○今泉昭君 時間がなくなってまいりましたので先を急がせていただきたいと思いますが、先ほど午前中に、法の精神に基づいて
労働者の生活にしわ寄せのいかないような形の
労働時間
短縮をひとつ実現するように
指導していただきたいということを申し上げました。
ワークシェアリングというものを
考えていきますと、今後どうしてもその問題とのひっかかりが出てくると思うわけであります。ワークシェアリングを、だからといって全然手をつけない、今から論議もしないというわけには恐らくまいらないだろうと思いますから、先ほど申し上げましたような、
労働者の生活の低下につながらないような
労働時間の
短縮を実現するために、今後恐らく迫ってくるであろうワークシェアリングの導入に関しまして、ひとつ綿密なる研究なり検討を今から
労働省では進めていっていただきたいというふうにお願いを申し上げておきたいと思うのであります。
次に、残された時間、年次有給休暇のことにつきまして少しお尋ねをしたいと思います。
平均的な数字を見てみますと、我が国の年次有給休暇の付与日数は、平均で十七・二日ですか、十七日前後だというふうに聞いております。そして、法で定められているミニマムが十日であるというふうに聞かされております。そういう中で、せっかく付与されているこの年次有給休暇が六割も使用されていない、実際に五五%ぐらいの消化しかされていないという実態を
考えてみますと、
年間総
労働時間の総体の数を減らすためには、もう少しこの年次有給休暇の消化について工夫を凝らした取り組みということを今後
考えていかなきゃならないんじゃないかと思うわけであります。
労働省でも、これまでいろんな
意味で一斉休暇のとり方についてのいろいろな
指導を、特に
中小企業にやってこられたということも重々承知をしております。どうもそれだけでは
日本人の場合は、これまで自分でゆっくりと休暇をとって、その休暇を活用しようという生活環境が古くからなかったものですから、どうしても全部消化をされていないという実態が
一つ、それから職場の中において有給休暇を要求してもなかなかとりづらい雰囲気にあるというのが
一つはあるということと、もう
一つは医療
制度との関係で、ちょっと一日風邪をひいたというときに、我が国の医療
制度では最初の三日間ですか、何日間だがその保障がないものだから、つい年次有給休暇をとらなきゃならないという心配があるものですから、そのためにわざわざ有給休暇を使わないでとっているというような
状況があるわけですね。先進諸国などでは最初の一日から医療
制度でそれをカバーできるという
制度をとっているところもあるわけでございまして、年次有給休暇というもののやっぱり使い方の根本的な
考え方が違うわけですね。
そういう
意味で、残業時間と同じように全体の
年間の
労働時間
短縮に大変大きなウエートを持っている年次有給休暇、せっかく
制度でつくってもらって付与されておるにもかかわらず、それを使わないから
年間の総
労働時間が減っていかないと、こういう
状況にあるわけでございまして、これらの問題を、これは
労働省だけではできない問題でございますから、医療
制度の問題も絡め、それから生活環境あるいは国全体のそういう
価値観の変更ということもあわせて、この年次有給休暇が完全に使えるような環境をつくっていく必要があるんじゃないかと思うわけであります。
例えば、先ほど申し上げましたように、ドイツの例でございますと大体今六
労働週ですか、年次有給休暇が与えられていまして、六
労働週といいますと
年間三十日ですね、一
労働週が五日ですから、六、五、三十日間あるんですが、まず年度初めにその三十日をどう使うかというのを
計画して
企業側に出すと、
企業側がその
計画書に基づいて
年間の
生産スケジュールを立てる。そして、その三十日なら三十日与えられた有給休暇の主な連続的な取得の
状況というのは、
一つは復活祭を中心としたイースター休日、それからクリスマスを中心とするクリスマス休暇、そしてもう
一つは夏休みの時期にこれらの有給休暇を一斉に消化するわけでございますから、したがって、ドイツあたりの
年間総
労働時間というのは実は千六百時間という低い
労働時間の実態を実現しているわけであります。
そういう
意味で、せっかくゆとりのために、豊かさを感じるための有給休暇という
制度があるわけでございますから、そういう
制度がやっぱり十分に消化できるような環境づくりをぜひしていただきたいと思うわけでございます。
そのほかに、これからこの休暇の使い方ということにつきましては、新しいいろんな使い方というのをひとつ
考えながら
労働省としても
指導していただきたいと思うんですが、
一つは、今まではリフレッシュ休暇という形で
指導もされていたようですが、これから
労働者が自分の能力を再開発するために、啓発するために教育休暇的な
意味合いのものも当然必要になってくるんじゃないかと思うわけであります。
例えば十年なら十年勤め上げたならば、その
労働者には三十日なら三十日の教育休暇を与えて、もう一度人生の勉強をし直してくるという形の教育休暇、既にもう先進国の一部ではそういうことを取り入れているようでございます。さらには、御存じのようにこれからボランティアが大変重要な
時代になるわけでございまして、ボランティア
制度というものに対してみずから積極的に参加をしていく場合に、その有給休暇というのを優先的にどう使わせるかというようなシステムを、これは
企業の中につくっていく必要も当然出てくるのではないかと思うんであります。
そういう
意味で休暇の新しい使い方ということを
考えなきゃならないわけですが、そのためには幾ら何でもミニマムの十日というのは少な過ぎるんじゃないかと思うわけですよ。先ほど説明にありましたように、千八百時間のときの前提条件は有給休暇二十日だという形で組み立てられているという
お話がございました。それから比べてみても有給休暇十日というのは半分でございます。だから、そこからもう既に問題があるわけでございますから、早い機会にこの問題を基準法の
改正という形で
労働時間
短縮の一環として組み入れていただきたいと思うんですが、その点についての今後の準備なり対応についてどう
考えていらっしゃるか、お聞きしたいと思います。