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政府委員(征矢
紀臣君)
先生御指摘のように、これから二十一世紀に向けて
雇用というものが非常に重要であるというふうに
考えております。
そういう観点に立った場合にどう対処するか、これはなかなか難しい課題でございますが、
一つには、足元の短期的な
状況を見ますと、現在失業率が三・三%、若干下がっておりますが水準が高い、これが今後さらにどうなっていくかという心配がございます。
それから、有効求人倍率につきましては、不況期最悪の〇・六一倍から現在〇・七六倍ということで、これは緩やかではありますが景気の回復基調とあわせて着実に現時点では回復しております。
雇用者増につきましては、昨年十二月時点で前年同月比六十八万人と大幅な伸びをいたしておりまして、これは一般的に景気回復期に五十万前後であれば非常にかたいというのに比べましてかなり増が大きいということで、したがって現状で見た場合に、いわゆるヨーロッパのような、
先生御指摘のようなジョブレス・リカバリー、
雇用なき成長という事態では現在はないというふうに
考えております。
ただし、
経済成長の先行きがどうなるかという点につきましては、本年度は政府見通しどおり大体二・五%として、来年度については一・九%というふうな水準で見ている。そうしますと、今回の
経済計画で二十一世紀に向けて平均実質三%程度の成長で
雇用が
バランスするという見方をしておりますが、その見方からしますと足元の
状況はかなり厳しい。したがって、
構造改革等が行われなかった場合の厳しい成長率が一カ四分の三%程度であれば
雇用の方は失業率が三カ四分の三%程度に上昇するというところのちょうど今中間ぐらいの数字ではないか。これが今後の
経済いかんによってどうなっていくか、こういう心配があるわけでございます。
その点については、
先生御指摘のように、いずれにしましても
日本におきまして
基本的な物づくり、これが最重要でございまして、そういう物づくりを出発点とした全体の
経済がどうなっていくか。この辺についてはいろんなビジョンはありまして、昨年末の政府の
経済構造改革プログラムにおいても十五
分野について、情報関連あるいは住宅関連、医療関連その他で
雇用がこれから十五年ぐらいの間で七百四十万人程度は対策をとっていけばふえるんではないかというような見通しはしておりますけれ
ども、その辺も定かでない、こういうところでございます。
あわせて、
労働力人口につきましては、御指摘のように少子・
高齢化の中で
高齢化が進んでいく、あるいは
労働力人口が減少していく、こういうことでございまして、その辺の
バランスがどうとれるか、どうとっていくかというのが非常に重要でありまして、
雇用失業の立場から見ますと、そういう
構造改革が進んでいって新しい
分野ができてそこに
雇用が吸収されるテンポと、それから失業者がどんどん出てくるそのテンポのギヤツプが大きくなればなるほど失業増になる、そういう心配があるわけでございまして、そこが
基本的にできるだけそうならないような対策が全体としてとられねばならないということでございます。
私
どもの対策としては、そういう観点からは、ただいま御指摘のように
一つは職業訓練、これが非常に重要でございまして、そういう意味では在職中の
労働者についても常に職業訓練、
自分でどういう方向の訓練をするかも含めての訓練というものが重点的に行われなければならない。
それから、あとは
労働移動という面からいきますと、そういう構造変化の中で
労働者が移らざるを得ない場合に、それができるだけ失業しない形で移れるような対策、あるいは中小
企業等が新
分野展開する、ベンチャー
企業が起こる、そういうものについての支援の問題であるとか、それから今回
考えておりますのは、特に技能が集積している地域におきまして、これが空洞化等によってその技能がばらばらになってしまうというのが
日本の物づくりの将来にとって非常に心配であるという観点から、
産業政策とあわせてそういう技能の集積している地域についての
雇用面の支援を何とかとりたいということで、地域
雇用開発等促進法等の
改正もお願いしている。
こういうことでございますが、御指摘の長期的な視点からの問題点はおっしゃるとおりあるんですけれ
ども、今時点でそれじゃこういう形で具体的な対策をとれば いという明確な処方せんもなかなかないところが率直な悩みでございます。