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1997-03-26 第140回国会 参議院 予算委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年三月二十六日(水曜日)    午前十時一分開会     ―――――――――――――    委員の異動  三月二十五日     辞任         補欠選任      加藤 修一君     大森 礼子君      小島 慶三君     齋藤  勁君      竹村 泰子君     一井 淳治君      山下 芳生君     吉川 春子君      島袋 宗康君     山田 俊昭君  三月二十六日     辞任         補欠選任      山田 俊昭君     島袋 宗康君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長        大河原太一郎君     理 事                 片山虎之助君                 佐藤 静雄君                 斎藤 文夫君                 田沢 智治君                 木庭健太郎君                 都築  譲君                 横尾 和伸君                 山本 正和君                 有働 正治君     委 員                 阿部 正俊君                 石渡 清元君                 板垣  正君                 加藤 紀文君                 久世 公堯君                 沓掛 哲男君                 関根 則之君                 竹山  裕君                 武見 敬三君                 谷川 秀善君                 成瀬 守重君                 野間  赳君                 保坂 三蔵君                 真鍋 賢二君                 依田 智治君                 石田 美栄君                 市川 一朗君                 牛嶋  正君                 大森 礼子君                 菅川 健二君                 田村 秀昭君                 高野 博師君                 高橋 令則君                 浜四津敏子君                 大渕 絹子君                日下部禧代子君                 清水 澄子君                 照屋 寛徳君                 一井 淳治君                 齋藤  勁君                 本岡 昭次君                 藁科 滿治君                 笠井  亮君                 吉川 春子君                 島袋 宗康君                 山田 俊昭君    国務大臣        外 務 大 臣  池田 行彦君        大 蔵 大 臣  三塚  博君        文 部 大 臣  小杉  隆君        厚 生 大 臣  小泉純一郎君        郵 政 大 臣  堀之内久男君        労 働 大 臣  岡野  裕君        国 務 大 臣       (内閣官房長官)  梶山 静六君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  武藤 嘉文君        国 務 大 臣        (沖縄開発庁長        官)       稲垣 実男君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  久間 章生君    政府委員        内閣審議官    及川 耕造君        総務庁行政監察        局長       土屋  勲君        防衛施設庁長官  諸冨 増夫君        防衛施設庁施設        部長       首藤 新悟君        科学技術庁原子        力局長      加藤 康宏君        沖縄開発庁総務        局長       嘉手川 勇君        沖縄開発庁振興        局長       牧  隆壽君        外務省北米局長  折田 正樹君        外務省条約局長  林   暘君        大蔵省主計局長  小村  武君        大蔵省主税局長  薄井 信明君        大蔵省理財局長  伏屋 和彦君        大蔵省銀行局長  山口 公生君        文部省生涯学習        局長       草原 克豪君        文部省省高等教育        局長       雨宮  忠君        厚生大臣官房総        務審議官     中西 明典君        厚生大臣官房審        議官       江利川 毅君        厚生省年金局長  矢野 朝水君        水産庁長官    嶌田 道夫君        運輸省航空局長  黒野 匡彦君        郵政大臣官房総        務審議官     高田 昭義君        郵政省貯金局長  品川 萬里君        労働省労働基準        局長       伊藤 庄平君        労働省婦人局長  太田 芳枝君    事務局側        常任委員会専門        員        宮本 武夫君    証人        株式会社託正代        表        齋藤  衛君         (証人補佐人 大室 征男君)        (証人介護医師 水野 杏一君)     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件委嘱審査に関する件 ○平成九年度一般会計予算内閣提出、衆議院送  付) ○平成九年度特別会計予算内閣提出、衆議院送 付) ○平成九年度政府関係機関予算内閣提出、衆議 院送付) ○予算執行状況に関する調査  (オレンジ共済組合問題について) ○証人出頭要求に関する件     ―――――――――――――
  2. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。平成九年度総予算三案の審査委嘱についてお諮りいたします。本件につきましては、理事会において次のとおり決定いたしました。  一、審査委嘱する委員会及び各委員会の所管は、お手元に配付のとおりとする。  一、審査委嘱する期間は、特別委員会については明二十七日の午前とし、常任委員会については同日の午後とする。  以上でございます。  ただいま御報告いたしました理事会決定のとおり、審査委嘱することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  4. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 平成九年度一般会計予算平成九年度特別会計予算平成九年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  昨日に引き続き、一般質疑を行います。牛嶋正君。
  5. 牛嶋正

    牛嶋正君 平成会牛嶋でございます。  きょうは公的金融の中心をなします財政投融資について質疑をさせていただきたいと思います。そのために、小泉厚生大臣それから堀之内郵政大臣にお越しをいただきました。ありがとうございました。  公的金融肥大化かなり進んでいるわけでありまして、いろいろなはかり方がありますけれども、今や我が国金融全体に占める割合は二〇%をはるかに超えているというふうに言われております。したがって、安定的にして効率的な金融システムを確立し、国際金融市場において我が国が再び金融の一拠点としての地位を回復するためには、民間金融だけの安定化効率化だけでなく、公的金融に対しても抜本的な見直しを進めていかなければならないと、こういうふうに考えられます。  また、公的金融見直しに当たりましては、我が国金融市場バブルを挟みまして資金需給状況が大きく変わってきていることを想定しておかなければなりません。そして、このような金融構造の変化の中で、民間金融補完としてみなされてきた公的金融役割がどのように変わろうとしているのか、それを十分に見きわめていく必要があるというふうに思います。このような観点できょうは財政投融資について質疑をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。  まず、大蔵大臣にお尋ねしたいわけですが、政府は外為法を改正して来年四月から外為管理を完全撤廃することを決定されております。そして、これをフロントランナーとして金融構造改革に着手するとされているわけです。いわゆる日本版ビッグバンでございます。その場合、金融全体で、先ほど申しましたように、かなりのシェアを占めている公的金融見直し、これはどうしても進めなければならない問題だというふうに思います。言いかえれば、公的金融中核をなす財政投融資制度改革を今から進めようとされております金融構造改革の中でどのように位置づけようとされているのか、まず大蔵大臣の御見解をお尋ねしたいと思います。
  6. 三塚博

    国務大臣三塚博君) どういう位置づけかということでございますが、六構造改革案件がありますこと、御承知のとおりであります。金融システム改革も重要なポジションを占めております。同時に、財政構造改革経済システム改革医療改革というのも全力を尽くして速やかに達成をしていかなければならない重要性を持つものでございます。  そういう点で、金融システムの中における財投あり方については、既に御案内のとおり、資金運用審議会の中に有識者学者先生等国民代表各位に御就任をいただきまして、既に懇談会スタートをし、第一回会議も終了いたしたところでございます。予算成立後には第二回懇談会が速やかに持たれるものと思っております。今週中に第二回会議が行われるということになるわけでありまして、全体を見直すということの中で、それぞれのポジション国民代表によって行われる。  御案内のとおり、財政構造改革構造改革会議、こういうことで既にスタートしておるわけでございますから、それぞれの六改革分野において全力を尽くしてその問題点を洗い出し、またその効用を摘出し、そういう中で最終的に内閣の決するところと、そして基本的な問題点について法令にゆだねる部分は立法府に提案をし、御審議をいただき決定をする。  こういうことで、それぞれの分野でそれぞれに有識者が集まりまして論議が展開をされておりますし、衆参両院におきましてもそれぞれの委員会において論議が闘わされておると承知をいたしておるところであります。
  7. 牛嶋正

    牛嶋正君 こういった公的金融改革を進めていく場合に、まず第一番目の考えなければならない問題というのは民間金融とそれから公的金融関係だと思います。昨年の八月に全銀協が「公的金融システム改革に向けて」という報告書を発表しております。それを機会にいたしまして公的金融民業補完論についていろいろな立場から議論されてまいりました。中には擁護論もありましたし、またかなり公的金融に対する批判的な議論もあったわけでございます。  先ほど申しましたように、バブル後の金融市場におきましては、経済のいずれの分野におきましても民間金融公的金融がだんだん競合関係になってきているということが考えられます。時には公的金融民間金融を圧迫している状況も生まれてきているわけであります。  こういうふうな状況考えますと、これまでの民間金融に対する補完という役割はある意味では終わったのではないかというふうな見方もあるわけでございます。これは大勢を占めているわけではございませんけれども、かなり人たちがこういった意見をお持ちでございますが、これについて大蔵大臣はどのような見解をお持ちでしょうか。
  8. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 公的金融私的金融、今日ただいま競争的共存の中でそれぞれの目的に向かって努力をしておるものと理解をいたしております。  いわゆる公的金融原資であります郵貯であり簡保であり年金預託を受けておるものを原資とする分野、特に郵貯の問題について申し上げますと、簡易でかつ少額貯蓄手段ということで一千万を上限として行われておるところでございまして、これも民間金融機関との整合性ということでスタートを切っておるというのが今日のあり方であります。同時に、この運用については、民間金融機関の短期かつ有利な運用ということでありますと、長期でありかつ大規模であるという公的事業分野における金融について必ずしもスムーズにいかない。十年から十五年ということになりますと、なおかつその指摘は誤っておらないと私は思っておるわけでございます。  よって、財政運営ということの中で一般会計の及ばざるところも補完をしながら、なおかつ民間金融機関ということの、株主を中核として皆さんに責任を負う金融機関という立場になりますと、やはりそう長い期間は今見当たらない。五年前後が一般的なことであり、単年度であったり二年度でありましたりと、こういうことなどもありますから、そういう前提に立って考えますと、民業補完という意味で、公的な分野に対して、あるいは私的な分野でありましてもそれぞれの政府機関からの借り入れを受けてやっておるということで総括してそう間違いがないのかなと、こう思っております。
  9. 牛嶋正

    牛嶋正君 大体今の大蔵大臣のお考えでは、まだ公的金融が果たす役割、いわゆる民業補完としての役割はあるというふうな御見解かと思います。  そこで、民間金融公的金融を少し比較していきたいと思っております。  民間金融の中でもいわゆる間接金融システムを取り上げて考えてみますと、預金市場とそれから貸出市場が両側にありまして、その中間民間金融機関があるわけでございますね。そして、資金預金市場を通って一たん金融機関にプールされるわけです。そして、出口貸出市場を通じて資金が各分野に供給されていくということです。  したがって、民間資金の場合は、いずれにいたしましても二度その市場を、入り口のところと出口のところで通過をするわけで、そこで私は市場原理が一応作用しているというふうに考えていいかなというふうに思います。  これに対しまして公的金融は、郵便貯金とか年金資金等入り口、すなわち原資がございます。そして、中間資金運用部があるわけですね。そこで資金の統合、管理がなされております。そして、出口といたしましては財政投融資計画に基づく政策金融等があるわけでございます。  したがって、公的金融システム三重構造というのは、これは先ほど説明いたしました民間間接金融システムと非常によく似ているわけでございます。しかし、根本的に違う点は、公的資金はすべてが市場を必ずしも通らないというところにあるというふうに思います。  このような状態のもとで、公的金融におきましては、政策上必要な資金量とそれから公的金融入り口から預託される資金量を一致させるメカニズムというのが私は十分には働いていないのではないかと。そうだといたしますと、公的金融が必ずしも効率的な運用がなされていないということが指摘できるのではないかと思いますけれども、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
  10. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 先生指摘のような点、全くなしとは私も考えておりません。よって、財投に関する懇談会、今回はさらに組織を広げ、有識者を御任命させていただきまして論議を進めておりますのは、民業補完という観点対象分野という観点、それから国民各位から寄せられるそれぞれの問題点、これに対しまして真剣な研究論議が行われております。懇談会を開くときには、そこに集約された意見ということで検討会研究会が行われておるわけでございます。  これは今日の時点で起きた懇談会ではございませんで、大蔵省の中に私的懇談会ということで、財投あり方についてはここ数年勉強、検討を加えてまいりましたところでありますが、さらに物事の重要性に、また国民間論議を踏まえまして、資金運用審議会の中に正式に位置づけをした懇談会ということで研究検討が進められておるということであります。  全体を見るときに、前から見るのと、後方から分析するのと、横の四万も含めてやる場合で、長所と短所というものが明確になるでありましょうし、今日、公的金融はすべて民間にということの社会経済状況にはないのではないでしょうか。  言われる点は補てんし改善をしながら、その方向に向かって評価を受けられるようにしていかなければなりませんし、全体のビッグバンということの中の金融位置づけもあるという御指摘、こういう点についても真剣に論議を今進めておるところと御理解いただいてまいりたいと思います。
  11. 牛嶋正

    牛嶋正君 それで、今私が申しました市場性といいますか市場メカニズム、こういった観点で、先ほど説明いたしました三重構造入り口から少し御議論させていただきたいと思います。  平成六年度の実績で資金運用部資金を見てまいりますと、総額が三十九兆一千七百二十一億円、その内訳は、郵便貯金が十三兆七千五百九十五億円、そして厚生年金国民年金が六兆九千二百五億円、そして回収金等が十八兆四千九百二十億円であります。  先ほど申しましたように、辛うじて預金市場を通ってくる郵貯割合というのが全体の三四%なんですね。これからも回収金がふえていくということを考えますと、この比率はだんだん減少していく。言いかえますと、市場メカニズムが作用する余地がその入り口のところでだんだん狭まってくるんではないかというふうに思いますけれども、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
  12. 伏屋和彦

    政府委員伏屋和彦君) お答えさせていただきます。  今、委員が御指摘の、全体で三十九兆の運用のうち郵貯が十三兆というお話でございますが、数字はまさに委員指摘のとおりでございますが、これは実を言いますとグロスネットの概念がございます。財政投融資の中で、さらに資金運用部といたしまして、公庫公団等に対する資金運用部資金投融資全体は今言われましたように三十九兆二千ありますが、そのうちにまさに委員の御指摘回収金が十八兆五千あるものですから、その意味では、ネットで見ますと、それを差し引いた投融資額は二十兆七千億になるわけでございます。  同じように郵便貯金につきましても、グロスネットで見ますと、今言いました資金運用部原資調達側郵便貯金の場合は、同じ六年度中に郵便貯金が三十七兆の預託があったわけでございます。  一方、払い戻しがございますものですから、その意味ネットが十三兆ということで委員が御指摘になられましたので、グロスグロスで比較いたしますと、むしろ三十九兆のうち三十七兆心しかし、これはまた時々の情勢によってまちまちでございますので、むしろ残高的に見る、比較的安定した数字で見ますと、資金運用部の資産、負債の状況を見ますと、資金運用部資金全体に占める郵貯割合は近年六割程度で大体同じような水準で推移してきております。  その意味では、先ほどから委員が御指摘あります市場原理との調和の問題でございますが、財政投融資におきましては、資金運用部郵便貯金とか年金等からの預託に付する金利でございます預託金利が、これは長期金利代表的指標でございます十年利付国債表面利率基準として設定されていることなどから、基本的にはやはりそこに市場原理と調和した制度があるということを御理解いただきたいと思います。
  13. 牛嶋正

    牛嶋正君 先ほど私が数字を挙げましたのは、郵便貯金というのは預金市場を通しておりますので、一応市場メカニズムのフィルターがかかっているということで、それが資金運用部資金全体の中でどういうふうに推移していっているのかということを聞きたくて申し上げたわけです。それで、今おっしゃいました市場メカニズムも働いているよという話につきましては、ちょっと後でまた御議論させていただきたいと思います。  それで、郵便貯金預金市場を通ってきているということですけれども、ここで問題になりますのは、民間金融との競争関係でございます。それで、バブル以前に郵貯が急激に伸びたときに、民間金融機関の方からイコールフッティング論が出てまいりました。その後いろんな論争がありましたけれども、税制面での改善やあるいは金利自由化が進みまして、預金市場での公正な競争条件は大体整ってきたというふうにもみなされております。  しかし、一方ではまだ郵貯へのシフトが見られるわけでございまして、そうだといたしますと果たしてイコールフッティング条件が今完全に整っているのかどうか、すなわち民間金融公的金融が同じ条件のもとで預金市場で競争されているのかどうかということなんですけれども、この点についての郵政大臣の御見解をお尋ねしたいと思います。
  14. 堀之内久男

    国務大臣堀之内久男君) お答えいたします。  先生も御承知のとおりでありますが、昭和六十三年にいわゆるマル優という制度が廃止になりました。その後の金利は原則二〇%課税ということで、大体民間金融機関と同じような体制になったと、そういうように思っております。また、金利につきましては、代表的なのが定額預金でありますが、この預金金利設定に当たりましても、市場金融機関金利を参酌しまして、それより低目に設定をするという形で今設定をしておりますので、トータルバランスでいけば大体民間金融機関と同じ体制に持っていっていると、こういうように考えております。  したがって、昭和六十年代の民間貯金が大体五百兆円ぐらいでありますが、その当時の郵便貯金が約百兆円であります。今現在、一千兆から一千五十兆、あるいは一千百兆とも言われますが、その中で二百二十兆円ということは大体二〇%という体制で、大きな変動はないと思いますので、私は安定的に推移しておるなと、こういうように理解をいたしておるところであります。
  15. 牛嶋正

    牛嶋正君 私も大体そのような見方をさせていただいております。  それで、民間資金預金市場を通るときには預け入れ期間等によりまして金利が異なってくるわけであります。そして、民間金融機関はそれぞれの金利に基づきまして運用を変えていく、こういうことで出口のところでも市場メカニズムが一応働いているというふうに考えることができます。そういうことで、民間金融を通して効率的な資金運用がなされているというふうに考えていいのかと思います。  これに対して公的金融の場合は、先ほども御説明ありましたように、原資はそれぞれ異なった性格を持っております。郵貯厚生国民年金、それから回収金。それで、資金運用部預託される場合の預託金利、これは預け入れ期間によって一律に決められているわけであります。したがって、先ほども御説明ありましたように、長期国債表面金利に基づいて預託金利が決められているんだということではございますけれども、私は、市場性を導入するためには、今申しました原資のそういった性格の違いというものをもう少し勘案して、例えば預け入れ期間七年以上の長期金利に対しましても、一律で決めるのではなくて、原資性格によりまして複数の預託金利設定してもいいのではないかというふうに考えております。それが市場性を導入するための一つの考え方かなというふうに思っているわけです。  この前、大蔵省から預託金利の引き下げが提案されて、それに対しまして小泉厚生大臣はクレームをっけられたというふうに思いますけれども、今私が申しました預託金利につきましても、それぞれの原資性格に基づいてその預託金利を複数で設定するというこの考え方について、厚生大臣はどのような御見解をお持ちでしょうか。
  16. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 財政学の牛嶋先生に生徒が答えるというのも何か面映ゆい気持ちがいたしますが、私は預託金利を別々に設定するというようなことも一つの考え方だと思いますが、その前に財政投融資制度全体の矛盾をどう考えるかということに思いをいたすべきじゃないか。  年金資金郵貯資金を一緒に扱っていると同時に、財政投融資そのもの、郵貯年金のお金は財政投融資制度を通じて有利かつ確実に投融資しなきゃならないという規定は本当に守られているのか、ここにもつと政治は関心を持つべきじゃないか。全く有利確実に運用されていない。大蔵省はどう考えているのか。政治が関心を示さないことをいいことに、この矛盾を温存したまま変えようとしない。この責任は私はもっと問われるべきだと思います。  現に、旧国鉄清算事業団等を初め、財政投融資制度が本当に有利なところに、確実なところに運用されているのか。旧国鉄清算事業団だけでも二十兆円以上の債務は国民負担することで既に決まっている。確実であるということは、一般会計国民が税金を負担するという前提だから確実だと。有利か。全然有利じゃないじゃないですか。不利なところに郵貯のお金、年金のお金が投資、融資されて、国民に黙っていていいのか。私はそこにもつとメスを入れなきゃならないと。だから、財政投融資制度改革が必要だ。  年金を預けている人にとってみれば高い方が有利運用されますから、給付の面においても保険料の面においてもいいに決まっているんです。それでは、郵貯を預けている人にとってみれば、これは金利は高い方がいいに決まっているから預託金利は高くしてくれと。ところが、住宅金融公庫にしても国民金融公庫にしても、借りる側に立ってみれば低い金利で借りた方がいいわけです。  本来、預託金利は高い、貸出金利は低い、この差額は一般会計、税金で補てんする。これが積もり積もってどうなんですか。本来だったらば、郵貯金利ば国家の信用があるんですから、低ければ住宅金融公庫の金利国民金融公庫の金利ももっと低く貸し出せるはずなんです、税金の負担をしないで。ところが、年金と一緒ですから同時にそんな低くはできない。  この矛盾に私はもっと政治が目を向けてほしいと。そして小手先の改革じゃ済まない。これだけの負担、全然有利でも確実でもない投資、融資をしてきた今までの大蔵省の責任というのは私は大変大きいと思います。ここにもつとメスを入れて改革すべきだ、そう思います。
  17. 牛嶋正

    牛嶋正君 今のお話は、これから資金運用部に移りまして中間のところで御議論をさせていただこうと思っておりました。  預金金利は、先ほど申しましたように預け入れ期間で一律に決められている。そして、その財投金利、貸し出しのところの金利は一本なんです。この背景には、公的資金資金運用部において統合管理あるいは統合運用されるという原則があるわけです。それに基づいているわけですけれども、それじゃ、今のように金融構造かなり変わってきた状況のもとでまだ統合管理、統合運用が必要なのかということです。  これについてまず大蔵大臣に、先ほど、まだ民業補完という役割はあるということですけれども、それもだんだんと縮まってきているというふうに私は思いますので、それと関連して、これまで続けてこられた統合管理あるいは統合運用が問題になってくると思うんです。これについて大蔵大臣見解をお聞きしたいと思います。
  18. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 基本的に有利かつ確実にということでありますから、統合運用、統合管理という基本的な理念になるわけでございます。  資金運用部資金はまさに法律に明定されておりますとおり、統合運用かつ確実有利な適用を図るという国全体の立場に立って行っておると。これに対するそれぞれの意見があります。基本的には、民業補完というこの理念に基づく金利金融というものが全く要らないのか必要なのか、ここなんですね。  かつて住専が法定された背景は、都市銀行その他が本件に対するアプローチがない、そういう住宅政策の要請の中でこれができ上がっていくわけですね。大きく金融改革が進んでおるわけですから、すべての分野国民のニーズにこたえるところに金融の目的が重要なパートを占めるようになったことは、御案内のとおりでございます。  よって、金融機関は準公的機関なんですね。人様のお金をお預かりいたしまして約定のとおりこれを実行していくということでありますので、競争的な状態の中で営業範囲を展開してニーズにこたえるということ、これから今まさに真剣にその道が探られ、行動しております。頑張っております。それでなければ国民の中の金融機関の存在価値が薄らぐわけでございますから、そういう点で、私どもは時代の変化に応じた新たな政策課題にどう対応するか、こういうことでありますし、政策の必要性が薄くなりましたものや、時代の要請にこたえるためにできた金融制度金融部門であっても、役目が終わったというのであればこれは見直すのは当然のことであります。  そういうことの中で、前段申し上げました資金運用審議会の中で有識者にこの論議をいただく、こういうことでありますし、私どもも本件については検討を進めていくことといたしております。
  19. 牛嶋正

    牛嶋正君 まさに公的金融改革はそこにあるんですね。公的金融役割というのはもう終わったのかというところを十分に見きわめていかなければならないと思います。  先ほども大臣おっしゃいましたように、私もまだ公的金融役割はすべては終わっていないというふうに思っております。ではありますけれども、一方では民間金融との競合の関係も生まれてきているわけであります。そうしますと、そういう部分についてはこれまでの統合管理ではうまくいかないんではないかというふうに私は思う。できるだけ競合関係のところは今の仕組みの中で考えるならば、できるだけ、市場性と申しますか、市場メカニズムというふうなものを導入していく、そこのところは導入していく、それこそ公的金融改革ではないかというふうに私は思いますけれども、この点について、もし理財局の方でお答えいただければ。
  20. 伏屋和彦

    政府委員伏屋和彦君) お答え申し上げます。  今の公的金融の話も含めまして、財政投融資につきましては、財政政策の中でいわゆる有償資金の活用が適切な分野、さらには出口の方の政策金融という意味では、政策的な必要性ということから考えますと、先ほど委員も言われましたように、やはり基本的な役割、必要性はあると思いますし、将来的にも残ると考えておるわけでございます。  しかしながら、社会情勢の変化に対応して資金の重点的、効率的な配分を図るということからいいますと、委員が今言われましたように、やはり市場原理というものにも十分着目しなきゃならないわけで、その調和は図っていかなきゃならない、またその必要性は高くなってきておると考えております。
  21. 牛嶋正

    牛嶋正君 仮に今まだ公的金融民間金融補完という役割は残っているというふうにいたしますと、財政投融資における資金運用の本質というのは、私は実物資本形成を目的とする長期運用にあると思うんですね。そして、この長期運用は、財政投融資計画がつくられて、それに基づいて実施されていくわけですね。ここでできるだけ資金の効率的な運用というのが図られていくというふうに私は思います。ところが、現在では、財投計画に計上されない資金運用が非常にふえてきているわけですね。一つは国債の引き受けでございます。それから、いま一つは金融債の購入や特別会計の貸し付け等を主体とする短期運用であります。  問題は、計画外の資金運用がなぜどんどんふえてきているかということなんですね。私は、その一つの理由といたしましては、一般会計を初めといたしまして国の財政状況が非常に厳しくなってきている、悪化してきている。これと非常に関連しているんではないかというふうに思うわけです。そうしますと、そこのところの手当てをしていくということになると、本来の公的金融役割民業補完という役割はここからも崩れてくるんじゃないかと思いますけれども、この点についてお尋ねします。
  22. 伏屋和彦

    政府委員伏屋和彦君) 今、委員が御指摘になられましたいわゆる国債の引き受け等の話でございますが、毎年度の財政投融資計画は、財政投融資の対象となっております特別会計、公庫公団等資金需要とか社会経済情勢等に基づきまして計画が決定されておるわけで、その規模は、一方の資金運用部資金原資である郵便貯金等の動向とはいわば別の要因で決まっているといいますか、独立して決まっているわけでございます。したがいまして、そうしますと、いわば動きに差が出るわけでございまして、国債等への運用はその時々の資金運用部原資動向とか財政投融資計画の規模等によりまして変動するものでございます。  最近について見ますと、平成五年度、六年度は前年に比べて減少しておりますが、七年度、例えば七年度末の数字を具体的に申し上げますと、全体の中で資産に対する国債等の割合が二五・五%ということで、これは増加しておるわけでございます。しかし、ここで、委員おわかりで意見を言われているんだろうと思いますが、国債等に対する運用は、今度また別の面で資産の流動性の確保とか金利変動のリスクに対応できる役割もありまして、これはこれで一つ大事な分野だと思っております。  したがって、過去には三割、三〇%という時代もございましたものですから、決して現在特に過大になっているわけじゃないわけですが、その意味でいいましても、公的金融民間金融との調和とか、それから今言いました短期運用全体の中で調和を図って行われているものだと考えております。
  23. 牛嶋正

    牛嶋正君 調和を図るということは当然のことなんですが、問題はそれが資金運用部の中で統合管理あるいは統合運用でなされているということなんですね。市場原理というのは今非常に議論されているわけでありまして、そういった調整というのはできるだけ市場メカニズムに任せた方がいいわけであります。そうだといたしますと、例えば今の国債の発行、資金運用部の中で国債を発行して引き受けるということ、国債というのは私は市場性を持たせようとするならば公社債市場を通じて発行すべきだと思うんですね。それを資金運用部の中で引き受けも発行も一緒にやっていくということですから、これは市場性は完全に排除されてしまっているというふうに思います。この点についてはどういうふうにお考えですか。
  24. 伏屋和彦

    政府委員伏屋和彦君) 今、委員が言われました資金運用部による国債の引き受けというものは、これはその時々の国の財政需要を踏まえまして決定されます国債の発行規模を一つ前提としておりまして、その上で市場の消化環境とか原資の動向等を勘案して決定しているところでございます。  もう一方の引き受けの際の条件でございますが、国債の発行条件そのものが市中消化の原則のもとで常に弾力的に変更されておりまして、資金運用部資金による引き受けはその意味では全く民間と同一の条件のもとで行われているものでございますので、その点は市場の中で行われているというぐあいに考えております。
  25. 牛嶋正

    牛嶋正君 その考え方は私おかしいと思うんですね。というのは、公社債市場金利決定されていくわけですが、それをただ反映させて、それを投影させて資金運用部の中で発行、引き受けをされるわけですね。もしそれをやらないで全部公社債市場を通したとするならば、そこで決まる金利資金運用部で決めている分だけその影響が削られるわけですから、そこで決まっている金利というのは少し修正しなければならないというふうに思うんですけれども、その点はいかがでございましょうか。
  26. 伏屋和彦

    政府委員伏屋和彦君) 今言われます金利自体が全体でどう決まるかという話とも関連してくるわけでございますが、これは国債の場合ですと長期金利長期金利の動向につきましてはやはりその時々の金融情勢等に大きく左右されるものでございまして、私どもの引き受けが長期金利に影響を非常に大きく与えているということは一概には言えないんじゃないかと思います。  現に、九年度でございますが、これは資金運用部資金によります国債の引き受けは四兆八千億でございまして、乗りかえの方の、いわゆる借換債の引き受けの方は四兆九千でございますが、全体の国債の発行は、新規発行、借りかえも含めまして四十八兆という規模でございますので、そこは先ほど言いましたように市中消化の原則のもとで、私どもの運用部も同一の条件で行われているものですから、委員の言われる厳密な理論的な意味のことを私は否定するつもりはございませんが、私は全体の中では市中消化の原則が守られているというぐあいに考えておるわけでございます。
  27. 牛嶋正

    牛嶋正君 次に、出口のところへ参りたいと思いますが、長期運用が効率的に行われるためには、出資先あるいは融資先の状況、それからそこで形成される実物資本の経済的な効果等々、相当情報を集めてやらなければならないと私は思うんです。  恐らく財政投融資計画の場合は、いずれにしましても貸出市場を通して貸し出されるわけですから、それを通して情報は収集しているというふうに思いますけれども、それでも私は必ずしも十分な情報を集められているとは思いません。しかし、今の財投の、先ほどの統合運用から申しまして、一たん政府金融機関資金が割り当てられますと、そこでそれぞれの分野に貸し付けがされていくわけですが、不用資金などが出ましても金融機関相互間の融通のし合いというのはないわけです。これはもう縦割りの弊害がもろに出てきているわけです。  私は、もし今のシステムをそのまま残すとするならば、そういうところから少し手直しをして、できるだけ市場性というものを加味していくというふうな改革も地道にやっていかなきゃいけないんじゃないかというふうに思うんです。この点についてはいかがですか。
  28. 伏屋和彦

    政府委員伏屋和彦君) 今、委員が言われました財政投融資計画の毎年度の計画の策定に当たりまして、これは財政投融資の対象となっております特別会計とか公庫、公団等から、またその主務官庁から、財務データなどの基礎資料を初めといたしまして、また個別の事業の詳細なデータに至るまで種々の情報の提供を受けた上で、先ほども大臣も言われましたが、民業補完という意味で、例えば公的部門が行うことが適切かどうかとか、有償資金投融資対象としてふさわしいものかどうか、また事業の収益性とか、先ほど厚生大臣の答弁にもありましたが、償還の確実性というような点、さらには一般会計の施策との整合性、そういう点から詳細な説明を受けて、いろんな角度から検討をして計画の編成を行っているところでございます。  委員が言われましたように、いろいろ情勢は変化してきておりますし、その変化に対応して対象分野とか事業を九年度の計画に当たっても見直しを行ったわけでございますが、不断の見直しをすることによって、先ほど縦割りという御指摘もありましたが、まさにそういう点も見ながら、先ほど言われましたように資金の重点的、効率的な配分に地道に着実に努力を続けていかなきゃならないと考えております。
  29. 牛嶋正

    牛嶋正君 この問題についてさらに議論したいんですけれども、時間がだんだんなくなってまいりましたので、最後に郵政大臣にお尋ねさせていただきます。  資金計画の中に郵便貯金特別会計の繰り入れがございます。これはいわゆる郵貯の自主運用でございます。この自主運用状況についてちょっと御説明いただければというふうに思います。大分年月がたっておりまして、どのような運用をされているのか、そしてそこに市場性というのはどういうふうに入ってきているのか、そんなところまでちょっと御説明いただければと、こんなふうに思います。
  30. 堀之内久男

    国務大臣堀之内久男君) お答えいたします。  ただいま先生から御指摘ありました自主運用資金として、昭和六十二年にいわゆる自由化対策資金として認められたのは御案内のとおりであります。したがって、それ以来ちょうどもう十年以上を経過するわけでありますが、平成八年度末の自由化対策資金の残高はちょうど四十兆円になると思っております。主に国債、地方債等の債券を運用対象として確実に利益を確保する、こういうことで今日まで運用をさせていただいております。  平成九年度の予算を認めていただきますと、ちょうど残高が四十五兆六千五百億円になると考えておりますが、これまでの運用につきましては、さらに預金者の利益確保という立場から安定的に安全な運用に徹していきたいと存じます。今日までの十一年間の実績を考えてみますと、もともとこれを資金運用部から借りる場合が高い金利で、高いというと語弊がありますが、我々が預託した金利ということになるわけであります。こうしたコスト面を差し引いても大体五・〇九とか、平成七年度の決算では五・〇九、五・〇四の借り入れコストですから〇・〇五でありますが、その前のコストを見ますと大体〇・六とか一・〇とかあるいは〇・三八とか、いろいろその年によって運用利益は違っておりますが、この間、自主運用としては十分な利益を確保しながら運用をさせていただいておるところであります。
  31. 牛嶋正

    牛嶋正君 私は自主運用を導入されるときに非常に心配をしておりまして、今まで集めるばかりに専念されてきた郵政省が果たして自主運用できるのかなと思っておりました。ただ、簡保の方はずっと以前から自主運用されておりまして、そういったノウハウが積み重なってきたんだと思うんですね。  私は、余り自主運用をうまくやられるとさらに民営化というのに火をつけるのじゃないかなというふうな気がするわけですけれども、民営化の場合で一番問題になりますのは、集めた資金をどういうふうに効率的に運用できるかという話になってまいります。いずれにしましても、これまでの自主運用がうまくいっているということをお聞きしまして、その点はちょっと安心をいたしました。  どうもありがとうございました。これで終わらせていただきます。
  32. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 以上で牛嶋正君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  33. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 次に、浜四津敏子君の質疑を行います。浜四津敏子君。
  34. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 平成会の浜四津でございます。  きょうは、初めに特殊法人等の問題点、あるいは税金のむだ遣いの実態などについて質問させていただきます。  先般、三月十四日に総務庁行政監察局は、農水省の外郭団体である財団法人海外漁業協力財団の国庫補助金の使い方に関して監察をし、その結果、農水省に勧告を出しました。その監察結果及び勧告内容について簡単に報告してください。
  35. 土屋勲

    政府委員(土屋勲君) 御指摘の勧告は、去る三月十四日、有償資金協力を中心とした経済協力に関する行政監察結果に基づく勧告事項の一つでございます。  調査結果の実態といたしましては、海外漁業協力財団では、国庫補助金を積み立てまして、その貸付事業資金をもとに本邦漁業者が行うところの海外漁業協力事業に対する貸し付けを実施しているわけでございますが、財団の毎年度の事業計画に盛り込まれました貸し付け予定案件の大半が翌年度以降に繰り越し、あるいは最終的に貸し付けに至らないものとなっている状況にあること、第二点としまして、貸付事業資金運用益について必要経費充当後の剰余金が事業資金の造成に充てられないことなどが判明をいたしました。  したがいまして、農林水産省に対しまして、財団の貸付事業について、毎年度の資金需要を的確に把握するとともに、財団の事業計画が適切なものとなるよう抜本的な見直しを求めております。また、第二点としまして、貸付資金運用益の使途について見直しを行いまして、剰余金については原則として貸付事業資金に積み増すこと、以上の二点を求めたところでございます。
  36. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 要するに、海外漁業協力財団では、使う予定がほぼないのに使うということで過大な事業見通しをして、それに基づいて毎年約三十億円にも上る過大な補助金を受け続けてきた、そして、その補助金を全部使わずに、余った補助金約五百億円をためていた、こういう事実であります。  ところで、一九七三年の財団創立から現在に至るまでにこの財団が受け取った国庫補助金の総額は幾らになりますか。
  37. 嶌田道夫

    政府委員(嶌田道夫君) 海外漁業協力財団でございますが、昭和四十八年に設立されまして、七年度末までに、海外漁業協力に対します貸付事業の原資でございますが、これが造成額、合計いたしますと八百五十四億円となっております。
  38. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 八百五十四億円のうちの五百八億円が使われずに、ため込んでいた、こういうことなわけであります。八百五十四億円のうちの五百八億円、ですから事業には約三分の一しか使っていないということがわかったわけですけれども、農水省はこのことを知ったのはいつの時点でしょうか。
  39. 嶌田道夫

    政府委員(嶌田道夫君) その知ったという前に、ちょっと御答弁させていただきたいわけでございますが、造成額の累計は八百五十四億円でございますが、貸付実績は累計でいいますと七年度末までに二千億円に達しております。これは、資金をそれぞれ償還したのをまた使うということになっておりますので、累計でいいますと二千億円を既に貸し付けております。  ただ、この漁業財団の資金でございますが、海外の漁場確保というところに問題がありますために、相手国の政策によりましていろいろ変わる面がございます。最近の例でございますと、南米のある国でもって合弁事業がほぼ合意されていたところが、急速相手国の政策の変更によりましてそれができなくなったというようなことでもって、言うなれば貸付資金が繰り越されたというようなことでございます。  そういう事情がありまして五百億円ということでございますが、これはそういういろいろの相手国の政策事情の変更というようなのが大きな要因となっているわけでございます。  いつ知ったかということでございますが、これにつきましては、七年度末の決算の時点でございますので、言うなれば八年の六月の理事会の報告を受け取った時点でございます。
  40. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 これは、何年にもわたって結局累積した使い残しが五百億に上ってきたわけで、それを知ったのが昨年の六月、その時点まで知らなかったというのは、監督不行き届きあるいは怠慢、重大な義務違反と言わざるを得ないと思います。  ところで、財団法人海外漁業協力財団に対する国庫補助金交付の決定権者はだれになりますか。
  41. 嶌田道夫

    政府委員(嶌田道夫君) 決定権者といいますよりも、これにつきましては、毎年水産庁の方から大蔵省の方に対しまして予算要求をしているところでございます。  ただ、前段の話で五百億、これがずっと今まで繰り越されてきたということではございませんので、これは各年度によりまして融資額が非常に実行されたときがございます。そのときには当然ながら繰越額がぐんと減りまして、例えば二百億とか三百億になるというときもございますし、また単年度におきまして、先ほど申しましたような事情で融資が実行されないときにはその分が積み上がると。それから、なおかつ最近の金利低下の状況でございますと返還金もあるというような事情がいろいろ重なりまして、七年度末で五百億ということでございまして、毎年度ずっと五百億あったということではございません。
  42. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 今御説明ありましたが、要するに国庫補助金交付の決定権者というのは、今のお話ですと農水省という答弁になるようですけれども、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律六条で、この決定は、各省各庁の長は補助金の交付の申請があったときはさまざまなことを調査した上で交付の決定をしなければならないと、こういうふうになっておりまして、農水大臣あるいは水産庁長官ということになるかと思います。  ところで、この五百億、結果的にいろんな事情があったということは今御説明ありましたけれども、要するに五百億は国の税金から補助を受けて使われなかったと、この事実は否定できないわけで、この五百億、補助金を貸付事業に使うといって交付を受けて使わなかった、そしてその運用益の一部を人件費に使っていたというような事実もあったようですけれども、これは補助金の他の用途への使用に当たる法律違反ではないですか、農水省と行政監察局の見解を求めたいと思います。
  43. 嶌田道夫

    政府委員(嶌田道夫君) この海外漁業協力財団の貸付事業、これは従来から中期長期的な資金需要を勘案して資金造成を行っているところでございます。また、最近の二百海里、海洋法条約の締結に伴います沿岸各国が自国化政策をとってきておりますので、今まで単純に入漁していたものが、相手国に合弁会社をつくるなど現地化しませんと操業機会が確保できないというような厳しい状況になっております。  そういう事情に対しまして、合弁会社を業界ぐるみでもってしなきゃならないとなりますと、相当大きな金額が必要となるわけでございます。これも資金造成でございますので、単年度で急遽資金需要があったからといって積むわけではございませんので、そういう意味では、大体三年ぐらい先までを見通しましてどれだけの資金需要が要るかということで必要な額を積み立ててきているということでございます。そういう事情でございます。  したがいまして、この資金造成が現在、先ほど来五百億と言っておりますが、これがずっとあるわけではございません。たまたま七年度末ではそうなったということでございます。  また、その運用益につきまして、一部一般管理費に使っておりますが、これにつきましては何ら法的な問題はないというふうに理解しておりますし、また行政監察局の方からもそのような勧告は受けておりません。
  44. 土屋勲

    政府委員(土屋勲君) 先生指摘の二点について、法律的な違反の事項と我々は認識いたしておりません。
  45. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律十一条にこう規定してあります。補助事業者等は、いやしくも補助金等の他の用途への使用をしてはならない、そして同法三十条には罰則としてこういう規定があります。「第十一条の規定に違反して補助金等の他の用途への使用又は間接補助金等の他の用途への使用をした者は、三年以下の懲役若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」と、こういう罰則がついているわけであります。  累計として五百億たまったということで、それは本来こういう事業に使うから補助金を出してくれと、こういうことで申請したはずであります。さまざまな事情があったにせよ、その事業に使わずにためておいてその運用益を人件費に回す、これは明らかに十一条違反ではありませんか。  行政監察局、もう一度ちょっと見解を伺います。
  46. 土屋勲

    政府委員(土屋勲君) ただいまお話しの運用益の使用の仕方でございますが、現在定められております国際漁業振興協力事業実施要領の中で認められている範囲の運用であるというふうに考えております。
  47. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 それでは、ほかの補助金についても本来の使途に使わずに、それをためておいてその運用益を人件費に使ってもいいということになりますか。お答えください。
  48. 土屋勲

    政府委員(土屋勲君) 補助目的以外のものに使っていいということを申し上げているわけではなくて、今回の農水省のお話は補助目的の範囲内の運用であるということを申し上げているわけでございます。
  49. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 それでは、補助金の使い方の適正か否かについては大蔵大臣に判断権限があるそうですから、大蔵大臣に御見解を伺いたいと思います。
  50. 小村武

    政府委員(小村武君) 先生指摘のように、予算の執行は各省各庁の長が責任を持ってやっていただくということでありまして、それに基づきまして、この場合は農水大臣あるいは長官の方に権限委任されているか、その各省の権限委任の状況のもとで執行されるわけです。その際に、補助要綱というのを各省で定めます。その補助要綱に合致しているかどうかということがこの法令の違反行為になるかどうかということであろうかと思います。  私ども、補助要綱等々を今持ち合わせておりませんが、ただ、この海外協力事業団の補助金の実施要領の第十九条の三に「基本財産及び貸付資金運用又は使用により生じた利息等及び収入は、財団の人件費及び管理運営に要する経費に充てることができるものとする。」という実施要領が定められております。これと補助要綱との関係の問題であろうかと思います。
  51. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 今の御説明を伺っていますと、そうしますと、実施要綱ですか、あるいは補助要綱に、要するにこの補助金を使う場合に、こういう目的にも使っていいんだということをその要綱の段階で定めていれば、この補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律十一条を免れることができる、こういうことになりますね。今のお答えはそういう趣旨ですか。
  52. 小村武

    政府委員(小村武君) これは大蔵省の問題というよりは、その予算の執行をする省庁がいかなる補助要綱を定めているか、それに基づきまして予算の執行が当該法人においてなされているということであります。
  53. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 そうしますと、各省庁がその補助要綱に定めていれば本来の使用目的外にも使えるということになりますと、この法律は全く意味がないということになりませんか。
  54. 嶌田道夫

    政府委員(嶌田道夫君) 貸付事業造成費の運用益の使い方でございます。  まず、これは水産庁の方が一義的にやっておりますので、私の方から御答弁させていただきます。  運用益の使い方について、まず一つは技術協力事業に使っております。それから、先ほど来お話がございますように一般管理費に充てております。なおそれで剰余が出ましたときは、それは貸付事業の方に戻しておるという経緯になっております。  それで、その一般管理費に充てます場合に、なぜかという話でございますが、当然ながらこれは貸付事業を行うないしはその他財団の運営を行うというための一般管理費でございまして、そういう意味では補助目的に合っているというふうに考えております。
  55. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 今お答えになった内容が要するに農水省の補助要綱に定められているという御趣旨ですか。
  56. 嶌田道夫

    政府委員(嶌田道夫君) 大変申しわけございません。今ちょっと手元にありませんが、後ほど御答弁させていただきたいと思います。
  57. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 この補助要綱をお出しいただけますでしょうか。
  58. 嶌田道夫

    政府委員(嶌田道夫君) 後ほど補助要綱を先生に御提出したいと思います。
  59. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 行政監察局にお伺いいたしますけれども、行政監察の権限として、法律違反の事実があったか否か、これを監察し勧告するという権限はお持ちですか。
  60. 土屋勲

    政府委員(土屋勲君) 監察の調査の結果において違法事例が確認されれば、その是正を求める勧告は当然できると考えております。
  61. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 そうしますと、行政監察局としても、この補助要綱で使途目的とはちょっと外れる人件費に使っていいということになっているから法律違反がない、こういうふうに判断したというふうに理解いたします。  この監察結果の勧告の内容ですけれども、先ほど御説明いただいた内容では、このため込んでいた五百億を国庫に戻せという勧告ではないんですか。
  62. 土屋勲

    政府委員(土屋勲君) 勧告の内容は先ほど申し上げたとおりでございますが、水産庁の方からも御説明ございましたように、この事業が諸外国との漁業交渉等の結果も踏まえて行われるものであり、非常に将来需要が確定しにくい事業であるということで、我々としては返還等は求める勧告はいたしておりません。
  63. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 今の勧告の内容は、この五百億をその三分の二も使っていない貸付事業に回していい、こういう内容のようです。  この財団が受けている国庫補助金は二種類あるようですが、貸付資金造成費補助金と振興協力事業費補助金。今回、この五百億の使い残しが発覚したために、平成九年度予算では、この二つの種類のうちの貸付資金造成費補助金は従来の三十五億から二十億に減額しておりますが、一方の振興協力事業費補助金というのは二十一億から二十三億に増額されているわけですね。  これは、この五百億を貸付事業に回せ、こういう勧告のようですけれども、九年度で二十一億を二十三億にふやすのではなくて、この振興協力事業費補助金にも充てろという勧告もできたんじゃないですか。
  64. 嶌田道夫

    政府委員(嶌田道夫君) 今回、九年度予算におきまして、貸付事業の方は先と言われましたように二十億になっております。ただ、片一方の技術協力の方の補助金でございますが、これにつきましては財団が毎年、海外の漁場確保でありますとか海外に対します技術協力をいろいろやっておりまして、毎年これを必要としている額でございますし、毎年使っている額でございます。  そういう意味で、最近、先ほど申しましたように、海洋法条約を批准されましてますます海外漁場の確保が必要になってきているという段階におきまして、それに伴いまして各国に対します技術協力の必要性もふえてきているわけでございます。そのような事情を反映いたしまして、この技術協力事業のための補助金の方をふやさせていただいたという経緯になっております。
  65. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 いずれにしても、どちらの事業も同じ財団がやっているわけで、片方の貸付事業がいわば過大な見通しで五百億余ったと。それはそれでおいでおいで、それでもう一方の事業の方では必要だからといってふやすというのは、これはやはり補助金のつけ方としてはおかしいというふうに思わざるを得ないんです。  もう一回伺いますが、行政監察局としては、この同じ財団に種類は違いますけれども補助金をつけている。この五百億の補助金を振興協力事業費補助金にも回して、そのかわりに、平成九年度予算では二十一億から二十三億に上げるのではなくて、従来のその範囲内で十分できるわけですから、そういう勧告はどうしてなさらなかったんですか。
  66. 嶌田道夫

    政府委員(嶌田道夫君) 私の方から少しその事実関係につきまして御説明したいと思います。  まず、貸付事業造成資金の方は、先ほど来御説明していますように、言うなれば、今まで単純に入漁をしていたものが、相手国の現地化政策によりまして合弁などをしないと入れないということで合弁企業を設立する、そのようなために多額の資金を必要とするということで必要な資金でございまして、これは貸し付けますとまた後で返してもらう資金でございます。一番需要の多かったときには二百億円ばかり単年度で必要となった年もございます。そういう資金でございます。  片一方の技術協力事業の補助金の方は、これは毎年、相手国の要請等いろいろございますが、相手国に対しまして技術協力を行うための補助金でございまして、言うなれば毎年毎年使うお金でございます。  そういう意味で、片一方の方は融資をして返してもらう資金、片一方の方は毎年毎年、別途技術協力をしながら漁場確保を行うわけでございますので、そのための必要な資金ということで、全く性格は違うのでございまして、片一方の貸付資金が繰り越されているからといいまして補助金の方にそれを回すとか、ないしはこちらの方の技術協力のための補助金は減らすとか、そういうような話と全く関連性のない話でございます。
  67. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 それでしたら、貸付事業の方は、年々多少の変動はあるといっても、この資料を見ますと、水産企業の進出意欲はだんだん冷え込んで、そして融資は急速に落ち込んでいる、こういう傾向がずっと続いているわけですから、それは年によっては二百億ということがあったかもしれませんけれども、これが何十億単位ならまだしも、数百億単位で事業の見通しが毎年過大だというのは、やはりそれはどう言いわけしてもちょっとおかしいと、こう思います。  この五百億というのは技術協力の方にそういうことで使えないんだというのであれば、この貸付資金、貸付事業、そもそも御説明によると大体十数億ぐらいしかかかっていないことが多いようですけれども、それでも九年度の予算では二十億ついている。それにまたさらにこの五百億を使っていいというのはどう考えても理解できませんけれども、行政監察局の勧告として、この五百億を事業が減っているこの貸付事業にさらに使っていいというふうに判断した根拠はどこにあるんですか。
  68. 土屋勲

    政府委員(土屋勲君) 貸付事業資金、確かに七年度末で御指摘のような金額があるわけでございますが、先ほど来申し上げておりますように、この事業そのものが外国政府との交渉あるいは外国政府政策等のいかんによって大きく資金需要が発生する可能性があるものでございます。そういう意味では、この資金が現時点において余っているからといって直ちに不要なものであるというふうには考えていないところでございます。
  69. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 これ以上は水かけ論ですから、詳しい議論についてはまた後ほどに譲りますけれども、四月から消費税も上がり、国民負担というのは大変重くなるわけです。国民に対しては増税、負担増をいとも簡単に決めてしまう。そしてまた税金の申告についても、申告漏れも厳しく取り立てをいたします。一方で、こうした巨額の税金のむだ遣いについては遅々として改革がされない。私は非常に問題であろうと思います。  この五百億円を使わずにずっとため込んできたということで今回勧告を受けたわけですけれども、この五百億をため込んできてしまったという責任は、どなたか責任をとった方はいらっしゃるんでしょうか。
  70. 嶌田道夫

    政府委員(嶌田道夫君) 先ほど来御説明していますように、この財団の貸付資金は海外の漁場確保をするための融資金でございます。  そういう意味で、先ほど来お話ししましたように、各年によりまして、二百億のときもございましたし百五十億とか、いろいろございます。近年、確かにいろいろな諸事情がございまして少なくなってございますが、七年でいいますと七十億以上になっているというようなことで、非常にその年によりまして振れがございます。  また、海洋法条約の批准に伴いまして、これからは現地化政策がより一層必要となってくるものでございます。そういう意味で、先ほど申しましたように、中長期的といいますよりも、約三年ぐらいを見通しまして必要な資金を造成しているところでございます。  これから、例えば今南米にイカ釣り漁など出ておりますが、これが合弁事業でなければ入れないとなりますと、業界ぐるみで現地化しなければいけないとなりますと、これは相当な金額、百億以上の金にもなる予定ともなっているわけでございます。  そういうことを考えますと、この五百億という金額につきましては決して多くはない。現時点におきまして確かに多いというふうに見られる方はあるかもしれませんが、三年間、今の海洋法条約の厳しい状況考えますと、これは必要な金額であるというふうに考えておりまして、そういう意味でこの資金、利用者にとりまして非常に頼りとなっている融資でございますので、今後ともこの融資の円滑な実行に極力努めてまいりたいというふうに考えております。
  71. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 三年見越してというお話ですけれども、毎年予算がついているわけです。ですから、その事業の見通し自体が非常に甘く、おかしいと言わざるを得ません。これについては時間がありませんので、また後日に譲ります。  そこで、運用益の一部を人件費に使っている、こういうお話ですけれども、どんな人件費にどれだけ使っているのか。まず、この財団の役員構成、それからそのうちの官僚出身者の方の数、出身省庁名、またその省庁における最後の役職を報告してください。
  72. 嶌田道夫

    政府委員(嶌田道夫君) 今の御質問の前に、先ほどの補助要綱のところでございますが、財団の補助要綱の第十九条に「基本財産及び貸付資金運用又は使用により生じた利息等及び収入は、財団の人件費及び管理運営に要する経費に充てることができるものとする。」という規定がございます。  それから、今の御質問でございますが、財団の役員でございます。財団の常勤役員は四名でございまして、このうち二名が農林水産省の出身者でございます。一名が他省庁の出身者、なお一名がプロパーの職員というふうになっております。  それから、やめたときの最終前歴ということでございますが、理事長が農水省の構造改善局長、それから専務理事が関東信越国税不服審判所長、常務理事が水産庁の課長というようになっております。
  73. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 ちょっと話が戻って、今補助要綱のお話が出ましたが、ちょっと一点だけ確認させていただきます。この補助要綱というのはだれが決めているものですか。
  74. 嶌田道夫

    政府委員(嶌田道夫君) この補助要綱でございますが、これは水産庁長官が決めているものでございます。
  75. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 いずれにしても、この法律、先ほどお話しいたしました補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律、これは立法府が決めているわけで、要綱というのは今のお話ですと、水産庁長官、この法律の中身を形骸化するような要綱ではないかというふうに考えられます。これについては、また後ほどにいたします。  それから、今役員の構成を伺いましたが、役員の報酬がどうなっているか、その年収、それから役員の退職金、例えば一期何年務めると幾らになると、こういう数字を報告してください。
  76. 嶌田道夫

    政府委員(嶌田道夫君) 今補助要綱と申しましたが、失礼しました、実施要領でございます。御訂正いたします。  それから、役員の報酬でございますが、これにつきましては、海外関係業務、金融関係業務を行っております類似の公益法人等の役員給与を参考にしております。ちなみに、理事長の報酬は月額百二十万円となっております。  退職金でございますが、これにつきましては、他の公益法人と同様、在職期間一月につき、その者の退職の日における報酬月額に百分の三十六を乗じて得た額としているところでございます。
  77. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 そうしますと、月額百二十万、年収どれぐらいなのか、年収をちょっと計算していただきたいのと、一期二年なのか三年なのか四年なのかわかりませんけれども、例えばこの月収百二十万の理事長というのは一期務めると数字として幾らになるんですか。
  78. 嶌田道夫

    政府委員(嶌田道夫君) 月額百二十万で、年収でいいますと二千三百八十九万円となります。一期三年でございます。
  79. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 これは非常に高い年収と言わざるを得ません、これについてはこれ以上は触れませんけれども。  次に、先般事故を起こしました動力炉・核燃料開発事業団、動燃の事業費及びその財源について科学技術庁にお伺いいたします。また、その財源のうちで国庫補助金の額を教えてください。
  80. 加藤康宏

    政府委員加藤康宏君) 動燃事業団でございますが、平成九年度の事業費、これは認可予算で予定しているものでございますが、総額で二千百十四億円でございます。  内訳といたしましては、政府の支出金が千五百九十八億円、それ以外の、事業収入等と言っておりますが、それが五百十六億円ございます。そのうち、再処理の事業に伴うものが百三十八億円、それから発電、売電収入、それが百二十九億円、その他借入金の予定がございます。
  81. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 手元の資料によりますと、今余り細かく御説明いただきましたので、要するに、トータルいたしますと国庫補助金、国から出ている金額というのは二千百十億のうち約一千六百億と理解していいですか。
  82. 加藤康宏

    政府委員加藤康宏君) そうでございます。
  83. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 この一千六百億の財源ですけれども、うち約一千億が電源開発促進税、つまり電気料金の中に含まれていて、消費者が払っているものの中から出ている、また約六百億は国の一般会計から出ております。したがいまして、動燃の事業費のうちの約五分の四が国民の税金から出されている、こういうことになっております。  そこで、先ほどと同じように、動燃の役員の構成、それからそのうちの官僚出身者の数、出身省庁名と最後の役職を報告してください。
  84. 加藤康宏

    政府委員加藤康宏君) 動燃事業団に常勤の役員が十一名ございます。そのうち三名が政府関係でございまして、二名が科技庁出身者、一名が他省庁でございます。科技庁出身者は二名とも局長経験者でございます。
  85. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 また細かいことをお伺いして申しわけありませんが、これらの役員の方々の年収、それから退職金についてもちょっと御報告ください。
  86. 加藤康宏

    政府委員加藤康宏君) 年収でございますが、理事長が年間三千三十万円、副理事長が二千四百九十万円ぐらい、理事が二千六十万円ぐらいでございまして、退職金の計算の仕方は先ほどの財団と同じ方式かと思っております。すなわち、在職期間月数に支給率百分の三十六を掛けまして、それに退職時の本給を掛けるということでございます。今ちょっと計算できません。
  87. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 大ざっぱな計算ですと、理事長一期四年務めますと三千万弱、二千六百万ぐらいになるんでしょうか、いずれにしても民間に比べても非常に高い方と言えるのではないかと思います。こうした特殊法人あるいは関連外郭団体、公益法人、子会社、孫会社等々についてはさまざまな問題が指摘されております。  きょうは、海外漁業協力財団それから動燃について御質問いたしましたが、この二つだけをやり玉に上げるつもりは全くありませんで、恐らくこうした実態というのはほぼ共通してどこにもあるように思います。  この特殊法人、そしてまた関連法人、公益法人などの抜本的な整理合理化につきましては、詳しい議論は別の機会に譲りますけれども、こうした事態を少しでも改善するために、情報公開法とか、あるいはすぐに取り組めるところから取り組むべきだと考えておりますけれども、総務庁長官、どのような取り組みをされる御予定か、御説明ください。
  88. 武藤嘉文

    国務大臣(武藤嘉文君) 先ほど来の質疑を聞いておりましても大変クローズ過ぎるという感じがいたします。  私どもの行政監察局が特殊法人のその点におけるディスクロージャーについて監察をしたところ、いろいろ問題があるようでございまして、それを受けましてこの国会に今度上程をさせていただいておりますのが、特殊法人のディスクローズをきちんとするようにディスクロージャーの推進のための法律をお願いしておるわけでございます。  その中では、今たまたまいろいろ問題が出てまいりましたけれども、そういう事業報告をきちんとつくらせ、そしてそれを公表といいますか一般の閲覧に供するようにいたしますし、あるいはまた貸借対照表、損益計算書あるいは監査報告書、これなどで今いろいろ御指摘のあったような問題も私はディスクローズしてくるのではないかと思っております。そういう面では、今回そういう法律を出させていただいて成立をさせていただきますと、特殊法人の中身というものが一般の皆様方にもよくわかるようになると思っております。  私は公共性を持ったこういう特殊法人が普通の会社よりもクローズであるということは決して好ましいことではないと思っておりまして、一般の会社以上にディスクローズをするような方向で今法律をお願いするという予定にいたしております。
  89. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 ありがとうございました。  ただいまお話をいただきました法律、特殊法人の財務諸表等の作成及び公開の推進に関する法律案というのを準備されているようですが、これは特殊法人だけではありませんで、むしろもっと大きい問題は、特殊法人に関連する子会社、孫会社あるいは公益法人、この周辺にある法人とも言われております。  この法律は、特殊法人だけではなくて、こうした周辺のところの情報公開の突破口になるものと考えてよろしいんでしょうか。
  90. 武藤嘉文

    国務大臣(武藤嘉文君) たしか附属説明書というものをつけるはずでございます。その中には子会社、孫会社、どこまで把握できるか私もよくわかりませんが、少なくとも子会社はわかるわけでございますし、そういう点についても、子会社の実態についてもはっきり平素の中で一般にわかるようにしたいと、こう思っております。
  91. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 済みません、官房長官は午前中だけでしたでしょうか、御都合がつくのは。――そうですか。  それでは、ちょっと順序を変えまして、次に叙勲のことについてお伺いいたします。  もうじき春の叙勲の季節でございますけれども、叙勲における官民格差、これはしばしぱ問題にされてまいりました。叙勲制度そのものの是非につきましては一応おくといたします。  私自身は、個人的にはもともと叙勲とは無縁で、全く関心はありませんけれども、一九九四年五月に亡くなられた元外務大臣が、生存中も、また亡くなられた後も、政治家として勲章をもらわないのが信条と、こう言われて辞退した。そのほか同様の発言をされた先輩政治家の方々の発言に拍手を送った一人でございますが、むしろ叙勲というのは民間の、それも財界のお偉い方々というのではなくて、長年例えば地域のためや多くの人々のために目立たないところで一生懸命地味な活動を続けてきたという方々のためにこそあるべきだと思っております。  こうした方々が受章されて、苦労が認められてうれしいと喜んでおられることも事実でございまして、民間の功労者顕彰はそれなりの大事な意味を持つと思いますので、伺わせていただきます。  一九九六年六月に総理府は、九六年の秋の叙勲から受章者数の官民格差是正、こういう基本方針を決めました。結果的には、確かに数だけの格差は多少是正されてきたと思いますけれども、勲一等とか勲二等、いわゆるランクが上だと言われている勲章につきましては民間人はほとんど微々たる数でございます。ほとんどの方々が元国会議員あるいは官僚経験者、こういういわゆる官の方々でございます。  受章の基準については国家公共に対する功労を勘案して決めると、こういうふうになっておりますけれども、ランクが上の勲章のほとんどがこういう国会議員経験者とかあるいは官僚出身者、民間のほとんどは下のランクというのは、政府としては民間人は国家公共に対する功労が議員や官僚経験者より劣ると考えておられるのか。しかし、官、いわゆる公務員、国会議員も含めまして、こういう公務員が国家公共のために働くというのはむしろ当たり前のことで、どうもその辺が理解できませんけれども、官房長官の御見解をお聞かせいただければと思います。
  92. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 叙勲者の官民のいわば統計というか数字等については後ほど政府委員から御説明を申し上げさせたいと思いますが、確かに、国家公共に対する貢献という観点、いわゆる候補者が官に多くなっておるという現実は否定をしません。  これはどういう基準かということは、官は国家公共に尽くすのは当たり前ということでもあろうかと思います。もう一つは、やはり公共の意識というものは官と民では私は官の方が多分に持ち合わせが多いのではないか。それから、社会的な貢献という意味では、例えば今のような経済社会であれば、経済に大きく貢献をした人が社会で公共のために役に立ったということですから、私は必ずしも好きじゃありませんけれども、経済界の方がたくさん叙勲を受けているという例もございます。  ですから、社会の価値判断の変遷に従って徐々にこの賞勲制度というか叙勲制度というのは趣を変えつつあるということも現実であります。ですから、有識者懇談会でいろんな御意見が出ております。  昨年も実は、外国人が若干少ないではないかというか、外国人にもうちょっと文化的なもの、教育的なもの、あるいは産業面その他で活動されて日本に貢献をされている方々を探してみればいいではないかという議論があって、そういうことにも意を用いてやっているという現実はございます。大きい流れの中で、完全に私は昔を否定するものではありませんが、昔、戦前は天皇の官僚、軍隊に賜ったのが叙勲制度のいわば始まりではないかと思いますし、その制度は、私は大きなこういう栄典制度というものの国家的な価値とか対外的な価値を考えますと、そういうものが若干あることは否めない事実で、さらにこういうものに進んでいきたい。  委員が叙勲は受けるべきでないという思想もお持ちであるかもしれませんが、私などは、古い人間と言われるかもしれませんが、懸命に公共社会のために尽くすことによって幾ばくかの名誉を得ることが私の家の家風でもあるし、そういうものに誇りを感ずること、これが私は自分のいわば倫理観につながっている、こういう思いがありますので、私はこれを否定するわけではありません。
  93. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 私は勲章を受けるべきでないというふうに考えているわけではありませんで、勲章を受けることに価値を見出される方はもう当然受けていいというふうに思っておりますけれども、今のこの叙勲の制度あり方が余りにも官民格差があり過ぎる、その問題点指摘させていただいたわけであります。  それから、この選考から決定までの手続を官僚の方々が行っているわけで、叙勲の審査会にも民間人はいらっしゃらないし、またランクのつけ方、手続の内容も大変不透明であります。この手続あるいは基準の透明化も何度も指摘されてまいりました。また、いっそこの際現代にふさわしい内容の栄典法のような法律に変えた方がいいんじゃないかという意見もあります。また一方で、この手続を担う官僚の方々、この叙勲の制度が官業癒着を支えているとか、あるいは官が業を支配する手段になっているというような批判の声もあります。  財界の方々、例えば審議会の会長をやるとか審議会の委員になった、それが叙勲を受ける際の点数になるということも言われておりまして、そういうランクのつけ方、手続、基準の透明化についてもやはり改善すべきで、多くの方々が大変フェアですばらしい叙勲の制度だと喜んでいただけるような内容に変えた方がいいと思いますけれども、官房長官、たびたびで申しわけありませんが、主旨御見解を伺わせていただきます。
  94. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) それぞれの価値判断は若干違うかもしれませんし、それから社会の常識というかそういうものが変遷をしつつある、そういう常識にこたえられるような叙勲制度でなければならないと思います。一つの権威というものも全く否定するわけではありませんし、どうこうという新たな常識を入れていくこともまた当然でございますから、そういうものに向けて年々歳々、若干ずつでも私は改良が行われることを期待しますし、その一助になりたいと考えております。
  95. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 浜四津敏子君の残余の質疑は午後に譲ることといたします。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時四十九分休憩      ―――――・―――――    午後一時二分開会
  96. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  予算執行状況に関する調査のうち、オレンジ共済組合問題に関する件を議題とし、証人の証言を求めることといたします。  まず、委員長から確認させていただきます。  あなたは齋藤衛君御本人ですか。
  97. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) はい、そうです。
  98. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 証言を求めるに先立ち、証人に申し上げます。  議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人には、証言を求める前に宣誓をしていただくことになっております。  宣誓または証言を拒むことができるのは、次の場合に限られております。  自己または自己の配偶者、三親等内の血族もしくは二親等内の姻族または自己とこれらの親族関係があった者及び自己の後見人後見監督人または保佐人並びに自己を後見人後見監督人または保佐人とする者が刑事訴追を受け、または有罪判決を受けるおそれのあるときは宣誓または証言を拒むことができます。また、医師、歯科医師、助産婦、看護婦、外国法事務弁護士を含む弁護士、弁理士、公証人、宗教の職にある者またはこれらの職にあった者が業務上委託を受けたため知り得た事実で他人の秘密に関するものについて証言を求められたときも宣誓または証言を拒むことができますが、本人が承諾した場合はこの限りではありません。  正当の理由がなくて証人が宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または十万円以下の罰金に処せられます。  また、宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることになっております。  なお、今回の証人喚問についての当理事会決定事項については、証人には既に文書をもってお知らせしたとおりでありますが、この際、その主要な点について申し上げます。  その第一点は、証人が補佐人に助言を求めることが許される場合についてであります。  証人は、補佐人に対し、宣誓及び証言の拒絶に関する事項について助言を求めることができますが、これらの助言は、いずれもその都度証人委員長にその旨を申し立て、その許可が得られた後に認められるものであり、補佐人の方から証人に対し助言することはできないこととなっております。なお、補佐人は発言することはできません。  その第二点は、資料についてであります。  証人は、既に通知いたしましたとおり、証言を行うに際し、あらかじめ当委員会に提出された資料を用いることは差し支えありませんが、委員長の許可が必要であります。  その第三点として、証人のメモ筆記は尋問の項目程度に限られております。なお、補佐人はメモをとることが許されます。  以上の点を十分御承知願います。  それでは、法律の定めるところによりまして、証人に宣誓を求めます。  全員御起立願います。    〔総員起立〕
  99. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律第五条の三の規定により、これより齋藤衛君の証言が終了するまで撮影は中止してください。  齋藤衛君、宣誓書を朗読してください。
  100. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 宣誓を行う前に、この場をおかりいたしまして、一言おわびを申し上げたいと思います。  三月二十一日の証人喚問出頭を、私の病状のためとはいえ欠席をいたし、この予算委員会並びに皆様方に多大なる御迷惑をおかけいたしましたことを、まずは謹んでおわびを申し上げます。    〔証人は次のように宣誓を行った〕    宣 誓 書             平成九年三月二十六日  良心に従って真実を述べ、何事もかくさず、又何事もつけ加えないことを誓います。                証人 齋藤
  101. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 全員御着席を願います。  証人は、宣誓書に署名捺印してください。    〔証人、宣誓書に署名捺印〕
  102. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) これより証言を求めることといたしますが、証人の御発言は証言を求められた範囲を超えないこと、また御発言の際はその都度委員長の許可を得て御発言なさるようお願いいたします。  また、委員の尋問時間が限られておりますので、答弁は要点を的確に簡潔にお願いいたします。  この際、委員各位に申し上げます。  本日は、法律に基づき、申し合わせの時間内で証言を求めるのでありますから、不規則発言等により議事の進行を妨げたり、証人に対して不適切な言動に及ぶことのないよう特に御協力をお願い申し上げます。  それでは、まず委員長から齋藤証人に対してお尋ねいたします。  第一点は、あなたは友部達夫参議院議員及び友部百男氏と、いつ、どのような経緯でお知り合いになりましたか。だれかの紹介で会ったのですか。その後、両氏とはどのような関係にありましたか。御証言ください。
  103. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) お答えいたします。  友部達夫議員また友部百男氏とは、平成六年の三月末か四月ごろと記憶しておりますが、友部百男氏とは初村前代議士より御紹介をいただきました。友部達夫氏は、その後友部百男氏より紹介をいただいております。
  104. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 第二点は、あなたは、友部達夫参議院議員及び友部百男氏から、前回の参議院選挙において友部達夫議員が新進党の比例区の候補者となるに当たって数億円を渡されたと報道されておりますが、事実ですか。もし事実だとすれば、渡された目的、経緯等について御説明ください。
  105. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) お答えいたします。  ただいまの質問でございますが、自分の刑事責任に関連する事柄ですゆえ、証言することを恐縮ですが控えさせていただきたいと思います。
  106. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 重ねてお尋ねいたしますが、証人のただいまの証言の拒否は、この証言を規定する議院証言法の四条に該当する正当な理由を明らかにしていないおそれがありますので、その理由を、証言を拒否する理由を明らかにするようにお願いしたいと思います。
  107. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 補佐人と相談させていただきます。  友部百男氏から金銭を預かり、受け取ったということが自分の刑事責任に関する事柄ですゆえ、証言することを控えさせていただきたいと思います。
  108. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) あなたは、初村前衆議院議員といっ、どのような経緯でお知り合いになり、その後どのような関係にありましたか。  また、細川元総理とは面識がありますか。あるとすれば、いっ、どのような経緯で知り合いになり、その後どのような関係にありましたか。証言してください。  初村前代議士といつ、どのような経緯でお知り合いになったか。細川元総理とは面識がありますか。あるとすれば、いっ、どのような経緯でお知り合いになりましたか。その後、どのような関係にありましたか。御証言ください。
  109. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) お答えいたします。  初村前代議士とは、記憶が定かじゃないのもありますが、平成五年の後半だと思います。初村前代議士のお身内の方の御紹介で知り合うきっかけを、知り合うきっかけとなりました。  それで、初村氏との関係でございますが、期間が一年未満ぐらいのおつき合いしかございませんので、世間一般で言う、常識の範囲で物を言わせていただきたいんですが、友人関係に近いお知り合いということで御了承願いたいと思います。  細川前総理とは、友部達夫氏の決起大会のときに初めてお会いいたしました。その後の関係という御質問なんですが、その後一切交際もしくはお会いしたことということはございません。
  110. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ありがとうございました。  委員長からお尋ねすることは以上でございます。  それでは、齋藤証人に対し質疑のある方は順次御発言願います。
  111. 片山虎之助

    片山虎之助君 自由民主党の片山虎之助でございます。  まず、証人質疑に入ります前に、先ほども御本人の御釈明がありましたが、実は今回の証人喚問、三月十二日に議決いたしまして、十三日にお届けして、十七日までは御出席だと、こういうお話でございましたが、十八日に急にぐあいが悪いので聖路加国際病院に入院すると、こういうお話になりました。十七日までは何の不都合もなかったものが、急に悪くなったことが我々には必ずしもよく理解できない。さらに、十九日には聖路加病院を退院されて、十九日にはまた御出席という御連絡をいただいたわけであります。ところが、さらに二十日に日本医科大学附属の千葉北総病院に御入院になって、二十一日の朝、欠席という御連絡があった。  私は病気その他は素人でございますけれども、何かなかなか理解できないですね。いかにも不自然、作為的な感じを受けたわけでありますが、その辺をもう少し御説明いただきたい。とにかく、二十一日の喚問が本日になったということは、証人喚問としては極めて異例の事態なんですね。その点、齋藤証人のためにも事を明らかにしていただく必要が私はあるんではなかろうか、こういうように思います。
  112. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) この質問事項に対して、お時間どれくらいございますか。
  113. 片山虎之助

    片山虎之助君 できるだけ簡潔にお願いします。
  114. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) わかりました。  ただいま質問をいただき、皆さんから不審等、いろいろ言われておりますが、私が三月の十日、これはある中央区の医院で、病院ですが、そこで血糖をとりましたときには五百十八、さらに五月十八日の朝とりましたときには五百八十八、これは五月の十九日の朝に判明したことであります。失礼しました、三月です、三月十八日です。失礼しました。  それで、健康状態が、自覚症状というか、おのおの違うんでありますが、私の場合には足のしびれ、首の後ろのしびれ等ありまして、聖路加病院に十八日の未明、十九日の未明ですか、二時前後だと思いますが、緊急で外来に行きました。そのときに、インシュリンという薬を打っていただきまして、次の日の十時には二百十幾つということで、退院する趣になりました。  それで、うちに帰りまして、容体が悪いので北総病院というところに行きまして、病状、その検査のためやむなく入院いたしました。二十日の日に連絡すればよろしかったんですが、お休みだったので二十一日という異例な処置をとり、本当に申しわけないと思います。
  115. 片山虎之助

    片山虎之助君 なお詳しく聞きたいんですが、時間の関係がありますのでこのくらいにしますけれども、今回の事態、我々にとっては大変遺憾だと思います。本日の喚問が関係者の御努力によりまして実現しました以上、ぜひ本日のこの喚問を実りあるものにすることが双方の務めではなかろうかと私は考えております。  今回の事件、御承知のようにオレンジ共済の詐欺事件、友部議員の逮捕許諾請求が参議院で出たと。四十三年ぶりであります。詐欺の容疑ということも国会議員としてまことに破廉恥であり、我々は仲間として大変に遺憾に思っておりますが、さらに比例代表で友部さんが出られたわけでありまして、この順位づけにお金が動いたのではなかろうか、こういう疑惑がさらにあるわけであります。このことは本院の権威を失墜させるだけでなく、国民の政治不信を助長し選挙制度に対する信頼を揺るがすわけでありまして、我々はぜひこの疑惑ははっきりさせなきゃいかぬというのが今回の一連の証人喚問、友部氏親子は二十一日に終了いたしましたけれども、齋藤証人にも来ていただいたわけであります。  特に、齋藤証人は友部親子のいわば政治、政界のコーチだと、そういう意味で私は今回のこの一連の事件のキーパーソン、キーマンである、こういうふうに思っておりますので、まだ体調が必ずしもよくないようでございますけれども、また私事にわたることも聞かせていただきますけれども、ぜひ以上のことを御理解の上、適切な御答弁をお願いいたしたいと思います。  まず、齋藤証人の氏名については、齋藤衛さんということでございますが、衛も、もう一つ守備隊の守という字をお使いになったり、あるいは齋藤禮司さん、あるいは龍一成さん、いろんなお名前をお使いになっておりますが、なぜそういうふうにお使い分けになっているんでしょうか。
  116. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 本名は齋藤衛です。世間一般でいうゴガク、何というか幾学、いろんなそういうふうな姓名判断に凝っているわけではありませんが、そのような旨で名前を使い分けた時期がございます。
  117. 片山虎之助

    片山虎之助君 こういう場合にこうだということは特にないんですね。
  118. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) ありません。
  119. 片山虎之助

    片山虎之助君 御気分でお使い分けになっていると。
  120. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) そういうことです。
  121. 片山虎之助

    片山虎之助君 御本名は齋藤衛、こういうことでございますね。  それで、これも恐縮なことになりますが、齋藤さんの平成七年及び平成八年の収入はどのくらいございましょうか、ざっと。それは何による収入でございましょうか。
  122. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) ちょっと今あれですが、平成七年の七月と八月の収入ですか。
  123. 片山虎之助

    片山虎之助君 いや、年間の収入です。
  124. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 平成七年と八年の収入が……
  125. 片山虎之助

    片山虎之助君 年間どのくらいの御収入がおありになったか。
  126. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 収入ですか。ちょっとあれですが、二、三千万ぐらいでしょうか。
  127. 片山虎之助

    片山虎之助君 二と三は大分違いますよ。
  128. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) ええ。今急に言われましても、計算をしてきているわけでございませんので、恐縮ですが二千万から三千万ぐらいの収入とだけしか申し上げることができません。
  129. 片山虎之助

    片山虎之助君 八年も同じようなあれですか。
  130. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 八年ですか、八年もそれくらいだと思います。
  131. 片山虎之助

    片山虎之助君 はい。それじゃ、証人は港区の芝浦にありますマンション、ピアシティ芝浦ハイツ一五〇号に昨年の十月ごろまでお住まいになっておられたと聞きますが、いかがでございますか。  その部屋の賃貸契約の名義人と連帯保証人はどなたでしょうか。
  132. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) ピアシティに住んでおりましたのは、ことしの一月で契約を破棄していると思います。思いますではなくて、一月までです。  連帯保証人、契約者は、私の先ほど申し上げました友人関係にある初村謙一郎氏になっていただいております。
  133. 片山虎之助

    片山虎之助君 初村謙一郎氏ですね。
  134. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) はい。
  135. 片山虎之助

    片山虎之助君 政治団体でなくて。
  136. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) いや、初村謙一郎氏、もとい、契約は初村謙一郎氏の政治団体と聞きましたが、その団体の名前で契約をしております。
  137. 片山虎之助

    片山虎之助君 団体の名前でね。
  138. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) はい。
  139. 片山虎之助

    片山虎之助君 一方、証人は千代田区平河町のマンション、ヘラクレストに事務所をお持ちだと聞いておりますが、その事務所の賃貸契約の名義人と連帯保証人はどなたでしょうか。
  140. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 契約者は吉野正三郎という方の名前で契約をしております。
  141. 片山虎之助

    片山虎之助君 連帯保証人は。
  142. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 同じくその方だと思います。
  143. 片山虎之助

    片山虎之助君 吉野さんと言われる方は顧問弁護士さんですよね、まあ後ほど出てきますけれども。  そこで、事務所というお話でございますが、開設に要した費用や家賃は幾らですか、費用、家賃。また、その事務所は何のためにおつくりになったんですか。
  144. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 補佐人とちょっと相談したいと思います。
  145. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 許します。
  146. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 家賃は三十五万円であります。
  147. 片山虎之助

    片山虎之助君 何のために事務所をお持ちになっていますか。何のために使っておられるか。
  148. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 使用目的ですか。
  149. 片山虎之助

    片山虎之助君 はい。
  150. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 使用目的は、そうですね、友部達夫氏の選挙に出るということの後援会作成云々のために使用する予定で借りたと思います。
  151. 片山虎之助

    片山虎之助君 いや、それはそうじゃなくて、初村さんの東京事務所じゃないんですか。いかがですか。
  152. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 今そのように御質問がありましたが、初村謙一郎氏の事務所ということではございません。そのときに、借りたときに名称云々がありまして、21世紀政治経済懇話会という名前をドアにつけたという、深い思慮があったわけじゃないと思っておりますが。
  153. 片山虎之助

    片山虎之助君 何かピアシティの方は初村さんから借り、ヘラクレストの方はあなたがむしろ初村さんに提供したと。バーターで、交換で、そういうお取り決めをしたんではないかと思うんですが、違うんですね、今のお話は。
  154. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) そのような事実はございません。
  155. 片山虎之助

    片山虎之助君 そうですが。それじゃ、あなたが代表をなさっておりますタクショウですか、あるいはタクセイか、両方呼び名があるそうですが、これはいつおつくりになって、どういうお仕事をしておりますか。
  156. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 今御質問にありましたタクセィではなくタクショウという名前しかございません。  設立は平成四年の九月と記憶しておりますが、その会社の目的は不動産に関する業務をやるために会社を設立いたしました。
  157. 片山虎之助

    片山虎之助君 それじゃ、例えば平成七年はどのくらいお仕事をされましたか。平成七年、八年、託正は。
  158. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 平成七年の託正の仕事としては、二千万前後か、一千五百万から二千万ぐらいありましたですか、ちょっとまだ、急なあれなんでちょっとお答えがそれくらいしかできません。
  159. 片山虎之助

    片山虎之助君 八年はどうですか。
  160. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 同じく考えてほしいです。
  161. 片山虎之助

    片山虎之助君 証人は託正の代表で、その託正のお仕事がせいぜい一千万か一千五百万で、平成七年、八年の収入が二、三千万あるというのはどういうことですか。ほかにどういう収入がおありなんでしょうか。
  162. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 私も、平成八年ですか、これは公的なところからの送金なんで調べていただければわかりますが、土地の問題で千何百万とかというお金をいただいております。そういうふうな関係上、まあ収入もそうなっているということで御理解願いたいと思います。
  163. 片山虎之助

    片山虎之助君 それは確定申告なんかもちろんされておるわけでしょうね。税務申告。
  164. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) これはまだ、税理事務所の先生とまだ相談をしていかなきゃいけないということで、まだしておりませんが、確定申告はきちっとするつもりでおります。
  165. 片山虎之助

    片山虎之助君 そこで、証人は、託正は株式会社なんですが、それ以外に、政治団体を含め他の団体の役員をされておりますか。されておれば、どういう役職で、どういうお仕事か言ってください。
  166. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 今御質問のお答えですが、そのような団体等云々の役員をしていることはございません。
  167. 片山虎之助

    片山虎之助君 証人は代表初村さんの21世紀政治経済懇話会、その東京事務所の代表だとかまたは顧問という名刺を、あるいはそういう肩書をお言いになったと、こう聞いておりますが、違いますか。
  168. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 名刺をつくって、つくったことはございますが、21世紀政治経済懇話会何々という役職の名刺は持っておらないと記憶しております。ただ、齋藤禮司と書いてあったと記憶しておりますが。
  169. 片山虎之助

    片山虎之助君 初村さんの政治団体の顧問なり東京事務所代表というお仕事はやっておられたんですか、なかったんですか。
  170. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) そのような仕事には携わっておりません。
  171. 片山虎之助

    片山虎之助君 そうですが。それじゃ、ヘラクレストも事務所ではない、友部さんの選挙事務所だと、こういう今御発言でございましたね、御答弁。それはそうですね。確認いたしますよ。
  172. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) そう解釈していただいて、そう解釈していただいて結構だと思います。
  173. 片山虎之助

    片山虎之助君 そこで、証人先ほど初村さんとの関係で、平成五年の後半にお身内の方の紹介で知り合ったと。それは滝子さんのことでしょうか。
  174. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 初村滝子さんです。
  175. 片山虎之助

    片山虎之助君 我々がお聞きしましたのは、むしろ齋藤証人が百男さんとお友達で、それで百男さんと証人のお友達の関係で滝子さんと知り合いになり、さらに滝子さんの紹介で初村さんと知り合ったと、こう聞いておりますが、事実と違いますか。
  176. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 今御質問になったお答えですが、そのような事実は一切ございません。
  177. 片山虎之助

    片山虎之助君 そうすると、百男さんとお知り合いになったのはいつごろなんでしょうか。それは後ほど詳しく質問いたしたいと思いますが。
  178. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 先ほども申し上げましたが、初めて百男氏とお会いしたのは平成六年、平成七年の三月の末か四月の初めと記憶しております。
  179. 片山虎之助

    片山虎之助君 それは初村さんの事務所ですね。
  180. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 初村氏の事務所です。
  181. 片山虎之助

    片山虎之助君 そこで、百男さんの証言をこの前いただいたんですが、彼は初村さんの事務所で齋藤さんと会った、最初に会ったと。その最初から、大変恐縮なんですが百男さんの証言どおり言いますと、齋藤氏に疑念を持ち、初村氏に齋藤氏を外すように要請したと、こういう証言をいたしておりますが、最初にお会いになったとき何かございましたか。
  182. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 友部百男氏がどのようなことを言っているのかわかりませんが、そのようなことはないと私は思っております。
  183. 片山虎之助

    片山虎之助君 証人が懇意にしておられる国会議員または国会議員経験者は何人おられて、お名前を教えていただきたい。
  184. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) ただいまの御質問ですが、私は、国会議員の先生並びに国会をやめた方の懇意にしているということは私はございません。
  185. 片山虎之助

    片山虎之助君 お話をされたとか、面識があると言われる方もおりませんか。お話をしたとか、顔見知りである、面識があると。おられませんか。
  186. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) その今の質問の内容ですが、あいさつ、会ってあいさつという程度、あいさつというか、初めて会ってあいさつというのは二人ほどおりますが。
  187. 片山虎之助

    片山虎之助君 二人ですか。
  188. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) はい。
  189. 片山虎之助

    片山虎之助君 どなたですか。
  190. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 友部達夫氏の決起大会のときに、細川先生と海部先生がいらっしゃったときに、御苦労さまですという程度のことでございます。
  191. 片山虎之助

    片山虎之助君 百男さんは証言で、齋藤証人は日本を動かす最有力議員十七人を知っていると、それを齋藤証人が大久保秘書に、今やめておりますけれども、大久保秘書に言い、具体的な名前を挙げたと。具体的な名前を齋藤証人が大久保氏に挙げられたと、それを自分は聞いたと、そういうことで相当偉い方の名前を十七人ずらずらとお並べになったわけでありますけれども、いかがですか。
  192. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 友部百男氏がそのようなことをおっしゃったということは私も報道関係で見ましたが、そのような事実もなければ、そのようなことを伝達したこともございません。私はそれほどそういうふうな人間じゃございませんし、また迷惑しております。
  193. 片山虎之助

    片山虎之助君 大久保さんに言ったこともないんですね。いかがですか。
  194. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) ございません。
  195. 片山虎之助

    片山虎之助君 そのうちの、十七人のうちの六、七人と百男氏は会ったことがあると証言したわけですが、その六、七人と百男氏が会ったことについて、証人は中に入られたとか紹介したとか、そういうことはいかがでございましょう。
  196. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 今の御質問なんですが、そのような事実はございません。また、紹介したり、会ったことも、中に入ったこともございません。
  197. 片山虎之助

    片山虎之助君 百男さんが政治家と会うところにお立ち会いになったり、それを目撃されたことはありませんか。
  198. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 今の御質問なんですが、百男氏、細川元総理と百男氏の写真撮影ですか、そのときにお会いしているのを見たことがございますし、その場面に、中にはおりませんが、そのときのことは見ております。
  199. 片山虎之助

    片山虎之助君 我々は、齋藤証人が大変初村謙一郎さんと御懇意だ、交際があったと、こう考えておりましたが、先ほどのお話で、一年半ほどのつき合いで、友人関係に近い関係と、こういう大変難しい微妙な言い回しをされましたが、もう少し詳しくお話しください。
  200. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 今、先生がおっしゃいました一年半じゃございません。一年未満です。先ほど私が言ったのは、一年未満とおっしゃったと思います。
  201. 片山虎之助

    片山虎之助君 一年半じゃなくて一年半ぐらい。
  202. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 済みません。  それで、その友人関係関係ということは、期間も、知り合いまして一年の期間、一年未満の期間ですから、そのような深いことはないということで私はおっしゃったつもりですが。
  203. 片山虎之助

    片山虎之助君 証人は、初村さんと、物を贈ったりお金を贈ったり、貸したり借りたり贈られたり、そういうことは一切ございませんか。
  204. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) お金の貸し借り、お金のやりとりはございません。ただ、お土産で菓子等は持っていったことはございますが。
  205. 片山虎之助

    片山虎之助君 この件はなお後で質問させていただくことにしまして、証人は、友部参議院議員の選挙を手伝った、またはいろんな政治や政界への水先案内人というんでしょうか、さらに格高く言えば参謀長だと、こういうふうに言われておりますけれども、それはいかがですか。
  206. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 今の御質問なんですが、そのように言われておりますが、そういうふうな事実はないと自分で思っております。
  207. 片山虎之助

    片山虎之助君 それじゃ、友部さんが今回参議院選挙に出、参議院議員になるについて一切関与されていないわけですか。
  208. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 選挙に出ることには一切関与していないです。
  209. 片山虎之助

    片山虎之助君 どういう意味でしょうか。
  210. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 質問内容、大変失礼しました。ちょっともう一度先生、今質問、申しわけございません。
  211. 片山虎之助

    片山虎之助君 選挙に出ること、友部さんが選挙に出ること、比例で議員になられることについて、何らの関与、かかわり合い、一切ありませんか。
  212. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 一切ございません。
  213. 片山虎之助

    片山虎之助君 これも後ほど聞きますが、その選挙の準備や選挙運動、ポスター云々も一切ありませんか。  よく考えて言っていただかないと、ついうっかり答弁していただきますと、後、証言法審査で場合によっては偽証罪その他のややこしいことにもなりますので、ぜひよく慎重にお答えいただきたい。
  214. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 補佐人と相談させてください。
  215. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 許します。
  216. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 今質問の内容ですが、具体的に今ポスターの件とかいろんな、具体的にどのような質問かちょっと理解ができなかったものですから、申しわけありません。選挙の、かかわっていないかという質問に対しまして、ポスター、今、先生が質問になりましたポスターですね、ポスターの色がどうのとかこうのとかという話は談話の中で、友部氏と大久保氏かと思いますが、そんな話はあったと思います。
  217. 片山虎之助

    片山虎之助君 それは頼まれたのではなくて、お互いの雑談か何かの中でそういう話があった、そういうことですか。
  218. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 頼まれた、ポスターの云々で頼まれたことはありません。雑談的にこの色がどう、この色がどうという話があったと思います。私はそのような権限はございませんので。
  219. 片山虎之助

    片山虎之助君 再度確認のために聞きます。  選挙に出るについて、選挙というのはもういろんなことをやらにゃいかぬのですね、御承知のように。そういういろんな準備、運動のためのいろんな行為、そういうことにも一切タッチしていないと。さらに、比例でお出になるわけですから、比例のためのいろんなこれまた工作というんでしょうか、いろんなことがある、行為がある、そのことについても全くノータッチだと。自分は雑談はしたことはある、一切かかわっていない、友部さんの選挙運動にも政界工作にも、いわんや比例の順位づけにも一切関与していないと。いかがですか。そう言われるわけですか。
  220. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 補佐人と相談いたしたいと思います。
  221. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 許します。
  222. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 今の御質問の中にありました、全く選挙に携わっていないのかという御質問ですが、私が依頼というか、要するに頼まれたことは、後援会の、後援会をつくるときに、後援会をつくるための要するに応援をしてほしいと、それから友部達夫の後援会名簿ですね、後援会名簿をつくる、作成をしてほしいということぐらいだと私は思っております。
  223. 片山虎之助

    片山虎之助君 それじゃ、一応それはお聞きしておきます。  そこで、百男氏の証言によれば、あなたに政界工作を頼んで金品など何度も数え切れないぐらいのものを取られた、それから資金についてもいろいろ幾らどうするということの協議もしたと、こういう証言をしておるわけでありますが、これは否定されますか。
  224. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 補佐人と相談させていただきたいと思います。
  225. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 許します。
  226. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 今の質問に対しまして、自分の刑事責任に関する事柄だと思いますので、証言することを、恐縮ですが控えさせていただきたいと思います。
  227. 片山虎之助

    片山虎之助君 まだ刑事責任云々にはなっていないんですが、そう言われるならよろしゅうございましょう。  そこで、報道等によると、あなたはこの件で三億五千万をオレンジ共済側から受け取ったと。それも現金と小切手だと。その場合、現金と小切手の額がいろんな説があるのであれなんですが、そのうち二億五千万を自分で使って、ポスター制作など選挙準備に、残りを政治家に渡したと、こう報道されておりますけれども、事実でしょうか。
  228. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 甚だ恐縮なんですが、ただいまの質問もですが、自分の刑事責任に関する事柄ですゆえ証言を控えさせていただきたいと思います。
  229. 片山虎之助

    片山虎之助君 それと同じように、証人は報道陣の取材に対して二億円ほどは受け取ったんだとお答えになったと報道されましたが、そういう事実はありますか。マスコミさんの取材に二億円ほどは受け取ったと、こういうお答えをされたということが報道されておりますが、いかがですか。
  230. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 報道関係には私は一切お会いしていないし、そのような事実はございません。報道関係に対する事実はございません。
  231. 片山虎之助

    片山虎之助君 そこで、友部達夫さんは証言で、自分は新進党の候補のコンテストに大変いい成績で十三位になったんだと、成績がよくてと、こう言われたわけであります。一方、百男氏は、このコンテストの筆記試験の問題と答えを事前に入手できたんだと、こういう証言をいたしておりますが、あなたはこれを御存じでしょうか。いかがですか。
  232. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) そのような、ただいまの御質問ですが、そのようなことは知る由もなく、全く知る由ございません。
  233. 片山虎之助

    片山虎之助君 それでは、証人は友部さん以外の候補者の選挙運動を手伝われたことがありますか、ありませんか。
  234. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 補佐人とちょっと相談させてもらいます。
  235. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 許します。
  236. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 十分まあ定かじゃ、そのようなことはないと思います。直接そういうふうなことはないと思いますが。
  237. 片山虎之助

    片山虎之助君 思いますがでは困るんですがね。  平成七年の七月一日に長崎県の諌早市の文化会館で新進党の総決起大会があった。それに出席したという報道がありますが、いかがですか。  また、そのときに、証人が手配をして、名前を言いませんが有名女優を派遣したと言われておりますが、いかがですか。
  238. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 今の質問ですが、長崎に行ったこともございます。
  239. 片山虎之助

    片山虎之助君 いやいや、今の決起大会に行かれたんですか。
  240. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) はい、行きました。
  241. 片山虎之助

    片山虎之助君 有名女優はいかがですか。有名女優を応援に手配されたという事実はありますか、証人が。
  242. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) ちょっと補佐人と相談させてもらいます。済みません。(発言する者あり)
  243. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 御静粛に願います。
  244. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 有名女優ということですけれども、もちろん一緒に行っています、その会場に行っておりますから。
  245. 片山虎之助

    片山虎之助君 あなたがお世話をされましたか。
  246. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) はい。世話をしました。
  247. 片山虎之助

    片山虎之助君 はい、結構です。  同じく、そこでお世話をされたならば、それにお金がかかりましたか。どう調達されたかを御説明いただきたいと思います。  時間の関係で少し一緒にやりますが、同じく新進党の兵庫県の石井候補の応援のためにこれまた有名女優を派遣したことがありますか。あるとすれば、それに要した費用は幾らで、どうやって調達されましたか。
  248. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 派遣したことはあります。
  249. 片山虎之助

    片山虎之助君 お金は。
  250. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) その件につきましては、自分の刑事責任に関連する事柄ですゆえ、証言することを恐縮ですが控えさせていただきたいと思います。
  251. 片山虎之助

    片山虎之助君 委員長、刑事責任云々は、やっぱり具体的な根拠を示して拒否していただかないと、何でもそれで拒否だということは困ると思いますね。
  252. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 補佐人と相談します。
  253. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 許します。
  254. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) ただいまの質問に対するお答えですが、このような答えで満足、もちろん満足いかないと思いますけれども、やはり自分の刑事責任の云々ということで、大変恐縮ではございますが証言を控えさせていただきたいと思います。
  255. 片山虎之助

    片山虎之助君 それでは、証人平成七年の四月または七月に長崎に行ったことがありますか。
  256. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 四月二十一日ですね。
  257. 片山虎之助

    片山虎之助君 はい。
  258. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 行ってないと思います。
  259. 片山虎之助

    片山虎之助君 七月六日はいかがですか。
  260. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 記憶は定かじゃないですが、その期日がちょっと覚えないんですが、行っている、長崎に行ったことがありますので、その日付かどうかはちょっと今自分でも即答できかねますが。
  261. 片山虎之助

    片山虎之助君 四月二十一日は行かない、七月六日は行ったかもしれない、わからないと、こういう御趣旨ですね、今の御答弁は。
  262. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) まあそのようにおっしゃられると答えがちょっと戸惑いますが、何といいましょうか、七月、まあ自分、今自分なりの直観的、反射的に物申しましたが、先ほど言ったように四月は私は行ってないという記憶がございます。それと、六月の……
  263. 片山虎之助

    片山虎之助君 七月、七月の六日。
  264. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 七月の六日ということは、その日かどうかはわかりませんが、行ったか行かないかちょっとわかりませんが、大変申しわけありませんが、行ったということであれば行っていると思いますが、日にちのあれはわかりません。
  265. 片山虎之助

    片山虎之助君 ちょっとあいまいなんですがね、あなたの言われることは。四月二十一日も七月六日も、あなたは、あなたの知り合いというか、石川和生さんでしょう、あなたのところの不動産部長の、お二人で諌早市内の初村元代議士宅を訪れてそれぞれ一千万を渡したと、こういう話を聞いておりますけれども、今のお話だといずれもあいまいだと、こういうことですか。
  266. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 私は、石川和生と、今の四月ですか、六月、七月ですか、行った覚えはございません。
  267. 片山虎之助

    片山虎之助君 そうですが。石川さんでないほかの方と行かれた、それはあいまいだと、こういうことですね。
  268. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) いや……
  269. 片山虎之助

    片山虎之助君 菊地さんですかそれじゃ、石川さんでなければ。
  270. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) うちの、私の手伝いをしている菊地……
  271. 片山虎之助

    片山虎之助君 さんと行かれた。
  272. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 行かれたと思います。行かれました。
  273. 片山虎之助

    片山虎之助君 行きましたか。
  274. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) はい、行きました。
  275. 片山虎之助

    片山虎之助君 あなたと一緒に。
  276. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 行きました。
  277. 片山虎之助

    片山虎之助君 今のお話だと、四月二十一日も七月六日もあいまいだというお話だったですけれどもね。
  278. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 私は今、日にちのことを言われましたので、すぐには直観的に、何年前のことですからわかりかねます。ただ行った人間は私自身、石川、それから菊地という者を同伴したことはあります。石川はうちの部長でもなければ何でもありませんから、それだけはちょっと。
  279. 片山虎之助

    片山虎之助君 だから、行かれたんですね。
  280. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 行かれました。行きました。
  281. 片山虎之助

    片山虎之助君 二回とも。
  282. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 二回とも行ったと、行きました。ただ日にちの、先ほど日にちが四月と七月ですか、四月だったと思いますが、そのときだれと行ったということの記憶は、今ここで行ったということで、あある川か菊地だなと。それで、そう了解していただければ結構です。
  283. 片山虎之助

    片山虎之助君 四月二十一日はあなたはサイトウレイジ氏名でJAL一八五便の切符をとっているんですよ。それから、同じく七月六日はサイトウレイジ氏名で、これは帰りの方ですけれども、JAS便の三六六便にお乗りになっているんですよ。  だから、行かれたということですね。長崎に行って、諌早で初村氏のお宅まで行ったと、それはお認めになりますね。
  284. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) それは何月の。
  285. 片山虎之助

    片山虎之助君 だから四月二十一日と七月六日です。
  286. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 大変恐縮ですが、四月二十一日に私は行っておりません。サイトウレイジでとったかとらないかは、私はそういうふうな覚えはございませんし、四月二十一日長崎に行っていることは私はないと記憶しておりますが。
  287. 片山虎之助

    片山虎之助君 今さっきの証言と違いますよ。――時間がないので、済みません、さらにほかの人がいろいろ解明されると思います。  そこで、財団法人の話なんですが、あなたは、平成三年三月四日、ホテルオークラのスイートルーム、あなたがおとりになった部屋で、吉野弁護士、初村さん、あなた、新渡氏、百男氏で財団設立について打ち合わせが行われたということですが、事実ですか。
  288. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 今先生何月と、平成……
  289. 片山虎之助

    片山虎之助君 三月四日です。平成七年の三月四日、ホテルオークラです。あなたの部屋で、あなたがお借りになっている部屋で。いかがですか。
  290. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 吉野弁護士と私と友部と大久保氏ですか、それと会った事実はあります。
  291. 片山虎之助

    片山虎之助君 事実はありますね。
  292. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) はい。
  293. 片山虎之助

    片山虎之助君 そこで四月十二日に、同じホテルオークラで、財団法人設立に関してオレンジ共済側と顧問弁護士吉野さんの方で業務委託契約を取り交わしてオレンジ共済側が五千万を支払ったと、こういう事実はありますか。
  294. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 恐縮ですが、刑事責任に関連する事柄だと自分では思いますので、証言することを控えさせていただきます。
  295. 片山虎之助

    片山虎之助君 いや、業務委託契約だから、それは正当な契約を結んで報酬を受けたということでいかがですか、諸経費は。それはお認めになっても刑事事件にかかわらないと思いますよ。
  296. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 私はそういうふうな契約の内容を聞いておりません。
  297. 片山虎之助

    片山虎之助君 それじゃ、その場におられて契約を結ばれたことはお認めになるわけですね。
  298. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 契約を結ばれたのは私は見ておりません。聞いておりません。同席してその部屋にいたということはありますが、そのような内容等の、何ですか、その契約とか云々というのは私は聞いてもいないし、見てもおりません。
  299. 片山虎之助

    片山虎之助君 同じ部屋におられたわけでしょう。全然それはわからなかったですか。
  300. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 今申し上げたとおり、私はその内容を聞いてもいないし、見てもおりません。
  301. 片山虎之助

    片山虎之助君 そこで五千万をオレンジ共済が払ったわけですが、そのうち二千万をあなたがお取りになって、一千五百万を初村元代議士が、残りを顧問弁護士が受け取ったと言われておりますけれども、それも御存じないですか。
  302. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) この件に対しても、恐縮ですけれども、刑事責任に関連する事柄と私自身思いますので、証言を控えさせていただきます。
  303. 片山虎之助

    片山虎之助君 それはなかなか、そういうことでは大変困りますけれども、時間のあれがあります。  その財団の理事となるべき者の名前に小沢、鳩山、初村氏の名前があり、評議員となるべき者に文部省厚生省の元次官の名前があり、北の湖親方の名前があったそうですが、御存じないですか。
  304. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) それは後でパンフレット等を見たことがありますので……
  305. 片山虎之助

    片山虎之助君 その場ではお知りにならなかった。
  306. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) ちょっと今の質問……
  307. 片山虎之助

    片山虎之助君 その場ではそういうことは御存じにならなかったですかと言っている、四月十二日。
  308. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 今おっしゃいましたように、そのようなことはございません。ありませんでした。
  309. 片山虎之助

    片山虎之助君 証人は、平成七年の十二月に、友部百男氏と仲たがいをされた後に、財団設立の妨害工作を文部省への匿名電話でされたと、あなたの代理が。名前はわかっておりますが、言いません。そういう事実がありますか。
  310. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) そのようなことはないと記憶しております。
  311. 片山虎之助

    片山虎之助君 あなたが友部百男氏と最後に会ったのはどこですか。
  312. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 期日は定かじゃございませんが、港区の桜庵というところで会いました。
  313. 片山虎之助

    片山虎之助君 その前に、平成七年の九月十九日に議員会館で、もうあなたは議員会館に来るなと、こういうことを百男氏から言われたと。百男氏は、証人のいろいろなことに疑いを持って、とにかく議員会館に出入りしないでくれと、こういうことを言ったといいますが、そうですが。
  314. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 九月十九日のことなんですが、そのようなことが、それらしいことはあり、私が出ました、議員会館を出ましたが、それくらいの記憶しか残っておりません。
  315. 片山虎之助

    片山虎之助君 あなたが友部氏の第一秘書になる予定だったのに、その結果、大久保氏が第一秘書になったと、こう聞いておりますが、違いますか。
  316. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 今の御質問に対してですが、私が何ゆえ第一秘書になるのかわかりませんが、そのようなことは一切ございません。  大久保秘書は、第一秘書じゃなくて第二秘書だったと思いますが。
  317. 片山虎之助

    片山虎之助君 最初は第二秘書なんですよ。それが九月二十五日に、あなたが百男さんと別れた九月十九日以降の九月二十五日に第一秘書に昇格しているんですよ。  そこで、平成七年の秋に銀座にある某高級クラブ、ヨーロッパの国名が店名になっておりますけれども、そこに行ったことがありますか、百男氏と一緒に。
  318. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) それは時期的にいつごろのことですか。
  319. 片山虎之助

    片山虎之助君 平成七年の秋です。平成七年の十一月です。
  320. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) 行ったことがあると思います。
  321. 片山虎之助

    片山虎之助君 そのクラブで百男さんとけんかまたは口論になったことがありますか、そのクラブで。
  322. 齋藤衛

    証人齋藤衛君) その時期、ちょっと記憶に、その時期のあれはちょっと薄れております。申しわけありません。
  323. 片山虎之助

    片山虎之助君 時間が来ましたので、残念ながらこれで終わりますが、今の刑事事件云々で肝心のところが明らかにされなかったことはまことに私は遺憾に思います。  証言については精査させていただきます。御協力については感謝いたします。  終わります。
  324. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 速記をとめてください。    〔午後二時十二分速記中止〕    〔午後二時二十九分速記開始〕
  325. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 速記を起こしてください。  暫時休憩いたします。    午後二時二十九分休憩      ―――――・―――――    午後五時三十六分開会
  326. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  十四時二十九分、齋藤証人に対する証人尋問は休憩に入りましたが、その後、齋藤証人の体調が思わしくなく、安定的な尋問の続行が不可能と判断いたしましたので、本日の尋問は中断することにいたしました。齋藤衛君に対する証人喚問は、改めて日時を決定した上で行うことを理事会決定いたしました。     ―――――――――――――
  327. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 平成九年度一般会計予算平成九年度特別会計予算平成九年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、午前に引き続き質疑を行います。浜四津敏子君。
  328. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 それでは、教育における官民格差解消について伺いたいと思います。  まず初めに、小杉文部大臣は御専門の環境教育を初めとしまして、平和教育あるいはボランティア教育、人権教育などに前向きに取り組んでおられるというふうに認識しております。これまでの知識偏重教育から人間教育を目指しての文教政策の取り組みの抱負と御見解をお伺いしたいと思います。
  329. 小杉隆

    国務大臣(小杉隆君) 去る一月末に、総理の指示に基づきまして教育改革プログラムを提出したところであります。  この教育改革のプログラムにおきましては大きく二つの視点に立っておりまして、一つは新時代にふさわしい人材の育成ということと、もう一つは豊かな人間性の育成、つまり、今御指摘のように、戦後の教育は知育にやや偏り過ぎていたというところをもう少し人間形成という面も重視していきたいということから、今お並べになりました環境教育を初め、人権の問題、ボランティア活動その他も含めた教育をやっていきたい、こう考えております。
  330. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 ところで、私学助成は、憲法二十六条が当然に要請し、また憲法八十九条の解釈上も国の責任として認められるものと考えております。したがいまして、本来官民格差があってはならないと考えますが、これは大臣あるいは文部省、御見解をお聞かせください。
  331. 雨宮忠

    政府委員(雨宮忠君) 私立学校に対する助成ということに関しましては憲法八十九条との関係論議されておったわけでございますが、これにつきましては、学校教育法、私立学校法あるいは私立学校振興助成法によりまして各種の監督規定が設けられているということでございまして、憲法八十九条に言っております公の支配に属しているものと解釈いたしております。したがって、現在私立学校に対しましてさまざまな助成措置を講じておるわけでございますが、それらにつきましては憲法上問題はないというように考えておるところでございます。
  332. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 教育に官民格差があることはやはり憲法の精神に反すると考えます。ぜひとも官民格差解消に御努力いただきたいと思います。  先日、東京地区の私立大学教職員組合連合が一九九六年度の私立大学新入生の家計負担調査の結果を発表いたしました。それによりますと、入学時費用の負担が「大変重い」また「重い」を合わせまして約九割に上りました。子供の教育費が父母に大変重い負担になっているというのは望ましい姿とは思えません。その調査の中で、父母の声として、授業料への直接助成制度が必要という声が八割強に達しております。  この父母の負担を直接的に軽減する授業料への直接助成制度の創設を提案し、検討をお願いしたいと思いますが、大蔵大臣、いかがでしょうか。
  333. 小杉隆

    国務大臣(小杉隆君) 確かに、公私格差があることは厳然たる事実でありまして、文部省としても財政当局と毎年激しい攻防を繰り広げながら私学助成に全力を注いでいるところであります。  今指摘されましたように、私どもは年々、公私格差の是正に努めているところでありますが、今例えば初年度に納める学納金、授業料とか施設費とか入学金とか、そういうすべてをひっくるめた学納金で比較いたしますと、大学では一対一・七、そして高校段階では一対五・七という格差があることはまことに残念なことであります。  そのためにいろいろ私学助成、これも平成九年度では、一般の文教予算が一・一%の伸びであるのに対しまして、文部省の私学助成は三千九百二十九億円、四・四%増。それから、育英事業、これにつきましても前年度より六・一%増の二千五百三十八億円。そのほか幼稚園就励費百三十七億円というふうに、ほかの文部省予算よりも大幅に増額をした私学助成をやっているわけでありまして、今直ちに授業料の直接補助ということは、財政状況等を考えましても不可能な状況にあります。私どもは、今申し上げたさまざまな施策を通じて公私の経済負担の格差をなくしていくと、こういう努力を続けたいと思っております。
  334. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 それでは、教育減税について伺います。  平成九年度の特定扶養親族に係る割り増し控除の額は幾らでしょうか。
  335. 薄井信明

    政府委員(薄井信明君) 十五万円でございます。
  336. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 これはたしか三年間据え置きだったと思いますが、この控除額を上げることによって父母の負担を軽減することができます。これについても、控除額の増額で父母の教育費負担軽減に力をかしていただきたいと思いますけれども、これは大蔵大臣の御見解を伺いたいと思います。
  337. 薄井信明

    政府委員(薄井信明君) 平成六年の税制改革によりまして、それまでの金額を三万円引き上げまして、三年間じゃなくて今後ともずっとこれが措置されるということでございます。  それと、所得税の負担は低所得者層からずっと上に向けてなだらかに計算してありまして、諸外国と比べますと教育費がかかる層の方々の負担はかなり低くなっているという認識でおります。
  338. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 それでは最後に、教育減税の仕組みですが、これを年齢層を拡大しますと子育て減税を実現することができます。少子化社会への取り組みといたしまして、地方自治体でも財政が大変な中で取り組んでいるところです。これをゼロ歳から六歳未満の子育て世代、経済的に大変な世代にまで拡大する子育て支援策を国としてもぜひ実現、前向きに取り組んでいただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  339. 薄井信明

    政府委員(薄井信明君) 子育て世代の年収がどのくらいかということは難しいところですが、例えば三十歳前後の方々で、夫婦子一人の世帯の方のケースで、年収が四百万円程度でありますと、負担は国、地方合わせて今十四万円なんですね。かなり低くなっておりまして、さっき申し上げましたが、例えばアメリカでしたら四十万円以上の税金になっております。  そういう意味で、もともと所得税負担がその層には低くなっているということと、それと低所得でお子さん、赤ちゃんがいらっしゃる方の場合に、児童手当が出ますですね。そんなことを総合的にお考えいただく問題かと思っております。
  340. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 終わります。  ありがとうございました。
  341. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 以上で浜四津敏子君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  342. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 次に、齋藤勁君質疑を行います。齋藤勁君
  343. 齋藤勁

    齋藤勁君 民主党・新緑風会の齋藤でございます。よろしくお願いいたします。  沖縄問題を中心に質問させていただきたいというふうに思います。前置きはいろいろ申し上げたい点もございますけれども、限りある時間でございます。  端的に申し上げさせていただければ、昨日の総理そして大田沖縄県知事会談を踏まえまして、率直に今、緊迫したと申しましょうか、特措法の使用権原切れという中で、大変ある意味ではそういった緊張した状況があろうかというふうに思います。これまでの関係の方々の御努力に対しましては、大変それぞれ御奮闘されていることに対しましては敬意を表したいというふうに思います。  ただ、率直に申し上げまして、どなたも申し上げていることでございますが、長い沖縄の歴史を見るときに、この苦難、そして基地を取り巻くさまざまな重圧に耐え、そして払拭をしていくということについて大変な期待を、実は県、大田知事を代表に国に対し提起をしているということについて受けとめると。ここはやはり慎重かつ大胆に振興策あるいはこれからの兵力問題を含めまして我が国として進めなきゃならないというふうに思います。  そこで、冒頭、沖縄担当大臣としまして梶山官房長官に御出席いただいております。昨日の総理・大田知事会談を踏まえまして、現段階の所感、そして今後の方向についての考え方について、まず御説明いただきたいというふうに思います。
  344. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 昨日、橋本総理と大田知事の会談があったことは御案内のとおりであります。全体を貫くものは、過去の状況とは若干違いまして、大きな意味での信頼関係が崩れていないという点。それから、幾つかの了解をいたしている。例えば、五・一五メモの全面開放であるとか、あるいは劣化ウラン弾の事後処理の問題、報告、通報の問題、こういう問題では大変お互いの意見が一致をいたしております。  これから五月十五日以降、権原がなくなるような状態はどうしても避けなければならないという総理の意向。それに対してどういう措置があるかという問題でのお互いの疑惑、疑惑というか疑念、こういう問題とか、あるいは維持兵力の問題、こういう問題では残念ながら一致を見ていない。  そして、私が感じますことは、確かに、委員今お話しのように、五十有余年前の沖縄戦あるいは二十六年間に及ぶいわば占領、そういう問題のギャップをまだ埋めるに至っていないということであります。  私たちは率直に申しまして、国益、国の大きな利益と県の利益が一致をすることが望ましい姿であります。それぞれの自治体において若干の違いはあるかもしれませんが、私は、それぞれの階層においての違いはあったとしても、各都道府県、市町村、自治体との間にそう大きな国益と県益の違いはないと思いますが、残念ながら沖縄ではほかの都道府県に見られない乖離がある。このことを埋め切れていないという現実、これは大変つらい、悲しいことでありますが、現実の姿であります。  そして、きのうは、総理はやはり日本の国の代表として国益をどう守っていくかという観点と、大田知事は県民の代表としての県益をどう守るか、この点での完全な接点が残念ながらできていなかった。しかし、大きな意味での信頼感はお互いに有しながらこれからもやってまいろうという意味での維持はできた、このように理解をいたしております。
  345. 齋藤勁

    齋藤勁君 そこで、ただいま長官からも述べられました、総理からはいわゆる駐留軍用地特措法の改正について言及をされたと。1されていないんですか。これは報道に見る限り言及をされたと。そして、大田知事の方はこれについて県民の考え方と違うということ。確かに、マスコミの中ではきずなという表現は相当使っていました、きずなについては保たれていると。しかし、この改正問題につきましてはすれ違いである、真っ向からぶつかっているということでございますが、このことについての認識はいかがでしょうか。
  346. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) この問題は新聞論調その他マスコミでいろいろ取り上げられておりますが、私も実は総理に夕刻になってお話を聞いたわけであります。総理としては、あす三月二十七日の収用委員会の審理がどういう決着を得るか、極めて重大な関心を持っているという表現にとどめておりまして、その後の事項に関しては明日の結果を見てからという、直接的な表現はそれだけで済んでいるようでありますが、その後にどういうものがあるかということはお互いに口には出さないけれども、それぞれの思惑というか、それがあってのそれぞれの国益と県益の違いということにつながっているのかなという気が私はいたします。  いずれにしても、政府としては、この収用委員会のいわば裁定を一日も早くといってお待ちをいたしている立場でございますから、あすの収用委員会の結末を見ないでどうこう申し上げる立場にはないということは、総理の心境は全くそのとおりでありますし、私も同様の立場を持っております。
  347. 齋藤勁

    齋藤勁君 そこで、本日、我が民主党の鳩山、菅両代表名によりまして、橋本総理大臣あてに「沖縄米軍用地の緊急使用の申立に関する申し入れ」をさせていただきました。これは短い文章ですから読み上げさせていただきます。   政府は、五月十四日に使用期限切れとなる嘉手納飛行場等十二施設について、駐留軍用地特別措置法及び土地収用法に基づき裁決を求めているところである。   民主党は、まず現行法で定められた手続きにしたがい、緊急使用の申立を行うことが政府としてとるべき措置であると考え、左記のとおり申し入れる。   政府は、駐留軍用地特別措置法及び土地収用法に基づいて、五月十四日に使用期限切れとなる嘉手納飛行場等十二施設について、沖縄県土地収用委員会に対して、緊急使用の申立をただちに行うこと。 私自身は、申し入れをするということについての経緯、そして申し入れをしたということについては存じ上げていますが、立ち会っておりませんので、長官あるいは関係者の方が立ち会っていれば、これについてのやりとり。  そしてもう一つ、あわせて、今日まで、さまざまな方法をもってこの土地問題、基地問題について対応すべきだということになりますと、どうも今、昨日の大田知事会談でも改正については言及をされていないと言いつつも、出てくる言葉としてはやはり改正問題であり、この緊急使用の申し立てについて検討してきた経緯はあるにせよ、それを本当に実行するかということについて大変取り組みとしては私は薄かったのではないかという率直なことを実は申さざるを得ません。これについての経緯も含めまして、お尋ねさせていただきたいと思います。
  348. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) きょうの午後三時半に菅代表と仙谷さんともうお一方、官邸に参られまして、私が総理の代理としてその申し入れ書をちょうだいいたしました。今お読みになったような文書で、簡単な文章でありますから私もよく覚えておりますし、夕刻総理にその話をお伝えいたしました。  総理も、まだあすの二十七日に裁決が出ることを我々は渇望しながら今日まで参っているわけでありますから、その結果を見ないでどうこう申し上げる立場にはない、こういう話を私からは申し上げておきました。
  349. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 今、委員おっしゃられました緊急使用の申し立てにつきましては、私は率直に旨いまして防衛庁の中でもいろいろ議論いたしました。しかしながら、収用委員会が今回非常に粛々と静粛に進行しておりまして、緊急使用を出すようなそういう雰囲気でなくて、もう二回目の公開審理のときに裁決がもらえるような雰囲気になりはせぬかというふうなことも実は途中でございました。  一回目が終わって二回目を、三月二十七日になったときに少々がっかりはしましたけれども、二回目も公開審理だということでそういうことになりましたが、そのときでもまだその直後に裁決があるんじゃないかという、そういう期待を持っておったわけでございます。そうしますと、その過程においてせっかく粛々といっている本裁決をやめていただいて緊急使用の裁定の方に全力を挙げてもらうという、これはなかなかやりにくいわけでございます。そういうような状況の中で、緊急使用を申し出るような雰囲気でなかったということもぜひ御理解しておいていただきたい。決して全く法を無視してやらなかったわけじゃなくて、非常に針の穴を通すような厳しい状況でございました。  しかも、あのような形で公告縦覧の手続をしていただいたので、委員の方々もかなり積極的に今回は取り組んでいただいているので、本裁決が三月の月末あるいは遅くても四月の上旬にはいただけるんじゃないかというような、そういう気持ちでカレンダーをめくっておったのも事実でございますので、どうぞ御理解いただきたいと思います。
  350. 齋藤勁

    齋藤勁君 ただいまのお二方の御答弁を聞いていまして、明日は第三回公開審理があるわけですけれども、その時点で協議をして、この緊急使用の申し立てをするということについての選択肢は政府自身持っていると。経緯については、久間防衛庁長官、わかりました。今のそのことにしても、明日の時点で緊急使用申し立てについて行うということも当然検討の視野に入っているということですか。
  351. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 実は、こういう法律がつくられます場合に、例えば本裁決がいろんな事情で混乱するとか、そういう場合に緊急使用の申し立てをしたならば、それによって緊急使用だけでも許可をしてもらってさっとその期間を埋めるというような法律が一応つくられておるわけでございます。ところが、そういう裁決が行われて、その報告が本人さんに届いて、それで本人さんがそれを受け取ってすぐ直ちに緊急使用が始まるというのが大体普通の法的手続でございます。  しかしながら、今度みたいに約三千人の方々がとにかく受け取りを拒否される、従来の例からいって拒否される。そして、その通知が届いたぐらいの一定期間を、一週間なら一週間を予定して、その後に公示送達という形でそれをやらなければならない。その後に、しかも補償金を払う場合にまた供託の制度でやらなければならない。そういうふうに、いわゆる遵法かもしれませんけれども、最高度にそういう法律を利用して反対運動をされましたならば、そういうような緊急使用の場合も本裁決も全く同じように一・五カ月ぐらいの、いや一カ月ぐらいの日時を要するわけでございます。  ここのところが法の建前と現実とのずれがございまして、あしたなら構いませんけれども、もう少し、例えばあした以降になりますと、そういう形でのやりとりをやりますと五月十四日までに緊急使用の裁決が本当にとれるかという心配があるわけでございます。  しかも、緊急使用をあした終わってあさってに出したとしても、最低限やはり一週間ぐらいの期間内で裁決をしてもらわなければならないわけでございます。ところが、現実には三千人の方がおられまして、そういう方々について、緊急使用をするについてのまた申し立てをするんだ、こうだということで会場を探して公開審理をやられますと、一週間でやることが実際物理的に不可能じゃないかと、そういう状況になっておりますので、なかなか現実問題として緊急使用の方法をとることは、法の建前としてはありますけれども、現実問題として五月十四日までに権原が無権原にならない状態を避けることができるかといいますと、そういう方法をとっても非常に難しいという、そういう現実をぜひ御理解していただきたいと思うわけでございます。
  352. 齋藤勁

    齋藤勁君 先ほど見解に対して、そもそも現行法で認められている権利を行使していく、そしてぎりぎりまで誠意を尽くしていくということが私は今我が政府のとるべき道だというふうに思うからこそ実は指摘させていただいているわけです。  特に、九六年三月二十九日以来、緊急使用申し立ての法律的要件というのはあったんではないかというふうに私は思います。ですから、その権利行使を今まで行わなかったということ自体が政府の誠意ある姿勢でなかったわけで、私はあえて言わせていただければ怠慢に等しいんではないかというふうに実は言葉を強く言わざるを得ません。  申し立てが許可されても、処理送達にかかる日数を考えれば使用権原を得ることはいろいろ難しいというふうにあるんですが、そういうことに至らせないという努力が実は必要であるわけで、残されている土地収用法施行に基づく事務手続の問題で私は法律上重大な問題の生じることは考えにくいというふうに判断をいたします。  三千名であるからというふうにありますが、人数が多いからそれだけ実際に日数がかかるというのはまた違う話であって、私はクリアできる、可能な限りぎりぎりまで誠意を尽くしていく、現行法の中で。ということが沖縄の県民の方々に対して私はとるべき道であるというふうに再度実は申し入れをさせていただきます。御答弁ですと、もう改正しかないと聞こえざるを得ないというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  353. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 緊急使用については非常に難しい状況にあるということはひとつぜひ御理解をいただきたいと思います。  しかし、そういう意味でも、緊急使用でなくて本裁決をあしたの公開審理で見させていただいて、そこでできますならば、それから間断なく裁決が得られたいと、そういうような気持ちでおることについては今も同じような心境でございます。
  354. 齋藤勁

    齋藤勁君 私はこのことでまだお話ししたい部分があるんですが、他の項目についてもございますので、緊急使用の申し立てを行うべきだということについて指摘をさせていただきまして、次の質問項目に移らせていただきます。  いわゆる沖縄振興策なんですけれども、これは言ってみれば沖縄県の方の、これまで第一次、第二次、第三次、ちょうど中間になりますけれども、トータルで五兆円ほどの予算を投じているというふうに思います。しかし、全国の雇用者の失業率の平均からも非常に下がっているということで、なかなか深刻な状況だと。  いわゆる一国二制度問題というのが出て、ノービザ制度、さまざまな問題が出てくると思うのでございますが、一国二制度というのに踏み切るかどうかということが、実は大きなこれまでの政府のとってきた施策、そしてさらに沖縄振興ということを真剣に考えるならば、ここをどうしてもクリアしていかなければならない大きな問題ではないかと思うんです。これもたびたび予算委員会でずっと出ておりますが、あえてこの段階で政府見解を伺いたいというふうに思います。
  355. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 残念ながら、政府見解を申されますと、私は政府見解をこの点で直ちに述べるだけの資格を持っておりません。ということは、閣議の了解や閣議の決定をいたしておりません。ですから、今まで求められてお話を申し上げておることは、政治家梶山ないしは国務大臣の一つの私見として申し上げているということであれば、お許しをいただいて若干のお話を申し上げたいと思いますが、委員今お話しのとおり、沖縄振興については累次の計画を持ちながらやっておりますが、結果としてなかなか本土並みということに至っていないこともまた現実であります。  そしてこの一年、この沖縄振興に今までのおくれをどうやったら取り戻せるかということで、国と県挙げてのいわば八十八項目を拾い出し、今三十数項目にそれを集約し、もう一つは、きょう最終の会合を開きましたけれども、沖縄の基地所在の市町村のいわば振興策についていわゆる島田懇談会をつくりまして、私の私的諮問機関でありますが、幾つかの大変いい提案ちょうだいいたしました。知事さんもいっか私に言ってくれたんですが、これが実は信用信頼の一番の心棒になっているとすら言われている問題でありますから、この問題についても全力を奮ってやっております。  しかし、よく考えてみますと、東京から沖縄というのは日本のいわば一番遠い場所であります。しかし、この間も極論を申し上げたんですが、沖縄に米軍の基地があるというのは、今から五十数年前の沖縄戦争ないしはその後の占領状態、もろもろを考えてみて、あそこに必然的に基地が集中をしたということもあります。その後二十五年たってなおかつ有効な基地であるということは、南西に開かれたいわばアジアの拠点的な役割を果たしているという軍事的な側面と、もう一つ経済的なアメリカの戦略があるのではないかなという気が私はいたします。  そういうものをよく見定めてまいりますと、片や地方自治というのはどういうものかというと、明治以来確かに画一的な地方自治を振興することによって、地方をつくることによって日本の統一国家が完成をし強力になり得たわけでありますが、むしろこれからはそれぞれの地域の特性を生かすべきだという観点が取り上げられている、それがこれからの地方自治の本旨であります。  そういうのを考えますと、沖縄の長い三百年、五百年という歴史を見てみますと、かつてはそこがいわば南西地域に開かれた貿易立国というか、琉球王朝時代以来、交流、交易の大変盛んだった地域、今にその時代を移すことができるかできないかという問題も、それは沖縄の振興というのを考えれば当然あるべきだ。それから、若干日本の経済力が今落ち込んでおりますが、逆に言うと、東南アジアその他南西に向けた地域にいわば日本の拠点としての沖縄というものを考えることができないかどうか。それができるとするならば、東南アジアその他の国がとっているような諸制度をそこに移すことができないかどうか。  そういう特別措置的なものがやれることによって沖縄というものは本当に日本の、先端基地と言っていいかどうか、いわばある一面での南西に開かれた中心としての役割を果たすことができるはずだろうということは、それぞれの今まで沖縄に思いをかけた人たちや沖縄の方々、そういう方々が幾つかの論文にまとめてくださっているものもあります。  そういうものを私も拾い読みしながら、何とかそういうものができないかしら、これは内閣を挙げてということにはまだまだ至っておりませんが、少なくとも自分の職分をかけ、ありとあらゆる方策を講じながら、五十年の痛みというよりもむしろ次の時代に開かれた沖縄をどうやってつくるかということには、日本の国土が全部画一的な地方自治であっていいはずがない。その意味で、本当の意味で日本の将来に対して役割を果たし得るような沖縄をつくるためにどういう制度があっていいのか。それが一国二制度というほどきついものであるかどうかは別といたしまして、私はそういう地方自治があってもいいはずだという思いを込めておりますし、私自身こういうものに本当の政治の最後を傾けてみたい、こういう思いをいたして沖縄の方々とも話を詰めておる段階でありますが、なかなかきっちりした成案を持ち得ません。  ようやく今沖縄の方々も、四顧に臨んで、まずひとつ沖縄とハワイの交流をしよう、ハワイと交流をすることによって米中の関係ができるだろう、そういう安定のもとに台湾やその他のところとの交易もできるのではないのかなと。そういうもろもろの条件をかみ合わせ、全部が一挙にできるかどうかわかりませんが、お互いに知恵を出し合って、沖縄という土地をほかのところまで持っていくわけじゃないんですから、そこに制度をつくり上げて、沖縄を本当にそういう価値ある土地につくり変えることができるかどうか。  私は、このたった少ない一年でありますが、そういう問題に思いをはせながら今せっかく勉強中でございますが、なかなか政治の場にのせるほどの成熟をいたしておりません。どうか、所見の一つも御協力をちょうだいしながら、沖縄が本当の意味で南西に向けた開かれた沖縄として発展ができるように御協力を願いたいと思います。
  356. 齋藤勁

    齋藤勁君 大変長官の思いを強くした中での御答弁をいただきまして、今日の駐留軍用地特措法の手続のスケジュールとこの振興策と具体性がなかなか合っていかないという、そんな気持ちも含めていろいろあったというふうに思います。  引き続き、歴史的なといったびたび使っている言葉でございますが、長官自身の言葉も今ございましたように、短期的ではなく、むしろ中長期的に日本の中の沖縄、アジアの中の沖縄、太平洋の中の沖縄、総合的な視点に立ってぜひとも取り組んでいただきたいということを申し上げさせていただきます。長官はたしか所用があると私は聞いていますので。  池田外務大臣、よろしくお願いいたします。  過日、もうお帰りになったわけですが、外務大臣とゴア副大統領とお会いになりまして、その後総理ともお会いになりまして、これまた長い話になりますが、いずれにしろ海兵隊削減というところまで、これは私も今ここでやりとりするつもりはございませんが、日米の兵力構成の問題です。  兵力をどうしていくかということについては、当然日本は日本なりの防衛の役割をしているわけですから、対等の日米関係のパートナーとしてそれなりに話し合いをしていると思うんです。過日の会談のその後の報道につきまして、海兵隊削減についてはだめだ-だめだといいますか合意しなかったということで、お話ししているのかどうかは別にして、このことが見出しに出ました。  少なくとも軍縮という方向についてはだれしも異存はないわけでありますから、そういう土俵の中で話し合いをしていくということについて協議をし、そして海兵隊問題についても、例えば撤退なり縮小なり、アメリカの領土内における後方支援態勢とか即応態勢というんでしょうか、そういうところも当然議論していいはずだと思うんですが、してあるのかどうかということも含めまして、率直に私はあの報道を見る限りいら立ちを持っています。それは、沖縄県民の方々が思う基地の縮小ということについて、現実はなかなか、どうなっているのだろうかという気持ちも私は伝わっていくというふうに思います。  そういうことを含めまして、お話しいただきたいと思います。
  357. 池田行彦

    国務大臣(池田行彦君) ゴア副大統領との間の会談におきましては、まず私の方から、安保体制を円滑に運用していくということのためにも日本の国民理解と支持が大切なんだ。とりわけ沖縄の方々の御理解をいかにちょうだいするか。またそのためには御負担をでき得る限り軽減していくために努力する。これがいかに肝要であるかということについて、米国もよく認識し、また努力を払ってほしいということをるる申し上げました。  その上に立って、ただ現在の東アジアの微妙な情勢というものを考えますと、現在日本に駐留しております米軍の構成なり水準というものは、これは我が国の安全のためにはもとよりでございますけれども、この地域の安定要因としても大変重要である。そのことは我々日本もよくわかっている。したがって、現時点で、その削減であるとかレベルを下げるということを議論するということは適切ではない。これは日本もそう考えておる、こういうふうに申しました。  その上で、しかし、日米共同宣言にもきちんとうたってあるように、国際情勢の変化に応じて、それに最も適切に対応する防衛政策なり軍事態勢はどういうものかということについては日米間でよく協議するということになっている。これは文書だけじゃないんだ、現実にこの協議を真剣にやっていかなくちゃいけないと日本は考えているよということを申しました。  さらに申しますと、そういった協議においては、もちろん一義的には米国がこの地域の安全を守るためにコミットしている、そのコミットを果たすためにはどうすればいいかということで、いろいろ兵力構成なんかを考えるのでございましょう。しかし、だからといって、日本はそれを正確にうのみにするものではないと私は申しております。当然、日本としても、この国際情勢をどういうように判断するか、そしてそれに対してどういうふうな体制が必要かということを考え、それをまた日米間でよく協議していこうということを申し上げたわけでございます。  それに対しまして、ゴア副大統領の方も、沖縄の重要性は本当によくわかっている、米国としても沖縄に関する問題については引き続き、センシティブにと言いましたけれども、敏感に対応していくつもりであるということを言うと同時に、これからアジア、この地域の安定を増すために、日本ともよく協議をしていこうというお話がございました。  それは私のこれまでの答弁でも何度か申しましたけれども、単に国際情勢の変化を見るだけでなくて、国際情勢がより安定するように、安全保障環境が改善するように日本としてもあらゆる外交努力をしていくんだということを何度か答弁しております。そういったことと同じトーンといいますかコンテクストの中で、ゴア副大統領の方からも、この地域をより安定させるために日米が協力していこうよと、こういう話もあったわけでございますので、委員おっしゃるような、将来に向かってのいろいろな努力あるいは協議というものについてもきちんと申している次第でございます。米国もそこのところはよく理解しているところでございます。
  358. 齋藤勁

    齋藤勁君 なお、一点だけお伺いしますが、現在のところ、兵力構成に関する協議機関ですけれども、今御答弁もありましたけれども、SCCあるいはSSCということでございますが、海兵隊問題を含めましてこの協議機関ですね、このことでやっていく、そのほかに何か設置をしていこうというようなそんな意向はありますか。
  359. 池田行彦

    国務大臣(池田行彦君) 日米の間には、これまでも非常に緊密に連携をしていく、そしていろいろ協議をしていくという、そういう仕組みがいろいろございます。この安全保障の問題につきましても、もとより首脳間の対話は当然でございますけれども、そのほかに防衛庁長官と私、そして先方は国務長官、国防長官が代表になりますいわゆる2プラス2というのもございます。その下に次官クラスのものもあれば局長クラスのものもある、さらに審議官クラスのものというふうに、極めて重畳的に協議の機関がございまして、これまでも安全保障問題については緊密に協議しているわけでございます。そういったものを生かしながら、今後ともこういった兵力構成あるいはレベルも含めた軍事態勢の問題についても緊密に協議していこうと、こういうことでございます。
  360. 齋藤勁

    齋藤勁君 現在の体制を固定的に考えておられないということで御答弁いただいていますけれども、ぜひ軍縮に向けて対等な立場で兵力問題について話し合いをしていただきたい、自信を持ってやっていただきたいというふうに思います。  私は神奈川選出でございますが、残り時間、厚木基地の米空母艦載機の夜間連続離着陸訓練におきます航空機騒音の解消につきまして何点かお尋ねさせていただきます。  この長い経過については省略をさせていただきます。  現在、硫黄島で夜間離着陸訓練をすることによって、九割ほどこの島で行うということによって解消になりました。硫黄島の整備等がそれぞれ講じられてきていますが、なおまだ残っているこのNLPに対しまして、神奈川県知事あるいは周辺市町村、私も同席いたしましたけれども、毎年毎年実は要請をさせていただいております。超党派でこの協議会に入っているわけではございますが、この協議会は、いわゆる直結方式、NLPの硫黄島への全面移転へ向けて、空母が入ってくる、それが厚木に来るんではなくて硫黄島へ行くということになれば全部解決をしていくという、こういう直結方式というのを提案しておりますが、これを含めまして厚木のNLP解消に向けましてさらに積極的に取り組んでいくというような姿勢を示していただきたいということを含めまして答弁いただきたいと思います。
  361. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 平成五年六月以降、硫黄島において本格的に当該訓練が実施されましてからは、厚木飛行場における訓練は非常に大幅に減少していることは先生今おっしゃったとおりでございます。  しかしながら、米側によりますと、基本的にはできるだけ硫黄島の方で訓練を実施するように努力しておるけれども、同島は厚木飛行場から千二百キロという非常に遠距離にあるために、即応態勢の面とかあるいは天候不良等の不測の事態が生じるおそれがある場合ということで、訓練の全部を同島で実施することがなかなかできないということを言っております。  しかしながら、私どもも、委員が今おっしゃられましたように、可能な限りとにかく努力してもらいたいということを日ごろから言っておりまして、米軍の方でもできるだけの努力はしたいということを言っておりますから、これから先もそういう方向で努力していこうと思っております。  全部というのがなかなかできないような状況でございまして、突っ込んでいろいろ聞いてみますと、例えばこちらの航空母艦の方に帰ってくる、帰ってきて整備する、いろいろする、その間いろんな機材等も運ぶ、その間も訓練を休めないというわけなんですね。その期間中はこちらでやるとかいろんなことがございまして、なかなか全部向こうに移すということはできないわけでございます。  また、今おっしゃられましたように、向こうに母港が完全にできればいいわけですけれども、これもこちらのいろんな家族構成の問題もあるでしょう、いろんな問題がございましてそれもおっしゃるようにはすぐいかないというようなことで、これから先も努力はさせていただきますけれども、なかなか全部を移すということに至っていないという現状でございます。これから先も努めてまいりたいと思っております。
  362. 齋藤勁

    齋藤勁君 解決の視野として、たびたび要請に行った際に三宅島の整備というのが出てくるんですが、これも今具体的な検討の素材としてのっているんでしょうか。
  363. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 私の方から三宅島のことを言わなかったのは、三宅島も地権者の方とかいろんな方々の御理解を得ながらやっていかなきゃならないわけでございますので、こちらができればあれですよというような形で、余りそういうふうに表現もしにくかったわけでございます。三宅島でございますと比較的近いわけでございますから非常にスムーズにいくといいますか、それこそほとんど移れるという可能性は多いわけでございますけれども、残念ながら三宅島の方がそういうような状態になっていないと、そういうことがございます。
  364. 齋藤勁

    齋藤勁君 私は地元の知事あるいは市長ともたびたび話していまして、この直結方式というのはまた機会があれば提起したいと思います。私は一〇〇%硫黄島でできるというふうな気持ちを持って引き続き申し入れさせていただきます。  さらにもう一点。厚木基地でいわゆる基地開放日というのがありまして、横田でも嘉手納でもどこでもこういうことはやっていなくて、いわゆる曲技飛行、デモンストレーションフライト、これを実は毎年やっています。米軍の方は、いつも七十万とか八十万来てくれるから喜んでくれるんだろうというふうに言うんですが、これはもうカウント間違いで何十分の一であります、確かにたくさん来ることは事実ですけれども。  都市部に存在します米軍の基地でこの曲技飛行をやるということは極めて大変な問題で、これも要請をしましたら、高村政務次官ですね、外務省、それぞれ各政務次官、長官も会っていただきましたけれども、市民が喜ばないのをやってもしようがないだろうという話で、これはきつく申し入れをしますということで非常に前向きな答弁をいただいているんです。毎年ですと四月か五月ぐらいですから非常に心配をしています。ですから、ことしはもうないだろう、ことし以降はというふうに実はあのときの要請では受けとめて知事以下帰っているんですけれども、そのことについていかがでしょうか。
  365. 折田正樹

    政府委員(折田正樹君) 今、委員がおっしゃられたような御要望が強く地元にあるということは十分承知しております。  そして、二月六日に委員以下たくさんの方が高村政務次官のところに来られて御要望をいただいたということも承知しております。  私どもとしては、このような御意見を在京米大を通じて米軍に伝えておりまして、米側は、特に曲技飛行につきましては最近の航空ショーでは自粛している、そして米軍の航空機の性能を示すための展示飛行を行うにとどめているというふうに承知しております。  地元の方々の御要望については今後も累次米側に伝えてまいりまして、今後とも航空ショー全体のあり方について引き続き米側と話し合っていきたいと考えております。
  366. 齋藤勁

    齋藤勁君 六月の二十八か二十九という情報を私も聞いているんですよ。もうやらないというふうにはっきり御答弁いただいて、そんな感触はありませんか。そういう意味じゃ、もう自粛しようという話でしたら、それは安心しますよ。そういうふうに報告したいんですけれども、いかがですか。
  367. 折田正樹

    政府委員(折田正樹君) 私としてもことしも自粛すると断言したいところなのでございますが、まだ米側からそこまでのところまでは答えが返ってきておりませんものですから、先ほどの御答弁になったわけでございます。
  368. 齋藤勁

    齋藤勁君 ことしもじゃない。自粛をずっとしているんじゃない。やってくれというんじゃないんですよ。やめてくれという話をしているんです、言葉じりをとらえて恐縮ですけれども。  そういう意味で、いつやるというのは何か聞いていますか、そのスケジュールについても。
  369. 折田正樹

    政府委員(折田正樹君) 申しわけございません。私はちょっと今この時点で存じません。
  370. 齋藤勁

    齋藤勁君 そうすると、まだ米側からは、はっきりことし以降やりませんという、そういう回答はもらっていないということでしょうか。
  371. 折田正樹

    政府委員(折田正樹君) まだ確実な回答をいただいているわけではございません。
  372. 齋藤勁

    齋藤勁君 これはお聞きになっている各議員の方々も御理解いただけると思うんですが、神奈川の極めて人口密集地、そして日本国内どこでもやっていない。これはアメリカ本土の中でも非常に事故が多発しているということで、市民も喜ばない曲技飛行でございます。ことしからはないということでぜひとも努力をお願いしたいというふうに思います。  私の質問を終わります。
  373. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 以上で齋藤勁君質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  374. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 次に、島袋宗康君の質疑を行います。島袋宗康君。
  375. 島袋宗康

    島袋宗康君 共産党さんから、先にやらせてもらうということの御了解をいただきまして、ありがとうございます。  五・一五メモについてお尋ねしたいと思います。  昨日公表されましたいわゆる五・一五メモについての問題でありますけれども、今回公表された分は、五・一五メモのうち、沖縄返還当時の八十七の施設・区域の使用目的や使用条件を定めた覚書でありますけれども、同メモは、そのほか十件の覚書で構成されているようであります。  ほかの覚書の中に、県民の権利を著しく損なうものが含まれているのかどうか、それをまず確認して、この覚書をいっ公表されるのか、お尋ねいたします。
  376. 折田正樹

    政府委員(折田正樹君) 五・一五メモの定義というものは実は存在しないわけでございますが、従来国会等で御論議をいただいておりました五・一五メモというのは施設・区域の提供に係るものでございました。そして、きのう八十八の施設・区域の提供、それから訓練空域・水域の指定に関する文書を附属文書を含めて全部公開したわけでございます。  そして、きのう公開した文書の中に、昭和四十七年五月十五日に合同委員会が開かれましたそのときの議事録があわせて公表になっておりますが、その中に、沖縄県が本土復帰するに伴いまして日米安保条約の適用を受けることになったのを受けて合意されました電気通信だとか電波障害等々に関する文書の記載もございます。  私どもとしては、この残余の文書も可能な限り公表すべく数カ月内の公表を目指してアメリカ側と調整をしているところでございます。  県民の権利を損なうようなものはというお話でございますが、現時点でその内容についてコメントするのは差し控えたいと思いますけれども、安保条約、地位協定の枠組みを越える権利義務関係を定めているようなものはないということでございます。
  377. 島袋宗康

    島袋宗康君 アメリカ側と交渉して数カ月以内に公表すると。どうしてそんなに時間がかかるんですか。
  378. 折田正樹

    政府委員(折田正樹君) 一つ一つ米側と調整をする必要がございます。米軍の運用に直接かかわるような部分もございます。それから、日本側の国内官庁も多岐にわたっておりまして、相当な時間がかかるというふうに考えているところでございます。
  379. 島袋宗康

    島袋宗康君 できるだけ早く公表していただきたいと思います。  嘉手納飛行場や普天間飛行場については、使用条件の定めがなく、無条件の使用を米軍に認めているようでありますけれども、同様なことは本土の施設にもあるのかどうか、また早急にきちんとした使用条件を定めるべきだと思いますけれども、いかがですか。
  380. 折田正樹

    政府委員(折田正樹君) 嘉手納飛行場につきましては、厳密に言いますと附帯の水域に関する使用条件が設けられてはおりますが、そのほかは使用条件は設けられておりません。これは横田飛行場それから厚木等におけるものと同じでございます。  他方、嘉手納飛行場、普天間飛行場につきましては、昨年騒音規制措置に係ります取り決めをつくったということは御承知のとおりでございます。横田飛行場と厚木飛行場についても、騒音規制措置に係る取り決めがあるというのは御承知のとおりでございます。
  381. 島袋宗康

    島袋宗康君 今、横田と厚木基地は取り決めがなされたと。三沢と岩国基地はどうなんですか。
  382. 折田正樹

    政府委員(折田正樹君) 三沢と岩国についてはそういう騒音の取り決めはございませんが、米軍は自主規制措置をとっているというふうに承知し  ております。
  383. 島袋宗康

    島袋宗康君 嘉手納弾薬庫などの貯蔵弾薬に条件をつけていないのは問題があると思います。米軍は核弾頭の貯蔵もできることになるので、非核三原則の立場から制限をつけるべきであると思いますけれども、いかがですか。
  384. 池田行彦

    国務大臣(池田行彦君) その点は、我が国が非核三原則というものをしっかりと守ってきておりますので、核弾頭、核兵器というようなものが日本の国内に持ち込まれることはございません。
  385. 島袋宗康

    島袋宗康君 ラロック証言とか、いろんなアメリカの高官が沖縄に核が配備されているということは既に証言されているわけですよ。そういうふうな内容をいつまでたっても今の答弁で済ませるというふうな形になると、県民の立場としては理解できません。  もう一遍お願いします。
  386. 池田行彦

    国務大臣(池田行彦君) 日本政府はずっと非核三原則というものを堅持してきておるわけでございます。これからも堅持してまいります。そういうことでございますから、今おっしゃるような核兵器が持ち込まれるということはございません。
  387. 島袋宗康

    島袋宗康君 では、施設・区域の使用条件が、本土の米軍施設の使用条件に比べて著しく沖縄が不利になるようなことはないでしょうか。
  388. 折田正樹

    政府委員(折田正樹君) 施設・区域は、個々の施設・区域ごとによりまして使用条件を定めているわけでございます。それぞれの施設・区域によりまして、機能、周辺の環境、米軍の使用態様等々が異なるものでございますから、各施設・区域の条件の違いを直ちに比べるというわけにはいかないわけでございますが、沖縄だから条件が異なっているということにはなっていないというのが私どもの認識でございます。
  389. 島袋宗康

    島袋宗康君 公表された五・一五メモを見る限り、特に秘密扱いする理由は私はないと見ています。米軍も外務省も、那覇沖の爆弾投棄の際も鳥島の劣化ウラン弾の際にも、何か殊さらに隠そうとしているように思われてなりません。そのような秘密主義の体質を改めて、迅速に国民の前に情報を公開すべきではないかと私は思いますけれども、外務大臣、いかがですか。
  390. 池田行彦

    国務大臣(池田行彦君) 今回公開しました五・一五メモをごらんいただきまして、これはけしからぬものがあるとか、だから隠してあったんだろうというお気持ちではないと存ずる次第でございます。  今の時点で見ますと、必ずしも非公開にする必要はないというふうに私どもも考えますけれども、やはり国際情勢もこれまで随分変わってまいりました。冷戦構造が非常にきちっとした状況にあるときには、またいろいろな配慮、考慮も必要だったという事情も一つあると思います。そんなことがございまして、この五・一五メモがというわけではないのでございますが、日米合同委員会で行われておったような会議の内容等は、議事録等は非公開でやるというルールでずっと来ておったわけでございます。そういった一環としてこれまで非公開になってきたわけでございます。  ところが、昨年の三月二十八日の日米合同委員会におきまして、自後の合同委員会の議事は公開すると、そういうふうに原則を百八十度転換したわけでございます。それと同時に、過去のものについてもできるだけ公開する方向で検討していくことになりまして、今回の五・一五メモの公開はいわばその流れに沿って、また沖縄の県知事さんを初め各方面からも公開の御要請がございまし一た。私どもも当然それにこたえるべきである、これをまず優先すべきであるということで、やっと作業を終えまして昨日公表したわけでございます。これからもほかのものにつきましても極力公表する方向で検討を進めてまいりたいと思います。  ただ、今回のものは完全に一〇〇%出しておりますけれども、物によりましては、現時点でもいろんな考慮から公表は差し控えなくちゃいけないというようなものが含まれることはあろうかと思いますけれども、原則としてそういう公表の方向でいきたいと思っております。
  391. 島袋宗康

    島袋宗康君 このメモの公表のおくれによって、沖縄の場合は住民がその権利を行使することができなかったというふうな側面もあるわけですよ。それで、基地内の立ち入りなどでかなりの不利益をこうむっているというふうな実態があるわけです。このことについては今後何らかの処置をされるのか。本土の基地並みに立ち入りは認められていくのか。  それについてはいつごろ、県民にわかりやすく、従来制限されたようなものが、公表されることによって、制限区域がある程度、三日であったものが一週間になるとかというふうな状況がはづきりしてきているわけですから、そういった面についての県民へのいわゆるアプローチはいつごろなさるおつもりですか。
  392. 諸冨増夫

    政府委員(諸冨増夫君) まだ内容的には先生がおっしゃるようないわゆる立ち入り等についての使用条件が付加されているようなところもございますが、地元のいろんな御要望もお聞きしながら、あるいは米側のいろんな運用の実態等を踏まえながら、これから検討させていただくことになろうかと思います。
  393. 島袋宗康

    島袋宗康君 それはぜひひとつ早目に、基地の周辺の住民の方々には早く、今まで三日だったのが一週間もできるというふうな状況になっているわけですから、早目に住民に知らせて不利益をこうむらないようにひとつお願いしたいというふうに思います。  それから、沖縄の基地問題は、復帰二十五年にしてようやく解決のために動き出したような気がするわけでありますけれども、今後普天間飛行場の移転問題あるいはガイドラインの見直しなどの問題が控えております。大臣、御承知のように、私は今後の日本の外交を考えるとき、沖縄問題を引きずったまま、沖縄側の不満を抱えたまま果たして日米関係はうまくいくのかどうか、そういったことを憂慮しております。このことについて外務大臣の御所見を賜りたい。
  394. 池田行彦

    国務大臣(池田行彦君) 私ども、この国の安全を守り、また地域の安定を図る上におきましても日米安保体制というものは非常に大切であると、こう考えております。そしてまた、それにきちんと実効性を持たせるために沖縄を含めまして米軍に施設・区域の提供をすると、こういったことが必要なのでございます。それにいたしましても、沖縄の皆様方に御負担いただいているこの御負担は非常に大きいということはよく認識しております。  そういった意味で、私どもも現在の状況の中でも可能な限りの御負担の軽減に努めようということでSACOの作業もし、それの実施をこれからしていこうとしておるわけでございます。将来に向かいましても、私どもは国際情勢の動きを見ながらいろいろ検討してまいりたいと思いますし、見ながらだけではなくて、先ほどもちょっと答弁を申し上げましたけれども、この地域がさらに安定して安全保障環境が改善するように、我が国のいろいろな外交の場面で努力をしてまいりたい、こう思っておる次第でございます。
  395. 島袋宗康

    島袋宗康君 昨日の与党協議で、総理は社民党の土井党首に、国内問題で日米関係を崩せないと語っておられる旨の報道がなされております。総理のこの発言は、アメリカと沖縄をてんびんにかけるとアメリカをとらざるを得ないというように私には解釈されます。このようなことについて、外務大臣としてはどういうふうな見解であられますか。総理と同じでしょうか。
  396. 池田行彦

    国務大臣(池田行彦君) 総理と私とは認識が同じだと思います。ただ、それは委員が今こうではないかと推測された意味ではなくて、全く別の意味においてでございます。  私どもにとりまして、大切なのはこの国の民であり、そしてこの国の安全、安定、繁栄でございます。こういった日本の安全を考える上において私どもは日米安全保障体制というものが非常に大切であると、こう考えておる。そして、それが有効に働くために今いろいろ沖縄県民の皆様方にもお願いをするところはお願いし、御負担を軽減できるところはしようと努力しておるわけでございますので、決して委員が今おっしゃったような沖縄と米国をてんびんにかけるということではないということはどうかひとつ御理解いただきたい。  総理の御真意も、沖縄の皆様方の安全、そして日本全体の安全を最も大切に考えて、そのためにどうすればいいかという観点の中から日米安保体制考えているというふうに御理解賜りたいと思います。
  397. 島袋宗康

    島袋宗康君 時間のようでございますから、終わります。
  398. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 以上で島袋宗康君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  399. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 次に、吉川春子君の質疑を行います。吉川春子君。
  400. 吉川春子

    吉川春子君 文部省にお伺いいたします。  父親の教育参加事業は何のために行っているのか、事業の趣旨、概要についてお伺いいたします。
  401. 草原克豪

    政府委員(草原克豪君) 父親の参観授業についてのお尋ねですけれども、保護者として学校において児童生徒がどういう教育を受けているかという……
  402. 吉川春子

    吉川春子君 参観じゃないですよ。これです。通告してあるじゃないですか。参観授業なんて聞いていません。
  403. 草原克豪

    政府委員(草原克豪君) 失礼しました、参加事業ですか。ちょっと聞き違えたものですから、失礼しました。
  404. 吉川春子

    吉川春子君 もう一度言います。通告してありますよ。父親の家庭教育参加支援事業、これは何のために行っているのか、その概要についてと。通告どおりに答えてください。
  405. 草原克豪

    政府委員(草原克豪君) 失礼いたしました。  現在、家庭を取り巻く状況が大きく変化しておりまして、その背景には核家族化とかあるいは都市化といった現象が挙げられると思います。その中で家庭生活というのは、子供にとって本人の人間形成、成長にとって大変重要な場面でありますので、母親だけではなくて父親もこの家庭教育の責任を担えるようにという趣旨で父親に家庭教育に参加してもらう機会を促進する、こういう趣旨で実施しているものでございます。
  406. 吉川春子

    吉川春子君 文部大臣、昨年とことし、文部大臣が日経連会長に、父親の残業を減らして家庭に帰してほしいと異例の要請を行っておられますが、それはどういうことでしょうか。
  407. 小杉隆

    国務大臣(小杉隆君) 昨年の四月に、文部大臣の諮問機関である生涯学習審議会、ここから答申が出されました。それに基づきまして、奥田前文部大臣が昨年の五月から十月にかけて経済団体のトップと直接意見交換をいたしまして、今お話しのとおり、もう少し父親が家庭教育に参加できるような勤務時間等の配慮をしてほしいと、こういう要請をいたしました。  それから、ことしの一月から三月にかけまして、私は生涯学習ということも含めたもっと広い教育改革という観点から経済団体と相次いで会談をいたしまして、今御指摘のように、家庭教育における父親の重要性ということから考えてもう少し子供との触れ合いの時間がふやせるような、あるいはPTA活動とか子供と一緒の社会体験の場が持てるような、そういった配慮で勤務時間等についてぜひ考えてほしいと、こういう要請をしたところであります。
  408. 吉川春子

    吉川春子君 労働時間の短縮とか休暇の取得の促進、そういうことを経済団体に申し入れたわけですね。
  409. 小杉隆

    国務大臣(小杉隆君) そこまで言うと越権行為ですから、私どもは、家庭教育の重要性ということをよく認識していただいて、いろいろな、例えば勤務時間もありますし、また父親、勤めている人が自分自身の生涯学習のためにいろいろ勉強したいという場合にはそういういろいろな便宜を計らってほしいと、こういうことでかなり広い見地からお願いをしたところであります。
  410. 吉川春子

    吉川春子君 文部省、事務局でいいです。時間短縮と休暇の取得の促進を申し入れていますね、経済団体に。
  411. 草原克豪

    政府委員(草原克豪君) 昨年、五つの経済団体と文部大臣との懇談の場を設けまして、その中で特に生涯学習の振興に関して幾つかの点をお願いしております。  一つは、親子が触れ合うことができる家庭づくりということでございます。それから二つ目には、社会人が学習しやすい環境づくりということでございまして、その中で、例えば企業においても大学などでの社会人の学習を支援するように、学習成果を積極的に評価したり勤務時間等の面で配慮するということを特にお願いしております。
  412. 吉川春子

    吉川春子君 私、文部省のメモを読み上げて質問しました。  もう一つ伺います。  第十五期中央教育審議会の第一次答申で、「二十一世紀を展望した我が国の教育の在り方について」で家庭が本来果たすべき役割についてどう言っていますか。
  413. 草原克豪

    政府委員(草原克豪君) 中教審の昨年の第一次答申におきましては、家庭は、子供の教育に対する責任を自覚して、本来果たすべき役割を見詰め直して、親がその責任を十分に発揮することが望まれております。特に家庭が本来果たすべき役割といたしましては、基本的な生活習慣・生活能力、豊かな情操、他人に対する思いやり、善悪の判断など生きる力の基礎的な資質や能力の育成ということを基本的な役割としております。
  414. 吉川春子

    吉川春子君 その同じページに、特に父親に対して、また企業についてどういうことを言っていますか。
  415. 草原克豪

    政府委員(草原克豪君) 中教審答申では、特に父親に対しては、家庭教育に対する責任を自覚し、家族と一緒に過ごせる時間を確保することを望みますとしております。また、企業に対しても、父親が家族と一緒に過ごせる時間を確保できるよう協力を求めております。
  416. 吉川春子

    吉川春子君 文部大臣、文部省はこのように父親の問題について大分企業にも申し入れ、いろんな文書で言及しているんですが、経済団体との懇談でも母親については言及していないんですよね。  これは、長時間労働で家庭にいない父親と違って、母親は当然家庭にいてその役割を果たしているということから、母親については特に経済団体にも申し入れていないと思いますが、そういう認識でよろしゅうございますか。
  417. 小杉隆

    国務大臣(小杉隆君) 私も父親としては失格の立場なんですけれども、どこの家庭でも今の日本社会では教育がほとんど母親任せになっているという現実は否めないと思います。  そこで私は、特に生涯学習審議会でも中教審でも、家庭教育における父親の役割、こういうことを強調して、特にそれは経済団体にお願いするしかないだろう、こういうことで父親についてのみ申し上げたんですが、もちろん母親のあり方についてもまだまだ、幼稚園等とか地域社会でやっぱり母親に対するいろいろな啓蒙もお願いしなくちゃいけないなと思っております。経済団体については父親に限定をしてお願いしたところであります。
  418. 吉川春子

    吉川春子君 労働大臣に伺いますが、今辛うじて必要なときに家にいて家族的責任を果たしている母親、働く母親、女性に対して、男性と同じように会社人間にしよう、こういう法案が今度の国会に出されたわけなんです。  今回の労働基準法改正で廃止することになっている女子保護規定とは一体何ですか、御説明いただきたいと思います。
  419. 太田芳枝

    政府委員(太田芳枝君) お答えいたします。  今般の改正におきましては、女性労働者に対する時間外、休日労働、深夜業の規制につきまして、均等法の改正とあわせて、女性の職域の拡大を図り、男女の均等取り扱いを一層進める観点から解消することとしたものでございます。  具体的には、女性の時間外、休日労働につきましては、指揮命令者及び専門的業務従事者を除きまして、工業的事業において現在は原則一週六時間、年間百五十時間を超える時間外労働及び休日労働を禁止しておりますし、また非工業的事業においては原則四週三十六時間、年間百五十時間を超える時間外労働を禁止し、休日労働は四週間に一日までとしております規制、これが基準法でございますが、これを解消するものでございます。  また、女性の深夜業につきましては、指揮命令者及び専門的業務従事者、保健衛生業、接客娯楽業等に従事する者、また航空関係業務、映画、放送番組の制作の業務、警察、消防、郵便の区分け、運搬等の業務に従事する者、さらに総菜等の品質が急速に変化しやすい料理品の製造に従事する者等を除きまして禁止としております規制を解消することとしているものでございます。
  420. 吉川春子

    吉川春子君 今のことをちょっと簡単に言いますと、女性も無制限に残業してもいいし、深夜業してもいい、休日労働もさせる、こういうふうに今度の労働基準法の改正で行うと、大臣、そういうことですね。
  421. 岡野裕

    国務大臣(岡野裕君) 婦人局長が答えました先生の御質問の中に、女性まで会社人間にするべく今度の法改正があるのであるかというようなお話があったように私は記憶をいたしておるわけでございますが、そういう意図はさらさらございませんで、一般に女性の皆さんが社会的に進出をする、職場にも大勢の皆さんが自分の力を発揮しようというような雰囲気になってまいった。  したがいまして、そういった趨勢に呼応するべく、我々としましては、女性が職場生活と家庭生活と両立ができるようにという環境づくり、これを志しまして新たにこれから男女雇用機会均等法の御審議を賜りたいと存じますし、その一環として労働基準法の一部の制限解除というようなものがある。意欲を持ち、力のある、能力のあるといいますか、そういう女性の皆さんの御希望にこたえるというようなつもりでの法改正でございます。しかも、超過勤務労働をしなければならないのではなくて、やろうと思えばできるようになるというような角度でつかまえていただきますとまことに幸せでございます。
  422. 吉川春子

    吉川春子君 大臣、端的にお答えいただきたいんですけれども、女性の深夜業の禁止の規制、それから休日、残業労働の規制、これが一切取り払われるということじゃないですか、イエスかノーだけで結構なんですが。
  423. 岡野裕

    国務大臣(岡野裕君) 一切規制が取り払われるわけではございませんで、例えて言いますならば、男女雇用機会均等法の中に、妊産婦の皆さんの深夜業については医師の希望によって制限をすることができる、あるいは医師の指示によって診療等を受けなければならないというような場合には勤務の軽減ができるというような意味合いで、あれやこれやの条文も準備をいたしているところでございます。
  424. 吉川春子

    吉川春子君 妊産婦を除いて普通の働く女性、そういう人たちには一切残業規制、休日労働規制、深夜業の規制は取り払ってなくなる、こういう法律の改正案ですね。
  425. 岡野裕

    国務大臣(岡野裕君) これも先生に言うもさらでございますが、時間外労働等につきましては、労働基準法三十六条の定めがございまして、その取り決めの範囲内でしか時間外労働等はできません。
  426. 吉川春子

    吉川春子君 残業目安時間として今三百六十時間の三六協定を結べばそこまで残業できる。それは男性がそうなんですね。その結果、日本は過労死ということ、本当に国際的には恥ずかしいんですが、カローシという片仮名が横文字になる。翻訳ができないんですよね。そういう事態になっている。だから、女性も妊産婦を除いたら男性と全く同じように残業や深夜業の規制がなくなる、こういう法律改正ですね。イエス、ノーだけで結構です。
  427. 伊藤庄平

    政府委員(伊藤庄平君) 御指摘ございました均等法、労働基準法の改正後でございますが、私ども超過勤務につきましては、まず大臣から申し上げましたとおり、三六協定によりましてその上限を定めて、その範囲内でしか働けないことになっております。  今後、女性の職場進出が進むにつれ、お話のございましたように家庭あるいは地域の活動とバランスのとれた労働の内容、こういったものがますます意識されてくると思いますので、そういった新しい時代に対応した労使の話し合いが進み、適切な三六協定によってそういった上限も抑えられていく、そういうことを期待しているものでございます。
  428. 吉川春子

    吉川春子君 三六協定の上限は何時間ですか。
  429. 伊藤庄平

    政府委員(伊藤庄平君) 一週間あるいは数週間単位でございますが、年間で申し上げれば三百六十時間を上限の目安として指導いたしております。
  430. 吉川春子

    吉川春子君 そうすると、今女性の上限百五十時間を法律で規制していますけれども、目安時間として三百六十時間まで協定を結べば女性にも残業させるということじゃないですか。
  431. 伊藤庄平

    政府委員(伊藤庄平君) 先ほど申し上げましたように、この三六協定は労使で話し合っていただいて上限を定めるわけでございまして、女性の職場進出が進むにつれ、そういったバランスのとれた生活を送るための労働の内容というものが重要性を増してくるわけでございますから、労使の話し合いによって、その上限に張りつくような三六協定だけでない、いろんな形の三六協定というものが出てくることを期待しているものでございます。
  432. 吉川春子

    吉川春子君 男性と同じだけ働かせることができるということでしょう。ちゃんと答えなさいよ。(発言する者多し)
  433. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 御静粛に願います。
  434. 伊藤庄平

    政府委員(伊藤庄平君) その点につきましては、先ほど労働大臣から申し上げましたように、三六協定の制度を前提にして私ども考えておりますので、その基準法の改正後の姿を想定いたしますれば、女性がそこまで働かなければならないという状況ではなくて、能力があり意欲がある場合にそういったところまで働いて能力を発揮できると、こういう状況が生まれるというふうに考えております。
  435. 吉川春子

    吉川春子君 そうしますと、残業したくない、三百六十時間まで残業したくないというときは、個々の女性労働者は私はしたくありませんと断ってもいいということですね。
  436. 伊藤庄平

    政府委員(伊藤庄平君) これからの時代、女性の職場進出が進み、そういった女性の能力を職場でも活用していくことが企業の活力につながるわけでございます。そういった女性の能力を発揮していただくためにはどういった雇用管理の仕方が一番いいか、これは事業主の方あるいは労働組合、そういった労働者の方が一番考えておられるわけでございますので、そういった話し合いの中から生まれる三六協定によって適切な労働のあり方というものが生まれてくる、そういうふうに考えております。
  437. 吉川春子

    吉川春子君 全然わかりませんよ。  要するに、残業は自分はしたくないんだとお断りすれば、それでもって首になるようなことはないんですね。
  438. 伊藤庄平

    政府委員(伊藤庄平君) 先ほど申し上げましたように、労使の話し合いによりまして適切な三六協定がなされ、その中で女性の能力を発揮していただくための適切な雇用管理がなされている、そういう状況のもとであれば、先生御心配になるような事例、そういったものについては本当に減っていく。また、そういった事例があった場合には、私ども全国の労働基準監督署あるいは婦人少年室におきましてそういった相談に乗りながら適切な雇用管理の実現に向けて努力をしてまいる考えでございます。
  439. 吉川春子

    吉川春子君 全然答えていないですよ。  残業を拒否して首になった労働者がいるでしょう。そういうような目に女性は遭わないんですかと聞いているんです。端的に答えなさい。
  440. 伊藤庄平

    政府委員(伊藤庄平君) 適切な三六協定、適切な雇用管理のもとであれば、もし超過勤務について理由なしに拒否する状態が続けば、そういったことを理由とする解雇ということは理論上あり得るものでございます。
  441. 吉川春子

    吉川春子君 みんなわからないと言っているじゃないですか。ちゃんと答えてください。イエスかノーかでいいんですよ。そういう状態、違うんですかと言っているんだから。
  442. 伊藤庄平

    政府委員(伊藤庄平君) 不合理な超過勤務命令を拒否する場合でなくて、正当なあるいは合理的な理由のある超過勤務を拒否して業務上いろいろな問題があるというケースにつきましては解雇が正当とされるケースはあろうかと存じます。
  443. 吉川春子

    吉川春子君 要するに、男性と女性は同じように解雇もされるということですよね、今度の労働基準法によって。
  444. 伊藤庄平

    政府委員(伊藤庄平君) 男女雇用機会均等法が実現した中におきまして、解雇につきましては、もちろん解雇権の乱用、そういった判例理論が集積されておるわけでございますが、そういった中におきましても男女差はないものというふうに理解をいたしております。
  445. 吉川春子

    吉川春子君 男女差はないんですよ。今後は女性も三百六十時間まで働かされる、残業させられるということなんですよ。そういうことですね。
  446. 岡野裕

    国務大臣(岡野裕君) 男女雇用機会均等法ができますにつきましては、関係審議会においていろいろ多方面からの御意見を伺い、今度の条文ができたわけでございます。そういう意味合いで、女性も男性と同じように職場にあるいは社会に進出ができるというような意味合いで今度の法律をお受けとめいただきたい、かように存じます。
  447. 吉川春子

    吉川春子君 雇用機会均等法を改正することは百歩譲っていいとして、どうして労働基準法まで一緒に改悪しなきゃならないんですか、大臣。
  448. 岡野裕

    国務大臣(岡野裕君) 意欲とそれから能力のある女性が時間外労働をしたいと思いましても、今まで制限規定があるためにその希望に沿えないというような事態を解消するべく今度の法律改正を準備した、そんな次第でございます。
  449. 吉川春子

    吉川春子君 家庭責任を負っている女性が残業したくない、そんなに長い時間深夜労働をしたくないと、そういう女性に対しては、大臣、どうするんですか。
  450. 岡野裕

    国務大臣(岡野裕君) 労働三法におきましては、この種の問題につきましては、その職場における労使の話し合いによって労働基準法三十六条に基づく協定を結んでいただくということに相なっております。
  451. 吉川春子

    吉川春子君 それでは、労働組合の組織率を伺います。全体と企業規模別に組織率を言ってください、そんなこと言うなら。
  452. 岡野裕

    国務大臣(岡野裕君) 組織率は政府委員をして答えさせますが、労働基準法三十六条に基づく協定は、あに労働組合の存在を前提とするものではございませんで、ない場合にはその職場の労働者の代表がこの協定を結ぶということに相なっております。
  453. 伊藤庄平

    政府委員(伊藤庄平君) 労働組合の組織率につきましては、現在資料がございませんが、約二二%。それから、男女別の資料につきましては、ただいま持ち合わせておりません。
  454. 吉川春子

    吉川春子君 基準局長、それぐらい覚えておいた方がいいですよ。九十九人以下の組織率は一・六%なんですから、こんな低い組織率で労働組合と話し合えと言ったって話し合えないです。全体の平均としても四分の三の労働者は組織されていないわけですよ。どうして労使対等の話し合いで三六協定が結べますか。どうですか。
  455. 岡野裕

    国務大臣(岡野裕君) 労働組合がない場合には先ほどお答えを申したとおりであります。
  456. 吉川春子

    吉川春子君 組織率からいっても労使対等の話し合いなんかできないわけです。  それで、大臣、もう一つ伺います。  今度の労働基準法の改正によって女性の深夜業が全面的に解禁されますので、幼い子供を留守番させて両親とも深夜業を行わなくてはならない、こういうことですね。
  457. 太田芳枝

    政府委員(太田芳枝君) 均等法の改正とともに育児介護休業法を改正いたしまして、学校に入る学齢前の子供を持っている男女労働者は請求することによって深夜業を免除することを考えておるところでございます。
  458. 吉川春子

    吉川春子君 そうすると、小学校一年生に上がればもう深夜業は育児休業法によっても拒否できないということになりますね、太田さん。
  459. 太田芳枝

    政府委員(太田芳枝君) 規定上はそうでございますが、もちろん労使の話し合いによってそれ以上の子供たちに対してプラスアルファの措置をしていただくことは進めていきたいと思いますが、法律上は先生のおっしゃるとおりでございます。
  460. 吉川春子

    吉川春子君 文部大臣、伺います。  小学校一年生に子供が上がれば両親とも深夜業につかなきゃならない、こういう労働基準法の改正が行われるんです。これは教育上ゆゆしいことだと思いませんか。
  461. 小杉隆

    国務大臣(小杉隆君) その辺は私の守備範囲じゃないので、これは労働大臣並びに労働省の答弁に尽きているわけですが、一般的に言いまして、長い間女性の社会進出というのが非常な社会的なニーズになってきまして、今回、男女共同参画社会というものが実現しつつあるわけですから、やっぱり雇用の場でも男女の同権というか平等というものは必要じゃないかと思っております。  しかし、これ以上のことは私の守備範囲じゃありませんから申し上げませんが、ただ、私は冒頭申し上げたように、家庭の中の教育力というものを落としてはいけない、こういう見地から先ほど来お話をしたんです。したがって、今まで女性に家庭における教育を押しつけるというか負担がかかり過ぎていたということをやはり是正しなきゃいけない、そのためには父親ももう少し家庭の教育に参加をする、そういう見地から文部大臣として各種努力をしているところでございます。
  462. 吉川春子

    吉川春子君 いじめ根絶とか情緒の安定とかということを文部省は特にお考えと思いますが、労働問題はさておいていいです。六歳の小学校一年生の子供が、お父さんもお母さんも深夜業でお留守なのに家庭に残されているということについて、教育的には好もしいことだというふうに大臣はお考えでしょうか。
  463. 小杉隆

    国務大臣(小杉隆君) 同じ答えになろうかと思うんですが、私どもは教育的な見地から、とにかく家庭における教育、特にそうしたお子さんに対してやっぱり父親も母親も同じ責任を持って当たると、こういうことだと思っております。
  464. 吉川春子

    吉川春子君 文部大臣、パパを家庭に帰してくださいと経済団体にお願いしている文部省が、母親は家庭から出してもいいですよと、こういうふうにはおっしゃらないでしょう。
  465. 小杉隆

    国務大臣(小杉隆君) 労働問題は私が口を出す立場にありませんが、やはり吉川委員にも考えていただきたいんです。  長い間、社会に女性が進出をしたいということでずっと運動されてまいりまして、最近ようやくこの男女共同参画社会の実現という方向へ向かってきて、労働の分野でもあるいは雇用の分野でも男女平等というものは重要になってきたので今労働省の方で法改正をされていると私は思います。  もちろん、私どもは家庭の教育力がそのために減退をしてしまっては困ると、こういう見地から企業においても、そしてまた父親に対しても、やっぱり男女共同して子供の教育に当たる、そういう原点だけはぜひ守っていただきたい。そういうことでさまざまな努力を続けているところであります。
  466. 吉川春子

    吉川春子君 労働省、ドイツやフランスでは所定外労働の規制はどうなっていますか、男女ともです。時間を言ってください。
  467. 伊藤庄平

    政府委員(伊藤庄平君) 御指摘ございましたように、ドイツ、フランスのいわば労働法制におきましては残業時間についての上限規制が見られるところでございます。  具体的には、ドイツにおきましては、法定の労働時間を原則八時間とした上で、年に最高六十日、一日十時間まで労働時間を延長することができる、ただし手待ち時間が多い、そういった職場につきましてはこれを超えることができる、こういった例でございます。  また、フランスにおきましては、法定の労働時間を一般の産業では一週三十九時間とした上で、一週四十八時間、十二週で原則平均週四十六時間まで労働時間を延長することができる、そういった法制になっております。
  468. 吉川春子

    吉川春子君 つまり、ドイツやフランスは、ほかの国もそうですけれども、要するに男女とも百二十時間とか百三十時間以上時間外をさせてはならないという規制があるんです。日本の女子保護規定は女子だけで百五十時間ですよ。だから、むしろ男性の三百六十なんというのを百五十の方に近づけるべきであって、女性を全廃して三百六十に近づけるなんというのは国際的な流れにも反するわけですよ。  この点について国際的な潮流に反するとは、大臣、思いませんか。その点だけ。
  469. 伊藤庄平

    政府委員(伊藤庄平君) ただいまドイツ、フランスの例を申し上げましたが、労働法制はいわゆる英米系とヨーロッパの大陸系ではかなり趣を異にしておりまして、英米系ではこういった規制はない。それから、大陸系におきましてのドイツ、フランスは、先ほど申し上げましたような例が見られる。それぞれの国の雇用システム、雇用慣行あるいは生産体制、そういったものを踏まえた労働法制になっておりまして、我が国の場合、そういった残業につきましては労使で話し合う三六協定というものを軸に適切な管理がなされるような体系をとっておる次第でございます。
  470. 吉川春子

    吉川春子君 英米法は慣習法なんですよ。慣習法の国に明文規定がないのは当たり前なんですよ。もっと厳しく規制されています。もう時間がないからそれは言いませんけれども、英米法を理由にして、そんなのは全然見当外れの答弁です。  時間がないので、次に厚生大臣に移ります。  厚生大臣は、「少子化の動向と背景」というパンフレットで「少子化の進行は将来のわが国の社会経済あり方そのものに深刻な影響を与えることが懸念されます。」と述べていますが、少子化現象の原因はどこにあるというふうにお考えでしょうか。
  471. 中西明典

    政府委員(中西明典君) 出生率につきましては、女性の婚姻率、どの程度の方が婚姻しているか、それから結婚された夫婦の子供数、その二つのファクターに影響されるものでございますが、結婚した夫婦の子供の数というのはこの二十年間、二・二人でほとんど変化しておりません。近年の出生率の低下というのは、専ら未婚率の上昇によるものであると認識しております。実際に最も子供を産む年齢層に着目しますと、二十五から二十九歳の未婚率はこの十年間で三割から五割に、三十から三十四の女性の未婚率はこの十年間で一割から二割に上昇しておるところでございます。
  472. 吉川春子

    吉川春子君 厚生大臣、ここでおっしゃっておられます「わが国の社会経済あり方そのものに深刻な影響を与えることが懸念されます。」と、少子化現象ですね、このことはどういうことですか。
  473. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 今までの考え方も大きく変わってくると思います。また、制度においても、女性の社会参加あるいは高齢者の社会参加、さらに年金にしても医療にしても、どちらかといえばサービスを受ける、給付を受ける方が今のままの考え方でいけば大幅にふえるが、それを支える、負担する側の年代の人数が減っていくということになると、これは大変社会的に深刻な影響を受ける。また同時に、かつては女性の仕事は家事、育児という時代で、女性もそれを疑わなかった。しかし、最近では自衛隊でも女性みずから希望して防衛大学校に入ってこられる。船には女性は乗せないというのが、これから海上自衛隊は女性も乗せる。女性の宇宙飛行士も出てくる、パイロットも出てくる。今までの考え方ではちょっと想像できないような、対応できないような事態が起こっている。  そういう面において、少子化の問題というのは、今言ったように、女性も男性と同じような仕事を、外に出る方が家庭にいるよりも楽しいという女性も今盛んに出てきております。そういう中で、私は、単なる労働条件だけじゃなくて、考え方においても意識の面においても大変大きな変化が出てくるのではないか、それに対応するような準備を今から我々は考えていかなきゃならないと思っております。
  474. 吉川春子

    吉川春子君 その平均出生児数、つまり現に妻が産んでいる子供の数と平均理想子供数、何人子供を持ちたいという、産みたい数ですね、この間に格差があるわけですね。この数値をどう見るかはあれですけれども、結構な格差がある。つまり、さまざまな理由のもとで欲しい数だけ子供は産めないという、これは統計上も明らかになっているというふうに思うわけです。  それで、今後こういう少子化対策、中でも働く女性に関してどのような対策をお考えになっていらっしゃるのでしょうか。厚生大臣、お伺いしたいと思います。
  475. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 女性が外に出て働きたいというのだったらば、子を持っている女性でもそんなに心配なく子育てできるような環境を整える。例えば、保育所の問題等を整備充実していくとか、あるいは夫婦ともに外に出ていくという場合に、残されたお子さんに対して地域でどういう相談相手なり既存の保育所等が対応できるかというような問題、さらには児童手当等の問題、もろもろのことがあると思いますが、この問題は単に社会保障制度で対応できる問題ではないと思っています。各省庁連携をとりながら少子化の問題にどう対応していくかということは、いろいろな幅広い方々から意見を聞いて、それを参考にしながらこれから進めていかなきゃならないと思っております。
  476. 吉川春子

    吉川春子君 厚生省に続けてお伺いいたします。  我が国における少子化問題に関する領域としていろんなことがあると大臣も今言われました。今後、人口問題審議会等でいろんなテーマについて検討されるというふうに聞いておりますけれども、その内容はどういうことを検討されようとしていますか。
  477. 中西明典

    政府委員(中西明典君) 先ほど大臣の方からも御答弁申し上げましたように、少子化問題というのは、単に社会保障だけの問題ではなく、雇用あるいは教育、住宅等々いろんな領域にわたるものでございますし、それから国家施策といいますか、制度論だけではなくて、実際、企業におけるいろんな制度、慣行等も影響をしてくるものというふうに考えております。  いずれにいたしましても、子育て支援施策にとどまらず、幅広い形で人口問題審議会で御議論いただきたいと考えております。
  478. 吉川春子

    吉川春子君 今、大臣もおっしゃいましたし、事務局もおっしゃいましたけれども、少子化の原因というのはさまざまな要素があって、一つこれだけということではないわけですね。だからこそ、政府はこれからいろいろ人口問題審議会の中で多方面にわたる問題について審議を続けていきたいと、こういうことで、例えば今おっしゃいましたけれども、高齢者、女性の雇用問題あるいは実労働時間短縮、弾力化あるいは企業の雇用慣行、こういうような問題についてこれから審議を進めていきますよと、これは政府のパンフレットですからね、こう書いてあるわけです。  これから検討しようとしている問題について、いち早く女性も労働時間をふやして深夜も解禁し、それから時間外も大幅にふやして家族的責任がなかなか果たしにくいような状態にするというのはやっぱりこういう検討を経てから、百歩譲って、経てからやるべきじゃないかと思うんです。  厚生大臣、こういうことを検討もしないうちにやらない方がいいと思いますけれども、どうですか。
  479. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) この所定外時間で働けるというのは、むしろ女性の希望を入れる、しなきゃならないというんじゃなくて、そのような希望を持っている女性も男性と同じように働ける環境をつくろうという多くの方の希望を入れて政府考えたんだと思います。  ですから、それは強制じゃなくて、男性と同じように仕事をしたいという意欲のある女性に道を開いたというふうに私は考えておりますし、そのような女性がいる限り、そのような女性が子育てできるような、また子を持つことができるような条件をどうやって整えていくかというのがこれから我々の責任ではないでしょうか。
  480. 吉川春子

    吉川春子君 大臣、まさに最後に言われた言葉だけいいんですよ。つまり、子育てができる、子供も産める、そういう環境をどうやって整えていくか、これを政府考えていかなきゃならないわけですよ。ところが、深夜業なんてどう考えたって子育てにふさわしい環境じゃないでしょう。それから、男性と同じような残業時間、こういうものも強制していくということは好もしい環境じゃないんですよ。強制じゃないと盛んにおっしゃいますけれども、企業がそういう残業をしなさいと言ったとき拒否すれば首になるんですよ、今まで男性がそうだったから。  私は、そういうことを踏まえて、この労働基準法の改悪は絶対にやめるべきだ、そのことを最後に申し上げまして、時間が来ましたので終わります。
  481. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 以上で吉川春子君の質疑は終了いたしました。(拍手)  これにて一般質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  482. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) この際、御報告いたします。  本日、出頭を求めました齋藤証人は、片山理事の尋問後、健康状態が悪化したため、同証人の介護医師及び本院医師による手当て及び診断を求めました。その後、両医師の診断所見を理事会において聴取し、協議を行った結果、本日は齋藤証人に対する尋問を続行することは困難であるとの結論に達しました。  お諮りいたします。  齋藤証人に対する残余の尋問は後日に譲り、同証人の健康が回復次第、出頭を求めてこれを実施することとし、その日時の指定及び諸手続につ一いては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  483. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  本日はこれにて散会いたします。    午後七時二十八分散会