運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1997-03-13 第140回国会 参議院 予算委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年三月十三日(木曜日)    午前十時一分開会     ―――――――――――――    委員の異動  三月十二日     辞任         補欠選任      小山 孝雄君     加藤 紀文君      野間  赳君     中島 眞人君      牛嶋  正君     荒木 清寛君      須藤美也子君     聴濤  弘君  三月十三日     辞任         補欠選任      小林  元君     田村 秀昭君      渡辺 四郎君    日下部禧代子君      一井 淳治君     川橋 幸子君      橋本  敦君     西山登紀子君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長        大河原太一郎君     理 事                 片山虎之助君                 佐藤 静雄君                 斎藤 文夫君                 田沢 智治君                 木庭健太郎君                 都築  譲君                 横尾 和伸君                 山本 正和君                 有働 正治君     委 員                 阿部 正俊君                 石渡 清元君                 板垣  正君                 加藤 紀文君                 金田 勝年君                 久世 公堯君                 沓掛 哲男君                 関根 則之君                 竹山  裕君                 武見 敬三君                 谷川 秀善君                 中島 眞人君                 成瀬 守重君                 真鍋 賢二君                 依田 智治君                 荒木 清寛君                 石田 美栄君                 市川 一朗君                 菅川 健二君                 田村 秀昭君                 高野 博師君                 高橋 令則君                 長谷川道郎君                 浜四津敏子君                 大渕 絹子君                日下部禧代子君                 清水 澄子君                 照屋 寛徳君                 川橋 幸子君                 小島 慶三君                 本岡 昭次君                 藁科 滿治君                 聴濤  弘君                 西山登紀子君                 山田 俊昭君    国務大臣        内閣総理大臣   橋本龍太郎君        法 務 大 臣  松浦  功君        外 務 大 臣  池田 行彦君        大 蔵 大 臣  三塚  博君        文 部 大 臣  小杉  隆君        厚 生 大 臣  小泉純一郎君        農林水産大臣   藤本 孝雄君        通商産業大臣   佐藤 信二君        運 輸 大 臣  古賀  誠君        郵 政 大 臣  堀之内久男君        労 働 大 臣  岡野  裕君        建 設 大 臣  亀井 静香君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    白川 勝彦君        国務大臣        (内閣官房長官) 梶山 静六君        国務大臣        (総務庁長官)  武藤 嘉文君        国務大臣        (北海道開発庁        長官)        (沖縄開発庁長        官)       稲垣 実男君        国務大臣        (防衛庁長官)  久間 章生君        国務大臣        (経済企画庁長        官)       麻生 太郎君        国務大臣        (科学技術庁長        官)       近岡理一郎君        国務大臣        (環境庁長官)  石井 道子君        国務大臣        (国土庁長官)  伊藤 公介君    政府委員        内閣参事官        兼内閣総理大臣        官房人事課長   安富 正文君        内閣審議官    白須 光美君        内閣法制局長官  大森 政輔君        内閣法制局第一        部長       秋山  收君        警察庁生活安全        局長       泉  幸伸君        総務庁人事局長  菊池 光興君        総務庁行政管理        局長       陶山  晧君        総務庁行政監察        局長       土屋  勲君        防衛庁参事官   別府 信宏君        防衛庁防衛局長  秋山 昌廣君        防衛庁教育訓練        局長       粟  威之君        防衛施設庁施設        部長       首藤 新悟君        防衛施設庁労務        部長       早矢仕哲夫君        科学技術庁長官        官房長      沖村 憲樹君        科学技術庁長官        官房審議官    興  直孝君        科学技術庁科学        技術振興局長   青江  茂君        科学技術庁原子        力局長      加藤 康宏君        科学技術庁原子        力安全局長    池田  要君        環境庁自然保護        局長       澤村  宏君        環境庁水質保全        局長       渡辺 好明君        国土庁長官官房        長        近藤 茂夫君        法務省民事局長  濱崎 恭生君        法務省刑事局長  原田 明夫君        外務省総合外交        政策局長     川島  裕君        外務省総合外交        政策局国際社会        協力部長     朝海 和夫君        外務省北米局長  折田 正樹君        外務省条約局長  林   暘君        大蔵大臣官房長  涌井 洋治君        大蔵省主計局長  小村  武君        大蔵省理財局長  伏屋 和彦君        大蔵省証券局長  長野 厖士君        大蔵省銀行局長  山口 公生君        証券取引等監視        委員会事務局長  若林 勝三君        文部大臣官房長  佐藤 禎一君        文部大臣官房総        務審議官     富岡 賢治君        文部省生涯学習        局長       草原 克豪君        文部省初等中等        教育局長     辻村 哲夫君        文部省高等教育        局長       雨宮  忠君        文化庁次長    小野 元之君        厚生大臣官房総        務審議官     中西 明典君        厚生省薬務局長  丸山 晴男君        厚生省老人保健        福祉局長     羽毛田信吾君        厚生省保険局長  高木 俊明君        農林水産大臣官        房長       堤  英隆君        農林水産大臣官        房総務審議官   石原  葵君        農林水産省構造        改善局      山本  徹君        農林水産省畜産        局長       中須 勇雄君        林野庁長官    高橋  勲君        通商産業大臣官        房長       広瀬 勝貞君        資源エネルギー        庁長官      江崎  格君        運輸大臣官房長  土井 勝二君        運輸省運輸政策        局長       相原  力君        運輸省鉄道局長  梅崎  壽君        運輸省航空局長  黒野 匡彦君        郵政大臣官房総        務審議官     高田 昭義君        郵政省貯金局長  品川 萬里君        労働大臣官房長  渡邊  信君        労働省婦人局長  太田 芳枝君        建設大臣官房長  小野 邦久君        建設省河川局長  尾田 栄章君        建設省道路局長  佐藤 信彦君        建設省住宅局長  小川 忠男君        自治大臣官房長  谷合 靖夫君        自治大臣官房総        務審議官     嶋津  昭君        自治省行政局公        務員部長     芳山 達郎君        自治省行政局選        挙部長      牧之内隆久君        自治省財政局長  二橋 正弘君        自治省税務局長  湊  和夫君    事務局側        事務総長     黒澤 隆雄君        常任委員会専門        員        宮本 武夫君    法制局側        法制局長     田島 信威君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○平成九年度一般会計予算内閣提出、衆議院送  付) ○平成九年度特別会計予算内閣提出、衆議院送  付) ○平成九年度政府関係機関予算内閣提出、衆議  院送付)     ―――――――――――――
  2. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ただいまから予算委員会開会いたします。  平成九年度一般会計予算平成九年度特別会計予算平成九年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  昨日に引き続き、総括質疑を行います。荒木清寛君。
  3. 荒木清寛

    荒木清寛君 平成会荒木清寛でございます。  まず、動燃核燃料処理工場爆発事故につきましてお尋ねをいたします。  報道によりますと、総理のもとにこの第一報が届きましたのは発生から二時間半もたった十一日の十時半過ぎであったという点。また、これも報道によりますと、火災発生直後に放射性物質が外部に漏れたという警報が作動した、しかし動燃は十時半には国や自治体に対して環境への影響なしという、結果的には虚偽の報告をしたということでございます。そういうことを聞きまして、私は、本当に政府危機管理体制というのはどうなっているのかというふうに憤りを感じます。  また、大変失礼ながら、中には科技庁長官健康状態もあってスムーズに連絡がとれなかったのではないかというような指摘もあるわけです。  また、この動燃情報隠匿と言うと言い過ぎかもしれませんが、「もんじゅ」に次いでまた再び情報隠しかというまことに腹立たしい思いが私はするわけでございますので、これらの点につきまして総理、また官房長官、そして科技庁長官の御説明を求めます。
  4. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 昨日、本委員会開会に当たりまして、その時点において判明している状況科学技術庁長官から本委員会に御報告を申し上げ、その後大変手厳しい御意見をちょうだいいたしました。そして、私からその時点における状況の範囲内でおわびを申し上げましたが、実はその後におきまして、放射性物質をごく微量とはいいながら吸入した可能性のある方々の数が次々にふえてまいりました。そして、最終的に現時点で私が受けております報告は三十七名ということであります。  そして、正確に申し上げますならば、第一回目の事故発生について、むしろこの予算委員会の休憩になり昼のニュースを見て知る方が、動燃から科学技術庁を経由し連絡を受けるまでの間には時間差がございました。そして、たまたま国賓としてお迎えをいたしましたセディージョ大統領宮中晩さん会が終わり、車に乗りました瞬間に第二の爆発事故状況を知らされ、その細部につきまして、なお私の方から科技庁を通じ動燃に対し詳細を知らせろという指示をする、そうした状況もございました。  そして、その二度目の爆発事故について報告を受けました時点では、最初の事故との関連性についても動燃側からの報告にはございませんでした。昨日、市川委員お答えを申し上げましたときにも、その点の報告は来ておらないままに、午前中の事故と再発した火災との間に当然関係があると思うという私の推測でお答えを申し上げたわけでありますが、現時点において判明してきておりますものは、この関係が別のものではなかったという状況でございます。  そして、昨日も申し上げましたように、この事件は、これから調査委員会を設立し、すべて公開でその調査審議を行い、そのプロセスにおいても国民信頼の回復に努力すべき性格のものと、そういう動き方をこれからしていくわけでありますけれども、私はやはり一番の問題は、これを分析してまいりますと、今政府危機管理という点についての御指摘をいただきましたが、政府の対応につきましても反省すべき点は出てくるかもしれません。しかし、いかなる危機管理の場合でありましても、実は一番基礎になりますものは現場からの第一報であります。  私の思いを率直に申しますならば、「もんじゅ」の事故発生をいたしましたとき、動燃には通報おくれとともに事実の隠ぺいという問題があり、これが必要以上に多くの方々への不安を投げかけた。そして、その後、円卓会議等を繰り返すことによりまして、その不信をある程度まで消すことができたと思っておりましたやさきの事故でありますだけに、動燃には「もんじゅ」の事件における反省また教訓の受けとめは一体どうされていたのかという思いが、私自身、いたします。  なお、今、科学技術庁長官健康云々にまでお触れをいただきましたけれども、長官執務に何ら影響のあるものではありませんし、また長官が例えば体調を崩して伏せっておられたといたしましても、当然ながらそれにかわるべき職責の者が政府部内における連絡責任はとるべきでありまして、その点がこの問題の通報おくれといったようなものを起こしたことではございません。  私は、やはり動燃体制が「もんじゅ」の事故発生以来の教訓を全く生かしていないとしか思えない。その報告を受けた時点において科学技術庁がもう少し事態把握に対する指示をする、あるいはそうした点に対しての警告を発する等々の行動が必要であったのかと現時点思います。しかし、やはり当事者である動燃の通報おくれというものが今回の事態を必要以上に大きなものにしつつある、この点については政府としても責任を感じておりますということを、昨日、申しわけありませんでしたという言葉を申し上げましたけれども、同じ言葉とともに御報告を申し上げます。
  5. 梶山静六

    国務大臣梶山静六君) 総理の方から事実関係の詳細な話がございましたから省略をいたしますが、いずれにいたしましても、この原因というのを考えますと、一つは、私自身が安全に対する過信と申しますか、これがあったことは否めません。  ほかの危機管理は全くのずぶの素人ですから初めからやっているわけでありますが、特に東海の動燃、ちょうど三十年前でありますが、この再処理テストプラントを初めは反対決議をしていた県会にありまして、私たちの時代にいわばゴーサインを出して操業に入ったわけであります。それ以来、操業期方々、この方々は血みどろで熱心な試行錯誤を重ねながらやってまいられました。そして、今見てまいりますと、その初めのころのいわば緊張感、これがなくなってしまったのではないかなという気が一ついたします。  それから、この事故に対する報告は、一昨日の正午に科学技術庁動燃と一緒に記者発表があったそうでありますから、そのことは細かく私のもとにも入らなければならなかったわけでありますが、さして重要な事故という分類がなくて、実はそれを見ることもできなかったわけであります。  ですから、どう見てみましても、やはり当事者というのはなるたけ事故原因を見定め、事故の被害の状況を正確につかんでから表に出したいという保守的な気持ちが働くことはこれは当然なのかもしれませんが、私は過大に事故が言われてもいいはずだ、そしてそれは小さく終わればいいはずだと、そういう思いが新たになっております。  ですから、私自身もひっくるめて、これだけやってきたことだから大丈夫なはずだという過信、これが私は事故につながる一番大きなもとではないかと思いますし、恐らく関係者方々にもそういう慢心というか惰性があったのではないか、こういう気持ちが今率直にいたしております。  いずれにいたしましても、正確な状況把握しなければなりません。まだ総理にお話をしておりませんが、許可がいただけるならば、私は危機管理責任者としても、またがっての動燃のこの再処理テストプラントゴーサインを出した当時の一人としても、そして今地元の一人としても、現地の調査、視察にぜひともこの週末入って調査をし、その原因と、それからもうちょっと、もう一回原点に返った真摯な、危険なものであるというその判断、意識を高めてまいりたい、このように考えます。
  6. 近岡理一郎

    国務大臣近岡理一郎君) ただいま総理並びに官房長官からもお答えがありましたように、昨日、私も委員会の冒頭で、国民に対しまして本当に今回の事故は大変な不安感を与えましたことにつきまして心からおわびをしたわけであります。  そこで、今回の事故に関しまして、ただいま委員指摘の点についてお答えしたいと思いますが、動燃事業団による事態の正確な把握及び迅速かつ正確な連絡、通報が行われなかった、その結果として、結局、科学技術庁としても判断を誤ったということはまことに残念であり、私も責任を感じております。  今回の問題点を今後徹底的に分析いたしまして、十分な体制を確立するように全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。どうか、各先生方のお力添えを願いたいと思います。
  7. 荒木清寛

    荒木清寛君 今の御答弁を聞きますと、やはり動燃体質にはもう相当問題がある。そして、あの「もんじゅ」の教訓というのは一体何だったのかというふうに感じますし、私も国会の場で今後厳しく追及をしていきたいと、そう考えております。  次に、野村証券疑惑についてお尋ねをいたします。  まず、大蔵省に確認をしますが、斉藤副社長が三月六日に記者会見をしました。私なりにまとめますとそのポイントは三点あります。一つは、証取法で禁止をされている一任勘定取引を行ったという点を認めた。二つ目売買注文が同時刻に出ていたということを認めた上で自己の勘定顧客勘定につけかえる花がえを行った疑いがある、損失補てんを行った疑いがあるということを認めた。三点目、その顧客親族野村株主である、かつその株主というのは代々総会屋として総務とつき合いがあったという点を認めました。これで間違いありませんか。
  8. 長野厖士

    政府委員長野厖士君) 記者会見におきます発表及び質疑のやりとりは多岐にわたっておりますし、その内容の細かなニュアンスにわたる部分の認定は証券取引等監視委員会において御判断なさることかと思いますけれども、全体といたしましては御指摘のような点が記者会見において質疑の中であったというふうに承知いたしております。
  9. 荒木清寛

    荒木清寛君 ですから、この会見を前提としますと、顧客に対する損失補てん及び総会屋親族企業に対する利益供与がなされた疑いがあるというふうなことになるかと思います。  そこで、総理お尋ねしますが、平成三年は一連証券不祥事が発覚をいたしました。そして、同年十月三日、業界トップ野村証券を初めとする一連証券不祥事を受けまして証取法の一部改正案成立をしました。同日、橋本大蔵大臣は、証券不祥事再発防止に向けて一歩を踏み出すことができた、私の元秘書の行動については責任を痛感していると言われまして辞表を提出された。要するに、総理が当時大蔵大臣として引責辞任までして取り組んだ証券不祥事再発防止でありますが、また起きてしまいまして、証券会社体質というのは全く変わっていないというふうに思う  のは私一人だけではありません。  また、今回の事件について見ますと、とても二人の常務だけの独断で行われたとは常識的には考えられませんで、会社ぐるみ違法取引であったという可能性もある。さらに、今回が二回目でありまして、本当に特定の顧客にかかわる事件だけなのか、ほかにもあるんではないか、要するに他の顧客にもそういう損失補てんとか利益供与を行った可能性があるんではないかという感を抱くわけであります。  この際、総理には透明性ある証券市場とするためにも徹底的にこの事件真相究明をしていただきたいという点も含めまして、今回の不祥事につきましての総理の御認識をまずお伺いします。
  10. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 議員が御指摘になりましたように、証券不祥事が先年発生をいたしましたとき、多くの方々から直ちに責任をとれというお声がございました。そして、私は、この証券市場というものが信頼を取り戻すその改革の第一歩までは自分で処理をして、その上で辞任をすることが私の責任、そんな思い証取法改正国会で御審議いただき、この成立を待って職を辞することにいたしました。  そのときにはまさに損失補てんというものが中心であり、その損失補てんをする手法の中でつけかえの問題が出ましたり、あるいは同時刻同銘柄といったものはあのときもございました。そうした問題点があり、大蔵省証券局行政そのものも改め、非常に膨大な通達によって支えられていた通達行政というものを全面的に見直しながら、単純な事務的な手続とかそういうものは除きまして、ルールに関するものは証券取引所あるいは証券業協会、こうした業界の自主的なルールに移しかえていく、そしてそのかわりに、本当に必要なものについては通達ではなくむしろ証取法そのものの中に取り込んでいく、そんな体制でこの問題に当たったことを今も思い出しております。  そうした立場におりました者が、今この事件に遭遇をいたしますと、言葉としては極めて遺憾というおよそ決まった言葉しか使いようがありませんけれども、本当に情けない思いを私自身がいたしております。そして、この事件が本当に私はまれなケースであることを祈りたいような思いであります。  具体的な法令違反というものにつきましては、独立した職権を行使される証券取引等監視委員会において厳正に対処されるものと考えておりますし、大蔵大臣監視委員会からの法令違反行為に基づく勧告を受けて厳正な処分を行われるものと思います。  しかし、そうした処分以前の問題として、日本の証券トップである野村証券がこうした行動を繰り返していたことが国際社会の中においてもどれほど我が国の証券市場というものの信頼を大きく傷つけたかということは、少なくとも野村関係者には改めて認識をしてもらわなければなりません。そして、処分といった問題とともに、今金融システム改革の問題提起をしております私からいたしますと、ここでまた市場の信頼回復にまでこれが及ばないことを祈るような思いであります。
  11. 荒木清寛

    荒木清寛君 今、総理からまれなケースであることを祈りたいというお話でしたが、しかし証券トップ、しかも再び新聞、週刊誌等ではこの記者会見以上の事実が出ているわけでして、どうもそうではないような気もするわけです。  そこで、大蔵大臣にもこの事件をどう認識しておられるか、また大臣としても真相究明に積極的に取り組むべきだと思いますので、御見解をお述べください。
  12. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) ただいま橋本首相から本件に関する感懐と所信が申し述べられました。主管大臣といたしましても、金融システム改革のスタートを切り、痛みを耐えながら、よりよき市場をつくり上げていこうというので諸準備が進行いたしておる現在でございます。こういう中におきましてこのような事態、起こってはならない事態であります。極めて遺憾を通り越えまして残念至極、言う言葉がございません。  具体的な法令違反については、御案内のとおり、前回の証券不祥事事件に発しまして独立した職権を行使する証券取引等監視委員会ができておるわけでございます。委員会において厳正に対処をされるものと考えております。行政といたしましては監視委員会から法令違反行為に基づく勧告があれば厳正な処分を行うことは当然でございます。  また、第二問でありますが、先般、野村証券に対し、内部管理体制を総点検するなど、再発防止に全力を挙げるように指示をいたしたところでございます。監視委員会における独立した機関としての本件の解明、同時に、大蔵省とすれば証券局が最大の関心を持って本件に対し取り組んでいく、こういうことであります。金融システム改革が進行いたしておるわけでありますから、このことの前進に向けて進んでほしい、こういうことであります。
  13. 荒木清寛

    荒木清寛君 内部管理体制の強化とおっしゃるわけですが、これは既に平成三年七月三十一日、「証券会社の社内管理体制の強化等について」という通達が前回の不祥事で出ているわけです。しかし、実際は全くなっていなかった。場合によってはこれは野村特有の問題ではないかもしれませんね。そういう意味で私は、事野村証券に関してそういう指導をするだけじゃなく、この際、証券会社全体のそういう社内管理体制の強化に行政監督当局としては取り組むべきだと思いますが、大蔵大臣、いかがですか。
  14. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 御指摘のとおりでございます。そのように取り組みます。
  15. 荒木清寛

    荒木清寛君 それが一片の通達を出すので終わったのではまた前と同じでありますから、どういう具体策をお出しになるのか、今後注目をしていきたいと思います。  そこで、総理にもう一問だけお尋ねしますが、規制緩和、ビッグバンあるいは金融市場改革といいましても、何をやってもいいという規制緩和や自由ではないはずであります。規制緩和に伴って公正取引委員会の機能が強化されましたように、不公正取引に対する検査体制の強化というのが同時に行われなければ改革は成功しないと思います。そうでなければ、自由になってかえって一般投資家、一般預金者が害されるということにもなりかねません。  そこで、この金融改革に伴う不法行為、不正行為の監視機能の強化につきまして、総理としてリーダーシップを発揮していただきたいと思いますから、御答弁願います。
  16. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今金融システム全体の中での御質問でありましたので、多少長くなることをお許しいただきたいと存じます。  この件ではなく、前回の証券不祥事発生いたしました際に、まさに検査・監督の機能というものをどうするかが国会の中でも大変大きな論議になり、世間でも非常に大きな御論議が行われたところであります。そうして、その相当部分の御意見というものはアメリカのSECに似た独立機関を政府の外につくれという御指摘でありました。ただ、私はその当時SECのような組織というものは必ずしも我が国に定着し得る組織と考えておらなかったわけであります。  なぜなら、実態を調べてみて、SECというのは非常に膨大な機構でありますこと。そして、優秀な人材ほど本当にそこで業績を上げますと一年半から二年ぐらいの間にどんどんどんどん民間企業にスカウトされていく。むしろ五年もいますと、よほどそれは腕の悪いやつだという評価になってしまう。そのかわり、退官した人と現に残っているSECのメンバーとの間へのファイアウォールは非常に厳しい規制をかけていた。そして、終身雇用制ではないアメリカとしてつくるとすれば、なるほどこういう仕組みをつくることによって有効に機能するんだな、しかし終身雇用制を前提としている我が国の雇用慣行の中でこのような組織が果たしてできるだろうか。  そうしたことから、当時の鈴木永二行革審会長等の御意見も伺いながら現行の証券取引等監視委員会の仕組みをつくったわけであります。そして、検査、犯則事件調査などの活動を通じて市場の公正を確保する、そうした目的を着実に果たし得るもの、そのように位置づけました。  しかし、そのスタートにおいて不安がなかったと言ったらうそになります。この仕組みで果たして本当にワークするだろうか。私が本当に心配をいたしましたよりも、実はこの監視委員会は非常に早い立ち上がりの時期におきまして幾つかの事件を発見し、調査し、そして処分に持っていく、そうした実績をつくってこられました。私は、その意味では独立性を最大限担保したこの証券等監視委員会の今日までの努力というものはそれなりの御評価をいただけるものであったと考えております。  そして、昨年来の御議論の中で、大蔵省全体の金融システムについてその監視体制、監督体制というものが企画立案の部分と一つの組織内にあることはいかがなものかという御意見もあり、そうした御意見を踏まえて、政府は金融監督庁構想を国会に御審議を今ゆだねているところであります。  私はこの金融監督庁構想というものはこれからのどんどんどんどん進めていこうとする金融システム改革の中においても従来とは異なった立場での役割を十分果たしてくれるもの、そのように考えておりますが、要はその仕組みとともにどのような人材をここに得られるかということであると思います。私は、証券等監視委員会の発足に当たって司法の世界から委員長をちょうだいできたことが、その存在そのものが一つ信頼性を生み、その期待にこたえるべく職員が努力をしてくれた結果が今日を築いていると考えておりまして、金融監督庁構想を国会で御承認いただきました場合に、そのスタートにおける組織首脳の人選というものがその組織の将来を決める、今そのような思いでこれを見ております。
  17. 荒木清寛

    荒木清寛君 関連して、大蔵大臣お尋ねをいたします。  今、総理から金融監督庁というお話がありましたが、先般の答弁でも証券取引等監視委員会は基本的にはそのまま金融監督庁に移行するということでございます。私はアメリカのSECと同じぐらいにということは申しません、二千数百人も委員がいるということですけれども。しかし、現行の九十一名の定員というのは余りにも、弱体と言うと申しわけありませんが、と思うんですね。東証第一部だけでも一日三億株以上の取引があるわけでありまして、そういうものを若干九十一名の人員で監視していけるのかと思うわけです。実際にこの犯則事件調査、告発、検査等につきましては、権限の一部を地方の財務局長に委任してやっている。要するに、もう手足が足らないということは私は明白ではないかと思うんです。  そこで、大蔵大臣にお聞きしますけれども、本当に透明、公正な金融市場を実現するというのであれば、今回の大蔵改革に当たりまして証券取引等監視委員会の機能強化、具体的には人員の増強、もちろん行政改革の中での話ですが、これは私は絶対にやらなければいけないと思います。また、総理から今人材を得られるかというお話がありましたが、そういう意味では、司法界のみならず、また公認会計士等もそういうスタッフに入れていってはどうかというふうに思いますが、大蔵大臣の所見をお聞かせください。
  18. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 人員九十一名です。行革の真つただ中でありますので、御指摘のように強化をしてまいりたい気持ちは十分でありますけれども、今日ただいま、法定によってでき上がりました監視委員会、九十一名が火の玉となって全力を尽くして事態の解明に当たっておるところでありますものですから、委員の御指摘監視委員会に対し、また証券局に対し激励ということに受けとめさせていただきながら頑張っていかなければなりません。  御指摘を受けるというのが、いかに証券市場が本来の業務、信任を得るための日々の活動に欠けておる点大であったということを踏まえてのことでございますから、重く受けとめます。
  19. 荒木清寛

    荒木清寛君 監視委員会に精神論で頑張れというふうに激励されましても、やっぱり九十一名の人員ではいかにもかわいそうだというふうに思います。  そこで、監視委員会にも来ていただいておりますので、お伺いいたします。  先般の証券取引等監視委員会の御答弁では、昨年の夏以来この野村事件につきまして調査をしているというお話でありまして、大変精力的に頑張っていただいているのではないか、その結果として野村証券もここまで追い込まれたんではないかというふうに私は思うわけでありますが、この真相究明に向けまして一層頑張っていただきたいと思います。  今の調査状況はどうなっておりますでしょうか、御報告をいただきたいと思います。
  20. 若林勝三

    政府委員(若林勝三君) お答え申し上げます。  証券取引等監視委員会といたしましては、日ごろから市場取引に関するさまざまな情報の収集、分析に努めておりまして、証券市場の監視を行ってきておるわけでございます。そこで、取引の公正の観点ということから、不自然と思われるような取引が発見されましたらさらに関係者から事情を聞くといったことも行いまして、深度ある調査を進めてきたわけでございます。  御指摘野村証券の取引につきましては、こうした監視活動の中におきまして不自然な点が見られた、不自然な取引が見受けられたということから、昨年の夏より事実関係の解明に努めてきたところでございます。こうした中でその事実関係の解明もある程度は進んでおったところでございますが、先般野村証券から記者会見が行われたことは御案内のとおりでございます。  当委員会といたしましては、今後、事実関係をさらに解明していく必要があるということでそれに鋭意努めておりまして、その結果を踏まえまして、法の定めるところに従って厳正に対処する方針で臨んでおります。
  21. 荒木清寛

    荒木清寛君 御報告願えるのはそのぐらいが精いっぱいかと思いますが、そこで、法務当局にもお尋ねいたします。  この副社長の記者会見を前提としても、もう損失補てんはほぼ認めている、また種々の報道からすれば、株価操作あるいは商法の関係では不当な利益供与あるいは特別背任等、刑罰法規に触れる可能性も十分にあるわけであります。事柄の性質上、重大な関心を持ってこれに取り組んでいただきたいと思いますが、いかがですか。
  22. 原田明夫

    政府委員(原田明夫君) お答え申し上げます。  ただいま御指摘のような報道がなされており、またさまざまな観点から御論議がなされているということは検察当局におきましても承知しているものと存じます。  ただ、検察当局がどういう観点からどのような事件について取り組んでまいるかということにつきまして、法務当局からお答え申し上げることは差し控えさせていただきたいのでございますが、一般論として申し上げますれば、検察当局におきまして刑事事件として取り上げるべきものがございますれば、関係当局とも連携をとりつつ適正に対処してまいるものと考えております。
  23. 荒木清寛

    荒木清寛君 ぜひ頑張っていただきたい。  次に、エネ庁幹部の電力会社へのC重油購入疑惑につきましてお尋ねします。  恐縮ですが、総理に一般論としてお答えをいただければ結構ですが、お書きになりました「政権奪回論」の中で通産省の口頭指導の見直しを提言されておられます。それは行政の透明性を確保するという観点であります。  それを引用するまでもなく、一般論として私は、通産省がその監督のもとにある企業に対しまして、通産省の幹部が特定の企業の特定の商品を買ってやってもらえないかとか、そういう働きかけをすること自体がもう既に行政のあるべき姿から外れていると思います。一般論で結構でございますが、お答え願います。
  24. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私が自分の著書の中で書きました行政指導、それはまさに、先ほどの証券不祥事の際、その通達を全部見直し、業界ルールに移すべきもの、法律に上げるもの、そうした視点で見直したという自分の体験の中から行政指導というもののあり方に疑問を呈したからでありました。しかし、証券局の場合には、今考えてみれば、指示をしたことが通達として全部紙で残っている、それはある意味では非常に公明正大だったのかもしれないなと思います。  そして、それに比べて口頭指導というやり方、それが証拠として残るわけでもない、言った言わないと後で言い出せばそれを否定してしまうこともできる。私、口頭指導というのは本当にいいやり方だと思いません。ただ、議員が今引用されましたケースは私は口頭指導でもないと思うんです。むしろ、これは特定企業の営業活動に対する協力であって、公務員として行う範囲に含まれる可能性のある行政指導とは異質のものだと思います。  ですから、私は、それがどうかと言われますなら、これは今関連する案件全体が司法当局の捜査の対象となっておりますことゆえコメントは控えさせていただきますけれども、口頭指導という言葉はあくまでもその業務の遂行の上で注意すべきこと、留意すべきこと、そうしたことに対して指示をする、そこまでが範囲ではないだろうか。特定の企業の特定の部分に行政全体の問題を持っての発言ではないものはむしろ行政指導でもないんじゃないだろうか。私は、それは個別のケースで判断しなきゃならないことですから具体的なルールをどうするとは言えませんけれども、民間の取引に行政が何らかの意思表示をする、そうしたケースがあり得ることはわかります。しかし、それはあくまでも透明なものでなきゃいけない、それが原則ではないでしょうか。
  25. 荒木清寛

    荒木清寛君 その趣旨からしますと、通産大臣にお聞きしますが、この問題につきましての調査結果内容には全く私は納得いきません。「石油政策が歪められるような問題は無かったと考えている。」というふうに言っていらっしゃいますが、国民の目には決してそんなふうには映りません。通産省幹部が監督下にある電力会社に対して特定会社の重油購入を働きかけること自体が行政の公正、中立性に対する国民信頼を損なっているというふうに思いますが、どうですか、通産大臣。
  26. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 今どういうことを私に聞かれたのか実はよくわからなかったんです。というのは、一般的に行政がこういうように口出しすることがいかがなものかというのか、それとも特定の話に対しておっしゃったのか……
  27. 荒木清寛

    荒木清寛君 特定の話です。
  28. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 特定の話ですか。  これは大変実は不思議というか難しいので、確かに報道でもって取りざたされております。不思議なことにその人の名前が出てこない。少なくとも全国紙においてはエネ庁元幹部とか高官とか、こういう表現で推移しているんです。それは一体なぜだろうかということを考えると、一つは今この問題が捜査線上にあるというか捜査の対象になっているということでしょうが、もっと大事なことは、その人の人格、人権というもの、これを非常に重んじているんじゃないだろうか。ほかの方の話は名前が出ております。だから、ここが実は私の方も非常に難しいと言わざるを得ない話なんです。  そこで、そういう場合でもってこの話が新聞紙上に出たことは私も存じています。しかし、衆議院の予算委員会でこの話でもってもう少し通産として調査をしろと、こういうふうな話があり、私の方から調査をするというふうな答弁をした、こういういきさつがございました。そこで、どういうことで調べるかといったら、名前もはっきり特定されていない者ということですから非常に限界がありました。  そこで、あくまでもこれが口ききというようなことでもって、そして具体的には二つの電力会社に連絡があったということですから、そういうことでもっていわゆる石油行政、一般行政というものがゆがめられたおそれがあるかどうかということに力点を置いて調査というか、関係者から話を聞いたということからして、その判断でもって、今申したように私の方は捜査権がございませんから限界がございます。その中において、私たちは両方の言い分を聞いてみて、少なくとも石油行政というものがゆがめられたというおそれはないと、こういうふうに判断をさせてもらいましたし、そのことをまた当委員会でも申し上げているわけでございます。
  29. 荒木清寛

    荒木清寛君 この元幹部というのはどうも特定できているのかどうかと思うんですが、通産省の調査結果内容に言う元幹部というのは特定の人が特定できて、その人に聞いたわけですね、当然の話ですけれども。  じゃ、この元幹部というのは一人ですか複数なんですか。
  30. 広瀬勝貞

    政府委員(広瀬勝貞君) 私ども、調査に当たりましては、その資源エネルギー庁元幹部というのは特定をして話を聞きました。それから、その人を前提にして電力会社にも話を聞きました。
  31. 荒木清寛

    荒木清寛君 もう一点、事実関係お尋ねしますが、この元幹部が電力会社に働きかけをしたことは確認できたという話ですが、この元幹部は泉井被告から依頼を受けてそういう働きかけをしたということも確認されたんですか。
  32. 広瀬勝貞

    政府委員(広瀬勝貞君) 電力会社に対して三菱石油を紹介したということは聞いたわけでございますけれども、そこに至る経緯につきましては、捜査中の案件でもあるということで事情を聞けなかった次第でございます。
  33. 荒木清寛

    荒木清寛君 聞けなかったということですが、通産大臣、先ほどの質問と重なるんですけれども、私は、特定の幹部が特定の企業のためにそういう営業活動のようなことをすること自体が国民のエネ庁の行政に対する信頼を著しく損なっているということを指摘しているんですが、違いますか。
  34. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) おっしゃる点もよく理解できます。  ただし、先ほど総理が言われたように、いわゆる一般論で恐縮でございますが、やはりある種の行政を遂行するためには、そういうように企業に対して特定の取引というもの、また個別企業の担当者に紹介するということはないとは言えないことでございます。  今思いつくのは、御存じのように、例えば製品の輸入促進と、こういう時代には企業にこうした製品というものの拡大をしてくれと言った場合もございますし、またこれから新しい仕事をつくろうということでベンチャーということが盛んに今言われていますが、このベンチャーの振興の観点からも特定のベンチャー企業、こういうところに対して御要望があれば融資先を紹介すると、こういうふうなケースが考えられるわけでございます。(「C重油はベンチャーか」と呼ぶ者あり)般論と言っているじゃないか。しかし、こうした場合においては、最終的な判断はあくまでも企業のコマーシャルベースの判断にゆだねられるんだということが前提でございます。  そこで、今のC重油の場合でございますが、そういう話は私はやはりあったと思います。そういうふうな調べでございますが、しかしそのときにあくまでも、俗にこういうことがあるがという紹介があったと。それに対して私たちの調査では、実は両者の言い分が合うのは、ある社は、今の場合それは間に合っていますということで断り、ある社は、自分の方は今のところは買えないと言って、後の時点でもって自分の取引会社、この方の量をふやしたと、こういうふうに実は聞いているわけでございます。
  35. 荒木清寛

    荒木清寛君 ベンチャーの話とは全然違うわけです。  では、もう少し具体的に当時の状況を言いますと、このC重油というのは、釈迦に説法で恐縮ですが、石油製品の連産品、副産物でありまして、当時の状況では石油業界にはC重油ネックがあったと。要するに、元売各社ともどうやってこのC重油をさばくかということでいろいろ苦心されておったわけですね。三菱石油だけじゃなくて、A石油もD石油もE石油もみんな何とかしてC重油を売りたいと思っているときに、この幹部は三菱石油のためだけに働いたわけです。こんなことは、何だそれはセールスマンかと、総理の先ほどのお話じゃありませんけれども、著しく国民信頼を損なうんじゃないんですか。こんなことだったら、じゃもう幹部にごまをすった方が勝ちだという話になっちゃうじゃないですか、国民としても。違いますか。
  36. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 実は今大事なことを言い忘れたんですが、今おっしゃるように、そういうことは確かにやはり国民から見て不自然だと思うんです。  そういうことで、私が大臣就任以来、綱紀粛正という点からしてそういうことは厳に慎んでおります。
  37. 荒木清寛

    荒木清寛君 そういう御趣旨であれば、この調査報告書の、石油政策がゆがめられたことはなかったというような断言をしているわけですが、問題じゃありませんか。国民の疑惑を招いて申しわけないという一言があってしかるべきじゃないですか、これは。
  38. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 先ほどから申し上げているように、本事件はOBの方で既に民間人になっているということで、先ほどから説明しているように、全国紙でも特定した名前だとか役職が出ないというその点を実はお考え願いたいと思うんです。もし委員の方でもってはっきりお名前もおっしゃれないというのは、やはりそこに問題がお互いにあると思うんです。そこのところをよくお考えになって、それで確かにそういうことでゆがめられたかどうかということを観点にした場合に、私たちはそういうふうな判断をした。  ゆがめられたというのは、簡単に言えば、俗に言う役所の権限でもって圧力をかけてこの物を買えと、こういった場合が非常に問題になるだろうと思うんです。そういうことは実際見当たらなかったし、しかもそれから先になると私の方は調査権がないし、あるいは新聞紙上によるとまだこれが捜査の対象になっているということでございます。
  39. 荒木清寛

    荒木清寛君 そういう意味でいいますと、監督官庁が監督下にある企業にそういう働きかけをすること自体が、無言の圧力という言い方がいいかわかりませんけれども、そう言われた方としてはむげに断ることはできないじゃないですか。強制ではないにしたって、上の方からそう言われたら何とか善処しようというふうになるのが普通じゃないですか。そこに何の圧力といいますか、影響力といいますかはないんですか。そういうものを行使して三菱石油のためだけにそんなことしてよろしかったんでしょうか。
  40. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) この辺になると、実は委員と私の考え方が根本的に違うと思うのは、私はやはりそういうビジネスチャンスを与えたんじゃないだろうかと。現にその圧力ではないという証拠には、今のように一つの会社は少しもこの話には乗らなかったし、もう一つの会社、これは端的に言えば、片一方の断ったのは関西電力であって、中部電力も一たんは断ったけれども、またその後の事情が変わって自分たちの取引先である東邦石油、ここが三菱から買っている量をふやさせて入ってきた、こういうことでございますから、私自身は違うと思うんです。
  41. 荒木清寛

    荒木清寛君 電力会社が関連会社を紹介したわけですけれども、その元幹部の働きかけがなかったらそういう商談も成立していなかったわけでして、ほかの企業からすれば、何でその元幹部は三菱のためだけにやるのかという話になるじゃないですか。  次の問題に行きます。  これは前の質問でもありましたので少し略しますけれども、今月六日の朝刊で「三菱石油から巨額の資金提供を受け、政官界工作を繰り広げていた「泉井石油商会」代表の泉井純一被告が、中央官僚を相手に行った飲食などの接待は、一九九二年からの四年間だけで計約二百十回、総額約一億七千万円に上ることが」「関係者の証言などから明らかになった。」とした上で、接待を受けた官僚は八十人に及び、「通産官僚は四十人を超し、大蔵官僚は二十人近くに上っていた。」と、まだ続きますけれども。  これについては通産大臣の所見を前にお聞きしましたので、私は、通産官僚に次いでたくさんの接待を受けていたと言われる大蔵大臣に、こういう報道がされたことにどういう所見をお持ちか、一お伺いしたい。
  42. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 所見といいますとなかなか難しいんです。といいますのは、本件が起きました折に人事当局が職員に対して調査を行いました。調査を行った結果は、直接に職務権限に関係がないということもございまして、またそれぞれの官僚の諸君も自粛をしながらといいますか、分を心得てと言った方がよろしいですね、ゴルフに招待されましても会費は分担をいたしておりますと、こういうことでございました。  全体を通して報告を受けたのでございますが、涌井官房長の問題は御案内の経過でありますから、これは別として口頭注意を申し上げたところ、他の職員は問題なし、こういうことであります。
  43. 荒木清寛

    荒木清寛君 そういう調査をしたのであれば、それは国民にその内容を公表すべきではないでしょうか。  通産省は昨年十二月五日に省内調査結果を公表しています。これについては身内に甘いとかいろいろ批判はありますけれども、しかし何名から調査をし、一回会食に参加した者の数まで書いてあるわけですよ。大蔵省も、調査して問題ないというだけじゃ国民は納得しないわけですから、何名から調査をして、そして何人が一緒にゴルフに行ってというようなことも全部、通産省並みにせめて報告すべきじゃないですか。だって、通産省に次いで多いというふうに言われて、この新聞だけじゃないですよ、去年の新聞あるいは週刊誌等でも書かれて、また一昨年以来の不祥事もあり、国民大蔵省に対する目は厳しいわけですから、そこにあるんだったらそれをきちんと、問題なしというだけじゃなくて内容を報告すべきじゃないですか。その上で、納得するかどうかは国民判断じゃないですか。
  44. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) ですから、まとめとして前段申し上げたのでありますが、公務員としての節度を越えた交遊はなし、こういうことでありますから発表を控えた、こういうことであります。
  45. 荒木清寛

    荒木清寛君 いや、通産省は、節度を越えているとかいないではなくて、一回食事をしただけだって書いているわけですよ。私はこのぐらいだったら節度を越えていないのではないかというような気もするんですけれども。だから、大蔵省というのは秘密主義だと言われるんじゃないですか。せっかく調べたんだったらなぜ公表できないんですか。公表しないとかえってやましいからというふうに思われちゃうじゃないですか。問題ないんだったらなおさらのこと、別に名前が出るわけじゃないんですから、公表してくださいよ。
  46. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 公表に及ばないということは、節度を持って行動していると。公務員といえども、民間の事情聴取のために、また来られた方について話を聞いていくということもありますし、時に誘われてゴルフに行くということもあるわけです。そういう点で節度を越えて問題になることはないと、こういう最終結論を持ってこられました以上、主管大臣としてその調査を信ずるのは当然でございますから、そういう点で御理解をいただければと、こういうことであります。
  47. 荒木清寛

    荒木清寛君 節度を越えたか越えないかといって、じゃ、それは会食何回以上ですか、その節度の基準というのは。そんなことは内輪で決める問題でないじゃないですか。国民がそれを見て、この程度だったらいいとか、やっぱり行き過ぎだという判断をするわけでありまして、大蔵大臣の思っている節度と私の思っている節度は全然違うかもしれないじゃないですか。  これから調べろなんて私は言っていません。あるんだったら、せめて通産省並みに公表してくださいということです。
  48. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 水かけ論になって恐縮ですけれども、職務権限全くなしですね。そういう点でありますと、何から何まで全部そうだということも、それなりのことでは世並みとして理解できますけれども、職務権限なくて公務員としての遵守義務を守りながら節度を持ってつき合ったということであれば、それはそういうことじゃないでしょうか。公表の範囲に入らないと、こういうことであります。
  49. 荒木清寛

    荒木清寛君 いや、職務権限なしとおっしゃいますが、大蔵省の巨大な権限、報道によれば税務署に対する働きかけも泉井はしたんではないかというような話もあるわけでして、関係なしなんて言えませんよ。違いますか。
  50. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 私が聞き及ぶ範囲では、そういうことはありません。
  51. 荒木清寛

    荒木清寛君 もう残り時間も少なくなりました。  総理にお聞きしますけれども、今問題になっている公務員の一連不祥事を見れば、単なる内部規制ではなくて客観的な法規範として規制をすべきだというような悪質なものも散見されるわけです。そういう意味では、単なる役所の中の公務員倫理規程というんじゃなくて、公務員倫理法という形できちんと法として定立し綱紀粛正を図るべきだと思いますが、いかがですか。
  52. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) この点は本院でも何回か御議論をいただきました。特に本会議場で繰り返し御答弁を申し上げて、同じことばかり言うなというおしかりも受けましたけれども、私はやはり同じことを申し上げたいと思うんです。  その内部規程は、法規範性を持つ訓令といっても内部規制ではないか、それは確かにそうかもしれません。しかし同時に、この規程が定めております職員の行動は非常に詳細な点までルールを決めております。そして、その違反行為に対する処分などもこの中には明記をされている。ここまで言わなきゃわからぬのかなという思いと、ここまでしてなおこれが守れないようであったらどうしようもないなという思いと、これを見ましたときに私には率直にそんな感じがいたしました。  公務員倫理法のようなものを我々も自分たちの脳裏に浮かべなかったわけではありませんし、閣内でも議論をいたしました。しかし、やはり少なくとも法規範性を持つ訓令としての公務員倫理規程というものによって我々は公務員の信頼の回復に努めたい、本当にそう思っております。一回同じような答弁を申し上げたと思いますけれども、この内容を法律にしなければ守れないというほど、圧倒的多数の公務員が情けない連中だとは私は思っておりませんし、また思いたくもありません。同時に私は、公務員の諸君もこうした事態を恥と感じていると思います。  それだけに私は、圧倒的多数の公務員諸君の本来持つべき国民への奉仕者という自覚を持っているその心に期待をする、そしてそのあらわれとしての公務員倫理規程の厳正な遵守、そうした中から公務員倫理法というものをなるほど必要としなかったと世間に御理解をいただけるような行動を彼らがとってくれることを心から願いますし、そうした思いで各閣僚は、それぞれ自分が直接指揮すべき職員に対し、その綱紀粛正の徹底に今努力をいたしております。
  53. 荒木清寛

    荒木清寛君 総理、私は法律として制定する必要があると思う理由を二つ申し上げますので、御所見をお伺いしたいと思うんです。  こういう省内の倫理規程のようなものはこれまでもあったんではないか、だけれども結局こういう不祥事になってしまったという点が一つ。もう一点は、今回の一連の公務員の不祥事を見ますと、官僚OBが後輩に対して働きかけをしましてそういうことになったケースとか、あるいは業者が接待攻勢をかけて徐々に官僚の倫理観を麻痺させてしまったケースというのが多いような気もするんです。  ということは、国民一般に対しても、公務員のこういう行為は許されません、だからあなた方も官僚に対してそういう接待攻勢やら何やらをしてはいけませんということを法規範として示す必要があるという意味でやはり法律である必要があると思いますが、いかがですか。
  54. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) これを言うとまたしかられるのかもしれませんが、法律があればということにそれだけの力点を置かれるといたしますと、私は、現行の国家公務員法自体がそのルールを定めている、そして厳しい処分もこの中に定めていると思います。そして、まさに議員が御指摘になりましたように、国家公務員という立場を離れたOBがOBとしての立場から現役の後輩の諸君に対して声をかけるといったこと、これは現に国家公務員法がありましてもそういう行動があります。そして接待攻勢と、民間のと言われましたものもあるわけです。  私は、国家公務員法があってそうした事件が起こる、そうすると公務員倫理法をつくってもまた同じじゃないかという議論だってできないわけはないと思います。これはちょっと本当にしかられる言い方だとは思うんですけれども、むしろ公務員自身がみずからの行為規範として持つべきその倫理性、それをもう一度思い出してくれと、率直に私はそういう気持ちを持っております。  ですから、これは議員のお気持ちと私の気持ちとの食い違いなのかもしれませんし、公務員倫理法というものを我々が全く想定しなかったのではなく、このプロセスにおいては我々もこれを視野に入れて議論をいたしました。その上で私たちは、各閣僚はそれを周知徹底させ、自分の部下の職員たちにこれを守らせると、そういう決意で現在当たっております。
  55. 荒木清寛

    荒木清寛君 この問題の最後に、先ほど大蔵大臣がおっしゃいました泉井被告との関係の省内調査の結果を当委員会に提出されますように要求をいたします。
  56. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 本問題の資料の提供については後刻理事会において協議をいたします。
  57. 荒木清寛

    荒木清寛君 最後に、重油流出事故についてです。  私は、一月十五日に福井県の三国町、石川県の能登半島の輪島市、珠洲市などの惨状を視察いたしました。そして地元の市長さん等から当面の要望をお伺いしております。  さて、今後の対策としましては、適切かつ迅速な補償を実現するために、政府による補償交渉窓口の一本化、国際油濁基金からの賠償額を上回る被害額の補償に対する対応、水産、観光業等の被害に対する支援措置、海域及び沿岸域の生態系全般にわたる総合的な影響調査の速やかな実施、復旧対策のための補助制度の創設等の財政支援措置の強化、海底に沈んだままになっている船体後部への適切な措置等々の要望が寄せられております。課題は山積しておりますけれども、早急に総合的な今後の対応を示すべきではないでしょうか。  これらの点を踏まえまして、今回の災害対策本部長であられます運輸大臣の確たる答弁をお願いいたします。
  58. 古賀誠

    国務大臣(古賀誠君) この委員会でも何回も申し上げておりますけれども、今回の災害の重大性にかんがみまして、多数の被害者の方々に改めてお見舞いを申し上げますと同時に、心からおわびを申し上げたいと思います。  また、先生もお触れになりましたけれども、たびたび現地をお訪ねいただきまして多くの方々に激励を賜り、御指導いただいたこともお聞きいたしておりまして、敬意を表したいと思います。  盛りだくさんの問題点を数点、今私に御指摘をいただいたわけでございます。  まず、交渉の一元化の問題でございますが、先生も御承知のとおり、この問題は基本的にはあくまでも船主側と被害者側との民事上の問題でございます。支払い側の査定も、それぞれ個々の分野において査定が行われるということになっております。そういうことを踏まえますと、交渉の一元化ということは、むしろ現状においては交渉を円滑に進めていくという意味では適切ではないんではないかなというふうに考えております。当然、政府といたしまして、賠僕額の確保に向かってあらゆる機会に全力を尽くして支援をいたしているところでございます。相談窓口については運輸政策局の方でそれぞれの御要望におこたえをいたしているという現状でございます。  二百二十五億の額を上回った場合はどうなるかという御指摘でございますが、現在、被害額がどの程度になるのか、総額がどうなるのかということでそれぞれ関係省庁で早急に取りまとめていただいているところでございまして、その額が二百二十五億を超えるかどうか、そういう数字になるかということもいまだ判明をしていない状況でございます。仮にそれが超えるということになりますと、官房長官が主宰しております関係閣僚会議におきまして、どういう対応ができるのか適切に検討してまいりたいというふうに考えております。  また、水産業それから観光関係の中小経営者の方々に対しましても、この因果関係がしっかり認定されますと当然賠償の対象になるものというふうに承知いたしております。今日までも政府といたしましては、それぞれの機関を通じまして経営に支障のないような融通等を通じて支援を講じてまいってきているところでございます。  また、地方自治体に対します応急対策の対応といたしまして、先般も申し上げましたけれども、直接かかった費用を折半いたしまして国が交付金として交付を決定させていただいているところでございますので、実質、地方公共団体の要望にこたえたものだというふうに私自身認識をいたしております。  なお、沈没いたしております船体の状況でございますが、これも先般来たびたび御報告申し上げておりますように、荒天の日、静穏の日、気象の違いによりまして帯状の幅、長さ等の違いはございますけれども、二十四時間海上保安庁が監視体制をとりまして、航空機そして巡視艇等によります監視はもちろんでございますけれども、防除につきましても、航走拡散や放水拡散等を通じて帯状の先端は拡散、消滅をしているというのが状況でございます。  しかし、一番大事なことは、今漏出している油、それから本体がどうなるかということを国民に明らかにすることだというふうに思っております。この件につきましては、二月十四日だったと思いますが、私が委嘱をいたしました専門家、学識経験者等によります検討委員会を発足させていただきました。昨日も実は第二回目の会合を開かせていただきました。具体的な検討に入らせていただいております。  今はっきりしていることは、水深二千五百メートルでございますので、本体ぐるみ引き揚げるということは不可能だという結論をきのう出していただいたようでございます。技術的に非常に難しい問題点はございますけれども、三月末を目途に結論を出して国民の皆様方に御安心いただけるような御報告をさせていただきたい、こういう進めをいたしているところでございます。
  59. 荒木清寛

    荒木清寛君 冒頭に申し上げました交渉の窓口一元化でございますけれども、県に聞きますと、それぞれ弁護士を立てまして国際油濁基金等と交渉するということですから、これは海外機関との交渉にもなるわけですから、もう少し前向きに何とかそういう御要望もかなえていただきたいというふうに思います。  遅くなりましたが、現場に御出動になられました皆様に敬意を表しますし、また犠牲になられました五名の方の御遺族には心からお悔やみを申し上げまして、私の質疑を終わります。
  60. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 以上で荒木清寛君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  61. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 次に、中島眞人君の質疑を行います。中島眞人君。
  62. 中島眞人

    中島眞人君 自由民主党の中島眞人でございます。  総理が重要課題として掲げる行政改革、財政構造改革、社会保障、経済構造、金融システム、教育改革のいわゆる六つの改革は、本年度予算案について、本年を財政構造改革元年度と位置づけた上で編成していくことを表明して以来、具体的な改革案もいまだ出そろっていないにもかかわらず、国民の間には行財政改革を柱とする諸改革が言葉として定着しつつあることは事実でございます。  この三カ月の間にさまざまな国民の意見が交わされる反面、一方では、いまだ改革案が出されていないにもかかわらず財政改革はできないとか無理だろうとかとの意見もありまして、相変わらず熱しやすく冷めやすい風潮があるな、そんな感じもいたしているところでございます。反面、みずからのこととしてとらえるのではなく、総理一人だけの決意と実行を求める風潮もまたございます。そんな言葉に対しても真摯に耳を傾けている総理の姿勢を私は高く評価いたしたいと思います。  しかし、わずか数カ月の間に、この国にとって今までとは違って何か大きな変革が必要なのだと国民の大多数が思い始めてきたことは事実でございます。各種世論調査におきましても、国民の関心は日々高まりつつございます。改革が必要だとする国民の関心を引き寄せた点については、私はある面では大きな成果と思うのであります。  総理の現在の御心境をまずお尋ねしながら、あわせて、過般、衆議院で予算通過をいたしました三月五日、改革のトップを切って省庁再編を検討する行政改革会議が開かれ、改革のポイントをまとめた主要論点項目が事務局から提出されました。その手際と改革に取り組む強い決意を一歩前進と受けとめたのは私だけではなかろうと思います。  その趣旨と目標、今後のスケジュール、特に行政改革会議の会長は総理自身がお務めになっておりますので、そのことにつきましての御所見をお伺いいたしたいと思います。
  63. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 問題意識として、私がこうしたものを申し上げるには幾つかの問題点がございました。  例えば、通産大臣を務めておりますときに私は、生産拠点が次々に海外に移転していくこと、これ自体は必ずしも否定すべきことではありませんけれども、その親企業が出ていきました後、ついていける中小企業とついていけない中小企業、全く異質の対応、経営を迫られるようになっていく企業、こうしたものを現実のものとしてとらえ、一体こういう状況をどう変えていけば、多くの製造企業、主要なものが海外に生産拠点を移した後においてもどうすればこの国に物づくりの伝統というものが残り、物づくりが続けられるんだろうという思いがございました。しかも、産業の競争力という視点から見ましたとき、発展途上国の追い上げというものは大変なものでありまして、もう本当に我々のすぐ背中の後ろまで迫っている、そう申し上げてもいいんだと思うんです。  また、財政の赤字構造を考えてまいりますと、このまま放置したとき、高齢化の現況、さらに少子化の状況というものを考えると、本当に取り返しがっかなくなっちゃう、そんな思いもありました。また、金融とか、特に情報通信という分野で世界がどんどん一体化していく中で、国際的な競争のネットワークにすら入らせないというやり方で我が国の情報通信というのは本当に枝の端の方にくっつくだけになってしまうんじゃないか、そんな思いもありました。そうした中で人材を育てていかなきゃならないのに、その均質性あるいは平均的なというものを目指した戦後教育というのは本当にこれから先もこのままでいいんだろうか、いろんな思いがございました。  ただ、その反面、私は日本は今変わりつつあるという気持ちが大変強くございます。そして、必ずしも我々がそうしたことを言い出さなくても既に変わり始めていたんじゃないだろうか、そんな思いもしないではありません。  例えば、電力料金でヤードスティック制が導入され、電力会社同士の間でも競争が行われるようになった。五年前だけれども、電力会社がそれぞれの地域独占の中で競争、そんな発想は全くありませんでした。あるいは、運輸業全体について需給調整からの観点の規制を廃止する、既にこれは打ち出されております。  あるいは.これは多少例示に挙げると後でいろいろ御議論があるかもしれませんけれども、郵政三事業にしましても、内閣の議論はこれからでありますが、閣僚懇談会あるいは今国会の場におきましても今までほとんど議論として出てこなかったものが議論として提起をされるようになった。しかも、それは郵政三事業がいいとか悪いとかいうだけではなくて、果たしている役割の中から財政投融資という仕組みそのものの入り口と出口の議論と連動して議論が進んでいる。そして、平成九年度予算を見ましても、いろんな御批判をいただいておりますけれども、介護のシステムをということから介護保険制度また医療保険制度改革が既に国会に御審議を願っており、改革の芽は出ております。  私は、そういう意味では着実に動き始めたという思いを持っておりますし、それだけにその中で政治がいかにそのイニシアチブをとり、リーダーシップを発揮していけるかがこれからの問題であると思います。  そして、それだけに今回、行政改革会議で今お願いをしております中央省庁の再編、これはまさに一方では、規制緩和により中央省庁の権限が減少することによってスリム化ができる部分、地方分権の推進によってスリム化ができる部分、さらに官から民へという見直しを行うことによって官そのものの役割が整備される部分、こうしたものを踏まえながら、同時に現在の縦割り行政の弊に対しどう、あるいは内閣の危機管理のあり方について直していくべき、いろいろな分野から今個別に出ております御意見というものを下敷きにしきながら、行政機構を単に再分類するというのではなく、国家の機能とは何なのか、あるいは国家が今後ともに担い続けていかなければならない最低限の責任は何か。そんな思いの中から行政のあり方を総点検していく。そして、国民本位で的確的かつ効率的に運用できる組織体制をつくっていこうとしているわけです。  今行政改革会議は、論点整理メモを各委員に配付いたすところまで進んでまいりました。今年の十一月末までに我々は成案を得ていきます。そして、その成案を得ましたものを土台にして、平成十年の国会に所要の法案を提出して国会の御論議をしていただきたい。法案が成立をいたしましたならば、所要の準備を進めながら、遅くも二〇〇一年一月一日、新しい世紀のかわりますときにその移行を開始できればと、そのような思いで作業に努めております。
  64. 中島眞人

    中島眞人君 ともかく平成十年には成案を得たいと。時間の上からも余りない、その中で、総理の強い意思、我が国最大の課題でございますので、なお総理の強いリーダーシップを強く御要望申し上げるところでございます。  さて、衆参の審議の中でさまざまな問題が論議をされてまいりましたけれども、私は重複を避けまして、地方財政と教育改革に絞って御質問申し上げたいと思います。  地方分権は行財政改革の大きな柱であることは言うまでもございません。機関委任事務の廃止が言われ、また地方公共団体みずからが行財政改革に取り組んでまいってきております。そして、昨年の十月には、各都道府県、政令都市、八割強の市町村におきまして行財政改革大綱が作成をされて、これの取り組みもまた進んでいるわけであります。  しかし、私はここで一つだけ残念だなと思うのは、国の財政等についてのいろんな問題の見通し等は論議をされましたけれども、一番地方が悩み苦しんでいる地方財政の問題について細かな論議がなされていないというところに、地方出身の私にとってみれば遺憾の感じがいたしてならないわけであります。と申しましても、三千三百の自治体には大変な格差がございます。豊かなところもあるし、大変苦しく、過疎あるいは高齢化、そういうさまざまな悩みを持っておりますし、担税能力においても大きな差がございます。そういうことを踏まえながら、言うはやすくしてなかなかこれを実態の中へ掲げていくというのは難しいことだろうと思うのであります。  そこで、ここ数年の地方財政の財源不足額は国の財政の硬直化より以上に厳しい深刻性を持っているのではないか。また、公債負担比率が一五%以上の団体の数、あるいはその予備軍と見られる一〇%、一五%の公債費率を持つ自治体がかなりの数を占めております。  こういう点から考えて、地方税は伸び悩んでおります。伸び悩んでおると同時に、新しい要求、社会保障の問題とか災害に強い町づくりとかというような問題を地方自治体は掲げているわけであります。こうなってまいりますと、財源不足を補うのには地方債の発行、こういう悪循環といいますか、そういうサイクルがだんだんだんだん大きくなってきている。  こういう状況を自治大臣はどのように御認識なさり、それに対する対応策というのはどのようにお考えになっているか、お聞きをいたしたいと思います。
  65. 白川勝彦

    国務大臣(白川勝彦君) 中島委員御案内のとおり、地方財政も大変厳しい状況にあるということでは全く認識は同じでございます。そして、国の方が財政再建元年ということで、三塚大蔵大臣、大変御努力をしているところでございますので、地方においてもそのような形で臨まなければならないと。こういうことで、平成九年度の地財計画に当たりましては、地方財政も再建元年という厳しい態度で臨ませていただきました。  全体的に申しますと、地方一般歳出の伸びは〇・九%に抑えました。とりわけ一般行政経費は、社会福祉系統経費は国の方も伸ばしておりますので三・一%伸ばしましたが、それ以外は一・五%ということで、消費税が二%引き上げられるということで当然かかわるわけでございますが、それを含めて一・五%。それから、二十兆を超える地方単独事業につきましては前年対比同額ということにさせていただきました。  そういうことを含めて、いずれにしましても、国が厳しい財政再建であるということと同時に地方の方もそういう状況でございますので、厳しい態度で臨もうということにしております。  さてそこで、財政構造改革会議に私も大蔵大臣と一緒に出させていただいておるわけでございますが、今回大変ありがたいことは、国と地方の債務ということがセットで問題になっております。従来、ともすると国の方の財政再建をなし遂げるために地方にしわ寄せされたときもないわけではありませんが、今回は国、地方合わせて可及的速やかに公債依存度を三%にしよう、また特例公債も地方を含めて早急に脱却しようということでございますので、今回は国及び地方が一体となって財政再建に行くものと考えております。  そういう面で、ことしの地方財政計画は元年として位置づけさせていただきましたが、地方でもこれを踏まえて大変抑制した財政再建に向けての予算案が各地方公共団体において作成されている、こう聞いております。
  66. 中島眞人

    中島眞人君 自治大臣からその方針が示されたわけでありますけれども、率直に言って地方の財源不足は大変深刻な状況になっております。経企庁長官は景気は上向いておると言っておりますけれども、地方に行けば行くほど地方税収は依然としてまだ冬の時代にいることも事実でございます。  そういう中で、実は二月二十日の厚生委員会におきまして私は補助金問題につきまして小泉厚生大臣にお尋ねをいたしたわけであります。地方分権問題等々これからかかわってくる中で、当然補助金問題は大きな一つの課題であろうと思うのでありますけれども、私は、ゴールドプラン、新ゴールドプランを重ねていく過程の中においても、それは地方が一番地域のお年寄りの老人保健福祉計画等はわかっているはずだ、箇所づけを厚生省が行うのではなくて、枠づけだけをして、地方自治体にそれをお任せして、地方の実態に合うようなそういう執行をできないものでしょうかと小泉厚生大臣にお尋ねをいたしましたら、私の趣旨に大変賛成をする、そのような方向で取り組んでいきたいと、こういう地方にとってみると大変画期的な御発言をいただいたわけでございますけれども、再度厚生大臣からその御所見をお聞かせいただきたいと思います。
  67. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) この前の答弁と変わりありません。基本的に賛成であります。  今回の厚生省におけるあの不祥事を契機にした調査委員会におきましても、個々の施設の箇所づけを各都道府県が行うことを基本としていまして、国がその協議基準を示すことによって手続の明確化を図っていきたい。基本的に都道府県が一番実情わかっているわけですから主体性を持ってやっていく、そういう点を今後とも進めていく必要があるという考えであります。
  68. 中島眞人

    中島眞人君 私は、これは大変進んだ地方分権ということに対する一つのスタート、拍車をかけていく一つの御発言だ、大変高く評価をいたしたいと思います。  そこで、将来的には私は今の補助金制度というものが変わって現在の交付税のような形で自由に自治体が住民のニーズにこたえていけるような形で進んでいくべきだと思うんです。一遍にそこまでは行けないにしても、厚生大臣が今お話しになったような考え方、地方にとってみると、建設省あるいは農水省、大変補助金の問題で御苦労をいただいておるわけでございますけれども、今の厚生大臣の御発言に絡めて、建設大臣、農水大臣から私どもの地方の願いというのはそんなところにあるということを踏まえながら御所見を賜りたい、こんなふうに思います。
  69. 亀井静香

    国務大臣(亀井静香君) 現に、補助金を箇所づけという形で実施をしている段階におきましても、地方自治体と十分協議をやっておるわけであります。そういう意味では、自治体の判断を抜きに補助金を交付することはできないといいますか、事実上これは不可能な話でありますので、今後そうした地域をよく知っておる自治体ができるだけ主体的にそうした実施が行えるように、これは自主財源をどうするか、あるいは財源の再配分の問題等がありますけれども、私は基本的な方向としては将来はそうあるべきであって、国と地方がそうした分担をしていくべきである、このように考えています。
  70. 藤本孝雄

    国務大臣(藤本孝雄君) これは、委員指摘になられましたように、補助金と交付金のそういう問題になっていくと思うんですが、今の国の補助金という段階におきましては、この補助事業というものが一定の政策目的に沿いまして、今この政策目的を達成するために全国的な見地から実施しておる、その実施については適正に適切に実施をしていかなきゃならぬという考え方でこの補助事業は行われておるわけであります。  今言われました点につきましては、実施に当たって地域の特性やニーズに応じたものになるように対処することが必要であるということには私も全く同感でございますけれども、地方に一定の枠を示してこの中で事業を採択する、こういう判断を地方に任すということにつきましては、今の補助金という制度からいたしますとなじまない問題である、そういうふうに考えております。
  71. 中島眞人

    中島眞人君 厚生大臣、建設大臣、農水大臣、それぞれの今のお立場の中でお話をいただいたわけでありますけれども、私は、今地方が地方分権を進めていく中で補助金問題というものをどういうふうに切り込んでいくか、この問題が一番大切な、地方にとって一番関心事だろうと思うんです。機関委任事務も大切です。しかし、補助金問題という問題が、それだけにしか使えない、これも確かに日本の地方自治を大きく盛り上げてきた大きな評価として私は高く評価をいたします。  しかし、これからの地方自治体にとってみれば、地方が地方のニーズに合わせて、地方が地方の計画に基づいて行っていくという行き方こそ私は本当の地方自治であり、地方分権だろうと思うんです。  自治大臣、補助金問題に対してどういう所見でお考えで取り組んでいったらいいのか、同時に大蔵大臣、最後に総理から御意見を賜りたいと思います。
  72. 白川勝彦

    国務大臣(白川勝彦君) 中島委員お尋ねは地方税財源を充実せよということに尽きるんだろうと思うわけでございます。現在地方分権推進委員会において第二次の勧告に向けて具体的な議論が鋭意なされているところであります。  その整理合理化の方針につきましては、「地方分権の推進に関する大綱方針」において次のように示されております。「人件費補助に係る補助金、交付金等」の「一般財源化等」「奨励的補助金等」の基本的縮減、「国が一定の行政水準を確保することに責任を持つべき分野について負担する経常的な国庫負担金等については、国と地方公共団体との役割分担の見直しに併せて、」「国が義務的に負担すべき分野に限定」する、「公共事業等に対する国庫負担金等については、その対象を)例えば全国的あるいは広域的なプロジェクト等の根幹的な事業を始め基本的なものに限定する」といった方針を中心に検討しているところでございます。  このような方針を基本として、今後地方税財源が確保されるように努力してまいるつもりであります。
  73. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 今御指摘のように、国の借金も地方の借金も一体として見ていきませんければ、日本の国家国民という中に全部包含されるものでございますから、後世に借金を残さぬために頑張るということに尽きるわけでございます。  自治大臣言われましたとおり、国と地方の分担、その哲学をどう構築していくか、補助金、国庫支出金、それぞれ必要なものもあります。任務を終わったものも言われております。また、改善すべきという意見もございます。財政構造会議において国の問題だけではなく地方と一体で論議を進めて結論を出していきたいと思います。  今後とも活発な御論議と御提言をお願い申し上げます。
  74. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 両大臣が申し上げたことに問題点のほとんどは尽きておると思います。その上で一点、私の心に今も残っております私自身の失敗のケースを申し上げてみたいと思うんです。  まだ私どもが若い議員のころから補助金の問題というのはしばしば地方公共団体側からはいろいろな御要望の出るケースでありました。そして、たしか昭和四十年代の終わりぐらいだったと思いますけれども、一定規模以下の金額で線を引きまして、それ以下の補助金は皆やめるという考え方を一つの合意点として整理をいたしたことがございます。  ところが、そのときたまたま私は厚生省関係の仕事をしておりまして、ある方々から非常に切実な御要望をいただくことになりました。それは、ハンセン氏病の療養所において、既に視力を失い、触覚を失い、その状態で病状が固定し回復しておられる方々、その方々の唯一の楽しみといえば音であります。そして、そのころの一番御要望が強いテープレコーダーをお渡しし、そのテープを折々に切りかえる、これを補助金で実行いたしておりました。たしか全国を合わせまして五十数万円の補助金であったと思います。  当然のことながら、金額で線を引きましたからこの補助金はなくなりました。そして、当時のハンセン氏病の患者団体の方から唯一の楽しみを奪うのかという極めて厳しい抗議をいただきました。正直、これ飛び上がって、復活しました。私は、実は補助金というものは本当に精査をしないと、その改廃にとんでもないところで影響が起きるものだということをそのとき知りました。  むしろ私は、金額的に大きな補助金を例えば一般財源化するとか、そうしたことの方がある意味では補助金の見直しはやさしいと。非常に対象を限定し、ごく小さなグループに対する補助、これが場合によっては死命を制するようなものになりかねないということをそのとき学びました。  私は、両大臣が今述べました方針の中で、そのようなきめの細かさも持ってこの仕事に当たりたい、そのように思います。
  75. 中島眞人

    中島眞人君 この話は地方で、私も地方議会でやってまいりましたから、もっともっと突っ込んだ話をしたいと思いますけれども、予定をしている問題がございますから飛ばさせていただきたいと思います。  地方分権になるんでしょう、私は文化財の問題から御質問したいと思います。  昨今、佐賀県の吉野ケ里遺跡あるいは青森県の三内丸山遺跡、昨年は島根県の加茂岩倉遺跡等の多数の遺跡が出てまいりました。古代史はやっぱり地方分権だったんだなと、こんな感じを実は持っているわけであります。そういう中で文部省・文化庁が昨今文化財行政に対して大変御熱意をお示しになっていることは大変敬意を表したいと思います。  実は昭和五十七年に山梨県に考古博物館が誕生しました。その同じ敷地の中で東日本では大変珍しい三角縁神獣鏡という銅鏡が戦前に発掘されておったんです。これが東京国立博物館にある。同じ敷地の中であるから、ぜひその鏡を貸してほしい、そしてそれを展示させてほしいと言ったんですけれども、貸してくれない。幾ら交渉しても貸してくれないんでレプリカで間に合わせた。  そこで、私は山梨県で調べてまいりました。昭和二十五年に文化財保護法が制定されました。しかし、これは悪意ではなかったと思います。資料が散逸したりあるいは破損をしたりということで国立博物館、国の所有になっていったんだろうと思うんですけれども、百三十二点が東京国立博物館、そのうち二十点が東京大学の収蔵庫の中に眠っておるんです。うち六点は国宝、重文なんです。  国へ移管をしている方法は、例えば国宝、重文クラスは出品とあるんです。出品ですから、出品の役割が終わったら山梨へ返ってくるだろうと思うと、永久に返ってこないんです。そして、百三十二点の考古資料、これらのものは東京にあったって展示に価値するものじゃないんです。まさに地方に置いてこそ初めて価値のあるものです。東京国立博物館の収蔵庫の中に眠っておるんです。  それで私は、山梨でこれだけあるんだから全国ではもっとあるだろうと思って調べてみましたら、何と東京国立博物館、京都国立博物館、奈良国立博物館に地方で発掘をされた文化財が十万五千二百十五点、そのうち国宝、重文は二千三百二十八点ということがわかったんです。  このことについて、文部大臣、御所見をまずお伺いいたします。
  76. 小杉隆

    国務大臣(小杉隆君) 私は、文部大臣になって、キーワードはまず文教行政をオープンにしようと、こういうことを呼びかけました。今、中島委員指摘のケースはまことに私は遺憾であると考えております。  そこで、今国立博物館等で所蔵しております文化財については積極的に公開をし活用を図っていきたいと考えまして、例えば平成八年度では、文化財については二百五十七の地方の博物館、美術館に対しまして合計千三百二十六件の貸与を行っております。それから、重要文化財につきましては三百二十三件の貸し出しを行っております。また、それとは別に、文化庁としても平成六年度から国が主催で地方へ巡回をしていく国立博物館・美術館巡回展というものを積極的にやっております。  ちなみに、先日、シラク大統領訪日の際には、総理から強い指示を受けまして、文化庁所蔵の縄文式土器を初めとする国宝、重要文化財の陳列をして大変喜ばれたというケースもございます。  ただ、貸し出す場合には、破損とか散逸するとかそういうことがありますので、文化財保護という観点、配慮も十分必要だと思っております。  それから、第二点の出土品ですね。出土品につきましても、先日、地方分権推進委員会から第一次勧告が出まして、第一義的には地方から出た出土品は都道府県に帰属されるべきものということでございます。  現実を申しますと、大体一万点ぐらい地方から出土いたしますと、国で所有することになっているのは大体二、三点にすぎないわけでありまして、ほとんど地方に行っているというのが実態であります。そういうことも踏まえた勧告が出されたと思います。  なお、勧告の中には、特に国が保有する必要のある場合については引き続き検討ということになっておりますので、私どもそういう地方分権推進委員会の勧告に沿った形で積極的に前向きにこの公開、活用ということを図っていきたいと考えております。
  77. 中島眞人

    中島眞人君 文部大臣、最近の文化庁行政というのは、文化財はあったところにあることが一番大切だと、亀井勝一郎氏が言っております文化財論議に沿ってやっておるんですよ。  一番問題は、昭和四十年以前あるいは昭和二十五年以前、文化財保護法が出る前に発掘をされたそういう貴重な文化財が国の移管になっちゃっているんです。だから、これを展示して歩きますよと言うけれども、私は本来的にはやっぱり地方へ返すべきだと。文化財はその地域の人たちにとってみると貴重なかけがえのない先人の遺産なんですよ。それが東京や京都の博物館の収蔵庫の中に眠っている、そこへ行って見てください、今度巡回展覧会があるからそこでごらんなさいじゃ私は本当の地方に根づいた意識ではないと、こんなふうに思うんですけれども、総理、改革に火だるまになって取り組む総理の御所見を。
  78. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) これは時間が非常に限定されている中で申し上げたいことが山ほどありますが、私は二つの視点があると思います。  一つは、まさに議員の主張されるように、発掘されたものは発掘された地域の収蔵の対象とすべき、私どもの郷里も吉備文化の伝承の地帯であり、多くの発掘品を国に管理をゆだねている立場であります。そして、その立場から私は議員の意見を全く否定しません。その上で、私は国が持ってそして展示すべきものというものもまたあると思います。  文化財全体から多少離れますけれども、私は文化庁の諸君に頼んでおりますことの一つに、本当に今の国宝、重文の指定のばらつきはないかということです。  恐らく議員はお調べになってお気づきになっておると思いますが、これだけの陶芸を持つ、陶器、磁器の歴史を持つ日本で国宝となっております陶磁器は十点に満ちません。同時に、刀剣は極めて多数が国宝、重文等に指定をされております。海外から見えるお客様に日本の代表的な陶器の展示はと求められて赤い顔をした回数は一度や二度ではございません。しかし、余りに密着をした、そしてもう一つは茶道というものの中で名品がそれぞれの宗家に保管をされてしまっている中で使えなくなるということから、みすみす非常に価値の高いものが国宝、重文の指定ができないという問題もございます。  そうすると、今の我が国の国宝、重文の指定のあり方まで含めて、あるいは東京であり京都であり奈良であり、どうしたものをそこに集め展示をすることが望ましいものか。同時に、それぞれのふるさとの歴史を知るためにも、それぞれの地域において整備されている施設に保管し、研究の対象として活用できる方が望ましいものか、私は双方があると思うんです。その上で、吉備の国の出身者としては、やはり我々の郷土から持ち去られたものは返してほしいという思いは議員と思いを一にいたします。
  79. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 中島眞人君の残余の質疑は午後に譲ることといたします。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    正午休憩      ―――――・―――――    午後一時二分開会
  80. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  平成九年度一般会計予算平成九年度特別会計予算平成九年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、休憩前に引き続き、中島眞人君の質疑を行います。中島眞人君。
  81. 中島眞人

    中島眞人君 午前中、総理みずからも吉備の文化は吉備に返したいと、こんなお話をいただきました。また、文部大臣からも積極的にそういう方向で取り組んでまいりたいと、こういうことでございます。私は全部とは言えないと思います。国の文化財の系列の中で、さっき総理が申されたような形で、全部とは言えないにしても大半のものは文化財の出土した場所、つくられた場所に返して、そしてその地域の人々の目でその地域を大切にしていくという、そんな今文化庁の掲げている施策にのっとって早急に実現方を心から強くお願い申し上げたいと思います。  地方分権をお願いするときには、いつも最初顔をこわばらせてお願いした実はオウムの件でございますけれども、総理初め調整に当たられました官房長官、並びに自治大臣、法務大臣、また今回は補正予算であの銃器製造の富士清流精舎並びにあのサティアンを取り壊す補正予算をお組みいただきました。三月二日と四日にあの七年間闘った住民の不安を除去する取り壊しが開始されましたこと、地元の一人として心から御礼を申し上げたいと思います。  なお、自治大臣におかれましては、これから地域の活性化がございますので、どうか二度とこのようなことがないように、と同時に、あわせて地域活性化のためにも格段の御配慮を賜りたいことを、心からお願い申し上げておきたいと思います。  さて、教育改革でございます。総理が六つの改革の中で教育改革を掲げました。文部大臣がことしの一月、教育改革プログラムをお出しになりました。私は率直に見て、総理が少なくとも省庁を半分に削ってまでやる、火だるまになってやるということに比べてみれば、この教育改革は人を対象とする教育ですから余りにも大胆というわけにはまいらないかもしれませんけれども、少しゃわらか過ぎるのではなかろうかという印象を実は持っておるんです。  もっと端的に言えば、現在掲げている自由化、規制緩和、これは中曽根内閣のときに臨教審がございました。そのときの臨教審の一つのテーマは教育の自由化だったと思います。同時に、規制緩和という問題が諸所にあったはずでございます。しかし残念ながら、騒然たる論議がある面では臨教審でなされた時代だったと思うんですが、受けとめた文部省はこれをいつの間にか個性教育というように変えていった経過があったのではないのか。  同時に、何次か続いてまいります中教審の答申もその時期時期にそれなりの一つの答申をしているんですね。例えば四十六年答申は、第三の改革といって六三三の制度そのものまで踏み込んでいこうということで、現場ではいわゆる中学校と高校の年限は何年がいいのか、五年でいいのか三年でいいのかという論議も活発に行われたと思うんです。また、平成三年の中教審の答申の中には、人生の競争の儀式を十八歳と十五歳に押しつけていいんだろうかというような問題提起もございます。また同時に、教育に何らかの病理が発生しているとするなら、それは余りにも短期間に達成された日本の産業面での成功のいわば代償であるというようなことまで言われておる。  そういう戦後幾たびかの中教審、同時に総理が今掲げている諸改革の教育に関しては、既に中曽根内閣のときの臨教審の中にかなり大胆に教育の自由化という問題の中で提言、提起がなされておったはずであります。しかし残念ながら、私は文部省の役人サイドでこれを薄めていった経過があったのではないのか、こういうふうに思うんです。  その辺、率直な所感を文部大臣からお聞かせいただきたい。
  82. 小杉隆

    国務大臣(小杉隆君) 答えはたくさんあるんですけれども、なるべく端的に申しますと、今挙げられましたように、今まで臨教審を初め中教審の各種の答申が出されました。その中ではかなり実行に移されたものもあります。例えば臨教審で三つ提言されまして、個性重視とかあるいは生涯教育、さらに新しい時代の情報化、国際化、こういうことに対応したいろんな施策をやってきたんですが、そういった一連の中でどうしても今まで国民の合意が得られずに実現できなかった点、こういうものを一応全部ここで総ざらいをして、そして今やるべきことは何かということでつくったのがこの教育改革プログラムでございます。  そこで、従来の我が国の教育が均質性、平等性を重視する余り、個々の人間の能力を引き出したり、あるいはチャレンジ精神とか創造性をはぐくむという点に欠けたところがなかったか。そういう反省に立ってそういう面を重視していこうということで、具体的には例えば学校制度の複線化構造を進めて中高一貫教育をやったらどうか、あるいは教育内容の再構築を含めまして、ゆとりのある教育を実現しようということで学校週五日制の完全実施、こういうようなことを、これは今まで言われながらなかなかできなかったことを具体的にやっていこう、こういうことで教育改革プログラムの中に入れたわけです。  教育の自由化ということでありますが、この点につきましては、私ども中教審で二十一世紀のあるべき教育のあり方についてこういうことで今種々検討していただいております。
  83. 中島眞人

    中島眞人君 戦後五十年の歴史を見てみますと、あるときには無気力、無感動、無関心の三無主義あるいは落ちこぼれという言葉、あるいはまた昨今ではいじめ、暴力、自殺、不登校、中途退学というようなものが出ている。これは教育が生み出した病理だと私は思うんです。同時に、大人の側からそれらの病理を評価している。もっと端的な言葉で言えば、落ちこぼれなんというのは私は落ちこぼしたというふうに大人が考えなきゃいかぬと思うんです。そういう観点に立った教育改革をやっていくのには、総理が掲げる火だるま、もっと省庁再編、半分にしようというんですから、それにはもっと強い意気込みが国民に伝わってくるようなものでなければならない、私はこんなふうに思います。  改革の総元締めでございます総理から、教育改革に対する一つの熱意展望をお聞かせいただき、そして今後の指針にしていきたい、こんなふうに思いますので、総理から御所見をいただきたいと思います。
  84. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 冒頭、ちょっと一点訂正をさせていただきます。  先ほど陶磁器の国宝になっておるもの、十点もないんじゃないでしょうかと申し上げましたところ、文化庁から十四点にふえておるという報告がございました。謹んでこの数字は訂正をさせていただきます。  そして、今教育改革に関連し四十六年の中教審答申を引用されました。私も大変これは思い出深い答申でありまして、この時点一つ大きな課題になりましたのは、幼児学校制度を義務教育の前につくるかどうか。その場合、我が国の幼児教育機関である幼稚園、家庭にかわる環境を子供たちに与えるための保育所、そこの教育機能、これは義務教育就学時点においては同レベルのものと既になっておるわけでありますけれども、この存在と新たな幼児学校をどう組み合わせるか、これが一つのテーマでございました。  それに対して義務教育関係者からは、もしその幼児学校というようなものを考えるのであれば、むしろ義務教育開始年限の引き下げを考えるべきだと、こうした御議論があり、結果としてその幼児学校という考え方は中教審答申の中には入らなかったと思います。しかし、その時点で残りましたのは、義務教育開始年齢の是非という問題でありました。  それ以来、数次の教育改革が進められておりますのは、文部大臣から今御答弁を申し上げたとおりであります。  そして、今回のプログラムも私はプログラムとしてはよくできておると思います。要は、どうすれば個性のある子供たちが育っていき、しかもその個性があるために均質性、平等性というものを重視する中からはみ出してしまう。そして、その子供たちを孤独に追いやったり、あるいは本当に非行に追いやったり、その平等性というのは私はこれからも必要なルールだと思いますけれども、その上で個性のある子供たちがいかに育ち得るか。そのためには飛び級もありましょう、いろいろなやり方があると思います。  同時に、教職員の免状というものが非常に固定的にとらえられる。例えば社会の第一線を引かれた方ですばらしい方がおられましても、その方々を義務教育課程で先生方の中に加えてお話を伺うようなチャンスすらつくれない。本来ならできるはずでありますけれども、現実にはほとんどそれが実行できない。そういったひどく固定化したものをどうすれば壊せるんだろう。  そして、特に少子化の時代になり、昔であれば兄弟の中で自然につかみ合いをしたりなんかして覚えていくようなことが全く教えられないままに、しかも地域社会でも子供の数が少ないために、お隣近所のお子さんと遊んだりけんかをしたりする中で自然に覚えていくようなルールというものを全く身につけないで義務教育年限に達していく。果たしてそういう状況に対して地域社会として子供たちに何ができるんだろうか。  実は、私は教育改革というものを言い出しますまでに随分迷いました。むしろ、人の心による部分の非常に大きな分野でありますから、果たしてシステムとしての改革になじむかどうか、そんな思いがあったことも事実であります。  しかし、中高一貫教育の問題にせよ、飛び級の問題にせよ、私は人生の選択として複数、複々数のコースがあってしかるべきだと思いますし、そうした方向に向けていきたいと思います。  同時に、今の産業界にもお願いをしなければならないことがある。そうした子供たちが社会に巣立ちますときに、従来のような単純比較の人事採用というものについてはぜひ考えていただきたい。そして、そうした個性のある育ち方をした子供たちが社会に巣立っていき、迎えられるだけの条件もあわせてつくっていかなければならない。これは公務員の採用についてでも言えることでありますが、圧倒的に多く民間に職を求めていく時代でありますから、こうした点についてもぜひ受けとめる側としての準備を願いたい。  私はそのような思いをかけて文部大臣にこの仕事を託しました。どうぞよろしくお願いをいたします。
  85. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 以上で中島眞人君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  86. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 次に、清水澄子君の質疑を行います。清水澄子君。
  87. 清水澄子

    ○清水澄子君 社会民主党の清水澄子でございます。  まず最初に、必要な人があるいはそれを希望する男女が、選択的な夫婦別姓を制度化してほしい、こういう強い要求がございますし、既にそれも法制審議会ではこの法制化のための要綱までも出された経緯がございます。総理大臣と法務大臣は後ほどお尋ねをしたいと思うわけですけれども、外務、大蔵、文部、厚生、労働、建設、自治、そして総務、これらの方にぜひお一人ずつ、この選択的夫婦別姓制度導入について賛成か反対か、一言ずつお答えいただきたいと思います。
  88. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 私の場合は、余り普遍性のある答弁にならないかもしれません。といいますのは、私自身が結婚に際しまして妻の方の姓を名乗りましたものでございますから。  その経験から申しますと、私はまあどちらでもいいだろうということで、したわけでございますけれども、しかし、その後しばらくの間は、いろいろな社会活動をしていく上で、いろいろ説明したりなんか、若干手間暇がかかるというふうな経験をしたことがございます。  そういった個人的なこともございますし、つい最近、実は新聞を見ておりますと、有名な芸術家が逝去された、そしてその喪主の方が、これもまた高名な芸術家でございますが、妻としてではなくてパートナーというタイトルで広告が出ておりました。ああ、こういったそれぞれが社会的な活動を展開しておられる場合には、ひょっとすると、そういった今の夫婦別姓というのを認めないことがあるいはその妨げになっているのかなと、あるいはそういった形式の面ではなくて実体の面かもわかりませんけれども、そんな感じもしたところでございます。  いずれにいたしましても、この問題、国民それぞれにいろいろな思いのあるところだと思いますから、幅広く議論をした上で結論を出すべきものかと考える次第でございます。
  89. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 日本のよき伝統、家庭の中で築かれてきました。素性という言葉もあります、氏と姓と。そういう意味で、この文化が極めて大事な時期を迎えておるのではないだろうかと、モラルを含めてそう思います。
  90. 小杉隆

    国務大臣(小杉隆君) 男女共同参画型社会を形成するためには、従来のような固定的な性別役割分担という概念は取り去るべきだと思います。私ども教育の場におきましても、そうした男女共同参画の社会をつくるべく努力をしていきたいと思います。  ただ、お尋ねの選択的夫婦別姓の問題につきましては、今国民各界各層いろいろな意見がございますので、それを見守ってまいりたいと思っております。
  91. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 率直に言って、私は迷っているんですよ。池田外務大臣みたいな例もあるし、子供のことを考えてみるとやっぱり同姓の方がいいんじゃないのかなと思うし、別々の姓を名乗るんだったら結婚する必要もないんじゃないかという気持ちもありますし、世論の動向、皆さんの議論を踏まえて、もうちょっと勉強してこれから決めていきたいと思います。
  92. 岡野裕

    国務大臣(岡野裕君) 先生、労働省は御存じのとおり、男女雇用機会均等法をこれから御審議いただきたい、こう思っているわけでありますが、これはひとしく男女共同参画型社会というようなものの扉をたたく道に通ずるということだと思います。したがって、労働省の中でもいろいろ意見を交わさなければならない、また世論をうかがってまいらなければならないと思っているのでありますが、本来の所管は法務大臣でございます。したがいまして、私がここで労働大臣としてお話ができるという中身は持っておりませんので失礼をしたい、お許しを賜りたい、こう存じます。
  93. 武藤嘉文

    国務大臣(武藤嘉文君) 男女共同参画二〇〇〇年プランの中でも、この問題はいろいろと御検討をいただくことになっているようでございます。  いずれにしても、今いろいろお話のありますように、なかなか意見が一致していないと私は見ております。世論調査を見ておりましても大体半々というような形になっているんじゃなかろうかと思いますので、いろいろ世論の動向あるいは日本の今までの家族制度のよきあり方あるいは婚姻のあり方などを検討しながら、私も女性担当大臣ということを御指名いただいておりますので、そういう会議のときにはいろいろとそういうことを踏まえて、私自身まだ勉強しながらやっていきたいと思います。(「だめだよ」と呼ぶ者あり、その他発言する者あり)
  94. 亀井静香

    国務大臣(亀井静香君) トイレへ行ったんだから。許可を得て行ったんだ。(「質問通告されているんだから」と呼ぶ者あり、その他発言する者あり)いや、理事に了解とって私は行ってきたんだ。許可を受けたんだ。
  95. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 不規則発言はやめてください。
  96. 亀井静香

    国務大臣(亀井静香君) 私は、夫婦の愛を法律という形式によって保つというようなことは基本的にはできないと思いますけれども、ただ一家の表札がアパートみたいにいろんな名前がかかっておるというような状況は、今までの日本の風土といいますか、そういうものになじむのかなと。また、親と子の関係等を考えますと、この問題については国民の間にもっともっといろんな形で一つのコンセンサスが形成をされていくべきであろう、私はこのように思っております。
  97. 清水澄子

    ○清水澄子君 じゃ、法務大臣、一番この問題の所轄の大臣でございますけれども、昨年の二月に法制審議会は選択的夫婦別姓制度の導入を軸にした民法改正案を答申いたしました。それをなぜ法案に提出できないのか、その理由について法務大臣の明快な御説明をいただきたいと思います。そして、その責任はどのように果たされるのか、その点をお伺いします。
  98. 松浦功

    国務大臣(松浦功君) 選択的夫婦別氏制度、それの導入については国民生活にかかわる極めて大きな問題だろうと思います。  そこで、これについて国民各層や関係各方面の意見が分かれている状況でございますので、各方面で十分御議論をいただき、国民の皆様の御理解を得ることができる状況改正案を提案するのが最も適当であると考えて、いまだに時間を過ごしておるような状況でございます。しかも、この問題については、現在与野党各党においても活発に御議論をいただいているところでございますので、それらの議論も十分しんしゃくしながら、今後適切に対処してまいりたい、そう考えております。  責任をというようなお話でございましたが、今申し上げましたような状況でございますし、事柄の重要性にかんがみて拙速な結論を求めることはいかがかと思います。時間をかけて議論を尽くしていただいている状況でございまして、これもまた当然のことであろうと私どもは考えております。  いずれにいたしましても、国民の皆様の御理解を得ることができる状況改正法案を国会に提出することができるよう引き続いて努力をしてまいりたい、こう思っております。
  99. 清水澄子

    ○清水澄子君 法務大臣、では、名前はその人の固有の権利であるということはお認めになりますか。
  100. 松浦功

    国務大臣(松浦功君) 私どもがそういうことについて御意見を申し上げることは適当でないと思います。担当者でございますから、お許しをいただきたいと思います。
  101. 清水澄子

    ○清水澄子君 ちょっと驚きました。理念としては、名前はすべての人の固有の権利であることは事実だと思います。  そこで、総理お尋ねいたします。  総理は男女共同参画推進本部長であられるわけですし、閣僚は全員がこの男女共同参画推進本部の本部員である。男女共同参画審議会がそのもとに構成されておりますけれども、その審議会は、これからの男女共同参画社会の形成の基盤となる民法、税制、社会保障制度を早急に改正しなさい、それを早期に実現しなさいという、そういう要求を行いました。それから、一九九五年の北京の世界女性会議におきまして、これは当時の官房長官であり女性問題担当大臣でありました野坂さんの方から、世界への約束、公約という時間に、選択的夫婦別姓制度を導入するということを明確に明言を世界に向かってもやっておりました。  ですから、そういう点で、総理はこの問題についてどのようにお考えか、日本じゅうの女性と世界の女性に向かってメッセージをお願いいたします。
  102. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は別に開き直った物の言い方をするつもりはありませんけれども、日本じゅうの女性というお言葉が出ましたので、平成八年の世論調査結果をこの夫婦別姓関係について御報告をさせていただくことから答弁を始めさせていただきたいと思います。  今回の、平成八年度の別姓の賛成、それから通称使用、別姓反対と三つに分類をして行いました世論調査の中で、別姓賛成の方は総数の中では三二・五%、別姓反対は三九・八%、そして通称使用を求めた方が二二・五%でございました。  そして、これを男性別、女性別に見ますと、別姓賛成は男性三二・九、女性三二・二で、ほとんど変わりません。通称使用になりますと、男性は賛成は一九・四、女性は二五・〇、男女の間に有意な差がございます。そして、別姓反対になりますと、男性は四三・八、女性は三六・七でありまして、ここでも有意の差がございます。  ただ、その中で、別姓の賛成と反対とだけを女性で比べてみますと、三六・七反対、賛成は三二・二、女性の中でも反対が上回っているというのが世論調査の結果であります。  そして、その上で私はよく申し上げるんですけれども、私の周辺にも男女別姓を実行しておられる方があります。そして、非常にきれいに割り切られて、その上で本当にすてきな家庭を築いておられます。ただ、そこにはお子さんがおられません。そして、私は昨年総理になりまして以来さまざまな投書あるいはインターネットによる御意見というものをいただきましたが、これを通じる限りにおいてはほぼ賛否は同様、多少別姓を否とする方が多いぐらいで、それほどの開きはありません。  ただ、その中に北陸地方のある県の小学校二年のお子さんからいただきました手紙で私は忘れがたいものがございます。そして、それにお母さんのお手紙が一緒に入っておりました。学校でその問題が議論をされたらしくて、帰ってきてふろに入れていたら子供がいきなり夫婦別姓の話をし始めた。どういうことなんだと聞いたので、こういうことだということを教えたら、子供が泣き出しちゃったと。そして、どうしても総理に手紙を書くんだといって書いたので、読みづらいだろうけれども読んでくださいと。その子が必死で訴えておりましたのは、お父さんとお母さんが別の名字なんて嫌だよ、まるで別の人が暮らしているみたいじゃないか、簡単に言うならばそういう言葉だったんです。そして、僕はどういう名前を名乗ったらいいんですかという言葉でございました。  私は、そのお子さんがどういう話を聞かれ、親子でどのような会話をされ、そしてその結果、私に手紙を下さったのかわかりません。ただ私は、夫婦別姓というものが選択的なものでありますから、そうしたものを選びたいという方の権利を抑える権利もまたほかの人間にないものだと思います。  その上で私は、その御夫婦の間のお子さんは一つの名字に統一をしていただくべきでは最低限ないだろうか。たまたま違う、上の子はお父さんの方、下の子はお母さんの方の名字を名乗らせておられるケースを一例だけ私存じておりますけれども、これは私は子供のためにも全く幸せではないとその御家庭を見て思っておりました。  成人した男女が結婚をし、双方が求めて別の姓を名乗るということを許容する社会であっていいけれども、子供たちに少なくとも一つの名字を与えることは親の責任として守っていただくべきことではないだろうか、私はそのように思います。
  103. 清水澄子

    ○清水澄子君 きょう私は初めて、全体聞きたかったんですけれども、皆さんからこういう御意見を伺いました。しかし、この問題は短い時間でやれないので、本当にこれは多くの問題を含んでいますから、本格的に論議する場所が欲しいと思っておりますが、ただ非常に誤解も多いんだなということもわかりました。それから、価値観の問題で気になりました。ただ、私はきょうはここで議論するつもりでおりません。  それで、総理、私はここに福沢諭吉の「日本婦人論」というのを持っております。これを見ていまして、私は最近見つけたんですが、非常に驚いたんです。これは一八八五年、明治十八年の時事新報に連載しておりました。  ここで、人生家族のもとは夫婦である。夫婦があって初めてそこに子供が生まれ、親子がある。だから、夫婦と親子と合体して一つの家族というけれども、その子が長じて結婚すればまた新たな一家族であって、その家族と父母の家族とは全く別のものである。したがって、人の血統を尋ねるときに、だれの子孫と称するときに、男性の方の祖先を挙げて女性の方の祖先を言わないけれども、これは非常に理にもとっているのではないか。  そして、新婚及び新家族をつくるときには、その名字は男子の名字のみを名乗らなくてもいいんじゃないか、女子の名字のみをとらなくてもいいんじゃないか、それは中間、一種の新名字を創造してもいいんじゃないか。例えば畠山という女性と梶原という男性が結婚したならば山原なる新家族となって、そこに山原という姓ができてもそれは決して問題じゃないと。  私はこれを見まして、すごい、百年前にこれだけのことを考えておられた。しかも、その中には、夫婦というのはおのおの自分の父母の名前を持っている。だから、離婚したり再婚したときには、一々変えなくても、自分の生まれたときから持っている名前を使って差し支えないんじゃないか。その親からもらった名前は一生その人から離れるものではない。  まさに名前というのはその人の固有の権利であるということが、この時代にこれだけの明快な論文が出されていたということを見まして、私は女性がこれを人権として非常に主張しているということをぜひもっと深くお考えいただきたいと思います。
  104. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は議員の御意見を否定するものではございません。しかし、先ほど昨年の世論調査を御披露いたしましたように、女性の中でもまだ反対の方の方が多いというのが実態でございます。  私は福沢先生を褒めていただいたのは大変ありがたいと思います。福沢先生はそのほかにもたくさん名言を残しておられますし、まさに時代の先覚者でありましたが、それを強制しようとはしておられないと思います。
  105. 清水澄子

    ○清水澄子君 では、この論争は次にゆだねたいと思います。  そこで、今度は財政改革について御質問したいんです。  今回の九七年度予算案は、累積債務が増加し続けている反面、国民負担増もありまして、非常に私は国民責任を感ずる予算であると思っています。  我が党は、予算執行の段階でより厳しい既定の経費節減を行って、それによって生まれる財源を減税や国民負担増への対応あるいは国債発行減額の財源を生み出すように強く主張してまいりました。政府はそれを受けて歳出削減を図ると言っておられるわけですけれども、私は二つの事例を挙げて財政改革のあり方を問いたいと思います。  一つの事例といたしまして、長崎県の国営諌早湾干拓事業についてお尋ねしたいと思います。  農水大臣、この国営の諌早湾干拓事業を設置した目的、そしてそれに初年度から今日まで投じた国費、そしてそれを各年度別、またその総額は幾らになるか、お答えください。
  106. 藤本孝雄

    国務大臣(藤本孝雄君) この事業についてお尋ねでございますが、まずこの諌早湾の干拓事業、これは委員御承知のように長崎県及び地元市町の要望に沿って実施しているものでございまして、この目的といたしましては、生産性の高い農地をつくるということが一つの大きな目的でございます。また同時に、この場所は高潮とか洪水等によりましてしばしば災害に見舞われている地域でございますので、諌早湾の干拓事業を行うことによりましてこのような防災機能を高めていく、こういうことが目的でございます。  なお、事業費の問題につきましては事務当局から説明させていただきます。
  107. 山本徹

    政府委員山本徹君) 事業費につきまして年度別にお答え申し上げます。  この干拓事業は、昭和六十一年度に事業を着手いたしまして、昭和六十一年度の事業費二十四億円、六十二年度四十億円、六十三年度八十億円、平成元年度九十三億円、二年度百五億円、三年度百十二億円、四年度百八十九億円、五年度二百四十六億円、六年度百六十億円、七年度三百二十四億円、八年度百六十五億円でございまして、この事業費の総額は千五百四十二億円でございまして、約七〇%が国費でございます。
  108. 清水澄子

    ○清水澄子君 総務庁長官、ことし二月に出されました行政監察結果報告書にこの諌早湾干拓事業費は幾らと記載されていますか。
  109. 土屋勲

    政府委員(土屋勲君) 監察結果報告書の中には三種類ぐらいの数字が使われておると思いますが、一つが昭和六十一年度の総事業費の千三百五十億という数字、平成六年度の同じく千九百三十億という数字、それから七年度の二千二百億という数字等がそれぞれの論旨の展開に応じて使われてございます。
  110. 清水澄子

    ○清水澄子君 今そういうお答えがあったんですけれども、ここには当初の予算しか書いてありません。最近は、九六年度はそれが二千三百七十億円になっているわけですが、なぜ総務庁はこの書類に限って当初の予算を、何年もたっているわけですから、それだけが書かれているのかということについてお尋ねします。
  111. 土屋勲

    政府委員(土屋勲君) 先ほど申し上げましたように、報告書で使っている数字は、先生おっしゃいます平成六年度の千九百三十億、それから資料編の百九十八ページに千三百五十億という数字、それから資料編の二百一ページに二千二百億という数字が記述してございまして、当初の数字だけを扱っての議論展開にはなっておらないところでございます。
  112. 清水澄子

    ○清水澄子君 では、農水大臣、この干拓事業の事業費が当初の千三百五十億円から二千三百七十億円にふえた理由はどういう理由なんでしょうか。
  113. 山本徹

    政府委員山本徹君) 当初の事業費千三百五十億円が現時点で二千三百七十億円となっておりますが、これは千三百五十億円の事業費は昭和五十九年度の単価によって積算いたしておりまして、その後の物価上昇等による増額が四百五十億円ございます。また、汚濁防止等の環境対策及び関係機関との協議による工事内容の変更等による増額五百七十億円がございましたために現時点で二千三百七十億円となっております。
  114. 清水澄子

    ○清水澄子君 これだけ、千三百五十億円から二千三百七十億円にふえた、そこには当初の見積もりには問題はなかったんでしょうか。
  115. 山本徹

    政府委員山本徹君) 当初の見積もりもその当時の単価あるいはその当時の環境アセスメント等に沿いました事業の工法等に基づく積算を行ったわけでございまして、五十九年度の当時としては合理的な積算である、事業費であると考えております。
  116. 清水澄子

    ○清水澄子君 建設大臣にお伺いします。  今、農水大臣は水害の防災機能を高めるためであると効果を挙げておりましたけれども、建設省はこの干拓事業は防災効果はない、水害は起きるということを報告しているわけですが、その辺、建設大臣、どうぞその考え方を。
  117. 尾田栄章

    政府委員(尾田栄章君) 個別の事例の技術的なお尋ねでございますので、私の方から御説明をさせていただきます。  ただいまお尋ねの諌早湾干拓事業の防災効果がどうかという点でございます。  私ども建設省といたしましては、この湾口を締め切ることによりまして、それが河川にどういう影響を与えるかということについて検討いたしました。締め切りをされますが、締め切られた内側の湾はマイナスーメートルまで水位を下げるということでございます。その結果、洪水対策としては悪影響はないということを確認いたしておるところでございます。  そしてまた、この湾口にこういう締め切り堤防ができるという反射的と申しますか結果的な効用といたしまして、いわゆる高潮区間、これは海からの潮位による水位の方が洪水の水位よりも高い区間を申すわけでございますが、この区間におきましては、海からのそういう潮の流れがこの締め切り堤でとめられるわけでございますので高潮対策をする必要がなくなる、そういう意味ではそういう効果があるというふうに考えておるところでございます。
  118. 清水澄子

    ○清水澄子君 農水大臣、これははっきり建設省の見解と農水省の目的と違うわけですね。  それで、さらにこの干拓した農地は受益者負担が原則ですから、このように巨額の事業費がふえていくあたり、一人当たりの農民に、この農地の購入者というのは八千万円から一億円の負担と言われているんですけれども、それで何人ぐらい購入者がいると見積もっていらっしゃいますか。
  119. 山本徹

    政府委員山本徹君) 先生ただいま入植者への農地の販売価格、例えば八千万とか一億近くだというような御指摘がございました。この計画に基づく経営収支を現時点で算定し直してみますと、これは現在の農作物の販売の単価あるいは経営費等々でございますが、投資額は一億円強となる酪農経営におきましても、長崎県がお持ちでございます新農政プランの目標所得額、これは一戸当たり七百万ないし八百万円でございますけれども、これを十分確保できる計画となっておりまして、経営は成り立つと見込まれております。  私どもとしては、この地域はさらに県内でも非常に有力な農業の主産地でございまして、野菜経営等、長崎県あるいは全国でも代表的な地域でございまして、入植を地元で希望される農家は相当数おられると思っておりますし、また必要に応じてそれ以外の地域からここに入植を希望される方もいらっしゃると考えております。
  120. 清水澄子

    ○清水澄子君 お答えはそうであっても、現地の方へ行きますと現実はそういうことにはなっておりません。買い手がつかないという問題が起きております。  そこで、環境庁長官お尋ねします。  今お聞きのとおり、諌早の干拓事業を取り巻く環境というのは非常に大きく変化をしております。特に有明海は日本全体の湿地の四割を占めておりますし、ここには多種多様な生物の生態系が存在していまして国際的にも非常に注目されている湿地なんですが、その保全についてどのように調査し、どういう対策を立てようとされていらっしゃいますか。
  121. 石井道子

    国務大臣(石井道子君) 諌早湾の事業につきましては、その実施に当たりましてあらかじめ環境影響評価が行われてまいりました。環境庁といたしましては、昭和六十三年と平成四年にいろいろと事業者に対しまして申し入れをしてきたわけでございます。そして、この事業によりまして干潟が干陸化するということを認識した上で、潮受け堤防の外側における干潟の再生促進等の環境保全対策を求めるという意見を言ってまいりました。そしてまた、この干拓予定地を中心といたしました鳥類の生息状況などのモニタリング調査を実施しているところでもございます。  最近になりまして、現在の環境保全対策の進捗状況について調査をいたしましたところ、基本的には環境保全対策や水質の変化については環境影響評価の際の前提条件や予測値と大きな乖離はないと認識をしているところでございます。しかしながら、下水道の整備等、また環境影響評価の際の計画に比べまして一部おくれが見られるという点がありまして、事業者であります農林水産省及び長崎県に対しまして、これまで環境庁から意見を申し上げている事項のうち、特に汚濁負荷削減対策の推進や環境モニタリングと、それを踏まえた適切な対策の実施について一層の配慮を要請したところでございます。.今後の対策といたしましては、平成九年度から新しく全国の代表的なサンゴ礁、干潟、藻場等を対象にした海域自然環境保全基礎調査を実施する予定でございまして、これは干潟の約四割を占める有明海の干潟もいずれこの調査の対象になるものと考えております。この調査は、干潟の生物相の変化を将来にわたってモニタリングするというものでありますので、将来とも存続する干潟の区域を対象として実施することが適当と考えております。
  122. 清水澄子

    ○清水澄子君 最初になさった時分はラムサール条約で批准された湿地保全はほとんど影響評価の対象になっておりませんでしたね、水質汚濁とか渡り鳥の渡来地の保護であって。今度はこの干潟が干拓化する、もうなくなっちゃうことを前提にしておられるわけですから、それじゃ、あのまま干潟はつぶれるということをもう環境庁はお認めの上でありますね。
  123. 澤村宏

    政府委員(澤村宏君) 先ほど環境影響評価のことを長官の方から申し上げましたが、その折、環境庁として昭和六十三年三月に出しました意見におきましては、干潟が干陸化することを認識した上でいろんな条件をつけたわけでございます。
  124. 清水澄子

    ○清水澄子君 それでは、状況が変化しても、一度やったからもうそのときでいい、それが環境庁の姿勢であるということをきょう改めて認識させていただきました。それは今にきっと世界じゅうで問題になると思います。  それで次に、大蔵大臣にお伺いいたしますけれども、今いろいろお聞きしていましたように、国営の諌早干拓事業を初め、八年前に休止されています中海干拓事業やそれから木曽岬、羊角湾の干拓事業など、いずれも食糧難であったその時代とか、非常に新しい農業生産が目的という時代であったんですけれども、その目的とか経済面でも今の状況と随分変化をしてきている、そういう中で私は行き詰まっておると思うんですが、予算のむだ遣いになっている点が非常に多いと思うわけです。  そこで、これらの干拓事業を一度点検し直してそして予算節減の対象とする考えは、大蔵大臣、ございませんか。
  125. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 本年度予算におきましても、事業執行上の問題などについても主計官、主査が中心となりまして各省との協議を行い、適正な対処をしたと理解をいたしております。  その後、衆議院予算委員会、参議院予算委員会等において具体的な箇所名についての進行状況、政策の目的いかんという観点からの御論議を承ってまいりました。  財政構造改革は、国民信頼される状態をつくりながら、同時に政治が、経済運営、財政運営が的確にそれにマッチをしていくということで取り組んでいかなければなりません。よって、財政資金の効率的使用等の観点から、さらに一層その視点を深めながら、個々の補助金等の性格、内容、その背景にある政策目的、社会経済情勢の推移等を踏まえながら厳しく見直してまいりたいと思います。
  126. 清水澄子

    ○清水澄子君 大蔵大臣、こういう国民の目に見えるような行政改革、財政改革というのは、そういう具体的な個別の事業の行き詰まっているような問題を取り上げていく中でその姿勢を見せることになると思いますので、ぜひその点はひとつ御検討いただきたいと思います。  次に、総理お尋ねいたします。  今まで十分に申し上げられませんでしたが、事業が当初の目的とは、社会情勢が随分変化をして政策矛盾に陥っているような公共事業というのは非常にいろいろあると思うんです。それらをそのまま続けていることがむしろ公益に反して予算の浪費につながっている事例が多いわけですけれども、そういう場合には、事業の途中でもやはり私は勇気を持ってやめる必要があるのではないだろうかと思います。  そういう点では、現在の行政慣行とか法制の上でまるでブレーキのない自動車に乗っているような事例が、一度補助金を出したらずっと続けなきゃならないような状況があったり、なかなかやめられない。  こういう状況の中で、ぜひ総理の強いリーダーシップを発揮していただきまして、社会状況の変化の中でその存在理由とか存在自体の見直しを迫られたものについては直ちにそれをやめることのできる手続を法制の上で確立するということが非常に重要だと思いますので、その点について財政再建法等の中で御検討いただきたい。このことについてひとつぜひ私は総理のはっきりとしたお答えをいただきたいと思います。
  127. 藤本孝雄

    国務大臣(藤本孝雄君) 総理の御答弁の前に干拓事業のことについて、所管でございますので私から説明を申し上げたいと思います。  まず、我が国の農業につきましては、大規模で高生産性の農家を育成するということと自給率の向上を図っていくということが極めて重要な問題でございます。そのためには、米以外の野菜であるとか飼料作物などの農産物の生産振興が重要でございます。  我が国の農地面積でございますが、戦後六百万ヘクタールからどんどん減少いたしまして、今五百万ヘクタールになっております。食糧の自給率は委員御承知のように先進国最低の四二%、我が国で今外国から輸入をしております食糧をすべて自給しようと思いますと、さらに千二百万ヘクタールの農地が要るわけでございます。  そういう現状から考えますと、国民の皆様方に必要とする食糧を安定的に供給する、こういうことを考えますときに、一定の農地面積を確保するということは極めて重要な選択であろうと思うわけでございます。  干拓事業につきましては、御承知のように非常に平たんで広い農地を確保する、こういう事業であるわけでございまして、このような今の日本の農業の現状からいたしますと、この干拓事業ということの持つ意味は一般論といたしまして非常に重要なことであろうと思っております。  しかも、最近の新聞の世論調査の結果でも出ておりますけれども、農業に対する投資がだんだんと低下することによって将来の食糧需給の問題について極めて危険だという意見も出ておるわけでございます。そういうことから考えますと、我々としてはこの食糧の需給関係についていつも関心を持ち、自給率の向上のために必要な一定の農地の確保については必要なことではなかろうかというふうに思っておるわけでございます。
  128. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) たしか本委員会で、有働議員からではなかったかと思いますが、諌早干拓を含め、干拓の問題が提起をされたことがございます。そして私は、確かに農水大臣からも今御答弁がありましたように、干拓事業というものが平たんで生産性の高い農地を造成し、大規模かつ効率的な営農を実現しようとする、そういうものでありますけれども、一方では実は自然環境に与える影響というものについてもさまざまな角度から議論が行われている。ですから、今後の干拓事業の実施というものを考えますときには、自然環境の保全や営農の見込み、効率的な事業の実施などに十分配慮しながら進めるべきものだと思うということをお答え申し上げました。・  それを含めて、今公共事業の全体についての御意見がございましたが、本年度の予算編成に当たりまして、例えば大規模ダム等の中止を決断したものがあることを議員も御承知であると思います。大規模な公共事業、所管省庁がみずからの行政責任として、社会経済情勢の変化に沿いながら不断の見直しを行うべきものであり、今日もそうしてきていると思いますけれども、今ダムの例を御紹介申し上げましたが、今後ともそのような姿勢で適切に対応していきたい、そう考えております。
  129. 清水澄子

    ○清水澄子君 農林大臣、私はもともと農村出身でございますから農業については非常に関心を持っておりますので、私の趣旨は農業予算はどうでもいいと言っていることでは全然ございません。  次に、動燃東海事業所の火災事故について科学技術庁長官お尋ねいたします。一昨日の動燃東海事業所の火災爆発事故についてですけれども、この事故によって環境中に漏れた放射線の核種、例えば沃素とかセシウム、それはどのようなものであったのでしょうか、そしてこの核種ごとの放射線量のレベルはどの程度か、お答えください。
  130. 池田要

    政府委員池田要君) お答え申し上げます。  今回の火災爆発事故に伴いまして、排気筒の沃素のモニターの値に一部上昇が確認されております。この放射性沃素の放出量は二・一掛ける十のマイナス三乗、ギガベクレルという単位で申し上げますとそういう量と推定されておりまして、これは再処理施設が一日当たりの放出管理目標値と掲げております数字を十分下回るものでございます。  それからまた、隣接します施設の排気モニター等からも放射能が検出されておりますために、その核種等につきましては目下詳細な調査を行っているところでございます。
  131. 清水澄子

    ○清水澄子君 事故で被曝した作業員の核種ごとの線量のレベルはどの程度ですか。
  132. 池田要

    政府委員池田要君) お答え申し上げます。  本日の正午までに三十七人の、これはいずれも従事者でございますけれども、体内に微量の放射性のセシウムが検出されてございます。その量は、一番大きなものをとってみましても、法令に定めまず放射線業務従事者の年間の摂取限度の二千分の一以下という状況でございました。
  133. 清水澄子

    ○清水澄子君 これは施設内部の方のあれですけれども、作業員を含めて毎日被曝者の数がふえていっております。これはもうこれまでの事故の、過去の事故の最大のものだと思います。三十七人というのをきょう今初めて聞きました。きのうまでは三十五人でした。  この施設周辺住民の被曝はどういうふうになっておりますか。
  134. 池田要

    政府委員池田要君) お答え申し上げます。  今まで御報告申しました人数は、この事故の当時にこの施設におりました者、それから隣接する施設等におった者、それからその後の処置に加わった者ということでございまして、被曝のおそれのある者についてはすべて検査をするということで、これまで百十名ほどの調査を行ってきたところでございます。この作業につきましては、あと一名を残すばかりできよう完了する見通しでございます。  なお、先生には周辺についてはいかがかということでございますけれども、この事故以来、周辺の放射線の測定数値には何らの異常も認められておりませんから、住民等に対する影響はそのような被曝が問題になるものではないと考えております。(発言する者あり)
  135. 清水澄子

    ○清水澄子君 被曝作業員の人数は発表の都度増加したり、それから今度の事故も想定していなかった事故というもので……(発言する者あり)
  136. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 不規則発言はやめてください。
  137. 清水澄子

    ○清水澄子君 あったわけですから、ですからこういう状況の中で国民は非常に大きな私は不安を持っていると思うんです。それに対して、今のお答えの態度は、すべて数字は小さく見せ、そして常に問題はないようなお答えをなさる。私はもつと不安があってもいいと思うんですけれども、ですから、ここで今言い切られましたが、じゃ、施設周辺住民の被曝は絶対にないと言い切れるその根拠をぜひお聞かせいただきたい。
  138. 池田要

    政府委員池田要君) 先ほど申しましたように、これまで施設の敷地外におきましても放射線の測定を継続してやってきておるところでございます。そのような値のどれにも異常な値が検出してございませんから、そうした意味では周辺の住民に放射線の影響が出るというようなことは考えられないわけでございます。
  139. 清水澄子

    ○清水澄子君 科学技術庁長官お答えください。
  140. 池田要

    政府委員池田要君) 今回の事故に伴います。辺の影響等に関する認識につきましては、大臣も私ども事務方も同じような認識であると申し上げたいと存じます。
  141. 近岡理一郎

    国務大臣近岡理一郎君) ただいま事務方からわかりやすく説明申し上げたはずでございますが、この事故に対しましては、あくまでも地域住民に不安のないようにしなきゃならぬというふうなことで、昨日も申し上げましたとおり調査委員会を設置いたしまして、きょう私のかわりに岡政務次官が現地へ参りまして、第一回目の調査委員会を今開催するところでございます。  したがいまして、これはきのうも申し上げましたとおり公開でございまして、これからは一般の方々もこの調査会に本当に幅広く、原因究明あるいは今御指摘の周辺に対するいろいろな影響等があるかないか、いろいろな広い分野から分析をいたしまして、そして国民はもちろんのこと、地域住民の方々あるいは従事者の方々に不安のないようにこれからも最大限努力してまいりたい、このように思います。
  142. 清水澄子

    ○清水澄子君 では次に、私は動燃事業団の財政改革の面でお尋ねしたいと思います。  今現在、特殊法人は八十八あるわけですけれども、すべて特殊法人の財務状況というのは非常に悪くて、欠損金が非常に多いという問題を抱えておるわけです。動燃の場合、これを私は事例として挙げたいんですけれども、昭和四十二年にこの事業団が発足してから今日まで、政府の一般会計、特別会計からの政府出資金の総額は幾らに達しているでしょうか。
  143. 加藤康宏

    政府委員加藤康宏君) ただいま出資金につきましてお尋ねでございますが、平成九年度までの累計が約二兆四千億円でございます。
  144. 清水澄子

    ○清水澄子君 それならば、これまでの欠損金は幾らになっているでしょうか。特に平成七年度、八年度、九年度を新たに出してください。
  145. 加藤康宏

    政府委員加藤康宏君) 七年度の欠損金が千二百九十一億円でございまして、八年度及び九年度は、見込みでございますが、千六百二億円、千六百四十四億円の欠損金が見込まれております。
  146. 清水澄子

    ○清水澄子君 トータルで。
  147. 加藤康宏

    政府委員加藤康宏君) 三年間ですと、約……
  148. 清水澄子

    ○清水澄子君 三年間でなくて。
  149. 加藤康宏

    政府委員加藤康宏君) 過去の累計で申しますと一兆五千五百億円ぐらいでございます。
  150. 清水澄子

    ○清水澄子君 大蔵大臣にお伺いいたします。  この政府の出資金というのはどのような性格を持っているものでしょうか。
  151. 小村武

    政府委員(小村武君) 財政法第四条で、国が行う出資金について建設公債で対処することは許されるということを書いておりますが、私ども、出資金につきましては、将来その便益が無形あるいは有形に残されるというものに対して出資という形をとるということについては、この出資金として所要の措置を講じているということでございます。
  152. 清水澄子

    ○清水澄子君 出資金、さっきの数字でも、結局二兆四千億円これまで投入されて、欠損が一兆五千五百億円、こういう状況でありますね。  しかし、出資金は解散時に戻さなければならないということになっているわけですが、これは大蔵大臣、戻せるような状況がございますか。
  153. 小村武

    政府委員(小村武君) 動燃事業団に関して申し上げますと、研究開発費は出資金ということで対応させていただいております。  この研究開発費を出資金として行っておりますのは、対象事業の公共性、公益性、こういった観点から国が主体性を持って進めるものであること、それから先ほど申し上げました成果の発現、結果の発現が極めて長期間を要するということで、その効果が将来に及ぶ、長い世代、後世代にもその利益を及ぼすということで出資金の形をとらせていただいております。  それで、欠損金が非常に膨大ではないかという御指摘でございますが、ただいま科学技術庁からも御説明がありましたが、こうした企業会計上の処理として、研究開発の効果が発現するのに長期を要する事業ということで、企業会計原則に従うと、そうした研究開発に投入するものにつきましては欠損金として便宜上取り扱っているということでございます。研究開発の成果そのものが国民共有の財産として、将来有形無形の形で蓄積をされていくという意味においては、こうした会計処理も企業会計原則に乗っかって処理をすることはやむを得ないものと考えております。
  154. 清水澄子

    ○清水澄子君 科学技術庁長官、この国債による政府出資金は出資金償還計画が必要なんですけれども、それはどのようになっておりますか。
  155. 加藤康宏

    政府委員加藤康宏君) 動燃事業団におきましては、償還計画をつくるという規定がございますが、それは毎事業年度、長期借入金及び債券の償還計画を立てろということでございまして、政府の出資金についてはその対象になっておりません。したがいまして、民間から借入した場合について、それの償還計画を立てるということになっております。
  156. 清水澄子

    ○清水澄子君 大蔵大臣、ぜひお答えください。  私は、決して研究開発費を使っちゃいけないとか、そういうことを申し上げているわけではありません。しかし、財政法第四条では、国債を原資とする政府出資金というのは建設国債で、それは財産として道路とか橋とかという、今まではそういうふうなもの、残るということを原則としてきていると思うんです。  ですから、この科学技術の研究開発のためには、反対給付を予定しない、私は補助金の形で支出することの方がより財政は健全になるんじゃないか。そうしないと、今二兆幾ら出して、一兆幾ら欠損で、そしてそれは長期にいつ、原子力発電所が今後どうなるかと、今そんな想定をもっと論争したら、むしろいずれこれはなくさなきゃならないときもあるかもしれません。にもかかわらず、これが財産に残るとか長期の国民の共有財産だという、そういう説明では納得できないわけですけれども、この点について大蔵大臣はどのようにお考えになりますか。
  157. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 清水議員のただいまの総まとめの提言、御意見、決して否定はいたしません。大事なお金を、国民の税金を使うわけでございますから。  そういう意味で、資産として有形無形であろうと残るということでなければなりませんし、この場合は全く基礎技術を中心としたまた応用技術でありましたり、そういうものであることを考えますと、国債、主として建設国債から財源を得ておるというこの手法は今までとらざるを得ないということで慣例化してまいってきておるわけでございますが、これからの財政構造改革会議におきまして本件についても御議論をいただく。当然大前提である国会の議論は議論として存在することを受けとめまして今後に対応してまいらなければなりません。
  158. 清水澄子

    ○清水澄子君 私は、この特殊法人の赤字を国の借金で埋めていくという方法はやはり再度見直すべきだと思います。また、国の財政規律から見ましてもこれは適当ではないと思うわけですが、国債の発行条件をもっと厳密にすると、そういうことは、大蔵大臣、お考えになれないでしょうか。
  159. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 平成九年度予算編成におきましても、当初首相指示は三兆円、もっと深められないかというので四兆三千億と、こういうことで赤字国債を減にさせていただきました。後世に借金を残さないということもさることながら、財政危機であります以上、そうしていくことが御辛抱いただく国民各位に対する政治、内閣の責任だろうということから取り組ませていただきました。  国債発行ということについては、国債発行で後世に借金を残すようなことのないように健全体質をというまた財政中期展望の大きな目標もございます。国債はすべて借金であることは間違いございません。緊急必要なものは、長期的なプロジェクトはそういう手だても講じなければなりませんけれども、効果が上がっておるか上がっておらないかという判定も含めて、またもっと効率的に有効にこれが活用できないかという基本的な問題にまで踏み込んだ論議の中であり方を真剣に検討してまいります。
  160. 清水澄子

    ○清水澄子君 それでは総理、ぜひこの特殊法人の見直しと改革、あわせて行財政改革に対する総理の哲学と決意をお述べいただきたいと思います。
  161. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 哲学というような部分につきましては本委員会で既に何回か御答弁を申し上げ、議員にもお聞きをいただいてまいりました。そして、今ちょうど議員が指摘をされました問題に関連して私なりの考えを申し上げてみたいと存じます。  今特殊法人というものについてはさまざまな角度からの御論議があります。そして、その中で特殊法人のディスクロージャーというものが特に最近厳しく求められております。民間会社並みの一ディスクロージャーに加えて、特殊法人の公共性から求められるディスクロージャー、こうしたものを行うという考え方に立ちながら、かつ全特殊法人の足並みをそろえてこれを行う。そのために、財務内容を明らかにする書類の作成、公告及び一般への閲覧に関しまして所要の規定の整備を行うこととしておりましたものがようやくまとまりまして、去る十一日、特殊法人の財務諸表等の作成及び公開の推進に関する法律案という姿となり、閣議決定をいたしたばかりでございます。私は、議員の今展開されました御論議等も、こうした各特殊法人のディスクローズの進む中で再度、あるいは再三になりましょうか、御議論を願っていくべき一つ問題点だと思います。  そして同時に、私どもは、特殊法人改革というものを、個々の特殊法人につきましても着実にその整理合理化を進めていかなければなりません。政府自身も昨年の十二月二十五日に閣議決定をいたしました行政改革プログラムに特殊法人の整理合理化を着実に推進していくことを盛り込んでおりますが、そのほかに、武藤総務庁長官に大変苦労をかげながら、行政監察におきましても法人の事業見直し、さらに経営合理化といった点にも重点を置いて取り組んでいただいております。  こうしたものをあわせながら、私どもは特殊法人というものの問題点を洗い出し、その解決策を少しでも早く整理してお示しをしていくようにしたい、今そのように考えておりますが、とりあえず財務諸表等の作成及び公開の推進に関する法律案をこれから国会で御審議をいただきます中でさらに深い御議論をお願い申し上げたい、そのように思います。
  162. 清水澄子

    ○清水澄子君 私は、行財政改革のとき、ぜひ総理、雇用面を必ずそれは両立させていただくようにお願いしたいと思います。
  163. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) と申しますと、行政改革で人が減ってはいかぬということではないですね。
  164. 清水澄子

    ○清水澄子君 人の受け皿です。雇用です。
  165. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 受け皿をつくると申しましても、私は、例えば国鉄を民営化し分離をするときと同じような手法はとれないと思います。なぜなら、あのとき、分割いたします国鉄のそれぞれの事業会社、これには鉄道事業に必要なぎりぎりの人数を積算いたしました上で、関連事業分の人員として二〇%多くの人員を抱えさせることによって各社のスタートを切らせました。そして、各省庁にも優先的に国鉄から人材を採用してもらうようにそれなりの工夫をいたしましたし、民間にも余力がございましたので、このときは比較的全体はうまく進んだと私は思っております。  今日、失業率そのものが三・三という数字の中でこの問題が極めて厳しい問題であることは論をまちません。そして、行政改革を進めていく中におきまして雇用の問題が懸念されることもこれまた事実であります。  たまたま、先日、本院におきまして御答弁を申し上げました中に、日経連が中心としてまとめてまいりましたブルーバードプラン、その中に行政改革が進んだ場合における雇用の問題の発生並びにそれをいかに吸収するかについての提言がございました。ぜひ、この提言を深めていただきたいということを日経連にもお願い申し上げ、あわせて政府としても今後こうした問題意識を持ちながら進んでまいりたいと思っております。
  166. 清水澄子

    ○清水澄子君 それでは次に、今度は劣化ウラン弾の問題をお尋ねしたいと思います。  外務大臣、沖縄の鳥島射爆場で使われましたこの劣化ウラン弾問題なんですけれども、これは昨年の三月に嘉手納基地にあるアメリカの研究機関のアームストロング研究所第三分過隊のバシーラ隊長がこの鳥島射撃場を調査した報告書がございます。  これによりますと、米空軍放射性同位体委員会と書いてあるわけですが、これは放射性物質調査する委員会ですね。これが鳥島での劣化ウラン弾の使用を許可していない、そういう点から米軍兵士の危険性を懸念した、だからと書いてあるんですけれども、外務省は、初めから米軍がこの劣化ウラン弾の安全に懸念を持っていた、これについてどのように認識していらっしゃるんでしょうか。
  167. 折田正樹

    政府委量(折田正樹君) 委員指摘報告書の中にも書いてございますが、鳥島における劣化ウラン弾の使用に関連して起こり得る勤務上、環境上の危険性というものを懸念して調査を行うということにしたわけでございます。その調査の結果、環境及び人への危険はないというのがアームストロング研究所の報告の内容でございます。
  168. 清水澄子

    ○清水澄子君 私がお聞きしているのは、アメリカが安全だとそう言っているから安全ですという答えを聞いているわけじゃないんです。  アームストロング研究所のバシーラ隊長の報告は、米兵の健康それから環境の危険性を懸念したからこれを調査しましたとあるわけですが、それは初めから危険だという想定があったんだと思います。ですから、それについてなぜ日本政府はアメリカは安全と言っていますよというだけの答えになるのか、日本自身はなぜこれを独自に問題にしなかったのか、この点をぜひお聞かせください。
  169. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 政府委員から御答弁申し上げましたように、その報告書ではそういった懸念もあり得るのでということでございましょう。いろいろ調査したが結論として危険はないという報告書であったわけでございます。  一方、我が国政府といたしましては、米側からそういう説明は受けましたが、さらに念のために米側にも再調査してもらおうじゃないか、そして日本としても調査しようじゃないかということで申し入れをしまして、そして我が方の調査は第一回目を去る二月二十六日に行いました。その結果、大気などには異常な値は見られませんでしたが、まだその解析、分析中のものもございます。  また、米側もその後二回にわたりまして、六日とそれから十一日に調査を行った、その結果はまだ検討中であると、こういうことでございますので、米側のそういう危険はないという説明はありましたが、私どももさらに念には念を入れているところでございます。
  170. 清水澄子

    ○清水澄子君 それなら、外務大臣、この劣化ウラン弾に関連して国連の人権委員会の専門部会で決議されているその内容を御説明ください。
  171. 朝海和夫

    政府委員(朝海和夫君) 昨年八月の差別防止少数者保護小委員会、この委員会は何名かの専門家の方が個人の資格で人権の問題、差別の問題を議論される場でございますが、この小委員会で昨年八月、大量破壊兵器、化学兵器、燃焼気体爆弾、ナパーム、クラスター爆弾、生物兵器、劣化ウランを含有する兵器、これらについて生産及び拡散を抑制すべきことを各国国内施策の指針とすることを要請するといったような意見の取りまとめをしたことを承知しております。
  172. 清水澄子

    ○清水澄子君 劣化ウランはやはり米軍の内規でも放射性物質として扱われていますし、それからアメリカの原子力規制委員会に規制を受けているわけです。だから、日本もまた日本の国内法の核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律で規制されていくことになると思うわけですけれども、このような物質を兵器に加工して国内の米軍基地に貯蔵されて、そしてこの鳥島射爆場で使われたことについて、政府としてはこれをどのようにお考えになっていらっしゃるのか、それから日本の国内法でどのようにこれを処理なさろうとされているのか、お尋ねします。
  173. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 劣化ウラン弾は、米国におきましても訓練のために指定された射爆場においてのみ使用されるということになっておりますので、今回鳥島で使われましたのはその米軍のルールにも沿わないものでございます。誤って使用されたものでございまして、それは甚だ遺憾なことだと思っておりますので、再発の防止を強く求めると同時に、先ほど御答弁申し上げましたように、いろいろな調査もしておるところでございます。
  174. 清水澄子

    ○清水澄子君 私、さっき国連の小委員会の決議についてお尋ねいたしましたのは、この劣化ウランの問題が国際的に、これが人間の生命や健康と環境の上で非常に大きな影響をもたらすということで、特にこういうさまざまな障害が起きているという現実の中でこの決議がなされている。私はこの事実をそう軽く扱わないでいただきたいと思うわけです。  特にこれは、あの湾岸戦争のときに劣化ウラン弾を使ったことによって、それに参加したアメリカの兵士が肺がんとかそれから白血病になって、生まれた子供に先天的な病気が広がっている。これは湾岸戦争症候群と言われているわけですけれども、このことがずっと国際的に今まで問題になっておりました。そしてまた、この戦場となったイラクの住民にも同じような症状が広がっています。これは子供たちですね。(資料を示す)こういうおなかが膨れて、これがイラクの子供たちなんです。こういうふうに劣化ウラン弾によっていろんな障害が起きている、これはやっぱり事実であるわけです。  ですから、これがこの国連決議の上から見ても、兵士や住民にこういうものを製造したり使用するということについて禁止しなければいけないという、そういう目的から私は決議をされたのだろうと思いますし、また日本の私たちにとりましても、それが日本の中に、国際法上から見て禁止すべき兵器、これが沖縄にありまたは日本の国土の上にある、国内にある。外務大臣はこのことについてもっと重く受けとめていただいて、再発防止という前に、これについてはアメリカに向かってこれの撤去を厳しく要求していただきたいと思いますが、いかがですか。
  175. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) まず、いわゆる湾岸戦争症候群につきましてはいろいろな要因があり得るんじゃないかということで、米国においても随分その調査研究が行われたようでございます。その中で、大統領諮問機関が出した結論では、その劣化ウラン弾との因果関係はアンライクリーだというふうな結論になっていると承知しております。  それから、二つ目でございますけれども、先ほどの国連の差別防止・少数者保護小委員会の決議でございますが、これは先ほど政府委員から御答弁した中にもございましたけれども、この委員会そのものが個人資格の専門家によるものでございます。それが一つの特徴。それからまた、そこでの決議の内容が、劣化ウラン弾を含む兵器等の生産及び拡散を抑制すべきもの、全部禁止じゃない、抑制すべきものとの点を各国の国内施策の一つの指針とすることを要請するという、こういう決議でございまして、この決議そのものが各国政府を拘束するような制度じゃございません。  ちなみに、これは個人資格での参加でございますが、我が国の専門家もそのメンバーになっておられますけれども、その方は棄権の投票をしておられる、こういうことでございます。  いずれにいたしましても、劣化ウラン弾につきましては、訓練の際には我が国では使用できないことになっておりますので、そこをきちんと担保していくということをやってまいりたい、こう考える次第でございます。
  176. 清水澄子

    ○清水澄子君 やはりそれは抑制すべきものであるという、そういうことであるからということでは、沖縄の皆さんも、それから私たち日本全体の、特にそういう核兵器ということについて非常に敏感な日本人でございますから、兵器じゃないですけれども、これは放射性の関係をした物質であるわけです。ですから、それは米軍の内規でも放射性物質として扱われている。このことはやはり私たちは非常に重視いたします。  その点でも、こういう危険なものを日本に置かないように、総理も、こういう劣化ウラン弾の撤去については、それをアメリカにも、こういう事件を再び起こさないということとあわせて、核兵器そのものが沖縄にあるとも言われているわけですけれども、ぜひその撤去を私は強く求めていただきたいと思いますが、いかがですか。
  177. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 議員、大変恐縮でありますが、言葉について誤解の生じないようにお使いをいただきたいと思うんです。  劣化ウランは確かに放射性物質でございます。しかし同時に、例えば航空機のバランサー等に使って何ら問題がない程度の物質であることも知られております。そして、現実に航空機のバランサーとして活用されているケースはたくさんあること、議員の御承知のとおりであります。その劣化ウランをしんに使いました劣化ウラン弾、これは核兵器ではございません。核兵器ではありません。そこがもし国民の間に誤解を生じましたなら大変な問題を呼ぶことでありまして、核兵器、よく似ているんだという言い方に直されましたけれども、核兵器ではないということはどうぞ御確認をいただきたいと思います。  そして、先ほど外務大臣が御答弁を申し上げましたように、劣化ウラン弾を我が国の射爆場で使うことは米軍自身が行わないと私たちに約束をしていたことでありました。問題はそれが破られたということでありまして、これがなぜ起こったのか、そしてどうすれば二度と起こらないかを私たちはきちんと押さえてまいります。
  178. 清水澄子

    ○清水澄子君 ぜひ今のお言葉を実際の上で実現していただきまして、私たちにわかるように、そのことがアメリカとの間で確認されることを要請いたします。
  179. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) だから、それは核兵器だなんて言われたら間違ってしまいます。
  180. 清水澄子

    ○清水澄子君 日本にはアメリカの核兵器が存在しているとも言われているという点を申し上げましたが、劣化ウラン弾は核兵器そのものではありません。しかし、放射性物質の一部であることは事実です。ですから、そういう点で私ども日本人は核物質に非常に敏感でありますし、特に沖縄にはさまざまなそういう兵器が投入されます。ですから、その点について私たちは厳密に、特に米軍基地それから米軍のこれまでのあり方について厳重にひとつこちらからも問題提起をしていただきたい、私はこのことをお願いしたいと思います。
  181. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 我が国が非核三原則を堅持しておること、これはもう議員よく御承知のとおりでありまして、その非核三原則は沖縄も例外にしているものではございません。また、劣化ウラン弾というものは核兵器ではございません。そして同時に、その劣化ウラン弾は我が国の射爆場等で訓練に使わないという約束になっておるものであり、その約束が守られるようにきちんと注意をしてまいります。
  182. 清水澄子

    ○清水澄子君 終わります。
  183. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 以上で清水澄子君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  184. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 次に、依田智治君の質疑を行います。依田智治君。
  185. 依田智治

    ○依田智治君 自由民主党の依田智治でございます。  きょうは、政治家、政党の責任という視点に立って、まずオレンジ共済の問題を取り上げ、残りの時間をできるだけ余しまして、安全保障の基本的問題を、ぜひ申し上げたいことがございますので取り上げさせていただきたい、こう思っております。よろしくお願いいたします。  そこで、新聞でけさお読みになったかと思いますが、参議院の下稲葉議運委員長ら各会派の議運理事さん五人できのう警視庁の接見室へ行きまして、被疑者、被告人友部達夫氏に対して、我々としては、参議院の辞職勧告決議案を出す前に、良識に期待して、参議院を代表して、議長の了解を得て、辞職しないかということで来たんだということで、国会議員として肩身の狭い思いをするよりみずから責任をとってやめるべきじゃないかと、各会派の代表も、国会の権威を失墜する問題でもありゃめるべきだということを勧告したんですが、そうは思わない、自分は悪くない、マスコミが悪いんだ、政治家として今後もやるつもりだと、こういうことだったようです。それで、重ねて最後に、委員長以下各会派が院を代表して来た、この事実を重く認めてくれ、よくよく重く考えてもう一回再考してくれ、こう念を押したのに対して、全然やめる気持ちはありませんと、こういうことらしいんですね。  こういう人を選んだということは、これは大変なことだぞと私は実は思うんです。そういう意味で新進党の責任というものは極めて重大だと、私はそういう認識に立っているわけでございます。  そこで、この際、人ごとではないんですね、政治家の責任、政党の責任というのは極めて重大だと。そこで、既に他の院でも若干出ておりますが、我々議員の身分保障というものはどうなっているかという点をちょっとおさらいしてみたいと思います。  参議院事務局、法制局の方で、国会議員をやめさせることができる場合というのはどんな場合でございましょうか。
  186. 田島信威

    法制局長(田島信威君) お答えいたします。  国会議員をやめさせることができる場合といたしましては、憲法上二つの場合があります。その第一は、憲法第五十五条の資格争訟でございますが、これは法律で定める議員の資格に関する争訟により議席を失わせる場合であります。二つ目は、憲法第五十八条第二項により、「院内の秩序をみだした議員」に対する懲罰として除名する場合であります。
  187. 依田智治

    ○依田智治君 参議院規則二百四十五条に「議院を騒がし又は議院の体面を汚し、その情状が特に重い者」ということで除名理由がありますが、まさに議院の体面を汚して情状が重いと言えるんだと思うんですが、これはそうは読めないんでしょうか。
  188. 田島信威

    法制局長(田島信威君) 個別の事案については法制局としてはお答えいたしかねます。そこで、一般論としてお答えいたすことといたします。  登院停止または除名の懲罰を科することができる場合を定めた参議院規則第二百四十五条は、あくまでも憲法第五十八条第二項の規定を受けたものでありまして、「院内の秩序をみだした」と言える場合についての規定であります。  この議員に対する懲罰権は、議院の自律権として各議院がその運営を円滑に行うため憲法上認められているものであります。したがいまして、院内の秩序とは無関係な個人的行為は懲罰の対象にならないと解されております。
  189. 依田智治

    ○依田智治君 こういうふうに、これだけ大事件を起こした者でもやめさせることはできない、こういうことでございます。  これまでに衆参合わせて逮捕許諾請求というのがあったのは何件ありますか。参議院は何件ですか。
  190. 黒澤隆雄

    事務総長(黒澤隆雄君) 国会議員の逮捕許諾請求は、衆参両院合わせまして今日までに十五件提出されております。そのうち本院議員に係る逮捕許諾請求は三件でございます。
  191. 依田智治

    ○依田智治君 私は戦後のを調べてみました。こういう詐欺事件という名目で捕まった、逮捕許諾が出たのは、最初に原侑さんという衆議院議員でございました。この事件はどんなぐあいでございましたか。きょうは、衆議院はあれですので、参議院の方から、わかる範囲で結構です。
  192. 黒澤隆雄

    事務総長(黒澤隆雄君) 原侑衆議院議員の逮捕許諾要求は、昭和二十三年一月二十三日に衆議院に提出されております。その際の逮捕許諾要求書によりますと、「衆議院議員原侑は、相当多額の金額について詐欺罪を犯したことを疑うに足りる相当の理由があるので、東京地方検察庁において捜査中であるが、犯罪の捜査上至急これを逮捕する必要があるから、国会法第三十三条の規定により衆議院の許諾を得たい。」というものでございます。  衆議院におきましては、一月二十九日に議院運営委員会で許諾を与えることに決し、翌三十日の本会議で議題とされましたが、議運委員会報告に次いで、同議員から一身上の弁明があり、その中で同議員から議員辞職の意向が示されるとともに、議員辞職願が提出され、直ちに諮り、それが許可されております。  したがいまして、衆議院議長は、「議員原侑君の逮捕について許諾を求める件は、審議する必要がなくなりました。」と宣しておるところでございます。
  193. 依田智治

    ○依田智治君 この原さんの事件は、本人は、自分はだまされたのであって、自分自体が積極的に詐欺したわけじゃない、二人の男にだまされて九百万円を詐欺したということで起訴されているけれども、絶対自分は無罪だと。しかし、逮捕許諾というようなことを戦後初の制度の中で議員として先鞭をつけることになると憲政史上最大汚点になるということで、無罪を確信しつつもその弁明の席で辞職を願い出て、それで結局、院は許諾請求をせずに辞職を承認したと。極めて良識のある、それで、結果において詐欺は無罪になったんです。  今回の事件と比較してどうですか、これは。詐欺師本人に良識を問うといっても、これはどうにもなりませんが、これを名簿の上位にランクして、ほとんど責任も感じないとしか思えない態度をとっている新進党というのは、これは大変なことだ。しかし、この比例制度で、彼がやめますと言ったら、新進党から上がってくるんですね。こういうことを国民として納得するのかなと。  自治省、例えばこういう前代未聞のような、国会議員が詐欺事件をしたような場合には、そこだけ欠番になって繰り上がらないというような制度はないですか、これは。
  194. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 参議院の比例代表選出議員に欠員が生じました場合は、御指摘のように、当該欠員となりました議員が登載されております名簿から順次繰り上げ補充されることとなります。ただ、名簿登載者が被選挙権を有しなくなりましたときとか、あるいは離党等によりまして当該名簿政党に所属する者でなくなったという旨の届け出がなされているときは、これを当選者として定めることはできないこととされております。  また、名簿を取り下げる旨の届け出がなされている場合は繰り上げ補充は行われないということでございますが、御指摘のような制度は現行制度では設けられておりません。
  195. 依田智治

    ○依田智治君 これは最後にありましたが、やはりこういう詐欺師を名簿の上位に登載したということは不明のいたすところだと、新進党としては責任感じて、以後名簿は取り消す、こういうぐらいにやれば、新進党は繰り上がらないでドント式で次のところへ行くかもしれないですね。これは参議院改革で十分検討すべき課題だなと、こう思っております。  そこで、視点を変えて、歳費についての支払い、これは逮捕されて留置場にいますが、これはとめられているんですか。
  196. 黒澤隆雄

    事務総長(黒澤隆雄君) 国会議員が国から相当額の歳費等を受ける権利は、憲法、国会法及び国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律等で明記されております。  これらの法規においては、国会議員の身分を有する間、歳費等の支払いをとめる規定はございません。したがって、国会議員が逮捕された場合でも歳費は支払われることになっております。
  197. 依田智治

    ○依田智治君 一般職国家公務員なんか、休職になってとめられるんですね。厚生省の次官のとき、何だと、払ったらけしからぬと言って、国会議員にはそういうことはありません。  そこで、仙台地裁か何か債権仮差し押さえを出して認められていますが、現在、何か他にもそういうのは出ていますか。
  198. 黒澤隆雄

    事務総長(黒澤隆雄君) 友部議員の歳費への仮差し押さえ命令は、現在二件参っております。  一つは、仙台地方裁判所から平成九年一月三十一日に送達された仮差し押さえ命令、債権金額二百万円のものでございます。もう一つは、東京地方裁判所から三月七日に送達された仮差し押さえ命令、債権金額一千六十九万円余のものでございます。これらの歳費仮差し押さえ命令により、国である参議院は第三億務者として裁判所の命令に従うことになります。したがって、民事保全法及び民事執行法の規定に基づき、友部議員の歳費については既に法定控除分、所得税、住民税、互助年金の掛金等を差し引いた全額につき供託手続を行っているところでございます。
  199. 依田智治

    ○依田智治君 このように議員の歳費は何とか押さえられるようです。被害額が何十徳というような状況の中で、巨額ですからちょっと焼け石に水ではございますが、できるということでございます。しかし、我々としては、こういうことが再び起こらぬように事件捜査の徹底を期してもらわなきゃならぬとともに、院としても自浄作用で証人喚問等による真相の究明とか、なお参議院制度の改革等の際に考慮する必要があるんじゃないかと、こう考えております。  そんなことで、以上の点に関連しまして、選挙制度並びに事件捜査に関係する自治大臣・国家公安委員長、この点についての所感をいただければありがたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  200. 白川勝彦

    国務大臣(白川勝彦君) 本件は、刑事事件としても広域かつ多額でありましてまことに遺憾でありますが、同時に政治の信頼というものを大変失墜せしめた事件でありますので、公職選挙法二百二十四条の三、あるいは政治資金規正法違反、こういう問題も視野に入れながら、ただ単に詐欺の使途を調べるというだけではなくて、警察としても国民の政治浄化の期待にこたえるべく鋭意捜査しているものと承知をしております。  また、制度の欠陥その他の問題につきましては、自治省としてもいろいろ考えてはおりますけれども、基本的には政党、会派間において鋭意議論を詰めていただいて、そして一層国民の期待にこたえる選挙制度をつくっていただきたいとお願いする次第であります。
  201. 依田智治

    ○依田智治君 総理、これは新進党が主として問題でございますが、自民党総裁という立場でもございますので、この点についての所感をいただければありがたいと思います。
  202. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、先般も同じようなことを申し上げましたけれども、これは国会に代表を送っております各政党皆が心しなければならない大事な教訓を残している事件だと思っております。  同時に、私は、この事件が参議院創設五十周年という今年に起きたことを非常に残念に思います。恐らく、参議院に在籍されるすべての議員の方々が同じような思いでおられるでありましょう。この中から我々は幾つかの教訓を酌み取り、今後に生かしていかなければならない、そのように思います。
  203. 依田智治

    ○依田智治君 次に、この問題の被害者の救済という視点に立って、政治の責任の問題を考えてみたいと思います。  おととい、橋本総裁あてに、こういうのを上位にランクした新進党の責任は重大だ、しかし自民党としても可能な限り被害者の救済等に向けて力をかしてくれという要請がございました。私の方にも次々と、いろいろ救済の手を差し伸ばしてくれという状況がございます。また、新聞報道によりますと、その後新進党へ行ったようですが、私どもが調べたところ、新進党にお金が渡った事実がない、事実が出てきたら返すというようなことでございまして、いわゆる新進党の名が使われたことによって、参議院議員になってから相当な多額なオレンジの集全力が高まったという事実にほとんど責任を感じていないということについて非常に疑問に思います。  これは他の院のことでございます、衆議院の地行で新進党の富田茂之さんという人が質問に立ったときに、一言返答させていただきますということで、オレンジ共済事件につきましては、我が党に所属しております細川元総理が後ろについているからとか、我が党がバックにいるからと被害者の方が思われているという指摘がございますが、それは全く事実無根、恐らく被害者の方がそのように思われたからこういう事件が起こったのでありまして、事実無根で我々には責任がない、こういう発言をしておるんですね。これはとんでもないことだなと思うわけです。  そこで、一つ事例を挙げまして、こういう立派な表紙の財団法人二十一世紀青少年育英事業団、これは他の院でも取り上げられておりますが、設立申請書、これは参議院選前の順位決定の重要な時期でしたが、七月四日、ホテルオークラで細川さんとかみんな出てやったときに、こういうのを配った。そのときに大々的に、もう間もなく設立許可がおりる方向だ、そうしたら盛大なパーティーをやるというようなことを弁護士が言っておりまして、その中には大変著名な政治家等も後ろ盾をいただいていますから、御安心してこの事業に大いに参加してくれ、こういうふうに慫慂しているんですね。  それでこの中には、もう既に出ておりますが、評議員等の名前で、初村謙一郎それから小沢辰男それから鳩山邦夫、こういう名前が出ておるわけですね。  文部省、どうですか、今申請の中でそういう名前が出ておりますか。そして、政治家から何かこの設立に関連して働きかけはありましたか。
  204. 佐藤禎一

    政府委員佐藤禎一君) お答えを申し上げます。  当省では、平成七年の六月の末からこの財団の設立の事前の相談を受けてございます。同年十二月を最後に相談が途切れまして、正式の設立の申請はなされていないという経緯をたどったわけでございます。  この間、過程におきまして、初村前議員と友部議員から法人の設立についてのお話があったことは事実でございます。
  205. 依田智治

    ○依田智治君 名前の挙がっている鳩山さんにしましても、こういう「自由社会」という事実上の機関紙みたいな中で、毎号のようにオレンジの広告等をやっておるわけですね。その七月四日の会合にはだあっと、これは友部さんの躍進の支部長大会というので銘打ってやったんですが、そこのところは新進党候補者の写真をずらりと並べて、それで海部さん、細川さんと初村さんなんか出てきてやった。地方から出てきた人は疑心暗鬼で出てきた人もいるんですね、オレンジ共済なんて何だと。しかし、来てみたらこれだけだあっと、総理までやった人も後ろ盾にいる、これは大丈夫だと。そこから物すごい集全力が上がったんですね。  警察庁、最新までのデータで、参議院議員になるまでとなってからの金がどのぐらい集まっているか、そのデータありましたら。
  206. 泉幸伸

    政府委員(泉幸伸君) 押収資料の分析で、参議院議員通常選挙以前か以後かという分け方はいたしておりません。  平成七年、八年、年で分けておりますが、これまでの捜査では、平成七年、平成八年の二年間で約六十六億円を受け入れたと見ておりまして、同様の方法で、現在まで開始されてから受け入れた総額が八十億円以上と見ておりますので、相当な割合であるということは事実だと認識しております。
  207. 依田智治

    ○依田智治君 今聞きましたように、やはり参議院議員になってから大変な集全力が出ていると。  きのう実は東京地裁で、栃木県下の方が四人訴えたのが、七千百十万円が詐欺とそれから出資法違反で支払いを認められておりますね。これは明らかに事実を認定されておるという状況でございます。  そんなことでございまして、これは法的責任がないから責任がないというのじゃなくて、政治家としてはやはり道義的責任を感じて、これまでにはっきりと献金を受けたと言われるような岩手県連とかオレンジ共済の何とか支部というのがありますが、このほかにまだごく最近新聞に出たのでは、秋田県の知事選挙で佐藤さん、新進党をやめて出て敗れた人がいましたが、ここにも陣中見舞いがあったというようなあれが出ていましたが、自治省の方に収支報告等出ていますか。地方のを調べてもらったかどうか。
  208. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 御指摘平成七年の秋田県知事選挙におきます選挙運動収支報告書につきましては、御指摘のような記載はないという報告を受けております。
  209. 依田智治

    ○依田智治君 いずれにしましても、少なくとももらったところは返して、スズメの涙ほどであっても被害者の救済にやるくらいの政治家の良心が欲しいものだと、こう思っております。  最後に、この問題に関連してはやはり捜査をやらなきゃだめだと。そこで、警察の方、最初詐欺で捕まえましたが、その後追送致等をしているようですが、現在までにどれだけ固まっておりますか。
  210. 泉幸伸

    政府委員(泉幸伸君) 被疑者を逮捕して、その後捜査をいたしまして、二月十九日までに被疑者五名が起訴されておりますが、その後も同様詐欺事件の捜査を続けまして、起訴後におきましても、起訴された事実と同様の方法で二十四名の方から約四億三千万円の金銭を詐取した事実を確認し、追送致しております。
  211. 依田智治

    ○依田智治君 関係箇所も捜索したというようなことで大分捜査が進展しているように新聞に出ていましたが、捜索なんかはその後何回くらいやっておりますか。
  212. 泉幸伸

    政府委員(泉幸伸君) 本件に関しまして、昨年十一月から現時点まで合計四十カ所、七回にわたりまして延べ回数として四十カ所を捜索しておりますが、この中には起訴後であります最近四カ所捜査した事実も含まれております。
  213. 依田智治

    ○依田智治君 これまでに詐欺の推定被害者とか被害金額というのはどのぐらいに見積もっておるんでしょうか。
  214. 泉幸伸

    政府委員(泉幸伸君) 現在まで起訴されております事実と同様の方法で約二千六百人の方から八十億円以上の金銭を受け入れたというふうに見ております。それらにつきまして一つ一つ刑事手続上詐欺事件として立件できるものについては捜査を進めておるところでありまして、先ほども申し上げました追送致もそのような状況で解明または確認したものであります。  今後とも、所要の捜査を進めて、証拠により固まったものについて追送致等を行っていくことにしております。
  215. 依田智治

    ○依田智治君 こういう捜査は被害者の掘り起こし等から始まって大変だと思いますが、ひとつできるだけ多く立件して解明していくようにお願いしたいと思います。  あと一つ、何といっても公選法二百二十四条の三、候補者選定に対する罪というか、ランクした政治の責任というのは非常に重い。いろいろ資料を見ましても、公募コンテストをやったといっても、細川さん自体が、あの人は口下手で政治家には向かない、仕事を誤ったというようなことを言っているんですね。そういう人を公募しておるというのはどういうことかなと、こう思います。人のことだからあれでございますが。  それから、七月四日のパーティーでも、細川さんは、友部さんが新進党の中でいいポジションを得られるように私たちもこれから、初村副幹事長もここにおられますが、一生懸命そのつもりで、恐らくここ二、三日中に決まりますが、頑張りますというようなことを言っているんですね。それから、初村さんはちょうど選対の選対局次長をやっていまして、その会議から来て、途中から中座してきて、これから帰るんだと言いながら、既にけさから始まっていると、私もこれからすぐ駆けつけてまたやらなきゃいかぬ、私どもが必ず当選できるくらいまで押し上げるつもりだと、細川さんや小沢さん、海部さんにも私自身が推挙しておるんだというようなことを駆けつけて言っている。これはまさに選対に直接参加している人間がそう言う。  それで、初村さんについては大分金をもらっているというようなことが出ているわけでして、この点についてどうですか、こういう程度の発言ではなかなか自治省の方は責任ある者というわけにいかないんでしょうか。一般論としてどうですか。
  216. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 個別具体のお話につきましては私どもは調査権限を有しておりませんのでお答えはしかねるところでございますが、あえて一般論ということでございますので、参議院議員の比例代表選挙に関して申し上げますと、一般には各政党で名簿登載者の選定なりあるいは名簿順位の決定につきまして、そういう権限を有する機関に任ぜられた方、あるいはその機関が組織体でありますればその組織の構成員、それからまたその機関の前段階といたしまして実質的に機関の決定等を拘束するような機関があればその機関の構成員も含まれるものと解釈しているところでございます。
  217. 依田智治

    ○依田智治君 いずれにしましても、この事件につきましてはいろいろ新聞をにぎわしていますが、ほとんどの方が名誉毀損等も出していないというようなことから見ましても、これは大変に私は新進党との関係というか、責任は重いし、今後徹底して解明を要すると、こう思います。  以上でオレンジ問題を終わりまして、あと五分残っていますので安全保障の問題をぜひお願いしたい。  やはり、当面基地問題が一番焦眉の問題でございますが、その中で基地問題というとき、どうしても海兵隊、海兵隊というのはどういう役割をして、今どういう重要性があるのかということがよく言われるわけですね。  そこで、どうですか、防衛庁、海兵隊の役割を皆さんにわかりやすく説明してください。
  218. 秋山昌廣

    政府委員秋山昌廣君) 米海兵隊の役割についての御質問でございますけれども、海兵隊につきましては人道援助等の非軍事の活動から水陸両用戦の遂行に至る非常に幅広い任務を持っております。例えば、陸上作戦あるいは非戦闘員避難作戦、さらには信頼醸成活動までやっておりまして、実際にそういう活動をやっているわけでございますけれども、一つの特徴といたしましては、航空、地上、兵たん部隊が一体となって一つの指揮のもとで活動しているというものでございまして、よく言われる高い機動力と即応性を備えた組織ということでございます。  米海兵隊、今沖縄におるわけでございますけれども、沖縄そのものの地理的な条件でございますが、南西諸島の中心にございまして、東シナ海と太平洋を結ぶ要衝に位置している。そして、周辺地域から一定の距離を隔てて縦深性を確保している。さらに、基地の安全を確保しつつ、地域の不測事態に対し迅速に兵力を投入して当該戦力に対し効果的に補給、整備を行い得る位置に所在して.いるということでございます。  このような特性を備えた沖縄駐留の海兵隊はこの地域に対する米国の関与のあかしとなっているわけでございます。この海兵隊の個々の運用につきましては最終的には米国の判断によるものでございますけれども、一般論として申し上げれば、この沖縄駐留の海兵隊につきましては次の二点に絞られるかなというふうに思います。  その第一点は、我が国に現存する主要な米陸上戦力といたしまして海兵隊が沖縄に所在し、抑止あるいは緊急事態に即応し得る態勢がとられていること等を通じまして、我が国及び我が国周辺地域の平和と安定に貢献しているという点でございます。  もう一点が、我が国周辺地域に海兵隊を含む十分な抑止力が存在することによりまして、中東等で生じた大規模地域紛争に対して、米本土より大規模な動員が可能となるとのグローバルな安全保障上の意義、役割を有しているということでございます。  以上でございます。
  219. 依田智治

    ○依田智治君 この質問をしましたのは、最近、新聞紙上等によりますと、総理官邸の方から米海兵隊の削減に向けて非公式の米国との云々というようなことも出ております。  ただ、私はこの海兵隊の役割、今防衛庁から説明ございましたが、緊急に陸海空の部隊が一つの指揮官のもとに展開する。このにらみというものが本当に地域の安定というものに大きく貢献しているという事実です。皆さん、我が自衛隊というのはにらみのきかない自衛隊なんですね、にらみをきかすということは防衛政策上やっていないんです。にらみの部分はすべてアメリカにやってもらうというのが我が防衛政策です。まして、ミサイルを撃ってきたら撃ち返す、弾道ミサイル、爆撃機、航空母艦、たたくものを持つのは憲法上認められない。こうなったらアメリカにたたいてもらうしかないわけです。  考えてみますと、我が国は防衛政策として本来自衛隊というのは持っていて、何にでも使えるよと、こう言っておきながらシビリアンコントロールで使わない。これが本当のシビリアンコントロール。我が国の場合は、持っているけれどもこれもあれも使えませんと、おりに入れているようなものですから、抑止力を十分発揮できない。  そのにらみをアメリカにきかしてもらうということですから、そのアメリカ軍を削減するということは、多少自分でにらみをきかすようにするという腹構えがなければ私は大変だと。そしてまた、にらみをきかす必要がないような国際情勢をつくるということが大変重要じゃないか。そういう点で考えますと、沖縄の基地という問題は大変重要だ。したがって、五月十四日に期限の切れるというこの問題も我々としても真剣に受けとめていかにゃいかぬ。  この前、防衛庁長官から話がございましたが、たしか〇・二%だか何かというようなものが反対しているというようなことでございました。防衛庁長官、大部分の地主は賛成している、しかし一坪地主も含めてごく一部が反対している、そのためにこの重要な安全保障政策が、日米安保体制が揺らぐ、これは大変なことだと、こういう認識に立っているんですが、いかがでございましょう。
  220. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 先日、照屋委員の御質問に対しまして、防衛施設庁として非常にたくさんの皆さん方に契約に応じてもらうように努力したということを強調する余り、少し数字の点でやや不正確な点もございましたので、本日は資料のもとに正確に答えさせていただきます。  当庁としては、先ほどから言いますように、復帰以来ずっとそういう努力をしてまいりまして、先般も四名の未契約地主から賃貸借の同意を得られたところでございます。  このような努力の結果、現在沖縄県に所在する米軍施設・区域の民公有地面積の一万五千七百ヘクタールのうち、九九・八%の土地については土地所有者との賃貸借契約により円満に使用権原を得ているわけでございます。しかしながら、残る〇・二%の民公有地については、土地所有者から賃貸借契約の同意がいただけないため、現在やむを得ず駐留軍用地特措法に基づく使用権原取得の手続を進めているところでございます。  この特措法手続対象の所有者は三千八十一名であり、面積は三十五・六ヘクタールとなっております。このうちいわゆる一坪共有地主は二千九百六十八名であり、その面積は〇・ニヘクタールであります。この面積は、今言いました全民公有地面積の〇・〇〇一%、すなわち十万分の一となっております。また、残る百十三名が在来地主でありまして、この方々の面積は三十五・四ヘクタールとなっております。  以上でございます。
  221. 依田智治

    ○依田智治君 残り二分になりましたが、最後にまとめに総理にぜひお伺いしたいと思うんです。  これは本当に我が国の防衛論議をする場合にどうしても欠略している視点は、個別の問題について重箱のような議論をする、全体的な視野に立った議論というのがどうも欠けているなと、こういう感じがいたします。それで、我が国の安全をどう保持していくかというのは、日本の国だけ守りゃいいという問題ではなくて、日本の置かれている周辺の環境、アジアの環境、グローバルな世界の環境の中で、我が国の貿易その他の多極化している時代にどう平和と安定を維持していくかということになりますと、結局国際情勢、我が国の防衛力さらに防衛政策、それから日米安保、米軍の駐留とか国連との関与とか、こういうものを総合的に勘案して防衛政策を推進する必要がある。  だから、そういうことで我が国の防衛政策というのを現在の防衛政策をとっている以上、我々としては米軍の駐留というものは極めて重要だし、しかしその米軍にすべてのにらみをきかせてもらうという防衛政策は果たして適当かそろそろ考える時代で、憲法の範囲内でも十分にらみのきく方法もあるんじゃないか、こんな視点に立ってこれからガイドラインの見直し、基地問題の解決、あらゆる面での施策をぜひ推進していただく必要がある、私はこういう考えに立っておるわけでございまして、その点についての総理の御見解を最後にお伺いして、私の質問を終わります。
  222. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 大変大きな問題の提起をされました。そして、私が申し上げる以前に、議員御自身が専門家として長い間我が国の安全保障の中核におられた方でありますから、私が申し上げるのは少々おこがましいのかもしれません。  しかし、あえて申し上げますならば、独立を回復して以来今日までの日本は、日本国というこの独立した存在を守るために、憲法のもとで日米安全保障体制というものを堅持し、みずからの適切な防衛力の整備と相まって今日までを築いてまいりました。そして、その間にさまざまな変化はありましたけれども、この基本線は全く変わりません。そして、日米安全保障条約というものが持つ意義はより大きなものに今日変化をいたしておると私は思います。  なぜなら、独立直後の日本と強大な世界の覇者としてのアメリカ、その間に結ばれた日米安全保障条約というものは、我々にとってこそ極めて大きな存在でありましても、そこから生み出される信頼関係は必ずしもアメリカにとって大きなものではなかったかもしれないと思います。しかし、今日私は世界の中におきましての日米関係が安定しているということ、その持つ意義というものがどれほど大きなものであるかを一昨年の自動車協議の緊張し切った状態の中で改めて各国から教えられた思いがいたしました。  あのとき日本側の主張にぜひ協力をと呼びかけた国々から、日本側の主張を理解しそういう方向で解決されることを望む、しかしこの自動車問題をもって日米関係の亀裂を大きくしないようにしてくれ、これが実はヨーロッパもアジアも、どこからも私が言われたことでありました。いつの間にか、日米安全保障条約というものを基盤にした日米関係というものは、世界の中でもそれだけのウエートを持つ外交関係に成長していると改めて痛感をした次第であります。  そして、昨年、日米首脳会談における共同宣言並びにより効果的な日米防衛協力関係を構築するための日米防衛協力の指針、この二つについて言及をし、その姿勢というものを私どもは再確認いたしました。そして、現在、日米両国間における防衛協力というものを基礎としながら、新しい時代におけるより効果的な協力関係というものを結ぶべく指針の見直し作業を行っているわけであります。  当然その中で、我々は従来はタブーとされていたような分野にも検討のメスを入れなければなりません。しかし、当然ながら我々は憲法のもとにおいて日本のできる限界までを模索するわけであります。同時に、むしろそうした作業が現実に生きることがないようにする。それは、このアジア太平洋地域において平和と安定を確保するための努力並びに安全保障を軍事の面だけではなく構築するための努力、すなわちARF等の努力を多国間においても二国間においても積み重ねていくことだと思います。  今日、議員の御指摘からは多少ずれますが、私はこのアジア太平洋地域、ひいては世界全体にとって、日米関係というものをより深化し堅持することとともに、日中の関係というものを同じように強固なものにしていく努力が求められていると思います。あわせて、米中の関係というものが今よりもより改善するように、我々としてもそうした方向に努力を傾けていく役割があると思います。  いずれにいたしましても、今日米安全保障条約というものを基礎とした日米関係の安定が、我が国に非常に大きな安定をもたらしているだけではなく、アジア太平洋地域の安定にもこれが資しているということ、並びに日米関係の安定というのはアジア太平洋地域だけではなく本当にすべてのところから求められている関係であり、これを堅持していくためには我々もまた条約上の責任を果たしていく、それだけの決意を持たなければならない、そのように考えております。
  223. 依田智治

    ○依田智治君 ありがとうございました。  終わります。
  224. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 以上で依田智治君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  225. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 次に、管川健二君の質疑を行います。菅川健二君。
  226. 菅川健二

    ○菅川健二君 平成会の菅川健二でございます。  大変お疲れの時間帯でございますが、気分を楽にされまして、また目をばっちりあけてひとつお聞きいただきたいと思います。  私は、平成九年度の予算案と行政改革を中心にして御質問申し上げたいと思います。  まず平成九年度の予算案についてでございますが、私は昨年十二月の当委員会におきまして、来年度の予算編成に当たって、財政構造改革元年の予算と称しておるけれども、国民に負担増を求める前に歳出を徹底的に見直し、歳出削減による構造改革を優先すべきではないかと質問いたしました。  その際、総理大蔵大臣とも「歳出全般にわたり聖域を設けることなく、徹底した洗い直しを行い、財政構造改革元年にふさわしい姿をとる」と御答弁をいただいたわけでございます。私は、その言葉をまともに受けまして期待いたしておったわけでございますが、でき上がった予算案は、歳出には全くと言っていいほど手をっけず、旧態依然たるばらまき予算であったわけでございます。大変がっかりいたしたわけでございます。  総理大蔵大臣、予算案は現在でも財政構造改革元年にふさわしい姿になっておると思われるかどうか。公式的な見解は何遍もお聞きいたしておりますので、もう少し時間があったらこういうことができたんではないかなというような本音の心境等もお聞かせいただきたいと思います。
  227. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 別に私、今までの答弁でうそを申しておったつもりはございません。そして今、議員と交わしましたその問答を見ております。  歳出削減の努力についてお尋ねがございましたが、平成九年度予算の編成に当たりまして、一般歳出の伸びについて八年度の伸びを相当程度下回るように圧縮すると同時に、その中で限られた財政資金というものの重点的、効率的配分に努めるよう大蔵大臣指示をしているところでございます。   そうした観点からまいりますとき、社会保障につきまして特に医療保険制度改革の問題も実現に努力しなければなりませんし、防衛関係費あるいはODAなどを含めた歳出全般にわたって聖域を設けることなく徹底した洗い直しを確かに私はそのように申し上げました。  そして、まさに平成九年度予算というものは医療保険制度改革を初めとする各般の制度改革の実現に努力をしておるものであり、一般歳出の伸び率が一・五%であること、そして四兆三千億の公債減額を実現していること、国債費を除く歳出を租税収入で賄える範囲内にとどめてきていること、当然ながらそれにはそれぞれの歳出項目を要求段階から相当削り込んでいることは申し上げるまでもないわけであります。  私はできるだけの努力をしてきたと思っておりますが、それで終わりではないということも申し続けているわけでありまして、次に我々が踏むべきものは、第一歩を踏み出したこの次、次年度の予算編成に向けて、本年の八月末に締め切る概算要求について、その要求のルールから見直していく作業が今求められている、先般来私が申し上げてきたことはこれに尽きると思います。
  228. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 総理が言われたことで尽きますが、一点申し上げたいことは、危機的な財政状況にありますことは御案内のとおり、幾何級数的にこれが伸びていきまして、二〇二〇年には大変な事態になります。同時に、そこへ行かぬでも、二〇〇五年になりますと、累増する赤字公債、そして建設国債といえども借金でございますから、プラスをしてまいりますと驚異的なものになります。地方財政またしかりであります。  こういうことでまいりますと、赤字体質は御案内のとおり悪性インフレを生みます。国民の生活を塗炭の際まで追い込むということは今まで幾たびか経験をしたところでございます。気がついた政権は、これに蛮勇を振るってもやり抜かなければならぬというのが政治の使命ではないでしょうか。こういうことで三兆円は最低限頑張れと、これは削減という意味であります。  なぜそういう言葉になったかと対談の中で感じましたのですが、概算要求として既に歳出要求が出ております。税制は政府税調の中で進行をいたしております。それにさおを差してストップをかけるという意味でまず三兆円行ってみろと、こういうことであります。やってみて行けるところまで行きまして、最終的にはもっと行けないかと、こういうことで四兆三千まで参りました。これをアウトにするということは、赤字公債でありますから、歳出全般について切り込んでいかなければなりません。  総理が言われましたとおり、対前年度比一・五、消費税二%をスタートすることによって国が払うべき消費税の税額、ちょうど四千億円ということになります。一般歳出は四十三兆でありますから、一・五のほぼ一が消えるわけであります。〇・六と言われる伸び率は十年ぶりの圧縮した政府予算案であったということだけは御理解いただけると思っております。  現代に生きる我々が現代の我々の生活の安定と向上のためにすべてを含めてと今言っておるつもりでありますが、そういう中で、後世に借金を残す形でまたぞろそこに行くのかということになりますと世代間ギャップは深刻になります。こういうことでありまして、ここまで来させていただきました。  十年度の予算編成はさらに二年度として深化をさせまして、確実に健全財政、その次は日本経済は安定的な持続成長を続けるわけでございますから、まさに辛抱すれば辛抱したかいが二十一世紀を待たずして私は実現するものかなと思っております。
  229. 菅川健二

    ○菅川健二君 いずれにしましても、平成九年度予算案は財政構造改革元年とはほど遠く、国民は歯どめなき国民負担増予算の元年になるのではないかと不安を覚えておるわけでございます。初めに国民負担増ありきではなく、初めに歳出削減ありきという方針でぜひ財政構造改革を進めていただきたいと思います。  次に、今後の我が国の最大の課題でございます行政改革について、まず外堀の特殊法人の改革についていろいろ御質問を申し上げ、次に本丸の中央省庁の再編についてできれば迫ってまいりたいと思います。  そこで、官房長官は余り時間がないようでございますので、ちょっと順序を逆にいたしまして、まず、世上大変批判が強い特殊法人の役員の報酬、退職金等々の問題について伺いたいと思います。とりわけ官房長官にまずお聞きしたいことがございますので、それを先に申し上げたいと思います。  先ほど渡り鳥の話がございましたけれども、私は人間の渡り鳥の話を少しさせていただきたいと思います。特殊法人や各省庁の関係会社や公益法人の間を渡り歩く、いわゆる渡り鳥と称しておりますけれども、高級官僚でも多数おるわけでございます。  特殊法人の役員の選考につきましては、昭和五十二年十二月に閣議決定が行われておりまして、その中に「特殊法人相互間のたらい回し的異動は、原則として行わないこと。」と規定されておるわけでございます。その他いろいろ規定がございますけれども、この特殊法人の役員の選考に関する規定の閣議決定の内容は官房長官は多分御存じだと思うわけでございますが、この点につきまして、特殊法人の御三家の筆頭でございます運輸大臣、御存じでございましたか。
  230. 古賀誠

    国務大臣(古賀誠君) 御三家の代表かどうかわかりませんが、私を御指名でございますので、閣議決定のことでございますので正確に申し上げさせていただきたいと思います。  特殊法人の役員の選考基準については、昭和五十二年十二月の閣議決定で「特殊法人相互間のたらい回し的異動は、原則として行わないこと。」とされております。また、昭和五十四年十二月の閣議了解におきましては、「特殊法人相互間のたらい回し的異動に関する例外については、真に止むを得ないものに限ることとし、この場合においても、一回限りとする。」ということを承知いたしております。
  231. 菅川健二

    ○菅川健二君 特殊法人の役員の選考に関する規定の閣議決定の内容につきまして、官房長官、現在もたくさん、八十八もあるわけでございますが、こういった原則が守られておるというふうに判断しておられますか、いかがでございましょう。
  232. 梶山静六

    国務大臣梶山静六君) 委員から御質問で、多分官房長官は全部を知っておるだろう、それ以外の閣僚は若干注意が散漫でわからないのではないか、よってその御三家の運輸大臣に聞けばわかるということで、運輸大臣が私以上に詳しく知っておりますから、各省庁、各大臣は全部知っているものと理解をいたしております。ですから、この閣議了解事項については現在も遵守をされておる、原則論は。  ただし、幾つかの例外というか除外規定というか、そういうものがあって、例外規定があることも事実でありますが、それぞれ一つ一つの分野についてはまさに各省縦割りのこともあり、それから各省庁が関連をするというか、そういう特殊法人については各大臣、あるいは一番多い、運輸省が一番多いとは思わぬ、多分後で御返答があろうかと思いますが、数えてもおりますし、現実どれとどれがどうなっているか、これも新聞の指摘をまつまでもなく承知はいたしておりますが、現状はそのとおりであります。
  233. 菅川健二

    ○菅川健二君 官房長官もいろいろ新聞等々も見て御勉強いただいておるようでございますけれども、いずれにいたしましても原則でございますから例外があるということで、必ずしも完全にクロというわけには判定ができないものもあろうかと思いますが、グレーゾーンもたくさんあるわけでございます。それがいろいろ批判の種になっておるわけでございます。  したがいまして、この件につきましては早急にひとつ各省実態調査をしていただきまして、その結果を当委員会報告していただきたいと思いますが、官房長官、再度いかがでございましょうか。
  234. 梶山静六

    国務大臣梶山静六君) 実態を調査し資料にいたしたいと思いますが、提出は委員長の許可があればお出しをいたすにやぶさかではありません。
  235. 菅川健二

    ○菅川健二君 委員長、ひとつぜひ報告を求めていただきたいと思います。
  236. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 内閣官房の方で積極的でございますから、提出をするように努力いたします。
  237. 菅川健二

    ○菅川健二君 そこで、五十二年の通達というのは、その後いろいろ情勢が変化いたしておるわけでございます。特殊法人そのものにつきましてはかなり厳しい設置の抑制があるわけでございますが、それに類似した各省庁と密接に関連した公益法人とか、いろいろな補助金、出資金等を出しておる会社が多数設立されておるわけでございまして、情勢もかなり変化いたしておるわけでございます。  それらを踏まえまして、もちろん実態調査の検討結果も見てでございますけれども、再度検討されてはいかがかと思いますが、これまた官房長官、いかがでございましょうか。
  238. 梶山静六

    国務大臣梶山静六君) 現在、総務庁あるいは与党を中心にして特殊法人その他の見直し、洗い直しをいたしているわけでありますが、当然そのことについての新しい判断基準、これはいずれつくらなければならないと思います。
  239. 菅川健二

    ○菅川健二君 ぜひ洗い直して、今日的な観点から新たな整備をしてもらいたいと思うわけでございます。  それでは、官房長官、もしお時間でございましたらどうぞ。次に、特殊法人の役員の報酬についてでございます。  これはたしかABCDランク、それぞれ特殊法人ごとにランクづけがあると思うわけでございますが、大蔵大臣、いかがですか。
  240. 小村武

    政府委員(小村武君) 特殊法人の役職員の給与については、それぞれ各特殊法人において給与準則というものを持っております。それによって定められるわけでございますが、その際に特殊法人によりましては主務大臣の認可を必要とするものがございます。さらにその認可について大蔵大臣と協議をするというものでございまして、私ども大蔵省として協議を受けるものは八十八特殊法人のうち六十三法人でございます。  したがいまして、特殊法人の給与について私ども大蔵省がすべて協議を受けているわけではございませんが、協議を受けた場合の私どもの考え方は、法人の業務内容、事業規模等を総合的に勘案して給与決定を行うというふうにしております。
  241. 菅川健二

    ○菅川健二君 それにつきまして一定の表にした一つの標準的なスタイルを決めておられると思いますが、いかがでございますか。
  242. 小村武

    政府委員(小村武君) ランクづけというわけではございませんが、その事務の内容、事業規模等々に応じまして、協議を受けた場合にその判断基準として分類をしたものというのはございます。あくまでもこれは私どもが協議を受けた場合の話でございまして、特殊法人でも、例えばNHKだとかそれぞれ協議対象になっていないものがございます。そういった場合に準用されるものではございません。
  243. 菅川健二

    ○菅川健二君 事前に私もいろいろ大蔵省を初めお聞きしたわけでございますけれども、基準らしきものはないということで、私の方の数少ない、事務所の秘書が三人しかおらないわけでございますけれども、事務所の職員に分析させますと、いわゆる超ビッグな日銀等を別にしまして、ABCD、大体四ランクぐらいに分かれておりまして、Aランクが月額百五十二万円で大体年収三千万、それからDランクが百四万円でございまして大体二千万というようなランクづけになっておるんではないかと思っておるわけでございます。  ところで、中央省庁から特殊法人の役員に天下る場合、退職時の年収を下回らないシステムができておると言われておりますが、大蔵省の場合いかがですか。
  244. 涌井洋治

    政府委員(涌井洋治君) 特殊法人の役員は、それぞれの法人に課せられた公共的役割を適正に遂行するため、法人の目的に適応した人材を適材適所の原則に沿って選任されているものと承知しております。したがいまして、退職時の年収を下回らないシステムといったものがあるわけではもちろんございませんし、そういう観点から選任されていることはありません。
  245. 菅川健二

    ○菅川健二君 多分あるんではないかと巷間伝えられておるわけでございますけれども、私も確証がございませんので、これはそういうことだと判断いたします。現に特殊法人の総裁や理事長の報酬が役人の最高ポストである事務次官より高額になっておる法人が、これは東京新聞の調べによるわけでございますが、五十法人に及びまして、そのうち年収が三千万円を超す高額所得者が二十九人に上っておると報道されておるわけでございます。  民間では、御案内のように親会社から子会社に行く場合は給与がダウンするのが通例でございます。私も県で総務部長をやっておりましたけれども、かなり幹部職員をいわゆる外郭団体、県でも住宅供給公社とか道路公社があるわけでございますが、そういうところにあっせんをしておったわけでございます。これは最高額そのものが退職時の給料から年金等を差し引いた額でございまして、数千万になる額というのは全然ないわけでございます。いずれも数百万というようなことでございます。  このように、世間の常識から考えますと、役人のOBが就任する場合、報酬額の最高は、これはもちろん日銀等の例外はあろうかと思いますが、現職の事務次官の給与を上回らないようにすべきであろうかと思うわけでございますが、大蔵大臣、いかがでございますか。
  246. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 上回るか上回らないかというのもデリケートな問題だと思うんです。  基本的に、その団体、法人に人材として就職をする、こういうことが一つあります。それと、給与は、仮に事務次官経験者として民間に入りますと、特殊法人に入るよりはそちらの方がウエートが高いというケースも聞いております。そういうことを相互に勘案してまいりますと、ずば抜けて常識を超える、先般質問がありましたが、総理大臣より多いというのはどういうことだと。それはわかりいい表現なんですね。そういうことなどで、常識というのは極めて大事なことでございますから、それに見合う額であれば、責任を持ったポジションを全力をもって尽くすということであるとすれば、それに対応する給与が決定をされていくということではないでしょうか。  私自身はそういう観点からいうとそれなりのものと。民間にはもっと高いところがびっくりするくらいたくさんあるわけですね、昨今はリストラで若干変わってきましたが。そういう意味で常識の範囲内なのかなとは思います。
  247. 菅川健二

    ○菅川健二君 確かに一律に論じられないわけでございます。と申しますのは、事務次官を経験され、あるいはほかのポストでも経験して、個人の能力に応じて民間からスカウトされる立派な方もたぐさんおられるわけでございます。そういった場合は別に給料下げろとかということは必要ないかと思います。  しかしながら、役所のあっせんによって、しかも特殊法人といいますか、役所の補助金なり出資金なりを出すことによって何とか成り立っておる法人の給与は、やはり役所の現職の職員とそれなりのバランスをとってやるべきではないかと思うわけでございます。いかがでございますか。
  248. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 武藤総務庁長官が公務員制度という観点の中でお話をされておりましたし、それとまた議員質疑の中にも定年制との関連で論じられた、つい最近のことがございました。五十五歳ないし多くても五十六歳を機にやめてそちらに出ていくということも関連としてあるのではないか。定年が六十であるなら六十歳まで行けるような制度で進むべきではないのかというのも  一つの論拠として正しいと思います。  しかし、現実の問題の論議になっておりますから、行政改革、財政構造改革という観点からいきますと、常識は常識ですけれども、それだけ重要な職ではありますけれども、それにこたえ、国民の期待にこたえ頑張るという二重の十字架を背負うようなことになりますが、減額も必要なことなのかなとは思います。
  249. 菅川健二

    ○菅川健二君 世間の納得のいくような見直しをぜひお願いいたしたいと思います。  それから、役員の退職金につきましてもほとんどの法人が同一の基準で高額が支給されておるわけでございますが、この点につきましてもいろいろ批判があるわけでございます。国土庁長官は、先般の閣議後の記者会見におきまして幾つか具体例を引かれまして大変いいコメントをしておられるわけでございますが、この委員会でもちょっと御披露いただきたいと思います。
  250. 伊藤公介

    国務大臣(伊藤公介君) 一つ一つの特殊法人の個別のことについて申し上げることはきょうは差し控えさせていただきたいと思いますが、私自身もかねてからこの特殊法人の退職金等々の問題については大変関心を持ってまいりました。したがって、私自身もそれぞれ特に特徴的なところを個別に調査させていただいたことでもございます。  感想を申し上げれば、やはり今この第二次橋本内閣は、スリムな政府を目指して徹底した行財政改革を図る、そして二十一世紀の新しい日本の時代を開く、こういう決意でやっているわけでありますから、特殊法人の退職金については私は見直す必要があると思っております。特に、これはよく天下りと言われているわけですけれども、天下りというのは下がるから言うわけでして、上がっていくというのは若干おかしいのではないかと私は率直に思っております。
  251. 菅川健二

    ○菅川健二君 全く同感でございまして、大蔵大臣、退職金についてもいかが御見解をお持ちですか。
  252. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 退職金は、これも常識というのがおのずから生まれてくるんだと思うんです。こういう困難な時期でございますから、こちらから押しつけるのではなく、そういうことであるならば政府高官を経験した各位がみずからやはりその辺のところも決心をするということでしょうか。橋本内閣は一〇%給与をお返しするということがあります。その辺も一つのめどでしょうかね。
  253. 菅川健二

    ○菅川健二君 具体的な提案があったわけでございますが、その辺はよく検討して、ひとつぜひ前向きに善処してもらいたいと思います。  ただいま特殊法人の改革につきまして、まず第一歩として、役員の報酬、退職金、渡り鳥等につきましていろいろ御答弁いただいたわけでございます。これらの点につきまして全般的に見直して国民の納得のいくような姿に改めるべきではないかと思うわけでございますが、ひとつ総理、総括的に何か御感想ございましたらおっしゃっていただきたいと思います。
  254. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、特殊法人を不断に見直していくことは必要であるということは当然だと思っておりますし、昨年の十二月に閣議決定をいたしました行政改革プログラムに従って現在特殊法人の整理合理化に向けての努力をいたしているさなかであります。  その上で、議員が今提起をされました問題にそれぞれ閣僚から御答弁を申し上げておるのを聞いておりまして、一つ私の脳裏をかすめることがございます。と申しますのは、今非常に軽妙なやりとりで、天下りか天上がりかというお話がございました。しかし、現在のそれぞれの特殊法人の役員の給与あるいは退職規程等を、公務員が退職後引き続いてその場所に移るという前提で考える場合と、むしろ特殊法人というもののディスクロージャーを進める中で民間からも人材を受け入れるという判断を下したときと、私はこの給与水準を見る目は大きく違うであろうと思います。  民間の社長さん方の給与は、大手のところを考えてみますと多分相当高額なものではないでしょうか。そして、なぜこういうことを申し上げるかと申しますと、私は実はJRの分割・民営の際、何とかして各社の社長さんに民間の方を迎え入れたいと思って、まさに三塚さんとそのときもコンビだったんですけれども、一生懸命に民間からお人をいただこうと努力をした時期がございます。そして、結果的に実は社長については、これが欲しい、この方をと思う方が一人もいただけませんでした。会長職だけは民間から何とかいただきましたが、そのかわり兼務を了承した上でありました。そして、若手の役員クラスにこれも民間からお願いをし人材を派遣していただきましたが、数年後にはほとんどが実は出身母体に帰られてしまいました。その中の一つの理由が処遇面にあったことは事実でございます。  ですから、特殊法人の役職員、官との交流あるいは官の延長線上で人材を得ると限定した場合、議員が今御指摘になりましたような問題点は当然我々は意識していくべきだと思います。同時に、天下りか天上がりか知りませんけれども、官僚の生活の延長線上としてこれをとらえるのではなくて、必要だと思われる組織について外部から人材を招聴するとなりましたとき、その処遇の水準が是か非かということは別途の議論が必要になるのではなかろうか、今そんな感じを持ちました。  しかし、いずれにいたしましても、現在我々自身が特殊法人の整理合理化を進めているさなかでありまして、私どももそのような問題意識は持ちながらこの仕事に当たりたいと思います。
  255. 菅川健二

    ○菅川健二君 この問題につきまして今前向きに取り組むということでございますので、ぜひ特殊法人の改革の一環として取り上げていただきたいと思うわけでございます。  そこで、特殊法人の統廃合につきまして若干御質問申し上げたいと思うわけでございます。  若干さかのぼりますけれども、さきの村山内閣におきましても行政改革というのが内閣最大の政策課題と位置づけられまして、平成七年の二月ないし三月の閣議において、当時九十二あった特殊法人のうち十六法人を八法人に統合し、五法人の廃止、民営化が決定されたわけでございます。その後の統廃合の状況につきまして御説明いただきたいと思います。
  256. 陶山晧

    政府委員(陶山晧君) ただいま先生から御指摘のございましたように、平成七年に決定いたしました特殊法人の整理合理化方針は、十六法人の八法人への統合、五法人の廃止、民営化、またすべての特殊法人につきまして合計八十項目にわたる事業の合理化、効率化の実施を内容としたものでございます。法人数の減だけで申し上げれば、十一法人の減というのがすべて具体化した時点での姿という内容になっております。  この整理合理化方針に基づきまして、昨年の第百三十六回国会におきましては、統合三件、廃止、民営化等三件、計六法律を政府として御提案をし成立をさせていただいております。四件につきましては既に施行済みとなっておりますが、塩専売事業の民営化等二件につきましては本年四月一日施行となっております。  なお、今国会におきましても、統合三法案など関係の法案を御提出申し上げているところでございます。
  257. 菅川健二

    ○菅川健二君 そのうち、既に統合した法人について若干個別にお聞きいたしたいと思います。  農畜産業振興事業団につきまして、どのような統合の効果があったのか、役員数、職員数の増減状況を含めましてお答えいただきたいと思います。
  258. 中須勇雄

    政府委員(中須勇雄君) 農畜産業振興事業団につきましては農産物の価格安定等の業務を行っておりますが、ガット・ウルグアイ・ラウンド農業合意の受け入れによる影響を最小限に食いとめ、農業経営の安定を図っていく上で重要な役割を果たしております。  このため、統合に当たりましては、従来の業務は基本的に引き継ぐと同時に、組織等につきましては、行政改革の要請に応じまして、役員数については約四分の一強の削減、職員につきましては数年をかけまして約一割の削減を図る、また管理部門については一本化を図る、地方事務所の整理等、所要の合理化を行ったところでございます。また、昨年末に閣議決定されました行政改革プログラムに従い、この事業団の蚕糸部門につきましては、平成十年四月を目途に国産糸の売買操作業務を廃止するとともに、平成九年度から十一年度の間にさらに大幅な合理化を図ることとし、そのための法律案を今国会に提出しているところでございます。
  259. 菅川健二

    ○菅川健二君 科学技術振興事業団はいかがですか。
  260. 青江茂

    政府委員(青江茂君) 科学技術振興事業団の統合の状況につきまして御説明を申し上げます。  この法人は科学技術情報センターと新技術事業団という二法人の統合によりまして成立したものでございますけれども、この統合に当たりましては、役員の削減でございますとか管理部門を中心にしましての組織、定員の合理化、既存業務の見直し等によりまして所要の合理化を図ったところでございます。  具体的に申し上げますと、役員につきましては法定定数を十五から十一に、常勤の役員数につきましては十から七に、それぞれ削減をいたしてございます。また、職員の合理化という面につきましては、実は統合前後、これは両方合わせまして四百十人の法人でございますけれども、前後におきまして同数なのでございますけれども、管理部門を中心にいたしまして二十五名の具体的な削減を図りまして、基礎研究の推進等新たに必要とされます業務に充てた次第でございます。  以上でございます。
  261. 菅川健二

    ○菅川健二君 新エネルギー・産業技術総合開発機構はいかがですか。
  262. 江崎格

    政府委員(江崎格君) 新エネルギー・産業技術総合開発機構と石炭鉱害事業団の二つの統合問題でございますけれども、従来別々の業務の処理体制にございました石炭鉱害事業団の鉱害復旧業務とNEDOの保有鉱区にかかわる鉱害処理業務の一元化を図るということにしたわけでございます。目的が二つございまして、一つ平成十三年度末までに石炭の鉱害復旧事業を終結させるということで体制を強化するということと、もう一つが、当然のことですが、行政の減量化を図るということでございました。  それで、その二つの目的をにらみながら最大限の合理化努力を行ったわけでございますが、具体的には役員の数を、従来両方の法人を足して十八名でございましたが、四名削減いたしまして十四名にいたしました。それから、職員の数でございますけれども、両法人の鉱害処理関連部門二部一課を削減いたしまして、職員の定員も七名を削減いたしました。それからまた、鉱害処理部門だけではなくて全体でも合理化を図りまして、統合後のNEDOの定員数は十一名削減したということでございます。
  263. 菅川健二

    ○菅川健二君 三法人の統合を既に行ったわけでございますけれども、特殊法人に対する平成九年度の補助金、補給金、出資金の額は平成八年度に比べましてどのようになっておりますか、大蔵省の方にお願いいたしたいと思います。
  264. 小村武

    政府委員(小村武君) 特殊法人に対する九年度の一般会計からの補助金でございますが、二兆五百二十四億円でございまして、対前年度百六十三億円の増、〇・八%の増でございます。出資金は八千四百七十四億円で、対前年度四百七十二億円の増、五・九%の増でございます。
  265. 菅川健二

    ○菅川健二君 そのうち、八年度に統合した今の三法人の予算額は九年度、八年度でどう増減になっていますか。
  266. 小村武

    政府委員(小村武君) 九年度におきます特殊法人の補助金、出資金のうち、今お尋ねのものでございますが、八年度中に統合された特殊法人につきましては、農畜産業振興事業団は補助金が千六百十三億円、対前年度四十二億円の増でございます。出資金はございません。  それから、新エネルギー・産業技術総合開発機構に対する補助金でございますが、これは五十四億円でございまして、対前年度五億円の減、出資金が八十二億円、対前年度二十一億円の増でございます。  それから、科学技術振興事業団に対する補助金等でございますが、百十九億円、対前年度二十五億円の増、出資金が四百二十二億円、対前年度百二十五億円の増となっております。
  267. 菅川健二

    ○菅川健二君 ただいまそれぞれお聞きしたわけでございますが、特殊法人の統合のこれまでの状況を見てみますと、役員が一部減っただけで職員数はほとんど減少していない。それから、業務内容などの中身はほとんど変わらなくて、新たな業務をつけ加えるなど、いわゆる焼け太りの法人もあるわけでございまして、また予算額もふえておるわけでございます。いわば単なる数合わせの見せかけの統合に終わっただけで、行政改革の効果が全然なかったんではないかと思うわけでございます。まさに大山鳴動してネズミ一匹というような感がいたしておるわけでございます。そこで、これからの特殊法人の改革でございますが、ぜひひとつ本腰を入れて行政改革の効果を上げていただきたいと思うわけでございます。  ただ、特殊法人、これまでいろいろな役割を果たしてきた特殊法人もあるわけでございまして、利害関係者も多く、反対も多いかと思うわけでございますが、やはりその中でいろいろな生き残り術というのが出てくると思うわけでございます。  行革委員会の鈴木良男さんが大変いいことを言っておられるわけでございますが、生き残り術が三つあると。術の第一は目的の追加、変更で、新設が認められなくなってから目的の追加が大変多くなったと。それから、第二は箱物をつくる、箱物をつくれば維持管理が要るのでどうしてもずっと存続する必要があるんだと。それから、第三は廃止と言われたときの取っておきの方法として合併するやり方ですと、統合するやり方ですね、その統合は評価できませんという断定を下しておるわけでございます。  それから、慶応大学の名誉教授の加藤寛先生も統合というのは何も変わらないということの同義語でさえあるということを言われておるわけでございます。  したがいまして、これから、総理総務庁長官、各省の大臣が、ひとつ生き残り術に惑わされず、時代の役割を果たしたものは完全に廃止し、採算性のあるものは民営化するなど、全法人を業務に応じて分析し、ゼロベースで洗い直し、整理していただきたいと思います。  特殊法人の改革の方向、今後の取り組みにつきまして、総理に何遍も御答弁いただいておるわけでございますが、総理総務庁長官にひとつ御見解を賜りたいと思います。
  268. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 議員から村山内閣の時代に行った特殊法人改革が見せかけの数合わせだという御発言がございました。私は、村山さんの名誉のためにも、大変失礼でありますけれども、大平内閣の当時、昭和五十四年末に策定いたしました十法人を減じて以来の大きな改革であったということは事実として申し上げておきたいと思います。  その上で、その間のほかの内閣が何をしていたという御議論がありますなら、それはまた別途の議論であります。しかし、十一法人の減をいたしました。その内容というものは事実問題として大平内閣の十法人を上回るものである、これは事実の問題であります。  そして、議員が今説明をお聞きになりましたように、数の減だけではなく、全法人についてそれぞれの事業の合理化、効率化方針を定めていることも御承知のとおりであります。そして、繰り返し申し上げておりますが、特殊法人を見直していく努力というのは不断のものでありまして、今自由民主党としても大変な勢いで作業を進めていただいておりますが、政府自身、昨年十二月に閣議決定をいたしました行政改革プログラムに従って法人の整理合理化を着実に進行させていっております。武藤長官のもとにおいて、行政監察におきましても法人の事業の見直し、経理の合理化等にも重点を置いて取り組んでおります。  十一日に閣議におきまして特殊法人のディスクロージャーについての法案を閣議決定いたし、恐らく近く国会で御審議をいただくでありましょうが、このディスクロージャーを通じまして、一層特殊法人の実態というものをよく見ていただき、廃止すべきもの、存続すべきもの、さまざまな角度からの御検討をいただきたいと考えております。
  269. 武藤嘉文

    国務大臣(武藤嘉文君) 村山内閣のときの特殊法人の統合あるいは廃止についてのお話は総理からございました。  そこで、私から申し上げさせていただきますと、先ほど来いろいろ御議論がございましたけれども、私は特殊法人への天下りというのは決してよくないんじゃないかと。ただこの問題は、また公務員の定年制との問題、あるいは定年制に絡んで事務次官が今現在でも六十歳の定年前にやめていくというような問題、いろいろございます。この予算を成立させていただきますと、たまたま四月から公務員制度調査会を私ども発足させていただく予定になっております。その中でこういう天下りの問題についても議論をひとつさせていただいて、何とかいい方向を見出していきたいと思っております。  それからいま一つは、これまた総理からお話がございましたが、今回の私どもの法案で一つ、特殊法人の財務諸表その他のディスクロージャーの法律がございます。この中では、今いろいろ御指摘がございましたが、損益計算書あるいは貸借対照表その他でできるだけ役員の報酬などについても国民からわかりやすいような形をとっていきたい、それから特殊法人のみならず、その子会社といいますか公益法人に該当する子会社についてもできるだけその辺までディスクローズするようにしていきたい、こう考えております。  それから、今後の問題でございますけれども、今これも総理から御指摘がございましたが、与党でいろいろとすべての特殊法人について、目的を達したものはもうやめたらいいんじゃないかとか三つばかりの基準を設けて将殊法人の整理に取り組んでいただいております。私どもの方もそれと呼応いたしまして、来年度の行政監察のテーマの中に特殊法人について、必要なのかどうかということも含めて行政監察をさせていただきたいと思っております。  そういう形の中で従来以上に、この間十一あったということでございますが、私どもとしては十一どころかもっと思い切ってひとつ特殊法人の整理統合を進められる方向が見出せればと、こういうふうに考えております。
  270. 菅川健二

    ○菅川健二君 精力的に進めてもらいたいと思うわけでございますが、全般的な今後の見通しとしてはいかがでございますか、総務庁長官
  271. 武藤嘉文

    国務大臣(武藤嘉文君) 今与党の方が中心となって進めていただいている作業では、三月中にある程度の方向、それからまた五月か六月ごろに第二弾というような形で進めていただいているようでございます。  私どもは、四月からの行政監察の中でやってまいりますので、多少その辺はずれがございますが、最終的には本年の秋以降、ちょうど中央省庁の統廃合がございますので、その辺と合わせながらどういう形で特殊法人を整理していくか、その辺では結論を出していかなきゃならぬと思っております。
  272. 菅川健二

    ○菅川健二君 それでは、個別の特殊法人につきまして若干御質問させていただきたいと思います。  まず、特殊法人につきまして先鞭をつけられました建設大臣にお聞きいたしたいと思います。  住都公団の問題につきましては、分譲住宅の建設からの撤退等はおおむね方針を出していただいたのではないかと思っておるわけでございます。  もう一つ、やはり私が気になりますのは道路公団でございます。御案内のとおり、日本の高速道路というのは欧米諸国に比べまして割高になっておるわけでございます。欧米では無料か、有料であるフランス、イタリアの三倍になっておるわけでございます。現在六千キロメートルが供用開始されておるわけでございますが、まだまだ予定路線の五割を超した段階だと聞いておるわけでございます。  今後の整備区間を見ますと、料金収入が余り期待できない区間をどんどん整備される。これもそれなりの役割があろうかと思いますが、しかしこのままのシステムでいきますと、結局は東名とか名阪とかそれなりに非常に採算に合っておるところがどんどん新しい路線に財源をつぎ込まなくちゃいかぬ、つぎ込んでもなお足りない、大変な割高の料金になってくるわけでございまして、将来的に第二の国鉄になるんじゃないかという心配すらされるわけでございます。  したがいまして、現段階で思い切った組織の改革とかあるいは料金の設定ということが要るのではないかと思うわけでございます。ひとつ亀井建設大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
  273. 亀井静香

    国務大臣(亀井静香君) 委員指摘のように、高速道路網の今の整備状況はまだ五割程度と私どもは考えておるわけでございますので、財政再建を行うための経済の活性化にはそうした交通インフラが絶対に必要だと、こういう認識に立って整備を今後進めてまいります。  今の道路公団の財務内容を概略申し上げますと、大体二十四兆円の資産があるとお考えいただいて結構でございます。それに対しまして約十七兆の負債、未償還のものがあると考えていただいて結構でございますが、今毎年一兆九千億の収入があるわけでございまして、それから三千億の管理費を除きました約一兆六千億を現在元利支払いに充てておるわけでございますので、一応現時点においては国鉄がにつちもさっちもいかなくなったという状況とは違うわけでございます。  ただ、委員が御指摘のように、今から採算性がなかなか合わないようなところについてまで建設を進めていくわけでもございますので、今のままの日本道路公団のあり方ではいけないということで、今、建設省の三十代の課長補佐を中心にプロジェクトチームをつくりまして、全くフリーの立場で案を鋭意検討させております。  簡単に申し上げますと、私鉄の場合も運賃収入だけに頼っておるわけじゃございませんで、付加価値をつけておるわけでございますが、現在もサービスエリアその他で付加価値をつけてはおりますけれども、残念ながら私の判断ではその付加価値が世間から道路一家でこれが食われておると批判をされても仕方のない状況が現にあることは事実でございます。  もっと思い切った付加価値をつけて、それを道路財源につき込んでいって、そして道路の通行料を少しでも下げていくような、それにはどうした組織のあり方がいいのか、権限のあり方がいいのか。これは道路施設協会を含めて、関連の組織の改革を含めて、また契約方法その他も含めて、現在抜本的にそういうことで改革に取り組んでおりますことを申し上げたいと思います。
  274. 菅川健二

    ○菅川健二君 ひとつ分割・民営化も含めて抜本的な対策を講じていただきたいと思います。  時間がなくなりましたので、最後に中央省庁の再編についてお伺いいたしたいと思います。  これからの中央政府につきまして再編を徹底的に進めなければならないということは全く同意見でございます。ただ、これまでの特殊法人の統合の状況を見てみますと、この十一月までに成案が出される予定の中央省庁の再編も単なる数合わせに終わるのではないか、看板屋や印刷屋がもうかるだけに終わるのではないか、これは大変失礼な言い方で恐縮でございますが、そういった批評さえあるわけでございます。  省庁の再編のねらい、目的というものをきちっと定めて再編していただく必要があろうかと思いますが、総理、ひとつ御答弁いただきたいと思います。
  275. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 議員の御期待にたがって、中身のある中央省庁の再編を世に問いたいと私は思います。  なぜなら、繰り返し私は申し上げておりますけれども、既に一方で規制緩和という仕事が進行をいたしております。規制の緩和、廃止、見直しというものが進めば当然それだけ業務が減ります。また、地方分権推進委員会から既に第一次の勧告をいただきました。そして、今まで一番面倒でありました機関委任事務について一定のルールを示され、その手始めとして既に一部のものは私どもの手元にこうすべきであるという意見もちょうだいをいたしております。  そして、当初明年度の地方分権推進計画に全部これをまとめるということだったそうでありますが、せっかくいただいた答申なら早目に前倒せということで、既に合意をいたしておりますことがたしか二十五ぐらいありましたものに、そのうちの二十二項目とそこには出ていない十項目を前倒して年度内に実施するという指示を既にいたしました。  分権も動き始めました。国と地方の間の業務分掌が変われば、ここでも業務の減は出てまいります。そして、官民の役割分担の議論もこれから、既に始まっております分もありますけれども、一層進めていかなければなりません。  そして、当然のことながらそうしたことだけでもスリムになっていく中央の行政でありますから、国家存続の機能と国の富をふやしていく機能、そして国民の暮らしの安全、質を守る業務、そして教育、文化といった機能、私は私なりに四つに大きくくくってこの議論をスタートいたしました。  別にこれにこだわるつもりはありませんけれども、行革会議は既に論点整理のメモを先般お出しした状況にまで作業が進んでおります。そして、中央省庁の再編合理化の結論は十一月の末には成案として世の中に公表をいたしたい、そしてそれを法律案として御審議をできるだけ早くいただきたいという気持ちを私は全く変えておりません。
  276. 菅川健二

    ○菅川健二君 決意はもとより率直に受けとめさせていただきたいと思いますが、若干気になりますことは、初めに省庁再編ありきではないということでございます。省庁というのは、例えて言えばさまざまな制度を管理する家屋でございまして、その土台となるのがただいま総理の御答弁になられましたような官と民の関係、中央と地方の関係でございます。その点、規制緩和、それから地方分権の中で機関委任事務、こういったものにつきましてはそれなりに方向性が出てきつつあるなという感じがいたしておるわけでございます。  ただ、地方分権の中で一番中央とのかかわりがあるのは補助金でございます。補助金の整理統合いかんによりましては中央省庁の役人が事業官庁では三分の一ぐらい減るのではないかということが言われるわけでございます。補助金についてまだ手つかずじゃないかと思うわけでございます。したがいまして、これから十一月までに整理されるのも大変だなという感じがいたしておるわけでございます。  そういった面で、十一月というのはいわゆるそういった土台というものはまだはっきり固まっていない、いわば大地震の中でいい家を建てるようなものでございまして、立派な家が建てられればいいがなと思っておるわけでございます。手順等を十分踏まえていただきまして、ぜひ立派な省庁再編を実現させていただきたいと思います。我々もその面においては積極的に協力させていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  277. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 以上で菅川健二君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  278. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 次に、西山登紀子君の質疑を行います。西山登紀子君。
  279. 西山登紀子

    西山登紀子君 日本共産党の西山登紀子でございます。  総理及び関係大臣に御質問をいたします。  まず、医療保険の問題についてお伺いをいたします。  総理、今国民は消費税五%へのアップを含む九兆円という大幅な負担増に大きな危惧を持っています。九兆円のうち医療費の負担は二兆円にもなります。病院にかかる費用が一挙に二倍から四倍にもなることが予想されます。とりわけお年寄りの方から、病院にかかれなくなると、大変心配の声がたくさん私のところにも寄せられております。  日本医師会も新聞広告を出しておりますし、私の地元の京都府保険医協会ですが新聞に意見広告を出しまして懸念を表明しているわけです。地元新聞の一面を全部使いまして意見広告をこういうふうに出しております。(資料を示す)その内容は、「安心して医療を受けてほしいから私たち医師も今国会提出の健保法等「改正」法案に断固反対です。」「患者の八割以上が反対です。」、こういうような意見広告、一面を使って表明をしているわけであります。  こういう国民や医療現場の声は重く受けとめるべきではないでしょうか。医療保険の赤字の構造的な問題点にメスを入れないまま、安易に国民の負担先にあり、こういうことは許されません。医療改革には国民と医療関係者の意向を十分聞くのは当然です。総理の基本姿勢をお伺いいたします。
  280. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 別に私は議論を吹っかけるつもりはありません。しかし、大新聞の一ページを全部借り切って広告をするほどお医者様は収入があるのかと、そういう皮肉な感じも一瞬いたしました。  私は国民所得のカーブと医療費の増嵩のカーブが余りにも乖離が出てくるという状態はやはり問題だと思います。現実に医療保険財政というものが非常に厳しいことは、今さら私が申し上げるまでもなく、よく委員は御承知のとおりでありますし、そういう中で医療の提供体制、そしてまた医療保険制度そのもの、その両面にわたる改革というものを私たちは総合的に段階的にやっていかなければなりません。  今国会におきましても、例えば介護保険の問題とともに健康保険制度、医療保険制度の御審議を願うことになっております。すなわち、老人医療制度のあり方、あるいは診療報酬体系の見直し、さらに薬剤使用の適正化でありますとか医療提供体制の見直し、本国会が始まり、本院のこの予算委員会の中で御指摘をいただきました問題点だけでも本当にたくさんのテーマに上っています。そして、いずれもが抜本的な改革を求められております。  しかし、こうした改革を進めていこうとしても、現行の医療保険制度の財政の安定がなければ前に進みません。平成九年度に給付と負担の見直しなどの制度改正を実施したい、法案を御提案申し上げているのもこうした考えからであります。今国会から幅の広い観点から御議論をいただきながらも早期の成立を心から期待するゆえんも、まさにこうした問題を今後我々は全力を挙げて解決に導いていかなければならないと考えているからだということは御理解をいただきたいと思います。
  281. 西山登紀子

    西山登紀子君 最初に総理が広告のことについて一言意見を述べられましたけれども、私は大変失礼な言い方だと思います。私の地元の開業医の先生方はこの保険医協会に二千七百人が参加をしていらっしゃいますから、そのお言葉については私は本当に冒演だというふうに批判をさせていただきまして、それから……
  282. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 保険医協会、医師会と言ったんじゃ……
  283. 西山登紀子

    西山登紀子君 いいんです。  それで、質疑を続けさせていただきますけれども、医療保険の赤字をなくすためには、まず何よりも、高過ぎる薬価、大き過ぎる薬剤費、つまり国民医療費二十七兆円の約三割、八兆円にも及ぶこの薬剤費にメスを入れるべきです。  ところが、私も調べて驚いたんですけれども、日本の薬価は国際的に高いだけではなくて、国内市場においては大手メーカーの薬が非常に高い、大変優遇されているということがわかりました。お配りさせていただいております表をぜひごらんいただきたいと思います。  表1です。これは今最もよく売れている薬の売上高の推移を示したものであります。ナンバー一のメバロチン、これは三共製薬ですが、単年度一千億円以上の売り上げを上げているわけです。メバロチンというのはピカ新であります。その他はゾロ新と言われて特に目新しくはないわけですけれども、新薬扱いがされています。大手メーカーのものが大半であります。この中でも後発品が既に売られている薬もあるわけです。  そこで、お伺いいたしますけれども、五番目の第一製薬のパナルジンの薬価とその後発品の薬価は幾らですか。
  284. 高木俊明

    政府委員(高木俊明君) パナルジン錠百ミリグラム一錠の薬価で申し上げますと百五円九十銭ということでございます。この後発品の薬価では六十九円四十銭、あるいは四十五円、あるいは四十二円四十銭といったものがございます。
  285. 西山登紀子

    西山登紀子君 次に、十三番目のアダラートについて、バイエルのアダラートの薬価とその後発品の薬価は幾らですか。
  286. 高木俊明

    政府委員(高木俊明君) アダラート十ミリグラム一カプセルの薬価で申し上げますと三十三円九十銭でございます。後発品の薬価では二十三円三十銭、それから十五円三十銭、十三円六十銭といったものがございます。
  287. 西山登紀子

    西山登紀子君 今お聞きのように、同じ単位の薬で大手メーカーの先発品と後発品では薬価に大きな差があるわけです。先発品の薬価は後発品に比べまして、パナルジンの場合、四十二円四十銭と百五円九十銭を比較いたしますと実に二・五〇倍、アダラートの場合も三十三円九十銭と十三円六十銭を比較いたしますと二・四九倍です。  そこで、お伺いしますけれども、こんなに値段が違うということは先発品と後発品に成分や薬効に違いがあるからなんでしょうか。
  288. 高木俊明

    政府委員(高木俊明君) 結論的には薬効による差ということはないわけでありますが、ただ価格がこういうふうに違っているということについて申し上げますと、薬価制度におきましては医薬品の実勢価格に応じまして薬価を算定しているわけであります。  そうしますと、この実勢価格がどうかということになるわけでありますが、これについては、薬効等が同等の医薬品でありましても、それを処方します医師の側において、例えば広くなれている銘柄を使うとか、あるいはまた情報提供が十分行われているような銘柄を使うとか、そういった医師のサイドのビヘービアの問題がありますし、それからまた経済状況、経済的な動機という面では、商品の値引きといいますかそういった割合がどうかとか、そういった医療機関サイドが医薬品を選ぶ際のさまざまな動機があるわけでございます。そういった中で市場において取引をされる、その際の価格というものになるわけでありますから、そういったものの中で銘柄間の格差が生じるということではないかというふうに考えております。
  289. 西山登紀子

    西山登紀子君 質問したことだけに答えてください。薬効や成分が違うのかとお伺いしたんですよ。ほぼ違わない、同じだということです。  厚生省が承認された同じ成分、同じ効能の薬なのに、大手メーカーのものは後発品の、例えばパナルジンニ・五倍、アダラートニ・四九倍、こういう値段の差がついているわけです。これは大変驚くべきことだと思うわけですね。  今回意ありましたけれども、それも一つや二つではないということがわかったわけです。薬価改定表を全部調べてみました。そして一覧表にいたしましたのが表2でございます。恐れ入りますが、ちょっと見ていただきたいと思います。  後発品の中には最も値段が安いものにGEマーク、ジェネリックというのがあるわけですが、このジェネリックの製品に限ってこれは調べたものであります。全部調べてみました。  これは平成八年の薬価でございますけれども、例えば睡眠鎮静剤セルシン、武田製薬というのがあります。もちろん単位や規格は同じものを比較しておりますが、平成八年薬価は二十五円。後発品のオイホリンという製品がありますが、そのほかたくさんありますのでオイホリンだけ出しておりますが、平成八年の薬価は十円です。この倍率は二・五倍です。ワイパックス、山之内、これを比較いたしますと、薬価は十七円四十銭、シンプレックスほかは七円、これも二・五倍であります。  では、解熱鎮痛剤はどうかといいますと、ボルタレン、チバガイギーの製品ですが、二十五ミリ、薬価は二十一円七十銭で、後発品のアデフロニツクほかは八円七十銭ですから、これも二・五倍であります。  以下、二枚目、三枚目、これは全部調べておりますので見ていただきたいんですけれども、ごらんのように先発品はすべてが後発品の二・五倍になっているわけです。これは先ほど厚生省が認められましたように、成分、薬効はみんな同じものです。同じものなんですけれども、先発品にはすべて後発品の二・五倍の値段がついています。これは間違いありませんね。
  290. 高木俊明

    政府委員(高木俊明君) 結果的に見ますとそういう形になっておりますが、これは若干薬価基準のルールを申し上げた方がよろしいかと思いますけれども、この銘柄間の価格差というのは流通市場の中で変わってまいります。  そういった中で、ほっておきますとジェネリックの関係というのはかなり値段が下がっていって、相当開いてくる。そういった中で、一番高い銘柄に対しまして二・五分の一、いわゆる一番高い価格が二・五倍というところでとどまるような形でそのジェネリックの価格というものを決めているものですから、そういった意味で二・五倍の差が生じておる、こういうことでございます。
  291. 西山登紀子

    西山登紀子君 質問していることだけに答えてくださいよ。この表は間違いないか、先発品が全部後発品の二・五倍になっているでしようと。それを認めてくださったらいいわけですよ。それを認められたわけですよ。しかも二・五分の一のルールがあるということまでおっしゃったわけですね。二・五分の一のルールがある。これは大変驚くべきことではないでしょうか。先発品が後発品の一律に必ず二・五倍の薬価がついている。しかも高い薬価がついている。これは大変おかしいことではないでしょうか。  厚生大臣にお伺いしたいんですけれども、同じ成分で同じ薬効で同じ薬なんですよ。それなのに、大手メーカーの先発品になぜこんな高い値段をつけるんでしょうか。しかもルールがあるというんです。みんな二・五倍だというんです。二・五分の一ルールと言いますけれども、これは先発品の二・五倍のルールですね。その根拠は何でしょうか、根拠を示してください。二・五倍のルールの根拠です。
  292. 高木俊明

    政府委員(高木俊明君) 後発品の二・五倍ということではありませんで、後発品が二・五分の一以下に下がらないような格好になっておるということであります。  これは、先ほど申し上げましたように、銘柄間の中で同じ薬効にもかかわらず大幅な価格差がつくということは好ましくないということで、このようなルールで収載しているわけでございます。
  293. 西山登紀子

    西山登紀子君 今、厚生大臣にお伺いをしているんですけれども、二・五倍のルールがある、しかも先発品、後発品、同じ成分、同じ薬効、同じ楽なんです。何で二・五倍の値段の差をつけるんですか。そのルールの根拠をお伺いしているんです。
  294. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) これは薬の世界だけじゃなくても、いろんな品に同じ物でも何倍も開きのある商品はたくさんあります。例えばネクタイなんて、どんな安いネクタイだろうが高いネクタイだろうが、効き目とかは関係ないんですよ、千円のネクタイもあれば一万円のネクタイもある。あるいはお酒でもそうですね。酔い方には変わりがなくたって、高い酒が好きな人もいる、低い酒の好きな人もいる。  薬もそういう面においては若干似ている面があるんです。医療側が、同じ薬効があっても信用ある企業の薬を使いたい、またその方が安心して使えるだろうと思えば、同じ成分があってもその方が安心して使えるという場合は高くなるんでしょうし、じゃ、かなりの低いのがどうかというのは、結局取引感覚あるいは業者の販売努力によっても違うと思います。  しかし、薬価の決め方において今までの方向じゃいかぬという声がありますから、今回の医療保険改革法案を出したことにおいて、そういう議論が出てきたということは大変いいことだと思います。私はこの法案を出して、今いろいろ患者負担が過重だといって御批判があると思いますけれども、ともかくまとめたからこそ構造改革に取り組もうという意欲が出てきていろんな御意見が出ている。私は、今回の医療保険の改革法案においても、総合的に改革していくうちのまず第一段階である、この第一段階の法案を出したからこそこういういい意見が出てきているんです。  私は、この法案を出すことによって薬価基準についても本格的にメスを入れたいという機運が出てきたことを歓迎して、これからもその問題に取り組んでいきたいと思います。
  295. 西山登紀子

    西山登紀子君 私は、お答えになっていないと思います。  先ほど二・五分の一ルールというのはその下支えだというふうなお話がありましたけれども、これはとんでもありません。これは大手メーカーの先発品を高値につり上げておく、維持しておくためのルールでありまして、そういうルールなんです。しかも、これは根拠がありません。今もるる例を出されたけれども、結局はなぜ二・五倍なのか、一律に二・五倍の薬価をつけなければいけないのかということの説明は厚生大臣、おっしゃっていないわけですよね。それは説明になっていないわけですよ。
  296. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) バックグラウンドでございますが、後発品の市場は全医薬品市場の七%でございます。主として売れ筋商品に、先発が研究開発で十年、百五十億、二百億という多額な投資をしてでき上がった医薬品に後から追いかけて売り込んでくるということでございまして、加えて、薬価が下がりますとすぐに撤退する企業も出てくるということで、安定供給上若干問題もございます。  そういったようなことを踏まえながら、なおかつ後発品市場の育成という観点も含めて、二・五倍ルールというのが設定されているものと考えております。
  297. 西山登紀子

    西山登紀子君 いずれにしても大手メーカーを擁護する御答弁だったと思います。大手メーカーがコストがかかっているというけれども、七年-十一年というのは先発が高い値段を独占しているわけですから、その後後発品が出てきているわけですから、さらに二・五倍の差をつける理由にはなりません。  また、経済審議会の建議がこういうことを言っているんです。総理お戻りになられたから、私は質問したいんですけれども、平成八年十一月二十六日の経済審議会では、研究開発とおっしゃいますけれども、どういうふうに建議が指摘をしていると思いますか。日本の医薬品の研究開発は「質より量の同種同効に偏している。この結果、世界には通用しないが日本国内では高い薬価がつけられる「ゾロ新」と呼ばれる新薬を多数開発するために莫大な研究開発費が投じられている。」、こういうふうに指摘をしているわけです。研究開発費というのはゾロ新を開発するためのものだ、こういう指摘がされているわけです。  総理は今の質疑を聞いていらっしゃらなかったんですけれども、先発品に二・五倍の高い薬価がついているということにつきまして厚生大臣にお聞きしましたが、私は納得がいきません。国民の皆さんも納得がいかないと思うんです。同じ成分、同じ薬効の薬に二・五倍の高い値段をつけるルールがあるということについては、どうしても納得するわけにはいきません。結局、大手メーカーを優遇していつまでも高薬価を維持していくことになるわけですから、総理、これは是正をすべきではないでしょうか、どのようにお考えでしょうか。
  298. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 大手メーカーとか中小メーカーという問題じゃないと思います。これは、薬価基準のあり方等についていろいろ議論がある。大手メーカーとか中小メーカー、これは競争ですから、競争力が弱いものは、またいい薬品を出せないところは、これはある程度競争に敗れていくのは仕方ないんです。  そういう点もありますから、大手薬品がどうの中小薬品がどうというんじゃなくて、薬価基準全体で見直せという声が強いわけですから、この法案を御審議いただいて、いろんな意見を聞いて、本格的な構造改革、薬価基準の見直しに取り組んでいきたい、そう思います。
  299. 西山登紀子

    西山登紀子君 総理にお伺いをいたします。
  300. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 多分小泉大臣と同じことを申し上げることになるんだと思うんですが、私も、大メーカー、中小メーカーというよりも、新薬開発に努力をしたメーカーにそれだけのメリットを与える、類似のものをこしらえてきたところはそれだけ低い、その間に余り大きな乖離がないようにと定められたルールだと思います。  その上で、先ほど最初に私が御答弁申し上げましたときにも、これから検討していかなきゃならない問題として薬剤の問題を申し上げたとおり、今後こうした点についてより議論が深められることを期待いたします。
  301. 西山登紀子

    西山登紀子君 結局、総理もなぜ先発品に二・五倍の高値をつけるか、そのルールの根拠についても納得のいく説明はなされなかったわけなんですね。厚生大臣とても同じです。やはりどうしても納得するわけにはいきません。今のこういう薬価差、同じ効き目、同じ成分なのにどうして大手メーカーの先発品に後発品の二・五倍の薬価をつけなければならないのかということについては納得がいきません。  それで次に、薬価の改定率についても見てみたいと思うわけです。これも、初めに大手メーカーありきというように今なっています。表3を見ていただきたいと思います。  これは先発品と後発品の薬価の引き下げ率を示したものでございます。この引き下げ率は、引き下げ率でも大きな品目の一部をここに載せているわけですけれども、もちろん規格とか単位は同じものにしてあるわけです。この一覧表は、厚生省に事前に確認をしていただいたものであります。  先発品、これは大手メーカーの製品でございます。アルボ二〇〇、単位は一錠二百ミリグラムでございます、平成八年の薬価は五十円四十銭、引き下げ率は七・二%。後発品のアモリンタンほかは、平成八年の薬価は二十四円五十銭で、引き下げ率は四〇%であります。万有のグリノリル百ミリグラム一錠、これは薬価が二十二円、引き下げ率は六・四%。後発品のクリナックスというのがあるわけですが、薬価は十一円、引き下げ率は三七・五%です。次は三つ目、バキソ二十ミリグラムカプセル、これは富山製薬ですが、五十円三十銭で、引き下げ率は九・七。後発品のアムテネンほかは、薬価は二十六円三十銭で、引き下げ率は四〇・〇%です。この表にありますものを平均いたしますと、大手メーカーの先発品の引き下げ率は六・九%、後発品は三六・八%であります。先発品は大手メーカーのものであります。  この引き下げ率を見ましても、大手メーカーはわずかしか下がっていないということがおわかりいただけると思います。わずか一けた台です。後発品は三六・八%、約四〇%近く引き下げ率があるわけです。これは、やはり先ほど指摘したと同じように、大手メーカーを優遇して高薬価をつくり出しているのではありませんか。
  302. 高木俊明

    政府委員(高木俊明君) 先生既に十分御理解の上で御質問されているというふうに思いますが、若干御説明させていただきますと、まず先発医薬品なりあるいは後発医薬品なりの価格でありますが、これは何か役所が人為的に定めている、しかも大手先発メーカーを高く定めているというふうな感じに受け取れるわけなのでありますが、それはそうではありませんで、あくまでもこれは市場の実勢価格に基づいてそれぞれ定めているわけであります。  したがって、今御質問の先発品と後発品の薬価の引き下げ率の表でございますけれども、これは役所がこういう格好で個別個別の薬品につきまして人為的に決めておるわけではありませんで、実際に市場に流通している価格に基づいてこのような薬価になるわけでありまして、それがこの引き下げ率ということで出てまいります。したがって、引き下げ率と書いてございますけれども、これは役所が引き下げているとかそういうことではありません。実勢価格がこういうふうになっているということでございます。
  303. 西山登紀子

    西山登紀子君 今人為的に決めているんじゃないとおっしゃったけれども、先ほどの二・五倍のルールをちゃんと持っているわけでしょう。それは厚生省がお決めになっているわけですから、そういう答弁は私は納得がいきません。  厚生大臣にお伺いいたしますけれども、これを見ましても、やはり大手メーカーの先発品は引き下げ率は非常にわずかです。一けた台ですよ。それから後発品は三割から四割、いろいろおっしゃったけれども三割から四割の引き下げ率になっている。これはやはり先発品に高薬価を保証している。その結果、いろいろ最後にやって、三割、四割の引き下げ率が後発品に作用していると、こういうことです。大変ひどい仕組みだと思います。何といっても大手メーカーを優遇している、こういうことになろうかと私は思います。  大手メーカー自身がこういうふうに言っているんです。どんなに薬価を下げてきたと言ってもこういうふうに言っています。これは日本製薬工業協会のDATABOOKですが、こういうふうに言っています。「九四年の上場大手二十社は、薬価引き下げが行われたにも係わらず増収、増益となった。すなわち、経常利益率は平均で前年の一三・四%から一四・三%へ、自己資本比率は五六・六%から五六・九%へそれぞれ上昇した。」、みずからがこのように評価をしているわけであります。  私が指摘いたしましたことは、厚生大臣、医療保険財政の視点から見ますと、同じ効き目の薬なのに非常に割高な、例えばジェネリックの場合には二・五倍もの高い薬代を医療保険から払っているということになるのではないでしょうか。こういうことがまさに大手メーカーを優遇するということではないかと思います。この高薬価にこそメスを入れるべきではないでしょうか。
  304. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 先ほども言いましたように、大手メーカーを優遇する、あるいは中小メーカーをどうだということじゃなくて、薬価の問題についてはいろいろ御批判なり御意見があります。  今回の医療保険改革案を政府が出したことによってこれだけの問題点指摘していただきまして、国民にもやはり改革しなきゃいかぬという雰囲気が出てきた。これを歓迎して、大手メーカー、中小メーカーという関係なく、薬価基準のあるべき見直し、これについて本格的に取り組んでいきたいと思います。どうぞ見ていてください。いや、できたら協力してください。
  305. 西山登紀子

    西山登紀子君 大臣の御答弁に私は納得はいきません。  それで、総理にお伺いをしたいわけですけれども、ジェネリックの専門中小販売メーカーの日本医薬品販社協会というのが昨年、業務局長あてに陳情書を出したんですけれども、この陳情書では、後発ジェネリック製品と同成分、同効能の製品には薬価差は増大する一方であり、特に同成分品は同薬価とすべきだと要望しております。  また、長期収載品目を一般収載にかえるだけで八千億円も節約できるという主張もしているわけです。また、一兆円節約できるという研究報告もあるわけです。  厚生省の調べでは、大手メーカー上位三十社では売上高の五六%のシェアを占めているわけですから、この長期収載品の薬剤にメスを入れる、ここにメスを入れるということが必要ではないでしょうか。総理の御答弁をお願いいたします。
  306. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私、先ほども薬剤に問題がありということを最初に御答弁申し上げているのに、何遍お聞きいただくんでしょう。そして、むしろこうした御議論が深まることを期待するということも先ほど申し上げたところであります。
  307. 西山登紀子

    西山登紀子君 私が質問している点は、大手メーカーの薬剤にメスを入れるべきだと、その御答弁がありませんので、私は納得がいかないと申し上げているわけです。こういう点に根本的にメスを入れないで国民負担をふやすということには私は納得がいかないということを申し上げまして、次の質問に移らせていただきます。  障害者の運賃問題ですが、運輸省、JRの障害者の割引制度の概要を説明してください。
  308. 梅崎壽

    政府委員(梅崎壽君) 身体障害者に対しますJRの運賃、料金の割引制度でございますけれども、身体障害者が介護者とともに乗車する場合には、本人と介護者につきまして運賃と急行料金、これを五割引きにいたしております。また、身体障害者が単独で乗車する場合には、片道百キロを超える利用につきまして運賃の五割引きを適用いたしております。
  309. 西山登紀子

    西山登紀子君 今御説明がありましたように、割引制度は運賃と急行にしか適用されていないわけですけれども、これを特急にまで広げてほしいと要望を受けております。  そこで、私、時刻表で調べてみて大変驚いたんですが、こういうパネルを持ってきてみました。ぜひ見ていただきたいと思います。(図表掲示)  これは、青いのが一九六六年八月、それから赤いのが一九九七年二月、今の本数です。急行と特急で比べてみますと、JR北海道では一九六六年、制度が導入されましたときには急行は百四十本ありましたのが、今十本しかありません。そのかわり、特急は六本あったのが百四十一本にふえております。  JR九州では、百六十一本あった急行が今十四本しかないんですね。特急は逆に二十四本から二百五十九本とぐんと上がっているわけです。  そこで、運輸大臣、こういう状況になっているということを御存じだったでしょうか。まさにこれは障害者の皆さんの権利を奪っていることになるんではないでしょうか。ぜひ一日も早く改善していただきたいと思います。
  310. 古賀誠

    国務大臣(古賀誠君) 正直言いまして、特急が年々多くなっているということは承知いたしておりましたけれども、そうやって表で見ますと、本当に急激な増加になっているということを改めて認識いたしました。  ただ、基本的にこの問題は鉄道事業者の経営上の判断等、事業者によって最終的には決定をされるものでありますから、従来から運輸省といたしましても検討を要請してきたところでございますが、私も誠心誠意、JRを含め鉄道事業者に対して検討をしていただけるように要請をしてまいりたいと思います。
  311. 西山登紀子

    西山登紀子君 こういう急激な変化が既に起こっている、時代的な変化が起こっているわけですから、大臣、いつまでに御検討を進めていただけますか、具体的にお伺いいたします。
  312. 古賀誠

    国務大臣(古賀誠君) ただいまも申し上げましたように、これは基本的には鉄道事業者が御決定をいただくことでございますから、今私にいつまでにとおっしゃっても、お返事はできません。
  313. 西山登紀子

    西山登紀子君 それでは、総理にお伺いいたしますけれども、運輸大臣も検討はするというふうにおっしゃっていただいたんですけれども、ぜひ検討を進めるように御努力をお願いしたいと思います。
  314. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 運輸大臣は検討するとお答えをいたしました。彼は九州男児としてその言葉を守ると思います。
  315. 西山登紀子

    西山登紀子君 最後に、精神障害者の福祉施策についてお聞きいたします。  精神障害者についても現行の障害者同様に各種の割引制度などの活用ができるように取り計らっていただきたいのですが、運輸大臣、どうでしょうか。運輸大臣、年内をめどにぜひお願いします。
  316. 古賀誠

    国務大臣(古賀誠君) 今度は精神障害者の問題だと思いますが、平成七年でございますか、精神障害者の手帳の制度が導入されまして、それに伴いまして、障害者が交通機関を利用されるに当たりどのくらいの障害であれば介護が必要なのかというのを実は厚生省に医学的に検討していただきまして、その回答を昨年の十二月にいただいているのは先生も御承知のとおりだと思います。  それを踏まえまして、厚生省とも調整をとりながら、それぞれの事業者に期待にこたえることができるかどうか、総理からお褒めをいただきましたけれども、これも九州男児として積極的に検討を進めてまいりたいと思います。
  317. 西山登紀子

    西山登紀子君 総理大臣に最後にお伺いしようと思っておりましたけれども、先ほどと同じ御答弁でしょうか。できるだけ早くこのことも実現していただきたいと思います。
  318. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私、本当に九州男児である古賀大臣は、御自分で口にされたことはそのとおりに努力をされると思います。
  319. 西山登紀子

    西山登紀子君 聴濤議員に関連質問をお願いいたします。
  320. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 関連質疑を許します。聴濤弘君。
  321. 聴濤弘

    聴濤弘君 私は、関連して、ガイドラインの見直しの問題について質問をさせていただきます。  昨年四月の日米共同宣言に基づいて、ことしの秋をめどに日米防衛協力の指針、いわゆるガイドラインの見直しの作業が行われております。これは、日本が侵略を受けていないのに、周辺有事の際、すなわち日本以外の地域での戦争での日本とアメリカとの軍事協力を定めていくものであり、極めて重大な問題であり、アメリカの戦争に日本が巻き込まれる危険性が極めて大きな問題であると思います。  そこで、私はまず最初に伺いたいのでありますけれども、現在の見直し作業の進捗状況報告というのが昨年の九月に公式に発表をされました。報告書は、有事の際のアメリカとの協力の対象の一つに、後方地域支援というのを挙げております。私たち国民は、後方支援というのはしょっちゅう聞いている言葉でございます。しかし、後方地域支援という言葉は余り聞いたことのない言葉でございます。こういう用語を公式に使ったのは今回初めてですか。
  322. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 多分初めてだと思います。  しかし、これは逆に言えば、前方ではやらないということで、後方地域でやるということでございますから、要するに後方支援という場合は、前方でもそういう後方支援、例えば通信でありますとかあるいは医療でありますとか、そういうことがあるかもしれませんけれども、要するに前方地域ではやらない、後方地域に限定するということでございますから、そういう意味ではより明確じゃないかと、地域についてはですね。それをはっきりしたんじゃないかというふうに思っております。
  323. 聴濤弘

    聴濤弘君 まだ聞いていないことまでいろいろおっしゃる、否定されませんでしたが。  防衛庁の統合幕僚会議の内部研究というのが昨年の九月十五日付の朝日新聞に載っております。そこで明らかにされていることでは、米軍への支援を行う場所を距離的に言って、距離的というのは私が言っている言葉じゃありません、内部研究に使われている言葉です。距離的に言って四つに分類されております。口で言うとなかなか難しいので、このように表にいたします。(図表掲示)  ここにありますように、この内部研究によりますと、アメリカを支援する場所が四つある。日本国内。その次が公海上。それから他国ですね、公海の次ですから、戦争をやっている他国ですよ、他国の戦場の後方地域。それから戦闘地域、ここは戦争している地域ですね。この四つに分類をしていると、こういうことであります。したがって、後方地域支援というのは、相手の国、戦争をやっている国までに自衛隊が出かけていって、そして支援をするということになるわけです。こんなことまでガイドラインで検討しているんですか。
  324. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 戦争をやっている地域でないということでございますから、後方地域というのは。だから、そういうふうに素直に理解していただければいいんじゃないかと思います。
  325. 聴濤弘

    聴濤弘君 だから私は聞いているんです。戦争をやっている国の中まで行って、戦闘地域はここにあるかもしれない。しかし、その隣の隣接しているところでは戦争をしていないかもしれない。しかし、それはもう外国なんですよ。戦争している国なんですよ。そこにまで行って支援をするのかと言っているんです。
  326. 秋山昌廣

    政府委員秋山昌廣君) 確かに後方地域支援という言葉はあるいは初めて使った言葉かもしれません。今、大臣から話がありましたように、まさに戦闘地域でないところにおける支援ということで、今後その支援の中身にも後方地域という問題は絡んでくると思いますけれども、単純に場所を領海とか公海とかあるいは他国とか、要するに場所的な問題だけではない、戦闘地域でないところでの支援というものをこれから議論していきたい、まさに今議論している最中でございます。
  327. 聴濤弘

    聴濤弘君 私は秋山防衛局長に、昨年の十二月十七日、参議院の内閣委員会でこの問題を取り上げて質問をしたんです。そうしたら、四つに分類されていることは秋山局長自身否定されませんでした。そして、やれない場所はこの戦闘地域だと、これははっきりしていると、米軍と一体になるから。やれる地域はここだと、日本の国内だと、これは明確だと。このあとの二つの残る地域については具体的に議論しながら研究をしていく、そういうふうに答えられた。  だから私が言っているのは、はっきり言ってもらいたいんだが、戦争をやっている国の中まで行って、戦闘地域じゃないにしてもそのすぐ近くまで行って米軍を支援するということをやるのかと言っているんです。距離の問題を言っているんですよ。どういう支援をするのか、中身のことを言っているんじゃないですよ。今は距離のことを私は質問しているんだから、そのように答えてください。
  328. 秋山昌廣

    政府委員秋山昌廣君) この問題につきましては、距離とか地理的な問題だけではないと我々は思っております。まさに戦闘地域でない場所での支援ということでこれから検討してまいりたいと考えております。
  329. 聴濤弘

    聴濤弘君 どうしても否定はされていないようですね。そうすると、やはりこういうところまで行ってやるということについては検討を加えていくということ、こういうことになって否定はされない、私はそう理解いたします。  そうしますと、これは大変なことですよ。なぜ大変なことかといえば、戦闘が行われている場所以外は戦場に隣接する地域でも戦場ではないと、こういつて他国まで行って支援をできるわけだから、戦争をしている国にとってみれば日本は交戦国になってしまうと、こういうことになるわけでしょう。  日本の憲法は交戦権を禁止しております。明らかにこんな距離的な、そういうところまで行けるということは、これは憲法に明確に反する、そういうふうに私は思いますが、防衛庁長官、いかがですか。
  330. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 私どもが憲法でできないのは、武力が一体化されて、武力の行使になるかならないかというのが大事なことでございまして、地域によって行っちゃいけないとか行っていいとかいうことじゃないわけでございます。  今はっきりしているのは、戦闘状態にあるそこの地域は行けないということでございますけれども、それ以外のところで武力行使にならないような形で行って協力する場合は絶対ないのかと言われると、それはまだ今検討しているさなかでございますから、わからないというのが現在の心境でございます。  ただ、観念的に言えば、今言いますように、武力の行使と一体にならないようなそういう形での協力はあるのじゃないか、中身が問題じゃないかと思います。
  331. 聴濤弘

    聴濤弘君 総理にお伺いいたします。  これ、防衛庁長官は大変な重大なことをお答えになったと思うんですね。武力行使をしなければ他国に行ったって構わないということをおっしゃった。こんなことが言えますか。武力行使をしなければ他国の戦争をやっているすぐそばまで行って米軍を支援したって別に悪いことじゃないじゃないかと。こうなったら相手国にとっては日本はもう参戦したことと同じになりますよ。  例えばの話ですけれども、北朝鮮の例をとってみる。米軍が北朝鮮地域でもって戦争をしているということを仮定します。ところが、そこのすぐ隣まで日本の自衛隊が行って、そして米軍を支援する、そういうことだってあり得るということになるわけで、そうなれば、北朝鮮にとってみれば日本は侵略国だと、そういうふうに受けとめられざるを得ないじゃないですか。そういうことを平気であの長官言うんだ。  総理の見解を聞きたいと思います。
  332. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 随分、防衛庁長官の発言から距離が遠いような御想定であります。
  333. 聴濤弘

    聴濤弘君 向こうが遠くしちやう。
  334. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、まさに研究をしておくべきことを研究することは国として大切なことであり、その研究をした上で、我が国の憲法のもとにおいて我々がどこまでを実行できるかということと研究とは分けて考えておくべきではないかと思います。  なぜなら、私は今度また議員の方からしかられるかもしれませんけれども、私はやっぱり、イラン.イラク戦争のときのペルシャ湾、日本のタンカーから上がった悲鳴が忘れられません。そして各国は皆海軍を派遣して自国船の防衛に当たった。日本だけはそれができなかった。私は本当にあのとき保安庁の諸君に巡視船で行ってくれるかということを真剣に頼みました。そして彼らはそれにこたえてくれる決意を示してくれました。  その上で、法制局等と議論をしておりますうちに、また外務省から各国に対し、海軍の派遣を求められているときに巡視船を送ることでも、その巡視船の諸君に対する危険は同じです、しかし国際的に評価をしてもらえるだろうか、そう問いかけております間に幸いに事態は収束をいたしました。  このとき、本当に日本船の乗組員から上がりました悲鳴と、こたえてもらえるかと非公式に聞いたときの保安庁の諸君の、日本人が悲鳴を上げているんだったらどこでも行って助けたいと言ってぐれた言葉は私に今でも残っております。そして、これは実行せずに済みました。  湾岸戦争が終わりました後、海上自衛隊の掃海艇隊の諸君は、国際的に一番困難な場所の掃海を引き受け、五百十一名全員が無事に職務を果たし、国際的にも高い評価を受けて帰りました。日本国内でも大半の国民はこれを喜んだと思います。  しかし、こうした事態も、実は事前に十分な研究がなされておりませんでしたために、殊に現実にこれを実施した海上自衛隊の掃海艇隊の諸君は、他の国は何週間かずつで乗組員を交代させ、十分な休養をとらせて、その上で作業に当たらせましたが、日本は当時それだけの研究がありませんでしたために、行ったメンバーがそのままで作業を続け、そしてその作業を終えた後の疲れた体で日本に帰ってまいりました。事前にもう少しこうした問題についても検討しておけばよかったと私は当時しみじみと考えました。考えておくということは私は大事なことだと思います。
  335. 聴濤弘

    聴濤弘君 私の方がどんどん別の方向に問題を持っていっているんじゃなくて、質問しているが答えがどんどん別の方向に行っているので、筋違いだというようなことを総理が言われた。イラク・イラン戦争、イラ・イラ戦争の話がまた話題になりましたけれども、これについても私は別に質問しているわけではない。総理が言われる意味は最後のところではわかりましたけれどもね。  それで、私はさらに質問をしたいんですけれども、(図表掲示)今私がやりました議論は、もう一回言いますが、この地域ですね、こういう戦場の後方地域、ここにも自衛隊が出ていって米軍の支援をするということについては否定はしないということ、そういうことは絶対しませんと言われたわけじゃない。否定はしない、研究もしておく、あるいはやるかもしれない、そういうことを言われたということだと私は思います。これは非常に憲法に反するものだということを私は確認をして、次の問題に移りたいと思います。  次の問題というのは……
  336. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 大森法制局長官。
  337. 聴濤弘

    聴濤弘君 ちょっと待ってください、ちょっと待ってくださいよ。それじゃ……
  338. 大森政輔

    政府委員(大森政輔君) ただいまの議論を少し……、(「委員長、指名してください」と呼ぶ者あり)
  339. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 指名しました。
  340. 大森政輔

    政府委員(大森政輔君) ただいまの議論を少し整理して申し上げておきたいと思います。  今のお尋ねは、地域を戦闘地域、そして戦場の後方地域、そして公海、日本国内と四分されまして、その戦場の後方地域においてはいかなる支援も大変なことだという表現で議論なさっているわけでございますが、委員重々御承知だと思いますが、私どもが従前この問題についての一つの仕分けの基準として申し上げておりますいわゆる一体化の原則というものはどういうふうに説明していたかということを思い出していただきたいと思います。
  341. 聴濤弘

    聴濤弘君 知っています、四つあるんでしょう。
  342. 大森政輔

    政府委員(大森政輔君) すなわち、物資の補給・輸送あるいは……
  343. 聴濤弘

    聴濤弘君 私が言ったのは距離の問題を言っているんだよ。
  344. 大森政輔

    政府委員(大森政輔君) 医療活動等、それ自体は直接武力の行使に当たらない活動について、これが憲法九条との関係で許されない行為に該当するかどうかということにつきましては、他国による武力の行使と一体となるような行動としてこれを行うかどうかによって決すべきであるというふうに考えているわけであります。  そして、この他国による武力の行使と一体をなす行動に該当するかどうかということにつきましては、四つの基準、四つの要素、すなわち、まず戦闘活動が行われているまたは行われようとしている地点と当該活動がされる場所との地理的関係、これが先ほど分類された地域に関する問題だと思います。そのほかに、当該行動の具体的内容とか、他国の武力の行使の任にあるものとの関係の密接性とか、協力しようとする相手方の活動の現況とか、これはあくまで代表例示でございまして、これらの諸般の事情を総合的に勘案して個々的に判断さるべき問題であると、このように申し上げているわけでございます。  その地域が戦闘地域の、戦場の後方地域であると、そこの地域で行われるということだけでその一体として行われるかどうかを判断すべき性質の問題ではないということを御理解いただきたいと思います。
  345. 聴濤弘

    聴濤弘君 四つの問題があるということを私はよく知っているんですよ。だからこそ、私は距離の問題ということでずっと議論をしてきているんです。そこいらでひっかき回して四つあるなんて言ったって、私には通用しないということだけはっきり言っておきます。  それじゃ、武力の行使と一体になるのか一体にならないのか、まさに今度は支援の内容の問題について、これから私は質問をいたします。  それは先ほど総理がいみじくももう既に言われたんだが、機雷掃海の問題です。ガイドラインの見直しの中で、支援の具体的な内容として輸送だとか補給だとか整備だとかいろんなことが言われておりますけれども、機雷掃海もこのガイドラインの見直しの中で検討されているんですか。
  346. 秋山昌廣

    政府委員秋山昌廣君) 現在、米軍に対する支援の機能ですとか、あるいはどういった分野があるか、あるいは米軍の日本に対する支援の要請といいますかニーズといったようなものでそういった議論をしている最中でございますが、その中に機雷の掃海の問題も入り得ると思っております。
  347. 聴濤弘

    聴濤弘君 含まれているということでありますが、自衛隊がこれまで掃海艇を海外に出したのは湾岸戦争終了後のあのペルシャ湾でした。イラン・イラク戦争のときは、さっき総理がいろいろ言われましたけれども、あのときは出ませんでした。  そのペルシャ湾に掃海艇が出たとき、政府は、これは憲法には違反しない、そういう政府声明を発表されました。どういう論拠で憲法違反に当たらないと国民に説明をされましたか。
  348. 大森政輔

    政府委員(大森政輔君) あの当時、すなわち掃海艇を派遣いたしましたのは、いわゆる湾岸戦争が終結いたしまして、ペルシャ湾に遺棄された機雷が我が国を初めとする船舶の航行の安全に重大な支障をなお及ぼし続けているという状況のもとで派遣したわけでございますが、そのときにいろいろな場でいろいろな御質問を受け、また内閣として質問主意書に対する答弁書も出されたわけです、その前にも機雷に関してはなされているわけですが。  要するに、あのときに関しましては、遺棄された機雷については外国による武力行使の一環としての意味を失っているところから、これを除去する行為はその外国に対する戦闘行為ではなく、単に海上の危険な妨害物を除去するというものであって武力行使には当たらない、そういうふうに考えたわけでございます。  したがいまして、公海上に遺棄されたと認められる機雷について、それが我が国の船舶の航行の安全にとって障害となっている場合には、その航行の安全を確保するために自衛隊法第九十九条に基づき自衛隊がこの除去に当たることは憲法上何ら問題がない、大体この旨のお答えをしてきたわけでございます。
  349. 聴濤弘

    聴濤弘君 要するに、そのときの政府声明では、平和が回復した、そして遺棄されて、すなわち捨てられている、それを掃海するので違憲ではないと、そういうことだったと思います。  ところが、今問題になっているのは全然次元が違います。別次元の機雷掃海であります。というのは、有事の際、すなわち戦争が行われている、そのときに相手国が戦闘行為の一環として自己の防衛のために機雷を敷設する、その機雷を除去しようという、これは全然前の場合とは次元の違う問題です。こういうときに、自己防衛のためのそういう機雷を、自衛隊が出ていってそして掃海をするということ、この行為は戦争行為だと言わざるを得ないと思うんですね。そして、これは海外における武力行使を禁止した憲法に反してくると、こういうふうに思わざるを得ないんですが、いかがですか。
  350. 大森政輔

    政府委員(大森政輔君) ただいま有事の際、戦闘が付近で行われている際にという条件のもとでのお尋ねでございますが、先ほどお答えいたしましたように、いろいろ諸般の事情を総合判断すべき事柄ではございますので、ただいまの設例に対する端的なお答えは差し控えたいと思います。  ただ、一般論として申し上げますと、外国により武力攻撃の一環として敷設されている機雷を除去する行為、それは一般論としては確かにその外国に対する武力の行使に当たることになろうかと思います。したがいまして、そのような行為は、我が憲法のもとにおきましては、いわゆる自衛権発動の三要件が満たされているような場合に自衛権の発動として許される場合はともかくとして、それ以外の場合には認められないということにこれは一般論としてはなろうかと思います。  しかし、具体的な場合についてのお答えは差し控えたいと思います。
  351. 聴濤弘

    聴濤弘君 一般理論的なことでそういうことだとおっしゃったことについて、私はしっかりと留意したいと思います。  現にアメリカは日本に対して機雷掃海をやってくれという要請を出している。この前の、昨年の十一月NHKで放映されましたインタビューで、米軍のカーツ掃海艦司令官が、アメリカの掃海能力というのは西太平洋すべてをカバーするだけの力を持っていない、だからどうしても極東有事の際には自衛隊の協力が必要である、こういうふうに述べております。  今の一般論から言えば法制局長官が今おっしゃったとおりだ。そうしたら、こういう要求に対してはこれはきっぱりと日本は拒否をいたしますね。
  352. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) いずれにいたしましても、私ども、ガイドラインの検討を進めます場合にも我が国憲法の範囲内でやるのは当然でございますので、その具体的なケースについてどうなのかはまたいろいろ検討してまいりたいと思います。
  353. 聴濤弘

    聴濤弘君 憲法の範囲内でと、その言葉をそれだけただ形容詞句的に言われたって、中身の問題として一般理論としても、ちゃんと先ほど法制局長官ああいうふうにお答えになったんですよ。今のように、相手が戦争をやっているんですよ、有事の際というんですから。ですから、それに対して対機雷作戦をやるということは戦争行為であることは間違いないんで、それをやってはならないというのが日本国憲法なわけでしょう。それなのに日本国憲法の枠内でやりますと……(発言する者あり)自衛権の問題じゃないですよ。それで、そういう問題をただただ憲法の枠内でやりますという言葉で言われても、これは国民は絶対納得いたしません。どうですか。
  354. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 先ほど法制局長官からも御答弁ございましたように、やはり具体的なケースを見なくては一概には言えないわけでございます。それにまた、有事という言葉も厳密な定義があるわけじゃございません。  しかし、いずれにいたしましても、我が国の周辺の地域におきまして我が国の平和と安全に重要な影響を与えるような事態発生した場合には、これは我が国としてみずからの平和と安全にかかわる問題として、憲法の範囲内でいろいろ対応することがあり得るということは当然でございます。
  355. 聴濤弘

    聴濤弘君 では、確認しますが、あり得るということですね、そういう機雷掃海というのは。
  356. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 我が国の憲法の範囲内でも我が国みずからの平和と安全を守るためにはいろいろな行動をとることは可能であろう、こう考える次第でございます。  ただ、委員が今御指摘された米国人が述べているケースについてあれこれ申し上げているわけではございません、そのような問題が具体的に我々に提起されているわけじゃございませんから。
  357. 聴濤弘

    聴濤弘君 米軍からそういう提起が今されていないということをおっしゃったようでありますが、実際それが検討されているのが現実なんじゃないんですか。これは質問じゃございません。  私は最後に、現実に過去にこういう問題があって、日本でやっぱり大きな問題になったということについて触れたいと思うんです。  かつて朝鮮戦争のときに、日本の海上保安庁が米軍を主体とする国連軍に編入されまして朝鮮海域に派遣されました。そして、機雷掃海を行いました。掃海艇二十六隻、それから大型試航船と合わせると四十六隻、約千二百名が参加をして、一九五〇年十月二日から十二月十二日まで掃海活動を行いました。死傷者まで出ました。  このことは、私ここに本を持ってきておりますけれども、ジェイムズ・アワー元米軍の政治顧問ですね、この「よみがえる日本海軍」とか、当時の海上保安庁の長官である大久保武雄氏の「海鳴りの日々」といった本に書かれておる。これは全くの事実であります。  このことが一九九一年の四月に国会で問題になりました。参議院の内閣委員会です。そして、現在の憲法があるもとでこんなことがどうして行われるのか、こんなことがどうして可能なのかということが質問をされました。それに対して、その当時は大森法制局部長だったんですが、現在の大森長官です。これどうお答えになったか覚えていらっしゃいますか。
  358. 大森政輔

    政府委員(大森政輔君) 多分、私が法制局の第一部長当時に他の委員からお尋ねがあり、それに対しまして答えたことに関することであろうと思いますが、残念ながら、当時は、日本国憲法は施行されておりましたけれども、連合国の占領下にあったと。そして、連合国最高司令官の指令に基づいて出動したという経過があったようでございまして、日本国憲法が一〇〇%実効性を持って機能していたわけじゃございませんので、現在と当時とは結論が異なってもいたし方がない。非常に残念なことではございますけれども、そういう状況下にあったということを、ほぼそういう趣旨のことをお答えしたように記憶しております。
  359. 聴濤弘

    聴濤弘君 私も議事録を精査しましたら、長官が今おっしゃったとおりの内容の御答弁でございました。占領下でやむを得なかったということなんです、一言で言うと。  そうすると、今は占領下ではないわけですね。ですから、憲法に反することは明白なんです。やらない、やるべきではないということはこの事例から明白だと思うんですが、いかがですか。
  360. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 今お話のありました件は、我が国が占領下にある時代に起きました個別具体的な事例でございます。全くそれと同じようなケースを今の段階で想定してあれこれということを申し上げるのは必ずしも適切ではないと考える次第でございます。  いずれにいたしましても、私ども、そのガイドラインの中で検討してまいりますのは、我が国の安全を守るために、あるいは我が国周辺地域でのいろいろな緊急事態に対して、日米協力していく上においてどういうことを行うことが必要であろうか、そしてまたそれは憲法の範囲内で可能であろうか、そういったことを検討してまいる次第でございます。
  361. 聴濤弘

    聴濤弘君 日本の有事の際じゃなくて、日本以外のところの地域の有事のところで起こっておる問題なんであって、その一つの事例が既にあったと。そして、それは現在でいえば憲法に反してくることになるということを言っているのに、そんな事例が起こるかどうかわからないと、そういうような答弁で逃げるのはこれはよろしくないですよ。  私は、機雷掃海という問題が支援の行動の中に入っているということを否定されないということはこれは極めて重大なことであり、自衛隊自身の武力行使であって、先ほど久間防衛庁長官は米軍との武力行使の一体ということをおっしゃったけれども、そうじゃなくて自衛隊自身の武力行使ですからね、この機雷封鎖を解除するということは。そういうことが行われるということは断じて憲法の観点からは許されない。だから、ガイドラインの見直しを中止する、そしてまた特に機雷掃海という課題は検討課題からおろすということを要求して、私の質問を終わるものであります。
  362. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 以上で西山登紀子君の質疑は終了いたしました。(拍手)  明日は午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十八分散会