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国務大臣(
橋本龍太郎君) 私は、そうした部分についての御質問がありましても、今まであえて
発言を慎んでまいりました。なぜなら、知事がみずからどう
態度を決定されるにせよ、それとは別に我々は
沖縄の
振興策というものを
考えていかなければならないわけでありますから、いやしくもその
振興策のために知事さんが自分の
考えを変えたと言われるような誤解を
沖縄県内に与えたくない、率直に私はそう
考えてまいりました。
その上で、幾つかの例示としてお聞きをいただきたいと思うのでありますが、知事から繰り返し御要請のありました問題点の一つは、先ほど
議員も御
指摘になりました雇用問題であります。また、本土に復帰いたしまして時間が経過をするにつれ、
沖縄県の中から特に
アメリカにおける留学生への応募の合格率が必ずしも高いとは言えなくなってきた、こうした
状況を変えたいという思い、あるいはもっと若い世代で本当の日米の交流ができないであろうかという思い、こうした
お話を伺ってまいりました。
そして、その一部は既に世の中にもあらわれておりますので申し上げてもよろしいと思いますが、例えば雇用につきまして、
沖縄県として同時通訳の養成というものを一つのコースとして
考えられ、既に幾つかの外国語についてそうしたコースを持っておられました。国もこれをお手伝いすることとし、新たな幾つかの話学を県の方では教官スタッフの得づらい外国語につき御協力をするというお約束をいたし、これは既に動き始めております。
また、これは内航海運
関係各社にお礼を申さなければならないことでありますが、しばらく前に内航海運の
関係者に
沖縄県を訪問してもらい、その中で
沖縄県の要望される新船建造についてのゴーサインを、船腹調整とはかかわりなくその要望を受け入れ、これが動き出す
状況になっております。
そして、ここまではそうなることを私も期待し、内航海運の
方々に現地に行っていただいたわけでありますが、私が予測しておりませんでしたことは、その後知事と会われたときに内航海運の
関係者の方から、
沖縄県において行われている船員養成施設の卒業生を全員自分たちで引き受けるということを言い切り、既に
関係者がその方向に動いてくれておることであります。こうしたことは、殊に若い
方々の雇用という点でまさに知事の主張されてきたその方向に沿うものと思います。
あるいは、高等学校の生徒さんたちを対象に四十名程度
アメリカに留学の機会をつくる。これも県は大変喜んで既に具体的にいろいろ、また
アメリカ政府の方も協力をしてくれまして、受け入れる学校等々既に具体的な話が進行しつつあります。
そうしたことだけではなく、例えば昨年度の補正
予算におきまして五十億の調整費を計上いたしました。これは結果として繰り越しておりますけれども、その中から既に県の御要請に従って使い始めておるものもございます。
また、アクションプログラムを当初県から拝見いたしましたとき、これは県独自の案ということで県外にまだ公表しておられない
状況のときでありましたが、その後そのアクションプログラムのうちのそれぞれの部分につきまして既に
関係各省庁に
お話も参っておりますし、知事がお入りをいただく懇話会の中でも論議の対象に取り上げております。
私は、先ほど
官房長官の御答弁の中でありましたように、一国二制とまで言い切る自信はありません。また、本当に一国二制が、このごろの集団密航事件等を見ておりますとき、必ずしもよいとばかりは言えない部分があるような思いはいたします。しかしその上で、他の都道府県と
沖縄県に対する違いがあって悪いとは私も思っておりません。
そうした思いを持ちながら、ただ、今具体的に
振興策の論議をすることは、いたずらに私は知事をかえって苦しめることを恐れます。それだけに、こうした
使用権原切れの問題等がいずれにせよ解決をいたしました時点で、公式の場所で
振興策の
議論ができることを願っております。
既に知事御自身にはさまざまなことを私自身申し上げてまいりました。そして、その中に知事が首をひねられたものもありますし、これをしてもらえればと大変喜ばれたものもございます。しかし、知事もやはりそのそれぞれについて言挙げすることは今望ましくないというお気持ちは先日お目にかかりましたときも共有いたしておりました。この点はどうぞ御理解をいただきたいと思います。