立てる意味でも、今高齢者中心になってきておりますので、そういう若者にぜひこの技能、物づくりというものの大切さを体験させるようなことなどの技能啓発事業について、そんな地域での自主的取り組みについて私ども国といたしまして支援いたしたいと、このようなことを具体的に考えております。
  199. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 地域に密着したそうした技能というものを育てていくという発想は非常に重要だと思いますが、通産省の方はまたそうした地域に着目した産業政策展開を何かお考えですか。
  200. 岡田秀一

    説明員(岡田秀一君) 現在、地域では物づくりの産業空洞化、衰退といった問題のほかにも、産業基盤の整備のおくれであるとか、あるいは地方都市の中心部におきます商店街の崩壊の懸念、高齢化の進展、地域間の格差など多くの問題が山積していると認識しております。  通産省といたしましては、これら物づくりの産業空洞化に対処するため今般法案を提案させていただいておりますけれども、このほかにも、地域中小企業対策であるとか商店街の活性化対策、さらに産業の地方分散を一層推進する、さらには地域における技術の開発力を強化するなどの幅広い対策をきめ細かく実施してまいりたいと存じております。
  201. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 最後に大臣にお尋ねいたしたいんですが、地域産業雇用空洞化対策としての本法の意義といいますか、本法の今回の改正の意義などについてお尋ねをして質問を終わりたいと思います。
  202. 岡野裕

    国務大臣岡野裕君) 先ほど別の先生の御質問に対して職業安定局長がお答えをいたしましたが、景気の好不況、その不況に伴うところの雇用対策、これは雇用調整助成金というようなことでありますが、やはりこれは短期の対策だろうと。しかしながら、日本は大きな経済構造改革といいますか、産業の大きな構造が大転換をしつつあるというような時期に、今まで規制で守られていた、それが規制が緩和された、したがって、日が当たらなくなつちゃった産業でありますとか、あるいは生産拠点海外に転出をしていった、大きな産業空洞化イコール雇用空洞化というような現象に対する我々雇用対策は、雇用調整助成金ということではできないのではないか。もっと大きな視野のもとに大きな対策を講じていこうというような意味合いで本法を御提案申し上げているわけであります。  つまりその中で、今泉先生もおっしゃいましたような熟練的な、非常に高度な付加価値を拡大できるようなそういう生産品をつくる技術を持っている、この技術をひとつ生かして新しいジャンルのベンチャー企業等を生み出していこうではないか。あるいはこれを技能学校によって言いますならば伝承をしていく。あるいは新たな技能、技術というようなものをひとつ習得をさせる場をつくるというような意味合いで、ある一定地域の生産業者が、製造業が集積している地域中心にして今お話をしたような諸施策を集中的にやろうと。  これについて、やっぱり通産省と裏腹でタイアップをしてやらなければならないというような意味合いで、通産省も多分地域指定をされるでありましょう。これについては密接な連絡をとりつつ、労働省においてもできる限り同じような地域を指定して、通産とタイアップした施策をやって全体の雇用産業、これを大きく発展させてまいろうというような意味でございます。よろしくお願いをいたします。
  203. 川橋幸子

    川橋幸子君 質問に入ります前に、私ども労働部会等で労働省からさまざまこの法案についてお話を伺いましたけれども、それよりもむしろ、きょうは今泉先生なりの御質問でようやくこの法律の趣旨というのが明確になったような気がしますという感想を先に述べまして、質問させていただきたいと思います。  雇用対策については、雇用対策基本法なり職業安定法なり基本的な法律があるわけでございますが、経済構造変化なり産業構造変化、あるいは景気の動向に応じて雇用不安をなくす、あるいは不安が起こるような懸念をなくすという意味業種雇用安定法、それから、平成七年ですから一昨年ですか、大改正いたしました中小企業労働力確保法、それとこの地域雇用法と何か三本立てのように私は理解しておりまして、そう間違ってないと思うんです。  雇用の安定のために、平成八年度版の各種給付金の一覧表、わかりやすくということで工夫されたもののようでございますけれども、これをぱっと拝見しますと、八年版で約三十六の助成金がだらだらと並んでおるというわけです。それぞれ関係者が使うものだからこれでわかるのだということなのかもわかりませんけれども、やっぱり国の役割、官の役割というのを明確に示して、国民に対してこういう政策をこういう助成金によって裏づけするんですよということを説明するにはもうちょっと工夫が要るのではないかという私は感想を持ちます。  そこで、質問の前段で、この三法の政策意図の違いとメニューの違い、これをいま一度わかりやすく御説明いただきたいと思います。
  204. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) ただいま御指摘の三法でございますが、簡単に申し上げますと、業種法につきましては、これは内外の経済的事情の変化により、特定の業種に係る事業所雇用される労働者等に関しまして、失業の予防、再就職の促進、いわゆる失業なき労働移動、こういうものの促進を図るという観点からの対策でございます。  それから中小企業労確法につきましては、これは雇用管理の改善とかあるいは新分野の展開等の促進を図ることによって中小企業、これはベンチャー企業を含めまして中小企業活力を生かした雇用機会創出を図る、こういう観点からの対策でございます。  それから地域法につきましては、これは雇用構造の改善を図る必要のある地域におきまして、地域雇用開発のための措置を中心として、必要に応じ地域ぐるみの、地域単位の失業の予防、再就職の促進、こういうものを図ることを目的とした法律でございます。
  205. 川橋幸子

    川橋幸子君 局長のそういう御説明で大体わからなくはないのでございますけれども、今度の地域雇用開発法の改正につきましては、今までの地域雇用法が持っておりました、ある地域、大変雇用が量的に不足するという部分に対する手当て、あるいは量的にはある程度充足されているけれども、その質的な面で若者を、将来のその地域をしょって立つ人たちを引きとめられるだけの魅力のあるような、そういう質的な面での雇用機会確保ができるような対策、こんな対策地域雇用法にあるとすると、日本の技能水準を確保するという新たな視点の政策をこの地域雇用法に持たせるのは少し無理があるのではないか。  地域雇用法というのはどちらかというと対症療法的な感じでございます。将来に向けての産業基盤となる非常に集積された技能というものを承継したり移転したり発展させたりということから考えると、むしろ中小企業労確法の方がベンチャーを育てるとか、ベンチャーの中で必要とされる付加価値の高いというんでしょうか、あるいは知的な、物づくりというのは手を使ったって知的なものだと、私の理解はそういうことなんでございますけれども、そういう集積された技能というものをこの法律によって担保したいということであるとすると、何か地域雇用法に入れるよりはむしろ中小労確法に入れた方がよいのではないか。  逆に言えば、能力開発法の本法の中で位置づける方がもっとその政策意図は明らかになったのではないかというように私は思うのですけれども、いかがでございましょうか。
  206. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) ただいまの御指摘については、考え方としてはそういう考え方もあり得るかと思います。私ども議論もしたわけでございますが、中身からいきますと確かに御指摘のように中小企業労確法の中でという考え方は一つあり得るんですが、ただ今回考えましたのは、中小企業に規模は限定せずに地域の技能という面に着目して対処する、こういう観点一つございます。  それからもう一つは、能力開発ということが中心ではありますけれども職業能力開発だけでもない、こういうことがございます。集約としましては、地域における集積技能、こういうものに着目した対策、こういう観点から現在の法律体系の中で地域という観点でやっている法律がこの地域雇用開発等促進法、そこで具体的な地域を指定して対策をとる、こういうことがございまして、その辺の調整的な整理をした上で今回地域法の改正ということで御提案を申し上げている、こういうことでございます。  対症療法であるかないかというところにつきましては、これもなかなか難しい問題でございますが、基本的に雇用対策で当面いろいろやっていく対策というのは、一般的には対症療法と考えていいかと思います。基本的に雇用の場というのは、御承知のように産業全体の中でバランスがとれた形で雇用の場が設定されませんとそこにミスマッチが生ずる。ミスマッチが生ずれば、それが失業という形で顕在化するということになって、それに対する対策をいろいろとっていくというのが雇用対策ということになるわけでございます。ただ、構造面の改革という観点からの対処として考えた場合に、今回の集積技能、これを守り活用していく、保存する、保持していく、こういう面を考えた場合には、これは必ずしも対症療法ではなくて、基本的な産業構造あり方との関係での対策、こういう面になろうかと思います。  そうしますと、地域法の中でやや対症療法的な色彩の強いものと、そういう構造改革的な色彩の強いものとがこの一つ法律の中にあることになるわけですが、私どもとしては地域という観点で、その視点で着目してこの一つ法律の中で今回枠組みを設けて法律改正案を提出した、こういうことでございます。
  207. 川橋幸子

    川橋幸子君 この法律についてはもちろん賛成でございまして、これからの労働省が、国としてというんでしょうか、官としてやらなければいけない雇用ないしは能力開発政策をどういうふうに伸ばしていけばいいかという将来の問題としてこれからもお考えいただきたいと思うのですけれども、それに関連しまして、質問を四点、五点と分けてお答えいただくよりも、まとめて質問させていただいて、安定局長と能開局長とそれぞれ両局長のお答えをいただいた上で、最後に大臣から一言伺わせていただきたいと思います。ということで、ちょっと長目の質問になるかと思います。  中小企業労確法なんですが、これも着眼点はよいし伸ばしていってほしい法律法律を伸ばすというよりも実績を伸ばしてほしい、法律機能を伸ばしてほしい法律ではありますが、助成金の実績を見ますと、まあ始まったばかりとおっしゃるのでしょうけれども、なかなか上がっておらない。どうもこのごろ、会社を通じてとか事業主団体を通じてとかというものよりも、もっとダイレクトに、個人一人一人があの技能を習得したいあるいはこういう自己啓発をしたいと。そういう個人の動機を勇気づけてあげるような、個人の自己啓発を支援するようなメニューに移していった方がより適切なことが多いのではないか、構造改革対策の中ではそういうことが必要になってくるのではないかと思います。  やっぱり一般会計が少なくて特別会計に依存しながらやっている行政でございますので、どうしてもこういう一覧表を見ますと、労働行政というのは何だか保険行政になってしまったのかしら、これだけ保険金を掛ければ事業主の方にはこれだけの給付がありますよというような、そういうことではない、皆さん頑張ってはいらっしゃるんでしょうけれども、ちょっと冷たい目で見ますと、外に出てみますとそのような感じがしてしまうわけでございます。給付金は活用されなければいけないということはありますけれども、もう少しダイレクトに個人にいくような形の給付金、それが翻って事業主のため、あるいは企業のため、産業のためにもよくなるはずでございますから、その経路、ルートを変えるようなことを御努力いただけないかということが一つでございます。  それから、結局のところ、先ほど能力開発政策領域ではないかというふうに申し上げましたけれども、今労働省の中はやはり能力開発行政への重点の移し方が私はまだちょっと遅いのではないかという、そんな感じで見ているわけでございます。一般対策の中でこうした技能がちゃんと維持されたり承継、発展される方がより望ましい。  それから一般対策の中でも、日本の国内だけじゃなくて、ある種の日本とアメリカ関係考えましたときに、アメリカが日本にどのような協力をしどのようなことがあったか、中には経済摩擦もありましたけれども、技術移転の点については割合に交流があったような気が私個人としてはするわけです。今それが、途上国といいますか、途上国と言うにはかなり成長してまいっておりますが、そこと日本との関係考えれば、日本の物づくりの技術と言わなくたって、グローバルな移転だってあるかとすると、能力開発というものを個別の給付金の中でやるんじゃなくて、もうちょっと一般的な対策に移していくようなことがお考えになれないものかどうかということです。  その質問のさらに先の話をさせていただきますと、現在、橋本総理は教育改革まで含めて六大改革とおっしゃっているわけです。どちらかといえば、教育改革の方は学校教育の改革の方にずっと目がいっておりまして、いじめの問題とか詰め込みの問題とか、あるいは個性なり創造性なりがつぶされるような画一的な教育の弊害というようなことが言われているわけでございますけれども、学校教育だけじゃなくて、とりあえず私は、質問の通告をさせていただくときには産業人教育制度なんていうのを書きました。そういう言い方をしている方がいらっしゃるかどうかわかりませんが、とにかく職場に出てからも人間一生開発されて、ディベロプメントしていけるようなシステム、職業人、産業人としても発展していけるような、そういう教育制度改革を教育改革の中に盛り込んでほしいと思うわけでございます。ぜひそのように労働省からも大臣からも発言していただいて、教育改革の中に食い込んでいただきたいと思います。  長い質問で恐縮でございますが、それでは順次関係部分についてお答えいただいて、最後に大臣にお答えいただきたいと思います。
  208. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) まず、中小企業労確法の実績関係でございます。これにつきましては制度発足以来現在まで、中小企業方々からの相談件数が四千百九十一件、それで具体的に申請してきた件数が六百十二件、それを認定した件数が五百三十二件となっておりまして、この数につきましては私どもが想定した数より相当多いというふうに考えております。ただ、助成金につきましては三つの助成金がありますが、現在までに総額で二億五千万円程度でございまして、確かに助成の金額としてはまだでございます。  ただ、これにつきましては、まず事業主の方が雇用管理の改善のための計画をつくって認定を受けた上で、人材確保、施設設備の設置、整備等を行い、助成金の支給申請を行った後に助成金を支給する、こういう枠組みになっておりまして、計画の提出から助成金の支給に至るまで大体半年以上の期間を要するわけでございます。  したがいまして、制度発足当初においては支給が進まない面がございましたけれども助成金の前提となります改善計画につきまして、今言いましたように現時点で五百三十二件ということになっておりますので、この制度の普及が進んできて、今後助成金の実績についても一定の実績が上がっていくものというふうに考えております。いずれにしても、今後ともできるだけこの制度活用していただくように周知徹底を図ってまいりたいと思います。  この助成金につきましては、ベンチャー企業を含めた中小企業の事業主の方に、できるだけ新分野への展開を図って、そこで新たな雇用創出をしていただきたいという観点からの事業主に対する支援制度の枠組みでございます。そういう観点でございますが、たださらに、ただいま御指摘のように、今後の構造変化の中でまず労働者がみずから自己啓発を積極的に行う、そういうものについての支援あり方についての御指摘がございましたが、この点につきましては雇用保険制度あり方議論の中で、現在、中央職業安定審議会において御議論をしていただいているところでございます。
  209. 山中秀樹

    政府委員山中秀樹君) 今、自己啓発の関係、むしろ会社を通じての助成じゃなくて個人に直接支援すべきじゃないか、こういうお話だったかと思います。  確かに現在、人事・労務管理制度の実力主義の重視の傾向あるいは労働移動の活発化等々、そういう変化とか、あるいは先生おっしゃるように労働者の意識の変化などによりまして、やはりこれから自発的な自己啓発というのが非常に重要な問題となってくるというふうに私どもは思っております。基本的に自発的な能力開発は、本人の能力向上という点だけではなくて、やはり企業も含めて社会全体の財産ということではないかと思います。  ということで、今回、事業主によるそういう自己啓発ができるような環境整備を図るということで、それに対して国が支援するという法改正案を今国会に提出させていただいております。と同時に今回、中高年齢者の方が能力開発、自己啓発をやる場合に、直接労働者個人に助成金を支給するという制度を私ども持っておりますが、それも一部拡充いたしております。そんなことで現在対応をしておるところでございますが、今、安定局長からも答えましたように、私どもの中央職業能力開発審議会におきましても、自発的な能力開発に取り組む労働者個人に対する社会全体の支援あり方について、その手法や財源も含めて検討をお願いすることといたしております。  それから、能力開発をもっとしっかりやれと、むしろ遅いんじゃないかというおしかりを受けましたが、私ども今回の九年度の予算におきましても、労働省全体の予算以上に多くの伸び率を確保いたしておりますので、そういうことで御理解いただければというふうに思います。
  210. 岡野裕

    国務大臣岡野裕君) 川橋先生造語にかかる産業人教育制度改革というお話でありますが、このごろはやっぱり生活にゆとりが出て、心の豊かさみたいなものも出てきたのかと思いますが、定年後を迎えてから大学に入って哲学を論ずるだとか文学の講義を受けるだとか、あるいはまた、定年に至る前に一定職業を持ったが、アフターファイブでどこか社会学校に通って川柳をひねるとか、いろいろそういった雰囲気が出てまいりました。  しかし、我々労働省からいたしますと、先ほども話題がいっぱい出ておりますけれども、もう既に職業を得ている皆さん、そして一定職業についての経験、見識を持っている皆さん、そういう皆さんがもう一度大学に、あるいは訓練校に入ってその技術をより高度化する、自己啓発という言葉がございますが、というような傾向がありまして、それを受け入れる訓練機関、我々の労働省内部にもございますけれども、非常に有意義ではないかと。個人が自己啓発で行く場合、それから一つ企業、これは中小企業等においてはみずからそういう教育機関が設けられませんものですから、中小企業に勤務する熟練工の皆さん、これを我々の二十六ありますところの訓練校にやって、より付加価値をつけるような、そういうような教育をするというようなことが非常に望ましいと、こう思っております。  加えて、今泉先生がおっしゃいましたように、我々のころは、普通の中学へ行くと同時に商業に行く、あるいは工業学校に行くというようなものがありました。小学校でも図工というものがありまして、絵をかいたり、何と言うのかな、何とかのこぎり、ミシンでこうやって足で踏んで、糸のこぎりで本立てなら本立てをつくるというようなことから始まって、中学校へ行けば、図画なんていうのは半分は製図だというような雰囲気があった。したがって、高等工業学校というようなものが非常に評価をされたということでありましたものが、今日はどうもみんな一般教養の普通高校に行くというのが多くなりましたこと、長い将来を見ると、これはいいことか悪いことかというようなことで私は眺めているわけです。  幸いにして、工業専門学校というようなものが非常に人気を得ております。我々の二十六ある訓練校においても、言うならば一〇〇%の就職率だというようなものを世の皆さんに御理解をいただいて、やはり物づくりに役立てていただく国づくりといいますか、ということを心がけてまいりたいと。  先生のおっしゃる産業人教育制度改革というのに合っているかどうか存じませんが、一方的に解釈をいたしまして私の考え方をお話しいたしました。
  211. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 今回の法律改正に当たっては、これは高度の技能の継承と発展が困難なために、それを継承と発展をさせようというそういう意図でこの法案が提出されたというふうに思います。そのどうして困難かという背景を分析してみますと、海外移転というんでしょうか、空洞化という現象もあるんでしょうけれども、今大臣がおっしゃったように、かつては私も図工が大好きで、よく、いすとかそういうものをつくりました。今度一緒に大臣とどっちが上手かやってみたいと思いますが……
  212. 岡野裕

    国務大臣岡野裕君) 私は丙でして。
  213. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 私は秀でした。  それで、この物づくりする人が継承できなくなったというその基本的なところに、社会的評価、そしてそれに対する、先ほどもありましたね、理事長は百三十二万五千円といううらやましい給料をもらっている割には、こういう人方の生活保障というのが社会的に低いという現象があるからだと思うんですが、どうでしょうか。
  214. 山中秀樹

    政府委員山中秀樹君) 確かに、技能に対する価値評価というのを社会全体で引き上げるということが非常に私ども大切だと思っておりますので、そういう意味社会的評価を高めるということ、先ほどもお話し申し上げましたように、技能評価制度活用したり、あるいは全体の機運を盛り上げるという意味では、特に若者の物づくりに対する意識というものを強めるということで、技能オリンピックとかいう大会を開催したり、そんな形でみんなが、全体が物をつくるということに非常に価値を見出すことという施策で私ども展開しているところでございます。
  215. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 一生懸命やっているということはよくわかります。ただ、精神論だけじゃやっぱりだめなんで、例えば、この新聞の記事を見ますと全金連合が非常に積極的に取り上げて、工師という名称を取り上げて非常に成果を上げているとか、あるいはドイツの技能者にマイスターという制度をつくって、この制度をとると非常に給料もアップするという施策をとっているわけで、やっぱり社会全体がこういう物づくりの人に高い評価を与えるというような制度づくりをしていかなければいけないというふうに私は思っております。  そこで、こういう技能労働者労働力の需給の現状ですね、今どういう現状になっているのか。そして、そういうことに対する育成あるいはその確保政策をお聞かせください。
  216. 山中秀樹

    政府委員山中秀樹君) 技能労働者労働力の需給状況でございますが、私ども専門職種別労働力需給状況調査というのを毎年実施いたしておりまして、平成七年十一月現在の調査から見ますと、技能労働者不足数が全体で約百十二万八千人となっております。不足率で申しますと四・六%、こういうことになっております。特にこの状況を見てみますと中小企業で不足が激しいということで、不足数が約百五万七千人、不足率で申しますと五・九%でございます。  産業別に見てみますと、建設業あるいは製造業で、今具体的な数字がございませんが、両方三十万人程度不足という、こんなような状況になっております。  そうした意味で、この技能労働者育成という点でございますが、基本的に私ども両面からいろんな政策を組んでおりまして、まず事業主が企業内で職業訓練をやっていただく振興を図るということについて、例えば生涯能力開発給付金制度という制度を設けておりまして、これは段階的、体系的に職業訓練企業内で行われるように訓練費用あるいは賃金なんかを助成して、事業主自身が職業訓練をやりやすいような環境を整備していくという点からの振興と、もう一点は、先ほど大臣が言いましたように、私ども公共職業訓練施設を設置いたしておりまして、県、国合わせて年間約四十万人の方たちの職業訓練をやっております。  そういう意味で、もっともっとこれから産業界あるいはニーズに合った形での職業訓練実施できるように、あるいは職業能力がもっと高度化できるような形での能力開発に努めていきたいというふうに考えております。
  217. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 今のお話を聞くと、需給的には非常に不足しているわけですから、やり方によっては雇用確保というのはちゃんとできるというふうに私は思いますので、その点はひとつ頑張っていただきたいと思います。  それと、文部省の方おいでですか。文部省にお聞きしますけれども、結局、今の世の中というのは三Kを嫌ったり、額に汗して働くことを嫌がるという風潮はやっぱり私は非常によくないと思うのです。そういうためには、勤労のとうとさとか、あるいは額に汗してしっかり働くことの喜び、そして物をつくっていく喜びというのは、これは小さい段階からきちっと教育の中で教えなければいけないんじゃないかなというふうに思うんですが、文部省はどのような取り組みでどのような考え方でしょうか。
  218. 池田大祐

    説明員(池田大祐君) 資源の少ない我が国におきましては、人間が手を加えることによりまして新しい価値を生み出す製造業の果たす役割というのは極めて重要でございます。学校教育におきましても、発達段階に応じまして児童生徒がみずからの創意を生かし、みずからの作業を通して物づくりへの関心を高め、物づくりの大切さなどを知ることは非常に大事なことだというふうに考えております。  現在、学校におきましては、例えば、先ほどお話にも出ておりましたが、図画工作、美術、技術家庭科などで物づくりの学習を行い、物をつくる楽しさ、あるいは完成の喜びを体得させるようにしているところでございます。  また、高等学校の職業に関する学科におきましては、物づくりの教育をこれまでも重視してきたところでございまして、普通科におきましても生徒あるいは地域の実態に応じまして工業に関する科目を開設したり、近くにあります専門高校と学校間連携を行って、職業に関する科目の履修を行うということで物づくりの教育を行っておるところでございます。  学校教育では、先ほど御指摘ありましたように、ややもすると知識の習得が重視されているというふうな御指摘もございまして、今後、こうした物づくりの学習、あるいは体験的学習にしっかりと取り組みますとともに、望ましい勤労観、職業観の育成に努めてまいりたいというふうに考えております。
  219. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 やっぱり、勤労意欲というのはすぐにできるわけじゃなくて、成長過程の中でその重大さというのを知るというふうに思いますので、ひとつしっかりと頑張ってそのようにやっていただきたいことをお願いいたしまして、文部省への質問を終わります。  続きまして、きめ細かい行政というのはとても私は歓迎するのですが、やっぱりなかなか理解しにくいですね、さっきのベンチャー農業じゃないですけれども。これも地域を指定するというのですが、この地域の指定というのはどういうふうにどうするのか。そして、地域の指定の中には県単位もあるんでしょうが、今まで私が見ているのは安定所がある地域の指定だというふうに思ったのですが、これはどういう地域をどういうふうに指定するんですか。
  220. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) 地域指定につきましては、経済の集積ぐあいということですから、基本的に労働市場を見て指定する、こういうことでございます。したがって、そういう意味では一般的には複数の市町村一つ地域として対象になる、そういうふうに考えております。具体的には、これは指定の基準を整備いたしまして、そういう基準に基づいて指定をする、こういうことになろうかと思います。
  221. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 それで、高度の技能と言うのですけれども、高度の技能というのは具体的にどういう人を指しますか。
  222. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) 高度の技能といいますのは、従事する業種とか職種等を問わずに、その形成に職業上の一定の経験年数を要するような技能、これを指すものというふうに考えておりまして、一般的に言えば熟練技能と言われるものがこれに当たるというふうに考えております。
  223. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 じゃ、この法案ができたら、具体的にどういう技能の人をイメージしてこれはつくっているんですか。
  224. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) この法案に基づきまして助成金を支給する、こういうことになるわけでございますが、その対象となる技能ということになろうかと思いますが、職業に必要な高度の技能及びこれに関する知識、これについては一定の経験年数、これを何年にするかという問題があるわけでございますが、そういう一定の経験年数等により具体的な要件を検討してまいりたいというふうに考えております。
  225. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 というのは、今まだ具体的なイメージがないということなんですね。  この法案ができてからある一定の基準を設けて、申請した中から選ぶということでよろしいんですか。
  226. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) そういうことになるわけでございますが、それじゃ一定というのはどのくらいかということでございますけれども、高度な技能を習得するには一定の経験年数が必要ですが、職種によって違いがあるのも事実でございます。  ただ、今回の改正により、新たな助成措置一つである新事業展開を担う人材を受け入れる事業主に対する支援、これにおきましては、具体的に当該技能人材としての経験年数は七年程度かなと、これは諸般の例等を見て考えているわけでございますが、具体的には実施段階で詰めたいというふうに考えております。
  227. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 今度の法案で支援措置として予算が随分たくさんつけられているんですが、ここで地域職業訓練センターのことをちょっとお聞きしたいというふうに思います。  いろんな法案がたくさん出て、私頭こんがらかっちゃうんですけれども地域雇用環境整備助成金というのがありまして、この助成金を見ますと、たくさん助成をしているにもかかわらず平成三年もゼロ、四年もゼロ、五年もゼロ、六年もゼロと、この助成がせっかくあるにもかかわらずずっと使われてもいない、そして雇用の人数もふえないという助成金があるんですけれども、これは一体どうしたものでしょうか。  しかし、時間がありませんので、これの回答を得ていると困りますので、センターの利用度をちょっとお知らせください。
  228. 山中秀樹

    政府委員山中秀樹君) 地域職業訓練センターのことだと思います。中小企業労働者のために事業主が自分で職業訓練をやる場合について、私ども雇用促進事業団から施設を提供する、こういう形で実施いたしております。平均利用率を数字で申しますと、平成六年度で六六・七%、平成七年度で六九・二%となっております。  個別的に見た場合の最低利用率は、平成六年度で二三・三、平成七年度が二七・四、そういう状況になっております。
  229. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 これは私、本当に同情しながら、ちょっとあんまりだなというふうに思うんですね。平均が四一・五というのは、半分にも行っていない。そして年間通じて十日間しか使われていないのが一一%もあるというのは、これはいかに開店休業のところが多いかということなんですね。  ですから、やっぱり既存のセンターをフルに活用して、それでなおかつ今度の予算の中で非常にたくさんの予算がついていて、地域職業訓練センターの設置ということで四カ所つくるということですので、私は激励する意味を込めまして、やっぱり勉強って嫌なことはよくわかります。ですから、ただ何にもしないであなた勉強しなさいとかやりなさいと言ってもこれはうまくいかないんで、やっぱりそこに行くとすばらしくいいことがあるんだなという、そういう教育環境を整備するということも配慮をいたしまして、この助成金が非常にフルに活用されて雇用が伸びるということにひとつ努力をいただきたいと思います。その御決意をお願いします。
  230. 山中秀樹

    政府委員山中秀樹君) 地域職業訓練センターにつきましては、今御指摘のとおり、非常に利用率の悪いところもありまして、もうそんな御指摘は受けておりますので、私ども具体的に運営改善計画を出させたり、あるいはどうやったらお客さんが、みんなが来れるかというような好事例集を作成したり、全般的な業務の運営改善についていろんな形の場で強力に指導をいたしておるところであります。  今回、今年度中に具体的な最低限確保すべき利用の基準について定めたいと思っております。それをもとに各雇用促進事業団なり雇用促進センターが、先生がおっしゃる、みんなが行って楽しいなというような、そこまでいくかどうかちょっとあれですが、しっかりと頑張っていきたいと思いますので御理解いただきたい。
  231. 笹野貞子

    ○笹野貞子君 本当は大臣に名演説を聞きたいところだったんですが、時間がなくなりましたので、この次、いすと本立てでもって協議をいたしたい、それを楽しみにしておりまして、私の質問を終わらせていただきます。
  232. 吉川春子

    ○吉川春子君 今回の具体的な法改正対策は、地域高度技能人材確保助成金地域高度技能活用雇用環境整備奨励金の二つです。これは先ほど来議論になっていますけれども中小企業労確法の手法とよく似ています。そして、労働省がたびたび行いますこういう施策は、失礼かもしれませんが、やらないよりはましという面もありますが、しかし本当に雇用対策として有効なのかどうか、こういう疑問が残るわけです。  先ほどちょっと征矢局長中小企業労確法の助成金、奨励金の支払い実績をおっしゃっていたんですが、私が労働省からいただいた数字とちょっと違うんですけれども、もう一度、中小企業労働力確保法による助成金、奨励金の支給実績をお述べいただきたいと思います。
  233. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) まことに申しわけございません。先ほどお答えいたしましたのが、中小企業分野展開支援人材確保助成金が二千万、中小企業人材高度化能力開発給付金が約一億二千万、それから中小企業雇用環境整備奨励金が約一億一千万ということでございまして、トータルしますと二億五千万ということでございます。先生のところに申し上げました数字の方がトータルで約一億一千万という数字で行っているかと思いますが、まことに申しわけございません。
  234. 吉川春子

    ○吉川春子君 どっちが正しいんですか。
  235. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) 二億五千万でございます。
  236. 吉川春子

    ○吉川春子君 それにしても、そんなにすごい実績が上がっているという数字ではないことはそのとおりだと思います。  それから、現在審議しております地域雇用開発促進法に基づく補助金の実績についてもお伺いしたいと思うんですけれども地域雇用機会増大促進地域で八七年より実施されております大規模雇用開発促進助成金、それから前回の改正で導入されました雇用環境整備地域で九一年より実施されております地域雇用環境整備助成金、この実績をお知らせください。
  237. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) ただいまの地域関係助成金でございますが、地域雇用開発助成金、これの昭和六十二年度から平成七年度までの支給額は約三千七百億円でございます。大規模雇用開発促進助成金につきましては、これは平成二年度から平成七年度までの支給額が約十六億円でございます。地域雇用環境整備助成金につきましては、これにつきましては支給件数が一件でございまして、あと六年度、七年度で二件の計画認定が行われているということでございます。金額は四千万円でございます。
  238. 吉川春子

    ○吉川春子君 今、何年かまとめておっしゃったんですけれども、例えば大規模雇用開発促進助成金の支給実績は、平成六年が四件、支給額が三億円、平成七年度が五件で二・七億円。そして地域雇用環境整備助成金平成三年度から六年まではゼロで、七年が一件で四千万と、こういう実績でして、いずれにいたしましても非常に実績が上がっていないということが言えると思うんです。  さっき大臣は、今度の改正で大きなスケールの雇用を獲得していくんだ、拡大していくんだというお話がありましたけれども大臣に伺いたいんですが、今までの非常に低い実績、法律をつくるというのは労働省も大変エネルギーも要るでしょうし、国会もこうして議論するんですけれども、それがゼロとか一とか、これはもう本当にこの法律をつくつた意味がどこにあるんだろうという疑問も生じてくるんですが、この今までの低い実績について大臣はどのようにお考えでしょうか。
  239. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) 御指摘のように、実績の低い面があることにつきましては否定できません。地域法につきましては、ただいまの地域雇用開発助成金につきましては相当の実績がございまして、多いときには一千億円を超えておりますが、最近ですと五十億円というような実績でございます。大規模雇用開発促進助成金につきましては、おっしゃるようにこれは規模の大きいプロジェクトに対する助成というようなこともございまして、最近三億円程度の実績になっています。一番実績がないのは地域雇用環境整備助成金ということで、これが七年度に四千万円、こういうことでございますが、いずれにいたしましても、私どもといたしましてはできるだけ制度の周知徹底を図ることによってこの制度活用を図っていく、こういう基本的な考え方でさらに積極的に対処してまいりたいというふうに考えています。
  240. 吉川春子

    ○吉川春子君 要するに、具体的に言うと一つは使い勝手が非常に悪いんだというような側面もあると思いますし、いろいろあるんですけれども、もっとちょっと根本的な問題についてお伺いしていきたいと思います。  提案理由説明では、「企業生産拠点海外移転、あるいは製品輸入の増大などが進んでおり、産業及び雇用空洞化現象が懸念されて」いる。「中でも、製造業関係企業が集積している地域においては、経済の国際化の影響を強く受けている事業主が増加しており、雇用状況の悪化やそのおそれが生じているところ」だと、こういうふうに述べていますね。  それで、通産省お見えですね。生産拠点海外移転製品輸入の増大などによる産業雇用空洞化に対応するのが今回の法改正だということですが、重要なのは、その空洞化とは、以前のように国内の生産や市場が大幅に減少する中で起きているということではないし、大企業の競争力や収益が急速に悪化している、こういう中で生じている問題でもないという点なんです。  それで伺いたいんですけれども、一九九〇年と九五年と比べて海外生産の実態はどのようになっていますか。例えばカラーテレビ、VTR、電子レンジについて、生産台数それから国内生産に対する海外生産の比率、数字をお示しいただきたいと思います。
  241. 伊藤章

    説明員伊藤章君) お答えいたします。  海外生産台数及び海外生産比率については公式な統計がございません。ただし、ちなみに業界統計資料によりますと以下のとおりでございます。  まず、海外生産台数についてでございますが、電気冷蔵庫は、九〇年度二百二十五万台でございますが、これが九五年度では四百五十四万台。カラーテレビにつきましては、九〇年度千九百九十四万台から九五年度には三千五百四十八万台。ビデオテープレコーダーにつきましては、九〇年度七百三十万台から九五年度には二千十万台。さらに電子レンジにつきましては、九〇年度三百八十七万台から九五年度には八百八万台へとそれぞれ上昇しております。  海外生産比率についても、電気冷蔵庫は、九〇年度が三一%であったものが九五年度には四八%。それからカラーテレビについては、九〇年度六〇%から九五年度には八二%。ビデオテープレコーダーにつきましては、九〇年度一九%から九五年度には五五%。電子レンジにつきましては、九〇年度四五%から九五年度には七二%へとそれぞれ上昇しております。
  242. 吉川春子

    ○吉川春子君 私の数字と若干違うのもあるんですけれども、しかしかなり大幅に海外の生産の台数がふえ、そして比率もふえているということは、今通産省がお示しいただいた数字でも明らかになっているわけです。  それで、労働省にお伺いしたいんですけれども、こうした海外生産の大幅な拡大が国内空洞化をもたらしている。秋田、山形にはこうした電機産業の子会社、下請企業がたくさん立地しまして、そしてその親企業海外移転するということで今大変な状態に立ち至っているわけです。  山形の状況を見ますと、電気機械関係事業所は、九一年には県内製造事業所の一八%、九百三十あって、従業員は製造労働者の三二%に当たる五万六百四十八人いました。ところが、四年後の九五年には七百五十事業所、四万三千三百八十一人になっているんです。  だから、こういうふうにしてわっと海外生産拠点が移されてしまうということは、本当に物すごい雇用が失われていってしまうと。だから、労働省がいろんな法律をつくり雇用創出しようとしても、その規模をけた違いで上回ってしまうわけです。  私は、まず雇用対策と言うんだったらば、こういう大企業の身勝手な海外生産への移行に歯どめをかける、そこが一番重要じゃないかと思いますが、その点についてお考えいかがですか。
  243. 岡野裕

    国務大臣岡野裕君) 我が国製造業生産拠点が外国へ行くのを未然に防止をしろという吉川先生お話でありますが、これは通産大臣所管でありますので、労働大臣としては申し上げる限界を超えていると思いますが、労働委員会におきますところの御質問でありますので、あえて私なりの意見を申させていただくとするならば、やっぱり資本投下の自由というのは世界を覆う一つのカレントでありますし、また、輸入の自由化というものもやっぱり今の潮流というふうに相なっております。しかも、製造業のように日本においても規制が少なかったものをあえてここでいろいろ規制をふやすというのは、我々橋本内閣からしても、姿勢としては逆行だと。  先生がおっしゃるように、非常に雇用が不安定になってマイナスが大きいというお話でありますが、相手国の税法でありますとか、相手国の給与の水準でありますとか、あるいは規制緩和の度合い等で生産拠点が外へ出ていくと。そうして、今までよりもより安価な同じ質の製品が輸入の自由化によって我々生活者にもたらされるという意味では、これはやっぱりプラスは大きいと。  生活者のために我々は行政をやるべきだとさつきお話をいたしました。生産者向けではなくて生活者のためだという一つお話をいたしましたが、そういった意味では、グローバル市場の中でメーカー同士がより競争し合って、そして安価な製品を大量に国民に提供しているという意味合いではプラスだという意味合いで、二つ観点から、先生がおっしゃるように、拠点海外に移してはいけないというような施策を未然にとるのはいかがなものかと。  労働省といたしましては、そういう自由化の中で生産が海外に移っていくならば、雇用の面でマイナスが起こると。起こるとするならば、このマイナスが起こらないように、いやいや、より多くそこのところで雇用創出をされていくと。そうして、産業空洞化イコール雇用空洞化でありますが、産業空洞化が補われ、雇用空洞化が補われ、より大きくその町が発展し、勤労者諸君に喜んでもらえるという方向にさお差す方がよりよろしいのではないかと、こう思っております。
  244. 吉川春子

    ○吉川春子君 安いカラーテレビやVTRを買うというメリットと、雇用を失う、すなわち労働者にとってはすべて失う、生きる手段を失うということですね。それと同じく比較はできないと思うんです。  通産省、もう一つ伺います。  要するに、海外との競争でやむなく海外に出ていっているんではないんですね。電機産業の中でも、先ほど挙げた製品をつくっているいわゆる家電産業で、世界で競争を行っているのはどういう会社があるのかということをちょっとお示しいただきたいと思います。
  245. 伊藤章

    説明員伊藤章君) 売上高についてといいますか、世界の中で日本の家電メーカーと海外メーカーを比較するような数字というのは公式なものはございませんが、主要製品、特にテレビとかVTR等に代表される民生用電子機器系の日系企業のシェアは全般的に高くて、日系家電メーカーは強い国際競争力を持っているというふうに理解しております。  ちなみに、家電のみでなくて、産業用電子や重電機を含んだ形で考えますと、フォーチュンという雑誌がございますが、ここに電機会社の売上高世界ランキング表というのがございます。これは連結ベースでございます。それによりますと、九五年の売上高ランキング上位十社中五社、上位二十社中九社を日系メーカーが占めているというような状況でございます。
  246. 吉川春子

    ○吉川春子君 名前言えますか。
  247. 伊藤章

    説明員伊藤章君) 例えば家電メーカーで言いますと、日本では松下電器、東芝、ソニー、三菱電機、三洋電機、シャープ、さらに重電も含めますと日立ということになります。
  248. 吉川春子

    ○吉川春子君 つまり、世界の家電市場を日本企業が席巻しているというわけで、世界的な競争というと何か外国との競争というような感じなんですけれども、そうじゃなくて、日本の企業間の競争、こういう犠牲に下請とか中小零細企業群がされていると。こういうものを放置しておいて、そして雇用対策がうまくいくというふうには私はとても思えないし、現に、さっき実績で示したようにうまくいっていないわけなんですね。  やっぱりこれを根本的に打開するためには、私は繰り返し強調したいのは、利潤第一主義による大企業の無秩序な海外展開を抑える、これがどうしても必要なんじゃないかと思うんです。  それで、それは抑えられないんだと大臣はおっしゃるんですけれども、例えば中小企業では既にそういう配慮を行っているところがあるんです。新潟県燕市の金属ハウスウエアの組合では、海外への事業展開考える場合に、地場産業の崩壊を来さないように、業界組織として海外進出の場合の条件として、従業員・工場の縮小をしない、協力工場への配慮を最優先すると、こういう申し合わせを文書で行っているわけですね。  こういう例もあるので、ぜひそういうことをもっと推し進めていくべきじゃないか、このことについてはいかがですか。通産省に答えていただきたいと思います。
  249. 伊藤章

    説明員伊藤章君) まず、先ほどちょっと御説明が足りなかったかもしれませんが、世界のランキングの中で、実は日本企業以外にも、ゼネラル・エレクトリック、アメリカ系でございます。あるいはフィリップス、さらに大宇、三星といった韓国企業も上位を占めておりまして、そういった意味では、日本企業だけではなくて、国際的な競争環境にあるということは一般的に言えるんではないかというふうに思っております。  それから海外進出については、先ほど大臣からもお話しございましたように、やはりこういったグローバルな——
  250. 吉川春子

    ○吉川春子君 燕の例なんかどうですか。
  251. 伊藤章

    説明員伊藤章君) 燕の例について、私はちょっと所管しておりません。
  252. 岡野裕

    国務大臣岡野裕君) 周りの企業主の皆さんお話し合いをされて海外生産拠点が出ていかないようにというのは、労働省の所管ではありませんので通産省さんがお答えになられたというか、つつあるというか、ということだと思いますが、私はやはり雇用の面から、職を失うかもしれない勤労者の諸君に職を失わないようにするという意味からは、この前もうお話をしたかもしれませんが、いい例を見てきました。  場所は大田区であります。ヤシカだったかな、カメラの大メーカーがあります。その工場がマレーシアへ全部移転をしました。そのヤシカに非常に高度な技術を持ってつくられた製品、部品というものを納入している下請業者がありました。ところが、その下請業者というのはそういう部品を納めることができなくなりました。それで、その企業主が考えまして、今まで納めていたのはカメラですから、カメラの箱をつくる金型をつくっている工場でありますが、カメラというのは外光が、光が入ってきたら完全にフィルムが黒くなっちゃう、ところがそういうことがないような箱をつくれるということでした。しかも、望遠レンズで、ズームなんかでらせんの中を入ったり出たりさせるというような意味合いで複雑な工法をマスターできているということでありました。  しかし、部品が納められなくなっちゃったので、今度は、医療機器で点滴をやるこういう合成樹脂の袋みたいなのがあると思いますが、これも中に液体が入っているわけで、ほかの物質が入ってきたならば薬がおかしくなつちゃうと思います。しかしながら、完全に密閉をさせるという技術を持っているので、そういう点滴機器をつくり、かつ薬の入ったアンプルがらせん状に、今お話をした合成樹脂の上の方からだんだん入っていってもその空気の漏れがないというようなことに応用しまして、今は数倍、数十倍に製造販売品がふえているというような成功例を直接見てまいりました。  というような意味合いで、生産拠点が出ていくこと、これは自然の競争の中でやむを得ぬが、しかしながら、そこへ納めていた企業がおかしくならないように、雇用されていた勤労者の諸君が雇用を失わないように新しいジャンルの産業というものを芽生えさす、そこに雇用を結びつけるなどなどという例がありますので、こういった方向でこれからも努力をしてまいりたい、こう思っている次第であります。
  253. 吉川春子

    ○吉川春子君 一つは、重電機とコンピューターの企業を除けば、さっきの通産省のあれですけれども、上から順に日立、松下、東芝、韓国の会社、ソニー、オランダのフィリップス、三菱電機、こういうふうに並んでいて、まさに日本企業が上位で熾烈な争いをしている、そういうことはフォーチュンにも書いてあるわけです。  それで、今大臣が言われたことは、もう時間がなくなりましたけれども、とにかくそういうものを中小企業なり下請企業なりが開発してすごい実績を上げる、もうけも上げる。そうするとまたそれを大企業が、そんないいものをつくったのか、じゃうちの方で利用させてもらうよといってそれを取り上げる例もあるんですよ、もう時間がないので触れませんけれども。  だから、ともかく私はそういう点では、産業空洞化ということを考えれば、労働省が非常にささやかに雇用創出しようと思っていろんな努力をされて、法律もつくり、いろんな補助金、助成金を出しているということはわかりますけれども、そういうことをもはるかに上回る規模で海外への生産拠点移転というものが進んでしまうわけですから、そこをまず大もとを抑えなければ、それは自由にさせておいて、それでささやかに、さっき言ったゼロという年が三年も四年も続いたり、そういうようなことではとても間に合わない。  だから、私は、もう時間が参りましたのでこれで終わりますけれども、ともかく大もとを抑えなければ、大企業の勝手な海外への生産拠点移転ということに歯どめをかけなければ労働者雇用を守れないんだと。そのことを指摘して、この法案に対する質疑を終わりたいと思います。
  254. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  255. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。——別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  地域雇用開発等促進法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  256. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  257. 勝木健司

    委員長勝木健司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十七分散会