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1997-03-11 第140回国会 参議院 予算委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年三月十一日(火曜日)    午前十時開会     ―――――――――――――    委員の異動  三月十日     辞任         補欠選任      石渡 清元君     楢崎 泰昌君      及川 一夫君     三重野栄子君      西山登紀子君     阿部 幸代君  三月十一日     辞任         補欠選任      三重野栄子君     渕上 貞雄君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長        大河原太一郎君     理事                 片山虎之助君                 佐藤 静雄君                 斎藤 文夫君                 田沢 智治君                 木庭健太郎君                 都築  譲君                 横尾 和伸君                 山本 正和君                 有働 正治君     委員                 阿部 正俊君                 板垣  正君                 加藤 紀文君                 金田 勝年君                 久世 公堯君                 沓掛 哲男君                 関根 則之君                 竹山  裕君                 武見 敬三君                 谷川 秀善君                 楢崎 泰昌君                 成瀬 守重君                 野間  赳君                 真鍋 賢二君                 依田 智治君                 石田 美栄君                 市川 一朗君                 牛嶋  正君                 菅川 健二君                 田村 秀昭君                 高野 博師君                 高橋 令則君                 長谷川道郎君                 浜四津敏子君                 大渕 絹子君                 清水 澄子君                 照屋 寛徳君                 渕上 貞雄君                 三重野栄子君                 川橋 幸子君                 小島 慶三君                 本岡 昭次君                 藁科 滿治君                 阿部 幸代君                 笠井  亮君                 山田 俊昭君    国務大臣        内閣総理大臣   橋本龍太郎君        法 務 大 臣  松浦  功君        外 務 大 臣  池田 行彦君        大 蔵 大 臣  三塚  博君        文 部 大 臣  小杉  隆君        厚 生 大 臣  小泉純一郎君        農林水産大臣   藤本 孝雄君        通商産業大臣   佐藤 信二君        運 輸 大 臣  古賀  誠君        郵 政 大 臣  堀之内久男君        労 働 大 臣  岡野  裕君        建 設 大 臣  亀井 静香君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    白川 勝彦君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 梶山 静六君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  武藤 嘉文君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)        (沖縄開発庁長        官)       稲垣 実男君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  久間 章生君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       麻生 太郎君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       近岡理一郎君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  石井 道子君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  伊藤 公介君    政府委員        内閣参事官        兼内閣総理大臣        官房人事課長   安富 正文君        内閣官房内閣内        政審議室長        兼内閣総理大臣        官房内政審議室        長        田波 耕治君        内閣審議官    及川 耕造君        内閣法制局長官  大森 政輔君        内閣法制局第一        部長       秋山  收君        人事院総裁    弥富啓之助君        人事院事務総局        管理局長     尾木  雄君        人事院事務総局        任用局長     角野 敬明君        人事院事務総局        職員局長     佐藤  信君        内閣総理大臣官        房管理室長    榊   誠君        警察庁刑事局長  佐藤 英彦君        総務庁人事局長  菊池 光興君        防衛庁参事官   澤  宏紀君        防衛庁経理局長  佐藤  謙君        防衛施設庁長官  諸冨 増夫君        防衛施設庁施設        部長       首藤 新悟君        防衛施設庁建設        部長       竹永 三英君        科学技術庁長官        官房長      沖村 憲樹君        科学技術庁長官        官房審議官    興  直孝君        科学技術庁研究        開発局長     落合 俊雄君        科学技術庁原子        力安全局長    池田  要君        環境庁企画調整        局地球環境部長  浜中 裕徳君        環境庁水質保全        局長       渡辺 好明君        沖縄開発庁総務        局長       嘉手川 勇君        国土庁土地局長  窪田  武君        法務大臣官房長  頃安 健司君        法務省民事局長  濱崎 恭生君        法務省刑事局長  原田 明夫君        外務省アジア局        長        加藤 良三君        外務省北米局長  折田 正樹君        外務省条約局長  林   暘君        大蔵省主計局長  小村  武君        大蔵省主税局長  薄井 信明君        大蔵省理財局長  伏屋 和彦君        大蔵省証券局長  長野 厖士君        大蔵省銀行局長  山口 公生君        大蔵省銀行局保        険部長      福田  誠君        大蔵省国際金融        局長       榊原 英資君        国税庁次長    堀田 隆夫君        文部大臣官房長  佐藤 禎一君        文部省学術国際        局長       林田 英樹君        厚生大臣官房総        務審議官     中西 明典君        厚生省健康対策        局長       谷  修一君        厚生省社会・援        護局長      亀田 克彦君        農林水産大臣官        房長       堤  英隆君        農林水産大臣官        房総務審議官   石原  葵君        農林水産省構造        改善局長     山本  徹君        農林水産省農産        園芸局長     高木  賢君        水産庁長官    嶌田 道夫君        通商産業大臣官        房長       広瀬 勝貞君        通商産業省環境        立地局長     稲川 泰弘君        資源エネルギー        庁長官      江崎  格君        運輸省自動車交        通局長      荒谷 俊昭君        郵政大臣官房総        務審議官     高田 昭義君        郵政省貯金局長  品川 萬里君        郵政省簡易保険        局長       金澤  薫君        郵政省放送行政        局長       楠田 修司君        労働大臣官房長  渡邊  信君        労働省職業安定        局長       征矢 紀臣君        建設省都市局長  木下 博夫君        建設省河川局長  尾田 栄章君        自治大臣官房長  谷合 靖夫君        自治大臣官房総        務審議官     嶋津  昭君        自治省行政局公        務員部長     芳山 達郎君        自治省行政局選        挙部長      牧之内隆久君        自治省税務局長  湊  和夫君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局総務局長   涌井 紀夫君    事務局側        常任委員会専門        員        宮本 武夫君    参考人        日本銀行総裁  松下康雄君   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○平成九年度一般会計予算内閣提出、衆議院送  付) ○平成九年度特別会計予算内閣提出、衆議院送  付) ○平成九年度政府関係機関予算内閣提出、衆議 院送付)     ―――――――――――――
  2. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成九年度総予算三案の審査のため、本日の委員会日本銀行総裁松下康雄君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
  4. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 平成九年度一般会計予算平成九年度特別会計予算平成九年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  昨日に引き続き、総括質疑を行います。楢崎泰昌君。
  5. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 きょうは、いわゆる日本版ビッグバンというものを中心として質問させていただきたいというぐあいに思っております。  昨年の十一月十一日、橋本総理は、内閣の最重要課題改革一つとして、金融システム改革に全力を挙げて取り組む決意を表明されました。日本版ビッグバンとも言うべき金融システム改革は、我が国経済社会の活力ある発展のために必要とされている六つの改革、そのうちの重要な一つとして位置づけられ、我が国金融市場が二〇〇一年までにニューヨークロンドン並み国際市場として復権するよう、フリー、フェア、グローバルの三原則に沿って、金融システムの安定に細心の注意を払いつつ、きめ細かく改革を推進するものと理解をさせていただいています。  金融を取り巻く環境を見ますと、不良債権問題があります。また、アジア諸国の急追ということもあります。そのような背景の中で、我が国金融市場空洞化現象もまた指摘されているところであります。効率的かつ良質の金融サービスを享受できる魅力ある市場とするためにも、透明性自己責任原則、あるいは市場原理に基づく公正な自由競争といったグローバルスタンダードに沿った金融システムを早期に構築すべきであるという基本認識は全く異論のないところであります。  しかしながら、こうした改革を進めるに当たっては、総理が申されたように金融市場が混乱することなく行うということが必要不可欠の条件であります。また、その影響度合いも十分に見きわめていかなければならないと思います。  最初に、総理に、日本版ビッグバン金融システム改革に取り組む決意のほどをお伺いできれば幸いだと思います。
  6. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 就任以来、日本金融システムに問題がある、そしてそれは以前から続いておりました日米金融協議、あるいは私の就任時非常に論議が白熱をいたしておりました保険分野における我が国アメリカの考え方、こうしたことを踏まえまして、いずれにしても金融システム改革にはどこかで踏み切らなければならない、そのような思いを持っておりました。  ちょうど昨年の夏ぐらいから、ヨーロッパのお客様を非常にたくさん我が国は迎えたわけでありますけれども、その中で、新たな基軸通貨としてのユーロの誕生というものに、私どもが予測をしておりましたあるいはその情報として聞いておりました以上に非常に強い決意を持って臨んでいる、これなら間違いなく強いユーロが生まれるであろう。  その場合、基軸通貨が二つ生まれるわけでありますけれども、その中でむざむざ円がローカルカレンシーという立場に置かれて果たしていいんだろうか。さらに、アジアにおいて、基軸通貨とはあえて私は申し上げるつもりはありませんけれども、他の二つの基軸通貨に比して安定した通貨が存在しない、これはアジアにとっても非常に不幸なことです。そのような思いを実現するとすればこの時期に金融システム改革に踏み切る以外にない、それが私自身が考えたこのもとでございます。  今回外国為替管理法外為制度の抜本的な見直しを法案の形で国会お願いを申し上げておりますが、これはまさにその金融システム改革の第一走者に当たる部分であります。これを契機として引き続いてさまざまな金融システム改革を行うことによりまして、利用される方々にも多様な商品サービス選択が可能になりますし、あるいは各金融機関は当然のことながら、その時点において護送船団方式などというものは通用しなくなりますから、みずからの創意工夫を生かしながらお客さまのニーズに合致したより多様な金融サービスを提供することが可能になる、そしてビジネスチャンスも拡大すると思っております。そして同時に、各金融機関それぞれにおいては実は規制に安住する経営が許されなくなるということでもあります。そして、市場で資金を運用される方々自己責任というものが非常にしっかりと求められる状況になります。  それだけに、今後一層それぞれの特色を生かしながらお客様ニーズに合致した多様な金融商品サービスを提供することが当然のことながら金融機関には求められるわけでありまして、こうした問題意識を持っていただくことによって経営戦略を見直される、あるいは経営合理化効率化に真剣に取り組んでいかれる、そうした状態が生まれるであろうということも期待をいたしております。  こうしたことを頭に描きながら、今回の金融システム改革ということを世に問う決心をいたしました。
  7. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 今、総理から概括的な御説明がございました。決意のほどをお伺いしたわけですけれども、先ほどのお話の中にございますように、外国為替法改正というのがファーストランナーだ、フロントランナーだというお話がございました。これは既に国会に提出され、国会審議が始まるところでございますが、来年の四月から、資本取引自由化だとか業務自由化であるとかあるいは投資自由化というようなことがここでなされているわけです。  これは相当徹底した外国為替法改正のように思われます。むしろ笑い話になるかもしれませんけれども、大蔵省もここまでできるかねと言ったんだけれども、実は総理のお励ましがあってここまでできたんだというぐあいに承っております。しかし、これはやってみると、総理が今言われたように非常に深刻な影響を国内外に及ぼす大事件、徹底した大改革であるというぐあいに思うんです。外為法改正が提出されたということで、金融改革はもう後ずさりができないという状態にまで追い込まれているように思います。  これに関連して、国内市場空洞化ということを盛んに心配している向きが多いと思いますが、大蔵大臣、いかがでございましょうか、これの影響はどのように及ぶとお考えでしょうか。
  8. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 御案内のとおり改革は痛みを伴います。同時に、経済国家としての我が日本が、総理が言われましたとおり、ニューヨークロンドンと共有の目的を持って資産運用体制ができ上がるという究極の場面を考えますと、日本経済はそれを起点に安定した発展に進みますことは間違いございません。  御指摘のように外為法改正企業や個人が自由に海外預金やクロスボーダーの証券取引などを行うことに相なります。多様な商品サービスの中から幅広い選択をすることが可能になりますから、そういう意味国民生活にまた企業活動にプラスをもたらすという一面がございます。さらに、金融機関はみずからの創意工夫を生かしながら、顧客のニーズに合致した多様な金融サービスを提供する創意工夫というものが要求されてまいります。  既に海外に流出しております企業金融取引東京市場に戻ってくるように、みずからの努力、多様なサービスの提供、こういうことで取り組んでいただくことによって、御心配向きは相当緩和され、進むに従いまして安定した市場になるのではないでしょうか。  私は、外為法改正が提出される論議の中で、委員指摘のような御心配も承りました。資本海外投資につながるのではないか、こういう御意見、多数ございました。必ずしも私はそのように思っておりません。金融システム改革を全体として着実に進めていくことによって、御指摘の自由であり、公正であり、国際的、いわゆるグローバルスタンダードに根差すということで、我が国金融市場というものは肩を並べ、競争的な共存の中で繁栄をしていかなければならぬと思いますし、そのような視点も十分留意しながら取り組んでおるつもりであります。
  9. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 大蔵大臣は、外国為替改革に際して、金融市場等について細心の注意を払いそして政策を実行したいというぐあいに仰せになっておられます。それはそのとおりだと思いますが、それについては手順とそれから各種の証券市場あるいは金融市場についての改革がどうしても必要になってくるわけでございます。それらの詳細について若干御質問を申し上げたいというぐあいに思います。  仰せになりましたように、我が国外国為替改革によって一番最初に大きな変革が加わってくるのは証券市場だと思います。いわゆるアメリカのメーデーと言われる証券市場改革、あるいはイギリスビッグバンと言われる改革、いずれも証券市場中心として行われたものであります。  若干数字を挙げて恐縮ですけれども、アメリカあるいはイギリス証券市場改革が進んだ結果として、我が国は十年ないし二十年おくれちゃったんだというぐあいに言われています。例えば一九八七年、昭和六十二年ですけれども、そのときの東京株式市場で扱っている売買代金というものは、東京が一兆七千五百八十億ドル、それに対してニューヨークは一兆八千八百九十億ドル、ほぼ肩を並べていたんですね。そのときにロンドンは三千百七十億ドルという規模のものであって、書ってみれば横綱――横綱と言えるかどうかわかりませんが、横綱と十両ぐらいの差があったんです。  ところが、一九九五年になりますと、要するに証券市場改革が行われた後になってみますと、東京は何と八千八百九十億ドル。一兆七千億ドルあったんです。五一%になっちゃっているんです、東京市場は。ニューヨークはどうかといえば、三兆八百三十億ドルで六三%増ということです。ロンドンは、驚くなかれ、三千百七十億ドルの売買代金が一兆一千二百八十億ドル、三五六%という状態で、ロンドン市場の活況は目をみはるものがあるんです。  そのために、橋本総理は御決心をいろいろなさったんだというぐあいに思いますが、そういうことを見ると、外為法改正に伴いまして行われることは一体何かといえば、先ほど総理がちょっと言われましたけれども、有利な商品外国から入ってくればすぐ外に行っちゃうということが第一です。第二は、手数料、流通のいろんなサービス対価、どこで商売をするにしてもサービス対価、それが外国金融機関の方が安ければそっちへ行っちゃうという事実。それから、まあそう言ってはなんですけれども、投資の機会にどうしても税金というものが絡んできます。それが外国の方が安ければ外国に逃げちゃう。その三つの面を見ても、外為市場の開放というのは、自由化というのは非常に恐ろしい急激な変化というものを伴っているように思います。  そういう意味では、有取税の廃止だとかあるいは取引所税廃止であるとか、それからこれは業務の話ですけれども、証券総合口座導入であるとか、手数料自由化であるとか、あるいはこれは取引手段としてラップ勘定導入一任勘定規制緩和等欧米並み規制緩和が必要になってくるというぐあいに考えますが、大蔵大臣、それらについて十分な御用意がおありでしょうか。
  10. 三塚博

    国務大臣三塚博君) グローバルスタンダードというのが今日の国際金融市場の重要な柱でありますことは御案内のとおり。そして、公正で自由でなければならないと。ハンディを負ってスタートを切れば、楢崎委員言われますとおり、ハンディのない有利なところに、水が高きから低きに流れますようにお金も流れていくことだけは原理であります。  よって、この東京市場活性化のためにやらなければなりませんことは、言われました手数料の問題、有取税の問題、以下商品サービスに関しましての商品と続くわけでございまして、市場における税制全体を真剣に検討しながら対応していかなければなりません。よって、関係審議会に早急にいわゆる外国市場の諸状況を御調査いただきながら、その中で出てきた問題を消化していくためにどう進めたらいいのかと、こういう段取りになるわけでございますが、私は、証券取引審議会に対しまして、手数料の問題などにつきましても精力的な御審議お願い申し上げております。  有取税の問題についてもたびたび論議が行われてまいりましたが、本件も、キャピタルゲイン課税という問題もございまして、その相互関係を見きわめながら、そして対応できるような我が国市場を構成するために、関係審議会にこれまた真剣な御論議、同時に事務方に対しても展望を大きく見開いた形の中で取り組んでいただくようお願いを申し上げております。いわゆる欧米の例や外為取引制度、実務を踏まえつつ早急に検討を進め、所要の立法措置の準備を進めてまいりたいと考えております。
  11. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 今、大蔵大臣の御答弁は、大きな視点証券市場活性化というのを図るんだというお話でございました。有取税、取引所税、これは世界に類を見ないと言うと言い過ぎですけれども、世界グローバルスタンダードからいえば十分この問題は配慮しておやりになる、また御検討なすっておられる決意と拝察をいたします。  そのほかに、ストックオプションの解禁だとか利益による自己株式消却規則緩和というような問題もあります。これは商法に関連しますので法務大臣が所管されていると思いますが、特に橋本総理が法務大臣をお呼びになってこの点も検討するように御指示をなさったというぐあいに聞いていますが、法務大臣、検討は進んでおりますか、また決意のほどはいかがですか。
  12. 松浦功

    国務大臣(松浦功君) 御指摘の問題につきましては、まさに委員のおっしゃるとおり、市場活性化のためには極めて重要な問題であろうと考えておりますし、またそういった要請も業界にもあるようでございます。そういう点を踏まえまして、大蔵省と十分協議をいたした上で成案を得たいと考えております。  私どもとしては、ともかくこれが前向きに進むようにということで、新たな立法ということを頭に置いて事務当局を督励しているところでございます。御了承願いたいと思います。
  13. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 法務大臣のお話を承っても、十分証券業界の問題点を意識されて真剣に取り組んでおられるというぐあいに理解をいたします。証券業界の問題は、ともかく為替の自由化、その辺と平仄を合わせてできる限り早くやらなきゃいけないというぐあいに思いますが、いかがでしょうか。  例えば、来年の四月一日に外為が自由化されます。外為法改正が実現をいたします。実現をいたしますというのは、国会で議決しなければ、法律案にしなきゃできないわけですけれども。それにあわせて私はやるべきだと思いますが、大蔵大臣はいかがでしょうか。
  14. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 御指摘のとおり、外為法が成立をいたしますと、四月一日からオープンでございますから、これに対応する諸制度は御指摘のとおりになります。そのように諸制度をこれもグローバルスタンダードで取り決めていかなければなりませんので、先ほど申し上げましたとおり欧米の例や外為取引制度、実務を踏まえた早急な検討は今行っておるところであります。  証券税制については、法律提案の前に政府税調がございます。また、与党の税制調査会がございます。こういう従前からのよき慣行を生かさせていただきまして、御説のとおりその辺を基本として取り組んでいくということになるのではないでしょうか。
  15. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 ぜひ今述べられたように早急に手を打って、外為法改正と平氏を合わせて証券業界の改革を進めていただきたいというぐあいに思います。  さて、今証券業界のお話を申し上げましたけれども、今度は金融業界、いわゆる銀行を中心とした金融業界についてお尋ねをしたいと思います。  金融業界の自由化というのは相当早くから、昭和五十年代から少しずつ手をつけているんですね。しかしなかなか改革が前進をしないという問題がございます。  現在においてもいろいろ論議をされておりますのは、金融持ち株会社制度をどうするか、それから長信銀あるいは信託銀行のような専門金融機関制度にかかわる規制がございますが、この規制をどうするか、それからさらに言えば投信等の窓販問題というようなものもございます。資産担保証券、いわゆるABSというものですけれども、これも大きな問題として残されているんですが、金融業界で言われている大きな問題が二つあります。  それは、一つは不良債権の問題であります。不良債権の問題というのは、金融自由化が成るというけれども、金融自由化をするとしても銀行が大きな不良債権という重荷をしょっているんだ、重荷を一体どうするんだねという問題。それからさらに言えば金融業界、金融市場に公的資金が非常に大きなウエートを占めているではないか、それをどうするのかという二つの問題点でございます。  不良債権の方の話は、金融ビッグバンに際して、やっぱりこれの処理を前提として、前提としてと言うと言い過ぎかもしれませんけれども、この処理を十分に果たして金融業界の力をつけ、そして改革に臨まねばならぬということは皆意見が一致しているところですが、何といっても担保不動産の地価が低迷しているというところに問題点があるように思います。これをどういうぐあいに物事を考え整理していくのかということで、まず最初に、国土庁長官、現在の地価の動向はどうなっておりましょうか。
  16. 伊藤公介

    国務大臣(伊藤公介君) 昨年の十月一日からことしの一月一日までの地価動向を調べてみますと、優良な住宅地についてはほぼ横ばいの状況になってまいりました。商業地につきましてはやや下落傾向がまだございますけれども、その下落幅は極めて小さくなってまいりました。大都市圏の商業地は入居率が高まってきておりますし、また賃料も下げ幅がほとんどとまる、そういう状況になってまいりました。  そういう傾向の中で、最近の汐留であるとかあるいは品川、八重洲、大阪駅などのいわゆる国鉄の用地が入札をされる、そういうこともこうした傾向を受けているのではないかというふうに思っておりまして、私ども国土庁といたしましても、地価抑制から土地の有効利用へと、私たちはできるだけ土地が有効に利用されるという方向に向かってさまざまな努力をさせていただきたいというふうに思っております。
  17. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 今、国土庁長官が言われたように、土地の下落傾向は若干下がってとまりつつあるというようなぐあいに了解をいたします。しかし、今言われましたように、土地の問題は抑制ではなくて土地の有効利用を進めていくんだというお話でございますけれども、それだけではなかなか十分にいかない。やっぱり政府が土地問題について重要な関心を持ち、そして有効な手を打っていかなければならない状態になっているんではないかというぐあいに思っております。  土地の有効利用等について建設大臣は、先般容積率の話をなさいましたけれども、総体としてどのような土地政策を、土地政策というのか建設省としての土地問題についての取り組みを図られているか、お話し願えませんか。
  18. 亀井静香

    国務大臣(亀井静香君) まず、我が国は極めて限られた面積の国家、その中でいかに国土を有効的に利用していくかということが今後の経済の活性化の中におきましても、国民生活におきましても極めて大事なことであろうと思います。かつてのバブルの再現というようなことがあってはなりませんけれども、今のように土地が塩漬けにされて有効に利用されていないという状況はどうしても解消しなければならないと、そういう基本的な認識に立っております。  総理からも強い指示がございまして、建設省としては、現在のそうした土地の実態を踏まえて、目的別といいますか地域別にこれをいかに利用していくかという、そうした基本的なデザインに基づいてのそれぞれ必要な処置を講じたいということで先日容積率の緩和を打ち出したわけでございます。これも一律的に日照権その他も考えるべきではないという観点から打ち出したわけでもございますが、今後、遊休地等につきましても自治体等が防災公園なりいろいろな形でこれを活用していくという取り組みをいたす場合には、建設省といたしましてもそれを全面的に支援もしていKという形で安定的に土地が動いていくために努力をしたい、このように考えております。
  19. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 今、建設大臣が言われましたけれども、例えば公園や防災用地というようなところまで手を伸ばしてやりたい、また現に先行取得というような形でやっておられます。また、グリーンオアシス計画というものも動いているというぐあいに聞いていますけれども、どうもやり口が小さいですね。亀井大臣のような大きな人柄の人にはもう少しがっちりこの土地対策をやってもらいたいというぐあいに思うんです。  いかがですか、公共用地という制限があるように見えますけれども、もう少し大幅に土地の手当てと取得というようなものをお考えになりませんか。
  20. 亀井静香

    国務大臣(亀井静香君) かつて政府が公共用地の先行取得を支援するということで景気対策として実施をしたということもございますけれども、そうした景気対策的な配慮とあわせて、委員おっしゃいますように、やはり土地を国家、公共の観点から思い切って利用していくということは大事だと、このように考えております。先ほども御答弁申し上げましたように、我々といたしましては、国としてあるいは自治体としてそういうものを活用する方法につきまして努力をしていきたいと、このように考えております。
  21. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 やっぱり国の行政としてやるにはなかなか制限があるというぐあいに思いますけれども、防災とか公園とか、そういうものに範囲を広げてもう少し大幅に前広に物事を考えていっていただきたいというぐあいに思います。  金融サイドから言うと、実のことを言うと、銀行の持っている不良債権、そしてその根っこにある担保土地、こういうようなものについて証券化という問題があります。アメリカでは相当程度これが行われているというぐあいに聞いておりますけれども、そのような方向で物事を考え、担保不動産、不良債権の解消あるいは解消の一助にするようなお考えはありませんでしょうか。大蔵大臣、いかがでしょうか。
  22. 山口公生

    政府委員(山口公生君) 御指摘のように、証券化の促進を通じまして担保不動産のついている不良債権を処理する、あるいは担保不動産そのものの流動化を図るということは、我が国の経済が本格的に回復していく過程で大変重要なファンクションではないかというふうに思うわけでございます。  このために、規制緩和や現行の諸制度の見直しを含めまして検討を行うことなどを通じまして証券化策の多様化やその低コスト化を図ると同時に、また投資家の方にも魅力があるような証券化、商品の魅力を高めていく努力を至急やってまいりたいというふうに思っているわけでございます。
  23. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 その至急やっていきたいというお話で、至急やっての至急が問題なんですよ。やっぱりこれは時を失せずその施策をやってもらわなきゃいかぬというぐあいに考えますが、大蔵大臣の御決意はいかがでしょうか。
  24. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 御説のとおりでございまして、不良債権の流動化、担保不動産の効率的な管理、処分は、住宅金融債権管理機構などの債権回収機関が回収の実を上げていくという観点で努力をいたしておるところであります。大蔵省としても、関係官庁との連携を密にしながら、資産流動化についての連絡協議会を発足させております。そして後方支援をやっておるところでございます。  しかし、不良債権の基本的な解決という視点と土地政策という関連を委員は御指摘されておるわけであります。  国土庁長官が言われましたとおり、結論的に言えば地価は安定しておるのではないか、そういう答弁であったと思います。伊藤さん、そうですね。――そういうことであれば、国土政策の中で下げどまりということであれば、これまた税制全体を政府税調等に御審議をいただく等の措置をとりながら流動化を進めてまいりますことが土地の有効利用にも貢献するでありましょうし、我が国全体の経済の下支えになりますことは間違いないと思っております。
  25. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 今の大蔵大臣の御発言は極めて重要で、まさに十分な御覚悟を述べられたと思いますが、早急に検討を進められ、実現の方向に向かっていっていただきたいというぐあいに思います。  その次に、先ほどちょっと申し上げましたけれども、金融業界にとっての二つ目の問題点、すなわち公的資金の存在の話でございます。  個人の資産は千二百兆円あるというぐあいに一般的に言われています。内訳を言うと、千二百兆円のうち、預貯金に六百二十兆円、保険が三百兆円、そして株式、社債等が二百六十兆円。株式、社債が非常に小さいのは日本の特徴で、預貯金が大きい。これはアメリカに比べると極めて特徴的なようです。  いずれにしても、預貯金六百二十兆円あるんですが、実は二百十兆円ないし二百二十兆円は郵便局の貯金であるというぐあいに統計上出ています。また、保険が三百兆円あると言っていますが、いわゆる厚生年金等を別にしますと二百四十兆円が個人保険に属しているように聞いておりますが、そのうちの百兆円が簡易生命保険の資産なんですね。  大変失礼ですが、私はこの問題を厚生大臣と郵政大臣の論争というような形で物事を考えるのではなくて、むしろこの大きな金融市場のうち三分の一を公的資金が占めている、そうするとそのために金融市場に対する阻害要因になるのではないかと。これは金融業界にずっといろいろな話を聞いてみますと、金融機関はほぼ一様にそういうことをおっしゃるんですね。それじゃ、金融ビッグバンといっても金融市場メカニズムが十分には動かないんじゃないか。例えば、ある人は郵貯や簡保のことを池の中の鯨であると。要するに、池の中に鯨が入っちゃったと。それはずうたいが大きいばかりじゃなくて、一暴れすると小さなコイやフナは全部すっ飛ばされちゃうんですね。それから、池の中の栄養を全部食べちゃうというようなことを多分言っているんだろうというぐあいに思います。  いずれにしても、この肥大化した公的資金の存在というものが金融改革で避けて通れないのではないか。先ほど申し上げたように、これを民営化するとかなんとかという議論じゃなくて、その存在を直視してどういうぐあいに物事を考えていくのかということだと思いますが、極めて基本的なので、総理大臣に御感想があればお話を願いたいと思いますが、いかがでしょうか。
  26. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 我が国の個人金融資産約千二百兆円と言われております。その中には、議員が今御指摘になりましたように、郵便貯金あるいは簡易生命保険など公的な機関に対する資産が含まれている。そしてその存在が極めて大きな課題である。その御指摘は私は全く否定をいたしません。  そして、それが財政投融資として活用されている中で、その財政投融資のあり方自体も今見直しを求められている。そして、その財政投融資を使用する機関としての立場での特殊法人、これは特殊法人は財投受け入れ機関でない部分についても見直しは必要です。しかし、財投受け入れ機関として問われている特殊法人の存在、その効率性、非効率性、さまざまな議論があることは私はそのとおりだと思うんです。言いかえるならば、入り口に郵貯、簡易保険、そして真ん中に財政投融資が存在して、出口に特殊法人がある、こういうとらえ方をなさる方もある。  私はこれを一概にどちらと結論づけはいたしませんが、少なくとも金融システム改革というものが、日本金融市場を二〇〇一年までにニューヨークロンドンに対比できるようなものにしていこう、そうした考えで取り組んでまいります以上、この問題を私は議論の中で避けて通ることはできないものだと、そのように思います。
  27. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 避けて通れないという意味ではそのとおりでございまして、十分御検討を願いたいと思います。  例えば簡易生命保険は百兆あるというふうに申し上げましたけれども、一年間で十兆ぐらいずつふえているんですね。十兆というのは総資産です。その総資産が十兆ふえているというのは、よく言われるんですけれども、大手の一角にあります明治生命の総資産と全く同額なんですね。百十五年間営々と築き上げた明治生命と同じものが一年間でひよいひょいと出てきちゃうということは極めて問題であろうと思います。  そこで、ちょっとそれよりもマイナーな問題で恐縮なんですけれども、配当準備金というのがあります。これは剰余金から積み上がったものであります、生命保険にとりましては。この配当準備金につきまして実は非常に苦情が来ておりまして、簡保の配当準備金は個人割り当てをしていないじゃないかと。生保はそれぞれの契約者に対して、あなたの配当金は幾らでございますという通知を個人個人にやっております。しかし、簡保は全然やっていないじゃないか、こういうことが指摘されていますが、郵政大臣、いかがでしょうか。
  28. 金澤薫

    政府委員(金澤薫君) 配当金についての御質問でございますけれども、配当金につきましては、簡保におきましては従来から満期日の前月に契約者に対しましてその情報を通知しているところでございます。  また、契約者から個々の保険契約の配当金につきまして照会がありましたときは郵便局の窓口等において回答しているところでございます。個々の契約者について配当金を年度ごとに積算いたしまして、全体としては満期に支給するということでございまして、配当金が不明確になっているということは一切ございません。
  29. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 私は、先ほど申し上げたように、大変申しわけないんですけれども、非常に大きくなり過ぎちゃったという側面があると思うんですね。しかし、大きくなったらなったでちゃんと自戒をして、そしてディスクロージャーとか何かをきちんとやるべきだというぐあいに思っているんです。ところが、配当準備金については、総体としては保険者に属することは、そんなことは当たり前で聞かなくたってわかっていることですが、個人に通知をしていないじゃないかということを言っているんですよ。もう一遍答弁してください。
  30. 金澤薫

    政府委員(金澤薫君) 先ほど申し上げましたように、配当時に通知しているというのがございます。それから、個々の保険契約者から照会があったときには回答をしているということでございます。また、平成六年度から七十五歳に達した高齢契約者に対しましては配当金も含めまして個別に内容を郵送しているところでございます。さらに、平成九年度からは、加入者サービスのより一層の向上を図りますため、全契約者に対して配当金や保障内容等の契約内容、それから制度改正等の内容、これを毎年定期的に郵送により御通知したいというふうに思っております。  先生おっしゃいますように、配当金についてのディスクロージャーというのは非常に重要でございまして、今後、平成九年度からは全契約者に対して郵送し、その内容が通知されるということでございます。
  31. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 したいということで、まだやっていないということなんですね。やっぱりディスクロージャーというのは非常に大事です、また権利の確定も大事です。ぜひその点を配慮して今後運営をしていっていただきたいというぐあいに思います。  次に、ちょっと場面を変えまして損害保険ですが、先ほど総理言われましたが、日米保険交渉が成立をいたしました。しかし、その結果としてアメリカの哲学が日本に押しつけられちゃって、どうも損害保険業界が非常に混乱を来しているという現実がございます。  例えば、本年九月からは年齢、性別、地域等で保険料を差別化するという自動車保険制度が導入をされる。それから、来年の七月には算定会がなくなって自由に火災保険がつけられるというようなことが日米協議で行われました。それでいいんでしょうか。  新聞によると、例えば十八歳の自動車保険料というのは、年齢別に細分すると現在二十九万円のものが九十六万円になっちゃうというんです。自動車代と同じなんですね、一年間の保険料が。十八歳というのは非常に保険事故が多いんです。そのために無保険車がどんどん出てくるだろうと。  アメリカでは二千四百万台が無保険車であると言われている。そして事故を起こしたときには大変な問題になっているというぐあいに聞いていますけれども、このような差別化料金というのは、どういうぐあいに物を考え、どういうぐあいにこれから措置しようとしているのか、お聞かせを願いたいと思います。
  32. 福田誠

    政府委員(福田誠君) お答えいたします。  委員指摘のとおり、昨年十二月の日米保険協議の決着文書におきまして、本年九月からリスク細分型の自動車保険を解禁すること、来年、平成十年七月までに算定会制度の改革を実施し、算定会料率の保険会社による使用義務を廃止すること等の措置が盛り込まれたところでございます。  これらの自由化措置によりまして保険会社はリスク区分を細分化し、保険料率を多様化した自動車保険を消費者に提供できることとなるわけでございます。ただ、その結果として、このような保険が普及いたしますと、片方では優良ドライバーの保険料が低下することが期待される反面、事故率の高い若年契約者等の保険料が大幅に上昇し、そのために任意保険における無保険車が増加するおそれがある等の御意見があることも承知いたしております。  この問題につきましては、当局といたしましては、ただいま申し上げた自由化措置の実施に際しまして、保険会社からの商品認可申請時におきまして料率算出方法の合理性、妥当性の審査等を通じまして、自動車保険商品の内容が不当に差別的なものとならないように、契約者保護とかあるいは被害者救済などの観点から必要な対応を行ってまいりたいと思っております。  なお、現在保険審議会で制度問題の一環といたしまして算定会改革等の措置についての検討が行われているところでございまして、そのような検討結果も踏まえて、御指摘のような問題が深刻にならないよう、自由化の実施に対応した適切な行政に最大限努めてまいりたいと存じます。
  33. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 今の御答弁は、いろんな問題点はあるかもしれないけれども、認可のときにしっかりやるよということに尽きると思うんですね。  私は、そのとおりだと思いますが、認可に際しては、どういう場合に認可をする、どういう場合には認可をしないという許可基準、これを明確にして厳正にやっていただきたいということが一つ。  それから、これは公平な認可というのが非常に重要なんですけれども、勘ぐって物を言いますが、外車だけを特別扱いにするというようなことはしないでしょうね。そういうことはいかがですか。
  34. 福田誠

    政府委員(福田誠君) 行政当局におきましては、保険業法の法令の規定に基づきまして審査をいたしますので、会社が外国か内国かによりまして差別をすることはございません。
  35. 楢崎泰昌

    楢崎泰昌君 時間が来ましたので、これはこれでやめますけれども、金融制度の改革は非常に重大な問題であります。これは、規制緩和の側面と業界参入の問題と二つの側面があります。前者に対しては速やかに、後者に対してはいろいろな細心の注意を払って緩やかにやっていただきたいというぐあいに思いますけれども、そのことを要望して、質問を終えさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  36. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 以上で楢暗泰昌君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  37. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 次に、横尾和伸君の質疑を行います。横尾和伸君。
  38. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 平成会の横尾和伸でございます。  本日は、まず、公益法人及び公益法人が設立する政治団体あるいはその関連団体、そういったものからの政治献金についての問題から始めさせていただきたいと思います。  政治家が政治献金を得るということ自体が悪いわけではありませんけれども、特に今の時期というのは消費税率のアップの前夜である、こういった景気の悪い、状況の悪いときに国民に負担を求めるという状況、さらに政党助成法による公費助成の制度も走り出している、そして相当な税金からの公費助成を私たちはいただいている、こういうことも踏まえまして、政治家としてどうあるべきかという観点から質問をさせていただきたいと思います。  早速ですけれども、ワタキューセイモア、寝具のリース会社で病院寝具政治連盟の中核企業ということでございますが、ここからの政治献金を総理及び小泉厚生大臣、これは厚生族ということなのか、余り予見を交えずにとりあえずお聞きしたいんですけれども、この献金について、昨年の末かことしの初めか、返却をしたということでございますが、これは返却したのかどうか、どのように返却したのか、お伺いしたいと思います。
  39. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今御指摘のワタキューセイモアが独占禁止法違反の疑いで警告を受けておりましたことを昨年十二月十日の新聞報道で知りまして、事務所に調べさせましたところ、九〇年以降、計六百万円の寄附を受けておりました。このうち、同社が独禁法違反に基づく警告を受けました九四年六月以降の寄附、計二百万円につきまして昨年十二月十日に事務所の者が返却をいたしました。
  40. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 小泉大臣にはまた次に。  ちょっと一緒に聞きます。総理にお伺いしたいんですけれども、その返した理由が、今おっしゃられた中で、六百万円のうち二百万円だけ返したと、その理由がよくわからないんですけれども、理由をもう一度お伺いしたいと思うんです。
  41. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今申し上げましたように、ワタキューセイモア株式会社が独占禁止法違反の疑いで警告を受けておりましたことを昨年十二月十日の新聞報道で知りまして、事務所に調べさせましたところ、九〇年以降、計六百万円の寄附を受けておりました。このうち、同社が独占禁止法違反に基づく警告を受けました九四年六月以降の寄附計二百万円につきまして昨年十二月十日に事務所の者が返却をいたしました。
  42. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 よくわからないのは、九四年の六月に公取から警告を受けて、それより以前か以後かということなんですけれども、警告を受けた後のものについては返す、警告を受けない前のものについては返さない、こういうことだと思うんですが、警告を受ける対象の行為というのは、実はその前の、警告を受ける前のことでございます。  したがって、私がお聞きしたいのは、言葉がどうかはあれですけれども、不正かあるいはいかがわしいものとわかったから返したのか、あるいはいかがわしいということが世の中にばれたから返したのか、この辺の違いが非常に微妙だと思うんですけれども、どちらなんでしょうか。
  43. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今繰り返し同じことを申し上げましたけれども、新聞報道によりまして、この会社が独占禁止法違反の警告を受けた、そこで、その事実を知った上で過去の献金を調べてみまして、警告を受けた以降のものを返却いたしました。
  44. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 警告を受けたから、それから以降は返却した、不正かどうか、いかがわしいお金かどうかという点ではないというお答えだと思います。  次に、同じ問題ですけれども、小泉大臣に、返したかどうか、どのように返したか、また返した理由についてお伺いいたします。
  45. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 平成七年九月七日にワタキューセイモア株式会社から二十万円の政治献金を受けていたことがわかりました。これについては、ワタキューセイモア株式会社が公正取引委員会から警告を受けた後のことであり、不適切であったと考え、平成八年十二月十日に返却いたしました。
  46. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 それでは、また返却のお話が続きますけれども、総理は研成会からの献金百万円を返却したということでございますが、これはいつ、どのように返却したのか、またその理由についてお伺いしたいと思います。
  47. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) ケンセイ会と言われましたが……
  48. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 いや、成研会。
  49. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) そうですね。  財団法人成研会から、平成七年の十二月、五十万円、平成八年八月、五十万円、寄附をいただいておりました。これは、支払い方法は新政治問題研究会の持つ口座への銀行振り込みだと聞いておりますが、国からの助成を受けている公益法人であることを知りまして、これは指摘を受けて知りまして、この百万円につきまして、本年一月二十日、私の事務所の者が成研会に赴いて直接現金で返還したと報告を受けております。
  50. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 百万円のうちの五十万円については違法の疑いがあり、五十万円については違法の疑いはないという報道がなされております。  つまり、これは政治資金規正法二十二条の三に違反するかどうかということだと思うんですが、これについては両方同じように疑いがあるということで、それが理由で返却をしたのかどうか確認をしたいと思います。
  51. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) これは、私の事務所でもって受けましたのが平成七年十二月十四日に五十万円、平成八年八月三十日に五十万円でありますが、いずれにせよ、この団体が助成を受けております、国庫補助金を受けております日時からいきますと、片方は厳密に言えば違反ではないのかもしれません。しかし、両方をお返しした方が気持ちがよかったので両方お返しをいたしました。
  52. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 気持ちがいいから返した、気持ちが悪いから返さないということを総理が言われたのですけれども、献金を返すとか返さないというのはそういう問題なのかどうか。  冒頭にお伺いした六百万円のうちの二百万円だけ返した、このことは気持ちが悪かったから六百万円のうちの二百万円に済ませた、このように聞こえるんですけれども、総理、いかがですか。
  53. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 民間の企業が独禁法違反という警告を受け、その警告を受ける前、後の問題と、公益法人が補助金を受けておりましたことを私は存ぜずにこの資金の受け入れをしておりましたが、公益法人に対するものとはおのずから差異はあってもよいと思います。
  54. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 これについてまたちょっと一つお伺いしたいと思うんですけれども、政治資金規正法の二十二条の三というのはどういうものか。その趣旨と、その違反で今問題になりましたけれども、その関係を御説明いただきたいと思います。
  55. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 政治資金規正法の二十二条の三は、国または地方公共団体から補助金を受けた団体が補助金の交付決定を受けてから年間は政治活動に関する寄附をしてはならないといったことなど規制いたしておりますが、これはこのような団体からの政治献金の収受というのは補助金の決定等をめぐりまして不明朗な関係を生じさせるおそれがあるということにかんがみまして設けられた規制であると承知をいたしております。
  56. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 先ほどの総理の答弁は、成研会だったですか、成研会が財団法人である、法人だから少し考え方が違うんだということに私は受けとめましたけれども、政治資金規正法の二十二条の三については非常に厳しい適用例があると聞いております。この例について御説明をいただきたいと思います。
  57. 原田明夫

    政府委員(原田明夫君) お答えを申し上げます。  政治資金規正法二十二条の三の違反といたしまして捜査、起訴された事件といたしまして、現在当局が把握している限りでは三重県から補助金の交付決定を受けた法人の会長らが政治団体に対しまして政治活動資金として現金百万円を寄附したという事案がございます。  この事案につきましては、昭和五十一年でございますが、検察庁等におきまして関係者三名を起訴いたしまして、そのうち拠出者側二名につきましては執行猶予つきの禁錮刑が、またそれが違反するものであるということで、寄附を受けた側といたしまして一人につきまして罰金刑が確定していると承知しております。
  58. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 先ほど総理が、百万円を返した、そのうちの五十万円は違法の疑いがある、その残りの五十万円は違うと、こういうことだったんですが、その疑いのある五十万円というのは今の例に匹敵するような可能性があるから返したんでしょうし、またその他についても気持ちが悪いと、こういうことで返されたということでございます。  これは大変厳しい運用が国民の側からは求められなければいけないと思いますけれども、同じように補助金を受けて一年以内、説明はともかく、つまりこれは補助金を受けて一年以内の公益法人から献金をもらった、それを返却した事例が最近新聞報道でなされておりますけれども、これは当局はどのように、当局なのか自治省なのか、どのように把握しておられるのか、お伺いいたします。
  59. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 新聞報道等では返却をした時期が定かになっておりませんけれども、仮に、返却をした時点が平成八年中であれば平成九年の三月三十一日までの収支報告書に記載をして提出する、平成九年に入ってからの返却であれば来年の三月三十一日までに提出する収支報告書に記載をするということになっておりまして、現段階では私どもはそういうような事実は確認できておりません。
  60. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 警察、捜査当局はこの重大問題、過去に起訴の事例があるようなこういう問題でございますが、どのような把握をされているのか伺います。
  61. 白川勝彦

    国務大臣(白川勝彦君) 自治大臣としてまた国家公安委員長としてお答えしたいと思うのでございますが、違法とか違法の疑いというのは、ちょっと議員は混同されているところがあると思うわけでございます。  政治資金規正法第二十二条の三の第一項は寄附した者から見たどういう場合に違法かということでございます。寄附する団体が一年以内に補助金等の交付を受けたことを知り、それは知っているわけですね、それが献金した場合に違法だという規定でございます。  一方、献金を受けた側につきましては、第六項に、その公益法人が補助金等の交付を受けたことを知りながら、そういう補助金等の交付を受けた団体であることを知りながら寄附を受けた場合に違法になるわけでございまして、その認識がなければ少なくともこの政治資金規正法第二十二条の三の第六項には違反にならないわけでございます。  ただ、そういう事実を仮に知らないとしても寄附側が法に違反することであるならば、そういう事情にかんがみて返済するということはあり得るんじゃないんでしょうか。
  62. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 答えになっていないじゃないか。どういう状況の把握をしているか。聞いていないことを答えてもしようがないよ。
  63. 白川勝彦

    国務大臣(白川勝彦君) ですから、まず犯罪の構成要件に該当しないことを捜査当局が一々犯罪の疑いを持って捜査するということはあり得ないということであります。
  64. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 新聞によりますと、自民党の長勢議員、石川議員、持永議員、具体的に名前が出ております。私、別にあえて名前を出したいわけじゃないんですけれども、こういった名前が出ている以上、やっぱりこれはおかしな、もし事実以上に悪い評価がなされるという可能性があればこれは明確にしていくのが社会的にはいいことだと思うんですよ。  そういうことでちょっと聞いたんですが、当局もそれから自治省も知らないと、こういうことでございます。そんなものかなという気がいたしましたけれども、一年……(「そんなものなんですよ」と呼ぶ者あり)そんなものですか。大分後ろの方で自民党の議員からそんなものだということのようですけれども、それではどうして一年以内のものを返したのか、返さなければいけないのかということについて、これ代表者、代表選手がこの件についてはいるんですね、総理が。五十万円返すべきものをさらに追加して、気持ちの上で五十万円追加して百万円返したと、こういうことですけれども、総理、そんなものだという評価もあるようですけれども、そんなものというのは別に当局が把握しなくてもいい、そんなものなのかどうか、総理はどう思われますか。
  65. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) まず第一に、先ほどから議員が大変言葉を選んでお使いなのか私が申し上げたことを不正確にお使いなのかわかりませんので、最初のケースについて改めて私は申し上げたいと思います。  二年連続して五十万円ずつ計百万円を受け取りました中の一件は、後で調べてみますと、補助金の交付から一年以内という疑いではなく、まざに抵触するものでありました。ですからこれは、私はその事実を知った以上、当然返すべきものだと思います。もう一件は、日付を厳密に見ますと必ずしもその一年以内という時間帯に入っておりません。しかし、決定の日付からこの補助金が交付されるまでの時間差が結構広いケースでありまして、交付の日から、現実に補助金がその団体に渡りましたときからですと一年以内という議論も成り立つ可能性のあるケース、そういう意味でこの二件を私は返済いたしました。  ですから、何でもないけれども返した、片方は疑いがあるというふうに先ほど議員は言われましたが、そうではなくて、調べてみますと、一つは補助金の交付一年という期間にまさに該当するものでありましたから、これは当然ながら返済をすべきもの、もう一つは疑いのあるもの、いずれにしてもお返しをしておこうとお返しをしたというのが事実でございます。そして、閣僚としても当然でありますし、我が党の議員であるかないかを問わず政治資金規正法を守る、それは政治家としての当然の責任だと私は思います。  ですから、まだ議員からお尋ねをいただきませんけれども、私は今自分の事務所の書類を全部チェックをさせ直しております。そうした中で、財団法人日本公衆衛生協会から平成五年の七月に十万円、財団法人津山慈風会から平成七年七月に十万円、医療法人真愛会から平成七年七月に十万円の寄附をいただいておりましたものが私の今わかります範囲で補助金交付から一年以内という法律違反に係るケースでありましたので、日本公衆衛生協会と津山慈風会は二月二十五日に、その後発見いたしました真愛会につきましては三月八日に、それぞれ返却をいたしました。  なお、もう一度事務所として調べておりますから、これ以上私はないということを願いますけれども、寄附をしてくださった方が補助金を受けておられるかどうか我々の方ではわかりませんだけに、こうしたケースが今調べて存在をし、それぞれ返済をしているということを事実として御報告を申し上げておきます。
  66. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 先ほどの自治大臣のお答えですと把握していない、把握する必要もないというお答えだったと思います。二十二条の三ですね。今、総理は二十二条の三に抵触する、返すのは当然だと、それが五十万円、一方の五十万円の分だと、こうはっきり申されたんですけれども、ここまではっきりしていたらやはり捜査をすべきじゃないんでしょうか。
  67. 白川勝彦

    国務大臣(白川勝彦君) 私は、委員のお尋ねが、こういう政治家の名前が挙がっている、こういう政治家を捜査しているのかと、こういうお尋ねでありましたので、政治資金規正法第二十二条の三の第六項違反ということで言うならば、条文にも書いてあるとおり、「何人も、第一項又は第二項の規定に違反してされる寄附であることを知りながら、これを受けてはならない。」、こういう規定でありますから、まずその政治家もしくは政治団体の会計責任者等がその公益法人が補助金等を受けた団体であるかどうかということを知らなければそもそも犯罪の構成要件に該当しないのだから、新聞等で報じられたからといって直ちに捜査をするといったぐいの話ではないでしようと、こう答えたわけでございます。
  68. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 いや、総理は今認められたんですよ、法律に抵触する、だから返すのは当然だと、そういうお話ですよ。いいですか。それが一つ
  69. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は自分の分について認めているんですよ。
  70. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 じゃ、これはまた別な機会にということで、ほかの質問がありますので進めますけれども、総理、今のお答えの中で、二度とこういうことがあってはいけないから調べていらっしゃると。私は、大変真摯な態度として、その部分については大変感心をしております。私は、そういう意味で、政治家としてやっぱり悪いあるいは悪いことがあるかもしれないということであればみずからその事実を確認し、どう善処していくか、これが大事だと思うんです。  先ほど三名の議員の方が、返したのか、返さざるを得なかったのか、そういう事情がありましたけれども、大変失礼ですけれども、与党の自民党さんの中に同様な事例はないと考えていいのかどうか。総理大臣御自身が御自身の事務所で必死になってチェックしておられる。それは率先垂範だと思うんですけれども、総理大臣、この態度については党内に徹底し、あるいはまた全国会議員に徹底するための範を垂れてはどうかと、こう思うんですけれども、いかがですか。
  71. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、私自身本当に不注意であったと思い、この成研会のケースであとのものも調べろという指示をいたしました。そして、三つ、補助金を受けておられる公益法人から寄附を受けているケースを見つけました。そしてそれぞれ措置をいたしました。これは一人一人の政治家の問題であり、自民党議員に対してとかいう種類の話ではない。政治家全員が気をつけなければならないこと、私自身が自分を戒めていることであります。
  72. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 返さなきゃいけないほど、また冒頭に私申し上げましたけれども、国民に別途大変な負担をさせている、またその税金の中から私たちは公的資金もいただいている、こういう中でやっぱり正すべきことは正していく、この態度が一番今求められているんだと思うんです。そういう意味で、総理大臣がやられているそのチェック、これは私個人のものだということにとどめる必要はないと思うんですよ。  私は、自民党と言いながら自民党だけじゃなくて全国会議員にということも後から追加して申し上げましたけれども、そういう意味でも私は大変大事なことだと思うんです。そういう意味で閣内にも、とりあえず総理がこのようなチェックをされているんだから各大臣も同じようにチェックをしなさいと、こう言うべきだと思うんですけれども、総理、いかがですか。
  73. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、恐らく閣僚の諸君それぞれにみずからの政治資金についてのチェックはしておられると思いますけれども、こういうことは人に命令されてやることなんでしょうか。私は、それぞれの政治家のみずからの心の中で、自分は全くそうした心配はないと言い切れる方もあると思いますし、私自身幾つかへまをしていましたから、これはいかぬ、全部調べようということで今調べさせている。それぞれいろいろな方があると思います。  そして、それは皆、閣僚であろうとなかろうと、自由民主党員であろうとなかろうと、全部の政治家がそれは気をつけられることをお勧めしたい気持ちは私にもございます。
  74. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 私は、こういうことこそ、総理、尊重するということは言葉ではいいけれども、それは逆に言えばリーダーシップがないということなんですよ。こういうことこそリーダーシップを発揮すべきじゃないか。  仮に、総理の言うことを、人に命令されて言うことではないということを百歩下がってお受けとめするとして、それではお伺いしますけれども、主な大臣に、本当は全閣僚の皆さんに、総理は徹底されていない、する気もないということですので伺いますけれども、二十二条の三の違反がないことを、つまり補助金を受けて一年以内に政治献金をいただいていないかどうか、これについてのチェックをしているかどうかを、総理は人に命令されて言うものではない、みずからそれぞれやっているはずだということを今言われたと思います。  そこで、伺いますけれども、それではまず官房長官から、二十二条の三のチェックをどのようにやられているか、お伺いしたいと思います。
  75. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 私の調査によればそういうものはありませんが、昨今いろんなことが言われておりますから精査をいたさせております。  実は、これは政治献金をしてくださった方個人に大変御迷惑な話なんですが、反面、調査をするということは、あなたの会社は国またはその他のあれから補助金ないしはそういうものを受けていますかということを全法人に聞くことであります。なかなか作業、手間もありますし、そういうことをあからさまに聞けるかどうか、あるいは可能性があるかどうかを調べてから聞くことでございますから、大変な手間とあれがかかるわけであります。
  76. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  77. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 速記を起こして。
  78. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 私は、総理はリーダーシップを発揮すべきだという考え方を持っていまして、それに対して、その必要はない、それぞれがやっていることだろうということで、それだったら大変大事な時期の大事な話だから各閣僚全員にお聞きしたいんですが、時間の関係もあるので代表的な何人かの方にお伺いしますと、そういう意味でございます。  何を聞きたいかというと、そのチェックを、みずからのもののチェックをするつもりがあるのかないのか、そういう気があるのかないのか、それをお伺いしているんです。総理と大分違うお答えだったようですが、何かあったらどうぞ。(発言する者あり)  それでは、今申し上げたように、次に大蔵大臣に伺います。
  79. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 会計担当にチェックさせてあります。
  80. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 それでは、もう一緒にお伺いしますけれども、厚生大臣、建設大臣、自治大臣、代表して、それぞれチェックのおつもりがあるのかないのか、お伺いします。
  81. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 調査しました。
  82. 白川勝彦

    国務大臣(白川勝彦君) まず第一次的に調査すべきは、献金を受けた側である我々が、その会社その他の法人が補助金を受けたかどうかということを知りながらもらった寄附であるかどうか、これが一番問題であると思うわけでございますが、うちの会計担当はそういうことについては常々注意をしておりますという答えでありました。  なお、お尋ねに、相手方に補助金等があるかどうかというお尋ねがあるということなので調査させました結果、そういうことはないという報告を受けております。
  83. 亀井静香

    国務大臣(亀井静香君) 私が何で選ばれたのかわかりませんが、会計責任者を私は信頼いたしております。
  84. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 お答えになっていなかった大臣がいらっしゃいますけれども、厚生大臣、建設大臣、これから調査をする気があるのかどうか、それについてもう一度お答えいただきます。
  85. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 事務所に調査させましたけれども、ありませんでした。
  86. 亀井静香

    国務大臣(亀井静香君) 私は会計責任者を信頼していなければ政治活動がやれません。そういう意味では私は信頼をしております。違法あるいは好ましくない政治献金を受け取っておるとは承知をいたしておりません。
  87. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 チェックをしたと受けとめていいですか。
  88. 亀井静香

    国務大臣(亀井静香君) 委員の方から具体的に、私が好ましくないあるいは違法な政治献金を受け取っておるということであれば具体的事実をお示しいただきたい。そうでなければ、私は常にそうしたことのないように注意を払いながら政治献金を受け取っておるということを申し上げておるわけです。
  89. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 聞きようによっては、自分はしっかりしているけれども、ひっかかる人はしっかり日ごろからチェックしていないんだと、そう聞こえるんですけれども。  それでは、次に移らせていただきますが、今の問題の一つに、ちょうど昨年の末に毎日新聞が衆議院議員に対して、公益法人の設立する政治団体からの政治献金については問題があると、回答者の八七%がそう答えていると。これは驚異的な数字なんです。また、昨年末から現在にかけて、先ほどから何回か申し上げている、これは一部分かもしれませんけれども問題が取り上げられております。この八七%の「問題あり」という数字、この重みをどうとらえておられるのか、総理にお伺いいたしたいと思います。
  90. 白川勝彦

    国務大臣(白川勝彦君) まず、法律の問題でございますので、政治資金規正法を所管している私から答えさせていただきます。  政治資金規正法は極めて厳格な法律であります。いろんなところからいろんな形で、これはいいこれは悪いと決めております。したがいまして、政治資金規正法で禁止されていないものは、逆にそういうことは許されているものと、こういうふうに承知をしております。
  91. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、自治大臣が極めて明快な法律解釈を申し上げましたけれども、確かに政治資金規正法におきまして、政治団体の行う政治活動に関する寄附について、それは政治活動の自由を保障するという観点から特段の制限はありません。  しかし、いずれにしても政治活動に関する寄附のあり方、しばしば本院でもお答えを申し上げましたように、三党政策合意におきまして、政治資金規正法の平成六年改正法附則の九条及び十条の規定を踏まえて今後さらに検討を進める旨明記されているところでありまして、各党各会派におかれましても十分御論議をいただきたいと考えております。
  92. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 各党各会派の御論議の前に、総理としてのリーダーシップの話がまた先になりますけれども、総理としてはどうなのか。各党各会派の御論議が詰まるまでは総理も動きませんよ、こういう意味に私は理解したんですが、もし違っていたら、総理
  93. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 大変恐縮でありますが、議員が求められる何ゆえかの意味がわかりません。  私自身は、みずから今反省すべき点は、これは間違えた、そう思いながら返済すべきものは返済し、なお政治資金規正法に照らし問題のあるものがないかチェックをさせております。時間をかけても費用をかけてもこのチェックはしようという行動をとっているさなかでございます。
  94. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 自治大臣の先ほどのお答えは大変中身を理解しないお答えだと思うんですよ。法律に抵触しないから問題がないという答えは出てくるはずはないんです。私の言っているアンケート調査は、法律に抵触しなくても問題がある場合があるけれどもそれについてはどうか、それについて八七%も「問題あり」という回答があった、こういう内容なんです。ですから、自治大臣のお答えは全然答えにもなっていない、かすりもしていないんです。
  95. 白川勝彦

    国務大臣(白川勝彦君) 私は、政治資金規正法という法律を所管している大臣として法律をどう解釈すべきかということをまず申し上げました。それは、禁止されているものは厳格に守らなきゃなりませんが、逆に禁止をされていないということは適法であるというふうに解釈せざるを得ないということを申し上げました。  さてそこで、政治資金がどうあるべきかという話は、それぞれの政治家、政党の成り立ちによって根本的に違います。例えば、強固な組織を持ってその上に政治活動をしている人と、自分たち政治家が強固な組織をつくらなければならないという立場の政治家や政党では、政治資金の要し方その他が全く違います。そういう面で、そういうふうに考えられる方もいるかもわかりませんが、政治資金規正法というものは、それぞれの政党、政治活動に微妙に関係する大事なことだから法律を法律どおりに解釈することが正しいということを申し上げたので、こういうふうに思っている人がどうかと、こう言われてそれぞれの意見を述べることは自由でございますが、法を所管する自治大臣としてはそういうことを申し上げたということでございます。
  96. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 自治大臣は聞いてもいないことを言っただけの話だと、こう解釈いたします。  農水相が二月二十七日の衆議院予算委員会で、補助金を得ている公益法人、農水省が出している補助金ですね、この公益法人の政治献金については実態調査をすると、こう明言されておりますけれども、これはいつまでにどのようにするのか。大臣がお答えになっているので、その点、大臣からお伺いいたします。
  97. 藤本孝雄

    国務大臣(藤本孝雄君) 二月二十七日に衆議院の予算委員会におきまして、補助金を交付している当省所管の公益法人、具体的には国際農業者交流協会でございますが、この公益法人が政治団体へ寄附を行っているのではないか、さらに補助金を交付している公益法人について政治献金の有無につき調査を行う必要があるのではないかとの御指摘がございました。  これを受けまして、私は事務当局に対し、政治団体の収支報告書を閲覧いたしまして事実関係の確認を行うよう指示をいたしました。その結果、平成七年におきましては、政治団体への寄附を行っていた公益法人は衆議院の予算委員会で御指摘を受けました国際農業者交流協会、寄附額は十万円でありました。この一法人であったことがわかりました。
  98. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 そうしますと、調査をした、農水省が出している補助金で今の該当の部分一カ所しかなかったということは確認をされたと、こういうことでよろしいんですか。
  99. 藤本孝雄

    国務大臣(藤本孝雄君) そのとおりでございます。
  100. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 農水相、そういった問題を指摘されて即座に答えられて、私は大変すばらしいと思います。  同じように、この補助金の問題、先ほどから指摘していることでございますが、ほかの省庁もこれを調査して明確にしたらどうかと思うんですけれども、総理大臣、全省庁に対してこれを徹底するお気持ちがあるかどうか、お伺いいたしたいと思います。
  101. 榊誠

    政府委員(榊誠君) お答えいたします。  現在主務官庁が公益法人に対して指導監督を行っておりますが、これは民法の規定に基づき法人の実施している業務に関する監督として行っておるものでございます。  一方、政治献金につきましては、政治資金規正法において、その量的、質的な制限が定められておるというふうに承知しております。  このような法体系の中で、すべての公益法人につき一律に、政治資金規正法で定められた政治献金に関する調査を民法の規定に基づき主務官庁が行う公益法人に対する監督の一環として行うことは、公益法人に対する監督行政のあり方として必ずしもなじまないものと考えられますので、公益法人全体に対する調査を行うことは特に考えておりません。  しかしながら、個別の公益法人の行為に対して問題点等を指摘された場合には、当然主務官庁として適切な調査、指導、監督を行っていくものと考えておる次第でございます。
  102. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 主務官庁としては、それぞれみずから出している補助金に関連して今申し上げた調査をすべきであると、私はそう思います。今の御答弁もそれを肯定しているものだと思います。  自治大臣、今反対の態度を示されましたけれども、お答えをどうぞ。
  103. 白川勝彦

    国務大臣(白川勝彦君) 今お答えになったことは、委員がおっしゃったことと違いまして、民法上の監督の中には、政治資金規正法のことまで一々調査するということはその権限でないということを申し上げたわけでございます。  ですから、きょう、こういう質問を通じて明らかなように、補助金等を受けた会社その他の法人は政治献金をしてはならないんですよということを周知徹底すること、そして政治団体側はそういう団体であることを知りながら寄附を受けてはなりませんよということをより周知徹底すること、このことにお互いに努力すればよろしいんじゃないでしょうか。
  104. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 民法云々ということで調査ができないという意味合いにもお聞きしたので、ちょっとその点についてまた別の機会に。じゃ、農水省がやったことが違法なのかという気もいたしますので。  今言われた補助金を出す際の周知徹底というのは一つの方法ではあると思うんです。ただ、それだけですべてが解決する問題ではありませんけれども、そういったことを一つ一つきちっと出す側、もらう側、そういった意味で大事だと思うんです。私はそういうことが大事だと思うんですが、この点について総理はどういうお考えを持っておられますか。
  105. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今事務方また自治大臣から報告あるいは答弁がございましたように、民法上の権限で政治資金を調査することはできないという見解が述べられました。私もそうだと思います。そして、少しでも行政コストを下げたい時期に果たして不要な業務をということになるのかどうか、ここは議論があるところだろうと思います。  しかし、少なくとも政治資金規正法という全く別体系の分野に対し、民法上の法人に対する補助金の交付の有無、それに関連する当然のチェック、これをあわせて行えというのは法的にどうも無理があるんじゃないでしょうか。
  106. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 自治大臣と意見が違うようですけれども、自治大臣、いかがですか。
  107. 白川勝彦

    国務大臣(白川勝彦君) 全く違っておりません。  私が申し上げたことと総理が言ったことは、言葉は違いますが、中身は全く同じことを答えております。
  108. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 自治大臣の言われるのは、周知徹底を主務大臣として図るという意味であると確認をしたいんですが、いかがですか。
  109. 白川勝彦

    国務大臣(白川勝彦君) それは、政治資金規正法を所管する主務大臣としてそのようなことの周知徹底を図るために今後努力いたしますということであります。
  110. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 次に、社団法人の日本エルピーガス連合会というのがあるんですけれども、これはどういう社団法人で、また国庫補助金の状況について報告いただきたいと思います。
  111. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 御指摘のございました社団法人日本エルピーガス連合会は、定款上、「エルピーガスの安全の確保とエルピーガス販売業の総合的な発展を図り、もって国民生活の向上に寄与することを目的」としまして、昭和五十五年に設立された公益法人でございます。事業といたしましては、LPガス販売業及び消費者の安全の確保等の調査、LPガス供給施設の安全性に関する技術指導等を実施いたしてございます。  同エルピーガス連合会への国からの補助金交付額は、平成八年度は二億三千四百万円でございます。平成九年度予算案におきましては五億七千九百万円が予定されております。
  112. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 二億から五億というのは大変な数字の増加ですけれども、いずれにしても億の単位で補助金が出ているわけです。今言われなかったんですけれども、七年度は一億七千七百万円と私が確認したところではなっております。つまり、ずっと連続して補助金を受けているんですが、ここからは政治献金は法的にできないというふうに考えていいかどうか。
  113. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 政治資金規正法におきましては、国から補助金等を受けている法人の行う政治献金についての一定の規制が存在しております。社団法人エルピーガス連合会を含めまして、政治資金規正法二十二条の三第一項に規定をいたします給付金を受けています場合には、同項の規定に基づき政治活動に関する寄附はしてはならないということであろうと考えております。
  114. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 それでは、全国LPガス政治連盟、この連盟の内容と政治活動費についてお尋ねします。
  115. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 御指摘の全国LPガス政治連盟につきましては、定款上、適正、健全な政治活動を通じて、LPガス販売業者の繁栄と社会的使命の達成を図ることを目的といたしまして、LPガス販売事業者により設立をされました任意団体でございます。冒頭御指摘のありました社団法人日本エルピーガス連合会とは、会計についても完全に独立をした、全くの別個の団体でございます。
  116. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 全く別個の政治団体という立派なお答えが出てきました。全く別個である割には、私が確認したところでは事務所所在地が一緒なんですけれども、いかがですか。
  117. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 御指摘のように両団体は同一の住所に存在をいたしてございますが、人件費、事務所借料等につきましてはそれぞれ明確に負担分けをいたしてございます。
  118. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 政治活動費に九百七十七万九千円、これは七年度の報告なんですけれども、これだけの支出をしているんですが、今言われた説明とちょっと違いますね。  事務所が一緒。行ってみますと、これは入り口は別でも事務所が別でもないんです。同じフロアというだけじゃなくて入り口も一緒。中がどう区分されているのか、そこまでは確認しておりませんけれども、入り口が一緒。別な組織ではない。代表者も一緒。これはどういうことなんでしょうか。
  119. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 御指摘のように事務所の住所は一緒でございますが、両団体は会計も独立をいたしてございまして、明確に区分をいたしてございます。
  120. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 明確に区分をしているという意味合いですね。会計の帳簿が違うというだけかどうか、ほかにどういう違いがあるのか、お尋ねします。
  121. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 社団法人エルピーガス連合会は民法三十四条に基づきます公益法人でございますし、政治連盟の方は先ほど申し上げましたような任意団体でございます。繰り返し申し上げて恐縮でございますが、この両団体の会計を区分いたしてございます。
  122. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 横尾和伸君の残余の質疑は午後に譲ることといたします。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十三分休憩      ―――――・―――――    午後一時一分開会
  123. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  平成九年度一般会計予算平成九年度特別会計予算平成九年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、休憩前に引き続き、横尾和伸君の質疑を行います。横尾和伸君。
  124. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 午前中の質疑の続きになりますけれども、社団法人日本エルピーガス連合会、全国LPガス政治連盟、これは全く別であるということを強調されたわけですけれども、どうもその内容は名簿が別だということ以外はちょっと私には理解できないんです。私の確認したのは事務所も入り口も職員も区別ができないということですけれども、どうして独立性があるということを強調されるのか、根拠をもう一度お願いします。
  125. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 御指摘の二つの組織はそれぞれ全く別個の社団法人であり任意団体である、組織の違いがございます。たまたま両団体は同一の住所に存在をいたしてございますが、人件費、事務所借料等についてはそれぞれ明確に区分され、応分の負担をいたしてございます。
  126. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 質問に答えていないんですよ。  それ以外にどうかということを聞いているんですが、それだけ強調されるということは、役所の方、通産省にそれだけの調査権があるのかどうか、それを逆な立場から聞きます。
  127. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 社団法人日本エルピーガス連合会につきましては、事業計画の認可、検査等を通じて常に監督を行っておるところでございます。  また、政治連盟につきましては当方の監督外の組織でございます。
  128. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 答えになっていないよ。  調査権がないんじゃないかと。別途私が役人の方から、担当の方から聞いたところによると、形だけのチェックしかできないんだということを漏らしておったんですが、この辺はどうなんですか。
  129. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 事業計画の認可、検査等を通じて社団法人エルピーガス連合会に対しては監督を行ってございます。
  130. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 全国LPガス政治連盟はどうですか。
  131. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 当方の監督外でございます。
  132. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 なぜ独立性だと言えるんですか。わかりもしないで何で独立していると言えるんですか。それをさっきから言っているんでしょう。一方がわからない、一方はわかる。両方わかっていないとそれは言えないんですよ。もう一回。
  133. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 人件費、事務所借料等について明確に区分をして、応分の負担をしておるということでございます。
  134. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 何に基づいてそれは調査したんですか。
  135. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 社団法人につきましては、事業計画その他の証票に基づいております。  それから、政治連盟につきましては、政治資金規正法に基づく官報の告示の内容で経常経費等を承知いたしてございます。
  136. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 初めに、途中からかもしれないけれども、全く別であるということを強調されたけれども、こういう実態なんですよ。現地に行ったわけでもない、帳簿で一部チェックした、それだけで全く別だということを言い張っている。事実、制度上無理があるとは思うんですよ。だから、それをそのとおり言えばいいんですよ。確認もできないのに全く別だということを盛んに言い張るのは間違っているんですよ。  それで、私が申し上げたいのは、こうやって実態が同じであってもそれがチェックできない、これは大変問題があると思うんです。先ほど確認したところによると、エルピーガス連合会は補助金は出せない。実態が全く同じであって看板だけ出している。出していることのチェックは十分できない。実質、届け出を出す程度のもので、それだけのことで本来法律的にできない政治献金が堂々とされるようになっている。これは法律には違反はしませんけれども、今こういう御時世です。一方では、午前中、総理も大変御苦労して御答弁いただきましたけれども、みずから調査もされるというようなことまでされているわけです。それだけ気を使わなきゃいけない問題だと思うんです。  今ここで申し上げたいのは、適法か否かではなくて、必要な立法措置は、ここは立法機関ですから、現実に合わないとなったら、やはりこれは今の例で、公益法人で政治献金は認められない、補助金をもらっているから。しかし、政治連盟の看板を手続上掲げれば、事実上そうだと思いますけれども、掲げれば政治献金はできる。それは違法ではない。実態は変わらない。一方では違法になり、一方では違法にならない。こういったことは、立法機関として制度を変えてこういうことはやめていこう、こういう姿勢が我々国会議員に対して国民から求められていると思うんです。  私はそういう意味総理にこの件についてのお考えを伺いたいと思います。
  137. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) ここが立法府であることは私は全く異論がございません。そして、立法府が立法府としてのお立場で御議論になること、これをも政府として何ら拘束のできることではございません。  その上で、政治資金規正法におきましては、公益法人からの寄附につきまして公益法人であることを理由とした特段の規制が設けられていない、これは議員が御承知のとおりであります。そして、先ほども私はお答えを申し上げましたが、三党政策合意におきましても、政治資金規正法の平成六年改正法の附則第九条及び第十条の規定を踏まえて、「政治資金のあり方について今後、さらに協議を進める。」と明記されていることでもありまして、各党各会派におかれましても、議院の御論議をも含めまして十分御論議をいただきたいと考えております。
  138. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 各党各会派は当然でございますけれども、その前に、あるいはそれと同時並行でも結構ですけれども、総理自身はそれをリードされるお気持ちがあるかないか、それだけをお答えいただきます。
  139. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は今、行政府の長として、立法府の御論議に対し、それを強制するといった場にはおりません。
  140. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 総理大臣としてはその気はないということですが、自民党総裁としてはいかがですか。
  141. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) ここで私があなたの御質問にお答えをしているのは内閣の責任者として、行政府の長としての立場であります。そして、国会における御論議に対し、いかなる方向であれ、それを我々が左右することはできません。  党としての立場をお求めでありますなら、私は各党各会派での話し合いというものを全く否定しておりません。
  142. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 積極的な姿勢を私は感じなかったんですが、それでは別な観点から、この際ということで自治大臣にちょっと確認をしておきたいんです。  これは一般論で結構ですけれども、政治資金規正法に関連して、特に昨年の後半から盛んに言われていることで、適正に処理したという言葉が流行語みたいになっているんです。私にはそう思えます。適正に処理した、これは内容的にはどういうことなのか。政治資金規正法上、適正に処理すればすべてが済むものではないということは当然ですけれども、特に具体的にお聞きします。  代表的な問題として、例えば収支報告書の数字に誤りがあった場合、また報告書の物品の記載漏れがあった場合、報告書の基本事項としての代表者、所在地、これがでたらめだった場合、こんな場合は自治省としてはどう対処されるのか、一般論で結構でございます、大臣のお考えを伺います。
  143. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) お話のありました適正な処理という言葉がどういう意味で使われたかは存じませんけれども、一般的には政治資金規正法の法の枠内で政治資金の収受が行われ、またその収支報告書等の処理が法に従ってなされたことをいうものではないかと存じております。  なお、一般論として申し上げますと、収支報告書の記載に当たりましては事実に即しまして正確に行われるべきでありまして、仮に数値の記載誤り等がありましたならば直ちに記載の訂正をすべきものであると考えております。  なお、故意または重過失によりまして記載すべき事項を記載せず、あるいは虚偽の記入をした場合は一定の処罰を受けることになっております。
  144. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 大臣。
  145. 白川勝彦

    国務大臣(白川勝彦君) ただいま政府委員が答弁したとおりであります。
  146. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 それでは、厳正にという受けとめをいたします。  それでは次に、泉井疑惑のC重油に関連して元資源エネルギー庁の高官が電力会社に働きかけをしたのではないかということで通産省が調査をいたしました。その結果に関連して伺いますけれども、三菱石油からのC重油の電力会社への売り込みといいますか、電力会社から見ると買った実態はどのように変化しているんでしょうか。
  147. 江崎格

    政府委員(江崎格君) 三菱石油からのC重油の購入の実態でございますけれども、先般中部電力それから関西電力の燃料担当の役員から事情を聞きました。  その結果でございますけれども、中部電力につきましては従来から今日に至るまで三菱石油からC重油を購入した実績はないということでございます。元高官の打診に対して、直接購入することは断ったということであります。  その後三菱石油を中部電力の関係会社であります東邦石油に紹介したということでございまして、東邦石油の購入の実績でございますが、これは九二年度まではゼロでございましたけれども、九三年度に四万キロリットル、それから九四年度が三万六千キロリットルということでございます。  それから次に、関西電力でございますが、これは元高官の打診に対しまして、同社の当時の燃料事情から断ったということであります。三菱石油からのC重油の購入実績でございますけれども、これは九二年度以降で見ますと、大体四万キロリットル前後で推移をしているという状況でございます。
  148. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 事実、関連会社の購入はあったということです。  それから、この報告の内容によりますと三菱石油を紹介した事実はあるということですけれども、ほかの会社に同じような紹介をこの元幹部がしたことがあるのかどうか、それについてはいかがですか。
  149. 広瀬勝貞

    政府委員(広瀬勝貞君) 元資源エネルギー庁幹部から事情を聞いたところ、本人は三菱石油以外の会社を電力会社に紹介したことはないと、こういうふうに申しております。
  150. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 それでは、どうして資源エネルギー庁の高官がセールスマンみたいなことをするのか。ほかの会社はしないけれども、三菱石油は紹介した。  ただ、この報告書によると、紹介したけれどもコマーシャルベース云々とこうあります。これは行政マンですね。行政の中心ですよ。コマーシャルベースがどうのこうのというのは、これはあいさつ用語でありまして、実際はこれ圧力があったのではないかと思うんですけれども、いかがですか。大臣、どう思いますか。
  151. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 圧力をかけたかかけないかというときは、そのときの言動、また本人がそうした意思を持っていたかどうか、かようなことでもって決まると思いますが、今回の場合は、この種の報道によって果たして石油行政というものがゆがめられていたかどうか、実はこうした観点から聞いたということでございます。  その限りにおいては、今事務方が答弁したように、金銭授受はないし強い言動でもって話したわけでもない。いわゆる余裕があれば、俗に言うコマーシャルベースで話が合えばというふうな程度だったということでもって圧力はなかったと、こういうふうに判断しております。
  152. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 もう一つ、この中では、泉井氏とは会食、ゴルフ等で一緒になったことがあると、こう述べられておりますけれども、具体的にどのような場で何回会っているのか、調査結果をお願いします。
  153. 広瀬勝貞

    政府委員(広瀬勝貞君) 元幹部によりますと、泉井氏とは会食をしたことがある、それからゴルフも一緒にしたことがあるということでございました。泉井氏との接触の頻度等につきましては、捜査中の案件でもありますので、これ以上のことは申し上げられないということでございました。
  154. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 この件については、働きかけがあって、それがゆがめられたかどうかということについては私はかなり疑いが残ると、こう感じました。  次の問題に行きますけれども、クローン研究について、昨日も総理からも御答弁がありましたけれども、政府の取り組みの基本姿勢、基本的な骨格を御答弁いただきます。
  155. 近岡理一郎

    国務大臣近岡理一郎君) クローン研究につきましては、優良な家畜の増産などの畜産技術の可能性を広げ、また動物の発生の仕組みに関しまして有能な知見を提供するなどのいろいろなメリットがある反面に、委員もおわかりのとおり、生命に関する倫理の問題をはらんでいることを認識いたしております。  したがいまして、現在、科学技術会議におきまして、ライフサイエンスに関する研究開発基本計画を作成するため、生命倫理の問題を含めまして、ライフサイエンスにかかわる幅広い審議が行われているところであります。特に、英国におきまして成体の羊の細胞を用いたクローン研究が成功するという新しい展開も踏まえまして、この中で生命倫理についてさらに論議を深めていただくこととなっております。  科学技術庁としまして、科学技術会議の審議を踏まえまして、生命倫理の問題に適切に対処してまいりたい、このように基本的に考えております。
  156. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 どういう組織でいつまでに検討しますか。事務方でいいですよ。
  157. 近岡理一郎

    国務大臣近岡理一郎君) 私からお答えさせていただきたいと思います。  ただいまも申し上げましたとおり、非常に重要な問題でございますので、このためにさらに議論を深めていく必要があると思います。したがいまして、自然科学者のみならず、特に法律の問題あるいは倫理の問題の専門家等を含めた多様な視点からの論議が必要であると認識をいたしております。したがいまして、今後外部の有識者の招聘あるいは専門家の会合の開催等も検討してまいりたいと、このように思います。  また、この見通しでございますが、この取りまとめの時期等につきましては、本件が重要な課題である一方に、今申し上げましたとおり幅広い観点から論議を尽くす必要がある重要な問題でありますので、これに対しましては慎重に対処してまいりたいと、このように思います。
  158. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 私は、時間がない中で何でこれを取り上げたかというと、昨日の総理の答弁、大変不満なんです。  それは、とんでもない例を出されて臓器移植と一緒にされている。それは生命と倫理の問題については共通ですけれども、全然別な問題なんです。臓器移植の問題ではなくて、むしろ例に出すんだったら核とかあるいは地雷とか、人間が英知でつくってしまったものをその後どうするのか、それに困っているのが核の問題でありまた地雷の問題なんです。あるいはそれ以上の問題かもしれない。  今回のクローンの問題は、精子や卵子がなくたってコピーができるんです。同じ人間、同じ顔をした人間が幾らでもできるんです。できることにつながるんです、成功すれば。それをもし許した場合には、このままいったらどんなことになるか。倫理上の問題として、例えば親子関係、親が子に責任を持つ、子が親に責任を持つ、母性どうなるのか、犯罪への悪用大丈夫か、強者のおごりとしてこれをおもちゃに使わないか、それで後世への責任はとれるのか、そういった問題について本気になって議論しなければならない。  世界じゅうで今何で羊の問題が、今回イギリスでの羊の問題がきっかけになったかというと、アメリカでやった猿の問題ではなくて、猿の問題は精子と卵子とその受精卵が必要なんです。今回は受精卵がなくたって、精子も卵子もなくたって可能なんです。これが大変な問題なんですね。  このことに対して、ほかのアメリカやあるいはフランス、イタリア等では、大事な問題だから判断しかねるから、だから慎重にではなくて、判断しかねるからストップしよう、こういうことを言っているんですよ。この問題、判断しかねるから、だから慎重にではなくて、もっと即応態勢をとるべきであると、私はそう思います。  総理に一言御答弁をいただいて、質問を終わります。
  159. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) どうしてそういうお話をいただくことになるのかわかりませんが、クローン技術というのは、その生命倫理の部分があるからこそ私は慎重でなければならないということを申し上げました。同時に、移植を必要としない可能性も医学の上では出てくる部分を持っております。そうしたことから私は、心臓移植の始まりましたとき同じ悩み方をいたしましたという例を申し上げたわけでありますが、あなたのお気に召さなければおわびをいたします。
  160. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 終わります。
  161. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 以上で横尾和伸君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  162. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 次に、野間赳君の質疑を行います。野間赳君。
  163. 野間赳

    ○野間赳君 橋本総理には、昨年一月御就任以来、景気回復、信頼回復、安心回復を掲げ、決断と責任の政治に邁進をされてまいりました。村山内閣から引き継いだ住専処理という難問題を乗り切り、外交面におきましては普天間基地の全面返還を初め日米の友好関係、沖縄との信頼関係の構築に大きな成果を上げてこられました。昨年十月の総選挙におきましては、このような総理のリーダーシップに国民の期待が高まり、我が党は二百三十九議席を確保いたしました。今までの信頼関係をもとに、三党の政策協議のもと、行政改革、財政再建に取り組んでおるところであります。  第二次橋本内閣におきましては、総理は、二十一世紀の新しい日本の進む道を切り開くため、六大改革を打ち出されました。陣頭指揮をとられ、次々構想が具体化をされようといたしております。  財政構造改革元年に当たりまして四兆三千億円の公債発行を減額いたしました平成九年度予算案につきましては、三月五日に衆議院を通過いたしまして、我々参議院の努力により年度内成立が実現すれば、補正予算の早期執行と相まって、国民生活、景気対策にも大きく寄与できるものであります。  そこで、総理にお伺いをいたします。  今までも多くの予算編成にかかわってこられた総理であられますが、内閣総理大臣としてつくられました初めての予算であります。橋本内閣予算の特徴、ここを国民の皆さんにアピールしたい、そういう点は何か。予算の御感想をまずお聞かせいただきたいと思います。
  164. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 予算の特徴と申しますならば、平成九年度予算は、既に御承知のように、医療保険制度改革を初めとする制度改革の実現に努めながら、一般歳出の伸び率を一・五%、そして経済構造改革に資する創造的、基礎的研究の分野に対する予算の重点配分を行うといった工夫をいたしてまいりました。同時に、国債費を除く歳出を租税などで賄える範囲内にとどめる、そして四兆三千億円の公債減額をスタートさせました。  そういう意味では、特色として申し上げるならこうしたことかもしれません。何回か私自分が閣僚をいたした中で、概算要求の取りまとめ、その準備段階から閣僚懇談会を繰り返し繰り返し行った。殊に昨年の七月に集中して二回閣僚懇談会を行い意見交換をした上での概算要求を、さらに編成作業中にも機会あるごとに私から大蔵大臣を初め各大臣に一般歳出の伸びなどを抑え込むということをお願いする、指示をする、そうしたことを行ってまいりました。  いろいろな御評価をいただきますが、大蔵大臣以下非常によく編成に努力をしていただいたと思っております。
  165. 野間赳

    ○野間赳君 方向をちょっと変えさせていただきまして、マスコミ報道に関しましての質問をさせていただきたいと思います。  今国会を通じましていろいろ議論をなされた問題もたくさんあるわけでありますが、私は愛媛玉ぐし料訴訟の報道につきまして本日は質問をさせていただきたいと思います。  去る二月九日付の朝日新聞並びに共同通信の配信によります地方諸紙が、現在最高裁判所で争われております愛媛玉ぐし料訴訟につきまして、「玉ぐしに公費 違憲の公算」、「公費支出 違憲判断へ」と、こういう大見出しで判決内容について詳細な報道が行われたというものであります。  しかも、自治体と靖国神社とのかかわり方、政教分離のあり方に大きな影響があるものでありまして、一審の松山地裁では違憲判決、二審の高松高裁では合憲の判決ということで分かれたわけであります。  最高裁の判決には、多くの国民、各自治体が関心を持って見守っておったところでありますが、私も実はこの新聞記事を見てびっくりいたしました。記事の内容から、この記事が単なる憶測ではなく確かな情報に基づいて書かれたものである、こういうふうに率直に私は感じました。このようなことから、最高裁の判決の内容が事前に何かあったのではないかと思われる節、しかも三月七日には判決期日を四月二日と指定いたしまして、疑惑解明のなされないままに判決をしようとしておると私は思います。  そこで、最高裁における内部調査のことにつきましてお伺いをいたしてまいりたいと思います。  内部調査はいつからいつまでの期間で行われたのか、また調査の対象がどの範囲で何人行われたのか、まずそのことをお尋ねさせていただきたいと思います。
  166. 涌井紀夫

    最高裁判所長官代理者(涌井紀夫君) まず、調査の経緯でございますが、二月九日の新聞報道がありました時点から、私どもの方は直ちに、この記事は合議の秘密が内部から漏えいされて書かれたのではないかという点について調査を開始いたしました。  その後、種々調査を行いました結果、合議の秘密が部内の者から漏れたという、そういう事実は認められないという結論に達しましたので、二月十九日の時点で、それまでの調査結果を踏まえまして、事務総長から報道機関側に対して書面で厳重に抗議するという措置をとったわけでございます。  その間の調査の対象でございますが、これは内部の関係者と報道機関側双方について行っております。内部の関係者ということになりますと、本件の合議に直接関与しております十五人の裁判官を含めまして、さらにその合議の内容を審議用の資料を通じて間接的にでも知り得る可能性にあります調査官でありますとか、あるいは裁判官の秘書官でありますとか書記官、事務官等、人数にしますと総計で五十名弱の者について調査を行った結果、先ほど言いましたような結論に達したわけでございます。
  167. 野間赳

    ○野間赳君 短期間で今お話しのように五十人、二月九日の新聞発表がありまして十九日の記者会見ということでありますから、十日足らずの間に、しかも休みの日もあるわけでありますが、その間に五十人の方々の調査をなされた。しかも、記者会見におきましては、厳格な調査をやったと、こういうふうなことを言っておられるわけでありますが、具体的にどのような調査の方法でおやりになられたのか、そのことをお尋ねいたします。
  168. 涌井紀夫

    最高裁判所長官代理者(涌井紀夫君) 実は、調査の具体的な方法、内容、特にこの事件を現に担当しております裁判官に対する調査がどういう方法で行われたかという点になりますと、これはこの事件の合議の内容それ自体にも密接に関連してくる点がございますので、具体的な内容まで明らかにすることは御容赦いただきたいと思います。要するに、裁判官を含みます内部の関係者全員につきまして、外部にその合議の秘密を漏らした、そういう事実がないかどうかということを厳格に、十分念を入れまして確認したわけでございます。
  169. 野間赳

    ○野間赳君 いかにもスピーディーに御調査をなされたように私は感じます。事が事だけに私はもう少し慎重にやれなかったのかなと、こういう気持ちを率直に持っております。  これはなぜそういうふうに焦っておやりになったか、お答えをいただきたいと思います。
  170. 涌井紀夫

    最高裁判所長官代理者(涌井紀夫君) 先ほど申し上げましたように、調査の結果、裁判所の内部からは合議の秘密が漏えいされたという事実は認められないと。それとあわせまして、実は報道機関の側からも、この記事はいわば部外のいろんな取材に基づく記者の一種の予測記事として記事にしたものであって、裁判所関係者の秘密漏えいに基づくものではないという、そういう釈明を受けたわけでございます。  そういたしますと、裁判所といたしましては、早急にこの事実関係を国民に対しても明らかにいたしまして、裁判の公平に対する信頼というものを一日も早く回復する必要があるわけでございます。そういった観点から、直ちに報道機関に対する抗議を行いますとともに、事務総長が記者会見を行いましてこの事実関係を公表する、こういうことにしたわけでございます。
  171. 野間赳

    ○野間赳君 マスコミのあくまでも推測記事と、こういうことでありますが、私、ここへ二月九日の愛媛新聞、私の地元の新聞でありますが、持ってきております。こういうふうなトップ記事、新聞で言いますとスクープ、しかもこの二月九日の時点ではまだ最高裁の裁判の日も決まっていない、そういうふうな状況でこういうトップ記事が出た。もう一様に驚いたわけであります。  この内容をこのまま私がここで申し上げますと、「大法廷の審理では、」、大法廷の審理というのは非公開が原則であるわけであります、「大法廷の審理では、白石元知事側の支出の意図や玉ぐし料の性格などを検討。違憲の立場からは」「あわよくば国家護持に結び付けようとの意図がなかったとは認めにくい」。二つ目には、「宗教行事そのものへの支出と言え、過去に社会的儀礼として合憲判断が出た神道式地鎮祭とは同じに扱えない一などとの見解が出されたという。」。これは大法廷の審理でそういうふうな見解が出されたと、こう言う。  もう一点は、「これに対し靖国神社は戦没者慰霊の中心的施設で、支出は社会的儀礼の性格が強いなどとして合憲論も出たが、最終的に違憲論が多数に上ったもようだ。」と。これも大法廷の審理の内容にかかわるものであると私は思うのであります。  このことにつきましてどういうふうにお感じになられますか、お答えいただきたい。
  172. 涌井紀夫

    最高裁判所長官代理者(涌井紀夫君) 私どもの方の調査の結果は先ほど申し上げたとおりでございますけれども、委員指摘のような記事の記載内容になっておりまして、これはあたかも合議の内容自体を具体的に報ずるという形の記事になっておりますので、これをお読みになった方の立場からいたしますと、これは裁判所の合議の秘密が内部から漏れてそれが記事になったんじゃないかと、そういうふうなお感じをお持ちになるというのは当然であるという面があろうかと思います。  まさにそのところからしまして、私どもとしては、この記事というのは裁判に対する国民の信頼という観点からしまして非常に遺憾な記事であったということを考えまして、先ほど申し上げましたような措置をとらせていただいたわけでございます。
  173. 野間赳

    ○野間赳君 この同じ新聞の五面の記事です。このようなことで、「「最高裁が見識示した」 十五年の苦労吹き飛ぶ 原告・支援者口々に喜び」、こういうふうな見出しで、原告団の喜びのコメント、そこまでここに出されておるという状況であります。しかも写真入り、原告の代表の方の写真が入って、そういうことになっております。  これは局長ごらんになられましたか。このことにつきましてもどういうふうなお感じをお持ちになられたですか。
  174. 涌井紀夫

    最高裁判所長官代理者(涌井紀夫君) 読者の立場からいたしますと、御指摘のような裁判に対する不信の念というものを当然抱かれるような記事になっておりますので、私どもとしては大変遺憾な記事であったというふうに考えております。
  175. 野間赳

    ○野間赳君 推測の記事ということになりますと、果たしてここまでの扱いができるかどうかということに私はなろうかと思います。何らかの情報を新聞各社は、共同通信全国版そしてまた朝日新聞、しかも二月九日の同じ日にこの記事が報道をされた、こういうふうなことであるわけであります。推測記事でたまたまそういうふうなことがあり得るでありましょうか。私は、何か合議されたものが表に流れたのではないかということを感じてやまないところであります。  マスコミのそれらのコメントであるわけでありますが、新聞社の言われることは、過去の判例であるとか学説などを踏まえた記事の取りまとめであったと、こういうふうなことであるわけでありますが、判決の日程も決まっていないあんな時期に国民の前にこういうふうな記事が出たということ、これは最高裁判所の信を失墜させた、こういうことに私は一面なろうかと思っております。責任は極めて大きい。  記事の訂正、取り消しの記事記載を私はさせるべきでなかろうかと思っておりますが、このことにつきましてお伺いをいたします。
  176. 涌井紀夫

    最高裁判所長官代理者(涌井紀夫君) もろもろの取材に基づきましてその裁判内容の予測を記事にする場合に、いわゆる報道の自由との関係でどの限度までそれが許されるかというのはいろいろ難しい問題でございますが、少なくとも裁判所の立場からいたしますと、判決が行われる以前にその判決内容を予測する記事、しかもそれがその合議の内容をあたかも見てきたかのような記事を書かれるということは、非常に裁判に対する国民の信頼という観点からしまして困った問題であると思いまして、そういう観点から、先ほど言いましたように報道機関側に対しまして書面をもって厳重に注意をしたわけでございます。
  177. 野間赳

    ○野間赳君 最高裁に対しましても数多くの謝罪広告を求める要望書が出されておるように聞いております。  両社に謝罪広告を求める気持ちはあるのかどうか、そのことを重ねてお尋ねいたします。
  178. 涌井紀夫

    最高裁判所長官代理者(涌井紀夫君) 最高裁側としましては、先ほど申し上げましたような調査結果を踏まえまして、報道機関側に厳重に抗議をし、またその事実関係を記者会見を開きまして明らかにいたしましたので、それ以上の対応をとるという考えは持っておりません。
  179. 野間赳

    ○野間赳君 国民の批判は大変大きなものがあると感じております。  なお、これも異例のことであると私は思いますが、国会の裁判官訴追委員会に全裁判官についての六十件以上の訴追状が提出をされておる、このように聞きます。また、憲法学者二十名による真相究明を求める要望書も最高裁に出されておると聞き及んでおります。  国民の公平な裁判を受ける権利の保障がこのような状態でされるのかどうか、国民の信頼回復のために何らかの措置をとらなければならないと思いますが、どのようにお考えですか。
  180. 涌井紀夫

    最高裁判所長官代理者(涌井紀夫君) 今回の事実の経過は繰り返し申し上げましたとおりでございます。ただ、今回のような事件あるいは報道によってその裁判の内容が影響されたり動かされたりすることがあってはいけないということはもう御指摘のとおりでございますので、裁判所としても今後とも公平な裁判を実現するために力を尽くしてまいりたいというふうに考えております。
  181. 野間赳

    ○野間赳君 今のようなやりとりが続きますが、この予測記事が司法の公正や信頼などに関してこのように議論を巻き起こしておるわけでありますが、法務大臣の所信をお伺いできましたらひとつ。
  182. 松浦功

    国務大臣(松浦功君) 愛媛県の玉ぐし料の訴訟の上告審である最高裁判所大法廷判決の予測記事につきましては、私としては報道内容の事実関係を確認する方法がございませんので、この場ではひとつ私に意見を述べさせることは御容赦をいただきたい、こういうふうに思います。
  183. 野間赳

    ○野間赳君 国民の公平な裁判を受ける権利は、憲法で保障されております最も重要な権利の一つであります。このような状態のもと、四月二日にいよいよ判決が出るわけであります。私は、中立公平な裁判を期待いたしております。司法権の最高峰であります最高裁判所は、同時に国民の最後のよりどころでもあるわけであります。司法に対する国民の信頼を裏切ることのないよう厳重に注意をしていただきたいと思います。  次に、コミュニティーFMについてお伺いをいたします。  コミュニティーFM放送は、市町村レベルのきめ細かな地域生活情報を地域住民に提供します目的で制度化をされたものであります。地域住民によります地域住民のための放送局、こういうことであります。ぜひとも広く普及をしてほしいと私は願っておるところであります。  それぞれの地域で、阪神・淡路大震災の際にコミュニティーFMの果たした役割に注目をして、この放送計画をしているようであります。しかし、開局するに当たりましては、自治体とのかかわり方などいろいろな問題が生じてきているようであります。既に県域放送に県の出資が認められ放送番組編集の自由が確保されている点を考慮すれば、地域によっては、放送の対象範囲が狭く経済性に乏しいコミュニティーFM放送局を円滑に開局させるには行政の支援も必要なケースがあり得ると思うのであります。したがいまして、コミュニティーFMを開局しようとする者から国の関係法人や都道府県が出資参加を要請された場合、地域の実情に応じて出資を認めても差し支えないのではないかと私は考えます。  今日の規制緩和の流れの中で、地域の実情に応じた基準の弾力的運用が望まれており、郵政省としては、コミュニティーFM放送を普及させるためそのあり方を再検討する考えはないか、御所見を賜りたいのであります。
  184. 堀之内久男

    国務大臣堀之内久男君) ただいま野間委員から御指摘がありましたコミュニティーFM放送の問題であります。  大体これまで都道府県を中心にしたFM放送が普及してまいったわけでありますが、最近になりまして、いわゆる市町村を単位にするコミュニティーFM放送が制度化されてまいりました。現在六十四局が開設されておるわけであります。何といってもコミュニティーFM放送は、市町村の行政情報あるいは生活情報を提供するということで大変地域住民に親しまれております。したがって、郵政省としても積極的に進めてまいりたいと思います。  野間先生のおひざ元であります松山市において、ここには愛媛エフ・エー・ゼット株式会社というのがあるそうでありますが、これに国、県、そして松山市まで出資されておられるようで、事業体はこれは別の事業として始めておられますが、こちらがコミュニティーFMをやりたいという申請がなされておるようであります。なお、ほかにもう一業者出ておるようでありますが、これは先ほど申しましたように、国、県の出資はもちろんですが、地元の松山市も一八%と大きく出資をなされておるという会社でありますので、私としては大変いい会社だと。  先ほど御指摘のように、できれば県あたりまで、市町村だけじゃなくて県も巻き込んで地域のそうしたコミュニティーFM放送を強化していくということは大変望ましいことだと、こういうように思います。したがって、この愛媛エフ・工ー・ゼット株式会社の申請に対しましても、今後、四国電気通信監理局を指導いたしまして、前向きになるべく早く結論を出すようにしてまいりたいと、こう思っております。
  185. 野間赳

    ○野間赳君 日韓、日中漁業交渉につきましてお尋ねをいたします。  昨年七月、我が国におきましても国連海洋法条約が発効しまして、当条約の基本であります沿岸国主義に沿った関連国内法が制定をされ、ことし一月から総漁獲量を規制しますTAC制度が導入をされたところであります。  しかしながら、韓国、中国との間にはそれぞれ旗国主義に基づく現行漁業協定が存在をするため、TAC制度がこれらの両国に適用されず、我が国漁業者のみがTAC制度に基づく資源管理を行うという公平を欠く事態となっておるのであります。国連海洋法条約の趣旨に即した新しい漁業協定を一刻も早く締結すべきであると思いますが、現在までの交渉の状況及び見通しについてお伺いをいたします。
  186. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 委員指摘のとおり、昨年、我が国といたしましても国連海洋法条約を批准いたしました。自来、中国、韓国との間で早期にこの条約の趣旨にのっとった新しい漁業協定をつくるべく交渉を進めていたところでございます。  まず、中国との関係について申しますと、第二回の公式の協議が先月十八日、十九日に開かれました。その結果、これまでのいろいろな協議を踏まえまして、かなり突っ込んだ議論を行いまして進展が見られたところでございます。  今回の協議の結果、意見の一致を見ましたところは、国連海洋法条約の趣旨を踏まえて原則として沿岸国主義にのっとった解決を目指していく、そして交渉を加速化していく、こういったことで進展が見られたわけでございまして、今後一層その交渉を精力的に進めてまいりたいと、こう考えております。  一方、韓国との関係でございますが、これはつい先週でございます、三月六日、七日にソウルにおきまして両国間の漁業実務者の協議が開催されまして、こちらでも一定の進展が見られたと、このように我々は評価しているところでございます。  今回の協議におきましては、両国がそれぞれ新たな漁業協定の骨子案を提示し合いましていろいろ協議をいたしました結果、こちらでも海洋法条約の趣旨に沿った協定を締結すること、そして協定の内容については、相互の入漁、それから取り締まりやその入漁の許可、あるいは漁業委員会の設置、さらに生物資源の保存や最適利用についての協力など、幾つかの基本的な考え方につきましておおむね意見の一致を見たところでございます。  そういったことで、どちらの交渉にもいろいろ難しい点はございますけれども、一定の進展がここのところ見られているところでございます。今後一層努力を重ねまして、新たな漁業協定の早期締結に向かって努力をしてまいりたいと、こう考える次第でございます。
  187. 藤本孝雄

    国務大臣(藤本孝雄君) 外務大臣から今御説明がございました。農林水産省といたしましては、昨年の与党三党の合意、これまでの議論を十分踏まえまして、新たな漁業協定の締結に向けて最大限の努力を今しておるところでございます。  去る二月二十八日に、金大使を農林水産大臣室にお呼びいたしまして、新たな日韓漁業協定の早期締結につきまして強く申し入れをいたしました。これに対しまして金大使から、双方が新協定の早期締結に向けまして努力していくことにつきましては同意が得られました。私どもも精いっぱい努力をしてまいる決意でございます。
  188. 野間赳

    ○野間赳君 地球温暖化によります危険は、我々の子や孫の世代になって現実のものどなるような性格のものであります。現在に生きる我々は将来の世代の危険と引きかえに繁栄を調歌いたしておるのであります。これではいけないのでありまして、我々が将来の危険を予測してそれを防ぐように行動することが重要であると考えます。しかし、一般の人々は地球温暖化の危険をSF、サイエンスフィクションのように受け取られ、どうも切実に感じていないのではないか。  このような事態を改善するには、科学研究を盛んにし、またその成果をどしどしわかりやすく伝えていくことが重要であると思うのであります。地球温暖化による危険やそれを防ぐ技術や制度についての科学的研究、その成果の公表、活用についての政府の努力は果たして十分であるかどうか、もっと努力すべきでないかということであります。その点につきまして環境庁長官からお伺いをいたしたいと思います。
  189. 石井道子

    国務大臣(石井道子君) 地球温暖化防止京都会議がことしの十二月に開催をされるわけでございまして、それを成功させるためには国内的な取り組みまた国際的な取り組みが必要でございますので、今その問題についていろいろと準備を進めながら取り組んでいるところでもございます。  そして、このためには、国内的には国民各界各層の総ぐるみの取り組みを進めるということ、そしてまた省エネルギー対策とか太陽光発電等の新エネルギーの開発利用などについての施策を強化するということも必要でございますので、各省庁一体となった取り組みをすることになっているところでございます。  環境庁といたしましても、気候変動に関する政府間パネルによりますと、地球温暖化がこのまま進行した場合には、水資源、農林水産業、生態系、沿岸域、健康等への多様な影響があるものと予測をされているところでございまして、これまでも地球環境研究総合推進費の活用によりまして、地球温暖化の現象解明また影響及び対策技術等の評価に関する科学的知見の集積に努めているところでもございます。そして、我が国影響の予測につきましては地球温暖化問題検討委員会において検討を行っているところでございます。  国際的な取り組みといたしましても、今後、環境保全上効果が高く、そして公平で実行可能性も高い国際約束を結ぶ必要がありますので、そのために我が国なりの国際約束の案を提案したところでございますが、今後は対策の進め方に関する各国の考えや立場を十分理解しつつ、具体的また建設的な意見交換を進めて国際合意の形成を図る所存でございます。
  190. 野間赳

    ○野間赳君 西暦二〇〇〇年からの厳しい地球温暖化対策につきまして、新しい国際約束を結びます機会となりますのが本4十二月の京都会議であります。国連気候変動枠組み条約第三回締約国会議、いわゆるCOP3であるわけでありますが、日本はこのような重要な会議の開催国となり、したがって議長国となるということであります。  環境庁長官はこの会議を通じまして、各国の主張がいろいろあります中で、地球温暖化防止京都会議に向けて国際合意をどのようにつくっていくおつもりか、特に京都会議に向けた段取り面や内容面でのリーダーシップをどのように発揮するのか、お尋ねをいたします。
  191. 石井道子

    国務大臣(石井道子君) このたびの地球温暖化防止京都会議を成功させるために、国内対策の充実強化、国民総ぐるみの取り組みと同時に、その会議の成功のためのリーダーシップをとるために全力を挙げて取り組んでいきたいと思っております。
  192. 野間赳

    ○野間赳君 終わります。
  193. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 以上で野間赳君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  194. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 次に、谷川秀善君の質疑を行います。谷川秀善君。
  195. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 自由民主党の谷川秀善でございます。  橋本総理を初め関係閣僚の皆さんには、連日にわたりまして各委員からの質問に対し本当に真摯にお答えをいただき、大変御苦労さまでございます。私は意味不明ととられるような質問は一切する気はございませんので、明快にお答えを願いたいと存ずる次第であります。  まず初めに、予定をいたしております質問の前に、きょうの日経新聞でございますが、これをひとつお聞きをいたしたいと思います。  この見出しに「都議側口座に五千万円」、こう書いてあるわけです。きょうの日経新聞です。オレンジでございます。このオレンジの事件に関しましては、我が党の参議院の佐藤静雄先生が先般も大変質問をしていただきました。そのときに、それぞれ全力を挙げて解明に努力をすると、こういう答弁をいただいているところでございますが、この記事によりますと、旧日本新党系の都議の口座に一九九四年十一月十六日にオレンジ共済側から入金されたと、こう書いてあるわけです。そしてまた別途五千万円は手渡したと、こういう記事でございます。  捜査当局はこれについてどれぐらい捜査をし、お調べになっておられるのか、わかるところで結構でございますから、警察庁、法務省、それぞれお答えを願いたいと思います。
  196. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) お尋ねの件につきましては、現在、警視庁におきまして鋭意捜査中であり、詐欺事件の使途の解明とあわせまして全容解明に向けて捜査中でございますので、御答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。
  197. 原田明夫

    政府委員(原田明夫君) お答え申し上げます。  ただいま委員指摘のような報道がなされていることは承知しているのでございますが、オレンジ共済組合をめぐる詐欺事件につきましては既に関係者を一部起訴したところでございますが、現在なお検察官におきましては、警視庁から送致を受けまして、同種余罪の有無を解明すべく捜査中であると承知しております。  捜査当局が捜査の過程におきましてどのような事実を把握しているかにつきましては、捜査の中身にかかわる事項でございますので法務当局としては答弁を差し控えさせていただきたいのでございますが、一般論として申し上げますれば、捜査当局におきましては、刑罰法令に触れると認められる事実が判明いたしました場合には、法と証拠に基づきまして適正に対処してまいるものと考えております。
  198. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 それは大いにやっていただきたいと思いますが、この新聞記事によりますと口座振り込みということになっておるわけですね。口座振り込みなら入り口ははっきりしているわけですよ。だから、今度は出口をしっかり調べてもらいたい。出口が大切なんですから、出口が。入り口は口座振り込みなら、これは間違いなくはっきりしておると思います。だから、問題は出口なんです。ここを解明することが一番大事でありますから、(「どこから入金したのかすぐわかるんだ」と呼ぶ者あり)入金はもうわかっているんだ、これは口座振り込みだから。だから、出口をしっかりやっていただくことをお願いいたしておきます。  それでは、本来私が予定をいたしておりました質問に入らせていただきます。  さて、今我が国は、バブルが崩壊をいたしまして、国も地方もかつてない財政難に陥っているわけであります。この財政難をどう解決するか。まず一番考えなきゃならぬことは、少なくとも子供や孫にだけは借金を残してはいかぬ、こういうことだろうと思うんです。そういう意味で、この状態を乗り切るためには大変な痛みがあろうと思います。政も官も民も一体となって、それこそ総理がいつもおっしゃっているとおり、火の玉になって財政構造改革、行政改革をしなければならないと思います。  この大事なときに、官は官で大蔵省、通産省、公務員の不祥事がもうぞろっと出ているわけです。そして、そのきわめつけが厚生省の前事務次官の逮捕であります。地方は地方でまた毎日のように架空接待問題、空出張問題、裏金問題、もう新聞を一日としてにぎやかさぬ日はないわけです。政は政で、今申し上げましたように、参議院議員になるのに、あろうことか、本当に善良な国民の血と汗の結晶であるとらの子を言葉巧みに高金利というえさでつって、その金で参議院の議席を買ったと言われております。そして、事件が発覚してからもなお議員に居座り続けているというような事態が続いているわけであります。  そこで私は、公務員のモラルという観点から、現行の公務員制度とその運用という点に絞りまして、総理を初め関係大臣にお伺いをいたしたいと思います。  今公務員といいますと、国家公務員が大体百十六万人、地方公務員が三百三十五万人、計四百五十一万人いると言われております。これは学校の先生も皆入れてでございます。そうすると、大体国民二十八人に一人が公務員だと、こういうわけです。それに政府系の特殊法人、外郭団体を含めますと大変な数になるわけです。  数の議論は後ほどさせていただきますが、この公務員の皆さんが戦後一貫して大変な努力をされまして今日の日本を築いてきたという自負心のあることも私は否定するものではありませんが、ここに至っていわゆる高級官僚と言われる人たちがこぞってと言いたくなるぐらい続々と不祥事を起こしているわけであります。  そこで、その原因を考えてみますと、事件を起こした人にも大変問題のあることはもちろんでありますが、戦後五十年たった今、この公務員制度そのものにどうも欠陥があるのではないか、金属疲労ではございませんが制度疲労を起こしているのではないかというふうに考えるわけであります。  そのために、この公務員制度、そしてその運用に本当にメスを入れないと本格的な行政改革の実効は上がらないんではないか。幾ら倫理規程をつくってみたり行政監視院制度をつくってみたりしても、やっぱり本格的な……(「時間なくなっちゃうよ」と呼ぶ者あり)はい、わかっています。やらないと、私はやっぱりあかんと思います。そういう意味では、今の公務員制度の矛盾点について二、三指摘をさせていただいて、そのお考えを聞きたい、こう思うんです。  そこで、まず人事院にお伺いいたしますが、過去十年間の公務員の採用状況を、いわゆるキャリアと言われているⅠ種とそれ以外の人数をお知らせ願いたいと思います。
  199. 弥富啓之助

    政府委員弥富啓之助君) お答えを申し上げます。  過去十年間の国家公務員の試験別採用状況、Ⅰ種等試験採用者、これは今言われました上級職の方でございますが、昭和六十年度以降から平成六年度までの十年間で総数八千九百五十六人、年平均にしますと八百九十六人でございまして、Ⅰ種等試験以外の試験採用者、これは昭和六十年度以降から平成六年度までの十年間で総数が十六万五百四十二人、平均で一万六千五十四人というふうになっております。
  200. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 そうすると、大体十五人に一人ぐらいと、こういうことになるわけですね。大体十五人に一人がいわゆるキャリアと言われる人で、それ以外が十四人と。  こういうことで、こう考えてみますと、採用形態、去年大阪である地方自治体が守衛さんを募集したんですよ。そうすると、九〇%が大学卒が受けに来たんです。これはもう今高学歴社会と、こういうことになってきますと非常に考えられぬことが起こっているわけです。これも高学歴社会の一面だと思いますがね。  この資格、どういう資格ですか、このⅠ種とⅡ種、Ⅲ種の違い、ちょっとお伺いします。
  201. 角野敬明

    政府委員(角野敬明君) 御説明申し上げます。  公務員試験、主要な試験はⅠ種、Ⅱ種、Ⅲ種と区分してございますけれども、Ⅰ種試験及びⅡ種試験は大学卒程度を内容とする試験種目でございまして、受験資格としては特段学歴を要件といたしておるわけではございません。m種試験は高卒程度の受験者を対象とする試験でございますけれども、これにつきましても年齢が要件になっているだけでございまして、学歴につきましては特段受験資格にいたしてはおりません。
  202. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 結局、今いわゆる学歴は関係ないということですね。試験さえ通ればいいと、こういう話です。  これは各省に聞きたいんですが、そんなことをやっておるともうえらいまた時間がと言われますので、時間がありませんので、えらい厚生省申しわけございませんが、前事務次官が逮捕されたということもございますから、厚生省を中心にしてお伺いをいたしたいと思います。  それじゃ、厚生省、六十年から平成三年まで、Ⅰ種とそれ以外の採用状況をお伺いいたします。
  203. 中西明典

    政府委員(中西明典君) 厚生省におきます昭和六十年及び平成六年のⅠ種等とその他の採用人員でございますが、昭和六十年の厚生省の全機関における採用人数は、行政職のⅠ種等が三十一名、その他は国立病院等に勤務する医師、看護婦等の医療職等が約九割を占めまして、全体で四千九百五十名でございます。なお、そのうち行政職のⅡ種、Ⅲ種は百八十二名でございます。  また、平成六年の採用人数は、Ⅰ種等が三十八名、その他は、同様、医療職等が約九割を占めますが、三千九百二十六名でございまして、うち行政職のⅡ種、Ⅲ種は百十四名でございます。
  204. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 そうすると、大体わかるんですが、これはもう大卒も関係ないですね。  それで、Ⅰ種の昇進の度合いというのはどういうことですか。
  205. 中西明典

    政府委員(中西明典君) もちろん個別ケースによって異なるわけでございますが、ごく大ざっぱに申し上げますと、大体入省後四年目で主査、係長、八年目で課長補佐、現在二十年目以降で課長という格好になってございます。
  206. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 それでは、本省の課長以上のポストの数とキャリア、ノンキャリア、技官の数をお教え願います。
  207. 中西明典

    政府委員(中西明典君) 本省の課長職以上の者は九十二名でございますが、このうちⅠ種等職員が八十六人でございます。
  208. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 表をお配りしていますが、これを見ていただいたら一目瞭然なんです。結局ノンキャリアは課長までしかいけない。たった七名です。あと全部キャリアと称されている人のポストになっているんですよ。これはとんでもない話。それで、これをお配りしましたが、これを見ていただいたらわかる。昔からよく言いますね、かごに乗る人担ぐ人、そしてそのわらじを編む人。これはほとんどがわらじを編む人なんです。国家公務員の、また地方もそれに近いことをやっておりますが、ほとんどがわらじを編む人なんです。これが結局ここ十年間の高級役人、エリートと称される人の汚職のもとになっているわけですよ、汚職のもとに。それがこんなことやっていたらほとんど働く気しませんよ。  それで、まだほかのことを聞きたいんですが、出向制度、厚生省から今どれぐらい各府県に出向しておられますか。
  209. 中西明典

    政府委員(中西明典君) 都道府県、政令指定都市に厚生省から出向している者は現在八十五人でございまして、このうち課長以上が七十八名でございます。
  210. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 ほとんど出向しているんですよ。それでどういうポストにおるか。大体課長か部長なんです。  それで、岡光さんの履歴書がここにありますが、これをちょっと言いますと、昭和三十八年に入庁しておられる。それで四十六年、三十二歳で栃木県の児童家庭課長になっておる。それで四十九年、総務部の財政課長になっておる。各都道府県で三十二歳といったら係長になるかならぬかぐらいの年ですよ、ちゃんと大学を卒業して、ちゃんと試験を受けて。これが県の、三十二やそこいら、もっとひどいのは二十代になっているんです、二十代に。こんなばかな制度をこのまま残しておいたら大変なことになる。それで三十八歳、社会保険庁医療保険部船員課長ですか。それで審議官になった年が四十九歳、大臣官房審議官。そこから保険局長になり、事務次官になっておる。  ここでまやかしがある。指定職という給料表ができているんですね。だから、局長以上は指定職になっているんです。この表を見てもらったらわかるんですが、給料、この指定職というのはこれで見てもらうとわかるんです。がばっと月給が上がる、その段階でえらい上がるんです。まあ、これはどうでもええですけれども。  そういうことをやっているから、結局人の痛み、人の苦しみ、わかるはずがないんです。三十や三十二で府県の課長になって、親ほどの年の人が部下になっているんです。それで課長さん、課長さんと、こう言っているんですよ。この制度、それが残っているんです、ずっと。これは明治以来同じ。これを変えなきゃいかぬということを私は思っている。  そこで、現在の事務次官の入省年次と年齢をお伺いいたします。
  211. 弥富啓之助

    政府委員弥富啓之助君) お答えを申し上げます。  省庁によって若干の幅はございますけれども、平成九年三月一日現時点で見ますと、事務次官の年齢は五十五歳から五十九歳までとなっておりまして、平均年齢は五十六・七歳でございます。また、事務次官の入省年次は昭和三十五年から昭和四十年までとなっております。
  212. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 今お答えいただいたとおりだと思うんです。だから、年齢的にいいますと大体五十五から五十八ぐらいなんですね。これはもうトップ、一番上。  そこで、人事院にお伺いいたしますが、公務員の定年は何歳ですか。
  213. 弥富啓之助

    政府委員弥富啓之助君) 一般職国家公務員の定年は原則として六十歳でございます。
  214. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 そうなんですよ。結局六十歳なんですよ、定年制は。  ところが、キャリアと称される人は六十までいかないんですよ。もっとひどい運用をやっているんです。入省年次で最終五十二か三で一人に絞り込んでいるんです。それまでに結局やめさせていっているんですよ。それが結局、次に申し上げますが、特殊法人への天下りに直結しているんです。  そこで、お伺いをいたしますが、政府系に行っている人の数は大体どれぐらいですか。
  215. 安富正文

    政府委員(安富正文君) お答えいたします。  国家公務員出身者の特殊法人常勤役員への就任状況につきましては、十年前の昭和六十三年一月一日現在で三百七十八人、全体の五一・二%を占めておりました。本年一月一日現在においては三百五十七人ということで、全体の常勤役員の四三・五%となっております。
  216. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 結局、何やかんや言って十年かかって五一・二%からたった四三・五%まで。人数でいくと大して減っていないんですよ。よそがふえておるからだ。六十三年一月は公務員出身者三百七十八人、九年三百五十七人、どれだけ減っているんですか。ほとんど減っていないでしょう、ほとんど減っていないんですよ、これ。だから、これが結局今のいわゆる定年との絡みでそういうことになっているわけですよ。  それで、警察庁にお伺いいたしますが、過去十年間の汚職件数をお知らせください。
  217. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) 恐縮でございますが、平成三年からの数字しかちょっと持ち合わせておりませんが、よろしゅうございますか。
  218. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 結構です。
  219. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) 順次申し上げますと、平成三年百六十四件、百七十件、二百十件、百八十五件、百七十六件、そして昨年が百四十七件でございます。
  220. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 何か最近マスコミが公務員が悪いことをしているなどと騒いでいるんですよ。ところが、汚職件数を調べますとそんなにふえていないんです。そうでしょう。平成三年百六十四件、検挙人数二百三十六人、平成四年百七十件二百三十人、ずっといって平成七年百七十六件二百五十九人。  結局、地方も国も含めまして四百万近い公務員のほとんどは悪いことをしていないんですよ。ごく一部のとんでもない者が出てきて、毎日、新聞に騒がれるから公務員が全部悪いことをしていると。ここを正さぬ限り私はほんまに日本の行政改革はできないと思う。本当に皆汗水垂らして国のため府県のため市町村のために頑張っているんです。ほとんどがそうなんだ。その人たちを本当に怒らせてしまったらそれこそ日本の国は大変なことになってしまう、私はこう思うわけであります。  そこで、日銀総裁にお伺いいたしますが、総裁に給与を聞くのもちょっとあれなんですけれども、新聞にももう出たことですから、総裁の給与と、それから副総裁、理事さんの給与をお知らせいただきたいと思います。
  221. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 日本銀行の役員給与につきましては、俸給、手当を合わせました年収のベースで、総裁が五千百三十三万円、副総裁が三千七百十四万円、理事が二千七百十九万円でございます。
  222. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 これは俸給月額が二百八十一二万円。私が調べますと、これはどうも総理大臣より多いですね。それと、理事さんでも――理事さんでもと言うたら語弊がありますが、百四十八万。これは国会議員より多いですよ。これはどういう基準でお決めになったのか、ちょっとお伺いいたします。
  223. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 日銀の役員給与に関しましては、昭和三十四年の金融制度調査会実態調査小委員会の報告におきまして、「総裁其の他の幹部責任者については責任遂行と民間からの人材招致等の事情を配慮して、その給与に改訂を加える必要がある」とされまして、その以後、この基準に準じているわけでございます。  この提言を踏まえまして、日銀の役員給与につきましては、業務の内容が大体同質的であります市中銀行の役員報酬を参考にしながら、他方で職務の公共性にも十分配慮いたしまして、総合的に判断した上で大蔵大臣認可を経て決定をしてまいっております。
  224. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 もうこの件はこれ以上余り聞きとうないから聞きませんが、よく考えてみたら総理大臣の方が仕事は大変だと思いますね、どう考えたって。だから、感想を聞きたいんですけれども、感想を聞くと非常に気の毒だから聞きません。今度また日銀法の改正で何かいろいろやる、こう言っておられるようですから、これ以上聞きません。  結局はほかの銀行を監督しているんだからそれより月給が高うないと格好悪いわというような、そこまでは言いませんが、そんなところで決めているのと違うかと思いますよ。こんなのとんでもない話や、私から言わせたら。そうでしょう。五千万と、これは初めてわかったわけでしょう。国民はだれも知りませんよ、日銀総裁が五千万も月給取っているなんてこと。総理大臣よりも……(「総理が安過ぎる、総理はもっと高くしなきゃいけない」と呼ぶ者あり)それは私はそう思っていますよ。総理が安いからもっと上げたらいいと思うけれども、そうはいかぬのや、行政改革を言ってるから。  そこで、そろそろ時間がなくなってまいりました。いろいろと申し上げましたが、結局はここにメスを入れないと、本当に行政改革はできない、痛みを分かち合えない。こういうことで、だから定年制は六十までいかせる。何も早くやめて次へ行くから美徳でも何でもない。今まではあったかもわからないけれども、これは六十までいかせる。そうすると、いわゆる昇進のスピードもおくらされるんです。これをやらないと、地方との交流、それからまた人事院も言っておられる各企業との交流、こういうことはできなくなると思いますよ。だから、私はある程度実態に合わせていくということをやらないとだめだと思っているんです。そういう意味で、質問しながら今一端を御披瀝申し上げたわけです。  もう改革じゃなくて革命を起こすと、そういう意味で私は一つの提案があるんですよ。三年ぐらい公務員を全部採用ストップしたらいいんです。それでもいけますよ。次官ですら五十五から八なんだから。そうすると人事ローテーションが狂うと、こう言うんです。狂わないです。狂わさないと改革はできない。そうすると上下で数ががばっと減っていくんです。  そういうことでございますので、そういうことを申し上げまして、厚生大臣と総理のこれに取り組む決意をお伺いして、私の質問を終わります。
  225. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) ちょうど昭和四十五年、私が厚生省の政務次官になりましたとき一番驚きましたのは、本省の各局の中に議員が今言われたノンキャリアの課長さんのいない課が、むしろいない課の方が実は多かった。そして、それはおかしいじゃないかと随分当時の内田常雄厚生大臣とともに事務方の諸君と議論をいたしました。そして、私どもがその職を引きますときには少なくとも各局にその局のベテランの方のポストが一応一つずつはできるようになりました。  それ以来、この問題を必ずしも考えてみませんでしたが、議員の今御質問を聞き、この数字を見ておりますと、そのころ各局に一つずつノンキャリアの方、ベテランの方の課長職ができて、それから全然ふえていないんだなと。まず実は、今伺っていた実感がこれでございます。  一方、公務員の定年制に比して、殊にキャリアと言われる諸君の退官時の年齢が低過ぎる。それぞれの閣僚を務めましたりあるいは違った場につきましたときにも内部で随分議論をしてみましたが、今まで基本的に直すチャンスがありませんでした。  しかし、確かにもう既に人生八十年時代と言われている。そして、一方で少子化が問題になっている。社会における雇用環境もあるいは慣行も変化をしてきている。一方で高学歴化も進むだけ進んできた。そして、女性の社会進出というものが非常に積極的に行われ、ふさわしい活動の場を求められる状況になっている。そうしたことを全部考えますと、やっぱり公務員制度も改革を迫られているものの一つだと思います。  そして、平成九年度に政府としては公務員制度調査会を設置しながら、国民の信頼の確保というものを基礎にしながら行政の総合性の確保、公務の活性化、高齢化への対応などの諸課題にこたえ得るように人事管理システム全般の見直しを行うという方針を決めました。  また、橋本内閣をスタートいたしました直後から、公務員、いわゆるキャリアの採用数を三割減らしたいということで随分議論をいたしました。しかし、既に採用が始まっておりましたために、今年度は一〇%しかカットはできませんでしたが、その後これを三割にふやしていき、それだけキャリアの採用数そのものを削っていきたいということを考えております。  そして同時に、先ほど待遇の問題も議論をされております。公務員の給与のあり方につきましては人事院からまた勧告をいただけると思っておりますが、橋本内閣が発足いたしまして以来、現在のメンバーも含めまして、国民に改革お願いする以上自分たちもということで、歳費の一割国庫返上を続けておるのが今の状況でございます。
  226. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) きょうは、具体的でわかりやすい大変いい御意見をいただいたと思っています。時代の変化に対応した人事管理制度の見直しは厚生省でも必要だと思っています。  次の人事異動まで私は大臣やっているかどうかわかりませんが、今の御意見を参考にしながら、ノンキャリでも優秀な人はたくさんいます、新しい人事管理制度を具体的に実践する時代に来ているなというふうに感じます。
  227. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 終わります。
  228. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 以上で谷川秀善君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  229. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 次に、照屋寛徳君の質疑を行います。照屋寛徳君。
  230. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 私はまず最初に、嘉手納飛行場を含む十二の米軍施設について、今国が沖縄県収用委員会に使用裁決の申請をなし係属中の同事件のことについて、お伺いいたします。  沖縄県収用委員会は、あす第二回の公開審理、そして第三回の公開審理を三月二十七日に開催することを決定したようであります。しかも、収用委員会は、基地内への立入調査を含めて実質審理を尽くしたい、こういうふうに見解を表明いたしております。  私は、このペースで進みますと五月十四日の使用期限が切れる日までに県収用委員会の使用裁決を得ることは不可能ではないか、こういうふうに考えるわけでありますが、まず防衛庁長官、いつまでに県収用委の使用裁決が得られると見込んでおられるのか、お聞かせください。
  231. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 私どもは、あしたが第二回目の公開審理でございますけれども、その後できるだけ早く裁決をしていただきたい、そういうふうに願っておるわけでございます。  ただ、先般から当委員会でもお答えしておりますとおり、裁決が仮に出ました場合、あるいは三月中にあるいは四月になって出てからでも、本来でございますと裁決が出て通知をされて、そして通知が届きまして、また補償金が支払われれば間に合わないことはないわけなんですけれども、御承知のとおり、裁決をした後でもその文書が届いたときにそれを受け取らない、そういうふうに言われて、しかもその文書が返ってきて、公示送達をして、その後今度は補償金を支払うということになっても、それを受け取らないと、そういうことを言われると非常に困るものですから、一日も早く、せめて公示送達その他が間に合うように早く裁決していただきたいと祈るような気持ちでおるわけでございます。
  232. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 防衛庁長官、仮に三月二十七日の第三回の公開審理で国側が希望するような使用裁決が得られたとして、その後どういう法律的な手順を踏み、そして実際に国が法律上の使用権原を取得するまで、過去の事例との比較でも結構でございますが、一体どれぐらいの期間を要するとお考えになっていますか。
  233. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 仮にということに答えるわけにはいきませんけれども、ただ手続面だけ申し上げさせていただきますと、裁決が出ますと、その後文書で通知がされるわけでございます。そして、届いたか届かないか、これを確認するのに約一週間近くかかるわけでございます。そして、届かない、いわゆる拒否された場合には、それから公示送達という手続をとることになります。これは、手続的に完璧を期しますと、やはり二十日ぐらいかかる。そして初めて本人さんにいわゆる公示送達がされたということになるわけでございます。  それからいわゆる今言いました補償金を支払うということになってくるわけでございまして、この補償金については最終的に受け取らない場合は供託ということもあるわけでございます。そういうような法的手続がございます。
  234. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 過去の米軍用地収用特措法に基づく使用裁決のケースでいいますと、私の記憶では使用裁決後、諸手続を踏んで使用権原を取得するまで二カ月ぐらいかかっているんじゃないか、こういうふうに考えております。どうでしょうか。
  235. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 確かに、今まで過去の例では一カ月半以上かかっております。しかしながら、そこのところは、皆様方が今度ああいう沖縄県との関係に立って公告縦覧に応じていただいて、そして今一生懸命収用委員会の皆さん方も努力しておられる。この間公開審理も粛々と行われた。そういうようなことから、やはりそういう法的手続に従って一定のことがスムーズに行われるとすれば、先ほど言いましたようなよっぽどひどいことにならない限りはその辺可能性がまだあるんじゃないかということで、非常に期待を持ちながら見守っているところでございます。
  236. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 期待は大いに結構ですけれども、これまでの過去のケースに照らしますと、私はもう日程的に物理的に不可能ではないかと、こういうふうに考えるわけですね。期待をして期待をして、結果的にその使用裁決が得られなかったと、こういうことになった場合の政治責任、行政責任というのは非常に大きいだろうと思うんです。そのことについてはどのようにお考えですか。
  237. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 御承知のとおり、我が国は日米安保条約に基づいていわゆる施設・区域の提供をしなければならなくなっておるわけでございます。したがいまして、そのためにこういう法律もあるわけでございますけれども、そういう中で公告縦覧の手続等が最初のいろんなことからおくれてしまったことも事実でございます。  しかしながら、その後沖縄県との関係においてああいう公告縦覧の手続に入っていただいて、その後順調に行われておるので、できるだけ早くとにかく裁決していただきたい、そして裁決後もそういう手続がスムーズに行われたいと、そういうことを願っておるのが現在の心境でございます。
  238. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 総理にお伺いいたしますが、総理予算委員会その他でたびたび、何とか収用委員会で期限内に使用裁決を得たいと、こういうふうなことも申し述べておるわけでありますが、三月二十七日、第三回の公開審理が決定をした、こういう今日、なおかつ総理は県収用委における五月十四日までの使用権原の取得は可能だと、こういうふうにお考えなんでしょうか。
  239. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は今も祈るような思いでそれを期待いたしております。なぜなら、私どもは少なくとも日米関係というものが国際的に極めて大切な関係であると考え、その基礎に日米安全保障条約というものが存在をするという事実の上に立ちますと、我々もまたその責任を果たしていかなければなりません。その責任の中に、米軍の使用する施設・区域の安定的な使用を継続する、これを提供していく責任がございます。  沖縄県内には違ったお考えを持っておられる方々がおられること、また非常にさまざまな過去の経緯があったことも存じておりますが、国という立場に立ちましたとき、この大切さというものは極めて大きなものがございます。そして、そのいわば一つの非常に大きな構成要素が使用権原の取得というものにかかっております。  私どもとしては、使用権原の取得のために収用委員会が過去の実例から、事例からいけば議員御指摘のように大変状況が厳しいということを私自身も認めておりますが、なおかつこれが完遂されますように心から願っております。
  240. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 政府は、昨年、楚辺通信所の知花昌一氏所有の土地について、沖縄県収用委員会に緊急使用の申し立てを行いました。結果は却下されて緊急使用が認められなかったわけでありますが、今回嘉手納飛行場を含む十二の米軍施設について緊急使用を申し立てるおつもりがあるでしょうか。また、申し立てないとすると、なぜ緊急使用を申し立てないのか、お聞かせ願いたいと思います。
  241. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 前回のときには、公告縦覧の手続に入らないまま収用委員会の審理が行われていなかったわけでございます。今回、収用委員会でこの十二、それに知花さんのやつも含めまして十三施設の審理が行われておるわけでございます。そういうことで今私どもは、この収用委員会の裁決を一日も早く得たい、そういう気持ちでいっぱいでございまして、そういうような心境でございます。  なお、ちなみにちょっと蛇足かもしれませんけれども、先生御存じかもしれませんが、緊急使用の場合でも、先ほど言いましたいわゆる公示送達、そういう日取りは同じでございまして、ただ補償金を支払うときだけいわゆる供託をすればそれで終わるということになりますので、そこの点が若干違うだけで後の日取りは全部同じでございます。
  242. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 緊急使用を申し立てるのか申し立てないのか、その結論は出てまいりませんでしたが、大田知事を含めて県民が思っておるのは、現行法上適正な手続として、可能な手続として緊急使用という申し立ての制度があるのになぜそれをやらないのか。収用委員会の日程ははっきりしてまいりました。また、嘉手納基地を含む十二の基地についてはことしの五月十四日に使用期限が到来をするということはもうわかっているわけですね。  そのことを知事も、昨日民主党の沖縄調査団に対して、なぜ緊急使用の申し立てもしないでいきなりやるんだと。可能な手続がありながらそれをやらないで特措法の改正を考えたり、そういうふうな手だてを尽くそうとするのか。そのことが非常に不信になっているわけです。防衛庁長官、どうなんですか。
  243. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 先ほども述べさせていただきましたように、今裁決の審査をお願いしておるわけでございます。その手続が進んでおりまして、一日も早く裁決をしていただきたいというときに緊急使用をあわせて今出すというのはいささか並行的になるわけでございます。それについても同じような、所有者の数は全部一緒でございますから、じゃ、そっちをやめて、同じ委員方々に今ここで緊急使用について審査してもらうというよりも、もう最初に出しております審査請求の方の裁決をとにかく早く出していただきたいという、そういう気持ちでいっぱいでございますので、そちらの方に今一生懸命になってお願いをしているわけでございます。
  244. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 防衛庁長官の御答弁からいたしますと、緊急使用は申し立てない、こういうふうな結論だと私は善解をいたしました。恐らくこれは知事を含めた県民感情を逆なですることに私はなるだろうというふうに申し上げておきたいと思います。  さて、沖縄の膨大な米軍基地をめぐる土地接収の経緯、基地の形成過程、これは大きく分けまして、五十二年前の敗戦とそれから一九五二年四月二十八日の講和条約の発効までの期間、それから講和条約発効後一九七二年五月十五日の祖国復帰の実現の日までの期間、そして復帰後の今日に至る期間、大きく分けて三つに私は分類できるのじゃないかというふうに思います。  御承知のように、あの悲惨な沖縄戦、ありったけの地獄を集めたような沖縄戦であったと言われますが、その戦争が終わりますとアメリカ軍は、自分たちが基地として有用だと思われるところを金網で囲い込んで沖縄の米軍基地を形成していったわけであります。そして、一九四五年にはもう米海軍政府布告第七号を発布いたしまして、県民の土地所有権などのすべての権利を停止いたしました。その上で軍事上必要と思われる地域を囲い込んで軍用地に形成をしたのであります。  このとき、アメリカ軍はへーグ陸戦法規、陸戦ノ法規慣例二関スル条約第五十二条を根拠にしたわけでありますが、外務省、へーグ陸戦法規の五十二条というのはどういう内容になっておるんでしょうか。
  245. 林暘

    政府委員(林暘君) お答え申し上げます。  ハーグの陸戦法規に附属しております規則の五十二条は、徴発と課役ということが書いてございまして、ちょっと読み上げますと、「現品徴発及課役ハ占領軍ノ需要ノ為ニスルニ非サレハ市区町村又ハ住民ニ対シテ之ヲ要求スルコトヲ得ス」ということで、占領軍の需要のためにでなければ徴発と課役をしてはならないということと、途中を飛ばしますけれども、「現品ノ供給二対シテハ成ルヘク即金ニテ支払ヒ然ラサレハ領収証ヲ以テ之ヲ証明スヘク且成ルヘク速ニ之二対スル金額ノ支払ヲ履行スヘキモノトス」というのが第五十二条でございます。
  246. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 アメリカ軍が合法だと根拠にしたへーグ陸戦法規五十二条、これは占領軍が日常生活を維持するに必要な食糧だとかあるいは衣服だとか医薬品だとか、こういったものを徴用するのに限定されているのであって、土地まで徴用、徴発をすることは許されないはずであります。  外務省、同じへーグ陸戦法規の二十三条ではどういうことが占領軍には禁止をされておったのか、明らかにしていただきたいと思います。
  247. 林暘

    政府委員(林暘君) 二十三条には禁止事項としてイからチまでの条項が書かれておりますが、すべて読み上げましょうか。
  248. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 ト号だけ、二十三条ト号。
  249. 林暘

    政府委員(林暘君) 二十三条でございますけれども、禁止事項として掲げておりますのは、トに「戦争ノ必要上万已ムヲ得サル場合ヲ除クノ外敵ノ財産ヲ破壊シ又ハ押収スルコト」というのが書いてございますけれども、これでございましょうか。
  250. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 今説明がありましたように、へーグ陸戦法規二十三条ト号で、戦争の必要上万やむを得ざる場合以外に敵の財産を破壊したり押収してはならないと決めてあるんですね。戦争が終わってから、アメリカがみずから必要とする地域を囲い込んで県民の土地を取り上げて軍事基地を形成する、これはへーグ陸戦法規を含めた国際法規に明白に違反している、こういうふうに県民は思っているし、私もそういうふうに思っております。  そして、日本が独立を達成した一九五二年四月二十八日、日本の独立と引きかえにまたまた沖縄に米軍基地が置かれたわけであります。その後はアメリカは布令、布告を乱発いたしまして、一応合法的な装いを凝らしながらも、よく言われます銃剣とブルドーザー、米軍が暴力的に農民の土地を取り上げていったんですね。  一九五三年四月三日にアメリカは指令を発して、強制的に借り上げることができるという仕組みをつくりました。当時の賃借料が坪当たりB軍票の一円八十銭なんです。その当時、沖縄でコカコーラ一本がB軍票の十円。軍用地料はコカコーラの五分の一の値段で強制的に徴用された。こういう復帰前沖縄の米軍基地の形成過程があった。違法、不当なアメリカ軍の行為によって軍用地が形成をされていった。このことについて、防衛庁長官、どう思われますか。
  251. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 沖縄の歴史については、聞けば聞くほどまた非常にいろいろなそういう問題があったということもわかっております。しかしながら、委員も御承知のとおり、復帰しましてからは、できるだけ早く合意を得ていない土地については合意を得るようにということで公用地暫定使用法も施行されました。それがまた五年後には延長されまして、その間にずっと地主の方々の合意をいただいて、そして御承知のとおり今約三万二千人の方のうち二万九千人の方に合意をいただいておるわけでございます。  したがいまして、過去は確かにいろいろなことがあったかもしれませんけれども、本土に復帰しましてからは、施設庁が中心になりまして地主の方々と一筆一筆合意を得ながら今日まで来たわけでございまして、今言いましたように三万二千のうち約二万九千人、こういった方々に合意をいただいており、三千人の方について今度裁決をお願いしておるわけでございます。  しかしながら、その三千人の方の中でも、今言われたように従来からの在来地主の方は百十三人でございます。だから、そういうことを考えますときに、過去の歴史については確かに私ども本当に気の毒だというふうに思いますが、今二万九千人の方が契約に合意していただいておるし、残っておられる方でも百十三人だということもひとつぜひ御理解していただきたいと思うわけでございます。
  252. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 それでは、復帰後の現代の歴史を振り返ってみましょう。  復帰のときに公用地暫定使用法をつくりましたね。その立法目的と対象地主の数、面積はどうでしたか。
  253. 諸冨増夫

    政府委員(諸冨増夫君) お答えいたします。  当時の公用地暫定使用法の立法目的という御質問でございますが、これは、沖縄の復帰に伴いまして国及び地方公共団体並びに沖縄電力等が合衆国から引き続いて使用する必要があります公用地のうち、土地所有者から賃貸借契約の合意が得られない土地がございます。そういうものにつきまして暫定的に一定期間の使用権を設定いたしまして、国などはその間に契約等の合意により使用できるよう努力するというような趣旨の特別措置を定めることを目的としたというふうに私どもは理解しております。
  254. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 対象地主や面積は明らかにしませんでしたが、それも明らかにしていただきたいと思います。  ところで、施設庁長官、この公用地暫定使用法に基づいて沖縄県以外の土地が収用の対象になったことがありましたか。
  255. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 誤解されておるといけませんのではっきり言いますけれども、この公用地暫定使用法というのは、沖縄復帰に伴って、沖縄の地主の皆様方との合意が得られていないということで特別法としてつくられたわけでございますから、この法律が本土に適用されるはずはございません。
  256. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 復帰前からアメリカ軍が不法、不当に形成をしてきた土地、復帰の時点で沖縄だけに適用される、そういう法律であったのではありませんか。
  257. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 私はその当時国会議員をしておりませんのでわかりませんが、当国会の方でそういう法律をおつくりになって、その法律に基づいて復帰に当たってこういうことでやれということで、政府はそれに基づいて、しかもその法律には合意を得るように努力せよと、そういうようなことが書いてありまして、それに基づいて施設庁の方では今日まで努力をしてきたわけでございます。  だから、そういうことにつきましては、施設庁はその後国会でおつくりになりましたその法律に基づいて復帰後ずっと努力をしてきておる、そして、今言いましたように、合意を二万九千人の方から得ておるということについてぜひ御理解していただきたいと思うわけでございます。
  258. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 防衛庁長官、おかしいじゃありませんか。あなたが復帰の時点で国会議員でなかったからといって、今現にあなたは防衛庁長官でしょう。その施設にかかわる大変重要な職責を担っているわけでしょう。今のような答弁じゃおかしいじゃないですか。
  259. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) そうじゃございませんで、その当時、復帰の直前に、四十六年に法律として当国会で、衆議院と参議院で御審議なさってその法律をつくられたということでございます。それを私は言いたかったわけでございます。  我々、行政というのはやはり法律に従ってやるわけでございますから、国会でおつくりになった法律に従ってやっているときに、その法律がけしからぬじゃないかということを言われたら非常に困るということを言っているわけでございます。
  260. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 私は、公用地暫定使用法の立法目的は何であったのか、その公用地暫定使用法で沖縄の土地以外の本土の他府県の在日米軍基地が収用の対象になったことがあったのか、そのことを聞いているんですよ。事実を問いただしているんです。
  261. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 本土の場合は、既に現在適用されております駐留軍用地特措法というのが昭和二十七年にでき上がっているわけでございます。その法律に基づいて、今みたいな事例がありましたときには、今みたいなというか現在裁決をお願いしているような事例がありましたら、本土ではその法律が適用されまして、その法律でやってきておったわけでございます。  ところが、沖縄の場合は、復帰されました当時、とにかく所有者と国との関係あるいは米軍との関係がわからないままに、先ほど先生が言われましたように、ばっと押さえてしまっている、そういう経緯がある。そういう中で、この問題について五年間でとにかく合意を得るようにしなさいという目的でそういう法律をつくられたわけでございまして、それに基づいて施設庁はやってきたわけでございます。  そして、五年たちましたときに、とにかく本土の法律を適用しようと思いましても、位置と境界が不確定だということで位置境界確定法という法律をそのときに、五年後につくられまして、位置と境界が確定しないとそういうようなことができないということでそれをつくられまして、その附則でさらに今の五年間をまた五年延長されたわけでございます。  そして、位置境界が確定しましたので、その後五十七年からは現在のいわゆる駐留軍用地特措法、本土に昭和二十七年から適用されておりましたその法律に基づいて現在やっておるわけでございますから、そういうような形で法律に従って施設庁としてはやってきたということをぜひ御理解していただきたいと思うわけでございます。
  262. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 公用地暫定使用法の暫定期間五年のうちに、任意の契約を得ることはできませんでしたね。そして一九七七年、昭和五十二年に位置境界明確化法をつくった。この位置境界明確化法も結局のところ沖縄だけが対象になったんです。だから、お亡くなりになった当時の屋良朝苗琉球政府主席は、一九七一年の十一月に公用地法の違憲性、違法性を訴える意見書を当時の政府に提出しておるんです。  だから、今度の収用との絡みで言いますと、昭和五十七年以降、米軍用地収用特借法を発動して強制使用をやってきた。これが六十二年の第二次、そして平成四年の第三次、平成九年の第四次になるわけでありますが、大田知事あるいは県民感情としては、沖縄だけに差別的な処遇をこれ以上容認するわけにはいかないと。これを沖縄だけの差別、沖縄県民だけの差別、ウチナービケーン、ウチナーというのは「沖縄」という意味であります。ビケーンというのは「だけの」という意味であります。こういうことを知事は今度の予算議会、今やっている県の三月定例会でも繰り返し繰り返しおっしゃっているわけですね。  そういう県民感情を理解しないで、本当に円滑な基地の維持、運用が図られると長官は思っていらっしゃいますか。
  263. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 沖縄の問題につきましては、沖縄県に基地が集中しておる、これによって大変な御迷惑をかけている、このことについては私はもう本当に言葉もないぐらい痛い気持ちでございます。  しかしながら、事法律の適用というのは、これは沖縄だけに適用する法律じゃございませんで、この特措法というのは本土でもそういうような事例がありまして、五十件にわたって今までもやったわけでございます。たまたま現在はそういうことで反対される方がいらっしゃいません。本土の駐留軍用地でも民有地もまだ結構あるわけでございますが、そこについても合意を全部得られておりますからこの法律は適用されませんけれども、本土でも反対の方がおられて、その施設について米軍に提供せざるを得ないとなったときは、本土でもこの法律を適用するわけでございますから、だからどうかひとつ、沖縄だけにこれをこれから先も適用してほかに適用しないんだということじゃなくて、適用するような事例が最近では起きていないというふうに、そういうふうに理解していただきたいと思うわけでございます。
  264. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 後で総理にお伺いしようと思っておりましたが、防衛庁長官、岡本行夫首相補佐官が先日、三月四日、地元琉球新報とのインタビューをやりまして、沖縄を理解するには一九四五年以前までさかのぼらぬとだめだ、そして沖縄の復帰までの二十七年間の認識が非常に重要だ、基地との関連で総理補佐官は、本土の基地と成立の過程が全く違う、沖縄の基地は市民生活を考慮せずに米軍の都合でっくられ今も残っている、こういうことを鋭く指摘しているわけです。総理の補佐官ですよ。  防衛庁長官、復帰から今日まで一体、本土ではどれだけの基地が返還され、沖縄ではどれだけの基地が返還されたんですか。
  265. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 細かい数字については後ほど施設庁長官から言いますけれども、確かにおっしゃられる意味はよくわかります。先ほども言いましたように、今までの基地のでき上がりの過程、そしてその後における沖縄の皆さん方が苦労しておられる様子、それは本当によくわかるわけでございます。  しかしながら、法の適用とか、あるいは現在お願いしていることを、それだからこそ、とにかく少しでも基地を縮小できないかということで総理が御苦心なさったこと、こういうことも踏まえて、今あのような形でSACOの最終報告を出させていただいて、これは本当に十分じゃないと思います。しかしながら、一つの区切りはできたんで、せめてこれから第一歩を、次善の策として、ここからとにかく入らせていただきたいという、そういう切なる思いでおりますこともぜひ理解していただきたいと思うわけでございます。  細かい数字は施設庁長官から説明させます。
  266. 諸冨増夫

    政府委員(諸冨増夫君) お答えいたします。  昭和四十七年五月十五日、復帰当時、沖縄県には二万七千八百ヘクタールの米軍基地がございましたが、きょう現在でこれが二万三千五百ヘクタールに縮小されております。本土におきましては、四十七年五月十五日現在一万九千六百ヘクタールございましたが、きょう現在七千九百ヘクタールでございます。
  267. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 総理にお伺いをいたします。  今月二十四日にアメリカ・クリントン大統領との会談を御予定されておるようでございますが、地元紙の報道によりますと、三月六日に沖縄県に対して、米軍用地収用特措法の改正について非公式に伝えた、こういう報道がなされておりますが、それは事実でしょうか。
  268. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) まず第一に、三月二十四日にアメリカ大統領とお目にかかると今おっしゃいましたが、そういう日程はございません。
  269. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 四月二十四日です。ごめんなさい。
  270. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) そうでしょうね。  ゴールデンウイーク前後に、日程調整をいたしておりまして、日取りはまだ確定しておりませんけれども、多分その前後にクリントン大統領にはお目にかかりたいと思っております。  それから、もう一点何を。
  271. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 三月六日に沖縄県に、特措法改正をやりたい、こういうことで非公式に……
  272. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) それは、大田知事とお目にかかったときですか。
  273. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 三月六日。
  274. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 三月六日。これは大変失礼でありますが、参議院の予算の総括審議の開会された日、私は委員会に集中しておりまして沖縄県関係者どなたにもお目にかかっておりません。
  275. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 三月十七日ごろにも総理と知事の会談を日程調整されておるようであります。この訪米前の三月十七日、仮に知事とお会いになったときに、特措法改正の方針について知事にお話をするおつもりはありますか。
  276. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) たしか、前回お目にかかりましたとき、劣化ウラン弾の問題が発生し、その事態収拾に追われておるときでございました。そして、その日、初めて知事の方から五・一五メモの提出の御要請がございました。そして、私は前向きに検討するというお返事を申し上げ、同時に、三月の半ばぐらいまでにもう一度ぜひお目にかかりたいということを申し上げ、知事も快く引き受けていただきました。  十七日とおっしゃいますのは、多分総括質疑が終了した後の一番早い平日という意味でございましょう。私は、知事が会ってくださるおつもりがあるならば、土、日でもお目にかかり、じっくりお話をする時間はとりたいと思っております。そして、それは一つだけの問題ではございません。さまざまな問題を今までも知事とはお話をしてまいりました。そして、それなりにお互いが本気の話を友情を持ってできたと私の方は思っております。そして、知事から御要請のありました五・一五メモ等につきましても当然お話は出てくるでありましょうし、私は知事がしたいと思われる話の中の、これは嫌だあれは嫌だと申し上げるつもりは一切ありません。
  277. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 総理、知事からの会談内容の要望じゃなくして、総理みずから訪米前にということで三月十七日にお会いになるときに、そういうおつもりはありませんか。
  278. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 訪米前とか後とかではなくて、先回お目にかかりましたときに、もう一度三月の半ばにはぜひ会いたいというお約束をしておるということであります。
  279. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 米軍用地収用特措法の改正問題がいろいろマスコミで報じられております。知事を含めて多くの県民が心配をしているわけでありますが、県収用委員会に現実に係属しているそのさなかに巷間伝えられております米軍用地収用法の改正をやる、これはもう収用委員会そのものの権限を否定するものだ、こういうふうに言わざるを得ません。  吉元副知事が昨日、民主党の沖縄調査団にこの特措法改正問題について、野球で言えばプレーの途中で九回終わっていないのにルールを変更するようなもので、非常識で論外だ、こういうことを表明されております。また、力士が土俵を割る直前にみずから土俵を広げるものだ、こういうふうにおっしゃる学者もおるのでございます。  こういうふうに過去の米軍占領時代から復帰後にかけての軍用地の形成過程を振り返ってみますと、もし米軍用地収用特措法が改正をされる、こういう事態であれば、憲法九十五条に基づいて沖縄県民投票をやったらどうか、こういうふうに私は考えておりますが、総理もしくは防衛庁長官、いかがでしょうか。
  280. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、こういう御質問を受け、それにお答えをしなければならないこと自体を大変情けなく思います。その土俵云々という話に私は別に反発をするつもりもありません。しかし、同時に御理解をいただきたいこと、私どもが日米安全保障条約というものをアメリカとの間に結んでおります。そして、日米関係の基礎にこの条約の安定的な継続というものがあることは、これを評価されるかどうかは別として、事実関係としてお認めをいただけるものだと思います。  そして、この条約を根幹といたします以上、日本政府には条約上の責任が生じます。そして、それは安定的に必要な基地を提供し、継続して使用できる状態を保つことであります。  使用権原が切れた状態が継続するような事態は、条約締結国の一方の当事者として責任を持ってこれの義務を果たしていかなければならない日本の立場に大きく傷をつけるものであることだけは御理解をいただきたい。その意味では、一方の当事者であるアメリカの立場からすれば、一方で条約を結び、それによる日本の安全をこの条約に相当多くの部分をゆだね、その上で条約上の義務を果たせないということは、どういう思いを持って受けとめるものなのでしょうか。  日本国政府として、条約を締結し、その内容を責任を持って担保していく責任があることはおわかりをいただきたいと思います。
  281. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 日米安保条約上の国の義務はよくわかるんです。しかし、条約上の国の義務を履行するためには、一方で地権者から使用権原を取得しなければならないわけです。その条約上の義務と憲法で認められた地権者の所有権、その権利については総理はどういうふうにお考えになっていますか。
  282. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 先ほど来防衛庁長官からも繰り返して申し上げてまいりましたように、二万九千名を超える関係の皆様から同意をちょうだいいたしました。そして今、収用委員会に私どもは速やかな裁決をお願いしたい、そうお願いを申し上げております。  そして、それはまた繰り返しになりますが、議員が御指摘になりましたように、従来の経緯を踏まえて考えます場合、大変厳しい状況であることを私も認めます。その上で、収用委員会がこの事態を正確に把握され、一日も早く国に対しての使用権原をお認めいただきたい、そう願っておるというのが私の立場です。
  283. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 防衛庁長官、沖縄の基地問題が難しいのは、その形成過程からして本土とは違っているんですね、首相補佐官が指摘をしているように。結局、対象土地の三三%ぐらいは民有地なんです。私有地、個人有地なんです。本土の基地は恐らく九〇%以上が国有地でありましょう。そういう実態が今沖縄の基地問題の根っこの方にある、こういうふうには思いませんか。
  284. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) ぜひ御理解していただきたいんですけれども、全体の面積、民有地を一〇〇としますと、そのうちの九九・九九%までは合意をいただいておるわけでございます。合意をいただいていないのは、面積でいいますならば〇・〇〇一%の土地でございます。人数でいったならば確かに三千人強でございます。しかし、そのうち地元の方は百十三人、あとの二千九百人の方はいわゆる共有地を持っておられる方でございます。  しかも、筆数でいけば四筆でございます。普天間飛行場で一筆、一筆のところに七百人ぐらいの方がいらっしゃるわけでございます。そして、あとの三筆は嘉手納飛行場、ここにおられるわけで、その合計が二千九百人おられるわけでございますから、だから先生が今おっしゃったのは、全体の面積からいいましたら、今言いましたように、重ねて言いますけれども、〇・〇〇一%でございます。九九・九九%の人が合意をいただいておるということをぜひ御理解していただきたいと思うわけでございます。
  285. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 零コンマ以下を強調しますけれども、防衛庁長官、沖縄の国土面積はわずか〇・六%ですよ。しかし、在日米軍の専用基地の七五%を押しつけているじゃありませんか。そこが基地問題の根源なんです。沖縄県民は百二十八万、人口割合からすればそれは一%に満たない零コンマ以下かもしれませんけれども、法治国家は零コンマ以下の人であってもちゃんと人権は尊重されなければならない、そのことを強く申し上げておきたいと思います。  さて、総理、昨年十一月に岡本行夫氏を初代の首相補佐官に任命したようでございますが、その任命した理由と補佐官の権限、そして補佐官の言動の責任はだれに帰属するのか、お教えいただきたい。
  286. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) まず第一に、内閣総理大臣補佐官は、内閣総理大臣のブレーンとして内閣の重要政策に関し内閣総理大臣に直接進言、意見具申することにより、内閣総理大臣の判断を助けることを職務とするものである。このような職務の性格から、内閣総理大臣補佐官としてはその職務上必要と判断するものについて内閣総理大臣に進言、意見具申することとなり、その内容は内閣総理大臣の判断において政策に反映されるものである。これがそのベースであります。  そして、私が首相を村山前総理から受け継ぎましたその以前から沖縄県に係る問題が極めて困難な状況にあったことは議員もよく御記憶でありましょう。そして、村山内閣からバトンを引き継ぎました私自身、また内閣の全員にとりまして、沖縄に係る諸課題というものは国政の最重要課題として対応していく必要のある課題でありました。そうした中で、沖縄県の方々にも非常に知己が多く信頼を受け、また米国に対しましてもすぐれた見識と経験を持っております岡本さんに、まさに先ほど申し上げましたような内容のブレーンとしての役割を担っていただくために内閣総理大臣補佐官に任命をいたしました。
  287. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 岡本補佐官が三月四日の琉球新報とのインタビューで、海兵隊削減が特措法改正の反対給付であってはいけない、それから沖縄の人たちが普天間飛行場を移設というより新規の建設ととらえる気持ちはよくわかる、個人的な見解と断って、日米両政府で定期的に兵力縮小を協議する機関の設置を提言したい、こういう発言をしておりますが、総理はどういう所感をお持ちでしょうか。
  288. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 議員、大変不正確に引用されたのではないでしょうか。今そのインタビューの新聞を見ておりますが、たまたま「個人的な考えだが、」というところを議員は引用されました。少なくともこのインタビューにありますのは「個人的な考えだが、兵力構成を日米間で定期的に協議することが担保できないか、と考えている。」、そのようにございます。今、議員がおっしゃったのはちょっと中身が違っていたんじゃないでしょうか。  そして、むしろそういった意味では、よく本院でもまた衆議院におきましても御議論がございました中で、例えば日米安保指針につきましてもそうでありましたし、あるいは米軍の兵力見直しの議論等もございましたときに、現時点においてということと、中長期的に見てこの地域またアジア太平洋地域の状況が変化すればそれに応じた見直しを行うことは当然という話とがよくすれ違っていたように存じます。その意味では、私は岡本君の発言を引用していただきますのなら正確に御引用をいただきたい、そのように思います。
  289. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 私は、個人的な見解だ、考え方だということは冒頭申し上げたつもりであります。  さて、官房長官に一点お伺いいたしますが、官房長官のもとに基地所在市町村の懇談会を設置していただきまして、島田座長を中心に積極的な沖縄の振興策についての御提言が取りまとめられていることについて私もよく承知をいたしております。  この首相補佐官の岡本氏が、先ほど指摘をしたインタビューの中で、沖縄振興策で県は規制緩和検討会の設置を提案し、新しい制度の創設は可能か、こういう問いかけに対して、「(省庁による)一国二制度の批判に一沖縄側が一ひるむ必要はない。沖縄は米軍占領下では完全な一国二制度で、本土が経済発展した恩恵に浴していない。さらに復帰後二十五年も基地の状況は改善していないが、これも実質的な二制度だ。なのに経済については異なる制度を持ってはならないと言うのはおかしい。」、こう言っているわけであります。  官房長官は先ほど蓬莱経済圏の構想、そしてその推進も発表をされておりますが、今言う沖縄の振興策との関係で一国二制度云々ということについては、官房長官、どういうお考えをお持ちでしょうか。
  290. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 簡潔にはなかなか申し上げる整理能力を持っておりませんが、沖縄問題を総理から特任されて、調べれば調べるほど、あるいは人に接すれば接するほど、のめり込むという言葉がいいかどうかはわかりませんが、今までの置かれた立場、これを考えますと随分せつない思いがいたします。  そして、いわゆる島田懇談会をつくりまして、本当に沖縄の全土にわたってそういう方々がどういう思いを持っているか、また中央政治にどういうものを期待しているか、こういうものを知れば知るほどそういう思いが強くなったわけであります。  岡本さんとは個人的にも話をする機会がございます。それから、幾たびか何人かの沖縄振興に関しての夢や希望を書いた本も読ませていただきました。  私は、一国というのは一制度、制度と言っていいのかどうかはわかりませんが、ありとあらゆるものが全部一緒でなければならないということはない。特に地方自治という観点は、それぞれの地域がそれぞれの特色を持って発展をすることに価値があるものであって、そういう地方制度の伸長という、自治の伸長という意味でも沖縄のあるべき姿はどうあるか。  沖縄の特性というものを考えれば、南西に開かれた、いわば日本の一番の基地、基地という表現がいいかどうかはわかりませんが、位置するところであります。うがって見るならば、米軍があそこにあるゆえんも南西に対する影響力、そういう軍事的な影響力も看過できない問題であろうと私は思います。それは裏腹に経済的な問題にもあるわけでありますから、どういう制度をその地域に特認すれば沖縄の振興になるかということは、私個人の大変夢でもあります。  いろんな国との関係がありますから、一朝にしてでき上がるとか、あるいはこの議会の場で堂々と申し上げることにははばかりがありますけれども、ぜひそういうものを夢見て実現をしてまいりたい、そういう気持ちを持っておることは私の腹、うそ偽りはございません。
  291. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 官房長官、ぜひ今の御決意で頑張っていただきたいと思います。  さて次に、いわゆる五・一五メモについて質問をさせていただきます。  一九七二年五月十五日の沖縄返還時に在沖米軍基地の提供条件などを定めた極秘文書、いわゆる五・一五メモについては、沖縄では一九八二年以来ずっと全面公表をしてもらいたい、開示をしてもらいたい、こういうことを言い続けてまいりましたが、いまだに実現をいたしておりません。  三月七日の琉球新報、三月八日の沖縄タイムスにいわゆる五・一五メモのほぼ全文と思われるものが掲載をされております。すっぱ抜かれております。外務大臣、この内容を承知いたしておりますか。
  292. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) いわゆる五・一五メモにつきましては、昨年の三月二十八日の合同委員会決定により、そのほかの合同委員会の記録も含めて今後公表するかどうか検討していこうということになっておりました。そしてまた、過般大田知事が総理にお目にかかられたときにこの五・一五メモの公表を求められた。先ほど総理の御答弁にあったとおりでございます。そういうことでもございますので、私どもは公表をなるべく早くしようということで今その作業を進めているところでございます。  そして、委員今御指摘の報道は私どもも承知しておりますけれども、私どもとしては、今申し上げたような作業の経過にあるわけでございます。その報道の中身についてあれこれコヌントすることは基本的には避けたいと思います。私ども拝見しましたところでは、必ずしもあの合意そのものを的確に報道しているとは限らない、かなり違っているところも散見されたというふうに承知しております。
  293. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 琉球新報、タイムスはその四十八の施設に関する秘密合意事項についてかなり詳細な報道をしているわけでありますが、外務大臣、今必ずしも正確でないというのは、その報道されている内容なのか、それとも五・一五メモというのはこの報道されている内容以外にもあるんだと、こういう趣旨なんでしょうか。
  294. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 先ほど申し上げましたように、現在五・一五メモの全容が明らかになるようになるべく早く公表したいということで作業を急がせております。それを公表申し上げました段階で、内容についてはいろいろお答えもしてまいりたいと存じます。  先ほど申し上げましたのは、報道を拝見する限り必ずしも五・一五メモの内容に即していないところがあると、こういうことでございまして、報道されたもののほかに秘密があるとかどうとかというレベルの話じゃございませんで、五・一五メモというものは今全貌を明らかにするように作業中であるということでございます。
  295. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 外務大臣と防衛庁長官にお伺いいたしますが、沖縄の復帰後の米軍基地の運用、兵力の展開、これは五・一五メモで合意されたとおりに実行されているというふうに思いますか。
  296. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 五・一五メモというのは、先ほども申し上げましたけれども、安保条約そして地位協定に基づいていろいろなことをやっていく。そのためには日米合同委員会でいろいろな協議をし物事を決めていくわけでございますが、その合同委員会で、沖縄復帰に当たって沖縄にございます施設・区域や何かについてはこういうことで使用していこうじゃないかということが合意された。それがいわゆる五・一五メモでございますが、基本的にはそれに従っていろいろ運用が行われていると、このように承知しております。
  297. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 外務大臣、劣化ウラン弾の事件で注目を浴びております鳥島射爆場、これは報道された五・一五メモによりますと、廃弾処理がアメリカの方に義務づけられているけれども、現実にはそれが全く守られていない。それから、ブルー・ビーチ訓練場等は地域住民の立ち入りが認められているけれども、それも許されない。読谷補助飛行場については重量物の落下訓練、降下訓練が禁止をされているにもかかわらず、これまで復帰後も五・一五メモで日米両政府間で合意された内容がずっと守られていないということが県民に明らかになって、今県民は物すごい怒りを覚えているわけであります。  そういう実態を外務大臣はどういうふうに理解しておりますか。
  298. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 先ほど御答弁申し上げましたように、五・一五メモの全容をなるべく早期に明らかにしたいと思っておりますので、それが明らかになってから、いろいろ具体的にここはどうだろうかというふうに御審議いただければと思います。  ただ、鳥島の問題につきましては、これは劣化ウラン弾の関係で今議論になっておるところでございますから、この点についてだけ御答弁申し上げますと、いわゆる五・一五メモにおきまして、鳥島につきましてはこれを射撃の訓練場として使用することができる、こういうことは明らかに規定されております。しかしながら、そのときにそれに伴う不発弾の処理を米軍に義務づけるというような取り決めがあったという一部の報道がございましたけれども、そのような取り決めはない、このように承知しております。  それから、さらに申し上げますと、そういう取り決めはないけれども、現実問題といたしまして米軍はこれまでも定期的にそういった鳥島における不発弾の処理をやってまいりましたし、また今回の劣化ウラン弾の誤使用に伴いましても、数次にわたりその回収の努力をしたことは御高承のとおりでございます。
  299. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 外務大臣、劣化ウラン弾の問題にしましても、外務省は沖縄県民に公表するときに、もう環境への心配はないんだ、生命、身体の安全に危害を与えるような事態じゃない、劣化ウラン弾も全部回収した、こういうアメリカ軍の報道をうのみにしておったんじゃありませんか。ところが、三月五日、六日で新たにまた約三十発も回収された、こういう事態があります。  ところで、五・一五メモ、報道された内容によりますと、私どもが県民の立場で大変ショックを受けておりますのは、北部訓練場やキャンプ・シュワブ、キャンプ・ハンセン、津堅島訓練場で、合衆国政府は返還後も必要であれば返還以前の状態で引き続き使用することができる、こういうふうな内容になっておると。これはもう復帰前と同様に米軍に対して基地の自由使用を可能とする権限を付与したのではないか、こういうふうに心配しておりますが、いかがでしょうか。
  300. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 先ほど申し上げましたけれども、現段階でその五・一五メモの全容を明らかにする前に具体的な問題についていろいろ議論するのほかえって誤解を招くおそれがあると思いますので基本的に差し控えたいと思いますけれども、委員が今御指摘の報道に関する部分も、これはその取り決めと異なっているというよりも、取り決めそのものの解釈を誤った報道ではないかと承知している次第でございます。  それからなお、今御質問の前半でお話しなさいました劣化ウランの危険性とかあるいはそれの処理に関する点でございますが、私ども最初から御答弁申し上げてきましたところは、米側の説明によれば、いろいろこれだけの調査なり回収の作業をした、そして一応環境や人体に対する危険はないものと考えると、こういうことを聞いているけれども、さらにそれは調査もし回収の努力もしなくちゃいけないということを米側にも強く申し入れ、委員も御高承のとおり、その後日本政府として独自の調査をしようということで、これについては沖縄県の方々、そして地元の漁連の方々にも御参加いただきまして先般実施したところでございます。  また、米軍においても再調査それから再度の作業をしろということで、これについても先般、これは作業に参加ということじゃございませんでしたが、米軍の作業に日本側、沖縄県の方も含めて同行いただきまして、まず再調査の第一回をやり、そしてまた回収の作業もしたということは委員御高承のとおりでございます。
  301. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 最後に総理、一九八二年以来県民の願望でありました五・一五メモの全文公表について御決意をお伺いしたいのであります。  マスコミ報道によりますと、さらに図面や附属文書など含めて全文公表されなければ、毎日のように基地と向き合っている県民は依然として不安な面持ちで暮らさざるを得ない、大田知事も総理との会談で強くそれをお願いするやに聞いておりますが、御決意をお伺いしたい。  それから、労働省に雇用失業問題をお尋ねする予定でしたが、時間がなくなってしまいました。準備をしていただいて申しわけなく思っております。また別の機会にやらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  302. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 先日、知事からこの話が出ましたとき、私は前向きに検討するということをお約束いたしました。そして、現在事務当局に作業を急がせているさなかでございます。  問題の資料すべてが一体どの程度の量になるものなのか、私も項目は存じておりますが、全部を積み上げて見たわけではありません。しかし、これは外務省の諸君は語学が達者でありますから原文のまま使っておったということで、今きちんとした訳文の整理をしているという段階だと承知をしております。  私は、一遍に全部翻訳がし切れなければ、どれだけのものがあるということを県側にお知らせをした上で、第一期、第二期というようなお渡しの仕方になるかもしれないけれども、むしろ肝心の部分はできるだけ早くお渡しをした方がよい。殊に、先ほど来外務大臣が御答弁を申し上げておりますように、マスコミによって報ぜられているものが必ずしも全部正確ではないとすれば、それに対して正確なものはこうだ、こういうものだということを早くやはりお知らせする責任が政府にはあるだろう。訳の確定した部分からできるだけ早くお渡しをすることが私は政府の責任だと思いますし、そのためにも私は知事にできるだけ早く御上京をいただき、お目にかかる機会を得たいと願っております。
  303. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 以上で照屋寛徳君の質疑は終了いたしました。(拍手)  明日は午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十七分散会