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1997-03-28 第140回国会 参議院 予算委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年三月二十八日(金曜日)    午前九時三十一分開会     ―――――――――――――    委員の異動  三月二十六日     辞任         補欠選任      一井 淳治君     川橋 幸子君      齋藤  勁君     小島 慶三君  三月二十七日     辞任         補欠選任      島袋 宗康君     佐藤 道夫君  三月二十八日     辞任         補欠選任      吉川 春子君     阿部 幸代君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長        大河原太一郎君     理 事                 片山虎之助君                 佐藤 静雄君                 斎藤 文夫君                 田沢 智治君                 木庭健太郎君                 都築  譲君                 横尾 和伸君                 山本 正和君                 有働 正治君     委 員                 阿部 正俊君                 石渡 清元君                 板垣  正君                 加藤 紀文君                 久世 公堯君                 沓掛 哲男君                 関根 則之君                 竹山  裕君                 武見 敬三君                 谷川 秀善君                 成瀬 守重君                 野間  赳君                 保坂 三蔵君                 真鍋 賢二君                 依田 智治君                 石田 美栄君                 市川 一朗君                 牛嶋  正君                 大森 礼子君                 菅川 健二君                 田村 秀昭君                 高野 博師君                 高橋 令則君                 浜四津敏子君                 大渕 絹子君                日下部禧代子君                 清水 澄子君                 照屋 寛徳君                 川橋 幸子君                 小島 慶三君                 本岡 昭次君                 藁科 滿治君                 阿部 幸代君                 笠井  亮君                 吉川 春子君                 佐藤 道夫君    国務大臣        内閣総理大臣   橋本龍太郎君        法 務 大 臣  松浦  功君        外 務 大 臣  池田 行彦君        大 蔵 大 臣  三塚  博君        文 部 大 臣  小杉  隆君        厚 生 大 臣  小泉純一郎君        農林水産大臣   藤本 孝雄君        通商産業大臣   佐藤 信二君        運 輸 大 臣  古賀  誠君        郵 政 大 臣  堀之内久男君        労 働 大 臣  岡野  裕君        建 設 大 臣  亀井 静香君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    白川 勝彦君        国 務 大 臣       (内閣官房長官)  梶山 静六君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  武藤 嘉文君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)        (沖縄開発庁長        官)       稲垣 実男君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  久間 章生君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       麻生 太郎君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       近岡理一郎君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  石井 道子君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  伊藤 公介君    政府委員        内閣参事官        兼内閣総理大臣  安富 正文君        官房人事課長        内閣審議官    及川 耕造君        内閣法制局長官  大森 政輔君        内閣法制局第一        部長       秋山  收君        人事院事務総局        職員局長     佐藤  信君        総務庁人事局長  菊池 光興君        総務庁行政管理        局長       陶山  晧君        総務庁行政監察        局長       土屋  勲君        防衛庁参事官   山崎隆一郎君        防衛庁経理局長  佐藤  謙君        防衛施設庁長官  諸冨 増夫君        防衛施設庁総務        部長       伊藤 康成君        経済企画庁調整        局長       土志田征一君        経済企画庁総合        計画局長     坂本 導聰君        科学技術庁長官        官房長      沖村 憲樹君        科学技術庁長官        官房審議官    興直  孝君        科学技術庁原子        力局長      加藤 康宏君        国土庁長官官房        長        近藤 茂夫君        国土庁大都市圏        整備局長     五十嵐健之君        議会事務局次長        国土庁地方振興        局長       鈴木 正明君        法務省刑事局長  原田 明夫君        外務省総合外交        政策局長     川島  裕君        外務省北米局長  折田 正樹君        外務省経済協力        局長       畠中  篤君        外務省条約局長  林   暘君        大蔵大臣官房長  涌井 洋治君        大蔵省主計局長  小村  武君        大蔵省主税局長  薄井 信明君        大蔵省証券局長  長野 厖士君        証券取引等監視        委員会事務局長  若林 勝三君        文部大臣官房長  佐藤 禎一君        文部大臣官房総        務審議官     富岡 賢治君        文部省高等教育        局長       雨宮  忠君        厚生大臣官房総        務審議官     中西 明典君        厚生省健康政策        局長       谷  修一君        厚生省生活衛生        局長       小野 昭雄君        厚生省老人保健        福祉局長     羽毛田信吾君        厚生省保険局長  高木 俊明君        厚生省年金局長  矢野 朝水君        農林水産大臣官        房長       堤  英隆君        農林水産省構造        改善局長     山本  徹君        通商産業大臣官        房長       広瀬 勝貞君        資源エネルギー        庁公益事業部長  岡本  巖君        運輸省運輸政策        局長       相原  力君        運輸省鉄道局長  梅崎  壽君        郵政大臣官房総        務審議官     高田 昭義君        労働大臣官房長  渡邊  信君        労働省労政局長  松原 亘子君        労働省職業安定        局長       征矢 紀臣君        建設大臣官房長  小野 邦久君        建設大臣官房総        務審議官     村瀬 興一君        建設省都市局長  木下 博夫君        建設省道路局長  佐藤 信彦君        建設省住宅局長  小川 忠男君        自治大臣官房長  谷合 靖夫君        自治省行政局選        挙部長      牧之内隆久君        自治省財政局長  二橋 正弘君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局総務局長   涌井 紀夫君    事務局側        常任委員会専門        員        官本 武夫君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○平成九年度一般会計予算内閣提出、衆議院送  付) ○平成九年度特別会計予算内閣提出、衆議院送  付) ○平成九年度政府関係機関予算内閣提出、衆議  院送付) ○委嘱審査報告書に関する件     ―――――――――――――
  2. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  平成九年度総予算三案の締めくくり総括質疑に関する理事会決定事項について御報告いたします。  締めくくり総括質疑は、本日一日間とすること、質疑割り当て時間の総計は百一分とし、各会派への割り当て時間は、自由民主党二十分、平成会三十五分、社会民主党・護憲連合二十分、民主党・新緑風会十二分、日本共産党十分、二院クラブ四分とすること、質疑順位についてはお手元に配付いたしておりますとおりでございます。     ―――――――――――――
  3. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 平成九年度一般会計予算平成九年度特別会計予算平成九年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  これより締めくくり総括質疑に入ります。片山虎之助君。
  4. 片山虎之助

    片山虎之助君 自由民主党片山虎之助でございます。  予算審議も長丁場でございましたが、いよいよ大詰め、最終日となりました。総理初め閣僚皆さん委員皆さん政府委員皆さん、大変お疲れさまのことと思いますが、きょう一日ぜひよろしくお願いいたしたい、フィナーレを飾るにふさわしい充実した審議をいたしたい、こう思っております。  まず、沖縄問題から入らせていただきたいと思います。  御承知のように、昨日、第三回の沖縄県の収用委員会公開審理が持たれましたが、これは何か会長さんが御入院で、会長代理の方が主宰されて、所有者及び代理人十二名が意見陳述をおやりになった。いろんなことを言われているようでありますが、この結果、我々の期待とは変わりまして、いまだ裁決に至らず、会長さんが御入院中で次の日程も決まらず、こういうことになったわけであります。  したがいまして、このままでは五月十五日には嘉手納、普天間両飛行場など日本安全保障や東南アジアの安定にとって極めて重要な基地について国の使用権原がない状態となると、こういうことになるわけでありますが、我が国安保条約提供義務を負っておりますし、無権原状態は何としても避けなければならないわけであります。  しかも、何度もこの委員会質疑がありましたように、三万二千六百二十五人の所有者のうち二万九千五百四十四人、九〇・六%の方はどうぞお使いくださいと。こういう方の意思を踏みにじっていいんだろうか、あるいはこのままで国益に合致するんだろうかと、こういう感じがするわけでありまして、この無権原状態は何としても避けなければならないと思います。  そのためには駐留軍用地特別措置法改正でどうしても対処せざるを得ないのじゃないかと、こう言われておりますけれども、政府は当委員会質疑におきましてもいまだ態度を明らかにされておりません。態度表明をされていない。ただ、けさの新聞なんかを見ますと、一斉に条文まで出ているようでございまして、これはどういうことかと思いますけれども、政府としての今後の対処方針をまず総理にお伺いいたしたい。
  5. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 駐留軍用地使用権原の取得の手続につきましては、議員からも今御指摘がございましたように、駐留軍用地特措法に基づきまして五月十四日の使用期限までに使用権原が得られますように、収用委員会審理が整々と進んでおる状況の中で、収用委員会裁決を期待いたしておりました。しかし、次回の収用委員会日程も決まっておらず、使用期限までに使用権原を得るのは極めて困難な状況になっております。  緊急使用につきましては、収用委員会での御審理あるいは現地調査等に日数が必要となることなどから、現実問題として五月十四日までに緊急使用許可に基づいて使用権原を取得する、これは非常に難しい状況にあるということもこの機会にぜひ御理解をいただきたいと思うのであります。  いずれにいたしましても、我が国安全保障のために欠くことのできない日米安全保障条約、その当事国として責任を持ってこの条約上の責任を果たしていかなければならない日本立場として、五月十五日以降使用権原のない状態が生ずることのないよう適切に対処してまいりたいと考えております。さらに最大限努力を尽くしてまいりたい、現時点におきましてもそのような努力を継続いたしておるさなかでございます。
  6. 片山虎之助

    片山虎之助君 今の総理の御答弁はよくわかりました。今回の特措法改正は、試合中にルールを変えるのか、こういう議論もありますけれども、私はより大きな国益のためにはやむを得ないんじゃなかろうかと。  それから、総理から今緊急使用お話もありました。ただ、緊急使用につきましても、楚辺通信所の例を見ましても大変時間がかかる。しかし、今の時点でそれをやることは結局アブハチ取らずになる、どっちもうまくいかない、こういうふうに考えるわけでありまして、最大限努力をぜひ引き続いてお願いいたしたいと思います。  日米安保体制我が国安全保障のかなめであることは言うまでもありません。ただ、沖縄方々が言われるように、そのために沖縄県民に過度の負担をしょわせている、こういうことは確かに私は事実であると。この負担の軽減をどうやるかということが今後の大きな課題ではなかろうかと思います。今回の土地の使用権原確保はやむを得ません。やむを得ませんけれども、基地問題の中長期的な課題としては、沖縄方々が言われるように、日米安保体制の大枠を崩すことのない範囲で現実的な海兵隊中心とする沖縄兵力削減アメリカと交渉する必要があると、私はこう思いますが、いかがでございましょうか。
  7. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 我が国におきましては沖縄県初めその他の地域海兵隊を含む在日米軍が存在をいたしております。そして、海兵隊駐留というもの、その要因といいますものは、アメリカ本土からハワイ、グアム等前方展開をしております戦力に加えまして、水陸両用戦闘能力を有する海兵隊というものが我が国駐留をする、これによって我が国自身を含みます極東における国際の平和と安定の維持に寄与する、このために迅速かつ柔軟に対応できる、こうした点があると私どもは考えてまいりました。  そして、議員が御指摘になりましたように、また先般本委員会におきまして沖縄県御出身の議員の方から沖縄県民の心はおまえたちにわからないという大変手厳しいお言葉をいただきました。そうなのかもしれません。しかし、少なくとも私なりに、また現内閣として少しでも沖縄方々の苦しみ、負担というものを軽減したいと努力を続けてまいったことも事実でございます。  一方、国際社会におきまして引き続き不安定な要因が存在しております中で、こうした要因の中で我が国駐留しております海兵隊というものが、その有しております高い機動力即応性などを通じて在日米軍の重要な一翼を担っている、そして我が国の安全と極東における国際の平和と安定の維持に役立っている。こうしたことを考えますとき、現時点においてその削減あるいは撤退を求めるということは私はなすべきことではないと考えております。  しかし同時に、中長期的に先ほど議員が御指摘になりましたようなさまざまな変化を想定いたしますときに、当然ながら日米安保共同宣言の中にも確認をいたしておりますことですが、国際的な安全保障情勢において起こり得る変化対応し、両国必要性を最もよく満たすような防衛政策並びに日本における米軍兵力構成を含む軍事態勢について米政府と緊密かつ積極的に協議を継続していくという考え方、これは既に両国確認をいたしております。  もとより安全保障、これは国の基本的な備えの問題でありますから、防衛政策軍事情勢というものを検討いたしますについて、短期的なあるいは表面的な変化だけで考えるのではなく、国際情勢の中長期的な趨勢というものをきちんと見きわめる必要はございますが、この地域安全保障環境が大きく変化することになりましたなら、当然それに最も適切な対応し得る防衛力防衛政策あるいは軍事態勢というものについて、日米両国においてこれを協議していくということは議員の御指摘のとおりであります。
  8. 片山虎之助

    片山虎之助君 ぜひ中長期的な課題として、実現の努力沖縄県民の皆様の目に見えるようにその努力をお願いいたしたいと、こういうふうに思います。  そこで、沖縄振興なんですが、沖縄県における基地関係所得が、いろいろ調べますと思ったより低いんですね。二兆五千億で千六百億程度、こういうことでございますけれども、もろもろ考えますと、私は、やっぱり沖縄県は基地依存経済だと言わざるを得ない。しかし、それからの自立、脱却ということも大きなテーマだと思うわけであります。  昨年の八月に沖縄県知事あるいは議会から規制緩和中心にいろんな要望が出たと聞いております。それを含む沖縄経済自立のために、一国二制度というのが中国香港の間でいろいろ議論されましたが、我が国で一国二制度が果たして適当かどうか、大変な議論があると思いますけれども、しかし合理的な許容できる範囲で思い切った一国二制度ということを考えてもいいんではなかろうか。香港状況は変わってきますから、私は、沖縄ポスト香港にする、中国の方は怒られるかもしれませんけれども、そういうことを含めてのどういう対応振興のための方途をお考えか、御所見を承りたいと思います。
  9. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 昨年の九月十日、私は沖縄問題につきまして内閣総理大臣談話というものを発出させていただきました。そして、沖縄地域経済として自立し、雇用が確保される、そして県民生活の向上に資するとともに、我が国経済社会発展に寄与する地域として整備されるように全力を傾けていきたいということを申し上げてきました。  そして、内閣官房長官関係大臣沖縄県知事で構成する沖縄政策協議会を設置しながら、沖縄振興策について具体的に検討していただいてまいりました。また別途、俗に島田懇と呼ばれる官房長官のもとにおける、しかも県関係方々もお入りいただいている中で非常に具体的な御提言もいただいております。そして、議員が述べられたように、沖縄県が基地経済から自立した経済発展を遂げる、そのために思い切った振興策を講ずるべきだという御指摘は、私もそのとおりだと思っております。  今県の方でも、先日知事とお話をいたしましたときにもその中で出てまいりましたが、規制緩和検討委員会を設置される、そうしたことを考えておられるということを伺っております。その御提言というものが政策協議会に提示をされてまいりました段階で、真剣に我々は検討させていただきたい、そのように思っております。
  10. 片山虎之助

    片山虎之助君 よろしくお願いいたします。  そこで、オレンジ共済事件でございますけれども、先般、一連の証人喚問が、全部が終わったわけじゃありません、齋藤衛氏についてはまだ半分残っておりますけれども、二十一日に友部氏親子、二十六日に齋藤衛氏、こういうことをやったわけでありまして、その結果解明ができたものもあり、解明ができないものもある。  ただ、私も齋藤衛氏をやらせていただいて、議院証言法四条というのはなかなか一種の壁なんですね。刑事訴追のおそれがあるあるいは有罪判決のおそれがあれば拒否できる、これを拡大解釈すれば、これはもう全部証言拒否できるんですね。本当はこの線引き、ガイドラインが何か要ると思いますけれども、根拠も示さずに、言えません、拒否しますと言われるのでは、それは解明がもら一つということはやむを得ない。  しかし、国会は検察や警察と違うんですから、それは国政調査権範囲で今後の国政に資するための解明をすればいいんで、国会の姿勢なり考え方なりを明らかにして、また証人喚問によって捜査当局が何らかの手がかりを得られればそれで十分ではなかろうかという気がいたしますが、議院証言法をどう検討するかは国会にとっての今後の大きな課題だ、こう思います。  そこで、私の考えでは、齋藤氏も証言拒否が大変多いんですけれども、証言拒否されたことは私は限りなくクロに近いと思うんですよ。そうですと認めると、これは罪になりますし、刑事訴追を受けるし、またそうではありませんと否定すると、下手をすると偽証罪になる。  だから、この点を捜査当局に、拒否されたことについては、もうお金の関係いろいろありますが全部拒否しているわけですから、徹底的に調べていただきたい。それから、肯定したところは認知したんですから、取り調べやいろんな関係と照合していただいて、これはさらに追及していただきたい。否定されたものは、事実と違えばこれも場合によっては偽証になるわけですから、そういうことで捜査当局にしっかりやっていただきたいと思いますが、捜査当局としての今後の対応決意を、これを単なる詐欺事件に終わらせちゃいけません。国民がこれだけの疑惑を持ち、場合によっては政治不信の大変大きな材料になっている、選挙制度そのものの信頼を揺るがしている。  そういう意味で、国家公安委員長と法務大臣決意と今後の対応をお伺いいたしたいと思います。(発言する者あり)
  11. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 不規則発言閣僚席からやめてください。
  12. 松浦功

    国務大臣松浦功君) 御指摘をいただきました問題につきましては、委員の御発言を十分尊重し、捜査当局において徹底的に捜査をさせたい、こう思っております。
  13. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) まず、本件は多数人を巻き込んだ多額の詐欺事件でございます。被害者の救済を含めて、その使途金については、駒取金については解明しなきゃならぬことは申すまでもありません。  そして、国会等でも、その騙取金の使途の中で、公職選挙法二百二十四条の三あるいは政治資金規正法あるいは所得税法等に違反することがいろんな立場からこれだけ指摘されているわけでございますので、警察当局としてはそのようなことを視野に置き、念頭に入れつつ、現在鋭意捜査しているものと承知しております。
  14. 片山虎之助

    片山虎之助君 そこで、せんだっての証人喚問解明された部分もかなりありますが、私はまだ不十分だと思いますので、国会としてもあるいは当参議院予算委員会としても、さらに解明を続ける必要があると思います。  したがって、証人喚問の要求をしております初村謙一郎氏、新渡英夫氏についてぜひ実現いたしたい。これはもう既に要求しております。委員長の方で理事会にかけてよろしくお取り計らいをいただきたいと思いますし、新たに細川護煕氏の証人喚問要求をいたします。
  15. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ただいまの片山君の証人要求については、後刻理事会において協議をいたします。
  16. 片山虎之助

    片山虎之助君 そこで、法律上のことはもう捜査当局中心解明してもらう、国会国会としてできる範囲でやっていく、私はこれはそれでいいと思います。思いますが、私は最後に政治責任、道義責任というのは残るんじゃなかろうかと。  友部達夫さんのような方を、まだきちっと有罪じゃありませんから失礼に当たるかもしれぬけれども、少なくとも今わかった範囲で私は議員になるにふさわしくない人だと思いますよ。そういう人を比例の十三位にして議員にしたこと。それを党としてあるいは個人としても応援をして信用を与えて、あるいは国民を惑わしたと言っては語弊があるかもしれませんが、そういうこと。あるいは、何度もこの委員会質疑で明らかになりましたように、結局議員になってからさらに六十六億ぐらいお金を集めているんですが、その責任。あるいは財団法人に絡むいろんな責任。  これも何人かの政治家の方が応援されているんですから、そういうことを含めて、新進党、平成会、こういうところに所属されておったわけでありますから、新進党の皆さんも、調べてみたけれども何もありませんでした、だれも責任がありませんと、こういうことで国民に対して申しわけが立つんだろうか。大変無責任な感じが私は個人的にはいたすわけでありまして、ぜひ再調査をきちっとやっていただいて責任を明らかにしていただきたい。だれも責任がありません、何にもありませんと、こういうことで私は済むんだろうかなという気がいたすわけであります。  答弁していただくのに適当な方がおりませんが、私は、公職選挙法政治資金規正法その他、国家公安委員長もお兼ねになっておりますから、ひとつこの件に関しての白川自治大臣国家公安委員長の御所見を承りたい。
  17. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) まず、公選法二百二十四条の三に、名簿選定に絡んで金銭の授受等があってはならないというふうに、この参議院の比例代表導入に際して入った規定の趣旨を考えると、一般の有権者から名前を書いていただいて当選者が決まるというところでは、買収、供応その他いろんな意味での選挙の公正を求められているわけでございます。比例代表選挙は文字どおり順番をどうするかということによって当落が決まるわけでございまして、その当落を決めるに際して政治の公正さが金銭によって疑われるようなことがあってはならないという趣旨で設けられたものと、こう承知をしているわけでございます。  したがいまして、名簿の登載に関していろいろと不祥事があるということについては、選挙の公正さという面から見ても大きいことだと思いますし、同時に基本的にはそれは政党の行為でございますので、政党がいろんな意味でこれについては自覚をしていただいて、政治の信頼を落とすことがないように注意していただくしかないんだろうと思います。  なお、制度面においていろいろ見直すべきところがあるならば自治省としてもいろいろ考えてみたいと思いますが、まずは各党各会派においてこの事件を機にいろいろと御検討いただき御教示いただければと、こう思っております。
  18. 片山虎之助

    片山虎之助君 関係者、関係会派、関係政党の良識ある対処、対応をぜひ望みたいと思います。  次に、橋本総理の言われる六つの改革と財政再建についてお尋ねいたしたいと思います。  橋本総理は、もう大変な使命感を持って、熱意を傾けて六つの改革に取り組んでおられる。だんだんスピードが上がってきましたね。具体化してきた。私は大変いいことじゃなかろうかと。もう本当に総理は火だるま、あるいはそういう意味で本気でやられているなと、こう思うわけであります。  中曽根元総理がどこかで、行財政改革はグライダーみたいなもので、追い風がなきゃうまくいかぬのだという話をされたこともありますし、日本は空気の国ですから、空気をつくると思ったより進むんですね。空気の国、空気が物を決めるようなところがあるんですよ。政治改革のかつての騒動を考えれば、あれを動かしたのは空気ですよ。  そういう意味で、ぜひ追い風、空気が必要なんですけれども、総理はだんだんおつくりになっている。それらにかかってこれができるかどうかは、総理をみんなでサポートせにゃいけませんけれども、私は総理のリーダーシップだと思う。  我が岡山県の大芸術家、いろんなことをやられた方に平櫛田中という有名な方がおられる、平櫛田中翁。彼の言葉に「わしがやらねばだれがやる。今やらねばいつできる。」と、こういう言葉がありますが、ぜひ平櫛田中翁の言葉で総理に今後とも六つの改革に取り組んでいただきたいと思いますが、御決意、御所見を承りたい。
  19. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 先般来、政府の中で議論し指示するというだけではなく、自由民主党のさま、ざまなレベルの会合、さらに先週、与党三党の党首会談をお願い申し上げ、その席でも財政構造改革への御協力、さらに御支援をお願い申し上げてまいりました。そのとき申し上げたことでありますけれども、財政構造改革の必要性、そして私はそれに取り組む五つの原則をお示しし、また基本的な考え方について御説明をしながら御協力を求めたわけでありますが、少なくともその方向についての御賛同はいただいたものと考えております。  ただ、歳出の削減というものはいずれにしても痛みを伴うものでありますから、またこれを改革し縮減する具体的な方策を取りまとめていきます段階ではさまざまな困難も予測をされることでありますけれども、国民の皆様に理解を求めながら、まさにこれは政治がその責任を果たしていかなければならない問題、そのような決意を持って取り組んでまいりますのでぜひ御協力を賜りたい、心からこの場をかりてお願いを申し上げます。
  20. 片山虎之助

    片山虎之助君 そこで、私は時々言っているんですが、六つの改革というのは間口が広くて全方位展開なんですね、だから、お互いにそれぞれ進んでおりますけれども、関係がよくわからないようなところが少しあるんですが、少なくとも私は、財政構造改革、財政再建にとりあえずは集約、先行させて六つの改革を関連づけていくのがベターではなかろうか、こういうように思いますが、いかがでしょうか。
  21. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、今回の財政構造改革会議、それに続く閣僚懇談会、そして自由民主党におけるまた与党党首会談における場で、この目標を二〇〇三年までに達成したい。それは財政赤字対GDP比三%、赤字国債発行ゼロという目標をこの二〇〇三年までに何とか達成をしたい。  そのためにも、今世紀中の三年間、これを集中的に改革を進める期間として、その場合、歳出の改革と縮減というものに一切の聖域を持たない、同時に主要な経費において具体的なその量的な縮減目標を求めていきたい。当面する平成十年度の予算、その前に概算要求をいたすわけでありますけれども、平成十年度予算におきましては政策的経費である一般歳出を対九年度比においてマイナスにしたい。そして、あらゆる長期計画などにつきましてはその大幅な縮減をしながら、新たな歳出を伴う長期計画はつくらない、そして財政赤字を含んだ国民負担率が五〇%を超えないような財政運営をしたいということを申し上げてまいりました。  議員が仰せになりますように、今私は六つの分野での改革を国民にお願い申し上げております。しかしこれは、実は戦後五十年の間形づくられてきました、今日までの日本の間で複雑に組み合わせられ入り組んだものばかりであります。そして、我々は、一方でこの歳出削減に全力を尽くしながらも、日本の経済を失速させるわけにはいきません。  本日の閣議におきまして規制緩和推進計画の再改定を決定いたしましたが、金融システム改革の観点から、あるいは今日までの交通政策を基本的に改める需給調整の廃止に伴う新たなルールづくりの問題から、さまざまなものをこの中に含んでおります。  一方では、そうした努力をすることによって経済構造改革も変え、新たな雇用もつくり出す努力を我々は必要とするわけであります。また、そうした分野に人材が送れるような教育というものも進めていかなければなりません。その意味では、これらの改革は幾つも組み合わせられております。そして、財政構造改革というものが、その大きな横ぐし、横に刺したくしのような形であるもの、これは私は議員の御指摘どおりだと思いますが、いずれの改革もあわせて進めていかなければどこかに問題を生じていくのではないか、今私はそのような思いでこれらの問題に取り組んでおります。
  22. 片山虎之助

    片山虎之助君 そこで、平成十年度から本格的な財政構造改革、財政再建に入る、その前の平成九年度はどういうことになるのかと、こういうことなんですね。  平成九年度予算というのが、これはマスコミのせいが相当あると思うんですけれども、一般に大変評判がよろしくない。私はよくできていると思いますよ、本当に。例えば、四・三兆円の国債減額、あるいはプライマリーバランスをきちっと達成したこと、公債依存度を下げたこと。とにかく特別減税を続けろ、消費税上げるなという議論は、それは大変国民にとって耳ざわりはよろしゅうございますけれども、それじゃ、それだけの歳出カットができない以上、簡単にできませんよ。できない以上、赤字国債で財源を手当てするようなことは、これは大変なことになるわけですね。私は、そこは国民の理解を求めていかなきゃいかぬ。  ところが、平成九年度が何で評判が悪いかというと、私もよくわからぬのですが、申しわけないんですけれども、一つは整備新幹線なんですね、象徴的に。あるいは公共事業のシェアが変わらなくて、しかも昨年の暮れに新たに六本の長期計画をつくり直しているんですね、つくり直している。あるいは一月の終わりに通した平成八年度の補正で、例えばUR、ウルグアイ・ラウンド関連予算を、これはいつも補正で組むから問題なんですけれども、補正でどっと組んだ。防災公共といって防災をくっつけて公共事業をふやしたではないか、こういうことの総体的なことが、マスコミ報道の必ずしも正確でないことと相まって、私はイメージを悪くしていると、こういうふうに思うんです。  そこで、十年度から本格的にやるときに九年度をこのままにしていいのかどうか。九年度予算について、私は、十年度の財政再建となだらかにつなげるためには、九年度に何にもしないということでいいんだろうかという気がいたしますが、大蔵大臣、いかがでございましょうか。
  23. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 評判の悪い九年度予算と言われました。しかし、片山議員はそうではないということで、全くそのとおりでございます。よって、九年度をどうするかは、決められた予算でございます。成立後は誠実に執行をしてまいると。また、コストの問題について今検討が行われておるわけでございまして、執行スタートということになりますと、具体化されてまいります。  そういうことで、まずは九年度予算を誠実に効率的に運用して執行してまいる、こういうことになります。
  24. 片山虎之助

    片山虎之助君 この九年度予算は、一般歳出では一・五%しか伸ばしていないんですね。消費税のことを考えると、全く横ばいなんですよ。ちっとも伸ばしていないんですよ。ところが、これは一般にはなかなか皆さん御存じない。  そこで、誠実に御執行は結構でございますけれども、平成九年度予算について分野ごとに節減の目標――目標といいましても努力目標ですよ、そういうものをおつくりになる気はありますか、ありませんか。
  25. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 十年度ですか。
  26. 片山虎之助

    片山虎之助君 九年度です。
  27. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 毎年、行政費節減ということでパーセンテージを掛けておりますことは御承知のとおりでございます。事業執行の予算については、節減目標というよりも、高コストの今日の時代でありますから、規制緩和等が進んでまいります。それと、工夫と研究の中でコストダウンを期することができるわけでございますから、繕力的にそちらをやることによって期待にこたえたいと思っております。
  28. 片山虎之助

    片山虎之助君 ちょっとよくわからないんですが、努力目標はおつくりになる、おつくりにな久ない。外に出すもの、内部的、両方ありますが、努力目標というのは示さない。
  29. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 成立直後、毎回努力目煙を出しております。それは出させていただきます。
  30. 片山虎之助

    片山虎之助君 時間がありませんので余り議論を詰めませんが、一番大口の公共事業ですね。コストダウンの努力をやるんだと亀井建設大臣は音欲的な御発言をされておりますが、この努力日揮でどのくらいお考えか、平成九年度ですよ、ぜひお答えいただきたい。  私は、公共事業は投資額だけであらわしていくというのがいいのかなと。もちろん、国のお金々入れるということは必要ですけれども、これだけの成果があった、これだけできたんだという検証の方策を何か考えないと、これだけ金入れたこれだけ金入れた、金の競争じゃなくて成果の競争、そういうことを含めて御所見があればお伺いいたしたいと思います。
  31. 亀井静香

    国務大臣(亀井静香君) 成果を競うといいますか、それを目標に公共事業を執行するということは、委員の御指摘のとおりであります。  コストのことにつきましては、総理から厳しい御指示をいただいておりまして、今鋭意努力をいたしております。一部のマスコミのようなコストについてのいろいろな暴論が一方ではございますが、自由主義経済下におけるコストの要素というのは御承知のように多岐多方面にわたっておるわけでありまして、しかも質の問題があります。耐震防災あるいはお年寄り、障害者に優しい社会資本を整備しなければならないという面もあるわけでありますので、そういう面で我々といたしましては、建設省の力でどの程度削減できるか、精いっぱいやる努力をいたしておりますが、直ちにそれで何%約束しろと言われましても、私は無責任なことはよう言いません。
  32. 片山虎之助

    片山虎之助君 無責任でなくて、責任を持ってぜひコストダウンの努力をしていただきたい、こういうふうに思います。  それからもう一つ、予算で大口は社会保障ですね。これはせんだっての当委員会でも、今井委員から、当事者だった方ですからおかしいんですが、御指摘ありましたように、大変地域格差があるんですね。我々が驚く以上にある。しかし、それは薬剤費やお年寄りの方の社会的入院やいろいろな要因があると思うんです。今の社会保障の仕組み、構造改革をやるんですけれども、改革をやる前に、今のままでの効率化ということにも本格的に私は取り組む必要があると。もちろん、改革やらなきゃいけませんよ。このままでいくと毎年一兆円ふえるとかなんとかという話ですから、ぜひその辺の厚生大臣の御所見を承りたい。
  33. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 前年度予算からいかにふやすかというのが今までの予算編成の一つの習慣だったと思います。また、政党においても政治家においても、前年度に比べて幾ら多く予算をとってくるかというのが政治力をあらわす一つの尺度だった。それを今回、橋本総理の指導力によって、十年度予算は前年度に比べてマイナスにしろというんですから、これは私は平時の革命と言ってもいいような大方針だと思うのであります。  それを閣僚全員が了承した。これは今後各論に入った場合には大変な議論を呼ぶと思いますが、その中で国民の税金が一番どこに使われたかというと、これは国債費と地方に行く金を除けば社会保障関係費と公共事業関係費なわけであります。いずれの分野においても予算は多ければいいというのが与野党共通した考え方でした。  その中で、社会保障関係を預かる厚生省としては、今後どうやって前年度からマイナス予算を組むかというのは、今もう考えるだけでも頭が痛い問題だと。深刻な問題をはらんでいると思いますが、行政改革をやるんだという総理の方針、これをみんな了承したわけですから、どうしてもやらなきゃいかぬという中で今、年金、医療、介護、それぞれ充実すべき点が多いわけであります。  それでは、どこを削るかという場合、結局、今の制度を見直さなきゃならないというので、患者さんに対する負担増を今回の医療保険でお願いしていますが、これだけではとても済まない。構造改革、効率化、それぞれの制度、この国会議論で、予算委員会でも御議論いただきました問題点を参考にしながら、既存の制度を徹底的に見直して、効率的な医療資源へどうやって国民の理解を得るような形でメスを入れるかということに今後精力的に取り組んでいきたいと考えております。
  34. 片山虎之助

    片山虎之助君 それからもう一つ、整備新幹線、これの着工には大変ハードルを高くされて条件をおつけになっているんです。あれだけではまだ不十分だという意見があります。より厳重にやっていただきたいと思いますが、いかがですか。
  35. 古賀誠

    国務大臣(古賀誠君) 整備新幹線につきましては、たびたび御答弁申し上げておりますが、何といっても地域格差をなくしていく、日本の国土の総合的な開発、そしてまた地域の経済の活性化に私はぜひその整備を進めていく必要があるというふうに考えているわけであります。  そういった中で、このたび橋本総理のリーダーシップ、また強い御決意の中で財政構造改革を具体的にお示しをいただいたわけでございます。その会議の取りまとめの中に、基本的な考え方といたしまして、整備新幹線につきましては財政構造改革に矛盾しないようその取り扱いを十分検討すると、こうなされているところでございます。  先生も御承知のとおり、昨年暮れ、政府・与党で新しいスキームづくり、大変御苦労をいただいております。本当に財源確保の問題にいたしましても、知恵を出して苦労して取りまとめていただいております。そしてまた、それを未着工区間で着工するに当たりましても、さまざまな基本的な条件というものが示されております。なぜ整備新幹線がこんなに評判が悪いのか、私も先生と同じようにまことに不思議でございます。  今後そういった財政構造改革会議の場におきましていろんな御論議があろうと思います。そういう中で、私といたしましては、政府・与党が昨年暮れに合意いたしておりますさまざまな基本的な条件というものを整えているかどうかを十二分に確認した上で適切に対処してまいりたい、そのように考えております。
  36. 片山虎之助

    片山虎之助君 そこで、せんだっての財政構造改革五原則なんですが、その中に、先ほども小泉厚生大臣からお話がありましたように、平成十年度は九年度の一般歳出をマイナスにする、こういうことを決めているわけですね。今全閣僚御同意されたと。集中改革期間のあとの二年も、例えば十一年度は十年度のものをマイナスにする、十二年度は十一年度をマイナスにすると、そういうお考えでしょうか、大蔵大臣
  37. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 五原則は、御案内のとおり、深刻な問題がそこにありますけれども、それを乗り越えるのが橋本内閣の基本方針であります。お互いが痛みをしっかりと受けとめていかなければなりませんし、政党、政治だけではなく、官界も経済界も地域もそういうことであります。  よって、九年度予算編成の基本は、御指摘のように、まさに財政構造改革ですべての分野に切り込んだわけです。足らないと言われるところもありましたけれども、第一年度でありました。第二年度でほぼ完成をする気迫で取り組んでまいりたい。まさに平成十年度こそ天下分け目の構造改革の年、これがきっちりと確立をされますと流れていく、こう思っております。
  38. 片山虎之助

    片山虎之助君 ちょっとわからないんですが、十年度やってみて、うまくいったら十一年度、十二年度もつなげると、こう考えればいいですか。
  39. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) うまくいくんです。やるんです。やりますから、そのベースはそのままいくだろうと。ですから、経済システム構造改革、金融改革、医療改革、以下全体が、六改革が進むわけでございますから、活性化していきますでありましょうし、経済全体の軽量が行われる、こういうことであります。基本的なスタンスは、五原則は変わりません。一年で終わるものではありません。
  40. 片山虎之助

    片山虎之助君 そこで、またこれは大議論になるんですが、私は、この目標を二年前倒しされた二〇〇三年までは財政再建のためには増税はしないと。この場合に、増税というのはいろいろありますけれども、少なくとも消費税ですよね。私は、法人課税なんというのはグローバルスタンダードで課税ベースを広げて税率を下げるということはあってもいいし、有価証券取引税はやめてキャピタルゲインと一緒にしてうまいことやるとか、地価税は凍結するとか、いろいろあると思いますよ。そういう税制をいじるなとは言いません。しかし、少なくとも一般の国民の負担に大きく影響のある消費税については財政再建のためには増税しないということを鮮明にすべきだと思いますが、総理、いかがでしょうか。
  41. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 本委員会におきましても何回かこの問題御論議がございまして、私がお答えを申し上げましたのは、一時期増税なき財政再建という言葉だけがマスコミに躍った時期があったからであります。そして、私は財政構造改革会議などの席上で、社会保険料なんかの引き上げをお願いしなきゃならない、そういう中で増税をお願いする状況にはないという言い方をいたしました。それは議員が今述べられましたような思いを私自身が持っておった、また今もそれは持っております。  ただ、これは何といいましても行政改革や財政構造改革などによりまして、現在だけではなく将来の世代の負担、その抑制にも最大限努力をしていく必要がある、そうした中で考えていくべきことではなかろうか、私はそう考えております。
  42. 片山虎之助

    片山虎之助君 大体総理のお考えはわかりました、増税はしないと。今社会保険料はこれから社会保障の構造改革をやるわけですから、私は合理的な範囲では社会保険料を上げるということはやむを得ないと思います。  ただ、これは国民負担率に関係あります。それ以外の個人負担、社会保険料でない個人負担、これについても国民の納得できる範囲で、許容できる範囲負担をふやすしかないんです、お金は必ずかかるんですから。税で負担するか、社会保険料か、国民の皆さんの個々の負担かと、こういうことになるので、増税はしないけれども、合理的許容できる、国民の納得いただける範囲なら社会保険料や個人負担を上げさせていただく、こういうことと理解してよろしゅうございますか、総理
  43. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 御指摘のとおり、社会保障関係費は、税金と社会保険料と給付、受益者負担、この組み合わせしかないんです。  今まで、税金の投入と受益者負担の患者負担等、あるいは個人負担を少なくするために借金をして賄ってきた。増税もだめ赤字国債発行もだめ、財政構造改革をやるというならばある程度個人の負担をふやしていくしかない。これにどのような理解を得るような構造改革をやるか。個人負担の増加というのはやむを得ないです。そして、増税もだめだという。そして、赤字国債を発行してとんでもないツケを払ってきた。増税もだめ赤字国債もだめというのが、あたかも全く自分たちの負担がないかというとそうじゃなくて、まさに給付と負担の公平なバランスを図る、これが構造改革だということを御理解を得るのに、これから社会保障関係を通じて鋭意国民に理解してもらうよう努力したいと思っております。
  44. 片山虎之助

    片山虎之助君 特殊法人につきましては、昨日、自民党の方で、特殊法人六、認可法人五について廃止あるいは民営化するその他ということで、党としての結論を得て、きのう政府に申し入れを行ったと聞いております。これから政府の中での調整があるいは行われるのかもしれませんし、既に行われたのかもしれませんが、その中で一番関係法人の数の多い労働大臣、いかがでございましょうか、党の案は。
  45. 岡野裕

    国務大臣(岡野裕君) 片山先生御存じのとおり、行革本部のあの総論の中で、特殊法人等の整理合理化に伴う雇用問題の処理について慎重かつ万全を期する、この旨がうたわれております。所管の労働大臣として、大変力強く存じているところでございます。  なお、当省所管の雇用促進事業団など法人の具体的処理につきましては、閣僚の一員として当然、今後政府の決定に従い鋭意努力をしてまいる所存でございます……
  46. 片山虎之助

    片山虎之助君 結構です、もうそれ以上は。時間もありませんし。  それで、特殊法人は八十八あるんですよ。総務庁長官、残りはどういう大体のスケジュール、特に雇用問題が実際縮減するんですから、なくしたり縮小するんですから、その対応はいかがでございましょうか。
  47. 武藤嘉文

    国務大臣(武藤嘉文君) 今お話しのとおり、きのう十一法人について党の方からちょうだいをいたしました。まだこれで終わったということじゃなくて、第二次、第三次があるそうでございますので、私どもとしてはその辺を踏まえながら、残った分については私どもはすべてを対象にして、必要かどうかを含めて平成九年度の行政監察の対象とさせていただいて進めてまいります。その結果、必要でないと私どもが判断したものは、これも含めて最終的には、党の方からお出しをいただいたもの、私どもの方で結論を出したもの、一緒にいけるかわかりませんが、とりあえずことしゃれるものはことしゃる、そしてまた来年のものは来年という形で極力特殊法人は少なくしていきたいと思っております。  そして、それに対して雇用の問題というのがございますが、これはたまたま十一法人を村山内閣で整理統合されて少なくされることになりました。そのときに、特殊法人の職員の雇用問題に関する対策本部というものを設置することをお決めいただいております。ただ、これは実はまだ一回も開催されておりませんけれども、今回これはもう具体的になってまいりますので、私どもとしては、総理ともきのう御相談の上、できれば四月にでもこの本部の会合を開催させていただきたいと、こう思っております。
  48. 片山虎之助

    片山虎之助君 最後に、当委員会でも大分問題になりました愛媛の玉ぐし訴訟判決の事前報道に関する秘密漏えい問題です。最高裁は、調査しましたけれども秘密漏えいの事実はありませんと。通り一遍の調査をしたのにだれもやりましたなんという人はいませんよ。新聞社に抗議しましたら、新聞社は恐れ入りました、今後は慎みますみたいなことの返事があったということでございますが、その後、共同通信の「編集週報」及び国民新聞の記事が、どうもこれも内部から出たようなことを含めてのそういう記事が載っている。こういうことでございますが、裁判所はその後どういう調査をやりましたか。
  49. 涌井紀夫

    最高裁判所長官代理者涌井紀夫君) 先日の委員会でも御説明申し上げましたとおり、二月九日にこの報道がございましてから、最高裁の方では、本件の合議に関与いたしました十五人の裁判官、それから直接合議には関与しておりませんけれども、審議のための資料といいますか、そういうものを……
  50. 片山虎之助

    片山虎之助君 簡潔に、ポイントだけでいいよ、時間があれだから。
  51. 涌井紀夫

    最高裁判所長官代理者涌井紀夫君) 関係の職員全部について調査をいたしまして、その結果、内部から秘密が漏えいされた事実は認められないという結論になったわけでございます。  その後、今御指摘のございましたような「編集週報」の記事も見ましたので、この「編集週報」の執筆者である共同通信社の社会部長にも事実を確認いたしましたが、この記事も内部からの秘密の漏えいということを書いた記事ではないという、そういう説明を受けております。  国民新聞につきましても、そこで指摘されました裁判官につきまして再度事実を確認しておりますけれども、この裁判官を通じて秘密が漏れたという事実は認められませんでしたので、国民新聞に対しましても書面によりまして抗議をしております。  確認を要する事実が出てきました際にはきちんとこういう対応をしてきておりますので、今後ともさらに確認を要するような事実が出てきました場合にはきちんとした対処をしていきたい、かように考えております。
  52. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 片山君、時間です。
  53. 片山虎之助

    片山虎之助君 あんな調査や照会ではだめなんですよ。さらにきちっとやってください。  以上で終わります。  ありがとうございました。
  54. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 以上で片山虎之助君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  55. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 次に、木庭健太郎君の質疑を行います。木庭健太郎君。
  56. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 まず最初は、片山委員も取り上げましたけれども、沖縄の問題を少しお聞きしたいと思います。  橋本総理は、先日、ゴア副大統領と会見をなさった。その中身、これは新聞報道でしか私たちは知り得ないわけですが、それを見る限りは特措法改正をいわば明言した形になっている。さらに、米兵力の削減は全く求めないという報道になってしまっている。それを見る限り、沖縄方々が怒るのは私は当たり前だろうと、こう思いました。  その背景にいろんなものが本当は含まれているんだろうけれども、報道の見出しを見る限り、沖縄が求めていた問題を一体総理はどう伝えてくれたのかと、そういう気持ちになるのは私は当然だろうと思います。その意味で、総理、会見の中で沖縄の問題をどう自分としては伝えたのか、新聞報道ではなかったわけですから、ぜひともその部分も含めて伝えていただかなければ、本当にこれは全く心を踏みにじることになると思います。ぜひ明確な答弁をいただきたいと思います。
  57. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) まず、第一点申し上げておきたいと思いますのは、私は、特措法改正という言葉をオルブライト長官に対しても、またゴア副大統領に対しても一度も使っておりません。私が使いました言葉、それは在沖縄米軍基地用地の使用権原の問題については支障が生じないよう最大限努力したいという言い回してございます。  そして、その兵力構成の問題につきましては、現在の微妙な東アジアの情勢のもとにおいて、現時点日本政府として在日米軍削減を求める考えはないことを明確に申し上げたいと。同時に、日米政府間においては、日米安全保障共同宣言に基づき、国際情勢の趨勢を視野に入れつつ、両国安全保障上の要請を満たす防衛政策や軍事体制について引き続き静かにかつ緊密に協議していくことが重要と考える、私はそのような言葉を使いました。  これは今までも申し上げてまいっておりますところでありますけれども、私どもは、国際情勢というものが当然ながら安全保障の上においても変化をする、その変化対応して両国必要性を最もよく満たすような防衛政策並びに日本における米軍兵力構成を含んだ軍事態勢について米政府と緊密かつ積極的に協議をしていく、共同宣言にも盛り込んでおります。その考え方をそのとおりに私は申し上げております。
  58. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 総理、今おっしゃったとおり、中長期的な問題で、米兵力の削減問題というのは軍事情勢変化その他があれば協議していくということを明確に話をされていると、そこはそのとおりだと私は思います。  ただ、私は沖縄の問題を含めていろんなことを考えたときに、協議していくということは、もちろん協議されるんですから、こちらからこの問題を、将来的にはもちろん日本の国内の軍事力の整備の問題もあります、また国際関係変化の問題もあります、そういうものを踏まえた上で、単に協議していくと、こう話されてしまうと、何か向こう側から話が来ない限り日本からは言わないんだというような感じの受け取り方をする方もいらっしゃいます。ある意味では、総理御自身、もしこの状況変化があり、またいろんな中では日本から申し入れということももちろんあり得る話なんだということを私は明確にしていただきたい。  それともう一つ。今沖縄基地が集中しているわけです。基地が集中している、兵力も集中しているという事実がある。これに対して、総理自身もこれまでこの沖縄に集中した問題を国内の本土のいろんなところにもお願いしてやってこられた経過については、私はそれなりに評価をいたしております。  ただ、沖縄基地集中という問題に対して、沖縄に兵力が集中している問題に対して、総理として、ある意味では本土の問題も含めて、この問題については一回お話しされたのが終わりじゃないよ、まだまだ努力していくんだと、こういう御決意でいらっしゃるのか。その辺がわからなければこれはなかなか沖縄の人たちもわかっていただけないんではないか、そう思いましたものですから、私が今考えを述べましたが、総理、ぜひその辺について御答弁をいただきたいと思います。
  59. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は何回か同じことを申し上げてきたように思いますけれども、我が国、そしてこの地域を取り巻く安全保障上の環境が変化する、国際情勢変化すれば、当然ながらその変化に応じた協議というものが行われるということを申し上げてまいりました。そして、私は、確かに現時点においてその削減や撤退を求めることができるような状況だとは考えておりませんし、この現時点においてはということはこの場でも明言をさせていただきました。しかし同時に、将来の状況というもの、これは当然ながら変化が生ずれば論議をするということも申し上げてまいりました。  私は、協議をするという言葉は相手側から提起をされた場合にそれにこたえるというのみの言葉ではないと思います。まさに、協議というのはどちらかが提起をし、そしてそれに応じて相手が受けとめるかという問題であり、私は理論的にも日本が情勢を判断し兵力構成を変更するという議論を提起できないと考えてはおりません。  それから、今沖縄県に確かに集中をしております兵力、それは全部の七五%に近い基地というものが国土面積の〇・六%しかない沖縄県に集中をしている歴史的な経緯も踏まえ、地理的にアメリカ本土やハワイあるいはグアム島などよりも日本を含む極東の各地域に近い、そしてこれらの地域に急速な戦力投入を行うに際しての迅速性の確保ができる、同時に周辺諸国と一定の距離がある、そして本土では得られない縦深性を確保し得る、そうした要因があるものだと私は思います。  現に、歩兵、砲兵等から成る第三海兵師団、ヘリコプター部隊等から成る第一海兵航空団、後方支援を担当する第三部隊戦務支援群、こういった一定の自己完結性を有する第三海兵機動展開部隊が駐留しているわけであります。  私どもは、例えば一〇四号線越えの射撃訓練も現に使用されております本土の幾つかの演習地において分散させていただきたいというお願いを続けているさなかであります。そして、残念ながら、そのうちの一部からしか協力のお答えをいただけておりません。航空に関するならば一部の、航空の部分につきまして岩国から協力の意思をあらわしていただいている。その意味では私は、本土において現に沖縄県民の抱えておられる苦しみを軽減するための協力が得られる場があるならば、それはぜひお願いを申し上げたいという気持ちを強く持っておりますし、その気持ちは将来ともに変わらないものと思います。  しかし同時に、現実にこうしたお願いをするにつきましては、それぞれの地域についても大変苦労している状況がございまして、ぜひ国会におかれても御協力を得たいものだ、その結果として少しでも沖縄県の方々の苦労を減らすことができればこれにすぐるものはない、そのように考えております。
  60. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 本当にいざ移すとなれば、総理が今おっしゃったように、さまざま問題が出てくることも事実でございます。ただ、総理として、そのことに関しては努力を続けていくことを常に表明されておくことが、そしてぎりぎりの努力をされることが私は沖縄の心にこたえていくと。いろんなお願いをせざるを得ないような状況がまた出てくると思います、沖縄に対して。地理的条件の問題もおっしゃいました。私もその点は理解せざるを得ないところもございます。だからこそそういう部分にぎりぎりの努力を常に続けていただきたい、このことを御要望し、次はゴア副大統領との会見の中で経済問題について何点かお伺いしておきたいと思います。  これまでアメリカの方たちが来られるたびに何を日本側に求めてこられたかというと、規制緩和の問題は評価しながらも常に内需拡大ということを米国側から発信されております。もちろん、米国が内政干渉をしているとは思いませんけれども、私どもはいろんな情報を聞く限り、なぜ内需拡大内需拡大と日本に来られるたびに言われるかといえば、一つはやっぱり本年度予算の問題がどうしても背景にある。なぜかといえば、今回の予算は、消費税、そして特別減税の廃止、それだけで七兆円、医療を加えれば九兆円一挙に大増税が来る予算になっている。  もちろん、経済構造改革ということを総理はおっしゃるんでしょうけれども、これだけのことを一挙に国民に負担をかければ、いわゆる内需拡大の一番の中心である消費という部分を冷え込ませてしまう。これは予算の組み方として一気にやったことがよかったのかどうか、私どもはこれについては会としては反対でございます。  その意味で、ある意味では米国からの内需拡大内需拡大という発信というのはいわば米側の本年度予算に対する危惧だと思わざるを得ない、私はこう思うんですが、総理、いかがでございましょうか。
  61. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) ゴア副大統領との会談の中におきまして、議員が御指摘になりましたように、間違いなしに我が国の景気動向について関心を示されたこと、そして内需主導の経済運営とよく言われるのでありますが、その言葉とともに、もっとアメリカ側として気にした発言がありましたものは、貿易収支における我が国からいえば対米黒字、アメリカ側からいいますならば対日赤字の問題でありました。そして、むしろ主眼はこちらにあったと、議論をした当人として私はそう思います。  ですから、私どもは経済運営の議論はもちろんきちんと説明もいたしましたけれども、アメリカ側としての関心事項であります港湾の問題あるいは現在進行中であります航空の問題といった問題にむしろゴアさんの議論は移りました。そして、これに対して、我々としてアメリカ考え方に同調できないもの、話し合う余地のあるもの、現に話し合いのスケジュールが既に決まっているもの、そうしたものを踏まえながらの議論をいたしたというのが事実でございます。
  62. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 アメリカの話をしたわけですけれども、私どもは景気の問題を今考えると、緩やかな回復という問題を前回も論議をさせていただきましたけれども、今我が国の景気の状況そのものは、もちろん消費税の引き上げ前の駆け込みということでいろんなことが起き、この一月から三月というのは確かに伸びている。ただ、私たちはそれほど底がたい感じでこの景気を受けとめることはできない。  その意味では、私どもの党は消費税の問題も反対もいたしました、凍結しろと言いました。さらに特別減税の問題も、今回はなくすんじゃなくてこれも凍結すべきだ、ある意味ではまずは景気というものをどう刺激し、回復し、その中で財政再建というものに取り組むべきではないかというのが私どもの主張でございます。  さらに、この消費税の問題、百歩譲ったとしても、せめてこの特別減税の問題だけは、さまざまな本年度予算努力する中で二兆円、国税部分でいえば一兆四千億円ぐらいになると思うんですけれども、これについては継続をしておかなければ景気を失速させることになりかねない。(「財源、どうするんだ」と呼ぶ者あり)今言いました。公共事業のコストの問題を含めて、まさに十年度はこれからマイナスの予算をお組みになろうとしている。それなら、九年度予算で十分その分を勘案していくことによって一兆四千億をたたき出せばいいわけです。  そういう形で、ある意味では景気が本当に失速するような状況にだけはしてはならない。その意味で、私どもは、今のこのままの予算では内需を拡大していくことはかなり難しい、無理ではないか、こう考えておるんですけれども、総理はどうお考えか、お聞きしたい。
  63. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 今御質問があっておりましたけれども、来年度の景気につきましては、今年度につきまして、この一-三月につきましての数字の点については御理解をいただいておる。前々から申し上げておりましたとおりの数字になりつつあるということで、まず御理解をいただいておりますことに関しましてはありがたいと思っております。  これから四月以降というところが一番の問題になってくる点につきましては、前々から消費税並びに特別減税の面につきましては景気の足を引っ張ること、約〇・九%ぐらい引っ張るであろうということを申し上げ、それを含んだところで来年度の経済見通しということを申し上げ続けてきておるところであります。  ただ、その点については、いやそんなにはいかぬぞというところは見解の分かれるところだろうと思っておりますが、おかげさまで日銀の短観やその他いろいろな指標を見ましても、来年、平成九年度につきまして、いわゆる四月以降につきましては年全体で見てみれば多くの企業の方々が伸びるという数字を言っておられる方も多いところであります。  前回、たしか四半期ごとに出せという御質問があっておったので、四-六についてはそうだけれども、七-九はどうだ、十-十二はどうだという点の御質問があっておったんですが、これの点につきましては、私どもは計画経済をやっておるんじゃないので、自由経済をやっておりますので、四半期ごとにたんびたんびに出す必要があるかという面と、またそういったものが物理的にできるかという面と、いろんな点から、予算は御存じのように全国みんな年度で全部計算をしておられるところでもありますので、定性的に見まして、年度ごとに見ますとこのような形になるであろうと申し上げてきております。  いろいろな意味で、企業の収益の回復を見ましても、雇用の状況を見ましても、また設備投資というこれから先行きのことを考えてみた場合には、先行きが悪いと思えば設備投資はしない、控えるということになりますので、そういった数字いずれを見ましても、平成九年度全体で見れば、我々も全然心配はしておらぬと申し上げているわけではありませんけれども、木庭委員の御心配になるほどのマイナス要因にはならぬのではないかというように考えております。
  64. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 じゃ、経企庁長官にもう一回。  いつも四-六は厳しい、七月以降はいいと、この話を繰り返しどこの委員会でも聞かされましたし、この予算委員会でも聞かされました。これは何かことしの七月以降もう景気は間違いなく回復するんだと、もう何回も聞きましたけれども、もう一回、これは何で七月以降になると急に景気が回復していくのか。その根拠、データ、何でも結構です。国民はわからないと思うんですよ。消費税が上がるというのは四月からずっと上がるんですよ、七月になって戻るわけじゃないわけですから。なぜ七月になると突然そこから上昇機運になるのか、御説明をいただきたいと思います。
  65. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 四月につきましては、前回初めて消費税が導入されましたときにはいわゆる駆け込み需要というようなもので大量の駆け込み需要があっておりました。したがいまして、当然前に買いだめた分がありますので四月の消費が落ちるなどなどのことが起きるわけでありまして、今回も前回に比べれば、八年前に比べますればそういったような非常な多くのものを買い込んでいるという数字は余り見られておるところではありません。  したがって、私どもといたしましては、前回のような急激な落ち込みが四月にあるであろうかといえば、前回に比べれば今回のものは少ないとまず一点申し上げられるところだと思っております。  また、景気の基調というものが大事でありまして、先に買い込んでおります分が次のときには少しその分だけ、例えば洗濯物だって早く出しておこうとかいろんな声がございますので、そういった面が出てくることは間違いない、それはもうはっきりしておると思いますが、七月以降につきましてそういったものは……(発言する者多し)
  66. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 傍聴席からの不規則発言はやめてください。
  67. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 経済の基調というものが今申し上げたような数字になっておりますので、そこのところの数字を申し上げさせていただいておるところでありまして、全体の景気の基調という点が一番大事なところであろうと思っております。
  68. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 私は、この前、経企庁にお願いしたとき、四半期というのが厳しければ、それは半期というような出し方もあるんじゃなかろうかと。なぜこんなことを申し上げているかというと、国民は、この消費税が上がるという問題、今回大きな変化があるようなときは極めて景気というものに関心も抱いているし、それによっていろんな判断をするようになるんだろうと思うんです、マインドの問題ですから。  ですから、こういうある意味では激しく動く可能性があるときは、経企庁、やり方、例年のとおりこうやっているとおっしゃるんですけれども、そういう時期を迎えるとき、国民にある意味ではよりいろんなことを、情報を提供しなくちゃいけないときというのは、いろいろなやり方を研究しなくちゃいけないと思うんですよ。いつも定性的定性的であると言って、一年でこうですよということだけじゃ私は済まないと、こう思います。  経企庁とは、政府がやろうとしているこの政策、それがどう経済に反映するだろうか、国民生活がどうなるだろうかということをまさに国民に知らせるのが仕事なんですよ。もちろん私どもにも知らせていただきたい。でも、それ以上に、国民にわかるようにするにはそういう努力を少しはなさった方がいいと思うんですよ。  その辺をどう今後研究されるのか、少しこれはやっていただきたいと思うんですけれども、答弁をいただきたいと思います。
  69. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 繰り返しになって恐縮ですが、例えば経常利益の見通しにつきましては、八年度は一〇・八%という数字でありますけれども、九年度につきましては経常利益の見通しは一一・一と答えておられる企業が多い、数字的に申し上げさせていただければ。また、いわゆる長短金利の推移を見ましても同じようなことが申し上げられますし、鉱工業生産につきましても十-十二につきましても三・二と大きく伸びてきておりますし、いろんな意味の数字がそういった数字を示しておるところであります。  したがって、なるべくわかりやすいようにという御指摘は、これはもう当然努力をせにゃいかぬところだと思いますが、四半期ごととか半期ごとというところがなかなかこれは簡単にいけるところではありませんので、今これをわかりやすいように、御理解いただけるように努力をすることはもちろん当然のことだと思いますが、今の段階で四半期とか半期という段階のものをお出し申し上げますというところにまではとても申し上げられる段階ではないと思っております。  基本的には、木庭委員よく御存じのように、これはもういわゆるマインドの問題、気分の問題、お天気とか病気とか、これは気がつくやつは大体気分の問題というのがよく言われるところなんですけれども、そういった意味では、アメリカでは今年二・四%のGDPに行ってアメリカは非常に景気がいいと、二・四%で。我が方は二・五%で景気がよくないと言われるのは、かかってこれは気分の問題と言わざるを得ないところでもあろうと思っております。今申し上げたように、わかりやすいような数字を挙げるように努力はいたしますけれども、今申し上げたようなところまでが限界だと思っております。
  70. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 重ねて申し上げますけれども、要するに景気がそういうふうに四-六月期の厳しさ、それから上がっていくというような状況があるようなときは、私はそれなりに研究されて、こうこう申し上げています、こう落ち込むんです、でもこう上がりますということをおっしゃり続けることを今後続けられるなら、やはりそこは研究された方がいいと思います。そうしなければこれわからないですよ、国民は。一年間を通す中で大体こうなるだろうというようなことだけをおっしゃるのではわかりにくいと思うし、そこは今後まだ資料要求を私はしていくつもりでございますし、ぜひ研究をしていただきたいと思います。  そこで、この問題の最後にひとつ総理に伺っておきたいんですけれども、私どもがこういう予算で心配しておりますのは、景気失速みたいなことが起きればまた公共事業みたいな問題が補正で起きはしないか。また、減税という問題が補正予算という段階で起きはしないか。  ただ、総理自身は十年度についてはマイナスということもおっしゃっている。その兼ね合いの問題でいくと、この景気対策として今後公共事業の追加とか減税を行う、将来の話を言うと笑われると言うかもしれませんけれども、私どもはそんな事態も起こるんじゃないかと思いますけれども、そういう点について総理の見解を伺っておきたいと思います。
  71. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、政府の経済見通しにつきまして、経済企画庁長官から御答弁を申し上げました。そして、何といいましても我が国の活力ある発展を妨げているその仕組み、殊にその中で産業界を、ある意味では既得権の保護にもなっていたわけでありますけれども、同時に新しい仕事の創出を妨害しておりました規制の緩和、撤廃というものが一斉に今動き始めようといたしております。そして、きょう閣議で決定をいたしました中にも、新たな産業の展開、あるいは現在あります産業の活性化に結びつくものも多くあろうかと存じます。  要は、そうした新しい時代に向けての経済社会システムを一日も早く創造していくことが極めて大事だと思っておりますし、私は、平成九年度予算というものにつきましても、これを通過、成立をさせていただきました後には、これを円滑に施行しながら、その結果として適切な経済運営を果たしていくわけでありますが、これに経済構造改革あるいは財政構造改革などのさまざまな改革を組み合わせていくことで、この時期非常に厳しい時代でありますけれども、日本のあすに向けての歩みを続けてまいりたい、そのように考えております。
  72. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 先ほども論議になりましたけれども、政府が財政構造改革、これに対して五原則を発表になられた。前年度マイナス、前倒しの問題、そのこと自体は、すべて実現できればそれなりのものになるだろうと私も思います。  ただ、その五原則を見せていただいて、その前後を読ませていただいたんですけれども、ちょっと心配になりましたのは、要するに財政を減らすことだけが優先してきて、この行革全体、一体どんなふうな全体像の中でこれが位置づけられるんだろうというようなものが私は見えにくい気がしました。例えばどんなことかと言えば、官民分担をどんなふうにするかとか、地方の役割の明確化の問題を含めて、この五原則と行革全体の全体像といいますか、そこが少しわかりにくい気がしました。  その辺について、総理、お考えがあればちょっとお尋ねしておきたいと思うんです。
  73. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、本委員会でも何回か同じことを申し上げてまいりましたが、どれを急ぐかというのであれば、来年度概算要求に当たって今までと同じシーリングを用いることはできません。ですから、財政構造改革を考える中において、平成十年度予算編成のための概算要求、その概算要求に向けての新たなルールをつくることが一番急ぐことですということを申し上げてまいりました。  そして、そのために財政構造改革会議の中で企画委員会をつくって議論をしていただくに当たって、その原則としてぜひ踏まえていただかなければならないと思うことを五原則という形でまとめました。そして、その上でたしか十三に分けたと思います。それぞれの主要な歳出項目につきまして、こういう考え方をとりたいという私自身の考え方を付して、企画委員会で四月に入りますと早速この御論議を始めていただくことになります。  その意味では、私は、この部分が突出しているという議員の御指摘に異論を申し上げるつもりはありません。むしろ一番急がなければならないものだと私は思いますから、この部分は、急がせたという言い方は非常におかしな言い方で、次年度予算編成を考えたとき、概算要求から変えていかなければならない。その概算要求を行うルールをまず今までと同じやり方ですることはできない。そのためには、一番急ぐものはまさにそのルールづくりだ、そうした視点から私はこうした考え方を打ち出しました。  そして、財政構造改革会議におきまして御了承いただきました「歳出の改革と縮減の具体的方策を議論するに当たっての基本的考え方」の中でも、当然のことながら行政改革と同じ視点に立ちまして、国と地方の役割の分担、官と民との役割の分担といった観点から聖域なく徹底した歳出の見直しを行っていく、その限りにおいて整合性を持っておりますが、項目としてこれが一歩前に出ていることを否定するものではありません。
  74. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 それを受けて具体的にいろんな問題を進めて、前年度マイナスということでやられるわけですけれども、例えば先ほど、公共工事のコスト削減の問題、建設大臣と片山理事のやりとりを聞いておりましたら、建設大臣の言葉を聞いていると、コスト削減というのは何かマスコミがいろいろ公共工事を悪者にしたんだ、削減する部分はそんなにないよ、コストは今で十分やっているよというようなふうに聞こえてしまいますわ。(「聞き方が悪い」と呼ぶ者あり)聞き方が悪いと、答え方が悪いと思います。  例えば公共工事の建設単価というものは、別に国際比較をする必要はないけれども、例えばアメリカと比べてみればやっぱりかなり高いわけですよね。そういう問題があるわけです。三割から五割高い、いろんな指摘ありますよ。  この問題は積極的に、いろんな高齢化社会への対応、優しい町づくり、それは大切ですよ。でも、それはあったとしても、まず第一義的にコスト削減に自分としては真っ先に取り組むんだという表明がなければ、何か全部否定して、総理から厳しい指示を受けておりますが、いや、こんなこともあると言うと何か否定に聞こえてしまいますわ。これどう真剣におやりになっているのか、建設大臣、もう一回ちょっと言っておいてもらわぬといかぬですね。
  75. 亀井静香

    国務大臣(亀井静香君) 私は言葉が下手でございますから、あるいは誤解を受けたのかもしれませんが、先ほどもお答えをいたしましたように、総理からも、まさに財政再建元年、予算については、公共事業の執行についてこれを効率的にやっていくということが喫緊の課題である、全力を挙げろという御指示でございますので、私どもも建設省内部に本部まで設置をいたしまして、建設省として、各省庁の御協力もいただきながら、どうやったら一%でも二%でもわずかでもやることがないかという必死の今検討をやっております。  ただ、私が申し上げておりますのは、そうはいいましても、ここで大根を切ると言ったのでちょっとひんしゅくを買ったことがありますが、すぱっと一割なりあるいは一割五分なり、そういう形でずばっと切って、それで社会資本整備が進むのかという問題がある。進むというのは、質量においてのことを私は申し上げておるわけでありまして、若干長くなりますけれども、自由主義経済であることを御理解いただきたい。  建設省が材料を自分のところで発注して直接建設省の職員で工事をやるわけじゃございません。これは民間にゆだねるわけでありますから、これは競争入札等の中で処理をしていくわけでございますから、自由主義経済下におけるそうしたコストの要素というのは御承知のように多岐多方面にわたっております。そうしたものの価格に対して建設省がどの程度影響を与え得るかということは、これは言うはやすくしても極めて困難な問題があるということも事実でございます。しかし、そのあたりを、設計をどうしていくかというような問題、発注方法をどう改善していくかというような問題等において、できる限りこれを切り込んでいくということを我々は今考えておるわけです。  一方では、文化財の調査、文化財は大事にせにゃいけませんけれども、ひどいところは二年も三年もそれによって工事が中断をしてしまうというような状況も全国で広範に起きておるわけなんですよ、公共事業の執行について。これあたりを文化庁がどういう形であるべき姿にきちっとしてもらえるかというような問題なんです。  また、私は警察庁の出身でありますが、道路使用許可にいたしましても、一週間も二週間もかかってようやくその許可が出てくるというような状況を二日か三日にやれぬことはないと私は思う。今後それをやりますということをやってもらえば、これもコストにきっちりと影響が出てまいります。そういうことをきっちりとやっていく中でどうなるか。  さらにもう一つは、耐震防災の問題ありますね。この委員会でもいろいろ議論をされました。ただ公共事業をやればいいというものじゃない。ただ、総額でこれでやれといった場合、質の問題が出てくるわけですね。  また、先ほど申しましたが、お年寄りはどうでもいい、障害者はどうでもいいということをおっしゃったんじゃないとは思いますが、やはりおたくの党の委員からも、そういうことについてきっちりと配慮をすべきだ、そうした中で社会資本を整備すべきだという強い御指摘もございました。同感であります。  そういうことをこなす中で、どうしてコストを削減していくかということは、一部のマスコミが言っているように、ばさっといけばばさっといくものじゃない、政治はそんな無責任なことをやるわけにはいきません。ただ、省を挙げて、関係省庁の協力をいただきながら全力を挙げてやっておるということを私は申し上げておるわけであって、ただそれは困難な状況もあるということは御理解をいただかなければまいらぬということを言っておるわけでございます。私が全力を挙げるという決意には何の変わりもございませんので、御理解を賜りたいと思います。
  76. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 来年度予算を組む場合に、この問題、亀井大臣、一つの大きなテーマになってくると思うし、全力を挙げてやられるのはそのとおりだと思います。ただ、これちょっとまとめる時期を早くしないと、そう悠長に構えていられないということも事実だと思うんですよ。この問題、早目に取り組まなければいけない。  今検討されていると言いましたが、大臣としては早急にまとめる決意だろうと思いますけれども、いっをめどとして、何割かは聞いていませんよ、その問題はまたこれから検討される、私どもは最低一割ぐらいまで切り込んでもらいたいという気持ちはありますけれども、その問題は別として、時期の問題としてはやっぱり早急にやる必要があると思う。いつまでにこれをまとめるつもりでいらっしゃるか、それだけ聞いておきます。
  77. 亀井静香

    国務大臣(亀井静香君) 総理からは年度末までにまとめるようにという強い御指示をいただいておりますが、私ども今そういう面で全力を挙げておりますので、若干ずれ込んでいくかと思います。  総理からできれば数値目標を出せという御指示もございますが、先ほども申し上げましたように、このことにつきましては無責任に幾らやりますと言って国民を惑わすわけにもまいりませんし、総理にうそをつくわけにもまいりませんので、極めて苦渋をしておるということを御理解賜りたいと思います。
  78. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そういう一つ一つのことが具体的になることが橋本内閣がまさにそういう問題に取り組んでいるという実証にならざるを得ないわけです。いろんな目標が出ましたから、まず第一弾がその話になるんじゃないかと、そう思っておりますので、どんな案が出てくるか、まあ一割以上の案が、多分大臣のことですからやり切ってくるだろうと私は見ておりますけれども、ぜひともこの点は御努力をいただきたいと思います。  さらにもう一つ、いろんなことを見ていきますと、もちろんそういうむだ遣いの問題もあるんですけれども、これは省庁で重なるような事業の見直しみたいな問題まで私は踏み込んでいかなくちゃいけないんじゃないかと思います。  例えば、いろんな例があるんですけれども、一つ下水道事業を例に挙げますと、下水道というのは全国で今現在五四%の普及率ですけれども、建設省が都市部中心、農水省は農村部のものの下水道事業を持っている、厚生省は都市近郊のものを持っている。こういう形で、これがうまくそれぞれ機能分担してできればいいですけれども、特に合併浄化槽の問題になると、これは三つどもえになっておかしなケースも出てきている。  一例を挙げますと、鳥取県の日吉津村の例、これはどこかで取り上げられたと思うんですけれども、建設省、農水省、それぞれが十億円、十一億円でしたか出して、人口三千人の村に二つの下水処理場が出現するというようなケースも実際に起こっておると、こう聞いております。  こういった問題に、どう各省調整しながらむだ遣いということで切り込んでいかれるつもりなのか、どこの省でも結構でございます、御発言をいただきたいと思います。
  79. 木下博夫

    政府委員(木下博夫君) お話がございましたように、公共事業の中にはいろいろ類似事業がございます。下水道に限りません、公園関係、緑地、あるいは道路もございます。我々も、そういう意味では今各省連携をしていきたいと思っております。  先生お話のございました鳥取県のお話は、調べてみますと、五十年代に構想されまして、昭和六十二年ぐらいにできております。我々、言いわけを言う気はございませんが、当時は整備率を上げる関係で各省かなりしゃにむにやっていたことがございます。最近では、御指摘のあったようなことも含めまして、これは平成六年ぐらいから実際にやっておりますが、例えば集落分布それから対象とする下水、こういう種類を考えまして、三省でできるだけ各県ごとに一つの構想のもとに事業をやっていただきたいということで、この年度末には全国四十七のうちの三十五の都道府県が都道府県構想というのを決めておりますので、これからはそういう意味で、例えば処理場が大変近接しているのにダブってやるというようなことにはならないと思っております。  一方では、下水、汚水については大変要望が多いわけでございますので、おっしゃるように、集落の分布によっては例えば厚生省あるいは農水省のお仕事も当然我々としては十分配慮した仕事ぶりをしていかなきゃいけませんが、いずれにせよ、三省で力を合わせてやってまいりたいと思っております。
  80. 山本徹

    政府委員山本徹君) 農村におけるトイレの水洗化等まだ立ちおくれておりますので、今後も着実に集落排水事業を実施していかなければならないと考えております。国及び自治体の段階で各部局一層緊密に連絡をとりながら効率的な実施を図るとともに、都道府県段階の排水処理の整備構想、これも十分活用しながら私どもとしては効率的な農村部の排水処理施設の整備の推進に努めてまいりたいと考えております。
  81. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 合併処理浄化槽につきましては、管渠工事が不要であること、あるいは工期の期間が極めて短いこと、それから設置の費用が安い等々の利点もあるわけでございまして、主として人口の少ないところについて適しているというふうに私どもとしては考えております。  御指摘のように、建設省あるいは農林水産省と事業がダブることのないよう、先ほど建設省の方からも御答弁がありましたように、三省庁よく連携をいたしまして事業のダブりのないよう調整をしているところでございます。
  82. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 地方からすれば、どこの予算でも構わないからとにかくとりたいということがあるわけですよ。いろんな意味でこれから連携をとって、今もやっていると言うんですけれども、なかなかこれ官僚の皆さんだけでも済む話じゃないし、大臣方、ぜひその辺……。  公共事業、地方公共団体の箱物の問題も幾つかやりたいと思ったんですけれども、要するに地方にとってみれば、例えば箱物の問題でいえば公民館は文部省、少し直したと言っているけれども、何かあればいいわけですよ。ところが、ここにこの予算がある、ここにこの予算があるというと、そこの省に行って何とかとろうとする。本当はそんなことは地方に任せりゃいいんだと、関根さんがこう言っていましたけれども、まさに地方分権の問題も含めて、少しゃつていけばこういうむだみたいなものが私はなくなっていくと思うし、その辺もある意味では今後、来年度予算やられる中で一番大事な問題になってくるということを私は指摘したいと思います。  そして、先ほども議論になりましたけれども、私がよくわかりませんのは、これだけの決意を持って来年度からマイナスにすると総理はおっしゃった。そうなると、本年度予算とのかかわりはどうなるのかな。悪く言えば、私たち流の言い方をすれば、来年度からマイナスできるのならば何で今予算はやらなかったの、衆参で論議をしてきたわけですから、参議院のこの審議が終わるときまでにせめて御修正ぐらいなさらなかったのと、私たちの立場からいえばこう言いたいところです。  この辺について総理がマイナスまで切り込むとおっしゃった。それなら本年度予算も少しは手を加えるのが当たり前じゃないかなと思うのが国民の心情だし、私たちの心情でございます。この点についてお伺いをしたいと思います。
  83. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 何遍か同じようなやりとりが続いておるように思いますけれども、平成九年度予算、私どもは公債の発行額にせよ、また国債費を除きました一般歳出を租税等の収入の範囲で賄うことにせよ、今までの予算編成とは随分違った姿をつくってまいりました。  そして、今私はちょっと数字の率を覚えておりませんけれども、科学研究に対してなかなか予算が伸びないという従来の欠点を何とか直したい、そうしたことから一定の金額を最初から官邸で、各省の創造的な科学技術研究というものに対する項目を全部手元に取り寄せて、これを組み合わせたりあるいはその速度のチェックを行ったり、そうした努力もして、科学技術関係予算は一〇%を超える伸びを示しておるはずであります。  しかし、皆さんの御議論がそうしたものを全く認めない御議論であることは私も衆参両院を通じて伺ってまいりました。しかし、発射台として私は、年金の受給権の新たに発生される方々が毎年百万人前後の数字であるといった状況の中で、一・五%の一般歳出の伸びにとどめた本年度予算というものは、本来それだけの努力を、賛否は別としてお認めをいただけるものだと思います。  そして、これから先、一層の努力をしてまいろうとしておるわけでありまして、それだけの厳しさの認識を持った中で、政府としては今後ともに全力を尽くしてまいりたいと思います。
  84. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 先ほど、片山委員の質問に対して大蔵大臣が、削減目標の、努力目標ですか、本年度予算についてもこれをつくっていくというようなことをおっしゃいました。しかも、これ毎年やっていることだといったしか答弁だったと思うんですけれども、予算が成立後、直ちにいつもこういう努力目標、削減目標をつくっていらっしゃいますか、ちょっと私は記憶がないんですけれども。突然の質問で済みませんけれども、ちょっと理解できなかったので。
  85. 小村武

    政府委員(小村武君) 毎年、予算が可決されますと、大臣の方から一定の留保、効率的な執行についてお願いを申し上げます。それに基づきまして、ある一定期間を置いたときに、例えば一般の行政経費について旅費何%、事務費何%の節減をお願いしたいということで閣議において御要請を申し上げているということでございます。
  86. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 予算成立して直ちにじゃないでしょう。それから、始まってかなり期間を置いてからの話なんでしょう、それをちょっと。
  87. 小村武

    政府委員(小村武君) 具体的な数字は直ちにではございませんが、予算成立いたしました直後の閣議におきましてその節減合理化の御要請はしております。
  88. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 ですから、要請するんですよ。私はそれほど詳しくない。要請しておいて、例えば補正とかいろんな問題が次に起き得るわけですよ。そのときに、ある意味ではその補正の前あたりに、大体各省こんなことでやりなさいというパーセンテージも出てきて、目標ができて額が出てくるという話じゃないの。予算委員会が終わって直後に削減目標が出て何%削減するという話が出るなら、予算でやればいい話になってしまうじゃないですか。ちょっとおかしいよ、その発言は。
  89. 小村武

    政府委員(小村武君) 予算成立後、大臣から基本的な考え方を申し上げておきまして、具体的には七月とか八月の段階、あらかじめ大臣からそういう御発言をしていただかないと、途中でお金は使ってしまって節減の余地がないという事態になりますから、予算成立後直ちに大臣から御要請を申し上げているということでございます。
  90. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 ですから、大臣、そういうことですね。要請をする、そしてこれは七月なり八月なりにある程度そういうものが出てくると。  これは衆議院段階の合意の問題のときに随分もめましたから、そこはきちんと確認しておきたいんですよ。それが普通で、要するに特別なものを今予算でやるわけではない、ことし特別なものをやるわけではない、通常どおりのことをやるんだということをたしか私は参議院の予算委員会の最初に聞きましたから、それで通常どおりのやり方をするんだということで認識しているんですけれども、それでよろしいですね。
  91. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) ただいま主計局長が言われた順序でいくということでよろしゅうございます。
  92. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 ただ、私は総理に重ねて申し上げるのは、マイナスという決意をされた限りできれば本年度予算の中で、それが来年度の話だというんじゃなくて、本年度予算の中でどうそれが反映されるかという部分は、少し姿形が見えないと、七月、八月になれば概算要求の問題が出るからそこでもうわかればいいんだとおっしゃるかもしれませんけれども、私は、それなりに本年度予算の中でもどう切り込みようがあるのかという努力はすべきじゃないかなと思うんですけれども、その点もう一度伺っておきます。
  93. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 先刻、議員からゴア副大統領と私の会談について、その事実関係の御照会がありました。  今本院において行われておりますような我が国国会内での御論議とは別に、国際社会の中には違った意見もございます。私どもは、当然のことながら、お認めをいただきました予算というものを使用していく上で節減合理化に努めていく、これは今までもそうでありましたし、これからもそうであります。同時に、我が国の経済の安定的な運営に資するように予算は使わせていただきたいと思います。
  94. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 総理、今回は努力した予算だし、元年の予算だという御認識でしょうけれども、我々とそこは見解が異なるということだろうと思います。私は、そこまで出されるなら本年度予算まで切り込まれた方が国民には理解をされやすいんじゃないかということを思いますし、私どもはどちらかといえば、やはりどこかで減税の問題、せめて減税の問題には突っ込むべきだと考えている方でございますから、そこが意見が分かれるところだろうと思います。  きょう、自民党の方で、特殊法人の幾つかの統合また民営化の問題が提起をされました。そこで、本委員会でも特殊法人の問題にはさまざま論議がされましたので、特殊法人の問題について何点かお尋ねをしておきたいと思います。  一点目は天下りの問題でございまして、天下り官僚の転任、渡り鳥とかいろいろ言い方はありますけれども、転任状況について我が会派の菅川委員が御質問をし、実態はどうなっているんだということで資料の提出を求めました。それをいただいたわけでございます。出していただいたことは大変結構でございますけれども、渡り歩いた人が今十二人いるというこの資料でございますが、一カ所から一カ所ということでございまして、これだけじゃなくて、何カ所も歩いている人がいるはずですし、それの分は何もありません。  さらにもう一点大事なことは、長期留任を避けるという大事な問題もあるわけです。その点についても何も触れられておりません。この点はどうなっているのか。何カ所を渡り歩き、何年在任したのかという部分でもう少し詳しく説明できるならば、この資料じゃ不十分ですから、そういう実態を明らかにすることは大事だと思いますので、明らかにしていただきたい。
  95. 安富正文

    政府委員(安富正文君) 先生御指摘の十二名の人数でございますが、これは閣議決定、閣議了解で特殊法人相互間のたらい回し的異動をしないという趣旨にのっとったものでございまして、これが現在十二名おります。ただ、これはいずれも一回限りの転任でございます。さらに、在任期間につきましては、同じ閣議決定、閣議了解におきまして、理事等については六年限度、それから総裁、副総裁については八年限度という長期留任の制限がございますが、現在のところこれはいずれもその範囲内に入っているものでございます。  ただ、先生御指摘ございました、いわゆる特殊法人に一度行ってその後民間等に行く、その後さらに特殊法人に行くという事例でございますが、これについては、その特殊法人相互間のたらい回し的異動、渡りという観点で現在我々としても把握しておりません。我々が内々把握している感じでは十何名いるかとは思っておりますけれども、これにつきましても、いずれにしても一回目及び二回目の特殊法人を渡ったその在任期間につきましては、先ほど申しました六年あるいは八年という限度を設けてやっているところでございます。
  96. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 ぜひ調べたものがあれば提出をしていただきたい。  今十二名いるとおっしゃいました。閣議決定でこういうものは原則的に避けるという問題に取り組んでこられてこうなったという話ですけれども、まだこれだけいらっしゃるという現実がある。これについてどう取り組むつもりでいらっしゃるのか、御答弁をいただきたい。
  97. 安富正文

    政府委員(安富正文君) 先ほど来、渡りの問題もございましたけれども、さらに高齢役員の問題あるいは長期留任の問題等、閣議決定及び閣議了解で幾つかの点が取り決められております。これにつきまして、我々は今後とも各省庁に十分その趣旨を徹底しまして、その厳正な対応に努めてまいりたいと思っております。
  98. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 ちょっとそれだけじゃ。本当は何年ぐらいでなくそうという決意でいるのかみたいのをはっきりしてもらわなくちゃいけないし、さらに特殊法人では役員給与の問題も随分ここでも議論になりました。  ちなみに、大蔵省が把握している特殊法人のうち、例えば役員給与の問題でお聞きしたいんですけれども、いわゆる事務次官の給与を超える役員給料を出している法人というのは、大蔵省が掌握している中で何法人中何法人あるか教えていただきたい。
  99. 小村武

    政府委員(小村武君) 八十八特殊法人のうち、私ども大蔵省が協議を受けている法人は六十三でございます。法令上、予算上等の根拠を持つのは六十三でございますが、このうち総裁、理事長等の給与が事務次官の給与を超えているものは二十八法人、ほぼ同水準のものが二十一法人でございます。
  100. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 それぞれ特殊法人を掌握しているかと一々聞いていると大変な時間がかかるんですけれども、いずれにしてもどういう批判が出ているかといえば、要するに事務次官なり局長なりが最後の仕事じゃないんだと、次に行った先で給与がどんどん上がっていくんだと。新聞の見出しなら二階級特進するとか三階級特進するというような見出しが踊ってしまう。これが私は特殊法人の役員の給与の実態ではないかと思うんです。今も同水準と言うけれども、多分この二十一特殊法人もちょっと上なんですよね。多分わざとずらすために言われた。六十三中四十九ですよ。ほとんど上になっちゃうんですよ。こういう現実があるわけです。これについてどう考えるか。  総理は、一回国鉄の問題を聞かれて、民間からいろんな人を入れる場合はどうなのかという御発言もされました。ただ、実態として今官僚の皆さんの次の就職先になっているという現実を考えると、これでいいのかと言ったら、私はよくないと思う。この前国土庁長官が何とおっしゃったかな、天下りというのに上がるというのは何だという話をされたのも記憶しております。  そういう意味で、この辺、本当にその給与問題についてどう取り組むのかというのは、私はやっぱり国民に理解を得るという意味では大事な問題だと思いますし、特殊法人そのものを見直すという問題もあるけれども、まずできることをやるべきではないかと考えるんです。これは大蔵大臣になりますか、官房長官になりますか、どういうお考えでいらっしゃるか、その実態を聞いて、お考えを聞いておきたいと思います。
  101. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 特殊法人の役員給与の決定に当たりましては主管大臣と大蔵大臣協議をするという取り決めになっております。  その基準は、民間企業の役員給与も参考にしつつ、国家公務員指定職、事務次官、こういうことになりますか、均衡等を総合的に勘案して決める、こういうことであります。  公庫等が高いのではないか、象徴的に日銀なども言われたわけでございますが、御案内のとおり、都市銀を初め大きい銀行の給与体系ははるかに高かったわけであります。昨今でも高い。リストラをやってそれを下げるという努力も各銀行でやられる体制になっておりますれども、そんな点を考えますと、民間給与とのバランスの中でというのは大事なポイントだと思っておるところでございます。
  102. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 それから、特殊法人の問題でもう一つ問題になったのは子会社の問題でございます。これもぜひ数字を掌握している範囲で。特殊法人というのは、結局自分のところは赤字で国からお金をもらい、子会社はプラスになっている。この子会社が物すごい数になっているという話がいつも議論になります。  政府が掌握している限りの特殊法人の子会社、大まか、丸くまとめて結構でございますから、どんな実態になっているのか。また、そのうち公団、事業団関係が何社かというのがわかればお知らせをいただきたい。
  103. 土屋勲

    政府委員(土屋勲君) 私どもが昨年末にとりまとめまして公表いたしました特殊法人の調査結果によりますと、特殊法人の子会社全体で七百五十五という数字になっておりますが、そのうちの七百三というのはNTT等の特殊会社が持っているものでございます。  お尋ねの公団、事業団関係の子会社というのは、公団関係が十五、事業団関係が九、二十四ということでございます。
  104. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 公団、事業団関係のうち、子会社にも天下り役員というのはいらっしゃるんでしょうか。今言われた二十四社のうち、天下り役員がいらっしゃるのは何社でございましょうか。
  105. 土屋勲

    政府委員(土屋勲君) 私どもの監察の調査結果では、天下りの状況の調査はいたしておりません。
  106. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そういう実態も本当は明らかにしてもらいたいし、私どもがちょっと調べますと、こういう子会社のうち、ほとんど九〇%を超えるものに天下りの方がいらっしゃいます。  それともう一つ、子会社の場合、私どもがぜひ皆さんに認識していただいて変えなくちゃいけないなと思っているのは、例を挙げますと、電源開発の子会社でEPDC海外炭株式会社というのがあります。これを見ると、社員が十一人で役員が十三人おります。JR東日本の関連会社の山形ジェイアール直行特急保有というところを見ますと、社員が四人で役員が十一人でございます。また、日本道路公団関連会社の東北高速道路ターミナル株式会社、これは社員二人、役員十二名という現実でございます。住宅・都市整備公団関連会社のみなとみらい開発センター、社員七人、役員十一人。国鉄清算事業団の子会社の錦糸町熱供給、社員二人、役員六人。  この辺は少しそれぞれ各省庁の皆さん方は御指導を。ちょっとこれは考えものですよ。結局天下り先のためにこういう会社がどんどんできているとしか考えられない。今実態そのものは掌握されていないというようなお話ですけれども、この辺も問題なんです。だから、子会社に問題がある。しかも、この子会社というのはもうけているんですよね、本体は赤字で。  その辺は、総務庁長官、突然のお尋ねでございますが、こういう実態を認識されてどう感じますか。どう改善しなくちゃいけないかを御答弁いただきたい。
  107. 武藤嘉文

    国務大臣(武藤嘉文君) ちょうどこの国会に、特殊法人の財務諸表等の作成及び公開の推進に関する法律案をお願いすることになっております。  これは、今お話しのような問題もございますので、財務諸表、損益計算書、いろいろございますが、今度はその中には附属書の中で子会社に対しましてもその実態を記載するようにしておりますので、今も子会社にどれだけ天下りに行っているかわからないというのも結果的にはわかってくると思いますし、どういうような形で経営がなされているかもはっきりわかってまいりますので、今のように役員がたくさんいて従業員はほとんどいないというようなものは、それを公開いたしますから、そして一般の閲覧にも供しますので、そういうことになれば結果的にそういうものはなくなると私は期待をいたしております。
  108. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 特殊法人の問題であと二問聞きたいんです。  一つは、総理は、村山内閣時代にやった特殊法人の統合は大平内閣以上の統合整理ができたんだと、こうおつしゃいました。確かに数でいえばそうでございます。  ただ、きょうこの表を少し、この前我が党の横尾議員が質問させていただいたやつですけれども、これをちょっとごらんになっていただきたい。特殊法人をたとえ整理統合しようと、ここに書いてある、結果的に見れば国庫支出金はかえってふえるような形になる、役員もほとんど変わらない、職員もほとんど減らない。これじゃ意味がない。名前が一つになっただけであって、実態が変わらなければ意味ないですよ。  その辺は、総理もこれを見られてどう感じられますか。ぜひ御感想を伺いたい。すごいことをやったんだとおっしゃるけれども、結果的にこういうことを、総理は頑張ってやったのかもしれないけれども、下の方ではこんなことをしているわけです、実態は。だから、この辺はぜひ認識を伺いたいと思います。
  109. 岡野裕

    国務大臣(岡野裕君) 木庭先生、恐れ入ります。  一番下の欄の中小企業退職金共済事業団とそれから建設業等の退職金の共済組合というのがございます。これは、実は二つ合併することで法案御審議をいただくことになっておりますけれども、実は実施は十年度からでございます。  したがいまして、これは八年度と九年度を御比較いただくよりは、九年度と十年度を御比較いただいた方がよろしいのではないか。今私どもが構想しております場合、例えば常勤役員の数は十年度は八ということに相なっております。それから、国庫支出金、職員の数、これは十年度予算で私どもは行革の線にのっとって数字をこれから検討してまいりたいということでございます。今年は合併の前の年でございます、ちょうど引っ越しに行く前みたいなもので、いろいろ忙しかったりなんぞするというようなこともございますが、まあ脱線はともあれ、そういう次第でございます。
  110. 小杉隆

    国務大臣(小杉隆君) 木庭委員提出の資料を見ますと、私学関係の金額が非常に大きいんですが、これは平成会を初め各党から毎年強い要望のある私学助成が大半でございまして、あと教職員の年金とか医療とか実質的に私学にとっては大変重要な法人でございます。しかし、私どもはこれを、私学振興を図る、こういう観点からあえて統合しようということになったわけでありまして、このふえた分というのはほとんど私学の助成の増ということで御理解をいただきたいと思います。  なお、職員数につきましては、私学教職員共済組合というのは本部は三百七十三人でございまして、ほとんどが全国に散らばっておりますいろいろな施設の職員でありまして、しかしその中でも私どもは、三百七十三人を当面、九年度には三人減らし、五年後には十一人減らす、それから役員については両法人合わせて二十人のところを十五人に減らす、そして常勤はこのように、書いてあるとおりでございます。
  111. 古賀誠

    国務大臣(古賀誠君) 運輸省関係でございますけれども、国庫支出金が三十八億プラスになっておりますが、これにつきましては国費助成がほとんどでございまして、新幹線、地下鉄等の鉄道整備等の助成が入ってこういう結果になっているわけでございます。
  112. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 それぞれ理由をおっしゃいました。でも、要するに私は、総理がやる、総理のリーダーシップで大事なことは、統合したなら統合した成果というのはなるべく国民にわかりやすく、それはいろんな事情はあるでしょう、でも、事情があってもその統合に踏み込んでいくわけです。もちろん、民営化の問題やいろんな問題があると思いますけれども、やっぱりそこは踏み込んでいかなければ、何のためにやったということになると思うんです。  総理、この特殊法人の問題は、自民党から出されて、今から政府でも御検討になる話でございますけれども、やっぱり基本は、少しでも、ここに書いてあります整理合理化、簡素化、スリム化がキーワードになっているわけですから、そういう意味でこれを進めていくという基本をきちんと総理みずからの口でおっしゃっていただき、その基本を押さえなくちゃいけないと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  113. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今行政改革プログラムに従って整理合理化を進めておりますうちの幾つかを例にとられながら、御意見をいただきました。  繰り返して申し上げてきておることでありますけれども、特殊法人について不断の見直しをすることの必要性、これはだれもが否定できないことでありますし、現在与党においても、政府はもちろんでありますが、検討が進められております。  その中で、特殊法人の廃止あるいはスリム化が検討されている。その中には、当然ながら、国庫補助金あるいは役職員数というものも検討の対象になると考えております。既に決定しております行政改革プログラムに従って整理、統合、合理化の方針を進めていきますと同時に、現在、これも総務庁長官から何回かお答えを申し上げましたが、行政監察におきましても法人の事業の見直し、経営合理化にも重点を置いて取り組んでいくわけでありまして、今御指摘のような諸点はそれぞれ問題になると思います。  殊に特殊法人につきまして、民法法人並みのディスクロージャーに加えて特殊法人の公共性から求められるディスクロージャーを行うという考え方で、既に今月十一日、所要の規定の整備をもって、特殊法人の財務諸表等の作成及び公開の推進に関する法律案を国会に提出させていただきました。  こうしたものを公開することにより、私は、より整理合理化というものが実効あるものになっていくことを期待いたし、また信じております。そして、そういう方向に向けていかなければならないと思います。
  114. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 きょう、予算委員会は最後でございますので、総理に何回もこの問題で御質問をして大変恐縮でございますけれども、公益法人による政治献金問題、何回かここで同僚委員がやらせていただきました。総理は何回も何回もチェックをなさっているようで、御答弁なさるたびに、いただいていた、そして返却をされた団体がふえてまいりました。  予算委員会という意味ではきょうが最後でございますので、総理にもう一回この点の確認をいたしたいし、もしふえているところがあればその御報告をいただき、一応それでチェックが総理として大体終わったのかどうかということもお話しをいただきたい。いわゆる政治資金規正法二十二条の三に違反するおそれがあるとして指摘され、そして返却された法人のことでございます。総理から御答弁をいただきたい。
  115. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 現時点平成五年までさかのぼって調査をいたしました。その中におきまして、財団法人成研会と申します団体から平成七年及び八年、それぞれ五十万円、合計百万円、財団法人日本公衆衛生協会から平成五年に十万円、財団法人津山慈風会、平成七年に十万円、医療法人真愛会から平成七年に十万円、医療法人梁風会から平成六年度に二十四万円の寄附を受けておりましたので、それぞれ返却をいたしました。知らなかったとはいえ、これは不注意であったとおわびを申し上げます。
  116. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 おわびをおっしゃっているところに追い打ちするような話になるんですけれども、なぜこれこういう形で、普通何かこういう問題が起きると一件なりそんなもので済むんですけれども、なぜこんなふうに多数になった、原因というのはどんなところにあるんですかね。数としては、額としてはこんな額ですけれども、件数がちょっと多くなっていますね。この点についてどう総理として考えられますか。
  117. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今平成五年度までさかのぼって調べた中で出てきたものを御報告申し上げました。それは、知らなかったとはいえ不注意であったとおわびを申し上げますし、これは実務のことになりますと、実際上寄附をいただきます際に、あなたのところは補助金を受けておられますかおられませんかとなかなかお尋ねもしにくい。あるいは全体としての改正法の運用になれますのに会計責任者が苦労しているといったような事情があるかもしれません。しかし、今回こうしたチェックを過去にさかのぼって行っております中で、可能な限り注意させるようにいたしたいと思います。
  118. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 この問題について白川国家公安委員長は、これも私どもは何回か質問しましたけれども、総理の側、いわゆるもらった側というのは知らなかった、知らなかったから、知らないでもらえばこれは犯罪の構成要件に該当しないのだから、いわば新聞等で報じられたからといって直ちに捜査するたぐいの問題ではないと、こうおつしゃつております。  ただ、私どもは白川自治大臣にぜひちょっと確認をして聞きたいのは、総理の側が、総理自身は御存じなかったのかもしれない。ただ、贈った側の問題というのは、一方が知らなかったということであれば、贈った側、つまり一年以内に補助金をもらっていて、そしてそれを認識して、贈った側はわかっているはずですよね。これについて、個別の事例をどうこう言いませんけれども、一般的にはやっぱり犯罪の構成要件に該当している、贈った側は。  そうすると、その問題については、一般的な話として、当然私は調べて当たり前の話だと思うし、また逆に言えば総理のためにも、逆に言えばですよ、総理関係者の方は知らなかったと雷っているんだから。それはそれできちんと、こっち側は知らないで犯罪に問われなかった、こちら側は贈った側の責任で犯罪に問われた。ある意味では、きちんとした結論を出しておかないと、変に不信を招いたままで終わる話じゃないのかと私は思いました。  その意味で、いつも白川国家公安委員長の答弁を聞いて私わからない。ここをどういうふうに一般論として解釈すればいいのかということを、個別の事例よりは、お尋ねしておいた方がいいと思うので、お尋ねをしたいと思います。
  119. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 私は法律の説明をしているのでございます。法律の不知は刑罰を阻却せずということでありまして、国から補助金等を受けた会社または団体がこういう規定を知らなくて献金したとしても、これは罪に問われますというか政治資金規正法違反でございます。  一方、受けた側については、法律の規定は、その当該会社もしくは団体が一年以内に補助金等を受けた会社であることを知りながら献金を受けた場合は罪に当たりますよと、法律にはそう書いてありますということを申しているだけであります。
  120. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 その意味では、これからどう国家公安委員会として対応なさるのかは別として、今おっしゃった問題で言えば、贈った側というのは、これまでも両方が合致して罪に問われたケースが実際にございます。判例として残っております。  その意味では、今回の問題もそこはきちんと、やはり贈った側にはそれなりの犯罪の構成、今の法律解釈で言えばあるわけですね。そうすると、その意味ではこれはきちんと、個別事例どうやって捜査していますかということまで聞きません。ただ、そういう意味では、犯罪に当たるものがあるならばそれは当然私は捜査すべき問題だと思いますが、これも国家公安委員長に聞く話だと思いますので、答弁を求めたいと思います。
  121. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 個別具体の問題であり、捜査すべきか、捜査しているか、その他の問題については答弁を差し控えさせていただきます。
  122. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 それでは、ぜひきちんとした捜査をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
  123. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 警察は、刑罰法令に違反する問題があり、社会的に諸般の事情で大きな問題があるということについては、刑罰法令に適して厳正に対処するものと承知をいたしております。
  124. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 ぜひその点は私はやった方がいい話だろうと思っております。それはまた、今後どういう経過になるかは見守りたいと思います。  そこで、残りの時間で、泉井関連の問題で先日大蔵省の省内調査の問題を我が党の荒木議員が質問いたしました。省内調査があるならばその結果を公表してくれということを申し上げました。どうなっているか、その結論を教えていただきたいと思います。
  125. 涌井洋治

    政府委員涌井洋治君) 昨年秋以降、新聞、雑誌等において、大蔵省においても泉井氏と交遊関係がある者がいるとの指摘があり、このまま放置すれば職員に無用の誤解を生じかねないということで、昨年末からことしの年初にかけて約百二十名の幹部職員から同氏との関係に関し、面識あるいは会食、ゴルフ同行の有無などについて事務方におきまして事情聴取したところでございます。  その結果、面識のある者が約二十名、このうち三回以上会食、ゴルフ等をともにした者が六名でございます。このほか、税法の解釈について質問を受けた者が一名いましたが、このほかには職務に関連して依頼を受けたことのある者はいなかったということでございます。
  126. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 通産省の調査と比較するわけではないんですけれども、なぜ約何名、約何名と。通産省のを見させていただきましたけれどもそういう数字には全然なっていません。具体的な数字が挙がっております。これはなぜ約、約とおっしゃらなくちゃいけないのか、私ども調査という意味でいけばよくわかりませんけれども、なぜでございますか。
  127. 涌井洋治

    政府委員涌井洋治君) 特段、約ということに意味があるわけでございませんで、正確な数字を申し上げますれば、百二十四名の者から事情を聴取し、その結果、面識のある者は二十三名ということでございます。
  128. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 涌井官房長の問題はまたちょっと別だと思うので、それは別といたしまして、この調査というのは、結局節度を超えて職務に関してこの泉井被告人とつき合った人はいないということだろうと思いますけれども、会食の回数とかそんなことを考えると、多い方も今おっしゃると六名いらっしゃる。その辺をどんなふうにして大蔵省として御判断なさったのか。大臣として、この数字を見て、またこういう会食の問題、多数にわたった問題、この辺どう解釈されたのかをお聞きしておきたいと思います。
  129. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 全体の話は官房長から話がございました。本件については人事担当者が百二十四名聴取をしたところでございまして、いずれも大蔵省は職務権限以外の問題でございます。  それはそれとしても、本件について申し上げますと、処分の問題も含めてという御質問かと思うのでございますが、全体の中で申し上げ、私が聞いておる範囲では金銭の授受については全くございません。贈答品の有無についても聞いておるわけでございますが、十名が歳暮、中元等を受け取っております、常識の範囲と、こういうことであり、官房長については結婚祝いで送ってきましたが、それはお返しいたしたと、こういうことで、口頭注意を私から申し上げたところでございます。  大体そんなところでありまして、氏名の問題もあろうかと思いますが、これは全く職務権限外のことであり、プライバシーの問題でもありますから、精査いたしたことから公表する限りではないと、私の判断でそうさせていただきました。
  130. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もうちょっとこれ論議したいんです。最後、もう一分ですので、大蔵大臣そのものの問題で、泉井被告からの大蔵大臣の派閥への献金の返還の問題でございます。  大蔵大臣の所属する派閥へ六百五十万円の献金があったという話がございました。それで、私がこの件をお聞きするのは、どうも大蔵大臣はこの献金について、二月二十八日の衆議院予算委員会でございますけれども、その席でいろんな指摘をされた中で、「議員としての大蔵大臣としてどうするのかと。言わんとする趣旨はわかります。よく考えます。」と、こういう答弁をなさっております、この問題で。予算委員ではきょうがもう私どもとしては質問する最後でございますので、どう考えられたのか、この問題にどんな考えでいらっしゃるのか、最後にお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
  131. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 本件は、政治献金の問題は旧派閥の事務局長に一任であります。よって、本問題が出ました場合に、事務局長は記者会見におきまして、詳細な質疑応答の中で、この部分に関しましては献金は適正に処理されており返却のつもりはないが、返却の要請があれば返却すると事務局長は述べておるわけであります。  しからば三塚個人と、こういうことでありますが、派閥の問題は派閥の大事な資金として使わさせて、政治団体として処理をされておりますから、それはそれで私は局長の言が正しいと思っております。  個人献金として個人の政治団体に置いてあるのかどうかと、こういうことであります。それも含めまして、返せと言うならば返すのが当然でありますが、処理をされておるわけでございますから、今後の対応考えますと言ったのは、こっちの部分ではなく、政治家三塚博の指定団体においてそういうことがあれば検討をします、こういうことでありますが、派閥に対して出ておりますものですからそういう答弁を申し上げさせていただき、検討も、局長は、適正にやらせていただいておりますから、何もない以上私は申し上げたとおりにしたいということでありますから、そうかと、こういうことでいたしておるところであります。
  132. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 まだいろいろ言いたいことはありますが、時間ですので終わります。
  133. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 以上で木庭健太郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  134. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 次に、山本正和君の質疑を行います。山本正和君。
  135. 山本正和

    山本正和君 総括質問でございますが、本日は私は専ら沖縄問題を中心にいろいろとお伺いしていきたいと思っているわけであります。  私は、本委員会の論議を聞いておりまして、大変心配したことがございました。沖縄の土地所有者は百十数名にすぎない、〇・〇〇何%の人が反対しておって、あと三万人のほとんどが合意していただいているんだと、こういう議論が出るわけですね。私が大変心配するのは、そのことが沖縄に伝えられた場合に、県民皆さんがどういう気持ちを受けるかということです。百十数名にすぎない土地所有者あるいは一坪地主のことはひとつ私はおきましょう。しかし、その人たちに対して、なぜ沖縄議会は今措置法の改正に対して反対という決議を上げたのか、知事はなぜそこでなおかつ反対を表明せざるを得ないのか、そこのところを理解しないと沖縄と本土との断絶はますます拡大する、私はそのことが心配でならないんです。  要するに、今沖縄県民皆さんは日米安保条約を否定しているんじゃないんです。重要性も十分理解しておられる。大田知事が総理と会われたときにも国益の重要性についても十分認識しているということを言っておられるんです。なぜこうなっているかということが、私は率直に言いますけれども、本委員会の論議の中でも理解されているとは思えないので大変心配でならないわけであります。  申し上げたいんですけれども、私は最後の兵役です。官房長官は志願されて士官学校に行かれた。また私どもの政調会長は志願して予科練へ行った。私どもは志願せずに兵役に召集された最後の世代です。三塚さんと私は一緒ですから、志願しなくても行ったんです。しかし、その私たちよりも二つ三つ下の少年や少女が沖縄戦に参加したんですよ。十二万人という沖縄県民が死んだんですよ、現地で。そして、二十万の戦没者が出ている、アメリカの軍人を含めて。その沖縄戦の経験が本土へのアメリカ軍の上陸を阻止したんです。本土はまさに流血の惨事を免れた、沖縄の犠牲において。そのことを忘れたら私は日本人じゃないと思うんです。一番根っこの部分ですね。  それから二つ目を言います。日米安保条約があるから我が国の安全というのは確保されていると言う。私どもはその立場に立ちました。かつては反対しました。しかし、日米安保条約があるから我が国の安全を守れるとするならば、それは、日本全土の基地の七五%を沖縄に預けて、占領下と変わらない状況に置いて、犠牲を強いた上で私たちは安全をむさぼっているんですよ。そのことの理解がなければ、なぜ百十数名の地主の人たちの土地の収用を法改正によってやることに対して議会が反対したのか。自民党の皆さんも含めてほとんど反対です。表面は反対できなくても反対です。土地を収用されている人も心の底は反対なんですよ。そこのところの理解がないところが私は情けなくて仕方がない。  それからもう一つ、これは議会として私は申し上げたい、私たち議会人として。何とこの三月十一日にアメリカの下院は、四百三対十六だと思いますが、圧倒的多数で沖縄県民に対する感謝の決議を上げているんです。日米安保条約維持ができるというのは県民皆さんの犠牲の上だと。我が国国会が一遍でも上げたことがありますか、県民皆さんに対して申しわけないと。そのことなしに何で沖縄県民の心がわかるんですか。私はそこのところは本当に残念でならないんです。  ですから、理屈じゃないんです。沖縄県民皆さんに、本土に住んでいる私たちが本当に皆さん申しわけありませんという気持ちを持ってこの問題に当たるか当たらないかが沖縄基地問題の解決の出発点だと私は思うんです。総理の御感懐を、お考えをひとつ伺いたい。
  136. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) あるいは議員が見ておられて私の沖縄県に対する思いが御信頼をいただけないのかもしれません。だとすれば大変私は残念であります。  私はたまたま幾つかの問題で過去に沖縄県とのまた沖縄県民方々とのかかわりを持ちました。それは対馬丸事件の解決であり、戦争当時六歳未満でありました児童に対する戦傷病者特別援護法の適用の問題であり、また復帰直前から直後にかけましての水道水源用のダムの適地探しでありました。そういう意味では私は多少ともかかわりのあった人間、そしてそうした中で県民の心を理解する人間と思っておりました。殊に、日米両方の血を持って生まれた子供たちがベトナム戦たけなわのころアメリカの徴兵制度のもとで徴兵を受けるかどうかという問題につき、大変失礼でありますが、沖縄県出身の国会議員方々以外にお手伝いをした者はそうはいなかった。私はそれだけの自負は持っておりました。  しかし、総理という職につきまして、最初に私は大田知事という方を理解したいという思いから、改めて大田さんの著作の一冊である「高等弁務官」を読みました。そして、率直に申しまして、最初に読んだときは信じられない部分が幾つもありました。ですから私はそれを一生懸命に調べました。調べてみて、随分文庫本におさめるために大田さんの論文自身が縮められており、その背後により深刻な問題が幾つも隠れていたことも知りました。その上で私は、初めて総理大臣という立場で大田知事にお目にかかりました。今日まで私は同じ気持ちで沖縄県に対しております。  確かに、大田知事以下沖縄県の方々議員が今述べられたようなお気持ちをお持ちであることもそうでありましょう。私は全く信じていただけていないとは思いませんけれども、我々の思いがまた通じないことも事実です。そして、その中において少なくともこの状況をほっておくことはできないと思い、この内閣は、沖縄問題の解決のために、またその問題とは別に、沖縄県がむしろ経済的に本土に益するぐらいの経済状態がつくり出せるようにと振興策にも一心に取り組んでまいりました。  官房長官のもとにおいていわゆる島田懇というものがつくられ、県の代表者も一般県民の代表者もその中に入られて、真剣に沖縄県のまた基地所在市町村の将来に向けての青写真をつくってこられたこと、評価されているかどうかは知りませんが、その事実は知事以下、私は否定はなさらないと思います。  沖縄県の方々がどう受けとめられるにせよ、また日本という国のあすを考えていく上で必要な考え方を我々は国としてとっていく場合はございますけれども、それが沖縄県を放てきし県民状況を今のままにしておいてよいと思ってする行動ではない、それだけは私は信じていただきたいものだと真剣に思います。
  137. 山本正和

    山本正和君 私は、昨年の四月に、普天間問題で大変な苦労の中で総理が取り組まれた、そのことを予算委員会の冒頭で本当に御苦労さまでしたということを申し上げました。歴代の総理の中で、佐藤総理以来初めて沖縄問題に直面して取り組まれた総理だということもそのとき申し上げた。ですから私は、その総理のお気持ちを誤解しているつもりじゃありません、よくわかっているつもりです。しかし、本委員会における論議の中で、このままではまだまだなかなか県民の皆様の御理解を得られる状況に私どもはなっていないと、私どもの反省を含めた気持ちを私は申し上げているつもりです。  ただ、正直に言いますけれども、防衛庁長官が口をきわめて〇・〇〇と、こういうことを言われたのが私はやっぱり一番心配でした、そこのところがね。そのことじゃないんです、県民皆さんが反対しているのは。私はそう思うんです。  それから、政治論で申し上げたいんですけれども、かつて成田空港反対闘争がありました。歴代の運輸大臣が大変な思いをして今ようやくおさまろうとしている。これは一つの県ですね。これは一つの県の千葉県で、県民皆さんが一体成田空港闘争についてどう思っておられるか。県議会が成田空港設置反対を言うでしょうか。知事が反対を言うでしょうか。地域の反対でもこれだけずっともつんです。  しかし、私は思うんです、日本の国というのは統一国家なんだ。統一国家である日本の国で一つの県が反対しているものを、もしも国会が多数決でもって決めてしまって、その県の知事や議会が要請していることと反対のことを国が決めた場合に、果たして統一国家としての体はどうなるのだろうかという心配が私はあるのです。  私が思うのは、何があっても御理解を得たいと総理がずっと続けられてきたその努力があるわけです。何とか御理解を得たいという努力をされたその姿勢を、本当に政府が挙げて、あるいは国会が挙げて県民皆さんと話をする以外に本当は解決の道はないと思うんです。もしも国会でもって、多数があるからといって、またおまけにそこに党利党略論が絡んだような議論が背後にあってこの法案が論議されるとするならば、私は本当に残念なんです。  日本の国を愛する問題をめぐっての議論がありました。かつて軍人であった人は、陸軍が、海軍が傷つけられることに対して怒りを持つのは当たり前です。私も復員船で帰ってきて佐世保に揚がってきたときに、こんなに美しい国はないと思った。何よりもこんな立派な国はないと思った。しかし、それぞれ違いがあるのは当たり前です。しかし、それはこの中での議論なんです。今問題は、沖縄県という県の意思がはっきりとこうなっている。それを法律でもってやっていくということが果たしていいのかどうなのかという政治論なんです、私が心配するのは。  だから、確かにアメリカに対しても同盟国としての条約上の義務があります。義務を果たさなかったら国際的に物笑いです、これは。百も二百も私は承知している。しかし、その中で何をとり得るかといった場合に、総理はずっと取り組んでこられたこの姿勢を堅持してさらに一生懸命に取り組まれることが、まず今何をおいてもぎりぎりまで頑張っていただくことが何よりも必要だというふうに私は思うんです。  そういう意味で、ちょっとこれは総理に直接じゃなしに、その前に官房長官に私はお尋ねしたいんです。  沖縄振興策、いろいろ官房長官のところで御苦労をいただいている。きのうの状況も、私聞きました。新聞紙上にも報ぜられている。大変な、政治家梶山静六としての気概を持って取り組んでおることもよく承知しています。  しかしなぜ、官房長官が私的に考えて、これがある、この案もあるということを言ったのに、その考えが実現しない理由は何ですか。沖縄県民の皆様に喜んでもらえるような案をあなたはお持ちなんです。個人的に発表もされた。なぜそれが今実現できないんですか。できない理由は何ですか、官房長官。ずばりその辺は、あなたとしてのお気持ちを含めてお答えいただきたいと私は思う。
  138. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 昨年来、総理の命を受けて、特に沖縄に配意をと、そして第二次橋本内閣沖縄担当とはっきり銘を打たれました。  今、総理からお話がありましたように、沖縄の草の根というか、島田懇、私的諮問機関ではございますが、名前を挙げていいかどうかわかりませんが琉球新報や沖縄タイムスの社長さん、果たして入るかどうか、入ったらこれは官邸はハイジャックされるのではないかというほど大変な問題意識を持ちながら話し合いをいたしました。  初めて、いろんな意味での審議会や座談会やら出ましたけれども、これほど裸になっていろんな話し合いができた機会は私はなかったと思います。この七カ月間、大変私の蒙を開かれた思いがあります。  そして、私なりに遅まきではありますが、委員が今お話しになった沖縄戦それから敗戦、その後この五十年、そういうものを思いますと、沖縄が本当に幸福感を持たない限りは、私はこの中で政治をやってきた価値がないという思いがいたしております。  ただ、残念ながら、私の頭が稚拙か、あるいは方法論を持たないか、そういう意味で幾つかの試みの案を心の中には持っているんですが、残念ながらまだ閣議や閣僚懇談会で申し上げるまでの手はずに実は昇華しておりません。  それからもう一つは、私をちゅうちょさせているゆえんのものは、大田知事がみずから、沖縄の中でみずからの案をつくると言ってくださっております。それを待たずに、私は本当に沖縄の心は上辺しかわかりません。その沖縄の方たちがつくったものにどれだけの御協力ができるのか、いや、自分のものとしてやれるのかどうなのか、そういう思いを今込めてやっております。  幸いに救われることは、総理と知事の会談の中で、知事も大きな信頼関係の崩れることはありませんと言ってくれました。  確かに、この特措法の問題をめぐって、基地提供をめぐっての問題に絶対一致できない分野があることは百も承知をいたしております。総理総理なりに国益考え、大田知事は大田知事なりに県民の意思を考えて権益をお互いに主張し合う、これはやむを得ないことであります。その溝が埋まっていない現実を私たちは大変残念に思うわけでありますが、それぞれの道を行くほかないと。  しかし、それはそれでおしまいではない。むしろもう一回、次なる時代のいわば発射台になるはずだ、そういう思いを込めておりますので、私はぜひ同僚の議員皆さん方の御賛同やそのあれを思いをいたしながら、あえて言葉を選ばないで言わせていただくならば、七五%の基地沖縄という狭い県土にあるということは一国二制度的現実であります。  裏腹に別なことも我々は義務としてやらなきゃならない。いや、沖縄に対してそこまでの配慮がない限り、沖縄に今までの苦痛を味わわせたことに対する購罪にはならない、このような思いでこれからも取り組んでまいりたい。一日も早く沖縄との間に良好な関係、そして将来を展望できる新しい喜びをお互いに見出したい、これが私の偽らざる心境であります。
  139. 山本正和

    山本正和君 私も沖縄はたびたび行くんですが、去年の暮れ、普天間の飛行場に入りまして、アメリカ海兵隊の中佐といろんな話、通訳を交えての話でありますから十分に意が通じたかわかりません。一人一人のアメリカの兵隊は決して悪い人じゃないんですよ。みんな一人一人は幸せを求めていく普通の人間です。しかし、軍隊というものの持ついろんなものからくる沖縄県民の圧迫感というものは、これは耐えられない、そのことはもうみんなよく御承知だと私は思うんです。  ただ、申し上げておきたいのは、日本軍があそこで激しく戦って全滅いたしました。全滅に際して大田司令官が本土に対して、何分の御配慮をというあの通信を発した、そのことを私たちは、本土は決して忘れてはいけないと思う。  そういうことも含めて、今の官房長官の言われたことは、ひとつ本当に何とか実現のために全力を挙げていただきたい。私が心配するのは、省庁間のさまざまな問題だとか、連絡の問題だとかなんかによっていろんないい案が出ても実現が遠くなるという、そのことを大変私は心配するわけです。官房長官という立場でそこのところはきちっとまとめて、一日も早く具体的な提案を出していただきたいというふうに私は思います。  ただ、ここで、これは開発庁長官には質問を用意しておりませんので外務大臣かどなたかでもいいと思うんですけれども、沖縄基地が返還されました。例えば、北部で本部町というのがありますね。大変膨大な、二百五十四ヘクタール、そのまま荒れ地になっているんですよ。基地が返還されても、その返還された基地の跡をどうするかということについて、沖縄県はそれまで収用されておっただけに使い道に困るわけですよね。そういうことについての対策は一体やってきているんだろうか。沖縄県に、はい、返りましたよ、お任せしますよということではどうにもならないんです。  フィリピンのあの何とかいう基地がありましたね、アメリカ軍の基地。返した瞬間に今や大変な繁栄をしているんです。自由港にもした、企業も誘致した。アメリカでもそうですよ。アメリカ基地がのけたら必ず政府はそこへ大変なあれをほうり込んで一生懸命繁栄をさせているんですよ。いろんなことをやっている。軍というものが住民にかける負担というものを政治は知らなきゃいけない。軍が撤去されたら、政治の責任でもってそれは後始末しなきゃいけない、これは私は政府の役割だと思うんです。そういう意味での後始末というものが十分されていなかったのではないかというふうに私は思うんですが、その辺いかがでございますか。
  140. 池田行彦

    国務大臣(池田行彦君) 委員指摘の点、確かに非常に大切な点でございまして、実はこれまでにおきましても米側といろいろ相談します中で、この地域は場合によっては返還に応じ得ると、こういった話が出たと。しかしながら、跡をどういうふうに活用していくかということを考えますと、これは必ずしもこのような状態の中で返還されることは望ましくないと、そういう御見解が地元から出たと、こういうこともあったわけでございます。  それで、ましてや今回は、まだまだ返還されない部分が非常に多いわけではございますけれども、過去に例のないほど大きな面積、トータルとしては五千ヘクタールを超える面積が返るわけでございますから、それが返還されたときに、その地域の社会で一体どういうふうに生かされ、地域方々の暮らしにあるいは地域発展に役立つかということは、これはもとより沖縄県でも真剣にお考えになりましょうけれども、これは沖縄県だけのお力でできるものじゃございません。我々国としましても、政府全体として真剣に考えていかなくちゃいけないと思っております。  そういうことがあればこそ、政府におきましても政策協議会、あるいはその前に沖縄問題協議会もございますけれども、そういったところで政府としても真剣に考え、また沖縄ともよく御相談しながら進めていこうと、こうしているところでございます。  委員指摘になりました北部は、恐らく北部訓練場のことだと思いますけれども、これはおっしゃるとおり一番大きな地積でございます。ただ、これにつきましては、面積が多いというだけではなくて、いろいろな地形だとか条件からしてどういうふうな活用方法がいいか今相談しておりますが、そのほかの場所につきましても、特に普天間のように市街地の中心にある、これは生かしよういかんによって大きな意義を持つわけでございますので、今後、政府一体となって沖縄県ともよく相談して進めてまいりたいと存ずる次第でございます。
  141. 山本正和

    山本正和君 アメリカの下院の決議の文書を取り寄せてちょっと訳してもらったんですが、その中にこういう表現がある。「米日安全保障協議委員会から出された沖縄に関する特別行動委員会(SACO)最終報告において、合衆国の軍事力が日本国民、とりわけ沖縄県民に与えている負担を減少させるためにコミットメントする」、こういう表現があります。これはもう外務大臣がおっしゃっていますが、そういうことを含めて、私は一沖縄に対してアメリカがいろんな形で理解をしようとしている、交流をしようとしている、そういうことを感ずるわけです。  さて、アメリカ国民の皆さんアメリカ沖縄基地を持っているということに対してどのような感じをお持ちになっているのか。外務省、その辺は把握しておられますか。
  142. 池田行彦

    国務大臣(池田行彦君) 米国にもいろいろな考えがございますけれども、そういった米国民の気持ちを最も集約した形であらわしたものの一つが委員が今御指摘になりました先般の米議会における決議であったと思います。たしかこれは四百三票の賛成、そして反対、棄権がそれぞれ十六票であったかと記憶しております。  その中にも、まず第一に、日米安全保障条約というものが米国、日本、そしてまた他の周辺の諸国の安全保障のために大変大きな役割を果たしているということをまず申しまして、そうしてこの日米安全保障条約がきちんと機能していくために沖縄方々がいかに大きな貢献をしてくださるのか、そのことに感謝するという、そういう決議になっておるところでございます。これは、ああいった議会制民主主義の国の中で米国民を代表する議会がこれほど圧倒的な数で決議したものでございますので、ここの中に最も集中的に米国民の日米安保、とりわけその中での沖縄県民方々の果たしておられる役割に対する感謝の気持ちが込められておるんだと、このように考える次第でございます。
  143. 山本正和

    山本正和君 私は、アメリカ我が国との外交上の交流も大事でありますが、やっぱり国民間の交流の中でこの基地問題も議論されるべきだろうと、こんなことを思いますし、そういうふうな動きについては外務省もひとつ格段の助力をお願いしておきたいと思います。  そこで、もう一つ、沖縄の現地で大変苦しんでいる問題、これはもう防衛庁長官もよく御承知と思いますけれども、県民所得が全国平均の七割、東京の半分強というふうな県民所得ですね。失業率が、労働大臣も御承知と思いますけれども、本土の失業率三・何%ですか、それの倍を超えている失業率ですよ。青少年の雇用が大変難しい、厳しい、こういうふうな状況があるわけですけれども、こういう問題に対しての何らかの対策を政府としては沖縄県との話し合いでされておられますか。
  144. 岡野裕

    国務大臣(岡野裕君) 山本先生がおっしゃいましたように、雇用問題、沖縄では非常に厳しい情勢であります。  先ほど先生が数字を挙げられましたけれども、日本全国で三二二という数字、御存じのとおりでございますが、沖縄においては五・四。特に三十歳未満の、私どもは若年労働者と呼んでおりますが、これは全国で四・八でありますが、一〇・四。いずれとも非常に厳しゅうございます。  これは沖縄の置かれた土地環境といいますか土壌の環境、水力だとか電力、その他もろもろの原因があるわけでありますが、沖縄県当局でももろもろの開発の計画等々を練っているところでございます。それらの御意向を踏まえまして今私どもが考えておりますのは、沖縄の若年労働者の諸君に本土にお越しいただいて、本土に就職をしていただく。そのためにも準備をいろいろするとか、訓練でございますね、そういう手もある。あるけれども、やはり沖縄県において仕事口を探すというのが一番ではないかというような意味合いで、例えて言いますと、亜熱帯植物を原料にしました健康食品、薬品、これらをひとつ新しいジャンルの産業ということでいかがかと。  それから、環境と申しましたけれども、長距離のヨット航行というようなもので観光客を乗船させまして沖縄の島々をずっと見て回るというような、あるいはミンサー織という現地特産の織物、染物がございます。これらを、いわゆるオリジナルデザインというものを生かして、これを非常に長く高く大きく売れるというような道はないかとか、いろいろ考えているところでございます。
  145. 山本正和

    山本正和君 各省庁挙げて沖縄振興策についてのさまざまなプランが出されておりますし、私もその中にはなかなかいいのもあるとは思うんです。ただ、それがなぜできないかという最大の原因は、省庁間の縄張り争いとは言いませんけれども、そういうものが障害となっておるとしたら大変不幸だと、こういうことを私は思うんです。  しかし、雇用面あるいはさまざまな振興策、ぜひとも取り組んでいただきたいのですが、私はここで、新聞紙上でいろいろ言われておりますから、ひとつ政府の見解をただしておきたい。  緊急申し立てということでは間に合わない、そしてこれはやる意思がないと、政府はこう言っておるわけですね。そういうふうに新聞が報道しているんですね。  私が思うのは、一体その理由は何なんだろうかと。かつてこうだったから緊急申し立てばやらないんだと。とすると、余りにも法律の制度というものが、甘く見られると言ったらおかしいけれども、軽んぜられているとしか私は思わない。法律の中にあるものをすべてやるということは法治国家としては当然の事柄である。それができないときに、例えば国会で、どうにもアメリカとの関係からという場合に、新たな事態として議論するならわかります。しかし、そのことすらしていない段階で、既にそれはもうやってもだめなんだということを法治国家である政府がもしも考えておるとしたら私は大変おかしなことになると思うんですけれども、その辺についていかがですか。
  146. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) その前に、先日来の当委員会でのいろんなやりとりの中で私がいろいろ誤解を受けたとすれば本当に申しわけないと思います。  山本委員が冒頭に言われました気持ちは全く同じでございまして、今とにかく沖縄にあれだけ集中していることについては何とかならぬものだろうかという気持ちで総理また官房長官が取り組んでおられる、そういうのと軌を一にしておるわけでございます。  ただ、先ほどから話がございました緊急使用についてでございますけれども、これはたびたび言っておりますが、粛々と本裁決に向かって委員会審理をされておったわけでございます。そうしますと、この間にその委員会をやめていただいて緊急使用の申し立てをするということは、これはできないということでやれなかったわけでございます。  ところが、じゃ、今の時点になりまして、緊急使用してまだ間に合うじゃないかというふうにおっしゃいますけれども、この緊急使用にしましても委員会を開いていただかなければならないわけでございます。昨日三回目が開かれまして、間もなくこれに基づいて裁決いただけるんじゃないかと思っておりましたが、委員長が御病気で次の委員会がどうなるかわからないというような状況でございます。そういうときに緊急使用の申し立てをしましたときに、これがまた日にち的に間に合うかどうか、そういう問題が一つはございます。  それともう一つは、こういう法律の制度というのは、緊急使用の申し立てをしまして、それが許可になったら直ちに通知されてそのまま緊急使用ができるという前提に立ってやっているわけでございますけれども、この法律の実態を調べてみますと、緊急使用の申し立てをしてそれが許可になりますまでにも最低一週間ぐらいはかかると思います。そのとき、一週間になりましてからも、その通知が行きまして、それをノーだと言ってはねつけられますと、またそれが返ってまいりまして、それから公示送達という手続をとらなければならないわけでございます。その上にしかも供託金を払わなければならない。  そういうことになっておりまして、全部そういうのが、これは法律上先ほど言いましたように普通ならばスムーズにいくのにそれがいかない。それこそ緊急申し立てをして期限が切れてしまうということになりますと大変なことになりまして、そこで我々は苦慮しているわけでございます。緊急使用の申し立てをすれば、その許可が出ればそれによって六カ月の延長ができるという見通しが立つならば、それも一つの方法でございますけれども、なかなか難しいという現況についてぜひひとつ……(「やってみればいいじゃないか」と呼ぶ者あり)やってみればとおっしゃいますけれども、今言いましたように、やってから五月十四日までにそういうことができにくいという状況なので、やってできなかったら、じゃ、無権利になつてしまってそれでいいのかということになりますと、今度の問題について言いますと、事は前回の一人の場合と違いまして、今度は三千人の方がいらっしゃいます。  私の委員会でのいろんな言い方に失礼なことがありますとすれば、それはもう申しわけないんですけれども、たった二人の地主さんから三千名の人が譲り受けていただいている。三千名の人のそのもとっこの地主さんは二人だったという異常な事態を頭に置きながら対処しなければならないのでどうしてもこういうふうになっておるわけでございますので、緊急使用について非常に難しいということを御理解していただきたいと思うわけでございます。
  147. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 山本正和君の残余の質疑は午後に譲ることといたします。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午後零時二十八分休憩      ―――――・―――――    午後一時開会
  148. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  この際、御報告いたします。  本委員会は、平成九年度総予算三案につきまして、内閣委員会外十五委員会にその審査を委嘱いたしておりましたが、各委員長からそれぞれ審査概要について報告書が提出されました。  つきましては、これを本日の会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  149. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  なお、このほか、報告書は既に印刷して皆様のお手元に配付いたしております。     ―――――――――――――
  150. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 平成九年度一般会計予算平成九年度特別会計予算平成九年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、休憩前に引き続き、山本正和君の質疑を行います。山本正和君。
  151. 山本正和

    山本正和君 先ほど防衛庁長官から、緊急申し立てについてはどうも困難な問題が多いというお話がございました。私もそれは承知しているんです。  しかし手順として、きのう収用委員会がああいう状況であった。その段階では申し立てをする理由ができたと私は思うんですね、手順としてそれを行うと。そして、それでどうにもならないというときにどう考えるかということはまた別の問題だと思うんですね。やってもだめだろうからと初めからやらないということについては、どうしてもそこへしっくりこないものがある。要するに、法律上の問題としてもどうなんだというふうな議論が生まれると私は思うんです。  だから私は、ここで冒頭に、沖縄の心を我々本土におる者みんなが理解しようということでいくのなら、知事が今言っておられるのは、なぜそれをやらないのと言っておられるんですね。緊急申し立てという手続をなぜやらないんですかということを知事は言っているわけですよ、私どもの方に聞こえてくるのは。違いますか。まあいいです。  そんなようなことも含めて、ですからあらゆる手だてを政府は、総理が先ほど言われたように、沖縄県民皆さんの理解を得るためにあらゆる手だてを講じますということをして、その後に国益上の判断として法改正なら法改正という議論をすることは僕はあってもいいと思うんです。  しかし、それをどう見てもまだこれ手順を踏んでないよというふうな中では、大変私は心配するわけです。そこのところを言っているので、これはひとつ、返答は要りませんから、十分御検討をいただきたいというふうに私は思います。  そこで、総理に私は再度ひとつお願いしたいし、ぜひともやっていただきたいと思いますのは、沖縄振興策というものについてこういうことを考えているということでいいんです。これとこれとこれは考えておって、政府としてはここまでの決意を持っているよということを示していただくということが第一点です。  それから、沖縄県が出している振興策についての協議は既にされているわけですけれども、その中でも何とか早くそれを示す、県民の前にも発表すると。沖縄県からこういうことがあった、政府はこういうふうに考えて検討中だと、いわばこれが見えないわけですよね。見えていない。こういうことは大変私は心配なことが一つあります。  それからもう一つは、沖縄県が出しているアクションプログラム、これについては三党でいろいろ協議しました。その中で、これを取り上げて真剣に議論しようということを三党合意の中で議論を進めているわけですね。政府も、沖縄県が出したアクションプログラムについては、これはひとつ真剣に議論しましようというところまでは言っていただけないかというふうに私は思うんですが、その点いかがですか。
  152. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、そうした部分についての御質問がありましても、今まであえて発言を慎んでまいりました。なぜなら、知事がみずからどう態度を決定されるにせよ、それとは別に我々は沖縄振興策というものを考えていかなければならないわけでありますから、いやしくもその振興策のために知事さんが自分の考えを変えたと言われるような誤解を沖縄県内に与えたくない、率直に私はそう考えてまいりました。  その上で、幾つかの例示としてお聞きをいただきたいと思うのでありますが、知事から繰り返し御要請のありました問題点の一つは、先ほど議員も御指摘になりました雇用問題であります。また、本土に復帰いたしまして時間が経過をするにつれ、沖縄県の中から特にアメリカにおける留学生への応募の合格率が必ずしも高いとは言えなくなってきた、こうした状況を変えたいという思い、あるいはもっと若い世代で本当の日米の交流ができないであろうかという思い、こうしたお話を伺ってまいりました。  そして、その一部は既に世の中にもあらわれておりますので申し上げてもよろしいと思いますが、例えば雇用につきまして、沖縄県として同時通訳の養成というものを一つのコースとして考えられ、既に幾つかの外国語についてそうしたコースを持っておられました。国もこれをお手伝いすることとし、新たな幾つかの話学を県の方では教官スタッフの得づらい外国語につき御協力をするというお約束をいたし、これは既に動き始めております。  また、これは内航海運関係各社にお礼を申さなければならないことでありますが、しばらく前に内航海運の関係者に沖縄県を訪問してもらい、その中で沖縄県の要望される新船建造についてのゴーサインを、船腹調整とはかかわりなくその要望を受け入れ、これが動き出す状況になっております。  そして、ここまではそうなることを私も期待し、内航海運の方々に現地に行っていただいたわけでありますが、私が予測しておりませんでしたことは、その後知事と会われたときに内航海運の関係者の方から、沖縄県において行われている船員養成施設の卒業生を全員自分たちで引き受けるということを言い切り、既に関係者がその方向に動いてくれておることであります。こうしたことは、殊に若い方々の雇用という点でまさに知事の主張されてきたその方向に沿うものと思います。  あるいは、高等学校の生徒さんたちを対象に四十名程度アメリカに留学の機会をつくる。これも県は大変喜んで既に具体的にいろいろ、またアメリカ政府の方も協力をしてくれまして、受け入れる学校等々既に具体的な話が進行しつつあります。  そうしたことだけではなく、例えば昨年度の補正予算におきまして五十億の調整費を計上いたしました。これは結果として繰り越しておりますけれども、その中から既に県の御要請に従って使い始めておるものもございます。  また、アクションプログラムを当初県から拝見いたしましたとき、これは県独自の案ということで県外にまだ公表しておられない状況のときでありましたが、その後そのアクションプログラムのうちのそれぞれの部分につきまして既に関係各省庁にお話も参っておりますし、知事がお入りをいただく懇話会の中でも論議の対象に取り上げております。  私は、先ほど官房長官の御答弁の中でありましたように、一国二制とまで言い切る自信はありません。また、本当に一国二制が、このごろの集団密航事件等を見ておりますとき、必ずしもよいとばかりは言えない部分があるような思いはいたします。しかしその上で、他の都道府県と沖縄県に対する違いがあって悪いとは私も思っておりません。  そうした思いを持ちながら、ただ、今具体的に振興策の論議をすることは、いたずらに私は知事をかえって苦しめることを恐れます。それだけに、こうした使用権原切れの問題等がいずれにせよ解決をいたしました時点で、公式の場所で振興策議論ができることを願っております。  既に知事御自身にはさまざまなことを私自身申し上げてまいりました。そして、その中に知事が首をひねられたものもありますし、これをしてもらえればと大変喜ばれたものもございます。しかし、知事もやはりそのそれぞれについて言挙げすることは今望ましくないというお気持ちは先日お目にかかりましたときも共有いたしておりました。この点はどうぞ御理解をいただきたいと思います。
  153. 山本正和

    山本正和君 それでは、実は大蔵大臣にも質問を用意しておったんですが、時間がありませんのでもう沖縄で終わりますけれども、ただ一点、総理が今言われた中にその他の問題という形で言われたわけです。例えば、沖縄では消費税は要らないよとか、法人税は五%にしましようとか、何かそんなことでぽっとわかりやすいやつが行くと県民皆さんはわかるとおっしゃる。そういうことも含めて御検討いただきたいということを要望しておきます。  大蔵大臣もひとつぜひ、経費削減をしたら、国民が感じている負担増、今の国民負担の増ですね、これに対する軽減策にとにかく取り組む、こういうことを最後に一言だけ。三党合意の線に沿って取り組む、国民負担の軽減を含めて取り組む、三党合意の線でやりますということだけ最後に二曹おっしゃってください。
  154. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 三党合意でやられておることも承知をいたしております。総理から言われました数々の問題もあります。それで、各省にわたるものも数々あります。これだけの大問題ですから、みんなで考え、よかれというやつが何かないかということで論議をいたしておることは事実であります。  やはり知事が県民代表であります。そして、知事が沖縄問題の協議会に出ておりますことも承知をいたしております。取りまとめられたものが出てきますならば、当方のものについても真剣に検討することは当たり前であります。
  155. 山本正和

    山本正和君 これで時間が来ましたから終わります。
  156. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 以上で山本正和君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  157. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 次に、藁科滿治君の質疑を行います。藁科滿治君。
  158. 藁科滿治

    藁科滿治君 民主・新緑の藁科でございます。連日大変御苦労さまでございます。  まず最初に、大蔵大臣にお尋ねをいたします。  政府が本年を財政構造改革元年、こういうふうに銘打っておられますけれども、国民の各層におかれる今年度の予算に対する評価は大変厳しいものがあるように思います。最近のNHKの調査では、評価できないというのが六七・六%、三分の二以上に及んでおる。連合が御案内のように連日、各地でデモその他をやっております。そればかりではなく、専門の観点からエコノミストの皆さんも非常に厳しい見解を表明されておる。どうも今年の予算編成は構造的に今までの構造と一向に変わっていないじゃないかという、こういう鋭い指摘があるわけでございます。  さらに加えて、どちらかというと、政府・自民党に近い位置づけにある産業界の皆さんも大変厳しいですよ。どうも行革が進んでいない、それから歳出削減努力が足りない、こういう声が少なくとも私どもが聞いておる範囲では多いと思うんですね。  改革元年とおっしゃっておりますけれども、こういった各界の声というのは、先ほどマスコミ誘導というようなお話があったんですが、私は決してそういうことはないと思うんです。客観的な国民の多くの声だろうと私は思うんですけれども、ぜひこの段階における大蔵大臣の見解をまず伺っておきたいと思います。
  159. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 国民動向というのは、マスコミまた調査機関による世論調査というのが一つございます。それと政府政府で動向調査というのもやっておりますこともございます。  私は、財政危機という越えなければならないこの深刻な事態はようやく国民各位も理解しつつあると思うんです。現世に生きる者が現世の楽しみをということで、後世に借金をつくり先送りすることによって財政経済運営をやることの是非というのは真剣に政治家はまた国会考えていかなければなりませんし、総選挙の結果、政権をお与えいただきました本内閣におきましても、この点だけは深刻に受けとめ取り組んでいかなければならぬことであると思います。  文化と伝統は連続した国民の共有の価値観の中で伝わってきておりますから、あの敗戦の深刻な中におきましても、我が国民は老壮青まなじりを決してこの国家のために頑張り抜いたことが今日の経済大国であることは間違いございません。  そういう中で、私どもは、この困難な時期にありまして、ありとあらゆる困難な問題が集中した世紀末、年度末といいますか、そういう事態に遭遇しておることを冷静に分析し、やらなければならぬと、こんなふうに思い、橋本首相のリーダーシップの中で六改革、そして財政構造改革は、後世代との断絶を生まないように世代間のよき伝統と文化の協調がしっかりと保たれることが国力の原点だと、こういうことでスタートを切ったことは藁科議員もおわかりをいただけると思います。  率直に申し上げますと、もう一つは、政党政治のしがらみの中で、政権を担当する者はまっしぐらにやらなければなりませんし、野党の責任も政権の来る日のために全力を尽くすわけでありますが、そういう中で大事なことは、共通項においてよくやったというところには、大拍手でやってもらわぬでもよいのでありますが、評価をするところは評価をいただきませんと大変なことなのではないだろうかと思います。  産業界のことについては、私に届きますのは二つの意見があります。頑張れという意見と、今日の金融不安克服のために大変だから経済政策振興策をやれと、こういうことでありまして、決してジャパン・セールではないんですね。それと力強い激励は、今第一線から引いている相談役の方々、第一線の方も、ある会社の社長、名前は申し上げません、これだけの国力、これだけの底力を持った日本が、まさに財政構造改革という、借金漬けの体質から抜け出る最大の機会である、力のあるうちにおやりなさいと、こういうことであります。  九年度予算編成の評判の悪いところは、私から言わせますと、全然評価をするところがないというのは独裁国家の傾向とも言われてもやむを得ないのじゃないでしょうか。やはり、よい点はよい点として評価をするから政党政治がうまく歯車が合うわけであります。批判はだれでもできます。そういう中で、いつの日かまた政権党になられるわけでありますから、政党政治の原点に戻って、国難に当たるときには全力を尽くすということに立ち向かわなければならぬとかねがね思っておる感懐を、藁科議員の質問でありましたから率直に申し上げさせていただきました。
  160. 藁科滿治

    藁科滿治君 御答弁を伺いながら、私は少しく寂しい思いがしております。と同時に、アメリカの経済学者の大御所でありますポール・サミュエルソン教授のお言葉をちょっと思い出したんですが、余り特定の眼鏡で見過ぎると客観的な事実が見えなくなると。大変御無礼な言葉かもしれませんけれども、私は、ことし国民に大変な消費税の引き上げという負担を強いているわけですね、これを忘れてはならないと思うんですよ。これを前提に財政問題全体を見るべきだというふうに私は考えておりまして、これ以上入り口の議論をやっても時間がありませんので、幾つか、なぜ評価に値していないという厳しい意見が多いのか、私なりに三つの理由を指摘したいと思っております。  まず第一は、行政改革が進んでいないということです。これは、総理を初め今大変意欲的な取り組みをやっていることはもう十分承知しておりますが、平成六年の税制改革の与党合意というのがありますよね。これが今回の税制改革の下敷きになっていると私は思うんですよ。この最後の結びに、消費税率は、社会保障に要する費用、行財政改革の推進状況、課税の適正化、財政状況等を総合的に勘案して判断するということになっている。これは間違いないと思うんです。しかし、現下の状況を見ますと、消費税の引き上げだけは先行しちゃっているわけです、どんどんと。それで、今行政改革を非常によくやっていただいているんですが、国民の目には見えないんです、これは。  総務庁長官に伺いますが、武藤長官の答弁など非常に誠実さがこもっておって、私はこれは何かやってくれるなという期待を持っているんですが、しかし今申し上げたギャップですよ。国民はもう数日後にずっしり肩にかかってくるんだ。行政改革はこれからということなんですね。これはもう三年前のことですから、このギャップをどういうふうに見るか、改めてひとつ御見解を承りたいと思います。
  161. 武藤嘉文

    国務大臣(武藤嘉文君) 行政改革と一言で言いますと、何か中央省庁の統廃合だとか官民の仕事分担がいろいろ、いわゆるスリム化ということでございますから、役所の仕事が民間へ移っていって非常に役所がスリムになったとか、ここをどうしても国民の皆さんはそういうイメージでお受けになると私も率直に思います。そういう面からいけば確かに少しずれがあるというのは私は認めざるを得ないと思います。  ただ、ちょうどきょう規制緩和の改定計画を閣議でも決定いたしましたけれども、例えば規制緩和というのは、たまたまこの間うち、いろいろ少しやっておりますので何か今やっているという感じでございます。これは御承知のとおり、村山内閣のときからも続いて三年間これをやってきたわけでございます。三年間の集大成、ことしの三月が改定計画の集大成でございます。  そうすると、例えば今既にやっている、御承知のとおりパスポートを五年から十年に延ばしました。そういうような形で既にやっているものも実はあるわけでございます。ただ、それも私は規制緩和ですから行政改革の一環だと思うんですけれども、全部はまだ確かに行われていないから、そういう実際やっているものもあるわけでございますけれども、そんなに大きくこれは取り上げられない。全体の行政改革となると、これは総理もいつもおっしゃっているとおりで、中央省庁の統廃合というのはことしじゅうにやりますともうずっと言ってきているわけでございまして、この十一月末に成案を得るというところへ来ているわけでございます。  そういう問題はやはりなかなか、今消費税をやるということに決まったからそれじゃすぐこれをやれるかといえば、簡単なものではなかろうと私は思います。例えばことし決まっても、中央省庁の統廃合が実際の姿になるのは二〇〇一年からになるわけでございますから、そういう面からいくと行政改革とこの消費税のアップというのはどうしてもずれがあると。  しかし、私ども、今一つだけ例を具体的に申し上げましたけれども、例えば規制緩和というのは、どちらかといえば私はそんなにスリムになるという期待をしていただいてもいけないんじゃなかろうか。どちらかというと、規制緩和は国民の皆さんにより行政の面でサービスができる、あるいは国民の皆さんの、国民生活の中で市場経済原理が働いて、例えば今運輸省関係はほとんど今度需給調整をやめるということを決めていただきましたけれども、そういうような形で競争原理を導入することによってそれだけ国民生活にプラスになっていくというのが私は規制緩和だろうと思うのでございます。  だから、そういうものは、今度決めたものでも、例えばことしじゅうに実施するものもいろいろこれからあるわけでございまして、時間がありませんから具体的には申し上げませんが、実際そういう面で、私は、規制緩和というものはもう既に始まっているし、今後も、ことしも相当のものをやってまいりますと。  しかし、目に見えるような形のものは今どうしてもことしじゅう時間をかけてやって、そしてまとまったものも実際にそれが国民の目に見えてくる、中央の役所というのはすっかり変わっちゃう、こういうものはやっぱり二〇〇一年からじゃないかなと。いろいろ法律改正もありますでしょうし、新しい法律もつくらなきゃいけないと思います。そういう点で御理解をいただけないだろうかと。だから、決して行政改革をやっていないわけではなくて、やれるものはどんどん今もやっておりますということだけはひとつ御理解をいただきたいと思うんです。
  162. 藁科滿治

    藁科滿治君 今までの答弁でも長官おっしゃるように、しかし一方で今までの取り組みは不十分だったというようなことも明快におっしゃっているので、ぜひその延長で一層の御努力をお願いしたいと思っております。  第二の理由は、公共事業の配分構造が変わっていないという問題です。  大蔵大臣は欠点ばかりをということなんですが、私は人間的に甘い方で、いいものはどんどんいいという態度なのでございます。きょうはもう時間がありませんから、ちょっと問題点を国民にかわって申し上げているわけです。  三つのことに限って申し上げますが、まず一つは、歳出の削減に大変汗をかいたということをおっしゃっておりますね。それで、結果的に公債を四兆三千億余り減額したということをおっしゃつているんですが、私は余り頭がよくないんですが、国民はある面できちっと物を見ていると思うんですよ。今までの答弁、質疑で私が残念なのは、消費税いい悪いも論議したいんだけれども、もう四月一日から上がるんです。これについて国民の皆さん、本当にありがたい、御迷惑をかけますと、こういう話が出てこないのがおかしいと思うんですよ。  それで、ことしだけで五兆円の負担ともなるわけでしょう、もちろん特別減税の廃止も含めてですよ。難しい計算は別にして、五兆円が国民の肩をずっしり重くしているわけです。結果的に借金を四兆三千億返したというんでしょう、減らしたというんだから。国民の肩にかかった重みで借金が減ったということじゃないですか、簡単に言えば。これもう弁解の余地がないと思うんです。これがまず第一です。  それから第二は、公共事業の伸び。盛んに伸び率が減った減ったと言うんですが、今国民にこんな負担かけているわけでしょう。家庭でいえば主婦にもう生計を抑えろと言っておるわけです。子供の小遣い減らすよと言っているわけでしょう。それで主人は今までどおりいきましょう、晩酌はふやしはしないけれども一・五ぐらいふやしていると、例えがいいかどうかは別として。そういう構図だと思うんです。国民は納得しませんよ、これじゃ。  それから、さらに内容を突っ込んでいくと、事業別、それから省庁別、配分構造は変わっていますか。私、丁寧にチェックしたんですが、コンマ以下ですよ、変わっているのは。基本的には変わっていないということなんです、これは。しかも、絶対額で数千億ふえているんですから、奥さんも子供も納得しませんよ、これじゃ。おやじ何やつているんだということになるんです。大蔵大臣は非常に前向きに自賛されながら提案されているんだけれども、国民の立場からいうととても評価に値しないです、こういう関係では。  それから三つ目は、歳出削減をめぐって今までいろんな論議があった、衆参含めて。それから三党合意の問題もある。これは私、連立連合の時代は三党合意、それから我が党はそこにブリッジをかけて協議しているんで、こういうものは今までの単独自民党政権よりはるかに重みを持っていると思うんです。こういうものを軽視しちゃいかぬと思うんです。ぜひひとつそういう配慮も含めてやっていただきたいと思う。  今までの審議では、旧来も歳出削減努力をしていたと、こういう答弁があるんですが、私はことしは違うと思うんです。再三申し上げているように、国民にこれだけの負担を強いたらもっと汗をかかなきゃいかぬと思うんです。もっと心を変えて、今までと発想を変えた形での削減努力をしなきゃいかぬと思うんです。  この三つの観点から、私はちょっと努力不足じゃないかなということを改めて申し上げたいので、考え方を聞かせていただきたいと思います。
  163. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 御批判は御批判として率直に受けとめます。同時に、消費税二%アップをして何の弁明も聞かれないという趣旨のお話ですが、平成六年の税制審議の中で消費税の改定は出ておるわけであります。それと同時に、当時はバブル崩壊後の不況のどん底の中でございましたから、特別減税二兆円、赤字公債を発行し捻出をし、対応をいたしたことも御案内のとおりでございます。  二%アップの一%は地方財政、地方地域住民の財政の困難なことにかんがみまして、これをストレートに、収納は国税、国の機関がやりますけれども、総額は地方自治団体に交付をいたします。残りの一%、二・五兆と予想されておりますが、それは国の財政に貢献をいただくと、こういうことであり、この二・五兆につきましても、ただいま医療改革が断行されておりますけれども、国民負担をお願いすることのできることについての論議が行われております。  保険料という国民負担は、老後に向けて不時の大病の場合あるいは病気の場合、家族を含めてでございますが、医療がただいまのレベルよりもいいレベルで受益を受けたいと、受けるべきであると。福祉国家として世界一の医療水準を誇る我が日本、三時間待って三分という問題もありますが、これらも逐次論議の中で進められましたとおり、解消するためにいろいろ努力をしなければならぬということで、その分の保険料として御負担をいただく分は一人一人に受益として戻るわけでございます。  どうぞ、そんなことの中で、歳出が不十分と言われておりますが、決して不十分ではなく精いっぱいやった結果が構造改革元年としてのふさわしいスタートに立った歳出予算にしたということでありますから、あえて御理解を得たい、こう申し上げます。
  164. 藁科滿治

    藁科滿治君 そこで、三番目の理由は高齢化への対応です……(発言する者あり)
  165. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 質問を許しております。委員長の質問許可をしておる最中でございますから、どうぞ。
  166. 藁科滿治

    藁科滿治君 厚生大臣に御質問いたしますけれども、三番目の理由として高齢化への対応。いつも歯切れのいい口調と提案をいただいているんですが、今回残念ながら抜本的な改革という面の提案がなされなかった。はっきり申し上げまして、国民の負担がやや先行したということでございます。  しかし、先日の集中審議の中でいろいろ質問者の方からも、我が会派の今井委員なども地域差問題等々を含めてかなり積極的な提案をしております。厚生大臣はそこいらもぜひ組み入れながら今後前向きな仕上げをしていきたいということですから、大いに期待を寄せております。  そこで、私は一方で病院のサービスの面もあわせてぜひ考えていただきたい。今私の手元にお年寄りや心身障害者の要請がいっぱい来ているんです。今我々は負担をできるだけ減らしてくれという要請を心に置いているんですが、それにあわせて、財政は大変だけれども、支払いの回数がふえるのはもうたまったものじゃない、こういうものを何とか工夫してくれというのもあるわけですよ。そういった冷静な声もぜひ組み込んで前向きな御検討をいただきたいというふうに思っておりますが、ぜひ御見解を承りたいと思います。
  167. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 確かに、三時間待って三分診療のほかに、せっかく診療を終わって薬をいただくときにまた薬の会計で待たされる、そういういろいろな苦情が来ているのもわかっております。これは確かに患者さんが多いと待つのは仕方がない。これは医療提供体制そのもの、何でもかんでも、大病院に行かなくてもいい方が来ているのも事実であります。まずそういう点からも改善していかなきゃならない。  事実、その簡素化の点について、お待たせする時間をもっと省けないかという以前に、国民の皆さんもまず地元の地域のかかりつけ医のところに行っていただくような医療提供体制はできないか。そして、本当に大病院が必要な人だけに大病院に行っていただくような流れができないか。それはお医者さんもともどもこれからいろいろ案をいただきまして、医療提供体制の面からも構造的な改革に踏み込んでいくべきだと思います。
  168. 藁科滿治

    藁科滿治君 時間がなくて極めて残念でございますが、最後に総理に二つのことをごく簡単に御質問させていただきます。  一つは、行政監視院の問題でございます。これはもう衆議院で我が党が議員立法として提案しておりますし、もう既に総理からは一定の答弁もいただいておりますから、それは一切省略します。  そこで、私が思うには、官僚攻撃というようなものがここ数回の審議で出ておりますけれども、私は日本の官僚はやっぱり優秀だと思いますよ。世界に冠たるものがあると思うんです。問題は、そういうものをどうやって教育していくか、日常的にどうやってチェックしていくか、こういうシステムが欠けているところに問題があると思うんです。  そういう意味で、この行政監視院というのは、アメリカの例から見ても、国会と官僚、行政、こういう面の相互関係を、こういうものを通じてお互いにいい意味の緊張感を醸し出していくという意味でも非常に重要な意味を持っていると思いますので、ぜひ前向きに対応していただきたい、この国会中に組み上げていただきたい。  それから、第二の問題は、前半の予算全般でぜひ総理にも御質問したかったんですが、もう時間がありませんので、総理が今大変意欲的に行財政改革に取り組んでいる姿勢、私の周辺にも最後は無理だよというようなお話もありますが、私はそうは思わない。今度は橋本総理のリーダーシップのもとに必ずやってくれる、国民はやってもらわにゃ困るというふうに思うんですね。  総括論議のときにも出ておりましたけれども、共生社会、これは私は苦しみも分かち合う、しかも同時に分かち合うということが大事なわけで、そういう面からもぜひ今の勢いが消えないように、最後までこれを断行するように心から念願をいたしまして、ひとつ御見解を承りたいと思っております。
  169. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今私自身のそれぞれの改革に対する姿勢につきマスコミを通じてさまざまな不信の声が上がっておりますことを私も聞いております。そして、私自身の力の及ぶ限りの努力をしていきたい、そう考えながら毎日を過ごしております。それだけに、御批判は御批判として御協力もまたぜひ賜りたい、それによってこの国のあすを築きたい、そのように思っております。  私は、本当にその意味では、今まで殊に参議院が非常に積極的に時代の変化対応した行政の監査のあり方というものをテーマにされて調査会を設置された、そしてその中で精力的に議論を積み重ねてこられた点に対し、他の院の一員として、超党派の御努力というものに私は非常に敬意を払ってまいりました。そして、国会が行政の監視機能を強化するという観点から活動をされる、憲法の諸規定に従って活動をされる、その必要性、大切さというものは私は全く異論を持つものではございません。そして、衆議院の一員として、参議院の院としての御努力に心から敬意を表してまいりました。  ただ、私はこの問題が議論になりますとき繰り返し申し上げてまいりましたことは、政府自身が政府自身の中に監察の機能を全くなくしてしまうということは不適当なことであり、やはり行政自身がみずからを監視する機能というものは持つべきである、それはまた国会国会というひとつ違った視点から行政府を監視、監察されることとは別次元のもの、我々はその意味で国会での御判断というものをむしろ参議院が先行して示されたことに心から敬意を表したいと思います。
  170. 藁科滿治

    藁科滿治君 どうもありがとうございました。
  171. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 以上で藁科滿治君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  172. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 次に、有働正治君の質疑を行います。有働正治君。
  173. 有働正治

    ○有働正治君 本日は、私どもは、消費税率引き上げは絶対に許されないという立場から、また特別減税廃止も許されないという立場から、予算のむだや浪費に本予算案から本来抜本的にメスを入れるべきだという立場から、公共事業問題について地方財政対策との絡みも含めまして質問いたします。  各長期計画の中の地方単独事業費がどれぐらいあるか、所管庁から資料をいただきまして私の方でまとめさせていただきました。お手元に資料も配付させていただいているわけであります。  地方単独事業ということで全体を網羅する所管ということがございませんので、自治省にあえて御答弁いただくわけでありますが、現行の長期計画の中で地方単独事業が盛られている長期計画はどういうもので、何本あって、そのトータル金額はどれぐらいになるか、まず事実関係をお示しいただきたいと思います。
  174. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 閣議決定をされました現行の公共事業関係の長期計画十六本でございますが、そのうち地方単独事業が明示されておりますのは、森林整備、道路整備、土地改良、漁港整備、沿岸漁場整備開発、下水道整備、交通安全施設等整備及び都市公園整備に係ります八つの五カ年計画でございまして、地方単独事業費の合計額は四十二兆八千三百億円となっております。  このほかに、災害関連と単独事業を合わせた区分をしておりますものが五計画ございますので、それを全部上記の八計画と合わせますと四十八兆三千三百億円でございます。
  175. 有働正治

    ○有働正治君 配付資料のとおりであるということが確認されました。  その場合、前期計画の場合はどうであったのでありましょうか。それもお示しいただきたい。
  176. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 前期の公共事業関係の長期計画のうち単独事業が明示されておりますのは、道路整備、港湾整備、下水道整備、交通安全施設等整備及び都市公園整備の五つの五カ年計画でございまして、単独事業の合計額は二十二兆三千五百七十億円でございます。  そのほかに、災害と地方単独はくくって区分されておりますのが五つございまして、それとさきの五つと合わせますと、合計額は二十五兆四千二百七十億円でございます。
  177. 有働正治

    ○有働正治君 配付資料、間違いないことが確認されたわけでありますが、そこで自治大臣、お尋ねいたします。  前期計画と現行計画、地方単独事業の伸びは約二倍でございます。直接的には関連しない部分もありますが、全体の公共投資計画の事業規模は四百三十兆から六百三十兆円に、一・五倍弱であります。この地方単独事業の二倍への大きな伸びというのは非常に借金財政に影響を与えざるを得ないと思うわけでありますが、自治大臣、いかがでございましょうか。
  178. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 最近、行政改革、財政再建ということが言われ、自治省もその責任を負い、また健全財政をつくる先頭に立とうとしているわけでございます。昨年のこの予算が通るとき、住専の問題は確かに大きかったわけでございますが、それ以外にもことしと同様の予算があったわけでございますが、これがけしからぬということを例えば他の党で言った党があるんでしょうか。一昨年前はどうだったでしょうか。景気を刺激しなきゃならない、それには個人消費を伸ばさなきゃいけない、減税をと、こう言われて、その減税はそのまま赤字国債で賄ったわけであります。  そういう中で地方自治体も、前からの計画は計画としてありましたが、国、地方を挙げて景気対策をしなけりゃならない、冷え込んだ景気を何とかしなければ日本はおかしくなるということで、国会の意思をもってそういう予算をつくり、そしてそういうことをしようとしてきたのでございまして、それに対して私はコメントする立場にはございません。
  179. 有働正治

    ○有働正治君 地方で財政が非常に深刻な中で、これも借金とのかかわりで影響を与えざるを得ないということは明白じゃないですか。答えをできないなんて、そんなことでは納得できませんよ。
  180. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) だから、国、地方を挙げて減税をしなさい、もうそれは減税すれば赤字国債で賄わなきゃならないのはしようがないわけでございます。それでも減税しなさいといって地方税法も変えられたのでございますから、それでふえたものに対して、あるいは景気刺激のために国も頑張るが、財源は地方にもあるんだから単独債を伸ばしなさいということで、それこそ与党だけではなくてほとんどの、全政党がそういうことでいったのでありますから、それに対して、役所は役所として財布を守ろうとして苦言は呈しましたが、国会の命に従うのは日本政府の自治省の姿勢でありますから、そういう中で出てきたことは事実であります。
  181. 有働正治

    ○有働正治君 借金財政やむなしという立場にならざるを得ないというふうに思うわけであります。  そこで、具体的に一つ聞きます。  ことし一月二十日、自治省財政課長が各県の財政担当者を集めた中で、地方単独事業についてどう御説明しておられるか、説明をお願いしたいと思います。
  182. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 平成九年の一月に、地方団体の予算編成の参考となります事項を盛り込みました財政課長内簡というのを出しておりますが、その中で単独事業につきましては、ちょっと読ませていただきますが、  最近における地方団体の地方単独事業費計上額が地方財政計画計上額に達しない状況にあることを踏まえ、既定経費の節減合理化や各種基金の活用等により財源の確保を図り、生活関連基盤の整備や地域経済振興等に真に必要な事業を地域の実情に即して選択し、事業量の積極的な確保に努められたい。  また、地域経済の動向に即応した事業の機動的・弾力的な執行に努められたい。こういうふうに述べております。
  183. 有働正治

    ○有働正治君 つまり、地方財政計画の金額に達しない状況があるけれども、それぞれの事情を述べながら、事業量確保に努められよ、単独事業はあっぷあっぷの状況にある、しかし頑張れよ、こういう上積みをしなさいよと、こういう意向を示されたということであります。  これらの事実の上に立って私は総理にお尋ねするわけでありますが、今度の六百三十兆の長期計画、公共投資計画の中では、地方単独事業というのを位置づけて、これを推進するということがうたわれているわけであります。この公共投資計画について見直しを図るということを言っておられるわけで、その中では、地方単独事業についても各計画を合計すると二倍になっているわけで、これは非常に大きな負担であっぷあっぷの状況にあると自治省も認めているわけですから、見直しの場合、地方財政危機対策の上からもこの公共投資計画、長期計画見直しも検討すべきではないかと思うわけでありますが、所見を求めます。
  184. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 財政構造を本当に根本的に改革していこうとし、財政構造改革会議をスタートさせ、その中で当面の五原則という一つの目標を提示しながら、これに私は十三の基本的な考え方、これを進めていく上での基本的な考え方を提示し、閣僚懇談会の了承も得、企画委員会でこれからこれを議論してもらおうといたしております。  その中には、当然ながら公共投資基本計画というものを含め、各種の五カ年計画等を見直し、縮減していくという努力が入っていくことは当然であります。そして、その十三の大きなテーマとして私が考え方を示しております中に地方財政があることも御承知のとおりであります。
  185. 有働正治

    ○有働正治君 抜本的にメスを入れていただきたいと要望いたしまして、次に、市の庁舎、県の庁舎など自治体の庁舎の問題についてお尋ねいたします。  今日、地域住民の間で、また全国のかなりの地域で庁舎の新増築をめぐりまして、豪華過ぎるとか、こういう批判もかなり聞かれるわけであります。  自治大臣として、この庁舎建設、地域によってはかなり大きな問題になっている状況、豪華批判の問題等々どう認識しておられますか、まず所見を求めます。
  186. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 私たちがヨーロッパ等に参りまして、百年前、二百年前の市庁舎が今なお使われており、今なお風格を持っていることをうらやましく思います。  たしか宮澤内閣のころだったと思いますが、生活大国日本というようなものをみんなが考える中で、そういうことをこれから日本考えていかなきゃならぬと言ったんじゃないでしょうか。  豪華過ぎる豪華過ぎないは別として、つくっては壊しつくっては壊し、木造だけじゃないですよ。日本の建築を見てください。鉄筋コンクリートだって、つくっては壊しつくっては壊し、そういうことをやっていたのでは本当に国富はふえないと私は思っております。
  187. 有働正治

    ○有働正治君 この点はなかなかいい答弁でありました。  事務当局にお尋ねするわけでありますが、自治省として、全国的にこの庁舎の増改築、どれぐらい行われているのか、実情あたりどう把握しておられるか、お示しいただきたいと思います。
  188. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) この庁舎の建設につきましては、私どもは地方債の手続を通じて承知をするわけでございます。本庁舎それから地方事務所等を含みます庁舎の新築あるいは増改築の箇所数でございますが、私どもが把握いたしております県分と都市分の地方債の資料でお答えさせていただきますが、最近三年で申します。  平成六年度で申しますと、着工が三十三カ所、事業費で千四百十二億円、平成七年度が着工は三十一カ所、事業費が千三百二億円、平成八年度が着工予定は十六カ所、事業費が六百九十三億円という状況になっております。
  189. 有働正治

    ○有働正治君 ここ三年だけでも約八十カ所、三千五百億相当ぐらいの金額になるわけですね、今の御答弁で。  実は、読売新聞の一月二十八日に全国調査が、この新聞社としての調査が発表されて、県、市、二十三区を含むこれだけで「豪華六十九庁舎に一兆五千億円」だと、「事業費の三分の一は借金」だと、全国調査で一覧表も示されました。非常に全国で進められているという状況が示されているわけであります。  大臣にお尋ねするわけでありますが、これもその自治体での地方債増大の一つの要因になることは性格上間違いないわけでありますが、これだけ競演が行われている。これは自治省の指導とのかかわりか何かあるのかないのか。この点、大臣、どうお考えになりますか。
  190. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 庁舎の建設は基本的にそれぞれの団体が、老朽になったものでありますとかあるいは狭くなったもの等を考えまして、それぞれの施設の整備の水準あるいは大きさ等を考えながら取り組んでおるものというふうに承知いたしております。
  191. 有働正治

    ○有働正治君 自治省は平成五年六月二十二日付で地方債課長名で各県等への通知を出しています。その中で地方単独事業の内容として、庁舎等の大規模改造事業についてどう述べているか、お示しください。
  192. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 平成五年は、先ほど来話が出ておりますように、景気対策が大変重要な課題であったときでございまして、総合経済対策が定められた年でもございます。  その中で、国の経済対策に呼応して地方団体が単独事業を追加する際に、個々の地方団体の財政状況を勘案して地方債の充当率を引き上げることができる旨を通知いたしておりまして、その中に地方単独事業の内容として、道路、公園、一般廃棄物処理施設、スポーツ施設、高齢者・障害者に優しい町づくり等と並びまして、庁舎・職員住宅等の公共・公用施設の大規模改造事業を例示して、これらについても地方債を活用して推進されたい旨のことを通知申し上げております。
  193. 有働正治

    ○有働正治君 大臣、自治省の通知の中で、地方債を活用し庁舎も重点的に推進しなさいということが明示されているわけであります。先ほどの事務当局の説明あるいは読売新聞の調査等によっても、自治省が具体的に庁舎を重点的に推進せよ、借金をやってでもと、こういうものが拍車をかけていると見、ざるを得ないわけでありますが、大臣、いかがでございますか。
  194. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) バブル経済崩壊後土地が下がるという、私は日本有史以来かどうかは知りませんが、少なくとも戦後では初めての土地が下がるという、土地本位制と言われる土地が下がるという、こういう非常な不景気と申しますか経済的に行き詰まった中で、これを何とかせよというのは細川内閣のときから始まって、すべての内閣に国民が求めてきたわけであります。  公経済というのは国の経済だけで成り立っているわけではないんです。地方経済も含む。しかも公経済、最終的に支出ベースを見ますと、いつも言うとおり、国が一に対して地方は二なんです。地方経済といっても公経済なんです。公経済で景気対策をするのは、これは国及び地方を含めて、公経済である以上、国民の声がそうであるならばそういうことに努力するのは一方では当然なのではないでしょうか。
  195. 有働正治

    ○有働正治君 通知を出して推進したのは当たり前だと言わんばかりの、なかなかこれは悪い答弁でございます。  私、読売新聞の、町役場、村役場を含めました九十九カ所の中で、この自治省の通達以降、計画あるいは完成したものが幾つあるのかピックアップいたしました。九十九カ所のうちの五十九カ所、約六割が通達以降、計画、完成であります。合計金額一兆一千億円近くになるわけであります。  各自治体の庁舎をどうするかというのは本来自治体の自主的な態度であって、ヨーロッパから見たら豪華過ぎるその他だと、先ほど言われたばかりなんです、自治大臣。  そういう点からいって、通達で借金をしてでも重点的に庁舎を推進せよということになったら、これが影響を与えないわけはないと、実態的にもそうあるわけでありますが、再度答弁願います。
  196. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 御案内のとおり、各種の地方債を活用してやる場合に国の方が財政措置する場合もあります。それに対して庁舎建築については、先生御案内のとおり、財政措置はないわけでございます。  しかし、どうせいずれやってくださるなら、今景気が非常に落ち込んでいるときなので御配慮を賜りたいと。しかし、金を出すのはそれぞれの地方自治体でございますから、結論からいえば、今出せるか出せないかはそこの地方自治体が自分の財政状況を加味して決めてくださったものだと思っております。
  197. 有働正治

    ○有働正治君 影響は。
  198. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) それはみずから借金をするときにどういう経過が出てくるか、それぞれの地方自治体はそういうことができる立派な方が経営者というかトップにいるわけでございますから、ただふえるというようなことをそちらの方でお考えになって決めたことなのであって、有働委員がどういう立場で御心配されているのかわかりませんけれども、そこの自治体は自分のところの財政状況を見た上で決断してくださったものと思っております。
  199. 有働正治

    ○有働正治君 この通知が一つの重要なきっかけになっていることは間違いないわけであります。実態からいってもそのとおりであります。しかも、庁舎というのは何十億、何百億、中には何千億なんです。  しかも、借金でやっているわけですから、非常に地方財政危機に拍車をかけていることは明白で、しかもこういう事業というのを、例えば茨城県庁は竹中工務店、大成建設、大林組、群馬県庁は大成建設、清水建設、鹿島建設、千葉県庁は大成建設、熊本県庁は竹中工務店、大成建設、鹿児島県庁は大林組、こういった大手ゼネコンがジョイントを組みながらでも中心に仕事をやっているわけで、ゼネコンのためにこういうのをつくらせたと住民の方が厳しい批判を、しかも豪華だと、出されている状況があるのは当然だと思うわけであります。  そこで、総理、私がお尋ねしたいのは、政府の通達が無関係ではないと思えるわけで、こういう自治体への干渉になるような通達は厳に慎むべきだと。政府としていろんな通達が出ます。その点、検討すべきだと。御見解を求めます。
  200. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) いやしくも地方自治に対して干渉するようなことはよくないと思います。お願いをする場合は別であります。
  201. 有働正治

    ○有働正治君 実態的には干渉になっている、このことを私は指摘しておきます。  そこで、私どもはこういう公共事業のむだや浪費に抜本的にメスを入れなさい、軍事費の問題にもメスを入れなさいと、こういうことを言っております。  サミット参加国中の国防支出の八五年、九五年の比較、外務省、いかがでありましょうか。
  202. 佐藤謙

    政府委員佐藤謙君) サミット七カ国の国防費の比較でございますが、一九八五年と一九九五年、この比率をとってみますと、現地通貨ベースで見ますと、フランスが三四・七%、ドイツがマイナスニ・二%、イタリアが九九・三%、イギリスが一九・三%、カナダが一八・一%、アメリカがマイナス七・三%、日本が五〇・六%、かような数字になります。
  203. 有働正治

    ○有働正治君 資料をお配りいたしましたように、ミリタリー・バランスで見ますと二割、四割とほとんどの国が大幅に軽減して、世界の大局的な流れは大幅軍縮であります。日本だけ異常に突出しているという状況であります。そういう問題にメスを入れるべきだと私は思うわけであります。そしてまた、大企業優遇減税にもメスを入れるべきだと。そういうのにメスを入れてやれば、私どもは消費税率引き上げは必要ないと考えるわけであります。  国会への請願は千二百万人届いているわけであります。世論調査も七割、八割も反対の声があるわけであります。そういうメスを入れないで消費税率を引き上げ、特別減税中止と、こういう本予算案の内容を我々は認めることができないということを厳しく指摘して、私の質問を終わります。
  204. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 以上で有働正治君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  205. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 次に、佐藤道夫君の質疑を行います。佐藤道夫君。
  206. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 最後の最後になりました。さぞお疲れでございましょうけれども、いましばらく御辛抱ください。と申し上げましても、たった四分でございます。  その四分で私は比例代表選出議員の党籍離脱の問題を論じてみたいと、こう思っております。予算とどう関係するかわかりませんけれども、私なりに考えてみたいと思います。  皆さん方御案内のとおり、この問題を考えるに当たりまして大変格好な材料がございます。  昨年の衆議院選挙の際に、さる政党のさる比例代表選出議員が選挙後、日ならずしてその党を離党いたしました。彼は、かねがねこの党の運営その他について政策も含めて疑問を持っておったので、この機会に離党すると、こう申しておりました。そういう言動からいたしまして、多分選挙前から離党する予定の行動であったと、私の言葉で言うと計画的犯行であったのかと、こういうことにもなりかねないわけでございます。一体こういうことが許されていいんだろうか、彼は二重の意味で関係者を欺いていることになったのではないか。  その第一は、まず政党であります。自分が日ならずして離党するということを具申すれば、政党の名簿にリストアップされないことは明らかですから、彼はその点で偽りをした。それから、国民に対しても偽ったんだろうと、国民、有権者に対して。彼を含めたその党に投ぜられた票、その投票した人たちは本当にやりきれない思いがしたんだろうと、これはペテンだ、だまされたと、こういう気になったのも無理からぬことだろうと思います。  アリストテレス以来、政治というものは最高の道徳だと言われてきております。一体こういうモラルを欠くような行動が許されるんだろうか、何か規制をしたらどうだと、こういうことで、実はこの問題は比例代表制度の発足以来議論されておりまして、離党をしたら、党籍を離脱したら失格して次の者が繰り上がる、こういうシステムを考えたらどうだと。こういうことに対しまして立案者たちは、遺憾ながら憲法違反の疑いがございますと、こういう答えでありました。憲法四十三条、議員は全国民の代表者である、こうなっておりますので一回当選したらもうどうしようもないんですよと、こういうことでした。しかし、これは大変おかしい解釈です。  もう私から改めて言うまでもないと思いますけれども、法律というのは道徳をそのまま字にあらわしたものだと、人を殺してはならないとか、人をだましてはならないとか、それが法律ですから、憲法は最高の道徳律だと、こう考えてもいいわけであります。今のペテンの方法でもって議席を得ようとする行為を禁止する、こうなりますと、それが憲法違反だと言いましたら憲法が跳び上がって驚くんだろうと思います。憲法の精神をおまえたち知っているのか、平和を愛し、正義を愛し、それが憲法の精神だ、一体何だと、こケ言うに違いないと思います。  それから、今の憲法ができたときは比例代表制というのは遺憾ながらなかったわけでありますよね。それでもって、三十年後に新しい制度をつくって、古い憲法を持ち出してきて、この言葉に触れるからこれは憲法違反の疑いがあると言われても憲法は迷惑だろうと思います。自分の精神を考えてほしいと、憲法はこう言うに違いないと思います。  それから、沿革的に、多少話が長くなって四分でおさまらないようでありますけれども、議会というのは各階級を代表して、イギリスでもフランスでも、貴族の代表、僧侶の代表、地主の代表、ブルジョアジーの代表、こういうことで構成されて、その当時は国民とか国家とかいう概念がなかったんです。しかし、議会制度発展して平和な民主政治になってきますると、もうそういうことを、階級の代表なんということはあり得ないわけですから、日本を見ていましても、みんな全国民の代表者、問題があればこの中で議論をして結論を出す、こういうことであります。どう考えてみましても、今の憲法に違反するという考えは絶対におかしい。  そういうことでありますから、もう思い切ってこういうことを禁止する法案をつくるか、あるいはまた各党の自粛をもちまして、政党の名簿のリストアップに細心の注意を払うどか、離党した者は絶対に受け入れないとか、そういう運用でもって解決していくのか。政治的なモラル、政党政治のあり方、そのすべてが問われている問題かな、こういう気もいたします。  私は四分ということでしたけれども、総理の方の答弁は時間無制限でございますので、どうか思いのたけを十分でも二十分でも述べていただければありがたいと思います。
  207. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 不謹慎な発言はやめていただきます、進行について。
  208. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 過去の議事録を振り返ってみましても、この問題は何遍か議論をされております。そして、議員御自身が引用されましたように、選挙法制研究会が編さんをいたしました文を見ましても、議員御自身が提起をされましたような問題点がここには記されております。  そして、確かに、その比例代表選挙で選出されました国会議員が党籍を離脱あるいは党籍を変更いたしました場合、その国会議員の身分がどう変化するのか。議員はその党籍離脱というところでとめられました。同様の問題は党籍変更という場合にも生ずるのだろうと思うのでありますが、その場合に、国会議員の身分を失わせる制度、これが憲法違反かどうかというのは、まさに憲法第四十三条の一項において、両議院は全国民を代表する議員で組織するものとし、国会議員は法的には何物にも拘束されない独立した地位にあるとの原則を示している。こうした点から考えますと、確かに法制上慎重な検討を必要とするものではあると存じます。  しかし、そのような制度というものが憲法に合致するのか違反するのか、現段階でこれを断定的に判断するほどの知識、私自身もございません。むしろ、今後、各党各会派で十分御論議をいただくべき課題であろうというのが、野中自治大臣当時、同様の御質問に対し政府として答弁をした内容であり、私も同様に考えます。
  209. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 終わります。
  210. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 以上で佐藤道夫君の質疑は終了いたしました。  これにて締めくくり総括質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、平成九年度総予算三案に対する質疑は終局したものと認めます。     ―――――――――――――
  211. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) それでは、これより討論に入ります。  討論の通告がございますので、順次これを許します。なお、発言者は賛否を明らかにしてお述べ願います。横尾和伸君。
  212. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 私は、平成会を代表して、ただいま議題となりました平成九年度一般会計予算案外二案に対し、反対の討論を行うものであります。  平成六年、すなわち三年前の夏から発足した自民党を中心とする村山政権、橋本政権は、混迷する世相の中で、国民が将来のビジョン、希望の糸口を渇仰しているにもかかわらず、内容のない大きな看板を掲げるばかりで、問題の先送りをするベルトコンベヤーのような役割を果たしてきただけと言っても過言ではありません。  橋本内閣が掲げた六つの改革や、つい先日示された財政構造改革五原則もしかりであります。どれも今や実行段階にあるべきものばかりであり、何を今さらと言わ、ざるを得ません。  また、昨年暮れに政府の九年度予算案が発表されて以来、証券、為替両市場は、示された予算案の旧態依然の内容に失望し、橋本内閣の本質を、財政構造改革を初めとする諸改革に本気で取り組む意思も意欲も力もない抜け殻内閣と見きわめていることは、今なお株安、円安が改善しないことからも明らかであります。こうした我が国経済の不安定な状況のもとで、消費税増税、特別減税廃止、そして社会保険料増額などにより九兆円もの負担増を国民に強制し、結果的に日本経済の先行き不安を一層拡大させているのであります。  かかる国民無視の予算には断固反対であることを表明し、以下、反対の主な理由を申し述べます。  反対の第一の理由は、景気への配慮を欠き、頼るべき支えを国民負担の増大のみに求めている点であります。  消費税を五%に増税し、特別減税を打ち切ることで約七兆円、さらに社会保険料を引き上げることにより合計九兆円もの負担増を強いられる国民はたまったものではありません。何ゆえ、景気の先行き不透明なこの時期に、国民負担を増大させ経済の活力を失わせる予算を編成するのでしょうか。国民に希望を与え、活力の保持を図ることこそ最優先に考えるべきであり、この点からも、せめて所得税の特別減税だけでも継続すべきであります。このような配慮を欠き、先見性の欠落した予算案は絶対に認めることはできません。  反対の第二の理由は、歳出経費の見直しが全く不十分な点であります。  その典型例が、従来から強く求められてきた補助金の整理合理化がほとんど行われなかったことであります。ちなみに、一般会計補助金は件数こそ若干減少したものの、金額的には前年度に比べ二・五%もふえているのであります。これは、橋本総理が歳出に聖域を設けず見直すと述べたことが全くのまやかしであることの証左にほかなりません。  反対の第三の理由は、財政健全化への真剣な取り組みが全く欠落している点であります。  我が国の財政状況は、国、地方を合わせた債務残高が約四百四十二兆円、対GDP比で八九%にも達し、先進国中最悪の危機的状況にあります。しかし、国債発行額の減額はわずか四兆三千億円にとどまっており、橋本内閣は財政構造改革に対してどこまで真剣に取り組むのか、大きな疑問を抱かざるを得ません。  反対の第四の理由は、公共事業費の配分見直しゃコスト削減への努力が全く見られない点であります。  その実態は利益誘導型であり、旧態依然としたばらまき予算のそしりを免れません。せめて、平成九年度の公共事業費に係る国庫債務負担行為は中止するぐらいの勇断を下すべきであります。  反対の第五の理由は、特殊法人の整理合理化が単なる数合わせで終わっており、予算額はむしろ増加している点であります。  政府は、廃止、統合を進め、スリム化を図ると言ってはおりますが、実際は職員数はほとんど減少せず、業務内容などには増加傾向が見られ、いわば焼け太り状況を呈し、改革に向かっているとは到底言える代物ではありません。今や高級官僚の天下りの温床、補助金行政の弊害との批判が高い特殊法人に対する一般会計補助金はすべて取りやめるなど、思い切ったメスを入れるべきであります。  最後に、本予算案の本質は、財政構造改革というまやかしの看板を掲げて、国民生活の安定維持という視点を忘却したものであり、日本の将来を無視したものとして絶対に認めることはできません。このことを強く指摘して、私の反対討論を終わります。(拍手)
  213. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 次に、斎藤文夫君。
  214. 斎藤文夫

    ○斎藤文夫君 私は、自由民主党並びに社会民主党・護憲連合を代表して、ただいま議題となりました平成九年度予算三案について、賛成の討論を行うものであります。  我が国は、終戦から既に五十年以上経過し、世界有数の経済大国に成長しましたが、近年、国際化、自由化の進展により、従来型の諸制度の疲労が顕在化し、あらゆる分野で見直しが要求されるに至りました。  橋本内閣は、二十一世紀の少子・高齢社会の到来に備え、我が国の社会経済基盤を一層確固たるものにすべく、行政、財政、社会保障、経済、金融、教育の六大改革を掲げ、長期的視野に立った改革に着手したところであり、その先頭で改革に全身全霊で当たる橋本総理の姿は、まさに国民の信頼と期待にこたえるものであり、高く評価する次第であります。  本予算案は、財政改革元年予算と名づけ、財政面から不十分とはいえ改革の方向を示したものであり、国民の認識、理解の上からもまことに意義あるものであります。来年度予算編成では、財政再建の次なるステップへ大いに前進するものと期待いたしております。  以下、賛成する主な理由を申し上げます。  まず第一の理由は、財政構造改革への第一歩が具体化されている点であります。  本予算案では、前年度当初に比べ四兆三千億円の公債発行を減額し、財政健全の第一目標であるプライマリーバランスを達成し、公債依存度も二八%から二丁六%と大きく低下させることができました。  一般歳出の規模につきましては、医療保険制度を初めとする各般の制度改革の実現に努めた結果、消費者物価上昇率見通し一・六%を下回る一・五%に抑えられ、実質伸び率ゼロの予算となっております。特に公共事業費においては、大規模ダム建設の中止等の見直しを行い、一・三%増と低い伸びに抑える一方、急務とされる社会資本整備は重点的配分がなされるなど、財政改革にかける意気込みは予算の随所に盛り込まれております。  賛成の第二の理由は、経済構造改革に向けての真摯な取り組みが見られる点であります。  世界的大変革の中で、我が国経済は地盤沈下の危機が叫ばれており、このときに科学技術創造立国を標倍する我が国の経済構造改革に資するため、基礎科学研究、情報通信基盤を中心とした科学技術振興費に前年対比一一・九%の八千四百九十三億円が計上され、政策的にめり張りがついたものとなっております。  また、中小企業の経営環境は依然厳しく、構造改革のおくれが懸念されていることにかんがみ、中小企業の情報化、地域産業集積活性化事業等の新規予算が計上され、きめ細かな配慮がなされております。これらの施策は、我が国経済の基礎を固め、二十一世紀の中小企業の発展の踏み台となるものと確信する次第であります。  賛成の第三の理由は、行政改革への橋本内閣の強い決意が見られる点であります。  補助金について、廃止を含め徹底した見直しにより総額の抑制が図られているほか、国家公務員の定員についても八年度を上回る定員削減を図っており、いよいよ本格化する行政改革の先鞭をなすものと大いに期待されるところであります。  政府におかれましては、さらなる行財政改革、規制緩和、地方分権に勇を奮って取り組まれるとともに、本予算の執行に当たっては、財政再建元年にふさわしい経費節約に全力を尽くし、国民の期待にこたえられるよう強く要望いたします。  また、本予算の審査に当たり、野党各位の御協力をいただき、効率かつ濃密的な委員会運営ができましたことに謝意を表し、自由民主党並びに社会民主党・護憲連合を代表して、賛成討論といたします。(拍手)
  215. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 次に、川橋幸子君。
  216. 川橋幸子

    川橋幸子君 私は、民主党・新緑風会を代表して、政府提出の平成九年度予算三案に対し、反対の立場から討論を行います。  我が国は、現在、欧米に追いつき追い越せという単線的な目標に国民を駆り立ててきました国家中心システムから、多様な価値観を反映した市民主導の複線型の行政システムヘと転換すべき岐路に立っております。システム全体を見直すことが必要であります。経済構造改革、行政改革、地方分権の推進などと一体のものとしての財政構造改革を強力に推し進めることが喫緊の課題となっております。巨額の財政赤字を放置したままで諸改革が滞れば、日本経済は活力を回復することができず、少子・高齢社会や国際化の進展にも対応することは不可能だと考えるのであります。  このような視点に立って橋本内閣が編成いたしました平成九年度予算を見ますと、我が国の未来を見据えたものとは到底言うことができない内容であると断ぜざるを得ません。  以下、順次本予算に対し反対する理由を申し述べます。  反対する第一の理由は、歳出削減の切り込みが全く不十分な点であります。  政府は、平成九年度を財政構造改革元年と位置づけ、歳出全般に聖域を設けることなく徹底した洗い直しに取り組むという予算編成方針を掲げ、国民にも訴えてきました。しかしながら、昨年末閣議決定をしました下水道、都市計画などの七つの新たな公共事業長期計画はその総額が五十一兆円と、それ以前の計画と比べて四割もの増額を見込んでおります。改革の痕跡も見えない旧態依然の公共事業計画と言わざるを得ません。  すなわち、民間の工事より二、三割高いと言われる公共事業費の単価の見直しはもとより、ばらまき的な性格の強い公共事業の配分見直しが全く見られないのであります。今こそ時代の要請に合わなくなった公共事業を中止すること、またコスト削減や事業計画を繰り延べることなどが国民の声であることを認識すべきだと思います。  反対する第二の理由は、公債の減額が不十分な点であります。  消費税率の引き上げや特別減税の打ち切りで、国民に七兆円もの負担増を強いているにもかかわらず、公債発行の減額は四兆三千億円にとどまっているにすぎません。新たに十六兆七千億円の借金をふやしてしまったというのが国民の実感ではないでしょうか。平成十年度以降は新たな税収増加が見込みがたいことから、二〇〇三年度の財政健全化目標の達成のための公債発行の大幅減額を続けることはとても無理だという声が早くも出始めております。  ヨーロッパ連合の通貨統合に当たっては公的債務残高をGDPの六割以内とすることが条件となっていますが、我が国の国と地方を合わせた借金の累積はGDPにほぼ匹敵する額に上っており、とてもEUの水準には及ばない状況であることをこの際強調しておきたいと思います。  反対する第三の理由は、本予算からは行政改革への取り組みの姿勢がよく見えてこないということであります。  橋本総理は、施政方針演説において六つの改革を明らかにされました。国民もその実現について総理の強いリーダーシップを期待しているところでございます。とりわけ、行政改革の必要性につきましては、国民の側の要望も強く、私たちもその進展を望みまして具体的な提案をしていることは御存じのとおりでございます。  しかし、これら改革につきましては、総論は賛成でも、各論になるといわゆる族議員関係業界の反対も強く、その前途は多事多難であることは否めない事実であります。  反対する第四の理由は、税収の使途を限定した特定財源制度の見直しを行っていないという点であります。限られた財源を有効かつ効率的に使用するためには、特定財源を一般財源化するなど、抜本的に見直し、弾力的な制度に改革すべきだと考えます。  以上申し上げましたように、政府が提出いたしました平成九年度予算は、我が国経済を失速させる危険をはらんでおり、財政再建を最優先する国際社会の流れとは乖離したものとなっており、到底認められるものではございません。  最後に、私たちが提唱する財政構造改革と市民主導の行政システム構築のための行政監視院の設置につきまして政府が前向きに取り組まれることを強く求めまして、私の反対討論を終わります。(拍手)
  217. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 笠井亮君。
  218. 笠井亮

    ○笠井亮君 私は、日本共産党を代表して、政府提出の一九九七年度予算二案に反対の討論を行います。  最初に私は、憲法の規定する予算が自然成立する四月四日午前零時まで一週間も残しながら、今、予算審議を終了させようとすることに強く抗議するものであります。  本予算案に反対する理由の第一は、消費税増税、特別減税打ち切り、医療保険改悪で合わせて九兆円という史上最悪の国民負担増を強いるものだからであります。  これによって年収七百六十万円の平均的サラリーマン世帯では年間約十八万円、一カ月一万五千円の家計負担増となり、事実上の賃下げとなります。しかも消費税は、所得の低い人ほど税負担の割合が高くなるという逆進性の強い不公平な最悪の大衆課税です。  このような重い負担を強いることは、総理も景気への影響を認められたように、個人消費にも中小企業にも重大な打撃を与え、景気をますます底冷えさせ、まさに増税不況を招くものであります。  さらに政府は、新たに二兆円もの負担を押しつける医療保険の大改悪を実施しようとしています。真っ先にメスを入れるべきは異常に高い薬価であります。それなのに、薬価基準の見直し、薬価の透明化を口にしながら、ただ国民負担増だけを求めるのは本末転倒と言わなければなりません。  この瞬間にも国会には、公約を守れ、徹底審議せよの国民の声が寄せられています。消費税増税中止を求める請願署名は一千二百万を超え、医療保険改悪反対署名は八百万を突破し、最近の世論調査でも消費税引き上げ反対の世論は八三・八%を占めています。日本共産党は、この国民の期待にこたえ、四月一日からの増税の中止を改めて強く求めるものであります。  しかも政府は、本予算案によって他方で深刻な財政危機を生み出した浪費構造を温存、拡大しようとしていることは重大であります。総理が一切の聖域を設けず歳出を見直すと言われるなら、直ちに本予算案そのものを見直すべきであります。  その第一は、百億円の釣り堀、減反しながらの農地造成、干拓事業など、むだと浪費を重ねてきたゼネコン奉仕型の公共事業であります。それぞれの長期計画とあわせて六百三十兆円の公共投資基本計画を抜本的に見直し、巨大プロジェクトは中止、凍結すべきです。  第二は、軍事費です。総額二十五兆円強の新中期防衛力整備計画に基づく二・一%増の軍拡予算である上に、後年度負担を大幅にふやし、財政の硬直化を一層進めるものになっています。とりわけ在日米軍への思いやり予算は全額削除すべきであります。  さらに、日本防衛とは無関係で劣化ウラン弾訓練事件のような無法を繰り返す米海兵隊の撤退は当然です。昨年の日米安保共同宣言に基づき、周辺有事に自衛隊が米軍に協力するための新ガイドライン策定は、日本を戦争に巻き込む憲法違反であります。特に、緊急の問題である五月十四日に使用期限が切れる沖縄米軍基地を引き続き強制使用するための米軍用地特別措置法の改悪は断じて許されません。  第三に、大企業への優遇税制を是正すべきです。数々の特例措置により、我が国の大企業の租税負担率は二八・二%と欧米諸国に比べて低くなっているのに、総理は法人税引き下げの可能性を否定されませんでした。これは増税に加えて不公平をさらに助長するものです。  他方、国債の低利借りかえを進めれば、国債の利払い費を大幅に軽減し、新たな財源を生み出すことは十分可能です。浪費をやめ、不公平をなくし、政官財の癒着の構造を打ち破ってこそ財政再建が図れます。それに手をつけず、大企業奉仕と軍拡を聖域にしたままの本予算案は、財政再建なき増税予算であり、断じて認めるわけにいきません。  かつてない九兆円もの国民負担増を強いる本予算案に強く反対の意思を表明し、討論を終わります。(拍手)
  219. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 以上で討論通告者の発言はすべて終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  平成九年度一般会計予算平成九年度特別会計予算平成九年度政府関係機関予算、以上三案を一括して採決いたします。  三案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  220. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 多数と認めます。よって、平成九年度総予算三案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。(拍手)  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  221. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時三十九分散会      ―――――・―――――