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参考人(
近藤俊幸君)
動力炉・核燃料開発事業団理
事長の
近藤でございます。
このたびのアスファルト固化施設の火災爆発を初めとする一連の事故、事故後の対応の不手際、さらには法令
報告での虚偽の記載について科学技術庁より告発を受けるといった不名誉な事態を引き起こし、
先生方を初め地元並びに
国民の
皆様に大変な御不安と御迷惑をおかけし、心から深くおわび申し上げます。
一連の不始末は、我が国の原子力政策に対する
信頼をも揺るがすものであり、
核燃料サイクルに係る研究
開発の中核機関である動燃事業団の
責任者として、この事態を極めて重く受けとめております。
まず、東海事業所のアスファルト固化施設における火災爆発事故について申し上げますと、ごく微量とはいえ、多くの従業員が体内に放射性物質を吸入し、また施設外に放射性物質が放出されたことは極めて重大な事故と受けとめております。
特に、事故後の対応につきましては、国への法令
報告の中で、十時二十二分ごろに目視により消火していると判断したという記述は、管理職までが関与した虚偽の
報告であったことが明らかとなり、規制
当局から告発を受けるというまことに不名誉な事態となりました。事業団としては、事実関係が明らかになった時点で速やかに公表した次第でございます。今後の
捜査当局の
調査に対しては誠心誠意対応してまいる所存でございます。
アスファルト固化施設の現在の
状況でございますが、建屋の窓等の密閉作業を終了し、仮設の換気設備の設置を行い、環境への新たな放射能物質の放出がないような措置を講じております。
事故の
原因究明、
再発防止対策につきましては、役員を班長とする専従班を設置し、徹底した
原因究明に当たっているところであり、国の事故
調査委員会に対しても積極的に協力させていただいているところでございます。
次に、「ふげん」発電所の問題について申し上げます。
四月十四日、「ふげん」発電所の重水精製装置から重水が漏れ、トリチウムが微量ですが放出され警報が発報いたしましたが、幹部職員の判断ミスにより
当局への通報が大幅におくれ、重ねて
国民の
皆様の不信を増大させることとなりました。このため、四月十五日には、内閣総理大臣の命令により「ふげん」発電所の運転を停止いたしました。現在、運転停止命令とともに指示のありました情報伝達
体制の
改善を徹底すべく鋭意
努力しているところでございます。
以上申し上げました一連の
不祥事につきましては、関係した管理職を懲戒処分とするとともに、役員の運営管理
責任についても問うこととし、所要の処分を行ったところでございます。
次に、「もんじゅ」事故の現状について申し上げます。
事故に係る
原因究明
調査は終了し、現在、事故の反省と教訓を踏まえ、
改善策を含む徹底した安全総点検を進めているところでございます。なお、「もんじゅ」を含めた今後の高速増殖炉
開発の
あり方につきましては、新たに設置されました高速増殖炉懇談会の場で幅広い議論が行われていますことは御高承のとおりでございます。
「もんじゅ」事故とその後の不適切な対応について広く
社会の各般各層から厳しい御指導、御批判をいただき、私
どももこれを真摯に受けとめ、失われた動燃の
社会的
信頼の回復を目指し、各事業所での安全総点検、マニュアルの
見直し及び情報公開総括者等の配置、一斉ファクスの整備等、徹底した安全
確保と情報公開を基軸に、安全に徹する動燃、開かれた動燃、地元重視の動燃をつくるべく
努力してまいりました。しかしながら、今回の事故とその後の対応については、その反省と教訓を十分に生かすことができませんでした。これは、動燃の意識の
改革がまだ十分に末端まで浸透していなかったためと深く反省しているところであります。
とりわけ、たび重なる
不祥事の根源として重要と私が考えておりますところは、技術者集団である動燃と
社会一般の意識のギャップの大きさであります。この乖離をなくしていかなければならないと痛感している次第でございます。
一例を挙げますと、放射能の問題に対して
社会一般は、レベルの問題ではなく環境へ放出したか否かを厳しく問われているのですが、動燃技術者は、基準レベル以下ならばよいのではないかという従来からしみついた体質から脱皮できずにおります。このような体質をぜひとも打破し、意識の
改革を図ってまいります。
また、
経営改革の具体的な検討の方向といたしましては、軽水炉サイクル関連技術のように、所期の
目的を達したもの、または達成しつつある事業については、エンドユーザーである電力
会社や民間
企業との密接な調整協議を進め、人も技術も含めて円滑な技術移転を図るよう
努力いたします。
一方、将来的にも必要不可欠な研究
開発として、高速炉とその燃料サイクルの研究
開発や放射性廃棄物の処分研究があります。これらの研究
開発については、安全
確保を大前提に今後一層の力を傾注してまいりたいと存じます。
これらの研究
開発の進め方に当たっては、内外の研究機関との共同研究や協力関係を一層深め、外の風を積極的に取り入れることなどにより、開かれた組織として技術
開発意識の変革と研究
開発の効率化を進めてまいります。
以上に申し上げましたとおり、動燃の意識、
経営、組織の抜本的な
改革を進め、地元の
方々を初め
国民の
皆様に御理解をいただけるよう
全力を傾注してまいる所存でございます。
本日は、
予算委員会の諸
先生方に事故にかかわる一連の経緯と今後の取り組みについての動燃事業団の考え方を御説明する
機会をいただき、まことにありがとうございました。よろしく御指呼のほどお願い申し上げます。