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田村秀昭君 結局その点の決心になると思うんです。これは与野党を超えて解決しなきゃならない問題で、全世界が見ている問題でございますので、どうぞよろしく賢明な御判断をされますことを私も心から期待するものであります。
次に、危機管理と防衛問題について
お尋ねいたします。
私は、一九九一年の十二月二十六日、すなわち冷戦の終わるときまでは今日の体制で自民党が単独政権でやってこられたことは正しいと思っております。
なぜならば、それまでの
日本の生存の三つの条件は、世界が平和であること、
日本は資源のない通商国家でありますから世界が平和でなくてはならない。毎年九億トンの資源を、マラッカ海峡を毎日二十万トンクラスのタンカーが
日本に資源を二百隻送ってきている。そして、お金を払えば資源を売っていただける。そういう三条件が成り立たなきゃなりません。
それで、この三条件はアメリカがやっていたわけです。
日本の
政治はそれは何もしなかったわけです。したがって、西側の一員にコミットすることが非常に正しかったわけです。だけれども、一九九一年の十二月二十六日からは、それを成功させた、
日本は一番成功したわけですね。それは何で成功してきたか、軍事を回避してきたからです。
それで、これからは今の体制を、今の状態を続けていこうとするならば、成功した要因が足かせになることは歴史の教訓であります。
したがいまして、危機管理と申しましても、独立国は、自分の民族で自分の国を守る、そういう要件と、自分の国の貨幣を発行するんだ、それで
経済をやるんだという二つが国家としての最低の条件であります。
それで、軍事力が
日本は今非常に低い、抑えつけている、軍事というのは悪いことだ、そういうことはよくないということでやってきておりますので……(「だれがやっているんだ、そんなこと」と呼ぶ者あり)やってきているんじゃないか、何を言っているんだ、僕はそこの担当にいたんだ。
したがって、結局どういうことが起きるかというと、今から申し上げる四つのことが起きるわけです。
軍事力のない国家というのは、備えのない国家というのは、まず危機管理体制が完成しない。いろいろな事故というのはたくさんありましたけれども、一
省庁に、運輸省なら運輸省で解決できるような危機なんというのは起こってくれない。危機管理体制というのは一元的に処理できる一番最悪の場合を、ケースを考えたいわゆる安全保障省というか、今でいえば
日本は自衛隊ですけれども、防衛庁ですが、それを一元的にやるためには、
総理府の外局ですからできません。したがって、何か起きるとみんな各
省庁が集まって、あれはうちがやると、こういう
会議をしている間に事故はどんどん広がっていくわけです。
したがいまして、自分の国は自分で守れるような軍事力をきちつとつくっていくということが私は今非常に大切な、冷戦後必要なことじゃないか。
そうすると、二番目に起こることは、国家の将来を見据える戦略的思考ができなくなる。自分の国を守る能力のない国は戦略的
視点に立った
国家戦略が出てこない、これが二番目です。
三番に、国益を考慮した外交交渉ができない。
四番目に、天下国家を考える
国民の意識が希薄になって国力が弱体化する。
政治、
経済も含めてトータルとして国力が弱体化していきます。これは、自分の国を自分で守れないということですから、国家意識が希薄になります。ですから、
政治不信が起きます、無関心になります、投票率が下がります。官僚批判が起きます、こういうのはどこの国でもそうです。
したがいまして、そういうことを勘案して、古今東西の真理と言われた備えあれば憂いなしという考え方にお立ちにならないか、
総理にお伺いしたいと思います。