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1997-06-13 第140回国会 参議院 本会議 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年六月十三日(金曜日)    午前九時三十一分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第三十五号   平成九年六月十三日    午前九時三十分開議  第一 私的独占の禁止及び公正取引確保に関   する法律適用除外制度整理等に関する法   律案内閣提出衆議院送付)  第二 健康保険法等の一部を改正する法律案   (内閣提出衆議院送付)  第三 電気通信事業法の一部を改正する法律案   (内閣提出衆議院送付)  第四 国際電信電話株式会社法の一部を改正す   る法律案内閣提出衆議院送付)  第五 日本電信電話株式会社法の一部を改正す   る法律案内閣提出衆議院送付)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、介護保険法案介護保険法施行法案及び医 療法の一部を改正する法律案趣旨説明)  以下議事日程のとおり      —————・—————
  2. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) これより会議を開きます。  この際、日程に追加して、  介護保険法案介護保険法施行法案及び医療法の一部を改正する法律案について、提出者趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。小泉厚生大臣。    〔国務大臣小泉純一郎登壇拍手
  4. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) ただいま議題となりました介護保険法案介護保険法施行法案及び医療法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、介護保険法案について申し上げます。  我が国においては、急速な高齢化進展に伴って、介護を必要とする者の数も急速に増加しております。また、介護期間長期化核家族化等に伴う家族機能変化などと相まって、今日、介護問題は国民一人一人にとって老後生活における最大不安要因となっております。  介護が必要となった場合、利用者心身状況に応じた保健医療サービス及び福祉サービスが必要となりますが、現行制度においては、利用者立場に立ったサービス提供や効率的なサービス提供という観点からさまざまな問題点が指摘されております。  こうした状況を踏まえ、現行制度の再構築を図り、国民共同連帯の理念に基づき、社会全体で要介護者介護を支える新たな仕組み創設するため、今般、本法律案を提出した次第であります。  次に、本法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、介護保険は、被保険者の要介護状態等に関し必要な保険給付を行うこととし、給付に当たっては、被保険者心身状況、その置かれている環境等に応じて、被保険者選択に基づき、適切な保健医療サービス及び福祉サービスが多様な事業者または施設から総合的かつ効率的に提供されるよう配慮することとしております。また、保険給付内容及び水準は、要介護者の有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように配慮されなければならないこととしております。  第二に、市町村及び特別区は介護保険を行うこととし、国及び都道府県介護保険事業運営が健全かつ円滑に行われるよう必要な各種措置を講じなければならないこととしております。  第三に、介護保険は、六十五歳以上の者を第一号被保険者とし、四十歳以上六十五歳未満の医療保険加入者を第二号被保険者とすることとしております。  第四に、保険給付の円滑な実施確保を図るため、厚生大臣保険給付に係るサービスを提供する体制確保等に関する基本的な指針を定めるものとし、市町村及び都道府県はそれぞれ保険給付に必要なサービス確保等に関する計画を定めることとしております。  第五に、介護保険制度を各主体が重層的に支え合うという観点から、国は、介護給付等に要する費用の四分の一を負担するとともに、要介護認定等事務に要する経費の二分の一に相当する額を交付することとし、都道府県及び市町村はそれぞれ保険給付に要する費用の八分の一ずつを負担することとしております。また、第一号被保険者市町村保険料を納付するものとし、各医療保険者は、加入している第二号被保険者数に応じて介護給付費納付金を、それぞれ医療保険各法に定める保険料算定のルールに従って社会保険診療報酬支払基金に納付し、支払基金はこれを各市町村に対し一律に交付することとしております。  第六に、市町村介護保険財政安定化に資するため、都道府県財政安定化基金を設けることとしているほか、市町村は、他の市町村と共同して、介護給付等に要する費用財源について相互に調整する事業を行うことができるものとしております。  第七に、政府は、被保険者の範囲、保険給付内容及び水準保険料負担あり方を含め、介護保険制度全般について、地方公共団体等関係者意見を考慮しつつ検討を加え、その結果に基づき必要な見直し等措置を講ずるものとしております。  なお、この法律施行日は、一部の事項を除き、平成十二年四月一日としております。  次に、介護保険法施行法案について申し上げます。  本法律案は、介護保険法施行のために必要な経過措置を設けるとともに、関係法律の規定の整備を行おうとするものであります。続きまして、医療法の一部を改正する法律案について申し上げます。  人口高齢化疾病構造変化等我が国医療を取り巻く環境が著しく変化する中で、要介護者増大に対応するために介護体制整備を図ること、日常生活圏において通常の医療需要に対応できる医療提供体制整備を図ることや、患者立場に立った医療情報提供を促進することが重要な課題となっております。  このような状況を踏まえ、療養環境介護体制整備地域医療確保など、国民に良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制整備を図るため、今般、本法律案を提出した次第であります。以下、本法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、医療の担い手は、医療を提供するに当たって適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努めるものとしております。  第二に、長期療養患者療養に適した人員配置及び構造設備を有する療養型病床群診療所にも設置できることとしております。  第三に、地域医療機関が提供する医療への支援等を行う病院地域医療支援病院として位置づけることとしております。  第四に、医療計画において、療養型病床群整備目標等に関する事項医療提供施設相互機能分担及び業務連係等に関する事項等を二次医療圏ごとに定めることとしております。  第五に、医療法人の行い得る業務及び医業等に関する広告規制について見直しを行うこととしております。  この法律施行日は、一部の事項を除き、公布の日から一年以内の政令で定める日としております。  政府といたしましては、以上を内容とする法律案を提出した次第でありますが、これら法律案につきましては、衆議院において次のとおり修正が行われております。  第一に、介護保険法案に係る市町村介護保険事業計画策定または変更に当たっては、あらかじめ被保険者意見を反映させるために必要な措置を講ずることとされております。  第二に、介護保険制度全般に関する検討は、介護保険法施行後五年を目途として行われることとされております。  以上が、介護保険法案介護保険法施行法案及び医療法の一部を改正する法律案趣旨でございます。(拍手)     —————————————
  5. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。大島慶久君。    〔大島慶久登壇拍手
  6. 大島慶久

    大島慶久君 私は、自由民主党を代表して、介護保険法案介護保険法施行法案及び医療法の一部を改正する法律案について、総理並びに厚生大臣質問をいたします。  戦後五十年の間、我が国経済の発展とともに、医療福祉の向上に努め、昭和三十六年の国民保険、皆年金の達成を初め、各種社会保障制度充実を図り、世界一の長寿国と言われるに至っています。  しかしながら、諸外国に類を見ないほど急激な少子・高齢化進行する中、経済基調変化財政事情深刻化により、社会保障制度全体の見直しが喫緊の重要課題となっております。  超高齢化社会を迎え、安心できる老後国民共通の願いであることは言うまでもなく、老後最大の不安である介護問題を社会全体で支える仕組みをいかにつくっていくか、これは二十一世紀社会システムあり方の問題として政治が取り組むべき最大課題であると思います。  他方、近年、社会保障給付費増加は著しく、平成七年は国民所得比の一七%に当たる六十五兆円となり、そのりち高齢者関係給付費は六割余りを占めるに至っております。その上、平成三十七年において社会保障に係る負担国民所得比の三割を上回るとも推計されております。  国家財政が危機的な状況にある中で、給付負担の適切なバランスを維持しつつ、活力ある長寿社会を実現するため、効率的で安定した社会保障制度の再構築を行うことが今こそ求められているのであります。  橋本総理は、変革と創造の旗印のもと、国民が二十一世紀幕あけを希望に満ちた気持ちで迎えられるために六つの改革を打ち出されました。その中でも国民生活に密接に関係し、財政的にも大きな影響を及ぼす社会保障構造改革において、今回の介護保険制度創設はどのような意義を持つのか。さらに、この介護保険出発点として、例えば年金受給と他の制度との調整を初め、医療年金福祉等各種社会保障制度の横断的な見直しをいかに図っていかれるのか、基本方針総理にまずお伺いいたします。  時代変化とともに家族あり方も変わって核家族がふえていき、また、女性社会進出により、介護の問題はますます深刻な問題として国民一人一人に迫ってきております。  要介護及び虚弱の状態にある高齢者の数は、現在既に二百万人を超え、平成十二年においては二百八十万人、平成三十七年においては五百二十万人にも上ると見込まれる一方、共働き世帯増加するとともに、介護に当たられている方々高齢化しているという老老介護となっており、家族の献身だけでは対応できないのが現実であります。  そのため、家族のきずな、情愛を大切にしつつも、これら要介護者に対する負担を支える仕組み社会全体のシステムとして構築することこそが急務であります。この場合、今回の介護保険制度創設中心としつつも、自助、共助、公助の重層的な福祉を図るため、民間活力導入も含めた地域共生システムが必要であり、地方分権推進の中でこれをどのように構築されていくのか、総理の御見解をお聞かせ願いたいと存じます。  総理は、施政方針演説の中の社会保障構造改革において、個人の自立・自助努力を強調されましたが、要介護状態においても重要なことは、一人一人が個人の尊厳を保ち、できる限り住みなれた家庭や地域で自立した質の高い生活を送れるよう支援していくことが必要であると思います。そのためには、まず在宅サービスを質、量とも充実させていくことが肝要であります。  介護サービス充実のためには、国民に最も身近な市町村中心となってその体制整備推進していくことが必要であり、この点から本法律案運営主体市町村としたことは妥当であるだけでなく、地方分権の流れにも沿ったものとして高く評価できるものと確信する次第であります。  しかし、かなり市町村が、保険財政及び事務処理等の面から、依然として介護保険に対し第二の国保になるのではないかとの危惧の念を抱いております。これらの心配を払拭するためどのような支援策を講じられるのか、都道府県役割も含めて、厚生大臣にお伺いをいたします。  また、今回の介護保険法案は五番目の社会保険制度創設するものでありますが、一方では保険方式でなく税方式によるべきとの主張もあります。しかし、必要なサービス確保及び利用者給付を求める権利の保障という見地からは、保険方式によることが国民にとってより望ましいと思われるのであります。  ただ、負担した保険料に見合うだけの給付を本当に受けられるのか、多くの国民が期待と同時に不安を感じているのではないでしょうか。要介護者サービス選択できることになっていますが、要介護状態基準に該当するかどうかを市町村が認定することになっており、これについても事実上、市町村によって判定かなり異なるおそれも出てくるのではないかという指摘もあります。  これらの問題についてどのように対処されるのか、厚生大臣にお伺いをいたします。  また、保険あって介護なしと言われることのないよう、介護インフラ整備福祉マンパワー確保急務であります。現在、新ゴールドプラン推進中でありますが、その整備水準地域により格差が大きく、国民の求める給付を満たすための基盤整備としては不十分ではないかとの懸念もあります。  今後、介護保険制度のもとで、市町村策定する介護保険事業計画に基づいてサービス基盤整備が図られる予定と言われておりますが、法律施行までに必要なサービス整備をどのように図っていかれるのか、厚生大臣にお伺いをいたします。  このように、介護保険制度平成十二年度から順調にスタートさせるためには、施設整備マンパワー確保等基盤整備充実が何よりも欠かせないわけであります。しかし、これにはどうしても財源問題が絡んでまいります。介護保険制度の円滑な実施のためには新たな基盤整備計画策定推進が必要となりますが、これは現在、総理が推し進められている一切の聖域なしとする歳出の改革と縮減を目標とする財政構造改革との関係から見て、どのように推し進めることを考えておられるのか、この点に関し国民理解協力を得るためにも橋本総理の忌憚のないお考えをお聞かせ願いたいと存じます。  次に、保険料について言えば、高齢化進行に伴って将来増加の見通しが示されていますが、市町村介護基盤整備状況の差異に伴いかなり負担格差が生じるのではないかとの危惧も出されております。この点についてどのような見解をお持ちか、厚生大臣お尋ねをいたします。  あわせて、低所得者に対しどのように配慮されるのかも質問をいたします。  このような介護保険創設やそれに伴う長期的な基盤整備に関しては、何よりも国民理解がなければその目的が十分に達成されません。今後、高齢化進展に伴ってますます福祉需要増大していくことに照らしても、さきの社会福祉法人をめぐる不祥事等による国民厚生行政に対する不信感を払拭させることが何よりも重要なことであると思います。  そのためにも、福祉事業者のディスクロージャーを初めとする一層の行政透明化等を推し進められ、国民協力を得ながら、橋本総理の掲げる「長生きしてよかったと実感できる社会」が着実に実現していくことを願い、私の質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手)    〔国務大臣橋本龍太郎登壇拍手
  7. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 大島議員にお答えを申し上げます。  まず、社会保障構造改革において今回の介護保険創設はいかなる意味を持つのかというお尋ねをいただきました。  従来、福祉医療に分断をされ、体系的に位置づけられておりませんでした介護というものを、今回介護保険という制度創設することによって一体化していきたい、これは従来の社会保障構造改革の中で制度間の整合性が必ずしもとれていなかった、こうした面もあることも踏まえまして、制度横断的な再編成を図るなど、全体として効率的な制度構築していく、その重要な課題であり、その第一歩と位置づけております。  次に、地域共生システム重要性を力説されました。  まさに地域共生システムというものは、高齢者介護を初めとする保健福祉サービスにおきまして、住民に最も身近な市町村中心として地方役割の強化を図っていく、その方向の中において施策を進めていかなければなりません。  あわせて、民間活力活用あるいはボランティアの方々支援等推進して、地域が一体となつて高齢者とその家族等を支えていく体制づくりに努めてまいりたいと考えております。  最後に、基盤整備推進についてお尋ねがございました。  まず、私どもは、何といいましても、その新ゴールドプランにつきまして、事業執行状況等を踏まえるとともに、各種規制の緩和や民間活力導入等による事業効率化等もあわせて行いながら、その目的が達成できますように、できる限りの努力をしていかなければならない、そのように考えております。  残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)    〔国務大臣小泉純一郎登壇拍手
  8. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 大島議員にお答えいたします。  市町村に対する支援策についてですが、公費や医療保険者が徴収する保険料財源とした交付金の投入により安定的な財源確保を図るほか、都道府県財政安定化基金を設置し、財源不足が生じないようにするとともに、要介護認定に係る事務都道府県に委託できることとするなど、国、都道府県等が重層的に支援することとしております。  保険料給付関係ですが、高齢者保険料市町村ごと介護サービス水準に応じて設定されるような仕組みとなっております。  また、要介護状態判定についてですが、判定基準明確化や手引などの作成等を進めまして、全国的に公平な判定ができるようにしてまいります。  介護サービス基盤整備ですが、介護保険制度を円滑に導入するため、まずは全国の地方自治体が作成した老人保健福祉計画を集大成した新ゴールドプラン推進に全力を尽くしてまいります。  この際、在宅サービス中心に、既存施策の拡充、既存資源活用民間活力導入等多様な手法を活用することにより、サービス基盤整備を積極的に推進してまいります。  保険料地域格差についてですが、介護サービス整備がおくれている市町村については、国、都道府県が重点的に支援することにより、できる限り格差の縮小を図ることとしております。  また、低所得者につきましては、所得段階別保険料とすることによりまして、それなりの配慮をしていきたいと思っております。  以上であります。(拍手)     —————————————
  9. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 和田洋子君。    〔和田洋子登壇拍手
  10. 和田洋子

    和田洋子君 私は、平成会を代表して、介護保険法案等法案に対し、橋本総理小泉厚生大臣及び関係大臣質問をいたします。  冒頭まず、去る六月三日に公表されました財政構造改革会議最終報告についてお尋ねいたします。  同報告書においては、社会保障関係費についての伸びを全体の二%程度以下に抑制し、当然増に相当する額を大幅に削減する等ドラスチックな内容が示されております。構造改革内容も具体的でない段階で削減のみが示され、多くの国民社会保障の未来に不安を感じているのではないでしょうか。総理は具体的にどのような方策で社会保障関係費の抑制を図るお考えでありましょうか。御所見をお伺いいたします。  次に、介護保険法案等に対する質問に移ります。  本年一月に国立社会保障人口問題研究所が発表した将来推計人口によれば、我が国は二〇五〇年には三人に一人が六十五歳以上という世界に例を見ない超高齢社会を迎えるものと推計されております。  今日、介護地獄とまで言われる状況が発生しており、介護の多くが女性の肩にのしかかっております。特に七十五歳以上の後期高齢者増加により、家族の中に介護を必要とする者がいる状態が日常化し、高齢者がその親の介護をするという老老介護のような状況も数多く発生しております。  私は、高齢者介護について、核家族化進行地域社会の崩壊などにより、家族の力に頼る時代は終わった、広く社会で支え合う時代が到来したのだと考えております。  しかるに、ゴールドプラン及び新ゴールドプラン実施にもかかわらず、公的な介護サービスは質、量ともに不足しているのが現状であります。その結果、高齢者社会的入院の問題、家族介護疲れ高齢者虐待といったひずみを生じているのであります。このような現状を解決する切り札として、公的な介護保障制度がぜひとも必要であることは論をまちません。  しかし、問題は、政府案が本当にだれでも、どこでも、いつでも安心して介護が受けられる制度となっているかという点であります。  そこで、まずこの点について、総理及び厚生大臣はどのような認識でおられるのか、御所見をお伺いいたします。  次に、公的介護保障制度財源論基盤整備等について、数点お聞きいたします。  政府は、公的な介護保障制度として、介護保険という新たな社会保険導入されようとしております。新たな介護システムあり方をどのようなものにするのかは、将来における日本の社会保障を方向づけることになり、国民的な議論が十分になされることが必要ですが、政府案はまず保険ありきということで、介護保険制度ができれば介護の問題がすべて解決するような幻想を国民に与えています。  社会保険方式では、国民年金国民健康保険の例で明らかなように、大量の保険料滞納者未納者が発生する事態を防ぐことはできません。この場合、サービスを受けられなかったり、低いサービスに抑えられるおそれがあります。まさに保険制度の欠陥はこの点にあります。政府はこれらの点についてどのように対処しようとしているのでしょうか。  私は、公的介護保障は税を財源に、社会セーフティーネットとして、介護を要する人がいつでも、どこでも、だれでも利用できるものとしなければならないと思います。  また、政府案では、介護費用増大に伴う保険料の急激な増大懸念も払拭できておりません。負担増の歯どめ、国会のチェックはないのです。  これらの点についてはどのように考えておられるのか、総理及び厚生大臣の御所見をお伺いいたします。  また、政府案では、保険あってサービスなしの懸念がぬぐえません。特に、サービス供給体制整備されていなかったり、要介護認定が厳しくなされたりすれば、利用者選択権は大幅に狭まってしまいます。利用者選択権を保証するためにも、現行ゴールドプランの抜本的な見直しにより、介護基盤整備の促進とマンパワー確保を図る必要があるかと存じますが、大蔵大臣自治大臣及び厚生大臣の積極的な答弁を求めます。  介護保険スタート時においてさえ、在宅サービス利用率は四割しか到達しないと見込まれております。これではまさに保険あってサービスなしてはありませんか。また、現在、市町村の間には介護基盤の点で相当の格差があり、早急な格差の是正は相当のてこ入れなしには無理だと思いますが、厚生大臣、この点についていかがお考えでしょうか。さらに、その場合、市町村間で相当な保険料格差を生じるのではないでしょうか。あわせてお聞きいたします。  このように、当面、介護サービス需要供給体制が追いつかない事態が確実視されており、要介護者家族介護を行うことになると思います。そのような場合、御家族からは当然、現金給付をとの声が出ることが予想されますが、いかがでしょうか。あわせて、地域保険としての特性を生かし、現金給付について地域の実情に応じた対応を認めることについて、厚生大臣の御見解を求めます。  次に、要介護認定基準についてお伺いいたします。  既に介護保険導入しているドイツでも、導入直後、少なからぬ申請者が却下されるなど、要介護認定の難しさが明らかになりました。一方、統一的な認定基準にもかかわらず、地域によって認定状況に大きなばらつきを生じたと聞いております。  我が国でも、市町村によっては施設上や財政上の事情などにより認定対象者を絞り込もうとする動きが出る懸念はありませんか。また、市町村の間において要介護認定に著しい不公平が生じては公的介護保障制度に対する不信感を招くと思いますが、これについての対応をお伺いいたします。  さらに、要介護認定のモデル事業において、コンピューターによる第一次判定とかかりつけ医らの意見をもとにした専門家による第二次判定で、三割近い食い違いを生じております。全国どこでも同じ結果になる統一的な認定基準が不可欠でありますが、それが現場の医師や福祉関係者の判断とかけ離れたものとならないよう慎重な検討が必要かと存じます。どのような対応をとられようとしておられるのでしょうか。厚生大臣の御所見をお伺いいたします。  また、認定作業やケアプランの作成には専門知識を有するマンパワーの養成確保も重要となってまいりますが、これをどのように対処しようとしているのか、厚生大臣及び自治大臣の御見解を求めます。  さらに、政府案では、市町村事務負担を軽減するため、要介護認定事務都道府県に委託できるとしております。しかし、要介護認定という個人に密着した状態でなされる判断は、本来住民に最も身近な自治体である市町村がなすべきであろうかと思います。したがって、できる限り多くの市町村が要介護認定を行えるよう財政上の措置が必要ではないかと考えますが、大蔵大臣及び自治大臣の御見解を求めます。  最後に、若年世代を被保険者とすることについて伺います。  政府案では、第二号被保険者への給付に加齢要件を設けた結果、若年世代ではたとえ障害者となっても交通事故など加齢以外の原因によるものは給付の対象とはなりません。その結果、若年世代においては給付負担の対応関係が不明確になっております。この点、政府案は自壊していると言わざるを得ません。  そもそも、介護リスクの全く異なる被保険者を一つの保険制度で一緒に取り扱うことに問題があります。政府案では、介護サービス供給体制整備され拡充されれば、それだけ第二号被保険者たる若年世代への負担が重くなっていくという矛盾を含んでいます。この矛盾を抱えたままでは、二十一世紀において活力ある高齢社会を維持することはできないのではないでしょうか。若年障害者についての介護保障はどのように考えておられるのでしょうか。  すべての障害者を給付対象にすべきではないかと思いますが、厚生大臣の御所見をお伺いいたします。  高齢者介護システム構築は、来るべき二十一世紀の超高齢社会を見据えた重要な課題であります。しかし、介護保険法案についての国民理解は必ずしも十分であるとは言えません。参議院は、良識の府として、よりよい高齢者介護システム構築するために、時間をかけ、十分かつ慎重な審議を通じて、広く国民に十分な情報を提供する責務を課されていることを指摘いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣橋本龍太郎登壇拍手
  11. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 和田議員にお答えを申し上げます。  まず、財政構造改革会議長終報告における社会保障関係費の抑制についてのお尋ねがございました。  社会保障関係費、これ全体が御承知のように現時点におきまして十四兆一千二百億円という数字になっております。これを平成十年度に対比して考えてまいりますと、年金の受給者は約百万人ふえ、これにより約一千五百億円の増が自然増として見込まれます。老人医療の受給者は約七十万人増でありまして、五千五百億円余りの増加が見込まれます。また、福祉の分野におきましては、一万五千六百人ぐらいの方々がふえる、その結果として約一千億円の自然増が見込まれ、約八千億円の自然増が見込まれているわけであります。  今後、我々としては、財政の再建のためにあらゆる縮減についての検討を行っていく必要がありますが、当然増の大半を占めているのが医療関係予算であり、その医療関係予算の伸びの抑制が欠くことができないことでありますから、平成十年度から医療保険制度の抜本改革にできるだけ着手していくことは避けて通れないもの、そのように認識をしております。  次に、政府介護保険法案は、だれでも、どこでも、いつでも安心して介護が受けられる制度となっているかというお尋ねがございました。  この介護保険制度は、利用者が幅広いサービス選択できる利用しやすい仕組みとするとともに、ひとり暮らしや高齢者のみの世帯にありましても、できる限り在宅で生活できるようなサービス水準保障することを目指しております。  また、国民に対して御理解を求める姿勢をという御指摘がございました。  介護保険制度につきましては、与党三党による公聴会の開催や政府による全国的な説明会等の開催、さらに今国会における御審議等を通じまして、保険方式についての国民の御理解も深まってきていると考えておりますが、今後とも一層周知徹底のための努力を続けてまいりたいと考えております。  次に、保険料未納者の発生等についての御意見がございました。  しかし、介護という問題はだれもがいずれの日にか直面しなければならない問題であり、制度趣旨の御理解をいただきますことにより、大量の未納者の発生は防げるものと思います。  また、保険料につきましては、給付との関係を明確に定められた基準のもとで、市町村議会の審議等を通じて適切な水準に設定されるものと考えております。  次に、公的介護保障財源について御意見をいただきましたが、我が国社会保障社会保険方式中心としておりますこと、給付負担関係が明確であること、さらに民間活力活用によるサービス効率化等観点から、社会保険方式が適当であると私どもは考えております。  残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)    〔国務大臣小泉純一郎登壇拍手
  12. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 和田議員にお答えいたします。  政府案が安心して介護が受けられる制度かとのことですが、これはただいま総理からお答えしたとおりでございます。  国民に対して理解を求める姿勢についてですが、これも今、総理からお答えしたところでございます。  保険料未納者の発生や保険料の歯どめについてはとのお尋ねですが、これも総理と重複を避けるために省略させていただきたいと思います。  公的介護保障財源についてはということですが、これも総理からお答えしたとおりでありますので、省略させていただきたいと思います。  介護基盤整備の促進等についてですが、まずは各地方自治体が作成した老人保健福祉計画の集大成であります新ゴールドプラン推進にできる限りの努力をしてまいりたいと思います。  また、介護保険法案成立後は、速やかに各市町村サービスの必要量を踏まえて介護保険事業計画等を策定し、サービス基盤計画的に整備していくこととしておりまして、厚生省としてもこれに対しまして必要な支援を行っていきたいと考えております。  介護保険制度導入時における在宅サービス整備についてですが、老人保健福祉計画において策定されました整備目標は各市町村サービスの必要量を把握して設定したものであり、これを確実に達成することにより、介護保険制度導入時に必要な介護サービス確保されるよう、できる限りの努力をしていきたいと思います。  なお、介護保険制度導入後においても、地域の必要量を踏まえ、基盤整備を進めてまいります。  基盤整備及び保険料地域格差についてでありますが、介護サービス整備がおくれている市町村については、国、都道府県が重点的に支援することにより、できる限り格差の縮小を図っていきたいと考えております。  家族介護に対する現金給付についてですが、現金給付介護サービスの利用に結びつくとは必ずしも限らない。当面はこの現金給付を行わないで、まずは限られた財源基盤整備充実に振り向けることの方がよいのではないかということにしております。  保険給付でない手当等は自治体の判断によりますが、介護保険給付としての現金給付は、今言いました理由によりまして、現状では適当ではないと考えております。  要介護認定についてですが、要介護認定は全国共通の基準に照らして客観的に判定されるものでありまして、財政事情により左右されることはないと考えております。  また、市町村による認定の公平性についてですが、判定基準明確化や手引の作成を進めまして、全国的にできるだけ公平な判定ができるようにしていきたいと思います。  認定基準についてですが、全国的な要介護認定のモデル事業における現場の関係者意見を踏まえまして、実態を反映した基準を定めることにしたいと思います。  要介護認定介護サービス計画作成のための人材についてですが、介護保険法案では、高齢者介護等の経験を有する者に研修を行い、介護支援専門員としてこうした業務に従事していただくこととしておりまして、円滑な運営が行われるよう計画的な養成に努めてまいりたいと思います。  若年障害者についてですが、若年障害者に対する介護サービスは、高齢者に対する介護保険給付と遜色のないものとなるよう、当面、障害者プランによってその拡充を図っていきたいと考えております。  受給者の範囲等については、将来的には、制度全般的な見直しの中で、障害者福祉施策との整合性等に配慮しまして、検討を行っていきたいと考えております。  以上でございます。(拍手)    〔国務大臣三塚博君登壇拍手
  13. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 和田議員にお答えを申し上げます。  介護基盤整備の促進についてのお尋ねでございますが、まずは各地方自治団体が作成をいたしました老人保健福祉計画の集大成である新ゴールドプラン推進に努めてまいります。  また、介護保険法案成立後は、速やかに各市町村サービスの必要量を踏まえまして介護保険事業計画策定し、サービス基盤計画的に整備していくことといたしております。  次に、要介護認定に関するお尋ねでございますが、介護保険法案におきましては、市町村における要介護認定事務の円滑な実施を図りますため、国費により要介護認定等に係る事務費の二分の一を市町村に交付することといたしております。(拍手)    〔国務大臣白川勝彦君登壇拍手
  14. 白川勝彦

    国務大臣(白川勝彦君) 和田議員にお答えいたします。  まず、介護基盤整備の促進等についてのお尋ねでございますが、現在、介護サービス基盤整備マンパワー確保などについては、新ゴールドプランに基づき、その地方負担分について所要の財政措置を講じているところであります。  また、介護保険法施行後においては、市町村策定する介護保険事業計画などに基づき、計画的な基盤整備を進めることといたしております。  自治省といたしましては、今後とも適切な地方財政措置を講じ、マンパワー確保などを含めた介護基盤整備の着実な推進を図ってまいる所存であります。  次に、要介護認定等に係るマンパワーの養成確保についてのお尋ねでございますが、介護保険制度の円滑な実施を図るためには、要介護認定やケアプラン作成を初め、各種マンパワー確保が重要でありますので、自治省といたしましては、地方団体の職員養成や必要な財政措置などに適切に対処してまいりたいと存じます。  最後に、要介護認定に係る財政措置についてのお尋ねでございますが、今回の介護保険制度においては、市町村介護認定を行う場合、これに要する事務費の二分の一を国庫により措置することといたしているところであります。また、要介護認定を含め事務費に係る地方負担については適切な財政措置を講ずることといたしております。  自治省といたしましては、今後とも、市町村介護保険制度を安定して運営できるよう適切に対処してまいりたいと存じます。(拍手)     —————————————
  15. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 大渕絹子君。    〔大渕絹子君登壇拍手
  16. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 私は、社会民主党・護憲連合を代表し、ただいま議題となりました介護保険法案等法案について、総理並びに関係大臣質問いたします。  介護保険創設は、家族依存介護から社会的な介護システムへ、病院依存介護から生活支援を重視した介護ステムへ、国の措置制度に依存した介護から市民参加型・自治体主体介護システムへを目標に、国民の期待にこたえる新しい制度構築するものでなければなりません。二十一世紀を目前にして、我が国は少子・高齢化社会に突入し、要介護人口も毎年十万人ずつ増加をしており、一日も早い新制度創設が望まれております。  急激な社会経済進展は、家族構成にも大きな変化をもたらし、身近に介護する肉親のいないお年寄りや、介護者高齢者という老老介護の実態が多く見られます。しかも、介護者家族に対するアンケート調査によれば、要介護者に憎しみを感じたことのある人は三人に一人、虐待したことがあると答えた介護者は二人に一人という深刻な状態が報告をされております。もはや介護家族だけでは支えることは難しいという実態にあります。  他方、現行制度問題点もさまざまな角度から指摘されてきております。施設マンパワーの不足などでいわゆる社会的入院を余儀なくされてきており、医療の現場が介護を担わされています。その結果、薬漬け、寝かせきり医療も行われ、老人医療費の増大を招き、医療保険制度そのものを危機に陥れていると言っても過言ではありません。  医療費総額は平成七年度で二十七兆二千億円に達し、老人医療費は三二・二%の八兆七千億円を占めております。また、医療費用の公費負担は六兆五千億円です。この金額は国の一般歳出の一五%を占め、年金の九・六%、福祉の八・七%と合わせて一般歳出の三三%を社会保障に充てています。それでもなお国民健康保険会計は赤字に転じているという厳しい財政事情にあります。この現実に対応して、六月三日政府が決定した「財政構造改革推進方策」を踏まえ、改めて政府のお考え国民に明らかにし、理解を求める必要があります。  橋本総理は、社会保障制度改革について、給付負担のバランスを見直し、官民の役割分担、民間活力活用を挙げておられます。その具体的プランの第一弾が介護保険制度であり、医療年金改革に順次取り組むとの決意を表明しております。  そこで、総理にお伺いいたします。  介護保険制度導入によって、給付負担のバランスはどう変わるのでしょうか。また、社会保障費に占める医療年金福祉の割合をどの程度にすることが妥当であると考えておられますか。さらに、介護制度における世代間の公平の観点とは何かについても、あわせてお尋ねいたします。  社会保障費も含めた財政構造改革を論議する際には国民負担率の問題は避けて通れないと思います。国民負担率の水準を決定する際、税と保険の違いを十分認識する必要があります。  橋本内閣は、増税なき財政再建を掲げておりますが、税負担を抑制する一方で、本来、税で負担すべき財政需要保険料で賄おうとしているとの指摘があります。特に福祉政策である介護について、全額公費負担とせず、四十歳以上の国民保険料と一割の自己負担を強いる保険制度にしたことには、国民の間に強い懸念の声があります。この国民の声に明確に答えなければ、社会保障を初めとした行財政制度全体に対する国民の信頼を失墜してしまうのではないでしょうか。  財政構造改革目的は、単に赤字を削減することではなく、抜本的な体質改革を通じて財政の信頼性を回復することにあります。行財政改革が成功して健全な国家財政に立ち直ったときは、福祉の原点は所得の再分配にあるとの原点に返っていただきたい。総理のお考えをお伺いいたします。  次に、ポスト新ゴールドプランについてお尋ねいたします。  厚生省は、介護保険制度がスタートする二〇〇〇年に要介護人口二百八十万人の四割の人が介護保険給付を希望するとした試算をしておりますが、これは少し甘い数字ではないかと思います。要介護人口は二〇一〇年には三百九十万人、その八割が希望することになるでしょう。その一方で、新ゴールドプランの達成が危ぶまれておりますが、厚生大臣の御所見をお伺いいたします。  さらに、新ゴールドプランの達成の後には改めて新しい計画による基盤整備が必要になってくると思いますが、いかがでしょうか。その際、公的基盤整備と同時に社会全体の介護システムを共助の理念のもとに新しくつくり上げていくことが何よりも重要だと思います。  全国各地で介護ボランティアグループや高齢者生活協同組合の結成が見られます。社会の第一線を退いた人や余暇を利用した人々の活動は、高齢社会に活力を生み、高齢者に生きがいと自立の力を与えております。地域社会全体にお互いに助け合う共助の精神が根づくことによって超高齢社会も乗り切っていけると思います。熟年者のこれからの活動を政府はどう支援していくのか、お伺いいたします。  さらに、高齢社会を支えるために、介護サービスとあわせて都内の社会福祉協議会などで取り組みが始まっている財産の管理等を契約で請け負う後見人制度を公的に導入すべきではないでしょうか。  一九九五年から介護保険を始めたドイツでは、直接介護サービスを受けている人が二〇%、現金給付を望む人が八〇%を占めており、家族介護を労働と認めて現金給付制度導入しております。この法案では現金給付制度は見送られていますが、家族介護をアンペイドワークの視点に立って社会的に評価することが大切です。今後もその検討をされるのかどうか、厚生大臣の御所見伺います。  介護保険を軌道に乗せるには実施主体市町村役割が大きいのであります。財政力の弱い自治体ほど過疎化、高齢化が進み、介護を要する人が多いという傾向にあります。適正規模の市町村合併についての議論について、自治大臣のお考え伺います。  老いることの不安の多くは介護の問題に根差しています。マンパワー確保施設整備、公正な要介護認定の実現は当然のこととして常に厳しい現実に照らして制度を検証し、必要に応じて法律改正をする柔軟な姿勢を求めて、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣橋本龍太郎登壇拍手
  17. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 大渕議員にお答えを申し上げます。  まず、厳しい財政事情にある現実に対応して、六月三日の「財政構造改革推進方策」を踏まえ、改めて政府考え方を国民に明らかにして理解を求める責任がある、こういう御指摘をいただきました。  議員御自身の御質問の中でも、特に社会保障中心にして数字を挙げて御説明になりましたとおり、今、我が国の危機的な財政のもとにおきまて、私どもは財政構造改革への取り組みを一刻の猶予も置くことはできないと考えております。  また同時に、財政構造改革国民の御理解が、また協力がなければ実現は不可能でありまして、今後、「財政構造改革推進方策」の趣旨等を国民の皆様に積極的に御説明いたしながら御理解を得る努力をしてまいりたい、そのように考えております。  次に、その中において社会保障制度改革を行った場合、給付負担のバランスの見直しを挙げているけれども、介護保険導入した結果、そのバランスはどう変わるんだという御指摘をいただきました。  先ほども引用した数字でございますけれども、本年度から明年度を考えました場合に、年金受給者において約百万人の増加、その結果として必要となります自然増の経費は約千五百億円程度、七十万人の老人医療の受給者の増加が見込まれますが、これに要する経費は約五千五百億円、福祉等において必要とされる自然増経費は約一千億円であります。  この給付のバランスを考えました場合、社会保障全体における介護にかかる負担の比重というものは将来ともに相対的には小さいと予測をいたしております。今後は、その比重の大きい医療年金中心に、給付負担の効率化、適正化を図っていくことが必要であり、介護保険創設はこうした改革の契機になる、そのように考えております。  その場合に、その占める比率という御指摘がございました。  現在は、今申し上げましたように、特に年金医療給付費の大半を占めております。しかし、今後、介護等必要な需要に積極的に対応をしながら、医療及び年金分野を中心にして給付負担の適正化を図り、効率的で安定した制度構築に努めていかなければならない、そのように考えております。  その場合、介護保険制度における世代間の公平の観点という御指摘がありました。  介護はだれもが必ずかかわる問題であります。そして、介護を身近に感じられる年齢層が負担する保険料中心として、社会連帯により、その費用を賄う仕組みとしているわけであります。  具体的には、高齢者も現役世代も平均すれば士体似たような同じ保険料額とするとともに、高齢者にも無理のない範囲で利用料を負担していただく、そのようなことを考えております。  次に、国民負担率の水準を決定する際、税と保険料の違いを十分認識する必要があると、その御指摘は私もそのとおりに思います。  その上で、今後、急速な高齢化進展等に伴いまして、社会保障に要する費用等の増加は避けて通れません。その中において、その財源は安定的に賄うことが必要となります。  そのような状況の中で、行政サービスに対すろ多様なニーズを踏まえながら、将来世代の負担が過重なものとならないように税と社会保険料を適切に組み合わせていくことが必要だと、そのように考えております。  また、介護制度社会保険方式とした理由につきましては、我が国社会保障社会保険方式中心としていること、給付負担関係が明確であること、民間活力活用によるサービス効率化等観点から、社会保険方式が適当であると考えております。  将来的に福祉の原点は所得の再分配にあるという考え方についておまえはどう思うかというご指摘がありました。この介護保険仕組みにおきましても、所得段階別保険料とするなど、所得再分配の視点にも配慮することといたしております。  残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)    〔国務大臣小泉純一郎登壇拍手
  18. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 大渕議員にお答えいたします。  新ゴールドプランの達成と新たな計画による基盤整備についてですが、まずは各地方自治体が作成した老人保健福祉計画の集大成であります新ゴールドプラン推進にできる限りの努力をしていきたいと思います。  また、介護保険法案成立後は、速やかに、各市町村サービスの必要量を踏まえて介護保険事業計画等を策定し、サービス基盤計画的に整備していくこととしておりますので、厚生省としてもこれに対して必要な支援を行っていきたいと思います。  熟年者の共助の精神に基づく活動の支援という点ですが、自助や共助の理念を組み込んだ介護仕組み構築することは重要な政策課題であると認識しております。  このため、市民に対する介護の研修事業等の場の整備や、高齢者地域で互いに支え合い、生きがいを持って社会活動を行えるような基盤づくりを引き続き進めてまいります。  高齢者に対する新たな後見人制度に関する質問ですが、成年後見の仕組みに関しては、法制度整備とともに、身近な相談の場の確保や後見人選任を支援する仕組みが必要と考えております。厚生省としても、こうした点を中心検討していきたいと考えます。  家族介護に対する現金給付についてですが、現金給付介護サービスの利用に必ずしも結びつくとは限らないという点が指摘されております。そのため、当面は、まずは限られた財源基盤整備充実に振り向けたいと考えております。  介護サービス基盤の重点整備ですが、整備がおくれている地域については、自治体に対し達成に向けた年次計画策定等を求めるとともに、既存施策の拡充や民間活力活用等、多様な手法を活用してまいります。  また、介護保険制度導入後は、介護保険事業計画に基づいた計画的な基盤整備について、厚生省としても必要な支援を行ってまいります。  介護保険制度の検証についてですが、介護保険法案の附則では、制度実施状況等を勘案して、制度全般にわたる検討を加え、必要な措置を講じるべき旨の規定を設けているところでありまして、その趣旨を踏まえ、適切に対応してまいります。  以上であります。(拍手)    〔国務大臣白川勝彦君登壇拍手
  19. 白川勝彦

    国務大臣(白川勝彦君) 大渕議員にお答えいたします。  介護保険制度の円滑な運用のため市町村合併を行うことが望ましいのではないかとのお尋ねでございますが、介護保険制度などの福祉行政において質の高いサービスを提供するため、市町村が行財政基盤の強化を図ることが必要であり、市町村合併も有効な方策であると考えております。介護保険制度導入が自主的な合併に取り組む契機となることを期待しており、自治省としても、市町村合併が一層推進される実効ある方策を講じ、市町村合併を積極的に支援してまいる所存であります。(拍手)     —————————————
  20. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 朝日俊弘君。    〔朝日俊弘君登壇拍手
  21. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました介護保険法案、同施行法案及び医療法の一部を改正する法律案について、橋本総理並びに関係大臣質問いたします。  法律案質問に入ります前に、関連して、去る六月三日の閣議において決定された財政構造改革会議の「財政構造改革推進方策」についてどうしてもお尋ねしておかなければなりません。  その中では、今世紀中の三年間を集中改革期間と定め、その期間中は、対前年度伸率を高齢者数の増によるやむを得ない影響分以下に抑制するととし、特に平成十年度予算については約八千億円超の当然増について五千億円を上回る削減を行うとされております。  この点に関する六月五日の厚生委員会における政府答弁によれば、医療については、現在本院で審議中の健康保険法改正案の政府案どおりの内容実施されるという前提に立って試算しても、約五千五百億円の当然増が見込まれる中で、今回の推進方策は、その上にさらに医療福祉等の分野を中心に五千億円を上回る削減を行おうとするものと考えざるを得ません。  本院では、今まさに健康保険法等改正案の討論、採決が行われようとしているわけでございますが、この改正案の中身が既に実施されることを前提とした上で、しかも、その後に引き続くべき抜本的な構造改革の中身もいまだ明確には示されていないままに、削減すべき金額のみ先にありきという今回の手法は到底納得できるものではありません。  総理、今こそ、医療制度全般にわたる抜本的な構造改革に向けて何を最重点課題として絞り込んでいくお考えなのか、そして、その改革の基本的な方向と改革の具体的な道筋を明確に示すことが求められているのではないでしょうか。改めて総理のお考えをお聞かせいただきたいと思います。  次に、ただいま議題となっております介護保険法案とも密接に関連する課題として、今回の推進方策の決定によって、いわゆる三大福祉プラン、すなわち新ゴールドプラン、エンゼルプラン、そして障害者プランについて、これらの計画を来年度以降も着実に推進していけるのかどうか、大いに危惧されるところであります。  とりわけ、福祉等の分野について推進方策の中では、「施設整備費、運営費補助の在り方について見直しを行う」と明記されている点が大変気がかりでございます。  御承知のように、衆議院における介護保険関連三法の採決に当たっては、「介護保険制度の円滑な施行を図るため、新ゴールドプランの確実な達成を図る」こと、及び「難病患者を含む若年障害者に対する介護サービスについて、高齢者に対する介護保険給付と遜色のないものとなるよう、障害者プランに基づき、その拡充を図る」ことが附帯決議に盛り込まれている点をここで特に強調しておきたいと思います。  これらの点を踏まえれば、計画推進の前提となっております補助基準を引き下げたり、数値目標見直したり、あるいは計画期間の引き延ばしを図ろうとすること等は断じて許されるものではありません。こうした危惧が、文字どおりの危惧にすぎないのかどうか、この点は総理のお考えを明確にお聞かせいただきたいと思います。  次に、今回提案されております介護保険法案によって、これまでの保健医療福祉制度の枠組みを超えた新たな介護保険制度創設されていくことになりますが、この新たな制度が順調にスタートし、円滑に運営されていくためには、それぞれの地域、それぞれの市町村マンパワー確保を含めたサービス提供体制整備の一層の推進を図るとともに、制度の運用に当たっては積極的な市民参加を求めるなど、創意工夫を凝らした制度活用が極めて肝要であると思います。  同時に、それらは個々の自治体の努力とあわせて、複数の市町村による共同事業、例えば一部事務組合あるいは広域連合等の制度活用や、都道府県市町村の間の支援・協力関係あり方等、自治体間の新たな共同関係構築が多くの地域で必要になってくるものと思われます。こうした課題について、具体的にどのような手だてを用意して支援されていくのか、衆議院における修正項目を踏まえ、厚生大臣及び自治大臣お尋ねいたします。  次に、介護保険法案とセットで提出をされております医療法の一部を改正する法律案についてお尋ねいたします。  今回の改正案では幾つか新たな提案がなされておりますが、私自身はこうした内容を積極的に評価するとともに、この法律案の一日も早い成立を期待したいと思います。  中でも、私が特に注目している点は、医療計画見直しに関する事項であります。今回の改正で、医療計画における二次医療圏ごとの必要的記載事項の範囲が広げられたことによって、医療提供体制のみならず、介護サービス提供体制整備確保に関する都道府県の果たすべき役割はより一層重要になるものと考えられます。  そこで、厚生大臣お尋ねしたいと思いますが、都道府県がどのような基本方針に基づき、どれだけのイニシアチブを発揮して医療及び介護サービス提供体制整備システム化を図っていくのか、そして、そのために国はどのような考え方のもとに具体的に都道府県をどう支援していくおつもりなのか、お聞かせをいただきたいと思います。  最後に、私は、今回提案されております介護保険法案及び医療法改正案は、新たな介護システム構築にとってぜひとも必要な法律案であるばかりではなく、冒頭にもお尋ねいたしました医療保険制度及び医療提供体制の抜本的な構造改革にとっても欠くことのできない重要な柱の一つであると受けとめております。  そのように両法案を位置づけるからこそ、たとえ予算関連法案であるとはいえ、専ら患者自己負担増中心とする健康保険法改正案の方だけの成立を期し、他方の介護保険関連法案の審議は先送りするようなちぐはぐな対応は何としても避けるべきであると考えてきました。  しかし、率直に言って、本院に残されている時間は極めて乏しいと認めざるを得ません。この際、改めて本法案の審議に臨むに当たっての総理の御決意をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手)    〔国務大臣橋本龍太郎登壇拍手
  22. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 朝日議員にお答えを申し上げます。  まず、医療制度全般にわたる抜本的な構造改革に向けて何を最重点と絞り込むのかという御指摘をいただきました。  財政構造改革の必要性については、議員も十分御理解をいただいた上で、その中における一つの部分の問題としてこれを御提起されたものと私は受けとめさせていただきます。そして、我が国医療制度におきまして、総合的な抜本的構造改革を必要としている状況にある、先ほど来申し上げてまいりましたような数字を振り返りましても、その必要性を否定することはできません。  特に、老人医療制度見直し、診療報酬体系そのもの、私は先般の健康保険法の審議の際に、ドクターズフィーとホスピタルフィーの分離の問題にまで触れて御答弁を申し上げてまいりましたが、これは私個人の私見といたしましても、現行の診療報酬体系のあり方、さらに薬価基準制度見直し、同時に医療提供体制整備等、それぞれが重要な課題だと考えております。そして、今回の法案施行までのできるだけ早い時期に国民立場からの抜本的な改革案をお示ししながら、幅広く国民の批判や選択に供していきたいと考えております。  次に、三大福祉プラン、新ゴールドプラン等についてのお尋ねがございました。  それぞれの事業執行状況等を踏まえますとともに、各種規制の緩和や民間活力導入等による事業効率化等もあわせて図りながら、その目的が達成できるようできる限りの努力をしていきたいと考えております。  最後に、本法案の審議に臨むに当たっての決意というお尋ねをいただきました。  院の運営について我々が口を差し挟むことは差し控えなければなりません。しかし、介護保険制度創設というものが、介護を今までの医療福祉に分かれたようなあいまいな立場から一つの柱としてきちんと切り離し、社会的入院解消の条件整備を図るなど、医療制度の抜本的な改革を図っていく上でも重要な課題であることは申し上げるまでもないことでありまして、政府としては、できる限り早期に成立を図る必要があると考えており、御協力を心から願っている次第であります。  残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)    〔国務大臣小泉純一郎登壇拍手
  23. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 朝日議員にお答えいたします。  制度運営への住民参加についてですが、介護保険事業計画の作成について、被保険者の代表も参加した委員会を設置するなどの措置を講ずることとしております。  また、市町村に対する支援についてですが、保険運営の広域化や認定審査会の共同設置について調整するなど、都道府県にも積極的に支援していただくこととしております。  医療計画見直しについてですが、これは日常生活圏において地域医療を完結するとともに、地域医療の体系化を図るための医療提供体制整備を促進するために行うものであります。  都道府県に対しては、国は医療計画作成指針序示し、介護保険事業計画等との整合性を図りながら、都道府県医療介護の連携等を考慮した計画策定できるように支援してまいりたいと考えております。(拍手)    〔国務大臣白川勝彦君登壇拍手
  24. 白川勝彦

    国務大臣(白川勝彦君) 朝日議員にお答え申し上げます。  介護保険制度における市町村への支援についてのお尋ねでございますが、今回の制度におきましては、財政安定化基金の設置、要介護認定事務都道府県への委託など、保険者たる市町村を国、都道府県などがおのおのの役割に応じ重層的に古える仕組み導入したところであります。   また、介護保険の実際の運用に当たりましては、財政力の弱い市町村あるいは規模の小さな市町村などは広域連合等を積極的に活用していこうではないかと、こういう現実に動きがございますし、また介護保険制度導入自身が市町村合併の大きな契機になっていくのではないかと私は考えております。  衆議院の修正において、施行後五年を目途に制度全般検討を行うこととされましたが、自治省といたしましては、この検討も含め、今後とも地方公共団体の意向を踏まえ、市町村介護保険制度を安定して運営できるよう適切に対処して吏いりたいと存じます。(拍手)     —————————————
  25. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 有働正治君。    〔有働正治君登壇拍手
  26. 有働正治

    ○有働正治君 私は、日本共産党を代表して、介護保険法案について質問します。  今や高齢化社会に向かって介護問題は深刻です。多くの高齢者が人間らしい生活を奪われ、人間としての尊厳さえ奪われています。介護する者も介護される者もともに長寿を喜べる社会にすること、高齢者や障害者の介護家族の自己犠牲から社会全体の責任で行うようにすること、国民は必要なときにだれもが安心して必要な介護が受けられる充実した公的介護制度の確立を願っています。  そのために、我が党は、すべて国民は健康で人間らしい生活をする権利があり、その実現は国の責務であるとする憲法第二十五条の理念に基.つき、保険あって介護なしというようなことにならず、保険と公的措置を組み合わせて、介護を必至とするすべての国民の願いにこたえる制度の確立が必要と考えます。この点で、政府案には幾つもの重大な問題があると断ぜざるを得ません。  第一は、国民の切実な要望に応じた介護保障する条件整備についてです。今のままでは保険あって介護なしということにならざるを得ないことを憂慮せざるを得ません。  全国の自治体は、介護保険導入の年ともなる二〇〇〇年三月を目指し、新ゴールドプラン達成に向けて努力を重ねています。しかし、その達成状況はほとんどの自治体で達成が困難視されていると言っても過言ではありません。となれば、介護を求めている人に必要な介護をということを公約にして保険導入しても、最初から公約違反の看板倒れの制度導入されるということにはならないでしょうか。総理の基本見解を求めます。  保険制度導入に当たって今緊急に求められていることは、新ゴールドプラン目標達成、そのかさ上げのため、自治体への国の補助強化、福祉施設の建設に伴う超過負担の解消、劣悪な定員配置基準の改善等に全力を挙げることではありませんか。特に施設整備費の国庫補助を二分の一から三分の二にすることを求めるものです。条件整備をめぐる政府の具体的財政措置を含めて答弁を求めます。  ホームヘルパーについて、厚生大臣は、平成十二年度を目指して保険あってサービスなしの状況はないように改善を進めていきたいと述べています。そのためには、新ゴールドプランによるホームヘルパーの確保計画十七万人の目標を当面常勤で二十万人とすることが必要ではありませんか。関連して、切実な二十四時間ホームヘルプ事業充実も切実な課題となっています。私は、新潟県や岩手県などで、二十四時間対応のホームヘルプ事業の夜間の訪問介護に同行し、その実態を見てきました。寝たきり高齢者方々は、訪ねてくれる車の音が待ち遠しい、ホームヘルパーさんは命の綱ですと涙して語っておられました。  厚生大臣、このモデル事業は現在、全国で六十五自治体七十五事業が国の補助対象とされていますが、二十人以上という要件を緩和し、少人数でも対象とするなど事業の拡大を図り、希望する自治体が実施できるようにするべきではありませんか。また、在宅介護支援センターについて、人手をふやし、車を配置するなど補助を拡大することも切実な要求となっています。厚生大臣答弁を求めます。  いま一つは、施設介護中心となる特別養護老人ホームについてです。  政府計画では二十九万人分とされ、高齢者人口の一・三%にすぎず、とても足りません。入所を希望し、行政がその方の入所が適当と判定してなお入所できないでいる待機者が現在、我が党の調査によれば、全国で七万六千六百五十人も待つておられるわけであります。仮に二十九万人分の整備ができても、二万人をはるかに上回る待機者が出ます。また、ショートステイなどの抜本的拡充も介護に携わる御家族を含め強い願いであります。  総理、特養ホームの大幅な新増設及びショートステイ整備、デイサービスセンター整備などに対する政府の具体的取り組みを示していただきたいと思います。  私が訪問した新潟県の定数百の特別養護老人ホームは、一九八二年当時は入所者の平均年齢は七十六歳でしたが、現在は八十二歳となっています。開設当時、おむつが必要だった方は三十九人でしたが、現在は七十人。当時多くの方々が自立歩行できていましたが、現在はほとんど車いすとなっています。高齢化、重度化、痴呆化が全国的に急速に進んでいるのが特徴です。  ところが、職員の配置基準は、七八年に三十五人から三十六人に一人ふえただけで、この二十年間改善されていません。夜間勤務の中で七十人のおむつがえを職員四人で行うのですが、夜勤明けには疲れ切って顔つきまで変わるとの悲痛な声が聞かれました。職員の配置基準を実態と要望に沿って大幅に改善すべきではありませんか。  これらの重要な一連の課題に適切な対応が果たしてとれるのかどうか、そのかかわりで新ゴールドプラン見直し問題についての見解を求めます。  厚生省は、一九九二年六月の「老人保健福祉計画について」という通達で、「期間の中間点前後において見直しを行うこと」と指摘し、平成八年度を見直しの年度としてきたはずであります。この見直しがどう進んでいますか、なぜ進まないのですか。自治体の見直しと達成への手だてをとり、保険導入に万全の備えをすべきは政府の責任ではありませんか。総理答弁を求めます。  第二に、国民負担、とりわけ経済的理由で低所得者等が排除されてはならないという問題であります。  政府は、介護を受けるためとして保険料を取るわけですが、施設利用に当たっては利用料まで取ることにしています。これでは何のための保険かと言わざるを得ないわけであります。加えて、現行制度に比べ、制度発足時に国庫負担で三千七百億円、市町村負担で千六百億円削減することにしています。その分、国民にしわ寄せすることになり、いわばトリプル攻撃とも言える負担が待ち受けているわけであります。  とりわけ、低所得者負担は深刻であります。保険料高齢者や低所得者からも徴収する政府案では、一割の利用料、施設に入所した際の食費の標準負担額等を加えると、高齢者、低所得者にとって保険料と利用料等が二重の負担となります。特養ホームの入所利用料が平均四万数千円とされるならば、政府案実施されるとおよそ七割の入所者が現状より負担増となり、また、今の措置制度では前年度非課税の方の場合のホームヘルプ利用料は負担ゼロなのに、政府案では六、七千円となります。千百二十八万人の人々が平均四万円の年金という現状や、国民健康保険料の支払いで苦悩している人々は保険料、利用料を払えない事態が広がるのではありませんか。  総理高齢者・低所得者はもとより、そもそも利用料を取るのをやめ、また、保険料徴収をやめるべきではありませんか。措置制度充実強化し、保険制度措置制度を組み合わせることにより、希望するすべての国民介護サービス保障すべきではありませんか。総理見解を求めます。  第三に、社会的に大きな部分を占める在宅介護家族介護にも介護手当を出す制度とすべきだと考えます。これまでの私的な家族介護は多くの女性たちの犠牲で支えられてきました。女性社会進出が進み、約四割が女性というのに、今なお介護者の八割は女性です。年間八万人の女性家族介護のため職場をやめざるを得ないのが実態であります。  この社会的矛盾の解決を図り、家族介護社会的に正しく評価するためにも、公的介護サービス給付とともに介護手当の給付の併給制選択制とし、家族介護にも介護手当を出す制度とすることを求めます。総理見解はいかがですか。  第四に、介護保険制度高齢者医療や障害者介護をともに前進させる内容とすべきではないでしょうか。この点で、総理高齢者のほかに、原案では対象とされない、若くても障害者や難病患者たちなど介護を必要とする人を給付の対象とすべきではないでしょうか。  政府案の幾つかの重大な問題は、政府が今回財政構造改革の名のもとで大々的にたくらむ福祉切り捨て策とも相まったもので、時代の流れと国民の願いに沿うものとは言えません。諌早干拓事業に象徴的なゼネコン優先の大規模プロジェクトなどのむだや浪費にメスを入れれば、財源確保も可能であります。  日本共産党は、具体的に明示した真に国民の願いにこたえる公的介護保障制度の実現のために全力を尽くすことを表明しつつ、質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣橋本龍太郎登壇拍手
  27. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 有働議員にお答えを申し上げます。  まず、介護保険制度導入と新ゴールドプランの達成についてお尋ねがございました。 介護サービス基盤整備を図るため、まずは市町村策定した老人保健福祉計画の集大成である新ゴールドプラン推進に努めてまいります。  このため、整備がおくれているサービス地域につきましては、在宅サービス中心既存施策の拡充、民間活力導入等を図るなど、積極的に支援してまいります。  次に、福祉施設の国庫補助を引き上げろ、そういった御指摘がございました。  新ゴールドプラン推進に今全力を尽くしているところでありまして、国や地方におきまして必要な財政措置をきちんと講じてまいります。  次に、ホームヘルパーの目標を当面常勤二十万人という数字をお述べになりました。  しかし、新ゴールドプランにおけるホームヘルパーの整備目標の十七万人は、各地方自治体が策定をされました老人保健福祉計画を集計したものでありまして、その中には非常勤も含まれての十七万人、御要求自身がそういうことであったことをまず申し上げておきたいと存じます。  そして、チーム方式の導入あるいは民間委託の拡大を含めて必要なサービス量を効率的に提供することを念頭に置き、まずは新ゴールドプランにおいて必要とされたホームヘルパーの確保に努めてまいります。  次に、特別養護老人ホーム等の整備について御意見がございました。  施設サービス在宅サービスの均衡等に配慮しながら、サービスの必要性についても厳密に把握をしながら、新ゴールドプラン推進に努めてまいります。  次に、老人保健福祉計画見直しについての御意見をいただきましたが、介護保険法案におきまして、市町村サービスの必要量を踏まえて介護保険事業計画策定することとしており、老人保健福祉計画もこれと整合性をとって見直すため、介護保険法案成立後、必要な準備を進めることにいたしております。  次に、保険制度措置制度の組み合わせについて御意見をいただきました。  介護保険制度におきましては、相互扶助の考え方に基づいて、すべての被保険者から負担能力に応じた保険料負担を求め、また、サービスの利用に当たっては受益に応じた負担を求めることにしています。  その中で、低所得の方々には、保険料及び利用料について無理なく負担していただけるよう配慮をいたしております。  次に、介護手当について御意見をいただきましたが、現金給付介護サービスの利用に結びつくとは限らないために当面は行わず、まずは限られた財源基盤整備充実に振り向けることといたしました。  最後に、若年障害者及び難病患者についてのお尋ねがございましたが、これらの方々に対する介護サービスは、高齢者に対する介護保険給付と遜色のないものとなるよう、当面、障害者プランに基づいてその拡充を図ってまいります。  受給者の範囲等については、将来的には制度全般についての見直しの中で、障害者福祉施策との整合性等に配意しながら、検討を行うことといたしております。  残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)    〔国務大臣小泉純一郎登壇拍手
  28. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 有働議員にお答えいたします。  二十四時間対応ホームヘルプ事業についてのお尋ねですが、介護サービス基盤整備を進める観点から、早朝、深夜を含め二十四時間対応できるホームヘルプ事業を普及させるとともに、在宅介護支援センターの計画的な整備を図るべく、現行補助事業が十分活用されるよう意を用いてまいりたいと思います。  特別養護老人ホームの職員配置基準についてですが、痴呆性老人の増加に対応して寮母の増員が図られるよう措置費の加算制度を設けるなど、必要な処遇の確保に努めているところであります。  以上であります。(拍手
  29. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) これにて質疑は終了いたしました。      —————・—————
  30. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 日程第一 私的独占の禁止及び公正取引確保に関する法律適用除外制度整理等に関する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。商工委員長大宮和彦君。     —————————————    〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕     —————————————    〔木宮和彦君登壇拍手
  31. 木宮和彦

    ○木宮和彦君 ただいま議題となりました法律案につきまして、商工委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  本法律案は、独占禁止法適用除外カルテルなど三十五制度について、公正かつ自由な競争を促進する観点から、これを廃止ないしは適用除外の範囲の限定等を行うため、関係する二十法律を一任して所要の改正をしようとするものであります。  委員会におきましては、独禁法適用除外制度の運用状況とその効果、規制緩和と中小事業者への影響、今回積み残しとなった制度の今後の取り組み等の諸問題について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。  質疑を終わり、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  32. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) これより採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  33. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 総員起立と認めます。  よって、本案は全会一致をもって可決されました。      —————・—————
  34. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 日程第二 健康保険法等の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。厚生委員長上山和人君。     —————————————    〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕     —————————————    〔上山和人君登壇拍手
  35. 上山和人

    ○上山和人君 ただいま議題となりました法律案につきまして、厚生委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  本法律案は、高齢化進展社会経済情勢の変化等に対応し、医療保険制度の安定的運営確保、世代間の負担の公平等を図るため、被用者保険の被保険者本人に係る一部負担割合及び老人医療受給対象者に係る一部負担金の引き上げ、薬剤に係る一部負担創設政府管掌健康保険保険料率の引き上げ、そして国民健康保険財政の草盤の安定のための措置に係る国の負担の特例等の措置を講ずるとともに、医療保険制度及び老人保健制度あり方並びにこれらの制度全般にわたる改善に関する基本的事項について審議会に諮問する旨の規定を整備しようとするものでございます。  なお、衆議院におきまして、老人医療受給対象者に係る入院一部負担金の額、薬剤に係る一部負担、そして政府管掌健康保険保険料率、施行期日等の規定を改めるとともに、この法律施行後の検討等の規定を加える修正が行われております。  委員会におきましては、医療保険構造改革推進、薬剤別途負担あり方、老人保健制度見直し、薬価基準、診療報酬の抜本的見直し等の諸問題について質疑を行うとともに、公聴会を開催するなど慎重に審査を行いましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。  質疑を終わり、本法律案に対し、自由民主党及び社会民主党・護憲連合を代表して宮崎委員より修正案が提出されました。  修正案の要旨は、外来の際の薬剤に係る一部負担金の額の規定を改めるとともに、老齢福祉年金受給者であって、かつ、その属する世帯の主たる生計維持者が市町村民税が課されない者等であることにつき市町村長の認定を受けている者及び六歳未満の者については、外来の際の薬剤に係る一部負担を免除するものとするものでございますつ  なお、本修正案は予算を伴うものでありますので、内閣の意見を聴取いたしましたところ、小泉厚生大臣より政府としてはやむを得ない旨の発言がありました。  次いで、修正案に対し、その提出の経緯と理由、実施に伴う影響額等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。  質疑を終わり、討論に入りましたところ、平成会を代表して山本委員より修正案並びに修正部分を除く原案に反対、自由民主党及び社会民主党・護憲連合を代表して佐藤理事より賛成、日本共産党を代表して西山委員より反対である旨の意見が述べられました。  討論を終わり、採決の結果、修正案並びに修正部分を除く原案はいずれも多数をもって可決され、本法律案は賛成多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。  なお、本法律案に対し、附帯決議が付されております。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  36. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 本案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。山本保君。    〔山本保君登壇拍手
  37. 山本保

    ○山本保君 私は、平成会を代表し、衆議院送付健康保険法等の一部を改正する法律案及び参議院における修正案に対する反対の討論をいたします。  最初に、今回とられた修正の手法について批判いたします。  本来、議院内閣制においては、政府国民の支持を受けた与党と十分協議をし、閣法原案を国会に提案するものと私は理解してまいりました。その上で、野党の修正要求あるいは与党側が修正すべき課題があれば、委員会で十分審議し、修正していくのが議会制民主主義のあり方です。こうした手続を踏まえ、国会審議を進めていくのが政府・与党の責任であります。  ところが、今回、与党三党は、厚生委員会の審議をよそに、衆議院に引き続き、またもや密室での協議を行い、突然修正案を提出、わずか二時間の審議でこれを成立させようとしております。こうした暴挙は断じて許されるものではありません。  もしこのようなことがなされるのであれば、今後、本質にかかわらない周辺の課題をまず提出し、時間を費やしてから、議論もせず修正案を成立させることが慣行となってしまうのではないでしょうか。  これこそ、議会制民主主義を破壊し、衆愚政治を招きかねないことを政府・与党各党は厳しく反省すべきであります。  次に、法案内容について申し上げます。  事務が煩雑であるからという理由で、一日ごとの薬剤費計算を衆議院で改め、それをまた再びもとに戻すというような修正がなされました。このことは、国民の目から見れば、政府・与党各党が行ってきたことは全く場当たり的、思いつきにすぎなかったことが明白であります。  私どもは、このような修正案に賛成するわけにはまいりません。  特に、本案で進めようとする高齢者の入院費負担は、現行七百十円を、平成九年度は一日千円、十年度は千百円、十一年度は千二百円と順次値上げするものであります。これはお年寄りの生活の実態を無視した弱い者いじめであります。余裕のあるお年寄りからは応分の負担をというのであれば、もっときめ細かな対応をとるべきであり、一律の引き上げは医療保険制度の抜本改正とは何の関連もありません。  さらに、来年からでも改革実施する、今回の法改正はそれまでの一時的な対応であると御説明されながら、今申し上げましたように、細かく三年間の負担の漸増を定めることは全く矛盾しております。  また、薬剤費負担はこれまで診療報酬に当然含まれておりますのに、外来時の薬剤費は別途負担というのは筋が通りません。  しかも、患者のコスト意識を高めるのであれば、実際にかかった費用をもとに算定すべきところを、薬の量とは関係なく種類数だけで算定するということでは、正確な情報提供にもならず、抑制効果があるとは考えられないのであります。  そのほか、お年寄りの外来負担の実質的倍増、また、被用者の保険料の引き上げ等、抜本改正とは全く無縁の、単に一時的に財政赤字を糊塗するものと言わざるを得ません。  政府案の提案理由においては、医療保険制度の安定的な運営確保と述べておりますが、そのためには、審議で明らかになったように、老人保健制度見直し、あるいは医療需要と供給の調整のため、医師数やベッド数の適正化、医療費二十七兆円余の三〇%を占める、そして一兆二、三千億円の薬価差益や新薬シフトを生む薬剤費の見直し、診療報酬体系の見直し等々の方策を具体的に示し、そのりち何を最初に着手するかの優先順位を決めることこそが国会の仕事のはずであります。これらの構造的、抜本的な改革を先送りし、国民負担増を第一歩とする改正案がどうして多くの国民方々理解していただけるでありましょうか。  さらに、総理は、国民負担率を五〇%を超えない、四五%を目途に抑えるとしておりますが、このために進めるべきことは行財政システムの内部構造改革のはずです。ところが、今回の手法を見る限り、単に公費負担国民の自己負担に振りかえるだけではありませんか。  財政構造改革会議最終報告においても、平成十年度の社会保障関係費について、自然増八千億円超の当然増に対し、五千億円を上回る削減を行うことにより、増加額を大幅に抑制するとしていますが、その道筋も明らかでなく、これもまた国民に押しつけようとしているのではないでしょうか。まさに構造改革の第一歩は国民負担増から、この方針を明らかにしているのが本法なのであります。  最後に、八月中に医療改革プログラムを提出し、抜本改正をするというのであれば、それまでは本法案、修正案も凍結し、医療構造改革とセットで提出し、審議されるべきである、これが私どもの結論であります。  以上をもって、今回の修正案及び修正案を除く衆議院送付法案に対しての反対討論といたします。(拍手
  38. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 菅野壽君。    〔菅野壽君登壇拍手
  39. 菅野壽

    ○菅野壽君 私は、社会民主党・護憲連合、自由民主党、新党さきがけを代表し、ただいま議題となっております健康保険法等の一部を改正する法律案及びこれに対して与党が提出した修正案につきまして、修正案及び修正案を除く原案に賛成の立場から討論を行うものであります。  急速な少子・高齢化進展等により、医療保険財政は構造的な赤字に陥っており、このままでは崩壊しかねない危機的状況にあります。  このため、皆保険体制を維持し、国民が安心して適切な医療を受けられるように、医療提供体制医療保険制度の両面にわたって、国民立場に立った抜本改革実施することが急務であるとともに、当面の財政危機を回避するための措置も不可欠であります。  原案は、このような要請にこたえて、薬剤使用の適正化や世代間の負担の公平等の観点に立ち、制度の安定的な運営を目指すものであり、その趣旨については評価できるものでありますが、さらに本院における以下の修正によって、一層の内容の改善が図られるものと考えます。  第一に、外来の薬剤に係る一部負担については、原案の種類別の定額に加え、薬剤投与の適正化の観点から、薬剤の投与日数を勘案することにより、短期間の投与の場合における薬剤の患者負担等に配慮したことであります。  第二に、六歳未満の小児及び一定の低所得の高齢者については、外来の際の薬剤に係る一部負担を要しないものとしたことであります。これは、小児については、大人に比べて相対的に薬剤の使用量が少ないことに加え、少子化対策の一環として負担の軽減を図るものであり、負担能力の低い高齢者についても負担の軽減を図ったものであります。  以上の修正により、さらに本法案目的の達成と円滑な実施が図られるものと考えます。  このように、健康保険法等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案は、二十一世紀に向けて医療制度の抜本的改革の第一段階となるものであり、極めて重要な改正であることから、修正案及び修正部分を除く原案に賛意を表するものであります。  最後に、国民本意の医療保険制度の抜本改革に与党として今後も全力を挙げて取り組む決意であることを表明し、私の賛成討論を終わります。(拍手
  40. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 西山登紀子君。    〔西山登紀子君登壇拍手
  41. 西山登紀子

    ○西山登紀子君 私は、日本共産党を代表して、健康保険法等の一部を改正する法律案について反対の討論を行います。  本案は、一言で言って、医療保険財政の浪費構造には全くメスを入れず、すべて国民負担と犠牲で乗り切ろうとする大改悪法案であり、断じて許すことはできません。  今求められる医療改革とは、子供からお年寄りまで、お金のあるなしにかかわらず、すべての国民に十分な医療保障することです。ところが、今回の改悪案は、患者負担現行の二・五倍から四倍以上にも一気にはね上げるものとなっています。これでは、消費税五%の重税も加わって、深刻な受診抑制、治療中断を招くことは必至です。私のもとには、薬を少しずつ飲んで改悪に備えてためている、食べ物を減らして病院に行くか、病院に行かないで生活するかといったお年寄りの声すら寄せられています。  過重な外来費や薬代の二重取り、さらに月四万円程度の年金しか受け取っていないお年寄りから一日千二百円もの入院費を徴収するというのは、お金のない者は病院に行くな、入院はするなということにほかなりません。  医療保険財政赤字の最大の原因は、世界一高い薬価や医療機器が医療費を押し上げていることにこそあります。ところが、本案はこの是正には手をつけようともしていません。  高薬価を是正するには、ゾロ新などという言葉が公式に使用されるような、世界に例を見ない新薬シフトを改めることです。原価の公開など、薬価決定のプロセスを透明化し、製薬メーカーのぼろもうけにメスを入れれば、二兆円を超える財源を生み出すことは十分可能です。ところが、この点について指摘されると、政府は、薬価基準の廃止、市場原理にゆだねると言い出しました。しかし、これでは問題のすりかえであり、大手製薬企業の高利潤はそのまま温存され、高薬価を引き下げることには何らつながりません。  また、審議を通じて、本案の薬剤費二重取りが全く医学的根拠も合理的根拠もないものであることが明白になりました。そのため、与党三党は、定価のない日がわり法案国民からやゆされるほど無責任な修正劇を繰り返してきました。しかし、修正をやればやるほど新たな矛盾が次々に牛まれるという混乱に陥っています。いかなるびほう策を講じようとも、この法案の持つ制度上の重大な欠陥は直しようがありません。  公聴会で日本医師会代表は、この薬剤の別途負担について、患者と医師の信頼関係に重大な混乱を招く恥ずべき改革であり、早く廃止してほしいと陳述されました。まさにそのとおり、この法案は撤回する以外にはありません。  また、国会審議の中での再三の指摘にもかかわらず、国庫負担率をもとに戻そうとしないことも許せません。  政管健保について言えば、九二年度以降も国庫負担率をそのまま一六・四%に維持し、繰り延べなどしなければ赤字にもならず、十分財源はあったのです。政府みずからがつくった赤字をそっくり国民にツケ回しする本案は、国民に対する公約も法の趣旨も踏みにじるものです。  最後に、二兆円もの国民負担を押しつけるこの重要法案に対し、厚生委員会の理事懇談会での協議中に、自民党と、それまで法案反対、慎重審議を要求していた平成会の首脳による協議で、この法案成立への手続が合意されたことはまことに遺憾であります。このようなことは議会制民主主義に照らしても翼賛国会との批判は免れません。  今、本案に反対する請願署名は千八百万を超えました。私の部屋には二千九百通を超える怒りのファクスがきょうも届いています。国会はこの切実な国民の声にこそ耳を傾けるべきであり、採決強行など言語道断です。  日本共産党は、この医療保険法案の改悪はもちろん、抜本改革の名のもとに、さらなる国民負担増を押しつけようとする大改悪を許さず、国民とともに闘い抜くことを表明し、政府案及び修正案の撤回を強く求めて反対討論といたします。(拍手
  42. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  43. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) これより採決をいたします。  本案の委員長報告は修正議決報告でございます。  本案を委員長報告のとおり修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  44. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 過半数と認めます。  よって、本案は委員長報告のとおり修正議決されました。      —————・—————
  45. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 日程第三 電気通信事業法の一部を改正する法律案  日程第四 国際電信電話株式会社法の一部を改正する法律案  日程第五 日本電信電話株式会社法の一部を改正する法律案   (いずれも内閣提出衆議院送付)  以上三案を一括して議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。逓信委員長渕上貞雄君。     —————————————   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕     —————————————    〔渕上貞雄君登壇拍手
  46. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 ただいま議題となりました三法律案につきまして、逓信委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  まず、電気通信事業法の一部を改正する法律案につきましては、我が国の電気通信事業分野における新規参入の一層の円滑化及び電気通信事業者間の公正な競争の促進に資するため、第一種電気通信事業の許可の基準である過剰設備防止条項等を撤廃するとともに、電気通信事業者間の電気通信設備の接続に関する制度充実を図る等の改正を行おうとするものであります。  次に、国際電信電話株式会社法の一部を改正する法律案につきましては、電気通信分野における技術の進展とそれを利用した新たな役務に対する需要に対応し、国際電信電話株式会社が保有する設備及び技術の有効な活用を図る観点から、その業務として、国内における電気通信業務その他の業務を行うことができるようにする等の改正を行おうとするものであります。  次に、日本電信電話株式会社法の一部を改正する法律案につきましては、日本電信電話株式会社を日本電信電話株式会社、東日本電信電話株式会社、西日本電信電話株式会社及び長距離会社に再編成し、公正有効競争の促進を図るとともに、日本電信電話株式会社の国際通信業務への進出を実現することにより、国民の電気通信役務に対する多様な需要への対応が可能となるようにする等の改正を行おうとするものであります。  委員会におきましては、三法律案を一括して審査し、本改正による公正有効競争の促進、情報通信分野における一層の規制緩和の必要性、廃止を含めたKDD法のさらなる見直し、NTTの国際通信進出のあり方、再編成後の地域間における料金格差への懸念、再編成がNTTの研究開発に与える影響等の諸問題について質疑を行うとともに、NTT武蔵野研究開発センタの視察、参考人からの意見聴取等極めて慎重な審査が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。  質疑を終了し、討論に入りましたところ、三法律案に対し、日本共産党を代表して上田委員より反対、自由民主党、社会民主党・護憲連合、新党さきがけを代表して陣内理事より賛成する旨の意見が述べられました。  討論を終わり、順次採決の結果、三法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、三法律案に対し、多数をもって九項目から成る附帯決議を行いました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  47. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) これより採決をいたします。  まず、電気通信事業法の一部を改正する法律案及び国際電信電話株式会社法の一部を改正する法律案を一括して採決いたします。  両案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  48. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 過半数と認めます。  よって、両案は可決されました。  次に、日本電信電話株式会社法の一部を改正する法律案の採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  49. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 過半数と認めます。  よって、本案は可決されました。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時四十四分散会      —————・—————