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国務大臣(梶山静六君) 残念ながら、
政府の
見解を申されますと、私は
政府の
見解をこの点で直ちに述べるだけの資格を持っておりません。ということは、閣議の了解や閣議の
決定をいたしておりません。ですから、今まで求められてお話を申し上げておることは、政治家梶山ないしは
国務大臣の一つの私見として申し上げているということであれば、お許しをいただいて若干のお話を申し上げたいと思いますが、
委員今お話しのとおり、沖縄振興については累次の計画を持ちながらやっておりますが、結果としてなかなか本土並みということに至っていないこともまた現実であります。
そしてこの一年、この沖縄振興に今までのおくれをどうやったら取り戻せるかということで、国と県挙げてのいわば八十八項目を拾い出し、今三十数項目にそれを集約し、もう一つは、きょう最終の会合を開きましたけれども、沖縄の基地所在の市町村のいわば振興策についていわゆる島田
懇談会をつくりまして、私の私的諮問機関でありますが、幾つかの大変いい提案ちょうだいいたしました。知事さんもいっか私に言ってくれたんですが、これが実は信用信頼の一番の心棒になっているとすら言われている問題でありますから、この問題についても
全力を奮ってやっております。
しかし、よく
考えてみますと、東京から沖縄というのは日本のいわば一番遠い場所であります。しかし、この間も極論を申し上げたんですが、沖縄に米軍の基地があるというのは、今から五十数年前の沖縄戦争ないしはその後の占領状態、もろもろを
考えてみて、あそこに必然的に基地が集中をしたということもあります。その後二十五年たってなおかつ有効な基地であるということは、南西に開かれたいわばアジアの拠点的な
役割を果たしているという軍事的な側面と、もう一つ
経済的なアメリカの戦略があるのではないかなという気が私はいたします。
そういうものをよく見定めてまいりますと、片や地方自治というのはどういうものかというと、明治以来確かに画一的な地方自治を振興することによって、地方をつくることによって日本の統一国家が完成をし強力になり得たわけでありますが、むしろこれからはそれぞれの地域の特性を生かすべきだという
観点が取り上げられている、それがこれからの地方自治の本旨であります。
そういうのを
考えますと、沖縄の長い三百年、五百年という歴史を見てみますと、かつてはそこがいわば南西地域に開かれた貿易立国というか、琉球王朝時代以来、交流、交易の大変盛んだった地域、今にその時代を移すことができるかできないかという問題も、それは沖縄の振興というのを
考えれば当然あるべきだ。それから、若干日本の
経済力が今落ち込んでおりますが、逆に言うと、東南アジアその他南西に向けた地域にいわば日本の拠点としての沖縄というものを
考えることができないかどうか。それができるとするならば、東南アジアその他の国がとっているような諸
制度をそこに移すことができないかどうか。
そういう特別措置的なものがやれることによって沖縄というものは本当に日本の、先端基地と言っていいかどうか、いわばある一面での南西に開かれた中心としての
役割を果たすことができるはずだろうということは、それぞれの今まで沖縄に思いをかけた
人たちや沖縄の方々、そういう方々が幾つかの論文にまとめてくださっているものもあります。
そういうものを私も拾い読みしながら、何とかそういうものができないかしら、これは
内閣を挙げてということにはまだまだ至っておりませんが、少なくとも自分の職分をかけ、ありとあらゆる方策を講じながら、五十年の痛みというよりもむしろ次の時代に開かれた沖縄をどうやってつくるかということには、日本の国土が全部画一的な地方自治であっていいはずがない。その
意味で、本当の
意味で日本の将来に対して
役割を果たし得るような沖縄をつくるためにどういう
制度があっていいのか。それが一国二
制度というほどきついものであるかどうかは別といたしまして、私はそういう地方自治があってもいいはずだという思いを込めておりますし、私自身こういうものに本当の政治の最後を傾けてみたい、こういう思いをいたして沖縄の方々とも話を詰めておる段階でありますが、なかなかきっちりした成案を持ち得ません。
ようやく今沖縄の方々も、四顧に臨んで、まずひとつ沖縄とハワイの交流をしよう、ハワイと交流をすることによって米中の
関係ができるだろう、そういう安定のもとに台湾やその他のところとの交易もできるのではないのかなと。そういうもろもろの
条件をかみ合わせ、全部が一挙にできるかどうかわかりませんが、お互いに知恵を出し合って、沖縄という土地をほかのところまで持っていくわけじゃないんですから、そこに
制度をつくり上げて、沖縄を本当にそういう価値ある土地につくり変えることができるかどうか。
私は、このたった少ない一年でありますが、そういう問題に思いをはせながら今せっかく勉強中でございますが、なかなか政治の場にのせるほどの成熟をいたしておりません。どうか、所見の一つも御協力をちょうだいしながら、沖縄が本当の
意味で南西に向けた開かれた沖縄として発展ができるように御協力を願いたいと思います。