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今井澄君 民主党・新緑風会の
今井澄でございます。
本日は
集中審議の二日目ということで、
外交、
危機管理、それから
医療・福祉ということですが、私は時間の
関係もあり
医療・福祉に絞って
質疑をさせていただきたいと思います。
それで、
質疑書を用意してきたわけですが、けさからの御議論を伺っていて、どうしても例の
国民負担率という言葉についてまた一言申し上げたくなりました。十二月十六日の行財政改革・税制の特別
委員会でも申し上げたんですが、先ほど日下部議員が
国民負担率という言葉には実は問題があるんだけれ
どもと、時間がないからその先を言われませんでした。
日下部議員も私と全く同じ気持ちだと思いますが、議事録を見ましても、三月六日から始まったこの参議院の
予算委員会、それから本日の朝からの
委員会でも、この
国民負担率という言葉自身の持つ意味について大分あいまいになってきているというふうに思います。
国民負担率という言葉は、保険料と税との合計が
国民所得に占める比率を
国民負担率と言うわけで、今三八%をちょっと超えたところだと思いますが、しかしこの問題、こういうふうに取り上げるといろいろ問題があるということ。
簡単に申しますと、
一つは、
国民負担率と言うと
国民一人一人が
負担する率というふうにとられるんですけれ
ども、実は
国民が
負担しているのは税と保険料だけではなくて、
医療費だったら窓口の自己
負担もあるわけですね。だから、
国民負担率というのを下げれば逆に自己
負担がふえる。
負担という意味では、この
国民負担率という言葉が
国民の
負担をそのまま意味しないとか、それから
総理もきょうも何回もおっしゃっておられますけれ
ども、これは実は累積債務が含まれていないので、本当に
国民がどれだけの
負担を今しているかということを意味しないという意味では、年々の税と保険料だけの率をとっても意味がないと、これはもう
総理が主張しておられるとおりだと思うんです。
それからもう
一つ、これが上がると経済の活力がなくなるというふうな問題がよく言われるんですけれ
ども、必ずしもそういう問題ではないということは大蔵大臣もかつて御
指摘になったところでありますし、この言葉はみんながそれぞれの意味で使うのを何とかある程度整理しなければならないと思わざるを得ません。
実は
総理も、累積債務を入れながら検討しなければいけないと一方でおっしゃっておりながら、これは十二日の本
予算委員会の中では、「
国民負担率、その時代の皆さんの収入から半分以上税金や保険料を徴収しないで済むぎりぎりまでは持つていきたい」ということで五〇%以下という
お話をなさっているんですが、これがまた誤解を生むんですね。何か給料の中から五〇%持っていかれるというふうな感じで
国民負担率をとらえると大間違いじゃないかと思うんです。
今、
国民負担率が三八・何%と言われておりますけれ
ども、実際にサラリーマンの場合に、月収の中から税と保険料を幾ら払っているかというと一七%なんです。これは
国民経済全体の中で言っているわけであって、一人一人の
負担率を言っていないわけですから、こういうふうに発言をされますとさらに誤解を生むという意味で、余り
国民負担率という言葉をいいかげんな定義でもう使わない方がいいんではないだろうかということを最初にちょっと申し上げておいて、この議論を始めると切りがないので、
医療保険制度のところに入っていきたいと思います。
今回の
政府案、
国会に提出されているわけですが、この
医療保険改革は、私はこれは改革の名に値しない、当面の健保財政の赤字対策だと。それは先ほど日下部議員が
指摘されたとおり、今回の案を通してみたところで三年たてばまた同じことを繰り返すわけですよね。ですから、もうこれは厚生大臣も
お答えになっておられますが、
医療保険制度、それからそれを支えている根本である
医療制度そのもの、この抜本改革の案を示さないで、ただ自己
負担を求めるというのは、とても
国民は納得できないことだ、これは一致できると思うんです。
先ほど、厚生大臣は日下部議員の質問に答えられて、この案が出たからこそみんな真剣に
考えるようになったんじゃないかということを言われた。事実そのとおりでありますけれ
ども、しかしそれは私は開き直りだと思うんですよ。
と申しますのは、ここまで財政を危機に追い込んできたのは一体だれなんですか。これまで手をつけずにやってきたのは一体だれの
責任なんですかということなんですよね。少なくとも
国民には
責任はないんです、とも言い切れない、後でちょっと資料を出して言いますけれ
ども。だけれ
ども、
国民は知らされていないんですよ、知らされないままに来ているんです。それどころか、例えば今度の財政危機のまず取っかかりである政管健保の赤字に関しては、これは
政府がつくり出したんですよね、率直に申し上げまして。
平成五年二月でしたか、本会議で私は参議院議員に当選したばかりのときに質問しました。そのときに、政管健保への国庫
負担を繰り延べたい、繰り延べても財政は大丈夫だということを言ったから、そんなことはないでしようと。これから景気が悪くなって保険料の収入は落ちる、それで
医療費が伸びますよ、高齢化も進みますよ、だから政管健保はこれから赤字になるんだから繰り入れをここで先延ばしする、借金をするということはしない方がいいと私は申し上げたんですが、当時の厚生大臣も、それから
総理は宮澤
総理でしたが、大丈夫だということで、その法案通っちゃったんですね。
さらに、それよりもさかのぼると、実は今度の
政府の改革案に政管健保の保険料率を上げるという案が出ているんですが、実は千分の八十二ですか、今はそうですね、八十二ですね。前は千分の八十四だったんじゃないですか、たしか。ところが、それを下げたんですよね。というのは、政管健保の財政はよくなった、これは当分いいから保険料率を下げましようというのを
政府案で出したんです。しかも、同時にそのときに国庫からの繰入率も下げたんですよ、一緒に。そうしておいて、政管健保がやっぱりまた大赤字になっちゃったんですよ。
この
責任は、そういうふうにして繰り返して楽観的な見通しのもとに政管健保の財政を悪化させてきた
政府の原案にあったんじゃないんですか。私はそうだと思いますよ。そのことの反省を抜きにして、今大変だから何とかしてくれだけじゃだめなんですよ。
いや、これから一緒に
考えるのはいいんですよ、改革を。私は別に、ただ
政府だけを責めようと思いませんし、ともにやっていこうと思いますし、端的に言えば、先ほど厚生大臣が言われたように、この程度の自己
負担と言っては
国民の皆さんに怒られるかもしれないけれ
ども、私はやっぱり必要なんだと思います。やらざるを得ないんだと思うんですよね。だけれ
ども、その前にこの
責任を明らかにしていかなければならないと思います。
そこで、さらにその
責任ということで言いますと、この改革案改革案ということだけが、だけでもないですね、薬剤費をどうするとかかなり具体的な話もある程度出てきております。翻って
考えてみますと、実は一九八四年の健康保険の抜本改革、このときに健康保険、本人も原則二割
負担、当面一割、それから特定療養費制度という、先ほどから
総理が言われる保険だけで見ないという世界も入れようという、こういうある意味では抜本改革が行われた。
そのときに、その議論をめぐってほとんど、あらゆる議論が出ているんですね。簡単に言えば抜本改革のメニューはほぼ十二年前に出ていると言えるんですよ。そしてその後、確かにつけ加えられたものも、深められたものもあるけれ
ども、この十二年間、じゃ、そういうメニューがそろったのに何をしていたかということなんですね。
ですから、私
どもは、今から新たなメニューをほとんどっくる必要がない、メニューは出そろっている、その中からどういう選択肢を
国民の皆さんに示して選んでいただくか、あるいは我々の中で議論するか、そういうふうな決断のときだと思うんですけれ
ども、いかがでしょうか、厚生大臣。