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国務大臣(
橋本龍太郎君) この出生率の低下の原因というものが主として未婚率の上昇にあるという分析が今回なされました。プラスして、恐らく結婚年齢が遅くなっているという点もこれをなお加速しているだろうと思います。
しかし、その点をどう解決するかとなりますと、先ほど来、議員御自身がそれぞれの
分野について問題を提起されながら、まとめてこれならばという対策がないと嘆じておられたとおりでありまして、これはいろいろな考え方ができますけれども、私は
一つのことを講じればそれで終わりというようなものがあるとは正直思いません。
そして、そういう意味では、
関係のいろいろな
分野から出されている
意見をずっと目を通してみましても、これが決め手というものはなかなか出てこないと思います。むしろ、多少のスパンを持って考えさせていただくということになりますと、人口問題
審議会での検討を踏まえたいわゆるグリーンペーパー、問題提起資料を取りまとめて、幅広い
国民への
意見聴取を通じてこの問題に対する周知徹底を図る、こうした考え方を土台に置いて、その上でさまざまな施策を組まなければならないのではなかろうか、そのように思います。
ただ、先ほど来の議論を聞いておりまして
一つ感想をつけさせていただきたいと思いますのは、私は本当に世の中変わったなと思うんです。残念ながら今党派は違っておりますが、西岡武夫さんや既に本院で引退をされた粕谷照美
先生などと一緒に、私どもは医療職、教育職、福祉職、三職の育児休業制度をつくりましたときのそれぞれが責任者でありました。
ところが、そのときに、せめて前年度所得にかかる所得税を負担できるぐらいの何かの給付を必要とするはずだということを私どもは超党派で唱えましたけれども、圧倒的に多くの方々は働かざる者食うべからずと。それならせめて、
民間の場合であれば厚生年金の保険料、公務員の場合であれば共済の保険料負担分ぐらいを何とか出せないかと。残念ながら、その当時研究課題とせざるを得ませんでした。今育児休業制度のもとで一定程度の収入があるのは当然のことであります。
また、阿部議員がそこにおられて、先ほど
建設省住宅局長の答弁を聞いてにやっと笑っておられましたけれども、実は私が
厚生大臣のとき、世代間同居のできる住宅、三世代住宅というものを随分働きかけ、結果として見事に失敗をいたしました。建設省自身から、要するに子育てに便利だ、スペースのある住宅をというような言葉が出てくる。それだけこの問題が深刻化したんだということを思います。
その上で私は、あと
一つともに考えていただくことがあるとすれば、この少子化の
時代において一番の問題は、地域
社会の中でいかにすれば子供たちを守り育てるかという合意がまだ形成されておらず、そのために特に地域
社会における学齢以下の子供たち、低学年の子供たちを含めてもよろしゅうございますけれども、その子供たちを地域
社会が支えるという通念ができ上がっていないことに一番の問題があるような気がいたします。
子供たちが本当に宝だとするなら、それぞれの地域
社会の中で、例えば御両親が働いておられる時間帯の相当部分を、子供たちが公園で遊んでいようとどこか道端で遊んでいようと安全だと言えるぐらいの地域のネットワークはできないものだろうか。私自身、自分の子供を郷里と東京とで、一番下の子は途中から東京で育ててみまして、東京で子供を育てる場合と郷里で育てる場合の落差というものを一番感じたのはその点であります。
私は、どうすれば地域
社会の中で子供たちを守り育てられる、安全を確保し得る仕組みを用意できるか、考えるべきことの
一つのポイントはこの点にあろうかと思います。