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1997-03-06 第140回国会 参議院 予算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年三月六日(木曜日)    午前十時一分開会     ―――――――――――――    委員の異動  一月三十一日     辞任         補欠選任      島袋 宗康君     山田 俊昭君  二月十八日     辞任         補欠選任      山崎 正昭君     石渡 清元君  二月二十八日     辞任         補欠選任      緒方 靖夫君     笠井  亮君  三月四日     辞任         補欠選任     日下部禧代子君     及川 一夫君  三月五日    辞任          補欠選任     田村 秀昭君     永野 茂門君     ―――――――――――――  出席者は左のとおり。    委員長         大河原太一郎君    理 事                 片山虎之助君                 佐藤 静雄君                 斎藤 文夫君                 田沢 智治君                 木庭健太郎君                 都築  譲君                 横尾 和伸君                 山本 正和君                 有働 正治君    委 員                 阿部 正俊君                 石渡 清元君                 板垣  正君                 加藤 紀文君                 金田 勝年君                 久世 公堯君                 沓掛 哲男君                 関根 則之君                 竹山  裕君                 武見 敬三君                 谷川 秀善君                 成瀬 守重君                 野間  赳君                 真鍋 賢二君                 依田 智治君                 石田 美栄君                 市川 一朗君                 牛嶋  正君                 菅川 健二君                 高野 博師君                 高橋 令則君                 永野 茂門君                 長谷川道郎君                 浜四津敏子君                 及川 一夫君                 大渕 絹子君                 清水 澄子君                 照屋 寛徳君                 川橋 幸子君                 小島 慶三君                 本岡 昭次君                 藁科 滿治君                 上田耕一郎君                 笠井  亮君                 山田 俊昭君    国務大臣        内閣総理大臣   橋本龍太郎君        法 務 大 臣  松浦  功君        外 務 大 臣  池田 行彦君        大 蔵 大 臣  三塚  博君        文 部 大 臣  小杉  隆君        厚 生 大 臣  小泉純一郎君        農林水産大臣   藤本 孝雄君        通商産業大臣   佐藤 信二君        運 輸 大 臣  古賀  誠君        郵 政 大 臣  堀之内久男君        労 働 大 臣  岡野  裕君        建 設 大 臣  亀井 静香君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    白川 勝彦君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 梶山 静六君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  武藤 嘉文君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)        (沖縄開発庁長        官)       稲垣 実男君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  久間 章生君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       麻生 太郎君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       近岡理一郎君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  石井 道子君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  伊藤 公介君    政府委員        内閣審議官    及川 耕造君        内閣審議官    白須 光美君        内閣官房内閣外        政審議室長事務        代理        兼内閣総理大臣        官房外政審議室        長事務代理    東  良信君        内閣法制局長官  大森 政輔君        内閣法制局第一        部長       秋山  收君        内閣総理大臣官        房管理室長    榊   誠君        国際平和協力本        部事務局長    高野幸二郎君        警察庁警備局長  杉田 和博君        総務庁長官官房        審議官      瀧上 信光君        総務庁行政管理        局長       陶山  晧君        総務庁行政監察        局長       土屋  勲君        防衛庁長官官房        長        江間 清二君        防衛庁防衛局長  秋山 昌廣君        防衛庁教育訓練        局長       粟  威之君        防衛施設庁長官  諸冨 増夫君        防衛施設庁施設        部長       首藤 新悟君        経済企画庁調整        局長       土志田征一君        経済企画庁物価        局長       河出 英治君        経済企画庁総合        計画局長     坂本 導聰君        経済企画庁調査        局長       中名生 隆君        科学技術庁長官        官房長      沖村 憲樹君        科学技術庁長官        官房審議官    興  直孝君        科学技術庁原子        力安全局長    池田  要君        環境庁長官官房        長        岡田 康彦君        国土庁土地局長  窪田  武君        国土庁防災局長  福田 秀文君        法務省刑事局長  原田 明夫君        法務省入国管理        局長       伊集院明夫君        公安調査庁長官  杉原 弘泰君        外務大臣官房長  原口 幸市君        外務大臣官房領        事移住部長    齋藤 正樹君        外務省総合外交        政策局長     川島  祐君        外務省アジア局        長        加藤 良三君        外務省北米局長  折田 正樹君        外務省欧亜局長  浦部 和好君        外務省経済局長  野上 義二君        外務省経済協力        局長       畠中  篤君        外務省条約局長  林   陽君        大蔵大臣官房長  涌井 洋治君        大蔵省主計局長  小村  武君        大蔵省主税局長  薄井 信明君        大蔵省銀行局長  山口 公生君        大蔵省国際金融        局長       榊原 英資君        文部大臣官房長  佐藤 禎一君        文部大臣官房総        務審議官     富岡 賢治君        文部省生涯学習        局長       草原 克豪君        文部省初等中等        教育局長     辻村 哲夫君        文部省教育助成        局長       小林 敬治君        文部省高等教育        局長       雨宮  忠君        文部省学術国際        局長       林田 英樹君        文化庁次長    小野 元之君        厚生大臣官房総        務審議官     中西 明典君        厚生大臣官房審        議官       江利川 毅君        厚生省保険医療        局長       小林 秀資君        厚生省老人保健        福祉局長     羽毛田信吾君        厚生省保険局長  高木 俊明君        厚生省年金局長  矢野 朝水君        農林水産大臣官        房長       堤  英隆君        農林水産大臣官        房総務審議官   石原  葵君        農林水産省農産        園芸局長     高木  賢君        通商産業大臣官        房長       広瀬 勝貞君        通商産業大臣官        房審議官     藤島 安之君        資源エネルギー        庁長官      江崎  格君        中小企業庁長官  石黒 正大君        運輸大臣官房総        務審議官     西村 泰彦君        運輸省運輸政策        局長       相原  力君        海上保安庁長官  土坂 泰敏君        郵政大臣官房長  天野 定功君        郵政大臣官房総        務審議官     高田 昭義君        郵政省郵務局長  内海 善雄君        労働大臣官房長  渡邊  信君        労働省労働基準        局長       伊藤 庄平君        労働省職業安定        局長       征矢 紀臣君        労働省職業安定        局高齢障害者        対策部長     坂本 哲也君        建設大臣官房長  小野 邦久君        建設省住宅局長  小川 忠男君        自治大臣官房総        務審議官     嶋津  昭君        自治省行政局長  松本 英昭君        自治省行政局選        挙部長      牧之内隆久君        自治省財政局長  二橋 正弘君        自治省税務局長  湊  和夫君    事務局側        常任委員会専門        員        宮本 武夫君    参考人        日本銀行総裁   松下 康雄君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件参考人出席要求に関する件 ○平成九年度一般会計予算内閣提出、衆議院送  付) ○平成九年度特別会計予算内閣提出、衆議院送  付) ○平成九年度政府関係機関予算内閣提出、衆議  院送付)     ―――――――――――――
  2. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  平成九年度総予算三案の総括質疑に関する理事会決定事項について御報告いたします。  総括質疑は七日間分とすること、質疑割り当て時間の総計は九百八十一分とし、各会派への割り当て時間は、自由民主党三百八十一分、平成会二百九十四分、社会民主党・護憲連合百九分、民主党・新緑風会九十八分、日本共産党七十四分、二院クラブ二十五分とすること、質疑順位についてはお手元に配付いたしておりますとおりでございます。     ―――――――――――――
  3. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成九年度総予算三案の審査のため、本日の委員会日本銀行総裁松下康雄君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  5. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 平成九年度一般会計予算平成九年度特別会計予算平成九年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  三案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより総括質疑に入ります。永野茂門君。
  6. 永野茂門

    永野茂門君 おはようございます。平成会永野でございます。  質問に入ります前に、委員長の許可を得まして、証人喚問等について委員長の御見解を承りたいと思います。  本院の友部議員に対する被疑事件に関しましては大変に遺憾に存じております。新進党は、司直による捜査に先立ちまして、昨年十一月十九日、参議院議員会長友部議員辞職勧告を行ったことは既に御承知のとおりであります。残念ながら、本人はこれを拒否いたしました。  一月二十八日には、参議院平成会として議長辞職勧告決議を行うよう要請をいたしまして、全会派の賛同を得ています。現在手続中になっていますけれども、私たちは一日も早く辞職勧告決議を実現するよう議長に対して強く要望しているところであります。  また、疑惑解明に全力を挙げる観点から、友部問題だけでなく、厚生省汚職泉井事件証人喚問を求めてまいりましたが、本予算委員会理事間協議で、泉井厚生省疑惑についての実施へ前向きに協議するとの合意に至ったと聞いております。  私たちはその実現を強く求めていますが、委員長にその見解をお伺いしたいと思います。
  7. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) オレンジ共済問題を初めとする案件の、ただいま委員からお話しございました証人喚問問題については、それぞれ理事間協議を行ってまいりまして、その順序その他、あるいは質問する証人等について現在協議中でございますが、いずれにいたしましても理事間の協議によって進める、そういう考えでおるわけでございます。
  8. 永野茂門

    永野茂門君 それでは、質問に入らせていただきます。  最初総理日本一大危機を六つの改革で乗り切ろうとすること、まことに大事でありまして、国民の先頭に立っての御努力御苦労さまに存じます。  最初に、危機管理について質問をいたします。  私どもは、今まで多くの災害危機を乗り越えてきたわけでありますが、阪神・淡路大震災等において多くの教訓を得たわけでありますけれども、残念ながら、常に後手後手、同種の欠陥を繰り返し露呈して、いわば平和ぼけから抜け出していないという状況であります。危機管理については、いろいろと反省をして今後の誤りなき管理をやらなきゃいけないと思っております。  既にナホトカ号事故、油の流出災害、あるいはまたリマの人質事件等につきまして、累次の今までの衆議院の審議その他において、意見あるいは討論は尽くしておると言ってもいいぐらいに出ておりますが、極めて重大な問題でありますので、私の感ずるところについて御質問を申し上げて、御回答をいただきたいと思います。  質問に先立ちまして、除去作業などに努力してこられました、また現在も努力が続いておる関係者に感謝の意を表しますとともに、若干の犠牲者も出ましたけれども、心から追悼の意を表します。  第一問は、危機管理において非常に大事な事前準備の問題でありますが、今回のナホトカ号問題につきましては事前準備がほとんどなされなかったような感じを受けておるわけでありまして、次のようなことについて運輸大臣にお伺いをいたします。  まず、対応能力がもうほとんど内海向けであって、外洋向けではなかった。特に日本海に対しては何も準備ができていなかったと言っていいぐらいのことだったと思います。しかも、外洋汚染除去船舶は一隻しか準備されていなかった。これの理由はどういうことであったのか。  それから二番目には、シベリアに対する油の補給が、冷戦前と違いまして中国等からの油を日本海を通じて持っていくということが多くなってきております。これに対して、石油の量とまでは言いませんけれども船舶の量、これをどのように把握し、どのように見積もっておりましたか。  それから、この事故対策、そして人命救助汚染情報の収集でありますとかあるいは薬剤の散布等については、海上自衛隊海上保安庁が緊密に連絡しながらやったと承知しておりますけれども、平時からの訓練はどういうように共同訓練をしておったか。この三つの準備状況について運輸大臣にお伺いします。
  9. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 三点御質問をいただきました。  お答えの前に、私からも今回のナホトカ号重油流出事故に当たりまして、委員先生方はもとよりでございますけれども、多くの国民皆様方の御支援、そしてまた御協力をいただきましたことに心からお礼を申し上げたいと思っております。  先生も触れられましたけれども、その中にあって不幸にしてお亡くなりになった民間ボランティアの方々にも心から改めて弔意を表する次第でございます。  まず、お尋ねの一点目でございますけれども先生指摘のとおり、防除資機材等につきまして、残念ながら、船舶交通のふくそういたします太平洋側、また一たび事故が起きたらその影響が甚大な地域、こういうところに配備させていただいておりまして、結果といたしまして太平洋側日本海側との差が生じていったことは御指摘のとおりでございます。しかし今回、このような荒天の、しかも外洋での事故、しかもその事故が甚大な被害をもたらした、こういう現実の中で、私たちは今後の取り組みに対して大いに反省点として検討していかなければいけない点を御指摘いただいたと思っております。  なお、二点目のシベリア向けタンカーについての把握の問題でございますけれども、残念ながら、今日現在でそうした把握を詳細に出されている統計等もございません。把握をしていないというのが現実でございます。今後、どういう把握状況ができるか外務省等とも御相談をいたしながら、把握についても検討していきたいというふうに思っております。  それから三点目の問題でございますけれども、御承知のとおり、本年一月二日の未明にこの事故が発生をいたしまして、海上保安庁それから海上自衛隊ともに御協力をいただいて油の防除作業等に取り組んできたところでございますが、日ごろの訓練につきましても、海上保安庁民間等との合同訓練等を実施いたしておりまして、海上自衛隊とも平成八年の実績で申し上げますと七回にわたって合同訓練をさせていただいているという実績を持っているところでございます。
  10. 永野茂門

    永野茂門君 今のお話を承りますと、いろいろ反省しておられますし、そして事実、準備が不十分であったと思います。今までの世界におけるこの種の事故におきましても、決して内海でありますとか湾内でありますとかだけではなくて、約半数は外洋において事故があったわけであります。そういうことについて、いずれにしろ十分な準備をし、そしてまた再び起きないようなことをやっていただきたいと思います。  そこで、今の質問に関連いたしまして、第一の問題の準備する船舶その他の資材等を含めまして、その研究は既に進んでおりますか、それをお答えいただきたいと思います。
  11. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) お答えをいたします。  今回の事故重大性にかんがみまして、あらゆる角度から反省点を含め検証をしながら改善に向かってそれぞれの機関検討を始めさせていただいているところでございますが、その中で、今御指摘いただきましたような荒天の中での外洋油回収船等、技術的にまた実際にそれが実用化できるか等を含めて検討に入らせていただいているところでございます。
  12. 永野茂門

    永野茂門君 結構でございます。とにかく早いところで、忘れないうちにいろんなことの準備を始めるということが重要なことだと思います。  次は、同じく危機管理で非常に重大な初動の問題でありますが、これも率直に言って初動が十分うまくいったとは、うまくいったというよりは、もっとはっきり申しますと、まずかったんじゃないかということが指摘されると思います。  そこで、一番基礎になります汚染見積もり、船が折れるという事故が起きた直後人命救助をやったわけですが、その後すぐ油は漏れ始めたわけでありまして、これの見積もりがどういうように行われたか、そしてまたなぜその見積もりがうまくいかなかったかということが第一。そしてまた、その次は、清龍丸の出発もおくれましたし、現地到着はさらに天候のかげんもありましておくれたわけでありますけれども、この対応のおくれはなぜであったか。  それからもう一つは、対策本部。これはもう当然、即日、油の流出が始まったという段階で、それを察知したならば危機危機として認識する、これは最初に申し上げました油がどういうように流れていくかということの見積もりの問題が一番基礎になりますけれども、それが悪かったからといえばそれでおしまいですけれども、とにかく対策本部ができたのは大変におくれたわけでありまして、それはなぜであったかというようなことについて承りたいと思います。
  13. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 即応態勢についての御指摘だろうというふうに思いますけれども事故が発生いたしましたのが、ただいまも申し上げましたように一月二日の未明でございまして、まず最初に、当然のことでございますけれども人命救助に当たらせていただきました。三十一名の乗組員救助を行ったわけでございます。同時に、これはタンカー事故でございますので、油が流出するということは当然のことでございます。そういうことを踏まえまして、浮流油も二日の未明には既に海上保安庁の方では把握をいたしておりまして、当然浮流油防除作業に取り組んできたわけでございます。  対策本部のおくれにつきまして御指摘でございますが、御承知のとおり、まず四日の日には第八管区に、また六日には第九管区に、そして現地対策本部を九日に設置させていただいております。また、七日には本庁におきます対策本部を設置させていただき、十日に私を本部長とする対策本部を設置させていただいた、これが事実関係でございます。そうした対応を行ってきたわけでございますけれども、結果として多くの重油が沿岸に漂着をしているということでございまして、四日、五日をかけましてそれぞれ関係する府県においては注意の喚起も行ってきたところでございます。  同時に、船首部には油が残存しているということはわかっているわけでございますから、船首部曳航、何とか着底することのないように沖合に向かっての曳航についてもそれぞれの努力を行ってきたところでありますが、荒天、しかも荒天の中でも大変な暴風の自然気象の中で、残念ながら福井県三国町に船首部が着底をした、こういう状況にあるわけでございます。  考えてみますと、それぞれ対策本部等の設置について今御指摘の点は私どもも謙虚に反省をしていかなければいけないというふうに思っておりますが、可能な限りの対応をしてきたことにも御理解をいただきたいというふうに思っております。  具体的に清龍丸のおくれについて御指摘がございました。御承知のとおり、名古屋を出まして若狭湾までは本来でありますと約七十時間で着くということが言われておりますが、現実には百時間かかったわけでございます。これにつきましては、ちょうど日本海での荒天が続いておりまして、荒天の中で進むことができずに約三十時間の避泊を余儀なくされたということがおくれをさらに大きなものにした一つの大きな理由だというふうに承知いたしているところでございます。
  14. 永野茂門

    永野茂門君 いずれにしろ、危機対応で一番大事な初動が、いろんな要因があったにしろ大変にうまくいかなかったということでありますが、一つだけつけ加えてお聞きしたいのは、ロシアに対してこういう種類の対応をいつどのように要請されましたか、承ります。
  15. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) ロシアに対しましては、たしか一月五日に東京で大使館に申し入れたのが最初だと思います。その後、東京であるいはモスクワにおいてたびたび、そうしていろいろなレベルで、実は私自身が申し入れたのもございます。ロシア側に対しまして、事故の原因の究明であるとか、再発防止であるとか、あるいは賠償あるいは補償の問題に対して適切な対応を船主に求める働きかけであるとか、それから油の防除の作業にもロシア船が三隻参りましたけれども、そういった関係とか、いろんな問題につきましてそれぞれの段階においてロシア側の努力あるいは協力を重ね重ね強く求めてきたところでございます。
  16. 永野茂門

    永野茂門君 ロシアに対していろいろ御要請をなさったようでありますが、やっぱり一番最初にやらなきゃいけないのは、災害が広く広がらないように、汚染が広がらないように処理船を派遣してもらうということが一番大事ではなかったかと思います。  いずれにしろ、こういうようなことになってきたわけでありますが、非常に大きな損害をこうむっておるわけであります。私は、総理が大変にお忙しい中、しかもリマの事件を抱えての時期でありましたけれども、いずれにしろ総理のリーダーシップが正面に強く働くことができなかった、こういうことが被害が大きくなった一つの大きな理由だ、原因だと、こう思います。  そこで、総理官邸に指揮管理センターと申しますか危機管理、あらゆる危機管理について指揮、情報のセンターを持っておるということは極めて重要であると思いますし、阪神大震災以来これは非常にやかましく言われていることでありますが、これの準備がまだ整っていないというのはどういうことでありましょうか、総理に直接お伺いしたいと思います。
  17. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今ナホトカ号の事件に関連してお尋ねをいただきました。この事件、一月二日の午前中に私が報告を受けましたとき、まず人命救助の問題がございました。そして、人命救助に成功した、一名行方不明という状態でありましたが、他の方々を救出したという段階で、油の流出が認められるという報告を確かに私も受けたわけでございます。  そして、結果として、その船首部曳航が成功せず、三国町に漂着、着底をする、そして流出した重油の量につきましても、当初の情報が正確さを欠いておりましたために被害状況を拡大した、これはおしかりを甘受する以外にありません。こうした場合の直後における情報の収集、分析、あるいは対処体制の一層の整備を図るといった努力を今後も危機管理の面から必要とする、今しみじみ痛感をいたしております。  そこで、今官邸におきましては、緊急事態の発生に際して、情報の収集、集約及びその初動対処を迅速に行いますために、昨年の二月、別館の三階に危機管理センターを設置いたしました。このセンターでは、内閣情報集約センターの要員が二十四時間体制で情報の収集、集約などに当たりますとともに、緊急事態発生時には関係省庁の幹部を含めて必要な要員が参集をし、総理の指揮のもとに初動態勢に当たるという形になっております。  しかし、その後、これを実際に運営してみましてスペースの点でも機材の点でも不備であるということから、現在この危機管理センターの拡張、通信機器の増設などの工事中でございまして、三月中には完了いたしますが、今後これが完成をいたしますと一層その機能を発揮し得るものになると考えております。  しかし、要は仕組みの問題よりも判断の問題、この点に対する議員の御指摘は私は貴重な御助言としてちょうだいをしたい、そのように思います。
  18. 永野茂門

    永野茂門君 今後とも、この種の事故あるいは災害が大きくなる前に、あるいは起こる前の防除が非常に大事だと思いますので御努力をお願いしたいと思います。  補償でありますとか損害賠償といいますか、そういうようなものについての御質問を考えておりましたが、時間が非常に速く過ぎておりますので終わりの方に回します。  また、事故防止でありますとかあるいは起こった場合の各国の除染作業などの共同についてどういうような組織をつくったらいいんだろうかということも提案したいと思っておりましたけれども、時間の都合で次に移らせていただきます。  次は、ペルーの日本大使公邸の占拠・人質事件のことに移らせていただきます。  これも同じようにいろいろと問題を抱えておった、こういうように私は認識しております。と申しますのは、昨年、パリにおいてもテロ対策の問題、特にCBRについてそういうものを保有して持ってくるような、あるいは爆発物を持って入るようなテロに対してどういうような対応をすべきかということについて会議があり、引き続いて日本においてアジアの国々の方々を集めてそういうことについていろいろと調整をした直後の問題でありまして、そういうものに従って、パリ会議あるいは東京会議の後を受けて、恐らく外務省の方からは在外公館にも本庁の方にもこういう措置を速やかにとれということを指示してあったはずであります。その指示の実施状況、措置状況につい  て外務大臣にお承りをいたします。
  19. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 昨年七月に開かれましたパリにおけるテロ対策の閣僚会議でございますが、この際にはハイジャック、航空機の問題等々含めまして二十五項目について合意がなされ、その後いろいろフォローアップが行われておるわけでございます。しかし、この会議自体では実は在外公館の警備対策ということは取り上げられたわけではございません。  しかしながら、在外公館の警備対策につきましては非常に大切な問題である、とりわけペルーの大使館の場合には過去に三件ほどそういう事件もございましたし、かねてからこれは重点的に警備対策を講じなくちゃいけないということで、施設にいたしましてもあるいは警備の人員、要員等につきましても外務省としてはいろいろ対策は講じておりましたし、またペルーの警察、治安当局ともいろいろと平素から連携はしておったわけでございます。  しかしながら、結果として今回のような重大な事件が起きたわけでございますので、私どもといたしましては、今回の経験を踏まえ、反省も踏まえまして、ペルーはもとよりのことといたしまして、全体としての在外公館の警備対策の強化を一層図らなくちゃいけない、こう考えております。  そして具体的には、今御審議願っております九年度予算におきましても、そういった要員の増員、また八年度の補正、追加措置によりましていろいろ機器とか施設面の増強をお願いしたわけでございますし、また省内にも官房長を中心といたしまして特別委員会を発足させた次第でございます。  ただ、ペルーにつきましては、御承知のとおり、大使を初めとして館員の多数が人質の状態でございますので、まだ十分に原因の究明なり、それを踏まえての対策ということは進められない状況にございますが、いずれにいたしましても大きな問題意識を持ちまして将来にわたって万全を尽くしてまいらなくちゃならないと考えている次第でございます。
  20. 永野茂門

    永野茂門君 今いろんな会議において、在外公館についてどういう措置をせよということは入っていなかったと、それは当然でありまして、我が国がそういうことに基づいて、特に在外公館については外務省自身が内部的にいろいろと指示し指導することであることは言うまでもありません。  そこで、今非常に微妙な段階にありますので今後のことについてお尋ねすることは差し控えますけれども、とにかく発生する前においてどういう警備状況にあったんだろうか。一般的に言えば、非常に重畳を重ねるぐらいの、重畳重畳の警備をやるような情勢であったと私は前から判断しておりましたけれども、そういう判断はなかったのか。それから、ペルー警察との間にいろんな調整が行われていて、かえってペルー警察の判断が甘かったがゆえに大使館の方が十分な警備措置を行わなかったのか、その付近についてもお伺いいたしたいと思います。  特に、パトロールを全然やっていない、隣の家から爆破音とともに入ってこられたな人というのは、これはナンセンスな警備状況でありまして、こういうことについてどういうように、細部はまだ調査中だというお話でございますけれども、少なくもどういうような感じをお持ちになっているかということを承りたい。
  21. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) まず、ペルーあるいはリマの状況はどうであったかということでございますが、先ほど御答弁申し上げましたように、これは治安上も非常に問題のある要警戒地域であるという認識は持って対応してまいっておりました。  しかしながら、ペルー自体の情勢の変化という点から申しますと、ペルーでは一九八〇年代、センデロ・ルミノソであるとかあるいは今回のMRTAとかいうようなテロリストグループがしょうけつをきわめまして、件数でいってもう年間に何千件というようなそういった事件が起こっておりました。それがフジモリ政権になりましてからテロ対策を強化する、また一方においてそれの遠因になるであろう貧困との戦いも進めていくということで、件数とか犠牲者から見ますと激減しております。九四年、九五年あたりから三けた、三百件あるいは百何十件ということになっておりまして、全体としては、趨勢としてはその後ずっと改善が図られておったのは事実でございます。  そういったことをも踏まえまして、ペルーにおきましても、政府としてこうした戦いはもう基本的に勝利に向かいつつあるんだということが宣言されたこともあったわけでございます。しかしながら、今回のような事件が起きた、こういうことでございます。  それから、二つ目の御質問でございますが、警察とのあるいは警備行動のことでございます。先ほどもちょっと申しましたけれども、従来からこの地域は非常に危険の伴う地域だということで、国家警察のテロ対策局であるとかあるいは情報局であるとか、そういった治安当局とも頻繁に情報交換を行っておりましたし、また警備当局そのものとも連携は保ち、また最低年一回は公館襲撃事件を想定した訓練、これも行っておった、こういうこともございました。  それから、警備体制としても、通常時におきましても警察官四名、パトカー二台による公邸周辺の警戒というものはペルー側警察で行われておりました。もとより、我が方としてのそういった要員もいるわけでございます。そういったパトロール等は行われておったということでございます。  それからまた、事件の起きました当日は、当然のことでございますが、ああいう大きなパーティーをいたしましたので、警察当局に対して警備の強化を依頼しまして、今申しました通常の体制に加えた警備も行われておったわけでございます。それが残念ながら隣接する家屋に救急車を装った車でテロリストが乗りつけ、そしてそこから塀を爆破して飛び込んで襲撃が起きたということで、全く意表をつかれたと申しましょうか、対策はそれなりに講じておったわけでございますが、ああいった事件が起きた、こういう事情でございます。
  22. 永野茂門

    永野茂門君 危機危機として認識していなかったと断ぜざるを得ないわけでありまして、いずれにしろ今後のこういう警備措置は十分にやっていただきたい、こういうようにお願いいたします。  テロ対策問題で最後にお伺いいたしますけれども、パリ会議でも非常にやかましく言われました化学剤でありますとか生物剤でありますとか、あるいは放射性物質、さらには高性能爆薬等を使った非常に危ないテロがこれからは非常に多くなるということで、欧米においても非常な警戒心を持って対策しているわけであります。これは我が国のオウムの事件でありますとか、あるいはオクラホマにおける事件等から来ているわけでありますが、うがってといいますか本質的にこれをつかみますと、大量破壊兵器をテロが持って歩く、そしてそれによっていろんなことをやるということでありまして、これは普通の戦争以上に怖いあるいは防ぎにくい問題かと思いますが、この重要性について総理はどういうように御認識になっているか、お伺いいたします。
  23. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 一昨年、地下鉄サリン事件が発生をいたしますまで、我々はサリンといった主として化学兵器として使用される物質が日本に存在しているとだれも予想をいたしておりませんでした。化学兵器禁止条約を批准いたします際にも、国内法の手当てをいたす段階で、むしろそういうものは存在しないと思いつつ法的な手当てを行うというのがその当時の考え方であったと存じます。  しかし、現実にこうした事件が我が国において発生をいたし、多数の人命を失うといった事態を生じました。今、委員からはその他の大量破壊兵器に類するものも含めて御指摘をいただきましたが、まさにこうした社会、公共への危険性の極めて高い、治安の根幹を揺るがしかねない犯罪というものに対しましては、この種の事案の防止に向けてのあらゆる努力が必要であるということを認識し、今後もそうした努力を続けてまいりたい、治安当局自体におきましてもそうした努力が積み重ねられている、そのように承知をいたしておりますが、一層努力をいたしていくつもりであります。
  24. 永野茂門

    永野茂門君 危機管理につきましては、もう一問、防衛庁長官お答えいただきたいという質問を考えておりましたが、時間の都合でこれは省略いたして、以上をもって危機管理関係は終わります。  いずれにしろ、今後、今までの教訓に基づいて、また教訓以上の事件が通常起きてくるわけでありますから、そういうことについて万々の心構えを持ってお進めいただきたい、こういうように申し上げておきます。  次は、外交・安保関係に移らせていただきます。  総理は所信表明の中で外交・安保の方針にかかわるようなことをいろいろとおっしゃっておりますが、改めて外交・安保について基本的な方針を承りたいと思います。総理にお願いいたします。
  25. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 我々は今おかげさまで、世界の中においてさま、ざまな地域紛争の起こっております現実社会の中でも平和を享受いたしております。そしてそれは、従来から我が国が日本国憲法のもとにおいて他国に向ける武器を持たないというみずからの誓いのもとに専守防衛に徹してきた。そして、他国に脅威を与えるような軍事大国とならないという基本理念を持ちながらこの五十年余りを過ごしてきた。そして、それを支えてもらってきたものは日米安保体制というものであり、これが我が国の安全を確保する上で極めて大きな役割を果たしてきた条約であり、これを根幹とした日米関係の重要性というものは幾ら強調してもその度合いは過ぎるものはないと考えております。  そしてその上で、日米安全保障条約が存在する姿というものがアジア太平洋地域における安定の確保の上に非常に大きな役割も果たしておりまして、これはアジア太平洋地域における一つの日本の貢献と位置づけることもできるでありましょう。そしてその上で、我々は、我々の隣国であります韓国あるいは中国、またASEANの国々、それぞれに個別の友好関係を築きながら今日まで参りました。そして今後、私は、アジア太平洋地域というものを考えてまいります場合に、従来以上に日米、米中、中日というそれぞれの関係が非常に重要なものになると考えております。  そして我々は、そうした中で日米安保体制というものを堅持いたしながら、我が国を取り巻きます国際環境というものの安定を確保するために外交努力を引き続き払っていく、これが我が国の安全保障政策の根幹であり、こうした基本的な考え方を今後ともに持ち続けてまいりたい、そのように考えております。
  26. 永野茂門

    永野茂門君 所信表明でお述べになっていることをまとめていただきまして、よくわかりました。ただ一つだけ、国連を通じて国際社会を先導しというお言葉が所信表明の中にあります。これは非常に大事な言葉であると思っておりますが、いかがでございますか。
  27. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今その部分を別に忘れたわけではございません。ただ、非常任理事国に日本が多くの国々の支持を受けまして現在就任をいたしました。そして、先般、まず最初議長としての任期を日本は終了いたしました。  当然のことながら、国連の機能というものは安全保障の面だけではなく、非常にこれからの国際社会において大きな役割を果たしてもらう、そして東西二大陣営対立の時代が終息したこれからこそむしろ国連の役割はますます増していくのではないだろうか。その中において我々は、それぞれの分野においてでき得る限りの国連を中心とした努力というものをしていきたい、そう考えておりますことは間違いありません。
  28. 永野茂門

    永野茂門君 外務大臣、何かおつけ加えになることはありますか。
  29. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 今、総理から御答弁をされましたその基本方針を踏まえて、外務省としても最大限の努力をしていくところでございます。
  30. 永野茂門

    永野茂門君 行き過ぎたことをお聞きしまして、失礼いたしました。  今、日米防衛協力の指針の作業が始まっておりますが、この作業の進捗状況と、現在までに問題点が出ていると思いますが、それについて御説明を承りたいと思います。外務大臣あるいは防衛庁長官の方からお願いいたします。
  31. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) ガイドラインの見直しにつきましては、今秋までに作業を終了することで今やっておりますけれども、いろんな協力する分野の機能、分野等を抽出する作業等を今やっておりまして、作業は特別おくれているわけではございません。したがいまして、今秋が目途でございますけれども、できるだけ早く国民あるいはまた国外へもいろんな経過についてオープンにしなければならないと思っておりますから、そういう作業を進めていきたいと思っております。
  32. 永野茂門

    永野茂門君 次に、具体的に日本周辺事態についてお伺いいたします。  後方支援活動というのがあるわけでありますが、後方支援活動の中に、警戒でありますとか監視でありますとかあるいは援護でありますとか、そういうものは行動として入ると考えますか。また、後方地域というのは特別な地域でしょうか。戦闘地域となかなか分解が難しいと思いますけれども、それについてどういう御見解ですか、防衛庁長官にお伺いします。あるいは外務大臣ですか。
  33. 秋山昌廣

    政府委員秋山昌廣君) 御質問の点は、今ガイドラインの見直しをやっております、いわば第三項目の日本周辺における事態で我が国の安全と平和に影響を与えるものというものの中にある五つの小項目のうちの二つに絡む話であろうかと思います。  最初に御質問がありました点は、そこの第五項目にあります自衛隊の運用と米軍の運用というものにかかわる話であろうかと思いますが、この場合、当然日本周辺地域において発生し得る事態で日本の平和と安全に影響がある話でございますから、自衛隊としてもそれなりの活動をするわけでございます。監視あるいは調査活動、そういった当然自衛隊が行うそういう運用と、それから米軍の運用といったような意味で、今御質問の点につきましては今後よく米側と詰めてまいりたいと考えているところでございます。  と同時に、御質問にございました後方地域支援の後方地域とはということでございましたけれども、まさに後方地域支援につきまして、戦闘地域から一線を画された地域で行われる支援という意味で検討事項として挙げたわけでございますが、これにつきましても、その具体的な地域といいますかその考え方、そういうことにつきましては米軍活動に対する支援の具体的な内容にもこれは影響されるものでございますので、今後後方地域支援全体として具体的な内容を検討する過程で我々としても十分検討してまいりたい、かように考えております。
  34. 永野茂門

    永野茂門君 余りよくわかりませんけれども、今後検討した段階において改めて御質問申し上げます。  その次は、防衛局長が今申しました日米の運用、協力において憲法の許容する範囲内ということになっております。これはもちろん我々は憲法を堅持しなきゃいけないわけでありまして、それそのものは言葉として非常に結構だろうと思いますけれども、これをどういうように考えてセットされますか。  ついでに、時間がありませんけれども、御承知のように、アメリカ側において日本がどの程度の協力をするかということは非常に注目の的でありまして、我々の友人の中にも、あるいは現職の国防省、国務省のことについて申し上げるわけにいきませんけれども、民間のいろんな人たち日本がどういうことまでやってくれるんだろうかということは大変に注目しておりますし、マスコミの中においても、そしてまたアメリカ側の一般の国民の中においても日本側の対応はどういうことなんだろうかということを非常に注目しております。間違えますとアメリカ側の信頼を失う、日米安保の信頼度が落ちるというような可能性もなきにしもあらずでありまして、私はその付近も考慮しながら、真剣にできる範囲を検討すべきであると思っておるわけでありますが、その検討の要領について少し詳しくお話を承りたいと思います。防衛庁長官、いかがですか。
  35. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 日米防衛協力の信頼を向上するためにもできるだけのことをしていかなきゃならないわけでございますが、御承知のとおり、我が国は従来から憲法の枠内でということを申しておりますし、これはまた米軍の方も、アメリカ側も承知しているところでございます。その場合に憲法の枠内というのは、結局、我が国は他国の行う武力の行使と一体となるような行動をすることは憲法上許されないということを政府解釈として従来から言ってきておりますので、これを一つのメルクマールとして、これに一体とならない範囲でできるだけの協力をしていきたい、そういうふうに思っているところでございます。  一体となるかならないかというのは総合的に判断しないとなかなか難しい点がございますけれども、それはいろんなケースを想定しながら、こういう場合はできるということをやはりきちっと決めていきたいというふうに思っているところでございます。
  36. 永野茂門

    永野茂門君 検討のやり方において私はぜひこういうようにやっていただきたいということを提案いたしますけれども、とにかく協力において何をやらなきゃいけないかということを先に検討していく、これはそういうように日米間でおやりになっていると思いますけれども、当然。とにかく、何をやらなきゃいけないのか、何をやるのがベストなのかということを検討し、その中で憲法の制約でできないことをだんだんと排除していく。その逆のやり方、憲法ではここまでしかできないというようなことを先にやりますと、非常に大きく落ちるところがあるかと思いますので、ぜひそういうふうにやっていただきたいと思います。これは回答は要りません。  憲法論議につきましては、もう時間がございませんので簡単に承ります。  いずれにしろ、憲法論議は我が国の将来のためにも大いに活発にやらなきゃいけない問題だと思います。もちろん、政府の立場は憲法を遵守するという立場でございますので、総理見解を述べよというようなことは申し上げませんけれども、憲法論議を活発にすることについての御所感を承りたいと思います。
  37. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私自身、今内閣の責任者として憲法を守りながら、その憲法の範囲内で仕事をしていく責任者でございます。  しかし、その憲法を考えますときに、九十六条、これは改正手続を規定しておるわけでありますから、永久不変のものではないということは間違いありません。そして、私は憲法をめぐる議論というものは活発に行われて何ら制約をされるべきものだとは思いません。私自身が私学助成の問題に関連してその改正を主張したこともございます。  ただ私は、同時に考えなければならないこととして、国の基本法である憲法の改正というものには少なくとも国民世論の成熟が必要なものである、そうした十分慎重な配慮を土台に置いてお互いに考えていかなければならないもの、そのように考えております。
  38. 永野茂門

    永野茂門君 いずれにしろ、我が国の将来のために憲法は、別に九条だけではありませんけれども、新しい観点あるいは時代の進運に従っていろいろと検討して、改正するものは改正する、解釈を変えるものは解釈を変えるということを大いにやるべきだということを申し上げておきたいと思います。  外交・安保関係で、最後に沖縄関係のことについて二つだけ承りたいと思います。  その第一は、御承知のような状況で駐留軍用地の特措法手続が大変に難しい状況になっております。約三千人の地主で三十六ヘクタールを持っておるわけでありますが、これは五月十四日に政府の方は使用ができなくなる。ここでうまくいかないと難しい状態が生ずるということで、政府も問題の解決をどうしようかということで大変に苦悩しておられると思います。いずれにしろ、不法状態をつくるわけにはいきませんので、これについてはベストを尽くしてちゃんとやっていただきたいと思いますが、どのように処理しようとされておるか、それについて総理にお伺いしたいと思います。
  39. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、議員が御指摘をいただきましたように、違法な状態を五月十四日から十五日にかけてつくり出すことは我々はできません。そして私は、日米安全保障条約体制というものは日本にとって非常に大きな利益のある国際関係であり、これを維持していくことは日本だけではなくアジア太平洋地域に極めて大事なことだと、そのように考えております。言いかえれば、国益を守りますために我々は我が国に駐留する米軍に対し施設及び区域を円滑かつ安定的に提供する責任がございます。それが条約上の義務でございます。  駐留軍用地特措法に基づく使用権原の取得手続につきましては、沖縄県収用委員会の公開審理が二月二十一日に開始をされたところでありますけれども、従来の実績から考えましたとき、今後の委員会の日程が大変厳しいものであることは私自身よく承知をいたしております。しかしながら、政府として、この公開審理が整々と行われたこともありまして、五月十四日の使用期限の到来までに駐留軍用地特措法に基づいた使用権原が得られますように、現在進められております公開審理その他の裁決に至る手続が円滑に、かつできるだけ手早く行われることを期待しておるところでありまして、またそれに向けて関係者協力が得られるように最大限の努力をいたしてまいりたい、そのように考えております。
  40. 永野茂門

    永野茂門君 最大限の努力、これは非常に大事な努力でありますし、おっしゃったように日米安保の意義を十分認識しながら、沖縄の県民の方々にも御理解いただきながら、かつまた沖縄県民の要望にも合うということ、非常に難しいと思いますけれども、最終的にはどうなるんでしょうか。最終のところはお答えにくいんでしょうか。
  41. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今私は日本の国益ということから申し上げましたが、まさに私は、日米安全保障条約体制というものを我が国の国益としてとらえる限り、その国益を確保していかなければなりません。同時に、これは沖縄県の皆さんの心にかなわない方向になる確率が非常に高い問題であります。  大田知事にもできるだけ早い機会にお目にかかりたい、もう一度お目にかかってこの議論をしたいと私は考えておりますけれども、現時点におきましては、私どもは、収用委員会がこうした状況の中において最善を尽くし、使用権原切れといった状態を惹起しないように最善の御努力をいただけることを心から願っております。
  42. 永野茂門

    永野茂門君 私自身は今の総理のお言葉を、総理はどういうつもりでおっしゃったかということは別にいたしましても、沖縄県民の心を尊重しながら国益は譲れないという御決意だと私は勝手に解釈いたしたいと思います。  その次は、普天間基地のかわりを海上施設でやるという問題であります。  これは果たしてベストであるかどうかというのは、台風に対する問題もありますし、それから沖縄県民の中に若干の地上案というのもなきにしもあらずでありますし、それから仮に海上につくるといたしましても、フローティングの、例えば武装を持っていない大きな航空母艦形式でやるというような方法もあるわけでありますが、今検討されておりますところの海上施設案がベストであるとお考えでしょうか、代替案はもはや検討する余地がないというようにお考えでしょうかということが一点。  それから、こういうことに関連して沖縄の兵力についていろいろと、削減しろとかなんとかいう論もなきにしもあらずでありますけれども、私は中長期的にそういうことをその協議の段階で話し、合うのはやむを得ない、やむを得ないというか結構であると思いますけれども、今の段階は全くそういうような情勢ではないと。かつまた、一般的に言えば、在日兵力をアジア全体、世界全体を考えながら第一義的に決定するのはやはり米側であると、こういうように理解しておりますけれども、それについてごく最近、外務大臣、官房長官等が御発言になっておりますので、まず外務大臣に御見解を承りたいと思います。  前の方は総理がよく御承知ですから、総理に。
  43. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 昨年のサンタモニカにおける初めてのクリントン大統領との首脳会談を前にいたしまして、私が一番最後まで判断に迷いましたのは、まさにこの普天間の問題を俎上にのせるかどうかということでありました。そして、その時点ではこれについての何らかの手法が可能であるとは思わないままに、しかしその直前に大田知事にお目にかかりましたときにも、市街地の中に存在し、住民の暮らしと隣り合わせている普天間基地の危険性というものにつき知事の強い心配のお気持ちというものを承った、その上で何も首脳会談で触れないということはできないと思って私はこの問題を提起いたしました。  そして、その後東京における日米首脳会談までの間、私なりに危険のない方法というものを必死で考えたつもりです。そして、当時沖縄県から私に寄せられておりましたものは、周辺の住民の危険を排除するために一日も早くこれを動かしてほしいということでありました。そして、考えに考え抜いたあげくに、私は、自然環境あるいは騒音、安全、いろいろなものを考え、県民の生活の質を維持できる、向上できる、そうした方法として考えられるものは海上移設しかない、しかし移動可能な、撤去可能な海上施設というものがあり得るのだろうかということを考えました。そして、その中で、沖ノ鳥島の工事のとき使われた工法を思い出し、検討を指示いたしました。  私は、この撤去可能な海上施設の建設というもの、これをつくるということしか、当時、大田知事を初め県の皆さんから私に与えられていた条件を満たすものはないという判断をしてこの決断をいたしましたし、SACOの最終報告におきましても、県民の方々の負担の軽減という観点から、現時点における最善の選択肢として取りまとめられましたこともぜひ御理解をいただきたいと思うのであります。  しかし、いずれにいたしましても、こうした問題、これは地元の方々の御理解、協力がなくては進むものではございません。そして、よく那覇軍港の二の舞という言葉を私に言われる方があります。那覇軍港の問題も確かに長い問題でありますし、代替地が決定をしてからその方向に行かないという状態が続いております。  しかし、これは人命の危険にかかわりのある話ではございません。社会的、経済的な問題にとどまる、私はそう思いますし、人命の危険というものを念頭に置かれながら知事が提起をされたこの問題、私はぜひ関係者の御理解をいただきたい。そして、安全な状態というものを早くつくり出すことにぜひお力添えを願いたい。もちろん、それ以上にすばらしい選択肢がありましたら本当にお教えいただきたいと思いますし、実現可能な手法として私の考え得たこれがぎりぎりでございました。
  44. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) まず、私に対する御質問のうちの後の方から答えてまいりたいと思います。  在日米軍あるいはアジア地域に駐留すべき米軍のレベルなり内容なりを考えるのは、一義的には米側のすることではないかという点でございますが、私は基本的にはそれでいいんだと思います。と申しますのは、日本との関係で申しますと、米国が日米安全保障条約に基づいてその条約上の責務を果たしていくためにはどういうふうなことを米国としてすべきか、その中で在日米軍をどのような内容、規模にすべきかと考えるべきものであると思います。  しかしながら、当然のこととして我が国もこの条約の一方の当事者として、また駐留米軍に対して施設・区域の提供あるいは経費の負担等々のこともあるわけでございます。それから、もとより我が国の安全にかかわることでございますから、当然、一義的に米側が考えるにしても、当方としてもいろいろ意見を申し上げる、協議していくということはあり得る。このことは、御承知のとおり、昨年の日米安保宣言にも書いてございますし、これまでも繰り返し言ってきたところでございます。  これは何も日米関係だけではなくて、米国がアジア太平洋地域あるいは世界のその他の地域において平和を維持していく上においていろいろなコミットメントをしている、そのコミットメントを果たしていくためにどういう体制をとるべきかということについては一義的にはまず米国が考える話。それを関係諸国がどういうふうにしていくか、考えていくかと、こういうことであろうかと思います。  それから、現在の我が国あるいは我が国周辺の国際情勢でございますが、確かに冷戦が終わりましてかなりの年月がたって、基本的には安定化の方向に進んでおるんだとは思います。また、いろいろなマルチ・バイの努力もされております。しかしながら、依然として不安定、不確定要因も随分ございます。ヨーロッパ等と比べますと、そこのところがアジアの非常に先が見えにくいところだと思うのでございます。しかも、ごく最近の情勢の変化という点から申しますと、一部にはむしろ不安定要因が高まってきているんじゃないかという見方もあるということでございます。  そういったことを考えますと、現在、米国が我が国あるいはアジア太平洋地域の安定、平和を維持する上において役割を果たそうとしている。そのために、この地域に駐留している米軍のレベルなり兵力構成というものは、これは維持しなくちゃいけないと米側が言っておるというのは、それは十分納得できるところでございまして、在日米軍のレベル、兵力構成、海兵隊等も含めてアジア太平洋地域十万人のプレゼンスを維持するという米国政府の繰り返して表明されている方針を、日本政府もそれを正しいと考える次第でございます。  ただし、当然のこととして、中長期的には国際情勢、とりわけ安全保障環境は変化してまいりましょうし、それに応じて軍事体制なり防衛政策の変更があり得ることは当然でございまして、そのことについては日米間でもいろいろ協議していこうということが約束されていると、こういうことでございます。  さらに、我が国の政府としましては、単に安全保障環境の改善を待つだけではなくて、そういった改善を具体化するなり、改善が実現するようにいろいろな外交努力も尽くしてまいりたいと、こう考えている次第でございます。
  45. 永野茂門

    永野茂門君 それでは、外交・安保関係の最後の問題を総理に承りたいと思いますけれども、まず領土問題でございますが、竹島、尖閣列島問題についてどのように解決しようとなさっておるのかということが一つの問題。  そしてさらにもう一つは、中国の化学兵器、我が国が遺棄したと称せられる化学兵器の処理、廃棄をやらなきゃいけないわけでありますが、これについてどのように進めるように考えておるのか。  それから、北鮮に拉致されたと疑惑を持たれている問題でございますけれども、いろいろ調査してみますと本当らしいということでございまして、いずれにしろ状況を我が国としては十分掌握して、必要な状況ならば救援の措置をとることが日本の責任であると思いますが、こういうことについてどういうようにおやりになろうとしておるかという三つの問題を承りたいと思います。  私が承りたいということを申し上げておりますのは、こういうことを通じて日本はちゃんとした、はっきりした態度を示せ、余り外にぺこぺこするなということを含めて総理にぜひお伺いしたいと思います。なお、最後、だれかにあれされるなら結構でございます。
  46. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 三点目の拉致されたと疑われる日本人の状況、この点につきましては、もし事務当局の方で詳細がありましたなら追加説明することをお許しいただきたいと存じます。  まず第一点、竹島及び尖閣諸島の問題という点についてのお尋ねがございました。  竹島の領有権問題についての我が国の立場というものは一貫したものでございます。そして、韓国に対しましても、先般、一月二十五、二十六であったと記憶をいたしますが、日韓首脳会談の期間を初めとしまして、累次にわたりこのような一貫した立場というものについての申し入れを行うなどの外交努力を続けております。  ただ、他方、私はこの問題に対する日韓両国の立場の相違というものが、そこだけがクローズアップをされて両国国民の感情的な対立になってしまうこと、そして両国の友好協力関係を損なうというようなことは適切ではないと考えております。あくまでも韓国とは友情を持って話し合える、そうした状況をつくり出す、保っていく努力というものを我々はしなければならないと考えておりまして、これから先も両国間で冷静にかつ粘り強く話し合いを積み重ねて解決していきたいと、そのように願っております。  尖閣諸島が我が国の固有の領土であるということにつきましては、歴史的にも国際法的にも疑いのないところでありますし、現に我が国は有効にこれを支配しているわけであります。昨年十一月、APECの会合の際、私自身は初めての日中首脳会談を行いました。その場におきましても尖閣諸島が我が国固有の領土であるということは明確に申し述べたところでございます。  他方、私は、これも同じことですけれども、尖閣諸島をめぐる議論あるいは事態というものが、アジア太平洋地域さらには世界全体の平和と繁栄に、私自身先ほど申し上げましたように、非常に大切な関係の一つというものが日中関係だと考えております。その日中関係の健全な発展が損なわれるようなことはあってはならないと考えておりますし、これから先もこうした考え方から冷静に対応していくべきものだと、そのように思っております。  それから、遺棄化学兵器の問題についてのお話がございました。  この問題は、さきの大戦に端を発する問題でございます。そして、戦後五十年という時間が経過した間に、これらの遺棄化学兵器が中国の環境やあるいは人身の安全に重大な脅威を与えているという緊急性を有している。そうしたことから、我が国としては、日中共同声明、日中平和友好条約及び化学兵器禁止条約の精神を踏まえて、誠実にかつできるだけ速やかに対処していくという方針で九〇年来何回か政府間協議現地調査を行ってまいりました。  今後は、こうした現状の把握を踏まえて処理をスタートさせるわけでありますけれども、化学兵器禁止条約の批准につきまして、中国は昨年十二月末に全国人民代表大会での審議、承認を済ませております。そして、本年四月二十九日には化学兵器禁止条約が発効いたしますことから、この具体的な処理につきましては、化学兵器禁止条約が規定する原則あるいは基準というものに基づいて実施していくことになろうと存じます。  最後に、北朝鮮によりまして拉致の疑いの持たれております事件、例えば李恩恵の問題につきましては、平成三年の五月、この方が失踪中の日本人の女性である可能性が高いと警察当局が判断するに至りました。そして、それを踏まえて、日朝正常化交渉の第三回の本会談におきまして北朝鮮側にこの照会を行い、その後第四回の本会談以降、本会談が行われますたびに北朝鮮側に対し、この問題についての実務者協議を開催して北朝鮮側に消息等の調査を求め続けております。  そのほかの案件につきましても、私は捜査当局として所要の捜査が進められておると思いますので、これは事務方から補足をお許しいただきたいと存じます。  ただ、これから先具体的にどうするんだと。これは、失踪された方の安全に配慮するといった観点からも御答弁は差し控えさせていただくことをお許しいただきたいと思いますが、こうした事件はいずれにしても我が国の国民の安全にかかわる非常に重要な問題である、私どもはそうした認識に立って対応してまいりたいと考えております。  事務方から補足できる人があったら。
  47. 杉田和博

    政府委員(杉田和博君) 今お尋ねの北朝鮮による拉致容疑の事案については、委員承知のとおり、昭和五十二年、三年、四年、このころ日本海岸を主として不可思議な行方不明事件が幾つかございました。これは、これまでの捜査でまだはっきりはしておりませんけれども、いずれもその行方不明になった状況等から見て拉致の疑いがあるということでこれまで鋭意捜査をしておるところでございます。
  48. 永野茂門

    永野茂門君 今三つの問題について御答弁がありましたけれども最初の領土問題につきましては、とにかくこの問題をもって両国間がおかしくなるというようなことは考える必要はないと思いますし、あってはならないわけでありまして、それに注意していらっしゃるというのは、これは当然必要なことであると思います。  ただ、私が申し上げたいのは、相手が一言、二言、三言言って何か行動を起こしても黙っているというようなことはよくないので、その都度その都度ちゃんとした行動あるいは発言を繰り返していただきたい。特に、竹島の問題はいろいろと既に先占状態に近い状態をつくられておるわけでありますが、これは取り除いてもらうのが本当でありまして、そういうことも含めてその都度やっていただきたいということであります。  それから、第二点の化学兵器の問題は、そのいきさつは別にいたしまして、とにかく日本はこれをやるということになっておりますので、やらなきゃいけない。ただ問題は、数千億以上かかるということ、それから作業は危険であるということですね。したがって、十分中国側とも調整し、共同してやるようにということと、今後もこういうような問題は、例えば地雷について東京で会議が近く行われるようでありますが、同じようなことが出てくるかと思いますが、日本は今や金持ちじゃなくて大変なことになっているわけでありまして、そういうことも考慮しながら、予算が伴うということを十分認識しながらこういうことは処理しないと大変大きな負担を背負うということ、当然の負担ではないものまで含むということになる可能性がありますので、その付近を御注意していただきたいということであります。  第三点につきましては、今いろいろおっしゃいましたけれども、私は国連に調査してもらうことも一つの手段ではないかと。国交がありませんし、恐らく国際警察機関の共同も難しいんじゃないかと思いますが、調査については国連を利用するという手もということを一つの提案として申し上げておきます。  さて、次にいよいよ九年度予算、そしてこれに関連します財政構造改革を初めいろんな改革、六つの改革の問題に入らせていただきたいと思います。  まず第一に、総理は、九年度予算を構造改革元年の予算であると位置づけて、衆議院における審議においても非常に声高く、繰り返しで答弁されました。しかし、毎日の新聞論調、それから衆議院で予算が通過した後のマスコミの論調を見ても同じでありますし、我々が直接国民から承ります意見についても同じなんですが、どうもそれはおかしいんじゃないかと、こういう声が高いことは総理のお耳にも入っておると思いますが、総理がこの予算を構造改革元年の予算であると位置づけておられます論拠を承りたい、こう思います。
  49. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) この予算を編成いたします前段階におきまして、大蔵大臣と御相談をし、私どもとしての財政構造改革元年にふさわしい予算にしていこうと考えましたときに、大きく二つの目標がございました。  一つは、まさにプライマリーバランス、国債費を除く歳出を租税収入で賄えるような形で何としても予算編成をしたい、同時に三兆円以上どこまで国債費を抑えられるか、発行を減らせるか、こうした大きな目標を立てながらこの予算編成に取り組んでまいりました。同時に、制度改革を必要とするものには、その制度改革への踏み込みをしていかなければならない。これだけ危機的な財政状況の中で相当厳しいことになるけれども、そのような目標を立てて予算編成に臨みました。  今、平成九年度予算、いろいろな御批判をいただいております。しかし、医療保険制度改革を初めとするさまざまな制度の改革の実現に努めるなど、歳出全般にわたる聖域を認めない見直しを行ってまいりましたし、一般歳出の伸び率が九年度の消費者物価上昇見通しを下回っている、言いかえれば実質ゼロという姿であることも御承知のとおりであります。  また、四兆三千億円の公債減額、特例公債でいいますなら四兆五千億円の減額というものを行いました。そして、先ほども申し上げましたように、国債費を除く歳出を租税収入で賄える、こうした形で予算を国会に提案させていただいたわけであります。大きく第一歩は踏み出し得た、私はそのように考えております。
  50. 永野茂門

    永野茂門君 確かに、おっしゃるとおりに公債は四兆三千二百二十億円ですか、削減されましたし、そしてプライマリーバランスは達成をしたということでありますが、その後のいろいろ構造上の問題で、歳出の削減について、あるいは予算の編成方針においていろいろと考慮したということは私はほとんどできていなかったんじゃないか、こういうように見るわけであります。  まさに実態は、増税による負担増によってそれを見込んだ減額でありまして、財政改革を内容とするものではないように判断をするわけでありますが、財政構造改革というものをどういうように定義づけてお考えになっているのか、そしてまた構造改革元年の位置づけにふさわしい具体的な予算内容の特徴は何か、予算案の編成方針はどういうように変えたのか、そういうようなことについて具体的に承りたいと思います。
  51. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 総理から、編成方針に基づく構造改革元年と位置づけた理念と方向については明示がありました。大蔵大臣としてその指示を受けて取り組んだわけでございますが、第一点は、プライマリーバランス、租税収入に見合う歳出でなければなりません。あっという間に二百五十四兆の国の債務が生ずるという、これは何であったかということを顧みますと、バブル崩壊後の景気対策、不況克服のために全力を尽くして国債発行残高が急激にふえたことは御案内のとおりでございます。  危機状況にあるということは、国際的な比較でもG7構成国の中でも我が国が最悪の状態、このままの財政運営を続けるならば破局に向かうだろう。この基本的認識のもとに、橋本首相は意を決し、これを乗り越え、その先にある安心と安定に向けて取り組むということで、まず財政構造改革、以下五つの改革路線が明示され、それぞれがスタートを切り、行っておるところであります。  御案内のとおり、今回の中における歳出のカットは元年にふさわしいものということで、その内容は何だということでありますから申し上げさせていただきますと、これから行う医療保険制度改革などの制度改革の実現に向けて、法律の提出も終わっておるわけでございます。  さらに、その他の問題として、育英奨学金返還免除制度の見直し、実施は十年度から。それで、本年度は公民館など公立社会教育施設整備費補助金の廃止、こういうことで行わせていただきました。  公共事業関係費については、七年ぶりに前年度当初予算と実質的に同水準にとどめ、国民生活の質の向上、次世代の経済基盤等の整備に重点を置きまして取り組んだということであります。  ODA予算についても、対前年度比二・一%の増と、過去最低の伸びに抑えるということからスタートを切りました。  農林水産関係予算についても七年ぶりに前年度対比マイナス予算ということで、これも決定をいただいたところであります。  さらに、前年度を上回る国家公務員の定員削減等を実現し元年にふさわしいものとするということで、国債費の特例公債だけで見ますと総理言われるとおり四兆五千億ということになりました。  この結果として、九年度一般歳出は御案内のとおり前年度対比一・五%増となり、さらに消費税の国庫負担分の増加の特殊要因四千億円を差し引きますと〇・六%増という十年ぶりの低い数字になっておりますことから、まず財政構造改革元年にふさわしいスタートを切り、ただいまこの審議が終わりますれば具体的な平成十年度の予算編成に入ると、こういうことであります。
  52. 永野茂門

    永野茂門君 今おっしゃったのは、先ほど申し上げましたように、消費税のアップでありますとか、特別減税の廃止でありますとか、さらに社会保障負担の負担増でありますとか、とにかく負担増におんぶしたやり方でありまして、しかもいろいろと削減を意図したと、こうおつしゃいますけれども、実際の削減で顕著なものというのは恩給費だとかあるいは文教施設費。要するに、対象の児童数だとかあるいは資格者が減るというようなことで自然に減っていくというようなものが多くて、かつ予算の編成方針においていわゆる膨張的、既得権的な予算にはほとんどさわっていない。  建設大臣が何度も予算審議の答弁でいろいろなことをおっしゃっておりましたが、公共事業費についてはまさに事業別のシェアは不変でありますし、そしてまたあの高い単価も全然さわっていないとか、あるいはまた整備新幹線なんというのを三線五区間の上にさらに新規のものを復活して要求を出すと。しかも、それは必ずしも十分に検討されておるものでなくて、これから検討して落としましようとか、公共事業費につきましても今後聖域なきカットを検討いたし見直しをやりますとか、後からつけ加えているわけですが、実質的には今申し上げましたようなとおりでありますし、それから補助金の抑制もほとんど行われていない。しかも、国有林事業とか、破産宣告を受けたと同等のものとか、あるいは国鉄の清算事業団、こういう資格が問われているようなところにも従来どおりっけておる。明確な歳出管理の方針がなくて予算を編成してきている、こういうことであります。  私は、これだけ苦しい財政のときには、シーリングという言葉を使いますけれども、ゼロシーリングでもよかったんではないかと思うぐらいの大変に難しい時期に来ておるわけでありまして、ちょうど二年前、村山内閣に対して私は参議院の本会議で次のようにそのときの予算の反対討論をやっていますが、この言葉が今回そのまま当てはまるということを残念ながら申し上げておきたいと思います。  そのときに私はどういうように申し上げたかと申しますと、村山総理に対しまして、本予算案においては公共投資基本計画やガット・ウルグアイ・ラウンド合意に基づく農業対策など今後長期にわたって多額の支出を要する施策が優先順位も考えずに盛り込まれる一方であって「予算配分の硬直性は一向に改善されず、歳出の見直しは極めて不十分」と、こういうように申し上げましたけれども、これはそっくりことしの予算にも当てはまるような気がするわけですね。気がするというか私は当てはまると、こう見るわけでありますが、どうしてこんなに硬直なことを構造改革元年と称してやるんだろうか、こう思うわけでありまして、これについてどういう御所感をお持ちでしょうか、大蔵大臣。
  53. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 御指摘の問題点でありますけれども、今日、私ども日本経済の分析、それからその上に立った国家運営である財政のあり方、そして二十一世紀に向けての我が国の経済の持続的成長の確保、よって国民生活の安心、よく言われる少子・高齢化にどう対応するのかという基本問題について論議を積み上げまして、最終的な決心が総理の手元でなされたわけであります。  もちろん、私どもは閣議においてそれぞれの提案をし、集約された形で内閣の基本方針とさせていただきました。そのときに最大のポイントは財政危機であります。二百五十四兆円、地方を合わせて五百兆になんなんとする、このGDPにも匹敵する財政危機をそのまま等閑視しておいていいのかと、こういうことであります。等閑視という言葉が適当でなければもっとかみ砕いていきますと、経済運営のために財政の出動に歯どめがなく、限りなくそういうことで取り進むことは一体どうなんだろうかと。  経済が成長すれば自然増収の中でそれは返せるという理屈があります。私はそのとき思い出したのでありますが、学生のころ聞いた、講義を受けた井上準之助と高橋是清。昭和のパニック、日本どこへ行くかという危機の中で井上準之助が金解禁をやり、いわゆる増税を盾とした財政再建を提唱しました。金解禁が破れて、四度目の蔵相として首相を経験した高橋是清さんがこれに当たると。言うなれば、ケインズを先取りいたしましたケインズ流の経済をやりました。しかし、最終的には軍国主義の強化の中で軍事費の削減に歯どめのかからぬ国債発行が続くわけでございますから、軍事費を抑えようとするときに、御案内のとおり、二・二六事件で非業な最期を遂げていくわけであります。  私どもは、そういう先輩の苦しい選択の中で、この国のため、この国民のためよかれということに突入した先例を学ばなければなりません。そういう中で歯どめをかけることが大事であります。そのためにはシステム改革が断行されなければならぬというので、御案内のとおり、その公債発行に依存する体質から脱皮しようということで、平成八年度二八%の公債依存度の財政体質を、カットすることによって二一・六%と大きく下げたわけであります。  そういう中において、プライマリーバランスの第一歩のスタートを切るということで歳出にメスを入れたことは、このことはこのこととして認めていただくのではないかと。国民各位からは頑張れというお手紙もいただきますし、電話もいただきます。国会論議でも、野党の皆さんを除いて、その基本は大事だ、こういうことで御支持をいただいておるところであります。
  54. 永野茂門

    永野茂門君 それならお伺いいたしますけれども総理は財政構造改革会議等において、いろんな事業の聖域なき見直しをやります、公共事業費についても同じでありますし、それから新幹線についてもそういうことをやりますと言い、既得権に対しても切り込みをやりますと、あるいは改めて先月の二十日ですか、増税なき財政再建を目指す決意を表明いたしまして、そこでも公共投資基本計画の見直しを前向きにやりますと、こう言っているわけですが、こういうことは何で改めてそういうことを言わなきゃいけないのでしょうか。  つまり、つくってある現在の予算案がこういうことを批判される、あるいは後からこういうことをやらなきゃいけなかったなと思うようになったからこういうことをおっしゃっているんであって、私はそれは悪いとは申しません。既に成立した以上そういうことをしっかりやっていただきたいわけですが、今おっしゃるように、この原案がそんなに言われるようなものではないということをしっかりと認識していただきたい、こう申し上げているんです。  本当はそういう言葉はないはずですね。これはいいんだからしっかりこのとおりやろうじゃないか、こう言うのが、予算が財政構造改革元年の予算であるとおっしゃるならばそういう言い方が本当ですけれども、実を言うと、それは通しておるけれども国民がこうおつしゃつているし、確かに野党もこう言っている、うなずける。財政再建をやる、そのためには構造改革をしなきゃいけない、それでこういうことにお触れになっている、そうじゃないですか。違いますか、総理
  55. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私、議員がちょっと誤解をしておられるのではないかと思います。なぜなら、財政構造改革というのは一年でやり上げられるものではございません。そして、毎年毎年これから我々は血の出るような努力を積み重ねていかなければなりません。その方向性を議論していくのがなぜ悪いんでしょう。私はそれが悪いとは思いません。  同時に、私自身増税なき財政再建という言葉を使ったことはございませんが、財政構造改革会議の議論の中に、歳入の……(「使ったじゃないか、新聞に出ていたよ」と呼ぶ者あり)新聞に出ていることがすべて正しいことではありませんので御説明申し上げる。財政構造改革会議の中で、経済が縮小均衡に陥ることを懸念され、増税を考えるべきという御意見がありました。そして、そのとき私は、社会保険料の引き上げもお願いしなければならない時期に増税までお願いできるとは思わない、そういう言い方をいたしました。改めて、誤解のないように正確にそう申し上げておきます。  そして私どもは、間違いなしにこれから、二百五十四兆に上る国債の残高、さらに地方のもの、あるいは国鉄清算事業団等を含めてもいいかもしれません、五百兆に余るその借り入れの残というものを子供たちの時代に少しでも残す部分を減らしていく努力はしなければならないわけであります。スタートを切りましたことしから、そうした意味では年々厳しい予算をつくっていかなければならないことは事実でありまして、そうした方向での努力をこれからも継続していく、我々はそう考えております。
  56. 永野茂門

    永野茂門君 私は、財政構造改革あるいは財政再建そのものについても、あるいはその他の経済の活性化、経済改革等、そういうものが単年度でできるなんということはもちろん毛頭思っていませんし、そう申し上げるつもりもありません。いろいろ努力というものは続けなきゃいけないし、そして現在そういう方向で努力なさっていることは十分承知しておりますが、本年度予算がそういう第一歩として評価できるほどいろいろな切り込みをやって構造を見直したというように評価できるような変化は、去年の予算と比較して、例えば公共事業などシェアはそのままですが、そういうようなことがありまして、もっともっと厳しく考えてやっていただきたい、こういうことを申しているのであります。  さらに私どもは、御承知のように、特別減税は継続すべきである、消費税アップはストップすべきである、そのままにしろ、社会保障費の負担増も考え直せ、そういうような中で、国民の消費意欲を上げて経済を活性化しながら、一方で歳出減の方針を明確にしてやるべきだと、こういうことを訴えているわけであります。  そこで、少なくも国民の皆さんは、新聞論調あるいはテレビの論調あたりにもあらわれておりますように、皆さん方も恐らく国民の皆さんといろいろとディスカッションなさってお感じになっておりますとおりに、少なくも批評として、九年度予算が財政改革元年にはほど遠くて負担を強いるだけだと、こういうような声が上がっておりまして、御承知のように本予算案に反対というのは七〇%以上もおるわけでありまして、こういう声に対してどういうように総理はおこたえになるのか。  そして、いろいろこれからやりますこれからやりますということ、それは私は結構だと思います、これからやってもらわなきゃいけないので。でありますけれども、具体的に、例えば今度の概算要求作業はもう五月になったらすぐ始まるわけでありまして、少なくも十年度の概算要求作業にはがっちりと反映できるというような、そういうことを明確にやっていただきたい。  そういうことを例といたしまして、どういうように国民の批評におこたえになるかお示しいただきたい、こう思います。
  57. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、衆議院でも繰り返して申し上げてまいりましたが、本院でこの点に触れるのは初めてでありますので、答弁について多少長目になることをお許しいただきたいと思います。  今財政構造改革会議におきまして、その議論の一端は先ほど縮小均衡か拡大均衡かという議論に並行して御紹介を申し上げました。しかし、この財政構造改革というものが、ある意味では私が申し上げております六つの改革の中で一番急ぐものかもしれません。なぜなら、議員もお触れになりましたように、平成十年度の予算編成のためには、本年の夏には概算要求をそれぞれの省庁が行うことになります。しかし、その概算要求のルールそのものから変えていかなければ予算編成は変わりません。言いかえれば、概算要求基準を決定するまでにその方向づけを定めなければならないわけであります。  総量を規制する方式あるいはキャップ方式と言われるようなもの、個別項目ごとに歳出上限を設ける方法、国々によっていろんな制度を今とっておりますが、日本にどの制度が一番ふさわしいのか、より効率的な手法は何か、今我々は必死で議論をいたしております。いずれにいたしましても、六月の末ぐらいには概算要求のルールを確定しなければならないわけでありますから、その概算要求基準の作成というものが、こういう考え方で進ませていただきたいというお願いを国民にいたす最初の場になろうかと、私はそのように考えております。そのためにも、そしてその意味では、私は、これから財政構造改革を続ける以上、予算というものは大変厳しいものが続くことを国民に率直に申し上げなければなりません。  それだけに、三月末に規制緩和推進計画の最終的な取りまとめをいたすわけでありますが、その中に、できるだけ多く新たな需要が生まれるような、新たな雇用が創出されるような、そうした分野への進出が可能になるような規制緩和推進計画といったものを、これは三月末には取りまとめていくことになります。  また、今これとは別に内閣の中で関係閣僚に作業を指示しておりますのが公共工事のコストの洗い直しでありまして、この作業は年度末までに目標を持ってこれを定めることができるように、そうした指示をいたしていることも申し添えます。
  58. 永野茂門

    永野茂門君 とにかく国民は、今までいろいろとだまされてばかりいたという感じが強くて、特に行政改革でありますとか財政構造改革あるいはいろんなものの構造改革につきましては、確かに声は高いわけでありまして、こうやりたいと思います、こうやる努力をいたしますというようなことが多いわけでありまして、これについて決して信頼が十分あるとは思いません。  したがって、今回の大改革、これは非常に大事な時期の大改革でありますので、国民が、なるほど、政府はやっているんだ、議会はそれをちゃんと論議しながら進めているんだということがわかるように、具体的にその都度その都度、今お話がありました概算要求をするときの指示そのもの、あるいはかつてシーリングと言っていた要するに要求基準そのものがどうなるかということ、その中で今までのプロジェクトタイプの予算はどういうように扱われておるとか、右肩上がりの増分主義はどうなっているとか、そういうようなことを明確に国民は知りたい、それがわかるようにぜひやっていただきたいと思います。私どもも、それに対して十分監視の目を今後とも続けたいと思います。
  59. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 永野茂門君の残余の質疑は午後に譲ることといたします。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十三分休憩      ―――――・―――――    午後一時開会
  60. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  平成九年度一般会計予算平成九年度特別会計予算平成九年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、休憩前に引き続き、永野茂門君の質疑を行います。永野茂門君。
  61. 永野茂門

    永野茂門君 私の持ち時間はあと五分しかありません。いろいろ準備いたしておりましたけれどもそれは割愛いたしまして、あと一問御質問いたします。  それは、国連平和維持活動あるいは平和回復活動に関する件でありますが、既に我が国はカンボジア以来いろいろと経験をいたしましたし、そして各地で活躍して国際的にも評価され、いろんな要請がもたらされております。  いわゆるPKO法につきましては、既に三年たっておりまして見直しの時期に参っておりますけれども、この間の経験に基づいて修正についての意見も政府の中ではまとまっておるやに聞いております。またさらに、新しい情勢に基づきまして、もっと積極的に平和回復造成活動の方にも、いわゆる国連軍の方にも積極的に参加すべきであるという考え方もあちらこちらから出てきておりますし、我が党はそういうことを主張しておるわけであります。  そういう中におきまして、いろんなことをちゅうちょするということは、先ほどもちょっと外交・安保の方針のところでその付近のことを総理の所信表明の中にあらわれている点で確認をいたしましたけれども、私は、これからの世界において日本がちゃんと国際的な名誉ある地位を確保し、そして責任を果たしていくというためには、次のようなことについていろいろと考え方を決めておくということが極めて重要なことであると思います。  そこで、平和維持活動の今の法の中で一番自衛隊の方で問題にされ、防衛庁の方でもその修正について考えをまとめておりますPKO活動の中における武器使用の問題でございまして、武器使用の法文をどういうように修正するのがいいのかということを含めまして、どういうように持っていくかということを承りたいと思います。  それから、いわゆるPKFと日本で言っております平和維持部隊の本体の仕事、状況によって防御戦闘は行わなければならないというものでありますけれども、この活動にもう大体参加していい時期じゃないか、あるいは参加すべき時期に来ているんじゃないかと私は見ておりますが、その点についてどういうようなお考えをお持ちでありますかということ。  さらに、いわゆる国連軍に多国籍軍を含めましてもはや参加して日本の責任を果たす、世界に対する貢献度をさらに深めるという時期に来ておる、そしてまたそれは今の憲法の中でもできるんじゃないかという私ども見解を持っておるわけでありますが、こういうことを総合いたしましてどういうようにお考えか。  最終的には総理のお考えを聞きたいと思いますが、外務大臣あるいは防衛庁長官の方からもお考え方を、もし先に述べていただくならば述べていただきたいと思います。お願いします。
  62. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) PKO活動等に参加しておる隊員諸君のいろんな話を帰ってきてから聞きますときに、やはり武器使用が個々の隊員の判断にゆだねられているということについては非常にプレッシャーになっているというようなことは聞いております。これの問題につきましては、これから先、政府内においていろいろと検討がされて、PKO本部の方においてしかるべく結論が出されるんじゃないかというふうに思っておるところでございます。  なお、国連軍への自衛隊の参加、派遣でございますけれども、御指摘の国連軍というのが必ずしもどういう内容なのか明らかでございませんが、いずれにしましても、現在私どもは、自衛隊としては法律に基づいて出ていっている、その法律はまた憲法の範囲内ということになっておりまして、国際平和協力法に規定されているような条件を付することなく、もし目的、任務が武力行使を伴うものであればなかなか難しいというふうに考えるわけでございます。  いずれにしましても、自衛隊に関する行動の基準については法に基づくわけでございまして、その法はいわゆる立法府で制定されるわけでございますから、憲法に違反することなく法が制定され、それに基づいてしかるべき任務が与えられれば私どもはそれに従って行動するというわけで、現在の段階では非常に難しいんじゃないかというようなことでございます。
  63. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 国連軍の関係につきましては、ただいま防衛庁長官からもお話しございましたけれども、これまでに国連憲章第七章に基づくいわゆる真正の意味での憲章上の国連軍というのが編成されたことはございませんし、近い将来を見ましても、今必ずしもそういうふうに進んでいく情勢にはあるとは見ていないところでございます。  いずれにいたしましても、我が国といたしましては、現在のPKO法に基づいて国際的な役割を果たしてまいりたいと存じますし、その問題については政府部内でもいろいろ検討中でございます。  御指摘の武器の使用等の話のほかにも、例えばこれまでいろいろな戦乱が、いわゆる動乱状態が静まった後に選挙活動なんかする、それを支援するなんというのがございます。そういったことを行っていく主体が必ずしも国連でない場合、リージョナルな組織なんかがやる場合、そういったものに対する選挙支援などを我が国としてすることがいいのか悪いのかとか、あるいはいろいろな難民の問題なんかに国際機関等が対応、対処している、それに対して例えば物質的な面で、物資の面などで協力していくということが、PKO法の中でできるようなことにするのがいいのかどうなのかといったような点も含めまして、我が国の世界の平和を維持する上での貢献という観点から、これまでの経験も踏まえながら、これからの進め方について政府部内でもいろいろ検討を進めているところでございます。
  64. 永野茂門

    永野茂門君 国連軍参加は立法が先だと、それはおっしゃるとおりであります。いわゆるPKO法の修正について、見直しについてどう考えるかということでございますが、何でそんなにぐずぐず、見直しは早くやった方がいいと思うんですが、どうしてその見直しを抑えているのか。理由は何でしょうか。
  65. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) これは防衛庁のお答えになりますかどうかわかりませんけれども、今言いましたように、行った隊員等の意見等を聞いてみますと、やはりもう少しこれは組織立って武器の使用ができるようにした方がいいんじゃないかという意見は非常に強く出ております。そういうやつを踏まえながらどういう形で調整していったらいいか、今政府内でいろいろと調整が行われているところでございますし、また法案を出すとなりますとその表現の仕方等いろいろございます。そういうこともございまして、今非常に政府内で調整が行われているという段階であるということを御理解していただきたいと思います。
  66. 永野茂門

    永野茂門君 政府内の調整だったら、もう非常に早くできると私は思います。与党内の調整が難しいんだったら与党内をちゃんとリードしていただきたいと思います。(「平成会賛成するか」と呼ぶ者あり)賛成するでしょう。私はそう思います。  総理、今までの討論を聞いていて、御所見がございましたらお答え願います。
  67. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、防衛庁長官から、現在政府部内において法律改正案の具体的な内容について検討を行っていると、そう御答弁を申し上げました。それを踏まえて感想をと言われますと、私はこの議論を拝聴しておりまして本当に感じることがございます。  ちょうど私が運輸大臣のとき、イラン・イラク戦争が激化し、ペルシャ湾において日本タンカーが被弾し船員の中から死者を出すという事態に至りました。そして当時、国際社会から警備のための艦艇派遣というものを日本も求められました。しかし、そのころは全くそういう状況にはありませんでしたために、私は一時期、海上保安庁の巡視船を派遣することを真剣に検討し、その場合の海上保安庁法の法解釈まで内閣法制局と議論をし、また外務省に対して巡視船の派遣で警備艦艇の派遣と同様な国際的な評価が得られるかという問いかけをいたした時期もございました。しかし、その議論の決着を見る前に、幸いにペルシャ湾内の状況が変わり、ホルムズ海峡を越えて日本タンカーが無事に航行できる状態になり、その作業は中断をいたしました。  湾岸戦争に至ります前、湾岸危機が発生いたしましたときから、エアリフト、シーリフトについての協力日本が求められたことも御記憶のとおりでありますが、その時点におきましても、一体どこまでというのは国会におきましても大変な御議論がございました。結果的に我が国は効果的なエアリフト、シーリフトを含めての支援ができませんでした。  しかし、その後におきまして、ペルシャ湾内に残りました機雷の除去作業海上自衛隊の掃海艇部隊を派遣いたしましたとき、一部に確かに強い反対はございましたけれども、多くの国民はこれを激励し、そしてその使命を達成して帰ってまいりました掃海艇部隊に対し感謝の声を述べてくれたと記憶をいたしております。  その後、例えばカンボジアにおけるPKO活動の中で、高田警視の殉職あるいはボランティアの方の死亡といった悲惨な事態もありました。そして、私はいろいろな角度から国民もこの議論を深めていただいていると思います。私どもはそれを踏まえて行動してまいりたい、率直な感想を申し上げます。
  68. 永野茂門

    永野茂門君 この質問はそのくらいにいたしまして、とにかく前向きに政府内でしっかりとやっていただきたいということをお願いしておきます。  最後に、私どもの方から御承知のように衆議院において九年度予算に関する編成替えについての動議を出しましたけれども、その中の内容をもう一回ここで申し上げまして、これは私ども、本国会中はもちろんでございますが、要求を続けるということを申し上げておきたいと思います。  その内容は、既に御審議いただいて否決されたとおりでありますけれども、項目を改めて繰り返して申し上げておきますが、一つは、消費税率の据え置き、三%据え置きで五%には上げるなということが第一であります。  第二は、特別減税の継続、八年度に引き続きまして本年も継続すべきである。  そして三番目は、資本市場の活性化ということで、有取税の廃止でありますとか特定の先物取引に係る取引所税の廃止が第三項であります。  第四項は、土地の流動化等で、地価税を取らないとかその他のこと。そして、財源対策をこれに伴って提案しておりますが、このことにつきましては予算のところでもう少し強調するつもりでございましたが、時間がなくなりましたので、最後でございますけれども、これを申し添えて、私の質問を終わらせていただきます。  とにかく非常に大事なところでございますので、我々の言わんとするところも十分取り入れながら、私はそれを盗んだとは申しません、とにかくいい改革を進めていただきたいということを最後にいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。  以上です。どうもありがとうございました。
  69. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 関連質疑を許します。木庭健太郎君。
  70. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 平成会木庭健太郎でございます。よろしくお願いいたします。  まず、昨日、衆議院で予算が通過いたしたわけでございますけれども、その際、社民党、さきがけが本予算賛成に当たって自民党と合意した賛成条件があるというふうに聞きました。一体これは何なのか、自民党総裁にお伺いしたい。そして、これを政府としてどう受けとめるか、ここは総理としての御答弁をいただきたい。
  71. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私はここで内閣総理大臣として答弁をする立場でございます。そして、国会の中におきまして、与党の中におきましてもあるいは与野党の間におきましても、衆議院の審議中さまざまな話し合いが行われてまいりましたことを私も承知いたしております。その上で、与党合意、これは公党間の合意でありますし、まして私の所属していない政党の部分までを私がその考え方について申し上げるということはいささかおかしいのではないかと思います。  そして、いずれにいたしましても平成九年度予算、全体として抑制を図る中で重点的、効率的な資金配分を行ってまいったものでありまして、現時点で私どもは最善のものと考えております。
  72. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 政府としてどうその合意をお受けとめになられたかということについては、総理として御答弁できると思います。
  73. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 文字どおりに受けとめております。そして、政府としてもその御趣旨を踏まえて適切に対処すべく今後検討させていただきたいと思います。
  74. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そうすると、受けとめるということは、予算の執行段階においてこの合意というのは拘束力を持つ話になるのかどうか、そこも明確にしていただきたい。
  75. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 政府として政党間の合意の性格というものを責任を持ってお答えを申し上げる立場にはございませんが、いずれにせよ今回の与党合意は公党間で行われた合意である、そう考えております。
  76. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 この合意の中に、合意に添えて確認メモがあったという報道がありました。どんな内容か、もし御存じなら、申し出を受けた官房長官でも結構ですから、教えていただきたい。
  77. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 昨日の朝、与党三党の方から、平成九年度予算審議終局に当たって三党が話し合いをした合意についての話を承りました。私は内閣を代表するというよりも、内閣の一員として立ち会いを求められたわけでありますので、もちろん政党政治、与党を形成する三党でございます。私の所属する自由民主党もその中には当然主軸として立っているわけでありますので、御趣旨を踏まえ、政府としても誠心誠意対応をしてまいりたい、このようにお答えをいたしてあります。
  78. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 これは総理も当然、合意をお読みになってそれを受けとめるということですから。ただ、これを読む限り、特に私はこの確認メモというものを見たときにびっくりいたしました。何をびっくりしたか。与党三党は「具体的な節減目標を会期末までに決定することとし、政府にこれを確認するよう求める。」。  本日から参議院の予算委員会が始まったわけでございます。総理がおっしゃるように、政府としてこの予算、削減できるものは一生懸命頑張ろう、それは執行段階で当たり前のことでございます、努力目標なら。しかし、削減目標みたいなものを立てるならばこれはまさに予算を縛るものであり、なおかつもっと申し上げるならば、そんなことなら今のは水膨れの予算だということをまさに与党が証明していることになるんじゃないですか。どうですか。
  79. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 与党三党は政府にこの予算編成についても全面的な協力をしていただき、殊に閣僚折衝には三党の政策責任者が立ち会っておられます。そして、最善と思う予算を私どもは編成をいたしました。そう先ほども申し上げました。  一方で、予算の節減あるいは効率的な、効果的な執行、こうしたことは今までもそれぞれの内閣において行ってまいりました。今日の財政事情に照らせば、その努力の必要性というものは今までよりも一層増しているだろうと思います。  今日、国会の中におきまして本日から参議院の御審議が始まったわけでありますが、今までの与党間の論議あるいは与野党間における御論議というものは、こうした状況の中で予算執行の過程において効率的な執行あるいは費用の節減についてどのように最大限の努力を行っていくかという問題提起をされたもの、私はそのように受けとめておりますし、政府としてもその趣旨を踏まえながら適切に対応すべく今後検討していきたいと考えておるところであります。
  80. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そうすると、この具体的な削減目標みたいなものを政府としては会期末につくるようなことは一切考えていないということでよろしいんですね、そこは。確認させてください。
  81. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今削減目標と言われましたけれども、例えば本年度、年金の受給権が発生されるであろう方の数を削減するなどということはできませんし、私どもは効率的な予算の執行というものに全力を傾けていく中で、その申し入れに対してこたえていきたいと思っております。
  82. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 政府は毎年、効率的な予算の執行をするためにそれぞれ一生懸命削減もしている。毎年、ここ三年間ぐらい大体どれぐらい削減できているんですか、大蔵省。
  83. 小村武

    政府委員(小村武君) 予算が成立した後、各省庁におきまして効率的な執行をお願いいたしております。その際に、私ども、各省庁に一定の率、旅費、庁費等について節約をお願いしておりますが、八年度におきましては千二百七十八億円という実績がございます。
  84. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 三年間でどうなっているんですか。
  85. 小村武

    政府委員(小村武君) 平成六年度が千二百二十二億円、平成七年度が千二百九十一億円、八年度が千二百七十八億円でございます。
  86. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 総理、要するに今のようなことを政府としては今回も努力してやるんだと、こういうような受けとめ方でいいんでしょうかね、これは。
  87. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 当然そうした努力を積み重ねていく、そうした決意を持っております。
  88. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 私が申し上げたいのは、与党の幹部の中でこの合意をめぐって、二兆円できるんだと、こんなことを平気でテレビの中でおっしゃる方がいらっしゃる。幾ら努力してもようやく一千億ですよ、今まで。何でそんなことが平気で言えるのか。それは確認メモがあるからだとおっしゃる、これは国民をだます話になる。  大蔵大臣、頑張れば二兆円ぐらい削減できるんですか。
  89. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) ただいま主計局長から言われた削減実績実績実績としてこれを深めることは当然でありますが、二兆円ということの約束の話は聞いておりませんし、そういうことも……(「与党幹部が言っているんだよ」と呼ぶ者あり)与党幹部が言ったかどうか知りませんが聞いておりませんので、最大限の努力をしてまいることは当然のことでありますから、そういう心がけで事務方を督励して取り組むということであります。
  90. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 私の聞き方が悪かったかもしれませんけれども総理に確認したいことがあります。  それは、先ほど永野委員質問のときに、削減をするときに、今年度予算についても、例えば公共事業のコスト削減という問題は踏み込んでいって今から、本年度予算ですよ、これもやるんだというように聞こえたんですけれども、それは来年度予算の話でございましょうか、確認をしておきたいと思うんです。
  91. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 平成九年度予算の執行に当たりまして、当然コストの削減を考えていかなければなりません。そして今、そのためにこそ年度末までに公共事業のコスト削減の目標を具体的な内容で示せという指示をし、作業を命じて  いるということであります。
  92. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 それは、だから本予算には反映される形じゃなくて、あくまで九年度予算、次年度予算ということですね。済みません、確認をしておきます。
  93. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 平成九年度予算の執行に向けての作業であります。
  94. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今聞いていると、この合意というのは当たり前、今まで政府がやってきたことをそのままやったようなことにしか私には聞こえませんし、ただそれにしてはえらく、引き上げた分を例えば今後どんなことに役立てるか、国民負担増に対応するような措置とか、いろんなことがいっぱい挙げられております。  こういうやり方というのは余り好ましいものじゃないし、皆さんは否定されましたけれども、私たちがこれを見れば、削減目標を掲げるとか、もしこんなことをおっしゃったら、議会の審議というのは一体何なのかということを本当に感じざるを得ないような確認メモだと。  ただ、これは政府に言う話じゃなくて与党に言う話だとおっしゃいましたから、私は与党というのは一体何考えているんだと、またやみの中で何か勝手なことをするんじゃないかと。これは与党の中の一員の方にぜひ二兆円の減税をしたいと思っていらっしゃる方がいらっしゃったから、多分そんな話から出てきた話だろうと思います。  それならば、私は堂々と、あと参議院でこれから三十日間審議するわけですから、与党もぜひ協議いただいて、そして政府もぜひ景気対策としてこの二兆円の減税の問題考えていただきたいし、もしゃれるならぜひ参議院の段階で御修正をお願いしたい、こう御要望申し上げますが、大蔵大臣、いかがですか。
  95. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 予算を議決いただきますれば誠実に執行をしてまいります。そういうことであります。
  96. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 私は、こういう合意のやり方じゃなく、もし本当にお感じになるならば、きちんと修正を出すべきだし、違うなら違うで、それは精いっぱいこれがぎりぎりの予算だと言い続けられるのが当然政府の立場だと思うし、その辺は本当に理解に苦しむし、逆に言うと、そういうものがひとり歩きしてしまえば私は国民をだますような結果にもならないか、そう私自身は感じます。  さて、景気対策についてお伺いをしたいと思います。  九七年度の実質経済成長率の見通しは一・九%というふうに予想されております。九六年度の実績、実質見込みの二・五%から〇・六ポイントも低下をするわけでございますけれども、その理由を明確にしていただきたい。
  97. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 平成八年度の二・五%の実質経済成長率に対して平成九年度一・九%に下がる理由としていろいろなものを考えておりますが、主たるものとしては、〇・九%が特別減税並びに消費税の値上がりによります分であります。
  98. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 私が政府の説明でよくわからないこと、そして国民が一番今望んでいることは何かといえば、消費税の引き上げということが現実化して、公共料金にしても何にしても幾ら上がりますよということで、極めて国民の皆さん、経営者の皆さんも、どうなるんだ景気はと、こう感じていらっしゃるのが私は今の国民の実態だと思います。  その一方で、政府は、景気は緩やかに回復し続けると、こう常におっしゃる。でも、この数字一つ見たとしても、ことしは二・五%の見込みを立てていらっしゃる。来年度はもう下がることを前提としてお話をされる。景気が緩やかに回復するというのと、来年度は下げますよと、政府の方針として、予算としてはこれは私は矛盾するのではないかと感じますが、いかがですか。
  99. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 今〇・九という数字を申し上げましたけれども、一・九に〇・九を逆に足しますと二・八の実力があるということだと思っておりますので、その流れております経済成長に関するいわゆる基調というものは今年とほぼ同様ということだと御理解いただければよろしいんだと思います。
  100. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そうすると、減税か消費税の問題かどちらか取り扱えば、それこそ緩やかな回復のそのままの軌道に乗るんじゃないですか。なぜわざわざお下げになるんですか、景気という面から考えれば。
  101. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 財政構造改革の面も忘れてはならない大事なところでありまして、景気だけではなくて、財政構造の抱えております問題点をこのまま放置いたしますと、過日お示し申し上げておりましたとおりに、財政は極めて破局を迎える、結果として経済成長をマイナスさせるということになりますので、転ばぬ先のつえは大事だと思っております。
  102. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 私は全く逆だと思っております。これで景気が失速してしまえば、逆に税収が落ち込む。そうすれば経済成長できない。どちらが正しいかという問題ですけれども、それは今、経企庁長官がおっしゃいましたけれども、それとはまた違う。要するに、景気のことも今考えなくちゃいけない日本状況がある、財政再建にも取り組む、難しいですよ、両方やるのは。ただ、どちらからどうするかというのは、まさに数字でいってもこんな大きな落ち込みをしないような形を、まさにそういう予算を出すのが政府の責任じゃないかと私は思いますけれども、いかがですか。
  103. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 今年度始まります前に日本の経済成長というものはほとんど一%台の予想が立っておりましたけれども、経企庁としては二・五と申し上げて、平成八年度は実質二・五というようになると思っております。基本的に経企庁の見通しの方が当たっておったということだと思いますが、この点はぜひお忘れなきをいただきたいところでありまして、評判の悪かった経企庁の予想がこれだけ当たったんだから、ちょっと見ておいていただいてもよろしいんじゃないか。昨年度もかなり近かったと記憶します。  いずれにいたしましても、そういった状況でありますので、経済の基調としては緩やかという表現を使わせていただいておりますけれども、よろしいんで、設備投資等々、先行きに関しますものもいずれも極めて強気の設備投資の伸びが示されておりますのは御存じのとおりであります。景気というものの基本は緩やかながら回復基調にあるということでありまして、どちらを先にするかというのは見解の分かれているところだと思っております。
  104. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 私は、自分が少なくとも地元回りをする限り、景気がそうやって緩やかに回復しているという実感は、麻生長官と同じ地元でございますけれども、同じ地元で考え方が違います。私はまだそこまで回復しているというような状況を私の選挙区を回る限りは感じません。そのことを申し上げておきたい。  さらに、もう一つ景気という問題でお尋ねしておきたいのは、先般のG7、また先日、来日しましたサマーズ米財務副長官から大蔵大臣は日本の景気対策について何か要望を受けたようでございますし、またそれに対してどう対応されようとしているのか、どういう会議だったのかをぜひわかる範囲でお答えをいただきたい。
  105. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) サマーズさんにお会いをいたしました。先方からは我が国の経済動向についての関心が示されたことは事実であります。私からは、我が国としては構造改革の努力、引き続き内需主導型の成長を確かなものとするための経済政策をとってきておることにより、また近年の貿易構造の変化等を勘案いたしますと、今後とも経常収支の黒字が大幅に増大するということはないと、こう申し上げました。これは全般の我が国経済状況の現状についての小生からの報告、そしてワシントンの理解を求めました。  各種改革、特に健全な財政体質になることがG7の協調し共同した共通の目標であることにかんがみ、立ちおくれました我が日本の財政構造改革にまなじりを決して全力を尽くしておることであるという一点を強調しながら、特に高コスト解消のために経済システムの改革が通産を中心に、経企庁を中心に経済官庁一体となってこれに取り組んでおることにより、昨今の民需の確かな伸長はその結果としてあらわれておるところであると。  よって、一・九の計算は内需を中心とした形で積み上げたものであり、サマーズさんやワシントンが心配する黒字ということについては、私どもは、その御心配のとおりにはなりませんので、ただいま努力をし、おとといでしたから、年度予算も明日には衆議院を通過すると聞いておる、特に参議院に参りましたならば真剣な論議をいただき、切れ目のない運営に間に合うように期待と祈念をいたしておると、こう申し上げておきました。
  106. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 逆にサマーズさんから、ことしの日本予算について、ある意味では景気対策という意味で消費税の値上げがある、しかも減税もやめる、そうなると国民に七兆円も負担をかけてしまう、それで本当に国内需要で一番大事な消費というのが大丈夫だろうかと、そういう御心配をサマーズさんから言われたんじゃないですか。本当に内需主導の景気拡大ができるのかという指摘を受けたんじゃないんですか。
  107. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) さすがにルービンさんの次のナンバーツーであります。我が国の内政の基本方針に触れるような話はありませんでした。特に、その減税を続行すべし、消費税についてアップを云々というようなことは全く出ませんでした。
  108. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 それならなぜサマーズ副長官は記者会見の中で、日本経済は不透明な面があり、一層の措置が必要になるかもしれないというようなことをおっしゃったんですか。
  109. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) なかなかの経済学者であります。十本の指に入る公経済の経済学者と言われておるサマーズさん、私も三回目でありますが、なかなかしっかりしておる方だな、こう思っております。副長官でありますけれども、そういう副長官という立場で、今言われましたようなことについて、感想、関心という意味でしっかり頑張ってくれということで、経験則に基づく経済理論。  私は、御案内のとおり、健全財政、構造改革こそ経済のベースをしっかりとしたものにし、それから日本経済は確実な安定持続的な成長、こういうことになるだろうということであり、このことは内閣の閣僚全員が一致してそう思い、その実現のために努力をされておりますので、サマーズさんが会見されたことを聞いておりますけれども、サマーズさんが言われたようなことではございませんし、報道は特に一紙でありますけれども、その一紙の言われたようではないと、このことだけは明確に会談した者として申し上げられるところであります。同盟国としてアドバイスをいただいたことは事実であります。
  110. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 私は、今回の予算というのは、一番これから景気に影響を与えるいわば消費というところに結果的に大きな負担をかけてしまったことになっています。  その上で、大蔵大臣は内需主導の経済拡大はできるとおっしゃる。一体どうやっておやりになるのか、姿形が私にはなかなか見えてこない。内需ということになれば、最大の消費という問題をどうとらえるかというのが一番のポイントになる。その上で、どうやって外ではなく内需によって景気を拡大されようとしているのか。具体的な方策をお持ちなら、これとこれで絶対大丈夫だ、国民の皆さん景気は大丈夫ですよ、こう言っていただけるものがあればおっしゃっていただきたい。
  111. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 補正予算の御審議をお願いした折にも申し上げたところでございますが、改めて申し上げますと、六改革、教育改革も日本人として、国民として、地域民としての自立、責任ということであろうと私は私なりに解釈をいたしておるものでありますから、他の五つの改革はすべてこれが進行することによって日本の経済体質が変わります。ビジネスチャンスがそのことによってふえます。ふえるということは雇用も安定してまいります。GNPを押し上げる安定的な成長も出てまいります。ですから、全力を尽くしてこのことをやろうというのが橋本内閣、橋本首班の決心でありまして、それに二十名の閣僚は、全員そのとおりだ、こちらの方が血みどろで火だるまで頑張ろう、こういうことでお互いがその目標に向けて最大限の努力をしようということで取り組んでおります。  平成九年度予算が切れ目のない形で成立をしていくということになりますと、一日も早い成立をと言うと審議に介入するようにとられますから、そこは遠慮させていただきます。心から、切れ目のない執行ができるようなタイミングで議決をいただきますことがさらに日本経済を押し上げる、これだけは間違いないのではないでしょうか。
  112. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 大蔵大臣、改革をやられて将来へ向けて内需拡大の方向へ行く、これはよくわかりますよ、それができれば。ただ、私が言いたいのはことしの話です、ことし。どうすれば内需拡大の景気拡大ができるんだと聞いているんです。  じゃ、即座に全部の改革が今できるんですか。これは年月をかげながらやるわけでしょう。どういうものによって内需主導の景気拡大ができるのか、ことし。消費税が上がる、減税がない、景気が落ち込む、みんなが心配している。これに対して、そうじゃないよとおっしゃれる部分があればおっしゃってくださいと言っているんです。
  113. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 本件は、先ほど経企庁長官が言われましたとおり、二・五、平成八年度政府見通し二・五が着実に、確実にと言った方がいいんでしょうか、実現されるであろうというのが大方の見方であります。それは、平成八年度の苦しい経済運営、またいろいろとその項目を設けて、とても二・五はないだろうど言われた困難な中においてその実績が上がったわけであります。まだ未発表でありますが、間もなく発表されると聞いておるのであります。  これはやっぱり日本人の持つ勤勉さ、また戦後五十年積み上げてまいりました経済を中心とした、日本の企業、地域の活力が力となって根底にあることがそうせしめたことでありましょうし、政府の経済運営が正しかったという一つの証明として二・五がここに出るわけであります。この二・五が直ちに消える話ではありません。  言われておる第一点は、二%のアップ、特別減税の停止、廃止、こういうことでありますが、特別減税はもともと特別という字句がありますように、恒久減税の三・五兆、これにプラスをして確かなものにするということで経済体質の安定のためにつくり上げたものでございますから……(「きちっとした答弁しなきゃだめだよ」と呼ぶ者あり)これだけきちっとしているのに、おわかりになりませんか。そういう点で、その三年間における三・五プラスニ、五・五兆掛ける三のこの投資が着実に安定成長の基本になってきておることだけは間違いございません。そういう点でその基調があります。しかし、マイナス要素は経企庁長官言われたとおりあります。四-六の期間は導入時でありますからそのことによってマイナスになるであろう、しかし後半はプラスに転換をするということで一・九%の経済見通しと、こういうことになったわけでございますので、御理解をいただければと思います。
  114. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 補足して経済企画庁長官。
  115. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 補足させていただきます。  このままで消費税の値上がり二%分、百三分の百五、一・九四ということになりますが、その分と今の特別減税のマイナス分で経済成長率を〇・九押し下げるということになった上で一・九という数字を出させていただいておるのは先ほど御説明申し上げたとおりであります。  その中には、大蔵大臣の方から今御説明があっておりましたいわゆる経済構造改革など幾つかの改革というものの分を含まないで一・九という数字を出させていただいているのであって、今の経済の基本をそのままの状況で続けておきますれば、民間住宅などは当然のこととして今年度のように大幅なものは見込めませんので、来年度減るなどというのをいろいろ含め、政府支出も今年度よりは減るというようなことを全部勘案させていただき、外需の寄与度も大きな意味でプラスはない、〇%という計算をした上で一・九という数字を出させていただいております。  いろいろな経済構造改革がなされることによって、それは即ということではありませんで、中長期的にはそれらのものが貢献をいたしてまいりますので、向こう三年間、四年間と言われた場合は三・五、三%台まで回復するというのがその背景であります。
  116. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 いろいろ御説明もいただきました。もっとやってもいいんですけれども、また次のこともやりたいのでおさめたいと思うんです。  私が一つ申し上げたいのは、先日、三月二日の朝日新聞でしたか、企業百社の方がアンケートに答えておられましたけれども、いずれにしても景気が失速するんじゃないかという懸念を、政府が幾ら御説明になられても、持っている経営者の方々がかなりいらっしゃる。個人に返ってきて、中小企業に返ってくれば、それは消費税の問題があり特別減税の問題があるんだから、ある意味ではもっと心が冷え切っているというのが私は現状だと思うんです。  そういうあり方の中で、私ども新進党の立場で言うと、特別減税の継続と消費税据え置きということを申し上げておりますけれども、その中でも特にこういうアンケートを見て一番感じるのは、せめて特別減税ぐらいはまず継続すべきではないかという御意見が非常に多い。これらのことに対して総理はどうお感じになるか、お答えをいただきたい。
  117. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) この点の議論は補正予算の際にもさせていただいたような思いがいたします。  そして今、大蔵大臣、経済企画庁長官、それぞれの立場からも述べましたように、確かに消費税率の二%の引き上げと特別減税の廃止というものが四-六に与える影響というものは我々も十分注意を払ってまいりました。それがありますからこそ、平成八年度補正予算に必要な経費を当然のことながら緊急に審議をお願いしたものでありますけれども、同時にその四-六に対する下支えの効果というものもありますということを私は申し上げたと思います。そして同時に、切れ目のない平成九年度予算の執行によってこの時期をカバーしていきたいということを申し上げてきたと記憶をいたしております。  今も同じようにこの点を申し上げたいと思いますし、仮に特別減税を継続ということになりますと、それだけ赤字国債を発行しなければ財源がございません。しかし、我々の世代が少しでも楽をするために後世にツケをというやり方がいつまで許されるんだろう、私は真剣にそう思っております。  そして、そうした中で、減税をする方が国民に喜んでいただけることは私だって知らないわけじゃありません。しかし、今それだけの厳しさに耐えることによって少しでも後の世代の負担を減らしていきたい、そのような思いをこの機会にも述べさせていただきたいと思うのであります。
  118. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 私が総理とやや違うところは何かと申し上げますと、これからの話になりますけれども、公共工事のコスト削減の問題、今から政府がお取り組みになるわけですね。ある意味では、本予算の中でそういうぎりぎりの努力をしていれば、じゃ、果たして本当に二兆円の減税をするために二兆円の赤字国債が必要だったかどうか、私はそこは見解が分かれると思っております。それは私はでき得たとも思います、やりようによっては。そこは考えの違いでしょう。  今、総理由されましたけれども、この四-六月期は厳しいと。ただ、その後はどうにか持ち直すと、政府がいつも御答弁なさいます。私たちが資料をいただくとき、経企庁長官、もしあればこれをいただいておきたいんです。四-六は厳しく落ち込むんだけれども、その後は上がっていって、最終的には一・九になるんだよというお話ですよね。四半期別のこういうものがある、もしぐは半期別にそういうものがあるならば、ぜひ私たちも安心するために四-六月以降はこんなに上がるんだというのを見せていただきたいと思いますが、いかがですか。
  119. 土志田征一

    政府委員土志田征一君) お答えをいたします。  今、先生指摘のような四半期別の姿ということは、今回の経済見通しては毎年出しておりません。しかし、全体の姿といたしましては、年度前半につきましては、先ほどから御議論もございますように、消費税率の引き上げあるいは特別減税の終了というようなことで、これまで現在のような回復の足取りよりは足取りが緩やかになるだろうと思っております。しかし、年度後半には自律的回復の軌道に戻るであろうというふうに考えておりまして、そういう意味では景気が失速するという懸念はないだろうというふうに考えております。  こうした見方は、民間のさまざまなシンクタンクが来年度の見通しを出しておりますけれども、定性的な見方についてはほとんど共通をしております。数字的にはやや低い数字を出しておるところもございますし、あるいは政府よりも高い見通しを出しておるところもございますけれども、定性的には年度後半には回復軌道に戻るであろうというのが一般的な見方ではないか、こういうふうに考えております。
  120. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そんなこと聞いていないよ。いつもと違って四-六落ち込んで後半上がるというような通常と違うような形なら、それを示すものを出せばいいじゃないですか。それを出してくださいと言っているんですよ。
  121. 土志田征一

    政府委員土志田征一君) お答えをいたします。  私ども、経済見通しの作成に当たりましては、経済全体の姿、いろんなデータをもとにし、あるいは民間からのヒアリングその他を総合してつくっております。したがいまして、四半期ごとにどうなるかというのは、季節パターンもございますので、そういうものは作成をしていないわけでございますけれども、定性的な見方は先ほど申し上げたとおりでございます。
  122. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 四-六下がると言っているんでしょう。四-六下がるけれども、その後は上がるとあなたがおっしゃるから、四半期じゃなくても結構です、半期でも出してみてくださいよ。わからないじゃないですか、これ。何言っているんだ。
  123. 土志田征一

    政府委員土志田征一君) お答えをいたします。  数字的には、数値として計算をいたしておりませんけれども、今年度二・五%というような実績見込みになっております。それに比べれば景気の回復の足取りが緩やかになるというふうに見ておりますが、年度後半には現在のようなペースを取り戻せるであろう、こういうふうに考えております。
  124. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 経企庁長官、資料を出していただけますか。
  125. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 閣議決定の文書がここにあります。「上記のような経済運営の下で、平成九年度においては、消費税率引上げの影響等により年度前半は景気の足どりは緩やかとなるものの、規制緩和などの経済構造改革の実施等と相まって、次第に民間需要を中心とした自律的回復が実現されるとともに、持続的成長への途が拓かれてくると考えられる。」、これが閣議決定におきます文書でありまして、経済企画庁として四半期ごとに全部出しているわけではありません。年度通期で出させていただいております。
  126. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 計算しなければ四-六落ち込んで次上がるということは私は見えないんだろうと思います。資料をぜひ、四半期とか細かいことを申しませんから、半期で結構でございますから、年度前半の厳しさ、後半が持ち上げるというその数字を政府が自信を持っておっしゃる。僕たちはなかなか厳しいと思うけれども、数字があれば出していただきたい。
  127. 土志田征一

    政府委員土志田征一君) お答えをいたします。  先ほど申し上げましたように、政府の経済見通しにつきましては全体として年度一本の数字をお示ししているところでございまして、期間を分けて計算はしておりませんが、定性的な見方というのをはっきりここにお示ししているところでございます。(発言する者多し)
  128. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  129. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 速記を起こして。  ただいまの木庭君の資料要求については、後刻理事会において協議をいたし、定性、定量等の問題について十分政府側からも話を聞いた上で、理事会決定として結論を出したいと思います。
  130. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 私は別に、政府が四-六落ち込んで後は上がるとおっしゃらずに、大体年間こう推移するんだというなら、特に申しませんよ。わざわざ区切っておっしゃるから、そのことを申し上げたわけでございます。  もう一つ、この景気の問題で今度は労働省及び通産省にお聞きしておきたいのは、四月からは週四十時間労働制も実施でございます。特に、中小企業の皆さんとお話をすると常に出てくるのが、消費税が四月から五%になる、四十時間の労働制が導入される、中小企業はなかなか消費税は転嫁しにくい、しかも四十時間の問題になると、またこれはコストアップにもなる、いわばダブルパンチということで、本当に心配をされているのが事実でございます。  これに対して、通産省及び労働省、どう対応しようとされているのか、明確にお答えをいただきたい。
  131. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 今、委員指摘のように、本年の四月から消費税率が引き上げになる、こういうことでこれのいわゆる転嫁という問題をめぐって、税制改革実施円滑化推進本部というのがございますが、そこにおいて政府全体として広報や指導、こうした施策を積極的に実施していることは御存じのとおりでございます。  通産省におきましてもポスターやリーフレットをたくさんつくりまして、その配布等いわゆるきめ細かな消費税の転嫁円滑化対策、これを実施しております。また、そのほか中小企業の方々に対して相談窓口の設置だとか講習会、こういうものを開催して手当てをしているところでございます。  また、今おっしゃったように時短の問題がございます。この週四十時間労働の実施につきましては、その円滑な移行が実現するよう政府によるきめ細かな指導等の実施を規定した時短促進法の改正案を本国会に提出するとともに、来年度予算案においても、省力化投資等により週四十時間労働制の移行に取り組む中小企業者に対しては助成金を創設する等の、これは大体九十八億円でございますが、支援措置を行うのが盛り込まれております。  この中小企業をめぐる極めて厳しい経済状況というものを踏まえまして、関係省庁と協力しながら引き続き万全の措置をとってまいりたいと思っております。
  132. 岡野裕

    国務大臣(岡野裕君) 木庭先生、お地元の中小企業の皆さん、時短だということで非常に苦しいお話が出ているというお話でありますが、同時にまた、そういう中小企業に働いておられる労働者の皆さんの、ぜひ我々にも時短をと、こういうお話が入っていると存じます。  そういうようなところで私は、大企業も中小企業もそこに働く労働者の皆さんにはひとしく時短の恩典に浴していただこう、そして生活にゆとりを、職場生活と家庭生活との両立をと、こう思ってこの四月から時短に踏み切りたい、こう思っているわけであります。  しかし、そのための中小企業の皆さんの御苦労、これを思いまして、一つには、二年間指導をし助言を申し上げると、軟着陸を期する、そういうような期間を設けておりますし、また時短のために省力化施設でありますとかいろいろなポジティブアクションをするというような、企業主の皆さんには助成金をいかがであるかというようなことでいろいろの手はずを整えまして、これが立派に定着する、これを願っているところであります。よろしくお願いいたします。
  133. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 労働大臣、もう一つお聞きしておきます。  これは今度はいわゆる中小企業に働く労働者の側から私はお聞きしたんですけれども、何か労働省が通達を出しまして、その通達が出てしまうと、要するに四十四時間働いても四十時間分のような、そういうふうな賃下げにもつながりかねないような通達が出そうだということで非常に心配をされております。  その辺の御事情をやはり、一番いつも何かしわ寄せが来るのは大企業から中小企業、中小企業が苦しいと今度そこの労働者みたいなことになってはならないと思うので、その点十分いろんな配慮はされていると思いますが、その辺明確にお答えをいただいておきたいと思います。
  134. 岡野裕

    国務大臣(岡野裕君) 先生、今労働省から通達でというお話でございますが、実態はこうであります。  日本商工会議所その他中小企業の団体がそれぞれございます。こういった団体の皆さんもぜひ時短を積極的に実施してまいりたいというようなことでいろいろ啓蒙活動、周知活動、これらをやっております。そういう中で、いろいろ中小企業の企業主の皆さんから質問が出るということで、その質問に対する回答、こんなことでどうだろうかというような問い合わせが労働省にもございました。そこで、我々はそれに対する個々の回答をいたしております。  その中で、賃金といいますものは全部労使の間で団体交渉等によって決めるべきものだ、これが原則であると。したがって、労使間で決まればそれでいいものであるけれども、時短だということになりますれば、先ほどお話をしましたように、生産性の向上をというようなこともあって、言いますならば今までの賃金というものが、あるいは所得、収入というものが保障できればこんなにいいことはない、そのために省力化施設みたいなものもあるよと、こう言っているわけであります。したがいまして、団体交渉の結果が最低賃金に触れるというようなことであれば格別、そうでない限りは労使の皆さんの自治にお任せする、こういった基本的な態度で処しております。
  135. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 ぜひそういう面に細かい気配りもしていただきたい、このことを御要望しておきます。  財政再建の問題で、午前中も総理が一言おっしゃっておりましたけれども、ある日、総理が、増税なき財政再建ということをおっしゃったというふうな、これは新聞の見出しです。それを見てびっくりいたしました。  申しわけない言い方かもしれませんけれども、本年度予算というのはまさに消費税、特別減税、医療費、いわば九兆円の増税で始まりました。これは、とらえ方はまた総理から聞こうと思います。私はそれを見たときに、総理が増税なき財政再建と言われる、本予算そのものは大増税で始まっている、どうしても矛盾としか感じられないと一瞬思いました。その点について国民に向かって御説明をいただきたいと思います。
  136. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 午前中にも永野議員から同様の御質問をいただきました。そして、私からは、その議論、増税なき財政再建という言葉を私は使っていません、報ぜられたときの状況はこうでしたということをお答えいたしました。  改めて申し上げますならば、何回目の会議でありましたか忘れましたが、財政構造改革会議の中におきます議論の中で、歳出削減という努力だけを集中して考えていけばこれは縮小均衡の経済になりかねない、殊にプライマリーバランスを初年度で達成した後において同様の問題点がある、それだけにむしろ拡大均衡を考える、そういうことはないものかという御意見がありました。そして、それに対して私がお答えいたしましたのが、これから先、社会保険料の引き上げもお願いしなければならない中で、増税を訴えられる状況ではない、確かに私はそういう言い方をしたのです。  そして、平成九年度予算において消費税率の二%の引き上げを私は昨年の衆議院選でも国民にお願いしてまいりました。そして、その内容が、既に先行している所得減税等の財源の穴を埋めていくものであり、また一%は地方の財源に回るべきものであること等々を国民に申し上げてまいりました。いわばこれは先行している減税の穴を埋めていく、同時に、確かに新しい福祉の仕組みをつくる、そうした中に税として負担すべきものの財源になっていく性格のものであります。  また、特別減税につきましては、先ほど議員御自身がおまえとは考えが違うということを述べられましたが、私としては、財源を赤字国債に求めて、後代へのツケを回すことによって減税を継続するという選択は私にはできませんでしたということを申し上げたとおりでありまして、その新聞に報ぜられました前後のやりとりというものを私は改めてここで皆さんに聞いていただきたいと思います。
  137. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 総理は、今後、財政健全化目標へ向かっていくときに、いわば拡大均衡というよりは、それの論理よりも違う方をとりたいということだろうと思うんですけれども、今回、全体を増税なき財政再建とおっしゃったのではないと。ただ、現状、現時点、例えばことしは何をお願いするかというと、医療費のことをお願いしなくちゃいけない事態が起きる、この中でとても増税ということは言えませんよというふうにおっしゃった。それならば、増税なきと総理が、増税なき財政再建じゃないですよ、増税は今すべきでないとおっしゃったことは、一体これはどこまでかかる問題なのかということをお聞きしたいんです。  なぜなら、財政健全化目標というのは、十七年度、一番遅くて十七年度、できればもっと早くこれをやりたい、こうおつしゃつている。そことこの総理のおっしゃった増税がないということのかかわりはどのようになるのか、その辺の説明をいただいておきたい。
  138. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今御説明申し上げましたように、やりとりというものが拡大均衡を考えるという視点から出されましたものに対する私の答えというものであったことは御理解をいただいたと思います。  言いかえれば、私自身、今一番申し上げたいこと、それは財政構造を立て直す、財政を再建していくために増税をお願いするという環境にはないと、本当に私はそう思ってそのとおりのことを言いました。そして、まずやらなければならないのは歳出の縮減と歳出構造の改革というものだ、そう考えてその発言をしたわけであります。  そして、まさにその議論が行われました財政構造改革会議、これは政府、与党が一体になって今議論を進めている会議であります。ここで、財政健全化目標も踏まえながら、財政再建のための法律の骨格を含めましてさまざまな歳出の改革と縮減の具体的方策を議論している最中でありまして、その中に聖域を設けないということも衆議院でも私は繰り返して申し上げてまいりました。そうした論議の中から将来の図面は描いてまいります。  その上で申し上げますならば、来年度の予算編成のための概算要求、これは八月の末までに提出をすべきものでありますが、七月に入れば各省の事務局は当然その作業に入ります。そのルールが一番問題だと私どもは考えておりまして、概算要求作業に入ります前に、こうした財政健全化、財政構造改革に向けた次年度概算要求のルールをつくることから目に見える姿をつくってまいりたい、そのように考えております。
  139. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 その意味で大蔵大臣も衆議院でおっしゃっているんでしょうけれども平成十年度予算ですか、この目標額として四兆円の歳出カットをおっしゃっていると聞いておりますが、四兆円というのは大枠でどんなことを目指してカットなさろうとなさっているのか、具体的なことをお話いただきたい。――官房長官が言われたんですか、済みません。じゃ、官房長官お願いします。
  140. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 私は、財政構造改革会議の司会役というか進行役というか、それを仰せつかっておりまして、それぞれ専門家を自任する方々がたくさんおいでになる、私は門外漢をもって任じている人間でありますが。  中期展望を見ますと、なるほど、その過程の中で四兆円の減額をしなければ追いつかないというのは数字を見ればわかるんです。それは今のところ、自然体で今のままの増嵩率を見て、単年度一兆円の特例公債をなくする。そして、財政均衡というか、GDP比三%におさめるためにはどのぐらいのことを下げていかなければならないかというと、数字の過程で出せば、今までの自然的な増嵩を見ていく予算と、それからその差額は四兆円程度切らなければそれには追いつかない。  ですから、やり方が今までと同じケースを置くのがいいのかどうなのかという根本問題があります。むしろ単年度で、ことしの例えば八年度予算の最終尻をこれからずっとゼロに据え置いていけば、それはまた四兆円ではなくなるわけでありますから、その程度のことは私もこれを読んでいるとわかりますから、そういうことが言われておりますと、こう申し上げたことはございます。
  141. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 官房長官、どうも御高説をいただきまして。  大蔵大臣、ぜひ今の官房長官の言葉をもう少し具体的に、大蔵大臣が担当でございますので、この四兆円というものをどうやって出していこうとされているのか。もう近々ですから、ある程度大蔵大臣としての考えがあると思いますので、その根拠を明らかにしていただきたいと思います。
  142. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 足らざるところは主計局長から作成者でございますので申し上げさせていただきますが、大体官房長官が言われたことで尽きるわけであります。  試算一というのを、いわゆる三・五の経済成長率、そして赤字公債から脱却を目指して二〇〇五年まで、平成十七年まで公債発行を一兆円ずつ減らしてまいります。そうすると全部なくなりまして、ネックの赤字国債は残っておりますけれども、新発の公債はなくなります。建設国債については九年度同額としてそれを延長します。こういう前提の中でつくり上げてまいりますと、要調整額四兆円を必要といたしますと。  これは、先生方に政府からお出しをいたしておる試算一と二で全部出ておるわけで、一々私読み上げません。従前の方向を三・五で伸ばしていくという名目経済成長率の中で税収を見込み、機械的にこれを進めるということであっても四・四兆円は出ますということでありまして、まさに毎年出しておる中期展望にしては全く厳しいものになりましたが、そのまま試算として出すことによって論議を盛んにし、また御提言をいただく。そういうことで、ベストな道は何かということで国会がこれに当たるということを大きく期待しながら、試算を背景として何の修飾もなくつくり上げてお出ししたということだけは間違いございません。
  143. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 大変ですね、これ本当に。ですから、逆に言うと、歳出削減の中でどこの部分に切り込んでいくのかということが今からそれこそ論議になる部分だろうと思うんです。  その中で、先ほど総理は聖域を設けずということをおっしゃいました。大蔵大臣もそういうことですか。何か、例えば報道するところによると、公共事業が一番大きいんだということをおっしゃる方もいらっしゃるし、防衛費には切り込むんだ、切り込まない、いろんな話があります。どういう考えでいらっしゃるか、もう一回大蔵大臣から御確認をしておきたいと思います。
  144. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) まさに総理が言われましたとおり聖域のない、制度が法律に裏打ちになっておりますれば法律を見、そしてカットをしていかなければならない、こういうことであります。カットのところは小生への分担になりますが、全体を見直す。  ですから、聖域がないということは、歳出の三分の一を占める社会保障、これからスタートを切りますと、社会保障関係費、公共事業費、文教・科学技術費と以下十一項目にわたって続くわけでございます。一つも例外はないということで、聖域なきでありますから、真剣に論議を重ねて国民世論を待ち、そこで再建へ向けての取り組みを真摯にしていかなければならない、こういうことであります。
  145. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 財政改革の問題もそうですが、財政再建の問題もそうです。特殊法人の問題も、いろんなことを今改革を一遍に進めようとやっていらっしゃる。ただ、国民に見えないのは何か。それをやることによって一体政府はどれだけ、ある意味では何兆円のお金を生み出して、そしてそれを財政再建のため、国を立て直すために使うのか。やることはいろいろ項目は上がるんですけれども、なかなか具体的な数字としてあらわれてこない。例えば特殊法人の統合をしたとしても、それによって人数は何も減らないとか、そんなことになってしまえばわかりにくい。  そういう意味では、ある意味で国民に今提示すべき問題は、一つは十年度予算のことではおっしゃいました。四兆円、それでやると。そういういわば一つ一つの数字が大切だと私は思っておる次第でございます。総理は、まず十年度、この予算に向かって御自身としてはどれくらいの予算の削減を、自分としてはこれだけはぜひやりたい、そういうお考えがあれば教えていただきたい。
  146. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 大変恐縮ですが、ちょっと私、議員の今お尋ねになっておりますポイントがわかりません。  と申しますのは、幾ら削減したいかと。先ほど来大蔵大臣、官房長官と続けておられた、それは財政計算の中で仮定計算例の中にお示しをした要調整額をベースにしての御議論でありました。次年度予算のトータルも全く見当のついていない状況であります。今九年度予算の御審議をいただいている最中でありまして、十年度予算の総額から幾ら引きたいかというようなもし御質問であるとするならば、それは私はお答えを申し上げるのが非常に無理な御質問だと思います。  ただ、先ほど来申し上げてまいりましたように、私どもはGDP比率三%あるいは特例債脱却の年限というものを決めて今スタートを切っているわけであります。そして、幾つかの目標の中の、税収により国債費除きの歳出をカバーする、この目標はことしもスタート、その瞬間で達成を一応いたしました。これから財政構造改革会議の中で具体的な目標設定等をしてまいらなければなりません。  アメリカの包括財政調整法のように、政策目標ごとに一つずつの上限を設定する、そのかわり増税を入れる、そういったやり方もとっている国があります。我が国よりももっと強烈に歳出そのものを抑制している手法もあります。総量削減を明示している、あるいはキャップ制、新しいことをやろうとするならその分の財源を別にそこから出せ、今までの予算から出せというやり方。先進国は今それぞれに財政再建に非常な苦労をしておりますけれども、その手法は国によって異なります。  我が国において一番望ましい姿は何かをこの財政構造改革会議の中で今模索していますが、先ほども申し上げたように、次年度予算編成のための概算要求のルールをつくるまでにその骨格を定めていかなければならない、そういう作業を今続けておる、それが状況であります。
  147. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 郵政三事業の話もちょっと聞こうと思ったんですけれども、私が持っておる時間が少しなくなってまいりましたので、泉井疑惑について何点か御確認をしておきたいと思います。  泉井疑惑の中で、元エネルギー庁幹部の電力会社への働きかけがあったということで調査を通産省がなさっているようですけれども、その結果をお知らせいただきたいと思います。
  148. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 先般の衆議院の予算委員会でもって質問がございました。それを踏まえて、元資源エネルギー庁の幹部が三菱石油からのC重油購入を一部の電力会社に働きかけたという報道がございましたので、私の方は、通産省のとっております石油政策がゆがめられたかどうかというふうな観点から調査を行ったわけでございます。  調査の結果につきましては、九つの電力会社から聞いたところでは、中部電力と関西電力の二社が三菱石油の重油の購入について元幹部から打診があったそうでございますが、両社とも通常の商取引の範囲内で条件が折り合えば考えてくれないかという話だった、こういうことでございます。また、元幹部の方に聞いたところ、関西電力及び中部電力に対して三菱石油を紹介はしたが、あくまでもコマーシャルベースで条件が折り合えばという話をしたと、こう言っております。なお、泉井氏とは会食、ゴルフ、こういうもので一緒であったということも話してございます。  本件は、御案内のごとく、現在司法当局において捜査中、こうした案件でございますので、今回の調査の際に関係者から得られる協力というものにも限界があったということはぜひ御理解いただきたい、かように思っております。  今までのところ、元幹部からの説明及び電力各社の対応の内容にかんがみれば、本件はあくまでもコマーシャルベースで条件が折り合えばということでなされたものと思っておりまして、石油行政がゆがめられたというような問題はなかったと判断しております。  なお、今後とも司法当局の捜査の進展など、事態の推移を注視してまいりたいと思っております。
  149. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 ただ、通産大臣に私が一つ申し上げたいことは、ちょうどこのC重油を売った当時ですけれども、通産省というかエネルギー庁はどちらかといえば省エネを推進しているときなんですよね、時代からいうと。決して石油をさらに拡大して、求めてもらいたいというような私は時期ではなかったような気もする。その意味では、本人から聞きそれから電力会社から聞く、それも結構ですけれども、通産省としても一体その時代背景の中でどういう政策を進めていたのかということもあわせていろいろ御検討なさった方がいいんじゃないか、こう思うんですけれども
  150. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 今言われたように、通産省としては、エネルギー政策、こういうもので、いわゆる省エネというものもございましたが、当時のエネルギー情勢というのは、委員御案内のごとく、一般論として申し上げれば、平成二年の八月に発生したイラクのクウェート侵攻、その後でございまして、中東からの灯油だとか軽油等を初めとする製品輸入が減少する、こういうときでございましたので、我が国の石油産業は国内での原油の貯留量をふやした、そして対応した、こういうことで重油の生産も増大傾向にあったと、こういうことでございます。  かかる事態に対して、各石油会社はそこでできた重油の輸出に力を入れるとか、あるいは二次整備の導入による中間留分の得率向上等に努めることによって解決を図っていたと、こういうときだったと承知しております。  いずれにいたしましても、この元幹部が打診を行った事実は明らかではございませんが、本件はあくまでもコマーシャルベースで条件が折り合えばということで、先ほど申したように、エネルギー政策がそのようにゆがめられたというふうなことはなかったと、こういうふうに確信しております。
  151. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 通産大臣、きょう、何か午前中新聞を見られていたから聞こうと、質問通告はしていませんでしたけれども、けさ新聞を見ましたら、官僚接待の問題、泉井ということで、二百十回ですか、一億七千万、七省庁八十人、「人脈屋の手管 官僚コロリ」とか、「通産部長室で商談」とか、この前大臣が御報告された内容とは、どちらが正しいかということは、またこれ別問題です。  ただ、いずれにしても、例えば接待を受けた数にしても、たしか通産省の結果を聞いたとき四十二人と私はお聞きしていたんですけれども、この新聞を見る限り八十人というような、四十人ですか、これの数字、何か、とにかく実態そのものを含めてもかなり厳しいものを感じるんですけれども、そういう意味で、それは自分たちの調査というのは限界があることも私どもも十分承知しております。  ただ、いずれにしても、こういうことをたびたび書かれることも事実ですし、その辺について通産大臣としてきちんとやるべきところはやる必要があるんじゃないかなと、こう思うものですから、その点についての御見解を伺っておきたいと思います。
  152. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 朝の新聞を私も読ませてもらいました。御案内のごとく、昨年私が大臣に就任してから、綱紀粛正という観点から、一応現職の幹部でもってそうした関係にある者を対象に聞き取り調査をいたしまして、そしてたび重なるというか、ちょっと過ぎたつき合いだと、かように見えた者は監督責任もひっくるめて六名を処分したと、こういうことは御案内のとおりでござ  います。  そのときも実は申し上げましたのは、あくまでも私の方は綱紀粛正ということからこの問題に取り組んでまいりまして、その時点でももう泉井というのがいわゆる事件ということで捜査線上にあると。その場合の容疑というのがいろいろ変わるといったらおかしゅうございますが、初めは脱税から入って詐欺、それからこういうふうに変わっているので、そうした推移を見ながらまた対応すると、かように申し上げたわけでございます。  いずれにいたしましても、その際も、少なくとも当省の私の方で調査対象とした者は金品の授受はなかったということを聞いて、実は安心しているわけでございます。もちろん、きょうの新聞の報道みたいなものがございますれば、ますますこれから公務員というものの倫理というものを確立して国家国民のために仕事をさせたいと、かように考えております。
  153. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 補助金を受けた公益法人からの政治献金について一つお伺いしたい。  政治資金規正法二十二条の三について、どういう法律か、法の趣旨について教えていただきた  い。
  154. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 政治資金規正法の第二十二条の三は、補助金等を受けました団体が交付決定を受けてから一年間は政治活動に関する寄附をしてはならないというふうに定めているところでございますが、このような団体との政治資金の収受というのは、補助金の決定等をめぐりまして不明朗な関係を生じさせるおそれがあることから、昭和五十年の法改正で政治資金規制強化の一環として設けられたものと承知をいたしております。
  155. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 これはなぜ一年というふうに区切ってあるんですか。法の趣旨と考えるとよくわからないんですけれども、教えてください。
  156. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 補助金の交付決定は、継続事業でありましても毎年度の予算を踏まえまして一年ごとに行われるのが通常であることを踏まえたものと考えております。
  157. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 この規定に違反して処罰、処理された事例があれば、法務省、教えてください。
  158. 原田明夫

    政府委員(原田明夫君) お答え申し上げます。  お尋ねの政治資金規正法二十二条の三違反といたしまして捜査、起訴された事件ということで、現在当局が把握している限りで申し上げますと一件ございまして、三重県から補助金の交付決定を受けた法人の会長らが政治団体に対しまして政治活動資金として現金を寄附したという事案がございます。この事件につきましては昭和五十一年十二月に津地方検察庁等におきまして関係者三名を起訴いたしまして、そのうち寄附者側二名につきましては執行猶予つきの禁錮刑が、また寄附を受けた人につきましては罰金の刑が確定しているものと承知しております。
  159. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 総理の政治団体がこの規定に反するおそれがあるということで政治献金を返却されたというようなことをお伺いしておりますが、御説明をいただきたいと思います。
  160. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 財団法人成研会という団体から、平成七年の十二月に五十万円、平成八年の八月に五十万円、それぞれ寄附をいただきました。そして、その支払い方法は新政治問題研究会が持っております口座への銀行振り込みでございました。  ところが、後でこの公益法人が補助金を受けているということを聞き、調べてみますと、事実、確実に抵触をいたしますケースが一件ございました。念のために、平成七年分、平成八年分両方を合わせまして、本年一月二十日、私の事務所の者が成研会に赴きまして直接現金でこれを返済いたしました。
  161. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 総理、今はっきりおっしゃったわけでして、またもう一人何か自民党の議員で同じような返却したケースがあったとお聞きしております。  違反の疑いがあるということで返却されているわけですけれども、こういうのは、処罰された例もある、いろんなケースもあるわけですから、やはりきちんとした捜査をする、そして結果を出すということが私は姿勢として大事だと思うんですけれども国家公安委員長の御見解を伺いたい。
  162. 白川勝彦

    国務大臣(白川勝彦君) 個別の事案について警察がどういう関心を持ち、どういうことをしているかということは、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。  ただ、一般論として申し上げれば、刑罰法規に違反する事実と証拠があれば警察はそれに従って厳正に対処する、これはいついかなる場合もそうしております。
  163. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 やはりそういう疑義が持たれたり、そういうケースの場合はきちんと捜査をして、ただ返却すればそれが起訴猶予になるのかはわかりません。いろんな形で、ただそういうものがあった場合はきちんとその過程を踏まえて捜査するならする、そういうことをやることが必要だと私は思っておりますので、この点、国家公安委員長、もう一度答弁をいただいておきます。
  164. 白川勝彦

    国務大臣(白川勝彦君) 法の不知は、法律を知らないということは刑罰を阻害する理由にはなりませんが、献金を受けた側は当該公益法人が国から補助金を受けているという公益法人だということを知らなければ、政治資金規正法二十二条の三の第六項にそういうところは寄附をしてはならないという、そこが補助金をもらった団体であるということを知りながらこれを受けた場合に初めて罪を構成するわけでございまして、ですから、寄附者側が寄附をするのとは別でございまして、受ける側は公益法人が国から補助金を受けたという事実を知らなければそもそも構成要件に該当しないわけですから……
  165. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 だから、寄附者側はかかるわけですよね。
  166. 白川勝彦

    国務大臣(白川勝彦君) 寄附者側はかかるわけですが、受けた側は、補助金をもらった、そういう団体であるということを知りながら献金をもらったということがなければ構成要件に該当しませんので、そういうことであります。
  167. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 その辺はきちんとやればわかる話ですから、私は補助金にかかわる公益法人の問題、政治献金でもいろんな問題があると思います。今後論議をさせていただきたいと思います。  以上、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  168. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 以上で永野茂門君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  169. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 次に、田沢智治君の質疑を行います。田沢智治君。
  170. 田沢智治

    ○田沢智治君 自由民主党を代表いたしまして質問をいたします。  まず、橋本内閣発足以来一年二カ月がたちました。その間、さまざまな国内外の緊急的な問題が多く、総理も息つく暇なく国家国民のために大変精力的に尽くされたその努力というものは、国民はひとしく認めているものであると私は思っております。  特に、昨年、就任と同時に沖縄普天間基地返還のために日米会談を行ったり、フランスのリヨンで先進国首脳サミット、さらには十数回にわたって海外へ行き、世界の中の日本という国の構築に努力された誠意というものに対しては、私たちは深い意義のあることをなされた業績に対して心から敬意を表しているのであります。  総理もこの一年二カ月を静かに顧みられて、どういうような所感を持たれているかお聞かせいただきたいと、こう思います。
  171. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) もう一年二カ月たったか、あるいはまだ一年二カ月か、両様の思いがいたしますけれども、本当に全く予想しないタイミングで村山前総理からバトンを受け継ぐことになりまして以来、休む間なしに走り続けてきたような気がいたします。  そして、さまざまな局面、そのときそのときを振り返り、自分なりに全力は尽くしたつもりでありますけれども、国政の上に大きな過ちを犯していなければいいが、そんな思いは消えません。  同時に、改めて総理という責任を負いましてこの国を見ましたときに、戦後五十年間を築き上げてきた日本というものが、あらゆる意味において、今日までを形づくってきたものがこれから先にはむしろ妨げになる、そんな時代に入っているということを改めて感じさせられております。  しかも、それを同時並行で国際社会の中における責任を果たしながら解決をしていかなければならない。極めて責任の重さを感じますし、今日ただいまの時点におきましても継続いたしておりますペルーにおける日本大使公邸人質事件、随分予備的対話の中で問題点は整理をされてまいりましたものの、まだ解決に見通しの立たない重苦しさというものを毎日味わっております。これからも自分の任期のあらん限り全力を尽くしてまいりたい、そのように考えております。
  172. 田沢智治

    ○田沢智治君 真摯な姿勢で常に日本国民のために尽くされている総理の心情に対し、私は心から支援をしたいと思いますし、我が自民党、我が与党全体が橋本総理を支えていこうという機運に燃えておりますので、自信を持ってひとつ頑張っていただきたいということを申し上げたいと存じます。  次に、去る二月十九日に御逝去されました鄧小平中国共産党軍事委員会の前主席に対し、まずもって哀悼の意をささげたいと私は思っております。  鄧小平氏死後、中国は、七月に香港が返還される、東南アジアヘの影響力は大変大きなものがある大国になっておりますし、中国の動静についてはいろいろ憶測されておりますが、今後中国は一体どうなるのかと国民も大変大きな関心を持っております。  総理及び外務大臣の所見を伺わせてもらいたいと思います。
  173. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 委員指摘のとおり、中国は国内におきまして改革・開放路線に従った近代化、そして国民生活の向上の歩みを着実に進めてまいりました。また、国際場裏におきましても、政治面あるいは経済面、あらゆる分野でその存在感、そして役割を大きくしてきたところでございます。  このような内外にわたります中国の最近の歩みというのは、先般逝去なさいました鄧小平氏の指導のもとに進められたものでございまして、私どもは、それが中国にとってのみならずアジア太平洋地域あるいは国際社会全体にとっても意義があったものと、こう考えている次第でございます。  さて、鄧小平氏の逝去がまずこれからそういった中国の歩みにどういう影響を与えるかということでございますけれども、この点につきましては、中国においてもかなり前からこういった鄧小平氏の逝去ということは避けられないことなんだという見方は一般的であり、またそのことに備えて御自身も、また中国の政治社会全体としても、後継の体制と申しましょうか、そういったものを構築していく努力が続けられ、おおむねそれができておると、こう考える次第でございます。  ちょうど今行われております全人代におきましても、そういったことで江沢民総書記を中心とする現体制におきまして基本的に鄧小平路線を踏襲しながら中国としての発展を続けていこうという方針が明らかにされているところでございます。そして本年は、七月には香港の中国への返還復帰という大きな出来事がございますし、また秋には第十五回の党の大会ということも予定されているわけでございます。  そういったことを踏まえながら、中国としても将来に向かって基本的に今の歩みを踏襲し、さらに発展していくという方針が打ち出されると思っておりますが、日本といたしましては大切なといいましょうか非常に重要な隣国でございます。それと同時に、相ともに手を携えまして国際社会のあすへ向かって役割を果たしていかなくちゃいけない、そういった国でもございます。  そういったことで、従来にも増して中国が国際社会における建設的なパートナーとしての役割を果たせるように、そういったことを期待しております。国連その他の政治的な場において、あるいはAPEC、またWTOへの加盟の作業も進んでおりますが、そういった経済的な分野において、その他もろもろの国際場裏においても協力を進めてまいりたい、このように考えている次第でございます。
  174. 田沢智治

    ○田沢智治君 私は、今後とも我が国は平和外交に徹して、日中友好親善を推進し、アジアの平和と世界の平和、人類社会の福祉増進に尽くさなければならない使命があると思っておりますが、総理の所見を伺いたいと思います。
  175. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、外務大臣から、日中関係におけるさまざまな点を踏まえまして、鄧小平氏亡き後の中国というものについての見解を申し上げました。これにほとんど尽きているわけでありますけれども、多少私から補足をいたしますならば、やはりこの香港返還というものの持つ重みというものを我々は非常に大きく受けとめなければならないと思います。  そして同時に、外交とか安全保障とかいう機能を除きました残った部分における香港、すなわち経済的に非常に大きなウエートを持っております香港というものが返還をされました後におきまして中国の中において独特の地位を占める、これは中国自身も何回かその意思を表明しておられるわけです。これがやはり私は、これから先非常に世界経済の中で、またこの地域における平和の安定確保の上にも大きな意味を持つと思っております。その上で、我々は日米、米中、中日というこの三つの国の関係というものをより安定的に発展させていくことによりまして、この地域のみならず、世界の平和の確立の上にも役立たせていかなければなりません。  そうした中におきまして、外務大臣も言及されましたように、国際社会の中により深い建設的なパートナーとしての中国の地位をつくる、これは極めて大事な作業になります。そして、今我々が、当然中国にももっといろんな点で努力をしてもらわなければなりませんが、WTOに対する中国の早期加盟というものにできる限りの協力を惜しまない、そうした姿勢をとり続けてきておりますのもそのような意味合いを持つものでございます。  こうした思いを持ちながら、日中関係というものを、殊に国交正常化二十五周年という今年、より安定したものにしていく、そうした責任があろう、そのように考えております。
  176. 田沢智治

    ○田沢智治君 ただいま総理、外務大臣から所見をお聞きいたしまして大変私も安堵しましたが、実は私が申すまでもなく、朝鮮半島の情勢が極めて厳しい時代、日本とアメリカ、中国、韓国というつながりの中で、朝鮮半島の平和と安定をどうするか大変難しい時期に差しかかっているやさきの出来事でございます。総理、外務大臣がそういう姿勢で世界の平和、アジアの安定のために全力を注ぐんだということは国民自身大変深い安堵感があるのではないかと思いますので、ぜひそういう姿勢で臨んでいただきたいということを御要望申し上げたいと存じます。  次に、沖縄の軍事基地の使用期限が切れる、この問題は非常に大変な問題であろうかと私も心配しておる一人でございます。  実は、私は二十二歳のとき、昭和三十一年の四月に沖縄へ学生を連れていったことがあるんです。当時、沖縄の社会大衆党の党首であった安里積千代という人が私の先輩になり、その娘さんが私と同級生であったということで、琉球大学の学生会の委員長がぜひ日本の学生代表を招待したいというので、私の団体、私学連という団体ですが、その団体は全学連と違って人道主義に徹している団体であるから許可しましようと言って、十五人ほど許可してくれました。その伺ったときに、安里積千代という社会大衆党の党首は、沖縄というところは基地の中に沖縄があるという認識を持って見学してくださいと言って私をずっと御案内いただいたんです。事実、私は実感としてそういう印象を持ちました。  しかし、今日、基地の中にある沖縄から、やや大きく変貌した感が間違いなく私はあると思うんです。これは沖縄県民の願い、基地の縮小ということの願いもあるし、また沖縄県を早く本土に復帰させてほしいという願い、そういうものが日本国政府と一緒になって沖縄の振興、発展に今日まで大きく貢献したのではないかという評価を持っておるのでございます。  とにかく、沖縄の軍事基地というものの縮小については総理は一生懸命努力なされて、まず普天間基地を返還させようということでございますが、五月十四日に切れる土地使用の地主が三千有余名いる、この問題についてどういうような状況になっているのか。沖縄県収用委員会での公開審理が始まっておりますけれども、国の申請どおり裁決される可能性があるのかないのか、ない場合はどうするのかというような問題、私も大変気になっております。防衛庁長官、もし御所見があればお願いいたします。
  177. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 今収用委員会の審査が行われておりまして、先般第一回目の公開審理が行われ、三月十二日に第二回目の公開審理が行われるわけでございます。確かに今までの例からいきますと日程的に非常に厳しい状況にございます。しかしながら、沖縄県との信頼関係の上であのように公告縦覧手続その他をやっていただきましたので、その上に立って行われる収用委員会の裁決の審査でございますので、その収用委員会の審理を今本当に期待しながら待っておるという状況でございます。しかしながら、非常に日程的には厳しい。といいますのは、裁決が出ましてからも、それから送達されたりなんかする事務的な手続に日数がかかるということがございますために非常に厳しい状況にあるのは事実でございます。
  178. 田沢智治

    ○田沢智治君 そういう厳しさの中でこの問題を処理しなければならないという大変難しい問題があるかと存じますが、沖縄県民の心情を大切にしながら政府として最善を尽くしてほしいということをまずもってお願い申し上げたいと思います。  次に、沖縄の振興政策でございますが、沖縄県は我が国唯一の亜熱帯性の気候に位置して、本土から遠く離れておるけれども、広大な熱帯海域に広がる多くの島々から構成されております。その中で、中国、東南アジア諸国との交流というものは密接にあり、文化的に独特の芸能、文化を形成しております。県民の要望にこたえる沖縄振興の政策がまずもって大事じゃないだろうか。  聞くところによりますと、沖縄県民との信頼関係を高めるため、官房長官が中心になって振興政策というものを県とのかかわり合いの中で大変詰められているというようなお話を承っておりますが、問題は沖縄県民が抜本的に要望している大幅な規制緩和あるいは自由貿易地域というものの活性化、そういうような問題を含めて一体どういうような状況になっているか、お聞かせをいただきたいと思うのでございます。
  179. 稲垣実男

    国務大臣(稲垣実男君) お答えを申し上げます。  委員指摘のように、沖縄政策協議会というのを昨年十一月に官房長官主宰のもとで、各省庁から約八十八の振興に関する事項が提案されたのであります。これら各省庁提案事項と、また沖縄県から提示がございました振興策につきまして各省庁、沖縄県と調整を行いまして、政策協議会での議論を経てまいりました。  委員から御指摘がありましたとおり、もろもろの問題がございますが、八十八から三十四の当面検討すべき事項として整理をしておりまして、委員指摘の問題点につきましても今課題になっているわけでございます。政策協議会のもとに十にわたりますプロジェクトチームを組みまして、ただいま具体的な検討に入っているところでございます。先日も政策協議会で議論されている事項のうちで、国際化に対応できる人材育成やあるいは産業経済振興にかかわるコミュニケーション方策の推進の拡充についても五十億円の調整費で措置したところでございますし、今後とも調整費を活用しながら政策協議会での議論を深めて施策の充実に努めてまいりたいと思います。  そのほか、議員から今御指摘のありましたように、我が国の地点の中、地図を見てみますと、確かに南の国際的に交流する拠点であるわけであります。多方面にわたりましてこれから国際的に接触をしていく大変すばらしいところでありますので、特に沖縄県から提唱しております国際都市形成構想に向けて頑張っていきたいと思う次第であります。
  180. 田沢智治

    ○田沢智治君 人間というものはひとしく、きょうよりあす、よりよい生活環境の中で充実した生活を営みたいというのは、これはだれしもの願望であると私は思っておるんです。  沖縄が本土に復帰するについては、本土並みの県民生活を保障できるのではないか、あるいはしてくれるのではないかと沖縄県民はみんなひとしく思ったと思うんです。しかし、いつも県民所得の一覧表を見ると常に沖縄は一番最後になっている。こういうところに、一体政府は何をやっているんだと。やはり沖縄県民の所得向上のために具体的にこういうことをやりました、ああいうこともやりましたというような実績を一つ一つ積み重ねることによって沖縄県民は日本国政府に対して信頼を寄せていくものであると私は思うんですが、そういうような姿勢で臨んでいるのかいないのか、はっきりしてください。   、
  181. 稲垣実男

    国務大臣(稲垣実男君) お答えいたします。  今日まで三次にわたりまする振興開発計画に基づきまして本土との格差を是正していきたい、特に経済的に見まして自立的な発展の基礎条件を整備していかなければでき得ませんので、特色ある地域として今後整備を進めてまいりたいと思うのであります。  今次まで約二十五年間にわたりまして約五兆円を投じてまいりましたが、今なお本土に比べますと、県民の生活の水準といいますか、県民所得というものは約七五%と言われておるわけであります。  何にしましても、これらの今後の目標達成に向けて努力を重ねてまいりたいと思いますが、昨年、沖縄問題についての内閣総理大臣の談話に基づきまして、本土からかなり離れておりますので、空港の整備やあるいは港湾等の社会資本の整備、それからまた南の地にありますので観光関連の施設の整備等をさらに積極的に進めていかなきゃなりません。まだ道半ばでございます。三次振計のちょうど折り返し地点にもございますので、それらの問題を十分加味いたしまして、とりわけ自由貿易地域の拡充を図っていきたいということで、また県民からも大変に熱望されておる大事な問題でございますので、産業や貿易の振興等について一層検討を進めてまいりたいと思うわけであります。  一つ一つ着実に進めてきておりますが、総体としてまだまだこれからでございますので、今後とも関係省庁や沖縄県と連携をとりながら、地域経済として何としても経済が自立てきるところ、それからまた学卒者の若い人たちが県内で就職をしようと思っても職場がないということでありますから、産業の振興だとかあるいは貿易の拡充を行うとかもろもろの政策を行って、そして十二分に雇用が確保できる、このことがまた大切だと思いますし、また先ほど申し上げましたとおり、県民の所得水準というものが本土並みになるように一生懸命に向上に資していきたいと思うわけでございます。  そのことによって我が国経済の発展に寄与する地域として十分整備されるように、沖縄の振興開発に全力を傾注してまいる所存であります。
  182. 田沢智治

    ○田沢智治君 沖縄県民の痛みを我が心の痛みと思う、そういう姿勢で沖縄の問題に取り組まれてきました総理から一言お願いしたいと思います。
  183. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、沖縄開発庁長官からさまざまな施策について御説明を申し上げました。私からはその報告を補足する意味で二つつけ加えたいと思います。  大田知事とお話をしておりますときにいつも出ますのが、一つは若い方々の雇用の問題であり、同時にこのところ海外留学のチャンスが減ったというお話であります。同時に、これからの沖縄県の中において語学というものの特色を生かしたそうした新しい仕事をつくっていきたいということであります。  県は既に同時通訳の養成施設を持っておられますが、これは非常にいい仕事だと思いますし、国もそこに加えていただきたいということで、幾つかの講座を具体的にふやしていただくことにし、その準備も終わりました。平成九年度予算の中でこれがより充実したものになることを願っております。  また、大学生、大学院生の海外留学枠をとりまして、県内の大学在学中の諸君あるいは修士課程に学んでいる諸君が国際的になお勉学の機会を持てるようなこともつくってまいりました。今、知事さんとは、これは九年度に間に合いません、準備をした上で十年度にスタートすることでありますが、高校生の諸君にホームステイのチャンスをつくることができないだろうか、そんなこともお互いの夢として御相談をしながら準備を進めております。  私は、議員からもお触れになりましたけれども、小さなことでもいい、一つ一つ目に見える形で政府として約束したことを実行していく、それが今何よりも必要ではなかろうか、そのような思いに駆られております。
  184. 田沢智治

    ○田沢智治君 総理、ありがとうございます。そういうお心でしっかりと沖縄のために尽くしてやってほしいと思っております。  次に、ペルー日本大使公邸人質事件に対して御質問させてもらいます。  この問題は昨年十二月十七日に発生して以来ニカ月半ばを過ぎ、かつ七十二名の方々がいまだ解放されずにあの狭い公邸内に閉じ込められている。関係者を初め御家族の方々の心情を思うと、何か胸迫る思いをするのは私一人じゃないと思います。  外務大臣も現地に飛んだり、総理もカナダのトロントでフジモリ大統領と会談して、大変尽力されていることについては私たちは多とするのでございますが、現在の状況の中で全面的な解決に向けての詰めの段階に入ってきているんじゃないかというように一部報道はされております。国民も一体どういうような方向になるのかということを大変心配しているんじゃないかと思いますので、事件の平和的解決に向けて最善の努力を尽くしておることは理解いたしますが、現段階においてある程度の経過についてお話ができれば、外務大臣、お願いできませんか。
  185. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) ペルーの公邸占拠事件につきましては、委員指摘のとおり、もう八十日ということになりますが、いまだに大勢の方々が人質の身であられることはまことに残念なところでございます。一日も早く全員が無事で解放される、そのためにペルー政府も全力を尽くしておりますし、日本政府といたしましても緊密な連携のもとに最善を尽くしてまいりたいと思っているところでございます。  ところで、ただいま委員指摘のとおり、いろいろなこれまでの努力、作業の積み重ねの上で、今ある意味では新しい段階といいましょうか、言葉を正確に言えば非常に大事な段階に入ってきた、こう思うのでございます。御承知のとおり、予備的対話という名のもとにペルー政府とMRTA側の話し合いが保証人委員会のメンバーの入った中で進められてまいりました。そして、八回そういうことが繰り返される中で、いろいろな問題についてお互いに相手方の考えでいるところなりあるいはそれのよって来る根拠といいましょうか事情といいましょうか、そういったものについても次第次第にわかってきた、こういう情勢があったわけでございます。  そういったものを踏まえまして、五日にございました第九回の予備的対話におきまして、ペルー政府側、MRTA側双方からこういうふうな方法でといういわば提案と申しましょうか、そういったものがそれぞれ示された。それを保証人委員会がいわば預かるような形でさらにそれの意味するところを明確にしていく、いわゆるクラリファイするとか、いろいろそういったことをやってこれからの対話を進めていこう、こういうことになっておるわけでございます。  一方におきまして、御承知のとおり、先ごろフジモリ大統領自身がキューバ、ドミニカ共和国等を訪問されました。これはこれからの解決策を模索していく中でいろいろなことが考えられるが、その中のあり得べき選択肢の中の一つの可能性を追求してみようと、そのことに大統領自身が積極的にみずから努力を傾注されたそのあらわれであるというふうに私どもも評価している次第でございます。  いずれにいたしましても、対話はそういうことで大事な段階に入ってまいりました。まだその隔たりは当然のことでございますし、さらに具体的に進めていけばいろいろ難しい問題が出てくるということは予想されますので、今すぐに早期の解決への道が開かれていくというふうにはとても申せるような事態ではございませんけれども、ここまで来た、これを大切にしながら何とか全員が御無事で解放される日を早く実現したい、それに向かって日本政府としても全力を傾注してまいりたいと考えている次第でございます。
  186. 田沢智治

    ○田沢智治君 ぜひ平和的に円満のうちに解決されんことをお祈りいたしたいと思いますので、我が国政府においても全力を注いで対処していただきたいと存じます。  次に、ロシアのタンカーナホトカ号の沈没の件でございますが、この重油流出事故というのは日本海側の各県に大変大きな被害を与えておりました。  私たち予算委員会理事現地へ視察に行きまして、いろいろ現地の知事さん初め関係者からお話を承りました。重油が漂着した海岸付近の漁業や環境に大変大きな被害を及ぼしておる。富山県や新潟県におきましても地元の人たちから、また福井県の関係者からもお話を承りますと、地元自治体では政府に対して災害対策基本法の適用を強く要望していると言っておるんですが、この件については、国土庁長官なんですか、あるいは運輸大臣なんですか、ひとつお聞かせをいただきたいと存じます。
  187. 伊藤公介

    国務大臣伊藤公介君) 災害対策基本法は自然現象による災害であるとか大規模な事故は災害と規定しております。したがって、今回のナホトカ号重油流出事故は明らかに災対法に言う災害に当たるわけでございます。  なお、この災対法に当たりますと、特別法によってその災害自身のいろいろな対応はしていくわけでありますが、既にいろいろ御指摘をいただいてまいりましたように、それに対する補償は、船舶の所有者による賠償あるいは油濁損害賠償保障法によって賠償されるということになっております。
  188. 田沢智治

    ○田沢智治君 災害対策基本法を適用するということを国土庁長官が言っていただいたので、自治体は意を強くなされたと思うのでございます。  さらに、補償問題が大きな課題になってきておるんですが、沈没した本体がまだ海中に深く沈んでおるということで、最終的な被害総額がわからない。この時点で我々は補償問題について突っ込んだ質問はできないかと存じますが、ロシアという国はこの問題について一体どういう姿勢で、日本に対して申しわけないという気持ちであるのかないのか、わかったようなわからないような状況であると現地の人も言っておるんですが、外務大臣、どうなんですか、この辺は。
  189. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 今回の事件はロシアの民間の団体である船主、基本的にその責任の問題ではございます。しかしながら、ロシア政府も当然のこととして今回のような事故が起きたということは大変残念なことであり遺憾なことであるという基本的な認識に立っておりまして、ロシア政府として払うべき努力、またなすべき協力はしていこうという基本姿勢でございます。  そういったことに立ちまして一つ二つ例示をいたしますと、まず油濁防除の作業のために三隻の船を派遣してまいりました。ああいった荒天の中でございましたから、その成果がどうであったか、いろんな見方はございますけれども、四百キロリットルの回収はしたということはございます。それから、原因の究明につきましても、途中経過でいろんなことが報道されましたけれども、やはりこれはきちんと客観的な事実に基づいて原因を究明していこうということで、日ロ間での共同作業も既に始まっておるところでございます。.それから、補償あるいは賠償という点につきましては、冒頭に申しましたように、これは基本的に船主の責任であり、国際法上もあるいはロシアの国内法等におきましても政府の責任が問われる問題ではございませんけれども、船主がきちんとその責任を果たしていくように、適切な対処をするようにロシア政府としてもなすべきことはなしていこう、こういう姿勢で臨んでいるところでございます。
  190. 田沢智治

    ○田沢智治君 さきの新聞報道によると、重油回収経費の一部として、自治体へ七十億円分のうち二十億円を支出するということが報道されておりますが、事実かどうか。国のどの予算から支出するのか、今後引き続き支出してくれるのか。これは運輸大臣か自治大臣、どちらかにお伺いすると思いますが、お願いいたします。
  191. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 御承知のとおり、油の防除作業につきましては、地方公共団体、国がそれぞれの責務の中で協力し合って行ってきたところでございます。  今回の災害が、大量の油の量であること、また荒天等の悪条件が重なっておりまして、そういうことにかんがみまして、地方公共団体が応急対策として油の防除に要した額を折半して、国が交付金として交付するということを決めさせていただいたところでございます。その額が先生今おっしゃった約二十億になろうかというふうに承知いたしております。  なお、具体的な交付金の交付方法等につきましては、今事務的に調整をいたしているところでございます。
  192. 田沢智治

    ○田沢智治君 事務的に検討するのはいいけれども、もう一月に起きた事故で、ボランティアの方々も大きな犠牲を払いながら支え、地元の自治体も支え、県民も地域住民も支えておるということで、これは早く支給してやってほしいと思いますが、運輸大臣、どうでしょうか。
  193. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 速やかに支給できるように努力をしてまいります。
  194. 田沢智治

    ○田沢智治君 補償金額等については国際基金から二百二十五億円が補償額として決められていると聞いておりますが、もちろんこれでは十分足らぬと思うんです。その場合の不足分というものは国がきちんと支えてくれるのかどうなのか。この枠組みについて御意見を伺わせてもらいたいと思います。
  195. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 被害額の総額につきましては現在まだ調査中でありますので、どの部分で補償されない部分があるのか、政府部内のプロジェクトチームをつくらせていただいておりまして、そこにおいてどういう対応が可能なのかを検討してまいりたいと、このように考えております。
  196. 田沢智治

    ○田沢智治君 ぜひ温かい対応をお願いしたいと思っております。  次に、オウム真理教事件についてお聞きいたします。  日本国民を恐怖に巻き込んだ地下鉄サリン事件の発生から弁明手続が開始されて十カ月、同手続開始から処分請求まで六カ月もかかったオウム真理教に対する破防法の適用は、公安審査委員会により棄却をされました。同教団は、今後なお多数の信者を擁し、麻原を絶対者として活動資金もあると聞いているが、その後のオウム真理教の状況と実態等についてお聞かせをいただきたいと思います。
  197. 杉原弘泰

    政府委員(杉原弘泰君) お尋ねの点につきまして、信徒の居住、活動状況、信徒の数、教義、活動資金の状況などにつきまして御説明申し上げます。  まず、出家信徒らの居住場所等でありますが、現在私ども把握しておりますところでは、全国に百三十カ所以上ございまして、例えば東京都では四十数カ所、大阪府二十数カ所、神奈川県十数カ所、千葉県約十カ所、愛知県約十カ所などという状況になっております。  次に、信徒数につきましては、現在私ども把握しておりますところでは、出家信徒約五百名、在家信徒多数となっております。  信徒の活動状況につきましては、教団は、現在麻原の三女松本麗華が主宰しております長老部において組織の運営方針及び活動方針を決定して、そのメンバーである正悟師五名が役割を分担して新たな拠点の確保や資金の獲得を図っております。出家信徒は、各地に残存する支部、道場の施設のほか、新たに確保したマンション、アパートなどに分散居住いたしまして、教団幹部の指導のもとに数名から十数名単位で集団生活を営んでおります。  次に、一連の刑事事件によって逮捕された者がその後どうなっているかという点でございますが、平成八年十月十四日までに逮捕された者のうち、刑期満了、執行猶予、起訴猶予等によりまして釈放された者が三百六十名あります。これらの者のうち、約百名余りの者が教団施設に出入りするなどしておりまして、教団に既に復帰している事実が確認されております。  教義につきましては、現在も教団は支部、道場やアジト及び在家信徒宅などで継続的に説法会を開催するなどいたしておりまして、破防法の弁明手続において既に封印したとしております麻原の秘密金剛乗という危険な教えを信徒に流布しておりますほか、松本の説法を掲載した機関誌なども継続発行いたしております。依然として同人を絶対帰依の対象として教義の普遍性を訴えていると認められます。  また、活動資金につきましては、在家信徒を対象とした説法会あるいは物品販売による収入、信徒のアルバイトによる布施収入、教団関連会社等による収入等によりまして、平成八年五月から十二月までの間に総額五千九百万円以上の収入を得ているというふうに認められます。  以上でございます。
  198. 田沢智治

    ○田沢智治君 これは法務大臣に聞いた方がいいと思いますが、破防法は昭和二十七年に施行された法律でありますし、戦後五十数年も経過し、国の内外の諸情勢も大きく変化していると思うとき、時代に適合した法改正が必要ではないかと私は思うんですが、法務大臣の見解を伺いたいと思います。
  199. 松浦功

    国務大臣(松浦功君) お答えを申し上げます。  破防法が社会状況の変化に照らして適合しているかどうか、そういったことについては常々公安調査庁において研究をしておるところでございまするけれども、今回の決定に関しましては、このたびのオウム真理教に対する規制請求の手続を進める過程でいろいろな問題が発生をしております。それらの問題、さらには公安審査委員会の決定書の内容等を十分に審査して、調査庁において適切に処理していくと考えております。
  200. 田沢智治

    ○田沢智治君 今後、破防法というものをどういうような形で時代に適合する法律にしていくか、国家の安寧秩序というものは国民の生命、財産に直接かかわるものであり、世界の国際情勢を見てもなかなか日本を取り巻く環境というものは厳しいと私は見ております。しかし、日本人全体がそういう危機感を持ってこういうような問題に対処していく決意が少し欠けている面があるのではないかということは非常に残念に思いますけれども、その辺のところについてはやはり法務省は法務省としてきちっとした姿勢を国民に示しながら、日本という国を安心、安全な国につくってくださることを心からお願い申し上げたいと存じます。  次に、私は、行財政改革に取り組む総理の決意等を含めてお聞きしたいと思います。  総理は、国内に目を転じて、我が国のさまざまな制度、システムというものが激動する国の内外の諸情勢に機能しなくなりつつある、しかも、莫大な赤字債権を抱えて活力を失いつつある日本の現状をどうしても再生するには、明治維新に匹敵するほどの大改革が必要であるとの認識をお持ちになっておると思うんですが、そういう決意で臨まれようとしているのかどうか、決意をお伺いいたします。
  201. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、よく明治維新あるいは敗戦後の日本と比較をして今の状況をお尋ねを受けるわけであります。その当時に比べまして、今私たちが抱えている問題ははるかに困難な状況にあると思っております。明治維新におきましては、開国というものが、海外からの圧力によって結果的に幕政を倒し新しい姿に生まれ変わる原動力を生み出しました。敗戦後の日本は、いや応なしに敗戦という現実のもとに占領軍の監視下で新しい国づくりをしなければなりませんでした。  今、その限りにおきまして、我々は先輩たちの御努力のおかげでこれだけ平和であり、しかも貧富の差の少ない豊かな国を持っております。そして、仮に私たちの次の世代あるいはその次の世代への負担というものを考えない限りにおいて、公債発行によって税収の減を補うという手法も不可能な状況ではありません。しかし、我々はみずからの意思で、これ以上次の時代の人々に我々の世代が楽に世を過ごすための負担をお願いする、そういうことはやめよう、そういう決心をいたしました。これは当然ながら、我々がそれだけの努力をしなければならないということを意味するわけであります。  行政改革あるいは財政構造改革、さらに財政構造を変えていこうとするならば、その中で一番大きなコアとなっております社会保障の仕組み、こうしたものを見直さなければならない。また、財政構造を縮減していく中で、先ほども御議論をいただきましたけれども、増税という手段に頼らない限り、歳出をふやそうとすれば経済の活力を取り戻し新たな税収がふえていくような方策を講じていかなければならない。そのためには規制緩和を進め、新たな産業が育つ基盤をつくっていく、そしてそのためにも科学技術あるいは教育改革というものを必要とする。これらの問題は全部いわば組み合わせられているわけであります。  しかも、経済の仕組みを変えていこうとする限り、我々は、千二百兆という国民の宝でもある貯蓄というものを我々の将来に向けて使わせていただけるような仕組みをつくらなければなりません。同時に、日本の産業界がみずからこれから育っていこうとする分野の資金調達のしやすい仕組みをこの国に用意しなければなりません。金融システム改革も、実はどれもがつながりを持ち、どれが一つ欠けてもこれからの仕組みとしてうまくいかない。  これは、私は、敗戦直後の状況あるいは明治維新等に比べ圧力がない、目に見える圧力がない分だけ我々に厳しい作業を強いるものになると思っております。しかし、その時代を通り抜けて、夢を持ち、その夢を実現するためにチャレンジし、かなえられるチャンスのある国に変えていきたい、心からそう願っております。
  202. 田沢智治

    ○田沢智治君 総理が言われるとおり、私もまことにそのとおりだと思います。一元的な次元での改革はだめです。多種多様なる社会の中で、それぞれがかかわった中で、国際社会を巻き込んで、日本の方途というものをどうやったら活力を持っていく国になるのか。世界から尊敬される国をつくるということになると、他国の人たちにもなるほど日本はすばらしい改革をやったんだと評価されるような改革でなければ私は価値はないと思うんです。  そういう意味で、総理が行政改革、経済構造改革、金融システム改革、財政構造改革、社会保障制度改革、教育改革という六つの改革を提唱されたということは、まことに見識のあるものであると私は思います。問題は、この六つの改革をそれぞれ連携を有機的にして実益を上げるためにどうしたらいいかという整合性を持つ改革内容を位置づけるところに苦心があるのではないか、率直に申して私はそう思っておるんですが、総理、そういう心がけでひとつ断固としてやってもらいたい、私はそう思っております。  特に臨調ということになりますと、私たち多くの国民に土光臨調という意味では、土光会長が今ここで改革ができなければ二十一世紀に生きる人々が苦しむだけだと言われて、当時、赤字が累増している国鉄を含む三公社の民営化の実現の基礎づくりをして大きな成果を上げたということは国民の周知しているところであります。  当時、橋本総理は自民党の行財政調査会長として行革に並々ならぬ熱意を示されておった。そういう意味で、土光臨調とともに大きく学んだことがあるし、また土光臨調のよき教訓を自分の心におさめて、今度の改革ではこういう面を生かしていったらもっと国民が喜んでくれるんじゃないかというような物の見方、考え方があると思うんですが、土光臨調に学んだ教訓というものを通して何か国民に訴えてもらいたいと思うのでございますが、いかがですか。
  203. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、土光臨調と言われる第二次臨時行政調査会、この調査会が上げた成果というものは極めて大きなものがあったと思います。まさにその増税なき財政再建という一つの旗印のもとに、当時の三公社それぞれの民営化を実現された、あるいは年金そして医療保険改革また行政組織の再編合理化といったものにつきましても非常に多くの成果を上げられたと思っております。  そして、党側でそれを補佐する立場におりまして、その折々のテーマについて相当な抵抗というものがあったことを記憶もいたしておりますが、土光さんという方の人格を中心にして、当時の臨時行政調査会事務局というものが非常にかたい結束を持っていた。そして、各省庁からここに出向してきておりました職員たちが、むしろ自分の出身省を相手にしながら一歩も引かないで議論をするぐらいの非常に強い結束力を持って行動したチームプレーの強さというものを非常に強く私は記憶いたしております。  同時に、例えば出先機関、特に国の地方支分部局の整理統合でありますとか、あるいは特殊法人等の整理合理化に手をつけましたときなど、これはよく官僚の抵抗ということをみんな言われますけれども、むしろ官僚ではなくて、地域社会が挙げて政党政派を抜きにして大変な反対運動をされる、抵抗に遭う、そんな場面をよく体験いたしました。それだけに、行政改革というものは事前準備にできるだけ時間をかけ、動き始めた瞬間から結論までの時間はできるだけ短くする、それが必要なんだということを何回か痛感させられております。
  204. 田沢智治

    ○田沢智治君 私は、鉄は熱いうち打てと言われるように、機運が盛り上がってきたときに目標を設定して、その目標に基づいた枠組みをきちっといたして国民に提起しながら、平成十七年にはこれだけのことができますよというような方向で臨もうとしている総理の今までの会議での流れ、あるいは行財政改革に向かう決意などを見るとそのようにうかがわれるのでございます。  内容等については、一つ一つそれなりの理由があり、日本の経済を失速させてはならぬということにおいてはかなりの大きな配慮もしなければならない、安定した中で財政改革を行い、国民に充実感を与えながら目的を達成していくという非常に難しい選択が迫られると思うんです。しかし、我が国の実態から見て、そういう流れに対してできないような状況にないと私は思っておるので、ぜひ総理においては六つの改革達成の目標をきちっと定めて、全力を挙げて努力してもらいたいということを申し上げたいと思っております。  それからまた、土光臨調がこういう点でよかったんじゃないかということを総理も申し上げていたようでございますが、私も、土光臨調が国民的支持を受けた大きな要因の一つは、やはり増税なき財政再建という基本目標を貫かれたことがある意味において共感が呼べたと思うんです。しかし、今の日本の現状では、増税もしなくて財政再建ができるという、そんな甘いような状況でないということは国民もひとしくわかっておると思いますし、孫や子供に今の借金を残さないで何とかしなきゃならぬというのはやはり政治家の務めであると私は思っております。  そういうような次元で国民の負担をできる限り少なくしながら財政再建を決定的に成功させていく、そういう決意で臨むんだという姿勢について、これまた大蔵大臣もそういう同じ決意であろうかと思いますが、大蔵大臣の考えもあれば一言お聞かせいただきたいと存じます。
  205. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) もう総理からの段々のお話で尽きておると思います。しかし、大改革は総理も言われますとおり痛みを伴います。痛み以上のものがそこにはあります。しかし、それを乗り越えていかなければ目的は達成されないぎりぎりのところに来ていることだけは間違いありません。世の中に難しいものはないといいますが、たくさんあります。それは、突破する力は国民皆様方の深い理解、そして同時に国会の、国民代表であります議員各位の理解を得ますればこのことは断行できると思っておるところであります。
  206. 田沢智治

    ○田沢智治君 今、日本の国家公務員を見ますと、内局だけで約六十万、特別会計を入れても百二十万、地方公務員だけで三百二十万、先生が百二十万ぐらいいると言われておるわけでございます。多い少ないは別としても、やはり公務員の合理性というかあるいは適正規模といいますか、そういうものについても再検討する時期に来ているのではないだろうか、私はそう思います。小さな政府をつくるというようなことになりますと、そういう指針に基づいた切り込みもあっていいのではないかと思うのでございますが、総務庁長官、いかがですか。
  207. 武藤嘉文

    国務大臣(武藤嘉文君) 御承知のとおり、総定員法に基づきまして、今年度までは第八次の定員削減計画を進めてまいりました。来年から第九次の定員削減計画でいくわけでございまして、四・一一%、なお一層の目標ということでプラス一%という形になっております。  今いろいろお話のありましたように、これから思い切った行政改革をやっていかなきゃならない。そのためには規制緩和も思い切ってやらなきゃならないし、あるいは官の仕事をできるだけ民に移していくということも必要でありましょうし、あるいはできるだけ権限を中央のものを地方へ移行していく、また地方においてはそれをただ人をふやすのではなくて効率ある仕事を地方でやっていただくと。こういうことになってまいりますと、第九次の定員削減計画よりももっと削減をしなきゃならないという形も出てくるのではなかろうかと私は存じております。  いずれにしても、そちらの方よりも仕事をまずどれだけ減らすのか、そしてどれだけ簡素で効率のよい仕事ぶりをしていただくのか、そして最終的には中央の省配置をどうするのか、その中で人はどれだけ要るのかと、こういうふうに考えていくべきではなかろうかと思っております。
  208. 田沢智治

    ○田沢智治君 私も総務庁長官と同じような考えを持っておりますので、そういう勇気を持った発言を行い、勇気を持った行動を起こしてもらいたいということを重ねて申し上げます。  次に、各論に入りたいと思うんですが、まず中央省庁再編への取り組みについては、参議院においては、先般、参議院改革の一環として、中央省庁の再編を視野に入れて、審議の効率性とともに議論の内容をさらに深め、国家国民のために資する目的で、来年一月に召集される通常国会に向けて各会派協議し合意できたとするならば、十八委員会を十二委員会に再編成して新しい形態で委員会をスタートさせようということで鋭意努力しているということを御報告申し上げたいと思っております。  さて、中央省庁の再編でございますが、総理直属の行政改革会議で取り組まれておりますが、最重要課題の一つであると私は思っております。自民党は、省庁、部局の細分化などによる縦割り行政の弊害是正の観点から、二十二の省庁については半分程度にしようという削減目標、中央省庁の執行部門をエージェンシー化する、つまり独立採算制の外庁にしていこうと、効率的な行政が実現できるよう求めていきたいという考えを持っております。  総理は、行政改革会議でことしの十一月末までに成案をまとめることを明らかにしているように聞いておりますが、中央省庁再編に描く姿はどういうようなものであるのか、国民の前にもし明確にできることがあれば御所見を伺いたいと存じます。
  209. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 現在、行政改革という大きなテーマの中で進んでおりますもの、一つは地方分権であります。そして、これは地方分権推進委員会から第一次の答申をいただき、機関委任事務等を中心に御意見をいただきました。そして、地方分権推進計画をつくっておりますけれども、それにかかわらず前倒せるものは前倒してまいります。当然ながら、国から地方へという流れの中で国の行政はそれだけスリム化いたします。  また、これは今特に総務庁長官に大変な苦労をかけておりますけれども、行政改革という意味でも、また経済構造改革の中で新たな産業分野を生み出す、あるいは既存の産業が規制によって活力を失ったとするならば、その規制を取り外すことによって活力を取り戻したい、そうした思いから、規制緩和の推進計画をこの年度末には最終的に確定していかなければなりません。審議会等の関係でおくれておるものがあれば、逆にその終点を明記するといった手法もとっていかなければならないでありましょう。これも、当然ながら中央省庁の行政をスリム化する要因であります。  こうしたものを踏まえた上で、私は、国家存続の機能、国の富を生み出す機能、そして国民の暮らし、国民生活の安全を守る機能、そして教育、文化の機能、自分なりにそのような粗い整理の仕方があるのではないかと。こうした考え方をお諮りしながら、行政改革会議の皆さんに今中央省庁の再編の案を議論していただいております。  十一月末までにこれについての成案を得たいということを今までも申し上げてまいりました。それは、ただ単に現在の中央省庁の継ぎはぎではありませんで、一方では、間もなくまた地方分権については分権推進委からより広範な御意見をいただけると思います。こうしたもの、あるいは規制緩和推進計画、これを土台にしながら、そうしたものを踏まえた上での中央省庁のあり方、これを今模索しているわけであります。
  210. 田沢智治

    ○田沢智治君 特に、イギリスのサッチャー政権のもとで始まった、七割以上がエージェンシー化したと言われていますが、このエージェンシー制度について評価されている面もあるし、また他の意見もあるかと思いますが、この点について総理はどうお考えになられておりますか。
  211. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) ちょうど先ほどお話の出ました土光臨調がスタートをいたしました直後、昭和五十六年の春だったと思いますが、日本の行政改革の参考資料を集めるために欧米各国を回りましたとき、イギリスを随分調査いたしました。  そして、そのときイギリスの制度を理解いたしますのに非常に苦労いたしましたのは、御承知のように、習慣法の国であり、不文法の国であります。各省庁におきましても、設置法を持っている役所と持っていない役所があります。そして、その設置法を持っていない役所でありましても、設置法に基づいてつくられている役所と機能が全く変わりません。そうした中で、当時既にいろいろな角度で外庁化というものが議論をされておったようでありますが、むしろ、討論をいたしました相手側の皆さんは我が国の特殊法人の仕組みに非常に関心を持たれまして、逆にそのときには、私の方が質問をするより向こうから特殊法人の取材を受けるといった状況もございました。  その後調査に参りましたときには、むしろ国鉄の分割・民営ということに対して非常にイギリス側では疑問を呈されるといった光景もございました。後でわかりましたのは、イギリスが国有鉄道を分割しようとしましたのは、線区別の分離を考えたようでありまして、そのために全く収支がバランスしないといったような点もあったようであります。  私は、それぞれの国がそれぞれの歴史の中で今日まで形づくられてきました仕組み、その中で対応する手法というものは、やはりその風土を踏まえてさまざまな対応があろうと思います。その上で、私は、エージェンシー化というもの、イギリス以外にもこれを実行している英連邦の国は存在をいたすわけでありますが、我々にとって一つの参考の大きなものになり得る考え方、その上で我が国の制度にこれを移しかえるとした場合、どのような問題点があるかは冷静に判定をしてかかるべきものである、そのように思います。
  212. 田沢智治

    ○田沢智治君 まさに、その国にはその歴史があるし、その国にはその国民がはぐくんできたいろいろな文化もあると思います。日本には日本なりのはぐくんだ文化もあるし、日本らしい一つの制度というものを構築しなければなじむものじゃないと私は思っております。  どうかそういう意味で、いろいろな経験をなされた総理でありますので、高所よりいろいろな角度から、どういうような制度を導入することによって国家国民のためになるかは、さらなる発展していく英知が出てくると思いますので、大いに期待をいたしたいと存じております。  次に、行政改革の基本的な柱の一つである特殊法人の統合合理化と民営化を含む抜本改革について伺いたいと思うんですが、まず、特殊法人については、関連団体を含めてどのくらい今あるのか、総務庁からお聞かせいただけますか。
  213. 土屋勲

    政府委員(土屋勲君) 私どもの実施いたしました監察結果に基づいて御説明をいたしたいと思います。  平成七年十二月時点の関連会社等の状況でございますが、出資比率が五〇%を超えるいわゆる子会社は七百五十五社、出資比率が二〇%以上五〇%以下で、財務及び営業の方針に対して重要な影響を与えることができるいわゆる関連会社は二百五十九社、全体で千十四社となっております。ただ、このうちの九百二十七社というものはNTTあるいはJTなどの特殊会社が持っているものでございます。
  214. 田沢智治

    ○田沢智治君 今話に聞くと、数のけたが違うのじゃないかと思われるぐらい大変多く持っておる。特に、関連子会社が千十四社あるというようなことを聞かされますと、その内容をのぞいてみたいなということを皆さんお持ちになるのじゃないかなと、こう思うのでございます。  こうした特殊法人の実態を踏まえた業務の見直し、それから統廃合に関しては、やはり積極的に取り組む必要性があるんじゃないかと私は思うんです。既に、亀井建設大臣は、住宅・都市整備公団の見直しをやるんだということを話されて、これが一つの大きなきっかけになったと思うんです。  年金福祉事業団や雇用促進事業団も同様な見直しをやろうという話を聞いておりますが、厚生大臣、労働大臣、それぞれ事業団に対する考え方があればひとつ御所見を伺いたいと思います。
  215. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 昨年十一月七日、厚生大臣に就任して以来、橋本内閣は特殊法人の統廃合、所管の大臣は所管の役所の特殊法人を守るというのでなく積極的に行政改革に適進してほしいという方針のもとに、翌日私は年金福祉事業団の廃止を含めて見直しを事務当局に指示しました。  それは、年金を掛けている人にとってみれば、最大のサービスは何かというと、老後になって年金を受ける給付が多ければ多いほどいいこと、若い人が保険料を払っているときに、保険料は安ければ安いほどいいんです。このサービスさえ提供してくれればほかは文句を言わないはずだ。にもかかわらず、今年金福祉事業団の仕事は何をやっているのかといえば大規模保養地とか住宅融資、これは本当に厚生省がやらなきゃならない仕事なのかということを私は事務当局に言いました。ほかの仕事、やらなきゃならない仕事はほかにたくさんあるんじゃないのか。大規模保養地とか住宅融資は厚生省がやらなくてもほかがやっている仕事だ。そして、なおかつ、この仕事をやって有利に運用できるのかと。できるはずがないということから、私は廃止を含めて指示しました。  そして、この年金福祉事業団の理事長は歴代事務次官経験者がやっています。役所にとって事務次官がやっているところの特殊法人というのは一番大物であります。どうせやるなら所管の大臣として一番大物の特殊法人を統廃合、橋本内閣の方針に沿って行革を火の玉となってやる、率先垂範しようといって私は廃止を含めて指示を出しました。  今自民党でもこれを検討しておりますから、できるだけ早い機会に実のある成果を上げてみたいと思います。
  216. 岡野裕

    国務大臣(岡野裕君) 労働省の特殊法人の全般的な見直しにつきましては、先生御存じのとおり、一つは中小企業退職金共済事業団、これの統合の問題につきまして今国会で御審議をいただくべく法案を提出し取り組んでいるところであります。  それから、それが終わりましたので次に雇用促進事業団、これについてどういう見直しを行うか。今現在、雇用促進事業団が営んでおりますところの個々の機能、これを抜本的に一つずつ見直しまして、必要なものはこれ、不必要なものはこれということをはっきりさせるべく事務局ともども大臣も陣頭指揮でやっているところであります。  その中の一部でありますが、雇用促進事業団として一番重要な機能は、今構造改革のお話が出ているわけでありますが、いわく雇用の空洞化、産業の空洞化に伴うところの雇用の空洞化に対する対策と、それから諸規制を緩和することに伴いますところの、日の当たる産業に対して日が当たらなくなったところの産業から労働人口が大きく移動していかなければならない羽目に至っている。それが円滑に進むためには、新たな技能というものを個々の労働者の皆さんに身につけていただいて、新しい視野で働くという可能性を大きくしよう。したがいまして、そういった職業訓練というようなものをこれからもますます比重を高めていかなければならないのではないかなと、こう思っているところであります。  いま一つ、かつて移動をして新たな任地で労働に励むというために住宅を提供してまいりました。その後、その住宅は中小企業の共同の社宅というような意味合いでの機能も営ましめてきたわけでありますが、先生お話しの建設省所管に係りますところの住都公団、このものの見直しの中で、やはり分譲住宅、レンタルの住宅、これはいかがかというような考え方があるとしまするならば、労働省所管の雇用促進事業団のその種の住宅、あるいは共同のスポーツセンター様のものもありますが、これの機能は果たしてどう考えたらよろしいかというようなことで、これも根本から見直そうというようなことで日夜励んでいるのが今の現実でございます。
  217. 田沢智治

    ○田沢智治君 両大臣は極めて意欲的に、小泉大臣は極めて簡潔に内容のある、ひとつそういう勢いでやってくださればかなりの成果が上がるのではないかと総理、私は期待するんですが、期待できる内閣だと思っております。  ところで、特殊法人の改革に際しては、特殊法人が持つ子会社とか関連会社、そういうものも視野に入れて改革が必要だと総務庁長官は先ほど申しておりますが、総務庁長官の御所見を伺わせてもらいます。
  218. 武藤嘉文

    国務大臣(武藤嘉文君) 今お二人の大臣のお話を聞いておりまして、多少ニュアンスが私は違うんじゃないかという感じを実は受けました。片方は非常に積極的にやめる方向でお話がありましたし、片方は必要なところはやっぱり残すべきではないかという印象を受けました。  そこで、私ども橋本内閣としては、すべての特殊法人について見直しをやろうと。そして、結果、どうしても残すものは残していく、しかし必要でないものはやつぱりゃめていくべきだと、こういう考え方に立ってやっておりますので、一つそれだけをまず私から御報告させておいていただきます。  それから、今のお話の子会社の問題その他、正直特殊法人の内容について余りにも従来は不透明な点が多うございました。これは先ほど私の方の局長が答弁をいたしましたように、平成七年の勧告の結果わかってまいりましたので、今回、この通常国会に、すべての特殊法人について財務諸表、損益計算書とか貸借対照表その他すべての財務諸表についてその作成と公開を推進するという法律案を出させていただくことにいたしまして、将来はそれに基づいて一般の方にも閲覧をしていただけるように、そして特にその中には特殊法人そのものだけではなくて、たくさんあるようでございますが、そういう子会社につきましてもできるだけ透明性を確保する、こういう形で今回の財務諸表の中には子会社の分も含めて公開をするという形で進めていきたいと思っております。
  219. 田沢智治

    ○田沢智治君 今、総務庁長官がお話しのとおり、やはり情報公開というのは民主主義の根底だと私は思うんです。国民が政治に関心を持つということは、政治が一体何のためにどういうことをやっているのかということを国民自身に見る権利を与えて、見れる者が見て、なるほど、しかしおれの考えとは違うよというような参加意識を持たせるという意味においては非常にいいことだと思いますので、ぜひそれをやってもらいたいと思います。  特に、行政情報公開法の策定について私は伺いたいんですが、中央省庁の統合や特殊法人の改革、いわば行政組織にメスを入れるという外科的手術のものだと私は思うんです。この情報公開制度は行政の体質を根本から変える内科的な治療になると私は思うんです。そういう意味では、行政情報の透明性を高めて国民に政策選択の材料を十分与えていく、国民の理解と合意を得て行政を行っていく大前提に民主主義という制度が運営されることをよしと私はしております。  例えば、国家の将来にかかわる事項や国民の福祉にかかわる事項については審議会での議論の内容が原則公開されることは国民参加の政策運営を実現する上において非常に大事なことでありますが、国家機密的なものがあるとするならば、そういうものまで全部国民に知らしめるということはいかがかと私は思います。  しかし、昨年十二月の行政改革委員会は行政情報公開法に関して意見書を出していると聞いております。政府においてはできるだけ早く行政情報公開法を国会に提出するように私は督促したいと思うんですが、総務庁長官、どういうような作業状況になっているか、お聞かせください。
  220. 武藤嘉文

    国務大臣(武藤嘉文君) 今御指摘のとおりで、行革委員会から情報公開についてできるだけ早く法律をつくれと、こういう御指摘をいただきました。  そこで、私どもの役所の中に情報公開法制定の対策室を設けまして、今鋭意作業を進めておるわけでございます。私もびっくりしたのでございますけれども、この情報公開をしようというのと逆に抑えるという、両方とも日本の国の法律の中にいろいろございまして、しかもその数が六百以上あると、こういうことでございます。今法制局と私どもの役所でそういうのはすべてばらして、そして新しい法律をどういう形にしていくべきかということでやっておるわけでございます。  今御指摘のとおり、国家機密に関すること、国家の安全にかかわるようなこととか、個人のプライバシーでここだけはどうしても表に出すべきではないというようなことを除けば、できるだけすべて今後は公開をするという原則のもとに情報公開法を制定していきたい。法案は今のところ平成九年度中、いわゆる来年度中ということでございますが、私としてはできるだけ督促をして、少しでも早く国会の御審議をお願いするというように努力をしていきたいと思っております。
  221. 田沢智治

    ○田沢智治君 今いろいろ各大臣から伺うと、行革も大分軌道に乗る可能性はあるんじゃないかと、非常に楽しく見届けていきたいなというふうに思っております。  行革を成功させるためには地方分権と権限の移譲が非常に大事だと思うんです。これはリンクすることになるのじゃないだろうか。昨年の十二月に地方分権推進委員会からの機関委任事務の廃止を柱とした第一次推進答申が出ています。この実態を見ますと、都道府県の仕事の七割から八割、市町村の仕事の三割から四割を占めると言われる機関委任事務の廃止が打ち出されている、こういうふうに認識しているのでございますが、これは総務庁長官に聞けばいいんですか。
  222. 武藤嘉文

    国務大臣(武藤嘉文君) 昨年の暮れに意見書といいますか勧告をちょうだいいたしました。これは全部ではございませんので、今引き続いて、原則機関委任事務は廃止という形になっておりますので、大体五月ごろだと承知をいたしておりますけれども、五月ごろにもう一回勧告をいただけるものと。いただいたならば自治省ともよく御相談の上で、機関委任事務を法定事務と自治事務と二つにしっかり分けまして、国がどうしてもやらなきゃならないものは国がやらせていただくし、それ以外は地方にお願いをするという形できちんと仕分けをさせていただきたいと考えております。
  223. 田沢智治

    ○田沢智治君 地方分権を定着させるということは小さな政府をつくる大きな力になると思うんです。日本は中央に集中するがゆえに地方が育たない。育たないのはなぜかといえば、やはり中央に集権し過ぎるから地方が育たない面があります。ですから、地方分権をきちっとすれば、私は地方には地方なりにすばらしい人材はたくさんいると思う。そういうものを育てることによって安定した国家社会が形成される。ぜひこれは勇気を持ってやってほしい。  ただ、委任事項だけ地方に押しつけても財源がつかないということになると地方は困っちゃうわけです。ですから、そういう意味では地方の財源問題をも真剣に検討してもらわなければならないんじゃないだろうか。今、都道府県段階では都道府県の住民税と法人事業税、これが大体大口であって、市町村段階では市町村住民税と固定資産税が収入の大半を占めておる。しかし、地方税が歳入に占める割合は約四割ぐらいだろうと言われておるんです。不足する分は国からの地方交付税交付金や国庫支出金で賄っておるというような状況では、地方の自主財源をきちっと位置づけてやらない限りなかなか地方は育ちづらいと私は思うんですが、総務庁長官、いかがですか。
  224. 武藤嘉文

    国務大臣(武藤嘉文君) その辺につきましても、先ほど機関委任事務の第二次は五月ごろと申し上げましたが、六月ごろか、ひょっとすると七月にかかるかもしれませんけれども、今の事務あるいは税財源の再配分と申しますか、中央と地方とのその辺の分配の問題についても地方分権推進委員会から御勧告をいただけるということに承知をいたしております。
  225. 田沢智治

    ○田沢智治君 地方の足腰を強くしなければならない。これは御承知のとおり、介護保険の主体的実施者は市町村に今度はなるという法律になりますから、そのためには地方の行革を進めていく観点から町村合併問題について私は関心を持っておるんです。戦後の町村合併法に基づいた合併状況というものは一体どういうふうになっているか、これは自治省でございますか、お聞かせいただきたいと存じます。
  226. 松本英昭

    政府委員(松本英昭君) 戦後、地方自治法が施行されました際には約一万の地方団体があったわけでございますが、御承知のように昭和二十八年から町村合併促進法という法律が制定されまして、昭和の三十年代半ばにはおよそ三分の一、現在の約三千台の市町村に再編成いたしたわけでございます。  その後、市町村合併につきましては、市町村合併に対します障害を除去するというような目的で特例法が制定されてまいったわけでございますが、この十年間の合併の状況は約十八件ということに相なっております。
  227. 田沢智治

    ○田沢智治君 今三千二百市町村があるんだよね。十八件というのはあってないがごときであるし、私はやはりこの際、今、市になるというのは原則五万人以上が必要だと、こう言うんですが、産業構造の変化によって一万人ぐらいになっちゃうところもあるし、大分少なくなっちゃうのもあって、これも一たん市になっちゃうとずっと市なんですよね。市以外にないわけでしょう。  ですから、整合性というものに非常に問題点が出てきているんじゃないだろうかということで、国として地方分権や規制緩和を図るということになると、合併問題についてもっと支援体制をしいて足腰の強い市町村というものをつくっていくことこそ本当の地方分権であり、行革の成果を上げるという意味においてはこういう手法を忘れてはならない。大きな要点であると私は思うんですが、これはだれに聞けばいいんですか、自治大臣。
  228. 白川勝彦

    国務大臣(白川勝彦君) 昨年の臨時国会、そしてこの通常会を通じて市町村合併をすべしという先生方の御意見を多数いただきました。大変ありがたいことだと思っています。正直申し上げまして、従来はそんなに市町村合併というのが国会で語られたことはありませんでしたし、一方では、国が命令的に、小さいのは非効率だから合併しろと、こういう立場には立っておりませんでした。自治省にもそんな権限はありません。  ただし、ただ効率論から小さいのはだめだというのは、これまた地方自治、地方分権という立場からいったら、一方では地方分権を語りながら論理矛盾じゃないかなと思います。あくまでも、地方自治を完遂するためには小さな自治体では住民の期待にこたえられないんじゃないんですかという温かい、太陽で包むような、こういう立場で市町村合併を進めていかなきゃならぬ、こう思っております。
  229. 田沢智治

    ○田沢智治君 太陽で包んでいいけれども居眠りされちゃったらこれは困っちゃうことでございますので、包むのはいいけれども、その辺のところは一つの勇断と努力によってきちっとした形をつくり、生き生きとした地方の再活性のために、自治大臣、しっかりやってください。お願いいたします。  それからもう一つ、最近になりまして一部の地方公共団体で見られる予算の不適正な執行に対する厳しい住民からの批判が出て、盲官接待とか食糧費の問題とかが大きな問題になっております。東京都の会議費に関する公文書非開示決定の取り消しを求めたところ、これはだめだということで、全部公開しなさいということになって、都の食糧費の公開が事実上確定したというようなことになります。  住民の厳しいチェックを受けるということになっている現時点で、地方公共団体からの報告を、不適正経理とか不適正執行について自治省は受けているのか、国としてこういう問題に対してどういうような対処の仕方を考えているのか、ひとつ知らせていただきたいと思います。
  230. 松本英昭

    政府委員(松本英昭君) ただいま御指摘になりましたような地方公共団体の不適正経理、不適正な予算の執行につきましては、私どもといたしましてもまことに残念なことと考えておるところでございます。  地方公共団体からのそういう不正経理の報告等につきましては、その機会機会に私どもも報告を受けておるところでございまして、現在までのところ、都道府県で百数十億という金額の御報告を受けているところでございます。  私どもといたしましては、このような問題に対しまして、一つは経費支出の適正化の視点ということと、それからいま一つは公務員倫理の確保という視点から、地方公共団体に対して指導を行っているところでございます。  具体的には、一昨年の夏、一部の地方公共団体からのそういう御報告がございましたので、直ちに大臣談話を出すとともに次官通達を発しまして、いやしくも社会的批判を招くことのないように厳に節度ある対応を求めたところでございます。そのほか、各種会議等におきましても何回も指導の徹底を図っておりますし、昨年の十二月には国の事務次官等会議申し合わせの趣旨を踏まえまして、地方公共団体においても適切に対処していただきますように指導をしたところでございます。
  231. 田沢智治

    ○田沢智治君 地方分権もいいし規制緩和もいいけれども、地方に分権したけれどもどうも芳しくないと、そんなようなうわさが出ているということでは国民は納得しないと思うんです。  そこで、問題は、地方制度調査会では外部監査の導入等について自治体監査の改革を答申したと聞いておりますが、内部監査と同時に外部監査を行って、住民が安心して本当に地方自治体に任すことができるようなきちっとしたチェック体制というものを確立しなければならぬと思うんですが、自治大臣ですか、所見を伺いたいと思います。
  232. 白川勝彦

    国務大臣(白川勝彦君) お答えいたします。  地方自治体における不正経理が近ごろ大変問題になっているわけでございますが、各地方自治体には全部監査委員、監査制度があるのでございますが、この監査委員事務局でも不正経理があったなんということまで実は報告されておりまして、まことに遺憾に思っております。  いずれにいたしましても、住民の貴重な税金で地方自治をやっているんだから、外部の人がきちんと監査ができるように、あるいは専門的な知識を持った人ができるようにということで、今度、第二十五次地方制度調査会から内閣総理大臣あてに、大きな市やあるいは都道府県については義務的に、小さい市でもそういう制度を取り入れるようにということの答申がありましたので、それに向かってこの国会中に法律改正をいたしたいと.思って今事務的に準備をし、この前、答申については閣議でも報告をさせていただいたところでございます。  なお、この際、せっかくの機会だから申し上げたいわけでございますが、いろんな仕組みも大事だと思うのでございますが、国会と同じようにそれぞれの地方自治体には議会があるわけでございます。住民によって選ばれた議会があるわけでございまして、この議会が何よりも住民の代表として厳しい目を持って自治体を私は監視していただきたいなと、こう思います。
  233. 田沢智治

    ○田沢智治君 自治大臣が申し上げた内容は私も同感です。国会には国会議員がいるし、地方には地方の議員がいるんだから、その人たちがしつかりしなきゃならぬというふうに私も思います。  いずれにせよ、行政面においては内部監査、外部監査できちっとした形をとって、住民に安心させて託するに値する自治体なんだという位置づけをすることは、これも民主主義の一つの行き方だろうと私は思っておりますので、そのような内容を迅速にきちっと位置づけしていただきたいということを御要望申し上げます。  時間が迫ってきておるので予定した原稿に基づいての質疑はできませんが、平成九年度の予算案を今やっておるところでございますので、橋本総理と大蔵大臣にお聞きしなければならぬと思うんです。  昨年の十二月には、財政再建の指針となる財政健全化目標を閣議で決定しております。平成九年度予算では、この目標に沿って、借金やその元利返済分を除いた通常の歳入歳出の収支、いわゆるプライマリーバランスの黒字を達成したという位置、つけをされております。  国債発行額についても、新聞報道では七兆円の税収増加があるのに、国債減額が四兆三千億にとどまり、これも実際には七兆円の税収増加には自動的に地方に行く分などが含まれておる。そのために税収増加は三兆円弱にすぎない。その中では四兆三千億も国債減額を実現していること、橋本内閣が平成九年度を財政構造改革元年として位置づけ、それを予算編成の中で実践してきた一つのあらわれと私たちはしっかりと受けとめて、第一歩の着実な踏み出しができたと思っておるんですが、大蔵大臣、そういう決意で編成したのでございますか。
  234. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 大変ポイントを突いた御質問、ありがとうございました。ここが財政構造改革元年にふさわしい予算を組む最大のポイントでございました。消費税二・五兆円、二%ですから五兆円、半分は地方自治体に還付をしてまいります。特別減税をやめることによって二兆円赤字公債の発行が減になります。これはこちらに置きます、もともと特別、臨時ですから。  基本税制五兆円、これを地方を入れまして初年度どうなるでしょうかということになりますと、税制は暦年度でございますから、初年度効果ということで、ありとあらゆるものの計算しますと二・七兆しか入りません。しかし、最初三兆円と総理も言ったのでありますが、やはり三兆ではいかぬということになりまして、思い切ったマイナスを立てろと、こういうことで四兆三千億円になる公債発行を減じたわけでございます。  以下、一・五%の一般会計の歳出の伸び率、まさに数年ぶり、九年ぶりのことでございまして、事実上ゼロシーリングに近い、〇・五ないし六というのはございますけれども、各項目でプライオリティーを決め、プライオリティーをにらみながらゼロシーリングから思い切った、その中でもめり張りのついた箇所づけをし、科学振興、またニュービジネスが生まれるように、雇用のチャンスが生まれるように配慮をいたしました。  時間が長くなりますといかぬものでありますから、ポイントだけ申し述べさせていただきます。
  235. 田沢智治

    ○田沢智治君 今、大蔵大臣は改革元年として自信のある予算だと、こう申されておりますが、我々も全く同感でありまして、ひとつこの自信を変な形で揺らさないで、しっかりと未来につなげてほしいということを要望させていただきます。  また、総理には、平成九年度の予算についてマスコミの批判もそれぞれあるけれども、九年度予算はただいま大蔵大臣が言われたように自分としても評価できる予算であり、これは来年度以降の財政再建への足がかりになるんだと私は伺っておりますけれども、ひとつ決意のほどを国民に訴えていただきたいと思うのでございますが、よろしゅうございますか。
  236. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 三塚大蔵大臣の非常に軽妙な話の後で多少割を食いますが、私たちは本当に平成九年度予算の編成に当たって経済運営と両面をにらみながら全力を尽くしてまいりました。そして、これを将来につなげていかなければならない、その思いは閣僚全員が持っております。  先ほどから激励するとよく言われますけれども、激励じゃなくて、どうぞ一緒に御協力を心からお願いをいたします。
  237. 田沢智治

    ○田沢智治君 これでやっと日本の将来に光が見えたんじゃないかという気持ちで我々与党、野党の人もそう思ってくれていればありがたいと思うんですが、そう思ってもらって、ひとついい国を一緒につくるという意気込みに燃えていきたいと思っております。  次に、金融問題でございますが、昨年まさに日本国じゅうが住専問題で大変大揺れに揺れました。住宅金融債権管理機構を創設して、六千八百五十億の公的資金を投入して、当面一区切りがついたんじゃないかと私は思っておるんですが、昨年十月一日に発足した管理機構が旧住専七社から継承した財産、約六兆円の債権を今後順調に回収できるのかどうか、一抹の不安を持っておるんですけれども、この辺のところはどなたに聞けばよ  ろしゅうございますか。
  238. 山口公生

    政府委員(山口公生君) お答え申し上げます。  住専問題の処理のために平成八年度予算に計上させていただきました六千八百五十億円につきましては、その処理策の進捗に伴いまして全額を既に支出させていただいております。  具体的にそのうち六千八百億円につきましては、住専七社から住宅金融債権管理機構が資産を譲り受ける際の損失処理に充当させていただきました。また、五十億円につきましては、預金保険機構に対する出資金として支出されて、その運営経費の捻出に充てられているところでございます。  こうした一連の処理に伴いまして住専七社は解散し、その財産を引き継いだ住宅金融債権管理機構が新たに罰則つきの財産調査権を付与された預金保険機構と一体となりまして強力な債権回収に取り組み始めたところでございます。  具体的にも、刑事的な責任追及をやり、また民事上の責任追及もやり、着実にこれから本格的にかかっていくところでございます。
  239. 田沢智治

    ○田沢智治君 今年度の回収予定額というのがある。二千七百四十三億、これは一体どういうような情勢になっているか。その進捗状況と、九年度の回収見込み六千三百九億円の現実性というものについての見通しがあれば、なきゃいいですよ、あれば聞かせてもらいたいと思います。
  240. 山口公生

    政府委員(山口公生君) お答え申し上げます。  昨年の末に督促状を発出し、これから本格的にかかるということでございまして、一応の見込みは立ててございますが、まだ確たる回収に、それが必ず取れるという状況はいまだ判明しておりませんが、できるだけの努力をさせていただきたいということでございます。
  241. 田沢智治

    ○田沢智治君 そんなことじゃ国民は納得しないよ。しっかりあなたやってもらわないと、何のために公的資金を出したかわけわからぬじゃないの。回収させるための一つの方法として公的資金を出して安定的な体質をつくって、不良債権を回収して、できれば回収し過ぎて国民に返していこうというのが目的なんだから、そういう目的に沿って行政は命がけでやってくれない限りこれはだめだと思うんだ。もう一遍答弁してください。
  242. 山口公生

    政府委員(山口公生君) ただいま申し上げましたように、住専管理機構は預金保険機構と一緒になりまして懸命な努力をしておりますし、また役所もいろいろな形でそれを支援する体制をとっております。全力を尽くさせていただきたいと思っております。
  243. 田沢智治

    ○田沢智治君 全力でやってください。それ以上言っても難しいと思うから。  それでは、せっかく日銀の総裁お見えでございます。恐縮でございます。  日本銀行法の改正案等について今進んでおる状況にありますし、経済全体がグローバル化し、我が国の金融政策にも市場原理を重視するために、二十一世紀の金融システムの中核として中央銀行のあり方の見直しとか、あるいは開かれた独立性を確保していくことが要請されております。  総理直属の中央銀行研究会や金融制度調査会等で日銀法の改正が検討され、近々国会に提出される予定と伺っております。日銀と大蔵省との関係についてはいろいろ論議があり、議決延期権から議決延期請求権に修正されたり、日本銀行の自主性の尊重に一定の工夫がなされたと私は思っております。  他方、国が主権者である国民を代表する国会の信任を得て内閣が存立するという我が国の制度下では、日本銀行は国会や内閣から完全に独立した存在であり得ないということも十分留意する必要があると私は思っておるんですが、日銀総裁の御所見が例えればと思います。
  244. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 日銀法の改正につきましては、ただいま御指摘のように、先月六日に取りまとめられました金融制度調査会の答申を踏まえまして、現在政府部内において法案の作成作業が進められているところでございます。  この改正の考え方の中で非常に重要な点を申し上げますと、それは、日本銀行が今後市場からの信任を得ながら金融政策を遂行してまいりますためには、金融政策に関します独立性が制度的にも担保されているということが重要な点であると考えております。しかしながら、これは同時に日本銀行が行います通貨政策の重要性にかんがみますというと、日銀が国会あるいは政府から完全に独立した存在であるというようなことはあり得ないことでございますのもまた当然のことでございます。  この点、金融制度調査会の答申におかれましても、日銀と政府との関係につきましては、現行法の業務命令権や役員解任権の廃止によって独立性を明確にするという一方で、政府による役員の任命権の保持、あるいは政策運営に当たっての政府との十分な意思疎通の確保、また政策委員会への政府の出席権、議案提出権、議決の延期を求める権利というような制度化の規定を置くべきであるということでございます。  また、国会との関係につきましても、政策委員会の構成メンバーの大事につきましては、これはすべて両議院の同意を要することとなっておりますし、また現在年一回とされております政策委員会からの報告書の提出も年二回に充実すべきこととなっておりますほか、金融政策に関する国会におきます説明につきましても、その充実を図るべきであるという提言が行われているところでございます。  このように、日銀が国民やマーケットからの信任を得まして政策を運営してまいりますためには、独立性と同時に政策運営の透明性を高めまして国民や国会に対して説明責任を十分に果たしていくということが求められているところでございます。  私どもといたしましても、みずからの責任の重さを強く自覚いたしまして万全の努力を尽くしていかなければならないというふうに認識をいたしております。
  245. 田沢智治

    ○田沢智治君 大蔵大臣、何かつけ加えることはありますか、特別にございませんか。
  246. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 中銀研及び金融制度調査会等の基本答申を中心に作業が行われ、三党においても方向性が明示をされたところであります。日銀総裁から基本的に御説明がありましたとおりであります。  今月十一日の法案提出に向けまして最大の努力をいたしておるところであります。その節はよろしくお願いいたします。
  247. 田沢智治

    ○田沢智治君 大変時間をかけ、いい内容になったのではないかと私は評価しますので、ぜひ早急に対処していただきたい、こう思っております。  次に、学校教育につきまして総理と文部大臣にお伺いしたいと思っております。  総理は、今国会冒頭の施政方針演説で、国際化、情報化が進展する中で国際社会に通用する人材を育成することが最重要課題であると、まことに適切な見識を述べられました。  クリントン大統領も、本年二月四日、アメリカの国会におきまして一般教書を演説し、その中で、今後四年間の最優先課題は、すべてのアメリカ国民に、十二歳でインターネットに接続でき、十八歳で全員が大学に通え、すべてのアメリカ国民が生涯学習を続けることのできる社会を目標とする方針を明確にして、両親による公立選択の確立、教育減税の実施などを含む教育予算の二〇%増額を公約して、強いアメリカの構築を訴えております。  そのことは、具体的な国家の教育目標を提示し、国民に呼びかける大統領の熱意のほとばしるものを私は感じまして、教育改革を我が橋本内閣がやろうとするならば、国家国民に向かって教育改革の目標はこういう目標であるということを少し訴えてもらいたい、こう思うんですが、小杉文部大臣からお願いします。
  248. 小杉隆

    国務大臣(小杉隆君) アメリカのクリントン般教書におきまして教育の重要性を強調されたわけですが、日本は先般、総理から教育改革、一人一人の個性を、そして自立のできる子供を育てる、そして夢と目標を持ってチャレンジ精神、創造性を発揮できる社会をと、こういうことで教育改革プログラムの作成を命じられました。私どもとして一生懸命それに基づきまして教育改革プログラムを編成したところであります。  今、先生指摘のとおり、情報教育は非常に重要でありまして、日本としても、例えば国立大学の情報という名のついた学部、学科が非常にふえております。学生数も平成元年の一万一千五百十八人から平成八年の一万五千五十九人と約五〇%ふえておりまして、今後とも情報に関する社会的なニーズに対応して増設していきたいと思っております。  それから、コンピューターとかインターネットなどは学習の多様化に非常に資するものでありまして教育的意義は大きい、こういうことから、私どももインターネットあるいはコンピューターについては非常に力を入れております。学校用のコンピューターの整備につきましては平成六年度から六年計画で整備しておりまして、小学校については二十二台、つまり一クラスの生徒さんの半分が利用できる、それから高校、中学につきましては四十二台、つまり一クラスの生徒が全部利用できるという台数を整備することとしております。  ただ、ハードの方はどんどん進んでおりますが、ソフトの方はまだまだ十分とは言えないわけであります。そのほか指導者養成ということで、特に今コンピューターを指導できる教員の数が非常に限られておりまして、小学校では一二・四%、つまり八人に一人しか教えることができない、それから中学校が二一%、高校が二二・五%ということで、これからコンピューターの指導ができる先生を育成する専門研修というのが非常に大事だというふうに考えております。
  249. 田沢智治

    ○田沢智治君 今、小杉文部大臣が申されるように、全員がやはり中学、高校クラスでインターネットぐらいに接続できる、そういうような教育を徹底するということをしないと日本の国際的地位というものは上がらないんじゃないか。先進国日本だから、科学技術立国日本というのならば、そういうような位置づけを国家目標にして位置づけしなければならぬ、私はこう思っておるんです。  昭和三十五年、安保騒動で大揺れして国論が二分化したとき、.その後池田内閣が誕生しました。池田内閣は所得倍増計画を提唱されて、多くの国民に期待を寄せられたという現実があるわけです。ちょうど私が三十前後のときでございましたが、大学に籍を置いておった関係で、所得を倍増するには田沢、おまえどういうことをやったら所得は倍増するんだということを恩師に言われて、それは、理工系のエンジニアを倍増しなければ製造業は倍増にならないから所得倍増できませんよという話を申したことを今思い出しているんです。  そういうことになりますと、産学官が共同して、昭和四十年に理工系の入学者を五万六千人にしたところ製造業の生産額は十一兆円になりました。昭和五十年に理工系入学者を九万三千人にしたら生産額は十四兆八千億になりました。今はどうかといいますと、平成五年の理工系入学者は十二万五千人、これは一年生です、製造業の生産額は百二十一兆五千億になっているということで、比例して、人材養成がやはり日本の国力、産業力をつけているという一つの実績が出てきているわけですね。  ですから、そういうようなことを見てみると、私は、これからやらなきゃならないものは何だということになると、人材養成というものは国連を左右する大きな力になる。だから、これを一生懸命やらないと落ち込んでいる日本はよくならぬというふうに私は教育の危機感を感じておりますから、教育改革というものに対しては非常に熱意を持って歓迎しておる。小杉大臣もしっかりやってくださっているから、私も大変力強く思っておるんです。  そこで、二十一世紀社会を迎えるに当たって国家的、国民的視野に立った世界の中の日本を構築するためには、クリントン大統領が明らかにしたように、日本も、国際化時代に対応した高度情報通信基盤の整備を、これは国家的、国民的目標として定めて、情報化時代に対応できる人材の育成というものは、学校教育の中で人材育成計画をカリキュラム化すべきだというのが私の主張です。  そして、中学生や高校生には、インターネットの接続ができる知識や技能を習得させて世界じゅうの人と自由に交流ができる知識を習得させ、互いの文化とか価値観というものが同時に交流できる仕組みになっておるんです。そういう中に立って世界の平和に貢献できる有能な人材をつくり上げていくというのも、日本が世界の中の日本として位置づける大きな財産だと思うんですが、総理、御感想があればお願い申し上げます。
  250. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、議員が指摘されましたような方向、私は教育改革の中で考えていかなければならない一つの方向であることはそのとおりだと思います。そして、高度情報通信基盤というものを整備していく上で、光ファイバーであれ、あるいは同軸ケーブルであれ無線であれ衛星であれ、我々は使える手段をむだにしないようにフルに使いながらその基盤づくりはしていかなければなりません。  同時に、文部大臣からも申し上げましたように、既に教育機材としてのパソコンの配付は相当程度進んでいる。しかし、それを養成する教職員の数が足りない。だから、そこで教職員の養成を急がなければならない。これもそのとおりでありまして、そういった努力は当然我々は払っていかなければなりません。  同時に、我々がもう一つ考えなければなりませんのは大学院進学率であります。今、議員が理工系学部の入学、卒業の関係からの議論をされました。欲を言ってつけ加えさせていただくならば、我が国の場合、先進国中、大学院進学率が大学進学率の高さに比して有意に低いという問題があります。今後、科学技術創造立国というものを目指す以上、当然のことながらより高度な研究体制を整備しなければなりませんし、その意味において大学院教育というものがなお普及する必要があると思います。  同時に、私は教育改革というものにもう一つの夢をかけております。なぜ子供たちの世界からいじめがなくならないんでしょうか。なぜそれこそいろいろな形で問題が子供たちの世界に絶えないんでしょうか。  私どものころにはまだ、家族という形態を考えましたとき、その中には兄弟というものが必ず存在をいたしました。必ずと言ってもいいと思います。しかし、今どんどんどんどん出生率が低下をいたしております。そして、個々の家庭に子供が少なくなった。それは同時に地域社会全体でも子供の数が少なくなったということであり、地域の中における遊びから生まれる子供のコミュニティーというものはありません。特に都市部はどんどん減少をいたしております。  こうしたことを考えるとき、教育というもの、学校教育のみに限定してとらえるべきなんだろうか。むしろ、これから女性の職場進出が一方で必要とされ、またどんどん進んでいる時代に、地域社会の中にどうやったら子供たちに家庭にかわる環境をつくり出していけるのか。家庭の受け持つべき機能、地域社会が持つべき機能、こうしたものをあわせて考えていくことが必要ではなかろうか、私はそのように考えております。
  251. 田沢智治

    ○田沢智治君 非常に関心を呼ぶ調査があるんです。それは、文部省の外郭団体の日本青少年研究所から出ている報告書、日、米、中国の高校生の親孝行に関しての調査書が出ているんですが、これを見ますと、親が高齢になって健康状態が悪くなった場合、日常生活で他人の助けを必要とする場合、あなたは親の面倒を見ますかということに対して、日本の高校生は六人に一人にとどまっている。ゆゆしいことですね。中国は三人に二人、アメリカは半分ということで、極めて日本の高校生は親孝行面については非常に低いという結果です。  しかし一方、両親や祖父母が精神的支えとして必要かという問いに対しては、八二%が絶対必要だと、こう言っているわけです。これは身勝手な話で、千石という所長さんは、調査の結果を分析すると、日本は儒教の影響を引きずりながら、理念として個人主義が入り、親子の関係のあり方について不安定な状況にあると。これもまた私はまことに的確な評価だと思うんです。まことにそのとおりなんです。  ここで、先ほど総理が言われるように、私はやっぱり家族は人間社会の基礎的な単位で、それの集合体、集積が国家を形成しているんだから、家族や家庭がその機能を十分に果たさないと国家の安定というものはできないと思うんです。ですから、これからの、学校教育だけじゃないけれども、地域、家庭があるけれども、こういうような子供に対する接し方、子供を教え育てるということについては大変な問題点が提起されているんじゃないかと私は思います。  そこで、戦後間もないころ、故人になられたハーバード大学の人類学のベネディクトという教授が西洋の文化と日本の文化を全部整理してあるんですが、その中で、西洋の文化というものは知識を通して理解する文化、日本の文化というものは、剣道、柔道、書道、茶道、華道と見られるように道の文化としての日本文化がとうとばれているんです。ですから、修行、実践によって道理をわきまえ、分別できる人格形成が体得されるものであるから、日本文化の方が本当は深い文化だから、日本人の特性はそういう次元においてもう一遍見直すべきなんだということを提言しているわけです。  総理、どうですか。
  252. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 随分昔、私も「菊と刀」を感激して読んだ記憶があります。そして、罪の文化と恥の文化という対比の仕方にも非常に興味を引かれました。そして、確かに今私どもは、その意味では、議員は先ほど儒教の残像という言葉をお使いになりましたけれども、私どもは確かに儒教的なものを引きずりながら、同時に西欧文明の世界に住んでおります。  従来、我が国の社会保障一つをとりましても、世帯単位で考えられておりましたものが、今個々の権利という形に変わりつつあります。いつの間にかお互いの思想が変化をし始めたのかもしれません。しかし私は、我々の先輩が築いてきた一つの文化、文明というもの、これは守り育てていくべきものだと思うんです。  よくアジアの多様性という言葉が、西欧文明に対して何か劣っているもののようなとらえ方をされることがあります。私は、アジアの多様性というのは、それぞれが伝統的な文明、文化を持ち、それを基盤に現代を築いている、その意味でははるかに可能性の深いものだ、そのような思いを持ってまいりました。  今「菊と刀」を引用されました。久しぶりにその名前を思い出しております。
  253. 田沢智治

    ○田沢智治君 最後に一言。  私は、そういう意味で日本文化と西洋文化の違いというものは、人間と自然を一体ととらえているのが日本の文化であって、自然が滅亡すれば人間も滅亡するという生命倫理に帰着したところに日本のよさがあると思うんです。こうした観点から将来を展望したとき、やがて二十一世紀の社会というものは、人間が自然を征服することなく自然を大切にしつつ共生していく、平和で豊かな社会形成を求める時代だと思います。  しかも、こうした世界を実現するためには、日本の青少年に他人を優しく思いやる心を育てる、美しいものや崇高なものに素直に感動する心を培い、家庭や公共のために尽くす喜びを味わい、郷土や国を愛する健康な心をはぐくみ、広く世界の人々に思いをはせる地球市民としての人間像を学校教育の中で位置づけるということが大変重要な大きな課題になると思う。  文部大臣、しっかりこれを心に入れて頑張ってもらいたいということをお願いしたいのでございます。
  254. 小杉隆

    国務大臣(小杉隆君) 一言だけ申し上げます。  まさにそこら辺が今度の教育改革プログラムの大きな視点であります。新しい時代への人材養成とともにすばらしい人間性の育成、こういうことで先生が今御指摘された自然との共生、この共生というキーワードは、これからの環境問題を考えましても、国際化の時代に入りましても、エネルギー問題、人口問題、貧困問題を考えましても、常に私たちの念頭に、これから心にとめておくべきキーワードだと思います。
  255. 田沢智治

    ○田沢智治君 それでは、関連に真鍋先生にバトンタッチいたします。
  256. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 関連質疑を許します。真鍋賢二君。
  257. 真鍋賢二

    ○真鍋賢二君 自民党の真鍋賢二であります。田沢議員の関連質疑を福祉の面と外交の面でやらせていただきたいと存じます。  それにいたしましても、橋本総理初め閣僚の皆さん、御苦労さまでございました。昨日、衆議院の本会議で予算が通過したのでほっとしておるんじゃないかと思うわけであります。しかし、参議院の審議というものは大変重要でございます。これからまさに画竜点購を入れなければならないわけでありまして、ひとつ橋本総理のリーダーシップよろしきを得て、この大きな転換期に掲げる六つの改革を大きな目標として頑張っていっていただきたいと思います。  先ほど頑張れ頑張れではいかぬぞと、一緒になってやれよというような御意見もいただいたわけでありますが、我々も一緒になって、また野党の皆さん方にもぜひひとつ御協力をちょうだいして、立派な予算として参議院を通過させていただきたいと私は思います。  それにいたしましても、この予算でございますけれども、いろんな御意見がございます。確かに衆議院の段階での予算審議で大方の意見が決まっただろうということでありますけれども、これは今年度予算だけでなくて二年、三年後、否五年、十年後の日本の財政金融にかかわる大きな問題でございますので、そういう視点に立ってひとつ論議を進めていっていただきたいと思う次第であります。  さて、昨年の一月二十三日に、先ほど申されておりましたように、アメリカのクリントン大統領は再選を目指して一般教書を発表いたしました。  大統領は、米国の挑戦と題して七つの課題を挙げました。その中で第一の挑戦は、子供たちを大切にし、米国の家族を強化することである。家族はアメリカ人の生活の基盤である、こう述べられて家族の強化を訴えられたわけであります。  また、再選されるや否や、今年の一月二十三日には就任演説で、教育問題などアメリカの挑戦を実現する方針を発表されました。  時あたかも同じくして一月二十日でございますけれども、橋本総理は六つの改革を掲げたわけであります。これらを何としても断行しなければならないという強い意気込みでもって橋本総理は次のようなことを述べられております。  私が目指す社会の建設は、社会の仕組みを変えるだけでは実現できません。私は、この国で暮らすすべての人が、正義や公正を重んじ、他人や弱い者への思いやりを持ち、人生の先輩を敬い、郷土や国、そしてかけがえのない地球を愛する心を持つことのできる環境をつくり出すことこそが政治の役割である こう申されて、六つの改革を目指す社会の人間像を示されたわけであります。  表現は違いますけれども、アメリカのクリントン大統領、また橋本総理がこれからの新たな理想の建設に向かう、その姿をかいま見ることができ、また家族や家庭、人間環境の重要性を挙げたのは決して偶然でないと、こう思えてならないわけであります。  顧みれば、戦後の時代は経済、技術の飛躍の時代であったと同時に、家庭や家族の受難の時代でもありました。今日の社会の最大の問題である人間性の喪失は、戦後のこうした風潮の中で進行したのであります。  自来、戦後の反省の上に立って新しく理想の社会の建設に立ち上がろうとすれば、人間の最も根本的な価値に立脚し、これをはぐくむ家族や地球社会、国や自然、伝統の文化に立ち返って事を起こさなければならないのは当然であります。  そこで、総理にお伺いいたしたいわけでありますが、橋本総理の愛読書はと聞かれたら、両親が愛読されておった「南の島に雪が降る」ということを挙げられたわけであります。また、総理の一日を拝見いたしておりますと、多忙の中にもかかわりませず国立国際医療センターにお母さんを見舞われておる。その姿を私は拝見いたしまして、まことに家族思いの人間愛の深い方だなということがうかがえるわけであります。  そこで私は、総理の家庭観とか家族観についてお伺いをいたしたいと思うわけでありますが、いかがでございましょうか。
  258. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 家庭観あるいは家族観などと思い上がったことを申し上げるつもりはありません。ただ、だれもやはりそれぞれ自分の周辺にいろんな問題を抱えていると思います。そして、その解決にいろいろの悩みを持ってありましょう。  ただ、少なくとも間違いなしに共通する価値観として皆が持つもの、それは親が長生きしていてほしいということであり、子供たちが健やかに育ってほしい、あるいは孫たちが健やかに育ってほしいという思いだと思います。そして、長い間我が国の場合には、家庭というのが社会の単位とし、非常にしっかりとした地位を持っておりました。そして、その中においてお年寄りというのは、その家庭だけではない、親戚みんなから大事にされる存在だったと思います。平均寿命が延び、長寿の方々の姿を身の回りに見る機会がふえるにつけて、いつの間にかそのお年寄りというものをみんな忘れちゃったんじゃないだろうか、時々私はそんなことを思います。  そして、お年寄りが長生きをし、しかも喜んで長生きをしていただける、子供たちがあるいは孫たちが本当に付き添いもなしに外に出ても安心していられる社会を維持していられる、そんな思いが一番大事なことなんじゃないだろうか、私はそんな感じがいたします。
  259. 真鍋賢二

    ○真鍋賢二君 今豊かな老後のことについてお話がございました。私も老後問題についてはいろいろ考えさせられておるところであります。  総理が初めて入閣したのはたしか大平内閣の厚生大臣じゃなかったかと思います。厚生に対する大変な情熱を燃やしておられた姿を今思い浮かべるわけであります。  そこで、老後というのは自助の精神と蓄え、確実で信頼できる社会給付、整った設備、これに加えるに隣近所の古い友人や強いきずなで結ばれた家庭や家族の愛情に支えられる、そして本当に生きがいを感じる人間的な温かみというものが必要じゃないかと思っておるわけであります。  総理の目指す社会福祉像について御所見をお伺いしたいと思います。
  260. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今私は振り返ってみまして、党派を抜きにして、昭和三十年代の私どもの先輩方というのは大変な先見性を持っておられたとしみじみ思います。なぜなら、国民皆保険、国民皆年金というものを構想しスタートさせられた。しかも、それだけではなくて、やがてもっと長寿の、言いかえれば高齢者のふえていく社会が出てくることを予見されて老人福祉法という法律を昭和三十八年におつくりになった。  私は、実は興味を持って調べたことがありますけれども、老人という言葉が法律用語になったのはこの老人福祉法が初めてでありました。言いかえれば、昭和三十八年以前においては、まさにお年寄り、長生きをされる方々は家族の誇りであり、親族の誇りであり、そしてそのお世話というのは家庭という機能、親族という機能に、よほどの場合地域社会が関与することがあったかもしれませんけれども、それが一つのまた私は誇りだったのではないかと思います。それだけに、本当にその昭和三十八年という時期に老人福祉法という、国あるいは地方公共団体、地域社会というものがお年寄りの老後の幸せというものを確保していくために必要という思想を打ち出されたというのは、私は大変な先見性だったと思っております。  そして、議員から今御指摘をいただきました第一次大平内閣で厚生大臣を拝命しましたときに、私は世帯単位というとらえ方を何とか維持したい、その方向に向けたいということを考えておりました。その当時、既に総理府の世論調査等の中でも世代間同居を希望する率は七割を少し上回る程度にまで下がっていたと思います。しかし、なおかつ圧倒的に欧米先進国の中では強い同居志向を持つ国でありました。ヨーロッパのほとんどが一けた台、アメリカが十何%だったかというふうにうろ覚えに覚えておりますが、そうした同居志向に対し日本の七割前後という同居志向は極めて高い数字だったと記憶をいたしております。  それだけに、世帯単位という構成をどうすれば維持できるのか、そして既にどんどん工業化の進んでおります、むしろ第一次、第二次のオイルショックを構えておるときですから、若い方々が親とは離れて暮らす方が普通になりかけていた時期だけに、例えば同居をすることによって税制が有利にならないかとか、あるいは住宅建設についても世代間同居の可能な住宅の建設促進ができないかとか、いろんなことを考えてみました。しかし、その後の世の中の流れを見ておりますと、むしろ出生率そのものが当時では想定のできないような下がり方をしております。  今、これからを考えますと、出生率をいかに回復することができるのか、そしてその中で無理のない、いわばおつゆの冷めない距離という中でお年寄りが子供や孫の世代との暮らしの喜びを味わうことができるのか、そのような夢を追いながら仕事ができればと、そのように考えております。
  261. 真鍋賢二

    ○真鍋賢二君 小泉厚生大臣にお尋ねしたいわけでありますけれども総理が今申されたように、今日少子化現象が非常に大きく取り上げられておるわけであります。果たして二〇一〇年、二〇年、二五年にはどのくらいになるんだろうかということが各省庁で試算もされておるわけでありますけれども、一概にこれだという数字は出てまいらないわけでありますが、少子化傾向をたどることは確実だ、こう思っておるわけであります。  今、今国会で問題になります介護保険や、そしてまた年金、保険、いろんなことを考えると、これから少子化現象に対する対応を考えていかなければならないと思うわけであります。これらの問題について厚生大臣の所感と、そして問題意識をひとつ披瀝いただきたいと思います。
  262. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 少子化の原因というのは一概には言えないし、また一つの理由ではないと思います。  まず、今言われているのが未婚率が上昇している、そしてまた結婚したとしても晩婚化だ、これが少子化のかなり強い原因ではないかと言われております。また、子育ての環境も違っておりますし、女性の方々も最近では働きに出る方が非常に多くなってきております。  いろいろ経済環境、労働環境は違いますが、この少子化の原因は何だろうか、また出生率を回復するにはどうしたらいいかというのは、学者の皆さんとか経済界の皆さん、労働界の皆さん、各界の方々からこれから幅広く議論を伺いまして、今後高齢・少子化社会にどう対応していくかという方策を、十分国民的な議論を喚起しながら対策を練らなきゃならない大事な問題だと思います。  生活水準を上げ、女性の働きやすい場を確保すれば出生率は回復するかという問題でもないんですね。むしろ生活水準の高い先進国の方が少子化の傾向がある、生活水準の低い方が子供が多いということを考えてもこれは一様な理由ではない、さまざまな理由があるという観点から、どういう原因であるか、対策というのはもう本当にじっくりと幅広い議論を聞かなきゃいけないと思います。  そして、少子化の影響するところは大きいと思います。それは何よりも福祉関係を見ても、年金、医療、介護にしても、かつては子供の数が一番多い、高齢者は一番少ないという像の人口構造を描くとピラミッド型だったのが、今はだんだんずんどう型になっています。むしろ、子供が少なくて高齢者が多いということを考えますと、これは年金にしても医療にしても介護にしても財政的な影響は非常に大きい。支える方が少なくなって給付を受ける方が多くなる、この問題をどうするのかということもありますので、今後じっくりと議論して対策を考えていきたいと思います。御協力をお願いしたいと思います。
  263. 真鍋賢二

    ○真鍋賢二君 厚生大臣も、十分な見通しが立たないけれども皆さんと相談しながらじつくりやっていこうということであります。日本の大きなこれからの課題であると思うわけであります。これらの問題についてはまた場所を変えて議論をさせていただきたいと思います。  次に、小杉文部大臣にお伺いいたしたいわけでありますけれども、今福祉社会で新しい人間像を求めなければならないという総理からの答弁もございました。そして、先般の神戸の震災やまた油の流出を見ましても、ボランティア活動が大変な力になったとその評価を一概にいたしておるところでありますけれども、これからの教育というものについては、そういっただ単なる教育方針というだけでなくて、社会福祉にかかわる教育というものに力を入れていかなければならないんじゃないかと思いますが、この福祉社会に対する教育方針ということについてお伺いしたいと思います。
  264. 小杉隆

    国務大臣(小杉隆君) 急ピッチで進む高齢化、少子化の中で、弱い者へのいたわり、恵まれない人への優しい心、それは非常に重要であります。先ほど総理からも言われたように、これは学校教育はもちろんでありますが、家庭教育、社会教育の中で全体がやはり責任を持っていかなきゃいけないと思っております。  私はまず、例えば家庭教育の場では一番最初に生活習慣をつける場でありますし、またしつけということは重要であります。最近どうしてもこのしつけという教育力が低下しておりまして、私はできるだけ母親教育、それは幼稚園とか保育園でやっていただくということをこれからは考えるべきだと思っておりますし、また父親ができるだけ家庭教育にもう一度カムバックしてもらいたい、こういうことも日経連の方々にもお願いをしております。  それから、今度の教育改革プログラムの中ではそうしたボランティア活動というものを一つの重要な柱としておりますし、それから介護、こういうものに参加するということも重要なプログラムにしておりまして、詳細は申し上げませんけれども、社会福祉における教育の重要性ということを十分認識しながら今後対処していきたいと思っております。
  265. 真鍋賢二

    ○真鍋賢二君 教育の必要性というのは多岐にわたっておるわけでありまして、いろんな論議を加えていくわけでありますけれども、橋本内閣におきましても六つの改革の中で大きく取り上げておるわけでありまして、この機会にこそ多岐にわたる論議を重ねて充実した福祉教育もしてもらいたいものと思っております。  次に、石井環境庁長官にお伺いをいたしたいわけでありますけれども、私もこの間テレビを見ましてショッキングなことがあったわけであります。南極の巨大な氷原が長々と走っておる。そこに溝ができておる。これは温暖化の一つの大きな現象じゃないかなという気もいたしたわけでありますけれども、これは今温暖化によって水位が高くなったりその他の被害も出ておるようにもうかがえるわけであります。  そこで、地球温暖化の件に関しまして、一九七二年に発表されましたローマ・クラブの「成長の限界」というのがあるわけであります。加速的な工業化、急速な人口増加、そして環境の悪化などから大量消費文明の破局が指摘されたわけであります。あれからもう二十五年になるわけであります。そんなことを考えてみまして、この地球温暖化の現状と将来の予測について環境庁はどのようなお考えを持っておるのか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  266. 石井道子

    国務大臣(石井道子君) 真鍋委員の御質問お答えさせていただきます。  我が国がかつての経済発展を遂げた段階で深刻な公害問題に直面をいたしました。そして、環境庁もできたわけでございますが、いろいろな法律を整備しながらその克服も図ってきたところでございます。  しかし、最近も大気汚染でありますとかあるいは水質汚濁、また廃棄物処理問題というような日常生活活動に関係をする公害が非常に多くなりまして、まだ改善がはかばかしくなっておりません。そしてさらに、ただいまおっしゃいましたように、地球規模での環境問題が非常にクローズアップをされてまいりました。それは地球の温暖化でございますとかオゾン層の破壊、そしてまた酸性雨の問題、砂漠化の進行、海洋汚染、そのような地球規模で取り組まなければならない環境の問題が非常に重要な課題となってきたわけでございます。そのような背景の中で、現在は世界的に地球規模で環境問題を取り上げてきているところでもございます。  我々の日常生活の活動の中での改善ということと同時に、やはり企業による経済活動などの改善もだんだんと図られてきているとは思うわけでございますが、今までのような大量生産、大量消費、大量廃棄というような日本の経済社会システムを見直していかなければならないと思いますし、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会にしていかなければなりませんので、我々一人一人がライフスタイルを変えていくということが求められているというふうに思います。  先ほどお話がありましたように、ローマ・クラブによりまして二十五年前に現在のような状況が予測をされまして示されたわけでございます。このことにつきましては、一九九二年の地球サミットにおいて、まさに持続可能な開発という表現でそのことが取り上げられたという経緯もございます。これは、大変地球環境問題に対しましては先駆的な役割を果たされ、非常に先見性のあるものとして私は敬服をしているわけでございます。  そのような今までの経緯に基づきまして、これから日本としても環境基本法に基づきます環境基本計画に基づいて、四つの長期的な目標として循環、共生、参加、国際的取り組みというような目標を掲げまして、その目標ができるだけ早く達成できるようにということで、今最大限の努力を払っているところでもございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
  267. 真鍋賢二

    ○真鍋賢二君 私はさっき、戦後時代は家庭や家族の人間性の受難の時代であったというようなことを申し上げたわけであります。さらに言うならば、地球や環境、自然の受難の時代ではなかったかと思うわけであります。  そこで、今年十二月、地球温暖化防止京都会議というのが、世界から百七十数カ国が集まって会議を開くということで、我が国の環境問題に取り組む姿勢も大変強くなってきたと思うわけであります。それだけに、この環境京都会議のイニシアチブをとっていかなければならないわけでありますけれども、石井環境庁長官として、この会議に臨む決意をひとつお示しいただきたいと思います。
  268. 石井道子

    国務大臣(石井道子君) ただいま御指摘になりました、ことしの十二月に行われます地球温暖化防止京都会議におきましては、百七十カ国以上の国が参加をするわけでございます。非常に大規模で重要な会議でありまして、NGOも含めますと約五千人の方が参加するだろうと見込まれているところでございます。  日本は今まで、少資源の国として経済活動をする際に多くの資源を海外に依存してまいりました。そしてまた、地球環境に対しても、また国際社会に対しましても非常にいろんな意味での連携があったわけでございます。今までの日本の公害対策先進国としての経験をこれから環境保全に対して、地球環境の保全のためにその技術とか経験を生かしていく必要があるというふうにも考えているところでございます。  そのような中で、ちょうど一九九五に行われましたベルリンでの第一回の締約国会議におきましていろいろと取り決めがあったわけでございますが、そのときには一九九〇年レベルでの条件で二〇〇〇年に向かおうというような中身でございました。しかし、二〇〇〇年以後の目標についてはまだ決めておりませんので、その対策について、今度の京都会議におきまして具体的な政策とかあるいは目標値を定める必要があるのではないかということで今取り組んでいるところでもございます。  温暖化が起こることによって地球の環境が非常に変わってくる、百年たつと温度が二度上がって海水面が五十センチぐらい上昇するということが言われております。これは氷河期における状況が三度から六度の違いがあったというようなことがありまして、そうばかにすることはできませんし、非常に切実な問題としてやはり地球的規模でこの温暖化問題を取り上げていかなければなりません。  そのような関係で、今度の京都会議におきましては、これからの人類の将来の帰趨がかかっている重要な会議でございますので、日本のリーダーシップの発揮がどうしても必要になってまいります。現在もたびたび打合会が開かれておりまして、ちょうど今月の四日からドイツで締約国特別会合が開かれているところでございます。代表が伺っておりまして、これから二酸化炭素の削減対策について具体的な政策を提言しようということで今いろいろと努力をしている最中でもございます。このような中身を各国の合意が得られるようにまとめるためにはまだまだ多くの障害がありましてそう簡単にはいかないかと思いますが、そこで日本が積極的にリードをして立派なものにしていきたいと今取り組んでいる最中でございます。  さらに、この問題につきましては、国際会議を成功させるためには、日本の国内においてどれだけの成果が上げられたか、実績があるかということが大変重要になってまいりますので、国内においてどのようにしてこのような外国に対しても胸を張って発表できるような成果が上げられるかということで、これは国民総ぐるみの運動を展開しようということで今環境庁でも取り組みに着手したところでございます。これは各省庁の御協力をいただいたり、あるいは地方公共団体との連携の中で今取り組んでいる最中でもございます。  このような環境対策について配慮した活動ということによって産業界の取り組みが行われるわけでございますから、そのような場合には新しい技術革新が当然生まれると思いますし、そこで健全な経済発展の原動力になるということも私は期待をしているわけでございます。これから生活や経済の基盤である地球を守るという人類全体の大きなニーズにこたえられるような、そういう産業や人材を育てることはこれからの重要な政策と認識をしております。  人類が破滅にならないように今この環境問題を、特に地球環境問題を重要に考えまして、これから環境保全型の経済社会づくりのために取り組んでいきたいと決意を新たにしているところでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
  269. 真鍋賢二

    ○真鍋賢二君 福祉関連の質問は以上で終了させていただきたいと存じますが、時間がございますので外交関係に入らせていただきたいと思います。  我が国は過去に戦争という大きな負の遺産を背負っておるわけであります。戦争の傷跡というのは一片の謝罪やわずかの努力でいえるものではないことはもう皆さん御承知のとおりであります。  しかし、戦争後五十年以上を経てなお各国間に過去の傷跡が生々しく残って、これが両国間の真の友好と協力関係に暗い影を落としておるわけであります。外交というものは一朝一夕にしてならずということでございますけれども、地道な努力をしていかなければならないと思っておるわけであります。  ちなみに、我が国のODAの協力費は世界で一番であります。また、国連の分担金もアメリカに次いで二位ということで、ある意味では世界に対する貢献度ということでは優等生じゃないかと、こう思っておるわけであります。  かつて、西ドイツの首相のシュミットさんが日本には友邦国はいないというようなことを申されたのを思い出すわけであります。私も大平元総理の最後の旅のところで一緒に参ったわけでありますが、ユーゴスラビアのチトーさんがお亡くなりになったときでございますが、ちょうどボンでシュミットさんにお目にかかったわけであります。そうしたら、アメリカがイランの人質救出作戦で失敗したり、またソ連がアフガンの方に侵入したりして、アメリカの立場が非常に悪くなっておったときでありました。  そういう状況下において、これからの世界のリーダー国というのは日本と西ドイツじゃないか、両国間が一生懸命に力を合わせて頑張っていこうと。一九八〇年でございましたけれども、その後に行われるベネチア・サミットで力を合わせてやろうということを誓い合って、私もこれで友邦国のパートナーができたかなと、こうも思っておったわけでありますけれども、その後大平元総理は急死してしまったわけであります。  この友邦国をたくさんつくっていくということに対して、何か総理の御所感がございましたらお尋ねをいたしたいと思います。
  270. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、シュミットさんのお考えというものに対して個人的に云々と言うつもりはありません。  ただ、私は日本は現在世界の各地に随分多くの友人を持てる国になったと思っておりますし、また現に持っておると思います。そして、それをなお一層ふやしていくために一番必要なこと、それは若い世代が相互に交流することによって相手を知り、また自分の国の姿を相手の国に見せる、そうした地道な積み重ねによるものではないでしょうか。  海外協力隊の諸君の活動、あるいはPKO活動で現地で苦労してくれております諸君、民間ボランティアの方々、こうした方々の活躍によって我々がかち得てきた友情というものは本当にとうといものがある、そのように思います。
  271. 真鍋賢二

    ○真鍋賢二君 友人がいるとかいないとかいうのは主観的な問題でございますので、とかく言う必要はないと思うわけでありますけれども、この問題に対して、池田外務大臣、何か御所感がございましたらお尋ねいたしたいと存じます。
  272. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 私もシュミット氏の発言の意味するところを必ずしも存じませんけれども、あえて申しますと、さきの大戦で同じ敗戦をした国でありながらドイツと日本とどう違うかという点でよく言われますことは、ドイツの場合には戦争というものを国際的に裁かれただけではなくて、ドイツの国自体においても、あれはヒトラーあるいはナチズム、それが起こしたものであり、これはやはり犯罪であったというふうな位置づけをし、そういった意味で一つの区切りをつけたという、こういうことがあった。そのことが、その後戦後の世界においてヨーロッパ初め世界の各国とっき合っていく上においてのいわば、委員おっしゃいました負の遺産を一応清算した、そういうことがあったと。  それに引きかえまして我が国の場合にはいろいろな事情がございました。また、大戦に至るまでの経過も必ずしもドイツと同じではなかった、こういうこともあるとは思います。そういったところもございまして、東京裁判というものはございましたけれども日本の国内においてそういった明確な区切りが必ずしもあったとは言えないんじゃないか、ドイツと比較しまして。そういったことで、近隣の諸国を初め世界とつき合ってまいります場合に、我々の過去の一時期の行動をどういうふうに位置づけ、そしてどういうふうにそれを自分たちでそしゃくした上で近隣の諸国とつき合っていくかという意味でどうしてもいつまでも難しい面が残っている、こういう点はあるんだと思います。  しかしながら、先ほど総理もおっしゃいましたように、日本国民の長い半世紀にわたる営々たる営みの中で、政治の世界あるいは外交の世界もいろいろ友邦をつくるための努力をしてまいりました。そういった意味で、決して私は今、日本が友邦のない国だ、世界で孤立しているという状態にはないと思います。  しかし、おっしゃるとおりこれから将来に向かって、米国、ドイツあるいはその他の国々とともに世界の新しい秩序をつくり、また支えていかなくちゃいけない、そういった役割を果たさなくちゃいけないという位置、地位にある日本でございますので、なお各国の友情をかち得るように努力してまいらなくちゃいけないと思います。そういった場合に、我々は過去を直視し、しかしそれを未来の発展につなげていくような取り組みでいかなくちゃいけないのかなと思います。  それからまた、委員の御指摘の中でODAが一番だからという話もございましたけれども、それもODAというものがなんだから、それで我々は世界に貢献していると胸を張ってばかりでは決していけないのでございましょう。経済的な面だけで言いましても、あるいはLDCとの関係だけで言いましても、まずマーケットアクセスをどうするかとか、あるいは民間での設備投資その他をどうするか、そういったいろいろな協力といいましょうか、そういったものの中の一つがODAであるという位置づけでございましょう。  また、ODAというのも決して我々が開発途上国に一方的に恩恵を与えるものと考えちゃいけません。我が国のようなもともとが貿易立国であり、国際経済のネットワークの中で存立を図るしかないような国柄でございますので、我々自身の存立のためにもODAは必要なんだ、そういったいろいろなことも考えながら、これからアジアの諸国あるいは世界の各国と友好関係を広げていくために努力すべきかと存ずる次第でございます。  若干感想が長くなりまして、恐縮でございました。
  273. 真鍋賢二

    ○真鍋賢二君 私はことしの一月七日に、ハーバード大学の教授で「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の著者でございますエズラ・ボーゲル博士とお目にかかってお話をし、また講演も伺ったわけであります。  日本の将来はどうだろうかという端的な質問をしたわけであります。日本の国は立派だ。今ちょっと政治家は自信を失っておるけれども、そんなことではない。為替レートの二百四十円時代、これは八五年でございましたけれども、それから十年間で三分の一の八十円にもなった。しかし、日本はまだ立派に輸出を継続して利益を上げておるじゃないか、そんな力強い国はもう諸外国にない。日本は元気を出さなきゃならぬ、こんな励ましもいただいたわけであります。  しかしながら、一面、日本は外交的にもう少し問題処理を的確にやらなきゃいかぬ。例えば、戦後処理の問題。マレーシアのマハティール首相からも、日本の外交は土下座外交をやり過ぎておるというような非難も受けたわけでありますけれども、謝るところはしっかり謝って、戦後の処理はもうこれで終わりというぐらいの位置づけをして、これからの日本の外交やそしてまた政治に取り組んでいかなければならぬと、そういうような感想を漏らされたわけであります。  そんなことを思いながら、私は人間主義外交というものを橋本総理に提言したいと思うわけであります。個々の問題を処理するときには長期的な視野に立って人間主義の外交を展開しなければならないわけでありますが、人間の信頼の上に立つ外交というのはこれがもう何よりも外交の基本になると、こう思うわけであります。  多くを申し上げる時間はございませんので、人間主義外交のことについて御感想をお聞かせいただけたらと思う次第であります。
  274. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、本当に外交というのは国民一人一人がいかにして友好と信頼関係を相手側との間に築くか、それが基盤として形成されるものだと思います。私は人間主義の外交というような呼び方をするのは考えつきませんでしたけれども、要は同じことだと思います。  そして、諸外国との人的な交流だけではなく文化的な交流というものが一層進みますこと、しかもそれが政府レベルだけではなくて一般国民を含む幅広いレベルでの交流が進展をしていくこと、これが相互の国民の間の理解を助け信頼を深めていく、その意味では私は人間主義の外交と言われることに一つの共通点を見出したような思いがいたします。
  275. 真鍋賢二

    ○真鍋賢二君 総理は日米関係日本の最も重要な二国間関係であると位置づけられて、今後とも日米関係の信頼の増進と協力を図っていきたい、こううたっておられるわけであります。もちろん私も同感でございまして、今日、日本が繁栄した大きな力は日米安保条約であったと、先ほど来お話のあったとおりであります。  そんなことで、日米関係をより強力にしていかなければならないことはもうだれしもが意見の一致するところでありますけれども、この日米関係を今後どのように構築していったらいいのだろうか。  実は、二月の下旬にアメリカの新国務長官のオルブライトさんが日本と韓国と中国の三国を訪問いたしたわけでありますけれども、そのときに、クリントン政権二期目に当たって、北東アジア外交の基本についていろいろな話が私は出たんじゃないだろうかと思うわけであります。もしお聞かせいただけるならば、答えられる範囲内でひとつよろしくお願いいたします。
  276. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 委員指摘のとおり、米国と日本との間、これは非常に緊密な関係でもあり重要な関係でございます。民主主義、自由、さらには市場経済といったような基本的な原理を共有しておりますし、政治、経済、安全保障、あらゆる意味で最も深くまた幅の広い関係があるところでございますので、我が国の外交の基軸として大切にしてまいらなくてはいけないと思っております。  先般、オルブライト新国務長官が訪日されました節、総理ともお会いいただきましたし、また通産大臣、防衛庁長官、そして私もいろいろお話をさせていただきました。そういったものを通じまして二国間関係の重要性についていろいろ話が交わされた。とりわけ安全保障の問題につきましては、昨年のクリントン大統領御訪日の際の首脳会談以来、御承知のように将来に向かっての大きな努力が重ねられているところでございますので、とりわけ総理との会談の場においても現状と将来に向かっての我が国の乗り越えなくてはいけない課題等についてもいろいろ話をされたところでございます。  それから、経済問題につきましても、通産大臣のところあるいは私のところでもいろいろ話を交わされました。  それから、委員特に御指摘の北東アジアの問題という話がございました。  その関係につきましては、私との会談におきまして、まず韓国あるいは朝鮮半島の問題につきまして、一つは黄北朝鮮書記の亡命の直後でございましたので、この問題についていろいろ見方が、意見といいましょうか、そういったものの交換をしたということがございましたし、朝鮮半島の安定のためにはやはり四者会合というものをきちんと実現していかなくちゃいけない、あるいは核疑惑の問題を除去するために日米韓が中心になって進めておりますKEDOのプロセスでございますね、こういったものを引き続き協力して進めていこうというような話がされたわけでございます。  そしてまた、中国の関係につきましては、これも日本、アメリカ、さらに中国というものがこれからアジア太平洋の地域において、あるいは国際社会においてどのように行動していくか、あるいはどのように連携するか、あるいは反発していくか、そのことが地域全体をも大きく変えていくのでこの三国の関係をきちんとやっていこうと。  とりわけWTOの加盟の問題を控えておるということもございましたりしまして、日米が協力して国際社会の建設的なパートナーの立場で中国がいろいろ役割を果たしてくれるように働きかけていこうじゃないか、そういったような話をいろいろしたところでございます。
  277. 真鍋賢二

    ○真鍋賢二君 日米防衛協力ガイドラインの進捗状況につきましては先ほど同僚議員の方からお尋ねがございましたけれども、なお改めてお尋ねいたすわけであります。  やはり冷戦構造が崩壊した後の防衛方式というのはおのずから変化が生じてくるわけであります。アメリカにいたしましても、抑止的な力というものをこの場に発揮しなければならないと思うわけであります。この点につきまして、ことしの秋ごろには決まってくるだろうというようなお話もあるわけでありますけれども、久間防衛庁長官並びに外務大臣にお伺いいたしたいと思います。
  278. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 先ほどほかの委員先生に答えたようでございますけれども、このガイドラインにつきましては策定後約二十年たっておるわけでございます。その間に冷戦後の内外情勢の変化も踏まえまして我が国でも防衛大綱が新しく策定されまして、またその間に日米防衛協力がかなり進展したこと等を踏まえまして所要の見直しを行うものでございます。  現在、平素から行う協力日本に対する武力攻撃に際しての対処行動と、それから日本周辺地域において発生し得る事態での日本の平和と安全に重要な影響を与える場合の協力について研究、協議を行っておりまして、それぞれ日米間においてこの対象となり得る具体的な機能及び分野を抽出する等の作業を行っておるところであります。  これら各検討を行うことにしておるわけでございますけれども、ただ従来の日米は協力して危機発生を未然に防止するように努めること、また日本に対する武力攻撃がなされた場合には日本は防勢作戦を実施し、米国は自衛隊の能力の及ばない機能を補完するための作戦を実施すること、我が国周辺地域の安全と安定に貢献する米軍に対し日本は適切な支援を行うことという、このような現行の指針の基本的な理念は堅持されることといたしております。  また、言わずもがなでございますけれども、このほかにも日米安保条約並びにそれに基づくいろいろな取り決め、そして日本国憲法、日米同盟関係の基本的な枠組みも変更しない、これらについては従来どおりでございます。  他方、例えば今度の防衛大綱では、防衛力の役割として新たにより安定した安全保障環境の構築への貢献を位置づけたところであります。防衛庁としては現行指針策定時と比較して、平素からこのような分野における日米の協力が重要と考えておりまして、平素から行う協力の中で防衛・安保対話を研究、協議事項としております。それと同時に、日本周辺において発生し得る事態で日本の平和と安全に重要な影響を与える場合の日米防衛協力の対象となり得る具体的な機能及び分野の検討を行うことに見られますように、指針の具体的な内容については大幅に見直すことが適切であると考え、現在その作業を行っているところでございます。
  279. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) ただいま防衛庁長官から御答弁申し上げたとおりでございまして、新しい情勢下における日米協力のあり方につきまして慎重に、また真剣に検討を進めまして、本年秋には結論を出したいと、こう考えている次第でございます。
  280. 真鍋賢二

    ○真鍋賢二君 それでは、中国問題に入りたいと思います。  本年は日中国交正常化二十五周年の記念すべき年に当たるわけであります。  私も、一九七二、三年ごろの田中内閣当時、大平外務大臣の秘書をしておりまして、田中総理やまた大平外務大臣、藤山愛一郎日中友好協会会長等々といろんな連絡をとって外交交渉に当たったわけであります。もはや二十五年の年月が過ぎたかなと思って感慨無量のものがあるわけであります。当時の中国側の首脳といたしましても、毛沢東主席や周恩来首相、また姫鵬飛外相や蓼承志中日友好協会会長ら首脳といろいろと外交交渉をしたわけでありますけれども、私の生涯にとってみればこれは大きな財産になったと思っておるわけであります。  しかし、今日、好感度というのであえて日中関係を見てみますると、五〇%以上の方が余りいい感じを持っておらないというような数字が出ておるわけであります。何としても隣国である、大国である中国との関係をより友好にしていかなければならない、こう考えておるわけであります。  その二十五周年に当たっての橋本総理のお考えをお聞かせいただけたらと思う次第であります。
  281. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 昨年の四月、東京で日米首脳会談を開きましたとき、私はクリントン大統領に対し、米中関係をもう少し何とかならないのかということを申し上げたぐらい感じを持っておりました。その後、米中関係は非常に改善をされました。  そして、私はいつも申し上げていることでありますけれども、日米、日中、米中、この三角形がそれぞれにしっかりと安定した関係をつくることがアジア太平洋地域に最も大事なことだ、その平和と安定の維持に必要なことだ、そう思い続けております。そして、当然ながら日中関係というのは、これは両国ともに大切な関係であると私は信じておりますけれども、それ以上に今申し上げたような意味で世界にとって大きな意味のある、アジア太平洋地域にとってこの関係が安定深化することは必要なこと、そのように私は考えております。  今、故大平総理への思いを含めた思い出を伺いながら当時を振り返っておりましたが、こうした先輩方の努力、それからいつの間にか本当に四半世紀がたちました。そして、むしろ逆に当時の方が双方が双方に大きな夢と期待をかけていた、あるいはそのようなことも言えるのかもしれないと思います。  ただ、日本としては、本当にこの間、中国の改革・開放というその努力を支え、今日まで参りました。そして今、例えばWTOへの中国の早期加盟のために中国側にももちろん譲ってもらわなきゃならないものがあります。ありますけれども、その上で努力をいたしております。  これから先も本当に両国の相互信頼関係というものが一層強くなりますように、先人に恥じない関係を築いていけることを、国交正常化二十五周年のことし、目標として私ども努力をしたいと、そのように思います。
  282. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 真鍋賢二君の残余の関連質疑は明日に譲ることといたします。  明日は午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十五分散会      ―――――・―――――